勇者「拭える事なく、其処には血溜まりが生まれた」『R-18』 (5)



━━━━━ 酷く昔の話だ。



「私の生まれた国はとても貧しく、脆弱で、荒れ果てた国だった」

「『君達』には想像もつかないかもしれないね、それが今の帝国だよ」


「作物が育つよりも先に育ちかけのモノを掘り起こされ、食われ、それを咎める者が殺される」


「町で少しでも健康そうな女がいれば殺すまで犯されるか、売られる」


「そして人身売買を黙認し、麻薬を使って金を得る」


「それが君達の尊敬する先代の王だよ」

「……私が殺した、私が何もかも壊した国の本来の姿だよ」

「勇者」



勇者「………魔王の言葉を信じると思うの?」





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剣士「騙されるんじゃねえぞ勇者……死に際に勇者を洗脳しようとしてやがる」

賢者「第一、そんな話は有り得ません」


賢者「魔王、貴方はこの世界に蔓延る人の悪意とマナの残滓が集合して生まれた存在の筈」

賢者「この私がそれを研究し、解明したからこそ」

賢者「今の貴方は封印されようとしているのでしょう!」



魔王「……あは、は……」

魔王「……………」



勇者「終りにする、異次元の彼方で眠りなさい 」



魔王「目を……覚ましなよぉ…っ」

魔王「お願い…私を消さないで……繰り返さないで…」

魔王「私がいなくなったら、誰が世界を平和にするんだ!!!」


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