セイラ「周りが皆ボケばっかりでツッコミ疲れた……」蘭「わかる」 (58)




――――TV TKY:控室にて



セイラ「そっちもか?紫吹蘭」


蘭「ああ、他にできるやつもいないし……結局私一人でツッコミをするはめに……うちって天然が多いしな……」


セイラ「天然か……うちもだ。ああでも、霧矢あおいは?ツッコミやってくれてないのか?」


蘭「あおいは――やってくれる時もあるが、ボケ側にまわることが多いしな……他にもしおん辺りがツッコミしてくれる時はあるんだが――」


セイラ「だが……?」キョトン





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蘭「いかんせん、ドラマの撮影とかで学園を離れてることが多いしな……」


セイラ「ああ……ドラマなんかは一度オーディションに合格すると、しばらくスケジュールに自由効かなくなるしな……今度また『イケナイ警視総監』に出るんだっけ?」


蘭「あのドラマも『現場の刑事』と『警察上層部』二つの視点で描くようになって、世界観の深みが増したよな~」


セイラ「うん、私も毎回楽しみに見てるし!」


蘭「まあ、私の方はいいとして……そっちこそ、風沢そらなんてしっかりしているし、セイラのサポートをしてくないのか?」


セイラ「そらは……ああ見えて一番何をしでかすかわからないからな……」


蘭「そうなのか……」




セイラ「ああ、それがこの間のクールエンジェルスなんて特に……」


蘭「えっ、もしかしてあの自由奔放すぎる『凄腕のブレイン』役って演技じゃなくて素なのか……?」


セイラ「そうだぞ?他にも――」


ガチャッ


いちご「おっ待たせ~!」


きい「ごっめ~んセイラ、待たせちゃった?」


セイラ「ああ、きい。いいや、全然待ってないぞ」ニコッ


あおい「蘭もゴメンネ~共同フェスの打ち合わせ、私達だけ遅れちゃって……」


蘭「セイラが一緒だったからな、退屈しなかったよ……」


いちご「二人で何の話をしてたの?」


セイラ「ええっと……」


蘭「……別にいいんじゃないか?話しても」


いちご「……?」


セイラ「ああ、実は……」




あおい「なるほど……ツッコミか……」


いちご「ねえあおい、『ツッコミ』って『ボケとツッコミ』の『ツッコミ』のこと?」


あおい「え?うん、そうだけど……」


いちご「……蘭、お笑い芸人さんになるの?」


蘭「何でそうなる……」ガクッ


あおい「あはは……」


きい「セイラ……私達と一緒にいるの嫌になっちゃった……?」


セイラ「いやいやいや、そういうわけじゃなくてだな……」


蘭「ツッコミ役が少ないから、私達の負担が大きいなって話をしていただけだよ」


きい「そっか~良かった~」パアァ


セイラ「きいのこと、嫌いになるわけ無いだろう?」


きい「セイラ……」


あおい「相変わらず仲が良いわね、二人とも」




いちご「ねえ、ツッコミってやらなくちゃいけないものなの?」


蘭「ん~まぁ、やらなくちゃダメってわけじゃないんだが……」


あおい「ツッコミには、会話を円滑に進める効果があるからね」


いちご「……?」キョトン


あおい「う~んと、例えば――いちごがおとめちゃんと『どこか美味しいスイーツのお店に行こう』って話をしてて、結局何も決まらずに時間が過ぎちゃったってことはない?」


いちご「うんうん、あるある!」ブンブン


あおい「それはいちごもおとめちゃんもどっちもボケ属性だから。ボケの人だけだと話が進まないからね」




いちご「私ってボケ属性?」


蘭「お前がボケ側じゃなきゃ誰がボケになるんだ……」


あおい「それで、そんな所に蘭みたいな人がいると、間違ってることを指摘してくれたり、話が脱線しそうな所を修正してくれるでしょ?そういった意味でも、会話術においてツッコミは重要なの!」


いちご「う~ん、難しいんだね……」


蘭「…………」ジー


あおい「蘭?」




蘭「そこまでわかっていながら……」ゴゴゴ


あおい「どうしたの?目が怖いけど……」アセアセッ


蘭「どうしてお前はツッコむ側にまわってくれないんだ!?お前までボケにまわられると、ツッコミが追いつかないんだよ!!」ガーッ


あおい「ええっとそれは……その場のノリ?」


蘭「~~もういいっ!今度のあおいへの差し入れは熱々のおでんにしてやるから!!」


あおい「ええっ!?熱いの苦手なんだって~勘弁してよ蘭~また魚の骨取ってあげるからさ~」


蘭「それは自分で取れるからいい!!」


セイラ「……仲が良いな、スターライト勢は」


きい「フムフム、あおいちゃんは熱いものが苦手で、蘭ちゃんは魚の骨を取るのが苦手なのか~後でパソくんに入力しておかないと!」


セイラ「……ブレないな、きいも」




あおい「――で、結局二人としてはどうしたいわけ?」


蘭「これを機に、レベルアップしていけたらなと思う……」


セイラ「そうだな、ツッコミに疲れを感じるのは実力不足の証拠だ。実力が不足しているなら――」


蘭「特訓して補えばいい!」


セイラ「ああ。アイ!カツ!!」グッ


いちご「おお~さすが二人とも、プロ意識が高い!」パチパチ


あおい(別にツッコミのプロを目指してるわけじゃないんだろうけど……)


あおい「でもこれってアイカツなのかな――ってごめん、つい二人の持ちネタをっ」////


蘭・セイラ「「いやいや、持ちネタじゃないから……」」




きい「でもでもでっも~、二人ともどうやって特訓するの?」


蘭「それは……」


セイラ「どうしよう……」


一同「「「う~ん……」」」


あおい「……いっそのこと、ちょっとの間お互いの学校に通って、いつもと違ったメンバーと触れ合ってみるとか……」


蘭「いやそれはさすがに……」


ティアラ「良いわね~それ!!」ヒョコッ


セイラ「ティ、ティアラ学園長!?」


きい「来てたんですか!?」




ティアラ「話は聞かせてもらったわ!ちょっと待っててね……」ピッ


蘭「えっ、まさか……」


ティアラ「あ、織姫学園長?突然すみません~実はですね……」


あおい「早速電話してる……」


セイラ「いやでもさすがに無理なんじゃ……」


ティアラ「はい、はい、ありがとうございます!それでは~」ピッ


ティアラ「よし!二人とも、織姫学園長の許可ももらえたわよ!!」


一同「「「えぇ~っ!?」」」




きい「すっご~い、ホントにOKもらっちゃった!?」


蘭「でもそんなことして大丈夫なのか?一応ライバル校だし……ドリアカ的にはどうなんだ?」


セイラ「ん~うちの学校じゃ、普段から外部の人に機材やトレーニングマシーンの貸出ししてるし、それの延長ってことで……」


蘭「自分を機材と同じ扱いにするなって……」


あおい「まぁ『夢と情熱があれば誰でもアイドルになれる』がドリアカの理念だしね!問題ないんじゃない?」


きい「もちろん、外部の人がレンタルする時は使用料をもらってるみたいだけどね。あ、でもでもでっも~、パソくんは特別製だからダメだけど!」




セイラ「そう言うスターライト的にはどうなんだ?『選ばれし者だけが入れる狭き門』っていうスターライト学園の理念に反してるんじゃ……?」


蘭「そうなんだが……うちの学園長、生徒に試練を与えるの好きだからな……」


いちご「うん!次はどんな事させられるんだろう?ってわくわくするよね?」


あおい「無茶ぶりじゃない分にはね……」


蘭「そういえば、この間ジョニーがセイラたちにレッスンしてたのはどういう扱いなんだろうな?」ヒソヒソ


あおい「あの時はジョニー先生が『学園の教師』としてじゃなく個人的にレッスンしたってことなんじゃない?わからないけど……」ヒソヒソ




ティアラ「よし、それじゃ日程とか細かいことが決まったら教えるね、バイバイ~」


バタンッ


蘭「……嵐のように来て」


セイラ「嵐のように去っていったな……」


あおい「ははは……穏やかじゃないわね……」





――――数日後:スターライト学園



セイラ「……というわけで、早速こっちの学校に来たわけだが……」


いちご「どうしたの?セイラちゃん」


セイラ「わざわざ制服までこっちのを着なくても良かったんじゃないか?」


あおい「そう?似合ってるわよ♪レアショットゲット!」パシャッ


セイラ「そ、そうか?……いや、でもよくこんなに早く制服を用意出来たな……」


あおい「ああそれ蘭の制服だから」


セイラ「えっ?そうなのか!?」


いちご「蘭にはセイラちゃんの制服を貸してあるよ」


セイラ「いつの間に……いやまぁいいんだけどさ……」


あおい「まぁ細かいことは抜きにして、早速体験入学行ってみよ~」


いちご「お~!」


セイラ「お、お~……」





――――数時間後



あおい「……と、まぁだいたいこんな感じで毎日授業受けてるわけだけど、どうだった?」


セイラ「前にジョニー先生のレッスンは受けたことはあるけど、ドリアカと違って機械やパソコンは少ないんだな……」


あおい「さすがにドリアカと比べちゃうとアナログかもね……その分、講師の先生が個々人に合ったレッスンをしてくれるのが強み」


セイラ「そうなのか……?」


あおい「反面、講師の先生も人間だから、一度に見れる人数には限界があるし、休日・休憩中はレッスン受けられないっていう欠点もある」


セイラ「機械は疲れ知らずだしな……」




いちご「でも、ジョニー先生は、前に何十人の生徒のレッスンをした後でも元気だったよ?」


あおい「あの人は……まぁ例外として」


セイラ「……でも、あんまりツッコミの特訓にはつながらなそうだな……」


あおい「そこはまぁ……対外的には『一日だけの交換入学』ってことになってるからねぇ。授業はきちんと受けないと」


セイラ(ジョニー先生には何度かツッコミ入れたくなった場面合ったけど……)


あおい「でも折角放課後になったんだしこれから――と、丁度良い所に練習相手が!」


セイラ「練習相手って……」




ユリカ「あら、貴方達……」テクテク


セイラ「藤堂ユリカ?」


いちご「ユリカちゃん!こんにちは」


ユリカ「ごきげんよう……って、何で音城セイラがここに?しかもその格好……」


いちご「うん、実はね……」





ユリカ「ふうん、そんなことが……ま、同じクール系ブランドを愛する者として仲良くしましょう」スッ


セイラ「ああ、よろしく!」ガシッ


ユリカ「フフフ……いつか『ロリゴシック』と『スイングロック』のドレスで、一緒にロックフェスを開きたいものね……」


セイラ「ああ!」


あおい「ぶ~ぶ~、いいな~セイラちゃん、私も同じクール系ブランドを愛するものなのに、ユリカ様に誘われたことない……」


ユリカ「あ、貴方の『フューチャリングガール』はキラキラしたドレスが多くて、崇高なる吸血鬼のイメージにそぐわないんですもの……」




あおい「え~でも前にエンジェリーシュガーのドレス着た時は……ほら、こんなに似合ってたのに~」ピッ


セイラ「あ、可愛い……」


ユリカ「ちょっ!?いつの間に撮ったの!?恥ずかしいからやめなさい!血を吸うわよ!!」////


あおい「是非お願いします!!」


ユリカ「くっ……貴方、お目付け役がいないとやりたい放題ね……」


いちご「お目付け役?」


ユリカ「蘭のことよ!まったく……」




セイラ「……なぁ、この人どっちかって言うとツッコミ側の人間なんじゃ……」


あおい「おっかしいな……ユリカ様、いつもみたいにもっとボケてもいいんだよ?」


ユリカ「別にいつもボケてるわけじゃないわよっ!!」ガーッ


セイラ「ハハハ……」


あおい「…………とまあこんな具合に、積極的にボケる人に対して、全力でツッコんでも暖簾に腕押しなので、ある程度力を抜いて対処することをおすすめします!」


セイラ「えっ、何?練習用の演技だったの?今の……」


ユリカ「え……演技じゃ……ない……」ゼエゼエ




しおん「あなた達、いつも賑やかね……」


いちご「しおんちゃん!」


あおい「しおんちゃん!?ちょうど良かった、これから……ってその荷物、これから撮影?」


しおん「ええ。天気待ちで撮り残しの有ったドラマのね……って、音城セイラが何でここに?」


セイラ「ああ、実は……」





しおん「ふうん、ツッコミのね……」


セイラ「ああ、ここに来れば何か掴めると思って……」


しおん「……」ジッ


セイラ「……」ジー


しおん「……」スッ


セイラ「……」スッ


ガシッ


いちご「……何で二人とも無言で固い握手を交わしてるの?」


あおい「さぁ……何か通じるものが有ったんじゃない?」




あおい「でも残念だな。これからぽわプリの所に行って話を聞こうと思ったのに……」


しおん「……おとめちゃんとさくらちゃんならいないわよ?」


いちご「えっ?じゃあどこに……?」


しおん「…………ドリームアカデミーに行くって」


三人「「「ええ~っ!?」」」





――――同日:ドリームアカデミー


蘭「……着慣れない制服着てると、何だか落ち着かないな」


きい「そう?サイズ合わなかった?」


蘭「いや、そういうわけじゃないんだが、でもこの制服はどこから……」


きい「ああ、それはセイラのだよ」


蘭「えっ?そうなのか!?」


きい「ふふふっ、なんか向こうでも同じやり取りしてそう♪」


きい「それじゃあ早速、一日限りの体験入学へ、レッツらゴー!!とりあえずアイドルコースでいいんだよね?」


蘭「ああ、よろしく頼む」






――――数時間後



きい「よし、次はデザイナーコースに行ってみよ~!」


蘭「ああ……しかし、改めて見ると、専攻コースが沢山あるのは凄いな」


きい「そう?」


蘭「きいみたいにコースの掛け持ちをしていると大変じゃないか?」


きい「確かに覚えることは沢山あるし、自分とセイラの二人分のプロデュースをしなくちゃいけないんだけど、やりがいはあるよ?」


蘭「そんなもんか?」


きい「うん!それにそれにそれに~、モデルにライブにファッションショーにといろいろ活躍している蘭ちゃんのほうが凄いと思うな!!」


蘭「あはは……そうかな?」




きい「あ、コースの掛け持ちしている生徒がもうひとりソコに。お~い、そら~っ」


そら「あら、きいに蘭ちゃん。デザイナーコースにようこそ」


きい「フフフ、実はね~セイラと蘭ちゃんの制服を交換してみようって言い出したのはそらのアイディアなんだ~」


蘭「えっ、そうだったのか!?」


そら「身長はともかく、二人とも似た体格だから大丈夫だと思ったんだ。蘭ちゃんって、身長の割にスリムだし」


蘭「ま、まぁ一応モデルもやってるしな……」


きい「それにそれにそれに~黒も似合うよね、蘭ちゃんって」


蘭「そ、そう言ってもらえると嬉しいよ……ハハ……」


蘭(こっちだと皆『ちゃん付け』で呼んでくるから調子狂うな……)


マリア「蘭ちゃ~ん、みんな~。お待たせ~」パタパタ


そら「マリア!」パアァ


蘭(また『ちゃん付け』する奴が増えた……)




きい「よし、皆揃ったことだし、早速始めますか!」


蘭「始めるって……何をだ?」


そら「折角蘭ちゃんに来てもらったんだし、蘭ちゃんにアクセサリーを作ってプレゼントしようかと思って」


マリア「きいちゃんに蘭ちゃんの好きなモノを調べてもらって、それを取り入れたものをつくろうかなって」


蘭「へ~何だか申し訳ないな……」


蘭(私の好きなモノか~ブランドに合わせたバタフライモチーフの何かかな?楽しみだ)




そら「マリア、頼んでいたものは用意出来た?」


マリア「うん!これだけあれば充分かな?」ガサガサ


ゴトッ


蘭「……」


きい「……?」


そら「…………?」


マリア「………………?」


蘭「……………………何故にワカメ?」




そら「えっ?だって蘭ちゃんってワカメが好きなんじゃ……きい?」


きい「あれあれあっれ~っ?!パソくんの情報が間違ってるはずないんだけどな~」


蘭「いやいやいやいや、あくまでも食べるのが好きなのであって……」


マリア「ご、ごめんね。私、山の幸は詳しいけど、海の幸は詳しくなくて……」


蘭「確かにワカメはもっと色ツヤの有る方が……ってそうじゃなくてだな!」


きい(おお、蘭ちゃんのノリツッコミ、初めて見たかも……セイラはよくやってるけど)




そら「――と、冗談はここまでにして」


マリア「ええっ、冗談だったの!?」ガーン


蘭「知らされてなかったのか!?」


そら「本当は蘭ちゃんに美味しい料理を振る舞おうと思って。もちろん、マリアが用意してくれたワカメも使ってね」


マリア「そら……」////


蘭「お前はそれでいいのか、マリア……」


きい「というわけで!厨房へゴーゴーゴーッ!!」





きい「はい、ここがドリアカの食堂にある厨房だよ~」


蘭「ここも綺麗だな~」


そら「本当……初めて入ったけど、いろんな機材も揃ってるのね」


マリア「ここならなんでも作れちゃいそう♪」


蘭「……今更だが、生徒が厨房使っても大丈夫なのか?」


きい「うん!最近は『料理ができるアイドル』っていうのも居るし、そんな娘が自主練に使ったり、元々料理が趣味な娘が創作料理を作ったりもしてるよ~」




蘭「そこら辺はスターライト学園と同じか。ウチでもぽわプリあたりがよくオリジナル料理を作ってたりしてるな……」


?「ら~ぶゆ~」


蘭「そうそう、こんな感じで『らぶゆ~』って言いながら――って!?」バッ


おとめ「あれ――蘭たん?」テテテ


さくら「蘭様!?」


蘭「おとめ、さくら!?どうしてドリームアカデミーに!?」


おとめ「あい!実はドリアカの食堂でしか食べることの出来ない限定スイーツが有ると聞いてやって来たのです!」




蘭「限定スイーツ?」


カッ


きい「あ、北大路劇場!?」


さくら「今日も今日とてぽわプリ活動ぉ~、甘味を求めて東へ西へ、それが我々、ぽわぽわプリリン~」


さくら「スイーツ有る所にぽわプリ有りです。残念ながら、しおん様はお仕事があって来れませんでしたが……」


蘭「そう言えばしおんがいないな……」


おとめ「あい。なのでおみやげとして、しおんちゃんの分も買って行ってあげようかな~と思って」


蘭「なるほどな……」


さくら「そういう蘭様はどうしてドリアカに……?」


蘭「ああ、実はな……」




さくら「……なるほど、そういう事情だったのですね」


蘭「ま、今はそら達が美味しい料理をごちそうしてくれるっていうんでここに来たんだが……そういえば限定スイーツってどんなのなんだ?」


おとめ「あい!なんでも『BRTサンド』っていうらしいのです!!」ビシッ


蘭「BRT?B(ベーコン)L(レタス)T(トマト)サンドじゃなくて?というかBLTサンドじゃ全然スイーツじゃ……」


さくら「ああいえ、B(ベーコン)L(レタス)T(トマト)ではなく、『BR』ain『T』hunderサンドというものらしいです」


蘭「ぶ、ブレインサンダー……?」


きい「ああ、それきいがプロプロプロデュースしたやつだ」


蘭「きいが!?」




さくら「まぁ、そうだったのですか?」


きい「うん。ブレインサンダーのイメージガールになった時に、『商品開発に協力してくれないか?』って言われて作ったんだ~♪」


そら「きい、遅くまで起きて頑張ってたもんね」


蘭「でも栄養ドリンクをどうやって菓子パンに……」


きい「基本はクリームサンドなんだけど、そこに濃厚なブレインサンダーエキスをトッピングしたんだ~このエキスの配合バランスには苦労したよ~」


マリア「クリームにはエリザベスⅢ世から絞ったミルクも使ってるのよ♪」


蘭「へ、へぇ~」


きい「今はドリアカ内だけでの販売だけど、好評なら正式に商品化されるみたい!」


おとめ「それでは、早速注文するのです!すみませ~ん!」ブンブン


さくら「ああ、おとめ様。そんなに身を乗り出されては危ないです」




さくら「……そういえば皆様は何故厨房に?」


そら「うん。折角だから蘭ちゃんに何かご馳走しようかなと思って」


さくら「ではそのお皿いっぱいのワカメは……?」ジー


蘭「ああ、コレは……」


おとめ「蘭たんがリクエストしたんですか?」


そら「うん、だいたいそんな感じ」


蘭「いやいやっ、違うだろっ!?」


そら「えっ?いらないの?」


蘭「…………いる」




そら「フフフ……あ、良かったら二人ともご飯も食べてく?蘭ちゃんの分と一緒に作るわよ」


おとめ「本当ですか~そらたんらぶゆ~!」ギュッ


そら「あらあら」


蘭「おいおい、スイーツも食べるってのに大丈夫なのか?」


さくら「『甘い物は別腹』がぽわプリのモットーでございます」


蘭「それで体型維持できてるんだから凄いな……」




おとめ「そうだ!それならおとめ達もお手伝いします!皆で楽しいお料理おパーティーでもしましょう!!」


そら「いいわね、それ」


マリア「賛成~」


きい「きいもオケオケッケー!」


さくら「微力ながらお手伝いさせていただきます。それでは何をお作りいたしましょうか?」


そら「ワカメを使ったものとなると限られてくるわね……」


きい「パソくんでレシピ調べてみようか?」


蘭「いや、うん……もうワカメネタはいいからさ、皆で仲良く作ろうな……」


一同「「「はーい!!」」」





――――翌日:スターライト学園:噴水広場にて



あおい「……で、結局どうなったの?」


蘭「皆ある程度料理ができる子ばかりだったから、メニュー毎に班分けして作ったよ」


きい「皆でメニューのアイディア出し合ったんだ~」


いちご「学内イベントやオーディションなんかでお料理する機会多いもんね~」


蘭「クリスマスの時とかな。ああ。ただ、約一名、つまみ食いする奴がいたから、見張るのが大変だったかな?」


あおい「腹ペコキャラのセイラちゃんがいたらもっと大変だったかもしれないわね」


セイラ「いや、腹ペコキャラはドラマの中だけだって……」




蘭「そういうそっちはどうだったんだ?」


セイラ「『普段は着ないブランドのドレスを着てみよう』ってことで着せ合いっこしてたんだが……」


あおい「その時の写真がこちらになります」ピッ


セイラ「ああ、ちょっと!」


蘭「エンジェリーシュガーか……へえ~、似合ってるじゃないか」


セイラ「うう……こんなにフリルの付いた服、初めて着たよ……」////




きい「おお、セイラの新たな一面!う~ん、今度プロプロプロデュースする時はキュート系のブランドを中心に……」


セイラ「いや、別にいいから……」


いちご「ええ~セイラちゃん可愛かったよ?」


蘭「そうだぞ、たまにはいいんじゃ……」


あおい「ちなみに同じ服を蘭が着るとこんな感じで……」ピッ


セイラ「あ、可愛い……」


蘭「あおい~っ!」////


セイラ「でも、一日だけ違う環境に身を置いても、ツッコミのコツをつかめたかというと……」


蘭「なかなか難しいな……」


一同「「「う~ん」」」




かえで「Oh、皆揃ってどうしたの?」


いちご「かえでちゃん!どうしたの?こんな所で」


かえで「私はこれから『出張かえで寿司』の収録に……Wow、ドリアカの二人も……」


きい「うん、実はね……」




かえで「ふ~ん、よく分からないけど、大変なんだね蘭もセイラも……」


蘭「あはは……」


セイラ「まぁ……ね」


かえで「でも二人とも、皆に信頼されてるんだね~」


蘭「信頼……?」


かえで「うん。『ボケとツッコミ』って日本独特の文化だから私もよく分からないけど、ツッコミ役に対して『この人ならきちんとツッコんでくれるな』って信頼がないと安心してボケられないもの……ね、あおい?」


あおい「えっ?ああ、うん……そうね」




かえで「天然ボケの人も、信頼できる人が側にいるからこそ、自由に動ける部分もあると思う……ね、いちご?」


いちご「う~ん、よく分からないけど……蘭は頼りがいがあるから、ついつい甘えちゃう所はあるかな?」


かえで「ハハハ!そうだね。頼りがいがある人が近くにいると、私ものびのびとアイカツできるよ。……あ、そろそろ時間だから、じゃあね~」


いちご「うん。幅ないっすね~」


かえで「フフ……have a nice day!」タタタッ


セイラ「行っちゃった……」


きい「さすが、いい発音!」




あおい「…………」


蘭「どうした?あおい」


あおい「あ、うん……なるほど、『道化師』か――」


いちご「道化師?」


蘭「……ピエロのことだな」


いちご「かえでちゃんの持ってるピエロカーニバルコーデのこと?」


あおい「いや、そうじゃなくてね……サーカスにおける道化師――ピエロは、観客の前であえて演技を失敗したり、おどけてみたりして観客の笑いを誘ったり、演目の間をもたせるの」




いちご「???」


あおい「う~ん、ちょっと難しかったかな?」


蘭「つまりだ、かえでは普段あんな風におどけてるけど、実際は全部わかっててボケ役に回ってるんじゃないかってこと」


きい「あ、そういえば道化師はそのサーカス内で一番上手い人が演じるって聞いたこと有る!」


セイラ「どうしてだ?」


きい「道化師は色んな種類の芸をわざと失敗したり、コミカルに演じて観客を笑わせなきゃいけないから、様々な事に精通してなくちゃ勤まらない。生半可な腕じゃ出来ないんだって~」


いちご「へぇ~そうなんだ。じゃあ皆で旅館に泊まった時に『マグロ投げ』って言ってたのも?」


蘭「アレは素だと思う……」




いちご「?……やっぱり私にはお笑いは難しいな……将来お笑い番組のオファーが来たらどうしよう」シュン


あおい「だからお笑いの話じゃないって……」


蘭「ま、少なくともかえではあおいが天然じゃないってことはわかってるみたいだしな~」ジー


あおい「ま、まぁ、明るい学園生活には、私やかえでちゃんみたいにあえてボケる人も必要ってわけで……」


蘭「ったく……でもまぁ『信頼されている』ってのは悪い気はしないな……」


セイラ「……だな。もう少し頑張ってみようって思えてくる」


蘭「ああ!」




あおい「ほっ、二人の悩みが解決したのならなにより……」


蘭「……でもあんまり度が過ぎた時はお仕置きな。『一週間アイドルの撮影禁止』とか……」


あおい「そ、それは……命にかかわるわね」


蘭「それほどのことかっ!?」


あおい「え~だって~」


蘭「まあいい。そうだ、昨日皆で料理した時いくつかおみやげを持ち帰ってきたんだが、良かったらどうだ?」


きい「えっ?きい達もいいの?」


蘭「もちろん!ほら、コレなんか美味しかったぞ?」ガサゴソ


トンッ


あおい「こ、コレは……」


いちご「ワカメ……?」




セイラ「へぇ~わかめを使ったロールケーキか」


蘭「ああ、昨日皆で作ってみたんだ。食べてみてくれ」


セイラ「どれどれ……」ハムッ


蘭「どうだ?」


セイラ「ああ、ラララ~ッて感じがしていいな!」


蘭「だろう?スポンジ部分とクリームには、エリザベスⅢ世から取れた牛乳を使ってるんだ。ワカメもマリアが用意してくれたものだし」


セイラ「凄いなマリア……うん。見た目もロックで可愛い感じだし、うちの店でも出してみたいくらいだ!」


蘭「良かったらこっちも食べてみてくれ。さくらがホットケーキをえびポンの形に焼いてくれたんだが……」


いちご「わぁ~可愛い!」


あおい「……」


きい「……」


あおい「実はツッコミ気質な本人達も、十分天然入ってるってことはツッコまないほうがいいのかしら……」


きい「でもでもでっも~、そこがセイラ達の可愛いところだと思うんだ~」



蘭「あおいもほら、ドリアカ限定『BRTサンド』も有るぞ」

あおい「あ、食べる食べる!一度食べてみたかったんだ~。きいちゃんがプロデュースしたんだよね?」

きい「うん!良かったら感想きかせてね♪」

いちご「それじゃあこのままスイーツパーティーでもしちゃおう!」

一同「「「お~!」」」




おわり




おまけ:後日:スタードリームフェスティバル&カーニバル会場にて


らいち「ああっ!あれに見えるはあおい姐さん!?あおい姐さ~ん!!」ダダダーッ


ノエル「あ、ちょっとらいち君!?今日は取材に来たんでしょう?らいち君ってば~」タタタ


セイラ「……」


蘭「……」


セイラ「……なぁ、紫吹蘭」


蘭「……なんだ?」


セイラ「最近、うちの妹からも、私達と同じ苦労人気質が見て取れるんだが……どう思う?」


蘭「…………早めにアドバイスしてやれ、姉として、先輩として」


セイラ「……だな」


らいち「あおい姐さ~んっ!!」


ノエル「もうっ、らいち君!!」




おわり



以上です。


気づいたらこれまで書いてきたSSの中で一番長くなっていました。


アニメはついに両校合同ユニットが誕生して、これからも目が離せませんね!


また話が思いつき次第、書いていければと思います。

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