【安価】村人「抗ってみせる」【狂乱】 (60)
のどかで、村の人達は誰もが優しく、良い所だ。
その日までの……は、そう心から信じ、そしてそう語ってきた。
王都から来た勇者一行を村の入り口で迎え、村を案内したあの日までは……。
翌日の朝。
勇者一行が皆殺しにされるまでは。
↓2【村人の性別はなんですか】
※ 性別に特殊ステータス付与するのも可能です
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【今回物語開始時点での村人のステータスが反映されました】
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【名前】:村人 【レベル】:5 【アライメント】:秩序・善
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【筋】:5 【耐】:5 【敏】:5 【魔】:5 【運】:5 【?】????
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【スキル】
○天使の加護Lv1(種別:一般 タイミング:常時)
一度だけ即死の安価を回避、もしくは致命傷に類する状態を瀕死に抑える。
彼女の優しき心は彼女自身の物ではない。
村人「……どうして、こんな事になったのでしょう」
そして事件が起きてから三時間後、私は四人の遺体が並ぶ一室で呟いた。
私の声が聞こえたのか、それともたまたまか。
勇者一行の横で震えていた村長が、咄嗟に言い放った。
村長「こ、この……この村に、勇者様を一夜のうちに殺せるようなば、化け物がいるのか……!!」
宿の、広めの一室で集まった私を含める七人が息を呑んだ。
血はまだ温かく、滑りを帯びている。
つまり、まだ化け物は近くにいるのかもしれない。
神父「では直ぐにでも王都に連絡を取らねばなりますまい」
四人目の、少女の魔法使い様に祈りを捧げた神父が立ち上がる。
声音自体は落ち着いているが、十字架を握る手が震えているのが私には分かった。
そもそも、私を含めてこの現状にどれだけの現実味を感じているのか。
村長「馬鹿な……王都の騎士団に村ごと焼き払われたらどうする!?」
神父「明確な罪状を掲げての焼き討ちはしても、化け物の所在が分からない程度で焼き討ちはしませんよ」
↓1~2【発言、もしくは行動でどうしますか?】
【採用されました】
村人「神父様、勇者様達の死因は?」
声を震わせながら抗議する村長を保留にした上で、私は神父に問い掛ける。
彼は眉を潜めながら唸った。
神父「……村外れのお医者様が来るまで断言は出来かねますが」
神父「十中八九……勇者様は『首元を切り裂かれた事による失血死』…」
神父「そして、戦士殿が『肩から腰にかけて両断されての即死』され…」
神父「盗賊殿が『勇者様と同じ死因』、魔法使い殿は『心臓を貫かれての即死』ですな……」
荒れ果てた部屋に散乱していたベッドシーツを被せていたが、その一枚を捲ると青年が露となる。
眠るように絶命している彼の表情は、明らかに蒼白に染まり、その肌は冷たくなっている。
宿娘「騎士が百名居ても敵わなかった勇者様が……暗殺されるなんて…」
宿主人「一体、世界はどうなっちまうんでさぁ……!!」
宿の主人と、その娘が勇者一行とは別の意味で顔を蒼白に染める。
当たり前だろう、無敵と言われていた彼等が死んだのは旅立って最初の宿……。
つまり、圧倒的に油断していたであろう夜だったのだ。
村人「……嘆いていても始まりません、神父様は教会へ祈りを!」
私は直ぐに、伝説を思い出す。
そうだ、彼等は精霊の加護を受けており。
例え旅の途中で死しても教会の祈りが魂と肉体を呼び戻すのだ。
残された希望が少ない以上、出来ることなどこれしか無いと私は思う。
村長「わ、私はどうすりゃいいんだね?」
村人「祈りを捧げる事で勇者様が戻るのなら、村中の人を集めて教会で祈ってみたらどうですか…?」
神父「成る程……試してみましょう!」
頷き、部屋を飛び出す神父に続いて村長も部屋を出る。
暫く慌ててはいたものの、私の話を聞いて宿の娘もまた外へと飛び出していった。
私は部屋の惨状を眺めながら、部屋の入り口に立つ男達を振り返った。
この村を訪れていた傭兵稼業を営む二人だった。
傭兵「……何が何だかな、俺らも行った方が良いかい?」
↓1~2【何と答えますか?】
村人「 村中の人々が集まるのですから、そうしてもらえると助かります 」
傭兵「そうかい、ならそうしようかね」
私の言葉に頷くと、黒髪の簡素な鎧を着た男が腰のロングソードを鞘ごと抜いた。
教会へ行くときは基本的に外すのを、四日前に彼等を私が村の案内に出た際に知っている。
傭兵稼業をしていると、命のやり取りに出くわす機会が多いから……だそうだ。
そうして部屋を出ようとする彼に続いて、もう一人の傭兵が私の前に立った。
村人「……?」
傭兵B「大事になったな、だが……」
防具は胸当て位しか身に付けてはいないが、この傭兵は背に短刀を四本背負っていた。
この男は正直、私は好きにはなれなかった。
傭兵B「……戦場以外にも、稀に俺達は不可思議な事に関わる時もある」
傭兵B「アンタも教会に後で来た方がいい……良くない匂いがする」
ブラウンの髪を掻きながらそう言った彼は、気怠そうに私にそう告げていった。
この男は村に来た時も似たような事を言っていたので、単純に不思議なキャラなのだろう。
そこまで考えてから頷き、私は彼を目で見送ってから部屋を見回した。
村人「……」
なぜこんな事になってしまったのか、私は僅かばかりの思案を巡らせる。
だが考えても意味はなく、一先ずは勇者の遺体から王から与えられている筈の紋章を探る事にした。
冷たく、固くなってしまった青年の身体は、どうみても奇跡が起こるようには見えない程に死んでいる。
そんな硬直した体から紋章をすぐに取り出せたのは幸運だった。
彼は首飾りのようにして持ち歩いていたのだ。
村人「……ふぅ」
私は部屋の惨状と共に現れてきた異臭を嗅がないように、部屋を出ようかと振り向いた。
【一時的に自由行動が取れるようになりました】
【行動を選択して下さい】
a:教会へ向かう
b:部屋を探索
c:傭兵Bの言葉を思い出す
d:振り返る
↓1~2【お選び下さい、番号による回答でも構いません】
【採用されました】
とにかく、私も教会へ向かわなければ。
宿の外は『静か』だが、直ぐに村中で騒ぎが起きるに違いなかった。
世界の命運が掛かっている、そう考えると、何故か目眩すら感じてしまう。
本当にどうしてこうなったのだろう。
村人(……そういえば)
部屋を出て、廊下を進んだ突き当たりを曲がる。
そんな時に私はブラウン髪の傭兵の言葉を思い出していた。
良くない匂い、とは。
一体何だったのだろうか、死臭の事では無いような気がしていたが。
【宿を脱出しました】
何事も無く宿を出ると、『途端に騒ぎが聴こえてきた』。
見渡すと、やはり村長が村の人々を誘導している様だった。
しかし。
どうも様子がおかしかった、村長の青ざめていた顔が……白くなっている。
思わず目を私は疑うが、間違いない。
間違い……ない…?
村長「はぁぁァァアアアアアアアアンンンンンンンンンンンっっっっッッッ???!!!」
村長「やぁぁぁあああああああああ!!!!!」
村長「ほぉぉぉおおおおおあああぁぁぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あぁぁぁんんあ!!!!!!!!」
奇声。
絶叫。
狂乱。
明らかに村長は正気を失い、村の人達をただ追い散らしていただけだったのだ。
村人「そん…ちょう……?」
後頭部の下の方から、不意に吐き気が込み上げてくる。
奇声を挙げる村長の表情はとてもこの世のものではなく……何か、とても大切な物を喪っている様にすら感じた。
村の人達が教会へ逃げ込んで行きながら、口々に『勇者様が死んだからだ』と叫んでいる。
まさか、と私は後ろに下がる。
村長「……ぁ……?」
村人「……」
村人「え?」
こちらを見ている。
間違いない、私を見ている。
呼吸が喉の辺りでつかえながら、逃げようと足を動かす。
だがしかし、どうやっても動けない。
村長「ひっ…ウグ……か、ハァァァ……あぁああぃぅいぁぁぁ!!!!」
絶叫を挙げながら、こちらへ走ってくる村長の顔を見れない。
目を逸らしながら下がったせいか、私は宿の扉に背中を打ち付ける。
息が、うまくできない。
【選択肢の結果次第で彼女のステータスに変化が起きます】
a:村長の……目の…奧…………
b:だ……れか…
c:ぁ……
d:っ…!
【行動をお選び下さい】
↓1~2
d
【>>22が採用されました】
【判定差は0.17でした】
村人「っ…!」
その瞬間、私の視界は薄汚れた何かに遮られた。
それは月のように冷たい色をした、短刀。
ブラウン髪の傭兵だった。
傭兵B「シッ ━━━━!!」
風すら切り裂かんばかりに回蹴を振るい、村長の脇腹に叩き込んだ。
鈍くも弾かれるような音が鳴り、薙ぎ倒されるというより、吹き飛ばされる様に地に伏せた。
私の眼前で僅かな鮮血が宙を舞いながら、村長が倒れる音を聴く
村人「……っ、はぁ…はぁ…」
傭兵B「ゆっくり息を吸った方が良い」
傭兵B「もう大丈夫だ」
彼はそう言うと、私の体を支えてくる。
視界の端で村長が動かなくなっていくのを見ながら、私はただひたすらに息を吸い込もうとしていた。
【村人のステータスが変化しました】
┏━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━┓
【名前】:村人 【レベル】:5 【アライメント】:秩序・善
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【筋】:5 【耐】:5 【敏】:5 【魔】:5 【運】:10 【?】????
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【スキル】
○天使の加護Lv1(種別:一般 タイミング:常時)
一度だけ即死の安価を回避、もしくは致命傷に類する状態を瀕死に抑える。
彼女の優しき心は彼女自身の物ではない。
○土色の傭兵(種別:一般 タイミング:常時)
即死結果以外ならば戦闘による方法で村人を守護する。
全く見えない目的とキャラは村人に好かれる事はない。
司祭「……急がねばなるまい、村の者は跪くよりも先に、祈りを捧げるのだ!!」
村長の遺体を葬った後、教会の司祭はそう告げる。
それもそうだろう、私が傭兵Bに助けて貰ってからも村長の様になった者が四人も続出していた。
既に村中の人間は集まっているとも思われたが、何らかの事情で孤立していた者達が発狂していたのだ。
私は司祭から渡された白湯を飲みながら、隣に座る傭兵Bへ視線を向けた。
村人「……助けてくれてありがとうございます」
傭兵B「気にしなくていい」
傭兵B「仕方ないとはいえ村長を殺めたのに変わりはない……加減が出来なかった」
俯きながらそう呟く彼は、果たして後悔しているのか素のままなのか、私には判別出来ない。
私は白湯をちょっとだけ口に含んでから、再び声をかける。
村人「……どうして、加減が出来なかったんですか」
私のその問いに、傭兵Bは目だけをこちらに向けて応えた。
ただし、その瞳はどこか……四日前の彼とは違う気がした。
傭兵B「……怖かったんだ」
村人「え?」
傭兵B「あの男が叫んでいた時、アンタの元へ走っていた時……」
傭兵B「聴こえるんだ……奴の叫び声に『混ざって』」
村人「……混ざって…?」
感情を余り表情には出さないタイプと思っていたが、この時だけブラウン髪の傭兵は目が確かに怯えていた。
一体、何が聴こえてきたというのか……。
私がそれに問いかけようと、白湯を一口飲んだ時だった。
教会全体を、淡い……常に変色を続ける名状し難い光が包み込んだのだ。
教会のあちこちで悲鳴や、「始まったぞ」という声が乱舞する。
私が視線を回すと、既に村中の人間が祈りを捧げていた。
必死に跪き、手を合わせて懸命に何かを呟きながら祈っていた。
何かが教会の中で渦巻き始める。
司祭「全知全能の神と、偉大なる精霊達よ!!」
勇者の持っていた紋章を掲げて司祭が叫ぶ。
その声に合わせて、教会を包み込む光が更に変色するスピードを上げていく。
司祭「いまここに、哀れなる勇者とその一行の御魂を喚び戻したまえ!!」
司祭「我らが大神 ━━━━━ 」
【村を破滅へと導いて下さい】
a:黄衣の王
b:古の者
c:万物の王にして白痴の者
d:瞬間、司祭の胸を何かが貫いた。
↓1~3【お選び下さい】
c
【>>30が採用されました】
【判定差は0.49と0.29でした】
司祭「 ━━━━━ 万物の王にして白痴の者よ……!!」
刹那、教会に居た誰もが耳を疑った。
そんな名の神など、聞いたことも無かったからだ。
だがしかし私がその疑問を口にするより圧倒的に早く、教会の中で渦巻いていた光が一色に染まった。
漆黒の、闇……。
村人「……な、なに…何ですかこれ……」
傭兵B「うゥわぁあああああああああああああああああああ?????!!!!!!!!」
━━━ 「「アアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!???!!!」」
隣に座っていた筈のブラウン髪の傭兵が見えない。
それでも、彼の声と瓜二つの声が狂乱の音色を奏でる。
それも……彼だけではない。
全ての人間が狂乱の波に呑まれていたのだ……。
━━━━━ 【・・・・・ブツブツ・・・】
村人「ひ……!?」
闇の中で響き渡る狂乱の悲鳴とは全くの異質な『声』。
但しそれは……人間のモノではない。
耳を塞いでも、目を閉じても、聴こえてくるし見えてきてしまう。
『形ある闇』。
私はその場で嘔吐し、無意識の間に悲鳴を挙げて走り出した。
━━━━━ 【・・・ブツブツ・・・ブツブツ・・・・・・】
理解してはいけない。
この『声』は、理解してはいけない。
目を逸らし続けないと……耳を塞ぎ続けないと……。
【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!】
村人「!!?」
身体が爆音に叩きつけられ、何度も地面に転がりながら吹き飛ばされた。
その時……私は反射的に目を開けてしまっていた。
━━━━━ 【・・・・】 ━━━━━
『闇に吠える』それを目にした瞬間。
私の意識は何かに飲み込まれていく……。
囁き声。
━━━━ 【くすくすくすくす】 ━━━━
無垢な赤子の様な声、だがしかしそこに生き物の気配はなく。
それはもっと、背徳的で……冒涜的な『存在そのもの』なのだと私は理解した。
そして私は……『理解してはいけない事を理解した』時点で、何か別の存在へと変貌した気がした。
【採用されました】
教会のあちこちで悲鳴や、「始まったぞ」という声が乱舞する。
私が視線を回すと、既に村中の人間が祈りを捧げていた。
必死に跪き、手を合わせて懸命に何かを呟きながら祈っていた。
何かが教会の中で渦巻き始める。
司祭「全知全能の神と、偉大なる精霊達よ!!」
勇者の持っていた紋章を掲げて司祭が叫ぶ。
その声に合わせて、教会を包み込む光が更に変色するスピードを上げていく。
司祭「いまここに、哀れなる勇者とその一行の御魂を喚び戻したまえ!!」
司祭「我らが大神 ━━━━━ 」
【村を破滅へと導いて下さい】
a:黄衣の王
b:古の者
c:万物の王にして白痴の者
d:瞬間、司祭の胸を何かが貫いた。
↓1~3【お選び下さい】
d
a
【>>41が採用されました】
【判定差は>>42の0.11ゾロ目による不採用からの繰り上がりとなりました】
瞬間、司祭の胸を何かが貫いた。
出かけていた声に混ざり、肺に残っていた酸素と共に黒澄んだ血が噴き出した。
横に立っていた筈の神父は驚愕の表情に染まり後ろへ転がり下がっている。
そして、私もまた呆然としていた……。
傭兵(なんだ……ありゃぁ…)
傭兵「傭兵B! そっちの出入口!!」
傭兵B「あぁ……!」
二人の傭兵が瞬時に二ヶ所ある出入口へ走り出す。
そんな中でも、私は目の前に顕現する存在から目を離す事が出来なかった。
『死神』。
漆黒の霧を纏い、鈍く……沈むような白濁とした色の鎌。
そして大鎌を振るい、絶命した司祭をボロ布の様に放り捨てたのだ。
骨の様に見える腕は、しかし確かに強大な魔力を放っている。
恐ろしき容姿は間違いなく……私が想像し得る限りの、『死神』だったのだ。
傭兵「皆早く出ろォッ!!」
半ば扉を破壊する勢いで、教会の正面扉を開放する傭兵の男が叫んだ。
その怒号に我を取り戻した村の人々が悲鳴を挙げて逃げ始めた。
にも関わらず、私は動かないでいた。
村人「…………」
死神【……】
死神は迸る漆黒の霧のローブを纏っている。
その中から、淡く発光する目が足元に転がる司祭を眺めていた。
暫くしてから、私の事も。
村人(なに、か……)
何か。
何かをこの死神は納得できず、何度も再確認をしていたのだ。
そして、私が逃げないことにも不可解に違いない。
傭兵B(……狭い中に村人達を押し込んでいたからか、中々外に出せない…)
「な、なんだこれ……?」
傭兵B(……?)
傭兵B(いまはあの黒い化け物が動かない事を祈ってる状況で…何を教会から出ずに騒いで……)チラッ
【キチキチキチキチキチキチ……】
村人A「な、なぁ……なんかこれが通路を塞いでて外に出れないんだが……」
傭兵B「 ━━━━━ ッッ!!?」
傭兵B「馬鹿か、逃げろ!!」
村人A「へ?」
【キチキチキチキチキチキチ……ギィィィィィァァァァアアアアアアアアアア!!!!!】
死神【!】
村人「!」
教会の裏口から挙がる新たな悲鳴、そして……断末魔。
一人、二人と逃げ込んでいた筈の村の人間が次々に逆走して死神の前を数人ほど逃げ去っていったのだ。
何らかの異変に私と死神が殆ど同時に裏口の方へ意識が向けられ、私は思い出す。
確かあちらを開放しに走ったのは、ブラウン髪の傭兵だったのではなかったか……。
━━━━━ ゴゥンッ!!
傭兵B「ッ……!!」
そう私が不安を覚えた直後、粉塵と共に傭兵Bの身体が投げ出された。
大量の血飛沫を浴びた状態で、だったが。
村人「傭兵Bさん……!」
傭兵B「来るな、外に逃げろぉお!!」
短刀を構え、周囲を何度も見ながら下がるブラウン髪の傭兵。
その彼が初めて怒号を飛ばした事に、私は意外な一面を見た気になる。
私は即座に彼に背を向けると、正面出入口に向かって足を……
━━━━━ 【待て】
……踏み込もうとした瞬間、背後から…生々しい『音』が聴こえた。
違う、今のは『声』なのだと気づく。
声の主へ視界を私が回すと、そこに居たのは……居るのはたった1つの存在だけだ。
村人「……え?」
死神【………】
↓1~2【どう対応しますか?】
あなたですか?
【>>49が採用されました】
【判定差は0.54でした】
村人「……あなたですか?」
戸惑いと躊躇い。
混乱と錯乱。
今、私の頭の中はどの組み合わせなのだろう。
ほんの一瞬の出来事の筈なのに、何秒も時が流れている様な錯覚に陥る。
私が微かに出した声を、死神はやはり応えた。
━━━━━ 【如何にも】
━━━━━ 【手を貸せ、何もかも後手に回る前に】
村人「手を……?」
村人「いやでも、どうやって……それに、そ……それに……」
身体が動かない。
足すら震えない、これだけ私は怯えているのに何故なのか。
その疑問が晴れるよりも先に、死神は私の四倍はある巨大な鎌を振るった。
同時に……私は辺りの時間が一時的に止まっていた事にようやく気づいたのだ。
震える足を軸に躓き、咄嗟に自由になった体を動かして留まる。
私の目の前に居た死神へ視線を向けるが、既にその姿はなくなっていた。
同時に……黒い霧が私の周囲で渦巻いていたのだ。
村人「これは……?」
━━━━━ 【『死念』】
━━━━━ 【招かれざる者どもを弾くと同時に、拘束する】
━━━━━ 【現界していられる時間の短い我を手助けせよ】
━━━━━ 【そうすれば、被害を最小限に食い止めてやる……感謝せよ】
頭の中へ直接音を差し込まれる様な声が響いた後、私の身体を守護するかの如く霧が渦巻く。
全く事情も、何が起きているのかも分からないままで。
村人「………」
【どう行動しますか】
a:傭兵Bを助けに行く
b:正面出入口から逃げようとする
C:死神に語りかける
↓1~2【お選び下さい】
【採用されました】
混乱する私にも分かるのは、目の前で傭兵Bが確かに窮地な事だった。
短刀を振りかざしながら後退する彼の前からは、未だに多量の血飛沫が舞っている。
今ここで混乱の中、思案したとしても無意味に彼が何らかの危機に晒されている事に変わりはないのだ。
……そこまで考えていた時には、いつの間にか走り出していた。
傭兵B「っ……!?」
傭兵B「何こっち戻って来てるんだ、……ッ!!」
私に気づいた彼が呼び止めようとして、不意に彼から見て正面の存在に気取られてしまう。
そして、私もまた彼が対峙していた存在を知る事となったのだ。
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