やよい「日曜日」 (27)


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真美「あーまた負けちゃったよー」


亜美「んっふっふ~、真美もまだまだですなぁ」


真美「だって真美のゲーム機のボタン反応悪いから……」


亜美「あらら?言い訳ですかなぁ?」


真美「なにおう!もう一回!」


やよい「ほら真美ー、もうすぐ撮影の時間だから行くよー?」


響「早くしないとおいてくぞー?」


真美「ちぇーっ、亜美、帰ってきたら続きだかんね!」


――――――――――――――――――


【撮影の帰り・車内にて】


真美「んー、やっぱり反応悪いなぁ」


やよい「それさっきのゲーム機?」


真美「うん。最近調子悪くてさー。ボタンの連打やりすぎたかも」


響「大切に使わないとダメだろー?結構高いんだから」


真美「ううぅ、スミマセン……」


響「でも、壊れてたら亜美とちゃんと遊べないんじゃないのか?」


真美「それは大丈夫!来週新しいの出るし、それをまた買うからさ」


響「真美達またゲーム買うのか!?」


真美「そうだよー。ひびきん、どうしてそんなに驚くの?」


響「んー、よくそんなにゲームとか沢山買えるなぁと思って」




真美「だってさ、最近真美達ガッポガッポ稼いでるジャン?だから問題ないよ→」


響「えー、自分なんかペットのエサ代とかでいっぱいいっぱいだぞ」


真美「それはひびきんが何百匹も飼ってるからじゃない?」


響「さすがにそんなに沢山飼ってないぞ…。でも確かに多いかもなぁ」


真美「お世話とか大変じゃないの?」


響「全然大丈夫だぞ!皆可愛くていいやつばっかだからな!」


真美「ふーん・・・。あれ?やよいっち、ボーっとしてどうかしたの?なんか暗いよ?」


やよい「え?いや、ちょっと考え事してて……」


響「大丈夫か?体調悪いとかなら無理するなよ?」

やよい「大丈夫ですよ響さん!心配しないでください!」


響「ならいいんだけどな」


やよい「・・・・・・・・・・・・」


やよい「(私もゲームとか買ったりペットのお世話したりしてみたいなぁ……)」


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【再び事務所】



響「みんなー、今戻ったぞー!」


伊織「あら、お帰りなさい」


やよい「あ、伊織ちゃんだ!もうレッスンは終わったの?」


伊織「ええ。私も真達とさっき帰ってきたところよ」


やよい「うっうー!それはお疲れ様ですー!!」


伊織「やよいも撮影お疲れ様。・・・あ、そういえばやよい、もう今日は仕事終わりかしら?」


やよい「うん!今日はもうおしまいだよ!」


伊織「あら、それなら丁度いいじゃない」


やよい「?」



伊織「真がね、とっても可愛いカフェを見つけたらしくて、一人じゃ入りづらいからって一緒に行ってくれる人を探してたのよ」


真「そうなんだよ!すっごいピンクでフリフリしてて・・・」


伊織「それで、これから私と真でそこに行こうと思っているのだけど、やよいも一緒に行かない?」


やよい「あ……ごめんなさい、これから晩御飯の買い物行かなくちゃいけなくって……」


伊織「あらそう、それなら仕方ないわね…」


真「それじゃあ、今日は二人で行ってくるからやよいも今度一緒に行こうよ!」


やよい「ありがとうございます!また誘ってくださいね!」


真「任せといて!じゃあ伊織、行こうか」


伊織「・・・・・・・・・・・・」


真「伊織?どうかした?」


伊織「あ、いや、何でもないわ。行きましょう。やよい、それじゃあね」


やよい「はい!いってらっしゃーい!」


やよい「・・・・・・・・・・・」


やよい「(カフェ、行きたかったなぁ……)」


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【また別の日・事務所にて】


ガチャッ



やよい「あ、伊織ちゃん、お帰りなさーい!」


伊織「ただいまやよい、夕方なのに相変わらず元気ね」


やよい「はい!……あれ?伊織ちゃんその服…」


伊織「あら、気付いた?これ昨日買ったばかりなの」


やよい「それ、とっても可愛いですー!よく似合ってるよ!」


伊織「ありがとう」


やよい「私もそういう服着てみたいなぁ・・・」


伊織「そうね……やよい、それなら明日の収録の後一緒に見に行かない?お薦めの店、連れて行ってあげるわよ」


やよい「本当ですか!?……あ、でも、やっぱり今はまだ大丈夫かな」


伊織「どうして?遠慮することないのよ?」



やよい「んー、気持ちは嬉しいんですけど、最近かすみの服が小さくなってきたから買い直さないとだし、浩三のベビーカーも欲しいし・・・」


やよい「だから伊織ちゃん、また今度ね!」


伊織「本当にいいの?」


やよい「うん、ごめんね折角誘ってもらったのに」


伊織「いえ、それはいいんだけど……。ねぇやよい、ちょっといいかしら」


やよい「何?どうしたの?」


伊織「あなた、家族のことばっかり優先してて、自分のことを後回しにし過ぎてるんじゃない?」


やよい「へ?」


伊織「……ほら、その服、肩のところに穴が開いてるじゃない」


やよい「あっ、本当だ…。でもこれ、繕えばまだ着れます!」



伊織「でも、それだけじゃないわ。」


伊織「やよい、最近思ってたんだけど、亜美達や私達みたいにゲームとか雑誌とか買ったりもしないし、
   一緒に出掛けたりもほとんどしてないでしょ?」


やよい「確かにそうだけど・・・」


伊織「あなた、本当は『私も欲しいな、行きたいな』って、思ってるんじゃないの?」


やよい「っ!!それは・・・そんなこと・・・」


伊織「勿論、やよいを『そんなのアイドルとしておかしい!』って責めたい訳じゃないのよ?」


伊織「やよいの家の事は良く知ってるし、そのためにやよいが本当に頑張ってることはちゃんと分かってるわ。本当に偉いと思う。」


伊織「でもね、あなただってまだ中学生なのよ?」


伊織「それに、最近では仕事も増えてきたし前よりは余裕も出来てきたでしょう?」


やよい「う、うん」


伊織「だから、我慢しなくても、自分のやりたいようにしていいのよ?私達にだって遠慮せず頼っていいんだから。」

良い話だ



やよい「……ありがとう伊織ちゃん。」


やよい「でもね、私、全然我慢なんかしてないんだよ?」


伊織「またそうやって強がって…」


やよい「そりゃあね、私も、亜美や真美みたいにゲームしたいなぁとか、伊織ちゃんみたいにオシャレな洋服色々着てみたいなぁとか」


やよい「響さんみたいにペットを飼ってみたいなぁとか、真さん雪歩さん春香さんみたいに仕事終わりに甘いもの食べにいったりとか」


やよい「そういうこと沢山してみたいって、いっつも思ってるよ」


伊織「だったら・・・」


やよい「でもね、私、今みたいな生活でもとっても楽しいんだ。確かに忙しいし大変だけどさ」


やよい「それにね……」


やよい「伊織ちゃん、この前の日曜日のこと覚えてる?」


伊織「えっと、確か仕事が前日の深夜にキャンセルになって、結局休みになった日よね?」


やよい「そうそう。その日にね、こんなことがあったんだ…」


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【高槻家】



やよい「zzz……」


長介「姉ちゃん、そろそろ起きろよー!!もう昼だぞー!!」


やよい「あと五分だけ寝かせて~・・・」


長介「ほら、もうご飯出来たって!!早くしないと姉ちゃんの分食べちまうぞ!!」


やよい「う~・・・分かったよ~」


やよい「ふぁ~あ・・・。あ、ホントだ、もう12時前」


かすみ「お姉ちゃんおはよう」


浩太郎「おはよー」


浩二「はよー」


浩三「よー」



やよい「おはよう、かすみ、浩太郎、浩二、浩三。……あっ、洗濯やっててくれたの!?わざわざごめんね!」


かすみ「だいじょうぶ。お姉ちゃん昨日も遅かったしゆっくりしてていいんだよ」


やよい「いやいや、手伝うよー!かすみ達こそテレビでも見てなよ!」


かすみ「だーめ!私達がやるから!いいからお姉ちゃんは座ってて」


やよい「でも・・・」


長介「かすみ達にやらせてあげなよ姉ちゃん。遠慮することないって」


かすみ「そうそう」


やよい「んー……、じゃあそうするね。ありがとう皆。長介もご飯作ってくれたんだね。ありがとう」


長介「気にすることないって。さ、早く洗濯物畳み終わって食べようぜ!」


みんな「はーい!」


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みんな「ごちそうさまでしたー」


やよい「ふー、美味しかった。長介、随分料理上手になったね」


長介「そ、そうかな」


やよい「そうだよー。お姉ちゃんもう長介に負けちゃうかも」


長介「いやいやそれはないって」



prrrrrrrrr



かすみ「あ、電話だ」


長介「俺が出るよ」



ガチャッ



長介「はい高槻です。……なんだ達也かよ。どうした?」


長介「……うん、……あー、わりぃ、今日は無理だ、ごめんな」


長介「え?いや、色々あるんだよ。ごめんな、それじゃ!」



やよい「今の電話、友達から?」


長介「うん。今から遊ぼうぜって」


やよい「行かないの?」


長介「うん、だって掃除したり晩御飯作ったりしなきゃだし」


やよい「何言ってるの、そんなの私がやるから行ってきなよ!」


長介「いいっていいって。それにもう断ったし」


やよい「今からでももう一回かけ直せば・・・」


長介「とにかく、いいんだってば」


やよい「でも、せっかく誘ってもらったのに・・・」


長介「あー……あのな、姉ちゃん」


やよい「ん?」


長介「そんな、に俺達に遠慮して一人で家の事なんでもやらなくてもいいんだぞ?」


長介「俺達、家族じゃんか」


やよい「んー、確かにそうだけど、でも、私が働いてる間、長介達に迷惑かけちゃってるし……」


やよい「だから、今日くらいは私が色々やっとかないと……」




長介「…全く、姉ちゃんはバカだなぁ」



やよい「え!?」


やよい「何でバカなのよ!!」



長介「だってさ、姉ちゃん俺達に迷惑なんかかけてないって」



やよい「いや、かけてるよ!休みの日もほとんどないし、帰りも遅くてご飯待たせちゃうことも結構あるし・・・」


長介「それは確かにそうだよ」



長介「でも、それは姉ちゃんがアイドルとして頑張ってるからだろ?」


やよい「それはそうだけど・・・」



長介「確かに、俺達に迷惑かけてるかもって思うのは仕方ないけどさ。姉ちゃんは、俺たち
   のために働いてくれてるんだろ?」


やよい「うん」


長介「俺達はそのこと、ちゃーんと分かってるし、そのせいでちょっと大変だったりしても全然嫌じゃないよ」



長介「それにね、こんなことちゃんと言ったことないけどさ」



長介「俺も、かすみも、浩太郎も、浩二も、浩三も、」



長介「みんな、アイドルとして頑張ってる姉ちゃんが大好きなんだ。最近テレビにも良く出るようになったし、とっても嬉しい。」



長介「だから、姉ちゃんのために、みんな何かしてあげたいって思ってるんだ」



長介「しかも、こうしてみんなで揃って一日過ごせること、滅多にないだろ?だから、今日は家に居たいのさ」



やよい「長介・・・」


かすみ「わたしも、お手伝いがんばるからね!」


浩太郎「おれもー!」


浩二「ぼくも!」


浩三「もー!」


やよい「みんな・・・ありがとうっ・・・!」


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やよい「私ね、長介達からそう言われて、本当に、涙がでちゃうくらい嬉しかった」



やよい「その日から、『この子達を大切にしたいな』って、今までよりもずっと強く思うようになったんだ」



やよい「亜美や真美みたいにゲームは出来ないかもしれない、伊織ちゃんみたいにオシャレにはなれないかもしれない」



やよい「アイドルとして、女の子として大事にしなきゃいけないこと、沢山ダメにしちゃうかもしれない」



やよい「でも、それでも、何よりも私はあの子達が一番だし、私が頑張って稼いだお金で何かしてあげられるんなら
    いくらでもしてあげたいなーって」



やよい「あの子達みんなのためだったら、私は後悔しないだろうなーって、そう思うんだ」



やよい「…………おかしいかな?」



伊織「ううん、全然そんなことないわ」



やよい「それなら良かった!」



伊織「じゃあ、今日も今から買い物してすぐ帰るの?」



やよい「そうだよー……、っあ!!もうすぐタイムセールの時間だ!!」



やよい「すぐ行かないと!ごめんね伊織ちゃん、私先に帰るね!!」



伊織「はいはい、車には気を付けなさいよー!!…って行っちゃったか……」



伊織「全く、あの子らしいんだから」



伊織「(・・・今度また、差し入れもって遊びにいこうかしらね)」


――――――――――――――――――――――

【帰り道】


やよい「キャベツよし、もやしよし、お肉よし、と」



やよい「お肉が安くなっててラッキーだったなぁ。これで長介達も喜ぶはず!」



やよい「今日も美味しい料理作ってあげなきゃね」



やよい「お、見えてきた」



やよい「郵便受けには・・・何も入ってないね」



やよい「・・・・・・・・・・・・・」




やよい「(私の日常は、みんな憧れる理想のアイドル生活とは違うかもしれない)」



やよい「(キラキラしてないのかもしれない)」



やよい「(でも、それでも、)」



やよい「(私はこの家に帰ってこれることが、世界で一番幸せです!)」












やよい「ただいま!!」









END



いかがだったでしょうか?

今日はやよいの誕生日ということで、彼女を主人公にしたssを書いてみました

やっぱり、やよいは天使ですねww

一応、元ネタはback numberの「日曜日」という曲になります

間違いなく恋人に向けての歌ではありますが、かなり曲解させていただきました

そちらの方も聞いていただけると嬉しいです


最後までお読みくださった皆様、本当にありがとうございました!

そして、やよい、誕生日おめでとう!!


>>10

ありがとうございます!
良い話、として終わらせることが出来ていれば筆者としましては嬉しく思います

乙乙

おつん!


>>23
>>24

ありがとうございます!



とてもいい話だった


>>26
そう言ってもらえるととても嬉しいです!ありがとうございます!

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