ほむら「未来から来た私の子供!?」(438)


女の子「はい、そうです…って何で私の顔に擦り寄ってくるんですか!?
     ちょ…何をしているんですか!匂いを嗅がないで下さい!!
     胸を揉まないで下さい!!」

ほむら「ふむ…
    この香りは間違いなくまど香…でも発汗が少し弱いわね。
    胸もこじんまりとしていながら確かな感触のあるまどかとは違い、
    もっと小さめ…ここは考えないようにしましょう。
    髪はまどかと同じ淡いピンクゴールド…でも目つきは少々きつめね、
    これはまどかには無い特徴…」

ほむら「信じられないけどまどかの遺伝子が50%含まれていると認めざるを得ない…
    貴女は間違いなくまどかと私の未来の子供!
    一体どうして私の前に現れたの!?」

女の子「」


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女の子(次々と私とお母さんの共通点を言い当てていく…話が早くて助かるけれどこれは……)

ほむら「まさか、まどかが夜のお勤めが最近ないとぼやいていたとか…うぬぬ、許せないわ未来の私!!!
    でも、まどかのためなら私が身代わりになってあげられる!
    さあ!私はいつでもオーケーよ!
    さあ!
    すぐに私をまどかのもとへ連れて行きなさい!!
    さあさあさあ!!!」

女の子「ちょっとちょっと、落ち着いて下さい!」バシーン

ほむら「ほむっ!?」


女の子「そんな暇を持て余したマダムみたいな理屈で子供を過去に送るような親がいるはずないでしょう!
    ちょっと考えてください!!
    これは私のお母さんへの侮辱ですよ!」

ほむら「……!」

ほむら「私は…なんてことを……自分の性癖をまどかに押し付けようとしていたなんて…」

女の子「すぐに分かってくれるのはいいことです」

ほむら「…かくなる上は、ワルプルギスの夜を倒してまどかを助けた後に自害するしか無いわ……
    ええ、私にはまどかと同じ時間を生きる資格なんてない……
    だって、違う時間を生きているんですもの…私は元々そのつもりで……」

女の子「ちょっとちょっと凹み過ぎです!
    そんなことしたら私が生まれなくなってしまうでしょうが!
    なんでそんなに面倒くさい性格をしているんですか!!?」






【女の子、説明中】







────
──




ほむら「……では、聞いた話を総合すると、
    貴女は私がまどかを助けることに協力してくれるというわけね」

女の子「アップとダウンが激しいですね…、
    まあ他にもささいな願いはありますが、この時代をわざわざ選んだのはそういうことです」

ほむら「それにしても疑問が残るわ。
    貴女は、未来の私とまどかの子供なのでしょう?
    ということは貴女はまどかが助かった未来に居るはず。
    今更、危険を犯して時間を戻る理由は無いはずよ」

女の子「ええ…私達の居る時間軸はそうです。
    でも、全ての時間軸がそうであるとは限りません」

女の子「貴女も、ここが元と全く同じ時間ではなく、平行世界の時間軸であると分かっているのではないのですか?」


ほむら「ええ、そうね」

ほむら「ループ直後にひと通りの人間関係は調べ直しているけれど…
    この時間軸の上条恭介はギターの達人だったわ…その前はウクレレ…その前は三味線…
    どの時間軸でも事故を起こして入院しているという結果に変わりはなかったけれど、
    これは私のループで起きる影響の範囲を超えている…」

ほむら「…バタフライ・エフェクトなんてものじゃない、
    世界そのものが変わっているとしか思えない」

女の子「その通りです」

女の子「だから、貴女は知っているはずなのです」

女の子「本当は貴女がお母さん──鹿目まどかを救うことが出来ないということを」


ほむら「…そう、」

ほむら「私にペラペラ事情を話しているのも、それが理由なのでしょうね」

女の子「本当に話が早くて助かります」

女の子「私は本当に暁美ほむらと鹿目まどかの子供ですが、貴女の子供である可能性は限りなく低いです。
    だからこそ、私はバタフライ・エフェクトのような未来の改変を気にすること無く、
    貴女に話しかけることが出来る」

ほむら「………」

女の子「暁美ほむらは元の鹿目まどかを助けられなくったっていいんです。
    本質的な事象は変わりません。
    暁美ほむらの出発点、全ての並行世界で暁美ほむらは鹿目まどかを助けるために魔法少女になっているのですから」

女の子「暁美ほむらの原理は一人一殺、いえ、一人一助というべきでしょうか。
    全ての暁美ほむらはループを繰り返し、ワルプルギスの夜を越えて、
    鹿目まどかを最低でも一人は助けるまで行動を続けます。
    ワルプルギスの夜を倒していても鹿目まどかが魔法少女になっていれば、やはりループして鹿目まどかを救うまで行動します。
    さらに言えば、暁美ほむらは鹿目まどかを完全に救えていても、
    佐倉杏子に街を任せて──『ワルプルギスの夜を倒せたらこの街を出ていく』──ループを続けることもあります」


女の子「中には道半ばにして倒れる暁美ほむらも存在するでしょうが
     ──暁美ほむらは基本的に1人以上の鹿目まどかを救う存在なのです。
     さて、それではどんなことが起こるでしょうか──」

女の子「平行世界は無限であるといいます。
    無限といっても二通りあります。真の無限と、有限の無限です。」

女の子「球の表面は無限に進むことが出来ます。でもその範囲は無限ではない。

女の子「定規の目盛りの間には抽象的な無限の細かい座標を置くことが出来ます。
    でもその距離は無限ではない」

女の子「原子の数も宇宙の大きさも数が大きいだけの有限です」

女の子「解放された無限というものは本当に存在しているのでしょうか?
     この世界のほとんどのものは有限であるのに?」


女の子「まあ、それは大したことではないのです。
    重要なのは暁美ほむらがループする平行世界が、解放された無限である可能性は極めて低いということなのです。
    限界のある、閉じた世界である可能性が極めて高い。
    それは暁美ほむらが鹿目まどかを助けようとし続ける真の動機足りえます」

ほむら「……」

女の子「暁美ほむらは最初のループに居た鹿目まどかを助けられなくてもいいんです。
    誰でも一人を助けさえすれば、暁美ほむらは鹿目まどかを助けられると証明できます。
    一人でも救うことが出来れば、いつかほむらの出会った最初のまどかも、
    暁美ほむらのうちの誰かが助けてくれるんです」

女の子「暁美ほむらは全ての時間軸を束ね、鹿目まどかを助けるために収束する存在なのです。
    それは無限の広がりをひとつに戻します。
    無限は点に。広がりはひとつに。無数の未来をたった一つに」

女の子「それは全ての時間、全ての宇宙、全ての並行世界にまたがり、統一をするあまりにも大きな力なのです」


ほむら「…何が言いたいの?」

女の子「言い過ぎましたね。
    ともあれ、私はちょっとしたことから貴女のループのことを知りました。
    それで疑問に思ったのです。
    本当にそれでいいのかと。
    本物ではないのに、本当にお母さんを愛しているといえるの?愛されているといえるの?、と」

ほむら「…私にはなんとも言えないわ。
    『貴女の暁美ほむら』ではないのだから」

女の子「やはり、言い過ぎてしまったようです。
    これは信じて欲しいのですが、私は貴女と敵対する意図はありません。
    それに言葉では貴女も話し辛いだろうし、
    私自身も納得出来るか分からなかったから、
    直接手助けする立場になればわかるかなと思ってやって来た次第なのです」


ほむら「…協力なら結構よ。
    私は一人でもワルプルギスの夜を倒してみせる」

女の子「私はこれでも役に立つと自負していますが。
    それに一人ではワルプルギスの夜と戦えないでしょう?」

ほむら「訂正するわ、他の魔法少女の力は借りても貴女の力を借りる訳にはいかない」

女の子「やはり怒らせてしまったようですね。
    私もここまで来てしまった以上、引き返すわけにはいかないのですが」

ほむら「…そんなまど香を放つ人を危険な場所に送れるわけないでしょう!」ガバッ

女の子(あれー…?)


ほむら「マドカァー、マドカァー」クンカクンカスーハースーハー

女の子「ちょっと、止めて下さい!」

ほむら「だってそんな!
    私は米軍基地へ武器調達に行ったり、キュゥべえがまどかと接触しようとするのを阻止したり、
    ループしてから一週間もまどかに触れてないのよ!
    時間停止をしてこっそりまどかの入ったお風呂の残り湯を飲みに行くことも出来なかったのよ!
    本当のまどかじゃないとはいえ、目の前でこんなにまどかの香り、まど香を発散させているのだもの!
    仕方ないじゃない!!」

女の子「ちょ、そんなことやってたんですか!
    私が直接の未来から来てないと分かったからといってカミングアウト早すぎます!
    そんなふうな抱きつき方をすると私まで…おかしな気分に……ッ」

ほむら「マドカァー、マドカァー」ハァーハァー

女の子「やめて…本当に戻れなく……」

女の子「アーッ」


────
──

チュンチュン


女の子「しくしくしく…」

ほむら「お早う。あら、まだ居たのね」

女の子「なんですかそのやることをやったから用なしみたいな言い方は!
    昨夜襲い掛かった癖にドライです!冷た過ぎます!
    いくら繰り返すループの中で心を閉ざしてしまっていたとしてもその反応は酷すぎます!」

ほむら「冗談よ。
    それに昨日は抱きまくらの代わりになってくれるからってことで、
    性的なことは最後まではしなかったじゃない。
    何を泣いているのよ」

女の子「格好良かった、憧れだった親がこんな色情魔だったと知って悲しまないわけがないでしょう!
    いくら並行世界だからといってこんなのあんまりです!
    大幅な自己啓発を要求したいくらいです!」

ほむら「そんなことを言われても困るわ」


女の子「困っている割に嬉しそうですね」

ほむら「今日は転校初日だもの。ようやくまどかに会える」

ほむら「愛らしい瞳!桜色の美しい髪!
    でも何より素敵なのは誰より臆病で気が弱いのに誰よりも強くなれる心の強さよ!
    マドカァーマドカァー早く会いたいよマドカァー!!!」ジタバタ


女の子「布団に抱きついてじたばたさせているのは、
    まかり間違って、年頃の女の子らしく見えなくもありません。
    動機は不純のようにも見えますが。
    …でも、その鹿目まどかは貴女が最初に好きになった鹿目まどかではない」

女の子「それでも、いいの?」


ほむら「…私は貴女の暁美ほむらではないもの。
    だから貴女の両親が何を考えているか分からないし、答えることは出来ない」

ほむら「でも、私は鹿目まどかに微笑まれると嬉しいし、悲しそうな顔をされると悲しい」

ほむら「それではいけないのかしら」


───


和子「はい、それじゃあ自己紹介いってみよう」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします(マドカァーマドカァーマドカァー)」

まどか「えっ?(あの子…今朝の夢で見た子と同じ…)」

さやか「ねえ、まどか。あの子知り合い?何か思いっきりガン飛ばされてない?」

まどか「いや、えっと…」



──(お昼休み)──


女の子「…さて、ほむらさんに替えの制服を借りて
    見滝原中学校に潜入したのはいいのですが、
    巴マミさんは何処に居るのでしょうか?」

女の子「せっかく、ほむらさんとは協力の約束を取り付けたのだから、
    お使いくらいサクッとやって、いいところを見せたくもあります」

女の子「歩いていたら体育館の裏側まで来てしまいましたが、
    いくらなんでもここは、お昼時に生徒がうろつく場所ではありませんね。
    やはり場所を変えるべきでしょう」


???「…ウゥ…ヒック…」パクパクモグモグ


女の子「うーん、でも、私は教師に見つかったなら言い訳のできない身分。
    誰もいないような場所ですし、ちょっとここで休憩をして、お昼ごはんを食べるとしましょう。
    おっと、先客が居ました…隣、宜しいですか?」


???「…ウゥ…サビシイ…あら?…ええ、いいわよ」


女の子「それは有難うございます。では失礼してっと…」ヨッコイショット

女の子「しかし辺鄙な場所ですねぇ…いつもここでご飯を?」

???「え!?…たまたまよ!風…そう!外は風が気持ちよかったから!!」

女の子「なるほど…そういうものですか」

女の子「少し目が赤いですよ。泣いていたのですか?」

???「えええっ!?そんなこと無いわよ!!!これは目に砂が入ったのよ!風があると埃が舞って大変よね!!」アセアセ

女の子「なるほど…そういうものですか」

女の子「持たせてくれたお弁当を開く…おお、結構豪勢ですね」

女の子「早速頂きましょう…(モグモグ)、
     うーん、美味しいことは美味しいのですが、今ひとつパンチが足りないような気もします」

女の子「ここは少し抗議をするべきですかね、空腹が勿体無いです」

???「作って貰ったものに、そういう言い方をしては駄目よ」

女の子「そういうものですか…でも、実際にそうだから仕方がありません。
     良ければ、おかずを交換して見ませんか」


???「ええ。良いわよ」

女の子「」ヒョイパク

???「」ヒョイパク

女の子「おお!見た目は私のお弁当と似ていますが、これは美味しいですね!
     普段食べる家の味とも似ているような気がします!!」モグモグ

???「あなたのおかずは…そうねぇ…あまりお弁当作りに慣れていない気がするわ…
     味付けもお弁当にすると味が落ちやすいものだし…」モグモグ

女の子「でしょう?
     全く、同じ食材でここまで味に違いが出るとは…
     私の親を貴女の親に弟子入りさせたいくらいですよ」パクパク

???「でも、作ってくれたのなら悪く言うべきではないわ。
    ……私にこの味を教えてくれた、私の両親はもういないから」

女の子「…え」


???「このお弁当は自分で作ったの。
     私の親は小さい頃、交通事故で…生き延びたのは私だけだった」

女の子「それは…済みません。無神経なことを言ってしまって…」

???「いえ、私もお弁当を交換したのなんて久し振りで、楽しかったわ」

???「また、ご一緒することが出来る?」

女の子「勿論です!こちらこそ宜しくお願いします!
    私、人探しをしてる途中でしたので、これで失礼します」タッタッタッ

???「あ……名前もまだ聞いてないのに。先に聞いておいたほうが良かったかな……」


「マミ、鹿目まどかと美樹さやかは教室にいるようだけど、会わなくてもいいのかい?」ヒョイ


マミ「……キュゥべえ。
   急いでも仕方がないし、また今度呼んでみるわ。今日は、昨日逃した魔女を探さないとね」


「そうかい。君がそう言うのなら、そうしようか」


───


女の子「優しそうな人とお昼を一緒にできて良かったです。
    …ですが、私は少し無神経でした……これは反省するべきところかも知れません」

女の子「結局、巴マミさんは見つかりませんでした…校内に居るとはいえ、
    顔写真くらいは用意しておくべきだったかもしれません」

女の子「授業中には探せないし、大人しく帰りますか…」

女の子「その前に、折角だからこっちの時代のショッピングを楽しむべきですね!どんなお店があるか興味もありますし!」


───(数時間後:CDショップ)


キュゥべえ『助けて…助けて…』

まどか「どこかから声が…」


女の子「あれは…お母さん!?」



ガシャン、ガラガラ


まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「だって、この子怪我してる!ダメだよ、ひどいことしないで!」

ほむら「貴女には関係無い、そいつは私が始末する」

まどか「この子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって」

ほむら「そう、でも貴女は関わるべきではないの」


シュヮァァァァアアア!!


ほむら「!?」

さやか「まどか、こっち!」ガッコン!


まどか「さやかちゃん!」

女の子「ちょっと!人に向かって消火器を投げるなんておかしいです!」ダッ

さやか「誰よアンタは!?関係ない奴が横から口を出さないで!!」

女の子「口を出すも何もないです!
     ほむらさんは消火器をぶつけられるようなことをしたんですか!?
     貴女はそういうふうに他人に暴力を振るっても平気なんですか!?」

さやか「ハァ?何、アンタはアイツの仲間なの!?
     アイツこそコスプレで通り魔みたいにまどかを襲おうとしてたじゃない!
     まどか、行くよ。こんな奴らに構ってられない!」

女の子「見てましたよ、どこがお母…あの人を襲おうとしてたんですか!!
     貴女は自分の判断で正しいと思えば何をしてもいいと思ってるんですか!」ガシッ

さやか「うるさい!口を出すな!!」ブン

ほむら「女の子…」


ブワアア…


ほむら「!? 魔女の結界!こんな時に…!」


ほむら「女の子!しばらくまどか達を止めていて。
    こいつらは私が片付ける!」

女の子「分かりました!」

さやか「やっぱりあんたらグルなんだね…あたしらを嵌めようったってそうはさせない!!
     さっさとその手を離せ!」

まどか「さやかちゃん…もうやめようよ!!…え、周りの景色がどんどん変わって…!?」

さやか「嘘、何これ…どうなってるの…!」

女の子「下手に動くと魔女か、使い魔にやられます!
     動かないで下さい!」ギュゥウ


使い魔「Das sind mir unbekannte Blumen.」

使い魔「Ja, sie sind mir auch unbekannt.」


さやか「え…何なの…あいつら……」

女の子「使い魔です!絶対に動かないで下さい!!」ギュウ


ほむら「……!」バキュンバキュン!!


使い魔「…!」シュゥウウン

使い魔「……!」シュゥウウン


まどか「ほむらちゃん…戦ってるの……?」

さやか「銃……本物なの…?やっぱりあいつ、おかしいよ…」

まどか「!…こっちにも来る」

ほむら(思ったより数が多い…ここは時間停止して一気に…)


パァァァァ


まどか「この光は…!」

ほむら(まどか達の周りに結界が張られた…このタイプは巴マミの…!)

???「危なかったわね。でも、もう大丈夫」


女の子「昼ごはんの時のお姉さん!」

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう、その子は私の大切な友達なの」

まどか「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が」

マミ「…なるほどね。その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?
    …ふぅん、魔法少女も居るのね」チラ

ほむら「………」

さやか「あ、あなたは?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね」

マミ「でも、その前に一仕事、片づけちゃわないとね。そうでしょ?」

ほむら「…ええ、そうね」


───


まどか「す…すごい」

さやか「景色が…戻った」

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」

ほむら「私が用があるのは……」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「……」ギリッ

女の子「ちょっと待って下さい!、お昼ご飯のお姉さん!
     どうしてほむらさんを除けものにしようとするんですか!
     ほむらさんがお母さ…あの人達を助けようとしていたのが見えていなかったんですか!?」

マミ「ええっと…」

マミ(この子、お母さんって言おうとしたわね…私も小学生の頃、先生に向かっていっちゃったわ)マミッ


ほむら『…女の子』テレパシー

女の子『はい、何でしょう?』

ほむら『どうして貴女がここにいるの?巴マミとは学校で話すように言ったはずだけど』

女の子『学校では会えなかったんですよ…いえ、あの人が巴マミさんなら会えていたのかな?ここに来たのは偶然です』

ほむら『そう…失敗したら真っ直ぐアパートへ戻るようにも言ったはずよね?』

女の子『あう…まあいいじゃないですか。結果オーライということわざもあります』

ほむら『ことわざには無いわ…ハァ、もう良いわよ…』



マミ(女の子と話している、薄紫の服の魔法少女)

マミ(キュゥべえの言ってた、警戒すべき魔法少女の特徴と一致する)

マミ(私が会うのは初めて。だけどキュゥべえが鹿目さん達に接触しようとしたとき、何度も妨害してきたと聞いている)

マミ(友達のキュゥべえを傷つけるなんて許せない。
   でも、女の子の話し方や状況からすると、彼女が女の子や鹿目さん達を守っていたのも確か)

マミ(何を企んでいるのか分からないけれど、私が警戒を怠らなければ捉えられない速さではなかった)

マミ(注意さえ怠らなければ大丈夫…かしら)


マミ「私が言い過ぎたかも知れないわね。魔法少女同士って、トラブルが起きる可能性が高かったから」

女の子「仲が良いほうが嬉しいです」

まどか「…あの、この子怪我してます、早く治療しないと…」

QB「」

マミ「ええ、ちょっと見せてもらうわ」パァァ

さやか「凄い…傷が塞がってく」



───


QB「ありがとうマミ、助かったよ!」

マミ「お礼はこの子たちに。私は通りかかっただけだから」

QB「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」

まどか「あなたが私を呼んだの?」

QB「そうだよ、鹿目まどか、それと美樹さやか」

さやか「何で、私たちの名前を?」

QB「それと…君にも素質があるね。僕が見逃すなんて珍しいことだけど」

女の子「………」

キュゥべえ「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」

まどか「お…おねがい?」

さやか「口閉じて喋ってる…器用だ」

キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」


──巴マミの部屋


さやか「うわ…」

まどか「素敵なお部屋…」

マミ「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

ほむら「…私も上がって良かったのかしら?」

マミ「貴女には聞きたいことが沢山あるわ…それに、話し合いで解決すれば素敵なことだと思わない?」

ほむら「……」

さやか「嫌なら帰れよ、転校生。
    あたしはまだまどかに対してのこと、許してないんだからね」

女の子「貴女も貴女がやったことを思い返して下さい。
    いくらほむらさんの仏頂面がデフォだからってやっていいことと悪いことがあります」

まどか「さやかちゃん…もう止そうよ。マミさん達もそれじゃ困っちゃうよ」


マミ「来客が多いのは嬉しいんだけど…作り置きのケーキが足りないわ…」

ほむら『私には必要ない』

マミ『貴女もお客様だもの。そういうわけにも』

ほむら『アイツから聞いた予定では、ここに来るのは2人だけだったのでしょう?
    …恐らく、私の分を抜いても足りないのではないかしら?
    なら、魔法少女であることを理由にしてしまえばいい。
    貴女がどうしても、そのケーキを食べたいというなら別だけど』

マミ『何よその気の使い方……まあいいわ。貴女がそれでいいなら構わないわよ』


女の子「おおお、美味しそうなケーキですね。あれ、マミさん達は食べないんですか?」

ほむら「魔法少女は魔翌力で体をコントロールをすることが出来る。
    代謝せずに強い運動をすることが出来るけれど、その場合、代謝のエネルギーが蓄積されてしまう」

マミ「つまり使ってないカロリーが…と、そういうことなのよ」

さやか「成る程…魔法少女も大変なんですね」

まどか「ほむらちゃんはスタイルいいし、気にする必要ないと思うのに…」

ほむら「…紅茶は頂くから問題はないわ」ファサ


まどか「マミさん。すっごく美味しいです」

さやか「んー、めっちゃうまっすよ」

女の子「紅茶も素敵です…こんなに美味しい紅茶が飲めるなんて感激です!」

マミ「ありがとう」

マミ「さて、キュゥべえに選ばれたのだもの。きちんと魔法少女の説明をしないといけないわね」

さやか「うんうん、何でも聞いてくれたまえ」

まどか「さやかちゃん、それ逆…」

女の子「あ、お母…『まどかさん』、家に一報入れなくていいんですか?
    長くなりそうだし、きちんと遅くなるって言わないと」

まどか「ああ、そうだった!有難う女の子ちゃん!ちょっとママに電話してくる」ダッ

さやか「あれ?なんでアンタまどかの門限なんて分かったの?」

女の子「え…いえ、まどかさんって大人しそうだし、そういうのきちんとしてる家庭ではないかと思いまして」

さやか「意外と良く見てるんだね。あたしの家は結構ルーズかな、門限で怒られたこと無いや」


ほむら「……」


マミ「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。
   魔翌力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」

まどか「わあ、きれい」

さやか「へぇ…契約って?」

キュゥべえ「僕は、君たちの願いごとをなんでもひとつ叶えてあげる」

さやか「え、ホント?金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか!?」

まどか「いや、最後のはちょっと」

キュゥべえ「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム」

キュゥべえ「この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」

まどか「魔女?」


さやか「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」

キュゥべえ「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ。
    魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。
    しかもその姿は普通の人間には見えないから性質が悪い。
    不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」

女の子「怖いですね。キュゥべえが魔法少女を生み出すのなら、
    魔女を生むようなキュゥべえ的な存在もどこかに居るんですか?」

ほむら『女の子!!!』

女の子『わっ済みません!…でも、聞いておかないと不味くはないですか?』

ほむら『巴マミに気付かれるリスクを負いたくはない、今は言うことを聞いて』

女の子『分かりました。後で説明してもらいますよ』

ほむら『はぁ…、説明を聞きたいのは私のほうよ…』


QB「…いいや、僕のような生物が魔女を産み出していることは確認されていない」

マミ「話を戻すわね。魔女は形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの。
   理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ」

さやか「そんなヤバイ奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」

QB「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね」
   さっき君たちが迷い込んだ、迷路のような場所がそうだよ」

マミ「結構、危ないところだったのよ。
   あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」

さやか「え、じゃあマミさんや転校生が居なかったら…」

女の子「危険とは、割と身近にあるものです」

まどか「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか」

マミ「そう、命懸けよ。
   だからあなたたちも、慎重に選んだ方がいい。
   キュゥべえに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。
   でもそれは、死と隣り合わせなの」


まどか「ふぇ…」

さやか「んー、悩むなぁ」

マミ「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

まどか「えぇ!?」

さやか「えっ?」

マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。
   そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」



ほむら「止めておきなさい」


さやか「転校生!」

まどか「ほむら…ちゃん?」

マミ「暁美さんは反対なのね。どうして?」

ほむら「魔法少女に関わるべきではない。貴女は無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」

マミ「彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ。
   それに、キュゥべえを痛めつけていたのはやっぱり貴女だったじゃない。
   そんなに鹿目さん達を魔法少女に関わらせたくないのかしら?」

ほむら「彼女達は選ばれただけで、契約は済ませていない。
    その先の選択に貴女が干渉すべきじゃない。なのに、貴女は二人を魔法少女に誘導している」

マミ「それが面白くないわけ?」

ほむら「ええ迷惑よ。……特に鹿目まどか」

まどか「ふぇ!?」

マミ「ふぅん…そう、気付いていたのね、あの子の素質に。自分より強い相手は邪魔者ってわけ?」

ほむら「魔法少女はひとつの街に一人で充分よ、ここに二人居るだけでも多い程だわ」

女の子「あのー…」


ほむら『何よ』

女の子『あのことまでは話してしまうべきではないですか?
    元々そういう予定でしたし、
    今が丁度、その時っぽいですし』

ほむら『あれは…貴女が魔法少女であるという前提で言ったのよ。まさか貴女まで一般人とは思わなかったわ』

女の子『色々説明が遅れたのは謝りますが…少しは娘を信じて欲しいです。
    こんなところまで来れたんです。少なくともただの一般人では無いことは分かって貰えると思いますが』

ほむら『そう…そうね…、でも…………………………………………』


マミ「何をヒソヒソ話をしているの?」

ほむら「巴マミ。さっき、貴女の説明に抜けていたことがあるわ」


マミ「何よ?」

ほむら「私達の持つ、このソウルジェムはただ魔翌力を使うためだけの道具では無いわ。
    比喩ではなく、ソウルジェムは魔法少女の魂そのもの。
    ソウルジェムを穢れ切らせたり、無くしてしまうことは私達にとっての死を意味する」

マミ「……は?」

さやか「ちょっと転校生、どういうつもりよ。アンタ、マミさんが隠し事でもしてたって言うわけ?」

ほむら「いいえ。巴マミですら知らない事実を私が知っていたというだけ。
    魔法少女の本体は肉体ではなく、ソウルジェムという宝石よ。
    魔法少女になるということは人間ではなくなるということ」

まどか「…本当なの、ほむらちゃん」

ほむら「ええ」

マミ「…嘘よ、私はずっとこの体で動いている。ソウルジェムから動いていたことなんて無いわ!」

ほむら「神経は肉体のものだし、魔法少女は肌身離さずソウルジェムを持つ。だから当然普段気づくはずもない。
    でも証明は簡単にできる」


ほむら「ソウルジェムが肉体を動かせる範囲は100メートルが限度。
    それ以上離れると肉体を動かすことができなくなり、魔法少女の肉体は死ぬ。
    だから、ソウルジェムを体から離せばこれを証明できる」

マミ「ソウルジェムを寄越せってこと?そんな真似、出来るわけないじゃない!簡単に縄張りを奪いたいからって、出鱈目が過ぎるわ!」

ほむら「当然、信用なんか出来ないでしょうね。だから、証明するのは私」

ほむら「私のソウルジェムを女の子に預けるわ」ワタス

女の子「……うん」ウケトル

ほむら「貴女は女の子と携帯電話でやりとりをして、好きなタイミングで私と女の子の距離を離せばいい。
     それでも疑わしければ、私の周囲に結界を張れば、私と女の子の間に魔翌力が通っていないことが証明できるでしょう。
     女の子が怪しいと思うのなら、女の子にまどかか、さやかか…どちらか見張りに付けばいい」

マミ「それでも、貴女がイカサマをしていないという証明にはならないわ」

ほむら「ソウルジェムが肉体を動かせる範囲は100メートルが限度。
    それ以上離れると肉体を動かすことができなくなり、魔法少女の肉体は死ぬ。
    だから、ソウルジェムを体から離せばこれを証明できる」

マミ「ソウルジェムを寄越せってこと?そんな真似、出来るわけないじゃない!簡単に縄張りを奪いたいからって、出鱈目が過ぎるわ!」

ほむら「当然、信用なんか出来ないでしょうね。だから、証明するのは私」

ほむら「私のソウルジェムを女の子に預けるわ」ワタス

女の子「……うん」ウケトル

ほむら「貴女は女の子と携帯電話でやりとりをして、好きなタイミングで私と女の子の距離を離せばいい。
     それでも疑わしければ、私の周囲に結界を張れば、私と女の子の間に魔力が通っていないことが証明できるでしょう。
     女の子が怪しいと思うのなら、女の子にまどかか、さやかか…どちらかが見張りに付けばいい」

マミ「それでも、貴女がイカサマをしていないという証明にはならないわ」

というか魔法少女に対して「イカサマしてない証拠」とか不可能じゃね?
イカサマじゃなくても「魔法でそれっぽく演技してるだけかもしれない」だし、例え「それをしたら魔翌力を感じるから分かるでしょ」って言っても「もしかしたら魔法でそれを感じないようにしてるかもしれない」って言われそうだし
ぶっちゃけまどマギの魔法ってかなり万能だしね


ほむら「この事実はキュゥべえも知っているはずよ。とぼけるかもしれないけれど…目の前で事実を見せればその説明はするはず」

マミ「どうなの、キュゥべえ?」

QB「マミ、君は暁美ほむらを信じるのかい?…彼女が何か企んでいるのは確かだ。
    暁美ほむらを信用したいならもっと確実な方法がある。鹿目まどかに嘘を見抜く契約で魔法少女になってもらうことだよ」

QB「君も知っているように、魔法少女の魔力は魔女を倒す用途に留まらない。
   鹿目まどか程の力があれば、魔法少女の魔力だけでも大抵の願いは自力で叶えられるだろう。
   これは鹿目まどかに取っても決して悪い方法ではないはずだ」

QB「もちろん、鹿目まどかほどの魔力が見込めるなら、願いの内容にもよるけれど、
   魔法少女の魔力だけでも嘘を見抜く能力を習得できるかもしれない」

女の子「それでは本末転倒です。目的と手段が入れ替わっています。
    マミさん、貴女は真実を知るべきだと思いますし、
    ほむらさんは身を危険に晒しても貴女に信じてもらいたいと思っています。
    だからこの確認はマミさん自身で確かめてもらいたいと思うのです。
    マミさん、今から私達が行うことを見届けてください」

マミ「………」

さやか「マミさん、転校生達が何か企んでいても私達が見抜いちゃいますから安心して下さい!」


まどか「ほむらちゃん…ソウルジェムって大事なものなんだよね?
    離しても大丈夫なの…?」

ほむら「それを今から見せるのよ。
    でも、ソウルジェムを戻せば元に戻るのだから、安易な判断は決してしないで」

まどか「…………うん」

女の子「それでは今から離れます。タイミングの指示はマミさん、または残っている組がお願いします」


バタン


──



女の子「携帯電話が鳴りました……まずは、お母…まどかさんからですね」

さやか「……ねぇ、」

女の子「土手に向かって40メートル、と…」テクテク

女の子「ソウルジェムを持つ私達がマンションに居るマミさんたちからの指示で、

    移動と行動を従うというのは複雑ですが、

    主導権をマミさんが持つことで信頼が得られるというなら、それに越したことはないのでしょう」

さやか「ねぇ、アンタ」

女の子「何でしょうか?」

さやか「アンタは転校生とグルだよね。何で転校生の言うことなんか信用してるの?」

女の子「…それを私が言う必要はありますか?」

女の子「いえ、言い直します。
    貴女に言ったとしても信用してもらえるとは思えない。
    それぐらい、貴女は頑なです。
    …いくらなんでも私はおかしいと思っています。
    CD屋さんの裏でほむらさんを見かけた時、
    貴女は迷わず消火器を噴射して、投げ付けました。
    暗闇でありましたし、ほむらさんが多少怪しく見えたことも事実ですが、
    そこまでする必要はありましたか?
    私には、この行動はとても異様に思えました」

女の子「マミさんからです。ここから…だと、100メートルを超えますね」

女の子「電源を切って待機です」

さやか「………」

キュゥべぇは真実しか言えないはずだし聞かれたら答えを言うってスタイルじゃなかったか?
とぼけるなんて出来ないはずだぞ


さやか「…あたしってバカだからさ、
    転校生みたいな頭の良いヤツには、もう何度も騙されたことがあるの」

女の子「でもほむらさんはその人達とは…」

さやか「あいつの目を見れば分かる。
    あいつは自分の都合しか考えていないヤツだ。
    周りの人間は全部、そのための道具としか思ってない。
    違う?」

女の子(ほむらさんの今までの事情を考えれば、心を閉ざしてしまうことは有り得る。
     …でも、それはさやかさん達を騙すためではないのに……)

女の子「……なんとか、信用する方法はないのでしょうか?」

さやか「どうしてかな。ただ何となく分かっちゃうんだよね。あいつが嘘つきだって事。
     あいつは何もかも諦めた目をしてる。
     いつも空っぽな言葉を喋ってる。今だってそう。
     マミさんに信用して欲しいとか言いながら、ホントは全然別の事を考えている。
     ごまかし切れるもんじゃないよ、そういうの」

女の子「………」

>>64
何度もはぐらかしたり、別のことを言ったりしてる。


QB『さやか…、さやか…!』

さやか「え!?」

女の子「どうかしたのですか?」

QB『さやか…女の子に聞かれると困る。頭の中だけで答えて!』

さやか「いや…なんでもないよ!」

女の子「??」

さやか『頭の中って…そんなの分かるの!?私達、もう既にそんなマジカルな力が?』

QB『いやいや、今はまだ僕が間で中継しているだけ。でも内緒話には便利でしょう?』

さやか『うぅ…何か、変な感じ』

QB『さやか、君に話しかけたのはマミのことなんだ。彼女は今ひどく動揺してしまっている』


さやか『マミさんが……』

QB『暁美ほむら達が何か企んでいるのは確かだ。このままでは暁美ほむらの思い通りになってしまうだろう』

さやか『そんな…!』

QB『でも、暁美ほむらはソウルジェムを手放し、魔法を使えない状況にある。
   暁美ほむらが作りだしたこの状況は、暁美ほむらを出し抜くためのチャンスでもあるんだ』

QB『そこで美樹さやか。君が本当に巴マミのためを思い、暁美ほむらの企みを挫こうとするなら、
   今すぐ、暁美ほむらのソウルジェムを奪い、その場で破壊してしまえばいい』

さやか『え…でも、転校生はソウルジェムが本体だって』

QB『いいかい?暁美ほむらが何を企んでいたとしても、ソウルジェムが無ければ巴マミに対して無力だ。
   だが、このまま君がソウルジェムを持って巴マミの部屋に戻れば、
   暁美ほむらの優位は動かなくなるだろう。ことは一刻を争うんだ』

QB『もしも、君がソウルジェムを壊す気がないなら、ソウルジェムを奪ったまま、どこかに隠せばいい。
   巴マミも魔法少女だ。時間さえあればいくらでも対策を練ることが出来るだろう。
   おそらく数日もあれば決着がつくさ』

キュゥべぇ積極的に行動しすぎじゃね?
アニメからしてこんなんだったか?


さやか「…………!!」

女の子「さやかさん、どうしたのですか?」

さやか「女の子、私、は…」

女の子「さやかさん、私は思うのですが、
    利用されることってそんなに悪いことなのですか?」

さやか「当たり前じゃない…あたしは誰かを見捨てたり、
    利用したり、そんなことをするヤツらとつるむのも嫌だ。
    見返りなんていらない、あたしだけはそういうヤツらとは違うんだ」

女の子「では、そういうヤツらと組まなければ、
    親しい人も、そうでない人も皆殺しになってしまうとしても、
    自分だけ綺麗に死ねるならば、それは正しいことなのですか?」

女の子「親しい人もそうでない人も何もかも無くして、
    それでも未来を勝ち取ろうとする人を、目が濁っているからと
    切り捨てるのは正しいことですか?」


さやか「…何それ、話が極端過ぎるよ」


女の子「何もかも正しくは出来ていないのです。
    例えば貴女の親が勤める会社は何か不正を働いているかもしれない。
    不正があったら、家族を養うことも何もかも捨てて、職を辞すことが正しいのですか?
    貴女の親しい人が入院をしている病院は、患者から賄賂を受け取っているかもしれない。
    その病院にいる全ての患者を捨てて、即座にその病院が潰れれば正しいと思いますか?」


さやか「そっか…あんたがそういう気でいることは分かったよ」

さやか「つまりあんたは悪いヤツが相手だったとしても組むってことなんでしょ?」

女の子「…必要であれば」

さやか「じゃあ、やっぱりあたしとあんたは合わないわ」





────


バタン


まどか「さやかちゃん、女の子ちゃん、大変なの!
    ほむらちゃんが動かないの!!息もしてなくて──」

マミ「暁美さん!お願い、返事をしてちょうだい!
   魔法も全然効かない、魔力も感じ取れない、どうしたら──」

QB「だから言っただろう、マミ。そっちはただの抜け殻なんだって──」




さやか「女の子!転校生にソウルジェムを!」

女の子「…うん!!」ダッ



ほむら「……………うぅ、どうやら無事に戻れたようね」

まどか「ほむらちゃん!」

マミ「暁美さん!!ああ、良かった──」

さやかちゃんって潔癖っていうか、他人の汚い所は認めないけど、自分の汚い所は綺麗に見せて正当化してるんだよね


QB「どうしたんだい、さやか?君はマミの力になりたくなかったのかい?」

さやか「…マミさんの力にはなりたかったよ。
    でも、そのために間違ったことをするのは嫌だ。
    間違ったことを言う、あんたと組みたくなかった。それだけだ」

QB「僕は君に助言をしただけに過ぎない。
   魔法少女同士が争いになりやすいのは事実だし、
   暁美ほむらの考えは読めず、悪意を持つ可能性を捨てきれなかったからね。
   マミの知らないうちに君の手で決着を付けられれば、
   それが一番の近道だと判断したまでのことさ」

マミ「…キュゥべえ。私は貴方のことを友達だと思ってたのに。
   ソウルジェムが本体だなんて。
   こんな姿にされているなんて知らなかった。
   どうして教えてくれなかったの?」

QB「訊かれなかったからさ。知らなければ知らないままで、何の不都合もないからね。
   事実、ベテランの君でさえ今の今まで気付かなかった。
   契約をした日に交通事故にあった君なら分かるだろう。
   本来の痛みは、一歩も動くことが出来ないほど強いものだ。
   君の意識が肉体と直結していないからこそ、魔女との戦いで強過ぎる苦痛をセーブさせることが出来るのさ」

マミ「………行って」


マミ「出て行って。…貴方を見続けていると、何をするか自信が持てない」

QB「そうかい。君たちはいつもそうだね。
   事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

QB「どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい」

QB「訳が分からないよ」ヒョイ







───


マミ「ごめんなさい…暁美さん。私、キュゥべえがあんなことを言うなんて思わなくて、
   私に秘密を持ってるなんて知らなくて……」

ほむら「気にしないで…
    私もキュゥべえに騙されたと、最初に知った時は同じ気持ちだったもの」

女の子「結局、誰も契約してないし、
    ほむらさんが体を張ったパフォーマンスをしただけなんだから大したことないです」

ほむら「…一応、命がけだったのだけど」


マミ「鹿目さん、美樹さんもごめんなさいね……
   今、私は貴女達に魔法少女を勧めることはとても出来ない…。
   キュゥべえが他に何を隠しているかもわからないし、
   魔女退治見学も連れて行く自信はないわ…」

まどか「マミさん…」

さやか「仕方ないですよー、キュゥべえのヤツ、あんななりで話しかけてくるんだから、
    普通は騙されちゃいますって」

少しは悪びれろよさやかw


女の子「夜道ですし、自宅まで送りましょう。
    私はさやかさんを送りますので、ほむらさんはまどかさんをお願いします」

まどか「ふぇ?」

さやか「あたしは…いいよ」

女の子「そういうわけには行きません。もう暗いですし、暗いと危険が危なくなります。
    自己責任とは良く言いますが、自分だけの命じゃないのです。
    安全について素人が判断するべきではないと言いますが、
    流石に形式上はただの登下校に公的機関を頼るわけにも行かないので、私が代行させて頂く次第です」

さやか「勝手にすれば!…じゃあね」ダッ

女の子「では勝手にさせて頂きます…では、私も失礼します」ダッ


まどか「あはは、おもしろい子だね…」

ほむら「ええ…(どういう風に育てたらあんな風になったのかしら?)」


マミ「……」

まどか「マミさん、また来ます。元気を出してくださいね」

ほむら「…巴マミ、貴女に話さなければいけないことがある。また明日来るわ」


さやか「………」テクテク

女の子「………」テクテク

さやか「…あんた、本当は怒ってるんでしょ?」

女の子「何をですか?」

さやか「あたしはあんた達を散々疑った、悪者扱いした…暴力まで振るった」

女の子「あれは……実は贔屓目ありなんです。
    私だって単独で見たらほむらさんがまどかさんを(性的に)襲ってたと判断したかもしれません。
    さやかさんがああいう行動に出たから、冷静になっただけです」

さやか「…転校生って信用ないんだ」

女の子「ええ、ああいう性格ですから、誤解は慣れっこでしょう」


女の子「誤解は正すべきです。誤解したままというのは…本当におかしいです」

女の子「私はまだ経験がないのですが、お母さんが言ってました。
    中学生の時に喧嘩別れをしてしまった友人がいるって。
    その友人はお母さんと凄く仲が良くて、
    お母さんは高校に上がった後も、大人になった後も、
    その友人とずっと一緒に友達で居るんだと本当に自然に信じていたと言っていました」

さやか「中学生にもなって、お母さん子?」

女の子「いいじゃないですか、私はお母さんを尊敬しているのです。私のお母さんは宇宙一です」

さやか「…言い過ぎじゃない?」

女の子「いいじゃないですか、もう、話の腰を折らないで下さい。
    とにかく、お母さんはその友人と凄く仲が良かったんです」

女の子「その子と喧嘩をした理由は些細というしかありません。
    雨の中とはいえ、もう少し追いかけて、ちゃんと誤解を解いていれば、きっとすぐに仲直りできた。
    今まで通りの毎日になるはずだ。
    その程度のものだったと聞いています。」

女の子「でも、お母さんとその友人は二度と会うことがありませんでした。
    その友人は数日後、近郊のホテルで遺体となって発見されたと聞いています。
    お母さんは教えてくれなかったので、顛末だけは私が調べたことですが。」

さやか「………」


女の子「機会なんて、次にすればなんて、本当はあるかどうか分からないのです。
    あると思っていた日常が突然の嵐に全て攫われてしまうなんてことがあるのかもしれない」

女の子「だから、解ける誤解なら、それを解かないなんて本当におかしなことです…」

さやか「………」









────
──

さやかって「誤解する方が悪い」っていうのと「誤解される方が悪い」だったらどっちなんだろうね
多分後者なんだろうけど


(ほむホーム)


ほむら「さて、色々説明して貰うところだけど…」

女の子「私も聞きたいことが多くあります。
    どうして魔法少女が魔女になることをストレートに説明しなかったのですか?
    また、ソウルジェムが体を動かしていると説明するときも
    やり方がくどいように感じました」

ほむら「魔女化のことをマミに話さないのは、
    信用してもらえる可能性が少ないこと。
    そして信じて貰えた場合でも、
    ソウルジェムの消耗が激しく、そのまま巴マミが魔女化する危険が大きいからよ。」

ほむら「ある時は、巴マミの消耗を回復させるために、
    ワルプルギスの夜と戦うためのグリーフシードをほとんど集めることが出来なかった。
    巴マミに真実を話すならば、ワルプルギスの夜の直前か、
    ワルプルギスの夜が過ぎて心が落ち着いてからにするべきでしょう。
    心が弱っている時に知るのは最悪で、味方殺しに走る可能性すらある。
    必ず起こるとは限らないけれど、何度も経験したくはないわね」


ほむら「ソウルジェムが魔法少女の本体だと証明するときは、
    偶然に発覚することがなければ、私自身のソウルジェムを使って説明する他ないけれど、
    説明しなければいけない場合なんてのは、私を信じていないってことだから、
    思い通りに行くことは少ないの」

ほむら「ソウルジェムを預けて意識を失った後、気づいたのは数日後だったなんてこともある。
    その間に巴マミは死んで、美樹さやかは魔女化していて、まどかも契約済。
    私の体は痛んでボロボロだったけど、それでも戻されただけマシだった」

ほむら「信頼出来ると思っても、人間の力では魔法少女が心変わりした場合に対処できない。
    この作戦は女の子が魔法少女であることが前提と言ったのはそういうこと。
    ソウルジェムを運ぶ役目を持つ人が力を持っていないと、咄嗟の場合に対処しにくい」

ほむら「私の体が痛むのはいい。
    それが原因でまどかに嫌われてもいい。
    でも、まどかを救う機会をなくしてしまうのはとても怖い」

女の子「………」


ほむら「キュゥべえが魔法少女同士の問題に介入することは少ないけれど、
    鹿目まどかが絡む時は中立ではないことがある。
    あいつを信用しないで」

ほむら「巴マミも、今後はキュゥべえへの信用を続けるということはないでしょうけれど、
    少なからず動揺してしまっている。
    女の子には今後も無理をしない範囲で様子を調べて欲しいところね。
    ソウルジェムの状態も気に掛かる」


ほむら「貴女の質問はいいかしら。私にも聞きたいことがあるのだけど」


女の子「……お願いします」


ほむら「貴女が言いかけたことを総合すると、
    やっぱりまどかが貴女を産んだってことでいいのよね!!!!!?」ガバッ


女の子「…ええ、まあそうです…って聞くことがおかしくないですか!?
    もっと深刻な話をしてた気がしますが!!?」

ほむら「これ以上大事な話がどこにあるの!?!!1!!!」

ほむら「いいえ、この世界のどこにもありはしない!」

女の子「」

ほむら「やっぱりほむ棒かしら…いえ、話題のiPS細胞を使ったという説も…
    いえ!私がそんな人工物の介入をまどかに許すはずがない!
    やっぱり私の魔法なら出来ると思ってたのよ…
    肉体強化と視力回復時の細胞運動に臓器生成魔法を応用すれば…理論上も完璧!
    ほむ棒は本当にあったのよ!」

女の子「」


ほむら「父と、父さんと呼んでいいのよ、女の子…」

女の子「……」バシーン

ほむら「ほむっ」

女の子「どうして娘の前で生々しい話を平気でするんですか!?
    中学生だからまだコウノトリやキャベツ畑を信じているかもしれないんですよ!?
    保健のカリキュラム的にはギリギリまだのはずです!」

ほむら「そんなの、ちょっとページをめくれば出てくるじゃない…めくるだなんていやらしい!
    それに中学生なんて、一番猥談に興味がいく年頃よ!
    頬を赤らませながらもエッチな想像をするまどか…想像しただけでご飯3杯はいけるわ!」

女の子「だからといってほむ棒もiPS細胞も出て来ません!
    マニアック過ぎます!」


ほむら「…まあ、冗談はさておいて」ギュ

女の子「冗談なら、なんで抱きついたままなんでしょうか?」

ほむら「こんな密閉された空間にまど香を敷き詰めておいて、冷静にしろというほうが無理があるわ」スーハースーハー

女の子「そういうものですか…」

ほむら「…まどかが『お母さん』だとして、未来の私はなんて呼ばれているのかしら?」

女の子「そうですね、流石にお母さんとセッ○スする時以外は、
    外見も中身も女の子を捕まえてお父さんとも言えませんから、
    ほむらさんと呼んでいます。今と同じですね。
    お母さんからほむらさんへは、ほむらちゃん、たまにあなたとか呼ばれています」


ほむら「あなた。まどかから、あなた、か…あなた…フフフ」

女の子「…ほむらさんはとても美人だと思いますが、あまりにも残念な部分が多いように思えます」

ほむら「何を言っているのかわからないわ。
    …そういえば、ついでに聞くことがあった。
    貴女、どうやってこの時間軸までやって来たの?」ホム

女の子「それはついでなのですか。
    むしろ一番最初に聞かれると思っていたのですが…いえいいです」

女の子「種はこの指輪です」

ほむら「私のソウルジェムの指輪と似てるわね」

女の子「外見は同じはずです。でも、宝石はついていないし、ここをこうすると…」パァァ

ほむら「私の盾…」


ほむら「…に、似てるわね。四角形なところが違うけれど」

女の子「ええ、形の意味は分かりませんが、ほむらさんの盾です」

女の子「元々、ほむらさんは時間を戻る際、盾に収納したものを過去に持ち込めないか研究していたそうなのですが、
    副産物として盾を独立させられるようになったらしいです。
    ほむらさんの通常の盾は円形、独立盾は菱形です。
    独立とは言っても盾を同時に出現させるのは、
    独立盾を含めて一度に2つが限度らしいので、他にも何か制限のある可能性はあります」

女の子「本来、ほむらさんの能力は一ヶ月間時を戻す、
    正確には一ヶ月前の並行世界に移動するという能力ですが、
    私の時間軸のほむらさんは研究を続け、ワルプルギスの夜の来る一ヶ月前に固定して移動する、
    そして移動する平行世界も、ある程度選択できるように魔法を強化しました。
    そして、魂以外に肉体も運ぶことが出来るようにしました」


女の子「ほむらさんはお母さんと結婚した後も、
    たびたび、それもまだ鹿目まどかが救われる運命にない並行世界に行って、
    その世界にいる暁美ほむらと二人掛かりでワルプルギスの夜の攻略をしていたようです」

女の子「ほむらさんは魔法少女ですし、自分の能力を仕事に活かしました。
    なので、金銭的な面で家族に負担が掛かることはなかったのですが、
    平行世界への旅を挟みながら仕事も同時に行うことで、
    ほむらさんはお母さんとの時間をほとんど取りませんでした」

女の子「私は思うようになりました。
    もしかしたら私の世界のほむらさんはお母さんを代用品くらいにしか思ってないのかもしれない。
    他の並行世界を救うのも、最初の世界の鹿目まどかその人か、
    または暁美ほむらにとって丁度いい、鹿目まどかを探しているのではないかと」

女の子「私が間違っているのなら、それは正すべきです。
    お母さんが愛されていないのなら、私はそれを知るべきです。
    そうすれば諦めもつくでしょう。
    誤解は解かれ、空虚な想像は消えて、私の見る世界は分かりやすくなります」

女の子「だから、こっそり盾を借りて、この時間軸へと飛んだのです」


ほむら「……情報が多いからちょっと整理させて貰うわね」

女の子「はい」

ほむら「時間軸の移動はともかく、能力は時間停止と収納だけだとしたら
    …魔女と戦う時はどうするつもりだったの?」

女の子「流石に魔女と戦うのは難しいです…でも身を守るくらいならなんとかなります!
    盾に収納してあったゴルフクラブ!これで不意打ちくらいなら…」

ほむら「…………ここにマジカルベレッタがあるわ…悪いことは言わないから使いなさい」ゴト

女の子「マジカルって名付けた、ただの拳銃じゃないですか!
    名前で誤魔化せるものと誤魔化せないものがありますよ!?」

ほむら「使い方は分かる?マジカル火器は安全装置を外さないと使えないのだけど」

女の子「…言い張るんですね、練習をしたことがないので私には扱えません。
    これはお返しします」

ほむら「そう…やっぱり下手に頼みごとをしなくて正解だったわ」

女の子「微妙にぼかしているところが裏社会風で怖いです」


ほむら「ねぇ、女の子」

女の子「はい」

ほむら「貴女の暁美ほむらはどうか分からないけれど…
    私はどの時間軸の鹿目まどかも、代用品だなんて思ったことは一度もない」

ほむら「信じなくてもいいし、何も伝わらなくていい」


女の子「…………」







────
──

ここまで。毎週日曜くらいに投下します。

スレタイも同じじゃないよ

まどか「未来から~」  ←前の
ほむら「未来から~」  ←今度の

/**************/



このSSはいわゆる二世物であり、百合描写を扱っています。

キーワードを見て、苦手に思われた方はスレを閉じてください。








また、これまでの投下で肌に合わないと感じた方もスレを閉じてください。

プロットは大体出来ており、大筋で話が変わることはありません。



/**************/


憂鬱なときと、憂鬱でないときがある。

今は、きっと憂鬱なときだ。

この朝、あたしは思い出した。

12時間ほど前に起きた出来事を…

メルヘンなことが起きたけど、それがその日のうちに否定されて、

なんとなくもやもやするような屈辱を……


──魔法少女。

そして、何でも願いを叶えることができる奇跡。

思い出したあたしは、心の中で反芻する。

魅力的ではあった。

けれど、あたしには意味を持たないものだった。

あたしだけなら意味がない。

あたし自身には、叶えたい願いなんてない。

それが、命を張るというなら、なおさらだ。

ましてや、人間じゃなくなるなんて。


マミさんは、魅力的で、格好良かった。

そして、騙されていた。

もしかしたら、願いが叶うというのも、実は騙されていて、嘘なのだろうか。

おそらく、ほむらも嘘つきだ。

多くのことを隠している。

もしも、まどか達に悪いことをするなら、あたしはそれを許してはおかない。

考えなければいけないことは多い。

でも、取りあえず目先のことで憂鬱なのは、おそらく今日は、ほむらに頭を下げて、

昨日のことを謝ったり、魔法少女のことについて、あれこれ聞かなければならないってことだ。

憂鬱だ。


憂鬱なときと、憂鬱でないときがある。

朝の空気は冷えているが、寒いと思うほどではなく、

窓から見える、微かな朝靄の中を通る太陽の光は明るく、

深い緑に光を乗せて反射する街路樹は優しく、

あたしの意思とは関わりなく、少し開けた窓から入ってくる風は肌に心地良い。

要するに、空気というものは空気を読まず、人間に関知することなく、全力で素晴らしい朝をアピールしてくるわけだ。

心配して眠れなかったということもなく。

困ったことが多少あるからといって、知恵熱を出すわけではなく。

サボってしまおうとするほど深刻なことではなく。

特に理由のない隕石が見滝原を襲う───!!

なんて突発的異常事態もなく。

母の作ってくれた朝ご飯は美味しく。

普通に考えれば、憂鬱ではない、ありふれた朝。


もちろん、朝の準備が遅れるなんてことはなく。

玄関を開けて、エレベーターを降りて、マンションの石畳を抜けると、いつもの通学路。

まあ、それでもいいや。

いいじゃないか。

考えるのは、休むのに似ている。

世の中にはノープランで向かわなければいけないこともあるものだ。

あたしの親友、まどかや仁美の顔を見れば、

あたしの大したことない悩みなんて、さっさと忘れるだろう。



本当に辛い、酷い、悩みに向き合わなければならない、───にくらべれば。



あたしなんて。


───見滝原中学校、通学路


さやか「おっはよー! まどか、仁美!!」タッタッタッ

まどか「さやかちゃん、おはよう」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「今日もまどかは可愛いなー流石は私の嫁だー」ダキッ

まどか「ティヒヒ、さやかちゃん、やめてよー」マンザラデモナイ

仁美「朝百合…いいですわあ」ウットリ


まどか「ねぇ、さやかちゃん、昨日のことだけどさ…」

さやか「!」

仁美「?」

さやか「あー、それでねまどか!こないだの話でユウカったらさー、
     それだけ言ってもまだ気付かないのよ。こっちはもう笑い堪えるのに必死でさー」

まどか「さやかちゃん?」

さやか(仁美には黙って置こうよ、きっと信じないし、巻きこむのもなんだしね)コソッ

まどか(う、うん)コソッ

まどか(でも話の振り方が不自然過ぎる、ような・・・)


仁美「ユウカさんですか…不思議な人ですわね」

まどか「通った…!?」

さやか「そう、そうだよねー。ユウカったら、どうかと思うよねー」

仁美「うふふ、さすがにそこまでは」

QB『まどか、さっき君が言いかけたのは、もしかして僕についてのことかい?』ヒョイ


さやか「な…ッ!」

まどか「え…ふぇぇ!?」

QB『お早う、まどか、さやか。…どうしたんだい、朝に会ったら、人間はこうして挨拶するんだろう?』

さやか「どういうつもりよアンタ…仁美も見てるって言うのに!」

QB『心配しなくても、魔法少女になる資格を持つ者にしか僕の姿は見えないよ。
   昨日説明しただろう?声も、テレパシーで話せば聞きとることはできないよ』

まどか『……ふぇ、』

さやか『だからって、あのねぇ…マミさんを騙しておいて!』

QB『騙すだなんて人聞きの悪い。
   僕は間違いなく願いを叶えてあげられるよ。疑うならマミに聞いてみるといい』

さやか『でも、マミさんにソウルジェムが魂だと黙っていた。
     人間じゃなくなるなんて──』


QB『昨日も説明したように、必要がなかったからさ。
   もしも強すぎる苦痛が魔女との戦いの中、魂にそのまま伝えられていたとしたら、
   巴マミが今日まで生き延びることはなかっただろう。
   それに、人間じゃないと君は言うが、
   それは今現在のマミの価値を落とすことになるのかい?
   君は昨日、巴マミと親しく話していた。
   でも魂の在り処が違うとわかって、巴マミにはもうそんな価値がなくなってしまったとでもいうのかい?』

さやか『そんなこと…ッ!』


仁美「お二人とも、さっきからどうしたんです?何か気にされているようですけど」

まどか「え?いや、これは…あの…その…」


QB『考えてみるといい。
   君たちは魔法少女になるにあたって、恵まれた環境下にあるといえる。
   魔法少女は、手柄を取り合って争いになることが多い。
   マミは新米魔法少女に対して好意的だ。
   暁美ほむらが何か企んでいることは確かだが、現状、巴マミに敵意を見せていない。
   この環境は異例であって、願いの機会をふいにするには、勿体ないほどだよ』

QB『とはいえ、僕だって無理強いはできない。
   君達にその気がないなら、僕は、僕との契約を必要としてる子を探しに行くよ。
   でも、もしも君達がまだ魔法少女について思うことがあるならば、巴マミに話を聞いてみるといい』


仁美「周りには変わった様子はありません…それでも、言葉を掛けずとも分かりあっている様子…
    まさか二人とも、既に目と目でわかり合う間柄ですの!?」

まどか「ふぇ!?」


QB『勘違いしないで欲しいんだが、僕は君たちに悪意を持っているわけじゃない。
   これでも弁解に来たつもりだからね』

さやか『……』


仁美「まあ!たった一日でそこまで急接近だなんて。昨日はあの後、一体何が」

まどか「それは…」


QB『魔法少女になる気になったら、いつでも声をかけて。待ってるからね』ヒョイ


仁美「でもいけませんわ、お二方。女の子同士で!それは禁断の、恋の形ですのよ~!!」 ダッシュ


まどか「ちょっと…仁美ちゃん!?」

さやか「あっ待て!……ち、行っちゃった」


まどか「あぁ…バックも忘れちゃってる。今日の仁美ちゃん、何だかさやかちゃんみたいだよ」

さやか「…あれ、仁美はどうしたの?」


──見滝原中学校・昼休み


女の子「…今日も予備の制服と、
    お弁当を持って見滝原中学校に潜入です」

女の子「昨夜はあまり良くありませんでした。
    私の時間軸のほむらさんと今のほむらさんは別人だと分かっているのに」

女の子「全く同じ…実際に魂までも同じなのだから仕方ありませんが、
    どうにも頭にほむらさんがちらついて、ほむらさんとは上手く話せないようです」

女の子「ほむらさんは、お母…まどかさんに会って、どんなことを考えていたのでしょうか。
    考えていながら、今まで何度も時間を繰り返したのでしょうか」

女の子「やはり私は、甘く考えていたのでしょうか」

女の子「彼女の考えがどうであろうと、
    覚悟そのものが中途半端ではないことは分かっていた…はずなのに」


──体育館裏


マミ(いつも独りぼっちだったけど、今はキュゥべえも居ない…)

マミ(本当に独りになっちゃったなあ)

マミ(こんな体だし、学校なんて休んでも良かった)

マミ(学校も、クラスメイトも何もかも昨日とは違って見える)

マミ(私は石ころだもの。今まで気付かなかっただけで、仲間ができるとか、そんな資格もなかったんだ)


女の子「あ、マミさん。今日もお隣いいですか?」

マミ「女の子…さん」


女の子「さて、今日もそれっぽく作ってあるけどそこそこな味のお弁当を食べなければなりません」

マミ「もう、昨日もだけど、そういうことを言うべきではないわ」

女の子「一、二品だけでいいので、おかずを交換して貰えると有難いのですが」

マミ「もう…いいわよ、でもきちんとご両親にも感謝してね」

女の子「やった。勿論です♪」


パクパクモグモグ

パクパクモグモグ


女の子「やっぱりマミさんのお弁当は美味しいです…これは、何としても親をマミさんに弟子入りさせなければいけませんね」

マミ「でも、女の子さんのお弁当も昨日よりまs…上手になってるわ。
   本当に慣れてないだけみたいね。これならすぐに追いつくんじゃないかしら」

女の子「いえいえ、ここからが大変なのです。
    将棋でも10級から1級に上がるより、初段から十段に上がるほうが難しいというではないですか。
    数値を減らすために頑張って、今度は数値を増やすために頑張るという…
    結局、数値とは本質的なものではないのです。
    良く分かりませんが」


マミ「…あの後、暁美さんは怒ってなかった?」

女の子「どうしてほむらさんが怒っていると思うんです?」

マミ「だって、私はあんなに疑ってしまったし…誰だって疑われるのは嫌でしょう?」

女の子「まあ、そうですが…あえてほむらさんの気持ちを代弁するなら、
    マミさんには心配しかしていませんよ」

女の子「ある意味、無関心とも言えますが…ほむらさんは今それどころではないのです。
    他人どころか、自分自身にも関心がない。
    そして、それは一時的なものでなく、ほむらさんの中で一生続くのです」

マミ「女の子さん…?」

女の子「ほむらさんのやっていることは無意味なのです。
    無駄なことに人生の全てを捧げている。
    本当に欲しかったものは手に入らないと知った上で、
    良く似た偽物を見つけて、それを救おうとしている」

女の子「ほむらさんが本気であることは分かっています。
    それは決して否定出来ないことです。
    でも、それなら。
    偽物はどうすればいいんです…?」


マミ「…良くは分からないけど、女の子さんは暁美さんのことが大事なのね?」

女の子「自分のためなのか、お母さんのためなのかは自分自身でもまだ決まっていません」

マミ「……?
   …分からないけど、それなら暁美さんと仲良くなるって無理なのかな。
   あんなことになってしまったけど、お友達になりたいのに」

女の子「………難しい問題ですね。
    ……済みません、マミさん。
    貴女もソウルジェムのことを知って大変なのに、訳の分からないことを言ってしまいました」

マミ「…気にしなくてもいいわ。
   私も、話していると愚痴になってしまいそうだったから」

女の子「今日も魔女退治に行くのですか?」

マミ「ええ、昨日逃した魔女を仕留めなければいけない。早くしないと、痕跡が無くなってしまう」


女の子「では、私もついていっていいでしょうか?」


──薔薇の魔女結界前


女の子「いやぁ、OLが落ちてくるとは思いませんでしたね。晴れ時々OL。昨今の都会はおかしなものです」

マミ「茶化さないの…大変なところだったんだから。
   …やっぱり、魔女の口づけがついてる。これは魔女の仕業ね」

女の子「そうなるとここに放置するのはまずくないですか?
    起きたら、また自殺しようとするかも」

マミ「ええ。早い所、仕留めてしまいましょう。
   …ここで様子を見ててって言いたいところだけど、貴女はそうしたくないのね?」

女の子「はい、結界まで連れてきてもらったのに、待ちぼうけなんてあんまりです」

マミ「もう!見世物じゃないのよ…そこはよく自覚してね」

女の子「はい!」


──薔薇の魔女結界


女の子(呪いの集合なのだから当たり前と言えば当たり前なのですが)

女の子(結界はやっぱり不気味なものです)

女の子(不吉なもの、本来であれば見たくないものが結界内には散乱されています)

女の子(全身の感覚がここにいてはいけないと叫んでいます)

女の子(例え力を持っていたとしても、好き好んで結界に入りたいなんて誰も思わないでしょう)

女の子(それでも、魔法少女は魔女を倒すため、グリーフシードを手に入れるために戦うのです)

女の子(心細いに違いないのです。
    こんな場所にたった一人、放り出される可能性なんて考えたくもない)

女の子(縋り付けるものがあるなら、何にだって縋り付こうと思うはずなのです)

女の子(それでもマミさんは魔法少女になるのは良く考えたほうがいいと忠告し、
    ほむらさんに至っては素質のある少女をまるで邪魔者のように扱います)


女の子(魔法少女の決意が大抵でないことは知っているつもりだったのです──)



マミ「…貴女は、キュゥべえとはまだ契約してないのね?」

女の子「ええ、ゴルフクラブに魔力を送り込んでもらって助かりました。
    こういうのを本当のマジカル武器というのです!
    役に立てていないのは…恥ずかしいですが」

マミ「魔法少女ではないのだから仕方ないわ。でも随分、魔女結界に慣れているようね」

女の子「いえ、慣れているというほどではないです。
    今でも内心ドキドキしていますし。
    私はどうも感情が顔に出にくいタイプらしいです」

マミ「そうなの…」

女の子「でも、普通の人よりは慣れているかも知れません。
    結界には以前、佐倉杏子さんに連れてきてもらったことがあるので」

マミ「…佐倉さんと知り合いなの?」


女の子「ここに来る前の話ですから、知り合いと言っていいのか分かりません。
    ほむらさんは絶対に連れて行ってくれなかったので、
    佐倉杏子さんに付いてく機会がなければ、昨日まで結界がどういうものか知らないところでした」

女の子「でも、彼女も魔法少女を肯定してはいませんでした。
    毎日美味いもん食って、幸せ家族に囲まれて、そんな何不自由ない暮らしをしてる奴が気まぐれで
    魔法少女になろうとするなんて、そんなのアタシが許さないとかなんとか」

マミ「………」

女の子「私は少し反発するところもあったのですが…強くて、とても格好いい方だと思いました」

マミ「私も今となっては、魔法少女になることを勧めるなんて出来ないわね…
   佐倉さんがソウルジェムの秘密を知っているかは分からないけれど…ええ、佐倉さんは強い子よ」

マミ「私は喧嘩別れになってしまった…」


マミ「……あなたは魔法少女になるつもりなの?」

女の子「それがまだ決まっていません。
     でも、今のところ、魔法少女になる方向へは、
     あまり傾いていません」

女の子「実は、結界に入ったのは昨日が初めてではないのですが、
     キュゥべえを見たのはこれが初めてなのです。
     どういう仕掛けか、私にはキュゥべえと会わないような、魔法を掛けられていたらしいのです。
     なので、キュゥべえと契約をするためには、私はここまで来なければなりませんでした。
     実物と会うまではもっと淫キュベーター!って感じの凶悪極まりない淫獣を
     想像していたのですが、思ったよりマスコットしていてびっくりしました。
     やっぱり伝聞というものは信用できないものです」


マミ「……願い事が、あるの?」


女の子「話を聞いて、答えを確認してから、
     ほm…お母さんの夫が、お母さんだけを見てくれるように願いを言うつもりでした。
     わたしはお母さん子なので、
     お母さんには幸せになって欲しいのです」

女の子「もう少ししたら、この世界は終わります。
     だから、残された時間くらい、お母さんを幸せにしてあげたいのです。
     そうすれば、お母さんも、お母さんの夫も、
     無意味なことを続ける必要がなくなります」

女の子「でも、分からなくなりました。
     ほ…私のお母さんの夫は、
     どうもお母さんを見ていない訳ではないらしい。
     しかも、その感情は並大抵のものではない」

女の子「もしかしたら…私のうちの誰かが、
     ほむらさんを誘惑するような願いをかけたのでしょうか。
     いえ、そうではない。
     私はお母さんとは違い、平行世界に力を及ぼすには因果が全く足りない」

女の子「しかも、私の存在はレアケースな上、
     世界は終わりかけている。
     別の時間軸にまで、影響を及ぼすような、
     ややこしい願いをするとは思えない…」


マミ「終わり…並行世界?
   ええと、何を言っているのか分からないわ」

女の子「話し過ぎてしまいました。ええと、これは設定です。忘れてください。
     思春期特有の厨二病妄想だと思って聞き流して頂ければ」

マミ「ええ。そうしているけれど…」

女の子「すぐさま納得されるのも、それはそれで悲しい気がします」

女の子「とにかく、私にもそれなりの事情があって、
     それゆえに魔法少女になるかどうか、迷っていたりするわけです」


マミ「…人の為の願いであれば、良く考えるべきね。
   少なくとも、私は感心出来ないと思っている」

マミ「自分への願いでないなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。
   女の子さん、あなたは望みを叶えてあげたいの?それとも、望みを叶えた恩人になりたいの?」


女の子「望みを叶えて、なおかつ、ドヤ顔で恩人面したいです。
     でも、精神操作系はばれると返って、
     怒られそうな気がしないでもないので黙っているつもりですが」


マミ「……えっと」


マミ「……女の子さん、あなたも昨日の暁美さんを見たはずだけれど、キュゥべえを信じるの?」

女の子「願いを売って歩いているという、その一点では信じています」

マミ「私は…あんなことを言ってしまったけれど、未だにキュゥべえを信じたいと思っている」

マミ「私を助けてくれたのはキュゥべえだもの。
   キュゥべえが助けてくれなければ、私は生きることが出来なかった」


女の子「……」


マミ「でも、魔法少女の正体はソウルジェムで、
   肉体とソウルジェムが離されたら、
   昨日の暁美さんのように、あっけなく死んでしまう抜け殻なのだとしたら。
   交通事故にあった巴マミって子は、
   やっぱりあの事故の時に死んでしまっていたのではないかしら?」

マミ「巴マミは死んで、ただの石ころになってしまった。
   私は石ころを動力源に、肉体に織り込まれた記憶を呼び出される、ただの道具。
   違うかしら?」


女の子「…医学上の定義を別にすれば、
     意識の断絶を一つの死とみなすことは、適切であるかもしれません」


女の子「人間の脳がハードディスクと同じであるとすれば、
     ハードディスクの電源を切る前と、入れ直した後は同じ人物と言えるでしょうか?
     性格も、振る舞いも、全て同じ。
     でも電源の切断という、明らかな断絶がある」

女の子「不治の病の人間を冷凍して、未来の技術で直してから解凍するという実験があります。
     解凍に成功すれば、性格も、振る舞いも全て同じ。
     でも冷凍という、明らかな断絶がある」

女の子「でも、ここまではっきり分かりやすく断絶が見えなくとも、
     日常生活中にも、その痕跡を探すことはできます。
     脳には活動している時期と活動していない時期があります。
     意識に拘るならば、信号を送られていない、
     単なる細胞の生命活動しか行っていない状態は断絶であるとも言えます」

女の子「仮にソウルジェムに記憶を保持する機構がなく、ただの動力源だったとしても、
     それはそれほど重要なことではないのかもしれません。
     ソウルジェムを離して、戻されることなんて、人間を冷凍して解凍するのと変わらない。
     あるいは、一晩寝て起きることとも同義かもしれません」


女の子「意識の断絶があって、戻ることは、一つの死と言えるかもしれません。
     でも、意識が連続していると思い込んでいることのほうが、
     実際のところ、疑わしいです」

女の子「人間は無数の神経細胞が常に信号を伝えています。
     でも、それはあらゆる箇所に渡っているからであって、
     個別でみると、やはり途切れは発生しています」

女の子「意識の発生は瞬間であって、連続して存在しているように思うのは、
     ただの錯覚だと私達の理屈では行き着いてしまいます。
     でも、それは納得するしかないことです」

女の子「ちょっとぐらい石にされたって、マミさんはマミさんであり、
     ほむらさんはほむらさんです。佐倉杏子さんは佐倉杏子さんであって、
     それはきっと変わらないです」

女の子「もしかしたら、石になる前と後とでは違いがあるかもしれませんが、
     そんなのは生まれつき髪の色が違うとか、胸が成長しないとか、
     そんなことと変わりありません。
     なってしまって、治らないなら、それでやっていくしかないのです」


マミ「……正直に言うと、強引過ぎて、何を言っているのか分からないわ」


女の子「ですよね」


マミ「さあ、結界の最深部についたわ」


薔薇の魔女──ゲルトルート──


女の子「おおぅ!これまたグロいのが出てきましたね!
     頭部っぽい所に薔薇のようなものが見えますが、
     薔薇が奇麗なのは周囲の環境あってのものだと実感が出来ます!
     折角の花飾りも、これでは悪趣味を引き立てているようにしか見えません」

マミ「ゴルフクラブの魔力を使って結界を張るわ。ここに居れば大丈夫だから、動かないでね。
   あと、結界はクラブを引き抜くと外れるから、気をつけて」

女の子「地面にめりこんでいるから、外すのに苦労しそうです」


マミ「…外さないでね。
   さあ、今日こそ逃がさないわよ。
   未来の後輩…になるかどうかは分からないけれど、あんまり格好悪いところ見せられないものね!」


マミ(今度こそ逃がさない!マスケット銃を両脇の地面に展開、この場で仕留める!)バキュンバキュンバキュン

ゲルトルート「ォォォォオオオォォ」ダダダ

マミ(素早い…でも、仕込みは済ませた)

マミ(後は掛かってくれるか、どうか…)


ゲルトルート「ォオオ!」

マミ(くっ、周りの使い魔が蔓のように巻きついて…!)


イーツーカキミガー

バキュンバキュンバキュンバキュン



女の子「うーん、うーん」グイグイ

女の子「…本当にこのゴルフクラブ、外れないですね。
     ほむらさんに比べると魔力の高さがうかがえます」

女の子「マミさんがピンチになったら、独立盾を起動して、
     とにかく時間停止をすればいいとばかり思っていたのですが、
     マミさんの作った防御結界から出られないんじゃ、お話になりません」

女の子「でも、大抵の魔女はマミさんの敵じゃないということですし、
     昨日の今日ですから、キュゥべえもきっとおとなしくしているような気がします。
     今日の課題はきちんとクリアですね」


女の子「……あれ、マミさん。一本釣りされている、ような」

女の子「と、思ったらすぐに脱出しましたね」

女の子(内心ドキドキ)


マミ「惜しかったわね、でも繋いで動きを止めるのは、私のほうが慣れているの」

ゲルトルート「ォオオォオオオォ!!!」ギチギチ

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」ドカーン

ゲルトルート「」シューン

マミ(紅茶キャッチ)カチャ



女の子(ティロフィナーレ、相手は死ぬ)

女の子「か…格好いい!」


──


女の子「凄いです、料理も上手でしかも強いだなんてどこかの誰かとは大違いです!
     本当に弟子入りさせて、見習わせたいくらいです。
     でも、人にはどうしようもない才能の差というものはあるものです。
     才能の無いものは自分の天分を知って、なんとなく。ただ生きていくしかないのです……」

マミ「何で段々テンションが下がってるの…?」

女の子「とにかく、やっぱり魔法少女とはかくあるべきですって感じです!」

マミ「あまりに褒められるのもくすぐったいけれど、ありがとう」

女の子「お世辞ではないですよ。華やかで格好いいです」


さやか「そうですよ!さっすが、マミさん!」

まどか「あんな大きいのに…」


マミ「……鹿目さん!?美樹さん!?」




女の子「………………………………」

女の子「……ファッ!?」

ここまでです。












女の子「どうしてこうなったのか──」












────
──


ほむら「結果論で言うなら、今のところ順調と言えるわ。
     巴マミと敵対することなく、ソウルジェムの秘密の一部を話すことができた」

女の子「ね、私は役に立ったでしょう?」

ほむら「結果論ではね」

女の子「えー、もうちょっと喜んでくれても」

ほむら「まどかと話したり、まどかと一緒にお茶したり、
     ソウルジェムを離して起きたら目の前でまどかが抱きつきながら泣いていて
     ただでさえ可愛いまどかが私を心配して泣いてくれるなんて、
     もうどうしていいか分からないくらい幸せ一杯で喜んではいたけれど
     空気を読んで黙ってたわ」

女の子「ああ、そうですか」

ほむら「でも、早くからあいつ──インキュベータ──に手の内を空かしてしまったのはマイナスといえる。
     あいつは私たちの常識が通用しない生き物だから」

ほむら「未来の私は、あいつに対しての攻略法を持っていたの?」

女の子「ほむらさんの秘密ダイアリーを読む限りでは、今のほむらさんとほとんど同じというか、
     目的を隠して徹底無視の戦略は、かなり正解に近いようです。
     逆に、キュゥべえと舌戦したり、
     理屈で勝負を挑むのは最悪です。
     私の世界でのほむらさんも、そのときは大分痛い目にあったようです。」


女の子「キュゥべえにはいくつかやるべきでないルールがあります。
     これに抵触した場合、勝ち目はまずありません。
     例えば──ほむらさん。
     あなたは魔法少女なる存在について、国や警察や政府に
     助力を求めようと考えたことはありませんか?
     彼らと交渉して、見滝原を守ろうと考えたことはないですか?」

ほむら「……考えたことはあるけれど、すぐに候補から外れたわ」

女の子「理由を聞きます」

ほむら「1ヶ月では、彼らを動かすには短過ぎる」

ほむら「私が魔法少女であるというところまでは良くても、
     ワルプルギスの夜がやってくることを信じさせるには材料があまりに少ない。
     魔法少女同士でさえ、信じてはくれないのだから」

女の子「そうですね、軍隊にも予算がありますし、
     荒唐無稽な話にどれだけ協力し、投資してくれるのか疑問です。
     最悪、裏切られて拘束や解剖までされかねないリスクがあるのに、
     予想される見返りは小さいです」

女の子「世の中には等価交換という言葉がありますが、
     対等な取引なんて存在しないのです。
     助けを求めたつもりが、足元見られて根こそぎ奪われるかもしれない。
     まあ、下心丸出しでは信頼されませんから、見かけ上は対等なふりをするわけですが、
     その手段に嘘が無いとするなら、QBは誠実とさえいえる。
     いえ、必要な情報を話さずに契約を促すのですから、誠実ではないのですが」


女の子「ほむらさんの理屈は正しく、
    公衆に魔法少女の存在を認めさせて協力を促すことは、
    魔法少女にとってメリットの薄い話です。
    でも、それは魔法少女からみた理屈にすぎないわけで」

女の子「もちろん、それだけでもいいのですが、
    まずはキュゥべえという存在の話をしなければなりません。

    キュゥべえ。いんきゅべーたー。

    まず、現行人類のレベルを考えてみてください。
    私達の未来だと今よりももうちょっと進んでいて、
    例えば、教育や栄養学の分野ではかなりの改革があったのですが、
    それでも、あえて誤差の範囲としておきます。

    思い浮かべてください。
    現行のインフラのレベル。
    携帯電話やパソコンのスペック。
    旅行に行こうと思ったときの所要時間。
    医療や科学の設備など。

    で、それらをちょっと飛躍して想像をして欲しいのですが、
    現在の時点で実現できないことを実現するまでどれくらい掛かると思いますか?
    例えば人類はDNAを解析し、いずれ、
    不死はともかく、不老までなら実現できると言われています。
    リチャード・ドーキンスが適当な勘ではじきだした数字によると、
    商用として実用化されるまでに、ざっと200年」


女の子「宇宙技術はどうでしょう。
    NASAによると、数十年のうちに火星に人類を降り立たせると公言していますが、
    何光年も離れた星に人類を送るような計画は全くめどが立っていない。
    概算もできていない。
    まあ現行技術の進歩速度では、1000年経っても難しい、といったところです。

    それでも、なんとか実現させたとして、想像をしてみてください。
    その頃の人類の思考と、
    今、生きている我々の思考が、どれだけ変わるかを。

    技術の進歩に対して、人類自体の進化はダーウィン的な現象によるものですから、
    そう変わらないと思うかもしれません。
    ですが、数十後には人間自身へのカスタマイズが可能になり、
    その技術は加速度的に発展すると予想されていますから、
    そうはならなくなります。

    より、高度な計算式や、思考を外部デバイスの使用なしでも可能になるでしょう。
    そのうえで、より有効な道具や機器の使い方あるいは作り方を身につけるかも知れません。
    何かの目的を達成するのに、より簡単で安全で効率的な技術を手に入れられるでしょう。
    あるいはそれは、魔法少女の希望から、
    絶望に変わるときに生まれるエネルギーなんてものかもしれない」


女の子「で、趣旨を言い忘れましたが、
    これは現行人類とインキュベーターとの差を比べるためのものです。
    インキュベーターは、地球に降り立った時点で、
    先ほど挙げた技術を既に持っていたと考えられます。
    なので、先ほどの技術や知識や思考を全て手に入れたと想定した人類に、
    少なくとも数万年分の経験値を加算してください。

    想像できましたか?
    これが、人類とインキュベーターとの、そっくりそのままな差なのです」


ほむら「……」

女の子「別にキュゥべえの存在が絶対的で、
    魔法少女の行動のひとつひとつを全て把握し、
    支配している、というものではありません。

    どちらかといえば、
    キュゥべえはおそろしく奔放に魔法少女の活動を許しています。

    ですが、ある条件が整うと、キュゥべえはその本性を現します。
    その条件のひとつが、政府あるいは一定の大きさ以上の組織が
    魔法少女に対して干渉を行う場合、
    その活動は速やかに排除されるというものです」


女の子「先程、ほむらさんに
    政府や警察に対して助力を求めてみる話を振りましたが、
    それを例にしてみます。

    魔法少女側から、例えばほむらさんが政府や軍隊に協力を仰ぐ場合には
    リスクばかりが高く、実りが少なかった。
    次は、逆に政府から魔法少女を扱うケースを考えてみます。

    政府からみると、魔法少女は意のままに動きさえすれば、
    戦争、諜報活動はもとより、あらゆる分野で有効に働くと考えられます。
    魔法少女を意のままに動かせられれば、その価値は、極めて高い。
    キュゥべえのような奇跡の乱発者がいて、
    魔法少女を作って回っているとするならば、
    そのうちの多くの魔法少女が正体を隠そうとしたとしても、
    すぐにその存在は相当の機関が知ることとなるでしょう。
    そして、知った以上はそれを制限か、利用しようとするはずなのです。

    魔法少女は魔女と戦えるといっても、
    集団で掛かる人間に対して無敵ではありません。
    交渉するにしても、キュゥべえほど突き抜けた存在とは言えないにせよ、
    ほむらさんのような例外を除いて、
    第二次成長期の少女と、百戦錬磨の交渉担当との間では大きな経験の差が存在します」


女の子「取引は平等ではないのです。
    政府が魔法少女の力を知り、それを利用することは、
    魔法少女が政府を利用しようとするより難しくはありません。

    秘密を知れば、あとは魔法少女の量産です。
    何せ相手は年端のいかない第二次成長期の少女です。

    軽く、またはそれなりに誘導を掛ければ、魔法少女になった後どころか。
    魔法少女になる際の願いの奇跡ですら、組織の利益のために使うよう、
    心から思わせることが出来るでしょう。

    最終的には国家間による魔法少女の奪い合いになるわけですが……
    少なくとも、今のように魔法少女が自由意志によって
    奔放に力を振るえる時代ではなくなります。

    魔法少女は奇跡や魔法の使役に対して税金を取られ、
    ある程度の組織の支援と引き換えに、その恩恵や行動範囲を最小化されます。

    少なくとも、多くの国が自前の魔法少女を
    所持せず、奇跡も行使できないような異常事態にはならないのです。

    ところが、歴史上の多くの事例を見ても、
    まあ、本当に魔法少女であるとは分からないのですが、
    魔法少女が自由意志で勝手に政府に手を貸したり、
    掌握したと解釈できる事例はあっても、
    その逆の事例を見受けることができません。

    理屈でいえば、この事例は逆転するはずです」


女の子「インキュベーターは奔放な魔法少女の行動を許しています。
     自決という方法でソウルジェムを自ら砕き、
     得られるエネルギーを台無しにする手段すら可能にさせています。

     しかし、インキュベーターは奇跡を押し売りにする反面、
     魔法少女を利用しようとする外部からの介入には、
     極めて厳密にこれを排除してきました。

     これは、魔法少女を利用しつつも地球の文明環境に
     魔法少女の名前を出さないようにしているためか、
     契約をするのはあくまで魔法少女であって、組織ではないことから、
     彼女達の取り分──その絶望を含めて──を、魔法少女だけに与えようとする
     彼らなりの倫理観が働いているのか、理由は分かりません。

     魔法少女側から組織へのアプローチはやや許容されますが、
     それも行き過ぎるとキュゥべえはその本性を現します。
     これが、政府との連携を勧めないもうひとつの理由になります。
     キュゥべえがどの時点で本来の性質を向けるようになるのか、
     不明な点は多いのですが、
     明確にキュゥべえが排除の意思を持った場合、それに打ち勝つことは至難です。

     キュゥべえ自身は攻撃力を持ちませんが、
     舌先と僅かな行動だけで、数万年もの間、
     魔法少女の秘匿に成功してきた相手です。

     インキュベーターを相手に舌戦を挑んではいけません。
     戦えば、必ず負けます。
     あるいは、矛盾を指摘し、その場限りは勝ったと思いこんで
     多少の満足感を得ることは出来るかもしれません。
     でも、それだけです。

     小賢しく組み立てれば組み立てるだけ、
     相手に情報を与え、その意図を暴かれ、丸裸にされます。

     キュゥべえに対しては、可能な限り、
     秘密を話さず、相手の情報がまとまる前に勝負するしかないのです」


ほむら「……興味深い部分もあったし、
     違和感を覚えた部分もあるけれど、
     私の認識から、大きく外れた部分もないわね」

女の子「元になった資料はほむらさんがお母さんを
     助けるために集めたものですからね。

     内容はブラッシュアップされているとはいえ、
     私自身はまた聞きになりますから、
     そこを差し引くと感覚的にはそうなるのでしょう」


女の子「続けるならば、
     政府が全く魔法少女の存在を認知していないということもないようです。

     ほむらさんが文献を集めることが出来たように、
     魔法少女や魔女の活動と思われる記録や記憶は残されています。
     キュゥべえのなかで、
     どこまでの記録の保存を閾値として許しているか分かりませんが、
     現存されている資料からみると、
     ある程度までなら、そのルールに抵触しないものと思われます」


女の子「例えば、在日米軍基地ぐらいの規模であるならば、
     魔法少女を利用できるとまでは行かなくとも、
     ある程度は魔法少女に対しての備えを持っていると考えられます。

     ほむらさんは武器の調達に在日米軍基地を利用しているようですが、
     おそらく気付いたのではないでしょうか。
     基地の備えやセキュリティを突破する際、人類には必要のないような位置や、
     規模で設置された設備や監視などに」


ほむら「……そうね」


女の子「利用できないとは言っても、施設の役割を考えると、
     魔法少女に対して無防備宣言をするわけにもいきませんしね。
     むざむざ素通りされるいわれはありません。

     もっとも、ほむらさんに対しては無力だったようですが。
     コストは有限なので、
     魔法少女の多種多様な魔法にいちいち対応するというのは現実味がありません。
     単純な力押しだけの相手なら、なんとか捕えられる程度のもののようです。

     一般的には、魔法で行われる時間操作、精神操作、概念操作なんてものに
     全て備えようとすることはあまり有意義ではありません。
     あるいは、時間停止や時間逆行、遠隔からどこまでも無制限に広められる精神操作、
     なんてものにも攻略方法はあるのかもしれませんが、
     それを行うにはコストが大き過ぎて、がんじがらめになってしまいます。
     予算とは常に非常なものです」


女の子「まあ、協力できないってだけで全ては終わっていますから、
      以降の話は余談にしかならないわけですが」

ほむら「……ひとことでも終わりそうね」


女の子「お話であれば、尺稼ぎと思われても仕方ありません。
     まあ、稼いでも意味のないものですが。

     そうです、キュゥべえの話でした」


女の子「キュゥべえは、正しくオーバーロードとしての性質を持っていますが、
     そうは振舞わず、しかしオーバーロードとしての力を行使しています。
     キュゥべえへの警戒は、してもし過ぎることはないのです……」
















────
──


女の子「──と、朝にほむらさんとも話しましたし、
     決して油断していたわけではないのですが」



さやか「いやー、やっぱマミさんってカッコイイねえ!」

まどか「あんなのと、いつも戦ってるんですか……?」


マミ「鹿目さん、美樹さん、どうして───」


QB「言った通りだったろう、まどか、さやか。
   並の魔法少女ならともかく、マミは大抵の魔女には負けないよ。
   君達が魔法少女になった後、
   彼女の教えを受けられることは絶好の条件と言えるんだ」ヒョイ


女の子「き…」

マミ「キュウべえ!」


女の子「……あなたがお母…まどかさん達を結界まで連れだしたのですか?」


QB「僕は決して強制したりはしないよ。
   結界の中に入る決意をしたのは彼女達であって、
   僕は巴マミの魔力の元に案内したに過ぎない」


女の子「……」


女の子(いくらなんでも、キュゥべえが関与しなければ
     お母さんとさやかさんが結界の、それも最深部まで自ら入るとは考えられない。
     完全アウェイの昨日の状況から、お母さんとさやかさんを
     ここまで誘導するなんてミラクルにもほどがあります)

女の子(……いつもほむらさんは、こんなのと戦っているのですか)


女の子「結界が、閉じます……」


カラン


まどか「あっ」

さやか「なんですか、その黒いものは」

マミ「これがグリーフシード。魔女の卵よ」

さやか「た、卵…」

キュゥべえ「大丈夫、その状態では安全だよ。むしろ役に立つ貴重なものだ」

マミ「運がよければ、時々魔女が持ち歩いてることがあるの……
   でも、美樹さん。
   これは魔法少女の説明になるわ。
   鹿目さん達にしろ、女の子さんにしろ、
   私は魔法少女になることを勧めようとする気にはならないのだけど…」

さやか「マミさんの気持ちは分かっています。
     でも、あたしも興味本位じゃなくて、叶えたい願いがあるんです。
     だからどれだけの代償が必要になるのか、きちんと知りたいんです」


マミ「そうなの…」

QB「マミ、君は僕を恨んでいるのかい?」

マミ「恨み言はあるけれど…いいえ、恨んではないわ。
   もしも貴方に助けられていなかったら、私はあのとき、死んでたもの」

まどか「マミさん…」

マミ「ただ、私に隠し事をしていたのが悲しいだけ。
   私は貴方を友達だと思いたかった。
   友達だと思っていた」

QB「君の認識では、僕はもう友達じゃないのかい?」

マミ「貴方の認識では、私は初めから友達じゃなかったのでしょう?」

QB「僕には、友達という概念はないよ。
   ただ、決して君たち人類と敵対しているつもりはないんだが……
   でも、そういうことなら仕方がない。
   グリーフシードの回収や、どうしても必要なとき以外は君と会わないようにするよ」

マミ「……ええ」

大分期間が空いてごめん…
ちょっとずつでも日曜ごとに投下できるよう頑張ります


リアルで何かヤバイ事でもあったのかと思ったわ
書けないなら書けないでいいから、そん時は生存報告だけでも頼むぜ


マミ「では、魔法少女の説明に戻るわね。
   私のソウルジェム、ゆうべよりちょっと色が濁ってるでしょう?」

さやか「そう言えば……」

マミ「でも、グリーフシードを使えば、ほら」

さやか「あ、キレイになった」

マミ「ね。これで消耗した私の魔力も元通り。
   魔女退治の見返りっていうのが、これ。
   奇跡を叶えた魔法少女がその後も魔女退治を続ける理由なの」

マミ「あと一度…いえ、半分くらいは使えるはずよ。
   暁美さん、貴方も使う?」

マミ「あなたにあげるわ」 ブン


ほむら「……」パシ


まどか「ほむらちゃん…」

さやか「あいつ…」


ほむら「貴女の獲物よ。貴女だけの物にすればいい」

マミ「…人と分け合うんじゃ不服かしら?」


ほむら「……」ブン

マミ「そう。それがあなたの答えね…」 パシ


ほむら「今晩8時、貴女の部屋に行くわ。魔法少女だけで話したい」

マミ「……ええ」


ほむら「…鹿目まどか、昨日の話、覚えてる?」

まどか「うん」

ほむら「ならいいわ。忠告が無駄にならないよう、祈ってる」

ほむら「美樹さやか、貴女はどうするつもり?」

さやか「あんたにとやかく言われる筋合いはないわよ!」

ほむら「……そう」

女の子「あのー、ほむらさん?」

ほむら「……」

まどか「あっ…ほむらちゃん。あの…あなたはどんな願いごとをして魔法少女になったの?」

ほむら「……」スタスタ

まどか「あっ…」


さやか「くー!やっぱり感じ悪いやつ!」

まどか「さやかちゃん、ほむらちゃんとは仲直りするって言ってたのに」

さやか「そんなこと言ったってさ、まどか。
     話をしようにも、今朝なんてほむらが学校に来るのギリギリで話せなかったし、
     休み時間中だって魔法少女には関わるなー、の一点張りで話のしようもなかったし、
     これじゃ仲直りも何もないじゃん!」

まどか「仲良くできればいいのに」

マミ「……お互いにそう思えれば、ね」


女の子(……そういえば、朝の話のあと、何故かほむらさんが
     急ぐかのように玄関を出て行った、ような……)


──


女性「ここ…あれ、私は?やっやだ、私、なんで、そんな、どうして、あんな、ことを…!」 ポロポロ

マミ「もう大丈夫です、ちょっと、悪い夢を見てただけですよ」 カイホウ


女の子「取りあえず忘れかけていたOLさんは無事のようで何よりです」

さやか「一件落着、って感じかな」

QB「ここの魔女はマミが倒したし、魔女の口付けも消えているから、あの女性に問題はないだろうね」

女の子「あれ、まだ居たんですか?」

QB「酷いなあ。確かにマミと会うのは極力避けるという話だったけど、君達が揃っているからね。
   君達だって今ここにいる以上、魔法少女についての情報がいらないわけじゃないだろう?」

女の子「マミさんも居ることですし、悩む段階で必要とは思えませんが…」

QB「ソウルジェムのことはマミには黙っていたけれど、
   僕に嘘の概念はないし、君達よりは正確に話が出来ると思うよ」


女の子「そういうものですか。
     私には貴方の気持ちが分かりません」


マミ「昨日のことがあったのに、まだ魔法少女に関わろうとするってことは、
   叶えたい願い事があるのよね?」

さやか「……まどかは?」

まどか「ええと……私はまだ…です」

女の子「私もあるにはあるのですが、決めるにはもうちょっと時間が欲しいです」

マミ「まあ、いざ考えろって言われたら、そういうものかもしれないわね。
   でも昨日のことは忘れないでね。魔法少女になるということは……人間をやめるということなのだから」

まどか「はい」

女の子「イエス、マム」

マミ「えっと…」

女の子(いえすとマムが言いました)

さやか「ねえ、マミさん。願い事って自分の為の事柄でなきゃダメなのかな?」

マミ「え?」

さやか「例えば、例えばの話なんだけどさ、私なんかより余程困っている人が居て、
     その人の為に願い事をするのは……」

まどか「それって上条君のこと?」


さやか「たた、例え話だって言ってるじゃんか!」

QB「別に契約者自身が願い事の対象になる必然性はないんだけどね。
   前例も無い訳じゃないし」

マミ「でもあまり関心できた話じゃないわ。
   他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。
   美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの?
   それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの?」

まどか「マミさん…」

マミ「同じようでも全然違うことよ。これ」

さやか「その言い方は…ちょっと酷いと思う」

マミ「ごめんね。でも今のうちに言っておかないと。
   そこを履き違えたまま先に進んだら、あなたきっと後悔するから」

さやか「…そうだね。私の考えが甘かった。ゴメン」


女の子(上条……確か志筑さんのお父さんがそんな姓です)


マミ「やっぱり、難しい事柄よね。焦って決めるべきではないわ」

QB「僕としては、早ければ早い程いいんだけど」

マミ「ダメよ。女の子を急かす男子は嫌われるぞ」

さやか「ふふ、あははは…」

女の子「そろそろお役御免のようですよ。
     今のところ貴方から話す情報もないのではないですか?」


QB「…そのようだね。
   君と暁美ほむらの関係は気になるが、僕が信用されていないのでは仕方がない。
   今は失礼するよ」ヒョイ


──


女の子「マミさんはほむらさんと話し合いをする準備もあるでしょうし、
     私がお二人を送らせていただきます」

まどか「…女の子ちゃんも、まだ魔法少女じゃないんだよね?」

女の子「ええ、ですが私は丸腰ではないですし…、
     ほむらさんにお二人のことを注意するよう言われていたのに、
     魔法少女について、さらに関わらせてしまって
     家に帰り辛い負い目もあります。
     だからちょっとだけ帰宅時間を稼ごうかと」

まどか「それって、どうかな…」

さやか「女の子はほむらの家に住んでるの?
     そういや親戚?」

女の子「ええ、そんな感じです。
     用事で居るだけなので、そのうち帰る予定ですが」

まどか「雰囲気とか、ちょっと似ている……かも」

さやか「性格は全然似てないけどねー」

女の子「ほむらさんは美人なので、似ているというのは光栄です」

さやか「髪の色はまどかだけどね。
    全然違うけどまどかとも似てる気がする……かなあ」


──


ガチャ

ほむら「今晩は、巴マミ」

マミ「今晩は、暁美さん」


マミ「どうぞ上がって、…昨日と変わりないけれど」

ほむら「ええ、お邪魔するわ」


マミ「昨日と同じ葉の紅茶だけど、構わないかしら」

ほむら「ええ」



マミ「…………、どうしたの?」

ほむら「いえ、少し…昔を思い出しただけよ」


ほむら「…でも、今はどうでもいいことだわ。取り引きの話をしましょう」

マミ「取り引き、ね」

ほむら「この街には二十日後、ワルプルギスの夜が来る」

マミ「ワルプルギスって……伝説の魔女のこと?何で分かるの」

ほむら「統計よ、私はそれを倒したい」

マミ「……それが暁美さんの目的ってこと?」

ほむら「ええ、私は貴女の縄張りを奪うつもりなんてない。
     でも、ワルプルギスの夜と戦うまで、この街のグリーフシードを集めることを許して欲しい。
     そして、ワルプルギスの夜と戦うときに協力をして欲しい。
     貴女も、この街をワルプルギスの夜に蹂躙なんてさせたくないでしょう?」

マミ「……」

ほむら「私はワルプルギスの夜を倒したら、この街を出ていく。
     ワルプルギスの夜と戦うまでにグリーフシードを集めるけれど、
     必要な分が揃ったら、それ以外は貴女に渡す。
     ワルプルギスの夜を倒したら、その後は貴女に迷惑を掛けない。
     どうかしら?」


マミ「……少し考えさせて。
   ワルプルギスの夜を一人では倒せない。
   情けないけれど、今の私が中途半端な気持ちで協力しても、やっぱり倒せるとは思えない」

ほむら「……」

マミ「…暁美さんは、私と比べてもベテランという感じね。
   自分がソウルジェムだって、いつ気付いたの?」

ほむら「……」

マミ「今まで暁美さんは一人で魔女と戦い続けてきたの?
   それとも、例え魔法少女ではなくとも、女の子さんのような理解者が居たのかしら?」

ほむら「あの子は会ったばかりよ……関係のない子だわ」

マミ「そうなの…どことなく暁美さんと雰囲気が似ているけれど」

ほむら「親戚よ。
     少しの間、泊まりに来ただけで、すぐに帰るわ」

マミ「ねぇ、暁美さん。
   あなたがどうしても引っ越さなくてはいけないということではないのなら、
   見滝原で魔法少女を続けるってことは出来ないのかしら。
   私は迷惑だなんて思わないし、協力をして街の平和を守れるなら、素敵なことだと思わない?」


ほむら「………………それには及ばないわ。
     ひとつの街に魔法少女は一人いれば充分よ」

マミ「そう…」

ここまで

>>249
…生存報告は心掛けます、マジごめん

────
──

(ほむほーむ)



女の子「ただいまです……って、
    上半身だけベッドに突っ伏してどうしたんですか?
    見方によっては前衛的といえなくもない格好です」

ほむら「まどかの匂いがする……」

女の子「顔を枕で隠したままそんなことが分かるんですか?」

ほむら「…質問の意味が分からないわ。
    とても一般的なスキルだと思うのだけれど」ファサ

女の子「一般的な人類は香りで人物を特定したりはしません。
    というか、その状態で後ろ手で髪をかきあげるとか、
    器用ですね……
    まったく、中の人でさえ結婚できたというのに
    ほむむ木さんときたら……」

ほむら「何よ、ほむむ木さんって」

女の子「まったく、ほむむむむむむむむ木さんときたら……」

ほむら「言い直して間違えるの?」

女の子「ついでに言えば、
    こういう場合は最後に噛みました、と、
    小さな子供の間違いを装って受け答えするのがマナーのようです。
    って、どうしたんですか?
    総合的に判断すると、ほむらさんは酷く落ち込んでいるようにも見えますが」


ほむら「酷い態度を取った。
    きっとまどかに嫌われたわ……巴マミにも……」


女の子「お母さんについては、
    帰りに話した感じだと嫌われていないようですが。
    むしろ、まだ友達になれたらいいな、と思われているようです」

ほむら「……………………そう、まだ足りないのね」

女の子「何か足りないのですか?」

ほむら「……なんでもないわ」

女の子「お母さんは問題ないとして、
    後は巴マミさんですが……
    交渉すると言っていましたが、上手く行かなかったのですか?」

ほむら「ワルプルギスの夜に対して、
    協力の確約は得られなかったけれど……いえ、少なくとも悪くない。
    巴マミは魔法少女に向いていない。
    強力な魔女に対しては戦いを避けるくらいで丁度いい。

    巴マミが慎重な戦いをしてくれるならば、
    この街に生きるまどかにとって良い結果となる。
    彼女には出来る限り長く見滝原を守り続けて貰いたい……」


女の子「良かったじゃないですか」

ほむら「でも、きっと冷たい奴だと思われている」

女の子「なら、仲良くすればいいじゃないですか。
    理屈は置いておいて、
    人を動かしたいのであれば、仲良くすべきですよ。
    ことここに至っては、
    マミさんに事情を打ち明けた上で協力を求めてもいいのではないですか?
    常に人は話さなければいけないのです。

    誤解されたと思うならば、話すべきなのです。

    人は話すべきなのです。
    誤解を解くために。
    あるいは、正しい認識を誤解させるために話さなくてはならないのです」


ほむら「女の子」

女の子「はい」

ほむら「あなたは未来の私を知っているのよね?」

女の子「はい」

ほむら「ならどうして………………………………
    ………………………………………………
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    ………………………………………………
    ………………………………………………
    ………………………………………………
    ………………………………………………
    ………………………………………………
    ……………………そうね、
    貴女の『暁美ほむら』は、そうなのでしょうね…」

女の子「どうしたのですか?」

ほむら「いえ、何でもないわ」ファサ

女の子「上半身をベッドに突っ伏して、
    頭を枕と布団に埋めて、
    なおかつ髪をかきあげる仕草というのは
    クールを通り越して
    新種の生物のようにも見えなくもないです」


ほむら「……巴マミがワルプルギスの夜に協力するかはともかく、
    このことについて、まどかやさやかに、
    或いはキュウベエに口外しないことを約束してくれた。
    そして、このことを理由にして
    まどかやさやかを魔法少女に引き込まないようにすることも約束してくれている……」

女の子(……スルーされた!?)


ほむら「……私はこれからしばらくの間、
    魔女を倒してグリーフシードを集めることに専念する。
    それから、佐倉杏子と共闘するために
    隣町へ行って協力を要請する」

女の子「はい」

ほむら「女の子…………貴女は、
    魔法少女になる資格を持っている。
    どうするのか、決めている?」

女の子「それなりに魅力のある話なのですが、悩んでもいます」

ほむら「…貴女が賢明な判断をすることを祈ってる。
    少なくとも、まどかやさやかがが魔法少女になることには反対なのよね?」

女の子「はい。
    私がこの時代に来た理由は自分の為ではありますが、
    ほむらさんと協力してワルプルギスの夜を倒してお母さんを
    助けることも目的です」

ほむら「なら、いいわ。
    このまままどかとさやかの監視を続けて。
    万一、契約しそうな局面になったら、諌めて。
    ……上手く行くよう、祈っている」


女の子「……はい」

ここまで
次くらいに3話が終わります


01

────
──

(体育館裏、昼休み)



女の子「──と、いうことがありまして……」

マミ「ここのところ、暁美さんが休んでいるのは、
   佐倉さんを説得しようとしていたからなのね?」

女の子「はい。
    ほむらさんはマミさんに嫌われたんじゃないかと気にしているようでした。
    あ、その出し巻き卵を何かと交換してくれるとありがたいです。
    ふわふわしていて美味しそうです」

マミ「それじゃあこれと……って、
   今日はレトルトで作ったものが多めなのね」


女の子「最近忙しいらしくて、深夜に帰ったっきり、
     朝にまた出ていくということが多いようです。
     もぐもぐ、やっぱりマミさんの作る料理は美味しいです!」

マミ「まったくもう……私は暁美さんにいろいろ教えられたし、私から怒ることなんてないわ。
   どちらかといえば、私が暁美さんから『ワルプルギスの夜との戦い以外では組まない』って
   言われたから、暁美さんに嫌われてしまったと思っていたのだけど」

女の子「それは不可解ですね。
     ほむらさんは、ワルプルギスの夜の討伐後も、
     マミさんからの協力は欲しいでしょうし、申し出を断る理由がありません」


マミ「……暁美さんが冷たいのは、単純に私と話して楽しくないからなのかしら」


女の子「そんなことはない…と思います。
     なんでほむらさんが今更にしてマミさんと仲良くできないか分かりませんが、
     おそらく、いっぱいいっぱいなのです。

     本当のところは、きっと仲良く先輩後輩をしたいと思っているはずです。
     案外、あれでも人気のない橋の下とかで
     ゴルフクラブを使ってドラム缶を叩いて
     威力練習をするところをマミさんに見て貰いたかったりするかもしれません」

マミ「ええと、なにそのピンポイントな……」

女の子「ほむらさんは嬉しそうに自分の魔法を披露するんですけど、
     体力がなくて、すぐに疲れて、ハンカチを敷いて座り込んでしまうんです。
     それを見てマミさんは呆れるんですけど、
     心からそう思ったわけではなくて、
     どうすればほむらさんの魔法を強化してあげられるのか、
     考えてあげたりするんです。

     勿論、これは魔女との戦いに必要になることなので、
     真剣にならなければいけないのですが、
     それでも、その空気は悪いものではなくて、
     仲間同士、友達同士で助け合えるように、
     頑張るんです」

マミ「なんだか具体的な気がするけれど
   ……これは女の子さんが考えたの?」


女の子「考えたのはお母さんです。
     マミさんとほむらさんが一緒に戦ったり、訓練をするのなら
     こんな感じかなって話してくれたことがあるのです。
     私の私見では、ほむらさんはあんな感じで、
     簡単に弱みを見せる性格とも思えないので、
     空想の域を出ないものだと思っていますが」

マミ「……言いたいことは色々あるけれど……
   というか、暁美さんと女の子さんって一緒に住んでいたのね。
   暁美さんは東京の学校から転校したと言っていたけれど、
   女の子さんの家に下宿してるとか、そんな感じなのかしら?」

女の子「おっと、言い過ぎたかも知れません。
     まあ、不審に思う箇所はいつもの設定だと解釈していただけると楽でいいです」


女の子「まあ、そんなわけで
    ほむらさんはマミさんに対して悪気を持っていません。
    とてもコミュニケーションが不器用なだけで。

    何か引っ掛かるような気もしますが、
    勘で話しても仕方ないです。

    あれでも格好つけなので、弱いところは見せたくないのです、多分。
    ほむらさんは口では強がっても、
    お母さんと喧嘩をすると、後から物陰でしくしく泣くくらいメンタルが弱いです」


マミ「私の前では一切そういう素振りは見せなかったのだけど……
   暁美さんの面白い格好……見たい気もするし、見るのが怖い気もするわ」


女の子「実際に面白いですよ。
    シリアスな笑いということでは進撃の巨人ほどではないですが、
    深刻な話であったり、我慢しなければいけないという状況であるほど
    突っ込みを抑えようという難易度があがります。
    人生とはかくも簡単にはいかないものです」

マミ「良く分からないけれど……」


マミ「暁美さんは佐倉さんの説得に向かっていて…
   暁美さんがそういう性格だったとして、佐倉さんはどうするんだろう」

女の子「……」


マミ「暁美さんと佐倉さんは、どうやって知り合ったのかしら。
   いいえ、風見野にいる佐倉さんの噂は見滝原まで届いている、
   佐倉さんが噂通りの生き方を続けているのなら、
   知り合いでなくとも、知っていておかしくない」

マミ「暁美さんは私と組まない。
   佐倉さんが暁美さんと組むのなら、
   きっかけが出来て、私は佐倉さんとも、暁美さんとも仲良くできる?
   いいえ、どちらからも拒絶されるかもしれない……」


女の子「マミさん?」

マミ「女の子さん……あなたは、
   見滝原には、少しの間しかいないのよね。
   暁美さんが言っていたけど、すぐに帰るって……」

女の子「はい、そんな感じです」

マミ「そう……そう、よね」


──────
────
──

(???)








さやか「まどか!見て!」

まどか「あれは……!?」









────


女の子「───というわけでですね、晩婚化や高齢出産というのは
    個人にとっては問題ですが、
    全世界的にその傾向があるのならば、
    人類全体にとって必ずしも悪いことではないのです。
    簡単にいえば、人類の個体寿命が延びます。

    この現象は理論的にも分かりやすいですし、
    動物実験でも確かめられています。

    実験といっても、雄と雌を隔離して育て、
    意図的に交尾の機会を遅らせた交配を繰り返すだけですが。

    交配間隔の短い昆虫ではすぐに効果が確かめられました。
    ラットでも数百世代を使って2倍以上の寿命を延ばすことが出来たそうです。

    動物にもそれぞれ老衰というものがあって、
    本来は延命処置をしても老化などで死んでしまうはずの種でも
    この実験のように遅い交配を繰り返すと本来の限界を超えて
    寿命の延びる個体を作ることができるわけです。
    というわけで、全世界的に晩婚化、高齢出産化が起こるならば、
    人類という種の個体寿命は最終的に間違いなく延びます。

    まあ、この話の落とし穴は、
    高齢でも正常な遺伝子を残せる個体を
    意図的に生存の要件に組み込むことで
    ダーウィン的な適者適存の環境を作りだしたというだけのことですから、
    個人にとっての高齢出産はリスクにしかならないという
    状況に変わりがありません。
    実験も、ようは生き残れない個体が大量に出産される中、
    少数のサラブレットを再度繁殖させて繰り返すということに過ぎませんし、
    自ら試す気も、その環境に置かれることも
    出来れば御免被りたいものではあります。
    結局は役に立たないのだから
    考えても仕方のないと言われるとその通りですが、
    身近にそういう候補になりそうな人がいると、
    どうしても考えてしまいます。

    そもそもダーウィン的な淘汰というものは
    遺伝子工学が進んで、
    人為的に発生させることができるなら、
    方法としては時代遅れになります。
    ここら辺を語らせるならば、
    私などよりも、むしろ志筑さんが徹底していて……」

マミ「えーっと…」


マミ「どうして私達は魔女を探そうとしながらこんな話をしているのかしら……」

女の子「仲良くなってきたら年頃の中学生は雑談をするものだと認識していますが、
    何か問題でもあったのでしょうか?」

マミ「年頃の中学生は高齢出産が人類に与える貢献なんてことを考えないと思うわ」


女の子「時代によって流行は変わるものですし…
    まあ、私も今まで志筑さんくらいしか親友というほど親しい同年代の人もいませんでしたから、
    偏りがあるかもしれません。
    私の話はまだ薄いほうだと思いますが」

マミ「えーと、志筑さんって人と会うのが怖いわね……」


    prrrr prrrr


女の子「おっと…電話です。もしもし……


    お母さ…まどかさん!?」


────
──


(お菓子の魔女結界)



さやか「まどかはさ、付いて来なくても良かったのに……」

まどか「…さやかちゃんを、一人には出来ないよ」


QB「今となっては、別れて行動するほうが危険だ。
   マミへの連絡も出来たようだし、グリーフシードも孵化していない。
   結界内にあるグリーフシードを見張るなら、
   使い魔に見付からないように、気をつけて」


まどか「……マミさんの番号、あとで聞かないと……」

さやか「でも、マミさんとは連絡が取れたんでしょ?」

まどか「うん、女の子ちゃんの携帯にかけたら、
    マミさんも一緒にいて、すぐに来てくれるって」

さやか「うんうん、さっすがマミさん、頼りになる!
    それに比べて転校生なんか相変わらず何を考えているか分からないし、
    学校だって来てないし……」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫かな……」


さやか「しっかし、いつ見ても気色悪い場所だなー」

まどか「魔法少女になったら、
    いつも、こんなところで戦わなければいけないのかな……」


QB「そうさ……まどかは怖いのかい?」


さやか「怖くない奴がいるかってーの。
    いつ死ぬか分からないんでしょ?
    だから魂と体を分離させちゃうっていってたじゃん」


QB「安全は常により高い目標を目指す必要があるからね。
   君たちを考えた上でのことさ」

さやか「大きなお世話よ」


QB「君達はマミやほむらの心配をしているようだが、
   彼女達は魔法少女であるし、魔女に対する知識も持っている。
   それより、危険なのは君達だよ。
   願い事があれば今ここで君達を魔法少女にしてあげることもできるんだが……」

さやか「本当にやばくなったら頼むかもね。
    でも、今はやめとく。
    私にとっても大事な事だから。
    出来る事なら、いい加減な気持ちで決めたくない」

QB「…まどかも同じ気持ちかい?」


まどか「うん……」


まどか「……ほむらちゃんは、どうして私たちを魔法少女にしたくないのかな…。
    こんなところ、一人で戦うなんて嫌なはずだよ。
    自分がソウルジェムだなんて知ったら、なおさら不安になるはずだよ……」

さやか「……」

QB「彼女は極めつけのイレギュラーだからね。
   僕にも存在の分からない魔法少女なんて、前例がないことだよ」

さやか「女の子のことも、キュゥべえは分かってなかったようだけど」

QB「魔法少女と、魔法少女の資格を持つだけの少女とでは全く違うよ、さやか。
   僕は全人類を把握しているわけではないし、
   魔法少女候補の見落としは起こり得ることだ。
   それに女の子は魔法少女としての才能も低い。
   僕の姿を見えるギリギリのラインだからね、
   今まで彼女の存在に気づかなかったのは不思議というほどのことではない」

さやか「なにそれ。魔法少女にも才能ってあるの?
    例えばあたしがマミさんみたいに戦おうとしたらどうなるの?」

QB「マミは才能もあるしベテランだからね。
   魔法の相性というものもあるし、同じように戦うのは難しいんじゃないかな」


さやか「ずーるーいー!
    不公平だー!!」

QB「とはいえ、女の子に比べれば才能はあるし、
   魔法少女の全体でみても低いというほどではないよ。
   それに、一人では不安だというなら、
   マミよりずっと優れた才能を持つものが、すぐ傍に居る」

さやか「誰よそれ」

QB「鹿目まどかさ」

まどか「ふぇ!?」

さやか「キュゥべえ、その話、本当なの?」

QB「ねえ、まどか。君が魔法少女になるなら、
   マミよりずっと強い魔法少女になることができる。
   暁美ほむらや女の子が何を企んでいたとしても、
   きっと、ものともしないだろうね」

まどか「う……嘘だよ……私なんかにそんな力、あるわけないよ……」

QB「いや、僕は───」


マミ『鹿目さん、美樹さん、聞こえる?』


QB「マミ!」

さやか「マミさん!」


マミ『今、結界の前にきたところ、
   そっちの状況はどう?』


────
──




マミ『……ええ、わかったわ。待ってて』

女の子「相変わらず結界内はおどろおどろしいところです…」

マミ「病院の前に現れたって聞いて、びっくりしたけど、
   まだ犠牲者も出ていないようで良かったわ。
   ……このまま孵化して、病気で弱った人の生命力を吸い上げられたら、目も当てられないことになる」

女の子「二人とも無事なようで良かったですね。後は魔女を倒すだけです。
    ヒャーッ!ティロフィナーレだァ!!燃え尽きるほどヒット!!!」.

マミ「それはどういうキャラなの……?
   ハァ……無茶し過ぎ…って怒りたいところだけど、今回に限っては冴えた手だったわ。
   これなら魔女を取り逃がす心配も……」



スタスタ



女の子「ほむらさん!?」

マミ「暁美…さん」


ほむら「今回の獲物は私が狩る。貴女達は手を引いて」

マミ「そうもいかないわ。鹿目さんと、美樹さんを迎えに行かないと。
   ……それと、キュゥべえも」

ほむら「二人の安全は保証するわ。
    もう一匹の保証は出来かねるけど」

マミ「暁美さん、もう一度聞くわ。
   私たち、ワルプルギスの夜以外にも協力出来るの思うの。
   そうしない?」

ほむら「くどいわね。
    …私は嘘をつきたくないし、出来もしない約束もしたくない。
    私はあなたの力になれない。
    そこをどいて…この魔女は私が狩る」

女の子「ちょっと、ほむらさん、その言い方は…」

マミ「そう…そうなの……」


シュルシュル


ギュゥ


女の子「マミさん!?」

ほむら「と、巴マミ!何を……」


ギュウゥッ


ほむら「くっ…」

マミ「体を動かそうとすれば、動かそうとするほどきつくなるわよ」

ほむら「ば、馬鹿。こんなことやってる場合じゃ」

マミ「もちろん怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保障しかねるわ」

ほむら「今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う」

マミ「結界をでるときに、ちゃんと解放してあげる。
   行きましょう、女の子さん」


女の子「ちょ…どういうことなんですか!?」 ダッ


ほむら「待っ……くっ」 ギュゥゥ


女の子「マミさん!
    何でほむらさんを縛ったんですか!」

マミ「暁美さんに展開しているリボンは
   簡易的な結界の役割も果たしているわ。
   暁美さんは無事だし、あなたが暁美さんの傍にいたいなら、そうすることもできる」

女の子「そういうことでは……」

マミ「……暁美さんは私と一緒に戦うつもりがない。
   女の子さんは、魔法少女になるかどうかに関わらず、見滝原市に長く居ない。
   佐倉さんは戻ってきてくれるか分からない。
   鹿目さんも美樹さんも魔法少女になるか分からないし、私は彼女たちを魔法少女にしたくない。
   キュゥべえは私に秘密を持っていて、友達だと思っていたのは私の誤解だった」

女の子「………」

マミ「私は一人で生きていかなければならない。
   なら、私は自分で見つけた魔女を一人で倒さなければならない。
   違う?」

女の子「それは理屈ですけど…」

マミ「暁美さんには悪いけれど、
   これから一人きりで戦い続けることができなくなっちゃうから。
   …だから、私が遭遇した魔女は私が倒す。
   私には、それしかないもの。
   いいえ、それも……」


女の子(ほむらさんがわざわざ交代を提案した以上、
    マミさんでは相性の悪い魔女の可能性もある。
    どのような魔女がでてくるのかまでは分かりませんが、
    私が代役になれるかどうか…)


マミ「ねえ、女の子さん」


女の子「はい」


マミ「あなたが何度か言っていた設定の話。
   並行世界が何かとか時間軸とか……良くは分からなかったけど」

女の子「はい」

マミ「その話では、ご両親や、ほむらさんも登場しているようだけど、
   私もその話の中に出てくるのかしら。
   私と女の子さんが知り合ったのは最近だから、そこまでは考えられてない?」

女の子「話をややこしくしたくはないので設定ということになりますが、
    マミさんのことは話でしか聞いたことがありませんでした。
    お母さんの話では優しい先輩で、たくさん助けてもらったと聞いています」


女の子「格好良くて、強くて、ずっと憧れてたと言っていました」

マミ「格好良くも、強くも、優しくもないわ、
   憧れるほどのものじゃないわよ、
   私……」

女の子「……」

マミ「理想みたいになれるように無理して格好をつけて、
   それでも、そうはならなくて、
   怖くても辛くても、誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり……」


マミ「私は思うの。
   こんなときに一緒に戦ってくれるって、
   魔法少女になって傍にいてくれるって、
   言ってくれる仲間がいたらどれだけ嬉しいだろうって」

女の子「……」

マミ「私はその子に比べれば、ずっと先輩なのに、泣いてしまうかもしれない。
   まだまだ先輩ぶっていなければいけないのに。
   私は自分をダメな子だなあって思うんだけど、それでもその子は傍にいてくれようとするの」

女の子「それは……」

マミ「一緒に戦ったり、一緒にお茶をしたり、新しい技を作るために練習をしたり…
   ずっとそうなりたくて、
   そうなれると、心から思えたときもあったのに、
   そうはなれなくて……。
   どうしてかなあって思うのだけど、
   そんなことを思っているのだから、
   私は正義のためとか、街を守るためとかそういうのじゃなくて、
   やっぱり寂しかっただけなんだなあって」


女の子「本当の無私なんて少ないものです。
    マミさんがそのことについて、自分を責める必要はありません」


マミ「理屈ばかり言って、私は別れてしまった。
   本当は私も、自分の為だけに魔法少女をやっていたのに」

女の子「それは、悪いことなのでしょうか」


マミ「恰好だけが残って、
   ええ、それでも……魔女は倒すわ。
   魔法少女なんていいものじゃないけれど、
   暁美さんのやっていることがうまくいけば……ほんの少しなら、彼女と一緒にまた、戦えるもの」




女の子(マミさんがまだ希望を持っていたとしても……無理をしていることは明らかです)


女の子(私は思い上がって、
    ある程度の情報を知っているから、
    ほむらさんの能力を一部使えるからと言って
    簡単に協力者になれると思った。

    力を振るえば、知恵を見せれば、
    単純に人を救えるものだと誤解していた。

    そんな単純なものではないのに。

    継続して、共に居続けるという決意もないのに
    ただ自分の都合で関わった。


    何もしないよりはいいかもしれない。
    一時的にせよ、居ないよりはマシかも知れない。

    誰も私を責めないかもしれない。

    でも、安全なところから
    好き勝手に振る舞うことが、

    責められなくて
    悪くなくて
    自由として認められていて、
    居ないよりはマシだったと
    感謝されるようなことかも知れなくても


    私は、


    私はそれを卑怯だと思ってしまいます)


女の子(私がこの時間軸に来たのは、
    自分の為でしかありませんが、
    関わった以上はなんとかするべきです。

    私はずっとここに居続けることができない。
    口だけで約束をするのは簡単ですが、
    ここで一時凌ぎに嘘をついたところで意味のないものです。

    となれば、ほむらさんは何をしているのでしょう?
    ほむらさんこそ、本来ならば協力者としてマミさんと居続けることが出来るというのに。

    もちろん、最優先するのはお母さん、つまりまどかさんだったとしても、
    同じ魔法少女としていくらでも共感できる要素があるはずですし、
    そもそもほむらさんだって、ずっと独りで戦い続けられるほど強くない───


    …………?)


女の子「あれ?」

マミ「どうしたの?」

女の子「あ、いえ、こちらの話です」

マミ「?」


女の子(…やはり、引っかかります。
    違っている?
    私の考えていることには誤差がある?

    ほむらさんには内緒にしていて、
    全く別の時間軸のように話しましたが、
    この盾で移動したこの平行世界は私たちの元いた世界と、
    同一といっていいほどに近似しているのです。

    私の目的はほむらさんの本当の気持ちを探ることですから、
    そうでなければ、私の世界のほむらさんと、移動した先の世界のほむらさんとでは、
    考え方が変わってしまう可能性も有り得ます。

    だから、ある程度は未来の結果に合わせて
    今の性格も予測することが考えられますが、その前提は違っている?


    もしかしたら。

    いえ。

    そうか。

    こんな間違いを冒すとは。

    未来がそうだからといって、
    ほむらさんが生き残るということに前提を置き過ぎた)


女の子「そうだ」

マミ「本当に、どうしたの?」

女の子「いえ、やっぱりこちらの話なのです」

マミ「えーっと…」


女の子(話すことには誤解を解く効果と、誤解させる効果があります。
    私はほむらさんが、お母さんやさやかさん、マミさんと
    友好的ではない行動を取った時に、それをほむらさんのミスだと思いました。
    でも、ほむらさんは正しく行動をしていたとしたら。

    私がマミさんと一緒にいますと言えば嘘になってしまうように、
    ほむらさんにとっても、一緒に戦うといえば嘘になってしまうとしたら。


    お母さんを助けながら、
    ワルプルギスの夜を倒すというのは、
    私が思うよりも遙かに難しいことなのではないでしょうか?


    私の世界でのほむらさんは、
    ワルプルギスの夜を倒して生き延びていて、それが当たり前だったから気付かなかった。


    私は今まで、ほむらさんは命掛けで戦っていると思ってました。
    それは、恐らく、違う。

    ほむらさんは命を賭けていない。
    ほむらさんの命は作戦上で捨てるものとして、とっくに織り込みが済んでいたのです。


    だからほむらさんは
    他のほむらさんを助けるためにワルプルギスの夜を越えた後も
    戦い続けるしかなかったし、
    ほむらさんが、お母さん、鹿目まどかのことを、
    代理だなんて思うわけない───

    ほむらさんにとって、
    自分の命はお母さんよりも遙かに低いものなのだから。


    ほむらさんにとっては、選択する余地は最初からなくて、
    それですら、命をかけるどころか。
    命を捨てることを前提の上で作戦を立てなければならないのだから)


QB『マミ!グリーフシードが動き始めた!孵化が始まる。急いで!』


女の子「!?」


マミ「……わかったわ。
   鹿目さんも、美樹さんも結界にいるままなのだし、気持ちを切り替えなきゃね。
   今日は、速攻で片付けるわよ。
   行きましょう、女の子さん」

女の子「…………はい」

ここまでです。


改行、空白について。
携帯端末などを使っていて、こちらの意図しない改行と重なって見えづらいという場合には、4話から調整します。
こちらの意図した見え方である場合、今回はこうしようと意図してやっているので直らないです。


女の子のセリフが長いことについて。
このSSでは直らないです…


昨日、待った人はすみません
小分けにした時もなるべく『ここまで』の投下終了のレスをいれます。

まだか

>>298

× 私たち、ワルプルギスの夜以外にも協力出来るの思うの。

○ 私たち、ワルプルギスの夜以外にも協力出来ると思うの。



>>321-327
マジごめん…なんとなく遅れてたら言い辛くなってしまった

楽しみにしてくれてありがとう

投下します


女の子(ほむらさんに余裕がなかったとしても、
    マミさんへの話し方は、とてもワルプルギスの夜を越えたら、
    また仲良くしよう、関係をやり直そうというものではない。

    彼女は何もかも捨てている。

    どうして?

    ワルプルギスの夜が私の仮定よりも強力だったとしても、
    見滝原にいる魔法少女で倒すことが不可能なほどではない。

    魔女そのものは大きな脅威ではないはずです。


    おそらく、キュゥべえによって起こされる、
    他の魔法少女との確執は私が思うよりも大きな要素なのでしょう。

    ほむらさんがワルプルギスの夜と心中するつもりか、
    或いは他の平行世界に移動するのかその算段は分かりませんが、
    ここに留まるつもりのないことは明らかです。

    私は──)


マミ「……」ドンッ

使い魔「」

マミ(ショックを受けていても、体はいつも通りに動くものね……)

マミ(私は暁美さんを突き放してしまった。
   でも、これは仕方がないことで──)


マミ(……私は、一人ぼっちだ)


まどか「あっ」

マミ「お待たせ」

さやか「はぁ、間に合ったぁ」

女の子「私もいます」ドヤァ

まどか「あはは…」


ガタン


キュゥべえ「気をつけて、マミ!出て来るよ!」




──(お菓子の魔女、シャルロッテ)──




シャルロッテ「……」ヨチヨチ


女の子「随分小さい魔女ですね……」


マミ「小さくても、油断しちゃだめよ。
   そうだ、女の子さんはこの前のゴルフクラブを持ってきてる?」

女の子「はい…何に使うんですか?」ワタス

マミ「前と同じ結界を張るわ」トン


女の子「えっ!?」

さやか「うおっ」

まどか「ひかりが周りに…」


マミ「この中なら安全よ、ちょっと待っててね」


女の子「えっと! 出られないのは困りま」アセアセ


マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせて……もらうわよ!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」 ドンッ


シャルロッテ「」


シャルロッテ「(本体)」ニュッ


マミ「あ」




カチッ


ガブゥ


さやか「あぁ!」

まどか「さやかちゃん、見て!」

さやか「マミさん! …女の子も?!」


マミ「私、生きてる……、女の子さん!?」

シャルロッテ(本体)「」ギロ

マミ「ひ」



カチッ


シャルロッテ(本体)「」ピタ


女の子「…なるほど、こう使うものですか」

マミ「女の子さん、どうしてここに ……魔女も、周りも動いてない」

女の子「ええと、すみません。足首を掴みながら言うのもなんですが、
    起き上がらせて貰えませんか?…痛くて無理です」

マミ「ええと……」

女の子「そんな感じで…触ったままでお願いします。
    離すとマミさんの時も止まってしまいます」

マミ「どういうことなの……?」


女の子「いやあ、設定だけで使う機会がないかもと心配してしまいましたが、
    独立盾の能力です。借りものではありますが」

マミ「鹿目さんも美樹さんもキュゥべえも止まってる…これではまるで」


女の子「時間を止める能力。これがほむらさんの魔法なのです」


マミ「時間停止…」

女の子「はい、私はほむらさんほど長く時間を止められないので
    急ぐ必要があったのですが、間に合ってよかったです」


マミ「凄い…魔法ね」


女の子「それが、そこまで良い能力ではないのです。
    種明かしをしてしまうと歓迎されない可能性は高いです。
    それでも魔法少女という特性上、ほむらさんは信じて使い続けるしかない」ズルズル

マミ「どういうことなの?」


女の子「一般的な感覚を時間停止に持ち込むと、それより遥かに低い領域ですら、
     本来の感覚器でそれを受け止めるには大きな問題があるのです。

     例えば視覚についても、ある程度時間が遅くなれば、
     私たちは光源に近づくたびに青方偏移、光源から遠ざかるたびに赤方偏移を観測します。

     それほど速くない場合でも、たった2倍の感覚で行動する場合ですら、
     光受容体への刺激が減るのですから、照度の体感は半減します。

     もちろん、完全に時間が停止すれば光を受けることもなく、
     光の刺激から視覚を得るという選択はなくなります」


女の子「ほむらさんによれば、
     プランク時間よりも、さらに細かく圧縮された瞬間内では、
     バルクへの綻びが大きくなり、別ブレーンの影響を受けやすくなるそうです。
     私たちの体は虚数粒子によって一時的に変換されることで、
     本来の時間の流れとは別の基準軸を持って、停止した時間の中を行動できるということです。

     ほむらさんの仮説の当たり外れはともかく、
     私たちは時間の止まった空間内を違和感なく動いていますが、
     少なくともその体感は見せかけだけで、
     既存の生体機構とは全く異なった感覚器と原理をもって行動していることになります。

     以前に私達は意識の断絶について話しましたが、それは魔法でも起きているのかもしれません。
     知らないうちに、大きなリスクを払っているのかもしれない。

     この世界に確かなものは少ないです」


マミ「……」


女の子「世の中には、拠り所に出来るものは少ないです。
     意識は生存競争の果てに生まれた仮初めの錯覚にすぎないのかもしれません。
     意識の不滅や連続性は私達に認められていません。

     信じたいものがあっても、前提となる根拠はぼろぼろ、
     意識は錯覚で、体はひとやまいくらの水に炭素に無機物です。
     必ず死ぬことが約束されていて、誰とも本当に分かり合えたか分からず、
     個人は個人のままで一生を終えます」


マミ「女の子さん」

女の子「はい」

マミ「要するに、どうしようもないってこと?」

女の子「現代科学の解釈でいうのなら、
     進化は人の心のありようや倫理を考慮しなかったというだけです。
     生き残るのに便利だから意識が存在しているということで、
     存在の前後が逆なのです。

     それでも、それは今を楽しまなくていいですとか、
     孤独になるための理由になるとか、そういうことにはなりません。

     そこに救いがあるという意味づけは本人による解釈に過ぎませんし、
     そこに救いがないという意味づけも本人による解釈に過ぎません。

     何の保証もないからと言って、
     それは思っていたことや今まで行動してきたことが無意味だったということではないのです。

     見滝原が平和なのは、そのいくらかはマミさんがいることに関係しています。
     そこにマミさんの都合がいくらか入っていたとしても、
     それは責められるようなことではありません。
     誰だって自分の都合で動いている。

     恥ずかしいと思うことはあっても、それはただの感情です。
     それは教訓ではなく、正しいかもしれないし正しくないことかもしれないのです。

     時間はしばしば延びたり、縮んだり、
     あるいは止まったりすることを私たちは観測出来ます。
     それに意味を付け加えるのも、付け加えないのも自分しかないのです。
     ちなみに、ほむらさんの魔法は内緒らしいのでQBや他の人たちに話さないでくれると助かります」


マミ「………………急いでいるのではなかったの?」

女の子「話すのは別腹!別腹です…といいたいのですが、実のところ限界が近いです。
      もう痛くて、意識が…」フラフラ


マミ「肩が外れてるじゃない。今治療するから」

女の子「助かります。どうも痛いと思ったら、そうだったのですか。
    やはり私がマジカルベレッタを使うには無理がありました。
    ほむらさんが無理矢理盾に収納していなければ私はゴルフクラブを破壊できず、
    結界を解除出来なかったので結果オーライと言えますが、
    ギリギリでしたし……私に大ダメージです」

マミ「それも魔法…なの?」

女の子「無関係とは言えませんが、鉄の感触を魔法とは一概に言い辛くあります」

マミ「あ、今の姿勢で動かないで。ちょっと我慢してね」グッ

女の子「はい?」



ゴッキン!



女の子「あああ゙あ!!!」


シャルロッテ(本体)「」パチ


マミ「ティロ・フィナーレ!!!」ドンッ!


シャルロッテ(本体)「」ニュ


シャルロッテ(本体)「」キョロ



マミ「女の子さん!もう一回、時間を止められる!?」

女の子「まさかの物理治療!?痛いです!」

マミ「いいから!
   魔女が私に向いているうちに、結界を張り直す」

女の子「私達の方向が分からなくて魔女も混乱しているようですが…
     このままだと、魔女が標的を変更する可能性があるということですね、わかりました!
     マミさんはほむらさんへの拘束解除もお願いします、
     ほむらさんが来るまで、なんとしても持たせます!」




シュタ




ほむら「……その必要はないわ」スタ


さやか「転校生!」

まどか「ほむらちゃん!」


シャルロッテ(本体)「」クァッ

ほむら「こいつを仕留めるのは、私」



ドカンドカンドカン

シャルロッテ「」

シュゥゥゥ…



マミ「苦戦した魔女をあんなに簡単に……」

女の子「爆弾でワンサイドゲームとはなかなかエグいものです」



ほむら「拘束が解除されたから、てっきり巴マミがやられたものだと思ったけど…生きてたみたいね」ファサ


さやか「転校生、そんな言い方ってないだろ!」

マミ「……魔女に襲われたとき動転してて、拘束魔術維持の魔力が持てなかったの。
   貴女が来てくれなかったら、危なかった」


ほむら「鹿目まどか、美樹さやか、これで懲りたでしょう。
     魔法少女が死ねば、その場に居るもの全てが犠牲になる。貴女達も死ぬところだった。
     魔法少女は貴女達が考えているようなものじゃない。
     それでも分からないような……愚か者が相手なら、私は手段を選ばない」

さやか「……ッ!」

まどか「ほむらちゃん……」


ほむら「……」スタスタ


さやか「感じ悪いなー、転校生のやつ!」

まどか「仲良くなれないのかな…」


マミ「……うん」

マミ「女の子さん、鹿目さん達をお願い!」ダッ


女の子「えっと、その前に肩の…って、完治してる!?
     はい!お母さ…まどかさんとさやかさんは無事に家まで送り届けます!」


QB「………」


女の子「…どうしたんです、さっきから黙って」

QB「女の子……君は……」


女の子「……」

後、ちょっとだけど明日に回します



────
──



キュゥべえのことも知らなくて。

他の魔法少女のことも知らなくて。

せめて戦いなら役に立つと思っていた、私の甘い考えは全くの茶番に終わった。

これでも自信を持ってたはずなんだけどなあ。

私の一生懸命なんか、全部無駄だったのかもしれない。

追いかけてどうしようというのだろう。

何でも知ってるような暁美さんと比べて、私は全く不完全で、駄目な子なのに。


黒髪の少女は、目の前にいた。

私の足音を聞いて振り返る。こちらを見ているけれど、何も見ていないような黒い目。


「…まだ、用があるの?」

「ねえ、暁美さん。…私はやっぱり納得がいかない」



「魔法少女としての仕事はもちろん大切だけど…協力して…戦うだけなんて、私は賛成できない」


お話ししましょうよ。

私は寂しいの。


傍に居て欲しいの。


「魔女退治はするけれど……私は一緒に、同じ目標に向かって、戦いたいの。」


貴女の仲間に…友達になりたいの。

私は役に立たなくて、暁美さんは嫌がるだろう。

声が震える。

私は、迷惑なことを言ってるのだろうか。


「お友達になりましょう。一緒にたわいもない話をしたり、年頃の他の子がやってるような遊びをしたり…」


私は勇気を出して言う。

迷惑を掛けることが勇気と言えるかは分からないけれど。


きっと追いかけることに意味はなかった。

だって、暁美さんの言った通りになるなら、

今、何も言われていない私が余計なことをするのは不正解で、何もしないことが正解なのだから。

私のやることは全部空回りで。

役に立たないことは知っているけれど。


「魔法の練習だって一緒にするのよ。
私に未熟なところはあるけれど……これでもベテランなんだから、あなたの魔法にだって役に立てることはあるはずよ。
疲れたら一緒にティータイムを過ごすの。お茶の葉について話したり、だらだらとテレビを見てゆっくりとした時間を過ごしたり……」


私は言う。

勇気を出して言う。


「だから、私とお友達になりましょう。暁美ほむらさん」


それは寂しさから来るものかもしれないけれど。

正しいとは言えないのかもしれないけれど。

いつまでも、信じ続けられるとは思わないけれど。


「そうね……そうだったら、どんなにいいでしょうね」

「え?」


暁美さんから出た言葉は壊れそうなほど、か細くて。

拒絶されるされるだろうと思っていたから、思わず返した私の言葉は素っ頓狂なものだった。


「待って、暁美さん!」

「………ッ」


次の瞬間に、少女はその場から姿を消していた。

わずかな隙間に覗かせた顔は、今までの彼女からは一度も見たことのないものだった。

聞き取れなかった時の反応と勘違いされたかもしれないけれど、

暁美さんはわざわざ時間停止を使って消えたのだから、きっと、それはそういうことなのだ。

肝心なところで、彼女はずるく、

きっと私のように弱いところもある、少女。



────
──


(ほむほーむ)



ほむら「……そう、それでどうなったの?」

女の子「話しかけられたら何て答えようかと身構えたのですが、
    キュゥべえはトコトコと、どこかに行ってしまったので拍子抜けしました。
    胡散臭い淫獣なのに後ろの尻尾なんかモフモフしててそうでずるいです」

ほむら「後半は置いておくとして、あいつに愛想がないのは今に始まったことじゃないわね」

女の子「そういうものですか……では、考えても仕方ありませんね。
     ところでほむらさん、目の周りが赤いですが大丈夫ですか? 何かぶつけたとか」

ほむら「……なんでもないわ」

女の子「そういうものですか……ところでほむらさん、提案があります。
    実はですね──」


──


(翌朝・見滝原中学校)


マミ「……それでね、
   脱臼は外れたところを戻した後に、魔法で腫れだけ引かせれば早く安全に治せるの。
   全部魔法でやろうとすると失敗する可能性も出てくるから……
   昨日は焦ってたし、複雑な魔法を使いたくなかったの。
   いきなりだったのはごめんなさい」

女の子「そういう事情があれば仕方がありません、失敗は怖いです。
    さて、今日はマミさんのお昼の邪魔をしてはいけませんし、私はそろそろ……」コソコソ

マミ「どうしたの?
   いつもはご飯を交換しましょうとか、いつも言ってくるのに」


女の子「う……さすがにこれを交換しようなんて言えません」ゴチャア


マミ「えっと…どうしたの?」


女の子「うぅっ、流石にいつもほむ…ええと、親にお弁当を作ってもらうのは悪いので、
    一日置きに作る係を交代にすることにしたのです。
    いえ!決して料理が下手とかそういうことはないのです!」

マミ「うーん、次はもうちょっと勉強をする必要はあるかもしれないけれど、
   こんなことで邪魔にしたりしないわよ。いつも通りに一緒に食べましょう?」

女の子「……いいんですか?」

友達になろう

とか言う前にまず縛り上げたことを謝罪するべきだな
人間として


マミ「当たり前よ、むしろ、こんなことで除けものにすると思われていたら悲しいわ」

女の子「やったー!流石マミさん、天使です!お昼の時間が楽しみです!!」


マミ「…………ねえ、女の子さん」

女の子「はい?」

マミ「私、頑張るって決めたから」

女の子「何をです?」


マミ「色々なことよ。私は頑張るって決めたの」







──


(風見野のどこか)



???「なんだその箱……分かんねえけど食い物で遊ぶなよ、粗末にすると殺すぞ」

ほむら「失礼ね、お弁当よ」

???「マジかよ、アンタもうちょっとマシなの食ってなかったっけ?」

ほむら「見た目はこんなでも、味はそこまで悪くないわ…多分」

???「そうか?」ヒョイ

ほむら「ちょっと」


???「味はそんなに悪くない……作るのに慣れてねえだけか」モグモグ

ほむら「……手づかみで食べるのは止めなさい」


???「怒るなよ。返すって言っても、アタシは菓子しか持ってないけどさ」ガサガサ


???「食うかい?」


ここまでです。

次回は志筑さん登場編です。


>>351
女の子だったら放って置いたらさっさとどっかに行きそうな相手にも
長文使って何もかも話したかも知れないけれど…マミさんはそういう性格ではなかったのだ


長文じゃなくとも悪事を働いた相手に悪びれもせず友達になってくれは違和感を覚えた
ほむらは縛り上げられて殺されかけた経験もあるしやっぱお前は信用できないってなりそうだ

>>355
正直、縛った辺りについてはほむらに責められる理由があって、
それがあるからマミさんとほむらでは大体フィフティになります。
このSSでは、それについてそのものズバリな言及がされている…つもりです。
これは女の子がいう機会が無ければそのままスルーされるかもしれないし、
改めていうことがあるのかもしれません。

もし、このままこの話題が続くようなら重要なところではないのでネタばらしします。

人のスレで喧嘩口をするな(`_´)。

>>385
知らないよ(`_´)・・・
ケンカするなら書き込むなよ・・・
このスレを書いてる人が嫌になるだろうが・・・気持ちを考えろ・・・

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