いちご「ちゃちゃのんの白馬の王子様じゃ!」 (54)

全国大会会場


いちご「……」テクテク

いちご「……うー、何が清老頭じゃ! 何が役満じゃ!」

いちご「確かにちゃちゃのんがちょっと迂闊じゃったけど! そんなん考慮出来るかい!」

いちご「あの姫松のタレ目! 個人戦で当たったら覚悟しとけ! ボコボコにしちゃる!」テクテク

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通行人A「……あれちゃちゃのんじゃなかと?」

いちご「?!」ピクッ

通行人B「ちゃちゃのんって役満ば振り込んだあのちゃちゃのんですか? 先輩」

通行人A「しっ! そう言ったら可哀想ばい、帰るぞ姫子」

通行人B「はい、先輩」テクテク


いちご「……」ピクピク

いちご「くそー!」ダンダンッ

いちご「みんなしてちゃちゃのんをバカにしてー!」

いちご「前までならちゃちゃのんを呼ぶ時は『カワイイちゃちゃのん』や『アイドルのちゃちゃのん』じゃったのに!」

いちご「あの試合以来、『役満振ったちゃちゃのん』、『アイドル(笑)のちゃちゃのん』呼ばわりじゃー!」ダンダンッ

いちご「(笑)って何じゃ! ちゃちゃのんは何もおかしくない!」

いちご「大体他の部員は何なんじゃ!? 同じ鹿老渡高校の仲間なのに! 慰めるどころか冷たい視線を浴びせてくる!」

いちご「今も居心地が悪いからホテルを飛び出してきた所じゃ!」

いちご「ちゃちゃのんは今不幸のどん底じゃ……何か良い事ないじゃろうか?」テクテク

ドンッ!


いちご「あう!?」ドサー

?「おっと」イテ

いちご「いたたた……どこ見て歩いとるんじゃ! ちゃんと前見て……」ハッ

純「前を見て無かったのはあんたの方だろ?」

いちご「……」

純「ん? どうかしたか?」


いちご(……か、かっこいい!!)ドキドキ

いちご(な、なんてイケメンなんじゃ!?)

いちご(スラリとした長身、整った顔立ち、キレイな銀髪……全部ちゃちゃのんの好みじゃ!)

いちご(こ、この男の人こそちゃちゃのんが長年探してきた白馬の王子様じゃ!)ドキドキ

純「さっきから黙ってるけど聞いてるのか?」

いちご「ハッ! ち、ちゃんと聞いとるよ! よそ見してぶつかってしまったんじゃ、ごめんなさい」ドキドキ

純「いや、俺の方もしっかり見て無かったから……ゴメンな?」

いちご(やっぱりかっこいい人じゃ)

純「……じゃあ俺行くから」

いちご「?! ま、まって! 名前を教えて欲しいんじゃ!」ドキドキ

純「俺? 俺は井上純」

いちご(井上純! 男らしくて素敵な名前じゃ!)

純「ん? あんたは確か一回戦で役満振った広島の……」

いちご「?!」ガクー

純「ど、どうした?!」

いちご(井上さんにまであの無様な姿を見られてたなんて……最悪じゃ)ポロポロ

いちご「うぅ……」ポロポロ

純「……」

純「……泣くなって、最後の役満は事故みたいなもんだし……それまでのあんたの打ち回しは俺好きだな」

いちご(!?)

純「それに、あんたは笑っていた方が美人だぜ?」ニッ

いちご(!!!)キュンッ


SS天使「シャープシュート!」シュッ

ドシュッ ←ハートに矢が刺さる音

いちご(……こんな素敵な人に出会う事はもう無いかもしれん)

いちご(だから!)

いちご「……井上さん! 明日は暇かのう!?」

純「ん? まあ用事は無いけど」

いちご「だったら……ちゃちゃのんとデートして下さい!」ドキドキ

純「デート!? 俺と?」

いちご「やっぱり……ダメかのう?」ウワメヅカイ

純「!?……いや、俺で良ければデートいくよ」ドキッ

いちご「じ、じゃあ明日の10時にこの会場の前で待ち合わせじゃ! いいかのう?」ドキドキ

純「それでいいぜ」

いちご「じ、じゃあまた明日! バイバイ井上さん!」ダッ

純「ああ、また明日」フリフリ


いちご(やったー!!)

いちご(う、嬉しくて爆発しちゃいそうじゃー! キャー!)ドキドキ

鹿老渡高校 宿泊ホテル


部員A「……帰ってこないね、ちゃちゃのん」

部員B「やっぱり私たちが冷たくしてたのがいけないんだよ」

部員C「冷静に考えたら負けたのは佐々野だけの所為じゃないよな」

部員D「うん、それに県大会を勝ち上がって全国に来れたのはいちごちゃんのおかげだったのに……」

部員A「……帰ってきたら、ちゃちゃのんを明るく迎え入れよう? ね、みんな?」

部員B・C・D「うん!」


ドア「ガチャッ」

いちご「ちゃちゃちゃちゃ! ちゃちゃちゃちゃ! ちゃーちゃー! ちゃちゃのんのお帰りじゃー!」ニコニコ

部員A・B・C・D「!?」ビクッ

いちご「どうしたんじゃーみんなー? 暗い顔してー?!」ニコニコ

部員D「い、いちごちゃんが帰って来ないからみんな心配してたの」

いちご「そうかー! それはすまんのー! ちゃーんとみんなのアイドルちゃちゃのんが帰って来たから安心してくれ! アハハハハハ!」ニコニコ

部員A「どうしたんだろ? ちゃちゃのん」ヒソヒソ

部員C「落ち込み過ぎて壊れたのかも?」ヒソヒソ

部員D「ど、どうしようー」ヒソヒソ


いちご「あー! 早く明日にならんかのー!?」ニコニコ

龍門渕高校 宿泊ホテル


ドア「ガチャ」

純「ただいま」

一「純くん、おかえりー」

純「部屋にいるの国広くんだけ? 透華達は?」

一「清澄の宿舎に遊びに行ったよ、僕はお留守番」

純「ふーん……あ、俺明日も出掛けるから」

一「もしかしてデート?」

純「な、なんで分かるんだよ!?」ドキッ

一「ただのジョークだったのに……相手は?」

純「……広島の佐々野いちご」ボソッ

一「ああ、役満の……純くんから誘ったの?」

純「向こうから誘われたんだよ、デートして下さいって」

一「純くん見た目はかっこいいからねー、男の子と思って誘ったんじゃないの?」

純「そんな訳ないだろ……それにどっからどう見ても俺は女だろ?」

一(どっから見ても男の子なんだよねぇ)

次の日 会場前


いちご(き、緊張して早く来すぎた!)ドキドキ

いちご(お、落ち着くためにまずは深呼吸じゃ!)

いちご(スーッ! ハーッ! スーッ! ハ)

純「よお、待ったか?」ヒョコ

いちご「は、はぁーーーー!?」ビクゥ

純「うぉ! どうした!?」

いちご「な、何でもないんじゃ!(ビックリして変な声が出てしまった!)」

純「そうか? じゃあまずはその辺ぶらつくか?」

いちご「そ、そうじゃのう」ドキドキ

いちご「……」テクテク

純「……」テクテク

いちご(な、何を喋ればいいかわからない!)ドキドキ

いちご(……それにしてもかっこいい顔じゃ)チラッ

純「……」キリッ

いちご(今もキリッとした顔で遠くの方を見とる……何を考えとるんじゃろう? 素敵じゃ)

純(あそこのショップに置いてあるの……衣が欲しがってた等身大ジュースくん人形だ! 帰りに買っていってやるか)





純「昼はここにしよう」

いちご「こ、ここ凄い有名なレストランじゃ! 超人気店ってテレビで言ってた!」

純「そうなのか? まあ入ろうぜ」

いちご「ここは何ヶ月も前から予約しないと入れないって言ってたから無理なんじゃ……」

純「いいから、いいから」

いちご「うん……」ドキドキ


ドア「ガチャ」

店員「いらっしゃいませ」

純「井上が来たって言えば分かるって聞いてるんだけど……」

店員「井上様ですね? 確かに龍門渕様から承っております……こちらへどうぞ」

純「あいよ」テクテク

いちご(い、井上さんは何者なんじゃ!?)

純(後で透華にお礼言わなきゃな)

いちご「す、凄い美味しそうじゃ!?」ハー

純「腹減ったなぁ、じゃあいただきます!」

いちご「い、いただきます」ドキドキ

純「モグモグモグモグモグモグモグモグ!」

いちご(凄い食べっぷりじゃ! それでいて食事の仕方はどことなく品を感じさせる! 家柄が良いのかもしれん)

純「モグモグモグモグモグモグモグモグ……これおかわり!」





店員「ありがとうございました」

ドア「ガチャ」


純「ふー、食った食った」テクテク

いちご「お、お金は払わなくて本当に良かったのかのう? ちゃちゃのんが食べた分だけでも……」ドキドキ

純「まあ色々事情があるから、佐々野さんは気にしないでくれよ?」

いちご「うん……じゃあご馳走様でした! 井上さん!」ニコッ

純「……おう」ドキッ

公園


いちご(静かでキレイな公園を2人で歩く……ちゃちゃのんの憧れだったんじゃ!)テクテク

いちご「し、静かで良い公園じゃここは……ね? 井上さん」

純「本当だな、ここが東京じゃないみたいだよ」

いちご「井上さんは東京の人じゃないんじゃろ?」

純「俺は長野から来てるんだ、長野代表の学校の応援にね」

いちご「長野かぁ、ちゃちゃのんはまだ行った事ないのう長野」

純「俺が案内してやるからさ?……いつでも来いよ長野」

いちご「あ、ありがとう///」ドキドキ





純「……トイレ行きたくなったから、ちょっと待っててくれ」

いちご「じゃあちゃちゃのんここのベンチに座って待ってる」

純「すぐ戻るから!」ダッ

いちご(凄い速さで行ってしまった……井上さん今女子トイレに入った気がするけど……気のせいじゃな!)ウンウン

いちご(楽しいと時間が過ぎるのがとても早いのう! 井上さんとずっと一緒にいれたらいいのに)フフ


DQN1「……あれ広島のちゃちゃのんじゃね?」

DQN2「あ、マジじゃーん!?」

いちご「!?」ビクッ

DQN1「アイドル(笑)のちゃちゃのんがなんでこんな所にいんのー?」ヘラヘラ

いちご「あははっ(ちゃちゃのんに気軽に話しかけるな!)」

DQN2「っていうか、本物のちゃちゃのんマジ可愛くね?」

DQN1「テレビで見るより可愛いよなー!」ヘラヘラ

いちご「ど、どうも(さっさとどこか行け!)」

DQN2「テレビ見てたよー? 大変だったねー」

DQN1「そーそー、落ち込んでたみたいだから俺たちが慰めてあげるよ!」


いちご「へ?」

DQN2「あっちの方にホテルあるからそこ行こうぜー! なあちゃちゃのん」

いちご(な、何言っとるんじゃこいつらは!?)

DQN1「早くホテルで夜の三麻しようぜー! 俺の役満並みのリー棒ちゃちゃのんに差し込んでやんよ!」ヘラヘラ

DQN2「お前のなんてせいぜいザンクくらいだろうが」ニヤニヤ

いちご「ホ、ホテルなんかちゃちゃのん行かん! もうほっといて!」プルプル

DQN2「……せっかく慰めてあげようと思ったのにヒドくね?」

DQN1「俺の方が傷ついちゃったよー?……だから責任取ってホテル来いよ」ヘラヘラ

いちご「い、言ってる事がメチャクチャじゃ!?」プルプル

DQN2「いいから早く来いよオラァ!」グイッ

DQN1「ちゃちゃのんが考慮してない事いっぱいしてあげるからねー?」ヘラヘラ

いちご(こ、怖い! 井上さん助けて!)プルプル

純「……おい」

DQN2「ん?」


ドゴォォォッ!!!


DQN2「グヘェッ!?」ズサー

DQN1「!?」

DQN2「」ピクピク

DQN1「な、何だてめぇは!?」

純「こいつは今俺とデートしてる最中なんだ……だから手を出すなよ」

DQN1「おいてめぇ! ふざけた事言ってんじゃ……」

純「あ!?」ギロッ

DQN1「ヒィ!(胆だけでこの俺が圧倒されるだと?!)」ガクガク

純「やるのか?」ゴッ

DQN1「し、失礼しましたー!」ピュー

純「大丈夫か? 佐々野さん」

いちご「……こ、怖かった」ポロポロ

いちご「怖かったよー!」ウワーン

純「……」ヨシヨシ





純「落ち着いたかい?」

いちご「取り乱したりして、ごめんなさい」

純「あんな事があったら仕方ないさ」

いちご「……井上さんには迷惑をかけっぱなしじゃな、ちゃちゃのん情けないわ」ショボーン

純「迷惑だなんて思ってないよ」

いちご「……本当?」ウルウル

純「むしろもっと一緒に居たいと思ってる///」

いちご(え!?)ドキッ

純「///」

いちご(……もしかして井上さんも、ちゃちゃのんの事好きになってくれたんじゃろうか?)ドキドキ

いちご(よし……ここは勇気を出すんじゃ、ちゃちゃのん!)

いちご「ち、ちゃちゃのんは初めて会った時から井上さんの事が好きなんじゃ!」ドキドキ

いちご「広島と長野の遠距離じゃけど、良かったら結婚を前提に付き合って下さい!」ドキドキ

純「け、結婚を前提に!?」

いちご(あ、焦ってとんでもない事言ってしまった!……でもこれがちゃちゃのんの本音じゃ! どうとでもなれじゃ!)ドキドキ

純「……」

いちご(……やっぱりダメかのう?)シュン

純「結婚の話は早すぎるけど、俺も佐々野さんの事好きだ」

いちご「!?」

純「だから返事はOKだよ」ニッ

いちご「……や、やったー! 嬉しいー!」バンザーイ

純「ははは」ニコッ

いちご(今日はちゃちゃのん人生最良の日じゃ!!)

いちご「そ、それでな井上さん……気が早い話じゃけど、ちゃちゃのんの家は結構な由緒ある名士なんじゃ」モジモジ

いちご「だから結婚する時には、井上さんにお婿さんとして佐々野の姓を名乗って欲しいんじゃ!」ドキドキ

純「……佐々野になるのはいいけど、女でもお婿さんって言うのかな?」

いちご「……女? 何の話じゃ?」

純「だから女の俺でもお婿さんになるのかなぁってさ」

いちご「」

純「どうしたんだ?佐々野さん?」

いちご(女? 井上さんが女!? 何の冗談じゃ? ちゃちゃのんの白馬の王子様が女じゃなんて!)フラフラ

純「……あー、気付いてなかったのか……隠してた訳じゃないけど実は俺女なんだよ」

純「何故かよく誤解されるけどな」ハハハ

いちご「」

いちご(そんなん考慮しとらんよぉ)

いちご「……ごめんなさい井上さん」ダッ

純「あっ! 佐々野さん!……行っちまった」

ズキッ

純「……こんな事慣れっこなはずだったのにな」





いちご(たまたま出会った理想のタイプが女の人だった……)

いちご(ちゃちゃのんの人生って何でいつもこうなんじゃろ)

いちご(県予選を勝ち抜いて、これからという時に全国1回戦負け……)

いちご(勇気を出して告白して成功したのに相手は女の人……)

いちご(もう嫌じゃ……)

いちご(……井上さん)ポロポロ


?「kiss kiss kiss もう夢中なの♪」テクテク

?(……ん? どうされたんでしょう? あの方……何やら落ち込んでいるようですが)

?「あの……どうかされましたか?」

いちご「……ちゃちゃのんの事は放っておいてくれ」グスン

?「そんなに泣かれている方を放っておけませんよ!……話だけでも聞かせてくれませんか?」ニコッ

いちご「(優しそうな人じゃ)……実は」





?「なるほど、つまり告白までした相手が実は女性だったと言う訳ですね?」

いちご「そうじゃ……」グスッ

?「……一体それのどこが問題なんですか?」

いちご「ど、どこが問題って相手が女な所じゃ!」

?「好きになった方が女性……素晴らしいじゃないですか?」

いちご(な、何なんじゃこの人は?!)

?「確かに今現在、同性間よりも異性間で恋愛をしている方たちの数の方がほんの少しだけ多いですが……それもすぐに逆転されるでしょう」


?「iPSの進歩と共に」


いちご(ア、アイピーエス!?)

?「それよりも大切なのは、あなたの気持ちです」

いちご「ち、ちゃちゃのんの気持ち?」

?「その方を女性と知って、貴女はどう感じましたか? 恋愛感情は無くなりましたか?」

いちご「井上さんが女と分かって最初は驚いたけど、気持ちは何も変わってない……井上さんを好きなままじゃ」

?「……じゃあもう答えは出てるじゃないですか?」ニコッ


いちご「え?」

?「女性と分かっても変わらず好き……そんな方なかなかいませんよ?」

?「男とか女とか関係ない……人間としてその方を愛しているんですよ、貴女は」

いちご「……でも」

?「自分の気持ちに正直になって下さい!」

いちご(……井上さん)



『俺も佐々野さんが好きだ』



いちご(!?)ドクン

いちご「……」

いちご「……その通りじゃ……自分の気持ちに嘘はつけん! ちゃちゃのんは井上さんが好きじゃ! 男とか女とか関係ない!」

?「じゃあ早く行ってあげて下さい……きっと貴女を待ってますよ?」ニコッ

いちご「ありがとう! ちゃちゃのん行ってくる!」ダッ

?「……きっと素晴らしい未来が貴女を待っていますよ」ニコリ

公園


純「……」

いちご「井上さん!」ハァハァ

純「佐々野さん!? 何でまたここに?」ドキッ

いちご「井上さん、さっきはごめんなさい!……ちゃちゃのん最初は驚いたけど、やっぱり井上さんの事が好きじゃ!」ハァハァ

純「……こんな男みたいな女の俺でもいいのか?」

いちご「男でも女でも関係ない! ちゃちゃのんは井上さんが……純が好きなんじゃー!」

純「!?……お、俺もいちごの事が好きだ!」

いちご「純///」ギュッ

純「いちご///」ギュー





?「あの方はきちんと恋人同士になれたでしょうか?」

?「……きっと大丈夫でしょうね」

?「私も早く咲さんと恋人同士になりたいものです」

?「そのために、まずはこの桜trickをヘビーローテーションで咲さんに見せ続けましょうか」ウフフ


おしまい

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