揺杏「腰痛ってェ」  (136)

揺杏(今日、私は爽と一緒にユキの家に来ていた。新しい衣装をユキに合わせるためだ)

揺杏(何でか知らんが爽が遅れて、ユキと二人でいる内に……映画観てたかなんかだっけ?まあ、なんかしてる内に眠くなって寝てしまったわけだ)

揺杏(そして寝て起きた今、何故か妙に腰が痛い。更におかしなことには…)

揺杏「……ユキ、聞いてるか?」

由暉子「…………くー」

揺杏「お前も寝てるか。…まあそれはいい。それより、どうして……」

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揺杏「どうしてお前と私は下真っ裸なんだ……!」




爽「その疑問には私が答えよう!」

揺杏「げっ、爽!来てたのかよ…」

爽「ああ。揺杏が眠るちょっと前に着いて、さっきまで独りで寂しく映画を観てたのだ。揺杏が寝てから、ユキに部屋に入れてもらったのさ」

揺杏「ああ?なんだその……まあいいや。スカート履くから、ちょっち待ってて」

爽「ああ」

揺杏「…………あのさ、私が履いてる間にユキのスカート直すくらいやってあげなよ。先輩なんだからさ」

爽「えっ?あ、ああ。ゴメンゴメン…」

揺杏(はあ。どっちが上級生なんだか…)

揺杏「まあ、聞きたいことは色々あんだけど……まだ?」

爽「あ、いや…なんか後ろめたくてさ。こういうのって、私じゃなくて揺杏が直してやった方がいいと思うし…」

揺杏「なんだそれ?私たち女同士なんだし、んなの今更気にする仲でもないじゃん」

爽「!!…揺杏、お前まさか……覚えてないのか?私が来る前に、二人で何をしてたのか…」

揺杏「はっ?ちょ、それどういう意味!?詳しく教えてくれ!私とユキがあんな恰好で寝てた理由も含めて、全部!!」

爽「お、落ち着け揺杏。ユキが起きる」

揺杏「ああ?どうせならユキにも話を聞いた方…が……」チラッ





由暉子「……すー……」





揺杏「……わり。ちゃんと抑えて話すよ…」

爽(ユキの寝顔、ナイス。危ないところだったぞ)

爽「ま、私が知ってる限りの事を順を追って話すとして……時に揺杏、体のどっか痛まないか?具体的には、腰とか…」

揺杏「!!!な、なんで分かったんだ!?」

爽「やっぱりか。ゴメンな揺あ…いや、何でもない。とりあえず、状況整理をしようか。揺杏は寝る前のこと、どのくらい覚えてるんだ?」

揺杏「いや、正直殆ど…あ。そういや、爽が来なくてヒマだったからユキと二人で映画観てた気がする」

爽「なるほど…。映画観た部屋はここでいいんだな?ユキん家のダイニング…」

揺杏「…うん。間違ってなければ、だけど…」

爽「私が部屋に入った時、ユキがこの部屋で映画観てたからそれで合ってるな」

揺杏「そうか。…ん、ちょっと待てよ?もしかして、爽を部屋に入れた時もユキはこんな恰好だったのか?」

爽「…………あー、それなんだが…。どうも、ユキもボーっとしたまま応対したらしくてなあ。多分、お前みたいに寝てたのを私がインターホンで起こしちゃったんだと思うが…」

揺杏「えっ!なっ、なんだよそれ超あぶねーじゃん!おま、万が一爽じゃなくて変な男とか来てたら大変なことに…!」

爽「こ、声を抑えろ揺杏!」

揺杏「あ、ゴメン…」

爽「一応、ユキもドアについてる覗き穴で確認したらしいしな。私も声かけながら玄関で待ったし」

揺杏「そっか、良かった…………ん?ちょっと待て、なんか…」

爽「……どうした、揺杏?」

揺杏「や、何かひっかかることが…」

爽「な、なんだよ。…なんならアレだ。この際揺杏は聞き手に回って、私が話すのを聞いたらどうだ?質問ならその後にすればいいだろ?ん?」

揺杏「…ああ。そうさせてもらうよ」

爽「…ふぅー。そうだな、何から話そうか…」

揺杏「普通に順番に話してくれよ。爽が家の前に着いた時から、全部」

爽「……本当にいいんだな?多分、そこがお前にとって一番ショッキングな部分になるぞ?」

揺杏「う…。……いや、大丈夫だ。何があったとしても最後までちゃんと聞く。だから、爽も知ってる事を出来るだけありのままに話してくれ」

爽「…分かった。そうだな、私が二人に遅れてこの家に着いた時…」



~~~



爽『おーい、二人とも~。あっけてっくれ~』ピンポーン

揺杏「えっ。インターホン鳴らした?全然覚えてないんだけど」

爽「まあ聞け。その後もっかい押したけど反応が無かったんで、気になって聞き耳を立ててみた。そしたら、微かにだが聞こえてきたんだ…」

揺杏「…………」ゴク



~~~



『……ッキ!ユキ!…キイイイィ!!』

『はっ、せん……あっ!ああっ!』

『……キ。……てる…』

『…だて……ぱ…。……も、…あっ』

『……ユキ』



~~~



揺杏「いやいやいやいやいやいや。無い。それは無い。マ、ジ、で、ぜっ、た、い、無い」

爽「そう言われてもだな…」

揺杏「えっ。つか何それマジありえねーだって私レズじゃねーし酒とかヤバいクスリとか入ってるわけねーしなんだそれなんつーかとにかく意味分かんないっつーか意味不明なんですけどマジで」

爽「……揺杏。気持ちは分かるが」

揺杏「いやだから絶対ねえって。アレだろ?幻聴かなんかだろ?それかアレだ、映画の濡れ場の音声が混じったかなん…」

爽「揺杏。頼むから落ち着いて聞いてくれ。私はマジメだ」

揺杏「…っ!……分かった。ちゃんと聞く…」

爽(ユキは……うん。まだ寝てるみたいだな…)





由暉子「…………zzz」

爽「いいか揺杏。確かに今の会話には、私が無意識に受けたイメージを補完した箇所があったかもしれない。だが実際、微かにだが私は聞いたんだ。もちろん、テレビから流れてきた音声でもない」

揺杏「いや……なんだよそれ。訳分かんないよ…」

爽「私だってそうだったよ。同じ部活の後輩同士が同性愛なんて……いや、性癖を否定するわけじゃなくて、『そういうこと』をする関係だったてのがショックだった。お前たちの声を聞いた後、しばらく玄関先で凍りついたよ」

揺杏「ちょっと待てよ…。……そんな、ウソだ、そんな…」

爽「………………」

揺杏「さ、爽。何か言えよ。なあ」

爽「……そうしてちょっとの時間が経った後、私はまたインターホンを押してユキに入れてもらった」

揺杏「…そうじゃなくて」

爽「……ユキは寝ぼけてんのか、適当に挨拶した後すぐに眠りについたよ。さっきみたいな恰好でな…」

揺杏「そうじゃなくてぇぇ~…!」

爽「…他に何を言えっていうんだ?私が話を終えるまで、ちゃんと聞くんじゃなかったのかよ!?」

揺杏「ひっ…!」

爽「……あ。…ゴメン、揺杏。私もちょっと混乱してるみたいだ…。……ユキは大丈夫か?」

揺杏「…うん。まだ、気持ちよさそうに寝てる…」

爽「そうか。……それで部屋に入った私は、二人に聞きたいことが山ほどあったけど、寝てるのを起こすのも悪くて映画観ながら待ってたのさ。片方がこうやって起きて話をしてくれるのをな」

揺杏「…………ああ」

揺杏「…爽は、いつ頃来たの?」

爽「揺杏が起きる前に映画が終わったから……1時間前くらいか?観たって言っても途中からだけどね」

揺杏「爽が、その…私たちが『して』る最中の声を聞いたのは?」

爽「それは分からんな。家に入る直前、待ってたと言っても5分か10分か…まあ、そんなに長くはないよ」

揺杏「そっか。……私、ヤッてからすぐ寝ちゃったんだな。あは、あはは…」

爽「揺杏…」

揺杏「はぁ~ぁ…。まさか、後輩の女子で処女捨てるとは思わなかったなぁ~…」

爽「ゆ、揺杏。そう投げやりになるな。落ち着け」

揺杏「落ち着いてるよ。……あれ?今気付いたけど、なんかこの部屋変じゃないか?」

爽「えっ?…ど、どこが?」

揺杏「いや、この部屋……居間なのにテーブルが無い。…つーかあそこ、隅の方にどけてあるぞ」

爽「えっ。それは何、アレだ……言いにくいんだが…」

揺杏「なんだよ今更。いいよ、言えよ」





爽「…ヤるスペースを確保するためにどけたんじゃないかな…?」





揺杏「……………………」

揺杏「おまっ、イヤなこと言うなよ…」

爽「ゴメン…。思いついちゃったから…」

揺杏「はぁ~。誓子や成香…っつーか私たち以外の皆が聞いたらぶっ倒れそうだな、この会話」

爽「まあそれよりさ、ほんっ…とうに覚えてないんだな?本当の本当の本当に、きっかけすらも」

揺杏「だからマジ覚えてねえし…。なんだよ、普通に映画観てたらうっかり寝ちゃったとかじゃないのかー?」

爽「もうその話はよせ。あの状況を見たお前にも分かるだろ」

揺杏「んっとよー……あー、腰痛ってェ」

中途半端だけど飯時なので終わります。別に進行中のssもあるんだけど、思いついちゃったから仕方ないよね

揺杏「でもさー…ヤるためだけに、わざわざテーブルどかすか?こういうのって普通、自分か相手の部屋行ってやるもんなんじゃねーの?」

爽「えっ。…そうだな、例えば……映画観ながらやりたかったとか?」

揺杏「アホか。つーか私が観た映画ってあれ、キリストな感じの真面目なやつだし。AVでもなきゃ観ながらヤるなんてはっそ……ん?」

爽「!ま、また何か気付いたのか、揺杏?」

揺杏「いや、『映画観ながら』って何か、寝る前にユキと話したような話さなかったような…」

爽「…どうやら記憶が戻ってきたか?」

揺杏「や、まだうろ覚えなんだけど…」

揺杏「思い出した…!爽が来る前、二人で採寸だけ先にやってたんだ!そんで、部屋の真ん中でやらないと画面が見えないから……」

爽「え、映画観るためにそこまでするか?採寸ったって時間がかかるわけでも…」

揺杏「いや絶対したよ。だって私、どかした後でユキと『わざわざどかすこともなかったなー』的な会話したし。間違いねぇ」

爽「その癖二人して部屋の真ん中に下半身丸出しで寝てたのか。どかさなければそんなことには…」

揺杏「んー…。あともう一個、おかしなトコあんだけどさぁ……爽?」

爽「こ、今度は何だ?」





揺杏「爽さぁ…採寸の結果書いた紙、どこに隠した?」





爽「…………」

爽「採寸の紙ってつまり、ユキの身長スリーサイズカップ数など諸々の機密情報が書かれた…」

揺杏「そ。採寸したのはこの部屋で間違いないし、絶対この部屋にあると思うんだけど、無いんだわ」

爽「…………」

揺杏「どうした爽?私とユキ以外でこの部屋入ったお前なら、なんか知ってるんじゃねーのか?」

爽「……あ、あー。思い出した!なんかゴミが落ちてると思って捨てたんだ!二人とも寝てたし、私が片付けてやろうと思ったんだよ、うん」

揺杏「…それ、本当なら紙見してくんね?ゴミ箱に捨てたんだよな?隠したとかじゃないよな?」

爽「や、やだな。なぜ私が隠すんだ?待て。分かった。今からゴミ箱漁るよ。とりあえず、その目つきは落ち着かなくなるからやめてくれ」

揺杏「………………」

爽「はー、人使いの荒い後輩だなぁー…」ゴソゴソ

揺杏「…なんかお前、さっきから言動が怪しすぎるぞ」

爽「気のせい気のせい。ほら、採寸の紙ってこれだろ?」ペラッ

揺杏「ん?139、G、サイズがきゅうじゅう……うん、これだな」

爽「ユキの奴、また胸がでかくなったのか。…けしからんな!今度、私たちで増えた分を吸ってやろう!」

揺杏「親父ギャグやめろ。……にしても、こうして数字にするとホントえっろいカラダしてるよなぁ、ユキの奴…」

爽「そうだなぁ。女の私たちから見ても…はっ!」

揺杏「?どした、爽」

爽「あくまで仮説だが…揺杏。お前、採寸の時にユキに欲情したんじゃないか?測る時は全裸に近くなるわけだし」

揺杏「なっ…!だ、だから私はそーいうシュミは無いって…」

爽「それとこれとは話が別だ。揺杏、お前だって知っているだろう。この芸術的…均整のとれていながら色々不均等な体つきというか、ぶっちゃけ犯罪級なユキボディの魅力を…!」

揺杏「やっ、まあ、否定はしないけどさ…」

爽「普段なら私も立ち会うことが多いしそんなこと意識はしなかっただろうが……お前、私が来る前まで、ユキと二人っきりでちょっと興奮してたんじゃないのか?性的なアレとは別にな」

揺杏「いや、そんなことはない。部室とかで二人っきりになったこと普通にあるし」

爽(ぐぬぬ…)

爽「…いや違うな。お前はそう…私ぬきで、二人きりで採寸出来る……つまり、ユキの体を心ゆくまで眺め、採寸にかこつけて触ってる内に…」

揺杏「いやないないない!そりゃ、ユキの体見て凄いなーとか思うことは…「本当にそう言えるのか?」…は?」



爽「お前、ユキの体見て思うことは本当にそれだけなのか?」



爽「『この胸って揉んだらどのくらい柔いのかな』とか思ったりしないのか?試そうと思わないのか?」



爽「男から欲望を、女から嫉妬と羨望を向けられるこのアンバランスな肢体に手を触れてみたいとか本っっっ当に少っっっしも考えないのか?」



爽「正直に言え、揺杏。性的欲望云々は別にして、とりあえずユキの体をあれこれしたいとかそのくらいは考えるだろ?女でもさ?」



爽「なあどうなんだ?お前はユキにカワイイ服を着せたいためだけにこんなことしてるのか?違うだろ?自分の手でユキを弄ってみたいのも少し、いや結構な割合でないわけじゃないんだろう?そこんとこどうなんだ、揺杏!」



揺杏「……」






揺杏「……クソっ。そういう聞き方は卑怯だろうがよぉ…っ!!」





爽(…勝ったな)




爽「私は責めてないさ。多分、そんな風に誰もが抱くような気持ちが、今日の数時間前に何かの弾みで暴走しちゃっただけなんだ。きっとな…」

揺杏「…っ!」

爽「揺杏。一つ聞いておくが…お前、本当にレズじゃないんだよな?仮に今日、お前がユキとやっちゃったとしても」

揺杏「だからそんな覚えはねー。…ってか、なんで爽はそんなに私の性癖気にすんのさ?」

爽「実は……昨日、部室でこんなの拾っちゃってさ。レズ向けのエロ本…」サッ

揺杏「わっ、ばかっ、なんで持ってきてんだ!」

爽「単に話のタネにするつもりだったが……いや、これはドッキリとかじゃなくて本当だぞ?発見した時めっちゃびっくりした」

揺杏「ドッキリの方が数倍ましだよ…」

爽「あははは。そりゃそうだ!」

揺杏「ははははは…」





揺杏(……あん?今、爽の言ったこと、なんかおかしくないか…?)

揺杏「なあ爽、今なんて…」

爽「あ?だから、昨日部室でこの本を……あ!」

揺杏「また変な仮説かよ。今度はなんだ?」

爽「いや、今度のはさっき以上にアホらしい仮説ではあるんだが」

揺杏「なんだよ。勿体つけないでさっさと言えよ」

爽「まーなんというかなんだ、あくまで可能性の一つではあるんだが…」

揺杏「…………」






爽「レズは揺杏じゃなくてユキの方で……襲われたのもお前の方かも知れない…!」





揺杏「…………おい。ちょっと待て…」




揺杏「ユキがあれな可能性はまああるとしても…ユキが私を襲うのはちと無理があんだろ」

爽「『誘いをかけた』というセンはありそうだけどな。どっちが仕掛けたかはともかく…」

揺杏「いやいや。考察する必要ないから」

爽「…だって、好奇心旺盛なドエロボディ女子高生と挑発に乗りやすそうな不良女子高生が絡み合ったら何があってもおかしくないじゃんか」

揺杏「私が不良っぽいのは見かけだけだっつの!いろんな意味で世話のかかる先輩と、優しそうで地味に厳しい先輩に挟まれたらグレる暇もねーよ!」

爽「えっ。私は下級生に厳しくしてるつもりはなかったんだけど、お前からはそう見えるのか…」

揺杏「そっちじゃないそっちじゃない。…ったく、ボケねえで言ってるなら大した根性だな…」

揺杏「あとさ……ユキのことそんな、エロいとか犯罪だとか言うのやめてくれよ。ネタだって分かってても、やっぱ良い心地しねーし…」

爽「やれやれ…。真実がどうあれ、揺杏がユキのこと大好きだってのは変わらないようで安心したよ…」

揺杏「なに言ってんだ爽?お前がだいたいゲスなだけじゃん」

爽「ちょっ…それ以上言うと泣くぞ、私。インハイの後にとっとこうと思ってる号泣顔見せちゃうぞ」

揺杏「はいはい。優勝して泣けるといいですね…っと」

爽「……ああ。この夏は泣かせてくれよ?それも、思いっきりだ」

揺杏「…おう」

爽「…さて、もう帰るか!来てからそんな経ってないけど、やることないしな!」

揺杏「えっ……なんだよ、急に…」

爽「ちゃんとユキに向き合ってやれってことさ。私から言うことはもう何も無いし、そろそろお暇の時間ってやつだ」

揺杏「向き合えって言われても…。私、出来るかな…」

爽「…ま、まずは何があったか話を聞くことだな。くれぐれも、逃げたりするなよ?」

揺杏「しねーよ。……じゃな、爽」

爽「おう。ちょっとの間だけど、揺杏と話出来て楽しかったよ。またな!」

揺杏「ん?ちゃんとエ……あのいかがわしい本も持って帰ったのか。でもどうすんだアレ…?」



揺杏(つか、なんか誤魔化された感あるけど色々違和感あったよーな気すんだよな。これはなんなんだ…?)



揺杏(言葉のどこかもだけど…態度もたまにおかしかったし、爽の奴、何か私から隠そうとした…?)



揺杏「でも隠すって何を?つーか、まず前提がどういう事か…「どうかしました?」…わっ!ユキ!?」


揺杏「えっ、いつ起きた?腰痛くない?」

由暉子「へ…?起きたのはさっき、ドアが閉まる音がしてからで、腰は別に…。……それより、獅子原先輩はどうしたんですか?」

揺杏「あ、ああ。ユキが起きたのと同じくらいの時に帰ったよ。それでなんだけど…」

由暉子「なんでしょう?先輩が帰った理由も教えてくれます?」

揺杏「ああ。…ユキ、色々私に言いたいこともあると思うが……まず、事実確認を済ませておきたい」

由暉子「???ちょっと、話が見えないです…」

揺杏「なあ、ユキ、その…」






揺杏「私たち、その……二人で一線を越えちゃったん…だよな?」









由暉子「……え?どういう事ですかそれ?」




中途半端な時間に起きて眠いですので終わります。土曜休日って最高ですね

揺杏「…あれ?ユキ、もしかしてお前も記憶を…」

由暉子「いえ、ですから……なんの話をしてるんですか?率直に言って、今の先輩が何を言っているのか全くわからないです」

揺杏「そ、そっか…。あー、えっと……ユキはさ、私が寝る前のことって覚えてる?」

由暉子「それは覚えてますけど…どの時点から話せばいいんですか?」

揺杏「そだな…。…手間だと思うけど、私とここに来てからのこと、全部話してくんない?大体でいいから」

由暉子「はあ、分かりました。先輩と私で家に着いてからですね…」

由暉子『ただいまー…と言っても誰もいませんか。岩館先輩、どうぞ上がってください』

揺杏『うーす。おじゃーしまーっす』





揺杏『爽おっせぇなー。ユキは何か聞いてない?』

由暉子『さあ…?球技大会が近いですし、クラスで色々話し合ってるのかもしれません』

揺杏『そっか。ユキって種目何出んの?一年って確か、ソフト・バレー・サッカーと…』

由暉子『まだ決まってないですね。明日か明後日、皆で話し合う予定なんですけど…』





揺杏『…でさー、今んとこ私が推してんのはこれで、爽はこっちらしいんだよね。ユキはどっちがいい?』

由暉子『んー……獅子原先輩の意見も聞く前に決めるのはちょっと…』

揺杏『だよなぁー。…んっとに遅いよなー、爽の奴』

揺杏『やっべヒマだ。ユキ、何か良い暇つぶしない?何でもいいから』

由暉子『映画でも観ます?先週、父が買ってきたのがありまして…』

揺杏『映画か。いーねぇ、むっちゃ楽しみだよー』





揺杏『…ふぁ。なぁユキー。ぶっちゃけ私飽きてきたし、何か別の事しね?採寸とかなら二人でも出来るし…』

由暉子『私はこの映画面白いですけど…。…えっと、リモコンは…』

揺杏『いーよいーよ。観ながらでもやれるっしょ。んじゃ巻尺とか出すから待っててなー』ゴソゴソ

由暉子『……もう。仕方ないですね…』

揺杏『ぬ。今気付いたけど、この角度からじゃユキが画面見れないじゃん。なぁ?』

由暉子『音声が聞ければ十分ですよ?』

揺杏『いやいや。ここのテーブルどかせば見れるかもよ?んっしょ…』

由暉子『あ、無理しないで。私も手伝いますよ…』





由暉子『…で、どうでした?サイズとか変わってません?』

揺杏『んーん。つか一か月前くらいに測ったばっかだし、んな変わるわきゃないわな。…一部を除いては』

由暉子『はあ、そうですか。……どこが変わってました?』

揺杏『……それは私に言わせないでくれ…』

揺杏『…よく考えたら、テーブル動かすことなかったな。採寸なんてそんな時間取らんし』

由暉子『でも、こっちの方が少し見やすくて快適ですよ?私はどかして良かったと思いますけど』

揺杏『はっはっは。ユキは優しいねー。……そういう所、けっこー好きだよ』

由暉子『…ありがとうございます』





揺杏『…やべ、ねみぃ。すまんユキ、私から、話、振っとい、て、寝お…』

由暉子『分かりました。獅子原先輩が来たら起こしますから、ゆっくり寝てくれて大丈夫ですよ』

揺杏『ん……マジ、ごめん………………すー』

由暉子『…お休みなさい、岩館先輩』

揺杏「なるほどなー。…それ以外でこう…イベント的なのは無かったのか?」

由暉子「へ?イベ……?」

揺杏「あー、だから…他に何か、話題になるような変わったことは無かったのかってこと!」

由暉子「ないと思いますけど。あるとすれば、獅子原先輩が来てからですかね?」

揺杏「そうか!ユキ、お前……採寸の最中に、私にヘンなことされたりしなかったよな!?」

由暉子「えっ…。……先輩、どういう意味で言ってるんですか、それ」

揺杏「いや、今の反応で十分だ。続けてくれ」

由暉子「……はい。じゃあ、岩館先輩が寝てからの話ですね」

揺杏『…………すー』

由暉子『…ふぅ。獅子原先輩、まだ来ない…(ピンポーン)…おっ。来たかな…?』タッ





爽『ゴメン、遅れたー!ユキー、ゆあーん、開けてくんなーい?』

由暉子『…あ、やっぱり獅子原先輩だ!…はーい、今開けますよ~』ガチャ

爽『おう。おじゃましまー「ちょっと待ったーー!!ストップ、ユキ!今のとこ、一時停止!」

由暉子「一時停止って…どこか気になる所でも?」

揺杏「……なあユキ。私は爽から、『爽が来る直前までユキは寝てた』って聞いたんだけど……爽が来た時、ユキは普通に起きてたんだな?」

由暉子「そういうことになりますね。それより、獅子原先輩は何故そんなウソを?」

揺杏「私の方が聞きたいくらいだよ…。にしてもこの分じゃ、どっからが嘘なのか怖いくらいだぜ…!」

由暉子「……獅子原先輩から、他にどんなことを聞いたのか教えてもらえます?」

揺杏「…ユキ。お前にはとても聞かせられないよ。察してくれ…」

由暉子「そうですか……。…それにしても、獅子原先輩は今頃どこで何してるんでしょうね」

揺杏「さあ?ダメ元で、一回携帯にかけてみっか…」ピッピッ




(ゆーずれっなっい、この時をまーってたよー♪)



爽「どれどれ……なんだ、揺杏か。スルー安定だな」



爽「え?いーんだよ別に。なんか緊急の用事があるわけでもないしさぁ」



爽「…ぬ。それを言われるとそうだけど……まあいいじゃないか!細かいことは気にしない!」



爽「そうそう。私がここに来るのなんて久しぶりなんだし、もっと楽しいことしようぜー」



爽「えー?そんなに気になるか?やっぱ仲間思いな奴だなぁ…。……違う違う、褒めてるんだよ。皮肉とかじゃないって」

爽「仕方ないなー。怒らないって約束するなら話しても…おい、待て、早まるな。まだ私は何も話してないぞ!」



爽「今のは言葉の綾だよ。悪ふざけの範疇だって。んな怒ることもないだろうよ」



爽「…分かった。話す、話すよ。そう迫るなって。……相変わらず、こういう所は強引だなー…うん、今のは褒めてない」



爽「そうだな、それじゃあ……」






爽「誓子。お前はどの辺から話を聞きたい?」




思いのほか尺が伸びちゃったけどそろそろ終わりが近いかもです。寝るので終わります

揺杏「んー……やっぱり繋がらないかー」

由暉子「繋がったとして、何を話すつもりだったんですか?」

揺杏「色々あっけど…なんで私に嘘ついたのかってのが一番かな。今のところ愉快犯以外の理由が思いつかないし」

由暉子「人が嘘をつくのって、大体は他人をからかうか何かを隠そうとする時ですよね。獅子原先輩の様子はどうでした?」

揺杏「うーむ…。態度とか時々怪しかったけど、あれは嘘がバレるのにビビったのか…いや……」

由暉子「……もう一度、掛けてみたらどうです?愉快犯目的なら、案外すぐに白状してくれるかもしれませんよ?」

揺杏「いや、それならさっき掛けた時点で出るだろうよ。嘘……何かを隠す……」


『おう。ちょっとの間だけど、揺杏と話出来て楽しかったよ』


『真実がどうあれ、揺杏がユキのこと大好きだってのは変わらないようで安心したよ… 』


『…だって、好奇心旺盛なドエロボディ女子高生と挑発に乗りやすそうな不良女子高生が絡み合ったら何があってもおかしくないじゃんか』





揺杏「…違う。これじゃねえ。……これは多分関係ない」

由暉子「…先輩?」

揺杏「わり、ちょっと話しかけないでくれ。今集中してるんだ…」

由暉子「…………」


『レズは揺杏じゃなくてユキの方で―』……違う


『あ?だから、昨日部室でこの本を―』……違う…うん、これじゃない


『……いや、これはドッキリとかじゃなくて本当だぞ?発見した時―』……そうか。今思えばこれが嘘の証拠……でも、これでもない


『そんな風に誰もが抱くような気持ちが―』……これは絶対ない


『なあどうなんだ?お前はユキにカワイイ服を着せたいためだけにこんなことしてるのか?違うだろ?自分の手でユキを弄ってみたいのも少し、いや結構な割合でないわけじゃないん―』……うるさいそこ!







揺杏(違ぇ…!こんなんじゃない、もっと前の言葉…。多分、私が今思ってるよりもずっと早くに嘘の核心が……)


『…なんならアレだ。この際揺杏は聞き手に回って―』…違う!


『どうも、ユキもボーっとしたまま応対したらしくてなあ。多分、お前みたいに寝てたのを私が―』…違う!


『私が部屋に入った時、ユキがこの部屋で―』…違う!


『なるほど…。映画観た部屋はここで―』…これでもない!







揺杏「…あれ?だとすると、もしかして一番最初の方に……」

由暉子「何か、思い出せたんですか?」

揺杏「いや、思い出せそうなんだけど、確か…………」


『その疑問には私が答えよう!』……や、これは行き過ぎだ。もうちょい後の方…



『…なんか後ろめたくてさ。こういうのって、私じゃなくて揺杏が―』…これは嘘の一部。だからこれじゃない



『……時に揺杏、体のどっか痛まないか?具体的には―』…ん?待て、これも嘘の一部か?それとも……



『やっぱりか。ゴメンな揺あ…いや、なんでも―』…ここ……か…………?







揺杏「………………………………………」



由暉子「…岩館先輩?どうで……「分かった」……え?」

揺杏「…爽は、何故か私が腰痛いのを知ってた。でも、私はどうとも思わなかった……なんでだと思う?」

由暉子「は?いえ、それだけのヒントでは…」

揺杏「答えは簡単。私に『自分が腰を痛めるようなことをした』って思わせたからだ。…あ。具体的に何を指してるのかは聞かないでくれ……」

由暉子「はあ。…それより岩館先輩、腰が痛いんですか?筋肉痛みたいのでもなく?」

揺杏「んーん。寝て起きたら痛くなってた。…そうだ。ユキは私の腰痛に心当たりないか?起きてたんだろ?」

由暉子「……あの、それは…その……」

揺杏「なんだよ、なんでもいいから言えって。寝てる私に物ぶつけちゃったとか、多少のアレは許したげるからさぁ」

由暉子「……ごめんなさい。言えません」

揺杏「…まあいいや。とにかく、爽は言ったんだ。私が腰痛めてるのを当てた後…」




揺杏「『やっぱりか。ゴメン』ってな」


揺杏「おかしいって思わないか?自分に関係ないトコで勝手に腰痛めた奴に向かって『ゴメン』なんて。細かいようだが、普通ならまず、あり得ねえ」

由暉子「…………」

揺杏「まー順当にいきゃ、『爽が私の腰を痛めるようなことをした』ってところだろう。じゃなきゃあんなことは言わねえ。……ところでさぁ、ユキ」

由暉子「…………あの、岩館先輩…。こういう時、私どうしたらいいのか…」

揺杏「強制はしない。爽が『約束』破った後輩にいやがらせしてくるタマとは思えねーけど…私を贔屓して、ユキが嫌な目遭うのもなんだしな」

由暉子「…口止めされてるって、分かってるんですね」

揺杏「私は単に、自分が知りたいこと知れなくてちょっちイラついてるだけだよ。ユキがどうしてもっつーなら話さなくていいさ」

由暉子「……!」

由暉子「…話します。獅子原先輩が来て、私が眠ってしまうまでの全部。ただ、一つお願いが…」

揺杏「わってるわってる。アイツには、私が無理やり話させたってことにするよ」

由暉子「いえ、そうではなく。…獅子原先輩のこと、嫌いにならないであげてください。多分、先輩からしたらちょっとふざけたってだけの…」

揺杏「……それは聞いてから決める。アイツのことだし、まあ、ユキには意味不明なくらいくだらねーことしてたんだろ?」

由暉子「そう…ですね。少し待ってください。今、さっき中断した所から話しますから…」

ちょっとしか進んでないけど頭痛いので終わります。…呑みすぎたかもしれない

~由暉子の話~


爽『そんじゃおっじゃまー……ぬ?揺杏の奴…へんじがない ただの しかばねのようだ なぁ』

由暉子『先輩を待ってる内に寝ちゃったんです。起こしましょうか?』

爽『そのままでいいよ。飲み物、冷蔵庫に入ってんのから勝手に取っていい?』

由暉子『え?先輩は一応客なんですし、私が用意しま…』

爽『いいよいいよ。ユキのコップもほぼ空みたいだし、私が適当に用意するって』

由暉子『そうですか?…じゃあ、よろしくお願いします』

爽『がってん!』

爽『お待たせ!牛乳とウーロンとりんごジュースしか無かったんだけどいいかな?』

由暉子『他人の家でその台詞…。…しかもなんですか、その薄茶色い液体は?』

爽『チョコレート色って言えよ。ジュースが果汁100%だったお蔭で色が濃『そこまで!』

由暉子『確認しますけどそれ、先輩が飲むんですよね?幾ら先輩でも、他人の家の飲み物で遊ぶのはちょっと…』

爽『まあ騙されたと思って飲んでみな。意外とイケなくもないと思うぞ』

由暉子『えっ。じゃあ一口だけ………………うぅ…。中途半端に甘くて美味しくない…』

爽『あっはっは!ユキは抵抗しないから騙しがいがあるなぁ』ケラケラ

由暉子『ちょっとは予想してましたけど…。…ひどいですよ、先輩……』

爽『悪かった悪かった。ほら、口直しに普通のお茶をお飲みなさい』スッ

由暉子『む…。なんか変な味が…。……もしかして、また何か混ぜました?』

爽『舌がバカになっちゃったんだな。きっとそうだ、気にするない』

由暉子『はぁ…。ところで、岩館先輩が起きるまで何して待ちましょうか?』

爽『ユキは一人で何してたんだ?』

由暉子『映画観てました。外国で賞を取った作品なんですけど、先輩も観ます?』

爽『そだな……うん、観るか。ユキ、途中からでいいから、合間合間に解説頼むな』

由暉子『はい。それじゃあ再生始めますね』ピッ

爽『…すまんユキ。この映画、あんま面白くないかも…』

由暉子『…岩館先輩にも言われました。……ちょっぴりショックです』

爽『聖書の話は面白いのもチラホラあっていいんだけどなぁ。私、キリストの生涯とかそこまで興味ないし』

由暉子『…………何か、他のことでもします?』

爽『んー、ユキは面白く観てるみたいだし……そうだ!』

由暉子『?』




爽『そこに むぼうびな ゆあんが おるじゃろ?』



由暉子『………………』



由暉子『…顔に落書きとか、そんなことはしませんよね?』

爽『バカ。顔は目立つからボディーにやんだよ、ボディーに』

由暉子『……その台詞を真顔で言う人、初めて見ました』

爽『まあ、女子がお腹をむき出しにされるのは可哀想だからな。とりあえず、チョップしまくって何発で起きるか試してみよーぜ!?』

由暉子『やりません。なんでそんな楽しそうに言うんですか…』

爽『修学旅行のノリを思い出してな。普段一緒の仲間の寝顔見たらもう……やるしかないだろ!』

由暉子『やりませんよ…』

爽『まあ様子見で色々やってみるか。まずは……よっしょい(揺杏をひっくり返す)!!』ゴロン

由暉子『!!』





揺杏『んん~ん……!…………ぐー………』





爽『見ろあの顔を!…つっても、うつぶせになってるからよく見えないけどな』

由暉子『き、気持ちよさそうに寝てるんですからそっとしてあげましょうよ…』

爽『えー?まだまだこれからだってのに…』

爽『ま、無駄にひっくり返したわけじゃないんだ。せーの…とりゃっ(揺杏の背に跳び乗る)!』トスッ

由暉子『!!!!』





揺杏『んがーぐ……!……ぐふん………ふすー…………』





由暉子『獅子原先輩!降りてあげてください!』

爽『安心しろ、ユキ。こう見えても揺杏にかかるショックは軽減させてあるさ。なんつーかほら、空気椅子みたいな感じで!』

由暉子『そこまでして乗る意味が分かりません…』

爽『いやいや、初めは軽く、徐々に体重をかけてって圧力に慣らしながら乗るのさ。起こしたら大変なことになるからね』

由暉子『…経験があるかのような言い方ですね』

爽『昔、誓子にやったらミスって凄い驚かれたからな。その後に仕返しで寝込みを襲われたし』

由暉子『何やってるんですか先輩方は』

爽『大丈夫。なんとかその時はなんとか撃退したから貞操は守られ『そこまで』……ゴメン』



誤 爽『なんとかその時はなんとか…』



正 爽『その時はなんとか…』

爽『ユキもやってみないか?こうして腰に跨ってるだけで、妙な征服感と達成感が湧いてくるぞ。……あっ、なんか今の言い方エロかったな』

由暉子『先輩は中学生の男子か何かですか?品のない冗談が多すぎます』

爽『ふふん。こう見えても私はう〇こち〇こ言って喜ぶ精神の持ち主だからな。ほーれ、こんなこととかしちゃうぞー』ピラッ

由暉子『せ、先輩!岩館先輩のスカートを、その……!』

爽『中身見せたくらいで大げさだなあ。減るもんじゃあるまいし、どんどん見てやろうじゃないか』ピラッピラッピラッ

由暉子『そ、そんな……』

爽『にしても意外だなぁ~。ユキはこういうネタ続けると、すぐに怒り出すと思ったんだけどな~』

由暉子『…今でも結構怒ってますが?』

爽『嘘こけ。本当にそうなら腕づくで止めるはずだぞ。ユキの性格からして、そこまで私に遠慮することもないだろう』

由暉子『そっ、それとこれと…は……!』

爽『…ん?……なあ、ユキ…』

由暉子『ふあ…?なんでしゅ…か?』

爽『……話は変わるがユキ。お前、ちょっと前、部室に雑誌か何か忘れていかなかったか?』

由暉子『…?私は別に、そんなものは……ふぅ』

爽『ふーん…。揺杏の下半身に興味示したから、クロだと思ったんだけどなぁ…』

由暉子『岩館先輩の…えと……きょ、興味なんて、ありませ…ん!』

爽『本当かなー?…ほらほら、岩館先輩のスカート脱がしちゃうぞー』スッ…

由暉子『そ、それは流石にだ…め……』

爽『…………』

爽『おい、ユキ…。お前、私の声ちゃんと聞こえてるか?聞こえてた……を…』

由暉子『…?すいません、せんぱい…。もう一度、おねがいし……』

爽『…………やっと効い………か…。これで………で……を…』

由暉子『……ふ?獅子原せんぱ……どうい…う…』

爽『いやいや……だから……して………な、ユキ…』

由暉子『……ん…あ………』

爽『……すみ、ユキ』

由暉子『は、い…………』

由暉子「私の記憶はここまでです。まあ、他にも口止めされたり色々ありましたけど……寝てしまってから、記憶も曖昧で…」

揺杏「爽の奴……ユキが眠ってから、私にもっと酷いことしてたに違いねぇ…!くそ、この恨みをどうやって晴らせば…」

由暉子「すみません岩館先輩。私が勝手に寝たりしなければ…」

揺杏「気にすんな気にすんな。悪いのは全部爽だ。チクショウ、こうなったら禁じ手のスパム爆弾を…!」

由暉子「スパ……なんですか、それ?」

揺杏「アイツのアドレスをあちこちに登録してスパムメール送られ放題にしてやんだよ。ただ、受信設定を弄られてると効果がねんだよなー」

由暉子「……よく分からないけど、何か凄いですね…」

揺杏「仕返しはともかく、一度アイツとは話つけないとな。人を散々いじくっといて下手な誤魔化しきかせやがって……許さねえ」

由暉子「仕返しする気満々じゃないですか」

揺杏「そうだけどさあ。ユキ、何か良い案ない?」

由暉子「ありませんよ…」

揺杏「だよなー。ま、普通にメール送りまくるか。文面は…えっと……」

由暉子「……獅子原先輩のことですし、携帯の電源切ってるんじゃ?」

揺杏「あっ、それもそーだな。ユキ、アイツにコールかけて、電話の電源切れてるかどうか確かめてくれ」

由暉子「分かりました」ピッピッ




(がんばっちゃったがんばった我々トンナンシャーペーわーいわーい!)



爽「今度はユキか…。どう?そろそろ出てやった方がいいかなぁ?」



爽「そうだな。ここで出ないとしつこくかかってくるだろうし…。一回話してみるか」



爽「…え?何故ユキがあのタイミングで寝たかって……んなの、一服盛ったからに決まってるじゃん。睡眠薬のある家なんて珍しくないし」



爽「逃げたのはまあ、仕返しがちょい怖かったのもあるけど…誓子のトコ、久々に来てみたかったからさ」



爽「お、照れてる?…冗談冗談!電話出るから、一旦部屋出るな!」ピッ

爽『はいもしもし、獅子原爽です。真屋由暉子さんですか?』

由暉子『(なんで敬語?)あの…獅子原先輩?私から聞きたいことは色々あるんですけど、一度岩館先輩に代わりますね』

揺杏『つーわけで爽ァ。お前、私を散々弄んだ挙句誤魔化してくれやがったなぁ。この落とし前はどうつけてくれんだ、ああ?』

爽『喧嘩腰は良くないな。私がお前にやったことなんてほら……跳び乗ったり、椅子替わりにしたり、チョップパンチにストンピング…』

揺杏『……続けて』

爽『踵落としもやったかな。…安心しろ、お前が起きないよう全部微妙に手加減してある。しかも最後は私の足でマッサージもしてやったぞ!』

揺杏『爽てめぇ……1個上だからって容赦しねーぞ。おま、自分のしたこと分かってんだろうなあ?』

爽『どーして怒るんだ?現役JKに腰をグリグリ踏んでもらえるなんて諭吉何枚分の価値があると…』

揺杏『爽ァァァァッ!!今どこにいやがんだコラァ!あと、なんで私とユキの下脱がしたんだてめえ!』

爽『…やれやれ、そんなもん決まってるだろ?』



爽『お も し ろ い か ら。じゃー切るぞ。この話はまた今度な』



揺杏『なっ?おい待て爽、逃げん……(プッ)…………』


揺杏「あんにゃろう……マジで切りやがった…」

由暉子「…途中の『下脱がした』ってどういう意味か、教えてもらえます?」

揺杏「あっ…。……分かった。爽が私にどんな話したのか、さっき誤魔化した部分も含めてちゃんと話すよ」

由暉子「お願いします」





(揺杏説明中……)

由暉子「あきれた話ですね。どうして私が岩館先輩と…」

揺杏「だよなー。私も最初そう思ったんだけど、記憶がアレなのと爽の演技が妙に上手かったのとでさぁ…」

由暉子「本当にあの人は、もう…。…さっきは切られましたけど、もう一度電話してみたらどうですか?」

揺杏「どうかなぁ。それよか、爽の家電に一回掛けてみ……あれ?」

由暉子「どうしました?」

揺杏「メールが来てる……。もしかしてこれ、爽からじゃ…」ピッ



TITLE [画像アリ]衝撃!現役女子高生の下半身丸出し写真流出!!女の子のカラダに興味ある方必見!!

送信元 skittosawayaka@codomo.ne.jp
   
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揺杏「……………………」

由暉子「……………………」

揺杏「ダメだユキ…。アイツはもう……私たちの精神の安寧のため、生かしちゃおけねえ…!」

由暉子「それはやりすぎです。とは言え、私も少なからず不快ではあるので……まず、獅子原先輩を追い込む方法を探しましょう」

揺杏「そうだな。相手も警戒してるだろうし、油断してる時を狙うのがベターか。どういうタイミングがいいと思う?」

由暉子「部活の途中なんかいいと思いますよ。人が多い分だけ警戒心も薄れるでしょうし」

揺杏「なるほど。問題はスピードだな。下手に追い詰めっと画像が部活中にばら撒かれる可能性もあるし、追い込んですぐ携帯回収しねーと…」

由暉子「それより、こっちから攻めてはどうでしょう?具体的にはどちらかが獅子原先輩を誘い出して……」

揺杏「いーねそれ。敢えてあからさまな態度で、奴の想定内の動きをしてると見せかけて…ってことか」

由暉子「はい。私たちが受けた屈辱は相応にして返します。私は頬を叩かれても報復しないような聖人ではないので」

揺杏「そっかぁ。……しかしなあ、ユキ」

由暉子「はい?」

揺杏「私たち、元々なんでここに集まってたんだっけ?」

由暉子「それは、私の服を色々と……まあ、既にそれもどうでもよくなった感はありますが」

揺杏「ははっ。このタイミングで言うのもなんか変だけどさ、私、ユキとこんな話してて意外と楽しいよーな気ぃすんよ?なんでだろな?」

由暉子「……さあ?実は私もそういう感じはあるのですが、理由と言われても『なんとなく』としか…」

揺杏「ふーっ。一旦この話はやめて、カラオケでも行くか?どうせ明日にならないと何も進まないしな」

由暉子「いえ、時間が微妙ですし、それはいいです。ただし…」

揺杏「?」

由暉子「…獅子原先輩に上手く意趣返し出来たら、一緒に映画館でも行きませんか?今回、先輩が寝ちゃったリベンジということで」

揺杏「そうだなぁ。今ってなんかいいのやってたっけ?」

由暉子「調べてみましょうか。それで、色々相談しながらどれ観るか決めましょう。……今度は、二人で最後まで観られるように」

揺杏「…うん。そうだな…………よし、そうするか!」

由暉子「はい!」



爽「………………あっれー?あんなメール送ったのになんの反応もないとか、逆に不安になるな…」



爽「え?どんなメールかって…ほら!凄いだろ?頑張ってそれっぽいタイトルと文考えたからなぁ」



爽「そんな怒んなよ。ただの悪ふざけだし、どこにも流出させる気はないって。……多分」



爽「はあ?なんで私が?こんなのネタで撮っただけで、私自身は女の裸とか別に興味ないし……ってなんだその顔は」



爽「そーだ。女の裸と言えばさ……ほい!誓子、こういう本に心当たりないか?」ゴソゴソ



爽「おやおやー?随分キョドってないか?もしや誓子、お前が……いたた!ゴメンゴメン!」



爽「えっ、なんだよ急に……ああ、コンビニ?何買いに行くの?」



爽「なんだよ。そんなん、水でいいってば。急に来たのは私だしジュースとか特に要らないって」



爽「…はぁー。そこまで言われちゃっていうのもアレだけど…お言葉に甘えるよ。誓子が選んだのなら、なんでもいーよ」



爽「うーい。いってらっしゃーい…っと」





爽「さて、これで誓子の家には私一人……存分に家捜し出来るな!」



爽「ほーら出てこいエロいのグロいのアイドルPVなんでもこーい♪……ダメだ、ベッドの下には何もないか。だとすると…」



爽「机は親に開けられる危険があるから…私なら本棚に隠すな。鬼が出るか蛇が出るか……ん?」





(よし!まいまいまい、ひろがっるー♪ここっろーのけーしき)





爽『…はい、もしもしー。どうした誓子、ついさっきまで話してたのに』



爽『え?「二人の下半身を撮るためだけにユキを眠らせたのか?」…ってなんだよ急に。今言わなきゃだめ?』ゴソゴソ



爽『バッカだなあ。ユキを眠らせれば、揺杏に好き勝手したりユキの部屋にガサ入れしたり揺杏にドッキリ仕掛けたり…色々出来るじゃん』ガサ



爽『え?安心しろ、私は誓子の部屋を漁ったりなんてしないさ。それとも何か?見つかったらマズいものでも…はいはい。じゃあなー』ピッ



爽「『私は友を疑っているのではない。好奇心に従っているだけだ』…なんつって。しかし、見つからんなあ…」ゴソゴソ



爽「うーむ…ここにないとすれば一体……げぇっ、誓子!いつの間に!?」



爽「……いや違う、本棚漁ってるんわけじゃなく…………あ、ジュース?ありがと」ゴクゴク



爽「そうそう!この部屋娯楽が少なくてさぁ!なんかほら、私でも読める軽い読み物とか漫画とかないわけ?」



爽「ゴ、ゴメン!確かに、急に上がり込んで勝手なこと言ってるとは分かってるが……私の気持ちも察してくれよ。家捜しじゃなくて、退屈してただけなんだ」



爽「え?誓子って部屋2つ持ってんの?じゃあそっちの方に漫画とかあるんだな?」



爽「は?なんだよまた…。そんなの、好奇心と悪戯心に決まってるだろ。へーきへーき。バレないようにやるから嫌な気持ちにもならないし」



爽「え?アレはまあ、私の経験不足だったというか…な?誓子だって私にやり返したわけだし、こうして笑い話に出来る。それでいいじゃんか」



爽「なんだよ、しつこいなぁ…。仲良い者同士、コミュニケーションの範疇だろ?別に私は嫌な思いしてないし」



爽「あ?片付け?…分かった。幾ら私でも、相手の前でやましいものを取り上げたりはしないさ。早くしてくれよ?」



爽「さーて!ここが誓子の部屋2かー。意外と広……ん?なんだあれ…」



爽「えと…誓子?『片付け』ってあれ、どう見ても片付けてな……むしろ、見せびらかしてるような…」



爽「つーかあれ、もしかしてその、ど、同性愛者向けのエロほ……や、やめろ。なんだその目つきは?」



爽「え?もしかして……あの本も誓子の?そうか、悪かった。からかうんじゃなく、あくまで話のタネにするつもりで…」



爽「ま、待って。やめてよ。反省するから。ねえ、だめ、お願いだ。やだ…」



爽「やだ。やだよ。無理やりなんてそんな……クソ、離せ!離せよぉ!」



爽「……っ!?な、なんだ今の感覚…。誓子、お前まさか、さっきのジュースに盛…」



爽「やめて。違うよ、こんな…。誓子、私たち友だ……!?誓子、お前今、何を…」



爽「んー!?んんー!やら、離し、だめ…だ……ん……あ…」



爽「………………………………」






「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」




(~翌日~)



揺杏「さーて…準備はいいな、ユキ?私が適当なタイミングで爽呼び出すから、先回りしといてくれ。場所は…」

由暉子「部室の二つ隣りにある視聴覚室…ですね。シスターに話はしてあるので、先輩を誘い出せたら鍵をとってすぐ行ってください」

揺杏「おう。その時が来たら1回コール入れるからな。ダメだった時は、2回入れた後、また1回ってことで」

由暉子「上手くいくでしょうか…」

揺杏「んー、正直分は悪いかもな。まあその時はその時でまた仕切り直しだ」

由暉子「そうですね。このくらいおおざっぱな作戦の方が却っていいのかも……」

揺杏「ああ。じゃ、放課後に!」

由暉子「はい」

揺杏(作戦は簡単。部活中にタイミングを見計らって、私が爽を誘い出す。ここが最初にして最大の難関…)

揺杏(ユキには部活を休んで待ち伏せしてもらう。私一人しかいない分、態度はあからさまでも爽は油断せざるを得ないはず…)

揺杏(上手く誘い出せたら、話の途中で二人で一気に押さえつける!こん時に携帯回収して、そして出来れば…)

揺杏(そのまま二人で押して、爽の恥ずかしい写真を撮ってやるぜ…!)







誓子「あれ?ユキちゃんは今日いないの?誰か、何か聞いてないかな?」

揺杏「あー、なんか同中のやつと遊びに行くとかで休むっつって……言ってましたー」

誓子「え?全国も近いのに…。…まあ、少しの息抜きくらいはいいんだけど…」

爽「……………………」

揺杏「(うし、ここまでは完璧。後は爽を…)…なあ爽ァ。昨日の続き、ちょっといいか?」

爽「え……?あの……部活終わってからじゃ、ダメかな…?」

揺杏「いやいや、んな時間とらねーよ。な?ほんの10分か15分、休憩の最中でいいからさー」

爽「あー……。じゃあ、次に休憩入ってからな…。ほら、全国近いから締めるところは締めないと……」

揺杏「…爽さ。なんかあった?今日のお前、覇気っつーかそもそも元気がないような…」

爽「ああ…。ちょっと……色々あって疲れてな。大丈夫、ちゃんと、打てるから……」

揺杏「そうか…。じゃあ、また後でな」

爽「うん…」

揺杏「(ユキにコール入れて…)…ほれ、爽!休憩入ったし、ちょっと出るぞ」

爽「分かってるよ…。どこで話すんだ?…トイレ?踊り場?それとも、どっかの空き教室か……」

揺杏「ちょっ、部室ん中でんなこと言うな。勘ぐられるだろーが。……ついてきな」

爽「……ん」





揺杏(なんか爽の奴……本格的にヤバいような…これ、私たちも大丈夫なのか?)

揺杏「爽。入ってくれ。一対一の話し合いだ」

爽「あ?ああ……今日、ユキは休みなんだったな…。……さ、いつでもいいぞ」

揺杏「……そういう態度取ってんならよ、爽。私たちの言いたいことは分かってるよな?」

爽「…一応、言葉にしてもらわないと分からないな……」

揺杏「とりあえずだ、爽。私たちの画像保存してある携帯出せ」



揺杏(ここでちょっとでも拒めばユキを使う!どう出る、爽!?)




爽「…なんだ、そんなことか……。ほら、どうぞ」ポイッ



揺杏(…………やけに素直だなぁ、おい)


爽「あの、画像はもう消したし、疑ってるならギャラリーを好きに見ても構わないよ……。…私も、反省したんだ……」

揺杏「いーやまだだ。知り合いの誰かに回したりしてデータの確保してねーだろうな?もしやってたら…!」

爽「してないよ…。嘘だと思うなら、その携帯の電話帳、載ってる全員に確認メールでも送ってみろよ……」

揺杏「バックアップは?」

爽「とってないって…。疑うならその携帯、お前に貸すよ。アプリとか、連絡先以外は全部弄っちゃって構わないから好きに調べてくれ…」

揺杏「…家のPCとかに入れてんじゃねーだろうなぁ」

爽「……なら、来いよ。でも今日はダメだ。誓子が、遊びに来るから…」

揺杏「…………はぁー……。チョーシ狂うなぁ…」

爽「………………」

揺杏「……なあユキ!出て来ていいよ。お前はどう思う?」

由暉子「えーと…。予想外の反応でしたが、嘘はついてないかと…」

爽「あら、ユキ?今日は帰ったんじゃなかったの?」

由暉子「それは方便です。獅子原先輩を捕まえるための」

爽「なんだよ…。こんな、手の込んだことして…」

揺杏「…………なあ爽。お前…」

爽「ゴメンな揺杏、話さえぎって。二人に一つ、言わせてもらっていいか?」



揺杏「…………」

由暉子「…………」



爽「あのさ、こういうのって凄く当たり前みたいだけど……人の嫌がることするのって、良くないよ。バレてるつもりじゃなくても、絶対しっぺ返しが来るから。な?」









揺杏「……は?」

由暉子「……?」

爽「お前たちの反応も尤もだけどさ、私、やっと分かったんだ。なんだかんだ言って、人にやった悪業って自分に返ってくるんだなって」

揺杏「いや……お前、本当に爽か?なんか言ってる事が昨日と今日で別人…」

爽「私は正真正銘、獅子原爽だよ。今はいいんだ。そのうち、二人が私の言ってる事を分かってくれればそれで……」

由暉子「獅子原先輩?『返ってくる』って…何かあったんですか?」

爽「ああ、あった。…いや、大丈夫だ。ちょっとビックリして疲れただけで、お前たちを心配させるようなことは何もないから」

揺杏「つってもよぉ、爽。お前がマジで困ってんなら、私に助けさせてくれよ。昨日の今日で色々あったけど、それでも私らは仲間だろ?」

爽「その気持ちだけで十分だ…。ううん。本当に、辛いとか、そういうんじゃないから。…うん」

揺杏「…………」

由暉子「…………」

爽「なあ、もうそろそろ休憩も終わるんじゃないか?行こう、ほら」

揺杏「……ああ」

由暉子「…………」

爽「ユキも来いよ。大丈夫、言い訳なら私がしてやるさ。な?一緒に打とうよ」

由暉子「……はい」

爽「…ん、それでこそユキだ。ははは……」



あの日…結局何があったのか、爽は語らなかった。語ろうともしなかったし、私たちも無理に聞くのは気が引けた



それ以降、ユキの衣装については私が単独で相談することが多くなった。爽が誓子と遊ぶ回数を増やしたためで、まあ、3年同士色々あるのだろうと思う



とは言え、スケールの大きい出来事があったわけでもない。普通に部活やって、遊んで、たまにユキの衣装であれこれ話す日々が続いた



…話は変わって、爽と話したその次の週。色々あって予定がズレてしまったが、ユキと約束していた通り二人で映画を見に行った日の話……

揺杏「…でさあ、そん時成香の奴が……どうした、ユキ?」

由暉子「岩館先輩、あれ…」





誓子「………………」

爽「………………」





揺杏「おーおー、またあの二人か。最近、よくつるむようになったよなぁ」

由暉子「ひょっとして、付き合ったりしてるんですかね?」

揺杏「そりゃないだろ。冗談としちゃ面白いが」

由暉子「…………」

由暉子「…ところで岩館先輩?付き合ってると言えば、この前その……私たちで一線を云々みたいな話がありましたよね?」

揺杏「あはは。今となっちゃ、あれも笑い話だけどな」

由暉子「あれ……もし、私が本当に岩館先輩のことが好きで、何かやってたとしたらどうします?」

揺杏「え……」

由暉子「例えば、先輩が寝ていて獅子原先輩が来るまでの間……イタズラとか、ある意味やりたい放題ですよね?」

揺杏「な、なんだよそれ。あの、爽が持ってきた本だってお前のものじゃなかったんだろ?」

由暉子「それはそれ、これはこれ。そもそも、私がそういう趣味だったとしても部室に本を持っていくなんてありえません」

揺杏「えー…。そうだなあ…」

揺杏「んー……まあ、ユキになら別に、いいかな」

由暉子「!?ど、どういうことです?」

揺杏「もちろん、実際にそうだったら分かんねーけど、あくまで仮定の話なんだったら…な」

由暉子「はあ……まあ、もちろん仮定の話ですけれど…」

揺杏「私はユキの見た目も性格も好きだし……そもそも、ユキを起こした時、私はケジメつけるつもりだったから」

由暉子「…そういうこと言うと、誤解されますよ?色々と」

揺杏「好きっつっても恋愛感情はねーからな!?…ただ、私が男だったら、まず間違いなくユキのこと好きになってたんじゃないかなー」

由暉子「はぁ…。なら、私もですね。岩館先輩のカッコいい見た目とか、不良っぽいのに意外と一生懸命で意外と仲間思いのところとか、私は嫌いじゃないです」

揺杏「『意外と』二連発か…。信用されてないなぁ」

由暉子「そうじゃないです。だから……もし性別が違えば、私も岩館先輩を好きになってた…かもしれません」

揺杏「なっはっは。なんかいいな、こういう関係。それともアレ、試してみるか?女とおん…「そこまで!」…ゴメン」

由暉子「…………」

揺杏「…………」







由暉子「……ぷっ」

揺杏「……ふふっ」




揺杏「…さっ、走るぞユキ!映画に間に合わなくなっちまうしな!」



由暉子「…はい!行きましょう、岩館先輩!」


これにてやっと終わり。後でコメントとか書きます

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