男「異世界が快適過ぎてヤバい……」(60)

男「遅刻してしまう!」タタタタ

男「仕方ない……不本意だが、使うと何かしら良く無い事が起こると評判の近道を使おう!」タタタタ

男「ここの角を曲がっ……うわっ!?」グネェェ

男「なんっ、だこれっ!アスファルトが底なし沼みたいに……ひっ、動けない!」ズモモモモ

男「がはっ、ごぇっ!なんだこれ、地面がっ、俺をっ、ガボッ、喰われっ、助けっ……!」ズモモモモ

男「……っ、……!」チュポン

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【異世界】

ゴゴゴゴ

市民「……お、おい。雲に渦が……」

警官「渦……って、まさかまたあいつ!」

市民「まさか、また人が振ってくるのか?」

警官「そうだとしたらマズい!今は超人さんが居ないから受け止めようがない!」

市民「大変だァッ!じゃあ、ドカタの奴に今すぐ湖でも作らせるか!?」

警官「それでも間に合わん!っていうかあの高さから振ってくるとなったら地面より水面の方が危険だ!」

市民「じゃじゃじゃじゃあどどどうするんだよォ!?」

警官「結論から言えばどうしようもない!出来ることと言えば、これから振ってくる人物の最期を見届ける事ぐらいだ!」

市民「あんたそれでも正義の警察かァッ!なんか考えろ!」

警官「無理だ!お前は無力者だから勿論の事、俺の能力も雲から落ちてきた奴をどうこう出来るような便利なもんじゃねぇ!」

市民「だから諦めろってかァ!!」

警官「そういうことだ!この辺の奴にはなんも出来ねえ!黙祷!」グスッ

市民「畜生ォォッ!!黙祷ッ!!」グスッ

ゴゴゴゴ…ペッ

ヒュウウウウウ


市民「雲から人が吐き出されぞォッ !!」

警官「振ってくる……」

市民「うううッ……可哀想にッ……!」グスッ

警官「……最期まで、あの人物を見届けるんだ……」

市民「うううううッ……!」グズッ

ドォォォォン…

落下地点

警官「で、何故無事なんだこの青年は……」

男「Zzz…」

市民「すげェッ……!こいつ、超人さん以上にタフネスッ!あろうことか無傷だぜェッ!?」キラキラ

警官「と、とりあえず……念の為、医者に診てもらうぞ。新手の能力持ちかもしれん」

市民「おうよッ!」ニカッ

病院

警官「医者ー、居るか?急患だ!」ドンドン

医者「うっせぇな……インターホン使えアホンダラ」ガチャッ

警官「悪い悪い、担架持ってるもんだから頭突きでな……で、こいつだ。診てやってくれ!」

男「Zzz…んへ……ふふっ……」

医者「舐めとんのかワレ」ゲシッ

警官「おわぁっ!?しまっ、担架がぁっ!!」

市民「ごへェッ!?俺まで巻き添えェッ!!」

ガシャーン!

医者「そんなに快適そうに寝てるそいつのどこが悪いって?え?」

警官「いてぇよ……話はちゃんと最後まで聞いてくれ、頼むから」

市民「俺から話すぜ!こいつは……」

男「Zzz……ちゃうんすよぉ……いひひっ……別にわざと触ろうとしたんじゃ……げへへ……」

医者「こいつは婦女暴行で現行犯逮捕したから去勢して二度と女を襲えない体にしろって事か。任せろ」ゴッ

男「カフゥッ!!」メキィッ

警察「ぎゃあああ!なんて事を!」

市民「音的に絶対潰れたァッ!」

男「Zzz……オェッ……し、死ぬ……」ピクピク

医者「凄いな、まるで起きる気配がない」ゴッゴッ

男「カフゥッ!アッ!」メキップチッ

警官「ややややめろマジで死んじゃうから!!っていうか彼は別にそういうのと違うから!!」ガシッ

市民「ヒィィ……悪魔ァ……」ブルブル

医者「ん?なんだ違うのか……竿もへし折ってやろうと思ったのに」

警官「やめろぉ!」

市民「……という訳だ。例によってこの人もあいつに呼ばれた異世界人って事になるぜ」

男「Zzz……」

医者「だから俺に身体検査の依頼って訳か」

警官「そういう事だ。あの高さから地面に激突したのに無事って事は、恐らく能力持ちだと思われる」

医者「なるほどな……分かった。診療室まで運んできてくれ」ガチャッ

警官「おう。手伝ってくれ市民」

市民「はいよッ!せぇのォッ!」グイッ

警官「あぁっバカ!持ち上げるタイミングが早すぎる!」フラッ

ガシャーン!

男「Zzz……ゴヘッ……死ぬ……」

診療室

医者「そこに寝かせてくれ」

男「Zzz……」

医者「よし、それじゃあ始めるぞ……こいつの服を脱がせてくれ」

市民「おう!」ビリッ

警官「躊躇なく破いたなお前……確かにボロボロだったけど」

医者「じゃあまずはさっき潰した睾丸を治すぞ」

市民「(……この人って玉潰しとか、日常的に能力使ってそういう事してそうじゃないですか?)」ヒソヒソ

警官「(いや、知らんよ……確かに女王様オーラは出てるが)」ヒソヒソ

医者「なんだ?お前らも潰されたいのか」

市民 キュッ

警官 キュッ

医者「じゃあ始めるぞ」ガシッ

男「Zzz……ひぐっ……」ビクンッ

市民「うわ……SMモノのAVにありそうだぜ……」

警官「言うな、潰される」

医者「……ん?」ピクッ

男「Zzz……」

警官「どうした?もう治したのか?」

医者「……いや、そうじゃなくてむしろ」グググ

男「Zzz……あ……アオッ……カフゥッ!!」プチッ

医者「何故か既に再生されていた」

市民「ぎゃあああ悪夢再びィッ!!」ブルブル

警官「説明の為に潰すな!!マジでやめて!!ホントグロいから!!」

医者女なの?

医者「大体能力の予想は出来たが……スキャンの前に試しとくか。おい、それ俺に貸せ」

警官「……ん、は?何を言っているんだお前は。貸す訳が無いだろ」

医者「良いじゃねぇか別に、減るもんじゃないのに」

警官「減るわ。拳銃を使うって事はつまり弾と命(タマ)が減るわ」

市民「まさか今度は拳銃の弾で玉をぶち抜くつもりじゃ……全体的に全く笑えねェッ……!」ブルブル

医者「チッ……じゃあコレ使うか。あーあ、絶対使う事は無いと思ってたのによ」スッ

市民「……ん?メス?」

警官「おいおい……なんでお前が刃物なんか使うんだ?いつも治療は能力で済ましてるのに」

医者「それはこういう事だ」グサッ

男「Zzz……ゴボッ!!」ビクンッ

市民「なッ……首にメスを……!」

警官「お……おおおまっ?お前!?なんて事をっ!?」

医者「黙って見てろ」グリグリ

男「ガッ……グボッ……ゲボォッ」ビチャビチャ

市民「ひ、ひいッ……人殺し……!?」ブルブル

警官「お、おい、医者、やめろっ!死んでしまう!」

医者「良いから」グリグリ

男「……ッ、ッ、……」ピクピク

市民「……」ブルブル

警官「……」

医者「……」グリグリ

男「……」

市民「……」

警官「……」

医者「……」グリグリ

男「……」

医者「……あ、死んでたか」ピタッ

市民「ヒイイイ!」ブルブル

警官「お……お前って奴はぁっ!!」

医者「おい、やめろバカ。俺に拳銃なんか向けるな」

男「……」

警官「黙れ!何が「良いから」だ!現行犯!現行犯で逮捕!」

医者「いや、確かに殺したけど、っていうかお前も止めなかっただろうが」

男「Zzz……」

警官「止めなかったのはお前が死ぬ前にちゃーんと治すだろうと信頼……ってあれ?」

市民「……ね、寝息……?」

医者「な?大丈夫だっただろうがこのアホンダラ」

警官「な、なんだ……ちゃんと治したのか。はやとちりしてすまない」

医者「いや、俺は何もせずに殺した。死人は治せねぇよ」

警官「いやいや。じゃあ何故彼は生きている?」

男「Zzz……」

市民「ヒィィィ……タフネスなんかじゃねぇ、化け物だぜこいつは……ッ!」ビクビク

医者「こうなるとあのクソ面倒で大変なスキャンの必要は無いな。これだけの再生速度となるとただの自己修復能力じゃない。どころか、死後にも自然に能力が働く永久持続型の能力だ」

警官「おい、答えになって……は?永久持続型?いやいや、人間には存在しない筈だろ」

医者「つまりそういう事だ。怪我しない、死なない、腹減らない、歳取らない。歴史級、伝説級、神話級、自然災害級の能力をこいつは持ってる」

警官「いや、けど!異世界人が能力持ちってだけでも割と稀なケースなのに、それが伝説級って……人類史に一人居るか居ないかぐらいの確率だぞ!?」

医者「この際それは関係ねぇよアホンダラ。むしろ異世界人だからこそって事もある」

警官「……って事は、つまり……」

医者「あぁ。このガキは不老不死だ」


男「Zzz……」

市民「南無阿弥陀物南無阿弥陀物……ヒィィィ!」ブツブツ


つづく

>>20
医者というか女医なの

翌日:病院

男「Zzz……」

医者「えー、異常は無し……と」スラスラ

ピンポーン

医者「開いてるぞ!」

ガチャッ

警官「おはよう。彼の様子は?」バタン

医者「相変わらず寝てる。色々試してみたが、反応はあるのにまるで起きない」

警官「……色々って例えば?」

医者「刺したり絞めたり切ったり潰したり舐めたり」

警官「そ、そうか……やはり浅い睡眠状態ってあれっ!?最後だけおかしい!!」

医者「恐らく、落下死したときの再生で体力を一旦使い切ったんだろうよ」

警官「なるほど。確かに、落下の衝撃では人体なんてひとたまりもないしな。それに……」

医者「それに、こいつは人間だ」

警官「あぁ。いくら不老不死でも、そのベースが人間なら体力も人並みだろう……こいつの顔と体つきを見る限りは」

男「Zzz……」

医者「ま、急激な自己再生のツケは、正常な意識を保つ事も出来ない程の消耗だったって訳だな」

警官「なるほどな」

医者「しっかしいつまで寝てやがるんだか。頭蓋骨ぶち開けて直接治療してやろうかね」

警官「ハハ……おいおい笑えないジョークってあれ!?目が本気だ!!」

医者「ジョークだジョーク。物理的な原因ならどうにか出来たかもしれんが、こいつにそれは無いだろうしお手上げだ。というかそもそも穴を開けてもすぐに元通りだろうよ」

警官「そ、そうだな……じゃあ原因は精神の方に?」

医者「もしくは能力関係のオカルトな怪奇方面に」

警官「となるとつまり」

医者「こいつ次第。精神的には半分死んでるようなもんさ」

警官「……不老"不死"ねぇ」

ピンポピンポピンポピンポーン

医者「誰だよクソがぶっ殺すぞうるせえなゴミ箱にぶち込まれてえかクソが死ねクソが!!!!!!」

市民「ひィッ……ごめんなさいィッ!」ガチャッ

警官「し、市民だったか……おはよう。というか医者の罵倒は汚すぎる」

医者「あ?○○に○○ぶちこんでかき混ぜながら○○○○するぞボケ」

警官 キュッ

市民 キュッ

男「Zzz……」

医者「んで?何の用だ猿顔」

市民「猿顔って……あぁいや、俺はそこの怪物さんの様子を見に来ただけですハイッ!」

警官「相変わらず眠ったままだ。起きる気配が無い」

市民「はぁ、そうか……」

召喚士「なーんだ残念。折角お話しようと思ってこんな所まで来たのに」ヒョコッ

警官「ハッ、そいつは残念だったな召喚士……いつの間に!?」ビクッ

市民「あぁそうだった、さっきその辺で会ったから連れてきたぜ!」

警官「なんで透明魔法を使っていたんだ……」

召喚士「えー、だって面倒だから医者に会いたくなかったんだもん……」

医者「ぶっ殺されたいのかお前」

召喚士「けどこの様子だとそうも言ってられないっぽいね。医者、一回この人の頭砕いてくれる?」

医者「あぁ」ゴシャッ

市民「ヒィッ!とても自然なスプラッタッ!」

警官「こういう光景に慣れ始めた自分が心底怖いぜ……」

召喚士「おー、砕けたスイカ」

市民「感想が自然ッ!」ガクガク

医者「ガキの癖に肝が座ってやがる。やれやれ」

警官「……まぁお前は見たまんまだからな」ボソッ

召喚士「えーと、海馬で前頭葉で小脳で……このへんに指から直接治療用魔力を流し込めば」ヌチャヌチャ

ビリッ

男「!?」ムクッ

市民「うぎゃあバイオハザードッ!」

警官「おぉ、起き上がったぞ!」

医者「頭砕けてるけどな」

男「!?!?!?」アタフタ

市民「こ、殺されるゥーッ!」

召喚士「よっしゃー成功!あぁ疲れた……医者、頭部の再生お願い」

医者「言われなくてもするっての。せい!」カッ

男「モフォッ!?」ポンッ

警官「うわっ、頭生えた!」

市民「うぎゃァーッ!グロイーッ!」

男「ハッ、ここは地面!?体は無事か!?いやそんなはずはない!!あれ!?っていうかアスファルトに飲まれてからなんで俺落ちたんだ!?なにこれ夢!?」アタフタアタフタ

警官「おい医者、何やらパニックに陥ってるようだが!?」

医者「恐らく、召喚前後の記憶が乱れているんだろうな。こっちに来ていきなり死んだ訳だし……というか魔力でオカルト的なプロテクトを無理矢理外したんだからそれが原因か」

召喚士「だね。えい」ゴンッ

男「うっ」バタッ

召喚士「一旦気絶させたよ。とりあえずベッドに運ぼうか」

明日消されるのか、投下投下

男「……」パチッ

召喚士「あっ起きた」

警官「大丈夫か君?意識ははっきりしているか?」

男「え?あ……はい。大丈夫ですけど……」

市民「そいつぁ良かった!俺の名前は市民。よろしくな怪物さん!」

男「は……はぁ、宜しくお願いします……えと、僕の名前は怪物じゃなくて男です」

警官「そうか、男というのか。俺の名前は警官で、一応治安維持が仕事だ」

召喚士「召喚士だよ。よろしくー!」

男「よ、宜しくお願いします……っていうかなんですかここ……っていうか誰ですかあんたら!っていうか誰ですかあんたら!」

召喚士「既に答えた事を二回聞いたね」

男「なんで俺は見知らぬ場所で見知らぬ人達に介抱されてるんですか!?ここ病室みたいだし……ハッ、ひょっとして臓器でも売り捌かれるんじゃ……!?」

男「いや、まてよ……そもそも俺はどうして記憶が曖昧なんだ?思い出せ……思い出せ……あっ思い出した」

男「なるほど。俺はアスファルトに飲まれて、どこか別の空間に転移したのか。つまりここは異世界!いやー助けてくれてありがとうございます!うふふ~」ニコニコ

市民「な、なんなんだこの人」ヒソヒソ

警官「ヤバい奴なのか……?」ヒソヒソ

召喚士「さぁ。バカなんじゃない?」ヒソヒソ

医者「お前の流した魔力が落ち着いてきたんだろ」ガラッ

召喚士「そっか。なるほどね」

男「あ、どうもこんにちは!男といいます~」ニコニコ

医者「お、おう」

警官「不気味な爽やかオーラにあの医者が引いてる……」

男「お名前はなんですか?」

医者「私の名前は医者だ。かなり強力な治療能力を持ってる」

男「へぇ~それはすごい!憧れます~!けどチユノーリョクってなんですか?」

市民「知らないのかよッ!」

医者「こいつの頭まだ魔力抜けきってないな」

警官「えーと、超能力というのはだな……」

召喚士「私が説明するよ」

男「超能力って?」

召喚士「こほん。えー、ズバリ超能力とは!市民、包丁持ってきて!」

市民「ん?おう待ってろ」スタタ

男「なんで包丁?」

召喚士「見てれば分かるよ」

市民「はいお待ち!」

召喚士「サンキュー!まず右手で柄を握ります」ニギッ

男「うん」

召喚士「柄の尻に左手を添えます」スッ

男「ほうほう」

召喚士「腰を落とし深く深呼吸します。……ふうー……」

男「ふむ」

召喚士「したら一気に踏み込みベッドの上で上半身を起こした男の胸に包丁を突き刺す!」ザクゥッ!!

男「かひゅっ」

市民「ぎゃあ人殺しッ!」

警官「またこんな展開か。やれやれ」

医者「お前慣れすぎだろ」

召喚士「どう?これが超能力だよ」ズポッ

市民「いや違うだろッ!」

男「ぜひゅっかひゅっ痛い!超痛い!!何これ!?あっ!!でもちょっと気持ちよくなってきた!!うわ超能力すげぇ!!!!」

警官「あっこいつダメだ!!どうにかしてくれ医者!!」

医者「嫌だよ気持ちわりぃ」

警官「医者としてあるまじき発言!」

男「けど死ぬだろこの傷!助けてー!」

召喚士「まぁまぁ落ち着いて。君の体に傷なんてないよ?」

男「何言ってんだよコイツー!!思いっきりぶっ刺してあっホントだ。超能力すげぇ!」ニコニコ

医者「多分こいつ魔力が抜けてないとかじゃないな」

警官「素でこれかよ!」

男「それにいつの間にか痛みも無くなってる。すごいなこれ……」

召喚士「ふふ。でしょ?けどもっと驚く事があるよ」

男「こ、この体験よりも!?」

召喚士「うん。あのね、これは私や医者の力じゃなくてね?」

男「うん」

召喚士「君自身の能力なの」

男「すげー」

召喚士「だろー?」

警官「いやもっと驚けよ!」

一旦この辺にしとこう……不定期だけどスレが消えないように書いていきたいなぁと

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