スネーク「こちらスネーク。トリントン基地へ潜入した」 (71)



キャンベル「オーストラリア東部、シドニー湾の北方に位置する連邦軍基地。通称“トリントン基地”」

キャンベル「表向きには戦略的価値の低い後方支援基地とされているが、基地内には核貯蔵施設が置かれ、南極条約で使用が禁止された核弾頭がこの基地に保管されている」

キャンベル「そしてつい先日、基地内に潜入していたデラーズ・フリートの諜報員が新たな情報を手に入れた」

キャンベル「連邦軍の試作MS(モビルスーツ)が2機、運用テスト試験を兼ねて配備されたらしい」

キャンベル「どうやら、コロニーが落下し人口が激減したという状況を利用して、新型兵器のテスト拠点としても活用されているそうだ」

スネーク「……それで?」

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キャンベル「君に依頼する任務は2つ」

キャンベル「基地内に潜入して、連邦軍の新型MSを破壊、可能ならばそれを奪取すること」

キャンベル「そして、連邦軍の核発射能力の有無を調査し、事実ならばそれを阻止することだ」

スネーク「わかった。で、潜入方法は?」

キャンベル「ユーコン級潜水艦で基地沿岸の近くまで接近、その後小型潜水艇を射出する」

スネーク「そこからは?」

キャンベル「基地沿岸に最接近後、潜水艇を破棄」

キャンベル「後は泳ぎだ」

スネーク「なるほど」



キャンベル「上陸後は無線機で指示を出す」

スネーク「俺の他には?」

キャンベル「いつものように、単独での潜入任務(スニーキング・ミッション)だ」

スネーク「装備も武器も現地調達……」

キャンベル「非公式の極秘任務だ。連邦に感付かれては元も子もない」

スネーク「ああ。わかっているさ」



[CALL] ピピピッ



スネーク「こちらスネーク……。大佐、聞こえるか?」

キャンベル『良好だ、スネーク。状況はどうだ?』

スネーク「基地外部は見通しが良すぎる……が、その分警備は手薄だな。連邦兵が1人か2人、巡回してるだけだ」

キャンベル『そうか。基地内への潜入ルートは?』

スネーク「ここから見る限り、検問を通るしか無さそうだ」

キャンベル『その恰好では無理があるな。まずは連邦兵になりすまし、検問を通過するんだ。何かあれば無線連絡をくれ。周波数は140.85だ』

スネーク「了解。これより任務(ミッション)を開始する」



プツン



<基地外部>


スネーク「……」コソコソ

連邦兵A「ふわ……」トコトコ

スネーク「……ふんっ」ガッ

連邦兵A「あぐっ」ドサ

スネーク「……よし」ゴソゴソ


FA-MAS



[CALL] ピピピッ



キャンベル「装備を手に入れたようだな」

スネーク「ブルパップ方式のアサルトライフルだ。連邦の制服も手に入れた。スニーキング・スーツよりは動きやすい」

キャンベル「順調だ。そのまま、検問を通過して基地内へ入るんだ」

スネーク「わかった」

キャンベル「それと、敵の動きを知りたい時はソリトンレーダーを見るんだ。赤い光点が敵の位置、青い円錐が敵の視界。中心の光点がスネーク、君だ」

キャンベル「注意して欲しいのは、ミノフスキー粒子が濃くなっている場合、レーダーは使えなくなる。敵に発見されれば戦闘濃度で散布されてしまうのはわかっているだろう?」

スネーク「ああ」

キャンベル「ただ、無線は常に繋がるから安心してくれ。体内のナノマシンを介し、耳小骨を直接振動させるものだ。敵には聞こえない」

スネーク「……ジオン驚異のテクノロジーということか」




キャンベル『それから、君とぜひ話がしたいと言う人物がいてな』

スネーク「誰だ?」

カリウス『少佐! ご無事ですか?』

スネーク「カリウス……! 私……いや、俺のことは気にするなとあれほど言ったはずだろう」

カリウス『しかし……! 何も少佐ご自身でなくとも、自分が代わりに行きましたものを……』

スネーク「声優は忙しいのさ。一人二役ぐらいやってのけないとな」

カリウス『そうおっしゃると思ってました。しかし自分も、少佐の部下としてやるべきことはやらせていただきます』

スネーク「何をするんだ?」

カリウス『少佐の潜入データの記録を、自分が担当します。記録(セーブ)したい時は、自分までご連絡ください。周波数は140.96です』

スネーク「了解だ。すまんな、カリウス」

カリウス『いえ……。少佐、ご無事で』

キャンベル『何か相談したいことでもあれば、無線機を使ってくれ』

スネーク「わかった。寂しくなったら連絡する」



プツン



装備 SCOPE


スネーク「……あれか」ジー

キャンベル『潜入するとすれば、まず正面の扉……』

キャンベル『一番の近道だが、検問は厳しそうだ。敵に正体を見破られるかもしれん』

スネーク「おとなしく東側の入り口から入った方が良さそうだ」タタッ




<東側入口 検問>



連邦兵B「……」ジロジロ

スネーク「どうだ?」

連邦兵B「よし。通っていいぞ」

スネーク「恩に着る」


ウイイィン、ガシャン


スネーク「こうも簡単に入れるとはな……」ササッ



[CALL] ピピピッ



スネーク「こちらスネーク。トリントン基地へ潜入した」

キャンベル「予定通りだな。そのまま、基地内部を捜索し、まずは試作MSの在り処を見つけ出すんだ。基地内の士官や整備兵、スタッフから情報を聞き出すのが良いだろう」

スネーク「了解だ。しかし、この制服の襟元の階級章……」

キャンベル「うむ。階級が低ければ、その分得られる情報も限られてくる。今の君の階級は少尉だ。なんとか上官を探し、隙をついて制服を奪い取れ」

スネーク「ああ。やってみる」



プツン




RATION


スネーク「これは……」

キャンベル『レーションを手に入れたな。それを使えば、LIFEを回復することができる。もっとも、味は保証できんがな』

スネーク「連邦の食糧は、いつの時代でも不味いさ……」

キャンベル『ところでスネーク。君の着ている制服、隈なくチェックしてみたか? 何か手掛かりになるものがあればいいが……』

スネーク「ちょっと待ってくれ……。おお、カードが入ってたぞ」ゴソゴソ

キャンベル『レベル1のセキュリティカードだな。これで、セキュリティレベル1の扉に入れるというわけだ』

スネーク「今の階級でレベル1……まだ先は長そうだ」



<基地内部 管理棟>


連邦兵C「……」コツコツ

連邦兵D「……」コツコツ



スネーク「……」ソーッ

キャンベル『いくら変装してるとはいえ、あまり近くで顔を見られない方がいい。顔を覚えられたら、今の君の階級が知られて、後々面倒なことになる』

スネーク「まだ制服を着替える機会はある……。着替えた後に階級が違うと、かえって怪しまれる、か……」

キャンベル『敵兵士を無力化、或いは背後から拘束するのも良い。尋問、気絶、殺傷……。君の判断に任せる』

スネーク「隠れる必要が無い分、いつもよりはやりやすいさ」ササッ





SOCOM


キャンベル『ハンドガンを手に入れたか。サプレッサーがついてないようだが……発砲音には気をつけろ』

スネーク「わかってる」

キャンベル『敵の背後から銃を構えることで、ホールドアップをすることができる。敵兵士の無力化や情報を聞き出すのに役立つだろう』




キース「コウ……どこ行っちゃったの~」オロオロ

スネーク「……早速試してみるか」タタッ



スネーク「動くな」スチャ

キース「ひいっ!?」ビクッ

スネーク「答えろ。新型のMSはどこにある?」

キース「し、知らないよ~。アナハイム社のスタッフや研究者なら知ってると思うけど……」

スネーク「そいつらはどこにいる?」

キース「け……研究棟か、居住区画にいるんじゃないかな……」

スネーク「……わかった」ガッ

キース「えぅっ」カフッ

スネーク「……」ギュウウゥ

キース「」パタリ



[CALL] ピピピッ



キャンベル『絞め落として気絶させたのか。なら、目立たない所に隠した方がいい』

スネーク「了解。近くのロッカーに閉じ込めておく」ズルズル


ギイイィ、ガチャン


スネーク「ここでしばらく眠っててもらおう」

キャンベル『研究棟か居住区画と言っていたな。場所はわかるか?』

スネーク「いや、まだここの管理棟エリアしかわからないな」

キャンベル『まずは、基地内の地図(マップ)を探すんだ。場所の把握が出来なければ、目的地へは辿り着けないだろう』

スネーク「わかった」



スネーク「ところで大佐。そろそろ眠くなってきたんだが、一旦ここでセーブさせてもらえないか?」

キャンベル『いいだろう。彼に繋ぐ』

カリウス『少佐! お疲れ様です!』

スネーク「カリウス、セーブを頼む」

カリウス『了解しました!』



今日はここまで。

また明日、投下します。


LOADING…



<基地内部 管理棟>


スネーク「地図は手に入れた。研究棟か、居住区画か……」ペラッ

スネーク「……待てよ。ここから近い基地の北側に、核弾頭保存棟があるぞ」

キャンベル『核弾頭がそこに保管されていると見て間違いない。試作MSを探す前に、今の連邦に核発射ができるかどうか、調べてみたらどうだ?』

スネーク「行ってみよう。もしかしたら、例のMSと何か関係があるかもしれない」



<基地内部 核弾頭保存棟入口>


スネーク「……ここか」

連邦兵E「おい、ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」

スネーク「何だって?」

連邦兵E「教習、ちゃんと聞いてたか? 保存棟へ入るにはパスカードが要るんだ」

スネーク「パスカード?」

連邦兵E「保存棟内の警備を担当する者、上官クラスの人間かアナハイムの関係者しか入れない。俺も入口の警備にあたってるだけで、中へは入らせてもらえないんだ」

スネーク「そうか……。上官殿はいつもどこにいるんだ?」

連邦兵E「さあな。基本的に基地内を歩き回ることが多いから、どっかで偶然出くわすってこともあるが……管理棟2階の司令室に、必ず一人はいるだろう。」

スネーク「……まずは階級を上げることから始めるか」




<基地内部 管理棟1階廊下>


バスク「……ジオンの残党共め。根絶やしにしてくれるわ」スタスタ

スネーク「そうはさせんよ?」バキッ

バスク「うぐぅっ!? き、貴様は……!」

スネーク「腐った連邦など、この俺が叩き潰してやるさ」ガンッ

バスク「な、何イッ……!!」バタリ


ズルズル、ゴソゴソ


スネーク「……この男、大佐だったのか。好都合だ。セキュリティカードもレベル6を持ってる」

キャンベル『これで、ほとんどの扉も開けることができるな。早速、核弾頭保存棟へ向かうんだ』

スネーク「了解」



<基地内部 管理棟2階司令室>


???「そうだ。アナハイムの研究者は、試作2号機への核発射プログラムの書き込みが終わり次第、始末しろ」

???「それと、奴は既にこの基地内にいるはずだ。気を緩めるなよ」


ガチャ


???「……兄弟。会えるのを楽しみにしているぞ」ククク




<基地内部 核弾頭保存棟1階>


[CALL] ピピピッ



スネーク「こちらスネーク。核弾頭保存棟へ侵入したが……この山積みになっている箱は何だ?」

キャンベル『恐らくは……廃棄核弾頭だ。使用済みのプルトニウムが、そのまま放置されているのだろう』

スネーク「置きっぱなしか。連邦の管理もずさんなもんだ」

キャンベル『……西暦が終わり、宇宙世紀が始まって半世紀が経った今なお、核廃棄物の処理にはこれと言った処分方法が確立されていないからな。技術の進歩と共に、いつか必ず処理できる技術が生まれると信じて疑わず、目を背けていた末路がこれだ』

スネーク「なんと愚かな……」

キャンベル『……その棟内には確か、地下へ続くエレベーターがあるはずだ。連邦の核発射について、何か掴めるかもしれん』

スネーク「色々と探さなきゃならんことが多いな」



プツン






<基地内部 核弾頭保存棟地下2階>



シュー、シュー


スネーク「うっ……これは……ガスか!」


バチバチ、バチバチッ


キャンベル『気をつけろ。床には高圧電流が流れている。足を踏み出したら瞬く間に黒焦げだ』

スネーク「どうやって進むんだ?」

キャンベル『そのフロアの見取り図か何かにヒントがあるはずだ。よく見てみろ』

スネーク「……北西の部屋に配電盤があるな。コイツを壊せば……。しかし、配電盤は高圧電流の通路を通らないと辿り着けないぞ」

キャンベル『……通路を通らずに、配電盤を遠くから破壊する方法を探すんだ。棟内を隈なく探せば見つかるかもしれん』

スネーク「了解。面倒だが地道に探すしかないな」




<基地内部 核弾頭保存棟地下1階>


NIKITA LAUNCHER


キャンベル『リモコンミサイルを手に入れたな。それを使えば、遠隔操作で配電盤を破壊できる』

スネーク「これで高圧電流はなんとかなるが……あのガスはどうする?」

キャンベル『ガスマスクを装備すれば、だいぶ呼吸は安定するだろう』

スネーク「……確かに。ガスマスクを探そう」ゴソゴソ


<基地内部 核弾頭保存棟地下2階>


スネーク「準備は万端だ。行くぞ」シュコー シュコー


バシュ、スーッ


スネーク「よし。そのまま……」


ボカアァン!


スネーク「……配電盤の破壊に成功。これで前に進める」タタッ




エメリッヒ「GP02へのプログラム書き込みは終了……っと。これで良いんだよね?」

連邦兵F「ああ。ご苦労だった」

エメリッヒ「やった……。これでようやく眠れる」

連邦兵F「そうだな。あの世でゆっくり休め」カチャリ

エメリッヒ「え?」


パァン!


連邦兵F「」ドタリ

エメリッヒ「う、うわああぁぁ!!」



スネーク「おい、怪我は無いか?」

エメリッヒ「はわわわ……」ビクビク

スネーク「怯えるな。俺は敵じゃない。とは言っても、連邦の制服を着てちゃ信用してもらえないか」

エメリッヒ「……ぼ、僕を殺すのか? どうして……」

スネーク「さあな。連邦のすることだ。何か善からぬことでも考えてるんだろう」

エメリッヒ「……? 君、連邦の人じゃないのかい?」

スネーク「…………まあな。それより、この基地にある新型MSと、核弾頭について何か知っているか?」

エメリッヒ「良かった……。連邦の軍人じゃなければ安心できる」

スネーク「……どういうことだ?」



エメリッヒ「僕、ご覧のとおりアナハイムの研究者なんだけど、連邦軍に無理矢理この基地へ連れて来られたんだ」

エメリッヒ「理由は、地球連邦軍の試作型MSの開発を手伝えというものだった」

エメリッヒ「僕は元々コロニー育ち。僕の家系は代々、ジオニック系のMS開発に尽力していて、地球へはア・バオア・クーの最終戦が始まる頃へ引っ越してきたんだけど……」

エメリッヒ「当時、アナハイム社へ入社した僕の出自を嗅ぎ付けた連邦軍が、僕をある計画に参加させたいと願い出てね」

スネーク「ある計画?」

エメリッヒ「その名も“ガンダム開発計画”。アナハイム社と共同で極秘の内に開発が始まって、その際に建造されたのが試作型ガンダム、GPシリーズなんだよ」

エメリッヒ「僕が開発を手伝うように命じられたのは、試作型ガンダム2機のうちの1機、ガンダム試作2号機。このガンダムは戦術核弾頭を用いることを念頭に置かれていたから、僕はその核発射のための武装やプログラムを担当していたんだ」

スネーク「ガンダム……。核発射のためのMS……」

エメリッヒ「最初は反対したよ。核兵器を扱う兵器の開発なんて、非人道的な行為はごめんだったから……」

スネーク「……それで?」





エメリッヒ「そしたら連邦の連中、僕の妹を人質にとったんだ。スペースノイドが自分たちの言う事を聞かないのは予想済みだったんだろう。だから、逆らえないように家族や友人を引合いに出される研究者なんてごまんといたよ」

スネーク「連邦め……。なんと下劣な」

エメリッヒ「そしてついさっき、2号機への核発射プログラムを書き込んでしまったんだ。もの凄い罪悪感だったけど……自分も家へ帰れて妹が無事でいられるならそれでいいと思ってしまった……」

スネーク「だが奴らは、躊躇無くお前を殺そうとしたな」

エメリッヒ「考えが甘かったよ。旧ジオン系の技術者に自分たちの新型MS、しかもガンダムを開発させておいて、生かしておくとはとても考えにくい」

スネーク「……そうだな。核発射のプログラムは解除できないのか?」

エメリッヒ「無理だよ。機体システムの根幹に組み込んだんだ。2号機はもう、核発射のためのMSとして完成してしまった」

スネーク「そのガンダムを破壊する方法は?」

エメリッヒ「この2号機は、核爆発の熱や衝撃に耐え得る処理を施した装甲に覆われているんだ。並大抵の火力じゃビクともしないよ」

スネーク「……なら、直接強奪するしかないか」





エメリッヒ「強奪って……本気なのかい?」

スネーク「破壊工作やMSで破壊するよりも、何食わぬ顔で乗り込んだ方が手っ取り早い」

エメリッヒ「変装していれば大丈夫か……」

スネーク「とにかく、連邦に核を発射させるわけにはいかない。確実な方法なら、機体ごと奪取する以外に無いだろう」

エメリッヒ「ガンダムが収容されている場所は、基地の第3格納庫だ。2号機もそこにある」

スネーク「……忘れてはいたが、もう一機のガンダムもそこにあるんだな?」

エメリッヒ「試作1号機のことかい? もちろん、2号機と同じ場所だよ」

スネーク「もう一機のガンダムは後々脅威になる……。2号機を奪ったら破壊しておくべきか」

エメリッヒ「その方がいい。ビームサーベルでコックピットを焼けばすぐ終わるさ」


<基地内部 核弾頭保存棟1階>



[CALL] ピピピッ


スネーク「大佐。どうやら連邦の核弾頭は、例の新型MSで発射する仕組みになっているようだ」

キャンベル『でかしたぞスネーク。そこまで情報がわかれば話は早い。早速その核搭載型MSを破壊、或いは奪取し、連邦の核発射を阻止するんだ』

スネーク「MSを破壊するのは敵の注意を引く。それにそのMSは、核発射を想定しているだけあって装甲がかなり堅いときている。ここはMSごと奪う形で行かせてもらう」

キャンベル『了解だ。現場にいる君の判断を信じよう』

スネーク「……“星の屑作戦”を成就させるためにも、必ず成功させるさ」





<基地内部 第3格納庫>


スネーク「こちらスネーク。大佐、今例のMSの前にいる」

キャンベル『どうだ、奪えるか?』

スネーク「連邦の上官らしき人物がいる。迂闊には近づけんな」

キャンベル『焦らなくていい。確実に奪取できるまで機を窺うんだ』



コウ「すごいな……これがガンダムか」

???「ふふん。確かに素晴らしい機体だな」

コウ「……自分もそう思います」

コウ「(この人誰だ? 見た所かなりの階級っぽいけど……)」



???「貴様、核弾頭の装備は終わっているのか?」

ニナ「……終わってますけど」

???「そうか。では試してみるとしよう」

ニナ「ちょ、ちょっとあなた! 勝手にハッチを開けないで……」

???「フン!」バキッ

ニナ「きゃあっ!」ドシャ


コウ「!? 殴ったのか? 一体どうして……」


スネーク「……まずいな。俺より先に乗り込もうとしている奴がいる」

キャンベル『何だと? テストパイロットか何かか?』

スネーク「わからない。だが、整備をしていた女性スタッフを殴り飛ばしていた。かなり気性の荒い奴だ」




???「スネエエェェェクッッ!!」クワッ

コウ「な、何だ!?」

スネーク「!?」

???「そこに隠れているのはわかっているぞ。おとなしく出てこい!」

スネーク「…………く」スタスタ

???「ふん。やはりこの基地を嗅ぎ回っていたな。ええ? 兄弟……」

スネーク「……お前は、リキッド……!」

リキッド「久しぶりだな、スネーク」ククク




スネーク「馬鹿な……。確かソロモン攻略戦で死んだはず……」

リキッド「表向きはな。だが現に俺は生きている。MSの爆発程度でこの俺は死なん!」

スネーク「……何故だ。どうしてそこまで俺にこだわる!」

リキッド「俺という存在の証明だ! クズと蔑まされ、劣性遺伝子ばかりを受け継いだ俺が貴様を乗り越えて初めて、俺は自分の呪われた運命に決着をつけることができる!」

スネーク「…………」

リキッド「それにな、親父の優性遺伝子を受け継ぎ、揚句の果てにスペースノイドに味方する貴様を、このまま放置しておくのは連邦にとっても都合が悪いというわけだ」

スネーク「……!」

リキッド「地球連邦軍が誇る最強の戦士、ビッグボス。その遺伝子から生み出された俺達兄弟は、ただひたすらジオンを狩るだけの兵士として生み出された……」





リキッド「ルウム戦役、オデッサ作戦、ジャブロー防衛……。確かに俺は戦果を挙げた。だが、先の一年戦争でのソロモンでの敗北以来、俺はただ貴様を殺すためだけを考えていた」

リキッド「……そうだ。こともあろうに貴様は、連邦のスペースノイド弾圧に耐えかねて、連邦を裏切りジオンの軍門へと下った!」

リキッド「ソロモンの悪夢……。そう呼ばれていたんだよ貴様は。味方を裏切り、数多くの連邦兵を殺す姿は、さぞかし悪夢以外の何者でもないだろう」

リキッド「そして俺は、貴様を殺すように命令された。同じ兄弟同士の戦い……。どちらが真の“蛇”かを確かめるためにな」

スネーク「……連邦のすることに対し、何の疑念も抱かないのか? 自分が利用されているとわかりながら、どうして……」

リキッド「そんなことはどうでもいい! 俺は連邦のオモチャでもなければ、誰の道具でもない! 俺は戦うためだけに生まれたクローンだが、常に己の意思で戦ってきた!」

スネーク「……」






リキッド「貴様が親父のコピーの最高傑作だとしたら、おれはその絞りカス……。それは最初からわかっていた」

リキッド「だからこそ俺は貴様を超えなければならない! もっとも、貴様にはわからんだろうがな」

スネーク「リキッド……!」

リキッド「さて、お喋りはここまでだ。大体、貴様がどうしてこの基地に潜入したか想像はついている。試作ガンダムの無力化、核発射の阻止……。結果は失敗に終わるがな」

スネーク「貴様……! 最初から知っていたのか!」

リキッド「俺がこの三年間、ただ貴様と決着をつけるためだけにひたすら待ち続けていると思っていたのか? ア・バオア・クーで行方を暗ましていた貴様を見つけ出すのに、苦労したんだぞ……?」




リキッド「貴様がこの基地へやって来ることは諜報員から知らされていた。このまま貴様を泳がせておけば、俺も決着の機会を得られ、連邦も不穏分子を片付けることができる」

スネーク「く……!」

リキッド「このガンダム試作2号機を相手に、どこまで立ち回れるかな?」


ウイィン、ガシャン


スネーク「しまった! 2号機を……!」


ズゴゴゴ…


コウ「うわああっ! 何だ!? ガンダムが勝手に……!」

リキッド『ふははははっ!! 踏みつぶしてやるぞスネーク!』

スネーク「くそっ!」ダダダッ




リキッド『スネーク! まさか生身でMSとやり合う気じゃないだろうな?』

スネーク「く……!」


ガシャアン、ゴゴゴゴ…


コウ「な、何が起こっているんだあぁ!?」ヨロヨロ


≪各員、戦闘配置。ミノフスキー粒子戦闘濃度散布。敵のスパイが潜り込んだ模様。付近のパイロットは、MSデッキに集合。直ちに出撃準備に入れ。侵入者を逃がすな≫


スネーク「リキッドめ……! 俺をこの基地から逃がさないつもりだな」



[CALL] ピピピッ



スネーク「大佐、作戦は失敗だ。リキッドが2号機に乗ってしまった……」

キャンベル『やむを得ん。こちらも、ジオン残党軍に応援要請を送った。そちらに向かっている。それまで持ちこたえてくれ!』

スネーク「なんとかしてみせるさ」

キャンベル『近くにMSがあれば、それを奪って逃走しても構わん。とにかく生き延びるんだ!』



プツン





スネーク「……1号機も動かせるはずだ。リキッドを止めるには、やるしかない!」ダダッ

コウ「あ! 待て!!」バッ

スネーク「邪魔だあッ!!」ドゴッ

コウ「うぐあっ!!」ドシャ


ウイィン、ガシャン


リキッド『いいぞスネーク。兄弟同士、同じ条件で勝たなければ面白くないからな!』

スネーク「これがガンダムか。悔しいが、操縦性は抜群と言わざるを得ないな」ゴウン ゴウン

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