貴音「異国の方に発音を馬鹿にされました」 (43)




響「…は?」



貴音「ですから! 異国の方に、わたくしの!
   英語の発音を馬鹿にされたのです! 口惜しき哉!」




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※本作品はほんの一部、ぷちます要素を含みます。
765プロ所属のアイドルが劇中世界で「ぷちます」の
声優としても活動してる、くらいのイメージでお願いします。
なお、ぷちどるは登場しません。
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響「え…? うーんと、そもそもどうしてそんな機会があるんだ?」

貴音「その目はわたくしを疑っている目ですね、響」

響「いや、当たり前さー…
  貴音、言い出すことがいつも以上に突拍子もなさ過ぎるぞ」


貴音「そうまで言うならお見せしましょう… わたくしが辱めを受けた、その現場を」

響「うえっ!? なに、そんな記録に残ってるようなことなの?」

貴音「そうなのです、このままではわたくしの名誉に関わります!」



貴音「というわけで、小鳥嬢。ぱそこんをお借りできますでしょうか」

小鳥「ええ、構わないけど… 貴音ちゃんがパソコンなんて珍しいわね。
   あ、ラーメン屋さんの情報収集とか?」

貴音「いえ、これは報復の前哨戦です。うらみ、はらさでおくべきか…」

小鳥「!?」


響「騒がしくてごめんねピヨ子、いつものことだぞ… ほら、貴音だから」

小鳥「まぁ、確かにいつもの貴音ちゃんではあるんだけど」


貴音「では響。ぱそこんの前に座ってください」

響「え? うん、いいけど」

貴音「次に"ようつべ"に接続していただけますか」

響「むー、なんで自分が操作しなきゃいけないんだ…」

貴音「わたくしがやるよりそのほうが早いでしょう?」

響「まぁ、そうなんだけどさ。 … "ゆー… ちゅーぶ" 、と」


響「はい、トップページ出たぞ。それで?」

貴音「それでは、"ぷりんせす すのぅ ほわいと"で検索を」

響「一応聞くけどそれを英単語で、ってことでいいんだよね?」

貴音「無論のこと… 待ちなさい響、どういう意味です。
   わたくしの口から英単語が出るのはおかしいですか」

響「い、言ってないぞそんなこと!」


響「えーと、pr.. i ..n .. ce.. ss 、 s.. n .. o ...w 、 w.. hi. .te 、 っと。
  じゃ、検索するさー」

貴音「出ましたね… これ、この一番上の動画です!」



https://www.youtube.com/watch?v=8jYNO2ib6P8



響「ああ、何かと思えばこれ、『ぷちます』のキャラソンかー。
  いやあ、たかにゃも可愛いさー! やっぱり一番はちびきだけどなー」

貴音「ええ、そうですね」

響(… 貴音が、ぷちどるの話をしてもノッてこない…?)


響「ま、とりあえず再生するさー」



< レッツスキー アタラシイ ウィンターブーツ
< ドレスミタイニー キカザーッテー …


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響「…うん、今はちょっと時期はずれちゃったけど、冬のシーズンにぴったりの歌だと思うぞ。
  貴音はかっこいい系からかわいい系まで、歌の幅が広くてうらやましいさー」

貴音「まぁ… 照れてしまいますね。褒めても何も出はしませんよ、響」





貴音「…違います! 問題はそこではないのです!」

響「あ、はい」


貴音「響、画面をすくろぉるして、こめんと欄を見てください」

響「お、スクロールって覚えたのか、えらいな貴音。
  前は『画面をころころする』って言ってたもんね」

貴音「ふふっ… どうです、わたくしも日々進歩しているのですよ」

響「そうかー、貴音はすごいなぁ。自分も見習わなくちゃいけないぞ」

貴音「そうですよ響、精進なさい」

響「よーし! 自分達のアイドル道はこれからさー!」









貴音「さておき、問題はこめんと欄です」

響「うん、やっぱりこの程度で誤魔化されてはくれないかー」



貴音「! ここ、ここです! 上から二番目の、こやつです!」


http://imgur.com/l5UxxYs





響「このzxcviilll って人?」

貴音「はい、その "ぜっとえっくす" … ええ、と… "しーヴい" …これは、えと、"える"…
   ではなく、"あいあいあい" …違いました、"あい"はふたつです、その次が"える"…」





響「ん、zxcviilll だよね、わかったぞ貴音」

貴音「」


響「んー、と…? この人の投稿したコメントは一行だけか。
  "I AMU PRINCESSU SNOW WHITE " …?
  なんだこれ、スペルもめちゃくちゃだし、全部大文字だし… 変なの」



貴音「…ッ」 ギリギリ

響「って、おわぁ!? 貴音、アイドルが歯軋りとかしちゃダメさー!
  テレビなんかにとても出せない顔になってるぞ、はいさいやめやめ…」


貴音「響… その一文を見てわかりませんか」

響「え、えっと、どういうこと?」

貴音「それを… 一文字目の"あい"以外…
   そのまま素直に、ろーま字として読んでみてください」

響「う、うん…? 一文字目のIはそのまま、ってことなら、
  "あい あむ ぷりんせっす すのう ほわいと" …かな? これが何?」




貴音「その者は… その者は… ッ!」


貴音「わたくしの"あむ" と "ぷりんせす"の語尾の発音が、
   母音混じりだと嘲笑っているのです!」




(理想)

< I am Princess Snow White

(現実)

< アイ ア【ム】(mu) プリンセ【ス】(su) スノゥホワイッ




響「…あ、あー! そういうことか! なるほど!
  amじゃなくてamuとか、それにprincess"u" とか!」


貴音「な… 何がなるほどですか! 腑に落ちないでください響!」


貴音「…わたくしとて英語の発音があまり流暢でないことくらい自覚しております。
   しかし何も、このような人目につく場所でことさらに言わずともよいではありませんか」エグエグ


響「まあまあ… しょうがないぞ、自分も貴音も日本人なんだし、英語の発音で苦労するのは当たり前さー。
  それにこの人だって『お姫ちん英語ちゃんと言えてないwwwかわいいwww』
  くらいのつもりでコメントしたのかもしれないし、気にすることないぞ!」




貴音「…それはそれでまた面妖な思考回路ですね。
   響もわたくしの英語を聴くと、そのように考えるのですか?」

響「ぅ、うがっ!? い、いや、そのぉ…」


貴音「しかし、まだ問題があるのです」

響「そうなのかー… まだあるんだ…」

貴音「今のもののひとつ上のこめんとを見てください、響」


http://imgur.com/l5UxxYs (※先ほどと同じ画像)



響「えーと、なになに… "zxcviilll knows how Takane rolls.? " …?」

貴音「これまた… わたくしを笑いものにしているのです…!」ギリギリ

響「だ、だから歯軋りはダメだってば!
  …ん、貴音、これの意味がわかったのか?」



貴音「ふふ、わたくしを甘く見てもらっては困ります。
   …響は『えきさいと翻訳』という、禁断のさいとを知っていますか」

響「」



貴音「この『えきさいと翻訳』… どのような仕組みかは存じませんが、
   うぃんどうに英語や日本語の文章を入れると、画面の向こうにいる方が
   日本語や英語に翻訳してその意味を教えてくれるのです」


響「へ、へえー、そうかぁ、それはすごいなー、それを知ってる貴音もすごいなー」

貴音「そうでしょう、そうでしょう! ふふ、見直しましたか?」

響(ここは黙っておくのが優しさってものさー…)



貴音「さて、えきさいと翻訳の助けでわかった、この文章の意味するところはこうです。
    先ほどの"ぜっとえっくすしーヴい" … その、"ぜっとえっくすしーヴい… あい…"」

響「…」



貴音「…つまり、『先ほどのコメントを投稿した者は』!」

響(あ、名前読むの諦めた)


貴音「『先ほどのコメントを投稿した者は、たかねがどのように回転するか知っています 』という意味です」

響「うん、自分、それ聞いただけだとさっぱり意味がわかんないぞ」

貴音「わたくしも悩みました。しかしこれは、次のように考えれば説明がつきます」



貴音「どのように回転、というのは、これは舌の回転ということだと思うのです」


響「あー、日本語でも舌が回るとか回らないとか言うからね」


貴音「はい。つまり、この投稿者の言わんとすることは、『ぜっとえっくす… …某は』…」

響(今度は省略した!)

貴音「『ぜっとえっくす某は、貴音の舌が回らないことをよく知ってるんだな哈哈哈』という意味だと」






響「ちょっと待って」


貴音「はい。どうかしましたか、響」

響「ねえ、今の最後らへんのっていったい何?」

貴音「哈哈哈ですか」

響「そう、それ」


貴音「何、と言われましても… これは、哈哈哈である、としか」

響「うん、貴音、わかってやってるよね!?」

貴音「哈哈哈、知らないのですか響。カンペキ()」

響「」


< ウガーッ
< メンヨウナー


貴音「ごめんなひゃい…」

響「わかればいいぞ」


響「あー… 笑い声を漢字で表してるのかぁ、『ははは』って読むんだ。元は中国語?」

貴音「そのようです。英語圏の方はこのような音の笑い声で煽ってくるいめーじがございます」

響「HAHAHA… って感じか。まあ、確かにそれはわかんなくもないさー」


響「さっきの文の意味もだいたい合ってるみたいだぞ。
  rollには(巻き舌で)発音する、とかそういう意味もあるしね」

貴音「なるほど… しかし二人がかりでわたくしを笑いものにしようとは、なんと卑劣な!」


響「いや、後者のほう書いた人も前者のコメントについて、『ちょwww再現度たけえwww』
  『誰が上手いことを言えとwww』くらいの感じでコメントしたんだと思うぞ。
  ま、これも気にするほどじゃないさー」






貴音「ところがどっこい、問題はこれで終わりではないのです」

響「まだ何かあるのか!? 自分、そろそろくたびれてきたぞー…」

貴音「いえ、これはすぐ済みます。響、ここをよく見てください」



響「んー? これは後者の方のコメントした人のプロフィール画像… …って」




http://imgur.com/7ZNSDhb




貴音「そう、この通り… これは、響。あなたですね」 ゴゴゴゴ




響「…ちょ、待つんだ貴音、これはこの人が勝手に使ってるだけでぇ!」

貴音「響推しのふぁんと謀り事をし、わたくしを貶める姦計を講じていたとは…!」




貴音「さぁ、お覚悟! 画面の向こうの相手より… まずは手の届くものから確実にっ!」

響「う、うぎゃーっ! 八つ当たりはやめるさ貴音ぇ! 誰か助けてぇーっ!?」

貴音「むっ、やはり素早い…! 逃がしませんよ響!」


おしまい。

アイマス×現実(Youtube)のクロス …と名乗ってよいものかどうか。
お姫ちんの英語はその独特の発音がいいんだよ! きっと海外勢もほんとはわかってるよ!

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