ほむら「目覚めろ、その魂」(426)

注意事項

魔法少女まどかマギカと仮面ライダーアギトのクロスとなります。

戦闘時とかシリアスパートのときは地の文入れます。

独自解釈、独自設定を突っ込んでます。

アギトは本編終了後。

アギトこと津上翔一の登場が遅い。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373301810

prrr ガチャ

河野「はい、捜査一課、はい、はい、分かりましたすぐに伝えます」

河野「おーい、氷川今すぐ会議室に来いだとさ」

氷川「会議室に?なにかあったんでしょうか?」

河野「俺が知るかよ、まあ変わった事件だとは思うぞ。お前を名指ししてるんだから」

氷川「一体どんな?」

こうな「行ったらわかるだろ、ほれこんな無駄話している暇があったらさっさと行ってこい」

氷川「はい、行ってきます」タッタッタッ

氷川「失礼します」ガチャ

北条「やっぱりあなたも呼ばれていましたか氷川さん」

氷川「北条さん?もしかして北条さんも呼ばれたんですか?」

北条「ここにいるということはそういうことですよ」

刑事部長「二人とも積もる話はあるだろうが先に呼んだ要件を済まさせてもらってもいいかな?」

氷・北「はい」

刑事部長「とりあえず、そこに置いてある資料に目を通してくれたまえ。それは近年の自殺者及び行方不明者の統計だ」

氷川「自殺者と行方不明者?殺人事件の捜査ではないんですか?」

北条「黙って読んでみましょう、どういうことかわかるはずですから」

刑事部長「まあ、端的に行ってしまえば出張と真相の調査だ」

氷川「自殺者と行方不明者になにか裏があると?」

北条「この見滝原でしょうね、伸びが他のと比べても異様です」

氷川「!!」

刑事部長「そうだ見滝原周辺は異様に多い、しかも集団自殺では年齢、性別全てばらばらで、自殺するために募集をかけた様子もない」

北条「だとしても本来警視庁が他の縄張りまで出張るような案件ではないと思いますが」

刑事部長「本来ならな、むこうからの要望とこちらにも累が及んでる可能性があるからな」

刑事部長「向こうに君たちを束縛する権限はないので君たちの成果に期待している」

氷・北「はい!!」

氷川「北条さん、お久しぶりです。また御一緒できるとは思いませんでした」

北条「相変わらずですね、あなたは」

氷川「でも、僕はともかく北条さんにまで声をかけるなんて相当重要な案件なんでしょうね」

北条「重要度自体は低いですよ、腕利きを用意したことで向こうの面子を立てたという話ですよ」

氷川「では、なぜ成果を期待しているなんて言葉を?」

北条「真相がなくても良し、真相があって我々が暴いたら警視庁の実力を見せつけるのと向こうへの貸しになるという算段ですよ」

氷川「だとしたら僕たちの責任は重要ですね、もしも真相を先に見つけられたら警視庁の恥になりますからね」

北条「そうなりますね(真相があってもこれまで暴けなかった先方がこれから暴けるわけないと思いますがね)」

北条「では向こうへの挨拶もありますし、早いところ向かいましょうか」

氷川「ええ、行きましょう北条さん」

ほむら(体に何か違和感を感じる、眼鏡かけてなくてもカレンダーに書かれた文字もはっきりと見えるし)

ほむら(長期入院するほどに体が弱いはずなのに元気が有り余ってるし)

ほむら(カレンダーの日にちを確認したときも安堵の気持ちを覚えた、なぜかしら)

看護師「暁美さん失礼しますね。ご両親が持ってきた学校の書類と退院の申請書ここに置いておきますね」

ほむら「ありがとうございます」

ほむら(学校、見滝原中学校、先進的な学校で比類ない教育水準と日本では見かけない建物が特徴)

ほむら(編入する前に『     』を『    』にしないためにも手を打つ必要があるわね)

ほむら「…なんでそんなことを思ったのかしら、言葉にできないのにする必要があるなんて」

ほむら「はあ、入院生活が長かったせいで疲れてるのかしらね。外にでも出て気分転換でもしましょうか」

氷川「ということはこの教会で集団自殺未遂と一家心中が起きたんですね」

北条「そのようです、集団自殺未遂は事情聴取に対して自殺しようとした際の記憶が全くと言ってもいいなかったとのことです」

北条「現在この教会は管理するものがいないせいで荒れ果てていますが神父がいた時は相当数な信者が訪れていたらしいですよ」

氷川「では、生活苦にしての心中事件ではないと」

北条「娘が一人生き残ったはずなんですが行方不明で詳しいことはわかりませんね」

氷川「ここでも理由不明の自殺と行方不明ですか自殺未遂者に話を聞いても覚えてないかなぜそう思ったのか分からないという証言ばかりですね」

氷川「ここが悪質な新興宗教の類だったとかではないんですよね」

北条「違いました、神父の主張は特に悪質な主張は一切なされずに法外な寄付も求めていなかったそうです」

氷川「調べれば調べるほど謎が深まりますね、自殺未遂者は自殺する理由も不明で保護された場所にいた理由も不明」

北条「裏がある可能性は益々高まりましたね」

氷川「今回の風見野の教会で一通り現場と関係者の話を聞くのを回り終えたんですよね」

北条「後の仕事は報告書を書いて好きにしろとの事です」

北条「勝手なものですよ手間がかかることを任せて放置なんですから、腹いせですかね」

氷川「じゃあ、好きにさせてもらいましょうよ、束縛されないとはいえ向こうへの義理は果たしたんですし」

北条「そうですね報告書を出したら義理は充分でしょう」

氷川「では、北条さん」

北条「関係者巡りは終了です、独自捜査しますよ」

氷川「はい!」

氷川「でも予想以上に自殺・行方不明者多いですね。しかも全くの前兆が見られない案件が多すぎますよ」

北条「足がかりになる証拠も見つからず、自殺未遂者も再度自殺の傾向が見られずとせめて行方不明者の一人でも見つかればいいんですがね」



氷川「北条さん!」

北条「分かってます!」

北条「なにか発見できましたか?」

氷川「いいえこちらは何も、北条さんは?」

北条「私もです」

北条「今のが行方不明の原因となると厄介ですよ、前兆も何もない上に痕跡も見つかりませんでしたからね」

北条「ひとまずここを離れましょう、巡邏中の警官を呼ばれたりしたら余計ややこしいことになります」

氷川「でも、先ほどの少女を捜索しないと…」

北条「目の前で先ほどの現象を見ていない人間に説明しても信用してもらえないどころか拘束されてもいいなら捜索継続しましょうか?」

氷川「くっ、わかりました」

氷川「これからどうするべきでしょうか?」

北条「まずは報告書の提出でしょう、報告書さえ提出してしまえば県警への義理は果たせるので」

北条「そこからは先ほどの現象が起きる原因を捜すか少女の捜索をするかのどちらかになるでしょう」

氷川「報告書なんか放り出してもいいんじゃないんですか?」

北条「そんなことをして矢のように催促の挙句、人員の交代を警視庁に要請されたら捜査は不可能になりますよ」

氷川「しかし北条さんも先ほどの現象を信じてもらえるとは思えないと…」

北条「思いませんけど、不可能犯罪に深く関わった我々の報告書ですので受け取ってはもらえますよ」

氷川「そういうものですか…、えっ!?」

北条「どうかしましたか?」

氷川「対岸に目の前で消えた少女が!」

北条「!?」バッ

北条「ぐっ、見失いましたね」

北条「まあ手掛かりと成りえる少女が無事だったのは喜びましょう」

氷川「少女の生存を報告書に書く必要は…」

北条「受け取ってもらえる確率が下がるような記述は必要ないですよ」

ほむほむ記憶喪失…?

G3経験者コンビか
打ち上げはやっぱり焼き肉だな
あっ、でもマミさんは…

1です、マミさん登場まで行く予定です。
まずは謝罪を、北條さんの表記を北条と間違えておりました正しくは北條です。
全国の北條さんファンの皆さま申し訳ありませんでした。

>>10
ほむほむは魔法少女のころの記憶をそっくり削った部分記憶喪失です。
ですので退院前までの記憶はちゃんとあります。

>>11
もちろん打ち上げは焼き肉、ただし小沢さん登場後

早乙女「いいですか男子はそんな細かいことを気にする男になってはいけません」

早乙女「女子はそんな男性にひっかからないように」

早乙女「あ、後転校生を紹介します」

さやか「そっちが後回しかよ!」

早乙女「暁美さん、入ってきてください」

早乙女「それでは自己紹介行ってみよう」

ほむら「暁美ほむらです、よろしくお願いします」ナガカッタ

早乙女「暁美さんは入院生活が長かったので皆さん助けてあげて下さいね」

早乙女「暁美さんはあそこの空いている席に」

ほむら「はい」



さやか「まどか、ずっと転校生を見つめてたけど一目惚れ?」

まどか「え、えっと、違うよー」

さやか「まどかは転校生に浮気するっていうのかー?まどかは私の嫁なのだ―!」

まどか「もう、そんなんじゃないってばー」

生徒A「暁美さんって、前はどんな学校にいたの?」

ほむら「私はあんまり通えなかったけど東京のミッション系の学校だったわ」

生徒B「暁美さんって部活とかは?」

ほむら「入ってなかったわ」

生徒C「髪長くて綺麗だけどどんなお手入れしているの?」

ほむら「特にこれといったことはやってないわ」

ほむら「ごめんなさい、保健室に行きたいのだけれど保健委員の人をよんでくれないかしら」

生徒D「鹿目さーん、暁美さんが保健室に案内してってさ」


まどか「うぇ!?」

さやか「お、まどかを御指名だ。相思相愛かぁ~」ニヤニヤ

まどか「もう、さやかちゃん!保健室に行きたいから保健委員を呼んだだけだよ」

まどか「暁美さん、わたしは保健委員の鹿目まどか、保健室に案内するね」

ほむら「お願いするわね、鹿目さん」


まどか「暁美さん、保健室に用ってお薬でも飲まないといけないの?」

ほむら「そうよ」

まどか「暁美さんは病気だったのにしっかりと学校に来て、それに美人さんだしなんか凄いな…」

ほむら「鹿目さんだって保健委員っていう立派な役職についてるじゃない」

まどか「わたし自慢できるようなものがないから…」

ほむら「そんなことはないと思うけど、案内だって言うのにこんなに話しかけてくれるし、鹿目さんは優しいと思うわ」

まどか「ティヒヒ、ありがとう暁美さん」

まどか「あ、あのね」

ほむら「どうかしたの?」

まどか「えーっと、わたしのことまどかって呼んでほしいかなって」

ほむら「そうなの、じゃあ私もほむらって呼んでねまどか」

まどか「うん!!よろしくねほむらちゃん」

ほむら「こちらこそよろしくまどか」

さやか「はあ、凄かったな、あの転校生は」

まどか「だねー、わたしたちと同い年って言われても信じられないよ」

さやか「顔がよくて、勉強もできる、入院していたくせに運動神経バリバリって萌えかこれが萌えっていうやつか!?」

まどか「さやかちゃん、どうどう」

さやか「で、まどかは一足先に転校生と仲良くなりましたとやはり浮気か!?」

まどか「ティヒヒ、そんなんじゃないってば」

仁美「でも満更ではなさそうな顔ですわね」

さやか「あの後ずっとニコニコしてたからね。でも珍しいねまどかから積極的に仲良くなりにいくなんて」

仁美「そうですわね、さやかさんではありませんけどなぜそこまで積極的にいったんですの?」

まどか「えーっと笑わない?」

仁・さや「「笑わない」」

さやか「ぶははは、夢の中であったからって!わかったまどかと転校生は運命の相手だったんだよ!」オナカイタイ

仁美「ふふふ、さやかさんそんなに笑ってはまどかさんに悪いですよ」

まどか「もう二人とも笑わないっていったのに!!」

仁美「ごめんなさいまどかさん、あらもうこんな時間」

仁美「お二人には申し訳ありませんが、私稽古の時間なので」

さやか「良家っていうのも大変だね~、また明日ね仁美」

まどか「仁美ちゃん頑張ってね」

仁美「はい、また明日ですわ」


ほむら(今日はとても大事な用事があったような気がする日だけど)

ほむら(用事が分からないのにショッピングモールをうろうろと何してるんだろう、私)


氷川「闇雲に探しても見つからないと思うんですよ」

北條「そういうことなら、納得できる提案をして欲しいんですが」

北條「少なくとも私は人が集まるショッピングモールでの捜索を提案しましたが?」

氷川「顔以外は分からない状態で人を捜すのは大変ですね」

北條「当たり前のことを言わないでください」

さやか「まどか、このCDショップに寄ってもいい?」

まどか「上条君へのお見舞いの品?別にいいよ」

さやか「べ、別にそんなんじゃないってば」


氷川「あ!!」

北條「見つけましたか!?」

ほむら「え?」


氷川「僕たちはこういうものなんですが」テチョウダシ

北條「あなたにお尋ねしたい事があるのですがよろしいですか」

ほむら「私に尋ねたいことですか?なんでしょうか」

氷川「まずはお名前を」

ほむら「暁美ほむらです」

北條「暁美さん4月20日の夕方頃にどこにいたのかを教えてくれませんか?」

ほむら「はい、あの日は街を散策していて夕方頃は橋の方に出てました」

北條「間違いありませんね」

氷川「実は僕たちはその時君が消えたのを目の前で見てるんです、その時のことを教えてくれませんか?」

ほむら「ええと、あのときは確か急に耳元で耳鳴りがして」

(助けて、誰か助けて!!)

北條「なにか喋りました氷川さん?」

氷川「僕は何も…、じゃあさっきの声は?」

ほむら(あの後ろ姿は!?)

ほむら「……まどか?どこへ!?」タッタッタッ

氷川「ちょっと君!?」

北條「追いかけましょう!!」

まどか「あなたが呼んだの?」

QB「ハァハァ」グッタリ

まどか「酷い怪我!!手当をしなくちゃ!!」

さやか「まどか!!どうしたの!?」

まどか「さやかちゃん、大変この子凄い怪我してる!!」

さやか「え、うわなにそれ!?えと怪我だよね?とりあえず外にいかないと怪我の状態とかもよくわからないし…」

ほむら「まどか!!大丈夫!?」

まどか「えっ!?ほむらちゃん?」

さやか「転校生がどうしてこんなところに!?」

ほむら「まどかが走っていくのが見えたから追いかけてきたのよ」

氷川「急に駆け出してどうしたんですか!?」ハァハァ

北條「しかも、関係者以外立ち入り禁止の場所に入っていくなんて!!」ゼェゼェ

ほむら「すいません。友人がここに入っていくのが見えたものですから」

さやか「あー、ちょっと転校生?そのおじさんたちはお知り合い?」

まどか「さやかちゃん…、初対面の人たちにおじさんはないと思うんだけど…」

氷川「お、おじ…!?」

北條「この子たちぐらいの年ごろから見たら仕方ないですかね…」

ほむら「この人たちは刑事らしいわよ」

まどか「け、刑事!?なんでそんな人たちが!?」

さやか「転校生、あんたなにかやらかしたわけ!?」

氷川「僕たちはある事件の捜査で暁美さんにお話を聞いていただけですよ」

北條「とりあえず外へ、それと後で厳重注意をするので逃げないように?」

さやか「げ!?」

まどか「あの、この子のことなんですが…」

まどかが保護した動物のことを尋ねようとした時、世界が変わった。

そこはいままでいたコンクリートむき出しで改装中だったショッピングセンターではなくなっていた。

屋内のはずが天井は見えなくなっており、木があちらこちらに生え、蝶を模った街頭までもが設置されている。

地面には斜めに金網が刺さり、あちらこちらに鉄条網が施され、作業員と思えるような人影が整列している。

不可解な現象を前にほむら以外の顔には困惑の色が見られる

氷川「これが行方不明事件の原因ですか…」

北條「信用してくれる人がどれだけいることやら…」

北條「私たちは周囲を警戒しますので、皆さんはその場を動かないでください」

困惑はしているが不可能犯罪を相手にしてきた歴戦の二人は装備していた拳銃を取り出し、警戒態勢に入る。

調査、警戒、民間人の護衛、必要なことに対して圧倒的に人手が足りない。

まどか「さ、さやかちゃんとほむらちゃん、そこにいるよね?」

さやか「あ、当たり前じゃん。そ、それに警察の人も銃を持ってるんだし、だ、大丈夫だよ」

ほむら「そうね、それに私はまどかがいるから平気よ」

さやか「さやかちゃんを無視しないでほしいなー」

ほむら「誰だったかしら?」

さやか「うぉーい!?」

まどか「ちゃんと話したことないから仕方ないんじゃないかな」ティヒヒ

一般的な女子中学生の二人は目の前のあり得ない現象に戸惑っていたが、刑事二人の存在と自然体を保っているほむらのお陰でだいぶ落ち着いたようだ。

北條は周辺の警戒をし、氷川はどこからともなく現れた建物についている扉と出口の有無を調べるために分かれて行動していた。

護衛対象は三人、女性なうえに成人前の学生で戦闘能力は皆無だ。それに対して人員は氷川と北條の二人だけそのために捜索をする氷川の身は危険にさらされやすい。

氷川「駄目です!封印されているのか見せかけなのかはわかりませんが開きません」

北條「扉からの脱出は不可能と、氷川さんは反対側の警戒をこんな状況じゃなにが起きるか予想もできません」

その時、歪な生物が現れた。頭は白い綿のような見た目をしており黒いカイゼル髭が特徴的だ、頭から直接腕と思われる細い棒が伸び、
体と思われる部分は異様に細く、足が生えているべきところは蝶のような形になっている。

氷川は生物の危険度を確かめるために警戒しながら近寄り、北條は銃を構えて不審な動きに即座に対応できるように備えている。

氷川が生物の腕の範囲内に足を踏み入れた時白い綿のような頭が空洞のような目と唇を表に出し、腕に鋏を携えて氷川に斬りかかった。

虚を打たれた氷川だが、拳銃で鋏の切断面の攻撃を防ぎ鍔迫り合いの格好となった瞬間、北條が発砲し生物を射殺した。

北條「怪我はありませんか?」

氷川「北條さんのおかげで助かりました、ありがとうございます」

北條「その鋏は念のために回収しておきましょう」

氷川「やはり、行方不明者はこの空間に閉じ込めらた後に殺されたんでしょうか」

北條「詳しい考察も後程に、集まってきましたよ」

銃声に反応したのか先ほどと同じ化け物が無数に集まってきた。持っている拳銃の弾数だけでは足りず接近戦を余儀なくされる。

北條「こいつら強くはありませんが数が!」

北條は化け物が振りかざした鋏を奪い取り武器として振るう。

氷川「道を開けますので皆さんは先に逃げてください!」

氷川は生物の数が比較的に少ないところを狙い発砲した後体当たりを繰り出し敵の囲いに穴をあける。

ほむら「まどかには手出しさせない!」

まどかとさやかが襲われそうになるたびにほむらは鞄で敵を押し返す。

まどか「こ、こっちにこないでよー!?」

さやか「うわっ!!こっちに寄るな来るなよ!?」

まどかとさやかは開けられた道を一心不乱に走り抜ける。

全員が化け物たちから逃げた先の広場で再度集合したときに上空から5人を取り囲むように円状に鎖が落ちてくる。

全ての鎖が落ち鎖を中心に衝撃波が飛ばされ再び一行を取り囲もうとしていた化け物たちが吹き飛んでいく、突如背後から声が聞こえてくる。

?「もう大丈夫よ。使い魔なんていくらいても敵じゃないわ」

現れたのは金髪縦ロールの少女だった。見滝原中学の生徒が着用する制服を着用しており、大量にいる化け物に立ち向かえるようには見えない。

少女はどこからともなく宝石を取り出し掲げた後ステップを刻む。

ステップを刻み終えた後にそこにいたのは制服を着た少女ではなく、ブーツを履き、チェックのスカートではなく黄色いスカート、コルセットを身につけ、腕貫きを装着し、ベレー帽をかぶった猟師のような格好をした少女だった。

少女は無数の化け物を目の前に跳躍し、空中に無数のマスケット銃を形成し、

?「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ(無限の魔弾)!」

と声を張り上げた瞬間に上空に作られた無数のマスケット銃の引き金が一斉に引かれ銃弾が飛び出していく。

細かい狙いをつけられていない銃弾は何発かは化け物に当たらず壁や地面に突き刺さり土煙を発生させるが、

衝撃波で吹き飛ばされ一カ所に固められていた化け物は無数の銃弾を前になす術もなく屠られていく。

土煙が晴れた場所には化け物の姿は影も形もなくなっており、景色も元いた改装中のショッピングモールへと戻っていた。

?「魔女は逃げたようね。私の名前は巴マミ、あなた達と同じ見滝原中学の三年生よ」

マミ「QBを助けてくれてありがとう、私の友達なのよ」

まどか「は、はい」

QB『マミ、マミ、とりあえずこの場を離れたほうがいい』

マミ『QB?どうしたのあなたを助けてくれた人たちにお礼とか説明とかフォローが必要だと思うけど?』

QB『あそこにいる男性二人は警察の人間だから任せても大丈夫なはずだよ、それに色々聞かれて困るのはマミの方だと思うよ』

マミ『…そう、警察の人なのね』

マミ「この子を助けてくれてありがとう、また今度お礼をさせてもらうわね」

氷川「ちょっと待って君にも話を…」

氷川が事情を聞こうと声をかけた瞬間、巴マミは消えるようにその場を立ち去った。

この場に残っているのは状況に全く付いていけない五人だけだった。

本日はここまでになります。
次回投下は一週間以内に投下する予定です。

マミさんって魅せる戦いをするせいか仮面ライダーに出たら予算の為に早々に退場するか弱体化の未来しか見えない。

1です、まったりと投下します

書くためにほむほむの魔法少女姿の足に注目していたけどどんな感じの靴になってるんでしょうねあれ
そしてほむほむの足はエロイなと思いました。

北條「とりあえず元の場所に戻るという目的は達したので外に出ましょうか」

氷川「しかし、先ほどの少女から話を聞く必要が…」

北條「彼女は氏名と所属している教育機関を明かしています。聞こうと思えばいつでも聞けますよ」

氷川「そうですね、こちらもまだ安全かわかりませんし、民間人もいますしね」

氷川「僕たちがちゃんとあなた達を送りますのでご安心を」

北條と氷川の発言で外へ向かおうとした矢先に再度世界の変異を目の当たりにする。

物質的な現実世界を保っていた世界が一転して抽象画のような現実に表現するのは不可能な世界へと変貌した。
空は現実の時間と合わせているのか赤く光り、雲が抽象画のように形作られている。

刑事の二人はすぐさま警戒体制に移行するが、先ほどの生物との戦いで二人が持っている銃弾の数は残り少ない。
直接武器に使えそうなのは先の戦いで奪った鋏ぐらいのものだ。

氷川「北條さん、残りの弾はそちらで使ってください」

北條「後で返せとか言わないでくださいよ」

氷川は返事とばかりに拳銃に装てんしていた残弾を抜き取り北條に手渡してきた。
北條も無言で受け取ると弾の充填をする。先ほどの戦いで消耗した銃弾の数と合わせて丁度拳銃一丁分の弾薬だ。

全員で警戒を強めるが何も変化は起きない。先ほど立ち去った巴マミという少女が異変に気づいて戻ってくることが最良だが、
彼女は敵を倒した際に何かが逃げたと言っていたので追撃を優先する可能性がある。
次善は希望的観測になるがここで待っていれば元の場所に戻ること。最悪なのが先ほどのような化け物と戦って撃退を迫られることだ。

全員消耗している。氷川も北條も致命的ではないにせよ多少なりとも攻撃を食らっており。
まどかとさやかを守るようにたちまわったほむらも怪我はないが制服やストッキングは裂け白い肌が露わになっている。
無傷なのがまどかとさやかだが不可解な事象に巻き込まれた上に荒事に慣れていない二人は精神的に限界だ。

まどか「もうやだよ、帰りたいよ…」

さやか「なんでこんなことに…」

ほむら「………!」

ほむら「まどか!危ない!!」

そこかしこに建てられていたオブジェが急にまどかに向って倒れてき、それに気付いたほむらはまどかの上にかぶさり盾になる。
ほむらが庇ったおかげでまどかに怪我はない。

まどか「…?ほむらちゃん!?わたしを庇って…」

ほむら「いいの、私がまどかを守りたかっただけだから」

ほむらを押し潰そうとしていたオブジェは急に圧力を弱めて、起き上がる。
よく見るとオブジェというほど立体的なものではなく、板のような平面的なものだ。
板は画版のようでどこかで見たことがあるような絵が描かれており。
元の絵と違うのは画版の中の絵が動いているということだ。

北條「これ全部が敵ですか」

氷川「絶望的ですが諦めるというのは性に合いません」

北條「奇遇ですね、私もです」

氷川と北條は疲労した体に鞭打って新たな敵に立ち向かう。
まどかとさやかは傷ついたほむらを連れてその場から離れる。

まどか「ほむらちゃん、怖くなかったの!?」

ほむら「私は、まどかが傷つく方が怖いから…」

さやか「こっちにもいるじゃん!もう駄目なんじゃないの!?」

ほむら「二人とも離れていて…、私が…、戦う!!」

三人を狙うように現れた敵から二人を守るためにほむらは前に出る。

ほむら「まどかに嫌われたくはなかったけど、死なれるよりはずっとまし」ボソッ

誰にも聞こえないようにほむらはつぶやくと敵に向かって歩いていく、近寄ってくるほむらに襲いかかってきた敵をいなして二人から距離を取る。
両腕を一度腰に置き右手を突き出してベルトを出現させる。出現したベルトからは不思議な光が発して周りを照らしている。
謎の空間でも周りがわかるほどの光はあるが見るものを不安にさせる光だったが、ベルトの光は見るものにどこか安堵を思わせる暖かい光だ。
ほむらは敵をにらみ左腕を腰に置いたまま胸の前に構えていた右腕を伸ばし、右腕を伸ばした後にベルトの両側についているスイッチを押した。

ほむら「変身!!」

光がほむらを包み、光がおさまった後に立っていたほむらの服装は変わっていた。
袖が肘あたりまでしかなく、セーラー服のような紫の襟を持った白いブラウスに身を包み。
ブラウスの背中と襟には紫色のリボンが装飾されており、腕を包むインナーは黒い。
スカートは制服とは違う装いで、薄紫色に染まっている。
ブーツのような黒い靴にある菱形の穴は膝上は紫色に、膝下は黄金色に光る。
更に目を引くのは少女のような装いには不釣り合いな胸部を守るように光る黄金色のプロテクターだ。
変化は離れた位置で戦っていた氷川と北條の二人にも届いていた。

氷川「あの光、もしかして…」

北條「…アギト」

二人は以前にもあの光を目の当たりにしている。ともに不可能犯罪に立ち向かった戦士の光を。
だが、二人が以前見たアギトの姿とは大違いだった。
プロテクターの形に関しては上半分だけだが同一といってもいい、しかし変身前の姿をここまで保った姿は見たことがない。

ほむらはまず自分の目の前にいる邪魔者の排除に動いた。右手で拳を作り叩きつける。
拳を叩きつけられた敵は中心を打ち抜かれて砕け散った。
敵が砕け散るのを待たずにほむらは氷川と北條の元へ駆けつける。
ほむらの拳が当たれば敵は砕け散り、敵の攻撃は金色のプロテクターを傷つけることすら出来ずにほむらには届かない。
襲いかかってきた敵は全て倒され、一方的な戦いはひとまず終息を迎える。

ほむら「まどかとさやかをお願いします」

そういうとほむらは構えを解かずに周りに気を払う、入れ替わりに氷川と北條はまどかとさやかの護衛に走る。
数秒としないうちに空間全体が振動し、地面から石材のようなものが浮き出てきたと驚く暇もなく全体像が露わになる。
現れたのは巨大な門、それもフランスの凱旋門とよく似ている。

ほむらは門に対して歩を進め、他の面々は固唾をのんで見守っている。
門までの距離が目測10mほどになったところで門から巨大な腕が飛び出てきた。
ほむらは焦らずに後ろに下がり腕の射程外へと逃れ、かわしたことで気が大きくなったのか門の方から寄ってくる。
門は再び腕を飛ばす、ほむらは射程外に逃れずに直線的な腕の攻撃をかわす。
三度飛んでくる腕の攻撃に両腕を交差させて防御の構えで受け止める。
焦りからか門の巨大な腕の一撃は軽くなり、防御を解かずにほむらは距離を詰める。

飛び出してくる腕の間隔が空いたときにほむらは防御を解き、拳を作りこちらから先に突きだす。
ほむらの拳と飛び出してきた巨大な腕の一撃は見事に重なりあう、勝負は一瞬でほむらの拳が門の腕を打ち破った。
門は腕を破られたショックからか身じろぎ一つしなくなる。

ほむらは先ほどまでの構えとは違い左足を前に出し、両腕を広げる。
するとほむらが立つ場所からすさまじいエネルギーがほむらに流れ込んでいき、
エネルギーの収束に伴いほむらは前に出していた左足を後ろに、広げていた両腕は左腕を腰に、右腕は胸の前で構える。
ほむらの許容量を超えたエネルギーは背中から放出され、まるで翼のように広がっていく。
ほむらは凱旋門より高く跳びあがりアーチに向けて溜まったエネルギーを脚に乗せて解き放つ。
すさまじい威力となった蹴りはアーチを突き抜けて門を真っ二つに断ち切る。断ち切られた門は爆発して消え、同時に世界も元通りになった。
いまだ構えを解かないほむらの右足の下に残ったくり抜いた石片が先ほどの戦いを色濃く残していた。
戦いが終わり変身を解くほむら、無言のままに刑事の二人が先を促して場を後にする。

北條「お疲れのところ悪いですが色々とお話を聞かせてもらいます。その前に氷川さん全員分の飲み物を」

氷川「欲しい飲み物を教えてもらってもいいですか?」

北條「コーヒーで」

ほむら「私もコーヒーを」

まどか「えーと、お茶をお願いします…」

さやか「あたしもお茶で…」

氷川「わかりました、待っていてくださいね」

北條「我々は車で待っていましょうか」



氷川「お待たせいたしました」

北條「さて、まずは色々と伺いたいこともありますが、立ち入り禁止の場所に入るのはいけないことです、次はないように」

まど・さや「ごめんなさい」

北條「そもそも、予想外の出来事があったとはいえ……」

氷川「北條さん、反省しているみたいですしそのあたりで」

北條「ふむ、そうですね。遅くなりましたが挨拶といきましょう」

北條「では鹿目さんは助けを呼ぶ声をたどっていったら、あの場にたどり着いて猫みたいな生き物を保護したと」

さやか「あれ、すごい変な動物だったけど…」

北條「少なくとも流暢に言語を発する動物というのは見たことも聞いたことがありませんね」

まどか「でも凄い怪我をしていたんですよ、放っておけるわけないじゃないですか!?」

氷川「その意見には賛同しますが色々と疑問点が多いですね」

まどか「疑問点ですか?」

氷川「あそこまでずいぶんと距離があったのに鹿目さんや我々にも声が届いたこと」

氷川「他の人たちは声に気付いた様子もなかったこと」

氷川「更にあの動物をQBと呼んで友達と言って連れて行った巴マミと名乗った少女のこと」

氷川「あれの目的が鹿目さんや声が聞こえる人間との接触ならば次は彼女を使って接触を図ってくるはずです」

氷川「幸運なことに三人は同級生ですし、彼女の言が正しいならば校内で接触を図ってくるはずなので出来るだけ三人で行動してください」

さやか「なんでですか!?警察から護衛でもつければいいじゃないですか!?」

北條「不服なことだらけだと思いますが、要請はしますがまず県警からは許可が下りないでしょう」

さやか「でもあの化け物とかは!?」

北條「証拠がありません、訴えを出したとしても笑われるだけだと思いますよ」

さやか「なんで転校生と一緒に動けなんて言うのさ!?」

北條「彼女が現状あなた達の中で戦闘能力を保有しているからですよ」

さやか「それも納得いかない!!なんで戦える力を持っているなら最初っから出さないのさ!?」

ほむら「それは……」

さやか「答えられないんじゃん!!隠しごとをするようなやつと私は一緒に動きたくない!!」

氷川「落ち着いて下さい、彼女は怖かったはずなんですから」

さやか「え?」

氷川「本人が知らないところで人が持っていない力を持っていたんです。使ったら拒絶されると思ったんじゃないですか?」

ほむら「…はい」コクリ

さやか「なんでそんなことを…」

氷川「知り合いにもいますから、明らかに人とは違う力を手に入れてしまった人たちが」

北條「そうですね、明らかに人とは違う力を持っているのは不安で仕方ないでしょうね」

まどか「それでもほむらちゃんはわたしたちを守るために力を使ってくれたんだよね。ありがとう」ニコリ

ほむら「いいの、目の前で人が死ぬのを見る方が怖かったから…」

北條「話も一通り聞きましたし、色々話して落ち着いたでしょうからそろそろ送りましょう」

北條「これは私と氷川さんの連絡先です、なにかあったり気がついたら連絡をください」

氷川「明日は警視庁に報告に行かないといけないのでこちらにはいませんが、助けが必要な時は必ず向かいますので」



さやか「あ、そこですそこで止めてください」

氷川「はい、本当にご家族に我々が説明しないで大丈夫なんですか?」

さやか「大丈夫ですよ、それに北條さんも言ってたじゃないですか本当のことを説明しても信じてもらえないって」

氷川「それはそうですが…」

さやか「いざとなったらもらった連絡先に電話をして納得してもらいますんで大丈夫ですって」

さやか「…あとさ、助けてもらってなんだけど、転校生の行動やっぱりあたしは納得できないんだよ…」

ほむら「……」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「それでもちゃんと感謝はしてるからさ、なんか意地が悪いこといってごめん。また明日ね」

北條「頭ではわかっていても心では理解できないんでしょうね」

氷川「仕方ないですよ」

まどか「あのねほむらちゃん、さやかちゃんの言ってたことはあんまり気にしないでくれると嬉しいかなって、助けてもらったのは事実だし…」

ほむら「ありがとうまどか、気にしてないわ。もっと早く私が覚悟を持って戦えばよかったのは本当のことなんだから」

まどか「それにね、あんなことがあったからあれだけど本当のさやかちゃんはもっと良い子だから誤解しないであげて欲しいな」

ほむら「まどかがそういうのならそうなんでしょうね」ニコリ

北條「仲がいいのは結構ですが、次はまどかさんを送るのですが家はまだ先でしょうか?」

まどか「ウェヒ!?は、はいまだ先です」

まどか「で、でもなんでほむらちゃんが最後なんですか?」

氷川「念のためですよ。暁美さんを降ろした後にまた襲われたら大変ですから」

ほむら「私が念のためにお願いしたのだけれど気を使わせてしまったみたいでごめんなさいね」

まどか「そ、そんなことないよ、わたしが気になって聞いたんだし」

まどか「あ、そこですそこの家です」

まどか「ありがとうございました」

氷川「市民の安全を確保するのも警察の仕事ですので」

まどか「ティヒヒ、氷川さんって真面目なんですね。ほむらちゃんまた明日ね」

北條「暁美さん、あなたの力のことで少々思い当たる節があります」

ほむら「本当ですか!?」

北條「ええ、私たちが知っているのとはだいぶ違いますがアギトでしょう」

ほむら「アギト?」

北條「進化の力と思ってもらえれば大丈夫ですよ」

北條「人間に眠っている可能性の力ですが、一定の段階を越えると変身が可能になるようです」

ほむら「でも、なんで私にそんな力が…」

北條「色々と仮説はありますが、わかりません」

氷川「むしろ気になるのはあの化け物のこととそれと戦った巴マミという少女のことですね」

ほむら「そういえばあの人、魔女とか使い魔とか言ってましたけど」

北條「魔女と使い魔か、魔女というのは多分ほむらさんが倒した門のような存在のことでしょう」

氷川「とすると大量に出てきたのが使い魔ということになりますね」

北條「一般人にとって見たら十二分に脅威な存在ですよ」

北條「魔女も種類は異なりそうですが結構な数がいるかもしれません」

氷川「新たな脅威ですか、なぜ今まで存在が明るみに出なかったのでしょうか?」

北條「あの不思議な空間のせいでしょう。隔絶された空間のようでしたから」

北條「奇妙な自殺者未遂者もその影響でしょう」

北條「空間に巻き込まれた人間や影響を受けた人を彼女たちのような存在が救いだす」

北條「結果前後不覚になって死のうとした人たちが大量に後に残される」

ほむら「彼女も私のようにアギトという存在?」

北條「解りませんが、もしかしたら一種に当たるのかもしれません」

氷川「今回の件で証拠品になりそうなものも手に入れましたし、真実に一歩近づけますね」

ほむら「証拠品になりそうなものってあったんですか?」

北條「鋏ですね。私たちが奪って武器に使ったのは証拠になりそうにありませんが数は手に入れてますので」

氷川「ほむらさんが倒した使い魔の木片も拾ってるのでなんらかの手掛かりに繋がると思います」

ほむら「私たちを押し潰そうとした画版みたいなやつですね」

ほむら「そうだ、もしかしたらこれも証拠になりませんか?」

北條「それは魔女の石片ですか?爆発して全て消滅したと思いましたが頂いても?」

ほむら「どうぞ唯一の魔女の証拠ですので」

氷川「暁美さん、僕たちはこの証拠を警視庁に持っていかないといけません見滝原を離れることになるので鹿目さんと美樹さんを守ってあげて下さい」

北條「美樹さんに言ったように護衛の要請は出しますが多分通りません。あなたしか頼りに出来る人がいないというのが大人として恥ずかしいですが」

ほむら「私に出来るのならやらせてもらいます。友達も守りたいですし」

ほむら「あ、私の家はそのあたりです」

北條「巴マミという少女には一応注意をしてください。敵対的ではないとはいえ相当な戦闘能力を持っていると予想されます」

北條「それに彼女に悪意がないとしてもあのQBという生き物が何の目的を持っているかわかりませんので」

ほむら「はい」



氷川「いい子たちですね」

北條「余計に心配ですよ。多分彼女たちは巴マミとの接触は避けられないでしょう」

北條「それは魔女との戦いに巻き込まれることを意味しますので、『あれ』の使用申請と持ちだし許可を出しますよ」

氷川「通りますかね?」

北條「もはや旧式機です、それに表に見えている規模は小さくても不可能犯罪クラスの案件です。通してみせますよ」

本日の投下は以上です

正直ほむらアギトの衣装は悩んだ、魔法少女服のままにしようか、アギトにしてしまおうかと
それで基本的な魔法少女服装のまんまマスクはなしにアギト要素を加えてみたっていう感じです

闇の力さんはQBは許容しないとして、魔法少女と魔女にはどう対処するのか考える日々です

仮面ライダーWのBOXが買えてテンションが高い1です

薔薇園の魔女戦まで投下します

まどか「夢みたいだったけど、氷川さんと北條さん、それにほむらちゃん全部夢じゃないんだよね」

まどか「…よし!もしもし、ほむらちゃん?一緒に学校に行かないかななんて?」

まどか「本当!?じゃあこの時間に」


絢子「まどかー、昨日帰ってくるの遅かったんだって?」

まどか「えっと、その新しい友達と話してて…」

絢子「あー、和子が言ってたな。転校生が来るって」

絢子「まあ、門限なんて細かいことは言わねえが夕飯前には電話しろよ」

まどか「うん」

絢子「よし、行ってくるか。まどかも学校頑張れよ」

まどか「はーい」ティヒヒ

絢子「そうそう、まどか今日はやけにおめかし頑張ってるじゃないか、もしかして新しい友達の為か?」ニヤニヤ

まどか「え、あ、も、もう早く行ってよ!!」マッカ

まどか(あ、もう来てる)

まどか「ごめん、ほむらちゃん待たせちゃった?」

ほむら「いいえ、さっき来たばかりよ」

まどか「ほむらちゃんって一人暮しなんだよね?ご飯とかは大丈夫なの?」

ほむら「うまく出来なかったようにカロリーメイトとウィダーを常備してるから大丈夫よ」

まどか「それ大丈夫って言わないんじゃないかなぁ」

ほむら「失敗しても食べるのに困らないという意味だったら大丈夫だと思ったのだけど…」

まどか「そんなんでお昼は大丈夫なの?」

ほむら「ここにメイトとウィダーがあるわ」

まどか「……」

ほむら「そんな目で見ないでちょうだい…」

まどか「ウェヒヒヒ」

まどか「二人とも遅くなってごめんね」

さやか「まどかー、遅かったじゃ……な!?」

仁美「あらまどかさんと暁美さん只ならぬ雰囲気を醸してますわね」

まどか「おはよう、さやかちゃん仁美ちゃん」

ほむら「おはよう」

さやか「んぅ、まどかちょっとこっちこっち」

まどか「どうしたの?さやかちゃん」

さやか「『どうしたの?』はこっちのセリフよ、なんで転校生をわざわざ誘ってるのさ!?」

まどか「え、でも氷川さん達が出来るだけ一緒に行動するようにって」

さやか「だからって一緒に登校することはないじゃん!?」

まどか「でも、ほむらちゃんと登校しても問題はないと思うけど」

さやか「まどかには悪いけど、あたしはまだあの転校生を信用できないから」

仁美「お二人だけで内緒話を!まさかまどかさん、さやかさん、暁美さんの三角関係!?」

仁美「それは乱れた禁断の関係ですのよー!!」

さやか「ちょ、仁美鞄置いていかないでよ!?ごめん、あたし仁美を追いかけるから!」

さやか「仁美!ちょっと待ちなってば!?」


ほむら「色んな意味で大丈夫なのかしら?」

まどか「あー、普段の仁美ちゃんはあんなテンションじゃないんだよ?」

まどか「本当だったらさやかちゃんがやるようなキャラなんだけどね」

ほむら「…本当に大変ねまどか」

まどか「慣れちゃった」テヘ

北條「ハッハッハッハ、私としても真剣に受け取って貰えるとは思ってませんがね」

北條「証拠も持ってきた人間に対して『お疲れなんですね少し休んではどうです』なんて言ってくるとは思わなかった」

氷川「仕方ありませんよ、体験していない人には現実とは思えませんから」

北條「護衛の件を申請しても『担ごうとしているんではないだろうね、そんな夢物語信じられないよ』と」

氷川「でも、現場の捜索はしてくるそうじゃないですか」

北條「さきほど報告が届きましたよ、銃弾の薬莢も当たった後も争った形跡もないぐらい綺麗だったと」

氷川「それは…、あの中で落とした物は持ちださないと消えてしまうと?」

北條「でしょうね、逆に持ち出せるものは持ち出すことは可能でした」

北條「その証拠品も鋏は受け取ってもらえましたが、木片に至ってはゴミ扱い」

氷川「扱いはあれですが石片に関しては見向きもしませんでしたね」

北條「あれは不可解でしたね。木片は目に見えて馬鹿にしてましたが石片は疑問符が顔に出てましたよ」

氷川「こっちでは受け取って貰えるといいんですが…、あ!小沢さんじゃないですかいつ日本に?」

小沢「珍しいわね、二人が一緒に動いているなんて台風でも来るんじゃない?」

北條「挨拶もなしにそんな言葉が飛んでくるなんて相変わらずですね小沢教授」

小沢「北條君こそ相変わらずね、氷川君はお久しぶり」

小沢「こっちにはG-5ユニットのアップデートにね」

氷川「そうだったんですか。そうだ北條さん、小沢さんだったらちゃんと調べてくれるはずです」

北條「口が悪くて、自尊心が高い傲慢な人間ですが信頼度では一番ですからね」

小沢「それはあなたのことじゃなくて?で何を調べて欲しいわけ」

北條「これです」

小沢「鋏と木片と石片ね、オーケー最優先で済ませてくるわ」

幹部A「それで、見滝原の異常な事件群にはその魔女や使い魔といった正体不明の存在が関わっていると?」

北條「そのとおりです、やつらから奪った証拠品をただいま検査に出しているので詳しくは後程」

幹部B「それで対抗するために眠っているG-3XとG-3を使用したいと」

氷川「やつらは数が多く拳銃だけでは余りにも非力です」

幹部A「だが、拳銃で対抗できるんだろう?ならわざわざG-3ユニットなんか持ち出さなくても機動隊で事足りるんじゃないか?」

北條「発生する場所が特定できず、発生する時間も特定できていません。ならば自由が利く旧式のG-3ユニットがいいかと」

幹部A「やはり非現実的すぎるな、即決は出来ない」

氷川「そんな!?」

小沢「失礼します」

幹部B「小沢教授?あなたにはG-5ユニットをお願いしたはずでは?」

小沢「その前に二人が持ってきた三つの証拠を頼まれて、それで簡易検査の段階で様々な情報が出てきたのでそれを」

小沢「まず鋏ですが血が付着しなかった場所がないというレベルで血液が検出されました」

小沢「血液自体は混ざり合ってしまっているので詳しい特定はまだです」

幹部A「そんなにか!?しかし普通の鋏だったらそんなに血液が付着しては使い物にはならないのじゃ」

小沢「鋏も簡易検査の段階では未知の物質で構成されていました。少なくとも普通の金属ではないかと」

小沢「次に木片ですが」

幹部B「木片か案件に繋がれば御の字だが」

小沢「私も予想外でしたが、鋏がある意味一番まともでした」

全員「!?」

小沢「この木片ですが人間の細胞によって作られています」

小沢「複数の木片が持ちこまれたので全て検査した結果、全て別々の人間の細胞で作られていました」

幹部A「馬鹿な!?不可能犯罪というのか!?」

北條「アンノウンが行う不可能犯罪とはまた毛色が違いますがね、私たちはそれに襲われたんですから」

小沢「更に石片ですが、実物を持ってきています」

幹部A「何だ?石片とは言っても空の袋があるだけじゃないか」

幹部B「これのどこに証拠があるというのかね?」

小沢「実際私は視認できていますし、検査の結果も出ています」

小沢「これは見える人と見えない人がいました。実験の結果視認できなくても触感はあるので…確認してください」

幹部's「!?」

小沢「今回の敵の特性なんでしょう見える人と見えない人がいるのは」

幹部A「これを見えるようにする方法はないのか!?」

小沢「詳しい結果は出ていないので何とも言えません」

小沢「ですがこちらに来る前の実験段階で様々な部署に寄って見てもらいましたが何人かは視認可能でした」

幹部A「視認可能な人間の目安はあるのかね?」

小沢「直接アンノウンと対峙して生き残った人物が視認できる傾向にあります」

幹部B「わかった。氷川、北條の両名はこれからの見滝原の捜査をする際にG-3ユニットの装着を許可する」

クラスメイト「鹿目さんと美樹さんに暁美さん、先輩が呼んでるよ」

さやか「ついに来たね」

まどか「ちょっと怖いな」

ほむら「まどかには私がついてるから」


マミ「三人とも改めてはじめまして、巴マミよ」

マミ「ここではなんだから屋上で」


マミ「三人とも呼ばれた理由はなんとなく想像ついてるわよね」

ほむら「魔女とか使い魔のことかしら?」

まどか「それともマミさんが変身した姿のことですか?」

さやか「なんでもいいから説明してくださいよ」

マミ「ふふ、せっかちな子たちね」

マミ「まずはこの子のことからね」

QB「やあ、僕はQB。僕と契約して魔法少女になってよ」

「「「魔法少女?」」」

マミ「QB、せっかちな男の子は嫌われるわよ?」

マミ「というわけなのよ、わかったかしら?」

さやか「つまりあたしたちはQBが見えるから願い事を叶える代わりに魔女と戦ってほしいと」

まどか「あの、ほむらちゃんも魔法少女なんですか?」

マミ「私は見たことがないけど、どうなのQB?」

QB「少なくとも僕は契約した覚えはないよ」

さやか「転校生が魔法少女じゃないなら昨日魔女をどうして倒せたのさ?」

マミ「魔女を倒したですって!?」

ほむら「刑事さんの話によれば私はある戦士の一種に属しているんじゃないかとの話よ」

ほむら「巴さんももしかしたらそうじゃないかって話があったけれど違ったようね」

マミ『QB、暁美さんが言ってた戦士って何かわかる?』

QB『僕にはわからないよ、もしそれが本当なら君を害するものかもしれないね』

QB「ならまどかとさやかはどうだい契約しないかい?」

まどか「えっと」

さやか「どんな願いでも叶えてくれるんだよね?」

QB「もちろん」

マミ「だからQB急かさないの、いきなり言ってもわからないでしょうから今日の放課後に私の魔女退治に付き合わない?」

マミ「もちろん暁美さんも」

QB「マミ、なんで暁美ほむらの同行を提案したんだい?」

マミ「暁美さんが魔女を倒せるほどの力を持っているなら二人がより安全に同行できるようによ」

QB「僕にはそれだけが目的とは思えないな」

QB「君は彼女が本当のことを言っているのかを確かめようとしている、そして君に害をなす可能性も考えているんじゃないのかい?」

QB「そして暁美ほむらが君を害する可能性があるとしても鹿目まどかや美樹さやかの前で害する可能性は低いと」

マミ「そうはいっているけどQBも気になるんでしょう暁美さんの正体が」

QB「そうだね少なくとも僕の知識では人間が魔女に立ち向かうなんていうことは出来るはずがない」

QB「僕は鹿目まどか達の教室に行くとするよ、そっちのほうがより長く暁美ほむらを観察できるからね」

マミ「三人によろしくね、QB」

マミ(ふふ、今日の魔女退治が終わったら皆を家に呼んでと、関係者を家に呼ぶのはいつ以来かしら?ねえ佐倉さん)

まどか「もしもし氷川さんですか?」

氷川『その声は鹿目さんですか?どうかしましたか」

まどか「えっとですね、昨日の人マミさんがですね魔女退治に誘われたので一緒に行くことにしたんですよ」

氷川『なんでそんなことを!?」

まどか「えっと昨日解らなかったことが色々と解るかなって」

氷川『だとしても危険すぎますよ、すぐに戻る予定でしたがこちら側で手間取ってどんなに早くてもそちらに行くのは明日以降になってしまいます」

まどか「でも、ほむらちゃんもいますし、マミさんも魔女だったら簡単に倒せるみたいだし…」

氷川『ですが…、北條さん?はい、ええ、わかりました。仕方ありません危険を感じたらすぐに逃げてくださいよ』

まどか「それはもちろんです!」

氷川『無理はしないでくださいよ』

さやか「どうだった?」

まどか「怒ってたけど許してくれたみたい」

さやか「ふーん、でもこっちにいないんだしわざわざ連絡しても意味ないんじゃないの?」

まどか「事情を知ってる人だから伝えておいた方がいいかなって」

さやか「まどかは真面目だねー」

QB『きゅっぷい、どうかしたのかい?』

さやか「うわ!おまえマミさんのところにいなくていいのかよ?」

QB『連絡役も兼ねてるからね、それと僕がいるから君たちでも頭の中で考えればテレパシーで話は出来るよ』

QB『普通の人間には僕は見えないからね、声を出して喋っていると危ない人だよ』

さやか『うわ、本当だ!あたしたちにもマジカルなパワーが宿ったの!?』

まどか『すごい不思議な感じ、ほむらちゃんにも送れるのかな?』

QB『僕が中継してるから出来るんだよ、暁美ほむらは近くにいないから中継できないよ』

まどか『ちぇ、残念』

さやか『まどかは転校生にご執心だねー』

氷川「北條さん、なぜ魔女退治に行かせてもいいって言ったんですか!?」

北條「私としましても行かせたくて言ったわけじゃありません」

北條「暁美さんから魔法少女と魔女のことを色々報告されまして、その際に巴マミなる人物はやはり暁美さんを警戒しているようです」

氷川「なおさら行かせるべきではないんじゃないですか!?」

北條「しかし今回突っぱねて暁美さん抜きで誘われる方が厄介です」

北條「彼女たちに護衛を回せなかったうえに、私たちはG-3ユニットのメンテナンスと扱うためのリハビリで手間取っています」

北條「そんな状態で暁美さんを抜いて参加されたら危険度は更に上がってしまう」

北條「後程罵られようと私たちは暁美さんを頼りにするしかないんですよ」

氷川「尾室さん!早く訓練を再開しますよ!!」

尾室「ちょっ!?氷川さん、ちゃんと休むのも訓練の内ですよ!?」

氷川「もう回復しました、行きますよ!!」

尾室「待って待って準備がまだ!!ちょっ!?」

北條「やれやれ私も急いで勘を取り戻さなければ」

マミ「さて魔法少女体験ツアー準備は出来てるかしら?」

さやか「放課後すぐにやるのに準備もくそもないと思うんですが」

さやか「まあ、あたしは足しになるかわかりませんが体育館からこれを」バット

マミ「そういう心構えでいてくれると嬉しいわ」

まどか「わたしはこんなの持ってきました」ノート

マミ「どれどれ心構えはばっちりね」

さやか「まどからしいなー」

ほむら「私は人数分のメイトとウィダ―を」

マミ「えーっと、それは準備なの?」

ほむら「常備してるだけです」

まどか「ほむらちゃん今度一緒に料理の勉強しようよ、ね?」

さやか「で、どうやって魔女を捜すんですか?」

マミ「このソウルジェムに魔女の魔力が記憶されているのよ」

マミ「で、このソウルジェムの反応が強くなる場所を捜すの」

さやか「地味な作業なんですね」

マミ「とても重要な作業なのよ」

さやか「全然変わりませんね」

マミ「昨日すぐに追いかけたんだけどね」

マミ「反応がもう一つ出て迷っている間に逃げられちゃった」

まどか「門みたいなやつですね」

マミ「すぐにあなた達のほうに向かえばよかったのにね、迷った挙句に逃げられちゃった」

さやか「でも、仕方ありませんよ。刑事がいたって言ってもマミさんから見れば一般人」

さやか「転校生がさっさと戦っていれば取り逃がすことはなかったんだよ」

ほむら「そうね、あれは私が戦う覚悟を中々決めなかったのが悪いわ」

マミ「美樹さん、そんなことを言っては駄目よ知り合いの前で戦うのは躊躇するわ」

さやか「でも、マミさんは私たちの前にすぐに出てきてくれたじゃないですか」

マミ「私は慣れているだけよ、それにあなた達は魔法少女になってくれるかもしれないじゃない」

マミ「後、取り逃がしたのは私のミスよ、暁美さんを責めないで」

さやか「そんなものですかね」

まどか「でも、普段はどういう基準で探すんですか」

マミ「それはね、-魔女と結界説明中-」

さやか「あ、反応が強くなった!?」

マミ「すぐ近くね」

一行がたどり着いたのは廃墟ビル。人気がないどころか人通りがあるのかどうかもわからない場所だ。
入口に入ろうとした一行の上から影がかかる、見上げて驚く暇もなく女性が屋上から飛び降りる。
悲鳴が上がるよりも早くマミは変身をしリボンで女性を捉え落下の勢いを殺し、地面に下ろす。
すぐさま女性の首元を確認して、不自然についている蝶の文様を発見する。

マミ「やっぱり魔女の口づけ」

まどか「この人は!?」

マミ「弱った人に目星をつけて魔女は目印をつけるのそれが魔女の口づけ」

マミ「今は大丈夫よ気を失っているだけ」

一行は建物に入ったところで階段の先に結界の扉が開く。
結界に入る前にマミはさやかが持っているバットをつかみ、魔力を込めてさやかに返す。

さやか「これは?」

マミ「私の魔力を込めた護身用よ、気休めだけどね」

そうして一行は結界に侵入する。

結界の中は先日見た綿のような使い魔で溢れていた。マミが先導してさやか、まどかと続き、殿にはほむらがつく。
先日の使い魔は作業に夢中なのか侵入者には見向きもしていなかったが、アイスクリームのような使い魔はこちらに対して攻撃を仕掛けてくる。
奥に進めば進むほど使い魔の数が増えてくる。

マミはマスケット銃を召喚し遠距離の敵に射撃、近づいてきた敵には銃床で殴りつけて、敵を倒しきると銃を捨てて先に進む。
さやかはマミに渡された道具で障壁を張り、攻撃を逃れる。
ほむらはいつの間にか変身していたが、先日の戦いとは様相が違っていた。
プロテクターの色は青色に変わり、左腕は青い装甲に覆われ、左手でサーベルを振るい戦っている。
その動きは嵐のような怒涛の攻めを見せ、時にはサーベルから風を操り自由を奪い敵を切り裂く。

その戦闘をマミは横目で観察し、無駄がない動きで寄ってくる使い魔たちを切り裂いていく姿に驚く。
先日初戦闘を体験した少女と思えない動きを見せているからだ。
力を手に入れた当初は使い慣れていない力に振り回され無駄な動きが多くなるものだが、ほむらにはそれが見えない。

QB「もうすぐ結界の最深部だよ」

結界の最深部の扉を無数の使い魔が守っていたがマミはマスケット銃を召喚し撃ち殺す。
最深部で待ち構えていたのはソファーに座っている巨大な蝶の化け物だった。

さやか「うわっ、グロ…」

マミ「暁美さん、見事な戦いね。本当に戦闘は昨日が初めてなの?」

ほむら「一応二度目よ、意識を持って戦ったのは初めてだけど」

マミ「…、魔女を倒すのは私に任せてちょうだい。かわりに暁美さんは二人を守って」

マミ「外に出なければ安全だから」

マミはさやかから魔法具を受け取ると地面に突き刺しまどかとさやかを守るようにリボンで結界を張り、下に飛び降りる。
マミは魔女の前に姿を晒すが、魔女はマミの存在を気にしていないのか無反応だ。

マミの足元を這いまわっている小型の使い魔を踏みつぶすと魔女は怒ったようにマミに鎌首をもたげる。
魔女が使っていたソファーが投げ飛ばされ、マミの方に飛んでくる。
マミは華麗にソファーを避け、同時に両手でスカートをつまんでマスケット銃を二丁呼びだす。
帽子からも出現させた複数のマスケット銃が地面に突き刺さる。

マミの射撃が開始されるが巨体に似合わず魔女は素早い動きで飛び回りマミの射撃が地面に刺さっていく。
射撃の隙を突き、使い魔がマミの足元に集まり蔦となってマミを逆さづりにする。
地面に降り立った魔女は蔦を制御しマミを壁に叩きつけ空中を振り回す。

まど・さや「マミさん!?」

マミ「大丈夫よ」

地面からマミが放った弾からリボンを生やし魔女と使い魔を捕えていく。
襟につけられていたリボンを操り、自由を縛る蔦を断ち切る。
自由を取り戻したマミは蔦を断ち切ったリボンを巨大な砲に変えてとどめを狙う。
いつの間にからリボンから抜け出した使い魔が魔女の前に集い魔女を守るようにその身を蔦に変えていく。

マミ「これじゃあ!?」

ほむら「任せて」

いつのまにか金色になっていたほむらが地面に降り立ち、構えている。
既に準備は完了しており、背中から翼のようなエネルギーを放出している。

ほむら「わたしがあの守りに穴を開ける、あなたはとどめを」

マミ「信じていいのね?」

ほむら「見てから決めればいいわ、ハァ!」

返事と同時にほむらは飛びたちエネルギーを脚に纏って蔦の盾に放つ。
盾は見た目以上に頑丈でほむらは蹴った反動で元の位置より後ろに戻される。
守られていた魔女には傷一つないが蔦の盾には巨大な風穴が開いた。

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

マミは開けられた穴が修復されるよりも前に砲の一撃を放つ。
果たして魔女には風穴が開き結界は崩壊し、世界は元に戻っていく。

マミ「ありがとう暁美さん、ちょっと焦ったわ」

ほむら「それでも巴さん一人でも対処できたでしょ、余計な御世話じゃなかった?」

マミ「倒せたかもしれないけど時間はかかったのは確実」

マミ「鹿目さんと美樹さんに危険がなかったとは限らないわ」


まどか「ほむらちゃん!マミさん!二人とも凄かったよ!」

さやか「マミさんはもちろんだけど、邪魔するのかと思ったけどやるじゃん転校生!」

マミ「もう美樹さん、助力してくれた相手にその言葉はないわよ」

ほむら「別にいいわ、心象が最悪になった状態にしてはましな方だから」

さやか「でも、マミさんなんの見返りもないのにあんな化け物と戦い続けるんですか?」

マミ「運がいいとだけど見返りはあるわよ、これを見て?」

まどか「なんですかそれ?」

QB「それはグリーフシードって言って魔女の卵なんだ」

さやか「魔女の卵って!?そんなの捨てて下さいよ!?」

マミ「でも魔法少女には重要なのよ、私のソウルジェムを見て少し濁ってるでしょう?」

マミ「グリーフシードを当てたら、ほら!」

まどか「うわぁ、綺麗!」

マミ「こうやって定期的にグリーフシードを当てて回復しないと魔法が使えなくなっちゃうの」

さやか「それが見返りなんですか…」

マミ「後一回ぐらい使えるわ、暁美さんもどう?」

ほむら「……私ソウルジェムなんてもってないのだけど」

マミ「グリーフシードでの回復もいらないなんて…」

ほむら「まあ魔法少女じゃないしね」

さやか「やっぱり転校生は規格外なんだね」

マミ「それじゃ労いも兼ねて私の家に来ない?ケーキぐらいなら出せるわよ」

本日の投下終了

薔薇園の使い魔が蔦で魔女の盾になるっていうのは1が勝手に作ったネタです
一応アギトのキックが阻まれるシーンの再現みたいなのをやりたかっただけですが
なおG-3Xとの共闘時のオーバーヘッドキックとどっちにしようか迷った

ホムホムが不思議ちゃん可愛くなっててワロタw

ギルスは出るんやろうか?

安定のサヤカス

1です、まったり投下
今回はマミ対お菓子の魔女までお送りします。

>>66
不思議ちゃんにする気はなかったのになってた不思議

>>67
出そうとは思っています

>>68
戦う力を隠すヒーローへの一般人の反応みたいなのをやってもらった結果サヤカスに

マミ「どうだったかしら、記念すべき魔法少女体験ツアー第一回は?」

さやか「マミさんすげーかっこよかったっす!」

まどか「マミさんはかっこよかったけど、やっぱり怖かったかなって」

マミ「それは慣れていくしかないわね」

マミ「暁美さんはどうだったかしら?」

ほむら「巴さんのフォローに回っていただけだからなんとも」

ほむら「巴さん、あなたから見て私はどうだった?」

マミ「本当に素人?って思うほどの見事な戦いぶりね、隙がなさすぎるわ私にも隙が見えなかったぐらい」

ほむら「それはお互い様じゃないかしら?使い魔との戦いでは私を探るような眼をしてたわよ」

QB「仕方ないじゃないか君は僕も知らない存在なんだから、それに僕は君から敵意を感じるよ」

ほむら「巴さんは警戒心を隠さないからね、あなたにはなぜか嫌悪の感情を持っているのは確かよ」

QB「どうしてだい、君と僕との間に接点はないはずだよ?」

ほむら「私にわかるわけないじゃない」

まどか「もうギスギスした雰囲気はやめてよ!!」

まどか「打ち上げなのになんでこんな空気になるの!?」

マミ・ほむ「ごめんなさい」

QB「したくてしたわけじゃないよ、暁美ほむらからそんな空気を醸し出してるせいだよ」

さやか「あんたも素直に謝ってろよ!?」

QB「事実を言ったまでだよ」

マミ「暁美さんもごめんなさいね。すぐにケーキと紅茶を用意するわね」

さやか「ねえねえ転校生、転校生は入院しているときにその力を手に入れたんでしょ?病気とかはどうなの?」

ほむら「心臓が元々弱かったのだけど時折検査にくるだけでいいって言われてるわね、念のため栄養剤とか薬とかは渡されてるけど」

ほむら「後、体や眼もよくなっていたわね」

さやか「へえ、そうなんだ」

さやか「あたしね、願い事を色々考えてるんだけどさあたし自身が叶えたい願いってないんだなって思ってね」

さやか「転校生は戦うのを強制されているわけじゃないけどさ力を手に入れてどんな見返りがあったのかなって思っちゃったんだ」

ほむら「でも何かしらの代償はあるはずよ、私は今までの人生の半分以上を病院で過ごしたわけだけど」

ほむら「外で何か大切なことがあったはずなのに思い出せないのよ」

さやか「純粋に物忘れなんじゃないの?」

ほむら「そう言われればそうかもしれないけど、入院生活以外のことは珍しいから結構覚えてるのよ」

ほむら「まあ、今は気にしてないわ本当に大切なことだったのならいつか思い出せるはずだから」

まどか「ほむらちゃんは強いね、わたしだったらずっと考え込んじゃいそうだよ」

ほむら「そんなことないわ、外に出て空を見たら気にしてるだけ無駄なような気がしただけ」

まど・さや「空?」

ほむら「そう、空。その時は雲ひとつない快晴で、眩しくってね生きてるんだって感じたのよ」

ほむら「生きているのがこんなに良いことなんだって思ったのよ」

さやか「ふーんそうなの、でもそれって体に異常がないから感じるんじゃないかな?」

さやか「あいつもいつかそんな風に感じる日が来てくれるのかな…」

まどか「さやかちゃん…」

マミ「ふー、久しぶりに作るのに力を入れすぎちゃった」

マミ「一人で楽しむのもいいけど、誰かがいると作りがいがあるわね」

氷川「僕たちはどうしてここにいるんでしょうか」ジュー

北條「いつものことじゃないんですか?私の場違い感に比べたら些細ですよ」ジュー

小沢「ほら、二人とも喋ってないで食べたらどうなの?」ジュー

尾室「恒例ですからね、どんどん焼きますよ」ジュー

小沢「ほらほら、次々焼けちゃうからどんどん取らないと」ジュー

氷川「こんなことをしていていいんでしょうか…」ジュー

北條「焼き肉奉行ですか、本当にどこでもお山の大将気取りですね」ジュー

小沢「あなたがG3-Xの使用を氷川君に譲るって言ったのは驚いたけど、やっぱり口は悪いままね」ジュー

北條「落ち着いたということですよ、それにその時手が空いている方が優先して装着すると思いますよ」ジュー

北條「常に二人とも手が空いているとは限りませんので」ジュー

尾室「まあ氷川さんも北條さんもG3ユニットのリハビリは万全ですからね」ジュー

氷川「ならば、こんなことをしている暇があるならばむこうへ…!」ジュー

小沢「落ち着きなさい氷川君、電話で鹿目ちゃん?から無事に終わったって連絡があったんでしょ、英気を養うのは大事よ」ジュー

小沢「それにG3ユニットには明日試験的に魔女可視化装置が付けられる予定なんだから我慢しなさい」ジュー

氷川「ですが僕たちには魔女は視えていましたので今さらそんな機能は…!」ジュー

小沢「別にあなた達の為じゃないわよ、G5ユニットの為よ」ジュー

小沢「それにあなた達が見えたからと言ってG3ユニットのカメラを通して見えるかはわからないもの」ジュー

小沢「だから魔女と戦闘した日や魔法少女が魔女を見つける手伝いをした際は必ずG3トレイラーでデータをまとめて転送して」ジュー

氷川「そうだったんですか、では遠慮なく頂かせてもらいます」ジュー

北條「一緒に向かうかと思っていたのですが、ずいぶん腰が重くなったみたいですね」ジュー

小沢「そりゃ一緒に行きたいのは山々よ、でもね早急に魔女の可視化を可能にしてほしいとの警視庁の依頼だからね」ジュー

小沢「それが終わればちゃんとそっちに向かうわよ」ジュー

尾室「え!?G5ユニットの大幅アップデートの予定はどうするんですか!?」ジュー

小沢「馬鹿ね、魔女っていう新しい脅威が現れた今、今回予定していたものじゃ足りなくなるかもしれないから向こうでちゃんと調査するのよ」ジュー

北條「それにあなたのことです、大幅なアップデートとやらは終了しているんでしょう?」ジュー

小沢「そりゃこっちにきてすぐに終わらせたわよ、私が警視庁にいた理由は久しぶりに氷川君に会いたかったからよ」ジュー

尾室「そ、それなら早く言って下さいよ!」ジュー

小沢「教官になったっていうのに相変わらずの凡人ねー」ジュー

マミ「ティロ・フィナーレ」

さやか「うはー、マミさんすげー!!」

マミ「もう見世物じゃないのよ、危険なことをしてる自覚を持ってちょうだい」

まどか「グリーフシード落とさなかったね?」

QB「今のは魔女から分裂した使い魔だからね、グリーフシードは落とさないんだよ」

ほむら「使い魔は成長したら魔女になるのかしら?」

QB「そうだねそうしたらグリーフシードを落とすかもしれない。実際に使い魔に人間を襲わせて魔女にしてから倒すっていう娘もいるよ」

さやか「そんなのが魔法少女やってるっていうの!?」

QB「実際に魔法少女にとってソウルジェムの濁りを取るっていうのは生命線だからね、理解できないわけではないだろ?」

さやか「それだったら、マミさんってやっぱり凄いんですね。正に正義の魔法少女っていう感じで」

マミ「そんなことないわよ、それより二人とももう願い事は決めたの?」

さやか「いやー、それがさっぱりで」

さやか「…願いって自分の為じゃないと駄目なんですかね」

マミ「それは他人の為に願いを叶えるっていうことかしら?」

マミ「それならなおのことしっかり自分の望みを考えないと」

さやか「どうしてですか?」

マミ「美樹さん、あなたはその人の夢を叶えたいの?それとも夢を叶えた恩人になりたいの?」

さやか「そんな風に言わなくても…」

マミ「きつい言い方でごめんなさい。でもそこら辺をはっきりさせておかないと辛いのはあなたよ」

マミ「駄目ね私って、他人の為に願うのなら魔法少女になんかなるべきじゃないって言ってあげるべきなのに」

ほむら「仕方ないわよ、長い間一人で戦ったいたのでしょう?そう簡単に否定できるわけないわ」

ほむら「それに先輩として諭してあげるのは大切な役目のはずよ、私は魔法少女じゃないし」

マミ「そういえば暁美さんが言っていた戦士としての名前を教えて欲しいのだけど駄目かしら?」

ほむら「言ってなかったかしら?刑事の人はアギトって呼んでいたわね」

マミ「アギト…、聞いたことがないわね(特殊な固有名詞ってかっこいいわね)」

ほむら「人間の可能性って言っていたわ」

ほむら「でも今の状態じゃ美樹さんは魔法少女になるべきではないわね」

マミ「それは私も同感よ。彼女は彼とどういう関係を築きたいのかも考えていないみたいだし」

マミ「ううん、違うわね考えてはいるけど、気付きたくないと言ったところかしら」

マミ「それに腹を決めているなら私になんか相談せずに既に叶えているはずよ」

マミ「それでも叶えていないっていうことは彼女は迷っているのよ」

ほむら「まどかも魔法少女になるべきではないわね」

マミ「あらどうして、彼女は願い事がないだけで魔法少女には憧れを持ってているみたいだけど」

マミ「暁美さんにはわからないと思うけど相当な才能の持ち主よ?」

ほむら「さあ、ふと思っただけよ彼女は魔法少女になったら不幸になるって」

ほむら「それにどんな力でも代償なしで手に入れられるものじゃないわ」

マミ「…そうね、どんなものかを示した今選択するのは彼女たちよね」

マミ「これ以上の私からの勧誘はやめておくことにするわ」

マミ「ただし、彼女たちが自分の意思で契約するようなことがあったら私は止めないわよ」

ほむら「それでいいと思うわ、まどかが本当に望むのなら私は否定しない」

小沢「やっぱり駄目ね、GX-05だけはメンテナンスだけじゃ動かないわ」

氷川「そんなただでさえ見滝原に行くのが延ばし延ばしになっているのに!?」

小沢「GX-05だけよ、それ以外は全部使えるわ」

北條「いいじゃないですか、全て残っているだけましですよ」

北條「特に一時期不要論が叫ばれていたころに比べたら」

小沢「急先鋒は誰だったかしらね?」

北條「その後必要派の急先鋒でしたが?」

小沢「ちなみにG3OPは尾室君で申請しているから心配はしないで」

尾室「ええー!?なんで!?というか教官の仕事があるんですよ!?」

小沢「いいじゃない、どうせあなたがいなくても代わりの教官はいるでしょ」

小沢「後、その髭は剃りなさい似合ってないから」

尾室「教授になっても相変わらずだよ、この人は」

氷川「尾室さん、そんなことを言っている暇があったらさっさと準備して見滝原に向かいましょう」

北條「そうですね、ぐだぐだやってるのは時間の無駄です」

尾室「二人もノリノリだし!?」

小沢「ちゃんとデータ送ってきなさいよ!まだまだ未確認事項が多いんだから」

上条「さやかは僕をいじめているのかい?」

さやか「恭介なんで?」

上条「さっきね言われたんだ左手はもう動かないって」

上条「そんな中でもさやかはCDを持ってくる」

さやか「でも諦めなければ…」

上条「諦めろってさ!動かすことも!バイオリンを弾くことも!!」

上条「今の医療では僕の左手はもう動かせないって言われたんだよ!」

上条「もうバイオリンを弾くことが出来ないんだよ!!」

さやか「でも恭介…、音楽が好きだから…」

上条「弾けもしない音楽が好きなわけないだろ!!」

さやか「そんな…」

上条「出ていってくれ!!奇跡や魔法でもない限り僕の腕は治らないんだ!!」

まどか「あ、さやかちゃん。上条君どうだった?」

さやか「うん、腕が動かせないせいでやきもきしてたよ」

さやか「それで機嫌が悪かったのかな追い出されちゃった」

まどか「そんなさやかちゃん、上条君のことを心配してるだけなのに…」

さやか「いいんだよ」


まどか「なんだろう、あれ?」

さやか「ん?」

QB「あれは…」

QB「グリーフシードだ!!孵化しかかっている!!」

さやか「なんでこんなところに!?」

さやか「まどか、マミさんの電話番号知ってる!?」

まどか「お、教えてもらってないよ!!」

さやか「転校生は!?」

まどか「…通話中」

QB「結界が広がる前に逃げよう!!」

さやか「…まどか。マミさん呼んできて」

まどか「さやかちゃんは!?」

さやか「ここに残る、そうしたら魔女まで一直線で行けるでしょ?」

QB「だったら僕もここに残るよ、マミが来たらテレパシーで位置を教えられるからね」

まどか「すぐ呼んでくるから無理しないでよ!?」

QB「さやかが契約すれば手っ取り早いんじゃないかな?すぐにでも願い事を叶えたいって顔をしてるよ」

さやか「それが一番いいかもしれないけどね。契約したら確実にこの魔女を倒せる?」

QB「まず無理だ、どんな魔法少女でも大抵は初めての戦闘は敗退してしまうよ」

さやか「じゃあ、最後の手段で。願い事を叶えてもこいつ倒せなかったら意味がないじゃん」

QB「そうかい」



ほむら「そうですか、いまこちらに向かっているんですね」

北條『ええ、あなたから送られてきた情報はとても有益でしたのでテストプログラムがはやく完成しましてね』

ほむら「それはよかった。すいません電話が入っているのでまた後ほど」ピッ

ほむら「まどか?どうかしたのかしら?」ピッピッ

ほむら「どうしたのまどか?」

まどか『ほむらちゃん!?今病院でグリーフシードがあって、さやかちゃんが奥で待ってるの!!』

ほむら「病院でグリーフシードを見つけたから、美樹さんが偵察で残ったのね!」

ほむら「すぐに向かうわ!」

まどか『わたしもマミさんと一緒に行くから!!』

ほむら「北條さん、すいません病院に魔女が出たらしいのでそちらに向かいます」

北條『待って下さい、私たちも見滝原に入りましたのでそちらに向かいましょう』

ほむら「…お願いします」

北條『期待していて下さい』

まどか「マミさん、ここです!」

マミ『QB状況は!?』

QB『魔女はまだ孵化していないから、急がずにゆっくり来てくれ』

QB『大きな魔力を使うと孵化してしまうかもしれないから気をつけてね』

マミ「全く無茶しすぎよっていいたいところだけど冴えた手よ」

マミ「これなら魔女を取り逃すことはない」

ほむら「待ってちょうだい」

まどか「ほむらちゃん、急がないといけないのにどうして!?」

マミ「そうよ、美樹さんの命や患者の危機でもあるの、一秒でも早く向かうべきなのよ」

ほむら「もう少しで北條さん達も到着するわ、今回の魔女は確実に倒すべきだというのなら合流してから向かうべきよ」

マミ「暁美さん、あなたの意見は正しいかもしれないけど、私は一般人が来ても一緒だと思うわ」

マミ「あなたが頼りになると思うのならあなたは待てばいいわ、私は行くから」

まどか「マミさん!?ほむらちゃんごめんね、さやかちゃんが心配だからわたしも先に行くね?」

ほむら「仕方ないわ、巴さんにとってみれば話したことがない彼らは部外者としか思えないのだから」

ほむら「けれど約束して、皆で無事に生き残るって」

まどか「うん!」

マミ「ごめんなさいね、本当なら暁美さんが言うように刑事さんの到着を待つべきだったかもしれないわ」

まどか「ほむらちゃんも仕方ないと言ってくれてましたから、そんなに思い詰めないでください」

マミ「違うのよ、私ねQBと契約したときに両親が死んだの、交通事故だったわ」

マミ「そのときに私『助けて』って願ったのよ、両親のことなんか忘れて自分の保身を優先したの」

まどか「でも、そのとき願い事を叶えてもらってなければマミさんも死んでたはずです!」

マミ「えぇ、そうねあの時死んじゃえばよかったとは思わないわ」

マミ「それで私傍目から見ても結構な暮らししてるでしょ?」

マミ「親族との折り合いが悪いのよ、両親が残した遺産を全て私が独占したせいで」

マミ「その際に引き取り手を全て断ったわ、いるのは名ばかりの後見人だけ」

マミ「ここで警察を介入させてしまうと諸手を挙げて私から全てを奪い取ろうとするでしょうね」

マミ「更に言ってしまうと、初めてあなた達と会ったときにQBから彼らが警察って聞いたから説明も無しに立ち去ったのよ」

マミ「ね、わかった私が刑事を待ちたくなかったのは自分の保身のためなのよ、幻滅したでしょ?」

まどか「そんなことありませんよ、マミさんが両親の残したものをそれだけ守りたかったんでしょうし」

まどか「わたしもですよ、得意な科目も自慢できるものもないから魔法少女になろうとしてますから」

まどか「マミさんが戦う姿に憧れたっていうのもありますけど…」

マミ「私は憧れるほどの存在じゃないわよカッコつけて戦っていないと戦っていられないぐらい弱いのよ」

まどか「わたしじゃ側に立てませんか、一緒に戦っちゃ駄目ですか?」

マミ「駄目ね、先輩らしく強がって見せていたのに。」

マミ「魔法少女コンビ結成ね」

マミ「でも願い事はしっかり考えておくこと」

まどか「やっぱり考えないと駄目ですか」エヘ

マミ「考えないと駄目よ魔法の根幹になるんだから」

QB『マミ!グリーフシードが孵化する!!』

マミ「もうコソコソする必要はないわね」

マミが変身の際に放った魔力に反応し使い魔が集まってくる。マミは即座にマスケット銃を作りだし両手に装備する。
全方位から攻めてくる使い魔に対して両手に持ったマスケットを思いっきり振り回して吹き飛ばす。
時間差で攻めてこようとした相手には銃撃を放ち、残った使い魔に勢いよくマスケットを投げつけ先へと進む。

マミ(私は独りじゃない)

魔女の下へと向かうマミを邪魔するように使い魔は次々と現れ道を塞ぐ。
散発的に襲ってくる使い魔にはマスケット銃を作りだし撃退する、銃は両手に作りだすときもあれば胸から生えるように作りだすときもある。

マミ(もう何も怖くない!)

高所へと登り両腕に砲を作り砲撃し、まどかに近寄ろうとする敵はリボンで空中を飛び交い射撃する。
マミとまどかは傷一つなく深層部に辿り着く。

マミ「大丈夫、美樹さん?」

さやか「怪我一つありませんよ」

QB「魔女が出てくるよ!」

マミ「出てきたところ悪いけど速攻で蹴りをつけさせてもらわ」

マミは魔女が座っている椅子の足を叩き折り魔女を地に落とす。
高所から落とされた魔女は地面で跳ねるが身動き一つしない。
身動き一つしない魔女にマミはマスケット銃を接射し、弾からリボンが生えて空へ吊り上げる。

マミ「これで終わりよ、ティロ…」

とどめの一撃を放とうとしたマミに魔女は口から巻き寿司の様な胴長の本体を吐き出す。
虚を突かれたマミは至近距離まで魔女の接近を許してしまった。

本日はここまでです
マミさんのもう何も怖くない入りました

アギトの人類は凄すぎると思います

1です、投下していきます

ビジュアルは翔一アギトの方がメインに見えていると思いたいですね、一応序盤の段階で四号に似ていると言わせていたので
もしかしたら木野アギトはグランドからアナザーアギトへの変身を見せてアギトの可能性とか闇に呑まれた感を出したかったのかもしれません

QB「さやかが願いを決めたのなら契約するべきじゃないかな?」

さやか「だから契約するのは最後の手段だって…」

QB「なぜ契約したからといって今すぐに戦わなければいけないと思うんだい?」

QB「それに最後の手段と言ったってマミが負けてしまうような相手に成りたての君が勝てると思うのかい?」

QB「願いを叶えても今回はマミに戦ってもらって次回からはマミに教えを貰いながら戦うっていう選択肢もあるんじゃないのかな?」

QB「そうすればマミが危なくなったときに割って入るのも可能だと僕は思うけどね」

さやか「……」

QB「結局は遅いか速いかの違いなんだからさ」

さやか「あたしの願いは…」

マミは眼前のことに反応できずに体を硬直させていた。
万全の状態で『勝った』と思った。魔女の体の自由を奪い、とどめの一撃を放つ。
マミが普段通り行っているセオリー通りに事を運べたのに自分の前には口を開いた魔女の本体。

油断していたことは否めないまどかに魔法少女になりたいと言われて舞い上がっていた。
普段通りの自分を持っていたなら反撃もしてこない魔女に疑問も覚えただろう。
勝利を焦らずにいたら罠の一つや二つも張って万全の状態でこの危機を脱せたかもしれない。
マミがやられたら無力な後輩は契約するかもしれないが、目の前で惨状を見せられて身動きがとれるだろうか。

マミ(こんなことなら暁美さんが言った通りに援軍を待ってから挑むべきだったわね)

マミは襲い来る惨劇に考えを馳せながら後悔する。
突如マミの眼前に迫っていた魔女を青い影が貫いた。

さやか「マミさん大丈夫ですか!?」

マミ「美樹さん!?あなた魔法少女に!?」

さやか「もしもに備えておけってQBに言われまして」

青い影はさやかだった、青い胸当てを装備してサーベルを持っている。
魔法少女服は身動きしやすいようにかマミやほむらに比べると露出度が高い。
ソウルジェムは魔法少女服になった際にはだけた腹部に装着されている。

マミ「ありがとう美樹さん、でも後悔しないのね?」

さやか「後悔するぐらいだったらマミさんが来る前から契約していませんよ」

さやか「でも、ちゃんとマミさんを待っていて良かったですよ」

さやか「初戦の相手にあいつじゃ荷が重過ぎますからね」

マミ「そうね、それはいい判断だったけど」

マミ「まだ終わっていないわよ」

さやかに吹き飛ばされた魔女は巨大な体を起き上がらせてきた。
貫かれたはずの穴は既に修復されたのかどこにも見えない。
魔女は二人に増えた魔法少女を警戒してか飛びあがり地に降りてくる気配はない。

マミ「厄介ね。倒すには私たちも同じ高さで戦闘するか身動きを止めるしかないわ」

さやか「ティロ・フィナーレでやっちゃうのは無理なんですか?」

マミ「あれは相手の身動きを止めて初めて成功する技なのよ」

マミ「今の状態だったら簡単に避けられちゃうわね」

さやか「じゃあ最初の魔女と戦った時みたいにリボンで封じて…」

マミ「最初に手の内明かしすぎちゃったわね、警戒してトラップを仕込めない場所を選んで移動してるわ」

さやか「どうすればいいんっすか、もう!」

マミ「あのテーブルに乗れば高さは届くわ、けど私の前方に誘い込まないと意味がないのよ」

さやか「要するにあたしが囮になって誘い込めば…」

マミ「危険よ?さっきみたいに魔女は油断してないわ」

さやか「大丈夫ですって」

そういうとさやかは刀身を魔女に発射して目を向けさせる。
攻撃をしてきた標的が武器を失ったと見て魔女は巨体をぶつけてくる。
さやかはマントで隠していた剣を取り出し魔女の顔に叩きつける。

魔女はそれを読み剣に向かって口を開き噛み砕く。
さやかは後ろに下がりながら剣を作りだし武器を補充する。
病院を基点としているせいかこの魔女は明らかになりたてのさやかでは手に負えない強さだ。
しかし今回のさやかの役割は魔女を倒すことではない、囮だ。

尾室「G3及びG3-X起動完了、モニターオールグリーン」

尾室「カメラ並びにレーダー、オールクリア」

尾室「続いてガードチェイサー二台を順次離脱させます」

G3-X「尾室さん張り切ってますね」

G3「久々の実戦です張りきらない方がおかしいですよ」

尾室「G3-Xガードチェイサーロック解除、離脱してください」

G3-X「北條さん遅れないでくださいよ」

G3「言ってなさい」

尾室「G3ガードチェイサーロック解除、離脱してください」

ほむら(三人は大丈夫かしら?)

ほむらは結界の前で氷川と北條の到着を待っているが、一向に到着する様子がないので焦れ始めていた。
自身も結界へと向かうべきだったのではないか、そう考えているときにバイクが目の前で停まった。

G3-X「暁美さん、お待たせして申し訳ありません」

ほむら「その声は氷川…さん?」

氷川の声が聞こえてほむらが見た相手は青い装甲を纏っている二人?の機械戦士だった。
頭からつま先まで生身を晒している部分がないほどの装甲で体を覆い。
左肩にG3-Xと書かれている方は明らかに強化機体らしく装甲がもう一機に比べると重厚だ。

ほむら「えーっと」

G3-X「詳しい説明は後程に」

G3「先ずは装置の起動確認をさせてもらいます」

G3-X「尾室さん、結界の存在が確認できますか?」

尾室『モニター、レーダーともに確認できません」

G3「例のシステムお願いします」

尾室『これから魔女可視化装置を起動します』

尾室『モニターに結界と思われる空間の捩れを確認』

尾室『レーダーにも表示されました』

G3-X「よし!行きましょう!」

尾室『待って下さい!もうひとつ結界と思われる反応が出現!』

尾室『展開範囲を予測したところ氷川さん達を巻き込む位置です!』

G3-X「こんな時に限って!」

そういうともう一つの魔女の結界が展開されて三人を巻き込んでいく。
魔女の結界で作られた世界は石畳の地面になっている。
現実世界でも石畳の地面はあるにはあるが、先ほどまでいた場所は病院近くの道路で間違っても石畳だけの地形ではなかった。

G3-X「くそ!」

G3「落ち着いて下さい」

G3-X「落ち着いていられますか!鹿目さん達の危機かもしれませんのに!」

G3「信じましょうベテランの魔法少女が付いているんです、そう簡単にはいかないはずです」

G3「それに危険なのは私たちも同じです、目の前でお出迎えですよ」

周りを見ると円状に等間隔で柱が並んでおり、まるで闘技場の様相を呈している。
その中央に陣取っている存在は巨大な斧を持つミノタウロスのような巨体だ。

G3-X「暁美さん!あいつは僕たちに任せて、戦力の温存をお願いします!」

ほむら「わかったわ、けど使い魔程度の露払いはやらせてもらうわよ」

ほむら「変身!」

ほむらは青い姿に変わり集まり始めた使い魔の群れを蹴散らしていく。

尾室『うわ!あんなの見たのアンノウン以来ですよ!」

G3「あれはまだまともな方ですよ」

尾室『GM-01アクティブ』

GM-01はG3ユニットの基本的な兵装だ、装弾数は72発。
銃弾は10口径を使用しており、強化前は9口径を使用し、その時点でも砲丸程度なら粉々に砕くほどの威力を持っている。
氷川が一度生身の状態でアンノウンに対する牽制のために使用した際は重傷を負った。

G3とG3-XはGM-01を装備して射撃を開始する。巨体に次々と風穴が開いていくが、斧を振るう攻撃の手を緩めない。
斧を振るう一撃は重いが、かするばかりでG3とG3-Xの装甲にはなかなか傷を付けられない。
致命的な一撃を振るえる距離に入りそうになる度にG3とG3-Xは距離を取り翻弄する。

G3「しぶといですね」

G3-X「GG-02で吹き飛ばしましょう!」

尾室『GG-02アクティブ』

GG-02はGM-01に装着して使用する兵装で、装弾数3発のグレネードランチャーだ。
破壊力は20t、直撃させれば戦車すら一撃で破壊するほどの威力を持っている。

巨体は苦し紛れに斧を投げつけてくるが、狙いが定まっていない攻撃に当たる様な二人ではない。
飛んできた斧を避け巨体にGG-02を2発挟み込むように直撃させる。
巨体は影も形も残っていなかった。

さやかは致命傷ではない攻撃を何度か負ったがその度に怪我は治っていく、どうやら彼女の魔法は治療に関するようだ。
それはさやかが自身で願った祈りだが、今は目の前の脅威が排除できないことに苛立ちを感じてしまう。

さやか(いけない、あたしのやることは魔女をマミさんの前に誘き寄せることだ)

魔女を誘き寄せるのはなかなか難儀だ、純粋な速さでは簡単に魔女を振り切れるがそれでは意味がない。
かといって速度を落としすぎれば魔女が怪しんで動きを止めてしまい本末転倒になる。
結果自身の身を犠牲にするように適度に攻撃を食らいながらの戦闘になってしまう。

さやか(まさかここまで魔女と戦うのが難しいなんて)

さやかは速度を緩めずに徐々に結界内の物を利用して高度を上げていく。
魔女は元から浮いているので徐々に上昇していくことには気付かずにさやかを追いかける。

さやか(やっとここまで来た、後はマミさんの攻撃までどうやって正面の位置を固定するか)

最初にやったように刀身を飛ばせば逆上するかもしれないが回避行動を取る可能性もある。
必要なのは魔女にダメージはないが一時的でも目を眩ます物、さやかは走りながら周囲を観察する。
紅茶が入ったティーカップがあちらこちらのテーブルに置かれているのに気付き溢さないように一つを取る。

さやか『正面に回りますので準備を!』

マミ『わかったわ』

テレパシーで連絡を取り、マミの前へと方向を変えていく。
避けようがない距離まで誘き寄せると持っていたティーカップを投げつける。
魔女は紅茶が目に入ることを嫌い目を閉じて避ける。

マミ「ナイスよ美樹さん!!」

声がかかると同時にさやかは飛び上がり射線を開ける。
マミは既に砲を完成させており、さやかが飛び上がったことを確認すると引き金を引く。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

放たれた砲弾は魔女に突き刺さり爆発する。
爆発した魔女は空に浮かぶ力を失って地上へと落ちていく。
マミは復活する可能性を考えて銃を構えて近寄っていく、さやかも剣を構えている。
魔女の姿が消えていきグリーフシードを落とすと安堵の息を吐き、それを拾った。

さやか「あー、疲れた―、もう動きたくないー」

マミ「疲れたのはわかるけど休むのは帰ってからにしましょ?」

マミ「今日も部屋にケーキとかあるわよ」

さやか「本当ですか!?行きます!!」

まどか「?」キョロキョロ

マミ「どうしたの鹿目さん?」

まどか「ほむらちゃんが見当たらなくて…」

マミ「本当ね、なにかあったのかしら?」

さやか「何も出来なかったから顔を会わせ辛くて帰ったんじゃない?」

マミ「念のために確認してみましょうか」

マミ「……!?魔女がもう一体!?」

まどか「そんな!?じゃあほむらちゃんは!?」

QB「無事じゃないかな、前の戦いを見ても戦闘能力自体はマミと同じぐらいあるんだし」

QB「さやかと違ってどこか場馴れしている感じがするしね」

さやか「中学生に殺し合いを慣れていろっていう方が無茶だろ」

QB「それにそんな状態を見せる方が心配されるんじゃないかな?」

さやか「QBの言うとおりだね、ぼろぼろのあたし達を見せても余計に心配するんじゃないかな」

マミ「そうね、正直私も限界よ」

まどか「あのねマミさん、結界の中ではああいったんですけど…」

マミ「鹿目さん、全部言わなくてもいいわ、あなたは魔法少女にならなくても大丈夫よ」

さやか「そうだね、まどかは魔法少女にならない方がいいよ」

まどか「ごめんね、二人が戦ってるっていうのに」

さやか「いいよいいよ、それに今回の戦い見ていたでしょ?あんなことやらない方がいいんだよ」

まどか「本当にごめんなさい、あれだけ言っておいて」

マミ「いいのよ、それに鹿目さんが魔法少女じゃなくても私の友達でいてくれるでしょ?」

まどか「当たり前じゃないですか」

マミ「じゃあ、それでいいじゃない」

マミ「暁美さんには悪いけど帰らせてもらいましょうか」

まどか「わたしほむらちゃんを待ちますね」

マミ「そうね、無事を伝える人は必要だものね」

マミ「鹿目さんがいないならしっかりと魔法少女の心得を教えるわよ、美樹さん」

さやか「休めると思ったのに勉強ですか!?」

マミ「大事なことよ。鹿目さん、またね」

さやか「また明日ね、まどか」

まどか「うん、また明日」

魔女は倒したはずだが結界が崩れる様子が見えず、警戒を解かずにG3とG3-Xはあたりを見渡している。
使い魔が出てこなくなるということもなく、ほむらに次々と切り裂かれていく。

その時、魔女が投げた斧が戻ってきてG3とG3-Xは背後から攻撃を食らう。
装甲には傷は付かなかったが勢いに押されて前方に倒れる。
勢いを落とすことなく追撃するように戻ってきた斧を二人は転がり避ける。

ほむらは斧の動きを止めようと右側のスイッチを押す。
左腕に装着されていた青い装甲が消え、右腕に赤い装甲が装備されて、プロテクターの色も赤く染まる。
青は超高速の動きを可能にする力をほむらに与え、赤の力で超感覚をほむらは宿す。

ほむら「!?その斧が魔女です!!」

G3「なんですって!?」

G3-X「至近距離に来たらGS-03で叩き斬ります!」

尾室『GS-03アクティブ』

GS-03は超高周波振動ソードだ、普段は折りたたんでガードチェイサーに収納されている。
GS-03は刀身を振動させて鉄をも切り裂く威力を持ち、フルパワーにすると全てを切り裂く『スーパーブレード』を放つ。

その巨大な剣を魔女が寄るたびに振り回すが不規則な動きを繰り返す魔女には当たらない。
G3は何とか援護しようとするが空中を不規則な動きで飛び回る魔女に狙いを定められずにいる。

ほむら「私が動きを止めます」

そういうとほむらは前に出て、ベルトから長柄の武器を取りだす、取り出した武器の形状は長槍だ。
ほむらは集中して突き刺すタイミングを探る。
魔女は空中を旋回した後、ほむらの背後に回り突撃してくる。

ほむらは長槍に力を込めると石突に施された装飾が開いて六本角の形になる。
その瞬間、長槍から辺りを歪めるほどの高熱を放ち始める。
直撃する直前にほむらは背後へと振り向き長槍を突き出す。

槍の穂と魔女の刃が拮抗してぶつかり合った恰好で静止する。
G3-XはフルパワーにしたGS-03を魔女に向けて斬撃を放つ。
魔女は頭から真っ二つに切り裂かれて消滅した。

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか!先に戻ってたのね!」

まどか「うん、色々あったけど魔女は倒したよ」

G3-X「詳しい話はGトレイラーでしませんか?尾室さん迎えに来てください」

まどか「その声はひか…わさん、なんですよね?」

G3「今の状態でこの場にいるのは悪目立ちですからね、Gトレイラーに移動した方がいいでしょう」

まどか「北條さんも!?それはなんなんですか!?」

G3「それも後で話しましょう」

ほむら「巴さんと美樹さんの姿が見えないけど二人は?」

まどか「先に帰っちゃった、なんでもさやかちゃんに心得を教えるんだって」

尾室「皆さーん、Gトレイラー持ってきたので乗ってくださーい」

G3-X「僕たちはガードチェイサーを乗せるので先に乗っていてください」

氷川「では美樹さんは魔法少女になったんですね」

まどか「はい」

まどか「わたしは怖くて…、魔法少女になんかなろうとは思えなくなって…」

ほむら「それはそれでいいと思うわ、自分から戦闘に飛び込む必要なんてないのよ」

氷川「僕としてもその通りだと思いますよ、無理に戦闘に参加することはありません」

まどか「それでいいんでしょうか…」

北條「直接戦闘に参加できないからと言って卑屈になる必要はありません」

北條「戦いというのは武器を持って直接戦うことだけを指すわけじゃないですからね」

北條「今は言ってもわからないと思いますがいつかはわかる時が来ると思いますよ」

氷川「そうですよ、ここにいる尾室さんだってしっかりと戦っていますし」

尾室「本来は警視庁でG5の教官やってるんだけどね、よろしく」

まどか「よろしくお願いします尾室さん」

尾室「色々思うことはあるかもしれけど今は飲み物でも飲んで落ちついて」

まどか「ありがとうございます」

氷川「尾室さん、色々持ち込んでたんですね」

尾室「何が必要になるかわからなかったので」

北條「G3の状態はどうでしたか?」

尾室「へこみや歪みも見られませんでしたし、Gトレイラーの装備で十分事足りますよ」

まどか「そういえば、あの鎧は一体何なんですか?」

氷川「不可能犯罪といわれる案件に対抗するために使われた装備ですよ」

氷川「巴さんと接触は出来ませんでしたが人間の手で魔女を倒せるというのがわかっただけでも得るものはありました」

まどか「魔女を倒せたんですか!?」

尾室「録画しているので見てみますか?」

北條「ちゃんと録れているかの確認も必要ですから全員で見てみましょうか」

北條「アンノウンと初遭遇した時のように歪んだ映像ではないことを祈りましょうか」

氷川「大丈夫じゃないですか、アンノウンも後々ちゃんと写るようになりましたし」

氷川「それに魔女可視化装置のプログラムも小沢さんが作ったんです、心配ないですって」

まどか「あのー、アンノウンってなんなんですか?」

北條「そうか、報道規制を敷いていたので関係者以外にはあまり知られてないのか」

北條「アンノウンというのは不可能犯罪を犯していた不可解なもの達の総称です」

北條「捜査の結果アギトになる可能性を持つ人間を近親者もろとも殺していくということが明らかになりました」

まどか「そんなのがいるんですか!?もしかしてほむらちゃんも危ないんじゃないですか!?」

氷川「いえ、それは大丈夫です首魁と思われる存在をアギトが撃退したことによって姿を現さなくなったので」

ほむら「私以外のアギトですか…」

氷川「今も元気にやっていますので、今回の件が落ち着いたら会ってみますか?」

北條「まあ、奴らに比べれば今回の魔女は弱い方に入りますよ」

まどか「魔女が弱い…」

尾室「今から流す映像を見てもらったらわかると思うけど相当強固なG3ユニットがそいつらに何回かぼこぼこにされたからね」

北條「ブレもないし、魔女に不自然な歪みもない、暁美さんに対して突っ込まれるかもしれませんのであのアギトに編集しておいて下さい」

氷川「やっぱりまずいですかね?」

北條「魔法少女のことに勘付かれる可能性があります」

ほむら「アギトが出てることは知られても大丈夫なんですか?」

氷川「そちらは法案も撤回されましたし、推進していた官僚も飛ばされたので問題は特にないでしょう」

まどか「」ポカーン

尾室「鹿目ちゃん、どうかしたのかい?」

まどか「いえ、なんというか人類って凄いんだなって思っちゃって…」

まどか「マミさんの説明には魔法少女になれる人間しか見えないって聞いていたし」

まどか「魔女が人間の力で倒せるとは思えなかったもので」

北條「私たちには口は悪いですが超が付くほどの天才がいますのでね」

尾室「今回の魔女可視化装置もそうだけど、G-3とG-3Xを設計したのも彼女なんだよ」

まどか「そういえば、氷川さん達は素の状態でも魔女やQBが視認できてましたよね?」

氷川「あぁ、そういえばそうでしたね」

北條「私はアンノウンに殺されかけたので、それの影響を受けて見えるようになったと予想しています」

氷川「僕はアンノウンを撃破してますし、アギトとの共闘も多かったのでそれで見えるようになったのかもかもしれません」

北條「あなたの場合は結局ストレス性と判断されましたが視力の悪化が完治したことが関係してると思いますよ」

尾室「僕は魔女可視化装置通さないと見えないから」

北條「推測なんですが本来は私たちのような存在はイレギュラーなのかもしれません」

北條「アギトに接触した人間は覚醒を促されるという推測もあるのでもしかしたらそれが見えることに関係している可能性もありますがね」

ほむら「それは…、アギトは魔法少女の力を利用している?」

氷川「逆だと思いますよ、魔法少女がアギトの力を利用しているのかもしれません」

まどか「じゃあわたしもいつかほむらちゃんみたいにアギトに?」

氷川「可能性はないわけではないと思います」


尾室「ゲッ!?」

氷川「また魔女ですか!?」

尾室「小沢さんから報告書と映像の催促です…」

北條「自分で来れないとなったら出動の記録を読み取って早々に催促ですか」

氷川「小沢さんらしいと思いますよ」

本日はここまでです

マミの救援にほむら組を行かせようかとも考えましたがすれ違いの方がアギトっぽいかなと考えて横槍を入れました
後付けのですが負担を無視すればマイティフォームと同スペックのG1システムを作れる小沢さんには不可能はない

1です、箱の魔女戦までまったり投下します

ストームフォームとフレイムフォームの武器が逆になっているのはわざとです
一応、薔薇の魔女戦の時からストームフォームでサーベル出してたんですがね
話の都合上左右の色逆にするか、武器を逆にするかで武器を逆にするを選択しました

シャイングカリバーもほむらは装備しない予定です
あれは翔一君だから似合うのだと思います

まどか?『ほむらちゃん』

まどか?『……皆には内緒だよ?』

まどか?『ほむらちゃんは……を使えるの?』

まどか?『一緒に頑張ろうね』

まどか?『……嬉しいな』

まどか?『ほむらちゃん』ニッコリ

………ちゃん、……らちゃん、…むらちゃん、ほむらちゃん!


まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「……!」ハッ

ほむら「どうしたのまどか?」

まどか「授業終わったから一緒にお昼食べよ?」

ほむら「ええ、いいわよ」

さやか「転校生が授業中に居眠りするなんて明日は雨でも降るんじゃないのー?」

まどか「さやかちゃんだったら授業中に寝てるのも珍しくないんだけどね」

ほむら「寝るつもりはなかったのだけどね」

さやか「その気持ちはよくわかるよ、こうよくわからない言葉を聞いてるうちにどんどんと眠く…」

ほむら「そんなのじゃないわ」

マミ「でも、暁美さんが鹿目さんに何度も呼びかけられるまで起きないなんて夢でも見ていたのかしら?」

ほむら「ええ、まどかの夢を見ていたわ」

まどか「わたしの!?」

さやか「さやかちゃんはー?」

マミ「どんな夢だったの?」

ほむら「まどかが私に笑顔で呼びかけてくれる夢よ」

ほむら「時々声が不鮮明なところがあったけれどね、ピンク色のドレスみたいな服が可愛かったわ」

さやか「ねえ、さやかちゃんはどうなのさー?」

マミ「ふふっ、夢に出るくらい鹿目さんのことが大切なのね」

ほむら「そうね、私の初めての大切な友達だもの」ニコリ

まどか「た、大切って、そんなウェヒヒヒヒ」

さやか「あ、まどかがショートした」

マミ「今日から魔女退治は私と美樹さんだけで行くことにするわ」

まどか「私はともかくほむらちゃんまでどうして?」

さやか「あたしが頼んだんだよ」

まどか「さやかちゃん、もしかして」

さやか「違うよ、転校生のことは全く疑ってない」

さやか「あたしを鍛えるのにマミさんは手一杯になるから、まどかを守るのに手が回らないと思うんだ」

ほむら「あなた達が訓練している間は私がまどかを守ればいいのね」

マミ「そういうこと、お願いしてもいいかしら?」

ほむら「構わないわ」

さやか「よし、これで訓練に集中できるぞ」

まどか「マミさんとさやかちゃん無事に帰ってきてね」

さやか「当たり前だよ」

マミ「また今度お茶しましょうね」

さやか「マミさん、ちょっと病院に寄って良いですか?」

マミ「願いを叶えた彼氏のお見舞いね、待ってるからゆっくり話してきてもいいわよ」

さやか「マミさんまで!そんなんじゃありませんって!」



さやか「恭介入るよ?」

上条「さやか!見てくれよ僕の左手が動いてるんだ!医者も奇跡だって!」

さやか「良かったじゃん恭介、恭介が頑張ったからだよ」

上条「さやか、昨日はごめん。腕が動かないって言われて荒れてたんだ」

さやか「いいって、音楽が生き甲斐だった人間がそんなこと言われて荒れるなって言う方が無理だよ」

上条「それで、僕のバイオリンをさやかに最初に聴いて欲しくてさ」

さやか「え!?あたしが最初に聞いていいの!?」

上条「家族以外で僕を一番支えてくれたのがさやかじゃないか、当たり前だよ」

上条「それで屋上まで押していってくれないかな?」

~♪

さやか(あたし魔法少女になったことを後悔してない、良かったとさえ思ってるよ)

~♪

さやか「そういえばバイオリンはもう弾いて良かったの?」

上条「許可はちゃんと取ってあるから大丈夫じゃないかな」

上条「それと明日からお見舞いは来なくても大丈夫だよ」

さやか「へ?」

さやか(それはあたしはもういらないっていうこと?それとも今までずっといらないと思ってたの?」

上条「途中から声に出てるよ」

上条「そうじゃなくて精密検査が終わり次第、退院の許可が下りるはずだからさ」

上条「今日もこれから検査なんだ」

さやか「っていうことは恭介、近いうちに学校に来るの?」

上条「そういうこと」

さやか「退院の迎えに行った方がよくない?」

上条「いつ検査が終わるのかもわからないし、入れ違いになる可能性が高いよ」

さやか「それもそうか」

さやか「じゃあまた今度学校でね」

上条「またね」

小沢「やっとこっちに来れた、尾室くんお茶」

氷川「小沢さん、G5はもう大丈夫なんですか?」

小沢「今のところはね、問題があっても向こうでなんとかできるでしょう」

小沢「それと、これのオーバーホールが終わったから持ってきたわよ」

氷川「GX-05!直ったんですか!」

小沢「もちろん、それにこっちの方で貴重なデータが取れそうだしね」

尾室「お茶です」

小沢「ありがとう、それで北條くんは?」

氷川「なにか調べごとがあるって言って所轄に行きましたよ、魔女が出たら呼ぶようにと言い残して」

小沢「ふーん、今度は何を企んでいるのかしら」

北條「企むとは人聞きが悪いですね」

小沢「G3の時もアギトの時も色々と暗躍してたじゃない、で所轄に行ったんじゃないの」

北條「資料渡してやるから出て行けって言われましたよ、嫌われたものです」

氷川「なんの資料なんですか?」

北條「巴マミという少女の資料をね、接触の糸口ぐらい欲しいんですよ」

北條「鹿目さんから巴さんの親族に接触しないでほしいと言われましたしね」

小沢「で、未成年の少女の資料なんか所轄にあったの?」

北條「ありましたよ、交通事故の調書です。生き残ったのは少女一人、検視の結果両親は即死だったようです」

北條「後はご両親が遺書を残していて、遺産はほとんど娘が相続してなぜか親族が所轄に文句を言ってきたようですよ」

氷川「親族に連絡を取りたくないはずですね、たらい回しにされそうにもなったんでしょう」

小沢「酷い金の亡者ね、唯一生き残った女の子からも身ぐるみ剥ごうとするなんて」

小沢「そういえば、私にも紹介してくれない、協力者の少女二人を」

ほむら「呼ばれたのはいいけど焼き肉屋ってどうなのかしら?」

まどか「あれだよ、ご飯を一緒に食べて仲良くやりましょうってことじゃないかな」

氷川「二人ともご足労かけてすいません」

小沢「今日は私の奢りだからジャンジャン食べちゃっていいわよ」

小沢「私は氷川くんの元上司の小沢澄子よ」

ほむら「協力者の暁美ほむらです」

まどか「えっと、中学生の鹿目まどかです」

小沢「まどかちゃんと、ほむらちゃんね二人とも初々しくて可愛いわ」

尾室「そのセリフ思いっきりおばさん臭いんですが」

小沢「余計なこと言ってないで肉食べてなさい!」

小沢「北條くんはどこいったの?」

氷川「焼き肉は苦手なのでカフェで軽食でも取るって言ってましたよ」

小沢「逃げたか」

小沢「ほむらちゃんはアギトなのよね?」

ほむら「そう聞いてますが」

小沢「まあ、アギトは検査しても人間とそんなに変わらないからね」

氷川「変身した姿を見ましたが彼らのように姿かたちが丸ごと変わるタイプじゃないから余計ですね」

まどか「普通はどんなタイプなんですか?」

氷川「見た目からは同一人物と判別できないぐらい変化しますね」

氷川「顔も変わりますし、背丈も変わりますから、長い間共闘していましたけど正体がわかったのは結構後でした」

ほむら「じゃあ、私は結構異質なアギトっていうことかしら?」

小沢「一概にはそうとは言えないわ、アギトっていうのは総称で内訳は多種多様っていうことも考えられるし」

尾室「緑色で虫っぽいのもいましたからね」

まどか「じゃあ、ほむらちゃんのも合わせると三種類のアギトかー」

小沢「ま、難しい話はここまでにしてしっかりと食べましょうか」

小沢「食べられるときに食べるっていうのも大事よ」

まどか「わたしもですか?」

小沢「当たり前じゃない、しっかり食べないといざという時に何もできないわよ」

さやか(ん?あれは仁美かな?でもこの日はいつもお稽古って言ってたし…)

マミ「美樹さん、この先に反応があったわ行くわよ!」

さやか「は、はいマミさん!」

マミ「そんなに緊張しないでも大丈夫よ、私も付いてるんだし」

さやか(いない、あたしの見間違いだよね)

さやか「よーし、張りきっていきますよ!!」



まどか「ふぅー、お腹いっぱい、あんなに食べたの久しぶりだよ」

ほむら「ふふ、小沢さんも良い人そうだったし、今日は良いこと尽くめね」

まどか「なんか、ぶり返しが来そうで怖いな」

ほむら「私もいるし、氷川さん、北條さんに、新しく来た小沢さんもいるわ、起きたとしても跳ね返して見せるわよ」

まどか「そうだよね、マミさんもいるし、さやかちゃんだって魔法少女になったんだから大丈夫だよね」

まどか「あれ?仁美ちゃん?」

仁美「あら、鹿目さんに暁美さんじゃないですか?ごきげんよう」

まどか「仁美ちゃん、お稽古じゃなかったの?」

仁美「そんなとこよりもずっと良い場所に行くんですの、お二人ともご一緒しましょうよ」

ほむら「まどか、彼女の首を」

まどか「あれは魔女の口づけ!?」

ほむら「静かに、周りにもいるわ」

まどか「こんなに沢山!?」

ほむら「下手に動くよりも連絡を、危害を加えようとしてきたら私が守るわ」

まどか「……、駄目さやかちゃんとマミさんには繋がらない」

まどか「氷川さんですか!?」

氷川『どうかしましたか鹿目さん?』

まどか「実は今魔女に操られた人に取り囲まれてしまいまして…』

氷川『それは相当危険では!?』

氷川『抜け出せそうですか!?』

まどか「ほむらちゃんもいますけど数が多くてきつそうです」

まどか「それに友達もその中にいるんです」

氷川『では、このまま携帯を繋げて置いて下さい、そうすれば居場所の特定が可能なので』

氷川『急いで向かいますのでくれぐれも早まった真似はやめて下さいよ』

氷川「尾室さん携帯の追跡をお願いします」

北條「魔女の口づけをされた人間が多数ですか、十中八九付近には魔女がいますよ」

小沢「今回はGX-05もあるから大抵の敵には対応できるはずよ、氷川君ナンバー忘れてないわよね」

氷川「大丈夫ですよ2・3・1ですよね」

北條「逆です1・3・2ですよ」

「「「「……」」」」

尾室「アンノウンとの戦いの際もよく間違えていたから大丈夫じゃないですか」

小沢「そうね」

小沢「尾室君は北條君の装着を手伝ってあげて、私は氷川君の装着を手伝うから」

北條「よくあんな短い番号間違えますね」

氷川「戦闘中は焦るんです!!」

小沢「口は動かし続けてもいいからさっさと着替えて」

まどか(ここは廃工場?)

中年「俺は駄目なんだ、小さな工場一つ満足に維持できねえ…」

青年「今の時代に俺たちの居場所なんてないんだ…」

まどか(あれは…洗剤?)

絢子『いいかまどか?こういう塩素系の洗剤は他の洗剤と混ぜると猛毒ガスを発生させるんだ』

絢子『あたしら全員あの世行きの代物だからな間違えるなよ』

まどか「それは駄目!皆死んじゃう!!」

仁美「神聖な儀式の邪魔をしてはいけません!!」

ほむら「あなたこそ邪魔よ」フンッ

仁美「ぐっ!」グッタリ

まどか「ほむらちゃんありがとう!」

まどか「こんなもの!えい!!」

まどか「これで安心…」

中年「よくも邪魔したな…」

まどか「じゃないみたい…」

ほむら「まどかは逃げて、ここは私が抑えるわ!」

まどか「でも、ほむらちゃんが!?」

ほむら「私がそう簡単にやられるわけないじゃない」

そいういうとほむらはまどかを扉の中に押しやりドアを閉める。
ほむらの前には魔女に操られて集団自殺しようとしていた人間たちが山のようにいる。

ほむら(これだけの人たちを操るなんてね)

今回の相手は魔女を相手にするより厄介だ。魔女は倒してしまえばそれだけでいい。
しかし目の前の人間は操られているだけで何かしらの悪行を犯したような人間ではない。
それゆえに変身して蹴散らすというのも気が引ける。

とりあえず気を失わせればそれだけでいいと思いつつ近寄ってきた相手の腹部に思いっきり拳を叩きこむ。
普通の人間が食らえばまともな行動を阻害されるような威力で放ったのだが意に介せず突撃してくる。

ほむら(操られているせいで痛覚がマヒしてるの!?)

変身して攻撃すれば行動不能にするのは簡単だが後遺症を残さない一撃を放てる保証はない。
ほむらが躊躇している隙を突いて、ほむらに掴みかかってくるが投げ飛ばして回避する。

その時工場の入口が思い切り開かれてG3とG3-Xの青き戦士が入ってくる。
二人が入ってきたことに気付いた集団の一部が襲いかかる。

ガードアクセラーを振るい、襲いかかる暴徒を次々と制圧していく。
ガードチェイサーの起動キーとなるガードアクセラーは単独で使用すると電磁警棒になる装備だ。

ほむら「ここはいいからまどかを!!」

ほむらの叫びに応えてまどかの元へと走る二人。
まどかが避難しているはずの部屋に二人が入ると結界が展開される。

結界は水の中のような世界になっており所々空間が揺らいで見える。
結界が展開されたときに操られていた人たちは全員糸が切れたように倒れこんでいる。
代わりにほむらの周りを羽が付いている人形が取り囲んだ。

ほむら「こっちのほうが相手にする方が楽ね、変身!!」

ほむらは金色の戦士へと変身する。
手近な敵へと近寄り先ずは挨拶とばかりに拳を叩きつける。
後ろから近寄ってきた敵には振り向きざまの回し蹴りで蹴り飛ばす。

倒れた人たちを巻き込まないような位置取りで戦い。
使い魔相手に傷一つ付かせなかったほむらだが突然目の前に奇妙な光景が見え始め膝をつく。
どこからともなく声も聞こえて、ほむらは体を震わせる。

そしてほむらは思い出す…。

ワルプルギスの夜にマミがやられて、残っているのは魔法少女服に身を包むまどかと魔法少女ではないほむらだけだ敵には絶対に敵わない。
それでもまどかは魔女を止めるために戦いに向かった、そして…。

ほむら『巴さんも死んで、勝てっこないよ!一緒に逃げようよ!?』

まどか『さよなら、ほむらちゃん』

ほむら『死んじゃうって分かってたのに…』


二度目のワルプルギスの夜との戦い、今回はほむらも魔法少女でまどかもマミもいる。巨大な魔女がどんなに強くても倒せる。
マミはやられてしまったようだがワルプルギスは倒せてほむらもまどかも生き残ったはずだった…。

ほむら『鹿目さんしっかりして!!』

まどか『ワルプルギスは…倒せたのに…』

まどか『う…うああぁぁ…』


魔法少女はいつか魔女になるそれを伝え、QBの嘘を暴くためにまた戻ったはずだった…。

ほむら『美樹さん…ごめん…」

杏子『ちくしょう、さやか』

マミ『ソウルジェムが魔女を生むなら死ぬしかないじゃない!皆!!』

ほむら『私たちももうお終いだね』

ほむら『このまま二人で魔女になって滅茶苦茶にしちゃおうか?』

まどか『一個だけ取っておいたんだ』

まどか『QBに騙される前のわたしを助けてあげて』

まどか『最後にね、わたしは魔女になりたくないから殺して』


もう二度とまどかを戦わせないワルプルギスを…。

QB『まどか運命を変えたいかい?』

QB『君は運命を変えられる力を持っている』

まどか『本当に?』

ほむら『まどか駄目ー!!』

QB『僕と契約して魔法少女になってよ』

こうして最強の魔法少女は最強の魔女となる運命を背負った。

ほむら「はぁ、はぁ、はぁ」

忘れたい記憶だった、思い出したくない記憶だった。
このまま全てを忘れたまま、まどかと一緒にいたかった。
久しぶりの穏やかな日々だった、誰とも敵対せずに運命の日を迎えたかった。

ほむら「相変わらずこの魔女は人の触れられたくない部分に平然と触れてくるわね」

ほむら「お陰で思い出したじゃない私の目的を…」

そういうとベルトについている左右両方のボタンを押す。
左腕には青き装甲をつけ、右腕には赤き装甲、そしてプロテクターの色は普段通りの金色に輝く。

変化に危険を感じたのか遠巻きに見ていた使い魔は一斉にほむらを襲い始める。
ベルトから左手に持つ青いサーベルを取りだし振るう、右手に持つ赤い槍も取り出す。

ほむら「時間操作能力は消えたみたいだけど、戦闘能力が高くなったのは皮肉ね」

次々に襲いかかる使い魔をサーベルで切り裂き、槍で薙ぎ払っていくほむら。
以前までとは圧倒的に違う身体能力、以前のほむらの魔力をほとんど肉体強化に使ってもここまで強化されないはずだ。
今は二つ同時に持っているが臨機応変に使い分けられる武器、前の固有装備が時間操作を可能にするとはいえ盾だけなのと比べると大違いだ。
全ての使い魔を倒したほむらはまどかの元へと急ぐ。

G3とG3-Xはまどかが入った部屋に入ると使い魔に抱えられたまどかが力なく項垂れている。

G3-X「鹿目さん!?」

G3「外傷は見えません、多分あれが原因でしょう」

モニターが羽を生やして浮いている。
あれが魔女なのだろうが攻撃手段が想像もつかない。

二人は先ずはまどかを救助するために使い魔にGM-01を撃ち、まどかを助け出す。
目の前で使い魔がやられても微動だにしない魔女に対して警戒しながらまどかを庇うように前に出る。

まどか「あの魔女は…見たくないものを…見せてきます…はやく」

その声を聞き攻撃に移ろうとするが魔女の方が先に動き二人に幻覚を見せてくる。


北條「これは!?」

先ほどまでG3に身を包んでいた北條だったがいつのまにかスーツを来て路上に立っている。
目の前に黒いワンピースに身を包んだ女性が立ち、こちらに手を向けている。

北條「あの時の!!」

後ろにあったガードレールが急にねじ曲がり北條の体を締め付けていく。
これは北條が不可能犯罪の際に超能力者の力によって植えつけられたトラウマだ。


G3「うわぁぁぁ!!」

G3-X「北條さん!?」

G3の装甲には傷一つ付いてはいないが、トラウマを見せられ精神的にダメージを与えられている。
催眠状態にある北條には当時の痛みが蘇り、トラウマのせいで身動きできないでいる。
魔女は続いてG3-Xの動きを封じるために氷川に狙いを定めて魔法を放つ。

翔一「氷川さん、どうしたんですか?」

氷川「津上さん!?」

翔一「氷川さんが手伝ってくれるって言ったのに、急に動かなくなるんですから」

そういって翔一は木材を切るためのノコギリを手渡してくる。
期待の目で氷川を見る翔一に押されて力を入れて木材を切ろうとするが。
ノコギリが折れて使い物にならなくなる。

翔一「ああ!氷川さん不器用なんだから、あとは俺がやりますんで」

氷川「不器用!?そんなことはありません!」

むきになった氷川は翔一が持っているもう一本のノコギリを奪い取る。
再び木材を切り始めるが…、またもやノコギリを折ってしまう。
いたたまれなくなっていると映像が切り替わるように場面が変わった。

それから次々と見せられたくないものを見せられた。
雑草取り、冷奴、苺、栗。
普段ならどうということはない、しかし翔一と一緒にいるとついむきになってしまう。
認めたくないが普段は表出しない自分だ。


G3-X「人が触れられたくないところにわざわざ触りにきて!!」

G3-Xは携帯していたアタッシュモードのGX-05を稼働させるために番号を押す。
「解除シマス」という電子音が響き、GX-05をガトリングモードに変え、魔女と使い魔を薙ぎ払う。
使い魔に守られていた魔女は一度の斉射では死なずに使い魔を吐き出そうとする。
使い魔を吐き出し終える前にG3-XはGX-05の弾を補充して再び斉射する。

GX-05はG3-Xの専用武器である。
装弾数は120発、G3-Xの腰にはGX-05用の弾倉を二つ所持できるようになっている。
GX-05とGM-01を連結させGX弾を放つGXランチャーの一撃は30tと必殺の一撃だ。

GX-05の特殊徹鋼弾に貫かれて穴だらけになった魔女はグリーフシードを残して消滅した。

G3「人のトラウマを突いてくるというのも考えものですね」

G3「今回みたいに神経を逆撫でする場合もあるでしょうに」

G3-X「グリーフシードも砕きたいところですが大事なサンプルというのが歯がゆいですね」

G3-X「北條さんグリーフシードをお願いします」

まどか「」ポカーン

G3-X「鹿目さん大丈夫ですか?」

まどか「は、はい映像で見るのと実際で見るのはだいぶ違ったもので」

G3-X「前戦った魔女は厄介でしたが今回のは容易でした」

ほむら「さっきの魔女は精神攻撃しか戦闘手段がないから弱いのよ」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「鹿目まどか、怪我はないようね」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「私も精神攻撃を食らったのよ」

G3「暁美さん、先ほどの言葉を聞く限り色々と知っていますね?」

ほむら「ええ」

G3-X「聞かせてもらってもいいですか?」

ほむら「構わないわ、話せる範囲はあるし、信じられないでしょうけどね」

G3「では、Gトレイラーへ」

G3「尾室さん、所轄に連絡を集団が廃工場で気を失っている」

G3「状況から集団自殺を企てたと見られると報告しておいてください」

まどか「ほむらちゃん…なんだよね?」

ほむら「そうよ鹿目まどか」




QB「本当に人間が魔女を倒すなんてね、誰か魔法少女を呼び寄せる必要があるね」

本日はここまでです

トリニティフォームは出番が少ない、お披露目の次の話でまた封印された悲しいフォーム
その後は封印解ける前にバーニングフォームが出てきて出番なしに…

氷川さん、トラウマは不器用なことだけだwww

>>7-8の間に戦闘か何かがあったんだろうけど、わかりにくいかな
ストームフォームのモチーフがさやかで
フレイムフォームが杏子として、グランドフォームはマミ……
やはり胸か

トリニティの回は異色だったなー
全体的に一昔前の邦画っぽい色使いだった
未だに印象深いんだよね

バイクは出ないの?

1です、投下します

>>122の北條さんのセリフで遺書って書いてましたが遺言書の間違いでした

>>137,138
最初は水城さん関連にしようとしたんですよ、葦原の場合を考えたのが悪かった
人死にのトラウマで切れるのは葦原って印象がついてしまって、どうしようもなくなった

>>139
あー、最初書いた時には目の前でほむらが消えて捜索するが痕跡すらないっていうシーン入れてたんですが冗長かなと思ってカットしてしまいました
自分で書いていて、アギトのプロテクターを装備しているほむらって胸大きく見えるよなーと(ry

>>140
トリニティの回は全体的に映像が暗かったですからね、あの時だけだから余計印象深いですね

>>141

ミス

>>141
本編アギト達が乗るバイクと言う意味なら出します
まどマギ組が乗るバイクという意味ならありません

ほむら「さて、何から話しましょうか?」

小沢「そうね、先ずはあなたは何者なのかしら?」

ほむら「暁美ほむら、元魔法少女ってところかしら」

小沢「元っていうのはどういうこと?」

ほむら「もう魔法少女の証であるソウルジェムもないし、固有魔法もなくなったということよ」

小沢「代わりにアギトの力があると」

ほむら「初めての体験よ」

まどか「ほむらちゃんの魔法ってなんだったの?」

ほむら「時間操作よ、時を止めることと戻すことしか出来ない能力」

北條「あなたは未来から来たということですか?」

ほむら「厳密には違うけど、そうよ」

まどか「どうして魔法少女の力は無くなったの?」

ほむら「それはよくわからないわ、時間を戻す前に何かがあったみたいなのだけど」

北條「そしてアギトの力を手に入れたと同時に、これまでの魔法少女の記憶も失っていたと」

ほむら「今回の魔女に記憶を刺激されたせいで大体思い出したけどね」

氷川「QBの正体と目的を知っていますか?」

ほむら「知っているわ」

氷川「言える範囲で結構ですので教えてください」

ほむら「奴らの正体はインキュベーターっていう宇宙人、目的は本当かは知らないけれど宇宙の寿命を延ばすためのエネルギーを手に入れること」

尾室「宇宙人!?」

小沢「アンノウンに比べたらまだ納得できる方よ、それで魔法少女はそいつらのエネルギーを手に入れる手段といったところかしら?」

ほむら「察しが良いわね、詳しいことは言えないけどやつらはそれを使ってエネルギーを手に入れてるわ」

北條「方法は知ってはいるのですね」

ほむら「もちろんよ」

北條「信じられない方法なんですね」

ほむら「そうよ、以前何度か伝えたことがあったけど信じてもらえなかったから慎重にもなるわ」

小沢「最後にあなたの目的を教えてくれないかしら、それで最後よ」

ほむら「近いうちに来るワルプルギスの夜を倒すこと、そして鹿目まどかを魔法少女にしないことよ」

北條「ワルプルギス…、それも魔女なのでしょうか?」

ほむら「巨大な魔女で結界を張らないから街全体に破壊を巻き起こすのよ、普通の人間には認識できないからスーパーセルとして認識されているわ」

小沢「スーパーセルとして認識されるということは気象としての前触れは捕捉できるのね」

ほむら「毎回避難する余裕はあるみたいだから前兆はあるはずよ」

氷川「一応あなたから伝えておきたいことはありますか?」

ほむら「あなた達には伝えた方がいいかもしれないわね魔法少女の真実の一つを」

北條「それは隠しておきたいことではないのですか?」

ほむら「魔法少女には隠しておきたいことよ」

ほむら「魔法少女になった瞬間、その魂は肉体から取り出されてソウルジェムという宝石に加工される」

ほむら「魔法少女の本体はそのソウルジェム、肉体はいくら傷ついても大丈夫だけどソウルジェムが壊されれば死ぬわ」

ほむら「そのことを奴らは契約する時には伝えない、聞けば喋るだろうけど自分たちからは明かさないわ」

尾室「ちょっ!ちょっと待って!?」

ほむら「ええ、整理する時間は必要だと思うわ」

氷川「なぜ、彼女は魔法少女の正体を明かしたのでしょう?」

小沢「それは私たちが魔法少女と敵対した時の為でしょうね」

北條「魔法を使うのにソウルジェムが必要とは聞いていましたので、戦闘になった際には集中的に狙っていたでしょう」

尾室「下手に攻撃してたら少女を殺すたことになってましたよ」

氷川「そもそも僕たちが魔法少女たちと敵対するなんて考えられないのですが」

北條「インキュベーターがけしかけてくる可能性があります」

小沢「そうね、魔法少女と魔女を利用しているなら私たちはやつらにとって邪魔になる可能性があるわ」

まどか「なんでわたしも居たのに色々と説明してくれたんでしょうか?」

北條「彼女は未来から来たと言ってました、度々何かやらかしたんじゃないですか」

氷川「少なくとも自分の魂が肉体から切り離されるっということが分かるだけでも契約には躊躇するでしょうしね」

小沢「彼女は私たちを信頼しきってはいないはずよ」

氷川「では、なぜ情報を提供してくれたのでしょうか?」

北條「私たちの戦力は欲しいということでしょう」

北條「話を聞く限り、ワルプルギスは相当な強さのはずですからね」

小沢「付け加えるなら積極的に敵対する意思はない証明みたいなものよ」

小沢「まあ、私たちにしても唯一の情報源と言ってもいい彼女と敵対する意思もないはずよ」

氷川「そもそも少女たちと敵対する意思は僕にはありません!」

北條「では結論としては彼女の証言は全て真実と受け取っておきましょう」

小沢「裏は取れてないから報告はしないでよ」

北條「分かってますよ」

北條「最後の最後に酷い暴露ですね」

ほむら「遅かれ早かれいつかたどり着いていた結論よ」

まどか「マミさんはこのことを…」

ほむら「もちろん知らないわ、巴マミは正義感が強いから知っていたら勧誘なんてできないわよ」

まどか「伝えたほうがいいのかな」

ほむら「あなたの自由にするといいわ、鹿目まどか」

まどか「…前みたいにまどかって呼んでほしいな」

ほむら「…努力するわ」

まどか「前のほむらちゃんと今のほむらちゃんどっちのほむらちゃんが本当なのかな…」

小沢「心配することないわ、今の彼女は素じゃないから」

まどか「そうなんですか?」

小沢「そうよ、クールな態度を装っているだけ」

ほむら「それ以上言わないで」

小沢「図星のようね、それに肌が白いから赤くなってるのがよくわかるわ」

小沢「繰り返しているだけじゃ精神は成長しないっていうことよ」

ほむら「そうみたいね…」

まどか「今日はほむらちゃんと二人きりで登校だよ」

ほむら「珍しいわね、美樹さやかが一緒に行かないなんて」

まどか「マミさんと軽く汗流して行くからマミさんと行くって」

ほむら「そういえば、珍しく巴マミも生きてたわね」

まどか「…やっぱり病院の魔女のせい?」

ほむら「そうよ、何もしなければあそこで巴マミは死ぬわ」

まどか「ほむらちゃんは助けられなかったの?」

ほむら「得体のしれない魔法少女に胸襟を開けてくれるような子じゃなかったし、インキュベーターも不安や不信を煽ってたせいでね」

まどか「悲しくなかった?」

ほむら「なかったといえば嘘になる、でも何度も繰り返しているうちに慣れていったわ」

まどか「さやかちゃん、魔法少女としてやっていけるのかな?」

ほむら「無理ね、魔法少女には向いていないわ」

まどか「でも良い子なんだよ、マミさんもいるし…」

ほむら「良い子は魔法少女に向いていないのよ、感情を押し殺さないと生き残れないのが魔法少女だから」

ほむら「巴マミと一緒に居る間にそれを理解してほしいものね」

まどか「…ほむらちゃん、さやかちゃんとマミさんに刺々しさ隠せる?」

ほむら「…多分無理ね」

まどか「じゃあ、昨日の魔女の攻撃で神経ささくれ立ってることにしちゃおう」

ほむら「……、まどかがそうした方がいいならそうするわ」

QB「こんなところで何を見ているんだい、佐倉杏子?」

杏子「あんたにマミのやつが新しいパートナーを見つけたって聞いたからな」

杏子「そいつを見てたんだけど、てんで駄目だね」

QB「つい先日契約したばかりだからね、まだまだ要訓練っていったところさ」

杏子「そんなやつと組んで大丈夫なのかよマミは」

QB「前衛と後衛に分かれているから、今のところは結構いいコンビみたいだよ」

杏子「ふーん、一つ勝負吹っかけてあたしの時より弱くなってるなら縄張り奪っちまうかな」

QB「そう、うまくはいかないと思うよ、魔法少女はあの二人だけだけどイレギュラーが動いているからね」

杏子「イレギュラーってどんなやつだよ」

QB「普通の人間のはずだよ、男二人に女の子一人」

杏子「どこがイレギュラーなんだい」

QB「三人とも単独で魔女を倒していてもかい?」

杏子「は?魔女っていうのは普通の人間に倒せる存在だったのか?」

QB「僕が知る限りでは違うはずだ」

杏子「だったら直接会ってみて確認してみるかな、けど先ずはあいつに挨拶しとかないとな」

さやか「転校生ー、仁美を助けたんだって」

ほむら「いきなり何かしら美樹さやか」

さやか「まどかが言った通り刺々しいなー」

さやか「お礼だよ、仁美はあたしの友達だからさ」

ほむら「まどかと一緒にいた時に巻き込まれただけよ、礼を言われることはないわ」

マミ「お礼ぐらい素直に受け取ったらどう」

ほむら「あなたもいきなり背後から近寄らないで、巴マミ」

マミ「気付いていたくせに」

ほむら「で、あなたこそ何の用よ」

マミ「刺々しい暁美さんを見てみたいなって思ったのよ」

まどか「前とは別人みたいだからね」

ほむら「はあ、どっちにしろ偶然よ」

さやか「でもさ結果的に助かったんだから、本当にありがとう」

ほむら「お礼は受け取ったから、もう止めなさい」

さやか「まどかー!転校生を元に戻してよー!」

まどか「わたしじゃ無理だよー」

さやか「マミさ―ん!助けてくださいよー!」

マミ「よしよし、美樹さん」

さやか「マミさんだけだよ味方はー!」

ほむら(この空気久しぶりだけど悪くないわね…)

小沢「このグリーフシード放っといてても濁りを貯めこむのね」

氷川「密閉空間に置いたらどうだったんですか?」

小沢「濁りは止まったわ」

小沢「ソウルジェムを見てみるか、これが孵化する瞬間も見た方がいいのだけど…」

尾室「孵化っていうと種じゃなくて卵みたいですね」

小沢「尾室君は黙ってて」

氷川「あれとまた戦うのは御免ですよ」

小沢「そう言えば何が見えたの?」

小沢「映像は魔女が何もしないまま蜂の巣になったことしか映してないのだけど」

氷川「言いたくありません」

小沢「あっ、そう、ところでやけに静かだけど北條君は?」

氷川「また調べごとが出来たと言って、所轄に資料を借りに行きました」

小沢「今度は何を調べていることやら」

さやか「ここ結界があるみたいです」

QB「この結界は魔女のものじゃないね、使い魔のものみたいだ」

さやか「でも人を襲うんでしょ、じゃあ退治しないと」

マミ「そうね、行きましょうか」

さやか「マミさん、使い魔程度ならもうあたし一人で行けるはずです、ここで待っていてください」

マミ「でも…」

さやか「あたしを信じて下さいよ」

マミ「分かったわ美樹さんを信用するけど、何かあったらすぐ連絡するのよ」

さやか「わかってますよ」


さやか「いたいた」

マミと別れて使い魔の結界に一人で入ったほどなく使い魔を見つけ、戦闘態勢に移行する。
魔法少女服に身を包んださやかは走り寄って斬撃を繰り出してわざと相手に避けさせる。
残した逃げ道に逃げていくのを確認したさやかはサーベルを二本作りだして投げつける。
やりとげた笑顔で当たるのを見守るさやかの目の前で何かにサーベルが弾かれる。

杏子「何やってんだよ、あんた」

杏子「あれは使い魔だよ、いくら倒してもグリーフシードなんか落としゃしないのにさ」

QB「こっちに来たのかい佐倉杏子」

杏子「マミはそこらへんちゃんと教えてないのかよ?」

杏子「魔法少女が魔法を使い続けるにはグリーフシードが必要だ」

杏子「使い魔が弱い人間を食らい魔女になる、その魔女をあたし達魔法少女が食う、食物連鎖ってやつだよ」

さやか「許せない、あたしはあんたを魔法少女と認めない!!」

さやか『マミさん!!』

マミ『美樹さん、どうかしたの?』

さやか『別のところの魔法少女に邪魔されて使い魔に逃げられました』

マミ『待ってて、今あたしもそっちに!』

杏子『ようマミ、相も変わらず使い魔退治に精を出してるみたいだな』

マミ『佐倉さん!?』

さやか『マミさん?こいつは?』

マミ『以前私と組んでいた魔法少女よ』

マミ『私もすぐそっちに向かうわ!』

さやか『あたしは大丈夫です!マミさんは使い魔を!!』

マミ『佐倉さんはベテランよ、今のあなたでは…」

さやか『こんなやつにやられるほど弱くありませんよ』

さやか『それにあたし達はこいつとは違うっていうところを見せないと』

マミ『くれぐれも無茶はしないで』

マミは使い魔を追ったのかテレパシーが届かなくなった。

杏子「マミは相変わらず世話焼きみたいだね」

さやか「あんたがマミさんの何を知っているっていうのさ!?」

杏子「少なくともあんたよりはよく知ってるよ」

さやか「はっ、どうせ正反対のタイプだから敵対していたって意味で知ってるんだろ!」

杏子「あんたこそマミの何を知っているんだい?」

杏子「マミの表面に見えている部分だけ見て憧れて、そんなんでマミのことを知った気になってるんじゃねえだろうな」

さやか「あんたみたいなのがいるから!」

杏子「先輩に対する口のきき方がなってねえな」

まどか「そういえばほむらちゃんは元魔法少女なんだよね」

ほむら「そうよ」

まどか「ちゃんと魂は元に戻ったの?」

ほむら「確認できないけど戻ってるはずよ」

ほむら「ソウルジェムの指輪もないでしょ」

まどか「じゃあ皆も魔法少女から戻れるかな」

ほむら「かもしれないけど方法がわからないわ」

まどか「わたしが契約して…」

ほむら「駄目よ」

まどか「だよねー」

ほむら「どんな祈りでもその後を考えれば釣り合わないわ」

まどか「行きはよいよい帰りは怖いだね」

ほむら「それは違う気がするわ?」

まどか「そうかな?」

他愛もない話をしていると路地からマミが飛び出してきた。

マミ「二人とも使い魔を見なかった!?」

ほむら「落ち着きなさい」

マミ「ごめんなさい、さっき美樹さんと魔女探しをしていたら使い魔を見つけてね」

ほむら「それで追っていると」

マミ「そうなの」

まどか「さやかちゃんはどうしたんですか?」

マミ「別の町の魔法少女が来ていてね、その魔法少女に向かって行ったんだけど、美樹さんの戦闘能力じゃ彼女には」

ほむら「わかったわ、まどかは氷川さんに連絡を取って巴マミと一緒に行って」

ほむら「彼らならレーダーがあるから明確な位置が分かるはずよ」

まどか「ほむらちゃんは?」

ほむら「美樹さやかの方を止めてくる」

ほむら(また昔みたいに仲違いをし始めれば私の目的から遠ざかる、それに慣れてはいてもああいうのは遠慮したいわ)

さやかは斬撃を繰り返し、杏子に受け流されて勢いが無くなったところを吹き飛ばされる。
同じことを短い時間に何度も繰り返している。
さやかの刃を杏子は持っている槍の穂で受け止めて石突で胸部を思いっきり殴りつける。

杏子「おかしいな、全治三カ月ぐらいの攻撃だったんだけどね」

杏子「その回復力を見るに、あんた誰かのために奇跡を使った類の馬鹿か」

杏子「奇跡や魔法っていうのは徹頭徹尾自分の為に使うもんだよ」

さやか「あんたにあたしの何が分かる!あんたみたいなやつには負けない!!」

杏子「うぜぇー、超うぜぇー」

杏子「言って聞かせてもわからない、殴ってもわからない、ならもう殺すしかないよねえ!」

槍を多接昆にした杏子は穂の部分を飛ばして、さやかに防御の構えを取らせ動きを止める。
その隙を狙い今度は杏子からさやかに駆けていく。
今度は杏子から攻める番だった。

杏子の攻撃は未熟なさやかが防ぎきれるような攻撃ではなかった。
直槍の状態にして突き刺す、柄で殴りつける、石突で打ちつけるは当たり前。
勢いよく突き出して隙が出来たと思わせ、多接昆にして穂で後ろから狙う。
多接棍の状態から直槍にしてさやかのサーベルを挟み込むと多種多様だ。

杏子「終わりだ」

さやかの防御を軽々と乗り越え、杏子は槍を突き出して詰めの言葉を吐く。
さやかは眼前の槍を吹き飛ばそうと考えるが杏子にはそれを許す隙は存在しなかった。

ほむら「待ちなさい」

杏子「噂のイレギュラーの一人が何のようだ?」

ほむら「もう勝負はついたでしょ、引いて欲しいだけよ」

杏子「あたしは別にいいけど、こいつはそうは思ってないみたいだぜ?」

さやか「転校生!あたしの邪魔をするな!!」

ほむら「美樹さやかも止めなさい、あなたの負けよ」

さやか「まだ負けてないし!勝負はついてない!!」

ほむら「ついてるわ、あなたの完敗」

ほむら「佐倉杏子は何度もあなたを殺そうと思えば殺せたわ、あなたは佐倉杏子に傷をつけられるチャンスはあったの?」

杏子「なんであたしの名前を知ってるのかわからねえが、良いこと言うじゃんイレギュラー」

さやか「あたしの邪魔をするっていうなら転校生!あんたも敵だ!!」

ほむら「あなたはなんでそこまで血気盛んなのよ」

杏子「実際問題あんたはどっちの味方なんだい」

ほむら「私は愚か者の敵で、冷静な人の味方。あなたはどっちかしら?」

杏子「ふーん、別に引いても良いんだけど、三つ巴になればあんたの手札を切らせられるから今はあんたの敵だよ」

そういうと杏子は槍をさやかから引いてほむらに向けてくる。
さやかは瞬時に後ろに下がりサーベルを両手に作り出す。
ほむらはため息をつきながら愚痴を吐き出す。

ほむら「なんでこうなるのかしら」

その言が引き金となり、杏子の穂が、さやかの刀身がほむらに向かって飛んでいく。

本日はここまでです

カブトキリカとかいらんこと想像して筆が思うように進まない

本編で表に出さないと思う設定を一つ開帳
ほむらグランドフォームは本来のアギトグランドフォームの半分ぐらいの能力という設定です


それも書いてくれるんやね(ニッコリ

ところでなんでsage更新?気づかなかったぞ


キリカのアギト化がなんか、エロコスっぽく脳内ににに

あと、次回投下には酉をつけてほしい

1です、まったり投下します
酉つけました
キリカカブトは書きますが未だ構想段階なので、キリカの性格も改変する予定なので確実に好き嫌いががが

>>158
荒らし対策半分、考えなしが半分
急に上げるのは性に合わないので次の投下から上げさせてもらいます

>>160
キリカはどことなくエロイですからね、このSSではおりマギ勢は登場しませんが

ほむらは二人の刃が届く前にベルトを出現させ、高く跳びあがる。
二つの刃はほむらが立っていた場所でぶつかりあう。

杏子は槍を投擲した瞬間には駆け出しており、既に槍は手の中に戻っている。
さやかは遅れて飛び上がりほむらを追撃しようとする。

杏子「邪魔だ、ど素人が!」

空中に飛び上がったさやかを地についたままの杏子が勢い良く叩き落とす。
サーベルを盾にして攻撃を防ぐが勢いは殺せずに地面に勢いよく叩き落とされる。

さやか「こいつ!」

さやかは地面に膝をついた状態で、飛び上がっていく杏子にサーベルの刀身を飛ばして反撃する。
杏子は飛んでくる刀身を態勢を変えずに槍の柄で叩き落としてそのまま上昇していく。

杏子「どうよ!」

ほむら「変身!」

杏子は槍を多接棍に変えて上空のほむらへと飛ばす。
ほむらはベルトの両脇のボタンを押して変身する。
右腕に赤い装甲、左腕には青い装甲、胸は黄金のプロテクターで三位一体の姿だ。
変身して落下してくるほむらの脚の勢いに勝てず、多接棍は吹き飛ばされる。

杏子「その姿は!?」

ほむら「なにかしら佐倉杏子」

杏子「なんでもねえよ」

さやか「あたしを無視するな!」

態勢を立て直したさやかがサーベルを二本作りだし、ほむらと杏子に投げつけてくる。
ほむらはベルトの右のボタンを押して赤い槍を取り出して防ぐ。
杏子も槍で飛んできたサーベルを弾く。

ほむら「美樹さやか、向かってくるのはいいけど、標的は絞った方がいいわよ」

杏子「二人同時に相手出来るほどの力量なんかねえだろ」

攻撃を防いだ二人は涼しい顔してコメントをさやかに残す。

杏子「あんたのこと、もうちょっと知りたいね」

さやかを無視して杏子はほむらに向かっていく。
ほむらの槍と杏子の槍がぶつかり合う。

さやか「だからあたしを無視するな!!」

さやかは二人が攻防を繰り出している中に突撃していく。
杏子は槍から多接棍に切り替え、ほむらはいつの間にか出したサーベルを左手に持ちさやかに向ける。

さやかは両手でサーベルを持ち、滅茶苦茶に振り回してくる。
狙いが全くついていない攻撃をほむらと杏子は片手間に防いでいく。
ほむらはサーベルをさやかの攻撃の迎撃に使い、槍は杏子に向ける。
杏子は多接棍の石突部分をさやかに回し、穂の部分をほむらに向けて牽制し合っている。

杏子「こんなとこかな」

ほむら「なら引いたらどう?」

杏子「引こうにも、こいつがな」

さやか「あんた達は魔法少女に相応しくない!!」

杏子「QBが見えたら魔法少女の資格あるんだから、相応しいも何もないだろう」

ほむら「それに助けに来た相手に対してまで刃を向けるのはどうなのかしら」

杏子「そういやなんでこいつ、お前を攻撃してんの」

ほむら「あなたとの戦いを邪魔したことと、あなたの名前を知っていたことで不信を買ったんじゃないかしら」

さやか「そうだよ、なんであんたはこいつにも引けなんて言うんだよ、倒せばいいだろう!」

ほむら「彼女は敵ではないわよ」

さやか「そうだよね、あんたはこいつとグルだったんだ!信じたあたしが馬鹿だったよ!!」

マミ「そこまでよ三人とも!」

三人の間に銃弾を撃ち込み、颯爽と現れたのはマミだった。

杏子「やっと戻ったのかマミ」

マミ「使い魔の移動速度が速くて手間取ったのよ」

さやか「何で止めるんですか!」

マミ「拮抗していない戦闘力に三つ巴、止めない方がおかしいわよ」

さやか「でも!」

マミ「美樹さん、あなたは魔法少女の力を手に入れたとはいえ、戦闘経験は全然よ」

マミ「そんな状況であの二人相手と戦おうと思う時点で無謀なのよ」

さやか「やってみなければわからないじゃないですか!!」

マミ「美樹さん!!」

マミの静止を聞かずにさやかは杏子に襲いかかろうとする。

杏子「悪いが大人しくさせる為に力の差を見せつけさせてもらうよ」

そう言うと杏子は多接棍をさやかに狙いをつける。
かわしようがない距離に入ったことを確認してからさやかに狙いをつけ穂の部分を飛ばす。
マミが割って入らないようにと阻むように石突の部分をマミの近くの壁に狙いを付けて飛ばす。

まどか「はぁはぁ、マミさん速いよ」

ほむら「まどか!?」

急いで追いかけてきたのだろう、まどかが息を切らしてマミの後ろから現れる。
不幸にも石突を飛ばした軌道上に割り込む形で、それを見たほむらはその場から駆け出す。

まどか「えっ…?」

ほむら「ぐっ!」

さやか「がはっ!」

体勢を整える余裕はなかったのだろう、石突の軌道上に割り込んだほむらの後頭部に当たる。
穂の部分はさやかのソウルジェム近くの腹部に突き刺さり、飛んでいく穂の勢いでさやかは壁に押しつけられる。

マミ「佐倉さん!」

杏子「悪いな、マミに向けた方は当てるつもりはなかったんだがな」

まどか「ほむらちゃん?ほむらちゃん!?」

杏子「これで分かっただろ、あたしとあんたの実力差」

さやか「あたしはまだ負けてない!!」

杏子「いいかげんにしろ」

そういうと手に残っていた柄で思いっきりさやかの頭部を叩く。
さやかはそのまま意識を失った。

杏子「マミ、ちゃんと引くタイミングを教えないと駄目なんじゃない?」

マミ「そうね、けどあなたもやりすぎじゃないかしら」

杏子「馬鹿は始末に負えねえよな、明確な力量差を見せつけても向かってくるんだからな」

杏子「色々と話したいこともあったけど疲れた、また今度な」

マミ「待って!」

杏子「なんだよ」

マミ「どんな形であれ戻ってきてくれて嬉しいわ、いつでも家に来てくれていいのよ」

杏子「考えといてやるよ」

まどか「あの…」

杏子「ああ、あんたも悪かったな、そこで倒れているそいつにも謝っていたって言っておいてくれよ」

氷川「皆さん無事ですか!?」

まどか「氷川さん、ほむらちゃんが…」

マミ「あと美樹さんも」

氷川「二人ともGトレイラーに連れていきましょう」

マミ「Gトレイラー?」

氷川「僕たちが使っている拠点ですよ」

マミ「そこに連れていけばいいのね」

氷川「暁美さんは僕が連れていきますので、美樹さんをお願いします」

さやか「ぐっ、あいつめ…」

マミ「美樹さん、起きても大丈夫なの!?」

さやか「全然大丈夫ですよ」

氷川「美樹さん、検査も必要だと思いますので一緒に」

さやか「…いやだね」

まどか「さやかちゃん?」

さやか「転校生はさっきの魔法少女の名前も知っていた、何かを隠しているんだ、そんなやつとは一緒にいられない」

マミ「美樹さん、待ちなさい」

さやか「別に前と同じ状態になるだけですよ、じゃ」

マミ「美樹さん…」

氷川「追いかけたいのですが、暁美さんを放ってはおけませんからね」

氷川「巴さん、あなたはどうします?」

マミ「私は一緒に行きます」

小沢「で、美樹ちゃんはどっかに行っちゃったと」

氷川「暁美さんを搬送する必要ありましたし、巴さんも案内しないといけなかったので」

マミ「え、ええと」

まどか「大丈夫ですよ、皆さん良い人ですので」

マミ「そ、そうなの」

北條「巴マミさんでしたか、あなたの親族に連絡をすることはないのでご安心を」

マミ「ありがとうございます」

小沢「急なお願いで悪いけどソウルジェムを調べさせてもらえないかしら」

マミ「ここで、ですか?」

小沢「いえ、病院で検査してもらっている時に一緒に調べるわ」

マミ「私に検査は必要ないと思いますよ、今まで行ったことないですし」

北條「戦いに身を置く立場なら定期的な健診は心がけてください」

マミ「ご、ごめんなさい」

ほむら「う…ん」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「あら、まどか、なんでここにいるの?」

まどか「なんでってほむらちゃんがわたしを庇って怪我したんだよ」

ほむら「怪我?私は廃工場で使い魔と戦って…」

まどか「え?」

ほむら「え?」

北條「暁美さん、佐倉杏子なる人物に心当たりは?」

ほむら「誰かしら?」

マミ「佐倉さんのこと知っていたみたいなことを美樹さんが言っていたけど…」

ほむら「巴さんこそ、いつここに?」

小沢「精密検査は病院でしてもらうけど、多分記憶障害ね」

氷川「津上さんを思い出しますね」

小沢「そういえば彼もそうだったわね」

医者「検査の結果、後頭部に瘤は見られました」

医者「ですが、頭蓋骨や脳には何も問題はありませんでした」

ほむら「衝撃のせいでしょうか」

医者「おそらく」

医者「体に怪我もないようですし、数値自体に異常も見られないので健康体です」

ほむら「ありがとうございました」


ほむら「待たせて悪かったわね、まどか」

まどか「友達でしょ、気にしないで」

まどか「それでほむらちゃん、どうだった?」

ほむら「体に異常はないって」

まどか「そう良かったー」

小沢「グリーフシードでの回復、いえ回復というよりも移すといったところかしら」

小沢「やっぱり構造自体は同じ…」

北條「何かわかりましたか?」

小沢「北條君、いいの巴ちゃんを見ていないで?」

北條「氷川さんが見ていますよ」

小沢「一通り調べた結果、暁美ちゃんが言ったことの裏付けは取れたわ、ソウルジェムから一定周期で何かエネルギーが飛ばされているわ」

北條「残りの秘密については?」

小沢「予想はついた、けれど実践はできないわね」

北條「危険ですか」

小沢「危険ね、少なくとも少女一人の命は確実に失われるわ」

北條「解決する術は」

小沢「現段階では分からないわ」

北條「上層部が知った場合は」

小沢「保護を命じてくれれば御の字、高確率で排除の指示が来るわね」

小沢「以前アギトにやろうとしたようにね」

北條「G3は少女と戦うためのものではないですがね」

小沢「そして魔法少女を排除した場合インキュベイターがどんな手段に出るかわからないわ」

北條「というと?」

小沢「インキュベイターにとって彼女たちはエネルギーの取得手段よ、それがなくなったらどんな手を打つか…」

小沢「二人とも検査はどうだったの」

ほむら「異常無しで全くの健康体です」

マミ「私も問題ありませんでした」

氷川「本当は美樹さんも検査しておいてほしいのですが」

マミ「今度私から言っておきますね」

まどか「マミさん、さやかちゃんと戦っていたあの子は?」

マミ「あの子は佐倉杏子、以前私と一緒に戦っていた魔法少女よ」

北條「佐倉…、もしかして隣町の一家心中で行方不明になっている」

マミ「ええ、魔法少女と願いのことが父親にばれて、父親がお酒に溺れた挙句にね」

尾室「自分の娘が自分の為に非日常に足を踏み込んだなら、フォローぐらいはしてあげるべきだと思いますけどね」

小沢「非日常に自分から踏み込んだ私たちだからそう思うだけよ、普通の人間は逃げ出すわ」

マミ「それ以降、魔法少女の力は徹頭徹尾自分の為に使うものだって言って、私の元から離れていったの」

北條「しかし何か目的があって戻ってきたみたいですね」

マミ「美樹さんを見に来たって」

小沢「それは建前ね、本当はあなたに会いに来たのよ」

まどか「どうしてさやかちゃんと喧嘩しないといけなかったのかな…」

マミ「多分、美樹さんに言ったら喧嘩じゃなくて殺し合いって言うと思うけど」

マミ「佐倉さんからしてみれば、子猫がじゃれてきたようなものよ」

氷川「それだけ力量差が開いているということですか?」

マミ「はい、ベテランと新米です、本気でやれば佐倉さんが一方的に美樹さんの命を奪えます」

小沢「明日になれば彼女も落ち付くかもしれないわ、巴ちゃん色々と気を使ってあげて」

マミ「もちろんです」

マミ「こんなところにいたのね」

さやか「何か用ですか…」

マミ「朝の訓練に来なかったから気になってね」

さやか「特に理由なんてありませんよ」

マミ「暁美さんと鹿目さんを避けているのは?」

さやか「どうだっていいじゃないですか」

マミ「暁美さんの隠しごとかしら、それとも劣等感」

さやか「放っておいてくださいよ」

さやか「調子に乗って、自分から喧嘩売って一方的にのされて惨めなんですよ」

マミ「相手はベテランの魔法少女で、あなたは新米よ敵うわけないじゃない」

さやか「それでも、転校生もあいつもあたしを見ていませんでした」

さやか「一太刀ぐらい入れられると思ったのに…」

マミ「暁美さんも佐倉さんもあなたのことを見てはいなかったのが一番辛いのね」

さやか「そうですよ、マミさんが来ても引くっていう判断が出来ない自分にも」

マミ「それであたしにも顔が会わせ辛かったと」

マミ「ねえ、美樹さんあなたが自分で強くなれるなら放っておくわ、けどあなたにはまだ教えが必要なはずよ」

さやか「それは…」

マミ「彼女たちと仲良くしろとは私の立場から言えないわ、けど生き残るために訓練ぐらいは来なさい」

さやか「明日はいきますよ」

まどか「ねえ、ほむらちゃん本当に覚えてないの?」

ほむら「さっぱりね」

まどか「魔法で時間を繰り返していたこととか」

ほむら「私そんなことができたのね」

まどか「駄目みたいだね、あれ?」

ほむら「まどかどうしたの?」

まどか「昨日の子がいたから」

ほむら「そう」

まどか「ほむらちゃん!?」

まどか「挨拶するだけよ」



杏子「よっと」

ほむら「見事なものね」

杏子「昨日のやつか何か用か?」

ほむら「まどかを通して謝罪は受け取ったから一応挨拶にね」

杏子「…おまえ、本当に昨日のやつか?」

ほむら「私は覚えていないわ」

まどか「わたしを庇った時の攻撃で記憶が飛んじゃったみたいで」

杏子「あー、そうなのかそりゃ悪かったな」

ほむら「別に気にしてないわ」

杏子「一応、あたしからの詫びだ」

杏子「食うかい?」

本日はここまでです

トリニティ封印回
杏子が出てきたのでアギト的には次回あたりからOPムービーが変わって各キャラのバッドエンドシーンが流れると妄想しています

おつおつ
トリニティはかっこいいけど限定されすぎてつらい
まぁ、別の得物で二刀流とかかっこつけづらいんだろうけど

乙ー
ストームは突撃、フレイムはカウンターと役割分担が
かっちり固まってるから殺陣もやりづらくなるしなぁ
ほむらのトリニティだとバイク前提にしないと更に面倒になるね

1です、まったり投下します

>>175
地味に持ち辛そうですからね、ストームハルバードは明らかに両手持ちの武器っぽいですし

>>176
ストームは移動用にも使われるから頻度が高いんですよね
フレイムが出てきたら敵を確実に撃破しますし
まあ、本編よろしく以後トリニティは出てきませんが

杏子「そっちの小さいのはなんだ、昨日もマミと一緒にいてたけどよ」

まどか「わたしは鹿目まどか、よろしくね」

ほむら「私も自己紹介はまだだったわね暁美ほむらよ」

杏子「あたしも言う流れか、佐倉杏子だ」

まどか「佐倉さんも魔法少女なんだよね」

杏子「杏子でいい、佐倉さんは背中が痒くなる」

杏子「魔法少女だよ、そこにいるほむらはあたしのこと知っていたみたいだけどな」

ほむら「そうなの?」

杏子「初対面のはずなのにフルネームで呼んでたから知ってたんじゃねえのか」

ほむら「さあ」

まどか「杏子ちゃんはどうして、さやかちゃんと戦ってたの?」

杏子「さやかって、あの青いやつかどんなものか腕試しみたいなもんだよ」

杏子「それよりも、ほむらだったな、お前のあの姿はなんだよ」

ほむら「あの姿?アギトのことかしら」

杏子「アギト?変わった名前だな」

ほむら「なんでそんなことを気にするのかしら」

杏子「似たようなやつに前助けられたんだよ、だから詳しいこと分かると思ってな」

杏子「そいつはお前みたいに顔丸出しじゃなかったし、ごつかったけどな」

ほむら「それが本来のアギトなのかしら、良かったら聞かせてくれないかしら」

杏子「別にいいぜ、ただし」

ほむら「お礼ね、カロリーメイトとウィダ―どっちがいいかしら」

杏子「なんでその二択なんだよ!?」

まどか「私たちの奢りでファミレスでいいんじゃないかな」

ほむら「そういうことね、それでいいかしら」

杏子「普通はそうだろ…」

ほむら「いいなら、早速行きましょう」

杏子「いいけど、金はあるのかよ」

ほむら「大丈夫よ」

あたしが助けられたのは4月の後ろぐらいだったと思う。
風見野の魔女をあらかた狩りつくしちまったんで遠征で東京の方に足を伸ばしたんだよ。

東京に行った理由か?
東京は人が集まるからな、人が多いほど魔女も産まれるんじゃないかっていう考えだったんだ。
結果は散々だったがな見つけたのは二体だけ、一体に苦戦を強いられた時に助けられたんだよ。
色々あって早々に引き揚げたけど、得るものが少なかったわけじゃなかった。

まあ、風見野に比べたら防犯が厳しくて食うに困って倒れそうになったがな。
今はマミ以上にお節介な親切野郎に会ったせいで当分食うに困らないさ。

今回あたしが見滝原に戻ってきたのもそいつの影響かな。
アギトだったか?に助けられる前にそいつに会ったんだよ。

杏子「腹が減って身動きできねえ」

杏子「レストランか、もしかしたら残飯があるかもしれねえ」

??「♪~」

??「ん?そんなところで何してるの?」

杏子「!?」

??「顔ぐらい見せてくれないかな?」

杏子「なんでわかった」

??「お腹の音がよく聞こえたからね」

杏子「あっ」

??「もう閉店だし、残飯狙うぐらいだったら食べていかない?」

杏子「いいのかよ、明らかに金持ってないやつ誘い込んで」

??「気が咎めるなら皿洗いをやってくれればいいし」

??「それに今日で期限が切れる食材をそのまま捨てるよりはよっぽどいいからね」

杏子「本当に皿洗いだけでいいんだな」

??「いいよ、なにか食べられないものってあるかな?」

杏子「ねえな」

??「よし、じゃあ食べ残しも使って作るから全部食べきってよ」

杏子「うめえな」

??「ありがとう」

杏子「そろそろ本当のことを教えて欲しいんだが」

??「何の?」

杏子「こんな立派なレストラン持っているのに、あたしを誘い込んだ理由だよ」

??「聞きたい?」

杏子「裏があるか警戒してたけど本当に飯は出すし、普通に上手いしで理由がわからなくてな」

??「うーん、昔の俺と似たような雰囲気だったからかな」

杏子「昔のあんた?」

??「そう、昔の俺」

??「俺さ、当時ただ一人の家族だった姉さんが自殺したんだ」

杏子「……」

??「俺の唯一の居場所が無くなった。自殺って信じられなくて、亡くなる前に姉さんが付き合っていた人に会いに行ってさ」

杏子「会えたのか」

??「会えなかった、で色々あって記憶喪失になったんだ」

杏子「記憶喪失って、んな馬鹿な」

??「記憶喪失になってから、皆の居場所の為に動けば、そこに俺の居場所があるかなって思ってさ」

杏子「居場所出来たのかよ」

??「このレストランが出来るぐらいには」

杏子「良かったな」

??「そういえば君の名前は?」

杏子「世話になったんだから名前ぐらいは言っとかないとな佐倉杏子だ」

??「俺は沢木哲也、親しい人からは津上翔一って呼ばてるけどね」

杏子「なんじゃそりゃ」

杏子「本当に皿洗いだけでいいのかよ」

翔一「それでいいよ」

杏子「だってデザートまで出してくれたのにさ…」

翔一「在庫処理と試作も兼ねてるからね」

杏子「あたし碌なもの食ってねえのに参考になるのかよ」

翔一「美味しそうに食べてたじゃない」

杏子「はあ」

杏子「……なあ」

翔一「何?」

杏子「さっきあんたの話聞いただろ」

翔一「うん」

杏子「あたしの話聞いてくんねえかな、聞いてくれるだけでいいから」

杏子「あたし、自分で自分の居場所を壊したんだよ」

杏子「普通に両親がいて、妹がいたのにあたしを残して全員さ」

杏子「理由はあたしが手に入れた力、父親にばれて、父親が壊れちまった」

杏子「全部あたしのせいさ、この力で皆を幸せにしてやれるって思ってたのにな」

杏子「な、居場所を作れたあんたと壊したあたし全然違うだろ」

杏子「ごちそうさん」

翔一「皿洗いと食材処理ありがとう」

杏子「じゃあ、あたしはそろそろ寝床に行くわ」

翔一「送っていかなくていいの?」

杏子「大丈夫さ、あんたのお陰で腹も一杯だし」

杏子「寝床はすぐ近くなんでね」

翔一「そうなんだ、気をつけてね」

杏子「ありがとよ」

杏子(さてと適当なホテルの部屋が空いてるといいんだけどな)

杏子(うん?この反応は魔女か、腹ごなしの運動といくか)

反応を頼りに結界を探し出して侵入する。
結界の中は一面障子の世界で、所々巻物が転がっていたが白紙だ。

魔女はすぐに見つかった、悠々としていた魔女が一体。
巨大な白骨のような頭で一本足が生えている魔女だ。
一応腰はあるみたいで、赤い布を和服かゴスロリ用かは分からないが帯で巻いている。
長いツインテールの髪の先から手が生えて、目には笑みと憤怒の顔が浮かんでいた。

魔女の前に飛び出て、その勢いのままに槍を魔女の頭に叩きつける。
そこまでダメージ受けなかったみたいで、魔女の後ろに回ったが腰を舐められる。

杏子「ひゃっ!ふざけやがって!!」

そのまま石突で魔女を突き飛ばして、動けない魔女に思いっきり槍を突き刺す。
魔女の頭は真っ二つに裂けて血が流れ落ち、グリーフシードを落とした。

杏子「やけにあっさりだったな」

そのままグリーフシードを拾って、退散しようとしたが。
途中で何かが砕ける音がして、手を開いて見ると『ハズレ』って書かれた紙と砕けたグリーフシードがあった。

杏子「手が込んでるな、偽物のグリーフシードに砕けても問題がない頭ってのは」

気が抜けるタイミングを狙っていたのだろう。
それまで居なかった使い魔が出てきて、魔女の眼球にあった二つの顔が伸びてきて攻撃をはじめる。
攻撃をかわし続けていたら前に使い魔、後ろに魔女の眼と囲まれたが。

杏子「絶体絶命…、な訳ねえだろ!」

槍を多接棍に変えて、集まってきた周囲の敵を一掃する。

杏子「多面的に攻撃できないと思ったんだろうが、杏子様を甘く見るんじゃねえ」

魔女は割れた頭から血、裂けた眼の顔からも血が出てて虫の息に見えた。
それで魔女に近づいてとどめを刺そうとした。

杏子「手間取らせてくれるね」

槍の範囲に収まるか収まらないかの位置に踏み込んだら、さっき以上の血を吐き出してきた。
一度死んだふりをやったんだ、二回目もやるだろうと考えて飛び退いた。
吐き出した血は武器だった、変化して体を絡め取ろうとしてくる。

すぐさま飛び退いてたのが良かったのだろう、即戦闘不能みたいな致命傷は受けなかったが、
片足と片腕に切り込みをいれられて、動くのは不可能ではなかったけど死んだなと思った。

杏子「ははは、誰も知らない場所で野垂れ死ぬっていうのが運命かね」

杏子(父さん、母さん、モモが居る場所には行けないんだろうな)

諦めかけたが、結界の中を排気音が響き渡った。
最初は魔女の使い魔かと思った、誰かが入ってくることなんか予想だにしなかったからだ。

杏子(用心深い魔女だな…)

魔女は動きを止めた、それも排気音を聞いて戸惑った様子で。
現れたのは使い魔じゃなくてバイクだった。
普通のバイクじゃなく、まるで龍のようだった。
深紅の車体に金色の装飾が施され、ヘッドライトは眼のように青く光っていた。

近寄っていた魔女は走りこんできたバイクに撥ねられて吹き飛ばされていた。
バイクに乗っていた奴が多分アギトだ、こっちも普通じゃなかった。
金色の二本の角が生えて、両目は赤い巨大な複眼だった。
鎧を着て肩が黒くて、鎧の胸部と腹部はほむらのプロテクターみたいに金色に光っていた。
それで体型がごつかった、正に戦士という感じだった。

そいつはバイクから降りるとあたしをバイクに乗せて、魔女と対峙した。

杏子「誰だか知らねえが、そいつの血は武器だ、気をつけろ」

後はあたしが覚えているのはそいつが魔女に駆けていったこと。
魔女を倒して脱出する際にあたしを乗せてバイクを走らせていたことだけだよ

杏子「ここは?」

翔一「杏子ちゃん、大丈夫?」

杏子「お前は…、翔一だったか」

翔一「それでいいよ」

杏子「なんであたしはこんなところに」

翔一「俺がレストランに忘れ物を取りに戻ったら、杏子ちゃんが倒れてたんだよ」

翔一「それで放っておけなくて俺の部屋に」

杏子「お前、見たのか」

翔一「何を?」

杏子「見てないなら別にいい」

翔一「何があったのかは知らないけど、倒れてたんだから少なくとも今日は泊っていくこと」

杏子「そこまで世話になる義理は…」

翔一「駄目駄目、とりあえず洗濯するから服を脱いで」

杏子「ちょっ!?剥ぎとろうとするな!!自分で脱げる!!」

翔一「そう?じゃあお風呂沸かしてくるから準備しておいてね、寝間着は大きいけど俺のを使えばいいし」

杏子「おい、こら待て!…行っちまった」

杏子「本当にあいつは何なんだよ」

翔一「お風呂沸いたから、さっさと入っちゃって」

杏子「はやいな!?」

翔一「お腹空いてるんじゃない、夜食におにぎりでもどう?」

杏子「もらうよ」

翔一「やっぱり俺たち似てるね」

杏子「違うよ」

翔一「俺さ、姉さんが自殺した原因のものを手に入れたんだ」

杏子「……」

翔一「最初は、それで皆の為にって張りきったんだけどさ」

翔一「俺の親しくなった人の居場所を壊したものでもあったんだ」

杏子「でも、あんたは逃げなかったんだろ、だから居場所作れたんだよ」

翔一「逃げた、それも何回も」

翔一「力を手放そうとしたこともあるよ」

杏子「それでも手放さなかったんだろ」

翔一「中途半端だったし、やることが出来たからね」

杏子「そんな話を聞かせて、あたしにどうしろって」

翔一「別に、似てるなって思ったから」

翔一「それに杏子ちゃんが話してくれたのに俺が話さないのっておかしいじゃん」

杏子「本当に変なやつだな」

翔一「そうかな」

杏子「ごちそうさん、そろそろ寝るわ」

翔一「お粗末様、明日勝手に出ていかないでよ」

杏子「わかったよ」

翔一「それじゃ、お休み」

翔一「おはよう、勝手に出ていくんじゃないかって心配してたけど、ぐっすり寝てたね」

杏子「色々と心配しないで寝たからな」

翔一「俺信用されてるなー」

杏子「まあ、変な真似するなら昨日散々チャンスはあったはずだからな」

翔一「そうなの?」

杏子「調子狂うな」

翔一「杏子ちゃんはこれからどうするの」

杏子「…色々考えたんだけどな、一度知り合いに会いに行こうかなって」

翔一「杏子ちゃんにもちゃんと居場所があるじゃん」

杏子「わからねえ、家族が死んだ後喧嘩別れしちまったから」

翔一「そうなんだ、それでも待ってるんじゃないかって期待してるんでしょ」

杏子「ちょっとはな」

翔一「よし、じゃあ俺が一肌脱いで送っていこう、そしたらすぐに仲直りだよ」

杏子「ばーか、あたしは見滝原まで行かないといけないんだ、店があるあんたはそこまで離れられないだろ」

翔一「そうかー、じゃあ送っていけない代わりに渡すものがあるから、ちょっと待ってて」

翔一「これ持っていてよ」

杏子「何だこれ」

翔一「リュック」

杏子「見りゃわかる」

翔一「家庭菜園で作っている野菜を入れてるんだ」

杏子「野菜か、果物とかねえのか」

翔一「果物は作ってないな、けど全部生で食べても美味しいからさ持っていってよ」

杏子「でもなあ」

翔一「これだけあったら、当分食べるのには困らないでしょ」

翔一「残飯漁りとかでお腹を満たさなくても大丈夫だよ」

杏子「んじゃ、ありがたく貰っておくわ」

翔一「うん」

杏子「で、どっちに行けば見滝原に近いんだ」

杏子「という訳であたしは見滝原に戻ってきたっていうわけだ」

まどか「その翔一さんっていう人がアギトなの?」

杏子「んな訳ねーだろ、あいつは戦う人間っていう柄じゃなかったぞ、体格だって似ても似つかないし」

ほむら「巴さん以上にお節介な人はその人なのね」

杏子「そうだ、貰った野菜がまだ無くならないんだよ、上手いからいいけどな」

まどか「知り合いってマミさんだよね会ってどうするの?」

杏子「どうしようかQBには縄張り奪うかって言ってみたけどな」

杏子「本当は会いたくて仕方なかったけど意地張ってた、翔一と話してたら素直に会おうって思えてな」

まどか「そういえば話の中で出てこなかったけど、東京の方にはQBっていないのかな?」

杏子「ん?そういや見なかったな、普段は呼んでもいないのに現れるくせにな」

ほむら「東京では警察が魔女撃破に乗り出したらしいからそれじゃないかしら」

杏子「東京で魔女が少なかったのはそれが理由か、でもQBが居ない理由にはならないんじゃないか」

杏子「まあ、QBがどうしてようがどうでもいい、明日はマミと話してくるかな」

本日はここまでです

翔一君は本編でもそうだけどおかん属性が強いですよね
本名は沢木哲也ですが、やっぱり翔一君は翔一君ですよね

おつおつ
翔一くんは本当に翔一くんって感じだよな
名前がかっちりあてはまる。いや、別人なんだけどさぁ

乙、二つの名前って折川育郎とピエトロ・パルメッティのような切っても切れないものだよなぁ
戸籍名としてはやっぱり沢木哲也に戻ってるんだろうな

1です、まったり投下します

>>193
本編でも本名で呼ばれる回数の方が少ないですからね、仕方ありません
翔一君自身も訂正を早々に諦めてましたし

>>195
ちゃんと法律的にも身元が分かったら元の戸籍になるって書いてますしね
苦情が多かったのかもしれませんが免許証を出すシーンは妙に印象にあります

杏子「ようマミ」

マミ「なんでここにいるのかしら」

杏子「そう警戒するなよ、QBに聞いたんだ」

QB「杏子がマミとさやかの訓練を見たいって言ってね」

マミ「邪魔しに来たのかしら」

杏子「見に来ただけだよ」

マミ「信じていいのね」

杏子「手を出す気ならもう出してる」

杏子「まあ、野次は飛ばすかもしれねえがな」

マミ「それは遠まわしに助言はするって言ってるのかしら」

杏子「解釈はご自由に」

さやか「マミさん、おはようございま…げっ!」

杏子「先輩を目の前にしてその態度はないだろ」

さやか「マミさん!なんでこいつがここに!?」

マミ「佐倉さんは助言をしに来たらしいわよ」

さやか「マミさん、こいつのこと知ってるんですか…」

杏子「あたしは昔マミと組んでたんだよ、あたしの詳しい話は今度マミにでも聞いとけ」

マミ「自分で言えばいいじゃない」

杏子「機会があったらな」

さやか「あんたって言うのもなんだから、名前教えてよ」

杏子「あたしは佐倉杏子だ、よろしくな、さやか」

さやか「なんであたしの名前を知ってるのさ」

杏子「ほむらとまどかに聞いた」

さやか「あんた、まどかに何かしたんじゃないよね」

杏子「するかよ、したらほむらを相手にしなきゃいけなくなる」

さやか「転校生の評価ずいぶん高いんだね」

杏子「本気を出してないとはいえ相当なもんだったからな、あたしのせいで記憶も飛んだらしいから悪いって思ってるのもあるが」

マミ「おしゃべりはそこまで、そろそろ始めないと学校に遅れるわよ」

さやか「よし、訓練で汗を流してさっぱりしますよー」

さやか「やった!マミさんに一太刀当てれた!!」

マミ「…美樹さん」

さやか「どうしたんですか、そんなに怖い顔して」

マミ「さっきみたいな痛みをいとわない戦い方はやめなさい」

さやか「あたしは経験も才能もありませんからね、こうでもしないと勝ち目がありませんよ」

杏子「マミの言うとおりだ、訓練だったから良かったもののあそこで攻撃されてたらソウルジェムが危なかったぞ」

さやか「あたしのソウルジェムすれすれを狙ったあんたが言うなよ」

杏子「普通はあんなことされる前に引くんだよ」

さやか「でも、あの戦い方とあたしの魔法は相性がいいから」

QB「僕としても、もうちょっと気をつけて欲しいな」

マミ「QBが戦い方に口を出すなんて珍しいわね」

QB「戦い方は魔法少女の好きにさせるのが一番いいとは思ってるよ」

さやか「なんで皆して、そんなにあの戦い方を否定するのさ」

QB「僕は否定はしていないよ。ただ気をつけて欲しいだけだ、だってソウルジェムが砕けたら君たちは死んでしまうんだから」

「「「え?」」」

さやか「今、なんて?」

QB「だからソウルジェムは君たちの魂なんだ、それが砕けたら君たちは死ぬ」

マミ「きゅ、QB、なんでそ、そんなことを?」

QB「君たち人間の体は脆弱だ、そのまま戦ったら痛みで魔女との戦闘もままならないだろ、だから肉体と魂を分離させた」

杏子「なんでそれを今言いやがった!!」

QB「さやかが二回もソウルジェムを壊しそうになったからね、三回目はないようにしてほしくてね」

QB「そうそう、君たちとソウルジェムが離れ過ぎても動けなくなるからね、大体100mくらいかな」

杏子「もう黙れ!!」

QB「おっと、殺されるのは非生産的だね、そろそろ僕は行くよ」

さやか「なんで契約する時にそのことを言ってくれなかったのさ!」

QB「聞かれなかったからね」

さやか「マ、マミさん、どうしましょう?」

マミ「とりあえず学校へ出席はしましょう」

さやか「あんなこと言われたのにですか!?」

マミ「考える時間なら明日からの週末で十分にあるわ、それに鹿目さん達に気取られない為にも行く必要があるわ」

さやか「それは…」

杏子「マミも学校へ行くのか?」

マミ「私は、あの人たちに会いに行ってくる」

杏子「…マミも学校行けよ、そっちにはあたしが行く」

マミ「佐倉さん…、連絡はしておくわ、私の知り合いって言えば大丈夫なはずよ」

杏子「それとなさやかを見ておけ、今のあいつじゃ何をするか分からねえし」

さやか「あたしは大丈夫だよ」

杏子「無理せずマミに頼れ、空元気がまるわかりだ」

さやか「…うん」

マミ「佐倉さん、見滝原病院で待ってるらしいわ」

杏子「そうか、あたしはもう行くぞ」

さやか「杏子は平気なの?」

杏子「慣れているだけさ」

まどか「さやかちゃん、おはよう」

さやか「まどか、おはよう」

まどか「上条君、今日から登校なんだって、話してきたら?」

さやか「あたしはいいや」

まどか「…なにかあったの?」

さやか「何もないよ」

仁美「さやかさん、お話があります」

さやか「仁美どうしたのさ」

仁美「屋上でお話ししましょう」

さやか「まどか、ちょっと行ってくるね」



仁美「さやかさん、上条君のことをどう思っていますか」

さやか「恭介とは幼馴染だよ」

仁美「私は上条君をお慕いしております」

さやか「…恭介も仁美みたいな可愛い子に思われて、隅に置けないな」

仁美「さやかさんも上条君のことが好きなはずです」

さやか「……」

仁美「私はもう自分の心は偽らないと決めました、さやかさんはどうですか」

さやか「あたしは嘘なんかついてないよ」

さやか「元々恭介とあたしは釣り合いが取れてなかったんだよ、仁美となら釣り合いが取れてるよ」

仁美「私はさやかさんを裏切りきれません、覚悟を決める必要があるでしょう来週までに答えを決めておいて下さい」

さやか「あたしは…」

北條「魔女可視化装置はこちらでは成果を上げてますが東京で活躍できているのでしょうか」

小沢「今のところは良い感じよ、使い魔も含めて撃破報告は結構上がっているわ」

氷川「魔法少女の扱いはどうなっているのでしょうか」

小沢「それが歯切れの悪い返事しか返ってこないのよ」

氷川「どういうことでしょう」

北條「まさか、魔法少女と魔女の関係を報告したのではないでしょうね」

小沢「あなたじゃあるまいし、報告するわけないでしょう」

氷川「ではなぜ魔法少女に関することの返事がないのでしょう」

小沢「考えていても仕方ないわ戻った時に聞けばいいことよ、今は目の前の問題よ」

北條「まもなくワルプルギスの夜が来るはずでしたね」

小沢「そうよ、聞き取りから得られた情報をより精査して、おおよその出現ポイントと交戦ポイントは絞り込めたわ」

氷川「最強の魔女ですか、相当な被害になるんでしょうね」

小沢「警視庁としては物的被害はあっても、人的被害は抑えられるように動くつもりのようよ」

尾室「例の少女が来ました」

杏子「あんた等が警察の人間で、QBが言ってたイレギュラーか」

小沢「そうよ、そしてあなたは佐倉杏子、佐倉家心中で行方不明になっていた子ね」

杏子「よく調べてることだな、魔法少女についてはどれだけ知ってるんだよ」

北條「魔法少女の活動の事ですか、それとも魔法少女の本体ですか」

杏子「本当によく調べてる、誰に聞いた」

小沢「暁美ほむら、今は記憶喪失になっているけれど彼女の正体と目的も聞いているわ」

杏子「なる、じゃあ色々と情報交換といきますか」

杏子「大体知ってることをなぞるだけだったな」

小沢「ワルプルギスの夜とあなたの事情を共有できただけましじゃないかしら」

北條「暁美さんが記憶を取り戻せば明らかになることは多いはずです」

杏子「ほむらは記憶を取り戻せばね」

小沢「忘れていた方が彼女にとって幸せでしょうね」

杏子「そりゃそうだ、あたしも記憶喪失になれるならなりたいしな」

氷川「佐倉さんはこれからどうするんですか?」

杏子「あんた等もいるんだろ、ならワルプルギスの夜の討伐は手伝ってやる」

杏子「あたし達だけで挑むよりも勝率はよっぽど高いしな」

小沢「怖いくらいに渡りに船な提案ね」

杏子「ただしだ」

北條「戦力を提供する代わりにグリーフシードですか」

杏子「話がはやいやつは好きだよ」

小沢「少ないかもしれないけど前金よ」

杏子「まっさらなグリーフシードが四つか」

氷川「もうちょっと手に入れてますが、巴さんと美樹さんの為にも残しておきたいので」

杏子「…隠していることを教えろよ。警察にとって必要ないはずのグリーフシードをそんなに貯めこんでるんだ、それなりの理由があるんだろ」

まどか「さやかちゃん、仁美ちゃんに呼ばれてからおかしいよ?」

さやか「まどか…、転校生は?」

まどか「氷川さんに呼ばれたんだって」

さやか「よかった、転校生に会ったら何を言うかわからないからね」

まどか「何かあったの?」

さやか「仁美に恭介が好きだって言われたんだ。あたしの答えを来週まで待つって言われたよ、いつまで待っても一緒なのに」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「まどかは知らないよね、魔法少女の本体はこの石ころなんだってさ、信じられないけどQBがわざわざ忠告するから本当なんだろうね」

さやか「これじゃ、あたしはゾンビだよ、恭介に好きって言えないよ」

まどか「さやかちゃんはゾンビなんかじゃないよ!こんなに暖かいんだから!!」

さやか「ううん、心もゾンビなんだよ、仁美に恭介が好きって言われて、魔女に襲われた時死んでたら良かったのにって思っちゃった」

さやか「あの場にはまどかもいたのに、転校生が居なければって思ったよ、こんなあたしがゾンビじゃないわけないじゃない!」

まどか「落ち付いてさやかちゃん」

さやか「まどかが優しいって分かってるけどね、どうしても嫌なこと考えちゃうんだ」

さやか「まどかが願えばあたしは戻れるかもしれないって!まどかを犠牲にすればって!!」

さやか「あたしは恭介に抱きしめられたい!キスされたい!けどこんな体じゃ駄目なんだよ!!」

まどか「さやかちゃん!!」

さやか「付いてこないで!!」

ほむら「遅くなりました」

小沢「そこまで急ぐ用事でもないから大丈夫よ」

マミ「暁美さんも呼ばれてたのね」

杏子「重要人物だからな」

ほむら「重要?」

小沢「覚えていないかもしないけど、あなたは魔法少女から元に戻った、いえ更に進化した人間よ」

杏子「一応ソウルジェムがあるか確認させてもらうぞ」

マミ「本当にないわね」

氷川「QBが魔法少女に対してソウルジェムが本体であることを明かしました、出来るだけ早く記憶を取り戻して彼女たちを解放してほしいのです」

ほむら「そういわれても…」

小沢「氷川君やめなさい」

氷川「すいません、無茶なことを言って」

小沢「こういう事情なのよ、元通りの人間に戻ることは出来ないけれど日常生活には戻れるはずよ」

ほむら「私の魔法少女時代ですか…」

杏子「別に思い出さなくてもいいよ」

マミ「佐倉さん?」

杏子「こいつの証言は全て正しかったんだろ、なら目下の問題はワルプルギスの夜が来るっていうことだしな」

マミ「ワルプルギスの夜!?」

杏子「戻る方法がないなら、ワルプルギスの夜を倒してからソウルジェムを砕けばいいしな」

氷川「そんな必要はないはずです!魔法少女から解放されなくても生き続けるのを止める必要はありません!!」

マミ「そうよ佐倉さん、別に自分から死ななくても…」

杏子「誰もすぐ死ぬなんて言ってないさ、限界が来たら砕くんだよ」

マミ「それはどういうことかしら」

杏子「今のあたしは魔法がないと生きていけない、けど将来的にグリーフシードの取得には限界が来るのは目に見えてる」

杏子「なら魔法が使えなくなった時には自分で死に場所を決めたいって思っただけだよ」

小沢「暗い話はその辺にしときなさい、巴ちゃん、残りのグリーフシードを渡すから分けてあげて」

マミ「こ、こんなにですか!?」

北條「私たちにグリーフシードは必要ありませんからね」

マミ「どうやったらこんなに…」

北條「魔女可視化装置の副次的な成果で出来たレーダーがありますからね、そして車を使用できますから捜索範囲は中学生より広いんですよ」

杏子「あたしはもう貰ってるから、さやかと分けろよ」

北條「私たちはワルプルギスの準備もありますので一度東京へ戻ります」

杏子「戻ってくるんだろうな」

氷川「人命を守るのが警察の使命ですからね」

小沢「どんな戦いになるにせよ、G3とG3-Xを徹底的にメンテナンスする必要があるのよ」

北條「それに警察の上層部にも色々と具申する必要がありますので」

杏子「魔法少女の排除令とか要請すんじゃねえだろうな」

北條「悪事を働かなければ出しませんよ」

マミ「では何か不安要素があるんですか」

小沢「魔法少女に関しては妙に歯切れが悪いのよね、魔女の撃破は順調って返ってくるのに」

杏子「マミ、ワルプルギス超えたら魔女退治は警察に任せて休業しねえか、こいつ等に言ったらグリーフシードは貰えるだろうし」

小沢「あくまで東京での話よ、東京以外に隊を回すのはまだ無理なのよ」

ほむら「どちらにしろ、不在の間は私たちで見滝原を守る必要があるんですね」

小沢「そういうこと」

QB「今日は魔女退治にはいかないんだね、さやか」

さやか「何の用さ」

QB「機嫌が悪いみたいだね」

さやか「当たり前だろ、騙したあんたに良い感情を抱けるわけがない」

QB「騙したとは人聞きが悪いね、僕は魔法少女になってとお願いしただけだ、詳細は省いたけどね」

QB「それに知らせる必要があったとは思えないね、事実マミも杏子も知らなくても今まで戦えたんだから」

さやか「別にこんな体にしなくても戦えるでしょ!」

QB「君は戦いを甘く見ている、杏子に槍を刺されていたけど実際の痛みはこんなのだ」

さやか「!?…がっ!ぐっ!!」

QB「ほらね、一歩も動けなくなっただろう、魔法少女の戦いは肉体と精神が切り離されているからこそ出来る戦いなんだよ」

QB「今朝やったように痛みを全部カットして戦うことも可能だけど、ソウルジェムの防御が蔑ろになりやすいからお勧めしないよ」

さやか「…な、なんで、あんた達はこんなことをするのさ?」

QB「実は今、魔女に対して魔法少女の数が圧倒的に少ないんだ」

QB「僕たちは魔法少女の数を把握していたし、時間も正確に記録されているはずだったんだよ」

さやか「なんで過去形なんだよ」

QB「色々と狂っていたんだ、記録されていた時間はずれていたし、天体の位置も変わっていた、極めつけには契約した魔法少女がいなくなっていた」

さやか「自分たちはすごいみたいな言い方だね」

QB「君たちに奇跡を売るぐらいにはね、それに魔女はそのまま残っていたのに魔法少女がいなくなったっていうのはおかしいと思わないかい」

さやか「それは…」

QB「この前、興味深い会話があったんだ」

QB「暁美ほむらは元魔法少女で、時間を操る魔法を持っていたと」

さやか「転校生が元魔法少女?」

QB「まどかが言っていたんだよ」

QB「そこで推測してみた、前の時間軸で暁美ほむらは、まどかに魔法少女システムを別の時間軸に飛ばすように願わせたんじゃないかな」

さやか「そんなことしたら魔法少女も飛ばされるし、あんたが私たちのことを知らないわけないじゃん」

QB「まどかほどの素質があれば可能だと思うよ、魔法少女を残しておくのと僕から君たちの記憶を消すことなんて」

さやか「だったらなんで元魔法少女の転校生が居るんだよ」

QB「失敗したんじゃないかな」

さやか「えっ?」

QB「システムを飛ばしたことでソウルジェムに不具合が起きたのかも、そして暁美ほむらは残りの力でこの時間に来たけど魔法少女ではなくなった」

さやか「なんであたしにそんなこと言うのさ転校生に直接尋ねればいいじゃん」

QB「僕は暁美ほむらの前には立てないんだよ拒絶反応みたいなものが起きるんだ」

さやか「最初のころは普通に居てたじゃない」

QB「あの時はマミに無理を言って保護の魔法をかけてもらっていたんだ、そして彼女から来る敵意がシステムに関するものなら納得だ」

さやか「じゃあ、じゃあ、こんな状況を作ったのは転校生のせいなの…」

QB「あくまで状況や会話から手に入れた情報を元に作られた仮説だよ、けどそれまでいた魔法少女がいなくなったのは事実だ」

さやか「全部あいつのせいなのか!」

QB「どうするんだい?」

さやか「まどかに連絡する!転校生を呼びだして決着をつけてやる!!」

まどか「さやかちゃんが指定した場所はここのはずだけど…」

ほむら「美樹さん、何の用事なのかしらね」

さやか「来たね、転校生」

ほむら「用事は何かしら、美樹さん」

さやか「薄々見当がついてるんじゃないかな」

ほむら「思い当たることは何も」

まどか「わたしもほむらちゃんが何かをしたとは思えないけど」

さやか「まどかは騙されてるんだよ!」

まどか「え?」

さやか「こいつはね全ての元凶なんだ、この世界に魔法少女システムを持ちこんだ」

ほむら「私はそんなこと出来ないわよ」

さやか「QBから聞いてるんだよ、転校生が元魔法少女で時間を操る魔法を持っていたって」

ほむら「そうらしいわね」

さやか「それで別の時間で魔法少女システムをまどかに頼んで飛ばしてもらったんでしょ!」

まどか「さやかちゃん、流石にそれは」

さやか「まどかは黙っていて!時間を操る魔法を持っていたから考え付いたんだろうけど失敗だった!そのくせ自分だけ魔法少女じゃなくなって!!」

ほむら「流石に覚えていないことで責任を取れって言われても」

さやか「黙れ!あたしはあんたのせいで!!」

ほむら「まどか離れて」

さやか「あたしはあんたを許さない!!」

本日の投下はここまでです

1にしては珍しくバトルパートがない会話だけの回になりましたよ
たまにはまったりほのぼのしてていいですよね


まさか…アギトとまどかのクロスが見られるなんて…前もあったけど、完結しなかったから是非完結までたどり着いて欲しい。ところでギルスこと葦原涼は出ますか?

おつにゃん
やっぱりまったりもいいよねえ。だからこそ燃える展開がはえるわけで

乙、魔法少女を生産して願いをかなえさせようとしたら
今度こそ人類すべてが滅亡案件になるからそこはないと信じたい

さやかは葦原さんに任せるのが一番だ!!

>>225
流れるように木場ホースオルフェノクなムーブをするとはいえ、
それはさやかちゃんにタヒねと言ってるようなもんだww

葦原さんは恩師に裏切られ、一回目の彼女とは破断、二回目の彼女は目の前で死亡。葦原さんは全ライダーの中でも最も不幸な部類に入りそうだな。葦原さんはそろそろ幸せになってほしい。

1です、まったりと投下していきます

さやかちゃんの扱いですが、詰め込みすぎましたかね、流れとしては
朝に自分の体に魂がないで精神ダメージ
学校で上条を取られそうだけど自分には資格がないんじゃないかで精神ダメージ
放課後に仁美が助からなければよかった思考で精神ダメージ
追撃でまどかに八つ当たりして精神ダメージ
夜にQBにソウルジェムを攻撃されて人間じゃないの自覚で精神ダメージ+肉体ダメージ
そこにほむら元凶じゃねって誘導されてほむら襲撃の流れです

>>218
ありがとうございます完結させますよ、葦原さん、今回登場です

>>220
そうですよね、日常があるからこそですよね

>>221
終盤を除いてアギトの警察組織は意外と冷静でまともですから

>>225
正にその通りの展開です

>>226
大丈夫、真魚ちゃんは生き残りましたから

>>227
それに加えて本編で一度死亡済みと素直にあそこで死んでた方が真津上が言うように幸せだったかもしれません

さやかは魔法少女の姿になって、ほむらへと飛びかかる。
不意を突かれたほむらは成す術なく地面に押し倒される。
さやかはマウントを取ろうと上半身をもたげようとするが、我に返ったほむらに腕を掴まれ頭突きを貰う。
当たる直前にほむらはさやかの腕を放し、さやかは吹き飛ばされる。

さやか「変身される前にけりをつけようと思ったけど甘かったか」

ほむら「流石に不意は突かれたわよ」

さやか「あんたはいいよね、ゾンビにならずに力を手に入れて」

ほむら「願い事は叶わないわよ」

さやか「今は生身の身体が羨ましいよっ!」

さやかはほむらに斬りかかるがほむらは紙一重でかわしていく。

さやか「変身していないのに魔法少女になっているあたしの攻撃が当たらないなんて」

ほむら「美樹さん、落ち着いて」

さやか「うるさい!黙れよ!!」

さやかはほむらに突撃していく。
何も考えていないがむしゃらな突進、ちょっと進路からずれるだけで何もないところに突撃するであろう攻撃。
それをほむらは避けようともせずに直立し、さやかのサーベルが肩に突き刺さる。

さやか「どうして変身して、反撃してこないんだよ」

ほむら「戦う理由がないからよ」

さやか「なんでこんな攻撃を食らったんだよ」

ほむら「受け止めたら落ち着いてくれると思ったのよ」

さやか「もう知ってるんでしょ、魔法少女の正体」

ほむら「聞いてるわ」

さやか「あたし勝手だよね、勝手に疑って、勝手に落ち込んで、勝手に激昂し、勝手に憎んで」

ほむら「でも私を疑うに足る心象や証拠があったのでしょ」

さやか「あんたと杏子を相手に戦った、それとあんたは杏子の事を知っていた」

さやか「本当はどうでもよかった。こんな体にされて死にたかったんだ、でも自殺する勇気なんてないからあんたを利用しようとした」

ほむら「私は美樹さんに生きていて欲しいわ」

まどか「わたしもさやかちゃんに生きていて欲しいよ」

さやか「転校生、正直あたしはまだあんたを疑ってる」

ほむら「仕方ないわ」

さやか「だからさ、記憶を取り戻してQBが言っていたことは間違っているって証明して」

さやか「そしたら少なくとも今は死なないって思えるから」

ほむら「努力するわ」

さやか「期限は明日まで」

そういうとさやかはサーベルを消して、ほむらの肩の傷を治療する。

ほむら「美樹さん、これを」

さやか「グリーフシードね、明日までは死ぬ気はないから貰っとくよ」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「まどかは転校生の近くにいなよ、QBは転校生の周りに近づきたくないみたいだし」

さやか「それとあたしの為に契約しようとしないで、そんなことされたらあたしが余計惨めだ」

杏子「マミから連絡貰って来たけど、何の用だ」

ほむら「杏子、ちょうど良かったわ、まどかからの聞き取りが終わったところなのよ」

杏子「なんだってんだよ」

ほむら「私の記憶についてよ」

まどか「さやかちゃんと約束したんだ、ほむらちゃんのせいじゃないって証明するって」

杏子「一応簡単に説明してくれ」

ほむら「さやかがQBからこの時間軸での魔法少女システムの元凶は私だと説明されて襲ってきたのよ」

杏子「は?なんだそれ」

ほむら「私が元魔法少女で時間を操っていたことからまどかに契約させてこの時間軸にシステムを飛ばしたんじゃないかって話よ」

杏子「なるほど、それで記憶を思い出すために記憶を取り戻していた時に話をしたあたしを呼びだしたと」

ほむら「そういうことよ」

杏子「といっても、あたしもそんなに話してないからな」

杏子「そうだ、警察のやつらから聞いた予想なんだが役に立つか」

ほむら「予想?何か思い当たることがあるかもしれないからお願いするわ」

杏子「魔法少女が魔女になるっていう予想だ」

ほむら「魔法少女が…、魔女に…」

まどか「え?え?ど、どういうこと」

杏子「向こうも確証はないんだがソウルジェムが濁りきったら魔女になるんじゃないかっていう予想だ」

杏子「ほむらが言ったんだろ、魔法少女は奴らのエネルギー回収手段だって、魔女になるのが関係してるんじゃねえの」

まどか「本当だったらQBはなんでそんな酷いことを…」

杏子「知るかよ、知りたいならあいつに直接聞けばいいんじゃね」

幹部A「君たちから上げられてくる魔女と魔法少女のレポートは実に有意義だ」

氷川「ありがとうございます」

幹部B「だが、この魔法少女は本当に実在するのかね」

北條「どういうことでしょうか」

幹部B「君たちを疑っているわけではない、事実魔女に関しては現場から発見及び撃破ないし撃退の報告が上がっている」

氷川「ではなぜ魔法少女の存在に懐疑的なのですか」

幹部A「現場から上がってきた報告では魔法少女を目撃した例が全くないのだよ」

幹部B「その為に魔法少女に対する扱いに関しては議論が進まないのだよ」

氷川「東京には魔法少女が居ない!?」

幹部A「だが君たちは実際に魔法少女に接触している、故に魔法少女は居ると断定はしている」

北條「ですが、発見も保護もされていないものを中心に議論を進めるわけにはいかないと」

幹部B「そういうことだ、事実存在を否定してくる者までいるからな」

氷川「魔女がいるのに魔法少女がいるのを認めないなんて」

幹部A「馬鹿らしいとは思うが時間の無駄という意見もある」

幹部B「しかし、少なくともここに居る面々は君たちの事を信頼しているし、支援もしている」

幹部A「そして今回報告書に上がった魔女ワルプルギスの夜か」

氷川「被害は甚大になるとは予想されます、今すぐに避難の呼びかけを」

幹部A「我々も既に呼びかけたが、口を挟むなと言われたよ」

幹部B「出来るのは君たちの情報を基に被害が甚大になると思われる場所を気象情報に混ぜ、その付近を避難場所に設定しないように誘導するしかない」

北條「管轄が違いますので、それが限界でしょう」

幹部A「そう言ってくれるだけでも骨を折った甲斐がある」

幹部B「ワルプルギスの夜、是非に戦果を挙げて無事に帰ってきてくれたまえ」

「「はい!」」

北條「てっきり契約に際して得られる奇跡で色々と画策していた面々がいると予想していましたが」

幹部A「実際、魔法少女候補を保護して我々に有益なように契約させるべきだと声を挙げたもの達はいた」

幹部B「しかし、我々は民間人を保護する存在であるべきだ、民間人を犠牲にして益を得るなんてとんでもないことだ」

氷川「その通りだと思います」

北條「まあ建前はそうだと思いますが現実問題デメリットの方が圧倒的に大きいですよね」

幹部A「それも事実だ、魔女や契約を持ちかけるものの存在を発見するのは小沢教授の発明で可能だが、魔法少女の素質をはかりようがないからな」

幹部B「更には全国の女児を一括で管理するとして、どのくらいの金額が必要なのかも想像できんし、したくもない」

北條「そして必ずしも全員が警察組織に友好的であるとは限らないと」

幹部A「そうだ、それならば魔法少女を作りださない方が有益だろう」

氷川「契約推奨派の人たちから反論は出なかったのですか」

幹部B「もちろん出たさ、しかし警視総監がその場に訪れてな推奨派を全員連れていってしまった」

北條「ああ、それはご愁傷様です」

幹部A「私もあれは遠慮したいよ」

北條「私たちは魔法少女はアギトの力を利用していると思っていましたが違ったのかもしれません」

氷川「その時は情報が少なかったので仕方がないと思いますが」

北條「東京に魔法少女が見当たらない、そしてよく考えれば東京でインキュベーターを一体も見かけてはいません」

氷川「姿を隠しているだけでは、魔女のように」

北條「インキュベーターは出来るかもしれませんが、魔法少女には無理でしょう」

氷川「こういうのはどうでしょう、インキュベーターが東京にいられないから東京で魔法少女は作られない」

北條「インキュベーターにとって私たちの存在が不都合だから出てこないと思っていました」

北條「ですが、思い返せば佐倉さんとの情報交換を除いては彼女たちと接触する時は暁美さんを介していました」

氷川「つまりアギトはインキュベーターの天敵」

北條「インキュベーターはそうは思っていないかもしれませんがね」

氷川「そう考えれば東京には津上さんと葦原さんの二人が居ます」

北條「そして二人とも相当な実力を持っています、その二人の存在をインキュベーターは無意識で避けたのでしょう」

氷川「そうなると、なぜインキュベーターはアギトを避けるのでしょうか」

北條「魔法少女システムとアギトというものが絶望的に相性が悪いのかもしれません」

北條「今までの私たちはアギトを土台に魔法少女が作られていたと思っていました」

氷川「もしその前提が違うのならばアギトの上に魔法少女システムの土台を乗せて魔法少女を作っていた」

北條「アギトの力が覚醒すると魔法少女システムの土台を破壊してアギトが浮かび上がる、その為に暁美さんは魔法少女じゃなくなった」

氷川「それを利用すればもしかしたら」

北條「まあ現在の人類の科学ではどちらも解明できませんけどね」

氷川「全く解決方法がないよりマシです」

小沢「北條君、G3のガードチェイサーにあれを付けるの本当にやる気?」

北條「やりますよ、今は一つでも大きい火力が欲しいですからね」

小沢「止めても無駄みたいね、プログラミングはしているわ、演習室で訓練してきなさい」

北條「ぶっつけ本番でこけたら洒落になりませんしね」

小沢「G3のGG-02はG3-Xの方に積み込んでおくわよ」

北條「そうして下さい」

氷川「小沢さん、北條さん!!」

小沢「氷川君、どうした?」

氷川「さっき鹿目さんから連絡があって、インキュベーターに美樹さんがそそのかされたそうです!!」

北條「内容は」

氷川「美樹さんが言うには暁美さんが魔法少女システムを願いによってこの時間に飛ばしたんじゃないかと予測したらしいです」

小沢「そう来たか、暁美ちゃんを排除するための一計ね、明確な証拠を出しようがない推測を立てて不信を煽っているのよ」

北條「仮に暁美さんが記憶を取り戻したとしてもその証言を信用出来るかは別問題ですからね」

小沢「私たちに通用するワルプルギスの夜を撃破できる戦力を確実に減らせる手ね」

小沢「そのインキュベーター、ワルプルギスの夜が倒される確率が出る度に今回のような手を打って内部崩壊させていたのでしょうね」

氷川「しかし、長期間組んでるチームもいそうなのに簡単に内部崩壊を引き起こせるものでしょうか」

小沢「組んでる時間は関係ないわ、推測通りなら相手は常に切り札を二枚持っているようなものよ、魔法少女の正体と行く末の二枚をね」

北條「暁美さんの証言が頼みになりますが、私たちの方でも出来る限りの証拠を見つけましょうか」

氷川「そんな証拠あるんでしょうか」

北條「可能性程度でいいならば示せるはずですよ」

QB「さやか、君が暁美ほむらを倒す唯一と言ってもいいチャンスを捨てるなんて、どうかしているとしか思えない」

さやか「あんたに唆されたまんまじゃ嫌だからね、転校生の言い分を聞きたいんだよ」

QB「唆されしとは心外だな、僕はただ事実と興味深い話、そしてそこから導き出された推測を話しただけじゃないか」

さやか「聞いてもいない話をするのは唆すって言わない?」

QB「あくまで推測を話しただけじゃないか、それに一時は僕の言い分が正しいと思ったんだろ」

さやか「そうだよあんたの推測が正しいと思って、あたしは転校生を殺そうとした」

さやか「よく考えないでもわかることだけど、転校生がそれをやったっていう証拠はどこにもないのにね」

QB「やっていないという証拠もないけどね」

さやか「それに転校生が目覚めた時間とあんたが活動していた時間にはずれがあるし」

QB「暁美ほむらの時間移動が限定的なだけかもしれないよ、まどかが願うのなら何年も遡るのは不可能じゃない」

さやか「もういいQB、ここであたしに殺されるか黙るかを選んで」

QB「殺されるのは遠慮したいな、それに近くにいると口を出して刺激しそうだからどこかに行くとするよ」

さやか「転校生にあんなこと言って、あたし馬鹿だ」

さやか「生き続ける勇気も、恭介に正体を明かす勇気もないのに」

さやか「でも事実を知りたいって知ってどうするんだよ」

??「独り言をするなら、もうちょっと離れてしてくれ」

さやか「なにさ、あんた」

??「適当にバイクを走らせてたら、ここに辿り着いて休憩してるだけだ」

さやか「ふーん、バイクか…」

??「なんだ、お前も嫌なことがあるのか」

さやか「嫌なことがない人はいないんじゃないの、でもなんでそう思うの」

??「そういう人間の雰囲気や表情が顔に出てるのさ」

さやか「分かるの?」

??「何回も見てきたからな」

さやか「あんたもそうなの?」

??「さあな」

さやか「あたしは嫌なことに立ち向かってもないし、逃げようともしていない」

??「別にいいんじゃないか、立ち止まっていても」

さやか「そこは普通『勇気出せ』って言う場面だと思うけど」

??「俺には資格がない」

さやか「あたしの事情知りたい?」

??「どうでもいい」

さやか「じゃあ、勝手に話す」

さやか「あたし、大切だと思うもののために自分を売ったんだ」

さやか「聞いていただけでも大きい代価だったのに、不可能なことを叶えてくれるなら絶対にやり遂げられるって思ってた」

さやか「けど本当の意味で自分を売り払ったって分かった、それであたし、あたし」

??「話したくないなら話すな」

さやか「少し詰まっただけだよ、ちゃんと聞いときなよ」

さやか「今のあたしは空っぽだったんだ、この体に何もない、それを知ってあたし自身ショックだった」

さやか「それで自分を売ってまで手に入れたものを取られそうになって焦った、こんなあたしじゃ資格なんてないんじゃないかって」

??「それで空っぽの自分を知られたのか」

さやか「まだ知られてない、知られたくない」

さやか「こんな空っぽのあたしじゃ絶対に拒絶される、愛してもらえない、それが怖くてあたしは」

??「拒絶は誰かにされたのか」

さやか「事情を知っている友達は受け止めてくれた」

??「じゃあ、それでいいじゃないか、そして隠せるなら隠し続ければいい」

さやか「そういう訳にはいかないよ、あたしには残っているのはあたしの正義をやり遂げるだけで」

??「やめとけ」

さやか「もう遅いんだよ、突っ走って知り合いを傷つけた、そいつは悪くないかもしれないのに」

さやか「魂をこんな石にされて、肉体はゾンビみたいなもので、知り合いを傷つけて、あたしは、あたしは!!」

??「お前は俺に似ているな」

さやか「どこが!?あんたは普通の人間じゃない、化け物みたいなあたしとは大違いだよ!!」

??「化け物か、本当にそっくりだ」

さやか「はあはあ、喋りたいこと喋ってすっきりした」

??「なんだ、俺はサンドバック代わりか」

さやか「そんなつもりはなかったんですけど」

??「まあ多少は前向きになれたならそれでいいんじゃないか」

さやか「そうだね、素直に答えを受け入れる気にはなれた」

さやか「なんかすいませんでした、目上の人にため口で怒鳴り散らして」

??「別にいいさ、慣れてる」

さやか「あの名前聞いていいですか、あたしは美樹さやかです」

??「葦原涼だ」

さやか「葦原さん、本当にすいませんでした、今度お詫びします」

葦原「だからもういい、詫びる必要もない」

さやか「え、これは!?」

葦原「ん?」

さやかと葦原が喋っていた付近は魔女の結界に呑みこまれた。
目の前にいるのは太陽を模した塔に向かって祈り続ける黒い女性の姿をした魔女だ。
視界は悪くないむしろはっきりと見えているが、周囲は不自然に暗く形があるものは全て黒く見える

葦原「おい、お前何をしている」

さやか「駄目!」

葦原は女性を不審に思い近寄っていくがさやかが引きとめる。
葦原が行こうとした先へと無数の黒い枝が地面から突き出してきた。

葦原「すまん」

さやか「気にしないで、とりあえず逃げよう」

そう言うと二人は魔女に背を向けて走り出す。
走っていくと道は螺旋を描き下へと続いている。

葦原「全く妙な所に飛ばされたもんだ」

さやか「大丈夫、葦原さんはあたしが守ります」

葦原「普通は立場逆じゃないか」

さやか「普通じゃないから、仕方ないですよ」

道をどんどんと下っていく。
阻むものはいない、追ってくるものもいない好調な道のりだった、下りきるまでは。

さやか「道理で追ってこないわけだ」

葦原「こんなにいるならわざわざ狭いところで戦う必要もないしな」

葦原「俺が道を開けるから先に行け」

さやか「今なら転校生の気持ちが凄いわかるよ」

葦原「どうした?」

さやか「似たような状況の時に知り合いを罵倒したんですよ、戦える力があるなら最初から使えって」

さやか「うん、凄い躊躇う、ちょっと前まで話していた相手の前で常識外の力を振るうって凄い怖い」

葦原「今度謝ればいいさ、その時は名前で呼んでやれ」

さやか「わかってる、言っときますけど、後で逃げてもいいですよ」

葦原「おい待て!!」

葦原の静止を振り切り、さやかは魔法少女に変身して触手のような使い魔の前に躍り出る。
両手にサーベルを持って襲ってくる使い魔を次々と切り刻んでいく。

さやか「今だ!行って!!」

さやかの声と同時に葦原は走り出していた。
開けた道の先は未だ出口は見えないが使い魔の姿はない。

葦原「あいつらはなんだ」

さやか「多分最初に見たのが魔女で触手みたいなのが使い魔かな」

葦原「あいつらと戦うために契約したのか」

さやか「それが代償だと思ってた」

さやかはそう答えると出口を探るために魔力を飛ばす。
一分も経たないうちに出口は見つかったようで進み始める。
辿り着いた先の空間で出口を開けようと試みる。

葦原「敵が出てきたな」

さやか「こんな時に」

葦原「ここは俺がやる、出口を開くことに注力していろ」

そう言うと葦原は走り出す。
腕を交差させベルトを出現させ「変身!」と叫ぶ、葦原の姿が歪んでいく。
歪みが元に戻りその場にいたのは元の葦原ではなく、緑色の皮膚を持った異形の戦士だった。
アギトとはまた違う戦士、ギルスだ。

ギルス「うおぉぉぉぉ」

ギルスは吠え、爪を呼びだして使い魔の群れへと飛び込んでいく。
まさに鎧袖一触、ギルスの爪が触れるだけで容易く使い魔は切り裂かれていく。

さやか「葦原さんも変身して戦えたの!?」

ギルス「俺が行く前に飛び出した馬鹿はどいつだ!」

さやか「それは悪かったけど…、後で事情聞かせてもらうからね!!」

ギルス「答えるかは別だぞ!」

軽口を飛ばし合いながらギルスは使い魔をほぼ一掃する。
同時にさやかは結界の出口を開くことに成功する。

さやか「出口を維持するから先に!」

ギルスは結界の外へと飛び出し、手をさやかへと突きだす。
その手を取ろうとした時、さやかの腹部を使い魔が掴む。

さやか「こいつ!?」

さやかは使い魔を引きちぎろうと試みるがうまくいかない。
突如使い魔の力が弱まり、さやかはギルスに引っ張り上げられる。

葦原「大丈夫か!?」

さやか「最後に掴まれたけど怪我はないですよ」

葦原「そうか」

さやか「でも、葦原さんも戦えたなら魔女を倒せばよかったね」

葦原「お互い事情が分からなかったんだ、次に会ったら倒せばいいさ」

さやか「はは、そうだね色々あったけどすっきりしました」

葦原「巻き込まれた俺はたまったものじゃなかったがな」

さやか「いや、本当に申し訳ないです」

葦原「まあ、沈んでいるよりはましか…ん?」

さやか「どうかしました?」

葦原「お前、へそに付いてた宝石はどうした」

さやか「え?あ!!」

さやか「あ、あれが今のあたしの本体なの!!」

葦原「何!?最後に掴んできたやつか!」

さやか「駄目、ソウルジェムがないと結界の場所が分からない!!」

葦原「落ち着け、代わりに見つけられそうな相手はいないのか」

さやか「そうだ!まどかに伝えたら転校生にもマミさんとも連絡がと…」

葦原「おい!?しっかりしろ!!」

葦原「心臓が動いていない!?だがあっちが本体ならまだ生きてはいるのか、『まどか』だったな携帯借りるぞ」

本日はここまでです
葦原さんとさやかちゃんを絡ませるっていうのは初期から考えていました、似たところ結構多いし、ギルスはカミキリムシがモチーフって知ってますが最近魚としか思えないし

警視総監に連れていかれた人たちは性根を叩き直す地獄の猛特訓とか趣味の秘境探検に連れていかれたとかなんとか

ギルスヒールクロウとかかっこいいよな

素朴な疑問ですが、葦原さんが最終回で拾った犬は出るんですか?
ついでに1つ思ったのですがオーヴァーロードにとっては魔女も魔法少女もあってはならない存在ではないでしょうか。
人を捨てて力を得た魔法少女と、人でなくなった魔女、どっちも滅ぼすに値すると思いますが。

北條さんが頼りになるSSなんて初めて見た

>>250
あの犬は確か脚本家曰く死んでしまったって言われてなかったかな?
でもSICの小説じゃ生きてたけど

警視総監があの人なら警視庁特別救急警察隊に風見さんがいるかもしれん…

1です、まったり投下します

>>警視総監関連
流石総監凄い人気、関係ないですが藤岡弘は改造人間であるって言われても納得できます

>>248
アギトの必殺技は全体的に出した後の間がいい感じだと個人的には思います

>>250
ある人を出したいので出そうかなとは考えてます
魔法少女関連はネタバレにならない程度に説明すると、アギトは本編後なので見守り体制、オーヴァーロードさんは優しすぎ

>>253
北條さんは本編でも頼りになる人ですよ

>>255
井上敏樹さんが書き続けたら死ぬか、別れると思います

>>259-263
あれは番組の映像と構成が悪いと思います
ギルスの映像を流しときながら、最近のライダーは彼女が居るとか武器を使うとかの説明するとか…

ほむら「駄目ね、全然思い出せない」

杏子「まあ、簡単に思い出せるなら苦労はしないわな」

まどか「そうだよ、気に病まないで」

まどか「あれ?さやかちゃんから電話だ、ちょっとごめんね」

まどか「もしもし」

葦原『お前がまどかか?』

まどか「えっと、どちらさまでしょうか?」

葦原『俺のことはどうでもいい、美樹が本体の宝石とやらを奪われたから助けが欲しい』

まどか「え!?さやかちゃんが!!」

葦原『今は橋が見える河川敷付近にいる』

まどか「わかりました!すぐ行きます!!」

杏子「さやかがどうかしたのか!?」

まどか「ソウルジェムを奪われたらしいの!!」

杏子「まどかはマミに連絡をしてからほむらと後で来い!!」

まどか「う、うん、わかった!」

杏子「どこに行けばいいんだ!?」

まどか「橋の近くの河川敷って言ってたよ!」

杏子「行ってくる!!」

マミ「美樹さんが暁美さんに襲い掛かったっていうのも驚きだったのに、その美樹さんがソウルジェムを奪われるなんて」

まどか「きっと大丈夫ですよ、ソウルジェムを砕かれてもおかしくなかったのにわざわざ奪ったんですから」

マミ「そうね、電話をかけてきた男性に会って話を聞かないとね」

ほむら「あれがそうみたいね」

まどか「さやかちゃん!!」

葦原「心臓は動いていないが怪我はないから安心しろ」

ほむら「あなたは?」

葦原「俺は葦原涼、美樹に愚痴られていたら魔女とやらに襲撃された」

マミ「あなたにも魔女が見えたということはアギトなんですか」

葦原「知っているのか、確かに俺はアギトだが、今は美樹のことだ」

杏子「駄目だ、付近を捜索したが結界の反応はみつからねえ」

葦原「そうか、後は虱潰しに捜していくしかないか」

マミ「そうなりますね」

葦原「なら二組に分かれた方がいいな」

杏子「なんでだ、全員ばらけて捜した方が効率は良いだろう」

ほむら「美樹さんのソウルジェムを確保する役割と脅威を排除する役割の分担ですね」

葦原「そうだ、この中で戦闘可能なのは」

まどか「わたし以外全員です」

葦原「なら、二人ずつに分かれられるな」

まどか「わたしはどうすればいいんですか?」

葦原「美樹を人目の付かないところに運んでやってくれ」

ほむら「なら、私の家を使えばいいわ、まどかもそこで待っていて」

まどか「うん、わかったよ」

杏子「よし、マミはあたしとペアだ」

マミ「前から思ってたけど、やけに積極的ね、佐倉さん」

杏子「気にするなよ、急造のペアが二つできるよりも片方は慣れているペアにしといたほうがいいだろ」

ほむら「じゃあ、私たちはアギトペアですね」

葦原「津上みたいなことを言うやつだな」

杏子「ん?気にしすぎか、あいつの本名とは違うし」

マミ「どうしたの佐倉さん」

杏子「なんでもねえ」

葦原「暁美だったな、ヘルメットを付けろ俺たちはこいつで探すぞ」

ほむら「バイクですか」

葦原「振り落とされないようにしっかりと掴まっていろよ」

ほむら「は、はい」

杏子「行っちまったな」

マミ「取れるようになったら私もバイクの免許取ろうかしら」

杏子「かっこいいからって理由じゃねえよな」

マミ「それもあるけど、魔女を探す際に便利だと思わない」

杏子「まあな、歩きじゃ一日で探せる範囲はどうしてもな」

マミ「よし、私たちも行きましょうか」

杏子「魔女が多い場所っていうのはこういう時に厄介だな」

マミ「そうね、流石に今回は目当ての結界以外は無視させてもらうわ」

杏子「あたしもグリーフシードは欲しいがさやかを助けてからだな」

マミ「私は先輩だし、魔法少女に引きずり込んだ原因でもあるからわかるけど、佐倉さんはやけに熱心ね」

杏子「分かってるんだろう、さやかは昔のあたしに似てるって」

マミ「ええ、マミさんマミさんって言いながら付いてきて可愛かったわね」

杏子「あたしも若かったな」

マミ「今からでもマミさんって呼んでくれてもいいのよ」

杏子「流石にそれはなあ」

マミ「っと、反応はあるけどハズレね」

杏子「こっちも反応はあったけど違うな」

マミ「でも、なんで美樹さんのソウルジェムを奪ったのかしらね」

杏子「殺すだけなら、そのまま破壊すればよかったんだからな」

QB「僕としてはさやかのソウルジェムが結界内にあるほうがありがたいんだけどね」

杏子「どっから湧いて出てきやがった」

マミ「さっきの言葉どういうことかしら」

QB「おや、マミからも銃を向けられるなんて思いもしなかった」

杏子「さやかを焚きつけたのはお前だって知ってるからな」

QB「僕にも誤算だったんだよ、さやかが多少とはいえ持ち直すなんて」

杏子「そこまで追いつめたのはお前じゃないか」

マミ「そうよ、あまりにも乱暴な説明をしたらしいじゃない」

QB「僕はちゃんと事実を踏まえたうえでの仮説と言ったよ」

杏子「はっ、それがほむら黒幕説か普通信じねえだろ」

QB「僕には理解できないことだけど、弱っている時ほど何かを盲目的に信じたいんだろうね」

杏子「で、最初に言ってたさやかはこのままのほうがいいっていうのはどういうことだよ」

QB「ソウルジェムがさやかの肉体に戻ってしまうと僕の予想通りにはならない公算が高くなったからね」

マミ「まだ美樹さんに暁美さんを殺させようなんて目論んでいるのかしら」

QB「そもそも最初から期待していないよ、僕にとってはさやかは勝っても負けてもどっちでもいいんだ」

QB「さやかが勝てば暁美ほむらはいなくなる、彼女が勝ってもさやかを殺そうとはしないだろ」

QB「そしたらさやかは暁美ほむらを憎むことになって呪いを貯めこんでいく速度が上がったはずだ」

杏子「まさかお前!?」

QB「おや、いつの間に知ったんだいこの事を推測で辿り着く魔法少女なんて滅多にいないはずなのに」

杏子「マミ!こいつの話を聞くな!!」

マミ「え?え?」

QB「そうだ、僕の目的はさやかの魔女化だ、さやかが魔女化してしまえば戦力が削れるし、今までのように内部崩壊しやすいからね」

QB「そして魔女の結界は正に負の感情の吹溜りだ、数日も置いとけば真っ黒になるはずだ」

マミ「魔法少女が…、魔女に…?」

マミ「嘘よねQB?私の傍にいてあんなに助言をしてくれていたじゃない」

QB「希望から絶望に落ちる時の落差が大きければ大きいほどエネルギーを多く生み出すからね」

これ以上余計な発言をさせないように杏子は槍でQBを突き殺して、会話を遮る。

マミ「QBは私を裏切っていたの?」

杏子「落ちつけマミ」

マミ「落ち付けるわけないじゃない!!」

マミ「私は美樹さんを魔法少女に勧誘して人間をやめさせただけじゃなくて、破滅への道に引きずり込んだのよ!!」

杏子「すぐに破滅するわけじゃねえ、それにあいつも言ってただろ持ち直したって」

マミ「でも、私達はいつかは魔女になる!その運命から逃れるには死ぬしかないじゃない!!」

マミは杏子のソウルジェムに向けて銃撃を放つが、杏子はそれを読み槍で銃弾を防ぐ。

杏子「こんなときでも狙いは完璧とか笑えねえ」

マミ「佐倉さん、家族のことでも苦しんだのに魔女化について苦しむ必要はないわ」

杏子「まだグリーフシードには余裕があるから、遠慮するよ」

マミは銃で殴りに来るが一歩引いて攻撃をかわす。
銃を絡み取ることも考えたがマミは銃の召喚と罠のスペシャリストだ。
自らの武器を一時的とはいえ使えなくするのは愚行だ。

杏子「もうちょっと余裕を持てよ」

マミ「無理よ!!」

銃弾を地面に撃ちこんで罠の布石を作ろうと試みるが杏子は銃弾を切り捨てる。

杏子「お互いの手の内が解っているっていうのはこういう時には厄介だろ」

マミ「そうね」

そういいながらもマミはリボンで直接絡み取ろうと伸ばしてくる。
切り捨てた銃弾の一つを蹴り飛ばして、リボンに絡み取らせる。

杏子「もういいだろ、止めようぜ」

マミ「なら、私の不安を拭い去ってよ!!」

そう叫ぶとマミは肉弾戦をするために間合いを詰めてくる。
杏子は自らマミの懐に飛び込んでマミを抱きしめる。

杏子「絶対に魔女になるって決まってるわけじゃねえ!!」

杏子「ほむらは魔法少女だったが今は魔法少女じゃねえ!もしかしたら元に戻る術があるかもしれないだろ!」

マミ「佐倉さん…」

杏子「あたしはマミに死んで欲しくないんだ、昔の居場所で残ってるのはマミの所だけなんだよ」

マミ「私も魔法少女で昔からの知り合いは佐倉さん以外には…」

杏子「だったら自分から一人になろうとするな!何度も後悔した、何度も顔を見せに行こうと思ったんだ!!」

マミ「私、駄目ね。佐倉さんが心を開こうとしてくれていたのに、美樹さんの前だからって突っぱねて」

杏子「見栄っ張りっていうのは知っているが、これからは見栄張らなくていいんじゃねえか」

マミ「駄目よ、先輩なんだもの見栄は張り続けるわ」

杏子「で、落ち着いたか」

マミ「ええ、もう大丈夫よ。私は街を守るって決めたのよ、ワルプルギスの夜を放っておいて自分から死にはしないわ」

杏子「それでこそ、マミだ」

マミ「ねえ佐倉さん、心を開いてくれたんだから一緒に住まない?」

杏子「それはまだ遠慮する」

マミ「もう佐倉さんったら!」

QB「話は終わったかい」

杏子「生きていたのかよ」

QB「僕の体はストックがあるからね、けどもったいないから殺すのは控えて欲しいね」

マミ「じゃあなんで、また私たちの前に出てきたのかしら」

QB「死体の処理が必要だったからね、でも驚いたよマミまでもが立ち直るなんて」

マミ「失礼な言い草ね、不思議ではないはずよ」

QB「僕が見ていた君は常に陰で泣いていたからね、特に杏子と別れてからは簡単に崩れそうだったよ」

マミ「そうね、私はずっと孤独を感じていた。あの時に魔女化を聞いていたらすぐにでも魔女化していたでしょうね」

QB「人間の感情はよくわからないね、底に着いたと思ったら、あっという間に浮上するんだから」

杏子「そういや宇宙人って話だったな、もしかして感情とかないのか」

QB「そうだよ、僕には感情はない」

杏子「じゃあ、理解できるわけないよな、マミが立ち直った理由なんて」

マミ「でも、なんで私をすぐに魔女にしないで助言をくれていたの」

QB「魔法少女をすぐに魔女にしていたら、あっという間に素質を持った少女は底を尽きるからね」

QB「それにマミは派手な戦い方を好むからね、素質があるものが見たら君に惹かれて魔法少女になる可能性もある」

QB「助言をしていたのは死なれたら困るからだよ、魔女にならずに死なれたらエネルギーが回収できないじゃないか」

マミ「善意で私を助けてくれていると思っていたけど間違いだったようね」

QB「善意で助けていたよ、ただ君たちが家畜に対して向ける善意に近いけどね」

杏子「もういいよ、どうせ時間稼ぎなんだろ」

QB「そうだよ、判りきっていたことだろ」

マミ「けど、私ははっきりさせときたかったのよ」

QB「本当に人間と言うのは不可解だ、じゃあね杏子、マミ」

葦原「ここだな、雰囲気がよく似ている」

ほむら「ここに美樹さんのソウルジェムが…」

葦原「最大速度で飛ばす、しっかりと掴まっていろ」

ほむらの返事を待たずに葦原はバイクを思いっきり走らせる。
アギトの力で結界の入口はこじ開けられ桟橋を一気に走り渡る。

前は急に取りこまれて観察する余裕がなかったが結界の中は無数のステンドグラスから光が差し込んでいるが不自然に暗い。
そして道は桟橋で形成され、橋の下は底が見えないほど黒い。
さやかと葦原が最初に出たと思われる場所は巨大な像の手の上だったらしい。

葦原「この場所を形成しているのは魔女なんだろう、ならソウルジェムもそいつの手元にあるはずだ」

使い魔が進行を遮るように道に群がっているが、葦原はギルスに変身し、バイクもギルスレイダーへと変化し使い魔を蹴散らしていく。
ほむらは必死にギルスの体に掴まり振り落とされないようにしている。

何体かの使い魔はタイヤにしがみつき、ギルスレイダーの速度を下げようとするが、
ギルスレイダーのタイヤは凄まじい勢いで回転し入り込んだ使い魔を切り刻む。
何度目か数えるのも面倒になるぐらいの群れを突破し巨大な像を登る螺旋の道へとたどり着く。

像を登りきった先は一本道で相変わらず魔女が熱心に祈りをささげている。
その祈りの先にあったのは果たしてさやかの青く輝くソウルジェムだった。

ギルスはほむらを降ろしていつでも突撃できるように用意している。
ほむらはベルトを出して変身する、速度を高める青のフォームだ。

魔女を守るように使い魔が一本道に溢れかえる。
ほむらは青いサーベルを構えて、力を込める。

ほむら「私が道を開きます」

そういうとほむらは使い魔の群れへと飛び込む。
サーベルは風の力を携えているために見かけよりも攻撃範囲は広い。
サーベルの刀身には触れていなくても風に依って切り裂かれていく。

使い魔は密集しているためにサーベルの一振りで数をどんどん減らしていく。
戦いに躍り出るほむらに使い魔は群がっていく。
そして使い魔の群れに一筋の空白地帯が作りだされる。

ほむら「今です!!」

その声を聞いてギルスはギルスレイダーを走りださせる。
邪魔する使い魔の影はなく群れの居た場所を最高速度のままに走り抜ける。

後は後ろを向いている魔女に突撃する勢いでさやかのソウルジェムを取り返す。
魔女が生きていたとしても撥ねられた後ならば楽に倒せるはずだ。

魔女に向けて一直線にギルスレイダーは走っていく。
残りわずかというところでギルスレイダーに衝撃が走る。

魔女は肉体の一部を根のように地面に張り巡らせており。
それを知らずに走ってきたギルスレイダーは車体を絡み取られたのだ。
ギルスは宙に投げ出されそうになるがギルスレイダーから飛び降りて地に転がる。

ギルスレイダー自身は衝撃に耐えられず宙に放り出される。
数秒後凄まじい音が鳴り響く、ギルスレイダーが下の桟橋に叩きつけられた音だ。
地面にいるギルスは体勢を立て直すために魔女の攻撃を後退しながら回避する。

魔女の妨害を受けて後退するギルスを見て、ほむらは金色のフォームに変身する。
そしてほむらは邪魔する使い魔だけを倒し、必殺のキックの構えを取る。
ほむらは魔女に向かって跳び上がる。
魔女は髪の毛を束ねて巨大な木の幹を作りだす。
空中で跳び蹴りの態勢を取っていたほむらは木の幹に蹴りをぶつける形になる。
しかし、勢いに負けてほむらは吹き飛ばされる。

ほむらは像の体近くまで吹き飛ばされて地面に倒れこむ。
受けたダメージ量は大きくほむらの変身は解除される。

ギルス「暁美!!」

ほむらが吹き飛ばされたのを見て、ギルスは魔女と距離を取った後に使い魔の群れに襲いかかる。
いくら使い魔が弱いとはいえ数が多くては排除には時間がかかる。

使い魔はほむらのことを戦闘不能と判断したのか、
新たな脅威となったギルスに群がり始める。

ほむら「葦原さん…、美樹さん…」

ほむらは閉じてしまいそうな眼を必死に開き、さやかのソウルジェムがある場所を凝視する。
魔女の真っ黒い髪の隙間から見え隠れしているソウルジェムの無事を確認する。
さやかのソウルジェムは未だに輝きを曇らせずに青く輝く。
魔女は一心不乱にそのソウルジェムに対して祈っているようにも見える。

魔女の真っ黒な髪の揺らめきのせいで、ほむらの眼にはソウルジェムが黒く濁っていくようにも見える。
それを見ているとほむらの頭に思い出したくない光景が浮かび上がってくる。
それは黒く染まったソウルジェムが、グリーフシードになっていく光景だ。

ほむら「思い出した…、全部思い出した!」

ほむらは倒れていた体をゆっくりと起き上がらせる。
しっかりと地面を踏みしめて魔女をにらみつける。

ほむら「もう二度と繰り返させない!私も皆も!!」

両手を前に突き出す、そしてベルトが出現させる位置の上のあたりに右手を引き寄せてベルトを出現させる。
今までのベルトとは形状が違い、バックルを三つの爪が囲い、中心も紫色に光っている。
ベルトの上に置いていた右手を再び突き出して、今度は両腕を交差させる。
そして声を張り上げ、両脇のボタンを押し込む。

ほむら「変身!!」

本日はここまでです
エルザマリアが水のエル状態ですね

今さらですが次の仮面ライダーの脚本が虚淵玄になったので、次にまどかマギカの新作があるなら、井上敏樹脚本が観てみたいなと思います

乙でした
俺は仮面ライダー剣は好きだけど、まどかでは見たくないなww

乙乙
なんとなく親和性高そうだけどね、剣
会えない親友とか

どこかの萌系RPGで脚本が井上だった記憶

乙でした
剣の面々とさやかちゃんは混ぜるな危険

橘さんってさやかとは真逆だよな
一見誰よりも弱く見えるけど実は心身ともに強い

1です、まったり投下します

>>277
結構合うような気がしますけどね、作り方によると思いますが

>>278
全体的に仮面ライダーとまどかの親和性は高く感じます
9月に出る予定ですね、ギャグ寄りな白井上だったら良い感じかと

>>279
それは混ざっても違和感ないぐらい合ってるってことですね

>>280
一応、大人と女子中学生ですからね

ほむらが変身した姿は以前のプロテクターを付けた姿ではなかった。
魔法少女姿を基調とした姿は変わらないものの黒のブーツは赤のブーツに、
菱形の穴から見える光は全てが紫色に光っている。
胸部と肩部を覆う真っ赤な重装甲を身にまとい、背中からは時折エネルギーが紫の光となって放出されている。

ギルスに殺到していた使い魔はほむらの復活を受けて再びほむらを攻撃し始める。
ほむらは近寄ってきた使い魔の一体を拳で殴り飛ばす。
殴られた使い魔は吹き飛んでいる間に燃え上がり焼失した。
ほむらの拳には小さい炎の残滓が残っている。
近寄ってくる使い魔を次々に燃やし飛ばしていく。
しかし、重装甲のせいなのか、強化が上半身に偏っているせいか以前までのフォームに比べると鈍重だ。

ほむらの復活を見てギルスは思考の片隅で安堵の息を吐き、雄叫びをあげる。

ギルス「うおぉぉぉぉ!!」

その雄叫びに階下で大破していたギルスレイダーが呼応する。
上空から落とされた時に曲がっていたボディは元通りになり、吹き飛ばされたパーツが集まり元の位置に収まる。
数秒後そこにあったのは大破した姿ではなく、新車同様となった姿だ。
そしてギルスレイダーは操るものが居ないはずなのにヘッドライトを点灯させ走り出す。
走りつく場所はただ一つ戦場だ。
勢いをそのままにほむらとギルスを取り囲む使い魔の外縁にボディをぶつけ撥ね飛ばしていく。

ほむらとギルスの二人はその場にいた使い魔を殲滅して一息を入れる。
魔女が動かないことを踏まえて使い魔が再び出現するまでの間に作戦を練る。

ギルス「このまま一気に二人で魔女を仕留めるか」

ほむら「魔女をすぐに倒せればいいですが足止めされてしまえば、使い魔が新しく出てきてソウルジェムを持っていきますよ」

ギルス「やはりさっきと同じよう宝石の回収と戦闘で役割をわけるか」

ほむら「さっきとはちょっと役割を変えましょう」

ギルス「どういう風にだ」

ほむら「私が魔女の気を引きます、葦原さんはその間にソウルジェムを、使い魔は葦原さんが必要だと思ったら倒してください」

ほむら「美樹さやかのソウルジェムが人質に取られている状況なので、これが一番可能性があると思いますが」

ギルス「それでいい」

ほむら「私は魔女との戦闘に入りますので、葦原さんは魔女の隙をついてソウルジェムを」

ギルス「任せろ」

ほむら「お願いします」

ほむらは魔女へと進んでいく、魔女はほむらへ根を突き出す。
しかし、ほむらの新たなフォームの重装甲に阻まれて攻撃は通らない。
次に魔女はギルスレイダーにしたように足を絡ませようと試みるも、ほむらが脚に力を籠める度に出てくる炎に燃やされていく。

ギルスは元の位置から動かずにほむらと魔女の戦いを見守る。
魔女は今のところ隙を見せないために、ギルスレイダーを走らせられずにいるのだ。
そしてギルスを妨害するために使い魔が再び現れる。

ギルスレイダーから離れるわけにはいかないギルスは跨ったままの状態で使い魔を攻撃する。
足を離せないために腕だけでの撃退になる。
数が増え続ける使い魔に対応すべくギルスは腕からギルスフィーラーを伸ばし、薙ぎ払う。

ギルスフィーラーはギルスの腕に内蔵している鞭状の武器だ。
広範囲の敵を薙ぎ払ったり、敵を拘束するなど様々な使用方法が可能である。

ほむらは魔女と向き合っている。
魔女からの攻撃は根を利用した攻撃ばかりでほむらが狙っている攻撃が来ない。
拳が魔女に届くか届かないかの距離に入ると魔女は髪を束ね始める。
ほむらが狙っていた攻撃が来たのだ。

ほむらは魔女が作りだした巨大な木の攻撃を受け止める。
流石に攻撃は重くほむらは後ろへと押し戻される。
それを見たギルスはギルスレイダーを急発進させ、ソウルジェムへと向かって行く。

駆け抜けていくギルスを確認し、ほむらは脚に力を込める。
急に自らの攻撃の勢いが止まったことに戸惑う魔女はギルスへの対応が疎かになる。
ギルスの進行を体で阻むように使い魔は自らの体を壁にして立ち塞がる。

ギルスはギルスフィーラーで使い魔の壁を仰け反らせ隙間を作る。
そのままギルスフィーラーを伸ばしてさやかのソウルジェムを掴み回収する。
ブレーキをかけると同時に途中に生えている木にギルスフィーラーを突きさし速度を殺していく。
魔女の手前で停まると反転させて元来た道を戻っていく。

ソウルジェムの回収を確認し、ほむらは受け止めていた魔女の攻撃から片腕を離す。
片腕で魔女の攻撃を止め続けるのは流石に無理で、力を込めている脚を引きずらせながら後退させられていく。
離した腕に全力を込めて目の前の巨木に叩きつける。

拳から発生した炎は先ほど使い魔を燃やした時よりも遥かに強い勢いで燃え広る。
魔女は木にしていた髪を素早く分離させていくが炎の勢いの方が速い。
結果、魔女は自らの髪を大胆に切り捨てる、先ほどまでの地面に届きそうな長い髪は首筋にかかる程度のショートカットになった。

一方、ほむらも体力を使いきってしまったらしく呼吸が荒い。
魔女からの攻撃を食らい、新フォームの開眼、使い慣れていない力を使うと体力が切れるのは当たり前だ。
膠着状態に陥っている中にギルスが戻ってくる。

ギルス「大丈夫か!?」

ほむら「大丈夫ですけど、これ以上の戦闘はきつそうです」

ギルス「こいつを頼む」

ギルスはさやかのソウルジェムとギルスレイダーをほむらに預ける。
そして魔女にとどめを刺すべく駆けていく。

髪での戦闘手段は無くなったとはいえ、魔女にはまだ地面からの根の攻撃がある。
ギルスはクロウを伸ばして、生えてきた根を切り払って進んでいく。

ギルス「うおぉぉぉぉ!!」

ギルスは口を開き、咆哮をあげる。
魔女はその声に驚き、攻撃の手を一瞬止める。
ギルスは踵に巨大な爪を作りだして跳び上がり、片足を魔女に対して振り下ろす。

魔女に刺さってない方の脚で魔女を蹴り、振り下ろした脚を抜くと同時に距離を取る。
ギルスが離れると魔女の体は崩れ落ち、消滅した。
ギルスの変身を解いた葦原は落ちていたグリーフシードを拾い戻ってくる。

葦原「戻るぞ」

ほむら「ここにいても戻りますよ」

葦原「変な所に放り出されたら面倒だ、乗れ」

ほむら「はい」

ほむらを後ろに乗せて、葦原は元に戻ったバイクを走らせる。
像を降りた辺りで結界は崩壊して元の世界に復帰する。
出た場所は運良くゲートがない駐車場のようだ。

葦原「とりあえずお前の家まで送っていく」

葦原「その前に、今も捜索してるかもしれない二人に連絡を取っておけ」

ほむら「ちょっと待って下さいね」

ほむら「マミ、美樹さやかのソウルジェムは取り返したから私の家へ」

ほむら「場所は杏子が知ってるはずだから」

ほむら「行きましょう」

葦原「もういいのか」

ほむら「詳しい話は後で出来ますので」

葦原「じゃあ残りのちっこいのもさっさと安心させてやるか」

ほむら「ナビしますね」

葦原「ああ」

葦原「ここか」

ほむら「はい、明日も見滝原にまだいますか?」

葦原「今日は色々あったからな、今日はこの辺りで泊らせてもらうさ」

ほむら「なら明日、美樹さやかに礼をさせますので同じ場所にいてあげてくれませんか」

葦原「断る、礼を言われる筋合いはないからな」

ほむら「あなたはそれで良いかもしれませんが、彼女が気に病むかもしれませんので」

ほむら「折角助けたのにそんなことになったら面倒ですので」

葦原「…はあ、分かった。但し午前中までだ午後には発つ」

ほむら「それで構いません」

葦原「どことは分からんが、雰囲気変わったな」

ほむら「記憶取り戻してしまったので」

葦原「お前もか世の中には意外と記憶喪失っていうやつが多いのかもな」

ほむら「そうなんですか」

葦原「まあ記憶を取り戻そうが取り戻すまいがお前はお前だ、今まで通り接してやれ」

ほむら「そうします」

葦原「とりあえず来るなら、美樹にはちゃんと午前中に来るように伝えろ」

まどか「ほむらちゃん!さやかちゃんは大丈夫!?」

ほむら「まどか落ち着いて、ちゃんとここにあるわ、グリーフシードも」

まどか「良かったー」

ほむら「マミも杏子もそのうち来るはずだから、ちゃんと起こしておかないとね」

まどか「本当に起きるの?」

ほむら「大丈夫よ」

さやか「あれ!?携帯は!?葦原さんは!?ソウルジェムは!?」

ほむら「落ち着きなさい」

さやか「転校生!?」

まどか「さやかちゃん良かったー!!」

さやか「まどかまで!?」

マミ「美樹さん!大丈夫!?」

杏子「よっ、あんまり世話掛けるなよ」

さやか「マミさんに、杏子!?」

ほむら「マミに杏子、ノックぐらいしてちょうだい」

マミ「暁美さんごめんなさい、でも急いで確認したくて」

杏子「結局お前に面倒を押しつけた形になっちまったな」

ほむら「気にしないでいいわ」

ほむら「皆色々言いたいことも、聞きたいこともあるでしょうけど今日は帰って休みなさい」

さやか「なんでだよ」

杏子「あたしは家ないからほむらの所に泊めてくれ」

マミ「佐倉さんは私の所に泊ってもいいのよ」

杏子「なんか怖いから遠慮しとく」

まどか「ほむらちゃんも理由なく言ってるはずだから、話を聞こうよ」

ほむら「美樹さやかは今日色々ありすぎたでしょ、身体と精神を休めなさい」

ほむら「杏子を泊めるのは別に構わないわ」

ほむら「マミもそんなに寂しいならあなたも泊って良いから」

ほむら「まどかは相変わらず清涼剤ね、時には起爆剤になるけど」

杏子「ありがとよ、色々と取ってこないとな」

マミ「お友達とお泊りなんて、いつ以来かしら」

さやか「というか、あたしが聞いたことは大丈夫なの」

ほむら「大丈夫だけど、今日は帰りなさいって言ってるでしょ」

まどか「記憶を思い出したんだね」

ほむら「ええ、前の時間のことも全部」

杏子「あたしもそれは気になるな」

マミ「お泊りー」

ほむら「あなた達はもう荷物とりに行きなさい、前の時間のことも明日説明してあげるから」

さやか「転校生、あのさ」

ほむら「なにかしら美樹さやか、お礼も罵倒も明日聞くわ」

さやか「なにさ人が折角歩み寄ろうとしてるのに」

ほむら「あなたには私よりも先にお礼をすべき人が居るはずよ」

さやか「もしかして、葦原さん?」

ほむら「彼が助けてくれたのよ」

さやか「でも、どこにいけば…」

ほむら「明日の午前中までは今日と同じ場所にいるそうよ、午後には発つって」

さやか「え?え?」

ほむら「私からお願いしたのよ」

まどか「ほむらちゃん、優しいね」

ほむら「私の為でもあるのよ、美樹さやかはこういうことは引きずるタイプだから」

さやか「あー、うー」

ほむら「一人で行けないっていうなら一緒に行きましょうか」

さやか「ひ、一人で行けるよ!」

さやか「あ、あとさ」

ほむら「まだ何か言いたいことがあるのかしら」

さやか「初めてあんたが戦って助けてくれた時に酷いこと言ってごめんね、ほむら」

まどか「嬉しそうだね、ほむらちゃん」

ほむら「あの子と良い関係が築けるなんていつ以来か分からないからね」

葦原「よお」

さやか「葦原さんって義理堅いですよね」

葦原「どうしてだ」

さやか「だって、ほむらに嘘言っててもいいのに、ちゃんと居るんですもん」

葦原「出来るだけ約束は破りたくないだけだ」

さやか「そうなんだ」

さやか「昨日は色々とありがとうございました」

葦原「構わん、目の前で死なれる方が後味悪かったしな」

さやか「でも、友人たちに伝えてくれただけじゃなくて、また結界に入って助けてくれたなんて」

葦原「お前が俺の立場でもそうするだろ」

さやか「それは、そうですけど」

葦原「話がそれだけなら、俺はもう行くぞ」

さやか「ちょ、ちょっと待って」

葦原「話すならさっさと話せ」

さやか「前と同じですね」


さやか「あたしの抱えている秘密は大体昨日の通りなんですよ」

葦原「確かに事情を知らないやつや、慣れていないやつには化け物に見えるかもしれないな」

さやか「それで魔法少女になる時に願い事を一つ叶えてもらえるんです、奇跡のようなものでも」

葦原「奇跡の代価か、知っていたら願い下げだな」

さやか「本当にそう思います。幼馴染の治らないって言われていた腕を治してもらったんですよ」

さやか「そこまでしたのに身体に魂がないことを聞いた後は、話すのすら躊躇ってました」

さやか「それで友人がそいつのことが好きだって宣戦布告してきたんですよ」

葦原「で、昨日うだうだしてたわけか」

さやか「他にも色々ありますがそれが主因です、はい」

葦原「別に身体の事を馬鹿正直に話す必要はないんじゃないか、気をつければ普段通りの生活は送れるはずだ」

さやか「いいんでしょうか」

葦原「俺はそうしている」

さやか「葦原さんは、その体でも平気なんですか」

葦原「俺は自分を憐れんだりはしない」

さやか「そうですか…、よし!!」

葦原「もういいのか」

さやか「はい、お世話になりました」

葦原「別に何もしていない、お前が自分で答えを出しただけだ」

さやか「葦原さんがいなかったら、あたし絶対間違った答えを出していました」

さやか「今ならほむらの話を聞いても大丈夫です」

葦原「暁美の名前を素直に呼べるようになったんだな」

さやか「これも葦原さんのおかげですよ」

葦原「そうか、お前が吹っ切れたなら俺はもう行くぞ」

さやか「はい!」

葦原「じゃあな」

さやか「またいつか会えると良いですね」

葦原「厄介事に巻き込まれるのは御免だがな」

さやか「落ち着け、大丈夫だよあたし」

さやか「ほむら、入るよー」

マミ「美樹さん、あの人とはどうだったの?」

さやか「うわ!?」

ほむら「マミ、先に入れてあげて」

マミ「あ、ごめんなさい」

杏子「後輩に怒られてやんの」

マミ「だって美樹さんが心配だったもの」

まどか「あ、さやかちゃん、もういいの?」

さやか「まどかもいるってことはあたしが最後か」

ほむら「仕方ないわ、結局全員泊ったもの」

さやか「え、さやかちゃんだけ仲間外れですか?」

ほむら「昨日あんなことがあった後でこの面々と一晩過ごせるなら構わないわよ」

さやか「ごめんなさい、ほむら様の心配りがとても心にしみます」

ほむら「それと私の話をするのはお昼を取ってからにしましょうか」

杏子「はあ、美味かった」

マミ「佐倉さんの持ってきた野菜も良いものばかりだったわよ」

ほむら「これを自家栽培してレストラン経営してる人ってすごいわね」

まどか「今度、皆で行こうよ」

杏子「東京だけどな、まあもう一回あいつの料理は食いたいけどな」

さやか「あのー、そろそろ本題に入りたいんですが」

ほむら「別にいいけど、残りの秘密を知らないのはあなただけなのよ心の準備は良いかしら」

マミ「そうよね、あの秘密はきついわよね」

杏子「あー、体に魂がないだけであんなに取り乱してたからな」

まどか「もうちょっと時間おいても大丈夫だよ」

さやか「さやかちゃんは大丈夫だよー、ってかまどかも知ってるの!?」

ほむら「むしろ私を除けばこの中で一番最初にソウルジェムが魂っていうのを知ったわね」

さやか「あたし蚊帳の外かー」

マミ「鹿目さんに教えて私に教えてくれなかったのは納得いかないわ」

ほむら「あなた達はタイミングが悪いと精神が脆くなるから言い辛いのよ」

マミさや「「すいませんでした!」」

ほむら「気を取り直して、話を始めるわよ」

ほむら「簡単に説明するけど魔法少女の末路は魔女よ」

さやか「いきなりどぎついです」

ほむら「あなた以外皆知ってることよ」

杏子「さやかのソウルジェムをマミと探してる時にQBに言われたよ」

まどか「杏子ちゃんから、氷川さん達の推測を教えてもらったんだ」

さやか「マジであたしだけ知らなかったよ」

ほむら「昔はこれを知ったマミが発狂したわ」

杏子「今回も発狂しかけたぞ」

ほむら「ちなみにさやかは高い割合で魔女化してたわ」

さやか「迷惑かけてすいません」

ほむら「それとこれはまどかを魔法少女にしない理由でもあるのよ」

まどか「どういうこと?」

ほむら「その時のインキュベーターの話によるとまどかの魔女は十日で地球を滅ぼすそうよ」

まどか「うぇぇぇ!?」

ほむら「魔法少女の秘密はそれで全部よ、次は私の事を、ん?」

ほむら「電話みたいだから、ちょっと待ってちょうだい」

ほむら「どうかしたんですか、北條さん」

本日はここまでです

遂にバーニングフォーム登場
なぜか自分はバーニングフォームを忘れやすいです。アギト自体が全体的に基本の三フォームで戦うことが多いせいかもしれませんが


バーニングはパワーはあるけど消耗も激しいし、スピードも落ちるから短期決戦って感じだなぁ
後方からの支援射撃か随伴するスピード型がいないとそれも厳しいけど

乙乙

バーニングかっこいいし大好きだけど若干出番とかがね…

乙です。やはりさやかの一件が落ち着くと落ち着きますなー。

>>300
バーニングって、ほかのライダーのフォームでいうなら
アメイジングマイティ、紅、クライマックス、ドガバキとかと同類って感じがするんだよなぁ・・・(過渡期にしても短くね?的意味で)

お日さまの光で強制的にシャイニングだっけ?

最近の類似例だとオールドラゴン、はCGの都合だな

因子があれば魔女からアギト化もあるのかな?
キリカとかその流れに向いてそうだけど。
愛は魂を進化させる(笑)とかね

葦原さんが魔法少女に化け物呼ばわりされなくて本当に良かった

1です、まったり投下します

>>298
一対一には強いですが、一体多だと本編中でも苦戦してましたからね

>>300
早々にシャイニングに目覚めましたからね

>>301
ここを無事に乗り越えるともう大丈夫って気すらしてきますよね

>>302
別に強制ではありません、必要要素ですが

>>303
常に予算の危機ですからね

>>304
魔女化したら死んでるも同然ですからね、本人が絶望から抜け出せるなら可能かもしれません
キリカの場合は魔女化直前にアギト化しますね

>>306
魔法少女の正体が明かされた後ですからね、前だったらやばかった

北條「氷川さん、何か用ですか」

氷川「僕もお手伝いをと思いまして」

北條「手伝いと言っても調べられる範囲は調べ終わっています」

氷川「では、北條さんは未だに何を調べているのですか」

北條「魔法少女関連と思われる最初の行方不明者はかなり前に遡ることは解ったんです」

氷川「それで暁美さんは関係していないと証明出来るとは思いますが」

北條「根拠が欲しいのです、暁美さんは大体この一ヶ月を繰り返しているので時期だけ見れば無関係とは言えるのですが」

氷川「どうしてこの年に魔法少女システムが動き始めたかですか」

北條「インキュベーターは相当狡賢いみたいですからね、時間のずれを彼女のせいにできそうな推測を出しているでしょう」

氷川「ん、この年は…」

北條「どうかしましたか」

氷川「覚えがある数字なんですよね」

北條「なにか魔法少女と関係したことがあったんですか」

氷川「ええと、そうだ確か津上さんがアンノウンの首魁と思われる人物を倒した年です」

北條「アンノウン……、!」

氷川「何かわかったんですか!?」

北條「もしかしてアンノウンが魔法少女システムを封じていたのではないでしょうか」

氷川「アンノウンは普通の人間は襲わずにアギトに成りうる人物を襲っていた」

北條「奴らにとってみれば人間を捨てさせるような魔法少女システムも忌むべき存在だった」

ほむら「どうかしたんですか?」

北條『美樹さんの話を聞いてこちらでも調べてみたんです』

ほむら「ちょうどそれに関係する話をするところでした」

北條『私の方が明確な答えを示せるかもしれないので先に話をしてもよろしいですか』

ほむら「構いませんが」

北條『スピーカーフォンにして皆さんに聞こえるようにしてください』

北條『皆さん私の声は聞こえていますか』

まどか「は、はい」

マミ「北條さんから連絡が来るなんて」

杏子「この声は確か偉そうなやつだったな」

さやか「あたしのせいで大変なことになってる予感がする」

ほむら「こちらは聞こえているみたいですが、そちらは」

北條『こっちもはっきりと聞こえていますよ』

北條『結論から言わせてもらいます、暁美さんが原因でこの世界に魔法少女システムが持ち込まれたわけではありません』

さやか「時間のずれだったら、QBがまどかの願いなら結構ずらせるって聞きましたが」

北條『やはりそう説明されてましたか、私たちの推測ですが魔法少女システムはこの世界では封印されていたと思われます』

北條『暁美さんと鹿目さんには説明しましたよね、過去にあった不可能犯罪とアンノウンのことは』

ほむまど「はい」

北條『他の方々にも簡単に説明させていただきます』

北條『アンノウンは超常的な力を用いて特定の人間を殺害していました、それを不可能犯罪と呼んでいるのです』

杏子「特定の人間ってどういった相手を殺していたんだよ」

北條『超能力者やその片鱗が見える人とその親族が殺されていました』

北條『そのアンノウンに対抗するためにG3が使用されたのです』

さやか「もしかして魔法少女システムを封印してたのが、そいつら」

北條『私たちはそう推測しています、統計では魔法少女関連と思われる事件の発生と不可能犯罪の終結が同じ年です』

マミ「QBは宇宙人なんですよね、そんな存在が作ったものを封印なんて出来るんですか」

北條『人類には不可能でしょうが、アンノウンの首魁ならば可能だとは思います、実際にその首魁がやったと思われる現象は星すらも動かしています』

杏子「とりあえず、魔法少女システムにほむらは無関係なんだな」

北條『私たちの推測ではそうです』

まどか「ほむらちゃん、良かったね」

さやか「ほむら、ごめん」

ほむら「別にいいわ、悪いのは全てインキュベーターなんだから」

北條『では、私はこの辺で』

ほむら「ありがとうございます」

北條『お礼はワルプルギスの夜の後に改めてお受けします』

QB「そんな生命体が活動していたんだね」

さやか「この詐欺師!!何の用だ!!」

QB「詐欺師は自己の利益を得るために他者に不利益を被らせるものの総称だろ、僕には当てはまらないよ」

さやか「あたしにあんな当てずっぽうな説明しておいて!そんな言い訳が通用するか!!」

QB「何度も言ったけど僕は事実を基に仮説を立てただけだよ、それを勝手に鵜呑みにしておいて非難されるいわれはないよ」

さやか「こいつ!!」

ほむら「こいつには言うだけ無駄よ」

QB「君は冷静なんだね、暁美ほむら」

ほむら「本当は殺したくてたまらないけどね、ところで美樹さやかの話ではあなたは私に近寄れないんじゃなかったの」

QB「正確には近寄りたくないだけだよ、未知のものに接触する時は十二分の対策を施してからじゃないとどんな危険があるかわからないじゃないか」

杏子「それは別にいいじゃないか、とりあえずなんでこいつがここに来たかだよ」

QB「さやかが元に戻ってどんな感じか様子を見に来たんだ」

さやか「どうせソウルジェムの濁り具合を確認しに来たんでしょ!」

QB「そうだよ君が魔女になりそうならば言うことなしだよ」

さやか「よし、死ね」

まどか「さやかちゃん、ちょっと待って」

さやか「なんで止めるのさ」

まどか「QBはなんでこんな酷いことをするの」

QB「酷いことだって?君たちは家畜に対して行っていることにもそう思うのかな」

QB「僕たちが魔法少女システムを作った理由はね」

QB「と言う訳なんだよ、良ければ宇宙の寿命を延ばす為に魔女になってくれ」

マミ「黙りなさい」

杏子「遠慮するよ」

さやか「もういいよ、死ね」

まどか「縛られて、突き刺されて、切り刻まれちゃった」

ほむら「どうせ次が来ているのでしょう、掃除してさっさと帰りなさい」

QB「きゅっぷい、じゃあ処理している間は殺さないでくれよ」

さやか「QBが!」

まどか「二体も!?」

杏子「こいつの体はストックが沢山あるらしいぜ」

ほむら「今は掃除させないといけないから駄目だけど、外で会ったらストレス発散に殺しても良いわよ」

マミ「私は外で銃を出す趣味はないわよ」

さやか「あたしも通報されるしな」

杏子「人目が付かないところだったら殺しとくさ」

ほむら「殺し続けるのも手間だから、掃除が終わったらさっさと出ていきなさい」

QB「そうさせてもらうよ」

さやか「どんだけ時間かかるんだよ」

QB「さやかがみじん切りにしたから手間がかかるんだよ」




マミ「やっぱり駄目ね、意図的に見滝原で魔女が生まれないようにしているみたい」

さやか「今の手持ちのグリーフシードじゃ、ちょっと心もとないですね」

杏子「ほむらも入れれば四人だ、ワルプルギスの夜は倒しきれるとは思うが…」

マミ「そういえば暁美さんはどこに行ったの」

杏子「ほむらは別の場所で魔女を探してくるって遠出してる」

さやか「そう言って逃げたんじゃないだろうな」

マミ「冗談でも止めなさい、鹿目さんも居るんだし彼女は帰ってくるわよ」

まどか「ごめんなさい、わたしが契約すれば簡単に倒せるはずなのに」

さやか「まどかを責めたつもりじゃないよ、それにまどかもこんな体になる必要はないよ」

マミ「そうよ鹿目さん、あなたにはあなたにしか出来ないことがあるはずよ」

杏子「ワルプルギスを倒すために契約しようとしたら殺すからな」

まどか「皆、ありがとう…」

さやか「でもさ、ほむらはまどかの為にやり直し続けてるんだから尊敬するよ」

マミ「暁美さんにとっては生き地獄なのにね、やり直す度に鹿目さんや私たちが目の前で死に続けるんだから」

杏子「本当ならあいつはとっくに壊れていてもおかしくないんだよな」

まどか「……皆にわたしが契約する時の願いを聞いておいて欲しいの」

マミ「鹿目さん、自分が何を言っているか分かっているの?」

まどか「もしもの為です、契約しないで済むといいなとは思っています」

杏子「言えよ、ほむらが居ない間に言っておきたいんだろ」

まどか「うん、わたしの願いはね」

ほむら「ここまでやったのにワルプルギスの夜は倒せないの!?」

マミ「暁美さん、時間を巻き戻すのは可能かしら」

ほむら「無理よ、もう魔力が残ってないもの」

杏子「グリーフシードもストック切れか」

ほむら「使いきったわ、今回で終わらせるつもりで戦ったから」

まどか「ほむらちゃん、皆、わたし契約する!」

ほむら「まどか!?」

QB「まどか、君はどんな願いで魂を輝かせるんだい」

まどか「わたしの願いは、ほむらちゃんにわたしを含めた四人の魔力を注ぐこと!」

QB「契約は成立だ、受け取るといいそれが君の魂だ」

ほむら「まどか…、なんでそんな願いを…」

まどか「ほむらちゃんが無事なら、最高の結末に辿り着けるってわたしが信じているから」

ほむら「無理よ!今回で辿り着けなかった私には…」

まどか「泣かないで、わたし達と一緒なんだから次は大丈夫だよ」

ほむら「なら、私もこのままあなた達と一緒に戦って!!」

マミ「駄目よ、何のために私たちが鹿目さんから願いを前もって聞いて、それに手を加えて許可を出したと思っているの」

さやか「そうだよ、それに時間を巻き戻せないでほむらがここで死んだら折角のあたし達の魔力もまどかの決意も無駄になる」

杏子「あんたは誓ったんだろ救ってみせるって、ならさっさと救って来いよ」

ほむら「皆…」

まどか「ほむらちゃん、わたしは大丈夫だよ。QBの思惑通りにはならないから」

ほむら「まどか…、私は次の時間に行くわ、絶対に皆を助けてみせるから…」

時間を巻き戻して、目覚めた場所はいつもの病室。

ほむら「絶好の機会だったはずなのに、皆で運命を乗り越えられるはずだったのに…」

ほむら「いつもこう、いつでも時間を巻き戻せると思っているせいで私は常に逃げている」

ほむら「皆から貰った魔力に誓うわ、今回で最後にしてみせると!」

その時、ほむらのソウルジェムが輝きを増し、五つの光が現れる。
ほむらの思考は驚きに支配され眼の前の光景を見ているだけで身動き一つ出来ない。
そして五つの光はほむらに近づき、一つずつほむらの身体の中に入っていく。

ほむら「ぐっ!」

光が一つ身体に入る度にほむらは苦悶の表情を濃くする。
ほむらは痛みで気が付いていないが急速に体温も上昇している。
そして最後の光が入ると同時にほむらのソウルジェムもほむらの身体の中に入りこみ、ほむらは気を失った。
その後目覚めたほむらは魔法少女のころの記憶を失っていた。

ほむら「以上が私が思い出した前回の記憶よ」

まどか「ほむらちゃんに入った五つの光はなんだったの?」

ほむら「わからないわ、もしかしたらあなた達に貰った魔力がアギトによって具現化した光なのかもしれないわね」

さやか「ということはアギトに覚醒すればあたし達の魂も肉体に戻るかもしれない」

マミ「余り期待は出来ないわ、暁美さんの場合は鹿目さんの願いによって覚醒が促されたみたいだし」

杏子「でもさ、この宝石が魂っていうのは良い気がしないよな」

ほむら「私なんて目の前で杏子がマミにソウルジェムを射ち抜かれて以来、ソウルジェムの取り扱いには敏感になったわ」

杏子「今回もマミはソウルジェムを狙ってきぞ」

マミ「さ、佐倉さん!」

ほむら「マミは自殺するんじゃなくて心中を図るから面倒よね」

ほむら「この中では最年長なんだからもうちょっとしっかりしなさいよ」

マミ「に、肉体的にはそうかもしれないけど繰り返した時間を考えればあなたの方が年上じゃない!」

マミ「それに一人で死ぬのはやっぱり寂しいのよ!!」

ほむら「さて、いつも通りだったら今週中にはワルプルギスの夜が来るはずよ。準備や訓練、やり残しがあるならしっかりしておきなさい」

杏子「そうだな、やっておきたいことも出来たしな」

マミ「佐倉さん、あなた…」

杏子「死ぬ気はないけどさ、この戦いが終わって絶対に無事とは限らねえからさ」

ほむら「美樹さやか、あなたも分かってるわね」

さやか「何をさ、ほむらもいい加減フルネーム呼びはやめて、さやかって呼んでもいいんだよ」

マミ「そういえば私はなんで呼び捨てにされているのかしら」

ほむら「マミはマミじゃない、巴マミって呼ぶのも今さらだし、かといってさん付けするのはね」

ほむら「美樹さやかに関しては急に襲われたからフルネーム呼びで継続よ」

さやか「あの時は本当にごめんって、だからそんなに壁作らずに名前で呼んでよ」

ほむら「…良いわよ名前で呼んであげる、ただし条件があるわ」

さやか「何々、どんな無茶でも一つや二つ簡単に」

ほむら「上条恭介、志筑仁美との恋路の決着を着けてきなさい」

さやか「」

ほむら「いい加減にこの話題で振り回されるのは御免なのよ。告白してもいいし、諦めてもいいからあなたなりの決着を着けてきなさい」

さやか「うぅ、人が忘れてたのに」

まどか「ほむらちゃんの言うとおりだよ、はっきりさせないと仁美ちゃんにも悪いよ」

杏子「あんたが願いを使った相手なんだろ、はっきりさせておきな」

マミ「後悔するような選択をしたら…、わかっているわね」

さやか「味方はいないんですかー!!」

QB「僕の思惑通りにはならないとは言っていたけど、君はワルプルギスの夜を倒して最悪の魔女になる運命しかないよ」

まどか「本当にそう思う?」

QB「何を言ってるんだい?君ほどの力の持ち主なら……!?」

まどか「今のわたしはQBが望むほどのエネルギーは取れないし、世界を滅ぼすような魔女にはなれないよ」

QB「さっきまで君に溜まっていた力は一体どこに…、まさか!!」

まどか「そうだよ、QBとの契約でほむらちゃんにあげちゃった」

QB「そんな手を打ってくるとは予想外だったけど、それなら君だけではワルプルギスの夜は倒せない」

さやか「まどかが」

杏子「一人だけだと」

マミ「誰が言ったのかしら」

QB「君たちの魔力はほむらに供給して残っていないはずだよ」

杏子「まどかから事前に聞いていたからな、グリーフシードを残しておいたんだよ」

マミ「これなら最悪でも相討ちに持ち込めるんじゃないかしら」

さやか「ほむらが諦めなかったんだ、あたし達も諦めるわけにはいかないでしょ」

QB「僕には理解できないことだけど、大人しく魔女になる気はないことはわかったよ」

「「「当たり前!!」」」

まどか「わたしの最初で最後の魔女退治やり遂げてみせる!」

本日はここまでです
ほむらのソウルジェムはオルタリングの諸々の材料になりました

乙乙

ベルト砕きが致命傷になったりとか……クウガ?

乙、今回はなんか時系列が分かりづらかったかな

QBが「僕たちがいなかったら~」って言い出したら
是非テオスさんが直々に復帰してガン否定してほしいなww

乙、QBの再現上手いなwwww



家畜発言はもれなく黒ダミwithエルロードとヒューマンアンデッドを敵に回すなww

1です、まったり投下します

前回の投稿は
>>313に<前の時間軸ワルプルギス戦前>
>>318に<ほむらが去った後の前の時間軸>
って入れれば良かったですね

>>320
言い方が悪かったですね、ソウルジェムの本来の機能は失われたのでベルトを砕かれても命に別条はありませんよ
オルタリングの中にあるのが賢者の石でそれと絡ませたかっただけです、はい

>>321
テオスさんの身代ないんで俗世には復帰できないです

>>322
1も書いていて渾身の出来だと思いました

>>323
そもそもQBに味方する種族ってどのぐらいいるのだろうか

仁美「さやかさん、何故私をお呼びになったのでしょうか」

さやか「提案しに来たんだよ、一緒に恭介に告白しようってね」

仁美「私はさやかさんの後でも…」

さやか「それはどういう理由で?あたしが恭介に振られると思っているの、それともあたしの態度にやきもきして発破をかけているのかな」

仁美「私はさやかさんとの友情を壊したくないだけで」

さやか「恋愛感情で友情がどうとか言ってられるって、もしかして仁美は恭介のこと本気じゃないんじゃない」

仁美「違います!私は上条君を慕っているのは嘘偽りありません!!ですが…」

さやか「まあ、あたしがはっきりと恭介に告白しなかったのも問題かな」

さやか「幼馴染の立ち位置に安心感を覚えていたのも確かだしね」

仁美「なのでさやかさんにこそ優先権が…」

さやか「だからさあ、そんな譲られたみたいな感じで彼女の座を手に入れてもあたしは嬉しくないわけ」

さやか「仁美が恭介のことをどう思っているか告白した後で分かっても気にならないけど、事前に聞かされているとね」

さやか「仮にそれで手に入れたとしても、あたし勝手に悩んで勝手に破局を選択することになるよ」

仁美「私はそんなつもりでは…」

さやか「うん、わかってる。仁美もさんざん悩んだんだろうしね」

さやか「だからさ、恭介に一緒に告白しようよ。どっちを選ばれたとしても恨みっこなしで」

仁美「…わかりました、私は負けるつもりはありませんよ」

さやか「手加減無用だよ、あたしも負けるつもりはないんだから」

上条「えーと、急に二人から呼ばれたから来たけど何の用かな」

仁美「上条君、私はあなたにお伝えすることがあります」

さやか「あたしも言わなきゃいけないことがあるんだ」

恭介「なにか二人から鬼気迫るものがあるんだけど…」

さや仁「「あたし(私)と付き合って下さい(ませ)」」

恭介「それは買い物とかに付き合うっていうことかな」

さやか「そんなわけないじゃん!」

恭介「だよね」

仁美「付き合いの長さはさやかさんに劣りますが、上条君を思う気持ちは負けてはおりません!」

さやか「あたしだって、何の下心もない純情な気持ちで恭介のお見舞いに足繁く通っていたんだから!」

仁美「私だってお稽古ごとの合間を縫って、上条君のお見舞いに行っておりましたわ!」

さやか「恭介のリハビリを手伝っていた!」

仁美「学業のノートを渡しておりました!」

上条「二人ともそこらへんで落ち着いて」

さやか「恭介!」

仁美「どっちを!」

「「選ぶ(んです)の!!」

上条「選ぶって僕にはさやかも志筑さんも大切な人だから、選べないよ」

上条「それにまだ脚のリハビリも終わってないし、指のリハビリもしないといけないんだから」

さやか「指って…、もう完治したんじゃないの!?」

上条「言い方が悪かったね指自体は自由に動くんだけどね、長い間バイオリンを弾いてなかったからまだまだ練習が必要なんだ」

仁美「驚かせないでくださいまし」

上条「どちらにしろ、音楽から長い間離れていたから当分は音楽に没頭したいんだ」

上条「どうしてもっていうなら選ぶけど、多分今の僕じゃ恋人を作ったとしても構ってあげることは出来ないよ」

さや仁「……」

上条「僕から言えることは全部言ったから特に言いたいことがないなら、僕はもう行くよ」

さやか「勇気を振り絞ったのにこの結果だよ」

仁美「例え一人で告白しに行っていたとしても和やかに会話をして終わってたかもしれません」

さやか「仁美は恭介のことを諦める?」

仁美「諦めません…、とは思うのですが、恋愛対象と見てもらえるのか不安になってきましたわ」

さやか「あたしも諦める気はないけど、異性として見てもらえるかは不安だなー」

さやか「でもさ、すっきりしたよね溜めこんでた気持ちを明かせて」

仁美「そうですわね、私も以前はさやかさんにどこかで一歩引いていたので」

さやか「考えてみれば、あたしが病院に行こうって言ったらいつもお稽古って言って居なくなってたよね」

仁美「本当にお稽古があった日もありましたが、さやかさんと上条君の仲のよさを見せつけられるのは乙女としては」

さやか「いちゃいちゃしてたわけじゃないけどね、それで仁美が勇気を出したらあたしが怖気づいたと」

仁美「ふふ、私たち意外と似た者同士だったんですのね」

さやか「そうだね、どっちも勝手に一歩引いてたね」

さやか「これからどうしようか、恭介は当分答えをくれない気がするけど」

仁美「もっと良い人が出てくるなら話は別になりますが、このまま答えを待つつもりですわ」

さやか「まだあたし達中学生だもんね、魅力的な人が現れたらそっちに乗り換えるかもしれないか…」

仁美「現れたらの話です、今はまだ恋敵ですわ」

さやか「そりゃそうだ、これからもよろしくね」

仁美「私こそ、これからもよろしくお願いします」

さやか「恭介はバイオリンの練習に行っちゃったし、仁美がよかったらこれから一緒に遊ばない」

仁美「いいですわね、行きましょうか」

杏子「逃げ出したんだよな、何もせずにそのまま全てを放っておいて」

杏子「風見野を拠点にしていたけど、この辺りには最低限溜まり場になっていないか見に来るだけで寝泊まりは余所でしていた」

杏子「ちゃんと捨て去りもせず、かといって留まり続ける訳でもなくあたしも中途半端だったよな」

マミ「やっぱり、ここだったのね佐倉さん」

杏子「マミか、どうしたんだ心霊スポットか廃墟スポットに登録されてそうな場所に」

マミ「そんなこと言うものではないわ、あなたの大切な場所でしょこの教会は」

杏子「本当に大切なら住みつくなりちゃんと管理するなりしとけって話だけどな」

杏子「住みつかない、かといってよそ者が何かしようとすれば追い払うだけでそれ以上は何もしない」

マミ「ここでご家族が亡くなったのでしょ、仕方ないわ普通は逃げ出すわよ」

杏子「言うなよ、あたしが父さんにちゃんと説明しておくなり、誤魔化し続ける努力をするなりすればこんなことにはならなかったはずさ」

杏子「だから全部あたしのせいなんだ、家族が死んだのも、あたしが魔法を使えなくなったのも」

マミ「でも、あなたは!」

杏子「原因はあたしの自分勝手だ、父さんの話を聞いて欲しいってな。それに巻き込んだのはあたしだ」

杏子「あたしに身寄りが無くなったのは自業自得だ、もし願いを叶えなかったとしたら今頃一緒にあの世だったかもしれない」

杏子「けどな、自分よりも小さくて力がない妹のモモを助けてやれなかったのかってどうしても考えちまうんだ」

マミ「でも、あの日は平日であなたは学校に…」

杏子「あたしの魔法は幻術だったんだぞ、父さんを化かすことだって出来たはずさ」

杏子「今はそんなこと考えてないぞ、自分で後片付けする気になったぐらいだしな」

マミ「…手伝うわ」

杏子「いいけど、見返りはねえぞ」

マミ「佐倉さんは強いわね」

杏子「強くねえよ、東京の方であいつと会わなかったらここに来る気にもならなかっただろうしな」

マミ「それでも過去を直視して進もうとしている、私はまだ引きずっているものパパとママを助けられなかったこと」

マミ「QBに助けてって願って自分は助かったけどパパとママを助けれたんじゃないかって一人になるといつも考えてた」

杏子「仕方ないんじゃないか、自業自得なあたしでも出来たことがあったんじゃないかって思うぐらいだしな」

マミ「私は自分勝手なのよ、一人になるとそんなことを考えてしまうから仲間が欲しかった」

マミ「それで佐倉さんが一緒に戦おうって誘ってくれた時は嬉しかったのに」

マミ「あなたの家族が亡くなった時に止めてあげられなかった、慰めてあげられなかった」

杏子「あたしも一方的にマミを拒絶したから仕方ねえよ、それにあの時は綺麗なマミと汚れたあたしって自分で思ってたしな」

マミ「鹿目さんも美樹さんも私が勧誘した、暁美さんが止めていなかったら鹿目さんも魔法少女にしてたかもしれないと思うと」

マミ「あの時も折角歩み寄ってきてくれた佐倉さんを殺して私も死のうとした…」

杏子「あたしも真実を知った時はそのまま死のうと思ったさ、けどなやり残したことを放っておいて死ぬのは後味が悪くてな」

杏子「……マミの心を軽くしてやれるかはわからないが、警察のやつらが調べてわかったことだが、マミの両親は即死だった」

マミ「それでも私が願っていれば助かる可能性が…」

杏子「違う!肉体的破損が酷かったんだ、生きていたとしても一瞬の間だけって話だ、だからマミが目覚めたときには既に」

マミ「それだったら願いで生き返らせてもらえば!」

杏子「マミは才能がある魔法少女だって言うのはあたしがよく知っているよ。けどな!二人の人間を蘇らせることが可能だと思うのか!!」

杏子「正確に言えばマミも含めて三人だ!例え蘇らせたとしても事故に遭った車の中で救出されるまでの間、生き残れたのか!!」

マミ「それは…、でも…」

杏子「マミは偉いよ、あたしに比べると自分の罪と向き合い続けてる。けどな、いい加減楽にしてやれよ自分も親も」

マミ「私は…、私は…」

杏子「あたしは別のところやってくるから、ここの掃除を頼むな」

マミ「ぐすっ、何よ、ここの掃除ってもう終わってるくせに」

杏子「今まで作ってなかったからな、ちゃんとした墓石じゃないけど立派なもんだろ」

マミ「そうね、ここに遺骨が入っていれば完璧だと思うわ」

杏子「遺骨か、あいつらに頼んだらどこに眠ってるか教えてもらえるかな」

杏子「ここに入れたいって訳じゃないけどさ、ちゃんとした場所にあるなら手を合わせておきたいしな」

マミ「私もちゃんとお墓参りしたことなかったから、行かないと…」

杏子「二人揃って親不孝者だな」

マミ「こんな身体になって孝行娘って言い張るのは無理よ」

杏子「ははっ、そりゃそうだ」

杏子「最近確認したんだけどさ、この教会あたしが相続することになっているらしいぜ」

マミ「あなたの父親の財産だったのね」

杏子「みたいだ、てっきり借地、借家かと思ってたんだけどな、この戦いが終わったら色々と手続きしようかなって思う」

杏子「相続税とかもあるけどさ、このまま宙ぶらりんにし続けるのもあれだしな」

マミ「ふふっ、佐倉さんがシスターになって運営するのかしら」

杏子「破門された親の娘だけどな、それに運営するならちゃんと勉強しないといけないしな」

マミ「佐倉さんなら大丈夫よ」

マミ「私にはまだ明確な目標はないけど生きていたいって今は素直に思ってるわ」

杏子「だったら全員で無事にワルプルギスの夜を乗り切ろうぜ」

ほむら「ちゃんとこの姿に変身出来るみたいね」

まどか「それがほむらちゃんの新しい姿なんだね」

まどか「本当にすごいね、ほむらちゃんの名前みたいに燃え上がれーって感じで」

ほむら「ふふっ、まさか本当に約束を果たせる日が来るなんてね」

まどか「約束?それってわたしとの?」

ほむら「ええそうよ、まどかと私の初めての約束」

ほむら「言ったわよね、私は病弱で弱気だったって」

まどか「うん、眼鏡も着けていて、みつあみのおさげだったんだよね」

ほむら「そうよ、何事にも自信が持てなくて、オドオドしてばっかりだった」

ほむら「そんな時に言ってくれたのよ、名前の通りに格好良くなればいいって。まさか本当に燃えるような姿になるとは思いもしなかったけど」

まどか「同じわたしだけど羨ましいな、ほむらちゃんの支えになれて」

ほむら「今のあなたも十分私の支えよ」

まどか「ウェヒヒヒ、嬉しいな」

まどか「わたしも格好良くなれるかな…」

ほむら「きっかけは違えどなれるわよ、私が保証する」

まどか「ほむらちゃん…、わたし頑張るね」

氷川「お久しぶりです、津上さん」

翔一「氷川さんじゃないですか、こんなに長い間顔を見せなかったのは珍しいですね」

翔一「ニュースでも大きい事件があったって聞かなかったんで、ちょっと心配していたんですよ」

氷川「すいません、出張で東京を離れるって言っておけば良かったですね」

翔一「東京を離れていたんですか、どんな事件かは聞きませんからどこに行ってたかぐらいは、ね」

氷川「見滝原っていう場所に行ってたんです。また行くことになりますが」

翔一「見滝原…ですか」

氷川「本当は津上さんに色々と伝えておくべきかもしれないのですが、色々と問題あるので」

翔一「そんな俺なんかが事件を知っても何も出来ませんって、不可能犯罪とかなら別ですけどね」

氷川「すいません」

翔一「謝るようなことじゃありませんよ、話はここら辺にして注文してくださいよ、氷川さんの為に腕を振るいますから」

氷川「そうですね、久々なので翔一スペシャルをお願いします」

翔一「氷川さんはよく食べますからね、大盛りでいいですよね」

氷川「はい、お願いします」

氷川「…津上さん」

翔一「どうかしましたか、やっぱり大盛りじゃなくて徳盛りっていう感じにしますか」

氷川「いえ、なんでもないです」

翔一「変な氷川さんですね」

葦原「おやっさん居るか?」

おやっさん「涼じゃないか、いつ戻ってきたんだ」

葦原「近くまで来ていたんだがな色々あって、先日こっちに戻ってこれた」

おやっさん「戻ってきた時でいいからバイトじゃなくて正規の従業員としてここで働いて欲しいんだがな」

葦原「それで継いでくれって言うんだろ」

おやっさん「別にいいとは思うんだがな、お前さんが居る時に来る客からの評判も悪くはないぞ」

葦原「おやっさんがまだ元気なのに継げるかよ」

犬「ウォン!」

おやっさん「ほら、こいつもこう言ってるんだ」

葦原「勝手に訳すなよ、しかしこいつも大きくなったな」

おやっさん「いきなり連れてきた時は驚いたぞ、それで預かってくれだからな」

葦原「悪かったよ、ここまで大きくなるとは思わなかったんだ」

おやっさん「小さいままだったらお前が連れまわしていたんだろうけどな、そもそもお前マンションだろ」

葦原「勢いで連れてきた感はあるな」

おやっさん「まあ、今ではマスコットみたいなもんだけどな、客にも評判良いぞ」

おやっさん「それでバイクはいつも通りでいいのか」

葦原「頼む、久々に無理させたんでな」

おやっさん「今度はいつまでいるんだ」

葦原「わからん」

葦原「津上、いつものを頼む」

翔一「葦原さん、今回来るのに間が空きましたね」

葦原「ちょっとな」

翔一「三人が揃うなんて思わなかったな。いつものですね、すぐに作ってきますよ」

葦原「三人?誰だ」

氷川「葦原さん」

葦原「ああ、氷川か」

氷川「お久しぶりです、ここに来れば津上さんとは顔を会わせられますが、葦原さんとはなかなか会えなくて」

葦原「まあな、俺はお前らと違って落ち着いていないしな」

氷川「僕も最近はここに来れてないんですが」

翔一「でも氷川さんも葦原さんもこの店に来てくれるんで俺は定期的に二人に会えますけどね」

葦原「津上は店を構えているから一番会いやすい」

氷川「そうですね、僕も葦原さんも東京に住んではいますが津上さんみたいにここに行けば会えるっていう場所はありませんからね」

翔一「そんなに褒めないでください、氷川さんはおかわりはどうですか」

氷川「結構です」

氷川「ごちそうさまです」

葦原「ごちそうさん」

翔一「ありがとうございました」

葦原「津上、営業時間は終了だよな」

翔一「そうですよ」

葦原「最近変なことに巻き込まれてな一応話しておくべきだと思ってな」

翔一「変なことですか」

氷川「まさか…」

葦原「魔法少女と魔女って知っているか、それに巻き込まれてなちょっとその魔女と戦ってきた」

氷川「!?」

葦原「氷川のその顔は知っているな」

翔一「何かはわかりませんが、俺もちょっと前に変身して戦いましたよ」

氷川「な、なんで言ってくれなかったんですか!?」

翔一「いや信じて貰えるとは思ってなかったですし、会った時に話そうって思っていたから」

翔一「そいつと戦った時に杏子ちゃんっていう女の子を助けたんです」

葦原「そいつが赤い髪なら、俺も知っているぞ」

氷川「僕が話さなかった意味はなかったということですか…」

翔一「そういう時もありますよ」

葦原「俺たちは巻き込まれただけだからな、お前の知っている事情を詳しく話せ」

氷川「という話ですよ」

翔一「魔法少女と魔女って作り話の中だけじゃなかったんですね」

葦原「少なくともあの異形を初見で魔女と分かるやつはいないな」

氷川「当面の問題はワルプルギスの夜を撃破することなんですがそれ以上先のことが」

翔一「簡単ですよ、ほむらちゃん?でしたっけ彼女のようにアギト化すればいいんですよ」

葦原「そもそもアギト化の方法が分からないだろ、魔女になるのに比べればましだとは思うがな」

翔一「そこはほら、俺と葦原さんが変身する時に近くにいてもらえればアギト化進みそうじゃないですか」

氷川「津上さんと葦原さんが変身するようなことがないのが一番なんですが」

翔一「それもそうですね、聞かなかったことにしてください」

氷川「お二人とも出来れば見滝原には近づかないで…」

翔一「あっ!それ以上言わないでくださいよ、街一個吹き飛ばすぐらいの敵が出てくるなら行くに決まってるじゃないですか」

葦原「邪魔をするなら戦うだけだ」

氷川「止めても無駄でしょうが、無茶はしないでください」

翔一「氷川さんには言われたくないなー」

本日はここまでです
実際問題、葦原さんは本編であの犬どうするつもりだったのでしょうか…、多分でかくなるタイプの犬種ですよ

乙乙
あぁ、勘違いしてたごめん
葦原さんは割と寂しがりやだから……生きた友達が増えるといいね

おおぅ、魔法少女たちのもとにアギトの世界の3ライダーが揃ってきましたな…。
現在進行形で協力中の氷川くん(&小沢さん&北條さん&オムロンwith警視庁)。
杏子を助けて縁ができた翔一くん。
さやかとほむらを救って縁ができた葦原さん。
これは心強くなってくるかな……?

>>323
そういえばヒューマンアンデッド、というか他のライダー作品ネタで思い出したけど。
もしワームが魔法少女ないし素質のある女の子に擬態したら、
ソウルジェムと体の問題とか、魔女化とか、素質の問題(QB視認)とかどうなるんだろうか。

翔一くんはのほほんとしててなんか安心するな
てつをとか天道とかとはまた違った安心感ある

クロスで杏子ちゃんってどういうわけか世話焼き系キャラと組まされる事多いよね

1です、まったり投下します
今さらながらの訂正ですがまどかの母親の名前を間違えてました、『絢子』と書いてましたが正しくは『詢子』でした。
あまり登場させなかったので気付くの遅れました、すいません。

>>338
正直、本編終盤の彼女は殺さなくても良かったと思うのです。
対比させたかったのかもしれませんが、翔一君が同僚の自殺を止められたように葦原さんが恋人の自殺をギリギリのところで止めても良かったと思うのです。

>>340
魔法少女に擬態した場合はソウルジェムを残しておけば変身は出来るんじゃないでしょうか、本編でも風間に擬態してドレイクに変身してますし。
素質面は何とも言えないんですよね、本編で凄腕の医者に擬態するのがいて擬態したのも凄腕だったことを考えると才能面もコピーしてると言えますし。
ワームがどこまで擬態するかっていうのも不明なんですよね、剣が元から才能があったのかワームが擬態していたからこそあそこまで才能があったのかでも意見が分かれそうですし。

>>341
てつをと天道は何とかしてくれるという安心感で翔一君は受け入れてくれる安心感でしょうね。
杏子自体が世話焼きキャラの印象なので世話焼きキャラと組ませる、または無理やり世話を焼くキャラじゃないと杏子と絡ませ辛いとか

さやか「第一回!」

マミ「ワルプルギス対策会議!!」

ほむら「…」

杏子「テンションたけえ」

まどか「な、なにかあったの?」

さやか「ふふ、勇気出して仁美と一緒に告白したのにさ結果は二人揃って玉砕だったよ、まあ仁美との友情は深まったけど」

ほむら「さやか、チャンスがあるだけましよ」

さやか「うう、ほむらが約束守って名前で呼んでくれるのも慰めてくれるのも心にしみる」

マミ「過去のことを振り切った私に不可能はないわ!生きて見滝原を守るわよ!!」

杏子「あれは多分あたしのせいだな、すまん」

ほむら「暗い雰囲気のなか進行するよりましだと思っとくわ」

マミ「暁美さん何でも言ってちょうだい、今なら囮でもこなせるわよ」

さやか「待った待った、囮ならあたしの方が適任だよ、回復能力高いし」

杏子「少なくともワルプルギスの夜の能力を聞いてからにしようぜ」

ほむら「冷静なのが一人いるだけでも楽だわ」

杏子「最初に冷静な方の味方って言ってた気持ちがよくわかるよ」

まどか「あの二人を落ち着ける方法ってあるの」

ほむら「思いつかないから落ち着くまで放っときましょう」

杏子「何か飲み食いしながら雑談でもしてようぜ」

ほむら「冷蔵庫から適当に飲み物を持ってくるわね」

まどか「わたしもお菓子持ってきてるよ」

さやか「ぜぇ、作戦、ぜぇ、会議じゃ」

マミ「ハァ、なかった、ハァ、かしら」

杏子「やっと終わったか」

まどか「マミさんも、さやかちゃんも飲み物どうぞ」

さやか「ぷはぁ、ありがとうまどか」

マミ「ふう、落ち着いたわ」

さやか「結局どういう風に動けばいいのさ」

ほむら「あなた達二人だけで盛り上がって会議が出来なかったのよ」

ほむら「改めて作戦会議を始めるわよ」

杏子「そこの二人も今回は落ち着いて聞いとけよ」

マミさや「「ショボーン」」

ほむら「先ずはワルプルギスの夜の能力よ」

ほむら「ワルプルギスの夜自体も強力だけど、それ以上に使い魔も厄介よ」

さやか「使い魔なんてこのさやかちゃんがバーっとやっつけちゃいますよ」

ほむら「そう簡単な相手じゃないわ、下手な魔女や魔法少女以上の戦闘能力を有している使い魔よ」

ほむら「倒せない相手ではないとはいえ、その戦闘能力に数とワルプルギスの夜の存在も相まって難敵と言えるわ」

杏子「で、肝心のワルプルギスの夜の戦闘能力は」

ほむら「知っているかもしれないけれど、ワルプルギスの夜は出現した際に嵐を巻き起こすわ」

まどか「それがスーパーセルとして観測されるんだよね」

マミ「私たちは天災相手に挑むようなものね」

ほむら「そう思ってもらっても構わないわ」

ほむら「私が実際に戦闘した際にワルプルギスの夜の戦闘方法は念動力によるビルや瓦礫の投擲と火炎弾ね」

ほむら「どれだけの攻撃を加えれば倒せるのかというのは正直わからないわ」

杏子「目安みたいなのはあるのか」

ほむら「当てになるのかは分からないけれど、私、マミ、まどかの三人で戦った時は倒せたわ」

さやか「じゃあ、楽勝じゃないの」

ほむら「とはいってもその時はマミは死亡、まどかは魔女化よ」

ほむら「それに万全だったはずの前回はグリーフシードが足りなくて負けたわけだし」

ほむら「能力はこんなものね。次は戦場での動きの確認よ」

ほむら「先ずは前半戦、過去の時間での話で私がやってきた近代兵器を使用した戦術は出来ないのを心得て頂戴」

杏子「ほむらにとってはそうだろうけど、あたし達にとってはほむらは格闘戦しかしてる印象しかねえ」

ほむら「それもそうだったわね、先ずは手堅くマミの砲撃でダメージを与えるわ」

マミ「遠距離戦が出来るのは私ぐらいだものね」

ほむら「そうよ、そして私たち近距離組はマミの護衛兼使い魔掃討よ」

さやか「マミさんの安全はこのさやかちゃんに任せてよ」

ほむら「それから距離が近づいた中盤戦にはマミは使い魔の足止め、さやかがそれを倒していく」

杏子「マミがそのままとどめを刺すのは駄目なのか」

ほむら「出来るだけマミには無駄な魔力は使って欲しくないのと、足止めだけに力を入れれば相当な範囲の敵を絡みとれると踏んでるわ」

ほむら「私と杏子はワルプルギスの夜に接近して直接戦闘よ、この時は大技を控えて小さいダメージを積み重ねていくわ」

ほむら「そして弱ったところを全員の最大威力の技で仕留める」

ほむら「色々と詰めが甘いとは思うけど作戦通りに事を運ばせようと無理をしないでちょうだい」

杏子「まあ妥当なところだろうな」

マミ「無理をしないでいいのは少し気持ちが楽になるわね」

さやか「無理をしなきゃ倒せないのになんで無理をするなっていうのさ」

ほむら「今回の戦いで誰かが死ぬとまどかが契約する可能性が高くなるからよ」

まどか「大丈夫だよ!絶対に契約なんてしないよ!」

ほむら「仮に私たち全員死んでも?」

まどか「そ、そんなこと考えたくもないよ!!」

ほむら「まどかが契約しないと決めていてもインキュベーターに付け入る隙を与えるから自分の命だけは守り切るように」

見滝原郊外にてワルプルギスの夜が出現する様子をインキュベーターが見つめている。
インキュベーターにとっては想定外のことだらけだったためにワルプルギスの夜の出現を確認しているのだ。

QB(アギトという存在、既にいなくなったみたいだけどアンノウンの存在、魔女を撃退する人類の装備)

QB(正直、予想外だらけだったけどワルプルギスの夜は無事だね)

QB(魔法少女が一人も脱落しなかったからこのワルプルギスは倒されるだろうが何人かは道連れに出来るだろう)

QB(そうなれば鹿目まどかが契約する可能性も出てくる)

無事にワルプルギスの夜が出現することを確認するとインキュベーターはその場を離れようとする。
しかし、その場で聞こえるはずもないエンジン音が流れ、インキュベーターは立ち止まる。
ワルプルギスの夜と対峙するように停まるバイク、メットの下から出てきた顔は葦原だった。

葦原「お前がインキュベーターで、そっちのでかいのがワルプルギスの夜か」

QB「そういう君は誰だい、暁美ほむらの関係者かな」

葦原「お前に教える義理はないな」

QB「まさかとは思うけど君はワルプルギスの夜を倒すつもりなのかい」

葦原「そうだといったらどうする気だ」

QB「僕は何もしないよ、だけど君がワルプルギスの夜を倒せるとは思えないけどな」

葦原「勝手にそう思っておけ」

QB「なんでむざむざ自殺行為をするのか全く理解できないよ」

葦原「お前に理解される必要はない」

葦原「変身!!」


ほむら「皆、準備は良いかしら」

マミ「私たちの準備は何時でもいいわよ」

さやか「避難に遅れている人とか残っている人もいなかったよ」

杏子「まあ、建物はどうしようもないけどな」

ほむら「仕方ないわ、ワルプルギスの夜が結界を張れば話は別だけど」

マミ「結界を張らないのは最強の魔女たる証かしら」

さやか「でもさ、氷川さん達のお陰で出現地点から戦場になる場所までの進路には避難場所はないんだから良しとしておくべきじゃない」

ほむら「そうね、今まではワルプルギスの夜のことは一般人には明かせなかったからどれだけの避難所が潰されたか」

杏子「ガキの話を真剣に聞いてくれる奴なんか稀だからな」

ほむら「そういう意味でもこの時間で氷川さん達に会えたのは幸運ね」

ほむら「とはいってもここを抜けられたらワルプルギスの動き次第だけど避難所が襲われる可能性は高いわ」

さやか「じゃあ、しっかりと倒さないとね。あたしの家族とまどかもそうだけど恭介と仁美も避難所に居るみたいだし」

ほむら「志筑仁美の名前が出るなんてずいぶん関係が改善されたのね」

さやか「ぶっちゃけ振り向いてくれない恭介の愚痴を二人して延々と吐きあう仲だよ」

杏子「色々と気を付けろよ」

さやか「なんでさ?」

杏子「マミが寂しさを紛らわそうと色々とスキンシップしてくるからな…」

ほむら「マミ……」

マミ「な、何も出来ていないわ!だから引かないで!!」

さやか「あー、気をつけるよ」

言っている間にも使い魔のパレードがやって来た、いつもだったら素通りしてワルプルギスの夜が視認できるまで待つのだが、
使い魔たちはほむらたちを視認すると襲いかかってきた。

杏子「おい!こいつら襲ってこないんじゃなかったのかよ!?」

ほむら「私も初めての経験よ!!」

マミ「二人とも口を動かしていてもいいから敵を倒して!!」

次々と襲いかかってくる使い魔を倒していく四人。
しかし、途切れることなく後続の使い魔が溢れてくる。

杏子「おらよっ!!」

ほむら「はあっ!!」

杏子が使い魔の群れを多接棍で拘束して一カ所に集める。
それをほむらが飛び蹴りで吹き飛ばして、すぐさま次の使い魔に狙いを定める。
ほむらが単独の敵を倒している間に、杏子が敵を固めて、それをほむらが蹴り飛ばすの繰り返しで使い魔を倒していく。

マミ「レガ―レ!!」

さやか「一撃で仕留める!!」

マミが敵を絡め取り、絡め取られた敵をさやかが力強く丁寧に切り裂いていく。
マミが魔法を使う隙を埋めるようにさやかはマミを護衛する。

作戦会議の際のは想定とは異なる戦闘が行われたが、無事に敵の第一陣を退ける。

杏子「使い魔だけだったから対処できたが、ワルプルギスの夜が来たら厳しいなこりゃ」

ほむら「本当ならもうちょっと余裕があるはずだったんだけど」

QB「さっきの攻撃を軽傷で納めるなんて流石だね」

マミ「QB…、どうしてここに」

QB「君たちの様子を見に来たんだよ」

さやか「やけに優しいじゃない、何を考えているのさ」

ほむら「どうせ、私たちが戦闘不能になっていたらまどかに契約を迫る気だったんでしょう」

QB「当たり前だろ、君たちがやられたらこの場で対抗できるのは彼女だけだ。十分契約を促せる」

杏子「ワルプルギスの夜の使い魔がこんなに凶暴なのはお前の差し金か」

QB「違うよ、最初は使い魔は何もやってこないはずだったけどね」

ほむら「ならば何故、私が繰り返した時間では一度も…」

QB「人類の進化は予想以上だね、緑の戦士に変身した人間がワルプルギスの夜を痛めつけるとは思わなかった」

QB「だが、君たちに不運だったのは彼のせいでワルプルギスの夜が戦闘態勢に入ったことだ」

さやか「緑の戦士って…、葦原さん!?葦原さんはどうしたの!?」

QB「彼は善戦していたけど、吹き飛ばされて川に叩きこまれていたよ。追いかけてこないことを考えると死んだんじゃないかな」

さやか「そ…そんな…」

QB「ところで君たちは避難所の方はいいのかい?既に戦闘済みの使い魔たちが避難所にも向かっているよ」

ほむら「なっ!?」

QB「一番近い避難所はまどかが居る避難所だよ」

ほむら「うるさい!!」

QB「きゅぶっ」

杏子「ワルプルギスの夜はあたし達に任せて、ほむらは避難所に向かえよ」

マミ「QBは嘘はつかないのでしょ、なら使い魔が別経路から避難所に向かっているのは事実よ」

ほむら「そうするとここが…」

さやか「気にしない気にしない、ほむらの第一目標はまどかを助けることなんだから」

杏子「向こうに誰か行かないとまどかが契約するか皆殺しだからな、この中では移動力と戦闘能力が高いお前が適任だよ」

マミ「それに暁美さんは私たちと違ってグリーフシードを必要としないから継戦能力が高いでしょ」

ほむら「あなた達…、分かったわ行ってくるけど、一人も欠けずにいなさいよ」

さやか「当たり前だよ、そっちこそまどかとあたしの大事な人たちをちゃんと守ってよ」

杏子「そう言うなら、あたし達がワルプルギスの夜を仕留める前に戻ってこいよ」

マミ「行ったみたいね」

さやか「脚早いなー、魔法少女じゃなくて人間の進化系があれって言うんだから魔法少女になったのが損した気分になる」

杏子「魔力強化で脚に集中したら似たような速度出せるが、あれ素だからな」

マミ「はいはい、愚痴ってないで回復とソウルジェムの濁りを取りましょ」

さやか「ほいっと」

杏子「良し、次が来てたなこれ食っとけ」

QB「きゅっぷい」

マミ「QB、私たちはワルプルギスの夜を倒せると思うかしら」

QB「今のワルプルギスの夜の状態を考えれば可能性はあるよ」

さやか「てっきり無理だと思ってたけどあたし達相当強いんだね」

QB「いや、君たちが強いんじゃなくて葦原という男が強すぎただけだよ」

小沢「氷川君、発進よ!」

氷川「わかりました!」

北條「やけに氷川さんを発進させるのが早いですが何かあったのですか」

小沢「避難所に進行する複数の光点がレーダーに映ったのよ」

氷川「ワルプルギスの夜ですか!?」

尾室「いえ小さい反応だけなので使い魔だと思われます」

北條「私はいつ頃に発進すればいいのでしょうか」

小沢「もうちょっと距離を縮めてからね、無理したせいで航続距離が短いのよ」

北條「仕方ありませんか、着いて戦闘不可能では意味がありませんし」

小沢「どっちにしろ改造のせいでG-3のガードチェイサーにはほとんど装備が積んでないから対ワルプルギスの夜用よ」

尾室「それ、道進めるんですかね…」

小沢「道が崩れてたり塞がっていなければ理論上は大丈夫よ、後は北條君の腕次第」

北條「シミュレーションでは完璧でしたが」

小沢「何があるか分からないわ、使う前にこけたら悲惨よ」

北條「心得ておきます」

G3-X「準備完了しました!」

小沢「良し!G3-X発進よ!」

ほむら(間に合った)

ほむらが避難所付近に辿り着いた時には使い魔はいなかった。
避難所の扉や窓は荒れた様子もなく、悲鳴も聞こえないことから避難所の中にもいないことは明らかだ。

ほむら(作戦が予定通りにいかないことは想定していたけどここまでとは)

ほむらにとって誰かがワルプルギスの夜に先制攻撃を加えることは想定外であり、まして痛打を与えるとは思っていなかった。
勝ち目が大きく見えたと言う意味では良いニュースではあるが、避難所が襲われるというのは悪いニュースだ。
そしてほむらは葦原と共闘したことから彼は生きていると確信している。
インキュベーターは嘘をつかないから葦原が追ってこなかったのは気を失っているだけと当たりもつける。

ほむら(傷ついているワルプルギスの夜を彼女たちが倒せないとは思えないけど…)

次々と出てくる悪い考えを遮るかのように使い魔の群れが現れ始める。
先ほど戦ったパレードを率いていた使い魔ではなくいつも戦っていた魔法少女に似た使い魔だ。

ほむら「インキュベーターの策に乗せられているようで癪だけど、まどかを守れるというならどちらでもいいわ」

ほむらは使い魔に立ち向かい、拳と脚を大いに振るい撃ち倒していく。
以前までならこの使い魔たちに苦戦を強いられていたことだろう。
しかし、アギトの力は新フォームの覚醒だけに留まらずに既存フォームすらも成長させている。

ほむらの死角から攻撃を仕掛けようとしていた使い魔が発砲音と共に崩れさる。
ほむらは発砲音がした方に目を向けるとG3-Xが立っていた。

G3-X「暁美さん、無事ですか!?」

ほむら「氷川さん!私も避難所も無事です!!」

G3-Xはその返事に安堵して右手にGM-01、左手にGK-06を持って使い魔の掃討に入る。
GK-06は電磁コンバットナイフで、普段はG3-Xの左上腕部に装着・携行し、使用時には刃を伸長させ使用する。
普段は使う機会がないものの、アンノウンの上位クラスの武器を受け止めたこともある逸品である。

使い魔の数が減り始めると使い魔の一部はほむらたちを避けるように避難所の裏手に回り込み始める。

ほむら「氷川さん!ここはいいので避難所の裏手を!!」

G3-Xはほむらと避難所の裏手に回ろうとする使い魔を交互に見る。
迷ったのは一瞬ですぐに裏手に回る使い魔を追いかけていく。

ワルプルギスの夜が炎弾を飛ばしてくる。
それをマミが予め設置していた簡易結界に入り防いだ後に杏子は槍でワルプルギスの夜に突きかかる。

さやか「杏子は流石ですね、魔法が使えないのをマミさんの簡易結界で補って攻防盤石じゃないですか」

マミ「佐倉さんは魔法が使えなくなってから肉体的な強さや技術を追い求めていたからね」

杏子「くっちゃべってないでお前らも働けよ!!」

叫ぶ杏子に使い魔が殺到している。
それを見てマミは狙撃で敵を葬る。
さやかは後続が続かないように囮になりながら、適度に敵を切り裂いていく。

ワルプルギスの夜は念動力でビルを持ちあげて叩き潰そうと試みるが。

杏子「マミ、気を散らせてやれ!」

マミ「私の銃弾は痛いわよ!」

杏子の声を受けてマミがワルプルギスの夜の人型の眉間あたりに銃弾を撃ち込んでいく。
集中が途切れて念動力の支えを失った建物は宙に一瞬停止した後、落ちていく。

杏子「そろそろ大技で行くか」

マミ「盛大にやるわよ」

さやか「よーし、……あたしの大技ってなんだろ」

杏子「とりあえずお前の剣に魔力を乗っけて叩きつけるなり飛ばすなりすればいいんじゃねえの」

杏子は槍に魔力を籠めて巨大化させ飛び上がる。
マミはティロ・フィナーレの発射の態勢に入る。
さやかはサーベルの刀身と発射装置に魔力を籠める。

杏子「うおりゃ!!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

さやか「せいっ!!」

巨大な槍が降り降ろされ、巨大な砲弾が発射され、貫通力が上げられたサーベルが飛んでいく。
三つの攻撃がワルプルギスの夜に直撃し、ワルプルギスの夜はふらつき始める。

「キャ…ハハ…ハハ…」

杏子「しぶてえ!」

マミ「でも、だいぶ弱っているはずよ、回復して次のチャンスを狙いましょう」

さやか「な…、なんかおかしいよ」

ワルプルギスの夜はふらついていたかと思えば、徐々に反転していく。

マミ「なにかやってきそうね、離れるわよ!!」

三人が離れ始めると同時にワルプルギスの夜の反転が終わり、頭が上になった。
そしてワルプルギスの夜は高速で回転し始める。

「キャハハハハハハ」

風が強くなったことを感じ三人は物陰に隠れる。
その抵抗をあざ笑うかのような突風が巻き起こり三人は吹き飛ばされる。

杏子「おい、大丈夫か!?」

さやか「いつつ、腰打っただけで済んだ」

マミ「らいりょーふ」

杏子「顔面ダイブの状態で返事しなくてもいいぞ」

さやか「これは流石に聞いてないんだけど」

杏子「ほむらも食らったことないんじゃないか、知ってたら忠告ぐらいするだろうし」

マミ「げふっ、多分最初にダメージを食らっていたのに加えて私たちのさっきの一撃で脅威と認定されたのよ」

さやか「さっきまでは敵として認定されていなかったってことかー」

杏子「元の態勢に戻ろうとしているな、元の態勢に戻ったら仕掛けるか」

さやか「今、攻撃すればいいじゃん」

マミ「駄目よ、あの突風を出され続けたら私たちじゃ突破できないわ」

杏子「そういうことだ、さっさと回復するぞ」

まどか「QB?なんでこんなところにいるの」

QB「契約を勧めに来たんだよ」

まどか「わたしに契約する気はないよ」

QB「僕の話を聞けば、考えを改めざるを得ないとは思うけどね」

QB「マミ、さやか、杏子の三人が奮闘したけど危機的状況だ」

まどか「それでも皆は勝って帰ってきてくれるよ」

QB「話は最後まで聞くべきだよ、彼女たちが僕の予想を超えた戦いをしたのは認めよう」

QB「けれどやりすぎた、ワルプルギスの夜の本気を引き出してしまうなんてね」

QB「受けた傷が深くて全力は出せなかったみたいだけど、本来なら地球上の文明を無に帰すほどの攻撃を繰り出せるんだ」

まどか「そ、そんな…」

QB「君の途方もない素質だったらどんな願いでも叶えられるだろう、それこそ魔法少女システムに干渉出来るぐらいにね」

QB「だからこそ、忠告しておくけど時代を超えて魔法少女システムを地球上から無くすという願いは叶えない方がいい」

QB「それは僕たちが介入しないということを意味するからね、僕たちが介入しなかったら君たちは今でも穴蔵暮らしだろう」

まどか「わたしは…」

QB「まだ時間はあるからよく考えて願いを叶えるといいよ」

まどか「……」

詢子「そんな顔して、何かあったのかまどか」

まどか「ママ…」

詢子「このスーパーセルで不安っていう顔じゃなさそうだな」

まどか「もしもだよ、このスーパーセルが今よりも規模が大きくなるのが分かっていて、自分に止められる力があるってわかってたらどうする?」

詢子「…どうにも出来ないって言ってやりたいが、そうだな私ならお前とパパとタツヤが危ないなら何とかするかな」

まどか「…」

詢子「行くのか?」

詢子「お前は良い子に育ったよ、我がままも言わない優しい子にな」

まどか「けど、わたしは今、いけないことを考えてる…」

詢子「やらないで後悔するぐらいならやればいいさ。けどなそれは自分が本当にやりたいことか、誰かに騙されてじゃないよな」

まどか「ううん、違う、それだけは断言できる」

詢子「そうか、しっかりやってこい。私たちの立派な娘なんだからよ」

まどか「うん、行ってきます!」

詢子「……見てたのか?」

知久「ちょっと気になってね、けど行かせて良かったの」

詢子「ああなったら止まらないってのは分かってるだろ、私たちが出来るのは無事に帰って来ると信じることさ」

知久「無理しなくてもいいんだよ」

詢子「娘が覚悟決めたんだ、私が引きとめるわけにはいかないよ」

まどか「ほむらちゃん!!」

ほむら「まどか!?なんで出てきたの!?」

まどか「さっきQBからマミさん達が危ないって聞いて!」

ほむら「インキュベーター!!」

QB「本当のことだよ、マミ達はワルプルギスの夜の本気を引き出してしまった。早く倒さないとマミ達の身が危ないだろうね」

ほむら「まどかを魔法少女にはさせない!!」

QB「出来るのかい?使い魔が来ているよ」

ほむら「くっ」

QB「前から推測していたんだけど、まどかがここまでの素質を持つ原因は君じゃないかな」

ほむら「どういうこと!?」

QB「君が初めてまどかの魔女化を確認したのは二週目だけど、その時には地球を滅ぼすほどの魔女ではなかったのだろ」

QB「だけど四週目には地球を滅ぼすほどの魔女になっていた、君が時間を巻き戻すたびにまどかに因果の糸が絡みついていったんじゃないかな」

ほむら「それは…」

QB「暁美ほむら、ある意味君こそが宇宙の救世主だろうね。ここまでまどかを育ててくれて感謝するよ」

ほむら「させない!くっ、邪魔よあなた達!!」

QB「さあ、まどか、君はどんな願いで魂を輝かせる」

まどか「わたしは全ての魔女が生まれる前に消し去りたい!全ての宇宙、過去、現在、未来の魔女をこの手で!!」

QB「その願いは!そんな願いが叶うとしたら、時間干渉なんてものじゃない因果律への反逆だ!!」

QB「君は本当に神になるつもりか!?」

まどか「神様でも何でもいい、希望を信じた皆を泣かせたくない、笑顔でいて欲しい」

まどか「だから、それを邪魔するルールなら、壊してやる!変えてやる!!」

まどか「それがわたしの願い!さあ、叶えてよインキュベーター!!」

本日はここまでです。
まどかマギカオンラインのキリカの必殺技スキルカードが妙にエロく感じます。



アギトの力を奪う要領で、魔法少女の力も奪って普通の人間に戻せたらいいのに
そこまで神様協力的ではないか


葦原さん?
ああ、落ちた先が川なら何も問題はないよ、うん

しかし、まどかの願い……なぜ「魔法少女が魔女になるっていう法則の破壊」じゃなくて「魔女を生まれる前に消す」にしたんだろ……

北条さん劇中嫌な人のような、味方のような微妙な人のイメージ
アギトと敵対してませんでした?

魔女になるのとアギトになるののタイミングが一致したらどうなるんだろ?
魔女とアギトに分かれるとか・・・

1です、まったり投下します
葦原さんが大人気です、そもそもアギトのライダー達はまともな手段では殺せない気がひしひしとします。
余り話題に上がりませんが翔一君も二週間近く海に漂っていたんですよね。

>>366
まあQBが魔女放ったら人間にはどうにも出来ないので魔法少女を普通の人間に戻したくても戻せないということで

>>367
法則の破壊だけだと過去の魔女を対処できないからじゃないですかね

>>370
北條さんは敵対と言うか、利用しよう→正体を突き止めよう→本人は積極的に敵対する気はなかったのかもしれないけど上層部の都合で敵対することになった人
正義感はある人なんですけどね

>>376-377
大体そんな感じです、イメージ的には濁ったソウルジェムがグリーフシードになる途中で粉砕みたいな感じですかね

まどか「ここは?」

まどかはインキュベーターに対して願いを告げた。
本来ならばその場で魔法少女に変身して全宇宙の全ての時代の魔女を消し去るはずだった。
しかし、今いる場所はワルプルギスの夜との死闘が行われている見滝原市ではなかった。
どこまでも広がる闇の空間。

まどか「もしかして!」

特殊な願いだったせいでこの不思議な空間に移動させられたのではないかと考え、まどかは自分の持ち物を検める。
一通り持ち物を検め、身体のどこかに装着されていないかも確かめてみたが目当てのソウルジェムは見当たらない。
嫌な予感を感じつつも、まどかは諦めずに魔法少女への変身を試みる。
様々なポーズをとる、力と気合を込める、掛け声を出してみるの一通り試してみるが変身出来ない。

まどか「契約…出来て…ない?」

まどか「まだ、まだ諦めちゃだめ。見滝原からどこか分からない場所に飛ばされたからには何かあるはず」

そう呟くとまどかは謎の空間を歩んでいく。
空間自体は固定されているのか、身体に浮遊感もなく、脚で普通に歩くこともでき、普段通りの行動が可能だ。
最初の位置から前進し続けているが壁がないのか、はたまた果てがないのか行き詰ることはなかった。

実際の時間はどれだけ進んだかもわからない時間歩き続ける。
まどかの体感ではさっき歩き始めたような気もするし、ずっと歩き続けているような気もする。
時間の感覚が狂っているせいなのか、そんな現象が引き起こされているのか疲労感も感じずに歩いていく。

まどかの視界の端に一筋の光が入りこんでくる。
思わぬ手掛かりにまどかはそこに走りよる。
光が入ってくる場所は近づいてみると扉になっており、その扉を開く。

扉を開いた先に広がる光景にまどかは驚愕する。
目の前にある光景はテレビなどでよく目にする宇宙から見た地球だ。
そして、ティーセットが用意されたテーブルで一人の青年が地球を見つめて座っている。
青年はまどかの方を見ずに声をかけてきた。

???「適当な椅子にお座り下さい」

青年の声に促されてまどかはテーブルを囲んでいる椅子の一つに腰掛ける。
そして青年の方に顔を向ける。
その青年は男とも女とも取れない美貌の持ち主だった。

座る前は席には何も置かれていなかったが、座った後にはいつの間にかお茶が入ったティーカップが置かれていた。

???「本来は必要ないのですが、趣向みたいなものです向かい合って話をするよりも落ち着いて話せると思います」

まどか「あの、ここはどこなんでしょうか」

???「ここは地球を一望できる特等席です」

まどか「何のために地球を見ているんですか」

???「見守っているのですよ」

まどか「誰をですか」

???「あなた達、人を」

まどか「わたし達を見守っているって、あなたは一体」

???「私はテオス、人の言うところの神です」

まどか「えっ!?か、神様なんですか!?」

テオス「何をそんなに驚いているのですか?」

まどか「だ、だって神様って言われてもわたし達と同じような人間に見えますし」

テオス「それはそうでしょう、人は私が私を基にして創りだした種族なのですから」

テオス「ですから、私にとってみれば人は子の様なものです」

まどか「えっと、一番最初の御先祖様なんですか」

テオス「その認識で構いません」

まどか「なんでそんな偉い人がわたしを…」

テオス「わかりませんか?」

まどか「すいません…」

テオス「謝らなくても大丈夫ですよ、私はあなたを導きに来ただけですから」

まどか「導く?」

テオス「私と同じ位置に就こうとしている子がいるのですから、当たり前だと思いますが」

テオス「先ほども宇宙の始まりと神の時間を体験したでしょう」

まどか「さっきって……、あの暗い空間ですか?確かに時間の感覚がおかしかったですけど」

テオス「そうです、宇宙の始まりは暗闇です。そして神に取ってみれば途方もない時間も瞬きのように過ぎていきます」

テオス「あなたが願いを叶えれば神となって世界を一から改変する事になります」

テオス「あなたがその世界に足を踏み入れるならば多少なりとも体験させ、心構えをさせてあげるのが親心かと思いまして」

まどか「あれが始まり…」

まどか「!あ、あのなんでQBを放っておくんですか、人間を子供と言うなら邪魔な存在じゃないんですか」

テオス「インキュベーターですか、あれはアギト以上に忌むべき存在です。滅ぼしきれなかったのは私の落ち度でしょう」

まどか「アギトが忌むべき存在ってどういうことなんですか」

テオス「私はアギトを嫌い滅ぼそうとしました。アギトは人を人ならざるものへと変えてしまいますからね」

テオス「その話は今は関係ないのでインキュベーターの話をしましょう」

テオス「あれが地球に来たのは時を遥かに遡ります。
     当時地球にいた人は数は少なくとも私が寵愛していたもの達ばかりでした。
     そこにあれが近づいたのです。今とは姿が違いますがやることはおおむね一緒です。
     最初のうちは契約を断っても、あれは言葉巧みに契約を結んでいくのです」

まどか「話を遮るみたいなんですが、アギトを嫌ってたみたいですけど魔法少女は滅ぼそうとしなかったんですか」

テオス「構いません、疑問点があるならば答えましょう。
     魔法少女を滅ぼそうとしなかったのは私にとってはまだ愛すべき存在であると同時に騙された被害者だったからですよ。
     しかし、人を人ならざるものへと変えるインキュベーターに日に日に怒りを積もらせていきました。
     私は元から断つべくインキュベーターの本星を時間をかけて捜し出し一度惑星ごと滅ぼしたのですが」

まどか「それでもQBは生き残ったんですか…」

テオス「生き残ったのか別の種族だったのかはわかりませんが結果としては別の惑星があれの本星になっただけでした。
     そうこうしているうちに人は発展を遂げ、他の生物の安寧を脅かし始めました。
     その生物の主たる僕からは人を滅ぶすべしとの声が高まり私は彼らを宥める必要も出てきました」

テオス 「その合間を縫って復活したインキュベーターの本星の捜索や魔法少女システム自体の解析も進めていました。
     ですが、痺れを切らした僕の一部が私に断りなく人類を攻撃し始めました、人類側は成す術もなく殺戮されていきました。
     そして光も私の制止を振り切り、人へとアギトの力を与えるために地球へと降り立ちました」

まどか「アギトを人類に渡すのはどうして駄目だったんですか?」

テオス「アギトは人が制御できるようなものではないのです、事実光がアギトを授けた人は暴走して敵味方の区別なく虐殺をしました。
    その為に私は光をうち倒すこととなり、光は滅びる前に人にアギトの力を降り注いだのです。
    私は悩んだ末に当時の地球上の生物のつがいを一組ずつ隔離してから、一度地上全てを水の底に沈めました」

テオス「その際に同じことを繰り返されてはいけないので解析が一通り進んだ魔法少女システムを凍結しました。
     システムに繋がっている全ての個体を凍結したので新しき世界ではインキュベーターの跳梁は起きませんでした」

まどか「え、えっとつまりどういうこうとですか」

テオス「地球の文明は一度滅びて再興しました、再興した文明にはインキュベーターによる介入は起きていないので、
     今の人の文明は間違いなく人だけで創りえたものです。
     しかし地球にインキュベーターが介入していなくても今と同じ文明レベルには達したはずですがね」

まどか「アギトとQBを嫌っているのは分かりましたけど、今の地球には手出ししないんですか」

テオス「しましたよ、私は人にアギトが覚醒する可能性を考えアギト覚醒の兆しが見えれば僕に抹殺するよう命令しました。
     そして、私は人、いいえ人間とアギトに負けたのです。
     その際にある人間と賭けをしました。アギトを人が滅ぼすか、許容するかの賭けをね、
     その結果が出るまで人を見守ることにしたのですよ」

まどか「神様が負けたんですか!?こんなことが出来る人が負けるなんて信じられません!?」

テオス「私も甘かったのですよ、人を愛せなくなったといいながら直接人を殺そうとしませんでしたからね、
     迂遠な対応を取った結果です。私はどこかで人を愛することを止めていなかったのでしょう」

まどか「でも…、なんでそんな話を私にしてくれたんですか?」

テオス「あなたが諦めているように見えたもので人間の可能性に」

まどか「希望を信じて魔法少女になった皆を絶望で終わらせない為にはこれしか…」

テオス「結局のところ、あなたがやろうとしていることは魔法少女の安楽死に過ぎません。
     今の私は信じています人間にこそ絶望を乗り越える力があることを、
     少なくともあの青い鎧を着た人間は唯の人の身で私たちに立ち向かい続けましたよ」

テオス「ちょうどいい頃合いのようです。あなたはここに至る資格を失いました、すぐに元の場所で目覚めるでしょう」

まどか「ど、どういうことですか!?」

テオス「可能性が花開いたということです」

まどか「ちょ、ちょっと待って下さい!!」

まどかが再び目を覚ますと見滝原だった。まどかの前ではインキュベーターがまどかの胸に耳を差し込んで契約を完遂させようとしている。

ほむら「まどかー!駄目ー!!」

ほむらは契約を止めようとこちらに近づこうとするが使い魔に囲まれて思うように動けていない。

インキュベーターにとって不都合な契約だが、インキュベーター自身には拒否権はないようだ。
ソウルジェムを抜き出すためにまどかの魂の情報を読み取り始め、爆発した。

まどか「え?」

ほむら「え?」

目の前で起こった出来事に二人とも困惑の色を浮かべる。
使い魔も突然の爆発に動きを止めている。
誰も動かないまま、遠方から聞こえるワルプルギスの笑い声と避難所の裏口を守るG3-Xの銃声が一帯に響く。

QB「まさかアギトの力がこれほどのものとはね」

ほむら「何が起こったの、インキュベーター」

QB「まどかがアギトの力に目覚めたようだ、それを知らずに魂を読み込んだらアギトの力が処理できなくて自己崩壊したんだ」

QB「全く計算外続きの中でも飛んだ計算外だ、まどかと契約できなくなるなんて」

まどか「ど、どういうことなの!?」

QB「魔法少女システムはあくまでも普通の人間を対象にしている。システムを上回る力を持っているものと契約できないのは当たり前だろ」

QB「君から得られるエネルギーは惜しいけど、今回は君の願いのせいで今までの成果が無に帰すことが無くなったことを良しとするよ」

そういうとインキュベーターはワルプルギスの夜の方へと向かって行く。

ほむら「どこに行く気かしら」

QB「君たちからはエネルギーを回収できないからね、ワルプルギスの夜に追い詰められているであろう三人から得ようかなと」

ほむら「させない!」

ほむらの動きを察知して使い魔も行動を再開する。
使い魔に守られるようにインキュベーターはその場を離れていく。

三人の魔法少女とワルプルギスの夜の戦いは魔法少女側が押されていた。
ワルプルギスの夜が一度反転して三人を吹き飛ばしてからは三人は態勢を立て直すものの使い魔の数に押され有効打を放てない。
魔力にはまだ余裕があるから攻め切られずに済んでいるがこのままでは敗北は目に見えている。

マミ「二人ともグリーフシードの残りは大丈夫かしら」

杏子「ギリギリってところだな」

さやか「こっちもそんなもんです、むしろ射撃技が多いマミさんこそ大丈夫ですか?」

マミ「燃費は悪くても使い方で次第どうとでもなるわ、まあこっちもギリギリだけどね」

杏子「どうするよ、ワルプルギスの夜が一回反転した後は元の状態に戻っているとはいえこのままじゃじり貧だぞ」

さやか「一発燃費無視して薙ぎ払うってのはどう?」

マミ「そうね、長期戦になったら不利なのは私たちなのだから派手にやりましょうか」

杏子「どっちでいくよ、ワルプルギスの夜狙いの大技でいくのか、使い魔掃討をするために範囲が広い技でいくのか」

マミ「範囲で行くわよ、最悪ワルプルギスの夜は暁美さんと氷川さんに任せましょう」

さやか「あたし達は舞台を整える役ってことですか」

杏子「嫌だったら、あたし達で仕留められるようにやればいいんだよ」

三人は一度後退し、各々が持つ広範囲攻撃の準備に入る。
マミは魔力を練り上げ、さやかはサーベルを大量に作りだして地面に突き刺し、杏子は槍を地面に突き刺して魔力を注ぐ。

ワルプルギスの夜が射程ギリギリに入り込み、それぞれの攻撃を開始する。
マミは飛び上がり練り上げた魔力で無数のマスケット銃を作り出して一斉射撃。
さやかは地面に突き刺したサーベルを魔力強化された体で次々と投げていく。
杏子は槍を通して地面や壁に魔力を注ぎ込み一斉に槍衾のように出現させる。

広範囲技ゆえに一撃の威力は低いものの、それをカバーするための三人がかりだ。
ワルプルギスの夜に与えたダメージは軽微だが使い魔を一掃することはできた。

さやか「どうだ!!」

杏子「ワルプルギスの夜まで攻撃が届いたのはラッキーだな」

QB「まだ生きていてたんだね、良かったよ」

杏子「何だよ、お前が良かったっていうと悪い意味にしか聞こえねえ」

QB「まどかとの契約が無理になったからね、君たちで補いたいんだ」

さやか「本当に嫌なやつだな!!」

マミ「待って!鹿目さんとの契約が無理になったってどういうことかしら」

QB「彼女はアギトとして覚醒してしまった、僕の契約対象外だ。お陰で莫大なエネルギー源を一つ失ってしまった」

杏子「ざまあ」

QB「おまけにストックを一つ失うし」

さやか「あたし達もあんた達のエネルギーになる気はないけどね」

マミ「でも、これで懸念が一つ消えたわね」

QB「それはこの戦いに勝てたらの話だろう」

さやか「ここまで押しているんだ、勝利は時間の問題だよ」

マミ「……QB、あなた!?」

QB「予想よりも早く気付かれたね、まあいいか」

マミ「二人とも退避するわよ!!」

さやか「ど、どういうことですか?」

杏子「そういうことかよ。さやか走れ!気になるなら逃げながらワルプルギスの夜を見ろ!!」

さやか「ワルプルギスの夜って…、げっ!?」

さやかが目にしたのは反転しようとしているワルプルギスの夜だった。

マミ「時間稼ぎよ、タイミングを見計らって声をかけてきて気になる情報を私たちに聞かせて足止めさせたのよ」

三人は必死に逃げるもののインキュベーターに妨害された影響は大きく隠れる為の遮蔽物に辿り着けない。
ワルプルギスの夜の頭部が再び頂点に達しようとした時、嵐と暗雲を何かが切り裂いてワルプルギスの夜に直撃した。
ワルプルギスの夜は反転を遂げられずに地に落ち、物体は落ちてきた勢いを止めずにとこかへと飛んでいった。

<数分前>

翔一は嵐の中バイクを走らせていた。
本来なら嵐が来る前に見滝原に到着する予定だった。
だが、細々とした用事を済ませていたら出発時刻が遅れたのだ。

出発時刻が遅れたのは飛ばせばどうとでもなる。
一番の問題は見滝原への道を翔一はよく知らないのだ。
準備段階で何度か道筋を確認したものの紙上で確認するのと実際に走らせるのは別だ。
その上、この嵐で使おうとしていた道が何箇所も通行不能となっているために迂回する度に分からない道に入っていく。
結果、見滝原に到着できずに嵐の中でまだバイクを走らせている。

翔一(ワルプルギスの夜がいつ来るのかちゃんと教えてくれなかった氷川さんには今度文句を言おう)

氷川は翔一と葦原が関わってくることを黙認したが頑なにいつ頃にワルプルギスの夜が来るかを言おうとはしなかった。
葦原は翔一と違い自由に動きやすいために早々に見滝原入りしている。

翔一「あれは?」

見滝原に近づきつつあった翔一が見たのはワルプルギスの夜だった。
ワルプルギスの夜は反転するために徐々に傾いている。

翔一「何か、まずい気がする」

翔一はバイクに乗った状態で変身する。
アギトへと変身する光の余波を受けて翔一のバイクはマシントルネイダーへと変化する。
いつぞや杏子が助けられた際に目撃したバイクだ。

マシントルネイダーは速度をそのまま上げていく。
そしてアギトはマシントルネイダーから跳び上がる。
マシントルネイダーは前輪と後輪を90度回転させて車体が伸びて宙に浮く。
アギトは変形したマシントルネイダーに降り立つ。
マシントルネイダースライダーモードだ。

元々マシントルネイダーはバイクモードしかなかったのだが、テオスが干渉した際にこの形態を覚醒させた。
バイクモードは最高時速450km、スライダーモードは最高時速750kmになる。

そのまま遥か上空へと飛び上がる。
雲を抜けてワルプルギスの夜に当たるように位置を調整していく。
そして、最高速度に達した後に急制動をかける。
750kmの勢いと急制動をかけた際に梃のように持ちあがる車体の勢いも加わった速度で飛び蹴りを放つ。

飛び蹴りは上空から地上へと落ちる勢いも加わり嵐を吹き飛ばしてワルプルギスの夜を蹴り飛ばす。
余りにも勢いが付きすぎたために、その場に降り立てずに勢いのまま飛んでいく。


ほむらは使い魔の群れを後わずかの所まで追い詰めた。
追い詰められた使い魔たちは高層ビルに突撃する。

まどか「あれは何をしているの?」

ほむら「!まどか危ない!!」

使い魔の群れが突撃していたビルが崩れ始め石片がまどかに向かって落ちていく。
ほむらは駆けながらバーニングフォームへと変身し、まどかの前に立ちはだかる。
落ちてきた石片をまどかに当たらないように処理していく。

ほむら「まどか、怪我はない!?」

まどか「大丈夫だよ」

ほむら「良かった」

まどかに怪我が無いことに安堵するが破砕音が響き始める。
ビルが中ほどから折れたのだ。
処理できないと判断したほむらはまどかに覆いかぶさり守ろうとする。

その時、立ち込めていた暗雲が晴れて青空が広がる。
そして落ちてくるビルの残骸に何かが突っ込み粉々に打ち砕いた。

翔一「いたたた、反動で変身が解けちゃった」

まどか「あなたは?」

翔一「俺?俺は沢木哲也、アギトだよ」

ほむら「あなたもアギトなんですか」

翔一「そうだよ、ん?君のその姿もアギトだね。っていうことは君がほむらちゃんでピンクの髪がまどかちゃんか」

まどか「わたし達のこと知っているんですか!?」

翔一「氷川さんから聞いてるよ、杏子ちゃんから話を聞いているなら津上翔一って名乗った方が良かったかな?」

ほむら「津上翔一…、杏子はあなたがアギトはあり得ないって言ってたけど」

翔一「仕方ないよ、俺の変身はほむらちゃんみたいなタイプじゃなくて葦原さんみたいに姿が変わるタイプだから」

ほむら「葦原さんの名前まで…、世間って意外と狭いんですね…」

翔一「俺もそう思うよ、誰が何と繋がるか分かんないよね」

G3-X「暁美さん!無事ですか!!」

翔一「あ、氷川さん」

G3-X「津上さん!?いつ見滝原に!!」

翔一「さっき飛んできました」

ほむら「それよりも、ワルプルギスの夜は…」

翔一「さっき危なそうだったから蹴り飛ばしたんだけど、多分まだ生きてるだろうな」

まどか「あ、あの!そこに三人の魔法少女がいたはずなんですけど無事でしたか!?」

翔一「えっと、確か怪我はしてたけど全員無事なはずだよ」

まどか「良かったー」

G3-X「ここは安全が確保できたようなので僕は先にワルプルギスの夜を倒しに行きます」

翔一「俺もバイクが戻ってきたらすぐに行きますよ」

ほむら「私も行きます」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「何かしらまどか」

まどか「わたしも一緒に行く!!」

まどか「わたしもアギトに覚醒したなら戦えるはずだよ、それにもう守られてばかりじゃ嫌なの!!」

ほむら「でも…」

翔一「連れていってあげればいいじゃない」

翔一「このままだったら勝手に付いてくると思うしね」

ほむら「分かったわ、一緒に行きましょう」

まどか「ほむらちゃん!」

翔一「俺付いていた方がいい?」

ほむら「大丈夫です、私たちは私たちで行きますので」

まどか「ごめんね、あんなに言われていたのに契約しようとして」

ほむら「本当にもう、でも私たちを助けたかったのでしょ。危機に陥った私たちの落ち度よ」

まどか「ほむらちゃんはわたしを魔女にしないようにQBの契約から守ろうとしてくれていた」

まどか「でも、今のわたしはQBと契約できないから一緒に戦ってもいいでしょ」

ほむら「それは……」

まどか「心配してくれているのは分かるけど、いつまでも皆の背中を見てるだけじゃ嫌なの隣で同じ光景を見ちゃ駄目かな…」

ほむら(私は何のために魔法少女の契約をしたのだろう、まどかを守るため?違う本当はあの時に置き去りにされたみたいで悲しかったから…)

その思いに至った時、バーニングフォームの鎧が鳴動する。
日の光を吸収するかのように光が鎧に集まり、鎧にひびが入る。
ひびが鎧全体に行き渡り崩れ落ちていく、中から現れたのは光にも劣らない輝きを持つ白銀の鎧。

現れた白銀の鎧に対応するかのようにほむらの衣装も変化が現れる。
バーニンフフォームに変化した際に深紅だったブーツも白く輝き、無防備だった腕も白銀の籠手に覆われる。
背中から放出されていた黒い光も白く輝いている。

まどか「ほむらちゃん、綺麗…」

ほむら「一緒に戦いましょう、まどか」

まどか「うん!」

まどか「そういえば、どうやったら変身できるのかな」

ほむら「その時になったらわかるわよ、多分」

さやか「ワルプルギスの夜の反転が止まって地面に落ちてるけど、まだ生きてるよね」

QB「生きているね、証拠に使い魔が溢れ始めたよ」

杏子「あー、うぜえ。どっか行けよ!」

QB「結果はどうあれ見届けたいからね、ワルプルギスの夜を倒したところで君たち魔法少女の運命は決まっているけどね」

マミ「魔女になる運命なんか弾き飛ばして見せるわよ」

杏子「その前にこっちだ、さっきとは比べ物にならないぐらい出てきてやがる」

さやか「全員倒れてもここでワルプルギスの夜を倒せればいいでしょ」

三人がグリーフシードで回復し戦闘態勢を整えたところで排気音が聞こえてきた。
ワルプルギスの夜が来た方角からバイクが走りこんできた。

葦原「運命が塞がっているなら、こじ開ければいい」

さやか「葦原さん!?生きてたんですか!?」

葦原「俺は不死身だ、あの程度では死にはしない」

葦原は両腕を胸の前で交差させてから広げ、叫ぶ。

葦原「変身!!」

変身した姿は普段のギルスではなかった。
ギルスの肩、肘、腕、脛、踵に爪が生えている。
胸部にはギルスの時には存在しなかった金色の宝石が埋め込まれている。
ギルスの強化形態エクシードギルスだ。

避難所がある方角からもバイクが二台走ってくる、翔一とG3-Xだ。

G3-X「皆さん、無事ですか!」

翔一「杏子ちゃん、久しぶり」

杏子「翔一!?なんでここに!?」

翔一「色々と氷川さんに教えてもらったから、助けに来たんだよ」

翔一「そこにいるインキュベーターに好き勝手にさせるわけにはいかないしね」

QB「好き勝手にやっているわけではないよ、それに助けに来たと言うけど魔法少女の運命は決まっている一時しのぎにしかならないよ」

翔一「お前が魔法少女の運命は決まっていると言うなら、打ち砕いてみせる!!」

翔一は両手を突き出して交差させ、腰に戻してベルトを出現させる。
左手を前に突き出し、右手を左手の上で交差させ、叫ぶ。

翔一「変身!!」

翔一はアギトへと変身する。
基本となる金色のグランドフォームではなく、光り輝くシャイニングフォームだ。

纏うのは深紅の鎧を白銀でコーティングした鎧。
腕には白銀の籠手、くるぶしと膝を白銀の装甲で覆っている。
常に六本角に展開している深紅のクロスホーン、大きな複眼は黄色だ。

使い魔は全て出てきたのだろう、一斉に行動を開始する。

アギトはシャイニングカリバーを出現させて装備する。
シャイニングカリバーはバーニングフォーム時には薙刀として扱うがシャイニングフォーム時には二刀流として用いる。
斬撃の軌道が残るほどの剣速でシャイニングカリバーを振るい使い魔を切り刻んでいく。

エクシードギルスの見た目の大きな特徴は各部に装着されている爪だが、もう一つギルス時にはなかった武器がある。
普段は背中に収納して分からないが、触手状の鞭ギルススティンガーが四本収納されている。
ギルススティンガーは拘束はもちろん刺殺にも使える。
ギルスは近寄る敵を爪で屠る、腕だけでは対応できない敵にはギルススティンガーで刺し殺していく。

G3-Xはアギトやギルスと違い超常的な力は一切用いていない。
基本スペックはアギトやギルスに比べると大きく劣るが武装を用いての戦闘を主としており且つ装着者に悪影響を及ぼさないことを想定してである。
遠距離から寄せてくる使い魔の後方を狙いGX-05で敵を薙ぎ払う。

魔法少女たちは盾になるように戦う三人から漏れてきた使い魔を撃破していく。

杏子「庇われてるみたいで嫌なんだがな」

マミ「私たちのさっきまでの戦闘の消耗を考えてでしょう」

さやか「この使い魔も強いですから、有り難いっていえば有り難いですね」

何体かの使い魔が魔法少女たちを後ろから襲おうとする。
その使い魔に向かって数発の矢が飛んできて突き刺さる。
現れたのはまどかを背負って戦場に跳んできたほむらだ、片手には弓を持っている。

ほむら「やっと着いたわ」

まどか「皆!大丈夫!?」

さやか「まどか!?」

マミ「暁美さんも!また新しい姿に覚醒したの!?」

ほむら「色々あってね」

杏子「その弓はどうしたんだ?」

ほむら「この姿の時の武器よ」

まどかを降ろして弓を構えると残った手に矢が作り出される。
手を放し、こぼれ出てきた使い魔を撃ち抜いていく。

小沢「氷川君、聞こえる?」

G3-X『小沢さん?どうかしましたか?』

小沢「北條君を戦場に送りだしたいんだけど、戦場に続く道に使い魔が溢れているの掃討をお願いするわ』

小沢「それとそろそろ決めるわよ、GG-02を全弾ワルプルギスの夜に撃ちこんで、北條君の攻撃が終わったらGXランチャーよ」

G3-X『分かりました!』

小沢「北條君は今から発進よ、これ以上は近づけないわ」

G3「大丈夫です、この程度ならどうとでもなります」

小沢「頼もしいわね、さっさと発進なさい」

発進したG3の進む先の道でワルプルギスの夜と溢れかえる使い魔が見える。
G3-XがGG-02を撃ちこんだのだろう、数回の爆発がワルプルギスの夜に起きる。
態勢を立て直しつつあるのだろう、ワルプルギスの夜が徐々に浮上している。

小沢『今よ!ギガントアクティブ!!』

ギガントは元々G4用の装備として設計されていたが、G4に対して危険を感じた小沢がG4の設計図ごと封印していたのだが、
ある時、G3ユニットに潜り込んだ自衛官にG4の設計図ごと盗まれて製造されてしまったのだ。
その自衛官が計画していたプロジェクトをアンノウンが襲った際に壊滅したそのプロジェクトからG4ごと押収していた。
今回のワルプルギスの夜の為に北條が引っ張り出して使用することとなった。

ギガントは元は肩掛け式の四連ミサイルランチャーだったがG3が使用するにあたり改造してガードチェイサーに積み込んでいる。
その為にガードチェイサーにはそれ以外の装備は全て取り外され、左右に計四発のミサイルが装備されている。
有効射程は4000m、最大目標速度は秒速450m、威力は二発で十体以上のアンノウンを殲滅する威力を持つ。

ワルプルギスの夜に爆発が起きた後、道にいた使い魔が次々と薙ぎ払われていく。
邪魔をする使い魔がいなくなったのを確認してギガントを全てワルプルギスの夜に撃ちこむ。


G3-Xは飛んできたギガントがワルプルギスの夜に突き刺さり爆発するのを確認する。
既に掃射を終えたGX-05はGXランチャーに形を変えている。
そして砲身にGX弾を装着し発射する。
駄目押しの一撃を受けてワルプルギスの夜は浮上を止める。

使い魔を減らしたギルスはギルススティンガーを利用してワルプルギスの夜よりも高く跳び上がる。
そして強化された踵の爪を振り下ろす。通常の踵落としではなく両方の踵を敵に振り下ろすダブルエクシードヒールクロウだ。
強烈な一撃を受けて浮いていたワルプルギスの夜は地上に叩き落とされる。

アギトはシャイニングカリバーをしまいこみ、飛び蹴りの態勢に入る。
両手を広げ、左手を腰に右腕を胸の前に移動させながら身体を思いっきり左に向ける。
その瞬間、空中にアギトの紋章が二枚出現する。

その紋章に向かって飛び蹴りを放つ。
紋章を突き抜ける度に飛び蹴りの速度が増していく。
速度が増した飛び蹴りがワルプルギスの夜に放たれる。

二枚の紋章を突き抜けたアギトの飛び蹴りでワルプルギスの夜の耐久は限界を超えたのだろう。
歯車の動きはどんどん鈍っていく、逆さまになっている身体も力なく腕を地に落とす。
そして、複数のパーツで構成されていたワルプルギスの夜はばらばらに弾け飛んだ。

さやか「たお…した?」

杏子「ああ、やったんだよあたし達は」

マミ「二人とも使い魔が残ってないか警戒しなさい!」

ほむら「そう言うけど顔が緩んでるわよ、マミ」

マミ「暁美さんこそ…、念願が叶った割には浮かない顔ね?」

ほむら「まだだからよ」

まどか「ほむらちゃん!!」

ほむら「あれね!!」

そう言うと二人は一際大きな歯車に目を向ける。
厳密にはまだワルプルギスの夜は死んだわけではなく、魔法少女や魔女の呪いで構成されていたパーツが吹き飛んだだけで本体はまだ生きている。
ほむらは弓を構えて矢を放つがダメージが通っている様子はない。

まどか「わたしも一緒に!」

まどかがほむらが持つ弓矢を一緒に握った時まどかに変化が現れる。
服は白いドレスの様な服に変わり、髪は腰よりも長く伸びる。
そして背中に実体のような白く大きな翼が広がる。

ほむらとまどかが弓矢に力を込めると宙に五枚の紋章が浮かび上がる。
それぞれ色が異なり、黄、青、赤、紫、ピンクに輝いている。
そこに矢を撃ちこむと紋章を通る度に矢はその色の光を纏い大きくなっていく。
五つの光を纏った巨大な矢は本体の歯車を突き破りグリーフシードに突き刺さり光が溢れ出す。

ほむら「やっと終わったわ…」

まどか「うん…」

葦原「悪いな、最後の詰めが甘くて」

ほむら「いいんです、私も自分の手で決着を着けれたので」

まどか「わたしもこれで良かったと思います」

葦原「そうか」

翔一「久々に張り切ったから疲れたー」

杏子「おい!翔一!」

翔一「どうしたの杏子ちゃん?」

杏子「お前があのアギトだったんだろう、ってことはだなあの時あたしを助けたのは…」

翔一「俺だよ」

杏子「なんで、あの時に言わなかったんだよ!そうすりゃちゃんと礼の一つや二つ言ってたのによ…」

翔一「俺が詳しく話さなかっただけだから気にしないで」

翔一「ところでほむらちゃんにまどかちゃん、この降り注いでる光はなんなの?」

ほむら「よくわかりません。ワルプルギスの夜のグリーフシードにあの矢が刺さったせいだと思うんですけど」

まどか「グリーフシード絡みだったならソウルジェムを見てみれば」

杏子「ん、濁りが減ってるな」

さやか「今も凄い勢いで濁りが減ってるんだけど」

マミ「それどころか普段よりも輝きが…」

翔一「そっか、害が無いなら別にいっか」

小沢「おーい、皆無事?」

ほむら「小沢さん、ええ無事です」

小沢「そう、良かった。じゃあ打ち上げに避難所の前でパーっと焼き肉やるわよ」

まどか「網とかはどうするんですか」

小沢「Gトレイラーに積んでるわよ、もう尾室君がGトレイラーをそっちに持っていって準備してるはずよ」

マミ「そういえば、氷川さんと北條さんはどうしたんです」

小沢「一緒に被害状況の確認に向かったわ、熱心よね」

杏子「本当か!?なあ速く戻ろうぜ、魔力は戻っても腹は減ってるんだからよ」

さやか「焼き肉ですか、でも避難所の前でやったら皆も出てきて足りなくなりません」

小沢「結構積んできたから大丈夫なはずよ、それにあそこらへんでしか出来そうにないんだから仕方ないわよ」

翔一「あ、お肉とか野菜とかは絶対に大丈夫ですよ。この嵐が去ったらすぐに持ってきてもらえるように手配してきたんで」

小沢「ナイスよ津上君」

さやか「葦原さんも行きましょうよ」

葦原「そうだな、急ぐ用事もない。ゆっくりしていくか」

まどか「…ほむらちゃん」

ほむら「何かしら」

まどか「どこにも行かないよね」

ほむら「魔法少女のころだったら答えを渋っていたわね、行かないわよ行く必要もないわ」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「私こそありがとう、まどか。あなたのお陰で無事に乗り越えられた」

さやか「まどかー、ほむらー、何してるの置いてくよー!」

マミ「美樹さん!!」

杏子「空気読めよ!!」

ほむら「ふふっ、行きましょうか」

まどか「うん!」

本日はここまでです
次回エピローグを投下します

テオスさん出せて、割と満足です。

1です、エピローグ投下します。

QBはゴキブリのイメージです。
ストックをどこかに休眠状態で置いておけば卵の様なものです。

テオス「どうかしましたか」

沢木「鹿目まどかの契約を妨害するためにアギト化の時間を稼いでいたように見えたもので、何の気まぐれかと思って」

テオス「そうですか、彼女は無事にアギトになれましたか」

沢木「否定はしないと」

テオス「あなたが言った通り人間はアギトを駆逐せずに共存の方向に向かっています」

テオス「私がアギトを嫌ったのは人が人でなくなるのを嫌ったからですが、制御できずに破滅へと向かうと思ったからです」

テオス「制御を可能にし人と共存できるならば手出しはしません」

沢木「昔に比べるとえらい変わりようだ」

テオス「私は変わっていません、人間が変わったのです」

沢木「魔法少女システムに手出ししなくてもいいのか」

テオス「本来ならば私が直接手を下しても良かったのですが、見守るのが今の私の役目です」

テオス「それに遠からず魔法少女の魂の問題は解決の糸口が見出されることでしょう」

沢木「ワルプルギスの夜のグリーフシードから放たれた光か」

テオス「そうです、彼女はアギトの力をあのグリーフシードに注ぎこみました」

テオス「その為、あの場にいて光を浴びた魔法少女たちには相当なアギトの因子が宿ったことでしょう」

沢木「あの場にいた魔法少女だけならば魔法少女全体の解決にはならないんじゃないのか」

テオス「あの光は別にあの場だけに降り注がれた訳ではありませんよ」

テオス「全世界にあの光は降り注がれています。あの場の光に比べると微々たるものですがね」

沢木「少ないながらも全世界の魔法少女にアギトの因子が宿ったと」

テオス「ですがアギトになれる魔法少女は少ないでしょう、なれたとしても生き残れるかはその魔法少女次第です」

沢木「アギト化の前に魔女化してしまうと」

テオス「アギトになるのは無理でしょうね、生きる希望を諦めた人間はアギトにはなりえません」

テオス「逆に生きる希望を諦めなければアギトの因子は力を貸すでしょう」

沢木「だが、現存する魔法少女だけではないのかその恩恵に預かれるのは」

テオス「ワルプルギスの夜がなんと呼ばれているか知っていますか」

沢木「さて、俺は魔女に詳しくないもので」

テオス「舞台装置の魔女だそうです、ならば舞台とはどこでしょうね」

沢木「普通ならば特定の場所を舞台と言うが、あれは結界を作らずに動き回ってるんだったな。なら地球が舞台か」

テオス「ワルプルギスの夜は地球上の魔法少女となんらかの繋がりを持っています」

テオス「地球上のどこかで魔法少女が死ぬなり魔女化するなりすればその魂はワルプルギスの夜に引かれ、ワルプルギスの夜に取り込まれます」

テオス「魔法少女の魂に宿ったアギトの因子はワルプルギスの夜の繋がりを利用して現存する魔法少女に拡散されることでしょう」

沢木「魔法少女たちの間で起き続けるアギトの因子の譲渡…、インキュベーターは対処しますかね」

テオス「無理でしょう、あれとアギトの相性は最悪です。彼女が証明してくれました」

沢木「……本来ならば俺が言う言葉なんですがね」

テオス「では、どうぞ」

沢木「きっと勝つさ、魔法少女たちはな」

テオス「ええ」

まどか「おーはよー」

ほむら「おはようまどか、早いわね」

まどか「なんか、やっと安心できたような、不安なような気持で早起きしちゃった」

ほむら「あれから丁度一か月だものね、節目だから仕方ないわ」

まどか「でも、東京の学校に今回の生徒受け入れに選ばれた時には焦ったけど、ほむらちゃんが部屋を借りていて良かったよ」

ほむら「箱の魔女を倒して記憶を取り戻した時にね、念のために借りていたのよ」

まどか「あっ、わたし達の前からいなくなるためでしょ」

ほむら「ええ、でも結果オーライでしょ」

まどか「わたしとしてはほむらちゃんがいなくならないだけで十分だけどね」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「今日の予定は?」

ほむら「確か午前は身体検査と問診、午後に杏子関連の色々ね」

まどか「行方不明から見つかるのも色々と面倒なんだね」

ほむら「杏子の場合は結構長い間行方不明だったからね、氷川さん達が色々とやるそうよ」

まどか「そうなんだ、問診と身体検査はなんで?」

ほむら「さっきも言った通り節目だからよ。当日に何か無くても間が空いてから何かあるかもしれないから念のためにね」

ほむら「準備もあるでしょうから、皆をそろそろ起こしておいて」

まどか「わかったー」

まどか「おーきろー」

マミ「ほえ、朝?」

さやか「あと、五分…」

杏子「ふわー、なんで毎度私がこの二人の間で寝ることになるんだろうな」

まどか「小さいから仕方ないんじゃないかなー」

マミ「んー、佐倉さん」

杏子「寝ぼけてないで起きろ」

さやか「ぐー」

まどか「さやかちゃんも、またご飯抜かれるよ」

さやか「いや、ごめんごめん」

ほむら「別に構わないから、早く食べてしまいなさい」

杏子「何度も声掛けたんだがな、その度に途中で寝やがる」

さやか「この生活に慣れたら、気楽でさー」

まどか「次からは起こしてあげないよ」

マミ「でも、鹿目さんと美樹さんのご両親がこの生活に良く許可を出したものね」

まどか「ほむらちゃんとマミさんが居るなら大丈夫だろうって」

さやか「本当は付いてこようとしていたみたいだけど」

ほむら「見滝原でやる事が残っているんでしょ、大人の方が自由に動けなくなるのは仕方ないわ」

杏子「ま、東京にいる成人の知り合いも多いからな。それもあるんじゃね」

さやか「まどかはまだ変身できないの?」

まどか「あの時は無我夢中だったから…、どうやったら変身できるのかはさっぱり」

まどか「そういえばQBが偶に顔を見せに来て、色々と聞いてくるんだけど」

ほむら「まどかがアギトじゃなくなったか確認してるんじゃないかしら、どこかで見てればこの一カ月まどかが変身してないのは分かるから」

マミ「ソウルジェムみたいな目印が無いから分かりにくいものね」

杏子「ソウルジェムと言えば、あたし達のソウルジェムの光は何時収まるんだよ」

ほむら「知らないわ、経験したことが無いし」

さやか「でもさ、この光って津上さんとか、葦原さんが変身する時の光と似いてるから、アギトの光なんじゃないの」

マミ「となると、いつかはソウルジェムを突き破って私たちの身体に魂が戻るのね」

さやか「それを考えるともっと光れーって願っときましょうか」

ほむら「そして身体に魂が戻ったら私と同じように激痛に襲われるのね」

さやか「ううー、痛いのは嫌だけど、魂は身体に戻ってきて欲しいし、ううー」

杏子「まどかはあん時、痛みは無かったのかよ」

まどか「無かったよ、むしろ身体が軽く感じたよ」

さやか「ずーるーいー」

ほむら「話していたらいつの間にかいい時間ね、そろそろ出ましょうか」

小沢「二人とも、捜査一課に戻ることになったのか」

氷川「ええ」

北條「そういう、あなたはイギリスで教授に戻るんですか」

小沢「放ったらかしにしていたから当分教授業に専念よ」

北條「それはご愁傷様です」

小沢「それはどうかしら」

氷川「これは許可証?」

小沢「そ、ワルプルギスの夜みたいな規模の魔女が再び出現したらあなた達に命令する権限貰っちゃった」

北條「それは勘弁してもらいたい」

小沢「何、私の下に着くのは嫌か」

北條「いえいえ、ワルプルギスの夜みたいなのとまた戦うのを遠慮したいだけですよ」

氷川「ですが、二度と現れないとは限りませんよ」

小沢「そういうこと、その時はまたよろしく」

北條「全くもっと教授業に専念してください」

氷川「僕としてはやはり小沢さんに戻ってきて欲しいのですが」

小沢「そうしたいのはやまやまだけど、こっちにいると前みたいに主旨から外れたことをやらされかねないからね」

北條「それだけ、あなたが有能だということですよ」

小沢「お世辞は結構、今夜の節目のお祝いにあなた達も出るんでしょ。しっかり空けときなさいよ」

氷川「もちろんです」

おやっさん「おい涼、今日はもういいから上がれ」

葦原「いいのか、まだ営業時間だろ」

おやっさん「いいんだよ、嬢ちゃん達に招待されてるんだろ」

葦原「いいって言ってるんだがな」

おやっさん「何をしたのかわからないが、悪い気はしないだろ」

葦原「……」

おやっさん「わかったら、身綺麗にして行け」

葦原「わかったよ」

おやっさん「嬢ちゃん達には優しくしろよ」

葦原「知るか」

まどか「失礼します」

ほむら「こんばんは」

翔一「あれ二人だけ?」

ほむら「他の三人は巻き込まれたのか首を突っ込んだのかわかりませんが何かの犯人を捕まえて氷川さんに説教されてます」

まどか「三人は正義感が強いから」

翔一「そっか、氷川さんも普通の事件に首突っ込まれるのは嫌がるからね」

ほむら「私たちは長くなりそうなので先に行っておくようにと小沢さんから」

翔一「小沢さんには俺も色々と助けてもらったよ」

まどか「そうだ、津上さんはアギトですよね。わたし変身できないんですけど何か分からないですか?」

翔一「うーん、俺はアギトだけど詳しいわけじゃないからね」

翔一「まあ、アギトは無くなるわけじゃないから、心配しないでも大丈夫。多分身体に馴染んでないだけだと思うよ」

まどか「良かったー」

ほむら「今度インキュベーターが来たら、そう言って追い返してやりなさい」

氷川「すいません、遅くなりました」

マミ「氷川さんが謝ることではないですよ」

さやか「そうですよ、勝手に首を突っ込んだあたし達が悪いんですから」

北條「そう言わないであげましょう、そこが氷川さんの良いところなんですから」

杏子「あんたはもうちょっと殊勝な態度はとれないのかよ」

小沢「無理ね、北條君の性格はもはや矯正不可能だもの」

尾室「忘れられてなかったのが嬉しいです」

小沢「また髭伸ばして、剃りなさい」

尾室「あ、これ付け髭です」

翔一「後は葦原さんだけですね、来てくれると良いんだけど」

さやか「来てくれますって、あの人は」

葦原「入るぞ」

さやか「ほら」

翔一「やっぱり、今回のお祝いはほむらちゃんの慰労会だよね」

氷川「祝賀会でもいいんじゃないですか」

葦原「どっちでもいい」

北條「単純に全員で暁美さんにお疲れ様でいいじゃないですか」

小沢「名目なんかなんでもいいわ、彼女の区切りになるならね」

尾室「そうですよ、全ては暁美さん次第なんですから」

ほむら「そんな、私はお礼を言う立場で労われる立場じゃ」

まどか「じゃあ、ほむらちゃんがお礼を言ってから全員がお疲れ様って返すのは」

マミ「それは、良いアイディアね。お礼の言いあいになったら切りが無いわ」

さやか「そうそう、あたし達はほむらにお世話になってるんだから」

杏子「ほら、前に出て言えよ」

ほむら「ちょ、ちょっと」



ほむら「え、えっと、み、皆、わ、私の為に本当にありがとうございました!」

「お疲れ様ー!!」

これでこのSSは完結です。

沢木さんが居たのはテオスさんから権威を貰ってるから肉体が死を迎えた時に魂がテオスさんに回収されていたからという解釈です。

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