千枝「大人ってなーに?」(40)

千枝「教えて下さい!」

P「うん、何で部屋にいるのかな」

千枝「大人ってなんですか?」

P「不法侵入者がいたらしかるべき機関に通報する理性を持つことだな」

千枝「そんなの千枝が欲しい答えじゃありません!」

P「答えとかの前に帰れ」

千枝「終電過ぎてます」

P「送ってやるから」

千枝「疲れてますよね? 千枝にします? それとも千枝? もしかして千枝?」

P「選択肢を用意する気がないなら最初から聞かないで欲しかったな」

千枝「大丈夫です、お母さんには千枝は覚悟を決めましたって話しましたから」

P「うん、その覚悟を抑える覚悟が欲しいんだが」

千枝「そもそもPさんはおかしいんです」

P「まずこの状況がおかしいけどな」

千枝「どうして千枝の精一杯のアピールに反応してくれないんですか?」

P「反応はしてるだろ」

千枝「でもPさんのpは無反応です」

P「反応したらまずいんだよ」

千枝「でも雪美ちゃんにはpがPになってます」

P「」

千枝「pがPになってるんです!」

P「お前は俺のどこに集中してアイドルやってんだよ!?」

千枝「股間です、もっと言うなら――」

P「ああもう俺は明日も仕事なんだ! いいから送るから!」

千枝「車の中がいいんですか?」

P「違う!」

千枝「そうですよね、ばれたら大変ですもんね」

P「当たり前だろ!」

千枝「人から見られると千枝、もっと興奮しちゃうから……」

P「そんなカミングアウトいらないから!」

千枝「でも運転中ならPさんのpにやりたい放題できますね」

P「もういい、お母さんに電話するからな!」

千枝「はいもしもし」

P「何で持ってんだよ!?」

千枝「何でって、色々とめんどくさいじゃないですか」

P「もうこの状況が色々とめんどくさいよ」

千枝「諦めて千枝のつぼみを咲かせちゃって下さい」

P「うまくも何ともないからな」

千枝「じゃあPさんに上手にしてもらっちゃおっかな、えへへ」

P「お父さんにかけるから」

千枝「何だね! こんな時間に!」

P「だからどうしてなんだよ!?」

千枝「鞄の中から抜き出しちゃいました」

P「抜き出しちゃったじゃねえよ!」

千枝「知らない番号から着信がいっぱい入ってますけど、知らない人からの電話は怖いですから」

P「探してんだろ!」

千枝「でもPさんなら千枝は怖くありません!」

P「俺はお前が怖いよ」

千枝「大丈夫です、そんなPさんも受け入れてあげます」

P「こうなったら」

千枝「ついに!?」

P「しねえよ! 申し訳ないけどアイドルの誰かに」

千枝「こんな時間に掛けちゃうんですか?」

P「誰かさんのせいでな」

千枝「千枝のこと考えながらアイドルに掛けちゃうんですか!?」

P「言い方を考えろ!」

千枝「それで誰に掛けるんですか?」

P「教えてどうする?」

千枝「対策をと思いまして」

P「瑞樹さんだよ。あ、もしもし」

千枝「なーに?」

P「」

千枝「もう、なによこんな時間に?」

P「瑞樹さん?」

千枝「分かるわ」

P「何でなんだよ!?」

千枝「Pさんの携帯はどこに掛けようと千枝にしか繋がらないんですよ?」

P「そういうことかよ!」

千枝「今日の帰る時に入れ替えちゃいました」

P「仕事の電話どうすんだよ!?」

千枝「大丈夫です、千枝も把握してますから。仕事も2件取りましたよ!」

P「千枝はこれからセルフプロデュースな」

千枝「自分でするんですか?」

P「できるんだろ?」

千枝「一人でもできますけど……でも、やっぱり一人は満たされなくて、切なくて」

P「アイドル活動の話だ!」

千枝「そうですよ」

P「この……」

千枝「Pさんは一人だと切なくありませんか?」

P「せめて寂しいって聞いてくれ、ああもうとにかく今日は帰れ!」

千枝「まだ諦めてくれないんですか?」

P「当たり前だ! そもそも――」

ありす「Pさん、お客さんですか?」

千枝「」

P「」

ありす「」

千枝「へえ」

ありす「ふうん」

P「あのな、勝手に修羅場を始めようとするなよ」

ありす「私というのものがありながら!」

千枝「千枝は遊びだったんですね!?」

P「二人とも落ち着け、二人とも立場は一緒だ」

千枝「二人とも愛してやるなんて……えへへ」

P「ありす、お前は今日の昼にまた明日って別れたよな?」

ありす「はい、ですから日が変わってから来ました」

P「早いよ、早すぎるよ」

ありす「何事も早めがいいってPさんが教えてくれました」

P「教えたけどさ、ここに来る必要ないよね」

ありす「そろそろお帰りかと思いまして、夕食を」

千枝「もう作ってるからいらないよ」

ありす「そんなごみはいいので、さあ」

千枝「人の作ったものを自然にごみ呼ばわりかあ、へー」

P「二人とも帰ってくれないかな、というかありすはその鍵はどうしたのかな」

ありす「作りました」

千枝「はい」

P「変えよ、早急に」

ありす「さあ早く食べてください」

P「その赤い物体は何だ?」

ありす「苺のサンドイッチです」

P「うん、食後のデザートだな」

千枝「千枝を食べた後に食べましょう」

P「千枝の、をだよな?」

千枝「どうぞ!」

P「え、凄い本格的」

ありす「これは……」

千枝「触れないで」

ありす「そんな訳にはいきません、味見が必要です」

千枝「千枝がしたから大丈夫だよ」

ありす「お互い、思考回路は似通っているようですから言いますが」

千枝「なーに?」

ありす「媚薬の匂いがします」

P「は?」

ありす「媚薬です」

千枝「……やるね」

ありす「いえこれくらいは常識です」

P「誰か俺に小学生の常識を教えてくれ」

千枝「教えてあげますから」

P「何の参考にもならない!」

千枝「でもお腹は減ってますよね?」

P「買ってきた弁当がある」

千枝「そんなのいいんですか? ここにこんなに美味しそうな千枝がいるのに」

P「対象がおかしいよな!?」

千枝「それともPさんはお薬くらいで千枝に欲情しちゃうような変態さんなんですか?」

P「盛られたことないから分からねえよ!」

千枝「仕方ないなあ」

ありす「そうですね」

P「……何をしている」

ありす「もったいないので食べます」

P「させねえよ!」

千枝「食べ物を粗末にしてはいけませんって学校で習いました!」

P「お前らにだけは言われたくない」

ありす「まさか本当に盛ったと思ってるんですか?」

P「思ってる」

ありす「入手経路は? お金は? そもそも倫理的に許されません」

P「勝手に鍵を作ったお前が何を言っても説得力がないなー」

ありす「では証明します」

P「おい!」

ありす「あ……ほら……な、なんに……も」

P「ばっちりだよな! 顔を赤らめてもじもじして!」

ありす「ん……」

千枝「発情しちゃうなんてありすちゃん変態さんなんだー?」

ありす「あ……ふぁ……」

千枝「変態さんにはおしおきしなくちゃね」

P「おかしいな、千枝も変態にしか見えないんだが」

千枝「おしおきしてくれるんですか!?」

P「あーもう駄目かも、この子」

ありす「う……ちえ」

千枝「あー、もうパンツ塗れちゃって」

ありす「だ、だめ……」

千枝「本当に? 本当にだめ?」

ありす「……ううん」

P「おい誰か止めろ」

千枝「止めれるのはPさんだけだよ? ふふっ、どうします?」







P「……朝か」

終わり、何だこれ

モバP「千枝熱」

P「ええ、今回の案件は弊社も非常に力を入れているものでございまして」

奈緒「Pさん気合入ってるな」

加蓮「また大きな仕事かな」

P「ふぅ、なんとかまとまりそうだ」

加蓮「次はどんな仕事?」

P「ああ、それが――」

奈緒「Pさん!?」

P「ぐ……頭が……痛い!」

奈緒「は、早く救急車!」

加蓮「えっと、1、1」

ちひろ「その必要はありません」

奈緒「ちひろさん! 何を言って、こんなに苦しんでるんだ!」

ちひろ「それは千枝熱ですから」

加蓮「知恵熱? それ赤ちゃんがかかるものでPさんは」

ちひろ「いえ、知恵熱ではなく千枝熱です」

奈緒「訳分かんないこと言ってないで早く」

ちひろ「千枝ちゃん!」

千枝「はい! Pさんはどこですか?」

ちひろ「あそこに」

P「千枝……頼む……」

千枝「はい、いたいいたいのとんでけー!」

P「ふぅ、これで大丈夫だ。ありがとう」

千枝「また呼んでくださいね!」

奈緒「どういうことだ?」

加蓮「さあ……」

ちひろ「だから、千枝熱です。今のは軽度でしたから頭を撫でるだけで完治したようですね」

奈緒「ちえのちえって、もしかして千枝?」

加蓮「何その奇病」

ちひろ「知らなかったんですか? プロデューサーさんがここに来て2秒で感染した病気です」

奈緒「2秒!?」

加蓮「ちょっと待って、感染するの?」

ちひろ「主に成人男性が対象ですから、二人とも大丈夫。ほら、もうレッスン」

奈緒「あ、ああ」

加蓮「信じられない」

ありす「千枝熱?」

奈緒「そう、年も近いし仕事で一緒になることも多いだろ? だから何か知らないかと思って」

ありす「聞いたこともありません、そもそも個人を病原とする病気なんて非科学的です」

加蓮「だよね」

奈緒「これで当たり前にあるとか言われた方が困ってた」

ありす「そもそも……あああああああああああああああ!!」

加蓮「ちょっとありす!?」

奈緒「早く救急車!」

加蓮「分かってる!」

ちひろ「だから千枝熱ですって」

奈緒「さっき対象は成人男性って」

ちひろ「きっと一緒に長くいたから感染してしまったんですね、千枝ちゃん」

千枝「はい!」

加蓮「いや、どうしているの?」

千枝「細かいこと気にしたら負けです」

ちひろ「千枝ちゃん、ちょっと症状が重いから」

千枝「はい、おいでありすちゃん」

ありす「ぐ……が……」

奈緒「ちょっと本当に苦しそうだけど」

加蓮「膝枕で治るの?」

千枝「ありすー、よいこだねんねしなー」

ありす「ふ……あ……ふぅ」

奈緒「落ち着いた?」

加蓮「感染させる人物が治療するって何なの?」

ちひろ「そういう病気なんです」

ありす「千枝……」

千枝「ありすちゃん、元気なったね」

奈緒「何だかいい雰囲気」

加蓮「え、感染させられたありすがどうして頬染めてるの?」

ちひろ「さあ、どうしてでしょうか?」

奈緒「謎だ」

加蓮「謎だね」

都「謎ですか!?」

奈緒「あー、多分そういう謎じゃない」

加蓮「エスパーとかかな?」

裕子「呼ばれた気が――」

奈緒「違うだろ」

裕子「しませんでした」

杏「レッスン終わったのに何で事務所にいるの?」

奈緒「そっちこそ珍しいな」

杏「これから打ち合わせだってあの鬼が」

奈緒「へー、ご愁傷様」

杏「この身体をここまで使うなんて信じられない」

加蓮「何の仕事?」

杏「千枝と動物関係って聞いてるけど」

奈緒「千枝と!?」

杏「そこまで驚くこと?」

加蓮「杏、それ横で聞いてていい?」

杏「はあ?」

奈緒「頼む! この通り!」

杏「別にいいけど……物好きだね」

加蓮「ちょっと解明したくて」

P「それでこの日は朝の6時から」

杏「6時……」

P「折角の指名なんだ、頑張れ」

千枝「杏さん頑張りましょう」

奈緒「普通だよな?」

加蓮「うん、普通の打ち合わせ」

P「集合場所はここで、それから丸一日拘束されるけど」

杏「うへー」

P「事前の打ち合わせは来週にある、それまでに細部は詰めとくけど大体はこの企画通りと思ってくれていい」

千枝「ライオンの赤ちゃんなんて楽しみですね」

杏「そうかなー」

奈緒「本当に時間の無駄だった」

加蓮「でも千枝ちょっと楽しそう」

奈緒「ま、そうだな。ああやって年下が頑張ってると気合入るな」

加蓮「負けてられないね」

奈緒「あれ、頭がちょっと」

加蓮「私はお腹が……」

P「千枝」

奈緒「いや、あたし達は別に」

千枝「はい、いい子いい子」

加蓮「体が」

奈緒「楽に……?」

P「二人ともレッスン終わりに事務所に残ってるから、疲れが取れないんだろ」

奈緒「でも千枝熱って」

P「千枝熱っていうのは病気だけど、別に害のあるものじゃない。
  寧ろいいものなんだ」

杏「いつでも熱を自由に上下できるとか?」

P「そんなことしたらすぐにダウンするぞ、違う。体が少しでも異変を起こしたら症状としてすぐに現れてくれるんだ」

奈緒「我慢できないってことか?」

P「普段は我慢できるようなものでも、積み重なれば取り返しのつかないことになりかねない。
  そんな軽い症状でも自覚させることによって体に休息を促してるんだ」

加蓮「まあ何となく分かったけど、何で千枝がそれを治せるの?」

P「……は?」

奈緒「いや、そんなことも分からないのなんて顔されても」

P「可愛いからだよ!」

杏「は?」

千枝「そんな、Pさんこんなところで」

奈緒「いや、可愛いこととそれと何の関係が」

P「可愛いは正義だ!」

加蓮「アイドルなんて可愛い子ばっかりだけど?」

奈緒「可愛い子が治せるなら他にもいくらでも」

P「はあ、仕方ないな」

杏「とりあえず明日、熱出したい」

千枝「それを千枝に言われても……」

P「佐々木千枝の可愛さは、等身大の背伸びにある。。
  無理せず、子供のままの無垢な心を持ったまま俺に接してくれるその愛らしさ。
  自分がまだ未熟なことを自覚しながら精一杯の背伸びで俺と接しようとするそのひたむきさ、純真といってもいい。
  11歳の少女の成長を一日ずつ見守ることができる、これだけで至上の喜びだというのに。
  両親の元を離れ、最初は不安そうな気持ちを隠せないまま恐る恐る接してきたデビュー前。
  初めてのイベントで二人で言った遊園地、そこで見せてくれた笑顔は俺の心を撃ち抜いた。
  何も知らない世界で一歩ずつ進んでいく少女の姿に全世界9億人の千枝ファンの心すら撃ち抜いた。
  そう、千枝マジック。千枝の笑顔で毎日に花が咲く。千枝の歌声は世界を救う。千枝の存在そのものが魔法といってもいい。
  今や千枝の魅力は衰えを知らず日々、全世界をいや全宇宙を駆け巡る! そう、宇宙の心は千枝だったんだよ!」

奈緒「どこから突っ込めばいい?」

加蓮「聞かないで」

杏「そのロケだけピンポイントで千枝熱出したい。で、家に帰ったらすぐに治して」

千枝「だから治すことしかできませんって」

P「ぐ……あ……」

奈緒「また千枝熱か」

加蓮「でもちょっとおかしいかも」

ちひろ「これは!」

奈緒「ちひろさん、いつものことだろ?」

ちひろ「いえ……これは千枝熱の中でも重度の症状。ありすコンプレックスも併発してる」

加蓮「何それ?」

ちひろ「要するにロリコンってことです」

杏「なるほど」

P「ま……まだだ……まだ俺は……」

千枝「やるしかありません」

奈緒「特別な治療法でもあるのか?」

ちひろ「これは賭けなんですが、ありすちゃん」

ありす「ええ、ついにこの時が来たんです」

加蓮「ついさっきまで千枝熱すら否定派だったのに随分とやる気だね」

ありす「これも全て……Pさんの為ですから」

奈緒「何するんだ?」

千枝「ありすちゃん、Pさんを仮眠室へ」

杏「普通だ」

奈緒「うん、普通」

加蓮「何だ寝かせるだけか」

ありす「当たり前です、そんな特別なことはしません」

ちひろ「頼みます」

千枝「任せて下さい」

杏「いいなー千枝熱」

奈緒「元気なことはいいことだろ」

杏「ま、プロデューサーもあんなだし今日はもういいよね」

奈緒「帰るか?」

加蓮「そうだね、治してもらったから体も楽だしどっか寄っていかない?」

ちひろ「……」

P「ああ……がっ!」

千枝「服を脱がせて」

ありす「仰向けにして」

千枝「はい、楽にしてあげますからね。Pさん」

P「おはよう、奈緒」

奈緒「本当に元気になってる」

P「当たり前だ」

加蓮「ふうん、便利かも」

P「さあて今日も仕事だ!」

千枝「おはようございます」

奈緒「おはよ、昨日は頑張ったのか?」

千枝「はい、頑張りすぎちゃってありすちゃんはお休みです」

加蓮「そんなに体力使うの?」

千枝「Pさんは凄いですから」

奈緒「へえ、やっぱり症状重いとそうなるんだ」

千枝「Pさんにしかしない治療法なんです、でも千枝も役に立てて嬉しいですから」

加蓮「頑張って、私も今度またお願いしてもいい?」

千枝「任せて下さい!」

奈緒「おっと時間だ、じゃあまた」

千枝「はい、また」

P「千枝、あんまり覚えてないんだけど治してくれたんだろ? ありがとな」

千枝「いつでもいいですからね、またあんな風になったらいつでも言って下さい。治してあげますから……いつでも、絶対に」

終わり
スレ立てようと思ったら残ってたので利用しました

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