憧「シズ~」穏乃「あーこー」(332)

憧ちゃんとシズのほのぼのしたほんのり百合なおはなし

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[テーマ:おそろい]



穏乃「ねー、あこー」

憧「んー?」

穏乃「私と憧と、おそろいの格好だね!」

憧「おお。言われてみれば確かに」

憧「って、そりゃ制服だから当たり前でしょうよ!」

穏乃「当たり前じゃないよ」

憧「へ?」

穏乃「だっておそろいの制服を着るのは今年がはじめてなんだもん」

憧「……そういえば、そうだったね」

穏乃「私と憧と、これからはおそろいが当たり前だね!」

憧「うん。これからはおそろいが当たり前ね」

穏乃「えへへ。なんかいいね」

[テーマ:言ってるそばから]


憧「ねー、シズー」

穏乃「んー?」

憧「あたしとシズと、おそろいの格好じゃないわね」

穏乃「うん。憧は制服で、私はジャージだからね」

憧「……なんでこうなるのよ!」

穏乃「??」

[テーマ:暑い]


憧「最近本当にあっついなあ……」

憧「……」

憧「あ。いいこと思い付いた」

憧(まずシズの前で、服をだらしなく脱ぎかけの状態にして……)

憧(あつーい、なんて色っぽくシズを誘惑……)

憧(なっ、なーんてね! こんなやり方、さすがに品が無さすぎるわよね!?)

憧(でも……、物は試しかな)

憧(これで少しでもあいつの気を引けたら儲けもんだし……、うん)

憧(よーし。さっそく今からシズの家にいこーっと!)

[テーマ:難敵]


憧「なんでシズは平然と裸ジャージで前をはだけてるのよ!!?」

[テーマ:あたしと小鳥とシズと]

私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。

私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、

憧「みんな違ってみんないい、とは言うけれど……」

穏乃「見てみて憧ー! ジャージ滑空!」

憧「身近に空を飛ぶ人間がいるから困る」

[テーマ:糸電話]



穏乃「糸電話つくろう! 糸電話!」

憧「おいおい。藪から棒になによ」

穏乃「むかし理科の授業でつくったよなあって思い出したら、急に懐かしくなってさ」

穏乃「ね。一緒につくって遊ぼうよ」

憧「まあ、忙しいでもないし別にいいわよ」

穏乃「よーし! そうと決まればさっそく――」

憧「あ! でも、どうせつくるなら高校生レベルの糸電話にしたいわね!」

穏乃「高校生レベルの糸電話?」

憧「そ。だって小学生でもつくれる普通の糸電話をこの年でつくってもつまらないでしょ」

穏乃「うーん。それもそうか」

憧「となるとまずメール機能は必須でしょ。それから留守電と、ネットと、カメラもつけて……」

穏乃「偏差値70余裕の考える高校生レベルの糸電話、クオリティたけえええー!」

[テーマ:有言実行]


憧「ほら見てシズ! ちゃんと玄から返信が届いたわよ!」

穏乃「本当にハイテク糸電話つくっちゃったよこいつ」

[テーマ:星しいたけ]


憧「もにゅもにゅもにゅ」

穏乃「もにゅもにゅもにゅ」

憧「しいたけはやや美味しいわね」

穏乃「やや美味しいよね」

憧「もにゅもにゅもにゅ」

穏乃「……ふと気になったんだけどさ」

憧「うん?」

穏乃「ほししいたけって丸いのにどうしてほししいたけなの?」

憧「干してあるからよ」

穏乃「ああ、そっちか!」

[テーマ:君と結婚したい]


憧「ねえ、シズ」

穏乃「なあに、あこ?」

憧「空に浮かぶものといえば!」

穏乃「雲!」

憧「夏といえば!」

穏乃「かき氷と花火!」

憧「オムレツ職人の殺人現場に残されそうなものといえば!」

穏乃「黄身と血痕、死体!」

憧(ミッションコンプリート)

[テーマ:ほの明かりに引き寄せられる羽虫のように]


どんなに望んでみても、あたしとシズの身体は深く繋がることができない。

これはそう、きっとはじめから分かりきった悲恋。

いつかはあたしにも夢から醒めるべき時がくるのだろう。

穏乃「あーこー! 自販機いこー!」

憧「おっけー」

穏乃「いつもの100円自販機ね」

それでも、どうか願わくば、少しでも長くこの素敵な夢に浸っていられますように。

身をも焼く明かりに引き寄せられる羽虫のように。

あたしはこのクソ暑いのに、シズの手を固く握りしめた。

[テーマ:ごくごく]


憧「ごきゅっ、ごきゅっ」

穏乃「じーっ……」

憧「ごきゅっ、ごきゅっ」

穏乃「あこってさ」

憧「ん?」

穏乃「ごくごくじゃないんだよね」

憧「??」

[テーマ:クッション]



憧「見てみて!」

穏乃「おー。桃の形のクッション」

憧「かわいいでしょー」

穏乃「かわいいねー。しかもちゃんと匂いまでする!」

憧(匂い? そんなものついてたかしら?)

穏乃「すんすんすん……。桃の香りだ! いい匂い~!」

憧(あっ! ひょっとして、先にあたしがクッションをだっこしたから匂いが移った……?)

穏乃「すんすんすん。この匂い癖になる」

憧「ぎゃああー! 止めて止めてシズ! 恥ずいから凄く恥ずいから!」

穏乃「??」

[テーマ:雲]


憧「子供の頃は雲が美味しそうに見えたんだよね」

穏乃「わかるわかる! ふわふわして美味しそうに見えるよね!」

憧「やっぱりシズもそうなんだ」

穏乃「うん。麩(ふ)みたいで美味しそうだなー、って、いつも思ってた」

憧「そこは綿菓子じゃないんかい!! 渋いな、麩って!」

[テーマ:雲2]


穏乃「日曜日の代わりにさ」

憧「ん?」

穏乃「雲曜日だったらちょっと楽しそうだよね」

憧「あー。なんか雲曜日って休日っぽいね」

[テーマ:雲3]



憧「あの雲、イルカっぽくない?」

穏乃「おおー。ジャンプしてるところだね」

憧「そうそう」

穏乃「……」

憧「……」

穏乃「あっ! 見て憧!」

憧「どれどれ」

穏乃「あそこの雲がヨウシュヤマゴボウそっくり!」

憧「伝わらんわ!!」

[テーマ:雲4]


空に仲良く並んで浮かんでいるあの双子雲も。

いつかは風で千切れて、あるいは雨になって、離ればなれになるんだろう。

憧「むにゃむにゃ……」

隣でいつの間にかうたた寝してしまっていた憧を見ていると。

ああきっとこの憧とも、また離れる時がくるのかなと、不安になるけれど。

憧「シズぅ……」

穏乃「よしよし」

大丈夫。雨になった雲も、また空に浮かぶときはくるから。

いくつになっても何度でも、再会しような。

続きはまた気が向いたときに
何か書いて欲しいテーマがあったら書き込んでね
憧シズ大好き

シズ憧すばらです!

告白シーンとか見てみたい

[テーマ:素直]



穏乃「いただきまーす!!」

穏乃「ごちそうさまー……」

穏乃「いただきまーす!!」

穏乃「ごちそうさまー……」

憧(露骨に声量が違うのよね)

[テーマ:棚からぼたもち]


憧「ふきゅっ! ふきゅっ!」

穏乃「憧のしゃっくりって変わってるよねー」

憧「そうかしら……、ふきゅっ!」

穏乃「そだ、このジュース飲む? 水を飲むと治るっていうし」

憧「 ジュースって、まさかそのあんたの飲みかけのペットボトル?」

穏乃「うん、そうだよ」

憧「!!!」

憧(ど、どうしよう!? つまり今からシズと……、シズと間接キス!?)

[テーマ:人生山あり谷あり]



憧(おおお落ち着いてあたし! 変に意識してキョドると怪しすぎるっつの!)

憧(平常心、平常心、なにげない調子でジュースを飲むのよ)

憧(大丈夫。できる。ドキドキしてるのを隠すのは……、いつものことだもの)

憧(よーし、ようやく心の準備が――)

穏乃「ん? なんか憧、しゃっくり止まってない?」

憧「!!?」

憧(た、たしかに、言われてみれば……)

憧(ハッ! まさか、さっき間接キスに驚いた拍子にしゃっくりが止まっていた!?)

穏乃「それならこのジュースはいらないか」

憧「ふきゅ……」

[テーマ:打ち上げ花火にも負けない]


憧「ぷはーっ! やっぱりビンのラムネは美味しいわねー」

穏乃「ね!」

憧「ビンの中に入ったビー玉がまた、風情があっていいんだよね」

穏乃「そういえばこのビー玉って、どうやってビンの中に入れてるんだろう?」

憧「あー。言われてみれば知らないなあ」

穏乃「ひょっとしてあれみたいな感じかな! ビンの中に船の模型が入ったやつ!」

憧「ボトルシップ?」

穏乃「それそれ!」

穏乃「そのボトルシップみたいに、はじめからビンの中でビー玉を成形してるとか!」

憧「うわー。それめちゃくちゃ難易度高くない?」

穏乃「瓶ラムネって凄いんだね」

憧「日本の夏は職人技ね」

[テーマ:遺失物等横領?]


穏乃「あーこー!」

憧「どしたのシズ? 妙に機嫌良さそうじゃん」

穏乃「実はいいものを見つけたんだ! じゃーん!」

憧「これ……、鍵?」

穏乃「うん、鍵だよ! そしてここに注目!」

憧「あ、何か文字の書かれたタグがついているわね。どれどれ」

【たからもの】

憧「たからものー? 何これ」

穏乃「ふふん!」

憧「いや、胸を張られても」

[テーマ:価値観の相違]


穏乃「ね! ね! なんだかわくわくしてくるでしょ!?」

憧「いやー……」

憧「それよりも、今ごろこの鍵の落とし主はとても困ってるんじゃないかなという懸念が」

穏乃「大丈夫大丈夫! だってこの鍵は――」

憧「この鍵は?」

穏乃「う、ううん! なんでもない!」

憧「……」

穏乃「そんなことよりほら! この鍵のピッタリ合う場所を探してみたくなってこない!?」

穏乃「たからものだよー! ラーメンかもよー、お菓子かもよー、ジャージかもよー」

憧「それ、宝か?」

[テーマ:やわらかい嘘]

(憧視点)


シズは嘘が苦手な子。

懸命に取り繕おうとしてもすぐにボロが出るところは、昔も今も変わらない。

穏乃「ね、あこ! 一緒にこの鍵のあう鍵穴を探しにいこうよ!」

本当におバカなんだから、もう。

鍵を拾っただなんて嘘をついて、いったい何がしたいの?

タグに書かれた【たからもの】の文字があんたの筆跡だってことぐらい、私にはすぐ分かるんだよ。

憧「ったくもう、しょうがないなあ」

そう、本当にしょうがない。

シズが、ではない。

一番しょうがないのは、シズをとことん甘やかしたくなってしまう私自身。

憧「いいわよ、たからもの探しに付き合ってあげる」

穏乃「憧!!」

シズの喜ぶ顔が好き。

[テーマ:3年の修練]


穏乃「いったいこの鍵はどんな場所にあうのかなー」

憧「どんなかしらね」

穏乃「私の勘だとあっちの方角に鍵穴がありそうな気がするぞー!」

憧「ほほう」

穏乃「というわけで、レッツゴー!」

憧(こんなに張り切っちゃって……)

憧(ふふっ。本当になんのつもりなのやら)

穏乃「――! ―――!」

憧「って、超足早っ!? アイツこんな早かったっけ!?」

憧「もう声も聞こえない距離だし!」

憧「わあー! 待ってシズ追いつけない!」

[テーマ:獣道]


憧「ねえシズ」

穏乃「~♪」

憧「さっきから明らかに道なき道を進んでるけど、本当に大丈夫なの!?」

穏乃「大丈夫大丈夫! 私に任せて!」

憧「まあ、あんたがそういうなら……」

穏乃「あ。でもここらへんたまに象やサイが出るから、それだけは気を付けてね!」

憧「ここ日本だよね!?」

[テーマ:シズのたからもの]


穏乃「おおー! 向こうに謎の建物が見えてきたぞー!」

憧(鍵の使い道はあれみたいね)

憧(にしても、なんちゅうわざとらしい大根役者ぶり!)

穏乃「いったいあの建物はなんなんだー! 」

穏乃「もしかしてこの鍵と関係があるのかー!?」

憧「へえー……。なんだか手作り感のあるログハウスね」

穏乃「むむむ! 入り口に南京錠がかかっているぞ!」

穏乃「あっ、もしかしてさっき拾ったこの鍵が使えるかも!?」

憧(……外れた場所にある、手作り感溢れる木の家、か)

憧(これはひょっとして)

[テーマ:シズのたからもの2]


憧「ところでシズ」

穏乃「うん?」

憧「このログハウスはどれぐらいかけて建築したの?」

穏乃「んー、だいたい1年ぐらいは……」

穏乃「って、えええっ!?」

穏乃「どうしてこのログハウスを私がつくったって知ってるの!?」

憧「幼馴染みだもん。簡単に嘘つけるなんて思わないこと」

穏乃「そっかあ……」

憧「で、なんでわざわざ芝居なんかしたのよ」

穏乃「うっ……。だってどうしても憧をこの場所に呼びたかったから……」

憧「それ嘘をつく理由になってないわよ」

憧「別に正直に話してくれてもあたしは着いていっただろうしさ」

[テーマ:シズのたからもの3]


穏乃「本当に……?」

憧「本当よ」

穏乃「でも、森の中の秘密基地を見せたいとか急に言い出したら、子供っぽすぎるって呆れない……?」

穏乃「中学の時のダチはそういうの全く付き合ってくれなかったよ」

憧「あのねえー。なりは成長しても、あたしはあんたの幼馴染みよ?」

憧「いっしょに山を駆け回ったり、川で水をかき回したり……」

憧「根っこの部分は、そうやってたくさん二人で遊んだあたしのままなんだよ」

穏乃「あっ……」

憧「付き合うよ、ちゃんと」

穏乃「そっ、か……」

穏乃「そうだよね、うん。そうなんだね」

穏乃「変な嘘ついてごめんね、憧」

憧「ううん。気にしてないよ」

[テーマ:シズのたからもの4]

(穏乃視点)


中学でできたダチは、山登りも川遊びもしないオトナな子達だった。

学校ではそれなりに楽しく会話できるけれど、家に帰ってまで遊ぶことはない微妙な距離感。

半端な孤独。満たされない毎日。

そんなある日、ふとアルバムをめくってみると、途端に充実した想い出が胸の中へとよみがえった。


幼少憧(以下、アコス)「わあー! これシズがつくったの!?」

幼少穏乃(以下、しずの)「うん! 私の秘密基地!」

アコス「シズって器用なんだねー」

しずの「へへへ」

アコス「でも、秘密基地なのにあたしに教えちゃってよかったの?」

しずの「もちろん! だって憧は私の一番の相棒だもん!」

そう言って私は、段ボールとごみ袋でつくった不格好な秘密基地に憧を招き入れた。

[テーマ:シズのたからもの5]


それからというもの。

私と憧は毎日、毎日、秘密基地に集まってははしゃぎ合うようになった。

しばらくして、その秘密基地は大雨で壊れてしまったけれど、

中学穏乃「楽しかったよなあ……」

そう、あの時はとても楽しかった。

そんな楽しかった想い出をもう一度取り戻したくて。

私はこっそり秘密基地を作り始めた。

いつの日かこの場所へ憧を招いて、もう一度いっしょに遊ぶことを夢見ながら――

[テーマ:シズのたからもの6]


だからね、憧。

憧「おおっ! 中もきちんとしてるじゃない!」

憧「シズはこういうことに器用よねー」

憧「これだけの力作なら、確かにたからものにもなるかもね」

それは違う。違うんだよ。

私の本当のたからものは、この秘密基地なんかじゃなくて。

憧「にしても秘密基地、か」

憧「なーんか懐かしいなあ……」

私の本当のたからものは、その“懐かしい”と。

それから、憧といっしょに過ごせる、今この瞬間なんだよ。

[テーマ:ねずみ算]


穏乃「今朝タラコのおにぎりを食べてる時に気がついたんだけどさ」

憧「タラコおにぎり美味しいよねー」

穏乃「美味しいよね!」

穏乃「……で、あれってすっごいたくさんの卵の塊じゃん」

憧「そうね」

穏乃「もしも、もしもだよ?」

穏乃「タラコが全部食べられることなく孵化したら、ヤバいことになりそうじゃない!?」

穏乃「一匹がたくさんのタラコを産んで、たくさんが超たくさんのタラコを産んで……」

穏乃「すぐに世界がタラで埋め尽くされちゃうよ!」

憧「!!」

穏乃「だから今日も私は世界の生態系維持のためにタラコを食べるんだ」

憧「うん。暑さで頭がやられてるわね」

[テーマ:聖剣]


穏乃「エクスカリバーってどんな川?」

憧「川じゃないから!」

[テーマ:聖剣2]


穏乃「エクスorリバー」

憧「エクスかリバー、ってやかましいわ!」

憧「というかエクスって何!?」

[テーマ:聖剣3]


穏乃「オバマとエクスカリバーってどっちの方が強いの?」

憧「うん、セイケン違いね」

投下ここまで!

>>24
告白とか書くと話がまとまっちゃいそうだから、今のところはまだ
ごめんね

[テーマ:あさがお]


穏乃「中学一年の自由研究でね」

憧「うん」

穏乃「夜、あさがおに光を当てたら、日が落ちてても花は咲くのかって実験をやったんだ」

憧「結果はどうだった?」

穏乃「あさがおの花は夜でも開いたよ!」

憧「実験成功じゃない!」

穏乃「でも、花を騙したみたいで申し訳なくなった……」

憧「なぜそんな実験をした」

[テーマ:食べ物は大切に]


穏乃「中学二年の自由研究でね」

憧「うん」

穏乃「わさびがカビの菌を寄せ付けないというのは本当かどうか、って実験をしたんだ」

憧「結果はどうだった?」

穏乃「うん、ワサビを塗ったパンは、そうでないパンよりカビにくいことがわかったよ!」

憧「実験成功じゃない!」

穏乃「でも、食べ物を無駄にしてしまったことに申し訳なくなった……」

憧「なぜそんな実験をした」

[テーマ:様式美に逆らう]


穏乃「中学三年の自由研究でね」

憧「うん」

穏乃「バナナの皮はどのぐらい滑るのかって実験をやったんだ」

憧「結果はどうだった?」

穏乃「うん、意外とまとまった形のレポートになったよ!」

憧「実験成功じゃない!」

穏乃「大成功!」

憧「……って、おい! 普通に成功!?」

憧「これ天丼ネタ狙った会話じゃなかったの!?」

[テーマ:電池]


穏乃「あこー。なにかクイズ出して」

憧「んー。いいけどさ、ずいぶん唐突な前振りね」

穏乃「えへへ」

憧「じゃあ問題。切れたはずなのにバラバラにならないものなーんだ!」

穏乃「うーんと……」

穏乃「私と憧の仲!」

憧「!!」

穏乃「正解?」

憧「はっ、ハズレに決まってるでしょ! バカ!」

[テーマ:もしも咲キャラが動物だったら]


あざらしあこ。アザラシ科アザラシ亜目。
淡水を好む非常に珍しいアザラシ。

陸の移動を不得手とするにも関わらず、山に生息するシズリスと仲がいい。
異なる生息域の二種がなぜ仲がいいのかについては諸説あり、未だ見解がわかれている。

あざらしあこ「フキュー! フキュー!」

このようにあざらしあこが川岸で鳴き声をあげていたら、
それはシズリスを呼ぶ合図と見て間違いない。

シズリス「アコー?」

あざらしあこ「シズー!」

[テーマ:もしも咲キャラが飲食物だったら]


本日ご紹介するのは、奈良銘菓みたらしあこ!

濃厚なみたらしあんと弾力ある生地の絶妙な調和は、あなたに至福の一時を約束いたします。

また、ご一緒にシズおか茶はいかがでしょう?

瑞々しいお茶っ葉の香り漂うシズおか茶は、みたらしあこの味をより引き出します。

[テーマ:あだ名]


穏乃「穏乃、略してシズ」

憧「うむ」

穏乃「アコ、略してア」

憧「いや、ちょっとおい」

[テーマ:愛の告白]


穏乃「アイライク憧!」

憧「あはは、ありがと」

穏乃(笑って流されたー!?)←ライクとラブの違いをよくわかっていない

憧(ライクの好きもまあ嬉しいけど……、これが同性の限界なのかな……)←斜め上に悶々としている

[テーマ:ノンカロリー]


穏乃「人間ってカロリーをとらないと死ぬよね」

憧「そりゃまあね」

穏乃「ということはノンカロリーの食べ物しか食べなかったら餓死するの?」

憧「量をとればなんとかなるんじゃないかしら……?」

憧「ノンカロリー食品といっても、実際には微量のカロリーがあるものなのよ」

穏乃「つまりノンカロリーはアルカロリー?」

憧「酸性を中和しちゃいそうな造語ね」

[テーマ:誤算]


憧「今日は視聴覚室の掃除当番かあ」

穏乃「ここ広いから大変だよねー」

穏乃「とりあえず私は窓拭くから、憧はホワイトボードの掃除お願いできる?」

憧「オッケー」

憧「きゅっきゅのきゅっ、っと」

憧「……」

憧「……」

憧「こっそり隅の方に、相合い傘をかいてみたりなんかして」

憧「……ああ、やば。かいてから恥ずかしくなってきた」

憧「なーにやってんだか。さっさと消そ、消そ」

憧「……ん?」

憧「え? ちょ、消えない!?」

憧「って、これ油性ペン!? なんでこんなものホワイトボードのそばに置くのよおー!」

[テーマ:苦肉の策]






穏乃「なんだろこれ? 油性でかかれてるから消えないね」

憧「あ、あはは……」

投下終わり!

阿知賀ポータブルの特典に憧シズがなくて悲しい

[テーマ:きのこ]


憧「しいたけってなんとも言えない存在よね」

憧「草でもない、木でもない」

憧「菌……、なんだろうけど、なにか菌っぽくないというか」

憧「深く考えるほどに、いったいあんたは何者よってなるのよ」

穏乃「んー、でもキクラゲよりはわかりやすいよ」

憧「あー。たしかに」

穏乃「ただどっちにしろキノコなんだよなー、きくらげもしいたけも」

憧「キノコってなんなのかしらね」

[テーマ:きのこ2]

穏乃「マリオってたくさんいるじゃん」

憧「たくさん……、まあ表示が×99とかなるし、たくさんいるのかしら?」

穏乃「でね。あれだけたくさんマリオがいたら、一人ぐらいはキノコ嫌いのマリオもいると思うんだ」

憧「そんなんいるかあー!?」

穏乃「いるいる。100人いれば1人はキノコ嫌いも混ざるよ」

憧「マリオも人格の同一性ぐらいは保ってると思うんだけど……」

穏乃「パワーアップのためなら嫌いなものも食べなきゃならないなんて、大人って大変だね」

憧「マリオにそんな感想を持つのあんただけよ!」

[テーマ:キノコ3]


穏乃「マリオのキノコってさ」

憧「ずいぶん引っ張るわねマリオの話を」

穏乃「よく考えると色がヤバくない?」

憧「色ぉ? 赤色に、斑点で……」

憧「ああ、言われてみると確かに毒々しいわね」

穏乃「でさ。たぶんあれってベニテングダケの仲間だと思うんだよね」

憧「ベニテングって……、毒キノコじゃなかった!?」

穏乃「うん、毒キノコ。でも一本ぐらいなら食べても死なないことが多いみたいだよ」

憧「へえー。あんた自然のことには詳しいよね」

穏乃「それどころか毒の作用で気持ちが高揚することもあるとかなんとか」

憧「ええー!? ってことはつまり、マリオがキノコを食べてパワーアップするのって」

穏乃「キノコの毒でテンションが上がってるからなのかも!」

憧「考えたくなかったわ、そんな可能性……」

[テーマ:ABC]


    , ―- 、
   /l゚ liノリハ)
    | l (l|゚ヮノi|   えーびーシーズーいーえふじー♪
   'ノ,,oi茆io
       'JJ

[テーマ:突然の告白]


穏乃「私とつきあってください!」

憧「!!!?」

[テーマ:オチ]


穏乃「いやー、昨日テレビでフェンシングの試合を見たら自分でやってみたくなっちゃって」

憧「そんなことだと思ったわ……。はあっ」

穏乃「ということで私と突き合ってください!」

[テーマ:現実]


憧「でもフェンシングやるったって、道具もなにもないよ?」

穏乃「んー。じゃあ、妥協して新聞紙チャンバラで」

憧「ほんと一気にハードル下がったわね、おい」

穏乃「それか新聞でパンッて音が鳴るやつをつくって音の大きさ対決でもいいよ!」

憧「もはやフェンシング影も形もなくない!?」

[テーマ:手繋ぎ]


憧(シズと再会してからというもの、たくさん手を繋げて嬉しいな)

憧(こうやって手と手を握りあうとシズがより近くに感じられるんだよね)

憧(ふふっ。ちょっと強くギュッギュッて力を込めてみたり)

[テーマ:手繋ぎ2]


穏乃「!?」

穏乃(憧が手を強く握りしめてきた!?)

穏乃(これはもしや……、握力比べを挑んできてるんじゃ!?)

憧(えへへ。シズと仲良し!)

穏乃(不敵な笑み……。これは間違いないな)

穏乃(ぐぬぬ、負けないぞー!)

穏乃(うおおおー!!)

憧(あっ。シズもあたしに応えて手に力をこめて……)

憧「って、痛い痛い痛い痛い!?」

[テーマ:エンゲージリング]

(憧視点)

自室の整理をしていたら、すっかり干からびた植物の塊が出てきた。

「なんだったかしらこれ」

少し考え込んで、思い出す。
あれはそう、穏やかな春の日の、幼い思い出。


[テーマ:エンゲージリング2]


しず『じゃーん! あこにプレゼント!』

あこ『なあにこれー? 雑草のかたまり?』

しず『ひどっ!? 雑草のかたまりじゃなくて草のゆーびーわ!』

あこ『そうなんだ! ありがと、シズ!』

しず『うん!』

あこ『すぐに枯れちゃいそうなのが勿体ないな』

しず『枯れちゃったらその時はまた同じのをつくってあげるよ!』

あこ『それもまた枯れちゃったら?』

しず『またまた代わりをつくってあげる!』

しず『それでね、何度か指輪をつくりなおすうちにきっと私もあこも大きくなるから、だから……』

[テーマ:エンゲージリング3]


そうしたらそのときは、あこに本物の指輪を――、

「そんな約束も、してもらったっけな」

それはまだあたし達が分別もつかなかった頃の口約束。
未成熟な二人のエンゲージリングを、
私はそっとティッシュに包むと、
大切に引き出しの中へしまいこんだ。

「……シズの、嘘つき」

[テーマ:夏の残り香]


穏乃「今日の憧は良い匂いがする!」

憧「あ、わかる? シャンプー変えたんだ」

穏乃「おおー、どうりで!」

憧「ふふん」

穏乃「なんだか花火みたいな匂いだね!」

憧「そうでしょー……、って、えっ?」

穏乃「花火花火ー! 花火の匂い!」

憧「ちょ、えっ!? 花火って火薬……、ええっ!? あたしそんな匂いする!?」

穏乃「うん! 本当に花火の匂いそっくりだよ!」

憧「……やっぱ前のシャンプーに戻すか」

穏乃「ええー!? なんで!?」


(※穏乃の思い浮かべていた花火)
http://www.hanabiyasan.co.jp/upload/save_image/02091447_4f335ddd85d76.jpg

[テーマ:線香花火]


穏乃「どうして後攻花火はないの?」

憧「せんこう違い!」

[テーマ:火薬]


穏乃「カップ麺のおとも!」

憧「それは加薬!」

[テーマ:違和感]


穏乃「“あいうえお”が“かきくけこ”より先なのはよく分かるんだ」

憧「うむ」

穏乃「“たちつてと”が“なにぬねの”の前なのも納得できる」

憧「そりゃそうね」

穏乃「でも、“らりるれろ”が“やゆよ”の後なのはなんかおかしい!」

憧「そうかあー?」

[テーマ:母音]


穏乃「松実館と夏みかんって似てるよね!」

憧「玄にそれ言ったら多分ヘコむわよ」

[テーマ:衣装の違い]


憧「シズカちゃんってよくスカートの中を気にせずにタケコプターが使えるわよね」

穏乃「割とチャレンジャーなのかも!」

憧「普通はスカートじゃ無理よねー」

穏乃「その点、私はジャージだから服装気にせずに空を飛べるよ!」

憧「いやそれはおかしい」

[テーマ:約束]


(穏乃視点)


そういえば、とおもちゃの古い指輪を見て思い出す。

「けっきょく渡せなかったんだよな、コレ」

まだとても小さかった頃のこと。
私は憧に、将来本物の指輪をプレゼントする約束をした。
そして当時、本物の指輪のつもりで用意したものがこれだ。

[テーマ:約束 2]


「本物の指輪、か」

なんだか、照れくさかったのだ。
お小遣いで買ったガラス玉の指輪でも、当時の私にとっては紛れもなく本物で。
そんな指輪を憧に渡すことが、寸前で照れくさくなってしまったのだ。

そのまま、今日に至るまで渡せずじまいだ。
しょせん子供の口約束であり、
きっと今では憧も約束の存在などすっかり忘れてしまっていることだろう。

「あの時この指輪を渡せていたら何かが違ってたのかなあ」

昔は本物に見えた指輪の嘘臭い銀メッキに、年月の経過を感じた。

投下おわり!
続きはまた気が向いたときに

[テーマ:マフラー]


穏乃「最近寒いなあー」

憧「そりゃそんな薄着じゃ寒くもなるわよ。もっと厚着したらどうなの?」

穏乃「えーっ! そしたら今度は動きにくくなるよ」

憧「まったくコイツはもう……。だったらせめてこれでも使いなさい」

穏乃「マフラー? 借りてもいいの?」

憧「このまま目の前で風邪をひかれても困るしね」

穏乃「ありがと憧! これなら動きやすいままあったかくなれそう!」

[テーマ:マフラー2]


穏乃「あれっ。このマフラーちょっと長いや……、普通に巻くと地面についちゃいそう」

憧(よし! やっとそこに気が付いたわね!)

憧(二人で首に巻くと丁度いい長さのマフラーをあらかじめカバンに入れておき、)

憧(そしてシズが寒がる素振りを見せたら、すかさずその長いマフラーを貸してあげる!)

憧(あとは自然な流れから二人で一本のマフラーを巻く流れに持っていくという、この作戦……)

憧(我ながら完璧ね!)

[テーマ:マフラー3]


穏乃「わーい! 早く走ればマフラーが地面につかない!」

穏乃「みてみてあこー、忍者の修行みたい!」

憧「……なんでよ!!」

[テーマ:スタバ]

穏乃(あこがなにか暗号のような言葉を使って注文してる!?)

[テーマ:二郎]

憧(シズがなにか暗号のような言葉を使って注文してる!?)

[テーマ:あみだくじ]


穏乃「あみだくじってあるじゃん」

憧「あみだくじってあるわね」

穏乃「あれに関して1つ気にくわないことがあるんだ!」

憧「気にくわないこと?」

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|/|
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穏乃「こういう斜めの横線! これがモヤモヤする!」

憧「それまたどうして?」

穏乃「だってこれ、線をたどる方向によっては斜め上に移動しちゃうじゃん!」

穏乃「あみだくじで上向きに移動って……、何かもやもやする!」

穏乃「上から下にが原則じゃなかったの!? って裏切られた気になるというか」

憧「そういうものかしら」

穏乃「そういうものなの!」

[テーマ:カラオケ]


穏乃「憧れは遠い方が安心していられた~♪」

憧(ん?)

憧(憧れ、憧、……、あたし!?)

憧(ガーン!!)


※阿知賀編後半OP曲二番の歌詞

[テーマ:狩人]


穏乃(今日は山で生き抜く中で身に付けた特技をつかって憧を驚かせちゃおっと)

穏乃(山において大切なのは、自分の存在を殺して動物に気配を悟らせないこと!)

穏乃(そのために私は、呼吸を30分間停止する技術と心臓を10分間止めるテクニックを磨いた!)

憧「~♪」

穏乃(よーし、憧がきた! さっそく心臓を止めて死んだふりだ!)

穏乃(憧びっくりするだろうなー)

[テーマ:想定外]


憧「ん……? しず?」

穏乃「」

憧「おーい、しずー? こんなところで寝てると風邪ひくわよー?」

穏乃「」

憧「こりゃすっかり熟睡してるわね」

穏乃(普通に寝てると勘違いされた!?)

[テーマ:想定外2]


穏乃「」

憧(ほーんと、こっちの気も知らずにすっかり眠っちゃって……)

穏乃(どうしよっかなあ。憧を驚かせなかったし、もう死んだふりやめて起きようかなあ)

憧(そっと、ほっぺにするぐらいなら、いいわよね?)

穏乃(よーし。もう死んだふりは止めだ、止め――)

憧「ちゅっ」

穏乃「!!?」

憧(えへへ。とうとうやっちゃった)

憧(……シズのほっぺにちゅー)

穏乃(どどどどういうこと!?)

[テーマ:臆病風]


憧「しーずっ。そろそろ帰ろう!」

穏乃「う、うん」

憧「どうしたのよー。気持ち悪いぐらい元気ないわね」

穏乃「……」

憧「寝起きだから? それともなにか悩みでもあるの?」

穏乃「……あのさ憧」

憧「うん?」

穏乃「憧は、どうして――」

びゅううううっ

憧「うわ、さむっ! 凄い北風!」

穏乃「あはは。そうだね」

憧「えーとそれで、あたしがどうしたって?」

穏乃「あ、ううん! なんでもない!」

憧「そーお? 本当に?」

穏乃「うん。本当だよ」

憧「それならいいんだけど……」

[テーマ:あんまん]

(穏乃視点)

憧はどうして、私のほっぺにキスをしたの?
声に出しかけたその疑問は北風に遮られ、
問いかける勇気ごとどこかへ飛ばされてしまった。

憧「にしてもほんっと急に冷え込んだわよねー」

いつも通りの憧。
頬へのキスに私が気が付いていたことを、憧はまだ知らない。

憧「あ。ちょっとコンビニ寄ってかない? 寒いしあんまんでも食べたいな」

穏乃「うん、いいね!」

一見いつもと寸分違わないように見える帰り道。
ただ少し違うのは、今年になって初のあんまんを今まさに買おうとしていることと、
それからほんのちょっぴり、いつもより私の胸がうるさく鳴っていることと。
たったその二点だけだった。

[テーマ:あんまん2]


憧「はふはふ。うーん、あんまんって久々に食べると美味しいわねー」

穏乃「だねー。あんこのおまんじゅうなら時々食べることもあるけど、私もあんまんは久々だよ」

憧「たまにはいいよね」

穏乃「ね!」

憧といっしょにいると楽しい。
中学時代にできたダチよりも、やっぱり憧と一緒にいる方がうんと楽しい。

憧「これからもうあっという間に冬がきちゃいそうだねー。今年はなんだか早いなあ」

そしてそう。
楽しいだけに、その楽しさが終わってしまうことが怖い。
今が変化することが怖い。

憧「本当に、あっという間だったなあ……」

もしも憧に、さっきのキスについて問いかけたとしたら。
薄皮一枚のバランスで成り立っている今が崩れてしまいそうで、それが怖い。

[テーマ:あんまん3]


変わらぬ今を求める心と、憧の本心を知りたいと感じる気持ちと。
定まらない自分の方針に心はモヤモヤするけれど。

憧「ねえシズ」

穏乃「なーに憧?」

憧「手、つないで帰ろ」

穏乃「……うん!」

それを差し引いても憧の隣は、
あんまんみたいに心地よくてあったかかった。

投下終わり!
めちゃんこ間隔が空いてしまった……
続きはまた気の向いたときに

[テーマ:富士山]


憧「富士とか藤とか不二とか、フジって読む苗字があるじゃない」

穏乃「あー。たまに聞くね」

憧「ああいう人達って、富士山の話題に自分のことかと反応しちゃいそうよね」

憧「ん、フジさん? ……って、なーんだ富士山の話か、みたいにさ」

穏乃「あはは。かもね!」

憧「ちなみにシズは富士山登ったことある?」

穏乃「あるよー! 富士山大好き!」

憧「!!?」

憧(今のは、今のは!)

憧(あたしが藤さんに産まれていればドキドキできたものを!)

憧(どうしてうちは新子なのよー!)

[テーマ:そんな無茶な]


穏乃「でもね。実は富士山よりもオリンポス山の方が好きなんだよ」

※オリンポス山。標高20000メートルを越える火星の山

憧「へ、へえー。そうなんだ」

穏乃「オリンポス山はロマンがあっていいよー」

穏乃「私オリンポス山大好き!」

憧(ぐぬぬ……)

憧(どうしてあたしの苗字はオリンポスじゃないのよー!)

[テーマ:身近に潜む危険]


穏乃「山はとても楽しい場所です!」

憧「そりゃシズにとってはねー」

穏乃「しかーし! 時に山は大変恐ろしい表情を見せることもあるのです!」

憧「遭難事故とかたまに起きるものね」

穏乃「例えば谷川岳という山は、それほど標高が高くないにも関わらず大勢の死者が出ています!」

穏乃「危険な山を登る前には、けっして油断せず、事前の準備を徹底することが大切なのです」

穏乃「そのほか、頼りになる美人なガイドを雇うのも効果的な対策になるでしょう!」

憧「……で」

憧「定期テストの山張りの手伝いを頼む前振りはそれで全部?」

穏乃「うああー! 助けて憧ー! 大ピンチなんだよー!」

憧「まったくもう。あんたにかかれば谷川岳よりテストの山の方がよっぽど危険ね」

[テーマ:活火山]


穏乃「有珠山! 高さ800mにも満たない山!」

穏乃「それでもある程度の知名度があるのは、有珠山がとても活発な火山だから!」

穏乃「なんと20世紀だけで4回も噴火してるんだって」

穏乃「噴火が危険なのは言うまでもないよね?」

穏乃「人知では抗えない噴火という危険な自然現象」

穏乃「もし起きてしまったとき大切になるのは、何より迅速な避難です! 逃げるが勝ち!」

穏乃「そして実は本日、高鴨家で小規模な火山の噴火が予測されました!」

憧「……テスト、悪かったのね」

穏乃「お願い憧! 家にテスト置いたら憧の家まで一時避難させて!」

穏乃「お母さんの噴火が収まるまででいいから!」

憧「あーもー。仕方ないなあ」

[テーマ:山谷ひな1]


憧「こないだ子供麻雀クラブのチビ組がうちまで遊びにきてね」

穏乃「チビ組っていうと……」

憧「桜子、ひな、綾の3人組」

穏乃「あはは。あの3人、今でも仲良しなんだー」

憧「でさでさ。さっきはチビ組なんて言ったけど、実は綾がめちゃくちゃ大きくなってたのよ」

穏乃「ええっ!? 大きくというと、まさか140ぐらい!?」

憧「もっともっと!」

穏乃「なら141!」

憧「足りない足りない!」

穏乃「えと、じゃあ、ひょっとして142とか?」

憧「さっきから数字の刻み方がショボいわ!」

[テーマ:山谷ひな2]


憧「今の綾は142cmよりうんと大きいよ」

穏乃「そんな……、まさかうちの部ナンバー4の灼さんより大きいだなんて!」

憧「5人の部で身長ナンバー4ってもねえ……」

憧「んで、綾なんだけどさ。なんと151cmもあるんだって!」

穏乃「150台!? 巨人じゃん!!」←139cm

憧「だねー、巨人巨人」←149cm

穏乃「ちなみに他の二人は?」

憧「んーとねえ。桜子は138cm」

穏乃(私とたった1cm差!? ヤバい!)

憧「んでもってひなは134cm」

穏乃(134……、よかったあ。これはまだ抜かれなさそう)

憧「小学五年生相手に5cm差で喜ぶ、哀しい高校生の姿がそこにはあった」

穏乃「変なナレーションやめて!」


※参考。原作者サイトの資料
http://sciasta.com/characters.html

[テーマ:山かけうどん]


憧「すいませーん。キツネお願いします!」

穏乃「私は山かけで!」

憧「うどん屋さんで山かけを選ぶとはなかなか渋いわね」

穏乃「名前に山が入ってるからね!」

憧「ということはチョコ菓子もキノコの山派?」

穏乃「あー。それはすぎのこ村派かな」

憧「なんでやねん!」

[テーマ:二番目に高い場所]


穏乃「一発ギャグいきます!」

憧「どんとこい」

穏乃「荒川K2」

憧「……ん?」

穏乃「荒川K2」

憧「あ、あのー」

穏乃「荒川K2」

憧「……個人戦2位の憩さんと世界標高2位の山のK2をかけた、ってこと?」

穏乃「うん」

憧「わかりにくいわ!」

[テーマ:近所の山]


憧「大晦日にさ、たまにはいっしょに登ってみよっか。山」

穏乃「いいのっ!!!!?」

憧「わわっ!? ちょっと、いきなり食いつきすぎ! ビックリしたぁ……」

穏乃「ご、ごめーん。だって嬉しくって」

憧「そんなに嬉しかったの?」

穏乃「そりゃもう!」

穏乃「一人で登る山もいいんだけど、それが何年も続くとさすがに寂しくて」

憧「ふーん。……ま、これから時々なら付き合ってあげてもいいよ」

穏乃「さっすが憧!」

[テーマ:近所の山?]


穏乃「よーし、そうと決まればさっそく登頂計画を練らなきゃね」

穏乃「憧は初心者だから……、まずはローチェあたりがいいかな」

憧「へ?」

穏乃「ローチェならコースさえ選べば8000m級としては比較的安全に――」

憧「ちょちょちょっと待った! そういうマジなのじゃなくて!」

憧「初日の出を見に近所の吉野山にー、みたいな軽いノリのつもりだったんだけど!」

穏乃「あはは。わかってるわかってる、冗談冗談」

憧(普通の女子高生は冗談でとっさにローチェなんて山の名前出てこないのよ!!)

[テーマ:伏線の結実]


憧(富士山、オリンポス山、谷川岳、有珠山、山谷ひな)

憧(そして山かけうどん、キノコの山、K2、ローチェ、吉野山)

憧(シズとの会話の中で10個の山が話題に出た!)

憧(山が10個……、十合×10……)

憧(すなわち百合!!)

憧(これはもうシズと百合の話をしたも同然ね!!)

[テーマ:迂回路]


穏乃「ねー、憧ー。温室の百合の花、綺麗だね!」

憧「そうね……」

穏乃「いいなー、百合の花。宥さんがお世話したのかなこれ」

憧「……」

憧(ああ……)

憧(百合といえば女の子同士の恋愛という発想にとらわれて、変に策を弄した自分が悲しすぎる)

憧(そうよね。普通にド直球で花の方面からせめればよかったのに)

憧(変に意識しすぎというか、汚れすぎだわあたし……)

穏乃「百合大好きー!」

憧(うう。純粋なシズが眩しい)

投下終わり!
冬コミでも憧穏本が出るみたいで嬉しい
続きはまた気が向いたときに

[テーマ:推定症状、骨折&火傷]


穏乃「あわてんぼーの、さんたくろーす」

穏乃「えんとつのぞいーてーおっこちた」

穏乃「あいたたどんどんどん! あいたたどんどんどん!」

憧「うーん」

穏乃「どしたのあこ?」

憧「なんかね。煙突から落っこちて“あいたた”ぐらいで済むのかなー、って気になって」

穏乃「むむ……。言われてみたら確かに」

憧「やっぱ骨折ぐらいはするんじゃないかなあ」

穏乃「だねぇ。暖炉に火がついてたら火傷もしちゃいそう」

憧「結論! サンタさんはもっと気を付けるべき!」

穏乃「そーだそーだー!」

憧「この歌は子供の危機管理教育上よろしくない!」

穏乃「そーだそーだー!」

[テーマ:神社のクリスマス1]

(10年前)


しずの「えー!? 憧の家ってツリー飾らないの!?」

アコス「そ、そんなに驚くことかな?」

しずの「驚くことだよ!」

アコス「むむむ。そうなんだ」

しずの「ツリーのないクリスマスなんて、まるでおもちのないお雑煮並に……」

しずの「ううん、それ以上だな!」

しずの「例えるなら……、そう」

しずの「ツリーのないクリスマスは、福笑いのない元日みたいなもんだ!」

アコス「いや、福笑いは別に無くてもいいんじゃないかな」

[テーマ:神社のクリスマス2]

(10年前)


アコス「うちだってケーキ食べるぐらいはするんだよ?」

アコス「だけどやっぱり神社だから、さすがに飾りつけの類いはね……」

しずの「そっかー」

アコス「うん」

しずの「……あ、そうだ!」

しずの「だったら今年のクリスマスはうちにきなよ!」

アコス「シズのおうちに?」

しずの「うん! それでいっしょにパーティーするんだ!」

アコス「!!」

しずの「うちはツリーも置くから、憧もいっしょに飾りつけしたりしようよ。ねっ!」

アコス「でも、あたしが行ってもいいの? クリスマスだし、家族のおじゃまになっちゃわない?」

しずの「だいじょうぶだいじょうぶ! お母さんも私も賑やかなのは好きだもん!」

アコス「なら、おじゃましちゃおうかな……」

しずの「決まりだね!」

しずの「よーし、私が憧にはじめてのクリスマスツリーをプレゼントするよ!」

[テーマ:サンタクロース]


穏乃「昔サンタに憧れてたことがあったんだー」

憧「へーえ。プレゼントを配る献身的なとこにでも惹かれた?」

穏乃「ううん。そうじゃなくってね」

憧「ふんふん」

穏乃「動物と話せるところがいいなーって!」

憧「そこかよ! 確かに歌ではナチュラルにトナカイ慰めてたけどさ!」


※歌詞参考
http://j-lyric.net/artist/a04a9d3/l008d0b.html

[テーマ:真っ赤なお鼻のトナカイさん]


穏乃「あいつルドルフって名前らしいよ」

憧「意外に渋っ!」

[テーマ:サイ]


憧「クリスマスといえばキリスト生誕祭、というのは有名な話じゃない」

穏乃(せ、せいたんさい……?)

憧「なのに日本ではイブの方が盛り上がっちゃったりして、なーんか適当感あるよねー」

穏乃「あはは、確かに。イブで燃えつきちゃうとこあるかも」

憧「だよねえ」

穏乃「ところで憧」

憧「ん」

穏乃「せいたんサイはどの動物園で見れるの?」

憧「???」

[テーマ:クリスマスプレゼント1]


憧「はい、シズ。メリークリスマス」

穏乃「メリークリスマス……、って、これプレゼント!? 開けていい!?」

憧「うん。あんまり過度な期待はしないでよー?」

穏乃「どれどれー」

穏乃「わあ! ネコのぬいぐるみだ! ありがとう!」

憧「どういたしまして」

穏乃「ところでこれ、もしかして憧の手作り?」

憧「一応ね」

憧「んー、すぐ手作りだとわかるってことは、やっぱ市販品より拙かったかなあ」

穏乃「そんなことないよ! ただ、このぬいぐるみ……」

憧「このぬいぐるみ?」

穏乃「憧の匂いがしたから」

憧「なななな何言ってんのよ!」

[テーマ:クリスマスプレゼント2]


穏乃「さてさて。実は私からも憧にクリスマスプレゼントがあります!」

憧「わっ、本当?」

穏乃「もっちろん」

憧「いやー、まさか行事ものに疎いシズがプレゼントを用意してくれていたとはね」

穏乃「なんだよその言い方ー」

憧「あはは。ごめんごめん」

穏乃「もーっ。怒るよ」

憧「穏乃様ー、どうかご機嫌をお治しくださいー」

穏乃「どうしよっかなー」

穏乃「……なんてうーそ。怒ってないよ」

憧「ふふ。知ってる」

穏乃「まったくー」

穏乃「あ、それでね。実はプレゼントはここと別の場所にあるんだ」

憧「別の場所に?」

穏乃「うん、そうだよ。今からちょっとついてきてくれる?」

[テーマ:クリスマスプレゼント3]

(憧視点)


クリスマスプレゼントがある場所まで案内するから。
シズがそう言ってあたしの手を取ってから、どれだけの距離を歩いただろうか。
いつしかあたし達は随分と外れた場所にいた。

憧「ねえ、シズー。本当にこっちでいいの?」

穏乃「ごめん、もうちょっとだけだから」

憧「いったいどうしてこんなところに――」

瞬間。
出かけた言葉が、引っ込んだ。

[テーマ:クリスマスプレゼント4]


憧「……」

あたしの眼前に広がっているのは、
周囲に建物なんてないこんな場所に、本来存在しない筈のもの。

穏乃「ほら、憧。これが私からのクリスマスプレゼントだよ」

赤と白。
光の洪水に包まれた、大きな木。
人知れず生えたクリスマスツリーだった。

憧「……そういえばいつだったか、シズはあたしにはじめてのクリスマスツリーをくれたよね」

それは今より幼い日の出来事だったけれど。
今でもあたしは、あの日シズの家で見たツリーのことを覚えている。

憧「またあんたに貰っちゃったかな」

穏乃「またじゃなくて、あの時とはちょっと違うよ。今度は憧だけのためのツリーだ」

憧「らしくもなくロマンチックなことしてくれちゃって、ったくもー」

2人だけの光景を、あたしはデジカメよりも鮮明に瞼の裏へ焼き付けた。

投下終わり!
続きはまた来年に

全国でも仲良しだよね
http://i.imgur.com/kEVGP1v.jpg
http://i.imgur.com/PHLZ27m.gif

[テーマ:リップクリーム]


憧(ふふふ。とうとうゲットできたわ)

憧(対バレンタイン用秘密兵器)

憧(チョコの香りのするリップクリーム!)

憧(これを唇に塗ってぇー)

憧(ハイ、シズ! 本命チョコよ!)

憧(なーんて、キスをプレゼントしちゃったり……)

憧(……)

憧(……)

憧(できるかバカ!)

憧(ああもう朝からなにやってんだか)

憧(そしてセルフつっこみの空しさときたら……)

[テーマ:しもやけ]


穏乃「ぐぬぬぬぬ」

憧「ちょっと!? この寒いのになに氷なんか頭の上にのっけてんのよ!」

穏乃「うん。ちょっとね」

憧「もしかして具合でも悪いの? 大丈夫?」

穏乃「ううん! 風邪なし怪我なし、健康そのものだよ!」

憧「それならまさか超暑がりの逆宥姉体質にでもなっちゃったとか!?」

穏乃「そういうわけでもなくってね」

憧「じゃあどうして氷なんか……」

穏乃「うんと実はね」

穏乃「頭の上にしもやけをつくれば、そのぶん身長も伸びるかなー、って」

憧「なんでやねん!」

[テーマ:たんこぶ]


穏乃「あこー! 私をぶって!」

憧「!!!!?」

憧(しっ、ししし、シズが、なんか変な方向に目覚めちゃった!!?)

穏乃「ポコンポコン、って具合に!」

穏乃「ちょうど頭の上にたんこぶができる感じでお願い!」

憧「って、けっきょく身長関係かい!」

[テーマ:取材]


穏乃「今日は雑誌の取材がくるんだー」

憧「マジで!?」

憧「Weekly麻雀today? それとも月刊女子麻雀?」

穏乃「季刊・山王だよ」

憧「そっちきちゃったかー」

[テーマ:あいうえお順]


穏乃「憧の名前は“あ”から始まるから、バトロワだと最初の方に出発だね」

憧「ずいぶん唐突にバトロワってワードが出てきたなぁ」

憧「でもそうねー。うちのクラスじゃ一番最初かな」

穏乃「もし憧がバトロワに参加させられたらどう動く?」

憧「んー。まずは入り口近くで隠れ潜んで、シズが出てきたら合流!」

穏乃「そこをすかさず私がグサッ!」

憧「ぎゃー!」

穏乃「しかし私の武器はハリセンだった!」

憧「あたし悲鳴のあげ損じゃない!」

[テーマ:あいうえお順2]


憧「ね、ねえ、シズ」

穏乃「うん!」

憧「もしもあたし達の苗字が一緒なら、ほとんど同時に出発できるよね……」

穏乃「え? なんの話?」

憧「バトロワだよ! さっき自分からふっておいてこれかよ!」

穏乃「あはは」

憧「で。もしあたし達がそういう状況に陥ったら、シズはどうするの?」

穏乃「どうするって?」

憧「だからその! ……あたしのこと、守ってくれる?」

穏乃「うーん。そうだなー。その時になってみないと分かんないけど……」

穏乃「少なくとも憧を傷つけるとか私には無理だな、うん!」

憧「そっか……」

憧「ふふっ。あたしも!」

[テーマ:あいうえお順3]


穏乃「ところで私と憧の苗字が一緒になるってどんな状況?」

憧「ふきゅっ!?」

穏乃「変な声ー」

憧「うっさい!」

憧「……そりゃその、あれよ」

穏乃「あれ?」

憧「だからえーと、けっ」

穏乃「けっ?」

憧「けっこ……」

穏乃「けっこ?」

憧「……シズのバカー!!」

穏乃「えええっ!!?」

[テーマ:もしも原作のアコシズが男だったら]


穏乃介「憧太郎の体温であったかい」

憧太郎「なに言ってんだよバカ///」

完全にホモ

[テーマ:バレンタイン]


穏乃「……」

憧「なーに持ってるの?」

穏乃「わわっ!? 憧!?」

憧「あれ? 綺麗なラッピングだ」

憧「まさかそれ、シズがつくったの?」

穏乃「うん、一応……」

憧(いったい誰のためにだろ……)

穏乃「にっ、似合わないよね! 私がこんな女の子らしい飾り付け!」

穏乃「玄さんから教わって頑張ってみたけど……、やっぱらしくないよね?」

憧「そんなことないわよ。シズだってれっきとした女の子だもん」

穏乃「じゃあ憧……、これ受け取ってくれる?」

憧「あたしに!!?」

[テーマ:バレンタイン2]


穏乃「やっぱりいらなかった……?」

憧「そんなわけないじゃない!」

憧「ただ、少しビックリしたのは事実かな」

憧「正直シズがこんなに手の込んだものくれると思ってなかったよ」

穏乃「えっとさ……。中三の時の憧、私に手作りチョコくれたよね?」

憧「あ、うん。ちなみに今年もつくってきたよ」

穏乃「だけど去年の私、憧にチロルチョコしか用意してなかったじゃん」

憧「あはは。チロルのバラエティパックくれたよね」

穏乃「なんだかそのことがずーっとモヤモヤしてたんだ」

穏乃「私だけ手抜きで悪いことしたなあ……、って」

憧(ああ、それで今年は頑張ったんだ)

穏乃「だから私、今度はちゃんと憧に手作りチョコを――」

憧「もーっ! おバカだなあシズは!」

[テーマ:バレンタイン3]


憧「いい?」

憧「去年のあたしはね。好きであんたに手作りチョコを渡したの」

憧「だからそのことを気負う必要なんてないし、なんならお返しもいらないぐらい!」

憧「シズがあたしのために無理する必要なんてないんだよ?」

穏乃「……」

憧「でーもっ!」

憧「そういうの抜きに、本音を言うとね」

憧「とっても嬉しいよ」

憧「シズがあたしのためを思ってくれて、今凄く嬉しい」

穏乃「本当……?」

憧「もっちろん!」

憧「だから手作りチョコをくれてありがとう、シズ」

穏乃「うんっ!」

[テーマ:バレンタイン4]


憧(うっ……)

憧(シズの手作りチョコ、これ……)

憧「ねえ。このチョコどうやって溶かしたの?」

穏乃「普通に鍋に入れてだよ?」

憧(やっぱりだ! やっぱりきちんと湯煎してないチョコだ!)

憧(ムラができまくってる!)

穏乃「私のチョコ美味しくなかった……?」

憧「超美味しいに決まってるじゃない! ゴディバが何よノイハウスが何よ!」

憧(……ああ)

憧(やっぱコイツに弱いなー、あたし)

[テーマ:リップクリーム2]


穏乃(んー?)

穏乃(憧の口元、なんだかチョコみたいな匂いがするな)

穏乃「ちょっとこっち向いてくれる?」

憧「うん?」

穏乃「じーっ……」

憧(へ!?)

憧(な、何よいきなり人の顔ジロジロ見て!)

憧(というか、あれっ!? 視線が唇に注がれてない!?)

憧(まさかこれって……、キスする体勢?)

穏乃(チョコ、チョコ……)

穏乃(おかしいなあ、口のどこにもついてない)

[テーマ:リップクリーム3]


穏乃「ごめん憧、なんでもなかった」

憧「え? ……うん」

穏乃「よーし。気を取り直して帰ろ、帰ろ!」

憧(いったいなんだったのよー!?)

憧(はあ。とんだ肩透かしだよ……)

[テーマ:リップクリーム4]


穏乃(あっぶなー!!)

穏乃(最初は、憧の口元にチョコがついてないか確かめるためだったのに)

穏乃(憧の唇を見てる内、なんだか、吸い込まれそうな気持ちになって)

穏乃(危うく、私……)

穏乃(なんなんだろうさっきの感じ……?)

穏乃(……)

穏乃(……)

穏乃(ま、考えても仕方ないか)

穏乃「ハッピーバレンタイン、憧」

憧「うん。ハッピーバレンタイン、シズ」

投下おわり! 全国編OPの手繋ぎシーンは癒し

[テーマ・空腹]


穏乃「お腹すいたー」

憧「ええっ? まだ1限が終わったばっかじゃない」

穏乃「気分はもう100時間目だよー」

憧「シズは仕方ないなあ」

憧(んーと、確かカバンの中にアルファベットチョコがあったはず)

がさがさ

憧(あったあった)

憧「ほら。一口チョコでもあげるから、これを食べて耐えなさい」

穏乃「わーい! ありがとう憧!」

憧「どういたしましてー」

憧「……って、なんで大袋の方をとるのよ!? フツー個包装を差し出してたらそっちでしょ!?」

[テーマ・疑問]


憧「シズは今週末の予定決まってる?」

穏乃「大阪までいって山に登る予定だよ!」

憧「そっか。買い物に付き合ってもらいたかったんだけど残念」

憧(にしても大阪にシズが好きそうな登りごたえのある山なんてあったかしら?)

憧(あそこの山ってせいぜい標高1000メートル級がやっとだったような)

[テーマ・予感]


憧「うあー、せっかくの休日なのにひまだー」

憧「シズは今大阪だしなあ……」

憧「んー。いっそあたしも思い切って大阪までついていくべきだったかしら」

憧「……」

憧「んん?」

憧「なにこのニュース」

憧「“あべのハルカスの外壁を登頂していた少女を保護”?」

『大阪までいって山に登る予定だよ!』

憧「まさか、ね」

[テーマ・確信]


穏乃「ハイ! 登山土産のタワーまんじゅう!」

憧「ああ、もう……」

[テーマ・ブルーハワイ味]


憧「最近暑いからかき氷が美味しいね」

穏乃「美味しいよね」

憧「しゃくしゃくしゃく」

穏乃「もぐもぐもぐ」

憧「あ、シズの口の中凄いことなってるよ」

穏乃「んー?」

憧「ほら手鏡」

穏乃「あはは。ほんとだ、私アルカリ性」

憧「リトマス?」

[テーマ・リトマス試験紙]


穏乃「リトマス紙といえば、1つ疑問が!」

憧「よーし。憧博士になんでも聞いてみなさい」

穏乃「リトマス紙ってなんのために作られてるの?」

憧「なんのために、って……」

憧「そりゃそのまんま酸性・アルカリ性を見分るのに使うためでしょ」

憧「他により細かな分析方法が存在するのは確かだけど、リトマス紙の手軽さ迅速さが欲しい場面もあるのよね」

穏乃「んー」

憧「今の回答じゃ納得いかない?」

穏乃「うん。だって手軽にすませたいならリトマス紙なんか使わなくても舐めればいいんじゃないかなって」

憧「危ないわ!!」

[テーマ・硫酸]


穏乃「酸っぱいよね」

憧「危なすぎるわ!!!」

[テーマ・水酸化ナトリウム]


穏乃「苦いのかな?」

憧「ダメだからね!? 本当に本当に危ないからね!?」

[テーマ・常識の崩壊]


憧「もー。ぺっしなさい、ぺっ」

穏乃「ぺっぺっ」

憧「そもそもねー。たまに聞く、アルカリ=苦い、酸性=酸っぱいって判別法は万能じゃないんだよ?」

穏乃「えええっ!?」

憧「たとえばブラックコーヒー。あれは苦いけど酸性」

穏乃「そんな!?」

憧「塩辛ーい醤油も酸性」

穏乃「う、嘘だ」

憧「おもいっきり苦い路線の緑茶も酸性」

穏乃「私もう何も信用できない……」

憧「そこまで重大なこと!?」

[テーマ・学説の変化]


穏乃「だって緑茶だよ緑茶!」

穏乃「あんな身近で和風なものに裏切られるなんて……、ショックだよ」

憧「わかるようなわからないような理屈だ」

穏乃「この衝撃の大きさは、例えていうなら……」

穏乃「コモドドラゴンに噛まれた動物が徐々に弱って死ぬのは、コモドドラゴンの口内に住み着いたバイ菌のせいであって」

穏乃「コモドドラゴンの口の中には毒が存在するわけではないという説を信じてきたのに、」

穏乃「やっぱりコモドドラゴンには毒腺が存在していました、と発表された時のショックに匹敵するよ!」

憧「長い上に全然身近でも和風でもないわ!」

[テーマ・大雨]


穏乃「うわあー!?」

憧「ちょっとなにやってんのよシズ! こっちこっち! 傘の下に入る!」

穏乃「うん! ありがと憧!」

憧「もー。びしょびしょじゃない」

穏乃「びしょびしょだー」

憧「まったくなにやってんだか……」

穏乃「実は雨粒を避けながら下校できないものか挑戦してたんだけど、失敗失敗」

憧「物理的に無理だって試す前からわかろうよ!」

穏乃「なーんて、さすがに冗談冗談。ただ傘を持ってなかっただけだよ」

憧「シズの場合本気でそういう無謀にチャレンジしてそうだから困るのよね……」

[テーマ・認識の差異]


憧「ひょっとしてシズ天気予報見てなかったの?」

憧「確か今日は朝の段階から降水確率80%とかそこらだったよ」

穏乃「予報は見てたんだけど、それなのに傘を持ってくるの忘れちゃって……」

憧「おっちょこちょいだなあ」

穏乃「だって早く家に帰りたかったんだもん」

憧「……ん? 家に帰り……、え?」

憧(この言い方だと、傘を忘れたのは下校時でしたってことになるから……)

憧「まさか家から傘を持ってきてた癖に学校の傘入れに置き忘れたの?」

穏乃「うん。いわゆる置き傘ってやつ」

憧「置き傘ってそういうんじゃないからね!?」

[テーマ・備えあれば]


穏乃「2人で1つの傘だとどうしてもはみ出ちゃうね」

憧「ま、ちょっとぐらいは仕方ないよ」

穏乃「うーん……」

穏乃「やっぱり憧に悪いし、私走って1人で帰る!」

憧「え? あ、ちょっと待って!」

穏乃「いいからいいから! 大丈夫、走ればすぐだー!」

憧「そうじゃなくて、ハイこれ! 折りたたみ傘」

穏乃「おおー、普通のだけじゃなくて折りたたみも持ってたんだ」

憧「まあね。これは鞄の中に常備してるやつ」

穏乃「さっすが憧! ありがとう!」

憧「どういたしまして」

[テーマ・備えあれば2]


穏乃「ん?」

穏乃「そういや憧。2本も傘を持ってるのに、どうしてさっきまで片方しか使おうと……」

憧「うっ。そ、それは」

穏乃「それは?」

憧「……なんでもよ。なんでも」

穏乃「??」

憧(相合傘狙いだったとか……、言えるかっての!)

[テーマ・備えあれば3]


穏乃「そうだわかった!」

憧「うぇ!!?」

穏乃「さては憧、自分が折りたたみ持ってるってことを忘れてたんでしょ!」

憧「えっ」

穏乃「わかるわかる!」

穏乃「傘を持ってること自体忘れちゃうのって、やっぱよくあるミスだよねー」

憧「……だぁーよねえー」

憧(もー。慌てて損した)

投下終わり

書き溜めしてたスマホが水没したもんだから現実逃避してました
ごめんね

[テーマ・ブランド]


穏乃「凄そうなタオルを家で見つけたよ!」

憧「へーどれどれ。鑑定してしんぜよう」

穏乃「じゃーん!」

憧「おおーっ……、って、どこからどう見ても普通のタオルじゃない」

穏乃「ちっちっち。甘いな新子君」

穏乃「ほらここ! ここのタグを見て!」

憧「ん? タグ?」

憧(あっ。ああ、これは……)


【Made in PRC】


穏乃「ね! なんか凄いっぽいでしょ!」

憧「う、うん」

穏乃「それにしてもPRCってどんなブランドなんだろー」

憧(どうしよう。嬉しそうなだけに突っ込みづらい……)

[テーマ・ブランド2]


憧「言いづらいけどシズ」

憧「PRCってのは、People's Republic of Chinaという言葉の略でね」

憧「メイドインPRCってハッキリ言っちゃうと中国製って意味でしかないのよ」

穏乃「えええええっ!?」

穏乃「だ、騙された……」

憧「あはは。ま、ちょっとズルい感じはするよねー」

憧「ここんとこよく見るから注意したほうがいよ」

穏乃「……」

穏乃「SZN」

憧「へ?」

穏乃「SZN! どう? これちょっとブランドっぽくない?」

憧「コイツ騙す側に回る気か!」

憧(シズ手作りグッズとかむしろ喜んで騙されにいくけどっ!)

[テーマ・旅行]


穏乃「あーこー」

憧「なーによ」

穏乃「どこか行きたい! どこか!」

憧「じゃ、コンビニ行ってジュースでも買ってきてよ」

穏乃「そういうんじゃなくてー!」

穏乃「こう……、その……、未知なる場所へ行きたい!」

憧「この暑いのによくそんな気力出るなあ……」

穏乃「憧と二人でどこかはじめての場所に行きたい!」

憧「!?」

憧「ふ、ふーん」

憧「そういうことならのってあげなくもないけど……」

穏乃「わーい」

穏乃「 じゃあさ、憧はどこへ登りに行きたい?」

憧「山前提かよ!」

[テーマ・紙飛行機]


憧「なーにしてんのっ?」

穏乃「紙飛行機つくってる」

憧「ふんふん、なるほどね」

穏乃「憧も一緒に折る?」

憧「ん。いいわよ」

穏乃「よーし。できあがったらどっちが遠くに飛ばせるか競争だー!」

憧「オッケー!」

[テーマ・オーバーテクノロジー]


憧「これで垂直尾翼の形は航空力学的にベターな形状に整った、と」

憧「あと必要なのは、紙燃料タンクと紙エンジンを効率よくリンクさせる作業ぐらいかな?」

憧「あー。内部スペースに余裕があるし、どうせなら暇つぶし用の紙テレビでも設置をした方が――」

穏乃「あ、あの、憧さん……」

憧「うん?」

穏乃「私の負けでいいです、もう……」

憧「ええー? なんでよー」

穏乃(偏差値70余裕の作る紙飛行機やべええええええええ)

[テーマ・旅行その2]


穏乃「ねえ憧。この紙飛行機って実際に乗れるの?」

憧「計算上は150キログラムまで耐えられると思うよ」

穏乃「おおー! ということは私達2人ラクラク乗れちゃうね!」

憧「乗れちゃうわね」

穏乃「……」

憧(ふふっ。分かりやすく期待満々な顔してくれちゃって、もう)

憧「そういやさっき2人でどこか行こうって話をしたよね」

穏乃「うん!」

憧「よーし。夏休みの思い出作りがてら、この飛行機でどっかでかけよっか!」

穏乃「やったー! 世界の山ー!」

憧「だからなんで山前提!?」

穏乃「?? じゃあ世界の崖……?」

憧「あんたの頭の中の旅先はどんだけ起伏に富んでるのよ!」

[テーマ・    っす]


穏乃「そういえば憧……」

憧「うん?」

穏乃「勝手に紙飛行機で外国へ入るのって法律に引っかかったりはしないのかな?」

憧「あー。平気平気」

憧「紙ステルス機能で紙擬態できるように設計してあるからバレないバレない」

憧「唯一の懸念は紙レーダーで探知されることだけど……」

憧「その点も紙妨害電波で対策してるから心配ご無用よ!」

穏乃「紙って凄い!」

[テーマ・ツッコミ不在]


穏乃「でも憧ー」

憧「うん?」

穏乃「よくよく考えると、本当に人が二人も乗ったまま紙飛行機なんかで空を飛べるの?」

憧「もっちろん!」

穏乃「疑うわけじゃないんだけど、ちょっと現実味が……」

憧「んー。そうねえー」

憧「たとえば現在一般的な飛行機って、アルミニウムの合金が材料の大きな部分を占めるの」

穏乃「聞いたことある!」

憧「で、アルミってったら1円玉の材料でしょ?」

穏乃「うんうん」

憧「もうこれは実質1円玉と飛行機って親戚みたいなものというか、もはや1円玉=飛行機みたいなものじゃない」

穏乃「言われてみれば……」

憧「1円玉で空が飛べるなら紙で空が飛べてもおかしくない気がしてこない?」

憧「むしろ折り紙とか1円玉より格上感すらあるし、飛べないほうがおかしいとも言えるわね!」

穏乃「なるほど……。正論だ……」

[テーマ・呼び方]


憧(さて。フライトを開始して数十分)

憧(最初の目的地が見えてきたわ)

憧(ふふふ。シズ喜ぶかなー)



http://i.imgur.com/BCNnF6F.jpg



憧「あちらに見えますのがモンブランでーす」

穏乃「ええー。大きいけど美味しくなさそう……」

憧「……」

[テーマ・呼び方2]


憧「オホン!」

憧「あちらに見えますのがアルプス山脈でーす」

穏乃「おおおおおおおおおっ! 生で見るとすっごおおおおおおお!」

憧「……」

憧「名前で山かどうか認識してるのかよ!」

[テーマ・広がらない]


憧「はいはい。というわけであらためまして、アルプス山脈のモンブラン山に着いたわよ!」

穏乃「いやー。まさかモンブランが山の名前だったとは」

憧「あんた山に超詳しい癖になんでこんなメジャーどころ知らないのよ、もう」

穏乃「えへへ面目ない」

憧「ちなみに実はお菓子のモンブランの方がこの山の名前を真似たのよ」

穏乃「へえー。そうだったんだー」

憧「……」

穏乃「……」

憧(なんだか普通の雑談だ!?)

[テーマ・妥協]


穏乃「よーし! 早速登ろう!」

憧「ストーップ。それはダーメ」

穏乃「ええーっ!? なんでー!?」

憧「あんたねー。モンブランって、きちんと準備しても死者が出ることのある山なんだよ?」

穏乃「むむむ」

憧「こんな軽装で地図も持たずに登るなんて遭難しにいくようなもんだよ」

穏乃「そっか……。無理言ってごめんね」

憧「ううん。シズは山好きだもんね、登りたくなるのは仕方な――」

穏乃「山頂まで1往復で我慢するよ……」

憧「待ておい」

[テーマ・英語力]


憧「さて。モンブランは欧州からずっと南下しまして、こちらアフリカ大陸のザンビアです」

穏乃「うおお……。広大な景色だあ……」



http://i.imgur.com/UlaT2A1.jpg



憧「おっ。あそこに見えるのが有名なビクトリアフォールズよ」

穏乃「ビクトリアフォールズ……」

穏乃「直訳するとビクトリアの……、秋?」

憧「惜しい。アキじゃなくて滝。というか見て分かろうよ!」

[テーマ・滝]


穏乃「登れるかな?」

憧「危ないわ!」

[テーマ・人種代表]


憧「この滝のビクトリアフォールズって名称は、後からこの土地にやってきたヨーロッパ人が考えたものでね」

憧「現地の人はこの滝のことを全く異なる名称で呼んでいたそうよ」

憧「特にモーシ・オワ・トゥーニャという呼び方は、現在でもなお広く使われ続けているわ」

穏乃「つまりこの滝には、アフリカの人とヨーロッパの人が考えた名前が別々にあるってこと?」

憧「そうよ」

穏乃「そしてそして! まだアジア人がつけた名前は存在しないってことでもあるよね!?」

憧「ん……、まあ」

穏乃「よし一番乗りだ! 今から私達で新しく命名しちゃおう!」

憧「んな無茶な」

[テーマ・私欲]


穏乃「名前……、名前……」

穏乃「滝だけに、スーパーシズノ山とかどうかな?」

憧「思いっきし山の名前で攻めてきた!?」

穏乃「スーパーシズノ滝の方がよかったかなあ」

憧「スルーしたけど前半部も突っ込みどころだったからね!?」

穏乃「ならスーパーアコアコ滝!」

憧「別に自分が目立ちたいわけじゃなくって!」

穏乃「仕方ないなあ……。そこまで言うならスーパーアコシズ滝でどうだ!」

憧「!!」

憧(それってつまりもしその地名が世界のスタンダードになったら……)

憧(世界中にアコシズという響きが鳴り渡るということ、よね!?)

憧「よし。それ採用!」

穏乃「いいの!? あんまり今までの提案とネーミングセンス違わなくない!?」

[テーマ・突っ込みどころはそこではない]


憧「吉野に到着ーっと」

穏乃「うおおー。日本に帰ってきたぞー!」

憧「やっぱり生まれ育った場所は落ち着くねー」

穏乃「ねー」

憧「もうじき日も落ちるし、そろそろ家に帰らなきゃなあ」

穏乃「あ。せっかくだしこのまま2人でお泊り会しようよ!」

憧「いいねえー。よっしゃ、ちょっとお姉ちゃんに電話で確認とるねー」

穏乃「はーい」

穏乃(はあー。それにしても今日は濃い一日だったなあ)

穏乃「……」

穏乃(……一日?)

穏乃(一日で、それも日が落ちる前に、アルプスからアフリカから日本へ移動……?)

穏乃「憧の紙飛行機の移動速度早っ!!」

[テーマ:改訂版]


穏乃「この前紙飛行機で行った場所って、地図で見ると日本とどのぐらい離れてるのかなあ」

穏乃「気になった時は早速調べてみるに限る!」

穏乃「世界地図、世界地図、と」

穏乃「あったあった」

穏乃「おおー。だいぶ離れてるなあ」

穏乃「アルプス山脈はここ、と」

穏乃「それでえーとザンビアは……、あった」

穏乃「あ。スーパーアコシズ滝もちゃんと地図に地名が載ってるや」

穏乃「……」

穏乃「……」

穏乃「!!!?」

投下終わり

また遅くなってごめんね

[テーマ:秋]



穏乃「大きいあーき、大きいあーき、大きいあーき、見ーつけたい!」

憧「大きい秋?」

穏乃「昔から私は疑問に思っていた!」

穏乃「なぜ皆は小さな秋を見つけたぐらいで満足しているのだろうと!」

憧「いや……。満足っていうか、小さい秋見つけたってのはそういう歌詞の童謡だし……」

穏乃「私は! どうせなら大きな秋を見つけたい!」

穏乃「小さい秋で妥協するような大人にはなりたくない!」

憧「また大げさな」

穏乃「だから憧、いっしょに秋の山を探しまわってみようよ!」

憧「けっきょく行き着くのは山なわけ?」

穏乃「へへへー」

憧「ま、別にいいけどね。仕方ないから付き合ってあげますか」

穏乃「わーい」

[テーマ:準備]



穏乃「さて、そうと決まればさっそく出かける準備をしよう!」

憧「準備っても歩きやすい靴をはくぐらいじゃない?」

穏乃「ちっちっち。甘い甘い。焼き芋の蜜の部分ぐらい甘いよ憧」

憧「他になにかやることあるかー?」

穏乃「あるある。ズバリおやつの準備です!」

憧「よし、お疲れー」

穏乃「わああーっ! 待ってよ憧いかないで!」

憧「だってさー。もー、何を言い出すかと思ったら」

穏乃「おやつは馬鹿にできないんだよ?」

穏乃「山歩きってカロリー使うし、エネルギーの補給手段は必要不可欠なんだ」

穏乃「おやつを笑うものはおやつに泣く!」

憧「シズにしてはもっともらしい理屈付けを」

穏乃「というわけでさっそくおやつを買いに行こうよ」

憧「突っ込みどころの有無はさておき、特に反対する理由もないしいいよ」

穏乃「あ。予算は250円以内だよ?」

憧「250円って、おやつは300円ネタが広がった昨今に微妙なローカル感を入れてきたな……」

[テーマ:仕分け]



穏乃「憧先生!」

憧「なにかね穏乃君」

穏乃「きゅうりはおやつに入りますか!?」

憧「いやー、きゅうりは入らないでしょー」

[テーマ:仕分け2]



穏乃「憧先生!」

憧「なにかね穏乃君」

穏乃「バナナはおやつに入りますか!」

憧「そのネタ定番だけど正直どうでもいいよね……」

穏乃「どうでもいいということは、バナナはおやつ扱いじゃなくてもセーフ!?」

憧「いいんじゃなーい?」

穏乃「本当の本当に!?」

憧「うん」

穏乃「チョコバナナでも?」

憧「いや! チョコバナナはアウトでしょ! それはおやつ!」

穏乃「ええー」

穏乃「じゃあチョコバナナ用のチョコとバナナを別々に持ってきて、その場でチョコバナナを作る場合はどう?」

穏乃「これならチョコの代金だけおやつ代に含めればセーフ?」

憧「いやダメでしょ」

穏乃「そんなー」

[テーマ:仕分け3]



穏乃「憧先生!」

憧「なにかね穏乃君」

穏乃「ジャムはおやつに入りますか!?」

憧「ジャムはお弁当枠じゃないの?」

穏乃「あんずジャムでも?」

憧「あんずジャム……、あー、あれは確かに駄菓子カテゴリか……」

穏乃「むむむ」

憧「こうして考えるとおやつとお弁当の境目って曖昧なものね」

穏乃「辛い世の中になったね……」

憧「あんまり世の流れとは関係ないんじゃないかな」

[テーマ:仕分け4]



穏乃「郵政は民間に任せるべきですか! 国が行うべきですか!」

憧「いきなりマジ仕分け!?」

[テーマ:もしも咲がファンタジー作品だったら]



穏乃「これが伝説の武器、アコスカリバー……!」

憧「あたしは武器役か!?」

[テーマ:戸惑い]



穏乃「うわあっ!? 武器が喋った!?」

憧「え? え? このネタ引っ張るの?」

[テーマ:気持ちの切り替え]



憧「んで。これからシズは何をするつもりなのよ」

穏乃「うーん」

憧「王道に魔王討伐でも目指してみる?」

穏乃「秋探しかな」

憧「ファンタジーの流れ引っ張るんじゃなかったの!?」

[テーマ:入山]



穏乃「よーし、さっそく山登りだー!」

憧「おー」

穏乃「ごーごーあこー!」

憧「ごーごーシズー!」

穏乃「あ。綺麗などんぐり見っけ」

憧「本当だ」

穏乃「さっそく大きな秋発見だね!」

憧「大きい秋のハードル低っ!?」

[テーマ:紅葉]



憧「もっとこうさ、大きな秋っぽいものなら他にあるでしょうよ」

穏乃「ええー。例えば?」

憧「この赤く染まった山の景色とか」

穏乃「うーん……。それは贔屓目に見て中ぐらいの秋かな」

憧「いやこれ絶対ドングリより大きいって」

[テーマ:秋の音]



穏乃「色々歩いたけど、けっきょくドングリがベストオブ大きな秋だったね」

憧「あんたの基準がわからない……」

穏乃「……ん?」

憧「どしたのシズ」

穏乃「あっ! もう1つ見つけたよ!」

憧「え? どこに?」

穏乃「ほら。落ち葉の上を歩くたびに、かさっかさって音がする!」

憧「それが大きな秋……?」

穏乃(中学の頃は1人分のかさっかさっだった)

穏乃(でも今は2人分!)

穏乃「私にとっては大きな秋だよ」

憧「ふふっ。なんだかよく分からないけど変なシズ」

ちょっとだけいつもと雰囲気違うのも

 容姿・成績に自信あり。
運動神経も悪くはなく、背は小さいけれどそこは小顔でバランスをカバー。
友人に恵まれ、後輩からもなつかれやすい。
そんな一見して恵まれた少女、新子憧にも、苦手なものはいくつかある。

「新子さんってどんな男の子が好き?」

 その一つが、これだ。
好みのタイプ。気になる異性の有無。格好いいと思う芸能人。
とかく男に関する話題が、新子憧は苦手であった。
とはいえ表面上はそんな苦手意識おくびにも出さない。
適当な、しかしもっともらしい答えで茶を濁すぐらいのことは造作もない。
新子憧は社交辞令を上手く使いこなせる部類の人間なのだ。
 ならば何故彼女は、容易に切り抜けられるはずの異性に関する話題を苦手とするのか。
答えは簡単。
異性に関する話題は、新子憧に嘘を強要するからだ。

(正直に言えるわけないっての。昔からあたしが好きなのは男じゃなくって……)

 ――女なんです、だなんて。

 新子憧は必要に応じて嘘をつくことのできる人間だ。
しかし同時に新子憧は、元来本音を隠すことを嫌う人間でもある。
「できる」と「好む」は違うのだ。
嘘をつくという行為――それも自分の人格に深く関わる類いの――を強要される、
異性に関する話題が、だから新子憧は苦手だった。

「あーこー! あっそぼー!」
「シズの場合、登山と書いてあそぶとルビが振られてそうだよね」
「失礼な。私だって登山以外の遊びをすることもあるよ」
「たとえば?」
「川遊びとか!」

 自信ありげに胸を張る高鴨穏乃を見て憧は思わず笑ってしまった。
穏乃の言う遊ぼうの中身は、同年代の他の友人達とは明らかに方向性が異なる。

「ま。シズのそういう自分を保てるところは好きだけどね」

 憧のこの発言。
表面上は軽い調子で発した言葉のようだが、その実好きという単語にこめられた意味は決して軽くはない。

「えへへー。照れるなー」
「照れろ照れろ」

 茶化して、気持ちを誤魔化して。
けれど憧は、こうして穏乃への気持ちを誤魔化す嘘をつく時間は不思議と嫌いではなかった。
普通の友人と交わす異性に関する話でつく嘘と、穏乃と会話している時の恋愛感情を隠すための嘘。
同じ嘘なのに前者は苦痛で後者はそうでもないのは、
嘘をつく苦痛を穏乃と一緒にいられる楽しさが上回っているからではないか、と憧は自己分析していた。
時々切ない気持ちになることはあるけれども。
それ以上に穏乃と一緒に過ごす瞬間が、憧は好きだった。

「ゆーうねえ」
「いらっしゃい憧ちゃん」
「その発言、もはや完全に温室の主の風格ね……」

 阿知賀女学院には比較的大きな温室がある。
冬などは暖かさを求めて生徒が集まることも多いが、それ以外の季節はあまり人が近寄ることもない。
けれどたった一人だけ、春夏秋冬の区別なく温室に入り浸る人物がいた。
天下の寒がり大臣松実宥である。

「宥姉って温度走性でも持ってそうだよね」
「だって……」

 憧が温室へ訪れたのは宥と会話するためであった。
憧と宥は互いの本質的でプライベートな部分についてよく知っている。
相手にどこか自分と似た匂いを感じた二人が、遠回しに鎌をかけあったのも過ぎた話。
今では二人とも、同じ嗜好の仲間として気軽に相談しあえる仲になっていた。

「ね。宥姉」
「うん?」
「宥姉さ、クラスで男子の好みに関する話とか出たとき、どう切り抜けてる?」
「うーん……。そもそもあんまりそういう話題にはならないかも」
「マジで!? こういうのってそこそこ定番の話題じゃないの!?」
「ど、どうなんだろう」
「あれかな。宥姉はやっぱりふわふわした友達に囲まれているってことなのかな」

 友人選びミスったかー、と大袈裟に天を仰ぐ憧の頭を、なだめるように撫でる宥。

「いいなー。いいないいな宥姉ー」
「うう……。なんだかごめんね」
「あはは、なんて冗談冗談。男の子話が多い以外はいい子達だし、実際そんなに友人づくり失敗したとは思ってないよ」
「それならいいんだけど……」
「でさ宥姉。話は変わるけど、さっきシズがね―――」

 本当の意味で恋の話ができる数少ない相手を前に、憧の表情は輝いていた。

 高鴨穏乃はマイペースだが、周囲が考えるよりはずっと繊細な少女だ。
繊細といっても、他人から変わった子だと見られることは怖いとは思わない。
自分がどこか平均とずれていることは既に自覚した上で受け入れている。
 彼女が人より繊細なのは、別れに対して。
誰かが自分から離れていってしまうことを、穏乃は人一倍恐れる。
だからこそ中学時代の穏乃は、友人を山に誘うことができずにいた。
我が儘を言ってしまうことで、友人が自分に負の印象を抱いてしまい、結果離れてしまうのではないか。
そんな不安が拭いきれなかったのだ。

「あーこー! 今から栗拾いしよう!」
「はいはい」

 そんな穏乃だが、憧に対してだけは遠慮なく我が儘をぶつけられた。
たった一度、小学六年生の頃に、一緒に阿知賀に行こうという我が儘を飲み込んだきりで、
以後の穏乃は憧に精一杯の自分を晒け出している。

 穏乃本人にも自覚はないのだが、この我が儘の根底には、一種憧に対する信頼があった。
憧なら、きっと何を言っても受け止めてくれる。
憧なら、きっと何を言っても自分から離れないでいてくれる。
中学三年生の頃、自分の電話に応えて阿知賀へ駆けつけてくれた憧の姿が、穏乃の心には鮮烈に焼き付いていた。

「憧ってさ」
「可愛いよね?」
「そう、かわい……、じゃなくて! 優しいよね」
「そうかー? 自分でいうのもなんだけど、あたし割と偏愛型よ」
「それでも私は優しいと思うよ」
「……ま、まあシズは麻雀部の仲間だしね。普通の人よりは優しくするわよ」
「そっか」
「うん。そうよ」

 ならばもし、高校麻雀部を引退する時がきたら。
部活仲間という繋がりの消えた私の我が儘に、憧はどう対応するのだろうか。
相も変わらずハイハイと付き合ってくれるのかな。
それとも、また昔のように離れていってしまうのかな。
そんな疑問を、穏乃は喉まで出かかったぎりぎりのところで飲み込んだ。
あと一歩憧の心へ踏み込む勇気がまだ今は足りなかった。

 穏乃と憧は一番の仲良し同士だが、
四六時中行動を共にするわけではなく、学校でも時々は別行動をとることもある。
例えば、今がちょうどそうだ。
クラスメイトと憧の会話が、自分の苦手な分野であるファッションに関する内容だったため、
穏乃は一言声をかけてから鐘台へ風に当たりにきていた。

「穏乃ちゃん?」

 ぼうっと退屈していたところに聞き慣れた声がして、穏乃は跳ねるように振り向いた。

「玄さん! こんにちは!」
「うん、こんにちは。隣にいってもいいかな」
「どうぞどうぞ」
「時々ここでのんびり景色を見るのが好きなんだ」

 松実玄が隣に並ぶと、ふんわりと甘い香りが穏乃の鼻腔をくすぐった。

「玄さんって香水かなにかつけてるんですか?」
「ううん。そういうのはつかったことないよ」
「あれ? おかしいなあ」
「なにか匂いがしたのなら……、寝癖直しに使ってるヘアミストの香りかな?」
「ヘアミスト?」

 聞き慣れない言葉に穏乃は首を傾げた。

「髪にしゅっしゅってするトリートメントだよ」

 ヘアミスト、というものは、憧なら当たり前のように持っているような道具なのかな。
そう考えて、ふと気が付く。
今まで自分の好きなことに憧を誘う機会は多々あったけれど、
憧の好きなものを知ろうとしたことは、麻雀を学んだ時ぐらいしかなかったな、と。

「玄さん」
「なあに?」
「麻雀以外で憧が一番好きなものってなんでしょう」

 たまには憧の好きに歩み寄ろう。
そんな思いつきからの質問だったのだが、

「穏乃ちゃんじゃないかな」
「ええっ!?」

 返ってきたのは斜め上の答えだった。

「わ、私が好きって……」
「大真面目な答えだよ?」

 真剣な顔で念押しされて、穏乃はくすぐったいような恥ずかしいような気持ちになった。
が、どちらにしろ今自分がしたいのは自己分析ではないので、頭を切り替える。

「それ以外のことでお願いします!」
「うーんと、えーと、じゃあ、ぬいぐるみとか?」
「ぬいぐるみ?」
「うん。憧ちゃんってお部屋にいくつもぬいぐるみを飾ってるでしょ?」
「言われてみれば、クマとか机の上に置いてあったかも」
「だからそういうの好きなんじゃないかなって」
「そっか、ぬいぐるみか……。ありがとう玄さん! 参考になりました!」
「――本当は憧ちゃんのことなら、穏乃ちゃんが一番よく知ってると思うんだけどね」

 そんな玄の呟きは、忙しなく走り去っていった穏乃の耳には入らなかった。

「似てないようで似てる二人だなぁ、鈍感さとか……」

[テーマ:歩み寄った結果]



穏乃「というわけで憧! 羊を育てよう! 糸をゲットして人形づくりだ!」

憧「どういう思考でそうなった!」

穏乃「あれれ?」

投下終わり! 3日以内とか言っておいて有言不実行でごめんなさい
たまには趣向を変えてちょっと外側から見た感じの話を

[テーマ:将棋]



穏乃「むむむ……」

憧「なーにしてんの?」

穏乃「ちょっとね。今新しいボードゲームを考えてるんだ」

憧「新しいボードゲーム?」

穏乃「うん。ルールはまだ煮詰まってないけど名前は決めたよ!」

憧「へえー。どんな名前?」

穏乃「スーパー穏乃将棋!」

憧「どこから突っ込めばいいのか迷ってしまって逆に突っ込みづらいネーミングだ」

穏乃「えへへへ、そう褒めないでよー」

憧「褒めてないから!」

[テーマ:将棋その2]



憧「で。どうして新しいボードゲームをつくろうだなんて考えたの?」

穏乃「それはねー、話せば長くなるんだけど」

憧「うんうん」

穏乃「……なんとなく、かな」

憧「理由みじかっ!」

憧「ま、いいや。それでそのスーパー穏乃将棋は普通の将棋とどう違うわけ?」

穏乃「よくぞ聞いてくれました!!」

憧「お。張り切ってる」

穏乃「スーパー穏乃将棋はまず将棋台の使い方が違います!」

穏乃「普通の将棋は将棋台を□の向きで使うよね?」

憧「うん」

穏乃「しかしスーパー穏乃将棋ではなんと台を◇の角度で置いて使います!」

憧「あはは。シズの考えがちょっと読めたわ」

憧「◇を真ん中で水平に区切ると△と▽の組み合わせになるわけで、要はこの△を2つの山に見立てようってんでしょ」

穏乃「なんでわかったの!? エスパー!?」

憧「長年の付き合いだしピンときもするよ」

[テーマ:将棋その3]



穏乃「普通の将棋では先に相手の王を取った方が勝ちだよね?」

憧「そうね」

穏乃「しかしスーパー穏乃将棋では『穏将』という駒を相手側の△の頂点まで先に移動させたほうが勝ちとなります!」

憧「穏将って、おい」

憧「ま、いいや。つまりはシズを無事に山の頂上まで登らせることが勝利条件ってことね」

穏乃「そんな感じ!」

憧「となると通常の将棋と違って王将に当たる駒が積極的に前へ進む必要があるわけかー」

穏乃「そのあたりのバランス取りが難しいんだよねー」

憧「そうねー」

憧「妨害する駒が強すぎると先に相手のシズをやっつけるだけのゲームになっちゃうだろうし、悩みどころだね」

[テーマ:将棋その4]



憧「ちなみに穏将以外にはどんな駒があるの?」

穏乃「んーとね。滑落、猛獣、強風、吹雪、霧とかを考えてるかな」

憧「あー。そういう自然のトラブル駒をかいくぐってシズを山登りさせるイメージなんだ」

穏乃「うん!」

憧「ずいぶん物騒なボードゲームね」

穏乃「災害以外には憧将っていう駒も考えてるよ!」

憧「!!!? ……そ、それはどういう駒なの?」

穏乃「離れた場所からでも3回まで穏将の隣にワープさせることができてね」

穏乃「災害駒に重ねるとその災害を壊してくれるんだ!」

憧「ふ、ふーん」

穏乃「いつも困ってる時に助けてくれる憧のことをイメージした駒だよ」

憧「!!」

[テーマ:将棋その5]



穏乃「ここまでは考えたんだけど、まだ他の駒の性能が上手くイメージできなくて困ってるんだ」

憧「もー。シズはしょうがないなー」

憧「わかった。あたしもルール作成を手伝ってあげる!」

穏乃「本当!? ありがとう憧!」

憧「どういたしまして」

穏乃「今特に悩んでるのは玄将と赤将の動かし方でさ」

憧「え? ひょっとして憧将だけじゃなくて玄やハルエの駒もあるの?」

穏乃「うん!」

憧「……やっぱり手伝ってあげない」

穏乃「ええー!? なんで!?」

憧「ふーんだっ」

穏乃「えええー!?」

[テーマ:将棋その6]



憧「シズー。この新製品のお菓子なんだけど、一緒に」

穏乃「うーん……」

憧「ん? あんたひょっとしてまだスーパー穏乃将棋のルールをつくってるの?」

穏乃「そうだよ。どうにか形にしたいって気持ちが捨てきれなくて」

憧「もぉー。仕方ないなあ、やっぱりあたしも手伝ってあげる」

穏乃「ありがとう憧!」

憧「で、玄将や赤将の動き方の案は全くの白紙状態なわけ?」

穏乃「それなんだけどね。その2つの駒はなしにしたよ」

憧「え?」

穏乃「あんまり駒の数を増やしすぎても複雑になりすぎる気がしてきてさ」

穏乃「人物系の駒は穏将と憧将だけにしようと思いなおしたんだ」

憧「玄やハルエの駒は消すのに憧将は残すの?」

穏乃「だって憧がいなくなったら私一人ぼっちになっちゃうでしょ?」

穏乃「だからお前にだけは何があってもずっと私のそばに居続けてほしかったんだ」

憧「えー、なにそれ口説き文句みたい」

穏乃「えっへっへ」

憧(とか茶化してるけど内心ドキドキだっての! ばかー!)

[テーマ:価値観の変容]



穏乃「えっへん!」

憧「どうしたの急に?」

穏乃「私年上! 憧年下!」

憧「シズ今日誕生日だもんね。おめでとう」

穏乃「えっへん!」

憧「ふふふ。威張っていられるのも今のうちよ、シズー」

憧「あたし達いつか立場が逆転するんだから!」

穏乃「え? 追いつかれるならまだしも逆転するってどういうこと?」

憧「えっとね」

憧「お姉ちゃんが言うには、20代後半にもなると誕生日が遅い方が羨ましがられるようになるんだってさ」

穏乃「?? なんで?」

憧「さあ……。あんまり嬉しそうな顔してなかったから詳しくは聞かなかった」

穏乃「そういうものなのか」

憧「そういうものらしいわよ」

[テーマ:決め台詞]



穏乃「決め台詞が欲しいです!」

憧「また唐突ね」

穏乃「宥さんのあったか~いとか和のそんなオカルトみたいな、この人といえばこの台詞って言葉が私も欲しい!」

憧「んー。シズはほら、あれでいいんじゃない」

穏乃「あれ?」

憧「ラーメン食べたいラーメンってやつ」

穏乃「えー。あんなん決め台詞でもなんでもないよ」

穏乃「それにどうせならもっとかっこよくてダイナミックで歴史に残るような台詞がいいなー」

憧「って、理想めちゃくちゃたかいな、おい」

[テーマ:試案]



穏乃「はいはーい! さっそく決め台詞の案その1を考えました!」

憧「どれどれ。聞かせてしんぜよ」

穏乃「ではいきまーす。オホン」

穏乃「お前は今まで登った山の数を覚えているのか?」

憧「……」

穏乃「どうどう!? なかなかよくない!」

憧「それパクリでしょとかいったいどんな場面で使うんだよとか、言いたいことは他にもある」

憧「でもそれ以上にツッコみたい点が1つ」

憧「普通の人は数を忘れるほどたくさんの山は登らないから!」

穏乃「う、嘘だ……、そんな馬鹿な……」

憧「こいつ素で驚いてる!?」

[テーマ:原点]



穏乃「あーあ、さっきの自信作だったのになあ」

憧「ないない」

穏乃「うぐぐ」

憧「というかさー」

憧「こういうのは自分の内側から自然と出てくるようなフレーズのほうがいいんじゃないかな」

憧「無理して格好つけた台詞を考えても、背伸びしてぶかぶかの服を着てるようなちぐはぐさになっちゃうよ?」

穏乃「内側から自然と出てくるようなフレーズ、か……」

穏乃「うん、そうだね。言われてみればそんなものなのかも」

穏乃「宥さんも和の決め台詞もそんな感じだし」

憧「わかればよろしい。シズはありのままのシズでいればいいの」

[テーマ:メタネタ]



穏乃「ということで!」

憧「ということで?」

穏乃「自分の原点に立ち返って、私が作品初登場時はじめて口にした言葉を自分の決め台詞にしたいと思います!」

穏乃「自分が初めて口にした台詞。きっとそれこそが私の内面を鋭く表す言葉になるはず!」

憧「うーん。まあさっきの背伸びした方針よりはいいかもね」

穏乃「ということでさっそく阿知賀編コミックス1巻を読み返して、と……」

穏乃「ふむふむ」

憧「で。シズは初登場時どんな言葉を発してたの?」

穏乃「憧ー!」

憧「うん?」

穏乃「憧ー!」

憧「え?」

穏乃「憧ー! って言ってた!」

憧「あ、あたしの名前!?」

穏乃「ということでこれから私の決め台詞は憧ー! にするね!」

憧「いやいやいやいやいや!!」

[テーマ:シミュレート]



絶体絶命の危機に陥った時

穏乃「憧ー!」

困難を乗り越え大事を成し遂げた時

穏乃「憧ー!」

一人では抱えきれないような悩みに直面した時

穏乃「憧ー!」

誰かと喜びを分かち合いたい時

穏乃「憧ー!」

どんな時でも私は憧の名を呼び続けるんだ!

[テーマ:後悔]



穏乃「みたいな感じでどうかな憧!」

憧「どうって言われても……」

憧「しかも冷静に考えるとそれ、そもそも決め台詞だと周囲に認識されないんじゃないかしら」

穏乃「え? そうかな?」

憧「単に個人名を口にしてもねー」

憧「あの2人すっごく仲良いなーと思われるだけだって」

穏乃「むむ、そういうものか……」

憧(ま、まあ、あたしとしては? 周囲からそんな目で見られるのも悪くはない、けど……)

憧(むしろことあるごとにシズに名前をよばれるとか、凄く美味しい気さえするけど……)

穏乃「うーん。なかなかアイデアがまとまらないし決め台詞の件はいったん保留しよっと」

憧(はあっ、思い直しちゃったか。ツッコんだの失敗だったかなあ)

[テーマ:早口言葉]



穏乃「隣の客はよく柿食う客だ!」

憧「これ早口言葉の中ではだいぶイージーな方だよねー」

穏乃「かえるぴょこぴょこより言いやすいよね!」

穏乃「で、私さ。前からこの早口言葉に対して物申したいことがあるんだ」

憧「ん?」

穏乃「よく柿食う客っていうけど、そもそも家主さんがお隣さんに柿ばかり出すのが元凶なんじゃないかな?」

憧「あー」

穏乃「この早口言葉の視点をお隣さん目線に変えてみるとね」

穏乃「隣の家主はいつも客に柿ばかり出す人だ!」

穏乃「こうなると思うんだ」

憧「そうやって考えるとなんだか隣の客に対する印象も少し変わってくるわね」

穏乃「きっと本当はお隣さんも、そろそろ柿には飽きがくる頃だと思うんだ」

穏乃「だけど出されたものを残すのは失礼だから、頑張って美味しそうな顔をつくって柿を食べてるんじゃないかな」

憧「そう考えると軽々しく『よく柿食う客』だなんて失礼な言い方できなくなっちゃうわね」

穏乃「そうだそうだー!」

穏乃「だからこれからは隣のお客様はよく柿を召し上がるお客様ですと言うぞー!」

憧「もはや早口言葉としての体をなしてなくないそれ!?」

[テーマ:暗号]



憧「はい、シズ。誕生日プレゼントよ」

穏乃「わたあめだ! わーい、ありがとう憧!」

憧「わ、わたあめじゃなくてわたがしよっ!」

穏乃「?? わたあめとわたがしって違うの?」

憧「……い、いっしょだけど違うの!」

穏乃「??」

憧「それと、これもあげるわね」

穏乃「かとりせんこう? ありがとう、夏になったら使うね!」

憧「えっと。それでシズ、実はこの2つのプレゼントにはある暗号が隠されているの」

穏乃「暗号?」

憧「そうよ。見事自分の力で暗号が解けたら3つ目のプレゼントをあげるわ」

穏乃「本当!? よーし、頑張って考えるぞー!」

[テーマ:暗号その2]



穏乃「うーん、うーん」

穏乃「綿菓子と蚊取り線香に隠された暗号……」

穏乃「だめだー! ちっともわかんない!」

憧「じゃあヒント」

憧「暗号の答えは2つのプレゼントの名前に隠されているわ」

穏乃「名前? わたあめと蚊取り線香に?」

憧「わたあめじゃなくてわたがし!」

穏乃「おっとそうだった」

[テーマ:暗号その3]



穏乃「……」

穏乃「……」

穏乃「だめだー! ヒントをもらったのにさっぱり答えがわからないや!」

憧(ええええっ!? こんな大ヒントを出したのにわかってくれないの!?)

憧(“わたがし”と“蚊取り線香”)

憧(わたがしから「か」をとると……、残るのは“わたし”)

憧(つっ、つまりプレゼントは、わた、私……)

憧(……)

憧(こここんな恥ずかしいこと自分の口から言えるわけないし!)

憧(暗号という遠回しな手段に頼るのも仕方ないことよね!? ね!?)

憧(へたれじゃないし! 慎み深いだけだし!)

[テーマ:暗号その4]



穏乃「ごめん憧、降参だよー!」

憧「諦めるのは早いわ! 頑張ってシズ!」

穏乃「頑張ったけどわかんないよー」

憧「むむむ……」

穏乃「ねえ憧。気になってもやもやするからせめて答えだけでも教えてくれないかな?」

憧「え!?」

穏乃「暗号を解けなかったんだし3つ目のプレゼントは貰えなくてもいいから、せめて答えだけ! ね?」

憧(無理むりむりむり!!)

憧(じっ、自分の口からプレゼントは私って暴露するだなんて、そんなの絶対無理! 恥ずか死ぬ!)

[テーマ:暗号その5]



穏乃「お願い憧ー!」

憧「うっ……」

穏乃「暗号の答えを教えて!」

憧「あ、暗号の答えは……」

穏乃「うん!」

憧「答えは、その……」

穏乃「うんうん!」

憧「わ、わた、わた……」

穏乃「わた?」

憧「わ、私も忘れちゃった!」

穏乃「ええー!?」

憧(あたしの大バカー!)

投下終わり!
遅くなって本当ごめんなさい
しず誕生日おめでとう

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