京太郎「独りの麻雀」照「支える麻雀」 (57)

京太郎「麻雀部の日々」の息抜きというか、安価なしの物語も書きたくなったので。

京太郎「麻雀部の日々」

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咲「それじゃ、いってくるね!」

京太郎「あぁ、いってらっしゃい」

優希「京太郎、本当にいいのか?」

京太郎「おう、楽しんでこい」

和「ちゃんと勉強しててくださいね?」

京太郎「わかってるって」

まこ「ちゃんと土産は買ってくるけぇ」

京太郎「気にしないでください」

久「もう!みんな急ぐわよ!」

京太郎「・・・皆、楽しんできてくれな」

咲「京ちゃん・・・」

京太郎「行った、か・・・」

夏、全国大会で見事優勝した清澄高校麻雀部。

その結果、咲はお姉さんと仲直りした。

和は転校せずに済んだ。

優希は少し大人っぽくなった。

部長、もとい竹井先輩は三年間の苦労が報われた。

現部長の染谷先輩は、竹井先輩の夢を叶えられた。

なのに俺は、散々たる結果に終わった。

確かに、俺は初心者で周りが強すぎて練習という練習はできなかった。

ネトマでは鳴きや和了は選択肢として出てしまう。

教本では生の声が聞けなくて、理解しにくい。

第一の問題として、自分のレベルにあった相手が近くにいなかった。











それは、ただの言い訳でしかないことは理解していた。









翌日、朝早くから誰も来ない部室に足を向けていた。

あそこは旧校舎なので、まめに掃除をしておかないと何が出るかわからない。

ゴキブリやねずみなんかが出たら全員叫ぶだろう。

そういうことが起きないように、掃除をしなきゃならない。

京太郎「・・・今頃、皆楽しく遊んでるんだろうな」

全国大会で優勝した皆は、学校側から六泊七日の京都、奈良、大阪旅行をプレゼントされた。

その中に、何故か俺の分も含まれていたのだが、勿論辞退した。

まず、俺以外が全員女子というのは問題しかない。

そもそも、何も貢献できていない俺が、お祝いされる理由などどこにもない。

だから、たまたま訪れていた優希と和の後輩である夢乃マホに譲った。

その場には室橋裕子という子もいたのだが、彼女の家も偶然、その日程で関西の方に行く予定があったそうで、そういうことになった。

向こうで落ち合い、一緒に行動をするらしい。

夢乃マホという子は、俺と同じ初心者と聞いていた。

なので、頼んで一局打たせてもらったのだが、俺は焼き鳥で終わった。

彼女の打ち方は、そのまま優希のようだった。

始まる前にタコスを食べていたからだろうか。

結果として、彼女は皆の役に立てる。

だから、俺は彼女に譲った。

そうこうしているうちに、ある程度は掃除が終わった。

後は牌譜の整理と、牌磨きをして終わりだ。

京太郎「俺は・・・、麻雀を楽しめてるのかな・・・」

独り言だった。

ぽつり、と零れた自らの言葉に、俺は泣いていた。

ポロポロ、と溢れ出ては落ちていく涙の粒。

孤独を感じる、この瞬間がとても辛い。

すると、携帯に着信が入った。

慌てて涙を拭い、咳払いをしてから電話に出る。

京太郎「もしもし」

咲『京ちゃん!今ね、和ちゃんの友達に会ってるの!阿知賀女子の子だよ!』

とても楽しそうな声で話してくる咲。

その後ろから聞こえているのは、和の友達の声だろう。

京太郎「・・・楽しそうだな」

その言葉に、俺の感情が隠っていることに気付いたのか、咲は一瞬言葉を失った。

咲『えとね、そこに新子さんって人がいるんだけど、京ちゃんにお礼が言いたいんだって!』

新子、新子憧か。

インターハイが行われた東京で、優希に頼まれてタコスを扱う店を探しているときのことだ。

どこかで見たことがある気がする女の子が、面倒臭そうな男たちに絡まれていたので、それを追い払った。

その女の子が、新子憧だった。

和の友人らしく、そこそこ気も合った。

それで気付いたのだが、少し大きくなった優希に似ていた。

だから、見たことがある気がした。

すぐに彼女の知り合いが来たため、別れてそれ以来だ。

電話に耳を傾けると、電話の相手がかわった。

憧『あの、もしもし?京太郎くん?』

京太郎「あぁ、そうだよ。久し振り、新子」

恐る恐るといった感じの声音で尋ねてきた。

俺はそれに笑みがこぼれていた。

向こうもそれに気付いたのらしい。

憧『あっ、ひどい!笑うことないじゃない!』

そう言ってきた。

京太郎「悪い悪い、あの時はもっと堂々としてたからな」

だからって、と未だに俺に文句を言ってくる。

そこから少し話をして、咲とかわり、俺は電話を終わらせた。

楽しんでそうで、なによりだ。

そう、自分に言い聞かせて牌譜の整理を始める。

それを終わらせ、牌磨きを始めようとしたときだ。











───────────────コンコン









突然、部室のドアがノックされて驚く。

誰だろうか、俺に用事がある人か。

或いは、旅行のことを知らなくて部員に用がある人か。

取り敢えず、確認しようと思いドアを開ける。











「あの・・・咲、いますか?」









そこにいたのは、インターハイ個人戦で三連覇という偉業を成し遂げたチャンプで、宮永咲の姉──────────



──────────宮永照、その人だった。



照「って、君は・・・京太郎くん?」

突然の訪問者に、声がでない。

照「おーい、聞こえてる?」

京太郎「ぁ、ぇっ?・・・ど、どうしてここに?」

やっとの思いで言葉を返す。

それ程までに圧倒的な人物で、ここにいる理由が本当にわからない。

照「咲に用事があったんだけど・・・、いないのかな?」

京太郎「えっと、咲たちなら旅行に行ってますよ」

照「聞いてない。いつ帰ってくるの?」

京太郎「あの、携帯使えばいいのでは・・・?」

疑問に疑問で返すのは失礼なことだというのは、重々承知しているが、それで済む話である。

照「携帯は持ってない。だから教えてほしい」

それなら仕方がなかった。

今時、携帯を持っていない人は珍しいが、別に変ではない。

日程のことを説明すると、彼女の顔は驚愕といった表情に染まる。

白糸台では、勝って当前、そんなことはなかったらしい。

それが、清澄と白糸台の大きな違いだ。

京太郎「それで、宮永さんはどうするんですか?」

俺がそう問いかけると、彼女はむっとした表情になり、言葉を発する。

照「君は咲のことをなんて呼んでいるの?それと、咲は君のことをなんて呼んでいるの?」

二つの質問をされる。

それに、俺は応える。

京太郎「俺は『咲』って呼んで、咲は『京ちゃん』って呼んでます」

すると、彼女は逡巡後に俺の名前をこう呼んだ。

照「京くん。私はそう呼ぶから、京くんは私のことを照って呼んでね」

そう言われて頬が熱くなる。

京くんの破壊力は凄まじかった。

しかし、年上の彼女を呼び捨てにするのは厳しいので、俺は逃げることにした。

京太郎「照さん。これが限界です」

むーっ、と唸る照さん。

そもそも、直接の先輩である二人を苗字+先輩で呼んでいるのに、そうではない先輩を呼び捨てなんてできなかった。

だから、逃げに出た俺に照さんは納得しきれていない様子だった。

照「今はそれで我慢する。けど、いずれ呼び捨てにしてもらうから」

テレビや雑誌なんかで見る照さんと、実際目の前にいる照さんは全くの別物だった。

あれが営業スマイルというやつか・・・。

女性の恐ろしさを再認識させられた。

よく見てみると、照さんはとても可愛い容姿をしている。

咲と血が繋がっているからか、小動物の様な愛らしさと、膝や手に見えている傷から、何度も転んだことがわかるポンコツさまで似ている。

照「それより気になった。どうして京くんは旅行に行ってないの?」

やはり気付かれたか。

麻雀が強いのだから、勘が恐ろしいほどに鋭いことは想像していたが、気付かれたくはなかった。

恐らく、本当の俺の気持ちまで見透かされてしまうから。

照「虐められてる・・・様子はないけど、どうして?」

このままでは埒があかない。

気付かれないように理由を説明した。

けれど、それは無駄だった。

照「そんなことはないよ。京くんは皆を支えたんだから、行ってもよかったはず」

仕方がない。

本当の気持ちを話すしかない。

俺は、本当のことを照さんに話し始めた。

こちらもここまでです。
それと、貼れてなかったので。


京太郎「麻雀部の日々」

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繝溘せ(?禍覗)

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貼れないので検索してみてください。
   ∧∧
   /⌒ヽ)
   i三 ∪
   〇三 |
   (/~∪
   三三  トボトボ・・・
  三三
  三三三

>>1が言葉足らずで勘違いさせてしまったようですね、すいません。
まだ続きます。
では、再開します。

本当は、行きたかったということ。

皆と楽しみたかったということ。

楽しんでる皆と一緒にいるのが辛いということ。

全てをさらけ出した。

それでも照さんは、全てを聞いてくれた。

慰めてくれた。

初対面の俺を、我が子のように気遣ってくれた。

優しさを、暖かみをくれた。

途中から・・・いや、始めから泣いていた俺を、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになってる顔を腕と胸で包み込んでくれた。

この短い時間の中で、照さんは俺に必要不可欠な存在になっていた。

京太郎「俺は・・・、俺は・・・!」

次々に、とめどなく流れ出る涙を拭ってくれる。

照「京くん、頑張ったね・・・。京くんはすごく頑張った。だから、休んでもいいんだよ・・・」

この歳になって、この身長で、男なのにとかそんなことは忘れて、俺は泣き続けた。

照「ふふ・・・、泣き疲れちゃったのかな・・・」

私の膝を枕にして眠る彼の表情は、とても安らかだった。

咲から話を聞いて、楽しそうな咲の表情を作っている彼に嫉妬して。

それでも、彼に興味を持って。

いつしか、会ってみたいと思うようになって。

今日ここを訪れたのは、咲に会うというのもあったけど、それ以上に彼に会えることを期待してだった。

そうしたら、ここにいるのは彼だけで。

他の皆は、旅行に行っていて。

彼は泣いていて、私は慰めてあげたくなった。

それは同情なんかじゃなくて、心から彼の泣く顔を見たくないと思ったからだ。

照「・・・でも、京くんは・・・」

この少しの間で、さらに私の気持ちは変わっていた。

最初は嫉妬。

次に興味。

そして今は・・・。

照「京くん・・・、好き・・・」

─────────────── 奈良 ──────────────


咲「ふぅ、やっと着いたね!」

優希「うぅ・・・、犬がいないと荷物持ちが・・・」

和「こら優希!須賀君のことを犬と言うのはやめなさい」

まこ「ほぉ・・・、和は須賀には優しいのぉ」

久「ほら、そんなことよりも裕子ちゃんと落ち合うのが先よ!」

マホ「あぅ・・・、知らない人がいっぱいです・・・」

京ちゃんを長野に残して、六泊七日の京都、奈良、大阪旅行。

京ちゃんの代わりにマホちゃんが来ている。

行きの新幹線に乗るとき、京ちゃんは悲しそうな顔をしていた。

きっと、それに気付いていたのは私だけ。

京ちゃんに誘われなければ、麻雀部に入らなかった。

京ちゃんに誘われなければ、皆に会えなかった。

京ちゃんに誘われなければ、全国大会で優勝なんて出来なかった。

京ちゃんに誘われなければ、お姉ちゃんと仲直りし出来なかった。

なのに、京ちゃんはここに来ていない。

京ちゃんは、自分が行くのは烏滸がましい、と言ってその権利をマホちゃんに譲った。

確かに旅行を兼ねての麻雀合宿と言っても過言じゃないスケジュールだった。

だから、マホちゃんに譲ったんだと思う。

咲「京ちゃんは、優しすぎるね・・・」

ふと、本音が零れてしまう。

久「まずは旅館へ向かいましょう!場所は松実館、あの松実姉妹の実家よ!」

和「早速玄さんに会えます!」

優希「のどちゃんのお友達として負けられないじぇ!」

まこ「何で戦うんじゃ」

裕子「さっきから宮永先輩が考え事してるんですが、どうしたんですか?」

おっと、いけないいけない。

ぼーっとしてたら裕子ちゃんと合流したことに気付かなかった。

皆、楽しんでいる様子だけど、マホちゃんは例外だった。

咲「マホちゃん、どうしたの?」

マホ「あ、宮永先輩。なんか京太郎先輩に申し訳なくて・・・」

私のことを名字で呼んで、京ちゃんのことは名前で呼んだことに少しイラッとする。

それはまぁ、おいておくとして。

咲「京ちゃんが良いって言ったんだから、楽しまなくちゃ!」

とは言うものの、自分自身楽しめてなんかいない。

私も、京ちゃんが来ないなら行くのを辞めようかと思った。

けど京ちゃんに、楽しんでこい、なんて言われたらいやでも断れない。

それぐらい、京ちゃんのことが好き。

今日はここまで!

こちらももう一つのss同様に忙しくて更新できなくて申し訳ないです。
両方とも近日中に更新できるよう執筆を進めていきます。

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