貴音「へい、あなた様!」 (57)


P「……ん?」

貴音「へい、あなた様! 本日はお日柄もよく!」

P「待て待て待て待て、貴音」

貴音「は、はい……あの、何か」

P「一旦そのカウボーイハットとサングラスを外そう、な?」


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貴音「はい……」スチャ

P「うん、あの、待て」

貴音「あの、まだなにか」

P「ほっぺた、その頬の星条旗は何だ、貴音」


貴音「ふふっ、たとぅーしーるというものです」

P「そうじゃない」

貴音「えっ」

P「いや、なんで急にアメリカンになったんだ」


貴音「それは……とっぷしぃくれっとですね」

P「いやいやいや、教えてくれよ」

貴音「わたくし、人には言えない秘密が」

P「そうか……じゃあ、一応教えとくぞ」

貴音「はい?」


P「さっき貴音『hey』って呼びかけたよな」

貴音「ええ」

P「それ、めっちゃ失礼だからな」

貴音「……そうなのですか?」

P「うん」


貴音「し、失礼いたしました……!」

P「まぁ、別にいいけど」

貴音「わたくし、そのようなこととは知らず……」

P「『hey』だと日本語で『おい!』みたいなニュアンスだからさ、一応な」


貴音「使わないようにいたします……」

P「うん、もう使わないようにな。気にする人は気にするから」

貴音「分かりました……では、失礼しますね」スチャ

P「ヘイ! ヘイヘイ!」

貴音「あなた様、失礼ですよ」


P「いや、なんでサングラスつけ直したの?」

貴音「わたくし、春から始まるラジオの新番組がありまして、その初顔合わせでの挨拶を考えておりまして」

P「分かった。分かったから、まず教えてくれ」

貴音「はて」

P「はてじゃねぇよ」


貴音「ほわっと」

P「そうじゃない、いや、それだ。そのアメリカンかぶれは何だ」

貴音「ふふっ、亜美と真美に教えてもらっ……てぃーちしていただいたのです」

P「無理に使わなくていいから……あぁ、あいつらか」

貴音「挨拶の練習をしようとのことでしたので、先ほどの挨拶を」


P「さっきの挨拶……って、あれか」

貴音「はい……もう一度やってみましょうか」

P「えっ?」

貴音「それで、間違っている点をあなた様に指導していただければ」

P「漫才じゃないんだからさ」


貴音「では……一度事務所の外へ行きます」

P「えっ、やるの!?」

貴音「……お願い致します」

P「えぇー……」

貴音「わたくしの間違った知識を正していただくためにも」

P「ま、まぁ仕事につながるなら……喜んで」


コンコン

P「はーい」

バタン

貴音「はーい、皆様! 本日はお日柄もよくっ!!」

P「ストップ、ストップ!」

貴音「もうですか!?」


P「もうですかじゃない、『hi』にしたからって良いもんじゃないぞ」

貴音「しかし、『へい』よりは丁寧になるのでは」

P「まあ、『やあ!』的な意味にはなるけどさ、そうじゃないんだ」

貴音「そうですか……」


P「あと、その後の『本日はお日柄もよく!』って何だ」

貴音「ふふっ、全てがあめりかんでは面白くないと思い、きちんと日本語で」

P「いや、hiの直後に皆様ってのもおかしいんだけどさ、その後に続いてるからもっと違和感が」

貴音「そう、でしたか……」シュン

P「せめて、アメリカンかぶれはやめよう。な?」


貴音「ですが亜美と真美によると、最近のぶぅむであると」

P「なんか方向性が違うんだよな……」

貴音「そ、そうですか……」

P「とりあえず、まずアメリカン要素を無くしてみよう」

貴音「そ、それは……!」


P「ん、どうした」

貴音「わたくし、この路線でしばらくはいきたいと……っ」

P「ダメだって、貴音はクール路線なのに」

貴音「で、ではこういうのはどうでしょうか……失礼します」ガチャン

P「おう……」


コンコン

P「はーい、どうぞ」

ガチャッ

貴音「えすぱにょーる! 四条貴音と申します!」

P「待って」

貴音「はい……?」

P「『エスパニョール』ってなに?」


貴音「ふふっ、これはすぺいんの挨拶と聞いています」

P「誰から聞いたんだ?」

貴音「亜美からですが……」キョトン

P「あんのイタズラ娘め……あのな、貴音」

貴音「はい?」


P「エスパニョールは、スペイン語で『スペイン語』って意味だから」

貴音「そ、そうなのですか……!?」

P「ああ。今の挨拶、『スペイン語! 四条貴音と申します!』って感じだったぞ」

貴音「お、お恥ずかしい……」

P「もうこの路線やめよう、普通に挨拶しよう」

にゃんぱすー、でいいと思うよw


貴音「でっ、ではこういう挨拶はどうでしょうか?」

P「えっ?」

貴音「わたくしの住んでいるこの国の文化を取り入れた挨拶です……では」ガチャン

P「……嫌な予感しかしない」


コンコン

P「どうぞー」

ガチャッ

貴音「本日は……お日柄もよく……四条貴音です」

P「ひぃっ!?」


貴音「わたくしの……わたくしのお皿がありません……」

P「待って、待ってくれ貴音」

貴音「お皿を割ったのは……割ったのは……っ」

P「貴音、たか」

貴音「お前かあああっ!?」

P「ひいいいい!?」


P「いつ白塗りになった!? ええ!?」

貴音「お、怒らないでくださいまし……」

P「なに、その白装束! 怖いって!」

貴音「雪歩に貸していただいたので」

P「なんで雪歩持ってんだよぉ!?」


貴音「あの、日本の文化を」

P「貴音は新番組のディレクターさんに何の恨みがある?」

貴音「いえ、特には……」

P「心臓に悪いって……髪の毛もそれっぽいからさ」

貴音「気をつけます……では、このような挨拶はどうでしょうか」


P「ん?」

貴音「一度外に出ます」

P「お、おう……」

ガチャン

P「怖いな……」


コンコン

P「はいはーい」

ガチャッ

貴音「にゃんぱすーっ!」

P「……」

貴音「……はて」


P「貴音、それは一体」

貴音「これは響に教えていただいた挨拶です。有名なあにめのものだと」

P「そ、そうなのか……言葉は可愛らしいけど、貴音さんや」

貴音「はい?」

P「白装束だから超怖い」

貴音「……で、では、このような挨拶はいかがでしょう」


P「どうするんだ?」

貴音「着替えるので、少し時間を頂きます」

P「おう……」

ガチャン


コンコン

P「はーい、どうぞー」

♪~(ヒップホップ)

P「え!?」

ガチャッ

貴音「へい、よーう!」


P「なに!? どっから音出てるの!?」

貴音「せいっ!」

P「俺にマイク向けてる!? え!?」

貴音「わたくし、四条貴音! くにの皆のために目指すアイドル!」


P「!?」

貴音「めげずに修行に励むめんたる! そうですわたくしすーぱーがーる!」

P「なんか聞いたことあるぞ!?」

貴音「本日初打ち合わせのれいでぃお! 番組で流すきらーちゅーん!」

P「所々パクってるよな!」

貴音「へい、よーう!」


P「…………?」

貴音「……あなた様、続けてください」ヒソヒソ

P「えっ、言わなきゃいけないの!?」

貴音「へい、よーう!」

P「へい、よーう……」

~♪


貴音「どうでしょうか?」

P「どうでしょうかじゃねぇ!」

貴音「ひっ」

P「なんだその、帽子を後ろ向きに被る感じ! あとマイク! どっからもってきたの!?」

貴音「雪歩が」

P「雪歩ぉぉぉ!?」


P「いや、所々韻を踏んでるのはいいけどさ、なんかに似てるんだよ」

貴音「わたくし、ひっぷほっぷやらっぷには馴染みがなく……このような形に」

P「なんで馴染みがないのにこんな頑張ったんだよ……」

貴音「せっかくですから、ラジオの方々に覚えていただこうと……あなた様」

P「ん?」


貴音「打ち合わせの時間が迫っております」

P「えっ、本当だ……貴音、急ぐぞ!」

貴音「その、着替えは」

P「局でさせてもらおう!」

貴音「は、はいっ」


――――

『貴音、俺は不本意ながら、春香の出る番組の打ち合わせに行かなきゃならない』

『分かっております』

『だからな、お願いだから普通に挨拶してくれ』

『普通に……』

『ああ、そのほうが貴音にとっても良いはずだ』

――――


貴音(普通……わたくしの”普通”とはいったい)

貴音(先ほどの服装のまま来てしまいましたが……きっと今後、わたくしのすたんだーととなるでしょう!)

番組D「はーい、そんじゃ四条さん入ってきてー」

貴音「はいっ」

ガチャッ

♪~

貴音「へい、よーう!!」

番組D「!?」

 つづけ


 >>21 で焦りました。お姫ちんかわいいです。
 お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。

>>43

誤:すたんだーと
正:すたんだーど

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