大沼くるみ「ふぇぇん……わかんないよぉ……」 (82)

大沼くるみ(13)
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くるみ「ふぇぇん…ぐすっ……くるみはバカでお胸がおっきいだけだもん……!」

P「そんなことはない」

くるみ「でもっ、でもぉ……うぅぅ…」

P「大丈夫。先輩だっているんだぞ? 今の俺の担当で……くるみよりもお姉さんだ」

P「1人はクールで懐の大きなお姉さん。もう1人はパッションとパンチのきいたお姉さん」

P「困ったらその2人に相談すればいい。なに、2人とも優しいから大丈夫さ」

くるみ「ほんとぉ……? くるみ、アイドルになれるの……?」

P「なれるさ……してみせる! だから、おいで」

くるみ「……うんっ……」

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くるみ(くるみ、おバカで胸がおっきいだけだけど)

くるみ(でも、アイドルになれたら、みんなにバカにされないかも)

くるみ(だから、だから……ぷろでゅーしゃーが、さそってくれたから)

くるみ(がんばろうって、おもった、のに……おもったのにぃ……)


くるみ「ふぇぇぇん……しぇんぱいがこわいよぉ……」

くるみ「くるみがバカだからわかんないのぉ……ぐすっ……」

   ガチャッ


くるみ「……!」ビクッ

くるみ(だ、だれか来た……ぷろでゅーしゃー?)


くるみ(しぇんぱい、だったら……うぅ、こわいよぉ……)

くるみ(み、みつからないようにちょっとだけ覗いてみようかな……?)

くるみ「えっとぉ……」チラッ



ヘレン「……朝日は今日も世界を照らす。いい朝ね?」

くるみ「ひゃあ!」



ヘレン(24)
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くるみ「へ、ヘレンしゃん……お、おはようございます……」

ヘレン「えぇ、おはよう。くるみ……見なさい。日が今日も登っていくわ」

くるみ「へ、ヘレンしゃんは早起きなの……?」

ヘレン「私? えぇ、そう……太陽が輝くのならば、その輝きに応えるのがアイドル……そして私。わかるでしょう?」

くるみ「……ふぇぇぇ……わかんないよぉ……」

ヘレン「さて、コーヒーでも淹れましょうか。あなたは甘いほうが好みだったわね」スッ

くるみ(くるみがバカだからかなぁ……ヘレンしゃんのことがぜんぜんわかんないよぉ……)

ヘレン「戻ったわよ……さぁ、飲みなさい」

    コトッ

くるみ「あ、ありがとぉ…ございましゅ………」

ヘレン「差し込む朝日。香り立つコーヒー。そして世界レベルの私」

ヘレン「フッ……やはりいい朝ね、くるみ」

くるみ「そ、そうかなぁ……」

ヘレン「ふむ、まだ足りないと? なるほど……そういうことね」

くるみ(どういうことかなぁ……ぐしゅっ……コーヒー、にがいのだめなのにぃ……まだにがいよぉ……でもお砂糖欲しいなんて……)



??「はぁーい! あまいものがたりないっていう子はどぉーこだっ☆」

くるみ「あうっ」

佐藤心(26)
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くるみ「しん……しゃん……」

心「もぉー、くるみちゃん、はぁとってよ・ん・で☆」

くるみ「……は、はぁーとしゃん……」

心「よぉーしっ! いいこいいこ、ほめちゃえ! ごほーびのシロップどーん☆」

くるみ「あぅぅ……ガムシロップがいっぱいだよぉ……」

心「くるみちゃんのおむねぽっけにあまぁーいひと時をおすそ分け☆ しゅがしゅがすぃーと☆」

ヘレン「おはよう、Heart……あなたのカフェオレも用意してあるわ」

心「んもー、ネイティブ発音やめろよぉ☆ カフェオレありがと!」

ヘレン「糖分はアナタが。苦味は私が……それこそ、ハーモニー。優雅なひと時ね」

心「おいこらぁ、くるみちゃん無視すんなよぉ☆」

ヘレン「愚かね、心。調和に必要なのはバランスを引き立てる……ミルクよ。最高の一滴は、さらに深みを与える」

心「おー……やるぅ☆」

くるみ「……あっ、これこの前買った豆乳かもぉ……」

ヘレン「……」トプトプ…


ヘレン「ふむ。後で豆乳を買い足しましょうか……奪うばかりではダメ。ギブアンドテイク、与える側でいることも大切ね」

心「豆乳入りコーヒーとかちょっとあたらしすぎなぁい? この世界レベルぅ☆」

くるみ(ヘレンしゃんも心しゃんも豆乳いれちゃったコーヒー普通に飲んでるぅ……おいしいのかなぁ……)


くるみ「……ずぅ」

くるみ(……心しゃんのくれたシロップで甘くてわかんないよぉ……)

くるみ(もらったの全部入れちゃったからかなぁ……ふぇぇん……くるみのおバカぁ……)


心「やっばー、シロップもきれてるしぃ……参っちゃった☆」

ヘレン「……まだ仕事まで余裕はあるわね」スクッ

心「お、かいだしいっちゃう? お買い物なんてちょっときゃぴきゃぴわくわくぅ?」

ヘレン「求められたものを、求められたときに。備えるというのは……受け入れるということよ。そうね、くるみ?」

くるみ「ふぇっ……そ、そうなのぉ……?」

心「そうだぞっ☆」

くるみ「そうなんだぁ……ぐすっ……知らなかったの、くるみがバカだからかなぁ……」

心「んー? ちがうちがう、まだまだくるみちゃんにははぁとぱわーが届いてないだけよっ☆」

くるみ「はぁとぱわぁ……?」

心「そう、さぁごいっしょにー……しゅがしゅがすうぃーと☆」

くるみ「しゅ、しゅがしゅがすいー……」

心「表情がかたいぞぉ、しゅがしゅがすうぃーと☆」

くるみ「しゅ、しゅがしゅがすいーと……」

心「うんうんいい感じぃ☆ さっすがくるみちゃん、かわいいぞぉ☆ 妬けちゃう☆」

ヘレン「Sugar Sugar Sweet……さぁ、今こそ時よ!」

心「おっけぇー☆ くるみちゃんもれっつらごー☆」

くるみ「え、でもぉ……おしごと……」

ヘレン「まだ時間に余裕はあるわ。もしなかったとしても……私はここにいる。問題はないわね」

心「はぁともここにいるからもんだいなしってね☆ なんでやねーん!」

くるみ(い、いいのかなぁ……? わかんないよぉ……)

― スーパー ―

心「豆乳にぃー、お砂糖にー、シロップと……すてきなものをいーっぱい☆」

ヘレン「品質を見定める? その必要はないわ……一流は一流を知る。つまり、世界が私を望む限り――」

ヘレン「最高の一品は、常に私の手の中にある。そうね?」

心「やだもぉポエミー☆ でもつめほうだいの袋パンパンすぎて説得力ないぞぉ☆」

くるみ(お仕事の前にお買い物……でも、買ってきてってお願いだけされるんじゃないんだぁ……)

心「くるみちゃんは何買うのかなぁ? はぁとにだけヒ・ミ・ツで……おしえて?」

くるみ「え、ぁ……ぅう……」

心「んー? きこえないぞぉー」

くるみ「ば、ばかにしない……?」

心「んふふー☆ どうかなぁー、おしえてくれなきゃ、わかんない♪」

くるみ「あ、あのね……くるみね、あの……」

心「おかし? おかしぃ? おかしくないぞっ☆ くるみちゃんが好きなのはどぉーれだっ」

くるみ「………うぅ、やっぱり……」

心「……はっはぁーん☆ わかった、これ?」

くるみ「あ、あぅ」

心「おまけつきおかし! あまぁいのに、かわぃーのがついててお得ってことね☆ なっとくぅ☆」

くるみ「……ぐすっ……やっぱり子供っぽい、かなぁ。くるみ、こんなのばっかり買ってるからおバカなのかなぁ」

心「えぇー☆ なにいってるの、お・ば・か・さ・ん☆」

くるみ「バカっていったあぁぁぁぁ……ふぇぇぇぇ……」

心「やばっ、口が滑ったぞ☆」

くるみ「おもってるんだぁぁあ……ぐすっ……」

心「んー。でもね、くるみちゃん?」

くるみ「ぐしゅっ……なぁに……」

心「おんなのこはぁ……ちょっぴりおばかぐらいがかわいいんだぞぉ☆」

くるみ「かわいい……ほんとぉ……?」

心「もっちろん☆ はぁとうそつかなーい☆」

くるみ「………うん……じゃあ、買ってもいい……?」

心「だぁめ☆」

くるみ「」

くるみ「ふぇぇぇ……やっぱりダメなんだぁ……」

心「ああ、そういう意味じゃなくって……もぉ、口下手だなぁ。はぁとのばかばか☆」

ヘレン「そうね、くるみだけが買う必要はない……そういう意味よ」スッ

くるみ「……ふぇ?」

心「あぁん、そこ言われたらはぁとが性格悪いみたいでしょ☆」

ヘレン「そろそろ時間よ。世界が私たちを待っている……前フリは終わり。ステージに向かいましょう」

心「……遅刻はマズいわ…うん、じゃあしゅがーはぁと的にはこっちで☆」

ヘレン「私はこれね。くるみはどうする……? 掴むのか、それとも過ぎ去るのを待つのか」

くるみ「く、くるみも買っていいの……?」

ヘレン「選択の権利は今あなたの目の前よ。私ができるのは機会を差し出すことだけ……さぁ、5、4……」

くるみ「か、かう! これ……にする……」

ヘレン「……フッ、いいわ。さぁレジにいきましょう」

くるみ(ヘレンしゃん、3つぐらいもってるぅ……いいのかなぁ……)

心「そんでもってこっちははぁと担当☆」ヒョイッ

くるみ「えっ」

くるみ(くるみの……はぁとしゃんが……あぅぅ、自分の取りに戻って……でもくるみどんくさいから、おくれちゃうかも……)

くるみ(そしたら怒られちゃう……笑われちゃう……それは、いや……ぅぅ……)


心「よぉし、会計完了☆ 年長者として奢っちゃうぞ☆」

ヘレン「流石ねはぁと」ゴトッ

心「ヘレンは自分で買えよ☆」

ヘレン「……フッ。そうね、自分自身の手でつかんでこそ、か……」

心「ん、あれあれー? くるみちゃん?」

くるみ「……ふぇ? と、とらないの……?」

心「なんでとるのよぉ、はぁとはあまぁいものと幸せを届けちゃう魔法少女だぞっ☆」

くるみ(……しょうじょ……?)


くるみ「わぁ……うさぎしゃんだぁ……!」パァ…

心「おっ、はぁとにぴったりな可愛いわんこ☆ うりうりわんわん☆」

くるみ「え、えへへ……かわいい……」

心「でしょでしょぉ☆ いいだろ☆」

くるみ「……あれぇ? ヘレンしゃんは」


ヘレン「………」スッ


  ダイオウグソクムシ×3


ヘレン「暗刻ね」

くるみ「かわいくないよぉ……ふぇぇぇ……!!」

心「シークレット3連発とかどんだけぇー☆」

ヘレン「いくら隠そうと、消えることはない……当然のように存在し、依然として変わりなし。世界とはそういうものよ。わかるわね?」

くるみ「わ、わかんないよぉ……ぐすっ……」

心「さぁて、じゃあ――そろそろ事務所だし覚悟完了☆」

  ガラッ

P「くるみ、ヘレン、ハァート! お前ら仕事前にどこいってたんだ!」

ヘレン「私はただ、ここにいただけよ」

P「なるほど。はぁとは!」

心「ちょっぴり泣き虫さんの笑顔探しに☆」

P「くるみは……うん。お疲れ様」

くるみ「ぐしゅっ……おこらないの……?」

P「既に反省してたみたいだからな。さ、仕事に行くぞ!」

心「あいあいさー☆」

―― 

ヘレン「――ラジオワールドワイド。今日もまた、世界に耳を傾けましょう」

ヘレン「今日のゲストは私の可愛い後輩……くるみよ」

くるみ「よ、よろしくお、おねがいしましゅ……」

ヘレン「涙を湛えた瞳でうつす世界は、歪んでいる? それとも、余計なものは流れ出して美しいのかしら」

くるみ「え、な、ないてない……よ、まだ、泣かないもん……」

ヘレン「そう。いい子ね……そんな彼女との日常はなかなかにキュートで、アグレッシブ」

ヘレン「そして私はダンサブル」

ヘレン「そうよね、くるみ?」

くるみ「だんさぶるって、なぁに……?」

ヘレン「……なるほど。経験が足りないようね、その若さもまたあなたの武器になる……ならばまずは見届けなさい」

ヘレン「これが世界よ!」

     ゴツッ  ブン―――





P「なにやってるんだ、ヘレン」

ヘレン「……どうやら音声だけでは十二分に伝わらなかったようね」

P「ブースでヘレンが踊ればマイクははじけ飛ぶしくるみの涙はあふれ出すさ」

ヘレン「私の情熱もね」

P「クールに頼むよ」

ヘレン「次回までには修正するわ。安心しなさい」

くるみ「ディレクターの人も、ぷろでゅーしゃーも、なんでおこらないのぉ……?」

P「ヘレンのラジオだからな」

ヘレン「これが世界よ、くるみ」

くるみ「せ、世界………くるみもなれるかなぁ……?」

P「はっはっは、なれるさ……ヘレン、このあとは1人でも平気か?」

ヘレン「ソロね……フッ、問題ないわ」

P「よし。じゃあくるみを連れてはぁとの収録に行ってくる、こっちは頼むよ」

――


心「はぁーい☆ あなたのはぁとをシュガシュガスウィート! しゅがーはぁとだぞっ☆」

千佳「ルンララルンララ♪ マジカルチェーンジ♪ キラーン! ラブリーチカだよ!」

くるみ「あ、ぐしゅっ……ないてないもん、え、えがおがいちばん! みーす、なっくるうーまぁーん! ……です。ぐすっ」

心「はぁとのお友達を連れてきちゃった☆ ていうか誘拐?」

千佳「えぇー!? 大丈夫なの、はぁとちゃん!」

心「コレがあるからヘーキヘーキ☆」

くるみ「ふぇぇぇん……この衣装恥ずかしいよぉ……」

心「おぉーっと、せんの……教育がたりなかったかなぁ? くるみちゃん、シュガシュガスウィート☆」

くるみ「しゅ、しゅがしゅが……」

千佳「……さぁてみんな! 今日も身近な笑顔の魔法を紹介しちゃうよ! あたしも――」



横山千佳(9)
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P「はい正座解かない」

心「プロデューサー、マジで足がヤバイ☆」プルプル

P「そうか。映像も結構ヤバかったぞ」

心「はぁと的には心温まる……はぁーとうぉーみんぐなふれあい☆ だったんだってば☆」

P「自分の3分の1しか生きてない子供にフォローされてちゃ笑顔も触れ合いもノーセンキューよ」

心「こぉら☆ まだはぁとは26歳だぞっ☆」

P「知ってるぞ☆」

心「ならよし☆」

P「よかない☆」

心「………このいけず☆ あとでおぼえとけよ☆」

P「くるみもお疲れ様。途中からシュガーハァトがクマのぬいぐるみに変わってメイン進行になったが、見事だったじゃないか」

くるみ「千佳ちゃんがすごかったのぉ……くるみ、ぜんぜん……ぐすっ……」

P「千佳ちゃんにはあとでお礼言いに行こうな」

心「おっしゃあ☆ お礼参りだね☆」

P「は・あ・と?」

心「な・あ・に?」

P「まぁ、千佳ちゃんも慣れてるからいいけどもう少し落ち着きを持ってあげてくれ。お姉さんとして」

心「検討事項に打ち上げて――花火といっしょにパァーっと散らしとくわ☆」

P「ハッハッハ」

心「はい、プロデューサーもいっしょにシュガシュガ――」

P「やらないから。くるみと2人で千佳ちゃんのところいって来るけど正座崩すの禁止な」

心「……今のはぁとは雷撃使いになりそうかも☆」

P「そりゃあ大変だ。パワーアップ形態を楽しみにしとく」

くるみ「ぷ、ぷろでゅーしゃー……いいの……?」

P「たまにやらかすんだ。千佳ちゃんもスタッフもわかってるからいいんだが……反省はしないとな?」

くるみ「……う、うん」

――――

――


くるみ(ふたりとも……スタッフの人たちも、笑ってた……)

くるみ(怒ってても、怖い怒り方じゃなくって……笑ってるのも、嫌な笑い方じゃなくって……)


くるみ「……ぐすっ…くるみとは、やっぱり違うのかなぁ……」

ヘレン「アナタと何が違うと?」

くるみ「ひゃぁっ!?」

ヘレン「お疲れ様、くるみ。なかなかの働きだったらしいわね」

くるみ「へ、ヘレンしゃん……? お仕事、別のテレビ局じゃないの……?」

ヘレン「フッ……同じ国、同じ県。移動できない道理はないわ」

くるみ「……ちこくしない?」

ヘレン「問題ないわ」

ヘレン「悩みがあるなら言いなさい。総てをあるがままに受け入れる……それもまた、世界という器よ」

くるみ「うぅ……あの、あのね……くるみね……」

ヘレン「えぇ」

くるみ「お胸が大きいだけで、おバカでね……だから、アイドルになれるって、ほんとかなぁって思っちゃうの……」

ヘレン「……なるほど。胸が大きく、可愛らしい。アイドルになったうえでその先をどう掴むかの話ね?」

くるみ「えっ?」

ヘレン「なにか?」

くるみ「く、くるみ……アイドルになれないかもって……」

ヘレン「アイドルに……なれない? 既に成っているのに、この上を目指すにあたっての話ではないと?」

くるみ「もう……なってるの……?」

ヘレン「えぇ。今日のラジオゲスト。テレビのゲスト……両方を見事にこなしたわ。あなたはアナタとして振舞い、受け入れられたの」

くるみ「……ほんとぉ……?」

ヘレン「私が言うということは、つまり世界が認めるということ……違う?」

くるみ「……ちがわない、かもぉ……」

ヘレン「ええ。だから、そういうこと」

くるみ「ヘレンしゃん……ありがとぉ……うぅ、ぐすっ、うれしいよぉ……」

ヘレン「泣くのはまだ早いわ……あなたの涙の輝きは私たちだけで独占するには美しすぎる」

くるみ「でもぉ……ぅ、な、なかない……のぉ……」

ヘレン「いい子……そう。アナタの涙は相応しい舞台で……」



  心「ぶ・つ・り・て・き! はぁとあたぁーっく☆」ヒュンッ


           ――カカカッ!

ヘレン「……フッ。腕をあげたわね」

心「ナイスガード、ヘレン☆」

くるみ「ふぇ……は、ハート型の……しゅりけん……?」

心「はぁとあたっくだぞ☆」

心「んもぉー、ネタバラシとかズルすぎ☆」

ヘレン「くるみの涙をぬぐうには……ティッシュはもろすぎる。でしょう?」

心「そうだけどぉ……プロデューサーに言いつけるから怒られろよ☆ ごるぁ☆」

ヘレン「それもまた、彼の仕事……私にも仕事があるように、ね」

心「まぁヘレンがいなかったらはぁとが言っちゃってたらイーブン☆ ……今のオフレコでよろ☆」

ヘレン「フフ……そうでしょうね。そうでなければこのHeart Attack……」ビリッ

くるみ「あ、や、やぶっていいのぉ? はぁとしゃん、怒って……ない……?」

ヘレン「中を見なさい」

くるみ「……? 何か入ってる……」



P「くるみのライブのチケット……だな。ヘレン、ハァート?」

くるみ「ふぇっ」

心「……ヤバいかな☆」

ヘレン「流石ね、あなたが私に呼ばれたのか……私が、貴方を待っていたのか。悩ましいわ」

P「2人への話はあとで、だ……くるみ。小さ目のお仕事をいくつかやってきただろう?」

くるみ「う、うん」

P「ダンスや歌も、練習したよな?」

くるみ「……うん」

P「それを誰かに見せたいと思わないか?」

くるみ「…うんっ」

P「俺も、見たい……見せたいんだ。だから……その舞台を作った!」

くるみ「………!」

P「ライブバトルだ、くるみ! お前がどれだけ可愛いかを見せつけてやれ!」

くるみ「くるみが……らいぶ、できるの……?」

P「できるさ。レッスンもいつも頑張ってるだろ?」

くるみ「う、うん……でも、足元が見えなくて転んだり、歌の途中で泣いちゃったり……」

P「転ぶのは難易度が高いステップに挑んでるからだ。泣いちゃうのは感情がこもってるからだ」

P「大丈夫。俺が保証する……それで足りないなら」

ヘレン「私と世界が保証するわ」

くるみ「せかい……うぅ、でも、こわいのぉ……」

心「泣き顔じゃダメダメ☆ さぁ、くるみちゃん、シュガシュガスウィート☆ 甘いもの食べて……笑顔が一番、ステキだぞ☆」

くるみ「あう……あまぁい………」

心「はぁととヘレンも応援するから、負けんな☆」

くるみ「……うんっ」

P「……美味しいところを全部持っていくんだな、お前たち」

心「これぐらいで怒ってたらはぁとが狭いぞ、プロデューサー☆」

ヘレン「寛大にいきましょう、P。これもまた経験よ」

P「ふぅ……まあいい。ヘレン、とりあえず仕事現場に移動開始な? 時間がない」

ヘレン「任せなさい」

P「はぁとはヘレンを送ってやってくれ。ほら鍵」

心「りょーかい☆ はぁとでりばりーの出番だね」

P「……くるみは事務所までいっしょに戻ろう。見せたいものがあるんだ」

くるみ「みせたい、もの?」

P「あぁ。気に入ってくれると嬉しいんだが……」

――――


――



くるみ「こ、これって……」

P「くるみの衣装だ。どうだ、可愛いだろ?」

くるみ「……こんなに、かわいいの……くるみが……ふぇ、ぐすっ……に、にあう、かなぁ?」

P「きっと似合う……よければ着てみせてくれないか?」

くるみ「う、うん………」

P「くるみはこれで生まれ変わるんだ。きっと……もっと、素敵な女の子に」

くるみ「……ぷろでゅーしゃー……うんっ……」


くるみ「……に、似合う……かな……?」
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P「……完璧だ! 可愛いとも!」

くるみ「ぷろでゅーしゃー……ほんとに変われるかな……」

P「変われるさ。もう、変わり始めてる……あとはお披露目だけだ。俺も、ヘレンも、心も……応援してる」

くるみ「……うんっ。くるみ、絶対がんばるから……ぷろでゅーしゃー、応援してね?ぜったいだよ?」

P「ぜったいだな? よーし、じゃあ指切りだ! 嘘ついたら針千本!」

くるみ「………ぐすっ」

P「ん……どうした?」

くるみ「針千本も飲んだら死んじゃうよぉ……ふぇぇぇ……!」

P「いや、例えであって実際に飲むわけじゃ……」

―― ライブバトル当日 ――


くるみ(うぅぅ……人がたくさんいるぅ………)


くるみ「でも、でも……泣いちゃダメ……ぷろでゅーしゃーたちが、応援してくれるんだもん……」

くるみ「みんなが喜んでくれるようにがんばるんだもん……くるみ、笑われるんじゃなくって、笑わせるんだもん……」

くるみ「衣裳も……あれ……?」


くるみ「くるみの衣装……ない……」

くるみ「な、なんで……? ロッカーにしまって、それで……」

くるみ「ぷろでゅーしゃーが、くれたのに……ら、らいぶ……」

   クスクス…
             クスクス…

くるみ「あ………ぁ……ぅ………」

くるみ「……ぐすっ……泣かないもん……」


くるみ(……泣いちゃ、だめだもん……まだ、くるみがおバカだからどこかに忘れちゃったのかも)

くるみ(ほんとに……ほんとに、みつからなくっても……らいぶは、しなきゃ……)

くるみ(だって……だって、みんながまってるもん……くるみは、アイドルになるんだもんっ……!)

くるみ「だから、探さなきゃ……」



ヘレン「……あなたは今、まさにアイドルよ。くるみ」

くるみ「へ、ヘレンしゃん!?」

心「やっほー☆ きちゃったゾ☆」

くるみ「し……はぁと、しゃん」

ヘレン「……あなたの衣装よ、くるみ。受け取りなさい」

くるみ「う、うん……でもぉ、ここ……関係者いがい立ち入り禁止なのに……」

ヘレン「私に関係ない出来事が、この世界のどこに存在するというの?」

くるみ「……うんっ」

ヘレン「いきなさい、くるみ。あなたのステップは既に世界へ届く」

くるみ「うん……はぁとしゃんも……」

心「はぁとお手製☆ くるみちゃんの衣装バージョンツー☆ いやぁん、いっしょの舞台に立つとき用のとっておきだったのに!」

くるみ「……えへへ、この衣装も……かわいい……」

心「じゃあ、思いっきり歌ってこぉーい☆ あとははぁとにお・ま・か・せで☆」

くるみ「…………うん!」





くるみ「くるみ……バカだけど、いっぱい、いっぱい頑張って……歌うから……」


くるみ「き、聞いてー! くるみの歌……!」

くるみ「ファンの、ひとと、それから、ともだちと、あと……」

くるみ「せかいと、まほうしょうじょしゃんに…・…!」






\   ワァァァァァァァ   ……   /



くるみ(い、いっぱい歌って……がんばったから……)

くるみ(つかれちゃった……ぐずっ、みんな、笑ってる……)

くるみ(バカにしてないのに、笑ってる……くるみが、笑っても怒らないの……)


くるみ「……ふぇえぇぇぇぇん……! やっぱり涙が止まらないのぉ……」


\   アンコール!   アンコール!  アンコール!  /


くるみ「あ、アンコール……? く、くるみ、もう歌……どうしよぉ、えっと……」

ヘレン「――よく頑張ったわ。くるみ」

心「はぁーい! シュガシュガスウィート☆ みんなぁ、特別ゲスト、きちゃったぞ☆ よろこべよ☆」

くるみ「ふぇ……2人、とも……?」

ヘレン「いいライブだったわ。あなたの涙は、大海の津波に勝る」

くるみ「ど、どぉして!? く、くるみのライブで、えっと、あれ……くるみがだめだから……?」

くるみ「ぐすっ、やっぱり……なの? ふぇ、ぇぇ……」

心「のんのん☆ ライブバトルでの『アンコール』……つまり、完全勝利ってこと☆」

ヘレン「ここからはエキシビション……なんでもありよ」

くるみ「……いっしょにうたえるの?」

ヘレン「えぇ。そんなあなたにご褒美をあげるわ――」

心「はぁとたちもマジだぜごるぁ☆ さぁ――」




「――輝く『世界』の『魔法』の時間よ!」



――――


――



P「あー、それでだな。ヘレン、心」

心「はぁとって……」

P「心?」

心「……あい」

P「ライブが盛り上がったのはいい。くるみ、本当によく頑張った」

くるみ「う、うん」

P「だがちょっとばかりワールドワイドにシュガースウィートがダンサブルしすぎてたな」

ヘレン「3人寄れば文殊の知恵……3本の矢の例えもそう。世界ですら私たちを受け止めきれなかったわね」

P「アンコール10回ってなんだ! 観客が倒れたぞ!?」

心「鍛え方がたらないぞ☆」

P「くるみもふらふらになってたし。ひやひやさせないでくれ……」

ヘレン「求められるから、答える。そうシンプルなものだけで終わるとは限らないのね……フッ、悩ましいわ」

心「でもよくがんばったなぁ☆ ほめちゃうぞ☆」

くるみ「う、うん……楽しかったの……えへへ……」

P「……くるみはえらいなぁ」

くるみ「う、うん……みんなも、ぷろでゅーしゃーも、ヘレンしゃんも、はぁとしゃんも、応援してくれたから……」

くるみ「くるみも、がんばれるっておもったの……ファンの、ひとがいてくれるんだぁって、思えたから……」

ヘレン「……フフ。それはよかったわ! ならば『次』のステージはアナタにとってどうなるかしら?」

くるみ「ふぇ……つぎ……?」

心「じゃじゃーん☆ 最近メキメキ力をつけてるやつら同士の合同トーク&ライブ番組のご案内!」

くるみ「……と、トーク……おしゃべりぃ……?」

P「また心はネタバレを……ん、まぁそういうことだ。大丈夫、次回は和やかな雰囲気になるらしいから」

くるみ「ほんと……かなぁ……?」

P「嘘じゃないさ。全体的にお姉さんばかりだからどーんと胸を借りるつもりでいけばいい。日程は――」

―  トーク番組当日  ―


ヘレン「なるほど。アナタもまた世界に導かれし存在というところね」

のあ「世界? 偶像を縛るのは実像ではないわ。ただそこにあるべきという『願望』……手に掴むことが叶わない星のように」
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ヘレン「星ね。あなたが当然のように踏みしめる大地がなければ、そこにあなたが存在するという確かな事実はないというのに――」


心「ありゃりゃ、あなたも魔法少女?」

きらり「んーん! きらりはー、きらりんパワー☆ でがんばゆ乙女だにぃー?」
ttp://i.imgur.com/FdyWdiV.jpg

心「きらりんぱわぁ? なるほどあなたもはぁととおんなじかぁ☆ キャラ被りとかキッツ☆」

きらり「にょ? はぁとちゃんのパワーだとー……はぁーとぱわぁー? わぁー! 菜々ちゃんのハートウェーブとにてゆー! ね! ねぇー?」

菜々「へ? あ、あぁーそうですね。ウサミン的には異星にも近しい文化があるというのは喜ばしいといいますか、えへへ!」
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心「おぉ、お友達☆ ……んん? どこかで見覚えが……」

菜々「た、他ウサミンの空似じゃないでしょうか! ナナはウサミン星人ですのでぇー!」



くるみ「ふぇぇぇぇん! みんなが何言ってるのかわかんないよぉぉぉ……!!」



おわり

以上、お粗末

>「――輝く『世界』の『魔法』の時間よ!」
これ言いたかっただけなの

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