モバP「行間の月」(57)

モバマスSSです。

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ちひろ「それじゃ、お先に失礼しますね」

P「えぇ、お疲れ様です」

菜々「あ、ナナも帰りますね。お疲れ様でーす」

楓「それじゃ、私も。お疲れ様でした」

P「お疲れ様でした」

周子「ん?まだPさん仕事してんの?」

P「あぁ、ちょっとやっておきたくてな」

周子「ふーん。それって時間かかりそう?」

P「どのくらいって言えないなぁ」

周子「分かった。ありがと」

美嘉「あ、周子。今日家行っていい?」

周子「いいけど…どうかした?」

美嘉「いや、何となく話したいなぁって思って…ダメ?」

周子「まぁいいけど。ほら、杏行くよ」

杏「んあー。帰るのも億劫なんだよなぁ」

周子「いや、帰らないと寝れないでしょうに」

杏「まぁそうだけどねぇ…」

P「杏、ほれ、飴やるから」

杏「ん。まぁ、しょうがないか。それじゃあね」

P「おう、お疲れ様」

前回、日にちが経ってから書きましたが、ネタは以下のようになってます。

最近のものだと…、
『石の下の蛇』 は、宇治拾遺物語巻第四
            
『瑠璃柳の約』 は、雨月物語
            
『殺生石』 は、能の演目
            
『流し雛』 は、実際に行われている行事と、その伝説から。
            
『幻想の魔王』 は、中国の魏書から。
            
『凡の才能』 は、源氏物語 桐壷から。です。

P「…ふぅ。こんなもんかな」

P(こうして見ると、最近、皆頑張ってるよなぁ…)

P「俺も頑張らないとな。さて、お茶でも淹れて休憩するか」

P(ちょっといいお茶でも淹れてみようかな……ん?)

P「忘れ物か?」

P(まぁ、ウチのアイドルの誰かのだろうけど…)

P「名前くらい書いとけよ…」

P(Diaryって書いてあるから日記なのは間違いなさそうなんだけどなぁ…)

P「…もしかして、蘭子が自分の設定でも書いてるのか?」

P「とりあえず、地面に置いておいたら気になるから、お茶淹れてから、持っていくか」



P「よし、こんなもんでいいか」

P(意外に俺でも上手くお茶が淹れられたな。今度、幸子にでも飲ませてやろう)

P「さて…これが誰のなんだろう」

P(じっくり読んだら可哀想だからパラパラと)パラパラ

P「なんだ?ところどころ濡れて紙質が変わってるな」

P「とりあえず、蘭子の物じゃないなぁ」

P(カタカナが殆ど出てなかったから)

P「字も綺麗だし、楓さんとかかな…?いや、あの人が書くかなぁ」

P(絶対小学校の宿題で出た夏休みの日記とかまとめて最終日に書きそうだし…)

P「まぁ、明日皆に聞い――ん?」

P(俺の名前?)

P(凄い気になる…)

P「ごめん。ちょっとだけ…」チラッ

?『今日もアルバイトだけして帰ってきた。ポストを開けると封筒が来ていたので開けてみると不採用通知だった』

?『ちゃんと、不採用って言ってくれるだけ良い所かもしれないけど、それでも嫌だなぁ…』

?『自分に価値がないと言われているようで』

P「デビューする前の話かな?」

?『今日もまたテレビを見るだけの生活。正直悲しい。画面の中が眩しい』

P「…もう、読むのを止めよう」

P(これは見ちゃいけないものだな)

P「えーと、俺の机にでも…」

ガチャ

菜々「…す、すみません」ソー

P「ん?どうした?」

菜々「い、いえ、忘れ物を…あーっ!」

P「な、なんだ?」ビクッ

菜々「そ、それ…」ワナワナ

P「あぁ、これな。落ちてたから机にでも置いておこうと」

菜々「…見ましたね?」

P「全部は…見てないです」

菜々「ってことは…」

P「まぁ、少しは見たかな」

菜々「ど、どっち側ですか?最近ですか、昔ですか?」

P「昔…かな?」

菜々「……それなら、まだいいです。いえ、全然よくないんですけどねっ」

P「すみませんでした」

菜々「い、いえ、よく考えると忘れた菜々が悪いんですから。そこまで気にしないで下さい」

P「ならいいけど…」

菜々「まだ、お仕事してるんですか?」

P「あぁ、ちょっと終わらなくてさ」

菜々「私達の為に、いつもお疲れ様です」

P「いえいえ。こちらこそ」

菜々「ふふっ。Pさんならそう言うと思ってましたよ」

P「あれ?帰らないんですか?」

菜々「もう少ししたら帰りますよ。ちょっと走ってきて疲れちゃいました」フゥ

P「お茶でも飲みますか?」

菜々「あ、ありがとうございまーす」

P「いえいえ。俺一人で飲むには少し多い気がしてたんで丁度いいです」

P「はい。どうぞ」

菜々「あ、ありがとうございます」

P「そう言えば、それって日記ですか?」

菜々「えっ。えぇ、そうですよ。蘭子ちゃんみたいに色々な魔術が書いてあるノートじゃありませんよ」

P「ウサミン星の設定は?」

菜々「それは、べ…オホンっ!そんな物はありませんよ!」

P「そうですか。それは失礼しました」

菜々「全くですっ!」

P「あ、そう言えば、その日記を読んでいて思い出したんですけど」

菜々「は、はい。って言うか、そんなに読んだんですか?」ジー

P「いえ、1.2ページくらいですけど…」

菜々「それで、何を思い出したんですか?」

P「彦星って見つけられましたか?」

菜々「ぶっ…!な、なにをいきなり言い出すんですか」ゴホゴホ

P「大丈夫ですか?」

菜々「は、はい。平気ですけど、そ、それよりもいきなりなんですか」

P「いや、ちょっとスカウトした時のことを思い出しまして…」

菜々「懐かしいですねぇ…」

P「それで、どうなんですか?」

菜々「え?あ、そうですね、どうなんでしょう。あはは…」

P「アイドルに恋愛はご法度ですからね。特に今は大事な時期なんですから」

菜々「分かってますよっ」

菜々(この分じゃ、当分無理だなぁ…)アハハ

菜々「そう言えば、Pさんは日記とか付けてないんですか?」

P「日記?うーん書いてないですねぇ。仕事の日誌とかなら書いてるんですけどさ」

菜々「それは、お仕事だからじゃないですか。プライベートな奴ですよ」

P「書いてないなぁ…」

菜々「それは残念です」

P「そうですか?」

菜々「だって、そしたら、Pさんがその時々で何を考えていたか分かるじゃないですか」

P「見る気マンマンなんですね…」

菜々「いいじゃないですかっ。人の日記見たんですから」

P「まぁ、確かにそうですけど…」

菜々「それじゃ、書き始めたら教えて下さいね」

P「書き始めることがあればですよ…」

P「……」カタカタ

菜々「…ウーサミン♪」

P「うーん……」ズズッ

菜々「……」ペラッ

P「……! あ、これで」カタカタ

菜々「……あの」

P「はい。なんですか? もう帰りますか?」

菜々「あ、はい。そろそろ…じゃなくてですね。一つ聞いていいですか?」

P「はい。どうぞ」

菜々「日記読んでどうでした?」

P「どうでしたって…。感想ですか?」

菜々「ま、まぁ、人様に見せるものじゃないんで字もヘタクソなんですけど」

P「字綺麗でしたよ?」

菜々「あ、そうですか?ありがとうございます」

P「そうですねぇ…」

菜々「は、はい…」ゴクッ

http://i.imgur.com/9fFMbtW.jpg
http://i.imgur.com/WyYXOCu.jpg
安部菜々(17?)

http://i.imgur.com/510iLOa.jpg
http://i.imgur.com/xVTvef5.jpg
高垣楓(25)

http://i.imgur.com/9MRAonY.jpg
http://i.imgur.com/zoSXgiM.jpg
塩見周子(18)

http://i.imgur.com/dC3bKcm.jpg
http://i.imgur.com/yRLkkOv.jpg
双葉杏(17)


P「申し訳ないなと思いました」

菜々「は、はい?」」

P「いや、あんなこと考えてるなんて思ってなくてですね」

菜々「え、いや、なにを読んだんですか…?」

P「もっと早く会っていれば、オーディションで落ちたことでノートを濡らさずに済んだかと思うと胸が痛くてですね」

菜々「え、いや、そういう…」

P「あの日、車で偶然会えたのは神の示し合せじゃないかと思いますよ」

菜々「そ、そこまでは言い過ぎですって…」

P「そうですかね?あ、俺の仕事が終わりました。それじゃ帰りましょうか」

菜々「あ、はい」

P「送っていきますよ」

菜々「え、でも…」

P「大丈夫ですよ。電車で一時間程度の距離なら」

菜々「ぐっ……!お、お願いします」

P「えぇ、帰りましょうか」

>>14
画像ありがとうございます。

車内

P「最近、忙しいですね」

菜々「そうですか?」

P「仕事とレッスンをさっき確認していたんですけど、結構入ってるんですよね」

菜々「ナナはそう思わないですけどねぇ」

P「それならいいですけど」

菜々「はい☆」

P「これ、俺のスタドリですけど飲みますか?」

菜々「車にまで常備してるんですか…?」

P「えぇ、アイドル達を送った後に、気合い入れる為に一杯飲んだりとか。あ、秘密ですよ。そんなこと知ったら絶対あいつらに怒られますからね」

菜々「ナナには喋っていいんですか…」

P「まぁ、菜々さんならいいかなって」

菜々「なんでですか?」

P「同じだからですよ」

菜々「何がですか?」

P「俺も好きでやってるんで。好きなことをしてると疲れませんよね」

菜々「Pさんは凄いですね。尊敬しますよ」

P「はは。ありがとうございます」

菜々「…こ、こういう時は頭でも撫でてあげちゃえばいいんですかね…?」チラッ

P「俺に聞かないで下さいよ。あと、運転に支障出そうなんで止めて下さいね」

菜々「分かりました」

菜々(でも、Pさんとナナってそこまで同じじゃないと思うんだけどなぁ…)

菜々「そう言えば、Pさんは明日も朝からお仕事ですか?」

P「えぇ、いつも通りです」

菜々「そうなんですね」

P「それが何か?」

菜々「あ、いえ、何かあったわけじゃないんですけどね」

菜々「Pさんは憧れとかありますか?」

P「憧れ…?」

菜々「あ、深くは考えなくていいんですけど、ちょっとPさん自身の話も聞いてみたいなぁって」

P「そうですねぇ…。そんなカッコいいことは言えないんですけど…」

菜々「全然、カッコつけなくていいですよ」

P「憧れって言いますか、この業界に入った時に自分がプロデュースした子をトップアイドルにしたいなぁって思いました」

菜々「それが、Pさんの憧れですか?」

P「うーん、自分で言ってて、ちょっと違うかなって思ってきましたね」

菜々「そうなんですか?」

P「はい。それは目標なんですよ。俺の憧れは菜々さんと同じで…アイドルです」

菜々「は、はいっ!?」

P「そんなに大きな声を出さないで下さいよ。耳が痛いです」キーン

菜々「あ、すみません。で、でもどうして?」

P「だって、あんな照明の中で、大勢のお客さんの前で頑張ってる姿見たら、そりゃ、そうなりますよ」

菜々「そ、そんな…」

P「別に才能に胡坐を掻くわけでもなく、ちゃんとレッスンしてる所も見てますから憧れない方がおかしいですって」

菜々「そ、そうですかね。褒められて悪い気はしないですよっ。それに、ナナはそこまで才能があるわけじゃないですし、頑張らなきゃ皆に付いていけないんで。あはは…」カァァ

P「どうやっても俺には出来ないことをやっているわけですからね」

菜々「いっそデビューしちゃいますか?」

P「ははは。ご冗談を」

P「それじゃ、お疲れ様でした」

菜々「はい。わざわざありがとうございますねー」

P「えぇ、明日も予定はあるんで早く寝て下さいね」

菜々「ナナは子供じゃないから平気ですよー。JKですからー」

P「はい。そうですね。それじゃ、また」

菜々「…一緒じゃ、ないですよ。ナナはPさんみたく強くないです」

菜々「あ、でも、ナナの憧れとPさんの憧れがどっちもアイドルだったのは嬉しかったなぁ…」

菜々「と言うか…多分Pさんは何か勘違いしてるみたいですね」

菜々(辛いって書いたページで涙を流してはないですよっ!もう…)

菜々「こっちを見られてたら恥ずかしくて倒れてたなぁ…」ペラッ

菜々(最近の日記も読まれても困りますけど…)

菜々「あー、今夜は月が綺麗ですよ全く…」

菜々『今日は初めて、自分を見てくれる人が現れた。こんな私を。私を蜘蛛の糸のように引っ張ってくれた。眩しい世界に』

菜々『名前はPさんと言うらしい。思いが届いた。私の――』

菜々「アイドルって楽しいなぁ…」

菜々(楽しすぎてヤバい。えへへ…)

続きは今日の夜にでも更新したいと思います。
それでは、一度ここで失礼します。

蜘蛛の糸だとPがお釈迦様で菜々さんがカンダタのポジみたいだな

再開します。
>>23 流石にそこまではいかないですけどね。

車内

P「えーと、明日の予定はと…」ピロリロリーン

P「ん?この音はメールか」

P「後で見るとしよう」

P宅

P「そう言えば、周子の部屋に美嘉が遊びに行くとか言ってたけど、もう帰ったのかな?」

P「無事に帰ってくれればそれでいいけど」

P「杏は…まぁ、平気だろ。明日の朝くらい車に乗っけてやろうかな」

P「あ、そう言えば、メール。誰かな……頼子?」

頼子『夜分に失礼します。明日の朝、お手空きでしょうか?』

P「なんだろう…。聞いてみるか」

ピロリロリーン

P「早いな。えーと…」

頼子『本を買いたいのですが、中々重く、持って歩き回るのは…』

P「あぁ、なるほど。理解した。いいぞっと…」

頼子『ありがとうございます。それでは、事務所前、八時半に集合と言うことでお願いします。おやすみなさい』

P「八時半ってやけに早いな」

P(俺の仕事に被らないようにしてくれたのか?)

P「この分だと杏を連れていくのは可哀想だな」

P(自分で来て貰うか…。ポストの中に飴を袋で入れておこう)

翌日

P「えーと、まだかな…?」キョロキョロ

頼子「あ、おはよう…ございます」

P「おぉ、頼子おはよう」

頼子「はい。わざわざ、すみません」

P「いや、別にいいよ。それで、どこで本を買うんだ?車出すか?」

頼子「あ…そこなので歩きで…平気です」

P「お、そうか。それじゃ、朝の散歩がてら行こうか」

頼子「…は、はい」

P「それで、何買おうとしてるんだ?」

頼子「えーと…。古典の本です」

P「頼子らしいな」

頼子「私らしい…ですか?」

P「あぁ。俺と話すきっかけも源氏物語だったじゃないか」

頼子「…!覚えててくれたんですね…」ニコッ

P「当たり前だろ」

頼子「当たり前。当たり前ですか…ふふっ。ありがとうございます」

頼子「ここです」

P「あ、ここ…」

頼子「はい。ここです」

P(前に頼子と会った本屋か)

P「それにしてもなんでこんな早く…?」

頼子「それは…」

店員「あ…おはようございます」

P「あれ?男の人じゃ…?」

店員「あ、叔父はですね…まだ寝ています。呼んできますか?」

P「い、いえ…別に構いませんよ」

店員「そう、ですか…」

頼子「おはようございます」

店員「あ、古澤さん。あの本ですね」

頼子「えぇ、お願いします」

店員「はい。…ちょっと待っててください」

P「なぁ」

頼子「はい?」

P「今の人、知り合いか?」

頼子「この間、ここに来た時に…偶然会ったんです」

P「この間一人で帰った時か?」

頼子「えぇ」

P「年も近そうだな」

頼子「はい…。大学生らしいです。ここの近くに…大学があるらしいですよ」

P「へぇ、なるほどな。ちょっと手伝ってくるな」

頼子「何をですか…?」

P「頼子が持てないってことはあの子も持てないだろ?」

頼子「確かにそうですね…。いってらっしゃい」

P「あ、すみません」

店員「は、はい?」フラフラ

P「お手伝いしますよ、重いですよね?」

店員「あ、そ、それでは…お願い…します」

P「はい」

P(大学の図書館で見たような本の厚さだな…)

店員「あ、その…ありがとうございます」ペコリ

P「いえいえ。それじゃ行きますか」

頼子「…余計なことはしてない…ですよね?」

P「余計なこと?」

頼子「えぇ…」

P「例えば?」

頼子「…アイドルにスカウトとか」

P「してないよ」

頼子「なら…いいですけど」ホッ

店員「あ、これお茶です」

P「ありがとうございます」

頼子「ありがとう…ございます」

店員「い、いえ…そんなことは。…ただのお礼ですし」

P「店員さんもどうぞ」

店員「あ、それでは…。失礼します」

店員「……」ジー

P「…何か?」

店員「あっ、いえ、その…古澤さんが言ってた方…なのかなぁ…って」

P「頼子が…」

頼子「あ…」

店員「いえ…別に。今度連れてきますと…言っていたので」

P「そうなんですか…」

頼子「あ、Pさん…突然ですけど、一ついいですか?」

P「どうした?」


頼子「頼めしを、なほや待つべき霜枯れし。梅をも春は忘れざりけり。って意味分かりますか?」


P「…美術館いつか行こうな」

頼子「えぇ、早い内に行きましょうね」ニコッ

店員「わぁ…」パチパチ

P「あー、でも。この場合は…えーと」

店員「なほ頼め、梅の立ち枝は、契りおかぬ思ひのほかの人も訪ふなり。が正しい答えですね」

P「そうでした」

店員「更級日記ですね。そちらは文学部の方ですか?」

P「俺ですか?いえ、違いますよ」

店員「そうなんですか?えーと…」

P「どうかしましたか?」

店員「古澤さんと…どういう間柄かなと思いまして…。もしかして…恋仲でしょうか?」ポッ

P「いや、そういうわけでは…」

頼子「そうですね。そういう間柄ではありません。まだ」

店員「それは…失礼しました」ペコリ

P「そう言えば、さっき更級日記って言ったけど何がですか?」

店員「あ。はい。古澤さんが仰った短歌は更級日記の主人公が言ったセリフですよ」

P「あ、そうなんですか。約束をいつ果たすんですかって意味だと覚えていたんですが…」

店員「はい。その通り…ですね。花がまた花をつける頃には約束を果たすと言ったのに。もう過ぎてしまいました。花は咲くのを忘れなかったのに。という言葉です」

P「なんか聞きようによっては怖いですね」

頼子「皮肉にでも聞こえましたか?」

P「まぁ…」

頼子「安心して…下さい。そこまで…じゃないですから」

P「少し怖いなぁ」

店員「えーと…、お連れの方も本は好きなんですか?」

P「えぇ、好きですよ」

店員「少し…羨ましいです。…古澤さんが」

頼子「私が…ですか?」

店員「…はい。私は…そういう知り合いも…いないので」

店員「あ、話すのが得意…という訳じゃない…ですけど」

P「それでしたら、俺や頼子がここに来ますよ」

店員「え、でも…」

頼子「実は…この人は、すぐ近くに職場が…あるんですよ」

店員「そうなんですか?」

P「えぇ、ここまで歩いて来ました。…まぁ、俺より頼子とかと話す方が話が弾むだろうけど、暇があれば顔を出せるようにしますよ」

頼子「あなたに…そんな余裕があるとは思えない…ですけどね」

P「まぁ、確かに…そうかもしれないな」

店員「お待ちしていますね。あっ!」

P「どうかしました?」

店員「大学に行く時間を過ぎてました…」カァァ

P「時間…はっ!マズい!頼子!この本は事務所に置いておくからなっ!」

頼子「あ…はい」

P「それじゃっ!」

店員「賑やかな方でしたね」

頼子「いつもは…そこまでじゃないんですけど…ね」
店員「でも、不思議な…方です」

頼子「そこは否定しません…」

店員「あ、古澤さん」

頼子「なんですか…?」

店員「学校は?」

頼子「……あ」

店員「なら、仲良く…お茶でも飲みますか」

頼子「はい…。ありがとうございます。…お代わり頂けますか?」ニコッ

事務所

P「おはようございますっ!」

ちひろ「あ、おはようございます。随分とゆっくりな出勤ですね」

P「いや、下にはいたんですけど…」

ちひろ「下にはいたんですか?」

P「まぁ、いましたけどふらふらと」

ちひろ「蝶々追っかけてる場合じゃないですよ。ほら、今日も仕事ですよっ!」

P「そうですね。頑張ります」

http://i.imgur.com/q65nzbh.jpg
http://i.imgur.com/eV5qiDK.jpg
古澤頼子(17)

ちひろ「そう言えば、昨日は先に帰ってしまってすみません」

P「いえ、別に構いませんって」

ちひろ「だから今日は私も頑張りますよ」

P「二人でやればその分早いですもんね」

ちひろ「そうですよね」

カタカタカタ


P「そっちはどうですか?」

ちひろ「あと、少しですかね。そっちは終わりましたか?」

P「はい。おかげ様で。あとは個別にアイドル達に聞かないといけないですね」

ちひろ「そうですか。お疲れ様です。今日は早いけどもう終わりにしますか」

P「そうですね。それじゃ――ん?電話?」

P「はい。Pですが」

菜々『あ、ナナです。お仕事お疲れ様です』

P「あ、お疲れ様です。どうしました」

菜々『い、今ですね。ウサミン星から電波を受信したんですよっ!』

P「は、はぁ…」

菜々『な、信じてませんね。ナナにビビッと来たんですよ。彦星の電波をキャッチしました』

P「ふむふむ」

菜々『彦星はですね、ナナの近くにいるそうなんです』

P「なるほど」

菜々『でも、彦星さんは鈍感で大変だという情報も同時に来ました』

P「大変ですね」

菜々『ですから、ナナは考えました』

P(珍しく熱が篭った話し方だ)

菜々『彼のも――』

幸子「お疲れ様ですっ!」バタンッ

卯月「幸子ちゃん元気だねぇ」

P「お、お疲れ様」

P「あ、菜々さんすみません。さっきなんて…」

菜々『勿論、ナナはアイドルですからそこら辺は弁えますけど…ってなんですか?』

P「あ、いや、今聞こえなかったんですよ」

菜々『う、ううううー!そ、それじゃ、なんでもないですっ!それじゃ、お疲れ様ですっ!』ガチャ

P「一体なんだったんだろう…」

P(話からすると…スキャンダルとかではなさそうだけど)

P「いや、でも、うーん…?」

P(蘭子みたいに設定を教えてくれたのか?)

幸子「あのーもしかして大事なお話中でしたか…?」サー

卯月「ご、ごめんなさいっ!」

P「いや、菜々さんだけど…」

卯月「後で謝っておかなきゃ…」

幸子「そ、そうですね…」

ウサミン星?

菜々「あー、もうPさんってばぁ!」ボフッ

菜々(もう一回は言えないなぁ…)

菜々「子安貝のように難しくてもナナはやってみせますよ」

菜々「だって、ナナはウサミン星からやってきたアイドルですからっ!」キャハ

菜々(あ、でも、あとでちょっと訂正いれる為に電話しておこう…)


菜々『――ナナは考えました。目標を共に達成することが出来たら、一人の女の子としてその人の前に立てると思います』

菜々『だから、待ってて下さいね。Pさんっ☆』

終わりです。

画像貼ってくれた方、読んで下さった方ありがとうございます。

今回は更級日記を参考にしています。

http://i.imgur.com/CXj2xtC.jpg
http://i.imgur.com/HL1u019.jpg
輿水幸子(14)

http://i.imgur.com/6hOZIC4.jpg
http://i.imgur.com/U2f2v3s.jpg
島村卯月(17)

もしかしたら、知りたい人がいるかもしれないので引用した部分のみの簡単な解説です。

※意訳を含みます。

『更級日記』

田舎に住んでいた主人公は、歌や踊りが上手い、いわゆる煌びやかな物や、家族に聞かされる源氏物語に憧れていました。

暫くして、継母と別れることになり、継母は花を指差してこの花が咲く頃にまた来ますと言いました。

しかし、幾度待っても継母は来ず、主人公は文中のような言葉を送ります。

そして、疫病による不幸が重なり、失意のどん底にいる時に母が慰めようとして源氏物語を聞かせる。

でも、聞くだけでは満足出来ず、続きを知りたいと神様に祈った。

その時、思いもがけない出来事が起きて、願いが叶う。

それから主人公は疲れを感じることもなく昼夜も関係なく物語を読み進めました。

自分は、器量も良くない、他人と比べて何かに秀でてる訳ではないきっと、物語のヒロインになれると信じながら。

現在、誰を書いてないか書き出しながら書いていますので、出し忘れたまま終わることはないです。

ただ、順番は、話を思いつくかどうかなので順不同です。すみません。

これからもよろしくお願いします。

おつ
古書店の店員って言われて鷺澤さんに結びつかなかったわ

このシリーズで誰が所属してて、誰が所属してないかがわからなくなってきた

おはようございます。
>>55
そうですね。ちょっと自分も確認の為にここで挙げておきます。

・城ケ崎美嘉

・城ケ崎莉嘉

・輿水幸子

・高垣楓

・安部菜々

・塩見周子

・古澤頼子

・岡崎泰葉

・双葉杏

・相葉夕美

・神崎蘭子

・島村卯月

それと…渋谷凛?

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