卯月「みんな、ありがとう!」 (46)


未央「うづきん、最後のライブお疲れ様! とってもよかったよ!」

凛「今までのライブで一番かっこよかったよ、卯月」

卯月「え、えへへ、ありがとうございます。かっこいいて言われたの……初めてかもしれません。ぐすっ」


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未央「もぉー泣かないでよ、私まで泣いちゃうじゃん! ほら笑って笑って!」

凛「そうだよ、笑顔で終えるって、約束したでしょ。泣いたらダメだよ」

卯月「はいっ、はい……。でもごめんね。私、わたし自分勝手で、チームなのに勝手に辞めちゃって……」

未央「もういいってば、何度も話し合ったでしょ! 私達、卯月がどんな気持ちで今日のステージに立ったのか、ちゃんと判ってるから」

凛「卯月には卯月の道がある。でもたとえ離れても、私達はずっと友達だよ。だから……」

卯月「未央ちゃん凛ちゃん……ありがとう。でも、ごめんなさい、私、臆病で……ぐすっ……」

未央「だ、だから泣かないでよっ。本当に私も泣いちゃうからね!」

凛「プロデューサー……」

モバP「……ああ。外に出てるから、しばらくしたら呼んでくれ」


後日


卯月「おはよございますっ!」

モバP「卯月? どうしたんだ、何か忘れ物でもしたのか?」

卯月「はい。昨日の送別会では、プロデューサーさんときちんとお話しする機会がありませんでしたから……」

モバP「そうか」

卯月「……プロデューサーさん」

モバP「そうだな、時間もあるし、少し散歩でもしながら話そうか」

卯月「はい」


モバP「昨日の送別会は大変だったな」

卯月「そうですね。えへへっ、みんな、まるで今生の別れみたいな顔でしたね」

モバP「それだけ卯月が慕われていたってことだよ」

卯月「はい、とってもうれしかったです。でも……それでも私はアイドルを辞めました」

モバP「ああ」

卯月「私を責めますか? プロデューサーさん」

モバP「いや、責めないよ。卯月が散々悩んで出した結論なんだろう。止められないさ」

卯月「そう言うと思いました。プロデューサーさんは、そういう人ですからね」


モバP「ただ」

卯月「はい?」

モバP「理由を教えて欲しいんだよ。どうして、アイドルを辞めようと思ったのか」

卯月「やっぱり、わかりませんか?」

モバP「ああ、考えたがどうしても判らない。卯月から納得の行く理由を聞きたいんだ」

卯月「後学の為に、ですよね」

モバP「それだけじゃないさ」


卯月「そうですね……」

モバP「……」

卯月「私は怖くなったんです、アイドルが。あとは少し疲れました。だから、これ以上続けていくのは無理だと思ったんです」

モバP「その話は何度も聞いたよ」

卯月「そうですね。だから、私の答えは何度聞いても同じなんです」

モバP「俺は具体的な内容を知りたいんだ。アイドルに対して何を感じたのか、お前のその心を教えて欲しい」


卯月「……」

モバP「卯月?」

卯月「じゃあひとつ、付け加えてみましょうか。私は、貴方の人形じゃありません。なんて、どうです?」

モバP「……それは、俺が卯月を良い様に使っていたと、そう言いたいのか?」

卯月「心覚えがあるんですか?」

モバP「俺は……いつだってお前の意見を取り入れてきたつもりだ。納得いかないことはお互い話し合って、それで前に進んできたじゃないか」

卯月「それ、本当にそう思ってます?」

モバP「思っている。卯月は、俺が初めてスカウトしたアイドルだ。失敗も成功も、事務所の中では誰よりも多く分かち合ってきた。
   でも、二人三脚でうまくやっていけると思っていたのは、俺の独りよがりだったのか?」


卯月「ふふ」

モバP「どうして笑う」

卯月「プロデューサーさんのセリフ、彼女に別れを切り出された男性みたいだなって思って」

モバP「卯月」

卯月「さっきの言葉、少し言い過ぎました。でも、せっかくプロデューサーさんにあんな台詞を言って貰ったので、取り消すのは辞めておきます」

モバP「やっぱり、俺のプロデュースが悪かったのか?」

卯月「いいえ。私が自分勝手を通しただけです。プロデューサーさんは悪くないんです」

モバP「……だが」


卯月「プロデューサーさん。いままで本当にありがとうございました。
   アイドルをしてきて、辛い事もたくさんありました。でも、それ以上に楽しいことがいっぱいありました」

モバP「……ああ、そうだな」

卯月「最後にひとつ、お願いをしてもいいですか?」

モバP「わかった、何でも言ってくれ。お前のお願いも、これで最後なんだろう」

卯月「はい。今後、もし私を街で見かけても、話しかけないでください」


モバP「卯月、それは」

卯月「お願い、できますか?」

モバP「……わかった。約束する」

卯月「ありがとうございます。これで、もう私の忘れ物はありません。あとは全てここに置いていきます」

モバP「……そうか」

卯月「さようなら、プロデューサーさん」

モバP「ああ、さようなら……」


ちひろ「あれ、プロデューサーさん何処に行っていたんですか? なんだかやつれて見えますけど」

モバP「卯月が忘れ物をしたらしくて。あと、少し話をしていました」

ちひろ「そうですか」

モバP「ちひろさん。こんなことを聞くのはプロデューサー失格なんですが、それでも聞いていいでしょうか?」

ちひろ「ええ、卯月ちゃんのことですね」

モバP「はい。俺にはどうして卯月がアイドルを辞めたのか、わからないんです。あいつには素質も魅力もありました。
   人気だって、今でも十分にあります。このまま続けていけば、より高みに上れたことは、あいつ自身も判っていたはずなんです」

ちひろ「そうですね、私もそう思います」


モバP「何が悪かったのでしょうか……」

ちひろ「卯月ちゃんはなんて言ってましたか?」

モバP「アイドルが怖くなって、少し疲れたと。あとは……」

ちひろ「あとは?」

モバP「……いえ、それだけです。結局、具体的なことは何一つ教えてくれませんでした」

ちひろ「なら、私が言うことも何もありませんね」

モバP「どうしてです?」

ちひろ「本来なら助言のひとつでもすべきなんでしょうが、卯月ちゃんは何も話さなかったのでしょう? 
    なら無粋なことはできません。それはあなたが考えないといけない問題なんです」


モバP「俺は結局、卯月のことを何一つ理解してませんでした。一番長い付き合いで、わかっているつもりでも独善的なものだったのかもしれません。
   プロデューサーとしての自信も、今はもう……。そんな俺が考えたところで、わかりませんよ」

ちひろ「自信があろうがなかろうが、考えて下さいね。貴方はプロデューサーなんでしょう?」

モバP「ちひろさんは厳しいですね」

ちひろ「それはそうです。だって、この事務所はここからまたはじまるんですよ」

モバP「どういうことです?」

ちひろ「今回、この事務所は初めて脱落者を出しました。これでようやく他の事務所と同じ位置に来たんです。
    この挫折を凌いで、それでもまた脱落者を出して、それをずっと続けていくんですよ、私達は」

モバP「それは、つらいですね。正直、耐えられそうにありません」


ちひろ「なら、貴方にはすべきことがあるはずです。卯月ちゃんが抜けて動揺してるのは、自分だけだと思ってるんですか?」

モバP「……そうですね。みんな、今一度自分を見つめ直しているでしょう。
   俺は、彼女達を繋ぎ止めないといけません。特に凛と未央は重点的に支えないといけませんね」

ちひろ「まあ、そんなところですかね。なら、こんなところでグダグダしててもしょうがないです」

モバP「卯月のことは、考えておくことにします。今は、他にするべきことがあるので……」

ちひろ「そのうちわかりますよ、きっと」

モバP「だといいんですが。では、行ってきます」

ちひろ「はい、がんばってくださいね」




FIN

ちゃんみおは島村さんのことをしまむーと呼ぶ、これマメな

>>15
ありがとう。

>>1の「うづきん」を「しまむー」に訂正します。

島村卯月(17)
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本田未央(15)
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渋谷凛(15)
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