弓使い「勇者……私が?」(317)

王様「たった今から勇者と名乗れ」

弓使い「ちょっと話が理解出来ません」

弓使い「それに……辺境の地に何故王様が……?」

王様「はははっ……」

王様「私とした事が情けない」

王様「山の向こうにもう一つの首都を作って助かった」

王様「これからこの地域は魔界になる」

弓使い「一体何が……!?」

弓使い「状況が理解出来ません!」

王様「理由は私も分からないが……一つ分かるのは、創作と同じ類の化け物が山を隔てた世界半分を支配していると言う事だ」

王様「村長の孫は兵士に避難させてある」

少年「……」

王様「現在この世界最強のお前に化け物の殲滅を頼むしか無い」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372003594

弓使い「山の向こうは魔法の類が……成程」

王様「そうだ、きっと力になる」

弓使い「分かりました。山越えをしましょう」

王様「馬は連れてある」

馬「ヒヒーン!」

弓使い「はは、また会ったな」

少年「行こう」

弓使い「随分見ない間にたくましくなったな少年」

王様「相変わらず女っぽいだろう?」

弓使い「それが良いのです」

少年「行こう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後、世界を隔てる山、頂上。

弓使い「辿り着いた……」

王様「後は下るだけだな」

少年「二人ともおかしい……」ゼーハーゼーハー

王様「やわだな、情けない」

弓使い「行きましょ……ッ!?」

少年「これは」

弓使い「ちっ」

王様「もう来たか」

魔物の大群「ゲゲゲゲ」

弓使い「……」ヒュンヒュヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

ギャー!!!

魔物の大群「ゲゲゲゲ」

弓使い「駄目だ、減らない」

王様「魔物……か」

王様「私が原因を作ったのかも知れないな」チャキ

王様「先に行っていろ、時間を稼いでやる」

弓使い「いけません!世界の王である貴方が……!」

王様「安心しろ、東奔西走してでも生きてみせるさ」グググ

少年「そんな……!」

弓使い「少年、馬で駆け降りるぞ……命懸けだ」

少年「だけど!」

弓使い「行くぞ!」

王様「早くいけぇ!!」

王様「はあぁぁぁ!」ダッ

弓使い「行くぞ」ダッ

少年「……」ダッ

王様「……行ったか」

ズシュ

ブスッ

王様「生きろ……少年、弓使い」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

弓使い「はぁぁ!」

パカラッ

少年「くっ……!」

パカラッ

馬「ヒヒーン!!」ズシャァァ

弓使い・少年「しまっ!」

弓使い「馬がいきなり止まったから……」

少年「飛ばされ……!」

弓使い「ぐぅぅぅ……」

意識が……

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーー



「おい!生きてるぞ!運べ!」

「話に聞いた勇者様だ!!」

医術士のやつの続きか?

大陸奥、城、医務室。

弓使い「はっ!」ガバッ

少年「良かった」ギュツ

弓使い「ああ……そうか……王様は……」

弓使い「分かった」

弓使い「意思を継ごう」

弓使い「私は勇者だ」

勇者「戦いに挑むぞ少年」

これから詳しい状況説明をして行きます。

このスレは
医術士「東奔西走!!皆を癒しちゃうよ!!」
医術士「東奔西走!!皆を癒しちゃうよ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369322445/)
の続編です。

今日の分は終わりです。

>>4
実力不足ですが、続きです。

勇者「王様の安否も気になるが、今はこの世界の代理の王に対面をする事が優先だな」

少年「待って」

少年「誰が戦うの?」

勇者「私と」

勇者「しょう……」

少年「やだ」

勇者「おい」

少年「痛いの嫌い」

勇者「ゆとりかおのれは」ギリギリ

少年「でも、頑張る」

勇者「ふん」ナデナデ

少年「かゆい」クシャクシャ

王の間。

代理王「良かった……生きていたか」

勇者「救助のおかげで助かりました」

代理王「気にしないで良い、私は王様からの命令をこなしただけだ」

少年「……」

勇者「なぜこのような騒ぎに……」

代理王「私にも分からない」

代理王「どうやら勇者が辺境の地を探索していた時に魔物と言う化け物が王国を占拠し、山の向こう……」

代理王「東の大陸を支配したらしい」

勇者「ほう……」

代理王「中には知能を持った魔物も居るそうだ」

勇者「勝てるのでしょうか……」

代理王「国でも実力者を掻き集めたりしているよ」

代理王「魔物と戦える者、役に立たない者」

代理王「周辺の魔物狩りや、討伐部隊として東の大陸に向かわせたりしているよ」

代理王「勇者もこれから意思を同じとしている者に沢山出会うかも知れないな」

勇者「周辺にも魔物が……?」

代理王「東の大陸と比べると脆弱だけど、魔物は居るよ」

勇者「一つ聞きたい事が……」

代理王「?」

勇者「魔法について」

代理王「そうだな……」

代理王「大臣、来てくれ」

大臣「はっ」

代理王「魔法を見せてくれ」

大臣「どの魔法を見せればよろしいでしょうか?」

代理王「そうだな……火の玉が出る奴で頼む」

大臣「はっ」

大臣「……」キィィィィン

大臣「よろしいでしょうか?」ゴオオォ

勇者「なんと……」

勇者「私達の地域には無かったぞ……」

大臣「最近、急速に普及した技術です。始まりは不明ですが、恐らくは突発的な物かと……ッ!」

少年「……」ゴオオォ

勇者「な!」

少年「出来た」ゴオオォ

大臣「なんと……!」

代理王「天才と言う奴か」

弓使い「偉いぞ少年、後で抱き締めてやる」

少年「寝てる時に来たら魔法使う事にする」

今日の分は終わりです

代理王「ふむ……こんなに早く魔法をつかえるなんて……」

大臣「勇者の先は明るそうですね」

勇者「よし……そろそろ行くぞ少年」

少年「分かった」

勇者「では」スッ

代理王「手を差し出して……どうした?」

勇者「え?」

少年「?」

代理王「どうしたのだ?」

勇者「嫌……旅の資金を……」

代理王「無い」

勇者「あ?」

少年「シケてる……」

城の外、草原。

勇者「はぁ……少ししか金を貰えなかったな」

少年「お金が無いだって」

勇者「魔物を倒せば金が手にはいるか……」

少年「詐欺の可能性があるから気を付けて」

勇者「よし、とりあえず、近場の魔物を……居た」

魔物「ピキーピキー」

少年「ドロドロしていて弱そう」

勇者「はっ!」ヒュン

魔物「ピキャー!!」ブス

魔物「」

少年「弱いね」

勇者「落とす金も微々たる物だな」

勇者「お前も戦え」

少年「え」

勇者「丁度良さそうな相手が……居た」

巨大な狼「グルルルルルルル!!」

少年「待ってください」

勇者「早く戦え少年。生きる為には闘争を制するしか無い」

少年「あれは違う。どう見ても闘争を制して来た風貌をしている」

少年「どう見ても他に居る魔物とレベルが違う」

勇者「骨は拾ってやる」

少年「絶対骨すらも残らない」

勇者「この辺りの主と戦えるなんて運が良いな」

少年「常識的に言うと運が悪い」

勇者「早く行け!」ゲシッ

少年「あたっ」ゴロッ

ゴロゴロ

少年「いたた……」スリスリ

巨大な狼「ハァハァッ!!」ダラダラ

少年「……」ピチャ

巨大な狼「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

少年「あ……」

積んだ。

巨大な狼「ガァ!!」ズシャァ!!!

少年「くっ!」サッ

ズウウウン

少年「地面を叩いただけで……」タタッ

弓使い「さて……」

お手並み拝見だな。

王様直々の訓練を受けてどこまで強くなったか……

一年の成果を見せてもらうぞ。

少年「どうすれば……」チャキ

弓使い「構えも王様そっくりだな」

巨大な狼「ガアアァァァァ!!!」ダダダ

カブッ

少年「……」サッ

巨大な狼「グルルルル!!」シュウウウ

巨大な狼「ガアアァァァァ!!!」ダダダ

少年「はぁ!」

少年は巨大な狼の突進を避け、右前足に剣を突き立てる!

ズシャ

巨大な狼「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」ブンッ!!!

痛みに耐えかねた巨大な狼の左前足が少年を襲う。

少年「!」

しまっ……

 威力の高い引っ掻きが少年の身体に大きな切り傷を負わせる。

少年「ぐぁっ……」

少年「……!」

 追撃。

少年「やられてたまるか……」

ズシャ

 執拗に襲いかかる爪を少年が切り落とす。

ポト

少年「!」ダッ

 巨大な狼のわき腹に全力で回り込む。

少年「くらえ!」ズシャッ!!!

 少年の剣により、巨大な狼の隙だらけのわき腹は大きな切り傷を負わせられた。

巨大な狼「ギャオオオオ!!!」

少年「しまっ……」フラッ

少年「血が……」

少年「フラフラ……する」ガクッ

巨大な狼「ギャオオオオ!!!!」ブンッ!!!

弓使い「おっと」ガシッ

弓使い「勝負はお預けだな」

翌日、代理王国、宿屋。

少年「……ぅ」

少年「ーーはっ」ガバッ

少年「ここは……ベッドの上」キョロキョロ

少年「弓使い?」

弓使い「う……うぅ……」ギュー

少年「ねえ、起きて」ユサユサ

弓使い「んっ……」タプッ

少年「絶対起きたでしょ」ユサユサ

弓使い「あぁ……おはよう」ゴシゴシ

弓使い「とても強くなったな」ギュッ

少年「結局負けたよ」

弓使い「感動したぞ」ムニュ

少年「あれ……」

弓使い「無視か貴様」

少年「傷が無い」

弓使い「ああ……それについては後で教えよう」

少年「普通は今教えるでしょ」

今日の分は終わりです

協会。

少年「どうして協会に?」

弓使い「まぁ待ってろ」

神父「おや、元気になりましたか」

弓使い「この少年がどうやって自分が助かったか見たいらしい」

神父「ははは、おやすい御用ですよ」スッ

少年「……」

腕を出した……



神父「半年前に王様から全世界の協会に支給された物です」

神父「この腕は回復魔法が使えない者でも使えるようにする優れた物です」

少年「じゃあ」

神父「はい、これで治しました」

弓使い「便利な世の中になったな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

草原。

弓使い「さて……これからどうする?」ニッ

少年「決まってる」

弓使い「ふふっ」

少年「もう一度挑戦する」

翌日、代理王国、酒場。

少年「……」

勇者「昨日は凄かったな」

少年「ありがと」

勇者「……」

勇者「さて」

少年「何しにここへ?」

勇者「新しい仲間を募集する為だ」

酒場の主「噂の勇者様かい?」

勇者「ああ、そうだ」

酒場の主「旅の仲間を探しているのかい?」

勇者「二人では心許ないからな、僧侶を探している」

酒場の主「僧侶か……人を治す事が出来る僧侶は人気だから常に少ないんだ」パラッ

酒場の主「今日は僧侶が居るかどうか」ペラペラ

酒場の主「ああ……残念。居ないよ」

勇者「しかし、それでは魔物を殲滅する事が……」

少年「居る」スッ

酒場の主「居ないよ……冗談はやめてく……」

僧侶「……」

酒場の主「ああ、あの女はやめた方がいいよ」

勇者「何故だ?」

酒場の主「理由は簡単だよ、彼女は回復魔法がまだ使えないんだ」

酒場の主「貴族の娘とかなんとか言うけっ……!」バチコーン

酒場の主「あだっ」ヒリヒリ

僧侶「おほほ、失礼。手が滑ってしまいましたわ♡」ウフフ

少年「怖い」

弓使い「手加減抜きでコインをぶつけたな」

酒場の主「ほら!凶暴な癖に回復魔法が使えないんだ!やめた方が良いよ!」

ドゴオ

酒場の主「ガハァッッ!」

僧侶「申し訳無いですわ……足が鳩尾に直撃してしまいして☆」

勇者「ドレスを着ているのにあの威力……嫌、ドレスがぴったりなのか」

勇者「回復魔法が使えないのか……」

僧侶「!」キュピーン

シュッ

勇者「鋭いな」パシッ

僧侶「私のハイキックを止めるとは……やりますわね」グヌヌ

少年「この中だと絶対二番目に強い」

僧侶「当然ですわ!」

少年「あう」タジッ

勇者「どの程度まで回復させる事が出来るんだ?」

僧侶「軽い切り傷程度なら……」

勇者「ふむ」

あらゆる面において才能が溢れているように見えるが……

勇者「よし」パッ

僧侶「?」スタッ

勇者「私達の仲間にならないか?」

僧侶「なっ!」

僧侶「ななななななな」

僧侶「仲間!?」

僧侶「回復魔法が使えないこの私を!?」

旅をしたいから酒場に来てはいたけど……回復魔法が使えないから同行すらさせて貰えない私を……?

僧侶「いや……」

少年「この中では一番出来る」

勇者「どうだ?世界を救ってはみないか?」

僧侶「勇者でしたか……」

僧侶「でも……」

少年・勇者「どうする?」

僧侶「……」

勇者「ほら」スッ

僧侶「喜んで」パシッ

今日の分は終わりです

現在のパーティー

勇者(弓使い)
少年
僧侶

勇者「そうと決まれば行くか」

僧侶「ドキドキしてきましたわ……」

少年「これからどうなるんだろう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、森。

勇者「走れ走れ走れ!!!」ダダダ

人面犬の群れ「「「ばぁう!!」」」ダダダ

少年「だから森はやめようって………」ダダダ

僧侶「早速絶対絶命ですわー!」ダダダ

勇者「仕方ない……」ピタッ

僧侶・少年「え……」ピタッ

勇者「戦うぞ!」

少年「馬鹿でしょ」

僧侶「旅を始めて初の戦闘ですわ!」ワクワク

少年「駄目だ、脳筋しかいない」

勇者「ククク……ひき肉にしてやろう」グググ

僧侶「殲滅してさしあげましょう♡」スッッ

少年「どっちが悪者なんだろう」チャキ

人面犬「ガオオオ!」バッ

 人面犬の群れが一斉に飛びかかる!

少年「!」ズバッズシャズバン

人面犬ABC「キャイン!」ドサッ

少年「やっ……やった」

僧侶「はぁ!」ドゴ

人面犬D「ぐぼぁ!」スジャー

僧侶「やぁ!」バキィィィィ

人面犬E「ぐべらぁ!!」ドサァ

僧侶「は!」バキッバキッ

人面犬F「ぶひゃ!びぶひゃ!」ドサッ

僧侶「てやぁ!」ドゴオオオオオオン

人面犬G「ぶぎゃあ!」ズザザザザ

僧侶「くらいなさい!」ドバァァォォァン

人面犬H「ひぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」ドサァァァァ

僧侶「たわいなし!ですわ」

少年「勇者……」クルッ

僧侶「勇者の様子は……」クルッ

勇者「……」

人面犬IJKLMNOPQRSTUVWXYZ「」ピクッピクッ

少年・僧侶「いろいろズルい」

勇者「さて、行くぞ」スタスタ

僧侶「お待ちください」

勇者「?」

僧侶「怪我人が居ます」

少年「怪我した覚えは……」ポタッポタッ

僧侶「少年、怪我していますわよ?」

僧侶「かすり傷程度ですので、すぐ治しますわ」

少年「攻撃も当たってないのに……?」

僧侶「……」コオオォ

シュイン

少年「治った……」

勇者「おお、凄いな」

僧侶「はぁっ……!はぁ!!!つ……かれましたわ」ゼーハーゼーハーゼーハーゼエゼエゼエ

少年「ごめんなさい」

勇者「転職をおすすめします」

今日の分は終わりです

森の外。

勇者「疲れたな」

少年「問題ない」

僧侶「つ……いた……」ゼーハーゼーハーゼーハー

勇者「丁度国があって良かったな」

少年「ノープランだった?」

勇者「嫌。初めの国の事しか聞いていなかった」

勇者「さぁ行くぞ。賢者が産まれた国へ」

初めの国。

少年「国……?」

勇者「何故か国だ」

僧侶「この大陸は整備が中途半端だから、まだ国がありますの」

僧侶「個人的にはもっと早く!王様にこの大陸に散らばる国を解体して欲しかったですわ!」

僧侶「国だからって偉そうにする奴ばっかりでムカつきます!」

僧侶「特に各国の王が!」

勇者「この大陸でも政治改革を進めようとした途端にコレだからな……」

僧侶「私も貴族なんかすぐやめたいのに……」ボソッ

勇者「何か言ったか?」

僧侶「いえ!なんでもありませんわ!」アセアセ

勇者「そうか……とりあえずこの国の王と面会をしよう」

城、王の間。

賢者王「やぁ、勇者。道中お疲れの様だね」

勇者「はい、それなりに」

賢者王「僕も沢山冒険していた時があったからね、君達に出来るだけ助言をしよう」

勇者「はっ」

僧侶「……」ジー

賢者王「むっ」

賢者王「なんだいその目は?僕が13歳だからって馬鹿にしているんだろう?」

僧侶「えっと……どのような冒険を?」

賢者王「あれは八歳の時……」

勇者「ブッ……フォ……!」プルプル

少年「……!」プルプル

僧侶「つ……つ、続き……を」プルプル

賢者王「わーん!!だいじーん!あいつらなかしてよーー!!」ピエーン

大臣「あーよしよし。頑張ったもんねー」ナデナデ

賢者王「ひっく……ひっく……」ギュー

勇者「悪気は決して……」

大臣「大丈夫ですよーいつもの事ですから」ニコニコ

大臣「ほら、チーンしてチーン」スッ

賢者王「んっ……」チーン

大臣「よしよし」ナデナデ

賢者王「本当だもん……」グスッ

大臣「一応本当なんですよー?今は力を失ってるだけで、実はとても凄いんですよ?」

勇者「本当だったんだ……」

今日の分は終わりです

賢者王「僕は嘘をつかないもん」グスッ

勇者「すいませんでした」

大臣「ところで、勇者様達はこの後どうなさるのですか?」

勇者「そうだな……少し滞在した後に次の国か街へ行く事にするよ」

大臣「そうですか。なら、是非この国を楽しんで行ってくださいね」ニコ

勇者「ああ、そうするよ」

僧侶「滞在と言っても何をするのかしら?」

少年「嫌な予感」

勇者「失礼な、周辺の魔物を狩り尽くすだけだ」

僧侶「それなら参加しますわ」

少年「」

翌日、王の間。

勇者「いきなり呼んで……どうなさいましたか?」

大臣「大変です!!賢者王が何者かに攫われました!」

勇者「!」

僧侶「えっ……」

少年「……」

勇者「一刻も早く助ける必要があるな、心当たりは?」

大臣「近辺の山賊か魔物かと……」

勇者「山賊のアジトは?」

大臣「この国からすぐの森です」

少年「前に通った森」

僧侶「人面犬が沢山居ましたわね」

勇者「行くぞ!」


第一章

賢者の王

森。

勇者「賢者王ー!」

僧侶「出て来てくださいましー!」

少年「一体何処に……」

勇者「一瞬でも山賊が現れたら全力で捕まえるぞ」

僧侶「魔物の相手もしないといけないとなると骨が折れますわ」

勇者「……」

僧侶「山賊の癖に森にアジトを作ってるなんて……」

勇者「色々とおかしいな」

勇者「とりあえず国へ戻ろう」

僧侶「腑に落ちないですわ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初めの国、入口。

勇者「どういう事だ?」

兵士「只今部外者の立ち入りを禁止しています」

僧侶「私達は関係者ですわ!」

兵士「只今部外者の立ち入りを禁止しています」

僧侶「なっ……!」

少年「おかしい……」

勇者「旅を再開しよう、私達には関係の無い事だ」

僧侶「そんな……!」

勇者「行くぞ」ザッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夜、初めの国、入口。

勇者「行くぞ」ザッ

僧侶「侵入するのなら、最初からそう言ってくれたら良かったですわ」

少年「ねぇ……犯罪……」

勇者「安心しろ、事が終わったら正義の味方だ」

兵士「……」ウトウト

勇者「……」トンッ

兵士「……」ドサッ

勇者「入るぞ」コソコソ

少年「……」コソコソ

僧侶「楽しい」コソコソ

少年「もういや」コソコソ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

城、入口。

魔物「キキキ」

少年「はぁ!」ズバッ

巨大蝙蝠「ギャー」ドサッ

勇者「急ぐぞ、賢者王の身が危ない」

王の間。

大臣「あら?入れない様にしていましたけど……?」キョトン

勇者「申し訳ない……賢者王は見つからなかった」

大臣「本当ですか?残念です……」

大臣「引き続き冒険を始めても大丈夫ですよ?」

勇者「いえ……見つけるまでは、始められません」

大臣「へぇ……」

大臣「……」

勇者「良い加減にしろ……貴様」ギリッ

勇者「賢者王は何処だ!?」

大臣「やっぱり……」

大臣「森に山賊は無理がありましたか?」

勇者「せめて森の中に山賊役を用意するべきだったな」

大臣「そうですか……賢者王が見つかると良いですね」

大臣「お連れの二人は?」

勇者「賢者王を探している」

大臣「ふふふ」クスクス

大臣「貴方が生きている間に見つかれば良いですね☆」クスクス

魔物の大群「「「キキキッ」」」ワラワラ

勇者「最初にしては難易度が随分と高いな」

大臣「そうやって潰すのが目的ですから」ニコニコ

勇者「……」スッ

魔物の大群「「「がぁぁぁ!」」」ダダダ

勇者「!」ダッ

僧侶……少年……早くしてくれ……

今日の分は終わりです

質問等受け付けています

勇者「何故……クーデターを?」ヒュンヒュン

魔物A「ぎゃぁぁぁ!」ブスッ

大臣「いやー」ハハハ

大臣「こっち側に居るより、魔物側に居た方が楽しいんですよ?」

大臣「賢者王とか言う餓鬼の相手も飽きましたので」フフッ

勇者「9歳の子供だぞ……」

大臣「勝手に保護者役にされても困りますよ」イラッ

勇者「下衆が……」

大臣「まだまだ魔物は居ますので、沢山相手をしてくださいね?」

ダダダダダダ!!!!

勇者「ッ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

城、地下。

僧侶「っはぁはぁ……!」タタタッ

少年「……」タタタッ

僧侶「はぁ……埒が……はぁ……埒が明きませんわ」タタタッ

少年「!」ピタッ

少年「居た!」

牢屋。

賢者王「……」

僧侶「賢者王!」

少年「……」

賢者王「な……なんで」フルフル

僧侶「助けに来ましたわ!」

賢者王「僕……大臣に裏切られて……」

僧侶「大丈夫ですわ!早く逃げますわよ!」

賢者王「無理だ……この檻は何しても開かない……」

僧侶「大丈夫ですわ!!!」ガシィ!!!

少年「もしかして……こじ開ける……?」

僧侶「はぁぁぁぁ……!」グググ

少年「絶対格闘家の方が向いてる」

僧侶「はぁぁぁ……!」グググ

少年「え……」

賢者王「嘘……」

グニャァァァァアア

僧侶「ふぅ……」

僧侶「さぁ、行きますわよ」スッ

賢者王「うん……!」パシッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同時刻、王の間。

勇者「……」ボロッ

大臣「あら?ズダズダじゃないですか?」

勇者「くっ……」ピクッ

大臣「どうしましょう?」

大臣「血だらけで身体も動きませんか?」

勇者「糞……」

大臣「“魔王”様に献上しましょうかねぇ?」

大臣「ねえ?弓使いさん?」

勇者「魔王……?」

勇者「伝説の存在じゃあ……」

大臣「馬鹿ですねぇ……」クスクス

大臣「役職ですよ、役職」

大臣「本名を明かす訳が無いでしょう?」

大臣「それに……」

大臣「本当の魔王と勇者の伝説が始まるのはまだまだ先ですよ?」

勇者「……?」

勇者「本当の……?」

大臣「おっと……喋り過ぎましたね」

大臣「それでは、死にましょう!」スッ

ズズーン!!

大臣「!?」

グラグラ

勇者「おっと、時間だ」スクッ

大臣「……」

勇者「今はまだ敵わないな」グググ

大臣「逃がすと思いますか?」

勇者「嫌、逃げるさ」

大臣「100匹ほど魔物を狩られたのは驚きですが……まだまだ魔物は居ますよ?」

ワラワラ

勇者「貴様が手を直接下せば良いだろう?」ジリッ……

大臣「?」キョトン

勇者「……」

大臣「今からそうするつもりですよ?」

勇者「~~ッ!」ゾクッ

勇者「!」ダダダ

大臣「……」

大臣「逃がしませんよっ!」キュイイイイン

ヒュン

ドオオオオオオン!!!!

シュウウウウウウ……

大臣「逃がしましたか……」

馬1「ひひーん!」パカラッパカラッ

少年「大丈夫……?」

勇者「10分程離れた場所で回復してくれ……僧侶」

馬2「ひひーん!」

僧侶「分かりましたわ!!今は我慢してくださいまし!」

賢者王「僕……これからどうしよう……」

パカラッパカラッ

僧侶「一体王の間で何が……?」

勇者「後で話そう……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「へえ……まだ生きているんですか……」

「もっと魔物を増やしましょう」

「適当にやれば死にますよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第一章。

今日の分は終わりです

10分後、草原、木の下。

僧侶「はぁぁ!」キュイイイイン

勇者「……」ポー

シュイ……ン

勇者「もう一度頼む」

僧侶「はぁ!はぁ!はぁ!疲れましたわ……!」ゼーハァーゼーハァー

勇者「このままでは私が死んでしまうぞ?」ニヤニヤ

僧侶「わ……分かってますわよ!!」キュイイイイン

少年「絶対楽しんでる」

賢者王「大分元気になったな」

勇者「ほらほら、頑張れ頑張れ」ハハハ

僧侶「きぃぃぃっ!」ゼーハァーゼーハァー

少年「僧侶が死んじゃう」

賢者王「怖い……」

僧侶「あふぇあふぇ……」キュー

シュイン

勇者「よし、大分治った。もう大丈夫だぞ」

僧侶「へっ……!私にかかれば朝飯……はぁ! はぁ!……前ですわ……!はぁ!はぁ!……感謝してくださいまし……はぁ!」ゼェゼェ

勇者「ああ、感謝してるよ」

少年「僧侶、大丈夫?」

僧侶「へ……?」

僧侶「だっ……大丈夫ですわよ!」アセッ

少年「良かった」

僧侶「はい……」

少年「……?」キョトン

勇者「少年、怒って良いか?」

少年「?」

勇者「ったく……」

賢者王「少年!あそぼ!」ワー

少年「良いよ」

勇者「賢者王を手懐けている……だと?」

10分後。

勇者「賢者王はこれからどうするつもりだ?」

賢者王「むっ……馴れ馴れしくなってる」

賢者王「僕は王様を名乗るのをやめて元の賢者に戻るよ」

賢者「えっと……これから一緒に行動して良いかな?」

勇者「当たり前だろ?」

少年「頑張ろう」

僧侶「当然ですわ」

賢者「やった!」パァァ

賢者「これからは賢者って読んで欲しいな?」

賢者「普通に接して欲しいよ」

勇者「む……良いのか?」

賢者「うん」

勇者「分かった。よろしく」

賢者「うん!」ニコッ

僧侶「勇者、待ってくださいまし」

勇者「どうした?」

僧侶「何故……大臣はクーデターを?」

勇者「ああ、どうやら奴はちょっと前から魔物側だった様だ」

勇者「大方、魔物の巨大な力に魅入った結果だろう」

僧侶「待ってください……」

僧侶「要するに、人語を使わない化け物側って事ですわよ?」

僧侶「人語を使わない化け物と結託して、城を占拠するなんてまるで……!」

勇者「ああ、知能を持った奴が何処かに居るだろう」

勇者「そいつはきっと人語も使える」

勇者「魔物も一筋縄ではいかないぞ」

勇者「嫌……知能を持つ者は既に大臣が居たな……」

勇者「それに、魔王が居るとも言っていた……」

僧侶「魔王!?」

少年「あの……伝説の……?」

勇者「それは役職と言っていた」

勇者「本当の魔王と勇者の伝説の誕生はまだまだ先らしい……」

少年「……」

僧侶「良からぬ事を企んでいる事は分かりますわ……」

勇者「魔王とやらはどうせ私と少年の故郷の大陸に居るに決まっている」

勇者「魔物の追手も必ずやって来るだろう」

勇者「まずはそいつらから逃げつつ、反撃の機会を伺うのが先だ」

僧侶「もしかして……私達」

勇者「ああ、相当危険な状況だ」

少年「どうすれば……」

賢者「ねえねえ……ちょっと離れた西にある国に行けばなんとかなるかも……」

賢者「そこの王は良い人だし……僕が統治していた国より結構強いから……」オドオド

僧侶「信頼出来るんでしょうか?」

僧侶「国を統治している奴等なんか、権力に溺れた嫌な奴ばかりですわ」

賢者「ごめん……なさい」

僧侶「あっ……!そんなつもりじゃ……」

勇者「とりあえず、だ」

勇者「賢者の言う国へ向かうぞ」

賢者「良いの?もしかしたら悪い人かも……」

勇者「その時はその時だ」

1日後。

勇者「まだか……?」

僧侶「疲れましたわー」ゼーゼー

賢者「まだまだ先だよー」

少年「……」テクテク

僧侶「少年は元気ですわね……」

賢者「男の子は元気だね」

勇者「!」ハッ

勇者「既に意識を失いながらも歩いているだと……?」

僧侶「ストーップ!!休憩ですわ!!」

一時間後、木の下。

少年「っ……ここは?」スクッ

僧侶「大丈夫です……?」

少年「あ……気を……」

勇者「やれやれ、やっと目が覚めたか」

少年「皆……ありがとう……」

勇者「気にするな、もう少し休んだら行くぞ」

少年「うん……」

勇者「それにしても、なんだかんだで四人パーティーだな」

少年「確かに……」

勇者「剣士の少年、勇者兼弓使いの私、今は力を失っているが元は優秀な賢者、格闘家の僧侶……完璧だな」

僧侶「おい」

今日の分は終わりです

一時間後。

僧侶「……」ハァハァ

少年「……」テクテク

勇者「馬も元気になってきたな」

馬1.2「ヒヒーン!」

勇者「うるさい」

賢者「もう乗って良いって言ってるよ」

勇者「冗談はよせ」

賢者「本当だよ、昔から動物の声は分かるもん」フンッ

勇者「賢者は嘘を言わないな……そう言えば」フム

賢者「うん!」パァァ

勇者「よし、乗るか」

馬1.2「ヒヒーン!!!」

賢者「お姉様よろしくお願いしますだって」

勇者「……」プチッ

勇者「いつか売り飛ばすと言っといてくれ」ゴゴゴ

賢者「?」キョトン

夜。

勇者「焼けたぞ」パチパチ

少年「弓使いが居たら焼き鳥には困らない」

勇者「おい……餓死したいのか?」

少年「すいません」

僧侶「相変わらず下品な料理ですわね……」

勇者「……」ムカッ

賢者「ちょっと苦手かな……?」

勇者「おい……」スクッ

勇者「どんな料理でもありがたく美味しいと言って食べる奴が」

勇者「居た……」

勇者「嫌……そいつは誰だ?」

少年「?」

勇者「なんでも無い、悪かった」

僧侶「私達も悪かったですわ」

賢者「ごめんねー」

勇者「……」

何かを忘れている……?

今日の分は終わりです

深夜。

少年「……」スクッ

テクテクテク

僧侶「……?」

勇者「……」グーグー

賢者「だいじん……行かないでぇ……」ウーンウーン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

川。

少年「……」

少年「……」

ザッ

少年「!」

僧侶「こんな夜遅くにどうしましたの?」

少年「気分転換……」

僧侶「気分転換?」

少年「うん」

僧侶「……」

少年「……」

僧侶「寝ないのかしら?」

少年「うん」

僧侶「少年ってこう……女の子っぽいですわよね」

少年「そう?」グサッ

僧侶「何処からどう見ても女の子ですわ」グイッ

少年「何処からどう見てもって……」タジッ

僧侶「美の秘訣を教えてくださいまし!」キラキラ

少年「嫌……そんな事を言われても……」アウアウ

僧侶「少年……可愛い……」ガシッ

少年「ねえ、腕を掴む力が凄いんだけど」

僧侶「あ……気にしないでくださいまし!」アセアセ

少年「じゃあ放して欲しい」ムスッ

僧侶「……」ジュルッ

拗ねた所も……!

少年「?」

僧侶「もう少しお話をしません?」

少年「良いよ」

僧侶「少年はどうして勇者と行動を?」

少年「助けられたから」

僧侶「助けられた?」キョトン

少年「うん」

僧侶「勇者にですか?」

少年「違う」

少年「とっても純粋な女の子に……」

少年「あれ?」

少年「誰だっけ?」

少年「え?どうして……?」ガクガク

少年「頭が……頭が……」

少年「なぜかとても悲しい……」ポロポロ

少年「どうして泣いてる……?」ポロポロ

僧侶「!」

ギュッ

少年「え……?」ポロポロ

僧侶「何があったのかは分からないけど、今は私の胸で泣いてくださいまし」ギュー

僧侶「私はずっとそばに居ますから」ニコッ

少年「うっ……ぁぁ……ひっく……」ポロポロ

よく分からないけど、沢山泣いた。

僧侶「ふふっ」ナデナデ

今日の分は終わりです

朝。

少年「……んっ」ムクッ

勇者「どうした?起きるのが遅いぞ、早くしろ」

勇者「うん」

僧侶「さあ、早く」

賢者「遅いよー」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、壁に覆われた国。

勇者「巨大な壁に覆われているな」

少年「凄い国」

兵士A「入国しますか?」

勇者「ああ、入国希望だ」

兵士A「それではこの紙を持って入国してください」ピラッ

勇者「分かった」

兵士A「開けろ!!」

ガララララララッ

壁に覆われた国、中。

ワーワー

勇者「随分と栄えているな」

ザワザワ

少年「この国の王と面会しないと」

僧侶「綺麗な国ですわー」

賢者「城はあっちだよ」スッ

勇者「よし、行くぞ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

城、王の間。

勇者「~~で~~な事が」

王「なるほど……そんな事が……」フムッ

勇者「協力をお願いします」

王「お安い御用だよ」

賢者「ありがとう」

王「賢者王も辛かっただろう……今は休みなさい」

賢者「ううん、休む暇は無いの……早く魔法を使える様にしないと」

王「そうか…….ところで」

王「賢者王を除いた場合この中で魔法を使える人間は?」

勇者「一応……この少年と金髪の僧侶です」

王「種類は?」

勇者「少年の方は木を燃やす程度、僧侶は簡単な傷を治す程度です」

王「なるほど……勇者は魔法が使えないとなると……」

王「魔法の訓練をいたしませんか?」

勇者「訓練?」

王「この国の街に凄腕の魔法使いが居ます」

王「彼女に頼めば直ぐに現代の戦い方を学べ、魔法を使えるようになる事が出来ますよ」

30分後、魔法使いの家。

勇者「結構離れていたな」

少年「綺麗な家……」

僧侶「素敵な家ですわ」

賢者「え?普通じゃない?」

勇者「まぁ……人それぞれだな」

僧侶「それではノックを……」

勇者「分かってる」

勇者「すいません」コンコン

ガチャ

魔法使い「何?私は今眠いんだけど?」

勇者「魔法使いで合っているか?」

魔導使い「魔導使いと呼んでちょうだい」

僧侶「何故かしら?」

魔導使い「その方がかっこいいじゃない!」

勇者「魔導使い、頼みがある」

魔導使い「どんな頼みなの?」

勇者「私達に現代の戦い方」

勇者「そして……魔法を教えて欲しい」

魔導使い「魔導!」

勇者「っ……魔導を教えて欲しい」

魔導使い「……」

魔導使い「う~ん……王からも話は聞いてるけど……」

魔導使い「むぅ……」

勇者「頼む」

少年「お願い」

僧侶「お願いしますわ……」

賢者「僕からもお願い!」

魔導使い「なっ…….なによ……皆して」

魔導使い「……」

魔導使い「もう!」

魔導使い「良いわよ!教えてあげる!」

10分後。

魔導使い「まずは!」

魔導使い「戦い方を教えます」

勇者「……」

魔導使い「協力しなさい、以上」

勇者「おい」

魔導使い「何よ?」

勇者「説明終わるのが早いぞ、ふざけるな」

魔導使い「実際協力出来てるの?」

勇者「……」

魔導使い「どうせ、それぞれに分かれて戦ってるんでしょ?」

僧侶「ぎくっ」

魔導使い「協力に関しては最後に教えてあげる」

少年「……」カキカキ

魔導使い「続きましては……」

魔導使い「魔導の訓練ね……私はキツイわよ?」

勇者「見くびるな」

僧侶「私だけ嫌な予感がしますわ……」

魔導使い「あー、魔導の才能以外も色々な才能あるわねー」ペタペタ

少年「……」

魔導使い「天から授かったものよ大切にしなさい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

賢者「……」

魔導使い「うーん……どうしてこうなったのかしら……」ペタペタ

賢者「うぅ……」

魔導使い「凄いって話は聞いてたけど……」

魔導使い「過去に何かトラウマがあったから魔導を使えないとしか……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔導使い「あーだめだめ」ペタペタ

勇者「ぐぬぬ」

魔導使い「こりゃダメだわ、無理無理」フリフリ

魔導使い「脳筋だね脳筋。ここまで才能が無いのも珍しい」

勇者「しかし……!」

魔導使い「無理無理」

勇者「ぐぬぬ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔導使い「……!」ペタペタ

僧侶「どう……かしら?」

魔導使い「ぶふぉ……!」ププ

魔導使い「凄い……凄い……」プルプル

魔導使い「全く才能が無いのに……ぷっ……回復だけ無理に覚えてる……!」

魔導使い「これから覚える見込みの技も強化系と攻撃系ばかり……!」

僧侶「……」ウルウル

魔導使い「転職をおすすめします」

僧侶「勇者……殺人の許可を」

勇者「特別に許す」

魔導使い「まぁ……それでもなんとかしてあげる」

魔導使い「こっちに来なさい」テクテク

勇者「森の方……?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一時間後、隣の森。

少年「どうして……こんな所に……?」テクテク

魔導使い「才能の底上げよ」テクテク

賢者「へー、すごーい」テクテク

魔導使い「賢者はここで見学ね」テクテク

賢者「はーい」テクテク

魔導使い「着いた」ピタッ

少年「えっ……?」

ドドドドドドドド

魔導使い「賢者以外は滝に当たりなさい」

勇者「なぁ……どうやって殺す?」ヒソヒソ

僧侶「森に埋めるのが良いと思いますわ」ヒソヒソ

魔導使い「なっ……なによ」

魔導使い「まずは自然と干渉する力を鍛えるのよ!文句言わないの!」

勇者「おい、ここに丁度良い人の頭ぐらいの石が」

僧侶「丁度良いですわね……」

魔導使い「は・や・く・や・り・な・さ・い」ゴゴゴ

勇者「ちっ」

僧侶「しょうがねえですわ」

少年「待って、死んじゃう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一時間後。

少年「ぁ」グデー

勇者「疲れたな」ピチャピチャ

僧侶「あー服が透けますわー」ピチャピチャ

賢者「おつかれー!」

魔導使い「少年と勇者と僧侶はこの小屋にそのまま入りなさい」

小屋の中。

少年「凄く暑い」

勇者「むっ」カチャカチャ

僧侶「どうしましたの?」

勇者「出られない……」

魔導使い「当然よ、道を開いた者以外はこの小屋から出られないもの」

魔導使い「今出られるのは私ぐらいね」

僧侶「え……」

魔導使い「それじゃあ、私は賢者の面倒を見てくるわ」

勇者「なっ……!」

魔導使い「ばいばーい」ヒラヒラ

ガチャ

勇者「あいつ……なんの説明も無しに……!」

ズズズズズッ

僧侶「待ってくださいまし……」

勇者「どうした?」

僧侶「床に穴が広がって……!」

少年「!」

勇者「なっ……!」

僧侶「全員落ち……!」

ヒューッ

僧侶「きゃぁぁぁぁ!」

勇者「どういう事だ……!」

少年「!?!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

小屋の外。

魔導使い「あれ?本当の鍛錬用の小屋はあっちにある……?」

魔導使い「!」ハッ

魔導使い「しまっ!」バーンッ

魔導使い「誰も居ない……」

魔導使い「やってしまった……」

魔導使い「あの小屋は100年後の世界に続く物……」

魔導使い「入ったら最後……出られない」

????、玉座。

勇者「ここは……?」

??「誰だ?」

僧侶「あら、可愛い女の子ですわ」

少年「どこ?」

??「……」

??「生憎今の私には力が無い、殺すなら今だぞ」

??「王国の使いか誰かは知らないが、好きにしろ」

勇者「凄い銀髪だな」ナデナデ

??「撫でるなー!」ウガー‼

勇者「ああ、すまない」

??「ふんっ」ムスッ

勇者「ここはどこか分かるか?」

??「私の城だ」

勇者「凄い金持ちなんだな」

??「物心ついた頃には既に私の物だっただけだ」

??「貴様等は誰だ?」

勇者「普通の旅の人間だ」

??「旅……?」

??「嫌……転送系呪文は消滅させたし……交通機能も破壊した……」ブツブツ

勇者「どうした?」

??「嫌、なんでも無い」

??「どうやって来たんだ?」

勇者「良く分からない小屋に居たら、落ちて来た」

??「私からはどう見ても転送魔導でやって来た様にしか……」ブツブツ

勇者「?」

??「とりあえずだ、無力な私に手を出そうとしなかった事を私は感謝している」

??「食事をもてなそう」

チーンッ

勇者「なんの音だ?」

レンジデチンシマシター!!

??「うるさい!だまれ!!!」

勇者「???」

会食室。

勇者「何だこれは?」カチャカチャ

??「箸だ箸」

勇者「??」

??「じゃあ、フォークとスプーンを使え」

勇者「それなら分かる」

??「どう見ても日本人だが……」ブツブツ

少年「これは?」

??「唐揚げだ、美味しいぞ」

僧侶「これはなんですの?」

??「味噌汁だ、熱いから気を付けろ」

窓の前。

勇者「なっ……!」

少年「なに……!? 」

僧侶「なんですの……!?」

勇者「でかい家と城が沢山……!?」

??「ビルとマンションに驚いているのか?」スッスッ

勇者「なっなんだ……?お前が手に持ってる物は?」

??「端末だ」

僧侶「??」

??「あっ!」

??「お礼に全員魔導を使えるようにしてあげたぞ」

少年「!」ビクッ

勇者「どうやって……?」

ドクンッ

勇者「お前……嫌……貴様は何者だ……?」

ドクンッドクンッドクンッ

??「この質問には答えない」

??「答えるつもりが無い」

僧侶「なんなんですの……?」

少年「何故……?」

勇者「じゃあ……今は西暦何年だ?」

1014年な筈……!

??「にっ……」

ズィンッ!!!!

勇者「なっ!」

ズズズズズ!!!

少年!

ギュウウウウン

僧侶「いゃぁぁぁ!」

シュイン

??「一体……?」

??「まぁ良い」

???「??様……日本の総理が会食をしたいと……」ザッ

??「そうか……貴様が代わりに出て殺せ」

今日の分は終わりです

??、奴隷市。

勇者「ここは……?」

少年「……?」

僧侶「何処ですの……?」

勇者「檻の中に沢山の人間が……?」

??「……」

勇者「!」ビクッ

勇者「こんな目をする子供……始めて見たな……」

僧侶「ここ……嫌ですわ……」

ギュイン

勇者「!」

僧侶「早いですわ!」

ギュウウウウン

シュイン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

小屋の前。

勇者「……」

少年「助かった……」

僧侶「最悪ですわ」

魔法使い「良かったぁ……」

魔法使い「入れる小屋を間違えてしまってごめんなさい」

勇者「なんだったんだ……!」

勇者「あの小屋はおかしいぞ!!」

少年「すぐにでも壊すべき」

魔法使い「ごめんなさい……あの小屋は100年後の世界に飛ばす物なの」

勇者「100年……?」

僧侶「待ってくださいまし」

魔法使い「どうしたの?」

僧侶「100年であそこまで文明が進化するとは思えませんわ」

魔法使い「え?どう言う事?」

勇者「巨大な城が何個も何個も建っていて、硝子の中の絵が動いていた……」

勇者「たった100年で文明はそこまで進歩するのか……!?」

魔法使い「師匠から聞いただけで、実際には何年か試された事は無い……」

魔法使い「確かめる必要はあるわね……」

魔導使い「確かめるわ」ガチャ

勇者「気をつけろ」

魔導使い「ん……」ガチャガチャ

ガチャガチャガチャ

魔導使い「開かない……」ガチャガチャ

少年「詰んだ」

僧侶「あら……」

魔導使い「!」プチン

魔導使い「この私に喧嘩を売るなんていい度胸ね……」ゴゴゴ

勇者「おい待て……検証が出来なくなってしまう」

魔導使い「問答無用!!」キュイイイイイン

魔導使い「爆炎を喰らわせてやる!!!」ズドオオオオオオオン

ゴゴゴゴゴ

ゴゴゴ

シュウウウウウウ

魔導使い「やるわね」

勇者「あんな魔導を喰らっても無事とはな……」

魔導使い「無理ね、放っときましょう」

勇者「腑に落ちないな……」

魔導使い「きっと永遠にこの建物は残る気がするわ……」

僧侶「私もそんな気がしますわ」

勇者「さて……」

勇者「魔導を使えるようにしてくれ」

魔導使い「何寝言言ってるのよ」

魔導使い「あの子屋に入って時間飛ぶ程の危険を味わったから、使えるようになってるわよ」

勇者「あの程度で使えるようになるのか?」

賢者「うん、使えるようになってるね」

少年「?」

僧侶「私も?」

賢者「僧侶は魔力が底上げされてる」

賢者「勇者と少年は根本的に魔力が変わった……?」

賢者「闇の方に行ったね」

賢者「魔物側の魔力になった」

勇者「なっ……!」

少年「大丈夫なの……?」

賢者「悪い方に使わなければ大丈夫。色並みが変わっただけで変わらないよ」

勇者「良かった……」

魔導使い「私もあんた達と一緒だから大丈夫よ」

私よりもずっと禍々しいわよ……

少年「案外普通……?」

賢者「……」

禍々しいけどね……

魔導使い「さっ!お疲れ様!疲れたでしょ?」

魔導使い「今日は私の家で休みなさい」

今日の分は終わりです

魔導使いの家。

勇者「ふーっ」ドサッ

僧侶「疲れましたわ~」グテー

少年「……」スヤスヤ

賢者「寝るの早いよ!?」ガビーン

魔導使い「明日もちょっと魔導の訓練をするわよ」フフッ

勇者「ああ、分かってるさ」

僧侶「もう嫌ですわー」ダラーッ

魔導使い「大丈夫よ、後は勇者と少年の魔導を確認するだけだから」

勇者「なんだ、もうそれだけか」

魔導「予定外の事で早くなっちゃったからね……無事で良かったわ」

勇者「……」

100年後?は人も売っていた……

人類は間違った方向に進んだのか……?

翌日、隣の森。

勇者「……」

キイィィン

パキィン

僧侶「木が凍った……!」

魔導使い「やるわねー」

少年「!」

キイィィン

ズオオオォン

賢者「黒い光が木を切り裂いたよー!」

魔導使い「やっぱり少年が頭一つ抜けてるわね」

僧侶「そっその……私は……!」

魔導使い「自分に魔導をかけなさい」

僧侶「はっはい……!」

魔導使い「地面を殴りなさい」

僧侶「はい!」ズドオオオオオオオン

シュウウウウウウ

勇者「地面が割れた……!」

魔導使い「自分を強化する魔導を覚えたわね、レアだから誇って良いわよ」

賢者「やっぱり武闘家……」

僧侶「」

魔導使い「でも大丈夫、回復の魔力はかなり上がったからこれからは重傷も一瞬で治るわよ」

少年「凄い」ポタッポタッ

賢者「あっ!血が垂れてるよ!」

勇者「僧侶、丁度良いな。治してやれ」

僧侶「魔力が増える前からそんなキズは治せますわ……」

キイィィン

キイィィン

キイィィン

シュイン

勇者「?」

賢者「長い間発動してたね」

僧侶「……?」

少年「ありがとう」

勇者「まぁ、治せたから良しとしよう」

僧侶「変な感じですわ……」

魔導使い「次は戦い方を……」

ズズンッ

少年「!?」

勇者「王国の方向……!?」

僧侶「向かいましょう!」

魔導使い「分かってるわよ!」ダッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10分後、壁に覆われた国。

魔導使い「なっ……!」

僧侶「魔物の群れが……」

賢者「あぁ……私の国みたいに……」

勇者「占領されたか……」

少年「まだ勝ち目が無いと思う」

魔導使い「王は!?王は!?」

勇者「……」フルフル

魔導使い「城が炎上してる……」ガクッ

全身が鎧に覆われた悪魔「見つけたぞ!!」

勇者「!」

全身が鎧に覆われた悪魔「手こずらせおって……」

全身が鎧に覆われた悪魔「この軍の指揮を任されたからには皆殺しだ!」

全身が鎧に覆われた悪魔「勝負だ!!」

魔導使い「どうするの……?」

勇者「くっ」ギリッ

どうすれば良い?

そもそもあの悪魔に私達が協力した所で勝てるのか?

賢者は戦う事が出来ない……

魔導使いも怯えてる。

ーー逃げるか。

勇者「皆」ボソッ

少年「!」

賢者「!」

僧侶「!」

魔導使い「!」

勇者「逃げるぞ」

僧侶「ーーえ?」

僧侶「どうして!?せっかく魔導を覚えましたのに!」

勇者「今の私達には勝ち目がない。逃げるぞ」

全身が鎧に覆われた悪魔「おい……こそこそと……うるさい。殺すぞ雑魚」

勇者「!」

今だ!

ザッキュッググッ

ヒュン

ブシュ

全身が鎧に覆われた悪魔「があ!!??右目が!右目が!」ブシューーー

魔導使い「え?」

いつの間に弓を放ったの?

少年「見えなかった」

僧侶「あのスピードで狭い穴を……」

勇者「今だ!逃げるぞ!」ダッ

僧侶「仕方ないですわね……」ダッ

魔導使い「!」ダッ

少年「!」ダッ

賢者「あうっ」ダッ

ダダダダダ

魔導使い「勇者!?どうするの!?」

勇者「……」

馬1.2「ひひーん!」

勇者「よし、乗るぞ!」

僧侶「一人が乗れないですわ!」

魔導使い「私は身体に魔導をかけて素早くなれるから大丈夫!」

勇者「それくらいは出来ると信じていたぞ!」

魔導使い「うっ、うるさいわね!早く乗りなさい!」

魔物の軍隊「ぐおおおおおお!!!!」

勇者「行くぞ!」

パカラッパカラッパカラッパカラッ

馬1.2「ひひーん!!!!」

十分後、暗闇の洞窟の前。

勇者「入るぞ」

魔導使い「追っ手もすぐそこに来てるわね」

僧侶「馬はどうしますの?」

勇者「一応中に入れる、途中通れなくなりそうだったら、置いて行くぞ」

少年「仕方ない」

賢者「うぅ……怖いよ」

勇者「我慢してくれ賢者」スタスタ

ザッザッザ

ゴゴゴゴ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

洞窟内。

ガシャアン

馬1.2「ひひーん!」

勇者「な!洞窟の入り口が閉じただと!?」

少年「光が完全に消えた」

魔導使い「仕方ないわね」キイイン

シュイン

ピカーッ

勇者「おお、光が」

僧侶「助かりましたわ……」

魔導使い「これからどうするのよ?」

賢者「待って!」

賢者「魔物の気配は無いし、この道を真っ直ぐ行くだけで外に出れるよ?」

魔導使い「そうね……これからの事は外に出てから話しましょう」

勇者「巻き込んでしまってすまない……」ギリッ

賢者「やめてよ……僕の提案の所為なんだから……」ウルウル

少年「賢者は悪くない」ナデナデ

少年「皆行こう」

僧侶「そうですわ!行きましょう!」

馬1.2「ひひーん!」

スタスタ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二十分後。

勇者「……む」

僧侶「長いですわー」ハァハァ

勇者「おい、金髪ロング巨乳クール顔女」

僧侶「なんでしょう?黒髪ロング巨乳クール可愛い女」

勇者「///」

僧侶「照れないでくださいまし!」

勇者「ああ、すまない」

魔導使い「何よ……巨乳同士で……」ギリギリ

勇者「凡乳も悪くないとおもうぞ、赤髪ショート凡乳可愛い女」

魔導使い「殺す……!」

賢者「僕はー?」

僧侶「青髪、愛くるしい可愛い少女ですわ☆」

少年「……」

僧侶「少年は銀髪可愛い絶世の美少女男の子ですわー!」ギューッ

少年「ちょっと……」

僧侶「はぁ……良い匂い……はぁ」スリスリ

勇者「おい」

僧侶「なんですかー?」スリスリ

勇者「離れろ」ゴゴゴゴ

僧侶「仕方ないですわね」スッ

勇者「……」

バチバチバチバチ

僧侶「……」

魔導使い「愛されてるわね」

賢者「そうだよ、少年は一番愛されてるもん」

魔導使い「まあ、確かに可愛いわね」ボソッ

一時間後、外。

賢者「やっと出れた!」

魔導使い「良かったわね……」

魔導使い「!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「魔導使いか……家を用意してあげましょう」

「魔導使いちゃん!ご飯食べよ!」

「魔導使い!」

「魔導使いのおかげで最近出て来た魔物を追い払う事が出来た!」

「魔導使い!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔導使い「……」ガクッ

魔導使い「ひっく……ひっく……皆ぁ……!」ポロポロ

勇者「すまない……」

少年「……」

賢者「ごめんなさい……」

僧侶「……」

第二章

第三章

力が無い女王

翌日、朝。

魔導使い「もう一度聞くわ、これからどうするのよ?」

勇者「国で一度滞在をしないと、皆が壊れてしまう……」

僧侶「だけど、私達が滞在をすると魔物が……」

賢者「被害が……」

魔導使い「なら丁度良い国があるわ」

魔導使い「男子禁制の国」

魔導使い「強固な守り、強い攻撃」

魔導使い「要塞の国が、この先を真っ直ぐ行くと存在するわ」

勇者「よし、丁度良いな」

僧侶「行きましょう!」

馬1.2「ひひーん!」

賢者「いこー!」

スタスタ

少年「あれ?」キョトン

少年「まって、色々とおかしい」

少年「まって」タッタッ

今日の分は終わりです

要塞の国の前。

少年「……」

勇者「これで完璧だなっ」ドヤッ

僧侶「キャー!可愛いですわ!」キラキラ

賢者「少年はこれから少女って名乗ってね!」

魔導使い「なんで私がメイク担当なのよ……私だけワンピースが余ってたから良い物を……」ブツブツ

馬1.2「ひひーん!!!!」

少女「なんで……」ブツブツ

少女「足元すーすーする……」ギリッ

要塞の国、入り口。

兵士「よし!入れ!」

少女「死ね」ボソッ

兵士「え?」

勇者「ほら!早く行くぞ!」ガシッ

僧侶「おほほ、失礼☆」

魔導使い「あはは、ごめんね?」

賢者「行こう行こう!」アセアセ

スタスタ

兵士「?」キョトン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

要塞の国、広場。

勇者「本当に女しか居ないな」

少女「疲れた」

僧侶「えっ……もう疲れましたの?」

賢者「僕も疲れたー」

魔導使い「そうね、早く休みましょう」

勇者「軟弱者共が……」

魔導使い「あんたと賢者がおかしいのよ!」ビシッ

今日の分は終わりです

>>122
の訂正。

魔導使い「あんたと賢者がおかしいのよ!」ビシッ



魔導使い「あんたと僧侶がおかしいのよ!」ビシッ

です

宿。

少女「なんとか一人部屋にしてもらえた」ドサッ

少女「はぁ……」ゴロッ

コンコン

少女「どうぞ」

ガチャ

勇者「少女……大丈夫か?」

少女「なんとか」

勇者「それなら良いんだ」

少女「うん」

勇者「今回の旅は物事が急に動き出すな……いつも」

少女「魔王はどうしたら……倒せる?」

勇者「正直……勝ち目は薄いかもな」

勇者「向こうは大量の軍を率いてる」

勇者「正確に、いやらしく私達を付け狙う」

少女「うん」

勇者「個々の力の向上を狙うしか無い」

少女「まだ足りない?」

勇者「私と魔導使いは大丈夫だが……」

少女「強くなる」

勇者「良い心構えだ」ナデ

深夜、少女の部屋。

コンコン

コンコン

ガチャ

僧侶「ふふふ」ソーッ

僧侶「寝てますわ……」

少女「……」スースー

僧侶「可愛い寝顔☆」

僧侶「抱き締めてさしあげますわー
」ギューッ

僧侶「……」

僧侶「犯罪の匂いが」

僧侶「勿論私から」

僧侶「……」

僧侶「帰りましょう」スクッ

ガチャ

少女「怖かった」ガクガク

翌日、城、王の間。

女王「いらっしゃいませ」

勇者「お目にかかり光栄です」

勇者「お話が……」

大臣「なんでしょう?勇者」ズイッ

僧侶「……?」

勇者「何故大臣が?普通は女王が対応すべきかと」

大臣「女王にはまだそういった物は早いです……」

大臣「私達が、管理をしないといけません」

女王「……」

勇者「ふむ……まぁ良いでしょう」

勇者「恐らく私達の噂は聞いているかと」

大臣「勿論です」

勇者「それなら話は早い。是非私達を滞在させて欲しい」

大臣「魔物の軍団を追い払う事が私達に出来るとお考えですか?」

勇者「勿論です」

大臣「まぁ……他の軟弱な国とは違い、要塞の国はちょっとやそっとでは崩れません」

大臣「明日から3日間だけの滞在を許しましょう」

勇者「ありがとうございます」

一時間後、広場。

勇者「まぁ……話が分かる人で良かったな」

僧侶「大臣が……ですわね」

勇者「傀儡政権と言う奴だな」

賢者「ぼ!僕の時は違うよ!あの女王ぐらいの年齢になったら政治を任されるもん!」

賢者「それに一時期は……」ブツブツ

勇者「まぁまぁ、みんな分かってるさ」ナデナデ

少年「……」

少年「滞在している間は?」

勇者「のんびり休もう」

少年「意外」

翌日、宿。

コンコン

少女「……?」

少女「はい」

ガチャ

女王「た……助けてください」ウルウル

少女「え」

勇者「おい少年、特訓を……」

勇者「むっ」ピクッ

勇者「女王……」

女王「助けてください!」

勇者「???」

少年「???」

魔導使い「なるほどね……」

僧侶「右腕が思い通りに動かせなくなってから、大臣達側近の思うがまま政治を動かされている……」

僧侶「そういう訳ですわね?」

女王「はい……」

勇者「右腕とはどんな関係が?」

女王「私の右腕、とっても強いんです」ウフフ

賢者「あ!怪力の!モゴゴ……」ジタバタ

魔導使い「はい、黙りましょうねー」ググッ

怪力なんて言ったら何されるか分からないわ……!

賢者「んー!んー!」ジタバタ

女王「魔物達が王子を攫おうとしたのを止めてから……」

勇者「え?王子?」

女王「あ……王子は地下牢に居るので大丈夫ですよ?」

勇者「いやいや、何故閉じ込めて……」

女王「男子禁制の国ですので逃げられたら嫌だから……」

勇者「ふぉ……」

相当危険な人間だぞ……

女王「この国の近くにある、泉の森の禁断の果実を取って来てください!!」ペコッ

女王「そうしないとあらゆる者が不幸に……!」

勇者「何故不幸に?」

女王「大臣達の政治……結構無茶苦茶だから……」

勇者「例えば?」

女王「政治では無いですけど……もし魔物の群れが来たら勇者様達を差し出す計画を……」

女王「もし私が実権を取り戻したら、最大限の協力と保護を約束します。勿論大臣達の計画は無しです☆」ニコ

勇者「円陣!!」

ガシッ

勇者「全力で行くぞ!!!」

少年、魔導使い、僧侶、賢者「おお!!」

今日の分は終わりです

翌日、泉の森。

ギャーギャー

勇者「ーーで」

勇者「何処に禁断の果実はあるんだ?」

少年「分からない」

勇者「私は虫が嫌いだから早く帰りたいんだ」

魔導使い「どうして引き受けたのよ!!!」

勇者「逃げたら殺される気がしたんだ」ゾクッ

魔導使い「あ……うん」コクッ

ブーン

勇者「虫ぃ!!」ヒュンヒュン

勇者「虫!虫!嫌だぁ!」ガクガク

少年「危ない危ない」ワタワタ

僧侶「勇者!!落ち着いてくださいまし!!」サッサッ

魔導使い「あいつが一番危ないわよ……」

賢者「勇者ぁ……落ち着いてよー」アワアワ

勇者「そうだ……焼き払えば……!」ピコーン

魔導使い「待ちなさい馬鹿!!この森は神聖な森だから駄目よ!」

勇者「神聖な森の癖に虫や魔物が出るじゃないか!!それに禁断の果実とはなんだ!?神聖な森に禁断の物が何故実る!?禁断だぞ!?禁断!!」

魔導使い「とりあえず神聖だから駄目!!」

勇者「人でなし!!」

ブーン

勇者「うわぁ!!」ガクガク

少年「……」ハァ

少年「大丈夫勇者、追い払うから」

勇者「少年……」キュン

僧侶「ぐぬぬ……私も虫が嫌いだったら」

魔導使い「あんたはさっき素手で芋虫追い払ってたでしょ……」 ハァ

勇者「あうあう」プルプル

魔導使い「置いて行った方が良かったわね……」

僧侶「同感ですわ」

少年「うん」

賢者「今の“うん”は肯定の“うん”だよね?ね?」

巨大な蜂の魔物「ゔぃーーーん」ブーン

勇者「」ドサッ

魔導使い「勇者ーー!!」

勇者「ははは」ムクッ

勇者「冗談だ」スッ

勇者「あいつは魔物、そう魔物」グググ

魔導使い「どう見ても蜂……」

勇者「あ?」

魔導使い「なんでもないわ」

勇者「はっ!」ヒュンヒュン

巨大な蜂の魔物「ぎいいいい!!!」ブシュブシュ

勇者「ふっ……後は任せ……」ドサー

魔導使い「勇者ーー!!!!」

魔導使い「仕方ないわね」ハァ

キィィィン

パキィン

巨大な蜂の魔物「」パキパキ

パリィン

僧侶「一瞬で凍らせましたわ……」

賢者「凄いねー」

勇者「よし、いくぞ」スクッ

少年「逞しい」

ザッザッザ

ガザガサ

勇者「……」ガサガサ

魔導使い「それなりに奥に進んでるけど……」ガサガサ

勇者「!」

勇者「嫌……恐らく禁断の果実はすぐそこだな」スッ

魔導使い「?どうして……あっ……なるほどね」スッ

僧侶「この森の主……ですか?」スッ

賢者「頑張れー」コソッ

少年「うん」チャキッ

全身に棘が生えた人型をした魔物1「魔王様の命令で」

全身棘2「丁度この森で貴様達を探していたが……丁度見つかった」ニィ

全身棘3「皆殺しだ」

全身棘1「たまたまこの森を探した甲斐があった」

魔導使い「ヴィジュアルがキモイから早めに倒すわよ」

全身棘1.2.3「………」

全身棘2「行くぞォォォォォ!!!!」ダッ

全身棘3「オオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!!!!」ダッ

全身棘1「ぎいいいいいいいい!!!!」ダダダ

勇者「ーー!」

今日の分は終わりです

全身棘1「ぎゃぁお!」ブンッ

勇者「ぐっ」サッ

全身棘1「がぁぁ!」ブンッブンッ

勇者「くっ」サッサッ

勇者「ちっ」ギギギ

ヒュンッ

全身棘1「効かん!」ブシュウウウ

勇者「なっ!」

全身棘1「行くぞォォォォォ!」ブォンブオン

勇者「くっ」プシュ

相手は全身が武器…….どこからでも攻撃が可能……厳しいな。

勇者「どうするか……」

全身棘2「ふふふ」

ジリッ

僧侶「殴る所がありませんわ……」

ジリッ

全身棘2「さぁ殴れ!!!」

僧侶「いやぁぁぁぉぁ!!!!」

少年「どうしよう」

魔導使い「鉄のグローブは無いの!?」ドオオオォン

全身棘3「ぐふぅ!」ボロッ

僧侶「私は素手の方が好きなんですー!」

勇者「おい、魔導使い」

全身棘1「私の相手をしろ!」ブンッブンッ

勇者「ふん」サッサッ

魔導使い「何よ!?」

勇者「協力して戦う方法を教えてくれ」

魔導使い「……」

私は結局教える事も救う事も出来なかった……

魔導使い「丁度良い機会ね」

今でも協力する事を教える事が出来る。

魔導使い「ーー協力しましょう」

今日の分は終わりです。

進むのが遅いので投下量を増やしていきたいと思います。

勇者「協力とは具体的にどうすれば良いんだ?」

魔導使い「陣形よ」

勇者「陣形?」

魔導使い「少年と僧侶は前、私は中、弓使いは……」

弓使い「なるほど、後ろか」

魔導使い「そういう事」

魔導使い「それで戦い方も整うと思うわ」

弓使い「少年!僧侶!」

魔導使い「もう揃ってるわね」

少年「……」

僧侶「……」

魔導使い「あんたは前でも良いと思うけど……?」

弓使い「普通の弓使いは後ろ、だが……私は前に行こう」スッ

魔導使い「分かったわ」

少年「安心感がある」

僧侶「そうですわね」

弓使い「よし、揃ったか」

魔導使い「やっとマトモな戦いが出来るわね」

全身棘1「ほう……?」

あ、間違えました

勇者「こほんっ」

魔導使い「それにしても気持ち悪い奴ばかりね……」

全身棘1.2.3「……」

勇者「同感だな」

全身棘1.2.3「ぎゃおおおおおおお!!!!!!!!!」ダッ

僧侶「ゲテモノですわ」

魔導使い「全然平気そうね」

僧侶「えっ」ギクッ

魔導使い「僧侶、拳に強化魔導」

僧侶「はい」キイイインッ

魔導「少年、一緒に魔導を放つわよ」

少年「……」コクッ

魔導使い「少年と私が魔導を放ったらすかさず勇者と僧侶で突撃しなさい」

勇者「分かった」コクッ

僧侶「分かりましたわ」コクンッ

魔導使い「いくわよ!」キイイインッ

少年「!」キイイインッ

ビカビカビガヒガピカピカ

ゴロゴロゴロゴロ

ピシャアアアアアアンッ

ズドオオオオオオオオオオオン

全身棘1.2.3「グオオオオオオオ!」バチバチバチバチ

勇者「雷が強過ぎだ!!!馬鹿!!!」

魔導使い「おほほほほほほ」ニョホホッ

少年「すごい」

僧侶「行きますわ!」ダッ

全身棘1「あががががが」バチバチ

僧侶「はぁ!」バキイイイイィィィィ

パキパキンッ

全身棘1「ごふぁぁぁぁぁぁ!!!」ヒュウウウ

少年「棘を簡単に折った」

僧侶「足にも……」キイイインッ

シュイン

僧侶「はぁ!!!!」ゲシイイイイイィィィッッッ

パキパキンッ

全身棘3「ぷげらぁぁぁぁぁ!!!!」ズザァァァァァァァァ

全身棘2「待て!話し合えば分かる!」アセアセ

僧侶「お望み通り……思う存分殴って差し上げますわ!!!!」バキバキバキバキバキバキバキバキバキィィィィィィィィィィィンッッッッ

パキパキパキパキィィィンッ

全身棘2「ぶびゃぁぉぁぁ!!!!」ドサッ

勇者「さて、演出過剰な僧侶の攻撃は終わりにして……」

勇者「行くぞ」グググッ

全身棘1.2.3「」

魔導使い「全員死んでるわよ」

僧侶「性格悪っ……」タラー

少年「外道」

賢者「勇者を名乗るのに相応しく無いよ」ヒョコッ

勇者「はぁ!!!」ヒュンヒュンヒュン

魔導使い「あ、無視した」

全身棘1「」プスッ

全身棘2「」プスッ

全身棘3「」プスッ

パキィィィンッ

パキパキ

勇者「氷結弓……どうだ?」

魔導使い「へえ……知らない間に……」

少年「すごい」パチパチ

僧侶「やりますわね」

僧侶「オーバーキルだよ」

勇者「この先に禁断の果実がある筈だ」

魔導使い「目の前にあるわね」

少年「ドス黒い」

僧侶「これを食べて大丈夫なの……かしら?」

賢者「うん、禁断の果実だね」

勇者「何故知ってる……」

賢者「昔は良く食べたからね~」

勇者「よし、取るぞ」スッ

賢者「本当だよー!」ピエーン

勇者「分かってる」ナデナデ

賢者「う~」

少年「物凄く不味そう」

賢者「とっても美味しいよ!」

僧侶「一口いただきますわ」ヒョイ

パクッ

僧侶「……」

魔導使い「どうなのよ?」

僧侶「美味しいですわ……!」

魔導使い「えー」

勇者「よし、早く持ち帰るぞ」

少年「うん」

今日の分は終わりです

数時間後、要塞の国、王の間。

勇者「謁見しに参りました」

女王「……」

成功したんですね!

勇者「是非、女王様に禁断の果実の味を知ってもらいたいと」

大臣「禁断の果実……!」

大臣「はっ……!」

大臣「皆の者!!奴等の動きを……!」

勇者「皆の者……?こいつらか?」

兵士1.2.3.4.5「うっ……」

僧侶「もっと人を用意した方が良かったですわね」

魔導使い「弱いわ」

少年「うん」

賢者「僕は何もしてないけど……アハハ」

女王「ありがとうございます!」ダッ

勇者「さぁ」スッ

女王「はい!」

大臣「ぐっ!」キイイィン

ドオオオオオン

魔導使い「本性を出したわね」

僧侶「女王と勇者は!?」

ブオオオオオオオン!!!!

少年「爆炎が強い風で吹き飛んだ」

女王「もぐもぐ」モグモグ

グラッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ユラユラ

勇者「あはは……」

魔導使い「地震!?」

女王「よくも今までの間……好きにやってくれましたね?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

大臣「ひっ……!」ガクガク

魔導使い「勇者、あの凄い風は何?」

勇者「女王が右腕を振っただけで起きた……」ブルッ

魔導使い「え……」ゾクッ

僧侶「馬鹿力ですわ」

賢者「人の事言えないよね?」

少年「凄い……」

女王「貴方は地下牢送りです」

大臣「あうあう」

女王「分かりましたか?」ニコォ

大臣「はい……」

女王「大臣とその腹心達を地下牢送りにするついでに、元大臣……私の腹心を解放しに行きましょう」
勇者「かしこまりました」

魔導使い「即答!?」

地下牢。

王子「逃げられそうだったのに……あいつの力が戻ってしまったか……」

王子「はぁ……」ガクッ

ツカツカ

王子「来たか」

女王「王子、久しぶりです♡」

王子「……」

女王「また無視……ですか?」

王子「……」

勇者「助けた方が良いと思うか?」

少年「まだ死にたくない」

魔導使い「一人でどうぞ」

僧侶「勇者……今まで楽しかったですわ」

賢者「さよならー」

勇者「薄情者!!」

王子「……」ジッ

助けてくれ!

勇者「……」フイッ

すまない、まだ死にたくない。

王子「!」ガーン

王子「分かった。結婚しよう」

女王「!?」

女王「え……?」

王子「お前には負けたよ、結婚しよう」

女王「ほ、本当?」

勇者「あれ?甘酸っぱい雰囲気」

王子「当然だ」

女王「も、物事には順序が……」クルクル

王子「嫌だ!今すぐにでも結婚したい!」

女王「はうっ///」キュン

少年「落ちた」

女王「明日結婚しましょう、貴方///」

王子「勿論だハニー」ドヤッ

女王「今解放します」グニャァァァ

王子「……」ゾクッ

魔導使い「こわっ」ボソッ

翌日。

女王「どうですか?」キラキラ

勇者「とてもお綺麗です」

賢者「ウエディングドレスとっても似合ってるね!」

少女「綺麗」

僧侶「凄い……綺麗」

魔導使い「似合ってるわね」

新大臣「女王」

女王「はい?どうしましたか?」

新大臣「王子が……」

女王「はい?」

勇者「!」ピクッ

勇者「おい……八つ当たりを喰らう前に……」ボソッ

魔導使い「分かってるわ」ボソッ

勇者「行くぞ」ボソッ

コソコソ

新大臣「寝室を確認した所……!」ガクガク

新大臣「もぬけの殻で……!」ガクガク

新大臣「逃げられました……っ」ガクガク

女王「」

女王「」ブチッ

女王「王子ぃ~~~~!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

今日の分は終わりです

>>129から>>162の少年は少女と変換してもらえると助かります。

要塞の国の前。

全身が鎧に覆われた悪魔「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

魔物の軍団「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」

ビリビリビリビリ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

城内。

ビリビリビリビリ

女王「魔物ですね」

新大臣「!」ハッ

新大臣「皆の物!!所定の位置に着け!!迎え討つぞ!!」

女王「」グググ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

広場。

ビリビリビリビリ

勇者「!」

魔導使い「戦う時が来たみたいね……」

僧侶「早いですわ……!」

少年「……」

賢者「うぅ……」

勇者「女王の元へ急ぐぞ……!」

城内。

女王「砦の様子は?」

新大臣「未だ健在です!」

女王「そろそろ私が行きましょう」スッ

勇者「女王、大丈夫ですか?」

女王「ええ、勿論」ニコッ

勇者「良かった……」

女王「さぁ手伝ってください」

僧侶「あ、はい」

魔導使い「好戦的……」

少女「凄い」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

要塞の国の前、砦。

鎧に覆われた悪魔「糞!突破出来ん!」

女王「そうですね」ニコォ

鎧に覆われた悪魔「!」ゾクッ

メキャ!!!!!!!

グシャァァァァ!!!!!!!!

鎧に覆われた悪魔「」

少女「す、凄い」

勇者「鎧ごと……」

魔導使い「は、はは」

女王「さて、私は帰ります」サッ

僧侶「魔物の軍団も逃げてしまいましたわ」

勇者「待て……一匹居るぞ」

全身が鉄に覆われた悪魔「おいおい……俺が着く前にやられちまったのか……情けねえ」スタスタ

勇者「本当の指揮者はこいつのようだな」

少女「女王は行っちゃった……」

勇者「私達がやるしか無いだろう?」

少女「んっ」コクッ

僧侶「強そうですわ」

魔導使い「来るわ!」

十分後、草原。

女王「さて……王子を探さないと」

女王「あの……残った魔物は勇者様に任せましょう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

十分後、砦。

勇者「おい……お前は強いか?」

全身が鉄に覆われた悪魔「俺?」

全身が鉄に覆われた悪魔「勿論、鎧の馬鹿よりはつえーよ」

勇者「最初の突進には驚かされた」

全身が鉄に覆われた悪魔「あれ避けられるとは、思ってなかったんだけどな」ハハハ

勇者「私以外を気絶させておいて何を言う」

全身が鉄に覆われた悪魔「あんたと俺が飛び抜けて強いって事だろ?」

全身が鉄に覆われた悪魔「魔王様の命令通りあんた達を殺す事ができそうだ」

勇者「魔王様とは……誰だ?」

全身が鉄に覆われた悪魔「はははっ、いずれ分かるよ」

勇者「ーーそうだな」

勇者「本気で行くぞ」

「待ってくださいまし!!」

僧侶「勝手に始めないでくださいますかしら?」グググ

魔導使い「そうよ、ちょっと驚いただねよ」スクッ

少女「うん」グググ

勇者「皆……!」

全身が鉄に覆われた悪魔「やるじゃねーか」

全身が鉄に覆われた悪魔「行くぜ!」

僧侶「はあぁ」キイィン

シュイン

全身が鉄に覆われた悪魔「おらぁ!」ダッ

僧侶「はあ!」バキィィ

全身が鉄に覆われた悪魔「!」グググ

僧侶「はぁぁぁ!」グググ

勇者「……」グググ

ヒュッ

パキンッ

全身が鉄に覆われた悪魔「あっ?なんかした?」

勇者「くっ」

やはり普通の弓は効かないか……

勇者「どうすれば良いか……」

魔導使い「あいつの身体って……鉄なの?」

勇者「恐らくだな」

魔導使い「なら簡単じゃない」

ゴオオオォ

魔導使い「ーー溶かせば良いのよ」キイイイン

ゴオオオオオオオ

ボオオオオオオオオオ

僧侶「危ないですわよ!」サッ

全身が鉄に覆われた悪魔「あ?」

ボオオオオオオオオオ

少年「凄い炎……」

魔導使い「手伝いなさい少年!」

少年「うん」キイイイン

ボオオオオオオオオオ

シュウウウウ

全身が鉄に覆われた悪魔「なんだ、大した事無いじゃねーか」ドロッ

魔導使い「多分……これで矢が刺されば」

勇者「……」ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ

ヒュンッヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

魔導使い「矢を打つのが早過ぎるわよ……」

僧侶「化物……まだ本気じゃない」

全身鉄「あがっ!?」ブスッ

全身鉄「がぁっ……!」ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス

全身鉄「」ドサッ

勇者「……」

全身鉄「がっ」グググ

勇者「まだ抗うか」ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス

全身鉄「……」スクッ

全身鉄「あああ ああああ!!!!」ダッ

勇者「!」

全身鉄「があっ!」ヒュッ

少年「!」

顎が……!

カスッ

少年「」カクッ

ドサッ

全身鉄「……」ダッ

僧侶「!」

全身鉄「!」バキィィィ

メゴォ

僧侶「っっ!」

鳩尾……!

僧侶「」ドサッ

全身鉄「はぁーはぁー」

全身鉄「この喧嘩……魔王様の負けだな」

全身鉄「勇者……」

全身鉄「お前化物だな」

勇者「戯言を……」

全身鉄「戯言?いいや、違うね。化物の俺に言わせるなんて相当だ」

全身鉄「ふっ……ふふふ」

全身鉄「久しぶりに会ったけど……随分と変わったなぁ」

勇者「何処かで会ったか?」

全身鉄「覚えてないか?」

全身鉄「反乱地域の……」ガクッ

ドサッ

全身鉄「」

勇者「反乱地域……」

今日の分は終わりです

勇者「反乱地域……?」

勇者「何かあったか?」

魔導使い「そんな事より少年と僧侶を運ぶわよ」

勇者「ああ、分かってる」

勇者「世話が焼けるな」ガシッ

テクテク

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分後、城内。

女王「見つかりました」

勇者「それは何よりです」

王子「離せ!」ガチャガチャ

女王「もう既成事実を作れば……」

王子「嫌だ!俺はまだ遊びたい!」ジタバタ

女王「この城の美女全員と関係を持ったのにも関わらず、まだ遊びたいと……」

女王「子供の時は純粋だったのに……」

王子「お前が俺を襲ったのが原因だ糞っ!」

女王「うっ」ギクッ

王子「この城の女全員と関係を持ったのは、俺を襲ったお前への復讐だ!」

王子「牢屋の中でも新大臣と……!」

女王「新大臣……どうでした?」

新大臣「それなりに楽しませて頂きました」キリッ

女王「今回は許します」

ドゴォオオオン

新大臣「失礼しました」ガクガク

王子「もっと俺は遊びたい……!」

王子「女王に飼われるのはごめんだね」

勇者「互いに中々のクズだな」

魔導使い「ある意味お似合いだわ」

女王「なら、どうしたら……!」

王子「お友達からだ!」

女王「えっ?」

王子「もう一度そこからやり直しだ」

女王「……」

女王「分かりました」

女王「///」

今日の分は終わりです

翌日、要塞の国の前。

王子「あんた達のおかげで地下牢から出る事が出来た」

王子「ありがとう」ペコッ

勇者「気にしないでください」

女王「ありがとうございます、この国もあなた方のおかげで助かりました」

勇者「いえいえ」

女王「行くのですか?」

勇者「はい」

女王「頑張ってください」ニコッ

女王「どうやら魔物も大した事は無いみたいですね、気付いてますか?」

勇者「薄々は」

女王「この地方は任せて下さい、だから……山越えを……」

勇者「分かりました。引き受けます」

勇者「所詮は烏合の衆。敵の本丸から叩きましょう」

女王「はい、お願いします」

勇者「行くぞ!」

馬1.2.3「ヒヒーン!!!」パカラッパカラッ

女王「初めて見たなぁ……」

女王「ーー私より強い人」

一週間後、世界を隔てる山。

勇者「ふふふ……」

少年「あはは」

勇者「はーはっはっは!!!」

勇者「帰って来たぞ!!」

勇者「ここに帰って来た!!」

魔導使い「なによ、気持ち悪い」ウゲッ

僧侶「気色悪いですわ」

賢者「怖いよー」

勇者「行くぞ!」

パカラッパカラッ

数時間後、山道。

魔導使い「中々ほんのりとした道ね」

勇者「普通のでかいだけの山だからな」

少年「油断は禁物」

僧侶「危ないですか?」

勇者「おそらく向こうの大陸に入ったら魔物が現れてくると思う」

賢者「ぼく……大丈夫かな?」

「大丈夫です」

「いまここで殺しますから」

魔物の大群「ギャッギヤッ」

勇者「くっ……」

大臣「この大陸の魔物全てが相手をします」

賢者「大臣!」

大臣「知の魔人と呼んでください」

大臣「それでは、私は魔王様の所へ帰還します」ザッ

魔物の大群「義ゃおおおおおおおおおおおおおおおお!!」ダダダダ

勇者「これは……積んだか?」

数時間後。

少年「……」ドサッ

僧侶「あ……」ドサッ

勇者「勝ち目……無し」ボロッ

魔導使い「!」キィィィン

ピシュン

ビーーーー

ゴゴゴゴゴ

魔物の大群「ぎゃぁぁぁぁ!」ドサドサドサドサドサドサ

魔導使い「後は任せた……わ」ドサッ

勇者「賢者だけでも生かさないと……」

魔物「ぎゃああ!」バキッ

勇者「賢者だけでも……」

魔物2「ぎゃあ!」ブシュ

賢者「勇者!僕の事は良いから先に逃げてよ!」

勇者「駄目だ、お前は私達の大事な仲間なんだ……仲間は誰一人欠けてはいけない……」ボロボロ

賢者「勇者ぁぁ……うっうぅ……」ポロポロ

勇者「はぁはぁ……」ヒュンッ

スカッ

魔物の大群「おおおおおおおお!!!」

バキッバキッドコッバキッブシュズシャッ!!!!!

賢者「あ……あ……」ポロポロ

賢者「どうして僕の為に……ひっく」ポロポロ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一年前。

賢者「やぁ!」キィィィン

ドオオオオオオオオン

賢者「お父さん!お母さん!見て見て!」

賢者父「なっ……」

賢者母「この年で自然に頼らない単純な魔翌力攻撃を使えるようになるなんて……」

賢者「えへへー!」

賢者父「天才だな、賢者は」ナデナデ

賢者「わーい!」

賢者母「……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

賢者「あれ?」

賢者「お父さん?お母さん?」

賢者父「この国はお前に継がせたら危ない……」シャキッ

賢者母「ごめんね……」ギラッ

賢者「え……?」

賢者「怖いよ……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

賢者父「逃げるな!」ヒュッヒュッ

賢者母「ね?おいで?」ギラギラ

賢者「やだよー!!助けてよ!!!!」

バンッ

大臣「国王……王女……」

賢者父「おお、大臣も捕まえるのを手伝ってくれ」

大臣「はい……」スタスタ

賢者「ひっ……!」

大臣「大丈夫」ボソッ

賢者父「どうした?私の目の前で……」

ザクッ

賢者父「がはっ……」

賢者父「」ドサッ

ドサッ

賢者母「キャァァァァ!!!!!」

ブスッ

賢者母「」ドサッ

大臣「下衆共……」

大臣「……」ツカツカ

賢者「ひっ……」

ギュッ

賢者「!」

大臣「もう……大丈夫、大丈夫だから……」ナデナデ

賢者「……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この事件が起こる前まで僕は旅をしていた。

お父さんとお母さんと。

功績は全て僕の力。

お父さんとお母さんは何もしていなかった。

利用されていた事は分かっていた。

そして名声を得て、旅を終えた後……

お父さんとお母さんは僕を殺そうとした。

パニックになって力を使う事が出来なかった僕を大臣は助けてくれた。

力を使えなくなったけど僕は王になった。

全て大臣が支えてくれた。

今は勇者達が支えてくれている。

現在。

賢者「ーー次は僕が勇者を支える番だ」

キィィィン

賢者「敵の総数を確認」

賢者「ーー1000」

キィィィン

賢者「この程度の強さでこの程度の数なら一撃殲滅が可能」

賢者「殲滅をしますか?」

賢者「Yes」

キィィィン

賢者「OK。単純な魔力攻撃を遂行します」

キィィィン

賢者「計算の結果」

賢者「仲間への被害は0」

賢者「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」キイイイイイイイイイイン

賢者「いっけええええ!」

ズオン

ズズズズズズ

シュウウウウウウウウ

ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

シュウウ……

賢者「敵の残数は0」

賢者「殲滅を確認しました」

今日の分はおわりです

賢者「はふぅ……」ドサッ

勇者「……」

勇者「凄まじいな」

賢者「えへへ、凄いでしょ?」

勇者「回復の魔導は使えるか?」

賢者「使えない……」

勇者「僧侶が起きないと……賢者以外全滅だな」

「心配無用ですわ」

僧侶「全体に回復魔導をかけますわ」グググ

勇者「そんな事が可能なのか?」

僧侶「半分以上力技……ですけど、出来ますわ」

勇者「力技か、なら安心だな」

僧侶「あとで覚えてやがれです」キイイイン

シュイン

僧侶「これで皆、命の危険は去りました」

僧侶「ちょっと休ませてください」

ドサッ

賢者「よく頑張ったねー」ナデナデ

勇者「ふぅ」

大分回復したな……素晴らしい。

数時間後。

少年「ん……」ムクッ

勇者「元気か少年?」ナデッ

少年「なんとか大丈夫」

少年「皆は?」

勇者「なんとか元気だぞ」ニコッ

少年「なら良かった」

ボスッ

少年「くー」Zzz

勇者「……」ナデナデ

勇者「少し休む事にするか」

数日後、山頂。

勇者「ははは」

勇者「あー!はっはっは!!」

勇者「大願成就!!」

魔導使い「魔王とやらを倒してから言いなさいよ」

少年「空気薄い」

僧侶「少年の言う通りですわ」

賢者「こんな開放感も大好きだなー」

勇者「物好きめ」

賢者「褒め言葉ー」ニヘラ

勇者「今日は休むぞ」

僧侶「そうですわね」

少年「八甲田山」

勇者「何を言ってるかは分からないが、よせ」

賢者「僕って物好きなのかな?」

勇者「?」

少年「賢者は悪く無い」

夜。

バチパチ

少年「くー」Zzz

魔導使い「んー」Zzz

勇者「そろそろ寝るぞ」

僧侶「分かってますわ」

僧侶「……」

僧侶「先に寝てくださいまし」

勇者「どうした?何かあったのか?」

僧侶「いえ……これから故郷に帰ると思うと感慨深くて……」

勇者「なんと、私と少年が住んでいた大陸に僧侶も住んでいたのか」

僧侶「四年程離れていました……」

勇者「……」

勇者「なんと言う所だ?」

僧侶「戦士の街ですわ」ニコッ

僧侶「一応、戦士王の孫ですわ」

勇者「!」

僧侶「隔離された状況に居たから、そちらがどうなっているか分からなくて……あ……そうですわ」

僧侶「戦士王は健在でいらっしゃいますでしょうか?」

勇者「ああ……その……」

勇者「その……だな」

勇者「疫病で……死んだ」

僧侶「そう……ですか」

勇者「こっちには謎の疫病があるからな」

僧侶「残念ですわ……一目見たかったのに」

僧侶「うっ……うう」ポロポロ

勇者「……」

僧侶「お祖父様ぁぁ……あぅ……っ」ポロポロ

勇者「……」

勇者「もっと早く“腕”が出来ていたら……」

僧侶「あああ……うっ…….ひっく」ポロポロ

今日の分は終わりです

数日後。

勇者「下山完了だな」

僧侶「空気が悪いですわ」

賢者「空気が濁ってるね」

魔導使い「嫌な感じね」

少年「懐かしい」

勇者「さて……ここに一番近い所は……」

勇者「あそこか……行くぞ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

弓使いの集落。

勇者「さあ、ここで休むぞ」

少年「……」

僧侶「落ち着いた所ですわね」

賢者「ほー」キョロキョロ

魔導使い「のんびりできそうね」

僧侶「取り敢えず……ご飯を……」グー

グツグツ

勇者「あむ」パクッ

賢者「おいしいねー」パク

勇者「私の一族に代々伝わる料理だから当然だ」

少年「美味しい」パクパク

僧侶「やりますわね……」パクッ

魔導使い「前から思ってたけど、弓使いの料理って普通に美味しいわ」パクパク

勇者「……///」テレッ

魔導使い「ううん、なんでもないわ」

少年「これから……どうする?」

勇者「賢者、どうしたら良いと思う?」

賢者「ふぇっ!?」ビクッ

勇者「どうした?そんなに驚いてしまって」

賢者「僕に聞いても良いのかな?って……」

勇者「当然だ。お前も立派な戦力だからな」

賢者「!」

賢者「へへ~えへへ~///」

賢者「やっぱり本丸を潰した方が良いと思う」

勇者「普通に考えると王国だな」

僧侶「王国……」

勇者「馬を走らせればすぐだろう」

魔導使い「この辺りは魔物ばかりね……」

少年「大分変わった」

勇者「辛うじて耐えている村や街の為にも魔物の本丸を潰すぞ」

馬1.2「ヒヒーン!!!」

勇者「うるさい」

勇者「王国に行くぞ、全力だ」

賢者「うん!」

魔導使い「ここまで付き合う事になるなんてね」

僧侶「……」

戦士の街はありますかしら……?

少年「うん」

四時間後。

パカラッ

パカラッ

勇者「途中にある街や村には止まる予定だ」

僧侶「そう……ですか」

勇者「まずは僧侶の街だな」

馬1.2「ヒヒイイイイン!」ズザァァ

馬3「……」ズザザ

勇者「ほら、着いたぞ」

勇者「僧侶の街だ」

僧侶「ここには何度か行った事がありましたわ」

賢者「うん、有名な村だね」

魔導使い「つい最近から良く分からない物を崇拝しているらしいわ」

勇者「少年、本当か?」

少年「うん、有名」

勇者「そうか……邪教と言う奴だな」

魔導使い「きな臭い村ね……」

勇者「……よし」

勇者「戦うぞ」チャキッ

僧侶「そう言うと思いましたわ」

賢者「頑張るぞー!」

魔導使い「今からぶちかましちゃう?」

少年「早い早い」

勇者「先に入るぞ」

賢者「100の生命反応を確認」

僧侶「賢者が壊れましたわ!」

勇者「スイッチが入るとこうなるんだ」

賢者「行きます」

僧侶の街。

勇者「懐かしいな」

僧侶A「やあこんにちは」

勇者「!」ビクッ

僧侶A「久しぶりだね、元気だったかい?」

勇者「あ、ああ」

なんだ?この違和感は……

勇者「大聖堂に案内してくれ」

僧侶A「良いよ、着いて来て」

僧侶「……?」

賢者「警戒継続」

少年「おかしい」

魔導使い「空気が汚いわね……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大聖堂。

僧侶A「今は新しい神を祀っているんだ」

「……」ブツブツブツブツ

弓使い「名は……?」ブルッ

僧侶「尊師……で、分からないかな?」


僧侶A「我等が尊師、医術士だよ」

勇者「~~ッ!」ズキズキ

少年「!」ビクッ

僧侶「勇者!少年!どうしたの!?」

少年「ぁ、あ、あ!」

勇者「しまった……」

勇者「罠に嵌められたッ……!」

勇者「糞ッッ!」

少年「……」

勇者「向こうの大陸はまだ大丈夫だが……」

勇者「この大陸は助からない」ガクガク

僧侶「どうしたんですの!?」

勇者「お前に疫病は治せるか……?僧侶」

僧侶「病の類は……無理ですわ」

勇者「ははは!そうだな!そうに決まっている!」

勇者「少年も何時死ぬか分からなくなってしまったな」

少年「あの腕は……」

勇者「医術士の物だな」

勇者「王様は今まで囚われていたが……抜け出して私の所まで……」

勇者「思い出した……私と少年も……」

勇者「医術士の力……そこまで利用するか、外道……」

勇者「内部的にはとっくに国家は転覆して、王様の意思に関わらず。腕が配られた」

勇者「腕は間違いなく医術士の物を何らかの力で複製した物……!」

勇者「辺境の地に居た私は、とあるタイミングで医術士に関する記憶を一時的に喪失」

勇者「少年は何があった……?」

少年「気付いたら王様が居なくて……牢屋に閉じ込められて……そこに王様が居て……王様と一緒に抜け出す直前に記憶が消されて……閉じ込められた記憶と医術士の記憶が……」

勇者「恐らく医術士の力だな」

勇者「この世界で人智を越えられるのはきっと医術士のみ……他に考えられない」

勇者「じわじわと、王様が逃げ出すハプニングが起こるまで」

勇者「王国の魔物が世界に放たれていた」

勇者「何者だ……?」

少年「……」

僧侶「良く分からないですわ!」

勇者「要するに。国家は数ヶ月前から乗っ取られていて、各地の協会に腕を配るが……腕の力は偽者、死期を伸ばすだけの物。王国の何物かが全ての黒幕」

勇者「人を苦しめる事が目的であっただけだ」

僧侶「!」

魔導使い「!」

賢者「!」

少年「……」

勇者「幸い無事な兵士が向こうの大陸に危機だけを伝える事が出来たのか……」

勇者「魔物の台頭を伝え、王様代理を代理王に伝え終えた所で息絶えた」

勇者「これで全ての説明がつく」

僧侶A「???」ボロッ

サラサラサラサラ

僧侶A「あ……」

シュウウウウウ

僧侶A「」

僧侶「きゃあああ!!」

魔導使い「~~!」

勇者「無理もない、そいつは既に死んでいるからな」

「医術士様……医術士様……」

勇者「おい」ガシッ

「ひっ!」

勇者「何故医術士を崇拝している!?」

「残った物が疫病で苦しめられた時に……医術士様がやって来て助けて下さったから……!」

勇者「僧侶Aは何故戻ってきた!?」

「わ、分からない……行方不明になってたけど……国が見つけて……兵士と一緒に帰ってきた……」

勇者「僧侶Aが戻って来たのはいつだ!?」

「一ヶ月前……」

勇者「医術士らしき人間が来たのは!?」

「僧侶Aが帰って来た一日後に……僧侶Aを見たら泣きながら皆を治して……」

「せめて数日だけでもって……言って最後に僧侶Aにも奇跡を使って去ったんだ……」

勇者「待て……何故生きている?」

少年「確かに」

勇者「普通は僧侶A以外も死んでいる筈だ」

勇者「その医術士は……だれだ?」

勇者「僧侶Aは腕の実験体としてこの街に帰されたのは間違いない」

勇者「医術士はなんなんだ?」

少年「……」

勇者「生きて……いるのか?」

賢者「急接近する生体反応を確認」

賢者「臨戦体制」

シュウウウウウン

ズドオオオオオオオオオオン

大きな翼の生えた魔物「その医術士を俺達は探しているんだよなぁ」スタッ

大きな翼の生えた魔物「実験の途中で逃げられたらしいぜ」

大きな翼の生えた魔物「どの道捕まえるけどな」

弓使い「……」ギロッ

大きな翼の生えた魔物「……なんだこれ」ビクッ

大きな翼の生えた魔物「どっちが化物なんだ?」ボオオオオ

大きな翼の生えた魔物「これ……魔王様でも……勝てな……っ」メラメラ

グズグズ

大きな翼の生えた魔物「」

賢者「焼却確認」

勇者「馬鹿のおかげで医術士が生存している事が分かった」

少年「……」

僧侶「医術士……」

魔導使い「どんだけスゴイのよ?そいつ」

勇者「医術士……」

今日の分は終わりです

勇者「この街で僧侶A以外も疫病に罹った者がいたが……医術士が治す」

勇者「本来ならこいつらも力の効力が切れて死ぬ筈だが……」

「?」

勇者「まだ生きている」

勇者「てっきり魔王を信仰していると思ったが……」

勇者「医術士だとはな」

勇者「皆、今日はここに泊まるぞ」

魔導使い「え?大丈夫なの?」

勇者「当然だ、ここに悪い人間は居ない」

僧侶「信仰している対象がおかしいだけ……ですわよね?」

少年「うん」

賢者「警戒を解除します」

勇者「宿は?」

「あっちだよ」スッ

勇者「行くぞ」

翌日、草原。

勇者「はあ!」

シュイン

パキンッ

狼の魔物「」

僧侶「ぜやぁぁぁ!」バキィイイイン

巨大な岩の魔物「」バラバラ

魔導使い「キリが無いわね……」

勇者「行くぞ」

パカラッ

僧侶「え?」

少年「早い」

賢者「早い……よね?」

勇者「私はこの世界の人口を減らしたく無いだけだ」

僧侶「あ……」

魔導使い「なるほど」

パカラッパカラッ

パカラッ

勇者「そうだ……元は全員人間……」

パカラッパカラッ

僧侶「複雑ですわ……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

学問の街、跡地。

勇者「……」

少年「早く行こう」

勇者「良いのか?」

少年「うん」

僧侶「……?」

魔導使い「??」

賢者「どうしたの?何も無いけど」

少年「思い残した事は……ない」

パカラッパカラッ

パカラッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、経済の村。

勇者「この村に人は居ないが……」

勇者「ここで休むぞ」

僧侶「怖い……村……ですわ」

勇者「血が沢山流れたからな」

少年「?」

賢者「?」

魔導使い「物騒すぎるわよ!」

夜。

勇者「傭兵……」

勇者「私は後悔ばかりする」

勇者「何が正しいのか間違っているのかも分からない」ギリッ

勇者「何一つ救えもしない……!」

勇者「医術士も……!」ググッ

勇者「医術士には辛い思いばかりを……」

勇者「お前に医術士を頼まれたのに……な」

勇者「私はどうしたら……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、戦士の街。

僧侶「……」

勇者「着いた……ぞ」

僧侶「はい」

賢者「おー」

王の間。

僧侶「ただいま帰りましたわ。お母様」

僧侶の母「施設を抜け出して……何処に行ってたの?」

僧侶「旅……ですわ」

僧侶の母「貴女の力は特別だから出来れば身を守ってあげたい気持ち……分かる?」

勇者「特別……?」

僧侶の母「あら?僧侶の友達?」

勇者「はい。ちなみに……力と言う物は?」

僧侶の母「僧侶の人を治す力は“腕”が広まるずっと前……僧侶が子供の時から使える天然の物なの」

勇者「!」

僧侶「黙っててごめんなさい」

勇者「嫌、良い……」

それなら少年は!

僧侶「私は自分の力を人々の為に使いたい……」

僧侶「お母様、分かってください……お願いします」

魔導使い「……」

僧侶の母「……」

僧侶の母「私のお父様……貴女にとっての祖父が亡くなったのは知っているかしら?」

僧侶「はい……自分の耳で聞きました」

僧侶の母「お父様は貴女の顔が見たいと言っていたの……でも」

僧侶「……」

僧侶の母「私は貴女を守りたいから見せる事が出来なかった……貴女をお父様の死に目に合わせる事が出来なった」

僧侶の母「お墓で眠っているお父様に会ってくれる?」

少年「……」

僧侶の母「!」

僧侶の母「妹!?」ガタッ

少年「?」

僧侶「お母様!?」

僧侶の母「あ……ごめんなさい……人違いだったわ」

少年「はい」

僧侶の母「ふふっ……昔亡くなった妹にとても似てるから……勘違いしちゃった」

僧侶「叔母様の話ですか……?」

僧侶の母「ええ……今は関係無いけど。夜に教えてあげる」

戦士王の墓。

僧侶「お祖父様。今帰りました」

僧侶「お祖父様。これからも私を見守ってくださいまし」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夜、王の間。

僧侶の母「貴女と旅を共にしてる子と、とても似てる妹が居たの」

僧侶の母「あの子はね、とある人と愛し合って、駆け落ちして……」

僧侶の母「子供を生んで死んじゃったの」

僧侶「……」

僧侶の母「とても懐かしい……」

僧侶「それで……その子供は?」

僧侶の母「旦那さんが何処かに預けたらしいけど、詳しい事はさっぱり」

僧侶の母「最低よね、子供から逃げるなんて」

僧侶「いえ、そんな事は……」

僧侶の母「私も……」

僧侶の母「……」

僧侶の母「行ってらっしゃい」

僧侶「え……」

僧侶の母「勇者様と一緒に魔王なんてぶっ飛ばしちゃえ」

僧侶「お母様、言葉使いが……」

僧侶の母「また……帰って来てね?」

僧侶「!」

僧侶「分かりましたわ!」

二日後、反乱地域。

勇者「以外と時間が掛かったな」

魔導使い「あんたがケモノ道で虫を見て気絶したからでしょ」

勇者「……」

僧侶「人っ子一人居ませんわ」

賢者「生体反応ゼロ……レーダー反応ゼロ」

勇者「?」

少年「……」

勇者「少年、ここが傭兵と私が出会った所だ」

少年「……」

勇者「……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後、ケモノ道。

勇者「ここを越えたら直ぐに王国だ」

僧侶「緊張して来ましたわ……」

魔導使い「ついにここまで……」

賢者「とてつもなく邪悪な魔力を検出」

少年「!?」

勇者「…………」

勇者「少年」

少年「?」

勇者「皆を連れて先に行っててくれ」

少年「!?」

勇者「大丈夫だ、大丈夫なんだ」

少年「……」コクッ

僧侶「勇者?」

賢者「一人は危険です」

勇者「大丈夫。なんとなく分かるんだ」

勇者「私は会いに行かなければいけない」

魔導使い「絶対戻って来なさいよ?」

勇者「当然だ」ハハハ

少年「こっち」

ザッ

勇者「………………」

テクテク

勇者「久しぶりだな」

勇者「医術士」

医術士「……」

医術士「ほえ!?」ビクッ

医術士「弓使いさん!?」

勇者「……」

勇者「ああ、そうだな」

医術士「いきなり止まったから怖かったんですよー?獣さんかと思っちゃって……」エヘヘ

勇者「どうして生きている?」

医術士「そこからですかっ!?」ガーンッ

勇者「私が撃ち抜いただろう?」

医術士「まぁそうですけど……」

医術士「そこに患者が居た……からですかね?」

勇者「」

医術士「?」

勇者「私が撃ち抜いただろう?」



勇者「私が射抜いただろう?」

に変更です

勇者「お前が治してもなんの意味も無いだろう……!」グリグリ

医術士「痛いですー!頭グリグリしないでくださーい!」ピエーン

医術士「違うんですよー!今度は後腐れ無しで治せるんですよー!」

勇者「今度は安楽死か」

医術士「酷いっ!」ガーンッ

医術士「今度は疫病も大怪我も再発する事無く治せます!」エヘン

勇者「……」

勇者「信じると思うか?」

医術士「……」

医術士「思いません」

勇者「どうやって城を……?」

医術士「大体は察しているんですね」

勇者「そうなるな、王様の安否も気になる所だ」

勇者「そして……お前を実験していた人間は誰だ?」

医術士「最初は国の人だったんですけど……途中から変わったから分かりません」

勇者「入れ替わったのか」

医術士「はい」

勇者「僧侶Aは助ける事が出来なかったのか?」

医術士「私の腕を使われたら……もう、手遅れでした」

医術士「症状を遅らせる事しか出来ませんでした」

勇者「そうか……」

プス

勇者「おっと、腕を軽く切ってしまったな」

医術士「ほえ?」

勇者「医術士の力で治してくれ」

医術士「……」シュルシュル

キュッ

医術士「私は人の手で治せる傷は自分で治しますよ」

勇者「……」

勇者「はぁ……」

勇者「変わらないな」

医術士「えへへ」

勇者「この前会った時とは別人だな」

医術士「う……その話はやめてください……」

医術士「やってはいけない事をしてしまいました」

勇者「……」

勇者「これからどうするつもりだ?」

医術士「そうですねー」

医術士「予定は未定です」ドヤッ

勇者「……」イラッ

医術士「医術士も来るか?これから王国に行く予定だ」

医術士「本当ですか!?」

医術士「ありがとうございます!」

勇者「もう一回殺す」

勇者「まぁ良い……着いて来い」

医術士「わーい!」キャピキャピ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

出口。

勇者「……」

医術士「初めましてとお久しぶりです!」

少年「頭痛い……」

勇者「心配するな、私もだ」

少年「一体何が……」

勇者「あいつは多分不死身だな」

少年「殺しても死なない」

勇者「ふふっ」

勇者「全くもってその通りだ」

勇者「……という訳だ」

魔導使い「そんな事が……ね」

少年「実験……?」

医術士「実験の話をすると正気が保てなくなってしまうのでやめましょう!」ドヤッ

勇者「何故勝ち誇る」

賢者「色んな事があったんだねー」

僧侶「よろしく、ですわ。医術士さん」スッ

医術士「はい!」ガシッ

魔導使い「頭が痛いわ……」

勇者「首都近辺の村は寄らない事にするぞ」

医術士「えっと……ちなみに……私の分の馬は……」

勇者「……」

勇者「……」

医術士「?」キョトン

勇者「よし、行くぞ皆!」

医術士「ひどい!」ガーンッ

魔導使い「乗せてあげなさいよ!」ビシッ

賢者「それなら大丈夫!」

勇者「?」

賢者「僕は空を飛べるから!」

魔導使い「……」ハァ

僧侶「早く……早く医者を……」オロオロ

医術士「もう……手遅れ……です……」

賢者「本当だよ!」ガーンッ

フワッ

賢者「ほら!」

勇者「何故だ!?ありえないだろ!?」

賢者「ふふふ、今は無理だけど遠い未来で長時間の空中飛行が可能になるように努力するよ!」

その時はもう、皆居ないと思うけどね……

賢者「防御膜の魔導を使えばもっと飛べるんだ!」

賢者「先に行ってるよ!」

賢者「ーー滑空開始」

ヒュウウウウウウウウ

勇者「よし、行くぞ」

馬1.2.3「ヒヒーン!!!」

少年「……」

全部二人乗り出来るのに……

パカラッパカラッ

首都。

勇者「特に変わった所は……」

賢者「無いね」スタッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

王国への入口。

兵士「現在は立ち入り禁止だ!」

勇者「貴様……!」

兵士「さっさと帰れ!」

勇者「下郎が!」

僧侶「一旦下がりましょう?」

勇者「……」

魔導使い「魔王は絶対城に……」

賢者「ーー反応0」

賢者「邪悪な物を探知出来ません」

勇者「!?」

勇者「一旦戻るか……」

宿。

勇者「警戒は怠るなよ?」

少年「うん」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夜、少年の部屋。

僧侶「こんばんわ」スッ

少年「!?」ガタッ

僧侶「驚き過ぎですわ」

少年「鍵は閉めた筈……」

僧侶「そんな事気にしたら負けですわ」ジリッ

少年「離れて」

僧侶「却下しますわ」ジリッ

少年「……」

ギュッ

僧侶「一緒に寝て欲しいだけですわ……」グスツ

少年「……」

少年「分かった」

僧侶「ごめんなさい……」

少年「……!」ハッ

下着が戻ってる……!

僧侶「どうかしましたか?」

少年「なんでもない」

>>231の訂正


僧侶「こんばんは」スッ



僧侶「こんばんは」スッ

です

ミス

>>231の訂正

僧侶「こんばんわ」スッ



僧侶「こんばんは」スッ

です

少年「……」

僧侶「……」

僧侶「少年……寝ましたか?」

少年「まだ」

寝たら犯られる……

僧侶「少年……」クンクン

僧侶「……」

この匂い……

汗をたっぷりかいた匂いですわ……

クラクラしてきましたわ……

仕方無いですわね。

僧侶「少年」ガシッ

少年「嘘吐き」グググ

僧侶「はぁはぁ……うふふ」グググ

いつも仰向けに寝てるのに……今日だけうつ伏せなんて酷いですわ……

少年「……」グググ

少年「……」

僧侶「風邪を引かないように、ですわ」フキフキ

少年「うん」

僧侶「少年はなんで抵抗したんですか?」フキフキ

少年「普通は抵抗する」

僧侶「失敬ですわ!」フキフキ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

深夜。

僧侶「……」

少年「……」スゥスゥ

僧侶「睡眠の魔導ぐらいは使えますわ、勿論」

少年「……」クー

僧侶「一度だけ……一度だけなら……」

僧侶「一度だけ…….」

少年「ん……勇者ぁ……」スヤスヤ

僧侶「……」

僧侶「敵いませんわね」ンーッ

僧侶「私も寝ましょう。おやすみなさい少年」ナデッ

翌日、首都の外。

僧侶「……」

僧侶「何故、私は縛られて外に放置を……」

僧侶「勇者……ですわね」

勇者「今日ぐらいは貸してあげますわ」オホホ

賢者「僕達も追い出されたよ」

魔導使い「解せないわ」

医術士「理不尽です!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

宿、少年の部屋。

勇者「……」ジトーッ

少年「……」

勇者「少年」ギュッ

勇者「大丈夫か?」ハムハム

少年「耳噛まないで」

勇者も様子がおかしい。

勇者「僧侶が来たら早く私に助けを求めろ、馬鹿者」スリスリ

少年「胸当たってる」

勇者「当ててるだけだ」ムニッ

勇者「……」ギュッ

勇者「今日は離さないからな」ギューッ

少年「ひどい」

勇者「ご飯も私が食べさせてやる」

少年「じゃあ、お返しで勇者に食べさせる」ムスッ

勇者「なっ!ばっ……ばか///」


今日の分は終わりです。

夜、少年の部屋。

少年「……」

勇者「う……うぅん」Zzz

少年「はぁ……」

コンコン

少年「どうぞ」

賢者「大丈夫だったー?」

魔導使い「襲われてない?怪我も貞操も大丈夫?」オロオロ

少年「大丈夫」

魔導使い「何かされた?」

少年「何も」

賢者「良かったー」

魔導使い「ほっ……」

少年「?」

魔導使い「そろそろ戦う時が近いんだから……しっかりしなさいよ?」

少年「うん、分かってる」

魔導使い「はぁ……頑張りなさいよ?」

少年「大丈夫」

賢者「いざとなったら僕が助けるよ!」

少年「頼もしい」

深夜。

コンコン

少年「はぁ……」

医術士「失礼しまーす」ガチャ

少年「!?」

医術士「驚かないでくださいよ……もう」

少年「……」

医術士「私は自分が不死身だって知った時には絶望しました」

少年「……」

医術士「世界を絶望に変えてやりたい気分でした……けど」

少年「けど?」

医術士「皆の笑顔を思い出したらそんな事が出来ないですよね~」エヘヘ

医術士「次は本当に人を治せるようになりたいって思いました」

少年「叶った?」

医術士「はい!」

少年「良かった」

医術士「辛い事ばかりは続きません!」

医術士「それに」ニヤニヤ

医術士「少年君は皆に好かれていますねぇ」ニタニタ

少年「?」

医術士「いつか死にますよ?」

医術士「……」

少年「……」

医術士「……」

医術士「故郷に帰りました」

医術士「誰にも気づかれませんでした」アハハ

少年「……」ピクッ

医術士「おじいちゃんもおばあちゃんも私の事を忘れていました」

医術士「なんて、嘘です」

医術士「皆私に興味が無いんですよね」エヘッ

医術士「いつも一人で医学の文献をポチと一緒に読み漁っていました」

医術士「ポチはもう居ないんですけどね……私の所為で更に苦しむ羽目になってしまいました……あはは」

医術士「お父さんとお母さんは物心がつく前には亡くなっていました」

医術士「おじいちゃんとおばあちゃんは餌だけを置いて、後は放置」

医術士「いつもいつも、許婚の存在を待っていました」

医術士「そしてポチを置いて旅に出ました」

医術士「ポチは待っていてくれました……」

医術士「だって……だって……ぇ」

医術士「いつも一緒に本を読んでいた所に居たから!!!」

医術士「私が更に苦しめたのに!!!」

医術士「取り乱しました……すいません」

医術士「なんででしょう?」

医術士「なんで、もう一度過ちを犯さなかったのでしょう?」

医術士「でも、実は気付いてました」

医術士「あの時一緒に旅をしていた皆の顔を思い出したからです」

医術士「もう一度言いますけど、皆の笑顔が私を止めました」

医術士「傭兵さんに固執なんかしませんよ?勿論」

少年「強い」

医術士「傭兵さんに恥じぬぐらい生き抜いてやりますよ!」

少年「とても偉いと思う」

医術士「そう……ですか?」

少年「うん」

医術士「……死なないで」

医術士「皆……死なないでください」

少年「わかってる」

医術士「それと……」

医術士「自分の見ている物が変だと思ったら、自分の心の中を見てください」ボソッ

医術士「それと、常に警戒は怠らずに」ボソ

少年「……」コクッ

昼、王国。

勇者「……」コソコソ

少年「……」コソコソ

医術士「……」コソコソ

魔導使い「……」コソコソ

僧侶「……」コソコソ

賢者「……」コソコソ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

城の前。

勇者「これではどちらが悪者かわからないな」コソコソ

少年「そろそろ堂々としても……」

勇者「むっ……そうだな」

勇者「……」

勇者「なぁ……その前に……」

勇者「良い事をシナイか?」

少年「……?」

勇者「良いだろう?」サワッ

少年「誰?」バッ

勇者「何を言っている?」

勇者「私は私だ」

少年「おかしい」

少年「……どこが?」

少年「……」

勇者「少年はへんだなぁ……疲れているのか?」

勇者「もうすこしこっちにこい」チョイチョイ

少年「え……あ……」

少年「うん……」テクテク

勇者「そうそう、そのままそのまま」

勇者「ほら捕まえた」ガシッ

少年「……」ググッ

勇者「ほら、逃げるな」ググッ

少年「誰……?」

少年「偽物」

勇者「……」

勇者「なら、ここで殺しておいてやろう」

勇者「とってもス・テ・キじゃない?」

勇者「あははははは!!!」

勇者「キャハハハハ!!!!」

ビリビリ

少年「誰?」

淫魔「私は欲の魔人……淫魔よ」

淫魔「ねえ……もっと素敵な事をしない?」

淫魔「あ!ちなみに」

淫魔「勇者達はそれぞれの魔人と戦ってるわよ」

少年「……分かった」ダッ

淫魔「……!」

こいつ……一番弱い癖に!

少年「すぐに終わらせる」キィィィィン

淫魔「な!?」キィィィィン

走りながら魔導を!?

少年「……」シュイン

スドオオオオオン

ピシャーン

少年「はぁ……!」ズバンッ

淫魔「くっ……!」ブシュゥゥゥ

少年「……」

淫魔「なるほど……これは私達の負け戦ね……一番弱くてもこの実力だもの」

淫魔「さぁ……殺して」

少年「?」

少年「まだ雷が残ってる」

ピシャーンピシャーン

淫魔「え……?」

少年「敵を消し炭にするまで続く弱い雷」

少年「一番使いやすい」

ピシャーンピシャーン

淫魔「なるほどね……貴方……残忍な性格しているわよ……」

少年「知らない」

淫魔「ふふ……」

ピシャーン!!!!バリバリバリバリバリ!!!!!!バチバチバチバチバチ

淫魔「あぎゃゃゃぁぁぁぁぁ!!!!」

別地点。

勇者「途中……離れ離れになったと思ったら……貴様の仕業か」

???「俺は弓の魔人だ」

弓の魔人「名前は無い」

弓の魔人「並ぶ者無しと言われる貴女の弓を受けたい」

勇者「受けるだけ……か?」

弓の魔人「今の私達には勝ち目が無い……魔王様もだ。だが、魔王様のアレが実行される前に私は貴女の弓を受けて死にたい」

弓の魔人「さぁ来い」

勇者「…….」ヒュッ

グサッ

弓の魔人「ぐふっ」ドサッ

弓の魔人「」

勇者「どういう事だ?」

僧侶サイド。

バキィィィィィィ

???「ちょっとまっ」ゴフッ

バキィィィィィィバキィィィィィィ

???「ちょっと……」ドサッ

バキィィィィィィバキィィィィィィバキィィィィィィ

???「自己紹介ぐらい……」ガクガク

バキィィィィィィバキィィィィィィ

???「サセッ」ポタポタ

バキィィィィィィ

???「」

僧侶「ふぅ!」

僧侶「大した事無いですわ!」ツヤツヤ

魔導使いサイド。

魔導使い「師匠……」

師匠「私は魔導の魔人……久しぶりだな魔導使い」

師匠「常にクール、スタイリッシュ、永遠の白で居ろと教えた筈だが……」

魔導使い「それは別の師匠」

師匠「成長したな愛弟子」

師匠「とても強い女によって魔に落とされてしまってな、墓から掘り起こされてしまった」

師匠「この先のお前は生きていてもろくなことが無い」

師匠「私が楽にしてやろう」キィィィィン

魔導使い「……」キィィィィン

魔導使い「さよなら」シュイン

ズドオオオオオオオンメラメラ

師匠「詠唱が早い……成長したな」ボオオオオオオオ

師匠「最後に一つ……あの子屋は確実に必要になる……本当に全てにケリを付けたいのなら……な」

ズドオオオオオオオン

師匠「」

魔導使い「所詮は死人よ死人」

魔導使い「小屋……ね」

賢者「大臣……もう……やめようよ……」

大臣「愚問ですね」

大臣「私以外の主要魔人が死んだ以上、私は貴女と戦えません」

賢者「戻って来てよ……」

大臣「これでも苦労しているんですよ?」

大臣「……」

大臣「魔王様の所に戻らないと」

賢者「生体反応の大多数消滅を確認」

賢者「……?」

大臣「……」ニヤッ

大臣「それでは失礼します」

数分後、城内。

勇者「皆!!無事か!?」

少年「弱過ぎて無事」

僧侶「私達が強くなり過ぎましたわ」ツヤツヤ

魔導使い「自分達が化物になった実感が湧いてきたわ……」

賢者「大臣は何処かに行っちゃった……」

勇者「そうか……」

医術士「皆さんお疲れ様です!」

勇者「今まで何をしてた?」

医術士「逃げてました!」

勇者「そうか、それなら良い」

医術士「私、弱いですから!」エヘン

勇者「そこは胸を張るところじゃないぞ」

魔導使い「早く行くわよ」

数分後、王の間。

勇者「……」

僧侶「あれが……魔王?」

???「……」

大臣「はぁはぁ……」ポタポタ

???「裏切者……まぁ貴様のした事は大した意味を成さなかったがな」

大臣「いえ」チラッ

大臣「大きな意味がありますよ」ニヤッ

賢者「そんな……」

賢者「大臣!」タタタ

賢者「なんで……仲間の人に……」ガシッ

医術士「……」キィィィィン

大臣「無駄……ですよ……医術士。分かるでしょう?私は疫病に耐性を持った人間ではありません……」

賢者「どうして……!どうして!」

大臣「私は……」ポタポタ

大臣「いち早く魔王の存在に気付いた」

大臣「既に国家転覆をした魔王に近付き、力を得た……奴の意のままに発動する事が出来る疫病を患う事が条件で」

大臣「出来るだけ……出来るだけ……賢者王が襲われるのを遅くするために、賢者王を捕らえる計画を私が受け持った」

大臣「勇者……貴女が居たからですよ」

大臣「王様から、貴女が信頼出来ると聞いたからです……」

大臣「案の定、貴女達は賢者王を助けてくれました」

大臣「そして……本来……あの山で貴女達を襲う予定の魔物はあの十倍の予定でした……」

大臣「十倍では、賢者王の力が戻っても負けてしまう……」

勇者「だから、魔物を減らした」

大臣「うっ……」ゴホゴホ

大臣「ご名答です」

勇者「本来あの大陸に居た筈の魔物より少なかったからな、まさか貴様の仕業とは思っていなかった」

賢者「大臣……」

大臣「賢者王……貴女が力を戻すのも信じていました……」

大臣「最後に貴女の配下として、世界に仇をなす組織の魔物を減らす事が出来ました……」

賢者「あの生体反応の消滅はもしかして……!?」

大臣「術式魔導が上手くいきました……」

大臣「全ては貴女の為でした……」ニコッ

賢者「いままで、お勤め……ご苦労様……だね」ポロッ

大臣「泣いてはいけませんよ?」ニコッ

賢者「うんっ……全てが終わった後……大臣は名誉大臣に特進で……その式典をして……その時に……」

大臣「泣くんですか?」

賢者「ゔん……ひっく」ポロポロ

大臣「泣かないで……ほら……」ナデナデ

賢者「……」グシグシ

賢者「ーーうん」

大臣「良い顔……ですね……最後に見れて……良かった……どうか……無事でーー」

ボロボロ……サァァァァァァ

勇者「おい、魔王」

勇者「仮面を取れ」

魔王「良いだろう」

魔王「全てが憎い」

魔王「……」スッ

カラーンッカラーンッカラーン

医術士「!」

勇者「!」

少年「!」

魔導使い「女……?」

賢者「綺麗……だね」

僧侶「傷が多いですけど……」

勇者「なっ……なっ……」

少年「何故……どうして……」

医術士「そんな……そんな……」

魔王「お前のおかげだ、医術士」

魔王「お前は、私の成すべき事は国を討伐する事と再認識させてくれた」

医術士「でも……そんな……」


医術士「ーー傭兵さん」

今日の分は終わりです

傭兵「医術士、その名前で呼ぶのはやめてくれ」

医術士「なら……どうして!」

傭兵「お前の力で蘇った時……」

医術士「私の力?」

傭兵「要するに、お前が集めた人間でも私を蘇らせる事は容易であった訳だ」

傭兵「たった一つの命でも一人を蘇らせる事が出来たと言う訳だ」

医術士()

訂正。

傭兵「医術士、その名前で呼ぶのはやめてくれ」

医術士「なら……どうして!」

傭兵「お前の力で蘇った時……」

医術士「私の力?」

傭兵「要するに、お前が集めた人間でも私を蘇らせる事は容易であった訳だ」

傭兵「たった一つの命でも一人を蘇らせる事が出来たと言う訳だ」

医術士「私は傭兵さんを蘇らせる為に力を使っていません!」

傭兵「本当か?」

傭兵「本当に……そうなのか?」

傭兵「あの戦争の最後を見た弓使いでも心当たりは無いか?」

勇者「……」

勇者「力の暴走か……」

医術士「!」

傭兵「ご名答」

傭兵「暴発した力が私を蘇らせてくれた」

傭兵「疫病を撒き散らす事も成功した」

傭兵「あの腕は使うと、疫病も付いてくる最高の物だからな……ふふ」

傭兵「そして……」キイイイイン

シュイン

傭兵「地獄の再開だ」

勇者「根本から壊すつもりか……!」ギリッ

傭兵「根本“から”壊す……?勘違いするな」

傭兵「“すでに”壊した」

傭兵「たった今、半分程度は殺した」

勇者「貴様……!」

傭兵「怒るな怒るな」

勇者「何故だ!何故!?」

傭兵「そうだな……やはり故郷を潰された恨みは忘れられ無かったと言う事だ」

傭兵「そもそも、故郷が滅ぼされる事が無かったらこんな事にはならなかった」

傭兵「いや……違う」

傭兵「全てが憎いからだ」

勇者「殺す……」

傭兵「まぁ、待て」

傭兵「医術士の身体を弄っている内に、疫病を操る力と呪いの力を得てしまった…….」

傭兵「そして……おぞましい事も判明した」

傭兵「医術士が不死身である事と、本当に全てを治せる事だ」

傭兵「当然のように疫病も……だ」

傭兵「自由に疫病を操れる私は気付いた。わざと疫病の進行を遅らせたらどうなるか?」

勇者「腕を利用したのか……!」

傭兵「そうだ。怪我をした人間に腕を使わせ、腕で疫病を蔓延させる」

傭兵「あっちの大陸に疫病を仕込むのは大変だったよ……弓使い」

傭兵「疫病の進行を遅らせる事で、即死をする確信はあった」

傭兵「いつ死んでもおかしく無い傷を受けていた私が一番、病気と怪我を無理矢理抑え込む事の恐ろしさを知っていたからだ」

傭兵「結果は大成功……今は見る事が出来ないが……」

傭兵「人口の半分を削ることが出来た」ニィ

勇者「おい……やりすぎだ」ピクッ

僧侶「ひどい……」

傭兵「!」

傭兵「ここにも全てを治せる女が!」

僧侶「え……?」

傭兵「貴様だ、貴様」

僧侶「私……ですか?」

勇者「……」

ーー何が目的だ?

事のあらましから、自分の手の内まで……

時間を稼ぐかのようにベラベラと……

勇者「魔導使い」ボソッ

魔導使い「なによ?」ボソッ

勇者「変な所は無いか?」ボソッ

魔導使い「…….」

傭兵「医術士に続いておぞましい存在だ……」

僧侶「……」

魔導使い「あるわ……呪いの類が沢山……」ボソッ

勇者「!」

勇者「どうにかならないのか?」ボソッ

魔導使い「無理ね……だってもう……「時間稼ぎは終わりだ」」

魔導使い「ほら……」

傭兵「今まで、私は呪いの準備が出来るまでの時間稼ぎをしていた……」

傭兵「そして……呪いでお前達を苦しめて……本当の魔王の誕生を待とう」

傭兵「さて」

傭兵「呪いを発動させてもらう」キイイイイン

勇者「ーー!」

シュウゥゥゥン

勇者「……?」

僧侶「?」

賢者「?」

魔導使い「?」

医術士「?」

少年「?」

傭兵「なっ……!」シュウゥゥゥン

シュウゥゥゥン

傭兵「あの女狐……!」

傭兵「やられた……!」

賢者「魔物の命が足りなかった?」

賢者「それとも……呪いに使う魔法陣が駄目だったのかな?」

傭兵「ぐっ……!」

賢者「大臣はもう一つ仕事をしていたみたいだね」キイイイイン

賢者「魔導で爆発の現場を見てみると、大臣が起こした爆発で魔法陣が見事に崩れたみたいだね」

勇者「……」

傭兵「あの女ァ……!」

傭兵「千年後……か……」ボソッ

ズドオオオオオオオオオン

勇者「!?」

少年「壁が簡単に……」

王様「遅れてすまない」

勇者「王様!」

王様「あの後魔物を退ける事は出来たが……怪我を治すのに時間がかかってしまった……すまない」

少年「良かった」

王様「……」

少年も無事か。

勇者「さぁ……どうする?傭兵」

傭兵「……」

傭兵「私は負けてしまったのか」

傭兵「ふっ……」

傭兵「この賭けは私でもどうなるか分からない……」

傭兵「人智を外れた者が産まれるか……失敗した者が産まれるか……弱い者が産まれるか……」

傭兵「……」チラッ

医術士「傭兵さん……」

傭兵「さよなら」

傭兵「まぁ……負ける事は最初から覚悟の上だが」ボソッ

勇者「……」ヒュッ

傭兵「む」パシッ

勇者「私と戦え、傭兵」

傭兵「いいだろう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

勇者「……」ヒュンヒュンヒュンヒュン

傭兵「ちっ」パシパシパシパシッ

勇者「はぁ……」キイイイイン

シュイン

パキイイィン

傭兵「くっ!」

足が凍らされた……

勇者「おしまいだ」ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

傭兵「ーー!」

ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス

傭兵「ははっ……」ポタ……

傭兵「はははは!」ポタポタ

傭兵「強い……!強すぎるぞ弓使い!」

傭兵「とてもじゃないが……勝てたものじゃない!」

勇者「もう……やめろ」

勇者「もう……良いだろう?」

傭兵「……」ギロッ

王様「……」

傭兵「最も酷い目に合えば良い……」

傭兵「息子共々……!」

少年「……」

傭兵「魔王誕生に必要な血肉は用意した……後は……千年後か……」ボソッ

医術士……分かってくれ。

必要な犠牲……だ。

どうしようも無いゴミ共を消し去る為の……!

傭兵「王!!!!!!!」

傭兵「貴様が作っ……た」ポロッ

傭兵「貴様が作った世界はぁ!!!」

王様「“私の世界”が……なんだ?」

傭兵「~~ッ!!」

傭兵「いつ貴様の世界になった!?」

傭兵「父を壊した外道がァァ!!!」

王様「……」

王様「見たのか」

王様「で?」

傭兵「ァァァァァァアアアア!!!!」

傭兵「ふざけるな!」

傭兵「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁぁ!!!!!」

傭兵「父をあのような目に合わせて国を語るな!!!!」

勇者「父……?」

医術士「?」

王様「必要な犠牲だ」

王様「あとはいい方向に国を持って行くだけだ」

王様「聞け、反逆者」チャキ

王様「私がとどめを刺してやろう」ザッザッ

傭兵「のろってやる」ボソッ

傭兵「のろってやるのろってやるのろってやるのろってやるのろってやる」ブツブツ

傭兵「息子も貴様も……一族全員まとめて……」

王様「残念だったな。私と血のつながりを持った人間は一人だけだ」ピタッ

王様「皆……殺されてしまった」ザッ

傭兵「……」キイイイイン

傭兵「のろってやるのろってやるのろってやるのろってやるのろってやるのろってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってや……」

ズバッ

ボトッ

ゴロゴロ

王様「……勇者」

王様「迷惑をかけた」

王様「あまり……傭兵の事を悪く言ってやるな」

勇者「分かっています」

勇者「それと……勇者と言う名は返します」

王様「分かった。ご苦労だった」

弓使い「はっ……」

少年「お疲れ様」

僧侶「お疲れ様ですわ」

魔導使い「あっけなかったわね」

賢者「早く国に帰らないと」

医術士「……」ポロポロ

傭兵……さん。

弓使い「それと……後で王国の国立図書館を借りてよろしいでしょうか?」

王様「……」

王様「来月にしてくれないか?まずは国を立て直す」

弓使い「……」

弓使い「かしこまりました」

一ヶ月後、国立図書館。

勇者「……」ペラッ

勇者「やはり無いか……」

「王国の創立に関する記録がことごとく抜かれている」

弓使い「やはり……存在するのは」

勇者「王国の……」

王様「研究員なら殆ど殺された」

勇者「!」ビクッ

王様「傭兵によって」

弓使い「なるほど」

王様「だが……」

王様「賢者王を軸に再結成させるつもりだ」

勇者「ーー同じ事を繰り返すつもりか?」

王様「……」

王様「そう怖い顔をするな」

王様「昔と同じ誤ちを犯すつもりは無い……絶対だ」

勇者「本当……ですか?」

王様「もし私が道を誤ったら……いつでも殺して良いぞ」

勇者「……分かりました」

返上した勇者の名前がもうかえってきてる件

>>275
ミスでした。

>>274の訂正です

一ヶ月後、国立図書館。

弓使い「……」ペラッ

弓使い「やはり無いか……」

弓使い「王国の創立に関する記録がことごとく抜かれている」

弓使い「やはり……存在するのは」

弓使い「王国の……」

王様「研究員なら殆ど殺された」

弓使い「!」ビクッ

王様「傭兵によって」

弓使い「なるほど」

王様「だが……」

王様「賢者王を軸に再結成させるつもりだ」

弓使い「ーー同じ事を繰り返すつもりか?」

王様「……」

王様「そう怖い顔をするな」

王様「昔と同じ誤ちを犯すつもりは無い……絶対だ」

弓使い「本当……ですか?」

王様「もし私が道を誤ったら……いつでも殺して良いぞ」

弓使い「……分かりました」

王様「……」

弓使い「医術士には一体どんな事を?」

王様「最初は死んだものだと思っていたが、実験を重ねている内に生きている事が判明した」

王様「やめさせようとしたら既に傭兵に入れ替わってしまった」

王様「後は……分かるな?」

弓使い「はい」

王様「これからはどうするつもりだ?」

弓使い「分からない……ですね」

弓使い「とりあえず故郷に帰るつもりです」

バンッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

兵士「王様!!弓使い様!!」ハァハァ

王様「どうした?」

兵士「国民ほぼ全てが暴徒と化しました!!!」

弓使い「!?」

王様「!?」

王様「そんな事があり得る筈が無いだろう!?」

兵士「事実です…….」

兵士「奴等はしきりに息子を差し出せと……」

王様「!?」

王様「少年は!?」

勇者「!」

兵士「少年なら自室に居ます」

王様「ここに連れて来い!」

兵士「は…はっ!」

バタンッ

勇者「王様……もしや」

王様「ああ、私の息子だ」

勇者「随分と若い時の子供ですね……」

王様「あの時の私はどうかしていた」

王様「本当は医術士と少年を結婚させるつもりだったんだ」

王様「医術士の両親は昔からの親友だった……だから……許嫁にしていた」

王様「疫病で死んでしまった少年の義理の家族も親友だったから預ける事が出来た」

勇者「……」

勇者「友達居たんですね」

王様「殺すぞ」

王様「それと……黒髪族」

弓使い「!」

王様「元は銀髪族だ」

王様「過去にクーデターがあっただろう?」

弓使い「!」ガタガタ

王様「震えて無理も無い」

王様「だが……教えなければいけない。聞け、弓使い」

王様「元々は貴様達は銀髪族」

王様「昔はとても強い一族だった……らしい」

王様「伝承によると、昔は残虐な方法で世界を支配していたらしい」

王様「そして……ある日を境に力を失ってから黒髪になってしまった」

王様「国内で黒髪族を実験したい者が現れた」

ガシッグググ

王様「……」

弓使い「続けろ」ギリギリ

王様「黒髪族を実験する為だけに黒髪族を皆殺しにした」

弓使い「誰がやったぁ!?」

王様「……」

王様「四人の魔人だ」

弓使い「!」

王様「あの時の賢者王の大臣は中々凄い女だった」

弓使い「弓の魔人も……」

王様「弓の魔人……貴様の父だよ弓使い」

弓使い「!」

王様「妹を守れなくてすまない」

弓使い「私より……妹を救って欲しかった」

王様「そして、淫魔……奴は行方不明になっていたが死んでいたとはな」

王様「魔導の魔人……魔導使いの師匠はこの世を知る為だけに禁忌を犯した」

弓使い「淫魔の正体は……?」

王様「傭兵の母……」

王様「黒髪族を実験してからおかしくなってしまった」

王様「単身で止めることはうまくいったが……犠牲を取り返す事は出来なかった」

弓使い「傭兵は気付かなかったのか?」

王様「原型も留めていないから無理も無い」

王様「あの時は私も若かった」

弓使い「少年と王様は……私と同じ?」

王様「……」

王様「突然変異のような物だ」

弓使い「……」

王様「私と少年の家系は銀髪族の末裔だ」

王様「と言っても、弓使いのように濃い血では無い」

王様「途絶えかけの血だ」

王様「それに、とてもとてもとても薄い」

王様「私も昔は髪が黒かった」

恐らく……少年も。

弓使いが受けたショックはまだまだ弱い……と言う事だな。

黒髪の時点で最強の女……

まるで、伝承と同じ……

王様「……」

王様「そうだな弓使い」

王様「勇者魔王伝説の二章を読むことを勧める」

弓使い「……」

王様「全てが終わった後……にだ」

弓使い「……」

弓使い「私が今まで見た父は偽物だったのでしょうか?」

王様「……」

王様「本物だろうな……きっと」

弓使い「……」

弓使い「傭兵の父には一体何を……」

バンッ

兵士「連れて参りました!!!」

少年「???」

王様「後にしてくれ」

弓使い「……」

少年「何?」

王様「少年、弓使いと一緒に遠い所へ行け」

少年「俺は今忙しい」

弓使い「いいから行くぞ」グイッ

少年「ちょっと……」

弓使い「早く!」

王様「弓使い……少年を頼んだ」

王様「ずっと……」

弓使い「分かりました」ダッ

少年「……?」ダッ

僧侶「そ れ で」

僧侶「私の所に逃げ込んだ訳ですわね?」

弓使い「誰にも見られぬように侵入したから問題無い」キリッ

僧侶「一発殴ってもよろしくて?」ピクピク

少年「僧侶、ここは納めて」

僧侶「少年に免じて許してあげますけど……」ブツブツ

弓使い「その少年を助ける為にやっているのは無視ですか?」

僧侶「自分の部屋に入って自分以外の人が居たら驚きますわよ!!見てください!この床!!」キーッ‼︎‼︎‼︎

弓使い「もしもーし」

シュウウウウ

僧侶「お母様に怒られてしまいますわ!」ガクガク

勇者「自分でやった事だ、自分で責任を持て」

僧侶「分かっていますわよ!」ムキー

弓使い「とりあえずだ、天井裏に隠れさせてもらう」

僧侶「お好きになってください」ハァ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
天井裏。

弓使い「……」チラッ

少年「……」

僧侶「ーー!」

「ーー!」

僧侶「ーー!」

ガタガタ

ザワザワ

僧侶「面倒臭いですわー!!!」

チュドオオオオン

弓使い「よし、行くぞ」スタッ

少年「やっぱり壁に穴を開けた」スタッ

僧侶「行きますわよ!!少年!!弓使い!!」

弓使い「ーーと言う訳で」

魔導使い「ストップ」

魔導使い「最終的に逃げ場所無くなるじゃない」

僧侶「お母様も聞く耳を持ってくれなかったですわ……」

魔導使い「私は今、小屋を調べるのが忙しいの」

魔導使い「後にしてくれない?」シッシッ

少年「魔導使い……お願いだから……」

魔導使い「うっ……」

魔導使い「ーー仕方ないわねっ!」

弓使い「理不尽を感じるのは私だけか?」

僧侶「安心してください……私もです」

少年「変なの」

少年「弓使い」

弓使い「どうした?」

少年「落ち延びていっているのは気のせい?」

弓使い「気のせいだ」クシャクシャ

クシャクシャ

少年「……」

少年「危なくなったら俺を置いて逃げて」

弓使い「馬鹿な事を言うな」

弓使い「少年に手を出す者は一人残らず殺してやる」

少年「そういう事じゃ……」

弓使い「死ぬまで守ってやる」

少年「……」

少年「馬鹿……」ボソッ

翌日。

魔導使い「暴動の理由が分かったわ」

弓使い「!?」

僧侶「本当ですか?」

少年「……」

魔導使い「傭兵よ」

弓使い「傭兵……?私は奴が死んだ瞬間を確かにこの目で見たぞ」

僧侶「嫌な予感が……」

魔導使い「厳密には傭兵の呪いがそうさせているのよ」

少年「呪い?」

魔導使い「少年への大きな怨みに国中の人々が影響されたのが原因」

魔導使い「理由が分かれば解呪すれば良いだけだから私に任せなさい!」ポンッ

弓使い「分かった。任せる」

魔導使い「その代わり……かなりの集中を要するから私の所から離れて欲しいの」

壁に覆われた国、跡地。

弓使い「……」

少年「……」

僧侶「弓使い、自分を責めないでください」

僧侶「私もここなら当分来ないと思っていましたから」

ワラワラ

弓使い「下手すると殺してしまうかも知れないな」

僧侶「弓使い……?」

「くそっ!」ブンッ

少年「……」サッ

「おっ……おい……本当に化物じゃないのか?」

「ひっ……」

弓使い「好き勝手な事を……!」チャキッ

僧侶「弓使い!やめなさい!」

弓使い「しかし……!」

僧侶「一般人を殺す必要は無いですわ!」

弓使い「ぐっ……」スッ

数時間後。

魔導使い「終わったわよ!」

弓使い「魔導使い!」

僧侶「解呪は!?」

魔導使い「結果から言うと、解呪はちゃんと成功したわ」

弓使い「なら……!」

「……」ワラワラ

少年「……」

弓使い「奴等は何故止まらない!?」

魔導使い「……」

魔導使い「あの呪いの厄介な所は……最も恐ろしい所は」

僧侶「厄介な所?」

魔導使い「ーー人の闇をほんの少し軽く刺激する事なの」

弓使い「闇?」サッ

魔導使い「傭兵は国民に少年を脅威と認識させる呪い、少年を庇う者も敵と認識させる呪い、そして……心の中の猜疑心を刺激する呪いをかけたの」

弓使い「ああ……なるほど」

弓使い「一度敵と認識された者は継続される恐怖によって、永遠に付け回されると言う事か」

魔導使い「ええ……さっきまで少年を匿っていた王国……戦士の街……そして……私達も……」

弓使い「死を待てと言うのか?」

魔導使い「結局解けようが無い呪いもあったの、その呪いは賢者でも……誰でも解けない」

僧侶「嫌……嫌……」ガクガク

魔導使い「勇者パーティーとその関係者が苦しみの後に死ぬ呪いを……ね」

弓使い「傭兵の呪いは失敗した筈だ!?」

魔導使い「私にも分からないのよ!」

魔導使い「別の何かが傭兵の呪いに協力したとしか……」

弓使い「死ぬ間際に傭兵は、ずっとブツブツ言っていたが……もしかして」

魔導使い「多分死ぬ間際に呪いをかけたのかも……」

魔導使い「呪いの魔力が異常なのよ……人知を逸しているわ」

僧侶「!」ハッ

僧侶「本当の魔王……?」

弓使い「馬鹿馬鹿しい話はやめろ」

僧侶「でも……」

僧侶「!」

僧侶「少年!!」

少年「……」ボロッ

弓使い「~~ッ!」

弓使い「何故抵抗をしない!?」

少年「人に手を出したら駄目……だから」

弓使い「もういい……」

弓使い「逃げよう……」

少年「ーーどうやって?」

少年「ほぼ全ての国民に囲まれて居るのに?」

魔導使い「……」

少年「もう……無理だよ」

弓使い「~~ッ!」

まだ本当の親を知る事すら出来ていないのに……!

本当の親の温もりすら受けていないのに!

弓使い「……」

ここで言っても良いのか?

本当の親を……言っても……

僧侶「少年!!危ないですわ!!!」

弓使い「!」ハッ

「くらえ!!化物!!」ブンッ

シュウウウウウ

少年「剣だから……即死……」

ガキイイィィン

ギリギリ

王様「……」

魔導使い「王様!」

王様「気になって助けに来てみれば……この様か?弓使い」

弓使い「……」

王様「まぁ良い」

王様「全力で駆けるぞ」

賢者「皆大丈夫!?」

魔導使い「賢者!?」

馬1.2.3「ヒヒーン!!」

王様「乗れ!!」

パカラッパカラッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

暗闇の洞窟の前。

魔導使い「~~と言う事が」

王様「そう言う事か……」

僧侶「一応回復を」キイイイイン

シュイン

少年「ありがとう」

魔導使い「これからどうするの?」

弓使い「私と少年で洞窟の中に隠れるつもりだ」

僧侶「……」

王様「そうか……頼んだぞ」

魔導使い「私は帰って研究を続けるわ」

賢者「僕もー」

王様「私も帰るか」

僧侶「私は……」

僧侶「私も帰りますわっ!」

弓使い「そうか、それなら良い」

僧侶「……」

王それでは帰るか」

王様「その前に……少年」

少年「?」

王様「ほら」スッ

少年「おにぎり……」

王様「美味しいぞ」

王様「父の最後の手料理だ」

少年「!」

少年「ありがとう、父さん」

王様「……」

弓使い 「……」

魔導使い「絶対助けに行くから……」

賢者「ありがとう」

僧侶「神のご加護を」

少年「皆……ありがとう」ザッザッザ

弓使い「医術士によろしくと言っといてくれ」

ゴゴゴゴ

ガシャァン

僧侶「……」ポロポロ

僧侶「ぁぁぁっ……!」ガクッ

魔導使い「きっとあの二人はあの洞窟で最後を……」

賢者「うん……」

王様「次は自分達の心配をしておけ」

王様「特に……私だが」

魔導使い「危険……ね」

翌日、戦士の街。

僧侶「お母様、只今帰りました」ガチャ

シンッ……

僧侶「おかあさ……ま?」

ポタポタ

僧侶「!!!」

僧侶「キャーッ!!!!」

僧侶の母「逃げ……」ポタポタ

「「居たぞ!化物の手先だ!」」ダダダ

僧侶「よくもよくも……お母様ぉぉぉ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



王国の研究医の記述。

母を殺された事により激昂した邪教の狂信者は三日三晩暴れ続けるが、一通り暴れ回った後に息絶える。

死体は回収。

同日、王国、奥、暗部、研究室。

賢者「みんなー!」ガチャ

賢者「帰ったよー」

「……」

「こんな所に隠れようとしていたのか?」

賢者「やっぱり……だよね」キイイイイン

シュイン

スドオオオオオオオン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



王国の研究医の記述。

捕縛を試みたが、失踪。
詳細は不明。

ワァァァァァァ

ワァァァァァァ

「王様」

王様「ああ、分かっている」

簡単な解決策は代理に後を任せ、私が投降をして死刑をされる事だった。

心残りを挙げたらキリが無いが、代理は私が残した計画通りに事を運んでくれるだろう。

少年……すまない。

王様「私は……に……思いを……」

王様「そして……を……す」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

ーー

王国の研究医の記述。

愚かな王は潔く投降。
死体は回収。

暗闇の洞窟。

弓使い「少年」

少年「どうしたの?」

弓使い「今まで色々な事があったな」

少年「そうだね」

弓使い「本当に……色々な事が」

ボオオオ

少年「灯を点けた」

弓使い「でかした」

弓使い「後は生活スペースだけに灯を点けたら完璧だな」

少年「全然暗くない」

弓使い「はははっ……そうだな……暗闇の洞窟なのにとても明るい」

少年「……」

弓使い「なぁ……二人きりだな」

少年「ーーうん」

今日の分は終わりです

弓使い「なぁ少年」

弓使い「私は少年が……」

少年「やめてくれ」

弓使い「っ……!」

少年「今聞いたらもっと辛くなる」

少年「また……いつか……落ち着いたら……」

少年「ーーその時に返事をさせて欲しい」

弓使い「うっ……」ポロポロ

弓使い「どうしてだ……どうしてこんな事が……酷すぎる……酷すぎる……ぁぁ……!!」

少年「大丈夫だよ、本当」ナデナデ

弓使い「まだ…….まだ……沢山する事がぁぁぁ……傭兵……傭兵ぃぃぃ!」ポロポロ

少年「傭兵って人は悪くない、元はと言えば俺の父親が招いた事だから」

少年「俺がその尻拭いをするのも当然だよ」

弓使い「少年……どうしてお前はこうも……」


「ーー純粋なんだ?」

一ヶ月後。

食糧は底を突き、少年は日を追うごとに衰弱していった。

弓使いも同じく弱っていた。

弓使い「なぁ……少年」

弓使い「そろそろ外に出ないか?」

少年「……」ボーッ

弓使い「きっと皆がなんとかしてくれた筈だ」

少年「もう一度父さんのご飯が食べたい……次は…….一緒に」

弓使いと少年はマトモな判断をする事が出来ず、ありもしない妄想に取り憑かれ、暗闇の洞窟の外へと足を運ぶ。

弓使い「ほら、立て……行くぞ?」

少年「これが最後の全力」スクッ

ザッザッザザッザッザ

ちなみに言うと。

本当に状況が好転していると思い込んでいるのは弓使いだけだった。

外。

弓使い「外だ……綺麗だな……少年」ポロポロ

少年「最後に……見れて……良かった」

弓使いと少年は一ヶ月振りの外の景色に満足していた。

日々磨り減っていった心が満たされて行く感覚がとても気持ち良かった。

弓使い「次は景色が綺麗な所に住みたいな」

少年「うん……一緒に住みたい」

弓使い「なっ……!」カァァァ

少年「ーーそうだ」ポンッ

弓使い「どうした?」

少年「あの時の……一ヶ月前の返事だけど」

弓使い「ああ……あの時の……恥ずかしいな」

少年「俺も弓使いの事が……」


「ーー好き」

「撃てぇぇぇぇ!!!!!」

少年「弓使い……ありがとう」

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

弓使い「あっ……」

ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスゥゥゥゥゥ!!!!!

少年「……………」パクパク

少年「……………」パクパク

最後に言おうとしたが出なかった言葉も、弓使いは唇の動きをしっかりと見て受け取った。

「あいしてる」

「さようなら」

弱い人間は魔王の誕生の為に十分過ぎる罪を犯した。

キイイイイン

キイイイイン

弓使い「ああああああああ!!!!!!」ポロポロ

キイイイイン

弓使い「よくも少年おおおおおおおお!!!!!!!人間共がぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」キイイイイン

「ひっ……魔王……」

弓使い「誰が魔王だ!?」キイイイイン

弓使い「魔王は貴様達人間だっ!!!」ポロポロ

「うっ……撃て!撃て!撃てぇぇぇぇ!!!!!」

王国の研究医の記述。

弓使いと少年は弓の雨で死亡。

少年の死体は回収。

弓使いは元勇者と言う事で特別に回収は中止、遺体は記念碑と共に埋葬される。

弓使いと少年が死んでから、この世界の魔力の流れが少し悪くなる。

医術士は今回の死亡者の為の慰霊の旅へと出てから行方不明となる。

科学と言う分野が飛躍的な発展を遂げる。

海を渡れば他の大陸で私達のように、人が独自の文化を持って生活をしている事も確認される。

何よりも注目すべきは、黒髪族でも無いのに独特の文化を持った、髪が黒い人々が住む大陸の発見。

これからも調査は怠る事も無く続ける事とする。

以上。

数日後、魔導使いの家。

魔導使い「嘘……!」ペラペラ

魔導使い「まるでそんなの……伝説と一緒……」

魔導使い「何が伝説よ……そんなの予言書じゃない……!」

魔導使い「どうすれば……」

「居たぞおおおおお!!!」

「魔導使いだ!!!!」

魔導使い「しまっ!」

魔導使い「……」

魔導使い「小屋がある」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

師匠「最後に一つ……あの子屋は確実に必要になる……本当に全てにケリを付けたいのなら……な」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔導使い「余計なお世話よ!」ガチャ

小屋。

シーン

魔導使い「ほら……やっぱり何も無いじゃない」

魔導使い「皆居なくなったし……私はどうしたら……」ストンッ

ズズズズズッ

魔導使い「え?」


弓使い「勇者……私が?」

完結です。

次回作に続きます。

質問等ございましたらお願いします

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