P「ナイトアイドル物語 円卓の騎士」 (225)

アイドルマスターとSFCゲーム『SDガンダム外伝2 円卓の騎士』のパロディです。

展開の都合上カットしているイベントが多々ありますが、ご容赦ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395450599

P(今とは違う時代)

P(とある地に、『キングアイドル』高木社長が治める765王国があった)

P(765王国には、この国が誇る騎士団があり)

P(騎士団が集まりを持つ時、丸いテーブルを囲んだため)

P(いつしか『円卓の騎士』と呼ばれるようになった)

P(長く平和な時が続き、円卓の騎士達も一人、また一人と城を去っていき)

P(765王国では新たなる円卓の騎士団を結成すべく、若手の育成に力を注いでいた)

P(だがある時、そのスキを突いて362(ザビロニ)帝国が侵攻してきた)

P(362帝国はその圧倒的な武力によって、ついに765城を包囲した……)

   ナイトアイドル物語 円卓の騎士




P(362帝国の765王国侵攻より、一年の時が流れた)

P(物語は、ここから始まる……)

   ベルファストの村 雪歩の家

P「おーい、起きろ! 起きるんだ雪歩!」

雪歩「う、うーん……」

P「そろそろ剣の稽古の時間だぞ!」

雪歩「ふぇ……もうそんな時間ですかぁ?」

P「俺は用事があるから、少し出かけてくる。稽古をさぼるんじゃないぞ!」

雪歩「もう、わかってますよぉ!」

P「記憶が無い雪歩は覚えてないと思うが、雪歩の父上は誇り高い立派な騎士だった」

雪歩「はい……」

P「雪歩も、強い心を持った騎士になるんだ。いや、ならないといけないんだ!」

雪歩「が、頑張りますぅ!」

P「……おっと急がないと! それじゃ、行ってくるぞ」

   ベルファストの村 村はずれの訓練場

雪歩「せいっ! はあっ!」ブンブン

雪歩「……ふぅ。今日はこんなものかな」

村長の娘「あら、雪歩ちゃん!」

雪歩「あ、こんにちはぁ。今日も良いお天気ですねぇ」

村長の娘「お稽古は終わったの?」

雪歩「ちょうど今、終わりにしたところですぅ」

村長の娘「最近362帝国の軍が各地の村や町を荒らして、何か探してるって聞いたわ」

雪歩「本当ですか? 怖いですねぇ――」

??「キャーーーーー!」

雪歩「ひゃっ!?」

村長の娘「何かしら?」

村人「大変だ! 今362帝国の兵が、村長の家の前に……」

村長の娘「エッ!?」

雪歩「362帝国の……兵士!?」

村長の娘「…………!」ダッ

雪歩「わわっ!?」

村人「おい! 今は危ない!!」

雪歩「ど、どどどうしよう!? とりあえず、追いかけないと!」

   ベルファストの村 村長の家の前

雪歩「いた! 村長さんと……あの人は?」

邪騎士「我が名は邪騎士(エビルナイト)! 765王国の皇女を探している!」

村長「そんな者は知らぬ。さっさと出ていってくれ!」

邪騎士「怪しいぞ! なぜ、そんなにうろたえるのだ? 何か隠しているのだろう!」

村長「皇女など知らぬ!」

邪騎士「うそをつけ!」ズバッ

村長「ウグッ……」

村長の娘「お……お父様っ!」

雪歩「あ、出て行っちゃダメです! 危ないですよぉ!」ガシッ

村長の娘「うう……。雪歩ちゃん……お父様を助けて!」

雪歩「は、はい! ちょっと怖いけど、やってみます!」

雪歩「村長さんを離してください!」

邪騎士「なんだ小娘、引っ込んでろ!」

雪歩「いやですぅ!」

邪騎士「おいお前たち! こいつを少し痛めつけてやれ!」

敵兵士「このガキ、おとなしくしてろ!」

雪歩「村の平和を乱す者は、私が許しません!」

敵兵士「おのれ! やる気か!」

雪歩「せいやあっ!」スバッ

敵兵士「ぐはあっ!」バタッ

邪騎士「小娘、お前何者だ! そうか……お前が、765王国の皇女だろう!」

雪歩「えっ!? 私は皇女なんかじゃ――」

P「待て!」

雪歩「あ! プロデューサー!」

P「その娘に少しでも手を触れてみろ! この俺が必殺の魔法をお見舞いするぞ!」

邪騎士「なっ……!? 何者だ、お前は!」

P「お前などに名のる名はない! さっさと立ち去れ! それとも俺とやり合う気か!」

邪騎士「ぬぅぅ……覚えていろ!」ダッ

雪歩「あっ……よかった、逃げてくれましたぁ」

P「ふう、ムチャしやがって……。寿命が縮まるかと思ったぞ……」

雪歩「プロデューサーって、そんなに凄い魔法を使えたんですか?」

P「おいおい、雪歩……。俺が必殺の魔法なんて、知るわけないだろ?」

雪歩「え!? 嘘だったんですか?」

P「ああ、もちろん嘘っぱちだよ」

雪歩「……すっかり騙されちゃいましたぁ。すごい演技力ですね、プロデューサー」

P「ははは……。人生、時にはハッタリも必要だからな……」

P「それより雪歩、大事な話がある。そろそろ話してもいい頃だろうからな」

雪歩「大事な話……ですか?」

P「今まで隠していたが、ヤツらが言っていた通り雪歩は……」

雪歩「?」

P「765王国の『キングアイドル』高木社長に、後継者として選ばれ……」

雪歩「え……?」

P「俺が来たるべき日に向け、プロデュースしていた娘……」

雪歩「え、え?」

P「つまり、間違いなく『皇女』と呼ばれるべき人物なんだ……」

雪歩「えええええっ!? わ、わわわ私が!? で、でもでも、だって――」

P「立ち話もなんだ。家に入ろうか……」

   ベルファストの村 雪歩の家

P(俺は、自分が数年前から765王国の社長に仕えている軍師である事)

P(一年前の戦争で、765王国が362帝国に壊滅させられた事)

P(その時俺が、ショックで記憶をなくした雪歩を連れて逃げ、今まで育ててきた事)

P(そして社長が行方不明だという事を、雪歩に話した……)


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P「時は来た!」

雪歩「…………」

P「雪歩は社長の意思を継ぎ、362帝国を倒さなければならない!」

雪歩「私が362帝国を……。でも、私にしかできないなら……!」
 
P「そして765王国を復興し、平和な世界を取り戻すんだ! いいな!」

雪歩「は、はい! やれるだけ、精一杯頑張ってみますぅ!」

P「よし! じゃあまずは、雪歩の記憶を取り戻しにいくぞ!」

雪歩「あのぉ……プロデューサー」

P「ん、どうした雪歩?」

雪歩「そのぉ……」

P「もしかして、出発の前にトイレか?」

雪歩「ち、違いますぅ! プロデューサー、デリカシーがないですよぉ!」

P「わ、悪い悪い。それじゃ、どうしたんだ?」

雪歩「えっとですねぇ。そんなに都合よく記憶が戻るなんてこと、あるのかなって……」

P「ああ、手はある。王家の墓にある、ヴァトラスの剣を手に入れるんだ」

雪歩「ヴァトラスの剣? 何だか強そうな名前ですねぇ」

P「765王家に伝わる秘剣だよ。それを手に入れれば、きっと雪歩の記憶も戻るはずだ」

雪歩「本当かなぁ……? そのお墓、どこにあるんですか?」

P「ここから南にある、センチネルの村を抜けた先だよ」

雪歩「わかりました。それじゃ、さっそく出発しましょう!」

P「ああ! 765王国復興の旅の始まりだ!」

続きはまた午後にでも。

ご覧いただければ幸いです。

すげぇ懐かしい

ガンダム知らなかったけどF91が好きだった

まずは最強の剣盾を作るところからだな

>>14
自分もガンダムを知らずに、このゲームを好きになった口です。
ちなみに白金卿が好きでした。

>>15
チートすぐる。
個人的には、バーサル最強の剣&盾バーサル女王様の方が……。



それでは、再開します。

   センチネルの村 入口

雪歩「ここが、センチネルの村なんですね」

P「ああ。この村を過ぎれば、王家の墓はもうすぐだ」

雪歩「あれ? プロデューサー、入口に門番さんがいるみたいですよ?」

P「あ……。そういえば、噂を聞いた事があるぞ」

雪歩「ふぇ?」

P「ここの門番は凄腕だが、ガードが固すぎるらしくてな」

雪歩「え? それ、どういう事ですかぁ?」

P「見ず知らずの旅人は、村に入る前に門前払いされちゃうんだとさ」

雪歩「ええっ!? そ、それって私達もダメなんじゃ……?」

P「う、うーん……。まあ通り抜けるだけなら、何とかなるんじゃないか?」

雪歩「そうかなぁ……? す、すいませーん! 王家の墓に行きたいんですけど!」

??「村の者以外、中に入れる事はできないぞ」

雪歩「うぅ……。やっぱり、通してくれないですぅ……」

P「ん? この声……?」

響「通りたければ、この剣士響を一騎打ちで倒してから通るんだな……って!?」

P「おおっ!?」

響「ああっ!」

雪歩「えっ?」

P「響、響じゃないか!」

響「プ、プロデューサー! 本当に、プロデューサーなのか!?」

P「ああ、俺だよ! 一年ぶりだな、響!」

響「生きててくれたんだな! 隣にいるのって、もしかして雪歩なの!?」

P「おう! 一年前に城を逃げ出してから、ずっと一緒にだったんだ!」

響「そうかぁ……雪歩も生きてたのかぁ……! 自分、本当に嬉しいぞ!」

雪歩「あのぉ……プロデューサー。この人、誰ですかぁ?」

響「お、おいおい、どうしたんだよ雪歩! 自分の事、忘れちゃったのか?」

雪歩「え、それはあの、そのぅ……」

P「あー……っと。そうか、説明しておかないといけないか」

P「響。実は今、雪歩は記憶喪失なんだ」

響「ええっ!? それ、本当なのか!?」

雪歩「は、はいぃ……」

P「雪歩、彼女は我那覇響。12人いる、円卓の騎士候補生のうちの一人さ」

雪歩「我那覇、響ちゃん……。円卓の騎士……?」

P「765王国が誇る、騎士団の名称だよ。雪歩と同じで、全員俺がプロデュースしたんだ」

響「自分達みんな、雪歩とはすっごい仲良しだったんだぞ!」

雪歩「うぅ……思い出せないですぅ……」

P「なーに、心配するな。ヴァトラスの剣が手に入れば、すぐに記憶を取り戻せるさ!」

雪歩「そうだといいんですけど……」

P「それよりも、心配したんだぞ響。どうしてこの村に?」

響「戦争の後、逃げ回ってた自分を、この村の人たちがかくまってくれたんだ」

雪歩「それで、この村で用心棒をしていたんですかぁ?」

響「そ! 助けてもらった恩は、ちゃんと返さなきゃいけないからね!」

P「うーむ……。誰も彼も通せんぼするのはやり過ぎな気がするが……。ま、いいか」

P「響。俺達は雪歩の記憶を戻すために、王家の墓に行く途中なんだ。一緒に行こう!」

響「うーん……。でもなぁ……」

P「この村の事が心配なのか?」

響「うん。村の人達には、たくさんお世話になったからさ。何かあったら――」

兵士長「ご心配には及びません、響殿!」

響「あ、兵士長さん」

兵士長「響殿がおられなくとも、我々が命をかけ村を守ります! ご安心を!」

響「……本当? 本当に大丈夫?」

兵士長「もちろんです! 響殿は、ご自分の成すべき事を成してください!」

響「……ありがとう! それじゃ自分、雪歩と一緒に行くぞ!」


  『勇剣士(ゆうけんし)』我那覇響が仲間になった!


響「よろしくな、雪歩!」

雪歩「よ、よろしくお願いしますぅ……」

P「響が生きていた……。ほかの候補生のみんなも、きっとどこかで……!」

   王家の墓

P「さて、着いたぞ。ここが王家の墓だ」

響「なあ、プロデューサー。本当にその剣の力で、雪歩の記憶が戻るのか?」

P「おそらくな。さて雪歩、中央の墓に備えてあるのが例の剣なんだが」

雪歩「これが、ヴァトラスの剣……。何だか、不思議な力を感じますぅ」

P「さあ、抜いてみてくれ! きっと、失われた記憶が思い起こされるはずだ」

雪歩「は、はい! えいやあっ!」シュッ

P「……ど、どうだ、雪歩?」

雪歩「……あ……何かが……私の中に入ってくる……!? うああっ!?」ガクガク

響「ゆ、雪歩!? おい雪歩、大丈夫なのか!?」

雪歩「……思い出しました」

P「お!」

雪歩「私は萩原雪歩……。765王国の王、高木社長の後継者……」

P「やった!」

雪歩「それと――」

雪歩「久しぶりだね、響ちゃん!」ニコッ

響「雪歩ぉ!」ガバッ

雪歩「わわわっ!?」

響「自分の事、思い出してくれたんだな!」ギュウギュウ

雪歩「うきゃっ!? ひ、響ちゃん!?」

響「よかったぞ! 自分、本気で嬉しいぞぉ!」ギュウギュウギュウギュウ

雪歩「く、苦しいって響ちゃん! 苦しいってばぁ!」ジタバタジタバタ

P「お、おいおい響。その辺で離してやれ。雪歩が窒息するぞ!」

響「あ、ごめんごめん! 嬉しくて、つい……」パッ

雪歩「けほっ……。もう、響ちゃんってば……」

P「それにしてもよかった! 本当によかった!」

雪歩「プロデューサー。一年間ずっと心配をかけて、すみませんでしたぁ!」ペコリ

P「いいよいいよ! そんな事ぐらい気にするなって!」

P「ところで雪歩。響の得意技が何か、覚えてるか?」

雪歩「はい! 氷の魔法と、何でもスパッと切り裂く剣技ですよね?」

響「その通りだぞ! なら、自分以外の円卓の騎士候補生も、ちゃんと思い出せたか?」

雪歩「えっと、重力を操る仲間思いの春香ちゃんに、風の槍使いの千早ちゃん」

響「そうそう!」

雪歩「炎の剣士の美希ちゃんと、両手持ちの剣を使う真ちゃん、二刀流の伊織ちゃんに……」

響「うんうん、それからそれから?」

雪歩「えーっと、剣士見習いの亜美ちゃん、斧使い見習いの真美ちゃんと……」

P「おう、あと四人だ!」

雪歩「僧侶見習いのやよいちゃんと、それに癒しの魔法が使える騎士のあずささん」

響「残りの二人は?」

雪歩「雷使いの律子さんに、魔法のスペシャリスト、四条さんですぅ!」

響「だね! 記憶が戻ったのは、間違いないみたいだな!」

P「雪歩の下に全員が集まれば、打倒362帝国も夢じゃないぞ!」

響「プロデューサー。みんなが今、どこにいるのか知ってるか?」

P「いや、わからん。戦争の後は、ずっとベルファストの村にいたからな」

響「そうなのか……」

P「響の方では、何か情報を掴んでないのか?」

響「いいや、自分も知らないけど……あ! そうだそうだ! そうだった!」

雪歩「きゃっ!?」

P「きゅ、急に大きな声を出すなよ! ビックリするだろ!」

響「ゴメンゴメン! ちょっと思い出したことがあってさ」

雪歩「思い出したって、何を?」

響「東にあるオックスの塔に、反362帝国の騎士が捕まってるらしいぞ!」

P「何だって? それは本当か?」

響「多分ね。センチネルの村の兵士長さんから聞いたんだ」

雪歩「もしかして、円卓の騎士候補生の誰かかなぁ?」

P「よし、さっそく行ってみよう! オックスの塔は、ここからそう遠くはないはずだ」

   オックスの塔 最上階

P「随分上ってきたけど、ここが最上階か?」

雪歩「ふぅふぅ……疲れましたぁ……」

響「気をつけて雪歩、プロデューサー! 奥の部屋の扉の前に、誰かがいるぞ!」

P「だな。おそらく、牢番ってとこだろうが――」

雪歩「あ、あの人は!」

響「ん? どうしたんだ、雪歩?」

雪歩「この間、ベルファストの村を襲った邪騎士ですぅ!」

邪騎士「む! 貴様は……あの時の小娘!」

響「おっとっと、見つかっちゃったか」

邪騎士「ここに来るのを待っていたぞ! お前を葬って、手柄に変えてくれるわ!」

P「ずいぶん威勢がいいな……。俺のウソに騙されてたくせに、よく言うよ」

雪歩「響ちゃん、戦おう! もう、村を襲わせるわけにはいかないよ!」

響「任せてよ! プロデューサー、指示を頼むぞ!」

P「ああ! 俺に任せとけ!」

P「響、まずはフリーズの魔法だ!」

響「了解だぞ! 氷漬けになれぇ! フリーズ!」ズキュンズキュン

邪騎士「うおおっ!? な、何だこれは!?」ピキピキ

P「よし! 決まったな、響の得意技が!」

邪騎士「か、体が凍って……!?」ピキピキピキピキ

響「へへん、どんなもんだい!」

雪歩「すごい冷気……敵が凍りついちゃいましたぁ!」

P「今だ雪歩! ヴァトラスの剣でトドメを!」

雪歩「はいっ! てやあああっ!」ズバッ

邪騎士「お……おのれ……。お前の様な小娘に……無……念……」バタッ

P「……意外と呆気なかったな」

響「ま、自分達にかかればこんなもんさー!」

雪歩「いい連携だったね、響ちゃん!」

P「さてと! 牢番も倒したし、捕まってる騎士を助けるとしよう!」

   オックスの塔 牢屋

響「おーい、誰かいるかー! 助けに来たぞー!」

??「あなた方は、362帝国の者ではないのね?」

雪歩「女の人の声……この扉の奥から聞こえますぅ」

P「あなたを助けに来たんです! この扉、どうすれば開くか分かりますか?」

??「この部屋のどこかの壁に、牢屋の扉を開けるボタンがあります」

響「壁に?」

??「おそらく、部屋の右の方だと思うんですが……」

P「どれどれ……?」

響「お、このボタンかな?」

??「お願いです。それを押してくれませんか?」

響「それじゃ、ポチっとな」ガチャッ

P「お、扉が開いたぞ!」

??「ふぅ……助かったわ~」

雪歩「あ! あなたは……」

あずさ「雪歩ちゃん! それにプロデューサーさんに響ちゃんも!」

P「あずささん! あずささんじゃないですか!」

響「捕まってたのは、あずささんだったのか!」

P「今までどうしてたんですか? 俺、心配だったんですよ!」

あずさ「私はあの戦争の時に敵に捕まって、ずっとこの塔に閉じ込められていたんです」

雪歩「そうだったんですかぁ……」

響「あずささん、社長がどうなったかはわからないのか?」

あずさ「ええ……ごめんなさい。上手く落ち延びていればいいのだけれど……」

響「そっかあ……」

あずさ「私には、結局誰も救えなかった……。雪歩ちゃんに何とお詫びしていいか……」

雪歩「そ、そんな! あずささん、頭を上げてくださいぃ!」

響「そうだぞ! あずささんのせいじゃないって!」

P「悪いのは362帝国です! 気に病む必要なんてありませんよ!」

あずさ「ありがとう、みんな……」

あずさ「雪歩ちゃん、私も連れていってくれるかしら?」

雪歩「もちろんですぅ! 一緒に362帝国を倒しましょう!」

あずさ「これからよろしくね、雪歩ちゃん! うふふ!」


   『鎧騎士(アーマーナイト)』三浦あずさが仲間になった!


あずさ「足手まといにならないように、努力するわね」

雪歩「と、とんでもないですよぉ!」

P「ええ。あずささんが持つ癒しの力は、これから大きな力になるはずです!」

響「さーて、プロデューサー。あずささんも助けたことだし、次はどこに行こうか?」

P「そうだな……。戦力も充実してきたし、南のラナール地方に行ってみるか」

あずさ「そこの領主は362帝国と結託して、各地の人々を苦しめているみたいですね」

雪歩「ベルファストの村を襲った邪騎士とも、関係があるんでしょうか?」

P「可能性はあるな。いずれにしても、放っておくわけにはいかない」

響「だね! よし、行こう! ラナール地方へ!」

   ラナール地方 領主の館

雪歩「あ、プロデューサー! 向こうの玉座に、誰かが座ってますぅ!」

P「お前だな! この地方の平和を乱す奴は!」

領主「我らに逆らう愚か者達とは、貴様らか!」

響「その通りだぞ! お前らの悪事、見過ごすわけにはいかないよ!」

領主「邪騎士も、こんな小娘に倒されるとは情けない……」

雪歩「ベルファストの村を襲わせたのは、やっぱりあなただったんですね!」

あずさ「落ち着いて雪歩ちゃん。領主の後ろにいる剣士、なかなかの手練れみたいよ」

魔剣士「貴様が765王国の皇女か……それで一人前のつもりかっ!」

P「こいつ、領主のボディーガードか!」

領主「いけ、魔剣士! やつらを倒せ!」

??「待ちなさい!」

雪歩「えっ!?」

あずさ「今の声……」

響「ひょっとして!」

律子「我こそは765王国円卓の騎士候補生の一人、秋月律子!」

P「律子! 律子じゃないか!」

律子「話は後よ、プロデューサー。私も一緒に戦わせてちょうだい!」


   『卿(ロード)』秋月律子が仲間になった!


領主「貴様らが束になっても勝てるものか! やれ!」

魔剣士「小娘め! 捻り潰してくれるわっ!」ブンッ

律子「危ない、雪歩!」

雪歩「きゃっ――」

   カキーン

響「そう簡単にはいかないぞ! 雪歩は、自分たちの希望だからな!」

魔剣士「ぬうっ……」

雪歩「助かったよ、響ちゃん!」

律子「プロデューサー、指令は任せましたよ!」

P「ああ、任された!」

P「響、ヤツの剣に狙いを定めるんだ!」

響「よおし! スパッといくぞ! スパット斬りいいぃぃ!」ズバアッ

魔剣士「うおっ!? け、剣が……!?」

雪歩「すごい! 敵の剣が真っ二つですぅ!」

P「続けてあずささん、頼みます!」

あずさ「ええ! はああああっ、烈火流星斬(れっかりゅうせいざん)!」ズバアッ

魔剣士「ぐ、ぐおああああああっ!?」

律子「目にもとまらぬ早技、さすがあずささんね! お次は私が――」

魔剣士「ぎ……ぐ……」バタッ

律子「え? 倒せた?」

響「やった! 格好のわりに大した事なかったな!」

あずさ「そうね。その上、律子さんが仲間に加わってくれたわ」

P「ああ! これほど心強い事は無いな!」

律子「待って!」

律子「呆気なさすぎる! 何かおかしいわ!」

魔剣士「……フシュルルルルーッ……」

雪歩「えっ? あ、ああっ!」

P「ま、魔剣士が、モンスターに変身した!?」

響「何だコイツ!? タコの化け物みたいだぞ!?」

あずさ「これが……正体?」

魔剣士「フシュルルルーッ!」グオオッ

雪歩「プ、プロデューサー! モンスターがこっちに突っ込んできますぅ!」

P「うおっ!?」

あずさ「あ、危ない!」

律子「みんな、避けるのよ!」

響「ダメだ! 逃げられないぞ――!」

魔剣士「フシュルルルーッ!」ドガーン

雪歩「きゃあああああっ!」

   ヒュウウウウゥゥゥ バシャーン

   領主の館 外の湖

雪歩「ううっ、館の外まで吹き飛ばされちゃいましたぁ……」

律子「下が湖で助かったわね……」

P「みんな、無事か!?」

響「な、何とかね……」

あずさ「私も、大丈夫です――」

律子「響、あずささん、後ろ!」

あずさ「え!?」

魔剣士「フシュルルルーッ!」シュシュシュシュッ

あずさ「あ、きゃあっ!?」

響「あずささんっ!? う、うわっ!?」

雪歩「ああっ! モンスターの触手が、あずささんと響ちゃんを締め付けてますぅ!」

あずさ「ううっ……く……苦しい……」

響「こ、このおっ! 自分のフリーズを受けてみろぉ!」

P「お、おい!? ちょっと待て響!」

響「う、うぐぐ……! な、何で止めるのさ!?」

P「冷静になるんだ、響!」

律子「こんな湖のド真ん中で使ったら、水が氷って全員凍死するでしょ!」

響「け、けどこのままじゃ……ぐうっ!」

あずさ「うくっ……い、息が、できない……」

雪歩「ひ、響ちゃん! あずささん!」

律子「プロデューサー! どうにかして、二人を助けないと!」

P「わかってる! 律子、ライトニングの魔法を使うんだ!」

律子「はぁ、ライトニングぅ!? プロデューサーまでトチ狂ったんですか!?」

P「水中じゃ、俺達は自由に動けない! なら、魔法で攻めるしかないだろ!」

律子「もし外して雷が湖に落ちたら、確実に感電死ですよ!」

P「大丈夫だ! 律子が外すなんてこと、あるはずないだろう!」

律子「あるはずないって、そんな滅茶苦茶な――」

雪歩「律子さん、お願いですぅ! 二人を助けてあげてくださいぃ!」

律子「……ええい、こうなりゃヤケよ! どうなっても知らないわよ!」

律子「ほとばしれ、雷よ! ライトニング!」ピシャーン

魔剣士「フシャアアッ!?」ズガン

律子「……よし!」

P「脳天を打ち抜いたか! さすがは律子だな!」

あずさ「う、触手の力が緩んだ……?」

響「今だ! てええぃ!」ズバッ

魔剣士「フシャアアッ!?」

雪歩「響ちゃんが、触手を切り飛ばしましたぁ!」

P「一気に畳みかけるぞ! あずささん、回復を!」

あずさ「はいっ! 癒しの力よ……ヒール」ピロリロピロリロピロリロ

雪歩「あ、やさしい光……」

響「おおっ、力が戻ってきたぞ!」

P「今だ律子、雪歩! 俺の肩を踏み台にして跳べ! そしてヤツを斬れ!」

律子「ここが勝負どころですね! 行くわよ、雪歩!」

雪歩「は、はい! 私に力を貸して、ヴァトラスの剣!」

律子「肩を借りますよ、プロデューサー! はあっ!」ガッ

雪歩「ごめんなさいプロデューサー! えいっ!」ガッ

P「いでっ! がぼっ!?」

あずさ「プ、プロデューサーさん!? 大丈夫ですか?」

P「へ、平気です……いでで」

響「雪歩、律子! いっけええ!」

律子「受けなさい、雷の剣閃! スプラッシュゴールド!」ズバアッ

雪歩「ヴァトラスアターック!」ズバアッ

魔剣士「フシャアアアアアッ!?」

響「律子の雷を纏った剣と、雪歩のヴァトラスの剣が、敵を十文字に引き裂いたぞ!」

あずさ「これなら……!」

魔剣士「フ、フシュルルルル……ルル……ル……」バタッ

響「や……やった! 今度こそやったぞ!」

あずさ「どうにか、倒せたみたいね……」

雪歩「ハァハァ……ハァ……」

   領主の館 湖のほとり

律子「しかし、危なかったわ……」

あずさ「えぇ……。あと少し水の中にいたら、確実にやられていましたね……」

響「誰だよ、大した事ないって言ったのは!」

P「響だよ……」

響「あ……そうだったっけ……。ハハハ……」

P「全く……やれやれ」

律子「雪歩……それにプロデューサー。よく無事でいてくれたわね……」

P「律子こそ、無事で何よりだよ!」

響「律子は、今までどうしてたんだ?」

律子「私? 私はこの一年、362帝国の追手に追われて各地を転々と逃げてたのよ」

あずさ「そういえば戦争が起きた時、律子さんは視察中でいなかったのよね」

律子「ええ……。悔やんでも悔やみきれないです」

P「あの時、律子が765城に残ってくれていればなぁ……」

律子「……ま、私が一人いた所で、戦局が変わったとは思えないですけどね」

律子「ともかく、雪歩達がこの地方のどこかにいるって聞いて、急いで駆けつけたのよ」

雪歩「律子さん! 765王国復興のために、協力してください!」

P「俺からも頼む! 律子の頭脳と雷の力は、大きな武器になるはずだ!」

あずさ「一緒に戦いましょう、律子さん!」

律子「もちろん! 改めてよろしく、みんな!」

雪歩「やったぁ!」

律子「とっとと362帝国を倒して、765王国を再建しないとね!」

響「うん! 頑張ろうね!」

P「頼りにしてるぞ、律子!」


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P(かくして、俺達は今回の勝利で勢いを増し、ラナール地方周辺を一気に奪回した)

P(そして次に目指す所は、敵の本拠地と化した765城への道を塞ぐ最大の難関)

P(『ゼダンの要塞』と決め、アイリッシュ地方へと進出した)

一旦ここで切ります。

続きは3、40分後ぐらいに。

なんという俺得
これは期待以外に選択肢がない

懐かしいな?
バーサルサイネリア鈴木さんの出番はあるかな?

>>41
ご期待に添えられるかはわかりませんが、
きちんと完結はさせますので、よろしくお願いいたします。

>>42
15レベルアップ×2は基本ですよね?
残念ながら、今作中での出番はありません。
ご容赦ください。



それでは、再開します。

   アイリッシュ地方 ドーズマリーの村

P「敵はラナール地方を制圧されたことで、各地の警備を強化してるらしい」

律子「ふむ……。大勢で行動すると、目立ちすぎるかもね」

P「一旦二手に別れて、リバール地方のソドンの町で合流するのはどうだ?」

響「ソドンの村って、ゼダンの要塞に一番近い村だっけ?」

あずさ「そうね~。いい案だと思うわ~」

雪歩「私も賛成ですぅ」

律子「よし、決まりね」

響「律子、チーム分けはどうするんだ?」

律子「そうね……。それじゃ雪歩は、プロデューサーと一緒でいいかしら?」

雪歩「はい、もちろんですぅ!」

P「なら律子は、響やあずささんと一緒に行くんだな?」

律子「ええ、そのつもりよ」

響「あずささん。迷子にならないように、自分の近くを離れるんじゃないぞ!」

あずさ「あらあら~。頼りにしてるわね、うふふ~」

律子「それじゃあ、しばしのお別れね」

P「ああ。旅の無事を祈ってるよ!」

響「雪歩、プロデューサー、気をつけてな!」

あずさ「また会いましょうね!」

   タッタッタッタッ

雪歩「律子さん達、行っちゃいましたねぇ。寂しくなるなぁ……」

P「さあ、雪歩。俺達も出発するぞ」

雪歩「プロデューサー。ソドンの村まで、どうやって行くんですかぁ?」

P「そうだな……。それじゃ、東のティンタージェル城を経由するか」

雪歩「ティンタージェル城? そこに何かあるんですか?」

P「ああ。もうすぐ、大きな武道大会が開かれるらしいんだ」

雪歩「武道大会ですかぁ。強い人がたくさん集まりそう……」

P「人が集う場所なら、有益な情報が手に入るかもしれないし」

雪歩「もしかすると、円卓の騎士候補生の誰かと会えるかもしれませんねぇ!」

P「そういうこった。さあ雪歩、ティンタージェル城に行くぞ!」

   ティンタージェル城 城下町

P「さすがに人で溢れかえってるな……お!」

雪歩「どうかしたんですか、プロデューサー?」

P「見てみろよ雪歩、この武道大会の張り紙!」

雪歩「ええっと……優勝者には、362(ザビロニ)帝王から、直々に重臣の位が授与!?」

P「どうやらこの城は、362帝国の管轄下にあるみたいだな……」

雪歩「362帝王……。765王国を滅亡させた張本人……!」

P「どうする雪歩? 危険かもしれないが、参加してみるか?」

雪歩「はい!」

P「お、即答か」

雪歩「優勝すれば、362帝王に近づけます。これを逃す手はないと思いますぅ!」

P「だな。俺も、これはチャンスだと思うよ」

雪歩「善は急げです! プロデューサー、さっそく受付に行きましょう!」

P「お、おい雪歩! 気持ちを入れすぎて、空回りするんじゃないぞ!」

雪歩「わ、わかってますよぅ!」

   ティンタージェル城 武道大会受付所

受付「武道大会に参加されますか?」

雪歩「はい、よろしくお願いしますぅ!」

受付「それでは、あなたのお名前をお願いします」

雪歩「ええっと、萩原ゆき――」

P「待て待て待て! ちょっと待て!」ガシッ

雪歩「ひゃあっ!? プ、プロデューサー、腕を引っ張らないでくださいぃ!」

P「敵地で本名を名乗るやつがあるか! 偽名を使え、偽名を!」

雪歩「偽名ですかぁ。急に言われても……うーん」

P「まあ、そこまで悩まなくても大丈夫だろ。本名でなければ、別に何でもいいさ」

雪歩「……じゃあ、スノーホワイトにしますぅ」

P「……何だそりゃ。ま、別にいいけどな……」

雪歩「それじゃプロデューサー、頑張ってきますねぇ!」

P「ああ、行って来い! 無茶はするなよ!」

   ティンタージェル城 コロシアム

雪歩「緊張するなぁ……。でも、絶対に優勝しないと!」

レフリー「いよいよ1回戦です。騎士J VS スノーホワイト」

騎士J「さぁ来い! すぐに楽にしてやるぜ!」

雪歩「えいやあ!」ズバッ

騎士J「のわっちっ!?」バタン

雪歩「……あれ?」

レフリー「そこまで! スノーホワイトの勝利!」

騎士J「うう……油断さえしなければ!」

雪歩「思ったより、簡単に勝てちゃいましたぁ……」

レフリー「2回戦です。戦士B VS スノーホワイト」

戦士B「小娘! ワシの斧を、受けてみろ!」

雪歩「たあぁぁ!」ズバッ

戦士B「うごおっ!?」バタン

雪歩「……あれぇ?」

レフリー「そこまで! スノーホワイトの勝利!」

戦士B「まさか……こ……こんなガキに……」

雪歩「う、うーん……?」

レフリー「3回戦。戦士G VS スノーホワイト」

戦士G「来い小娘! 本当の戦いってモノを教えてやろう!」

雪歩「せぃやあ!」ズバッ

戦士G「ぐぼあっ!?」バタン

雪歩「……あれれぇ?」

レフリー「そこまで! スノーホワイトの勝利!」

戦士G「貴様のようなど素人に敗れるとは……ワシの時代も終わりか……」

雪歩「相手の人達、思ったよりも強くないですぅ……」

   ティンタージェル城 武道大会控室

P「お疲れ、雪歩。見事な戦いぶりだったぞ!」

雪歩「何だか簡単に勝てて、拍子抜けしちゃいましたけど……」

P「それだけ、雪歩が強くなったって事だよ!」

雪歩「そうなんでしょうか……?」

P「おう! だから、もっと自信を持てって!」

雪歩「あ、ありがとうございますぅ!」

P「次がいよいよ決勝戦か。くれぐれも、油断するんじゃないぞ」

雪歩「はい! 気をつけます!」

P「小耳に挟んだ情報によると、相手の名前はキラリンピンクって言うらしいぞ」

雪歩「……これ、私と同じで偽名ですよね? いったい何者なんでしょう?」

P「さあな。ただ、ネーミングセンスの無さはいかんともしがたく――」

??「うるさいわね! 別にいいのよ! 適当に考えたんだから!」

雪歩「え? あ!」

P「お、お前は!」

伊織「久しぶりね、雪歩。それにプロデューサー」

雪歩「伊織ちゃん! 伊織ちゃんだ!」

P「キラリンピンクって、伊織だったのか……。まあ、らしいといえばらしい偽名だが……」

雪歩「伊織ちゃん、生きてたんだねぇ!」

伊織「当たり前でしょ? この私が、そんな簡単にやられるわけないじゃない!」

P「今までどうしてたんだ?」

伊織「この城の近くの村に身を潜めて、反撃の機会を狙ってたのよ」

P「そうか……。ま、元気そうで何よりだよ!」

伊織「それにしても、アンタたちがこの大会に出てるとは思わなかったわ」

P「偶然、城下町の張り紙を見てな」

雪歩「やっぱり伊織ちゃんの目的も、362帝王を倒す事なの?」

伊織「それもあるけど、ちょっと気になる噂を聞いたのよ」

雪歩「噂?」

伊織「この城に、362帝王の命を狙う賊が潜り込んだらしいの」

P「ほぅ……」

P「それはまた、随分大胆なマネをする賊だな」

伊織「残念なことに362帝王は無事で、賊は捕まったらしいけどね」

雪歩「もしかして捕まった賊も、円卓の騎士候補生の誰かかなぁ?」

P「うーん、可能性はありそうだな」

伊織「優勝して城の内部を探ろうと思ったんだけど、決勝の相手が雪歩とはね……」

雪歩「二人同時に優勝するのは、ちょっと無理だよねぇ……。困ったなぁ……」

P「いいや、手はあるぞ」

伊織「え? どんな手よ?」

P「わざと手を抜いて、戦いを長引かせるんだ」

伊織「……そうか! 引き分けを狙う、ってわけね!」

雪歩「なるほどぉ! さすがプロデューサー、名案ですぅ!」

P「成功するかはわからんが……っと。そろそろ決勝戦の開始時間みたいだな」

伊織「ま、適当に演技してみるわ。行くわよ、雪歩!」

雪歩「行ってきますね、プロデューサー!」

P「俺も独自に、城の内部事情を探ってみる。上手くやってくれよ、二人とも!」

   ティンタージェル城 コロシアム

レフリー「最終戦! キラリンピンク VS スノーホワイト!」

伊織「悪いけど、勝たせてもらうわよ! スノーホワイト!」

雪歩「私だって、負けるわけにはいきません! いざ勝負です、キラリンピンク!」

レフリー「それでは 始め!」

伊織「私の二刀流、見切れるかしら!」ヒュンヒュン

雪歩「甘いですぅ!」カキン

伊織「う、受け止められた!?」

雪歩「今度はこっちの番ですぅ!」ヒュン

伊織「この程度で! スキありよ、せいっ!」ヒュンヒュン

雪歩「なんのおっ!」ヒュン

伊織「……しばらくこの調子で粘るわよ、雪歩」ポソッ

雪歩「……了解ですぅ」ポソッ

   カキン カキン カキーン

   10分経過……

   カキンカキンカキーン

レフリー「場内の皆様、並びに両選手に、大会主催者の裁定を申し上げます」

伊織「!」

レフリー「このまま戦っても、なかなか勝敗がつかないだろうとの判断により……」

雪歩「……ゴクリ」

レフリー「この一戦、引き分けとします。両者ともお見事でした!」

雪歩「……やったね、伊織ちゃん。プロデューサーの言った通りになったよ」ボソ

レフリー「それでは引き分けのため、両者同時優勝とします!」

伊織「……雪歩。一応、それっぽい演技をしておきましょ」ボソ

雪歩「…………」コクリ

伊織「こ、この私が、ここまで苦戦を強いられるなんて!」

雪歩「やっぱりこの人、ただ者じゃなかったですぅ!」

伊織「……こんなものかしらね?」ボソ

雪歩「……ここからが本番だよね……。気を引き締めないと……」ボソ

   ティンタージェル城 玉座の間

362帝王「先程の一戦、両者とも見事であった」

雪歩「……この人が362帝王……」

伊織「……さすがに、すごい威圧感ね……」ボソボソ

362帝王「今後はワシに仕えるがよい」

雪歩「……この人のせいで、765王国のみんなは……」ギュッ

362帝王「二人には重臣の位をあたえる」

幻闘士「この恩を忘れず、忠誠を尽くすのだ!」

伊織「……この側近も、侮れない力を持ってるみたいね……」ボソッ

雪歩「…………」ギリギリ

幻闘士「ん? どうかしたのか?」

伊織「い、いえ! ありがとうございます! 身に余る光栄です!」

362帝王「二人とも、今日は疲れたであろう。ゆっくりと休むがよい」

兵士「さあお二方、どうぞこちらへ……」

   ティンタージェル城 重臣の間

伊織「……雪歩。一応、釘を刺しておこうかしら」

雪歩「え?」

伊織「もう少し、冷静になりなさい」

雪歩「え、え!?」

伊織「感情を表に出し過ぎよ。危なっかしくて、見てられないわ」

雪歩「わ、私、別にそんな――」

伊織「さっき362帝王を、憎い仇を見る様な目で見てたけど?」

雪歩「…………」

伊織「違うかしら?」

雪歩「うぅ。言われてみると、そうだったかも……」

伊織「せっかくのチャンスなんだから、あんまり怪しまれないようにしなさいよ」

雪歩「……うん」

伊織「ま、アンタの気持ちはよーくわかるけどね……」

雪歩「ごめんね、伊織ちゃん……」

伊織「さてと。ここからは、別行動を取りましょうか」

雪歩「まずは、捕まってる賊のことを調べるのがいいのかな?」

伊織「そうね。一体何者なのか、気になるし」

雪歩「伊織ちゃんはどうするの?」

伊織「私は城の兵士に挨拶をしながら、それとなく探りを入れてみるわ」

雪歩「それじゃ私も、城の中を探索してみますぅ!」

伊織「了解よ。ただし!」

雪歩「ひうっ!? な、何かなぁ?」

伊織「くれぐれも、早まって変な事をするんじゃないわよ!」

雪歩「う、うん……わかったよ」

伊織「アンタが死んだら、悲しむ人が大勢いるわ。それだけは忘れないで」

雪歩「……うん!」

伊織「さて、それじゃあ行ってくるわ」

雪歩「伊織ちゃん、ありがとう! 気をつけてねぇ!」

伊織「ええ、お互いにね」

   ティンタージェル城 地下牢

雪歩「捕まってる人は、やっぱり地下牢にいるのかなぁ?」

兵士「お、ゆき――」

雪歩「え!?」ビクッ

兵士「あ!? い、いえ、失礼しました。何でもありません」アセアセ

雪歩「はあ……そうですか」

兵士「と、ところでスノーホワイト様。この様な所に何の御用ですか?」

雪歩「え!? えっと、362帝王様に盾ついた賊を見に来たんですぅ!」

兵士「はっ。賊は、向こうの牢に閉じ込めてあります」

雪歩「ありがとう! えっとえっと、もう下がっても大丈夫ですよぉ!」

兵士「ははっ、失礼いたします」スタスタ

雪歩「……ふぅ、よかったぁ。潜入成功ですぅ!」

??「その声は……もしかして、萩原さんなの!?」

雪歩「ああっ!? 鉄格子の向こうにいるのは……!」

千早「夢じゃないのね……! また、萩原さんに会える日が来るなんて……」

雪歩「千早ちゃん! 捕まってたのは、千早ちゃんだったんだ!」

千早「よかった……。萩原さんが無事で……ぐすっ」

雪歩「わわわっ!? ち、千早ちゃん! 泣かないでよぉ!」

千早「だ、だって私……萩原さんはもう、死んでしまったとばかり……ううっ……!」

雪歩「ち、千早ちゃん、静かにぃ!」

千早「だって……だってぇ……えぐっ……」

雪歩「ち、千早ちゃぁん! み、見張りの兵士に見つかっちゃうよぉ!」

千早「あ……。そ、そうね……ごめんなさい」

雪歩「そ、それより千早ちゃん。どうしてこんな無茶をしたの?」

千早「城下町の張り紙を見たの。362帝王が、武道大会に来るって書いてあったわ」

雪歩「そっか。千早ちゃんも、あれを見てたのかぁ」

千早「みんなの仇がここに来るんだって考えたら、居ても立ってもいられなくて……」

雪歩「千早ちゃん……」

千早「何とか城には潜り込めたけど、ドジを踏んで捕まってしまったの……」

雪歩「そうだったんだ……」

千早「そういう萩原さんこそ、どうしてここに?」

雪歩「私は武道大会で優勝して、城に潜入したんだ」

千早「そう……武道大会に出て……」

雪歩「千早ちゃん、今、ここから出してあげるからね」

千早「私を助けると言うの?」

雪歩「当然だよ。千早ちゃんは、私の大切な仲間だもん!」

千早「萩原さん。今は私を助けるよりも、362帝王を倒す事が先よ」

雪歩「え? でも、それじゃ千早ちゃんが――」

千早「今ならヤツは、萩原さんを信用してるに違いないわ。これは好機なのよ!」

雪歩「……そうだね。確かに、千早ちゃんの言う通りかもしれない」

千早「お願い、必ずヤツを倒してちょうだい!」

雪歩「わかったよ! 待ってて千早ちゃん、絶対助けに戻ってくるからね!」ダッ

千早「萩原さん……頼んだわよ」

   ティンタージェル城 玉座の間

雪歩「……失礼しますぅ」

362帝王「おお、スノーホワイトか。今呼びにやろうと思っておったのだ」

雪歩「えっ!? わ、私をですかぁ?」

362帝王「そこの兵士、ヤツを連れてこい」

兵士「はっ」

雪歩「この人、さっき地下牢で声をかけてきた兵士かな……? ヤツって誰だろう……?」

362帝王「ところで、今頃このワシに何の用だ」

雪歩「え、えっとえっと、それはですねぇ。えーっと……」

兵士「連れて参りました」

362帝王「うむ。スノーホワイトよ、後ろを見よ」

雪歩「え……?」クルッ

千早「う、うぅ……」

雪歩「あ……!?」

千早「ごめんなさい……足手まといになってしまったわ……」

362帝王「そいつは愚かにも、このワシを殺そうとしたのだ」

雪歩「あ、あのあの……この人は――」

362帝王「さあスノーホワイトよ。トドメをさせ」

雪歩「え!?」

362帝王「さあ、やれ」

雪歩「う……」

362帝王「どうした、なぜやらん」

雪歩「そ、それは……」

362帝王「貴様、先程城の中をかぎ回っていたであろう」

雪歩「っ!?」

362帝王「牢屋でそいつと話してる所を、そこの兵士が見ておるのだ」

兵士「悪いが、そういうことだ」

雪歩「み、見られてたんですかぁ!?」

千早「くっ……」

362帝王「貴様、一体何者だ!?」

雪歩「うぅ……わ、私は――」

??「おそらく……萩原雪歩皇女でしょうね」カツカツカツ

362帝王「何だと!」

雪歩「あっ!」

千早「え!? 向こうから来るのは、水瀬さん!?」

雪歩「いお……キラリンピンク!」

362帝王「そうか……フフフ……ハーハッハッハッ!」

兵士「雪歩皇女。飛んで火に入る夏の虫とはお前の事だ」

362帝王「探す手間が省けたぞ! キラリンピンクよ、ヤツを倒せ!」

伊織「願ってもないわね」スラッ

千早「み、水瀬さん、どうして剣を抜くの! まさか、敵に寝返ったの!?」

伊織「スノーホワイト……いや、雪歩皇女」

雪歩「…………」

伊織「今度こそ、どっちが強いか白黒つけさせてもらうわよ!」ダッ

千早「み、水瀬さん!?」

千早「やめて水瀬さん! 萩原さん、逃げて!」

雪歩「大丈夫だよ、千早ちゃん。だって伊織ちゃんは……」

伊織「なーんてね。千早、いやしの聖水を渡すわ! 使いなさい!」

千早「え?」

雪歩「……私達の仲間だから」

伊織「さあ、これで体力が回復するはずよ!」

千早「……力が戻ってくるわ」ピロリロピロリロピロリロ

362帝王「キ、キラリンピンク!? 何をする!?」

伊織「鈍いわね。悪いけど、私は765王国の人間だから」

362帝王「き、貴様! 裏切るつもりか!」

伊織「裏切るも何も、最初から敵なのよ。アンタ、頭悪いんじゃないの?」

362帝王「おのれぇ……! ダサイ偽名で、我々の目をあざむくとは……」

伊織「う、うるさいわね! ダ、ダマされる方が悪いのよ!」

雪歩「伊織ちゃん、顔が赤いよ?」

伊織「やかましい! 冷静にツッコむんじゃないわよ!」

伊織「と、ともかく上手くいったわよ! プロデューサー!」

千早「え!? プロデューサーですって?」

雪歩「どこに?」

兵士「ここだよ」

雪歩「え? あっ!」

兵士「ヒヤヒヤさせられたけど、千早を助けられたし結果オーライだな」

362帝王「な、何!?」

兵士「悪いが、俺も362帝国の人間じゃなくてな」バッ

雪歩「プ、プロデューサー! 変装してたんですねぇ!」

P「全く……。雪歩も千早も、やり口が大胆すぎるんだよ」

千早「プロデューサー! プロデューサーも、生きてたんですね……!」

P「千早。ここに連れてくる時、手荒な真似をして悪かったな」

千早「いいんです! そんな事、全然……」

雪歩「プロデューサー、いつの間に城に潜入してたんですか?」

P「連中が雪歩と伊織の決勝戦に熱中してる隙に、兵士の鎧を拝借して忍び込んだんだよ」

伊織「私は情報を集めてる時、偶然兵士の格好をしたプロデューサーに出会ったってわけ」

P「雪歩が危なっかしいから、見張っててくれって頼まれてな」

雪歩「そうだったんですかぁ……」

伊織「雪歩。早まって変な事をするなって、さっき言わなかったかしら?」ジロッ

雪歩「う……。心配かけてごめんね、伊織ちゃん……」

P「ま、結果オーライだろ!」

伊織「そうね。こうして、敵を追い詰めることも出来たわけだし!」

362帝王「ぬうぅ……! このワシを謀りおって……!」

P「おいおい、人の事を言えるのか? お前も、本当の362帝王じゃないんだろう?」

伊織「え?」

千早「何を言ってるんですかプロデューサー! こいつは確かに――」

雪歩「待って千早ちゃん。言われてみると……」

伊織「……確かに。さっき謁見した時に感じた威圧感が、感じられないわ」

362帝王?「……フフフフッ……見事だ……」

362帝王?「本物の帝王は先ほど、この城を立たれた……」

P「さあ、とっとと正体を現せ!」

362帝王?「俺の本当の姿を見せてやろう」ユラユラッ

千早「あ……! 姿が、変わっていく……!?」

伊織「こいつは、さっき362帝王に付き添ってたヤツ!」

幻闘士「俺の名は(げんとうし)! 貴様らなど この俺様一人で十分だ! 死ね!」ダッ

P「雪歩、危ない! ヤツが突撃してくるぞ!」

雪歩「わわわわっ!?」カキーン

幻闘士「このまま吹っ飛ばしてくれるわ!」ググググ

雪歩「す、すごい力……」ジリジリ

千早「は、萩原さん!」

P「堪えるんだ、雪歩! 千早、ストームの魔法を!」

千早「は、はい! 嵐よ吹きすさべ! ストーム」ブアアアアアアッ

幻闘士「う、うおおおおおっ!?」ドガアッ

伊織「さすがの威力ね! 風の勢いで、ヤツの方が逆に吹っ飛んだわ!」

P「よし! 一気に必殺技で決めろ、伊織!」

伊織「任せなさい! 二刀流の剣の舞、見切れるかしらね! ダンシングローズ!」ズバアッ

幻闘士「うぐおあああっ!」

伊織「……成敗!」カチカチン

幻闘士「そ、そんなバカな……この俺が負けるとは……」バタッ

伊織「ふん。ま、ざっとこんなもんよ!」

P「相変わらず、伊織の剣技は華麗だなぁ……」

雪歩「千早ちゃん! 敵の攻撃から助けてくれてありがとう!」

千早「別に、大した事じゃないわ。それよりも、水瀬さん……」

伊織「ん? 何かしら?」

千早「一瞬とはいえ、疑ってごめんなさい。もし水瀬さんの回復薬がなかったら……」

伊織「べ、別にあんたのためじゃないわ! 自分のためにやっただけよ!」

千早「ふふっ……。水瀬さんったら……」

P「相変わらず、伊織は素直じゃないなぁ……」

伊織「う、うっさいわね!」

伊織「そ、それはそうと雪歩。これからは、私も旅の仲間に加えてもらうわよ」

千早「私も共に戦わせてちょうだい。765王国のため、そして、貴女のために……」

雪歩「もちろんだよぉ!」

P「一緒に戦ってくれ、伊織! 千早!」

伊織「ええ! この伊織ちゃんに任せなさい!」

千早「ありがとう萩原さん、プロデューサー!」


  『麗騎士(れいきし)』水瀬伊織、『風騎士(かぜきし)』如月千早が仲間になった!


伊織「さあ、行きましょう!」

千早「待って、水瀬さん。玉座の近くに何かあるわ」

雪歩「……これって、何かの衣装? プロデューサー、知ってますか?」

P「こ、これは765王国の秘宝、パレスオブドラゴンだ!」

伊織「どうしてこんな場所に? 一年前の戦争の時、敵に奪われたのかしら?」

P「多分な……。しかし、こいつはラッキーだぞ!」

P「伊織、着てみるか?」

伊織「私よりも、雪歩がいいんじゃない? 王家の剣も持ってるし、統一感があると思うわ」

雪歩「わかりましたぁ。それじゃ、装備してみますねぇ……」

   ピカピカピカピカ

雪歩「わわわわっ!? 衣装から光がぁ!?」

P「うおっ、眩しい! まるで、伊織のデコみたいだ……って」

伊織「アンタ……いい度胸じゃない……」

P「じょ、冗談だよ冗談! だからその剣を下ろしてくれ!」

雪歩「……何だか、力が溢れてくるみたいですぅ」

P「よかったな、雪歩! 言い伝えによると、古の竜を召喚できるようになるらしいぞ!」

千早「これで、戦力アップは間違いわね。似合ってるわよ、萩原さん」

雪歩「あ、ありがとう千早ちゃん。えへ、えへへへぇ……」

P「それにしても、ここのいざこざで結構な時間を取られたな」

雪歩「律子さん達、きっと待ちくたびれてますよねぇ」

P「でも、実りはあった! 改めて、ゼダンの要塞へ向けて出発だ!」

   リバール地方 ソドンの村近く

伊織「城から結構歩いてきたけど……」

千早「いまだに村は見えないわね」

雪歩「プロデューサー。ソドンの村まで、あとどのぐらいなんですかぁ?」

P「もうじきだよ。向こうに見える大きな橋を越えて、すぐの所にあるからな」

伊織「村には響とあずさ、それに律子もいるらしいじゃない」

千早「久しぶりにみんなと会えるのね。楽しみだわ……」

雪歩「プロデューサー、早く橋を渡りましょう――」

??「ちょーっと待ったあ!」

雪歩「ひうっ!?」

P「誰だ!」

??「武者修行で、ここを通るヤツと一騎打ちをしてるんだ」

伊織「……ん?」

千早「あら?」

真「ここを通りたいのなら、ボクと戦ってから進め……って!?」

雪歩「ま、真ちゃん! 真ちゃんだぁ!」

真「え!? あれ、雪歩!?」

P「何、真か!? おっ、本当に真だ!」

千早「本当に真……。『ほんとう』に『まこと』……くくっ」プルプル

伊織「アンタ……色んな意味で大丈夫?」

真「プロデューサーに伊織、千早までいるんだ! 思わぬ所で出会えたなぁ……」

P「それはこっちのセリフだよ、真。元気そうだな!」

真「はい、おかげさまで!」

千早「……コホン。ま、真。こんな所で何をしてるのかしら?」

真「武者修行さ。362帝国のヤツらを倒すために、毎日トレーニングしてたんだ!」

P「それはまた……ストイックというか、通行人の迷惑というか……」

真「も、もちろん相手は見極めてますよ! 無差別に戦いを挑んだりしてませんって!」

伊織「本当かしらね? 怪しいもんだわ……」

真「だから本当だってば伊織! そんな疑わしげな眼をしないでよ!」

真「そ、それはそうと、雪歩達はこれからどこに行くんだい?」

雪歩「この近くにある、ソドンの村だよぉ」

千早「その先の、ゼダンの要塞を落とすためにね」

真「えっ!? みんな、あの要塞を攻めるつもりなの?」

P「ああ。765城を取り戻すためには、どうしてもゼダンの要塞が邪魔だからな」

伊織「そういうことね。真、アンタも来なさいよ!」

雪歩「うん、私からもお願い! 真ちゃんがいると、とっても心強いから!」

真「わかった! 修行の成果、バッチリ見せてやるさ!」


   『重戦士(じゅうせんし)』菊地真が仲間になった!


真「どんな敵が来ても、ボクがバシッと倒しちゃうからね!」

千早「ふふっ。頼もしい仲間が増えたわね」

雪歩「こんな所で真ちゃんと出会えるなんて、ラッキーですねぇ!」

P「これで、円卓の騎士候補生の半数が揃った! この勢いで、一気に要塞を攻略するぞ!」

   リバール地方 ソドンの町

千早「さて、ソドンの村に着いたわけだけど……」

真「プロデューサー。律子達、どこにいるんですか?」

P「すまん。実はその辺は、詳しく打ち合わせてなくてな」

雪歩「しらみつぶしに探してみますかぁ?」

律子「その必要はないわ。こっちよみんな!」

伊織「あら、噂をすれば。久しぶりね、律子」

あずさ「あら、あらあら! 伊織ちゃんじゃない!」

響「おおっ! 千早と真も一緒なんだな!」

真「へへっ! ビックリしたかい?」

雪歩「旅の途中で、偶然出会ったんですよぅ!」

響「そうだったのか! 自分、元気なみんなに会えてとっても嬉しいぞ!」

律子「はいはい、感動の再会は後にしましょ。まずは、私たちの隠れ家に案内するわ」

P「おっと、そうだな。こんな大人数で話してたら、どう考えても目に付くだろうし」

あずさ「さあプロデューサーさん、こちらへ……」

   ソドンの村 律子達の隠れ家

律子「さて、これからゼダンの要塞を攻めるための会議を始めるわよ」

P「何か考えのある者はいるか?」

真「はい! この人数なら、362帝国など恐れるに足りません!」

雪歩「ふぇ?」

真「思い切って正面突破すればいいと思います! どうですか!」

律子「却下」

真「ええっ、どうして!」

伊織「バカなの、アンタは! どれだけの敵がいると思っているのよ!」

響「きっと、軽く百は超えるんじゃないか?」

あずさ「そうね。無茶をして誰かが命を落としたら、それこそ元も子もないわ」

真「うっ……。そ、それはそうかも……」

律子「……ほかに案がある人はいるかしら?」

千早「はい」

P「お、千早か。どんな作戦だ?」

千早「囮の部隊で 敵の主力を要塞からおびき出すのはどうでしょう?」

律子「ふむ……。それはいい考えかもしれないわね」

千早「あと、要塞を攻めるのは夜の方がいいと思うんだけど、どうかしら?」

真「なるほど、夜襲をかけるってわけか!」

P「確かに、二重三重に手を打っておくのは重要だな」

雪歩「千早ちゃん、すごぉい!」

千早「そ、それほどでもないと思うけど……」

P「今の千早の案に反対者はいるか?」

響「いいんじゃないか? 自分、完璧だと思うぞ!」

あずさ「私も賛成です」

真「さすがは千早だなぁ。ボクには到底、こんな作戦は思いつけないよ……」

伊織「それじゃ、千早の案で決まりね」

P「律子、部隊編成はどうする?」

律子「それじゃ、今回も部隊を二つに分けるわ」

(壁騎士か…)

律子「まず、あずささん、それと響」

あずさ「はい」

響「はいさーい!」

律子「そして私の三人が囮になって、敵を引き付けるわ」

雪歩「この間と同じ部隊分けですねぇ」

P「まあ、戦力のバランスが取れてるからな」

伊織「回復要因のあずさに、攻撃系で戦略に長けた律子」

響「それから自分がフリーズの魔法で、サポートするってわけか!」

真「律子、ボク達はどうすればいいんだい?」

律子「私達が行動を起こしたら、みんなはすぐに要塞を攻めてちょうだい」

千早「わかったわ」

P「よし、プランは決まったな! 準備を整えたら、夜を待って出撃だ!」

真「へへっ、腕が鳴りますね!」

あずさ「気をつけてね、真ちゃん。絶対に命を粗末にしちゃダメよ!」

真「わかってますって! よーし、気合を入れていくぞ!」

   ゼダンの要塞 入口近辺

P「律子達が要塞に出撃してから、もうすぐ一時間が経つな……」

千早「果たして、事が上手く運ぶかしら?」

真「大丈夫だよ! 律子達なら、きっと何とかしてくれるさ!」

伊織「焦っても仕方がないわ。敵が動くのをゆっくり待つとしましょ」

千早「あっ! あっちを見て、みんな!」

真「おっ! 敵がどんどん要塞から出ていくぞ!」

P「律子達、上手くやったみたいだな!」

雪歩「チャンスですぅ! 今のうちにゼダンの要塞を攻めましょう!」

真「よおし! 362帝国のヤツらをギャフンと言わせてやる!」

伊織「そうね。目にモノを見せてやるわ!」

真「ヤツらも、まさか夜襲をかけられるとは思ってないだろうしね!」

P「よし! 要塞を落として、765城奪還の足掛かりとするぞ!」

千早「萩原さん、出撃の準備は大丈夫かしら?」

雪歩「うん! 行こう千早ちゃん、みんな!」

   ゼダンの要塞 最深部

真「よし、ここが一番奥みたいだぞ!」

伊織「思った以上に、すんなりたどり着けたわね。敵にもほとんど出会わなかったし」

雪歩「これも、千早ちゃんの作戦のおかげだね!」

千早「べ、別に大した事じゃないわよ……」

P「さて、追い詰めたぞ! お前がここの城主だな!」

城主「おのれ、皇女雪歩! なめるなよ、貴様らなぞどうという事はない!」

真「お前の方こそ、ボク達を見くびってもらっちゃ困るな!」

伊織「あんまり熱くなるんじゃないわよ、真! 敵は一人じゃないわ!」

城主「呪術師(じゅじゅつし)! 呪騎士(カースナイト)! ヤツらを倒せ!」

呪術師「愚かな……消え失せよ!」

呪騎士「我、呪われし太刀筋、その身で受けてみよっ!」

千早「萩原さん、襲ってくるわ!」

雪歩「う、うん! みんな、気をつけて!」

P「いつも通り、指示は俺が出すからな! 頼むぞ!」

P「伊織! 魔法で敵をかく乱するんだ!」

伊織「オッケー! 花びらよ、私に従いなさい! ブラッサム!」ブワブワブワブワ

呪騎士「むうっ!? ま、前が見えん!」

伊織「どうかしら、伊織ちゃんの花びらの舞は?」

呪騎士「ちいっ、子供だましを!」シュッ

千早「狙いが甘いわね!」サッ

P「いいぞ、千早! そのまま必殺技でカウンターだ!」

千早「了解です! 風よ、我が槍に纏え! トルネードストリーム!」ズバアッ

呪騎士「ぬ、ぬおおおおおおっ!?」バタッ

P「よし、まず一人!」

呪術師「……シールド」ピキーン

雪歩「あっ、魔法使いが光の盾を作り出しましたよ!」

P「大丈夫だ! 真! 必殺技で、盾ごと敵を砕くんだ!」

真「やってみます! たあああっ、プレッシャーバースト!」ズバアッ

呪術師「があっ!?」バタッ

真「やーりぃ! どんなもんだい!」

P「よくやった、真!」

雪歩「真ちゃんのジャンプ突き、すごい威力ですぅ!」

伊織「これで残るは、アンタ一人ね!」

千早「おとなしく降参した方が、身のためだと思うけど?」

城主「やらせはせん! 765王国のヤツらなぞにやらせはせんぞ! 来い、魔術師!」

魔術師「はっ」シュン

真「なにっ、瞬間移動!? まだ配下がいたのか!」

魔術師「我が秘術、とくと見るがよい! トッパリ・リクーレ・フーノス……」

P「油断するなみんな、何か企んでるぞ!」

雪歩「ああっ! さっき倒した敵達と魔術師が……」

千早「融合していくわ!」

    ドゴゴゴゴゴゴ

獣騎士「グオオオオオオオオッ!」

伊織「こ、こいつは……!?」

雪歩「三人が合体して、一匹のモンスターになっちゃいましたぁ!」

城主「やれ、獣騎士(じゅうきし)! お前の槍さばきを、小娘どもに見せつけてやれ!」

獣騎士「グガアアアアアアッ!」ブンッ

真「うおっとぉ!?」

P「真!? 大丈夫か!」

真「はい! ただのカスリ傷ですよ!」

千早「でも、かすっただけとはいえ、真に攻撃を命中させるなんて……」

P「こいつ……これまでの敵とは、明らかに格が違う!」

雪歩「うぅ……私達に勝てるんでしょうか?」

伊織「弱気になっちゃダメよ、雪歩! 私達は、負けるわけにはいかないんだから!」

雪歩「う、うん! いきますっ! ヴァトラスアタ――」

獣騎士「グオオオオオオッ!」シュヲヲヲシュヲヲヲピキーン

P「何だ? 変な音波が――」

雪歩「うくっ!?」ガクッ

P「どうした雪歩……うっ!?」ガクッ

伊織「うあっ……!」ガクッ

真「な、何だ? ち、力が……?」ガクッ

P「こ、これは……!?」

千早「くっ……! か、体がしびれて……動けない!」ガクッ

P「う、ううっ! み、みんな、大丈夫か!?」

雪歩「ダ、だめですぅ! 体が、動きません!」

P「ヤツが発した、超音波のせいなのか……?」

獣騎士「グッグッグッグ」ジリジリ

雪歩「ひうっ……!」

伊織「ま、まずいわ……。ヤツは雪歩を狙ってる!」

獣騎士「グッグッグッグッグッグッグ」ジリジリ

雪歩「ひぃあ……」ガクガク

伊織「ゆ、雪歩!」

P「ヤ、ヤバい!」

千早「くっ……! こ、この体さえ動けば……!」

P「に、逃げろ! どうにかして逃げるんだ、雪歩――」

真「うおおおおおおおっ!」

P「え?」

伊織「ま、真!?」

真「一年間修行したんだ……。ボクの力は、まだこんなもんじゃない!」スクッ

千早「真が、立ち上がった!?」

P「驚くべき精神力だな……」

伊織「真、頼むわよ! ヤツの足を止めて!」

真「ああ、雪歩をやらせてたまるか! 大地よ震えろ、アース!」ゴゴゴゴゴゴ

獣騎士「グ、グオオッ?」

千早「きゃっ!」

雪歩「す、すごい地震ですぅ!」

伊織「よし、ヤツがひるんだわ!」

P「いまだ真、あいつが持ってる槍を狙え!」

真「はいっ!」

真「ていやああああっ!」バキイッ

獣騎士「グオオオアアアアッ!」

雪歩「やったぁ! 真ちゃんが、敵の槍をへし折りましたぁ!」

千早「あ、動く! 体が動くわ!」

伊織「どうやらヤツの持ってる槍が、超音波の出所だったみたいね」

真「ダメ押しだ! つああああああっ!」ズバッ

獣騎士「ウグオオオオオッ!」

伊織「いけるわ! あと一押しね!」

P「雪歩! パレスオブドラゴンの力で、ヤツを倒すんだ!」

雪歩「やってみますぅ! 来て、ドラゴン!」ヒュウウウウドガアン

獣騎士「ウグアアアアアアアアアッ!」

千早「いいわよ萩原さん! 召喚された竜の炎が、敵を焼き尽くしていくわ!」

雪歩「トドメですぅ! ヴァトラスアターック!」ズバアッ

獣騎士「グオォォォーーー!」バタッ

P「……ふぅ。どうにかなったか」

雪歩「助かったぁ……。真ちゃん、ありがとう!」

真「雪歩こそ、凄い技のキレだったよ! さーて、残るはボスだけだ!」

   シーン

真「あれ?」

千早「いつの間にか、逃げられてしまったようね……」

P「これでやっと、この地方も平和になるな……」

伊織「ところで律子達、大丈夫なのかしら? かなりの数を相手にしてるみたいだけど……」


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P(ついに俺達は最終目的地、765城への道を塞ぐ難関、ゼダンの要塞を落とした)

P(しかし囮になった律子達から、敵部隊に囲まれ苦戦しているとの報告を受け)

P(伊織と真の二人は、三人を助けに向かい……)

P(残る雪歩と千早、俺の三人が、先へ進む事となった)

   その頃 765城

闇騎士「闇騎士(ダークナイト)、ただ今参上しました」

362帝王「闇騎士よ。どうやらゼダンの要塞が落とされた様なのだ」

闇騎士「えっ!? あのゼダンの要塞がですか!?」

362帝王「うむ。お前の仲間を殺した『キングアイドル』の後継者、雪歩皇女達にだ」

闇騎士「雪歩皇女……」

362帝王「ヤツらの次の目標は、この765城であろう」

闇騎士「みんなの仇が、ここに来るんだ……」

362帝王「この衛騎士(ガードナイト)と協力してヤツを倒せ!」

衛騎士「よろしく頼むぞ、闇騎士」

闇騎士「帝王様、衛騎士なんていらないです」

衛騎士「なっ!?」

闇騎士「雪歩皇女なんて、私一人で十分ですよ」

衛騎士「闇騎士! 帝王のお言葉に逆らうつもりか!」

闇騎士「番犬は、帝王様をしっかりお守りしてればいいと思うけど」

衛騎士「何だと! 言わせておけば!」

闇騎士「それとも今ここで、私と戦ってみる?」

衛騎士「ぐ……!」

362帝王「闇騎士よ。雪歩皇女達の力は、決して侮れぬ」

闇騎士「でも、帝王様――」

362帝王「お前の力を信じぬわけではないが、ここはワシの言葉に従うのだ」

闇騎士「わかりました。必ず雪歩皇女を倒して、帝王様の心配事を取り除いてみせます!」

362帝王「まかせたぞ」

一旦ここで切ります。

続きはまた3、40分後ぐらいに。



>>78
多分ツッコまれるだろーなーと思ってました。
名前で配役を狙ったわけではないので、あしからず。

それでは、再開します。

   スコット地方 シュールズの村

千早「このスコット地方に、反362帝国のレジスタンスがいるそうよ」

P「リーダーは、たいそう腕の立つ女の子らしいぞ」

雪歩「もしかして、円卓の騎士候補生の誰かなんでしょうか――」

村人「362帝国軍だー! 362帝国のレジスタンス狩りだー!」

雪歩「ひゃっ!?」

千早「萩原さん、362帝国の兵士が村に乗り込んできたわ!」

兵士A「おらーっ! レジスタンスはどこだー!」

兵士B「隠すとためにならんぞ!」

兵士C「言わぬというのなら、町の人間を一人ずつ血祭りに上げてやる!」

P「あいつら、勝手な事を!」

千早「プロデューサー、村の人を助けましょう!」

??「待つの!」

千早「え?」

雪歩「あっ! 千早ちゃん、あっち!」

兵士A「何者だ!」

美希「灼騎士(バーンナイト)って言えばわかるでしょ?」

P「あれは、美希!」

雪歩「レジスタンスのリーダーって、美希ちゃんだったんだ!」

美希「村の人は関係ないの! さあ、かかって来たら?」

兵士A「星井美希だ! ヤツをとらえろ!」

美希「てぁ!」ズバッ

兵士A「ぐぁーーっ!」バタッ

美希「たぁ!」ズバッ

兵士B「ぐぇーっ!」バタッ

美希「ふっ!」ズバッ

兵士C「どっげぇ!」バタッ

美希「もうやめといたら? そんな腕じゃ、ミキには傷一つつけられないよ?」

雪歩「強い……!」

千早「さすがね……美希」

兵士D「ぬぅぅ……! ヤツめ、強いぞ……」

兵士E「一人ずつ戦っては不利だ!」

兵士F「一斉にかかれ!」

美希「ムダなの! てやぁぁぁぁーーーーっ!」

兵士DEF「「「ぐぎゃーっ!」」」バタバタバタン

美希「ね? 言わんこっちゃないの――」

兵士G「星井美希! 動くな、武器を捨てろ!」

美希「え? あっ!」

雪歩「ああっ!? 兵士が女の子を羽交い締めにして、武器を突き付けてますぅ!」

少女「わーん、怖いよー!」

兵士G「逆らえば、こいつの命はないぞ!」

美希「ひ、卑怯なの!」

兵士G「何とでも言え! さあ、言う通りにするのだ!」

P「い、いかん!」

千早「萩原さん、プロデューサー! あの子を助けないと!」

雪歩「プロデューサー、私が行きます!」

P「わかった! ヤツは美希に気を取られてる! 一気に間合いを詰めるんだ!」

雪歩「はいっ!」タタタタタタ

兵士G「な、何だお前は――」

雪歩「遅いですぅ! はあっ!」ズバッ

兵士G「ぐおばっ!」バタッ

千早「やったわね、萩原さん!」

少女「お姉ちゃん、ありがとう!」

雪歩「大丈夫だった? もう安心だからねぇ」

美希「ありがと! 助かったの……って、あれ? 雪歩なの!?」

雪歩「うん、私だよぉ!」

千早「一年ぶりね、美希」

P「相変わらずの強さだな!」

美希「千早さんに……プロデューサーだ! ハニィーーーーー!」ドドドドドド

P「おわっ!?」

美希「ハニー! 会えて嬉しいの!」ギュッ

P「お、おいおい美希。そんなにくっつくなって!」

美希「だってミキ、ハニーに会えなくて寂しかったんだもん!」スリスリ

雪歩「……すごい甘えっぷりだね」

千早「とても、さっきの『灼騎士』と同一人物とは思えないわ……」

雪歩「美希ちゃん、プロデューサーが大好きだもんねぇ……うふふ」

美希「ミキね、今まで362帝国を倒すために、ずっと戦ってきたんだよ!」ベタベタ

P「そうだったのか……。偉かったな、美希」ナデナデ

美希「それも765王国で、またみんなと暮らしたいって夢があったからなの!」

P「その気持ち、俺も一緒だよ!」

美希「お願いハニー、雪歩、千早さん! ミキも仲間に入れてほしいの!」

P「もちろんだとも!」

千早「断る理由は、何もないわね」

雪歩「一緒に行こう、美希ちゃん!」

美希「やったあ!」

美希「またみんなと旅ができるなんて、夢みたいなの!」

P「改めてよろしくな、美希!」

美希「うん! ミキ達の765城、必ず取り戻そうね!」


   『灼騎士(バーンナイト)』星井美希が仲間になった!


美希「……それじゃ出発する前に、大切な事を話しておくね」

P「な、何だよ美希。急に改まって」

美希「敵が765城を侵略した、本当の目的がわかったの」

千早「何ですって!?」

P「美希、本当なのか!?」

美希「と言ってもこの間、貴音から聞いただけなんだけどね」

P「なに、貴音だって!?」

美希「うん! ミキは貴音と協力して、この地方でレジスタンス活動をしてたの!」

雪歩「そうなんだ……四条さんも無事だったんだぁ……」

美希「あ、レジスタンスのメンバーは、貴音だけじゃないよ?」

雪歩「え? 他にも誰かいるの?」

美希「えっとね、亜美と真美、それからやよいも一緒なの!」

P「マジでか!?」

美希「マジなの! 今は色んな情報を集めるために、各地で潜入調査をしてるの!」

千早「そう、高槻さん達も……。何だか、すごく安心したわ」

雪歩「ここに来て、みんなの行方が一気にわかりましたねぇ」

P「これで消息がわからないのは、あと一人だけか……」

雪歩「美希ちゃん。春香ちゃんは、レジスタンスの中にはいないの?」

美希「うん……。ミキ達も探したんだけど、見つからなかったの」

雪歩「そうなんだ……」

千早「大丈夫よ。円卓の騎士候補生の中で最強の春香が、そう簡単に死ぬわけないわ」

P「だな! きっと春香の事だ、どっかでひょっこり顔を出すに違いないぞ!」

雪歩「そうですよねぇ! 早く会いたいなぁ……春香ちゃん」

P「さて、話を戻そう。美希、敵の侵攻目的とは、一体何だったんだ?」

美希「貴音が言うには、『聖杯』って物を手に入れるためらしいの」

雪歩「聖杯……?」

千早「聞いたことがないわね……。プロデューサー、ご存じですか?」

P「いや……俺もわからん」

千早「美希。その聖杯とやらについて、もう少し詳しく教えてくれるかしら?」

美希「残念だけど、ミキも名前以外の事はサッパリなの」

P「そうなのか……」

美希「うん……ごめんなさい、ハニー」

P「い、いや……別に責めてるわけじゃないからな?」

千早「詳しい事を知るには、四条さんに直接聞くしかないのかしら?」

美希「貴音なら、今はエクセターの町にいるはずなの!」

P「エクセターか……。確かここから北の、ジュラ地方にある町だったな」

美希「途中に362帝国の関所があるけど、この村の地下道を通れば問題ないって思うな」

雪歩「それじゃエクセターの町に行って、四条さんと合流しましょう!」

   ジュラ地方 エクセターの町

雪歩「ふぅ。やっと着きましたぁ」

千早「思っていたより、遠くにある町だったのね……」

P「美希、貴音はどこにいるんだ?」

美希「こっちこっち! ここが隠れ家なの! 貴音、ミキだよー!」

??「合言葉は?」

美希「生たらこのおにぎり!」

??「間違いなく美希ですね。どうぞ、入ってください」

   ガチャ

美希「はーい、お邪魔しますなの!」

P「……何だ、今のやり取りは」

雪歩「二人だけの、秘密の暗号なんでしょうかぁ?」

千早「まあ、何でもいいけど……」

美希「みんな、何ボーっとしてるの? 早く中に入ろうよ!」

P「おっと、すまんすまん。それじゃ、お邪魔しまーす」

   エクセターの町 レジスタンスの隠れ家

貴音「美希、今日はどうしたのですか?」

美希「貴音に会いたいっていう人達を連れてきたの! じゃーん!」

P「よう、貴音!」

千早「久しぶりですね」

雪歩「お元気でしたかぁ?」

貴音「おお……! プロデューサーに千早、それに雪歩……!」

美希「驚いた? シュールズの村に行った時に、偶然出会ったの!」

貴音「よくぞ、よくぞ無事で……」ウルッ

雪歩「わわわわっ!? 四条さん!?」

貴音「わたくし、雪歩に会えるのをどれだけ心待ちにしていたか……」ウルウル

美希「あらら……。貴音、泣いちゃったの」

千早「気持ちはわかるわ。私も萩原さんに会えた時、心の底から嬉しかったもの」

貴音「うぅ……あなた様ぁ……。お会いしたかった……」グスグス

P「わ、わかった! わかったからそんなに泣かないでくれ、貴音!」

貴音「雪歩、あなた様! どうかわたくしを、配下に加えてください!」

P「お、おいおい……。配下って、そんな大げさな……」

雪歩「じゃあ私からも、四条さんにお願いです」

貴音「はい、なんなりと」

雪歩「362帝国の野望を砕くために、私の力になってください!」

貴音「ありがたき幸せ……。必ず362帝王を倒し、765王国を再建しましょう!」


   『僧正(ビショップ)』四条貴音が仲間になった!


P「ところで貴音、聞きたい事があるんだが」

貴音「わたくしにわかる事でしたら……」

千早「実は、聖杯について知りたいんです」

貴音「今の時点では、手にした者が強大な力を手に入れられる事しかわかりません」

美希「そっか……。貴音も詳しいことは知らないんだ」

貴音「聖杯については、語る事すら禁忌でしたからね。ただ……」

P「ただ?」

貴音「聖杯の封印を解く鍵は、765城のどこかに隠されているという話です」

P「じゃあ362帝国軍は、そのカギを奪うために765城を攻めたってのか?」

貴音「おそらくは……。もちろん、わたくし達が邪魔だったというのもあるでしょうが」

雪歩「敵はもう、カギを手に入れちゃったんでしょうか?」

貴音「それはわかりません。簡単には見つからない様、仕掛けが施されているそうなので」

P「なら、まだ見つけてない可能性もあるな。……希望的観測かもしれないが」

千早「四条さん。隠されているカギの在処はわからないんですか?」

貴音「それを知っているのは、二人だけです」

美希「二人って、誰と誰なの?」

貴音「高木殿と、鍵の管理を任されていた旧円卓の騎士の一人、音無小鳥嬢です」

P「……小鳥さん、か」

千早「そういえばプロデューサーは、音無さんと親しかったんですよね?」

P「ああ。俺が見習い軍師の頃から、色々と面倒を見てもらってたからな」

美希「ふぅん……」

P「でも小鳥さんは一年前の戦争の時、362帝国の連中に……」

雪歩「あ……」

P「ちょっとおっちょこちょいだったけど、優しくて頼りになる人だったなぁ……」

美希「……ハニー」

P「どうして良い人ほど、早く死んじまうんだろうな……」

千早「プロデューサー……」

貴音「……高木殿も行方不明な以上、鍵の在処を知る方法はありません――」

美希「ちょっと待ってなの」

貴音「美希?」

美希「危険だけど……方法はあるよ」

千早「というと?」

美希「北のパーライルの塔に二つの魔宝石、『時戻石』と『時超石』があるらしいの」

雪歩「魔宝石……? その石に、どんな効果があるの?」

美希「南にある『時間のほこら』で自戻石を使えば、過去に行けるっていう話だよ」

千早「へえ……」

千早「そんな情報、一体どこから仕入れたの?」

美希「やよい達から聞いたの。この地方に古くから伝わる、伝説なんだって」

貴音「過去へ行って、小鳥嬢に鍵のある場所を聞くというわけですか」

P「だが、無事に帰ってこられる保障はないが――」

雪歩「やりましょう!」

P「……即決か」

雪歩「確かに危険な賭けだとは思いますけど、他に方法がないと思いますぅ!」

千早「それは……そうね。確かに、萩原さんの言う通りかもしれないわ」

美希「わかったの! 行こう、パーライルの塔に!」

貴音「承知しました。それではわたくしも、旅の準備をするとしましょう」

千早「……プロデューサー」チョイチョイ

P「ん、何だ?」

千早「萩原さんって、ここぞという時の決断力がすごいですよね」

P「だな。間違いなく雪歩は、王としての器を持ってるよ。少なくとも、俺はそう思う」

千早「私も同じ気持ちです、プロデューサー」ニコッ

   パーライルの塔 最上階

P「ふう、やっと最上階に着いたぞ」

美希「……納得いかないの」

P「ど、どうしたんだ美希? 何だか機嫌が悪いみたいだが……」

美希「ノーヒントの隠し階段なんてヒドいの! こんなの攻略本がないとわからないの!」

千早「確かにね……。捜索のために、莫大な時間を無駄にされてしまったわ」

貴音「しかし、建物の構造を注意深く把握していれば、気づかない事はないのでは?」

雪歩「けど村人の誰かから、ヒントをもらえてもよかったんじゃないかと思いますぅ」

千早「そうね。読者の中に、共感してくれる方がいることを願うわ」

雪歩「きっと今の私達の会話って、原作を知らない人にはチンプンカンプンだよねぇ」

貴音「もっとも、原作を知らずに読んでくださっている方がいるのかどうか……」

美希「そもそも、読んでくれてる人自体いるのかな――」

P「だーっ! お前らストップ! メタい話はその辺にしておけ!」

雪歩「は、はいぃ! そこの宝箱に、二つの魔宝石がありましたぁ!」

P「よ、よし。それじゃあ、時間のほこらとやらに行ってみよう!」

   時のほこら

貴音「どうやら、ここで時戻石を使えばいい様ですね……」

美希「あ、待って! 大切な事を言い忘れてたの!」

千早「大切な事?」

美希「うん。残念だけど、石一つで過去へ行けるのは二人だけらしいの」

雪歩「それなら、私が行ってみます!」

P「ああ……。確かに、この役目は雪歩が適任だろうな」

千早「ですね。皇女の萩原さんが理由を話せば、きっと秘密を教えてくれるに違いないわ」

P「よし! それなら、俺も行こう。一応、小鳥さんとは旧知の仲だしな」

雪歩「ありがとうございます、プロデューサー!」

貴音「雪歩、あなた様。どうか必ず戻ってきてください!」

美希「帰る時には、もう一つの時超石を使ってなの!」

雪歩「わかったよ、美希ちゃん! それじゃ、自戻石を使うね!」ピカアアアアアア

P「小鳥さん……。まさか、もう一度会える日が来るなんてな……」

   ゴゴゴゴゴゴゴゴ

   過去の世界 765城前

   ゴゴゴゴゴゴゴゴ

雪歩「う、うーん……」

P「お、気がついたか雪歩」

雪歩「こ、ここは……?」

P「さて、どこだと思う?」

雪歩「えっと……あ! もしかして――」

P「そう、765城の前だよ」

雪歩「わあぁ……」

P「おそらく362帝国に襲撃される、一年ぐらい前じゃないかな?」

雪歩「懐かしい……。何だか、とっても懐かしいですぅ!」

P「ああ、俺もだよ。本当に、久しぶりだからなぁ……」

雪歩「……でも、懐かしんでばかりもいられないですよね」

P「……だな。聖杯の鍵の在処を聞いて、早く元の世界に戻らないと」

雪歩「城門の前にいる、兵士さんに話をしてみましょう」

P「すみません、ちょっとよろしいですか?」

門番「申し訳ありませんが、関係者以外はお通しするわけにはいきません」

雪歩「では、音無小鳥さんに会えませんか? お尋ねしたい事があるんですぅ」

門番「え? 小鳥様にですか?」

雪歩「はい、お願いしますぅ!」

門番「わかりました。少々お待ちください」スタスタ

雪歩「呼んできてくれるみたいですねぇ」

P「助かったよ。最悪、門前払いも覚悟してたからな」

雪歩「話のわかる兵士さんでよかったですぅ!」

P「それじゃ、しばらく待ってみるとするか」

雪歩「はい!」

P「…………」

雪歩「…………」

P「……何だか、緊張するな……」

雪歩「そうですねぇ……。未来から来たって、信じてもらえるかな……」

雪歩「あ、向こうから女の人が来ますよぉ!」

P「……間違いない、小鳥さんだ」

小鳥「私が音無小鳥です。聞きたい事があるというのはあなた達ですか……って、あら?」

P「……お久しぶりです、小鳥さん」

小鳥「なあんだ、プロデューサーさんじゃないですか!」

P「……はい、俺です」

小鳥「……? どうしたんです? そんなにかしこまっちゃって」

P「え、ええ……。いや……久しぶりだなあ、と思いまして」

小鳥「うふふ、何を言ってるんですか? 毎日顔を合わせてるのに、久しぶりだなんて」

P「…………」

小鳥「ところで、プロデューサーさん。隣にいるかわいい女の子は誰ですか?」

P「あ、はい。この娘は――」

小鳥「もしかして、プロデューサーさんの彼女とか?」

P「へ!?」

雪歩「え!?」

P「ち、違いますよ! そんなわけないじゃないですか!」

小鳥「またまたぁ。そんなに慌てなくても大丈夫ですよ! 誰にも言いませんから!」

P「だ、だから違うんですってば! お、おい! 小鳥さんに説明してくれよ!」

雪歩「は、はいぃ! あ、あの……私……」

小鳥「うん?」

雪歩「私、萩原雪歩です」

小鳥「え!? 萩原……雪歩?」

雪歩「はい。『キングアイドル』高木社長の後継者です」

小鳥「え、え? そんなバカな! だって、雪歩ちゃんはまだ……」

雪歩「私とプロデューサーは、時のほこらを通って未来から来たんです」

小鳥「それじゃあなたは、自分が雪歩ちゃんの未来の姿だと……」

雪歩「はい、そうです」

P「信じられないのも、無理はないと思いますが……」

小鳥「そう言われてみるとプロデューサーさんも、何だか大人っぽくなってる気が……」

P「ははは……そいつはどうも」

小鳥「時のほこらを通れば、時間を超えられるって話は聞いた事があるけど……でも……」

P「やっぱり、信じてもらえませんか?」

小鳥「……ごめんなさい。何か、それを証明する物はありますか?」

P「証拠ですか……」

雪歩「それなら、この剣でどうでしょう?」シャキーン

小鳥「そ、それは765王家の証、ヴァトラスの剣!」

P「はい。正真正銘、本物です」

小鳥「それじゃ……雪歩ちゃん達は本当に未来から……」

P「小鳥さん、単刀直入に聞きます。聖杯の封印を解くカギについて教えてください」

小鳥「聖杯……ですか?」

P「ええ。俺達には、あまり時間が残されていないんです」

小鳥「い、一体、未来の世界で何が……」

P「実はですね――」

小鳥「待って!」

P「!」ビクッ

小鳥「大丈夫ですプロデューサーさん。やっぱり、何も聞かないでおきます」

P「……そうですか。なら俺も、何も言わないでおきます」

小鳥「では、聖杯について教えますね」

雪歩「はい、お願いしますぅ」

小鳥「聖杯を手に入れるためには、その封印を解くカギが必要です」

P「はい。そこまでは、俺も知っています」

小鳥「なるほど。そして封印を解くカギですが、765城の円卓の間にあります」

雪歩「円卓の間……」

小鳥「円卓の間には隠し部屋があって、東西南北の突き当りの壁に出っ張りがあります」

P「ふむふむ。壁に出っ張りがあるんですね?」

小鳥「ええ。西の一カ所以外の出っ張りを押し込むと、円卓上に封印のカギが出現します」

雪歩「なるほどぉ! 確かに、簡単には破れそうにない仕掛けですぅ!」

小鳥「わかりましたか?」

P「はい!」

雪歩「バッチリですぅ!」

P「ありがとうございました、小鳥さん!」

小鳥「うふふ、どういたしまして!」

P「よし、雪歩! 元の時代に戻るぞ!」

雪歩「え? もう帰っちゃうんですかぁ?」

P「ああ。事態は一刻を争うんだ。のんびりしてはいられないよ」

雪歩「で、でもプロデューサー。せっかくだし、もう少し音無さんとお話をした方が……」

P「……頼む、雪歩。決心を鈍らせないでくれ」

雪歩「は、はい……。それじゃ、時超石を使いますぅ」ピカアアアアアア

P「さようなら、小鳥さん……」

小鳥「あ、あの……プロデューサーさん! 最後に一言だけ、言わせてください!」

P「……何でしょう?」

小鳥「……頑張って!」

P「……はい! 頑張りま――」

   ゴゴゴゴゴゴゴゴ

   エクセターの町 レジスタンスの隠れ家

千早「萩原さん! 目を覚ましてちょうだい!」

美希「ハニー! ハニーってば! 起きてよ!」

貴音「あなた様! 雪歩! しっかりして下さい!」

雪歩「……はっ!? 千早ちゃん!?」

P「うおっ! み、美希に貴音か!?」

千早「よかった……。二人とも、気がついたわ」

P「俺達、帰ってこれたのか……。ここはどこだ?」

美希「エクセターの町なの!」

貴音「二人が町の近くで倒れてるのを見つけて、ここまで運んできたのですよ」

P「そうだったか……。心配かけてすまなかったな」

雪歩「ねえ千早ちゃん。私達が過去に行ってから、何日ぐらい過ぎたかわかる?」

千早「ええと……そうね。あれからまだ、二日は経っていないと思うわ」

雪歩「そうなんだぁ……。そんなに日にちが過ぎてなくてよかったぁ……」

千早「ところでプロデューサー。カギの在処は判明したんですか?」

P「おう! 実はかくかくしかじかで……」

貴音「ほう……。そのような秘密があったのですか」

美希「そんな複雑な方法、フツーじゃわからないね」

雪歩「今から765城に急げば、もしかすると間に合うかもしれないですぅ!」

P「だな! これも全部、小鳥さんのおかげだよ!」

千早「音無さん……か」

美希「ミキも会いたかったなぁ……」

貴音「そうですね。小鳥嬢は、立派な方でしたからね……」

P「ああ……。本当に、心の底からそう思うよ……」

雪歩「プロデューサー。音無さんのためにも、絶対に敵の野望を阻止しましょうね!」

P「もちろんだ。ヤツらにカギを渡すわけにはいかない!」

美希「西のバーリントン市を抜ければ、765城はすぐそこなの!」

貴音「それでは、さっそく出発するとしましょうか」

千早「ええ! 聖杯のカギを守るために! そして、私達の765城を取り戻すために!」

一旦ここで切ります。

続きは夜にでも。

またよろしくお願いいたします。

>>1はゲームから入ったからなんだろうけど
騎士ガンダムはカードダスが基準で他はメディアミックス
原作という場合はカードダスを指すのが正しいんだよね
と粗探しみたいなツッコミをしてみる

2はやったこと無いんだよなぁ、序盤から最強装備が出来るって話は知ってるが

>>119
カードダス懐かしいわ
最初のラクロアから機甲神まで集めてた

>>119
なるほど……。それは知りませんでした。
勉強不足だったみたいで、失礼いたしました。

>>120
個人的には非常に好きなゲームなので、ぜひ一度遊んでみることをオススメします。
ただし画面の点滅が結構激しいので、その点はご注意を。



それでは、再開します。

   バーリントン市 西門前

衛兵「市長のお許しがない限り、765城へ続く道をお通しする事は出来ません」

千早「張り切ってバーリントン市に来たのはいいけれど……」

雪歩「衛兵さんに、通せんぼされちゃった……」

P「事態は一刻を争うんです。頼むから765城に行かせてください!」

衛兵「そう言われても……。何人たりとも通すなと、市の法で定められておりますので」

雪歩「法、ですか?」

衛兵「ええ。このバーリントン市の中では、誰も法に背く事は出来ません」

貴音「ふむ……。これ以上ここにいても、埒があきそうにないですね」

美希「むー、こんな所で時間を食ってられないの!」

雪歩「プロデューサー、どうしましょうか?」

P「しょうがない、市長に直談判しに行ってみるか」

美希「賛成なの! 身分を明かして理由を話せば、きっと納得してくれるって思うな!」

千早「そうね。上手くいくといいけど……」

貴音「市長の屋敷は、市の北にあるみたいですね。それでは参りましょうか」

   バーリントン市 市長の屋敷

P「失礼します」

雪歩「私達、市長さんにお願いがあって来たんですけど……」

市長「これはこれは……。萩原雪歩皇女様では、ございませんか?」

雪歩「えっ!? 私の事、知ってるんですかぁ?」

市長「やはりそうでしたか! いやぁ、よく御無事で!」

千早「そういえばここ、765城から一番近い町なのよね」

美希「そっか! なら雪歩が皇女様だって知ってるのも、納得なの!」

市長「このバーリントン市は、れっきとした765王国のものですからな!」

貴音「市長殿。765王国の味方を続ける事で、敵から圧力はかからないのですか?」

市長「確かに、そういった事は何度もありました。ですが……」

千早「ですが?」

市長「皇女様が帰って来て下さる事を信じ、市を守ってきたのです!」

P「そうだったんですか……」

雪歩「ありがとうございますぅ! 私、嬉しいです!」

雪歩「ところで市長さん。隣にいる女の人、誰なんですかぁ?」

市長「これは、私の娘です」

市長の娘「始めまして。お会いできて光栄ですわ」ペコリ

P「へえ……。綺麗で礼儀正しい娘さんだなぁ……」

美希「……ハニー」

貴音「……あなた様」

雪歩「……プロデューサー」

P「な、何だよみんなして! そんな怖い目で見るなって!」

市長「ささ、皇女様達もお疲れでしょう。今日は我が家にお泊まり下さい」

千早「ですが市長。私達は、一刻も早く765城へ向かいたいのですが」

市長「これから手続きを済ませますので、明日には通れるようにしておきますよ!」

美希「……なーんか、お役所仕事って感じなの」

貴音「まあまあ、美希。急いては事をし損じる、とも言いますよ?」

P「そうだな。お言葉に甘えて、今夜は英気を養うとしようか」

市長「では、お部屋までご案内しましょう」

   市長の屋敷 客間

市長「それでは、ごゆっくりお休み下さい」

雪歩「何から何まで、助かりますぅ」

市長「それから部屋の宝箱は、どうぞご自由にお開け下さい」

貴音「まことですか? 心遣い、感謝いたします」

市長「では……」

   ガチャ

千早「市長さん、協力的な人でよかったですね」

P「全く、ありがたいことだよ。さて、夜も更けてきたな」

美希「……あふぅ。ミキ、眠くなってきちゃったの。もう寝てもいいでしょ?」

貴音「美希。眠る前に、市長殿からいただいた品を見てみませんか?」

美希「あ、確かに何をくれたのか気になるの!」

雪歩「それじゃあ、私が箱を開けてみますねぇ。よいしょっと」パカッ

P「ん? これは何だ?」

雪歩「金ピカの像……みたいですぅ」

雪歩「何かのマジックアイテムでしょうか――」

   ガチャ

雪歩「きゃあっ!?」

市長「これは皇女様、失礼いたします」

千早「し、市長さん!?」

雪歩「び、びっくりしたぁ……」

美希「レディの部屋に、いきなり入ってこないでなの!」

市長「申し訳ありません。実はこの部屋に置いてある、当家の家宝を取りに参ったのです」

P「家宝……ですか?」

市長「ちょっとすいません。確か、この宝箱の中に入っていたかと……」ゴソゴソ

貴音「市長殿。それはもしや、雪歩が持っている像では――」

市長「あ!」

貴音「ん? どうしたのです――」

市長「家宝がなくなっている!」

貴音「……はい?」

市長「これはいったい……まさか……?」

雪歩「あ、はい。さっき私が箱を開けて、中身を――」

市長「……何ということだ……」ワナワナ

雪歩「あ、あの……市長さん?」

市長「皇女様。人の物を盗むとは泥棒ですよ」

雪歩「え、泥棒!?」

美希「ちょ、ちょっと待ってなの! だってさっき――」

市長「確かに、私は宝箱を開けても良いとは言いました」

美希「で、でしょ! やっぱりそうだよね!?」

市長「しかし、それはあくまで開けるだけ。中身を差し上げるとは言ってませんよ」

貴音「な……!?」

P「そ、そんな無茶苦茶な!」

千早「そんな風に言われれば、中身をもらえると考えるのが自然です!」

雪歩「じゃ、じゃあ、返せばいいんですよね?」

市長「そういう問題ではありません。困りましたなぁ……」

市長「いくら皇女様でも、罪を犯せば法に照らし合わせて罰せねばなりませぬ……」

貴音「お、お待ちください市長殿! わたくし達の言い分を――」

市長「おい、誰か!」

衛兵達「はっ!」

美希「わわっ!? へ、兵士がたくさん来たの!」

市長「皇女様は法を犯したのだ。皇女様を裁判所へお連れしろ」

衛兵達「ははっ!」

雪歩「きゃあっ!?」

千早「は、離して!」

P「違う! これは誤解なんだ! おい、話を聞いてくれぇ!」


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P(かくして、俺達は裁判を受ける事になった)

P(そして判決の日、俺達に下されたのは)

P(有罪、死刑だった……)

   市長の屋敷 地下牢

P「くそっ! いったい、どうなってんだ!」

美希「ミキ達、まんまとハメられちゃったのかな……」

雪歩「うぅ……。市長さん、優しい人だと思ったのに……」

千早「どうにかして、ここから脱出しないといけないわね」

貴音「しかしこの状況下では、手の打ちようが――」

??「二人とも、こっちみたいだじぇ!」

P「ん? 何だか騒がしいな」

雪歩「誰かがこっちに来るみたいですぅ」

??「うあうあー! 押さないでよー!」

??「あっ、ごめん! でも急がないと、雪歩さん達が危ないよ!」

千早「三人分の声……?」

美希「あ! この声って……」

貴音「もしや!」

亜美「あ、いたいた! ゆきぴょんに兄ちゃん、無事で何よりー!」

P「お、お前達は!?」

雪歩「亜美ちゃんに真美ちゃん!?」

千早「それに、高槻さんもいるのね!」

真美「真美達、ゆきぴょん達を助けに来たんだよー!」

やよい「今すぐ扉を開けますね!」

   ガチャ

P「ふぅ……助かったな」

美希「ナイスタイミングなの!」

貴音「どうして、わたくし達がここに捕まっていると……?」

亜美「うん、話せば長くなるんだけど」

真美「真美達ね、765城に近いこの町で、潜入捜査をしてたんだ」

P「そういや各地で情報を集めてるって、美希が言ってたな……」

やよい「そうしたら噂で、雪歩さん達が捕まったって聞いたんです」
 
亜美「それじゃあここから、回想シーンスタート!」

   回想シーン バーリントン市 市長の屋敷前

亜美「どうやら、ここにゆきぴょん達が捕まってるらしいね」

真美「あり? ドアにカギがかかってるよ」

やよい「どうやって開けようか?」

真美「やよいっち、カギを開ける呪文ってないの?」

やよい「そんな呪文、聞いたことないよ……」

亜美「んっふっふー! なら、ここは亜美の出番だね!」

真美「ほほう?」

やよい「亜美、何する気なの?」

亜美「こんなドア、亜美自慢のカギ開けでイチコロっしょ!」

真美「へー! さっすが亜美!」

やよい「そんな特技があったんだ! 亜美、すごーい!」

亜美「そんじゃ、始めるかんね! んしょ、んしょ……」

   10分後……

真美「ねえ亜美、まだなの~?」

やよい「ずいぶん時間が経ったみたいだけど……」

亜美「あっ!」

真美「おろ?」

やよい「どうしたの? 開いた?」

亜美「突き指しちった……イタイ……」

真美「亜美! 何やってんのさ!」

やよい「期待させといて!」

真美「こんにゃろー! くすぐっちゃるー!」コチョコチョコチョ

亜美「わあぁ! やめれー!」

市長の娘「あの……すみません。私、この屋敷の者なのですが」

やよい「えっ!?」ギクッ

市長の娘「もしかして、皆さんは皇女様の知り合いですか?」

やよい「ま、まずいよ亜美、真美!」

真美「ど、どどどどうちよ!」

亜美「よ、よし! 亜美にまかちてよ!」

市長の娘「あの……?」

亜美「あ、亜美達ね! 皇女様なんか知らないよ!」

市長の娘「そうなのですか?」

亜美「だってここに捕まってるなんて、トーゼン知らないし! そんでそんで!」

市長の娘「…………」

亜美「助けた後に、みんなと一緒に765城に行こうなんて、全々思ってないかんね!」

市長の娘「では、やはり知り合いなのですね」

亜美「へ? あ……」

やよい「亜美! 全部しゃべってどうするの!」

真美「バカー! もっかいくすぐりの刑じゃー!」コチョコチョコチョ

亜美「うひゃひゃひゃひゃ! ワ、ワキはやめれぇ!」

市長の娘「ご安心ください。実は私も、皇女様を助けに来たんです」

真美「え? 姉ちゃん、それホント?」

市長の娘「はい。詳しい話は出来ませんが、皇女様はワナにかけられたのです」

やよい「そうですよね! やっぱりそうだったんだ!」

真美「ゆきぴょん達が犯罪に手を染めるなんて、あるわけないもんね!」

市長の娘「これを渡しておきます」

亜美「おりょ、カギ? 二つあるけど」

市長の娘「屋敷と地下牢のカギですわ」

やよい「うっうー! これがあれば、雪歩さん達を助けられますね!」

亜美「あんがとね、姉ちゃん!」

市長の娘「それでは、私はこれで失礼します。さあ 急いで!」

真美「うっし、いくじぇ亜美、やよいっち! みんなを救出するのじゃー!」

亜美「てなわけで、回想シーン終わりだよー!」

   バーリントン市 地下牢

真美「って、感じだったんだよ!」

P「そうだったのか。市長の娘さんが……」

千早「それにしても……亜美」

亜美「ギクッ」

千早「少し行動が軽率すぎるわ。気をつけなさい」

亜美「あ、あうあう……。ごみん、千早お姉ちゃん……」

雪歩「ま、まあまあ千早ちゃん……」

貴音「三人の活躍のおかげで助かったのも、事実なのですよ?」

千早「……確かに、それはそうですね」

美希「三人とも、ありがとうなの!」

真美「どういたちまちて! 真美達も、少しは役に立つっしょ?」

亜美「だから、亜美達も仲間に入れてよ!」

やよい「お願いします!」

雪歩「プロデューサー、どうしますか?」

P「もちろん、連れていくさ! 三人とも、俺達の大切な仲間だからな!」

やよい「やったー!」

真美「おっしゃー!」

亜美「ばんじゃーい!」


   『剣士(けんし)』双海亜美、『闘士(とうし)』双海真美、

   『僧侶(そうりょ)』高槻やよいが仲間になった!


千早「さて、これからどうしましょう?」

貴音「とりあえず、市長の真意を問いただしてはみませんか?」

美希「意義なしなの! このまま逃げ出すなんて、絶対にヤなの!」

雪歩「そうだね。もしかしたら、362帝国に脅迫されてるのかもしれないし」

P「確かに、その可能性もあり得るな。よし、市長に会いに行ってみよう」

   市長の屋敷 応接室

真美「おろ? こっちの部屋から、話し声が聞こえるよ?」

雪歩「あ、本当だ……」

亜美「どーする? 思い切って突撃しちゃう?」

貴音「いえ。しばし隠れて、様子を見るとしましょう」

美希「わかったの! えーっと、どれどれ……」

市長「妖騎士(ファントムナイト)様。雪歩皇女を地下牢に入れておきました」

妖騎士「おお、でかしたぞ!」

P「あの男……市長に間違いないな」

やよい「話してる相手は、何者でしょうか?」

妖騎士「雪歩皇女を捕えるとはな! 362帝王様も、さぞお喜びになるだろう」

千早「362帝王ですって……?」

市長「今、ヤツは正にまな板の上の鯉。後は、私達が料理するだけでございますなぁ」

雪歩「この口振り……。市長さんは、やっぱり最初から……」

貴音「ええ。残念ですが、脅迫されていたわけではないようですね」

妖騎士「ふっふっふ。こうもあっさりと捕まるとは、皇女達もまだまだよのう」

市長「いえいえ! これも妖騎士様のお知恵と、私めの演技力の成せる技ですよ!」

やよい「この人達、好き勝手な事を……!」

市長「ところで、お約束の方は……?」

妖騎士「うむ、わかっておる。この市は引き続き、お前に任せる事にしよう」

市長「ありがたき幸せ……」

千早「自分の保身のために、私達を売るなんて……!」

美希「汚い大人なの! ミキ、こんな大人には絶対になりたくないの!」

P「ああ。他人を足蹴にして上に上がろうとする……本当に恥ずかしい行為だ」

妖騎士「しかし、貴様も悪よのう!」

市長「いえいえ、妖騎士様にはかないません」

亜美「……何か、昔のテレビ番組みたいなやり取りだね」

真美「悪代官ごっこでもしてんのかな?」

妖騎士「ん!? 誰だ そこにいるのは!」

貴音「おや、見つかってしまいましたか」

亜美「でも、もう隠れてる必要はないんじゃん?」

真美「あんなヤツら、真美達でぶっ飛ばしてやろーよ!」

千早「そうね! みんな、出ていきましょう!」

妖騎士「む!? お、お前達は!?」

雪歩「私達、だまされてたんですね……。市長さんの事、信じてたのに……」

市長「雪歩皇女!? ど どうしてここに!?」

P「あんたの娘さんが、俺達を助けてくれたんだよ」

市長「な、何だと……!?」

妖騎士「チッ……。しくじりおったな」

千早「残念だったわね。さて、覚悟は出来ているのかしら?」

妖騎士「ぬかせ! かくなる上は、この俺が片づけてやる!」

美希「ふーん。こんなセコいマネしか出来ないくせに、ミキ達に勝てると思ってるの?」

妖騎士「ほざくな、小娘が!」

妖騎士「食らえっ!」シュッ

   カキーン

妖騎士「ぐぬっ……!?」

美希「簡単に受け止められたの。やっぱり大したことないね!」

P「力の差は歴然だな! 美希、ヤツにお前の技を見せてやれ!」

美希「うん! 炎の剣技、味わってみるの! バーニングノヴァー!」ズバアッ

妖騎士「うおああああああっ!?」

やよい「やった! 美希さんの炎の剣が、敵を切り裂きましたぁ!」

妖騎士「む、無念……」バタッ

美希「なーんだ。全然弱っちかったの」

真美「ほえー……」

亜美「さっすがミキミキ! 何回見てもすごい技だねー!」

千早「さて……と」ジロリ

市長「お、皇女様! お助けを!」

雪歩「…………」

市長「私はあの者に脅されて、やむなく皇女様を――」

やよい「市長さん、見苦しいですよ!」

貴音「この様な者を放っておくと、後々災いの種となりましょう」

市長「ど、どうかお助け下さい!」

P「さてどうする、雪歩?」

雪歩「うーん……」

真美「ゆきぴょん、悩んでるねー」

亜美「とりあえず亜美達で、くすぐりの刑にでもしとこっか?」

??「待って! みなさん、お待ちください!」

美希「あれ? 向こうから、誰かが走ってくるよ?」

千早「あら、貴女は……市長の娘さんですね」

やよい「私達にカギを渡してくれて、ありがとうございました!」

P「おかげで助かりましたよ! 俺達の命の恩人です!」

市長の娘「いえ、大した事では……。それよりも、どうか父をお許し下さい!」

貴音「ふむ……」

貴音「しかしそれは――」

市長の娘「お願いです!」

美希「でもさー。ミキ達、そこの人に殺されそうになったんだよ?」

市長の娘「この様な人でも、私にとってはたった一人の父親なのです……」

雪歩「……家族、かぁ。」

市長の娘「父に何かするというのなら、その前に私も同じ罰を受けますから!」

真美「あ、言ったなー! それじゃ遠慮なくコチョコチョコチョ!」

市長の娘「きゃっ!? きゃあっ!?」ビクッ

亜美「へへー! やっぱり姉ちゃんも、ワキが弱いんだね!」コチョコチョコチョ

市長の娘「や、やめてください! ア、アハハハハハ!」

P「こ、こら! 亜美、真美! やめろって!」

雪歩「……わかりました。みんな、市長さんを許してあげようよ」

美希「えぇー!? 本気なの、雪歩?」

やよい「本当にいいんですか? 市長さん、悪い事をしたんですよ!」

雪歩「うん……。人間、間違いを犯す事は誰にでもあると思うし、それに……」

雪歩「家族がいなくなるって、とっても辛い事だと思うから……」

やよい「あ……。確かに、それはそうかもです……」

雪歩「だから――」

美希「わかった、わかったの! 雪歩がそこまで言うなら、しょうがないの!」

貴音「……との事ですよ、お二方?」

市長の娘「あ、ありがとうございます!」

市長「娘よ……」

P「やーれやれ。全く甘いというか、人が良すぎるというか……」

千早「でも、そんな萩原さんだからこそ、皆に好かれるのではないですか?」

P「ああ……かもな」


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P(かくして俺達は、バーリントン市の残る362帝国の勢力をも排除し)

P(バーリントン市を、一年ぶりに362帝国軍の支配から解放した)

市長「今回の一件、まことに申し訳ありませんでした」

貴音「お礼はわたくし達ではなく、娘さんに言うのですね」

市長の娘「父もきっと、魔が差したのでしょう。許してあげて下さい」

やよい「市長さん! もう二度と、悪いことをしちゃダメですよ!」

千早「それじゃあ改めて、出発しましょうか」

美希「もう衛兵さん、通せんぼしたりしないよね?」

市長「もちろんです。それと最後に一つ、お聞かせしたい事があるのですが」

真美「ん? どったのおっちゃん?」

市長「妖騎士の話では、今、765城の警備が手薄になっているそうです」

雪歩「え? どうしてですかぁ?」

市長「そこまではわかりません。城の中で何かがあったらしいのですが……」

P「……イヤな予感がするな」

亜美「でも、これってチャンスなんじゃん?」

美希「ミキもそう思うの! この隙に、765城を取り戻しちゃおうよ!」

真美「賛成賛成! 大さんせーい!」

市長「それと、城門の右の方に、隠し通路があるという話も聞きました」

亜美「え! それってホント!?」

市長「おそらくは。そこを通れば、敵に気づかれずに内部に潜入できるでしょう」

真美「すんごい重要な情報じゃん! あんがとね、おっちゃん!」

千早「いよいよ、765城を取り返す日が来たのね……」

雪歩「そうだね……千早ちゃん」

やよい「雪歩さん! 私、頑張りますから!」

美希「みんなの力を合わせれば、絶対大丈夫なの!」

貴音「参りましょう、雪歩! 我らの誇りを奪還しに!」

雪歩「……はい!」

市長「それでは、お気をつけて」

市長の娘「どうか無事に帰ってきてくださいね……」

雪歩「はい、約束しますぅ!」

P「よし、行くぞ! いざ765城へ!」

   765城 城門前

雪歩「見えました! あれは間違いなく、765城ですぅ!」

貴音「ようやく、ここまでたどり着きましたね」

美希「長い道のりだったの!」

P「だが、本番はここからだ。気合を入れていくぞ!」

千早「門の前には、兵士が大勢います。当たり前ですけど、さすがに警戒が厳重ですね」

やよい「それなら、市長さんから聞いた隠し通路を探してみましょう!」

真美「確かおっちゃん、城門の右の方にあるって言ってたよね」

亜美「……あ、見っけ! こっちの草むらの陰に隠し階段があったよ!」

真美「おお、でかしたぞ亜美よ! この間の失態は、今回の手柄で帳消しにしようぞ!」

亜美「おっしゃー! バッチリ汚名返上したじぇーい!」

P「おい二人とも、そんなにはしゃぐなっつーの! 見つかっちまうだろーが!」

亜美「あ、あうあう……」

真美「ごみん、兄ちゃん……」

やよい「と、とにかくここを通って、城の中に入りましょう!」

   765城 大広間

やよい「うっうー! 潜入大成功でーす!」

美希「ここ、お城の大広間なの!」

P「よし! 円卓の間は向かいの扉を開けて、王座がある部屋を抜けた先だ!」

亜美「おっしゃー! 一気に目的地へ突入じゃー!」

千早「……残念だけど、そう簡単にはいかないみたいね」

敵兵士達「雪歩皇女! ここから先へは行かせん!」

真美「うげっ!? 兵士達が、後ろから追いかけて来たよ!?」

雪歩「じ、十人以上いますぅ!」

P「ここで邪魔をされるわけにはいかない! 貴音、魔法で一網打尽にするんだ!」

貴音「お任せを! 受けなさい、凝縮された魔力を! メガブラスト!」ドガガガガガ

敵兵士達「うおああああっ!?」バタバタバタン

真美「ひゃー、すんごい爆発! 一撃で全員倒しちゃったよ!」

貴音「ふぅ……。この様な感じでよろしいでしょうか、あなた様?」

P「さすがは貴音! 魔法の威力は、円卓の騎士候補生の中でもピカイチだな!」

美希「それじゃ、早く先に進むの!」

亜美「待ったミキミキ! また敵が追っかけて来たよ!」

やよい「こ、今度は二十人以上いるみたいです!」

美希「むぅ……。ミキ達全員で相手にしてたら、時間がもったいないって思うな!」

P「確かに……。危険かもしれないが、二手に分かれてみるか?」

貴音「ならばここの敵は、わたくし達に任せていただきましょう」

千早「萩原さんはプロデューサーと一緒に、先に進んでカギを手に入れてちょうだい」

雪歩「でも、それだと千早ちゃん達が――」

千早「心配ないわ、萩原さん。私達は765王国が誇る、円卓の騎士の候補生なのよ」 

亜美「そーそー! この程度の相手に、亜美達が遅れを取るわけないっしょ!」

やよい「早く行ってください雪歩さん、プロデューサー!」

雪歩「……うん、わかったよ!」

P「みんな、後ろ盾は任せたからな!」

真美「任されたよー! 後から必ず追っかけるかんねー!」

雪歩「お願いしますぅ! 行きましょうプロデューサー、円卓の間へ!」

   765城 王座の間

雪歩「この部屋を抜ければ、もうすぐ円卓の間ですね!」

P「待て雪歩! 王座の前に、誰かいるぞ!」

闇騎士「……やっとここまで来たんだね」

雪歩「仮面をかぶった、黒い鎧の騎士……」

P「う、恐ろしい威圧感だな……。362帝王の懐刀ってとこか……?」

闇騎士「あなたが私の仲間を殺した『キングアイドル』の後継者、雪歩皇女……」

雪歩「え!?」

P「社長に、仲間を殺されただって……?」

闇騎士「我、仲間の霊前に、あなたの血を捧げましょう……」

雪歩「ま、待ってください! それ、何かの誤解なんじゃ――」

闇騎士「さあ、死んでちょうだい!」ズバッ

雪歩「きゃあっ!?」

P「ゆ、雪歩!?」

雪歩「だ、大丈夫です。でもこの人、強い……!」

P「ちいっ、話を聞いてる余裕はなさそうだな! 雪歩、反撃するんだ!」

雪歩「は、はいっ! ごめんなさい、ヴァトラスアターック!」

   カキィン

闇騎士「ふぅん」

雪歩「えっ……!?」

P「な、何だと!? 雪歩の必殺技が、盾でたやすく受け止められた!?」

雪歩「そ、それならっ! 来て、ドラゴン!」ヒュウウウウウドガアアアアン

闇騎士「……それで?」ズバアッ

雪歩「ド、ドラゴンの炎が、剣で斬り散らされちゃいましたぁ!」

P「バカな……ドラゴンの力を借りてもダメなのか!?」

闇騎士「今度はこっちの番だね」

雪歩「ひうっ!?」

闇騎士「……ブラックホール!」ブアアアアブアアアアピキーン

雪歩「う、うああああああっ!?」

雪歩「じ、重圧で、体が潰されそうですぅ……」ミシミシ

P「ブ、ブラックホールだと!? こいつ、重力まで自在に操れるのか!? まるで――」

雪歩「う、うううぅ! うあっ……」ガクッ

P「お、おい雪歩!? 大丈夫か!?」

雪歩「はぁ、はぁ、はぁ……。ご、ごめんなさい……ダメかもしれません……」

闇騎士「どうしたの? 苦しそうだよ……?」

雪歩「うぅ……こんなに強い人が、362帝国にいたなんて……」

闇騎士「こっちはまだまだ、本気じゃないよ? あなたの力、この程度なの?」

P「く、くそっ! 部隊を分断したのは、失敗だったか!? 俺とした事が……」

闇騎士「お遊びはここまでかな。今、楽にしてあげる――」

千早「待ちなさい!」

雪歩「う……その声は……」

千早「一足先に駆けつけてみたら、こんな状況になってるなんてね」

雪歩「千早ちゃん……来てくれたんだ」

千早「萩原さんは絶対にやらせない! 助太刀するわ!」ダッ

闇騎士「うるさいなぁ……」

P「お、おい! 落ち着け千早! そいつは、並大抵の相手じゃないぞ!」

闇騎士「邪魔をしないで!」ズバッ

千早「う、ぐあああああっ!?」

雪歩「ち、千早ちゃん!」

千早「う、ぐ……がはっ!」ドサッ

P「ま、まずい!? まともに斬られた!?」

闇騎士「バカな人……」スチャッ

雪歩「あ、あ……! 敵が、千早ちゃんに剣を!」

闇騎士「まずあなたから先に、とどめを刺してあげる!」

P「待て、やめろ! やめるんだ! やめてくれぇ!」

雪歩「ダメぇ! やめて! 逃げて! 千早ちゃん逃げてぇ!」

千早「く、ううう……え!? あ、ああっ!?」

雪歩「……え?」

千早「その目……まさか……」

千早「春香……。あなたは、春香なのね!?」

P「え?」

雪歩「え、ええええっ!?」

P「何だって!? この騎士が、春香!?」

千早「間違いありません! 仮面の隙間の目と、目が逢った瞬間気づきました!」

P「た、確かに候補生最強の春香なら、この圧倒的な力も納得出来るが……」

雪歩「で、でも! この人が春香ちゃんなら、どうして私達を……?」

千早「なぜなの春香!? 誰よりも仲間を大切にしてた春香が、どうして362帝国に!?」

闇騎士「あなた達、何を言ってるの? 確かに私には、仲間はいたよ? でも……」

雪歩「でも?」

闇騎士「一年前『キングアイドル』に、皆殺しにされたんだ!」

P「それは違う! 社長が軽々しく、誰かを殺めるはずがない!」

雪歩「うん! 絶対ぜったい、間違いないですぅ!」

千早「なら、訊くわ。殺された仲間の名前、教えてもらえるかしら?」

闇騎士「それは……ええと……あれ?」

闇騎士「ど、どうして!? どうして名前が思い出せないの!?」

千早「……やっぱり」

P「まさか……」

雪歩「記憶を……!?」

闇騎士「ううっ……あ、頭が、頭が痛いよぉ……!」

P「春香! お前の仲間……円卓の騎士候補生のみんなは、殺されてなんかいないぞ!」

雪歩「一年前の戦争の時に362帝国と戦って、散り散りになっちゃったんだよ!」

千早「そして……今は春香以外の全員が、萩原さんの下に再び集っているのよ!」

闇騎士「そ、そんなバカな……ううっ……」

    ダダダダダダ

衛士G「闇騎士様!」

衛士Z「何をしておられるのです!」

衛士E「早くこやつらにとどめを!」

P「うおっ、新手か!?」

千早「くっ……こんな時に!」

衛士G「闇騎士様! 362帝王様を裏切るおつもりですか!」

雪歩「い、いけない春香ちゃん! 惑わされちゃダメ!」

P「春香は362帝王に、偽りの記憶を植え付けられてるんだ!」

闇騎士「ううっ……わからない……どっちが真実なの……」

P「春香! 自分をしっかり持つんだ!」

千早「思い出すのよ! 仲間との絆を!」

雪歩「春香ちゃん! 春香ちゃんってば――」

闇騎士「わからないよぉ!」ダッ

雪歩「きゃっ!?」

P「あっ、逃げた!?」

千早「くっ、しまった! まさかいきなり、逃げ出すなんて……」

雪歩「春香ちゃん待って、行かないでよぉ!」

P「大丈夫だ、雪歩。俺達の言葉は間違いなく、春香の心に届いたはずだ」

千早「そうですね。きっと春香は、私達の所に戻ってきてくれる……今はそう、信じます」

衛士G「おのれ……」

衛士G「雪歩皇女! 闇騎士様をたぶらかしおって!」

衛士Z「こうなれば、我々で貴様達を葬ってやる!」

雪歩「プ、プロデューサー! 敵が襲ってきますよぉ!」

P「相手は三人か……」

千早「これは……厳しいですね」

P「ああ、まずいな……。万全の状態ならともかく、今の雪歩と千早だけでは……」

雪歩「で、でも! 私達で、何とかしないと……!」

衛士S「さあ、死んでもらおうか! 覚悟しろ――」

貴音「そうはさせませんよ!」

雪歩「あっ、四条さん! それに……」

美希「ハニーには、絶対に手を出させないの!」

亜美「遅れてごめんね、兄ちゃん達!」

やよい「お待たせしました!」

真美「真美達が来たからには、もう大丈夫だかんね!」

雪歩「みんな! 来てくれたんだね!」

P「お前達、間に合ってくれたか!」

千早「助かったわ……ギリギリの所だったわね」

美希「さあ、そこの人達! 来るなら来いなの!」

真美「ミキミキ! こいつらの相手は、真美達に任せてよ!」

美希「そう? だったら、頼んだの!」

亜美「おっけー! んじゃ、いっくよー! 亜美の技と!」

真美「真美の力と!」

やよい「私の魔力を合わせて!」

亜美真美やよい「「「三人攻撃!」」」ピラホラピラホピーン

衛士G「な、何だこれは……うおっ!?」バシュッ

衛士Z「か、体が……!?」バシュッ

衛士S「ど、どうなって……うおおおおおっ!?」バシュッ

雪歩「ひ、光のオーロラが、一瞬で敵を消し去っちゃいましたぁ……」

P「亜美、真美、やよい。お前達、いつの間にそんな技を使えるようになったんだ?」

亜美「へへー、ビックリしたっしょ! 完成させるまでに、三か月もかかったんだよ!」

真美「そーそー! 血のにじむような努力をして、シュートクしたのだ!」

P「ホントかぁ……?」

美希「さあ雪歩、いやしの聖水です。これを使ってください」

やよい「千早さん、いまケガを治しますからね! マックスヒール!」ピロリロピロリロピロリロ

雪歩「はぁ……。四条さん、助かりましたぁ」ピロリロピロリロピロリロ

千早「ありがとう、高槻さん!」

P「よし。円卓の間は、右の階段を上った所だ」

貴音「さあ、進みましょう!」

雪歩「……プロデューサー。みんなに春香ちゃんの事、言った方がいいでしょうか?」コソコソ

P「……いや、今は黙っておこう。ヘタに話すと、みんなを動揺させそうだからな」コソコソ

千早「……そうですね。城を取り戻してから、改めて話す事にしましょう」コソコソ

美希「ハニー達、三人で何を話してるの? 早く円卓の間に行こうよ!」

P「お、おう! 悪い悪い!」

一旦ここで切ります。

続きはまた後ほど。今日中に終われるかな?

それではまた、よろしくお願いいたします。

光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士春香

前にガイアセイバー書いてた?

>>160
ライトニングさんの肩透かしっぷりは異常。
このゲームの闇騎士さんのチートっぷりは異常。

>>161
おお……よくわかりましたね!
あれは今読み返すと呼称間違いがあったりと、色々申し訳なかった気がします。
ただ自分にとっては、円卓の騎士と同じぐらい思い入れがあるゲームなので、
読んでくださった事、とても嬉しく思います。

あれから一年近く経っての今回の作品、筆力は当時からあまり成長してないとは思いますが、
最後まで完走させますので、見守っていただければ幸いです。



それでは、再開します。

   765城 円卓の間

P「着いたぞ、ここが円卓の間だ!」

真美「ピヨちゃん達は話し合いをする時に、この部屋に集まったんだよねー!」

雪歩「過去で聞いてきた話だと、ここのどこかに隠し部屋があるらしいけど……」

やよい「それじゃあ、みんなで手分けして探しましょう!」

千早「そうね。さて、一体どこにあるのかしら……?」

亜美「……お、はっけーん! こっちの床の下に、隠し階段があったよー!」

貴音「おお! 入口の階段に続いて見つけるとは……。お手柄ですね、亜美」

亜美「へへーん! すごいっしょ! 隠し階段探しは、亜美にお任せだね!」

千早「それにしてもこの作品、本当に隠し階段が多いわね……」

雪歩「でもヒントがある分、パーライルの塔よりは全然マシだよね」

美希「全くなの! あれは、製作者のオーボーなの!」

P「だから、メタい話はやめろっつーの!」

雪歩「は、はいぃ! それじゃあ、階段を下りてみますねぇ」

   765城 円卓の間 隠し部屋

亜美「ほえー、ずいぶん埃っぽい部屋だね……」

貴音「通路が、十字に伸びておりますね」

真美「兄ちゃん兄ちゃん、ここで何をすればいいの?」

P「ああ。東西南北の突き当たりの壁に、出っ張りがあるらしいんだ」

雪歩「西の一カ所以外の出っ張りを押し込むと、円卓の上にカギが現れるんですよね?」

やよい「わかりました! じゃあ私、北の壁を探してみまーす!」

亜美「あ、亜美もそっちに行く!」

真美「ほんじゃ、真美もー!」

美希「それならミキは、南の壁を調べてみるの!」

貴音「美希、わたくしも協力しましょう」

千早「私も手伝うわ」

P「それじゃあ俺と雪歩で、東の方を漁ってみるとするか」

千早「合流地点は、円卓の間で大丈夫ですか?」

P「ああ、それで構わない。敵が潜んでるかもしれないから、油断はするなよ?」

   765城 円卓の間 隠し部屋東通路

P「うーん、なかなか見つからないな……」
   
雪歩「あっ、プロデューサー! もしかして、この出っ張りじゃないですか?」

P「おお、確かにそれっぽいな! 雪歩、偉いぞ!」

雪歩「え、えへへ……それほどでもないですよぅ」

P「それじゃあとっとと押し込んで、円卓の間に戻るとするか」ガチャ

雪歩「あ! 待ってくださいプロデューサー!」

P「ん、どうした?」

雪歩「ここ、見てください! 壁に古ぼけた文字が書かれてますよ!」

P「お、本当だな。ええっと……」

雪歩「一体、何が書かれてるんでしょう――」

P「こ、これは!?」

雪歩「プロデューサー?」

P「……未来の雪歩ちゃんとプロデューサーさんへ」

雪歩「え……?」

P「私は、あえて未来で何が起こったかは聞かないでおきましたが」

雪歩「…………」

P「過去にさかのぼってまで、聖杯の場所を聞きに来た事を考えると」

雪歩「…………」
 
P「何が未来で起こったかは想像出来ます」

雪歩「…………」

P「この文を雪歩ちゃん達が読む時、私がすでにこの世からいなくなっている事も……」

雪歩「っ!」

P「でも私は、立派な雪歩ちゃんと、プロデューサーさんの姿を見られて幸せです」

雪歩「……う……」

P「雪歩ちゃん。そして、プロデューサーさん」

雪歩「……うう……ひっく……」

P「いかなる試練をも跳ね返し、必ず目的を成し遂げてください」

雪歩「ひっく……えぐ……」

P「音無……小鳥……」

   765城 円卓の間

雪歩「お待たせしましたぁ」

P「みんな、出っ張りは見つけられたか?」

亜美「うん、バッチリだじぇい!」

美希「ミキ達の方もオッケーなの!」

やよい「あれ? プロデューサーに雪歩さん、目が赤いですよ?」

千早「萩原さん、何かあったの?」

雪歩「……ううん、何でもないよ」

P「……ああ、心配するな」

貴音「……あなた様……」

真美「お! 兄ちゃん兄ちゃん! いつの間にか円卓の上に、宝箱があるよ!」

やよい「この中に、カギが入ってるんでしょうか?」

美希「それじゃ、ミキが開けてみるの! えいっ!」パカッ

P「……どうだ美希? カギはあったか?」

美希「……あ、あれ?」

美希「空っぽなの……」

真美「えーっ!?」

貴音「何と!?」

雪歩「もしかしてカギは、もう敵に――」

   シュン

衛騎士「フハハハハッ! ここに聖杯のカギはない!」

亜美「わわっ!? 変な鎧来たヤツが、瞬間移動してきたよ!?」

衛騎士「我が名は衛騎士(ガードナイト)! 一足遅かったな、雪歩皇女!」

雪歩「聖杯のカギを、どこにやったんですか!」

衛騎士「残念だったな。カギはすでに、362帝王様の手の中よ!」

千早「くっ! 遅かったのね……!」

美希「なら、その362帝王はどこなの!」

衛騎士「聖杯を手に入れるために、すでにこの城を発たれてらっしゃる……」

P「くそっ……食い止められなかったか!」

衛騎士「そしてお前達は、ここで死ぬ事になる。この私の手によって……」

衛騎士「来い! 我が力見せてやる!」

美希「望むところなのー!」

真美「お前なんか、真美達がやっつけちゃるかんね!」

衛騎士「威勢がいいな……。だが、この技を受けても同じ台詞が吐けるかな?」ヒュウウウウ

千早「う……? 周囲の空気が冷たくなっていく……?」

衛騎士「食らうがいい、凍てつく風を!」ピキピキピキーン

やよい「え、わわわわっ!?」

雪歩「か、体が凍り付いて……動かない!?」

衛騎士「フハハハハ! 見たか、我が奥義を!」

P「こ、こいつは……響のフリーズと同じタイプの技か!」

亜美「ん、んぐぐぐぐぐ……!」

真美「こ、こんにゃろ! こんにゃろー!」

千早「だ、だめだわ! 動けない!」

衛騎士「今の貴様らは彫像と同じ……一人ひとり砕いてやるわ!」

貴音「これは……少々まずいですね……!」

衛騎士「まずはそこの小娘、お前から仕留めてやろう!」チャキッ

やよい「ひっ!?」

雪歩「や、やよいちゃん!」

貴音「いけません! 敵が、やよいに狙いを定めております!」

衛騎士「お前の命はあと数秒よ……。せいぜい恐怖に怯えるがいい!」

やよい「ひぁっ……!」ガタガタ

亜美「に、兄ちゃん! やよいっちが危ないよ!」

P「させるかぁ! 美希、頼んだ!」

美希「やよい、今助けるの! 行くよ、ヘルファイアー!」ゴワゴワゴワァ

衛騎士「うおっ、炎の魔法か!? だが!」サッ

美希「むぅ、避けられちゃったの」

衛騎士「ふん。どんな威力の技でも、当たらなければどうということはないわ!」

美希「それはこっちのセリフだよ? 別に当たらなくっても、どうってことないの!」

衛騎士「ふん、負け惜しみを――」

やよい「あ!」

やよい「動く! 体が動きました!」

衛騎士「なにっ!?」

雪歩「今の熱波で、氷が溶けたんですね!」

真美「ふぃー、助かったー!」

千早「高槻さん、大丈夫?」

やよい「は、はい! 心配かけてごめんなさい!」

衛騎士「む、むうっ……!」

美希「ね、わかった? 今の炎は、みんなの氷を溶かすために使ったの!」

やよい「美希さん、プロデューサー! 助けてくれてありがとうございました!」

衛騎士「ぐぬぬっ……ならば、もう一度受けてみるがいい!」ヒュウウウウ

亜美「ああっ! 敵がまた、さっきの技を使おうとしてるよ!」

衛騎士「凍りつけぃ! 凍てつく風!」ピキピキピキーン

P「同じ手を食うか! 貴音、頼む!」

貴音「はい、あなた様! 出なさい、炎の壁! フレアウォール!」ブアアアアアッ

衛騎士「う、うおおっ!?」

雪歩「すごい……! 四条さんが作った炎の壁が、敵の技を弾いてくれてますぅ!」

衛騎士「ば、馬鹿な!? 貴様、この冷気を防ぐほどの魔力を……!?」

貴音「円卓の騎士候補生の力、侮ってもらっては困りますね!」

美希「ハニー! ミキ、今がチャンスだって思うな!」

P「ああ! 亜美、真美! 同時攻撃だ!」

真美「おっしゃー! うりゃー! 爆走猛牛殺(ばくそうもうぎゅうさつ)!」ズバアッ

亜美「あずさお姉ちゃん直伝だよー! 新・烈火流星斬!」ズバアッ

衛騎士「ぐ、ぐおおおおおおっ!?」

やよい「うっうー! 真美の斧と亜美の剣が、同時に命中です!」

衛騎士「お、おのれ……! おのれおのれおのれぇ……!」

亜美「うえっ!?」

真美「う、ウソでしょ!? まだ立ってんの!?」

P「だが、これで最後だ! 千早!」

千早「はいっ! 風よ、私に力を! トルネードストリーム!」ズバアッ

衛騎士「うぐああああああっ!」

P「よし! 千早に続くんだ、雪歩!」

雪歩「はああああっ! ヴァトラスアターック!」ズバアッ

衛騎士「ぬ、ぬおおおおおおっ!」

雪歩「ダメ押しですぅ! 来て、ドラゴン!」ヒュウウウウウドガアアアアン

衛騎士「うぐぐ……362帝王様、バンザイ!!」バタッ

雪歩「や、やった……!」

P「俺達の勝ちだ! みんな、よく戦ってくれたな!」

やよい「チームワークの勝利ですね! いぇい!」

亜美「ねえねえ! もしかして城にいる敵、今のヤツで最後かな?」

真美「そーなんじゃん? いかにもボスキャラ! って雰囲気だったし」

美希「じゃあミキ達、765城を取り戻せたんだね!」

貴音「ですが、状況は好転しておりません。結局、鍵は奪われてしまいました……」

千早「何とかして、敵の足取りを掴まないと……でも、一体どうすれば――」

??「おーい、雪歩ー! みんなー!」

やよい「あ! 雪歩さん、向こうから誰か来ます!」

雪歩「え……あ! あれは!」

響「お待たせ! 我那覇響、ただ今参上だぞ!」

律子「やれやれ、ようやく追いつけたわね……」

あずさ「雪歩ちゃん、大丈夫? ケガはしてないかしら?」

雪歩「響ちゃんに律子さん! あずささんも!」

伊織「しばらく会わないうちに、ずいぶん面子が増えたじゃない!」

真「昔の仲間と765城で再会できるなんて、運命を感じるね! へへっ!」

P「おお! 伊織と真もいるんだな!」

美希「わあぁ……久しぶり! 本当に久しぶりなの!」

貴音「これだけの人数が集うのは、かれこれ一年ぶりでしょうか?」

あずさ「あらあら~。亜美ちゃん真美ちゃん、やよいちゃん、元気だったかしら~?」

亜美「うん! 元気バリバリ絶好調だよー!」

真美「真美達は765城を取り返すために、みんなと一緒に戦ってきたのだ!」

真「そっか! しばらく見ない間に、随分たくましくなったんじゃない?」

やよい「えへへ……そうですか? ありがとうございます!」

千早「律子。ゼダンの要塞で囮になった後、ピンチだったらしいわね。大丈夫だったの?」

律子「ええ。伊織と真が来てくれたおかげで、どうにか敵を殲滅できたわ」

伊織「それから雪歩達と合流するために、寝る間も惜しんで後を追いかけたってわけよ!」

P「そうだったのか……。いや、本当にご苦労だったな」

響「いいっていいって! こうやって、また会えたんだしさ!」

律子「ところでプロデューサー、362帝王はどうしたんですか?」

P「いや、それがな――」

  ピカピカピカピカ

P「うおっ!」

やよい「わわっ、まぶしっ!?」

千早「て、天井からまばゆい光が……」

響「光が、円卓を包み込んでるぞ!」

??「萩原君……」

雪歩「っ!?」ビクン

??「そして、円卓の騎士候補生の諸君。よく、ここまで来てくれたね……」

亜美「誰だ! 姿を見せろー!」

伊織「待ちなさい、亜美! この声、聞き覚えがあるわ」

真「そう言われてみると……。確かに、懐かしい感じの声だな……」

真美「それにこの光……何だかとってもあったかくて、優しい感じだね……」

千早「ま、まさか――」

美希「ああああああっ!」

あずさ「きゃっ!?」

響「わわっ、ビックリしたぞ!」

律子「み、美希! 急に大声を出さないで!」

美希「だって、あそこ! 天井を見るの!」

律子「え……あ、ああっ!?」

雪歩「あ、あ……!」

貴音「あなたは……」

社長「ふふふ……久しぶりだね、諸君」

P「しゃ、社長……!」

社長「キミ達と再び顔を合わせる事ができて、私はとても嬉しいよ」

雪歩「社長……! 会いたかったですぅ!」

響「空に、社長が浮かんでるぞ!」

美希「体がうっすらと、透き通ってるの……」

伊織「じゃあやっぱり、社長はもう……」

社長「うむ……。残念だが、水瀬君の思っている通りだ」

P「そうですか……。やっぱり、そうだったんですか……」

社長「キミ達に、どうしても伝えたい事があってね。天から舞い戻らせてもらったよ」

真美「え? 社長、何か知ってんの?」

あずさ「もしかして、362帝王の行方をご存じなのですか?」

社長「うむ。ヤツは聖杯を手に入れるため、聖山ロンデニオンに向かったようだ」

千早「聖山ロンデニオン……」

律子「ここから北にある、大陸で一番高い雪山ね」

雪歩「じゃあ、そこに聖杯があるんですか?」

社長「そうだ。萩原君、ヤツに聖杯を渡してはいけない」

貴音「高木殿。聖杯の効果とは、一体どのようなものなのでしょう?」

社長「あれを手にした者は一つだけ、どんな願いも叶える事が出来るのだ……」

千早「何ですって!?」

伊織「どんな願いでも……って事は……」

真「もしも、敵が不老不死を願ったりしたら……」

社長「そう。誰も、ヤツを倒す事が出来なくなってしまうだろう……」

やよい「うえっ!?」

亜美「何じゃそりゃー!?」

真美「チートすぎるっしょ!」

美希「そんなモノを敵が手に入れたら、大変な事になっちゃうの!」

社長「急いで、ヤツを追ってくれたまえ!」

雪歩「はい、わかりました!」

P「俺達に任せてください! 必ずヤツを倒してみせます!」

貴音「ええ! 765王国の名にかけて!」

社長「うむ! 期待しているぞ、諸君!」

社長「それと、萩原君」

雪歩「は、はい……何でしょうか?」

社長「私はこの場で、萩原君に王位を譲る事にするよ」

雪歩「え!?」

P「……!」

雪歩「ええ!? ええええええっ!?」

社長「はっはっは! そんなに驚かなくてもいいではないかね?」

雪歩「で、でもでも! そんなの、急すぎますぅ!」

社長「萩原君、物事にはタイミングという物があるのだよ」

雪歩「ででででもでも、だってぇ!」

社長「私は今がちょうど、その時期だと思うんだがね」

雪歩「無理ですぅ! 私にはまだ、社長の代わりなんてできないですよぉ!」

社長「ふむ……ならば、キミ達はどう思うかね?」

P「俺は賛成です!」

雪歩「プ、プロデューサー!?」

P「雪歩は旅の中で、十分に成長してくれたと思います!」

やよい「私も賛成します!」

雪歩「やよいちゃん……」

やよい「雪歩さんってとっても優しいし、王様にピッタリだと思います!」

響「うん! 自分も異議無しだぞ!」

美希「ミキも雪歩なら、絶対に平和な世界を作ってくれるって思うな!」

あずさ「もっと自信を持っていいのよ、雪歩ちゃん!」

律子「困った時はサポートしてあげるから、安心しなさい!」

貴音「及ばずながら、わたくしも力となりましょう!」

亜美「頑張ろうよ、ゆきぴょん!」

真美「ファイトだ、ゆきぴょん!」

伊織「社長のためにも、しっかりやんなさいよ!」

真「ボク達をしっかり導いてよね、雪歩!」

千早「萩原さん……。貴女になら私、どこまでもついていくわ!」

雪歩「みんな……」

社長「さあ萩原君、どうかね?」

雪歩「……はい! 私、頑張ります!」

P「おお……! よく言ったぞ、雪歩!」

雪歩「どこまで出来るかわかりませんけど、精一杯、一生懸命、頑張りますから!」

やよい「うっうー! やったあ!」

亜美「パチパチパチ!」

真美「ヒューヒュー!」

社長「ありがとう、萩原君! キミ、萩原君をよろしく頼むよ!」

P「はい! 力の続く限り、全力で雪歩をプロデュースし続けます!」

千早「私も約束します! これからもずっと、傍で萩原さんを助けていくって!」

貴音「ええ! わたくしも同じ気持ちです、高木殿!」

社長「うむ! それでは後は託したぞ、諸君」スウッ

美希「え? あ、あ……社長の姿が、どんどん薄くなっていくの!」

社長「もう思い残す事はない……。これで私も安心して、天に昇れるよ……」

雪歩「あ、待って! 待ってください! 行かないで!」

雪歩「社長、お願いです! お願いですからぁ!」

社長「……さらばだ、我が愛する娘達よ……」スッ

響「あ、社長! ねえ、ちょっと! 社長ってば!」

あずさ「ああ……消えてしまったわ……」

律子「今頃はきっと、天国への扉をくぐっている最中……か」

真「社長……ありがとうございました!」

雪歩「……ぐすっ……ううっ……えぐっ………」

やよい「雪歩さん……」

雪歩「……うさま」

千早「え? 萩原さん、今何て?」



雪歩「……お父様……」



P「……そうだな。本当に俺達にとって、父親みたいな人だったな……」

伊織「待ってなさい362帝王……! 私達が必ず、ブチのめしてやるわ!」

P「よし、急いで362帝王を追撃しよう! 今からなら、まだ――」

   ピカピカピカピカピカピカピカピカ

響「わわっ!? ま、また部屋が光り出したぞ!?」

美希「こ、今度はなんなのなの!?」

真「……収まったか」

あずさ「あら? 雪歩ちゃん、それは?」

雪歩「あ、あれ……剣? 私、いつの間に剣なんて握って――」

律子「ゆ、雪歩! その剣は!」

P「社長の愛剣だった、キングキャリバー……!」

貴音「おや? 円卓に文字が……」


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P(光が消えた後、そこにはキングキャリバーを手にした雪歩)

P(すなわち、『キングアイドル二世』が立っていた)

P(そして、貴音が見つけた円卓の上の文字。そこには……)

P(『勇騎士(ゆうきし)』我那覇響)

P(『重工騎士(ヘビーアーマーナイト)』三浦あずさ)

P(『卿騎士(ロードナイト)』秋月律子)

P(『嵐騎士(ストームナイト)』如月千早)

P(『麗紅騎士(スカーレットナイト)水瀬伊織)

P(『剛騎士(ごうきし)』菊地真)

P(『灼熱騎士(バーニングナイト)』星井美希)

P(『騎士(ナイト)双海亜美』

P(『重戦士(じゅうせんし)』双海真美)

P(『法術士(ほうじゅつし)』高槻やよい)

P(『大僧正(ハイビショップ)』四条貴音)

P(そして、『キングアイドル二世』萩原雪歩の、12名の名が記されていた)

P(だが、円卓には13人分の席があり、残る一人の名前はどこにも記されていなかった)

P(しかし、俺達の誰もがわかっていた)

P(最後の一人の名は、『闇騎士(ダークナイト)』天海春香である事を……)

P(俺達は、ついに362帝国から765城を奪還した)

P(さらに雪歩は、円卓の間に降臨した社長より王位を受け継ぎ)

P(正式に765王国の王、『キングアイドル二世』となった)

P(また雪歩をはじめとして、円卓に名を記されていた12名により)

P(新生円卓の騎士団が結成された)

P(そして雪歩率いる新生円卓の騎士団は、362帝王を追撃すべく)

P(聖山ロンデニオンに向かった)

P(そして登頂の果てにたどり着いた、頂にそびえ立つ神殿の中で)

P(長かった俺達の旅は、ついに終わりを迎えようとしていた……)

一旦ここで切ります。

次回、2,30分後の投稿で完結です。

何とか、日をまたがずに終われそうな気がしてきました。

それでは、最後までお付き合いいただければ幸いです。

それでは、再開します。

   聖山ロンデニオン頂上 神殿内部

P「まさか山頂に、こんな立派な神殿があるとはな……」

雪歩「何だか、物々しい雰囲気ですねぇ」

あずさ「ここに、聖杯が眠っているのかしら?」

律子「ここまでの道のりで、362帝王には会ってない……とすると」

美希「むー……。もう、先を越されちゃったのかな?」

貴音「いいえ美希、そうとは限りませんよ?」

真「そうだね。ボクらの方が早く、ここまでたどり着いた可能性もあるし!」

亜美「そういえば千早お姉ちゃん、765城ではるるんに会ったんでしょ?」

真美「敵にセンノーされてたらしいけど、元に戻ったのかな?」

千早「……私には、わからないとしか言えないわ……」

響「うー……心配だぞ。春香がいてくれれば、百人力なんだけどなぁ……」

やよい「あっ! みんな見てください! 向こうに祭壇がありますよ!」

雪歩「待って、やよいちゃん! 祭壇の近くに、誰かがいるよ!」

伊織「アイツは、ティンタージェル城で会った……。間違いないわね、ヤツよ!」

362帝王「御苦労だったな、『キングアイドル二世』よ」

雪歩「362帝王!」

362帝王「このワシを追ってきたのか……」

響「その通りだよ! ついに追い詰めたぞ!」

伊織「武道大会の時以来ね。今度は逃がさないわ!」

美希「ここで、全部のケリをつけてやるの!」

貴音「年貢の納め時です! 観念なさい!」

362帝王「だが、少し遅かったようだな」

あずさ「何ですって?」

律子「ああっ!? プロデューサー、ヤツの手元を見てください!」

P「クリスタル色の杯……まさか!」

362帝王「この通り、聖杯はワシの手の中にある」

千早「そんな!?」

真美「な、何だってー!?」

真「遅かったのか……! 何てこった……」

362帝王「ここを貴様達の墓標としてやろう! 邪獣よ!」

   シュン

邪獣「…………」

亜美「うえっ!? ヘンなでっかい怪物が出てきたよ!」

やよい「何だか、おっきなお花みたいです!」

美希「あっちこっちに、触手がたくさんくっついてるの!」

伊織「毒々しさといい巨大さといい……まるでラフレシアね」

律子「すごいプレッシャーだわ……。ヤツらの切り札、ってとこかしら……?」

362帝王「さあ、お前の力を見せてやれ!」

邪獣「…………」ズイッ

やよい「プ、プロデューサー! 怪物が襲ってきます!」

P「落ち着くんだやよい! みんなの力を合わせれば、勝てないはずがない!」

真美「で、でも! こいつと戦ってる間に、聖杯を使われちゃったらどーすんのさ!」

あずさ「これは、まずいわね……。そんなに簡単に倒せる相手とは思えないわ」

362帝王「ククク……。せいぜい邪獣と戯れているがいい!」

362帝王「さて、ワシは聖杯を――」

??「そうはいきませんよ!」ズバッ

362帝王「ぐわっ!?」

P「え!? な、何だ!?」

真「祭壇の陰から、誰かが362帝王を斬りつけたのか!?」

千早「あっ、みんな見て! ヤツの手元を!」

362帝王「ん……な!?」

真美「あー! 聖杯が消えてる!」

362帝王「な……無い! 聖杯が無い!」

響「ど、どうして!? 一体、何が起こったんだ!?」

貴音「おそらくは、斬ると同時に聖杯を奪い取ったのでしょう」

律子「何という光速の早技なの……。でも、一体誰が?」

P「……もしや!」

??「326帝王、聖杯はここです!」ダッ

やよい「あ、あああっ!? こっちに走ってくるのって、もしかして……!」

春香「みんな、安心して! 聖杯は奪い取ったよ!」

362帝王「き、貴様は闇騎士!?」

雪歩「春香ちゃん!?」

千早「春香! 春香なのね!」

亜美「ほ、本当にはるるんなの!?」

真美「ニセモノじゃないよね!?」

春香「もちろんだよ亜美、真美! 正真正銘、本物の春香さんですよ!」

響「敵に記憶を消されたって聞いたけど、大丈夫なのか?」

春香「うん、もう平気! 私、全部思い出したから!」

雪歩「そっかぁ……! 洗脳が解けたんだね!」

やよい「よかったです! 本当によかったです!」

あずさ「お帰りなさい、春香ちゃん!」

362帝王「お、おのれ闇騎士! 一年前、このワシに拾われた恩を忘れたのか!」

春香「そんなのウソです!」

362帝王「むむっ……!」

春香「あなたは私に、仲間を殺したのは社長だって、暗示をかけたんです!」

貴音「外道な……。王の風上にも置けない手口を……!」

美希「汚いの! 王様のくせに、やり方がみみっちいの!」

春香「でも千早ちゃんのおかげで、その呪縛から解き放たれました」

千早「春香……」

春香「私の仲間は雪歩とプロデューサーさん、それに円卓の騎士のみんなです!」

362帝王「だまれ、闇騎士っ! 邪獣よ! こやつらを皆殺しにしろ!」

邪獣「…………」ズイズイッ

春香「みんな、恐れる事なんてないよ! さあ雪歩、この聖杯を受け取って!」


   『闇騎士(ダークナイト)』天海春香が仲間になった!


雪歩「これが、聖杯……」

伊織「雪歩! わかってると思うけど、不用意にその力を使うんじゃないわよ!」

雪歩「う、うん! 大丈夫だよぅ!」

真「よおし! 新生円卓の騎士団の力、見せてやる! いくぞ、邪獣!」

362帝王「ほざくな、小娘どもが! 邪獣よ、まずはヤツらの軍師を狙え!」

邪獣「…………」ヒュヒュヒュン

亜美「わわっ!? 花びらお化けの触手が、兄ちゃんに向かって伸びて来たよ!」

P「何っ!? うおっ――」

雪歩「プ、プロデューサー!」

美希「ハニー、危ないの!」

春香「そうはさせません!」カキーン

P「は、春香……!」

やよい「うっうー! 春香さんの盾が、敵の触手を防ぎました!」

春香「大丈夫でしたか? プロデューサーさん!」

P「あ、ああ……助かったよ。春香こそ、ケガはないか?」

春香「平気です! 私のブレイクシールドは、この程度じゃ壊れませんよ!」

響「ふう……。間一髪だったぞ」

律子「しかし、いきなり司令塔を狙ってくるとは……」

貴音「敵ながら、悪くない作戦です。侮る事は出来ないようですね……」

伊織「みんな、油断するんじゃないわよ! 特にプロデューサー、アンタはね!」

P「お、おう! と、ともかく反撃だ! まずは――」

春香「プロデューサーさん! 私にやらせてください!」

千早「春香……?」

春香「今までたくさん迷惑をかけちゃったから、少しでもみんなを助けたいの!」

P「……わかった。ただし、無茶はするなよ?」

春香「はいっ! ありがとうございます!」

真「春香。気持ちはわかるけど、気負いすぎないようにね!」

春香「うん、ありがとう真! いっけええぇぇ! ブラックホール!」ブアアアアブアアアアピキーン

邪獣「……!?」ミシミシミシミシ

亜美「うわ、はるるんすっご! 闇の塊が、邪獣を押し潰してるよ!」

春香「今だ! 破光(はこう)の剣よ、敵を切り裂けぇ!」ズバッ

邪獣「!?!?!?」バタッ

春香「ふぅ……。何とかやっつけられたかな?」

真美「え? はるるん、もう倒しちゃったの!?」

あずさ「さすがは春香ちゃんね。敵の切り札を、こうもあっさり倒すなんて……」

貴音「円卓の騎士最強の力、やはり伊達ではありませんね」

春香「そ、そんな! 私なんて、全然大した事ないですって!」

律子「さて、と。これで残るは、362帝王だた一人ね!」

響「次はお前の番だぞ! 覚悟しろ!」

362帝王「許さん……! 貴様らぁーーーーっ! 絶対に許さんぞ!」

美希「それはこっちのセリフなの!」

千早「社長や音無さんの痛みと苦しみを、あなたも受けてみなさい!」

真美「真美達が、ギッタンギッタンにしてやるかんね!」

362帝王「こうなれば、奥の手を使うまでよ……。トッパリ・リクーレ・フーノス……」

亜美「ん? 何、今の変な呪文――」

P「ま、まずいぞ! 今の魔法は!」

伊織「確かゼダンの要塞で、魔術師が使った融合魔法!?」

やよい「ゆ、融合魔法ですか!? それじゃあこの人、もしかして……」

真「春香が倒した邪獣と、合体するつもりなのか!?」

362帝王「フハハハハハ……! 思い知るがいい!」

   ゴゴゴゴゴゴ

あずさ「ああっ!? 362帝王と邪獣の体が重なって……」

   ピカピカピカピカ

雪歩「す、姿が、変化していきますぅ!」

真美「さっきの花びらお化けよりも、でっかくなっちゃったよ!」

貴音「邪悪な波動が、ヤツの周囲に満ち溢れております!」

美希「お腹に、何かの発射口みたいなのが付いてるの!」

響「お、お前は……何者なんだ!?」

邪獣王「我こそは邪獣王(じゃじゅうおう)。世界を支配するべく生まれた、選ばれし者……」

千早「世界を支配するですって……!?」

邪獣王「さあ……。これから、お前達を黄泉の世界へいざなおう……」

P「何だと……?」

邪獣王「宇宙のチリとなり、無の世界を未来永劫さまよい続けるがよい!」

伊織「……ふん!」

伊織「362帝王だか邪獣王だか知らないけど、調子に乗らないでよね!」

やよい「あなたに世界の支配なんて、絶対にさせません!」

真「やろうプロデューサー、雪歩!」

P「ああ! みんな、これが最後の戦いだ! 準備はいいな!」

亜美「オッケーだよ、兄ちゃん!」

あずさ「必ず全員で、生きて765城に帰りましょう!」

雪歩「362帝王……いえ邪獣王! 私達は、あなたを倒します!」

邪獣王「この私を倒すだと? くくく……笑わせるな!」

やよい「何がおかしいんですか!」

響「自分達の力を、なめてもらっちゃ困るぞ!」

邪獣王「ならば、この魔法を耐えきれるというのだな……チャージ」キュイーン

春香「!!!!! な、何!?」

亜美「わわっ!? 何かヘンな音が聞こえてきたよ!」

邪獣王「くっくっくっくっ……」キュイーンキュイーン

律子「ぼ、膨大なエネルギーが、ヤツの腹に溜まっていくわ!」

真美「兄ちゃん!? 何かヤバそうだよ!」

P「くっ……響、美希、伊織! 牽制して、ヤツの集中を乱すんだ!」

響「わ、わかったぞ! フリーズ!」ズキュンズキュン

美希「ヘルファイアーなの!」ゴワゴワゴワァ

伊織「ブラッサム!」ブワブワブワブワ

邪獣王「その程度の技で、私をどうにかできると思っているのか!」キュイーンキュイーンキュイーン

雪歩「ダ、ダメです! 効いてないみたいですぅ!」

千早「くっ……まずいわ!」

邪獣王「さあ……終わりの時だ」キュイーンキュイーンキュイーンキュイーン

P「た、貴音! 魔法防御だ! フレアウォールを――」

貴音「だ、駄目です! 今からでは間に合いません!」

あずさ「あ、ああっ! 敵のお腹から、巨大なエネルギー球が――」

邪獣王「……ギガブラスト!」

全員「「「「「「「「「「「「「「うわあああああああっ!?」」」」」」」」」」」」」」

     ドガガガガドガーン

   シュウウウウウ

雪歩「うぐっ……ごほごほっ……!」

真「くそっ……これは効いたな……!」

真美「な、なんのこれちき……!」

邪獣王「ほう、今の一撃を耐えるとはな……。少々見くびっていたようだ」

真「あ、当たり前だ! ボクはお前達を倒すために、ずっと修行を積んできたんだ!」

真美「真美達は円卓の騎士だよ! こ、これぐらい、どうってことないかんね!」

雪歩「私達は負けません! あなたに世界を渡すわけには、いかないから!」

邪獣王「くっくっくっ……。だが、立ち上がれるのはお前達だけのようだな」

真「え!?」

真美「あ……!? に、兄ちゃん達!?」

P「う、ぐぐ……」

春香「ぐうっ……」

千早「くっ……」

美希「ううっ……」

雪歩「プ、プロデューサー!? 春香ちゃん、千早ちゃん、美希ちゃん!」

真「お、おい! 起きるんだ響、伊織! あずささん、律子ぉ!」

真美「う、ウソでしょ!? しっかりしてよ亜美! やよいっち! お姫ちんってばぁ!」

邪獣王「はっはっはっは! はーっはっはっはっはっ!」

雪歩「みんな、立って! お願い、立ってぇ!」

邪獣王「所詮はこの程度よ。世界の支配者たる私に、勝てるはずなどないわ!」

真「ぐぐっ……!」

真美「ち、ちくしょう……ちくしょー!」

邪獣王「さて、どうする? 『キングアイドル二世』よ……」

真「く……ボク達三人だけじゃ……」

真美「ゆ、ゆきぴょん、どうしよう! どうしよう!」

雪歩「……大丈夫だよ真美ちゃん、真ちゃん」

邪獣王「ほう……。ムシケラが三人で、一体何ができるというのだ――」

雪歩「今から、コレを使うから!」キラッ

真美「え!? あっ!」

邪獣王「き、貴様!? まさか――」

真「そうか、聖杯! 確か一つだけ、願いを叶えられるって……」

真美「で、でもゆきぴょん! 何を願うつもりなの?」

真「ゆ、雪歩! まさか不老不死になろうとか、考えてないよね?」

雪歩「もちろんだよ、真ちゃん。私のお願いは……」

邪獣王「お、おい! やめろ! やめるのだ!」

雪歩「聖杯よ……」

邪獣王「わ、私は世界の王だぞ! それを使うに相応しきは、私なのだぞ!」

雪歩「お願いです……世界の平和を取り戻すために――」

邪獣王「や、やめろというのがわからんのか!」

雪歩「私達の仲間を――」

邪獣王「やめろ! やめろやめろやめろ!」

雪歩「私達の仲間を、もう一度戦列に復帰させてぇ!」

邪獣王「やめろおおおおおっ!」

   パアアアアアアアアッ

やよい「う……あ、あれっ?」

亜美「お、おろろ……?」

響「体の痛みが、消えてるぞ!」

真「やった! みんなが立ち上がったぞ!」

律子「でも、どうして急にキズが……あ!」

伊織「もしかしてアンタ達……聖杯を使ったわね?」

雪歩「う……。ゴメンね、伊織ちゃん……。他に方法が思い浮かばなくて……」

あずさ「ち、ちなみに雪歩ちゃんは、何を願ったのかしら?」

真美「ゆきぴょんは、『みんなを戦列に復帰させて!』って言ってたよ!」

P「……そうか。雪歩らしいな」

貴音「ええ。切羽詰まって不老不死などの選択をしない所が、実に雪歩らしいですね」

千早「ありがとう、萩原さん。おかげで助かったわ!」

春香「それじゃあみんな! 仕切り直しですよ、仕切り直し!」

美希「うん! 今度こそ、コイツをやっつけてやるの!」

邪獣王「おのれぇ……」

邪獣王「聖杯を、その様なくだらぬ願い事のためなどに……」

雪歩「くだらなくなんてありません! 仲間を助けるのは、とっても大切な事です!」

やよい「雪歩さん……」

P「雪歩……。本当に、立派になったな……」

千早「萩原さん……素敵よ」

邪獣王「許さんぞ、『キングアイドル二世』! チャージ!」キュイーン

真美「んげっ!?」

響「こ、こいつ!? またさっきの魔法を撃つつもりなのか!?」

邪獣王「もう聖杯は使えまい! 今度こそ、消し飛ばしてくれるわ!」キュイーンキュイーン

真「ま、まずい! 今度は、本当に後がないぞ!」

貴音「おそらくわたくしの防御魔法では、あれを防ぎきる事はできません!」

亜美「に、兄ちゃん! 何か手はないの!?」

P「む、むうっ……! え、ええと……」

伊織「あー、もう! しっかりしなさいよ!」

P「い、伊織……!?」

伊織「アンタ、私達の軍師なんでしょ!? 私達を、勝利に導いてくれるんでしょ!?」

P「あ、ああ……もちろんそのつもりだ――」

伊織「なら、とっととこの状況を切り抜ける策を思いついてみせなさい!」

P「そ、そんなに攻撃的な口調にならないでくれ! 考えが纏まらないだろ……って……?」

伊織「……何よ?」

P「そうか、わかった! 打開策が見つかったぞ!」

あずさ「本当ですか、プロデューサーさん!?」

P「ヘタに牽制技や、防御魔法に頼ったのが失敗でした! もっと攻撃的にならないと!」

美希「え? どういう事なの、ハニー?」

P「ヤツが時間をかけて魔法を放つなら、それを撃たれる前に必殺技を食らわせればいい!」

律子「……そうか! つまり、やられる前にやれ! って事ですね?」

P「そういう事だ! ヒントをくれてありがとう、伊織!」

伊織「ふ、ふん! い、いいからさっさと指示を出しなさいよ!」

P「ああ、了解だ! ……春香!」

春香「は、はいっ!」

P「お前の技で、ヤツの腹をブチ抜くんだ! お前なら出来る!」

春香「……やってみます、みんなのために! はああああああっ……」ジジジジジジジ

邪獣王「ふん、無駄な事よ! 貴様達の貧弱な技などで――」キュイーンキュイーンキュイーン

春香「ブラックホールクラスター、発射ぁ!」ズギュウウンギュイイイイン

邪獣王「な、う、うおおおおおっ!?」

   ズガアアアアアアン

春香「ハアハア……、ど、どうですかっ!」

邪獣王「ぐ、ぐおっ……ば、馬鹿な……!?」

千早「やった! 春香が放った重力の塊が、敵の腹部を打ち抜いたわ!」

やよい「これでもう、あの魔法は使えませんね!」

真「すごいよ春香! さすが春香だ!」

春香「ありがと、真……。でも、さすがに精神力を使い切っちゃったかも……」ガクッ

P「よくやったぞ、春香! 後はみんなに任せて、下がってるんだ!」

春香「は、はいっ……!」

P「よし! 春香が作ってくれたチャンスを逃がすな!」

P「亜美、真美、やよい! 合体攻撃だ! 貴音は魔法で援護を頼む!」

貴音「承知しました! 終末の炎よ……」

やよい「やろう、亜美、真美!」

亜美「オッケーだじぇ!」

真美「いっくぞー!」

亜美真美やよい「三人攻撃!」ピラホラピラホラピーン

貴音「メガフレア!」ゴアアアアアアッ

邪獣王「うぐううううっ……こしゃくな! ライトニング!」ピシャーン

やよい「きゃあああっ!」

貴音「あああああっ!」

亜美「うひゃああっ!」

真美「ぬあああーっ!」

雪歩「み、みんな!? 大丈夫!?」

P「あずささん、四人の回復をお願いします!」

あずさ「は、はい! わかりました!」

あずさ「みんな、しっかりしてちょうだい! ヒール!」ピロリロピロリロピロリロ

亜美「おぉ……効くぅ! 生き返ったよ、あずさお姉ちゃん!」

真美「やっぱ、あずさお姉ちゃんの回復魔法は違うね!」

貴音「助かりましたよ、あずさ」

やよい「プロデューサー、私達は大丈夫です! 早く、敵をやっつけちゃってください!」

P「わかった! 律子、こっちも雷の魔法をお見舞いしてやるんだ!」

律子「わかってますって! 本物の雷の味を教えてやるわ、ライトニング!」ピシャーン

邪獣王「う、うおおおおっ!?」

P「いいぞ律子、効いている! 次は響、伊織、真、千早、美希! 五人で一斉攻撃だ!」

響「うん! まずは自分からだ! スパット斬りぃぃぃぃ!」ズバアッ

伊織「剣の舞を受けなさい! ダンシングローズ!」ズバアッ

真「プレッシャーバースト! だありゃあああああっ!」ズバアッ

千早「風よ、嵐よ、私に力を与えたまえ! トルネードストリーム!」ズバアッ

美希「灼熱の炎で焦がしてあげるの! バーニングノヴァー!」ズバアッ

邪獣王「がああああああああっ!?」

いやあ…ガイアセイバーは強敵でしたね

邪獣王「な、なぜだ……!? この力は、一体どこから……!?」

雪歩「仲間たちとの絆……それが、私達の力の源です!」

P「……雪歩!」

雪歩「はいっ! 来て、ドラゴン!」ヒュウウウウウドガアアアアン

邪獣王「ぐおああああああっ!」

雪歩「お願い、ヴァトラスの剣! ヴァトラスアターック!」ズバアッ

邪獣王「ぬぐおおおおおおっ!?」

雪歩「そして、キングキャリバー……」ヴヴヴヴヴ

あずさ「雪歩ちゃんの体を、金色の光が包んでいくわ……」

雪歩「社長、音無さん……私に、力を……はあっ!」ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ

千早「萩原さん、頼んだわよ!」

美希「決着をつけるの、雪歩!」

P「いけえええぇ! 雪歩ぉ!」

雪歩「てやあああああっ! キング・フィニィィィィィッシュ!」ズバアッ

邪獣王「ゴ、ゴアアアアアアアアアアアアッ!」

雪歩「これで終わりです……邪獣王」カチン

邪獣王「し……信じられぬ……。この私が……敗れる……のか?」

P「ああ。お前の負けだ」

邪獣王「世界の王である、この私が……」

伊織「アンタなんかに世界を統べる資格なんて、あるはずないでしょ?」

千早「ええ。私利私欲のために他国を侵略した、あなたにはね」

響「伊織と千早の言う通りだぞ!」

律子「悪いけど、同情の余地はないわね」

邪獣王「そ、そんな……ば……かな……」ドサッ

やよい「……た、倒せたんでしょうか……?」

貴音「ええ。敵の邪悪な波動は、完全に消え去りました」

真「そっか……。ボク達、勝ったんだね……!」

美希「ミキ達の大勝利なの! やったね、ハニー!」

P「社長、音無さん……。仇は討ちましたよ!」

雪歩「みんな……力を貸してくれて、本当にありがとう!」

春香「雪歩、プロデューサーさん、千早ちゃん……」

千早「春香、大丈夫?」

春香「う、うん……。何とか……」

千早「やっぱり来てくれたのね。信じてたわ」

春香「えへへ……。たくさん、心配をかけちゃったね……」

千早「いいのよ、別に……」

春香「雪歩……それから、プロデューサーさん」

雪歩「ん?」

プロデューサー「何だ?」

春香「いくら記憶を無くしてたとはいえ、いっぱい失礼な事をしちゃって――」

雪歩「そんなの、全然大丈夫だよぉ! 洗脳が解けてよかったね、春香ちゃん!」

春香「……ありがとう、雪歩。それと、本当にごめんなさい!」ペコリ

P「気にするなって、春香! 俺はお前がここにいてくれる事が、何よりも嬉しいよ!」

雪歩「春香ちゃん! これからはずっと、ずっと一緒だからねぇ!」

春香「……うん!」

あずさ「亜美ちゃん、真美ちゃん、やよいちゃん! よく頑張ったわね!」

亜美「んっふっふー、当然っしょ!」

真美「だって真美達、円卓の騎士だもんね!」

やよい「コラ! 二人とも、調子に乗らないの!」

真「邪獣王……か。恐ろしい敵だったな……」

美希「まあ、ミキの敵じゃなかったって思うな!」

伊織「よく言うわ。アンタ、敵の魔法でダウンしてたでしょ?」

美希「むっ……! それなら、でこちゃんだって同じなの!」

律子「はいはいストーップ! 二人とも、その辺にしてちょうだい!」

響「ま、いいんじゃないか? ホラ、言うだろ? ケンカする程仲がいい、ってさ」

美希「フンッ、なの!」

伊織「ふふっ……」

千早「終わったわね……。何もかも……」

貴音「いいえ、まだ始まったばかりですよ」

千早「え?」

貴音「わたくし達は荒廃した国を、元通りの豊かな国に立て直さなければなりません」

律子「そしてそれは私達、円卓の騎士団の腕にかかっているのよ?」

千早「……そうですね。ここからが、本当の勝負なのかもしれませんね」

P「ああ。決して、簡単な仕事じゃないぞ?」

真「うーん……。ある意味、戦いよりも大変そうだなぁ……」

やよい「みんなで力を合わせて、頑張りましょう!」

伊織「ま、この伊織ちゃんに任せておきなさいって!」

響「自分、完璧だからな! どんな仕事でも、パパッとやっちゃうぞ!」

真美「ねえねえ。ここで色々考えるのもいいけど、そろそろ帰んない?」

美希「賛成なの! まずはゆっくり眠って、体を休めるのが大事なの!」

あずさ「うふふ、美希ちゃんったら……。でも私も、ちょっと疲れちゃったかしら?」

春香「みんな、ずっと戦い通しだったんだよね……。私もこれから、精進しないとなぁ……」

亜美「ゆきぴょんゆきぴょん! 早く行こうよ!」

雪歩「うん! 帰ろう、みんな! 私達の765城へ!」

みんな「「「「「「「「「「「「「オーッ!」」」」」」」」」」」」」




   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※


P(幾多の苦難を乗り越え、俺達は362帝国を打ち倒し、765王国を再興した)

P(『キングアイドル二世』萩原雪歩は、心からこう誓った)

P(私は国民のために働き、災いを追い払い、豊かで平和な国を必ず作る)

P(と……)



P(国民はこの若き国王と、彼女を支える円卓の騎士団を愛し、また尊敬した……)

P(その後、765王国は永く平和な時代が続いたという……)


   CAST

皇騎士ガンダム 萩原雪歩

勇剣士プラス 我那覇響

鎧騎士F90 三浦あずさ

白金卿 秋月律子

麗騎士レッドウォーリア 水瀬伊織

風騎士ガンダムマークⅡ 如月千早

重戦士ヘヴィガンダム 菊地真

灼騎士ガンダムF91 星井美希

僧正ガンタンクR 四条貴音

剣士F90ジュニア 双海亜美

闘士F90ジュニア 双海真美

僧侶F90ジュニア 高槻やよい

闇騎士ガンダムマークⅡ 天海春香



嵐騎士ガンマガンダム 音無小鳥

キングガンダムⅠ世 高木社長



賢者アントニオ&プレイヤー プロデューサー




   E N D

以上になります。

何とか今日中に完結できました!

最後まで読んでいただいた方々、本当にありがとうございました!

>>209
ミストさんこんばんは!
ガイアセイバーは色んな意味で、かなり好きなゲームなんですけどね。



何とか書き上げられましたが、まだまだ至らない点も多いと思います。
今後の参考にしたいので、もし今回の作品で良かった点や悪かった点等あれば、
ご意見をうかがえると嬉しいです。

懐かしかったぜ、乙!

細かいようで申し訳ないんだが
>>158
>美希「さあ雪歩、いやしの聖水です。これを使ってください」
これって本当は貴音だよね?

>>220
すいません、その通りです。
投稿前に何度か読み返したんですが、やっぱり抜けがありましたか……。
大変失礼しました。

この分だと、他にもミスってそうですね……。

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