モバP「…里美と俺。あるいは一つ」 (111)



モバマスの榊原里美SS

モブが死ぬ

もしかするとR-18

以上、注意です


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396271238


「お…さ…」

「お兄…ま」

「お兄様ぁ!」

「…はい?」

「ほぇぇ…お兄様じゃなかったんですか? 後姿がそっくりで間違えてついてきちゃいましたぁ…」

「はわぁ…どうしましょう…えっ?アイドルになるんですか?お兄様が?…私がですかぁ?」


俺と里美の出会いは勘違いからだった

ただの偶然といってもいい

しかし…

それは果たして偶然で片付けてしまえるものだったろうかーーー




ーー

ーーー


ー事務所ー

P「おーい、里美?仕事の時間だ。車乗るぞー」

里美「ほぇ?もうそんな時間でしたか?
…じゃあ、私お仕事に行ってきますね」

かな子「はーい。また、お菓子のこと話そうねっ」

里美「今度またかな子ちゃんの作ったケーキも、
食べさせてくださいねぇ」

P「じゃあな、かな子。
里美は借りてくぞ」

かな子「どうぞー。二人とも頑張ってきてくださいね!」

里美「はーい、ありがとうございます~」

ガチャ、バタン

P「また、かな子とお菓子食べてたのか?程々にしてくれよな」

里美「だってぇ、甘ーいお菓子美味しいんですもん」

P「かな子の作るケーキも美味いけど、カロリーがやばいからな…。かな子にも注意しといてくれ」

里美「はーい。でも、私太ったりしてませんよね?
…Pさんもよーっく知っているでしょう?」

P「まぁな。それでも、さ」

P( 確かによく知ってるさ。知り過ぎる程にな )


ガチャ

P「ほいよ」

里美「ありがとうございます~。…でも、Pさんの隣に座りたいなぁ」

P「勘弁してくれ。助手席は一番事故死の可能性高いんだからな。里美は乗せられないよ」

バタン…

ガチャ、バタン

P「っと。近場だからすぐ着くけど。
どっか寄りたいとこあるか?」

里美「いいえー。まっすぐで構いませんよぉ」

P「ん、わかった。…車出すぞー」

里美「……」

P「……」

里美「Pさん?」

P「ん?なんだ?」

里美「いいえ♪呼んでみただけです」



P「はあ…。あ、隣の席にビニール袋あるだろ?
飴とか入ってるからよければ食べてくれ」

里美「ほわわぁ…!ありがとうございます~」

P「俺も甘党だしな。
食べ過ぎなきゃ食べたい気持ちはよくわかる」

P( 女の子の食べる姿は好きだし。
里美は特に幸せそうに食べるからな )

里美「んー…。どれも美味しそうで迷っちゃいますぅ。
…今はペロペロキャンディにしよっかなぁ」

P( ペロペロキャンディが似合う高校生もそうはいまい。
個人的にはペロペロキャンディならば、どこぞのニートよりも似合うと思う )

里美「Pさーん?」

P「ん?」

里美「はい、あーん」

P( 普通の飴か。
包装を解いて差し出してくれるのはありがたいんだが… )

P「里美?そのままだと指まで舐めちゃいそうだ」



里美「ほえ?」

P「いや、ほえ?じゃなくてだな…」

里美「構いませんよ?Pさんなら」

P「」

P( …早くしないと信号が青になるしな。少しだけたまたま触れちゃうだけだ、うん )

P「ん、」

里美「美味しいですかぁ、Pさん」

P「うん、美味しいよ。っと、信号変わるからな。ちゃんと席に座ってくれ」

P( まぁ、惚れた弱味ってやつだからな。仕方ない、はずだ )

P( 里美が指を舐めてるのも仕方ないはずだ。
飴も砂糖でコーティングされてて、
ベトベトするからな )

P「仕方ない、よな?」





ーー

ーーー


ガチャ、バタン

P「お疲れ里美。今日もよかったぞ」

P( 今日は“ 榊原里美の『甘党ラジオ』 ”の収録だった。それも初の公開収録 )

里美「疲れちゃいましたぁ。そんなときは甘ーいお菓子で癒されるますー」

P「そうだな。俺もなんか食べよう。んー。やっぱ疲れたらチョコかなぁ」

P( いつもいつも里美がお菓子を食べるものだから、
ラジオ収録のときはいつも控え室には里美専用のバスケットが用意される )

P( これがなかなか馬鹿にできない。珍しいお菓子が入っていたりするのだ )

P「ん、なかなか美味いな。外国のチョコかなんかかな」

里美「ふぇぇ…あーっ!それ私が最後に食べようと思って、
残しておいたやつですぅ~」

P「え、マジ?済まん、里美」


里美「むぅ…残しといたのに…」

P「ほんとごめん。えっと…帰りに好きなの買ってくからさ。な?」

里美「うぅ…。そうだ、えい!」

ドサッ

P「えっ」

P( なんだなんだ?向かいに座ってた里美が身を乗り出したと思ったら…。
ソファに押し倒された? )

P「お、おい…里美?」

里美「あはっ!Pさんが食べたんなら口の中はチョコ味のはずです~。それを私がペロペロすれば!」


P「いやいやいや。よく考えろ里美。
他ならともかくここは控え室だくむぐ」

里美「んちゅ…んぅ…あむぅ…」

P「ちょ、さとっ」

里美「んむ?…ぅ…ちゅぅ、ぇぅ…」

P( 普段のおっとりした里美からは考えられないほどに暴れる、舌。
前歯の辺りから奥歯の方まで )

P( 紛れもなくそれは俺を蹂躙する女だ。
…しかし、同時にひたすらチョコを求める少女でもある )

里美「ぷはぁ…。Pさぁん?Pさんも舌動かしてくれないと、
つまんないですよぉ」

P「…チョコが…欲しかっただけだろ?」

里美「…本当にそれだけが理由だと思いますかぁ?」

P「っ…」

P( …実のところそんなことはわかっている。
確かに里美は甘いものが好きだが、
ここまで常識を逸脱する人間ではない )

里美「まぁ、チョコも美味しくいただきましたけれどぉ…。Pさんが欲しかったんですよ?」

P「…そうだな。…チュッ」

里美「んぅ…はぁ…ん」

P( 結局は俺からも応えてしまった。
…どうしてこんなことになったんだろうか )





ーー

ーーー

ーしばらく前ー


P「はぁ…やる気でない…。もういっそ仕事辞めたいんだけど…」

P( 次に担当するアイドルをスカウトしてこい、か。期待かけてもらってるのはわかるんだけどなぁ )

ーーーーーー

社長『彼女のことは私も残念に思う。
惜しいところで辞めてしまった。
ただ、君も仕事をせぬわけにもいかないだろう?』

社長『それならば、この仕事を続けるべきだ。君にはプロデューサーとしての才能があるんだ』

社長『本当に辛ければまた来なさい。そのときはまた話を聞こう』

ーーーーーー

P「ってもなぁ…。どうせ新しい子を担当しても、また…」

「お兄様!」ガシッ

P「おお…?な、なんですか?」

P( いきなり肩を掴まれて振り返ってみれば、息を乱した少女。…なんだ? )



「ほぇぇ…お兄様じゃなかったんですか? 後姿がそっくりで間違えてついてきちゃいましたぁ…はわぁ…どうしましょう…」

P「あー…人違いですか?」

「ふぇぇ…そうみたいです~。済みませんでした」

P( すっごい可愛いな…。雰囲気も独特だし。よし、スカウトしよう。
断られたら辞める。はっきりさせないと余計疲れそうだ )

P「あのっ、ちょっといいですか?」




P( まさか、な。あんな出会いで始まってアイドルデビューが、
トントン拍子に進むなんて…)


P( それにしても…な )


注意書きに忘れました

登場人物の出自などに独自解釈があります




ーー

ーーー

ー榊原家ー


P「なんです?お話って」

P( 俺は里美のご両親への挨拶に来ている。言葉遣いや仕草から格式の高い家柄を予想はしていたが… )

P( かなりでかい武家屋敷みたいな家だもんなぁ。山形市から少し外れた田園の外れに…。初めて家入るのに日本庭園なんて見たよ )

P「里美さんに席を外すようにってことですが、なにか憚られるようなことが?」

里美父「ああ、これから公私ともに関わるならば、
君には知っていてもらいたいことがあってね」

里美母「あの子が珍しく気を許した方のようですし、ね」

P「ははぁ…」

里美父「里美にはね兄がいたんだ」

P「お兄さん、ですか。彼女も何度か口にしていますけれど、“ いた ” ?」

里美父「いや、云い方が悪かったな。
別に死んだわけじゃないんだよ。
ただ、少し遠方にいるからなかなか会えなくてね」


P「はぁ、どちらに?」

里美父「アメリカだよ」

P「アメリカ、ですか」

里美父「ああ、あいつには榊原家を継いでもらわねばならんからな。
こちらの大学を卒業した後は、
あちらに留学させたんだ」

里美父「それで、だね。
里美は俗に云う “ お兄ちゃん子 ” というやつなんだが…。
わかるかな?」

P「ええ、私もお兄さんのことは何度か聞いているくらいですので」

里美父「そうか…。それが少し…いや、かなり行き過ぎだとは思わないか?」

P「? いえ、特には」

里美父「…新しい依存先、か」

P「はい?」

里美父「いや、なんでもない。話は少し外れるが、君と里美が会ったのは都内だったね」

P「はい、あれはまさしく僥倖でした。
山形在住の里美さんが都内にいたんですからね」


里美父「…それが、おかしいとは思わないかね?
いくらなんでもあれくらいの少女が一人で、
田舎から都内まで行くかね?」

里美父「しかも、大した用もないのに、だ。
娯楽なら市まで行けばそれなりにあるし、
友人もこの近くにしかいないはずだ」

P「しかし…。イマドキの女子高生、というやつでは?」

里美父「そうであればいいんだがな…。
里美があの日東京まで出向いた理由がわかるかい?」

P「えーっと、お菓子を買うため、とか?」

里美父「いやーーー






「渡米した兄を探すため、だ」










ーー

ーーー

P( 里美が17歳になる年に、
彼女の兄は渡米したらしい )

P( それ以来俺と彼女が出会う年末まで、
休みを見つけては何度も、何度も… )

P( ご両親や使用人の隙を見つけては兄がいた場所や、いそうな場所を訪れていたのだ )

里美「Pさん?今日の仕事はもう終わりなんですよね?」

P「あ、ああ…。そうだな。撮影班とかも今日は帰ってしまったしな」

P「このホテルには関係者は俺たちしかいないから、明日の撮影までゆっくりしてていいぞ」

P( しかし、それも昔の話だ。
里美も今では必要以上に兄のことを話題に出さない )

P( 里美の父上は新たな依存先を見つけただけだ、
なんて云っていたが…俺にはわからない )

P( わかるのは里美をサポートするのが、
俺の仕事だということだけだ )


P「…っと、じゃあ風呂にでも入ってこい。俺は隣の部屋にいるからな」

里美「えぇ…同じ部屋じゃないんですかぁ」

P「当たり前だろ…アイドルとプロデューサー以前に、
十代の女の子と二十代の男が同じ部屋とかありえん」

里美「じゃあ、寝るまでお話しませんかぁ?
私がお風呂から上がるまで、ここで待っていてくださいません?」

P「まぁ、いいかな。だだ…」

里美「ただ?」

P「脱衣所で着替えてこいよ?
バスタオルだけでここまで出てこられたら…」

里美「私、襲われちゃいますの?」

P「…かもな。ほら行ってこい。俺も風呂入ってくるから」

里美「はーい。また後で会いましょうね」





ーー

ーーー

ガチャ、バタン

P「ふぅ…さっぱりしたー。最近暖かくなってきたし。汗も出てくる季節か」

P「あれ?電話きてる。……もしもし、Pですが」

『もしもし。あ、プロデューサーさんですか?』

P「ちひろさんですか。どうしたんです?何か問題でもありましたか?」

ちひろ『…はい』

P( そういうときはセオリー通りなら、
なにもないんじゃないのかよ )

ちひろ『プロデューサーさん。心して聞いてくださいね?』

P「…は、はい」

P( なんにもミスはしてないはずなんだが…。
今になってクビになるのは嫌だしな。今は生き甲斐があるし )


ちひろ『__ちゃん、覚えてますね?』

P「…は?」

ちひろ『は?ってまさか忘れたんですか?』

P「いや、まさか今その名前が出てくるとは思わなくて。
__ってあの__ですよね?」

ちひろ『はい。プロデューサーさんが里美ちゃんの前に担当していた__です』

P( 若干苦い名前ではあるが…。アイドルを辞めた彼女と俺に関係はない…はずだ )







ちひろ『彼女、自殺しました』








P「…は?いやいや…は?自殺?」

ちひろ『えぇ…自宅のマンション屋上から飛び降りたようです』

P「……」

ちひろ『なので数日後の葬儀に社を代表して出席していただきたいな、と』

P「……済みません。整理できないんで明日でいいですか?」

ちひろ『はい、大丈夫ですよ。病院外での死ということで、
一応の検視があるみたいですから。
葬儀までは普通より時間があるみたいですね』

P「…はい、それでは」

ちひろ『ちょ、プロ』ピッ

P「……」ドサッ

P「…ウソだろ」

P( ……ルームサービス …) チラッ

P「酒、か…」




ーー

ーーー


ガチャ

里美「Pさん?私待ってたんですけど~」

P「……」

里美「どうしたんですかぁ?部屋も真っ暗だし…。ん、お酒飲んでるんですかぁ?」

P「…里美か…。済まない…。ちょっと、な。今日はお喋りできそうもない」

里美「それは、いいですの。でも、Pさんは何かないんですか?」

P「…何か?」

里美「はい。私には何もできないかもしれませんけど…。
お話を聞くとかはできますよぉ?」

P「…つまらないぞ」

里美「Pさんがそんな状態ですからね。
楽しいお話だとは思ってませんよ」

P「そっか…。んー…水とお茶くらいしかないな。お酒飲むわけにもいかないし」

里美「それでは、お水を」



P( …よく考えると酒飲んだ状態で、
風呂上りの里美と一緒なんだな。
しかもホテルの自室で )

P「ん、水」

里美「はい。ありがとうございます~」

P「ああ…。なんだったかな。…ああ…死んだんだってさ」

里美「死んだ?どなたがですか?」

P「里美を担当する前に担当してた子だよ。…飛び降りで」

里美「それは…。でもなぜPさんがそんなに落ち込むんです?」

P「…親交のあった人が死んだときに悲しむのは普通じゃないか」

里美「それは、おかしくありませんけど。Pさんは悲しむよりも、もっと別の気持ちに支配されてると思うんです」

P「……」

里美「もしかして、その方が死んだのは自分のせいだと思っている、とか」

P「ッ…」



里美「どのようなお話でも聞きますよ。私はあなたをーーー」

里美「きゃあっ」ドサッ

P「里美に…お前に、何が…何が…!」

里美「…襲わないんじゃあないのですかぁ?」

P「ふっ…もうなんでもいいんだよ…。もう死んだって構わな」

バシッ

里美「私のPさんはそんなことを、気安くいいません!」

P( ベッドに押し倒した女に平手打ちをかまされる、か。
まったく…間抜けな男にふさわしいじゃないか )



P「私の、か。それこそ思い上がりじゃないのか。
お前はどうせ俺のことをお兄さんの代替としか見てな」

バシッ

P「おい、やめ」

バシッ

里美「私は!あなたを!見ているんです!たとえあなたが!
その方の代わりに、私をプロデュースしているとしても!」

里美「お兄様のことは!関係ありませんっ…!」

P「…泣くなよ、里美。俺なんかのために」

里美「Pさんのためなんかじゃありませんっ…!
これは、あなたなんかを好きになった私自身のために泣いているんですぅっ」

P「…そっか」

里美「そうですぅ。だから…私を泣かせた罰と思って、
本当のことを話してください」

P「三度も平手打ちされたんだがな」

里美「女の子の涙と…どちらが重いと?」

P( 涙で潤んだまま見つめてくる里美。
いや、勝てないなぁ。
俺が絶対正しいと思ってるってのに )

P「ははは…そうだな。いや、俺が間違ってたよ」

P「よいしょっと…乱暴にして済まなかったな。あと…暴言も」

里美「そうですね…とっても傷付きましたぁ…」


里美「だからぁ…抱っこしてもらえないと、
許しませーん」

P「いやいや…豹変にも程があるだろ」

里美「なんですか~?」

P「まぁ、バラされると困るしな。ほら、乗ってこいよ」

里美「んっ、重くありませんかぁ?」

P「いーや。少し軽いくらいかもな。ふわふわで気持ちいいし」

里美「もう…。軽いのはいいですけど、
それは誰かと比べてるんですかぁ?」

P「…抱っこすれば許してくれるんじゃなかったのか?」

里美「抱っこしないと許さないんですぅ。したから許すわけじゃありませんよぉ」

P「まぁ…仕方ないな。で?何がききたいんだ?」

里美「そうですねぇ…。どうしてPさんは例の子が死んだのが自分のせいだっていうんですかぁ?」

P「ああ。彼女の生き甲斐を奪ってしまったのは俺なんだ」

里美「……」

P( 今は黙って頷いてくれる里美がありがたい。
彼女を抱いている暖かさも安心を与えてくれている )

P「彼女はちいさな頃からアイドルが夢でさ。やっとうちの事務所でデビューしたんだ」

P「それなのに、大きな箱でライヴができるってときに自分から辞めちまった」

里美「…なぜ?」

P「俺の在り方に耐えられないって」


P『なぁ、どうして辞めるんだよ!
俺が嫌なら担当を変えればいいじゃないか。
__が辞める必要はねーよ!」

『いいえ。私の担当はあなた以外に考えられない』

P『なら!」

『それも嫌。私はあなたの過保護に耐えられない。私はシンデレラは目指しているけれど』

『あなたには魔法使いでも、王子様でもいてほしかった。
それがダメでもせめてどちらかなら、あるいは』

P『……』

『でも、今のあなたは何?まるで、召使いかなにかじゃない!
私は子供じゃないし能天気なお姫様じゃない!』

『シンデレラの地位はあくまで二人三脚で勝ち取るべきよ。あなたが犠牲になるなんて嫌!」

P『…それが俺の仕事だ』


『そう…。あくまでそういう考えなんだ…。うん、知ってたけど』

P『おい、どこ行くんだよ!」

『帰るだけだけど?私はもうこの事務所の人間じゃないもの』

P『ッ…』

『最後に云っておくわ。
せめて私の後の人に被害が及ばないように』

P『…なんだよ』

『いい?女の子がみんながみんな傅かれるのが幸せだと思わないで。
むしろ、隣で一緒に歩いていたいと思う子の方が多いはずよ』

『私だってあなたが大切に想ってくれているのはわかる。
それでも…それでもダメなの』

『あなたの愛は女の子を閉じ込める愛よ。人形のように守り見つめるだけの一方通行』

『私は…同じ方向を向きたかった』



P「いや…なかなか辛辣だよな。
別にそんな気はなかったんだが…」

里美「いえ…その方のお気持ち
、よくわかります」

P「俺もさ、理屈ではわかるんだよ。
でも…どうしても構ってやりたいんだ」

P「今だって彼女になにかできていればこんなことにはならなかったのかもって思ってるんだぜ」

里美「…単にその方とPさんの相性が悪かっただけでは?
現に私はPさんくらい構ってくれないと寂しいですし」

P「そうなんだろうな…。いや、俺が吹っ切れていないだけなんだ。
でも…、俺と彼女が出会わなければ彼女は今でも、アイドルだったかもしれない」

里美「…それはPさんの問題だから確かに私には関係のない話です…。なら、私のお話を聞いてくれませんかぁ?」

P「ああ、いいぞ。
里美の平手打ちのおかげで酔いも覚めたしな」

里美「ふふっ…そういいながらまた飲んで…。また平手打ち、されたいんですかぁ?」

P「それは勘弁願いたいが…。話ってなんだ?」


里美「さっきPさんは私がお兄様の代わりとして、
あなたを見ていると云いましたよね」

P「ああ、済まないな」

里美「いえ、抱っこしてもらってますからねぇ…。でも、それあながち間違いじゃあありません」

P「……」

里美「勘違いしないでくださいね~。私はあくまで一個人としてPさんが好き」

里美「最初から私を見ていなかった、
Pさんと違って」

P「…いじめんなよ」

里美「ただ…私が常になにかに依存していなければならない欠陥品なのはご存知ですかぁ?」

P「欠陥品?」

里美「はいぃ。ちいさな頃はずっと同じお人形を持ち歩いていましたし、小学校に入ったあたりからはお兄様にべったりでしたからぁ」



P「欠陥品ってのは?」

里美「禁断症状ですぅ…。私常に甘いものを食べているか、
依存している人と一緒にいないと不安になるんですぅ」

P「…俺がいる間も甘いもの食べてるじゃないか」

里美「まぁ、単に好きだから食べているのも確かですからぁ。
…私、五感の交錯…クロッシングを持って産まれたんですぅ」

P「クロッシング?」

里美「はい~。通常ならイチゴを食べれば甘い、頬をつねれば痛い。といった感じで感覚は独立したものですけどぉ」

P「里美は、それが混ざっている?」

里美「私の場合はぁ、沢山のクロッシングが起こるわけじゃないんですけど、
安心したときや好きな人といるときに、
口の中に甘さを感じるんです~」

P「つまり普段甘いものを食べ続けているのは、
それの代償行為でもあると?」

里美「だから…今の私は常に甘いものを食べているのと同じ感覚なんですよぉ?」


P「つまり、人形がお兄さんに。お兄さんが俺に代わっただけで、好きなことに変わりはないと」

里美「はい」

里美「だから…別に私は今ここであなたに襲われてもいいんですよぉ」

里美「どれだけ甘く、甘美な体験ができるのかぁ。
楽しみですし」

P「いや…もうさすがに酔いは覚めたからな。今日はもう寝るよ」

里美「ならせめて一緒に寝てくれませんかぁ?それだけで幸せですからぁ」

P「まぁ、いいか。二人が改めて近づいた証に、な」

里美「んー…抱きしめ合って寝ると、とっても甘ーいですぅ~♪」

P「ははは…また、明日…いや今日の朝な」





ーー

ーーー

P( 里美は兄への依存が俺にスライドしただけで、
俺への愛に他のモノは介在しないという )

P( 俺はそれを信じるべきだ。
否、信じなければならない。
涙すら流して告白した少女を信じないなど、
外道の所行ではないか )

P( しかし…逆に、思うのだ。
俺は今でこそ里美を直視できるようになった。
しかし、これまでは里美に“ あの少女 ”を重ねていたにすぎない )

P( 形は違えど俺も彼女に依存していたのだ。しかも酷い甘え方で。
そんな俺が彼女に応えていいものか… )

P( いや、今は寝よう。
せめて今夜ぐらいはひた向きな告白をくれた里美を抱いて、幸せに眠ろう。
悩みはいつまでも着いてくるのだから )





つづく


電波を受けて書きました
明後日か明々後日くらいに続きたい
愉快な話ではありませんし、
変な解釈やオリジナルだらけです
稚拙な表現が多いですが
もし、読んでくれた方がいたならば嬉しいです


今日も少し進みます

次から


『あなたが私の担当?
オーディションのときはいなかったけれど、大丈夫?』

『プロデューサー!ねぇ、見てた?
私ちいさい頃からアイドルに憧れてて…。
私がステージに立てたのもあなたのおかげ。
これからもよろしくね!』

『ちょっとプロデューサー…。
こんな衣装どこから探してきたの?ヒラヒラしてて似合わないんじゃ…。
え?あなたの図面?そ、そう。
それなら、仕方ないわね。ふふっ』

『CD?そう…私もついにここまできたのね。
うん、あなたのこと最初はみくびってた。
私への賞賛はあなたへの賛辞。
喜びを共有するって嬉しいものなのね』

『やっぱり、ダメ。
この譜はとっても好きだけど、あなたの見てる前では歌えない。
だって…あなたが書いた詩をあなたの前で…恥ずかしいじゃない?』

『……え?いえ、なんでもない。少し歌詞にうまく入り込めなくて…』

『わかった…。いえ、気付いてた。
私とあなたが求めることが違うってこと』

『あなたの愛は人形への愛…。とても普通ね女の子が、いえ、普通の人間が耐えられるものじゃないわ』

『……さようなら』




ーー

ーーー


「__さんは18歳。最近までアイドル活動をする傍ら学校でもクラスの中心としてクラス委員などをしておりーーー」

P「…本当、なんだよな」

P( ちひろさんに出先で電話をもらった翌日。
里美に話したことでやや平静を取り戻した俺はなんとか仕事をこなした )

P( しかし…帰社した俺はどうやら腑抜けた状態だったらしい。ちひろさんが録画していた、
彼女関連のニュースでも見て現状を確認しろと云われてしまった )

P( つまり使い物にならないものの厄介払いである。ニュース自体に確認することなどないのだから )

P( 特筆すべきことなどない。
一人の少女が自宅マンションから飛び降りて死んだ。それだけだ )

P( 近年増えている学生の自殺事件であることから、
とりあえずすぐに終結とはいかないらしい )

P( 遺書もない上に、何をトチ狂ったのか高校側が先走ってイジメはなかったという旨の会見を開いてしまった )

P( 訊かれもしないうちからそんなことを云えば結果は見えている。
彼女が元アイドルということもあり、
案の定マスコミは飛びついた )

P( どこから引っ張り出してきたのか、
彼女がインディーズデビューしたときの映像まで地上波のワイドショーで流れている )



ガチャ、バタン

ちひろ「まったく酷い話です。
無能もここまでくるといっそ清々しい。そう思いませんか?」

P「ッ…」

P( 仕事に区切りをつけたのかちひろさんが応接室までやってきた。
無能というのが自分ではなく、
高校側のことを指しているのは理解できる )

P( ただそれは…俺を的確に抉る )

P「ええ、まったくですね…本当に…」

P「そのせいで彼女の名誉も傷付けられてるかもしれないわけですからね」

ちひろ「…私個人の考えでは死人にとっての名誉ってなんだ、とは思わないでもないですけどね」

P「確かに。ただやはり俺は…彼女をアイドルというか、芸能人というか、一般人とは見れません」

P「芸能人にとって体面や名誉ってのはかなり重要なものでしょう?」

ちひろ「まぁ、そうですけど…。それに聞いた話では彼女のご両親が高校側を訴える話もあるとか」

ちひろ「どうもマスコミが自宅に押しかけた際に余計な入れ知恵というか、
唆したみたいですね」


P「そうですか…。ご両親の感情を考えると間違った行動とも云えませんけどね。
それに、事実はまだ、いや永久にわからない可能性の方が高いですからね」

ちひろ「その割には…」

P「え?」

ちひろ「そう云う割には自分に責任があると云わんばかりですね。
プロデューサーさん?」

P「……」

ちひろ「亡くなった方を、しかも一時期は身内であった方を悪く云うつもりはありませんが、
彼女はあなたを縛りすぎです」

ちひろ「あくまでここは現世です。
彼女が手を伸ばしていい世界ではありません。
何も掴むことはできないんですからね」

P「夢は現実でも見ることができます。
それは我々が最も身近にいるのだからわかるはずです。
…ならば、非現実が現実に干渉するのにおかしな点などないはずです」

P( それに死者は生者の心を掴み、揺さぶる。現に俺は…… )

ちひろ「それは、詭弁です。
それこそ非現実なんていう曖昧で定義があやふやなモノを、
生死と同列視するなんてやってはいけないことではありませんか?」

ちひろ「死者やアイドルを…特にアイドルに焦がれた彼女を話の中心にするならば」



P「いえ…わかってはいるんですがね。ただやはり、彼女の死に実感が追いつかないというか」

ちひろ「それは仕方ありませんよ。
私たちは人間です。
この場合にあなたが平然としていたら、
むしろ張ったおしてますよ」

P「ははは…。いや、その方が気は楽なのかなぁ…」

ちひろ「…プロデューサーさん?先ほども云いましたけど、
死者に生者を縛る道理なんてありませんからね」

ちひろ「プロデューサーさんまで仕事を辞めたり、
あまつさえ自殺なんてしないでくださいよ?」

P「…あたりまえですよ。
彼女のおかげで人間の死が残された者に与える哀しみは、
ようくわかりましたから」

ちひろ「はい。プロデューサーさんなんかでも哀しむ人はいるんですからね?」

P「なんかって…。ちひろさんですか?」

ちひろ「里美ちゃんですよ。昨日だって里美ちゃんに慰めてもらったんでしょう?」

P「どうして知って」

ちひろ「やっぱりですか。
いや、プロデューサーさんがそんなに沈んでいれば里美ちゃんなら絶対に放っておきませんからね」

P「カマ掛けですか、まったく…」


ちひろ「もちろん私だって哀しいですし、社長や他のアイドルだって哀しみますよ。
それでもやはり里美ちゃんは別格です」

ちひろ「昨日だって少し迷ったんですから。
関係者が二人しかいないホテルにいるプロデューサーさんに事件を伝えるの」

P「なぜです?」

ちひろ「ヤケになったプロデューサーさんが、
里美ちゃんになにかしないとも限らないですから」

P「……」

ちひろ「…まさか、何かしたとかないですよね?」

P「いえ、単に慰めの言葉を貰っただけですよ」

ちひろ「よかった。元所属がああなった上に、
スキャンダルなんて目も当てられませんからね」

P( ちひろさんが思ったようなことはありませんでしたよ。
ただ、抱きしめ合って眠っただけです )

ちひろ「ま、大分持ち直しましたね。葬儀は明後日らしいですから、お願いしますね」

ちひろ「社長は出席できませんから、プロデューサーさんが社の代表です。
希望したアイドルも出席していますけど、
あくまで友人としてですから。
くれぐれも粗相のないように」

P「はい。わかりました。
…俺も仕事しますよ。世間は待ってくれませんからね」


P( ちひろさんにはああいったがしかし。
死者は生者を縛るものである )

P( それが…何も残して逝くことのできない人間のーーー )






P( ーーー唯一の残滓なのだから )






ーー

ーーー


里美「ぅん…ぁぁ…ぃあ…ちゅ…」

里美「んん……どうしたんですかぁ?
女の子とのキスの間に、他のことなんて考えちゃいけませんよ?」

P「…いや、済まない。
どうしてこうなったんだろうってな」

P( アイドルとプロデューサーが控室で二人きり。
しかも短くない時間ゼロ距離で絡み合う )

P( これを“ 踏み外した ”という以外になんと表現すればいいのか。
こんな状態はちひろさんや社長。
他のアイドルやファンには見せられない )

P( ましてや半ばで訣れてしまった彼女にはーーー )

里美「もちろん二人が望んだからですよ~。
それともPさんは嫌ですかぁ?」

P「嫌なら里美を突き飛ばして逃げてるさ。…っと、でも実際時間経ってるな。
早く撤収しないと」

里美「は~い。んしょっと。
Pさん、私重くありませんでした?」

P「いや?いつも通りふわふわで心配になるぐらいだよ」

里美「あはっ、そうですかぁ?」



P「ああ。里美はお菓子以外ももっと食べた方がいいと思う」

里美「私が甘いものを沢山食べなきゃいけないの、知ってる癖にぃ。
あ、Pさんがつくってくれるなら食べますよ?」

P「…まぁ、たまにはな。
ほら、部屋出て車まで行くぞ、
…里美は寮でいいよな?」

里美「うふふ~♪ 約束ですからね?」

P「そのうち、な」

P( 里美からは逃げられない。
かつて里美は俺に依存しているのは確かだと云いきった )

P( しかし…俺もまた依存体質であると彼女は云う。
初めは例の彼女に。そして今は里美に )

P( それを認めてしまえば、こうなった理由は簡単にわかる。
里美が云ったように二人の意思でもあるし、そしてーーー )





ーー

ーーー


「__さんとは生前何度も遊びました。__さんがアイドルを辞めてからもーーー」

「彼女は明るい子だったよなぁ。
それがどうして…」

「…結局理由はなんなんだ?
あのクソ校長どもが引っ掻き回してくれたおかげで、
意味がわからんことに」

「P…ん」

「Pさん!」

P「…ん?」

里美「Pさん?大丈夫ですかぁ?」

P「あ、ああ。済まない里美。
少し呆っとしてしまった」

P( 俺は現在例の彼女の葬儀に参列している。
先ほど火葬が終わった。
今は故人の縁者たちが思い出を語り合っているところである )



P「しかし、里美は来なくてもよかったんじゃないか?
彼女には悪いが…里美は面識なかっただろ?」

里美「そうですけど…。Pさんが心配でしたから」

P「俺が?」

里美「はい、今にもどこかに消えてしまいそうで…」

P「ははは。俺はどこにも消えないよ。
ここ三日で大分持ち直してきたしな。
里美にも事務所のみんなにも心配かけたし」

P「顔色とかも大分よくなってきただろ?」

P( そうだ。事実がどうあれ俺たちは前に進まねばならない。
彼女を捻じ曲げたのが俺であれなんであれ )

P( この上里美を苦しめるわけにはいかないのだから )


「あの…。プロデューサーさん?」

P「…あ、お母さん。…この度はーーー」

母「いえ、お仕事などもあるのに参列していただいて…」

P「いえ、彼女には私も沢山のものをもらいましたから。せめて最後には、と」

母「ええ。あの子も喜びます。自分がアイドルを辞めても、
事務所の皆さんとは懇意にさせていただいたようで…」

P「彼女はもう身内同然でしたからね。
それはこれからも同じですし」

母「ええ…ええ…。それに知っていますか?
あの子高校を卒業したら、
大学に通いながらもう一度アイドルをするつもりだったんですよ」

P「え?そうだったんですか?」

母「プロデューサーさん知らなかったんですか?
…まぁ、そうかもしれませんね。
あの子、プライドが高かったから」

母「自分の都合で辞めておいて、またプロデューサーさんに合わせる顔がなかったのかも」


P「そう…でしたか。残念です。
私が担当しなくてももう一度ステージに立つ彼女を見たかった」

母「そうですね。いえ、私も……。
…それでは私はこれで。
皆さんに挨拶をしなければなりませんので」

P「はい。また機会があれば彼女に会いにきます」

母「はい。それでは」

P「……」

里美「……」

P「なぁ」

里美「はい?」

P「彼女が、またアイドル始めたいって思ってたの知ってたか?」

里美「……」

里美「…実は話だけは。かな子ちゃんたちが話していましたし」

P「…そっか」


里美「何度か事務所にも来ていたみたいですよ?ただやっぱりPさんには顔を合わせにくかったのか、いないときを狙っていたとか」

P「……」

「あ、Pさん?卯月知らない?」

P「…卯月?いや、知らないが」

「そう…。ありがと。どこいったんだろ?」

P「まぁ、トイレかなんかじゃないか?
そんなに迷うような場所でもないしな」

P「しかし凛たちもよく来たな。
今の時期はテストとか学生には辛いだろ」

凛「…友達のことだからね。
さすがに友達よりテストを優先するような人は、
この事務所にはいないよ」

P「ああ、そうだな。
いや、デリカシーのない言い草だった」

凛「それにPさんと里美もでしょ?
今度新しいドラマが二本始まるらしいじゃん」

P「まぁ、それこそパートナーだったからな。
それより、凛。
__がアイドルやり直そうとしてたのって知ってるか?」

凛「うん、知ってるけど」


凛「__もほんとどうしたんだろうね。
この前もPさんとまた仕事がやれたらなって云ってたのに」

P( それは俺を許してくれたということなのだろうか。
それとも、単に懐かしさを感じただけ? )

凛「それにあの子ずっと後悔してた」

P「え?後悔?」

P( 後悔するのはむしろ俺の方の筈だが )

凛「Pさんに酷いこと云ったって。
なのにまだ謝れてないんだって。
…あの子の性格を考えると、
アイドルになる前に謝ると思ってたんだけどなぁ」

P「…謝るのは俺の方なのにな」

凛「え?」

P「いや、なんでもない。
…事務所来てたなら会いたかったなって。
あまり良い別れ方じゃなかったから」


凛「そうなんだ。
でも何回かニアミスみたいなのはあったんだよ?
事務所にPさんがいたときにも来てたから」

P「ああ、そのときは帰ったりしてたのか」

凛「うん。しかも、先週なんか給湯室にいたんだよ?
そのときはお茶も淹れてたし、
最初は自分が出すんだって云ってたんだから」

P「先週…?」

凛「そのときはPさんと里美が話してたからタイミング失っちゃったみたいだけど」

P「……」

「あ、凛ちゃーん。私探したんだよ?」

凛「卯月じゃん。探してたのは私もなんだけど」

卯月「じゃあ、二人でぐるぐるしてたのかな?」

凛「そうかもね。…じゃあPさん、里美、またね」

P「……」

里美「は~い。また事務所で会いましょうね」



P「……」

里美「Pさん?」

P「あ、ああ…。せんしゅ、先週俺たちなにしてたっけ」

里美「……」

P「里美!」

里美「……さぁ?雑談じゃないですか?」

P「なぁ、俺たち里美のこれからの話してたよな?
高校卒業後に休業するときついから、
仕事調節しつつ大学と両立しようって」

里美「…Pさん」

P「あ、ああ…。聞かれてたんだ。
高校卒業前に辞めた彼女に」

里美「Pさん!それ以上は!」

P「しかも、これからリスタートしようとしてたのに!」


里美「別にPさんに悪意があったわけじゃあ!」

P「それでも…!それでも俺が!」

里美「Pさん!」

P「俺が…俺うぷ…ト、トイレ行ってくる」

里美「ちょっとPさん!待って!」

P( 俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ…!俺が原因で辞めたのに、
そいつが新しい担当とのうのうと将来を語ってるとか )

P( しかも、現在の自分を否定する話を笑いながらしてるなんて!クソッ )

ガチャ、バタン

P「ぅげ…おぼぼぼ…うあぁ…」

P( やはり彼女を殺したのは俺だ。俺が、俺が彼女を壊したんだ )

里美「Pさん!ちょ、大丈夫ですかぁ?」



P「…済まない。ちょっとやばいかもしれない。幸い葬儀は終わってるからな、今から帰れば…」

里美「はい、帰りましょう。
それと、これ以上考えてはダメです。
Pさんには休息が必要です」

P「ははは…。ああ、今日は車じゃなかったんだっけ」

里美「車でも運転なんてさせません。…タクシー呼びましたから来てください。
肩貸しますから」

P「いや、必要ないよ。
俺には誰かに助けてもらう資格なんて…」

里美「それはPさん自身が決めることじゃありません。
ほら、口ゆすいで」

P「ああ…済まないな…」

里美「もう…。あっ!済みませーん。肩貸して貰えますかぁ?
ちょっと体調が悪いみたいでぇ~」

里美「はいタクシーをーーー」

P( ああ、目が回る…。
視界が暗くなってきた…。
結局俺は里美にまで迷惑を… )

里美「Pさん?Pさんってばぁーーー」



つづく


今日はここまで
さとみん全然喋ってねぇ…

見てくれた方ありがとうごささいました
明後日か明々後日に、
またお願いします


ありがとうございます

次から




ーー

ーーー



P「…ん…ああ…うん…?」

P( …目覚めたのは自室のベッド
おそらく時間は日付を跨ぐ直前くらいか…。
空腹がおおよその時間をおしえてくれる )

里美「Pさん?」

P「…ああ…。里美か。
済まん、今何時かわかるか?」

里美「んー、23:00を少し過ぎたあたりですね。…お水要りませんか?」

P「頼む。んぐ…そうかそんな時間か」

P( 俺が葬儀場で意識を失ったのがおそらく17:00頃。
五時間以上も迷惑をかけたのか… )

P「ありがとな、里美。
ずっとここにいてくれたんだろ?」

里美「ええ、そりゃあ。
あんな顔色で譫言を云い続けてる人を放ってはおけませんからぁ」



P「譫言?てっきり意識を失ってしまったと思ってたんだが」

里美「さすがに意識を失っていれば、救急車を呼びましたよ。
…周りの方はあの状況でも救急車を呼んだ方がいいと思っているようでしたが」

P「そっか…。それにしても譫言か。
…何て云ってた?」

里美「……」

P「里美?」

里美「…__さんのお名前と…『ごめん』『済まない』と繰り返し」

P「それは…」

里美「正直に云うと…」

P「ん?」

里美「正直に云うと彼女に嫉妬してしまいます。
死んでも未だにPさんを捕え続けるその在り様に」

P「……」


P「そういや、こんな時間までいて大丈夫なのか?里美って寮だろ」

P( 今それになにがしかの応えを返すわけにはいかない。
受け入れるにせよ拒絶するにせよ )

P( こんな状態の俺では彼女の“ 行動 ”自体は絶対に拒めないのだから。
受け入れたフリをして後になってから裏切ることだけは絶対にしてはならない )

里美「ッ…ええ、凛ちゃんに頼んで泊まらせてもらったことにしましたから」

P「凛には借りができたなぁ。
っと、今からシーツ変えるからこのベッドで寝てくれ。
汗臭さとかはまぁ、勘弁してくれよ」

里美「はぁ…」

P「溜息吐く程嫌か?割と傷付くんだが」

里美「いえ~。嫌なわけじゃありませんけどぉ~。
病人を退かせてベッドを使うのはちょっとぉ~…」

P「別に病人ってわけじゃねーし。
女の子を床やソファで寝させるわけにはいかないからな」

里美「病人じゃない?
まさか病院で診察を受けてないから病人じゃないっていうんですかぁ?」

P「それでも…」


里美「大体」

里美「こんな時間に制服姿の女子高生をベッドに横座りさせてる時点で、
Pさんに常識や倫理を語る資格はないと思いますぅ~」

P( 確かに。そういえば葬儀帰りなのだ。里美は制服姿。
まぁ、私服姿でも状況はあまり変わらないが )

里美「それに、つい最近一緒に抱きしめあって眠ったじゃないですかぁ」

P「そうだが…」

P( できればあのホテルの過ちにしておきたかったが… )

P「…じゃあ、また一緒に寝てもいいか?」

P( しかし、正直倫理なんてものを考えるのも億劫だ。
元来からして真面目な人間でもない )

里美「もちろんですよぉ~。あ、でも制服シワになっちゃいますぅ~」

P「…下着はどうしようもないが一日くらいは俺の服で我慢してくれ。
そっちの箪笥に入ってるやつは自由に使ってくれていい」

P「俺もシャワーくらいは浴びてくる。じゃ、適当に選んどいてくれ」

里美「はぁい」ゴソゴソ




ーー

ーーー


ガラガラ、ピシャ

P「ふぅ…Tシャツと七分丈のズボンでいっか」

P( シャワーを浴びた結果多少は頭がクリアになった。
ただ、それは同時にそれまで深いところに沈んでいた倫理などが浮上してくることを意味する )

P( さらに彼女が自殺したことも思い出す。
別に忘れていたわけではないが、
それでも人間の防衛本能ゆえか先ほどまではあまり深くは意識していなかった )

P「俺が、人を、壊した」

P( “ アレ ”が直接の原因だとは限らない。
あの“ 会話 ”の直後に飛び降りが起きたわけでもない )

P( それでもやはり、責任や罪悪感。そして後悔が俺を襲う )

P「…俺は…」

里美「Pさぁん?もういいですかぁ?」

P「あ、ああ。もう服は着てるよ」

ガチャ

P「タオルはそこにあるから。
じゃ、ゆっくり…ってわけにはいかないが、リラックスしてくれ。
今日は迷惑掛けたからな」

里美「迷惑なんかじゃないですぅ~。
不幸中の、というかまた一緒に寝れますからぁ」

P「ははは…。じゃ、俺は部屋にいるから」

バタン


P( 白状してしまえば里美がいてくれて助かった。
あのまま一人でいれば十中八九精神的に潰れていただろう )

P( 里美と会話しているだけで、
彼女のことを考えているだけで、
他のことが全て些末事に思える )

P( いや、思えるんじゃない。
“ そもそも思い浮かぶことなんてない ” )

P「……」

P( 結局のところ俺たちを縛るものはなにもない。
問題になるのは俺が里美を信じることができるかどうか )

P( 本当に俺という存在は里美の中で兄よりも上位にいるのか。
自ら逝ってしまった彼女に捨てられた自分はその一点が信じられない )

P( そこさえ…そこさえ信じることができれば… )

ガチャ、バタン

P( そうだ…。さっきまで里美はこのベッドで俺を待っていてくれた。
それだけじゃ駄目なのか。
これ以上俺は彼女に何を求める? )

P( 捨てられた恐怖に逃げるのか?
それともアイドルとプロデューサーという立場に逃げるのか? )

P( 元々この仕事だって辞めようとしていたんだ。
それを止める切っ掛けになったのが里美。
やはりそれが答えなんじゃないのか )

P「…堂々巡り…だな」




ーー

ーーー


シャ---、シャ------

里美( あの人は迷っているんじゃない。
怖がっているだけ )

里美( 自らを突き放した彼女から。
未来の私から。
……そして“ 彼自身の中にいる私たち ”から )

里美( あの人以外の人ならば、
それは甘えだと云い切れる。
『あなたは背中を押してほしいだけだ。
もしくは、受け身で責任を相手に押し付けたいだけだ』と )

里美( それでもあの人ならば…。
むしろ私は甘えてほしい。
出会った瞬間から私のクロッシングに鮮烈な反応をくれた人 )

里美( 初対面で甘い感覚に包まれるなんて最初で最後。
お兄様と間違えたなんてのは嘘 )

里美( それまでお兄様を追いながら逃げていた私は居場所を見つけた )

里美( 彷徨う雑踏で感じたそのままに。
彼は私の全てになった )

里美( だからーーーー )

里美「…それを今日、永遠にする」

キュッ





身体を落ちる雫

張り付く髪

知らず熱っぽくなる吐息

上がる体温と身体

ただ、意識だけが冷たくクリア



私はーーー





私と彼の出会いは一方的なものでした

ただの押し掛けといってもいい

だけど…

それを後悔することなんて、ない






ーー

ーーー


ガチャ、バタン


里美「ふわぁぁ…シャワーありがとうございましたぁ。
タオルは洗濯機に入れときましたけど大丈夫ですよね?」

P「……」

里美「Pさん?」

P「…なんでYシャツだけなんだよ」

P( 裸Yシャツとかおかしい。
ジャージとかスウェットとかTシャツあっただろ… 。
これじゃまるで )

P「その…目のやり場に困るんだ」

里美「お好きじゃありませんか?」

P「好…いや、そういう問題じゃない。
男の部屋でそういうことをするってことはーーー」

里美「えいっ」

P「!」ドサッ

里美「あはっ。この前とは逆で私が上ですねっ」

P「上っ…。いや、里美?」

里美「男の人の部屋でこういうことをする理由なんて私にもわかりますぅ~。
大体、私の言動を思い出せば私の気持ちはわかりますよね?」

P( …そもそもストレートに告白かれたわけだからな )


P「それでもっむ」

里美「ちゅ…」

P「里美!」

里美「…んぁ…キスってやっぱり甘いんですね」

P「俺たちは」

里美「私たちが今更倫理や常識を口にすることは許されませんよ」

P「……」

里美「彼女が亡くなった原因はわかりません。
本当に私たちの会話を気に病んだのかもしれない」

里美「高校でイジメがあったのかもしれません。
もしかすると事務所で嫌がらせがあったのかも」

里美「でも、それは今となってはわかりません」

里美「それに、これからの私たちにそんなものが必要ですかぁ?
私とあなたがいればそれで完結する、
閉じた世界の方が幸せだと思いませんか?」


P「…俺たちの幸せ、か。
俺が里美を貪って捨てるとは思わないのか?」

里美「思いませんよぉ~?
Pさんが躊躇ってるのはそんな優しさじゃなくて、
自分が捨てられないか恐れてる恐怖心だけですからぁ」

P「ッ…随分辛辣だな」

里美「ほぇ?そうですかぁ?
本当のことを云うのは辛辣とは違いますよ」

P( それを里美から云われることが辛いんだ。
いや、里美だってわかって云っている )

里美「背中を押してほしいだけ。
自分がこの後どんな振る舞いをしても悪くない」

里美「無条件に優しくしてほしいだけ。
自分は受け身で何も差し出さないけれど、相手には全てを捧げてほしい」

里美「そういうのをーーー」








「豚の欲望って、いうんです」








P「!…」

里美「正直…軽蔑します」

P「…そんなことは…!
そんなことは俺だってわかってるんだよ!
俺に好かれる資格がないことなんて!」

P「里美が告白してくれたから!
里美が介抱してくれたから!
里美が泊まってくれたから!」

P「だから、今の状況になってんのは俺が一番理解知ってんだよ!」

P( この空間は心地良い。
彼女と二人で他は何もなく。
嫌なことなどなにもない )

P( しかしここまでくるのに俺という個人は全く役割を果たしていない。
里美が決め里美が動く。それだけだった )

P( 人間は何不自由無い生活をしていると逆に息苦しさや、罪悪感を覚えるものである )

P( それなのにーーー )

里美「Pさんは、自分が本来感じるべき不快感を私という存在で上書きしたいだけです。
そんな人が今更他人を気にする?」

P「ならッ、俺を突き放せよ!俺を解放してくれよ!
里美といると幸せすぎるんだよ!」

里美「嫌いと軽蔑は矛盾しませんからぁ」

P「……」

里美「私に…溺れてみてもいいんじゃないですかぁ?」




その夜俺は


その夜私は


アイドルとプロデューサーから


少女に縋る浅ましい人間から


咎人を詰る正しき人間から



共犯者となった



ありがとうございました

明後日か明々後日に来ます


読んでくれた方ありがとうございます

次から





ーー

ーーー


P「ん…ぅ…朝、か」

P( …結局彼女に、自分に、そして里美自身に痛めつけられた俺は彼女に溺れてしまった )

里美「…んぅ…すぅ…」Zzz…

P「…安らかに寝ちゃってまぁ…」

P( クロッシングという稀有な特徴ゆえか、
里美は破瓜の痛苦の後は自ら求める程に豹変した )

P( それが良いことなのか悪いことなのかはわからない。
しかしーーー )

P( 情けない男の情念と“ ソレ ”が相克し合い、相互に溺れ合うようなことになる原因になったのは確かだ )

里美「んゅ…」ナデナデ

里美「ふぁぁ…ぅあ…」

P( 共犯者、か。
おそらくこの過ちは刹那の快楽にはならない )

P( これからも永く。
里美に捨てられる恐怖に怯えつつも終わらないだろう )

P「ま、それもいいさ。
無理に選ぶ必要はない。
里美が俺を選んでくれた事実だけを抱き続ければいい」

P「おーい。里美ー。
そろそろ起きないとまずいぞ。
休みだからってダラダラすんなよー」

P「俺は…彼女のものだからな」



『あなたは私のものです。
生きるのが辛いのならば、常に怯え続けれるのが怖いなら』

『私のために生きて』

『自らで幸不幸を考えることこそが不幸なのです』

『その代わりあなたがを愛し続ける限りーーー』




『榊原里美はあなたを捨てません』


『あなたを裏切りません』


『あなたを……絶対に離しません』





ーー

ーーー



P「久しぶりだな__。
墓参りがこんなに恐ろしくなるとは思わなかった。
…やっとわかった気がするよ。
あの時俺に云いたかったこと」


『あなたの愛は女の子を閉じ込める愛よ。
人形のように守り見つめるだけの一方通行』

『私は…同じ方向を向きたかった』


P「 愛は、お互いを見つめ合うことではなく、
ともに同じ方向を見つめることである」

P「サン=テグジュペリの言葉だったんだな」

P「…俺は俺が捨てられる恐怖に逃げるあまり、
俺以外の個人を見ていなかった。
捨てられないための自己犠牲なんて醜いだけだ」

P「自己愛からくる歪んだ愛なんて誰もいらないよな。
…その所為でさらに逃げてここにくるのも遅れてしまった」

P「…本当に済まない」

里美「あなたが謝る必要はありませんよ。
…いえ、あなたに“ 謝る資格はありません ”」

P「…そうだな」


里美「…__さん。
もしかすると私があなたから何もかもを、
奪ってしまったのかもしれません」

里美「アイドルも、Pさんも、そして人生すらも」

里美「でも、私は謝りません。
私も彼と同じで“ 謝る資格がありません ”」

P( 俺たちは結局共犯者という関係からは逃れることができなかった。しかも…… )

P「…俺たち、結婚するんだ。
それに……里美はアイドルを辞めたし、
俺もプロデューサーを辞めた」

P「今日はその報告にきたんだ。
…まぁ、そっちからすれば些末なことかもしれないけどな」

里美「…きっと、彼女ならばーーー」

P「ん?」

里美「いーえ?」

P「…帰るか。
お義父様とお義母様も待ってる」

里美「…そうですね」


P「ん?」

「…プロデューサー…」

P「お母さん…ですか?」

「…今日は墓参りに?」

P「え、ええ。
暫くはこちらには来れなくなりますから」

P( 俺と里美はプロダクションを辞めた。
形式的にはそれはもう円満に )

P( 実状はアイドルに囲まれる恐怖に俺が耐えられなくなったからで、
ただの逃避だったが )

里美「父と兄が新しい事業を始めまして。
経理や広報に向く彼がいれば心強いと」

P( 里美の兄上は二年前に帰国してお義父様の片腕として活躍している )

P( 俺はその若手実業家の懐刀として招かれたのだ。
メディアに強いというのは事業を起こすにあたり、
加えて発展させるにあたり実に便利だ )

P( これが俺を見たものではなく里美のクロッシングを考慮しての考えだとは思いたくない )

P( 一度逃げ、さらに里美のことで逃げたくはない )

P「では、私たちはこれで…」

「ああ、引き止めちゃって…。
できればたまには来てくださいね」

P「はい…では。…いくぞ、里美」

里美「はぁい、あなた」







「プロデューサー!」









サァーーー……


若葉茂る森林の墓地に不釣合いな緑風


一陣の春風は若芽を揺らした


そして、俺たちの襟足もふわりと









「本当に、おめでとうございます!」







P「…ええ、お母さんもどうかお元気で」

里美「……」

P「……」

P( どうしても、お母さんの顔は直視できなかった。
俺に責任はないと信じることにしたはずだが、それでも、俺には )

里美「お兄様も確か今日はお仕事を早目に切り上げて歓迎してくださるそうですよぉ~?」

P「そっか…。それなら忙がなくちゃな」

里美「今はもう…隣に座っても?」

P「だ…いや、むしろ俺からお願いしたいよ」

P( 同じ方向を……か )

里美「うふふ~♪さすが旦那様っ」ギュッ

P「うおっと…。急に抱きつくなよな」

里美「あなたが支えてくれるからいいんですよぉ~」

P「まったく…」



里美「…そういえば」

P「ん?」

里美「先ほどの方誰なんですか?」

P「は?」

里美「あの、お母さんと云っていましたが」

P「いや、__のお母さんだろ?
ほら、里美も葬儀で会ったはずだぞ」

里美「お母さんには会いましたけど…。
今の人、若々しくありませんでした?
私と同じくらいのような…」

P「いや、そんなはずは…」

里美「それに私、結婚したなんて云ってませんよ?
なのに、『おめでとう』なんて…」

P( そういえば、彼女は一度も俺の『お母さん』に対して肯定していない? )

P( 加えて俺は呵責から相手の顔を見ていなかったし…、上の空で声もあまり…嘘…だろ )

P「里美!ここにいろ!俺もすぐ戻る」

里美「ちょ、Pさぁん!」



P( 俺はそんなものを信じる生き方をしてきたか?
否、だ。
俺は見えるものだけを信じる )

P「それでもッ」

P( 俺はやっと逃げるのをやめたんだ。
せめて、せめて一言返させてくれよ )

P「おめでとう、と云われたらッ!
ありがとう、って云いたいじゃないか!」

P「…ハァ…ハァ…」

P「……」キョロ、キョロ

P「いない、か」

P( …いや、よく考えればおかしなことだよな。
単にお母さんってのは俺の勘違いだと受けとられただけだろう )

P( 今時若々しい人なんて沢山いるじゃないか )

P( そう…それが当たりまーーー )








サァーーー……


またしても、爽やかな風が吹いた






「…プロデューサーさん?」

P「!なんだ?」

「どうしたんですか?」

P「…お母さん、でしたか」

P( その人は紛れもなく、彼女の母親だった。
年相応の年輪を感じさせる声、皺、そしてこちらを案じる優しさ )

里美「ちょっと、Pさぁん。
待ってくださいよぉ~」

P「ああ、悪かったな」

「ふふっ、そそっかしい方なんですね。
忘れ物ですか?」

P「いえ、忘れ物をしていないのを忘れていた、というか」

里美「まったく…。まだ、ボケるには早いですよぉ~?」

P「ああ…。って、やばいな。
これからだと里美の実家に行くまで休憩が取れない。行くぞ!」

里美「ほぇぇ~。私、そんなに体力はぁ…」

P「では、またいずれ!」

「はい、また会いましょうね」





ーー

ーーー


里美「んぅ…すぅ…」Zzz…

P「走らせすぎちゃったかな」

P( 里美は墓参りからの移動中に寝てしまった。
まぁ、俺のせいでもあるんだが )

P( もちろん席は隣だ )

里美「ふぇ…んふふ…」

P「なんか夢でも見てるのかよ…」

P( …過去の自分と訣別するために訪れた果ての地で、
俺は新たな答えを見つけた )

P( なぜならーーー )


彼女の墓石は奥にあり


目指す道は入口から一本道


二つある駐車場の一つから走った俺は誰ともすれ違わなかった


そして彼女の母親は俺の後ろから声を掛けてきた


答えはそれだけで充分だろう



以上です

最後なんだか語彙が足りなかったり、
急ぎ足になったりしましたが、
読んでくれた方ありがとうございました

榊原里美(17)
http://i.imgur.com/lESvFsR.jpg
http://i.imgur.com/QlVuAtj.jpg


三村かな子(17)
http://i.imgur.com/Cw8Mtwf.jpg
http://i.imgur.com/oLvZ5VB.jpg

渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/5TL4Wko.jpg
http://i.imgur.com/beyGOj7.jpg

島村卯月(17)
http://i.imgur.com/HZR1rfy.jpg
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