苗木「霧切さんが死んでからもう1ヶ月かぁ……」 (173)

苗木「あれから、みんな顔を合わせなくなっちゃったな」

苗木「食事も時間を決めてとるようになったし、みんな引きこもって生活してる……」

苗木「無理もないよね、霧切さんが死んじゃってからは、みんながみんな疑心暗鬼になって、自分しか信じられなくなっちゃったんだから」

苗木「……僕だって」

苗木「……暇だな、別に部屋を出ても良いんだろうけども、そんな気分じゃないし」

苗木「部屋で出来る事……あ、メモ帳があった」

苗木「ペンもあるし、これに日記を書くことにしようかな」

苗木「……それくらいしか暇つぶしがないし。工具セットがあっても、材料がないし」

日記
1日目

霧切さんが死んでからもう1ヶ月だと思う。
カレンダーとかが無いから、正確な日付とかは分からないけど、多分それくらいかな。
あの日から誰も部屋から出ないし、誰も会話をしていない。

とりあえず、あの出来事があってからの一ヶ月間を書く。

まず、朝比奈さんは泣き崩れてた。
無理もない、親友である大神さんが死んでしまったから。
この史上最大級の絶望に耐えられなくなって、一度自殺をしようとしたんだけど、死にきれなくなって結局引きこもるようになった。
僕の考えだけど、どうしても大神さんが頭を過ぎって死に切れないんだと思う。

葉隠くんだけど、最初はいつも通りに朝食をとっていたのだけれども、結局十神くんも、腐川さんも、朝比奈さんも朝食に来なくなっちゃったから、僕二人とは気まずくなったのか自然と来なくなっちゃった。
それ以来話してないし、話したのは時間決めの時くらいだった。
あの葉隠くんがこんなになっちゃったのってことが僕は驚いた。

十神くんは、モノクマから十神財閥が消えたことに対して驚きが隠せないみたい。
その一件から、何かとぶつぶつと言うようになった。
腐川さんはそれに付き添っているみたいだけど……時々、十神くんが腐川さんを罵っているみたい。
一度だけ、十神くんが弱音を吐いた時に腐川さんがものすごく興奮したのだけれども、その勢いで腐川さんを十神くんが殺そうとしちゃって、みんなで止めた。
そこから、十神くんはみんなの前に姿を現すことがなくなった。
モノクマとしては、現状を打破する動機の提供だったみたいだけど、結局はみんなで止めちゃったから意味がなかったみたい。

腐川さんは十神くんの説明した通りだ。
十神くんに殺されそうになったことが少しだけトラウマになった?のかな?
もしかしたら、それに快感を得ているのかもしれない。腐川さんってそういう人だから。
ジェノサイダー翔については、一度だけ姿を現して何か知っているみたいだったけど、結局元の腐川さんに戻っちゃった。

こんなものかな?
僕も、みんなが引きこもってからは引きこもってるし、みんなで決めた時間割もしっかり守ってる。
殺人も起きなくなって、モノクマが怒ってるけど、どうやらその怒ってることに対して、モノクマが飽きちゃったみたいで、最近は姿を見せない。
この状況がテレビで放送されているけど、そのことに関してはもうみんな考えないようにしているみたいだった。

こうして、ボクらはみんなの犠牲と引き換えに、
平和を手に入れたんだ…

苗木「こんなもんかな……」

モノクマ「何してるの?」

苗木「うわっ!?モノクマ!?」

モノクマ「そんな、ボクを幽霊や妖怪みたいに扱わないでよ!」

苗木(幽霊や妖怪のほうが怖くないよ!)

苗木「……しばらく見なかったね」

モノクマ「うん、ボクもいい加減飽きちゃったからね。みーんな顔合わせないんだもん、やになっちゃうよ!」

苗木「あはは……でも、モノクマだって顔を出さなかったじゃないか」

モノクマ「それを言われると返す言葉もない!」

苗木「だったら、僕たちは悪くないね」

モノクマ「はいはい、そうですそうです。で何してんの?」

苗木「何って、日記を書いてるのさ。暇だからさ」

モノクマ「ふーん、そんなつまんないことしてんの。どうせ変化のない生活なのに」

苗木「そうやって、ボクを殺人鬼にしようとしても無駄だからね?」

モノクマ「苗木くんって堅実~ボクの一番キライなタイプだよ」

苗木「……」

苗木(何が目的なんだ?本当に暇つぶしできただけなのか?)

モノクマ「あ、そうだ、ボクが嫌いな苗木くんにはプレゼントがあります!」

苗木「……プレゼント?」

モノクマ「はい!そうです!プレゼントです!それはなんとー……これです!」

苗木「……え、な、なんだこれ!?」

モノクマ「うぷぷ、苗木くんにはちょっとハードすぎたかな?」

苗木「う、嘘だ、みんな引きこもってるんじゃ!?」

モノクマ「苗木君は引きこもってたから分からないだけだよ?」

苗木「……それは違うよ、モノクマ。だってモノクマさっき」

モノクマ『みーんな顔合わせないんだもん、やになっちゃうよ!』

苗木「って言ったばかりじゃないか」

モノクマ「そう言っておかないと、苗木くんは驚かないでしょ?」

苗木「……そうか、これも動機か。だったら惑わされないぞ、これもあの時と同じような写真で、合成した写真だ!」

モノクマ「うぷぷぷ!違います!残念でした!これは正真正銘の本物でーす!」

苗木(嘘だ、嘘だ!こんな……十神くんと、腐川さんが……!!)

モノクマ「苗木くん、ボクは監視カメラでみんなのことを見ているんだよ?だから、こういうことがあったら真っ先に報告するのがフェアってもんだし、思春期な君には朗報でしょ?立ってる?フラグは立ってる?」

苗木「う、うるさい!実際に十神くんと腐川さんの口から言わないと、ボクは信じないからな!」

モノクマ「うぷぷ、信じる信じないは、苗木くん次第。十神くんと腐川さんに聞いてみればいいよ。あ、それとこの写真は苗木くんしか持っていないから、扱いには気をつけてね~」

苗木「お、おい!待て!」

苗木「……消えた」

苗木「こんな写真、ボクの部屋には置けないよ……」

苗木「しょうがないから、引き出しにしまっておこう……」


苗木(十神くんと、腐川さんが……性交しているなんて)

苗木(……待てよ、モノクマはボクしかこの写真を持っていないって言ったよね)

苗木(だとしたら、葉隠君や朝比奈さんが混乱することはないかな……)

苗木(ボクだけが知っていればいいし、そのほうが十神くんと腐川さんにも良いに決まってる)

苗木(触らぬ神に祟りなし……こうして引きこもっていれば、ボク達は今の平和を維持出来るはず)

苗木「はぁ……」

苗木(今日はもう寝よう。夜時間はまだだけど、寝てしまえば……きっと忘れる……)

――――
―――


ピンポーン

苗木「……え?」

苗木「チャイム?……凄い久しぶりだけど。モノクマ?のわけないか」

苗木(……ひょっとして、写真のこと!?)

ピンポーン

苗木「はい!今開けます!」

ガチャッ

苗木「……あれ?」

苗木(誰も居ない!?)

苗木「ん?」

苗木(ドアの前に何かが落ちている……)

『苗木くんへ。少しだけ、話したいことがあるから私の部屋まで来て』

苗木(苗木くんって呼ぶのは、残っているメンバーだと腐川さんと朝比奈さん……文面からして朝比奈さんかな?)

苗木(……言ってみよう)



ピンポーン

苗木(久々にチャイム鳴らしたなぁ……でもなんで朝比奈さんはボクの部屋に直接来なかったんだろう)

朝比奈「は、はい……?」

苗木「あ、朝比奈さん。ボクのこと呼んだ?」

朝比奈「……え?呼んでないよ?」

苗木「え?でも、ボクの部屋の前に置き手紙をしたよね?」

朝比奈「してないよ!腐川ちゃんじゃないの?」

苗木「文面的に朝比奈さんだったんだよ」

朝比奈「だったらモノクマとか……いいや、苗木に話しがあったんだ」

苗木「あれ?朝比奈さんってボクのことくん付けじゃなかったっけ?」

朝比奈「違うよ!ずっと苗木だったよ?」

苗木「……そっか、ボクの勘違いだったんだ」

朝比奈「いいから!入って!」

苗木「うん」

ガチャッ

朝比奈「……座ってよ」

苗木「うん、失礼するね」

朝比奈「霧切さんが死んでから結構経つよね……」

苗木「そうだね、みんな互いに接触しないようになってからも結構経つ」

朝比奈「苗木は現状をどう思う?」

苗木「多分だけど、モノクマがものすごくイライラしていると思うんだ。さっきモノクマと会ったんだけど」

朝比奈「え、モノクマと!?どこで!?」

苗木「ボクの部屋でだよ」

苗木(あ、しまった、どうして会ったのか聞かれたら困る……)

朝比奈「そうなんだ……私ずっとモノクマと会ってないから、もう居ないのかと思ったけど、ずっと監視してるんだね」

苗木「そうだね。ごめん、居ないって思ってたほうが気が楽だったかもしれない」

朝比奈「ううん、いいんだ。苗木ってそういう所優しいよね」

苗木「そ、そうかな……」

朝比奈「……あれから、学校内って調べた?」

苗木「ううん……ボクもみんなと同じで引きこもってたよ。朝比奈さんは?」

朝比奈「私は時々泳ぎに行くくらいかな。本当それくらい……」

苗木「そっか……他のみんなはどうしてるのかな」

朝比奈「それを考えない、っていうのも約束だったよね。だから、苗木から私の部屋に来たのにびっくり」

苗木「……そうだ、じゃあボクに手紙を書いたのは腐川さんなのかな」

朝比奈「どんな手紙だったの?」

苗木「これなんだけど」

朝比奈「……腐川ちゃんじゃない?苗木のこと苗木くんって呼ぶのって、舞園ちゃんと、霧切ちゃん、腐川ちゃん、セレスちゃん、不二咲ちゃんだったよね?腐川ちゃん以外ありえないよ」

苗木「……腐川さんだとしたら、どうしてボクを呼んだんだろう?」

朝比奈「腐川ちゃんに何かあったとか?」

苗木「だとしたら、危ないかもしれない!」

朝比奈「そうだね、腐川ちゃんの部屋に行ってみよう!」



腐川部屋前

ピンポーン

朝比奈「腐川ちゃーん?」

苗木「……返事ないね。困ったなぁ」

朝比奈「あ、そっか、よく考えたら私が居るのがおかしいんだよね。もし呼んでたとしたら、私じゃなくて苗木一人で来るし」

苗木「そっか。じゃあ、悪いんだけど朝比奈さんは部屋で待っててくれないかな」

朝比奈「分かった、終わったら報告お願いしてもいいかな?」

苗木「うん、本当は話したいことがまだあるから、朝比奈さんの部屋に行くよ」

朝比奈「うん!」

苗木(……腐川さん、何が目的なんだ)

ピンポーン

苗木「腐川さん!ボクだよ、苗木だよ」

シーン……

苗木「……もしかして、本当に居ないのか?」

葉隠「何やってんだべ、苗木っち」

苗木「葉隠くん!」

葉隠「おう、久しぶりだっぺ!元気してたか?」

苗木「元気には出来ないかな、今の状況だと……」

葉隠「ソレに関しては同意だっぺ……占いも、現状維持しか出ないし」

苗木「……あたってるかもね」

葉隠「で、何してたんだっぺ?」

苗木「実は腐川さんに呼び出されたんだけど、部屋に腐川さんが居なくて……」

葉隠「呼び出し?確か、誰かに接触するのは最低限避けるってことじゃなかったっぺ?あ!しまった、苗木に話しかけちまった!」

苗木「あはは、大丈夫だよ、これもきっと最低限の会話だから……」

葉隠「苗木の言う通りだっぺ!」

苗木「鍵は、かかってるね……」

苗木「もしかしたら、単純に留守なのかも」

葉隠「時間割見れば分かるんじゃねぇか?」

苗木「あ、そうだね。腐川さんはこの時間……いや、フリーだね。食事は1時間後になってる……」

苗木「葉隠くんは今まで何をしていたの?」

葉隠「風呂掃除だっぺ!今日の当番は俺だったから」

苗木「あ、そっか……」

朝比奈「……あれ?葉隠じゃん?」

葉隠「おお!朝比奈っち!元気してたか!?」

朝比奈「相変わらずなのね……腐川ちゃん出ないの?」

苗木「そうなんだ。ボク段々心配になってきたんだ……」

朝比奈「……や、やめてよ苗木。そんな……まさか、腐川ちゃんも!?」

苗木「……かもしれない」

朝比奈「みんなで探してみよ、十神も見つけたら説明しないと」

葉隠「でもよ、この状況だと……十神が犯人じゃねぇのか?」

朝比奈「確かに、一度腐川ちゃん殺そうとしてるし」

苗木「ちょ、ちょっと待ってよ!あれから、十神くんはみんなに謝ってたし、その後の約束もきちんと守っ……」

苗木(……だけど、あの写真)

朝比奈「苗木?」

苗木「ううん、なんでもないよ。とにかく探してみよう」

葉隠「1時間後また集合だっぺ」

苗木「分かったよ」

苗木(どこに居るんだ、腐川さん……)

苗木(まずは……>>30を探そう)

※この学校以外の所だったら、安価は自動的に下になる

葉隠が名字呼び捨てなのはわざとか?
苗木っちとか十神っちじゃね?

>>26
十神呼びに関してはミスです、申し訳ない……以後気をつける
安価下

ゲーム通りなら苗木と葉隠の子供を朝比奈が
孕むことになるんだろうけど安価か…

苗木「まずは図書室に行ってみよう。十神くんもそこに居るかもしれない」

図書室

苗木「……誰も居ないな」

苗木「あれ?図書室の本が結構なくなってる」

苗木「そっか、なるべく自室から出ないようにってのも約束であったから、十神くんが持っていったのかな?」

十神「……そこで何をしている」

苗木「十神くん!大変なんだ、腐川さんが!」

十神「腐川が?」

苗木「見つからないんだ……だけど、ボクに置き手紙を残したんだよ」

十神「……つまり、失踪したのか。苗木は腐川が置き手紙を置いていったのを見たのか?」

苗木「いや、見てない……けど、文面的に腐川さんだったんだ。残っているメンバーで、ボクにくん付けで呼ぶのは腐川さんしか居なかったから」

十神「くだらん、そんなことで腐川の置き手紙と決めつけるのか?腐川になりすましているのかもしれん」

苗木「だとしても、腐川さんが居ないっていう状況があまりにも不自然すぎない?」

十神「腐川が部屋にこもっているだけかもしれん。部屋に鍵はかかっていたのだろう?そもそも、そういう約束だったではないか」

苗木「……それもそうだけど」

十神「まぁいい、苗木少し手伝え」

苗木「え?」

十神「階段に本がある、それを図書室に戻すのを手伝えと言っている」

苗木「そ、そんなことしている場合じゃないよ!」

十神「くだらん隠れんぼには付き合ってられん!大体腐川だって、接触を避けているんだ、苗木達が探し回っていることを知ったら自殺するぞ」

苗木「そうかもしれないけど……でも、みんな不安なんだよ」

十神「……まったく、苗木は変わらんな。俺はこんなにも変わったというのに」

苗木「十神くん?」

十神「……仕方ない、隠れんぼに付き合ってやろう。その後に本を運び出すのをやってもらう。それでいいな?」

苗木「ありがとう、十神くん」

十神「……苗木、腐川と最後に喋ったのはいつだ」

苗木「全然会ってないよ……あ、でも一週間前くらいに廊下ですれ違ったかな」

十神「その程度か」

苗木「うん……十神くんは?」

十神「何度か部屋には来た。全て居留守したがな」

苗木「そうなんだ。そういえば、みんなに腐川さんと最後に会ったの聞いてなかった」

十神「ツメが甘いな苗木。霧切が死んでから、気が抜けたのか」

苗木「違うよ!こうして推理をするのが久しぶりだったから……もうしないと思っていたし」

十神「……ふん、とりあえず腐川の部屋を無理矢理開けるぞ」

苗木「え、でもどうやって?」

十神「アレを使う」

苗木「そ、それは……」

十神「全ての部屋の鍵が開くマスターキーだ」

苗木「霧切さんが残した最後の遺品……」

十神「変な言い回しをするな。アレに関しては脱衣所で話し合った結果、寄宿舎の2階にずっと置いておく、もしも使う場合には全員の了承が必要、だったな?」

苗木「そうだったね……モノクマにバレるとヤバイからって、あそこに置いておいたんだった」

十神「……そうだ、この学園の学園長が居る部屋にな。苗木、貴様が提案したことだろう」

苗木「そうだったね……でも、腐川さんには無断で使うことになっちゃうけど」

十神「居ない人間を頭数に入れてどうする。緊急事態だろう」

苗木「そっか……」

寄宿舎2階学園長室

苗木「久しぶりだね、ここも」

十神「いいから、鍵を使うぞ」

朝比奈「うん、腐川ちゃんの緊急事態だもんね!」

葉隠「早く開けて元気な姿を見るっぺ!」

苗木「うん、行こう!」

十神「……所で苗木」

苗木「え?」

十神「今更だが、何故この部屋に鍵を置くことにした。モノクマに取られる心配があっただろう」

苗木「……多分それはないと思ったんだ」

十神「何?」

苗木「モノクマは、あえてこの鍵を残しているんだと思う。誰かが殺人を犯した時に隠蔽しやすいように」

十神「だが、この鍵を使い殺し、密室を作り、ダストシュートに入れてしまえば完全犯罪が起きるじゃないか。そうなった場合、犯人探しも何も無くなるだろう」

苗木「モノクマはそれで良かったんだと思う。殺人が起きて、学園裁判が起きればなんでも……」

十神「……安直過ぎな考えだが、今までの行動を考えれば……そうかもしれないな」

苗木「それに完全犯罪が起きたとしても、学園裁判が起きたら絶対に投票をすることになる。そうなった場合、ロシアンルーレットなんだ……完全犯罪だから、分かるのはモノクマと犯人だけだから」

十神「もう分かっている。本来ならばその考えは俺にもあった。苗木が把握しているかどうかを聞いただけだ」

苗木「……うん」

十神「腐川の部屋に行くぞ」



腐川部屋前

十神「では、開ける」

ガチャッ

朝比奈「腐川ちゃん!」

苗木「腐川さん!」

葉隠「腐川っち!」

十神「……どうやら居ないようだな」

葉隠「もしかしたら、隠れてるかもしれないっぺ!」

苗木「そうだね、探してみよう」

苗木(腐川さんの部屋、凄いな……)

苗木(至る所に文字がある。作家ってみんなそうなのかな……書いてないと居ても立ってもいられないのかもしれない)

朝比奈「腐川ちゃーん、心配だから出てきてー」

十神「……居ないようだな。【これ以上は無駄】だ、出るぞ」

Re:アクション

苗木「無駄じゃないかもしれない」

十神「なんだ、どういうことだ苗木」

苗木「思い出したんだ、霧切さんのこと」

十神「何故ここで霧切の名前が出てくる」

苗木「よく考えてみてよ!もし腐川さんがボクに手紙を書いたなら、この部屋に書いた証拠が残っているはずだ」

十神「……そうか、そういうことか」

葉隠「どういうことだっぺ?」

朝比奈「苗木?どうやったら分かるの?」

苗木「……メモ帳に後が残っているはずなんだ」

朝比奈「あっ!前に霧切ちゃんがやったように?」

苗木「こうやって、鉛筆で……」

朝比奈「どう?なんか出てきた?」

苗木「……」

葉隠「どうなんだっぺ!」

苗木「で、出てこない……」

十神「何っ」

苗木「出てこないよ……ってことは……」

十神「これで確定したな……腐川が置き手紙を書いたわけではないということだ」

苗木「つ、つまりそれって、この中に……」

朝比奈「嘘をついてる人が居るってこと……?」

葉隠「お、俺は嘘なんかついてねぇっぺ!」

苗木「や、やめようみんな!今は腐川さんを探すことが先だよ!」

朝比奈「そ、そうだよね!まだ腐川ちゃんが死んだわけじゃないし……」

十神「……こうなった以上、俺は別行動を取らせてもらう」

苗木「十神くん!」

十神「犯人と一緒に行動は出来ないだろう。途中で殺されても困るしな」

苗木「で、でも」

十神「でも、ではない。苗木、お前が犯人でないと証明は出来るのか?苗木が置き手紙を書いたと言う推理も出来るのだぞ」

苗木「そ、それは……」

朝比奈「やめよ!さっきも言ったけど、とりあえず腐川ちゃん探そうよ!」

十神「ふん……俺は行くぞ」

苗木「十神くん、これだけは言っておくね」

十神「なんだ」

苗木「もし腐川さんを見つけたら……不二咲さんの時みたいなことはしないでほしいんだ」

十神「分かっている。苗木、俺はさっきも言ったはずだ。俺も変わったのだと」

苗木「十神くん……」

朝比奈「……もしやってたら許さないからね!」

十神「分かっている、じゃあな」

バタンッ

葉隠「行っちゃったべ……」

苗木「ボク達はボク達で探そう」

朝比奈「うん!」

葉隠「隠れんぼだっぺ!」



それからボク達は学校中を探した。
そして―――

葉隠「なまもの?」

苗木「落書きだね……ここは確か、死体が保管されているとこだったよね」

朝比奈「……まさか、腐川ちゃんもう既にここに居るってことはない、よね?」

苗木「……分からない」

ガチャッ

苗木「あれ」

朝比奈「え?どうしたの?」

苗木「おかしい、た、確か前に見た時は10箇所だけだった」

葉隠「……ってことは!?」

朝比奈「腐川ちゃん!?」

苗木(頼む、間違いであってくれ……!)

ガラッ

ガサッ……

腐川「……………………………………………………………………………………」

苗木「あ、あ……」

朝比奈「い、い、いやああああああああああ!!!!!!!」

葉隠「あわわわわわああああ!!」

モノクマ「ピーンポーンパーンポーン」

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後に学級裁判が開かれます」

朝比奈「もう、もう!もう聞かないと思っていたのに!!」

苗木「また、こんな!!」

葉隠「だだだだ、誰がやったんだっぺ!?苗木っちか!?朝比奈っちか!?」

朝比奈「違うわよ!もうやだ!!」

苗木「……だ、ダメだ!ここで、泣いていてもしょうがない……犯人を見つけ出さないと」

朝比奈「苗木……」

【操作開始】

苗木(腐川さんの死体発見時間は21時30分)

苗木(死因は見ただけじゃ分からない……目立った外傷は見当たらない)

苗木(だとしたら、毒殺?)

苗木「……ごめん、朝比奈さん。腐川さんの身体を調べて欲しいんだ」

朝比奈「え、え、私が?」

苗木「お願い……腐川さん女の子だから、朝比奈さんにしか頼めないんだ」

朝比奈「……うん、分かった」

苗木「ごめんね……」

朝比奈「大丈夫だよ、本当は嫌だけど……犯人は見つけないと」

苗木「うん!」

十神「……ここに居たのか」

苗木「十神くん!」

葉隠「十神っち!どこいってたんだっぺ!」

十神「お前らと同じように腐川を探していた。死体発見アナウンスがあったから、お前たちを探していたんだよ」

モノクマ「やぁやぁ、皆さんお揃いで」

苗木「モノクマ!?」

葉隠「生きてたんだっぺ!?」

モノクマ「失敬な!ボクは死なないよ!?モノクマだから!」

十神「くだらん、さっさとモノクマファイルをよこせ」

モノクマ「はいはい。いやーとうとう起きたね、殺人事件。楽しみだねーうぷぷぷー!」

十神「目障りだ、消えろ」

モノクマ「怖い怖い!財閥のなくなった御曹司(笑)が粋がってる粋がってる!」

十神「……そんな安い挑発は受けん」

モノクマ「ちぇ、つまんないの」

苗木「……十神くん、君は」

十神「うるさい。さっさとモノクマファイルを見ろ」

苗木「う、うん」

モノクマファイル
被害者は腐川冬子。
致命傷は不明。

死体が保存されていた場所は生物室の死体保管庫。

苗木(やっぱり致命傷は不明になってる……ボク達が知ってる内容しか載ってないや)

【モノクマファイル】

苗木「他に手がかりは無いかな……」

葉隠「これはなんだべ?」

苗木「台車、かな……美術室にあった奴だね」

【台車】

苗木「だとしたら、ここで死んじゃった可能性は低いってことかな」

十神「台車で運んできた可能性が高いな」

葉隠「致命傷が不明ってどういうことだべ?」

苗木「考えられるとしたら、毒殺かな……」

十神「ちゃんと隅々まで調べたのか?」

朝比奈「うん、その件なんだけど、きちんと服まで脱がせて調べたいから、出て行ってもらっていいかな」

苗木「分かった」

十神「いや待て、朝比奈が犯人かもしれんぞ。もしここで証拠を隠滅されても困る。俺が見張っている」

朝比奈「ちょっと!腐川ちゃんは女の子なんだよ!?」

十神「……だが、朝比奈を一人にするわけには行かない」

朝比奈「何!?こんな所で下心出してるわけ?最低!」

十神「違う!」

苗木「あっ……」

苗木(も、もしかして、あの写真って、本当、だった……?)

十神「……チッ、とにかく今は少しでも可能性を減らすだけだ」

朝比奈「苗木はこれでいいの!?」

苗木「本当は朝比奈さん一人で捜査すべきなんだろうけど……可能性を減らすっていうのはその通りだと思うし、腐川さんは十神くんになら見られても良いと思うな」

朝比奈「……そうなのかな。腐川ちゃん、いいの?」

十神「答えるはずがないだろう。苗木と葉隠は別の所を捜査しろ、後ほど伝える」

苗木「分かったよ」

葉隠「分かったべ!」

バタンッ

苗木「とりあえず、腐川さんの部屋をもう一度よく見てみよう」

葉隠「そうだべ、もしかしたらシャイニングメッセージがあるかもしれないべ!」

苗木「ダイイングメッセージだよ。少しでも手がかりがあると良いんだけど……」



腐川の部屋

苗木「……本当凄い部屋だ。でもこの文字列に何かメッセージがあるかもしれない?」

葉隠「えーどれどれ……『白夜様の唇が冬子の花びらを』って、なんだべ!?」

苗木「腐川さん、そんな所に書いたらまずいよ……」

葉隠「あ、これなんだべ?」

苗木「メモ帳とペン?こんなのさっきあったっけ?」

葉隠「わかんねぇ!」

苗木「もしかしたら……!」

苗木(鉛筆でやってみよう……)

葉隠「あっ!出てきたべ!これは……『苗木くんへ。少しだけ、話したいことがあるから私の部屋まで来て』って苗木の言ってた手紙か!?」

苗木「そうだね……」

【置き手紙の書いた痕跡のあるメモ帳】

苗木「葉隠くん、この部屋はさっきマスターキーで開けた時から開けっ放しだったよね?」

葉隠「そうだべ。確か、十神が今マスターキーを持っているはずだべ」

苗木「だとしたら、さっき部屋を調べた時に置いてなくても、後から置くことは出来るのかな……」

葉隠「苗木、俺思うんだけどよ。このメモ帳は誰のなんだべ?」

苗木「そういえば、腐川さんの部屋にあるメモ帳じゃない、ってことは誰かの部屋のメモ帳がなくなってるってこと?」

葉隠「そういうことになるって!」

苗木「もうちょっとこの部屋を調べたら調べてみよう」

【誰かのメモ帳】

苗木「あとは……ん?ゴミ箱の中に、うわっ!」

葉隠「どうしたべ?」

苗木「う、うわああ!!これって、何!?」

葉隠「物体Xだべ!」

苗木「凄い臭いだ……」

葉隠「よく見たらバナナの食べかけだべ」

苗木「そうだね。真っ黒になっていて分からなかった……」

葉隠「でも、なんでこんなものがあるんだべ?」

苗木「……腐川さんがもしかしたら、捨て忘れたのかも?」

【腐ったバナナ】

葉隠「腐川風呂にも入ってなかったし、だらしなくてもおかしくないって」

苗木「そうだね……これくらいかな?」

葉隠「誰のメモ帳が探しにいくべ」

苗木「そうしよう!」

ボク達はひとつひとつの部屋を見て、メモ帳があるかどうかを見た。
そして……。

苗木「あれ、舞園さんの部屋のメモ帳が無いね」

葉隠「と言うことは、舞園っちのメモ帳を使ったってことだべ!」

苗木「そういうことになるね」

【舞園さんのメモ帳】

苗木「……なんで舞園さんのメモ帳なんだろう」

葉隠「あれ?おかしくねーか?」

苗木「うん。舞園さんの部屋には鍵がかかっていた。マスターキーじゃないと開かない」

葉隠「……ってことは、今日誰かがマスターキーを使ったってことだべ?」

苗木「うん、そうなるかな……でも、ボク達がさっき行った時に確かにソレはそこにあった」

葉隠「誰が使ったんだべ?」

苗木「それは……分からない」

【誰かが使ったマスターキー】

葉隠「そろそろ生物室のほう終わったか?」

苗木「そうだね、一旦行ってみよう」

廊下

十神「苗木」

苗木「十神くん!腐川さんはどうだったの?」

十神「ああ、スカートの中のハサミくらいしか分からなかったな」

苗木「そうだったんだ……スカートの中にあったんだね」

十神「致命傷は毒殺が怪しくなってきたから、化学室へ行くぞ」

化学室

苗木「元通りになってるね……」

十神「モノクマがやったのだろう。少し調べるぞ、手がかりがあるかもしれん」

苗木「うん」

苗木(もう一度考えよう、左の棚が普通の薬品……プロテインとかが入っている棚だ。真ん中の棚が実験に使う薬品、そして右の棚が危険な薬品だ)

苗木(だとしたら、右の棚に変化があるかもしれない?)

十神「……いや、待て苗木」

苗木「え?」

十神「どこにも変化はない」

苗木「ど、どういうこと?」

十神「俺はあの事件以降、念のために危険な薬品棚にある薬には線をひいておいた。使ったらすぐに分かるようにな」

苗木「そ、そんなことしてたの?」

十神「当たり前だ。だが、今見たところどれも減っていない。一ミリもだ」

苗木「そっか……だとしたら、毒殺はありえないのかな?」

【線引された危険な薬品】

苗木「他の薬品も特に変わった様子は無いかな」

十神「大神が死んで以降、プロテインを飲むものは居ない。朝比奈も触ってはいないだろう」

朝比奈「うん、さくらちゃんと一緒に飲むプロテインが美味しかったから、プロテイン飲むと思いだしちゃって……」

苗木「朝比奈さん……」

朝比奈「でも、感傷に浸ってる場合じゃないよね!」

苗木「うん、そうだね。捜査を続けよう」

十神「……む」

苗木「どうしたの?十神くん」

十神「見ろ、この試験管を」

苗木「……数がおかしい?」

十神「そうだ。本来ならば5本刺さっている試験管が2つしか刺さっていない」

苗木「最初から2つだったとかは?」

十神「だとしたら、俺はいちいち言わない。俺はこの試験管を使ったことがあるからな、覚えている」

苗木「そ、そうなんだ」

苗木(何に使ったんだろう)

【なくなった?試験管】

苗木「じゃあ、試験管探さないと……」

十神「……いや、試験管が使われたことだけでいい。あとは分かるな、苗木」

苗木「え?どういうこと?」

十神「お前は霧切が居なければ何も出来ないのか」

苗木「そ、それは違うよ!」

十神「それでいい。あんまり絶望させるなよ、苗木」

苗木「うん……」

苗木(試験管が使われた……?と言うことは)

苗木「……そうだ、腐川さんの部屋に置き手紙の痕跡のあるメモ帳と、腐ったバナナが見つかったんだ」

十神「なんだと、腐川の部屋へ行くぞ」

苗木「うん」

腐川の部屋

苗木「……あれ?」

朝比奈「どうしたの?」

苗木「な、なくなってるんだ、メモ帳が」

十神「なんだと。確かにそれはここにあったのか?」

苗木「あったよ!葉隠くんも見たもんね?」

葉隠「あったべ!」

十神「貴重な手がかりが……探すぞ」

苗木「うん」

ボク達はメモ帳を探した。

苗木「……ボクの部屋で最後だね」

十神「入るぞ」

苗木「ちょ、ちょっと待って!」

朝比奈「え、ちょっと苗木?どうしたの?」

葉隠「あ、もしかしてエロ本が置いてあるんだべ!?」

苗木「ち、違うよ!」

苗木(ある意味そうだけど!)

十神「訳を話せ、苗木」

苗木「十神くんとボクだけで最初に入って良いかな」

朝比奈「それってどういうこと?」

葉隠「分かった!苗木っちと十神っちは共犯者なんだべ!」

十神「最早反論するのにも意味はないな。まぁいい、朝比奈と葉隠はそこで待っていろ」

朝比奈「き、気になる……」

バタンッ

十神「それで、どういうことだ」

苗木「実は、モノクマからこれを貰ったんだ……驚かないでね?」

十神「写真か?……もう何が来ても驚かないぞ、俺は」

苗木「これなんだ……」

十神「ッ!?」

苗木「……ごめんね、十神くん。だから十神くんが腐川さんの裸を見ても別に良いと思ったんだ」

十神「そういうことだったのか……」

苗木「これって、捏造じゃないのかな?」

十神「……ああ」

苗木「そうだったんだ」

十神「霧切が死んでから数日後だ。モノクマから財閥が消滅したことを聞いて落ち込んでいた俺に話しかけたのは腐川だった」

十神「精神的苦痛が俺を覆いかぶさっていたからな、あの時ばかりは俺は弱り切っていた。こんなことは十神白夜産まれて初めての出来事だったからな」

苗木「そうだよね……」

十神「だから、俺は身体を許した。ただそれだけだ、最もモノクマに見られていることも、全国中継されていることも、その時はどうでも良かったがな」

苗木「……うん、だけどそこから変わったんだね」

十神「そういうことだ。腐川には感謝はしている、だが死んでしまったのならどうしようもない」

苗木「十神くん……」

十神「俺は必ず犯人を見つけ出すだけだ」

苗木「そうだね」

十神「この事が気がかりで俺だけを部屋に入れたのなら、気にするな。あの二人にも言え」

苗木「え、いいの?」

十神「隠し事をすると後々厄介になることは知っているからな」

苗木「わ、分かったよ……」

苗木「朝比奈さんと、葉隠くん入っていいよ」

朝比奈「苗木!教えてよ!何を話してたの!」

苗木「うん、十神くんが良いって言ったから話すね」

ボクは二人に説明をした。

朝比奈「……十神、さっきはごめん」

十神「気にするな。朝比奈は普通の対応をしたまでだ。事情を知らなかったのだからな」

朝比奈「でも謝らせて。最低とか言ってごめんね、恋人の裸を見ても別に……良いもんね。むしろ、他の人には見られたくないもんね」

十神「恋人か……ふん、果たしてそうだったのかは分からんが、今はそんなことを言っている場合ではないだろう」

朝比奈「そうだね!メモ帳を探さないと!」

十神「苗木の部屋に無いとなると、厄介になるぞ」

葉隠「苗木の部屋のメモ帳は真っ白だべ」

苗木「……え?」

十神「そうだな、かなり使われているようだが」

苗木「ちょ、ちょっと待って!おかしいよ!」

十神「どうした、何がおかしいんだ」

苗木「ぼ、ボクは昨日、いや今日日記を書いたんだ」

十神「日記だと?」

朝比奈「な、苗木って結構マメなんだね」

苗木「実は今日から書こうと思って……それくらいしかやることがなかったから」

苗木「だけど、それが無いなら、もしかしたらそれが腐川さんの部屋にあったメモ帳かもしれない」

十神「だとしたら、この数分間で何故苗木の部屋に移動している」

苗木「……ボク達の行動をおさらいしてみようか」

苗木「ボク達は、腐川さんを探そうってことになって、腐川さんの部屋を出た」

苗木「ボクと朝比奈さん、葉隠くんは生物室で腐川さんの死体を発見した……」

苗木「後から、十神くんもやってきて、その後に死体を調べるために、ボクと葉隠くんは腐川さんの部屋に行ったんだ」

苗木「その時十神くんと、朝比奈さんは何をしていたの?」

朝比奈「うん、ある程度まで調べたんだ。それで、苗木達に報告しようってなって、【手分けして】探したんだ」

Re:アクション

苗木「手分けして?」

朝比奈「うん、その方が早く見つかると思って」

苗木(つまり、朝比奈さんと十神くんはその間アリバイが無いのか……)

【アリバイの無い二人】

十神「そして、俺が苗木と葉隠を見つけた」

朝比奈「そこへ私が後から駆けつけたんだよね」

苗木「それで、えっと……化学室へ行って、その後はみんなで行動していたんだよね」

十神「そうだ」

葉隠「わけわかんなくなってきたべ」

苗木「諦めるのはまだ早いよ……もう一度生物室へ行ってみない?」

十神「ではまた二手に別れよう。葉隠はついてこい、朝比奈は苗木と行動しろ」

葉隠「俺が十神っちと?」

朝比奈「そ、そうだね……可能性は減らしたほうがいい、だもんね!」

十神「そういうことだ……」

苗木「分かったよ、十神くんはどこへ行くの?」

十神「もう一度調べたい所があるから行く」

苗木「どこへ?」

十神「……さぁな」

十神「行くぞ、葉隠」

葉隠「捜査開始だべ!」

苗木「あっ!行っちゃった……」

朝比奈「……十神には十神の考えがあるのかも。行こ苗木」

苗木「うん」

生物室へ行く途中

朝比奈「苗木はさ、最初に十神と腐川ちゃんの写真見たんだよね」

苗木「うん、そうだよ。モノクマに渡されて。多分モノクマはそれを動機にしたかったんだと思う」

朝比奈「それでも、慌てずに眠ったんだっけ?」

苗木「そうだね……疲れちゃったから。その後に置き手紙が置かれていたんだ」

朝比奈「そっか……凄いなぁ、苗木は」

苗木「え?」

朝比奈「私だったらすぐに誰かに相談しちゃう。でも、苗木がそれを隠してたのって、みんなの為だし、何より十神と腐川ちゃんの為だったんだよね」

苗木「……間接的にそうなったね」

朝比奈「一人だけ動機を抱えるのって大変だと思うからさ」

苗木「それでも、ボク達は屈しないといけないんだ。モノクマっていう絶望に」

朝比奈「うん!苗木のそういう所私好きだよ!」

苗木「そ、そう?」

朝比奈「うんうん!なんて言うか、主人公みたいだよね!」

苗木「ぼ、ボクなんか主人公じゃないよ。みんなのほうが、主人公みたいな格付けじゃないか」

朝比奈「あはは!私なんて泳げるだけの人間だから。十神や霧切ちゃん、苗木みたいに推理のお手伝いはなかなか出来なくて」

苗木「そんなことないよ、腐川さんを調べるの手伝ってくれたじゃないか」

朝比奈「うん、うん……うん、ごめん。ちょっと、ごめん」

苗木「え?」

朝比奈「もうダメ、あぅ……ぐすっ……」

苗木「あ、朝比奈さん!?」

朝比奈「ごめんね、苗木……私、さくらちゃんにいつもこうして泣いて慰めててもらってて……でも、さくらちゃんは死んじゃったから……」

苗木「朝比奈さん……」

朝比奈「だからね、ぐすっ……ちょっとこうさせて」

苗木「……分かったよ」

―――数分後

朝比奈「……よしっ、落ち着いた!」

苗木「うん、良かった」

朝比奈「ごめんね時間とっちゃって!生物室へ行こうか!」

苗木「手がかりを探せるように頑張ろう!」

生物室

苗木(見たところ、変わってないかな)

苗木(もう一度台車をよく見てみよう)

苗木「あれ?」

朝比奈「?、どうしたの苗木?」

苗木「この台車……美術室の物じゃないかもしれない」

朝比奈「え?」

苗木「思い出したんだ……美術室の台車は青じゃなかった」

朝比奈「……そうだったっけ?」

苗木「うん、もしかしたら美術室に行ったら台車があるかもしれない」

朝比奈「行ってみよ!」

美術準備室

苗木「やっぱりあった!」

朝比奈「だとしたら、あそこにあった台車はどこのなんだろう……?」

苗木「もう一度調べてみよう……往復になるけど、美術準備室に台車があったっていうことは大きな手がかりかもしれない」

朝比奈「そうだね!」

生物室

苗木「……台車の色はピンク色」

苗木「朝比奈さんはこの台車に見覚えはある?」

朝比奈「うーん、無いかな……」

苗木「参ったなぁ……」

朝比奈「あっ、ここ!」

苗木「え?」

朝比奈「汚れ……」

苗木「……汚れかぁ」

朝比奈「ごめん、手がかりにならないよね……」

苗木「ん、でも待って、これって何かの後なのかもしれない」

朝比奈「後?」

苗木「うん、もしこれが置いてあった所にこれと合致する後があれば……」

朝比奈「そこのになるってこと?」

苗木「そうだね。台車の横の所に汚れがあるってことは、もしかしたらこれは立てかけられていたのかもしれない」

朝比奈「手当たり次第になるけど……大丈夫かな」

苗木「とりあえず、この階から調べてみよう」

朝比奈「うへー……苗木って凄いね」

苗木「そ、そうかな」

朝比奈「うん……根気ある。けど、私も負けてられないし!頑張る!」

苗木「うん」

ボクと朝比奈さんは手当たり次第、台車の汚れと同じような汚れを探した。
そして―――

苗木「5階にはなかった、4階も探したけど……最後はここだね」

朝比奈「……苗木、女子トイレ入る?」

苗木「流石にそれは出来ないよ。朝比奈さん、お願いしてもいいかな?」

朝比奈「分かった!そこで見張っててくれないかな?」

苗木「分かったよ」

朝比奈「えーっと……個室には無いかな、あとは用具入れ……」

朝比奈「あっ!」

苗木「え?」

朝比奈「あった、これ、かも?」

苗木「本当!?……ごめん、ボク入っても大丈夫かな」

朝比奈「大丈夫だよ、よく考えたら更衣室の時だって女子更衣室に男が入ってたもん」

苗木「そ、そうだね」

苗木「失礼します……」

朝比奈「ほら、ここ」

苗木「……本当だ。台車のものと合致するね」

朝比奈「きっとこの台車は、4階女子トイレの台車なんだよ!」

苗木「うん、それであってると思う!」

【4階女子トイレの台車】

朝比奈「……そろそろ裁判の時間かな」

苗木「そうかもしれない。もう一度だけ、みんなと話しておこう。十神くんと葉隠くんを探そう!」



食堂前

苗木「十神くん!」

十神「苗木か、どうだったんだ、捜査のほうは」

苗木「手がかりを見つけたよ!十神くんのほうは?」

十神「そこそこ見つけたぞ。そこで最後に確認しておきたいことがある」

苗木「うん、きっとボクと同じことを考えているね」

十神「やはり、気づいたか、苗木……」

葉隠「おいおい、俺が置いてきぼりなんだが!」

十神「ふん、葉隠も持っているだろう、俺達が作った時間割を」

苗木「うん、今日の昼間にアリバイのある人じゃないとダメなんだ」

十神「……昼間だと?」

苗木「え?」

十神「まぁいい、続けろ」

苗木「う、うん……だから、時間割を確認しておきたいなって」

朝比奈「そっか、そしたらみんなの行動が分かるもんね。腐川ちゃんを殺した犯人も!」

苗木「えっと……腐川さんは起きるのが遅いから10時半に朝食だったよね」

【10時半の朝食】

葉隠「順番は、俺、朝比奈っち、苗木っち、十神っち、腐川っちの順番だべ!」

苗木「そうだね。朝食後は速やかに自室に戻る、これが約束だった」

朝比奈「私達で考えたんだもんね……」

十神「ふん……腐川は本当にいつも一人で飯を食べていたのか?」

朝比奈「……?どういうこと?」

十神「俺は一度だけ、お前らも知っていることをした次の日に腐川と飯を食べた」

朝比奈「あ、あー……ラブラブじゃん」

十神「うるさい、最近はそんなことしてなどいない。つまり、腐川が一人で飯を食べていると言うことが必ずしもあるということでは無い、ということだ」

【一人で食べない朝食?】

苗木(十神くんの言っていることも覚えておこう)

苗木「えっと、朝食の後はフリータイムだけど、みんなは何をしていたの?」

葉隠「俺は占いだべ!朝食後の占いは当たりやすいんだべ!3割当たる!」

朝比奈「変わらないじゃない!」

苗木「つまり、自室に居るってことだね?」

葉隠「そうだべ」

朝比奈「私も自室に行くよ!たまーに泳ぐけど、あの事件があってからは2回しか泳いでないもん!」

苗木「その2回っていつのことかな?」

朝比奈「えっと……3週間前と2週間前かな。本当は明日泳ごうって思ってたんだけど、今が今だから……」

苗木「なるほど、十神くんは?」

十神「俺は一週間に一回図書室へ行く。そこで、本を自室に持って行き読みふける。苗木も知っているだろう」

苗木「事件が発覚する前に、十神は本を運んでいたね」

十神「そういうことだ。ここでの娯楽は本しかないからな。最も、読破するのは時間の問題だが」

苗木「……最後にボクだけど、ボクはどこにも行かないで自室に居たよ。1ヶ月ずっと、考え事してたんだ」

朝比奈「考え事?」

苗木「霧切さんを信じるべきだったのかなって……」

朝比奈「ああ……」

苗木「でも、今はそれを考えている時じゃないから。とにかく、ボクは自室に篭っていたよ」

十神「それが分かればいい」

苗木(今までのをまとめておこう)

【朝比奈2回泳ぎに行く】
【十神週に1回図書室へ本を借りる】

モノクマ「ピーンポーンパーンポーン」

モノクマ「学級裁判の時間です。速やかにエレベーターに乗ってください」

苗木「……始まった!」

十神「ここに居てもしょうがない。行くぞ」

朝比奈「……始まっちゃうんだね」

葉隠「こうなったら、裁判がどうなるか占うべ!結果はー……どうにかなるべ!」

苗木「行こう……!これが最後の学級裁判になるように!」

エレベーター前

十神「苗木」

苗木「え?」

十神「俺が知っていて、苗木の知らない情報と、苗木が知っていて、俺の知らない情報がある」

苗木「う、うん」

十神「俺が思うに、苗木の推理では……ゴールには到着しない」

苗木「え?」

十神「だから、よく考えろ。間違えるなよ」

苗木(十神くんがボクにアドバイスを……?)

苗木(何かが間違えている……?)

ボクはエレベーターが降りていく中で考えた。
十神くんが言うには、どこが間違えている推理があると言う。

間違えていても、絶対に答えは導き出さないといけない。
命がけでクロを見つけ、命がけで推理をし、命がけで……裁判をする。
学級裁判へと向かう。

Chapter5.5 COURT PREPARATION

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└言弾(コトダマ)
  【モノクマファイル】
  【4階女子トイレの台車】
  【置き手紙の書いた痕跡のあるメモ帳】
  【誰かのメモ帳】→【舞園のメモ帳】
  【腐ったバナナ】
  【誰かが使ったマスターキー】
  【線引された危険な薬品】
  【なくなった?試験管】
  【アリバイの無い二人】
  【腐川さん10時半の朝食】
  【朝比奈2回泳ぎに行く】
  【十神週に1回図書室へ本を借りる】

スキルセット

?準備を終える

起こることの無いと思われていた学級裁判。腐川の命を奪った犯人は誰だ!残された少ないメンバーでの裁判が始まる!

【学級裁判】

【開廷】

モノクマ「まずは学級裁判の簡単な説明から始めましょう!学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます」

モノクマ「正しいクロを指摘出来れば、クロだけがおしおき。だけど…もし間違った人物をクロとした場合は…」

モノクマ「クロ以外の全員がおしおきされ、みんなを欺いたクロだけが晴れて卒業となりまーす!」

モノクマ「さてと…じゃあ最初は?」

苗木(最初は何から見ていくべきなんだろう?)

十神「苗木、さっき言ったことを忘れるな。その上で考えろ」

苗木「え?」

モノクマ「こら―!裁判に関係ないことは禁止!」

モノクマ「あ、でも男の暑い友情?そういうの嫌いじゃないけど」

朝比奈「まずは死因を考えようよ!」

葉隠「そうだべ!致命傷が不明ってわけわかんないべ!」

苗木(そうだ、まずは腐川さんがどうやって死んだのかを考えよう……!」

【議論開始】

→【線引された危険な薬品】
→【なくなった?試験管】
→【モノクマファイル】

葉隠「致命傷が不明ってどういうことだべ!?」

朝比奈「……だけど、腐川ちゃんは『確実に死んじゃったよ?』」

葉隠「はっ、じゃあもしかして……」

そんなわけない……
葉隠「『自然死』だべ!?」
    バカじゃないの……

十神「バカなことを言うな、だったら学級裁判は起きない」

十神「この場合、毒殺が考えられる」

十神「身体に異常はなかったのだからな」

朝比奈「でも……『化学室の危険な薬品は使えなかったんでしょ?』」

朝比奈「だったら、『薬品を使って死んだとは考えられないよ!』」←【なくなった?試験管】

苗木『それは違うよ!』

Break!!
朝比奈「え?どういうこと?」

苗木「朝比奈さん、よく思い出して……化学室では、試験管がなくなっていたんだ」

十神「ふん……」

苗木「十神くんは、危険な薬品にだけ線引をしていたんだよね?」

十神「そうだ。他の薬品にはしていないから、使ったかどうかは知らん」

苗木「だったら……『その場で調合して作っちゃえばいいよね?』」

朝比奈「あっ!」

苗木「そもそも、毒薬だったら混ぜるな!っていう洗剤を混ぜるだけでできちゃうんだ。ましてや、化学室にあった薬品を調合しちゃって毒薬を作ることなんてたやすいんだよ」

朝比奈「そっか……だとしたら、毒殺もありえるんだ」

十神「そのとおりだ。よって、この殺人は毒殺だ。ソレ以外はありえん」

葉隠「だけど、そんな毒薬を作る方法なんてみんな知らないべ?」

苗木(いや、方法はあるはずだ……)

 予め知っていた
→図書館の資料
 誰かに聞いた

苗木『これだ!』

苗木「十神くん、薬品関係の資料って図書館にあるかな」

十神「当たり前だ。この国の秘密が載っている本まであるんだ、市販で売っているもので毒薬を作るレシピ本なんてものもあったぞ」

葉隠「だったらそれを知っている十神が犯人だべ!」

十神「バカを言うな、本を見て作ることは誰にでも出来る。葉隠にもな」

葉隠「だったら、誰にでも出来るべ」

朝比奈「信じるんだ!?」

苗木「とにかく、誰にでも毒殺が出来る可能性はあるんだよ」

十神「問題は、その毒をどうやって飲ませたか、だな」

苗木(そうだ、そこが問題なんだ……ボクにはそこの道がまだ分からない)

十神「……いや、その前に、これを言っておく必要があるな」

苗木「え?」

十神「腐川はいつ死んだんだ?」

苗木「……あっ」

十神「苗木、さっきの言動を見る限りだと、お前は今日死んだと推理しているみたいだが……本当にそうだと思うか?」

朝比奈「だけど、待って!死体って日付が経つと腐る、よね?」

十神「馬鹿言え、苗木説明してやれ」

苗木(腐川さんの死体が腐らなかった理由……?)

 腐川さんは元々腐っていたから分からなかった
 腐川さんはお風呂に入っていなかったので、死臭かそうじゃないのかが分からなかった
→死体保管庫に腐川さんの死体はあった

苗木『これだ!』

苗木「腐川さんの死体は、生物室の死体保管庫にあったから、腐らないんだよ」

朝比奈「あ、そっか、最初に発見したのはあそこだったもんね……」

葉隠「だけど、それだけが理由になるんだべ?」

朝比奈「確かに、死体保管庫に入ってたからって、犯人がたまたまそう思わせるようにしているのかもしれないし!」

十神「ふん、どいつもこいつもバカばかりだ」

苗木(腐川さんが今日死んでない理由、それはもうひとつあるはずだ!)

【議論開始】

→【舞園のメモ帳】
→【4階女子トイレの台車】
→【腐ったバナナ】
→【10時半の朝食】

葉隠「腐川っちは今日死んだんだべ!」
                     そう言われてみれば……?
葉隠「だって、腐川っちが居ないってことに『誰も気づかないなんておかしい!』」
                              ふん……
朝比奈「でも、私達できるだけ接触しない生活をしていたんだから、居なくても気づかないのは仕方ないよ……」

十神「それに、ここ1週間以内に腐川を見た奴も居ないだろう」

苗木「うん、ボクが見たのは1週間以上前の話しだね」

葉隠「だとしても、それもたまたまかもしれなかったべ!」

朝比奈「葉隠はなんでそんなにムキになってんのよ!でも、『決定的証拠がなかったら納得出来ないよね……』」←【腐ったバナナ】

苗木『それは違うよ!!』

Break!!

苗木「もう一つだけあるよ……それは、腐川さんの部屋のゴミ箱にあった『腐ったバナナ』だ!」

葉隠「確かにあれは腐ってたべ!腐川っちと同じ臭いしてたべ!」

朝比奈「腐川ちゃん、腐ったバナナと同じ臭いだったんだ……」

十神「……風呂には入っていたみたいだがな」

苗木「と、とにかく、これがおかしいんだ。もしも、今日死んだんだったら、流石に腐ったバナナをゴミ箱の中に入れっぱなしにしないよね」

朝比奈「うん……ダストシュートに入れるよね」

葉隠「ダストシュートに直行だべ!」

十神「そういうことだ。よって、腐川は今日死んだのではなく……ここ1週間のうちどこかで死んだことになる」

苗木(そうなると、推理の幅が広がるし、アリバイももう一度考えないといけない……)

十神「……本来ならば、誰にもアリバイは無いといえる。俺達はバラバラで行動をしていたのだからな」

苗木(だけど、一つだけ方法があるはずだ……アリバイとなる何かが)

【ひらめきアナグラム】

○か○わ○

【じ】   『く』
            【ん】
  『じ』           【り】

【じかんわり】

苗木『そうか分かったぞ!』

苗木「時間割を使えば、誰がどこで何をしていたのか分かるんじゃないかな」

朝比奈「みんなで決めたやつ?」

苗木「うん、みんな最低限それは守って生活しようってなったよね?」

葉隠「今日だって、風呂掃除したべ!」

苗木「だよね。だとしたら、ここ1週間での出来事を少しでも良いから思い出して欲しいんだ……例えば、腐川さんがやるべきことがやってなかった、とか」

十神「そうだな、先日トラッシュルームの管理者は俺だったが、腐川が部屋を出ないという理由で苗木になったはずだ」

苗木「……そうだったね。あの時は腐川さんが風邪ひいたのかと思ったんだよね」

十神「思えば、その時から怪しむべきだったな」

苗木「それが、いつの話だったっけ?」

十神「この施設にはカレンダーが無いからな、今からだと4日前くらいだろう」

【4日前に腐川さんは居ない】

十神「だが、もっと前を探るべきだ。最後に腐川が当番をこなしたのはいつだ」

朝比奈「確か、トイレの掃除当番が6日前だったと思う。当番って言っても、あたしと腐川ちゃんの交代制なんだけど……気がついたらみんなと同じで、腐川ちゃんがサボり初めて。私は腐川ちゃんに文句言おうと思ったんだけど、接触はしないっていうのもルールだったから」

朝比奈「何か理由があると思って、しょうがないから私がやってたんだよ!」

十神「6日前か……」

【6日前に腐川さんは居ない】

苗木(段々見えてきた、いつ腐川さんが死んだのか……)

葉隠「あー!そういえば、腐川っちを見た覚えがあるべ!」

苗木「え?それはいつのことかな」

葉隠「確か……忘れたべ」

苗木「えぇ……」

朝比奈「もー!いい加減なこと言わないでよ!」

葉隠「忘れちまったもんは仕方ない!」

朝比奈「開き直るな!」

十神「くだらん……とりあえず、腐川が死んだのは6日よりも前になる、これだけで十分だろう」

苗木(本当に十分なのかな……だけど、何かが引っかかるんだよ……)

十神「では、腐川が6日以前に死んだと分かった上で議論を開始する。

苗木(きっとこの議論では矛盾があるはずだ……そこを見つけ出さないと!)

【議論開始】

→【モノクマファイル】

葉隠「腐川っちは……『6日前に死んだんだべ!』」

朝比奈「でも、私何かが引っかかるんだよね……なんだろ?」

十神「ふん、6日前に死んだことは変わらん。見ていないのだからな、バナナも腐っているのが納得行く」

葉隠「そうだべ!あれ?だとしたら、『苗木っちの部屋に置き手紙を置いた』のは誰なんだべ?」→【苗木っちの部屋に置き手紙を置いた】

十神「……さぁな、この中の誰かがやったのだろう」

苗木(今の話しに、矛盾点があったはずだ!もう一度聞いてみよう……)

葉隠「腐川っちは……『6日前に死んだんだべ!』」←【苗木っちの部屋に置き手紙を置いた】

苗木『それは違うよ!』

Break!!

苗木「……それは違うよ、葉隠くん」

十神「なんだと?」

苗木「だとしたら、ボクの部屋に置き手紙を置いたのは誰になるのかな?」

葉隠「あぁー!」

十神「ふん、そんなの誰かが仕組んだに決まっているだろう」

苗木「そうかな……だけど、インターホンも鳴ったんだ」

十神「なんだと、それは初耳だぞ苗木」

苗木「あれ?言ってなかったっけ」

十神「……だとしたら、確実に苗木の部屋を訪れた人が居るということか。苗木、お前の部屋に人が来たのは何時の話しだ」

苗木「確か……18時だった気がする」

十神「だとしたら、18時にアリバイの無い人間が苗木の部屋に行ったと言うことになる」

苗木「そうだね……」

十神「一人一人、アリバイがあるかどうか言ってもらおう」

葉隠「俺は風呂掃除をしてたべ!今日最後に風呂入ったのは十神だから、その後にお湯抜いて洗ってたんだべ!もし、疑ってんなら今から風呂見に行くべ!」

モノクマ「その必要はありません。お風呂はぴっかぴかです!」

葉隠「ほれみろ!」

十神「葉隠では無さそうだな……」

朝比奈「私はご飯食べてたかな。早めにとったんだよね……ちょうど食べ終わった頃に苗木が来て、びっくりしちゃった」

十神「朝比奈も問題無し……俺は部屋に居たから、アリバイが無い、だが、苗木お前はどうだ?」

苗木「え?」

十神「苗木の供述を証明出来るものがあるかと聞いている」

苗木「……それは」

十神「苗木以外にインターホンを聞いた奴は居ないだろう」

葉隠「隣のやつには聞こえたかもしれないべ!」

十神「部屋は防音だ」

苗木(待てよ、ボクがアリバイを証明出来るものがあるはずだ)

十神「俺と苗木にアリバイが無い。いわばグレーゾーンだ、苗木、反論する手はあるのか?」

苗木「ちょっと待って……」

十神「……議論を開始するぞ」

苗木「十神くん!」

苗木(自分にアリバイが無いからって焦ってるのかな……仕方ない、議論でなんとか対抗しよう!)

【議論開始】

→【置き手紙の書いた痕跡のあるメモ帳】
→【誰かが使ったマスターキー】
→【アリバイの無い二人】

葉隠「つまり、苗木っちと十神……」

葉隠「『この二人のどっちかが犯人だべ!』」

苗木「そこまで決め付けるのは早いよ……」

十神「そうだ……だが、アリバイが無いのも事実。俺も苗木もフリータイムだったからな」

苗木「うん……」

十神「苗木、この置き手紙は『本当に腐川が書いたものなのか?』」

苗木「それは……」

葉隠「それは違うべ!」

苗木「え、え?」

葉隠「苗木っちの真似だべ、一回やってみたかったんだ!」

苗木「は、葉隠くん……」

苗木(待てよ、もうちょっと考えれば、あそこにぶつけてみれば……?)

葉隠「つまり、苗木っちと十神……」

葉隠「『この二人のどっちかが犯人だべ!』」

苗木「そこまで決め付けるのは早いよ……」

十神「そうだ……だが、アリバイが無いのも事実。俺も苗木もフリータイムだったからな」

苗木「うん……」

十神「苗木、この置き手紙は『本当に腐川が書いたものなのか?』」←【置き手紙の書いた痕跡のあるメモ帳】

苗木『それは違うよ!』

Break!!

苗木「それは違うよ、十神くん……」

十神「それを違うと言うのならば、苗木が書いたと認めるのだな?」

苗木「それも違うんだ、つまり……『ボクが書いていないことを証明すればいいんだよね?』だったら、葉隠くんが証人になれる」

十神「なんだと」

葉隠「おう!」

苗木「葉隠くんとボクは、置き手紙の書いた痕跡のあるメモ帳を見つけたんだ。鉛筆で浮かせてみたら、置き手紙と同じ内容が出てきた」

十神「そんなもの俺は見ていない。なかったじゃないか」

苗木「なくなったんだよ!けど、多分……誰かが取って捨てたんだと思う」

十神「何っ!?」

苗木「……ボクの部屋は鍵が開けっぱだった。そして、腐川さんの部屋も開けっ放しだった」

十神「なるほど、では、あそこに居たメンバーのアリバイを考えれば良いんだな」

苗木「そうだね……」

十神「それらを踏まえた上で議論をする……これが通れば、苗木のアリバイは認められる」

苗木「うん」

十神「……思い返してみるか」

【議論開始】

→【アリバイの無い二人】
→【10時半の朝食】
→【モノクマファイル】

十神「最初に、生物室へ行き、腐川の死体を発見した後、俺と朝比奈、苗木と葉隠で行動をした」

十神「一定の捜査が終わった後、苗木と葉隠を探しに、朝比奈と俺はわかれて探すことにした」

葉隠「……?みんなにアリバイがあるべ?」

十神「……ふん、どうだかな」

朝比奈「……うん、みんなに『アリバイがある』と思う!」←【アリバイのない二人】

苗木「それは違うよ!」

Break!!

苗木「ま、待ってよ……朝比奈さんは自分のことだからかもしれないけど、十神くんまで!」

十神「ふん……くだらん議論だったな」

葉隠「どういうことだべ!?」

苗木「……十神くんと朝比奈さんは一度だけ二手にわかれているんだ。その間にメモ帳を移動することは可能だと思うよ」

葉隠「あ、そういうことだべ!だとしたら」

朝比奈「……十神がやったってこと?」

十神「そうなるだろうな」

朝比奈「え、否定はしないの!?」

十神「こうなることは分かっていたからな」

葉隠「十神っちが犯人だったべ!」

十神「……苗木、本当にこれでいいんだな?」

苗木(おかしい、何かがおかしいと言うことは分かるんだけど……その何かが分からない!)

すまない
今更だが「朝比奈」ではなく「朝日奈」ですよ

苗木(……そうか、もう一つの可能性だ!!)

苗木(この可能性を追求したほうがいい?)

→はい
 いいえ
 逃げ出す

苗木(……きっと、追求しないと、霧切さんの時みたいに後悔をする)

苗木(どれを選んでも後悔するなら……自分が苦しんで後悔したほうがいいに決まってる!)

苗木「ちょっと待って……」

朝比奈「え?」

葉隠「なんだべ?苗木っち」

苗木「……もう一つだけ可能性があるんだ」

十神「ふん……」

苗木「十神くんは分かっているんだよね?だけど、あえてしていない。それは……十神くんがこの裁判で死のうとしているからだ」

朝比奈「え?」

葉隠「え、ど、どういうことだべ?」

苗木「ねぇ、考えてよ……この学園での『合法的な死に方』って?」

>>117
うわ、今気づいた
本当すまん

苗木「仮に自殺をしても、大神さんの時みたいに学級裁判が開かれることになる……分かりやすい自殺ならいいけど、誰かがお仕置きされちゃうんだ。アルターエゴの時みたいに」

苗木「……なら、お仕置きをされて死のうって考えてるんだよね?十神くん」

十神「そこまで推理をしているとはな。推理において必要なのは、Who、How、Why……誰が行ったか、どのように行ったか、何故行ったか、だ。その上で俺はこの学園ではWhyが鍵になっていると見た」

十神「俺はとことん絶望をした。だが、その絶望をした時にも居たのが腐川だった。さっきも話したが……俺にとっては希望だったのかもしれん」

苗木「……」

十神「だが、腐川は死んだ。それだけだ、だったら俺が犯人になって死のう。それでいいじゃないか」

朝日奈「だけど!そんなことしたら腐川ちゃんは喜ばないよ!」

十神「知るか!俺はもう死ぬんだ、苗木、黙っていろ。モノクマ!さっさと投票を始めろ!」

苗木「……いい加減にしてよ!」

十神「ッ!?」

朝日奈「な、苗木?」

苗木「そんなつまらない理由で死なないでよ!ボクは……ボクはずっと希望だと思っていた人たちが何人も死んだんだ」

苗木「最大の希望が霧切さんだった。霧切さんは最後までボクを信用してくれていた、だけど、その信用にボクは応えられなかった。だから!」

苗木「ボクだって……死にたいと何度も思った。だけど、ボクはボクが考える希望を!考えたんだ!」

苗木「ボクは、今まで死んでいった人たちを背負って進んでいる。今まで死んでいった人達が居るからこそ、希望になれるんだ」

十神「だからなんだ、苗木、ならばこの事件の犯人が分かっているのか?」

苗木「……」

十神「分からないだろう、そうだろうな、『俺にも分からない』のだから」

苗木「……それは違う」

十神「なんだと」

苗木「それは違うよ、十神くん。十神くんが知っている情報をボクは知らない。ボクが知っている情報は全て話した」

十神「……それがどうした」

苗木「十神くんは知りたくないの?十神くんが希望としていた腐川さんを殺した真犯人を」

十神「知りたいさ、だがどれだけ考えても俺が犯人になる。犯人になるように仕向けたんだ、真犯人がな」

朝日奈「そ、それって……」

葉隠「そこまでわかってるんだべ!?」

苗木「それは違うよ!」

十神「違わない!」

苗木「まだ終わっていない議論がある!」

十神「……なんだそれは、言ってみろ」

苗木「『誰が舞園さんの部屋に入ったか』だよ」

十神「それも、俺だ。俺が舞園の部屋に入ってメモ帳を使った。マスターキーを無断で使ってな」

苗木「十神くん『そこまで時間あったのかな?』」

十神「なんだと?」

【マシンガントークバトル】

十神「ふざけるな、俺が犯人だ」    十神「財閥がなくなったのなら、俺は御曹司でもなんでもない!」
       十神「苗木、諦めろ。そして、みんな死ぬんだ」
  十神「いい加減にしろ、何が希望だ、何が絶望だ!」
                 十神『俺にはアリバイが無い!だから犯人だ!』
                      ↑『図書館の本を交換する日』

苗木『これ証明するよ!!』

苗木「十神くんは、今日図書館の本を交換する日だよね?」

十神「それがどうした」

苗木「ボクと十神くんが今日初めて会ったのは図書館だったよね。それが、アリバイだよ」

十神「……」

苗木「ボクが証人だよ。あれだけの量の本をたった数時間のフリータイムで出来るわけないし、かつ舞園さんの部屋の小細工や、ボクの部屋に置き手紙を置くなんてことは出来ない」

十神「ははは!!」

苗木「『誰が舞園さんの部屋に入ったか』だよ」

十神「それも、俺だ。俺が舞園の部屋に入ってメモ帳を使った。マスターキーを無断で使ってな」

苗木「十神くん『そこまで時間あったのかな?』」

十神「なんだと?」

【マシンガントークバトル】

十神「ふざけるな、俺が犯人だ」    十神「財閥がなくなったのなら、俺は御曹司でもなんでもない!」
       十神「苗木、諦めろ。そして、みんな死ぬんだ」
  十神「いい加減にしろ、何が希望だ、何が絶望だ!」
                 十神『俺にはアリバイが無い!だから犯人だ!』
                      ↑『図書館の本を交換する日』

苗木『これで証明するよ!!』

苗木「十神くんは、今日図書館の本を交換する日だよね?」

十神「それがどうした」

苗木「ボクと十神くんが今日初めて会ったのは図書館だったよね。それが、アリバイだよ」

十神「……」

苗木「ボクが証人だよ。あれだけの量の本をたった数時間のフリータイムで出来るわけないし、かつ舞園さんの部屋の小細工や、ボクの部屋に置き手紙を置くなんてことは出来ない」

十神「ははは!!」

十神「とんでも理論だな、苗木」

苗木「……」

十神「だが、俺が犯人でないことが証明されたとしても……真犯人が分かるわけではない」

苗木「それは、きっと違うよ」

苗木「ね、モノクマ?」

モノクマ「はい?」

十神「なんだと!?」

朝日奈「え?!」

葉隠「モノクマだべ!?」

モノクマ「どうしてそこでボクが出るの?」

苗木「いい加減にしてよ、この事件の真犯人は君だろう?」

モノクマ「ふーん、そういうこと言っちゃうんだ。ボクのわけないでしょ!ボクはモノクマだよ!?」

苗木「違う、全員にアリバイがあるんだ。それってどういうことか分かる?『全員が罪を犯すことが出来ない』ってことなんだよ」

モノクマ「うぷぷ、オマエラの推理が間違えているかもしれないじゃーん?」

苗木「ソレは違う。モノクマ、よく考えてみてよ。これだけ人数が減って裁判を起こすと……絶対に犯人が出てこない事件が出てくるんだよ」

モノクマ「苗木くんが何を言っているのかわからなクマー!」

朝日奈「キャラが変わった!?」

苗木「十神くんがさっき『俺が犯人であるように仕向けられたんだ!』って言ったね。あの推理は間違えていないんだよ」

苗木「そして、十神くんには……腐川さんを殺す動機が無い!」

十神「チッ……」

モノクマ「へぇー?ほぉー?はぁーん?」

苗木「一方でモノクマには動機がある『この事件を起こすことによって、中継している相手に絶望を見せる』っていう動機がね」

苗木「ボク達はここ数日間一切喋らないで過ごしてきた。流石のモノクマもこれはまずいと思ったんじゃないかな?」

苗木「だから、十神くんを犯人に仕立て上げ、お仕置きさせて、ボクと葉隠くん、朝日奈さんでまた絶望を起こそうとしたんじゃないかな」

苗木「これだけ動機が揃っていれば、やらないことがないよ」

苗木「そもそもマスターキーを手放しにしている時点で……モノクマ、君の犯行なんだよ」

苗木「それに、十神くんのアリバイはもう一個ある」

モノクマ「ふーん?それで納得言ったら、考えてやるよ!納得いかなかったら、苗木くんをお仕置きだからね!」

苗木「分かったよ」

苗木(これが最後の勝負だ、モノクマ!)

【クライマックス推理】

犯人は犯行をする前に化学室で薬を調合したんだ。
腐川さんが食事の時間に、犯人はこっそりその薬を入れたんだ。
多分、その毒薬は遅効性のある薬だったから、その後腐川さんは動くことが出来たんだと思う
そして、腐川さんは6日以前に亡くなっているのだから『今から一週間前』つまり、7日前に図書館へ行く十神くんのことを腐川さんは知っていたんだ。
予め腐川さんと十神くんは話すような仲になっていたからね。
だけど、その薬は段々と効いてきた。
腐川さんはどんどん目の前が真っ暗になっていって、ふらふらと何階だかわからなくなっていったんだ
そうして、4階まで登ってきっと倒れてしまった……
犯人はそれを見計らって、女子トイレの台車を使い、腐川さんを生物室まで運んだ
死体保管庫に腐川さんを入れておく、そうすることで腐川さんの死体が痛むことはなかったんだ
そして、犯人はボク宛に腐川さんとして手紙を送ることで腐川さんがさっきまで生きているかのように思わせた

それが出来る犯人は……モノクマ、君だよ。

モノクマ「納得いきませーん!!」

苗木「最後まで聞いてよ、さっきのアリバイって言うのは……アリバイの無い十神くんがボクと葉隠くんと合流した所にあるんだ」

モノクマ「ふーん?」

苗木「ボクは十神くんと『寄宿舎ではなく、校舎』で合流したんだ。そこまでの道は階段が一個しか無いから、絶対に十神くんと落ち合うことになる……だから、先に寄宿舎に行って腐川さんの部屋にあったメモ帳をボクの部屋に移動することは出来ないんだ!」

苗木「これで証明するよ!」

モノクマ「……」

苗木「……?」

モノクマ「うぷ、うぷぷぷぷぷぷぷぷ!!!うぷぷぷぷ!ぷぷぷ!!!うぷぷぷうぷうぷぷぷ!!」

葉隠「なんだなんだ、壊れたんだべ!?」

朝日奈「な、なんかいつにもまして怖いね……」

モノクマ「まさかここまでとは思わなかったよ、苗木くん」

モノクマ「そうです、ボクが犯人です。だけど……ボクが犯人だと『校則違反』だよね?」

モノクマ「だから、ボクは……校則違反をしないように、正体を明かします!」

苗木「え?」

葉隠「はぁ!?」

朝日奈「えぇ!?」

十神「なん、だと……!」



江ノ島「はぁーい、久しぶりぃ、みんな元気してた?あ、でも、そっか、そうだよねー私と会うのは久しぶりだよねぇ?うんうん、知ってた知ってた。きゃはは」

苗木「え、江ノ島さん……!?」

葉隠「し、死んだはずだべ!?」

江ノ島「るっせぇな、外野は黙ってろよ。あたしはぁー苗木にぃ言ってるの?」

江ノ島「ここまで来たご褒美だよ。苗木、そういうの好き?好き?好きだよね?」

苗木「……」

苗木(何がどうなって……)

苗木「……はっ!?」



霧切『超高校級の絶望は一人じゃないわ』

苗木「あ、あれ?なんでこんなこと……」

霧切『戦刃むくろに気をつけて……」

苗木「あ、あああ!!」


江ノ島「え、なに?どうしちゃったの?いきなりサイコな感じ?最高ー!」

朝日奈「さむっ!」

江ノ島「あ?今さむって言ったな、沈むか?」

朝日奈「うわぁ……」

江ノ島「だけど、本当苗木には驚かされてばかり!霧切がぁ、消えて安心してたのに、苗木をさっさと殺すべきだったかも!」

苗木「そんな、そんな人を簡単に!殺すなんて……!」

江ノ島「でもさぁーそれだけじゃよぉ、ほんとにアリバイになるわけ?」

苗木「……?」

江ノ島「このままだと、十神がお仕置きだけど!それはそれで最高!」

苗木「ちょっと待って、ここに江ノ島さんが参加したってことは」

江ノ島「私にも投票権があり、投票される権利もあります」

朝日奈「だったら江ノ島ちゃんに入れるよ!」

江ノ島「だけどさぁ、ちゃーんとクロって証明出来ないと今回のお仕置きは皆殺し。虐殺、刺殺、呪殺、銃殺、粉砕、玉砕、大喝采?」

朝日奈「何キャラ……?」

江ノ島「もう一つきっちりけじめつけたら、あたしが死んでやるって言ってんの」

苗木「けじめ?」

江ノ島「さりげなーく、クライマックス推理に入れてたけど、なんで台車については誰も触れないわけぇ?」

苗木「……」

江ノ島「もしかして、このままいけると思った?ダメだよ、伏線回収はしっかりしないと作品として見劣るゾ☆」

苗木「……分かってるよ、そこについてはボクと朝日奈さんがわかってる」

江ノ島「じゃあ議論と行きましょうか、これも様式美、言弾を詰めてください」

【議論開始】

【4階女子トイレの台車】
【モノクマファイル】
【十神週に1回図書館へ本を借りる】

葉隠「あの台車って、『何に使った』んだべ?」

江ノ島「オマエラ本当に脳みそついてるのか?『死体運んだ』に決まってんじゃーん?」

十神「台車といえば……『他にも似たようなことがあったな』」

江ノ島「あ、ありましたね……その、それは……えっと、山田くんと石丸くんが死んでしまった事件でしょうか?」

葉隠「だったら、その時に使った『台車と同じだべ!』」←【4階女子トイレの台車】

苗木『それは違うよ!』

Break!!

苗木「それは違かったんだ。第一、美術準備室の台車は青いんだよ。だけど、現場にあった台車はピンク色だった」

江ノ島「へぇー?じゃあどこから出てきたわけ?四次元ポケット?」

苗木「違う、それは4階の女子トイレさ」

江ノ島「ふーん?」

朝日奈「証拠だってあるよ!ここの汚れと、そこの汚れがパズルみたいに合致するの!」

江ノ島「ほぉー?」

苗木「……これで納得出来たかな、江ノ島盾子……いや、超高校級の絶望!」

江ノ島「はいはい、納得納得。それでは愉快で素敵でお茶目なお仕置きタイムと行きましょうか!」

苗木「え?」

朝日奈「こ、こんなあっさり?」

江ノ島「だってさ、これ以上の絶望がある?死にたくても死ねなかった野郎の代わりにあたしが死ぬの。あたしはあたしで、たった一人の野郎に計画全部おじゃんだよ!ぞくぞくして、ちょっとパンツ濡れるレベル……」

江ノ島「だから、今世紀最大級の絶望を味わってあたしは死ぬの。霧切を殺して成功だと思った、このあたしが!!成功したと思った後の失敗ってものすごく絶望なのよね!それを全世界に!!知らしめるために!!」

苗木「……」

江ノ島「ねぇ、苗木、今どんな気持ち?気持ちいい?イッちゃいそう?イッていいよ?ね?ね?」

苗木「……」

江ノ島「そうですか……最後まで無視を通すんですか」

江ノ島「じゃ、そゆことで、あ、ち・な・み・に」

江ノ島「あたしが死ぬと同時に、空気清浄機が止まるわけよ。それで、学園は空気がなくなるってわけ」

江ノ島「ついでに言うと、外の世界は絶望にあふれている世界。まぁ、十神の財閥が無くなってた時点で?察しついてると思うけど?」

江ノ島「んじゃ、アデュー!Have a nice despair!!」

江ノ島盾子さんがクロに選ばれました。
お仕置きを開始します


江ノ島(これで終わり、終わり終わり、ジエンド!全て終わり!絶望的な人生だった!だけど、終わり)

江ノ島(ごめんね☆お姉ちゃん、先に殺して。あたしもすぐ行くから許してよ、ねね?)

江ノ島(あ、くる、くる!くるよ!プレスする音が聞こえる、聞こえる!!)

江ノ島(きたきたきた!!潰されるんだ、頭蓋骨から、腕、身体、足全部つぶれてこの世から消えるんだ!!)

江ノ島(超絶望を味わって!!!)

プシュウゥゥゥッゥウウウウウウウウ

ビービービービービービー

システムエラーシステムエラーシステムエラー

何者かの侵入により、緊急停止します。緊急停止します。

江ノ島「……は?」

江ノ島「え、何?止まったの?こんなに気持よかったのに?気持よく死のうと思ったのに?」

苗木「……」

江ノ島「え、そこでなんで苗木が出てくるわけ?この『超味わえないような絶望を!!邪魔するわけ!!』」

苗木『それは違うよ、江ノ島さん』

Break!!

江ノ島「はぁぁぁあああ???何が違うんだよ、苗木!」

苗木「ここで死ぬことが、江ノ島さんにとって最大の絶望じゃない。ここで『生き続けることが最大の絶望』なんだ」

苗木「それは同時に、ボク達も『最大の絶望』を味わって生きていくことになる」

苗木「だけどいいんだ、ボク達はその『最大の絶望』に勝てる『希望』がある」

苗木「江ノ島さんにとって、絶望が禁断の果実なら、永遠にかじり続ければいいんだよ」

江ノ島「なにそれ、何?なんで、そんな……そんな……そんな!!」






江ノ島「さいっっっっっこうの絶望が思いつくわけぇええええええええええええええ!?!!?!?!?」

苗木「それは、ボクが『超高校級の希望』だからだよ」

苗木「本来あるべき記憶じゃないのに、どこかで覚えているんだ。誰かに言われた気がするんだ、ボクは『超高校級の希望』だって」

江ノ島「そいつと一緒に暮らせって言うの?最高に絶望、超絶望、たまらない絶望、あたし超不幸、不幸過ぎて、見て、ほら、漏れちゃった」

苗木「……とにかく、江ノ島さんが死ななければ扉が開くこともないし、装置も止まることがない。江ノ島さんは、ボク達の絶望を延々と吸い続けなければいけない」

苗木「そして、もう誰も殺しはしない。殺させない、殺すことは『希望』へと繋がってしまったのだから」

苗木「……だって、真っ先に江ノ島さんがやったって思うよね?江ノ島さんが死ぬっていうことは、きっと最大の希望だよね」

苗木「それは、江ノ島さんにとって、存在を否定されることだよね?」

江ノ島「苗木、ううん、苗木様。苗木様、苗木様……」

苗木「……」

江ノ島「あたしにもっと絶望をください」

苗木「……ここで老衰することだね」

江ノ島「はい?」






こうして、最後の学級裁判は閉廷した。

それからの生活は……凄い日々だった。
ボクは朝日奈さんに告白された。
これから生きていく上で、子供は必須だった、だからボクは朝日奈さんと子供を産んだ。
それは葉隠くんもそうだった、そして……腐川さんを好きだった十神くんも。

そうして、希望を少しずつ作っていった。
いつかくる未来に備えて、新しい希望を……。

その日は来ると信じて。

題名:数年後の未来
撮影者:江ノ島盾子

Another End

終わりです、こんな時間までお疲れ様でした
行き当たりばったりなロジックでしたが、構築出来てよかったです
徹夜でダンロンをやったのを思い出しました

読んでくださった方はありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月16日 (水) 06:23:13   ID: O16rUuMi

やばい、すげぇー!

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