桜木「……センター10日前だってのに……」 阿院「まだ偏差値30台でひ」 (22)

柳「どうするんだ桜木! これでは東大の足切り点に届かんぞ!」

桜木「すまん……。完全な誤算だった……」

柳「まったく……」

阿院「いや、数学にいたってはまだ九九も出来てないでひ。正直、柳先生に問題があるでひ」

柳「何を!? そう言う阿院先生だって、こないだ矢島に『おしべって知ってるか?』って聞いたら『……ああ、サッカーの監督だろ?』って返ってきたぞ!?」

阿院「生物は専門外でひ」

川口「まあ、まあ。我々が争っても仕方ありませんよ」

柳「あんたはエアロビしかしてないだろ!?」

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桜木「……とにかく東大はほぼ不可能だ。全人類でじゃんけん大会やって優勝するようなもんだ」

阿院「天文学的確立でひ」

桜木「そこで、他の大学を検討することになった……」

一同「……」

芥山「……仕方ないでしょう。今の点数では到底……」

阿院「というか、偏差値30台をキープできていることが驚きでひ」

柳「模試のときはサイコロを転がしているそうだ。4択なのに5とか6とか書きやがって……」

桜木「この間センターに持ち込めるものを確認してたら2人が騒いでたな。『サイコロだめなのかよ!』とか言って……」

川口「……それで、どこの大学を勧めるつもりですか?」

桜木「……いや、俺は大学といえば東大か京大くらいしか知らないからな。そこであんたらの母校を参考にしようかと……」

柳「そういえばお前は大学を出ていないんだったな」

芥山「よくそんなんで『東大は簡単だ』なんてほざきましたね」

阿院「まあ僕らの母校だって彼らには相当の重荷でひ」

柳「当たり前だ。わしなんか死に物狂いで勉強して、やっと入った学校だぞ? 奴らなんぞに受かってたまるか」

芥山「『受かってたまるか』と来ましたか……」

川口「私は大阪大学の外国語学部です。英語と筋トレの毎日でした」

芥山「私は慶応の文学部ですが……」

阿院「東京理科大の理学部でひ」

柳「わしは東京の大学だ」

一同「?」

川口「え? 柳先生は東大なんですか?」

柳「……いや、東京の大学だ……」/// ゴニョゴニョ

桜木「学部は?」

柳「学部っていうか、学科だが……」

阿院「それ多分、大学じゃなくて専門学校でひ」

柳「べ、別にいいだろ!? 漫画家目指して何が悪い!」///

芥山「いったいどこの学校ですか……」

桜木「っていうか、なんで数学教師なんかしてんだアンタ」

柳「うう……ホントはジャンプで連載するはずだったんだ……」

阿院「もう柳先生は帰った方がいいでひ」

川口「でもジャンプで連載とれそうだったなんてすごいじゃないですか!」

柳「いや……とれそうだったっていうか……編集者に『絵と話の構成の才能が皆無だ』と言われて……」

芥山「かすりもしてませんね……」

ワイワイガヤガヤ

桜木(いや、待て……東京の大学……略せば東大……これはいけるぞ!)ハッ

柳「どうした、桜木。あの二人でも入れそうな大学を思いついたのか?」

桜木「ああ。それはアンタの母校だ!」ビシッ

川口「なっ! あの二人ならまだマシな大学に入れますよ!」

阿院「そうでひ! そんな胡散臭い学校入ったら人生終わりでひ!」

柳「わしの母校をバカにするな!」

桜木「いいか? そもそもコレは竜山高校再建がかかった戦いだ。そのためには東大生を出すこと、これが一番重要なんだ」

芥山「そうはいっても……」

川口「東京大学が無理だっていうのは先ほど話し合いましたよ?」

桜木「……東京大学は無理でも……東大は可能だ!」

一同「!」ハッ

桜木「そう! 東京の大学生、つまり東大生を出したというふれこみこそが竜山再建の鍵となるんだ!」

柳「そうはいっても合格の道は険しいぞ。なんたってわしの母校だからな」

桜木「そこはアンタらに任せる。よーし、希望が見えてきたぞ~!」ワクワク

一同(柳と桜木を除く)「……」



その夜

ヒソヒソ

芥山「たとえこれが竜山の意向だとしても私は反対です。矢島君と水野さんの希望の芽を摘みたくありません」

阿院「もちろんでひ。彼らには彼らの人生があるでひ」

川口「……しかし、2人の成績がこうも伸びないのは正直予想の範疇を超えていました。2人とも地頭は決して悪くない、むしろ良すぎるといった印象を受けるのですが……」

阿院「そこでひ。僕らは確かに超高等受験テクニックを伝授し、彼らも相当量の勉強をしているはずなのに……」

芥山「それなんですが……おそらく彼らは超スロースターターなのではないでしょうか?」

川口「超スロースターター?」

芥山「はい、一度だけそんな生徒を見たことがあります。最後の最後で実力が驚異的に伸び、その子は東大に行きました」

阿院「……でもあと10日でひ」

芥山「私たちも彼らも、やれるだけのことはしました。あとは信じて祈るしかないでしょう」

川口「……そうですね」



センター9日前


矢島「……んだよ、再読文字って……暴走族かなんかかよ……」

水野「もーダメ! なんでYouって3文字なのにユーって2文字になんの?」

桜木「さあ! 2人で東大に入るぞ!」ニコニコ





川口(ダメですね……)ヒソヒソ

阿院(特に水野さんが重症でひ)ヒソヒソ

芥山(まだ時間はあります……)ヒソヒソ



センター8日前

矢島「くそっ、因数分解ってなんだよ……暴走族かなんかかよ……」

水野「あーもう! 地学ってなんで社会科目のくせに理科科目に入ってんの?」

柳「そんなんじゃ、わしの母校に入れんぞ?」ビシビシ

矢島「えっ、先生って東大なの?」

柳「い、いや、まあ、東大と言えば東大かな……」





川口(ダメっダメですね……)ヒソヒソ

阿院(水野さん、地理と地学が混同してるでひ)ヒソヒソ

芥山(う、うーむ……)ヒソヒソ



センター1週間前


矢島「」

水野「」

桜木「ん? どうした? 2人とも」

矢島「……朝起きたら、なんか今まで川口先生とかが言ってたことの意味が突然わかった……」

水野「……うん。なんで全然分かんなかったんだろ……」

桜木「?」

矢島「もう、英国理社、これら4つはほとんど勉強しなくてもセンターで満点近くとれそうな気がする……」

水野「……うん。十分すぎるほど勉強しているからね……」

矢島「……問題は……」

矢島・水野「「数学!!!!!!!!!!!!!!!」」






川口(おお! 遂に開花しました!)ヒソヒソ

阿院(嬉しくて泣きそうでひ)ヒソヒソ

芥山(私もこんなに心が震えたのは初めてです)ヒソヒソ

矢島「うあああああああ‼‼‼‼ なんで全然数学を勉強してないんだ⁉ この1年、俺は何をしていたんだ⁉」アワアワ

水野「ヤバい! 応用どころか、基礎知識もない‼ なんで!?」アワアワ

矢島「もう片っ端から参考書漁るしかねえだろ!」バラバラ

水野「1分1秒無駄にできない‼‼」カキカキ





川口(……数学はセンターの9分の2を占めるんですが……)ヒソヒソ

阿院(柳先生の無能っぷりがよく分かるでひ)ヒソヒソ

芥山(しかし社会の対策をきっちりこなしてる点、桜木先生はさすがですね)ヒソヒソ

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