侍コーチ☆新学期からモテる!(61)

───始業式


校長「えー、であるからして……」ブツクサブツクサ


侍「zzz」

若い先生「先生、先生」ユサユサ

侍「ん……?もう校長殿の長話は終わったでござるか?」ムニャムニャ

若い先生「終わってないすよ!何寝てんすか新任のくせに、ってか教師なのに」

侍「拙者、昨日は夜遅くまで賭け麻雀をしていたでござる。眠いのでござる」

若い先生「舐めた態度っすね……緊張はしなかったんすか?」

侍「緊張など、する意味がわからんでござる」

若い先生「はあ……大物っすね。僕なんていまだに生徒の前だときょどっちゃってバカにされるんすよ」

侍「左様でござるか……ふわぁあ……」

若い先生「興味なしすか……」

校長「それでは新任の先生の挨拶を……えーとサム……サムラ……?なんとか先生お願いします」


侍「……」


校長「サムラなんとか先生」


侍「……」

若い先生「サムラなんとか先生、呼ばれているっすよ」

侍「……ああ、拙者のことでござったか」タッタッタッ

若い先生「なんなんすかあの人……」

───


侍「すまぬでござる。拙者、先日墓場から甦ったばかりでたまに気が抜けてしまうのでござる」


\どっ/

「何あの先生超ウケるんですけど」

「てゆーか何あのグラサンださーい」

「頭おかしいウホ」


侍「サム……サムラ……拙者もよくわからんので侍とでも呼んでくだされ。特技は麻雀とバスケでござる。宜しくでござる」


\どっ/

\よっ侍/ハハハ

───職員室


若い先生「やれやれ、どうなることかと思ったけど掴みはおkって感じっすね」

侍「普通に挨拶しただけでござる」

若い先生「あれが普通ってすごいすね」

嫌味な先生「ふん。早速生徒のご機嫌とりとはやってくれるじゃないですか、侍先生」プハー

侍「ん?」

若い先生「山藤先生!そんな言い方……」

山藤「文句あるのかね?」ギロッ

若い先生「あ、いえ……ないす」ビクッ

侍「お主も拙者を気に入ってくれたでござるか。ならば子分2号にしてやるでござる」

山藤「なっ……!?」


「まあ、あの山藤先生に」

「只者じゃないぞ」

「さすが侍ウホ」


若い先生「1号はまさか僕じゃないっすよね?」

侍「……」ニコッ

若い先生「ひえー、とんでもない先生に目をつけられちまったっす」


\どっ/ハハハ


山藤「ちっ……」

───


校長「えー、では次に部活動の顧問のことですが……」


ザワザワ


校長「まだ決まっていないのはこないだ申請があったバスケ部と……ああ、野球部ですか」


ザワッ


校長「侍先生、どうですか?野球部の顧問など……」

侍「顧問?」

若い先生「侍先生、野球部はやめた方がいいす。今まで数多くの先生が挫折しているっす。あれは悪の巣窟っす。僕の半分しか生きていない人間のとる態度じゃないっす。憎くてしょうがないっす」ヒソヒソ

侍「そんなに面倒でござるか?」

山藤「ふん。あんな部活動をまだ認めていていいのですかな?」プハー

若い先生「山藤先生!」

山藤「あんなクズ共は学校の害だ。放っておけばいい。そのうち全員退学となって野球部ごと消滅するでしょう」プハー

若い先生「そ、そんな言い方……酷いっすよ!彼らにだっていいところが……」

校長「銀平先生は優しいですね。校長ポイント3アップです」

銀平「は、はいっす」ニヤリ

校長「では銀平先生が野球部の顧問ということで……」カキカキ

銀平「それは困るっす!僕には荷が重いっす!」

校長「そうですか……新任の侍先生にはさらに荷が重いでしょうからこの件は保留ということで」

侍「野球部は面倒と……」メモメモ

校長「では侍先生、授業の方は宜しくお願いします。とても優秀な人材と伺っていますから」

侍「御意。拙者、歴史なら誰よりも詳しい自信があるでござる」

校長「何を言っているのです?歴史なんて教えてどうするんですか」

侍「なに?」

校長「あなたが教えるのは……」

侍「教えるのは……?」




校長「教えるのは……」

侍「教えるのは……?」




校長「のは……」

侍「……」




侍「zzz」

校長「……」カッ

校長「音楽ですよ」

───廊下


侍「音楽……音楽とはどういったものでござろう……」

青木「先生ー!」ドタドタ

侍「おお、青木でござるか。久しぶりでござる。しっかりやっているでござるか?」

青木「勿論ウホ!あんたも相変わらずウホ!」

侍「拙者に用でござるか?」

青木「うん……ゴリ達やっと5人揃ったウホ。でもまだ顧問がいないから部活と認められていないのウホ……」モジモジ

侍「左様でござったか……」

青木「そこで先生にコーチを兼ねてお願いしたいウホ!侍先生しか考えられないウホ!」

侍「……そこまで生徒に慕われていたことは拙者の誇りでござる」

青木「ウホッ!」

侍「目指すは全国制覇でござるな?」

青木「ウホッ!」

侍「されど断るでござる」

青木「ウホッ!」

侍「そんな面倒くさそうなこと引き受けるわけないでござる」

青木「ウホッ!」

侍「さらばでござる。知り合いだと思われるのが恥ずかしいから二度と話しかけるなござる」

バキッ

侍「ぎゃふん!」ドサッ

青木「ゴリと話すのが恥ずかしい……?なんでウホッ!?」

侍「……」

青木「うおおん!うおおん!酷いウホッ!」ドンドン

侍「今のうちに帰るでござる」ササッ

バキッ

侍「ぎゃふん!」ドサッ

青木「はあ……はあ……コーチになるまで帰さないウホ」フルフル

侍「な、何を……」

青木「いいからコーチングだウホッ!」

ガシッ

青木「ウホッ?」クルッ

山藤「お前今、教師を殴ったな?」プハー

青木「ウホウホウホ!」

山藤「停学だ」プハー

青木「ウホホ……」

───


侍「あ痛た……とんだ災難だったでござる。ゴリラにモテても嬉しくないでござる」

生徒「侍せーんせっ」

侍「ん?誰でござる?」

生徒「へへへ、私この前の青木達との試合見てたんだよ」

侍「ほう、あそこにいたでござるか」

生徒「女子バスケ部のりんだよ。そんでこっちが友達のみーこ」

みーこ「よ、よろしくお願いします……私もバスケ部で見ていました」

侍「宜しくでござる。拙者に用でござるか?コーチとやらでござるか?喜んで引き受けるでござるよ」

りん「私たちは間に合ってるよ。それより先生この後暇?」

侍「いや、拙者これから帰って音楽について考えなければならぬでござる。忙しいでござる」

りん「……」イラッ

みーこ「りん」

侍「どうしたでござる?」

りん「ううん。そんなことだったら私たちが教えてあげるから遊び行こうよ」

侍「なんと。それは助かるでござる。行くでござるよ」

りん「へへへ、やったー。この前侍先生のこと見て面白い人だなーって思ってたんだ。ね、みーこ」

みーこ「うん……今日の演説も面白かった」

侍「ではどこへ行くでござるか?」

りん「んーと、そうだね……」

───街


青木「くそ!侍のせいで停学になったウホ!」コツーン

青木「バナナでも買い食いしないと気が済まないウホ!」

青木「手持ち……50円ウホか……」ジャラ

青木「ウホホ……バラ売りの店を探すしかないウホ……」ガックリ


「はっはっは。あんなゴリラチョロいでござるよ」


青木「ウホ?」チラッ

りん「すごーい!ね、みーこ」

みーこ「うん。すごい」


青木「あれは……帰宅の侍!?」

青木「女バスのりんとみーこウホ。なんであいつらと侍が……?」

青木「……ついて行くしかないウホ」

帰宅の侍www

───ゲーム屋


ウイーン

「ありがとうございましたー」

道夫「もう来ねえよバカ!」

グラサン「参ったな……サイコロ転がして目的地目指して資産を競って友情を破壊するテレビゲーム、もう生産していないのか」

道夫「迂闊だった……くそ、俺としたことが!」

グラサン「仕方ない。帰ってまた昔のやつやるか」

道夫「ふん、いいだろう。ただし電源は切るんじゃねえぞ」

グラサン「そんな大人気ないことするはずないだろ!ああ!?」ガシッ

道夫「わ、悪い……俺としたことが友情を疑っち……ん?あれは……」

青木「コソコソウホ」コソコソ


グラサン「青木じゃないか。おーい!青木!」

青木「ウホッ!?」

道夫「何してんだ?こんなところで」

青木「大声出すなウホッ!見つかったらどうしてくれるウホッ!?」

侍「ん?」クルッ

りん「どうしたの?先生」

侍「今……ゴリラの鳴き声が聞こえたような」

みーこ「私も聞こえた。尾行だって」

りん「どうせ青木よ。あいつストーカー癖あるから。それよりあそこだよ。入ろう」

侍「ここか……目がチカチカするでござるな」

───電柱


青木「あ……危なかったウホ。バレなくてよかったウホ」

グラサン「うまい具合に電柱があって助かったな。ミッチーが僕たちを咄嗟に肩車してくれなきゃバレるところだったよ」

道夫「お……お前ら早く降りろ……バレなかったのはいいが俺は限界だ」プルプル

スタッ

グラサン「さあ、どういうわけか説明してもらおうか。なんであいつらを尾行していたのか」

青木「ゴリ……停学になったウホ……」

グラサン「!?」

道夫「なん……だと……」

青木「全部侍のせいウホ。そんで復讐してやろうと後をつけていたウホ」

バキッ

青木「ウホッ!」ドサッ

グラサン「バカ野郎が……!」フルフル

道夫「グラサン君!何も殴ることないだろ!」

グラサン「ああ!?」

道夫「い、いや……すまねえ……お前が正しいぜ」

青木「殴るなんて最低ウホね。見損なったウホ」

グラサン「お前は俺たちの夢を踏みにじったんだぞ!」

青木「!?」

道夫「……」

グラサン「俺たちの夢のために……今必死で女バスの道具の手入れや部室の掃除とかしてコートを使える時間を増やそうと頑張っているルーク(外人A)とシャック(外人B)の気持ちを踏みにじったんだよ!」

青木「あ、あいつらそんなことを……」

グラサン「それに比べて何やってるんだよお前は!大人になれよ……また公式戦が遠のいちまっただろ……」

青木「……ゴリが間違っていたウホ」

道夫「わかればいいんだよ」フッ

青木「でもここまで来たらあいつら気になるウホ。最後までつけるウホ」

グラサン「ふん。一理あるな」

道夫「俺は早く帰ってテレビゲームしたいぜ」

バキッ

道夫「ぐふっ!」ドサッ

青木「いいからストーキングだウホッ!」

マモルの続き?

どう見ても続きだろ

道夫被害者過ぎるwww

───カラオケ屋


りん「わーい、久々のカラオケだー」

みーこ「そうだね。楽しみ」クスッ

侍「ここで音楽について教えてくれるでござるか?」キョロキョロ

りん「あれ?侍先生カラオケは初めて?」

侍「空桶でござるか。なんとも切なくなる名前でござるな」

みーこ「……やっぱりかなり古風な人だね」

りん「だね。じゃあ何歌おうかな」

侍「ここは歌う場であったか。しからば」

りん「えっ?歌えるの?」

侍「人間五十年~」

りん「……」

みーこ「……」

───


侍「夢幻の~如くなり~」

りん「もういいよ!やめてよ!」

侍「なんで止めるでござる!今いいところでござる!」

りん「これでもう五十回目じゃない!盛り下がるしアカペラだしカラオケに来た意味がないじゃない!」

侍「お主らも一緒に歌うでござる。人間五十年~」

りん「そもそも私たちカラオケなんかに来たくなかったの!」

侍「!?」

りん「こんなの何が楽しいのよ!」

侍「誘ったのは……」

りん「あんたなんか嫌いよ!バカ!」タッタッタッ

みーこ「りん!待って!」 タッタッタッ

侍「……乙女心は複雑でござる」

───会計


店員「しめて25万円になります」

侍「お金取るのでござるか!?」

店員「えっ?」

侍「それもこれほど高額な……拙者(マモル)の財布には5万しか入っていないでござる……なんとか値切らせていただけないでござるか?」

店員「はあ?ん……?ござる?その口調……あ、あなたは侍先生!?」

侍「む?お主拙者の寺子屋の生徒でござるか?」

店員「た、大変失礼いたしました!5万円でよろしいのでここでバイトしていること学校には黙っていて下さい!」

侍「もう一声!」

店員「さすがにこれ以上は……」

侍「ちっ、仕方あるまい。寺子屋には黙っていてやるでござる。感謝するでござる。さらば」タッタッタッ

店員「……」

───


タッタッタッ

みーこ「はあ……はあ……りん……待って……私もう……走れない」バタッ

りん「あ!みーこ!」

みーこ「ぜえ……ぜえ……」

りん「ゴメン、みーこ……あんたの身体のこと何も考えていなかった」

侍「何やら訳ありのようでござるな」ヌッ

りん「侍先生!?」

みーこ「はあ……はあ……」

侍「話してみるでござる。みーこ殿の身体は一体……?」

りん「……」

みーこ「私……」

みーこ「運動が苦手なんです」

りん「だからいつも体力が有り余っている私についてこられないんだ」

侍「左様でござるか。大変でござったな」

みーこ「はい」

侍「それはともかくなぜ急に帰ったでござる?」

みーこ「……」

りん「……私たち、音楽をやっていたんだ」

みーこ「軽音をね」

侍「けいおん?」

りん「軽音楽は思ったよりもお金がかかるんだ。でも同志の中にスポンサーがいてさ、そいつにたかってたんだ」

みーこ「なのに、そいつが急に軽音部をやめちゃって……仕方なく私たちもやめるしかなくなった」

侍「左様でござったか」

りん「バスケ部に入ったのは……つき指でもして二度と楽器が持てなくなれば諦めがつくかなって」

みーこ「本当はバスケなんて球遊び、好きでもなんでもないんです!」




\ウホッ!/

侍「あそこの電柱で青木が盗み聞きしているでござる」

りん「あいつみーこのこと好きだからなー。ねー?みーこちゅわーん」

みーこ「見ざる聞かざる見ざる聞かざる……」ブルブル

侍「そうでござったか……それでカラオケなどに行って断ち切ったはずの思いを蘇らせてしまったわけでござるな。すまなかったでござる」

りん「もういいんだ。私、結局音楽を嫌いになんかなれないって確認できたよ。ありがとな、さむちゃん」

みーこ「最初は音楽ってワードだけでイラついていたくせに」

りん「あ、あれはさむちゃんがいきなり音楽なんて言い出すから……」

侍「わかったでござる。要はその金づるを軽音楽部に連れ戻せば万事解決なのでござろう?」

りん「そ、そんなことできるのかよ!?さむちゃん!」

侍「拙者に任せるでござるよ」

侍「金づるは今どこにいるでござる?家に帰ったでござるか?」

りん「ああ、さっきのカラオケ屋の店員いたろ?あいつ」

侍「なんと!拙者の全財産5万を奪った娘でござったか!」

りん「カラオケで5万円!?」

みーこ「全財産が5万円!?」

侍「これでも値切ったのでござるが」

りん「さむちゃん、ぼったくられているよ」

みーこ「可哀想……」

侍「それにしても気になるのはその娘、金持ちではなかったでござるか?なぜに庶民のような労働を……?」

りん「わかんない。でもあいつが軽音部をやめたのはバイトするからだって聞いたぜ、さむちゃん」

侍「これは一筋縄ではいかんでござるよ」

───電柱


青木「……」

グラサン「……聞いたか?」

道夫「ああ……まさかだったな」

グラサン「まさか青木がみーこのこと好きだったなんて、びっくりだよ」

青木「ウ、ウホッ///」

道夫「よーし、明日皆にばらしてやろうぜ!」

青木「や、やめるウホ!」

グラサン「やーい、青木はみーこのことが好きー」タッタッタッ

青木「やめるウホよー」タッタッタッ

道夫「ふっ、やれやれ(……頑張れよ、青木)」

───カラオケ屋


店員「いらっしゃ……あら?」

りん「こむぎ!お前ぼったくりしたろ!なんだよ5万円って!」

こむぎ「りっちゃん誤解よ!それはまけにまけた値段なの。本来の値段25万円ってここにちゃんと書いてあるわ」スッ

りん「なに……?どれどれ」チラッ

みーこ「こ、これは……!」

侍「どうなされた?」

りん「印刷したものの上からマジックで書き直している……」

みーこ「しかもこれ明らかにこむぎの字じゃないか!さてはぼったくった金をそのまま勝手に猫ババしているんだな!?」

こむぎ「……バレたようね」

りん「なんでこんなこと……」

こむぎ「私が金持ちで顔が美人で頭が天才で気立てもよくてちょっとハーフ入っていて金持ちで胸が巨乳で音楽の才能に溢れている金持ちの令嬢だってことは知っているわよね?」

侍「……」ピクッ

りん「ああ……」

みーこ「それがどうした?」

こむぎ「それは全部親から譲り受けたもの……私だって、私の力だけで大金を稼げるんだって、親に証明してやりたかったのよ!」

りん「そ、そんなことのために私たちの楽しみを奪ったってのかよ……!」フルフル

みーこ「見損なったぞこむぎ」

りん「機材をいっぱい買ってくれるってあのときした約束は……嘘だったのかよ!」

こむぎ「なんとでも言って。何を言われても私は軽音部に戻るつもりはないわ」

りん「くそ……!」

みーこ「こむぎ……」

侍「……よくわからんがこむぎ殿が悪いでござるよ」

こむぎ「なんでよ!?」

侍「こんな詐欺まがいの小細工で親を見返せるとでも思ったでござるか?」

こむぎ「!?」

侍「そんなことでしか見返す方法がないのなら、お主は一生親を越えることはできんでござる」

こむぎ「そ、そんな……」ガックリ

侍「親に己の力を証明させたいのならば、拙者にいい考えがあるでござる」

こむぎ「え……」

侍「拙者に任せてくれれば確実にこむぎ殿の望む道が開けるでござる」

こむぎ「本当?」パアァ

侍「うむ。その代わり拙者に音楽を教えるでござる」

こむぎ「あら?先生って音楽教師じゃなかったかしら?」

りん「えー!?」

みーこ「そうだったのか!?先生が私たちから何を学ぼうってんだ!?」

侍「拙者、じ……じ……」

みーこ「ジーコ!?」

侍「いや、じ……じ……」

みーこ「ジダン!?」

侍「じ……じ……」

みーこ「ジルー!?ジャックウィルシャー!?ジュニーニョペルナンブカーノ!?」

りん「みーこはサッカー好きだからなー」




\ウホッ!?/

侍「拙者実は……耳が聞こえないのでござる……」

こむぎ「え……」

侍「あれだけ勤しんだ音楽とは……無縁の身体になってしまったでござるよ……」

りん「そんな……」

侍「でも……誰にも言えなくて……ごめんなしゃ~い」グスッ

みーこ「そうだったのか……」

侍「うっ……うっ……」チラッチラッ

こむぎ「……わかりました。音楽の授業は私が侍先生に変装して受け持ちます」

侍「受け持ってくれるのでござるか?」パアァ

りん「食いついたー」

───その夜・こむぎ宅の門の前


侍「でかい城でござる……」

こむぎ「本当にこんなことで親を見返せるのかしら……」

侍「拙者を信じられよ」

りん「なんで私たちまで……ふわぁーあ……」

みーこ「や、闇討ちなんて……ぶ、物騒じゃないか?」ブルブル

侍「たとえ親とはいえども討たねばならぬときがあるのでござる。戦国時代では常識でござるよ」

こむぎ「……わかったわ。やってみる」

侍「おっと、ただしその杖は拙者が貰っておくでござる」ガシッ

りん「な、何するんだよ!せっかく武器になりそうなステッキ持ってきたのに!」

侍「お主らは軽音楽部でござろう?こんなものでどうするつもりでござる?」

りん「!?」

侍「こんなものがお主らの武器でござるか?軽音楽部の戦とはもっと違うものでござろう?」

りん「……」

みーこ「そうだったな……実は必要になると思ってベース持ってきていたんだ」スッ

こむぎ「私はシンセサイザーを……」スッ

りん「……私もさすがにドラムは持ってこれなかったけど、実はスティックを……」スッ

こむぎ「大丈夫よ。ドラムなら家の中にあるわ」

りん「サンキュー」

みーこ「なんだ……結局皆考えることは同じだったのか」

りん「実はステッキ持ってきたのは、スティックと間違えて持ってきちゃったってボケをかますためだったんだよーん」

ゴン

りん「痛!」

みーこ「ややこしい!」

りん「ごめんなしゃーい」

ハハハ

みーこ「あ……」

こむぎ「どうしたの?」

みーこ「ギターが……足りないな」

りん「……」

こむぎ「……」

侍「……」

侍「……」ササッ

───物陰


?「……」コソコソ

?「……」コソコソ

?「……よし、でござる」

ダッ

りん「仕方ない。私たちだけで───」

?「あいや待たれい!」スタッ

りん「!?」

みーこ「お、お前は……」

こむぎ「誰ぇー!?」

?「拙者、三味線侍でござる。義により助太刀に───」


「話は聞かせてもらったよ、こむちゃん!」

「私たちを置いていくなんてあんまりです!」

りん「!?」

みーこ「お、お前たちは……」

こむぎ「ゆっこちゃんとあんずちゃん!」

三味線侍「……」

ゆっこ「へへへ、これで全員揃ったんだよ!」スタッ

あんず「先輩方、遅れてゴメンだにゃん!」スタッ

みーこ「お前たち……どうして?」

ゆっこ「青木君が教えてくれたんだよ!」

三味線侍「……ちっ……」

みーこ「あいつ……」

りん「へえ、青木もいいとこあんじゃん。ね、みーこ」

みーこ「な、なんで私に振るんだ!」ゴン

りん「痛い!」

ハハハ


三味線侍「……拙者の出る幕はなかったでござるな……残念!」

りん「よし、じゃあ気を取り直して行くか!」

みーこ「うん」

ゆっこ「聞かせてやるんだよ!私たちの音楽を!」

あんず「にゃん!」

こむぎ「皆……ありがとう」

侍「おおい!」タッタッタッ

りん「あ、さむちゃん!どこ行ってたんだよ」

侍「すまぬでござる。一つ言い忘れがあったでござる」

こむぎ「あら何かしら?」

侍「敵将の首を取ったら火を焚いて城を落とすのを忘れるなでござるよ」

こむぎ「なるほど。わかったわ」

こむぎ「あなたたちは雑魚共をお願い。私はシンセサイザーぶん回して親の首を取りに行くわ」

りん「ちぇっ、おいしいところは持っていかれちゃうのか」

みーこ「仕方ないだろ。これはこむぎのための戦いなんだ」

ゆっこ「別にいーよ。早く音楽(断末魔)を聞きたいんだよ!」

あんず「私もギターでいっぱい人を殴れればどうでもいいにゃん!」

こむぎ「じゃあ皆、放火後はティータイムと洒落込みましょう!」

りん「軽音部の戦いを見せてやろうぜ!」

みーこ「燃え燃え~」

全員「「「きゅん☆」」」

ワイワイガヤガヤ




侍「屍を越えるでござるよ」フフッ

ザッ




おやに戦いを挑む少女の運命は……
死を覚悟して駆けつけた仲間たちの結末とは……
まあ結局暴れる前に取り抑えられて終了したんですがね。
いのち短し恋せよ乙女!

ひどいwww


このシリーズ好きだわw

そういやこれってシリーズ化するの?
するんだとしたらまだ前のスレも残ってたし一つのスレにまとめて書かないの?

>>57
気が向いたら書くでござる
スレは落としてほしいでござる

絶対続くよなこれwww
楽しみに待ってるわ

テスト
うまくいったら次からこれでいくでござる

わろたww

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