男「これで一生…あなたと……」(20)


男「あ、女さん」

女「んお、男くんじゃん! おはよー」

男「おはよ! きょ、今日も寒いね」

女「だねだねー、もう2月だもんねえ」

男「あのさ……良かったら一緒に学校行かない?」

女「そりゃそうでしょうよ!」

男「うおあ、ありがとう」

女「え?」

男「あれ、なんか変なこと言ったかな?」

女「いやあ、なんでお礼言ってるのかなあって」

男「えっ」

女「あ!そうだそうだ、私お昼ご飯買わなきゃいけないからロンソー寄っていい?」

男「ああ、うん。いいよ」

女「男くんってロンソー派?イレブン派?」

男「あーえっと、僕もロンソー派!」

女「おお!奇遇ですなあ」

男「だね。僕も何か温かい飲み物でも買おう」

男「(家の近くにあるから基本的にイレブンしか使わないんだけど……いいか)」

女「んっとねー、今日のロンソーは確かお茶と水が半額だよ!ギンギンに冷えてるよ!」

男「(ギ……?)」

テロリンテロリン♪
女「お待たせー!」

男「ううん、何買ったの?」

女「うどん」

男「うどん?」

女「うどん」

男「そ、そっか……」

女「ぶっちゃけ麺類しか昼は食べたくなかったりする」

男「こだわり?」

女「ううん、死ぬほど麺類が好きなだけだよ」

男「もうすぐ卒業だね」

女「うんうん、残すところあと数週間……」

女「あとちょっとしたらなかなか会えなくなっちゃうね」

女「寂しいなあ」ボソッ

男「!?!」

男「そ、そうだね……!!」

男「(さ、寂しいのか!?女さんは僕と会えないのが……!)」

男「お、女さん関西に就職するんだっけ?」

女「うん、中学校の時に関西に住んでて……」

女「あれ、私就職のこと言ったっけ?」

男「…………あ」

男「い、いや、これは!違う、んだ!」

男「友がみんなの進路に興味深々でね!それでその」

女「ほほう……」

男「……うぐ」

男「(や、やってしまったか……?)」

昼休み
男「…………」ポケー

友「おーっす!飯食おうぜ」

男「…………」ポケー

男「……あっ、友か」

友「なんだなんだ……悩み事でもあんのか?」

男「んーっというかそのあー……」

友「さては……例の女さんのことだろ?」

男「ち、違うよ!」

友「図星だな」

男「…………」

友「まあでもわからなくもないがな」

友「俺達はもうすぐ卒業だしな」

男「うん……」

友「……んまあ、そうだな。もっとしゃきっとしろよ」

男「え?」

友「お前はなよなよしてるの直せばかなりいけると思うぞ」

男「なよなよ?」

友「うむ、なんつうか女々しいんだよな」

男「うおお……」

友「お前はもっと自信をもってしゃきっとしろ!」

男「自信って言われてもなあ……」

友「思い出しても見ろ。女さんが1年の時に引っ越してきてからえっと……何人だっけ、6人?」

男「8人だ」

友「そう、8人も告白して撃沈してんだ」

友「ひょっとしたらお前を待ってるのかもしれんぞ?」

男「いやいや……さすがに」

友「でもさ、お前結構すげえんだぞ?自覚ねえのかよ」

男「え?」

友「まず第一に(会えた日限定だけど)一緒に通学してるだろ?」

男「んまあ」

友「それに、(名字がたまたま似てるからだけど)下の名前で呼び合ってると来た!」

男「うん」

友「部活やってたころは(業務連絡でほんの数秒だけど)何度も電話してただろ?」

男「そういえば」

友「自信持て!どう考えてもお前のこと好きだって!」

友「(この励まし何回やったっけ)」

男「ちょっと自信ついたかもしれないぞ!」

友「おっしゃあ!んじゃあ女さんを飯に誘って来い!」

男「おう!やってやるぞ!」

タッタッタ

友「…………」

友「ふっ……」

友「うまくやれよ……」


男「ただいま」

友「おい」

男「いやあ、やっぱいきなり行くのもあれかなあと思ってさ」

友「あのなあ……」

男「今日の放課後にでも誘って明日の昼ご飯を誘うよ!」

友「善は急げ」

男「急がば回れ」

友「一寸先は闇」

男「石の上にも三年」

友「いや、それは違うだろ」

友「ってか三年だよ俺達」

男「あ……」

また来ます

***

男「さて、帰ろうかなっと」

男「女さん暇してるかなあ?」


男子生徒「……!……!」

女「……、……。……」

男子生徒「…………!…………。」


男「あれ?何、話してるんだろう?」


男子生徒「…………っ!」ダッ


男「なんだろう……?」

女「おやおや、男クンじゃあないかっ!」

男「あ、女さん!さっきのは?」

女「んー、なんか私のことが好きなんだとかなんとか」

男「(告白……!)」

女「まったく物好きな人もいたもんだよねー」

男「も、のも、もの好きなんかじゃないと思うよ」

女「野茂?」

男「いや、そのそれでさっきの男の子は?」

女「私は友達として好きだってばよって言っておいたんだけど」

男「うん」

女「このわからずやっ!!!!」

男「!?!?!」

女「……って言われた」

男「ああ……びっくりした」

女「まあでも他に言ってあげられる言葉も無かったからねえ」

男「まあ……そうだよね」

女「恋愛対象としては見れない人は見れないし!」

男「(僕はどっちなんだろうか)」

女「でも、はっきりそう言っちゃったら傷つけちゃう……よね」

男「女さん……」

女「はっはー、フっちゃったよー……」

男「……女さん?」

女「今、私人を傷つけちゃったんだなあって思うと……さ」

男「(それでなんとなく気分が悪そうなのか……)」

女「さて、じゃあ私は帰ろうかなっ」

男「あ、あのっよかったら」

女「ごめん」

女「今日は、あの男の子のことへの罪悪感抱いてたいんだよね」

女「私は彼を傷つけた、からさ」

男「……」

女「ははっ、『変人かよ!』って思うよな!私もそう思う!」

男「いや、そんなつもりは……」

女「無理すんなってばよ」

男「無理してるのはそっちじゃ……」

女「……っ!」

女「じゃ、じゃあ!帰るから!」ダダッ

男「あっ……」

男「女さん……」


男「(正直、告白してきたのを振ったことに罪悪感を抱いているなんて、)」

男「(普通だ、とは思ってなかった……)」

男「(…………)」

男「(けど……きっと彼女は……)」

男「(ちょっとだけ珍しいって言うか)」

男「(うーん、うまく言えないけど)」

男「(きっと彼女は『優しい』んだと思う」

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