アニ「にゃーにゃーにゃー」アルミン「……」(82)



【のらねこ】


野良猫「ニャー」

アニ「よしよし、お前は良い子だね」

野良猫「ニャー」

アニ「ほーら、猫じゃらしだ。楽しいかい」フリフリ

野良猫「ニャーニャー」

アニ「ニャーニャーじゃわからないよ、楽しい?」フリフリ

野良猫「ニャーニャーニャー!!」パタパタ

アニ「はいはい、楽しいにゃーん。にゃーにゃーにゃー」フリフリ

アルミン「…………」

アニ「…………!?」バッ


.


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アニ「………アルミン」

アルミン「いや、僕はたった今来たところでね」

アニ「ねえアルミン、ちょっと」

アルミン「ホントだよ。僕は何も見てないよ。ホントにホント」

アニ「アルミン、目を逸らさないでくれる?こっち見なよ、そして話を聞いて」

アルミン「ああ、そういえば大切な用事が。僕もう行くから、それじゃっ」ダダッ

アニ「…逃がさない」ダダダダダ

アルミン「ちょっ、アニ足速いよ!」ダダダダダ


.




アニ「捕まえた」ガシッ

アルミン「こ、これが体力の差か…」ゼェゼェ

アニ「アルミン、アレは違う。そういうんじゃないから」

アルミン「な…何の話?」

アニ「とぼけても無駄。とにかく、さっきのは誰にも言うんじゃないよ」

アルミン「だから何の話?僕は何も見てないってば」

アニ「…本当だね?」

アルミン「ああ、もちろんさ」

アニ「そう…ならいいよ」


.



アルミン「…………」

アニ「…………」

アルミン「…………楽しいにゃーん」ボソッ

アニ「…………!!」ガッ

アルミン「いった!アニ!なにも足を踏まなくても…」

アニ「ふん…悪い子は、駆逐してやらないと…ねっ!」グリグリ

アルミン「いたたたたごめん!悪かったよ!だからぐりぐりは、ぐりぐりはやめてぇ!」

野良猫「ニャア~…」


.




【身長】


書庫

アニ「くっ…!くっ…!」ピョンピョン

アニ(ちっ…高いところの本が取れない…)

アニ(なんであんな高いところに置くんだよ…もっと親切設計にしろよ…)

アニ(踏み台を持ってくるか?いや、それはなんか癪に触る)

アニ(なんとしても、自力でっ…!)ピョンピョン

スッ

アルミン「この本で合ってるかい?」

アニ「………!!」


.



アニ「……アルミン」

アルミン「やあ」

アニ「いきなり背後から忍び寄るな。びっくりするだろ」

アルミン「あはは、ごめんね。はい、これ」

アニ「…ありがと」

アルミン「どういたしまして。随分頑張ってたみたいだね」

アニ「ふん。覗き見とは良い趣味だね」

アルミン「ご、誤解しないで欲しいな。たまたま本棚の前で飛び跳ねてるアニが目に入ったからで…」

アニ(……油断したか)


.



アルミン「でも、ここの本棚って高いよねぇ。もっと小さくすれば良いのにさ」

アニ「アンタは背が高いから困らないだろ」

アルミン「僕は男の中じゃあかなり小さい方だよ」

アニ「それでも私よりは高いじゃないか」

アルミン「アニは身長いくつなの?」

アニ「153cmだけど…」

アルミン「ああ、丁度10cmも違うんだね。僕は163cmだ」

アニ「……分けろ」ガシッ

アルミン「へ?」

アニ「その身長を分けろ。こっちに寄越せ。5cm、いや、3cmでもいい…!」ググググ

アルミン「ひいいいい!?アニ、離して!目が、目が怖いよ!?」


.



アニ「ごめん。取り乱した」

アルミン「うん…平気。僕も身長を伸ばしたい気持ちは分かるからね」

アニ「アンタはこれ以上伸ばす必要なんかないだろ」

アルミン「それがあるんだよ。逆にアニこそ、これ以上伸ばすことなんてないよ」

アニ「なんでさ。アンタと比べてもこんなにちっこいのに」

アルミン「だって、アニは女の子じゃないか。女の子はちっちゃい方が良いと思うんだよね、可愛らしいというか…」

アニ「…ふーん、小さい女の子がアンタの好みなんだ。なるほどね」

アルミン「…ちょっと待って。その言い方は何か語弊がないかい?僕はただ…」

アニ「アルミンがそんなアブない趣味をしてたなんて。これからは少し距離を置こうかな」

アルミン「わああああ!違うよ!違うってば!お願いだから話を聞いて!」


.




アニ「冗談はさておき」

アルミン「アニの場合、冗談に聞こえないんだよ…」

アニ「悪かったね。それで、女は小さい方が可愛らしいってのは?」

アルミン「ああ、いや、それは僕の個人的な意見というか…特に根拠はないというかなんというか…」

アニ「大方、自分よりも背の高い女を見ると、女より小さい男の自分が情けなくなるだけだろ」

アルミン「……なんで分かるんだよぉ」

アニ「分かるさ。女々しいアンタの考えそうなことだから」

アルミン「ううう、お見通しってわけか。これでもしアニが僕より背が高くなったらもっと惨めになるなあ…」

アニ「流石にそれは可哀想だね。仕方ないから、私はずっとアンタより小さいままでいてやるよ」

アルミン「あはは…それは助かるよ」

アニ「せいぜい感謝するんだね」

アニ(背が低くても…ま、いいか)


.



【格闘訓練】


アルミン「でやっ!」バッ

アニ「───ふっ!」バシッ

アルミン「うわあっ!?」ドサッ

アニ「この程度?全然なってないね」

アルミン「うう…ま、まだまだだよ!」

アニ「受け身も下手くそ。このままじゃ、いつかケガするよ」

アルミン「…そうならないように、頑張ってるんだけど…ねっ!」バッ

アニ「せい」バシッ

アルミン「あうっ」ドサッ


.



アニ「ほら、立ちな。手を貸すから」スッ

アルミン「いてて…ありがとう。やっぱりアニは強いなあ」

アニ「勘違いするな、アンタが弱いだけさ」

アルミン「て、手厳しいね…」

アニ「まったく、エレンの方が断然マシだ。張り合いがないったら…」

アルミン「はあ…やっぱり僕に格闘は向いてないのかなあ」

アニ「へえ。私に教えて欲しいと頼んでおきながら諦めるのか。良い度胸だね」

アルミン「あ、諦めたわけじゃないよ!さあ、もう一度だ!」

アニ「いいよ、来な。ただしその前に一つ聞きたい」

アルミン「なに?」

アニ「こんな対人格闘なんてのは何の意味もない。そこまで頑張る理由があるのかい」


.




アルミン「ううーん…確かに巨人相手に格闘なんか通用しないよね」

アニ「そうだろ」

アルミン「だけど、やっぱり僕らは兵士だしさ。素手でも戦える手段は身につけておかないと」

アニ「あっそ。つくづく真面目ちゃんだね、アンタは」

アルミン「そ、そんなんじゃないって…それにさ」

アニ「ん?」

アルミン「もし万が一のとき、自分が弱かったばっかりに仲間を守れなかったら、イヤだろ?」

アニ「…そうかもね」

アルミン「僕は昔から守られてばっかりだったから…今度は、僕が仲間を守る側になってあげたいんだよ」


.



アニ「……その仲間の中にはさ」

アルミン「うん」

アニ「私も、含まれてるのかい?」

アルミン「もちろんさ!アニに何かあったら僕が真っ先に駆けつけて守ってあげるよ!」

アニ「…嬉しいことを言うじゃないか。だけどね」バシッ

アルミン「おわっ!?」ドサッ

アニ「仮にも私を守りたかったら、私より強い男にならなきゃね」

アルミン「……このままじゃ受け身が一番上手くなっちゃいそうだよ」

アニ「ま、せいぜい頑張りな。アンタが強くなるまで、付き合ってやるからさ」

アルミン「うん!よろしく頼むよ、アニ!」

アニ「………ふんっ」


.



【髪型】


食堂

コニー「なあなあお前ら、女の髪型で一番良いと思うのはなんだ?」

ライナー「ん?また突拍子もないことを言うな、コニー」

コニー「まあたまにはこういう話もいいだろ。ちなみにおれはポニーテールが好きだ!」

マルコ「あ、ぼくも同じ。あの活発な感じがなんとも…」

ジャン「お、おれは黒髪ロングストレートが良い!あれこそがジャスティスだ!」

ベルトルト「僕は…なんだろ、あまりパッと浮かんでこないなあ」

エレン「おれも…そんな一々気にしたこともねえや、アルミンはどうだ?」

アルミン「ん、僕?僕は…そうだな、シンプルな感じが好きかな」


.




ライナー「シンプルっていうと、何も結んだりとかしないってことか?」

マルコ「ああ、ミカサとかクリスタみたいな?」

エレン「へえ…お前ってああいう感じのが良いんだな。知らなかったぜ」

アルミン「んー、僕でも良くわかんないけどね。なんとなくだよ」

やいのやいの

アニ「…………ふーん」

サシャ「どうしたんですかアニ!食べる手が止まってますよ!もしや要らないんですか!?」

アニ「誰がそんなこと言ったのさ。勝手に取ろうとするな」ピシッ

サシャ「あいたっ」

アニ「…………」


.



次の日


アニ「…おはようアルミン」

アルミン「あ、アニ。おはよ…あれ?今日は髪おろしてるんだ」

アニ「今朝はなんだかまとめるのが面倒になってさ」

アルミン「あー、髪がちょっとでも長いとそういうところ大変だよねえ」

アニ「あんたは髪が短いからそんな苦労もなさそうだね」

アルミン「うん。まあ僕は男だからね」

アニ「男ね…男っていうのは、もっとガッシリした体をしてるもんだと思ってたよ」

アルミン「うぐっ…アニは痛いとこをつくなあ」


.



アニ「……それで?」

アルミン「え?」

アニ「女が髪型を変えたんだ。男なら何か気の利いた一言でも言いなよ」

アルミン「…あ、ご、ごめんね」

アニ「そういうのはいい。何かないの?」

アルミン「えっ…と、うん、その髪型可愛いね。すごくアニに似合ってるよ」

アニ「……………はあ」

アルミン「ええ!?ため息なの!?褒めたのに!」


.




アニ「気の利いた一言だといったろう。とってつけたようなこと言われてもね」

アルミン「そ、そんなこと言われても…ホントに似合ってると思うんだけどなあ…」

アニ「ふん…ま、今日のところは勘弁したげるよ。次はもっと精進しな」

アルミン「はい…頑張ります」

アニ「ん」




アニ「……ふふ」

サシャ「どうしましたアニ?今日はいつにまして上機嫌ですね?」

アニ「別に。パン、食べる?」

サシャ「なんとっ!?良いんですか!?ありがとうございます!」

アニ「~♪」


.



【似てる?】


アルミン「ねえねえアニ、ふと思ったんだけど」

アニ「なにを」

アルミン「僕たちってさ、結構似た者同士だと思わない?」

アニ「…例えば?」

アルミン「ほら、髪の色とか、目の色とか同じ感じでしょ?」

アニ「ああ、確かに」

アルミン「実は僕らってこっそり血が繋がってたり…とかね」

アニ「…………へえ?」


.



アルミン「……………あ…えと…」

アニ「……………」

アルミン「…ぼ、僕なりの冗談だったんだけどな…あはは…」

アニ「…アルミン」

アルミン「な、なんだい?」

アニ「私は今年で16歳になる」

アルミン「…うん、知ってるよ」

アニ「アルミンは今年で15歳だったね」

アルミン「ああ、そうだよ」

アニ「私の方がアンタより年上だ」


.



アルミン「そうだね、それがどうしたんだい?」

アニ「…私がおねーちゃんだから」

アルミン「えっ?」

アニ「…………」

アルミン「…………」

アニ「…………」

アルミン「…………」

アニ「…………なんか言えよっ!」カァァッ

アルミン「ええっ!?今のツッコミ待ちだったの!?」


.




アニ「まったく…せっかく話に付き合ってやったのに」

アルミン「いや…まさかアニがそういうことを言うとは思わなかったから」

アニ「ふん。慣れないことなんてするもんじゃなかったよ」

アルミン「でも、アニみたいなお姉さん欲しかったなあ。僕は一人っ子だったし」

アニ「私もそうだったけど、兄弟が欲しいと思ったことはないね。特に貧弱な弟なんざまっぴらだ」

アルミン「ありゃりゃ…貧弱でごめんね、おねーちゃん」

アニ「……っ、誰が!そう呼んで良いって!言ったんだ!」バシッ バシッ

アルミン「ひいいい!すいませんつい出来心でっ!いたいよ、いたい!」


.



【治療法】


アルミン「ふんふんふ~ん♪」チクチク

アニ「上機嫌だねアルミン。なにしてるんだい」

アルミン「あ、アニ。ちょっと上着が破けちゃって」チクチク

アニ「へえ…アンタ裁縫なんて出来たのか」

アルミン「はは、男が繕い物なんか似合わないかな?」チクチク

アニ「…いいや。器用な男は嫌いじゃない」

アルミン「ああ、それなら良かった…いたっ!?」プチッ

アニ「ど、どうした」


.



アルミン「あっちゃあ…しまったな。針で指を刺しちゃった」

アニ「ドジ…」

アルミン「いつもはこんなことないのに…ねえ、絆創膏と消毒薬持ってない?」

アニ「は?なんで」

アルミン「なんでって…怪我をしたから、消毒と止血をしないと…」

アニ「…わざわざそんなことしなくてもいいだろうに」

アルミン「何言ってるんだ!もしばい菌が入って化膿とかしたら大変じゃないか!」

アニ「たかが針刺した程度で大袈裟だっていったんだ。そんなの舐めておけばいいのさ、ほら」ペロッ

アルミン「!!?!?」


.



アニ「よし、これでいいね。あとは放っておけば勝手に治るだろ」スッ

アルミン「ぁ、ぅん…どうも…」カァァ…

アニ「…?なにを固まってる?」

アルミン「だ、だって、アニ、今…僕の…」

アニ「え?……あっ」

アルミン「…………」

アニ「……………!!」カァッ

アニ「…………用事を思い出した。私はもう行く」スタスタスタ

アルミン「あ、う…」


.



その日の夜・男子部屋

アルミン(な、なんだったんだ…今日のアニのアレは…)ドキドキ

アルミン(い、いや…アレは治療の一環だ…アニの中ではアレが当然の方法だったんだ…)ドキドキ

アルミン(だから僕が動揺する方がおかしいんだ…あんなのは、普通、普通、普通…)ドキドキ

アルミン(………で、でも、ひょっとしたら…?)ドキドキ

アルミン「ぅ、ぅ、ぅううおああああっ!!!」バサッ

エレン「うわっ!?ど、どうしたアルミン!いきなり布団にくるまって変な声あげたりして!」




同じく・女子部屋

アニ「~~~~~~~~っ!!!」ポフポフ

サシャ「アニがさっきから枕に頭を埋めて足をバタバタしてるんですけど…」

クリスタ「な、なにかあったのかな…?」

ユミル「さあ…そっとしといてやれよ」

ミカサ「…耳、赤い」


.



【幸せ伝説】


アルミン「アニ、ねえアニ!」

アニ「なに」

アルミン「ほら見て、これ!」スッ

アニ「ん……」

アルミン「ね、スゴくない!?」

アニ「…どこが。ただのクローバーだろ」

アルミン「ただのクローバーじゃないよ!四ツ葉のクローバーだよ!」

アニ「…で、その四ツ葉のクローバーがどうしたって?」

アルミン「知らないのかい!?四ツ葉のクローバーは幸せの象徴なんだよ!」

アニ「いや、知ってるけど」


.



アルミン「これ、アニにあげるよ!」

アニ「…なんでさ」

アルミン「だって四ツ葉のクローバーだよ!?」

アニ「そうだね」

アルミン「コレは幸運を運んできてくれるんだ、持ってれば幸せになれること間違いなしだよ!」

アニ「じゃあアルミンが持ってればいいだろ」

アルミン「僕はいいんだ。コイツを見つけることが出来たこと自体が幸せだから!」ニコニコ

アニ(なんでこんなにテンション高いんだ…それはともかく)

アニ「アルミン。アンタは知ってるのかい。四ツ葉のクローバーがどうやって幸せを運んでくるのかを」

アルミン「え…知らないけど。なに、何か特別な方法があるの!?」キラキラ


.



アニ「…四ツ葉のクローバーはね」

アルミン「うん!」

アニ「見つけたらまず、誰かに見せないといけない」

アルミン「うん!うん!」

アニ「そして、それを見せられた人の幸せを奪い取って、見せた人の幸せとする」

アルミン「……………」

アルミン「…………えっ?」

アニ「つまり、見せられた私は不幸になって、見せたアルミンが幸せになる、そういう言い伝えなんだけど」

アルミン「……………」

アニ「………………」

アルミン「えええええええっ!?そ、そうなの!!??」

アニ「うるせっ」ビシッ

アルミン「あたっ」


.



アニ「四ツ葉のクローバーの伝説は色々ある。これもそのうちの一つってわけさ」

アルミン「ご、ごめん。僕、知らなくて、そんなつもりじゃなくって…」

アニ「ただの言い伝えだ。別にいい」

アルミン「はあ…そうだったのか。せっかく幸せを運んできてくれると思ったのになぁ…」

アニ「残念だったね。ところでコレ、本当にくれるんだろうね?」ヒョイッ

アルミン「ええっ?で、でも、それ…アニが見てたら不幸になっちゃうんじゃ…」

アニ「だから、ただの言い伝えだろ。私はそんなの気にしない。それに」

アニ「アンタの気持ちは、充分伝わったからね」

アルミン「…………」

アニ「有り難く貰ってく。どうもありがとう」

アルミン「…ふふっ、どういたしまして」

アニ(…部屋に飾っとこ)


.



【お誘い】


アニ「…………」テクテク

アルミン「あ…、ね、ねえアニ!」

アニ「アルミン。なにか用?」

アルミン「ご、ごほんっ…あ、あのさ…ちょっとつかぬ事をお伺いしたいんだけど…」

アニ「どうしたの」

アルミン「つ、次の休暇ってさ…何か、予定があったり…する?」

アニ「別に何も」

アルミン「な、なにもないの?まったく?ホントに?」

アニ「ない。部屋でゆっくりするつもりだったけど」

アルミン「へ、へぇ…そうなんだ…ふーん…」


.



アニ「それで?まさかそれを聞くだけが用事じゃないだろ」

アルミン「う、うん。まあ、ね」

アニ「じゃ、何の用?」

アルミン「え、えっとね、アニ」

アニ「うん」

アルミン「もし良かったらで良いんだけど」

アニ「ああ」

アルミン「次の休みに…その、僕と出かけてくれないかい?」

アニ「はあ…なんで?」

アルミン「な、なんでって…ほら、せっかくの休みだからさ、誰かと一緒に街にでもと思って」


.




アニ「ふーん。ま、どうしてもって言うなら行ってあげてもいいけど?」

アルミン「ホント!?ホントだね!?嘘じゃないね!?すっぽかしたりしないね!?」

アニ「ああ、当日私がこなくて落ち込むアンタを遠くから観察するってのもいいかも」

アルミン「……それはやめてくれると助かるんだけどな」

アニ「わかってる。じゃあ、次の休暇の時でいいんだね」

アルミン「うん!ありがとう、アニ!」

アニ「はいよ」

アルミン(えへへ…やったぞ!楽しみだなぁ…)

アニ(………アルミンとお出かけ…)


.



当日

アニ「アルミン」

アルミン「なんだい」

アニ「待ち合わせの約束は何時だった」

アルミン「9時のはずだったと思うけど」

アニ「今は何時」

アルミン「僕の目が正しいのなら、8時だね」

アニ「……なんでもういる」

アルミン「……そっちこそ」

アニ「わたしはたまたま早く来た」

アルミン「奇遇だね。僕もたまたまで」

アニ「……さっさと行くよ」

アルミン「……りょーかい」



.



【帰り道】


ポツ…ポツポツ……

アニ「!」

アルミン「あ…」

ザアアアアアアア・・・・・・

アルミン「わわっ!降ってきた!」

アニ「まずいね。とりあえず、そこの店先に逃げるよ」タタッ

アルミン「う、うん!」タタッ


.



アルミン「ふう…」

アニ「やれやれ。ツイてないね」

アルミン「まったくだよ。せっかくの休みだったのに雨だなんて」

アニ「まあ、今日は充分遊べた。ここらでお開きにしてもいいんじゃないの」

アルミン「そうだね、そろそろ帰ろうか。…ただ、問題は傘がないってことなんだけど」

アニ「ここの店で買えばいいだろ。売ってるみたいだし」

アルミン「あ、それもそうか。じゃあ僕が買ってくるよ」

アニ「ん…」

アルミン「すいませーん!この傘二つくださ…」

アニ「…!」


.



アニ「…待った」ガシッ

アルミン「うわっ?ど、どうしたの?」

アニ「傘は二つもいらない」

アルミン「え…僕とアニの分で二つ必要じゃないの?」

アニ「どうせ使い捨てだろ。そんなの二つも買ったらお金が勿体ない」

アルミン「うーん、でも二人分傘買わなかったらどっちかが濡れちゃうじゃないか」

アニ「大丈夫。一つの傘でも濡れない方法があるから」

アルミン「えっ…?」

アニ「……とにかく、買う傘は一つ。いいね」

アルミン「わ、わかったよ…。えっと、じゃあ…」


.



ザアアアアアアアア・・・・

アニ「…………」テクテク

アルミン「…………」テクテク

アニ「……ちゃんと傘を持ってくれよ。私が濡れちゃうだろ」

アルミン「う、うん…」

アニ「アンタの方が背が高いんだから、しっかり頼むよ」

アルミン「…ねえ、アニ…やっぱりこれはちょっと…」

アニ「なにさ。私と相合傘はイヤ?」

アルミン「そ、そんなことは!…ただ、流石に少し恥ずかしい、というか…」

アニ「男がそういうことを気にするんじゃない。黙って歩きな」

アルミン「………はい」

アニ「…………」テクテク

アルミン「…………」テクテク


.



アニ「………ねえ」

アルミン「なんだい?」

アニ「今日は…その、中々楽しかったよ」

アルミン「そ、そう?そりゃあ良かった。勇気を出して誘った甲斐が…」

アニ「え」

アルミン「あっ…な、なんでもないよ!」

アニ「…そうかい」

アルミン「………」

アニ「………」

アルミン「…あのさ、また君を誘っても…いいかな?」

アニ「ふん。好きにしなよ。期待しないで待っててあげるから」

アルミン「……ふふっ」


.



アニ「……なに笑ってんのさ」

アルミン「最近ね…君を見てて、一つ分かったことがあるんだよ」

アニ「?」

アルミン「君が鼻を鳴らすのは照れ隠しのサインだってこと」

アニ「………ふん。バカバカしい」

アルミン「あっ、今もほら」

アニ「…………」

アルミン「アニって実はさ…結構照れ屋さんだよね」

アニ「うっさい。蹴っ飛ばすよ」

アルミン「そ、それは痛いからやめてね」


.




アニ「ところでアルミン。さっきからアンタ、雨に当ってない?」

アルミン「ああ…意外とこの傘小さくてさ、どうしてもね」

アニ「…仕方ないね。ほら」グイッ

アルミン「わわっ…!?な、なにを…」

アニ「……こうしてくっつけば、二人とも濡れずにすむだろ」

アルミン「……ああ、うん。これは名案だ」

アニ「ちゃんと私をエスコートしなよ。男なんだから」

アルミン「かしこまりました、お嬢様」

アニ「…そういうのはいらない」ペチッ

アルミン「いてっ。叩かないでよ、傘持ってるんだからさ」

アニ「ふんっ…」

アルミン「次の休み…楽しみだね、アニ」

アニ「……そうだね」



おしまい。


.

以上です。ご覧くださりありがとうございました。
アルミンとアニはかなりお似合いの二人だと思います。アルアニ増えないかな。
私が書いてきたSSもこれで五作目。ついでといっちゃなんですが、下に今までの作品を。


一方通行「実は甘党なンだよ」上条「なんと」結標「意外」
サシャ「当麻さーん、ごはーん!」上条「はいはい」
リヴァイ「ハンジに不意打ちでキスをしてみる」
エレン「手乗りサシャ……」
アニ「にゃーにゃーにゃー」アルミン「……」←NEW!


それそろネタ切れで減速しそうですが、これからもよろしくどうぞ。

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