豊音「宮守の皆で飲んじゃうよー!」 (78)

全国大会2回戦終了後の夜

宮守の宿泊ホテル


塞「わ、わー! 夜になると窓からの景色が凄い綺麗だよー!」

白望「……うん」

エイスリン「……」

塞「2人も見てみなよー!? ほらほ……ら」

白望「……うん」

エイスリン「……」

塞「……」

塞(く、空気が重い……)

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塞(2回戦敗退で私たちの夏は終わってしまった……)

塞(終了直後に皆で大泣きしてスッキリはしたけど、私を含めて皆やり切れない思いを抱えている)

塞(特にエイスリンは重症で、ホテルに戻ってから一言も口を開いていない……)

塞(岩手県予選ではチームのポイントゲッターとして頑張ってくれたエイスリン……)

塞(全国でもと意気込んでいただけに、あの次鋒戦は相当ショックだったと思う)

塞(こういう時にどうにかしてくれるのはいつもシロなんだけど……)チラッ

白望「……」

塞(シロもすっごい落ち込んでる……)

塞(いつもダルがって何にでも冷めている様に見えるけど、負けた事が本当に悔しいんだね)

塞(私も凄く悔しくてまた泣きたくなるけど……いつまでも落ち込んでいられない!)

塞「テ、テレビ見よ!? テレビ!」ピッ

白望「……」

エイスリン「……」


はやり『いたーい! 鼻のザリガニ誰か取って〜☆』ハヤヤー


塞「……ア、アハハハ! 見てよこの牌のお姉さんの顔! 最近は芸人よりも体張ってるよねー!? 」アハハ

白望「……ふふ」

エイスリン「……」ニコリ

塞「!?」

塞(わ、笑ってくれた!)

塞(もっと面白い番組探して2人を笑わせないと!)ピッピッ

恒子『……Aブロック2回戦、千里山は前評判通りの安定したプレイングで……』

塞「……あ!『熱闘麻雀TODAY』だ!」

塞「やっぱり全国大会が始まる今の時期はこの番組だよねー!」

エイスリン「……?」

塞「覚えてない? 全国前に一回取材に来たじゃない!」

塞「この番組はね全国大会の結果をダイジェストで流したり、注目の高校を取り上げたりする番組なんだよ」

恒子『……以上が全国大会2回戦の結果でした! 次に今日取り上げる高校は〜♪……』

塞「私このコーナーが1番好きなの! それぞれの高校に色々なドラマがあるのよねー」ウンウン


恒子『宮守女子高校です!』ドンッ


塞「!?」

恒子『今大会初出場の宮守女子! 部員は全員3年生でしかも5人だけという全国でも珍しい高校です!』

白望「……」

恒子『まずは3人の選手のインタビューを聞いてみましょう!』

塞『ぶ、部長の臼沢塞です……』ドキドキ

塞(私のインタビュー!?)

塞『えっと、うちの部は元々3人しかいなくて……』

塞『大会に出ようなんて考えてもみなかったんですけど』

塞『去年メンバーが2人入ってくれて、それで……』

白望「……」

豊音『はい!』

豊音『全国の有名な選手と会えたりとかー、打てたりとかー』

豊音『ちょー楽しみだなって思ってます!』

エイスリン「……」

白望『……うちの部にとっては一度きりのインターハイの挑戦なので』

白望『良い思い出になればいいなぁと思います……』

塞「……」

恒子『……1年前までは満足に練習する事すら難しかった臼沢さん、鹿倉さん、小瀬川さんの3人……』

恒子『転機が訪れたのは去年の冬、彼女たちの元に1人の教師が現れました」

恒子『名将・熊倉トシ』

恒子『10年前にプロを退いてからは選手の育成に力を注いできた熊倉さん』

恒子『宮守に赴任する前にも、今は無き福岡エバーグリーンで監督としてその手腕を振るっていました』

恒子『その彼女が手土産といわんばかりに宮守に連れてきたのが姉帯豊音さんでした!』

恒子『元からのメンバーである3人と姉帯さん、そして偶然居合わせたエイスリン・ウィッシュアートさん』

恒子『偶然の重なりが、彼女たちを引き合わせてくれたのです!』

恒子『初めてのインターハイ……そして皆で来れる最後のインターハイ』

恒子『その一度きりを輝かせる為に彼女たちは必死に戦いました!』

恒子『Bブロック1回戦! 彼女たちは前年度個人戦6位の銘苅選手率いる真嘉比高校ら強敵を抑え見事勝ち上がりました!』

恒子『私たちの力は通用する! 私たちの夏はまだ終わらない!』

恒子『勢いに乗り迎えた2回戦でしたが……結果は敗退』

恒子『彼女たちの熱く眩しい夏が終わりを告げました……』

白望「……」

エイスリン「……」ポロッ

塞「……」ジワ

恒子『今回の敗退で、インターハイが苦い思い出になった選手がいるかもしれません!』

恒子『しかし苦い思い出も含めてこそ、人生において1番の青春だったと思えるのです!』

恒子『頑張っている選手たちを小鍛治プロと間近に見て、改めて私はそう実感しています』

恒子『今日の放送はこれまでです! 明日は兵庫の劔谷高校を特集します!』

恒子『じゃあ皆! 明日も見てくれるか……』

プツッ


白望「……」

エイスリン「……」ポロポロ

塞「……」ジワァ

塞(よりによって、私たちが落ち込んでいる時に放送しなくたっていいじゃない!)

塞(私も泣くの我慢するのもう限界よ!)ジワァ

白望「……」グッ

エイスリン「……グスッ」ポロポロ

塞(エイスリンはボロ泣き、シロも唇噛み締めてる……)

塞(……こんな時に胡桃と豊音はどこに行ってるのよ!?)

塞(流れを変える為にも早く帰ってきて! お願い!)


ガチャ!


胡桃「たっだいまー!」ガサガサ

豊音「今帰ったよー!」ガサガサ

塞「お、遅かったじゃない!? 今までどこ行ってたのよ?」

豊音「ごめんねー? エヘヘ」ニコニコ

胡桃「ちょっと近くのコンビニで買い物してたら遅くなって……ねー?」ニコニコ

豊音「ねー?」ニコニコ

塞(でも良かった、2人が帰ってきてくれて! 何か無駄に明るいしこれなら……)

塞(……ん?)

塞「2人とも凄い荷物持ってるけど、何買ってきたの?」

豊音「あ! 気付いたー? これはねー……ウフフフ」ニコニコ

胡桃「……」ニヤニヤ

塞「な、何よー! 勿体ぶらずに教えてよー!」

豊音「実はこの買い物袋の中身は……お酒なのでしたー! ワーイ!」ニコニコ

白望「……」

エイスリン「……」グスッ

塞「……え? あっ……聞き逃したみたい、もう一回言って?」アハハ

豊音「だからこの中身はたくさんのお酒でーす!」ニコニコ

塞「」

胡桃「ワー! イイよー! 豊音ー!」パチパチパチパチ

豊音「どうも! どうもー! エヘヘー!」ニコニコ


塞「な、何考えてんのよあんたたちーー!!」

胡桃「あっ心配しないで塞、お菓子とおつまみもたくさん買ってきたから」

塞「そんな事心配してないわよ!!」

塞「一体どういうつもりよ! お酒なんか買ってきて!」

豊音「皆で飲もうと思ってー!」ニコニコ

塞「私たちは高校生なのよ!? どうやって買ってきたのよ!」

豊音「私が私服に着替えて買ったんだよー?」ニコニコ

胡桃「豊音の姿間近で見たら、高校生とは思わないから大丈夫!」

塞「バ、バレなかったとしても飲んでいい訳ないでしょ!?」

塞「胡桃! 真面目なあんたが一体どうしたのよ!?」

胡桃「たまには良いかと思ってさ!」

豊音「不良みたいだよー? ドキドキするー!」ドキドキ

塞「」

塞(こ、こんな事がバレたら大問題になる!)

塞「ま、まだ飲まなきゃ問題にならないから! それは先生に買ってきたという事に……」アセアセ

胡桃「塞!!」

胡桃「こんな日だもん……たまには羽目を外すのも必要じゃない?」

胡桃「私もこうでもしてはしゃがないとさ……涙が出てくるんだ」ジワ

豊音「胡桃ぃ、私もだよー……」ポロッ

塞「き、気持ちは痛いほど分かるけど、さすがにお酒は……」

白望「……飲もうよ」

塞「シ、シロ?」

白望「皆で飲もうよ、塞」

塞「シロまでどうしちゃったのよ!? いつもなら『……ダルい』って言う所でしょ!」

白望「私も皆と同じで胸の中がモヤモヤした感じなんだ……」

白望「とっても苦しくて……悔しいんだ」

エイスリン「……シロ」グスッ

胡桃「シロ……」

白望「それにうちのパパも言ってた……大切な仲間とお酒を飲めば、辛い事も乗り越えられるって」

白望「だから……」グッ

塞「シロ、あんた……」

豊音(シロってお父さんの事パパって呼ぶんだ! 意外!)

塞「でも……でもぉ……」アセアセ

エイスリン「ワタシモ ノミタイ!」

塞「エ、エイスリンまで……」

エイスリン「ミンナデ……サエモ!」

塞「うぅ~……」アセアエ

豊音「塞〜」

白望「塞」

胡桃「臼沢ァ!」

エイスリン「サエ!」

塞「……」

塞「……分かったわよ」ボソッ

胡桃「ん?」

塞「飲んでやるわよ! 一緒に!」

豊音「ワーイ! 嬉しいよー!」ニコニコ

塞「ただし絶対に皆飲み過ぎない事! 良いわね!?」

エイスリン「ウンウン!」

白望「……もちろん」

豊音「オッケーだよー!」

胡桃「皆初めて飲むんだから、そんなに飲めないって! 大丈夫!」

豊音「じゃあ準備始めるねー?」ガサガサ

塞(先生がたまたま出かけていて本当に良かった……)



胡桃「……皆お酒持った?」

エイスリン「モッタ!」

白望「……持ったよ」

塞「う、うん」ドキドキ

豊音「最初は皆とりあえずビールだよー」ニコニコ

胡桃「じゃあ私が挨拶を……2回戦は残念だったけど、今日は皆で飲んで忘れよう! 乾杯!」

エイスリン「カンパイ!」

豊音「乾杯〜!」

白望「……乾杯」

塞「か、乾杯」ドキドキ

ゴクッゴクッゴクッ


胡桃「……苦ーい!」ニコニコ

豊音「本当だねー? こんなに苦かったんだー! あははは!」ニコニコ

エイスリン「ウーン、マズイ! モウイッパイ!」ニコニコ

白望「……エイスリンそれ違う飲み物だから」ニコッ

塞「……本当に苦い」

塞(でも皆楽しそう……それにちょっぴり大人になった気分)クスッ

胡桃「他にもチューハイとかの甘いお酒もあるからね!」

豊音「柿ピー美味しいよー!」パクパク

胡桃「あ! 豊音ピーナッツばっかり残したらダメ!」メッ

胡桃「でも、大人って何が美味しくてこんな苦いの飲んでるんだろうね?」

豊音「この一杯の為に生きてるぜ〜!ってよく聞くよねー!」

白望「……パパがビールは喉越しが良くて美味しいって言ってた」

エイスリン「ノドゴシ?」

塞「確か口にためないで、一気に喉へ流し込む様に飲むんだと思う」

胡桃「……こうかな?」


ゴクッゴクッゴキュッ


胡桃「プハー!」

豊音「どう? 美味しい?」ワクワク

胡桃「……うん! 何か美味しい気がする!」

塞(一気飲みになってるよ……)

豊音「じゃあ私たちも試してみようよー!」

エイスリン「リョーカイ!」ニコッ

白望「……そうだね」

塞「だ、駄目だって! もっと普通に飲まなきゃ……」

豊音「じゃあ行くよー!」


ゴクッゴクッゴキュッ


豊音・エイスリン・白望「プハー!」

豊音「確かに美味しいかもー!」ニコニコ

白望「……うん」ニコッ

エイスリン「コレガ ノドゴシ!」ニコニコ

塞(皆初めてのお酒でテンション上がってるよ……)

胡桃「……だから私は言ってあげたのよ! 姫松のタコ焼き女に!」ゴクゴクッ

エイスリン「ウンウン!」ゴクゴクッ

胡桃「『うるさい、そこ!』ってさああぁ!」

豊音「さすがだよー! さすが胡桃だよー!」ゴクゴクッ

胡桃「ありがとーーー! 豊音ありがとーーーー!!」

白望「……ふふ」ゴクゴクッ

塞「ちょっ胡桃、ホテルだからあんまり大きな声出さないで! 近所迷惑だよ」シー

胡桃「あ! ごっめーん! まじ無意識だったわー! 生来の腹式発声による大声だったわー! ごっめーん!」

塞「わ、分かったから静かに!」アセアセ

エイスリン「ワタシモ モンク イイタカッタ!」プンプン

豊音「誰に〜?」

白望「……清澄の染谷さん?」

エイスリン「ソウ!」

胡桃「今言いなよ! 私たちが聞いててあげるからさ!」

エイスリン「ウン!」

ガラガラッ

塞(何で窓を開けるの? エイスリン)

エイスリン「……ワカメー! コラー! ユルサナーイ! メッ!」

胡桃・豊音「オー!」パチパチパチパチ

白望「……」パチパチパチパチ

塞「外に向かって大声出さないで! お願いだから!」アワアワ

塞(皆酔い始めてきてる……でも私も同じくらい飲んでるけど多分酔っていない)

塞(もしかして、無意識の内にアルコール成分を塞いでる? 酔わない様に?)

豊音「チューハイって甘くて美味しいねー? ジュースみたいだよー!」ゴクゴクッ

胡桃「きっとアルコール度数が低いんだよ!」

塞「いや、缶の表示見たらビールより度数高……」

豊音「そっかー! ならたくさん飲んでも平気だねー?」

ゴクッゴクッゴキュッ

胡桃・豊音「美味い!」ニコッ

エイスリン「ウマイ!」ゴクゴクッ

白望(私はビールも好きになってきた)ゴクゴクッ

塞(ああ、皆ペースが……量が……)

胡桃「……ねぇねぇ、シロちゃーん?」

塞(シロちゃん? 呼び方が……)

胡桃「胡桃、シロちゃんのお膝に乗ってもいーい?」

塞(思い出した! これ小学生の時の胡桃だ!)

白望「……」

胡桃「ダメなのぉ、シロちゃ〜ん?」ウルウル

白望「……別に良いよ」

胡桃「やった〜! 胡桃シロちゃん大好き〜!」ニコニコ

塞(小学生の時から体格が一切変化してないから、違和感無いよ胡桃……)

胡桃「じゃあ、じゅうでーん!」スッ

白望「……」モゾモゾ

胡桃「シロちゃんのふかふかおっぱい気持ち良いよ〜!」ウリウリ

白望「……んっ」モジモジ

塞(シロが何かおかしい)

豊音「どうしたのー、シロー? おトイレー?」

白望「んっ……何でもな……から///」モジモジ

胡桃「動かないでよシロちゃーん! 頭でおっぱいグリグリ出来ないでしょー!」グリグリ

白望「……アンッ///」ビクッ

塞(凄い敏感になって、色っぽくなってるー!?)

白望「アッ……ダメ! 胡桃……そこは///」ビクビク

胡桃「シロちゃんビクビク動いて面白ーい! アハハハ!」グリグリ

グリグリグリグリグリグリグリグリグリ

白望「……ヒッッ!?///」ビクンビクン

塞(あっ……)

胡桃「……あれ? シロちゃん動かなくなっちゃった?」グリグリ

白望「」

豊音「きっと眠っちゃったんだよー!」

エイスリン「オネム!」

胡桃「そっかー!」グリグリ

白望「」

塞(せめて安らかに眠って、シロ)

豊音「それより何か暑くないー? この部屋?」フー

塞「いや、別に……」

エイスリン「ゼンゼン!」グビグビ

豊音「そー? 私はすっごく暑いよー」パタパタ

胡桃「豊音ちゃん、そんな暑そうな上着着てるからだよ! 暑そうだよそれ!」グリグリ

塞「確かに夏にしては厚着だよね豊音は」

エイスリン「トヨネ! ヌゲ!」

豊音「そうだねー! 暑いから脱いじゃうよー!」

塞「うん、薄着になれば涼しくなるんじゃ……」

豊音「おりゃー!」スポーン

スッポンポン

塞「!?」

豊音「あー、やっぱり脱ぐと涼しいよー!」ゴクゴクッ

エイスリン「ダロ?」ゴクゴク

塞(と、豊音の裸!? 上半身裸に!///)

塞「豊音! 早く上に何か着て! 胸が見えてるから!」アセアセ

エイスリン「イイオモチ シテンナ!」

豊音「女の子同士だから見られても平気だよー?」アハハハ

塞「いや、私が気にするというか、この世界は女の子同士だからこそダメというか……」ブツブツ

豊音「気にしすぎだよー! えーい!」ダキッ

フニョン

塞(豊音が抱き付いてきてる! 胸が当たってる!?///)カァ

胡桃「あー、いいなー塞ちゃん! 豊音ちゃんに抱っこしてもらってー!」

胡桃「シロちゃん起きてー! 抱っこしてー!」グリグリ

白望「」

エイスリン「コレガ ユリカ!」ゴクゴク

塞(胸がー! 豊音の胸がー!!)ドキドキ

豊音「……ふふふ」

塞「豊音?」ドキドキ

豊音「こんな風に誰かとお喋りしたり、抱き合ったりなんて1年前は想像すらしてなかったよ」

胡桃「豊音ちゃん……」グリグリ

塞(そっか、豊音は故郷で同年代の友達がずっといなかったんだ……)

豊音「だから今こうして皆といられるのが幸せで……これが友達なんだぁって」

胡桃「そうだよ! 友達だよ!」グリグリ

塞「これからこの5人は一生かけて付き合って行くんだから……覚悟してよね? 豊音」ニコッ

エイスリン「ウチラ ズットモダヨ!」ニコリ

豊音「み、皆……嬉しいよー! 友達嬉しいよー!」ウワーン

胡桃「胡桃も嬉しいよー!」ウワーン

塞「2人して泣かないで!」アセアセ

豊音「ウワーン!」ポロポロ

胡桃「エーンエーン!」ポロポログリグリ

塞(脱いだり、泣いたり、子供になったり……酒癖悪すぎだよ!)

エイスリン「……」

塞(エイスリンだけはあまり変わらないから助かったよ……外人さんはやっぱりお酒に強いのかな?)

塞「……ん?」

エイスリン「……」フー

エイスリン「……アー」ポカン

塞(エイスリンの様子が……深く息を吐いたり、口をポカンと開けたり)

エイスリン「……ウッ」

塞(……まさか!?)

塞(ダメだよ! 天使みたいに可愛いエイスリンがそんな!)

エイスリン「……ウプ」

塞「エ、エイスリン! トイレ行こうか!? 私が連れて行ってあげるから! ね?」

エイスリン「……ウン」

塞「ゆっくりで良いからね!? 慎重に慌てないで迅速にトイレに!」アセアセ

エイスリン「……サエ」

塞「な、何?」

エイスリン「ヤッパ ムリ」

塞「……え?」

エイスリン「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ビシャー

塞「エ、エイスリーン!」

塞(凄い勢いで吐いている……エイスリンのこんな姿見たくなかった)

塞(い、今からでもバケツを持ってこないと……って)

塞「くっさ!」

塞(量が多いから凄い匂いだよ! 窓を開けて換気しないと大変な事に!)

塞「今窓を開けるから待って……」ダッ

豊音「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ドドドドド

塞「豊音ー!」

塞(やっぱり貰いゲロしちゃったかー!)

塞(豊音は身体が大きいから吐く量も凄いよ、滝だよこれ)

塞「く、胡桃は大丈夫!?」

胡桃「胡桃は大丈夫だよー! ほらこの通り!」ピョンピョン

塞「分かったから! ジャンプしなくていいから!」

胡桃「……ウプ」ピョンピョン

胡桃「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ピョンピョンビシャビシャ

塞「ジャンプしながら吐かないでー! 胡桃ー!」

塞(至る所に飛び散ってるー!)

白望「……オロロロロロロロ」ダラダラ

塞(シロが寝ながら吐いてる!)

塞「寝ながら吐くのは危険だよ! 起きてシロ! お願い!」ユサユサ

ワーワーギャーギャー

トシ「……ん?」

ガチャ

トシ「あんたたちまだ起きてるのかい? そろそろ寝な……」

エイスリン「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ビシャー

豊音「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ドドドドド

胡桃「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ビシャビシャ

白望「……オロロロロロロロ」ダラダラ

塞「目を覚ましてシロー! ウワーン!」ポロポロ

トシ「……ゲロくせぇ」

翌日


トシ「……気分はどうだい?」

塞「……昨日はすみませんでした!」ドゲザ

豊音「塞は悪くないんです、先生〜!」ドゲザ

胡桃「私が無理矢理皆を誘ったんです!」ドゲザ

エイスリン「ゴメンナサイ!」ドゲザ

白望「……すみませんでした」ドゲザ

トシ「……」

トシ「本来なら最上級のお仕置きをする所なんだけど……」ギロッ

豊音「ヒッ!」ガクガク

トシ「あんたたちにも色々あったし……若さゆえの過ちという事で許してあげるよ」ニコッ

塞「……え?」

胡桃「本当ですか!」

トシ「ただし条件があるよ?」

トシ「まず未成年の間は今後絶対に飲まない事!」

胡桃「はい」

塞(もうこりごりです)

トシ「そして成人したら飲み過ぎに注意をして……皆の飲み会には私も呼ぶ事! 分かったかい?」ニコッ

豊音「先生〜!」ウルウル

白望「……もちろん」

エイスリン「ミンナイッショ! センセイモ!」ニコニコ

塞・胡桃「はい!」

トシ「しかし初めてとはいえ、あそこまで酔うとはねぇ」

胡桃「うっ……」

トシ「私が晴絵あたりと飲む時は、一回も泥酔した事なんてないねぇ……本当だよ?」

塞「昨日の事は本当に皆反省しています……」

トシ「まあ部屋も綺麗に片付けられたから良しとしようじゃないか?」

トシ「それよりも……今日は皆で東京観光でも行こうじゃないか!」ニコッ

胡桃「良いんですか!」

豊音「やったー! 先生大好きー!」ニコニコ

エイスリン「スカイツリー イキタイ!」

白望「……静かな公園で休みたい」ダルイ

塞(昨日は大変だったけど、皆吹っ切れたみたい!)

塞(しばらくはいいけど、大人になったらまた皆で飲みたい……かな?)クスッ

塞「じゃあ皆! 用意して行こう……ウプ」

塞(気が抜けて、昨日塞いでいたアルコール成分が急に回り始めた!?)

塞「……」プルプル

豊音「どしたのー? 塞ー?」

塞「オロロロロロロロロロロロロロロッ!」ドボドボドボドボ

胡桃「塞がマーライオンみたいに吐いてるー!!」



おしまい

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