晶葉「ついに完成したぞ!」(156)

・モバマスSS
・書き溜めなしの見切り発車
・たまに安価

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364486604

 
晶葉「ふっふっふ……見るがいい、助手! ついに完成したぞ!」

晶葉「私の長年の夢だった、等身大汎用人型スーパーロボット……」

晶葉「名付けて『プロデューサーくん2号』! またの名をロボPだ!」

ウィーン
ガシャン

ロボP『俺はロボP。ロボPのPはプロデューサーのPだ』
 

 
P「こ、これはすごいな……いかにもロボットって感じの風貌だけど」

晶葉「南条にデザイン協力をしてもらったからな。彼女の趣味も多分に含まれているだろう」

P「しかしプロデューサーって言ったよな? こいつもアイドルをプロデュースできるのか?」

晶葉「もちろn」

ロボP『もちろんだ。俺にかかればトップアイドルでポケモン図鑑ができる』

晶葉「こら、ロボP! 私の話を遮るな!」

ロボP『そんなことは知らん。とにかく俺はスゴイということだ』

P「ロボットだけどすごい自信家だな」

晶葉「……AIの人格プログラムの設定をミスってしまったかもしれないな」
 

 
晶葉「ロボPが実際にプロデュースをするかどうかはさておき、雑用くらいなら問題なくこなせる」

晶葉「事務所の人手不足が解消すれば君も落ち着いてプロデュースに専念できるだろう?」

P「晶葉……ひょっとして俺のために?」

晶葉「か、勘違いするなよ助手。ロボPを完璧に仕上げるためにデータ収集が必要だっただけだ」

ロボP『俺は常にベストな状態を保っている。問題はない』

晶葉「うるさい! ……それに、私を構う時間も増えるかもしれないし……」

晶葉「……と、とにかく、別に君のためではないからな。忘れないことだ」

P「そうなのか?」

晶葉「そうだ」

ロボP『呼吸、脈拍、体温、心拍数が上昇している。どうした晶葉、風邪を引いたのか』

晶葉「わ、私はどうもしていない! きっとセンサー類の故障だ!」
 

 
P「じゃあ俺はこれから営業があるから」

晶葉「ん。私はデータ収集とロボPの調整を並行して行う。用があったら呼ぶよ」

ロボP『問題ない、俺は完璧だ』

晶葉「お前は黙っていろロボP!」

P「あはは、じゃあまたなー」

ガチャッ
バタン

晶葉「……まったく、ロボPめ。どこに欠陥があるのかすぐ洗い出してやる」

ロボP『欠陥? そんなものはありえない。俺は晶葉が造ったロボットだからな』

晶葉「妙なところで私を信頼しているし……まあいい。事務所で動かして実地試験と行こう」

ロボP『事務所?』

晶葉「そうだ。CGプロダクションの事務所だ」
 

 
ロボP『早速俺のプロデュースの手腕を発揮するというわけか。正しい判断だ』

晶葉「……あのな、ロボP。確かにお前は助手のデータを元に造り上げたロボットだ」

晶葉「お前の声も助手の声をサンプリングして合成したものだし、身長も彼に準じている」

晶葉「人格も……助手のそれを参考にした部分はあるが」

ロボP『なんだと!? つまり、さっきのPは俺の偽物ということか』

晶葉「どうしてそうなる! ……はぁ。助手をベースにしたのにどうしてこんな性格に……」

ロボP『当然だ。俺は俺だ。Pではない』

晶葉「……とにかく、例え優秀な助手のデータを元にしたとはいえ」

晶葉「お前が実際に優秀なプロデューサーかどうかは未知数だ」

晶葉「そんな奴に仕事をさせられるわけがないだろう。まずはお茶汲み辺りから……」
 

 
ピコーンピコーン

ロボP『ムッ!?』ガタッ

晶葉「っ!? な、なんだ!?」

ロボP『俺のレーダーにシンデレラ反応をキャッチした。この付近にアイドル候補生がいる』

晶葉「シンデレラ反応……何だそれは?」

ロボP『将来有望そうなアイドル候補生を見つけた時のドーンと来てガシャーンとやられる感覚だ』

晶葉「ああ、ひょっとして助手の言う「ティンと来た」というアレか」

晶葉「確かにセンサーユニットに冗談で作ったレーダーを組み込んだが、それが機能しているのか……?」

ロボP『とにかくスカウトだ、スカウトするぞ!』

晶葉「待てロボP! 信頼性の不確かなものを当てにして行動するな!」

ロボP『トップアイドルは俺のものだ!』ドタドタドタドタ……

晶葉「ああっ! こら、待たないか! ロボP! 戻って来い!」
 

 
――――――――――

ガシャンガシャンガシャン

ザワザワ……

「何アレ、着ぐるみ?」

「ドラマの撮影か何か……?」

ロボP『俺のレーダーによればこの辺りにいるはず。周りが騒がしいが何の問題もない』

ロボP『……ムッ! そこだ、アイドル候補生発見!』



>>11
どんなアイドルを見つけた?
1.キュート系
2.クール系
3.パッション系
 

1

 
―――――――――
繁華街



杏「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

杏「こ、ここまで来れば、大丈夫かな……はぁ、疲れた」

杏「まさかきらりに拉致されて一週間もきらりんルームで可愛がられるとは思ってなかった……」

杏「きらりが杏を養ってくれるのはともかく、毎日アレはキツすぎるよ」

杏「ちょっと休憩しよ。あー飴なめたい」グデー

ロボP『おい』

杏「ん? なーに。杏疲れたから動けないよ」

ロボP『公園のベンチでうつ伏せになっている点はどうでもいい。そのままの体勢で構わん』

杏「そーお? ありがとー」

ロボP『俺のレーダーに反応があった。お前がアイドル候補生だな』

杏「何それ。人違いじゃない?」
  

 
ロボP『お前には素質がある。この俺の手でトップアイドルに育て上げてやる』

杏「えー……まさか杏ナンパされてる?」

ロボP『ナンパではない。スカウトだ』

杏「だが断る」

ロボP『なんだと?』

杏「杏の一番嫌いな言葉は「努力」で、二番目が「頑張る」なんだよ」キリッ

杏「だから杏は絶対働かないねっ。社畜になるくらいなら生活保護を選ぶよ!」

ロボP『そうか。なるほど確かに一理ある』

ロボP『それほどまでに働くのが嫌いなら、それを貫き通す覚悟があるならそれもいいだろう』

杏「そうだよ。だからお引き取り願えるかな。杏疲れてるから」
 
ロボP『ならば俺にも考えがある』
 

 
ロボP『俺とお前で取引をするというのはどうだ』

杏「取引? 残念だけど杏はそんな取引には応じないよ。飴をくれるならちょっと考えてもいいけど」

ロボP『今しがた俺のセンサーに「にょわー」という意味不明のノイズが入った』

杏「ファッ!?」

ロボP『さらに言えば「杏ちゃん、どこ行っちゃったにぃ?」という言葉もだ』

杏「き、きらり……もう追いついてくるなんて」

ロボP『状況から推測すると、こいつはお前を追跡している人間だ。杏とはお前のことだ。違うか』

杏「……あ、杏を探してるってなんでわかるのさ? 杏とは別の杏ちゃんかも」

ロボP『それはありえん。追跡者のことを話した時、お前は明らかに動揺した』

ロボP『脈拍、血圧、呼吸の乱れから見ても明らかだ。俺のセンサーは嘘を吐かん』

ロボP『補足して言えば、お前は何故か靴を履いておらず、靴下も汚れている』

ロボP『人間は普通外に出る時靴を履くものだ。であれば、靴を履けない事情があったということだ』
 

 
ロボP『お前はどこかから脱出し逃亡を図った。だが300メートル圏内までに追跡者が迫っている』

杏「……杏が逃げるのを手伝う代わりに、杏を働かせるつもりなんだ」

ロボP『そうだ。逃亡の幇助と引き替えにお前には事務所に来てもらう』

杏「嫌だと言ったら?」

ロボP『先の取引を放棄し、お前を事務所に連れていく』

杏「取引の意味ないじゃん」

ロボP『お前には才能がある。俺にはわかる。俺のレーダーが反応した以上、それは確かだ』

ロボP『俺にはお前をスカウトする義務がある。トップアイドルにする義務がな』

杏「そんな勝手な理屈聞いたことないよ。これがゆとり世代か……」
 

 
杏「……わかった。まあ、話だけなら聞いたげる」

杏「でも事務所に行くだけだからね。ちょっとでもキツそうだったら、杏帰るからね」

ロボP『わかった。では行くぞ』

ヒョイッ

杏「わっ……!?」

杏「……」

杏「……?」

ロボP『なんだ?』

杏「……なにそれ。コスプレ? 変な被りものしちゃって」

ロボP『コスプレではない。俺はロボPだ』

杏「ロボぉ~?」

ロボP『では俺のナビゲーションシステムで事務所への最短ルートを検索する。行くぞ』

杏(ひょっとして杏、変なのに捕まったのかなぁ……まあいっか、楽だし)
 

 
――――――――――
事務所



Rrrrrrr……

ガチャッ

ちひろ「はい、CGプロダクション」

???『千川ちひろだな。俺だ』

ちひろ「はい? あの、どちら様ですか」

???『俺が何者かなど今はどうでもいい』

???『たった今アイドル候補生を一人確保した。17歳、身長139センチ、体重30キロ』

???『諸事情により書類選考は不可能だ。面接の準備をしておけ』

ちひろ「えっ、ちょっと……」

???『ではさらばだ』

ブツッ
ツーツーツー

ちひろ「何だったのかしら……イタズラ電話? プロデューサーさんの声に似てた気がするけど」
 

  
バタンッ!

ちひろ「あら、晶葉ちゃん。今日はオフだったんじゃ……」

晶葉「ここに怪しいロボは来ていないか!?」

ちひろ「えっ?」

晶葉「……来ていないか。だとすればまだ街を彷徨っているな」

晶葉「テスト起動だったからGPSのスイッチも入れていなかった。私としたことが……」

ちひろ「一体どうしたの? ロボって何の話……?」

晶葉「詳しい話は後だ。もし女性を連れたロボが事務所に来たらすぐ連絡してくれ」

晶葉「まったくロボPめ……どこに行ったんだ! もうっ!」

バタンッ

ちひろ「……」ポカーン
 

 
――――――――――

杏「ちょっとロボP、道合ってるの? さっきから裏の方の路地に入って行ってるんだけど」

ロボP『問題ない。事務所への最短ルートだ』

杏「まあ、きらりに見つからずに進んでるのはいいんだけどさ」

杏「で、いつまで杏を小脇に抱えてるの?」

ロボP『事務所に着くまでだ』

杏「別に逃げたりしないし、そろそろ辛いから放して欲しいんだけど」

ロボP『――俺のセンサーに反応。追跡者だ』

杏「えっ、どこ!?」
 

http://i.imgur.com/SMejMhj.jpg
http://i.imgur.com/03GVQwn.jpg
池袋晶葉(14)

http://i.imgur.com/peurlWf.jpg
http://i.imgur.com/y0GeofU.jpg
双葉杏(17)


 
                                    アンズチャーン キラリトハピハピシヨー>


ロボP『北西に210メートルだ。こちらへ近づいている』

杏「どこかに隠れてやりすごせない? 休憩がてらにさ」

ロボP『よし。俺のナビゲーションシステムの数値修正。別ルートを検索する』

ピコーンピコーン

ロボP『……ムッ!? 新たなシンデレラ反応だと!?』

杏「え、何それは」

ロボP『シンデレラ反応の座標データを追加。最適ルートの割り出しは完了した』

ロボP『アイドル候補生はスカウトする。慈悲はない』



>>24
ルートを変更した先でどんなアイドルと出会った?
1.キュート系
2.クール系
3.パッション系
 

3

 
――――――――――
噴水前広場



ガシャンガシャンガシャン

ロボP『杏。俺の肩車はどうだ』

杏「あー。うん、快適快適。肩車されるなんて何年ぶりだろ」

ロボP『この付近にシンデレラ反応があった。アイドル候補生がいるはずだ』

杏「ねー、そんなのいいから早く事務所に行こうよ。それでさっさと杏を不採用にしようよ」

ロボP『レーダーの索敵範囲を絞り込んでみよう。有効範囲を半径100メートルに変更……』

杏「全然聞いてないし……ねーってばー」
 

 
ピコーンピコーン

ロボP『アイドル候補生発見! 南東60メートルの地点だ』

杏「ねぇ、そのレーダーって一体どういう基準でアイドル候補生を感知してるの?」

ロボP『そんなことは知らん。俺の管轄外だ』

杏「自分の身体の一部なのに?」

ロボP『だが俺はこのレーダーの精度を疑ったことはない。晶葉の造ったものだからな』

ロボP『俺は敏腕プロデューサーだ。ただでさえスゴイ俺に晶葉が加わることでさらにスゴくなる』

ロボP『したがって、今の俺は言わば超敏腕プロデューサーだ。お前を必ずトップアイドルにする』

杏「別に杏はアイドルやりたくてロボPと行動を共にしてるわけじゃないんだけど」
 

 
ロボP『いたぞ。あの娘だ』



仁奈「すぅ……すぅ……」



杏「え、あの子? ロボP、ロリコンでもこじらせたの? ロボなのに」

ロボP『俺の勘は正確だ。そして俺のレーダーも正確。ゆえに超正確だ』

ロボP『あの娘にも才能がある。俺にはわかる』

杏「そりゃまあ、結構可愛いのは確かだけど」

ロボP『早速スカウトだ。俺にかかれば泣く子も黙ってデビューする』
 

  
ガシャンガシャンガシャン

仁奈「すぅ……すぅ……」

ガシャンガシャンガシャン

仁奈「ん……」

仁奈「ふぁあ……さっきからうるせーですよ。一体なんでごぜーますか」

ガシャンッ

ロボP『俺だ』

仁奈「」
 

 
ロボP『お前、いい身体をしているな。トップアイドルになるつもりはないか』

杏「……それじゃ何か別の意味に捉えられちゃうよ?」

ロボP『なんだと? データベースを照合した結果、これが伝統的な勧誘文句のはずだ』

杏「むしろそれで行けると思ったことの方が不思議だよ」

仁奈「なっ、なっ、なんですかてめーは! 妖怪ですか!? 宇宙人ですか!?」

ロボP『違う。俺はロボPだ』

仁奈「ロボ?」

ロボP『お前をスカウトしに来た。お前をトップアイドルにするためにな』
 

 
………
……


仁奈「ふむふむ。それでロボPは仁奈をかんゆーしやがったわけですね」

ロボP『そうだ。お前に素質を感じるからこそのシンデレラ反応だ。俺のレーダーは正確だ』

杏「客観性とか正確さとかすっごい怪しい代物だけどね」

ロボP『ところで仁奈。お前は何故こんなところで寝ていた』

仁奈「……そ、それは」

ロボP『休日の昼間とはいえ、9歳の子供がたった一人。保護者や友達の同伴もない』

ロボP『加えてその大きなリュックサック。初めてのおつかいには見えんな。家出か』

杏「ロボPって何でもズバズバ切り込んでくよね。デリカシーって知ってる?」
 

  
仁奈「……仁奈、ママとケンカしちまって」

ロボP『ほう』

仁奈「仁奈が劇団のオーディションを受けてーって言ったら、ママがダメって……」

仁奈「オーディションなんて受けてもどうせ受からないからやめろ、って言いやがったですよ」

仁奈「それで、カッとなっちまって……」

ロボP『役者志望か。それともタレントか』

仁奈「はい! 仁奈、キグルミの良さをたくさん伝えてーですよ」

仁奈「キグルミはフワフワのモフモフであったかくて気持ちいーですよ」

仁奈「テレビとかに出て、キグルミブームを巻き起こしやがるのですよ!」
 


  
ロボP『話はわかった。では行くぞ』ガシャッ

仁奈「ほえ? どこに行きやがるですか」

ロボP『事務所に決まっている。言ったはずだ。俺はお前をトップアイドルにすると』

ロボP『劇団のオーディションなど受ける必要はない。お前はCGプロからデビューだ』

仁奈「ホントですか!? ……いっぱいキグルミ着れるのですか?」

ロボP『ああ。お前を売り出す方針は既に決まった』

ロボP『半年も立つ頃にはお前はキグルミアイドルとしてお茶の間を席巻するだろう』

仁奈「わーい! それじゃあ仁奈、トップアイドル目指しやがってもいいですよ!」

杏「あ、仁奈ちゃんがトップアイドル目指すんだったら杏は帰ってもいいよね」

ロボP『さあ行くぞ! 俺のナビゲーションシステムによれば事務所はここから1キロ先だ』

杏「えぇー……」
 

 
――――――――――

ロボP『事務所は50メートル先の角を曲がってすぐだ』

仁奈「おおー、ロボPの肩車はすげーです! 目線がたけーですよ!」

杏「あー、だるかった。ここまで来たらさっさと不採用になって帰ろ……」

ロボP『それは不可能だ。俺のレーダーに狂いはない。お前は必ずアイドルデビューする』

杏「ロボP、無理は禁物だよ。杏、ロボPの負担にはなりたくないな?」チラッチラッ

ロボP『問題ない。俺は超敏腕プロデューサーだ。100人乗っても大丈夫だ』

ピーピーピーピー

仁奈「? ロボP、なんか鳴ってやがりますよ。ケータイですか?」

ロボP『……ヌゥッ!?』ガクッ

杏「えっ? ち、ちょっとどうしたのさ!?」

仁奈「どうしやがったんです? お腹いてーですか?」
 

 
ロボP『スタドリが切れた……俺のエネルギー源が……尽きた……』

杏「え……ロボP、スタミナドリンクで動いてたの?」

仁奈「た、大変です! ロボP、しっかりしやがるですよ!」

ロボP『動けん……俺にスタドリを……早く……』

杏「スタドリなんて持ってるわけないじゃん」

ロボP『誰でもいい……俺に……スタドリを……』

 
 
 
>>38

ロボPに救いの手を差し伸べたのは……
1.キュート
2.クール
3.パッション
 

http://i.imgur.com/dTrGCxk.jpg
http://i.imgur.com/9KCzVZD.jpg
市原仁奈

1

 
ピコーンピコーン

ロボP『あ……新たなシンデレラ反応をキャッチ……』

ロボP『スカウトだ……スカウトを……しなけれ……ば……』

ロボP『アイドル候補生を……トップアイドルに……』

ガシッ
 
ロボP『……』



まゆ「……なんですかぁ? 手、放してくれませんか」
 

 
杏「ちょっとロボP、なに通りすがりの人の足掴んでんの」

ロボP『お……俺に……スタドリを……』

まゆ「スタドリ? ……確かにまゆ、スタドリは持ってますけれどぉ」

杏「え、持ってるの?」

まゆ「でもすみません。これは大好きな人にプレゼントするためのものですからぁ」

杏(好きな人にスタドリプレゼントするって奇抜なセンスだなぁ)

ギュッ

仁奈「おねーさん、おねげーです! ロボPにスタドリを分けてやってくだせー!」

仁奈「このままじゃロボPが動けねーですよ。おねげーします!」
 

 
まゆ「でもぉ……」

ロボP『仁奈……杏……俺に構わずCGプロダクションへ行け……』

まゆ「」ピクッ

ロボP『そして事務員の千川ちひろから……スタドリを買うんだ……』

仁奈「でも仁奈、お金なんて持ってねーですよ……」

ロボP『池袋晶葉に連絡しろ……ロボPと言えばわかる……』

ロボP『CGプロで最も……売れっ子のアイドルだ……Pの担当では一番の古株でもある……』

まゆ「……今、CGプロって言いました? この人CGプロの関係者さんなんですかぁ?」
 

 
杏「どうやらそうらしいよ。自称敏腕プロデューサーでロボなんだって」

ロボP『敏腕プロデューサーではない……超敏腕プロデューサーだ……』

杏「いや、そこはどうでもいいから」

まゆ「ふぅん……そうなんですかぁ……」

まゆ「……」

まゆ「……わかりましたぁ。このスタドリ、差し上げます」

杏「えっ、いいの?」

仁奈「ホントですか! やったですよロボP!」

ロボP『お……俺のスタドリ……』

まゆ「ただし、条件があります」
 

 
ロボP『条件だと……?』

まゆ「まゆ、ちょうどこれからCGプロのアイドル候補生募集に応募するつもりだったんですよぉ」

まゆ「あなた、関係者さんなんでしょう? でしたらぁ」

まゆ「まゆがアイドルになれたらPさんに担当して頂けるよう、お口添えをお願いしたいんですよぉ……」

ロボP『そんなことか……この俺にかかればわけもない……』

まゆ「約束してもらえますね……?」

ロボP『承知した……それより早く……スタドリを……』

まゆ「はぁい。確かに約束しましたからねぇ?」スッ
 

 
カシュッ

ゴクッゴクッゴクッ

ムクッ

ロボP『ふぅ。なかなかいい』

仁奈「やったー! ロボPが復活しやがったですよ!」

ロボP『スタドリ一本で連続48時間稼働。超低燃費でお買い得な俺だ』

ロボP『では行くぞ。社長もちひろも首を長くして待っているはずだ』ガシッ

まゆ「……どうしてまゆの手を掴むんですかぁ?」

杏「ちょっとロボP。まさかとは思うけど」

ロボP『そうだ。俺のレーダーが反応していた。こいつもアイドルの素質がある』
 

  
ロボP『俺達は事務所に向かう途中だった。そしてお前もCGプロの門戸を叩くつもりだった』

ロボP『渡りに船とはこのことだ。さあ行くぞ。そしてトップアイドルになるんだ』

まゆ「……約束は覚えてますよね? まゆ、Pさん以外の人にプロデュースしてもらう気はありませんから」

ロボP『そうだったな。だが、お前ならば俺以外の者のプロデュースでも問題あるまい』

まゆ「それから……」

ロボP「なんだ」

まゆ「まゆの手を握っていいのも、Pさんだけなんですよぉ……?」ギリィ

杏(アカン)



>>
杏、仁奈、まゆの三人をスカウトしたロボPは事務所へ向かった。
事務所には社長とちひろの他に誰がいた?
 

安価は>>54

三船さん

 
――――――――――
事務所



ちひろ「事務所に女性を連れたロボが来たら連絡してくれ、って言われてもねぇ……」

ちひろ「十中八九晶葉ちゃんが造ったロボなんだろうけど、なんで女性を連れてくるのかしら」

ちひろ「まあいっか。そんなことよりスタドリのノルマを……」

バタンッ!

ちひろ「っ!? ど、どちら様……?」

ロボP『俺だ』

杏「はぁ……歩くのだるかった。杏もう疲れた~」グデー

仁奈「ここが事務所でごぜーますか! 仁奈早くアイドルになりてーですよ!」

まゆ「うふふ、仁奈ちゃんったら……ところでPさんはどこでしょうかぁ?」

ちひろ「」
  

  
ちひろ(ま、間違いないわ……あからさまにロボな見た目の上に3人も女の子を連れてるし……)

ちひろ(とりあえず晶葉ちゃんに連絡しないと……)ピッポッパッ

ロボP『ちひろ。スタドリを貰うぞ』ガチャッ

ちひろ「ってちょっと! 勝手に冷蔵庫開けて飲んじゃダメです!」

ロボP『代金は晶葉にツケておけ。ロボPと言えばわかる』ゴクゴク

杏「さっきまゆに貰って飲んだばっかりじゃん」

仁奈「ロボPはいやしんぼでいやがりますね」

ロボP『いいスタドリだ。掛け値なしに』ゴクゴク

ちひろ「あぁもう……! ホントに晶葉ちゃんにスタドリ代請求しますからね!」
 

 
ガチャ

美優「おはようございます……」

ロボP『さあちひろ、社長を出せ。面接だ。そして採用しろ』ユサユサ

ちひろ「ちょっと黙っててください! ……もしもし、晶葉ちゃん!?」

杏「杏疲れたから寝るよ。おやすみー」

ちひろ「そうです、女の子を3人連れたロボが……お願いだから一刻も早く事務所に戻ってきて!」

仁奈「杏おねーさんがぐっすり眠れるように仁奈が羊を数えてあげるですよ!」

ちひろ「あと1000モバコイン払って……いや、だからロボが勝手にスタドリを飲んで」

ロボP『ちひろ、エナドリの在庫が足りないぞ! こんなザマではフェスを完走できん!』

ちひろ「うるさい黙れ! ……いい、早く来てね。絶対よ!?」

まゆ「あらあら。うふふ……」

美優「え……何これは……」
 

 
美優「……あの、ちひろさん。この人達は一体……?」

ちひろ「あ、美優さん……これはまた最悪のタイミングで出社しましたね」

ロボP『ムッ。お前は三船美優か』

美優「え? ええ、はい……そうですけど、あなたは……?」

ロボP『お前の後輩を連れてきた。仲良くしろ』

美優「はあ……」

仁奈「さあ、羊の気持ちになるですよ! 仁奈羊がいっぴき、仁奈羊がにひき、仁奈羊がさんびき」

杏「ぐー……」Zzz…

仁奈「あれ? 杏おねーさん、もう寝ちまったですよ」

まゆ「うふふ……仁奈ちゃんの羊さんが可愛かったからすぐ眠くなっちゃったのねぇ」ナデナデ

仁奈「ホントですか! やっぱりキグルミのパワーはすげーですよ!」
 

 
美優「ちひろさん……この子達、ひょっとしてアイドル候補生の……?」

ちひろ「厳密に言えば違いますけど……ああもう、どう説明したらいいか私もわからないんです」

ちひろ「……まず、このロボが晶葉ちゃんの造ったロボPで」

ロボP『俺がロボPだ。特技は十六連射だ』

ちひろ「はあ……それで、あの子達が……」

ロボP『俺がスカウトした。双葉杏、市原仁奈、佐久間まゆだ』

ちひろ「今しがた晶葉ちゃんに連絡を入れたので、すぐ来てくれると思うんですけど」

ロボP『なに、晶葉が来るのか。面接に晶葉を同席させるんだな。正しい判断だ』

ちひろ「すみませんが少し黙っててもらえませんか?」

ロボP『俺の計算によれば、このままでもあの3人が正式にアイドル候補生になる確率は89.3%』

ロボP『だがそこに俺のプロデュースが加わることで464.3%。さらに……』

ちひろ「黙ってろって言ったろこのスクラップ三太夫がぁッ!」バンッ

美優「ち、ちひろさん、落ち着いて……」
 

 
………
……


仁奈「うぅん……」ゴシゴシ

ロボP『どうした仁奈。眠いのか』

仁奈「はい。仁奈も眠くなっちまったですよ」

まゆ「仕方ありませんよねぇ。まゆと会うまでにも結構歩いてたみたいですしぃ」

ロボP『無理はするな。杏のように眠っておけ』

まゆ「うふふ……杏ちゃん、死んだように眠ってますねぇ」

ちひろ「私も眠ってしまいたいですよ。この現実を夢にしたい……」

ロボP『そして美優。仁奈に膝枕をしろ』

美優「えっ……? 私が、ですか……?」
 

 
ロボP『俺の3Dスキャナーで測定した結果、お前の脚が最も膝枕に適している』

ロボP『まゆは非常に惜しいが次点だ。ちひろはその次だ。最下位だな』

ちひろ「ぶちころがすぞガラクタプロデューサー」

まゆ「うふふふ……セクハラは許せませんねぇ……」
 
美優「でも、あの……」

ロボP『お前がやらなければ誰がやる。誰がいる』

ロボP『俺の勘は正確無比だ。お前が仁奈を膝枕することによってすべては丸く収まる』

美優「そ、そんなこと……」

ロボP『ある。俺の言うことに間違いはない。お前以上の適任はいない』

美優「う、うう……」

ちひろ(美優さん押しに弱いなぁ。いや、このポンコツの押しが強すぎるのか)
 

 
美優「わ、わかりました。膝枕します……」

ロボP『さあ仁奈。美優に膝枕をしてもらえ』

仁奈「ふみゅ……お邪魔するですよ……」ウトウト

ポフッ

美優「あ、あの、どうかな……? えっと、仁奈ちゃん?」

仁奈「あったかくて、やわらかくて、ママみてーです……」

美優「マ、ママみたいって……」

仁奈「すぅ……すぅ……」スヤスヤ

美優「あ……もう寝ちゃった」

美優「……」ナデナデ

仁奈「すぅ……すぅ……」

美優「……ふふっ」
 

 
ロボP『いい笑顔だ』

美優「えっ!? あ、あの、その……」カァァァ

ロボP『何を恥じることがある。お前の笑顔はプロデュースするに値する笑顔だ』

美優「そうでしょうか……? 私、人づきあいとか苦手で、笑うのも……」

ロボP『俺のデータによれば、お前は昨年のクリスマスにPによってスカウトされたそうだな』

ロボP『Pはなかなか人を見る目がある。無論、俺ほどではないが』

美優「プロデューサーさんには、感謝してます……」

美優「……私がちゃんと笑えてるとしたら……それは、プロデューサーさんのおかげですから……」

ロボP『履き違えるな。Pはプロデューサーだ。カウンセラーでもなければ魔法使いでもない』

ロボP『最後にものを言うのはお前自身の努力だ。プロデューサーはお膳立て程度のことしかできん』

ロボP『俺がスカウトするのは、俺のプロデュースによってトップアイドルになれる者だけだ』

ロボP『逆に言えば、それだけの才能を持ち、また努力をできる者だけだ』

ロボP『Pも俺と同じことを言うはずだ。俺にはわかる』
 

 
美優「……それでも、私はプロデューサーさんのおかげだと思います」

ロボP『何故そう思う』

美優「私……アイドルになって、あの人に手を引いてもらって、必死に頑張ってきましたけど……」

美優「プロデューサーさんに出会わなかったら……きっと、最初の一歩だって踏み出せなかったから」

美優「だから……私を変えてくれたのは、プロデューサーさん……そう思ってます」

ロボP『そうか。お前がそう思うのならそうなんだろう』

まゆ「……」

ロボP『どうした、まゆ。先輩アイドルの話に聞き入っていたのか』

まゆ「……いいえ、別にぃ」
 

 
ロボP『ところでちひろ。社長はまだか。晶葉はいつ到着する』

ちひろ「社長は社長室にいますけど、晶葉ちゃんはもう少しかかると思います」

ロボP『わかった。ではもうしばらく待つか』ガチャッ

ちひろ「だから勝手に冷蔵庫開けないでって言ってるでしょ!」

ロボP『ムッ! ちひろ、エナ茶がないぞ! これでは2枚取りができん!』

ちひろ「課金しない子にはあげません! 次回開催も未定です!」

 
 
 
>>70

しばらく待つロボP。事務所へ来たのは?
1.晶葉
2.その他(指名)
 

岡崎さん

http://i.imgur.com/37iczbs.jpg
http://i.imgur.com/UYEKUyG.jpg
三船美優(26)

http://i.imgur.com/FwhD5a6.jpg
http://i.imgur.com/4qUXw6B.jpg
岡崎泰葉(16)

 
――――――――――

ガチャ

泰葉「おはようございます」

美優「あ……泰葉ちゃん……」

仁奈「すぅ……すぅ……」Zzz…

泰葉「おはようございます、三船さん。その子は?」

美優「新しいアイドル候補生の子らしいんだけど……私も詳しい事情はよく……」

ドタンバタン

泰葉「? さっきから騒がしいですけど、一体どう……」

ガシャーン

ちひろ「このクズ鉄! どれだけ無課金でスタドリ飲めば気が済むんですか!」ギリギリ

ロボP『お前は今まで破産に追い込んだPの数を覚えているのか?』ゴクゴク

ちひろ「そんなもの知りません! いいから課金しろ! モバコイン払え!」
 

 
泰葉(何アレ……? 着ぐるみ? バラエティか何かの企画?)

杏「ふわぁぁあ……なに、ロボPは何やってんの?」ムクッ

まゆ「事務員さんととぉっても楽しそうに遊んでますよぉ」

杏「あ、そう。じゃあ杏は寝直すから」ゴロッ

泰葉(そしてこの子達は誰……?)

ガチャ

社長「おお、何やらにぎやかだと思ったら……泰葉君、これはどうしたのかね」

泰葉「……おはようございます、社長。すみません、私にもさっぱりなんです」

社長「ちひろ君! 彼は何者だね? 何故取っ組み合いをしているのかね」

ちひろ「あ、社長! 聞いてください、この粗大ゴミが私のスタドリを」

ロボP『遅いぞ社長。何をしていた。首を長くして待っていたぞ』
 

 
社長「君は?」

ロボP『俺はロボPだ。趣味はスターソルジャーだ』

ちひろ「……晶葉ちゃんの造ったロボです。実はかくかくしかじかで」

社長「ほう、なるほど。それでアイドル候補生をスカウトしてきたと」

泰葉(晶葉ちゃんもついに行くところまで行っちゃった感があるわね……)

ロボP『その通りだ。トップアイドルをプロデュースするのが俺の行動目的であり無上の喜びだ』

ロボP『というわけで面接を行う。しばらくすれば晶葉も来るはずだ』

ロボP『杏、仁奈、まゆは疑いようもなくアイドルの素質があるが、お前達も確かめる必要があるだろう』

社長「ほほう! 押しが強い割にはなかなか慎重な一面もあるようだね。結構結構」

ちひろ「あんまり褒めたら図に乗るからダメですよ、社長。ただでさえ手がつけられないのに」

ロボP『調子に乗ってなどいない。俺はスゴイ。それは事実だからだ』

ロボP『この事務所のPもなかなかの男だが、俺の方がスゴイ。それは間違いない』
 

 
泰葉「……それはどうかしら」

ロボP『なに?』

泰葉「あなたがどこの馬の骨か知らないけれど」

泰葉「私達のプロデューサーさんよりもスゴイなんてことがあるのかしら」

ロボP『俺は馬ではない。ロボだ』

泰葉「いやそういうことじゃなくて」

ロボP『そういうお前は岡崎泰葉だな。数週間前にCGプロから再デビューしている』

泰葉「……よく知ってるのね」

ロボP『当然だ。俺のデータベースにはCGプロ所属の全アイドルのデータが網羅されている』

ロボP『さらにリアルタイムバックアップとアップデートにより、常に活きたデータを活用できる』

ロボP『俺を造ったのは晶葉だ。晶葉の発明は常に完璧だ。よって俺も完璧であり、スゴイというわけだ』
 

 
泰葉「そんなこと……プロデューサーさんの方がスゴイわ。絶対に」

ロボP『何を言う。俺の方がスゴイに決まっている』

泰葉「いいえ、プロデューサーさんの方が」

ロボP『いや、俺だ』

泰葉「プロデューサーさんよ」

ロボP「俺だ」

泰葉「プロデューサーさん」

ロボP「俺」

泰葉「~~……っ!」

社長「まあまあ、二人とも落ち着きたまえ」
 

 
社長「泰葉君がP君を頼りにしているのはわかる。だが本人がいないのに二人の優劣を云々しても仕方ない」

社長「P君とロボP君のどちらがスゴイかは今すぐ明らかにしなくともいずれわかることだ」

社長「ロボP君も、自分のスゴさを証明するにはそのための時と場所が必要だ。違うかね?」

ちひろ「……って社長! まさかロボPを働かせるつもりじゃありませんよね!?」

社長「いけないかね? 面白そうじゃあないか。ロボットのプロデューサーなんて業界初だよ」

ちひろ「面白い面白くないの問題じゃなくて!」

泰葉「……すみません。つい取り乱してしまって」

ロボP『構わん。俺は寛容だ』

泰葉「いやあなたに言ったんじゃなくて」

社長「はっはっは! 結構結構。お互いに自己主張が強いからぶつかるのも仕方ない」

社長「まあ、詳しい話はP君と晶葉君が戻ってきてからにしようじゃないか」
 


>>81
事務所へPを伴った晶葉が到着。
今後ロボPは誰をプロデュースする?(スカウトしてきた3人以外の誰かでも可)

※今後の安価展開次第では伏線を拾ったりガン放置したり

仁奈

   
――――――――――

タッタッタッタッ

バタンッ

晶葉「ロボPぃ―――ッ!!」

ロボP『ムッ。晶葉か』

晶葉「お前という奴は! 初回起動でいきなり暴走するなんてどういうアレだ!」

ロボP『そんなことは問題ではない。どこで何をしていた。待ちくたびれたぞ』

晶葉「どこで何をしていた、だと……? それはこっちの台詞だ! このバカ!」

ロボP『俺の目的はひとつ。トップアイドルをプロデュースすることだ』

ロボP『そのためにアイドル候補生をスカウトしていた。ただそれだけのことだ』

晶葉「……どうやらお前の人格プログラムは自我を強くしすぎたみたいだな。ん?」イライラ
 

 
ガチャ

P「落ち着けって、晶葉」

ちひろ「あ、プロデューサーさん! 晶葉ちゃんと一緒にいたんですか?」

P「いえ、ちょうど営業帰りに晶葉に呼び出されまして」

P「とにかく許してやれよ、晶葉。どうやら誰も傷つけたりはしてないようだし」

ちひろ「このバカロボにスタドリを勝手に飲まれて私の心は深く傷つきましたけど」

晶葉「助手……しかしだな。私としてもロボPがこんな増上慢な性格だとは」

P「トップアイドル育てようっていうんだ。これくらい自信があるくらいがちょうどいいってもんさ。な?」

ちひろ「え? 何? スルーですか。もうスタドリ売ってあげませんよコンチクショー」

P「大丈夫だってちひろさん。あとで20ダース買ってあげますから」

ちひろ「お買い上げありがとうございます♪」パァァァ

晶葉「文字通り現金な人だな」

ロボP『俺は知っているぞ。ちひろのような人間を守銭奴と呼ぶ』
 

 
ロボP『しかしP。お前もなかなかわかっているな。認めよう。お前も俺の三番目くらいにスゴイ』

P「はは、そりゃどうも。お前も悪い奴じゃなさそうだし、仲良くしようぜ」

ロボP『いいだろう。だが忘れるな。トップアイドルをプロデュースするのは俺だ。俺が一番スゴイ』

P「おっと、言ったな。じゃあ俺達も負けていられないな。なあ晶葉?」

晶葉「……ああ、そうだな」

P「ロボPのことは俺に任せてくれ。悪いようにはしない。専門的なことは晶葉に頼むしかないけどな」

晶葉「最初から期待はしていないよ。ロボPのメンテナンスは私にしかできないからな」

晶葉(……確かに、ロボPは助手のデータを元に造った。二人はいわば兄弟のようなものだ)

晶葉(だからこんなにも気が合うのか? 興味深い事案ではあるが……)

晶葉(だとしても、ベースになった助手からこうも違う性格になったのは何故なんだ……)
 

 
スッ

まゆ「うふふ……Pさぁん。お久しぶりです」

P「あれ? 君は……確か、まゆちゃん?」

まゆ「はぁい。あなたのまゆですよぉ」

晶葉「……おい助手。知り合いなのか?」

P「まあ、ちょっと前にな。どうしてここに?」

まゆ「実はぁ」

ロボP『俺がスカウトした。スタドリが切れて動けないところを救われてな』

P「へぇ、そんなことがあったのか。でもまゆちゃん、君は読モだったはずだろ?」

まゆ「そうだったんですけどぉ」

ロボP『辞めてきたらしい。俺と会ったのもCGプロの募集に応募する途中だった』
 

 
P「マジでか!? 上京して読モやってて、仕事にやり甲斐を感じてるって言ってたのに」

まゆ「うふふ……でもまゆh」

ロボP『それほどまでに強くアイドルを志したに違いない。俺にはわかる』

ロボP『現にまゆは、お前にプロデュースして欲しいと言っていた。俺ではなく』

P「俺を名指しで……そうか、まゆちゃんはそんなにもアイドルに憧れを持っていたんだな」

P「そこまで言われちゃあ、俺もまゆちゃんをプロデュースしなきゃ男が廃るってもんだ」

まゆ「……」

ガンッ

ロボP『何故俺を蹴った』

まゆ「さあ?」ゴゴゴゴゴゴゴ
 

 
P「それで、スカウトしたのはまゆちゃんだけか?」

ロボP『あと二人だ。そこにいる』



杏「念願の不労所得……むにゃ」Zzz

仁奈「ダムダムゾンゲルゲの気持ちに……なるですよ……」Zzz

美優「だ、だむだむ……? 仁奈ちゃん、どんな夢見てるの……?」



P「あの寝てるチビッ子二人か? なるほど、いいセンスだな」

ロボP『ぬいぐるみを枕にしているのが双葉杏。美優に膝枕されているのが市原仁奈だ』

ロボP『杏は真正のニートだ。よって高校にも通わず職業訓練もしない新感覚ニート系アイドルを目指す』

P「芸能活動をしてるんならニートとは言わないんじゃないか?」

ロボP『この場合、言葉の定義は問題ではない。杏の生き様を多くの人間に示すために必要なだけだ』
 

 
P「杏ちゃんの生き様? ……つまりニートであることよりも、彼女の人柄を推すってことか」

ロボP『そうだ』

P「じゃあお前から見て、杏ちゃんはどういう人間に見えるんだ?」

ロボP『一言では言えん。だが俺の分析によれば、こういうことだ』
 
ロボP『つまり、杏はただのものぐさや出不精ではない』

ロボP『杏は目先の苦痛から逃れるために将来を棒に振ることを厭わない』

ロボP『そして自らの成果を積み上げることにまったく固執しない。社会的な成功を求めない』

ロボP『無論これは、杏の実家が裕福な家庭であるということにも起因しているだろう』

ロボP『しかし、杏には親の脛をかじることへの罪悪感も未来への不安も一切ない』

ロボP『ただ怠け続けることだけを志向している。これだけは一貫してブレない』

ロボP『俺のデータベースから照合し分析した結果、人はこれを狂人と呼ぶ』
 

 
P「狂人ね……それはまたとんでもない言い草だな」

P「普通、会って数時間の人間に関してそこまで言い切れるか? ホント大した奴だな」

ロボP『それほどでもある。なにせ俺だからな』

P「で、その杏ちゃんをさっき言ったようなコンセプトで売り出していくわけか?」

ロボP『そうだ。下手な虚飾は杏にそぐわない』

ロボP『アイドルという舞台で杏がどう振る舞うか。ありのままを見せていく』

ロボP『それが一番だと俺は直感した。そして俺の勘は当たる』

グイッ
 
杏「……ロボP、いくら杏でもそこまで言われる筋合いはないと思うんだけど」
  
ロボP『ムッ。杏、起きたか』
 

 
杏「そりゃ起きるでしょ。さっきからドタバタって騒がしいし」

杏「ところで、この人がここのプロデューサー?」

P「ああ、Pだ。よろしくな」

杏「別によろしくしなくてもいいよ。杏、ちゃっちゃと不採用になって帰るつもりだから」

杏「早く面接しちゃおうよ。事前に模範解答の表とか見せてもらえる? それと全部反対のこと言うから」

杏「あ、忘れるところだった。面接終わったらちゃんと交通費支給してね。杏、無一文だから」

ロボP『どうだ、P。快の追求のために徹底して不快を排除しようとする。これこそ快楽原則の権化だ』

P「……確かに、本腰入れてアイドル活動させたらとんでもなく伸びそうだな」
 

寝ます。続きはまた今度

 
ロボP『最後に仁奈だが』

P「あの着ぐるみを着てる子だな」

ロボP『俺のデータベースに照合し分析した結果、仁奈と着ぐるみのシナジー効果によって……』

ピリリリリリリリ

ちひろ「あれ、誰か携帯鳴ってますよ?」

まゆ「まゆのじゃありませんよぉ。着メロが違いますし」

杏「杏、今携帯持ってないし」

P「俺のでもないな」
 

 
ロボP『発信源はここだな』ズボッ

晶葉「こら、ロボP! 勝手に人のリュックに手を入れるな!」

ロボP『問題ない。これは仁奈のものだ』ガサゴソ

杏「いや、誰のものとかじゃなくて」

晶葉「まったく、まだAIの行動規範の設定に改善の余地があるな。きちんと学習させないと」

P「言ってることはさておき、晶葉がまるでお母さんみたいだな」

晶葉「ん? まあ、ロボPは私が造ったわけだし、私が母親と言って過言ではないな」

晶葉(……む? しかしそうなると、助手のデータを元にしたロボPはつまり……)

晶葉(私と助手の遺伝子を受け継いでいると言ってもいいわけで、それは……)カァァァ

P「晶葉? どうした、顔真っ赤だぞ」

晶葉「な、なんでもない!」
 

 
ロボP『あった。これだな』

ピッ

ロボP『もしもし。俺だ』

ロボP『……なんだと? 俺は俺だ。仁奈ではない。ロボPだ。好きな拳法は南斗人間砲弾だ』

ロボP『仁奈? 俺がスカウトした。仁奈はアイドルになる。これは決定事項だ』

ロボP『警察など呼ぶ必要はない。仁奈の身に危険は及ばない。俺がいるからな』

ロボP『心配することはない。仁奈は事務所にいる……CGプロダクションだ。住所は……』

ロボP『わかった。早く迎えに来い』

ピッ
 

 
P「誰からだったんだ?」

ロボP『仁奈の母親だ。家に仁奈が帰ってきていないから携帯にコールしたのだろう』

ちひろ「親御さんに連絡しなかったんですか?」

ロボP『当たり前だ。俺は外でスカウトしてここに連れてきただけだ』

P「……仕方ない。住所は教えたんだろ? とりあえず親御さんが迎えに来るのを待とう」

ロボP『ではP。まゆと杏のことは頼んだ。仁奈は俺に任せろ』

晶葉「任せるわけないだろう。ちょっと来い、ロボP」

ロボP『なんだ』

晶葉「お前のメモリーユニットを検めさせてもらう。どこで何をしていたのか見せてもらうからな」
 
ロボP『いいだろう。俺は他人に見られて困るような生き方はしていない』
 

 
――――――――――

仁奈「ふみゅ……ふあぁぁ……」

美優「……あら、仁奈ちゃん……おはよう」

仁奈「おはよーごぜーます……」

仁奈「あれ? おねーさん、ロボPはどこにいやがりますか?」

美優「プロデューサーさん達と、あっちの部屋で色々話してたみたいだけど……」

仁奈「そうですか。それじゃあ仁奈、ロボPのとこに行ってくるですよ」

仁奈「おねーさん、膝枕してくれてありがとうごぜーます」ペコッ

美優「うふふ、どういたしまして……」ナデナデ

仁奈「んんっ、くすぐってーですよ」
 

 
カタカタカタ……

晶葉「この映像の地点は……マップデータと照合……」カタカタ

晶葉「……呆れたな。ふたつ先の駅まで走ったのか」

晶葉「スタドリが切れて動けなくなるはずだ。ロボP、どうして私に連絡しなかった?」

ロボP『省エネモードに入ると節電のために各種機能が制限される。電波の送受信も制限されたせいだ』

晶葉「なるほどな……しかし、このレーダーはどうなってるんだ」

ロボP『安心しろ。晶葉が造ったものだ。間違いなどない』

晶葉「ロボP、私を買い被るな。私は全知全能ではないんだ」

ロボP『だが、俺を造ったのは晶葉だ。俺を造ったということは、晶葉は俺よりスゴイということだ』

晶葉「……そう単純な話ではないんだぞ、ロボP」
 

 
仁奈「ロボPー」トテテテ

ロボP『ムッ。仁奈か』

仁奈「どうしやがったんですか? あっちこっちケーブルだらけでねーですか」

晶葉「今ロボPの調整中なんだ。すまないが、用なら後に」

ロボP『紹介しておく。彼女が晶葉だ。俺を造った人間だ』

仁奈「このおねーさんがロボPを造りやがったんですか?」

晶葉「まあ、そうだが」

仁奈「じゃあ、晶葉おねーさんはロボPのママでいやがりますね!」

晶葉「なっ……そ、そんなんじゃない! そんなんじゃないぞ」カァァァ

ロボP『さっきからどうした。晶葉。情緒不安定だ』

晶葉「誰のせいだ、誰の!」
 

 
ロボP『ところで仁奈。先刻お前の母親から連絡がきた』

仁奈「え……ママから?」

ロボP『いずれは保護者の承認を得る必要があった。ちょうどいい機会だ』

仁奈「ママを説得してくれやがるですか?」

ロボP『当然だ。お前は俺がプロデュースする』
  
ロボP『お前の母親は芸能活動への反発や抵抗があるようだ。どういう理由かは知らん』

ロボP『だが俺に任せておけば大丈夫だ。何故なら俺はスゴイからだ』

仁奈「ホントでごぜーますか! やっぱりロボPはすげーですよ!」キャッキャッ

晶葉「また無責任なことを……どうしてこんな放言癖のある人格になったんだか」

晶葉「大体、お前にこの子の母親を納得させられるだけの材料があるとは……」
 

 
ガチャ

???「ごめんください」



ロボP『ムッ。誰か来客のようだな』

晶葉「動くな。ケーブルが外れてしまうだろう」グイッ

ロボP『俺に任せろ。俺は来客の応対も完璧だ』ブチブチ

晶葉「こら、勝手に外すな! ロボP!」

仁奈「ロボP、今度はおんぶして欲しいですよ」モフッ

ロボP『いいだろう。晶葉。調整は後回しだ』ヒョイッ

晶葉「……まったく。大人しくしていられない奴だな」

仁奈「ロボP、発進ですよー!」
 

  
ちひろ「――ええ、はい。確かに市原仁奈ちゃんはここにいます」

???「一体どういうことなんですか!? 電話口ではスカウトしたとかなんとか……」

P「どうもウチのプロデューサー見習いがおたくのお子さんに才能を感じたらしくて」

???「冗談じゃありません。とにかく、早く仁奈を連れてきてください」

ちひろ「わかりました。仁奈ちゃんは今事務所で休んでいるはずですから……」



ガシャンガシャン

ロボP『CGプロダクションによく来たな。用向きを聞くぞ』

仁奈「……ママ!?」
 

 
仁奈母「……!?」

P「おお、ロボP」

ロボP『お前は誰だ。仕事の話か。それともアイドルになりに来たのか』

P「そうじゃない。この人は仁奈ちゃんのお母さんだ」

ロボP『なんだと。それはちょうどいい。俺も用があったところだ』

ロボP『仁奈。お前の母親が迎えに来たぞ』ヒョイッ

仁奈「……」

仁奈母「仁奈ちゃん! 大丈夫? 何かおかしなことされなかったかしら?」ギュッ
 

 
ロボP『おかしなこととは何だ。要領を得んな』

仁奈母「……あなたですね? うちの仁奈を連れ回したのは」ジロッ

仁奈母「仁奈ちゃん! 知らない人について行っちゃダメだって教えたでしょ?」

仁奈母「どうしておうちでお留守番してなかったの。お母さんが帰るのを待ってるって約束でしょう?」

仁奈「それは……」

ズイッ

ロボP『俺は知らない人ではない。ロボPだ。好きなハードはワンダースワンだ』

ロボP『俺は仁奈をスカウトしただけだ。アイドルとしてデビューするためにな』

仁奈母「やめてください。仁奈ちゃんはアイドルになんかなりませんから」

ロボP『何故だ。仁奈には資質がある。それを埋もれさせることは許されん』

仁奈母「勝手なことを言わないで! さあ仁奈ちゃん、帰りましょう」
 

 
仁奈「で、でも……仁奈は……」

ロボP『仁奈はアイドルに対して前向きだ。何故母親のお前は反対する』

仁奈母「あなたには関係ありません」

ロボP『いや、関係ある。俺は仁奈をプロデュースする。そのためには詳しい事情を聞かねばならん』

仁奈母「……あなたに話すことは何もありません」

仁奈母「さあ仁奈ちゃん、行きましょ。もうすっかり遅くなっちゃったわ」

仁奈「……ロ、ロボP! 仁奈、アイドルに……」

仁奈母「仁奈ちゃん!」

仁奈「……っ!」ビクッ
 
仁奈母「それでは失礼します。アイドルだか何だか知りませんが、もう二度と仁奈ちゃんに近づかないで」

P「……どうもすみませんでした。後でよく言っておきます」
 

 
仁奈「……」

ロボP『……仁奈。安心しろ』

仁奈「えっ……?」

ロボP『お前は俺が必ずトップアイドルにする。この俺がな』

仁奈「ロボP……!」

仁奈母「まだそんなことを言って……今度うちの仁奈ちゃんを連れ回したら警察を呼びますからね!」

バタン
 

 
P「……ふぃー、おっかないお母さんだったな」

ちひろ「もう! それもこれもロボPのせいですよ!」

P「でも美人なお母さんだったなぁ。もう3歳、いや2歳若けりゃスカウトしてるところだ」

ちひろ「プロデューサーさん!」

P「あはは、冗談ですよ……なあ、ロボP」

ロボP『なんだ』

P「仁奈ちゃんのお母さんをあんなに怒らせたのはお前の責任だぞ。わかってるか」

ロボP『どうやらそうらしいな』
 

  
P「……で? これからお前はどうするんだ」

ロボP『言ったはずだ。俺は必ず仁奈をプロデュースし、トップアイドルにする』

ロボP『俺はアイドルをプロデュースするために造られた。俺は俺の行動理念を曲げん』

ちひろ(晶葉ちゃん……ホントになんでこんなロボ造ったのかしら……)

P「お母さんを説得する策はあるのか?」

ロボP『俺に不可能はない。俺に任せておけ』
 

続きはまた今度。

 
………
……

 
晶葉「……などと言って再びロボPが飛び出して行ったのが昨日のことだが」

P「俺に不可能はない! とか断言してたな」

晶葉「まったく困った奴だ。再調整する間もなくどこかへ行ってしまうなんて……」

P「なんというかアクティブな奴だよなぁ。引きこもりがちのお前とは大違いだ」

晶葉「うるさい。余計なお世話だ」

P「余計なお世話ってことはないだろう。今日だってこうして迎えに来てるわけだし」

P「大体お前はアレだ、研究に没頭するあまりに飯を食うのを忘れるとかザラだし」

P「それに、親御さんに娘をお願いしますと頼まれちゃあな……」

晶葉「ふ、ふんっ。助手の務めというのをよくわかってるじゃないか。いい心がけだぞ」

P「あ。でも俺、杏ちゃんとまゆちゃんの担当にもなったから、これからはちゃんと自分で起きろよ」

晶葉「」
 

 
P「で、今回はちゃんと位置を把握してるんだろ?」

晶葉「へへん、当然だ。私は二度も同じ失敗は繰り返さないぞ」ドヤッ

晶葉「メモリーを確認した時にGPSのスイッチも入れた。ちゃんと位置は把握している」

晶葉「それにスタドリも大量に飲んでいたらしいから、しばらくはエネルギー切れの心配もないだろう」

P「探しに行かなくていいのか?」

晶葉「ロボPの状態は逐一モニターしているから問題ない。何かあれば強制シャットダウンもできるしな」
 
P「それで、今ロボPはどこにいるんだ?」

晶葉「うむ、GPS情報によると……」ピッポッパッ

ピピッ

P「おっ」

晶葉「この座標は……駅前の商店街? 何故こんなところに……」
 

 
――――――――――
商店街

 
  
 
のあ「……」スタスタ




ササッ

都「むむっ、のあさんは八百屋さんに寄った後に薬局へ向かうみたいですね」コソコソ

都「メイドのお仕事の時はしてやられましたけど、今度こそのあさんの謎を解き明かします!」

都「尾行の練習もたくさんしましたし、まだ気付かれていないはず……」



のあ「……」スッ



都「あれっ? 薬局の手前の路地に……なんでだろう」

都「とにかく尾行は続けます! 逃がしませんよ!」トテトテ
 

  
タッタッタッ

都「え……のあさんがいない……? ひょっとして気付かれてた!?」



のあ「……その通りよ」シュタッ



都「ふえっ!?」ビクッ

のあ「貴女も懲りないのね……」

都(今、のあさん上から降りてきたんだけど……どうやって……?)ドキドキ

のあ「私の秘密を暴くには、貴女はまだ未熟よ……」

都「あうぅ……」シュン

のあ「……でも、目標のために努力を惜しまないその姿勢は、評価に値するわ」

のあ「精進しなさい……」

都「は……はいっ! 頑張ります!」
 

 
ガシャン……



のあ「……ッ!」

シュバッ!

バシィッ

都「の、のあさん!?」

のあ(何かが飛んできた……これは、カード……いえ、名刺……?)

のあ「誰……!」



ガシャンガシャン

ロボP『俺だ』
  

 
ロボP『安斎都。そして高峯のあだな。俺の気配を察知するとは流石だ』

都「なっ、なっ……!?」

のあ「……貴方は……何者?」

都「ま、まさか黒の組織的なアレですか!? のあさんを狙った刺客ですか!?」

ロボP『安心しろ。確かにちひろはブラックだが、CGプロはホワイトだ』

ロボP『俺はロボPだ。好きな犯人はヤスだ。詳しいことは名刺を見ろ』

都「名刺って投げつけるものでしたっけ……」

ロボP『大丈夫だ。企業戦士YAMAZAKIでは日常茶飯事だ』

のあ「名刺……」ピラッ


 
 
 
――――――――――――――――――――

[超敏腕プロデューサー]ロボP

HP:スゴイ     MP:スゴイ
パワー:スゴイ    スピード:スゴイ
賢さ:スゴイ     運の良さ:スゴイ
備考:俺はスゴイ
――――――――――――――――――――
 

 
都「これはひどい……あっ、裏面にCGプロの電話番号とアドレスが書いてありますよ」

のあ「CGプロの社員……? 貴方とは初対面だけれど」

ロボP『俺もだ。だが俺のデータベースにはお前達のデータがインプットされている』

ロボP『お前達のことはよく知っている。だからこそ言う。お前達に頼みたいことがある』

都「むむむ。どうするんですか、のあさん? 見るからに怪しげなロボですよ?」

のあ「そうね……彼、とても怪しげね」

ロボP『俺は怪しげなロボではない。ロボPだ。晶葉が造った超スゴイスーパーロボットだ』キリッ

都「しかも自称晶葉ちゃん製ですよ」

のあ「どこかにMADE IN AKIHAとでも書いてないかしら……」

ロボP『心配はいらん。装甲板の裏側に刻印してある。俺はちゃんとJIS規格にも適合している』
 

 
ロボP『俺はトップアイドルをプロデュースするために造られた。そのために俺は行動する』

ロボP『お前達に協力を頼みたいのはまさにそれに関することだ』

都「そう言われましても……」

ロボP『お前達を理解しているからこそ俺はお前達を捜し出した。そのことに変わりはない』

ズイッ

ロボP『つまり都。お前を名探偵と見込んでのことだ』

都「そ、そんなぁ~……名探偵だなんて照れちゃいます」テレテレ

のあ「……興味深いわ。貴方、お世辞が上手いのね」

都「えっ、お世辞?」

ロボP『よくわかったな。俺の超スゴイ営業トークを見破るとは、お前もなかなかスゴイ』

都「否定しないのっ!? さっきのは営業トークだったの!?」
 

 
都「ぶー……せっかく褒められたと思ったのに」

ロボP『確かにさっきのはお世辞だ。だがお前の能力を買っていることに変わりはない』

都「……本当ですかぁ? なんだか疑わしいです」

ロボP『餅は餅屋という諺がある。何事も専門家に頼むのが一番ということだ』

ロボP『俺がお前に頼みたい仕事も、お前に任せるのが一番いいと判断した』

ロボP『お前の探偵としての能力を認めているからこそだ。俺にはわかるからな』

都「お世辞なんか言わなくていいですっ。もう全然信じられませんっ」

都「そもそも初対面だし、嘘はつくし、晶葉ちゃん製とはいえ怪しいロボには違いないし!」プンプン
 

 
ロボP『ならばこれを見ろ』カサッ

都「? これは……CGプロの印が入った封筒ですね。封を開けても?」

ロボP『構わん』

都「では失礼して。どれどれ~?」ガサガ

のあ「……」

都「! これって……まさか、プロデューサーさんからの委任状ですか!?」

ロボP『その通りだ。この件に関して、俺はPに全てを任されている』

都「……ふむふむ。それはつまり、このアイドル探偵・安斎都への依頼ということですね?」

ロボP『報酬が欲しいなら用意させる。依頼と呼びたければそれもいいだろう』
 

 
都(う~ん……まあこの人はともかく、プロデューサーさんの了解があるんだったら信用していいかなぁ)

都「……わかりました。この名探偵・安斎都にお任せください!」

ロボP『やってくれるか』

都「ところで、具体的な仕事内容としては何をすればいいんですか?」

ロボP『まずはこの写真を見ろ』ピラッ

【仁奈の写真】【仁奈母の写真】

都「この人達は……親子ですか? 顔立ちが似てますね。目元とか」

ロボP『そうだ。名は市原仁奈とその母。この親子の現住所を突き止めて欲しい』

ロボP『この俺が娘の仁奈をスカウトしたが、連絡先を聞けなかった。だから調べてくれ』
 

 
都「この子、アイドル候補生なんですか?」

ロボP『先日事務所に連れて行ったが、色々とゴタゴタしていた。そういうことだ』

都「へぇ~……とにかく、この親子の家を探せばいいんですね」

ロボP『見つけ次第、俺に連絡しろ。俺の連絡先は名刺に書いてある』

都「了解しました。早速捜査開始します!」

ロボP『うむ。任せるぞ』

タッタッタッ……

ロボP『……さて。次はお前の番だ。高峯のあ……』

 
 
 
ロボP『……いない』

 

 
――――――――――

 
 
 
スタスタ


のあ「……」

ガシャンガシャン

ロボP『待て。どこへ行く』

のあ「……」

ロボP『話は終わっていない。お前にも頼みたいことがある』

のあ「……貴方、彼女に嘘を吐いたわね?」

ロボP『俺の超スゴイ営業トークのことか』

のあ「いいえ、そこじゃないわ……あの委任状、偽物なんでしょう」

ロボP『ほう。よくわかったな』
 

 
のあ「あの文面……プロデューサーの筆跡によく似ていたけれど、違うわ」

のあ「自らを誇示するように、自信に満ちた筆致……あるいは虚栄なのか……」

のあ「……あの委任状は貴方が自分で書いた。プロデューサーはこの件に関与していない……」

のあ「違ったかしら……?」

ロボP『その通りだ。委任状という形でPの名を出せば、都は俺の依頼を受けると判断した』

ロボP『だが小道具による巧みな演出は俺の話術機能のほんの一部にすぎん』

のあ「ロボットが嘘を吐くなんて、本当に興味深いわね……」

ロボP『俺はただのロボットではない。晶葉が造った超スゴイスーパーロボットだ』

のあ「……」
 

 
のあ「……私には、貴方を量りかねるわ」

ロボP『何故だ。俺は俺の見たままの姿がすなわち俺だ。それ以外の何者でもない』

のあ「いいえ。それは貴方の造物主がそう定義づけたからにすぎない」

のあ「……人を模して造られた身体……誰かに与えられた記憶……」

のあ「貴方はどれひとつとっても贋作……そんな貴方に、本当に私を理解できるのかしら」

ロボP『造作もない。何故なら俺はスゴイからだ』
  
のあ「貴方が優れているとしても、それも彼女がそうあれと願ったから……そうではないの?」

ロボP『確かに俺を設計したのは晶葉だ。俺の人格をプログラミングしたのも晶葉だ』

ロボP『俺の全てを造ったのは晶葉だ。そこに俺の意思はない』

ロボP『だが、今ここでお前と向かい合う俺は、俺の意志によってここにある』

ロボP『誰も俺の意志を曲げることはできん。何故なら俺は俺だからだ』
 

 
のあ「本当に……そう思うのね?」

ロボP『無論だ』

のあ「……」

ロボP『……』

のあ「……ふふっ」

ロボP『ムッ。何がおかしい』

のあ「……貴方、面白いのね」

ロボP『なに。そうなのか』

のあ「……貴方が持つ、唯一の真実。それは貴方自身の心……」

のあ「貴方がただの人形なのか、そうでないのか……」

のあ「それを見極めるのも、また一興ということね……」
  

 
のあ「……言葉で自分を飾るのはもう必要ないわ。後は、ただ見せてくれればいい」

のあ「貴方がトップアイドルをプロデュースするというのなら……」

のあ「貴方の持つ可能性という力で、世界を変えていく姿を示せばいい……」

ロボP『つまり、俺に協力する気になったということか』

のあ「ええ……頼みごとを聞くくらいなら、してあげるわ」

ロボP『そうか。ならば、のあ。改めてお前に頼みたい』

ロボP『この後、仕事やレッスンの予定はあるか』

のあ「今日はオフよ……明日はドラマのロケがあるけれど」

ロボP『ならば好都合だ。この写真を持って、業界関係者への聞き込みを行って欲しい』

のあ「……さっきの写真ね……でも、母親の方しかないのだけれど?」

ロボP『いや、それでいい』

 
 
 
ロボP『俺が調べて欲しいのは、まさにその母親のことだ』

 

眠いんで寝ます。また後日

  
――――――――――
さらに二日後
郊外の住宅街にて

 
 
 
仁奈母「仁奈ちゃん、学校に行く準備はできた? 忘れ物はない?」


仁奈「はい、大丈夫でごぜーますよ!」

仁奈母「じゃあ、いつも通り学校まで送っていくわね。車に乗ってて頂戴」

仁奈「わかってるですよ! ママも遅れねーでくだせー」

仁奈母「はいはい。お母さんもすぐ行くから」
 

 
仁奈「……」トテトテ

仁奈「……」

仁奈(……ロボP、あれから全然来てくれねーです。どうしちまったですか……)

仁奈(仁奈のこと、アイドルにするって言ってくれたのに)

仁奈(ママのこと、説得してくれるって言ってたのに……)

仁奈「仁奈に嘘つきやがったんですか……? ロボP……」

 
 
 
ガチャッ

 

 
仁奈「……」トボトボ



ガシャンガシャン……

 
 
 
仁奈「?」

 

  
ガシャンガシャン

 
 
 
仁奈「この足音……もしかして……!」バッ

 
 
 
ガシャンガシャン


ガシャン……

 
 
 
ロボP『待たせたな』キリッ

 

 
仁奈「ロボP!」

ロボP『仁奈。80時間と38分ぶりだな。元気だったか』

仁奈「ロボPっ! おせーですよっ! なんですぐ来てくれねーんですか!」ギュッ

ロボP『色々と準備しなければならないことがあった。だがもう大丈夫だ』ヒョイッ

ロボP『俺がお前をトップアイドルにプロデュースする。そのことに変わりはない』タカイタカイ

仁奈「……仁奈、不安だったですよ。ロボPが来てくれねーんじゃねーかって……」

仁奈「ロボPが嘘ついたんじゃねーかって、すっごく……不安だったんですよ……」グスッ

ロボP『そうか。だがそれは杞憂だ。現にこうして俺がいるのだからな』

仁奈「それじゃあ仁奈、アイドルしやがってもいいんですか?」

ロボP『無論だ。そのために俺がいる』

 
 
 
「――ふざけないで」

 

 
仁奈「ママ!」

ロボP『仁奈母。ちょうどいいところに現れたな。今日はお前の承諾を得るために来た』

仁奈母「ふざけないで! あなた、性懲りもなく仁奈ちゃんに変なことを吹き込んで!」

仁奈母「仁奈ちゃんはアイドルになんかなりません! さっさと帰って頂戴!」

仁奈「ママ、でも仁奈はアイドルやりてーですよ……」

仁奈母「ダメよ、絶対にダメ。他のことはいいけど、アイドルやタレントになんて……」

ロボP『何故それほど頑なになる』

仁奈母「あなたには関係ありません。さあ、早く帰って」

ロボP『やはりお前自身の過去が関係しているのか』

仁奈母「!」

ロボP『仁奈母、いや……』
 
ロボP『“Layla”』
 

 
仁奈母「……! どうしてそれを……」

仁奈「れいら? ロボP、なんですかそいつは」

ロボP『お前の母親のかつての芸名だ。つまり、お前の母親はかつてアイドルとして活動していた』

仁奈「えっ……?」

ロボP『あるプロダクションの秘蔵っ子として鳴り物入りでデビューしたが……』

仁奈母「……やめて! あなた、どうしてそれを知ってるの!?」

ロボP『無論、調べたからだ。俺は超敏腕プロデューサーだからな』キリッ
 

 
――――――――――



ロボP『○○町××区11-5。この住所で間違いないのか』

都「間違いありません! このアイドル探偵・安斎都のリサーチ力を侮ってもらっては困ります」

ロボP『そうか。ならば俺は明朝ここに向かうことにする。礼を言うぞ』

都「依頼はキッチリこなすのが名探偵ですから。ところで……」

ロボP『なんだ。まだ何かあるのか』

都「いえ、その家族を調べているうちに、ちょっと気になる情報がありまして」

 
 
 
都「捜査資料の写真にあった仁奈ちゃんのお母さんですけど、元アイドルだって噂があるんですよ」

 

 
――――――――――

 
 
 
仁奈「ママはアイドルだったんですか!? 仁奈、全然知らなかったですよ」


ロボP『10年以上前の話だ。当然だが、仁奈の生まれる前の話だ。知らなくとも無理はない』

ロボP『あの夜。仁奈母の顔写真を俺のデータベースと照合した結果、もしやと思った』

ロボP『Laylaという芸名を覚えている人間を探すのには骨を折ったがな』
 

 
――――――――――



泰葉「……昔の伝手に当たって調べてみたわ。Laylaって人のことでしょ?」

ロボP『そうだ。何か有力な手掛かりはあったか』

泰葉「まあ、色々と。芸能界を去った人のことを詮索するのはいい気分じゃなかったけれど」

ロボP『だがこれで核心に触れることができる。泰葉。例を言うぞ』

泰葉「別にあなたのためにやったわけじゃないわ。ところで、例の話だけど……」

ロボP『報酬の話か。問題ない。Pには話しておこう。Pとお前のデートは確実だ』

泰葉「デ、デートとかそんなのじゃないわ! ただちょっとオフの日に買い物に付き合ってもらうだけ」

ロボP『隠しても無駄だ。俺の超スゴイ演算機能は思考の裏の裏を読む。つまりそういうことだ』

泰葉「だからそういうのじゃなくてっ!」

ロボP『だがアイドルならスキャンダルは厳禁だ。肝に銘じておくことだ』

泰葉「そんなことわかってるわよ、もうっ! これだからあなたと話すのは疲れるのよっ!」
 

 
――――――――――

  
 
 
ロボP『最終的にはCランクでの引退。結果としては可もなく不可もなくといったところだ』


ロボP『だがそれだけに、突然の引退発表はファンの間で物議を醸したようだな』

仁奈「……ママ、どうしてアイドルやめちまったんですか?」

仁奈母「……仁奈ちゃんに聞かせるような話じゃないわ」

仁奈「どうしてですか? ママがアイドルやってたんなら仁奈、知りてーんですよ」

仁奈「仁奈がなりてーものに昔ママがなってたのに、どうしてそのお話を聞いちゃいけねーんですか?」

仁奈母「……それは……」

ロボP『それは俺から言おう。このままでは埒が明くまい』

ロボP『順調に活動を続けていたLaylaだったが、ある時TV局の大口のスポンサーから声がかかった』
 

 
――――――――――

 
 
 
ロボP『それはつまり枕営業の類か』


のあ「低劣な言葉だけれど、そういうことになるわね……」

のあ「彼女の所属事務所は、元々そういう方法で仕事を取ることも少なくなかったそうだけれど」

ロボP『この業界にはよくあることだ。だがそれは無能のやることでもある』

のあ「まったく同感ね……その点、私達のプロデューサーは立派よ」

ロボP『そうだ。Pもまたスゴイ男だ。具体的には俺の三番目くらいにスゴイ』

のあ「ふふ……でも貴方はまだ、私にその力を証明できていないわ」

ロボP『心配ない。俺のスゴさを目の当たりにするのは時間の問題だ。心の準備を怠るな』

ロボP『それでLaylaはどうなった。そこからが一番重要だ』

のあ「……結論から言えば……その話は御破談になったそうよ」
 

 
――――――――――

 
 
 
ロボP『ドラマの主役やその他の仕事と引き替えという条件だったが』


ロボP『お前の相棒にとっては、そんなものは考慮に値しない愚問だったようだな』

ロボP『その話に怒ったLaylaの担当プロデューサーがその場でスポンサーを殴り倒し、その場を辞した』

ロボP『だがその結果、Laylaはスポンサー側からの圧力によって干され、やがて引退を余儀なくされた』

ロボP『引退後の行方は知れないが、一説には当時のプロデューサーと駆け落ちしたとも言われている』

ロボP『――これが俺の調べた限りの顛末だ』

仁奈「……? まくらえいぎょうって何でごぜーますか?」

仁奈母「仁奈ちゃん! そんなことは知らなくていいの!」

ロボP『そうだ。少なくともお前には無縁な言葉になる。この俺がいる限りな』

仁奈「?」
 

続きはまた後日。

上げてなかった

http://i.imgur.com/m1G807I.jpg
http://i.imgur.com/6mQ9YkA.jpg
高峯のあ(24)

http://i.imgur.com/Rt18h2F.jpg
http://i.imgur.com/yf722pK.jpg
安斎都(16)


このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom