二宮飛鳥「やぁプロデューサー、そこのケーキ食べてもかまわないよ?」 (48)






モバP「おお?おはよう飛鳥、ケーキってこの置いてあるやつか?」

飛鳥「あぁ、たまには年相応に甘いものでもと思ったけど…ダメだね、やはりボクは甘いのは苦手かな」ズズズ…

モバP「ココア飲みながら何言ってんだよ…とりあえずいただきまーす」モグモグ


モバP「ん?なるほどレモンケーキか?ちょっと酸味がキツいけど甘いだけじゃなくてサッパリしててなかなかイケるな」モグモグ

モバP「うん、うまいなコレ…ふぅ、ごちそうさん」

飛鳥「口にあったかい?」

モバP「おう、クセになる味だったぞ」




飛鳥「ねぇプロデューサー…」

モバP「どうした?」

飛鳥「ボクは今から心から信頼する貴方にとんでもないことを言うつもりなんだ…それが怖いんだ、嫌われるかもしれないと思うと…震えと汗がとまらないんだ」ガクガク

モバP「飛鳥…心配するな、お前がどんなことを話すのかはわからない」

モバP「でも俺がお前のことを嫌いになる訳が無いだろう?俺はお前のたった一人のプロデューサーなんだからな」

モバP「だから安心して話してくれ、俺を信じるんだ」


飛鳥「……ありがとう、プロデューサー」





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飛鳥「そのケーキさ─────────────────












腐ってるんだよね───────」










モバP「お、おま─────ッ」



その言葉を吐こうとした瞬間、プロデューサーの腹部…正しくはその内部から爆発音にも似た轟音が鳴り響いた




痛みなどと

生易しいものではない



言い換えるのならば───それは『地獄』




ほんの数十秒の間でプロデューサーの腹部に地獄が出来上がった





どんどんと脂汗が流れ落ちる

その汗が集まりひとつの小さな雫に変わり、顔を伝って地面へと叩き付けられた瞬間に彼は脳が伝達反応を起こすよりもはやく叫んだ






モバP「ふ"さ"け"ん"な"飛"鳥ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!」







飛鳥「……ごめん、いやほんとに」


モバP「おま…!!!ほんと…おま…お前!!!飛鳥!!!ほんと……飛鳥ぁぁぁ!!!」




こんなにも感情をあらわにして話すのは何年ぶりか、あぁそうだ…高校時代にやってきた宿題をクラスメイトに盗まれて提出されていたのがわかった時以来だ


腹に地獄を抱えているというのに頭だけはいやに働く…それは完全に危険信号である

現実に直面して、それを受け入れる事が出来なくなっているのだ



モバP「飛鳥ぁ……お前……なんでこんな……ッッ!!」ポロポロ


モバP(愛する担当アイドルに腐ったケーキを食べさせられた……こんな…こんな…ッッ!!!)



モバP「こんな仕打ちがあるかよぉぉぉぉぉッッ!!!」







モバP(と、とにかくトイレに!!!)ダッ


飛鳥「無駄だよ」

モバP「む…だ…だと…?」


飛鳥「トイレに行くつもりなんだろう?」

飛鳥「行ってみるといい、世界の悪意がそこで待っているよ」




モバP「そ、そんな……!!?」


扉に張られた世界の悪意……


『故障のため使用禁止』





モバP「あ……ああああああああああ!!!!!」



飛鳥「言っただろう?悪意が感じられるってね…」


モバP「なに他人事みたいに…!!!元々はお前が……ッッ!!!?」



ここでモバP…ある異変に気づく
いやもっと早くに気づくべきだったのだ…


モバP「飛鳥……お前なんで……窓際で……微動だにせずに座って……?」


飛鳥「………仲間が、欲しかった」

飛鳥「そう考えたとき…真っ先に思い浮かべたのがプロデューサーだったんだ…苦楽をともにしたい相手は…プロデューサーなんだ…」


モバP「お前まさか……まさか…!!?」


飛鳥「…ふふっ」ニコッ




微笑みを浮かべる飛鳥の額には……脂汗が流れていた





───遠くで、スズメの鳴く声が聞こえる


現在時刻…朝の8時

そろそろ他のアイドルも来る時間帯である



モバP「飛鳥……この際、俺を巻き添えにしたことは許してやる」

モバP「だが解決策を…せめて解決策を出せ!この状況を脱する最善策を!!!」


飛鳥「そうだね……正直、このまま崩壊を待てばボク達の人生は破滅の一途をたどるだろうしね」

飛鳥「……この事務所から歩いて200メートルほどのところにあるローソン、そこでトイレを借りよう」


モバP「200メートル……か、いくしかないな…」




ー道ー


聖書によればキリストは十字架を背負い、鞭を打たれながらゴルゴタの丘を歩いたという──


普段ならばなんてことはなく通りすぎていくだけの道……こんな道でさえも腹痛という原罰を抱える今の二人にはまさしくゴルゴタの丘であった───



モバP(一歩…また一歩……大丈夫だ…耐えられないレベルじゃない…)

飛鳥(たいしたことじゃない…ただ右足と左足を交互に出すだけだ…なにも難しいことなんかじゃ……!!!)









───ここでプロデューサーに試練がふりかかる


ただただ…ただただ永久に与えられ続ける悲劇、惨劇……それも無論、辛く厳しい試練ではある





そんなものよりも辛いものが存在する



モバP「ッッ!!!?」ギュルッ…




ギュルルルルルル……ゴゴゴゴゴゴッ……ギュルルルルルルギュルルルルルルッッ!!!


モバP「ぐがッ……あ……あ……あッ…!」


飛鳥「ぷ、プロデューサー…?どうしたんだい!?」


モバP「あ……ああああ……!」ガクガク…



喜劇の後にくる悲劇──

幸福の後にくる不幸───


それはただただ与えられる悲劇よりも…はるかに恐ろしく…無慈悲である



腹痛の『波』



緩急をつけてプロデューサーの腹部の猛獣が咆哮をあげた














モバP「うッ…うッ……ぐっ……うぉえっ…!」


飛鳥「プロデューサー!しっかりするんだ!!諦めたらそこで人生終了だよ!!」

モバP「あ……あぁ…大丈夫だ…こんくらいで決壊するほどやわな穴はしてない…!」

飛鳥「その言葉自体は結構最低なレベルの発言だよ」




まるでゼンマイがきれかかっているようなブリキの玩具のようなゆっくりとした動きで歩く二人───


飛鳥「ねぇプロデューサー…」

モバP「ど、どうした…?」

飛鳥「気分を誤魔化せるようにしりとりでもしないかい?」

モバP「あぁ…しりとりか…いいかもな」

飛鳥「だ、だろう?じゃあボクからしりとりの……しりとり……『しりとり』…『しり』…『尻』……」



飛鳥「うぐぐぐッッ……うがおッッ!!」ギュルルルルルル…





モバP「うッ…うッ……ぐっ……うぉえっ…!」


飛鳥「プロデューサー!しっかりするんだ!!諦めたらそこで人生終了だよ!!」

モバP「あ……あぁ…大丈夫だ…こんくらいで決壊するほどやわな穴はしてない…!」

飛鳥「その言葉自体は結構最低なレベルの発言だよ」




まるでゼンマイがきれかかっているようなブリキの玩具のようなゆっくりとした動きで歩く二人───


飛鳥「ねぇプロデューサー…」

モバP「ど、どうした…?」

飛鳥「気分を誤魔化せるようにしりとりでもしないかい?」

モバP「あぁ…しりとりか…いいかもな」

飛鳥「だ、だろう?じゃあボクからしりとりの……しりとり……『しりとり』…『しり』…『尻』……」



飛鳥「うぐぐぐッッ……うがおッッ!!」ギュルルルルルル…




無言───
そして無音───


都会の喧騒の中にたった二人だけが静かな世界にいた



二宮飛鳥───
神崎蘭子とは違うタイプの中二病アイドルとして売り出し中の少女である

幼さを感じさせる見た目に、すこし背伸びしているような言動…ファンはそんな彼女に夢中になっていく

ただ今の彼女は背伸びではなく、つま先立ちでヨチヨチと歩いている


飛鳥「ふぐ……うぅ……」ヨチヨチ

モバP「だ、大丈夫か飛鳥…?」

飛鳥「大丈夫だよプロデューサー…心配はいらない、ボクはなんてったってアイドルなんだからね」ニコッ

モバP「そうか…えらいぞ」

飛鳥「それに女の子は男性よりも腹痛になる機会が多いから慣れてるよ…ふっ余裕だよ余裕……………ウゥ…ポンポンイタイ…」グスッ


モバP「飛鳥……」


モバP(羞恥や色んなモノが混ざったような表情…そしてなおかつやや内股気味でプルプルと震えている……)


モバP(………エロいな)



モバP「…ふぐぉッッ!!!?」


ここでプロデューサーが最大の痛みに襲われる……ッッ!!



都会の喧騒の中にたった二人だけが静かな世界にいた───


二宮飛鳥──
神崎蘭子とは違うタイプの中二病アイドルとして売り出し中の少女である

幼さを感じさせる見た目に背伸びしたような言動…ファンはそんな彼女に夢中になっていくのだ


だが今の彼女は背伸びではなく、つま先立ちでヨチヨチと歩いている


飛鳥「うぅ…ふぐ…!」プルプル

モバP「大丈夫か飛鳥…?」


飛鳥「大丈夫だよプロデューサー…心配はいらない、ボクはなんてったってアイドルなんだからね」ニコッ

飛鳥「それに女の子は男性よりも腹痛になる機会が多いし慣れてるよ…ふっ余裕だよ余裕……ウゥ…オナカイタイ…」グスッ



モバP「飛鳥…」


モバP(羞恥や色んなモノが混ざった表情に、やや内股気味…なおかつプルプルと震えている…)


モバP(エロいな)



モバP「ぶくぉ…ッッ!!!?」


この瞬間…プロデューサーに最大の痛みが襲いかかる!!!


すまん、>>26はミス



例え…どんな非常時でも男としての本能は無くならない


腹に猛獣を抱え、さらに股間の獅子を奮い立たせた時…


獅子と猛獣は熾烈な争いを始めたッ…!



モバP「ぬごぉ…ぐぬっあ……うおおおおおお!!!」ガグガク


飛鳥「ぷ、プロデューサー…!?」


目的地まで約3メートルというところまで差し掛かった時……プロデューサーの脳裏にあるビジョンが浮かんだ



モバP『こ…ここは…?』


そこは美しい花が咲き乱れる花園であった


凛『プロデューサー!』


モバP『り、凛!!』

凛『こっちにおいでよ、私と遊ぼ?』

モバP『あ、あぁ!今いくぞー!』




モバP「うへへ……今行くからなぁ…ぬへへ」ガグガク

飛鳥「プロデューサー!!!しっかりするんだプロデューサー!!」

飛鳥「いかないで……そばにいてよ…プロデューサァァァァァ!!!」




モバP『今いくからなー…ん?』

凛『どうしたの?』

モバP『いや、なにか…俺を呼ぶ声が…』


【いかないで……】


モバP『こ、この声は…!?』



【ボクを……】


凛『プロデューサー、はやくおいでよ』


【ひとりにしないで……】



【プロデューサー!!】



モバP『……飛鳥、今いくぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

凛『プロデューサー…こっちに来てほしいにゃー?』

モバP『凛……ひとつだけ言わせてくれ…』





モバP「お前ミューズの方の凛だろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」ガバッ


飛鳥「プロデューサー…!!おかえり!」



モバP「待たせたな飛鳥…さぁローソンはすぐそこだ、行こう」

飛鳥「あぁ、お互いあと一歩さ」





アイドルとプロデューサー…いや、今は勇者と呼べる二人は

ついに目的地へとたどり着いた


しかし


ここで最大にして最後の試練が発生した


飛鳥「ま、まさか…そんな…!」


忘れていたのだ

そう……真実はいつも1つ…


そして……


モバP「コンビニのトイレは……1つ…」





飛鳥「せっかく……ここまで来たのに…!!」


モバP「飛鳥……」




モバP「いけ…トイレへ…走れッッ!!!」


飛鳥「で、でも…」

モバP「…こんな歌を知っているか?」



モバP『男なら耐えられない痛みでも女なら耐えられます強いから』


飛鳥「…だったら!!」


モバP「それでも…男は…女を守るために体をはるんだ」

モバP「さぁ俺の胸のエンジンにはもう火がついている!!すぐにでも別のコンビニのトイレにいくさ!だから今はお前がいけ!!」


飛鳥「プロデューサー…武運を!!」

モバP「ふっ…お前もな」


その時二人がとったのは…敬礼のポーズであった



モバP「……俺も、まるくなったもんだ」



彼がいたのは別のコンビニ……ではなく、路地裏であった



モバP「思い返せば…恥の多い人生だった…」


モバP「好きな女の子の縦笛の先端の部品を自分のものと毎回のように交換し…好きな女の子からシャー芯を貰ってそれをなめまわし…好きな女の子の机の上で放課後ストリップなんていうのもしたなぁ…」


モバP「あのとき、俺は相手のことなんて考えずに自分本意の行動ばかりしていた…」

モバP「そんな俺が…少女のために破滅を選ぶなんて…」



モバP「あぁ────


そうか───



───これが










        心か


















ブリバリブチュグチュベバブベバァ……ブチュッッ……











ー事務所ー



卯月「うーん、勝手に食べちゃったけどこのケーキとっても美味しい!!すっぱいケーキなんだね!!」











ー完ー




終わりです、お付き合いいただきありがとうございました

歌詞のミスはほんとショックだ、確認せずに書いてしまった


なおこのSSはもちろんフィクションです

このプロデューサーのようにいい歳して路上で脱糞して泣きながら帰路へとついた事なんてありません、ええ、正確に言えば三日前まではありませんでした


久々に号泣しました



過去作

モバP「島村卯月の飼い方」シリーズ

その他諸々


それではまた


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