纏流子「あなたを・もっと・知りたくて」(31)


―本能寺学園:体育館―

猿投山「……ようやく来たようだな、纏流子」

流子「……」ザッ

猿投山「今日こそ、決着をつけてやる! 勝負だ纏!」どやぁっ

流子「…お、おう……////」もじもじ


生徒「頑張れよ流子ちゃーん!」

生徒「君には『流子ちゃんファン倶楽部』が付いているぞー!!」

生徒「規制が緩和された今、誰が猿なんか応援するかバカやろー!!」

猿投山「何だと今言った奴覚えてろよ!」

蛇崩「……いいの? 皐月ちゃん。妹ちゃんには、普通の高校生活を送らせたかったんでしょ?」

皐月「やむを得ん。猿投山とは、ここで適当に方を付けておいた方がいい……」

流子「……は、始めないのか? …猿投山////」どきどき

猿投山「焦るな纏。鋏を構えても意味は無い。――なぜなら、今回の勝負は武力ではなく知力勝負だからだ! 残念だったな!!」


 ぽいっ がしゃーん がこんっ

猿投山「あだっ、いだっ、ゴミを投げるんじゃない観衆! いてっ」

生徒「ふざけんな猿投山」ポイッ

生徒「知性ゼロのお前が知力勝負を提案していいと思ってんのかぁ」ゲシッ

猿投山「いでっ! 今テレビ投げた奴覚えとけよ! ……という訳で、俺の出した質問にすべて答えられればお前の勝ち、できなければ俺の勝ちだ! わかったか纏!」

流子「うんわかった///」コクンッ

生徒(素直だ……!)

生徒(なんだ? 今日の流子ちゃん……乙女……?)

猿投山「第一問! コンニャクに関する問題だ!」

流子(コンニャク……)


 じゃじゃんっ♪

猿投山「板コンニャク100gあたりに含まれる食物繊維は何g!?」

流子「3.0g」

 ピンポンピンポーン♪

猿投山「……くっ! 正解だっ!」ギリッ

皐月「……ほう。意外とやるな流子」

猿投山「第二問! コンニャクに関する問題だ」

 じゃじゃんっ♪

猿投山「……コンニャク芋が日本に伝わったのは朝鮮からだが、本格的に輸入されたのはどこの国からだ!? 当時の日本の天皇と合わせて、当時の名称で答えろ!!」

流子「国は中国、当時は隋。天皇は推古天皇。当時の名称で答えるなら、『古事記』での呼ばれ方は、豊御食炊屋比売命」

 ピンポンピンポーン♪

猿投山「……ぐっ! 正解だっ!」クソッ

美木杉「流子くんは、世界史より日本史の方が得意みたいだね……」

マコ「流子ちゃーん、いっけぇー!!」


 (中略)

流子「年は1776年。人物は、水戸藩那珂郡山方町農民の中島藤右衛門」

猿投山「……ぐはっ! せ、正解だぁっ!」グァッ

蟇郡「もうすぐ一時間か……。ここまですべて、コンニャクの問題しか出していないな」

犬牟田「纏流子が、ここまでコンニャクに詳しいとはね……。データに書き加えておこう」カチャカチャ

猿投山「調子に乗っていられるのもそこまでだぞ纏! この問題で止めをさしてやるっ!」

流子「お、おう。……さ、さされないけどなっ////」

猿投山「第九十七問! コンニャクに関する問題だ。……皆大好き『玉こんにゃく』を『玉こん』と呼称することがあるが、これはある会社の登録商標だ。その会社名は何だ!」

流子「えっ。その問題、もう出てるぞ」

猿投山「なんだとっ!? ……な、なら、『こんにゃく閻魔』と称される、好物のコンニャクを備えて祈願すれば眼病に霊験があるという閻魔像がある寺の名前と場所はっ!?」

流子「それも、出てる」

猿投山「ならばっ、こんにゃく農家の保護・育成のために活動する、かつて小渕恵三も会長を務めていた連盟の名前はっ!?」

流子「それも……」


猿投山「だぁー!!! なぜそんなに詳しいんだ纏っ! お前の実家はコンニャク製造業なのか、ああん!?」

流子「えっ////」どきっ

生徒「最悪だ! 逆切れしたぞ四天王!」

生徒「奴は四天王の中で最弱……!」

猿投山「だーかーらー観衆うるせぇっ!!」バシィンッ

流子「……だって、……たかったから////」ボソッ

猿投山「ああ!? なんだって!!?」

流子「……あなたを、もっと、知りたかったから……///」


 しーん・・・・・・・

猿投山「は?」

皐月「…りゅ、流子?」

蟇郡「どういうことだ、犬牟田ぁあ!」

犬牟田「こ、これは僕にも想定外だ……!」カチャカチャカチャ

蛇崩「よ、よりによってあの山猿さんになんて……不憫すぎる!」

生徒「死ね! 猿死ね! SHINE!」

生徒「輝けぇええええ!!」

猿投山「纏。それは、どういう……?」

流子「ほっ、本で読んだんだよ…。図書館の、コンニャクに関する本、全部……///」もじもじっ

猿投山「くそっ、纏がコンニャク好きだったとは……。俺と話が合いそうじゃねえか!」

流子「……別に、コンニャク好きって訳でも、ないけどな……////」ぽっ


猿投山「じゃぁ何でだ?」

流子「いっ、いや、だからっ。……さ、さっきも言ったろ。わ、私はお前のことが知りたくてだな――////」

猿投山「……なんで俺のことが知りたいんだ?」

流子「ほぇっ!? そ、そそっそれは、その、だから、/////////」かぁああっ

皐月(み、見てられん! 止めたい!! 止めたいが、今止めれば、さらに流子が恥をかくかもしれん……!)

蛇崩(皐月ちゃんも頭抱えちゃってる……!)

犬牟田「これをデータに取るのは、さすがに良心が痛むね……」カチャカチャ


流子「わ、私が、お前のことをだな、……えと、/////」

猿投山「……」

流子「……す、す、すっ……/////」

生徒「……なんだ、この公開告白……」ガーン

生徒「誰か止めてやれよ……そして猿投山輝け!」

生徒「黙っててよ男子! 今いいとこなんだから!」カメラパシャパシャ

皐月(空気読め! 猿投山、空気読め! 察しろ!!)ギンッ

猿投山(なんだ? やけに皐月様の視線を感じるが……勝負が長引いているからか?)ヒシヒシ

流子「すっ、す……すk////」

猿投山「あーもう、はっきり言え纏! 俺ははっきりしない奴は嫌いなんだ!」ドンッ

流子「え」

蛇崩「あ」

マコ「わー!!!」

猿投山「ん?」


流子「あっ、あー、そっかっ。そーだよな、あはは、バカだな私一人で舞い上がってさ。うん、嫌い、だよなっ」

猿投山「ど、どうした纏……何か急に脈が落ち着いているが……」

流子「何でもない、何でもないんだ! 気にしちゃいけない。……じゃぁな、猿投山!!」だっ

猿投山「!? 待て、逃げる気かまと」

 ポイポイッ がこーんっ ばきっ どしゃっ

猿投山「うおっ!? 誰だ今電子レンジ投げた奴!」

生徒「輝け猿投山!」ポイッ

生徒「猿投山爆発しろ!!」ドカンッ

美木杉「お、おおっと……これは、きっついなぁ……。担任としてのフォローが大変そうだ」ファサ・・・

生徒(どんなフォローをする気なんだ美木杉先生!?)

マコ「マコにだって、乙女心くらいわかりますっ! 猿投山先輩の人でなし!! ――そして流子ちゃん待ってよぉー!!」どぴゅんっ

猿投山「くっ、観衆になど構ってられるか! 俺は纏を追わなければ……決着はまだ付いていな」

皐月「追うな猿投山!」ピカーッ


猿投山「皐月様!」

皐月「……というか、追わないでやってくれ。これは、あまりにも……」はー…

猿投山「しかし皐月様! 俺と纏の決着はまだ」

蛇崩「もういいから。もうアホ猿の勝ちってことにしといてあげるから。これで満足?」ぺっ

猿投山「なんだその蔑んだ眼は!?」

犬牟田「君のあほさ加減にはほとほと愛想が尽きるよ。そんなだから未だに道程卒業できないんだ」

猿投山「なぜ知っている!!? そしてばらすな!!」

蟇郡「猿投山ぁあ!! 貴様、鈍すぎるぞぉおお!!!」

猿投山「お前に言われたかねーよ!」

美木杉「あー。っていうか、いつから君と流子くんは、そういう爛れた関係だったのかな?」

猿投山「爛れた関係ってなんだ!?」

蟇郡「質問を変えよう。――猿投山、纏の様子がおかしいとは思わなかったのか?」

猿投山「それは思った」

蟇郡「いつからだ」

猿投山「あれは確か―――」


―1週間前―

 ヒュゥウウウウウ・・・・・・

猿投山「纏! 俺と勝負しろ!」バンッ

流子「……勝てもしねーのに毎日毎日、ご苦労なこった」チャキッ

猿投山「めぇえええんっ!!」ドドドッ

流子「……」ヒュッ ズバッ

猿投山「ぐはぁああああ!」バターン!

猿投山「」ピクピク・・・

流子「極制服も無いただの人間が、私に勝てる訳ないだろうが……。わかったら二度とつきまとうんじゃねぇ」クルッ

猿投山「……ま、まだだ、纏……まだ俺は敗けていない……!」ヨロッ・・・

流子「あん? ……虫の息じゃねーか」ばきっ

猿投山「ぐあっ!!」ドサッ

猿投山「……まだ、俺は…戦えるぞ…」フラフラ

流子「ふんっ」どこっ

猿投山「ぶはぁあああ!!!」ドサァッ!

流子「…………」クルッ


流子「……もう、あきらめろよ。猿投山……」

猿投山「……まだ、だ……」フラッフラッ

猿投山「……あきらめているのは、お前だ、纏……」ヨロヨロ

流子「私が? ――何をあきらめてるっていうんだよ」どこっ

猿投山「ぐふぅっ!! ……俺は覚えているぞ、纏。……本気で喧嘩をしている時、お前は楽しそうだった…!」

流子「っ!?」ピクッ

猿投山「……俺も同じだから…わかるんだよっ…! 拳と拳で相手と語り合う、…そんな風にしか自分を表現できないんだろ……!」

流子「……知ったような口きくんじゃねぇっ!!!」ひゅんっ

猿投山「うおっ!!?」


 ズバァンッ  ズッ… ガラガラガッシャーン

猿投山「背後の廃ビルが、一振りでスクラップだと……!」

流子「お前も、もう知ってるだろ!? 私は普通の人間じゃない。……本気でぶつかりあう? 笑わせんな。私が手加減してなきゃ、お前はとっくに死んでんだよ。……もう昔とは違うんだ。本気で喧嘩することなんてできねぇんだよ!!」ぶんっ

猿投山「…いいや! ……普通は死んでも、俺はっ! お前を倒すまでは死なんぞ、纏!!」ガキンッ!

流子「――!! ふっ、ふざけんなっ!」どかっ

猿投山「ごぉっ!! ……例え、お前が何と言おうと……例え、何十年、何百年かかろうと…お前を倒すのは、この、俺だぁあ!!」ドーウッ!

流子「…………!!!」ぴたっ

 ばこんっ

猿投山「……え、入った?」

流子「……」ぐいっ バコンッ

猿投山「ぐはぁあっ!!!」バチィイーンッ!

流子「わっ、笑わせんなよ……お前、なんかが、私を倒すとか……」クルッ

猿投山「……ま、待て、まと…い……」ガクッ

流子「……待ってるから」ボソッ スタスタ・・・

猿投山「」チーン・・・


―――――――

猿投山「というやり取りの後、纏が急によそよそしく――」

犬牟田「うん、纏流子が思った以上にチョロかったってことがよくわかったよ」

美木杉「今まで口説かれたことなかったんだろうね、流子くんは」

蛇崩「免疫なさすぎよ、転校生……」

皐月「……猿投山、貴様、自分が何をしたかわかっているのだろうな?」ギンッ

猿投山「すみません皐月様。さっぱりです」

蟇郡「……腹を切れ、猿投山。介錯は俺がしてやろう」小刀 スッ

猿投山「!?」


マコ「だめですっ。死んではいけませんっ!」ハーレルヤッ

蟇郡「満艦飾っ! 纏を追って行ったのでは……?」

マコ「きれいに見失いました!」

皐月「犬牟田。位置の特定を頼む」

犬牟田「はっ。服に付けたGPSから割り出します」カチャカチャカチャッ

マコ「確かに、猿投山先輩は人間のクズかもしれません!」

猿投山「おい」

マコ「でも、でも、流子ちゃんは言ってたもん!! 今日の朝だって――」


―今朝―

マコ「流子ちゃんっ! おはよー♪」

流子「おはようマコ♪ ……ん? これって」カサッ

マコ「うわぁ、また猿投山先輩からの直筆の挑戦状だね。情熱的だね!」

流子「…午後三時半、体育館にて待つ、か……。あの野郎///」ごそごそ

マコ「あれ? 流子ちゃん今日は握りつぶさないで大事にしまうんだね」じぃっ

流子「えっ! あ、あああああ、うん、そうだよ悪いか!/////」ギクッ

マコ「……流子ちゃん、大丈夫? 顔赤いよ?」

流子「あ、赤くない赤くない! これが普通!/////」

マコ「……あっ! わかった! 流子ちゃん鯉してるんでしょ!?」

流子「マコ、それだと魚だ。恋はこっちだ」


マコ「白状しちゃいなよ~! 言っちゃえば楽になれるよぉ~?」ツンツンツンッ

流子「ば、ばかっ。べ、べべ別に私はそういうんじゃなくてだな。ただ、なんというか、」

マコ「なんというか?」

流子「そ、そいつの前に出ると顔が熱くなって動悸がして頭が真っ白になって、でもなんかすぐにまた会いたくなるってだけだ!」

マコ「なぁんだ、そっか! じゃぁ違うね!」

美木杉「あー、それを、恋って言うんじゃないのかなぁ?」ガラッ

流子「みっ、みみみ美木杉ぃてめぇ!! どこから聞いてやがった!!?」

美木杉「鯉のとこから。いやぁ、青春だねぇ…。命短し、恋せよ乙女ってか。うんうん」

流子「なんかムカつくなこいつ……!」

マコ「ってことは、流子ちゃん挑戦受けるんだねっ。マコも応援するよ! 頑張ってね、流子ちゃん!」

流子「……ああ。まだ、勝たせるには早いからな! 今回も、私が勝つ!!!」ばーんっ


――――――

マコ「――って!」ブリッジ!

蛇崩「で、それがおサルさんが死んじゃいけない理由にどうつながるのよ? 劣等生」

マコ「流子ちゃんは、『まだ勝たせるには早い』と言いました。つまり、流子ちゃんは、いつかは猿投山先輩に倒してもらいたいということです! だから、流子ちゃんのためを思うのなら、猿投山先輩は生きて、流子ちゃんに再挑戦すべきなのです!!!」ビシィッ

猿投山「わざわざ言われんでも、俺は初めからそのつもりで」

犬牟田「おおっと。こいつは大変だぁ」カチャカチャ

皐月「どうした、犬牟田」

犬牟田「位置の特定に成功しましたが……これを見てください」ピッ

 画面ぱっ

皐月「これは……っ!」

タイトルを間違えた
これじゃ犬牟田回だ違う違う
「気分次第で責めないで」にすべきだった
もうブレブレだぁ でもいいかどうせ猿投山だし


犬牟田「監視カメラの映像です。この部分にGPSの反応がありました」

マコ「えっ、でも、ここ海だよ!?」

犬牟田「……反応は海中からでした」

蛇崩「飛び込みしたってことぉ!?」

猿投山「なんだとっ!!?」

蟇郡「これよりも前の映像はないのか、犬牟田!」

犬牟田「ある。画像が荒いからちょっと待ってて……。よし、だいぶマシになった」クリック!

 ザザザッ・・・

マコ「あっ、流子ちゃんだ!」

皐月「……準備体操をしているのか?」

蛇崩「あ、服着たまま海に飛び込んだ」

猿投山「で、出てこないな……」ハラハラ

蟇郡「むっ!? グロテスクな巨大魚が海中から飛び出してきたぞ!?」

犬牟田「纏流子も頭を出してるよ。息継ぎをして、またすぐ潜った」

蛇崩「どーいうこと? 何をしてるの転校生は!?」


犬牟田「……ストレス発散じゃないかな。深海の水圧なら、生命繊維と融合した存在である纏流子が暴れても、地上に大した影響はない。この迷いの無さ、日常的に深海魚をリンチしていると見たね」カチャカチャ

美木杉「ストレス溜まってたんだね、流子くんは」


マコ「じゃぁ、流子ちゃん無事なんだねっ!」

犬牟田「いや、これ、10分以上前の映像なんだ。最後に息継ぎをしてから、時間が経ちすぎている……。もしずっと海中に居たとしたら、酸欠で確実に気を失っているはずだ」

マコ「え……」

伊織「まずいぞっ! 酸欠で脳の機能が停止すれば、体の生命活動も止まる……。羅暁との戦いの時のように、神衣を着ているのならまだしも、このままでは体内の生命繊維もエネルギーの供給を失って死滅し、流子さんも溺れ死んでしまうっ!!」

皐月「蛇崩、ダイビング部を監視カメラのポイントに集合させろ! 犬牟田、情報部のレーザー探査機を使い、見つけ次第ダイビング部に指示を送れ! 蟇郡は、風紀部を中心に、海中の捜索を手伝え! 揃と伊織は、宝多財閥から買い取っておいた潜水艦を出してくれ! 私は周辺の漁船に連絡を取り、協力を要請、後にポイントに合流する!!」

猿投山「皐月様! 俺は何をすれば」

皐月「猿投山は特になし! 草の根わけてでも探し出す……。総員、準備にかかれっ!!」

犬蟇蛇揃居伊「はっ!!!」どぴゅんっ

マコ「マコも行きますっ! 待っててね流子ちゃん! 今、マコが行くからぁー!!!」浮き輪ダッシュ


猿投山「…………」

美木杉「いやぁ、惚れた女が自分のせいでピンチになっているのに、邪魔者扱いされて悔しいって顔をしているねぇ」

猿投山「……俺はただ、纏との決着を付けたかっただけだ」

美木杉「このままじゃぁ、その相手が居なくなるかもしれないのに。何もできないで、大人しくしていられるのかい」

猿投山「俺だって、しようと思えば素潜りぐらいはできるさ。だが、俺まで作戦に参加してしまうと、本能寺学園が空になってしまう。……そしたら、纏が戻ってきたときに誰が皐月様に報告するんだ?」

美木杉「やっぱり、君もそう思うかい」

猿投山「ああ。纏は、あんな場所で溺れるような奴じゃない。水球部との戦いを覗き見していた俺が言うんだから間違いない」

美木杉「だが、あんな小細工をして人員を海に集中させたってことは、誰にも見つけて欲しくないということだろう。また、ものすごく、荒れてると思うよ」


猿投山「……そうだな。だが、俺が受けてやるさ。纏の気が済むまでな」

美木杉「そう言うと思ったよ。はい、これ、纏くんの家の焼け跡までの地図」ぴらっ

猿投山「?」

美木杉「流子くんが出て行ったすぐ後にね、メールで(黄長瀬)紬に見てくるように頼んだんだ。ビンゴだったよ。流子くんはここに居る」

猿投山「なぜさっきそれを言わなかった!?」

美木杉「ホントは、僕が抜け駆けしたかったんだけどね……気が変わったんだ」

猿投山「……あんたは、行かなくていいのか」

美木杉「僕はいいよ。ここが空になっても困るしね」

猿投山「すまない。……ありがとう」だっ


美木杉「……ふっ。何をやっているんだろうね、僕は……」

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