あのおかたかたが提督だったら (8)

加賀「提督、こんなところにいたんですか!書類の山が貯まってるんですから急いで決済してください!!!」

ヤン「やあ加賀。秘書艦の任務ご苦労様。どうだい、一緒にこんなてんきがいい日なんだから昼寝しないかい?」

加賀「それはいいですねってそれで誤魔化そうとしても無駄ですよ、きちんと仕事してください!
なんで戦術は優秀なくせに、仕事はダメなんですか!」

ヤン「家事や書類仕事が嫌でも、別にしにはしないさ。分かったよブランデーを飲みながら仕事しようじゃないか」

加賀「ダメです、提督!
ブランデーは飲みすぎなんですからせめて一杯だけです。それと私に任せてる私室の掃除も手伝わないなら、古代のお皿をすてちゃいますよ」

ヤン「やめてくれないかそれは。あれは親父の遺品の骨董品の中で、本物だったんだから」

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加賀「はいはい・・・・ 全くそんなんだとミラクルヤン(奇跡のヤン)やヤンザマジャン(魔術師ヤン)の異名が泣いちゃいますよ」

ヤン「・・・・・・そのなでよぶのはやめてくれないか、嫌いな名前なんだ・・・・・」

加賀「そうでしたね、提督はいまの自分が嫌いなんでしたね・・・・」

ヤン「歴史のタ-ニングポイントの中では、必ずといっていいほど英雄が現れる。僕は歴史家のなり損ないだからね、そんなことも知ってる。
英雄がたまたまその時代に人々の望む行いをするから英雄と呼ばれるのか、歴史が英雄を作り出すのかは分からない。
だけど僕は、英雄なんかじゃない、なりたくもない。」

ヤン「-英雄なんて者は、別名大量殺戮者だ-」

ヤン「深海棲艦と呼称される海洋棲息型敵性武装知的生命体の接触は、この地球において全くの別種が併存していたということで喜ばしいことだ。
だが、それで起きたことはなんだ?」

ヤン「奴等が知能を持たない破壊しか考えない存在なのか?それとも海洋破壊をしてきた人類への復讐か?
あるいは領土が目的なのか?」

ヤン「既存の兵器では相手をするのに不利な深海棲艦との戦いのために仕方ないとはいえ、国は国家総動員体制をとり総力戦の構えをとった・・・
それは若者が戦場で散るということだ。
そして艦娘なんてものまで産み出した!」

加賀「提督、私たち艦娘は自分達が兵器として作り出されたことに不満はありません。兵器として作り出されても、自分達が一個の擬似的なものとはいえ命を持った存在としてこの世に生をさずかけれたんですから・・・・」

ヤン「だけど艦娘は、艦娘何て言ってるが結局は女の子ばかりなのも新兵確保の宣伝のため、そして対深海棲艦に有効な艦艇を開発するまでの繋ぎとして作り出されたバイオロイドだ。ガンダムなんてアニメと同じで高速機動性と火力、汎用性を持たせた艦娘で反撃するつもりなんだ上は!」

ヤン「敵が単体の生物でありながら圧倒的な破壊力を備えた生物だからそれに対抗するために艦娘は、柔軟な作戦遂行能力を持たせるために最低限の反乱防止プログラムを除けばほぼ人間といっていい人格を確立している。

ヤン「例え人の手で作り出されたものといえ、高度な人格さえ持ってるならそれは一人の個人だ!
それを扱うなんて戦争とはいえ、傲慢な人の身勝手じゃないか!
相手の意思を確かめず意思を持った存在を武器とするなら独裁となんの違いがあるんだ!」

加賀「提督・・・・」

ヤン「それを扱って敵に勝利してきた僕は敵味方の血で染まった究極の殺人貴だ・・・・・敵の深海棲艦もどんな理由があるか分からないが、もしかしたら彼らも家族や友達がいてそのためにたたかってるのかもしれない。」

ヤン「僕も軍人だ。戦争が起きたら敵を制圧するか和平でも結ばないかぎり、まずそれ以外で戦争が終わらないことは知ってる。そして負けたら敵国にいいように蹂躙されるし、継続している戦争なら人々が犠牲になって行く・・・・」

ヤン「それを知ってるし、相手が敵である以上殺すことにためらいはない。それでも相手が異種で敵だったとしても自分がやっていることが形が違うだけで、人殺しじゃないかと思わずにはいられないんだ・・・」

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