アルミン「僕の天才頭脳でこの世界を変えてみせるぞ!!!」(856)


ネタバレ、キャラ崩壊その他色々崩壊あり

―――シガンシナ区


エレン「…でよ、今日、父さんと一緒にミカサって女と会いに行く事になったんだ」

アルミン「女の子だって!?僕も連れていってくれ!!」

エレン「お、おう」

アルミン「楽しみだね、エレン!」

グリシャ「で…アルミン君も一緒に行く事になった」

エレン「ミカサとかいう奴の家はまだか?」

グリシャ「あぁ、もう少しだ」

アルミン「うっ…嫌な予感がする!!」

エレン「え?」

アルミン「走れエレン!嫌な事が起きそうだ!早く行こう!!」ダダダッ

グリシャ「待て、アルミン君!?」

エレン「アルミンの予感は当たるんだ、行こう!」ダダダッ


アルミン「はぁ…はぁ…疲れた…」ドサッ

エレン「ああもう!体力の無い奴だな!」

―――アッカーマン家

ミカサ「ねぇ、子供ってどうしたら出来るの?」

ミカサ母「さぁ…お父さんなら知ってるんじゃないかしら」
ミカサ父「ああ、子供はS…」

コンコンッ

ミカサ父「お、イェーガーさんが来たのかな?」

ミカサ母「いま何を言おうとしたの」

ガチャッ

強盗「…」ザッ

ミカサ父「ひっ!?」
ミカサ母「強盗!?」

強盗「父親は殺せ」

ミカサ父「や、やめろっ!!!」

ミカサ「あ…あ…」ブルブル


バキーーーンッ!!!!!

強盗「ぐほっ!?」

ミカサ「!?」

エレン「やらせねぇぜ、強盗!!」

アルミン「危ないところだったね!」

グリシャ「大丈夫ですか!?」

ミカサ父「イェーガーさん!!」

ミカサ母「あなた…良かった…」

ミカサ「…」

エレン「怖かったろ、もう大丈夫だ…」

ミカサ(ヒーローが来てくれた//)

強盗2「このガキ!」
強盗3「しばいてやる」

エレン「うるさい!」バキッドガッ

強盗2「やられたー!」
強盗3「くそ、退散だ~い」

グリシャ「エレンの格闘術は、大人のプロボクサー並の実力があるのだ…」

アルミン「君がミカサだね、もう大丈夫だよ!!」

ミカサ「…」コクッ

エレン「こいつが危機を察知してくれたから助けに来れたんだ。アルミンに感謝するんだぞ」

ミカサ「ありがとう」

アルミン「照れちゃうなぁ!」

エレン「俺はエレンだ、よろしくな」

ミカサ「うん、エレンもありがとう」

エレン「ほら、最近寒くなってきたしな…マフラーやるよ」グルッ

ミカサ「!!」ドキンッ

エレン「家にはまだあるしな。温かいだろ?」

ミカサ「うん…温かい…」

それから一年後…

―――その日、人類は思い出した…奴等に支配されていた恐怖を

鳥籠の中に捕らわれていた屈辱を………

――その日、シガンシナが襲撃された

ドガアアアアァァァン

ミカサ「壁が…壊された!?」


エレン「あ…あいつだ」

超大型巨人「…」


アルミン「ベルトルトだっ!!あいつはベルトルト・フーバーだ!!」


超大型巨人「!?」

ミカサ「え?」

エレン「誰だそれ?」

アルミン「とにかく今は逃げよう!早くエレンのママンの所へに行くんだ!!」

エレン「は、そういえば破片が俺んちに飛んで行ったぞ!母さんが!」

アルミン「大丈夫、僕の計算ならあの破片はエレンの家より微妙に十センチくらいずれた位置に落下した!ギリギリで当たってないよ!でも巨人は危ないから早く一緒に逃げるんだ!!」

エレン「わかった、行くぞお前ら!!!」シュダダダダダダダッ


アルミン「わっ、早いよエレン~」

ミカサ「アルミンは頭が良すぎるけど運動音痴なのが欠点……ぜぇ、ぜぇ」ヨロヨロ

アルミン「ミカサも運動音痴じゃないか!!」

エレン「遅いぞお前らー」



ズシンズシンズシンズシンズシン


ドカーーーンッ!!!


ミカサ「!!また巨人が来た!」

鎧の巨人「…」

エレン「くそ、次から次へと!!」

アルミン「くそ、ベルトルトの次はライナー・ブラウンか!!」

鎧の巨人「!?」

エレン「だから誰だよそれ!?」

アルミン「あの巨人の正体だ、おじいちゃんの本に載ってた!!」

エレン「おじいちゃんの本すげぇな!!」

…そして、僕らはエレンのお母さん、ハンネスさんと共にシガンシナ区から脱出する事に成功した。
でも、被害は甚大で、人類はマリアを放棄し更に内地まで追い込まれる事となった。


エレン「くそ…巨人どもめ、駆逐してやる!この世から…一匹、残らず!!」

アルミン「エレン、あまりそういう事は簡単に言わない方がいい!!」

エレン「なんでだ!?」

アルミン「巨人の正体は人間だからだ!!」

ミカサ「ふあっ!?」

エレン「それもおじいちゃんの本か!?」

アルミン「いや、僕の予想だ!!たぶん巨人は何かの目的のために作られた哀れなものだ!!そして本当の敵は人間のような気がするんだ!!巨人を倒しても何も解決しない!!」

エレン「マジかよ!?」
ミカサ「アルミンは凄い」

アルミン「予想だけどね!!」

アルミン「まぁ、はっきり言って巨人の正体も本当の敵もどうでもいいんだ………僕らの夢は、外の世界を探検する事だからね!!」

エレン「そうか…そうだな。本当の自由を手に入れ、外の世界を探検する為に…俺は兵士になり、戦おう!!」

アルミン「僕もだよ!」

ミカサ「私も一緒に探検に行きたい」

アルミン「当然さ、みんなで一緒に行こう!」

ミカサ「だから…私も、兵士になりたい」

エレン「お前が!?心配だなぁ……アルミンなら頭がいいから作戦考えたりして戦えるだろうが、お前は普通の女の子だからな…」

ミカサ「でも…私だって一緒に戦いたい」

アルミン「いいじゃないかエレン。ミカサの意志を尊重しよう」

エレン「そうだな…だが、調査兵団はやめとけよ」

ミカサ「やだ、エレン達も調査兵団に行くんでしょ?私も行く!」

エレン「ああもう、わがままだな…」

―――場所は変わり、シーナの内地


ヒストリア「…」


ヒストリア(私はもう、自分が何者なのか…何をすればいいのかわからない)


ヒストリア(…この世から消えてしまいたい…)



……誰か、私を助けて……





アルミン「…むむ、誰かが助けを求めている!?」

エレン「どうした?アルミン」

アルミン「誰かが助けを求めていた気がする!でもそのうち会えそうな気配がしないでも無いんだ!!」

ミカサ「アルミンはたまに何を言ってるのかわからない」

アルミン「ありがとう!」



数年後…訓練兵 解散式

教官「本日、諸君らは訓練兵を卒業する…その中でもっとも訓練成績が良かった上位10名を発表する。呼ばれたものは前へ」


主席 ライナー・ブラウン
2番 エレン・イェーガー
3番 ベルトルト・フーバー
4番 アニ・レオンハート
5番 ジャン・キルシュタイン
6番 クリスタ・レンズ
7番 マルコ・ボット
8番 コニー・スプリンガー
9番 サシャ・ブラウス
10番 ミカサ・アッカーマン

特別賞 アルミン・アルレルト

アルミン「イエイ!」

教官「以上!!」



時は戻り…


訓練兵入団式



キース「貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!!」

キース「そうか、馬鹿みてぇな名前だな!親がつけたのか!?」

アルミン「じっちゃんが付けてくれた名前を馬鹿にするな!」

キース「そうか、貴様は巨人のエサにでもなって貰おうか!!」

アルミン「なんてスパルタ教育なんだ!!」

キース「貴様は何者だ!?」

ミカサ「ひっ!?し…シガンシナ区出身、ミカサ・アッカーマンです!!」ビク

キース「何しにここへ来た!?」

ミカサ「へ、兵士になって、自由を手に入れて、外を探検するためです!!」ビクビク

キース(…)

キース「そんな涙目でビクビクするな…なんか私が悪いみたいだ…」

ミカサ「うう…」

エレン「ミカサ…大丈夫かよ」


キース「貴様…本当に兵士になれるのか?」

ミカサ「は、はい、私は…頑張って兵士になります」

キース「…特技などはあるのか?」

ミカサ「…えっと………野菜作り……?」

エレン「…」

キース「そうか………頑張れよ」

ミカサ「はっ!」

アルミン「教官、アッカーマン家の野菜は美味しいですよ!」

キース「静かにしろ」


キース「貴様は何者だ!?」

クリスタ「クリスタ・レンズです」



アルミン「嘘つけえぇぇぇっ!!!!!!」

クリスタ「!?」

ユミル「!?」

キース「うるさいぞアルレルト!!!」


アルミン「この僕の天才頭脳と脅威の観察力を甘く見るな、君が何かを隠している事くらいお見通しってのお見通しのお見通しなのさ!!」

クリスタ「!?!?」

ユミル「なんだあいつ」

アルミン「君は自分の出身地と名前を言おうとした時、少し何か考え事したような感じだったね!そして一瞬暗い表情になった!!」

クリスタ「…」

アルミン「君は何かに縛られて、自分の意志が無いような雰囲気だ、表情、仕草、声のトーンで何となく察する事が出来るよ!!君は自分を偽って生きている!!!可愛いのにもったいないよ!!!」

ミカサ「アルミン、そんな事言ったら失礼…」

エレン「いや、俺も何となくわかるぞ」

クリスタ「…」

アルミン「何があったのかは知らないが困ったら僕に相談してくれ!!僕は天才頭脳のアルミン・アルレルトだっ!!僕の人生経験を甘くみないでくれよな!!」

ミカサ「アルミンはまだ10代…」


クリスタ「…ありがとう」クスッ

ユミル(笑った!?)

アルミン「それと、そこでクリスタちゃんをチラチラ見てるソバカスレズビアン!!」

ユミル「はあぁ!?違うわボケッ!!!」

アルミン「ちょっとしたジョークだよ、怒らないでくれ!!」

エレン「…」

ミカサ「アルミン…とても失礼……あの、ごめんなさい…」オロオロ

ユミル「…」

アルミン「クリスタはまだまだ産まれたばかりの赤ん坊のような存在だ!!お世話は頼んだよ!!」

ユミル「はあぁ!?」

エレン「おい、アルミン…そろそろ静かにしねぇと……教官が…」

キース「……アルレルト……」

アルミン「すんませんしたあぁっ!!!」

入団式終わり―――

コニー「なぁ、そういえばお前入団式で何も言われてなかったけど、どこから来たんだ?」

エレン「あぁ、…俺はこいつらと同じシガンシナ区だ」

アルミン「よろしくっ!!」

ミカサ「ミカサ・アッカーマンです」ペコッ

ジャン(可愛い)

コニー「って事は見たのか?超大型巨人や鎧の巨人!!」

アルミン「見たよ!!ちなみに超大型巨人の本名はベルトルト・フーバーで鎧の巨人の本名はライナー・ブラウンだ!!」

エレン「アルミンのじいちゃんの本に載ってたらしい」

ベルトルト「」ビクッ
ライナー「」ビクッ

マルコ「え、ライナーとベルトルトって……」チラッ

ベルトルト「あは…ははは、まさか僕らと同性同名だなんてね!」

ライナー「世の中は奇妙な事もあるもんだな、あははは!」

エレン「まぁ、気にすんなよお前ら!!」

アルミン「同性同名くらい探せばいるさ!あはははは!!」

エレン「まさか巨人が一緒に訓練しに来る筈が無いしな!あはははは!!」

ベルトルト「だよねー、ははは…」

ミカサ「あれ…でも、ライナーと鎧の巨人の顔って少し似てるような…」

ライナー「」ビクッ

アルミン「ミカサ、ちょっと失礼だよ!」

エレン「そうだぞ、巨人と顔が似てるなんて言うなよ!」

ミカサ「あ…ご、ごめんなさい…」

ライナー「俺は大丈夫だ、大丈夫だから!気にしてないからそんな泣きそうな顔すんな!」

ミカサ「うん…」

エレン「ああ、悪い、俺もキツく言い過ぎたな」


アルミン「まぁ、仲良くしようじゃないか、ライナーとベルトルト!」

ライナー「おう」
ベルトルト(不安だなぁ)

―――翌日

キース「これより適正検査を行う。ロープを腰に付けぶら下がるだけだ。これすら出来ないものは巨人の餌にも使えん、開拓地に戻ってもらう」

アルミン「巨人の餌になるつもりはないっ!!!」ゴオオォッ

キース「わかったわかった、お前は今すぐ開拓地に戻れ」

アルミン「そんなっ!!?」

エレン「すみません、こいつちょっと変だけど、頭はいいんです。必ず役に立ちますから…」

ミカサ「あ、あの…許してあげてください……」オロオロ

キース「…ふっ、心配するな、本気では無い。脅しただけだ。まぁ、あまり度が過ぎると本気で開拓地に戻ってもらうが」

アルミン「はっ!以後気を付けます!!」

キース「いい友人たちだな」

アルミン「はい、マイベストフレンドリーです!!!」

キース(?)

キース「では、ブラウス訓練生、貴様からやってみろ」

サシャ「え、私ですか!?」

キース「昨日の失態を取り返してみろ!!」

コニー「お、昨日の芋女か」

アルミン「あの蒸かした芋は確かに美味しそうだったからね、彼女の気持ちも分かるよ」


クリスタ「サシャ、頑張って」

キース「さぁ、やれ、ブラウス訓練生!!」

サシャ「はいっ!!」

サシャ「出来ました!!」ブラーン

キース「うむ、初めてにしては上手いな。このようにただぶら下がるだけだ。貴様らもやってみろ!」

エレン「出来た!!」

アルミン「ふふ、僕のを見たまえ!」ピーン

エレン「す、凄い、全くブレが無いぞ!!」

アルミン「僕は運動は下手だが、どのような体勢でいれば完璧なバランスが取れるかくらいちょちょいのちょいと計算出来るのさ!!」

ジャン「お、おい、ミカサ!こっち来て俺を見ろ!俺の華麗なバランス感覚を!」

ミカサ「わ~、凄い!」

アルミン「おいそこの、うちのミカサに何する気だ!!」

ジャン「!?」ビクッ

エレン「ミカサ、知らない人に付いていくなって言ってるだろ、戻って来い!!」

ミカサ「あ、うん」

ジャン「…」

マルコ「ジャン…」

ジャン「今のはヒデーよ」

ライナー「…」ブラーン

ベルトルト「…」ブラーン

エレン「あの二人もブレが無い…凄いな」

アルミン「…」ジー

エレン「どうした、アルミン?」

アルミン「ちょっとシンキングタイムだっただけさ、気にしないでくれ!!」


クリスタ「ね、ねぇ…」

アルミン「お、君はクリスタ!」

クリスタ「アルミン…だっけ、上手だね」

アルミン「照れちゃうなぁっ!」

ユミル「おい見ろ、クリスタ、私だって負けてないぞ!」

クリスタ「わ、ユミルも凄い!」

アルミン「本当に使ったの初めてか疑わしい上手さだね!!」

キース「うむ、今年は出来るものが多いな…」


「キャッ!!」グルンッ

キース「!?」

ミカサ「…あ…」

エレン「ミカサが失敗した!?」

アルミン「なんてこった!!」

ミカサ(嘘…このままじゃ…)



アルミン「……だからねミカサ、脇の間を32度ちょうどに開いて右足は左足より5、7センチずらして…」

ミカサ「そんな説明じゃわからない………」

アルミン「もう、何でわからないのさ!」

エレン「いや、そんな説明じゃ俺もわかんねぇよ」

アルミン「まぁ、落ち着けば大丈夫、もっかいチャレンジと行こうか!」キリキリ

エレン「慌てず冷静になるんだぞ!!」


ミカサ「あっ!」グルンッ

ゴチーンッ

アルミン「ミカサアアァァァッ!!!」


ミカサ「…痛い…」ヒリヒリ

エレン「たんこぶ出来てるじゃねぇか…今日はもうやめにしよう」

―――食堂

ミカサ「私…兵士なんか向いて無いのかも知れない…」

エレン「…自分から言い出したんだろ、兵士になるって」

アルミン「明日もあるんだ!まだ諦めちゃダメだよ!!」

ミカサ「でも…明日もダメなら開拓地に…」グスッ

エレン「…俺は、無理ならそれでもいいと思うぞ」

アルミン「エレン!?」

エレン「お前は虫も殺せないような奴だ。命のやり取りをする兵士になんかなる人間じゃねぇよ」

ミカサ「…」

ミカサ「でも……私も、二人と外の世界を探検したい、だから、私も一緒に戦いたい。三人で一緒に夢を目指したいから」

エレン「そう思ってるならウジウジするな、明日の為にしっかり食え。お前はやるときはやる奴だから…やれるはずだ」

アルミン「ミカサ、僕らは心から応援しているよ!」

ミカサ「うん、ありがとう」

―――女子寮

サシャ「ミカサ、今日は大変でしたね…明日も頑張りましょう!」

ミカサ「うん」

サシャ「それで、上手いやり方はですね、ブランコに乗る感じでブラブラと…」

ミカサ(サシャは優しくていい子。いい友達になれそう。だけど、たまに言ってる事がよくわからない)

サシャ「あぁ、そういえばそこにいるアニって人がうまかったですよ、私より!聞いてみたらどうですか?」

ミカサ「へぇ……聞いてみる」

アニ「…」

ミカサ「…あの…」

アニ「なんだい」

ミカサ(目付き怖い)ビクッ

ミカサ「えっと……その、ぶら下がり方を聞きたくて……」オロオロ

アニ「…適性検査の姿勢制御の事かい?」

ミカサ「うん、それ」

アニ「何で私なんかのとこに来たの?」

ミカサ「アニが上手いって聞いたから…あの、迷惑なら、他の人に…」オロオロ

アニ「別に迷惑じゃないし、相談乗ってやるよ。てか何でそんなオロオロしてるの」

ミカサ(あれ、目付き怖いけどいい人なのかな)

―――男子寮

ベルトルト「姿勢制御のコツか…」

エレン「ああ…ミカサの為に聞きたいんだが…」

アルミン「僕の説明もわからないみたいだし」

エレン「それは俺もわからんよ」

ライナー「すまんが、ぶら下がるのに大したコツがいるとは思えん。期待するような助言は出来そうに無いぞ」

エレン「やっぱそうだよな…」

アルミン「明日に賭けるしか無いって奴だね」

ベルトルト「二人は…シガンシナ区出身だよね?」

アルミン「そうだよ、マイホームシガンシナ!!」

ベルトルト「じゃあ、巨人の恐ろしさも知ってるはずだ。なのに、どうして兵士を目指すの?」

エレン「俺は…家族や友人は助かったけど、それでもやっぱり被害者は出たんだ。街もめちゃくちゃにされた。巨人を許せねぇ……と、思ってたがアルミンの巨人と世界に関する予想を聞いてからは少し考えが変わった」

ライナー「ん?どんな予想をしたんだ?」

アルミン「そのうち話すよ」

エレン「この訳のわからない世界を壊して…自由を手に入れて、アルミンとミカサと一緒に外の世界を探検するってな」

アルミン「そう、はっきり言って人類の未来とかはどうでもいい、僕らの自由を…夢を手にするために戦うんだ!!」

ライナー「はは、自分の夢の為に生きるなんてカッコいいじゃねぇか」

ベルトルト「…うらやましいな、自分の意志があって」

アルミン「僕らの意志はは絶対に曲がらない!」

ライナー「…俺にもあるぜ、絶対に曲がらないものが」

エレン「!」

ライナー「帰れなくなった故郷に帰る。俺の中にあるのはこれだけだ…絶対に、何としてもだ」

アルミン「え?迷子になって故郷に帰れなくなったって事?」

ライナー「いや、そうじゃなくてだな」

ライナー「…明日はベルトの調整から見直してやれ。次は上手く行くはずだ…」



―――翌日


キース「覚悟はいいか?」

ミカサ「はい!」

サシャ「ミカサ…」

アニ(…頑張りなよ)

キース「さぁ、やれ」

ミカサ(私には…兵士になる素質なんか無いかも知れない。それでも…)

ミカサ(それでも、エレンやアルミンと…一緒に生きたいから!!)

ギシッ ギシッ…

アニ「…!」

サシャ「おぉ!」

ミカサ「…出来た…」

エレン「やったじゃねぇかミカサ!!」

アルミン「信じてたよー!!」

ミカサ「エレン、アルミン!」

ミカサ「…ああっ!!」グルンッ

ゴチーンッ

アニ「ああっ!!?」

エレン「…!!」

アルミン「なんてこったぁっ!!!」

ミカサ「そ…そんな…私は…」

キース「……ブラウス、アッカーマンと装備を交換してみろ」

サシャ「え?」


ギシッ ギシッ

ミカサ「あれ…出来た」

キース「…ベルトの金具が破損していた。ここが破損するなど聞いた事が無いが」

ミカサ「じゃ、じゃあ…」

キース「問題ない、修練に励め」

ミカサ「やった!」

エレン「やったなミカサ!」

アルミン「パーティーだ、パーティーだ!!」

キース(…破損した装備で、一時的とはいえ姿勢を保つとは…)

キース(アッカーマン…もしかするとこいつは、化けるかも知れんな)

―――座学


教官「…ここまで人類が追い詰められた最大の原因は巨人の驚異的な生命力にある」

教官「昔から人類は巨人の頭を吹き飛ばす程度の力は持っていた。しかし、それだけでは対抗出来なかった。吹き飛ばした頭部も2~3分で再生してしまう」

マルコ「では、巨人は不死身ですか!?」

教官「いや、不死鳥とは違って不死身では無いよマルコ君」

教官「巨人の弱点はここ…後頭部より下うなじにかけての部分だ」

アルミン「教官、何故そこを損傷すると巨人は再生すること無く絶命するのでしょうか」

教官「うむ、いい質問だがまだ明らかにはなっていないのだ…」

アルミン「これは僕の予想なんですが…そこには何かあるんじゃないでしょうか?」

ユミル「!」

アルミン「てか人間が入ってんじゃないの?」

ライナー「!?」

アニ「!?」

ベルトルト「!?!?」ガタガタガシャーンッ

ライナー「動揺し過ぎだ馬鹿!」

アニ「怪しまれるような事言うなライナー!」

エレン「なに騒いでんだあいつら」

ミカサ「ど、どうしたのだろう…」

アルミン「あの三人は戯れてるだけだ、気にしない気にしない!!」


クリスタ「ベルトルト、大丈夫!?」ダッ

ベルトルト「う…大丈夫だよ…」

ライナー「…」

ライナー「クリスタ、実は俺も指を怪我したんだが…」

クリスタ「本当だ、血が出てるじゃない!」

アニ(こいつ自分で指噛みやがった……巨人化したらどうすんの)

教官「…アルレルト訓練兵、面白い事を言うな。もっと詳しく君の意見を聞きたい」

アルミン「まぁ…正確には人間ではなく人間の一部が入っているのでは無いかと。例えば巨人の弱点部分と…人間の脳から脊髄にかけての大きさが同じですから」

教官「ほう…」

ユミル「…」

アルミン「そして何より、巨人の生態は生物としておかしい部分だらけ……それはつまり、巨人は何かの目的で作られたものだと言う事だっ!!」バンッ

ベルトルト(こいつ黙らせた方がいいんじゃないか)

アルミン「そして、この世界で語られてる歴史の多くは捏造され嘘の歴史だと思っています。おじいちゃんの本に載ってた事とずぇっんぜん違うから!!」バンッ

教官「うむ、とりあえず机叩くのはやめようか」

アルミン「はっ!」

アルミン「…で、人類の多くは巨人に食い尽くされたと言うのも嘘だと思います。人類は食い尽くされたのではなく……何者かに巨人にされたから、少なくなったのだと思います。そしてきっとこの壁も僕ら人類を閉じ込める為のもので、決して巨人から守る為のものでは無いと思ってます」

アルミン「もしかしたら壁には巨人が埋まってるかも知れませんよ、なんてね!あはははは!」

コニー「アルミン話長いぜ…聞きあきた」

アルミン「ごめんよ、まぁ堅苦しい授業を受けてばかりよりは、こういう予想を話してみたりするのも面白いだろ!?」

ユミル「だーはっはっは!んな馬鹿みたいな妄想してんじゃねぇよ!!」バンッバンッ

クリスタ「ユミル…机叩くのはダメだよ…」

アルミン「なんだとぅっ!?」

ユミル「運動もできねぇ役立たずな上に変な妄想までするなんて…救いようがねぇ奴だ、あはははは!!」

アルミン「怒るぞーっ!?」

教官「ああ、静かにしろ静かにしろ。ちゃんと座学に戻ろう」

―――

アルミン「あぁ、座学楽しかったー」

エレン「アルミンの話はいつ聞いても面白いぜ!」

コニー「俺にもまた聞かせてくれよな!」

アルミン「飽きたって言ってたじゃないか…」

コニー「あんときは眠かったからな!!」

ユミル「…アルミン、ちょっと用がある」

アルミン「む、挑戦状か!?」

ユミル「…とにかく来い。アルミン以外は来るなよ」

コニー「おう!」

エレン「いいけど、いじめるなよ!」

ユミル「意外と聞き分けいいなお前ら」

アルミン「…で、何だい、話って」

ユミル「お前…座学の時に言ってた事、もう二度と口にすんなよ」

アルミン「なんでさ?」

ユミル「…下手したら死ぬぞ。とにかく危ないからやめろ、お前だけじゃなく聞いた周りの命も危ないんだ」

アルミン「…わかったよ、みんなも危ないってなら簡単に言わない方がいいね」

ユミル「あぁ」

アルミン「でもユミル…君は1つとんでもないミスを犯したよ!あはははは!!」

ユミル「は!?」

アルミン「なんで、あの話をしたら危ないって事がわかるんだい!?君が普通の女の子ならそんな事いちいち気にしないはずだ!!」

ユミル「!!!」

アルミン「あの話をすると僕らの命が危ない…って事は、僕の予想はこの世界の真実に近いって事だね」

ユミル「…」

アルミン「そして、僕の予想を危ないとわかってる君は、何か世界の秘密を知ってるんじゃないか!?」

ユミル「だとしたらどうする?人類の為に捕らえて拷問して話を聞き出すか?」

アルミン「え?そんな事しないよ。人類の為とかどうでもいいし」

ユミル「え?」

アルミン「僕はただ考える事が楽しいだけさ、あはははは!!」

ユミル「…」

アルミン「まぁでも危ないならユミルの忠告通り二度と言わないよ。それにユミルの事を他人に言うこともしない。言う必要も無いし」

ユミル「は?もしかしたら私は敵かも知れないんだぞ?」

アルミン「それは無いよ、ユミルわざわざ忠告してくれて優しいからね!!」

ユミル「アホか…」

―――格闘訓練

ミカサ「行くよアルミン!」トッテトッテ

アルミン「こいミカサアアッ!」

ミカサ「やーっ」パチン

アルミン「負けないぞおぉっ」ペチンペチン

エレン「ああ、駄目だお前ら。それじゃ子供の遊びだよ」

ミカサ「…格闘訓練は難しい…」

アルミン「さすがのこの僕もこればかりは苦手だよ!!」

ライナー「よう、エレン。二人に格闘訓練教えてるのか?」

エレン「あぁ、ミカサとアルミンは昔からケンカ弱くてなぁ」

アルミン「エレンは逆にケンカ強すぎだけどね!!」

ミカサ「うん、武器を持った大人を素手で撃退してた。かっこ良かった」

ライナー「ほう…やってみるか?エレン」

エレン「はは、ライナーは強そうだから勝てるかわかんねぇよ」

ライナー「行くぞ、エレン!」ダダダダッ

アルミン「おお、ライナーのタックル、時速三キロはあるかも知れん!ね!?ミカサ!」

ミカサ「私にはよくわからない」

エレン「おおおっ!!」バシンッ

ライナー「グフォッ!?」

アルミン「おお、エレン、パンチでタックルを弾いた!!」

ミカサ「かっこ良い」

エレン「あ、すまんライナー…顔面に入っちまった…」

ライナー「はは、訓練だからいいさ。しかしまさか俺のタックルに正面から向かって来るとはな…凄いな」

エレン「ライナーのタックルもすさまじかったよ、だからつい顔面にやっちまった…すまねぇ。お前も凄いよ、殴った手が痛むぜ」

ライナー「ふっ、またいつかリベンジするぞ」

エレン「ああ、いつでも来いよ!!」

アルミン「男の友情って奴だね!!」

アニ「…」

アルミン「お、アニじゃないか。サボりかい!?駄目だなぁ、いくら格闘訓練は点数にならないからってサボっちゃ!!そんなんじゃ憲兵団に入れないよレオンハート!!」

アニ「…うるさい奴だね…」

ミカサ「アニも一緒にしよう」

アニ「こんな訓練真面目にやったって何にもならないよ」

ミカサ「で、でも…教官にサボってるの見つかったら怒られるし…」オロオロ

アニ「…」

ライナー「そう言えば、アニと格闘訓練した事はあるか?」

エレン「いや、無いぞ」

ライナー「どうだ、あいつとしてみないか」

アニ「面倒くさいからやらないよ」

エレン「んー、アニ女の子だしなぁ…」

ライナー「心配すんな、こいつはそこらの男より強いぞ。俺もおっかねぇと思ってるくらいだ」

アニ「…」イラッ

アルミン「お、アニ、今ちょっとイラッと来たね!?シワが一本増えたからわかるよ!どうなんだいエレンとやるのかい!?やらないのか!?へー逃げるんだ、この根性なし!!」

アニ「」ピクッ

アニ「ふんっ」バシイィィンッ

ライナー「ぎゃふおっ!!!」グルングルングルングルングルン

エレン「ライナーが5回転した!!」

アニ「いいよ…やってやろうじゃん」

エレン「お前…本当に強いんだな。ワクワクしてきたぜ」

ライナー「くっ…なぜ俺が……」

ミカサ「あ…アルミン、どうしてアニにあんな酷い事を言ったの?謝らなきゃ…」オロオロ

アルミン「もちろん謝るよ。僕だって適当にあんな悪口言ったんじゃない、目的があるのさ!」

ミカサ「?」

アルミン「アニの格闘技術がエレンより遥かに優れているのは一目でわかったよ……雰囲気や筋肉のつき方、そしてエレンがライナーに勝ったとこを見て『だから何?私の方が強いわ』みたいな顔をしていた。あと、本当は格闘訓練に参加したくてウズウズしてる感じだったからよ」

アルミン「だから…あえてアニを挑発し、エレンと戦わせる。そしてエレンにアニの技術を教え込ませ、更に強いイケメン兵士にさせる!それが僕の目的なのさ!!」

ミカサ「やっぱりアルミンって凄い!」

エレン「行くぞ!!」ダダッ

アニ「…」シュッシュッ

エレン「速い!!?」

アニ「ふんっ」バシィンッ

エレン「あああっ!?」グルン
ドサッ

アニ「…確かに、あんたはただの取っ組み合いなら強いだろうけど、技術が足りないよ。もういいだろ?」

エレン「……お前、すげぇな…」

アニ「え?」

エレン「俺にも教えてくれよ、その技術!!」

アニ「……まぁ暇だし、教えてあげてもいいけど」

アルミン「ふっ、僕の予想通りの展開だ!」

ミカサ「…私もエレンと一緒に教えてもらいたい」

アニ「ああ、いいよ」

エレン「おう、ミカサとアルミンにも教えてくれよな。こいつら弱くて心配だから」

アルミン「よろしく頼むよ、レオンハート!!」

アニ「…ああそうだ、アルミン。ちょっとこっち来て」

アルミン「ん?」

アニ「ふんっ!!!」バシイィィンッ

アルミン「いだああぁぁぁっ!!!」グルングルングルン

エレン「アルミンが三回転した…」




―――――トリア…

ヒストリア…

「凄いね、ヒストリア。もうこんなに読めるようになったんだ!」

「うん、お姉ちゃんが教えてくれるから!!」

「もう、鼻水出てるわよ。ほらかみなさい」

「ヂーーーンッ」

「はい、よく出来ました」

「お姉ちゃん、もっと遊ぼう~」タラー

「もう、また鼻水出して、この子は。ほら、かみなさい」

「ヂーーーンッ!!」

「ふふ、よく出来ました」

「お姉ちゃ~ん」タラー

「また鼻水出てるわ!!!」


―――

クリスタ「…おねっ…!!」バッ

ミカサ「おはよう、クリスタ」

クリスタ「ミカサ…。さっきまで何か大事な夢を見てた気がするのに…たぶんもう二度と思い出せない」

ミカサ「……クリスタの寝てる時の表情、とても幸せそうだった」

クリスタ「え?」

サシャ「ふあぁ~…三人とも起きるの早いですね。今日は訓練休みですよ?」

クリスタ「おはよう、サシャ」

ミカサ「今日は朝からエレンとアルミンと自主練習するの」

サシャ「真面目ですね~、頑張ってくださいね!」

ミカサ「うん。じゃあ行ってくる」

クリスタ「行ってらっしゃい」


エレン「はぁ…はぁ…」ザッ ザッ

ミカサ「え、エレン…待って、とても速い……」ゼェゼェ

アルミン「ああもうダメだ…」ガクッ

エレン「なんだぁ、二人とももう体力なくなったのか…」

アルミン「かたじけない!!」

ミカサ「もっと体力が欲しい…」

エレン「まぁ、少しずつ体を鍛えてくしかねぇよ。今みたいに自主練してでも体を強くしようって気持ちが大事なんだ」

ライナー「ようエレン、三人で仲良く自主練か」

エレン「おお、ライナー」

アルミン「グッ、モーーニンッ!」

ミカサ「最初に私が自主練習しようって頼んだの」

ライナー「真面目だなぁ」

クリスタ「三人とも、朝からお疲れ様…お水持って来たよ」

アルミン「おう、クリスタじゃないか!」

クリスタ「はい、どうぞ」

エレン「ん…」

アルミン「ありがとう、生き返るよ!」ゴクゴク

ミカサ「ふう…動いた後の水は美味しい…」

ユミル「おい、クリスタ、何やってんだ!!」

クリスタ「あ、ユミルが呼んでるから…またね!」

アルミン「次はクリスタも自主練来いよー!!」

ライナー「クリスタは優しくて可愛いくて天使だな…結婚したい。クリスタ…」

ミカサ(クリスタ見てる時のライナーちょっと怖い)

エレン「…確かに顔は可愛いかも知れんが、俺はあいつ好きじゃねぇ……なんか気持ち悪い」

ライナー「なんだとぉっ!!?」バンッ

ミカサ「!?」ビクッ

アルミン「落ち着けライナー!ミカサがビックリしてるだろ!」

ライナー「ん、ああ…すまんミカサ」

ミカサ「うん」

ライナー「…だが、友人とはいえ今のエレンの言葉は聞き捨てならん。クリスタのどこが気持ち悪い」

エレン「なんつーかな……表情が作ったような感じというか…」

ライナー「な、あの笑顔を見て可愛いとは思わないのか!?」

ミカサ「クリスタは可愛い」

ライナー「だよな!?」

ミカサ「でも無理してると思う」

ライナー「え!?」

アルミン「さすがはエレンとミカサ…人を見る目がある」

ライナー「どういう事だ、クリスタの笑顔や優しさは嘘だってのか!?俺の嫁だぞ、え!?」バンッ

アルミン「まぁ、落ち着こうライナー……あと勝手に脳内でクリスタと結婚しないでくれ」

ミカサ「…」ギュッ

エレン「大丈夫だミカサ。ライナーはクリスタが好きなだけだ」

アルミン「まぁ…嘘とかでは無いよ。優しさもきっと、元から優しい子なんだと思う。ただ……あの子は何かに怯えて、周りを気にして生きてる感じがするんだ。入団式でも僕が言ったろ、クリスタは自分を偽ってるって」

エレン「ああ…あいつは何か不自然なんだよ。周りから嫌われたくないから無理して笑顔を作ってる感じがする」

ライナー「…」

ミカサ(…でも、今日の寝てる時のクリスタの表情は、本当に幸せそうだった…)

アルミン「…それとエレン、気付いてたかい?」

エレン「おう。さっきクリスタがここにいた時に遠くから誰か見てたな、何人か」

アルミン「クリスタを…監視してるのかね?」

ミカサ「え、え、どこ?」キョロキョロ

アルミン「ははは、今はもういないよ!」

ライナー「おいおい、何の事だよ全く……」

ライナー(……たぶん、壁教かレイス家の人間か中央第一憲兵とかいったところだろうな。やはり睨んでいた通りクリスタは重要人物なのか…?)

アルミン「…」ジーッ

ライナー「ん、そんな俺を見つめてどうした」

アルミン「ん?いや、筋肉カッコいいなぁって思っただけだよ!!」

―――

ユミル「お前…またいいことしようとしたろ」

クリスタ「だって…三人とも疲れてたし…」

ユミル「本当にそれだけか?」

クリスタ「え?」

ユミル「自分が必要な人間だと思われたいからやっただけじゃねぇのか?」

クリスタ「そ、そんな事…!」

サシャ「まぁまぁ、ユミル…何をそんなにムキになってるんですか…」

ユミル「…なんかイライラするんだよ…」

クリスタ「…」



アニ「…」

ミカサ「…みんな」

サシャ「あ、ミカサ!」

ミカサ「さっき、アルミンからの提案で、せっかく休みだし皆で街に出掛けようって事になったんだけど…」

サシャ「もちろん行きます!行きましょう!!」

ユミル「めんどくせぇ」

クリスタ「えっと…私は…」

ミカサ「…」

ミカサ「クリスタも来て欲しい」

クリスタ「うん」

ユミル「…まぁ、暇だし私も行くかな」

アニ「私はいいよ」

ミカサ「アニがいないと寂しい」

アニ「私は…他にやる事あるからね」

ミカサ「…うん」

―――「クリスタはなるべく連れて来て欲しい。そしてクリスタが来るとなると、アニはたぶん行く事を拒むかもね。もしそうなら…」

ミカサ(アルミン…何を考えてるの)

アルミン「さぁ、皆で出掛けようじゃないか!せっかく休日だからね!!」

コニー「おう、面白そうだな!!」

エレン「ライナーとベルトルトも来るだろ?」

ライナー「当たり前だ、クリスタも来るんだろ?」

ベルトルト「僕は遠慮し…」

エレン「そんな事言うなよベルトルト!友達だろうが!」

アルミン「そうだよ、君は存在感が無いんだからもっと皆にベルトルトアピールしなきゃ!!」

ベルトルト「…わかったよ」

ジャン「俺は行かね」
アルミン「ミカサも行くのに?」

ジャン「行こう」ガタッ

マルコ「なんだこいつ」

―――

エレン「こうして皆で外に出るのは楽しいな」

コニー「だよな、お!あそこに美味そうな食い物屋があるぜ!」

サシャ「行きましょう!コニー!!」ダダダダッ

ジャン「おいおい、街中であんま騒ぐなよ…」

ライナー「ははは。元気なのはいい事だが、俺たちは兵士だからな。あんまり騒ぐと一般人に嫌な視線で見られるかも視線ぞ」

ベルトルト「…」

ミカサ「エレン、私…あそこのお店行ってみたい」

エレン「おう、行ってみるか?」

アルミン「おう、僕もお供しよう!!」

ジャン「くっそ、エレン!いつもいつもミカサとベタベタしやがって!!!」

エレン「叫ぶなよ、服破れちゃうだろ!!!」

ジャン「叫んで服破れる訳ねぇだろ!!!」

ライナー「ジャン、サシャとコニーに騒ぎすぎるなと言ったすぐに騒ぐなんて情けないぞ…」

ジャン「あ、ああ…そうだな…」

ミカサ「……ジャンも一緒に来たいの?」

ジャン「…いや、いいわ」

アルミン「あーあ、せっかくのチャンスだったのに」

アルミン「そうだ、ところでクリスタ。君はどっか行きたいとことかは無いの?興味のある店とか」

クリスタ「私は、皆が行くとこでいいよ」

アルミン「…ユミル!行くとこはクリスタに決めさせてね!!」

ユミル「ああ、そうするつもりだよ」

クリスタ「えっ?」

アルミン「ちゃんと自分の意思を持たなきゃ駄目だぞ、クリスタ!!!」

クリスタ「…!」

アルミン「楽しんで来なよ~!」

クリスタ「うん」

ユミル「で、クリスタ…どっか気になる場所とかは無いのか」

クリスタ「んん…」

ザッ ザッ ザッ



アニ「…」

アニ(クリスタの後を付けてみたが、やっぱり誰かに監視されてるみたいね。ずっとクリスタの近くを同じ奴が何人かうろうろしてる)

アニ(予想通りなら…クリスタも故郷に連れて帰るべきか)



アルミン「やあ、アニ。何してるんだい!?」

アニ「ひゃっ!!?」ビクッ

アニ「な、なな…あんたこそ何してんだ!?」

アルミン「それよりさ、クリスタの近くをずっとうろうろしてる人が何人かいるよね」

アニ「…何の事?」

アルミン「いや、アニならクリスタを監視してる人の正体知ってるかなぁって思って」

アニ「さぁね。言ってる意味がわからないよ」

アルミン「しらばっくれるな巨人!!」

アニ「!?」ビクッ

アルミン「なんてね、あはははは!!」

アニ「あんた…何がしたいの」

アルミン「何って…クリスタを助けてあげたいんだよ。ずっと何かに縛られちゃ可哀想じゃん!!」

アニ「…」

アルミン「アニなら知ってるんじゃない?クリスタを観察してる奴を観察してたからね!!!」

アニ「…私はたまたまここにいただけだよ」

アルミン「アニ、それ以上ごまかそうとしたって逆に怪しさ倍増するだけだからね!!」

アニ「…はぁ…私は行くよ」

アルミン「逃がさないっぞ、この野郎う!」ガシッ

アルミン「言うまで離さないからね!風呂でもトイレでも寝るときでも離さないからね!!」

アニ「ただの変態じゃないか!!!」

アルミン「離してほしいなら話して!!」

アニ「ああもう!たぶん壁教の人間だよ!!!」

アルミン「なんで壁教なんかが監視してんのさ!?」

アニ「壁教にとって重要人物だからだろ!!」

アルミン「じゃあたぶんクリスタってレイス家の人間だろ!?」

アニ「なんでそう思うの!?」

アルミン「壁教とレイス家は世界の秘密を握ってるっておじいちゃんの本に書いてあったんだ!!」

アニ「おじいちゃんの本すごいな!!」

アニ「あとは…中央第一憲兵団なんかもいるだろうね」

アルミン「ありがとうアニ…だいぶわかって来たよ。あのさ、アニって優しいよね」

アニ「うるさい」

アニ(しまった…ノリと勢いでつい喋ってしまった…)

アルミン「さて、アニも一緒に来なよ!皆で遊ぶ方が面白いだろ!!」

アニ「…私が何者なのかは気にならないの?」

アルミン「そんなのはどうでもいいよ。クリスタに関する謎のヒントが欲しかっただけだからね!!」

アニ「…あんたは訳わかんないよ」

―――

アルミン「エレーン、ミカサー!」タッタッタ

エレン「おう、どこ行ってたんだよ」

ミカサ「迷子になったのかと思った…」

アルミン「アニが寂しそうにしてたから連れてきた!」

アニ「…」

ミカサ「アニ!何してたの?」

アニ「たまたまそこにいただけ…」

アルミン「いやいや、僕の予想通りだったよ!アニはクリスタが心配で、変質者から守ってあげていたんだ!アニは優しいからね!」

アニ「は!?」

エレン「あぁ、あのクリスタの周りをうろちょろしてる奴らか」

ミカサ「クリスタの為に見張ってあげてたなんてアニは優しい」

アニ「…」

アルミン「さ、皆で遊ぼうじゃないか!!」

アニ(アルミン、たぶん私の正体に気付いてる……他の連中には誤魔化してるみたいだけど。気付いてるなら言えばいいのに…何で言わないんだ)

―――

ユミル「…ここは本屋か…しかし、ボロいな」

クリスタ「うん、でも何だか気になって」

ユミル「…」

クリスタ「…」ペラッ

クリスタ「…ねぇ、ユミル。ここは何て読むの?」

ユミル「ああ?わからん文字があんのかよ、兵士の癖に」

クリスタ「ご、ごめん」

ユミル「えーと…この読み方はな…」

クリスタ(…あれ、なんだろう。前にもこんな事があったような)

クリスタ(何だかとても暖かくて…懐かしい感じがする)

―――

サシャ「はぁ、美味しかった~!今からクリスタやミカサや皆も呼んでもう一回食べましょう!」

コニー「お前、まだ食えるのかよ…」

ジャン「あんまり食い過ぎると店に迷惑だぞ」

ライナー「だが、確かに皆で食った方が良かったな」

ベルトルト「そうだね」

コニー「ベルトルト、もっと喋ろうぜ!!」

ベルトルト「お喋りは苦手なんだ」

ライナー「そろそろ他の連中と合流するか」

―――

エレン「腹減ってきたなぁ…先にライナー達と食いに行けば良かったな」

アルミン「そうだね、僕もお腹が減ってきたから食事で栄養分を補給しなきゃダメだよ!!」

アニ「…あれ?」

エレン「どうした?」

アニ「ミカサは?」

アルミン「むむ、ミカサがいない!?」





ミカサ「…」オロオロ

ミカサ「…」オロオロ



ミカサ(お店の服に見とれてたら皆とはぐれちゃった…)

ミカサ(どうしよう…歩いてたら人気の無い通りに来ちゃった…)

「…クリスタは…」

ミカサ「!」

ミカサ(クリスタって聞こえた!誰かいるかも)

タッタッタ…

ミカサ「あ…」

男「クリスタの様子はどうだ」

男「大丈夫です、何かしそうな感じはありません」

男「そうか…だが、クリスタが何か余計な事をしようとした時は処分しろ」

ミカサ「!!!え!?」

男「!!!誰だ!!」

男「貴様…聞いていたのか?」

ミカサ「え…あの…」ガタガタ

ユミル「…おい、クリスタ。そろそろ行くぞ」

クリスタ「うん」

サシャ「あ、クリスタ~!」
コニー「一時間ぶりだな!」

クリスタ「サシャ、コニー!」

ライナー「ほう、本屋に行ってたのか」

サシャ「クリスタ、聞いてください。さっきですねぇ…」
サシャ「あああああっ!!?」

クリスタ「!?」ビクッ

ジャン「おい、どうした急に大声出して」

サシャ「遠くから微かにミカサの悲鳴が聞こえました!!」

ジャン「なんだと!?」

ライナー「何かあったのか…?」

クリスタ「……行かなきゃ!」タッタッタ

ユミル「あ、おい待て!」

エレン「ああもう、なにやってんだあいつは!!」

アルミン「今日はせっかく皆でクリスタにビックリサプライズを用意していたと言うのにミカサったら!!!」

エレン「アルミン、あいつどこに行ったと思う?」

アルミン「そうだね…ミカサはちょっと、おとぼけちゃんな所があるから何かに夢中になってはぐれてしまった可能性がある。待てよ、もしそうだとするとミカサは方向音痴だからどこに行くかわからない。そしてもしかしたらクリスタを監視してる奴らに遭遇して怪しい会話を聞いてしまい拐われてしまう可能性もある。僕の超天才頭脳で考えてみたけど、もしそういうパターンに陥るとしたらきっと人通りのない場所だ。てことはつまり…」

アルミン「ピンチって事だ!!!」

エレン「だからどこ探せばいいんだよ!!!」

ミカサ「んー!んー!」

男「おとなしくしろ!」

男「この女はどうする?」

男「こいつはクリスタと同じ訓練生の奴だ。聞かれてしまったからな…処分しろ」

ミカサ「んー!んー!」バタバタ


サシャ「待たんかーーい!!」タッタッタ

コニー「ミカサ!!」

ミカサ「!!」

男「なに、仲間か!?」

ジャン「てめぇら、ミカサに何してやがる!!」

ベルトルト(あれはクリスタを監視してた男…何か聞いてしまったのか?)

ライナー「女の子相手に乱暴とは許せんな」

クリスタ「その子を離してください!!!」

男「ちっ、見つかった」

サシャ「私の聴覚嗅覚視覚と味覚をバカにしないでください!!」

ミカサ「…ぷはっ!!」

ミカサ「みんな、この人たちクリスタに悪さしようとしてる!」

男「な!?」

男「くそ、クリスタ以外全員処分しろ!」

コニー「なんて短気な奴らだ!!」

クリスタ「待ってください…どういう事!?」

ユミル「……あいつらはお前を監視してた連中だろう。ミカサは何か聞いちまったんだろうな」

クリスタ「え…」

クリスタ「監視って…なんで…私は…」

ユミル「誤魔化すなよ、私は知ってる。お前だろ?レイス家の妾の娘ってのは」

クリスタ「!!」

男「ここに来たのが悪かったな!!」ガチャッ

クリスタ「待って、何でもするから…みんなは見逃してあげて!」

男「ダメだよ、生かしておけん」

男「お前が悪いんだクリスタ。お前が訓練生にいたせいでこうなったんだ」

ライナー「お前、何を!!」

クリスタ「…!」

クリスタ「…そうか…私と一緒にいたせいで……やっぱり私は、生きてちゃダメだったんだ…」

ユミル「…おい、クリスタ!?」

サシャ「な、何を言ってるんですかクリスタ…」

クリスタ「みんな…ごめんね。私なんかのせいで……」

コニー「急に何だよお前、意味わかんねぇよ!!」

男「さぁ、もう逃げれんぞ。お前達は運が悪かった…」

クリスタ「皆を撃つのはやめて!撃ったら…私は自分でしぬから!!」

男「な!?」

ユミル「おい、バカな事言うな!!」

クリスタ「……私が悪いんだから、これくらい…」
アルミン「馬鹿野郎ーーーーーっ!!!!!!」

クリスタ「!?」

アルミン「クリスタあぁ、何を言ってんだ君は!!自分の命を大事に出来ん奴は他人の命も大事にできやしないんだぞぉっ!!!」

男「また何か増えた!!」

クリスタ「…アルミン…」

アルミン「あと、私が悪いんだからって、どう考えてもクリスタは悪くないだろアホタレー!馬鹿ー!アホー!」

男「何だ貴様は!」ガチャッ

アルミン「ちょっと黙れ空気読め!!」

男「!?」

エレン「何だよこの状況は…」

ミカサ「エレン、アルミン!」

アルミン「クリスタ、君は……あんな奴等に好き勝手されて、悔しくないのか!?腹立たないのか!?」

クリスタ「…」

アルミン「正直に答えたまえ!!!」

クリスタ「…く…悔しいよ…腹立つよ……でも、どうする事も出来ないじゃない!!」

アルミン「馬鹿野郎ーーーっ!!!たまには感情的に行き当たりばったりで行動したって罰は当たらない!!腹立つならスカッとやるようにやればいい!!!」

クリスタ「…」

アルミン「さぁ、クリスタ!思い出せ……今まで自分の体験した辛い思い出を。そしてその悲しみを…怒りを、爆発させて力に変えてみせろおぉぉ!!!!!」

エレン「そうだ、クリスタ!怒れ!!嫌な思い出を力に変えるんだ!!!さぁ…」

エレン『思い出せ!!!』

ビリビリッ!!

クリスタ「…!!!」ドクンッ

思い出せ………

ドクンッ

クリスタ「…あ…」

「ヒストリア…私の事は忘れてね、また会う日まで…」

クリスタ「…お…」

クリスタ「お姉ちゃああっん!!!」バッ

ユミル「うおっ!!?」

クリスタ「思い出した、思い出したよお姉ちゃん!!!」

アルミン「え、なにこのよくわからん展開。これは想定外」

男「な、なんだなんだ?」

ジャン(あいつら律儀にずっと待ってくれてるぜ)

クリスタ「そうだ……嫌な思い出もたくさんあったけど、それだけじゃない!!!」

コニー「…クリスタ…よくわからんが、元気に戻ったみたいで安心したぜ」

クリスタ「コニー」

サシャ「ええ、クリスタ…もう二度と、あんな事は言わないでください。私は…私達はクリスタに死なれたら嫌なんです」
ライナー「クリスタ、お前は俺達の大事な仲間だからな」

クリスタ「サシャ…みんな…」

ユミル「クリスタ…」

クリスタ「ユミル、私はもう大丈夫。私には皆が…大事な仲間がいたんだ。自分の事ばかり考えてて…気づかなかったよ」

クリスタ「そして、昔の私も孤独じゃなかった!お姉ちゃんがいたから!!」

男「ええい、よくわからんが…クリスタ!抵抗するなら貴様もここで処分してやる!!」

コニー「お前ら短気過ぎて何したいのかわかんねぇよ!!!」

男「クリスタ、覚悟しろっ!!」

クリスタ「クリスタクリスタうるせーー!!私はヒストリア・レイスだあぁぁっ!!!」

クリスタ「ようし、私の中の怒りを爆発させてあんた達を駆逐してやる!!!」

アルミン「クリスタ、今の気分はどうだい!?」

クリスタ「絶好調だよ!!」

エレン「前のお前は気持ち悪いって思ってたけど…今のお前はなかなかいいぜ」

クリスタ「ありがとー!」

アルミン「ついでにクリスタ、もうひとついい事を教えてあげよう!レイス家の人間は壁の秘密を公開できる権利を持っているんだ!!謎を公開されたら中央の連中も困っちゃうだろうね!!」

クリスタ「よしわかった!謎を明かして、その謎を大声で壁中に言いふらしてやるー!!」

男「くっそ、何て迷惑な小娘なんだ!!」

ミカサ「エレン!」

エレン「ミカサ!無事か?」

男「はっ、しまった!捕らえた娘を逃がしてしまった!」

アルミン「ははは、かかったね!ああして騒ぐ事に君たちの意識をこちらに集中させ、その隙にミカサを取り返す作戦もあったのさ!」

ミカサ「アルミンってやっぱり凄い!!」

ハンネス「…おい、アルミン、何かあったのか!?」タッタッタ

男「な、あれは駐屯兵団!?」

エレン「久しぶりだなハンネスさん!」

ハンネス「おう!」

アルミン「はははははは!こんな事もあろうかと駐屯兵団にも声をかけていたからね!僕を甘く見ちゃいけないよ!!」

男「くっそ!参ったぜ!」
男「退散だい退散だ~い」
タッタッタ

クリスタ「待てーーー!!」

ユミル「落ち着け、丸腰で何が出来るんだよ」ガシッ

クリスタ「わ、私だって兵士だ…」

アルミン「…まぁ、言っちゃ悪いけどクリスタじゃ丸腰であのオッサン達に勝てないね!!」

クリスタ「…」

アルミン「でも、真正面から挑もうする様はかっこよかったよ!!ああいうの僕は好きだ!!!」

クリスタ「す、すす…好きだなんて///」

ユミル「おいクリスタ」


アニ「…ねぇ、あんた達気づいた?」

ライナー「ああ…」

ベルトルト「エレンが叫んだ時、一瞬なにかビリビリッと来た」

ライナー「ああ…来たな。ビリビリッと」

ベルトルト「うん、ビリビリッとね」

ライナー「ああ…ビリビリッと」

アニ「もういいよ、しつこい」

ベルトルト「その後、クリスタは何かを思い出した様子だった。あれはもしかして…座標の力か何かなのか?」

ライナー「じゃあ…エレンがそうだってのか?」

アニ「その可能性は高いね」

ライナー「…エレンとクリスタ、いつかは連れて帰らないとな」

ベルトルト「うん」

―――訓練所に戻り

エレン「ふう…色々あったけど楽しかった!」

サシャ「帰りに皆で食べたご飯が最高でした…」

コニー「また行こうぜ!」

アルミン「そうだ、クリスタ。トイレに行きたくない?」

クリスタ「え?いや別に…」

アルミン「いいや、行きたいはずだよ、うん。さぁ行って来い!!」

クリスタ「ちょっと意味がわからない!!」

ユミル「まぁ行けよ」
ミカサ「行くべき」

クリスタ「もう…皆して何さ!」

―――女子トイレ

クリスタ「はぁ…何で急に私だけトイレ行けなんて言われたんだろ。まぁ本当に来ちゃう私も私だけど」

クリスタ「…」

クリスタ「もしかして、やっぱ私…嫌われてるのかなぁ…」

クリスタ「ああダメダメ、もうネガティブな事は考えないって決めたんだ!早く部屋に帰ろう!!」ズカズカ



クリスタ「ただいまー」ガチャッ





「ハッピーバースデー、クリスター!!!」

クリスタ「!?」ビクッ

アルミン「いや…ヒストリア・レイスだったね。誕生日おめでとう!!」

クリスタ「………え?」

ユミル「何だよお前…自分が誕生日だった事忘れてたのかよ」

クリスタ「あ…本当だ」

アルミン「僕が企画したのさ!!ユミルからも頼まれたしね!!」

ユミル「おい、余計な事は言わんでいい」

サシャ「誕生日おめでとうです、クリスタ!」

クリスタ「…」ポカーン

コニー「おいおい、何ボーッとしてんだよ」

クリスタ「ごめん…こういうの初めてだから……ありがとう」

アルミン「今までのクリスタは本当の心を開いてなかったからね。常に自分を偽って生きてた」

クリスタ「…」

アルミン「だから、昼は皆で遊びに行って…夜は誕生日パーティーを開いてクリスタをビックリさせて感動させちゃおうと思ったのさ!みんな、君の事も大事な仲間だと思ってるって事を伝えたくてね」

アルミン「まぁ、その前に僕の予想外な展開も起きちゃったけどね。でも無事に誕生日パーティーを開けて良かったよ!」


クリスタ「…うん…ありがとう…みんな…ありがとう」グスッ

アルミン「…ささ、せっかくの誕生日なんだし湿っぽくしててもダメだよ。さぁ、昼間の時のように元気全開で行ってくれ!!」

クリスタ「…うん!」


クリスタ「みんな、ありがとう!!大好きだぞーーーっ!!!」



ユミル「…ふっ」



クリスタ(私…やっと自分に自信を持って前向きに生きていけそうだよ)


クリスタ(お姉ちゃん…実はまだ全部は思い出してないけど、でも、一緒に本を読んでくれたり遊んでくれた事はしっかり覚えてる)


クリスタ(私はみんなと一緒に未来へ突き進む。そしていつか、お姉ちゃんとも……会いたいな)

―――1年後

キース「では、これより雪山での訓練を始める!!」

「はっ!」

ダズ「よし、俺もや…」

アルミン「教官、ダズは休ませてあげてプリーズ!!!」

ダズ「な、なんでだよ!?」

アルミン「今のダズじゃ途中でアウトだよ。顔色や目でわかるよ、今のダズは体調不良だ」

ダズ「な、」

キース「そうだな…ダズは休め。私も嫌な予感がする」

ダズ「はい…」シュンッ

クリスタ「落ち込まない落ち込まない、点数取るよりまずは自分の体が第一でしょ!!」ポンポン

ダズ「ああ、そうだな//」

ライナー「ダズの奴…クリスタにポンポンされてうらやましい…」

ベルトルト「声に出てるよライナー」

キース「では、班を決める。決め方はくじ引きだ」

ジャン「何か適当じゃないですか?それ」

キース「適当では無いぞ、キルシュタイン。実戦でも何があり誰と共に行動する事になるのか分からんのだ。例えどのような者と組む事になろうがしっかり任務を果たせねばならんのだぞ」

ジャン「あぁ…それもそうですね」

キース「よし、班は決まったな。目的は班ごとで行動し雪山の頂上まで辿り着く事だ」


1班
エレン、ミカサ、ライナー、ベルトルト、アニ、、マルコ

2班
アルミン、クリスタ、ユミル、ジャン、サシャ、コニー


アルミン「他にも班は色々あるけど関係ないから省略だ!」


ミカサ「エレンと同じ班!」ワクワク

エレン「お前、体力無いんだから無理はするなよ?」

エレン「お、ライナーとベルトルトも同じ班か!頼もしいな」

ライナー「頑張ろうな、エレン!」

ベルトルト「ここは成績上位が集まったね」

ミカサ「あ、アニ!」

アニ「ミカサも同じ班か…よろしくね」

ミカサ「うんっ」

マルコ「くそ、僕の影が薄い!」

アルミン「ようし、みんな、僕に全て任せるんだ!!」

クリスタ「うん、行け行けアルミーン!」

ユミル「…お前みたいな体力の無い奴に頼れるかよ」

アルミン「な、ちょっと気にしてるんだぞー!」

サシャ「クリスター!」

クリスタ「同じ班だねサシャ!」

コニー「ふっ、天才の俺もいるから安心しな」

ジャン(騒がしそうな班に来ちまったぜ……ミカサもいないし)

アルミン「ミカサがいないからって悲しむなよジャン。これは訓練だぁぞ!!!」

ジャン「わかってるよ!!」

1班


ライナー「さて…まず、班長を決めるか」

エレン「ライナーだな」

ミカサ「これはライナー」

ライナー「俺なんかでいいのか!?」

エレン「おぉ、ライナーは実力的にも一番だし何より頼れる兄貴のような存在だからな」

ミカサ「うん、信頼できる」(クリスタ絡みになるとちょっと怖いけど)

ライナー「よせよせ…俺はそんな立派な人間じゃねぇ。まぁ、そこまで言うなら俺がやってやろう」

ベルトルト「…ライナーが戦士で無くなってる気がする…」

アニ「そう?あれくらいなら別にいいじゃない」

ベルトルト「…」

ライナー「じゃあ、出発するか。こんな雪の中だ…体調が悪くなったりしたらすぐに言えよ」

エレン「おう!」

ミカサ(雪楽しい)コネコネ

アニ「ほら、雪で遊んでんじゃないよ」


ビュオォォォォッ

ベルトルト「吹雪が強くなってきてる…」

エレン「これは厳しくなりそうだな」

2班

アルミン「さて、班長は…」

クリスタ「アルミン!」

サシャ「私!私!」

コニー「俺に決まってるだろ!!」

ユミル「…クリスタ」

クリスタ「アルミン!」

アルミン「ジャンだ!!」ビシィッ

ジャン「俺かよ!?」

サシャ・コニー「ジャンかよ!?」

アルミン「ああ、ジャンだ!!」

ユミル「ほう…てっきり『僕がなる』と言うかと思ってたが」

アルミン「確かに僕は超天才頭脳と人類最強の観察力を持っているけど、皆をまとめられるような力は無い!それに、考え過ぎて興奮した結果、訳のわからない発言をする事もある!!」

クリスタ「自覚はあったんだね」

アルミン「ジャンは、普段の態度だけ見てると口が悪いし臆病者だし性格の悪い悪人面だ!!」

クリスタ「ちょっと、言い過ぎ…」

ジャン「ひでぇな」

ジャン「…だがアルミン、確かにお前の言う通りだ。そんな人間が班長なんかでいいのかよ?」

アルミン「うん!!君はなんだかんだで意外と冷静で真面目な面もある。そして弱い人間の立場からものを考える事も出来るし現状を認識する事にも長けている!!」

アルミン「知能で言えば僕がうえだが、班長ならジャンがなるべきなのさ!!」

サシャ「頑張ってくださいジャン班長!!」

コニー「へっ、応援してるぜ!」

ジャン「…そうかい、まぁ確かにお前らに任せるのは心配だしな。俺がやろう」


ユミル「待て、私もアホの仲間かよ!?」

ジャン「いや、ユミルはアホじゃないが性格悪いし口悪いし…」

ユミル「お前が言うな!!」

アルミン「ははは、楽しいなぁ」

ビュオォォォォッ

アルミン「うー、寒っ。吹雪が強くないぞこりゃあ!」

ユミル「飛ばされんなよ?クリスタ」

クリスタ「飛ばされないよ!」

ジャン「くっ、目の前も見にくくなって来たな。お前ら、なるべく固まって動けよ。こんなとこではぐれたら危ない…」

コニー「うひゃ~、雪がスゲー!!」ザック ザック

サシャ「んん…ここの雪の味もなかなか」モシャモシャ

クリスタ「…?美味しいかな?」モシャモシャ

アルミン「お、あそこの水溜まりに氷が張ってる!スケートしよう!」

ジャン「聞いてんのかお前ら!?」

訂正

強くない→強い

アルミン「まぁまぁ、そう固くならないのっ!」

ジャン「せめて吹雪が止んでからやれ!!」

コニー「え、じゃあ落ち着いたらいいのか?」

サシャ「吹雪止んだら雪だるま作りたーい!」

ジャン「ああもう、勝手にしろ…とにかく今はちゃんとついてこい」

クリスタ「ジャンって優しいんだね!」


アルミン「…」

ユミル「アルミン…お前、遊んでるフリして何かを見に行ったな?」

アルミン「! さすがユミルだ、よく見てるね。まぁ、遊びたかったのも本心だけど」

ユミル「……。で、何を見てた?」

アルミン「なんかそっちから…一瞬人影が見えた気がしたんだ。今もどこかで誰かが見てる気がする」

ユミル「…嫌な予感がするな」

アルミン「うん、僕も嫌な予感がビンビンするよ」

ユミル「…」


ユミル「寒いな~クリスタ!引っ付いて行こうぜ!」ダキッ

クリスタ「わ!ちょっとユミル苦しい!」ギュウゥ

ユミル「いいだろ、寒いんだから。離れるなよ」

クリスタ「もう…」


アルミン「よし、サシャとコニーも…ちゃんとジャンに言われた通り固まって動くんだよ!」

サシャ・コニー「ラジャー!」

アルミン「ジャン、吹雪が弱まったら早めに行こう」

ジャン「あぁ、そうだな。止んでるうちに早めに行かんとまた吹雪が吹くかも知れねぇからな」

アルミン「いや、そうじゃない。嫌な予感がするんだ」

ジャン「…なんだと?」

1班

ミカサ「う~…手足が冷たくて痛い…」

マルコ「大丈夫かい?ミカサ」

エレン「ずっと雪ん中歩いてるからな…まだ歩けるか?」

ミカサ「うん、頑張る」

ライナー「しかし…全然吹雪が止まんな。この寒さはキツいぞ」

ベルトルト「そうだね……ん?あれは」

アニ「…あんなとこに小屋がある」

ライナー「どうする、いったんあそこで休むか?」

ミカサ「ま、まだ行ける…」

エレン「いや、休める時に休もう。無理すればいいってもんじゃない」

ミカサ「…うん」

ライナー「よし、じゃあ行くか。坂になってるから滑るなよ」

ベルトルト「わあっ!!?」ズルンッ
ベシャアッ

ベルトルト「…」

エレン「ベルトルトーーー!!?」

アニ「何してんのあんた…」

ライナー「滑るなって言っただろうが…」

ベルトルト「…」

続き来てたか!乙乙

――小屋

ガチャッ

ミカサ「ふう、暖かい…」

エレン「火が付けてある。教官が休憩の為に用意してくれたのか?」

マルコ「でも、そんな話は聞いてないよね」

ライナー「ま、ゆっくり休めそうでいいじゃないか。座ろう」

ミカサ「う~、手足が痒い…」

アニ「うわ、霜焼けになってるじゃないか」

ミカサ「雪は好きなんだけど…寒いのは苦手」

エレン「ほら…暖かくしとけよ」

ミカサ「うん」

ザッ ザッ

ベルトルト「!誰か来るよ」

ライナー「…教官か?

ガチャッ


憲兵「やぁ、訓練兵の諸君…こんな雪の中大変だね」

アニ「憲兵?」

マルコ「あの…憲兵団の方がどうしてここに」

憲兵「雪山の訓練ってのはやはり事故に合う可能性も高いだろ?もしもの時の為にすぐに救助できるよう我々憲兵団が見回りをする事になっているのさ」

エレン「へぇ、初めて知りました」

憲兵「ここの小屋も我々が管理している場所なんだ、訓練兵の休憩用に使われている。さぁ、これを飲んで温まりなさい」

ミカサ「わぁ!いただきます」

エレン「ありがとうございます」

ライナー「…」

憲兵「じゃあ私は隣の部屋に行くよ」

ライナー「なぁ…ちょっと待ってくれ」

ミカサ「美味しい…」ゴクゴク

ライナー「待てって言ってるだろ!!」

ミカサ「!?」ビクッ

エレン「なんだよ、俺も飲んじゃったぞ」

マルコ「いや~体が温まるね」

アニ「そんなデカイ声出してどうしたのさ」ゴクゴク

ベルトルト「…」チビチビ

ライナー「…あのな…お前ら、何か変だと思わないのか?」

エレン「憲兵団の事か?ライナーの気にしすぎだろ」

ライナー「こんな話、教官からは聞かされなかっただろ。だいたい本当に憲兵団が雪山の見回りを任されてるのか?それなら教官方でもいいんじゃないか?」

マルコ「でもさ、憲兵団が何か企んでるとしても…何をしようとしてるのさ。僕達はただの訓練兵だよ?」

エレン「マルコの言う通りだ。ただの訓練兵に何かしようなんて思わねぇだろ、ライナーの気にしすぎだよ」

ライナー「…そうか、気にしすぎか……そうだよな」ゴクゴク

ミカサ「んん…何か眠くなってきた…」コクッ コクッ

ライナー「!!」

エレン「暖かいからか…俺も眠くなってきたな…」

マルコ「はは…ちょっとだけなら寝てもバレないよ…」

アニ「………Zzz…」

ライナー(うっ、俺も眠気が…!?)グラッ


ガチャッ

憲兵「…よし、全員寝たな」

憲兵2「連れて帰るぞ」

ライナー「おい…」フラッ

憲兵「!!」

ライナー「お前ら…飲み物に睡眠薬を入れたな?何を企んでいる…」

憲兵2「こいつ…自分の腕にブレードを刺して痛みで眠気を抑えてやがる!!」

ベルトルト「ライナー、そんな事して大丈夫なのか!?」

ライナー「うわっ!!ベルトルト起きてたのか!?」

ベルトルト「あぁ、チビチビ飲んでたから効果は薄くてすんだ。ちょっと眠いけど」

ライナー「ほう…お前も警戒していたんだな」

ベルトルト「いや、チビチビ飲むのが好きなだけだ」

ライナー「…そうか」

ライナー「まぁいい。それより貴様ら、こんな事をしてどういうつもりだ」

憲兵「うるさい、我々が用があるのはエレン・イェーガーだ」

憲兵2「王からの命令なのだ。貴様らは大人しく寝ていろ!」

ベルトルト「…ライナー、こいつらは」

ライナー「ああ、中央第一憲兵団だ」

ライナー(そして、エレンが狙いか…一年前に見せたあの力を求めているのだろうな)

ライナー「そうはさせんぞ!!」ダッ

ベルトルト「お前たちにエレンは渡さない!」(エレンは僕らの故郷に連れていかなきゃならないんだ!)

ライナー「っらぁっ!!」ドゴォッ

中央憲兵「ぐおっ!?なんてタックルだ!」

中央憲兵2「まるで鎧の巨人だ!」

ライナー「うるさい!」

ベルトルト「ウオォッ!!」ドゴォンッ

中央憲兵「ぐおっ!?なんて蹴りだ!」

中央憲兵2「まるで超大型巨人だ!」

ベルトルト「それは言うな!!」ドゴォッ

中央憲兵2「まるで鎧の巨人だ!」
ライナー「うるさい!」

うるさいww

ベルトルト「訓練兵だからといって甘く見るな!!」ブオンッ

中央憲兵「ぐあっ!!」ドサッ

ライナー「よし、抑えた!!」グッ

中央憲兵2「くそ…こいつら強い……」

アニ「ぐぅぅ……ん…あ、あ!?」パチッ

ベルトルト「アニ、目が覚めたか!?」

中央憲兵「なに、強力な睡眠薬だぞ!?」

ライナー(巨人の力のおかげで回復が早いのか…)

エレン「ん…おっ!?なんだこりゃ!?」ガバッ

ライナー「エレン!」

ベルトルト「こいつらは君を狙ってる!」

エレン「なんだと!?」

ライナー(しかし、エレンも目覚めるのが早いとは………まさか、な…)

中央憲兵「くく…調子に乗るなよガキ共。ここにいるのが我々だけだと思ったか?」

ライナー「なに?」

ガタンッ!!

中央憲兵3「動くな、この女がどうなってもいいのか!?」ジャキッ

ミカサ「すー……すー…」

アニ「はっ、ミカサ!!」

エレン「しまった、気がつかなかった!!」

ライナー「ちっ、卑怯だぞ!!」

中央憲兵3「エレン・イェーガー…大人しくついてくるんだ」

ベルトルト「エレン、行ってはダメだ!!」

エレン「…俺が行けば、ミカサを解放してくれるか?」

中央憲兵3「いや、貴様が途中で何かやらないように人質としてこちらが預かる」

アニ「何だと!?」

中央憲兵3「だが、大人しく我々に従うなら傷をつけるような事はしない」

エレン「……そうか、わかった。行こう」

ベルトルト「!!」

ライナー「くそっ…」ダッ

中央憲兵「動くなと言われただろう!?」ドカッ

ライナー「ぐあっ!?」

中央憲兵2「仲間が人質に取られたくらいで動揺するとは、所詮子供だな」ガシッ

アニ「いたっ!」ドサッ

ベルトルト「…くそっ…」

エレン「…大人しくついてくから、皆を傷つけないでくれ」

中央憲兵3「さて、行くか。ガキ共はまだ動くなよ?この女があの世に行っちまうぞ」ジャキッ

ミカサ「すー…すー…」

ライナー「…くそっ……ちくしょうっ!!!」

エレン(すまない皆…だが俺だってただ大人しく捕まっているつもりはない)

エレン(そしてきっとアルミンが…来てくれるはずだ)

ベルトルト「…」

アニ「ミカサとエレンが…連れていかれてしまった…」

ライナー「…ちくしょう…」

中央憲兵「ははは、残念だったな、ガキ共!」

中央憲兵2「…大人しくついてくるからお前らには傷をつけるなとは言われたが、俺はお前たちを見逃すつもりはない」

ライナー「…」

中央憲兵「ああ、お前たちから受けた痛み…百倍にして返してやる。あの世で後悔するんだな!!」ジャキッ

ライナー「…お前ら…あまり調子に乗るなよ…」ザッ

中央憲兵「!!」

ライナー「子供一人を拐うためにあのような卑怯な真似を……どこまで腐っていやがる」シュウウゥゥゥ

中央憲兵「な、なんだ…こいつ…」

中央憲兵2「腕のケガが…再生している!?」

ライナー「兵士として…貴様らを見逃す訳にはいかん」

ベルトルト「…!!兵士!?ライナー、君は…」

―――2班

ザッ ザッ

ジャン「だいぶ吹雪もマシになって来たな」

アルミン「うん、歩くスピードを早くしよう。レッツ早歩きタイムだ!!」

コニー「アルミンはたまによくわからねぇ言葉を使うな!」

アルミン「天才だからね!!」フラッ

アルミン「…ありゃ?」ガクッ

ジャン「おい、どうした!?」

クリスタ「ちょっとアルミン!急に座り込んで大丈夫!?」ダダッ

アルミン「はぁ…体が弱いのが祟ったかな……フラフラしてきたよ…」

クリスタ「うわっ、凄い熱じゃない!!」

アルミン「知恵熱って奴かな?ははは」

ジャン「冗談言ってる場合じゃねぇだろ。何かさっきから大人しいと思ったら……」

アルミン「でも、立ち止まる訳には行かない……さっきから嫌な予感もするし」

ジャン「…最初に言ってた奴の事か?」

アルミン「いや、また別の嫌な予感をビンビン感じる」

サシャ「はい、実は私もさっきから胸騒ぎが…」

ジャン「…そうか、わかった。とりあえずお前は無理はするな。何かあれば俺達に任せろ」

アルミン「そうさせて貰うよ」

サシャ「…!」ピクッ

コニー「どうした、サシャ」

サシャ「後ろから三人くらいの…足音がします」

アルミン「むむ…吹雪が弱まったからついに来たか?」

サシャ「うっ!前からも…!」

アルミン「…僕らを囲む気だね」

ジャン「お前ら、固まれ」

ザッ ザッ ザッ

中央憲兵「…お前たちは包囲されている。そこを動くな」

中央憲兵「無駄な抵抗はするなよ?」ジャキッ

コニー「憲兵団!?」

ユミル「いや…あれは、中央第一憲兵団だ」

ジャン「なんだ…そりゃ」

アルミン「ずっとつけてたのはわかってたよ。こんなタイミングで僕の体が不調になったのは誤算だったけどね」

クリスタ「…」

中央憲兵「クリスタ…いや、ヒストリアを大人しく我々に渡せ」

ジャン「何だと」

アルミン「やっぱり狙いはそれか」

クリスタ「……はあ……」





クリスタ「ざっけんなじゃないわよっ!!!」ドンッ

中央憲兵「!?」ビクッ

クリスタ「大人しく捕まると思ったら大間違いだかんね!バーカ!アホー!」

中央憲兵「な、なんだこいつ…」

中央憲兵「聞いてた性格と違うぞ!!」

クリスタ「このヒストリア・レイス……壁教、レイス家、王政をぶっ潰す為にこの一年、ずっと訓練を必死にやって来た!!」ジャキッ

中央憲兵「ふん、小娘ごときが調子に乗るな!!」

クリスタ「サシャ、コニー!やるよ、合体攻撃だ!!」ダダッ

サシャ「はい!」ダダッ

コニー「俺達の友情パワー、見せてやる!!」ダダッ

中央憲兵「動くなっつてんだろうが!!」ジャキッ

クリスタ「うるせぇっ!!!」バシュッ

サシャ「はあっ!」バシュッ

コニー「とりゃっ!」バシュッ

ギュン ギュンギュンギュンギュン!!!

中央憲兵「うっ、立体機動装置を使ってきた!」

コニー「お~らおらー!!」ギュンギュンギュン

中央憲兵「うわ、なんだこいつの動きは!!」

中央憲兵「ええい、うろちょろと鬱陶しい!!」

クリスタ「サシャ!いいね!」

サシャ「OKです!!」

ギューンッ

バシンッ バシンッ!!

中央憲兵「ぎゃっ!」
中央憲兵「ぐあっ!」

中央憲兵「くそっ、こいつら…」


アルミン「コニーの小回りのきく立体機動で相手を撹乱した後にサシャとクリスタの素早い立体機動で瞬時に目標を攻撃する…いつ見ても素晴らしい連携プレーだ!!」

ジャン「ちなみにクリスタに立体機動教えたのは俺だ」

中央憲兵「くそっ、こうなれば誰かを人質にして…」

ユミル「やらせるかよ」ドカッ

中央憲兵「痛い!」

ジャン「ふんっ!!」グオンッ

中央憲兵「うあっ!」ドサッ

ジャン(…エレンの野郎に勝つために覚えた格闘術がこんな所で役に立つとはな)

ユミル「クリスタ、こいつらは私に任せ…」

クリスタ「こっちは終わった!!」

中央憲兵「…」チーンッ

ユミル「早いな!?」

クリスタ「へへ、これくらい余裕だよユミル!」

アルミン「さすがだねクリスタ!かっこよかったよ!!」

クリスタ「アルミンの方がかっこいいよもうっ!!//」

サシャ「いえ、クリスタもかっこよかったです!!」

クリスタ「恥ずかしいよもうっ!!//」

ユミル「とりあえずここは片付けたな」

アルミン「うん…でも次がまた来るかも知れない。早く行こう……グォッホ!!ゴホッゴホッ!!」

ジャン「大丈夫かよおい!!いったんアルミンをどこかで休ませるか?」

アルミン「いや、天才頭脳の僕は風邪ごときに負けやしない!気にせず先に進めッホッゴホッグォッホ!!」

ジャン「ああ、もう無理に喋るな!!」

クリスタ「私がアルミンを背負っていくよ!」グッ

クリスタ「あー、重たい!!」ズシッ

アルミン「クリスタ……揺らさないでくれ…」

クリスタ「ううう!持ち上がらない~~!!」グググッ

ジャン「…俺が背負うよ、クリスタ」

ザッ ザッ ザッ

コニー「はぁ…足が痛くなってきたぜ…」

サシャ「さすがに歩きっぱなしは疲れますね、どこかで休みたいです…」

ジャン「とは言っても、休めるようなとこは無いぞ…」

クリスタ「ふう…ふう…」

ユミル「…」

ザッ ザッ

サシャ「あ、つり橋が見えてきましたね…地図に書いてある感じだと、あそこ越えたらそろそろ目的地に着きそうじゃないですか?」

コニー「お、早く行こうぜ!」ザッ ザッ

クリスタ「よっしゃー!」ザッザッ

アルミン「…待った!」

コニー「お!?」

アルミン「よく見てみなよ…このつり橋。ボロボロだ…雪も積もってるし。ここを僕らが一斉に渡ったら橋が壊れるかも知れない」

ジャン「本当だな…危ないところだった」

アルミン「一人ずつ渡ろう…最初は、僕から行くよ」ヨロッ

ジャン「大丈夫かよ、フラフラだぞ…」

アルミン「はは、橋渡るくらいなら大丈夫さ!」

ザッ…ザッ…

アルミン(うっ…まずい、本格的にクラクラしてきた…)

ジャン「…おい、本当に行けるのか?」

ズルッ

アルミン「うっ!」ドサッ

ジャン「っておい!?」

コニー「アルミン!」

アルミン(くそ…ボーとしてて滑ってしまった。ダメだ…立ち上がれない)

サシャ「アルミン…立ち上がれないんじゃないですか?早く助けに…」

ユミル「んな事したら一緒に落ちるぞ!!」

ジャン(くそっ、助けにいきたいが…ユミルの言う通り今、橋を歩けばアルミンと一緒に落ちちまう可能性がある)

クリスタ「…私が行く!」

ユミル「な!?よせ…」

クリスタ「私が一番軽いから…私なら、アルミンと橋の上にいても落ちないかも知れない!それに教官に伝えに行くとしたらここから遠回りしなきゃいけない…その間アルミンをこんな所に放置するのは危ないよ」

ジャン「確かに、そうだが…」

アルミン「わかった…クリスタ、君に任せた」

ユミル「…一緒に落ちちまったらどうすんだ?」

アルミン「…下には雪がたくさん積もってるから落ちてもクッションになると思うから、大丈夫だ…たぶん」

ユミル「たぶんか…」

クリスタ「じゃあ…行ってくる」

ジャン「…危ないと思ったらすぐに引き返せよ」

サシャ「クリスタ…」

ユミル(…いざとなれば…私が)

クリスタ「…」ギッ ギッ
クリスタ(歩くと何だかギシギシ聞こえる…怖いな…)

コニー「いっ、行けるんじゃねぇか!?」

ジャン「まだわからねぇよ…。クリスタ、焦るなよ!慎重に行け」

クリスタ「うん」

アルミン「……!」

ピシッ…ピシッ

アルミン「クリスタ、危ない!すぐ引き返せ!!」

クリスタ「え?」

ビシビシビシッ!!

サシャ「ああっ!!橋が!!」

コニー「壊れた!!?くそっ!」ザッザッ

アルミン「うわあっ!!!」ヒューン
クリスタ「アルミン!!!」ヒューン

ジャン「アルミン!!クリスタ!!」

ユミル「…ちっ!!」ザッ

ユミル「私が行くっ!!」

ジャン「ユミル!?行くって…」

ユミル「…っ!」バッ

コニー「ユミルが飛び降りた!?」

クリスタ「ユミル!?」

ユミル(…私は、バカだな…)ガリッ


カアッ!!!

―――雪山の頂上

教官「5班、7班、12班が到着しました」

キース「そうか…早いな。今年は優秀な者が多いようだ」

教官「はい」

キース「…しかし、私は1班と2班が一番早く来ると思っていたのだが…まだ来んな」

キース(まさか…何かあったのでは無いだろうな…)

キース「少し出てくる」ガタッ

教官「どこへ行くんですか?」

キース「様子を見にな…何事も無ければいいのだが」

―――

シュウゥゥゥゥ…

クリスタ「う…」

クリスタ「…っ!!?」

サシャ「う、嘘…」

コニー「ユミルが…」

ジャン(何だ…こりゃ、どういう事だ!?」


クリスタ「ユミル…」


ユミル巨人「…」

アルミン「はは、こいつぁビックリ仰天だね」

ユミル(くそっ、バカな事をした…こんな姿を見せちまった…)

クリスタ「…」

ユミル(クリスタも…皆も、私の事が怖くなっただろうな。もう一緒にはいられない…)


クリスタ「ユミル、ありがとう!!!」ダキッ

ユミル巨人「!?」

クリスタ「もうダメかと思った…助けてくれて、ありがとう!!」

サシャ「ユミルー!なんで巨人になってるのか知りませんがありがとうございます!!」

コニー「お前はいいブスだぜ!!」

ユミル巨人「!?」

ジャン(…まぁ、正体が何にしろ、悪い奴では無いだろうな…)

アルミン「ははは!信じてたよユミル!!」ビッ

ユミル巨人(こいつら…私が怖くないのかよ!?)

ユミル「待てーーっ!!!」ベリベリベリッ

ジャン(ユミルが出てきた)

ユミル「あのな…お前ら、普通そこは怯えたり騒いだりするところだろうが!?」

クリスタ「へ?」キョトン

ユミル「きょとんとすんな!!」

サシャ「まぁ、世の中には色々な人がいますからね」

コニー「おう、ちょっと違うからって迫害する方が問題あるぜ」

ユミル「お前らはいい奴だがちょっと馬鹿だ!!」

アルミン「まぁ、ユミルは何かしてくれると思ってたよ。君だけ周りより冷静だったからね、何かいざというときの為の手段があるんだとは思ってた!!巨人になるのは予想外だったけどね!!」

ユミル「台詞なげー!!」

アルミン「まぁ、ユミルは悪い人じゃないからね!怖がる必要もないし…」

ユミル「な…」

クリスタ「てか巨人から出てきたけど、乗り物みたいなものなの?ちょっと楽しそう」

ユミル「いや、お前…楽しそうはねぇだろ」

コニー「ん?つまり巨人はユミルの馬みたいなもんなのか?え?待て何で巨人なんだ?」

サシャ「馬は狩りの相棒です、大事にしなければいけませんよユミル」

ジャン「ちょっとお前ら黙ってろ…話が訳わからん方向に行ってる」

ジャン「ユミル…単刀直入に聞くぞ。お前は人類の敵か?味方か?」

ユミル「…」

クリスタ「ユミルは敵じゃないよ!!」

ジャン「お前には聞いてない」

ユミル「どっちでもねぇよ…私はただ自分の好きなように生きてるだけだ。そもそもな、この世界は敵だの味方だので分けれるほど単純なもんじゃ無いのさ」

ジャン「…お前は、この世界の謎を知ってるのか?」

ユミル「ああ、全部じゃないが知ってるよ…こっちにも都合があるから喋るつもりは無いがな」

コニー「えー、気になるな」

サシャ「気になりますよー」

ユミル「言わねぇよ!!」

ジャン「…そうか」

ユミル「で、どうするつもりだ?教官に報告するか?」

ジャン「いや、止めとく…黙っておくわ」

ユミル「はあ!?」

アルミン「まぁ、本人が喋るつもり無いのに報告しても意味ないからね」

ジャン「報告するのは…もう少しお前の様子を見てからでもいいだろ」

クリスタ「へへっ、私達だけの秘密って奴だね!!」

ユミル「…はぁ…甘い奴等だな、ったく」

アルミン「あ、そういえばユミル…1つ気になる事があるんだけど」

ユミル「あ?」

アルミン「やっぱり巨人って元は人間なのかな?そして君みたいに巨人になれる人間がいるとしたら…」

ユミル「…」

アルミン「スパイとして壁内に潜入してる奴もいるかも知れないね……」

ジャン「…それはあり得るな」

ユミル「そこまでは私も知らねぇよ、勝手に考えときな」

―――――
―――

ライナー「…ミカサ、エレンは俺達がもらって行く」

ミカサ「え…え?」オロオロ

ベルトルト「ついでにヒストリアもね」

アニ「今まで騙しててごめんね…ミカサ」

ミカサ「え?え?」オロオロ

ライナー「じゃあな」ガリッ

ミカサ「え…や…やだ…」

カアッ!!!


―――

ミカサ「うう……ん?」パチッ
ミカサ(…夢か……何だったんだろう今の夢…)

ミカサ「ん?」

中央憲兵「やっと起きたか」

ミカサ「え、おじさん誰!?」ビクッ

エレン「…すまねぇ…ミカサ」

ミカサ「エレン!」

中央憲兵「もうすぐ雪山から出る…そしたら中央まで来てもらうぞ」

ミカサ「え?なに…?」オロオロ

エレン「…ミカサ、そいつの目を塞げ!!」

ミカサ「うん、わかった!」バッ

中央憲兵「うわ!?やめ…」

エレン「隙ありだ!」ドゴッ

中央憲兵「ぐほっ!?」

エレン「簡単に捕まると思ったら大間違いだ!!」バキッ

中央憲兵2「いてっ!」

エレン「…うっ!!?」ザクッ

中央憲兵3「調子に乗るなよ…」シャキッ

ミカサ「エレン!!!」

エレン(くそっ…腕を一本持ってかれた…)

中央憲兵3「そのままでは出血多量で死んでしまうぞ、生きたければ我々についてこい」

エレン「誰が…ついていくかよ!」

中央憲兵「まだいうかこの!」ドカッバキッ

ミカサ「やめて!やめて!」

中央憲兵2「動くんじゃねぇ!!」ガシッ

中央憲兵3「腹立つガキだぜ、ボコボコにしたる!!」バキッドカッ

エレン「…」ボロッ

ミカサ「…ぐっ」


ミカサ「うあああああああああぁぁぁっ!!!」グルンッ

中央憲兵「ぐおお!?」
ベシャアッ

ミカサ「エレンを離せえええぇぇっ!!!」ダダダッ

中央憲兵2「このっ…」

バシュシュッ!!!

中央憲兵2「ぐはあっ!?」ドサッ

中央憲兵3「このガキ!!」シャキッ

バギュヒュヒュンッ!!!

中央憲兵3「つえぇっ!?」ドサッ

ミカサ「はぁ…はぁ…あれ?私にも…出来た……」

ミカサ「…エレン!」ダダダッ

エレン「…」

ミカサ(気絶してる……早く血を止めなきゃ…)オロオロ

ミカサ(…このマフラーで…)


ザッ ザッ ザッ

ミカサ「はぁ…はぁ…」

エレン「…」

ミカサ(エレン…全然目が覚めない…早く、皆のところに行かなきゃ…)

ビュオオオォォォッ!!

ミカサ「うう…また吹雪が強くなってきた…」ヨロッ

ミカサ「…あ…」ドサッ

エレン「…」

ミカサ(ダメだ…もう、立てない…さっきは何故か、あんなに力が出せたのに…)

ミカサ(意識がぼんやりしてきた……エレン…アルミン…みんな…)

―――

ライナー「おい、アルミン達じゃねぇか!!」

アルミン「ライナー!エレン達と同じ班だったよね?エレンとミカサは…」

アニ「…中央憲兵に捕まった…」

ジャン「何だと!?」

ベルトルト「すまない…」

クリスタ「早く追いかけよう!許さない!!」

アルミン「まぁ、落ち着こうみんな!!」

コニー「落ち着こうって言われてもよ、エレン達が何されるのか…」

アルミン「中央憲兵に捕まったという部分は特に心配してない、何とかして逃げるはずだから。僕はエレンもミカサも信頼しているからね!!親友だから!!」

サシャ「おお~!」

アルミン「ただ、僕がとても心配なのがその後だ」

ジャン「その後?」

アルミン「いくらエレンでも中央憲兵複数を相手にしたら無傷や軽傷じゃすまないと思う…最悪、重傷を負うかもしれない」

ジャン「…そうだな、それにこんな寒い中じゃ体力もすぐに無くなる」

アルミン「ああ、そしてエレンが動けない程の重傷を負った場合、動けるのはミカサだけになる。体力の無いミカサ一人でエレンを運ぶのは辛いだろう…吹雪も強くなってきてる」

ジャン「じゃあ、こんな呑気にしゃべってる暇はねえ、早くエレンとミカサを探しに行くぞ!」

アルミン「ああ、その前に地図を貸してくれ!」

クリスタ「はい」

アルミン「まず…中央憲兵が通るルートは恐らくここだろう。訓練に使われていないし、道も安全なルートだからね」

ライナー「なるほどな」

アルミン「だから、エレンやミカサもいるとしたらここだ!全速力でここまで行くぞ!!」

アニ「…エレンもミカサも大事な仲間だ。死なすわけにはいかないよ」

ライナー「ああ、必ず助けるぞ」

ベルトルト「…うん」

キース「お前たち、なにをしてる!?」ザッザッ

サシャ「あ、教官!!」

コニー「敬礼しねぇと敬礼!!」バッ

キース「逆だスプリンガー!」

クリスタ「コニー…」

キース「それより…ただ事では無さそうな雰囲気だな。何かあったのか!?」

アルミン「はい、詳しい話はまたします!恐らく…この雪山でエレンとミカサが遭難しています。今すぐ助けに行かなければいけません!!」

キース「この雪山は広いぞ…どこを探す?」

アルミン「二人がいると思われるルートはわかっています。教官も一緒に行きましょう!」

キース「わかった。お前たち急ぐぞ!」

―――

エレン「…う…」

ミカサ「…」

エレン「ミカサ…おい…ミカサ…」フラッ

ミカサ「…」

エレン「体が…冷たくなってる…目も覚めない…」

エレン「…ちくしょう…何が兵士だ…大事な人間一人も守れないなんて…」

ミカサ「…」

エレン(くそ…俺ももう…意識が…)

エレン(…お願いだ…ミカサを…ミカサを助けたい。ミカサを助ける力が…欲しい!!)



カアッ!!!!!

―――

アルミン「ついた…この辺のどこかにいるはずだ。恐らく遠くまで行ける体力は無い」

ジャン「しかし、吹雪も凄くて探しづらいな…」

キース「手分けして探すぞ。ブラウス、スプリンガー、ついてこい!」

アルミン「…僕はあっちにエレンとミカサがいそうな感じがする!!」ダダダッ

ライナー「おい、お前体調不良だろ!?走って大丈夫か!?」

アルミン「親友のピンチなんだ、んな事言ってる場合じゃない!!」ダダダッ

ジャン「そうだな、俺も行くぞ」

ライナー「…よし、俺もアルミンについていこう」

アニ「私もそうするよ、ベルトルトは?」

ベルトルト「…もちろん、僕も行くよ」


ザッザッザッ

アルミン「はぁ…はぁ…」フラフラ

ジャン「エレーン!ミカサー!」

アニ「返事が無いね、この辺りにはいないのかな?」

アルミン「…近くにいても返事ができない状態なのかも知れない」


ジャン「…!おい、アルミン!あれ見ろ!!」

アルミン「え?」

シュウウゥゥゥ…

アルミン「…煙?何の煙だ?」

ライナー(…あの煙は…まさか…)

アルミン「行ってみよう!」


ジャン「…この向こうだ…」

アルミン「はぁ…はぁ……なっ!?」

ジャン「は!?」

ライナー「…っ!!」

アルミン「なんじゃありゃ!!?」


シュウウゥゥゥ

エレン「…」

ミカサ「…」

ジャン「…エレンとミカサを何かが覆い被さるようにしてるが…」

アルミン「…これは…手か?巨人の…」

ジャン「は?なんで巨人の手がこんなとこにあるんだよ?」

アルミン「知らないよ…でも、明らかに人の手のような形だし、大きいし…高温だよ。触れても火傷しない程度だけど」

アニ「…エレンとミカサの様子は?」

アルミン「…大丈夫だ、体温もあるし息もしてる。この巨人の手の熱で凍死せずにすんだのだろう」

シュウウゥゥゥ…

アルミン「あ…消えてく…」

ジャン「…何なのかは分からなかったが…エレンとミカサが無事で良かった」

アルミン「…ん?エレンの周りについてる大量の血は何?」

ジャン「は?」

アルミン「ほら…エレンの周り血だらけなのに、エレンには傷1つついてないよ。この血のつき方は…相当な大怪我を負ってないとおかしいはずだ」

ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」

ミカサ「…う…」

アルミン「!ミカサ!」

ジャン「目が覚めたか!」

ライナー「もう大丈夫だぞ」

ミカサ「あ、みんな!」

アニ「エレンも無事だよ、さぁ戻ろう」

ミカサ「うん!………あれ?」

アルミン「どうした?ミカサ」

ミカサ「エレンの…切られた腕が、ある」

アルミン「え?」

ミカサ「あれ?エレンは腕を切られて…他にも傷だらけだったはず…」

ジャン「…」

ライナー「ま、まぁ、エレンには今、傷が全く無いんだし命に別状も無いんだ!!みんなも待ってる、早く戻ろうじゃないか!!」

ミカサ「うん」

アルミン「…」


ザッザッザッ

中央憲兵「見つけたぞ!」

ジャン「う…まだいたのか!?」

アルミン「こんな時に…めんどくさい奴等だなぁ」

中央憲兵「エレンを渡せー!!」ダダダッ

ミカサ「ひっ!?」ビクッ

バシーーンッ!!!

中央憲兵「ぐふぁっ!!?」ドサッ

アニ「…ふざけんじゃないよ。大人しく帰りな」ザッ

ミカサ「アニ!ありがとう」

中央憲兵「我々の邪魔をするなあっ!!」

ライナー「邪魔なのはテメーらだ!!!」ドゴフッ

中央憲兵「いたい!」

ジャン「すげえ…やっぱりあいつら強いな。頼りになるぜ」

アルミン「早く行こう、僕ももう頭がクラクラして限界だよ」


中央憲兵「行かせん!!エレンを渡せ!!」
中央憲兵「エレンは我々のものだ!!」

アルミン「まーたゾロゾロ来たぞ!!」

ジャン「本当にめんどくさい奴等だな…」

ミカサ「エレンエレン気持ち悪い」


「待てえ!!!!!」

中央憲兵「!?」

アルミン「この声は!!」

キース「中央第一憲兵団…だったか?私の教え子達に何をするつもりだ?」ゴゴゴゴゴゴ

ミカサ「キース教官!!」

中央憲兵「何だ貴様は、我々の邪魔をするのか!?」
中央憲兵「ハゲの癖に!!」

キース「…」

キース「お前たち、あいつらは私に任せろ。五秒で片付けてやる」ゴゴゴゴゴゴ

アルミン「頼りになります教官!!」

ジャン(ハゲって言われたのにキレたな)

中央憲兵「あんなハゲ一人に怯むなー!!」ダダダッ

キース「…私を舐めるなよ、元調査兵団団長の実力を!!」バシュッ


シュバババババッ!!!

「ぎゃーっ!」
「つえー!」

ジャン「すげえ…教官あんなに強かったんだな」

アルミン「そりゃ教官だからね」


―――そして、数時間後エレンは目を覚ました…
みんなはエレンとミカサの無事を泣いて喜んだ。

中央憲兵もキース教官が追い払ってくれたお陰でもう来なくなった。
僕の体調不良も治ったし、これで一件落着だ!!!

―――

ベルトルト「…」

ライナー「…」

アニ「…」

ライナー「たぶん、エレンは…巨人だろうな」

ベルトルト「うん、あのときに見たものも巨人の力だろう」

アニ「…じゃあ、エレンはやはり連れて帰るべきだね」

ライナー「ああ、そうだ。それに、エレンさえ連れて帰れば…もう壁を壊す必要も無いんだ」

ベルトルト「…ライナーもアニも、出来るの?同期たちと必要以上に仲良くなってるけど…僕らは皆を裏切らなきゃいけないんだ」

ライナー「…ああ、大丈夫だ。俺達は戦士だ」

アニ「ちゃんと使命は全うするよ」

ライナー「それに…壁を壊す事に比べたら、エレンとクリスタを連れ去る方がマシだ」

ベルトルト「…明日、エレンとクリスタを拐おう」

アニ「え!?」

ライナー「さすがに明日は…急じゃないか?」

ベルトルト「…これ以上ここにいたらいけないんだ。皆に、情が移ってしまう……僕ももう、今、自分が戦士である事に疑問を抱きはじめてしまっている」

ライナー「…」

ベルトルト「このままじゃ駄目だ。今の内に…行動を実行しよう、完全に情が移ってしまったら二度と戦士に戻れない」

アニ「そうだね…あんたの言う通りだよ」

ライナー「わかった。明日の昼…やるぞ。最悪、同期達とも戦わなくてはいけない…覚悟はいな?」

ベルトルト「ああ」

アニ「…うん」

アルミン「おーーい、そこの三人組ー!!」

ライナー「!!アルミン!?」ビクッ

コニー「探してたんだぜー、こっち来いよ!」

アルミン「実はこれから皆で焼き芋食べないかって話になってね!」

アニ「焼き芋?」

アルミン「うん、ミカサとサシャが散歩してたら近くの農家さんから芋を分けてもらったらしいんだ!!」

コニー「今日はせっかくの休みなんだから皆で食おうぜ!!」

ライナー「そうだな…俺達も食おうか」

ベルトルト「うん…今日くらい、最後の思い出を作るのもいいよね」

アニ「…さぁ、行こう」


パチパチパチパチ…

サシャ「うほーー、焼けてきましたよ、お芋お芋!!」

クリスタ「早く食べたい早く食べたい!!」

ミカサ「そろそろいいかな……味見してみて」

サシャ「任せてください!!モグモグモグモグ!!ゴクン!!美味しいです!!」

ミカサ「ありがとうサシャ。はい、エレンとアルミン」

エレン「おう、美味そうだな…

ミカサ「アニも」

アニ「ありがとう」

アルミン「僕はもう少し焼いてから食べよう…焦げ目があと二ミリくらい足りないし、もう0、5秒くらいかな?…ん、この芋…僕の好みの体積より少し小さいけど、仕方ないか」

コニー「よくわかんねぇけど凄いこだわりだなアルミン!!」

アルミン「はい、コニーとクリスタの分だ!!」

コニー「こいつはうめぇ!!」モグモグ

クリスタ「んんん…生きてて良かった…」モグモグ

アルミン「ははは、幸せそうないい食いっぷりだね!」

クリスタ「ユミルもこっち来なよー!お芋焼けたよ~!」

ユミル「おう、貰おうか」

アルミン「へい!ジャン、パス!!」ポイッ

ジャン「うわ、投げんなよコラ!」パシッ

アルミン「ナイスキャッチだ!」

エレン「なんかアルミンとジャン仲良くなってるな!」

アルミン「ははは、雪山ではお世話になったからね!!」

ジャン「最初は気持ち悪い奴だと思ってたが意外と良い奴だったぜ。お前とは違ってな」

エレン「何でお前、俺にはそんな態度なんだよ!?アルミンと友達になったなら俺とも友達になれよ!!」

ジャン「うるせぇ、お前は羨ましいんだよちくしょう!!」

エレン「はあぁっ!?」

ミカサ「あ、あの…喧嘩は、よくない…仲良くしよう?」オロオロ

ジャン「お、おう…そうだな…」

エレン「何でミカサに言われたら静かになるんだよ!?」

アルミン「まぁまぁ、ミカサの言う通り仲良くしよう。せっかくの芋も不味くなっちゃうよ」

ジャン「…悪かったなエレン、変に突っ掛かって」

エレン「いいよ、終わった事だ」

アルミン「ミカサが好きとは言っても、今の態度はさすがに情けないよジャン」

ジャン「うっ…わかってるよ……」

アルミン「まぁ、僕もジャンにミカサ渡す気は無いけどね!!」

ジャン「」

アルミン「エレンもミカサも親友であり兄妹みたいなものさ!僕が認める男まで成長しなきゃ任せられないよ!?」

ジャン「くっそ、わかったぜ!いつかテメーにお義兄さんと呼ばせてやる!」

アルミン「望むところだ!!」

エレン「何言ってんだお前らは…」

ミカサ「仲が良くていい事」

エレン「ほらよ、芋だ。ライナー、ベルトルト」

ベルトルト「うん、ありがとう」

ライナー「美味いな、いい焼き加減だ」モグモグ

コニー「…もうすぐ今年も終わりか…」

サシャ「そして来年は訓練生最後の年ですね」

クリスタ「来年が終わったら訓練生も卒業……何だか寂しいね」

ライナー「ああ…そうだな、こんな日がいつまでも続けば…」

ベルトルト「…」

コニー「なぁ、来年訓練生卒業できたらよ、また皆で焼き芋食べようぜ!」

サシャ「それはいいです、是非やりましょう!」

クリスタ「…ライナーもベルトルトもどうしたの?ちょっと暗い感じだけど」

ベルトルト「え?いや…来年で訓練生卒業かと思うと…寂しくてね、ははは」

ライナー「ああ、心配するな」

エレン「暗い顔せず、もっと楽しもうぜ」

ライナー「そうだな、すまん。もっと食おうか!」

アルミン「訓練生を卒業しても…皆で、大人になるまで生きのびようね!!!」

エレン「おう!!」

クリスタ「もちろんだよ!!!」

ライナー「…だから、死ぬんじゃないぞ、お前ら…」

ベルトルト「…」

ベルトルト(迷ってはダメだ…僕は戦士なんだ…)


アニ「…」

ミカサ「アニ、元気が無いけど…」

アニ「私はいつもこんな感じでしょ?」

ミカサ「いや…何だか悲しそうな顔してる…」

アニ「…」

ミカサ「その…何か辛い事があれば言ってね……友達、だから」

アニ「………ありがとう」

―――翌日 昼


アルミン「ふー、今日も食った食った!」

エレン「さて…ちょっと裏の広場に行ってくる」

アルミン「僕は読書だ!書物を読むと書いて読書だ!」

コニー「アルミン頭いいんだな!!」

アルミン「…ん、待ってエレン。裏の広場に何しに行くの?」

エレン「ライナーとベルトルトに呼ばれてるんだ。俺に話があるって」

アルミン「恋の相談かな?」

エレン「ははは、んな訳ねぇだろ!じゃあ行ってくる」

クリスタ「…」ザッザッ

アルミン「!クリスタもどこに行くんだい?」

クリスタ「アルミン、実はアニに話があるって呼ばれてて…」

アルミン「…ふ~ん…」

クリスタ「あ、次の座学、わからないとこあるから教えてね!!」

アルミン「おう、OKだよ!」

クリスタ「またね~」


アルミン「…エレンとクリスタに用があるのか…」

―――

ザッ ザッ

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」

クリスタ「あ、エレン」

エレン「クリスタ?」


ライナー「これで揃ったな…」

アニ「…悪いね」

エレン「おいおい、なんだ?そんな難しい顔してどうしたんだよお前ら」

クリスタ「話って何?」

ベルトルト「…ああ、落ち着いて聞いてくれ」

エレン「落ち着いてるよ」

クリスタ「三人の方が様子おかしいよ」

ライナー「…」

ライナー「俺達は…あの日、壁を破壊して人類への攻撃を始めた」

アニ「!?」

ベルトルト(ライナー!?いきなりそんな話を始めるなんて…)

ライナー「俺が鎧の巨人で、こいつが超大型巨人って奴だ」

ベルトルト「な…何を言っているんだライナー…」

アニ(馬鹿…その前にもっと話す事があるじゃないか!)

エレン「…は!?」

クリスタ「ふあっ!?」

ライナー「俺達の目的はこの人類すべてに消えてもらうことだったんだ…が、そうする必要は無くなった。お前達が一緒に来てくれるならもう壁を壊したりしなくていいんだ、わかるだろ?」

エレン「いや、全然わかんねぇぞ!?」

クリスタ「なにそれ、新手のプロポーズ!?」

ライナー「…とにかく、俺達と一緒に来てくれって言ってんだよ。急な話ですまんが今からだ」

エレン「どこに行くんだよ!?」

クリスタ「ちょっと、プロポーズにしても強引すぎるわ!!」

ライナー「どこに行くのかは言えん…だが、俺達の故郷ってやつだな」

ライナー「悪い話じゃないだろ?ひとまず危機が去るんだからな」

エレン(…参ったな…意味わからなすぎて頭が限界なんだが…)

クリスタ「その、ライナー…求婚するのはいいけど、エレンは男だよ?あ、そういうのがダメって訳じゃないけど…」

エレン(クリスタは何か勘違いしてるし)

エレン「…お前さぁ、疲れてんだよ」

ライナー「!!」

エレン「なぁ?こうなってもおかしくないくらい大変だったんだろ?」

アニ「…!?」

ベルトルト「あ、ああ…そうだよ、ライナーは疲れてるんだ!!」

エレン「だいたいなぁ…お前が本当に鎧の巨人なら、何でそんな相談を俺にしなくちゃなんねぇんだ。そんな事言われて素直に行く訳がねぇだろ」

クリスタ「うん、そうだよね…」

ライナー「…っ!!」

ライナー「そうか…その通りだよな…何を考えてるんだ俺は…本当におかしくなっちまったのか?」

クリスタ「…ライナー?」

アルミン「…やっぱり、君たちは巨人だったんだね」ザッ

ベルトルト「!」

エレン「アルミン!」

クリスタ「いたの!?」

アルミン「ライナー、アニ、ベルトルト…本当はとっくに勘づいてたよ…でも、信じたくなかった」

エレン「…え…」

アニ「…気づいてたなら、何でなにもしなかったの?」

アルミン「君たちの顔に罪悪感や反省や後悔の念を感じたからだ。自分の罪を認めてる人間に何かしてやろうと思えるほど僕は傲慢じゃないからね」

ライナー「…」

アルミン「だから…きっと三人は何もしないと信じて何も手を出さなかった。でも、こんな事になるなんてね…」

アニ「私だって…本当は、こんな事…」

ザッザッザッ

ミカサ「ねえ、三人とも…嘘だよね?冗談だよね?」

コニー「俺はそんなの信じないぞ!俺達は…仲間だよな!?」

サシャ「私は…あなたたちと戦いたくありません!!」

ジャン「たぶんお前らが巨人なのは本当なんだろうが…敵になるのは、やめてくれ」


ライナー「…」

クリスタ「私も…三人を仲間として信頼してたよ!こんなのやめようよ!!」

ライナー「…きっと、ここに長く居すぎてしまったんだな。バカな奴等に囲まれて暮らしてきたせいだ」

エレン「!」

ライナー「俺達は…ガキで、何も知らなかったんだよ。こんな奴等がいるなんて知らずにいれば…俺は…こんな半端なクソ野郎にならずにすんだのに」

エレン「…」

クリスタ「ライナー?」

アニ「…」

ベルトルト「…」

ライナー「もう俺には…何が正しいことなのかわからん…。ただ…俺がすべきことは、自分のした行いや結果に対し…」


ライナー「戦士として、最後まで責任を果たすことだ」

エレン「…!!」
クリスタ「…!!」

アルミン「!!!」


アニ「…ライナー…」

ベルトルト「やるんだな!?今…ここで!!」

ライナー「ああ!!勝負は今!!ここで決める!!」ザッ


アルミン「エレン!クリスタ!逃げろっ!!!」


カアッ!!!!!!



鎧の巨人「…」ゴオオォォォォ

女型の巨人「…」ゴオオォォォォ

超大型巨人「…」ゴオオォォォォ


エレン「う…嘘だろ、お前ら…」

アルミン「エレン!何してるんだ走れ!」ガシッ

ミカサ「え?え?」オロオロ

アルミン「ミカサ!気持ちは分かるけどオロオロしてる場合じゃないだろ!」

クリスタ「アルミン、どうしよう!?」

アルミン「ここまで来たら戦うしかない!!まずは教官に報告し駐屯兵団や憲兵団にも来てもらう!あと立体機動装置を持って来よう!!」

ジャン「…だが…アルミン。他の兵団が来るまでは俺達が時間稼ぎするしかない。訓練兵がまともに奴等の相手なんか出来るか?」

アルミン「大丈夫だ!僕の予感が正しければなんとかなる!!」

ジャン「なに!?」


女型の巨人「…」ズドドドドドッ!!

サシャ「ひっ、走って来ましたよ!!?」

コニー「こえーよ!!」

エレン「くそ…お前ら、裏切るなんて……いい加減にしろよ!!」ザッ

アルミン「あ、エレン!やる気モードになったのはいいが丸腰だぞ!!」

女型の巨人「…」ズドドドドドッ

ミカサ「アニ、待って!」タッタッ

エレン「ミカサ、危ないから前に出るな!!」

女型の巨人「…っ!!」ピタァッ

ミカサ「アニ…やめて!」

ミカサ「ばかっ、ばかっ、こんなのやだよ!」ペチペチ

エレン「お…おい、ミカサ、離れろ!!」

女型「…」

ジャン「アニの奴…止まったぞ…」

アルミン「やっぱりだ………ライナー達は、僕らをころす事ができない!!」

クリスタ「!!」

アルミン「ミカサがああやって真近くまで来てしまったら…下手したら動いただけで潰してしまうかも知れない。それが怖いからアニは動く事ができない」

クリスタ「そうか……つまり…」

アルミン「僕らからライナー達に突っ込めば勝機はある!!潰してしまうかもしれない事を気にしてあの三人の動きは鈍くなるはずだ!!!」

ジャン「なるほどな…だが、そういう感情をついた戦法はちょっと罪悪感もあるな」

クリスタ「仕方ないよ、それしか私たちが戦う方法は無い」

アニ(…ごめんね、ミカサ。でも、私の邪魔はするんじゃないよ)

女型「…」ツマミ

ミカサ「わっ!?」

女型「…」ポイッ

ミカサ「きゃっ!」ペタンッ

アルミン「ああ!ミカサが摘ままれて優しく投げられた!」

ミカサ「うう…お尻痛い…」サスサス

鎧「…」ドシンドシンドシン

アルミン「ライナーも来たか!エレン、クリスタ、捕まらないように踏ん張れよ!」

エレン「おお!」
クリスタ「もちろんだよ!」

ユミル「おい、お前ら、立体機動装置だ!」

クリスタ「おう、さっすがユミル!!」

アルミン「よし、全員立体機動装置を装備しろ!!!」

エレン「やってやろうぜ…奴等を巨人の中から引きずり出してやる…!」

ミカサ「わ、私もいく!」カチャカチャ

ジャン「ふう…恐ろしいが…やるしかないか」

アルミン「超大型巨人は動かない様子だ…でも何をしてくるかわからない。ベルトルトに警戒しつつアニとライナーに攻撃を仕掛ける!!」

クリスタ「了解!!行くぞ、ユミル!サシャ、コニー!私達の連携プレーを見せてやれ!」バシュッ

サシャ・コニー「応っ!!!」バシュッ

ユミル「おい、突っ込むな!」

クリスタ「アルミン!鎧の巨人は私達に任せて!!」

アルミン「わかった!気を付けろよクリスタ!」

クリスタ「アルミンこそね!」

アルミン「よし、僕とエレン、ミカサ、ジャンでアニの相手だ!」

エレン「ああ、何で俺を狙ってんのか知らねぇが…ただでは捕まらねぇぞ!」

ミカサ「エレン、前に出過ぎないでね!」

エレン「お前がな!」

ジャン「おい、来たぞ!!」

女型「…」ズドドドドドッ

ジャン「俺が女型に突っ込む…その隙に足を削いでくれ!!」

エレン「任せろ!気を付けろよ!」

ジャン「はっ、エレンこそ捕まんなよ」バシュッ

ジャン「アニ…行くぞ」ギュイィィィッ

女型「…!」ブンッ ブンッ

ジャン「そんな鈍いパンチが当たるか!!」サッ

ジャン(アルミンの言った通りだな…攻撃を躊躇してる感じだ。簡単に潰れちまうからな)


アルミン「よし、今だ!エレン、ミカサ!」ギュイィィィッ

エレン「全力で行くぞ!!」ギュイィィィッ

ミカサ「やーっ!」ギュイィィィッ

女型「…!」グオンッ

ズシャアアアァァァッ

エレン「うわあっ!?」

アルミン「くそっ、地面を蹴って砂を飛ばして来たか!!」

ミカサ「目に砂が…」

女型「…」ポイッ

ジャン「いてっ、ケツが!」ペタンッ

女型「…」ズドドドドドッ

アルミン「またきた!!」

エレン「くそ…」

ズシャズシャズシャッ!!

ミカサ「!!」

女型「…!」(足を切られた!?)ガクッ

アルミン「あ、あれは!」

キース「大丈夫か、お前たち!」スタッ

エレン「教官!!」

女型「…」シュウウゥゥ

キース「む、もう傷が修復し始めたか…いったい何事だ!?」

アルミン「…この巨人たちは、アニとライナーとベルトルトです」

教官「なんだと…」



ギュイイイィィッ

クリスタ「行くよ、ライナー!」ビュンッ

ユミル「おい、下手に突っ込めばいいってもんじゃ…」

ガキーンッ

クリスタ「うわっ!!固っ!?」

鎧「…」グオッ

クリスタ「きゃっ、危ない!」サッ

ユミル「だから言ったろ、あいつは異様に固いんだよ!」

鎧「…」ドシンドシンドシン!!

クリスタ「う…来た!」

サシャ「ライナー、クリスタを捕まえさせはしませんよ!」ビュンッ

コニー「くそっ…もうやめろよお前ら!」ビュンッ

ガキーンッ ガキーンッ

コニー「ダメだ!!」

サシャ「どこを攻撃しても固いとこばかりです!!」

クリスタ「ユミル…どうしよう!!」

ユミル「逃げるしかねぇ!!あんなのマトモに勝てねぇよ、逃げろクリスタ!!」

クリスタ「…うっ……逃げるなんて嫌だ!!」バシュッ

ユミル「おい、クリスタは突っ込むなって、奴等の目的はお前なんだぞ!?」

クリスタ「私は逃げない……!ユミル、私は…自分のやりたいように生きる!!」ビュンッ

ユミル「バカが!」バシュッ

クリスタ「はああぁっ!!」ギュンッ

ガキーンッ ガキーンッ

鎧「…」

クリスタ「くそ…どこか、固くない部分は無いのか?」

鎧(悪いな、クリスタ)グオッ

クリスタ「あ」

ユミル「おい、早く逃げろ!!」

クリスタ「ああっ!!」ギュウッ

サシャ「クリスタが捕まった!!」

コニー「離せよ!!」ギュンッ


ガキーンッ ガキーンッ ガキーンッ

サシャ「やっぱり効かない…クリスタを離してくださいよ!」

コニー「ライナー、いい加減にしろ!」

クリスタ「ご…めん…」

クリスタ(捕まっちゃうなんて……ユミルの言う通りにしてれば良かった…ごめん、ユミル…)

ユミル「ちっ!!」ガリッ


カアッ!!!

クリスタ「!」

コニー「あれは…」

サシャ「ユミル!」

ユミル巨人「ギィアアァァッ!!」

ライナー(…!!!あの巨人は!?)

ユミル(ライナーの野郎はクリスタをそんな強い力では握って無いはずだ…なら、なんとか助けられるかも知れん)

バッ

ユミル巨人「グアアアァッ!!」

鎧「ウオオォッ!!!」ブンッ

ユミル(鎧はやっぱりトロいな…私の巨人なら簡単に攻撃を避けれる)

クリスタ「ユミル…!」

ユミル(今、助けるぞ)
グイッ!!グググッ

クリスタ「うわっ、ユミル!引っ張らないでちょっと痛い!」

ライナー(なにする気だ!?)

ユミル(少し我慢しろ!!)グググッ

クリスタ「あーたたたたっ!」ギギギ

ライナー(…!俺の手からクリスタを引っこ抜く気か、やらせん!)
ブンッ!

コニー「おっとライナー!ユミルの邪魔はさせないぞ!」ギュンッ

鎧「!」

サシャ「クリスタは渡しませんからね!」ギュンッ

ライナー(くそっ、周りをうろちょろするな!お前らに当たるだろうが!)


ユミル巨人「ギィアアァァッ!!!」

ズポーーンッ

クリスタ「抜けた!!」

コニー・サシャ「やったぁ!」

ライナー(しまった、クリスタを奪い返されたか!!)

ユミル巨人「…」
クリスタ「ありがとう、迷惑かけた!」

ライナー(…あいつは…俺達の仲間を食った巨人だ……故郷に連れて帰らなければ)


女型「…」ブンッ

エレン「くっ、はえぇ!」サッ

キース「はっ!!」ギュンッ

女型「…」ピキピキ
ガキーンッ

キース「くっ、早い上に硬質化できるとは厄介な」

アルミン「…!」

超大型巨人「…」シュウゥゥゥ

アルミン「超大型巨人が…消えていってる…」
ジャン「なに?」

アルミン(超大型巨人は出現してから全く動かなかった……そしてまだ何もしてないのに姿が消えていく………あ、そういえば、ベルトルトだけが立体機動装置を身に付けてたな…)

アルミン「…!!まさかっ!!?」

エレン「はぁ…くそっ、強い…」ザッ

アルミン「おい、エレン、気を付けろ!!ベルトルトが来るぞ!!!」

エレン「え?」

ギュンッ!!!

エレン「うわあっ!?」ガシッ

ミカサ「エレン!!」

ジャン「な!?あれは…」

ベルトルト「…捕まえたよ、エレン」

エレン「くそっ、離せ!ベルトルト!!」

ベルトルト「…アニ、早く外に出よう!」スタッ
女型「…」コクッ

ジャン「い、一体どういう事だ!?」

アルミン「あの超大型巨人は始めからただの囮だったんだ!僕らの目を奴に向けさせる為の!」
アルミン「それで…ベルトルト本人は超大型巨人から立体機動装置で出て、隙を見てエレンを拐うつもりだったんだ!!くそっ…僕とした事がこんな事に気が付かなかったなんて!!」

ミカサ「アニ…ベルトルト、エレンを返して!」

ライナー(よし…俺もそろそろ退散しようか…)

クリスタ「ああ、エレンが!」

ドシンドシンドシン!!

クリスタ「!!…くっ」ジャキン

ユミル(…クリスタはやらせねぇ!)
バッ!!

ユミル巨人「ギィアアァァッ!!」

ガシッ!!

ユミル巨人「!!」

クリスタ「ユミル!!」

ライナー(ユミルは捕まえた…クリスタはまた後でいいか、今は三人で脱出する)
ドシンドシンドシン

クリスタ「ライナー…ユミルを拐う気!?」

キース「追え!逃がすな!!」

ジャン「行くぞ、お前ら!壁の外に出すな!!」

アルミン「ああ!」

ミカサ「…なんで…!」


クリスタ「ユミルを返せ!!サシャ、コニー、行くよ!」

サシャ「はい!」

コニー「うおおぉっ!!」


カアッ!!!!!


超大型巨人「…」

アルミン「!また超大型巨人!?」

超大型巨人「…」ピシッ

ジャン「…!」

アルミン「みんな、危険だ、下がれ!!」

クリスタ「え…?」


ボゴオォォォォッ!!!!!


ミカサ「きゃあっ!!!」

アルミン「くそっ、高熱の蒸気を発して…僕らを足止めする気か!!」


ボゴオォォォォッ!!!!!


アルミン「うわあっ!!!」


…その後、ライナー達の姿は消えた。壁の外へ出てしまったのだ…
エレンとユミルが拐われてしまった…

―――壁の上

ジャン「…くそっ、エレンとユミルが…拐われてしまった…」

アルミン「…僕がもっと早く気付けていれば…」

ミカサ「……アルミンは悪くない」

コニー「そうだぜ、アルミン、諦めるな!!」

サシャ「まだ取り返すチャンスはあるはずです!!」

アルミン「…そうだね、外に出る準備が出来るまで、しっかり作戦を考えておこう」

ミカサ「……何でこんな事になったんだろう…私は、皆でずっと仲良く暮らしたかったのに」グスッ

アルミン「…立つんだ、ミカサ。エレンとユミルを助け、あの三人を無理矢理にでも連れ戻してやるぞ」

ミカサ「…うん」

クリスタ「…ユミルは、私の初めて心を開けた友達だった……親友であり、お姉ちゃんみたいな存在だった」

アルミン「クリスタ…」

クリスタ「そして、アルミンのお陰で皆にも心を開けるようになって…エレンやライナーやベルトルトやアニとも仲良くなれたのに」

アルミン「…」

クリスタ「こんな馬鹿げた状況は終わらせよう、アルミン。また…いつもの日常を取り戻そう」

アルミン「ああ、やったろうぜクリスタ!!」

ハンネス「よう、アルミン、ミカサ」

アルミン「ハンネスさん!」

ミカサ「こんにちは」

サシャ「…お、駐屯兵団も来ましたね」

コニー「そろそろ出発か…ライナー達を追いに」

ジャン「ああ…次はもうしくじらねぇ」

アルミン「…駐屯兵団は周りの無知性巨人を頼みます」

ハンネス「なんだって?」

アルミン「ライナー達の相手は…僕達104期がやります」

ミカサ「…アニ、ライナー、ベルトルト……」

ミカサ「私も戦う。エレンと、皆との日々を取り戻す」


クリスタ「さあ、行こう!!!」

アルミン「待ってろよ!次はもう逃がさない!!」

―――

女型「…」ズシンズシンズシン

鎧「…」ズシンズシンズシン

エレン「くそ…ベルトルト!お前ら…何が目的なんだ!?」

ベルトルト「…ごめんよ…僕達の故郷に来て貰う」

エレン「故郷!?なんだそりゃ!?」

ユミル「…私は、そこでお前らの仲間に喰われるのか?」

エレン「は?そういえばお前…何で巨人になってたんだよ!」

ユミル「…さぁな」

エレン「さぁなじゃ分かんないだろ!」

ベルトルト「…」

ユミル「…!あ…」

パカラッパカラッパカラッパカラッパカラッ

エレン「…!!あれは!!」

鎧「!!」

ベルトルト「な…もう来たのか!?」


クリスタ「うおおおおおっ!!!」パカラパカラパカラパカラパカラパカラ!!!

アルミン「ようし、行けぇ、クリスタ!!!」

女型(何あれ!?早っ!?)

ミカサ「や…やっぱり三人乗りは危ない、クリスタ…」

クリスタ「大丈夫、大丈夫!!」

アルミン「他の皆も到着するまで僕らで足止めだ!!」

エレン「へっ、クリスタの馬術を甘く見るなよ、ベルトルト!!あいつの操る馬はもの凄く早いんだぞ!!」

ベルトルト「いや、もう訳がわからないよ」

ユミル「全くだ、馬術が上手いなんてもんじゃない」

アニ(くっ…ここまで来たんだ、邪魔はさせないよ!)

女型「…」ザッ

アルミン「アニ、僕らを足止めする気だな!」

ベルトルト「すまない、任せたアニ」

鎧(必ずエレンを故郷に連れて帰る)

エレン「お前ら、女型は強いぞ、気を付けろ!!」

ミカサ「…アニは私に任せて、アルミン達はエレンを!」

アルミン「え、ミカサが1人で大丈夫な…」

アルミン「…!!!」

ミカサ「…」

アルミン「わかった、ミカサに任せよう」

クリスタ「え!?」

クリスタ「ちょっと…ミカサに1人で任せて大丈夫なの!?」

アルミン「大丈夫だ、行くぞクリスタ!」バシュッ

クリスタ「ええ!?」バシュッ

アルミン「…ミカサは普段はか弱い普通の女の子だけど、極まれに別人のような力を発揮する時があった」

クリスタ「え?」

アルミン「今のミカサはその眼だ!!」

女型(アルミン…ライナー達のとこには行かせないよ!!)グオッ

ギューーーンッ

女型「!」

ズシャズシャズシャ!!!

アニ(な…!?)

ミカサ「…アルミン達の邪魔はさせない!」スチャッ

アニ(ミカサ!?)

ギュイイインッ

女型「!!」グオッ

ミカサ「…」ビュンッ ビュンッ

女型「!?」

ズシャズシャズシャ!!!

アニ(速すぎる…追い付けない、あれがミカサなの!?)

ミカサ「……友達だと…思ってたのに…!!」ギュンッ

ズバッ!!

アニ(くそ…ミカサ、邪魔するな!!)

ガシイッ!!!

ミカサ「うっ…!!!」グググッ

アニ(捕まえた…これで動きは封じたはず…)

ミカサ「あああぁぁっ!!!」ズババッ!!!

女型「!!」
アニ(手を切って脱出された!?)

ミカサ「アニっ!!」ズシャ!!!

アニ(ぐっ…目をやられた!!)

女型「…」ヨロッ

ミカサ「…」ギュンッ ギュンッ

ミカサ(アルミンに教えてもらった通りなら…うなじの部分に、アニがいる!!)ジャキンッ

ギュイイインッ!!!

アニ(駄目だ…やられる!!!)


ザクッ!!!!!

ベリベリベリ………


ミカサ「…」


ミカサ「出てきて」

アニ「…」

アニ「何でとどめを刺さなかったの?もう少し深く削げば私ごとやれたのに」


ミカサ「……だって……」

ミカサ「友達、だから…」

アニ「…私は人類の敵だし、エレンを拐ったんだよ」

ミカサ「で、でも……アニは、最初の姿勢制御の時も…他人の私の相談も聞いてくれたし…格闘術も教えてくれた……優しい人だから…」

アニ「私が優しい?バカだね、優しい人間はこんな事しないよ」

ミカサ「……でもアニは…自分のした事を、悪いと思ってるんでしょ…?」

アニ「…思ったところで罪を犯した変わらないし軽くもならないよ」

ミカサ「……でも、やっぱり…こんなの、嫌だよ……ずっと友達でいたいよ……ううっ…」


アニ「……はっ、でもでもって……。さっきは別人みたいな力出して驚いたけど……やっぱ何も変わって無いね…あんた」
アニ「相変わらず泣き虫だ」

ミカサ「…」グスッ

アルミン「ベルトルト、エレンとユミルを返せ!!!」スタッ

クリスタ「返さなきゃお尻ペンペンだかんね!!」スタッ

ベルトルト「ここまで来たんだ…返す訳にはいかない!!」

アルミン「わがままベルトめ!!」

クリスタ「くそっ、このー!手をどかせライナー!」ガキンッ ガキンッ

クリスタ「ダメだ…固い!」

アルミン(どうする…どうすればエレンとユミルを取り返せる)

―――回想

ライナー「クリスタと結婚したい」

ベルトルト「アニと結婚したい」


―――

アルミン(…は、そうか!!)

―――

――

パカラッパカラッパカラッパカラ!!!

クリスタ「ようし、追い付くぞっ!!」

アルミン「鎧の巨人に飛び移る!!」

ベルトルト「くっ…ライナー!エレンとユミルを取られないように守ってくれ!!」

鎧「…」スッ

エレン「わっ!?」

アルミン「ライナーめ、エレンとユミルを手で隠したな!!」バシュッ

アルミン「ベルトルト、エレンとユミルを返せ!!!」スタッ

クリスタ「返さなきゃお尻ペンペンだかんね!!」スタッ

ベルトルト「ここまで来たんだ…返す訳にはいかない!!」

アルミン「わがままベルトめ!!」

クリスタ「くそっ、このー!手をどかせライナー!」ガキンッ ガキンッ

クリスタ「ダメだ…固い!」

アルミン(どうする…どうすればエレンとユミルを取り返せる)

―――回想

ライナー「クリスタと結婚したい」

ベルトルト「アニと結婚したい」


―――

アルミン(…は、そうか!!)

アルミン「二人ともいいの…?このまま帰って…」

ベルトルト「え?」

クリスタ「?」

アルミン「このまま帰ったら……僕は、アニとクリスタの二人と結婚しちゃうよ?」

ライナー(!?)

ベルトルト「!!!??」

ユミル「何言ってんだあいつ」

エレン「よし、信じてるぜアルミン!!」

アルミン「僕はね…アニともクリスタとも…イチャイチャラブラブな関係なんだよ?」

クリスタ「なっ、何を言ってるのアルミン!!///」

258はミスです

アルミン「さっきも…僕らがどうやってアニを退けたかわかるかい?」

ベルトルト「!?」


―――(嘘の)回想

アニ「邪魔はさせないよ!」

アルミン「アニ、愛してる、結婚しよう。君は美しい」

アニ「結婚して!!」

アルミン「よし、式は明日だ」

―――

アルミン「…という感じに退けた。このまま帰ったら僕はアニと結婚しちゃうよ?」

ベルトルト「うおあああっ!!?」

エレン「すげえ…言葉でベルトルトと押している。やっぱりアルミンは天才だ!!」

ユミル「私にはアホにしか見えんが」

アルミン「そしてライナー、このまま帰れば僕はクリスタとも結婚しちゃうぞ!!!ちなみに式は明日だ!!!」

ライナー(!?!?)

クリスタ「と、突然言われても困っちゃうよアルミン…いや、その、嫌な訳じゃないけど、まだ…心の準備も出来てないし、まだ子供だし…もう、バカッ!!!///」バシンッ

アルミン「いたいっ!落ちるから止めてっ!!」グラッ

ライナー「くっそお!!イチャイチャしやがって!!!」

ユミル(鎧の巨人の中からライナーの声が)

エレン「やはりアルミンは…正解を導く力がある!!」グッ

アルミン「あっはっは、アニとクリスタという美少女二人を嫁にできるんなんて幸せだなぁ!!!」

クリスタ「…そ、そんな、恥ずかしいよもう//」

アルミン「悪いけどこれは早い者勝ちだからね!!あっはっはっはっは!!!」

ベルトルト「…ぐっ…」

ライナー「…うぅっ…」


ベルトルト「悪魔の末裔が!!!」ジャキンッ

鎧の巨人「ネダヤシニシテヤル!!!」
バッ

エレン「!!鎧の巨人が手を離した!!」

アルミン「よし、今だ!!!」

クリスタ「え、今結婚?……ん?あ…ライナーが手を離してる!!ユミル!!今行くからね!!」バシュッ

ライナー(!!!)

ベルトルト「しまった!!」

シュババッ

クリスタ「ユミル!エレン!もう大丈夫だよ!」
ユミル「おお、ありがとうな、クリスタ」

アルミン「これで二人は取り返した!!」

エレン「信じてたぜ、アルミン!!」

アルミン「僕は超天才頭脳だからね!!!」

ユミル「しかし、ライナーもベルトルトも…あんな嘘に惑わされるとは情けない奴等だな」

ベルトルト「え!?嘘だったの!?」

ライナー(気づかなかった)

ユミル「あんな話を本気で信じてたのかよ!?」

アルミン「ふふ、なんだかんだで彼等も思春期真っ盛りだからね…ああいう話に弱いのさ」

クリスタ「あ、あの…アルミン、結婚の事は…また帰ってからゆっくり話そ?」

アルミン「え?」

クリスタ「え?」

ユミル「は?」

クリスタ「え?」

エレン「聞いてなかったのか?だから嘘だって」

ユミル「……お前まさか気づかなかったのか?」

クリスタ「…」



クリスタ「いや!?もちろん!私も嘘だって気づいてたよ!?私も演技してんだよ!?うん!!」

アルミン「さすがクリスタ、僕に合わせて演技するなんてさすがだ!!!」

クリスタ「うん、そうだよ!決して本気で結婚するなんて思ってなかったからね!?うん!」

ユミル(うそつけ)

アルミン「…さて、こっからは真面目に行こうか。ベルトルト、どうする?このまま帰るかい?」

ベルトルト「…手ぶらじゃ帰れないんだ……こうなれば、どんな手段を使ってでも、君たち全員連れて帰るよ?」

ライナー(…)

アルミン「君たちは…エレンを連れ去って何がしたいんだ」

ベルトルト「アルミンには関係ない話だよ」

エレン「俺はついていく気なんかねぇぞ、お前らこそ、馬鹿やってねぇで…壁に戻るぞ」

ベルトルト「無理だ、できない」

アルミン「…」

―――

パカラッパカラッパカラッ

ジャン「見えてきたぞ…あれは、女型の巨人か!」

女型「…」シュウゥゥゥ

コニー「姿が消えて行ってるぞ!」

サシャ「近づいてみましょう!」

パカラッパカラッパカラッ

ミカサ「…あ、みんな!」

サシャ「ミカサじゃないですか!」

ジャン「なにしてんだ!?」

アニ「…あんたらもやっぱ来たんだね…アルミンとクリスタはとっくに向こうだよ」ザッ

コニー「アニ!」

アニ「私はもう力が残って無いし戦意も喪失した。何もする気は無いよ」

ジャン「…ん?ミカサ1人で……アニと戦ったのか!?」

ミカサ「うん…必死になっててよく覚えて無いけど…」

アニ「ライナー達はすぐ向こうにいる。アルミンが足止めしてるだろうから…充分間に合うはずだよ」

ミカサ「早くエレンを助けに行こう!!」

ジャン「わかった、行くぞお前ら!!」

サシャ「ラジャー!」

コニー「いっくぜー!!」

ミカサ「…あっ…えっと…」オロオロ

ジャン「ん?どうしたんだよ」

ミカサ「あの…私、馬が無いから…」オロオロ

ジャン「ああ、じゃあ乗っていけよ、ほら」

ミカサ「うん!ありがとうジャン!」バッ

ジャン(ふっ…まさかミカサと二人で馬に乗れる時が来るとはな)

ミカサ「エレン…今行くからね!」

ズシンズシンズシン…

ジャン「いた、鎧の巨人!!」

サシャ「あ、エレンとユミルの救出には成功してるようです!」

コニー「さすがアルミンだぜ!!」

ジャン「俺達も鎧の巨人の上に行くぞ!!」

ミカサ「うん!」
ビシュッ

ミカサ「って、あわわわわ!飛ぶ方向間違えた!!」ヒューン

サシャ「ミカサ!そこは鎧の巨人のお尻です!!」

ジャン(今はどう見ても普段のミカサだな……女型に勝ったなんて信じられん…)

鎧の巨人の上

ヒューン…

ストッ

ジャン「アルミン!救出は成功したみたいだな!」

ミカサ「アルミンってやっぱり凄い!」ストッ

アルミン「ああ!!後は…」

ベルトルト「…」

鎧「…」

エレン「どうすんだよ、ベルトルト…まだ、やろうってのか?」

コニー「ベルトルト、ライナー!こっちに戻って来いよ!!」

サシャ「このまま逃げ通す気ですか!?」

ベルトルト「…」

ベルトルト「僕は…戦士だ、必ず使命は果たす…」

エレン「またそれかよ…何なんだよ、戦士とか…」

ジャン「…お前らよ…今まで何考えて…俺達と暮らしてたんだ?」

コニー「皆で大人になるまで生き残ろうって話したのも…嘘だったのか!?」

エレン「てめぇらは壁を破壊して人類を追い詰めた…更にはこんな事してよ…自分のしたことを、悪いと思ってんのか?」

サシャ「ベルトルトにとって私達は…どうでもいい存在だったんですか!?」

ベルトルト「……誰が…」

ベルトルト「誰が、好きでこんな事やるもんか!!」

ベルトルト「取り返しのつかない事をした…憎まれても仕方ないと思ってる」

ライナー(…)

ベルトルト「確かに僕は、みんな騙した!騙した、けど…全てが嘘じゃない!本当に仲間だと思っていたよ!!」

アルミン「…」

ジャン「…」

エレン「……なら、もうこんな馬鹿げた事はやめろ。反省してるなら人類の為に戦う事だって…」

ベルトルト「ダメだ、できない…」

ミカサ「…」オロオロ

ベルトルト「誰かがやらなくちゃダメなんだ…誰かが自分の手を血で染めないと」スッ

コニー「ベルトルト…」

ベルトルト「僕は最後まで…戦士として、責任を果たす」ザッ

エレン「なっ……おい、待てよ……本気か…?」

アルミン「…くっ!!みんな、鎧の巨人から離れろ!!来るぞ!!」

ジャン「わかった!」

ミカサ「え…え?」オロオロ

アルミン「ああもう、いつものオロオロミカサちゃんに戻ってるじゃないか!!行くぞ、エレンも!なにしてんの!!」

エレン「ちくしょう……お前ら…何で、そこまでして……」

ベルトルト「行くぞ、ライナー!!」ガリッ

鎧「…」コクッ



カアッ!!!



超大型巨人「…」ゴオオオォォッ

サシャ「そんな…ベルトルト!!」

コニー「戦うしかないのかよ!?」

クリスタ「向こうはやる気全開だ…やらなきゃ、ダメなんだ!!」ジャキンッ


鎧の巨人「…」ゴオオオォォッ

超大型巨人「…」ゴオオオォォッ

エレン「…ライナー……ベルトルト………このっ…」


エレン「裏切り者があああぁぁぁっ!!!」ガリッ


アルミン「エレン!?」


カアッ!!!


ミカサ「なに!?あれ…」


エレン巨人「グオオオォォッ!!!」ゴオオオォォッ

ジャン「なんだ…ありゃ…」

アルミン「エレンが…巨人に…!!!」

ミカサ「エレン!」バシュッ

ユミル「待て、むやみに近づくなミカサ!」

エレン巨人「…」チラッ

ミカサ「エレン!エレンなの!?」

エレン巨人「…」コクッ

ジャン「返事した!」

アルミン「自我はあるみたいだ!!」

エレン(俺は…巨人になっているのか?何故かはわからないが…これなら、ライナー達と戦える!!)

アルミン「…エレンがなぜ巨人になってるかは後で考えればいい。今はあの二人を倒さなきゃならない」

ミカサ「そうだね」

ジャン「どうするんだ、アルミン」

アルミン「エレンと僕とミカサとジャンで鎧の巨人の相手をする。でもミカサはなるべく無理するな」

ミカサ「うん」

クリスタ「超大型巨人は私とユミルとサシャとコニーに任せて!!」ザッ

アルミン「ああ、任せたよ。デカイ奴には君たちみたいに小回りのきく素早い立体機動が出来る者がいい!!」

クリスタ「よし、行くよユミル!!」スタッ

ユミル巨人「ギイアアアッ!!」

サシャ「さぁ、私達の合体攻撃を見せてやりましょう!!」

コニー「燃えてきたぜえっ!!!」

エレン巨人「…!」ブンッ

ガキーンッ!!

鎧の巨人「…」ダダッ

ドガアアァンッ!!!

エレン巨人「!!」ドザザッ

エレン(くっ…パンチは効かねぇしタックルは強烈だ……どう攻める…)

アルミン「……巨人の力でも鎧の皮膚を破壊出来ないか…どうすれば…」

ジャン「鎧の巨人って…体全てが固いのか?全身が鎧のようになってたらあんな動きは出来ないと思うが…」

アルミン「…はっ、そうか!みんな聞いてくれ!作戦を考えた!!!」

エレン巨人「!」

ミカサ「おお~!」

アルミン「鎧には人体の構造上鉄で覆えない部分がある…脇や股の部分と…」

ミカサ「確かに!さっき間違えて鎧の巨人のお尻に飛んだ時、股の部分は固そうじゃなかった!」

エレン(何やってんだミカサ…)

アルミン「やっぱりか!後は…膝の裏側だ!!」

ジャン「…俺達で膝の裏側を削げばいいのか?」
アルミン「そうだ!そして動きを止めた隙に、エレン!極め技で鎧の巨人を攻めるんだ!!」

エレン巨人「!」

アルミン「あの鎧の下は普通の巨人の体と同じはずだから…極め技なら効くはずだ!!」

鎧の巨人「…」ドシンドシンドシン!!

ジャン「来たぞ!!」ジャキンッ

アルミン「よし、右はジャンに任せた!僕とミカサは左膝を狙う!!」

ミカサ「うん!」

アルミン「エレン、隙が出来たら即座に攻撃だ!!」

エレン巨人「…」コクッ

アルミン「行くぞ!!」バシュッ

鎧の巨人(何度来ても無駄だ…お前達にこの鎧を破る事は出来ん)ドシンドシンドシン!!

ビュンッ ビュンッ

鎧の巨人「!」

ライナー(左右にわかれた?)

アルミン「…」ビュンッ

ライナー(まさか、膝の裏側を狙う気か!?やらせん!!)

エレン巨人「グオオオォォッ!!!」ドシンドシンドシン

鎧の巨人「!!」

バギイイィィィッン!!!

ライナー(くそっ、こいつ…離れろ!!)

エレン(アルミンの作戦に気付いたみたいだが…邪魔はさせん!!)

鎧の巨人「オオオォォッ!!!」ブオンッ

エレン巨人「!!!」ドザザザザッ

ミカサ「ああ、エレンが弾き飛ばされた!!」

アルミン「気にするな、膝の裏側を削ぐのに集中だ!!」ジャキンッ

ジャン「よし、一斉に叩くぞ!!」バシュッ

ライナー(ちっ、逃げねぇとまずいな)

ジャン「遅いぜ、ライナー!!」ギュンッ

鎧の巨人「!!」

ザクッ!!!

ライナー(しまった!!)

アルミン「さすがはジャン、ナイス立体機動だ!!」

ライナー(くそっ…鎧の巨人の速度じゃジャンの立体機動の速度には敵わねぇ!!)

アルミン「隙ありだ、ミカサ行くぞ!!」

ミカサ「やーっ!!」バシュッ

ザクッ ザクッ

鎧の巨人「…!!」ズズウゥンッ

ジャン「よし、両膝を削いだ!!」

アルミン「さすが僕だ!エレン、行けえぇぇ!!」

エレン巨人「グオオオォォッ!!!」ドシンドシンドシン

ライナー(!!)


ギュウゥゥゥン!!

クリスタ「ようし、やってやるぞ、ベルトルト!」

超大型巨人「…」

ユミル巨人「ギィアアアァッ!!!」ダダッダダッ

クリスタ「ユミル…私はあなたといればどんな世界でも怖くない、例え超大型巨人が立ち塞がろうとも!!!」ジャキンッ

サシャ「私達だっていますからねクリスタ!」

コニー「ベルトルトを巨人から引きずり出してやろうぜ!」

クリスタ「おう、頼もしき友たちよ!!」ギュンッ

ベルトルト(来るか…やらせん!)

超大型巨人「…」グオオオン!!!

サシャ「おわっと、パンチしてきました!!」

コニー「避けろ避けろ!!」バシュッ

クリスタ「スピードは対した事ないけど…デカイから攻撃範囲が広い!!」

超大型巨人「…」グンッッ

サシャ「クリスタ、キックが来ますよ!!」

クリスタ「ユミル、ジャンプ!!」

ユミル巨人「!!」ダンッ

クリスタ「とあああああっ!!!」バシュッ

ギュウゥゥゥン

超大型「…」

クリスタ「よし、サシャ、コニー、一斉にかかれ!」ギュンッ

サシャ「遅いから狙いやすい!」ギュンッ

コニー「成敗いたすぜ!」ギュンッ

超大型「…」ピシッ

ユミル(!!まずい…!お前ら、離れろ!!)

ユミル巨人「アアアァッ!!!」

コニー「わっ!なんだよ!?」

サシャ「何を叫んでるんですか!?」

クリスタ「…!超大型巨人から離れろって言ってる!!」

サシャ「え!?」

クリスタ「…気がする!!」

サシャ「気がする!?」

コニー「なら、とにかく離れ…」

超大型「…」ピシッ


ボゴオオオォォッ!!!!!

コニー「あっっっち!!」

クリスタ「しまった、忘れてた!!」

サシャ「高温の蒸気を発するんでしたね!!」

アルミン「いったん退避しろ退避!!ベルトルト蒸気は強烈だぞ!!!」ギュンッ

クリスタ「わかった!!」バシュッ

アルミン「ふう…あちこちに指示出して大変だよ…今戻るぞエレン!!」ギュンッ

超大型巨人「…」ゴオオオォォッ

クリスタ「どうしよう…近づけない…」

コニー「こりゃ、苦戦の予感だぜ…」

ユミル「……私に考えがある」ベリッ

サシャ「あ、ユミルが巨人のうなじから顔を出して喋っています」

ユミル「いちいちそんな解説せんでいい」

クリスタ「…考えって?」

ユミル「お前らはあんな蒸気の中には突っ込めないだろう…だが、私の巨人なら、ある程度は持つはずだ。それでも危険だがな」

クリスタ「そんな…」

ユミル「私があの蒸気の中に突っ込んで超大型巨人のうなじを攻撃してやる。倒しは出来ないだろうがある程度ダメージを与える事は出来るはずだ…そうすれば少しの間でも蒸気を止められるかも知れん。その隙にお前らがやれ」

クリスタ「でも…ユミルも危ないんでしょ!?もし失敗したら……」

ユミル「…ここでちんたらしててもいずれは連れ去られるだけだ。連れ去られれば私はまず助からない。それならここで…命を賭ける方がマシだ」

クリスタ「………わかった…。絶対に生きて帰ってね!?」

ユミル「心配すんな、しぬもりなんかねぇよ」

コニー「クリスタ、ユミルなら大丈夫だって!」

サシャ「ええ、ユミルを信じましょう!」

クリスタ「うん!」

ユミル「行くぞ、蒸気が弱まったら即座に攻撃しろ」

クリスタ「了解!」ジャキンッ

ユミル巨人「ギィヤアァァァッ!!」バッ

超大型巨人「…!」ゴオオオオオッ


ゴオオオオオッ!!!

ユミル(ぐっ…巨人の体でもこの蒸気はキツいな)

ベルトルト(…!!蒸気の中を突っ込んできた!!)

超大型巨人「…」ブンッ

ユミル巨人(遅い!!)ビュンっ

ザッ ザッ ザッ!!

ベルトルト(…ぐっ、うなじまで来られた!)

ユミル巨人「ギアァァァッ!!!」ガブッッ

超大型巨人「…!!!」

シュウウゥゥ…

コニー「蒸気が弱まった!!」

クリスタ「ようし、行くぞ!!」

サシャ「はい!!」

ユミル(くっ…もう限界か…)

ユミル巨人「…」グラッ

クリスタ「あ、ユミル!」

コニー「クリスタ、今は攻撃に集中しろ!!」

クリスタ「…うん!!」ジャキンッ

サシャ「ようし、三人で一斉にやりますよ!!」ビュン

ギュイイィィッン

ベルトルト(くそっ…ダメだ、早くて間に合わな…)

―――

ギリギリギリッ

鎧の巨人「…」グググ

エレン(アルミンの言った通り極め技なら効く!このままやらせてもらうぜ、ライナー)

エレン巨人「グオオオオオオッ!!!」ブチブチブチッ

鎧の巨人「…!!」

ライナー(くそっ、腕を持っていかれた!!)

ジャン「エレン…最初は歯が立たなかったのにライナーを押してる!!」

アルミン「よおぉし、そのまま行けーー!!!」

ミカサ「頑張れエレン!ファイトだエレン!」

アルミン「目指せ、巨人チャンピオオオォンッ!!!」

エレン(これで終わりだ!!)

エレン巨人「グオオオオオオッ!!!!!」ググググググッ

鎧の巨人「オオオオオオッ!!!」



ユミル「…ふう…無理しちまったせいで疲れた…」

ザッザッザッ

ユミル「!」

アニ「…」ザッザッ

アニ「…勝負は決まったようだね…」

ユミル「ああ…どうする?ライナー達に加勢するか?」

アニ「もうそんな力は残って無いよ」


鎧の巨人「」シュウウゥゥ

超大型巨人「」シュウウゥゥ


アニ「…私達の負けだ…」



ユミル「…ふう…無理しちまったせいで疲れた…」

ザッザッザッ

ユミル「!」

アニ「…」ザッザッ

アニ「…勝負は決まったようだね…」

ユミル「ああ…どうする?ライナー達に加勢するか?」

アニ「もうそんな力は残って無いよ」


鎧の巨人「」シュウウゥゥ

超大型巨人「」シュウウゥゥ


アニ「…私達の負けだ…」

―――――

―――


エレン「……ん………はっ!!」ガバッ

アルミン「やあ、おはようエレン。僕達は勝ったよ」

エレン「ここは?」

アルミン「巨大樹の森だよ」

ジャン「みんな疲れてるからここでいったん休んでるんだ」

エレン「…ライナー達は?」

アニ「巨人の力を使い果たしてここで寝てるよ。そのうち目を覚ます」

ライナー「………zzz…クリスタ…」

ベルトルト「………zzz…アニ…」

エレン「………そうか…俺は……勝ったのか…」

アルミン「…エレンは、自分が巨人になれるって事は知ってたのかい?」

エレン「いや…知らなかった」

ミカサ「エレンは変身ヒーローだったなんてビックリ」

アルミン「キョジンマンだね」

エレン「何言ってんだお前ら……」

エレン「だが、1つだけ思い出した。地下室だ…そこに行けば全てが分かるって親父が言ってたんだ。そして、この力の原因も恐らく親父だ…」

アルミン「怪しさ満点だね、グリシャさん」

エレン「おう」

ミカサ「で、でも…グリシャさん良い人だったよ?」オロオロ

エレン「悪い人だなんて思ってねぇよ…何考えてるかわからんけど」

ライナー「…う…」

ベルトルト「ここは…」

エレン「!」

コニー「目を覚ましたぜ!」

サシャ「おはようございます!」

ライナー「…そうか、俺達は負けたんだな」

ベルトルト「何で…トドメを刺さなかったの?」

クリスタ「当たり前じゃん、何があろうと私達は仲間のナカーマの友達だよ!」

ライナー「……クリスタ、お前は最高に天使だが、俺達が前に壁を壊し人類を追い詰めたのも…そのせいで人が死んだのも、エレンとユミルを拐おうとしたのも事実だ……」

ベルトルト「僕らは人類の敵なんだ……情けなんか掛ける必要は無いよ」

エレン「そりゃ…俺だってお前らの事は腹立つ……だがな…」

アルミン「……人間はさ、そんな単純には出来てないんだよ。君たちだってそうだろ?例え敵だとしても……一緒に訓練して楽しい時間を過ごしたのも事実だ。簡単に君らを憎む事なんか出来る訳ないだろう」

クリスタ「そう、それ!それが言いたかった!」

アニ「…うん、私だって本当は…ずっと一緒に仲間でいたかった」

ベルトルト「でも、駄目なんだよ…僕達にはどうする事も出来ないんだ」

ライナー「もう俺達は人類側には戻れん」

アルミン「…だからといって君たちも、もう僕らと戦いたくは無いだろう?」

ライナー「…」

ベルトルト「…当たり前じゃないか…」

アルミン「じゃあ、人類の味方につけばいい。そうすれば君たちは壁に戻っても殺される事は無いはずだ。巨人が味方になるのは人類にとっても強力な戦力になる」

アニ「無理だよ…そんな事は」

アルミン「誰も本当に人類の味方につけとは言ってないよ、表向きには人類の味方でいろって事。だからといって僕らの敵にはならないでもらう」

ライナー「…?」

ユミル「おい、アルミン…よく分からん。もっと詳しく説明しろ」

アルミン「僕はね…卒業後、新たな兵団を作ろうと思っている」

エレン「は?初めて聞いたぞ」

アルミン「まだ話してなかったからね」

ミカサ「?」

アルミン「君たち三人は僕の兵団に入ってもらう!!」

ライナー・ベルトルト・アニ「!?」

エレン「待て、アルミン…まずその兵団ってなんだ」

アルミン「名前かい?アルレルト兵団にでもしようかと思ってるけど…」

エレン「いや、そうじゃなくてだな」

ライナー「どういうつもりだ、アルミン」

アルミン「この兵団は…表向きには調査兵団と同じようなもんだ。この世界の謎を解明するために動く…だが、調査兵団との違いは、人類の為に動くんじゃない。この世界そのもの、壁内も壁外もひっくるめた全てを変えるに戦うところさ!!」

アニ「いや、どういうことなの」

アルミン「…世界全ての為だから君らの故郷の為でもある。この残酷な世界を平和な世界に変える!!そうすれば君らも僕達と戦う必要なんかない!!そして僕達は外の世界を探検できる!!」

アルミン「アルレルト兵団の邪魔をするものは全て敵だ!巨人はもちろん場合によっちゃ人類だって敵さ!!僕らの自由を手に入れる為に、明るい未来へ向かって…進撃だあぁっ!!!」

ミカサ「なんかよく分からないけどカッコいい!!」

クリスタ「凄くカッコいい!!」

アルミン「…と、つまり。人類の味方でも巨人の味方でも無い、自分達の未来の為に世界そのものと戦う第三勢力的な兵団だ。普段はいちおう表向きには人類側だけどね」

エレン「お前そんな事を考えてたのか…」
アルミン「ああ、ベルトルトからエレンを取り返し作戦を実行していた時からね」

ベルトルト「…なるほどね…でも、上手く行くのかい?」
ライナー「ああ、それなら悪くないとも思ったが……俺達はまだガキだ。世界を変えるなんて出来るのか?」

アルミン「大丈夫だ、ここには既に世界を変える為の鍵は揃っている!!」

アニ「…」

アルミン「まずは巨人が五体もいる!!戦力としては充分だ!!」

ユミル「…」

アルミン「あとエレン、君の自宅の地下室が恐らく大きな鍵を握っているし」
エレン「おう」

アルミン「クリスタはレイス家の娘という超重要人物!!」
クリスタ「照れるなー」

アルミン「ジャンは優秀な指揮官になれる素質があるし!」
ジャン「自分じゃそうは思わねぇがな」

アルミン「サシャとコニーは…面白い!!」
サシャ・コニー「照れるなー」

ミカサ「…う…私は……何も出来ない……」シュン

アルミン「何を言ってんだ、君は切り札だよ!!」

ミカサ「?」

アルミン「そして……この超頭の良い僕がいる!!安心したまえ!!!」

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」

アルミン「僕の天才頭脳でこの世界を変えてみせるぞ!!!」

エレン「俺も行くぞ、外の世界を探検するために!!」

アルミン「おうよ!!」

ミカサ「おーっ!」

ライナー「…もう少し考えさせてくれ」

アルミン「おう!とりあえず…もう壁内に戻ろう。君らの事は僕が説得しておくよ」

ベルトルト「ああ…」

アニ「すまない」

―――

その後、壁内へ帰還した104期生達…

アルミンと、愉快な仲間達の説得によりライナー、アニ、ベルトルトは処分される事なくそのまま再び訓練生としての生活を始める事になった。

―――1年後、立体機動訓練

エレン「うおおぉぉっ!!!」ギュイイィィンッ

ミカサ「エレン早いよ~…」ヒューン
アルミン「よし、僕も行くぞ!!」ビュン

アルミン「…ん、あ!しまった!僕とした事が変な方向に飛んでしまった!!」ギュィィンッ

ミカサ「わー!避けてアルミン!!」

ギュイイィィンッ!!
パシンッ

アルミン「うおっ!?」

クリスタ「危ないところだったね」ヒュンッ

ミカサ(良かった…クリスタが助けてくれた)

アルミン「いやあ…僕とした事が情けない。助かったよ」

クリスタ「ふふ…今じゃ私がアルミンを助ける方だね」

アルミン「はあ?何言ってんのさ?君はまだまだ半人前兵士だよ…超大型巨人だってユミルがいたから勝てたんじゃないか」

クリスタ「むう、じゃあもっともっと訓練して強くなって、アルミンが偉そうに言えない風にしてあげるからね!!」

アルミン「あっはっは!望むところだ!!」

ジャン「何お喋りしてんだお前ら…訓練中だぞ」ビュン

アルミン「おう、ジャン!いつ見ても素晴らしい立体機動だね!」

クリスタ「ナイス立体機動って奴だね」

ジャン「お前、アルミンの喋り方が移ってねぇか?」

アルミン「それよりジャン、アルレルト兵団に入る気になったかい!?」

ジャン「はあっ?俺は憲兵団だって言ってるだろうが」

クリスタ「こんな事言いながら入る気満々なんだよ、ジャンは」

ジャン「ちょっと黙ってろ…」

アルミン「あっはっは!ジャンは良い奴だから信じてるよ!」

ジャン「ああもう行くぞ、ほら!」ヒューンッ

―――格闘訓練

ミカサ「てやー!」ペチンッ

サシャ「あはは、そんな可愛いキックじゃ効きませんよ!」

ミカサ「う~ん…なかなか上手く出来ない…」

アニ「ったく、せっかく私が教えてやったキックも出来ないなんて…あんたより運動音痴なアルミンの方が上手いよ」

ミカサ「あ、アニ」

アニ「あんたが上手く出来ない一番の原因はさ…相手を傷つける事を恐れてるからだよ」

ミカサ「え…」

アニ「あんたの格闘術はね、形は合ってるんだよ。でも勢いが無い…それは力が無いだけが理由じゃない。無意識に力を緩めてしまってるよ」

ミカサ「確かに…そうかも…痛い事されたら嫌かなって…」

アニ「あのね…私達は兵士なの。そんな事いちいち考えなくていい。って、私なんかが説教するのもおかしいけどさ」

ミカサ「そんな事ないよ、ありがとう………。サシャ、もう一回やろう」

サシャ「いいですよ、ドーンと来なさい!」


エレン「ふんっ!」バシッ バシンッ

ライナー「ぐほっ!?」ドサッ

ベルトルト「いたっ…二人がかりで負けるなんて…」

エレン「へへっ、必死こいて訓練してるからな」

ライナー「……エレン…本当にいいのか…俺達が訓練生で居続けてよ」

エレン「何度も聞いたよそれは。お前らが反省して償う気でいるなら…それでいいだろ」

ベルトルト「ありがとう、エレン…」

エレン「…それにしても、アルミンもミカサも訓練生になって友達がたくさん出来たなぁ……昔はいつも三人一緒だったからな」

ライナー「はは、寂しいのか?」

エレン「いや、嬉しいよ。二人とも強くなったし……いつまでもガキじゃないからずっと三人でくっついてる訳にはいかないからな」

エレン「だが…いつまでも一番の親友だ」

「ライナー・ブラウン」
屈強な肉体と精神力を持つ皆の頼れる兄貴。戦士と兵士の間で迷い続けていたが、巨人出現事件以降は、戦士でも兵士でも無いライナー・ブラウンという人間として生きる。

「ベルトルト・フーバー」
運動神経が高く優秀だが積極性にかけていた。しかし巨人事件以降は心を開き始め皆と積極的に関わるようになる。

「アニ・レオンハート」
格闘術と立体機動を得意とする。孤立気味だったが最近はそうでもない。様々な同期に格闘術を教えている。

―――――
―――

キース「…今日で、貴様達は訓練生を卒業する。その後はそれぞれ配属兵科を決めてもらい…」

アルミン「アルレルト兵団に入りたい人この指とーーまれ!」

クリスタ「はーーーいっ!!」
エレン「よっしゃあ!」ミカサ「もちろん、私も!」
サシャ「はいはいはーい!」
コニー「燃えてきたぜ!」

キース「…待て、アルレルト」

アルミン「はい?」

キース「アルレルト兵団とはなんだ」

アルミン「僕が作った新たな兵団です!!」

キース「…新たな兵団を作ろうという気合いは素晴らしいがな、そういう事は勝手には出来ない…」

アルミン「大丈夫です!ザックレー総統から許可は貰いました!!」

キース「なんだと!?」

アルミン「はい!『アルレルト兵団?いいんじゃね別に』ってノリで許可してくれました!!」

キース「総統すげぇな!!」

―――

エルヴィン「ほう…久しぶりに壁内に戻ってみたら、そんな事があったとはな」

ハンジ「巨人になれる人間が訓練生にたくさんいたとはね…」

リヴァイ「その内、超大型巨人と鎧の巨人もいるとは驚きだな」

エルヴィン「近い内に会ってみたいものだ…彼等の存在は人類を救う大きな鍵となるだろう…」

―――

獣の巨人「…」


獣の巨人「おかしいなぁ…もうそろそろローゼを破壊する時期なんだが…何も起きないぞ。何してるんだあいつらは」


獣の巨人「…正体がバレて捕まったか…寝返ったか………ま、いいや」


獣の巨人「あいつらが動かないなら俺が動けばいいだけだからね」ザッザッ

―――

ロッド「…ヒストリアが一部の記憶を取り戻し、エレンは少しずつ力に目覚めつつあり…更に巨人数人が訓練生にいるのか」


ロッド「奴等に好き勝手に動かれると厄介だ……更に実力者も揃っている、中央憲兵だけでは手に負えん。お前たちに任せる」

???「はい、任せてください、レイス卿」

???「我々、対人制圧部隊が…邪魔者を排除しヒストリア、エレン、巨人どもを連れ去ってみせます」

―――

ミカサ「わっ、卒業祝いに家から野菜が届いてる!」

サシャ「美味しそうですねぇ」ジュルッ

エレン「お、母さんから手紙だ!」

アルミン「僕も親とじっちゃんから手紙が来てるよ!嬉しいなぁっはっは!」

ジャン「俺も母ちゃんから何か届いてる………」

アルミン「見せて見せて見せて!!」

ジャン「なんでだよ、あっちいけ!!」

コニー「家族の今の肖像画が届いてる…弟と妹が大きくなってやがるぜ」
クリスタ「いいねぇ、家族がいるって」

ユミル「何言ってんだ、ずっと暮らしてた私らも家族みたいなもんだろ!!」

クリスタ「そうだねぇ!!」

―――夜 外

ザッ ザッ ザッ

クリスタ「…」

クリスタ(今日は卒業祝いでみんなで飲み会をした。もうみんな疲れてほとんど寝ちゃったけど、私はまだ眠くないし…)
クリスタ(…お姉ちゃん、私は今とても楽しくて幸せだよ)


エレン「よう、クリスタ。なにしてんだ?」

クリスタ「エレン、ミカサ。まだ眠くないから散歩してた」

ミカサ「女の子が夜の外を一人で歩くのは危ない…」

クリスタ「あはは、私は兵士だよ!二人こそどうしたの?」

エレン「ん、今日は星が綺麗だからな」

ミカサ「うん、見に来たの。星がいっぱいでとても綺麗」

クリスタ「だねぇ……。星空を見ると世界は広いんだなぁって思うよ。…アルミンは?」

エレン「あいつは慣れない酒を調子こいて飲んでたら酔って寝ちまったよ」

ミカサ「天才頭脳の僕にはアルコールなんか効かないと言ってた」

クリスタ「思いっきり酔っ払ってるじゃんね」

ジャン「…ぉえ~…」ザッザッ

ライナー「ったく、大丈夫かお前…飲み過ぎだ」

ジャン「すまねぇ…ライナー」

クリスタ「あ、ジャンとライナー!ジャン吐いてるよ!?」

エレン「そうそう、ジャンとアルミンが酒の飲み比べ勝負してたんだ」

ミカサ「止めたのに…」

ライナー「よう、お前ら。デートか?」

ジャン「てめえ、何ミカサと二人でイチャイチャしてんだオラッ!!」

エレン「はあ!?何言ってんだお前、てか二人ってクリスタもいるだろうが!!酔いが酷いんじゃねぇかお前!?」

クリスタ「あれは素じゃないかな」

ライナー「まあまあ、喧嘩はよせ…訓練生最後なんだからよ」

エレン「…そうだな…すまん」

ジャン「…俺も変に突っ掛かって悪かったよ」

クリスタ「そうだよ、みんなで仲良しこよしだよ!!」

ライナー「その通りだ、クリスタ。結婚しよ」

ミカサ(声に出てる)

ザッザッザッ

エレン「!足音ががするぞ…何か集団が来る…」

ライナー「他の起きてる奴も来たのか?」


ジャキンッ

???「動くな」

クリスタ「!!」

ライナー「な…」
ジャン「!?」
エレン「誰だ!?」
ミカサ「え?え?」

隊長「中央憲兵の戦闘部隊……俺はその隊長だ」

部下「アッカーマン隊長。あれがエレンとヒストリアです」

隊長「ああ、ヒストリアは知っている」

エレン「…!アッカーマンだと!?」

クリスタ「え、ミカサの知り合い!?」

ミカサ「あんな人知らない…」オロオロ

隊長「ほう、そこの女も東洋人か」

ミカサ「は、はい。そうです」

クリスタ「…!あれ、あの顔どっかで…」

隊長「ああ…覚えてるか?クリスタ」

クリスタ「…!!!」

隊長「お前の母親を目の前で殺してやったこの顔を」

クリスタ「…お母さんは私を愛してくれなかったし酷い事ばかりしてきた……でも、それでもお母さんはお母さんだ!」

クリスタ「ここで会ったが100年目!!ボコボコにしてやるっ!!!」ダダッ

ジャン「待て、落ち着けクリスタ!!」ガシッ

クリスタ「離してよ!!」

ジャン「馬鹿野郎、怒りに任せれば良いってもんじゃねぇだろ!!」

エレン「ジャンの言う通りだ、下手に奴等を刺激させるな」

ジャン「…まず、俺達は丸腰だ。そして向こうは数が10人くらいに…立体機動装置をつけてやがる。しかも立体機動装置の使い古された感じを見るに、恐らく奴等はプロだ」

ライナー「仮に俺達に武器があったとしてもマトモに戦って勝てるか分からんだろうな…」

ジャン「このままクリスタが突っ込んでも一瞬で捕まっておしまいだ。奴等の思い通りにさせたくないなら冷静になれ」

クリスタ「…うん、わかった」

隊長「ほう、ガキにしては冷静だな……。だが、それなら分かるだろう?どうすれば無駄な被害を受けずにこの場を逃げれるか」

ジャン「…」

隊長「エレンとクリスタをおとなしく渡すだけでいい。殺すわけでは無いから安心しろ」

ジャン「…それはできねぇ…」

隊長「…所詮は子供か。このまま抵抗し殺し合う方が無駄な犠牲が出るんだぞ?」

ジャン(くそっ、どうする…同期を見捨てるなんてできねぇ…だがこのまま戦えばあいつの言う通り犠牲者が出るだろう)

エレン「…」ガリッ

エレン「って!?」

ライナー「エレン、無駄だ。夜に巨人にはなれん」

エレン「…くそっ…」

ミカサ「…」オロオロ

ジャン(どうすれば………ん?)

シュウウウゥゥゥ

ジャン(あれは…信煙弾?)

ジャン(訓練所の方から……そうか、そういう事か!)

ジャン「………わかった。あんたたちの言う通り、エレンとクリスタを渡そう」

隊長「ふっ、いい判断だ」

ライナー「ジャン!?」

クリスタ「はあぁ!?」

エレン「おい、何考えてんだお前!!ふざけんな!!」

ミカサ「あの…ジャン、そんなの嫌だよ…」

ジャン「もうそれしか生き残る方法はねぇだろ」

隊長「そいつの言う通りだ。おとなしく従ったらどうだ」

ライナー「確かにそうかも知れん…だがな…」

クリスタ「私は嫌だよ、ジャンの馬鹿!!」ポカポカポカ

エレン「てめぇ、そこまで糞野郎だとは思わなかったぞ!!」

ジャン(……よし、これでいい。後は任せたぞアルミン)

―――少しだけ時間は戻り 訓練所

アルミン「グガー…ゴガー」

コニー「ズピー…」

ユミル「…」zzz

サシャ「んん…もう食べきれないですよぉ…ああ、やっぱりもっとくらさい…むにゃ……」

サシャ「ぐー……ぐー……………………」

サシャ「はうあぁっ!!!」ガバッ

ベルトルト「わっ、ビックリした!?」

アニ「急に目覚めてどうしたの?」

サシャ「外からクリスタの叫びが聞こえました!!!」

マルコ「クリスタはテンション高い時よく大声出すから別に珍しくないんじゃない?」

サシャ「いえ、そんな可愛い大声じゃありません!何か怒りMAXな感じの叫び声でした!!」

ユミル「…うるせぇな…どうしたってんだよ芋女」

サシャ「あ、ユミル!さっきクリスタの叫び声が聞こえたんです!!」

ユミル「なに?」

ベルトルト「…何て言ってたかは聞こえたのかい?」

サシャ「えっと…『ここで会ったが100年目、ボコボコにしてやる』って聞こえましたけど…」

ユミル「はあ?酔っぱらってんのか…って、あいつ酒は飲んでなかったな…」

アルミン「そいつあヤバい、早く助けに向かおう!!」ガタンッ

アニ「わっ!起きてたの!?」

アルミン「ああ、起きちゃったよ!!」

アルミン「クリスタが本気で怒りを向ける相手なんかレイス家関係くらいだ!!つまりヒストリエを狙う刺客が現れたんだよ!!」

ユミル「ヒストリアだろ……確かにそうかも知れんな。だが、中央憲兵はそんな強くないからクリスタ一人でもなんとかなりそうだが…」

ベルトルト「あれ、ライナーやエレン達は?」

サシャ「クリスタの声がした方からライナーとエレンとミカサとジャンの匂いもします」

アニ「あんた何でもできるんだね」

ユミル「それなら大丈夫だろ、わざわざ私らが行かなくてもよ」

アルミン「いや、待ってくれ。サシャ…クリスタの声がした方から鉄のような匂いはするかい?」

サシャ「はい…立体機動装置っぽい鉄の匂いがします」

アニ「あんた何でもできるんだね」

アルミン「…待てよ…ちょっと待てよ…いま僕の超天才頭脳を大回転させている…」

ユミル「こいつまだ酔っぱらってんのか?」

アニ「いつもこんなでしょ」

アルミン「レイス家の人間も中央憲兵じゃ無駄だという事はわかっているはずだ。なのにまた同じような刺客を送ってくるだろうか………は、まさか対人制圧部隊!?」

ユミル「そういえばそんな部隊の話は聞いた事はある。よく知ってたな」

アルミン「おじいちゃんの本に載ってたからね!」

アニ「あんたのおじいちゃん何者なの?」

アルミン「だとしたらマズイぞ…今は夜だし巨人化も不可能だ…まともに戦っても勝てない!」

サシャ「じゃ、じゃあどうするんですか!?」

アルミン「大丈夫だ、問題ナッスィング!!この僕にいい作戦があるレルト!!!」

アルミン「その為にはコニー、君の力も必要だ!起きろ!」

コニー「ん~…あと二時間…」

アルミン「起きろ!コニーの天才パワーが必要なんだよ!!」

コニー「ん、天才?おう、任せろ」ガバッ

サシャ「おはようございますコニー!」

アルミン「さて、まずは信煙弾を打ち上げる!」

ベルトルト「信煙弾?なんで?」

アルミン「これから助けに向かうって合図さ!気付いてくれたら僕らが到着するまで時間稼ぎをしてくれるはずだ!!」

ユミル「外は暗いぞ…見えるのか?」

アルミン「大丈夫だ、この建物の灯りでぼんやりと見えるはずだ!」

アニ「それで…私達はどうすればいいの?」

アルミン「待ってくれ、その前にオシッコ行きたい」

ユミル「おい、本当に大丈夫か今のこいつ!?」
アルミン「おお!!!」

サシャ「凄く酒臭いです…」

ユミル「やっぱ酔ってんじゃねえか!!」

バシャアッ!!

アルミン「ぶわあっ!?」

アニ「…水かけてやったよ、少しは酔いは覚めたかい?」

アルミン「ああ…すまない、これで僕は普段通りに天才的な指示を出せる。まず、アニとサシャとコニーは……」

―――外


クリスタ「やーーーだやだやだやだーーー!!!」ジタバタジタバタ

エレン「俺も絶対に行かねえからなーーー!!!」ジタバタジタバタ

ジャン「うるせえな、さっさと行けよ、ガキかお前らは!!」

ライナー「おい、ジャン…やっぱりよそうぜ」

ミカサ「え…えっと…」オロオロ

クリスタ「やーーーーーだーーーーー!!!!!」ジタバタ

隊長「なにしてんださっさと連れてこい」

ジャン「すいません、こいつら聞き分け悪くて…」

ジャン(思った通りエレンとクリスタは抵抗してこの場から動こうとしない……これなら時間を稼げる。そして奴等の目も俺達に向いている。俺の計算通りならもうすぐアルミン達が来るはずだ……)

隊長「………」

隊長「足音が聞こえるな」

ジャン「!!」

隊長「なるほど、助けを待っていたのか」

ベルトルト「助けにきた!」
ユミル「そこ動くなよ!」
マルコ「やっつけてやる!」

隊長「…久しぶりの仕事なのに丸腰の奴と戦うのも面白くないと思っていたところだ。相手になってやる。お前らはエレンとクリスタを捕らえろ」ジャキンッ

部下「はっ」バシュンッ

ジャン「来るぞ!!」

エレン「ざっけんじゃねえ!!」ドフッ
クリスタ「誰が捕まるか!!」バキイッ

部下「ぷぎゃっ!!」

部下「こいつら生身でもやるぞ!本気でかかれ!」

ライナー「くっ、どうする…あの人数に立体機動で来られたら…」

ジャン「…いや、来るぞ!」

ライナー「え?」

ビュンッビュンッ

クリスタ「わあお!」ガシッ
エレン「お前ら!」ガシッ

サシャ「助けに来ましたよおっ!!」ビュンッ
コニー「へへっ!俺達の立体機動を甘くみんなよ!」

ライナー「サシャ、コニー!」

部下「くっ、何て動きだ、わからなかった!」
部下「エレンとクリスタを連れて行かれたぞ!」
部下「追えっ!」

ビュンッ…バシンッバシンッバシンッ!!!

部下「ぷぎゃんっ!!」ドサッドサッドサッ

アニ「後ろががら空きだよ」ビュンッ

ジャン「お前ら、助かったぜ!」

隊長「ちっ、あいつら餓鬼相手に何してんだ!!」ガキンッガキンッガキンッ

ベルトルト「うわっ、わっ、強い!!」
ユミル「くそ、三人がかりでも押されてる」
マルコ「こいつは強敵だ!!」

バシュンッ

アルミン「イッツ 反撃タイムリーだ!!!みんな耳を塞げ!!!」パアンッ

キイイイイィィィッ!!!!!

エレン「うわっ!」

ミカサ「きゃっ!」

隊長「うっ!音響弾か!?」

アニ「さっ、あんたらにも今の内に立体機動装置つけてやる」カチャカチャ

クリスタ「ありがとう!!!」

ジャン「…鳴りやんだか、アニ、耳塞がなくて大丈夫だったのか?」

アニ「あらかじめ耳栓してたよ」

隊長「…ふっ、やるじゃねぇか…」

アルミン「どうする、まだやるか!?」

隊長「いや、そろそろ帰った方がいいだろうな。部下も半分はやられちまったしお前たちも戦力が揃った……何よりあんなデカイ音出されたら異変に気付いてお前らの教官が出てくるかも知れん。バレたらマズイ」

アルミン「おっと、デカイ音出して教官にも来てもらう予定だったのに読まれてたか」

隊長「だが、その前に…」チラッ

ミカサ「え?」ビクッ

隊長「そこの女…実力が気になる。見せてもらうぞ!!」ビュンッ

ミカサ「ひっ!?」

アニ「待て、やらせ…」

隊長「ふんっ!!」バシュンッ

アニ「うわっ!?」ドサッ

クリスタ「ちょっ、速っ!!?」ドサッ

アルミン「ミカサ、逃げれない、とりあえずガードしろ!!」

ミカサ「え?待って…」オロオロ

隊長「ふんっ!!!」ビュンッ

ミカサ「きゃっ!!!」

ガキーーーンッ

エレン「なにやろうとしてんだてめぇ」
ジャン「ミカサはやらせねえぞ…」

アルミン「エレン、ジャン、よく止めた!!」

ミカサ「…うう…」ブルブル

隊長「……ちっ、何だこいつは、期待外れのつまらない奴だ」

クリスタ「んなぁんて事言うのあんた、あれが普通の女の子の反応でしょうがアホか!!!」

隊長「まぁいい。俺達はもう帰る、またいつか会うだろう」ビュンッ

クリスタ「待ちやがれ!!!」

ユミル「やめとけ、あいつは私達三人が相手してた時もたぶん…実力の半分も出していなかった」
クリスタ「え!?」

アルミン「危ないとこらだったね、まさかミカサを狙うとは予想外だった」

ミカサ「うん……ごめん二人とも……」

エレン「気にすんな、俺だってあんな奴が来たら怖いよ」

ジャン「ったく、どうしてミカサ相手にあんな本気の顔で来たんだあいつは…」

アルミン「…」

―――

キース「貴様…勝手に立体機動装置と音響弾を使用するな。あれは貴様のものでなく訓練兵団の管理しているものだぞ」

アルミン「すんませんしたあ!出来心でつい!!」

キース「緊急事態なら初めからそう言え」



ジャン「しかし…中央にあんな連中がいたとはな」

クリスタ「でも撃退できたジャン!」

ユミル「なに言ってんだ、ありゃ運が良かっただけだ」

エレン「ああ…あれはアルミンやお前たちの不意討ちが上手く行ったから何とかなったんだ。マトモに正面から戦ってたら勝てなかった」

コニー「強敵出現って訳だな」

サシャ「中も外も敵ばっかりじゃないですかぁ…」

ミカサ「うう…また来るのかな…」

エレン「来るだろ、俺やクリスタがいる限りな」

ジャン「また来るかも知れないのか…恐ろしいな…」

アルミン「ふっ、僕はむしろみなぎってきたよ。僕達は誰が相手だろうと、ひたすら突き進むのみだ!!」

エレン「はは、相変わらず凄い奴だなお前は…俺も、例え何が来ようと負けはしねぇ」

ミカサ「わ、私も!」

クリスタ「アルレルト兵団の力を見せてやるぞ!!ね、ユミル!!」

ユミル「おいまて、まだ私は入るとは言ってない」

コニー「お、何か行けそうな気がしてきた!」

サシャ「がんばりましょー!」

アルミン「おー!!」

ライナー「ちょっといいか、アルミン…大事な話があるんだが」

アルミン「おう、ライナー。どうしたんだい」

ベルトルト「実は僕達は明日には壁を破壊するように命じられていたんだ」

エレン「おう」
ミカサ「こ、壊しちゃダメだよ?」

ベルトルト「壊さないよ」

アルミン「それがどうしたんだい?」

アニ「私たちはもちろん壁を破壊するつもりはない…でも破壊しなかった場合、もしかしたら……」

翌日―――

キース「…では、所属兵科を決めてもら…」

訓練兵「キース教官、大変です!」

キース「どうした!?」

訓練兵「アルレルト訓練兵と愉快な成績上位の仲間達がいません!!!」

キース「何だと!!また無断行動か奴等は!?」

教官B「どうします?」

キース「まあいい、どうせあいつらはアルレルト兵団に入るんだろ」

―――壁外

獣の巨人「…結局あいつらは壁を壊さなかったな。仕方ない…俺が行くか」

ガッ ガッ

獣の巨人「壁登りは楽しいな~」ガッ ガッ


獣の巨人「よっこらせ、俺にかかりゃ壁越えるなんか著ちょいのちょいよ」


獣の巨人「お、近くに村発見。よーし、まずはあそこの村行くか」ザッザッザッ

――ラガコ村

獣の巨人「こんにちは~」

シ~ン…

獣の巨人「あれ、おっかしいなぁ…誰もいないぞ」

獣の巨人「これじゃ人間巨人化大作戦できないじゃん」

チョンチョン


獣の巨人「ん?誰だ俺の肩を叩くのは…」



エレン巨人「…」


獣の巨人「…」



エレン巨人「グオオオオオオッ!!!」

獣の巨人「ウオオオオオオッ!??」

エレン巨人「オオオオオオッ!!!」バギイイイィッ

獣の巨人「いだあああぃ!!」ズザザザッ

エレン巨人「…」ザッザッ

獣の巨人「…ちっ、俺とした事が」


ズシンズシンズシン

獣の巨人「!」

鎧の巨人「…」ズシンズシン

獣の巨人「鎧の巨人!?」


ミカサ「すごい、アルミンの予想通り本当にここに来た」

アルミン「ライナー達が僕に、他の巨人が攻めてくるかも知れないって教えてくれたおかげさ!巨人は南から来る…そして南の壁に一番近い村はここだ」

コニー「俺の村を攻めてくるとはな…あらかじめ避難させてなかったらどうなってたか」

サシャ「やっぱり貴方のおかげですよアルミン!」

アルミン「照れちゃうなぁ!」

鎧の巨人「グオオオオオオッ!!」バギイイイィッ

エレン巨人「グオオオオオオッ!!」ドゴオオォォッ

獣の巨人「クブオッ!!!」


アルミン「ようし、やれ!エレンとライナーの連携アタックだ!!ついでに生け捕りだ!!」

ミカサ「がんばれー!」

獣の巨人「ちっ、こいつら」ダダダッ

コニー「あ、逃げたぜ!」

ドシイィィンッ

獣の巨人「!!」

超大型巨人「…」
女型の巨人「…」
ユミル巨人「…」

クリスタ(ユミルの上)「逃がさないよ、あんたは囲まれてんだかんね!!」

ジャン「逃がすなよ、こいつを戦闘不能にさせて生け捕りするぞ!」

マルコ「おう!」

獣の巨人「…ふん、舐められたものだな………猿の力を甘く見るなっ!!!」

サシャ「!!皆さん気をつけてください!!あれは…野生の獣の戦闘モードな目付きです!!!」

アルミン「ぬぁんだって!?」

ミカサ「わ、私も家で鶏飼ってたから獣の相手は慣れてる!」ジャキンッ

サシャ「馬鹿言わんでください、鶏と一緒にしたら死にますよ!野菜作ってた子にゃわからねぇですよ!!」


獣の巨人「猿のスピードを甘く見るな!!!」シュンッ

アルミン「!!!」

シュババババババババババッ!!!!!!

コニー「はやっ!?」

エレン(何て動きだ!?)

ライナー(くっ、こいつあんな動きが出来たのか…)

獣の巨人「ははは!追い付いてみろ!!!」

アルミン「ひるむなあぁ、これがアルレルト兵団最初の戦いだーーーっ!!!獣の巨人をぼこぼこにやっつけて捕獲しろーーーっ!!!」

ジャン「クリスタ、サシャ、コニー、ユミル、早く動ける俺達で奴を止めるぞ!!!」

クリスタ「よし来た!!」ジャキキーンッ
ユミル巨人「オオオオオオッ!!!」

コニー「村は俺が守ってみせるぜ!!!」

サシャ「狩猟民族の血が騒いできたわっ!!!」

アルミン「よし、ジャン達が獣の巨人を止めたら、巨人軍団で一斉攻撃だ!!!」

エレン巨人「グオオオオオオッ!!!」

獣の巨人「ところで、その腰に着けてる奴はなんですか?」

ジャン「うるせぇ!!」ビュンッ

ミカサ「えっと…これは立体機動装置って言って…」

ジャン「律儀に答えなくていい!相手にすんな!!」

アルミン「冷静な判断力だ!ジャンはやっぱりこのままアルレルト兵団に入るべきだよ!!」

ジャン「はあ?てめぇらだけじゃ心配だからついてきただけだからな、入る気なんかねぇ!!」

クリスタ「恥ずかしがらなくていいジャン」

エレン(お喋りしてる暇あったら早く獣の巨人止めてよ)

クリスタ「よっし、ユミル走れ!!」

ユミル巨人「オオオオオオッ!!」ズシンズシンズシン

アルミン「ユミルもノリノリだなぁ」

ユミル巨人「ギィアァッ!!!」ガブッ

獣の巨人「ちっ、追い付かれたか!?」

ジャン「右足はもらった!!」バシュッ

獣の巨人「ぬうっ!!」グラッ

クリスタ「ジャンに続け、サシャ、コニー!」バシュッズバッ

サシャ「はい、神様!!」ズバッ

コニー「左足はもらったぜ!!」ズバッ


クリスタ「…やったか!?」

獣の巨人「ははははははは!!!」シュバババババババッ

クリスタ「うっわ、まだ元気!!」

サシャ「さすが獣…しぶとい!!」

ジャン「もう訳わかんねぇな」

アルミン「想像以上だ…こうなったら巨人軍団も突撃!獣の巨人の周りを囲んで行動範囲を狭めろ!!」

エレン巨人「グオウ!」

アルミン「ベルトルトは壁の近くで蒸気を発しとけ!外に逃がすな!!」

超大型巨人「…」ブシュウウウゥゥゥッ

ジャン「よし、もう一回行くぞ!!」

クリスタ「了解!」バシュッ

獣の巨人「無駄無駄無駄あっ!!!」

サシャ「隙あり!!!」バシュッ

コニー「あ、待て!!」

ガシッ

サシャ「あっ…」

獣の巨人「ちょっとお前来てもらうよ」

ミカサ「サシャが捕まった!?」

クリスタ「この獣野郎!!」ジャキンッ

獣の巨人「遊びは終わりだ」ガコンッガコンッ

アルミン「家を持ち上げただとおっ!?みんな離れろ!!!」

ミカサ「え!?」

獣の巨人「ふん!!」ブオンッ ブオンッ ブオンッ

コニー「あいつ、家投げて来やがった!!」

クリスタ「くっそ、家やら木やら連続で投げて来るから近づけない!!」

ガシャーンッ!!!

鎧の巨人「…!!」

アルミン「ああ!ライナーに直撃した!!」

エレン巨人「グオオオッ!!」バキャーーーッ

女型の巨人「…」バガーンッ

アルミン「巨人軍団も迎え撃つのに精一杯だ、まずいぞ!!!」

獣の巨人「…」ガシッガシッ

ジャン「攻撃が止んだが壁を登ってやがる、逃げられるぞ!!」バシュッ
クリスタ「逃がすかあっ!!!」

コニー「待てやコラアッ!!!」

カアッ!!!!!

ミカサ「きゃっ、何!?」

アルミン「うっ…この光は…巨人化の光か!?」

ユミル(まさか……)

ライナー(くそっ…やられた!!)

???「…」ズシンズシン

ジャン「…!!?」

クリスタ「…え、嘘…あれ…」

コニー「…おい、マジかよ…」


サシャ巨人「グアアアァァァッ!!!」

ミカサ「サシャアアアッ!!!」

アルミン「くっそ、巨人組いったん人間に戻れ!話聞かせろ!!!」

エレン「おい、どういう事だありゃ!!」ザッザッ

サシャ巨人「…」ズシンズシンズシン

ユミル「…あの獣に巨人にさせられちまったんだろう…くそっ…」

ライナー「…すまん…俺がもっと早く気付いていれば…」

アルミン「後悔するのは後でいいから、何か手が無いか教えてくれ!!!サシャは僕達を襲う気満々だぞ!!!」

ライナー「…巨人の身体と人間が一体化するのには少し時間がある。今ならまだ、もしかしたら間に合うかも知れん。うなじを切り開いて中からサシャを出す事が出来るかも知れん」

ベルトルト「…それも賭けだけどね」

アニ「ああ…本当にそれで行けるかはわからない」

アルミン「…少しでも可能性があるならそれに賭けるしか無い、とにかく時間がないんだ!やること決まったならさっさと行くぞ!!」

エレン「おう、必ず助ける!!」

ミカサ「うう…サシャ……どうして…あんな酷い事を……」

クリスタ「ミカサ、立ちなさい!全力で突撃して一秒でうなじを切り開いて一秒でサシャを中から出す!!!」ギュンッ

コニー「おう!!!」

サシャ巨人「…」ビュンッ

ジャン「うわっ!!?」

コニー「くそっ…サシャ、動くなよ!!」

サシャ巨人「…」バシュッ バシュッ

クリスタ「うわっ!ダメだ、動きが早くて近づけないよ!!」

アルミン「サシャの素早さと勘を引き継いでるのか…厄介だな!」

エレン巨人「グオオオッ!!」ズシンズシン

サシャ巨人「グアアアァァァッ!!」

アルミン「早く助けなきゃならないのに…くそっ!!!」

ギュウウウゥゥゥッ!!!

アルミン「うおっ!?」

クリスタ「え、早っ!!」

ジャン「あれは…」


ミカサ「うあああああああっ!!!!!」ギュウウウゥゥゥッ


アルミン「待てえ、ミカサ!!!」

サシャ巨人「…」
バクンッ

エレン「…!!!」

アルミン「ちくしょう!!!」

ジャン「ミカサが喰われた!?」

サシャ巨人「…」ズシンズシンズシン

クリスタ「くっそお!!何なんだよこれはぁ!!」

アルミン「ええい、もう強行突破だっ!!!」ギュンッ

ジャン「あの獣野郎…ふざけた事しやがって!!!」ギュンッ

サシャ巨人「グアアアァァァッ!!!」

ライナー(くそっ…もう…ダメなのか……)


エレン「………」


エレン「ふざけんなよ…くそっ…もう…やめろ…」

アルミン「!!」

サシャ巨人「…」

エレン『やめろおおおおおっ!!!!!』

ビリビリビリッ

サシャ巨人「…!!!」ピタッ

アルミン「動きが止まった!!?」

クリスタ「よし、今だ!!」

コニー「ああ、行くぞ!!」

ブシュッ!!

クリスタ「え!?」

ブシュッ!!ブシュッ!!

アルミン「うなじから何か音が…」

ブシャアアアアアッ!!!!!!


ミカサ「…ぷはっ!!」ギュンッ
サシャ「…」

ジャン「ミカサ!!?」

コニー「サシャも…」

ミカサ「はあ……はあ…もう……大丈夫だよ……」フラッ

クリスタ「二人とも…良かった…」

サシャ「…ん…ミカサ?」

ミカサ「サシャ!」

クリスタ「良かったぁっ!!」ダダダッ

エレン「一件落着って奴だな」

アルミン「ああ!!」

アルミン(だがこれで…やっぱり巨人の正体は人間だという可能性がますます高まったな)

コニー「おい、俺の事わかるか!?」

サシャ「当たり前ですよ、コニー」

グウウウゥゥッ

サシャ「ああぁ…お腹すきました…頭もクラクラします…」

ジャン「俺達は大変だったのにお前は普段通りだな、ったく…」

ミカサ「あれ、なんだかサシャ顔色悪いよ?」オロオロ

ライナー「むっ…助かったが、やはり体力を随分吸われているかも知れんな。早く医者に行った方がいい」

アルミン「よし、早く連れていってあげよう!!」

クリスタ「じゃあ、サシャは私の馬で連れていくよ!!」

アルミン「おう任せた!!」

サシャ「お願いします」
クリスタ「よし、走れーーーっ!!!」
パカラパカラパカラパカラパカラパカラ!!!!!

ベルトルト「…いつ見てもクリスタの馬は物凄く早いね」

ライナー「それでもやはり天使だがな」

アニ(私の巨人より速い……)

アルミン「…さて、僕達はここの片付けをしなきゃね、村の中で暴れちゃったし」

コニー「はあ…あの獣野郎、家をブンブン投げやがって…」

エレン「俺の巨人で修理してやるよ」

ライナー「巨人はこういう時も役立つな」

ジャン「…あと、あそこの壁も獣の巨人の爪で傷がついてる。後で駐屯兵団に頼んで治してもらわないとな」

アルミン「だね!!」



ガラッ… ガラッ

ミカサ「!」チラッ


ガラッ…



壁の巨人「…」

ミカサ「」

壁の巨人「…」

ミカサ「」

壁の巨人「…」

ミカサ「」

壁の巨人「…」チラッ

ミカサ「!!!!!」ビクウッ

アニ「どうしたのミカサ、何1人でびくびくしてんの…」ザッザッ

ミカサ「か…かお…」ブルブル
アニ「は?」チラッ

壁の巨人「…」

アニ「!?」ビクッ


エレン「おい、なにしてんだお前ら」

アルミン「壁観察かい?」チラッ

壁の巨人「…」チラッ

エレン「!?」ビクッ
アルミン「ホワッツ!!?」

ジャン「…あ?なんじゃありゃ…は?」

マルコ「」

コニー「なんで壁ん中に巨人がいるんだよ!?」

アニ(あまりの怖さに結晶に閉じ籠るとこだった…)ブルブル

アルミン「おい、アニ!あれ何だ!?」

アニ「はあ!?私が聞きたいよ!!」

ライナー「」

ベルトルト「」

エレン「ライナーとベルトルトも呆然としている!こいつらも知らないんだ!!」

アルミン「ユ・ミール!!何か知ってるか!?」

ユミル「まぁ多少は」

アルミン「話せ!!」

ユミル「私にも都合があるんだよ…」

アルミン「わかった!!」

ユミル「まぁ…少しだけ教えてやる。壁教がこの壁の秘密を知っている」

エレン「壁教か、アルミンから聞いた事あるな」

アルミン「ほう、やはり彼等は何か秘密を握っているのか」

エレン「どんな秘密があるのか…考えただけでワクワクするぜ!!」

アルミン「僕もだ!未知のワクワクが僕らを待っている!」

ミカサ「私もワクワクする!」

壁の巨人「…」ジーッ

ミカサ「」ビクウッ

ユミル「あ、てか塞げ!早くあれ塞げ!!何でもいいから!!」

アルミン「おう!?」

ベルトルト「僕に任せろ!」ガリッ


超大型巨人「…」ドシーーーンッ

超大型巨人「…」グイッグイッ

アルミン「おう、都合よく置いてあった大きな岩をはめて塞いでいる!」

―――訓練所 (アルレルト兵団本拠地)

ジャン「…まさか、壁の中に巨人がいたとはな。」

マルコ「今までずっと巨人に守られていたなんて…冗談でも笑えないよ…」

アルミン「どうだろうね。僕はあの壁の巨人は…人類を守ってるのではなく、閉じ込めて監視してるように見えたけど」

ジャン「…怖いな、おい…」

アルミン「そのうち一斉に散歩し出すかもね…」

エレン「そんな事なったらおしまいだろ…」

アルミン「ねえ、ミカサ、そのうち壁を自分から破って出てきたり…」

ミカサ「」ブルブル

アニ「あんたわざとミカサ怖がらせてるでしょ…」

アルミン「ごめんごめん、反応が面白くてつい!許してくれたまえ、アルミンジョークさ!!」

ミカサ「冗談でも怖い…」

エレン「相変わらず怖がりだなお前は…」

ライナー「…サシャの巨人と戦ってる時は別人みたいな雰囲気になってたよな、ミカサ」

ミカサ「え?」

ジャン「ああ、めちゃくちゃ早かったぜ」

ミカサ「…ん~…必死だったからよくわからない…」

アルミン「ま、ミカサがサシャを助けたんだ。それでいいじゃないか!」

エレン「前にも言ったろミカサ。お前はやるときはやる奴だって」

ミカサ「うん!」


コニー「そういえば、今回はあらかじめ獣の巨人が来ることを想定出来たから良かったけど、また来るかも知れないんだよな……その時、サシャみたいに人間を巨人にされる可能性も…」

アルミン「そりゃあるだろうね……でもそんなすぐには来ないだろう、こっちには巨人もたくさん味方にいるし迂闊には手を出さないと思う」

ユミル「だといいがな…」

エレン「…で、これからどうするんだアルミン」

アルミン「そうだね、まずは壁教か中央の連中から情報を聞き出したいね」

ライナー「だが、どうやって聞き出す」

アルミン「おびき寄せて捕まえるのさ。だから少し危ないけど…」

クリスタ「ただいまー、サシャは明日には元気になるって…」

アルミン「言い方は悪いが…エレンとクリスタには奴等の餌になってもらう!!」

クリスタ「え!!!?」

エレン「ほう…おもしれぇ」

クリスタ(え、餌…え、食べられるの?私が…え、誰に?アルミンに?アルミンに食べられる!?)

クリスタ「積極的過ぎるよアルミン!!!//」

ユミル「何騒いでんだお前」

クリスタ「だって…アルミンが私を食べるだなんてーっ!!」

ユミル「…何を勘違いしたかはだいたい想像できた。壁教やレイス家をおびき寄せるためにエレンとお前を餌にするって話だ」

クリスタ「ああ、そういうこと。ビックリしたぁ…」

ユミル「私はお前の勘違いっぷりにビックリだよ」

アルミン「おう、クリスタお帰り!サシャはどうだ!?」

クリスタ「うん、明日には元気になるって!!」

コニー「これで一安心だな!!」

エレン「ああ…それで、俺達を餌にするって具体的にどうするんだ?」

アルミン「まずは、エレンかクリスタどちらかに憲兵団に入ってもらう」

ミカサ「憲兵団に!?」

エレン「おいおい、俺はアルレルト兵団だぞ!!」

クリスタ「私も私も!!」

アルミン「ああ、もちろんみんなアルレルト兵団だよ。でも表面上は憲兵団としていてもらいたい」

エレン「なるほど…所属は憲兵団でも心はアルレルト兵団か」

アルミン「そういう奴だね」

クリスタ「なら私が入る!!」

エレン「ん、いいのか?」

クリスタ「わざわざ敵の陣地に突っ込んでくみたいで面白そうじゃん!!あと憲兵団内で『私はヒストリア・レイスです!!妾の娘として迫害され追い出されました!!レイス家は世界の謎を知ってます!!あんな糞な家に生まれて私は悲しい!!』って大声で叫んでみたい!!」

アルミン「凄いひねくれっぷりだね、さすがクリスタだ」

クリスタ「照れるなー」

ユミル「じゃあ、私も…と、言いたいとこだが私は上位十名にいないから入れないな」

クリスタ「大丈夫、憲兵団にいても私はアルレルト兵団だからね!寂しくて泣かないでね!」

ユミル「はっ、お前こそ寂しくて泣くなよ」

クリスタ「私は泣くよ!」

ユミル「泣くなよ!!」

アルミン「…じゃあ、他にも数人憲兵団に行ってもらおう。クリスタ一人じゃ心配だしね」

ライナー「よし、俺が…」

アルミン「ライナーはこっちに残ってくれ、大事な戦力だ」

ライナー「…わかった」

アルミン「ジャン、マルコ、ベルトルト、アニ、君たちに任せた!!」ビシッ

マルコ「おお、やっと僕の出番がありそうだ!!」

ジャン「よっしゃ憲兵だ!!!さすがアルミン、お前はいい奴だと思ってた…」

アルミン「いや、言っちゃえば偵察の為に憲兵団に行くんだし君は生まれた時からアルレルト兵団決定の運命だからね」

ジャン「………そんな事だろうと思ったぜ…てか生まれた時からって何だよ」

クリスタ「でも素直に従うジャンであった」

ベルトルト「ああ…任せてくれ、アルミン」

アニ「いいけど、入った後はどうすればいいのさ?」

アルミン「詳しい話は後でするけど…情報収集とクリスタに釣られて寄ってきた中央の連中を引っ捕らえる為さ。憲兵にいる方が奴等も寄り付きやすいだろうし…収集も集めやすいだろう。逆に言えば危険も大きいけどね」

アルミン「でも大丈夫、僕らもちゃんとサポートするからね!!」

クリスタ「スリルあって楽しそうじゃん!私たちなら行けるよー!!」

エレン「気を付けろよ、お前ら」

アニ「ああ」

ベルトルト「エレンもね…君の方にも中央の連中が来るだろうから」

ユミル「……おい、アルミン。ちょっと話がある」

アルミン「ん、なんだいユミル」

ユミル「クリスタの事だが…何か、あいつが心配で仕方ないんだが…」

アルミン「ああ、恋愛相談かい?別に同性でも愛があれば」

ユミル「真面目に聞け」グググッ

アルミン「痛い痛い!許して!」

ユミル「…で。クリスタ…今のあいつの事どう思う?アルミン」

アルミン「どうって…普通に明るくて元気な娘じゃないかな」

ユミル「ああ…だが、どうも引っ掛かる」

アルミン「どういう事だい?あれが本当のクリスタだと思うけど」

ユミル「ああ…お前の言う通り…今のあいつは自然体だしあの明るさが本来の性格だろう。嘘はついてない、だがな…あまりにその明るさを前面に出しすぎじゃないか?」
アルミン「…」

ユミル「あいつまだ、自分の中の闇を完全に振り払えて無いんじゃないかと思うんだ」

アルミン「…」

ユミル「自分の過去の嫌な記憶を…自分の闇を、明るい性格で無理やり押し込んでるんじゃないか…あいつは。無理やり忘れようとしているように見える」

アルミン「それは…あり得るかも知れないね」

ユミル「そして何より…なんであいつは未だにクリスタを名乗ってるんだ」

アルミン「…そういえばそうだね、自分をヒストリアと呼ぶのは感情が頂点まで高まった時だけだ。今のクリスタの性格なら普通にヒストリアを名乗って生きそうだけど…」

ユミル「………まぁ、今のあいつは精神的にも強くなってるから、時間が経てば自然と闇も消えると思うし心配する必要も無いかも知れん。だがな…」

アルミン「…」

ユミル「もし、それまでに……あいつをまた絶望のドン底に落とすような事が起きたら………」



ユミル「またクリスタの心が壊れるかも知れんぞ」

―――――

―――

「こら!サシャ!また食料を漁ってから!食うのをやめんか!!」

サシャ「んぐあああ!!!」バクウッ

サシャ父「この…バカ娘……もういい、好きにせえ…」

サシャ「…」モグモグ

サシャ父「お前は…この世界がどうなってるか…なぜここ数年森が減って獲物が獲れなくなってきとるか…考えたことはあるんか?」

サシャ「そんなんよそ者が来て横取りするからやし、だから腹減る」

サシャ父「ああ、けどな…その人たちも住処を奪われ仕方なく流れてきとる」

サシャ「奪われたんが悪い…はよ出てけばいいんに…」

サシャ父「奪ったんは巨人ぞ?他に行き場はあるんか?」

サシャ「…」

サシャ父「森を切り開き穀物を植える方が人の腹を満たすことができるんてな……我々一族も狩りをやめ…森を明け渡すべきなんかもしれん。王政からな…対価を支払う代わりに…馬を育てろと言われとる」

サシャ「ええ!そんな……狩りをやめたら私達じゃなくなるやろ!?何で私らを馬鹿にしてる奴等のために…そんなことせんといかんの!?」

サシャ父「そりゃなぁ…我々は世界に生かしてもらっとるからなぁ……人間ちゅうのは群れで生きる動物なんて…違う生き方をしている人間でん限られた環境の中じゃ同じ群れに入って人と関わっていかんけりゃ」

サシャ「いや!嫌やって!私達はご先祖様に生き方を教えてもらって生きてきたんやから!!よそ者に受けた恩なんか無いよ!!私達にゃ私達の生き方があるんやから、誰にもそれを邪魔できる権利は無い!!」

サシャ父「…そうか、それもいいやろ…一生自分や同族のみの価値観で生きていくんも。けどな…サシャ、それと心中する覚悟はあるんか?これからどんな危機に見舞われても…助けを乞うてはならんとぞ?」

サシャ「…」

サシャ父「義務を果たさん者がその恩恵を受けることができんのは当然やからな…私の考えはこうだ。伝統を捨ててでも一族と共に未来を生きたいと…思うとる。世界が繋がってる事を受け入れなければならん…」

サシャ父「サシャ…お前には少し臆病な所があるな」

サシャ「!」

サシャ父「この森を出て他者と向き合うことは…お前にとってそんなに難しいことなんか?」

サシャ「…」


―――

サシャ「…ん…」パチッ

サシャ「……夢…か…」

サシャ(……お父さん…今、どうしてんやろ…)

―――――

コニー「………あ!」

エレン「!どうした、コニー?」

コニー「あれ…おかしいな…ちゃんと置いてたはずなのに…」

ライナー「…この前送られてきた家族の肖像画か。それがどうした?」

コニー「いや…なんか………ヒビが入ってた…」

ここからはしばらく、シリアスな展開が続くと思います。

―――クリスタ達が憲兵団に入団し1週間後

サシャ「何だか人数減って寂しいですねぇ…」

コニー「だなぁ、いつも朝はクリスタと俺とサシャで鬼ごっこしてたのに…」

ユミル「ガキかお前らは…」

ミカサ「エレン、そろそろ起きなきゃ…」グイグイ

エレン「疲れてんだ…もう少し休ませてくれ…」

ライナー「昨日、調査兵団からハンジ分隊長が来て色々と質問攻めされたからな…俺もエレンも…実験させられかけたし……俺も疲れたよ…」

ミカサ「また来るって言ってたね」

アルミン「うん、次は団長と兵士長も連れてくるらしいけど…たぶん協力して欲しいとかそんなとこだろう」

ライナー「どうするんだ?協力するのか?」

アルミン「利用価値が無いなら協力しないけど、利用価値があるなら協力するさ」

コニー「なんかカッコいいぜアルミン!!」

ミカサ「疲れたって言っても…もうお昼なっちゃうよエレン…」

エレン「んんん、いいだろうもう…」

ミカサ「ううう…」オロオロ

アルミン「エレ~ン、ミカサも困ってるじゃないか!!」

「いつまで寝てんのエレン!!起きなさい!!」

エレン「はっ!!?」バッ

カルラ「全く…威勢よく兵士になるって言っておいて情けないよ」

エレン「何で母さんがいるんだよ!?」

カルラ「アルミンに呼ばれたんだよ」

エレン「何でだよ!?」

アルミン「エレン、もし中央憲兵なんかにカルラおばさんを人質にされたりしたらどうすんのさ」

エレン「え…あ、そうか…」

アルミン「ついでに、僕の家族とミカサの家族も来る予定だよ。エレンと関わりがあるからね」

ミカサ「え、久しぶりにお父さんとお母さんに会えるの!?やったー!」

エレン「凄く嬉しそうだな、ミカサ」

アルミン「キース教官がカルラおばさんと知り合いらしくて助かったよ。何で知り合いなのかは知らないけど」

カルラ「…で、エレン…あんた一体何があったの?」

エレン「ああ、そうか…母さんはまだ知らねぇんだな…」

―――憲兵団


クリスタ「はあ…つまんないなぁ…鬼ごっこも出来ないし…」

ジャン「鬼ごっこってな、お前…遊びに来てんじゃねぇんだぞ」

ベルトルト「…今のところ、まだ中央の連中は来ないね」

アニ「うん」

マルコ「…王政や中央憲兵について何か情報が無いか色々な本を見てるけど…そういったものを詳しく記したようなものは見つからないよ」

アニ「やっぱそんな簡単にはわからないよね…。それにしても、よく私達みたいな巨人を憲兵に入れてくれたと思うよ」

ベルトルト「その代わり、僕達は彼等に見張られる事になったけど」

マルロ「…」

ヒッチ(めんどくさい…)

ジャン「お前らが監視されるのは仕方ない。まぁ、普通にしてりゃ大丈夫だろ」

マルコ「…アルミンはさ、アニとベルトルトに監視役が付けられる事も作戦の内なんじゃないかな」

ベルトルト「え?」

アニ「どういう事?」

ジャン「ああ…そうだな。まず、レイス家は中央憲兵を使ってお前を拐おうとするだろう」

クリスタ「おう!そうだろうね!」

ジャン「そんで、ベルトルトとアニは常にクリスタの側に居ろとアルミンに言われてる」

アニ「うん」

ベルトルト「僕達は成績も上位の実力だし…いざとなれば巨人にもなれるからね」

ジャン「で、アニとベルトルトはそこのマルロとヒッチに監視されてる」

マルロ「…」
ヒッチ(帰りたい)

ジャン「つまり、クリスタの周りには常にベルトルト、アニ、マルロ、ヒッチがいる事になる。要するにいざって時のこっちの戦力を増やす事も目的だったんだろう」

クリスタ「アルミンやっぱ凄いね!!」

憲兵「おい、新入り、仕事だ!!」ガチャ

クリスタ「お!何かな何かな!?」ワクワク

憲兵「壁に傷がつけられたり落書きされてるらしい。イタズラだろうが、現場に行って調査してくれ」

ジャン「…壁か…」

憲兵「…じゃあ、我々は酒を飲んでおくから、後は任せたぞ」

クリスタ「って、全部新入り任せかよ!?」

マルコ「噂通りとんでもない組織みたいだ…」

―――壁付近

ジャン「…確かにちょっと傷がついてるな。変な落書きがあるし…」

マルコ「子供のイタズラかな…」

クリスタ「あ~あ、つまんない仕事…」

「全く、壁になんという事をするのだ!!」

クリスタ「!」

アニ「あれは…」

ニック「神聖なるローゼの壁にこのような事を…犯人を早く捕まえろ、憲兵!!愚か者は罰せねばならん!!!」

ベルトルト「壁教だね」

クリスタ「壁教さん、いいとこに来てくれましたぁ~」

ニック「犯人はわかったのか!?え!?」

クリスタ「たかがこんな少しの傷や落書きくらいで…」

ニック「たかがだと!?この壁は人智の及ばぬ神聖なものなのだ!人が余計な手を出してはなら…」

クリスタ「そんな心配しなくても、ちょっとの傷や落書きくらいで中にいる巨人は出てこないでしょ」

ニック「!!?」ビクッ

ベルトルト(さっそく、その話を出したか…)

ニック「な…貴様…何を…」

クリスタ「この前見ちゃったの…壁の中に巨人がいるの。あれは何?」

ニック「…何の事か分からんな。とにかくさっさと犯人を探し出せ…」

クリスタ「あなた達が必死に壁を守ってるのもあれがあるからなんだね」

ニック「これ以上意味のわからん話には付き合えん。犯人が捕まらないようなら貴様たちに壁の弁償代を請求する…」

ジャン「おい」ガシッ

ニック「!」

クリスタ「お!?」

ジャン「いい加減にしろよ」

ジャン「これは重大な事だぞ……人類が巨人から守られてきた壁の中に巨人がいるなんてな。しかもこの巨人が敵か味方かもわからない。誤魔化すな、知ってる事を喋れ!」

ニック「ふざけるな…離せ…」

ジャン「お前がふざけるな!あんなのを見て黙ってられるかよ、だが、お前達は今まで黙っていた……どういうつもりだ!?あの巨人はなんなんだ!この壁の世界はどうなってんだよ!」

ニック「大声で喋るな、他の者に聞かれたらどうする!!」

クリスタ「やっぱり知ってるんじゃん!!!」

ニック「…お前達の気持ちは最もだ……だが、私も…悪意があって黙っていた訳では、無い…何があろうと話す訳にはいかん……」

ジャン「…」

ベルトルト「もう止めておこう、ジャン」

アニ「うん、この人も嘘をついてる様子じゃないよ」

ジャン「…ああ」

ニック「はあ…はあ…お前達…絶対にあの巨人の事は…他の者に言うな…」

ジャン「…そりゃあな。いきなり言っても余計に混乱が増すだけだ」

ニック「そしてこれ以上、この事には関わるな……あまりしつこいと、消される事になるぞ…」

ジャン「…」

クリスタ「…いえ、私は絶対に引き下がらない!!」

ニック「!!」

クリスタ「私の本名はヒストリア、レイス家には…世界の謎を公表する権利があるみたいだよね」

ニック「…そうか、お前があの妾の娘…」

クリスタ「…この壁の、巨人の、世界そのものの謎を解き明かし…いつかその全てを公表してこの世界を変えてみせるからね!!!」

ニック「…」

クリスタ「…そしてそれが…過去に私を追い込んだ奴等への復讐になる…そうすれば、私の嫌な記憶も完全に消える…はず…」ボソッ

ジャン「!」

クリスタ「とにかく!あんた達の思い通りにはならない!!そうレイス家に伝えときなさい!!」


マルコ「…結局、壁の事はわからないままだったね…」

ジャン「ああ。だが…壁教が何か知ってるのは確実になった」

ベルトルト「どうやって聞き出すかだね」

マルロ「おい、クリスタはいるか!」

クリスタ「ん?」

マルロ「団長が呼んでたぞ」

クリスタ「へ?何でだろう」

ベルトルト「…」

アニ「何かありそうだね…」

ベルトルト「僕達も付いていっていいかな?」

マルロ「え?なんでだ?」

アニ「ああ……訓練生の頃は、クリスタが私達の監視役だったからさ…離れない方がいいかと思って」

マルロ「…団長の部屋の前までだ。俺もお前達を見張っておくからな」


ジャン「…中央憲兵が会いに来たのかも知れん。気を付けとけ」

クリスタ「大丈夫大丈夫!」

―――団長室

クリスタ「入ります」コンコン

ナイル「ああ、入れ」

クリスタ「何でしょうか?」

ナイル「お前に会いたいという人物が来ていてな…話があるそうだ」

クリスタ「…」チラッ


「…久しぶりだ」


クリスタ「…っ!!!」


ロッド「大きくなったな…クリスタ」

クリスタ「…」

ロッド「二人で話がしたい、ナイル団長、下がってもらってもいいかな?」

ナイル「はい、わかりました」ガタッ

クリスタ「…」

ロッド「さぁ、座りなさいクリスタ」

クリスタ「…何しに来たの…」

ロッド「娘に会いたいのは親として当然だろう」

クリスタ「ふざけんな!!あんたなんか親と思ってない!!」バンッ

ロッド「……何を企んで憲兵に入ったのかは知らんが…」

クリスタ「!」

ロッド「大人しく私のところに来い。無駄な反抗は止めるんだ」

クリスタ「…それよ、あんた達の目的がわからない。偽名使って大人しく生きてろと言い追い出したかと思えば…今度は必死に私を連れ戻そうとする」

ロッド「無視できる存在では無くなったからだ。お前は少しずつこの世界の謎を知りつつある……消されていた記憶もかすかに思い出しているだろう。そして、大きいのはエレンの存在だ」

クリスタ「エレン?なんでエレンが…」

ロッド「とにかく、大人しく私の元に来い。お前の大事な人間まで巻き込みたくなければな」

クリスタ「…」

ロッド「…あの時と同じように、目の前で人の殺される光景を見たいか?次はお前の仲間だぞ」

クリスタ「…っ!!」ゾクッ

クリスタ「黙れ!!んな脅しに乗るか!!絶対にあんたなんかに従うもんか!!」

クリスタ「てかね、壁の中に巨人がいる事…知ってるわよ!!あれはなんなの!?」

ロッド「…それも見てしまったか…やはり無視できんな」

クリスタ「…」

ロッド「まぁいい。今日はここまでだ…お前がどうしても従う気が無いのはわかった」

クリスタ「うっさい、ここであんたをぶちのめしてやる!!!」

ケニー「まぁまぁ、落ち着けよ」ガシッ

クリスタ「!?」ビクッ

クリスタ(え、いつからいたの…気づかなかった…)

ケニー「今日は何もする気はねぇよ…ま、次に会うときはどうなっても知らねぇがな……」

クリスタ「…あんた達の思い通りになんかならない!!絶対ボコボコにしてやる!!」

ロッド「…」

クリスタ「…はぁ…」ガチャ

ベルトルト「!クリスタ、何もなかったか!?」

クリスタ「えへへ、大丈夫大丈夫」

アニ「本当に?疲れたような顔してるけど」

クリスタ「…ロッド・レイスが来た…」

ベルトルト「…!」

アニ「あんたの父親か…」



ロッド「…今のクリスタは厄介だな。反抗期の子供のようだ」

ケニー「俺に任せてください。所詮はまだ子供……あの性格で必死に過去に押し潰されないようにしてる風にも見える」

ケニー「立ち直れない程の絶望を与えてやれば…また以前のような空っぽな人形にできますよ」

―――訓練兵団 空き部屋(アルレルト兵団本部)

アルミン「…何も起きないな…」

ライナー「…奴等にまだ気づかれてないのか?」

アルミン「いや、そんな事はないはずだ…奴等は実質、壁内でトップクラスの権力者……こんな場所くらいすぐに特定できるはずだ」

エレン「まぁ、やっぱ訓練兵団の中だから迂闊に手が出せないんだろ」

アルミン「それもあるだろうけど…」

ミカサ「ねぇ、コニーいる?」

エレン「!どうした?」

ミカサ「コニーに手紙が来てるんだけど…」

コニー「…俺に手紙?」

ミカサ「うん。家族からかな?」

コニー「ちょっと見てみる」

サシャ「私にも見せてください!」

コニー「なんでだよ!」

ユミル「…」

コニー「誰からかな…」ビリッ

コニー「…」

ライナー「…」
エレン「…」

コニー「………」

アルミン「コニー?」

サシャ「あれ、コニー…どうしたんですか…」

ビリッ!!

コニー「ふざけんじゃねぇ!!!」バンッ

サシャ「!?」

ライナー「コニー、どうした!?」

アルミン「何が書いてあったんだ!?」

コニー「……家族が……人質に取られた…中央憲兵に…」

エレン「な!?」

サシャ「そんな……」

ユミル「やり方の汚ねぇ連中だ…」

アルミン「くっそ、迂闊だった!!狙うならエレン関係の人間だと思ってたのに!!」

コニー「場所も書いてある、今すぐ行くぞ!!」

ユミル「待て、落ち着けバカが!!」ガシッ

コニー「離せよ!!」

アルミン「ユミルの言う通り少し落ち着くんだ、コニー……これは罠だよ。わざわざこんな手紙を送るなんて…明らかに僕らを誘ってる。そもそも本当に家族が人質に取られてるのかすらわからない、嘘の可能性だってあるんだ」

エレン「…そうだな、慎重になった方がいい」

コニー「…」

ライナー「辛いだろうが…いったん冷静になれ…」

コニー「くそっ…」

サシャ「コニー…」

ミカサ「…」

ミカサ「なんで…コニーの家族を……」

アルミン「目的は何となく分かるよ……。とにかく、コニー!まずは慎重に考えて作戦を決めてから向かう!!絶対に勝手な行動はしないでくれよ!?」

コニー「ああ…」

ユミル「心配しなくても人質なら下手に殺したりはしないはずだ」

コニー「…わかってるよ…」

ライナー「…」

―――夜

ゴソゴソ

コニー「…」

コニー(勝手に行動するなと言われた……混乱を起こして俺達をバラバラに行動させるのが目的なのも聞いた。それでもやっぱ…ゆっくりなんかしてられねぇ!)

サシャ「…コニー…」

コニー「!」

サシャ「…やっぱり…勝手に行動するなって言われたのに…」

コニー「………サシャ、すまん…皆に謝っておいてくれ…」

サシャ「家族が拐われて焦るのはわかりますよ!!でもそんな時だからこそ冷静にならなきゃ!!」

コニー「…わかってる…でも、俺はバカだから…無理だ。ゆっくりしてられない」

サシャ「…」

コニー「それに…殺したりはされないにしても……何をされてるかはわからないんだ……考えたらいても立ってもいられない…」

サシャ「…わかりました…」

サシャ「なら、私も行きます!コニー1人じゃ危険ですから!!」

コニー「…お前…」

ミカサ「…んん、喉乾いた……あれ?」チラッ

ミカサ「コニーとサシャが…いない…」

―――――

ザッ ザッ ザッ

コニー「確かこの辺りだって書いてあったな…」

サシャ「ええ、でも…嘘の可能性もあります…私達を捕らえるための罠かも…」

コニー「その時はそこにいる奴に居場所を聞くまでだ…」


ビシュンッ!!

サシャ「!!コニー、危ない!!」ドンッ

コニー「うおっ!?危なっ……弓矢!?」

???「来たか、まんまと掛かったな!」ザッザッ

???「奴等も捕らえろ!」

コニー「何だあいつら…動きが素早い…」

サシャ「…え…あの格好は……」

コニー「え、知ってんのか?」

サシャ「知ってるも何も、私の暮らしてた村の民族衣装ですよ!?」

コニー「な!?」

狩猟民「…お前は…サシャか?」

サシャ「!!!」

サシャ「ど…どうして…」

狩猟民「同族だからと加減はせんぞ、邪魔するならな!!」

サシャ「ま、待って…みんな…何で!!」

コニー「どういう事だよ!?」

狩猟民「王政から…狩猟をやめ馬を育て穀物を育てるよう命じられているのは知ってるな?」

サシャ「!」

狩猟民「それから私達は王政の元で働く事になった…これも一族が生きる為なんだ」

サシャ「だからって…こんな事…」

狩猟民「生きる為には汚れ仕事をしなければならない事もある!!」

サシャ「わ…私はそんなの認めない!!生きる為でも…こんな事に手を貸すなんて一族の恥だ!!!」

「…恥と、命…どっちが大事だ…サシャ?」

サシャ「!!」

サシャ父「恥を捨ててでも…生きる為には、こうするしか無いんや」ザッザッ

サシャ「お父さん…っ!!」

コニー「…うるせえ、どんな理由があろうと俺の家族を利用しやがって!!返してもらうぞ!!」

サシャ父「…残念だったな…ここにはおらんわ」

サシャ「お父さん!!こんな…こんな事やって何とも思わんの!?心が痛まんの!?」

サシャ父「わしかて人間や…そりゃ、何の罪もない人々に手を出すのは胸が痛む…だがな、それでもやらなあかん」

サシャ「脅されとるんやろ!?王政に!!そうなら…私が助けるから!!もう止めよう!!皆と戦いたくない!!」

狩猟民「………」

サシャ父「まだ子供のお前に何が出来る……サシャ」

サシャ「!!」

サシャ父「捕らえろ!!」ガチャッ

コニー「う…っ!!」

狩猟民「悪いな、二人とも」バッ

サシャ「むぐっ!!」

コニー「んうぅぅぅっ!!!」ジタバタ

サシャ父「そのまま口を閉じさせろ。連れていくぞ」

狩猟民「はい」

サシャ(どうして…こんな事に………)

コニー(くそ、みんな……)


―――ダウパー村

サネス「…そいつらがエレンとクリスタの仲間か」

サシャ父「はい、サネス殿」

コニー(中央憲兵…)

サシャ(どうしよう…何とかして逃げなきゃ…)

サネス「後は、そこの洞窟に奴等を誘き寄せたらいいんだな」

サシャ父「ええ…そうすれば巨人化も出来ないでしょうから」

―――――外

アルミン「あああ、もう!!勝手に出ていくなんて!!しかもサシャまで!!!」

ライナー「バカ野郎が……」

ミカサ「ごめんなさい…私がもっと早く気付いていれば……」

エレン「ミカサは悪くないだろ」

ユミル「どうすんだよ…どこ探せばいいんだ」

アルミン「…まぁ、ここは前向きに考えよう……奴等の作戦自体は読めてる。次はサシャとコニーを人質にして僕らを連れてこようと言う考えだろう」

エレン「…」

ユミル「!!」

???「…」ガサガサ

ユミル(誰かが見ていた?)

ユミル「誰かそこで見てたぞ」

エレン「え?」

アルミン「誰だあぁっ!!?出てこい!!」

ユミル「…私が見てくる。お前らはサシャとコニーの方を頼む」

ミカサ「一人で大丈夫?」オロオロ

ユミル「心配すんな、いざとなれば巨人化も出来る」

エレン「…わかった」


ユミル「…誰だ」



ケニー「はっ、ちょうど狙ってる奴が来てくれて助かったぜ」

ユミル「お前は………何しに来た?」

ケニー「なに、クリスタに会ってもらいたくてな」

ユミル「クリスタ?どういうつもりだ」

ケニー「…こっちはな、いつでもクリスタをどうする事も出来る…お前がついてこなければ…」

ユミル「脅しか?今のあいつは私が居なくても大丈夫だ…そんな手には乗らん。断る。」

ケニー「…クリスタは今、我々が捕獲している」

ユミル「!?」

ケニー「もちろん命は取らない。だが…クリスタは容姿はいいからな……中央憲兵の溜まった男どものオモチャにされるかも知れんぞ」

ユミル(…いや、騙されるな…こいつは嘘だ……)

ヒュンッ

バッ!!!

ユミル「!!!」ガシッ

部下「隊長、ユミルは捕獲しました」

ケニー「ああ、そのまま全身を抑えろ」

ユミル(しまった…!)

ケニー「嘘だとは思っても動揺はしたはずだ……接近に気付かなかっただろう」

ユミル(私とした事が、しくじった…!!)

ケニー「だが、クリスタに会ってもらいたいのは本当だ。協力してもらうぞ…」

ケニー「クリスタをまた昔のように戻すのをな」

ユミル「!?」

――――――――



…ヒストリア…




ヒストリア「…」

黒髪「………」

ヒストリア「お姉ちゃん…どうしたの?」

黒髪「ごめんね…もう、今日できっと…会えるのは最後になる」

ヒストリア「…え?」

黒髪「私もずっとあなたと居たかった…でも、もう行かなきゃいけない…」

ヒストリア「どこかに行っちゃうの?やだよ!!」ギュッ

黒髪「…」

黒髪「…これからも、たくさん辛い事があると思う…」

ヒストリア「…」ギュッ

黒髪「辛かったら泣いていい……でも、諦めたら駄目。今が辛くても、前を向いて生きていれば…必ずいつか良い事があるから」

ヒストリア「…」

黒髪「じゃあね、ヒストリア…また、別の形で会えたら………」

ヒストリア「待って、お姉ちゃん……やだ、やだよ…」

黒髪「………ごめんね」コツンッ


ピリピリッ

―――

――

クリスタ「……ああっ!!」ガバッ


アニ「!!どうしたの?」

クリスタ「………あれ……さっきまで何か夢を見てたんだけど……お姉ちゃんと何か話してた気がするのに…話の内容が思い出せない」

アニ「大丈夫?あんた…」

クリスタ「え?」

アニ「涙が出てるよ?」

クリスタ「………え?」

クリスタ「あれ……なんで…涙が止まらない…」ゴシゴシ

アニ「…あんたが見てた夢と関係あるのかな?」

クリスタ「…わかんない…」ゴシゴシ

クリスタ(…お姉ちゃん…もう何年も会って無いな…どこに居るんだろう…)

アニ「…まぁ、そろそろ行こうか。遅いと怒られるよ」

クリスタ「うん」

ジャン「よう、お前ら起きたか」

ベルトルト「おはよう」

アニ「ん、おはよう」

クリスタ「おはよー!」

マルコ「あれ、クリスタ、目が赤いよ?」

クリスタ「あはは、気のせいだよ!」

アニ「…」

ナイル「…クリスタはいるか?」

クリスタ「!!はい!」

ナイル「また昨日の人物がお前に話があるらしいが……」

クリスタ「え?」

ジャン「…怪しいな…」

クリスタ「わかりました、案内してください」

ナイル「ああ、ついてこい」

クリスタ(…何か企んでるんだろうけど…思い通りにはならないからね…)

ナイル「……レイス家の最高権力者が何故、お前に何度も用事があるのだろうな…」

クリスタ「!!」

ナイル「…私は憲兵団の団長だからな…いくら向こうを怪しく思っても反抗する訳にはいかんのだ」

クリスタ「ナイル団長…」

ナイル「何かありそうだ、気をつけておけ……。情けないが私にはどうする事も出来ん…」

クリスタ「いえ、ありがとうございます」

クリスタ「…」ガチャッ
ロッド「…」

ケニー「…来たな」

クリスタ「また私を連れ戻そうとしてるの?無駄だよ…」

ケニー「これを見ても言えるか?」カランっ

クリスタ「え?」

クリスタ「髪留め…………これ、ユミルの……」

ケニー「あいつが今どういう状況か知ってるか?早くこっちに来ないと…これだけでは済まんぞ」スッ

クリスタ「………つ、め…?まさか……ユミルの……」

ロッド「…どうする?」

クリスタ「ふざけんな!!!!!どういうつもりだ!!!!!」ダンッ

ケニー「お前が来れば…ユミルは苦痛を受けなくて済む」

クリスタ「ナイル団長にお前らの事を言ってやる!!!」

ロッド「無駄だよ、我々の方が立場が上だからな、いくらでもうやむやに出来る」

クリスタ「…!!!」

ケニー「ちなみに…今から1時間経ってもクリスタが来なかった場合、ユミルを更に拷問しろと伝えてある。早く来ないと……取り返しのつかない事になるぞ」

クリスタ「………許さないっ………」

ロッド「早く決めろ…」

ケニー「お前とユミルの関係は調べてある。訓練生に入った頃からの親友で………家族のいないお前に取っては姉のような…家族のような存在だろう」

クリスタ「…!!」

ケニー「家族からも迫害されていたお前にとってユミルは大事な存在だろう……いいのか?お前の事を大事に思ってくれる家族が消えても……」

クリスタ(……家族が……消える……)

クリスタ「や………だ……」

ロッド「なら、ついて来るんだな」

クリスタ「………」


ガチャッ

ジャン「!」

クリスタ「…」ザッザッ

ジャン「クリスタ…」

クリスタ「…ごめん…」

ジャン「!?」

ベルトルト「クリスタ?」

ロッド「さぁ、ついてこい」

クリスタ「…」

アニ「クリスタ…まさか!」


ナイル(嫌な予感がするな…)

ナイル「待ってください、彼女は私の部下ですから…せめて何故どこに連れていくのかを教えてください」

ロッド「娘と外出するだけだ。問題あるかね?」

ナイル「そんな…」

中央憲兵「団長さんが何やってるんだ、早く仕事に戻ったらどうだ…」

ナイル「…」

ジャン「おいおい、待てよクリスタ!どうしたんだよ!?」

中央憲兵「邪魔だ、下がれ」

ジャン「ぐっ…」

クリスタ(ごめんね…行かなきゃ、ユミルが…)


―――

ロッド「さぁ、馬車に乗れ」

クリスタ「…」ザッ

ジャン「くそっ、行っちまうのかよ!?おい!!」

ケニー「何やってんだよ、兵士は仕事しとけよ」ザッ

ジャン「お前は…!!」

アニ「クリスタの様子がおかしい…!」

ベルトルト「何をしたんだ!?」

ケニー「特に何もしてねぇよ…クリスタにはな」

ジャン「…!!」

ケニー「…追いたければ追えば良いさ………俺も乗る」

ロッド「ああ」

パカラッパカラッパカラッ

マルコ「行ってしまった…」

ジャン「追いかけるぞ!!」

ベルトルト「でも…勝手に抜け出していいのか?」

アニ「……クリスタに何かあればそれどころじゃないよ。あの子はもしかしたら、この世界を左右するくらいの重要人物なのかも知れないんだ」

ベルトルト「…そうだね…」

ジャン「馬を使う!後で上官から怒られるだろうが今は急ぐぞ!!」

マルコ「ああ!」

ジャン「…マルコはアルミンを呼んで来てくれ!!」

マルコ「え!!」

ジャン「あいつがいた方が頼りになる…」

マルコ「わかった、任せてくれ!」


パカラッパカラッパカラッ

ジャン(くそっ……あいつの口ぶりからすると誰かが人質に取られて…脅されたのか…)

ジャン(クリスタがあんな黙り込むなんて……きっとユミルが……)


アニ「…!!」

ベルトルト「来るぞ!」

ジャン「!」


部下「隊長の邪魔はさせん!!」シュバッ

ジャン「ちっ、やっぱり妨害に来たか…突破するぞ!!」

ベルトルト・アニ「おう!!」

―――――時は少し戻り

アルミン「ユミルまで行方不明だと!?」

ライナー「ああ…どこにも見当たらない!!」

アルミン「くっそぉ、昨日から僕は何やってんだ!こんなんじゃ天才頭脳なんて名乗れない!!」

エレン「落ち着け、アルミン…お前には冷静になって貰わなきゃ困るんだ」

アルミン「…ああ…すまない、エレン…」

エレン「俺こそ、ユミルを一人で行かせたのが悪かった…」

ライナー「…失敗を後悔してもどうにもならん。今をどうするかを考えよう」

エレン「そうだな」

アルミン「ああ」

ミカサ「みんな!外に矢でこんなのが刺さってた!」ダダダッ

アルミン「!!」

エレン「なんだ!?」

ミカサ「…紙がついてて……サシャとコニーは預かった…エレンを連れてこなければ……殺すって……」オロオロ

アルミン「ついに来たか……場所は?」

ミカサ「ダウパー村の洞窟って……」

アルミン「ダウパー村?サシャの故郷じゃないか」

ライナー「洞窟ってのは俺達を巨人化させない為だろうが…」

エレン「なんでサシャの故郷にいるんだよ?」

アルミン「……まぁ、今はそれより…どうやってサシャとコニーを助けるかだ」

―――ダウパー村

サシャ「…」

コニー「…」

狩猟民「…」

コニー「おい、俺の家族は…無事なんだろうな」

狩猟民「…たぶんな」

コニー「たぶんだと!?」

狩猟民「君の家族もダウパー村にいるがな…身柄は我々ではなく中央憲兵団が預かってんのや」

コニー「!!」

サシャ「………せめて、コニーの家族は解放してくださいよ!!」

狩猟民「俺に言われても困るわ」

コニー「くそっ…何も出来ないなんて……みんな…無事で…いてくれ…」

狩猟民「…」

狩猟民「…ちょっと後ろ向けや」

コニー「え?」

狩猟民「ロープ切ってやる」
スパッ スパッ

サシャ「!!」

コニー「え…」

狩猟民「…」シャキッ

ドスッ!!

狩猟民「ぐううっ!!」ガクッ

コニー「な、自分の足を刺した!?」

サシャ「何を考えてるんですか!?」

狩猟民「…君たちは…自力でロープをほどき、俺に怪我を負わせ逃走した…」

サシャ「え?」

狩猟民「俺達は中央憲兵を裏切る事はできん……だが、逃走されたならそれは…裏切った訳やないやろ」

コニー「あんた…」

狩猟民「家族助けたいんやろ、はや行け!!!」

コニー「…すまない!!」
サシャ「ありがとうございます!!」

コニー「サシャ…どこにいると思う!?」

サシャ「……中央憲兵の人は…村長の家に入って行きました…そこにいるかも知れません…」

コニー「わかった!案内してくれ!」

サシャ「はい!」

「待てや」

サシャ「!!」

サシャ父「そう簡単に通しゃせん」

サシャ「お父さん、どいて!!」

コニー「邪魔すんなよ!!」

サシャ父「通りたければ俺を倒してけ…サシャ。兵士やろが?」

サシャ「ぐっ…」

サシャ「どうして…そんなに邪魔すんの!!」

サシャ父「一族の未来の為や!!」ジャキンッ

サシャ「そんなの…!!」ジャキッ

狩猟民「足を狙え!!」ビシュッ

サシャ「危なっ!」サッ

コニー「くそっ…他のもぞろぞろ来た!!」

サシャ「コニー、ここは私が食い止めます…行ってください!ここからまっすぐ走って!!」

コニー「な、お前一人で……大丈夫なのかよ!?」

サシャ「私はいいから、早く……」

コニー「無茶な事は止めろって!!」

サシャ「走らんかいっ!!!」ジャキンッ

コニー「!!!」ビクッ

コニー「…わかった、すまん!!」

サシャ「…コニー…頑張ってください」

コニー(サシャ…家族を助けて…すぐに来てやる…)ザッザッザッ


コニー「………あれ?」

コニー「あの狩猟民族たち…何で誰一人も俺を追って来ないんだ?」




サシャ父「…お前たち、弓おろせ…これは親子の戦いや」

狩猟民「…」スッ

サシャ「!!」

サシャ父「さぁ、来い……お前がどれだけ成長した試してやる…」

サシャ「…お父さん…」


コニー「…あそこか、中央憲兵がうろうろしてるな」ゴソゴソ

コニー「さっき拾った弓で……」

ビシュンッ

中央憲兵「って!!足に何か…!!」

中央憲兵「弓矢!?」

ダダダダッ

コニー「おらぁっ!!」ドゴオッ!!!

中央憲兵「ぐああっ!!」

中央憲兵「なんて飛び蹴りだ!!」

コニー「おい…あそこに家族がいるのか!?」

中央憲兵「くくく…さぁな」

コニー「答えろ!!」ガンっ

中央憲兵「あ…ああ、いる!いる!!」

コニー「よしっ…」ダダッ

中央憲兵「ガキが来たぞ!!取り抑えろ!!」ゾロゾロ

コニー「くっ…ゾロゾロと…捕まらねぇぞ!!」シュダダダダッ!!

中央憲兵「早っ!なんだあの小回りのきいた動きは!!」

中央憲兵「通り抜かれた!!」

コニー「はぁ…はぁ…もうすぐだ……」


サシャ父「ほら、どうした、逃げてばかりおらず来んか!!」ビシュンッ

サシャ「だ、だって……ひっ!!私には…無理やて!!」サッ

サシャ父「………そんな事じゃ…世界を変えるなんて出来んぞ!!」

サシャ「え!?」

サシャ父「お前の所属してるアルレルト兵団とかいうのは中央憲兵から聞かせてもらった。何でも世界を変えるなんて言って動いてるらしいな……」

サシャ「………」

サシャ父「わしはな…少し期待したんや。だが、お前の覚悟はそんなもんやったんか、サシャ…」

サシャ「………」

サシャ父「前にも行ったな、お前には臆病なところがあると……そんなんじゃな、お前は他の皆と戦っていく資格ないぞ!!仲間と共に進みたいなら、例え親だろうが……邪魔するもんには全力で立ち向かえ!!」

サシャ「………っ!!」

サシャ(そうだ……自分の事ばかり考えてた…早くコニーの家族を助けなきゃいけないのに…)

サシャ「わかった」

サシャ父「…最初よりはええ顔つきになった」


コニー「はぁ…はぁ…父ちゃん、母ちゃん、サニー、マーティン!」バタンッ

サニー「あ!」

マーティン「お兄ちゃん!?」

コニー「…!!」

父「お前…コニーか!!助けに来てくれたのか…」

コニー「ああ!縄をほどく…早く逃げよう!!」

母「あなた…立派になって…」

コニー「へへっ…」

サネス「ここまでだ!!」ザッ

コニー「…くっ!!」

中央憲兵「もう逃がさん、無駄な抵抗はやめ…」

コニー「うるせぇ!!俺は絶対に皆と逃げて生き延びるぞ!!」

サネス「…発砲を許可する。撃て」

コニー「!!」

母「コニー、逃げなさい!!」

コニー「駄目だ、皆は俺が守る!!」

サネス「よく頑張ったが…さらばだ」ジャキッ

コニー「…!!」

「コニー!!!」
「お兄ちゃん!!!」

ドガアアアアアアンッ!!!

サネス「!?」ビクッ

コニー「!!」


サシャ「やあっ!!」ビシュンッ

サシャ父「そんな矢じゃ当たらんわ!!足を狙ってんのも丸わかりや!!」

サシャ(はぁ…はぁ…あと矢が一本しかない…どうする…)

サシャ父「…すばしっこい動きだけは得意なのは相変わらずだ。だが、近づけばそんなもん意味ない!!」ダダダダッ

サシャ「…!!」

サシャ(来た…どうする………)

サシャ「…!!」グッ

サシャ父「!!」

サシャ「あああああっ!!!」ダダッ

サシャ父「矢を手に持って来ただと!?」

サシャ「うわあぁっ!!」ブンッ

サシャ父「ぐうっ!?」ガクッ

ドサアアァッ


―――サシャは父を押し倒し、手に持った矢を首に向けた

サシャ「はあ………はあ………」

サシャ父「…」

サシャ「これで……勝負あり……私の勝ちやで、お父さん」

サシャ父「…ふっ…やるようになったな……いいやろう、わしの負けや」

サシャ「…」カランッ

サシャ「どうして…村の皆は…中央憲兵に仕えてんの…」

サシャ父「お前に言われた通り、ほとんど脅されてるようなもんじゃ」

サシャ「…!!」

ドガアアアアアアンッ!!!

サシャ「!!」

サシャ父「あいつは…」

サシャ「…来てくれたの!?」


エレン巨人「グオオオオオオッ!!!」

鎧の巨人「…」ズシンッズシンッ


アルミン「バァカな中央憲兵め!洞窟に閉じ込めて巨人化を防ぐ目的だったんだろうが、外で巨人化すればいいだけの話だ!!」

ミカサ「私でもわかる事だよね、アルミン!」

アルミン「そして巨人がいきなり現れたら中央憲兵の連中も混乱し始めるだろう…皆を助けやすくなるぞ!!」

サシャ父「はっ…バカな中央憲兵どもが…疑問持たずに素直にわしの言う通りにするからや」

サシャ「!」



サネス「くそっ……やはり狩猟民族なんて野蛮な人種の言うことなど聞くべきではなかったか…」

コニー「野蛮はテメェだろうが!!!」ドゴオッ

サネス「ぐあっ!?」

コニー「みんな、ここだ!!!」

鎧の巨人「!!」ズシンッズシンッ

中央憲兵「ひっ!こっち来る!!」

サネス「もういかん、全員…村から逃げろ!!」

アルミン「コニー、そいつを抑えろ!!」ダダダッ

コニー「おう!!」グイッ

サネス「離せっ!!」ジタバタ

ミカサ「私も手伝う!」

アルミン「こいつは捕獲して連れて帰る、情報を聞き出すぞ!!」

―――

サニー「お兄ちゃん!」マーティン「ありがとう…」

コニー「ああ、みんな無事で良かった…」

母「皆さんもありがとうございます」
父「これからもコニーをよろしくお願いします」

アルミン「ええ、皆さんが助かって何よりですよ!!!」

エレン「…コニー、ちょっとこっち来い。ライナーが呼んでるぞ…」

コニー「!」

ライナー「…」

コニー「…ライナー…」

バキイッ!!!

コニー「いっ!?」ドサッ

ミカサ「あっ…」オロオロ

エレン「大丈夫だ、ミカサ」

ライナー「お前は……勝手な行動して…何かあったらどうするつもりだったんだ……」

コニー「………」

ライナー「現にお前は捕まった…奴等の思い通りにな。そして危うく殺されそうな状況だったろ」

コニー「!!」

ライナー「焦るのはわかる……だが、慎重に考えて行動し自分を大切にしろ。例え家族が助かろうと、お前が死ねば一番悲しむのは誰だと思う。お前の家族だ……守りたい人達を悲しませてどうするんだ」

コニー「…!!すまない、ライナー…俺は本当にバカだ…ごめん…」

ライナー「…ああ。今回の経験を糧にし、成長していこう、コニー」

コニー「おう、俺は…立派な兵士になってやるぜ」

アルミン「後でサシャも叱らないとね」

コニー「あいつは…俺のワガママについてきてくれたんだ…俺が悪い。罰は軽めにしてくれ…」

ライナー「わかった、ならサシャは晩飯抜きだな」

エレン「それ、サシャに取ったら殴られるよりキツい罰じゃないか?」

マルコ「…みんな!!」パカラパカラパカラ

アルミン「!マルコ!!」

エレン「何でここに…」

マルコ「早く来てくれ……クリスタが…!!」

アルミン「!!!」


―――――ウトガルド城
クリスタ「………」

クリスタ「うっ……」パチッ

ケニー「目は覚めたか?クリスタ?では始めよう…」

部下「…」スチャッ

クリスタ「!!」


ユミル「…クリ……スタ…」ボロッ

クリスタ「ユミル!!!」

クリスタ「お前ら…よくも、ユミルをそんなボロボロに…!!!」ギシッギシッ

クリスタ(…!!縛られてて動けない!?)

ケニー「クリスタ…」

クリスタ「!」

ケニー「俺達に従え」

クリスタ「はあ!?誰があんたらなんかに…」

ケニー「そうか」ググッ

ユミル「…!!」

ベリッ!!

ユミル「ぐああっ!!?」

クリスタ「ユミル!!!!!」

ケニー「拒否すれば、ユミルの爪を一枚ずつ剥がす」

クリスタ「お前らあぁ、絶対……絶対に許さない!!!今すぐここでボコボコにしてやる!!!」ギシッギシッ

ケニー「怒り叫んでも無駄だ…お前の力じゃ縄はほどけんし…この城は周りには民家もないし人も通らない…絶対に気づかれない」

クリスタ「ふう……ふう…!!」

ケニー「お前はただ俺達に従うだけでいい。そうすればユミルは助かるんだぞ」

クリスタ「…!!」

ユミル「…私は巨人だ、クリスタ…だからこんなケガはすぐ治る……こいつらに屈するな、抗え!!」

クリスタ「………っ」

クリスタ(いや…ちゃんと再生出来てない…身体が弱まってるんだ………)

ユミル「クリスタ…私は大丈夫だから、こいつらの思い通りになるな…」

クリスタ「…!!」

クリスタ「だ…誰が、あんたらなんかの言うこと、聞くか!!」

ベリッ!!

ユミル「ぐうぅあぁ!!!」

クリスタ「!!!」

ユミル「…はぁ……はぁ……私は…大丈夫だ、気にすんなクリスタ……」

クリスタ「…ゆ、ユミル……」

ケニー「……お前には昔、慕ってた姉がいたそうだな」

クリスタ「!」

ケニー「俺も詳しい事は知らんが……もしかしたらお前の姉は既にこの世にいないかも知れんぞ」

クリスタ「な…何を…」

ケニー「ユミル、巨人が…特定の人間を食う事によって人間に戻るのは知ってるよな?そして食った人間の持つ能力を受け継ぐ事が出来るのを……」

ユミル「!!」

ケニー「クリスタの姉は不思議な力を持っていた」

クリスタ「え…」

ユミル「待て、それ以上喋るな…」

部下「黙れ」グッ

ユミル「ぐうっ!?」

ケニー「お前の姉は…巨人に食われた可能性が高い……それも」


ケニー「エレンにな」


ユミル「…!!!」

クリスタ「………っ!!!」

ケニー「まぁ、予想だから本当の事は知らんが…その可能性が一番高いだろうな」

ユミル「…っ」

クリスタ「………」

クリスタ「そ、それが…どうしたって…言うの…」

ケニー「…」


クリスタ「わ、私は…そんな事言われたって……本当にそうだとしても……エレンを憎んだりしないからね、エレンだって……好きでそんな事やった訳じゃないはず……」

クリスタ「………なに、言われようと……あんた達なんかに………」

ユミル(マズイ、クリスタの目から、生気が無くなって来てる…!!)

ケニー「ふんっ…」

ベリッ!!

ユミル「…っ!!ぐううううううっ!!!」

クリスタ「ひっ、や、やめて!!!もうやめて!!!」

ユミル「…クリスタ!?」

クリスタ「はぁ………はぁ………」

ケニー「どうするんだ?」

クリスタ「……………」

ユミル「クリスタ…ダメだ……」

ケニー「…お前ら、目の前でユミルを犯してやれ」

部下「…」

ユミル「な!?」

クリスタ「!!!」

ユミル「や、やめろ!!」
ビリビリッ

クリスタ「ぐうっ………や、やめて……」

クリスタ「やめて………ください………」

ケニー「…お前ら、やめろ」

ユミル「………」

クリスタ「な、なんでもします…から…言うこと聞きますから………もう、ユミルを傷つけないで……ください……」

ユミル「お前…!!」

ケニー「そうだ、それでいい」

クリスタ「………」

ユミル「馬鹿な事言ってんじゃねえよ、クリスタ!!!私は気にすんな!!!反抗しろよ!!!」

クリスタ「む…無理だよ……ユミルまで失ったら…私……」

ユミル「お前…何を言ってんだ!!友達だってたくさんいるし…お前の大好きなアルミンだっているだろうが!!!」

クリスタ「それでも!ユミルは………私にとって…もう、一人しかいない家族なの!!!」

ユミル「…!!!」

クリスタ「ユミルまでいなくなったら私……どうすればいいの………」

ユミル「……」

クリスタ「お願いだから、私を置いていかないでよ!!!」

ユミル「バカ野郎が……っ」

ケニー「…もういいな、ユミル…ここで消えてもらうぞ」

ユミル「!?」

クリスタ「え…なんで……」

ケニー「よく見てな、クリスタ…」スチャッ

ユミル(くそっ、もう…ダメか!?)

クリスタ「や、やだ……待って…やめて……」

ケニー(ここでユミルが死ねば、クリスタの心はは完全壊れるだろう)

ユミル「…クリスタ…!!」

クリスタ「いやああああああっ!!!」


ドガアアアアアアンッ!!!!!

ケニー「うおっ!?」
クリスタ「…!!!」
ユミル「!!」

超大型巨人「…」

ケニー「超大型巨人だと!?」

クリスタ「ベルトルト…」

ジャン「中にいた、飛び込め!!」

アルミン「おう!!!」

エレン「クリスタ…ユミル!!」

ユミル「…」

クリスタ「…」

ミカサ「…!!ユミル…あんなボロボロにされて……クリスタが泣いてる……酷い……」

ケニー「!」

ミカサ「許せない」ジャキンッ

ケニー「お前ら、対人立体機動を装備しろ!!」ガチャンッ

エレン「なんだありゃ!?見たことない武器だ」

アルミン「あれは対人立体機動装置だ!!みんな、当たるなよ…一発でも喰らえばあの世行きだ!!」


コニー「クリスタ!ユミル!」

サシャ「今、縄をほどきます!」

クリスタ「み…んな…ありがとう……」グスッ

アルミン「クリスタ…無事で良かった……」

ユミル「…すまねぇな、助かった…」

サシャ「ユミル、酷いケガじゃないですか…」

アルミン「これは酷い、早く片付けて帰らなきゃ…」

ケニー「邪魔しやがって」ガチャッ

ギュンッ

ケニー「!!」

ミカサ「…」ギラッ

ケニー「うおっ!?」ザザッ

ミカサ「避けられた…!」

ケニー「くっ、なんだあいつの動きは…」

ジャン「接近戦に持ち込め、距離を取れば相手に有利になる!!」

エレン「わかった!」

ライナー「クリスタを泣かせやがって」

アニ「行くよ!」

クリスタ「………ユミル………」

ユミル「………」

アルミン(クリスタの目からほとんど元気が無くなってる……よほど酷い事を…)

クリスタ「ごめん…ごめんね…私のせいで…」

ユミル「なんでお前が謝るんだよ」

クリスタ「私が…早くレイス家に従ってれば…」

ユミル「バカ言ってんじゃねえよ」

クリスタ「私が…いたから、私と関わらなければ…」

ユミル「…おい、お前…」

アルミン「クリスタ、ちょっと…」

クリスタ「私は皆を不幸にする……今度はユミル以外が狙われるかも知れない……みんな好きだから……もうこんな目に遭って欲しくない」

コニー「…」
サシャ「クリスタ…」

クリスタ「やっぱり私は……生きてちゃダメなんだ………」

ユミル「…!!!」
パアンッ!!!

クリスタ「…っ!!」ガクッ

アルミン「…」

ユミル「テメエ…二度とそれ言うな」

クリスタ「だって…ユミルが……こんな目に…」

ユミル「………だからと言って、なんで…そんな事を言うんだよ。昔のお前みたいな事を言いやがって」

クリスタ「だって…もう…やだ……」

アルミン「…」

ユミル「…」

ユミル「クリスタ…」

クリスタ「!」

ユミル「お前は…過去に囚われすぎなんだよ」

クリスタ「え…」

ユミル「過去の記憶に押し潰されないように…必死に明るい性格を全面に出してたろ」

クリスタ「!!」

ユミル「お前は自分の過去に復讐する為に生きてるように見えた」

クリスタ「…」

ユミル「そりゃ…嫌な記憶を忘れろとも、気にするなとも言わん…死ぬまでその記憶はついて回るだろう…そして、過ぎた事は、変える事なんか出来ない」

クリスタ「…」

ユミル「でもな、今…これからなら、いくらでも変えられるはずだ!皆が犠牲になるのが嫌なら…そうならないように全力で生きろ!!」

クリスタ「…」コクッ

ユミル「過去の為に生きるのはやめろ……これからの、未来の為に生きるんだ。過去の嫌な記憶も…誤魔化そうとするな、受け入れろ。そして明日を生きる原動力に変えろ」

ユミル「…昔もこれから辛い事が多いだろう……泣いてもいい。だが、諦めるな…諦めたら全てがおしまいだ」

クリスタ「!」

ユミル「辛くても……前向きに生きろ。前向きにしっかり生きてれば、いつか良い事があるはずだから」

クリスタ「…!!」

黒髪(何があっても、前向きに生きてね…いつか良い事があるから)

クリスタ(お姉ちゃん…!)ギュッ

ユミル「生きろ…ヒストリア……」ガクッ

クリスタ「!!」

サシャ「ユミル!!」

コニー「おい!?」

アルミン「心配ない…気を失っただけだ」

クリスタ「………」

ケニー「ちっ…こいつら意外とやりやがる!いったん後退した方がいいか」

部下「隊長、先に行ってください。我々が時間を稼ぎます」

ケニー「任せた」バシュッ

エレン「あいつ…逃げる気か!?」


クリスタ「………」

クリスタ「……………」
ジャン「おい、アルミン…どうする?」


アルミン「…ちょっと待ってくれ」

アルミン「クリスタ、立てるか?」

クリスタ「…」ゴシゴシ

ザッ!!!

アルミン「!!」

クリスタ「馬はある?」

ジャン「ああ…俺達が来るのに使った馬が…」

クリスタ「貸して、私が馬に乗れば…まだ追い付ける」

サシャ「…!さっきの隊長を追いかける気ですか!?」

アルミン「…」

クリスタ「大丈夫、アルミン…もう過去の復讐の為に…戦いに行くんじゃない」

クリスタ「私の進む道を、未来を邪魔する奴を…今のうちにやっつけてやる」ザッ

コニー「クリスタ…」

クリスタ「…違うよ、私は」

アルミン「!」



ヒストリア「…ヒストリア」

―――――

ケニー(今回は失敗したが…まぁいい、当分は立ち直れないはず……)

ドドドドドドドドッ


ケニー「!?」

ドドドドドドドドッ!!!

ヒストリア「逃げられると思うな!!!」

馬「ブルルルルルッ!!!」

ジャン「おい、三人乗りで大丈夫なのか?」

アルミン「大丈夫、ヒストリアの操る馬だからね!!」

ケニー(なに!?なんだあのスピードは!!)

ヒストリア「…私は、今まで過去に復讐する為に生きてきた。でも、それじゃダメなんだ……未来を変えるために、今を、これからを…まっすぐに生きなきゃ!!」

ケニー「はっ、お前に出来るのか!?」

ヒストリア「やってみせるさ!!この先どんな苦難があろうとも…どれだけ泣こうとも、諦める事だけは二度としない!!」

ヒストリア「血反吐はこうが手足がもげようが私は前に突き進む!!!地面這いつくばってでも生き抜いてやる!!!」

ケニー「女の言う台詞じゃねぇぜ!!」

ヒストリア「うるさい!!明るい平穏な未来を目指し…皆と笑って暮らせる世界を目指す為……。クリスタという殻を突き破り…今、ここに!!」


ヒ ス ト リ ア 降 臨 ! ! !


ケニー「!?」

ジャン「…口は相変わらずだが…何か少しいつもと雰囲気が違うな」

アルミン「ああ、以前のヒストリアならこのまま考えも無しに感情を爆発させて突っ込むだけだったろう…だが、今のヒストリアは相手の攻撃を警戒し絶妙な距離を保っている。冷静な判断も出来るようになった」

アルミン「ヒストリアは、兵士として…人間として、また1つ成長したんだ!!」

ヒストリア「へへっ!」

ケニー「…吹き飛べ!!」ガチャッ

アルミン「ヒストリア、ジャンプしながら右に避けろ!!馬を狙う気だ!!」

バシュッ!!

ヒストリア「当たるかっ!!」
馬「ブルルルルルッ!!」ササッ

ケニー「なに!?」

アルミン「僕の観察力は人類最強さ!お前の目線や銃口の向きでどこを狙うかは予測できる!!」

ケニー「ちっ」

―――ウトガルド城

エレン「おらあっ!!!」バシンッ

アニ「ふんっ!!」バシンッ

部下「あああああ!!」グルングルングルングルングルングルン

部下「なんて蹴りだ!!」

鎧の巨人「オオオオオッ!!!」

ベルトルト「僕とライナーの連携攻撃を見せてやる!!」

部下「くっ…巨人もいては厄介だ、そろそろ引き上げるぞ」バシュッ

部下「わかった」バシュッバシュッ

コニー「逃げてくぞ、追うか!!」

マルコ「やめておこう…僕達も疲弊してる。少し休憩してクリスタ達のとこに向かおう」

エレン「ああ…」

ミカサ「エレン、大丈夫?怪我してる…」オロオロ

エレン「これくらい大丈夫だっての」

エレン「…」

エレン(クリスタ…いや、ヒストリアが、ケニーを追う前に俺に言ってた事…どういう事だ?)


ヒストリア(これから何があっても…残酷な現実にぶち当たっても、前を向いて生きよう、エレン)


エレン(何で俺にあんな事を言ったんだ?)


ザワッ

黒髪「…」


エレン「…!!?」

エレン(え…なんだ今の記憶…いつのだ?)

―――

パカラッパカラッパカラッ

ヒストリア「私の人生の目標は…あんた達を倒す事だった…でも、今は違う!」

ケニー「…」

ヒストリア「今の私の目標は…真の自由を手に入れる事!!あんた達は…私の進む道を邪魔してる石ころに過ぎない!!」

ケニー「その石ころにお前らは何が出来ている!?未だに何も出来ていないだろう!?石ころすらどかせんお前らは所詮蟻以下だ!!笑わせるな、はははははは!!!」

ヒストリア「黙れ、進む意志を笑う豚よ!!!」

ケニー「!!」

ヒストリア「今を変えるのは戦う意志だ!!…アルミン!ジャン!」

アルミン「よし、作戦通りに行こう!!」

ジャン「ああ、やってやらぁ!!」

アルミン「ヒストリア、ジャン、とにかく動き回れ!!止まれば対人立体機動装置の餌食だぞ!!」

ヒストリア「うん!」ジャギキーンッ

ジャン「おう!」シュバッ

ケニー「喰らえ!!」バシュッ!!バシュッ!!

ヒストリア「当たらない!!」サッ

ジャン「今だ!!」ギュンッ

ケニー「やはり、攻撃してきた隙をついてきたか…弾を変える間に少し時間があるからな。そう来るのはお見通しだ!!」ジャキッ

ジャン「お前がお見通しなのもお見通しだ!!」ガキーーンッ

ケニー「…ぬ!右手の攻撃はフェイントだったか、やる…だが!」ゲシッ

ジャン「ぐあっ!!」

ケニー「…そして、後ろからお前が来るのもわかっている」チラッ

ヒストリア「…うっ!!」ギュンッ

ケニー「ふんっ」ドフッ

ヒストリア「ぐふっ!?」

ケニー「対人戦闘なら俺が上手だな……ヒヨッコの新兵が」

ジャン「くっ」ザッ

ヒストリア「さすがは対人制圧部隊隊長…やるじゃないのよさ」ヨロッ

ケニー「…今のが貴様らの作戦か?なら、見くびられたものだな…あの程度で勝てると思っていたとは」

ジャン「…」

ヒストリア「…」

ケニー「近づいても俺の方が強い…離れればこちらは対人立体機動装置があるが、お前らには飛び道具など無い……この状況で、勝てると思ってるのか?」

ビシュッ!!!

ケニー「!!!」

ドスッ!!!

ケニー「ぐう!?何か刺さった!?………これは!!」

アルミン「…お前は、こっちに飛び道具が無いと言ったな…だが、それは間違いだ!」ザッ

ケニー「!!」

アルミン「立体機動装置のワイヤーだって武器として使える!!」

ケニー「姿を見ないと思ったら…このチャンスを待っていたのか!!」

ジャン「おらぁ!」ビシュッ

ヒストリア「喰らええ!!」ビシュッ

ケニー「ちっ!!」タンッ

ジャン「避けられたか!!」

ヒストリア「でも…アルミンのがだいぶ効いてるはず!」


ケニー「くっ…右手に深く刺さったか……使えんな」

アルミン「もうあいつは右手を使えない!!次は左手だ!!行くぞ!!」

ケニー「…片手が使えれば充分だ、そっちの手もわかった。まだこれからだぞ」

ケニー(しかし、次もまた何をするかわからん。あの金髪小僧から始末するか)

アルミン「…む、僕を狙う気か!!」

バシュンッ!!

アルミン「おっっっと危なぁ!!!」ヨロヨロ

ケニー「はっ、身体動かすのは苦手のようだな」

ジャン「やらせるか!!」ビシュッ

ケニー「ふん、ワイヤーくらいなら…ちゃんと見ていればいくらでも避けれる」

ヒストリア「隙ありっ!!」ギュンッ

ケニー「隙を見てお前が攻める、やり方がワンパターンだ」ガギーーーンッ

ヒストリア「うわっ、ナイフでブレード止めた!?」

ケニー「頭と目が良くても…身体が弱いなら」ギュンッ

アルミン「うわっ来た、くそっ」ビシュッ

ケニー「無駄だ!!」ガキンッ

ジャン「あいつ、アルミンに接近しやがった!!」

ヒストリア「やらせるか、行け、お馬さん!!!」

馬「ブルルルヒヒィィィンッ!!!」ドドドドドッ

ケニー「!!」

ヒストリア「待て!!!」ギュンッ…ザザッ!!

アルミン「!!」

ジャン「大丈夫か、アルミン」ザッ

アルミン「ああ」

ケニー「…しつこい奴らだ」

アルミン(こいつは強い…死ぬ気で行かないと勝てないぞ……)

ケニー「…来ないなら、俺から行くぞ」スチャッ

アルミン「ジャン、ヒストリア、ワイヤー攻撃!!」

ジャン「なに!?もうそんな事しても避けられ…」

アルミン「いいからワイヤー攻撃!!」

ヒストリア「やろう、ジャン!!アルミンは何か考えがあるんだ!!」ビシュッ

ジャン「わかった、お前を信じるぜアルミン!!」ビシュッ

ケニー「もう、その手は乗らん!!」バシュッ

アルミン「いけぇい!!」

ケニー「ワンパターンだな、当たらん!!このまま一気に攻める!!!」

ジャン「!!またアルミンに接近した…」

ヒストリア「アルミン、逃げ………!!」

アルミン「…」

ケニー「死ね!!」

アルミン「この瞬間を待っていた!!!」

ドスッ!!!

ジャン「!!」

ヒストリア「!!」

アルミン「いってええぇ!!!」

ケニー「自分の腕を盾にした!?」

アルミン「えいやぁ!!!」ドスッ!!

ケニー「しまった、左手も…」

アルミン「捨て身の反撃大作戦だ!!!」ガシッ

ケニー「うっ、こいつ離れろ!!」ゲシッゲシッ

ジャン「よくやったアルミン!!!」ギュンッ

ヒストリア「今、行く!!」ギュンッ

ケニー「ぐっ…!!」

ケニー「どけ、餓鬼!!」スチャッ

アルミン「うっ、まだナイフ持てるのか!!」

ザクッ!!

アルミン「いだだだだだだ!!!」

ケニー「あまり手でガードばっかしてると二度と使えなくなるぞ」スチャッ

アルミン「死ぬよりマシだ!!」

ジャン「それ以上やらせん!!」ビシュッ

ケニー「くっ、来たか!」タンッ

ヒストリア「せやあぁ!!」ギュンッ

ケニー「ふん!!」ガキーンッ

ヒストリア「動きが遅くなってるよ!!」

ケニー「ああ…だが、まだ左手は何とか使えるぞ」

ヒストリア「…アルミン、大丈夫!?」

アルミン「いや、ははは…ボロボロだね。腕何回も刺されて体中蹴られまくったよ」

ジャン「出血が酷いな、血を止めるぞ」

ヒストリア「…ジャン、アルミンは任せたよ」

ジャン「!」

ヒストリア「後は私一人でやる」

ケニー「…」

アルミン「ああ…行ってこい!!」

ヒストリア「うん!!帰ったら皆で焼き芋パーティーといこう!!」バシュッ

ジャン「…大丈夫なのか?確かにケニーも負傷して立体機動装置はもうマトモに使えないだろうが…まだナイフ持てる程度には左手は動かせるし、蹴りだけでも充分強力だろ」

アルミン「大丈夫さ、以前なら心配だったけど…今のヒストリアは少し大人になった。本当にピンチになったらジャンが助けに行けばいい」

ジャン「そんなんでいいのか?」

アルミン「……何より、あいつはヒストリアの獲物だよ。邪魔しちゃいけない。僕達は少し手助けに来ただけだ」

ジャン「…そうだな」

ヒストリア「ここで決着をつける!ケニー!!」

ケニー「威勢だけは一丁前だな!!」

ギュンッ!!

ヒストリア(今のあいつは左手しか使えない…それも怪我してるから何とか使える程度。でもまだ足が使える…近づけば蹴りも出来るし、迂闊には攻めれない)

ケニー「どうした、来ないのか?今度はそこの仲間達がユミルのような目にあうぞ!?」

ヒストリア「…」

ジャン「おう、挑発に全く動じていない…」

ヒストリア「んだコラアアァァァッ!!!」ギュンッ

ジャン「って、変わってねぇじゃねぇか!?」

アルミン「いや、よく見てなよ、ジャン」

ケニー「馬鹿め、相変わらずこの程度の挑発に…」スチャッ

ギュギュンッ!!!

ケニー「なに!?」

ヒストリア「へへーんだ!!」ザザッ

ザシュッ!!

ケニー「ちいっ、足を!!」グラッ

ジャン「何だ今の、ケニーの目の前で突然回転しながら後ろに回って攻撃した!!」

アルミン「ああ、あの怒り叫んで全速力で突っ込んだのはフェイントだ!!相手を油断させる為のね」

アルミン「それと同時に、怒りを我慢する事なく外に出す事も出来る。精神衛生上にもいいし一石二鳥って奴だよ!!」

ヒストリア「足も負傷させれたから一石三鳥だ!!」

ケニー「調子に乗るな!!」

ケニー「いいだろう…もう舐めてはかからん。手足の一本二本は覚悟しておけ、クリスタ!!」

ヒストリア「ヒストリアだ!!!」

ケニー「俺をここまで追い詰めた事は素直に誉めてやろう…俺も死ぬ気でお前らを葬ってやる!!」バシュッ!

ヒストリア「うわっ!!」サッ

ジャン「なっ、立体機動装置を使い始めた!!右手も動かしてやがる…あの怪我で!?」

アルミン「さっきも言った通り…ケニーは死ぬ気で僕らと戦う気だ。無理してるから長くは持たないだろう。しかし、それまでに僕らが全滅する可能性もある」

ヒストリア「…私も全力全開でやってやる!!」ギュンッ!!

ケニー「喰らえ!!!」バシュッバシュッバシュッ!!!

ヒストリア「こっわ!!」ササッ

ヒストリア「ワイヤーショットォ!!」ビシュッ
ドスッ!!


ケニー「ぐっ……今だ!!」バシュッ!!

ヒストリア「あっ…」

ガキャアアァァンンッ!!!

ヒストリア「うあ、立体機動装置が壊された!?」

ケニー「さぁ、どうする!?」ギュンッ

ヒストリア「うわ!!」ガキーンッ

ケニー「所詮は小娘か…非力だな」
カーーンッ!

ヒストリア「あ、ブレードが弾かれた!?」

ケニー「ここまでだ!!」

ヒストリア「負けるかあぁ!!」

ガチイィッ!!

ケニー「ぬうっ!?」ドサッ

ヒストリア「アニ直伝の極め技だっ!!」ギリギリギリ

ケニー(ちっ、ナイフを落とした…!)

ヒストリア「ぬぅぅあぁ!」ギリギリギリ

ケニー「…どけろ!!」ゲシッ

ヒストリア「ぐあうっ!!」ドサッ

ケニー「はぁ…はぁ…」ヨロッ

ヒストリア「ふう…ふう…」ザッ

ジャン「どっちも武器が無くなった…」

アルミン「ああ、もうすぐ決着がつく!!」

ケニー(ちっ…立体機動装置も弾とガスが切れた…)

ヒストリア(もう武器はない…力も敵わない…どうする…)

ケニー「ふんっ!!」ビュンッ

ヒストリア「そんな遅い蹴り当たるか!!」サッ

ケニー「お前も遅い!」グッ

ヒストリア「うあっ!!捕まった…」

バキッ ドゴッ!!

ヒストリア「いっ…つ!!」ドサッ

ケニー「お前はよく戦った…だが、もう終わりだ。このままおとなしくついてこい…これ以上殴られるのは苦痛だろう」

ヒストリア「………苦痛…?この程度……」

ケニー「!!」

ヒストリア「ユミルが受けた痛みに比べたら、蚊に刺されたようなもんだ!!!」ダダッ!!

ケニー「うおっ!?」

ヒストリア「私はまだまだ戦える!!」バギッ!

ケニー「ぐふっ!?」

ケニー(ちっ…立体機動装置も弾とガスが切れた…)

ヒストリア(もう武器はない…力も敵わない…どうする…)

ケニー「ふんっ!!」ビュンッ

ヒストリア「そんな遅い蹴り当たるか!!」サッ

ケニー「お前も遅い!」グッ

ヒストリア「うあっ!!捕まった…」

バキッ ドゴッ!!

ヒストリア「いっ…つ!!」ドサッ

ケニー「お前はよく戦った…だが、もう終わりだ。このままおとなしくついてこい…これ以上殴られるのは苦痛だろう」

ヒストリア「………苦痛…?この程度……」

ケニー「!!」

ヒストリア「ユミルが受けた痛みに比べたら、蚊に刺されたようなもんだ!!!」ダダッ!!

ケニー「うおっ!?」

ヒストリア「私はまだまだ戦える!!」バギッ!

ケニー「ぐふっ!?」

ヒストリア「ピイイィィィィィッ!!!」

ケニー「!!」

ドドドドドドッ


馬「ブルルルルルルルッ!!!」

ケニー「馬が来た!?危ねぇ!!」ザザッ

ヒストリア「ようし、行くよ!」バッ

馬「ヒヒイィィンッ!!」

ケニー「ちっ…馬を連れてきたか」

ヒストリア「私は負けない……。レイスの名を持つものとして、レイス家の犯した過ちを全て私が粛正し……平穏な世界が来るその日まで!!!」

ケニー「うるさい!!」バッ

ヒストリア「行けえぇぇ!!!」

ドドドドドドッ!!

ケニー「おおおっ!!」ダダッ

ヒストリア「うわ!?」ドサッ

ジャン「馬から落とされた!?」

アルミン「まだだ…まだ負けない!!」

ケニー「よく頑張ったぜ、お前は……だが、どれだけ抗おうが、決められた運命には逆らえんのだ」

ヒストリア「ざっけるな、何が運命だ!!」ガアンッ

ケニー「ぐうっ!頭突き!?」ドサッ

ヒストリア「例え何があろうとも、生きたいように生きるだけだ!!!」

ケニー「ふん…口で何と言おうが…」

ケニー「…!!」ガクッ

ケニー(くそっ、体に限界が来たか!?)

ヒストリア「私の道を邪魔する奴は…私に蹴られて吹っ飛んじゃえ!!!」ダダダッ

ケニー「!!」

ヒストリア「トドメだあっ!!!」

ドゴオッ!!!

ケニー「………っ!!!」

ケニー(ここ…までか…)

ドサッ!

ジャン「…やったのか…?」

アルミン「……ああ…」

ヒストリア「はぁ……はぁ……」

ケニー「…」


ヒストリア「か、勝てた……私が、はは…」ガクッ

ヒストリア「やったよ、みんな!!」


アルミン「ヒストリア!!」

ジャン「よくやったぜ…お前も危ないとこだったが、良かった…」

ヒストリア「へへ……見たか…私だって……やれるんだから……」


ザザザッ

アルミン「!!!」

部下「隊長!?」

ジャン「まずい、ケニーの部下どもが来た!!」

アルミン「早く逃げよう…!」

―――――

馬「ヒヒーン」パカラッパカラッ

アルミン「…本当はケニーは捕まえたかったが…」

ジャン「仕方ないな…無理してもダメだ」

ヒストリア「うん…勝てただけで充分だよ」

アルミン「さて、帰ったら焼き芋パーティーだね!!」

ジャン「はは、そんな事言ってたな」

ヒストリア「ヒストリア生誕記念とケニー討伐記念だ!!」

ジャン「なんだそりゃ」

アルミン「いいじゃないかいいじゃないか!

ヒストリア(…私はこれからも突き進む…この先に何が待っていようと…)

―――――

―――

ヒストリア「…ユミル…」

ユミル「おう…私の怪我はもう大丈夫だ、ほらよ」

ヒストリア「…でも、痛かったでしょ?」

ユミル「気にすんな。…昔、もっと痛い経験はしたからな」

ヒストリア「え?」

ユミル「何でもねぇ。それより…安心したよ、お前がまた元気になって」

ヒストリア「えへへ、私の進撃はまだまだ止まらないよ!!」

ミカサ「二人とも良かった…」

エレン「おう、一時はどうなるかと思ったな」

サシャ「良かっだ…本当に良がっだ」ボロボロ

コニー「泣きすぎだぜ、おい…」

サシャ「だって…もうヒストリアとユミルと前みたいに戻れなかったら…どうしようかと…うう」

ヒストリア「あはは、私はこの通り元通りだよ!!ミラクルパワー全開だよ!!」

コニー「むしろ、レベルアップしてるな」

アルミン「サシャ、いるか!?」

サシャ「はい!?」

コニー「どうした、アルミン」

アルミン「ちょいサシャに話があるんだ、来てくれ」

サシャ「なんですか?」タッタッ

ミカサ「も、もしかして…告白?」

ヒストリア「え!?」

エレン「いや、違うだろ」

サシャ「…あ」

サシャ父「おう、怪我は大丈夫か?」」

サシャ「お父さん!?」

アルミン「君にも伝えた方がいいかと思ってね…おじさんには二重スパイになってもらう」

サシャ「へ?…え?」

サシャ父「わしらは王政を裏切れん。だからと言って黙って従うのも気に食わんからな…王政の味方を装いながらお前たちに情報を流してやる」

サシャ「…でも、もしバレたりしたら…」

サシャ父「そんな事を気にしていては何も変えられん。お前は…どれだけ危険かをわかっていてこの兵団に入ったはずだ」

サシャ「…!!」

サシャ父「大丈夫だ…お前には仲間がたくさんいる。期待しているぞ」

サシャ「…うんっ」

ジャン「おい、アルミン!」

アルミン「お、今度はなんだ?忙しいな」

ジャン「調査兵団が来たぞ」

ライナー「…だろうな、調査兵団からすればここにいる人間は放っておけんだろう」

ミカサ「協力して欲しくて来たのかな?」

エレン「そうだろう…どうする、アルミン」

アルミン「協力するよ、世界の謎を解明するという目的は同じだからね………でも」

アルミン「その後は…敵対する可能性があるかも知れない事も覚悟しておいてくれ」

ミカサ「え?」オロオロ

エレン「…」

――――――イェーガー家 地下室


ドクン ドクン ドクン

「………………」

とりあえずここまで。続きは考えがまとまってから書きます。
この後は、幼なじみ三人と巨人組中心に動き、謎が解明されていき、そのまま最後まで行く予定です。原作を待ってたらいつまでも終わらないので、勝手に考えた設定も多くなるのでその辺はご了承ください。

850…
超天才頭脳で人類最強の観察力を持つアルミンは訓練生卒業後、アルレルト兵団を設立。世界そのものをひっくり返し自由を手にするために戦いを始めた…

中央憲兵にスプリンガー一家を人質に取られるが何とか救出。その際に中央憲兵のサネスを捕まえる。そしてその後、ダウパー村の狩猟民族の協力を得る事に成功する。


一方、憲兵団にいたクリスタはユミルを人質に取られ、ロッド・レイスの思惑通り一度捕らえられる。目の前でユミルが拷問を受け、何も出来ない自分に絶望し一度心が折れてしまう…
その後仲間達が駆けつけ救出され、更にユミルからの叱責により再びヒストリアとして立ち上がった。
アルミン、ジャンの協力でケニーを打ち倒す事に成功。
ヒストリアは少しだけ成長し皆の元へ戻った。

そして戦いが終わった彼等の前に調査兵団が現れる。
アルレルト兵団は調査兵団と協力する事になった…


壁、巨人の正体、レイス家とは何か、アッカーマン、故郷……そして地下室に眠る『何か』…この世界は何なのか

男前アルミンと愉快なアルレルト兵団の仲間達の世界を巡る本当の戦いはここから始まる。

―――844 シガンシナ区

アルミン「うっひょー、スゲー!これまじスッゲー!!」

エレン「どうしたアルミン、そんなに騒いで」

ミカサ「今日もアルミンは元気」

アルミン「ああ!だがいつもより元気千倍さ!!これを見てくれ!!」

エレン「その本がどうかしたのか?」

ミカサ「面白いの?」

アルミン「外の世界だよ!!!」

エレン「外の世界!!」

ミカサ「?」

アルミン「外の世界には海っていう塩の水があって…世界のほとんどはその海に覆われてるんだよ!!!」

エレン「なんだって!?塩って貴重なんだろ?取り放題じゃねぇか!!」

ミカサ「お塩は野菜にかけると美味しいよ。一度だけ食べた事ある」

アルミン「お肉にかけても美味しそうだよね!!」

エレン「そんなのあったら商人が取り尽くしちまうよ!!」

ミカサ「大変、なら私達の分のお塩も早くとって来なきゃ!」

アルミン「いや、取り尽くせないほど海は広いんだ!!」

エレン「んなわけ…」

アルミン「広いんだ!!!!!」キラキラキラキラキラキラ

エレン「!!」

ミカサ「凄く輝いてる」

アルミン「炎の水!氷の大地!砂の雪原!外の世界はこの壁の中の何倍も広いんだ!!!」

エレン「外の……世界……何かワクワクしてきたぜ!!」

ミカサ「私もワクワクしてきた!」

アルミン「いつか外の世界を…探検出来るといいなぁ!!!」

エレン「おお、三人で行こうぜ!!!」

ミカサ「おーっ」



ドクン… ドクン…


「来る…5人の人間が……私の元に………私を破壊しに…」



―――――

―――

―――――

ドスッ!!!

「ミ…カサ……逃げて……」


ミカサ「え?お父…さ…お母さ…ん…え?やだ…」


強盗「大人しくしてなガキ」

バキィッ!!

ミカサ「…」ドサッ


ミカサ(寒い……お父さん……お母さん……寒いよ……)


私はこれから…
どうやって生きていけばいいの……

―――850

ミカサ「………っ!?」ビクッ


はぁ…はぁ…はぁ…

ミカサ「………」チラッ

エレン「zzz…」

アルミン「食べきれないぞぉ…むにゃにゃ…」

ミカサ父「…zzz」

ミカサ母「…zzz」


ミカサ「…」ホッ


ミカサ(……何だったんだろう…今の夢)

ズキンッ!

ミカサ「いたっ!?」ビクッ

ミカサ「…?」ズキンズキン

ミカサ「…寝れない…」ガバッ



――― 外

ミカサ「…」

アニ「なにしてんの?」ザッザッ

ミカサ「わ!アニ!」ビクッ

アニ「…ビックリし過ぎだよ」

ミカサ「ごめん…オバケかと思って……」

アニ「オバケって……相変わらず怖がりだねアンタは」

ミカサ「…明日にはまた、ヒストリア達と憲兵団に戻るんだよね」

アニ「うん」

ミカサ「気を付けてね」

アニ「ああ…次は抜からないさ」

ミカサ「…」

アニ「こんな夜中に外に出てどうしたの?」

ミカサ「…怖い夢を見て寝れなかった…」

アニ「そう…まぁ、詳しく聞くのは止めとくよ」

ミカサ「うん………そういえば、アニの故郷ってどんな所だったの?」

アニ「……」

アニ「何も無い所だったよ」

アニ「山に囲まれて…周りには植物や動物や虫ばっかりで、店も娯楽も無い所だった……でも私は、そんな故郷が好きだった」

ミカサ「…」

アニ「これが本来の…世界のあるべき姿なんだって……」

ミカサ「…?」

アニ「…私は、お父さんに言われて…故郷を守る為に、戦士になった」

ミカサ「…お父さんはまだ故郷に?」

アニ「多分ね」

ミカサ「多分……」

アニ「ミカサやエレンの家族は……しばらくはアンタ達のとこに居るんでしょ?」

ミカサ「うん」

アニ「守りなよ……自分の家族」

ミカサ「うん、絶対に守る!」

―――

アルミン「…と、言うわけで、我々は今日から調査兵団と協力する事になりました!!」

キース「そうか、外は危険な場所だ…生きて帰れよ」

アルミン「はっ!!」

ヒストリア「私とアニとベルトルトとアニとジャンとマルコは憲兵団に戻るからね!」

エレン「おう、お前らも気を付けろよ」

ベルトルト「そっちこそね」

ライナー「さ、行くか」

コニー「おお!」

サシャ「では教官、行ってきまーす!」

ミカサ「行ってきまーす」

教官「……ああ」

ザッザッザッ


キース「…」

キース(卒業後、ほとんど訓練所でべちゃくちゃ喋ってばかりだったからニートにしか見えんかったな、あいつら)

―――憲兵団

ナイル「………」

ジャン「…」
マルコ「…」
ヒストリア「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」


ナイル「無断で抜け出してどこに行っていた!!?」

ジャン(やっぱり怒られた…)

ヒストリア「あの…非常事態って奴でして……」

ナイル「お前はいい。ヒストリア絡みなのは分かる」

ヒストリア「はい」

ベルトルト「えへへ…すみません、ゆっくりしてる時間が無くて……」

ナイル「何が『えへへ』だフーバー!!!だからと言って無断で出ていく奴があるか!!!」

ベルトルト「はい、全くもってその通りです、すみません」

ナイル「今回は見逃してやるがな、次やったらクビだぞクビ!!!」

ジャン「はい、すみませんでした…」

ナイル「はぁ……さっさと今日の持ち場に移れ」

「はっ!!」


ナイル「……俺も甘いな」

―――調査兵団

アルミン「ヘーイ、こんにちは!!アルレルト兵団です!!」

ハンジ「あっはっは!!元気でいいね君!!」

エレン「よろしくお願いします」

ハンジ「エレンもライナーも男前だね!!」

ライナー「はははは、ありがとうございます」

ペトラ「あれがアルレルト兵団…子供ばっかりじゃない」

オルオ「つか何だ、あの金髪小僧の舐めた挨拶は」

リヴァイ「…」ジロッ

ミカサ(あの人、目付き怖い)ビクビク

ハンジ「団長はもうすぐ来ると思うからさ、とりあえず座っててくれ」

ライナー「ああ、座らせて貰おう」

サシャ「わー、お菓子が出してあります!わーいわーい!」

コニー「この紅茶うめー!」

アルミン「子供じゃないんだから静かに!!」

ユミル(お前が言うなよ)

ペトラ「はじめまして…ここに来るまでは何をしてたの?」

エレン「ああ…そうですね、三回くらい巨人や中央憲兵と戦闘はしましたが…」

ミカサ「それ以外は訓練所でお話したりお菓子食べたり…そっちの方が楽しかったかな」

サシャ「また訓練所に戻りたいですね~」

リヴァイ「ただのニートじゃねぇか」

アルミン「…」

ユミル「その通りだな」

アルミン「あはははは!!!」

オルオ(大丈夫かよこいつら)

エルヴィン「…来てくれたか、協力に感謝する」

アルミン「お、エルヴイン団長!!おはようございまーす!!!」

エレン「お前…テンション高いからって挨拶はちゃんとしろよ…」

アルミン「だって壁外に行けるんだよ、テンションMAXさ!!!」

エルヴィン「ふっ、元気なのは良いことだ…構わんよ」

エルヴィン「…そう言えば、ヒストリアとベルトルトとアニがいないみたいだが…」

アルミン「彼女らには憲兵団に行ってもらってますからね、内部から情報を集めるのも必要ですし」

エルヴィン「そうだが…ヒストリアを憲兵団に行かせるのは大丈夫なのか?」

アルミン「大丈夫です、ヒストリアだから」

サシャ「ヒストリアは凄いんですよ!」

コニー「カッコいいんだぜ!!」

ミカサ「行け行け、ヒストリアー!」

エルヴィン(?)

アルミン「ええ~、つまりヒストリアなら大丈夫って事です」

エルヴィン(??)

アルミン「強いしベルトルトとアニが付いてるし、厄介な対人制圧部隊も半壊させて隊長のケニーもやっつけましたからね。しばらくは大丈夫です!!」

エルヴィン「…まぁ、大丈夫と言うのなら大丈夫なのだろう」

リヴァイ「ケニー?まさか、切り裂きケニーか?」

アルミン「…あ、それです!何か聞いた事あるなーって思ってたけど多分そいつです!!」

リヴァイ「…あいつを倒したのか」

アルミン「僕の天才頭脳、ジャンの華麗な立体機動、そしてヒストリアの気合と根性で打ち倒しました!!!」

リヴァイ「…そうか、ただのクソガキじゃないみたいだな」

ハンジ「さ、楽しく会話してるとこ悪いけど…3日後から行く壁外調査の説明をしようか」

エルヴィン「そうだな…君たちは3日後、さっそく壁外調査に行ってもらう」

アルミン「さっそくか、ワクワクするぞ!」

エレン「ああ、壁の外なんか初めて行くからな!!」

ミカサ「楽しみだね!」

ライナー「ミカサは…止めといた方がいいんじゃないか?心配でしょうがない」

ミカサ「やだ、私も行ってみたい!」

ユミル「お前、たぶん泣くぞ」

ミカサ「泣かない!」

ハンジ(泣きそうだなこの子)

エルヴィン「まず…エレンの自宅の地下室には何かがあるとされている」

エレン「はい」

エルヴィン「地下室に向かうにはまず、マリアの奪還が必要だ。その為に今日は、マリアまで行く道の確保と…君たちの壁外調査の試運転と言ったところだ」

サシャ「やっぱり巨人といっぱい遭遇するんですかね…」

コニー「大丈夫だって、いっぱい訓練したんだ!」

ミカサ「エレンとアルミンがいるから大丈夫!」

リヴァイ「壁外を舐めるな」ギロッ

ミカサ「」ビクウッ

ペトラ「兵長に睨まれただけで泣きそうになってる…」

オルオ「壁外行かせない方がいいだろ…」

エルヴィン「これが地図だ。各自ルートをしっかり確認しておいてくれ」

エレン「はっ!!」

アルミン「…ん?」

エレン「どうした、アルミン?」

アルミン「…」ジーッ

ミカサ「そんなに地図を見つめてどうしたの?」

アルミン「いや…ここが気になって…」

エルヴィン「ん?どうした?」

アルミン「エルヴィン団長…地図のここ、何ですかね?」

エルヴィン「ここの空白の部分がどうした?

アルミン「回りには村や建物のマークが点々と存在していますが…この一部分だけはそれが無いんです。けっこう大きな空白で」

エルヴィン「…」

アルミン「何か気になるんですよね……もしかしたら」

アルミン「何か見られるとまずいものがここにあるから……隠しているとか」

エルヴィン「………なるほどな」

アルミン「ここ、行ってみたいな~…なんて思ったり?」

ユミル「…」

ユミル「なに言ってんだ…ただ何も無いだけだろ。深読みし過ぎだ」

リヴァイ「まぁ確かに、単に何も無いだけかも知れん。だとすれば、ここに行っても時間と体力の無駄だ」

ユミル「ああ…だから、こんなとこ行くの止めとけ」

アルミン「…」

アルミン「よし、行く!!エルヴィン団長が駄目って言っても行く!!」

ユミル「な!?」

アルミン(ユミルの反応が明らかに怪しいからね…ここには何かあるって事だ)

エルヴィン「…よし、わかった。この地図の大きな空白部分の場所に、少数で調査に向かわせよう」

アルミン「エルヴィン団長、太っ腹!!」

エルヴィン「連れていきたいメンバーは君が決めればいい。リヴァイも一緒に行かせる」

リヴァイ「わかった。ペトラとオルオも付いてこい。エルドとグンタは本隊の方を任せた」

「はっ!!」

アルミン「よし、エレン、ミカサ、ライナー、ユミル!行こう!!」

エレン・ミカサ「おーっ!!」

ライナー「何があるかわからねぇのに元気な奴等だ…」

ユミル「私は行かねぇからな」

アルミン「いや、来てもらう!ついて来なきゃヒストリアの晩飯を1日抜きにするぞ!!」

ユミル「意味わかんねぇよ」

アルミン「とにかく、来て来て来てーっ!!!」ジタバタ

ユミル(ちっ…私が何か知ってるのは感づかれてるな)

ユミル「わかったよ…好きにしろ」

アルミン「ありがとー!!」

ユミル「…世の中には知らない方がいい事もある……後悔するなよ」ボソッ

アルミン「!!」

アルミン「しないさ!!!」

ユミル「…」

サシャ「…私とコニーは仲間外れですか…」

コニー「酷いぜ、友達だと思ってたのに…」

ミカサ「あ…いや、そんな事…」オロオロ

アルミン「ははは、全員を同じとこに行かせる訳にはいかないからね!!二人はエルヴィン団長達と行ってくれ、任せたよ!!」

コニー「おお、任せとけ!!」

サシャ「お土産持って来てくださいね!!」

ミカサ「お土産かぁ…何がいいかな…」

ハンジ「君たちは壁外調査を何か勘違いしてないかな」

ペトラ「…あの、サシャとコニーとミカサって子…心配なんだけど大丈夫なの?特にミカサ…」

エレン「ああ…確かに最初は頼りないかも知れないですけど、やるときはやる奴等ですよ。心配しないでください」

ペトラ「そう…ずっと過ごしてきた同期が言うなら信用できるわね。安心したわ」

エレン「まぁ、兵士としての自覚が無いことが、たまに傷ですね」

ペトラ「それって重要な事じゃないの!?」

アルミン「…そういえば、そちらに預けてる中央憲兵のサネス君からは何か聞き出せてます?」

エルヴィン「いや…まだだ。このまま何も言わないのなら…最終手段を取るしかないだろう」

アルミン「拷問ですか…嫌だなぁ僕は」

エルヴィン「私も出来ればそのような手段は取りたくは無いが…仕方あるまい」

アルミン「ええ…分かりますけどね。……じゃあ壁外調査までの3日…アルレルト兵団に任せてください」

エルヴィン「!」

アルミン「壁外調査までに何か聞き出してみせますから!!」


ハンジ「リヴァイも大変だね、子守りを任されてさ!」

リヴァイ「ああ…面倒な事は何でも俺に押し付けやがるからな」

ハンジ「アルレルト兵団の子達は任せたよ!」

リヴァイ「…あいつらは兵団なんて名乗ってるが、そんな立派なもんじゃない、ただのガキの集まりだ。あいつら全員兵士としての自覚なんかねぇよ」

ハンジ「ははは、確かにそうかもね」

リヴァイ「まぁ…それでもいいと思うがな、どう生きようがそいつの勝手だ。あいつらはバカだが…何も考えずに生きては無い。自分の意志を持って生きている」

―――憲兵団


アルミン「やっほー、元気にしてるかな!?」

ジャン「うお、アルミン!?」

マルコ「ビックリした…何しに来たの?」

アルミン「ちょっとヒストリアに来てもらいたくてね、半日くらいいいかな!?」

ヒストリア「え、そんな半日と言わず1日でも1週間でも一年間でも…」

アルミン「半日でいいよ」

ヒストリア「うん」

アニ「どうしたんだい急に?」

アルミン「中央憲兵から情報を聞き出すのに少しね、来て欲しいんだ」

―――

サネス「…なんだ、ガキども。俺は何も喋る気は無いぞ」

アルミン「ふふ、心の準備はいいかな…サネス君」

ザッザッ

エレン「…」
ライナー「…」
サシャ「…」
コニー「…」
ユミル「…」
ヒストリア「…」
ミカサ「…」オロオロ

アルミン「恐怖の大拷問、わんぱくアルレルト大作戦の始まりだぁ!!」

サネス「!?」

ミカサ「…」オロオロ

ヒストリア「…まずは、私から一言言わせて貰いましょうか…」ザッ

サネス「…ヒストリアか」

ヒストリア「私ね……アルミンに呼び出されて、ワクワクしてたのよ………デートの誘いだと思って」

ライナー「!?」

ヒストリア「でも!わざわざ呼び出されて来たら、オッサンの相手しろって何よ!私のドキドキ返せコノヤローッ!!」

サネス「知るかよ!!?」

アルミン「真面目に頼むよ、ヒストリア」

ヒストリア「ん…今のも真面目なんだけど………。ねぇ…あんた、あの時いたでしょ?顔覚えてるわよ」

サネス「…お前の母親が殺された時か」

ヒストリア「私も殺されそうになったよ。生かされたけどね。なんで、お母さんが殺されて私は生かされたの?少し前にロッド・レイスに聞いた時も…はっきりとは答えなかった。詳しく教えてよ」

サネス「…」

サネス「答える気は無い」

ヒストリア「むっ!」

アルミン「わかった…なら、仕方ないね。サシャ、コニー」パチンッ

サシャ「…」ザッ

コニー「…」ザッ

サネス「何だお前ら…爪でも剥がすつもりか?いいのか?そんな事をすれば貴様らは更に中央憲兵から…」

アルミン「やれえぇっ!!!」

コニー「おらあああああ!!!」

サシャ「これは貴方への天罰です!!!」

コチョコチョコチョコチョコチョコチョ

サネス「ぶあっははっはっは!?待て、バカ…やめ、あひゃひゃひゃ!!!」

ミカサ「か…可哀想だよ…」オロオロ

エレン「くすぐってるだけだから心配するなって」

コニー「どうだ!!」

サシャ「答えなきゃコチョコチョですからね!!」

サネス「はぁ…はぁ……ふざけるな!てめぇら拷問する気あんのか!?」

アルミン「ない!!!」

エレン「おい!!!」ビシッ

アルミン「ナイス突っ込みだ!!」

サネス(何だこいつら)

ライナー「わかったから進めようぜ、情報聞き出すんだろ」

アルミン「すまない、壁外調査に行けるって事が嬉しくて変なテンションなんだ…落ち着くよ」

ヒストリア「…答えなきゃ次はお尻ペンペンだかんね」

アルミン「さぁ、答えろ、レイスとは何だ!?お前たちの目的は何だ!?」

サネス「無駄だ…俺達は王に心臓を捧げている。お前たちのようなガキに屈する気など無い」

アルミン「…お前らは、今までたくさんの人間を拷問にかけ殺してきたのだろう?何がお前らをそこまでやらせるんだ」

サネス「ああ…たくさん拷問して殺してきた……女子供も容赦なくな……」

ミカサ「酷い…」

エレン「胸糞悪いな…罪悪感はなかったのか?何とも思わなかったのか?」

サネス「…俺達は王の為…この壁の未来の為にやっていたんだ……戦争が起こらないように不穏分子を消し続けていた。お前達は俺達に感謝するべきなんだぞ」

エレン「こいつ…!」

ライナー「落ち着け、エレン」

アルミン「……やっぱ何かあるんだね。理由も無く非情な行為が出来る人間はいない。僕は理由あっても出来ないけどね」

エレン「それでいいんだよ、アルミン」

アルミン「いや、ダメだと思うけどね…今だって僕は甘いし」

サネス「ああ…お前も、お前の仲間達も甘い奴等ばかりだな。どんな手段でも使って情報を聞き出そうってなら容赦なく拷問するはずだ。今まで送り込んだ中央憲兵や対人制圧部隊も怪我人は多いが死者は0だ」

アルミン「…」

サネス「その程度の覚悟でこの先やっていけると思うか?怪我が回復すればまたお前らの敵は増える。不穏分子は始末するべきだ…だがお前らはやらない」

アルミン「この年で殺人したくないし」

サネス「それが甘いんだよ!」

ライナー「俺は…皆には殺人なんか経験して欲しくないがな。俺も未だにたくさんの人間を殺した過去を引きずっている…例え周りの仲間からは許されようが、被害者からは許される事は無いし罪も消えない。犯した罪は一生自分の心に付いて回る」

エレン「…ライナー…」

サネス「綺麗事だけで世界をどうにか出来ると思うな…」

アルミン「やあってみせるさ!!!!!」ビシッ

サネス「!?」

アルミン「ぼぉくぁ、はひねくれものだからね!!そんな事言われたらますます甘い考えを貫き通したくなる!!綺麗事だけで世界を変えてみせるぞ!!!」

サネス「あ、アホだ…」

アルミン「アホと言われようが偽善者と言われようが知った事か!!僕達は僕達の信念を貫く!!!」

アルミン「……まぁ、さすがに殺さなきゃこっちが死ぬって状況ならやるけどね。なるべくは人殺しはやらない」

ヒストリア「…1つ聞かせてよ。私の目の前でお母さん殺された時は…見ててどんな気分だったの?」

サネス「…」

ヒストリア「子供の前で母親を殺すのを…どう思った?」

サネス「そんな事を聞いて俺に罪悪感を抱かせようってか?」

ヒストリア「それもあるね」

サネス「あれも仕方ない事だ……全ては人類の為に…」

アルミン「あのさ、もしかしてレイス家が本当の王家?」

サネス「!?」ビクッ

ヒストリア「へ?」

サネス「何を言っている。レイスはただの貴族…」

アルミン「いや、そりゃ無いでしょ」

ヒストリア「へ?」

エレン「何でそう思ったんだ…アルミン?」

アルミン「いや…冷静に考えてさ。何で中央憲兵がレイス家の命令下で動いてるのさ?そもそも世界の謎を公表する権利があるのがレイスってのもおかしいじゃん。ただの貴族なんでしょ?普通の貴族家にそんな権利があるなんておかしいよ」

サネス「…」

アルミン「考えられるのは…今の王家は偽物で、本当の王家はレイスだけど、何か理由があるから正体を隠している。もしかしたら…何らかの方法で人類全体が記憶改竄させられているかも知れない。そうでもしなきゃ本当の王家が正体を隠すなんてできない」

エレン「!?記憶改竄って…またぶっ飛んだ話だな」

アルミン「不思議じゃないさ…エレンやヒストリアだって思い出せない記憶があるんだろ?」

エレン「…あぁ…」

ヒストリア「…」

サネス「バカな事を…妄想は大概に」

アルミン「僕の観察力を甘く見るな!!今の話をしている最中、君の眉間のシワが二本増えたのと口の角度が三度くらい上がった!!内心動揺してるのはお見通しなのさ!!!」

サネス「!?」

アルミン「嘘はつくなよ、全部吐け!!」

サネス「……巨人にでも食われてろクソガキ」

アルミン「…」

アルミン「ライナー、ちょっとこいつ食べて」

ライナー「任せろ」

サネス「!?」

エレン「!?」

ミカサ「!?」

ミカサ「え?た…食べ、え?食べちゃうの?食べちゃうの!?」ガクガクブルブル

サネス「待て、食べるだと!?俺にホモの趣味は無い!!」

ライナー「…」イラッ

ライナー「そっちの食べるじゃねぇ!!」ガリッ

ドオオオッ!!!

鎧の巨人「オオオッ!!」

アルミン「よし、ライナー、食っちゃえ!!」

サネス「あああああああ!?」

鎧の巨人「バクッ!!」

ミカサ「た…たべ…た……うわああああん、ライナーがおじさんたべたあぁぁ…」グスッ

エレン「いや、ただの脅しだろ、ビビりすぎだお前!!」

鎧の巨人「ペッ」

ドサッ

サネス「はぁ…はぁ…ビックリした…」

アルミン「どうだった?」

サネス「ざっけんな、どういうつもりだ!!」

アルミン「君らが今まで人間を殺してばかりいる間……壁外やマリアでは今みたいに巨人に食べられた人がたくさんいたんだよ?」

サネス「!?」

アルミン「また巨人がいつ攻めてくるかもわからない…ローゼまで破られたら人類も終わる。何より僕らは自由を手にする事なく死ぬことになる」

エレン「…」

アルミン「そうなる前にさっさと謎を解明して作戦立てて世界全体をひっくり返し、自由で平和な世界にしなきゃならない。こんなゴタゴタしてる間にローゼまで破られたらマリアのようにたくさん巨人に人が食われる!!住むとこも無くなって何もかも終わりなんだよ!!いいから吐け!!!」

サネス「………」

エレン「答える気は無いようだな」

アルミン「あーあー、そうかい。ならもう知らないよ。後は調査兵団に任せる」

サネス「!」

アルミン「エルヴィン団長なら君を容赦なく拷問に掛けるだろうよ。ま、君は今まで散々そんな事してきたんだから、そのツケが回って来ただけさ。自業自得だよ……君がどうなろうが知らないね」

サネス「ふん、お前らこそ…覚悟しておけよ…。ユミルとかいう女が一度拷問にかけられたらしいな」

ユミル「!」

サネス「痛かったろう?お前らもそれ以上深入りするようなら…次は他の仲間がどんどん拷問され殺されるだろうよ」

エレン「…おい、黙れ」

サネス「ヒストリア、目の前で見たんだろう?どうだった、自分の同期が拷問を受ける様は」

ヒストリア「…」ピクッ

エレン「てめえ!いい加減に…」

ヒストリア「待って」

エレン「!」

ヒストリア「…なにそれ?そんな事は覚悟の上よ、それがどうしたの」

サネス「なに?」

ヒストリア「なぁにが最高権力者…中央第一憲兵団よ。そんな子供みたいな挑発しか出来ないようじゃたかが知れてるわね、情けない。偉そうにべちゃくちゃ喋るだけならバカでも出来るわ」

サネス「ふん、また目の前で仲間を傷つけられても同じ事を言えるか?」

ヒストリア「あのさぁ、口で言うだけならバカでも出来るんだって」

サネス「ぐっ…」

ヒストリア「まぁ…そんな最悪の状況にはならないようにするつもりだけど。もし…私の仲間が…取り返しのつかないような目にあったら…」

ヒストリア「お前ら全員二度と動けない体にしたあと壁外に放り捨ててやるから」ギロッ

サネス「」ビクウッ

アルミン「さ、戻ろう。後はエルヴィン団長に頼む」

エレン「ああ」

ミカサ「え、でも…本当に拷問しちゃうの?」

エレン「仕方ないさ…アルミンの言う通り自業自得だ」

ミカサ「…」オロオロ

ユミル「…お前にしてはなかなか冷静に返したな」

ヒストリア「へへ、本当は殴ってやりたかったけど怒ればいい訳じゃないしね。耐えたよ」

アルミン「じゃあねサネス君、明日は覚悟しときなよ」

ガチャンッ

サネス「…」

アルミン「………さて、ミカサ」

ミカサ「え?」

アルミン「サネス君の見張り当番は任せたよ」

ミカサ「え!?」

エレン「おいおい…ミカサで大丈夫なのか?」

アルミン「大丈夫だよ…てかミカサが見張りをやるべきだ。じゃなきゃ困る」

ミカサ「え、なんで!?」

エレン「本当に何でだよ!?」

アルミン「まぁ…上手く行くかはわからないけど…」

エレン「なにがだよ!?」

アルミン「とにかく、任せたよミカサ!」

ミカサ「え、ええ?う…うん」オロオロ

―――

サネス「…」

ガチャンッ

ミカサ「あの…食事…持って来ました」

サネス「…いらん」

ミカサ「でも、食べなきゃ…」

サネス「…明日には拷問にかけられ最悪死ぬかも知れん。食う気なんか起きねぇよ」

ミカサ「…」オロオロ

ミカサ「あの…なんで…何も言わないんですか?」

サネス「あ?」

ミカサ「話せば、助かるのに…」

サネス「王に忠誠を誓っている…裏切る事など無理だ…」

ミカサ「……あの…アルミンから聞いたんだけど…家族いるんですよね?」

サネス「…妻と子供はいたが…今はいねぇよ、捨てたさ。俺は家族より王を選んだ」

ミカサ「…わたし…この前、家族が、殺される夢を見ました」

サネス「…」

ミカサ「現実には生きてるんだけど……でも、その夢は何故か、とてもリアルで…凄く寂しくて怖かった…」

サネス「それがどうした」

ミカサ「…サネスさんの家族も、凄く悲しむんじゃないかと思って……殺されたりしたら…」

サネス「は、妻も子供もこの世にいねぇよ」

ミカサ「え?」

サネス「死んだよ……」

サネス(俺が殺した………妻と子供は、中央の極秘資料を…世界の謎の一端を見ちまったから。俺は王政に家族を売った)

ミカサ「…あなたは寂しく無いんですか?家族がいなくなって」

サネス「!」

ミカサ「私はやだ…家族も友達も死んで欲しくない。人が死ぬのは…とても悲しい事だから」

サネス「…!」

「お父さん!助けてよ、お父さん!!」

サネス「………」

ミカサ「あなたは…たくさんの人を殺して…悪い人だと思う……でも、やっぱりそれでも…誰かが死ぬのは見たくない…」グスッ

サネス「…」

ミカサ「お願いだから……話して…」グスッ

サネス「…こんなクズの為に泣くのかよ、あんたは…」

ミカサ「…拷問なんて怖いし……死ぬのも怖い事…だから…」

サネス「……………」


サネス「……………」



サネス「少しだけ教えてやる」

ミカサ「!!」


サネス「あのアルミンとかいうガキの言っていた事はだいたい合っている……レイス家は、2000年以上前からこの世界を支配している本当の王家だ……」

―――――


―――憲兵団


ヒストリア「めんっどくせえええぇぇ」

ジャン「あ?」

ヒストリア「めんっどくせえええぇぇ」

アニ「帰って来てからそれしか言って無いね。バカになった?」

ヒストリア「失礼な!本当にめんっどくせえええぇぇ事があったの!!」

ベルトルト「何があったんだい?」

ヒストリア「エルヴイン団長が~私に女王になれってよ~~」

ジャン「………は?」

マルコ「唐突過ぎて訳がわからないんだけど…」

ヒストリア「捕まえてた中央憲兵いるじゃん?ミカサがそいつから少しだけ情報を聞き出したみたいなんだけどさ」

アニ「ミカサが?意外だね」

ヒストリア「レイス家が本当の王家らしくて…エルヴィン団長は今の王家をやっつけて私を新しい女王にしようって考えたらしくてさ」

ジャン「そうなのか…しかし、いきなり女王になれなんて言われてもな」

ヒストリア「ビックリしたよ、突然エルヴィン団長がイケメンフェイスを近づけて『女王になってくれないか?』って言って来たんだよ。広いおでこにデコピンしてみたい衝動に駆られたけど抑えるのに必死だったよ」

ジャン「そこはどうでもいいな」

ヒストリア「うん」

ヒストリア「考える時間は与えるって言われたけど……絶対にやれってパターンだよね」

アニ「ま、そうだろうね」

ジャン「だが、お前の事だから意地でも反抗する気だろ?」

ヒストリア「そりゃね、やりたくないもんはやりたくないし…そもそも人類の為とかどうでもいいし、私は自分の為に生きたいだけだから…」

―――二日後 壁外調査

アルミン「さあて、いよいよ壁外調査だぞ皆ぁっ!!!」

エレン「イエーーーッ!!」

ミカサ「ガーッ!」

ライナー「ノリノリだなお前ら」

コニー「おい、サシャ、ちゃんと弁当持ったか!」

サシャ「はい、しっかりパンを盗んで来ました!」

ペトラ「兵長、そこの二人どうしましょう」

リヴァイ「突っ込むのも面倒くせぇ、無視しろ」

ユミル「…」

アルミン「そうそう、二日前は悪いねミカサ」

ミカサ「え?」

アルミン「サネスから情報を聞き出すためにさ…君の優しさを利用するような事してね」

ミカサ「ああ、いいよ。拷問なんか見たくなかったし…」

エレン「アルミン、ミカサ、お前ら戦闘はまだまだ何だから俺から離れるなよ」

アルミン「おう!」

ミカサ「うん!」

リヴァイ「エレン、アルミン、ミカサ、ライナー、ユミル…ちゃんと集まったな。行くぞ」

こうして、リヴァイ兵長、ペトラさん、オルオさん、僕、エレン、ミカサ、ライナー、ユミルは気になって仕方ない怪しい場所へと調査に向かった…

アルミン「…いよいよだ…ここから僕らは一気に謎の核心へと迫っていく……気がする!!!」

エレン「おお!!」

ミカサ「うん!!」

ライナー「…俺達がこれから向かう場所、何があるのか知ってるんだろ…ユミル」

ユミル「…」

ライナー「何があるんだ?」

ユミル「自分の目で確かめな」

ズシンッ ズシンッ

アルミン「む、この足音は!?」

エレン「さっそくか!」

巨人「…」ズシンッズシンッ

リヴァイ「…お前らは下がってろ、まずは巨人との戦い方をみせてやる」

エレン「はい!」

オルオ「ふっ…リヴァイ兵長の強さを見てビビんじゃねぇズホッ!?」ガリッ

ペトラ「新兵の前でなにしてんのよ情けない」

アルミン「人類最強の実力…見せてもらおうじゃないか!!」

ミカサ「キョ、キョジ…キョジキョジ…巨人…」ガクガクブルブル

ライナー(ミカサはやっぱりこうなったか)

エレン「…そう言えば、アルミンの予想だと巨人の正体は人間なんだよな」

アルミン「ああ、でもやるしか無いだろう…死にたくないし」

ミカサ「うん…」

オルオ「オラ、てめーらしっかり見てろよ!?リヴァイ兵長の強さを!!」

巨人「…」ズシンッズシンッ
巨人「…」ニタァ

リヴァイ「…おもしれぇ面しやがって」ジャキンッ


ギュルンッ!!
ズシャ、ズシャッ!!!
巨人「」シュウゥゥゥ
巨人「」シュウゥゥゥ


エレン「一瞬で2体倒した!?」

ユミル「すげぇな…」

ライナー(敵じゃなくて良かった)

リヴァイ「参考になったか?」

エレン「速すぎて参考になりません!!」

リヴァイ「そうか」

オルオ「ふん…新兵、それはお前がまだ俺の領域まで達していないからだ…」

ペトラ「ちょっとオルオ、それ兵長の真似のつもり?兵長はそんな事言わな…」

ミカサ「オルオさんリヴァイ兵長に似てる!!」

ペトラ「!?」

エレン「!?」

オルオ「!?!?!?」

ライナー「オルオさんが一番驚いてるぞ」

リヴァイ「なにお喋りしてんだ…次も来たぞ」

ズシンッズシンッズシンッ

アルミン「!!今度はさっきより数も多い…後ろからも来た!」

ペトラ「後ろは私達に任せなさい!」
オルオ「おお、新兵どもは無理すんな!」

リヴァイ「二人とも任せた。前方は俺一人でやる」

ギュンッ!!

巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ

ペトラ「…!みんな、一体そっちに行ったわ!?」

アルミン「一体なら僕らでやれる、行くぞ!!」
エレン「おう!」

巨人「…」ズシンッズシンッズシンッ

ライナー「やるぞ!!」ギュンッ

巨人「…」ピタッ

エレン「!!止まったぞ!?」

巨人「…ミ…ル…」

ライナー「!?」

アルミン「え!?」


巨人「ユ……ミル……様……」


ユミル「!!!」

巨人「よくぞ……」

エレン「!?」

アルミン「はぁ!?」

ライナー「な…!?」

ユミル「………っ」

巨人「う…うう……」

ユミル「…!!お前ら離れろ!!」

巨人「オオオオオッ!!!」ドドドッ

アルミン「うわ!!?な、何だったんだ…今喋ったのは!?」

ミカサ「ユミル様って……」

ユミル「…みんなは手を出すな……私が眠らせてやる」

巨人「…」ニタァ

ユミル「………ごめんなさい………」ボソッ

巨人「オオオオオッ!!」ドドドッ

ユミル「…」バシュッ

エレン「ユミル!!」

ザクッ!!

ドサッ…

巨人「」シュウゥゥゥ

ライナー「倒したか…」

ユミル「……安らかに眠ってくれ…」


アルミン「ユミル…今のはなんだ?ユミル様ってなんだよ?」

ユミル「………」


ユミル「もう少し進めば目的地だ……知りたければ、そこへ行け」

アルミン「…わかった、このまま進むぞ」


リヴァイ(ユミルか…イルゼの手帳にそんな言葉が書かれていたな……)

ザッ ザッ ザッ

リヴァイ「…森の中に入ったな」

エレン「本当にこの先に何かあるのか?」

ユミル「…あぁ…村の跡があるはずだ…今は面影も残って無いだろうが」

ミカサ「巨人が侵入してきたからね…」

ユミル「いや、マリアが突破される以前から…60年以上前から壊滅してる」

アルミン「60年!?ユミル何歳だよ!?」

ユミル「さぁな」

エレン「さぁなじゃわかんないだろ!!」

ライナー「おい、何か見えてきたぞ…」

アルミン「む!?」

ペトラ「これは…」

リヴァイ「……むちゃくちゃになっているが……村の跡だろうな」

オルオ「しかし、こんな場所があるなんて知らなかったな…」

ペトラ「ええ……兵長はご存知でしたか?」

リヴァイ「俺も初めて見た」

アルミン「…これは…人為的に破壊されたものだ…」

リヴァイ「ああ…建物も火で焼かれたような跡になっているな」

エレン「!!あそこにかろうじて形が残ってる建物があるぞ」

アルミン「ようし、行ってみよう!」

ミカサ「何があるのかな…」

ミカサ「お邪魔しまーす」

ライナー「うっ…なんだこれ…灰の塊だ。何かを焼いた跡か?」

アルミン「…ああ、これは紙を大量に焼いたんだろう。何か不都合な事が書かれていたんだろうね」

エレン「…おい、これ、焼けずに残ってる紙があるぞ」

アルミン「おお!!見せてみそ!?」

ミカサ「私にも見せて!」

ライナー「何が書いてあるんだ?」

ユミル「…」

エレン「何だこの絵…丸が4つ…?」

アルミン「……これ……この壁の世界の図じゃないか?」

エレン「え!?」

ミカサ「どういう事?」

アルミン「だから、この○は壁を表してるんだよ」

エレン「待てよ、なら何で4つ書かれてる…」

アルミン「もしかしたら、本当は壁は4つあったんじゃないか?」

エレン「なぁんだって!?」

ユミル「…その通りだよ、壁は4つあった……」

アルミン「!!」

ユミル「だが、60年以上前に壁は1つ消えた………人類同士の争いのせいでな」

ユミル「…なぁ、ライナー…お前の故郷ってのは、この4つ目の壁に住んでた人間達の生き残りじゃないのか?」

ライナー「!!」

ユミル「この4つ目の壁の人類と…それより内地の人類の間で戦争が起きていたんだ」

アルミン「…」

ライナー「俺も…詳しい話は聞かされてないんだ……ただ、壁内人類は悪魔の末裔だと、滅ぼすべきだと教えられた。そして俺は…戦士になった」

ユミル「…」

ライナー「だが…もし、ユミルの話が本当なら……俺の住んでいた故郷は…かつて4つ目の壁にあった村なのかも知れん」

―――――

―――

黒髪「……今から2000年以上前…世界には巨人が現れました…そして、追い詰められた人類は」

ヒストリア「…」

黒髪「ユミルの民を使い…壁を築き上げました」

ヒストリア「ユミルの民…可哀想」

黒髪「………」

ヒストリア「ねぇ、なんで巨人が現れたの?」

黒髪「……そうね…」

???「おい、クリスタ、何をしてる!時間だ!」

黒髪「!」

ヒストリア「!」

黒髪「ごめんね、ヒストリア…呼ばれたから行かなきゃ」

ヒストリア「うん…」

ピリッ

―――――

―――

黒髪「……今から2000年以上前…世界には巨人が現れました…そして、追い詰められた人類は」

ヒストリア「…」

黒髪「ユミルの民を使い…4つの壁を築き上げました」

ヒストリア「ユミルの民…可哀想」

黒髪「………」

ヒストリア「ねぇ、なんで巨人が現れたの?」

黒髪「……そうね…」

???「おい、クリスタ、何をしてる!時間だ!」

黒髪「!」

ヒストリア「!」

黒髪「ごめんね、ヒストリア…呼ばれたから行かなきゃ」

ヒストリア「うん…」

ピリッ

―――

ヒストリア「…!」ガバッ


ヒストリア「………」


ヒストリア「ユミルの民……4つの壁……お姉ちゃんの名前が…クリスタ…」


ヒストリア「また、新しい記憶を思い出した」


ジャン「……話ってなんだ?」

ヒストリア「また、記憶を少しだけ思い出した」

マルコ「本当かい!?」

ヒストリア「うん……壁は本当は4つあって…ユミルの民を使って…壁を築いた…」

ベルトルト「…?どういう事だ?」

ヒストリア「…お姉ちゃんを呼んでた人…壁教の服を着てた」

アニ「!」

ヒストリア「やっぱり壁教は何か知ってる……だから…」


ヒストリア「今日、直接行って…あいつらから何か聞き出そう」

ジャン「よし、じゃあ団長から許可を…」

ヒストリア「それなら大丈夫、ちゃんと伝えたから!!」

ベルトルト「おぉ、しっかりしてるね」

ヒストリア「へへ、私を舐めないでよね!!」

アニ(何か嫌な予感がするのは気のせいかな)


―――

憲兵「あの、団長」

ナイル「なんだ?」

憲兵「団長の机にこんなものが…」

ナイル「なに?」ペラッ


『壁教に秘密を聞き出しに行って来ます。晩御飯までには帰ります。ひすとりあ(自画像+ピース)』


ナイル「…………………」



ナイル「自由にも程がある」

ジャン「…とは言ったものの、どうすんだよ?」

マルコ「僕らがヒストリアやエレンの同期なのは知ってるだろうから…追い出されるかもね」

ヒストリア「ん~…だよねぇ…」

「食い逃げだ!誰かそいつを捕まえてくれ!!」

アニ「ん?食い逃げ?」

ジャン「…そうか、良いことを思い付いたぞ」

ヒストリア「ほほう、実は私も思い付いたとこ」

「あの食い逃げ犯を利用する!!!」

ザッザッザッ

食い逃げ犯「はぁ…はぁ…ここまで逃げれば誰も来な……」

アニ「やぁ、食い逃げ犯さん、見てたよ」

食い逃げ犯「うわああぁ!?」ビクッ

アニ「そんな驚かなくていいよ、私も犯罪を犯して逃げてる身なんだ」

食い逃げ犯「は?あんたみたいな姉ちゃんが何を…」

アニ「………五年前にたくさん殺した……」

食い逃げ犯「!?!?」

アニ「それより、いい逃げ場所を知ってるよ…」

食い逃げ犯「何だって!?どこだ!?」

―――調査兵団


エレン「じゃあ…ライナー達の故郷もやっぱり…何か理由があって人類に攻撃を仕掛けているのか」

アルミン「まぁ、ライナー達の故郷も同じ人類なんだろうとは思ってたが…4つ目の壁があるなんてのは想像できなかったなぁ」

ライナー「……どんな理由があるにしろ、五年前の虐殺が許されるはずがない」

エレン「そりゃそうだ…」

リヴァイ「お前ら、ちょっと来い」

ミカサ「!」

リヴァイ「ペトラとオルオが怪しい場所を見つけた」

アルミン「ぬぁんだって!?」

リヴァイ「地下室のような場所がある」


ザッ ザッ

アルミン「…ここですか」

オルオ「この扉、開きやしねぇ」ガチャッ ガチャッ

ペトラ「鍵が閉まってるわね」

ユミル「…」

アルミン「…ん?なぁ、エレン」

エレン「どうした?」

アルミン「君の持ってる鍵…もしかしてここの扉にも使えるんじゃないか?」

エレン「…え?」

リヴァイ「よし、やってみろエレン」

エレン「…わかりました」

カチャッ カチャッ

ライナー「…」

ユミル「…」


ガチャンッ!!


エレン「…!!」

アルミン「おおう!!?」

ミカサ「ひ、開いた……」

エレン「…何でだよ……何で、父さんからもらった俺ん家の地下室の鍵で、ここの扉も開くんだよ!?」

エレン「まさか…ここには父さんも関係しているのか?どうなってんだ!?」

アルミン「…それを知るには進むしかないさ、エレン」

ミカサ「エレン…行こう」

エレン「…あぁ、そうだな。行くぞ」

ザッ ザッ ザッ…

―――壁内 壁教教会前

マルロ「…教育内に凶悪犯が侵入したと情報が入りました。中を調べさせてもらっていいですか?」

壁教信者「え、本当ですか!?はい、頼みます!早く捕まえてください!」

ジャン「…まぁ、凶悪犯って言っても食い逃げなんだがな…」

ベルトルト(アニ…上手く誘い込んでくれたんだな)

ヒストリア「はいはいは~い、捜査しますから通してくださいね~憲兵団のお通りですよ~」

マルロ「………お前ら、また何か企んでるのか?教会内に凶悪犯が侵入したって本当か?」

ヒストリア「凶悪かどうかは置いといて、犯罪者が侵入したのは事実だよ」

壁教「おい…あれ、ヒストリアじゃないか…」

壁教「ああ、だが憲兵団の仕事として来ただけだろう。下手に手を出せば我々が怪しまれる。今回は見逃してやれ」

壁教「わかりました」

ヒストリア「ふっ…」ニヤッ

マルコ「うわぁ、ゲスイ笑顔」

×教育
○教会

マルコ「…で、ここからどうする?」

ヒストリア「ねぇ…あの奥の扉怪しそうじゃない?」

ベルトルト「ん?そうかな…犯罪者が逃げるならもっと見つかりにくいルートを…」

ヒストリア「いや、犯人じゃなくて謎が隠してありそうな場所の話」

ベルトルト「え?」

ニック「…憲兵団が何の用かな?」ガチャッ

ベルトルト「あ、ニック司祭が出てきた」

マルロ「食い逃げ犯が逃走しここに侵入しました」

ニック「そうか…わかった。だが、この奥の扉はさっきまで私が居たから捜索する必要はない」

ヒストリア「やっぱり怪しい!」

ジャン「おい、ヒストリア…怪しいのは分かるが……」

ヒストリア「ヒストリアダーーーシュッ!!!」ダダダダダダッ

ジャン「うわっ!?速っ!!!」

ニック「む、貴様は…」

ヒストリア「はいはい、邪魔!!!」ドンッ

ニック「うっ!?…は!扉の奥に侵入された!!」

ジャン「………あのバカ野郎……」

ヒストリア(無茶してごめんね、皆……でも今回はたぶん無茶でもしなきゃ情報が手に入らない)

中央憲兵「貴様…何をしてる!?」

ヒストリア「うわ、中央憲兵までいる…ますます怪しい!」ダダダダダダッ

壁教「おい、止まれそこの小娘!」

ヒストリア「私は喧嘩しに来たんじゃない、このまま走り抜ける!!」ダダダダダダッ

パァンッ!!!

ヒストリア「ひっ!?」

中央憲兵「止まれ、止まらんと撃つぞ!!」

ヒストリア「もう撃ってるじゃん!!!」

中央憲兵「ここから先には行かせんぞ!」

壁教「止まれ!!」

ヒストリア「うっ…前にも!」

ヒストリア(…よく考えたら何で私が無理矢理侵入したのがこんな早く広まってるんだ?)

ヒストリア(まぁいい。それ考えるのは後だね…)

中央憲兵「ヒストリアだな…馬鹿め、お前はもう囲まれた。逃げ場は無い…おとなしく…」

ヒストリア「私が考えも無しに侵入したと思った?」

中央憲兵「なに?」

ヒストリア「ニヤッ」スッ
ブンッ

キイイイイイイイッ!!!

壁教「音響弾!!?」
中央憲兵「うあああ、こんな狭い通路で使うんじゃねぇ!!!」

ヒストリア「ふう…耳栓も持って来てて良かった」グイグイ

ヒストリア(中央憲兵が銃を撃った事で、この辺りは外に音が漏れない特殊な壁で出来てるとわかった…銃声が聞こえたら信者達がパニックになるからね。外に音が漏れないなら躊躇なく音響弾も使える)

―――その頃

憲兵「あの…倉庫から少し物がなくなっていますが…音響弾とか…」

ナイル「………」

ナイル「ヒストリアの今月分の給料からその分の金を差し引いとけ」

ヒストリア「はぁ………はぁ…はぁ…」ザッ ザッ

ヒストリア「…広い部屋に出た」



ヒストリア「壁に文字が書いてある……けど、読めないな……」

ニック「来てしまったか」

ヒストリア「!」

ニック「前に…これ以上首を突っ込むなと言っていたはずだが」

ヒストリア「………」

ヒストリア「私には無関係じゃないから、知りたいと思うのは当然でしょう」

ニック「…」

ヒストリア「これは何?」

ニック「この壁には本当の歴史が記されている。お前には読めんだろうがな」

ヒストリア「本当の歴史…」

ニック「…そこに、外に出れる階段がある。逃げるなら早く逃げた方がいいぞ…他の者が来る前にな」

ヒストリア「…逃げる事を勧めるなんてなんて優しい人だね」

ニック「…小さい子供が大人に暴力を受けるのは…見てていい気分では無いからな」

ヒストリア「小さいって私15歳なんだけど」

ニック「私から見れば子供だ」

ヒストリア「まぁいいや…ここまで来たのにタダじゃ帰れないよ……ニック司祭」

ニック「…何も話すつもりはない…」

ヒストリア「…」

ヒストリア「クリスタって……何者なの?」

ニック「!」

ヒストリア「私のお姉ちゃんの名前……壁教の人がそう呼んでたのを思い出した」

ニック「何も話さん。ほら、さっさとこの階段から外に出ろ」グイッ

ヒストリア「わ、ちょっと!何よこの意地悪ニック!」

ニック「さぁ、早く逃げんか」

中央憲兵「…何をしているのですかニック司祭」

ニック「!」

壁教「ヒストリアを逃がそうとするとは…立派な反逆に見えるが…」

ニック「私は秘密も話していないし、この娘も何も聞いてない。ならば逃がしても問題ないだろう」

壁教「その、逃がそうと思うのがダメなんだ……少しでも裏切る可能性があるからな…」

ニック「な!?」

ヒストリア「滅茶苦茶だあいつら……ニック司祭、この階段登れば外に出れるんだね!?」グイッ

ニック「う!?何をする!?」

ヒストリア「一緒に逃げるよ!!」

ニック「!?」

中央憲兵「外に回り込め!待ち伏せして捕らえるぞ!!」

ニック「…なんという事を…これで私も完全に反逆者になってしまったでは無いか!!」

ヒストリア「いや、もう既にニック司祭は反逆者として見られてたよ」

ニック「くっ…」

ヒストリア「あああ、階段走りながら登るの体力使う!!」

ニック「…どうする、外に出たら待ち伏せされているだろう…」

ヒストリア「仲間に合図送るから大丈夫!!」

ザッザッザッ

ヒストリア「…うお!?井戸から出たよ私達…変な出口だね」ヒョコッ

ニック「一般人に見つかってはいかんからな…」

ヒストリア「…」チラッ

ニック「む、既に囲まれてると思ったが誰もいないな」

ヒストリア「いや、目の前に見えないだけで近くにたくさん隠れてると思う。一回音響弾使ったからそれを警戒してるのかもね」

ニック「…」

ヒストリア「こういう時は…信煙弾で皆に居場所を伝えた後…」パァンッ

ガシッ

ニック「!」

ヒストリア「ダッシュでこの場から離れる!!!」ダダダダダダッ

ニック「うわあ!?待て待て速い!!」ズルズルズルズルズルズル

中央憲兵「逃がすな、追え!」

ヒストリア「ちっ、またまたぞろぞろと……もう飽きたよ!!」

ギュンッ

ビシッ!!ビシッ!!

中央憲兵「あああ!!」ドサッ

ニック「!!」

アニ「大丈夫かい!?」

ヒストリア「おう、アニ!思ったより早く来てくれた!」

アニ「あんたが敵に追われてたらすぐに助けれるよう高い建物から見張ってたからね。すぐにわかったよ」

ベルトルト「さぁ、早く逃げるんだ!!」ギュンッ

ヒストリア「よし、ベルトルトも揃った!!」

壁教「逃がさん、全員捕まえてやる!!」

ヒストリア「…ジャンとマルコは?」

ベルトルト「食い逃げ犯を捕まえて先に戻らせたよ。後は僕達で充分だ」

アニ「ヒストリアと…司祭も私につかまって!!ここから一気に脱出する!」

ヒストリア「え!?でも囲まれて……」

ベルトルト「大丈夫だヒストリア。ここなら…建物に囲まれてるから一部だけの巨人化なら一般人には見られない、やるぞ!!」ガリッ

ドオオオオッ!!


超大型巨人(頭のみ)「…」

中央憲兵「うわああ、超大型巨人の頭だあああぁぁ!!!」

ヒストリア(何かシュールな光景)

アニ「よし、今の内に立体機動で逃げる、つかまりな!!」

ヒストリア「うん!」

中央憲兵「にがすなぁ!!」

超大型巨人「…」ピシッ

ヒストリア「あ、あれは」

ボゴオオオォォッ!!!

中央憲兵「ぬおおおお!?蒸気を発した!?」

壁教「くそ、近づけん!!」

ヒストリア「さっすがベルトルト!!」

―――空き家

ヒストリア「…とりあえず、ここまで来たら大丈夫かな」

ベルトルト「うん」

アニ「でも…派手にやり過ぎた。この先どうなるか…あんた憲兵団に居られないかもしれないよ」

ヒストリア「私は初めからそれを覚悟でやったよ……憲兵団に居られなくなるとしてもそれは私だけだから二人は気にしないで」

ベルトルト「…」

アニ「バカだね、あんたは…」

ヒストリア「…」

ニック「…」

ヒストリア「…さて…ニック司祭…ここまで来たんだ………話してもらうよ」

ニック「…」

―――――


アルミン「なんじゃ……こりゃ…」

ライナー「人間の白骨死体の山だ」

ミカサ「うっ………だめ、私…無理………」ブルブル

エレン「ああ、目ぇつむっとけ」

リヴァイ「何かの…実験をしていたような感じだな」

ユミル「……」ブルブル

ライナー「…ユミル……手が震えてるぞ……」

アルミン「…これは…」


アルミン「人間の巨人化の実験をしていたんじゃないか?」

ユミル「…っ」

リヴァイ「ああ…だろうな…ここに置いてあった紙、ボロボロで見にくいが巨人の絵が書いてある」

エレン「じゃあ…やっぱ…巨人は人間を元に作られたのか?」

アルミン「じゃあ…巨人が出現したのも60年前って事なのか?」

ユミル「それは違うな、巨人が出現したのは2000年前だ」

ライナー「俺も故郷でそう聞かされていた」

アルミン「じゃあ…ここで作られた巨人ってのは…」

ユミル「……60年以上前から、巨人のうなじに人間がいるのは知られていた」

ユミル「ある人間がな…考えたんだ、巨人を兵器として使えないかと」

アルミン「巨人を兵器として……まさか!」

アルミン「知性巨人か!?」

ユミル「そうだ、ここは知性巨人を生み出す実験が行われていた場所だ」

エレン「知性巨人を生み出す…何で、そんなもの…」

ユミル「色々とあって壁内では人類同士で憎み合っててな…その結果、生まれてしまった」

ミカサ「…」

ユミル「私は、知性巨人最初の成功作だ……」

ライナー「…ユミルが!」

アルミン「…もっと詳しく…知ってる事を全て話すんだ」

ユミル「…」

ユミル「私が喋るのを拒否してきた理由が分かるか?」

アルミン「え?」

ユミル「これを聞けばお前らは…何が正しいのかわからなくなるだろう。これ以上前に進む気力も無くなってしまうかも知れない…」

アルミン「んな事ユミルが勝手に決めんな!!どう受け取るかは僕達次第だろ!!!」

ユミル「!」

エレン「そうだな…頼む、聞かせてくれ」

ミカサ「ユミル…」

アルミン「どんな現実だろうが受け入れるだけだ。話してくれ」

ユミル「…わかったよ…」

ユミル「聞かせてやるよ…長い話になるぞ」

―――――

ヒストリア「ニック司祭…まだ黙ってるつもり?」

ニック「…」

ヒストリア「こうしてる間にも、どこで何が起きるかわかんない!!話すだけならいいでしょ!?」

アニ「あのさ…司祭、私達が巨人なのは知ってるよね」

ニック「ああ…」

ベルトルト「僕達は…今は人類側についてるけど、故郷を見捨てる気は無い…世界そのものをひっくり返し人類側と故郷が争う事の無い世界を作ろうとしてきた」

アニ「でも…このまま何も分からず、なに1つ進まないなら……私達はまたあんた達人類の敵にならなきゃいけなくなる」

ベルトルト「次はローゼだ。僕とアニがいれば人類を追い込むなんて簡単だよ……本当はそんな事したくないけど…」

ニック「…!」

ヒストリア「…あんたに全てがかかってるんだよ」

ヒストリア「そういえば私に言ったわよね…子供が暴力を受けるのはいい気分じゃないって!!巨人に喰われるのはいいの!?え!?」

ヒストリア「謎を隠すために多くの弱い人を犠牲にする気かよクソヤロウ!!!」

ニック「………」

ニック「…わかった、いいだろう…」

ヒストリア「!!」

ニック「この壁…巨人、レイス家…様々な謎を」

ニック「教えてやる」





ユミル「………あの事はまだ鮮明に覚えている……」


―――今から2000年前、巨人が出現した。

人類はその巨人に食い尽くされたとされているが…それは捏造された歴史だ。

実際は…ほとんどの人類が巨人に変えられた。だから人類の数は激減した。

その後、ユミルの民と呼ばれる者により、壁が築かれ、人類はその中で過ごす事となる。
ここの詳しい説明はまた後でしよう。

まずは、この壁内で起きた人類同士の戦争の話だ

ここからは暫く過去の話になります。
ちょっと長くなると思います…

四つ目の壁 南端の村

レオンハート「…我々に、壁外の調査に行けと?」

憲兵「そうだ…人類もこのまま巨人から逃げてばかりではいかんからな。外の巨人殲滅に行ってもらう」

ブラウン「そんな事を言って……壁に人口が溢れてきたから、数減らしの為じゃないのか?」

憲兵「何を言ってるんだね?これは人類の未来の為の戦いだ。お前達は壁の一番外側に住んでいる勇敢な戦士だ。やれるだろう?」

フーバー「何が戦士だ、ふざけるな!!」

憲兵「まぁいい…話がまとまればまた来る。いつでも壁外に出れる準備はしておけ」

レオンハート「…憲兵の奴らめ」

ブラウン「くそ……いつもこんなだな。内地からいいもんは奪っちまうから一番外側のここにはマトモな食料も来ない…更には数減らしに巨人に食われろってか。どうする、イェーガーさん」

イェーガー「………」

ウォール・マリア 森の中の村


「ユミル様、お誕生日おめでとうございます」

ユミル「うん、ありがとう」

「今年で何歳でしたっけ?」

ユミル「10歳だよ!」

老婆「ユミル様……貴女は、もう数少ないユミルの民の血を継ぐ者…その血を絶やしてはならんぞ…」

ユミル「?よくわからないけど…」

ユミル父「…さぁ、ユミル…そろそろ帰ろう」

ユミル「うん!」

レイス家領地

少女「お父様、彼等を壁外に出させるなんてやめましょう!」

レイス領主「…何故だ?人類がこのまま黙って巨人に屈したままでも……」

少女「誤魔化さないでください!!」

レイス領主「…」

少女「わかってるんですよ…増えすぎた人口を減らす為だって……いや、それだけじゃない」

レイス領主「…」

少女「彼等が、この世界の…あなた達が隠している真実に、気づこうとしてるからじゃないですか?」

レイス領主「…」

少女「だから…邪魔な存在を消そうと」

レイス領主「口を慎め、貴様は『座標』として…我々に大人しく従っていればいい」

少女「…」

レイス領主「こいつをよく見張っていろ、アッカーマン。何をするかわからん」

アッカーマン「はっ」

レイス領主「ところで……東洋人の、代々ある印を受け継いでるという一族は見つかったのか?」

アッカーマン「いえ、まだ」

レイス領主「同じ姓だろう?何も知らないのか?」

アッカーマン「…生き残りの東洋人がアッカーマンと呼ばれているだけですので、別に知り合いでも無いですから」

少女「…」

レイス領主「さっさと部屋に戻れ、クリスタ」

クリスタ「はい…」

クリスタ「…」

アッカーマン「…」

アッカーマン「クリスタ…くれぐれもおかしな真似はしないように…」

クリスタ「わかってる…」

クリスタ「…今までのクリスタも皆…こんなだったのかな。ずっと操り人形みたいにされて」

アッカーマン「…今までのクリスタ?」

クリスタ「クリスタって言うのは人の名前じゃなくて役目の名前なの……座標を受け継いだ者、受け継ぐ予定の者はそう呼ばれる」

アッカーマン「それは知りませんでした」

クリスタ「…あなたは、こんな家に仕えてて嫌にならない?」

アッカーマン「…レイス家に従うのが東洋人の使命ですから…」

クリスタ「使命か………」

クリスタ(…レイスでいつか……こんな窮屈な状況を壊せるような子が生まれたらいいなぁ…)

とんでもないミスを犯した事に今気づきました…
また考え直してから続き書きます。

60年前では無く、62年前として書きます。

じゃなくて67年前

―――

ユミル「……ねえ、なんで私は村から出ちゃダメなの?」

ユミル父「村の外は危険だから…」

ユミル「嘘だ、色んな人がこの村から出てるし、隣のダリスさんとこも赤ちゃん連れて外出してたよ」

ユミル父「…もう少し大きくなったらな」

ユミル「いつもそればっかり…」

ユミル「!」

ユミル父「どうした?」

ユミル「外に犬が倒れてる!」ダダッ

犬「クウウ…」

ユミル「わ、怪我してる…早く手当てしてあげなきゃ」

ユミル父「ああ」

ユミル父(優しい子に育ったな…)

「ユミルだな」

ユミル「!!」

ユミル父「誰だ!?」

フーバー「用事がある…一緒に来て欲しい」

ユミル「え…え?」

ユミル父「バカな…娘の事は、村の人間以外は知らないはず…」

フーバー「イェーガー先生に聞いた」

ユミル父「あの医者…誰にも言わないと約束したのに……」

フーバー「怖がる事は無い。大人しくしてたら何もしないよ」

ユミル「ま…待って、最初にこの子の手当てを…」

フーバー「子犬か…酷い怪我だな。イェーガー先生のとこに来るんだ、必ず治してくれる」

ユミル「本当!?」

ユミル父「待て…何をするつもりだ!?」

フーバー「…この壁の未来の為です。許してください」

―――

クリスタ「屋敷から外出する時も見張られっぱなしだなんて…気がおかしくなりそう」

アッカーマン「仕方ありませんよ」

クリスタ「はぁ…」

ガシッ

クリスタ「!?」ビクッ

アッカーマン「誰だ!?」

ブラウン「お嬢さん、来てもらうぞ」

クリスタ「え…なに!?離して!?」

アッカーマン「クリスタを離しなさい!!」

ガチャッ

男「動くなよ」

アッカーマン「…調子に乗らないでください」ビュッ

バシッ バシュッ!!!

男「ぐああっ!?」ドサッ

ブラウン「ぐっ…情報通り、クリスタの護衛のあいつ強いな…早く逃げねぇと…」

クリスタ「やっ…やめてください、なにをする気ですか!?」

ブラウン(可愛いなこの娘)

クリスタ「聞いてます!?」

ブラウン「ん!ああ…すまん」

アッカーマン「待ちなさい!!」シュダダッ

バシイイインッ!!

アッカーマン「!!」

レオンハート「ブラウンの邪魔はさせない」

アッカーマン「こいつ…強い」

ブラウン「…俺達は、一番端の壁に住んでる人間だ、この王政をぶっ潰す為にあんたの力が必要なんだ」

クリスタ「!!」

ブラウン「お願いだ…力を貸してくれ」

クリスタ「………」

クリスタ「じゃあ、3つ…お願いを聞いてくれますか?」

ブラウン「なんだ?」

クリスタ「クーデターをしようとしてるのでしょうけど…その時は、血は流れないようにお願いします。特に一般人の方…」

ブラウン「…全く流れないようにするのは無理だろうがな。努力する」

クリスタ「あと、私の護衛のアッカーマンは…死なせないでください」

ブラウン「なに?まぁ、あんたの護衛はめちゃくちゃ強いから死なねぇよ、レオンハートさんすら苦戦してんだ」

クリスタ「3つ目は………」

クリスタ「私に海を見せてください」

ブラウン「…海?」

クリスタ「一番端の壁は…海という水に面してると聞きました。前に本で見てから気になってたんです」

ブラウン「ああ…それは北側の方だな。俺達の住んでるのは南だから難しい。それに海の周りには何故か憲兵がうろついてるから…あんたが見つかったらヤバい」

クリスタ「…そうですか…」

ブラウン「ああ…だが、努力するよ」

クリスタ「ありがとうございます」ニコッ

ブラウン(結婚したい)

レオンハート「…そろそろ引き揚げ時か」

アッカーマン「くそ、待ちなさい!!」

レオンハート(あんなの相手にしたら体力が持たない!!)バシュッ

―――4つ目の壁 南端の村

イェーガー「これでこの子犬は大丈夫だ」

ユミル「ありがとうございます!」

フーバー「…」

ユミル「あの…私、なんでここに連れてこられたんですか?」

イェーガー「君は何も知らないらしいな……」

フーバー「イェーガー先生、やはりこんな子供を利用するのは…」

イェーガー「あのまま村にいてもいずれ王政に見つかり処分されていた。なら我々の所にいた方がいい」

ユミル「?」

ブラウン「戻りました」

レオンハート「痛っ…くそ……」

クリスタ「…お邪魔します」

フーバー「お、戻ったみたいだ…大丈夫だったか?」

ブラウン「ああ…なんとかな」

レオンハート「クリスタも捕まえてきた」

クリスタ「…」

ユミル「こんにちは」

クリスタ「ん?はい、こんにちは」

クリスタ「…この子は?」

イェーガー「ユミルだ」

クリスタ「ユミル!?」

クリスタ「…ユミルの民はもう滅んだと聞いたけど…」

ユミル「へ?」キョトン

クリスタ「まさか、ユミルまで利用しようとしてるんですか?」

イェーガー「ああ」

クリスタ「そんな…」

イェーガー「…まずは、我々が君たちをさらった理由を説明しよう」

イェーガー「…この壁の世界は、人類を巨人から守っていると伝えられているがそれは捏造された歴史だ」

クリスタ「はい」

ユミル「え?そうだったの?」

イェーガー「この世界は、人類の繁殖を抑える為に作られたもの。そしてそれを統制するのがレイス家だ」

イェーガー「まぁ…この世界の成り立ちは仕方ないと思っている。旧人類は世界を破壊し滅亡へと向かわせた愚かな者たちだ…この壁に抑え込むのは間違いでは無いと思う」

ユミル(…え?そうかな…)

ブラウン(…俺は納得出来ないがな)

イェーガー「だが…王政はその事実を隠し続けて来た、自分にとって都合が悪いからだろうな。私は恐らく…遠い昔の世界を滅亡に追い込んだ張本人もレイス家だと思っている」

イェーガー「王政にとって不都合な者は始末し、壁内で都合の悪い事が起これば記憶を改竄させる。更には増えすぎた人口を減らそうと一番端の人間を滅ぼそうとしている」

イェーガー「こんな奴等に王など任せられん。だから我々が王政を潰し…この世界を変えるんだ」

イェーガー「だが…奴等を潰すのは難しい…そこで、クリスタに来てもらった」

クリスタ「…」

ユミル「私は?」

イェーガー「…また説明しよう」

ブラウン「もう遅い時間だ…二人はそこの空き部屋に行ってもう寝ろ」

ユミル「…私はいつ帰れるの?」

フーバー「…終われば帰れるよ」

イェーガー「…」

レオンハート「……ユミルの民は、最初に巨人を作り出した一族だと聞いている…俺達も何も聞いてないですよ、イェーガー先生」

レオンハート「ユミルをどうする気なんですか」

イェーガー「…」

イェーガー「兵器として使える巨人を生み出すヒントを持っているかも知れないと思ってね」

ブラウン「!?」

ユミル「ねぇ、ユミルの民ってなに?」

クリスタ「え?あなた…何も知らないの?」

ユミル「へ?」

クリスタ「んん…そうだな、知らない方がいいかも…」

ユミル「…気になるなぁ…」

ベキッ ベキッ…

ユミル・クリスタ「ん?」

バカァァンッ!!

アッカーマン「はぁ…はぁ…やっと見つけました」

ユミル「わああ!?天井から人が!?」

クリスタ「」

アッカーマン「クリスタ、助けに来ました…まぁ、貴女の事だから自分の意思で来たのでしょうが…」

ユミル「え…あの…えっと…こんにちは」

アッカーマン「おっと、驚かせてしまって申し訳ありません。こんにちは」

クリスタ「」

アッカーマン「さぁ、クリスタ、早く帰りましょう……って、なんですかその表情は?」

クリスタ「いや…その………いずれ来るだろうなぁとは思ってたけど…まさか天井突き破って来るとは思わなかったから驚きを隠せない」

アッカーマン「これくらいは造作の無い事です」

クリスタ「…悪いけど、帰るつもりは無いよ。やっとレイス家の環視下から脱け出せたんだから」

アッカーマン「…」

アッカーマン「ここに居ても、貴女はいいように利用されるだけですよ?」

クリスタ「!!」

アッカーマン「気づいてるでしょう?そんな事は」

クリスタ「でも…レイス家と違って良い人もいるし…」

アッカーマン「そうかも知れませんね……ですが、さっきこっそりと覗いてきましたが…あのイェーガーという男。何を考えているのかわかりません」

クリスタ「…」

アッカーマン「そこの小さな女の子も利用しようとしているのでしょう?彼は」

ユミル「…」オロオロ

アッカーマン「そんな者たちの元にいるのが…本当に貴女の望んでいる事ですか?」

クリスタ「うっ…」

クリスタ「でも…私も…王政を変えたいと思ってるし…」

アッカーマン「血を流す事になってもですか?」

クリスタ「…血は流さないって約束した…」

アッカーマン「無理ですよ、そんな事」

クリスタ「…」

アッカーマン「…」

クリスタ「とにかく、私は…まだここに残る!何が正しいのか……よくわかって無いから…この目で確かめさせて」

アッカーマン「…はぁ…ワガママな人だ…」

レオンハート「お前か…クリスタを取り返しに来たか」

アッカーマン「!」

男「動くな、抵抗すれば発砲する!」

アッカーマン「…はいはい、わかりました。この数は厳しいですからね、大人しく捕まりましょう」

レオンハート「よし、拘束しろ」

ユミル「え、あの人…どうしちゃうの?」

レオンハート「捕まえるだけだ、痛いような事はしないさ」

クリスタ「…」

アッカーマン「…」

クリスタ「あなた…わざと捕まった?」ボソッ

アッカーマン「この方が貴女を監視しやすいし彼等の情報を集めやすいですからね。本当ならこんな拘束くらい簡単にほどけます、もしもの時は無理矢理にでも貴女を連れて帰りますから」

クリスタ「うん……ありがとう」

読み返してみたら、人物の年齢が分かりにくいと思ったので参考に書いておきます。

ユミル 10歳 クリスタ16歳
ブラウン フーバー レオンハート 20代前半
イェーガー 30歳
アッカーマン 20歳

―――
ユミル「…私は、ずっと村で暮らしていました。外から出てはいけないって…」

イェーガー「……私が君の診察に行ったのは一年前だ」

ユミル「はい」

イェーガー「その時より昔の記憶はあるか?」

ユミル「え?」

イェーガー「二年前は君は何をしていた?」

ユミル「…えっと…」


ユミル「…あれ?」

イェーガー「…」

ユミル「何も思い出せない」

イェーガー「…」

フーバー「イェーガー先生…これは一体どういう事でしょう」

イェーガー「あそこの村はやはり怪しいな…何か隠している」

―――レイス家

レイス領主「クーデター?」

「はい、一番端の壁の者たちがそのような事を企んでいるようです。明日には何か実行するようですが…」

レイス領主「うむ、奴等が何かしようとしているのは読めていた…既に手は打ってある」

レイス領主「平穏なだけでは人口は増す一方だ…殺し合いもさせて調整せねばならん」

―――

ブラウン「…今日はウォール・マリアにある憲兵団の支部を制圧する」

フーバー「クリスタとユミルは任せましたよ、イェーガー先生」

イェーガー「ああ」

クリスタ「…あの…人は殺さないでくださいね?」

ブラウン「わかっている。憲兵団の支部を制圧するのも王政に俺達の主張を届けやすくするためだ。殺す事が目的じゃない」

イェーガー「ユミル、今日も話がある。クリスタも来てくれ」

ユミル「うん」

―――ウォール・マリア 憲兵団 支部

憲兵「くっ…貴様ら、こんな事をして只で済むと思ってるのか?」

ブラウン「…こうでもしなきゃ王政は俺達の話なんか聞いちゃくれないだろう…悪いな」

レオンハート「俺達もなるべく殺しは避けたい。無駄な抵抗はするんじゃないぞ」

フーバー「よし、制圧は完了した…」

パアンッ!!!

ブラウン「!!」

レオンハート「銃声!?」

憲兵「あ…」

男「…」パアンッ パアンッ

住民「あ…」ドサッ

憲兵「おい、お前らの仲間…一般の住民を殺してるぞ!!どういう事だ!?」

フーバー「…!?」

ブラウン「おい、お前、何をしている!?」

男「こいつら…俺達に、必要ないから死ねばいいって言いやがったんだ…巨人に食われてこいって…」

住民「ひっ…誰か!!」

「たすけてー!!」

ブラウン「ぐっ…!!んな事で簡単に引き金を引くやつがあるかバカ野郎!!!」バキッ

住民「きゃあああ、うちの主人があ!!」

子供「お父さん!お父さん!」

ブラウン「うっ…」

住民「出ていけ人殺し!!」

住民「お前らみたいな野蛮な奴はさっさと壁外でも行けよ!!」

憲兵「おい、人は殺さないと言ったのは嘘だったのか!?ええ!?」

レオンハート「まずい…このままじゃ…」

フーバー「どうする、僕達は人殺しをしてしまった…」

住民「ワシの息子をよくも!!」パアンッ

男「うっ!!」ドサッ

ブラウン「あ…」

女「う、うそ…」

女「彼は私の婚約者だったのよ、何すんのよ!!」パアンッ パアンッ

住民「ぎゃああっ」

ブラウン「ち、違う…こんなの……俺は、こんな事…」

パアンッ パアンッ ザシュッ

ブラウン「やめろ!!やめてくれええ!!!」

パアンッ パアンッ パアンッ

―――

クリスタ「…え?」

ユミル「…?」

イェーガー「クリスタ、君の座標の力でユミルの眠っている記憶を呼び起こしてくれ」

クリスタ「…でも、それは…」

ユミル「…」

クリスタ「私、他人の記憶を弄るのは……嫌です……」

イェーガー「心配しなくても、忘れてる事を思い出させるだけだ」

アッカーマン「…」

アッカーマン「気になっていたんですが…貴方は色々と物知りですね。この壁や世界の事…レイス家の事…座標、様々なものを知ってる。そしてそれをこの辺りの者に教え王政に大きな不満を持たせている」

イェーガー「…」

アッカーマン「どこで知ったんですか?貴方は何者ですか?」

イェーガー「君は知る必要は無いよ」

アッカーマン(…まさか…嫌な予感がする)

イェーガー「…む。ちょっと私は部屋に戻る。いいか、出るんじゃないぞ」ガチャ

クリスタ「…」

ユミル「ねえ…」

クリスタ「ん?」

ユミル「気になってるんだけど…どうしてこの壁に住んでる人は内地の人と仲が悪いの?村でもそんな話を聞いた」

クリスタ「宗教の違いだよ」

ユミル「宗教?」

アッカーマン「…内地の人達は『壁教』と呼ばれる、壁を信仰する宗教を信じている人がたくさんいます。ですが、この4つ目の壁の人達は違う宗教を信仰しているのです」

ユミル「へえ…」

アッカーマン「ここの人達の信じている宗教は『人類は外に出るべき』だという考えを持っています。ですからたまに壁外調査してる人もいるんですよ、まぁでも巨人に食べられたくは無いでしょうから遠くまでは行って無いようですがね」

クリスタ「それで…この4つ目の壁の人達と内地の人達は考え方の違いでよく衝突してたの。内地の人からは蔑まれたり差別されてた」

ユミル「…そんな事で?」

クリスタ「うん、私も…何でそんな事で差別するんだろうって思うよ」

アッカーマン「…人間は、同じ考え方の者と群れていないと安心出来ない生き物ですから。他の考え方を排除しようとす

クリスタ「そして、更には増えすぎた壁内の人口を減らすために王政から壁外で巨人を殲滅しろって言われている。彼らは壁の外に憧れてはいるけど、巨人と戦いたい訳じゃない」

アッカーマン「だから不満が爆発して、クーデターで革命を起こそうとしてるのでしょうね。後は、イェーガーという男に色々と壁や王政の隠してた真実を聞かされてるでしょうから」

ユミル「…クーデターって…なにするの?」

クリスタ「…」

ユミル「人、殺しちゃうの?」

クリスタ「大丈夫…きっと、そんな事はしない」

アッカーマン「…」

アッカーマン(もしかしたらこれもレイス家の予定通りなのかも知れない…)

アッカーマン(だとしたら、この壁の人間達に争いを促すような事をしているあのイェーガーという男は……)

>>664の訂正
イェーガー「…む。ちょっと私は部屋に戻る。いいか、出るんじゃないぞ」ガチャ

クリスタ「…」

ユミル「ねえ…」

クリスタ「ん?」

ユミル「気になってるんだけど…どうしてこの壁に住んでる人は内地の人と仲が悪いの?村でもそんな話を聞いた」

クリスタ「宗教の違いだよ」

ユミル「宗教?」

アッカーマン「…内地の人達は『壁教』と呼ばれる、壁を信仰する宗教を信じている人がたくさんいます。ですが、この4つ目の壁の人達は違う宗教を信仰しているのです」

ユミル「へえ…」

アッカーマン「ここの人達の信じている宗教は『人類は外に出るべき』だという考えを持っています。ですからたまに壁外調査してる人もいるんですよ、まぁでも巨人に食べられたくは無いでしょうから遠くまでは行って無いようですがね」

クリスタ「それで…この4つ目の壁の人達と内地の人達は考え方の違いでよく衝突してたの。内地の人からは蔑まれたり差別されてた」

ユミル「…そんな事で?」

クリスタ「うん、私も…何でそんな事で差別するんだろうって思うよ」

アッカーマン「…人間は、同じ考え方の者と群れていないと安心出来ない生き物ですから。他の考え方を排除しようとするのは昔からある事です」

ザッザッザッ…

クリスタ「!」

ブラウン「…」

ユミル「あ、お帰りなさい……あれ?」

ブラウン「…」

クリスタ「どうしたんですか?顔色が悪いですけど…」

「あいつら、やっぱ許せねぇ…仲間を殺しやがって…」

「いや、先にこっちが手を出したんだから…」

「関係ねえよ、見たか?内地の奴等の殺し方を…むちゃくちゃだったぞ、俺達を人間として見てない殺し方だった!!」

「次あったらぶっ殺してやる!!」

「落ち着け、怒りに任せればいい訳じゃない」

クリスタ「…え?」

ユミル「なに?どうしたの?」

ブラウン「すまん…クリスタ、約束を守れなかった」

クリスタ「え…」

ユミル「うっ、怪我してる人がいっぱい…大丈夫ですか?」

「近寄んな内地のガキが!!」

ユミル「…!?」ビクッ

ライナー「…俺達の仲間が人を殺してしまった。それからどんどんと殺し合いに発展してしまった…」

クリスタ「…!!!」

フーバー「何とか逃げて来たが…どうする。もう僕達はただの犯罪者だ」

レオンハート「多くの人間の抑えていた内地の人間への怒りももう抑えれなくなって来ている。向こうも俺達を放っておかないだろう」

ブラウン「…このまま戦争になるのか?」

クリスタ「そ…んな…」

イェーガー「…大丈夫だ、絶望的な状況になってしまったようだが…まだ希望はある」ザッザッ

ブラウン「!」

イェーガー「ユミルがいれば、我々は勝てるだろう…」

フーバー「…は?」

ユミル「え?なに?」

イェーガー「このまま戦争が起きれば、圧倒的な戦力差で我々が負けるだろう…しかし、逆転できる可能性がある。兵器として使える巨人を生み出す事に成功すれば」

レオンハート「この前も言っていたな、なんだそれは」

イェーガー「人間を巨人にし、知性を持った巨人にする…何よりも強力な武器だと思わんか?」

イェーガー「その為には…ユミルが必要だ」

ユミル「!?」ビクッ

クリスタ「い、いい加減にしてください!!」

クリスタ「なんで…戦おうとするんですか!?そんな事しても憎しみが広がって行くだけです!!!」

イェーガー「…」

クリスタ「まずは、今、彼らから抱かれている憎しみを解く方法を考えないと…」

イェーガー「無理だよ。人間は簡単に憎しみを忘れられる生き物じゃない…戦争は避けられん。なら、奴等に負けない兵器を作るのが一番効率的だろう」

クリスタ「な……ブラウンさん、それでいいんですか!?」

ブラウン「俺も…納得はしたくないが…」 
レオンハート「口で言って憎しみが無くなれば苦労しない」

クリスタ「…うっ…」

イェーガー「君の力にも期待しているぞ、クリスタ」

クリスタ(なんで…ここにいても、私は…こんな嫌な目にあうの…)

―――――

ユミル「…ねえ…お姉ちゃん…私、なんか怖い…」

クリスタ「…」

ユミル「私…どうなっちゃうの?」

クリスタ「大丈夫…ユミルには、私が…何もさせないから」

ユミル「…」

クリスタ「こんな小さな子まで利用しようとするなんて…」

アッカーマン「…」

クリスタ(私、どうしたらいいんだろう)グスッ

アッカーマン「…」ブチッブチッ

ビリッ

アッカーマン「ふう…ほどけた」

クリスタ「!!」

アッカーマン「さ、行きましょうクリスタ……ユミルも」

クリスタ「え…」

ユミル「逃げるの?」

アッカーマン「私はレイスの味方です。この壁の人間達を勝たせる訳には行きませんからね…よいしょっ」

バコオオオンッ!!!

アッカーマン「二人とも私にしっかり捕まってくださいね」ガシッ

シュダダダダダダダダタ!!!!!

ユミル「うわっ早い!?」

クリスタ「…レイス家に戻るの?嫌だよ…」

アッカーマン「そうですねえ…争いに巻き込まれるの面倒ですし別のとこ行きましょうか」

クリスタ「え?」

ユミル「…逃がしてくれてありがとう」

アッカーマン「あっはは、照れますね」

クリスタ「…やっぱり優しいんだね、あなたは」

アッカーマン「なに言ってんですか、私は今までたくさん人殺してますよ」

クリスタ「うん…。最初に会ったのが六年前だっけ、それからずっと私の監視と護衛をしてたね。初めの頃は目付きも怖かったし無口で無愛想だった」

アッカーマン「それは貴女もでしたよ」

クリスタ「ふふ…そうだね。でも、それからあなたと暮らしてる内にね…ちょっとずつ変われた気がした。それまではずっと家族からも嫌な事されたり無視されたりしてたけど…あなただけはそんな事しなかったし、話も聞いてくれた」

アッカーマン「私もクリスタと長い事いたせいで貴女の悪い癖が移ったようです。戻ったらクビでしょうね…責任とって私の新しい就職先探してくださいよ」

クリスタ「あはは…」

―――――

レオンハート「クリスタとユミルと捕虜がいなくなったぞ!」

フーバー「くそ、派手に壁壊して出ていった…」

ブラウン「…」

レオンハート「ブラウン、クリスタとユミルが逃げて…少し安心しているな」

ブラウン「!」

レオンハート「お前の事だ…これであの二人が争いに巻き込まれなくて済むと思っているだろう」

ブラウン「ああ…そうだ。あいつらはまだ子供だ、出来れば巻き込みたくない」

フーバー「…気持ちは分かるけど…甘いと思うよ」

ブラウン「…」

イェーガー「…アッカーマンは無視してもいいが、クリスタとユミルが居なくなったのは痛いな。今すぐに探すぞ」

ブラウン「…もう、いいんじゃないですか?やはりこのまま戦うのは、間違いだと…」

イェーガー「何を言っている。甘い事を言っても一方的にこちらが殺されるだけだ」

ブラウン「…」

イェーガー「とりあえず私は、ユミルの村に行ってみる。三人は他の場所を探してくれ」

―――壁の上

憲兵「」チーン

アッカーマン「憲兵がいて助かりました…これで立体機動装置が手に入りましたよ」カチャカチャ

ユミル「ねぇ…私、村に帰りたい」

アッカーマン「んん、私も返してあげたい気持ちでいっぱいですが…」

クリスタ「たぶん村までユミルを探しに来るだろうからね…」

ユミル「じゃあ、どうしよう…」

アッカーマン「ま、しばらくはどこかで身を隠してましょう」

クリスタ「…逃げてばかりでいいのかな、私達」

アッカーマン「別に悪い事じゃないでしょう、自分の身を守る事も立派な生き方です」

ユミル「…村の人達、大丈夫かな…」

クリスタ「小さい村でしょ?まさかそんな村に武力を行使するとは思わないし…大丈夫だと思うよ」

アッカーマン「…!伏せて!」バッ

ユミル「え!?」

ギュンッ!!

「見つけたぞ!貴様…使命を放棄して逃げる気か!?」

クリスタ「え、誰あれ…」

アッカーマン「…対人制圧部隊!!私達を捕まえに来たんですね…」

クリスタ「対人制圧部隊!?なんでそんなのが…そもそも、私達が逃げ出したの半日前だよ!なんでもう中央にバレてるの!?」

アッカーマン「…とにかく逃げましょう!」

「待て!!」

アッカーマン「くっ…私一人ならあれくらい簡単に潰せるのですが、可愛い女の子二人連れながらだと厳しいですね」

クリスタ「こんな時に変な事言わないの!」

ユミル「あ、誰か来る!!」

アッカーマン「…!」

ビシュッ ビシュッ!!

「ぐおおっ!!」ドサッ

レオンハート「待て!」

アッカーマン「おっと!レオンハートさん!更に厄介な相手が来た!!」

クリスタ「対人制圧部隊をやっつけてくれたのは嬉しいけど…どうしよう…」

レオンハート「止まれ!!」

アッカーマン「くっ…」

ユミル「やだ、来ないで!私もう戻りたくない!村に帰りたい!!」

レオンハート「…!」

クリスタ「あの…せめてユミルは見逃してあげてください!まだ子供なんですよ!!」

レオンハート「…」

レオンハート「俺も本当はやりたくない…だが、仕方ない事だ」

ユミル「…!」

アッカーマン「…分かりました、いったん止まりましょう。ただ…少し話を聞いてください」

レオンハート「…なんだ?」

アッカーマン「イェーガーという男…本当に信用できる人間だと思ってます?」

レオンハート「ああ、彼は様々な情報や真実を我々に教えてくれた」

アッカーマン「…それは、貴方達に争いを起こさせる為にやった事かも知れませんよ?」

クリスタ「え?」

レオンハート「…どういう事だ」

アッカーマン「イェーガーは…レイス側の人間なんじゃないですかね?」

クリスタ「急にどうしたの…」

アッカーマン「まぁ、ただの予想ですがね…対人制圧部隊があんなに早く我々を捕獲しようと追ってきたのも何か不自然でしたし。ただ、イェーガーがレイス側の人間なら…私達が逃げてすぐ中央に連絡を入れる事もできる」

レオンハート「…」

アッカーマン「彼は今、どこにいます?」

レオンハート「ユミルの村だ」

ユミル「!!」

アッカーマン「彼…一人で行くと言いませんでした?」

レオンハート「ああ」

アッカーマン「ますます怪しいですね……どうです、一緒に行きませんか?」

レオンハート「いいだろう…確かめてみよう」

―――ウォール・マリア 森の村

イェーガー「…そうですか、ユミルは居ないですか」

ユミル父「あんたがユミルを拐わせたんだろ!!返せ!!」

村人「ユミル様をどこへやったんだ!!」

イェーガー「…うるさいな」

パアンッ!!

村人「…!!?」ビクッ

イェーガー「威嚇しただけだ。ユミルが居ないのはわかった…だがお前達にはまだ聞きたい事がある」

ユミル父「…な、なんだ…」

イェーガー「あのユミルはどこで手に入れた?いつから隠していた」

ユミル父「なに言ってんだ…俺と女房の子供…」

イェーガー「嘘はつくな。お前は父親役であって血の繋がりは無いだろう」

ユミル父「…あ、あんた…何でそんなにユミルの事が気になるんだ…」

イェーガー「…この村は地図にも載っていなかった。まるでレイス家から隠れるようにな」

老婆「…ああ、そうじゃ。先祖代々、ユミル様をレイス家から守り続けて来た…貴様はレイス側の人間じゃな?」

イェーガー「…」

ガチャン

イェーガー「!」

村人「お前は危険な存在だ」
村人「ここで始末する」

シュババッ

アッカーマン「…あれは!?」

レオンハート「何事だ!?」

ユミル「みんな!!」

アッカーマン「待ってください、今はまだ隠れて…何か話しています」

途中で変更した点もあるので最初に書いてた事と矛盾してるとこも出てきますが、ツッコミながら見逃してあげてください

老婆「ユミル様は…1900年以上、結晶の中でこの地に眠り続けて来た。そして一年前…ついに目を覚まされたのじゃ」

イェーガー「…何の為に守り続けて来た」

老婆「貴様らに悪用させない為…そして、ユミル様の力を借り『地下の墓所』を破壊する為じゃ」

イェーガー「…!」

ユミル「え…なに…?」

クリスタ「地下の墓所?」

アッカーマン「私も初めて聞きましたよ」

イェーガー「ほう…それも知っていたか。私とレイス領主しか知らない事を」

老婆「…そこにいるもの達、出てこい」

アッカーマン「おっと、バレてましたね」

クリスタ「…」

ユミル「…あ、あの…」

レオンハート「どういう事だ?」

村人「レイス家の人間までいるぞ、追い出しましょう!!」

老婆「まぁ、待ちなされ」

クリスタ「…地下の墓所って何ですか?」

老婆「ウォール・マリアのシガンシナに存在する場所……それこそが、この世界の全てじゃ。お前たちレイス家の人間も…所詮は更に上の存在の操り人形でしかない」

イェーガー「そう…座標とは元々、彼とコンタクトを取るためのものなのだ」

クリスタ「…彼…?」

ユミル「ねえ、どういう事なの…私は一体…」

老婆「ユミル様、そんな者と一緒に居てはいかん。こっちに戻って来なさい」

ユミル「や、やだ!私をどうするつもりなの!?」

村人「あなたの持つ巨人の力があればレイスも打ち倒せる!!」

村人「私達にその力を!!共に奴等を血祭りに!!」

ユミル「やだ!そんなのやだ!!」

クリスタ「…っ、この村の人達も…結局はユミルを利用しようとしてたの?」

アッカーマン「そういう事でしょうね」

レオンハート「イェーガー……あんたは一体…」

イェーガー「見られてしまったら仕方ないな」パチンッ

ザザザザザザザザッ!!!

クリスタ「!!なに!?」

レオンハート「…!森のなかに何人か隠れている気配はしたが」

アッカーマン「あれは!?」

ギュンッ…ズシャッ!!」

アッカーマン「ぐあああっ!?」ザザッ

クリスタ「うそ!?あなたが攻撃を受けるなんて!!」

アッカーマン「…はぁ…はぁ…まさかあんなものまで出して来るとは……。あれは対人制圧部隊の更に上位に位置する少数精鋭戦闘部隊……アッカーマン部隊ですよ」

クリスタ「!?」

隊員「…」スチャッ

アッカーマン「対人制圧部隊はクーデターや強力な武装をした犯罪者を制圧するための隊ですが……それに対しあれは戦争用、ようは大量殺戮を目的とした戦闘部隊」

レオンハート「そんなものまであるとはな…」

イェーガー「全員捕らえろ。ただしなるべく殺すなよ、実験に使うからな」

隊員「はっ」

アッカーマン「クリスタ、ユミル、逃げましょう!」

ユミル「でも…村の人を置いていけないよ!!」

アッカーマン「…!この村に戻るの嫌だって今さっき言ってたでしょう!?」

ユミル「だって…このままじゃ死んじゃうかも知れない…それは、もっと嫌だ…」

アッカーマン「…」

隊員「…」ギュンッ

クリスタ「うわっ、1人きた!!」

隊員「…」ズシャッ!!

アッカーマン「うぐっ、足もやられた!!まずい…」

隊員「…」スチャッ

ユミル「ひっ…」

アッカーマン「ぐっ…ダメだ、動けない…」

クリスタ「…っ!!ユミル、下がってなさい!」

ユミル「クリスタ!?」

クリスタ「この…!」バッ

隊員「!!」

クリスタ『やめなさい!!』

隊員「…!」ピタッ

ユミル「止まった…」

アッカーマン「はぁ…はぁ…」

クリスタ「うっ、あなた…血がこんなに…」

ユミル「どうしよう…」

イェーガー「…お前たちは逃げられんよ」

ユミル「!!」

イェーガー「ユミル…このまま逃げれば村人を皆殺しにしてしまうが…逃げるのかね?」

ユミル「…っ!!」

イェーガー「アッカーマンの怪我もそのままでは助からん。だが私なら治す事ができる。クリスタ、こちらに来るならアッカーマンを治してやるぞ」

クリスタ「……」


隊員「…」ゾロゾロゾロ


イェーガー「…よし、全員捕らえろ」

―――時はいったん戻り


―――――

ユミル「…そして、話の本番ここからだ…」

アルミン「…」

リヴァイ「…」


ミカサ「きゃああっ!?」

ユミル「!!」

アルミン「どうした、ミカサ!?」

ミカサ「え、エレンが…エレンが倒れた!!」

エレン「…」

ライナー「おい、どうした!エレン!?」

エレン「…」

ミカサ「返事がない…どうしよう…なんで…」オロオロ

アルミン「…いや、寝てるだけだ」

リヴァイ「こんな状況で寝るだと?なに考えてやがる」

アルミン「ええ…ですから、ただ寝ただけでは無いと思います」

ユミル「…たぶん、私の話を聞いてたせいだろう。エレンの中にある別人の記憶が反応し眠ってしまったんじゃないか?」

ライナー「…は?」

ユミル「そのまま寝かせてやれ」

ミカサ「でも、エレンにもユミルの話聞かせてあげなきゃ…」

ユミル「きっと私の話とエレンの見てる夢は同じようなもんだ。それに私の知らない事も夢で見てるかもしれん。そのままにしとけ」

エレン「…」

アルミン「わかった。続きを話してくれ」

―――――

―――どこだ、ここは…
黒髪「…」

エレン「…あんたは、たまに夢に出てくる人…」

黒髪「…知りたい?過去に何があったのか…自分が何者なのか…」

エレン「………ああ…」

エレン「俺は自分が何者なのかわからない。自分の事を知りたい」

黒髪「辛い思いをする事になるわよ?」

エレン「それでも俺は知りたい…親父が何者なのかも…さっきまでユミルから聞いてた話だと…親父ももしかしたら…」

黒髪「…心配しないで、グリシャさんは…悪い人じゃないから」

エレン「え?」

黒髪「さぁ、知りたいのでしょう?行きましょう…私の記憶の中へ」

エレン「…あなたは何者なんだ?」

黒髪「…私はクリスタ…」

エレン「クリスタ!?」

黒髪「そして…本当の名前は……」

カアッ!!!


エレン(…え…なんだこれは…)

???「これでお別れですね…」

エレン(え?誰だ…ミカサ?いや、違う…)



???「行ってらっしゃい、エレン」

―――――

―――


クリスタ「…ん…」

ユミル「クリスタ!」

クリスタ「ユミル……捕まっちゃったんだね、私たち」

ユミル「ごめんなさい…私と一緒にいたから、巻き込んでしまった…」

クリスタ「いいのよ、泣かないで」

ユミル「村の皆も捕まっちゃった…どうなるんだろう…」

クリスタ「…」

イェーガー「目が覚めたか」ガチャ

ユミル「!なんでこんな事をするの!?皆を解放してよ!!」

イェーガー「それは出来ないな」

クリスタ「…あなたの目的を教えて…」

イェーガー「そうだな、教えてやってもいいだろう……私の目的は知性巨人を生み出す事だが…それは、クリスタ…最終的にはお前を知性巨人にする事が目的なのだ」

クリスタ「!?」

ユミル「どういう事!?」

イェーガー「クリスタの座標の力を更に広範囲に使えるようにするためだよ。普通の人間ではせいぜい周りのものに対してが限界だ」

イェーガー「だが、巨人ならどうだ?巨人の叫び声なら壁全体に座標の力を使えるだろう……例えば壁全ての人間を記憶改竄する事もできる」

ユミル「…なんで、私も必要なの…?」

イェーガー「…大昔、ユミルの民、というのがいてな…まぁそれは偽りの名だが…」

ユミル「え?」

イェーガー「大昔、東洋のニホンという場所があってな…そこに住んでいた者が今ではそう呼ばれている」

イェーガー「そこで、最初に巨人が作られた。だが初めは人間を喰らう為じゃない……破壊されていた自然環境を元に戻すために作られていた」

―――――

アッカーマン「…いてて…」

レオンハート「…」

アッカーマン「おや、あなたも捕まっていたのですか」

レオンハート「ああ」

アッカーマン「こんな怪我じゃ当分動けませんね」

レオンハート「…前から気になっていたのだが」

アッカーマン「はい?」

レオンハート「お前はなんで常にマフラーなんか付けてるんだ?」

アッカーマン「ああ…これですか。昔、クリスタからもらったんですよ」

レオンハート「大事なものなのか」

アッカーマン「ですね…小さい頃から家族もいないし人殺しばかり教えられてましたから……こういう物は凄く嬉しいんですよ。何だか落ち着きます」

―――――

イェーガー「…巨人は、最初は人間が大量に捨てたゴミを食うために作られた物だった」

イェーガー「しかし、世界では人口が爆発的に増え、戦争が世界中で勃発し、どんどん自然は破壊されていき人類は滅亡へ向かって行った。それに絶望したかのように巨人は暴走を始め、人間を食らいはじめたのだ」

イェーガー「そして、人類はこのままではいけないと判断され、今の…人間で出来た人間を食う巨人が生まれた。多くの人間は巨人に変えられ、食われ……残った人類は壁の中に閉じ込められた。ユミルの民は最初に巨人を作り人類を追い詰めた罰として…巨人に変えられ壁の材料として使われている」

クリスタ「…じゃあ、レイスってなんなの?」

イェーガー「…巨人が暴走しだした、と言ったが…実は違う。人工的に生まれた超能力を持つ人間によって操られていたんだ…それが最初のレイスだよ」

イェーガー「巨人を利用し人類を一ヶ所に閉じ込め必要以上に繁殖しないよう管理する…それを目的としてレイスという人間は作られた。そして、その世界が今のこの壁だ」

クリスタ「…」

ユミル「…」

イェーガー「そして、私は…ユミルの民は知性巨人を一体生み出し、どこかに隠している事を知った。レイスの思惑を崩す為に作られたと…」

イェーガー「それがユミルだ……君は自覚は無いだろうが…巨人なんだよ」

ユミル「…え?」

イェーガー「君を研究し、実験し…やがてはクリスタを知性巨人にする。手伝ってもらうぞ」

ユミル「意味がわからない!やだ!」

イェーガー「お前に拒否権は無い」

―――4枚目の壁


ブラウン「…なに、レオンハートが人質に取られただと?」

フーバー「ああ…イェーガーさんからそう手紙が来ていた。イェーガーさんもマリアで何かあって帰れないらしい…」

ブラウン「なんてこった……内地の奴等はこっちを攻めてくる準備をしているんだろう?」

フーバー「ああ、壁教が中心になって僕ら4枚目の壁の人間を危険分子として殲滅するつもりらしい…」

ブラウン「くっ…結局争いは避けられんか…」

フーバー「…このまま憎しみをぶつけ合うだけで…いいのだろうか…」

―――――

イェーガー「…レオンハート、君の仲間たちには…君がマリアの人間に人質に取られたということにしておいた…」

レオンハート「…!貴様…そんな嘘をつくとは…」

アッカーマン「…この戦争はレイスが仕組んだものですか?」

イェーガー「…更に上の力の意思だ。レイスはただそれに従っている」

アッカーマン「…」

イェーガー「それに、我々が手を加えなくても宗教の違いでいずれは自然に戦争する運命だった…それが早いか遅いかだけの違いだ」

アッカーマン「……私の傷が回復したら…覚悟しておいてくださいね」

イェーガー「ふん…」

レオンハート(くそ、これ以上こいつの好きにやらせるわけにはいかん)

イェーガー「…さて、始めようか。ユミル」

ユミル「…!!」ビクッ

クリスタ「…っ!」

ババッ

クリスタ「んんっ!!?」ドサッ

隊員「座標は使わせないぞ、クリスタ」

イェーガー「そのままクリスタを抑えていろ…口も塞いでおけ」

クリスタ(ユミル…!!)

ユミル「…」ブルブル

イェーガー「さぁ、まずはこれを読んでもらおうか」

ユミル「え…」

イェーガー「これは恐らくユミルの民の文字だ…これに巨人の作り方が書いてあるはずなんだ」

ユミル「…」
ユミル(読める…私はこの文字を知ってる)

イェーガー「読め。読まなければどうなるかは分かるな?」

ユミル「……わかりました……」

―――――3日後…

イェーガーはユミルの細胞とユミルの民が残した巨人の作り方の書物を参考に人間を巨人化させるウイルスを作り出した。

イェーガー「出来た…後はこれで本当に巨人化させる事が可能か実験しなければならん」

ユミル「………」

イェーガー「さて…村人に協力してもらうか」

ユミル「!?」

村人「ひっ!?」

ユミル「待って…やめて!!」

イェーガー「さあ…注射を打つ、手を出せ」

村人「うわ、待て…待て!やめ…」

カアッ!!!

ユミル「ああ…」

巨人「オオオ…」ズゥン

村人「ひいいい!?」

老婆「貴様…なんという事を!貴様にはいずれ天罰が…」

ガシッ

老婆「ひゃあっ!?」

巨人「あああ…」

バクンッ

村人「うわあああ、村長様が食べられたああぁっ!!!」

ユミル「いやあああああっ!!!」

イェーガー「…」

巨人「あ…あ」ドサッ

シュウウウ…

イェーガー「時間が立つと自然と活動停止してしまう…それに知性も持っていなかった。まだ改良しなくては駄目か」

クリスタ「…!!!」

クリスタ(隣の部屋からは悲鳴が聞こえる…でも、私は拘束されていて何も出来ない…くそっ…)ブルブル



ベキッ!!

アッカーマン「ぐああああっ!?」

隊員「お前に元気になられたら困る…だからこうやって怪我が治る前に新たな怪我を与える」

アッカーマン「はぁ…はぁ…くそっ…」

―――更に3ヶ月後
内地と4枚目の壁の人間達は本格的な戦争状態に突入する。

そして、知性巨人の実験は行われ続けていたが未だに完成していなかった。

イェーガー「…上手くいかない…何が駄目なんだ」

ユミル「………」

村人はどんどん実験に使われ実験の後には多くの死体が転がっていた。
更には…

村人「くそっ、ユミルなんてガキがいなけりゃこんな事にならなかったんだ!」

村人「お前…ユミル様になんてこと…」

村人「うるさい、ユミルなんかただの疫病神だ!俺達の村に災いを呼び寄せたんだ!!」

ユミル「…うう…」グスッ

イェーガー「…巨人には恐らく人間の脳から脊椎がある…そうか、なるほどな。なぜ思いつかなったんだ」

―――

イェーガー「レオンハート…そしてお前。実験に協力してもらう」

レオンハート「ちっ…」

ユミル父「…」

ユミル「お父さん!!」

ユミル父「ユミル…すまん、わしには何もできんで…」

イェーガー「さぁ、始めるぞ。二人とも一緒に巨人になるんだ」

ユミル父「…さらばだ、ユミル」

ユミル「お父さん!!!」

レオンハート(…妹を残したままだったな…元気にやれよ)

カアッ!!!

巨人「オオオ…」

巨人「…」

イェーガー「…巨人化した後…人間の身体が一体化するまで少し時間がある。それまでにどちらかの巨人がどちらかのうなじ部分を食べれば…」

巨人「アアアアッ!」ガブッ

巨人「…」ドシャアアアッ

イェーガー「まだ残っている脳の部分はその食べた巨人に取り込まれる…」

巨人「…アアアアッ…」シュウウウ

イェーガー「……成功だ……」

レオンハート「…」

イェーガー「知性巨人が出来た…」

レオンハート「…う…」

イェーガー「ははは、後は巨人の力を得たレオンハートをクリスタに食わせれば…目的は達成する…」

ユミル「…!!」

ユミル(もうやだ…こんなの…こんなのは)

「…強い目的意識を持ち自傷行為をしろ。すれば…お前の力は解放される」

ユミル「!!」

ユミル「………これ以上は…やらせない…」ガリッ

イェーガー「!!」

カアッ!!!

ユミル巨人「ギィアアアアアッ!!!」

イェーガー「ユミル…やっと巨人の力を使えるようになったか」

ユミル巨人「アアアアッ!!」

イェーガー「…」プスッ

村人「ひっ!?」

カアッ!!

巨人「オオオ」

ユミル巨人「…!!」

ユミル(だめ…やっぱり…出来ない…)

巨人「ガブッ!!」

ユミル巨人「アアアアッ!!!」

イェーガー「お前が村人を殺せないのはわかってる…」

ユミル(…うう…)

シュウウウ…

ユミル「うわあぁぁぁ……」グスッ

そして翌日…

イェーガー「出てこい、クリスタ」

クリスタ「…」

イェーガー「次はお前だ…お前たち、クリスタを抑えていろ」

隊員「はっ」

クリスタ(やだっ…やだっ、こんなの…やめ…)プスッ

カアッ!!!

クリスタ巨人「…」シュウウウ

レオンハート「んー!!んー!!」バタバタ

イェーガー「心配するなレオンハート…お前の魂はクリスタの中で生き続ける」

クリスタ巨人「…」ズシッ ズシッ

ユミル「…も…う…やだ……やめて………」ガクガク

レオンハート「んー!!!」

クリスタ巨人「…」ガシッ

バクンッ…

―――ウォール・マリア

ガキーンッ ズシャッ

「うああっ!!」
「ぎゃああっ!!!」

ブラウン「はぁ…はぁ…」

フーバー「…」ガクッ

フーバー「疲れたよ…僕らは何をしているんだ」

イェーガー「…フーバー、ブラウン…大変な知らせがある」

ブラウン「!!イェーガーさん!!」

フーバー「一体今までどこに…」

イェーガー「…レイスは毒ガス攻撃をしてくる気だ…だからこのワクチンを持ってきた」

ブラウン「なんだと!?急がなければ…早く皆に打たないと…」

イェーガー(…本当は無知性巨人にする巨人だがな…)

訂正

イェーガー(…本当は無知性巨人にする薬だがな…)

―――――

クリスタ「……え…私…なにしたの……」

ユミル「………」

クリスタ「……私、人を食べたの?」

ユミル「…うう…」

クリスタ「…うっ!」


クリスタ「げえぇっ!!げほっ…おえぇっ!!!」

ユミル「!!クリスタ!!」

クリスタ「はぁ…はぁ…うっ……」

クリスタ「なんで…こんな事に……」

ユミル「…」

バンッ!!

アッカーマン「はあ…はあ…一足…遅かったですか……」

クリスタ「!!」

アッカーマン「…ごめんなさい、助けに来るのが遅れてしまい…本当にごめんなさい」

クリスタ「…気にしないで、あなたは悪くない…」

アッカーマン「…この周りの死体は…」

ユミル「…村にいた人達…みんな…」

アッカーマン「…っ!!」ギリッ

クリスタ「…許せない…」

―――――

ユミル、クリスタ、アッカーマンの三人は外に出て街まで向かった…しかし、そこには…

クリスタ「え…」

ユミル「なにこれ…」

アッカーマン「人間の死体がたくさん…」

クリスタ「戦争が起きてるの…」

ユミル「…怖いよ…」

イェーガー「勝手に抜け出されては困るな」ザッザッ

クリスタ「!!」

ユミル「…っ!」

アッカーマン「…イェーガー…言いましたね、私の怪我が治ったら覚悟しろと…まぁまだ治ってはいませんが。あなたを、今ここで削ぎます」

イェーガー「…私の相手をしている暇では無いと思うがな」

アッカーマン「え?」

ドシンッ ドシンッ

クリスタ「!!」

巨人「…」ドシンッドシンッドシンッ

ユミル「な…なんで巨人が!?」

イェーガー「4枚目の壁の人間達は巨人の手先だった…だから巨人を引き連れ壁内に攻め込んできた…という筋書きだ」

クリスタ「…!!!」

クリスタ「どうせ、あなたが巨人にさせたんでしょ!?」

―――――

ブラウン「どういう事だよ!?ワクチン打った人間が巨人に…」

フーバー「まさか…イェーガーさんは…裏切り者だったのか…」

ブラウン「…!!」

フーバー「もしかして、こんな事やって…僕らが巨人の仲間だとても主張して殲滅するつもりか!?」

ブラウン「そこまでやるのか…レイス…悪魔どもが!!!」


男「大変だ…ブラウン、フーバー!」

フーバー「なんだ?」

男「内地の奴等に捕まってた人質の無力な女子供が…虐殺されてる!!」

フーバー「なんだと!?」

男「こいつらも巨人の仲間だと言われて虐殺された…」

ブラウン「…!!!」

クリスタ「あああ!?」ガクッ

アッカーマン「!!クリスタ!?」

ユミル「どうしたの!?」

クリスタ「なにこれ…私の頭に映像が流れ込んでくる…」

クリスタ「やめて、無益な殺し合いはやめて!!」

アッカーマン「クリスタ!!」

イェーガー(…彼がクリスタの脳に見せているんだな)

子供「…パパ…ママ…どこ…」

ユミル「!!子供…」

パアンッ!!

子供「あ…」ドサッ

クリスタ「…!!!」

男(4枚目の壁の人間)「よくも…俺達の同胞を殺したな内地の人間め…子供でも容赦せんぞ」

パアンッ パアンッ

ユミル「ああ!やめて!!」

アッカーマン「ぐっ…」

クリスタ「な…んで、なんでみんな……なんで殺し合うの!!?」

巨人「…」ドシンッドシンッ

クリスタ「…もう、やだ…やだよ……こんな世界……」

アッカーマン「クリスタ…」

クリスタ「巨人がいなければ…こんな世界が無ければ…」

巨人「アーンッ」

バクンッ


クリスタ「…!!!」

アッカーマン「あああ、巨人がどんどん増えて…次々食われてます…」

ユミル「い、いや…」

クリスタ「もう、駄目…やめてえ!!!」ガリッ

アッカーマン「!!」


カアッ!!!


クリスタ巨人「アアアアアアアアアアッ!!!!!」

ズシイイイイインッ
ズシイイイイインッ

ユミル「…え?」
アッカーマン「あれは…」

イェーガー「…クリスタの座標に反応し目覚めたか」

壁の巨人「…」ズシイイイイインッ

壁の巨人「…」ズシイイイイインッ

巨人「…」グシャアッ

アッカーマン「…巨人を踏み殺している…」

イェーガー「…4枚目の壁からついに巨人が目覚めてしまった…これで一番端の壁は無くなった」

アッカーマン「クリスタ!!」

クリスタ巨人「アアアアアアアアアアッ!!!!!」ブンッ

アッカーマン「な!?」サッ

ユミル「…!自我が無いの!?」

アッカーマン「なんてこった…」

イェーガー「…私はそろそろ戻るか」

ユミル「あっ…」

アッカーマン「あれは後でいい、今はクリスタを正気に戻します!!」

クリスタ巨人「アアアアアアアアアアッ!!!」

アッカーマン(…うなじを切り取れば…)

ズシャッ!!!

ベリベリッ

クリスタ「…」
アッカーマン「よし…成功した…」スタッ

ユミル「…良かった…」

―――――

クリスタ「…う…」

アッカーマン「…クリスタ…」

ユミル「大丈夫?」

クリスタ「…あ!巨人…は…」

アッカーマン「…どこかに消えました…」

ユミル「…」

クリスタ「…4枚目の壁の人達は…」

アッカーマン「…もうほとんどが巨人に変えられ…死人も多数…生き残りはごくわずかでしょう。言っておきますが助けに行くなんて無理ですからね、壁が無くなったから巨人も侵入できるようになりましたから」

クリスタ「…うん…」

ユミル「…」

クリスタ「…私は……なんてことを………」

アッカーマン「貴女は悪くありません…こんな状況ならば我を失っても仕方ない事です…」

「…クリスタ」

クリスタ「!」

ブラウン「…」

フーバー「…」

アッカーマン「貴方たち、生きてたんですか!?」

ブラウン「………俺達は外に行く。さらばだ」

クリスタ「え?」

フーバー「…僕らは内地で暮らすつもりは無い」

ブラウン「…約束果たせなくて…悪かったな…」

クリスタ「…」

アッカーマン(あの二人の目…以前とは違った…あれは。人を殺してばかりいた頃の私と同じ目だった……)

クリスタ「…あれ?」

アッカーマン「どうしたんですか?」

クリスタ「ユミルがいない」

アッカーマン「あれ…そう言えば…」

ザッザッザッ

アッカーマン「!!」

レイス領主「…」

クリスタ「…お父様!!」

アッカーマン「…なにしに来たんですか」

レイス領主「…クリスタ……」ガシッ

クリスタ「え?」

アッカーマン「!」

レイス領主「ごめんな…ごめんなぁ…」ボロボロ

クリスタ「え…お父…さ…」

レイス領主「お前に酷い目ばかり合わせてきて…私は、お前に何もしてやれなかった…」

クリスタ「…」

アッカーマン「…」

レイス領主「私も…レイスも、抗えない力に操られているんだ……」

クリスタ「…」

レイス領主「……クリスタ…また、お前に酷い事をしてしまうが……頼みがある。壁内人類の今回の記憶を…抹消してくれ」

アッカーマン「…そんな身勝手な…」

クリスタ「…」

クリスタ「わかりました」

アッカーマン「!」

クリスタ「…私は、今回の事は…記憶から消すべきだと思う。みんな恐怖と憎しみでいっぱいになってしまったから……」

アッカーマン「…わかりました」

レイス領主「…ごめんな、クリスタ…」

クリスタ「…私は、正しいのかな…間違ってるのかな」

アッカーマン「わかりません…」

クリスタ「…うん」ガリッ



「アアアアアアアアアアッ!!!」

そして、この事実は人々の記憶からも歴史上からも抹消された…
更にユミルのいた村も情報を抹消するため焼き払われた


―――――

―――

ユミル「…」

ユミル(このマリアの近くにいる巨人は…4枚目の壁の人達もいるんだろうな。そのなかには失敗作として外に捨てられた私の村の人達も…)

ユミル(…知性巨人の脳を食えば人間に戻れる……私を食べて戻れるのなら…)

巨人「…ニタァ」

ユミル「…食べていいよ」

バクンッ

――――

暗い… 意識が遠くなる…
このまま死ぬのかな…




………



………やだ……やっぱりやだ…まだ、死にたくない…こんな人生で終わるなんて……


私は…生まれ変わって、自分の為に生きたいんだ!!

カアッ!!!



その後、ユミルは無知性巨人として復活を遂げた…それから長い年月を壁外で過ごす事となる。

クリスタ「………」

アッカーマン「…本気ですか?」

レイス領主「ああ…クリスタには結晶化して眠ってもらう。次の仕事までな」

クリスタ「…そんな、逃げるような事…」

アッカーマン「…いいじゃないですか、クリスタ…疲れてるでしょう。ゆっくり休んでください」

クリスタ「え…」

レイス領主「…お前には最後まで何もしてやれなかった…」

クリスタ「…お父様の本心が聞けただけでいいです」

レイス領主「では、私は戻る」

クリスタ「…」

アッカーマン「…」

クリスタ「…私…結局…自分の満足できることなんか出来なかった」

アッカーマン「…」

クリスタ「正直…みんなを記憶改竄したことも後悔してる」

アッカーマン「仕方ないです。覚えていても余計な混乱が増すだけですから」

クリスタ「…」

アッカーマン「…」

アッカーマン「…これで、お別れですね…」

クリスタ「…うん」

アッカーマン「そう言えば貴女の本名…聞いた事なかったですね」

クリスタ「そう言えばそうだね」

アッカーマン「教えてくださいよ」

クリスタ「…私の名前は………エレン」


アッカーマン「………」


「行ってらっしゃい、エレン」

―――――1年後


ズシャッ!!ズシャッ!!

「ぐあっ!!」「ぎゃあっ」

ザッザッザッ

アッカーマン「………」

アッカーマン「やっと壁教のほとんどを潰した…これで愚かな宗教の対立も起こらなくなるだろう」

アッカーマン「…イェーガーの所在は未だ不明…まぁいいですか」スチャッ

アッカーマン「…」

アッカーマン「私はこれから…何のために生きて行きましょうね…」ザッザッ

アッカーマン(クリスタとは恐らく二度と会えない…ユミルは消えた。ブラウンとフーバーは憎しみに染まった目をしていた)

アッカーマン「…」ザッザッザッ

オギャー オギャー

アッカーマン「!」

オギャー オギャー

母親「…」

アッカーマン「母親と赤ちゃん?大丈夫ですか?」

母親「…あなた…そこの、あなた…」

アッカーマン(母親が酷く痩せ細っている…)

母親「私は一年前…4枚目の壁から逃げてきて…マリアで隠れながら生活してきていたアルレルトというものです……この子をお願いします…私はもうダメです…」

アッカーマン「え…」

母親「…それと、この本を…」

アッカーマン「この本は?」

母親「夫が死の直前まで書き続けた…世界の真実の書かれた本です」

アッカーマン「!!」

母親「お願いします…この子と本を……」ガクッ

アッカーマン「………わかりました………安らかにお眠りください」

オギャー、オギャー

アッカーマン「………」

アッカーマン「私がやるべき事………わかりました」

アッカーマン「次にクリスタが目覚めた時…この世界を少しでも変えるために……」

アッカーマン「未来への希望の花を育てる事だ」





その赤子はアルミンのおじいちゃんとなる人物である。
そして、その本はやがてアルミン、エレン、ミカサが読む事になるのであった…

―――――数十年後

…リスタ…

…クリスタ……

クリスタ「…」

クリスタ「ん……」


グリシャ「クリスタ、目は覚めたか?」

カルラ「………」

クリスタ「え…あなたたちは?」

グリシャ「…君の力を借りたい……この世界を変えるために」

本当はまだ書きたいものもありましたが一応、過去はここまでです
途中で変更した点もあるし突っ込みどころ満載ですが…

―――――

クリスタ「…」

エレン「…」

エレン「今の見たところ…まさか、俺は………あんたを……」

クリスタ「…」

クリスタ「私は自分の意思でそうした。だからあなたが思い悩む事は無いわ」

エレン「!」

レオンハート「辛いだろうが…乗り越えろ、そしてこの世界を変えてみせろ」

エレン「!あんたもいたのか!?」

レオンハート「ああ…」

クリスタ「さぁ、そろそろ戻りなさい。皆が待ってるわ」


カアッ…

エレン「…あ…」パチッ

ミカサ「エレン!」

アルミン「目が覚めたか!?」

エレン「おう…ん?ミカサ…ちょっと髪長くないか?」

ミカサ「え?」

アルミン「何言ってんのエレン…ミカサは昔から髪長いじゃないか」

エレン「ん…ああ、そうだ…いや、気にするな」

ライナー「…夢を見ていたのか?」

エレン「ああ…今回は内容もはっきり覚えている」

ユミル「…私の知らない事はエレンから聞くといい…何か夢で見ていると思う」

アルミン「わかった、話してくれてありがとうユミル」

ユミル「ああ」

リヴァイ「…他の団員にも伝えないとな」

ユミル「…はぁ…外に出るぞ、なんかこんなとこにいても気分良くないからな」

アルミン「うん、そうだね」

リヴァイ「だが…お前の故郷の目的はやっぱりよくわからねぇな。恨みがあるからか?」

ライナー「それもあるでしょうね…」

ペトラ「団長達に合流しに行きましょう」

オルオ「だな」

ザッザッザッ

アルミン「はあ…なんか久しぶりだね、外は…」

ユミル「…これからどうするつもりだ?」

アルミン「また考えるよ」

ビュンっ…

ペトラ「!誰か立体機動でこっち来ますよ…」

オルオ「本当だな…誰だ?」

ビューーンッ

リヴァイ「!!動きがおかしい!ペトラ、オルオ、下がれ!!」バッ

オルオ「え!?」

ガキーーーンッ

ペトラ「…攻撃…してきた…」

エレン「な、誰だ!?」

ガキーンッ!!

フードの男「…」

リヴァイ「あぶねぇ所だった…何だお前は」

フードの男「…おい、ライナー」

ライナー「!」

エレン「え?」

フードの男「なにしてんだよ、お前…」ファサッ

ライナー「…!!お前は!?」



ベリック「…戦士の任務は放棄か?」ザッ

―――――

ヒストリア「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」

ニック「話は以上だ…」

ヒストリア「…そんな事があったなんて…」


パリイィィンッ!!

ニック「!?」

ヒストリア「え!?」

ベルトルト「誰だ!?」

???「アニ…ベルトルト…」
???「なんで壁を壊さないんだよ」

ニック「何者だ!?」

ベルトルト「…!!な、なんで君たちが…」

ヒストリア「え、知り合い!?」

アニ「あ、あんたらは……」



アニ「ソニーとビーン!?」


ソニー「ようアニ…大きくなったな、いや、あんま変わって無いか」

ビーン「君たちがなにもしないから僕らが来ることになったんだよ」


ベルトルト「…僕たちアニやライナーと同じ…故郷の戦士だ!」

ヒストリア「!!」

―――――

ドドドドドッ


エルヴィン「うおあああ!?」ドザアッ

ハンジ「エルヴィン!!!右腕が喰われた!!」

ミケ「くっ…こいつはなんだ…」

サシャ「こ、この巨人は……」

ハンジ「!…知ってるのか!?」

コニー「前に戦いました…獣の巨人です!!」


獣の巨人「わかったから質問に答えてくれよ…エレンはどこにいるんだよ?」

コニー「誰が教えるか!村をむちゃくちゃにしようとした奴に!!」

サシャ「今日こそ成敗いたします!!」

獣の巨人「はあ?誰だよお前ら…そもそも村ってなんだ?」

コニー「しらばっくれんじゃねえ、獣野郎が!!」

獣の巨人「ああ…お前らが言ってるのはあいつの方か。なるほどな」

サシャ「へ?」


ミケ「隙ありだ!!」ギュンッ

ザシュッ!!

獣の巨人「んう!!」

ハンジ「おお、ミケ!やったか!?」

獣の巨人「んん…ってぇなぁ……ちょっと効いたぞ」ポリポリ

ハンジ「んな!?」

ミケ「バカな、確かにうなじを削いだはずだ!!」

獣の巨人「ああ…悪いな。俺のうなじには何も居ないから」

ハンジ「…すっ…」


ハンジ「すっげえええ!!喋る上にうなじを削いでも生きてるとかヤベエエ、捕まえて実験してぇよ、なあ!?」

モブリット「分隊長、落ち着いてください!!」

―――――

ライナー「…」

ベリック「俺の弟のマルセルは巨人に喰われたらしいな」

ライナー「ああ」

ユミル「悪いな、私が食っちまったらしい」

ベリック「いいさ、あんたも食いたくて食った訳じゃないだろ…俺もそうだった」

アルミン「ええい、帰って話を整理しようと思ってたのに更にややこしくするような奴が来やがって!!急に現れてなんなんだね君は!目的をしゃべりくされ!!」

ベリック「エレンの捕獲とライナー、ベルトルト、アニを連れて帰る事だ。まぁ、ライナー達三人は抵抗するなら処分しろとの事だが…」

エレン「…そんな事はやらせねぇぞ」

ミカサ「…」オロオロ

ベリック「俺だってそんな事はやりたくない…かつて一緒に過ごしてきた仲間だからな。それにそのライナーの仲間であるエレン達もなるべく傷付けたくはない」

ベリック「だからお願いだ…ライナーもエレンも大人しくついてきてくれ」

エレン「そんな事言われて大人しくついて行くかよ!」

アルミン「そうだぞ、エレェンは何者にも屈しないのだ!!」

ミカサ「そうだそうだ!」

ライナー「俺も戻る気はない…こいつらと一緒に行動するつもりだ」

ユミル「…」

ベリック「…そうか…残念だ。なら力づくでもやらなければならないんだな」

リヴァイ「お前は1人でこっちは多数だ…この人数差でやる気か?」

ライナー「いや、ここは俺達は逃げた方がいいです!!」

リヴァイ「なに?」

ライナー「ベリックの巨人は…俺達戦士の中でも最強と言われていたんだ!!!」

ベリック「…俺の巨人は手加減が効かない。悪く思わないでくれよ」ガリッ

カアアッ!!

ベリック巨人「…」ズオオオオオオ…

エレン「うお、でっか!!?」

アルミン「ベルトルトの巨人くらいあるぞ!」

ミカサ「ど、どうしよう」オロオロ

ユミル「だが、デカイだけならむしろこっちが有利だ…」

ライナー「いや、デカイだけじゃない…あいつは」

リヴァイ「…」ジャキンッ

ペトラ「あ、兵長!」

ギュンッ!

ベリック巨人「…」

ガギキーーーンッ!!

リヴァイ「…ちっ」カランッ

エレン「ブレードが効いてない!?」

アルミン「鎧の巨人並の皮膚を持っているのか!?」

―――――

ソニー「計画はもう最終段階まで進んでいる」

ビーン「アニ、ベルトルト、故郷に戻るんだ。この壁の中に未来は無い」

ベルトルト「…計画?」

ソニー「そうか、二人は途中からいなかったから全ては聞いていないんだな」

アニ「何の事か知らないが戻る気はないよ」

ヒストリア「てか私が戻さない!!」

ニック「…」

ビーン「…この辺なら人もいないし僕らの巨人も小さいから目立たないね」ザッ

ソニー「そうだな、ビーン…やるしかないみたいだ」ザッ

ベルトルト「来るぞ!!」

ヒストリア「このお、アニもベルトルトも渡さないんだかんね!!!」ドオオオオオ


カアアッ!!

ソニー巨人「…」ドオオオオオ

ビーン巨人「…」ドオオオオオ


アニ「くっ…早速巨人化してきたか!」

ベルトルト「気を付けて、あの二人は見た目は小さいがその分動きが素早い」

ヒストリア「ユミルの巨人みたいなもんだね」

ベルトルト「ああ…だが彼等は何年も訓練を受けている。ユミルより強いだろう」

ヒストリア「そんなのが2体も…俗に言う強敵出現って奴だ」

ビーン巨人「…」ダダダッ

ソニー巨人「…」ダダダッ

ヒストリア「…しかし…それより私は、ものっっっすごく気になる事があるわ」

アニ「なに?」

ヒストリア「見てよ、あの2体」

ソニー巨人「…」ニタァ

ビーン巨人「…」ニタァ

アニ「………何が言いたいのかわからないんだけど」

ヒストリア「どうう見てもあの2体の見た目ただの無知性巨人だよ!!」

アニ「はああ!?」

ヒストリア「もう駄目!私はそればっかりが気になって戦闘に集中出来ない!!」

アニ「んなどうでもいい事気にしてんじゃないよ、バカ!!」ゴチン

ヒストリア「イタイッ!」

ソニー・ビーン(なんだこいつら)

ソニー巨人「グオオオッ!!」ビュンッ

ビーン巨人「ンアアアッ!!」ビュンッ

アニ「つっ!くそ、早い…」

ベルトルト「アニはやらせない!!」バッ

ソニー巨人「…」シュダッ

ベルトルト「このっ!!」ザクッ

ソニー(ちっ、足をやられたか…だが)

ガブウッ!!

ベルトルト「いっ…!!!」

ソニー(ベルトルト…お前の足も動けなくしてやろう)

バシイイイイッンッ!!!

ソニー巨人「ギャッ!!?」ズザザザッ

ベルトルト「!!」

アニ「危ないとこだったね、ベルトルト」ザッ

ソニー(立体機動装置で加速をつけ強力な蹴りを入れてきたか。やるな)

ビーン巨人「ンアアアッ!!!」

ヒストリア「わあ、怖い怖い!!」ザッザッ

ビーン(レイスの娘か…念のためこいつもさらっておくか)

ヒストリア「む、私を誘拐しようって目付きだね…でも捕まんないかんね!!」ビュンッ

ビーン(くっ、すばしっこい奴め)

ヒストリア「ほうら、こっちだよ~!」グルンッ

ビーン(ぐるぐる回って鬱陶しい…いい加減に止まれ!!)ダダダッ

ビーーーンッ!

ビーン巨人「グアッ!?」ギチイッ

ヒストリア「ようし、かかった!!!」

ビーン(こいつ…ぐるぐる回りながら逃げてると思ったら…立体機動装置のワイヤーを足に巻き付けていやがった!?)

ビーン(だが…)

シュウウウゥゥ…

ヒストリア「…!!巨人が消えてく!!」

ビーン「なかなかやるじゃないか……だが、足にワイヤーを巻き付けられても巨人化を解けば済む話だ」

ヒストリア「う…確かにそうだ」

ビーン「ソニー、いったん引き返そう」

ソニー巨人「…」コクッ

ビュンッ ビュンッ

ベルトルト「あっ、逃げる気か!?」

ビーン「…次に会う時を楽しみにしてるぜ!」タンッ

ソニー巨人「…」

ダダダダダダッ…

ベルトルト「…どうする?追うか?」

ヒストリア「いや、深追いは止めておこう」

アニ「そうだね…」

ニック「…奴等は立ち去ったか」

ヒストリア「おうよ!」

ベルトルト「…彼等はなんで、こんな所に現れたんだ?」

アニ「確かにね……何の目的なのか」

ニック「…最後にもう少し話をしよう」

ベルトルト「!」

ニック「この壁についてな……壁になぜ巨人が使われているかを話そう」

ヒストリア「……」

ニック「もうじきこの壁の中から巨人が無数の現れる……人類を滅ぼす為にな」

ベルトルト「!!?」

ヒストリア「ちょー!ちょ、ちょいちょい!!全くもって理解不能!!さっきまでの話からかけ離れちゃってるじゃない!!なんで急に人類滅ぼすとかなるわけ!!」

ニック「これは我々壁教しか知らない事だ……」

―――――

ベリック巨人「…」ゴオオオオオ

エレン「くっ…あんなデカイの相手じゃ巨人でも対抗できん!アルミン…どうするべきだと思う!?」

アルミン「ああ…あの巨人は超大型クラスのデカさ、鎧の巨人の強靭な皮膚、更には蒸気攻撃も可能だからうかつに近づけない…逃げても建物な岩や木を投げて邪魔をする!!!」

ベリック巨人「…」ズシーーーンッ ズシーーーンッ

アルミン「じゃあどうする…どうする………はっ!!!わかった!!!」

エレン「お、何か閃いた!?」

アルミン「僕らじゃ、あんなの勝てないっ!!!!!」

エレン「諦めんなよ!!!」

ベリック巨人「…」シュウウウウ…

リヴァイ「ん?なんだ…」

ライナー「!!あれは…みんな、逃げろ!!」

アルミン「ぬぬっ!?」

キュンッ………



チュドオオオォォンッ!!!


ミカサ「!!!?????」

エレン「なんじゃ今のは!?」

ライナー「ベリックの巨人は蒸気を発生させるだけじゃない……その高温蒸気のエネルギーを一点に集中させ弾丸のように発射する事もできる…」

アルミン「なんでもありだなオイ!!!」

リヴァイ「んな事まで出来るのかよ…」

アルミン「まぁ、用は超大型巨人の発する熱エネルギーを一点に集中、凝縮させ放出しているんだ。確かにあれくらいは出来ても不思議じゃない!!」

ユミル「いや意味わかんねぇよ」

エレン「どうすんだよ!!」

ミカサ「アルミン、どうしよう!!」

アルミン「ようし、頼れ!僕に頼れ!!あの攻撃は脅威だが…それと同時に逆転のチャンスも発見した!!!」

エレン「お、待ってたぜ!!」

アルミン「とりあえず全員離れよう!もう一度ベリックに蒸気弾を撃たせるんだ!!」

ライナー「わかった」

アルミン「作戦を話すからよく聞いてくれ!!」

ベリック巨人「…」ズシーーーンッ

ベリック(また逃げる気か……無駄だ。俺も人殺しは出来ればしたくないんだ、大人しくしてくれ!)

ベリック巨人「…」シュウウウウ

ライナー「!!来るぞ!」

アルミン「よし皆、作戦通りに!!リヴァイ兵長、オルオさん、ペトラさん、イッツ ア 任せました!!」

ペトラ「ええ!」

オルオ「本当に上手く行くんだろうな!!」

アルミン「確率としては50%…でも、皆の信頼、勇気、愛の力で残りの50%を補う!!!」

オルオ「!?!?」

エレン「ようし、やってやるぜ!」

ミカサ「おーっ」

ベリック巨人「…」ズシーーーンッ

ベリック(また逃げる気か……無駄だ。俺も人殺しは出来ればしたくないんだ、大人しくしてくれ!)

ベリック巨人「…」シュウウウウ

ライナー「!!来るぞ!」

アルミン「よし皆、作戦通りに!!リヴァイ兵長、オルオさん、ペトラさん、イッツ ア 任せました!!」

ペトラ「ええ!」

オルオ「本当に上手く行くんだろうな!!」

アルミン「確率としては50%…でも、皆の信頼、勇気、愛の力で残りの50%を補う!!!」

オルオ「!?!?」

エレン「ようし、やってやるぜ!」

ミカサ「おーっ」

キュンッ…

アルミン「来た!!!」

リヴァイ「行くぞ、ペトラ!オルオ!」
「はっ!!」バシュッ

ベリック「!!」



ギュウウゥゥゥンッ

ベリック巨人「…!」ブオンッ

リヴァイ「んなノロマなパンチが当たるか」ジャキンッ

ベリック巨人「!!」

ザクッ!!

ペトラ「はあっ!!」ザクッ!
オルオ「目なら効くぞ!」ザクッ!

ベリック(…!!両目をやられた!?)

アルミン「予想通りだ、あの熱蒸気の弾丸を発射した後は体から蒸気を発する事が出来ない!!そして唯一無防備そうだった目まで接近できた!!!」

ベリック(くそっ…俺が見えない間に逃げる考えだろうな。だが、やらせん)

シュウウウウ…

ベリック(巨人化を解き直接やる!!)

ライナー「出てきたぞ!」

アルミン「よし、それも予想通りだ!!」

ベリック「逃がすか…」

ガシッ!

ベリック「!!」

エレン「捕まえたぜ!!」

ベリック「くっ、俺が巨人から出るのを待ち伏せしていたのか!!」

ライナー「よし、俺達も抑えるぞ!!」

ベリック「ぐっ…!!」ガシッ

エレン「!!」

ベリック「はああ!!!」グルンッ

エレン「ぐああ!!」ドシャア

ミカサ「エレン!!」

アルミン「格闘成績No.1のエレンを突飛ばしやがった!!」

ライナー「くそっ…ベリック、やらせんぞ!」ザッ

ベリック「俺はずっと故郷で訓練を受けてきた…前の俺と同じ実力だと思うな!」バシンッ!!

ライナー「ぐうっ!?」

ベリック「…いったん今日は引き上げる。次会った時は敵同士…加減は一切しないぞ」バシュッ

ユミル「逃げたか」

ライナー「…」

エレン「はぁ…はぁ…くそ、それにしても…ここまで追い詰めといて何で急に引き返したんだ?」

アルミン「疲れてたんだじゃないかな…恐らくあいつの巨人は強力だが体力も相当消費すると見た。だから、これ以上は自分が危ないと判断し引き返したんだろう」

ライナー「…結局、どっちに付こうが仲間と戦わなけりゃならんのか」

ユミル「迷ってる様子だな…どうするんだ」

ライナー「いや、俺はこのままお前達と行動する。こうなる事も覚悟していた…」

ミカサ「友達同士で戦わなきゃダメなんて……やだよね……」

ライナー「……ああ…だからこそ俺は、アルミン達とこの世界を変えるんだ」

ここでシリアスな感じは暫く終わりです。
話広げすぎて今さら後悔…


―――その後、リヴァイ班とアルミン率いる愉快な104期組はエルヴィン団長と合流…
エルヴィンの率いていた部隊は獣の巨人から何とか逃げ切っていた。
幸い、犠牲者は出なかったがエルヴィン団長は片腕を失う重症を負う。

一方、アルミンは壁内に帰還後、憲兵団にいた104期達も呼び戻しこれからの行動を決める為、アルレルト兵団は一週間の休暇を取ることになった。



キース(あいつら休んでる日の方が絶対多いな)

―――――3日後 診療所

アルミン「お怪我は大丈夫ですか!?」

エルヴィン「ああ…。だが、私は今までたくさんの兵士を巨人に食わせてきた。それに比べたら腕一本など軽すぎるくらいだ」

エレン「無理はしないでくださいね」

ミカサ「えっと…私の実家から採れたリンゴです。どうぞ」

サシャ「いっぱい食べて元気に戻ってくださいね!」

コニー「応援してますぜ!!」

エルヴィン「ああ、ありがとう」

アルミン「さて、そろそろ戻ろうか」

ヒストリア「うん。あ、壁教から聞き出した事はさっき言ったことで全部ですので!」

エルヴィン「感謝する」

ハンジ「わざわざお見舞いに来てくれるなんていい子達だねぇ」

リヴァイ「うるさいがな」

エルヴィン「まだ若いんだ…あれくらいでいいだろう」

―――

アルミン「…しかし、困ったね。今年の終わりに壁から巨人が出てきてこの世界を滅ぼすだなんて」

ジャン「850年に一度、壁巨人が人類をいったん滅ばし壁内の世界を一度リセットする…という仕組みみたいだな」

エレン「だが、もしそうなら何故60数年前に四枚目の壁の人類は皆殺しにされた…そんな必要はあったのか?」

ヒストリア「世界をリセットする前に少しずつ人類の活動領域を減らしてるらしいの」

エレン「なに?」

ヒストリア「だから…この、いま私達がいる世界の前にあった世界では…壁は五枚あったらしいんだよ。でも、一度リセットされる前にその五枚目の壁は消された」

アルミン「……人類を試してるんだろうね」

エレン「え?」

アルミン「今のこの世界でも人類同士の醜い争いが起きた……人類はまだ危険だと判断し活動領域も小さくしたんだろう」

アルミン「まぁ…でも、まだ疑問な点やわからない点が多い。後はレイス家やグリシャさんに聞こう……」

エレン「ああ………あっ」

ミカサ「!どうしたの?」

エレン「そういえば、俺が見てた夢の最後……クリスタが目を覚ました時、父さんと一緒に母さんもいたんだ」

アルミン「ぬあんだっって!!?」

エレン「まさか…母さんも何か知ってるんじゃないか?」

ヒストリア「…」

―――

エルヴィン「…調査兵団は動けるものはどれくらいだ?」

ハンジ「獣の巨人が他の巨人に命令し動きを止めていた事と…途中からリヴァイ班と合流できたおかげでほとんど被害はありません。次も問題なく遠征に出れます」

エルヴィン「いや…次は我々は……王政を叩く」

リヴァイ「…」

ハンジ「え?」

エルヴィン「…急がねばならん。だからと言っていきなり王政が敵であること……世界の真実を話したところで余計な混乱を招く…しかし壁巨人への対策を練るには人類全体がこの事実を知っておくべきなのだ」

リヴァイ「じゃあ、どうする気だ…」

エルヴィン「我々調査兵団が王政を叩き、この世界の実権を握る。そして王政や世界の真実を公表する…」

ハンジ「え?待ってくれエルヴィン…それでも余計な混乱を招くだけなのは変わらない…」

エルヴィン「その後はアルレルト兵団に任せる」

ハンジ「…?」

リヴァイ「…そうか。お前の考えはだいたいわかったぞ」

ハンジ「え?」

リヴァイ「お前は、104期のガキ共や駐屯兵団、憲兵団…いや、人類全てを敵に回すつもりだな」

ハンジ「え?」

エルヴィン「いつものように賭けだがな………今を変えるのは我々大人の役目だが、これからの未来を変えるのは若者の役目だ」

ハンジ「すまない、私は全くわかってないんだが…」

エルヴィン「104期生達には…この壁内の英雄になってもらう」

―――訓練所

エレン「キース教官と母さんがいなくなった!?」

ミカサ「え?もしかして拐われて…」

教官「違う、二人とも自分の意思でどこかへ出ていった」

エレン「そんな…一体どこに」

アルミン「何てタイミングがいいんだ…まるで漫画のようじゃないか!!」

エレン「………仕方ない。どこに行ったかもわからないから探しようもない」

アルミン「…そうだね。とりあえず今後の行動を決めよう」

ヒストリア「…」ジーッ

ユミル「どうしたヒストリア、エレンをじっと見つめて」

ヒストリア「えっ?」

ユミル「言いたいことがあるなら言えばいいだろうが」

エレン「………」

アルミン「エレン、僕は気づいてるよ。昨日からヒストリアを気にしてるの」

エレン「え!?」

ミカサ「私もわかるよ…いつものエレンなら言いたいことは言えるのに、戸惑ってる感じ……エレンらしくないよ」

エレン「…」

アルミン「今夜辺りでも話しなよ…なんの事かはなんとなくわかるから詮索はしないさ」

エレン「ああ……わかった。今夜でも話そう」

―――――


エレン「…急に呼び出して悪いな」

ヒストリア「ん、私もエレンに聞きたい事あったし」

エレン「…」

ヒストリア「…」

エレン「…すまん、わざわざ呼び出したけど…俺、何て言ったらいいのかわからねぇ」

ヒストリア「…」


ヒストリア「お姉ちゃんの……クリスタの事でしょ?」

エレン「!」

ヒストリア「私も、それを聞こうと思ってた…」

エレン「………俺は、記憶に無いけど……お前の好きだった姉さんを、食べてたらしい……」

ヒストリア「……やっぱり、そうなんだ…」

エレン「すまない、ヒストリア………謝ろうと思ってたけど、怖くてなかなか言い出せなかった。…情けないだろ…」

ヒストリア「……そんな事ないよ。謝る必要なんか無いし、何か理由があるんでしょ…」

エレン「…クリスタにも、夢の中で『自分の意思でやったから気にしなくていい』って言われたんだ……でも、駄目だ…気にしないなんて出来ない」

ヒストリア「うん…でも、エレンは悪くないよ」

エレン「…」

ヒストリア「お姉ちゃんは…自分の意思で食べられたのなら、私達がどうこう言う権利はない…」

エレン「…ははっ…お前、意外と冷静だな…」

ヒストリア「前にも一度聞いて覚悟はしてたから………本当は泣きたいけど」

エレン「すまん…」

ヒストリア「謝らなくていいってばよ」

ヒストリア「そうそう、私が聞こうと思ってた事…」

エレン「!」

ヒストリア「その……お姉ちゃんは私の事なんか言ってたかなぁ…って、思って」

エレン「…」

ヒストリア「エレンが気にしてると思って言い出せなかったけど」

エレン「…そうだ、思い出した。最後に、言ってた…ヒストリアに伝えてくれって…」

ヒストリア「!」

エレン「『ヒストリアと暮らして楽しかった…急にいなくなってごめん。幸せになって』って……」

ヒストリア「…」


ヒストリア「…グスッ……お姉ちゃん……ズズッ」

エレン「…」

ヒストリア「…」ゴシゴシ

―――

エレン「戻ったぜ」

アルミン「おう、お帰り!」

ヒストリア「ただいま~」ゴシゴシ

ミカサ「ヒストリア!目が赤い…大丈夫?」オロオロ

ヒストリア「えへへ、大丈夫だよ」

ライナー「エレン、お前!ヒストリアに何をしたんだ!?」ガシッ

エレン「はああ!?」

ライナー「と、言うのは冗談だ…お前も言いたいこと吐き出せて元気が戻ったようだな。安心したよ」

エレン「ああ、ありがとよ。ビックリしたぜ、ジャンみたいな事言うからよ…」

ライナー「はははは!」

ジャン「なんか俺バカにされた気がしたんだが」

マルコ「…」

ジャン「何か言えよ!?」

ヒストリア「はあ~…私もなんかスッキリした!」

ユミル「おお、聞きたい事があったら聞いた方がいいぞ」

コニー「お、いつもの元気なヒストリアだ!」

ヒストリア「よし、元気に戻ったところで……アルミーーン!」

アルミン「おう、なんだい?」

ヒストリア「せっかく休みだし久しぶりに一緒にいるんだからさ…」

ヒストリア「二人でデートしよう!!!」


エレン「おーい、アルミン、ミカサ。明日どっか行こうぜ」

アルミン「それは名案だ!」

ミカサ「わーい!」


ヒストリア「………」

サシャ「あっち行っちゃいましたよ」

ヒストリア「ふっ……この方がらしくていいわ…」

ユミル「ドンマイだ」ポンッ

ベルトルト「…こんなのんびりしてて大丈夫なのかな」

アニ「まぁ、これから何をするかも決まって無いのに焦ってるだけじゃどうにもならないからね。休めるときにゆっくり休むのも大事だよ」

アルミン「その通りだよ、アニ!そうそう、憲兵団でのお仕事お疲レオンハート!!」

アニ「…」

アニ「ふんっ!!」ビシュッ

アルミン「うぎゃああ!なんか懐かしいこれ!!」グルングルンッ

エレン「うお、アルミン!?」

ミカサ「アニ…蹴っちゃダメだよ…」オロオロ

アニ「ごめん。なんか『お疲レオンハート』に腹立った」

エレン「ぷっ」

アニ「あ゛?」ゴゴゴゴゴ

エレン「」

ミカサ「喧嘩はダメだよ…」オロオロ

ビシュッ!!

エレン「うあああ、久しぶりだあ!!」グルンッ

ミカサ「わっ、綺麗に回った!!」

アルミン「ちょ…いたい、本気でケツ痛い…」プルプル

アニ「あんたが悪いんだろうが、ったく………」

アニ「ヒストリア、ちょっとケツ蹴るの力入れすぎたから医務室連れていってやりなよ」

ヒストリア「へ?」

アルミン「いや、別に医務室行くほどじゃ…」

アニ「いいから連れていかれろ!」

ヒストリア「神様はまだ私を見捨てていなかったよ、ユミル!!」ダキッ

ユミル「わかったから行ってこいよ」

ライナー「ちょっと外に行こうぜ、ベルトルト」

ベルトルト「ん、ああ」

アニ「私も行ってくるよ」

ミカサ「行ってらっしゃい」

サシャ「ん?急にどうしたんですかね、あの三人」

エレン「…久しぶりに三人で揃ったんだ。色々と話したい事があるんだろ」

アルミン「ああ…故郷の友人とも戦わなけりゃならなくなったしね…」

ミカサ「うん」

ジャン「…とりあえず、二人とも立ってから話せよ」

エレン「ふう…こりゃ明日からでもまたアニから格闘術教えてもらわねぇと行けねぇ…」パンパンッ

ジャン「…もうすぐ、最後の戦いだろうからな」

エレン「もっと強くならねぇと……強敵に打ち勝つなど出来ない。自由を手に入れて、外を探検して、海を見るんだ」

ミカサ「その時は、エレンとアルミンと三人じゃなくて…皆で行きたい」

エレン「ああ。104期の皆で行こう」

コニー「ふっ、天才の俺に任せろ!必ず皆で生きて帰るぜ!」

サシャ「きっと外の世界にはまだまだ知らない食べ物もたくさん……皆で食べたいです!」

マルコ「僕達は一人も死ぬわけにはいかないね」

ジャン「ふん……その時は、俺も一緒に行ってやる」

エレン「皆で外の世界を探検するためにもっと強くなる……命を賭けてでも皆を守らなきゃ」

ミカサ「…エレンも、生きて帰って来なきゃダメだよ…絶対」

エレン「わかってるよ、ミカサ。死ぬつもりなんかあるわけないだろ」

ミカサ「うん」

ミカサ「……いたっ!?」ズキンッ

エレン「ミカサ!?」

ジャン「おい!?」

サシャ「どうしたんですか!?」

ミカサ「いや…なんか…ほっぺたが痛い…」

エレン「え?別に頬には傷も何も無いぞ…」

ミカサ「…」

サシャ「大丈夫ですか?」

ミカサ「…」

ミカサ「…今度こそ、私が守る……」ボソッ

ジャン「え?」

エレン「え?」

ミカサ「……え?」

サシャ「今、ミカサ何か言いました?」

ミカサ「え?何も言って無いけど…あれ、ほっぺたの痛み消えた…」

ジャン「…何だったんだろうな…」

エレン(今、私が守るって聞こえたような……気のせいか?)

ミカサ「きゃっ、滑った!」ズルンッ

サシャ「ミカサ、特に何も無い場所で滑らないでください!」

エレン(…気のせいだな。たぶん)

―――医務室

アルミン「あ~たたた……」

ヒストリア「まぁ、ちょっと安静にしてれば良くなるって言ってたし大丈夫だよ!」

アルミン「ああ…運んでくれてすまないね、ヒストリア」

ヒストリア「いやいや、お嫁として当然だよ…照れるなぁ」

アルミン「何を言ってるのかさっぱりだよ」

ヒストリア(…アニ、私に気を使ってくれたのかな……それにしてもやりすぎな気がするけど)

アルミン「…アニも、ライナーもベルトルトも表には出さないが内心ピリピリしてるからね…ちょっと力が入りすぎても仕方ない」

ヒストリア「え?」

アルミン「…三人とも、この前の件で自分の故郷と戦わなければいけない現実を突き付けられたからね。覚悟はしてただろうが…いざ実際に目の前で経験すればやはり戸惑うだろう」

ヒストリア「…確かに…そうだね」

アルミン「だから緊張をほぐしてあげようと思ってアルミンジョークを言ったんだが怒られてしまったよ、あははは!参ったねこりゃ」

ヒストリア「いちおう考えはあって言ったんだ」

アルミン「そりゃ僕は天才頭脳だからね!」

ヒストリア「天才頭脳ならその先の反応も予想すべきだと思うけどね」

アルミン「あははは!その通りだ!」

ヒストリア「とりあえずアニには謝っといた方がいいよ」

アルミン「ああ、そうしようか」

ヒストリア「なんか大変な事なっちゃったよねぇ…壁から巨人が出るって言うし。本当はちょっと怖いよ私」

アルミン「おお、ヒストリアの事だから『壁巨人上等!』とか言うと思ったよ」

ヒストリア「あはは!口ではそういうかも知れないけどやっぱ怖いよ!私だって乙女だからね!」

アルミン「あははは!!ところでヒストリア何でまだいるの?」

ヒストリア「…私もたまにアルミン蹴りたい時あるよ」

アルミン「…おっ、ヒストリア。外見てみなよ」

ヒストリア「え?」


アルミン「今日は月がよく見えるね…綺麗な満月だ」


ヒストリア「本当だ…綺麗」





アルミン「…」


ヒストリア「…」

―――外

ライナー「…」

ベルトルト「…」

アニ「…」

ライナー「はあ…覚悟はしてたつもりだが、やはりいざとなると…迷いが出ちまうな」

ベルトルト「うん…でも今更、後には退けないよ」

アニ「ああ、私達は同期の皆と一緒に戦うと決めた」

ライナー「わかってるさ……だが…ベリックも、何とか説得出来ないだろうか」

ベルトルト「無駄だよ、ベリックは意志が強いから絶対に曲げないだろう」

ライナー「やっぱりそうだよな」

アニ「…もしかしたら父さんや、ばあちゃんと戦わなきゃダメかも知れないんだ…」

ベルトルト「…家族とも敵対か…辛いな。でも僕達は自分でこの道を選んだんだ」

ライナー「そうだな。最後まで責任を果たすべきだ」

ベルトルト「…次、ベリックが攻めてきたら…僕に任せてくれ」

アニ「!」

ライナー「いいのか?お前が一番仲が良かったんだろう…」

ベルトルト「…正直まだ迷いがあるけど、やる。僕がやってみせる。あいつの巨人を相手をするには…同じくらいデカイ僕の超大型巨人でなきゃダメだ」

アニ「でも、ベリックの巨人は鎧のように全身が固い…超大型巨人で勝てるとは思えない」

ベルトルト「……それまでに僕が……」

ベルトルト「同じように巨人の肉体をを硬化させられるようになれば…勝てるかも知れない」

ライナー「!!」

―――

アルミン「…」

ヒストリア「…」

ヒストリア(はっ!しまった、月に見とれた!)

アルミン「…おっと、寝かけてた…」

ヒストリア「あはは、月綺麗だしちょうどいい温度だからね、今」

アルミン「そういえばさ、ちゃんと聞いてなかったけど…僕がアニに蹴られる前ね。僕に何か話があったの?悪いね」

ヒストリア「!」

ヒストリア「あ、あれね!まあ明日はいいんだけど…良かったら明後日にでも」

ジャン「おい、アルミン。晩飯持って来たぞ。ヒストリアの分も…」ガチャッ

アルミン「おっ、ありがとうジャン!三人で食べようじゃないか!!」

ヒストリア「…」

ジャン「ん、いいのか?」

アルミン「ああ、三人で食べた方が美味しいさ!ね、ヒストリア!」

ヒストリア「………」

ジャン(う、なんかヒストリアに睨まれ…)

ヒストリア「ジャンのバカヤローーー!!!」ドゴフッ

ジャン「ぐがががっ!!!」

アルミン「仲良しだなぁ!」

ジャン「ああ、わかった!邪魔して悪かった!!今すぐ帰るから!!」

ヒストリア「いや、帰らなくていいよ」ガシッ

ジャン「え?」

ヒストリア「私達、友達でしょ?」

ジャン「…」

アルミン「そうそう、仲良しこよしで一緒にディナーを行こうじゃないか!!」

ジャン「おっ、おう…」

ヒストリア「だからね、ジャン…」

ヒストリア「今日はたっぷりいじり倒してあげるから…だって友達ジャン?」ニヤァ

ジャン「うっわ、ゲスイ笑顔!!?やっぱ帰…」

ヒストリア「帰すかぁ!!」ガシッ

ジャン「うああっ!!捕まった!!」

アルミン「あははは!!」

ここからは暫く平和な感じで行きます
息抜きも兼ねて

―――

アルミン「ああ、楽しかった!」

ヒストリア「やっぱ仲良くご飯食べると美味しいね~」ズカズカ

ジャン(疲れた……)ヨロヨロ

エレン「お、アルミンもう大丈夫か?」

アルミン「あははは!そもそも医務室になんか行く必要もなかったけどね!!ねえ、ヒストリア!!」

ヒストリア「……」

ジャン「アルミン…お前な……どうして変なとこは鈍いんだよ…」

アニ「…アルミン。悪いね、力入れすぎて」

アルミン「ああ、いいよ!僕こそ調子に乗りすぎたね!!」

アニ「ん、いいよ…別に。好きに冗談言えばいいよ」

アルミン「おお、ありがとう!さすがアニは太っ腹だ!!」

アニ「…ヒストリア、せっかく二人きりにしてやったんだから何かあった?」

ヒストリア「ん?ああ…せっかくいいところだったのにジャンが来たから弄って遊んでた。まぁ楽しかったから別にいいかな!ありがとうね!!」

アニ「…まぁ、あんたらは今の方が見てて楽しいよ」

ヒストリア「飯食って満足したし…ユミル、サシャ、コニー!明日かくれんぼして遊ぼう!!」

サシャ「賛成です!!」

コニー「へっ、俺のかくれ技術を甘く見るなよ!!」

ユミル「そこでかくれんぼをして遊ぼうという発想になるのが凄いな」

ヒストリア「いいじゃん、いいじゃん!せっかくの休みなんだから遊ぼう!!」

ユミル「はあ…私はそんなガキじゃねぇよ…」

ヒストリア「だってぇ、今までかくれんぼなんてお姉ちゃんと二人でしかしたことないし…皆でやってみたいの!!」

ユミル「…ったく仕方ねぇな。相手してやるよ」

ヒストリア「やったーー!」

アルミン「ふっ…ヒストリアも元気満天でなによりだ。今の彼女なら、これからどんな苦難が来ても乗り越えられるだろう」

エレン「ああ」

ミカサ「うん」

アルミン「さて、僕らは久々に三人で外出と行こうじゃないかい!!!」

エレン「訓練生活でも途中からそれぞれ別の友人といる事が多かったからな」

ミカサ「みんな好きだけど…やっぱりこの三人が一番落ち着く」

アルミン「久しぶりに外の世界を語らいながら歩くとするかい!!!」

―――――翌日

アルミン「あーはっはっは!いい天気だ!!アルミン日和だね!!」

ミカサ「じゃあ、エレン日和とミカサ日和でもあるんだね!」

アルミン「そういう事だ!!」

エレン「ははは…どういう事だよ」

アルミン「さあ、まずはどこにレッツ&ゴーしようかいな!?」

ミカサ「クレープ食べたい」

エレン「目的地決めずにぶらぶらするのもいいんじゃないか?」

アルミン「そうだね、色々と探検しようじゃないか!!」

ミカサ「クレープ食べたい」

エレン「わかったよ、後で食いに行こうな?」

アルミン「ようし、みんなであそこまで走るぞ!」

エレン「おう、じゃあ行くぜ!」

ミカサ「私も負けないからね!」

アルミン「とりゃあああああ!!!」ダッダッダ

エレン「おおおおお!!!!!」シュダダダダダッ

ミカサ「わあん、早いよ~」トテトテトテ

アルミン「くっそぉ、エレン!本気出しすぎだぞ!」

エレン「ええ!?俺、半分くらいの力しか出してないぞ!?」

アルミン「むむ、じゃあ僕なんか半分くらいしか頭使ってないさ!!!」

エレン「対抗の仕方が訳わからねぇよ!!」

ミカサ「じゃあ私は、半分……半分……えっと…」

アルミン「ミカサ、無理に何か言おうとしなくていいんだぞ!」

エレン「…お、来てみろよ。ここの川…シガンシナで良く遊んでた川に似てるな」

アルミン「本当だね!何だか懐かしい気持ちになりそうな予感がなかなかにするよ!」

ミカサ「冷たくてきもちいい」パシャパシャ

エレン「……何だか変な感じだよな」

ミカサ「え?」

エレン「今は何もない普段通りの光景だけど…もうすぐそこの見えてる壁からも巨人が出てくる…」

アルミン「ああ、だからこそ僕らはそれを阻止しなくちゃならない!この美しき光景を守るためにね!!」

エレン「だな。ミカサも頑張ろうぜ」

ミカサ「うん!」

ミカサ「怖いけど……私も頑張る……」

エレン「おう」

ミカサ「……怖い……けど………こわ……」



ミカサ「」


エレン「って、おい!!急に硬直してどうした!?」

ミカサ「」

アルミン「大変だ!ミカサが思い出し気絶してしまった!!」

エレン「なんだそりゃ!?」

アルミン「壁の巨人を思い出して怖さのあまり気絶してしまったんだ!!立ったまま!!」

エレン「なんてユニークな気絶の仕方なんだ!!!」

ミカサ「は、思い出し気絶してた!」ビクッ

エレン「目の覚まし方までユニークだ!」

アルミン「おはよう、さあ遊びの続きをしようか!」

ミカサ「うん!」

エレン「ふっ…お前らといると飽きないぜ」

アルミン「あああ、草むらに寝転がるの気持ちいいなあ~」

エレン「そうだ、久しぶりに外の世界の話聞かせてくれよ」

アルミン「よし来た!!!」

ミカサ「聞こう聞こう!」

―――――

街の食堂

ヒストリア「ふいいい……みんなでかくれんぼした後のご飯は最高だねぇ、ユミル」

ユミル「オッサンみたいになってるぞ」

サシャ「おかわり!!」

コニー「おい、あんま食い過ぎるなよ…」

ライナー「いやあ、しかし俺達まで誘ってくれるとは嬉しいな」

ジャン「俺まで無理やり連れてきやがって…」

ヒストリア「本当はミカサと一緒に遊びたかったんだもんね…でもダメだよ三人の邪魔しちゃ」

ジャン「な、なんでミカサが出てくるんだよ、お前こら!」

ヒストリア「分かりやすい反応だねん」

???「お、クリスタじゃねぇか」

ヒストリア「んあっ!?私はヒストリ…」チラッ


ヒストリア「!!」

ユミル「てめぇは…」


ケニー「久しぶりだな…」


ライナー「あいつは!?」


ヒストリア「お前は!ケ、ケ………」



ヒストリア「ケンジ!!」ビシッ


ケニー「誰だよ!?」

ヒストリア「うっさい、あんたなんかケンジで充分だ!アッカ野郎!!」

ケニー「ふん、しばらく見ねぇ内にデカくなりやがって…いや、変わってねぇな。五年前から」

ヒストリア「うっわ!地味に馬鹿にしくさって!」

ライナー「ヒストリアは小さいから可愛いんだぞ!」バンッ

ベルトルト「ちょっと落ち着けライナー」

ユミル「…何しに来た?」

ケニー「おいおい、まるで俺がお前らに何かしに来たみたいな言い方だな…この食堂に来たらたまたまいただけだよ」

サシャ「本当でふか?ヒフホリアにへを出ひたらゆうひまへんよ」モグモグモグ

ケニー「…口の中のもん飲み込んでから喋れ」

ケニー「…しかし、もうすぐ大変な事が起こるってのに呑気な奴等だな」

ジャン「…壁の事か?」

ケニー「違うな。その前だ……まだ王政側は情報を隠してるだろうが、そのうちお前らも知ることになるだろう」

マルコ「なんだって?」

ケニー「ちなみに俺は、レイス家からは離れるつもりだ………もっと楽しそうなもんを見つけたからな」

ヒストリア「どうせ録なこっちゃ無いでしょ」

ケニー「ふっ……次またお前らと戦う時が楽しみだぜ。金髪小僧にも伝えときな」ザッザッザッ

カランカラン

ライナー「…帰ったか」

ヒストリア「…あ」

コニー「ん、どうした?」

ヒストリア「あいつ金払わずに出ていった!!!」

店員「あの、今のお客様の知り合いですか?お金の支払いの方は…」

ヒストリア「いやいや知りません!あんな人知りません!!」

―――

アルミン「海!海!海は意外と壁の近くにあるんだ!早く行きたいね!泳ぎたいね!」」

エレン「ついでに塩も取り放題だ!」

ミカサ「野菜にかけて食べる!!」

エレン(…俺が外の世界に憧れているのはクリスタの記憶の影響もあるのだろうか。いや、それでも外の世界に行きたいと思ってるのはきっと自分自身の意志だ)

エレン「全て終わらせたら…行けるはずだ。みんなで海を見よう」

ミカサ「うん!」

アルミン「ふう…話しすぎて喉が疲れたよ。飲み物欲しいね」

ミカサ「じゃあクレープ食べたい!」

エレン「ははは…」

―――――アルレルト兵団本部(訓練兵団空き部屋)

アルミン「はあ…楽しかった、満足じゃい!」

エレン「さて…ちょっと外に出てくるかな」

ミカサ「何しに行くの?」

エレン「時間があるうちに少しでも訓練しとかないとな…もっと強くならなければいけない」

アルミン「よし、僕も付き合おう!」

ミカサ「私も!」

アルミン「ジャンも来い!!」

ジャン「あ!?俺もかよ!?」ビクッ

アルミン「ああ!君だって大事な戦力なんだからもっと強くなってもらわなきゃ困る!!」

ジャン「わかったよ…付き合ってやる」

ズウウウウウンッ

アルミン「む、このサウンドは!」

ミカサ「あ、超大型巨人!」

超大型巨人「…」ズウウウウウンッ

ライナー「…やっぱダメか…」

アニ「みたいだね」

ジャン「よう、なにしてんだ?」

エレン「…巨人の特訓でもしてんのか?」

ライナー「ああ。硬化しようとしてるんだが…無理みたいだ」

ベルトルト「くっ…もう一度だ…」

アニ「ベルトルト、もうよしときな。体力もなくなって来てるし…夜とはいえ誰かに見られる可能性もある。また次にしよう」

ベルトルト「うん…」

アルミン「巨人の事に関してはさすがの僕もアドバイスの出しようがナッスィングだな…」

ライナー「ああ…俺達も全てを知ってる訳じゃないしな。だからこそ無理もよくない。今日は休めベルトルト」

ベルトルト「そうさせてもらうよ…」

ライナー「アニ、連れていってやれ」

アニ「ああ、いいよ。ベルトルト…行くよ」

ベルトルト「あ、う、うん」

ライナー「ふっ…」

エレン「あ、アニに格闘訓練してもらおうと思ってたのに…」

ライナー「まあまあ、俺が代わりに相手してやるさ」

アルミン「全くエレンは…ベルトルトだってたまにはアニと二人になりたいだろ?」

エレン「え?」

アルミン「エレンはこういう話になると鈍いよね!!」

ミカサ「それはアルミンが言うべきじゃない」

ジャン「ああ、本当にそうだな」

エレン「よし、じゃあ格闘訓練に付き合ってくれ…巨人での格闘戦にもいかせるはずだ」

ライナー「ああ、かかってこい!」

ビシュッ ビシュッ!!
シュバババババッ!!!

アルミン「おお、二人ともすごい動きだ!特にエレンなんか格闘術だけに関してはもうちょい行けばリヴァイ兵長クラスじゃないか!?」

ジャン(ああ、もう…エレンには勝てる気しねぇよ…)

ミカサ「かっこいい」

エレン「うおおおお!!」シュバババババッ

ライナー「タックルだあ!!」ダダダダッ

アルミン「よし、ジャン!僕らも特訓だ!立体機動の!」

ジャン「おう、格闘術はいいのか?」

アルミン「んなの僕とミカサが訓練したとこで意味ないよ!それなら立体機動の訓練した方がいいさ!成績のいい君に期待している、頼むよ!!」

ミカサ「ジャンの立体機動は凄いから教えて欲しい」

ジャン「お、おう、そうか?なら教えてやってもいいが……その、俺の立体機動はかっこいいと思うか?」

ミカサ「うん、凄いと思う!」

ジャン(かっこいいとは言ってくれないんだな…)

サシャ「…ライナーとエレン達まだ帰って無いんですか?」

コニー「いや、外で訓練してたぜ?」

ユミル「昼間は遊んで夜は特訓か…元気な奴等だな」

ヒストリア「…スー…スー…」

サシャ「あら、ヒストリア寝ちゃってますね」

コニー「おう、いっぱい遊んだからな」

ユミル「ったく、ちょっと寝かせてくる」

ヒストリア「…スー…」

ユミル(なんて幸せそうな面で寝てんだ…)

ユミル「さて、布団に寝かせたし戻るか…」

ヒストリア「んん…待ってぇ…」ギュウ

ユミル「うおっ!?」

ヒストリア「…スー…スー…」

ユミル「ビックリした…寝言か…」

ヒストリア「…スー…まだ……もう少し…行かないで……スー…」ギュウ

ユミル「…」

ユミル(もう少しいてやるか…)


ビュンッ ビュンッ

アルミン「うおおっと、危ない!!!」

ジャン「アルミン!そんなんじゃダメだ!頭が良くても体が付いてこなきゃ意味ねぇんだぞ!!」

アルミン「うおおおっし!!!」

ミカサ「やーっ!」ヒューン

ジャン「ミカサ、もっと力入れろ!まだ躊躇してる感じがあるぞ!」

ミカサ「うう…」

ジャン(ぐぐっ…ミカサにキツく言うのは辛いが、ミカサの為だ…)

―――2週間後

アルミン「おっはよー!みんな!!」

エレン「おう、おはよう!」

ミカサ「おはよー」

コニー「へっ、おはようだぜ!」

サシャ「おはようございます!」

ヒストリア「おはようの連鎖!!」

ライナー「ははは、朝から元気だな」

マルコ「大変だーっ!!!みんな!今日の新聞を見てくれ!!」バタバタ

アルミン「お、マルコ!なんだか久しぶりボット!!」

マルコ「んな事言ってる場合じゃないんだ!!」バサッ

ジャン「そんな騒ぐような事があるのか?」

マルコ「これは大事件だよ!!」

アルミン「ええっと………調査兵団、王政へクーデターを起こし成功する……エルヴィン団長が実権を握る事になった…………」

アルミン「ふぁっ!?」

エレン「ふぉっ!?」

ミカサ「ふぇっ!?」

ジャン「…アルミン、お前…エルヴィン団長から何も聞かされてなかったか?」

アルミン「ああ…何も知らなかった……ただ、2週間ほど僕達は休めばいいと言ってたけど………」

ユミル「他にもなんだか物騒な事が書いてあるな……クーデターに反対していた駐屯兵団のドット・ピクシス、憲兵団のナイル・ドークを捕まえ、一週間後に公開処刑だとよ……」

エレン「おいおい、いくらなんでもこれは嘘じゃねぇか?確かにエルヴィン団長は恐ろしい時もあるが……それは人類の存続の為だ。人格が狂ってる訳じゃない」

アルミン「わかってるよ…だから、半分は嘘だと思う」

エレン「半分?」

アニ「…アルミン、サシャの親父さんが来てるよ」

サシャ「え!?」

アルミン「お、ちょうどいいところに!何か知ってるかも!!」

サシャ父「おい!!」バタンッ

アルミン「あ、おじさん!グッモーニ…」

サシャ父「ありゃどういうこっちゃ!?」グイッ

アルミン「ひょわっつ!!?」

サシャ「お父さん……どうしたん…」

サシャ父「わしゃあんな話聞いとらんぞ!?クーデターを手伝ってはやったが…あんなのは望んどらん!ただの独裁やないかオラッ!!!」

アルミン「待った待った落ち着いて!!天才明晰最強頭脳の僕にも何がなんだかさっぱりだ!!!」

サシャ父「…あ?」

エレン「俺達もこの事は今初めて知ったんですよ」

サシャ父「なに?」

サシャ父「………なんや…ワシはエルヴィン団長から手伝って欲しい言われたから…すっかりお前らが関わってるんかと思っとったわ」

サシャ「私らは何も知らへんよ」

コニー「おう、知らへんな」

ヒストリア「知らへんね」

エレン「…なんでエルヴィン団長は、ダウパー村の人が俺らに協力してるの知ってるんだ?」

アルミン「僕が話したからね」

アルミン「……それと…まだ聞きたい事があります。いくら調査兵団でも、中央を潰すには早すぎじゃないですかね…奴等には戦闘部隊もいますし」

サシャ父「ああ…まぁ、対人制圧部隊はお前らが半壊させたから問題じゃなかったんだが……それより上の戦闘部隊がいる事を知ってるか?」

エレン「…アッカーマン部隊ですか」

サシャ父「そいつらと、とケニーっちゅう男が少し前にレイス家から消えたらしい」

アルミン「消えた!?」

ヒストリア「…あ、そういえば…」


―――俺はレイス家を離れる。もっと楽しそうなもんを見つけたからな

ヒストリア「……ケニーは、何か企んでるんだ……」

アルミン「…まぁ、いなくなった奴を気にしても仕方ない。もう少しクーデターについて教えてください」

サシャ父「………ワシが知ってるのも…その新聞に書いてある範囲だけや」

アルミン(…知ってるな、この人)

アルミン「わかりました、後は僕達で何とかします…」

サシャ父「そうか……ワシも少し用事があるからそろそろ帰るわ」

サシャ「気をつけてね、お父さん」

サシャ父「おお。お前もな」

アルミン「………」

ミカサ「あ、アルミンが思考モードに入った!!」

エレン「お、何かわかったのか!?」

アルミン「そうだね。もう少し新聞見せてプリーズ」キリッ

ヒストリア「はい、どうぞ」

アルミン「えっと……たぶんエルヴィン団長はこの世界の事実を発表する気だろうね……」

ジャン「だが、そんな事をしてどうなるんだ…余計混乱するだけだろう」

アルミン「…いま、この壁の最高権力者は実質エルヴィン団長になった。だからこの新聞も調査兵団が作ったものかも知れない……」

アルミン「…この新聞に書かれてるエルヴィン団長の絵、見てみなよ」

ミカサ「上手な絵だね」

エレン「いや、アルミンが言いたいのはそれじゃないだろ」

アルミン「この絵の団長…右手がついてるよ。巨人に食べられたのに」

ヒストリア「あ、本当だ」

ジャン「だが…それがどうした?別に絵だし不思議とは思わないんだが…」

アルミン「………腕が再生なんて巨人だよね…」

ライナー「…何が言いたいんだ?」

アルミン「…」



ピキュリリリィィィンッ!!!

アルミン「そうか!わかった!!」

ミカサ「なに今の効果音」

アルミン「確かにこれは…僕らにしか出来ない仕事だ!!」

エレン「なんだなんだ?教えてくれよ」

アルミン「それは出来ない」

ライナー「なんでだ!?」

アルミン「僕だけがわかったから意味があるんだ!君らは知る必要など無し!ナッスィング!ナッスィング!!」

ユミル「なんで二回言ったんだよ」

アルミン「とにかく…今は、調査兵団は敵だ…だからぶっ潰す。それだけ考えとけばいい」

エレン「いきなり言われてもよ……」

ミカサ「…」オロオロ

アルミン「心配するな!僕を信じろっ!!!」ドオオオッ

アルミン「まぁ、作戦はまた明日発表する。エレン、ライナー、ベルトルト、アニ、ユミル…君ら巨人組は後で話がある」

エレン「おう」

ミカサ「私も参加していい?」

アルミン「だめ!絶対だめ!」

ライナー「全くついていけねぇよ…」

アルミン「とにかく調査兵団は敵!今はそれだけ頭に入れろ!!」

アルミン「………と、後はヒストリア。君が一番大事なんだが…」

ヒストリア「だ、大事だなんてそんな…///」

ユミル「おい」

アルミン「君は後でキツい猛特訓を受けてもらうよ」ポンッ

ヒストリア「へ?なんで?」


アルミン「君は………」


アルミン「リヴァイ兵士長と戦ってもらう事になるからね」


ヒストリア「………」





ヒストリア「はいっっっ!?!?!?」

コニー「マジかよ、すげぇなヒストリア!」

サシャ「頑張ってくださいね!」

ミカサ「応援してる」

ヒストリア「んな、お気楽に言ってくれるわ!!!」

アルミン「大丈夫、1週間のあいだ僕とジャンとエレンとライナーとアニでみっちりがっつり特訓してやるさ!!!」ドオオオッ

ヒストリア「いやいや、無理無理無理!!1週間の特訓で勝つとか無理無理!!」

アルミン「無理じゃない!やれ!!!」ドオオオッ

ヒストリア「やだやだ怖いよー!!!なんでリヴァイ兵長と戦わなきゃいけないのー!!!」バタバタ

アルミン「戦えばわかる!!とにかくやってもらうからな!!だいたい怖がるなんてヒストリアらしくないぞ!!」ドオオオッ

ヒストリア「いくら私でもリヴァイ兵長と戦うなんて怖いよ!!!」

ライナー「…いや、アルミン…確かにリヴァイ兵長と戦わなきゃいけない理由くらいは説明してやった方が……」

アルミン「んなの敵だからだよ」

エレン「そもそも調査兵団が敵になった理由もよくわからん!あまりに急すぎる!!」

アルミン「うん、それでいいよ。やれば分かるから」

ユミル「…まぁ、私はなんとなく分かってるが……」

エレン「なに!じゃあ教えろ!!」

ユミル「さあな」

アルミン「まぁ…1つだけ信じて欲しい。必ず死人は出ない……僕らも調査兵団も他の人達もね」

エレン「…わかった。信じるぜ」

ヒストリア「…まあ、アルミンの頼みなら私も信じて特訓しようかな」

アルミン「ああ。とりあえず、僕らの今後の目的は調査兵団に捕らえられた反対派が処刑される前に救出する事だ」

ヒストリア「…」

アルミン「調査兵団の今後の動きはまた新聞で伝わってくるはずだ。それを元に作戦も考える。とりあえず今日は解散!!!」



―――突如アルレルト兵団に伝えられた、調査兵団の謎の過激な行動…

彼等は困惑しながらも、何かに気付いたアルミンを信じ調査兵団との戦いの準備を進めて行った

―――

エルヴィン「…すまないな、二人とも」

????「構わん…エルヴィンを信じて自分からした事じゃからな」

???「…アルレルト兵団にはしっかり情報は伝わっているんだろうな」

エルヴィン「ああ。アルミンなら気づくはずだ」

エルヴィン「……まずは人類を1つにしなければならん。そのためなら私は悪魔と呼ばれよう」

―――

???「…ケニー…嬉しいよ。僕達の交渉に応じてくれるとはね」

ケニー「ああ。あんたらの目指す世界こそ………俺の夢見る世界だからな」



ケニー「人類の敵になるのも悪くない」ガチャッ

―――
ロッド「なんてことだ……調査兵団がここまでやるとは……」

部下「レイス卿、どうします…」

ロッド「………」


ロッド「ああ……そうだ、きっと………今までの罰が当たったんだ……」

部下「…あの…どうなされました?」


ロッド「ヒストリア!お父さんの元に戻ってきてくれぇ!」

部下「レイス卿!?落ち着いてください…」



最終章へ続く


このスレだけでは全て書けないのでいったんここで終わりにします。

続きはまた新しいスレで

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