東方仮面変身祭———さぁ、ショータイムだ——— (244)


( ::V::)<ジカンガナイトイッテルダロウ!!

~~~そんな方にも見て欲しい注意事項~~~


1:(::V::)<二次創作のため両作品のキャラ崩壊、設定ブレイクが激しい。だが原作派の人は>>1をムッコロさないでくれ


2:(#0H0)<俺が最強だー!        いいスペックだ、驚異的だな、だが無意味だ>(^U^)


3:( 0M0)<>>1の文才が無いせいで……俺のシリアスはボドボドだぁ!!


4:(;0W0)<幻想郷が……近代化している!?……嘘だ……ウソダドンドコドーン!!


5:>>1の更新速度が遅く不定期なのは>>1の責任だ。だから私は謝らない


6:真理は913の嫁



大体分かったかたはありがとうございます

「お前の言う事は正しい……だが、気に入らない!!」というかたは風のように戻るボタンを押す事をお勧めします





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それは、約一年前の出来事



幻想郷の住むとある者たちが、その声を聞いた



まるで運命(さだめ)を告げる神のように



民になすべき義務を言い渡す王のように



逆らう事など不可能と確固たる自信があるかのように



命令した



”これよりお前達には仮面ライダーとなり、バトルロワイヤルに参加してもらう”



”バトルロワイヤルを終わらせる方法はただ一つ、最後の一人になるまで戦い続けること”



”バトルロワイヤルの勝利者にはどんな願いでも叶えることが出来る”



”誰よりも強い力を得る事も、死んだものを生き返らせることも、次回作の主人公になることだって可能だ”



”戦え、最後の一人になるまで―――――戦え……戦え!!”



そして、声を聞いた者たちはいつの間にかカードを手にしていた




――――――――――――それは、スペルカードではなかった






@上白沢慧音の寺子屋



春、寒く厳しい季節を乗り越えた植物達は一斉に芽吹き、花を咲かせ、山や草原を彩っている。風は春の暖かな空気や花びらを運んでいた



青い服に特徴的な帽子を被り、上白沢慧音は暖かな光が入り込む教室でいつも通り授業を行っていた



慧音「約一年前、怪人と呼ばれる者達が幻想郷中に溢れ出したのは皆も知っての通りと思われます。怪人にほぼ共通しているのは人の形に動物や虫
   植物のような特徴を足したような姿をし、人や妖怪、妖精達を無差別に襲うということです。怪人達は皆生命力が非常に高く並大抵の
   攻撃ではかすり傷程度しか傷つきません。間違っても戦おう等とは思ってはいけませんよ。そしてこの”異変”には様々な説があり
   ”月の民が開発した新兵器”というものもあれば”高度な技術を持った外来人が密かに行った実験が失敗し幻想郷中に溢れた”
   というもの”守矢だ””また守矢か……””いい加減にしろ守矢!!”などというのもあります。しかし、これらは全てが憶測の域を出ない
   もので、出鱈目とも言えます。確かに分かっていることはこの異変にはもう一つ、仮面ライダーという存在が関わって……」



そこまで言って、ふと壁にかけてある時計をみると丁度授業時間の終了間際だった



慧音「……では中途半端ですが、今日はここまでです。宿題は現在確認されている怪人たちの種族名を書いてくる事。忘れたりするのはもちろん
   誰かのを写したのが分かった時は男女平等に頭突きをお見舞いしますので。先生の目は誤魔化せませんよ」



笑顔でそう告げると、恐らく他人の宿題を写すつもりだったのか、奥のほうにいた男の子数人が「え~そんな~」とでも言いたげに
机に突っ伏す姿が見えた



そして、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った





慧音「……ふぅ」



授業を終え、自分の家に戻った慧音は再び時計を見る。時刻は昼になろうという時間、昼食の準備をしようと
台所に向かおうとすると玄関の戸を叩く音が聞こえた



慧音「?……開いてますよ」



外にいるであろう人物に呼びかけると戸はゆっくりと開かれる。戸を開けたのは白の長い髪に複数のリボン、赤いもんぺが特徴の慧音の友人だった



慧音「あぁ、妹紅じゃないですか、どうしました?」

妹紅「助けてくれ慧音!」



額に汗を浮かべ必死に訴える友人、藤原妹紅は



輝夜「助げでもごだぁぁああん!」

妹紅「妹紅だ!」



唐草模様の風呂敷で戸に入りきらなくらい大きな何かを包んだ物を背負い涙を流す永遠の姫君、蓬莱山輝夜を背負っていた



慧音「…………なんですかこれは?」

妹紅「私に聞かないでくれ……」

輝夜「う”わ”ぁぁぁあ”あ”あ”あ”ん!!」






それは清々しい朝だった



目が覚めてから輝夜は自分の体が軽い事に気がついた。別に、体重が減ったとか重力に逆らったとかそういう意味ではなく
心が晴れやかだったという意味だ



目を閉じてみれば、緑豊かな草原に立ち、晴れ渡った青空を羽ばたく白い鳥が心地よいさえずりを聞かせ
風はまるで赤子を抱く母のように穏やか、そんな場所に立っているようだった



体が軽い      



こんな気持ち始めて



もしかしたら、もうこんな日は二度と来ないのではなかろうか



今日は何だって出来そうな気がする。いや、絶対に出来る!



自分は今、無限の可能性を持っていると言っても過言ではない



あぁ、なんて素晴らしい目覚めだろう!



もう、何も怖くない!!



そう思っていた朝が輝夜にはあった







鈴仙「……姫様」

輝夜「どうしたの?……って本当に何、どうしたの!?」



台所、エプロンを着け朝食の準備を進めよとすると、化け物を生み出しそうなほどに絶望に染まったかのような、とにかく酷い表情をした鈴仙が現れた



輝夜「ま、まさか朝早くから永淋にろくでもない新薬の実験に付き合わされて出た副作用!?大変!すぐ医者を呼ばないと!」



慌てふためく輝夜だったが、「違うんです」という言葉に視線を戻すと鈴仙は目に涙を浮かべていた



鈴仙「遺憾ながら……グスッ……誠に遺憾ながら、姫様を永遠亭から追放することが決定しました」

輝夜「」

輝夜「……え?……は?いやぁ、ははっ……いやいや、意味わかんないわよ?」

鈴仙「し、師匠が、近頃の…グスッ、姫様は威厳を、無くしてしまわれたと、グスッ…おっしゃってぇぇ」



零れ落ちる涙でぐしゃぐしゃになった顔を拭いながら、嗚咽で途切れながらでも伝えねばならぬ事を伝える



鈴仙「姫としての威厳を取り戻すまでは……永遠亭の敷居を跨がせない、と」

鈴仙「ですがこの鈴仙の魂は何時いかなる時でも姫様と共にあります!!どうか、強く生きてください!!」

輝夜「っは……はは、冗だ」



冗談よね?



その言葉が無意味なものだということは既に分かっていたのに、現実を否定したくて思わず口から零れかけた



いつの間にかつけていたエプロンを床に叩きつけ、台所を飛び出していた






輝夜「何よ、永淋の奴!いいもん!どうせその内「姫様~私が悪かったです~戻ってきてくださぁ~い」とかなんとか言って泣いて謝って来るのよ!」



風呂敷に部屋にあったものを手当たり次第詰め込んだものを背負い、永遠亭を飛び出した輝夜は”迷いの竹林”をずんずんと歩いていた
ここは生えている竹の異常な成長速度と地面の微妙な傾斜等によって方向感覚を狂わされ、目印の少なさから何も知らずにうっかり入れば
迷うのは確実といわれているほどだ。加えて、この竹林には多くの妖怪が住み着いているため危険地帯ともされている



輝夜「その時私は「え~?帰ってもいいけど~私のお願いなんでも聞いてくれるって言うなら考えてもいいわよ~?」と言ってもちろん永淋が断れる
   はずもないから私のその後は今までより贅沢三昧の毎日を過ごしてやるのよ!ざまぁ見なさいよ!馬鹿永淋!!!」



後ろを振り返りあっかんべ~をする。しかし、振り返った時すでに永遠亭は見えなくなっており無数の竹と薄暗い景色が見えるだけだった



輝夜「…………」

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/////////////////////ザワァァァアアアアアアアアアアアアアアア///////////////////////////
////////////////////////////////////////////////////////////////////

風が吹き、竹を揺らして竹林がざわめく。何て事の無い見慣れた景色、何百回何千回と見たはずの景色



輝夜「…………うぅ」



けれども今はこの場所が見知らぬどこかに見えた



輝夜「……ううううううううう」ポロポロ




輝夜「うわぁぁぁぁぁあああああああああああああん!!」



輝夜は走った、竹林の中を必死で走った



輝夜「うわあああああああああん!!」



走って走って走って走って、時々つまずきそうになっても尚走り続けた



輝夜「う”う”う”う”う”う”っ!!」



涙を流しながら、走った。そして、気がつくと遠くの方に見知った後姿を見つける



輝夜「!」






藤原妹紅は迷いの竹林の案内をしている。永遠亭では病気になったものや怪我をしたものが多く訪れる。しかし、それにはまず迷いの竹林の
中に入らなければならない。ただの人間が入れば脱出するのはよほどの強運が無ければ不可能であるため、竹林の中を熟知している者に案内して
もらわなければならないのだ。そしてその熟知している者こそが彼女なのだ

そんな彼女は今、朝の散歩に出ていた



妹紅「はとむぎげんまいぷ~あ~る~♪」


どどどどどどどどどどどどどど


妹紅「?」

妹紅「(……気のせいか)どくだみ~はぶ茶月見草~♪爽健b」

輝夜「うわぁぁぁぁあああああああん!!!」



猛スピードで輝夜は妹紅の背中に飛び掛る



妹紅「ぐはぁっ!」


どざぁぁああああああああああ!


背後に注意を払っていなかった妹紅は輝夜の突進で勢いのまま地面に押し倒される



妹紅「(っ……背骨が……)おい輝夜!朝早くから喧嘩を売りに来るとは随分なご挨拶だな!!」



怒りのままに首だけ振り返り後ろを振り向いて、ポカンとなった
一体何が起こったのか、絢爛な衣装を泥まみれに汚し、しかも泣き腫らした顔をしているのだから



妹紅「え……っと……どうした?」

輝夜「……けて」ボソ

妹紅「え?」

輝夜「だずげでもごだぁぁぁあああああああん!!!!」ブワッ

妹紅「はぁ!?」






慧音「それで、今に至るというわけですか」

妹紅「あぁ、何があったのか聞いても話さないし引き剥がそうとしても放さないからとりあえずここまで運ぶのに苦労した……」

慧音「しかし……あの永淋殿が輝夜を追放とは随分と酷い事を……俄かには信じがたいですね……」ナデナデ

輝夜「……本当だもん……永淋がそう言ったって鈴仙が言ったもん……」グスン



泣き止んで事情を話した輝夜の頭を撫でながら慧音は少し考え



慧音「……可能性の話ですが、永淋殿は輝夜自身の成長を望んでいるのではないでしょうか?」

輝夜「……?」

慧音「獅子は我が子を谷底へ突き落とすと言うように、永淋殿は永遠亭という環境から一度引き離すことで成長を望んでいるのかもしれません
   それに”威厳を取り戻すまでは敷居を跨がせない”という条件があることは条件を満たせば永遠亭には戻っても良いということじゃないんですか?」

輝夜「!……そ、そう言われてみればそうね!」

妹紅「もしくはとうとう愛想尽かされたかのどっちかだろうな」



ビキィッ!!と、ガラスにヒビが入ったかのような音を立て輝夜の立ち直りかけた心は再び傷つけられる



輝夜「どうせ私なんか……」

慧音「も、妹紅……今のはさすがに」

妹紅「私はあくまで可能性の話をしただけだ」

慧音「だからってそんな傷口を広げるような事を言わなくても……」

輝夜「うぅ……ううう」ポロ

慧音「ほ、ほら!また泣き出しちゃったじゃないですか!」

妹紅「え?あ、あれれ?」



てっきり怒って反撃してくるものだと思っていたのに予想外の反応に妹紅は慌てだす






( 0W0)「ウェイ!」



二人が慌てる中、輝夜にハンカチを差し出す者、正確には赤ん坊ほどの大きさの饅頭のようなものがいた



輝夜「……なにこの饅頭?」



輝夜はハンカチを受け取り、涙を拭いながら突然現れた饅頭に首をかしげる



妹紅「え?うわっ!なんだコイツ!どこから入ってきた?」

慧音「あぁ、ケンジャキです」

輝夜「ケンジャキ?」

慧音「はい、幻想郷に四匹しかその存在を確認されていないオンドゥルと呼ばれる種族の妖怪です」

妹紅「オンドゥル?」

慧音「この幻想郷では言葉の境界が妖怪の賢者の力によって例え外来人でも共通言語で話せるのにも関わらず、何故かこの種族は
   独自の言語を使っているんです。こちらの言葉は分かってるみたいなんですが」

( 0W0)「ウェイ!」

妹紅「へぇ~……で、なんでそんな妖怪がここに?」

慧音「数日前に里の外で怪我をしているところを偶然保護したんです。手当てをしたら恩義を感じたみたいで今ではゴミを出しに
   行ってくれたり、家事を色々手伝ってもらっています」

妹紅「ふぅ~ん」

輝夜(……かわいい)チョンチョン

(?0W0)「ウェ?」プニプニ

慧音「あ、ちなみに」



そこで慧音の話を遮るように慧音の携帯電話が鳴り響く。画面に表示された着信相手を見ると目つきを変えて電話に出る






慧音「もしもし…………分かりました。すぐ行きます!すみません妹紅、少し出ます!」

妹紅「え?、それってもしかして」

(;0W0)「ゲーテザン?」


言うやいなやすぐさま外に出ると車庫に向かいシャッターを持ち上げる。光が入り中を照らすと中には白と青のカラーリングに
赤色灯のついた大型のバイクがあった。バイクには片方のハンドルが無く、慧音はそこに懐から取り出した特殊警防型のハンドルを
差込みバイクにまたがってエンジンを掛ける

そして慧音は一枚のカードを取り出す



慧音「ライダーカード!」



慧音の声に答えるかのようにカードは輝き慧音の手から離れる。宙に浮いたカードは幾つものカードに増殖し、慧音の体に張り付いていく
張り付いたカードは次第にその形を変え慧音の体を包む。そして光が弾け飛ぶと慧音の体は頭部を残して全て装甲に覆われていた

そして、宙に残った一枚のカードは仮面へと形を変えて慧音の手元に戻ってくる

仮面で顔の前面を覆うと後頭部まで包まれ、上白沢慧音の姿は完全に無くなった



ライダーカード



それは一年前、それは幻想郷の様々な人物が聞いたあの”声”のあとにいつの間にか持っていたもの

それが何であるかは次第に理解出来た。”声”は自分達に仮面ライダーと呼ばれるものになってもらうと言っていた。つまりこのカードは
自らをその仮面ライダーというものに変えるものだということだ。だが、当初は仮面ライダーになってみようと考えるものは少なかった

ある日突然勝手に仮面ライダーになれと言われ、しかもバトルロワイヤルなどというものに参加させられたと言われて、はいそうですかやりましょう
頑張りましょうということにならないのは当たり前で、二度三度興味本位で変身する事はあってもその力を使ってバトルロワイヤルをやろうという
者は全くいなかった。そのため幻想郷は争いが起きなかったという点で見れば、平和のままだった

だが、その平和を”怪人”が打ち砕いた

人や妖怪、妖精すら襲うその存在は幻想郷の物たちを恐れさせ、力あるものたちは弾幕、それぞれ固有の能力での反撃が通じないという訳の分からなさ
にただ混乱した

しかし、仮面ライダーだけは違った

その拳が怪人を退かせ、その技が怪人を翻弄し、その剣が怪人を切り裂き、その弾丸は怪人を撃ち抜き、その蹴りが怪人を爆散させた



仮面ライダーが怪人から幻想郷を救う術となったのだ



慧音もまた”声”を聞き、仮面ライダーとなった者の一人だった

最初は仮面ライダーとなる事を避けていた。が、怪人に襲われる者たちを少しでも救う事が出来るならばと仮面ライダーとなる事を決意したのだ



慧音「G-3出撃します!」



サイレンを鳴らし、G-3は専用バイク、ガードチェイサーを発進させた




(^U^)<本日はここで終了です。申し訳ありません、このような投下量で

空想科学は幻想……よってこのようなハイテクな幻想郷があっても、何らおかしい事ではないのだ。

面白そうだし後々説明も色々入るだろうけど、ブレイド勢の顔文字が違うのはわざと?

>>14
( <::V::>)<もう一度間違えた時は……オレァ>>1ヲムッコロス!!

                             申し訳ありません。このようなミスをして>(^U^)


本日投下予定です。(…………ケンジャキとダディはあってますよね?)




慧音「にとりさん聞こえますか!」

にとり『うん、G-3の通信感度は良好。問題ないよ』



通信相手の河城にとりは上白沢慧音の協力者であり、G-3のオペレーターを務めている

慧音のG-3は他の者達と比べると特殊で、頭部にはカメラや通信システムが内蔵されており、遠方から戦闘状況をモニタリングし、現場の
援護などが出来るのだ

初めて慧音がG-3へと変身し戦った時、慧音はG-3を上手く扱いきれていなかった。G-3には多彩な武装がありそれらを用いて敵と戦う
のだが、それら全てには安全装置が搭載されている。そのことに気づかず武装が使えない事に混乱しているところを怪人に漬けいる隙を与えてしまい
絶体絶命の状況だったところを幸運にもその時怪人に襲われていたにとりが安全装置を解除したおかげで難を逃れたのだ

それ以降、にとりが遠隔操作によって安全装置の解除を行えるよう改造、改善し、慧音のサポートに協力している



慧音「それで、私はどこに迎えば?」

にとり『二つ目の角を右、そこが通報のあった場所だよ』

慧音「分かりました。すぐに向かいます!」



サイレンを鳴り響かせ、指示のあった場所へと向かうと広い資材置き場に着いた。積み上げられた木材や外側がさび付いた
ドラム缶の群れ、おがくずや金属片が砂利の様に地面に散らばっている

辺りを見回すとすぐに視界に小さい影が二つほど見えた。一つは地面を這うようにこちらへと向かっている
恐らくそれが通報した者で、怯えて動けなくなっていたようだった

ということは残りの一つが



慧音「怪人!」



ガードチェイサーはさらに加速し、距離を高速で縮めていく


――――――――――――――――――――ブォォォォォォォォォォォォォォォォォン


ワーム「dcsuahofrng;etldkgiombi」

モブ男「ひ、ひぃぃ!!た、たた、たすけ」


ブォン!!


慧音「おおおおぉぉぉぉぉ!!」

モブ男「!」


#####################################################################
##########################ドン!!#######################################
************ガシャァァァァァァアアアアアアアアン!!*************************************
*********************************************************************


瞬く間に距離を縮めた慧音はバイクの勢いを殺さずそのまま怪人にぶつける。分厚い装甲と加速によって破壊力を増したそのひき逃げアタックはワームを
はじき飛ばし、積み上げられた木材の山を崩して埋もれる

しかし、その程度では大したダメージを与えられていないようで、すぐさま手を振って邪魔な角材をへし折り、跳ね飛ばして立ち上がる






ワーム「lifuhgpothmsdoiubnjoyteiuyvno!!」

慧音「逃げてください!」

モブ男「は、はひぃっ!」



助けが来た事による安堵のためか男はふらふらになりながらも立ち上がって怪人とG-3から離れていく

ガードチェイサーから降りた慧音は収納されている武装の一つ、サブマシンガン『スコーピオン』を取り出す



慧音「にとりさん!」

にとり『GMー01 アクティブ』



にとりが安全装置を解除したのを確認し、ワームへと発砲する。放たれた弾丸はワームへと命中し火花を散らせる



ワーム「nihtyivm!!ioapruhb!!moyjhsv;ah」

にとり『相手はワーム……擬態能力があるから逃がすと厄介だけど、それ以上に脱皮して成虫体になられたらこちらには対抗手段がない
    早めに決着をつけよう!』

慧音「はい!」


**************************
*****ドンッ!*****ドドドンッ!******
**************************


なおも弾丸を浴びせ続けながらG-3は距離を縮めワームの顔面に拳を叩き込む



慧音「おおぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」

ワーム「!!ofihytmso!!nmof;hir!mnoihner!!!」



一発、二発、三発、ワームに攻撃も、防御も、逃走も与える隙を作らせず、拳を乱れ打つ






ワーム「vu..ey!!」


慧音「ハァッ!」



ワームがのけぞったところに蹴りをいれ再びワームを吹き飛ばして地面に倒す。その隙にG-3はガードチェイサーへと戻りもう一つ武装を取り出す



慧音「これで決める!」

にとり『GG-02 アクティブ』



G-3の武装の中で最大火力を誇るグレネードユニット、『サラマンダー』をスコーピオンに装着しワームへと向き直る



ワーム「nohur;o......!!...duhg!........」



ダメージはワームの体に確実に蓄積しているようで最初の時よりも明らかに立ち上がるのがやっとといった状態だった



慧音「はっ!!」



トリガーを引き、グレネード弾を発射した


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/////////////////////////////ばしゅうん!/////////////////////////////////
///////////////////////////////////////////////////////////////////

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***************どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおん!!****************************
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放たれたグレネード弾は命中

炎、そして爆破と衝撃が見ているものにその威力をありありと見せ付けていた



慧音「やったか!」

にとり『それやってないフラグだよ!?』






にとり『こういうときはやった!って言わないと』

慧音「あ、すみません」



煙が風で晴れるとそこには何も無く、小さな残り火がある程度だった



にとり『うん、標的は完全に倒したみたいだね、お疲れ様』

慧音「いえ、ありがとうございます」



ふぅ、と今までの緊張した空気を中から吐き出して気を緩めガードチェイサーの元へと戻る



妹紅「お~い!慧音!」

慧音「あ、妹紅」



すると、遠くから手を振ってこちらに走ってくる妹紅の姿が見えた。スコーピオンとサラマンダーをガードチェイサーに収納する

丁度その頃には妹紅は慧音の元に着いていた



慧音「妹紅……どうしてここに?」

妹紅「そりゃあ急に目つき変えて家を飛び出してたからただ事じゃないのは明らかだったからな。変身までしてたし……まぁ、心配で」

慧音「そうでしたか、心配かけましたね」

妹紅「いや、そんなことはいいって。それに私だって戦えるんだ頼ってくれてもいいだろ?」

慧音「あはは、そうは言っても妹紅の場合は変身が不完全じゃないですか」

妹紅「うっ……そ、そうは言っても援護くらいはなぁ」



恥ずかしそうにどもる妹紅をよそに慧音はバイクにまたがりエンジンを掛ける。どうせなら妹紅を乗せて家に帰ろうと妹紅の方を振り向いた



慧音「!!」



そこに妹紅はおらず、変わりにその場には怪人が立っていた






にとり『慧音!そいつはワームが』



にとりの声がそこで途切れる。いやそこでワームに殴られたために頭に入ってこなかったのだ

頭部に激痛が走ると同時にバイクから引き剥がされて地面を転がる



慧音「っ!……擬態していたのか!」

成虫ワーム「nvufrmiofdghernvi」



まさか近くにもう一体いたとは、良く考えてみればさっき妹紅は遠くから走ってこちらに近づいていた。家に出た慧音を後から追いかけるなら走るより
飛んで追ったほうが確実に速く、空からなら探すのは容易だ

もしすぐに後を追ったならそもそも後から追いつくなどと言う事にもならない

だが、ワームの擬態は姿形だけでなく擬態した相手の記憶まで完全に自分の物にしてしまう。恐らくあのまま問い詰めてもはぐらかされただろう

いや、過ぎた事を後悔している場合ではなかった

見れば相手は成虫体のワーム。成虫体のワームは”クロックアップ”という高速移動が出来る。クロックアップしたワームは弾丸など容易に避けられて
しまうため、G-3には攻撃を当てる術がなくなってしまう

そうなる前に攻撃をしようにも先ほどケルベロスもサラマンダーもガードチェイサーに収めてしまった。そしてそのガードチェイサーはワームの背後



慧音「なら、この拳で戦う!」

にとり『そ、そんな無茶だ!』

慧音「はぁぁああ!!」

成虫ワーム「mndoahww」


/////////
///ひゅん///
/////////


それでもG-3はワームに叫びを上げて拳を振るう。ワームはクロックアップによって容易く避けその拳は虚しく空を切る

ワームは一発、二発、三発と攻撃を浴びせる



慧音「くっ!!っあぁぁ!!」

にとり『慧音!!』

蹴られているのか、殴られているのかも分からずただ衝撃と痛みだけが次々と叩き込まれる






慧音「くっ!」



だが、慧音もただやられているだけではなかった。攻撃の隙に一歩でもガードチェイサーに向かっていた

弾き飛ばされると同時にガードチェイサーにしがみつき、収納されている武装を取り出し、右腕に装着する



慧音「にとりさん、お願いします!」

にとり『GAー04 アクティブ……って慧音、一体何を』

慧音「これで動きを止めます!」

にとり『なおさら無茶だ!』



アンカー『アンタレス』はワイヤーを発射して敵を捕獲する武装である。しかしその速度は弾丸と比べれば決して速いわけではない

しかも、相手はクロックアップによって姿が見えてすらいなかった



慧音「いえ、相手が止まった瞬間を狙えば……がっ!!」



横から衝撃に襲われ、再び地面に倒される



慧音「くっ…………ぅ…………」

にとり『け、慧音!?聞こえる?しっかりして!!』



倒れたG-3はそのまま立ち上がる事は無く、そのまま倒れ伏す



にとり『け、慧音起きて!!逃げるんだ!!慧音!!』

慧音「………………」

成虫ワーム「ncioaughpothnjoyet!!!」



その背後にワームが現れる



慧音「…………………!!」


**************
****ばしゅん!******
**************


だが、慧音はこの時を待っていた。右腕のアンタレスをすぐさま発射しワイヤーを飛ばした






だが


******************
******がぃぃぃぃん!*******
******************


にとり『あぁ、あぁぁ…………』

慧音「……っ」

成虫ワーム「wwnbiagioqerwbifgo@r!!」



ワイヤーをワームがはじき、アンカーはガードチェイサーに絡みついた



成虫ワーム「mouhgoei!!」


///////////
////ひゅん/////
///////////


先ほどの己の行動を油断と感じたか、ワームはクロックアップを行い慧音の視界から消えた。同時に高速の乱撃が容赦なくG-3の装甲に
叩き込まれ火花を散らし始める



慧音「うあああっ!!」

にとり『バッテリー破損!エネルギー残量低下!慧音逃げて!!』

慧音(っ…………まだだ)



再三地面に叩き付けられたG-3の通信からはにとりが撤退を促している。だが慧音は逃げる気など毛頭なかった

慧音は見ていたからだ。ワームではない、ワームの足跡だ

ここは木材や金属が多く存在する資材置き場、地面には木屑や金属片が大量にある。たとえ姿が見えなくともそこを走れば塵が舞う。それが足跡になる


慧音はずっと見えない敵の、見えるものを見てきた。そしてこれまでの相手の手段、攻撃してきた方向、これまでの敵の”歴史”を読み



慧音「ここだ!」



G-3は右腕を力の限り引いた。たるんで地面にあったワイヤーはピンと張り、地面から数センチばかり浮く


************
***びぃぃぃん!****
************


成虫ワーム「inagf!!」


###################
#####どざぁぁぁああああ######
###################


その瞬間、ワイヤーに足をとられたワームが姿を現し、地面を荒く滑る






G-3の腕に引きちぎるような力が掛けられ、G-3は素早くアンタレスを手放す

そしてワイヤーに引っ張られて横転したガードチェイサーから武装を取り出し装着する



慧音「にとりさん!」

にとり『じ、GS-03 アクティブ! 慧音急いで!もうバッテリーが無い!!』



アンタレスと同じ、右腕に装備する超高周波振動ソード『デストロイヤー』刀身を高速振動させる事で切れ味を高めることが出来る

G-3は装甲で身を包む鎧のような物、バッテリーという動力源が無ければ重量でまともに動けない

バッテリーには電気ではなく慧音の妖力が詰め込まれており、ライダーカード状態の時に慧音の体から漏れ出る妖力を蓄えている。しかし漏れ出て
いると言っても人間で言う皮膚呼吸によって排出される気体と指して変わりない。そのため一度バッテリーが尽きるとカード状態に戻して妖力を蓄
えるのに丸1日は必要なのだ



慧音「はぁあああああ!!」


***************
*****ヴォンッ!******
***************


慧音はデストロイヤーを振りかざしワームに向かう。距離はさほど無い、すぐにでも刃がワームを両断できる



成虫ワーム「mniau!!」



だが、ワームはここで最も有効な抵抗をする



擬態妹紅「や、やめろ!やめてくれ慧音!」



姿や記憶をまでも模倣し、本物と見分けがつけなくする事や本物を殺して世間に溶け込むためにワームが擬態するわけではない
その姿が、声が、仕草が、たとえ偽者と分かっていても反射的に迷いを生む。相手の心に漬け込む事こそ、ワームの最大の武器である擬態なのだ

ワームはその姿、その声を、まさしく藤原妹紅のものに変えた。眼前に映るのは親友の姿に慧音はその動きに僅かな隙が出来る






**********************************
ヴィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!
**********************************


慧音「はぁああああああああああ!!」



慧音はその狙いすらも読んでいたが

最初に倒したワームと共に戦っていれば慧音は二対一という状況に持ち込めたはず。しかしこのワームはあえて一対一の戦闘を選んだ。慧音の
知っている人物に擬態し、戦闘態勢を解除させ、戦闘という行為そのものを一時的に忘れさせる事で完全に無防備になる状態へと持ち込んだ上で
不意打ちを行い、クロックアップという最大のハンデを活かしながらも、攻撃面は側面や背後が比較的に多く正面への攻撃はほとんど無い

自分が優位に立てる状況を作れるだけ徹底的に作る知的な行動をとっていた。ならば、もう一つのハンデ、擬態能力も使ってくるはずだ

今がまさにその時だと慧音は読んだ

ゆえに慧音は見なかった。目を閉じた。その目には何も映さずデストロイヤーを振りかざしたのだ。それでも、慧音の足は全く迷いが無い

見ているものがいるからだ。共にこの場で、慧音の視界を、慧音自身が見えぬ視界を共有する者が


河城にとりがいるから


G-3には頭部に小型カメラがあり、その映像はリアルタイムで共有する事ができる。なにかあればにとりが教えてくれると信じている

ハンデを有効に使うのはこちらも同じ。今あるもの全てを持って怪人に挑む。それが、今だライダーとしての経験が浅い慧音の紡いできた”歴史”



敵の歴史を読み、自らの歴史を読み、そして現在を



勝利を、作る




がくん



慧音「え?」



体が急に重くなる。足から力が抜けたように、G-3は体勢を大きく崩す

目を開けると、視界は地面で占められていた。何が起こったのか、一瞬、理解できなくて、だけど、一瞬で理解した者がいた



にとり『G-3、バッテリー残量……ゼロ』



にとりは誰よりも早く知らされた現実に絶望し、地面に倒れ伏した慧音は、作り上げたはずだった歴史が消失したのを感じた



擬態妹紅「残念だったな」



顔を上げると立ち上がったワームが見下ろしていた。もう、自分の優位が二度と揺るがないと確信し、嘲笑い、その姿をワームのものに戻し

慧音の目の前が真っ赤に染めた






++++++++++++
++++バチィッ++++
++++++++++++


だが、染めたのはワームではなかった



慧音「!」



目の前を”赤い何か”が横切ったのだ。それはワームへと弾丸のごとく激突し、ワームを吹き飛ばす

そして、慧音の前をゆっくりと羽音を聞かせるように飛ぶ



慧音「……か」

にとり『カブト……ムシ?』



機械の紅いカブトムシはそのまま目の前を漂っているかと思いきや、真っ直ぐ急上昇する

反射的に上を向いて追いかけたにもかかわらず、あっという間にカブトムシの姿は見えなくなる

だが、カブトムシが目指している場所、天高く、真昼の太陽を逆光にそこに浮いていた者がいた。光と、あまりに離れた高さで誰なのかは
分からなかったが、それがカブトムシの目指していた場所だということはすぐに分かった



???「…………」



その遥か上空に位置する者はカブトムシを掴み取り、腰にはめた銀のベルトに



???「――――――――――――変身」



装着した


                             【HENSHIN】


ベルトからその身を包む鎧が構成され、宙に浮いていた者は落下を始める



慧音(いや、あれは落ちているというよりは……まるで)



変身が完了すると同時にゆったりと地面に着地する



慧音(……まるでわざわざ降り立った……ような)



G-3よりも重厚なシルバーと赤の装甲に身を包んだ仮面ライダーが、降臨した



(^U^)<本日の投下はここまでです。

(0M0)b<次回はみんな知っているあの赤いライダーが登場だ。


ここのカブトは誰なのやら


カブトの例のポーズって…

        __
      ⌒ヽ, 〉  *
  ┼ : ,. -─V-、
    n_k=ニニ}><{=!_  ┼
   〈フ7 /ノノハノ) )

    {|く{l、リ ゚ - ゚ノ〉 
    {l /`L=ェツ(r_> 
    {レ /´.::〈::::ヽl}   +
  +   ^i_ァ~ーく) 
      ̄  ̄  ̄  ̄

>>28

「私は天の空気を読み、総てにフィーバーする女」ですね。実はその案はありました

明らかに出オチなんでボツになりましたけどww

あぁ……付け忘れてた


(^U^)<お久しぶりですね皆さん。節分はいかがお過ごしでしたか?ちなみに>>1は恵方巻きを間違えて北北西で
      食べてしまいました
   
(^U^)<早くて本日の夕方、もしくは明日に投下予定です。お楽しみに

ほくほく星?(難聴)
食べ物が美味しそうな名前の星ですね

(^U^)<どうも皆さん。ただいまから投下が可能になりました。長らくお待たせしました。よろしくお願いします




成虫ワーム「niarvru!!」



ワームが突然現れたそのライダーを敵と判断するのに数秒も無かった。目の前を立ちふさがる邪魔なものを払いのけようと腕を振るう

ライダーは片手でその腕をあっさりと防ぎ、外に押し返すと同時に拳を叩きこむ

ダメージでよろけて間合いが開くがすぐさまライダーが距離を詰めて連打で打ち込む。苦し紛れにワームが腕を薙ぐように振るうが、ライダーは
まるで流れるように横へ回り込み、蹴りを放つ。ならばと隙を付かせぬようにワームは素早く右、左と連続で殴りかかるがそれよりも速く
ライダーは上体を反らして隙間を縫うように懐に入り込み、手にした銃と斧が一体化した武器で素早く斬りつける



成虫ワーム「nikkipwe!!」



先手は常にワームがとっているにもかかわらず、ライダーのカウンター攻撃に翻弄されダメージを受け続けていたワームは


//////////////
//////ひゅん!/////
//////////////


クロックアップでライダーの視界から消え、それまでの受けた倍を返すかのようにライダーに反撃をする



慧音「に……逃げて下さい!クロックアップしたワーム相手では!!」



バッテリーが切れ重しとなっていたG-3着た体を起こし、右へ左へダンスするように体を揺らすライダーに慧音は呼びかける

その台詞は似たような状況だった時、にとりが慧音に言ったことと同じであった。だが慧音は逃げなかった。逃げるつもりはもとより無かったし
自分には策があったからだ
しかし、慧音が考える限り、あのワームには最早小細工は通用しない相手に付け入る隙を与えるつもりは全く無いと読んでいた

最初こそあのライダーは有利に戦闘を進めていたがそれもクロックアップという手段を使われた以上、もはや相手は別次元の存在
戦う土俵が違いすぎる。慧音には自分のG-3よりも重厚な装甲を持つあのライダーでは成す術が無いと思っていた

だが



???「…………キャストオフ」






ワームに下手なダンスを踊らされていたライダーが呟くようにそう言って、赤いカブトムシのホーンを反対方向に倒す


                           【Cast Off】


プシュウ、と大量の空気が一気に入り込む音が鳴り、ライダーの上半身を覆う分厚い装甲が隙間を作って浮き上がったかと思えば

突然、四方八方に飛散した



慧音「な!」

にとり『あれは!』


                         【Change Beetle】


赤い角が持ち上がり、分厚い鎧を脱ぎ捨てたライダーの体はスマートな物になる

その場から立ち上がっていなかった慧音は飛散した破片に当たる事はなかったが、避け切れなかったワームにいくつか命中する
怯ませたために姿が見えたがそれも一瞬、すぐにまた姿が見えなくなる

ワームにはライダーにどのような変化が起こったかなどどうでも良かった。何かを警戒するよりもとにかく攻撃に専念することにしたのだ
それに、相手は分厚い鎧を脱ぎ捨て防御力が格段に下がったことは間違いない。このままクロックアップ状態を維持していれば今に倒せるだろう

ライダーは手にした武器を後ろにいる慧音の方向に放り投げ



???「クロックアップ」


                            【Clock Up】


慧音「え?」



ベルトに触れ、電子音が聞こえたかと思えば、ライダーは慧音の視界から姿を消した



―――――――――――ここから先は、放り投げられた武器が落下している中での、一瞬の出来事である―――――――――――






成虫ワーム「!」



ワームは驚愕した

攻撃が受け止められ反撃されたよりも、目の前にいるライダーが自分の姿を認識し、しかも自分の動きについてきていることに

クロックアップした者にとって世界は全てが遅すぎる。それこそ、雨が降っていても粒の形がはっきり分かるし、たった今落下している物
など綿毛が落ちるよりも遅く感じるほどに。この世界はワームの限られた者みが存在できる世界だった。この世界に入った自分は圧倒的存在でまさに無敵

だが、今目の前にいるライダーはその世界に堂々と立っていた。この世界はワームの物のはずなのに、なぜ?

訳が分からないままに攻撃をしてもライダーにはいなされてかすりもせず、蹴り上げた足はライダーの上げた片足で防がれ、脇腹に拳を叩き込まれる



???「フッ!ハッ!!」



ライダーは続けて左右から連続のパンチと膝蹴りを打ち、間を空けてハイキックでワームを吹き飛ばし。ワームは壁に叩きつけられ、地面に倒れ伏す



成虫ワーム「…mnvih……kkowi!」



痛みに震えながら立ち上がるとライダーは背中を向けて慧音の元へと歩いていた。堂々というよりは、悠々と誰にも認識される事もない
世界を、己ただ一人の物のように歩いていた



成虫ワーム「nceur!!」



すぐさまワームは立ち上がりライダーに襲い掛かる。相手はどう見ても隙だらけ。このチャンスを逃すわけにはいかなかった


                          【Clock Over】


同時に、ライダーとワームの世界が終わりを告げ、元の世界へと戻った

ワームは背を向けたままのライダーに飛び掛り、腕を大きく振り上げる



成虫ワーム「niuer!!!!!」



その瞬間、慧音の元へ投げた武器を掴み取ったライダーは銃の形に切り替え、背面撃ちでワームに弾丸を浴びせる

空中で撃墜されたワームは全身を地面に打ちつける



慧音「え?……一体何が!?」

にとり『(やっぱり……)』



慧音やにとりにとっては一瞬の出来事。いや、認識すら出来無い時間を過ごしたライダーとワームの姿に驚く事しか出来無い

武器をこちらに投げてきたかと思えば一瞬姿を消したライダーが掴み取り、いつの間にか空中にいたワームをこちらを向いたままで
迎撃していたのだから






???「……大丈夫?」

慧音「え?は、はい!ありがとう……ございます」



いつの間にかこちらを見ていたライダーに驚きながらも何とか返す。ライダーは「そう……」とだけ言うと後ろを振り返りワームに向かう
その足取りはやはり悠々としていた



にとり『思い出したよ……』

慧音「にとりさん?」


                             【One】


ライダーは歩みながら赤いカブトムシのスイッチを押す



にとり『彼は最近妖怪の山でも目撃されていたんだ。天狗達が苦戦していた怪人を圧倒しているところをね……』


                             【Two】


ワームはふらふらになりながら何とか立ち上がり、ライダーに向かって突撃する


                            【Three】


ライダーはホーンを反対側に倒し



???「ライダー……キック」



呟いて、再びホーンを倒す


                           【Riderkick】


青白い稲妻がベルトからライダーの赤い角に迸り、そして右足に収束する。その瞬間、ワームが腕をライダーに振り下ろした



にとり『誰が変身しているのか分からない。でも名前だけは彼自身が言っていた……彼の名前は―――――』

???「…………ハァッ!!」



一閃、ワームの腕が届く前に、ライダーの回し蹴りが青白い光の弧を描いて炸裂し、ワームを爆散させた



にとり『――――――――――――――――――――――――仮面ライダー、カブト!』






慧音「ま、待って下さい!彼はカブトと言って私を助けてくれたんです!」



慧音はカブトを庇うため妹紅の前に立つ



妹紅「そ、そうなのか……ごめん。早とちりだったな」



その様子が脅し等ではなく本心からの言葉だと分かった妹紅はカードを下ろす


                       【Clock Up】
                       【Clock Over】


カブト「へぇ、驚いたわね。まだ完全に変身出来無いんだ」

妹紅「え?なっ!お前!」



妹紅が振り返るとカブトはいつの間にか背後を取り妹紅のライダーカードを手に取っていた

通常、ライダーカードにはライダーの姿が描かれているのだが妹紅のカードには薄い影が掛かっていた。ライダーカードは”声”を聞いたもの全員が
持っている。だが、持っているもの全員がすぐに変身できたというわけではない。絵柄がはっきりしない者や何も映っていない者は何らかのきっかけ
があって初めて変身できるようになったのだ。曰く、ライダーになるにはそのライダーに相応しい者しかなれない、と言われている

妹紅の場合、武器こそ出せるものの変身するには至っていなかった



妹紅「ほっといてくれよ。ていうか返せ」

カブト「はい」

妹紅「全く。……変身できればそんなに偉いのかよ」



嫌味を言いながらカードをひったくるように取り返す

妹紅は変身が出来無いことを不満に思っていた。別に、バトルロワイヤルに参加したいという訳ではない。どちらかと言えば慧音のように
バトルロワイヤルとは別の使い方をする方がいいと思っているし、慧音の力になりたいとも思っている。だが、今の自分では慧音が苦戦するような怪人
と戦えるとは思えないし、ましてや他のライダーと戦う事など不可能だ

どうすれば仮面ライダーになれるのか、それが妹紅には分からなくて、不満だった






カブト「大丈夫よ」

妹紅「え?」

カブト「貴方が本当にその力が必要になった時に望めば、慧音の力になってやれるわ。私が保障してあげる」



カブトは妹紅の頭を撫でながら、優しい声でそう言った



妹紅「な、撫でるな!偉そうに!大体お前誰なんだよ!」



手をはたいて少しだけ顔を赤くしながら睨みつける



慧音「あの、良かったら教えてくれませんか?助けていただいたお礼もしたいですし……」

カブト「…………」



――――す、とカブトはゆっくりと、天を指差しながら言った



カブト「私は闇の中で輝き、総てを太陽の元へ導く者……それだけよ」



                         【Clock Up】


そして、一瞬で姿を消し、去っていった



妹紅「……なんでかっこつけたんだ……あいつ」

慧音「正体を教える気はない……ということでしょうか?」

にとり『いや、案外人見知りだったのかも』

妹紅「……まぁいいか。帰ろうぜ慧音」

慧音「そうですね…………あっ!待ってください」

妹紅「ん?」

慧音「そ……その、ですね……」



慧音はガードチェイサーを指差して



慧音「ワイヤー外すの……手伝ってください……」






輝夜「私のターン、ドロー!まず、『楽園のツンデレな巫女(攻1500/防1000)』の効果でフィールドに『毛玉トークン(攻0/防0)』を召喚!
   そして魔法カード『無意味な賽銭箱』を発動!このカードは自分のフィールドに存在する全てのモンスターを好きな数だけ
   『貧乏巫女(攻0/防2000)』として扱う事ができる!私は場に存在する『毛玉トークン』3体にこの魔法カードの効果を使いそして
   この貧乏巫女3体を生贄に、手札から『鬼巫女(攻5000/防2000)』を特殊召喚!」

(!0W0)「ウェッ!」

輝夜「『鬼巫女』の効果発動!このカードが手札から特殊召喚された時、相手フィールド上に存在する全てのモンスターの効果を無視して強制破壊する!
   貴方のフィールド上に存在する『御柱神:カナタンク』と『ロングレンジオンバシラキャノン』、そして『恐妻ケロちゃん』を破壊!」

(;0W0)「ウェッ!!?」

輝夜「『楽園のツンデレな巫女』と『鬼巫女』でケンジャキにダイレクトアターック!!」

(;0W0)「ウェエエエエエイ!?」


ケンジャキ HP:6000→-500
輝夜 HP:900

輝夜=WIN


(;0H0)「そ、そんな!ケンジャキさんの攻防無敵のケロバシラコンボが1ターンで破られるなんて!」

( <::V::>)「『鬼巫女』は大会ではキッシカード(禁止カード)とされて以来アソイ(遊び)でも使われる事はないと思っていたが……予想外だな」

( 0M0)「オイイココンボノツカイテカ・・・・・・オモシロイ!」訳:鬼巫女コンボの使い手か……おもしろい!

妹紅(何か増えてる!?)



慧音のガードチェイサーに絡みついたアンタレスのワイヤーをなんとか外し、慧音と共に家に戻ると輝夜とケンジャキがカードゲームに興じ、それを
眺める3匹の饅頭がいた



妹紅「なぁ、慧音……なんかすっごい増えてるぞ……」

慧音「え?……あぁ、そういえばまだ紹介が済んでいませんでしたね」

( 0H0)「あ、お帰りなさい。慧音さん」

輝夜「あら、お帰りなさ~い」



靴を脱いで部屋に上がるとその場にいた輝夜と饅頭達が気づく






慧音「紹介します。この赤いのがダディ」

( 0M0)「ヨロシク」

慧音「そしてこの黒いのがムッコロ」

( <::V::>)「フンッ」

慧音「そしてこの緑色なのがムッキー。皆ケンジャキと同じオンドゥルなんです」

( 0H0)「初めまして」

妹紅「え……何でお前の家に幻想郷でも四匹しかいない妖怪がコンプリートされてるの?」

慧音「実はケンジャキを拾って手当てしていた時に全員ついてきてしまって、ケンジャキがここに残ると
   決めたときに他の皆も一緒に住む事になりまして」

妹紅「へぇ~……あれ、そういえばお前」

(?0H0)「はい?」

妹紅「お前は私達と同じ言葉だな……なんで?」

慧音「ムッキーはオンドゥルの中でも特殊なんです。私達と同じ言葉を使いますけど、オンドゥルの言葉も分かるので、たまに通訳してくれるんです」

妹紅「へぇ~」

( <::V::>)「良し、輝夜。今度は俺とショーグ(勝負)しろ」

輝夜「あら、敵討ちのつもり?良いわよ、掛かってきなさい!私の鬼巫女コンボはまだまだあんなもんじゃないわよ!」

( <::V::>)「望むところだ……ケッチャコ……」



ムッコロと輝夜がゲームの準備を始めて、ふと、思い出したように輝夜が妹紅の方を振り向いて



輝夜「ねぇ、もこたん」

妹紅「妹紅な……で、何?」

輝夜「私、貴方の家に寝泊りすることになったから」

妹紅「………………………………………………は?」






(^U^)<>>1の脳内に、5つの次回予告が誕生しました。それは独立したそれぞれのとあるライダーたちの物語のかけらです
     それぞれの物語を進めても、いずれは別の物語と交わります。
    


                   1:「わぁ!お、折れたぁ!?」



2:「我々の目的は、ライダーバトルで勝ち残る事です」                                               

    

     3:「あぁ……かわいいわぁ」



                                  4:「ライダースティング!!」    



             5:「服が……濡れちゃいますよ……?」



(^U^)<>>43さん、貴方はコンマで物語を選ばねばなりません
      それが、次回の投下内容を決めます(6は1、7は2、8は3、9は4、0は5とします)




遅くてスマンが次回も期待

カブトの正体……なんとな~く、分かったかも

後、架空デュエルワロタww

龍騎と聞いて(ガタッ


>>37-38で、妹紅が駆けつける→「クサマカァー!キサマガケーネウォー!!」的なシーンが入るんだと思うんだけど抜けてない?

>>46           気がつきませんでした……申し訳ございません。ろくに確認もせず投下してしまって>(^U^;)

>>37>>38の間に入るもの↓

カブト「…………」

慧音「あ、あの」

妹紅「お~い、慧音~~~~!大丈夫か~~~!!」

慧音「?……妹紅?」



ようやく体を起こし、カブトに声をかけようとして、ふと空から声が聞こえ上を見上げると妹紅が空からこちらに降りてきていた



にとり『えっ!?もう一体!!』

慧音「いえ、空を飛んでるので本物だと思います……」



すたっ、と着地し慧音に近づく



慧音「あの……どうしてここに?」

妹紅「そりゃあ急に目の色変えて家を飛び出して変身までしてたからただ事じゃないってすぐに分かってさ。心配で追いかけたんだよ
   まぁ、見失ってちょっと探したけどさ……」



照れくさそうに頬をかきながそう言って、慧音の背後にいたカブトに気づく



妹紅「慧音、あいつは……あいつもライダーなのか?」



突然、妹紅はカブト警戒しながらライダーカードを取り出す。仮面ライダーを慧音のように誰かのために使う者もいれば、自分のため、即ちライダーの
バトルロワイヤルに参加している者も少なからずいるのだ

どんな願いでも叶えることが出来る

一年前に聞こえたあの言葉を鵜呑みにして己の願いのために他の誰かを手にかける。そんなライダーがいてもおかしくは無いのだ



(^U^)<それと>>44さん、またカブトサイドの話をする時が来たら誰がカブトかは本家カブトを知ってる人なら
      絶対に分かるヒントが出ますのでお楽しみに

平成二期が好きなんだけどWとオーズマダー?

とりあえず次は龍騎みたいだからまだガマンしてあげようぜ。書くのにだって時間かかるだろうしさ

カブト的キーワードとしては、
豆腐
料理が凄い
おでん
妹が居る
おばあちゃんが言っていた
etc...

さて、どれだろうか?

運命が味方する
絶えず進化し続ける
未来を掴んでいる


(^U^)<お久しぶりですね、皆さん。本日投下予定です。お楽しみに
>>48   <Wは既にどのコンビが変身するかは決定していますが、オーズは今のところ未定です。申し訳ありません

二人で一人の秘封倶楽部と聞いて

キメラ的意味でぬえか……色んな動物飼ってるから華仙さん?他には助け合い精神で聖様とか
恐竜キャラなんて確かまだ居ないし

>>53
(マリパチェで妄想した事あるなんて言えない・・・)

(^U^)<お待たせしました。それでは投下いたします。ゆっくりしていってください




霧の湖の畔に全てを紅く染め上げた窓が少ない洋館、紅魔館

そこは今、史上最大の危機が訪れていた!!



れみりゃ「きゃ~助けて~!」

怪人「フハハハハ!吸血鬼といえどこの俺様の敵ではない!今宵、この館は俺様の物になるのだ!」



館に立つ時計台のてっぺんに、紅魔館の主にして吸血鬼、レミリアスカーレットが怪人の人質となってしまったのである!



さくや「お、お嬢様~~~!!」

ぱちぇ「なんてことなの!れみりゃを倒してしかも人質にしてしまうなんて……私達じゃ到底敵わない!」

ふらん「うぇ~んお姉さま~」



あぁ、このまま紅魔館は怪人に乗っ取られてしまうのか!?誰もレミリアを救うことは出来無いのか!



???「待て~~い!」

怪人「だ、誰だ!!」



しかし、そこに現れたのは!?



さくや「あっ!あの門の上に立っているのは誰!?」

ぱちぇ「毛玉!?ゆっくり!?」

ふらん「いやっ!あれは紅(ほん)美鈴(めいりん)だ!!」



紅 美鈴「とうっ!」



しゅたっ!!と着地した紅(ほん)美鈴(めいりん)はそのまま庭を一直線に駆け抜け、勢いそのまま時計台を駆け上がる!






怪人「な、何ぃ!?」

紅 美鈴「レミリアお嬢様を放せ!!」



頂上に到達した紅(ほん)美鈴(めいりん)は怪人と正面から立ち向かう!



怪人「く、来るな!来るとこいつの命はないぞ!!」

紅 美鈴「ところがどっこい!もう取り返しました!」

れみりゃ「ありがとう美鈴(めいりん)!」

怪人「な、なんだとぉ!?」



なんということか!?怪人の手元にはレミリアはおらず、藁人形へと変わっていた!



紅 美鈴「すり替えておきました!」

怪人「い、いつの間に!?」

紅 美鈴「というわけで、くらえー!」

怪人「ぐああああああああ!!!」



そして、紅(ほん)美鈴(めいりん)の拳が怪人を倒した!!



紅 美鈴「大丈夫ですか、お嬢様」

れみりゃ「美鈴(めいりん)……」






ふらん「美鈴(めいりん)、お姉さまを助けてくれてありがとう」

紅 美鈴「妹様……」

ぱちぇ「さすが美鈴(めいりん)。これからもよろしくね」

紅 美鈴「パチュリー様……」

れみりあ「貴方のような門番を紅魔館に置く事ができて、私は幸せ者ね」

紅 美鈴「お嬢様……」

さくや「美鈴(めいりん)、ほら、貴方のために特大ケーキを作ったの食べて頂戴!」

紅 美鈴「咲夜さん……ありがとうございます!!」



紅 美鈴「いっただっきま~~~~す!!」



~~~~


~~~


~~








拳で倒される怪人乙wwww

夢オチ臭がwww




という夢を美鈴は見ていた



美鈴「えへへぇ~~しあわしぇ~~~」



しかも仕事中である。まぁ、幻想郷の住民の大体(というか侵入者)は空を飛んで中に入ってくるため地上にいる彼女はむしろ空を警戒しなくては
ならないので門番と言う仕事に余りやりがいを感じにくいのだ。加えて紅魔館に頻繁に訪れるものがそういないので彼女にとっては非常に暇なのだ

それでも仕事には変わりないので、涎を垂らしながらそれはもう心地良く眠っていようものなら



咲夜「……いい加減にしなさい」


ざくっ!


(目は閉じられているが)目の前にいるメイド長、十六夜咲夜に怒りのナイフを刺されることになる



美鈴「あだっ!……はっ!あれ?咲夜さん?…………特大ケーキは?」

咲夜「は?何よそれ」

美鈴「えっ?……だってさっき私のためにって……」

咲夜「……ハァ。……お嬢様や妹様の誕生日ならともかく、なんで貴方のために私が特大ケーキを焼かなきゃならないのよ」



額にナイフが刺さっているのに今だ寝ぼけている美鈴に怒りが冷め、呆れてため息が出る。その様子にようやく美鈴も夢を見ていたと言う事に
気づく。途端に、夢と現実の違いに妙な悲しみを感じた



美鈴(あぁ、夢の中じゃあんなにおいしかったケーキの味が全く思い出せないや……空しいなぁ……)

美鈴「……咲夜さん。”人”の”夢”と書いて”儚い”って、本当に良く出来た漢字だと思いませんか?」

咲夜「それはそうだけど、貴方妖怪じゃない」

美鈴「…………」



嗚呼矢張




咲夜「そんな事より、はいコレ」



咲夜は美鈴にビニールの袋を渡す



咲夜「この辺りの落ち葉、適当に拾って掃除しておいてくれる?丁度”眠くなるくらい”暇みたいだし、私はまだ中でやる事があるから」

美鈴「はぁい。分かりました」



一部言葉を強調し、しょぼくれながら袋を受け取ったのを確認して咲夜は紅魔館へと戻っていった

辺りを見渡すと、なるほど。冬も明けて冬にはすっかり雪に覆われていた地面も既に見やすくなった事もあるが、枯れ落ちた葉っぱが雪ごと地面に
踏みつけられ固まり、地面を所々汚い色に染めていた。来客こそ余り来ないとはいえ、入り口が汚れていてはいい印象を持たないだろう



美鈴「…………」



黙々と拾い



美鈴「……」



せっせと拾い



美鈴「あっ。一杯になっちゃた……」



換えの袋を貰おうと考えて門の前まで来て、振り返ると先ほどとは違う地面の綺麗さに小さな達成感を感じる。やはり仕事にはこういった達成感が
ほしいものだと妙にらしくない事を考え始めて、でも門番の仕事で達成感ってどう得るのだろうと考え、やっぱり給料Upかなぁとか、或いは
同じ仕事、交代要員がいれば仕事の話題で盛り上がれるのだろうかと、壁にもたれて、悶々と考えて



美鈴「…………」

美鈴「………………く~、すぴ~」



寝た






???「――鈴!――美鈴!」

美鈴「ぐ~……すぴ~……」

???「美鈴ってばっ!!」

美鈴「ううぇあ!?はいっ!すいません!!大丈夫です!今っすぐやりますから!!……ってお嬢様?」



反射的に謝りながら言い訳を述べてしまうのはやはり日頃の行いゆえなのか
それはともかく、美鈴の前にいたのは予想に反して咲夜ではなく、紅魔館の主、レミリアスカーレットだった

日中なので日傘をさしながら美鈴を揺すって起こしていたようだ



美鈴「あの、どうしたんですか?」

レミリア「貴方、咲夜を見なかった?」

美鈴「咲夜さん?……えっと、少し前に私にこの辺りの落ち葉拾い頼んで中に戻っていきましたけど?」



レミリアはそう、とだけ言うと額を指で叩いて考えるような仕草をする。その様子を見て何かあったのかと思い尋ねてみると、少しだけ言いにくそうに
して



レミリア「それが……咲夜がいないの」

美鈴「は?」

レミリア「いないのよ。屋敷中のどこを探しても、誰に聞いても、咲夜を見かけて無いの。妖精メイドが最後に見たのは貴方の所へ行った
     って所だけ、その後は誰も咲夜の姿を見た者がいないの」

美鈴「そ、そんな!」



むぅ……




レミリア「ねぇ、貴方咲夜がどこに行ったか本当に知らない?」

美鈴「いえ、紅魔館の方でまだやることがあるからと戻っていったっきり……」

レミリア「う~…………あっ!そうだ!実は買い物に行ってるとか!それなら紅魔館にいなくても不思議じゃないわよね!?」



何しろ美鈴は寝ていたのだ。紅魔館から出て行ったのを知らないのも無理は無い。誰にも告げずに出て行ったという部分が怪しいところではあるが
心配になるあまり、無意識のうちに咲夜の安否を確実なものにしたいレミリアはそのとっさの思いつきに納得しようとするが



美鈴「……いえ、それは無いと思います」

レミリア「な、なんでよ……」



美鈴は自分の額を指差して



美鈴「ほら、見てください。ナイフが刺さってるじゃないですか。これ、掃除を頼まれる前に刺されたんですけど、もし咲夜さんがどこかに
   行ったとしたら、寝ている私の体にどこかナイフが刺さってるはずなんですよ。なのにほら、これ以外どこにもナイフが無いじゃないですか」



くるりと回って後ろも見せてる美鈴にレミリアはまたしても不安に駆られる。これで振り出しに戻ってしまった



レミリア「……仕方ないわね、もう一度中を探して見ましょう。それで見つからなかったら咲夜の行きそうなところを片っ端からあたるわ
     美鈴、貴方も手伝ってくれる?」

美鈴「はい、もちろん!」

レミリア「あとそのナイフさっさと抜きなさい」

美鈴「はい」



まだ刺してたのかよwwww




@紅魔館 内部



レミリア「私は一階を探すわ。フランやパチェにも地下で探してもらってる。貴方は上の階を虱潰しに探してきて。何かあったらすぐに呼んで!」

美鈴「はい!」



美鈴は階段を駆け上がり言われたとおり目に入った扉を片っ端から開けていく



美鈴「咲夜さ~ん!皆心配してますよ~?……咲夜さ~ん!」



隠れる場所がありそうなところはクローゼットの中だろうがベットの下だろうが探していく



美鈴「咲夜さ~ん?隠れても無駄ですよ~?」



しかし探せども探せども十六夜咲夜の姿を見つける事は出来なかった。最後にガラクタ置き場と化している部屋に入って、やはり姿を確認できない

ため息をついて丁度いいダンボールの上に座り込む。一瞬、ダンボールの中にいるのではと思って、どこぞの蛇でもあるまいとまたため息をつき
いっそおびき出そうかと怪我を覚悟で悪口(?)も言ってみる



美鈴「咲夜さ~ん?……完全で瀟洒だけど実は猫舌な咲夜さ~ん!」

美鈴「…………」

美鈴「妖精メイドの間でPAD疑惑を持たれてる咲夜さ~ん!」



そこで何者かの気配(殺気かもしれない)を感じて横を向くと、お世辞にも趣味のいいデザインとは呼べない巨大な鏡があるだけだった。鳳凰や龍
天馬やヒュドラなど、所謂伝説上の生き物、怪物を思いつくだけというか思いついた順からあしらえた黄金色の装飾が鏡を囲っている

無論、鏡なので映っているのは自分の姿



思わせぶりミラー




咲夜『そのメイド達の名前を教えなさい。再教育するから』



ではなかった

美鈴は一瞬自分の目を疑って、一瞬自分の頭を疑って、しかし現実だど即効で辿り着き、こめかみを眉をぴくぴくさせている咲夜がいる鏡の元へ驚いた表情のまま、慌てて駆け寄る



美鈴「さ、咲夜さん!?な、なな何で鏡の中に!?」

咲夜『え?……あ、そうだった。美鈴!私の言う事を良く聞いて!』

美鈴「は、はい!」

咲夜『それが、貴方に分かれた後玄関の鏡からモンスターが出てきてこっちの世界に引き込まれたの』

美鈴「鏡の世界?なに変な事言ってるんですか、ファンタジーやメルヘンじゃないんですから」

咲夜『ふざけてると後で刺すわよ』

美鈴「すいませんでした!」

咲夜『とにかく、こっちの世界に来れるライダーが必要なの。とりあえず』



続きを言う前に咲夜が横を振り向くとすぐさまその場から飛びのいて動いて鏡から姿を消した。美鈴が驚いて名前を呼ぼうとした瞬間、入れ替わるように
モンスターの姿が映し出された。咲夜はモンスターの存在に気づいて逃げ出したのだ

モンスターは咲夜の後を追うように鏡から姿を消した。美鈴はモンスターを止めようにも鏡の世界という別の場所にいる相手にはどうする事も出来無い
何とかしなければと考え



美鈴「そうだ……!」



美鈴は一枚のカードを取り出す。それはライダーカード、美鈴もまた一年前の声を聞いた一人だったのだ






美鈴「ライダーカード!」



カードは光り輝きその形をやや大きなものへ変え、厚みを増し、カードデッキへと変わる



美鈴「これならきっと!」



カードデッキを鏡へかざすと鏡に写る美鈴の腰にVバックルが装着される



美鈴「変身!」



Vバックルにカードデッキを装填すると幾つもの像が重なり、美鈴の体と重なってライダーの姿へと変えた



美鈴「っしゃあ!」



手のひらと拳を合わせて気合を入れ、鏡へと飛び込む。吸い込まれるように美鈴の体は鏡へと入って行き、その部屋には静寂だけが残った



”鏡の世界”



そう咲夜が呼んだように、その世界は左右が反転していた。物が置いてある場所、間取り、ダンボールにある文字目に映るすべてが反転している
その世界は奇妙で、同時に気持ち悪いと美鈴に思わせた



美鈴「咲夜さ~ん!どこに行ったんですか咲夜さ~ん!」



しかし今はこの世界が何だろうとどうでもいい、きっと今も咲夜はモンスターから逃げているのだろう。手遅れになる前にと咲夜の捜索を開始した




(^U^)<本日の投下はここまでです。次回をお楽しみに

乙っしたぁ~!次回も期待!

雰囲気的にもやっぱそうだよな~

乙ベント

やっぱ美鈴は龍騎だよなぁ
貴重な拳法使いとしてメテオでもいいけど

オデンは個人的にレミィのイメージなんだよな

壁|U^)チラッ


壁|   スススッ ~( ^U^)

           
壁|       (^U^)!


壁|  (^U^;)三二一 ビュンッ!


壁|




壁|U^)チラッ


壁|U^)<明日、投下の予定です。お楽しみに

しとるで!



壁|


壁|                                                (^U^ )三二一 ビュンッ!


壁|                               (^U^)<投下開始します。




美鈴「どこいっちゃたんだろう……外かな?」



窓を覗くと外には咲夜の姿もモンスターの姿も無い。やはり室内かと思い再び駆け出そうとした時


…………ドズゥン!


不意に館に大きな揺れが起こる



美鈴「おぉっとと!?」



揺れに体勢を崩すがすぐに収まる。代わりに、今度は外から大きな音が鳴り響いた。美鈴が外を覗いてみると。庭には探していた咲夜がいた



美鈴「あ!咲夜さんいた!」



だがもう一つ、モンスターの姿も見えた。どうやら館中を逃げ回っているうちに外に飛び出したようだ



美鈴「よぉし、今行きますよ咲夜さん!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


咲夜「クッ!」


地面を転げ、モンスターの攻撃を回避した咲夜は状況が悪化している事に歯噛みする

始めは咲夜を鏡の世界に引きずり込んだ巨大なクモのモンスターに追われていたのだが、館の中へ避難し安全を確保したと思いきや、今度はガゼル
のモンスターが現れ、館中を逃げ回っていたのだ

そして美鈴と出会い、別れてから廊下で館を破壊しながら襲ってきたクモのモンスターとガゼルのモンスター達に挟み撃ちされ
窓から外に飛び出したのだった






クモのモンスターは窓を壁ごと破壊し外に出る。続く形でガゼルのモンスターも破壊されて出来た大穴から飛び出してくる



咲夜「なんなのよもう……今日は絶対厄日だわ……」



モンスターは二体、対して獲物は一体。横取りを恐れて互いに潰し合うのが普通だろうが、それよりも先に獲物にありつきたいと考えているのか
咲夜はじりじりとモンスターに追い詰められていた

そしてガゼルのモンスターが飛び掛ろうとしたその瞬間


バリィン!


美鈴「咲夜さーーーーん!!」



上から、窓ガラスを突き破って美鈴が飛び出してきた



咲夜「なっ!まさか、美鈴!?」

美鈴「とぉりゃあああ!!」


ドズン!


クモのモンスターの背中に着地と同時に落下の勢いと全力を込めた拳を叩き込む


ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


美鈴「おおおぉりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!―――――――――――」



それにとどまらず、さながら機関銃の如く連打で拳を叩き込み



美鈴「―――――――――――てぇりゃああああ!!」


ズシンッ!


最後の一撃でクモのモンスターはついに地面に倒れ伏した






美鈴「大丈夫ですか咲夜さん!?」



クモのモンスターの背から飛び降りて、咲夜の元へ駆けつける



咲夜「美鈴、貴方なの……」

美鈴「はい、紅 美鈴。仮面ライダーです」



仮面の下で笑顔を浮かべて、美鈴は咲夜の無事に安堵する



美鈴「もう大丈夫ですよ。私が来たからにはこんな奴らちょちょいのちょいです!」

咲夜「美鈴……いや、貴方」

美鈴「あぁ~皆まで言わなくていいですって。お礼なんてそんな」

咲夜「いやそうじゃな、ってちょっと!後ろ!!」

美鈴「?……後ろ?」



慌てて後ろを指差す方向に振り返るとガゼルのモンスターの攻撃が美鈴の顔面を打った



美鈴「あだぁっ!!」



さらに続けて横からも打撃を受ける



美鈴「どわたぁっ!!」

咲夜「美鈴!」



顔面の痛みが消えぬ内にさらに与えられた痛みで美鈴は悶絶し、地面をごろごろと転げまわる






美鈴「っ~~~~!こ、こんのぉ……ってうわぁ!!」



痛みに耐えながら起き上がると先ほどまで数えるほどしかいなかったガゼルのモンスターが倍の数まで増えていた



美鈴「咲夜さん!」



すぐに美鈴は咲夜の元へ戻り、咲夜を壁に預け自分は前に立つ。突然外から壁を飛び越えて咲夜を襲われないように背後にも気を配っておく



美鈴「一体どこからこんなに……」

咲夜「多分……元々集団で動くタイプのモンスターなんじゃないのかしら。館を逃げ回ってたときも色違いの
   モンスターに何度か追いかけられたし……」



そう語る咲夜を見ると合流直後は気がつかなかったが、顔こそ平静を装っているが、僅かながらに見える汗と、隠し切れない疲労が体を壁へと
預けさせていた。決着は早めにつけるべきかと思考しながら、カードデッキから一枚のカードを抜き取り左手にあるバイザーに入れると
バイザーがカードを読み取る


                          【Swrod Vent】


電子音の後に空が瞬(またた)いて、剣が美鈴の元へ降り注いぐ。それを掴み取り、構えたと同時にガゼルのモンスターが美鈴に飛び掛る



美鈴「はあああああああっ!!」



美鈴はすれ違いざまに剣を振り下ろし、モンスターを一刀両断しようとして


べきぃん!


美鈴「わぁ!?お、折れたぁ!?」



剣は何の抵抗もなく真ん中からへし折れた






美鈴「えっ?ナンデ!?」



美鈴の背後にかすり傷も負わずに着地したモンスターは、驚愕して剣を見たまま固まっている美鈴の背中を蹴り、群れの方へと飛ばす



美鈴「いだぁ!」

咲夜「美鈴!」

美鈴「痛い!ちょっ痛い痛い!やめてほんとに痛い!!」



ようこそいらっしゃい。死ね!

と言わんばかりにガゼルのモンスターの群れは美鈴を袋叩きにする



美鈴「ぬがぁああああ!!痛いって言ってるでしょおおおがあああ!!」



力ずくで起き上がるとモンスター達を蹴散らし、群れを抜け出してて咲夜の元へと駆けよる



美鈴「逃げましょう!」

咲夜「え?」

美鈴「こっちです!」



美鈴は咲夜の手を引いて門の方へと走る。とにかく一旦状況を立て直そうと、この場から逃げようとしていた


どごおおおおおおおおおおおおおん!!






しかし、突如聞こえた爆音と衝撃によって背中からきた肌を痙攣させたような感覚に思わず足を止める。そして、ゆっくりと後ろを振り向くと
庭には大きな穴が開いてそこが爆心地だと理解させ、その周りの青々と茂る草を焦がし尽くしていた



                  「グォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」



一体何が起こったのか、そう疑問に思う前に上空から先ほどの爆発よりもより大きく空気を震わせた咆哮が轟き、思わず身をすくませる

咆哮の主は上を見上げてすぐに分かった



美鈴「赤い……龍?」

咲夜「ドラグレッダー……」



ドラグレッダー

その名を持つ赤い龍は空を滑りこちらを見ていたかと思えば大きく首を構え、閉じた口から小さな火が零れ落ちる



美鈴「! 咲夜さん!」



そのままこちらを向いたことで何が起きるかを察知した美鈴は咲夜を抱え、大きく跳んだ。どの方向かは関係ない、とにかくその場にいたらまずかったのだ


                どごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!

          どごん!!                             どごおおおおおん!!


ドラグレッダーの口から火球が幾つも放たれ、美鈴達のいた場所にも着弾する。再び爆音が轟き、一瞬にして植物は灰と化し、火炎と衝撃が美鈴達を襲った

それに逃れる事ができたのは美鈴が危険を察知したのが早かった事に加え、仮面ライダーという身体能力が人間を越えるものであったが故に遠くへ跳べた
ことだった。多少咲夜の体に負担は掛かったが、火炎に身を焦がし、衝撃に体を裂かれていたかもしれないことを考えれば、最善の判断だったと言える

逆に、最悪の場合

避ける事ができなかったらどうなっていたか

それは同じく狙われていたガゼルのモンスターの群れが数を減らし、あちこちに散乱する死骸の一部と思わせる手や足が物語っていた






その様子は、仮定の話とは言え自分達だったかもしれないと思うと、体から疲労や痛み、体温さえ奪うかのような寒気が襲う



美鈴「―――っ!」ゴクリ



立ち止まってはいけない


すぐに体を起こし、咲夜の体を抱え門へと、門の外の森まで駆ける



                       「グオオオオオオオオオオオオオン!!」


                                                            どごん!!

             どごおおおおん!!
                          どがあああああん!!
 

  どごおおおおおおおおおん!!                            どごおん!!


逃げる獲物に狙いなどつけるよりまとめて燃やしつくようにドラグレッダーは火球を乱れ撃つ

直撃は絶対に避けなければならない。加えて着弾地点に近づけば爆炎と衝撃にも襲われる。一人ならともかく、ライダーではない咲夜を抱えている
美鈴にとっては危機感を煽り、鼓動を加速させ、そこから生まれる力の全てを足を我武者羅に動かすために注ぐ要因となっていた



美鈴「うわっ!うわわわわわぁーーー!!」



我ながら情けない悲鳴を上げながら紅き館の庭、そして紅色に染まり続けている爆撃地帯を駆け抜ける







そしてついに門まで辿りついた。ここを出て森へと入れば少なくとも上空からではこちらの姿は見えなくなる

一層足に力を込めた瞬間、視界に自分の影が急速に伸びだした。それだけではなく目の前にある地面は徐々に強い光が覆い始める

そして、背中に熱を感じた



美鈴「!」



美鈴はまたしても何も考えずに跳んだ

いや、正確には今自分の背後にはドラグレッダーが放った火球が迫っていることを察知したのだ。ここで跳ばねば確実に死ぬ。だから美鈴は跳んだ



                 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!



最も大きな爆音と衝撃を背中から感じながら、美鈴と咲夜は宙を飛んで、爆風によって門の外まで押し出される


どざああああ


美鈴「ぐっ!」

咲夜「っ!!」



着地に失敗し美鈴は地面に倒れこみ、咲夜は美鈴の手から離れるが受身をとる



美鈴「っ……咲夜さんこっちです!!」



しかし倒れている時間すら今は致命的となる。すぐさま美鈴は起き上がり、咲夜の手を引いて森の奥へと入っていった




(;^U^)<ちょっとわけあって今回はここまでです。思いのほか短くなってしまいました……
      <期待してくださっていた方。申し訳ありません

乙!
美鈴頑張れ!


ブランク体からなのね

ドラちゃんちょっと激し過ぎィ!

(0>>10)<どうも皆さん。お久しぶりです。本日投下のめどが立ちました。






                                    ダリナンダアンタイッタイ・・・>(0W0;)

(0>>10)<お待たせしました。投下開始です。ゆっくりしていってほちぃ       
                                        ダカラアンタハダリナンダ!>(0W0#)




ざざざ!    ざざざざっ!!


美鈴「はぁっ はぁっ……とりあえず、ここなら上からでは見下ろせ無いでしょう……」

咲夜「えぇ……そう、みたいね」



美鈴も咲夜も、共に肩で息をしながら木にもたれる。耳を澄ませばドラグレッダーの咆哮が未だに空に響き渡っているのが分かった




美鈴「あぁ~~……せっかく助けに来たのに……すいません。役に立てなくて」



あっけなくへし折れた細身の剣を見ながら美鈴は謝罪する。その様子に何かを察した咲夜は美鈴に問う



咲夜「美鈴……貴方、まさかとは思うけど……今日始めて変身したの?」

美鈴「? えぇ、はい。良く分かりましたね」

咲夜「はぁ……だからなのね……」

美鈴「はい?」

咲夜「あのね美鈴。今の貴方ははっきり言って無力よ」

美鈴「あ、はい。重々承知してます。痛感してます」



助けに来たつもりが自分も巻き込まれている。なんとも情けないその様は美鈴にとっても深い傷になっているようで、深々と頭をたれる



咲夜「そうじゃなくて、貴方はまだ仮面ライダーとしては不完全ってことよ」

美鈴「は?」

咲夜「美鈴、貴方が戦うにはまずモンスターと契約しなくちゃいけないの。鏡の中に入ることが出来るライダーは皆そうしてるわ。今の貴方の状態は
   所謂”未契約”状態。そんな状態じゃモンスターと戦うことなんて出来無いわ。精々ライダーでもモンスターでもない人間や
   その辺の妖怪よりちょっと強い程度よ」

美鈴「へぇ~。よく知ってますね、咲夜さん」

咲夜「仮面ライダーが現れてもう一年も立つのよ。私だって自分の周りの事くらい調べるし、貴方と同じタイプのライダーを知ってるからよ」

美鈴「へぇ~」






美鈴「あ!じゃあ私があのドラグレッダーと契約すればいいじゃないですか!そうすれば安全にこの世界から脱出できますし!」

咲夜「……ダメよ」

美鈴「な、何でですか!?」

咲夜「モンスターと契約すれば貴方はずっとモンスターに餌をあげつづけなきゃならない。でなければ腹の空かせたモンスターは
   貴方を食らうことになるわ。貴方は契約したその瞬間から、戦い続けなければ生きていけない運命を背負う事になる」

美鈴「そ、その位私は!」

咲夜「それだけじゃないわ。貴方は、自分の命を狙ってきたライダーと戦えるの?」

美鈴「…………え」

咲夜「忘れたの?その力は元々、誰かが私達に殺し合いをさせるために与えたもの。つまりライダーである以上、勝利者を目指す
   ライダーから命を狙われる危険が常に付きまとう事になる……ということよ」

咲夜「確かに、ドラグレッダーは強力なモンスターだし、契約すれば間違いなくスペックで言えば上位の部類に入るでしょう。だけど
   ライダー同士の戦いはスペックだけで決まるものじゃない。誰にだって命を奪われる危険が付きまとう。それとも、貴方本気で
   バトルロワイヤルに全員が反対していると本気で思ってるの?」

美鈴「それ……は……」

咲夜「私は、怖いのよ」

咲夜「お嬢様や妹様、パチュリー様までもがライダーとなっている。確かにその力の強さは知っているし、もし他のライダーに命を狙われても
   負けることなんか無いと思ってるわ。だけど……だけどやっぱり不安なの」

咲夜「得体の知れ無いその力が一体何をもたらすのか、ライダーになった者に何が起こるのか……それが分からなくて……怖い」

咲夜「それなのに、貴方まで完全にライダーになってしまったら……私は……どうすればいいのよ…………ライダーに選ばれなかった……私は……」

美鈴「咲夜さん……」


              ばきばきばきばき
                               ばきばきばきばき



                    どずん!


美鈴・咲夜「「!?」」






その音が、樹木が根元から折られた音だと気がついて、音のするほうを見れば、うっそうと生い茂る森の中、伸び伸びと育った木々が
紅魔館で見かけ、美鈴が戦った巨大なクモのモンスターによって次々と乱雑に倒されていた

その姿は美鈴が倒したものとは少しばかり姿が変わっていた。いや、進化しているといえるかもしれない。元々は文字通り巨大なクモ
だった。しかし今美鈴達の目の前にいるのはそこには顔や手は人間の物ではなかったが、人型の上半身が生えていた



美鈴「……こんのぉおおおお!!」

咲夜「美鈴!?」



美鈴は目の前のモンスターがこちらを認識してむかっているのを分かっていた。だが今の自分ではモンスター一匹相手どることは不可能だという
事もも分かっていた。しかし、今ここで戦えることが出来るは自分だけ。ならば、美鈴のとる行動は一つだった



美鈴「咲夜さんは逃げてください!」



クモのモンスターの視界がへし折った木が倒れることで防がれた瞬間、美鈴はとび蹴りをへし折った木に向かって放つ

しかしクモのモンスターはそれを腕で受け止め、そのまま美鈴ごと押し返す。手ごたえが無い事を気づいた美鈴は押し返される前に自ら後ろに跳び
素早く地面に着地するが


ぶおん!


美鈴「!」


ゴッ!


飛来してきた木に吹き飛ばされてしまう


どざぁああああ


美鈴「ぐ……クハっ!」

咲夜「美鈴!」






鈍い痛みが美鈴の動きを遅くさせ、クモのモンスターはその隙をついて杭のように太い足をドスドスと動かして美鈴に迫る

逃げなければと頭が分かっていても、体を蝕むような痛みが力を入れるのを妨げている。それでも立ち上がろうとしたその瞬間には



美鈴「っ!」



クモのモンスターはその太い杭のような足を大きく振り上げ、さながら肉食獣が獲物に食らいつくための牙の如く



振り下ろされた



美鈴「っ!」





どざざざ!





だが、突然その足を止め、クモのモンスターは何かに弾かれたように美鈴の傍を素早く離れる



美鈴「…………?」



どうする事もできずに目を瞑っていた美鈴はその音に疑問を抱きゆっくりと目を開けた



咲夜「ハァッ!……ハァッ!……」

美鈴「咲夜さん!?」



目に映ったのはいつの間にか自分の傍にいた咲夜だった。咲夜はその手に美鈴のデッキから引いた一枚のカードをクモのモンスターにかざしていた
クモのモンスターは忌々しそうにこちらを見ながらも、それ以上近づこうとはしなかった






咲夜「間に合って……よかった」



そう言って安堵の表情を浮かべた咲夜は、ふらりと、カードをかざしたまま美鈴の方へ倒れた



美鈴「! 咲夜さん!!」



すぐさま起き上がり美鈴は咲夜を受け止める



美鈴「どうしたんですか!?咲夜さん!」

咲夜「……時間、切れ……みたいね……」


サァァァ……


美鈴「え?……! 咲夜さん……体が!?」



咲夜の言葉に首をかしげるが、咲夜の体からまるで蒸発するかのように砂のようなものが湧き上がっていた



咲夜「美鈴、よく聞いて……この世界では私も、ライダーも……長く居続けることは出来無いの」

美鈴「じゃ、じゃあ……」



疲労が隠し切れなくなったのではない、この鏡の世界が咲夜を拒絶する力の仕業だった






話す事もつらそうに、それでも力を振り絞って美鈴に持っていたカードを差し出す



咲夜「美鈴、これを……持っていなさい」

美鈴「?……これは」

咲夜「封印のカードよ」

美鈴「封、印?」

咲夜「それはモンスターを……封印することが出来るの。それさえ、持っていれば……モンスターには…襲われないわ」

美鈴「! な、なら私がコレを持って咲夜さんを運べばこの世界から脱出できるじゃないですか!」

咲夜「……いいえ、無理よ」

美鈴「ど、どうしてですか!?」

咲夜「このカードは一体しか封印することができない……モンスターは……封印される事を恐れて、近づかないだけ……なの」



もし、遠くから攻撃されてしまえばカードなど恐れる必要は無い。今目の前にいるクモのモンスターにしても、ここらにある木々を投げつけて圧死
させてしまえばいいのだから

ましてや美鈴一人ならともかく咲夜を背負った状態で、この状況を切り抜けるのは不可能と言っていい



咲夜「貴方はまだ時間がある。だから……せめて貴方だけでも、逃げ延びて」

美鈴「……嫌です」



差し出したカードを受け取らず、咲夜に押し返す



咲夜「なにっ……言ってるの!このままじゃ二人とも!」

美鈴「二人とも助かる方法なら最初からあります!」






咲夜「そんな……だめよ!まだ、まだ貴方にはライダーにならずに済む!戦い続ける運命から逃れることが出来る!貴方はそれを捨てる気なの!」

美鈴「すいません。でも、私……」



咲夜を両手で抱え(所謂お姫様だっこ)、クモのモンスターと向き合う



美鈴「明日自分が殺されるかもしれないから……そんな理由で咲夜さんを見殺しにすることなんて出来ません」



咲夜「美鈴……」

美鈴「しっかり捕まってて下さい!」



そして美鈴は森の外へと駆け出した。封印される危険はあっても獲物を逃すわけにはいかない、クモのモンスターは美鈴の後を追う
だがそれは美鈴の予想通りだ

森を出て、今度は門の方へと駆ける



美鈴(もう少し!後もう少し!)


ばしゅんっ!!


美鈴「!!」



突然門の前に巨大なクモの巣が絡みついた。それはクモのモンスターが出したもの。紅魔館へと入らせ無いために入り口を塞いだのだ

だが、美鈴は門のことや、クモのモンスターのことなど構わず空を見ていた。まだどこかに居るはずの、あのモンスターを



美鈴「ドラグレッダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」



美鈴は空へと、天へと叫んだ。力の限りを尽くして



                         「グオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」



そして龍は、答えた






美鈴「!」



美鈴の予想に反して、ドラグレッダーは紅魔館とは反対側、クモのモンスターの背後の空に居た

どうやら見逃してから辺りを探していたらしい。美鈴は咲夜を壁に預け、クモのモンスターを睨みつける



美鈴「……通る!!」



美鈴はクモのモンスターへと一直線に駆け出した。封印のカードは持っていない、咲夜に持たせている。それを知ったクモのモンスターは
同じように美鈴に近づく。巨大な物体が接近してくるというのはそれだけで十分に恐ろしさを感じさせる。が、今の美鈴はなおも駆けるスピードを上げる


ひゅん!


もはや剣としての役割を果たせない剣だったものをクモのモンスターに投げつける
モンスターはそれを片手で弾くともう片方の手で美鈴の頭を殴りかかる


                      ドザァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!


しかし、美鈴はモンスターに十分に接近すると、モンスターの手が頭を捉えた瞬間背中を地面に倒し、モンスターの股下を滑って潜り抜ける

美鈴は跳んだ。そして契約のカードを引き抜いた



美鈴「私と契約しろ!ドラグレッダー!!」


      
           「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」



ドラグレッダーはかざされた契約のカードへと向かう。カードが輝き、ドラグレッダーの体は吸い込まれるようにカードの中へと入っていった







美鈴「!」



美鈴は自分の体が光に包まれている事に気づいた

カードは何も無かった場所にドラグレッダーの姿が描かれ、シンプルな形をしていたバイザーはドラグレッダーの頭部の意匠に変わり
体は全体的に赤い色に染まっていった



美鈴「これが……これが仮面ライダー……」



美鈴は地面に着地するまでの僅かな時間で、モンスターと契約する以前とは比べ物になら無いほどの力を得た事を体全体で感じていた
力が湧き上がるのを感じる。力が体中を駆け巡り、今までの自分との差がはっきりと分かっていた

今ここに、紅美鈴は『仮面ライダー龍騎』として完全に覚醒した



美鈴「! そうだ、早く咲夜さんを!」



そして、すぐに後ろを振り返ると、クモのモンスターがようやっと自分の方へ振り返っていた



美鈴「貴方に関わっている暇はもう無い!」



美鈴は一枚のカードを引き抜き、ドラグレッダーの意匠のバイザー『ドラグバイザー』へとカードを挿入する


                             【Final Vent】


                     「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」

美鈴「はぁあああああああっ!!」



バイザーがカードを読み込み、ドラグレッダーが咆哮と共に美鈴の周りを飛び回る。美鈴が飛び上がると、ドラグレッダーも上昇し、天を駆け昇る
美鈴は空中で宙返りをし、構える。そして、ドラグレッダーが美鈴の背後へと周り込む



                  「グオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオン!!」

美鈴「だあああああああああああああああああ!!」



ドラグレッダーから放たれた火炎を身に纏い急加速したキックが炸裂し、クモのモンスターを爆散させた






美鈴「咲夜さん!」



再び地面に着地した美鈴はすぐさま咲夜の元へ向かう



咲夜「め…い……り……」

美鈴「咲夜さん……」



最早体に僅かな力も残されていないようだった。それだけではない、ほんの少しだが咲夜の体がぼんやりと透けていっている

時間が無い

美鈴は咲夜を抱え、門を飛び越え、玄関まで一直線に駆ける。美鈴は腕に感じる咲夜が軽い事に気づいた。未契約状態からスペックが上がり腕力が上がった
からだけではない。咲夜の体から湧き出ている砂のようなもの。咲夜の存在がこの鏡の世界の中で消えていっているのだ

咲夜の重さが消えていく、咲夜が消えていく、十六夜咲夜が、死んでしまう

こんなにも全力で走っているのに、まるで途方も無く長く感じる。早く、もっと早く!



美鈴「死なないでください!咲夜さん!!」



乱暴に玄関の扉を蹴り飛ばし、壁にかけてる鏡を見つけた。そこは咲夜がモンスターによってこの世界に引き込まれた場所だった

無我夢中で、美鈴は鏡へ飛び込んだ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


どごん!!


美鈴「っだぁ!!」



そして、美鈴は元の世界へ戻ってきた

勢いよく飛び込んだため鏡とは反対側の壁に体をぶつけ変身が解けてしまうが、今はそんな事はどうでもいい



美鈴「咲夜さん!?咲夜さん!?」

咲夜「…………ん……美、鈴?」

美鈴「咲夜さん……咲夜さぁああああああん!!!」ガバッ!

咲夜「ちょ、な、美鈴!?」

美鈴「良かったぁ~!ほんどによがっだぁ~~~~!!」



涙をこぼしながら咲夜をしっかりと抱きしめる






美鈴「咲夜さんほんとに軽くなってて…グスッ…今にも消えてしまいそうで…ヒック…死んじゃうかと思ってぇえ~~」

咲夜「美鈴……」

レミリア「ちょっと何!?今の音!」

咲夜「!?」



突然、咲夜の耳に主人であるレミリアの声が聞こえる。どうやら戻ってきたときに近くに居たようですぐそこまで来ている様だ

同時に咲夜は気がつく。今のこの状態はマズイことに。何がマズイかというと、今自分は自らの汗と土で服が汚れて泣き腫らした
美鈴に抱きつかれているというこの状況だ

紅魔館のメイド長・十六夜咲夜は完全で瀟洒であり常に余裕を持って優雅であるメイド

特に、主人であるレミリアの前では自分のイメージはそうあるべきだと咲夜は思っている。だが今のこの状況はどうだろう?全くイメージに一致していない



咲夜「!! ちょ、放しなさい!」グイッ!

美鈴「あだっ」ゴッ

レミリア「ねぇ?一体何が……咲夜!!」

咲夜「は、はいお嬢様!十六夜咲夜。ここにおります」

レミリア「ちょっと!貴方一体今までどこに居たのよ!」

咲夜「申し訳ありません!……実は――――――――――」

美鈴「…………」



咲夜がレミリアに今までのことを話すのを見ながら、美鈴は思った

仮面ライダーの力、それが本当は殺し合いの道具として作られたとしても、たとえ自分の運命がこれから戦い続けなければならない運命だとしても
それをどう使うかは自分自身だ。ならば自分は少なくともこの力を助けるために戦おうと。自分の心が正しいと信じる事に使おうと







??1「『―――それが、私にとっての仮面ライダーとしてのあり方』……そう思っているでしょうね」




紅魔館の屋根の上、誰にもその姿を見られていないその場所でそう呟いたものがいた




??2「ふ~ん……で?どうするの?」




もう一つがそう呟く




??1「何もしないわよ。今日は確認のために来ただけだしね」

??2「ふ~ん……ねぇ?確かに聞くかぎりじゃ予想通りみたいだけど、本当にそうなってるの?」

??1「予想じゃないわよ。う・ら・な・い」

??2「だから心配なんだけど……」

??1「心配無いわよ」



ピィン



コインを弾いて、自信たっぷりな顔で




                           「私の占いは、当たる」



(0>>10)<これにて龍騎編は一旦終了。次はプリティでキュアキュアな彼女達の物語です

                                  ウェッ!?>(0W0!?)   
                             ナニイッテンダ!ウジャケルナ>(0M0#)
                             トッチメロムッキー!>(<::V::>#)        
                                   はい!>(0H0#)

乙!
やっぱり戦わなきゃならんのか……とは言っても、世界全体が龍騎みたいになったが故だからなー。どうなる事やら

??1、2…一体何者なんだ…

咲夜さんが生きていてくれて良かった
とにかく良かった

プリティでキュアキュアて、東方のキャラは殆どかぁいらし女の子ばっかりやから誰だか分からん

ふと思いついたどうでもいいこ小ネタ

~~~東方鈍床変~~~

魔理沙「答えろよレティ!お前なんだろ!幻想郷の春を奪ったのは!!」

レティ「私が?……はっ!違うわ、私じゃない……神主よ……」

魔理沙「なっ!……う、嘘だ!何を証拠にそんなこと!!」

レティ「嘘じゃない!!それに、本来なら私はあんな無様な当たり判定をさらしたりはしない!!」

           ゲホッ!ゴッホ!ゲホ!(レティのせき)

             ドササッ(雪が落ちる音)

レティ「前回の異変で、予想よりもはるかに多くのイージーシューターが現れて、エンディングにたどり着けないものが続出した……
    だから神主は少しでも多くのシューター達にゲームを進めて貰う為に、序盤のボス達を格段に弱体化させたのよ……
    だけど、ストーリーを優先させる余りゲームのシステムにまでは手をつけられなかった……その結果がこれよ!!」

レティ「急遽作った当たり判定のせいで……私のカラダハボドボドヨォ!!」

           ゲホッ!ゴッホ!ゲホ!(レティのせき)

レティ「はぁ はぁ いずれ貴方にもそんな日が訪れるわ……精々覚悟をしておく事ね」

魔理沙「そんな……私の体が……ふとましく?……嘘だ……ウソダドンドコドーン!」


咲夜さんなら空間操作の応用でミラーワールドも多少何とかなりそうだが
とにかく乙

女性としては確かに、嬉しくないだろうなぁ
当たり判定であって、本人の幅とは関連性薄いけど

|/|-|\
| 0M0)ジー
|⊂ /
|  /


||-|\
| 0M0)!
|⊂ /
| /




|ミピャッ

>>115 
   |
   |          ナズェニギルンディス!>(0W0;)三二一  ビュンッ!
   |               
   |



          (^U^)<本日投下予定です。お楽しみに


(^U^)<お待たせしました。投下開始です。ゆっくりしていって下さい




@魔法の森



???「はぁっ……はぁっ……」



魔法の森は昼間になっても薄暗くじめじめしていることから様々なきのこが自生し漂う胞子は時には体に害を及ぼす事もあるそんな場所に
『アンデッド』と呼ばれる怪人がいた

幻想郷で特に危険視されている怪人であり、その名の通り不死身の怪人種族である。いかなる攻撃を加えようともその怪人たちを倒す術は無く
幻想郷の住民達が”怪人”という存在に対して明確に恐怖の対象として見られるようになった切欠ともなった者たちだ

そして今、そんなアンデッドに襲われている妖怪がいた。彼女の名は、リグル・ナイトバグ。蛍の妖怪で蟲を操る程度の能力を持つ



リグル「はぁっ……はぁっ……全く、ほんとにしつこい」



森の中を飛びながら逃げているリグルの背後に居るのは蝙蝠のアンデッド・バットアンデッド。怪人の中でもそう数の多くない空を飛ぶ怪人である



リグル「ええいもう!こうなったら……」



このまま追いかけっこを続けるのはまずいと感じてかリグルは後ろを振り向き後ろ向きに飛びながら手を上に伸ばすすると振り上げてから数秒と立たずに
無数の虫たちが草むらの中から、生い茂った木々のの中から、どこからとも無く集まってきた。リグルが自分の能力を使ってこの場に呼び寄せたのである



リグル「行って!」



手を前に突き出すとそれを合図に虫たちはバットアンデッドへと飛び掛る。だが相手は妖怪すら襲う怪人である。蟲の群れではどうする事とも
出来無い。だが、リグルの狙いは傷を負わせるためではない。もとより不死身の怪人に蟲の群れでどうにかなるとは思っていない
だが、視界を覆うことは出来る
狙い通り、バットアンデッドは視界を覆われ空中で両手をなんとかバタつかせて追い払おうとする。バットアンデッドは両手にある翼で空を飛ぶため
雑に動かしていては空中を飛ぶことは出来無い。徐々にバットアンデッドは空中から落下し始める



リグル「!」



しかし、突然その蟲の群れを蝙蝠の群れが襲った。バットアンデッドもまた、リグルと同じように蝙蝠を呼び寄せたのだ






蟲の群れは散り、蝙蝠に無残に食い散らかされたり、四方八方へとどこかへ去っていった



リグル「~~~っ!あぁあもう!」



結局、状況は始めに戻り、リグルはバットアンデッドに背を向けて逃げ出した



???「…………」



その様子をリグルにも、バットアンデッドにも見えていない場所から見ているものが居た。影に紛れながら様子を窺っていた
だが、リグルの進む先へと先回りするように移動を始めた



リグル「!」


              バサバサバサバサバサ!


リグル「う、うわぁぁあああ!!」



同時に、リグルの目の前に蝙蝠の群れが現れた。避ける間もなく、リグルは群れに突っ込んでしまい、体中が蝙蝠に囲われてしまう
バットアンデッドは蝙蝠を操りリグルの視界を覆ったのだ

リグルは墜落し、地面に全身を打ち付ける



リグル「~~~っ!」






そして、墜落したリグルにバットアンデッドが襲い掛かる

虫に襲い掛かる獣

食物連鎖という理に当てはめてみれば、それは常識的で、非情な結末が待っている



リグル「――――っ!!」



ただし、ここは幻想郷である。幻想郷において最も始めに知るべき理は



                         幻想郷では、常識に囚われてはいけない



リグル「―――――もう、遅いよ。みすちー……」



リグルがため息混じりにそう呟いた瞬間、バットアンデッドは銃撃を受けた

墜落したバットアンデッドはすぐさま銃撃を受けた方向を見る。そこから一人のライダーが木の影から現れた。それはダイヤのあしらわれた
銃を持った赤いライダーだった



ミスティア「ごめんね。ちょっと予想より敵の動きが速くってさ、配置が変更になっちゃって」

リグル「もう……」



やれやれと、服に付いた土を払ってリグルは立ち上がる



リグル「二人は?」

ミスティア「そこにいるよ」



みすちーと呼ばれた赤いライダー『ミスティア・ローレライ』が指差す先には太い木の幹があった






???「わーはっはっは!アンデッド!あたい達が来たからにはもうお前の好きにはさせないぞ!」

???「そーなのだー!」



そしてそこには青い服に背中には氷の結晶の羽を持った妖精と両手を水平に広げている金髪の少女の妖怪がいた



???「トゥアッ!」

???「とー!」


しゅたっ!


木の幹から飛び下りながらかっこいいポーズをとり、妖精と妖怪は赤いライダーとリグルの間に着地する


~~~???~~~


大妖精「チルノちゃん。ルーミアちゃん。アンデッドと接触しました」

???「…………」


~~~~~~~~~


チルノ「よーし皆!同時変身だ!」



妖精、チルノはそういってライダーカードを取り出す






ミスティア「……え?私もう変身して」

ルーミア「了解なのだ~!」

リグル「みすちー、空気を読もうよ」キリッ

ミスティア「……えぇ~~」



リグルとルーミアもカードを取り出し、ミスティアは謎の空気に渋々変身を解いて、バックルを取り外す



「「「ライダーカード!」」」



その言葉にカードは輝いて二枚に分裂し、一枚はバックルへと変化し、もう一枚はモンスターが描かれたカードへと変わる

チルノはカブトムシのカードをバックルの中心部のリーダーに装填し、腰へ当てる。同じようにリグルもクモのカードをバックルへ装填し
ルーミアと既に装填しているミスティアはそのまま腰へと当てる。バックルからはカード状のベルトが腰を一周して繋がり、待機音を鳴らす



チルノ「ヘシンッ!」



                                 【Turn Up】

ミスティア「ヘンジン!」


                                 【Turn Up】


ルーミア「変身……」

                                  【Change】


リグル「封印されし蜘蛛の魔物よ!今ここに、我が身に纏いてその力を示してみせよ!変身!!」


                                 【Open Up】






電子音と共にチルノとミスティアのバックルは反転し、光のゲート・オリハルコンエレメントが放出され、ルーミアはハートのスラッシュリーダーに
カードをスキャンしリグルはバックルを左にスライドさせてオリハルコンエレメントを放出した
チルノ、ミスティアはゲートを潜り、ルーミアとリグルはゲートが通過して、仮面ライダーへと変身した



チルノ「よーし、皆!突撃だー!!」

???『要するにみすちーはチルノとルーミアの援護。ルーミアは離れてチルノと連携して攻撃、リグルは敵の退路を防ぎなさいってことよ~』

ミスティア「了解!」

ルーミア「わかった(のだ~)」
       
リグル「さあ、下してやる。正義の鉄槌をな!」



三人のライダーに通信が入り、チルノの大雑把な突撃命令に詳細を付け加える

『仮面ライダーブレイド』チルノは剣型カードリーダー”ブレイラウザー”からカードを一枚引き抜いてスラッシュリーダーにスキャンする


                      『TACKLE』


ラウザーがカードを読み取り、チルノは叫びながらバットアンデッドに突進する



チルノ「ウェェェァァァアアアイ!!」



単純な攻撃には当たってやる道理はないとばかりに、バットアンデッドは空へ飛んでその攻撃を回避しようと羽を伸ばして羽ばたく



ルーミア「逃がさない(のだ~)」



しかし、それを見た『仮面ライダーカリス』ルーミアはバックルを取り外し弓型武器”カリスアロー”と合体させ、カードを一枚のカードをスキャンする


                        『BIO』


電子音の後にカリスアローから蔦の触手が伸び、バットアンデッドの足を絡めとる







チルノ「ウェア!!」



そのままチルノが突進をあてる。蔦に拘束されていたバットアンデッドだったが、チルノの突進により引きちぎられて地面に叩きつけられる
ダメージはあるが拘束から逃れられたのは幸運でもあった。チルノは勢いあまってつまずいて転んでいる。数の不利に危機を感じ、仲間から離れたチルノ
に真っ先に攻撃し、数の有利を少しでも失くそうとするが


                          『RAPPID』


背後から無数の弾丸が体を打ち抜いた。『仮面ライダーギャレン』ミスティアの銃型カードリーダー”ギャレンラウザー”による援護射撃だった
続くように『仮面ライダーレンゲル』であるリグルが杖方カードリーダー”レンゲルラウザー”を振るいながら接近してくる

四対一というのはやはり不利だ。このままでは敗北することを悟り、バットアンデッドは空に向かって地面を蹴って飛ぼうとする



リグル「無駄だ。お前は既に敗北の運命を背負っている」



リグルはカードを取り出しレンゲルラウザーのカードリーダーにスキャンしようとするが、目の前を蝙蝠の群れが覆い尽くした。リグルだけではなく
立ち上がろうとしていたチルノ、ルーミア、ミスティアにも蝙蝠の群れが襲っていた。バットアンデッドが呼び寄せたのだ

蝙蝠に囚われている隙にバットアンデッドは飛び上がり、木の陰へ隠れていった



リグル「チッ!猪口才な!!」

ルーミア「前が見えない(のだ~)!」

チルノ「ちっくしょ~……ウ”ェッ!?」



混乱するなか、なんとか立ち上がったチルノの背後からバットアンデッドが背後から飛び掛り、鋭い爪で引っ掻く






ミスティア「チルノ!」



ミスティアは蝙蝠を払いチルノを引っ張り起こす



ミスティア「大丈夫?」

チルノ「このくらいへっちゃらだよ!!」

ルーミア「うわあっ!!」



すると今度はルーミアがバッドアンデッドに攻撃された。バッドアンデッドは飛行できることと、薄暗い森の中を利用してヒットアンド
アウェイで追い詰めるつもりらしい



ミスティア「(それなら……)皆!円を作って背中を合わせて!」



ミスティアの指示通り互いに背中を合わせて真正面を見る。互いの左右、背後を補うことで死角をなくしたのだ

そして、リグルの前にバットアンデッドが飛び込んできた



リグル「フッ……私を狙いに来たか。いいだろう……」

                    『BLIZZARD』

リグル「凍てつく零度の波動に震えるがいい」



カードをスキャンし、突き出したレンゲルの右腕から吹雪が放出され、バッドアンデッドは全身に冷気を浴びて墜落し
それでも立ち上がろうとした寸前で凍り付いた



リグル「おっと、眠ってもらっては困るなぁ」



レンゲルラウザーを叩きつけ、氷を砕くと同士にバッドアンデッドを切りつけた。バッドアンデッドは地面を転がる






リグル「止め、行こうか」

チルノ「よぉ~し!」

                                 『SLASH』

チルノ「はあああああ!ウェイッ!!」



チルノはカードをスキャンし、ブレイラウザーでバッドアンデッドを切り裂き


                                 『CHOP』         

ルーミア「ハァッ!!」



ルーミアは手刀で薙ぎ


                                 『SCREW』

リグル「穿て我が右拳!!」



リグルがコークスクリューパンチで吹き飛ばす


                                 『BULLET』

ミスティア「これで終わり!」



吹き飛ばされた先にミスティアがギャレンラウザーを押し当て、零距離射撃でバッドアンデッドを打ち抜いた







バットアンデッドは力なくどさりと、地面に倒れる。すると、バッドアンデッドの腰にあるバックルが開いた



リグル「カテゴリー8か、おもしろい!」

ミスティア「私が”封印”する」



ミスティアはカードホルダーから”ハートの8”のカードを取り出し、バックル目掛けて投げつけた。バックルに刺さったカードは輝き、バットアンデッド
はカードの中へと吸い込まれた。カードは再び、ミスティアの元へ戻る

これが、アンデッドへの唯一の対抗手段”封印”である

そして、アンデッドを封印できるのはブレイド、ギャレン、カリス、レンゲルのみである
チルノ、ミスティア、ルーミア、リグルは幻想郷に脅かすアンデッドに対抗すべく集められたアンデッド対策チームなのだ

変身を解き、ミスティア達はほっと一息つく



ミスティア「ふぅ~……今日も何とか勝てたね」

ルーミア「そんな事よりお腹すいたのだ~」

リグル「はいはい。じゃあ戻ろっか。私もお昼まだだったし」

チルノ「さんせー!行こう行こう~!」



そして彼女達は人里の方へと足を向けた。彼女達の会社”BOARD”へと




(^U^)<今回はこれにて終了です



(*0W0)<……

(*0M0)<……

(*<::V::>)<……

(*0H0)<……                     

                          い、いつの間に……>(^U^;)

チルノは友達を大事にするイメージあるもんな

乙!

厨二リグル……ありかもな
ところで、マンティスアンデッドとか操れるんだろうか?

ブレイド的に、あんまり未来に安心出来ない……

BOARDアー商事                             なんちて


チルノがレンゲルじゃないなんてウゾダドンドコドーン

と言うか永遠亭'sだと思ってた

>>131
未来~悲しみーが終わぁーるっ場所~♪

>>133
剣メンバーの中の人たちはリアルでも仲がいいとのことなので四人組で真っ先に思いついたのがこのメンバーでした(永遠亭の発想は無かった)
チルノ=レンゲルは実は初期案でしたがじゃあブレイドを誰にするかということで悩んだのと、やっぱりチルノには主役級ライダー
にしたかったので


え?ヤマメ?……ハブラレンゲルはいかんでしょう、ハブラレンゲルは

じゃあヤマメさんはアイドル枠だろ?

生存報告兼本編ではもう語られる事のないであろう設定暴露コーナー

Q:なぜ>>123以降の変身したルーミアは語尾が普通(心の中で語っている)なのか

A:最初に連係プレーをしたその日のうちにミスティアに「こっちのやる気が削がれるから戦闘中はやめて」と言われ
  以後の戦闘では語尾をなくしています。でも個性は消せないんで心の中で呟いてます

Q:ではリグルの言動は?

A:レンゲル×リグル=厨二という>>1の趣味前回のキャラ設定……ではなく、リグルの思う強者のイメージに沿った行動です
  彼女の思うレンゲルに対するイメージはあんな感じなんです。ダークネスでエンペラーなイメージなんです

諸事情により書き溜めがまだまだ出来ていません。今しばらくお待ちください(^U^)

おう!楽しみに待ってるぜい!

こんなにも更新が遅れてしまったのは>>1の責任だ。だが私は謝らない
まさかのダディ結婚でこのスレのことなんか忘れていた事だろうと信じているからな

(^U^)<本日の夜、投下予定です。

( 0W0)<ダデャーナザァーン!オンドゥルケッコンシタンディスカー!!

>>138
( 0w0)<ウソダドンドコドーン!

(^U^)<はいそんなわけで投下開始です。長らくお待たせしました




『BOARD』は数ヶ月前に人里の近くに出来た小さな会社である。その主な目的は近代化した幻想郷の自然の保護や幻想郷に存在する植物の記録
などを行っている。しかし、最大の目的は『アンデッドの封印』とライダーの力をを必要とするものに派遣する『仮面ライダーの貸し出し』を
行うためである



チルノ「ただいま~!」

ミスティア「それを言うのはちょっと早くない?」



チルノ達は中に入るとすぐ傍にある階段を広い階段を駆け上がり、途中で手すりにある手形の窪みにそれぞれ触れていく
そして階段を上がると緑のラインが入ったBOARD社員が所持するBカードを取り出し扉にあるカードリーダーに通す

扉はカードを読み取るとロックを解除し、チルノ達は中に入る



ルーミア「お腹空いたのだ~」

リグル「じゃあ私達は食堂に行くけど、二人はどうする?」

ミスティア「私は……先に社長に報告しておきたいかな」

チルノ「あたいも行く!」

リグル「分かった。それじゃあ行こっか、ルーミア」

ルーミア「わは~~!」


@BOARDの社長室


レティ・ホワイトロックは冬の妖怪である。冬を過ぎると彼女は幻想郷のどこか、冬の気温と大差ない場所で次の冬が来るまで過ごしている。そのため
冬以外の季節で彼女の姿を見かけるものはいない。いわば熊の冬眠のようなものである。そんな彼女は今



レティ「あ”~~~~~~~~~~~」



扇風機に向かってしゃべっていた。そう広くない部屋の中でクーラーをがんがんに効かせたとても寒い部屋で






レティ「あ~~~気持ちいいわぁ~~~。クーラーと扇風機を発明したのは人間の中でも最たる偉業よね~~~~」



蕩けきった表情でレティはそう呟く

彼女がなぜ、春という季節に、しかもBOARDの社長室にいるかというと他でもない、彼女がBOARDの社長だからである

なぜ彼女が社長であるかといえば察しのいい読者なら
”春~秋にかけての長期間のクーラーと扇風機の使用に伴って発生する電気代を会社の儲けで支払おうとしているためではないか”
と考えるものが居ると思われる

大正解である

文明の利器、クーラーと扇風機はレティ・ホワイトロックにとってはまさに一年中を幻想郷で自由に過ごせない(死ぬほど我慢すれば夏でも活動
は可能だが)自分にとってはまさに救世主との邂逅とも言うべき出会いだったのだ

しかしそれを使用するに当たって最も問題だったのが電気代であった。妖怪である彼女には一年を乗り越えるための貯金など無かった
(というよりそもそも人里の外にすんでいる彼女には食費や家賃など払う必要が無いので金銭の類を所持していた事などほとんど無いのだが)のである

しかし『アンデッド』という存在と『仮面ライダー』という存在に彼女は目を付けた

アンデッドは限られた仮面ライダーでしか無力化することは出来無い。しかしその数は圧倒的に少ない。つまり需要は高い…………


―――――――――――――――――――――――――――― こ れ は 儲 か る ! ―――――――――――――――――――――――――――


そう確信した彼女は『BOARD』を立ち上げ、表向きの事業”自然の保護と記録”を宣伝し人手(妖精)を集め、裏の目的である
”アンデッドの封印とライダーの派遣”を一部の者たちに知らせ、チルノ達を”ライダーチーム”の隊員として特別待遇で社員に迎え入れたのだ

かくして表と裏、どちらの事業も成功し、真の目的である電気代の支払いを難なくクリアしたのである

いまとなっては会社は常に黒字であり彼女も贅沢な生活をしていた。しかし、普段何もしていないのかと問われればそうではなく、戦士としてはいまだ
未熟な部分もある彼女達のサポートについているのである。今回チルノ達が相手にしたバットアンデッドの封印の作戦は彼女が立ており、また
ライダーチームのリーダー、チルノの大雑把な命令に細かい指示を加えているのである


              コンコン


レティ「どうぞ~~」






返事をした後にさすがに仕事をしていないとまずいと思ってか、引き出しから適当な書類を取り出してペンを握る


がちゃ


ミスティア「(相変わらず寒っ!!)……失礼します」

チルノ「レティ~!ただいま~!」


たたたたっ


社長室の扉が開くと真っ先にチルノが中に入る。チルノ達の姿を見たレティはデスクから立ち上がり、両手を広げて飛び込んできたチルノ
を受け止める



レティ「あらあら、お帰りなさい。今日もお疲れ様」

ミスティア「それで、今回の仕事の報告なんですけど――――」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


レティ「そう、皆無事に帰ってきたのね」

ミスティア「はい。アンデッドを誘い込む場所を多少ズラす事になりましたが特に問題はありませんでした」

チルノ「今日のあたいもさいきょーだったよ!」

レティ「そ~すごいわねぇ~♪ありがとうみすちー、いつも報告ご苦労様」



チルノの頭を撫でながらミスティアの方へ顔を向ける

最初にライダーチームに入ったのはミスティアだった。四人揃うまではアンデッド封印を彼女一人で行っており、四人のなかでも比較的長い経験を
積んでいる。現在でもアンデッド封印にいたる想定される被害を減少させるように作戦を提案たり、現場で起こる想定外の事態にも柔軟な対応を
行っていることからライダーチーム”マスクド・カルテット”(命名リグル)の中でも最も優秀な存在としてレティも頼りにしているのである



ミスティア「いえいえ、それでは私はこれで。チルノちゃん、行こう」

チルノ「うぇ~い!またね~レティー!」





@BOARD食堂


ルーミア「おいしいのだ~!」

リグル「ちょっとルーミア、口元汚しすぎだよ」



そう言ってリグルはソースの付いた口をナプキンでふき取る。そこにチルノとミスティアが合流する



ミスティア「あ、ここにいたんだ」

チルノ「おーいリグル!ルーミアー!」

リグル「あ、みすちー。報告は済んだの?」

ミスティア「うん。詳しいことは報告書に書いて提出するし」

リグル「そ、じゃあ何食べる?今日の食堂のお勧めはオムライスだけど」

ミスティア「う~ん。お蕎麦でいいかな」

チルノ「あたいもソバ!」


~~~~~~~~~~


リグル「それにしてもさぁ、相変わらずみすちーはすごいよね」

ミスティア「え?」

リグル「今日の戦いの事だよ。咄嗟の事だったのに互いに背中合わせで死角を補うなんてこと思いつくなんて、混乱状態じゃ私には出来無いよ」

ミスティア「別に大したことじゃないよ。私は皆よりちょっと経験を積んでるだけだし」

リグル「そうは言うけど私はやっぱりすごいと思うなぁ。一番最初にBOARDに入ったのはみすちーなんでしょ?」



ミスティアがBOARDに入社するまでは当時はまだ仮面ライダーは得体の知れない力として認識されていた。そのため、その力を誰かを助ける仕事に使う
というレティの発想は人間からも、妖怪からもすぐには受け入れられなかった。だがミスティアの働きによって、BOARDは徐々に信頼を得たのだ



リグル「やっぱりみすちーは一流だよね~。私なんかまだ足元にも及ばないよ」

ミスティア「そんなことないって。それに、皆と一緒じゃなかったら勝てなかった時だってあったじゃない」

チルノ「その通り!あたいのおかげで乗り越えたピンチもあったしね!」

ルーミア「そーなのか~」






リグル「あ、そうだ!」

チルノ「…………」

ルーミア「虫だけに無視なのか~」



無視されたチルノは蕎麦をすすり、リグルは懐から一枚の紙を取り出す



ミスティア「”祝! マスクド・カルテット アンデッド封印数30体突破記念パーティー開催のお知らせ”?」

リグル「そ、なんかBOARD社員全員参加でやるみたいでさ、皆に配られてるのをもらったんだ」



開催日は今から三日後、予定があいているものは全員参加と書かれていた。周りをよく見渡すと社員のほとんどが
今後の予定について話し合っていた



リグル「今回は結構参加人数が多いみたいでさ、みすちーにとっても悪い話じゃないと思うよ?」

ミスティア「? どうして?」



分からないといった風にミスティアが首をかしげると、リグルは顔を近づけて



リグル「だってさ、このパーティーって私達のために開かれるようなものじゃない。ならミスチーもこのパーティーで屋台引っ張ってきてさ
    一儲けできるんじゃないかな~と思ってね」

ミスティア「…………屋台……?」



ぴたりと、突然ミスティアの動きが止まった



ミスティア「……な、にを……言って……?」

リグル「みすちー?」






ミスティア「あれ?……私、何で…………?」

リグル「? ちょっと、みすちー?大丈夫?」

チルノ「ウェ?」

ルーミア「大丈夫なのか~?」



顔色を変え、震える手で頭を押さえるミスティアにその場にいた全員が心配そうに見つめる



ミスティア「……ごめんなさい。私……用事思い出したから!」



立ち上がったミスティアはその場を足早に去り、食堂を行きかう社員の群れに消えていった



リグル「みすちー!?」

チルノ「?」

ルーミア「帰っちゃうのか~?」



3人の声も最早届いているのか分からなかった



リグル「……どうしちゃったんだろう」

チルノ「なんか慌ててたね」

ルーミア「明らかに様子がおかしかったのだ」

チルノ「……あっ!お昼休み終わっちゃう!」

リグル「え!?私まだ半分しか食べてない!」

ルーミア「ごちそうさまなのだ~」

リグル「ちょ、ちょっと待ってルーミア!」


~~~~






~~~~


大妖精「うぅ……チルノちゃん達とお昼食べられなかったよぉ……」



社長室に向かう廊下を涙を浮かべながら大妖精は両手に分厚い書類の束を抱えながら歩いていた。この書類は今日提出するべきものだったのだが
全く手をつけていなかったのである。諸事情あってうっかり忘れていたために大妖精は休憩時間も返上して書類提出のための作業を
していたのだった



大妖精「はぁ……」



ため息をついたところで社長室の扉が見えた。扉のノブに手を伸ばそうとして




                                「貴方が!貴方が全て悪いのよ!!」




大妖精「ひゃっ!!」



突き刺すような怒声に驚き、書類を落としてしまう。慌てて拾おうとと手を伸ばしてさっきの声が聞き覚えのある声だったことに気づく



大妖精「……?」



書類を拾う事も忘れ扉に耳を当てる。中からは誰かが言い争っているようだった



                 「何を言ってるの!?私はただ」

                                「ふざけないでよ!!もういい!とにかく私の邪魔はさせない!!」

      「邪魔をするなら……たとえこのBOARDだって!」


大妖精「あ、こっちにくる!」






足音が徐々に近づき、途端に大妖精は盗み聞きしていたという自分の行動に焦り、どこかに隠れようとしたがここは廊下で
隠れられる場所などあろうはずも無く、パニックになっていたところに扉が開いてしまい大妖精を突き飛ばす
散らばった書類を踏みつけて踏ん張りを利かせられない大妖精はそのまま紙の散らばる廊下に倒れる



大妖精「痛っ!」



倒れた大妖精は部屋から出てきた者の後姿をみて声の主を確信した



大妖精「みすちー……ちゃん?」

レティ「待って!みすちー!」



開けられた扉から続くようにレティが追うように出てくるが倒れた大妖精に気がついて足を止める



レティ「大妖精!……ごめんなさい!また後で!」



だが、すぐにミスティアの後を追っていった



大妖精「レティさん……一体何が……?」


~~~~~~~~~~~~~





ミスティアの突然の異変から時はあっという間にたち、幻想郷は夜の帳に包まれた

BOARDは基本的に夜中までは活動していない。アンデッド出現の通報や、ライダーの貸し出し中以外では社員はBOARDには残っていない
各々の家へ帰ったり隣接された寮に泊まっている

そんな誰も居ないはずの社内の中を歩く者がいた。入り口から堂々と入った妖精でも妖怪でもないその者は、迷うことなくある場所を目指していた

暗闇に紛れ、窓から入る月の光すらその身に当てず歩いていた



??1「…………」

??2「待て」



そこに一人の仮面ライダーが立ちふさがった



??1「……ほう、俺が来る事を知っていたのか」


??2「我々を見くびるな。貴様の存在は既に調査済み、狙いも当然分かっている」


??1「貴様が俺に勝てるとでも?」


??2「そうだな……よくて辛勝、悪くて相打ち……今の私ではそれが精一杯だ」


??1「ならばそこをどけ。……死にたく無ければな」


??2「断る。アレを貴様に……いや、如何なる者にもくれてやるわけにはいかない」



そういってライダーは構えた


??1「そうか。なら……」

??2(来るか!)

??1「同じライダーに任せるとしよう」

??2「……は?」



(^U^)<本日の投下はここまでです。申し訳ありません。このような短さで


次回でブレイドパート終了。次は……どうしようかな……

後出てないライダー勢は…

乙!
金の為とか案外平和そうなBOARDかも?wとか思ってたら結局何やら裏があるのね……

すみません!sageミス失礼しました!

>>151
(^U^)<書き溜めはしていませんが第一話としての話が出来上がっている主役ライダーは
     【アギト 電王 キバ ダブル】の四(五、六)人ですつまり今のところこの中から
      ブレイド勢の次の物語を書くことになります(また安価便りかもしれません・・・)
>>152
BOARDはつぶれてナンボ。リ・イマジのBOARDなんか主人公(ブレイド世界の)が社長殺してますしねww
>>153
アイタ・ペアペア

今日のウィザードにぞっとしちゃいましたよ・・・浅倉以来のやばい外道でしたね・・・

それはそれとしてさっき見つけたこれなんですがね↓

2013年6月8日から1ヶ月間誰の書き込みもないスレッドは自動的にHTML化されます。
詳しくは以下のURL先をご確認ください。

【運営から】 6/8から1ヶ月間書き込みのないスレッドは自動的にHTML化されます
【運営から】 6/8から1ヶ月間書き込みのないスレッドは自動的にHTML化されます - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368247350/)

読者の皆さんから一ヶ月書き込みがないと落ちて作者の書き込みが二ヶ月なかったとしても落ちる・・・

なんというか、スレの存続には作者のやる気と読者の続きが見たいという両者の思いで成り立って行くシステムになるみたいですね

一応上げときます

これからも期待するよ!

>>154
×読者の皆さんから一ヶ月書き込みが無いと落ちる
○作者、読者とか関係なく一ヶ月誰からも書き込みが無いと落ちる
勘違いしているように読み取れたので一応そのスレをもう一度確認してみ


ミスチーの屋台にい期待!

咲夜さん自機復活おめ

どーするどーなる幻想郷!

申し訳ありません

現在、PCの不調により書き溜め、更新が困難な状況です。もしかしたら次回の更新が7月の可能性もあります
更新を心待ちにしていただいている方々には大変ご迷惑をおかけします。なるべく早く問題をかたずけるよう努力します

>>157
確認しました。ありがとうございます

ネタバレにならない程度の質問など随時受け付けていますので、どうぞ遠慮なくお願いします

待ってる

一番好きな必殺技は?

東方の新作をプレイ中なのかな?

てす

あれ?おんなじコテにしたのに違う?

こうか?

こうかな?

こう?

こうだ!

はいと言うわけで>>1です


USBにデータ移す→PCおじゃん→NEWPC購入→データ移す→書き溜めしてたメモ帳のデータ写し忘れに気づく

→ウソダドンドコドーーン!!→どうせ俺なんか・・・→響鬼OP「傷つい~てもいいっ!つ~よくぅ立ち上がれ!」→

コノスレヲハンケツサセルタメニハ、マタイチカラカキタメルシカナインダーーー!!→とりあえず10分の3まで復元


こんな感じでした。遅れてしまい申し訳ありません。3連休中には投稿します

>>170
ドンマイ
気長に待ってる

>>170さぁ、お前のミスを数えろ!
ドンマイ

おのれディケイド!ここの書き溜めも破壊されてしまった…

ここの書き溜めが無くなってしまったのも全て乾巧って奴のせいなんだ

全部晴人のせいよ!

大変お待たせしました。本日投稿します

本来なら先週投稿予定だったのですが後の物語の設定に矛盾を生じさせてしまう内容だったために丸々書き直しをしていました

>>171
気がつけば前回の投下からすでに二ヶ月近く……それでも続きを待ち望んでいてくれた肩がいるだけで>>1としては
とてもありがたいことです。失踪しないようこれからも頑張っていきます!

>>162
アギトのライダーキックです。処刑用BGMと相まってひじょぉ~に体が燃えますねぇ!

>>163
不器用レベル:氷川 な私に弾幕ゲームや激しい格ゲーはもはや天敵レベルですww友人のプレイ(イージーかそれ以上)を眺めてます

>>172
( ^U^)<…………n
                            3!>(0M0 )
(;^U^)<!?

>>173>>174>>175
普段はあんなにやさしい三人が>>1のミスを他人のせいにしている……まさか、ゴルゴムの仕業か!

うひょー

(^U^)<お待たせしました。これより投下します。ゆっくりしていってください




チルノは寮に泊まっている

彼女はライダーであるためBOARDの緊急の呼び出しにも応じれるようにすためである
深夜、出撃命令が下れば部屋の隅にある固定電話によって安眠を妨げられるのだが、過去そのようなことは一度もない
ちなみにチルノ本人は友達の家に長期で泊まりにいっているような感覚なので寮での暮らしには不満はない

そして今、時刻は深夜



チルノ「…………(う~ん)」



チルノは珍しく起きていた。というより、寝ても眠りが浅かったといったところだ
昼間のミスティアが突然様子を変えたことがどうにも引っかかていた。だが普段のチルノなら「まぁ、明日聞けばいっか」と終わらせて
さっさと就寝してしまうのだが、どういうわけかチルノは未だ眠りにつけないほどに考えていたのだ



チルノ「…………(う~~~~ん)」



だが、考えても考えても答えは一向に出ない。出てきたとしても全くしっくりした答えになっていないような気がするのだ

元々チルノは頭がよくない

故にわからないことは勘で済ませたり感情に任せて行動する。それはチルノの短所でもあるが長所でもあった
悩み一歩踏みとどまることころをチルノは突き進む。それがチルノにとっては当たり前
そのため、長く考えるという選択肢はチルノの日常生活にはほとんど起こらない現象だ



チルノ「うあああもうっ!!わかんないーーーー!!」



慣れないことはするものではなかった。チルノはベットから起き上がり頭をわしゃわしゃと掻き毟った



チルノ「あ~~~……もういいや。寝よ!そうする!」



と、苛立ちながら言い聞かせるように布団を体全体を覆うように被り、目をぎゅっと瞑り眠りにつこうとした瞬間

部屋の隅にあった役目を果たす機会がないためにその存在を忘れていた固定電話がけたたましく鳴り響いた






チルノ「……むぅ」



狙ったかのように鳴り響いた電話に頭だけを布団から出して睨み付けるが、そのようなことで電話が鳴るのを止めるわけもない
無視してやろうか。そうも思ったが、あの固定電話からなるということは自分に誰かが緊急の用事があるということだ
そのことはレティから教えられていたのでチルノは不本意ながらも電話の受話器をとる



チルノ「もしもし?だれ?」



不満な様子を隠そうともしない声で問うが返事は返ってこない。首を傾げてるがよく聞くとノイズが混じっていた。そのため電話の相手
の声が聞こえなかったのだ

もう一度問うてみようと時、声が聞こえた



???『…ザザッ…て……ザザッ…けて、…ザッ…ちゃ……』

チルノ「だれ?よく聞こえない」



聞き取れはしなかったがチルノはノイズ交じりのその声に頭のどこかで聞き覚えがあると思っていた

自分の知っているの相手なら尚更、用件を聞かなければならない。ふと、もしかしたらミスティアなのではとも思ったが、次に聞こえた声で違うと判明した



大妖精『助けて!チルノちゃん!!BOARDが!』

チルノ「大ちゃん!?」



驚愕と同時に電話は切れた



チルノ「っ!」



考える前にチルノの体は動いていた。ポケットからライダーカードを取り出し部屋を飛びて寮の廊下を風のように通り抜け、チルノは
BOARDへと向かった

大妖精が助けを求めている

そのことに頭を埋め尽くされていたチルノは考えもしなかったが、なぜ、すでに深夜となって誰もいないはずのBOARDから電話
をかけていたのか、全く疑問に思っていなかった。いや、疑問に思っていたとしてもチルノにとっては些細な事なのである
大切な友達が助けを求めている。そこに何かしらの疑問を挟み込む余地などないのだ



~~~~~~~~~~~~~



チルノ「……そんな!!」



BOARDはひどい有様だった。玄関近くには大きな穴が開き、窓は割れあちこちから煙が立ち上っていたのだ
このような事態が起こったとき警報を鳴り響かせているはずだが、故障でもしているのか全く聞こえない



チルノ「っ、大ちゃん!」



立ち止まっていた足を動かし、チルノはBOARDの中へと入っていった

BOARDの中は外よりもひどい有様だった。あちこちに激しく戦闘したような跡があり、扉は破られ、地面には破損した物が散らばり
壁紙は剥がれ落ち、天井にある蛍光灯などの照明器具が火花を散らしていた



チルノ「大ちゃん!どこ!?返事してーー!」



明滅する蛍光灯によって視界は決してよくない、が光源がないよりはましだった

誰が、何のためにこんな事をしたのかチルノには分からない。だが、BOARDを襲撃した者と同じ場所に大妖精はいたのだ。最悪、あの電話の
後襲われてしまったという可能性もある。思いつくことは不安にさせることばかりだ

廊下の過度を曲がった瞬間、チルノは崩れ落ちた天井の破片に埋もれている誰かを見つけた



チルノ「大ちゃん!!」



反射的にその姿を大妖精と判断しチルノが駆け寄ると、それは全く違う姿だった



チルノ「リグル!?」

リグル「くっ……ケホッ……?」

チルノ「なんで!?どうしてここに!?」



チルノはリグルの上にある破片をどかして抱え上げる。見たところ出血こそしているがひどいものではない。だが、破けた服の隙間から
痛々しいあざが見えた






リグル「ごめん、なさい……私が、もう少し早く……気づいていれば……」

チルノ「?……何いってるの?ねぇ何があったの!?」



意識がはっきりしていないのか、リグルはチルノのだということは認識していなかったが、幸いにも質問は理解できたようで、途切れ途切れに口を開く



リグル「アンデッドが……封印されたカードを……封印を解く”リモート”のカードで開放……させられた」

チルノ「!?」



『リモート』

リグル、仮面ライダーレンゲルが持つスート:クラブのカードである。封印されているアンデッドを開放し、操る能力である。しかし、それはあくまで
使用者が操るという意思がある場合に限る。ただ封印を説いただけではアンデッドは自らの意思で行動する。チルノは、何者かがリグルを襲い、カード
を奪い取ってアンデッドを開放し、BOARDをめちゃくちゃにしたのだと考えた



チルノ「誰!?誰がそんなこと!?」

リグル「ッグ!ゲホッ!!ゲホ!」

チルノ「! 煙が!」



どうやらこの場にとどまるのは良くないようだと判断したチルノは一先ずリグルをこの場から移動させようと肩で担いだ。大妖精のことが
気になるが、リグルを放っておけなかったのだ



チルノ「しっかり掴まって!」



~~~~~~~~~~~~~



チルノ「ここならいいかな?」



玄関を出てすぐにある木の下にリグルを寝かせる。呼吸は安定してる、少しくらいなら放っておいても大丈夫だろうと考えたチルノは玄関の
方へ振り返る



チルノ「待っててね大ちゃん。すぐ行くから!リグルはそこで待ってて!」






そういって再び中に入ろうとした瞬間


ヒュヒュン!!


チルノ「っ!?」



闇の中から空を切り裂いて何かが飛んでくる

警戒していなかったチルノはとにかく避けようとすぐさま身を伏せてそれを回避する。飛来してきた何かはそのままどこかへ飛んでいった



チルノ「あぶないなーもう!誰!!」



飛んでいった何かを見送って、チルノは怒りを露にして玄関のほうをにらみつける


           こつ・・・                

                          こつ・・・


すこし間が空いて闇の中から足音が聞こえチルノはライダーカードをかざして構える

闇の中から出てきたのは一人の壮年の男だった。闇に溶け込むようなコートを羽織り、夜にもかかわらずサングラスをかけている



チルノ「に、にん……げん?」



怪人か妖怪だと思っていたチルノはその姿に思わず首をかしげる



チルノ「なんで、人間がここに……?」

男「人間?」



男はぴくりと眉を動かして



男「フン、俺をあんな下等生物如きと同列に思わないでほしいな」







ボウッ


っと男が手を前にかざすと炎の塊が出現する。それをまっすぐにチルノへと放つ



チルノ「わぁっ!!」



燃え盛る火球を横へ飛んで避ける。あきらかに自分の敵であると判断したチルノはライダーカードを構える



チルノ「ライダーカード!」



カードを装填しベルトを装着して男を睨みながら構える



チルノ「ヘシン!!」


                                 【Turn Up】


光のゲートが放出されチルノが突き抜けてブレイドへと変身する



チルノ「お前か!お前がBOARDを!リグルを傷つけたのか!!」

男「そんな質問に素直に答えると思っているのか。まぁお前のような妖精如きに知られたところで何の問題も無いがな」



男はチルノのいるほうとは別のほうに歩き出す。仮面ライダーに変身してなお警戒する様子が無いのは自分の実力に自信があるようだ



チルノ「待て!!まだ終わってない!大ちゃんはどうしたんだ!!」



だが、それはチルノという存在を脅威と見ていないということでもある。それを考えるのではなく感覚で(気がする、というレベルである)理解した
チルノはこの男がBOARD襲撃し、リグルを痛めつけた者だと決め付けていた

確証も無く、自らの感じたままに決め付けるという行為は愚行というほか無いが、この場合、仮面ライダーを脅威と見ない、チルノへの攻撃、
そして質問への返答内容、この男がBOARD襲撃に少なからず関わっていると怪しむのは誰でも判断できることだ。そういう意味では
チルノの判断は先走り過ぎているところはあるが、正解といえるかもしれない

チルノはブレイラウザーを引き抜き男へと向ける






男「知らんな。そもそも弱い生き物がどうなろうと俺の知ったことではない」

チルノ「っ!……お前!」



弱い生き物

それが自分たち妖精の事を指していると考えたチルノの怒りは急激に増大した。怒り任せに男に詰め寄ろうとした瞬間



男「……やれ」



チルノの胸にを幾つもの銃弾が直撃した



チルノ「ウアアアッ!! クッ!」



不意打ちによって意識がぐらつくが何とか持ち直し銃撃を放たれたほうを振り向く



チルノ「―――――――え?」



チルノは自分の目を疑った



    「…………」



一度も考えたことは無かった。そんな可能性は無いと考えるまでも無かったから。それほどまでにチルノは純粋に信じていたから



チルノ「な、何で……」


     「…………」



だからか、それを打ち砕かれた瞬間チルノはそれまで起こったことが全て無かったかのように頭の中から消えてしまった

大妖精が助けを求めたことも、BOARDが襲われたことも、リグルが襲われたことも、アンデッドが開放されたらしいこと、謎の男と対峙していること

全てチルノの頭から一瞬で消えてしまった



チルノ「どうして……あたいを撃ったの……みすちー!!」



仮面ライダーギャレン チルノの仲間であり、友であるミスティアが銃口を向けたまま、そこに立っていた



ミスティア「…………」

チルノ「ねぇ……答えてよ……どうして?」



チルノは今にも崩れてしまいそうな足取りでミスティアに近づく






男「何をしている。倒せ、そのライダーをな」



だが、男の指示で再び放たれた弾丸が激しくブレイドの装甲を打った



チルノ「う、あ」



それでもかろうじてチルノは踏みとどまった。しかし、ミスティアはすぐさま近寄り


                            『FIRE』  『UPPER』 


ミスティア「フンッ!!」       



カードによって強化された炎滾る拳をブレイドの胸を貫かんばかりに炸裂させた



チルノ「ガッ!! アアアアアア!!!」



追撃に体は大きく後ろに吹き飛び、地面に受身も取れずに体を打ちつけ転がる



チルノ「エ”ホッ!ゲホ! みす……ちー……」



立ち上がろうとして、しかし肉体的なダメージがそれを許さず、再び地面に打ち付ける

少ない攻撃ではあるが、そのたびにチルノにはミスティアが自分を攻撃しているという事実がチルノの精神を大きく傷つけていた

                            これは夢ではない。現実だと



ミスティア「…………」

倒れたチルノに近づいたミスティアは再び銃口を向ける。チルノは顔だけでも起き上がらせる



チルノ「どうして?……ねぇどうして!!どうしてそんな奴の言う事なんか聞くの!?みすちー!!」



最後の気力を振り絞ったというべきか、それまで力の無かった体を無理やり起き上がらせミスティアに掴み掛かる。咄嗟に避ける事ができず
ミスティアはチルノに押し倒され、地面に背中を打ち付ける







                          『RAPPID』


その直後、ブレイドの胸に押し当てられたギャレンラウザーの弾丸がブレイドの装甲に炸裂し、火花を散らせた



チルノ「ア……ッ……ガ……み、みす……」



チルノはとうとう意識を失い、激しく損傷したことによって、ライダーシステムは強制的に変身を解除させた



ミスティア「…………」



のしかかるかのように倒れたチルノの体を横にどかして、ミスティアは立ち上がった



男「トドメをさせ」



変身すらしていない、生身であるチルノに向けて、ミスティアはためらいもなく銃口を向け



ミスティア「……ッ!」

男「……どうした?」



引き金を引こうとしたその瞬間、ミスティアの腕が震え始めた



ミスティア「あ、ぐっ!うぁ……ああ」



男が振り向くとミスティアはギャレンラウザーを落とし、頭を抑えて苦しんでいた。さらには変身すら解除してしまう



ミスティア「アッ……アアアアア!!わた……ワタシ……私……は……ワタシハアアアアアア!!」

男「チッ……ここまでか。……まぁいい、この程度のライダーならいつでも始末できる」



男がそう言ってミスティアの頭に手をかざすと、それまで苦しんでいたのがうそのようにぴたりと声を止め、だらりと、電池が切れたように地面に倒れる

倒れたミスティアを抱えると同時に男はチルノのブレイドバックルを拾い上げ、笑った



男「ついでだ、こいつらにも協力してもらうおうか」

~~~~~~~

~~~~~

~~





チルノが意識を失って、それからどのくらい経っただろうか。今だ辺りは暗い中、チルノは意識を取り戻すことなく
地面に倒れていた。近くには、既にミスティアも男の姿も無かった

だがそこに大きめの手提げかばんを持った、一人の女が通りがかった



女「あら?……あらあら、これはこれは……夜の散歩をしていたらとんでもないものを見つけちゃったわね」



倒れているチルノに気づいた女はチルノに近づき、しゃがみこむ



女「こんな時間に、それもこんな無防備な姿で会うなんてねぇ……仮面ライダーブレイド……チルノちゃん」


女は知っていた。チルノが仮面ライダーであることを

意識の戻らぬチルノの頬を軽くたたき、起きないかどうか確かめる



女「こんなところで寝ていると危ないわよ~。怪人に襲われちゃうかもしれないわよ~」

チルノ「……ん……んぅ……」



しかし、少しうなるだけで、チルノは目を覚まさなかった



女「それだけじゃないわよ~……もしかしたら―――――他の仮面ライダーに、殺されちゃうかもしれないわよ~」



ふふっ、と笑いながら女は立ち上がり、あたりを見回す



女「こんなにあたりが暗くちゃ、よほど目がよくない限り顔も見えない。そうでなくても今この場には私とあなたの二人きり
  目撃者がいないんじゃ怪人の仕業にだってできちゃうじゃない。そしてあなたは意識が無い……これほど殺しやすくてバトルロワイヤル
  に乗っていることもバレる心配も無い条件は無いんじゃないかしら?」

女「……まぁ、変身するまでも無く、ましてやこの手を汚すまでも無く……”食べさせれば”済む話よね。私みたいなライダーの場合……」



かばんの中から女は一枚のカードを取り出した。カードには『紫色の巨大な蛇』が描かれていた。そして、かばんの中には
夜中に散歩で出かけるにしてはやけに不自然な、”大きめの鏡”が入っていた



女「…………ふふっ♪」



笑って、女は手を伸ばした。いまだ意識が戻らぬ、チルノに――――



今回の投下はここまでです。そしてブレイドパートも終了です


(^U^)<さて、次回の物語のへの”道”を>>190さんにコンマで選んでいただきましょうか。貴方はいったいどの道を、どんな様子で進んでいますか?


偶数:バイオリンの音色に誘われて、不思議な館へと続く道を歩いている

奇数:たどり着く先が過去か未来かもわからない、砂漠にしかれた線路の上を歩いている

ぞろ目:天の道

ていやー!

チルノやべえええぇぇぇ!

東方で男がのさばっても、大抵ろくな結果にならないよね。今回出てきた人はどうなるのかな

次はあのライダーか。誰でどこがどう変わるのか楽しみ

彼女ら4人の絆はどうなってしまうのか……


>>192 ((霖之助の怯える声))

(^U^)<お久しぶりですね。明日、もしくはお盆休みにて投下予定です。

うひょー

霖之助さんは別にのさばってないから大丈夫じゃない?
レギュキャラになった所でそれがどうしたって思われそうだしww

そうそう、こーりんは主人公二人(特に魔翌理沙)にフラグ建てて幻想郷の有力者とも面識がある程度だからぜんぜんのさばってないよ(棒)


(^U^)<猛暑が続くこのごろ。皆さんいかがお過ごしですか?>>1は中学の友達をプールに誘おうとメールを出したら
    メアドが変わって送れませんでした。あと本日、投下が決定しました。お楽しみに

変身して待ってる

ターンアップして舞ってる


(^U^)<お待たせしました。投下開始します




幻想郷の地下、そこに存在する旧地獄に栄えて出来た旧都の中心部に位置する巨大な建物、地霊殿

サトリ妖怪、古明地さとりはその地霊殿の主である。趣味は読書。彼女の妹、古明地こいしと比べもっぱら外出することは少ない所謂インドア派

彼女は今



さとり「はぁっ!……はぁっ!……はぁっ!」



肩で息をするほどに疲労困憊、いや、体中に受けたダメージを考れば満身創痍と言っても良い。とにかく、ボロボロであった



さとり「……ック!」


彼女の前には未だ成虫になっていないサナギのワームがいた。さとりは自分の残った力を振り絞って、だらりとぶら下がっていた両腕を
顔の前に上げて構える。だが、全力で握り締められているその拳には力強さは全く感じられなかった



さとり「っ!……えぇいっ!!」



彼女にとっては全力を振り絞ったその攻撃はワームに命中するも、ワームの体はビクともしなかった。全力が、ワームにダメージを
与えるには余りにも程遠かった

か細いその腕を振り払い、ワームはさとりを殴打する



さとり「きゃあっ!」



あっけなく、さとりは吹き飛ばされる。いや、さとりは抵抗した。しかし、ワームのその攻撃に対して、避けられなくともせめて耐えようと
踏ん張ろうとしたさとりの力との差があまりにも開きすぎていたのだ

攻撃は通らず、防御は何も防ぐことはない。誰が見ても、その様は――――



さとり「っ……ぁ……」



仮面ライダーに変身しているとは思えないくらい、弱すぎた






さとり「っ…………ま……だっ……!」



立ち上がろうと地面に手を付き起き上がろうとするが、体は数センチ浮いただけでまた地面についてしまう



さとり「あ……ぅ……」



それが最後の力だったのか、さとりの体はそこから動けなくなってしまう

ワームはトドメをさすために近寄って来るが、さとりは手を動かすことも出来ない



さとり(あぁ……ダメだ……体が……持ち上がらない……私、死ぬのかな……)



薄れる意識の中、さとりは死を覚悟していた



さとり(しょうがない……か。仮面ライダーに変身できるからって……私なんかが……怪人に立ち向かおうなんて無謀なこと……だったんだから)



ワームはさとりの体を足で仰向きに転がして踏みつける



さとり「グッ……!」

さとり(でも……それでも……私は――――――)



ワームは腕を振り上げ



??「さぁぁぁぁぁぁあああとりぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


バゴン!!



吹き飛んだ






??「おい!大丈夫かさとり!?」



次にさとりの視界に入ってきたのは見知った顔だった

金の長髪に額にある一本の角、かつて地上の妖怪の山を支配していた鬼の四天王の一人『語られる怪力乱神』星熊勇儀

叫びながら放たれた彼女の拳がワームを遠くへ吹き飛ばしたのである



さとり「勇……儀……さ……」


ぱた


助かった安堵のためか、そこで完全に意識を失い、変身も解けてしまう



勇儀「ちょっ!おいさとり!」

??「わーすごい。今のワームでしょ?ヤード単位で吹っ飛んでったわよ」



気を失ったさとりを勇儀が抱き起こすと、その隣に遅れて緑の目に金髪エルフ耳の妖怪、水橋パルスィが降り立つ



パルスィ「まぁ、さとりもすごいわよね。”仮面ライダーなのにチョー弱いwww”って地底中の妖怪のから笑われてるのに
     今日も一人で怪人に立ち向かってボロボロに……その命知らずな勇気に思わず嫉妬してしま」

勇儀「パルスィ、さとりを地霊殿まで頼む。私はさっきの奴を探してとっちめてくる」



言い終わる前に勇儀はさとりをパルスィに渡す



パルスィ「……はいはい。またいつものパターンね」



呆れた顔をしてパルスィはさとりを抱える。勇儀はさとりを手放すとワームが吹き飛んでいった方へと飛んでいった



パルスィ「…………ハァ。やれやれだわ」






@地霊殿


パルスィ「ちわ~。三○屋で~す」



玄関を開けて中に入ると赤い髪の毛の猫耳の少女、火焔猫 燐(通称:お燐)が階段を慌てて駆け下りてきた



お燐「あーーー!やっぱりだ!また戦ったんですか!さとり様!」



地霊殿ではさまざまなペットを飼っており彼女もそのうちの一人である

地霊殿ではさとりを慕って集まったペット達に怨霊や灼熱地獄跡の管理などを旧地獄の管理をさとりの指示により行っている
この地霊殿に住むペット達は怨霊、妖怪を食べて強力な妖怪となることがある。お燐はそうして育ったペットであり怨霊の管理を任されている



パルスィ「そうよ。また、よ」

お燐「あぁ~ひどい怪我……すぐに部屋に連れて行って手当てしないと」

パルスィ「そうね。それじゃあ私はこれで」

お燐「パルスィ!桶に水入れて、綺麗なタオル何枚か持ってきて!洗面所は言わなくてもわかるよね!
   私はさとり様を部屋に連れて行くから!」



さとりを背負いながらそう言って、背負った状態とは思えないほどすばやく階段を上ってお燐はその場を後にした

後に残ったのはパルスィだけだった



パルスィ「……はぁ~~~~~~~……はいはい、分かってましたよっと」



誰もいない玄関で大きくため息をついたパルスィはお燐とは別の階段を上っっていった






古明地さとりは仮面ライダーである

一年前のあの日、仮面ライダーになったさとりは始めに、外へと出た。目的は自分が変身する仮面ライダーの性能を試すこと、自分自身の能力
『心を読む程度の能力』は使用できるのか、地底では自分以外の仮面ライダーはどれほどいるのか、それを知るためであった

調べて分かったことは、変身者の身長や体形は左右され無いということ、そして変身中は能力が使えなくなるということ

変身すると小柄なさとりがまるで人間の青年ほどの身長となった。体を動かしてみると不思議と手足の長さが変わっているにもかかわらず
普段どおりに違和感なく動かせた。加えて、それほど力が強くないはずのさとりの腕力、脚力も上昇していた。恐らくこれは非力な者にとっても
仮面ライダーの同士の戦いでの力の差を埋めるためのものだろう。変身中に能力が使えないのも同じ理由だろう

そして、さとりがもっとも知りたかったこと、それでいて、知りたくなかったこと



地底には仮面ライダーはさとり以外にいないということ



ライダーカードを持っているものは確かにいた。しかしその誰もが絵柄に影がかかっており、どうやっても変身することが出来なかった

だが、それなら条件を満たせばいい。このバトルロワイヤルを仕組んだ者も、変身することが出来る者を選んでおきながら無駄に死なせるような
ことはしないはず。きっとそう難しくない条件だ。地底にいる”仮面ライダー候補”を見つけられただけでも良しとしよう

始めはそう思っていた。そして、それから一年

さとり以外の仮面ライダーは未だに現れなかった

さとりの能力の前に嘘をつくことはできない。何度か変身できるようになったか候補者に問いかけてみたことがあったが、結局、誰もいなかった


そうして、自らの背にある大きな物を守るために、ちっぽけな力を持って、さとりは戦い続けてきた


だがその戦績は決して良いものではない
殴るために打った拳は壁を殴ったかのように跳ね返され、払うために放った蹴りはハエのように叩き落とされ
全身のを踏ん張らせた体を張ったの壁はガラスを叩き割るよりたやすく破られる

全戦全敗、常敗無勝、さとりの黒星で満天の星空が出来上がるほどである

いつもいつも最後には、勇儀に助けられてパルスィに地霊殿に運ばれる。戦いと呼ぶにはあまりにも粗末なものだった



さとり「……ぅ……ん……?」



目が覚めたさとりは見慣れた天井を見て、起き上がろうとして、体に強い痛みを感じて



さとり(あぁ……まただ……また、私は……)



いつもどおり、負けたと実感した

仮面ライダーに変身して戦った日はいつもここがゴールだ






お燐「さとり様!」

さとり「お燐……」



そしてゴールで待つのは心配そうに見つめるペットの顔と自分の目覚めで安堵に満ちていく”心”

何もかもいつもどおりだ

太陽が昇れば沈むように、水に氷を入れれば冷えるように、死亡フラグを立てれば死ぬように、『ぬるぽ』と書き込めば『ガッ』と書き込まれるように

人はきっとこんな時



さとり「こうなる運命だった……なんてロマンチックじみて言ってみたりして……」



まぁ、言葉で着飾ったところで、自分の情けない姿が美しく見えるようになる訳でもないが



お燐「え?」

さとり「何でもないわ」



首だけ動かして笑ってみせる。


お燐「さとり様」

さとり「えぇ、また戦ったわ。こっそり地霊殿を抜け出してパトロールしてたときにね。まぁ、いつものパターンって奴ね」



言いながら、痛みを感じない範囲で体を動かして包帯やガーゼ、絆創膏がどれだけあるかを皮膚で感じて



さとり「あぁでも、今日はいつもよりマシな怪我ね。頭を結構殴られたから意識が落ちるのが早かったおかげかしら」



意識がある限りさとりは立ち上がり続けて怪人に攻撃をしようとして返り討ちにあう。繰り返せばするほど怪我が増えるのは当たり前だ
早くに意識を失えば立ち上がることはない。だから怪我をすることもない。その先にはとどめの一撃しかないのだから

自虐的に笑って、遠まわしに自分は平気だと言ってみた

この一年、何度も死ぬかもしれないと感じてきたさとりは、そんなつまらない冗談が出てしまった






さとり「! あっ」



そして、自分の言ったことがあまりにも馬鹿げていたことだということは、すぐに気が付いた

さっきまで心配そうに、悲しそうに、ちょっとだけ呆れ気味にしていたお燐の心が瞬間的に怒りが込み上げているのを”さとった”から



お燐「何言ってるんですか!いつの間にかいなくなって怪我して帰ってきて!怪我が治るまで安静にして、いなくなってまた怪我して帰ってきて!」

お燐「いつもいつもボロボロなのに……怪我の大小なんてもう気にもしてませんよ!」

お燐「今までは運が良かっただけ……いいえ、奇跡だったんですよ!」

お燐「もうさとり様を外になんか出しません!……次こそ……次こそ本当に死んじゃいますよ!」



怪我をしていることさえ忘れてさとりの肩を掴む。怒り任せのその行動に、痛いからやめてほしいなどと言えるわけもない

この怒りはさとりの身を案じてこそ出てくるものだ。自分を心から慕っているからこその物なのだから



さとり「…………ごめんなさい。今のは私がどうかしてたわ」

お燐「……大体、何故なんですか。……どうしてさとり様は」

さとり「そうね、やっぱり仮面ライダーだから……かしらね」

お燐「でも!」

さとり「えぇ、私は弱い。今日だって勇儀さんが駆けつけてくれなきゃまずかったわ」

お燐「……それに!」

さとり「確かに。仮面ライダーだからって戦わなきゃいけないって事は無いわ。それに、地上には進んで仮面ライダーの力を
    貸してくれる所もあるみたいだし。そういう人達に頼ったほうが本当は良いのかもしれない」

お燐「だ」

さとり「でもね、お燐……貴方達を、地底の皆を少しでも守れる力があるなら、私は守りたい。怪我の大きい小さいなんて気にもしないわ」



また、首だけ動かしてさとりは笑いながら言った。今度は、自虐的なものではなかった






お燐「なんですかそれ……結局これからも同じことを繰り返す気満々じゃないですか」

さとり「うん。そうよ」

お燐「さとり様は!」

さとり「そうね。自分でも馬鹿だって思うわ」

お燐「っ……さとり様は馬鹿です!」



心を読まれ、先に言われても、やはりお燐は自分自身の口から言わないと気がすまなかった


バン!


さとりの治療に使った薬箱や包帯を乱暴に片付け、お燐は部屋を飛び出した



さとり(…………………………水)

さとり「いたっ!いたた」



上半身を起こして、そばに置いてあった水入れに手を伸ばしコップに水を入れて飲み干す



さとり「はぁ……」



これだけの動作でさえさとりの体は痛みで壊れてしまいそうに感じていた

それでも水を飲むためにここまで動かせたのも、やはり、この痛みにも慣れてしまっているからだろう



さとり(無茶をしすぎると……案外自分のことなんて考えないものね。これじゃあお燐の言うとおり、いつ死んでもおかしくないわ)



力は無く、気持ちだけが前を行っている。そんなさとりに何もしてやれないのがお燐達にとってつらい事だということはさとりも知っていた

主を守るのはペットの役目だ。さとりより自分が前に出て戦うべきなのに、仮面ライダーではない自分にはそれが出来ない
今日も何とか助かってくれた。でもその次は?今回までは生きて帰って来たが、その次も生きて帰ってくるなんて保障がどこにある?
どうしてさとりは戦おうとする?どうしてそんなに弱いのに守ろうとする?どうしてそんな生き急ぐような真似をする?
もう戦わないで欲しい。血に汚れ、今にも消えてしまいそうな微かな息をするさとりを見るのはもう嫌だ

そんな心の声をこの一年で何度聞いただろう






さとりが必死で守ろうとしても、さとりが守りたいものはさとりのせいで心をすり減らしている



さとり「……情け無い」



本当は戦うべきじゃないのかもしれない



さとり「でも……」

さとり「弱くても、勝てなくても、何も出来なくても……何もしなくていいなんて私には思えないの」



やめるわけにはいかないのだ

地底にいる仮面ライダーはさとりただ一人だと知ったとき、さとりは絶対に逃げないことを、仮面ライダーとして戦うことを決意した

その覚悟があったからこそ、勝てなくても、ボロボロになっても、この一年でさとりが怪人に襲われた者を見捨てる事は一度もなかった



さとり「もう、私は戻れない。ずっと、戦ってきたから」



ここで戦いをやめれば、それはさとりにとって地底の者達全員を見捨てることと同じだ。今更、そんなことは出来ない



さとり「……ごめんなさい。お燐……こんな主人で……本当にごめんなさい」



涙が、頬を伝う

それを拭おうとして



さとり「……?」



何かに、気づいた。ぼんやりと、曖昧ではあるが、違和感を感じたのだ

手に何かが当たったような、そんな感覚



さとり(………………まさか)



さとりは目を閉じてあることを考えた。違和感の正体を探るために。いや、正体にはある程度の予測が出来ていた
それを確かめるために、集中するために閉じたのだ。そして

さとりは目を開けた






違和感の正体はさとりが思っていた通りだった

目の前に見知った姿があった。特徴的な帽子、色違いの自分と同じ服、自分の物とは違う閉じられたサードアイ

実間違えようも無い、そこにいるのはさとりの妹

古明地こいしだ

そのこいしが、違和感の正体だった。彼女は、さとりの上を跨っていたのだ



こいし「?……んぅ?」ピクッ

さとり「…………」

こいし「…………」トロォ



さとりとこいしの視線が合わさる。しばらくこいしはさとりの目をじっと見つめていたが



さとり(あら、この子よだれが)

こいし「気のせいだよね。バレてないバレてない……」

さとり(え?)



気になってしまったその発言に一瞬、動きが止まる。こいしは、その動きの止まった瞬間に



こいし「てやっ!」


ぱさ


さとりの服のボタンを素早く外した。手馴れているという物ではない。その速さたるやまださとりが動きを止めた時間の始めの一瞬の内だ

そしてはだけた服からあらわになる、白く柔らかい首から鎖骨付近までの、幼子を思わせるきめ細やかなさとりの肌を



こいし「ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ

    ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
    ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ」



一心不乱に、舐め回した

あぁこれだ、運動が苦手であるが故の痛むことも無く、日差しを浴びることが少ない故に焼けることの無い、妬ましくさえ思えてくる白い肌
舌を這わせる瞬間に伝わるふわりとした、それでいて微かに感じる小さな弾力のある柔肌やもち肌なんかを超えたとろけているかのような肌
そこに加わる肌に染み付いたかのように微かに漂う鼻をツンと刺激するスパイスのような汗の匂いと混じる嗅ぎ慣れた体臭
何より、未だ発達の乏しい小さな幼女を思わせる風貌と実の姉というダブルパンチの背徳感が、背筋をゾクゾクと伝わっていく!

あぁ感じる、満たされる!古明地こいしのこころはもう!!



こいし「お姉ちゃんの堪らない体に、ご先祖総立ち状態だよーーーーーーーーーー!!!!」

さとり「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」


                    バチィィィィィイイイイイイン!!!!!


仮面ライダーになって一年。さとりの初のクリーンヒットはペロリスト妹の活躍によって生み出されたのであった





今回はこんな感じで終了です。なんか開放してはいけない欲望を開放してしまった気がしますが
まぁ今後こんなことはめったないと思いますのでお許しください。

では。

ぬるぽ

ガッ

これはひどい欲望ですね



その欲望!!素晴らしいッ!!
もっと開放したまえ!!

>>1乙。……良きしゅうまつを。

不憫としか言い様が無い(汗


で、続きはセルメダル何枚で見られるんですか?

>>213
やめろ!これ以上はいい!>>1はノリと勢いで書いただけなんだ・・・暴走するつもりは無い・・・


(^U^)<おひさしぶりですね。日曜、もしくは月曜に投下のめどが立ちました。お楽しみに

>>219でした (・ω<)b

なんでこういうミスするかね・・・

続き期待ィー!

(^U^)<申し訳ありません。これほどまでお待たせしてしまって

本日投下します

!!

>>1乙アームズ!花道・オンステージ!

投下します


@地霊殿 居間

11:06

ぼすっ


お燐「ハァ……」



お燐はため息をつきながら全身の力を抜いてソファーに寝転がって、考える。大好きな主人のことを



お燐「…………さとり様」

お燐(……本当は、分かってる。さとり様は……きっと正しいことをしてるんだ……さとり様にとっても……地底の皆や私達のためにも……)

お燐「でも、やっぱりあたいは……納得できない……」

お燐「あたいだって……本当は戦えるのに……」



懐から一枚のカードを取り出しながら、そう呟く



お燐「ねぇ、あんたは一体何時まであたいを待たせる気なのさ……」



取り出したカードは『ライダーカード』

絵柄には影がかかっていて、はっきりとした姿は写し出されていなかった

そう、お燐はさとりが捜し求め覚醒を待つ、地底にいるライダー候補の一人なのである



お燐「何が足りない無いっていうのさ……あたいは戦える。一年前からずっと……ね」



当たり前だが、何の返事もないカードにまたため息をついて、軽く指ではじいた






がちゃ


お燐「!!」サッ



そこに居間の扉を開けて入ってきたものがいた。別にやましいことをしている訳ではないが思わずお燐はライダーカードを即座に隠す

霊烏路 空(通称 お空)

お燐と同じさとりのペットで、灼熱地獄跡の管理を任されている。前が見えなくなるほど大量の本を積み重ねてふらふらとした足取りで中に入ってくる



お空「っと、っとお!」フラフラ

お燐「お空?」

お空「んっしょ、っと!」


どさどさどさどさ!


お空「ふぃ~」



テーブルの上に乱暴において一番上にあった本から読み始めた



お燐「え~……っと」



お燐は混乱した

普段のお空の生活ではまず見られない光景だからだ。彼女が”本を読んでいる?”それも、今持っている物も、積み上げた物も全て分厚い本ばかり

お空はお燐の混乱はよそにじっくりと真剣に読んでいた



お空「…………」ジー

お燐「お、お空……今日の仕事は?」

お空「ん?終わったよ~」ペラ

お燐「そ、そうなんだ……」






お燐「ね、ねぇ、お空……」

お空「何?」ジー

お燐「昨日まで別にこんな本読んでなかったよね?どうしたの急に?」

お空「……私ね、分かったんだ」

お燐「何が?」

お空「どうして私が”馬鹿”とか”お⑨”だとか言われる理由だよ」



本に向けられていた顔を上げ、お燐を見つめながら言う



お空「私はずっと不思議だった……地上のチルノとかいう妖精と違って私は仕事をしている。難しい言葉だって知ってる。なのに
   私のことを皆馬鹿だという……本当に不思議だった」

お燐「う、うん……(そのチルノって奴も、地上で仮面ライダーの仕事してるって言ったのは忘れてるんだね。やっぱり……)」

お空「そして昨日、やっと気づいたんだ。私には足りなかったんだよ」

お燐「何がさ?」



お空「ずばり、”教養”だよ!!」  ででーーーん!!



お空「何か一つを極めるのは悪いことじゃない。でも、偏った知識は自分の世界を広げづらくなって、逆に狭くしてしまうんだ!」

お空「今までの私はただ興味を持ったもの、自分に必要だと自己判断した知識を身に着けていただけだった……でも、それだけじゃ足りなかったんだよ!」

お空「これからはいろんな本を読んで、いっぱい勉強して、私は地霊殿の”お馬鹿キャラ”なんて位置づけから卒業する!そう決めたんだ!!」

お空「いつか私を馬鹿にした奴らに『地霊殿に賢い烏、霊烏路空あり』と思い知らせてやるんだよ!!」



そう熱弁するお空が持ってきた、テーブルに積まれている本の題名をチラ見してみれば


『⑨才でも分かる論語』『なるほど!相対性理論』『恥ずかしくない紳士淑女の嗜み』『究極、バッハの世界』・・・・・・・・


お燐「…………ぁぁ、うん」



お燐はどう反応するか少し迷って



お燐「頑張れ!」にこっ



暖かい目をして見守ることにした






お空「そしたらきっと……」

お燐「?」

お空「きっと、さとり様も私たちのこと頼ってくれるよね……」

お燐「!!…………うん」



ただの思いつきの行動ではなかった。お空は考えていたのだ、さとりのために自分が出来ることをしようとしていたのだ。そして行動を起こしたのだ



お燐(じゃあ……)



お燐は考える



お燐(ライダーじゃないあたいに出来ることって……?)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

11:03

一方、地霊殿玄関前の階段を下りる者がいた



パルスィ「やれやれだわ全く。どうしていつもいつもこうなるのかしらねぇ~」



さとりをここまで運んできた後はお燐の指示通りタオルを持ってきて、さとりの手当てを手伝い、汚れたタオルを洗って、思わず気になって
部屋を掃除して、ついでに怪我人にも食べやすいよう”おじや”なんかを作っていたりしたら、そういえば元々こんなことする必要がないと気が付いて

(当然おじやは完成させてから)今から帰るところなのである

我ながら、一体何をやっているんだろうかと思う



パルスィ(本当なら最初の一回だけだったのに、それから何度も何度もここに来ちゃうから変な習慣が身に付いちゃったじゃない……)

パルスィ「それもこれも全部お燐のせいよ。ちょっと優しくしただけで何度も頼んできて、挙句当たり前のように頼んでくるようになって
     全く図々しいわ……あぁ、妬ま」


すっ


と、愚痴をこぼしながら玄関の扉を開けようと手を伸ばした





がちゃ!    ゴッ


勇儀「ちわー!三○屋でーーーす!!」

パルスィ「~~~~~っ!!!」



外から勇儀が勢いよく扉を開けたことによって指先数本を突き指した



勇儀「おっ!パルスィじゃん。ちょうど良かった」

パルスィ「何が!……って何よそれ」



文句を言うつもりで見上げて、パルスィは一気に怒りが引いた。なぜなら、勇儀は肩にまるで丸太でも担ぐかのように



勇儀「何って、見たとおりだよ」

ワーム「n dofbu!!」ジタバタ!



ワーム(サナギ)を抱えていた

必死に逃れようとしているが仰向けに背中を肩に乗せているため、ワームの体の構造上、手は後ろに回らず上半身は曲げることも出来ないので
ただ手足をバタつかせていた



勇儀「いや~苦労したんだよ。こいつ私に擬態しやがって反撃しようとしてさ、自分で自分と戦うっていうのも
   まぁ悪くない気分だったんだけど、こっちが殴ってもまるで豆腐みたいな手ごたえで全然殴ってる気がしないんだよ
   とりあえず擬態できないくらい弱らせたんだけど、なんか途中から嬲ってるみたいで気分悪くなってさ。トドメさしたくても
   私じゃ無理だし。そしたらいつの間にかここの近くまで来てたからさ、確か中庭に灼熱地獄に通じる穴があるんだろ?そこに捨てに来たんだよ」



本来ならば”鬼”である勇儀の拳や蹴りを受けて無事でいられる者はそうはいない。もし、勇儀が本気で何かを殴れば、殴れられたものはもとより
地形が変化するなどと言われているほどだ。もっとも、そのような機会はパルスィ知る限りこのところ一度も起こってはいないし
起きて欲しくないと説に願うばかりである



勇儀「というわけで、案内してくれパルスィ。場所知ってるんだろ?」

パルスィ「え、えぇ……」






勇儀に頼まれて灼熱地獄跡へと続く通路を歩く中、パルスィはふと気づく



パルスィ「いや……なんでここに連れて来てるのよ。いつもみたいに地上まで運んで適当に逃がせばいいじゃない」



地底にはさとりしか仮面ライダーはいない。だが、その肝心のさとりには怪人を倒す力はない。ましてや勇儀でさえ怪人を弱らせることは出来ても
倒すことは出来ない。故に二度と来なよう痛めつけて地上に逃がすか、灼熱地獄に捨てるしか地底の者達の対処法は無かった



勇儀「……いや、それはもう出来ないんだよ」

パルスィ「? 何でよ」

勇儀「それが、その……」



勇儀は少しためらって、覚悟を決めたように、口を開いた



勇儀「この前、怪人を逃がすところを天狗に見られちゃったんだよ」

パルスィ「……は?そ、それってマズイんじゃないの!?」

勇儀「いや、私としたことがうっかり見られちゃってさ、見回りをしてた天狗に見つかっちゃったんだよ」

パルスィ「……大丈夫……だったの?」

勇儀「まぁ見つかった時はすごい怒ってたよ。妖怪の山が”あんなこと”になったのは地底の妖怪の仕業だったのか~なんて誤解されちゃったしね」

勇儀「何とか誤解は解けたんだけど、今回のことを誰にも話さない変わりにに二度と地上に怪人を逃がすなって言われた」

勇儀「まぁ、今の地底の現状を鑑みれば、飲むしかなかったんだよ」

パルスィ「そう……確かにここにはまだ灼熱地獄があるから怪人をどうにかする方法が無いわけじゃないけど……」

パルスィ「勇儀、貴方自分が何をしたのか分かってるの?地底全体の問題を一人で勝手に決めたのよ」

勇儀「分かってるよ。…………けど、さとりはこうなることを予見してたみたいでな―――――――――――



―――――






―――










『そうですか……分かりました。ありがとうございました。今までつらいことをさせてしまって』


『……は?いや、何言って!』


『いつかこうなるとは考えていたんです。幻想郷の全てを巻き込んだこの異変が起きてから、それぞれの勢力がそれぞれの力を持って怪人と
 戦っている。ですが、地底の現状ではいずれこうなることは必然だ……と』


『地底の誰も怪人を倒すことはできない……そうなれば”この地霊殿の下にある灼熱地獄に落とす”か、”地上に逃がす”。この二つしか地底の
 者達の力で怪人を排除する方法は無い。けれど、灼熱地獄を管理する上で必要以上に”燃料”を入れて温度上げるようなことは出来ない……
 結果、地上に逃がすのが最も良い方法…………』


『しかし、逃がすということは地上の敵を増やすということ。地上の誰かに、私達で倒すべき怪人を押しつかるということ』


『そんなことをしてただで済むはずは無い。本来なら誤解されたまま天狗達から報復を受けてもおかしくは無かった……』


『ですが、いままで地上に逃がす役を引き受けていたのが、かつて妖怪の山を支配していた鬼の一人の勇儀さんだったから、勇儀さんの性格を
 知っていた天狗だったから。この二つ条件がかみ合ったからこそ話を聞いてくれたのでしょう』


『もし他の誰かだったなら、きっと誤解は解かれないまま、余計な争いが起こって互いに少なからず犠牲者が出ていたかもしれません』


『だから、ありがとうと言ったんです。勇儀さんの存在のおかげで大勢の人が救われたんです』


                                                  『っ……だけど、このままじゃ』


『そうですね』


                                                           『…………』


『地底は怪人への対抗手段が確立しないか義理……地底はいずれ…………怪人に、滅ぼされる』


                                                        『っ!!…………』


『謝らないでください、勇儀さん。いつか来る日が今日だった。それだけなんです』




―――

――――


勇儀「――――……私は地底を守っちゃいない……それどころか、傷ついた体に鞭打って戦うさとりの首に縄くくり付けるような
   ことをしたんだ」

勇儀「なぁパルスィ……なんで私達は何も出来ないんだろうな……なんで、仮面ライダーじゃないんだろうな」

パルスィ「…………」




11:09



さとり「どういうことか、説明してくれるわよね」

こいし「……うん」ダラダラダラダラ



こいしは今正座をしている

紅葉のように腫れた右頬をさすっていたかったが、顔を上げた視線の先にいるベットに腰掛けた姉が放つ怒りのオーラがそれを許さなかった



さとり「どうしてあんなことをしたの」



あんなこと

聞くまでも無くさっきまでの、こいしの右頬の紅葉を作ったさとりのビンタがクリーンヒットする直前までの行為

実の姉、それも怪我をしている状態にも関わらず馬乗りになって肌を舐め回したことだ



こいし「えっ、とね……お姉ちゃんってさ、一年位前から急にアンラッキーガールになっちゃったじゃない?」

さとり「……そうね」



さとりがライダーとして活動を始めたころだろうか、さとりは全くといっていいほどツイてなかった

料理を作ろうと思ってビンのふたを開けようと思えば、非常に固く閉まっているので力をこめれば急に開いて中身をぶちまけるなどかわいいもので

買い物に行こうと外に出れば誰が吐いたかゲロを踏み、卵を買えば誰かにぶつかって吹っ飛んだ卵が頭に降りかかり、急いで帰ろうと走りだせば
足を滑らせ小川に落っこちて、ようやっと這い上がったと思えば誰かがポイ捨てした空き缶に打たれまた川に落ちる

これが外出時に起きた不運のほんの一部なのだと聞けば、さとりの不運さが分かるだろうか



こいし「それでさ、お姉ちゃんケーキとかジュースとかもよく頭から被っちゃうでしょ?」

こいし「私ね、不運とはいえ食べ物がもったいないと思ってちょっと、ほんとにちょっとだけ、お姉ちゃんに付いた奴を舐めとってたの」



これまでさとりが食べ物を頭から被ったのは1回や2回ではない。それこそ週に2.3のペースで起こった一ヶ月もあった



こいし「そしたらね、いつか、お姉ちゃんの肌を見てるうちにね……その……下品、なんだけどね……フフッ……よだれが、出るようになっちゃってさ」

さとり「本当に下品極まりないわね」

こいし「はひゅんっ!!」グサッ



姉の冷たい目線が、こいしの心を貫いた




11:10


こいし「……ごめんなさい」

さとり「謝れば済む問題じゃないのよ、こいし。貴方は今、健全な道を――――――――」

こいし(……チャ~ンス!)キラーン☆



こいしは説教を始めた姉を見て心の中でにやりと笑う

こいしの能力『無意識を操る程度の能力』をもってすれば余所見をしている間に『説教中なのだからこいしはまだここにいる』とさとりに
無意識に思い込ませて部屋から出て行くことなど造作も無いからだ

目視されている間はどうしようもないが、目を瞑ったり、別のことを考え始めればこっちのもの、こいしは難なく部屋から逃げられるのだ

姉には申し訳ないが、この溢れるペロリストの欲望を止める術は無い。古明地こいしは怒られて後悔はするが、反省はしないのだ



こいし(ごめんね。お姉ちゃん)ソ~

さとり「どこに行くつもり?」

こいし「いっ!?」ビクッ

さとり「無意識に見逃すと思ってるの?今私は貴方のことを常に考えているのよ?そこに座りなさい」

こいし「……だったら、視界から外れればこっちのものだもん!」ダッ!

さとり「あ、こらっ!待ちなさい!」



駆け出したこいしを逃がすまいと痛みを押し殺してさとりはこいしを捕まえようとする。かわいい妹がHENTAIの道へ堕ちようとしているのだ
体の痛みなど、どうということは無い

ドアノブを掴んだこいしの服を捕まえる



さとり「こいし!貴方は今正常じゃないのよ!姉の肌を舐め回すような妹に育てた覚えは無いわ!」

こいし「ふんにゅ!」


ガチャ


しかし、やはり怪我人。かなうはずも無くこいしはドアを開けた。あとは姉を振り払って、視界から消えるだけだ


11:11





11:11



パルスィ「ここよ。この扉から中庭に出ればあとは案内図を見れば行けるわ」

勇儀「ん、サンキューな」


ガチャ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

11:11



お空「…………」

お燐(飲み物持ってきてあげるか)スッ

お空「? お燐どこ行くの?」

お燐「台所。何か飲む?」

お空「お茶」ペラ

お燐「りょ~かい。っと」



ガチャ



11時11分

地霊殿の幾つかの扉が”11時11分”に”同時に開かれた”


誰もそのことに気づいてなどいない。だがこれは実際に起こったことだった。仕組まれたわけでもなければ打ち合わせたわけでもない。ただの、偶然だ

だが、”11時11分”に地霊殿の幾つかの扉が”同時に開かれた”ことに気づいていなくとも、その次の瞬間






                 ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!






地霊殿を、巨大な物体が、地霊殿の壁を容易にぶち抜く質量とスピードで―――――――――――――――串刺しにした



(^U^)<投下終了です。お休みなさいませ、皆様

たぶん次回かその次に

○○、参上します

うわ、私の誤字……多すぎ……

おつ

さとりんぺろぺろ

地霊殿ーーーっ!(心配する所が違う)

乙!
さとりは漸くくすぶりさとりんから卒業出来るのか!?

本格的に話が始まって活躍するという事は、これからもっと大変な苦労をするという事だがな

そんな事より、幻想郷でどういう時間の旅をするのかがとっても気になるし楽しみだな!

乙~
さとりは困った時のお助けライダーになれるのか!?

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