ほむら「まさか、あなたが魔法少女になるなんて…」 (380)

病院で目を覚ますほむら

ほむら「また、まどかを救えなかった…」

ほむら「でも、今度こそまどかを救ってみせる!」

ほむら「今回の時間軸では決してまどかを魔法少女なんかにはさせないわ!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396624990

ほむら「おかしいわね…。いつもならしつこいぐらいあの手この手を使って、まどかに契約を迫ってくるのに、あのインキュベーターがまどかの前に一向に姿を現さない…、24時間まどかを監視しているのに」

ほむら「まどかを魔法少女にする気が無いのならいいのだけれど…、あのインキュベーターの事よ、油断ならないわ」

ほむら「まどか、心の中に呼びかけるような声が聴こえたり、赤い目をした白いぬいぐるみみたいな動物を見かけたりしなかったかしら?」

まどか「ううん。全くそんな事なかったよ」

ほむら「そう、ならいいわ。変な事聞いてごめんなさい」

まどか(ほむらちゃんと友達になって数日…。時々不思議な事を言ったりと、やっぱりミステリアスな女の子だなあ…)

さやか(やっぱり転校生は電波さんだ…)

ほむら「まどかを延々と監視し続けて一週間、ようやくしっぽを現したようねキュゥべえ!」

QB「スタコラサッサで逃亡中だよ!」

さやか「転校生!あんた何を!?」

ほむら「美樹さやか!という事はまどかも…あれ?いない?」

ほむら「あの…まどかは?」

さやか「え?まどか?まどかなら、CD屋で演歌を聴きながらウェヒヒと笑ってご機嫌そうだったよ」

QB「助けて!さやか!」

マミ「助けに来たわよキュゥべえ!」

ほむら「巴マミ!くっ!ここは退かせてもらうわ」

ほむら「おかしい…。駐車場でQBと会うのも、美樹さやかと出くわすのも、巴マミが助けにくるのもいつもどおり」

ほむら「なのにまどかだけが、いつもと違ってこの場所にいない!」

翌日

さやか「やっぱキュゥべえってあたしにしか見えないんだ!」

QB「そうだよ」

まどか「どうしたのさやかちゃん?」

さやか「な、何でないよ!ただの独り言!」

まどか「変なさやかちゃん…」

さやか(ふぅー危ない危ない。下手したらあたしも転校生と同じく、電波さん扱いになるとこだった…)

ほむら(やっぱりいつもの時間軸とは全然違うわ…。この時間軸ではまどかはキュゥべえの姿が見えていない…)

ほむら(もしかして、この時間軸のまどかは魔法少女の素質が無いのでは…)

ほむら「もしそうなら、今のところはまどかを監視し続ける必要はなさそうね…。そうなると、今すべきことはワルプルギスの夜を倒すための戦力確保…」

ほむら「まずは序盤で死亡率の高いマミの死亡を回避しなくては!」

魔女結界内

ほむら「今回の獲物は私が狩る。あなた達は手を引いて」

ほむら(やっぱりまどかはいないわね…)

マミ「信用すると思って?」

シュルシュル

ほむら「(リボンが体に巻きついてくる!)バ、バカッ…こんな事やってる場合じゃ!」

マミ「おとなしくしていれば帰りにちゃんと解放してあげるわ。それじゃあ」

ほむら「今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う!待って!」

ほむら「行ってしまったわ…どうやってこのリボンから脱出しようかしら?」

ほむら「あれ?思ったほどきつくない、胸のあたりがゆるい…」

ほむら「そうか、マミは私の胸の小ささを想定していなかったのね!」

ほむら「…なんて屈辱!!後で覚えておきなさい!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」ドカーン!

さやか「やったー!!」

ほむら「待って!そいつは一度だけじゃ倒したことにならない!」

お菓子の魔女シャルロッテ「にょろーん!!」

マミ「え!?」

パクッ!!

ドキューン!

お菓子の魔女シャルロッテ「ギャー!!」

ほむら「どこらともなく光線が降ってきて、魔女の攻撃がマミから反れた!?」

マミ「…あれ?あたし生きてる!?」

?「間一髪だったな…」

ほむら「え?誰!?」

?「こいつはあたしに任せな、お嬢ちゃんたち!マジカルアロー!!」

ヒューン!

シャルロッテ「ぎゃぼー!!」

ドカーン!

ほむら「す、凄いあの魔女をあっという間に倒してしまった…」

マミ「あの人が私を助けてくれたの!?」

さやか「あ…あの人は…」

さやか「まどかのお母さん!?」

詢子「まさか、こんなとこで会うとはね!さやかちゃん、ごぶさた!」

ほむら「どっかで見た事あると思ったら、まどかのお母様!?」

QB「ふぅーなんとか間に合ったようだね」

マミ「えーと状況がよく飲み込めないのだけれど、どういう事なのキュゥべえ?」

QB「今回の魔女シャルロッテは強力な魔女だという情報を聞いてね。マミ一人だと荷が重いと思って救援を呼んだんだ」

さやか「まさか、おばさんが魔法少女だったなんて…」

ほむら(ほんとにまさかすぎるわ!!まどかが魔法少女の素質が無い事といいこの時間軸はイレギュラーすぎる!)

ほむら・さやか「…」

ほむら・さやか(冷静になってお母様(おばさん)の姿を見てみれば、30歳を超えた女性が、頭にでかいリボンつけて、リボンのたくさんついたピンク色のフリフリ衣装を着てるなんて、色んな意味でやばすぎる!!)

マミ「ありがとうございます。えーっと…」

詢子「詢子、鹿目詢子さ!」キリッ

さやか(その服装でカッコつけないでぇー!!ごめん、おばさん!あたし見てられない!)

マミ「私は巴マミっていいます。まさかあなたのような魔法少女がいたなんて…」

ほむら(え?少女?魔法熟女じゃなくて?)

詢子「あたしも驚きだよ!あんたみたいな子供まで戦ってるなんてね」

ほむら・さやか(私達の方が驚きです…)

マミ「あっ、そうだ!暁美さん、ごめんなさい。あなたの忠告のとおりだったわ。詢子さんが助けてくれなかったら今頃私は…」

ほむら「えっ、ああ…うん、そんな事気にする必要は無いわ。これからは用心して、他人の言う事に耳を傾けることね」ファサッ

詢子「ふーん、もしかしたらそっちのロングヘアーのお嬢ちゃんも魔法少女なのかい?」

ほむら「え!は、はい!暁美ほむらといいます!よろしくお願いしますお母様!!」ペコリ

詢子「お母様?あたしはあんたの母親になった覚えはないけど?」

ほむら「いえ、確かにそうですけれど、まどかのお母様ですもの!私としてはお母様としかあなたの事を呼ぶ事はできません!」

詢子「おっ、まどかのお友達なんだ。うちの娘にこんなに行儀の良いお嬢様の友達がいたなんてね。これからもうちのまどかをよろしくね、ほむらちゃん」

ほむら「は、はい!お母様にまどかの友達と認めてもらえるなんて、とても光栄です///」

さやか(転校生、あたしたちと態度違いすぎだろ…)

ほむら(やったー!まどかのお母様にお墨付きを貰っちゃった♪)

マミ(うふふふふ♪まさか魔法少女の先輩ができるなんて…!もう何も怖くない!)

さやか「二人ともえらく嬉しそうだね」

QB「そういえば詢子!早く帰らなくていいのかい?」

詢子「そうだ!仕事をほっぽり出して来たんだ!やっべー…。ごめん、あたし先にあがらせてもらうわ」

ほむら・さやか・マミ (魔法少女に思春期の少女が多い理由がわかるなあ…。そりゃあ時間無いとできないわ…)

詢子「おーっと一言、言い忘れてた」

詢子「鹿目家のみんなには内緒だよ♪」

今回はちょっと短いけど、ここまでです。
次回に続きます。

詢子さんの魔法少女姿は、まどかと同じものを着てると自分の中でイメージしてます。

翌日

まどか「おはよー!さやかちゃん!ほむらちゃん!」

さやか「…おはよー…」

ほむら「おはよーまどか♪」ニッコリ

まどか「どうしたの、さやかちゃん?複雑そうな顔して。それと対照的にずいぶん嬉しそうだね、ほむらちゃん」

さやか「…お母さんの事大事にしてあげるんだよ、まどか。きっと辛い事もあるだろうから、サポートしてあげて…」

まどか「??」

ほむら「美樹さやかの言うとおりよ、親孝行は大切だわ。それと私達、ちゃんと秘密は守っているからってお母様に伝えて♪」

マミ「おはよー、みんな!」

ほむら「おはよう、巴マミ」

さやか「おはようございます、マミさん」

まどか(誰だろう?)

ほむら(この時間軸ではマミとまどかはまだ、面識がなかったようね…)

マミ「それにしても昨日は凄かったわよね!まさか、鹿目詢子さんみたいな魔法少女がいるだなんてね!」

ほむら・さやか「ちょ、おま!!」

まどか「え、私のママが何て?」

さやか(何、速攻でばらしちゃってるんですか!!)ヒソヒソ

マミ(え!え?)

ほむら(この桃色の髪の天使が詢子さんの娘、まどかなのよ!)ヒソヒソ

マミ(ご、ごめんなさーい!)ヒソヒソ

さやか「いやー何も言ってない、言ってない!気のせいだよ!魔法少女とか一言も言ってないよ!!」

まどか「魔法少女?」

ほむら(このアホ―!!)

マミ「えーと…昨日、あなたのお母さんに会ってね、私こう言ったのよ」

マミ「『まぁ…ほぉー…少女だったなんてね!』つまり、まぁとか、ほぉとかため息つきたくなるぐらい少女だった事があったなんて信じられません!って意味の事を私言ったのよ!」

ほむら・さやか(言い訳が苦しすぎるし、お母様(おばさん)に対して失礼すぎる!!)ガビーン

まどか「酷いよ、あんまりだよ…」

マミ「あ、えーと…、私そんなつもりじゃあ…」

ほむら「あのね、まどか。マミはまどかのお母様が昔、少女の頃があったなんて信じられないぐらいババアね!的な意味でさっきの事を言ったわけじゃないのよ…」

ほむら「お母様、あなた様はなんて素敵でキャリアウーマンな大人の魅力を持った女性なの!!とても少女の頃が想像できないわ!!…的な良い意味で言ったのよ」

まどか「なあんだ、そうだったんだ!私もママがカッコいいと思ってるから、そう言われると嬉しいな///」

マミ(ナイスフォロー暁美さん!)

さやか「まどかは昔っからお母さんの事大好きだよね」

まどか「うん!自慢のママなんだ!」

放課後

(恭介「もう僕の事はほっといてくれ!」)

さやか「はぁー…、まさか恭介の手がもう治らないだなんて…」

さやか「恭介の手を治す方法は確かにある…、あたしが魔法少女になりさえすれば…。でも、あたしに命を賭けて戦う事なんてできるだろうか?」

詢子「おー、どうしたんださやかちゃん?この世の終わりみたいな暗い顔して」

さやか「あ、おばさん。仕事の帰りですか?」

詢子「そうなんだ、今日は珍しく残業が無くってさ。今日は久々に家族いっしょに夕ご飯が食べれそうだよ」

さやか「はは…、大変ですね」

さやか「あの…おばさんは魔法少女として戦う事が怖かったりしないですか?」

詢子「急にどうしたのさ?」

さやか「え、すいません。ちょっと気になって」

詢子「全然怖く無いねー魔女なんて。上司や、取引先の人の方が怖いぐらいさ」

さやか「え、マジですか!」

詢子「というのは嘘♪そりゃあ命のやりとりをしてるんだ、誰だって怖いよ」

詢子「あたしも昔、ヤンチャしてた頃は喧嘩とかはしてたけど、命の危険を感じた事は滅多になかった」

さやか「はぁ…、そうなんですか(やっぱり昔はヤンキーだったんだ…)」

詢子「何より、自分が死んでしまう事で家族と会えなくなる事が怖かった…」

さやか「…」

詢子「でもね、あの魔女って奴らは人間を襲うんだろ。もしかしたらあたしの家族も、魔女の危険に晒されるかもしれない」

詢子「しかも警察は当てにならない。そう思ったらさ、怖くてもあたしが魔法少女になって戦うしかないって思えるんだ」

詢子「家族を守るためならあたしは戦える!」

さやか「おばさん…」

さやか(決めた!あたしなるよ魔法少女に!恭介の手を治すため、恭介や友達や家族を守るためあたしも戦う!)

次の日

部長「鹿目さん、これコピーとって」

詢子「はーい」

QB「大変だよ詢子!魔女が現れた!」

詢子「なんだってー!!」

部長「えっ?急にどうしたんだい鹿目さん」

詢子「すいません部長、あたし早退させてもらいます」

部長「え!?急に困るよ、これから大事な会議だってあるんだし」

詢子「部長!あたしが戦わないとこの町の平和は守られないんです!!」

部長「へっ!?何言ってるの鹿目さん!大事な会議なんだよ!」

詢子「会議がなんだ!家族が危険な目に会うかもしれないんだ!!」

部長「ビクッ!」

「ちょっと、どうしたんだろ鹿目さん」ヒソヒソ

「家族と何かあったのかしら」ヒソヒソ

詢子「あたしの家族だけじゃない、部長の家族だって危険にさらされる可能性だってあるんですよ!それじゃあ、失礼します」

部長「ちょっと!!鹿目さーーん!!」

結界内

ハコの魔女エリー「デュフフフ…」

詢子「くそっ、なかなか厄介な敵だな」

QB「この魔女は、精神攻撃を使ってくるんだ。気をつけて」

詢子「仕事疲れのOLにとっちゃ、堪えるねぇ…」

ハコの魔女エリー「仕事、仕事、仕事、家族、家族、仕事、仕事……」

詢子「うっ…」

QB「危ない詢子!後ろだ!」

詢子「えっ!」

ビューン!

突然降ってきた剣によって、魔女の攻撃がはじかれた。

詢子「やられた…と思ったらあたし無事!?」

さやか「ギリギリセーフでしたおばさん!」

詢子「さやかちゃん!あんたまさか!」

さやか「そのまさかのまさかです。あたしも魔法少女になっちゃいました!」

詢子「だから、あの時魔法少女のことについてあたしから話を聞いてきたんだね…。まあ、積もる話は後回し!先にこの魔女をぶちのめすよ!」

さやか「はい!!」

ハコの魔女エリー「ヒデブー!!」

ドカーン!

さやか「いやあ、二人だと楽勝でしたね」

詢子「しっかしまあ、魔法少女の仕事はしんどいよ。あたしは正直、子供が戦う事には感心しないなあ」

QB「いや、詢子むしろキミがイレギュラーなんだよ。魔法少女として戦うのは、通常子供の場合がほとんどなんだ」

詢子「うるさいよキュゥべえ!まあ、なっちゃったもんは仕方ないし、さやかちゃんにも戦ってまで、守りたいものや叶えたい願いがあるんだろね」

さやか「えへへへ、まあそういう事です」

マミ「こっちの方に魔女がいるはずよ」

ほむら「待って!魔力の反応が消えた!?」

さやか「おーっす、遅いぞ君たち」

ほむら「美樹さやか!まさか、その姿は…」

さやか「そう、あたしも魔法少女になっちゃいました!」

ほむら(まどかに魔法少女の素質がない事や、お母様といったイレギュラーな事に気を取られて美樹さやかの事を忘れていたわ…)

ほむら(どうしたものかしらね、この子…。どうやって魔女になる事を回避すればいいかしら…)

マミ「もしかして美樹さんが魔女を倒したの?」

さやか「そのとおり!さやかちゃんがギッタンギッタンのメッタメタにして魔女をやっつけましたよ…まどかのお母さんといっしょにね」

ほむら「えっお母様が!」

マミ「流石おば様ね!人生経験を積んだ女性は行動も迅速なのね…ところでおば様の姿が見えないのだけれど?」

さやか「何でも大事な会議をすっぽかしたみたいで大急ぎで帰って行きましたよ」

ほむら・マミ(大人は大変だなあ…)

鉄塔の上

QB「まさか、君が来るなんてね、佐倉杏子」

杏子「別にマミの事が気になってるわけじゃねーし!心配なんかしてねーし!寂しいからじゃねーし!ただ、見滝原の方が魔女が多くて稼げるだけだからな!だからマミから縄張りを奪ってやるんだ!そこんとこ勘違いすんなよ!!」

QB「別に何も言ってないよ。ところで残念だけれど、この見滝原にはマミ以外にも魔法少女がいるんだ」

杏子「はぁん!何人いたってあたしが無双してやんよ!」

QB「マミと合わせて4人も魔法少女がいるんだけれど大丈夫かい?」

杏子「え!?4人も?」

QB「うん、4人だ」

杏子「…」

杏子「ど…、ど、どうせみんな雑魚だろ!あ、あたしが全員瞬殺してやるよ!」

次の日

さやか「待てー!使い魔めー!」

杏子「あんたがキュゥべえの言ってた見滝原の新しい魔法少女か。まったく何馬鹿な事してんのさ!」

さやか「え…魔法少女?…あ、逃げられちゃう!」

杏子「見てわかんないの?ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードを持ってるわけないじゃん」

さやか「だって、あれほっといたら誰かが殺されるのよ?」

杏子「だからさぁ、4~5人ばかり食って魔女になるまで待てっての。そうすりゃちゃんとグリーフシードも孕むんだからさ」

さやか「魔女に襲われる人たちを…あんた、見殺しにするって言うの?許せない!!」

杏子「おっ、やるってのかい新人」

杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねぇよウスノロ!」

さやか「つ、強い!」

杏子「これでとどめだー!」

さやか「くっ…」

マミ「レガーレ!」

杏子「このリボンは…マミ!」

さやか「マミさん!」

ほむら「大丈夫、美樹さやか?」

さやか「ほむらまで!」

ほむら「あなた経験不足なんだから単独行動はひかえた方がいいわよ」

さやか「うぅ…めんぼくない…」

杏子「お前らぞろぞろと群れやがって…仲良しこよしで魔法少女やってるとかうぜえんだよ!!」

マミ「まさか、こんな形であなたと再会するとはね、佐倉さん。どうする?この人数を相手にするのは、流石のあなたでも骨が折れるでしょ?」

詢子「いや、ここはあたしに任せてくれないかマミちゃん」

さやか「おばさん!」

ほむら「いつのまに!今、夕方ですけどお仕事は大丈夫なんですか!」

マミ「マミちゃんって言われたの、いついらいかしら///」

杏子「うわ!なんだよこのおばちゃん!その服装はきつすぎるぞ!」

詢子「子供の喧嘩にチャチャ入れんのは趣味じゃねんだが、あたし達魔法少女の場合ただの喧嘩じゃすまねぇ。できれば戦わない方がいい。何があったんだい、おばさんに言ってみな」

杏子「まさか!おばちゃんも魔法少女なの!?うわ!うけるwwww」

詢子「人の話を聞かねえガキだな」

杏子「ああん!何か文句あんのかよ!そこの二つの意味で青い新人にちょっと魔法少女のルールを教えてやってるだけだよ」

さやか「何がルールだ!そんなのあたしは絶対認めない!」

詢子「どういう事だ?」

杏子「そこの口だけ達者なひよっこが、何してるのかと思えば使い魔を倒そうとしてるじゃん。全く馬鹿だよね、4、5人ぐらい食って魔女になるまで待てばいいのに」

詢子「何ッ!…そいつはお嬢ちゃん、聞き捨てならねえな…」

杏子「やろうってのかよ、おばちゃん!」

詢子「ああ、おしおきの時間だ」

詢子「パ二エロケット!マジカルアロー!マジカルスタッフ!」

ドカッ!バキッ!ボコッ!

杏子「ぐああ!!何だこのおばちゃん!強い…」

詢子「伊達にあんたより年とってないってことさ」

マミ「おば様凄い!あの佐倉さんを圧倒してる…」

さやか(でも、あの年齢であの技名を叫ぶのはきついな…)

詢子「どうして人を見捨てて平気でいられるんだ!その人やその人の家族が苦しむとは思わないのかい!」

杏子「うるせー!あたしが何で他人のために戦わなくちゃいけないんだよ!」

詢子「できたら反省してほしいんだけど、あんたが使い魔を見逃すのはもういい、その分あたしが使い魔を倒してやるからな。だけど、誰かを助けるために頑張ってるやつの事を悪く言うのは止めろ!」

杏子「ちくしょー、覚えてろ!」

さやか「やったー!おばさんが勝った!」

ほむら「流石お母様!戦いぶりに見惚れて、戦いを止めるのを忘れていたわ///」

詢子「ふー、鉄拳制裁とはあたしも大人げなかったかな。しっかし、ああいう子もいるんだね、親御さんも悲しむよ」

マミ(佐倉さん…)

次の日

杏子「ちっ!スコアが上がらない!」

ほむら「あなたがダンスゲームでここまでスコアを落としたのは初めて見るわ。イライラしてるから、調子が出ないのよ」

杏子「うわ、なんだあんた!…昨日のさやかって新人と詢子っておばちゃんの仲間か。つうか、この前会ったとこだよな?ダンスゲームでスコアを落としたのは初めて見るとか、どういう意味だ?」

ほむら「気にしないで、たいした意味はないわ」

杏子「何の用だよ?」

ほむら「私たちと組まない?」

杏子「はぁ?なんであたしが、あの甘ちゃん達と仲間になるんだよ。考えただけでも虫唾が走る」

ほむら「ワルプルギスの夜」

杏子「!!」

ほむら「二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る」

杏子「なぜわかる?」

ほむら「それは秘密。超ド級の魔女ワルプルギスの夜、そいつを倒すためには戦力がいくらあっても足りないわ」

杏子「嫌だね!ワルプルギスの夜を倒すためでも、あいつらと仲間になるなんて絶対に嫌だ!特にあの詢子って奴がな」

ほむら「…そんなに負けたのが悔しかったの?」

杏子「!!」

杏子「もういい!あたしは帰る!それと、仲間になれとかふざけた事二度と言うなよ!」

ほむら「…」

使い魔「ウワーヤラレター」

詢子「おとといきやがれってんだ!」

QB(もう死んだのに、おとといきやがれは無いと思う…)

杏子「また、性懲りもなく使い魔を倒してんのか。きっと仕事でも効率が悪いんだろうね、おばちゃん」

詢子「あんたは佐倉杏子!」

杏子「おばちゃん、仕事はどうしたんだよ。まだ、昼間だよ?」

詢子「ガキに心配される筋合いはないよ。部長に『鹿目さん、恐らく仕事や家庭の事で疲れているんだろう。当分は来なくていいよ』って言われたから時間はたっぷりあるんだ!」

杏子・QB(それってかなりやばいんじゃあ…)

杏子「まったくあんたも馬鹿だね。せっかく魔法…少女になったんだ、仕事なんてやめても楽にお金が手に入る方法があるっていうのに」

QB(今、少女と言うのにちょっと躊躇した…)

詢子「へーどんな方法があるってんだい。あたしにも聞かせてほしいな」

杏子「ちょっと頭を働かせたらわかるだろ。盗むのさ。魔法の力を使えば、お金も食いもんも盗り放題、絶対ばれないよ」

詢子「…あんた、そこまで性根腐ってるとはね」

杏子「ふぅー、これだから大人ってのは嫌だね。メンツとか世間体にこだわりやがる。そんなんだから、窮屈な生き方しかできないのさ!」

杏子「魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんなんだよ」

杏子「気が引けるってんなら、あたしが代わりに引き受けてもいいんだよ?同じ魔法…少女のよしみだ。お安い御用さ」

詢子「あたしを挑発して、また痛い目にあいたいのか」

杏子「あたしもやられっぱなしじゃ嫌でね。リベンジしたいんだ。場所変えようか?ここじゃ人目につきそうだ」

歩道橋の上

詢子「あれだけ、こてんぱんにやられたのにリベンジがしたいとか、最近の子にしちゃ根性あるじゃねえか。ちょっと気に入ったよ、あんた」

杏子「ほざいてろ」

杏子(…とは言ったものの、どうやって戦おうか)

一方ほむら達は…

ほむら「ワルプルギスの夜が来るのよ」

マミ「ふふっ、ついに私の真の力を解き放つに値する敵がでてきたわね」

さやか「ピルプルゲルの黄昏?」

ほむら「どうやったら、そういう聞き間違いができるのよ」

QBのテレパシー(みんな、大変だ!詢子と杏子がタイマンを始めたよ!!)

ほむら「くっ!どっちも大事な戦力なのに、こんな事になるなんて」

マミ「佐倉さん、大怪我したりしてないかしら。どうして、あの子ったらこうも喧嘩っぱやくなったのよ!」

さやか「タイマンって何?タイのまんじゅう?」

QB「来た来た!今、戦いはクライマックスに達しているよ!」

詢子「パ二エロケット!」

ドカバキ!

杏子「くそう、やっぱり強い…」

ほむら「勝負はお母様が優勢のようね」

杏子「…こうなったら、これしかない!」

詢子「あっ!」

さやか「おばさんのソウルジェムが杏子に奪われた!」

杏子「へへーんだ!これで魔法は使えないだろ!」

マミ「卑怯よ佐倉さん!」

杏子「勝負に卑怯も糞もあるか!」

ほむら「確かに卑怯だけど、魔法少女の弱点をついた効果的な攻撃だわ。流石、佐倉杏子、私が毎回どの時間軸でもスカウトするだけの事はある」

杏子「これで形勢逆転だな、おばちゃん」

さやか「逃げてーおばさん!!」

詢子「心配すんなみんな!魔法が使えなくてもあたしには拳がある!」

杏子「へっ?」

詢子「正拳突き!!」

杏子「ぎゃああああ!!」

ほむら・さやか・マミ「腰を深く落としまっすぐに相手を突いた!!!」

さやか「あー!!正拳突きの衝撃でおばさんのソウルジェムが吹っ飛んだ!!」

詢子「うっ…」バタッ

ほむら(しまった!)

さやか「へっ?」

マミ「えっ?」

さやか「どうしたのおばさん!急に倒れて」

QB「今のはマズかったよ、詢子。よりにもよって、自分を吹っ飛ばすなんて、どうかしてるよ…言っても聞く事はできないだろうけど」

杏子「痛たたた…一瞬、死んだ家族の顔が見えたぞ。うん?何があったんだ!」

杏子「どういうことだオイ…。コイツ死んでるじゃねぇかよ!」

詢子が突然倒れた事によりさやか達がパニックに陥っている中、ほむらは必死に詢子のソウルジェムを追いかけていた。

ほむら(早くソウルジェムをお母様の元に戻さなくては…)

一方、さやか達は…

さやか「おばさん?…ね?おばさん?起きて…ねぇ、ねぇちょっと、どうしたの?ねぇ!嫌だよこんなの、おばさん!!」

マミ「もう何も理解できない!」

杏子「何がどうなってやがんだ…オイッ!」

QB「君たち魔法少女が身体をコントロールできるのは、せいぜい100m圏内が限度だからね」

さやか「お願いキュゥべえ!おばさんを助けて!!」

QB「はあ…さやか、そっちは詢子じゃなくて、ただの抜け殻なんだって」

マミ「え?」

QB「かいつまんで言うと、さっき正拳突きで吹っ飛んで行った詢子のソウルジェム、あれに詢子の魂が入ってるんだよ」

杏子「なん…だと!?」

QB「脆くて壊れやすい普通の人間の体で、魔女と戦うってのはちょっと無理な話だからね。身体がいくら壊れても、魔法で治せるように、魔法少女として契約する際に、君たちの魂をソウルジェムに変えて、身体と魂を分離してるんだよ」

杏子「テメェは…何てことを…。ふざけんじゃねぇ!!それじゃあたしたち、ゾンビにされたようなもんじゃないか!!」

さやか「!!…ゾンビ」

マミ「酷いわキュゥべえ!私たちを騙したって言うの!?」

QB「騙すだなんて心外だな。君たちが魔女として戦うのに、これ以上に無い環境を用意したっていうのに」

さやか「ひどいよ…そんなのあんまりだよ…」

QB「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

QB「訳が分からないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」

シュタッ

ほむら「お母様のソウルジェム…取ってきたわ」

杏子「あっ」

詢子「え?もう朝?仕事やばっ!」

今回はここまでです。
次回に続く!

次の日

知久「大丈夫かい?」

詢子「うん、大丈夫。ちょっと疲れがたまっていたみたい…」

知久「何か、僕でできる事があったら言ってほしい…」

詢子「…とびっきり美味しいご飯」

知久「ふふっ、わかった。今日は腕によりをかけて作らせてもらうよ」

詢子「ありがとう…期待してるぞー」

詢子「ふぅー、まさかこんな事になるなんてねー。まあ、キュゥべえに魔法少女になれとか言われた時から、ろくな事にならないって予感はしてたけど…」

コンコン

「入っていい?」

詢子「まどかか…。うん、いいよ」

まどか「大丈夫、ママ…」

詢子「大丈夫、心配すんなよ。こんなの一日寝たらすぐ治る」

まどか「でも、ママが病気で寝込むなんて今までほとんど無かった事だよ…やっぱり心配しちゃうよ…」

詢子「ふぅー情けねえなあたし。娘を心配させてしまうなんて…」

まどか「そんな事ない!情けなくなんかないよ!誰にだって心配させてしまう事の一つや二つはあってもおかしくない、ママだって…」

詢子「ふふっ、まどかは優しいなあ。ありがとう」

まどか「ううん、いいの。それより、何か私にもできる事ない?」

詢子「大丈夫だよ、気にせず学校に行ってきな」

まどか「でも…」

詢子「子供が立派に育ってくれる、それだけで親は元気になるんだ。だから、暗い顔なんかせずに、笑顔で学校行ってきな。それとも、まどかは学校をさぼるような不良になったのか?」

まどか「ち、違うよ。立派に育ってますー!」

詢子「そうかい。それじゃあ早く学校に行かないと、遅刻しちまうよ」

まどか「わっ、もうこんな時間!それじゃあ、いってくるね」

詢子「ああ、いってらっしゃい」

まどか「あ、ママ」

詢子「うん?」

まどか「帰ってきたら肩たたきしてあげるね。いってきまーす!」

詢子「ふふっ、ありがとう」

詢子「…なんか辛いなあ。もう、まどか達とは同じ人間じゃないんだよなあ…」

コン

詢子「うん?誰だ、人の家の窓に石投げつけてくる不良少女は?」

杏子「さすがのあんたも、ショックだったみたいだね」

詢子「なんだ、杏子か…。何しに来たんだ、またまたリベンジか?」

杏子「ふん!家族ってもんにこだわってるあんたの理想が、現実によって打ちのめされてるとこを見に来たんだよ。どうだい?家族とは別の生き物になってしまった感想は?」

詢子「…まあ、正直きっついね。30年以上生きてきた中でもベスト5に入るかもしれないほどショックだよ」

杏子「そんなら、家族なんてもんは捨てちまえばいいのさ」

詢子「なっ!」

杏子「自分のためだけに、戦い、魔法を使い、生きていく。それなら、ゾンビである事も気にせず生きていけるし、家族とか余計なもんのために縛られる必要もない。所詮、魔法少女なんて自分のためだけに生きていくのがお似合いの存在なんだよ」

詢子「笑わせんなよ、あたしの半分も生きてないようなガキが語るんじゃねえ!」

杏子「!!」

詢子「親ってのは子供が生まれて親になった時から、子供を守るっていう責任を背負い込むんだ!そんな簡単に家族を捨てられるような存在じゃねぇんだよ!」

詢子「戦う事がどんなに辛くったって、人間じゃなくなっても、あたしは子供たちから、家族から逃げたりしない!」

杏子「…あたしの父親とは大違いだな」

詢子「え?」

杏子「あたしの親父はあんたとは違った…あたしを捨てたんだ」

杏子「あたしの親父は神父をやっていて、とても優しく正義感の強い人だった。それでね、今の時代を変えるには新しい信仰が必要だって言って、信者に教義に無い事まで信者に説教をするようになったんだ」

杏子「案の定、誰も親父の話を聞く事なく、本部からも破門。それで、あたし達一家は、食うものにも事欠く有様になってしまった」

杏子「今思うと、傍から見て胡散臭い新興宗教にしか見えないんだから、誰も親父の言葉に耳を貸さないのは当たり前かなって気がするけど、当時のあたしは、親父の言う事が正しいって信じ、何で誰も親父の言う事を聞いてくれないんだって心底悔しがっていたんだ」

杏子「そこで出会ったのがキュゥべえ。それで、あたしが魔法少女になったのさ、親父の言う事をみんなが聞いてくれますようにって願いでね」

杏子「次の日からは親父の教会にはたくさんの信者が集まるようになり、親父は大張りきりで自分の考えを説いていったよ」

杏子「そして教会で親父が頑張ってる間、あたしは魔女相手に大張りきりさ」

杏子「食べる物の無かった佐倉家は助かり、親父の教えはたくさんの人に広まり、魔女はあたしによって倒される…これでめでたしめでたしだと思っていたんだけど、そんなに現実は甘くなかった…」

杏子「ある時、魔法少女の秘密が親父にばれたんだ」

杏子「大勢の信者が、信仰ではなく、あたしの魔法で集まったんだと知った親父はキレて、あたしを魔女と罵った」

杏子「そん時から親父はおかしくなり、酒に溺れて、家族に暴力をふるい、最後は家族一緒に無理心中さ…」

杏子「あたし一人を、置き去りにしてね」

杏子「だから、親ってのが子供を見捨てるなんて事無いって言われても、あたしは全然説得力感じないな」

詢子「…」

杏子「まあ、親父がああなったのは、あたしが勝手に親父のために願い事をしたせい、自業自得だけどね」

詢子「…自業自得なんかじゃねえよ。あんたの親父さんが死んでしまったのは、不幸な事故だ。誰のせいでも、杏子のせいでもない!」

杏子「どんなに頑張ったって、努力したって、結果はついてくるんだよ。あたしの場合は悪い結果だ。大人のあんたの方がわかるはずだろ?正しいと思ってやったからとか、運が悪かったからとか、そんな言い訳は通じないんだよ!」

詢子「確かに昔はそうだった…でも、次は良い結果かもしれないだろ?」

杏子「どっちの結果かわかんないのに、他人のために頑張る事なんてできるか?そんな不確かな未来なら、あたしは自分のためだけに頑張りたい。それなら、悪い結果でも自業自得ですむ」

詢子「杏子、あたしはな…」

QB(大変だよ、みんな!魔女が現れた!)

杏子「ちっ、キュゥべえのテレパシーか。つうか、あいつも厚かましいな、あたし達を騙していたのに、困ったら頼るのかよ」

詢子「よっこらっしょっと…流石に1日中休むなんてのは無理か…」

杏子「おい!何してんだ?あんたショックで寝込んでたんだろ?」

詢子「何って魔女退治にいくのさ。それがあたしたち魔法少女の仕事だろ?」

杏子「はぁ?」

杏子「キュゥべえに騙されてたのに、まだ戦うってのかよ!?」

詢子「キュゥべえがあたし達に隠し事をしていたのは許せねーし、一発殴るだけじゃ気が済まないし、あいつの顔見たら殺してしまいそうだと思ってるし、バイクに紐で括りつけて引き摺り回してやろうかと考えたりしてるけどよ…」

杏子(相当恨んでるなあ…)

詢子「誰かが戦わないと、この街を守れないのは、あたし達がゾンビであろうと変わりない」

杏子「他人のためにほんとご苦労なこった。報われる事なんてないのによ」

詢子「十分、あたしは報われてるさ。家族の笑顔を守る事ができるんだから」

杏子「…」

詢子「悔しいけどあんたの言うとおり正しいことだけ積み上げてけば、ハッピーエンドが手に入るってわけじゃない」

詢子「『自分が他人のために頑張る事で悪い結果になるかもしれない』だっけ?あたしだって怖いさ、悪い結果になってしまうかもしれないって考えてしまうと。でも、そうやって悪い結果になる事を怖がって逃げていたら、何もできない。自分だけじゃなく、他人も傷つけてしまうかもしれない。でも、あたしは逃げたくない」

詢子「じゃあな、杏子。あっ、そこにあるリンゴ食べていいよ。あたしのダンナが剥いたやつなんだ」

杏子「おい、ちょっと待てよ!」

杏子「…行っちまった。…あたしが逃げてるっていうのかよ…」

杏子「…食いもんを粗末にするわけにもいかないしリンゴ食べとくか」

杏子「むしゃむしゃ…美味しい」

結界内

銀の魔女ギーゼラ「ブルルン!ブルルン!ブルルン!ブルルン!」

マミ「うっ…強い!」

ギーゼラ「バビューン!」

魔女の体当たり!

マミ「キャッ!」

マミ(こんな攻撃も避け切れないなんて…どうしたんだろ体が重い…)

ギーゼラ「ブーン!」

魔女の体当たり!

マミ「危ない!やられる!」

ヒューン!どこからともなく光の矢が降り注ぎ、魔女の体当たりを弾き飛ばした!

詢子「大丈夫か!マミちゃん!」

結界内

銀の魔女ギーゼラ「ブルルン!ブルルン!ブルルン!ブルルン!」

マミ「うっ…強い!」

ギーゼラ「バビューン!」

魔女の体当たり!

マミ「キャッ!」

マミ(こんな攻撃も避け切れないなんて…どうしたんだろ体が重い…)

ギーゼラ「ブーン!」

魔女の体当たり!

マミ「危ない!やられる!」

ヒューン!どこからともなく光の矢が降り注ぎ、魔女の体当たりを弾き飛ばした!

詢子「大丈夫か!マミちゃん!」

マミ「おば様!」

銀の魔女ギーゼラ「ブルルン!ブルルン!」

詢子「今度の魔女はなんかバイクに形が似てんな。くぅ~!なんか昔ブイブイ鳴らしてた時の事を思い出してくるねぇー!」

銀の魔女ギーセラ「ブブーン!!」

魔女の体当たり!

詢子「そんなとろい走りじゃ、あたしに当たんないよ!マジカルアロー!」

詢子は魔女の攻撃を避け、矢を放った!

銀の魔女ギーセラ「ブブ!?」

詢子「流石に一発程度じゃやられてくれないか。そんじゃもう一発!」

マミ「おば様!」

銀の魔女ギーゼラ「ブルルン!ブルルン!」

詢子「今度の魔女はなんかバイクに形が似てんな。くぅ~!なんか昔ブイブイ鳴らしてた時の事を思い出してくるねぇー!」

銀の魔女ギーセラ「ブブーン!!」

魔女の体当たり!

詢子「そんなとろい走りじゃ、あたしに当たんないよ!マジカルアロー!」

詢子は魔女の攻撃を避け、矢を放った!

銀の魔女ギーセラ「ブブ!?」

詢子「流石に一発程度じゃやられてくれないか。そんじゃもう一発!」

銀の魔女ギーゼラ「ブモー!」

詢子は矢を放ったが、魔女はその矢を避け、そのまま体当たりを繰り出した!

しかし、詢子はあっさり攻撃をかわす。

詢子「暴走族のバイクの方がまだ速いよ!」

銀の魔女ギーセラ「ムカー!」

怒り狂った魔女は何度も体当たりに挑むが、全て詢子に避けられてしまう。

マミ「凄い…!」

銀の魔女ギーセラ「ブブブーン!!」

マミ「え!?」

魔女は突然、攻撃目標を変えた!

詢子「しまった!」

キキー!!ドーン!

マミ「あ…おば様!」

詢子「はぁはぁ…ボーっとすんな!やられちまうぞ…」

マミ「ご、ごめんなさい!私のせいで…」

詢子のピンク色のフリフリ衣装が彼女の血で赤黒く染まった。マミを庇うため詢子は魔女の攻撃を真正面から受けてしまったのだ。

銀の魔女ギーセラ「ブルルン!ブルルン!」

マミ「また来る!(私がどうにかしないと、詢子さんが…)」

魔女の体当たり!

マミ「させない!」

マミは詢子の体を抱きかかえ魔女の攻撃をかわした。

詢子「ごめんマミちゃん。足引っ張っちゃって」

マミ「いいえ、いいんです。元はと言えば、私が悪いんですから…」

マミ「とりあえずおば様を治療しないと…」

マミは、魔女の攻撃が届かない結界の上方部にリボンを張り巡らし、そこに足場を作った。

詢子「なるほど…これならあいつの攻撃も届かないな」

銀の魔女ギーゼラ「ブルルルルン!!」

詢子「あははははっ!まるで降りてこいって怒ってるみたいだ」

マミ「私の回復魔法で…」

マミの掌から流れる魔力が詢子の傷を癒していく。

詢子「これなら、なんとかいけそうだな」

マミ「私は回復専門の魔法少女ではないので応急処置程度しかできませんが…」

詢子「いやいや、これで十分だよ。にしてもあの攻撃をもろに受けて、生きてるなんてやっぱあたし人間じゃねーわ!あははは!」

マミ「…」

詢子「あっ、ごめん不謹慎だったかな…」

マミ「いえ…そんな…」

詢子「それじゃあ、戦闘再開といきますか」

マミ「あの…詢子さんはどうして戦えるんですか?」

詢子「えっ!うーん…若い時、喧嘩慣れしてたからかな…」

マミ「そういうんじゃなくて!何故、キュゥべえに騙されていたのに、自分がもう人間じゃないって事がわかったのに、平気で戦えるんですか?」

詢子「…」

マミ「ごめんなさい。こんな時にこんな事聞いて…」

詢子「いや、かまわないよ」

詢子「実を言うと、あたしも滅茶苦茶ショック受けてんだ」

マミ「え?」

詢子「ショックなのを空元気と仕事で鍛えた精神力で我慢してんのさ」

マミ「ならどうして我慢できるんですか!私には無理です…」

マミ「どうしても戦う気力がわかないんです…」

詢子「マミちゃん…」

詢子「守りたいものがあるんだ…」

詢子「家族やこの街を守るためには、辛いけどあたしは我慢できる」

マミ「私には守りたいものはありません!」

詢子「え!?」

マミ「私には家族がいません…お母さんとお父さんと私で車に乗っていた時に、交通事故に会ったんです」

マミ「二人は即死だったみたいです…。だけど、私は生き残りました…。その時たまたま会ったキュゥべえに『助けて』とお願いしたおかげで助かったんです。私一人だけが!」

マミ「今まで戦ってこれたのは、自分一人が助かった罪悪感と、誰かが戦わなければこの街は守れないという義務感のおかげです。でも、それももう限界!」

マミ「私、魔法少女は人々の夢や希望を守るための存在と思っていたんですよ…。なのに、こんな体になってしまったなんて…」

マミ「人間を辞めてゾンビみたいな体の生き物になったと知った今、罪悪感と義務感だけでは私、戦えません!もう無理なんです!」

詢子「そうか…仕方ないな。誰だってこんな事したくないもんな…。そもそもマミちゃんみたいな子供を戦わせるのが間違ってんだよ」

マミ「本当にごめんなさい」

詢子「謝る必要なんてないよ…むしろ今日までマミちゃんは精一杯頑張ったんだから、誰も責めたりしないよ」

詢子「この距離から攻撃しても、あの魔女のスピードだと避けられてしまう…となると降りるしかないか」

詢子「それじゃあ、ちゃっちゃとあいつをぶちのめしてくるから、マミちゃんはそこで見てなよ」

マミ「本当にごめんなさい…」

詢子「だから気にすんなって」

詢子「とぅ!」

詢子はマミの造ったリボンの足場から飛び降り、魔女と対峙した。

銀の魔女ギーゼラ「ブルルン!ブルルン!」

詢子「待たせて悪かったね、あんた。お詫びに一瞬で終わらせてやるよ!」

魔女は車輪を回転させ、詢子目がけて突撃した!

マミ「…戦いはどうなったんだろう」

マミ「あっ!おば様危ない!」

マミ「…直撃は避けれたけど、ダメージは大きいわ」

マミ「また突撃!…なんとか避けれたけどこのままじゃ防戦一方よ…」

マミ「やっぱりあの時のダメージが大きいのね…」

マミ「ごめんなさい…私のせいで…」

マミ(このまま見てるだけでいいの…?私が加勢すれば勝ち目があるんじゃ…)

マミ(…無理よ!もう私は戦いたくないの!)

マミ(…美樹さんや暁美さんが今の私を見たら軽蔑するだろうな…もう友達でもいられないかな…せっかく友達になったのに…)

マミ(友達がいるのに、守るものがないなんてよく言えたものね…本当に私情けない…)

マミ(詢子さんが助けてくれたから、今私は生きていられるのよ…その恩人を見捨てるの?)

マミ(せっかくできた友達を、魔法少女の先輩を捨てるっていうの?)

マミ(嫌よ!私は…お母さんやお父さん…もうあの時のように…)

マミ「失いたくない!」

詢子「さすがにダメージくらいすぎたかな…くらくらしてきた…」

銀の魔女ギーゼラ「ブルルルル…」

詢子「ごめんな…みんな…」

ドカーン!

魔女が詢子にとどめを刺そうという間際、魔女の体に光線が降り注ぎ爆発が起きた。

銀の魔女ギーゼラ「ブブブブ!?」

マミ「あなたの相手は私よ魔女!」

詢子「マミちゃん!?あんた…」

マミ「おば様…やっぱり私戦います」

マミ「戦うのも、もう人間じゃないのも怖いし辛いけど、それ以上に失う事の方が怖いんですもの!」

銀の魔女ギーゼラ「ブモー!」

魔女は詢子から目標を変えマミに突撃した!

それを難なく避けるマミ、魔女は何度避けられようと執拗に突撃を繰り返す。

しかし、マミは巧みに攻撃をかわしていく。


銀の魔女ギーゼラ「ブブブブブブ!!!」

マミ「私がただ避けてるだけかと思ったら大間違いよ!」

詢子「ああ!魔女の周りにリボンが!!」

マミ「収縮せよリボン!」

四方八方に張り巡らされたリボンが魔女の体を縛りつける。

魔女はリボンを引きちぎろうとするが、動くことさえできない。

銀の魔女ギーゼラ「ブルルル…」

マミ「例えどんなスピードを持ったスーパーカーでも、止まってしまえばただの的…たやすく当てる事ができるわ」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

銀の魔女ギーゼラ「ブブブブブ!!!!!」

ドカーン!

マミ「あの世で詢子さんに謝りなさい」

マミ(今の私、凄くカッコよかった!)

マミ「ごめんなさいおば様、私のせいでこんな傷だらけになって…」

詢子「いや、あたしの方こそありがとう。マミちゃんがいなかったらあたし死んでたよ」

詢子「それよりもいいんだな…戦う事になって」

マミ「はい、辛いけど私も我慢します」ニコッ

詢子「ふふっ、良い笑顔だ。とても良い感じの顔になってるよマミちゃん…」

マミ「えっ、そうですか///」

銀の魔女ギーゼラ「ブルルル!」

詢子「なっ!?」

マミ「えっ!?」

魔女の突然の襲撃に二人は完全に不意を突かれる形となった。

「相変わらず甘いよあんた達!」

詢子・マミ・ギーゼラ「!?」

杏子「最後まで油断しない、それが戦いの鉄則だよ」

杏子の槍が魔女の体を突きさした。

銀の魔女ギーゼラ「ブブブブブ…」

魔女の体が崩れていき、グリーフシードが地面に落ちた。

杏子「グリーフシードが出てくるまで魔女が死んだなんて思わない事だね、お二人さん」

詢子「何で杏子…」

杏子「あんたが魔女にやられて、くたばるところを見に来ただけだ…」

マミ「じゃあ、何で助けてくれたの?」

杏子「あ、あれは魔女が死にそうだったから、グリーフシードのため良い所取りをしただけだよ!」

詢子「ふふっ、ありがとうな杏子」

杏子「だから、助けたんじゃねえって言ってるだろ!」

マミ「ねえ、佐倉さん。昔みたいに私と…いいえみんなと一緒に戦わない?」

杏子「はぁ?」

詢子「そいつはいいな。一緒に戦おうぜ杏子」

杏子「うぜぇ。仲良しこよしなんてあたしは嫌だよ」

マミ「でも、一人でいるあなたは、やっぱりどこか辛そうだもの…」

杏子「ふん!余計なお世話だよ!」

詢子「そういえばマミちゃんと杏子はどういう関係なんだ?」

マミ「昔、一緒に魔女退治をやっていたんですよ。あの時は、マミさんマミさんって言って私を慕ってくれてたのに…」

詢子「へー、意外ー!かわいいとこあるじゃん」

杏子「む、昔の話だろ///」

杏子「じゃあな!あたしは帰る。次は助けないからな!」

詢子「やっぱり助けてくれてたんだ」

杏子「う、うるさい!」

ほむら(遅れて来てみれば、もう魔女は倒してしまったようね)

ほむら(それにしても、魂がソウルジェムに変化した事を知ったというのに、マミの顔が明るいわ)

ほむら(それと頑なに一人で戦う事を望んでいた杏子に少しだけど変化が見られる…)

ほむら(二つとも詢子さんのおかげかしら…)

ほむら(もしかしたら、この時間軸では私の目的を達成する事ができるんじゃ…)

今回はここまでです。
次回に続きます。
それにしても今日はSS速報が重たい。
何度か、同じレスを投稿をしてしまったようで、すいませんでした。

次の日

さやか「それで…話って何?」

仁美「恋の相談ですわ」

さやか「え?」

仁美 「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです」

仁美「ずっと前から…私…上条恭介君のこと、お慕いしてましたの」

さやか(そんな…仁美が恭介の事が好きだったなんて…)

さやか(先に告白する権利をやるなんて言われても、あたしには無理だよ…)

さやか(だって私、もう死んでるもん。ゾンビだもん。こんな身体で抱き締めてなんて言えない、キスしてなんて言えないよ…)

まどか「大丈夫さやかちゃん?なんか顔色悪いよ」

さやか「え?何でもないよ…」

まどか「何か心配ごとがあるなら何でも言って。だって私たち親友なんだから」

さやか「…ありがとうまどか。まどかのその気持ちだけで嬉しいよ」

さやか「でも、本当に大丈夫だから。多分、風邪でもひいてるから顔色悪いんじゃないかな…」

さやか(まどかに魔法少女の事を話しちゃいけない。この子は魔法少女の戦いに関わらせるべきじゃないんだ…)

まどか「…」

結界内

影の魔女エルザマリア「ビビデバビデブー!」

詢子「今回の魔女はなんか根暗な雰囲気がするなー。うん?さやかちゃんが先着か」

さやか「はぁはぁはぁ…」

詢子「どうしたんださやかちゃん?だいぶ疲れてるようだけど」

さやか「ほっといて下さい!」

詢子「!!」

さやか「うおおおおお!!」

詢子「無暗に突っ込むな!ここは協力して戦わないと」

さやか「邪魔しないで下さい!一人でやれます!」

詢子(本当に今日のさやかちゃんは様子が変だ…)

詢子(結局、さやかちゃんが一人で魔女を倒しちゃったなー)

さやか「それじゃあ…おばさん…さようなら」

詢子「ちょっと待ってさやかちゃん。今日は何かあったんだ?だいぶ疲れてる様子だし、戦い方も荒いし」

さやか「だからほっといて下さいって言ってるでしょ!」

詢子「!!」

さやか「あっ…ごめんなさいおばさん。今日、酷い事言っちゃって…」

詢子「そんな事はいいんだよ。それよりもさやかちゃんに何かあったんじゃないかって心配だ。もし何かあったんなら、あたしだけじゃなくまどかも悲しんでしまう…」

さやか「いえ、本当に大丈夫ですから…今日は疲れてるんで帰ります…」

詢子「さやかちゃん…」

ほむら「ああ、ついにこの時が来てしまったのね…」

詢子「ほむらちゃん!」

ほむら「遅れてすいませんお母様」

詢子「そんな事よりも、ほむらちゃんはさやかちゃんに何があったのか知っているのかい?」

ほむら「毎度の事ですので…」

詢子「?」

ほむら「あっ、こっちの話です。実は…」

詢子「なるほど恋愛がらみか…」

ほむら「はい。しかも意外と理想が高い美樹さやかの事ですから、人間で無くなってしまった事がその事に大きく影響を与えてるんだと思います」

ほむら「多分、人間でなくなってしまった自分は上條恭介…さやかの意中の相手です…と付き合うには相応しくないと考えてるのでしょう」

詢子「なるほど…あたしもショックだったからね。さやかちゃんぐらいの年頃の女の子の方がさらにショックが大きいだろうな。しかも恋愛まで絡んできてるとなると厄介だ…」

詢子「それにしても…」

ほむら「え?」

詢子「こんな事言っちゃいけないと思うんだけど、なんかほむらちゃんはあまりショックを受けてないみたいに感じがしてさ」

ほむら「…その事を知ってから、だいぶ時間が立ちましたから」

詢子「え?」

詢子「実は前から知ってたのかい?」

ほむら「ええ、まあ…」

詢子「さやかちゃんも時間が立てばほむらちゃんみたいに落ち着いてくるのかな…」

ほむら「さやかにそんな時間なんてないわ!」

詢子「え!やっぱり早めに解決すべき問題かな…」

ほむら「た、多分、その方がいいと思います…」

ほむら(さすがに魔法少女のソウルジェムが濁り切ってしまえば魔女になるなんて事実は、口が裂けても言えないわ…)

さやか「あたし何やってんだろ…おばさんにやつあたりするなんて…」

杏子「あのおばちゃんが魔女にやられてるところを見に行こうと思ったら、あんたと出くわすとはね」

さやか「あんたは…佐倉杏子」

杏子「しけた顔してんな。昨日の事がショックだったのか?」

さやか「ふん!あんたには関係ないでしょ」

杏子「ちょっと時間いいか。昔話をしてやる」

杏子「…というわけさ」

さやか「何でそんな話を私に…?」

杏子「あんたも開き直って好き勝手にやればいい。自業自得の人生をさ」

さやか「それって変じゃない?あんたは自分のことだけ考えて生きてるはずなのに、私の心配なんかしてくれるわけ?」

杏子「あんたもあたしと同じ間違いから始まったからさ。だから、あんたもこれ以上後悔するような生き方を続けるべきじゃない」

杏子「あんたはもう対価としては高過ぎるもんを支払っちまってるんだ。だからさ、これからは釣り銭を取り戻すことを考えなよ」

さやか「アドバイスありがとう…。あんたの事も色々誤解していた事も謝るよ」

さやか「でも、あたしには無理だよ…。自分のためだけに生きれるほど割り切る事もできない、他人のためだけに生きれるほど強くもない…あたしは中途半端な存在なんだ…」

さやか「じゃあね…」

杏子「おい!なんだよあいつ…」

次の日

まどか「ただいまー」

詢子「おかえりー」

まどか「もうだいぶ元気になったみたいだね」

詢子「おう!むしろ、仕事が当分休みでいいみたいだから、元気ありあまってるくらいだよ」

まどか(あっ…だからパパ、仕事の広告見てたんだ…)

詢子「それよりもさ、さやかちゃんどうしてる?」

まどか「え?どうしてさやかちゃんの事を?」

詢子「昨日会った時、だいぶ元気がなかったっつうか暗い顔してたからなー」

まどか「やっぱり、さやかちゃん元気無いんだ…。実はさやかちゃん今日学校休んでたの」

詢子「そこまで元気なかったんだ…」

まどか「それでね、放課後お見舞いに行ったんだけど、さやかちゃん、なんか今は誰と会いたくないって…。どうしたんだろ、さやかちゃん…」

詢子「…」

使い魔「ヒデブー!!」

さやか「はぁ…はぁ…使い魔の方が…やっぱり魔女より弱いや…簡単に殺せちゃう…」

ほむら「また使い魔を狩っているのね…」

さやか「転校生か…」

ほむら「どうして分からないの?ただでさえ余裕がないのだから、魔女だけを狙いなさい」

さやか「うるさい!大きなお世話よ」

ほむら「もうソウルジェムも限界のはずよ、今すぐ浄化しないと。このグリーフシードを使いなさい」

さやか「嫌だ!あんたなんかの助けを借りるもんか!」

ほむら「相変わらず強情ね…」

さやか「会って一カ月も経ってないあんたなんかに、あたしの何がわかるっていうの!」

ほむら「わかるのよ…何度もあなたがこうなるのを見てきたから…」

さやか「え?」

ほむら(時間停止!)

カシャッ!

ほむら「今のうちにさやかのソウルジェムを浄化しないと…」

ほむら「なんとか浄化できた…えっ!ソウルジェムの色が黒く染まったまま!?」

ほむら「そういえば今までもこういう事があった気がする…。さやかの心は今、負の感情で染まり切っている…。ソウルジェムは魂、いわば人間の心の結晶。黒く染まったさやかの心では、グリーフシードを使っても浄化できないのね…」

ほむら「そうなると、さやかの心から負の感情を取り除かなければ、さやかのソウルジェムは黒く濁ったまま…そして魔女に…」

ほむら「でも、私にできるのかしら、さやかの心を救うなんて…」

ほむら「無理だわ…」

ほむら「やはり美樹さやかは殺すしかない!」

ほむら「じゃないと、様々な災いを起こすことになる」

ほむら「…」

カシャッ!

さやか「え!え?何が起きたの今?」

ほむら「どこにでも行きなさい。今日のところは見逃してあげるわ」

さやか「いったい、なんなのよ…」

ほむら(私には無理でも、詢子さんなら…)

マミ「それで」

詢子「話ってのは何だい」

ほむら「話ってのは美樹さやかの事です」

詢子「やっぱ、さやかちゃんの事か…」

マミ「美樹さんどうかしたの?」

ほむら「ソウルジェムの仕組みはご存知ですか、お母様」

詢子「ああ、キュウべえから色々教えてもらったからな。ソウルジェムはあたし達の魂であり魔法の源、魔法を使いすぎれば黒く濁り魔法が使えなくなってしまう。それでグリーフシードでソウルジェムの穢れを浄化するんだったかな」

ほむら「だいたい正解です。…ですが、肝心な情報が実は抜けているんです」

詢子「というと?」

ほむら「ソウルジェムが全部、黒く染まってしまえば私たち魔法少女は死んでしまうのです」

詢子「なっ!」

マミ「なんですってー!!」

ほむら(本当はこの情報も偽りなんだけど、さすがに魔女になる事だけは言えないわ…)

マミ「そ、そんな!死ぬなんて嫌!」

詢子「落ち着けマミちゃん!グリーフシードの蓄えがまだある!大丈夫だ」

マミ「…ごめんなさいおば様…とりみだしちゃって」

ほむら「お母様の言うとおり、グリーフシードがある限りは大丈夫です。でも、さやかの場合はそうじゃないんです」

詢子「こっからが本題ってわけか」

ほむら「はい。今の美樹さやかの状況は最悪です。彼女のソウルジェムは、黒く染まり、あと少しで染まり切ってしまうかという状況なんです」

詢子「グリーフシードがあるじゃないか、なのに何で最悪の状況を脱せないのさ?」

ほむら「ソウルジェムは私たち魔法少女の魂、いわば心です。その心が負の感情によって黒く染まった状態では、グリーフシードで浄化しても、すぐにまた元の黒く染まったソウルジェムに戻ってしまうんです」

詢子「それじゃあ八方ふさがりじゃねえか!」

マミ「そんなぁ…美樹さんはこのまま死んでしまうの?」

ほむら「いいえ、さやかを死なせないために二人に集まってもらったのよ。詢子さん、マミ…お願い、美樹さやかの心を救ってあげて!」

詢子「心を救う…つってもいったいどうすりゃいいんだ。容易く解決できる問題じゃねーぞ」

マミ「負の感情に染まり切ってしまえば、ソウルジェムは黒く染まり切ってしまい、死んでしまう事を伝えたらどうでしょう?」

ほむら「逆効果でしょうね。信じない可能性もあるし、死ぬ事を知ってさらに美樹さやかの心は黒い感情に支配されると思うわ」

マミ「本当にどうすればいいのかしら…」

詢子「かなり困難な仕事だ。だけど、やるしかない!じゃないとさやかちゃんが死んじまうんだ」

杏子(秘密の会議かなんかだと思って盗み聴きしてたら、とんでもない事聴いてしまったぞ!!さやかのやつ、どうなっちまうんだ!?)

恭介「どうしたの志筑さん?こんなとこに呼び出して」

仁美「上條恭介さん、実はあなたに大事なお話がありますの?」

恭介「え?」

仁美「実は前からあなたの事が好きでした!どうかお願いします!私とお付き合いいただけませんか?」

恭介「え…ええええ!!??」

仁美「…」

恭介「…こんな僕で良ければ///」

仁美「…本当にいいんですの?」

恭介「むしろ、志筑さんこそ僕でいいの?って聞きたいぐらいだよ」

仁美「そんな謙遜なさらなくても!」

恭介「あはははは!」

「…恭介の馬鹿」

恭介「え!?」

仁美「どうかなさいましたの?」

恭介「いや、なんでもないよ…(さやかの声が聴こえたような)」

電車の中

ガタンゴトン

さやか「何言ってんだろ、あたし…馬鹿なのは恭介じゃなくてあたしでしょ…」

さやか「告白する勇気も…そうじゃないよね、資格さえないもんね。だって、だってあたし、死んでるんだもん。ゾンビだもん!こんな身体で抱いてなんて言えない、キスしてなんて言えない!」

ガタンゴトン

ショウ「言い訳とかさせちゃダメっしょ。稼いできた分はきっちり全額貢がせないと。女って馬鹿だからさ、ちょっと金持たせとくとすぐくっだらねぇ事に使っちまうからねぇ」

ホスト「いや〜、ほんと女は人間扱いしちゃダメっすね。犬かなんかだと思って躾けないとね。アイツもそれで喜んでる訳だし。顔殴るぞって脅せば、まず大抵は黙りますもんね」

さやか(耳障りだ…聴くに堪えない…)

ショウ「けっ、ちょっと油断するとすぐ付け上がって籍入れたいとか言いだすからさぁ、甘やかすの禁物よ。ったくテメーみてぇなキャバ嬢が10年後も同じ額稼げるかってーの。身の程弁えろってんだ。なぁ?」

ホスト「捨てる時もさぁほんとウザいっすよね。その辺ショウさん巧いから羨ましいっすよ。俺も見習わないと」

ホスト「ん?」

さやか「ねえ、その人のこと、聞かせてよ」

さやか「今あんた達が話してた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ」

ホスト「お嬢ちゃん中学生?夜遊びは良くないぞ」

さやか「その人、あんたの事が大事で、喜ばせたくて頑張ってたんでしょ?あんたにもそれが分かってたんでしょ?なのに犬と同じなの?ありがとうって言わないの?役に立たなきゃ捨てちゃうの?」

ショウ「何こいつ?知り合い…?」

さやか「ねえ、この世界って守る価値あるの?あたし何の為に戦ってたの?教えてよ。今すぐあんたが教えてよ。でないとあたし…」

ショウ・ホスト「うわあああああああああ!!!」

ガキン!!

杏子「何やってんだてめえ!!」

さやか「なっ!あんたは!どうして?」

ショウ「ちょっと、何だよこれ?突然中学生が刃物出してきて暴れだしだよ!!しかも、もう一人増えた!」

ホスト「あー俺知ってますよショウさん。多分これコスプレってやつですよ!」

杏子「お前を見つけて後をつけたら…じゃなくて、たまたま電車に乗ってたらお前を見つけて、しかも人を襲ってるじゃねえか!!頭がトチ狂ったのかよ!」

ガキン!

さやか「邪魔しないでよ!そんなクズ、守る価値も生きる価値もないんだから!!」

ショウ「んなわけねえだろ!火花散ってるし、座席がぶった斬られてるんだぞ!!」

「○○駅―。○○駅―!」

ホスト「あっ、駅に着きました。逃げましょうショウさん!」

さやか「あんた言ってたでしょ。好き勝手に生きろって!」

杏子「確かに言ったさ!でも、前言撤回!あたし以外の魔法少女が好き勝手に生きるってのは気にくわねえんだよ!」

さやか「はぁ!何、それ!?」

杏子「ここで戦うのは流石にまずい、降りてやろうぜ」

ショウ「ふー危なかった…最近のガキは怖いねえー。後先考えない馬鹿ばっかりだから簡単に犯罪起こしちまう」

ホスト「あー!あの二人降りてきますよー!」

ショウ「ゲー!!」

杏子「もっと広いとこに行くか?」

さやか「別にどこだっていいよ…」

ショウ「どこだっていいわけないだろー!もっと迷惑かからないとこでやれよー!」

杏子(ほむらの言ってた事はほんとだな。ソウルジェムに穢れを貯めすぎて、精神状態が普通じゃない)

さやか「何か凄くイライラしてくる…悲しくなってくる…暴れたくなってくる…何もかも壊したい!!!!」

ホスト「青い方が赤い方に突っ込んだ!!」

杏子「きた…うん!?」

杏子「ストップだ!さやか!!!!」

さやか「うわあああああ!!!」

ガキーン!!

杏子「止まれさやかあ!!この駅の柱にグリーフシードが刺さってる!!」

さやか「え!?」

杏子「うわあああああああ!!!」

さやか「きゃああああああ!!!」

ショウ「…二人が消えた!?」

ホスト「青いやつの攻撃で勢い余って二人とも吹っ飛んで行ったと思ったら、柱の方で二人とも消えちゃいましたね」

ショウ「まさか…魔法の世界の入り口か!!」

ホスト「ハリー・ポッターでありましたね!駅の壁に入るやつ!」

今回はここまでです。
次回に続きます。
乙や応援レス、ありがとうございます。励みになります。

結界内

杏子「いてて…」

さやか「ここは…魔女の結界…」

杏子「まさか、あんなとこにグリーフシードがあったなんて…喧嘩はとりあえず休止だな」

さやか「魔女…倒さなきゃ…」フラッ

杏子「おい!どこ行くんだ!」

さやか「あたしは魔法少女…魔女を倒すのが役目…」

杏子「そんな状態で戦う気かよ!」

さやか「魔女はあたしが…倒すんだ…みんなを守るんだ…だってあたしは、魔法少女なんだから…」

杏子(こいつ、やっぱり正常じゃない!)

マミ「うん!?この反応は魔女の結界!」

詢子「ちっ!こんな時に限って悪い事ってのは連続するな」

マミ「どうします?」

詢子「さやかちゃんを探すやつと、魔女を倒すやつに分けるか…」

ほむら「待って下さい!もしかしたら、さやかも結界の方に向かったかも」

詢子「なるほど、それはありえるな。あんなに魔女や使い魔を倒す事にこだわってたんだし」

マミ「でも、もしいなかったら…」

詢子「さやかちゃんの家に連絡したけど、そこでも不在だそうだ。まどかもさやかちゃんがどこにいるのか見当がつかない。さやかちゃんがどこにいるのかなんて全く情報が無いんだ。それなら、確率的にいそうなところをしらみつぶしに探していこう」

結界内

使い魔「ギャアアアアア!!」

さやか「はぁ…はぁ…」

杏子「使い魔まで全部、倒そうとすんな!そんなんじゃ、魔女まで、もたねえぞ!」

さやか「使い魔も…魔女も…全部倒す…」

杏子「ちっ!聞く耳無しか…しゃあない、あたしも手伝ってやるか…」

杏子「…ったく何、余計なお節介やってんだよ、あたしも」

芸術家の魔女イザベル「ゲヒヒヒヒヒ!」

さやか「なかなか強いじゃないの…はぁはぁ」

さやか「だけど、負けるわけには…いかないんだ!」

さやか「だって、だって!今のあたしは、あたしは!魔女を倒さなければ存在価値が消えてしまうんだ!」

さやか「でぇあああああああ!!!」

さやかが魔女に斬りかかった!

芸術家の魔女イザベル「グヘへへへへ!!」

しかし、さやかの振り下ろした刃は魔女に届かなかった。

さやか「くそ!」

触手のようなものが、さやかの身体に巻きつき、さやかの動きを封じた。

芸術家の魔女イザベル「ゲッヒヒヒヒ!!」

杏子「さやか!」

ズバッ!

杏子の槍が触手を斬り払う。

芸術家の魔女イザベル「グヌー!!!」

杏子「馬鹿正直に突っ込むな!相手は結構強いぞ」

さやか「うるさい!邪魔すんな!」

杏子「頭冷やせっつってんだろ!」

芸術家の魔女イザベル「ゲヒヒヒヒヒ!!!」

魔女の足元から使い魔が何体も出現した。

さやか「何体出ようが…倒す!」

さやかは使い魔の群れに飛び込んだ。

杏子「ちくしょー!全く聞く耳持ちやがらねー!」

さやか「倒す!倒す!倒す!倒す!魔女も使い魔もみんな倒す!」

ズバッ!

使い魔「ギャアアアアアア!!」

さやかの剣が次々と使い魔を斬り倒していく。

杏子「さやか!使い魔ばかりに気を取られるな!」

さやか「え!?」

魔女の体から鋭い刃が繰り出された。

ザクッ!

さやか「あ…」

杏子「ぐはっ!!」

魔女の刃が杏子の身体を貫いた。

さやか「杏子ぉおおお!!」

ドサッ!

杏子の身体が地面に崩れ落ちる。

杏子「はぁ…はぁ…」

さやか「何で、あたしなんかをかばって…」

杏子「本当に何やってんだろう…あたし…こんな馬鹿のために…」

さやか「そうだよ…出会ってまもないあたしのために、どうして?」

杏子「はぁ…はぁ…多分、昔の自分に今のさやかが似てたからじゃねえかな…」

杏子「ゲホッ!」

杏子の口から血が吐き出された。

さやか「杏子!もうしゃべらないで!」

芸術家の魔女イザベル「グッへへへへへ!!」

さやか「すぐにあいつを倒して杏子を治療しないと…」

芸術家の魔女イザベル「ゲヒヒヒヒヒ!!」

さやか「!」

ズバッ!

魔女から鋭い刃が超スピードで放たれる。

さやか「危なかった…」

さやかの頬から血が滲みでる…ギリギリのところでさやかは魔女の攻撃を回避する事ができた。

芸術家の魔女イザベル「グヘへへへへへへ!!」

ズバッ!

さやか「チッ!!」

ガキン!!

魔女の体から繰り出された刃をさやかは自分の持つ剣で受け止めた。

さやか(この刃って彫刻刀?)

芸術家の魔女イザベル「ムッカー!!!!」

さやか「今度は…筆!?」

空中に巨大な筆が数本出現し、さやかの元に降り注ぐ。

ドスドス!!ドス!

さやか「くっ!」

さやかは降ってきた筆を全て避け、筆は次々と地面に大きな音を立て刺さっていった。

さやか(そういえばさっきの触手みたいなのは巻き尺みたいだったな…彫刻刀といい筆といい、芸術家の魔女ってわけか…)

さやか「今度はあたしが反撃だ!」

さやかは魔女の元へ飛び込んだ

芸術家の魔女イザベル「グヘ!?」

さやか「うおりゃあああああ!!」

ガキン!ガキン!ガキン!

目にも止まらぬスピードでさやかは剣を連続で何度も何度も振り下ろした。

芸術家の魔女イザベル「ギャアアアアアア!!!」

さやかの剣が、魔女のボディーを削っていく。

さやか(いける…これなら魔女を倒せる)

芸術家の魔女イザベル「ゲッヒー!!」

巻き尺がさやかの足元から伸びてきた。

さやか「おっと!」

しかし、難なくさやかはかわす。

さやか「そんなもの当たんないよ」

芸術家の魔女イザベル「グヘへへへ!!」

空中で数本の筆が、出現した。

さやか「だから、そんなもの当たら…え?筆はあたしの方を向いていない?」

さやか「まさか!」

杏子「はぁ…はぁ…」

数本の筆が虫の息で倒れている杏子目掛けて放たれた。

さやか「間に合えええ!!!」

ガキン!ガキン!

さやかは杏子の元に駆け寄ると、降ってきた筆を剣ではじき返した。

芸術家の魔女イザベル「ゲヒヒヒヒ…」

さやか「しまった!」

さやかが筆に気を取られている隙に、巻き尺がさやかの身体に巻きついていく。

芸術家の魔女イザベル「グヘへへへへへ…」

使い魔が魔女の足元から数体出現した。

使い魔「グフフフフフ…」

数体の使い魔はじりじりと移動し、さやかを囲んでいった。

さやか「くそー…体が身動きできない…」

さやか(あたしもこれで終わりかな…)

さやか(情けないな…結局、魔女を倒す事ができず魔法少女としての役目を全うする事ができないまま死んじゃうんだ…)

さやか(それどころか、あたしのせいで杏子も死んでしまう…誰かを守る正義の魔法少女になるどころか、逆に迷惑かけて死んでしまうなんてね…)

さやか「あたしって、ほんとバカ…」

ヒューン!ドーン!ガガガガ!!

さやか「え!?」

使い魔「ギャアアアアアアア!!!」

光の矢と光線と銃弾が使い魔を一掃した。

詢子「やっと見つけたぞさやかちゃん!」

ほむら「本当に世話かけるわ」

マミ「佐倉さんが負傷しているわ!早く、治療しないと!」

さやか「おばさん!ほむら!マミさん!」

詢子「マミちゃんは杏子の治療を!」

マミ「任されました、おばさま!」

詢子「ほむらちゃんは、さやかちゃんを」

ほむら「承知しました、お母様!」

芸術家の魔女イザベル「グヌヌヌヌヌヌ!!!」

詢子「あわてなさんなって、お前はこのおばさんが相手だ」

マミ「佐倉さん、酷い怪我…私が治す事ができるかしら…」

ほむら「時間が立って、落ち着いたかしら?」

そう言ってほむらは、さやかの身体に巻きつかれていた巻き尺を斬っていく。

さやか「あたしなんか助けないでよ…あたしみたいな何の役にも立たない奴を助けても意味ないんだから…」

ほむら(ソウルジェムが前より濁ってるわ…早く、この子の負の感情を取り除かなくては…)

芸術家の魔女イザベル「ゲヒヒヒヒヒヒヒ!!」

シュバッ、ズバッ!

詢子「おっと!」

魔女は彫刻刀の刃を連続して繰り出したが、詢子は魔女の攻撃を全て回避した。

詢子「あっぶねーもん、ぶんぶん振り回しやがるなあ」

芸術家の魔女イザベル「グヒヒヒヒヒヒ!!!」

空中に数本の筆が出現した。

詢子「そんなもの、武器にすんじゃねえ!」

バーン!バーン!バーン!

詢子の放った矢が魔女の筆を全て撃ち落とした。

詢子「うおりゃあああああ!!!」

詢子の魔法の杖が魔女の体に直撃した。

ボゴッ!

芸術家の魔女イザベル「ギャヒッ!!」

詢子「もういっちょ!」

芸術家の魔女イザベル「ゲヒイイイイイイイ!!!」

魔女は詢子目がけて刃を放った。

詢子「おっと、あぶねェ!」

詢子は魔女の攻撃を回避したが…。

芸術家の魔女イザベル「ゲヒヒヒヒヒヒヒ!」

巻き尺が詢子の身体に巻きついていく。

詢子「しまった!さっきの刃は巻き尺から目を逸らすためのフェイク!?」

ほむら「危ない!詢子さん!」

カチャッ!

ほむら「時間停止…」

ほむらは詢子に近づく。

ほむら「それにしても、フリフリピンクの魔法少女衣装を着た30歳を超えた女性に巻き尺とはいえ、触手が巻きついているなんて…とんでもない光景ね…」

ほむらは巻き尺をナイフで切り、詢子の手を握った。

詢子「触手らめぇぇぇぇ!!!」

ほむら「…」

詢子「あれ?ほむらちゃん?」

ほむら「さっきのは聴かなかった事にしますから…」

詢子「ご、ごめん///」

詢子「どうなってるんだ?あたしとほむらちゃん以外の全てのものが停止しているみたいに見える…」

ほむら「本当に停止しているんですよ。私の能力は時間に関するものなんです」

詢子「マジで!?時間停止とか、DIOとか承太郎みたいだな!」

ほむら(詢子さんも漫画読むんだ…)

詢子「その力持ってたら、世界狙えるよほむらちゃん!」

ほむら「確かに強力な力ですが、万能の能力というわけではありません。私の手を離さないでください、私が触れているものだけが時間停止の効果の対象外となるんです」

詢子「わかった。この手を絶対に離さないよ」

ギュッ

ほむら(詢子さんの手、凄く暖かい///)

ほむら「さあ、今のうちに魔女を倒しましょう」

詢子「おう!」

ほむら「対戦車兵器!」

詢子「スプレットアロー!」

カシャッ!

詢子「そして、時は動きだす…」

時間が動き出すのと同時に、無数のミサイルと光の矢が魔女に降り注いだ。

ドッゴーン!!

芸術家の魔女イザベル「ギャアアアアアアアア!!!!」

ほむら(さっきの詢子さんの台詞、凄く言ってみたかったんだろうな…)

詢子「グリーフシードを回収っと」

マミ「くっ!傷が塞がらない!私の回復魔法じゃ、佐倉さんを治療するのは無理だわ!」

詢子「なんだって!?」

マミ「血がとまらないんです!しかも、心臓付近に魔女の攻撃を受けたようで、生命力が著しく低下しています!生きているのが不思議なくらいです!」

詢子「杏子が生きているのはキュゥべえが言ってたとおり、本体がソウルジェムっていう魔法少女のシステムのおかげか…」

ほむら「ソウルジェムが無事でも、肉体が完全に生命を停止してしまえば蘇生する事はできません。杏子の命が危ないのは依然変わりない状況です…」

詢子「くそ!どうしたらいいんだ!」

ほむら「美樹さやかなら、治す事ができるかもしれない…」

詢子「なんだって!?」

ほむら「彼女は幼馴染の腕の治癒を願いに魔法少女になりました。そのおかげで、強力な回復魔法を使う事ができるんです」

詢子「よし!それなら、なんとかなりそうだな!」

ほむら「でも…」

マミ「美樹さん!お願い、佐倉さんを治療して!」

さやか「…無理ですよ」

マミ「どうして?今はあなただけが頼りなのよ!」

さやか「買いかぶりですよ…あたしなんかが人を助ける事なんてできるはずがない…」

詢子「どうしたんださやかちゃん!やってみなきゃ、そんな事わかんないだろ!」

ほむら(さやかのソウルジェムは限界だわ…負の感情がたまりにたまって、もう手遅れかもしれない…)

さやか「やらなくてもわかりますよ…そもそもあたしが馬鹿だから、無力だから、あたしのせいで杏子はこんな目にあった…やっぱりあたしは役立たずだ…」

さやか「誰も守れない、誰も救えない、なら魔法少女である意味ないよね…ただの朽ちていくだけのゾンビ…恭介からも…誰からも必要とされていない存在なんだ…」

詢子「誰からも必要とされていないとかそんな事あるわけないだろ!」

さやか「そんな事あるんですよ…」

詢子「ちょっと長くなるかもしれないから、マミちゃん頼む。あたしがさやかちゃんの心を立ち直らせるまで、杏子の命をもたせてくれ」

マミ「は、はい!」

詢子「今、さやかちゃんの力を必要としてるんだよ!」

さやか「だから、言ってるじゃないですか…あたしには無理だって…何もできないただのゾンビのあたしに存在価値があるんですか?」

詢子「あたしはさやかちゃんが無力だと思ってないけど、たとえ、さやかちゃんが何もできなくたって、さやかちゃんは必要とされている存在なんだよ!」

さやか「…え?」

さやか「そ、そんな事あるわけない…あたしはもう誰にも必要とされてない!」

詢子「さやかちゃんがいなくなったら、どんだけの人がどれくらい悲しむと思ってるんだ!」

詢子「お母さんやお父さんは滅茶苦茶悲しむぞ!そりゃあ、苦労して生んで苦労して育てた大切な子なんだからな!」

さやか「お母さん…お父さん…」

詢子「ご両親だけじゃない、友達もさやかちゃんを必要としている!まどかは親友であるさやかちゃんがいなくなったら、どんなに悲しむと思ってんだ!」

さやか「まどか…」

さやか「でも…あたしはゾンビ…。あたしがゾンビだって知ったら…」

詢子「確かにショックを受けるだろうな!真実を知ったら、もしかしたらさやかちゃんを突き放すかもしれない」

さやか「やっぱり…」

詢子「なら、隠せばいい!知られなければいいんだ!」

さやか「そ、そんな!そんな酷い事できませんよ!」

詢子「確かにずるい嘘だよ。人として間違ってる事かもしれない。もう人間じゃないって事を隠すなんて」

詢子「でもな、そのずるい嘘のおかげで、さやかちゃんのご両親や友達は幸せでいられるんだ。悲しい事を知らなくてすむんだ。大切な娘や友達を失わなくてすむんだ」

さやか「…でも、やっぱりそんなの間違ってるよ」

詢子「誰かのために間違える、それは決して間違ってる事なんかじゃない!」

さやか「…」

詢子「あたしらだって、さやかちゃんを必要としている。だって仲間なんだから…」

さやか「マミさんも?ほむらも?」

マミ「当たり前よ、友達なんだから」

ほむら「…例えあなたでも、死んだら悲しむに決まってるじゃない」

さやか「ぷっ!あいかわらず、ほむらは言う事にトゲがあるな…」

詢子「さやかちゃんがいなくなったら、それだけで死ぬほど悲しむ人間がたくさんいるんだよ…魔法少女として戦っていく事も、ゾンビになって生きる事も、それを隠す事も滅茶苦茶辛い事かもしれない…」

詢子「そして、この世界でたった一人の好きな人に振り向いてもらえない事は本当に辛い事だと思う…だけど、さやかちゃんを必要としてくれている人たちのためにさやかちゃんは生きるべきだ。決して投げ出していい命じゃない」

さやか「…おばさん」

詢子「杏子の治療も頼む」

さやか「…」

詢子「例え無理だったとしても誰もあんたを恨んだりしない、必要じゃない存在なんかになったりしないから、さあ」

さやか「わかりました…」

さやか「杏子…」

さやかは杏子の胸元にある傷に向けて手をかざした。

さやか(ごめんね…あたしのせいで、こんな傷負わしちゃって…)

さやかの両手が蒼く光った。

マミ「綺麗…」

ほむら「そうね…」




杏子「う、うん…え?さ、さやか…?」

マミ「良かった!佐倉さんが目を覚ました!」

ほむら「凄いわ、あんな大怪我を治療する事ができるなんて!」

詢子「やったな!さやかちゃん!」

さやか「あ、あたしでも誰かを救う事ができた…大切な仲間を助ける事ができたんだ!」

そう言ったさやかの両目には涙があふれていた。

ほむら(今ならきっと、さやかのソウルジェムの濁りを浄化できるはず)

ほむら「さやか、グリーフシード。今度は受け取ってくれるわね?」

さやか「…うん」

グリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを浄化していく。

マミ「凄い!さっきまであんなに黒く染まっていたのに」

詢子「杏子」

杏子「うん?」

詢子「ほれ!」

詢子はグリーフシードを杏子に向けて投げた。

詢子「あんたもさっきの戦いで、だいぶ濁ってるみたいだよ。使いな」

杏子「ひよっ子と違って、予備のグリーフシードぐらい持ってるよ」

詢子「大人がおごってあげるって言ってんだから、そういう時は素直に受け取っとけよ」

杏子「…ふっ。たまには良いかな。他人のおこぼれを貰うのも」

今回はここまでです。
次回に続きます。

さやか「みんな、迷惑かけてごめんなさい!特に杏子!」

杏子「まったくだよ」

ほむら「そのとおりね」

マミ「まあまあ、反省してるから良いじゃないの二人とも」

杏子「あたしは死ぬとこだったんだぞ!」

詢子「そんじゃあ、罰ゲームを受けてもらおうかな?」

杏子「いいね、それ!」

ほむら「ちょっとぐらい、きついのをお願いしますわ、お母様」

さやか「ごくり」

詢子「明日は金曜日で次の日が休みだろ?親睦を深めるという事で、あたしの家でみんなでパーティーでもしないか?」

さやか「え?」

杏子「は?」

マミ「まあ!」

ほむら「あの…罰ゲームになってないような…」

詢子「さやかちゃんはそのパーティーの準備を手伝う事。それが罰ゲームだ」

さやか「そんなのでいいんですか?」

詢子「いいの、いいの。中学生に手酷い罰ゲームをさせるなんて30超えた大人がするとか恥ずかしいだろ?」

ほむら(まあ、確かに…)

さやか「わかりました!それじゃあ、張り切っちゃいますよー!」

詢子「元気が出てきた!それでこそさやかちゃんだ」

詢子「急に決めた事だけど、ほむらちゃんもマミちゃんも用事とか無いかな?」

マミ「いえ、用事なんてありませんから、ぜひ参加させていただきます」

ほむら「同じくありません。たとえ用事があったとしても、参加しますよ」

詢子「おし。決まりだね。杏子、もちろんあんたも来るだろ?」

杏子「はぁ?何であたしが?」

詢子「いいじゃん、親睦会なんだから、来いよー」

杏子「うぜぇ。仲良しこよしなんてごめんだね」

詢子「さやかちゃん、杏子を何が何でも連れていく事も罰ゲームに追加な!」

さやか「了解しましたおばさん!どんな手を使ってでも杏子を連れてきます!」

杏子「うぜぇ…」

ホスト「見ましたか、ショウさん…」

ショウ「ああ、見たぞ…」

ホスト「あの子達の後に、おばちゃんと中学生二人が柱の中に入っていくから、俺達も真似したら、まさかこんなものを見れるとは…」

ショウ「ああ…俺達は今、奇跡を目にしてんだぜ…。良かったな、青髪のお嬢ちゃん…人を救う事ができて」

ホスト「それにしても、何してるんすかね、あの子たち?」

ショウ「バッキャロー!見てわかんねーのかよ!あの子達は日夜悪から世の中を守る正義の味方って奴だ。そうに違いない!」

ホスト「そんな漫画やアニメみたいなものが本当にあるんすか!?」

ショウ「あったんだよ…俺って昔は正義の味方に憧れていたんだよな…」

ホスト「マジッすか!?」

ショウ「決めた!これからはもう少し真っ当に生きよう。せめて、女の子達を悲しませる事だけは止めよう!」

さやか達の行動によって、また誰かが救われる事になったのだが、彼女達がその事を知る事は無いだろう。

次の日

さやか「おはよう、まどか!」

まどか「さやかちゃん!もう元気になったの?」

さやか「うん!もう完全復活だよ!心配かけてごめんね!」

まどか「良かった…」

さやか「それじゃあ最近してなかったから、まどかを抱きしめてマドカニウムを補給するとしますか!」ダキッ

まどか「キャッ!!もう、さやかちゃんったら…///」

さやか「…ありがとうね、まどか。あたしの友達でいてくれて」

まどか「…?どうしたの、急に」

さやか「たまにね、こういう事言いたくなる時もあるんだよ」

教室

中沢「お前、志筑さんと付き合う事にしたんだって?」

恭介「う、うん…」

仁美「も、もうからかわないで下さいよ///」

さやか「おはよう、みんな!」

恭介「もう体は大丈夫なのかい、さやか?」

さやか「大丈夫、大丈夫!さやかちゃん全快だよ!」

仁美「さやかさん…」

さやか「二人とも、付き合う事にしたんだってね!」

恭介「そ、そうなんだ///」

仁美「…」

さやか「…おめでとう二人とも!」

恭介「ありがとう、さやか」

仁美「さやかさん…あの…」

さやか「あたしの事は気にしなくていいんだよ仁美。二人が付き合ったって、二人が大切な幼なじみで大切な親友である事に変わりはないんだから!」

仁美「…ありがとうございます、さやかさん」

さやか(さようなら、あたしの初恋…)

さやか(やっぱり恋が実らないって辛いな…でも、あたしはあたしを必要としてくれている人のために頑張るよ!)

鹿目家

まどか「急に、みんなでパーティーをしようなんて言いだすから驚いたよ」

知久「しかも、まどかの友達とだもんね」

詢子「まどかの友達と親しくなるのも良いかなって思ってさ」

タツヤ「れっつぱーりぃー!」

まどか「それにしても、さやかちゃんだけでなく、ほむらちゃんまで知ってたなんてね」

詢子「まどかはほむらちゃんの事をどう思う?」

まどか「う~ん…友達になって1カ月も経ってないからなぁ…」

まどか「一言で言うと不思議ちゃん」

詢子「確かにそれは当たってる」ゲラゲラ

まどか「でも、凄く良い子だと思うよ。私にいつも優しくしてくれる」

詢子「ああ、あたしもまどかに同意見だ」

詢子「悪いね、食事の準備なんかさせちゃって」

知久「いいんだよ。最近詢子さん元気がなかったから、それを労うためにもパーティーをする事は良い事だと思うしね」

詢子「あたしは幸せもんだね…こんな良い旦那さんがいてさ。あたしにもったいないぐらいだよ」

まどか「それじゃあ、私がパパを旦那さんにもらっちゃおうかなあ」

詢子「止めてくれよまどか!まどかが相手なら、簡単にパパを盗られちゃうよー!」

知久「アハハハハ!!大丈夫だよ。たとえまどかが相手でも、僕はママを選ぶよ」

詢子「あなた…///」

知久「詢子さん///」

まどか「あわわわ///」

ピンポーン!

さやか「手伝いに来ましたよー!おばさーん!」

詢子「ああ、うん…ありがとう」

さやか「どうしたんですかおばさん!なんかテンション低くないですか?」

詢子「いや、何でもないよ…タイミングが良い時悪い時なんてそう簡単に選べるもんじゃないからな」

さやか(間が悪い時に来ちゃったんだな…)

マミ「こんばんは、おば様」

ほむら「ご招待ありがとうございます、お母様」

詢子「こんばんは、マミちゃん、ほむらちゃん。学校お疲れ」

杏子「…よー」

詢子「杏子も来てくれたのか!」

杏子「…まあ、たまにはいいかなって思って…」

詢子「こいつ連れてくるの苦労したんじゃない、さやかちゃん?」

さやか「いや、それがですね、知久さんが作る料理は凄く美味しいって言ったら、割とあっさり着いてきました」

杏子「あっさりじゃねえよ!それじゃあ、あたしが美味しい料理に釣られたみたいじゃねぇか!」

マミ「くす。佐倉さん、食いしん坊なのは相変わらずね」

杏子「な!マミが言うか!昔、一緒に食べ放題食べに行ったら、あたしに負けないぐらい食ってただろ!」

マミ「ちょっと佐倉さん///!!なんで、そんな事を今ここで言うのよ///!」

詢子「食べ盛りだねーみんな。うちの旦那の料理は期待して良いぞ!」

ほむら・さやか・マミ・杏子「おじゃましまーす!」

まどか「いらっしゃい、さやかちゃん!ほむらちゃん!」

さやか「お呼ばれさせてもらいましたよーまどか!」

ほむら「学校から1時間35分ぶりね、まどか。会いたかったわ」

まどか「ほむらちゃん、凄いよ!正確に覚えているんだ」

ほむら「ええ、あなたに関する事なら何でも記憶できるわ」

さやか(正直、少しきもいぞ、ほむら…)

まどか「えーっと、そちらの二人は…」

マミ「巴マミです。前に一度会ったわね。美樹さんや暁美さん、詢子さんとお友達なのよ」

ほむら(ああ、詢子さんが魔法少女である事をばらしそうになった時ね…)

杏子「佐倉杏子だ…よろしく」

まどか「マミさんに杏子ちゃんだね!よろしくお願いします!」

さやか「おじさん、あたしも手伝います」

知久「それじゃあ、さやかちゃんにはサラダのために野菜を切ってもらおうかなあ」

さやか「任せて下さい!刃物は得意なんですよ」

知久「よく家で包丁を使ってるのかい?」

さやか「え?…ええ、まあ、似たようなものを使ってるかなあ…」

詢子(流石に剣をぶんぶん振り回してるってのは言えないよなぁ…)

さやか「トントントン!」

知久「なかなか上手いね、さやかちゃん」

さやか「えへへへ、これも経験の成せる技ですかね」

詢子「やっぱり、あたしも料理手伝いたくなってきたな…」

まどか・知久「!?」

知久「き、今日は詢子さんを元気づけるためのパーティーでもあるんだから、詢子さんは料理に手を出しちゃいけないよ!」

まどか「そ、そうだよ!ママはリビングで、お客さん達の相手をしてあげて!」

詢子「そ、そうか?悪いね…」

さやか(詢子さん、もしかして料理下手…?)

詢子「早く来るのは手伝う事になってたさやかちゃんだけでいいのに、どうしてみんなも早くに来たんだ?」

マミ「私も手伝おうかなって思って」

ほむら「同じく私も」

杏子「あたしは逃げないようにするため、一緒に来いってさ」

詢子「罰ゲームのさやかちゃんはともかく、マミちゃん達はそんな事する必要はないんだよ。お客さんなんだし、台所にはさやかちゃんだけでなくうちの旦那もまどかもいるし」

マミ「いえ、私料理とかするの好きなんです。それに、今まで自分一人のためにしか料理を作る機会がほとんど無かったから、誰かのために料理を作りたいと思って」

ほむら「私はまどかや詢子さん達の役に立ちたいんです」

詢子「ありがとう。それじゃあ、やってもらおうかな」

ドンガラガッシャーン!

ほむら「ご、ごめんなさーい!」

知久「いいよ、いいよ、仕方がないよ」

パリーン!

ほむら「ああ、皿が!ごめんなさーい!」

知久「いいよ、いいよ。誰だって、ミスはあるよ」

ザクッ

ほむら「キャー!包丁で指がー!!」

まどか「大丈夫!?ほむらちゃん!」

リビング

詢子「杏子は手伝おうとしないの?」

杏子「手伝って欲しいのか?」

詢子「そういうわけじゃないけど、ちょっと気になってね」

杏子「あたしが、料理できるタイプだと思う?」

詢子「まあ、見えないかな」

ほむら「絆創膏ありません?」

杏子(指が傷だらけ…)

詢子(ほむらちゃんも料理できないタイプだったかー)

タツヤ「あー」サワサワ

杏子「ん?」

詢子「こら!タツヤ!おねえちゃんのチョンマゲさわっちゃ駄目だぞ!」

杏子「チョンマゲって…」

タツヤ「…うっ…う゛ああああああああ!!!」

詢子「あちゃー、泣いちゃった…」

杏子「ほら、泣くなよ。これやるからさ」

タツヤ「…ロッキー!」

詢子「良かったな、タツヤ。ありがとう、言うんだぞ」

タツヤ「うん!ありがとー!」

杏子「どういたしまして」

タツヤ「絵本よんでー」

杏子「ええー」

詢子「絵本なら、あたしが読んでやるぞ」

タツヤ「やら!チョンマゲによんでほしい」

杏子「…わかった。読んでやるよ。その代わり、チョンマゲって呼ぶのは無しだ。あたしは杏子って名前があるんだからな」

タツヤ「わかった、チョンマゲー」

杏子「おい」

詢子「アハハハハハ!悪いね杏子」

杏子「…力太郎は化物を見事に退治し、お嫁さんをもらって、おじいさん、おばあさん達と末永く幸せに暮らしましたとさ…めでたし、めでたし」

タツヤ「スー…スー…」

杏子「寝ちゃったな…おばちゃん、毛布ない?」

詢子「あいよー」

ほむら「ずいぶんと懐かれたわね」

杏子「ほむら…料理の手伝いはいいのか?」

ほむら「…私がいると食器の割れる枚数が増えそうだから、止めたわ」

杏子(…しょっちゅう、パリンパリン音鳴ってたもんな…)

詢子「よいしょっと」パサッ

詢子は寝ているタツヤに毛布をかけた。

詢子「ありがとうな杏子。それにしても、子守が慣れてるなあ」

杏子「妹がいたからな…」

詢子「妹さんは…」

杏子「そうだよ。親父が殺してしまったんだ」

詢子「…」

詢子「なあ、杏子。もう一度、誰かのため、みんなを守ろうとする魔法少女をやってみる気はないか?」

詢子「あんたはやっぱり、誰かを守りたい、みんなを守るために戦うような生き方がしたいと考えてると思うんだよ」

杏子「…そうだな。あんたの言うとおりだよ」

杏子「あたしは誰かのために戦う正義の味方って奴にもう一度なりたいとずっと思ってたのかもしれない…」

杏子「でも、失敗すんのが怖かったんだろうな…また家族を死なせたような事をしてしまうんじゃないかって。それで自分の意思を曲げてたんだ…」

杏子「でも、あんたを見てると昔のように誰かを守るために戦ってた頃の魔法少女に、もう一度なれるんじゃないかって思えてくる」

杏子「マミから聞いたよ。さやかの心はあんたが救ったんだって。だから、あたしも助かった」

杏子「失敗を恐れずに立ち向かうあんたの勇気に、見習いたくなった。もう一度、正義の魔法少女をやってみるよ」

詢子「杏子!」

詢子「それじゃあ、一緒に魔法少女やっていこうぜ!」

杏子「あたしの町風見野の事もあるから、ずっと一緒ってわけにはいかないけど…まあちょくちょく手を貸してやってもいいかな…」

詢子「このー!素直じゃない奴め!」

知久「それじゃあ、食べる用意できたよ!」

詢子・ほむら・杏子「おおおおお!!!!」

杏子「めっちゃ、うまそうじゃん!」

さやか「なんたって、あたしが手伝ったんだからね!」

杏子「じゃあ、さやかの手が加わって無いとこだけ食べよ」

さやか「何ー!!」

ほむら「私はまどかが作ったとこだけ食べたいわ」

まどか「ええー!」

マミ「ちょっと、暁美さん!私やおじ様に失礼よ!」

ほむら「じょ、冗談ですからお父様!」

知久「あははは」

詢子「にぎやかだねー」

タツヤ「うぅ…」

詢子「ちょうど良いタイミングで起きたね、それじゃあ始めようか!」

まどか「それじゃあ、ママの健康と…」

詢子「みんなとの出会いに感謝して…」

詢子・知久・まどか・ほむら・さやか・マミ・杏子「カンパーイ!!!!!!!」

タツヤ「かんぱーい!」

詢子「グビグビグビ…かあー!!この一杯のために生きてるって気がするなあ!!」

ほむら「良い飲みっぷりです、お母様」

詢子「ほむらちゃんも飲むかい?」

知久「こら」

杏子「サラダうめー!!」

さやか「あたしがサラダの野菜を切ったんだよ」

杏子「なら、野菜が元から上手かったんだな」

さやか「何ですってー!」

まどか「このスパゲティー美味しい!マミさんって料理が上手いんですね!」

マミ「そ、そんな事ないわよー///」

タツヤ「うまうま」

杏子「この年にしちゃ、良い食べっぷりじゃねえかタツヤ」

詢子「将来有望だろう?旦那にどうだい?」

さやか「それは駄目だよ、タっくんは将来あたしの嫁となるのだー!」

マミ「美樹さん、何で男の子なのに嫁なの?」

ほむら「タツヤ君と結婚!そうしたら、まどかと親族になる事ができる!でも、そうなるとまどかとは結婚できない!ああ、どうすれば!」

まどか「ほむらちゃん、今のギャグおもしろーい!」

知久(娘よ、その子の目は本気だ…。ギャグじゃないぞ…)

杏子「ローストビーフうめぇ!」

マミ「がつがつ食べて汚いわよ、佐倉さん。それに一人で食べすぎじゃない?」

知久「たくさんあるから、気にしなくていいよ」

杏子「あっ、すいません」

詢子「おい!杏子!あたしの夫には、敬語を使うのに、あたしには使わないとはどういう事だ?ああん!」

さやか「ガラ悪いですよ、おばさん…」

まどか「ちょっと酔っちゃてるね…」

ほむら「そうよ。お母様に敬意を示しなさい!」

杏子「だってさ、今更敬語とか使うのも何か変だし」

杏子「それに、おばちゃんだって、さやか達には“ちゃん”付けなのに、あたしには呼び捨てだろ!」

詢子「ほほー…杏子は“ちゃん”付けで呼んで欲しかったわけか…」

杏子「いや、そういうわけじゃ」

詢子「照れちゃって、可愛いぞ杏子ちゃん!」

杏子「!」

ほむら「ええ、たくさん食べて子供らしくて可愛いわ杏子ちゃん」

マミ「いいえ、いつも可愛いわよ杏子ちゃん」

さやか「いやいや、それでもさやかちゃんには負けるかな、杏子ちゃん」

タツヤ「きょうこちゃん!」

杏子「うわああああああ!!お前ら止めろおお!!///」

知久・まどか「アハハハハハハ!!!」

詢子「気分が良くなってきたんで、鹿目詢子歌いまーす!」

詢子「みっみっみらくる♪みっくるんるん♪」

杏子「いいぞ、おばちゃーん!」

さやか「キャー!おばさん可愛い!」

マミ「なんか、私も歌いたくなってきたな」

まどか「もう止めてよママ!恥ずかしいよ///」

知久「近所迷惑にならないよう、音量は控え目にね」

タツヤ「キャッ♪キャッ♪」

ほむら(みんな楽しそうね…。今までの時間軸で私達魔法少女がいがみ合ってた事が嘘みたい…)

ほむら(やっぱり詢子さんのおかげかしら…)

ほむら(もしかしたら、本当にこの時間軸では私の願いを成就する事ができるかもしれない…)

知久「それじゃあ、時間も遅いしお開きとしようか」

詢子・さやか・杏子「えええー!!!」

知久「流石に、中学生の女の子を夜遅くまで遊ばせるわけにはいかないよ。この人数だと泊めてあげるのも無理だし」

詢子「ちょっとぐらい良いじゃないかー」

まどか「ママ…」

知久「ママ、子供の前で恥ずかしいよ…」

詢子「それじゃあ、ちょっとみんなを送っていくかな」

知久「少し酔っぱらってるようだけど、大丈夫かい?」

詢子「酔い醒ましに夜風にあたりたいと思ってね」

まどか「凄く楽しかったよみんな。それじゃあ、気をつけてね。バイバイ」

タツヤ「ばいばーい!」

知久「夜道に気をつけてね。おやすみ」

ほむら・さやか・マミ・杏子「さようならー」

マミ「それじゃあ、私はこのへんで」

詢子「最後まで送ってくよ?」

マミ「大丈夫です、一人じゃありませんから。ね、佐倉さん?」

杏子「え?」

マミ「だって、あなたホテル暮らしでしょ。たまには私の家で夜をすごしましょうよ」

さやか「意味深な発言」

マミ「そ、そんなつもりで言ったわけじゃありません///」

杏子「…まぁ、たまにはいいかな」

マミ「凄く楽しかったです、詢子さん」

杏子「あたしもだよ」

詢子「こちらこそだよ、マミちゃん、杏子」

マミ「久しぶりに家族の温もりに触れたような気がします」

杏子「…あたしも、やっぱたくさんで囲んで一緒に食べた方が美味しいなって思った」

詢子「いつだってうちにきてくれて良いんだからな、二人とも」

マミ「ありがとうございます」

杏子「あんがと、おばちゃん」

マミ「それじゃあ、おやすみなさい」

杏子「じゃあな」

詢子「おやすみ二人とも」

さやか「杏子」

杏子「ん?」

さやか「今まで言い忘れてたけど、ありがとう。魔女と戦ってた時、あたしをかばってくれて」

杏子「こっちも治療してもらったんだから、おあい子だよ」

さやか・ほむら「二人とも、おやすみー」

詢子「さやかちゃんの家に着いたぞ」

さやか「それじゃあ、あたしもこれで」

さやか「あっ、ほむら」

ほむら「何?」

さやか「グリーフシードありがとう」

ほむら「迷惑かけてごめんなさいって言ったんだからいいわよ」

さやか「ごめんとありがとうは違うよ」

さやか「詢子さんもありがとうございます」

詢子「いいって事よ」

さやか「あー!マミさんにも、ありがとうって言えば良かった!」

ほむら「電話でも良いから、言ってあげたら?」

さやか「そうだね」

さやか「それじゃあ、おやすみなさーい」

詢子・ほむら「おやすみー」

ほむら「ここが私の家です」

詢子「ハイカラな家だねー。ご両親にあいさつしとこかな」

ほむら「両親とは一緒に住んでいません。一人暮しなんです」

詢子「そうなんだ…」

ほむら「もし良かったら家に上がりませんか?話したい事もありますし」

詢子「…うん、そうさせてもらおうかな」

今回はここまでです。
次回に続きます。
そろそろ終盤!

詢子「おじゃましまーす」

ほむら「お茶を用意しますんで、座って待ってて下さい」

詢子「ありがとう」

ほむら「ちょっと、話が長くなるかもしれません…」

ほむら「後、数日でワルプルギスの夜という超ド級の魔女がこの見滝原に襲来するんです」

詢子「ワルプルギスの夜?」

ほむら「今までの魔女と違って、コイツは結界に隠れて身を守る必要なんてありません。ただ一度具現しただけでも、何千人という人が犠牲になります」

ほむら「相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけなんです」

詢子「ゴクリ…話を聞いてるだけで凄いな…今までの魔女とは違うってのがわかる」

ほむら「この町を守るためにも、詢子さんの力が必要なんです」

詢子「言われなくたって、戦うよ。どんな奴が相手でもあたしはこの町と家族を守るためなら戦う」

ほむら「そう言ってくれると信じてました。こんな危険な事を頼んでごめんなさい」

詢子「さっき言っただろ、例えほむらちゃんが頼まなくてもあたしは戦ってたよ。それに、ほむらちゃんが困ってるなら、あたしは助けたいな。だって仲間なんだから」

ほむら「…ありがとうございます。きっと、マミも杏子もさやかも協力してくれるでしょう。5人なら、きっとあのワルプルギスの夜にも勝てるはずです」

詢子「…何かほむらちゃんの言いようだと、前からワルプルギスの夜の事を知ってるみたいだね。後、数日って事がわかってるのも、不思議だ」

ほむら「…統計や、調査の結果です」

詢子「それに、前にもさやかちゃんが危なくなる事を教えてくれた。まるで、未来の事を知ってるみたいだ。時間を停止する能力を持ってるって事は、もしかして時間を巻き戻す事もできたりして」

ほむら「…」

詢子「それで、未来からやってきたとか…」

ほむら「…」

詢子「冗談だからね…」

ほむら「…」

詢子「…もしかしてマジ?」

ほむら(どうしよう本当の事を話すべきかしら…)

詢子「ほむらちゃん、話したくないなら話す必要はないよ。誰だって隠したい事の一つや二つはあるもんだからね」

ほむら(でも、まどかの事、つまり詢子さんの娘を話すという事は、この人に負担をかける事になってしまう…そんな事をしていいんだろうか?)

詢子「でもね、ほむらちゃん。本当の事を話したら、あたしに負担がかかるとかそんな気遣いはいらないよ。ちょっとやそっとの負担ぐらい、ドーンと背負ってやるさ!」

ほむら「!…どうして、わかったんですか?」

詢子「昔ね、まどかが小学生の時いじめられてた事があったんだよ。でもね、あたしに心配かけたくないって本当の事をなかなか話してくれなかった。そん時のまどかの顔と、ほむらちゃんの顔がそっくりでね…」

ほむら「…本当にあなたにはかないません」

ほむら「私は、詢子さんの推測どおり未来から時間を巻き戻してこの時間軸にやって来ました」

詢子「もしかして、ワルプルギスの夜によって、この見滝原は壊滅する未来が決まっていて、その未来を変えるために来たんじゃ…」

ほむら「それも理由の一つです…でも、本当の目的は…」

詢子「本当の目的は…」

ほむら「…」

ほむら(言葉が出てこない…いいえ、迷うな!)

ほむら「私はあなたの娘である鹿目まどかを助けるためにこの時間軸にやって来たんです!」

詢子「えっ…?」

ほむら「…私は、未来から来たんです…。何度も何度もまどかと出会って、それと同じ回数だけ、まどかが死ぬところを見てきました…」

ほむら「どうすればまどかが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して…」

ほむら「ごめんなさい。わけわかんないですよね…急にこんな事言われても、信じてくれませんよね…」

詢子「そんな事ないよ…ほむらちゃん。ほむらちゃんの目を見たら、嘘じゃないってわかる。あたしは、ほむらちゃんを信じるよ」

ほむら「うっ…うああああああ!!」

詢子の『信じる』という言葉を聞いて、それまで堪えていた涙が堰を切ったようにほむらの両目からあふれだした。

ほむらは話した。

初めてまどかと出会った時の事も。まどかが自分と町を守るため死んだ事も。まどかを守る自分になりたいという願いで魔法少女になった事も。

まどかが魔女になった事も、誰も自分の事を信じてくれなかった事も、まどかを助けるという約束をした事も、まどかを自らの手で葬った事も、全て話した。

涙声で、時々声にならなくなって、話す事が中断しながらも、ゆっくりと全て話した。

ほむら「…まどかを助ける、ワルプルギスの夜からもキュゥべえからも何もからも助けるために私は何度も何度も時間を巻き戻したんです」

詢子「馬鹿だね…この子は…」

ほむら「…」

詢子「あたしの娘のために、死ぬほど辛い目にあって、死ぬほど辛い事を見るなんて…」

詢子「本当に馬鹿だよ、ほむらちゃん」

そう言って詢子はほむらの体を強く抱きしめた。

詢子「ありがとう、ほむらちゃん。あたしの娘のために、本当にありがとう…」

ほむら「詢子さん…」

ほむらを抱きしめる詢子の目は涙で濡れていた。

そんな詢子の姿を見て、ほむらはまたしても涙を堪える事ができなかった。

詢子は涙をぬぐった。

詢子「みっともないとこ見せちゃったね…」

ほむら「いいえ、そんな事ありません」

詢子「今度こそ、ワルプルギスの夜を倒して、まどかとこの見滝原を守ろう!」

ほむら「は、はい!きっと、詢子さんとなら…いいえ、みんなとならできるはずです!」

詢子「もう、ほむらちゃんはこんな苦しい事から解放されるべきなんだ!みんなで幸せになろう!」

ほむら「はい!」

ほむら「詢子さんに話して良かったわ…詢子さんがいればみんなで、ワルプルギスの夜を倒せると思えてくるもの」

ほむら「…そういえば、詢子さんに聞きたい事があったのに聞きそびれちゃったな…」

ほむら「詢子さんはどういう願いで魔法少女になったんだろう…」

QB「その事については、僕の口から教える事ができるよ」

ほむら「キュゥべえ!いったい、いつからそこに!?」

QB「君達がこの家に入って来た時からだよ。悪いけど暁美ほむら、君を監視させてもらっていたんだ。君という存在にたくさん疑問を持っていたからね」

ほむら「くっ!」ジャキッ!

ほむらは拳銃を取り出した。

QB「おっと、そんな物騒なものはしまっておくれよ。詢子がどうして魔法少女になったのかを聞きたいんだろ?」

ほむら「…わかったわ、あなたの話を聞いてあげる」

QB「話を聞きたいのに、ずいぶんな態度だね。まあ、いいよ。それにしても、君が時間に干渉する能力を持った魔法少女だったなんてね。どうりで、僕にも君と契約した記憶がないはずだよ。これで、君の言動の謎も全てわかった」

QB「鹿目詢子の娘鹿目まどかに魔法少女の素質があった事も知っていたとはね…」

ほむら「え!?」

ほむら「どういう事?この時間軸では、鹿目まどかには魔法少女の素質が無いんでしょ?だから、あなたもまどかの事を無視して…」

QB「そうだよ。まどかには魔法少女の素質は無い。正確には、以前はあったけど、今は“無い”かな…」

ほむら「何ですって!?」

QB「順を追って説明していくよ。これは鹿目詢子にも関わりのある話だ…」

約数カ月ほど前…

(鹿目まどかという超特大の魔法少女の素質を持った見滝原に住む女子中学生を、僕は魔法少女として契約させるために彼女に近づこうとした)

(だが、計画はすぐに頓挫した…)

キキー!!

「キャアアアア!!!」

「女の子がトラックに跳ね飛ばされた!」

「誰か救急車を呼んで!!」

病院

医者「手を尽くしましたが、残念ながらもう助かる見込みはありません…」

知久「そんな!!」

詢子「まどか…」

詢子「神様、どうかまどかをお助け下さい…。あたしの命や身体はどうなってもいいから…」

QB「せっかく凄い素質を持った子を見つけたのに、こんな事になるなんて運が悪いなあ。しゃべる事さえできないから、契約する事ができないよ」

詢子「なんだ、てめえは…あたしの娘がこんな時に運が悪いだの軽く言いやがっ…っええ!!?何だ!?この生き物!?」

QB「おや、君は僕が見えるのかい?」

QB「なら、ちょうど良い。僕の名前はキュゥべえ!僕と契約して魔法少女になってよ!」

詢子「こんな時にふざけた事言いやがって…」

QB「その代わりに何でも君の願いを叶えてあげるよ」

詢子「無駄に明るいのが腹が立つ…ってえ!?何でも願いを叶えてくれるだと!?」

QB「その代償として、君は魔法少女として魔女と戦ってもらう事になる」

詢子「こんな胡散臭い話を信じていいのか…いや、今はそんな事を言ってる場合じゃない!」

詢子「お願いだ!まどかを、あたしの娘を助けてくれ!!」

QB「聞き届けたよ。君の願いはエントロピーを凌駕した!」

現在

QB「本来なら、思春期の少女でもない30歳を超えた大人の女性である詢子には魔法少女の素質が無かった」

QB「だけど、子を想う母の願いがエントロピーを凌駕したんだよ…。まさか、こんな奇跡を目にするとは思わなかったね」

ほむら「そうだったの…」

QB「詢子の願いにより、まどかは助かった。本来なら死ぬところだったのに、一晩明けたら、命が助かったどころか、傷一つ無いんだから医者はえらく驚いていたよ」

QB「すぐに僕はまどかに契約をせまろうと思ったんだけど、不思議な事に彼女から魔法少女の素質が消えていたんだ」

QB「対して、詢子は凄い力を秘めた魔法少女となった。まるで、まどかの魔法少女としての素質を吸い取ったかのようだった」

QB「魔法少女になれば死ぬほどの危険にあうかもしれない。詢子のまどかを助けたいという願いが、そういった未来に起こるかもしれない危機からまどかを助けるため、まどかの魔法少女としての素質を奪ったのかもしれないと僕は考えている…」

ほむら「だから、詢子さんはあんなに強いのね…」

ほむら「だいたい、詢子さんが魔法少女になった背景は理解できたわ」

QB「そうかい」

ほむら「もう一つ、疑問があるのだけれど」

QB「何だい?」

ほむら「詢子さんに何故、あのピンクのフリフリ衣装なの?もっと他の衣装はなかったのかしら?」

QB「魔法少女の衣装はみな、思春期の少女を想定しているものだからね。まさか、30歳を超えた大人が魔法少女になるなんて事想定してなかったから仕方が無いじゃないか」

ほむら「そこは仕方が無いで、すませないで欲しかったわ」

今回はここまでです。
次回に続きます。
次回ラスト!(の予定)

http://mup.vip2ch.com/up/vipper43032.jpg

おい>>1よ、詢子さんのまどかの魔法少女服を探してみたら見付けたじゃねーかどうしてくれる!仕方ないから貼ってやんよ!>>1のためじゃないんだからね!

1です。
インフルエンザにかかったり、用事があったりでSS書く余裕がなくて、
長い間、更新しなくてすいませんでした。

>>311 これは良い魔法少女?詢子さんですね!感謝!

それじゃあ、↓から続き始まります!

数日後…

「異常気象を観測しました!スーパーセルです!」

「見滝原市に住む住民のみなさんは、早く指定の避難所に避難して下さい」

QB「ついに、ワルプルギスの夜が来たか…」

QB「果たして彼女達はこの強敵にどう立ち向かうのか…」

QB「見届けさせてもらうよ、鹿目詢子…」

避難所

タツヤ「わーい」

知久「こらー、騒いじゃいけないぞ」

まどか「いない…」キョロキョロ

詢子「どうしたんだ、まどか?」

まどか「さやかちゃんとほむらちゃんがいないの」

詢子「…大丈夫。ほむらちゃんが住んでる地区は避難所が違うって言ってたぞ。…さやかちゃんはたまたま、ほむらちゃんの家に遊びに行ってたから、ほむらちゃんと一緒の避難所に行ったみたいだ」

まどか「そっか…。良かった…」ホッ

まどか「ねー、ママ。マミさんや杏子ちゃんは大丈夫かな?」

詢子「ああ、あいつらも別の避難所にいるって言ってた」

まどか「良かった…」

詢子「まどかは優しいな…。ちょっと前に友達になった子の事まで心配して」

まどか「そ、そんな事ないよ///」

詢子「まどか…」ギュッ

詢子はまどかを強く抱きしめた。

まどか「えっ…」

詢子「その優しさはまどかの良いところだ。その良いところを決して無くすんじゃないぞ」

詢子「世の中にはその優しさに付け込もうとする悪い奴がいたり、優しさを持つ余裕が無いほど辛い事にあったりするかもしれない。でも、どうかその優しさを無くさないで、まどかには生きて欲しい…」

まどか「き、急にどうしたのママ?」

詢子「ふふふ…ただ単に、急に抱きしめたくなったり、人生について言いたくなったりしただけだよ…」

まどか「ママ…」

タツヤ「ママー、ママー、だっこ」

詢子「どうしたタツヤ。お姉ちゃんを見て、だっこされたくなったか?」

詢子はタツヤを抱き上げた。

タツヤ「キャッ!キャッ!」

詢子「タツヤ。ちょっと重くなったかな。成長しているんだな…」

詢子「もっと成長しろよ。元気にすくすくと…」

詢子「あなた…」

知久「どうしたの詢子さん?」

詢子は、知久を抱きしめた。

知久「本当に、どうしたの///こんな場所で急に!」

詢子「愛している…」

知久「本当に突然すぎるよ///でも、僕も愛しているよ…」

詢子「それじゃあ、ちょっと出かけてくるわ」

まどか「え?!どこに?」

詢子「外の台風をブッ飛ばしてくんだよ」

知久「え?まさか、この台風の中、外に出るつもり!?」

詢子「ははははは、冗談だよ。トイレ、トイレ」

詢子「ちょっと、お腹にたまってるもんが強敵だから、長ーいトイレになるかもしれないけど」

タツヤ「うんこー!」

まどか「もう!ママったら、汚いよ///」

詢子「ごめんよー。…それじゃあ、いってきます!」

詢子「もしもし?和子?」

和子(どうしたの、こんな時に電話かけて?)

詢子(大丈夫かなと思ってさ。和子って割とどんくさいから)

和子(…大丈夫よ、失礼ね。ちゃんと避難してるわ。どんくさいとか、昔の私とは違うんですからね!)

詢子「ごめんごめん」

和子(もう!)

詢子「なあ…和子。今度一緒に飲みに行かない?」

和子(…いいわよ。彼氏と別れて時間が有り余ってるところだから)

詢子「あはははは!相変わらずだなー。うん、それじゃあ、飲みに行こう、楽しみにしてるよ…」

ビュー!

杏子「凄え風だ」

さやか「はたから見たら、台風にしか見えないね」

マミ「これが、ワルプルギスの夜の力によるものだなんて信じられないわ…」

詢子「風だけじゃない、凄い魔力だ…」

詢子「ワルプルギスの夜とまだ対峙してないのにこんなに威圧感を感じるなんて、とんでもない化物だな…」

ほむら「そうですね…だけど、みんなとなら倒せるはず!」

詢子「そうだな、あたしらならワルプルギスの夜だろうと、何だろうと勝てるはず!」

杏子「ふん、あたしはあたし一人でも勝てると思ってるけどな!」

さやか「杏子ったらまたそんな事言って!みんなで協力して戦わないと駄目だよ」

マミ「大丈夫よ美樹さん、今の佐倉さんなら…いいえ今の私たちならちゃんと協力して戦えるはず!」

ほむら「そうね。みんなを信じるわ!」

詢子「それじゃあ…行くぞてめぇら!!!」

ほむら・さやか・マミ・杏子「おう!!!!」











ワルプルギスの夜「キャハハハハハハ!!!!」

使い魔「キャハハハハハハハハハハ!!!」

使い魔「キャハハハハハハ…!?」

シュルシュル。

空中に張り巡らされた無数のリボンが、使い魔の群れの動きを止めた。

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!!今よ、みんな!」

杏子「おっしゃあ!!」

さやか「とりゃああああ!!」

杏子の槍が使い魔を串刺しにし、さやかの剣が使い魔を切り裂いた。

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハ!!!」

ズドーン!!

ワルプルギスの夜の放った衝撃波により、ビルが宙を舞った。

ほむら「頼みます、詢子さん!」

詢子「よしきた!!」

詢子「貫け!シューティングスター!!」

ドッカーン!!

巨大な光の矢が飛んできたビルの塊を粉砕した。

ほむら「ワルプルギスの夜の周りには使い魔も、障害物もない!今がチャンス!」

ほむら「対戦車兵器!危険物第四類!対艦ミサイル!」

ドッカーン!ズッドーン!

さやか「すっごい爆発だ!」

杏子「あたしは、正直ワルプルギスの夜より、ほむらの方が怖いぞ」

詢子「おっかねえな。ところで、あれも魔法なのか?」

ほむら「いいえ、ただの兵器です」

マミ「どこで手に入れたの?」

ほむら「それは秘密」

詢子「お!ほむらちゃんも結構ワルだねぇ」ニヤニヤ

ほむら「…」

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハ!!!!」

マミ「あれだけの攻撃を食らって、まだ生きているの!?」

杏子「しかも笑える余裕があるってのがいけすかねえな」

さやか「流石、伝説の魔女だね…」ゴクリ

詢子「なら、余裕を与える暇も無く次々と攻撃すべきだ!」

ほむら「詢子さんの言うとおりよ。マミ、みんなをリボンで繋げて!」

マミ「フォーメーションVをやるのね、暁美さん!」

詢子・ほむら・さやか・杏子(また作戦名を勝手につけたな…)

杏子「ほむらの時間停止…」

さやか「ほむらに触れている物は時間停止の範囲外となる…」

マミ「私のリボンで5人みんなを繋げれば…」

シュルシュル。

マミから伸びてきた黄色いリボンが5人の身体にくくりつけられた。

詢子「5人が停止した時間の中で動ける!」

ほむら「時間停止!!」

カチャッ!

ほむら「今よ、ありったけの魔力を込めて…一斉攻撃!!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

さやか「シューティングスティンガー!!」

杏子「断罪の磔柱!!」

詢子「マジカルスコール!!」

ほむら「対艦ミサイル!!」

カチャッ

時間が動き出すと同時に、無数の攻撃が雨となりワルプルギスの夜に降り注いだ。

ドッカーン!!ドカーン!ドカーン!!

見滝原の上空に大きな火の玉が何発も爆発した。

マミ「みんな!!」

杏子「あたし達の結界の中に入れ!!」

詢子達の攻撃によって生まれた爆風と衝撃波が見滝原を襲った。

さやか「建物が薙ぎ倒されていく!」

ほむら「まるで竜巻の中にいるみたいだわ」

杏子「くっ…凄いエネルギーだ!」

マミ「結界が…もつのかしら?」

詢子「あたし達の魔力も分けるから、もってくれ結界!」








ほむら「…爆風が止んだわ」

マミ「もう魔力は空寸前よ…」

杏子「正直、危なかった…」

詢子「二人ともお疲れさん…」

さやか「それにしても酷い有様だね、街が滅茶苦茶だよ…」

ほむら「ワルプルギスの夜は…」キョロキョロ

詢子「いない…」

マミ「魔力も感知できないわ…」

さやか「じゃあ…勝ったんだ、あたし達!」

杏子「へっ!思ったより楽勝だったな…」

さやか「強がりいうなよ、ギリギリだった癖に…」

ほむら「やった…やった!やったわー!ついに…ついに、誰一人欠ける事なくワルプルギスの夜に勝ったんだ!!」

ほむら「やったー!!」

さやか「ほむら、はしゃいじゃって…」

杏子「キャラに合わないぞ」

マミ「それぐらい嬉しかったのよ」

詢子「だって、滅茶苦茶苦労したんだもんな…。お疲れ、ほむ…」

ドシュッ!

詢子「ガハッ!!」

使い魔「キャハハハハ!!」

使い魔の放った光の矢が詢子の胸を貫いた。

さやか「おばさーーーーん!!!」

杏子「ちくしょう!」

ザシュッ!杏子の槍が使い魔を切り裂いた。

ほむら「そんな!?何故?!ワルプルギスの夜を倒したのに、使い魔が!?」

マミ「!?大きな魔力を感知したわ!」

ほむら「え!?」

杏子「下だ!下から来るぞ!」

ザッパーン!!!

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハ!!!」

海から、ワルプルギスの夜が浮上してきた。

ほむら「そ、そんな…まだ生きていたなんて…」

杏子「あいつの魔力は消えたはずだろ!?」

マミ「ワルプルギスの夜が海中深く沈んでしまった事、私達の魔力が大きく減少した事で、ワルプルギスの夜の魔力を上手く感知できなかったんだわ!」

さやか「おばさん!おばさん!!おばさん!!」

詢子「ああ、大丈夫…。さやかちゃんの回復魔法のおかげで助かったよ…」

さやか「良かった…」

ほむら(詢子さんの今の発言は空元気だわ…。傷があまり塞がっていない…。魔力を使いすぎたせいで、さやかの回復魔法の効果も減少しているのよ…)

ほむら(顔色も悪いわ…。詢子さん自身魔力を使いすぎて、自己修復機能も上手く機能していない…)

使い魔×1000「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!」

マミ「何て数の使い魔なの!?」

杏子「あんだけくらっても、まだそんなに使い魔を召喚できるのかよ!?」

ほむら「さやかは詢子さんの治療を続けて!」

さやか「わ、わかった!」

詢子「大丈夫、あたしは戦え…」

ほむら「止めて下さい!今の詢子さんが戦っても足手まといになるだけです!」

マミ「暁美さん!何もそんな言い方しなくたって…」

ほむら「例え目的を達成できても詢子さんを死なせてしまったら、私はまどかに何て言えばいいのかわかりません!」

詢子「…そうだね、ごめん。ほむらちゃんの言うとおりだ…大人の癖に、自分の身を顧みない事しようとしてたね…」

ほむら「ごめんなさい、詢子さん…失礼な事言ってしまって…」

詢子「気にすんなよ…」

杏子「今はゆっくり寝ときなよ、おばちゃん。あたしら若いもんに後の事は任せな!」

詢子「言うようになったね、杏子も…」

マミ「もし、詢子さんと美樹さんに攻撃が向けられるようなら、私が結界で二人を守りますから!」

詢子「ありがとう、マミちゃん…」

ほむら「グリーフシードで…」

マミ「穢れを除去し…」

杏子「突撃だー!!」

使い魔×1000「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!」

マミのリボンが使い魔を拘束し、杏子の槍が使い魔を切り裂き、ほむらの機関銃が使い魔を次々と撃ち抜いていく。

マミ「何体倒したかしら?」

杏子「さあね。500は倒したかな」

ほむら「ごめんなさい、二人とも…こんな事に巻き込んでしまって…」

杏子「何、今頃そんな事言ってんだよお前は…」

マミ「そうよ。それに私達は後悔していないから」

杏子「そして、負けるとも思ってないぞ!」

ほむら「ありがとう、マミ、杏子…」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

ドッカーン!!

マミの放った光線が使い魔を薙ぎ払った。

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

ワルプルギスの夜が放った衝撃波がマミを襲う!

マミ「キャアアアアアアア!!!」

ほむら「危ないマミ!!」

カチャッ

ほむらは時間を停止し、マミをワルプルギスの夜の攻撃から救った。

カチャッ

マミ「助かったわ暁美さん…」

ほむら「ええ…でも、今ので魔力をだいぶ使ってしまったわ…」

マミ「あっ!使い魔がおば様達を狙ってる!」

ほむら「助けに行きましょ!」

杏子「どりゃああああああああ!!!」

使い魔「ギャアアアアアアアアアア!!!」

さやか「助かったよ、杏子…」

杏子「まったく、世話かけやがって…」

マミ「みんな、大丈夫?」

さやか「杏子のおかげでね」

ほむら(さやかも、詢子さんの治療のために魔力を使いすぎているわ…)

ほむら(杏子も魔力も体力もボロボロ…)

ほむら(マミもさっきのティロフィナーレで魔力がだいぶ無くなった…)

ほむら(私の魔力もほとんど無い…)

ほむら(なのに、使い魔の数は膨大…ワルプルギスの夜を倒す算段もない…)

ほむら(この時間軸でも無理なの?)

ほむら(杏子もマミもさやかもいるのに…)

ほむら(詢子さんという頼もしい仲間もいるのに…)

ほむら「…みんな、よくここまで頑張ってくれたわ」

さやか「え?」

ほむら「みんながいてくれたから、ワルプルギスの夜にここまで戦えたんだと思う…」

マミ「何を言ってるの暁美さん?!」

ほむら「本当にありがとう…」

杏子「てめぇ!まさか、あきらめるつもりか!?」

ほむら「そして、ごめんなさい…私は時間を巻き戻…」

詢子「ちょっと待った!!」

詢子「もう、いいんだよほむらちゃん…時間を巻き戻す必要なんてない」

詢子「ほむらちゃんは良く頑張ったよ…辛く悲しい時間の旅はもう終わりにしよう…」

ほむら「詢子さん!でも…」

詢子「みんなボロボロのようだけど、あたしは戦える!」

マミ「そんな!無茶です!」

詢子「さやかちゃんのおかげで、だいぶ休めたよ」

さやか「あたしも戦います!」

詢子「さやかちゃんの魔力も尽きかけてる…ここはあたし一人に任せてくれ」

杏子「あきらめんのも、もちろん反対だけど、あんた一人を戦わすのも反対だ!」

詢子「大丈夫だよ、杏子…」

マミ「嫌です!私も戦います!」

詢子「マミちゃんも無理すんなよ…そうやって、気を張りすぎるのはマミちゃんの悪い癖だと思う…もう少し余裕が持てるようになれたらマミちゃんはもっと成長できる…」

さやか「あたしだって正義の魔法少女なんですよ!この街を守るために戦いたいです、たとえ死んだって…」

詢子「さやかちゃんの良いところはその正義感だ。だけど、その正義感のために視野が狭くなる時がある、それを気をつけるんだ。そしたら、さやかちゃんは強くなれる」

杏子「ふざけた事いってんじゃねえぞ!あんた一人を戦わすなんて、絶対に嫌だ!」

詢子「杏子…やっぱりあんたは優しい子だね…。その優しさをまた、仮面で隠すなんて事はすんなよ…」

ほむら「詢子さん…」

詢子「ほむらちゃん…今日までほむらちゃんはずっと他人のために生きてきた…だから、今度は自分のために生きられるようになって欲しい。そしたら、ほむらちゃんはもっと、誰かに優しくなる事ができるよ…」

詢子「あたしを信じてくれみんな…」

ほむら(ああ、あの目は…まどかにそっくりだ…。始めの時間軸の、私と街を守るため
たった一人でワルプルギスの夜と戦って死んだまどかの目とそっくりだ…)

ほむら「いかないで、詢子さん!!!」

マミ「おば様!」

さやか「おばさん!」

杏子「おばちゃん!」

詢子「ありがとう、みんな…。みんなと一緒にいられて楽しかった…。まるで4人も娘が増えたみたいだったよ…」

詢子「覚悟しろよ!てめえら!!!」

詢子が使い魔の群れに突撃し、次々と使い魔を倒していく。

ほむら「時間が停止できない!停止する魔力が残って無いの!?」

さやか「おばさんに追いつけない!」

マミ「魔力と体力が、もう無いのよ!」

杏子「ちくしょおおお!!!」

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

詢子「本当にあんたは強い魔女だったよ…」

詢子「あんたを倒すのに魔力が足りないなら…」

詢子「命を使うしかない」

詢子のソウルジェムが光り始めた…。

さやか「何、あのピンク色の光は!?」

ほむら「詢子さんに強い魔力が集まってる!?まさか!」

マミ「佐倉さん、結界を張るわよ!」

杏子「え?」

マミ「いいから、早く!」

杏子「わ、わかった」

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

詢子はソウルジェムを掲げた。

詢子「あたしの街と…家族と…娘たちは…あたしが守る!!!」

詢子のソウルジェムが砕け、見滝原を光が覆った。

詢子(ごめんな…知久…まどか…タツヤ…)











マミ「す、凄い光だわ!」

杏子「もってくれ結界!」

ほむら「詢子さーん!!」

さやか「駄目だよ、ほむら!行っちゃ駄目だ!」

…数分後。

光は消え、見滝原に静寂が訪れた。

マミ「ワルプルギスの夜は…」

杏子「…魔力を感知できない…本当に消えてしまったかどうかはわからないけど…」

さやか「そんな事よりおばさんは!?」

ほむら「詢子さんの魔力も感知できない…」

マミ「そんな!」

さやか「嘘でしょ…」

杏子「…そうだよ、あたし達の魔力がすっからかんだから、上手く感知できないだけだよ。そうだよ、そうに決まってる!」

ほむら「そ、そうよね。あの人の事だもの、きっと私達を驚かそうとしてるんだわ…」

QB「いいや、鹿目詢子は死んだよ。自分の命と引き換えにワルプルギスの夜を倒したんだ」

ほむら「キ…キュゥべえええ!!!!」

QB「何を怒ってるんだい?ただ事実を言っただけなのに」

さやか「そ、そんなあ…おばさん…えぐっ…」

マミ「私達を守るために…おば様が…」

杏子「おばちゃん…うっ…」

ほむら「ああああああああああ!!!!」

4人の魔法少女は声を上げて泣いた。

自分たちのため、街のため、家族のため、命を捨てた女性に向けて、彼女達は大粒の涙を流し、嘆き悲しむしかなった。

QB「さて、仕事にかかろうか」

ほむら「え!?」

QB「詢子が死んだ事により、まどかの魔法少女の素質が復活したようだ」

ほむら「何ですって!」

QB「母親を生き返すためなら、喜んでまどかは魔法少女となるだろう」

ほむら「何てことを…」

ほむら「そんな事は絶対にさせない!」

マミ「ごめんなさい、私達が無力だったばっかりに…」

杏子「ちくしょー!こんなのってありかよ!!」

さやか「ごめんね、まどか…おばさんを守る事ができなかった…」

ほむら「みんな聞いて…。詢子さんを助ける方法があるの」

ほむら(詢子さんは言っていた…辛く悲しい時間の旅はもう終わりにしよう…って)

ほむら(事実、ワルプルギスの夜をいなくなったのだし、まどかを魔法少女にさせなければ、私の目的は達成できる…)

ほむら(でも、私は…)

ほむら「こんな結末を認めたくない!」

ラジオ「台風は突然、見滝原の上空で消滅しました…被害は…」

まどか(ママ、どこ行っちゃったんだろ…パパも探してるよ…)

ほむら「まどか」

まどか「ほむらちゃん!」

まどか「大丈夫だった、ほむらちゃん?」

ほむら「ええ」

まどか「もしかしたらだけど、私のママの事知らないかな?」

ほむら「…」

ほむら「わからないわ…。今、どこにいるのか…」

まどか「そう…」

ほむら「でも、きっと詢子さんを救ってみせる」

まどか「え?!」

ほむら「そして、あなたもよ。まどか…」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「あなたのお母さんはとても優しくて強い人だったわ…」

まどか「もしかして!ママの事何か知ってるの?!ほむらちゃん!」

ほむら「私、行かなくちゃ…」

まどか「待って、ほむらちゃん!」

ほむら「…また会いましょう、まどか…」

ガチャッ

ほむら(こうして、このイレギュラーすぎる時間軸の旅は終わった…)








QB「僕と契約してよ、まどか」

まどか「えーと…」

ほむら「その必要はないわ」

ほむら(あの時の時間軸がいかにイレギュラーだったかは、次の時間軸がいつもと変わらない時間軸だった事で証明してくれている…)

ほむら(あの時の体験は、次々と時間を繰り返す中で、幾多もの経験した時間軸の中の例外の一つでしかなかったのかもしれない…)

ほむら(だけど…)

まどか「今日は、ほむらちゃんを私の家に招待するよ!」

ほむら「ありがとう…」

詢子「おっ、まどかの友達かい?」

ほむら「はい。暁美ほむらといいます」

詢子「礼儀正しい美人さんだね…」

詢子「…なんか、前にもほむらちゃんと会った事があるような…」

ほむら「…そうですね。もしかしたら、会った事があるかもしれません…」

ほむら(私は決して忘れはしないだろう…)

ほむら(鹿目詢子という女性の強さと優しさを)


終わり

これにてこのSSは終わりです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
応援レスにも感謝です。
アニメ新作があるなら、詢子さんの新しい活躍に期待しております。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom