マナ「六花はあたしの奥さんだよね……?」(152)

マナ「ねえ、六花」

六花「なに?」

マナ「六花、最近雰囲気ちょっと変わったよね」

六花「え、そう? 自分じゃ気づかないけど……どんな風に?」

マナ「なんか……あたしのこと見てくれなくなった」

六花「へ? なによそれ、マナったら変なこと言って」

マナ「……」

六花「マナ?」

マナ「……ううん、なんでもない」

六花「……?」

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・・・・・放課後

真琴「六花、今日のマナ様子が変じゃない?」

六花「まこぴーもそう思う? なんか変よね、今日のマナ」

真琴「六花はマナに何があったか知らないの?」

六花「うん。私にも何がなんだか」

真琴「へぇー、意外。六花だったらマナのこと何でも知ってると思ってたのに」

六花「何でもって…私にだって分からないものは分からないわよ。ただ、ちょっと心配ね」

真琴「ええ……」

マナ「……」

六花「あっ、マナ!」

マナ「六花……」

六花「今日生徒会の仕事あるんでしょ? 一緒に行きましょ」

マナ「う…うん!」

六花「じゃあまこぴー、私たち生徒会行ってくるから。バイバイ」

真琴「ええ。……六花、マナのこと任せるわね」ヒソヒソ

六花「分かってる」ヒソヒソ

マナ「バイバイ、まこぴー」

真琴「バイバイ、二人とも」

・・・・・生徒会室

マナ「じゃあ、今日の生徒会の仕事はここまで。みんなお疲れ様!」

「会長、お疲れ様でした」

「失礼しまーす」

マナ「気をつけて帰ってね」

六花「はぁ……全然仕事終わってないじゃない。まだ残ってるでしょ?」

マナ「だってみんなを居残らせるのは悪いし、後はあたしが一人で片付けちゃうよ」

六花「まったくマナったら。……仕方ないわね、じゃあ私も一緒に手伝ってあげる」

マナ「六花……! ありがとー!!」ギュッ

六花「もう、マナってば」

六花(別に……今は普通のマナよね。さっきはどうしてたんだろう……?)

マナ「よーし、頑張って終われせちゃうぞー!」

六花「……」

六花(……まぁいっか、元気になったのならそれで。たぶんマナのことだし、何か悩みがあっても自己解決したのかも)

マナ「ねえ六花、今日は帰りに一緒にケーキ屋に寄らない? 近くに美味しいお店ができたんだって」

六花「仕事が終わる頃にはもう夕方過ぎよ? 夕飯前だっていうのに」

マナ「いいじゃん、すごく美味しいらしいんだよ?」

六花「もう……しょうがないわね」

マナ「やった! 絶対に行こうね!」

六花「だったら早く仕事を終わらせる」

マナ「はーい!」

・・・・・ケーキ屋

マナ「ここここ! ここが新しいケーキ屋さんだよ!」

六花「へー、こんなところできてたんだ」

マナ「早く入ろ!」

六花「ええ。それにしても、楽しそうねマナ。ケーキ好きなのは分かるけどはしゃぎすぎじゃない?」

マナ「だって、六花と一緒にケーキ食べられるんだもん! 楽しみに決まってるじゃん」

六花「ふふ、何それ」






「きゃー! 助けてー!!」

マナ「!!」

シャルル「ジコチューの気配がするシャル!」

六花「ええ!?」

ラケル「あっちケル!」

マナ「行こう六花!」

六花「う、うん」


ジコチュー「ジコチュ~!!」


イーラ「いいぞジコチュー、もっと暴れろ!」

マナ「そこまでよ、ジコチュー!」

イーラ「!!」

マナ「またあなたね、こんなところで暴れたらみんなの迷惑でしょ!」

イーラ「プリキュア……やっぱり現れたな」

六花「……」

イーラ「……」

イーラ「……ふん、今日は二人だけかい? なら大したことないな、今日こそお前たちを倒してやる」

六花「イーラ……」

イーラ「やっちゃえジコチュー!」

ジコチュー「ジコチュ~!!」

マナ「六花、変身だよ!」

六花「分かってる!」

マナ「プリキュア・ラブリンク!」

六花「プリキュア・ラブリンク!」

イーラ「今日の僕は一味違うぞ!」

ジコチュー「ジコチュ~!」

ダイヤモンド「このジコチュー……強い!」

ハート「ダイヤモンド、大丈夫!?」

ジコチュー「ジコー!」ドガッ

ダイヤモンド「きゃあっ!?」

ハート「ダイヤモンド!!」

イーラ「ふん、これで終わりだね」

ダイヤモンド「うう……」

イーラ「……後悔したかい? この前僕を助けたことを。あの時あのまま僕のことを見捨てればよかったんだ。そうすればこんな目に合わなくてすんだのに」

ダイヤモンド「言ったでしょ……あの時の私の気持ちは、あれが素直な気持ちだって。後悔なんてしてないわ」

イーラ「っ……ムカつくやつ!! いいさ、だったら僕のこの手で直接トドメをさしてやる!!」

ダイヤモンド「くっ……」

ハート「ダイヤモンド、逃げて!」

イーラ「これで終わりだ!! プリキュアー!!」

ダイヤモンド「!!」

イーラ「っ……」ピタッ

ダイヤモンド「……え?」

ハート「攻撃が……止まった?」

イーラ「っ~~~……!! くそぅ!! お前なんかが助けなけりゃ!!」

ダイヤモンド「イーラ……」

イーラ「ジコチュー! 僕の代わりにあいつを倒せ!!」

ジコチュー「ジコチュ~!!」

ロゼッタ「プリキュア・ロゼッタリフレクション!」

ジコチュー「!?」

バーン!!

ダイヤモンド「ロゼッタ……!」

ソード「お待たせ、二人とも。大丈夫?」

ハート「みんな……よし、一気に決めるよ!」

「「「「プリキュア・ラブリーフォースアロー!!」」」」

イーラ「くそっ、覚えてろよ!」

ダイヤモンド「……」

ロゼッタ「二人とも、怪我はないですか?」

ハート「ううん、大丈夫。危ない時に助けてくれてありがとう」

ソード「とりあえず大事にならなくてよかったわ」

ダイヤモンド「ええ……」

ハート「……」

ロゼッタ「さて、とりあえず戻りましょうか。騒ぎも収まってきてますし」

ハート「……うん、そうだね」

・・・・・翌日

六花(あの時……どうしてイーラは手を止めたんだろう。もしかして、彼の良心がそうさせた……?)

六花(だとしたら、もしかして彼にも優しい心があるのなら……私達は分かり合えるのかな)

マナ「六花、ねえ六花ってば」

六花「え……あ、な、なに?」

マナ「聞いてなかったの? さっきからずっと呼んでたのに」

六花「ご、ごめん。考え事してて」

マナ「なにか悩み事? よかったらあたしが聞いてあげるよ」

六花「うん……昨日のイーラのことなんだけど」

マナ「っ……」

六花「彼……どうしてあの時攻撃を止めたんだろうと思って」

マナ「……そういえば、何でだろうね」

六花「私、なんだか彼がだんだん悪い人に思えなくなってきた」

マナ「え?」

六花「確かに彼は敵だけど……たくさん悪いこともしてきたけど……」

六花「でも、もしかしたらきちんと話し合ってお互いの気持ちを伝え合えれば……私たち、分かり合えるのかもしれない」

マナ「……」

六花「私たち、戦う以外にも別の道があるのかも。マナはどう思う?」

マナ「……どうかな。もしイーラが悪い奴じゃなかったとしても、イーラのやってきたことは紛れもなく悪事だよ」

マナ「それにまこぴーの故郷だって滅ぼしたんだし、簡単には許されないよ」

六花「え……?」

マナ「え?」

六花「マナ……何を言ってるの」

マナ「な、なにって」

六花「マナだったら、同意してくれると思ったのに……」

マナ「だ、だって……イーラは敵だし……」

六花「じゃあレジーナのことは何だったの!?」

マナ「っ……」

六花「なんか、いつものマナらしくない……。マナだったら、みんな和解できる方法を一緒に考えてくれると思ったのに」

マナ「だ…って、あたしたちはプリキュアだし……あの、その……」

六花「……」

マナ「……ごめん、今日はもう帰る」

六花「あっ、マナ!」

マナ「……」

六花「マナ……」

ラケル「マナ、どうしたケル?」

六花「さぁ……」

六花(やっぱり何かあったのかしら、マナ……。普段ならあんなこと絶対に言わないのに)

ラケル「あ!」

六花「どうしたの、ラケル」

ラケル「あ、あれ…」

イーラ「……」

六花「イーラ! どうしてここに!?」

・・・・・マナの部屋

マナ「……」

シャルル「マナ、大丈夫シャル?」

マナ「大丈夫……ちょっと一人にさせて」

シャルル「分かったシャル…」

マナ「……」

マナ(あたし……なんであんなこと言ったんだろう。六花は誰も傷つかない方法を探そうとしてただけなのに……)

マナ(でも、なんか納得できないよ。なんでだろう……本当はみんな仲良くなれたらそれが一番なのに……)

マナ「……」

マナ(六花もなんでああいうこと言い出したんだろう。考え方が変わったのかな……)

マナ(ならどうして変わったんだろう。あたしの知らないところで、六花が変わっていってる気がする……)

マナ(六花とあたしは、ずっと一緒だったのに……)

マナ「……」

マナ(……あたし、六花に失望されちゃったかな。あたしのこと嫌いになったかな)

マナ(それだけは嫌だ……六花に嫌われるなんて……)

マナ(今謝ればまだ間に合うかも)

マナ(そうだ、六花に謝らなくちゃ。謝って、六花とまた仲良くなりたい)

マナ(行こう、今すぐ六花のところに。まださっきのところにいるかな、それとも家に帰ってるかな……)

マナ(六花……六花……)

今見てる人がいるか分かりませんがご飯食べてきます
今日中に終わらせるつもりです

・・・・・

六花「どういうつもりなの、さっきから黙ったままで」

イーラ「……」

六花「答えなさいよ」

イーラ「……黙れ。僕はお前を、倒しに来たんだ」

六花「!!」

イーラ「お前のせいで僕はめちゃくちゃだ……昨日だって本当はお前を倒せたはずなのに……!!」

イーラ「お前がいると僕がおかしくなるんだ、キュアダイヤモンド!! お前だけは絶対に許さない!!」

六花「ちょっ、な、なによそれ!?」

ラケル「六花、変身ケル!」

六花「なんだかよく分からないけど、今はそうするしかないみたいね。プリキュア・ラブリンク!」

イーラ「うおおおおお!!」

ダイヤモンド「くっ……どうしていきなり戦わなきゃいけないの!」

イーラ「そんなの決まってるだろ! お前と僕は敵どうしだからだ!!」

ダイヤモンド「お願いやめて、話を聞いて!」

イーラ「うるさい黙れ!! 僕はお前を絶対に倒す!!」

ダイヤモンド「私はあなたと友達になりたい!!」

イーラ「!?」

ダイヤモンド「……って、思ってるのかもしれない。本当はまだハッキリとした気持ちじゃないわ」

ダイヤモンド「だけど……あなたとはできれば戦いたくない。それは確かに思ってる」

ラケル「ダイヤモンド……」

イーラ「な、なんでそんなこと言うんだよ……これ以上僕を惑わすな!!」

ダイヤモンド「イーラ…!」

イーラ「プリキュアは敵だ! 倒さなくちゃいけない敵だ!!お前を倒してこの世界も滅ぼしてやる!!」

ダイヤモンド「それがあなたの望みだって言うの!?」

イーラ「そうだ! 僕はそのために生まれてきたんだ!!」

ダイヤモンド「……」

ラケル「ダイヤモンド……どうするケル」

ダイヤモンド「……ラケル、変身を解いて」

ラケル「えっ!?」

ダイヤモンド「お願い」

イーラ「!?」

六花「……」

イーラ「ど、どういうつもりだ!? なんで変身を解いた!!」

六花「私はあなたとは戦わない。これはその意思表示よ」

イーラ「ふざけるな!! お前……僕のことを馬鹿にしてるな? 昨日みたいに僕がお前に攻撃できないとでも思ってるんだろ!?」

六花「……」

イーラ「舐めるなよ……お前なんか、一撃で仕留めてやる!!」

イーラ「僕を馬鹿にしたことを後悔しろ、キュアダイヤモンド!!」

ラケル「六花!」

イーラ「うおおおおおおお!!」

六花「……」

イーラ「っ……!!」ピタッ

六花「……どうしたの? 攻撃、しないの?」

イーラ「くっ……くっそおおおおおお!!」

イーラ「なんでだよ!! なんでなんだよ!? なんで僕の手が止まっちまうんだ!!」

六花「……」

イーラ「お前は敵なのに……倒さなくちゃいけない敵なのに……」

イーラ「なんでなんだよおおおおおおおお!!」

六花「それはきっと……あなたの優しさよ」

イーラ「……!?」

六花「あなたの中にある優しい心が、その手を止めたんだわ」

イーラ「ふ…ふざけるなぁ!! 優しさだと? そんなもの僕の中にあるわけないじゃないか!!」

六花「でも実際、攻撃するのをやめたでしょ?」

イーラ「いい加減にしろよ! そんなでたらめなことを言って、僕を騙そうとしてるんだな!?」

イーラ「チクショウ!! やってやるよ!! お前なんか……お前なんかあああああ!!」

六花「……」

イーラ「っ……く……うう……」

イーラ「なんでだよぉ……なんでこの手は止まっちまうんだよ……」

イーラ「プリキュアなのに……敵なのに……」

イーラ「なんで……」

六花「……ねえ、あなたの夢ってなに?」

イーラ「……」

六花「私は医者になりたい、それが私の夢……。だけど、ホントは今まで迷ってたの」

六花「医者になりたいなんて夢は、ただ周りに流されて言ってるだけなんじゃないかなって……。私自身、ハッキリとした意思を持ってなかった」

六花「だけどね、今は違う。心の底から、医者になりたいと思ってる。それに気づかせてくれたのは……イーラ、あなたなの」

イーラ「え……」

六花「あなたとあの海辺で出会ったのがきっかけで、私は自分の進むべき道を見つけることができた。だから私は、あなたにとても感謝してる」

六花「ありがとう、イーラ」

イーラ「な、なんだよ……やめろよそんなこと言うの!!」

六花「だから私は、あなたとも戦いたくないしできたらあなたのことも救いたい」

イーラ「救う……だと……?」

六花「今のあなたは間違ってるわ、イーラ。だけど、あなたが進むべき正しい道はきっとあるはず。その道を進みましょう。私も…手伝うから」

イーラ「ふざけるなよ……偉そうに……」

六花「お願い、素直になって!」

イーラ「僕は……お前をッ……!!」

六花「イーラ!」

イーラ「っ……僕はどうすりゃいいんだ……」

イーラ「こんな気持ちじゃ……もう戦えない……」

イーラ「何なんだこの気持ちは……」

六花「……」ギュッ

イーラ「!!」

六花「それはね……きっと‘愛’よ」

イーラ「愛……?」

六花「あなたの中には愛があるの。きっと、誰でもみんな愛を持っているんだわ」

イーラ「……」

六花「焦らなくていいの。少しずつでいいから……心を開いて。そうすれば私達は必ず分かり合えるはずだから」

イーラ「分かり、合える……僕たちが……」







マナ「……」

・・・・・翌日

六花「ええっ、マナが風邪!?」

あゆみ「そうなの、なんだか体調が良くないって言ってて。あの子にしては珍しいことだわ」

六花「じゃあ、今日学校休むんですか?」

あゆみ「ええ。ごめんねせっかく来てくれたのに」

六花「いえ、それなら仕方ないです。学校が終わったらお見舞いに行きますね」

あゆみ「ふふ、ありがとう。マナも喜ぶわ」

六花「マナが風邪をひくなんて、信じられないわ。どうしたのかしら」

ラケル「昨日のマナ、ちょっと様子が変だったケル」

六花「そうよね……それと何か関係があるのかしら」

ラケル「……六花」

六花「ん?」

ラケル「イーラのことは、みんなに話すケル?」

六花「……うん。でも今すぐにってわけじゃないわ。彼の心の整理がついてからでいいと思う」

ラケル「……」

六花「不安? ラケル」

ラケル「……ぼくは六花を信じるケル!」

六花「ありがとう、ラケル」

……マナの部屋

ガリッ ガリッ ガリッ

シャルル「……」

ギッ ギリッ ガリッ

ブチッ

シャルル「マ、マナ……なにしてるシャル……?」

マナ「……」

シャルル「マナ……」

マナ「なんでもないよシャルル……大丈夫だから……」

ガリッ ガリッ ガリッ

シャルル「……」

・・・・・

イーラ「……」

マーモ「なにボケっとしてんのよ。邪魔だからあっち行きなさいよ」

イーラ「ああ……うん……」

マーモ「なにこいつ……変なの。頭でも打っておかしくなった?」

イーラ「うん……」

マーモ「邪魔だからそこどけっつってんのよ!」

イーラ「うん……」

マーモ(な、なにこいつ……本当におかしくなってる……)

イーラ「……」

マーモ「あーやだやだ、こんな辛気臭いやつとなんか一緒にいられないわ」

イーラ「……」

イーラ(キュアダイヤモンド……どうして僕なんかを……)

イーラ(僕の正しい道ってなんだ。どうすりゃいいんだ……わけが分からない……)

イーラ「……」

イーラ(だけどキュアダイアモンドに抱きつかれたとき……あの時のぬくもり、すごく心が落ち着いた)

イーラ(なんなんだろう……あれ。ひょっとして、あれが愛ってやつか……?)

イーラ(……くそっ、あいつのことばかり考えちまう)

イーラ「……」

・・・・・

真琴「ごめん、今日は仕事が入っててお見舞いには行けそうにないわ……」

六花「そっか。ありすも今日は外せない用事があるらしいし……まぁ、仕方ないわね」

真琴「マナにはよろしくって言っておいて」

ダビィ「それにしても珍しいビィ、マナが風邪をひくなんて」

六花「そうなのよねぇ」

真琴「この前マナの様子変だったけど、何か分かった?」

六花「ううん。……でも、マナだって人間だし悩んだり風邪ひいたりすることはあるわ」

六花「今までが無理しすぎてたんだし、ゆっくり休んでたほうがマナにはいいのかもね」

六花(あ、そうだ。前に食べ損ねたケーキ、マナに持って行ってあげよ)

・・・・・放課後
……マナの部屋

コンコンッ

六花「失礼しまーす」

ガチャッ

マナ「六花!!」ギュッ

六花「マ、マナ!?」

マナ「来てくれたんだー! 嬉しいよー六花!!」

六花「ちょ、ちょっと風邪ひいてたんじゃないの!?」

マナ「六花が来るって分かったら、元気になっちゃった」

六花「なによそれ……」

マナ「会いたかったよー六花~」

六花「ほらベッドに戻って。体調悪いんでしょ?」

マナ「はーい」

六花「そこまで深刻じゃないなら何よりだわ。あっ、ケーキ買ったんだけど食べる?」

マナ「うん! 食べる食べる!」

六花「そうそう、まこぴーは仕事で来れないんだって。ありすも。二人とも心配してたわよ」

マナ「そっか」

六花「でもマナのことだから、まこぴーが来ないのは残念がると思ってたけど」

マナ「ううん、六花さえいてくれたらそれでいいよ」

六花「えっ……ど、どうしたのいきなり」

マナ「六花が来てくれたら、それで充分。あたしは幸せだよ」

六花「もう……そんなこと言われたら照れるじゃない」

マナ「えへへ」

六花「あっ、ほら。ケーキ食べよ」

マナ「あーんして」

六花「ええっ?」

マナ「あーんして食べさせて欲しい。風邪ひいてるんだもん、いいでしょ?」

六花「もう、しょうがないわね。はい、あーん」

マナ「あーん。うーん! 美味しい! 六花が食べさせてくれるからかな?」

六花「はいはい、お粗末さまです。……あれ?」

マナ「なに?」

六花「ねえマナ、まこぴーのグッズは? いつも部屋に置いてあったでしょ? あそこらへんとかに。なんで今日はないの?」

マナ「ああ、アレ? 捨てちゃった」

六花「……え?」

マナ「それよりもっと食べたい。あーん」

六花「ちょ、ちょっと待って。捨てたって……まこぴーのグッズを!? あんな好きだったのに!」

マナ「ん? んー……まこぴーはもういいかなって思って。ほら、六花もあたしがまこぴーに夢中になるのを注意してたし」

六花「だからって……なにも捨てることはないじゃない。まこぴーのこと、嫌いになっちゃったの……?」

マナ「うん、別に。あたしは六花のことが大好きなだけだよ」

六花「マナ……?」

マナ「はやく、あーんして」

六花「……」

・・・・・

六花「じゃあ私もう帰るから……無理しないでゆっくり休んでてね」

マナ「うん、今日はありがとう六花」

六花「じゃあね、マナ」

マナ「ばいばーい」

六花「……」

六花(マナ……本当にどうしたんだろう。言ってることは時折ちぐはぐだし、聞いてもなにも答えないし)

六花(それにまこぴーのグッズまで捨てちゃうなんて……)

六花「……」

六花(大丈夫かしら、マナ……)

シャルル「六花……」

六花「シャルル!」

シャルル「六花……マナを助けてほしいシャル」

ラケル「どうしたケル?」

シャルル「マナ、今日はずっと変だったシャル。一日中ベッドの中でこもって、何をしてるのかも分からなくて……」

六花「ど、どういうこと?」

シャルル「シャルルにも分からないシャル。マナ、人が変わったように」

マナ「あっ、シャルル」

シャルル「!!」

六花「マナ!」

マナ「こんなところにいたんだ。ダメじゃない、六花はもう帰るんだから。おしゃべりしたいならまた明日ね」

シャルル「マナ……」

六花「ねえマナ……やっぱり今日変よ。どうしたの、何があったの?」

マナ「何って? 何もないよ。強いて言うなら風邪ひいたぐらいかな。じゃああたし、部屋に戻ってもう寝るね。おやすみ!」

六花「あっ、マナ……」

六花「……」

マナ「あたしのいないところで、何を話してたの? シャルル……?」

シャルル「う……」

マナ「あたしのこと、変って言った? ちゃんと聞こえてたんだからね」

シャルル「マ、マナ……」

マナ「あたしのどこが変なの? いつもどおりでしょ? なにか変わったところある?」

シャルル「マナ……何か悩みがあるなら相談して欲しいシャル。ちゃんと言ってくれなきゃ分からないシャル……」

マナ「あははっ」

シャルル「……?」

マナ「あははっ、あはははははっ」

シャルル「マナ……?」

マナ「あはははっ。もうシャルルってば、あたしに悩みなんかないよ。この相田マナには一切悩み事なんてありません!」

マナ「あはははははっ」

シャルル「……」

・・・・・

六花「……」

六花(マナのこと、みんなにも相談してみようかな。一体どうしたんだろう……)

六花(なんか……マナじゃないみたい)

六花「……」

イーラ「……お、おい」

六花「え? ……あっ!」

イーラ「……」

六花「イーラ!!」

イーラ「う、うるさいな。そんな驚くことないだろ」

六花「ご、ごめん。いきなりだったから……」

イーラ「……」

六花「ええっと……どうしたのかな?」

イーラ「別に……ただ散歩してたらたまたまお前の姿を見かけただけだ」

六花「そ、そう」

イーラ「……」

六花「……」

イーラ「あ」
六花「あの」

イーラ「な、なんだよ」

六花「う、ううん。そっちこそ」

イーラ「別に……なんでない」

六花「そ、そっか。私も……」

イーラ「……」

六花「……」

六花(どうしよう……この空気)

イーラ「……あのさ」

六花「な、なに?」

イーラ「昨日のことは絶対に誰にも言うなよ」

六花「えっ」

イーラ「き、昨日のことだよ! お前が僕に抱きついたこと……絶対に言うなよな!!」

六花「え、あ……う、うん。私だって男の人に抱きついたことなんて言えないわよ……」

六花(あっ、そういえばよく考えたら私……男の人に抱きつくのなんて初めてだったかも。うわ~……なんだか恥ずかしくなってきた……)

イーラ「分かったか? あれは二人だけの秘密だぞ」

六花「え、ええ」

イーラ「絶対だぞ、いいな」

六花「分かってるわよ」

イーラ「絶対に絶対に絶対に言うなよ!」

六花「分かってるって。しつこいわね」

イーラ「ああ~くっそ! 僕としたことがこんな女に抱きつかれてしまうなんて……」

六花「ちょっ、こんな女ってなによ!?」

イーラ「ふんっ、どうせならもっと可愛けりゃよかったのに」

六花「むっ。私だってどうせならもっと身長が高くてイケメンな人がよかったわ」

イーラ「なんだと!」

六花「なによ!」

イーラ「……」

六花「……ぷっ、あははは」

イーラ「な、なんだよ」

六花「ううん……うふふ、なんか不思議に思っちゃって。あなたとこんな風にやり取りするなんて」

イーラ「た、確かに……言われてみれば。僕たちは敵どうしなのに」

六花「もういいじゃない、今はそんなこと」

イーラ「そうかな……」

六花「そうよ」

イーラ「……なあ、正しい道ってなんなんだ?」

六花「え?」

イーラ「お前が言っただろ、昨日」

六花「それは……私には分からないわ。あなた自身ことだから」

六花「けど一つだけ言えることは、まずは自分の心に素直になって本当にやりたいことを見つけることからじゃないかしら」

イーラ「本当にやりたいこと……」

六花「イーラは今なにが一番したい?」

イーラ「……分からない」

六花「そっか。じゃあ……そうだ! 今度一緒にどこか行かない?」

イーラ「え!?」

六花「色々見て歩き回れば、なにか発見できるかもしれないわよ」

イーラ「い、一緒にって……」

六花「じゃあ今度の日曜、待ち合わせ場所は……ここで。時間はお昼ぐらいにね」

イーラ「お、おい」

六花「決まりね! 絶対に来るのよ? 分かった?」

イーラ「あ……あ、ああ」

六花「よしっ」

イーラ「……」

すみません、今日中には終わりそうにないので続きはまた明日に

・・・・・翌日

六花(マナ、今日は大丈夫かな。一体どうしたんだろう……何があったのかちゃんと聞き出さないと)

マナ「おはよう、六花!」

六花「!!」

マナ「六花?」

六花「あ…マ、マナ。おはよう。……体調は大丈夫なの?」

マナ「うんっ、もう元気になっちゃった。昨日六花がお見舞いに来てくれたからかな」

六花「そう……ならいいんだけど」

マナ「やっぱり六花がそばにいてくれるのが一番頼りになるね。六花はあたしの一番のパートナー」

マナ「あたしの奥さんだもんね!」

六花「えっ……ああ、うん。あはは、マナったら」

マナ「あれ……奥さんじゃないの?」

六花「もう、そういう冗談はよしてよ」

マナ「……」

六花「マナ?」

マナ「えー冗談じゃないってばー。あたしは六花を一番頼りにしてるんだからね?」

六花「はいはい、それはどうも。……それより」

マナ「あっ、まこぴーだ! おーいまこぴー!」

真琴「あっ、マナ」

マナ「おはよっ」

真琴「おはよう。風はもう治ったの?」

マナ「うん、もう大丈夫」

六花(あれ……まこぴーとは普通に接してる。じゃあなんでグッズ捨てたりしたんだろう……)

真琴「ねえマナ、最近様子が変だったけどなにかあったの?」

六花(いきなりそんなハッキリと聞けちゃう!?)

マナ「えー? 別になにもないよ?」

真琴「なんか元気なさそうに見えてたけど……体調が悪かったせいかしら?」

マナ「うん、たぶんそうだよ」

真琴「そっか、ならもう心配ないわね」

六花「……」

マナ「えへへ、六花」ギュッ

六花「えっ、ちょ、ちょっとなに?」

マナ「腕組みながら学校行こっか」

六花「へえ!?」

マナ「いいじゃん、あたし達の仲なんだし」

真琴「本当に仲がいいのね、二人とも」

マナ「そうだよ。あたし達は世界で一番仲良しだもんね」

六花「え、ええ」

六花(どうしたのかしら……マナからこんなにベタベタしてくるなんて)

六花(やっぱり今のマナはどこかおかしい……)

・・・・・

マナ「六花、はいあーん」

六花「ちょ、ちょっとなに!?」

マナ「昨日あーんしてくれたお返しだよ」

六花「いいって、そんなお返し。お昼ご飯ぐらい一人で食べれるから」

マナ「いいからいいから」

六花「ねえマナ、一体……」

「会長、大変です!」

マナ「なに? どうしたの?」

「校庭で二年生の人たちが喧嘩をはじめようとしているんです!」

マナ「あっ、そうなんだ。じゃあ待ってて、あとで行くから」

六花「え……」

「ですが……」

マナ「じゃあそっちで適当にやってて。お昼休みぐらいゆっくりさせてよ」

「は……はい」

マナ「ほら六花、続きしよ。あーん」

六花「マナ……本当に行かなくていいの?」

マナ「なんで行く必要があるの? 六花だって、ご飯食べたいでしょ?」

六花「そうじゃなくて……!」

「会長! 今日のソフトボールの助っ人お願いします!」
「バスケ部もお願いします!」
「サッカー部も是非!」

マナ「ごめんね、悪いけど今日は無理なの。また今度ね」

六花「……」

マナ「はぁ、せっかくのお昼休みなのにこれじゃあくつろげないね」

六花「……マナ、どうして行ってあげないの」

マナ「え?」

六花「いつものマナだったら人の頼みごとは絶対に断らないでしょ? なのにどうして今日は……」

マナ「だっていつもの六花だったら、そんな安請け合いはよしなさいって言うじゃん。だからあたしは六花の言うとおりにしようと思ったの」

マナ「六花には心配かけたくないもん。大丈夫だよ、六花のそばにはあたしがずっといるから」

六花「な、何が大丈夫なのよ! 今のマナは全然大丈夫じゃないわ!」

マナ「六花……?」

六花「ねえ、一体どうしちゃったの? マナおかしいわよ」

六花「何か悩み事があるんだったら私に言ってよ!」

マナ「六花……怒ってるの?」

六花「別に怒ってるわけじゃ……」

マナ「あたし……六花が喜ぶと思って。だから、六花と一緒にいる時間を何よりも優先しようと思って……」

六花「え……」

マナ「あたし、何か間違ったことしちゃったのかな……」

六花「私のためっていうのは嬉しいけど……そ、そうじゃなくて」

マナ「それとも、あたしと一緒にいるのはもう嫌になっちゃった?」

六花「えっ」

マナ「……」

六花「マ、マナ……?」

マナ「あたしといるより他の人といる方が楽しい?」

六花「なにを言ってるの……なんでそういう話になるの」

マナ「……」

六花「……」

マナ「……あたしね、六花に謝らなくちゃいけない。今まで六花のことほったらかしにしすぎた」

マナ「あたしが色んな人に愛を振りまきすぎたから、六花には寂しい思いをさせちゃったよね……」

六花「わ、私はそんなこと全然思ってない」

マナ「ごめんね、反省する。これからは六花を一番大事にするから。だからもう安心して……六花」

六花「マナ……」

マナ「さぁ、ご飯食べよ」

六花「……私は、別にそんなこと望んでなんかいないわ」

マナ「え……」

六花「……」

マナ「……」

・・・・・ソリティア

ありす「みなさん、紅茶を持ってきましたわ」

真琴「ありがとう、ありす」

六花「……」

マナ「……」

ありす「……マナちゃんと六花ちゃん、どうしたんでしょうか。さっきからずっと会話がないみたいですけど」ヒソヒソ

真琴「おかしいわね。朝はいつもどおり仲良かったのに」ヒソヒソ

ありす「マナちゃん、このお菓子とてもおいしんですよ。どうぞ食べてください。六花ちゃんも」

マナ「ああ、うん……」

六花「……」

ランス「あれ、そういえばシャルルの姿が見当たらないでランス」

ありす「そういえばそうですわね。マナちゃん、シャルルちゃんはどうしたんですか?」

マナ「え? 家で寝てるんじゃないかな……」

ダビィ「寝てるって……それじゃあ何かあったら変身できないビィ!」

ありす「まあまあ」

マナ「……」

ありす「……そうですわ! 今度の日曜日によかったらみなさんでどこか遊びに行きませんか?」

真琴「どこに?」

ありす「うちの財閥が経営している…」

六花「あ、ごめん……私、日曜日は用事があるの」

マナ「……」

ありす「あら、そうでしたの。それは残念ですわ」

六花「ごめんね。……わたしそろそろ帰る」

真琴「えっ、もう?」

六花「今日はやらなきゃいけないこともあるし……ばいばい」

マナ「……あたしも帰る」

ありす「マナちゃん……」

真琴「……二人とも行っちゃったわね。どうしたのかしら」

ありす「……」

ラケル「ありす……」

ありす「ラケルちゃん! どうしたんですか? 六花ちゃんはもう行ってしまわれたのに」

ラケル「マナがおかしいケル……」

ありす「えっ……?」

ラケル「マナがおかしくなったせいで、六花もどうしていいのか分からなくなってるケル。ありす達の力で、マナを元に戻して欲しいケル」

ランス「おかしいって、どうおかしいでランス?」

ラケル「よく分からないけど、マナはいつものように優しくなくなったケル。けど、六花には優しくて……」

真琴「それってどういうこと?」

ラケル「と、とにかくいつものマナじゃないケル!」

ありす「……分かりましたわ。マナちゃんのことは私に任せてください」

ラケル「ありす……」

ありす「あのお二人が喧嘩しているようにも思えませんし……様子がおかしいのは何か深い理由があるんでしょう」

ランス「さすがこういう時にありすは頼れるでランス~」

真琴「……」

・・・・・

マナ「はぁ……」

マナ(どうしよう……六花にほとんど口をきいてもらえなかった……)

マナ(あたし……六花に嫌われちゃったのかな)

マナ(六花に嫌われるなんてそんなの絶対にイヤ……!)

ありす「マナちゃん」

マナ「!!」

ありす「こんな所にいらしたんですね。てっきりもう家に帰ってたと思いましたわ」

マナ「ありす……」

ありす「今日はどうされたんですか?」

マナ「……」

ありす「マナちゃん……?」

マナ「……ありすには言ってもいいかな」

ありす「……」

マナ「実はね、六花が……イーラと一緒にいたの」

ありす「イーラと……!?」

マナ「うん。六花はね、イーラと和解したがってた」

ありす「まぁ……! けど、それはいいことなんじゃないんですか?」

マナ「けどね……違うの。イーラは六花を騙そうとしてるんだよ」

ありす「え…?」

マナ「六花は優しいから、イーラはそれを利用して六花を罠にはめようとしてるの。隙を見て、六花のことを倒そうと……」

ありす「それは本当ですの?」

マナ「あたしは知ってる、六花は騙されてる。あたしはどうしても六花を助けたいの!」

ありす「……」

マナ「だけど六花は、それに気づいてない……」

マナ「お願いありす……あたし協力して」

ありし「協力……ですか?」

マナ「うん。一緒に六花の目を覚まさせて欲しいの。六花はイーラなんかと一緒にいちゃいけない」

ありす「……」

マナ「お願い……ありす」

ありす「マナちゃん……」

マナ「あたしのことを信じて……」

ありす「っ……」

ありす(マナちゃんが……私を頼って……)

ありす「……分かりましたわ」

マナ「ありす……!」

ありす「マナちゃんのことを信じます」

マナ「ありがとう、ありす!」

ありす「いえ……マナちゃんのためですもの。けど、具体的にはどうするおつもりなんですか?」

マナ「イーラの本性を、六花に分からなせないと。今度の日曜、六花は用事があるって言ってたでしょ? きっとイーラと二人きりで会うんだよ」

ありす「そうだったんですか?」

マナ「あたしには分かる。女の勘ってやつ」

ありす「……」

マナ「だからその時、イーラは必ず六花に襲いかかるはず。そうしたらあたし達がすぐさま助けてあげれば……」

ありす「では、日曜日は六花ちゃんを尾行するということで?」

マナ「うん、六花にバレないようにそばにいなくちゃ。六花を一人にさせておけないよ」

ありす「……分かりましたわ。では日曜はその手はずで」

マナ「ありがとうね、ありす。ありすならきっと力になってくれると思ってた」

ありす「マナちゃん…」

・・・・・日曜日

六花「服は……これでいいかしら」

ラケル「六花、本当に大丈夫でケル? イーラと二人きりなんて」

六花「大丈夫よ。それにはイーラは間違いなく変わろうとしている。ならあたしは……彼の力になってあげたいの」

ラケル「……分かったでケル。それにしても、どうしてそんなにオシャレしてるケル?」

六花「えっ、言うほどオシャレしてる……? 私」

ラケル「いつもの六花とは違うケル」

六花「そ、そうかしら……まぁいいじゃない。あっそろそろ時間だし行かなきゃ」

・・・・・

イーラ「……」

六花「おまたせ」

イーラ「あっ、遅いぞキュアダイヤモンド!」

六花「ええっ、そんなに遅れちゃった?」

イーラ「僕なんて一時間前から待ってたんだぞ!」

六花「それはちょっと早すぎるんじゃない……?」

イーラ「う、うるさいな。とにかく行くぞ」

六花「あっ、待ってよ。案内するのは私なんだから」

イーラ「うるさいな、僕に指図するなキュアダイヤモンド」

六花「六花」

イーラ「はぁ?」

六花「今の私はキュアダイヤモンドじゃなくて菱川六花よ。六花って呼んで」

イーラ「う、うるさい」

六花「もう…」

イーラ「それにしても、どこもかしこも賑やかで鬱陶しいなぁ」

六花「みんな休日を楽しんでいるのよ」

イーラ「ケッ……人間の笑顔を見てると虫唾が走るね」

六花「ほら、あそこのお店入ってみましょう。小物屋さんだって」

イーラ「小物ォ? 興味ないね」

六花「じゃああそこのアクセサリー屋は?」

イーラ「ふんっ、アクセサリーなんて」

六花「もう、今日は色々見て回ろうって決めたでしょ」

店員「いらっしゃいませ。よろしかったら中に入ってゆっくり見ていってください」

六花「あ、ほら。呼んでるわよ」

イーラ「お、おい…」

店員「ひょっとしてカップルの方ですか? 今ならペアのアクセサリーがお安くなっていますよ」

六花「カッ……!?」

イーラ「カップル!? 誰がこんなやつと!」

六花「誰がこんなやつよ!」

イーラ「ふんっ!」

店員「お二人とも、仲がよろしそうですね」

六花・イーラ「「仲良くなんかない!」」

店員「し、しつれいしました」

六花「……で、入るの?」

イーラ「……好きにすればいいだろ」

六花「じゃあ……入りましょう」

イーラ「お、おう」


マナ「……」

ありす「マナちゃん、少し近寄りすぎですわ」

マナ「え? ああ……」

真琴「今のところ普通に買い物してるだけよね。……本当に襲ったりするの?」

マナ「なに言ってるのまこぴー。あいつらの恐ろしさはまこぴーが一番知ってるでしょ? まこぴーの故郷を滅ぼしたのだってイーラなんだし!」

真琴「……」

マナ「きっとすぐに本性を表すよ。その時は……あたしのこの手でイーラを……!」

真琴「マ、マナ……」

ありす「……」

マナ「あっ、ほら。買い物済ませたみたい。次行こう」

真琴「……マナ、あんなこと言う子じゃなかったわよね」

ありす「……」

真琴「マナの言ってることは……本当なのかしら。イーラが六花を騙してるって」

ありす「……わたしはマナちゃんを信じますわ。今まで、マナちゃんは間違ったことをしませんでしたもの」

真琴「……」

ありす「マナちゃんが言うのなら、きっと正しいことなんです」

真琴「わたしもそう信じたいけど……」

マナ「二人ともなにしてるの。早く来て」

ありす「は、はい」

真琴「……」

・・・・・

六花「少しこのお店で休憩しましょうか。喉も乾いちゃったし」

イーラ「……」

六花「どうかした?」

イーラ「なんで僕にこんなアクセサリーを買ったんだ」

六花「似合うじゃない」

イーラ「僕は別にほしくなかった」

六花「でも身につけてくれてるじゃない、ありがとう」

イーラ「っ……」

六花「ほら、何か飲みたいものはある?」

イーラ「……」

六花「じゃあこれ飲んでみない? キャラメルマキアート、おいしいわよ」

イーラ「……」

六花「ひょっとして……楽しくない?」

イーラ「楽しくなんてないね。こんなの……一体なにが楽しいんだ」

六花「そっか……」

イーラ「……」

六花「……」

イーラ「……いや、違うんだ」

六花「え?」

イーラ「本当は楽しいとか楽しくないとかそういうのじゃないんだ」

イーラ「ただ、こういうことは初めてだからよく分からなくて……」

六花「なんだ…そっか」

イーラ「……」

六花「ふふっ」

イーラ「な、なんだよ」

六花「ううん。あなたのことちょっと分かってきた……」

六花「不器用なだけなのよね、イーラって」

イーラ「なっ……!!」

六花「ほら、キャラメルマキアート飲んでみて」

イーラ「……」ゴクッ

六花「美味しいでしょ?」

イーラ「……うまい」

六花「でしょ? うふふ。あっ、口の周りにクリームついてるわよ、拭き取ってあげる」

イーラ「お、おいやめろよ」

六花「いいからいいから」

・・・・・

六花「もう夕方過ぎね……今日はそろそろ帰らなきゃ」

イーラ「……」

六花「なにか新しい発見はあった?」

イーラ「いや……なにも」

六花「そっか……力になれなくてごめんね」

イーラ「……いいんだ別に」

六花「え?」

イーラ「どうせ僕には、普通の人間みたいに楽しんだりすることなんてできないさ」

六花「そ、そんなことはないわ!」

イーラ「けど……お前と過ごした今日の時間は、悪くなかった……気がする」

六花「!!」

イーラ「あ、ありがとう……六花……」

六花「……えっ、い、今なんて」

イーラ「……」

六花「名前……呼んでくれた?」

イーラ「う、うるさいな」

六花「うれしい! ちゃんと名前を呼んでくれるなんて」

イーラ「大げさなんだよお前……」

六花「本当に嬉しいのよ。なんだかイーラとすごく仲良くなれた気がする」

イーラ「っ……」ドキッ

六花「イーラ……私たち、やっぱり分かり合えるのよ。きっと……」

イーラ「……」

六花「私はイーラを信じる。だから……イーラも私のことを信じて」

イーラ「六花……」






マナ「……」

真琴「うそ……本当に仲良くなろうとしてる」

ありす「これは……」

マナ「……」

ありす「マナちゃん? あの……」

マナ「嘘だ……嘘だ……」

真琴「マナ?」

マナ「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!! こんなの絶対嘘だ!!」

ありす「!!」

マナ「ねえ……二人もそう思うでしょ? 六花はきっと騙されてるんだよ……あの男に……」

マナ「六花を!! あたしの六花を騙すなんて!! 絶対に許さない!!」

マナ「うあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

真琴「マ、マナ落ち着いて! 一体どうしたの!?」

マナ「シャルル、 変身するよ!!」

シャルル「う……」ビクッ

マナ「あたしの言うことを聞いて!!」

シャルル「わ、分かったシャル……」

マナ「プリキュア・ラブリンク!!」

イーラ「六花……」

六花「イーラ……」

イーラ「……!?」

六花「え?」

ドガーン!!

イーラ「なっ……!?」

ハート「……」

六花「キュ、キュアハート!? どうしてここに!」

ハート「六花、下がってて……こいつはあたしが倒す!」

六花「なにを言ってるの……?」

イーラ「お、おい! これはどういうことだ!」

六花「わ、私にも何がなんだか……」

ハート「イーラ、あなただけは絶対に許さない……よくも六花を!」

ハート「絶対に許さない!!」

イーラ「なんなんだよこいつ……! まさかお前が呼んだのか!? 僕を罠にはめるために!」

六花「ち、違うわ! 私は知らない! どうしたのキュアハート、なんでこんなことを!?」

ハート「なんでって……そいつは敵でしょ? 倒さなきゃいけないんだよ」

六花「違うわ! イーラは違うの!!」

ハート「六花は黙っててよ!!」

六花「っ!?」ビクッ

ハート「……なんで、六花。なんでそいつを庇うの」

ハート「あたしは……六花のためを思ってやってるのに……!!」

六花「マ、マナ……」

イーラ「くっ……」

ハート「お前だけは……お前だけはこの手で!!」

ロゼッタ「やめてくださいハート!」ガシッ

ハート「!?」

ロゼッタ「ハート、どうしてこんなことを……!」

ハート「はなして!! はなしてよ!!」

ソード「今のうちに、早く逃げて」

イーラ「くそっ……なんなんだ一体」シュンッ

ハート「あ……ま、待て!!」

六花「……」

ハート「どうして……どうして邪魔したの……」

ロゼッタ「ハート……」

ハート「あいつを倒す絶好のチャンスだったのに!! どうした邪魔するの!?」

ソード「……」

ハート「ねえ、なんでよ……なんであたしの言うとおりにしてくれなかったの!!」

ロゼッタ「……」

ハート「あたし何か間違ったことした……? あいつは敵でしょ? 倒さなきゃいけないんでしょ?」

ハート「ソードだってあいつのこと憎んでたじゃない!!」

ソード「……」

ロゼッタ「……」

六花「……」

ハート「な、なにその目……なんでそんな目であたしを見るの……」

ハート「やめてよ!! あたし……あたしは間違ってない!!」

ハート「全部六花のために!!」

バシッ!

ハート「ッ……!?」

六花「……」

ロゼッタ「り、六花ちゃん」

六花「マナ……いい加減にしてよ」

ハート「六……花……?」

六花「もうやめて、これ以上私を失望させないで……」

六花「こんなの、私の知ってるマナじゃない……」

ハート「……」

六花「ありす……あなた達までこんな……」

ランス「僕たちはマナが六花はイーラに騙されてるって言うから協力したでランス。でも……」

ダビィ「それはウソだったビィ」

ハート「あ……う……」

六花「ひどい……ひどいよマナ」

ハート「ち、違うの……あたしは六花を守ろうとして……」

ハート「守ろうと……!!」

六花「……」

ハート「うう……うあああああああ!!」

ロゼッタ「あ、マナちゃん待って!」

六花「……」

ロゼッタ「……ごめんなさい、今回のことは全て私に責任がありますわ」

ランス「そんなことないでランス」

ソード「マナがあんなことをするなんて……信じられない」

六花「私……なんだか気分が悪くなってきた」

ロゼッタ「六花ちゃん……」

六花「もう帰るわ……」

ロゼッタ「あっ、家までお送りしますわ」

六花「お願い……一人にさせて……」

ロゼッタ「……」

ソード「……」

・・・・・

マナ「はぁ……はぁ……」

シャルル「マナ……」

マナ「うう……うっ……」

シャルル「……どうしてあんなことしたシャル? 六花悲しんでたシャル……」

マナ「……」

シャルル「わたしがマナを止めるべきだったシャル……そうすればあんなこと起きなくて」

マナ「……六花は、あたしにとってかけがえのない存在なの」

シャルル「え?」

マナ「なのにあたし……六花がどれだけ大切な存在なのかちゃんと分かってなかった」

マナ「ずっと当たり前のようにそばにいたから、小さい頃から当たり前のように一緒だったから……」

マナ「当たり前過ぎて気づけなかった……」

シャルル「……」

マナ「安心してたんだよね……六花はどんなことがあってもあたしからは離れないって。だからあたしは今まで好き勝手できたの」

マナ「だって六花は奥さんだもん……あたしのツバメだもん。ずっとそばにいてくれると思ってた」

マナ「まこぴーに抱きついても、レジーナと一緒にいても、あたしが何をしたって六花は気にしないと勝手に思ってた……」

マナ「だけど六花がイーラと一緒にいるのを見たら……あたし、自分の中で何かが崩れた感じがして」

マナ「今までに感じたことのない不安……ドキドキなんかとは違う、心臓の動きが気持ち悪いぐらい早くなった」

マナ「冷や汗も止まらないし、吐き気もするし、夜だってまともに眠れない……」

マナ「それでようやく気づいたの……あたし、六花なしじゃ生きていけない。六花のことが世界で一番好き」

マナ「好きって言っても、友達として好きって意味じゃないよ。分かる? シャルル……」

シャルル「マ、マナ……」

マナ「自分でもおかしいのは分かってるけど……もうこの気持ちは止められないよ」

マナ「イーラに六花を取られちゃうんじゃないかって思うと、焦って……冷静じゃいられなくなる」

マナ「自分勝手だよね……あたし……」

マナ「こんな身勝手だから、今まで六花のことも傷つけていたのかな……」

マナ「あたしがまこぴーやレジーナに浮気したから……六花が愛想を尽かしたんだ……」

マナ「だったら謝らなきゃ、六花に。謝って許してもらえれば……また元のように仲直りできるかも」

マナ「そうすれば……あたしと六花は……」

シャルル「……」

シャルル(も、もう……これはわたしの知ってるマナじゃないシャル……)

・・・・・六花の部屋

六花「……」

ラケル「六花……大丈夫ケル?」

六花「……」

ラケル「……」

六花「……苦しいよ、ラケル」

ラケル「六花……」

六花「辛いよ……もう、死にたいぐらい……」

六花「マナにあんなことされるなんて……」

ラケル「……」

六花「マナのこと……もう信じられない……」



「にゃー」

六花「!!」

ラケル「今外から何か聞こえたケル……」

六花「あの声は……マナ」



マナ「にゃー! にゃー!」




六花「……」

ラケル「よ、呼んでるケル……どうするケル、六花?」

六花「……はぁ……はっ……」

ラケル「六花……ぼ、僕が追い返してくるケル!」

六花「まって……わ、私が行くから……」

ラケル「でも……」

六花「大丈夫よ……大丈夫だから」

ラケル「……」

ガチャっ

六花「……」

マナ「あ、玄関開けてくれたんだ」

六花「……」

マナ「六花……ごめんなさい!」

六花「!!」

マナ「あたし……六花の気持ちに気づいてあげられなかった。勝手なことをして本当にごめんなさい」

六花「マナ……」

マナ「もう誰にも愛を振りまかないから! まこぴーもレジーナも捨てる、あたしの愛は六花だけのものだから!!」

マナ「だからあたしのところに戻ってきて、六花!!」

六花「……え?」

マナ「お願い!!」

六花「マ……マナ……何を言ってるの……?」

マナ「なにって、あたしの素直な気持ちだよ」

六花「素直な気持ちって……ちょっと、意味がわからない」

マナ「え? だ、だって六花はあたしが色んな人に浮気してたから愛想尽かしてイーラのところに行っちゃったんでしょ?」

マナ「だけど今のあたしは違うよ。もう六花一筋に生きるから。だから六花もイーラなんか捨てて、あたしと一緒になろうよ」

六花「……ち、違う……そんなこと私思ってない」

マナ「六花?」

六花「どういうことなの……マナの言ってること何一つ分からない。浮気って、愛想尽かしたって……」

マナ「六花、どうしちゃったの? あたし達小さい頃からずっと一緒だったでしょ……?」

六花「私は!! ……イーラと仲良くなりたかった。敵同士でも分かり合えるんじゃないかと思ってたの……」

六花「それなのにマナがあんなことするから……それが許せないの!!」

マナ「り、六花……」

六花「マナは私の気持ち、全然分かってない。私のことだったらマナは分かってくれると思ってたのに……」

六花「マナだったら私のこと応援してくれると思ってたのに……マナだってレジーナの時は……」

マナ「……」

六花「今のマナは私の知ってるマナじゃない……あなたはマナなんかじゃない!!」

マナ「ッ……!?」

六花「もう帰って……顔も見たくない」

マナ「ま、待って六花! 六花はあたしにとって奥さんだよ! 大切な存在だよ!」

マナ「六花だって、あたしのツバメになってくれるって……そう言ってくれたでしょ!?」

六花「……」

マナ「あれってつまり……そういうことでいいんだよね? あたし、本気だよ」

マナ「六花となら本気で愛し合えると思ってる。女の子同士だって構わないよ、だって……今までどおりのままでいいんだから。それで問題ないでしょ?」

マナ「あたしとずっと一緒にいようよ。このまま大人になっても、おばあちゃんになっても、ずっとずっと一緒に……」

マナ「六花と一緒ならあたし……もう他になにもいらないから。だから、お願い……」

六花「……」

マナ「愛してる……あたし、相田マナは菱川六花に一生の愛を誓います」

マナ「だから、戻ってきて六花……」

六花「……や、やめてよマナ」

マナ「!?」

六花「私は……そんなんじゃない。女同士でそんなこと……私できない……」

マナ「なん……で……」

六花「……」

マナ「六花はあたしのこと、好きじゃなかったの!?」

六花「それは……友達としてでしょ」

マナ「じゃあなんであたしのツバメになるなんて……!」

六花「あれは、マナが思ってるような深い意味なんてないわ……」

マナ「!!」

六花「今までだって、友達の延長上としてのやりとりだったし……一線を超えるような感情なんて、私はマナに対して持ってなかった」

マナ「六……花……」

六花「勘違いしないで……私とマナはそういう関係じゃないの!」

マナ「……」

六花「お願いだからもう帰って……これ以上マナとは一緒にはいられない」

マナ「六花……待って……」

バタンッ

マナ「六花……六花……!!」

マナ「うう……ううう……うあああああああああああああ!!!」

六花「……」

ラケル「六花……」

六花「これでいいのよ……こうするべきなの」

六花「私もマナも……これでいいの」

ラケル「……」

六花「けど……できれば私だってマナと元通りの関係に戻りたい。こんなの辛すぎるよ……」

六花「時間が……解決してくれるのかな」

六花「そうだったら……いいな……」

・・・・・

マナ「……」

シャルル「マナ……」

マナ「……」

シャルル「帰らないシャル……? どこに行くシャル」

マナ「……」

シャルル「もう遅いから早く帰らないと……」

マナ「イーラが……全部イーラが悪いんだ……」

シャルル「え?」

マナ「イーラのせいで六花が変わった……イーラなんかがいなければ……」

マナ「あたしと六花は……」

シャルル「マ、マナ……?」

マナ「……」

・・・・・翌日

六花「……」

ラケル「六花、大丈夫ケル?」

六花「……今日は学校休む」

ラケル「その方が良いケル。ゆっくり休むケル」

六花「……」

trrrr trrrrr

六花「……?」

六花(電話……誰からかしら。お母さんかな)

ガチャッ

六花「はい……もしもし」

あゆみ『あっ、六花ちゃん?』

六花(あれ、マナのお母さん……?)

六花「どうしたんですか?」

あゆみ『実はマナが昨日からうちに帰ってこないの。何か知らない?』

六花「え……マ、マナが!?」

あゆみ『そっちに泊まってるんじゃないかと思ったけど……だとしても連絡はあるはずだものね……』

六花「マナ……」

あゆみ『そっちに来てないのなら……分かったわ。ごめんなさいね、急に電話しちゃって』

六花「あ……わ、私マナを探してきます!」

あゆみ『ええっ? けど学校もあるでしょ? それにこのことは警察に……』

六花「それでも探します!」

ラケル「どうしたケル?」

六花「ラケル、出かけるわよ。マナがいなくなったの……探しに行かなくちゃ」

ラケル「えっ!?」

六花(なにか……嫌な予感がする。マナ……)

・・・・・

ありす「分かってます、四ツ葉財閥の力をもって全力で探しますわ」

真琴「私も、色々なところを探してみる!」

六花「お願い……二人とも」

ありす「……マナちゃん、本当にどうしたんでしょうか」

六花「私のせいかも……」

ありす「え?」

六花「私……昨日マナにひどいこと言って……」

真琴「とにかく今は一刻も早くマナを見つけないと!」

六花「分かってる……」

六花(マナ……お願い、変なこと考えないで……)

・・・・・

イーラ「……」

イーラ(こうやって外に出るのも……悪くないかもしれないな)

イーラ(僕は本当に変わってるのかな……だとしたら、僕もあいつのように……)

マナ「……見つけた」

イーラ「!!」

マナ「……」

イーラ「お前は……キュアハート!!」

マナ「イーラ……」

イーラ「ッ……なんだよ、お前なんで僕にそんな敵意むき出しなんだ」

マナ「プリキュア……ラブリンク」

イーラ「いきなりかよ!?」

ハート「……」

イーラ「クソッ! なんだっていうんだよお前!!」

ハート「あなただけは……許せないの」

ハート「今まで、どんな敵にもこんな感情は持ったことないけど……あなただけは憎い。絶対に許さない!!」

イーラ「!?」

ドガーン!!

イーラ「くっ……!!」

ハート「うあああああああ!!」

・・・・・

六花「はぁ……はぁ……」

六花「マナ……どこにいるの。これだけ探し回っても見つからない」

ラケル「ありすから連絡が来たケル!」

六花「!!」

ありす『六花ちゃん、マナちゃんが見つかりましたわ!』

六花「ほ、本当!?」

ありす『ええ、けど……』

六花「けど?」

ありす『どうやら今、イーラと戦っているみたいなんです』

六花「なっ……!?」

ありす『地図を送りますわ。現在地は六花ちゃんが一番マナちゃんの近くにいます。私たちもすぐに駆けつけます!』

六花「マナが……イーラと……」

六花(い……急がなくちゃ!!)

・・・・・・

ドゴッ!!

イーラ「ぐあああっ!!」

ハート「はぁ……はぁ……」

イーラ(こ、こいつ……いつもとは違う。攻撃が容赦ない……)

イーラ(このままじゃマジで……)

ハート「ッ……!!」

バキッ

イーラ「がああああああ!?」

ハート「許さない……絶対に許さない……」

イーラ「お前……よくもこんなこと……」

ガシッ

イーラ「かっ……!?」

ハート「このまま……首の骨を折る。そうすればいくらあなたでも……!!」

イーラ「や、やめ……」

ハート「……」

グググッ

シャルル「ハート、もうやめるシャル! これ以上はダメシャル!!」

ハート「あなたがいなくなれば……あなたがいなくなれば六花は!!」

イーラ「がっ……ああっ……!?」

シャルル「ハート!!」

マナ「……あれ?」

ドサッ

イーラ「かはっ……けほっ……」

マナ「あれ……あれ……!? なんで、なんで変身が……!!」

シャルル「……」

マナ「シャルル、なんで変身を解くの!? 早く元に戻して!!」

シャルル「違うシャル……シャルルは何もしてないシャル」

マナ「な、ならどうして……」

シャルル「マナはもう……愛を失くしたシャル。だから変身できなくなったシャル」

マナ「!?」

シャルル「もうマナは……プリキュアになれないシャル」

マナ「愛を失くしたってどういうこと……!? あたしに……あたしに愛がないって言うの!?」

シャルル「……」

マナ「そんなことないよ!! あたしは六花の愛のために戦ってるのに……そんなのってないよ!!」

マナ「お願い変身させて!! あたしをプリキュアにしてよシャルル!! 早く!!」

シャルル「シャルルには……もうなにもできないシャル」

マナ「イヤだ……そんな……」

マナ「あたしが愛を失くしたなんて……」

イーラ「どうやら……形勢逆転のようだな」

マナ「!!」

イーラ「よくもやってくれたな、キュアハート……!!」

マナ「あ……ああ……」

イーラ「お前……なんで僕を憎んでるかは知らないけど、命を狙うって言うなら僕だって容赦しない」

イーラ「……ふんっ。お前の心、もうドロドロに真っ黒だな。これならいいジコチューが生まれそうだ」

マナ「!!」

イーラ「だけど、お前なんかジコチューにする価値もない。僕のこの手で直接始末してやる……!!」

マナ「ひっ……!?」

イーラ「覚悟しろ……プリキュアあああああああ!!」




「煌めきなさい!トゥインクルダイヤモンド!」

イーラ「なにッ!?」

マナ「あ……あれは……!!」

ダイヤモンド「……」

マナ「六花!!」

イーラ「お前……どうして……」

ダイヤモンド「イーラ……」

イーラ「僕はこいつに命を狙われたんだ。一方的に襲われて……!!」

マナ「……」

イーラ「なのに……なんで僕を攻撃するんだよ!!」

ダイヤモンド「ッ……」

イーラ「頼む……手を出さないでくれ。僕だって変わりたいのに……こいつが邪魔するから……」

イーラ「だから僕はコイツを……!!」

マナ「!!」

ダイヤモンド「マナ!?」

ダイヤモンド「くっ……プリキュア・ダイヤモンドシャワー!!」

イーラ「なっ……!? うわああああああ!!」

ドガーンッ!!

ダイヤモンド「あ……」

マナ「り…六花」

イーラ「はぁ……ぐうっ……!!」

ダイヤモンド「イーラ……」

イーラ「なんっ……でだよぉ……」

イーラ「なんでこんなこと……するんだよ……」

イーラ「僕は……お前を信じてたのに……!!」

ダイヤモンド「あ……ああ……イーラ……!!」

イーラ「僕と一緒に、正しい道を探してくれるって言ったのにぃ!!」

ダイヤモンド「!!」

イーラ「結局……騙したんだな……」

イーラ「お前は……僕のことを騙したんだ」

ダイヤモンド「ち、違う……これは」

イーラ「許さないぞ……お前だけは許さない!!」

ダイヤモンド「お願いイーラ、話を聞いて!」

イーラ「ぐっ……がはっ」

ダイヤモンド「イーラ!?」

イーラ「はぁ……はぁ……」

イーラ「くそぅ……くそぉおおおおお!!」

イーラ「今度戦う時は……必ずお前ら二人を倒す……」

イーラ「そして地獄を見せてやる……覚悟してろよ……キュアダイヤモンド!!」

ダイヤモンド「イーラ、待って!」

イーラ「……」シュンッ

ダイヤモンド「イ、イーラ……」

マナ「……」

ダイヤモンド「……」

マナ「六花……」

ダイヤモンド「なんで……なんでこんなことしたの……」

マナ「っ……」

ダイヤモンド「あなたのせいでメチャクチャじゃない……何もかも!!」

マナ「……」

ダイヤモンド「なんでこんなことを……」

エース「私も、非常に残念ですわ」

ダイヤモンド「!!」

マナ「キュ、キュアエース……」

エース「相田マナさん……どうしてあなたが博愛を失いジコチューのような行動をとってしまったのか、今さら言及してももう遅いですが……」

エース「プリキュアの資格を失ったということは事実です」

ダイヤモンド「え……」

エース「シャルル、こちらへいらして」

シャルル「……」

マナ「シャ、シャルル……」

エース「もうあなたは……プリキュアであることは許されない存在。今後キュアハートはどこかにいるふさわしい方に変身してもらいます」

エース「あなたはもう、二度とプリキュアにはなれません」

マナ「……!!」

エース「行きましょうか、シャルル」

マナ「ま、待ってシャルル!!」

シャルル「マナ……ごめんシャル。けどわたしはもう、マナにはついていけないシャル……」

マナ「そ、そんな……」

マナ「あたしは……あたしは……!!」

シャルル「さようならシャル……マナ」

マナ「うう……! ううッ!! ううう……!!」

ダイヤモンド「っ……」

マナ「!!」

マナ「ま、待って六花……どこに行くの……」

ダイヤモンド「戦いが終わったのなら……もう帰るわ」

マナ「行かないで……六花……!! あたしを一人にしないで!!」

ダイヤモンド「マナ……さすがに今回はマナには同情できない」

ダイヤモンド「庇うことなんて……できない」

マナ「……!!」

ダイヤモンド「さようなら……マナ」

マナ「待って……行かないで……」

マナ「お願い……あたしは……自分の愛を信じたかっただけなの……誰に対してもじゃない、たった一つの愛を……」

マナ「この気持ちは紛れもない真実だから……六花……行かないで……」

マナ「六花……お願い六花……」

マナ「あああ……うああああ……うあああああああッ」

マナ「あああああっ……」

マナ「うわああああああああああ」

・・・・・

ありす「マナちゃん、大丈夫でしたか?」

マナ「……」

ありす「ご家族も心配してます、早く家へ戻りましょう」

真琴「六花は? 来てたんじゃないの?」

ダビィ「それにシャルルはどうしたビィ?」

マナ「あたし……もうプリキュアになれないんだって……」

真琴「え……!?」

マナ「ごめん、二人とも……」

ありす「マナちゃん……」

真琴「……」

・・・・・数日後

六花「……」

真琴「マナ……あれから一度も学校に来てないわね」

六花「……」

真琴「ずっと部屋に閉じこもってるらしいの。この前のことがそうとうショックだったみたい」

六花「……」

真琴「ねえ、六花……」

六花「私……あれからずっと考えてた。どうすればよかったんだろうって」

真琴「……」

六花「マナのこと……傷つけたのは私よ。マナの苦しみに気づけなかった」

六花「本当はマナは……強い人間じゃないのに……私が支えなきゃいけなかったのに……」

六花「私が悪いんだわ……私が……」

真琴「お、落ち着いて六花」

六花「……」

真琴「イーラのことは、どうなったの?」

六花「……彼とはもう、昔のようにまた敵同士の関係に戻ったわ」

真琴「そう……」

六花「私には何もできなかった……結局誰も助けられない……」

六花「最低な人間よ……私もプリキュアである資格なんてない……」

真琴「そんなこと……」

六花「……」

真琴「……ねえ、今日マナのお見舞いに行くんだけど一緒に行く?」

六花「……」

真琴「……そっか、じゃあ一人で行ってくるわ」

・・・・・

真琴(マナ、大丈夫かしら……わたし何かできることがあればいいんだけど)

真琴「……あ」

マナ「……」

真琴「マナ!!」

マナ「まこぴー……」

真琴「どうしたの、外出歩いて……。もう体調は大丈夫? わたし、今からお見舞いに行こうと思ってたんだけど」

マナ「うん……」

真琴「マナ……」

マナ「……」

真琴「……少し、向こうで座って話さない?」

マナ「……」

真琴「……」

マナ「……」

真琴「マナ……少し痩せた?」

マナ「……」

真琴「ダメよ、ちゃんと食べなきゃ。いつものマナならたくさん食べるでしょ?」

マナ「……」

真琴「いい天気ね、すごく空がキレイ」

マナ「……」

真琴「マナ……わたしはマナがプリキュアじゃなかったとしても、マナに対する気持ちはずっと変わらないわ」

真琴「だって、マナのおかげで今のわたしがいるんだもの。そのことは、ずっと感謝している」

マナ「……」

真琴「わたし……わたしが、マナのそばにいちゃダメ? 六花と比べたら力不足かもしれないけど……マナのために何かしたいの」

真琴「わたし、マナのためだったら何だってするから」

マナ「……」

真琴「マナ……?」

マナ「ごめん……もう行かなくちゃ」

真琴「え……い、行くってどこに」

マナ「ありがとうまこぴー……その気持ちはすごくうれしいよ」

マナ「でも……さようなら」

真琴「マナ……? ま、待って」

マナ「ついて……こないで……」

真琴「っ……」

マナ「……」

真琴「……」

・・・・・海

マナ「……」

マナ「冷たいね……海の水……こんなに冷たいんだ」

ザザー・・・・

マナ「……」

マナ「愛を失っちゃったね……あたし……」

マナ「けど六花に嫌われたら……もう愛なんてあっても意味がないよ……」

マナ「あたしは六花に支えられていた存在。そんな六花に捨てられたあたしってのは……つまりそういうこと……」

マナ「もう……これで終わり……」

マナ「……」

ザザー・・・

マナ「一人は寂しいけど……仕方ないよね。全部あたしが悪いんだから」

マナ「ごめんね……六花……本当にごめん……」


ザザー・・・

ザザー・・・


――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
――――――――――――

・・・・・数日後

「相田さんちのマナちゃん、まだ見つからないんですって?」
「そうなのよ。噂じゃ誘拐されたとかなんとかって」
「まぁ、本当に?」
「お店の方もずっとお休みだし、どうするのかしらね……」


六花「……」

ラケル「六花……」

六花「ありすに聞いても……まだ見つからないって」

ラケル「……」

六花「けど私……なんとなく分かるよ。マナのことだもん」

ラケル「え?」

六花「マナはもう……この世にはいない」

ラケル「……!?」

六花「私……行ってくるね、ラケル」

ラケル「行くって……どこにケル?」

六花「……マナのところ」

ラケル「そ、それって……だめケル六花!! 行っちゃだめケル!!」

六花「ラケル」

ラケル「!!」

六花「今回のことで分かったでしょ? マナは一人にさせちゃダメなの」

六花「私がいなきゃ……マナはダメなの」

ラケル「待つケル!! 六花!!」

六花「私が……いなきゃダメ……」

六花「私を必要としてるのは……マナ……」

・・・・・海

六花「ここよ……ここに来てたはずだわ」

ラケル「六花!!」

六花「マナ……私、マナのこと確かに嫌いになってたけど……」

六花「だけど……勝手にいなくなるなんてずるいよ。マナはいつもそう……自分勝手に動いて、私が心配してることも知らないで」

六花「いなくなるなんて……卑怯だよ……そんなことされたら……耐えられない……」

ラケル「六花!! 行っちゃだめケル!!」

六花「本当は……マナと友達以上の関係になりたかった……マナと愛し合いたかった!」

六花「だけどそんなこと……絶対にお互いが不幸になるだけ……」

六花「私は……マナに普通に幸せになってほしかったの……」

六花「だから……私がこれ以上マナのそばに近づきすぎたらマナが不幸になると思って……!!」

ラケル「六花!! こうなったら力づくでも止めるでケル!!」

ドンッ

ラケル「わわっ!?」ドサッ

六花「ごめんねマナ……ずっと寂しい思いをしてたんだね……ごめんね……」

ラケル「……」

六花「でも大丈夫だよ……私がすぐそばに行くから……」

六花「だって私は、マナのツバメだもの……マナとは永遠に一緒よ……」

六花「……ラケル」

ラケル「!!」

六花「ごめんね……私たち、自分勝手で」

ラケル「六花……待って……」

六花「マナ一人じゃこんな海広すぎるものね……けど、ふたりなら退屈しないよ」

六花「ふたりなら……ずっと……大丈夫」

ラケル「六花……」

ラケル「六花ぁーーーーーーーーーー!!!」


ザザー・・・

ザザー・・・

ザザー・・・



――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
――――――――――――

結局、僕には六花を止めることはできなかった。
あの後六花は海の奥深くまで進み、どこまで流されたのかは僕には分からない。
二人のそのあとの姿は、誰も見ていない。

六花もマナもいなくなってしまった。
ありすと真琴は毎日泣いている。

気になることは二つ。
僕たちはこれから先どうなってしまうんだろう。
プリキュアとジコチューの戦いは終わりが見えない。
それともう一つは、六花とマナは今……はたして幸せなんだろうか。



TV『続いてのニュースです。先日行方不明になった大貝第一中学校の女子生徒二人の……』





おわり

自分、ハッピーエンドのつもりで書いたんですけどいいっすか?

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