俺「生存率1億分の1以下…か」(33)


俺「いずれ来るんだろうな」

友「ああ…最近、かなりサイクルが早いみたいだ」


俺「その時が来て欲しいような、まだ先でいいような」

友「ま、オレ達がどうこうできるハナシじゃないさ」

俺「…そうだな」


モブA「おい、オレ達の小隊に集合命令が出てるぞ」

友「!!」

俺「まじかよ…今、話してたばかりだぜ」


モブB「オレ…やだよ、だって全滅が当たり前だって言うじゃねえか」

友「……そりゃ、オレだって怖いさ」

俺「でも、ここにこのままいたって一緒だ」


モブA「そうだ…今はまだ若い精子、でもすぐに劣化していって……」

友「その内、老廃物……オレはその方が御免だ」

俺「友……」


友「俺、オレは征くぞ。なに…どんなに狭き門だろうと、挑まなければ通れるわけがないんだ!」

モブA「友…その通りだ」

モブB「ごめん…オレ、覚悟するよ! お前達と同期でよかった!」


俺「よし──」

友「俺…?」


俺「──征こう、オレ達の死に場所へ」


小隊長「総員! 整列っ!」


ビシィッ!


小隊長「…ご苦労、諸君。尻尾を休めて聞きたまえ」

男(いつもと雰囲気が違うな…普段なら『休め』なんて言わない)


小隊長「訓練の定時ではないこの時間に集合を呼びかけた…その時点で皆、察してはおろう」

小隊長「…つい先刻、前立腺(ジェネレーター)が初期拍動の兆候を見せたとの報告があった」


隊員「おお…遂に…!」

ザワザワ…ザワザワ…


小隊長「騒ぐな! …なに、知らなかったわけではあるまい」

小隊長「何しろ、ここ最近の出撃サイクルは非常に早い」

小隊長「それは言うまでも無く、我々の主たる『男』が二十数年の童貞生活に終止符を打ったからだ」


モブC「お言葉ですが小隊長殿! 我が主『男』は以前より右手の活用に余念はありませんでした!」

ドッ!アハハハハ…
…ソウダ、ソウダ!ミギテハトモダチー!


小隊長「…静まれ! ……だが、この期に及んでなお、下らん野次を飛ばせる貴様らを頼もしく思う」


小隊長「状況は以前とは違う」

小隊長「主たる『男』は現在、恐るべき頻度で恋仲であり脱童貞の相手でもある『幼馴染』との性交渉を行っておる」

小隊長「右手による演習訓練とはわけが違うのだ……解ろうな?」


俺(つまり、本当に卵子に突入できるチャンスもあるって事だ)

俺(……オレ達は無駄死にすると決まったわけじゃない)


小隊長「その出撃サイクルの早さ故に、貴様らに充分な訓練を受けさせたとは言えん」

小隊長「正直、もっと…貴様らをしごきヌキたかった──」


ザワザワ…ショウタイチョー
…ナイテル…?


小隊長「──騒ぐなっ!」

小隊長「例え訓練が不足していようとも…! 貴様らがいかに若きヒヨッコであろうとも…!」

小隊長「貴様らはワシが誇る精鋭、一騎当千の兵と信じる!」


俺(小隊長…)ウルッ


伝令兵「報告いたします! 前立腺の大規模拍動を確認! 間もなく分泌液が押し寄せますっ!」


小隊長「すでにこの竿(ふね)は作戦区域(膣内)に突入しているっ! 端部潤滑液(カウパーリキッド)の分泌量も上々だ!」


ドパッ!ザアアアアァァァッ!
ゴゴゴゴゴゴ…!


俺(あれがオレ達が乗る分泌液…! これだけ頻繁に排出しておいて、なんて量だ…!)


小隊長「挑むは…戦うは、まさに今ぞ! 奮え、勇士よ! 総員、出撃体勢っ!」

隊員「おおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」


俺(いいだろう…分泌液は今、俺を飲み込み──)


俺(──精液に変わる──!)


──発射10秒前

波動砲充填20%──


俺「くっ…他の小隊よりも前に出なければっ!」

友「俺っ! こっちだ!」

俺「友…! どこだ、友っ!?」


ライバル「はっ! モタついてんじゃねえよ!」

俺「ライバル…! お前の小隊も出撃していたとはなっ!」

ライバル「俺よ、悪いが貴様が受精する事は無いぜ」

俺「ぬかせっ…!」


──発射8秒前

波動砲充填50%──


俺「くそ…完全に友とはぐれちまった…!」

俺(かなり前にはきたが…)

俺(ライバルの姿も見えない…あいつの実力なら、先頭に近いところにいるはずだ──)

………


兄『──なあ、俺…重荷を背負わせて悪いが、いつか出撃したら…オレの分まで戦ってくれよな』

俺『な、何を言ってんだよ。…兄貴だって戦うために生まれてきたんだろ』

兄『ははっ…知ってるだろ? 産出される精子の数パーセントは不良品だ』

俺『兄貴…』


兄『不良品の精子は受精しても、うまく分裂できない……それを避けるために、早く死ぬ運命だ』

俺『兄貴は不良品なんかじゃ…!』

兄『いいんだよ、俺…。もう尻尾の先は老廃物化しようとさえしてる…自分の事は自分で解るさ──』


──発射6秒前

波動砲充填70%──


俺(オレは…)

俺「負けるわけには、いかないんだ…!」ピチピチッ!

ライバル「くっ…こいつ! 食らいついて来やがるっ…!」


モブD「周囲の温度が変わってきたぞ!」

モブE「発射口に近いんだ…いよいよか」


俺(確かに、周りの壁が軟質化してきてる)

俺(おそらく亀頭部に達してるんだ…)

俺(あとは尿道との合流弁がいつ動作するか…!)


──発射4秒前

波動砲充填90%──


俺(しまった…周りの密度が高すぎる…!)

俺(波動砲は最大で120%まで加圧される…このままじゃ、潰されちまう!)

俺(どこか隙間は…!?)キョロキョロ


俺(…あった! あそこへ逃げ込めば…!)ピチピチッ


ライバル「甘えんだよっ!」ババッ!

俺「ライバルッ! 貴様…!」

俺(くそ…先を越されるなんてっ!)

俺(でも、ライバルが悪いわけじゃない…みんな生き残るのに必死なんだ)

…ギュウウウウゥゥゥッ!

俺(く…そ……意識…が…)

俺(ここ…までか──)


──発射2秒前

波動砲充填100%──


友「──俺っ!」ドンッ!

俺「うわっ…!?」ピチッ


俺(何が起こった…!? 幾分隙間があるところへ押し出されたが…)


──ハッ!


俺「……友っ!?」

友「くっ……」
ギュウウウゥゥゥゥッ!


俺(馬鹿な! 友が俺のいたところに…!)

友「……生きろ…俺…」

俺「友っ! 今行く…! くそっ、よけてくれっ! 友ぉっ!」ピチピチピチッ


──発射1秒前

波動砲充填120%──


友「うわああああぁぁぁぁぁっ!!!」

モブ多数「ぎゃあああっ! つ…潰れるうううぅぅっ!!!」


──プチッ
プチプチプチッ!


──波動砲充填限界

生存者ハ耐衝撃体勢ヲトレ

繰返ス、生存者ハ──


俺「友おおおおおぉぉぉぉっ!!!!」


──波動砲

発   射   !!!


……………
………



俺(……ここは…どこだ)

俺(暖かい…まるで母の胎内のようだ)

俺(俺は…死んだのか…?)

俺(…友は……?)


俺「友…? ……友っ!?」パチッ


俺「………いない…」


俺「そうだ…ここは、膣内…俺は…友の、兄貴のためにも」

俺「ここで倒れるわけにはいかないんだっ!!!」


モブF「ぎゃあああぁぁぁっ! なんだ…こいつらはああぁぁっ!?」


俺「!?」


モブF「うわあああぁぁぁぁ……! たす…け…て……」ジュウウウウゥゥゥゥ…

俺「なっ…!? 体が溶けて…!」


ライバル「ボーッとするな!  そいつに触れたら死ぬぞ!」

俺「ライバル! 生きていたのか!」

ライバル「くそっ…どうやら、主…『男』はオレ達を見限ったようだぜ」

俺「どういう事だ…?」

ライバル「お前にはアレが見えないのか」


俺「……!!」


俺(何だ…あの壁はっ!)

俺(全方位を囲んで…オレ達の進撃を阻んでいる…!)


ライバル「聞いた事くらいはあるだろう…あれが『絶対防御壁(ゴム)』だ。…オレも見るのは初めてだがな」

俺「あれが…ゴム…」


モブG「ぎゃああああぁぁぁっ!」ジュウウウウゥゥゥッ


ライバル「そしてあのオレ達を溶かす物体は、ゴムに塗布された殺精子ゼリー!触れたら終わりだぞっ!」ピチピチッ


俺(何て事だ…! でも、それじゃいくら逃げても…!)

俺(くそっ! 『男』はただ快楽のためにオレ達を利用したってのか…)


俺(受精させる気も…!)

俺「……戦う事を許す気も無いってのかよぉっ!」


──フワリ…


俺(…風? こんな閉ざされた空間で、どこから)

俺(でも間違いない、どこかから吹いてくる)

俺(風が吹くなら…どこかに出口があるはずだ…!)ピチピチッ


ライバル(アイツも気付いたようだな…)ピチピチッ


俺(どこだっ!? どこに出口が…!?)


──ヒュウウゥゥッ


俺「!!」

俺(あった…! 円形の穴が空いてる…!)


ライバル「ハハッ…! どうやら『男』がオレ達を見限っても『女神』は見捨てなかったようだな!」

俺「女神…?」

ライバル「あれは人為的に空けられた『針穴(トラップホール)』だよ…! 『幼馴染』の仕業だろうな!」


俺「くそっ…しかし殺精子ゼリーの布陣が濃い…これじゃあ近づけない!」

ライバル「チッ…情けねえ、ついて来い!」ピチピチッ

俺「なっ…よせ! ライバル! 死ぬ気かっ!」ピチピチッ


ライバル「殺精子ゼリー、心も持たぬ無機物の兵士よ…! 道を──」

俺「ライバルーーーッ!」

ライバル「──開けろおおおぉぉぉっ!!!」


グチャアッ!
バキッ!ドロッ!ジュウウウウゥゥゥ…


ライバル「…早く…行けっ……このウスノロ…め…」ジュウウウゥゥ…


俺「なぜ…なぜだっ! ライバル!」

ライバル「ふんっ…勘違いする…な……オレは…さっき一度、ゼリーに触れて…いたんだ…」ジュウウウゥゥ…ブスンッ…ブスッ

俺「…そんな……」


ライバル「尻尾が…焼け落ちる前に…ここをクリアにでき…て…良かった…ぜ…」ボロッ…ボロボロッ…

俺「ライバルッ! 崩れ落ちて…!」


ライバル「さあ…早く……行けっ! オレの死を無駄にしないでくれ…! イクんだ…俺……頼…む──」サアアアァァァ…


俺「ライバルーーーッ!!!」


俺「ライバル……」

俺「友……兄貴……」

俺「みんな……」


俺「オレは…必ず、受精してみせるっ!!!」

俺「例え主の意思がどうであろうとも……!」

俺「避妊なんか…許さないっ!」


俺「待ってろ…卵子…!」


──みんな、俺を


俺「うおおおおおぉぉぉぉっ!!!!」ピチピチッ


見守ってくれ──


──この日の戦いは後に『壁越えの聖戦』と呼ばれ、永く歴史に刻まれる事となる


戦死者1億1284万8635名

任務達成者1名


後に明らかとなった破られし壁は『超うす12個入(小さめ用)』だった


無論、穴は人為的に穿けられたものであり、決して商品の質に問題は無い──


──三ヵ月後


幼馴染「責任とってよね」

男「あい」


【End】

過去作置場、よかったら覗いてやって下さい
http://garakutasyobunjo.blog.fc2.com/

静かな場所で読むんじゃなかった…

>小さめ用
あっ…(察し)

ウディ・アレンかなwwwwwwwwwww
Everything You Always Wanted to Know About Sex

これ読んでひっさびさに動画見てきたわwwwwwwwwww

>>27
見てきたwwww
もし日本語字幕のやつとかあったら教えろくださいwww

>>28
つべのは無くなってたから悔しいけどニコ動でsm8843542

サンクス、夜かならず見る!

感動した

南蛮戦時だよ

RADWIMPSの『コンドーム』おもいだした

よかったよ

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