小鳥「小鳥が巣立つまで……」 (131)

酒を飲みながらゆっくりといかせてもらいます。

素人の書き手だけど需要があろうが無かろうが最後までがんばるつもり。


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小鳥「お疲れ様です、プロデューサーさん!」カチン

P「お疲れ様です!」カチン


小鳥「くぅーっ、やっぱり仕事終わりのビールは美味しいですね~!」

P「音無さん、オッサン臭いですよ」グビグビ

小鳥「別にいーんです! 誰も貰ってくれないし、こうなったら、一生独身なんです」グビーッ

P「いやいや、運命の出会いなんて、どこに落ちてるかわかりませんよ?」

小鳥「そう思い続けて2X年! 未だに彼氏ができていませんが、何か問題でも!?」ジロッ

P「別にありません!」

小鳥「そういうプロデューサーさんは、どうなんですか?」グビグビ

小鳥「もうそろそろ、アイドルのコたちに欲情してきましたか!?」

P「無いですね~、あいつらはみんな妹みたいなもんです」グビグビ

P「愛情はありますが、恋愛の対象にはなりませんよ」

小鳥「そんなこと言ってたら、あっとゆー間に30歳迎えちゃうんですから」

P「何言ってんですか」グビッ

P「だいたい、あいつらも同じようなもんだと思いますよ?」

P「付き合いはそれぞれ長くなりましたが」

P「見られ方なんてのは、兄弟とか父親みたいなもんだと思いますけどね?」

小鳥「美希ちゃんとか、よく『ハニー!』って、抱きついてるじゃないですか」

P「それは、きっと身近に父親以外の大人の男性がいないからですよ」

P「もう少し大きくなったら、自然と離れていくと思いますけどね」

小鳥「春香ちゃんだって、お菓子ちょこちょこ渡してるでしょ?」

P「? みんなに渡してるじゃないですか?」

小鳥「そうですけど……」

小鳥(プロデューサーさんのは、個別包装なんですよ?)

小鳥「プロデューサーさんって、よく鈍感って言われません?」グビグビ

P「異性の友人からは、よく言われましたね。自分ではそう思わないんですが」

小鳥「もしかして、プロデューサーさんって……」

小鳥「彼女いない歴=年齢じゃないんですか?」




P「まぁ、一応……」

小鳥「……」






小鳥「この、裏切り者~!」ポカポカ グビグビ



P「イタッ、な、何を言ってるんですか」

小鳥「プロデューサーさんは、私と同じだと思ってたのに」グビーッ


P(聞かなかったことにしよう)


P「……あ、お鍋がきましたよ! 音無さん!」

P「ついでに、日本酒もどうですか?」


小鳥「日本酒なんか飲ませてどうするんですか~?」

小鳥「今までの女と同じように、お持ち帰りしてくれるんですか~?」



P「そ、そんなことはしたことないですよ」

小鳥「じゃあ、逆にお持ち帰りしちゃいますよ! 店員さ~ん」ピンポーン



~~~~ 1時間後 ~~~~




小鳥「わらひなんて……られも貰ってくれない…ころくな鳥なんれす」ヒック

P(完璧につぶれちゃった。)

P(最近忙しかったから、酒の回りがよかったのかも)



P「音無さん、帰る時間ですよ~」

小鳥「おとなしらありましぇん、ころりれふっ!ころりってよんれ」

P(なに言ってるかわかんないけど)


P「ことりさん、帰りますよ~?」

小鳥「んふ~っ」ニヘラ



P「……」

P「ここまで酔っぱらった人、久々にみたよ」タラリ


P「ほら、ちょっとお水を飲んで」


小鳥「のませてくらはい」

P「はい、どうぞ」

小鳥「んーん」

P「え?」



小鳥「ちゅーして飲まして」ンー

P「えぇっ」

小鳥「」ンー





P「だ、ダメですよ!」

小鳥「え~」



P「ほら、自分でがんばって飲みましょう」

小鳥「ん~」コクコク


小鳥「Pくん、ことりもう歩けないの」

P「はいはい、おぶってあげますから」



小鳥「お礼にちゅーしてあげる」ンー

P「いやいやいやいや、大丈夫ですから」

小鳥「そんなにいやがったら、ことりきずついちゃう」

P「早くおぶられてください」

小鳥「しょうがないなぁ」ヨット



P「うおっ」フヨン



P(こ、これはめちゃくちゃやばい)

P(音無さんの胸が背中に、手には太ももの感触、耳元には吐息)




P(しかも、ちょっと荒めの吐息でめっちゃエロい!)

P(おさまれっ、おれの息子よ!!)



小鳥「Pくんのえっち」アハー

P「そそそそそ、そんなこと無いですよ」ドキーン


小鳥「ふふっ、さー、しゅっぱつしんこー!」

店員「ありあっした~」




P「さて、タクシーを捕まえて……って、音無さんの家知らないや」

P「音無さーん、起きてますか」

小鳥「んー?」



P「音無さんのい……」
小鳥「ことりって呼んでよ~」フー


P「もう、何イタズラしてるんですか」

小鳥「だって、Pくん冷たいんだもん」




P「…小鳥さ…」
小鳥「呼び捨て~」




P(まぁ、明日になったら忘れてるか)
P「小鳥?」

小鳥「なぁに~、Pくん」

P「家ってどこですか?」




小鳥「とりあえず、ここから近いから、そのまままーっすぐ」

P「まっすぐね……」


~~~~ 30分後 ~~~~



P「このマンションですか?」

小鳥「はいっ、せいかいでーす」

P「歩けますか?」

小鳥「部屋までおくって~」


P「はいはい……って、オートロックなんですけど」

小鳥「えーっと」ごそごそ

小鳥「はい、カギをそこの穴に差して~、部屋番号を入力して~」



ウィーン




小鳥「はい~、よくできました~」ナデナデ

P「はいはい、行きますよ」


~~~~ 小鳥の部屋 ~~~~



ガチャッ



P「意外に綺麗ですね~」

小鳥「んー、いつでもPくんが来てもいーよーに」エヘヘ

P「もう、何言ってるんですか~」



スタスタ



P「寝室はどっちですか?」

小鳥「きゃ~、襲われる~」

P「そのまま、おろして帰りますよ?」ハァ




小鳥「あなた様、まことにいけずです」プクー

P「貴音はそんなこといいません」


小鳥「あはは、寝室はあっち~」アハハ


P「じゃあ、失礼して……」ガチャッ

P「おろしますよ~」ストン



小鳥「やさしく……、してね」

P「何いってるんですか」ハァ




小鳥「ふぅ~、やっぱり我が家のベッドが一番ね」


P「それは同感ですね」

P「じゃ、役目も終わったし帰りますね」


小鳥「寂しいからダメ~」ギュッ

P「……」フー





P「音無さん?」

小鳥「なぁに~」







P「酔い、覚めてるでしょう?」

小鳥「!!!!!」






P「腐ってもトップアイドルを育てているプロデューサーですよ?」

P「それぐらいは見抜けるんですから」アハハ



小鳥「えっと、その……」



小鳥「はい……」


小鳥「けど、寂しいのは本当で、明日は久しぶりのオフが合う日だから」

小鳥「あの、その……」




P「……」


P「しょうがないですね~、今日だけですよ?」


小鳥「!!///」パァァァァッ

そして、酒が切れたのでおやすみ。

良い夢みろよー!

小鳥さんの良さがわかるのは20代になってからだと思う。

さて、やっすいビールもどきの準備もできたし、
いかしてもらいます。


P(うわ、めっちゃかわいい)

小鳥「じゃあ、飲み直しましょう!」


P「吐いても知りませんよ?」

小鳥「お店じゃないから大丈夫です!」

小鳥「ワインでいいですか? 美味しいワインがあるんです」








P「って、今度はホントに寝ちゃったよ」

小鳥「zzz」クー


P「しっかし、眠ってると年上には見えないな」

P「アイドルのコたちを見守る、大人っぽいとこもあれば」


小鳥「zzz」スー


P「無邪気な子供っぽいところもある」ナデ

P「あ、つい癖で……」ナデ

小鳥「zzz」ニヘラ






P「……まぁ、もうちょっとゆっくりしてようかな」






チュンチュン





小鳥「ふぁ~あっっ、ってて」イタタ

小鳥「昨日は飲みすぎたぁ~……」

小鳥「って、どーやって家まで帰ってきたんだっけ?」




ポクポクポク……


チーン!!



小鳥「そうだ!、プロデューサーさんは?」

小鳥「あれ、テーブルの上に…」


小鳥さんへ
昨日は美味しいワインごちそうさまでした。
お礼に朝食置いときますから、
起きたら食べてください。

また、明日から仕事頑張りましょう!







小鳥「うわぁ~っ、なんかやっちゃったかも」

小鳥「……」


小鳥「美味しいなぁ……」

小鳥「プロデューサーさんって、料理も美味いのね」




~~~~ 翌日 ~~~~



P「ふぅ~、ゆっくり休日もあったし、今日からまた頑張るか!」


小鳥「おはようございます!って、プロデューサーさん!!」

P「あ、音無さん、おはようございます」


小鳥「先日は失礼しました! 酒の勢いとはいえ、失礼なことを……」

P「いえ、楽しませてもらいましたし、そんなに気にしないでください」

小鳥「このお返しは、必ずしますので」

P「いや、気にしなくていいですって」



小鳥「でも……」

P「そしたら、今度の飲み会の時は一杯おごってください」

小鳥「はいっ!」


社長「お、音無君、ちょうどいいとこにいた。P君もちょっといいかね?」


~~~~ 社長室 ~~~~



P「どうしたんですか?」

社長「うむ、P君は某音楽番組の『あのアイドルは今?』というシリーズを知っているかね?」


P「ええ。年1回程度の特番で、サングラスの司会者が昔人気のあったアイドルを取り上げて、歌わせたりする番組ですよね」

社長「ああ、そうだ」


小鳥「それが、なにか?」

社長「P君は小鳥君が、昔アイドルだったことは知っているかね?」

P「えっ?」

小鳥「もしかして……」





社長「うむ。小鳥君、今回の『あのアイドルは今?』は、キミが呼ばれることになったよ。昨日オファーがあった」


P「え!?」

小鳥「えぇーーーっ!」


社長「しかもだ、その番組では過去の曲を1曲披露することになっているのだ!」

社長「この話を聞いた時、私は昔を思い出して、ついつい泣いてしまったよ」


社長「事後報告になってしまったが、小鳥君、参加はもちろん問題ないよね?」

小鳥「しかし……」


社長「たしかに、引退する原因はいろいろと不運が重なった」

社長「しかし、キミは確かな実力を持っていると思っているよ」

P「そんなに凄かったんですか?音無さんって」



社長「うむ、その当時はあの黒井も惚れ込んだくらいでね」

社長「プロデュースの方針で、よくちょっかいを掛けられたよ」ワハハ


小鳥「……けど、今はレッスンもしてないし」

社長「小鳥君……キミが今でも歌を好きだと言うのは、わかっているんだ」

社長「月に一度、あのバーで歌っているときのキミは、今でも世間に通用すると私は思っているよ」

小鳥「!!」

P「えっ!?」




社長「しかし、ほんとうにTVに出るとなれば話は別だ」

社長「P君、来月の収録まで、小鳥君のレッスンに協力してもらえないかね?」






小鳥「しかし、他のアイドルのコ達が……」


社長「わかっているさ。だから、週一回、曜日を決めてやればいいだろう?」

社長「その週のレッスンの集大成を確認してもらい、不具合を指摘してもらう。」

社長「それを翌週の目標にすれば、効率的で負担も少ないと思うのだが、どうだろうか?」





P「私は、かまいません」

小鳥「私は…… 考えさえてもらえませんか?」




社長「うむ。ただ、時間はあまり無いので、明日中までに返事をくれないか?」

小鳥「わかりました」

社長「良い返事を期待しているよ」バタンッ




小鳥「……」

P「……」



P「お、音無さん、大丈夫ですか?」


小鳥「…!」

小鳥「そ、そんな深刻な話じゃありませんよ?」

小鳥「心配しなくても大丈夫ですって」アハハ



P「……」

P「どうするんですか?」


小鳥「……」

小鳥「プロデューサーさんは、どうすればいいと思いますか?」


P「自分は……」

P「自分は、社長や黒井社長が認めた歌を聞いてみたいです」

小鳥「…そうですか」





P「あ、でも希望ですから! そんなに気にしないでください」アセアセ

小鳥「お気遣い、有難うございます」フフッ


~~~~ 夜、事務所 ~~~~



小鳥「では、お先に失礼しますね?」

P「お疲れさまでした」
律子「お疲れ様です」




P「律子、ちょっと教えてほしいんだけどさ」

律子「はい?どうしたんですか?」





P「音無さんが、昔アイドルだったって知ってるか?」

律子「ええ、そこそこ注目されてましたけど……」

P「なんで、やめちゃったんだ?」

律子「あれ、プロデューサーは知らないんですか?」


P「え、そんな大きな話!?」


律子「だって、その当時は、あのオーガの牙城を崩すアイドルが!?って言われたんですよ?」

P「そ、そんなに有名な話か?」

律子「ええ、アイドル事務所に勤めてて、知らないことに驚きましたよ」

P「え、えぇっ」ガーン


律子「ただ、その当時のちょっとしたゴシップで引退まで追い込まれましたけどね」

P「えっ!?」


律子「どうかしましたか?」

P「いや、続けてくれ」




律子「そんなに複雑な話じゃないんですけどね?」

律子「今でも超大手の某事務所の男性アイドルが小鳥さんを気に行ってご飯に誘った」

律子「小鳥さんもご飯だけならと行ってついていったものの、そこはちょっとお高いレストラン」


律子「そいつも、その先を狙ってたんでしょうね」

律子「小鳥さんの手を引いて、お店近くのホテルまで行ったところをカメラマンに取られて」

律子「週刊誌に乗せられたと」

律子「相手は、超大手の事務所、かたや小鳥さんは今の765プロのような新進気鋭の事務所」

律子「世論誘導なんてできるわけも無く、小鳥さんに非難が集中した」

律子「結果、引退に至ったというわけです」



P「ふーん……」

と、いうわけで、酒も切れた。

おやすみー!


律子「まぁ、何も無くてよかったって本人は言ってましたけどね」

P「そうか、ありがとうな」


律子「それにしても、なんで急に?」

P「いや、音無さんに『あのアイドルは今?』のオファーがあってさ」

律子「へぇ~っ!なんだか複雑ですね」


P「それで、一曲歌うんだよ」

P「音無さんの心をえぐるような話なら、こっちから断りの話をしてもいいかなって」

律子「そうですねぇ」


律子「まぁ、出演するのは本人なんですから、本人の気持ちに任せるのが一番ですよ」

P「そ、そうかもな」


律子「さ、私は今日の仕事は終わりましたので、帰りますけど」

P「え? …ああ。先に帰っててくれ」

律子「はい、では、お先に失礼しますね」

P「……」

~~~~ 翌日 ~~~~



社長「気持ちは固まったかね?」


小鳥「はい、お受けしてください!」

P「!!?」


社長「そうか……」グスッ

P「しゃ、社長!?」

社長「あ、ああ、失礼したね」グシグシ


社長「では、P君、レッスン等の段取りは、キミに任せるよ」

P「え、ええ」

小鳥「では、宜しくお願いしますね、プロデューサーさん」


P「え、ええ、こちらこそ……」


小鳥「今日から、番組が終わるまでは事務員兼アイドルですので」

小鳥「他のアイドルと同じように扱ってください!」


P「って、言っても、何も変わりませんよ?」

小鳥「ちゃんと名前で呼んでくださいね? プロデューサー」ニコッ

P「」ドキッ


P「わ、わかりました。小鳥さん」

小鳥「呼び捨てでもいいのに……」


P「で、でも、あずささんも『さん』付けですから」

小鳥「そーですね! どーせ私は事務所最年長のおばさんですよ!」



P「そ、そういうわけじゃ……」



小鳥「じょーだんですよ。音無小鳥を宜しくお願いしますね!」ペコッ

P「こちらこそ、宜しくお願いします!」ペコッ



~~~~ ボーカルレッスン ~~~~


P「とは、言ったものの、一曲を歌う体力をつけるだけなので体力はそんなに必要ないと思いますが」

P「これから、収録までの期間、ちょっとお酒は控えましょうか?」

小鳥「い、命の水を控えろと!?」

P「そ、そんな大げさな……」


小鳥「じゃあ、なんかご褒美ください」

P「うーん……」

小鳥「……」ドキドキ

P「飲み会の代金、持ちますか」

小鳥「いいですよ、その代わり」

小鳥「二人っきりで行くような、ちょっといい雰囲気のお店でお願いしますね」

P「わかりましたよ」

小鳥「やった!」



P「そして、どれくらい歌えるか知りたいので、一曲歌ってもらえませんか?」

小鳥「プロデューサーさんに聞いてもらうのは緊張しますが、いいですよ」


P「曲は……青い鳥、いってみますか?」

小鳥「い、いきなりハードルをあげて、どーするんですか」ピヨー


P「いえいえ、今でも歌ってるって聞いたので」

小鳥「それにしたって、765プロNo1の歌姫との比較される身になってくださいよ」

千早「あら、私も聞いてみたいですよ」

小鳥「千早ちゃん?」

千早「私……、実は昔、音無さんの歌を聞いたことがあります」


小鳥「え?」

千早「やさしくて、あたたかくて、とても心に染みいるような曲で」

千早「優と二人でよく聞いてたのを覚えています」

千早「音無さんさえよければ、ぜひ聞かせてください」

小鳥「わ、わかりました」


小鳥「けど、千早ちゃんもあんまり期待しないでね?」

千早「はいっ」

~~~~ 小鳥 青い鳥歌唱中 ~~~~


千早「す、すごい……」

P「た、確かに、千早の上手さにあずささんの柔らかさを足したような……」


~~~~ 歌い終わり ~~~~


小鳥「どうでした?って」


千早「か、感動しました」ポロポロ

P「社長と黒井社長が惚れた理由がわかりましたよ」ジーン



小鳥「そ、そんなに凄かったですか?」

千早「これから、師匠と呼ばせてください!」

小鳥「ち、千早ちゃん?」

P「いや、確かに、ボーカルレッスンを見てもらうのは、いい刺激になるかもしれません」

小鳥「プロデューサーさんまで……」


P「ただ、やっぱり最後の方に声量が落ちてきたのが気になりました」


小鳥「さ、さすが見てますね」

P「とりあえず、明日から走りますか!」

小鳥「や、やっぱり?」

P「こうなったら、完璧な音無さんを見たいですから!」

小鳥「い、嫌な予感が」

P「がんばれば、その分すべてが終わったときのビールが美味いですよ?」


小鳥「プロデューサーさんとのビールの為に、頑張りますよ」ピヨヨ

千早「がんばりましょう!師匠!! とりあえず腹筋から始めますか!」

小鳥「ピヨー」


~~~~ ビジュアルレッスン ~~~~


P「ビジュアルレッスンは、ボディラインを作ることがメインになります」



P「ただ……」

小鳥「い、言わないでください、悲しくなるから」

美希「小鳥のお腹、やわらか~い」

P「美希、あんまり音無さんをいじめてやるな」

美希「わかってるの!」

あずさ「音無さん、とりあえず、ストレッチから初めましょう?」

美希「そうなの!小鳥はおっぱいもお尻もおっきいから、余分な肉を落としたら、すっごいセクシーになれると思うな!」


小鳥「えっ、そうかしら?」

あずさ「ええ、わたしもそう思います」

小鳥「プロデューサーさんは?」


P「そ、そんなこと聞かないでください///」

小鳥「ちぇっ」

美希「むっ」

美希「いくら、小鳥でもハニーは渡さないの!」


P「な、何言ってるんだ美希!?」

小鳥「そ、そうよ!」

あずさ(あらあら、これは……)


P「とりあえず、ビジュアルレッスンについては、美希かあずささんと一緒に行ってください」

あずさ「貴音ちゃんとはいいんですか?」


P「貴音とはちょっと雰囲気が違いすぎますからね~」

あずさ「よく見ているんですね」フフッ

P「あずささんまで、やめてくださいよ~」

小鳥「/////」カァーッ

美希「むーっ」プンプン



P「けど、だんだん方向性が見えてきましたね」

小鳥「はいっ!」


~~~~ ダンスレッスン ~~~~



小鳥「あれ、ここには誰もいないですね」

P「ええ」

小鳥「もしかして……」




―――― 小鳥の妄想 ――――


P「小鳥、ここでは、おれとお前の愛のダンスレッスンだ」

小鳥「え、けど、だれかが来るかもしれないし……」

P「そのほうが、興奮するだろ?」

小鳥「え、え?」


ピヨーッ


―――――――――――――――


小鳥「ピヨヨヨヨ」グフフ

P「音無さん、おとなしさーん」


小鳥「さぁ、私と愛のダンスレッスンを」

P「な、何をいってるんですか?」




小鳥「……はっ!」

小鳥「わ、私ったらなにを」オホホホホ





P「えっと、いいですかね?」

小鳥「は、はい!」


P「ダンスレッスンに関しては、あまり行いません」

小鳥「な、なんでですか?」

P「さっきの歌を聞いて思ったんですが」

P「音無さんの最大の長所は、その表現力だと思います」

P「ですから、ダンスを織り交ぜるよりも、歌をメインで言った方がいいと思うんです」


小鳥「と、いうと?」

P「上半身、特に腕の動きなんかで表現力を表す方法を身につけてもらいます」

小鳥「けど、今までそういったことを教えてもらったことが……」

P「もうそろそろ、トレーナーが来るはずなんですけど」



ガチャッ

小鳥「!?」

律子「さぁ、やるからには徹底的にいきますよ~!」


小鳥「ま、まさか」

P「はい、律子がダンスレッスンのトレーナーです」


律子「小鳥さん、宜しくお願いしますね!」

小鳥「は、ハードトレーニングの予感が……」

律子「いきなりやって、倒れられても困るので、今日はストレッチのみです!」


P「あ、ストレッチはさっきあずささん達とやってきたから」


小鳥「よ、余計なことを……」



P「じゃあ律子、よろしく頼むぞ?」

律子「はいっ!」



小鳥「プロデューサーさんは?」

P「律子の代わりに、竜宮小町の引率ですよ?」

小鳥「ええーっ!」

律子「さぁ、いきますよ~!」

P(律子のヤツ、うれしそうだな!)


P「じゃあ、律子、後はたのんだぞ!」

律子「了解しました!」


ピヨーッ



P「さて、こっちはできることをやっておくか」

~~~~ 夕方 ~~~~


小鳥「も、もう動かない……」

小鳥「これから事務とか、耐えれないわ」


ガチャッ


P「あ、音無さんおかえりなさい」ババババッ

P「どうでした~?」バババババッ




小鳥「仕事との並行は厳しいです~」ピヨー

P「あ、仕事は気にしなくていいですよ」バババババッ




P「あ、これで最後かな?」

小鳥「も、もしかして」

P「ええ、今日の音無さんの業務も片付けておきましたよ?」

P「しばらくは、小鳥さんの仕事も見ますので」


P「安心してレッスンに励んでください!」


小鳥「あ、」

小鳥「ありがとうございます~」ギュッ


P「あ///」

小鳥「あっ」

小鳥「ご、ごめんなさい!」

P「いえ、気になさらずに///」



小鳥「美希ちゃんと違って年上の女に抱きつかれても、嬉しくないですよね」

P「そんなことありませんよ!」

小鳥「えっ?」

P「いや、その……」

ガチャッ


美希「お疲れ様なの!」
春香「お疲れ様です!」
真美「おつかれ!にーちゃん、ぴよちゃん……って、あれあれ?」


P「どうした、真美」


真美「なんだか、にーちゃんとぴよちゃんの雰囲気がおかしいですぞ?」ニヤニヤ

P「な、何言ってるんだ? 真美」

小鳥「そうよ、何もないわよ///」




美希「ハニーっ!」ギューッ

P「こら、美希、やめろって!」

美希「やめないの!ハニーが小鳥とくっついたら、美希はさみしいの!!」

P「いやいや、音無さんに失礼だろ? おれなんかと一緒にしたら」アハハ

美希「じゃあ、美希と付き合って!」ギューッ

P「それは無理だって」アセリ

P「美希はアイドルだろ!?」


美希「じゃあ、美希、アイドルやめるの!」

P「っ!」バッ


P「そんなことを簡単に言うな!! 世の中にはやりたくたってやれなかった人もいるんだぞ!!」


美希「ご、ごめんなさいなの……」

P「…ハッ」

P「あ、いや、こっちこそ、急に怒ってごめんな」


美希「……」
春香「……」
真美「……」


美希「……今日は、もう帰るの」

P「あ、あぁ。わかった」

美希「お疲れ様……」バタン


春香「美希!?」
真美「ミキミキ!?」


小鳥「私も今日は帰りますね?」




P「音無さん……」

小鳥「大丈夫、美希ちゃんのことは、任せてください!」

真美「ピヨちゃん、ミキミキ大丈夫かな?」


小鳥「大丈夫よ!敏腕事務員のおねーさんに任せなさい!」

真美「二の腕はぐにょぐにょだけどね~」



小鳥「悪い言葉が出てくる口は、この口かしら?」ツネッ

真美「ごめんなひゃい」ヒリヒリ



春香「小鳥さん。美希のこと、お願いします」

小鳥「ええ、任せといて!」

小鳥「それじゃ、お先に失礼します!プロデューサーさん、後はお願いしますね?」

P「あ、はい。」




春香「プロデューサーさん、大丈夫ですか?」

真美「うん……。にーちゃん、なんか、いつもとちょっと違うよ?」


P「心配掛けてすまないな。二人とも、今日は終わりか?」

春香「ええ、もう帰るだけですよ?」

真美「亜美はまっすぐ帰るらしいから、真美も今日はこれでおしまいだよ?」

P「じゃあ、今日はもう事務所を閉めるぞ?」

春香「わかりました」

真美「うん」

だめだ、眠い。

ネクターサワー美味い。

梅酒とウィルキンソンの炭酸水割りが美味い。

明日から仕事頑張りましょう。

おやすみ。

今日で4日目(禁酒を解いて)

みんな乙ありがとう。

今日もいかせてもらうよ~。

~~~~ 大通り ~~~~


小鳥「みーきちゃん!」

美希「小鳥……」


小鳥「これから、用事でもあるの?」

美希「ううん、ちょっと街をふらふらして帰ろうと思ったの」


小鳥「それなら、私と一緒にお茶でもどうかしら?」

小鳥「美味しいキャラメルマキアートを飲める店、紹介してあげる!」

美希「ほんとに!?」キラキラ


美希「……でも」

小鳥「ふふっ、美味しいものを飲んで食べたら、いい気分転換になるわよ?」


美希「……うん」


~~~~ bar Unamela ~~~~



カランカラン



マスター「すいません、まだ……って、小鳥ちゃんか」

小鳥「すいません、開店前に……」

マスター「ほんとだよ、ゆっくり準備したかったってのに」

小鳥「すいませーん」タハハ



マスター「ん?その子は……」

マスター「星井美希?」



美希「おじさん、美希のこと知ってるの?」

マスター「ああ、一応ね?キミ、有名人だし」


美希「ふーん……」

マスター「……」


小鳥「ちょっと、奥の席借りてもいいですか」



マスター「……ダメだ」

マスター「座るなら、カウンターにしなさい」

小鳥「ありがとう、マスター!」




マスター「……」スタスタ

美希「ちょっと無愛想な人だね?美希ちょっと苦手かも」


小鳥「あれはあれで、良いところあるのよ」


美希「ところで……」

美希「バーって、お酒を飲むところじゃないの?」

小鳥「ええ、そうよ?」


美希「……? けど、美希まだお酒飲めないよ?」

小鳥「あはは、さすがにお酒は飲ませないわよ」

小鳥「まぁ、来た理由はすぐにわかるわ」



小鳥「それに……」

小鳥「この時間なら、美希ちゃんが来ても騒ぎにならないし、マスターは空気が読める人だから」


スタスタ
コトッ


マスター「まぁ、私の仕事前の有意義な時間は、削られてしまったけどね」

小鳥「今回だけは、許してください」アセアセ



美希「あれ?」

美希「おじさん、美希がキャラメルマキアート好きなの知ってるの?」


マスター「ああ、娘がキミのファンなんだよ」

マスター「それに、いつぞやのラジオかテレビで、好きな食べ物の話をしていたろう?」

美希「そんな話、したかなぁ」コクッ


美希「!!」

美希「これ、すっごく美味しいの!」ピカー

小鳥「でしょー!」


マスター「ほら、小鳥ちゃんにはこっち」

小鳥「すいません、ありがとうございます」



マスター「あと、あまりもんでよければ、これを。いらなければそのまま置いといてくれ」


美希「アップルパイ?」パクッ

小鳥「うわぁ!なつかし~!!」


美希「美味しいの!こんな美味しいアップルパイ、食べたことないの!!」

マスター「あまりもんだからお代はいらないけど、感謝してくれるなら色紙にサインを書いといてくれ」

美希「わかったの!宛名は?」


マスター「みりあだよ」

マスター「じゃ、帰るときには言ってくれ」スタスタ


小鳥「すいません、マスター」





美希「小鳥はずるいの!こんな美味しいものが食べられるお店を隠していたなんて」

小鳥「別に、隠してたわけじゃないのよ?」アハハ


美希「雰囲気もいいし、今度はハニーと!」





美希「ハニーと……」


小鳥「美希ちゃん、プロデューサーさんが怒ったのは」



小鳥「多分、わたしのせいだと思う……」

美希「小鳥のせい?」



小鳥「私が、『あのアイドルは今』に出ることは聞いたわよね?」

美希「うん、それでレッスンにも来てたしね」


小鳥「多分、私がアイドルを辞めることになった事件、知ったんだと思う」

美希「どうして辞めちゃったの?」


小鳥「うん、まぁアイドルにはありがちなスキャンダルよ」


小鳥「美希ちゃんも、軽々しくタレントさんや俳優さんとご飯に行っちゃだめよ?」

美希「美希はハニー一筋だから、大丈夫なの!」



小鳥「そ、そうね」アハハ

美希「小鳥にも渡さないよ?」

小鳥「えっ、別に私は……」

美希「嘘なの。もともとちょっと好きなのかなぁとは思ってたけど」

美希「ここ最近の小鳥がハニーを見る目は、恋する女の目なの!」


小鳥「そ、そうかしら」アセアセ

美希「それに、ハニーも……」ボソッ

小鳥「えっ!?」

美希「……なんでもないの!」


小鳥「そ、そう……」

美希「マスター、アップルパイのおかわりがほしーの!」


スタスタ

マスター「その二切れで終わりだ」


美希「じゃあ、また作ってほしいな!事務所のみんなにも食べさせてあげたいの!」


マスター「……」

美希「……」ニコニコ


マスター「今度、娘に会ってやってくれるなら……」

美希「それくらい、お安い御用なの!」


マスター「近いうちに、小鳥ちゃんに予定を教えてもらうから、その時に娘に持たせるよ」

美希「ありがとう! 無愛想だと思ったマスターは、ホントはやさしい人だったの!」



小鳥「マスター、若い子にはやさしいんですね」ジトー

マスター「娘が喜ぶために頑張らない親はいないよ」

小鳥「ふふっ」ゴクッ




マスター「小鳥ちゃんの結婚もいい加減待ってるんだけど」ボソッ




小鳥「」ブフォッ


美希「小鳥?」

小鳥「な、なんでもないわよ」



美希「そういえば、小鳥はどうしてここのお店を知ってるの?」

美希「言っちゃ悪いけど、小鳥は居酒屋でワイワイ飲むイメージで、とてもバーで静かに飲むイメージはないの」




小鳥「……美希ちゃん、大人の女性は色々な顔を持っているのよ」キリッ



マスター「…言うほど、持ってないがね」

美希「そうだよね!」

小鳥「ちょっと、マスター!?大人の威厳が」

マスター「もともと、そんなものはあんまり無いだろ」

美希「……」

美希「マスターは、小鳥と長いつきあいなの?」

マスター「そうだな、もう10年以上になるか?」

小鳥「そうですね、はじめは母親に連れて来てもらってでしたけど」



マスター「アイドル引退して、ちょっとしてからは月一で歌も歌ってもらっているし」


美希「え?小鳥ってここで歌も歌ってるの!?」

マスター「ああ、その辺のアイドルよりは上手いと思うぞ?」

美希「それ、聞いてみたいの!」

小鳥「ちょっ、美希ちゃん」アセアセ



マスター「残念だけど、ここでは聞かせられないな」

美希「どうして?」

マスター「まず、準備もしてないし、第一、ここはバーだからな」

マスター「営業時間中に中学生や高校生は入れられないよ」


美希「マスターが、がんばって昼も開ければいいと思うな!」

マスター「無茶を言うな」


美希「その時に、マスターの子供も連れてくればいいの!」

美希「子供は事務所のアイドルみんなに会えるし」

美希「美希たちは美味しいアップルパイを食べながら、小鳥の歌が聞ける、一石二鳥なの!」



マスター「……ふむ」


小鳥「美希ちゃん、あんまりマスターを困らせちゃダメよ」


マスター「……いいだろう、その代わり全員を連れて来てくれ。その方が娘も喜ぶし、料理も作りがいがある」

美希「あはっ!わかったの!!」


小鳥「す、すいませんマスター!こんなことになるとは」

マスター「まぁ、交換条件だからな。うちでやるなら、高木さんも安心だろう」


小鳥「ありがとうございます!」

マスター「妹分達の前で、恥はかけないな」ニヤリ


小鳥「まぁ、がんばりますよ」ピヨー

マスター「さぁ、時間だ。悪いが出てもらおうか」

美希「ごちそうさま!マスター」

小鳥「ありがとうございました!」


~~~~ 大通り ~~~~


美希「ありがとう、小鳥!」

小鳥「いい気分転換にはなったかしら?」

美希「なったし、良い楽しみもできたの!さっそくみんなにメールしなきゃ」

小鳥「そう、よかったわ~」ニコッ


美希「けど、ハニーのことは、話は別なの!」

小鳥「うっ」




美希「小鳥の口からは聞いてないけど、小鳥はハニーのこと、好きなの?」






小鳥「……」

美希「……」







小鳥「……私は」


小鳥「私は、プロデューサーさんのことが、好き……」






小鳥「……だと思う」



美希「……うん」

美希「それだけ聞ければ十分なの!」



小鳥「……」


美希「今日から、小鳥と美希は恋のライバルだね!」

美希「けど、小鳥にも他のみんなにもゼーッタイに負けないから!」ビシッ

美希「正々堂々戦って、負けた方は恨みっこなしね!」




小鳥「……えぇ、わかったわ!」


美希「いい顔なの! それじゃあ、また明日ね!」

小鳥「バイバイ、美希ちゃん。気をつけて帰るのよ!」


美希「はーい」


小鳥「……」


pipipipipi


小鳥「ん?」

小鳥「プロデューサーさんからだ」

小鳥「もしもし?」


P『あ、音無さん、美希は大丈夫でしたか?』

小鳥「ええ、もちろんですよ!」

P『そうですか、よかった……』

小鳥「……」

P「……」



小鳥「それじゃ、またあ……」
P『あのっ!』


小鳥「はいっ!?」


P『あの、音無さん……』

小鳥「はい……」



P『……おれ、アイドルを引退した理由……聞きました』

小鳥「ええ、何となく……気づいてました」


P『あのオファー、嫌なら今からでも断わりましょうか?』

小鳥「いえ、大丈夫です。後押ししてくれたのは、プロデューサーさんですから」


P『お、おれが?』

小鳥「その代わり、全力でバックアップお願いしますね!」

P『は、はい!任せてください!!』

小鳥「頼りにしてますよ。プロデューサーさん!」

P『じゃ、明日から一緒に頑張りましょう』

小鳥「ええ、宜しくお願いします!では、また明日」


P「はい、また明日」

ピッ





小鳥(頼りにしてますよ、大好きなプロデューサーさん……)


~~~~ 収録日前日打ち合わせ ~~~~


ディレクター「と、言うわけで、歌う場所はいつもの番組と同じ場所です」

P「わかりました」


ディレクター「けど今、噂の765プロさんって、事務員さんまで元とはいえ、アイドルだったんだね」

P「そうなんです、私もつい先日、初めて聞きまして」


ディレクター「美人に囲まれた職場、羨ましいよ」

P「いえいえ、逆に気を使いますよ? 匂いとか服装とか、女性は敏感ですからね」

ディレクター「確かに、そうやって考えてみたら、男ばかりの職場の方が楽かもしれないね」

P「その通りです。では、明日は宜しくお願いします」


~~~~ 765プロ ~~~~


律子「はいっ、それでは、これで一カ月の音無小鳥育成プログラムは終了です!」

小鳥「はぁっ、はぁっ……ありがとう、律子さん」

律子「どういたしまして! がんばりましたね~」

小鳥「いいえ、アイドルのコたちに比べたらまだまだですよ」


律子「今の様子をあの人が見たら、アイドル復帰しませんか?って言われますよ」フフ

小鳥「そ、そんなことプロデューサーさんが言ってくれるわけ///」

律子「あら、だれもプロデューサーとは言ってませんよ」ニヤリ


小鳥「も、もうっ! 律子さんのイジワル!」プンプン

律子「あ、プロデューサーさん、おかえりなさい!」


小鳥「も、もうだまされませんよ!」


P「お? 丁度終わったところかな?」


小鳥「ピヨッ!」

律子「お疲れ様です、プロデューサーさん」ニヤッ

小鳥「お、お疲れ様です」


P「あ、そのままでいいですよ?」

P「明日の簡単な流れを説明しますから」

小鳥「は、はいっ」


律子「じゃあ、後はお願いしますね?」

P「ああ。ありがとう、律子」

律子(ふふっ、ごゆっくり)スタスタ


~~~~ 説明後 ~~~~


P「と、言うわけで、テレビで見ている通り、観客席の真ん中で歌ってもらいます」

小鳥「も、もしかしてお客さんも?」

P「ええ、いますよ?」


小鳥「だ、大丈夫かしら…………」

P「きっと、大丈夫ですよ」


P「一応、大した役には立ちませんが、自分も同行します」

小鳥「…………」ホッ

P「……それと」

P「これを……」パカッ


小鳥「このネックレスは?」ドキドキ


P「明日の衣装に併せて、買ってきたんです」


P「衣装はもう着てみたと思いますが、ちょっと首元がシンプルすぎるので……」

P「ちょっと、自分のセンスなので好みかどうかはわかりませんが、」

P「きっと、合うと思いますよ」


小鳥「あ、ありがとうございます」

小鳥「大事に使わせてもらいますね、ずっと……」

P「はい……」



小鳥「これがあれば、明日は成功しそうな気がします」ニコッ

P「///」



P「……」

P「明日の収録が終わったら、約束通り二人でご飯でもいきましょう」

小鳥「忘れてなかったんですね」フフッ


P「ええ。ちゃんと覚えてますよ」

P「一応、お店も予約しているので、楽しみにしててください!」

小鳥「ええ、明日はがんばります!!」


~~~~ 収録日 控室 ~~~~


小鳥「ギャラリーの人たち、けっこう多いですね……」

小鳥「あ、あんなに大勢の前で歌えるかしら」ブルブル


P「大丈夫ですよ」

P「今までやってきたことを信じて、全力を出してきてください」

小鳥「……」ガタガタ

P「音無さん……」

小鳥「……」ブルブル

P「……」




ギュッ


そして、おやすみ。


高い赤ワインとウィスキーの美味さがイマイチわからない。

国産のやっすいワイン(398円)がジュースのようで飲みやすい。


また、明日か明後日に会いましょー!


確かに、美味い酒を飲むと、その酒の種類に対する見方が変わるって言うしねー。

カクテルも含めて

ちょっと色々調べてみよう。


そんなわけで始めます。


小鳥「えっ!?」

P「大丈夫です、落ち着いて」


小鳥(だ、抱きしめられてる!?)

小鳥(……プロデューサーさんの匂い、落ち着くなぁ……)ドキドキ


P「……音無さんは、一人じゃありません」


P「見るのは後日になりますが、テレビの先にはきっと過去のファンもいると思うし」

P「765プロのみんなもいる」


P「みんなが、音無さんの背中を押してくれています」

P「だから、怖がることなく自分を表現してきてください」


P「がんばって…… 頑張ってきてください」

小鳥「……はい」ギュッ

コンコン


サッ

カチャ



AD「音無さん、スタンバイお願いしまーす!」


小鳥「では、いってきます!」

P「はいっ」


~~~~ 1カ月後 bar Unamela ~~~~


社長「放送を見たが」

社長「特訓の成果もあってか、さらに素晴らしい歌になってたね!」

社長「また、アイドルに復帰できるんじゃないか」ハッハッハ


P「確かに、放送後に過去のCDの在庫問い合わせが殺到しましたからね」

社長「うむ、やはり私の感性に狂いはなかったよ、キミィ!」

社長「そして、特訓後の生歌披露は、今日が初めてだったかね?マスター」

マスター「ええ、そちらは……」


社長「うむ、わが社の未来の社長だよ」

P「しゃ、社長!?」


マスター「相当機嫌がよさそうだね」

P「ええ。世間の反響が、そうとう嬉しかったんでしょうね」

P「アイドルのコたちの刺激にもなって、今回はホントにいい結果が出てくれました」



マスター「たしかに、今までのあの子には無い力強さというか、自信に似たようなものがあった」

P「ご覧になられたんですね」


マスター「いったい、何が小鳥ちゃんを変えたんだろうね」ニヤッ

P「!! ゴホッゴホッ」



マスター「早く朗報を聞かせてくれよ? 泣かせたら承知しないぞ」

P「……はい」


社長「どうしたのかね? Pクン」

P「いえ、社長にもちょっとお話が……」


~~~~ 過去 収録翌日 ~~~~



P「お疲れさまでした、音無さん」

小鳥「こ、こちらこそありがとうございます」


小鳥(プロデューサーさんを見ると、昨日のことを意識しちゃう)

小鳥(しかも、ここって結構有名なお店よね?)

小鳥(前の約束、覚えててくれたのかな……)


P「特訓の甲斐もあって、収録はバッチリでしたよ!」

小鳥「ありがとうございます。みんなには改めてお礼を言わないといけませんね」


P「お礼の意味も込めて、一カ月後のバーでの生歌披露は」

P「しっかりしないといけませんね」

小鳥「ええ、仕事の空き時間にボーカルレッスンだけは続けようと思います」


P「あ、ワインがきましたね」

P「では、収録終了と一カ月間の禁酒達成を祝って」

小鳥「カンパーイ!」


チンッ!


小鳥「ふうっ、染みわたりますね~」

P「一カ月、本当にお疲れさまでした」

P「そういえば、そのネックレス、今日も付けて来てくれたんですね」


小鳥「え!? ええ……」

小鳥「せっかく、プロデューサーさんからいただいたものですから……///」カァーッ


P「そ、そうですか……あ、ありがとうございます」ドキドキ

小鳥「……」

P「……」


小鳥(いつもなら出てくる軽口が、今日は出てこない……)

P(やばい、色々と意識しだしたら緊張してきた……)

~~~~ 大通り ~~~~



P(け、けっきょく大した話もできなかった)

小鳥(プロデューサーさんも緊張してるようだけど、どうしたのかしら?)



小鳥「今日は、あり……P「あのっ!」

小鳥「はひッ」



P「これから、もう少しだけ時間いいですか?」

小鳥「は、はい…………(え、ど、どうしたの?)」


~~~~ 公園 ~~~~


P「どうぞ、音無さん」スッ

小鳥「あ、缶ビール」

P「やっぱり、自分たちにはビールかなぁと思って」


小鳥「……ぷ、」

小鳥「あははははっ、いきなり何を言ってるんですか」


P「なんか、ちょっといいとこを見せようと思って、局のディレクターさんから教えてもらったんですが」

P「背伸びはしない方がよかったです」

P「ちょっと雰囲気にのまれちゃいました」アハハ

小鳥「あはは! 居酒屋でよかったのに」

小鳥「気をつかってくれて、ありがとうございます」ペコリ


P「けど、禁酒した時の約束ってのもありましたが……」

P「男には背伸びして見せたい時もあるんですよ」


小鳥「……どういうことですか?」

P「音無さん……」

小鳥「は、はい」ドキドキ



P「はじめて、家にお邪魔させてもらった時のこと、覚えてますか?」

小鳥「あ、あの時はご迷惑をおかけして」アタフタ



P「それまでは、職場の同僚とか飲み仲間とか、そんな感じでした」

小鳥「……」


P「けど、あの日、いろんな表情の音無さんを見せてもらいました」

P「大人のような、子供のような、この人と一緒にいたら楽しいだろうなぁって」

小鳥「……」


P「なんか、子供までいるイメージができちゃって……」

P「なんか、気持ち悪いですよね」アハハ

小鳥「い、いえ……」


P「けど、あの日に言ってた運命の人って、いるとしたら、こういう人なんじゃないか?って思わせるには、十分でした」


P「それから、1カ月、意識するには十分でした」

P「努力する姿、笑ったり、悩んだりする姿」

P「どれをとっても自分には十分魅力的でした」



小鳥「……」


P「……」グッ

P「音無さん!」


小鳥「はい……」












P「まだまだ未熟者ですが、よければ付き合ってもらえませんか!」


P「きっと、幸せにしてあげますから!!」


小鳥「…………」

P「……」ドキドキ



小鳥「こ、こんな……おばさんでも……いいんですか?」

P「おばさんじゃありませんよ!」


小鳥「わたし、きっとめんどくさいですよ?」ジワッ

P「別にかまいません!」


小鳥「……」


小鳥「事務所には…… 私よりもかわいくて……キレイで……」グスッ

小鳥「私なんかよりスタイルもいい子……いっぱい……いますよ」ヒッグ

P「おれには、音無さんが一番なんです!」


P「だから…だから、自分と……」

小鳥「わ、私も……」












小鳥「私もプロデューサーさんが大好きですぅ」ポロポロ

ギュッ


P「!」

P「あ、ありがとうございます///」グスッ





チュッ


~~~~現在 bar Unamela~~~~


社長「すると、キミと小鳥クンは付き合っているのかね」

P「ええ、そうです」


社長「そうか……」

社長「アイドルのモチベーションは、下がらなかったかね?」

社長「特に星井君、天海君が……」

P「あの二人は、直接小鳥が話してくれました」

P「気持ちを知った上での結果だから、どうされてもかまわないけど、話をしたいと言われて……」



P「次の日、3人とも目が真っ赤で、二人の仕事はずらしてもらいましたが」

P「翌日以降の評判はかなり高くなりました」

P「特に、美希は演技の幅が広がったと、撮影中のドラマの監督が評価してくれてました」



マスター「……」

社長「キミもなかなか、女泣かせだねぇ」フフッ


社長「……今日はもう、会社に戻る用事は無いのかね?」

P「はい」


社長「マスター、あれを……」

マスター「はい」


コトッ


P「これは……」

社長「小鳥君の生まれ年のワインだよ」


社長「私は、小鳥君の母親とも面識があってね」

社長「あの子は小さなころから、それこそ娘のように見てきたよ」


社長「アイドルになりたいと言って、プロデュースすることになったときは、それこそ色々複雑だったよ」

社長「しかし、そこは黒井の協力もあり、なんとかやってきた」

社長「あいつも、小鳥君の歌に惚れ込んだ一人だ」


カランコロン


社長「私と意見が食い違うことは多々あったが」

社長「それでも小鳥君をトップアイドルにしたいという気持ちは、変わらなかったと思っている」


黒井「当然だ、私が関わるものは、すべてトップを目指し、辿り着かなければならない」


社長「黒井か、久しぶりに会えて嬉しいよ」

黒井「私は、きさまの顔など見たくもないがな」


社長「ははっ、相変わらずだね。今日はどうしたんだ?」

マスター「私が、お呼びしました」

黒井「フン。私は過去に手掛けたアイドルの落ちた姿を笑いに来ただけだ」


P「なんだとっ!?」


黒井「まぁ、この前の歌は幾分聞けるようだったがな」

社長「相変わらず素直じゃないねぇ」ハハハ

社長「Pクンもそんなに気にすることはない」


社長「本心はまったく逆だよ」

社長「じゃなければ、わざわざ遠いここまで、時間を割いてくるはずが無いからね」ニッ

黒井「フン」



社長「どうだい、一杯」

黒井「貴様ら庶民とは飲む酒が違う」フン


黒井「……と、思ったが今日はそうでもなさそうだな」


社長「見ただけでわかるとはさすがだね」フフッ

黒井「シャトー・ル・パンの1985年……」

黒井「飲む相手は…… 貴様か」フム

P「何か?」


社長「ふふっ、キミもまだまだユーモアの勉強が足りないね」

黒井「全くだ。後を継がせる気があるのなら、その辺も勉強をさせておけ」


P「??」

社長「さぁ、キミの彼女の歌が始まるようだよ」

黒井「……」


アシ~タ~ヘ ムケテユコウ~♪


パチパチパチパチ



黒井「……」ガタッ

社長「帰るのかい?」

黒井「用は済んだからな」


マスター「また、お待ちしております」

黒井「……」

黒井「マスター。その若造に、あれを渡しておけ」

マスター「かしこまりました」

P「何を?」


黒井「貴様にはもったいないが、祝儀としてくれてやる」


黒井「やつを泣かすようなことがあれば、高木もそこのマスターも黙っていないぞ」

黒井「二人ともそれなりの知り合いが多いからな。怖い目を見たくなければ、全力を賭けて尽くしてやれ」

高木「もちろん、黒井も黙ってないと思うぞ」ハハッ


黒井「……」



カランコロン


マスター「これを」

P「……さっきと、同じワインだ」

社長「まったく、最後まで素直じゃないやつだな」フフッ


P「社長…… 失礼ですが、ユーモアのセンスってどういうことですか?」

社長「キミは、ルパン三世を知らんのかね?」


P「……あ!」

社長「カリオストロの城、知っているだろう?」


P「///////」カァーッ

社長「加えて、生まれ年のワイン」

社長「それを飲んだ以上、きっちりと責任をとってくれよ」ハッハッハ

P「も、もちろんです!」


社長「うむ、いい顔だ」ニッ


社長「さて、私もそろそろ帰ろうかね」

P「ええ、アイドルたちも帰宅させますね」


社長「マスター、人数分タクシーを呼んでくれないか」

P「ええっ!そんな、いいですよ」

社長「何を言っているんだ。こういう日ぐらい、社長らしい顔をさせてくれたまえ」


P「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」ペコリ


社長「あ、人数分と言ったが、双海姉妹は一緒だしとP君たちも一緒だから2台減らしてくれ」

マスター「かしこまりました」



社長「未来の765プロも安泰だなぁ」ハッハッハ

社長「では、明日からまた、宜しく頼むよ!」

社長「未来の奥さんの為にもね」ニヤッ


P「はい、宜しくお願いします!」


カランコロン



P「お前たち~、そろそろお開きだぞ~」


~~~~ 3年後 ~~~~



P「」ソワソワソワ

美希「プロデューサー、もう少し落ち着いたらいいと思うな」


P「そ、そうだな」ソワソワソワ


真「男なんだから、もう少しドッシリ構えていた方がいいと思いますよ?」


P「そ、そうだな」ソワソワソワ


真美「ダメだね、こりゃ」

亜美「多分、話の半分も聞こえてないよ」


ピリリリリッ


P「もしもし、小鳥か!?」

小鳥『ええ、元気な赤ちゃんが生まれてきてくれましたよ』

P「そ、そうか!小鳥の身体も……」

小鳥『ええ、至って問題はないそうです』

P「よしっ!」ガッツポーズ


P「それで、男の子か? 女の子か?」

小鳥『それが……』

P「ふ、双子!?」

小鳥『ええ、ですから名前は……』

P「うん、うん」ジーン

律子「おめでとうございます!」

社長「おめでとう、Pくん」


社長「今日はもういいから、小鳥君のもとに行きたまえ」


P「あ、ありがとうございます!」ダッ


~~~~ 病院 ~~~~



小鳥「あ、あなた? お仕事は……」

P「社長のお許しが出てさ」

P「こ、子供は?」


小鳥「はい、二人ともスヤスヤ眠っているわ」

P「ありがとう…… 元気に生まれて来てくれて、ありがとう」ポロポロ


小鳥「黒井社長も高木社長も喧嘩せずに済むわね」フフッ

P「まったく…… 人の子の名前の取り合いって、子供みたいだよな」ハハッ

小鳥「他のコ達より、おじいちゃんが二人も多くなりそうね」フフッ


P「大勢に愛される子に育ってくれれば、それで十分だよ」

小鳥「そうね……」



小鳥「……ふぅ、私もちょっとひと眠りしてもいいかしら?」

P「席はずそうか?」


小鳥「手を……握っててほしいかな……」


P「わかったよ。退院したら、なかなか甘えられなくなるもんな」


小鳥「そんなことはないわよ?」

小鳥「この子たちにとっては親鳥だけど」

小鳥「あなたにとっては、いつまでも小鳥のままでありたいから」

小鳥「二人の時は、甘えさせてね」ニコッ


P「そっか…… そうだよな」ニコッ

小鳥「ふふっ、ありがとう」ギュッ



小鳥「ふぁ……」

P「ほら、起きるまでいるから、ゆっくり休め」


小鳥「ええ。おやすみなさい、Pさん」

P「おやすみ、小鳥。愛しているよ」チュッ



終わり!

乙したー

小鳥さんは可愛いなぁ


と、言うわけで終了。

読んでくれた人ありがとう!

ちなみに、作中にヴィンテージワインの名前を出したけど、
ワインの知識は皆無です。

とりあえず高いらしい。

>>122
サンクス
こんな可愛い事務員がいたら、入社希望者めっちゃ増えると思うわ。

あと、最後の仕事の依頼を出してくるわ。

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