煌「探しものですか?」和「え?」(113)

改変ドマイナー

あれ?と思ったら改変

闘牌無

投下はちょくちょく

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4月下旬。長野某所

和「え…」

煌「よろしかったら、お手伝いしましょうか」

和「あ、あの…」

煌「これは失礼しました。私は花田煌と申します。あなたは?」

和「は、原村…和です」

煌「原村和さんですね。ではお互いの名も知れた所で…」

和「あの…別に何か落としたわけでは」

煌「えっ」


和「………」

煌「あははは…これは、余計なお世話にすらなってませんね…穴があったら入りたい気分です」

和「………あの」

煌「はい?」

和「どうして私が探し物をしているだなんて勘違いをしたんですか?」

煌「困ったような、渋い面持ちで下を向いて歩いていたので…てっきり」

和「……そう、ですか」

煌「いやいや、大変失礼しました。では私はこれで」

和「……ま、待ってください!」

煌「はい?」

和「あの、探し物、やっぱりありました!」

煌「やっぱり?」

和「は、はい。初対面の方に手伝って頂くのは気が引けたといいますか…その」

煌「…分かりました!」

和「ひゃっ…!?」

煌「この花田煌、全身全霊を以て手伝わせていただきます!」
和「あ、ありがとうございます」

煌「落としたのはここいら辺ですか?」

和「それはその…よく覚えてなくて…すみません」

煌「謝らなくて結構です。歩いた道を辿って行けばそのうち見つかるでしょう」

和「でも、時間が…」

煌「暇を持て余してぶらぶらしていた所ですので、お気になさらずに」

和「…ありがとうございます花田さん」

煌「こちらこそ私の余計なお節介を受け入れてくれてありがとうございます
原村さん。それと、敬語は結構です。多分、私年下ですし」

和「いえ、多分私の方が年下だと思うのですが」

煌「…えぇっ!?」

和「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか…!?私、そんなに老け顔ですか!?」

煌「私中3ですが…」

和「私の一つ上ですね」

煌「これで年下とは…」

和「どこ見て言ってますか…!?」

煌「はっ!?し、失礼。あまりにもその、規格外だったもので」

和「まったく…どうしてみんな胸ばっかり…」

煌「みんな、ですか」

和「えぇ。以前同じようなやりとりを何度か。中には指をわきわきと動かしておもちがどうたら言う度し難いレベルの方もいました」

煌「おもちとは…言い得て妙な」

和「………花田さんも同類だったんですか」

煌「ちちち違います断じて違います!そんな変態ではありませんよ私は!
正直、話しかける前に胸に目がいったのは事実ですがそれはとてもすばらなものだったからで
邪な気持ちはなく、憧れというか羨望というか…そういうプラトニックな感情です!」

和「…まぁ、玄さんみたいないやらしさは感じませんでしたし許します…
が、胸のことは言わないでください。気にしているんです」
煌「はいっ。肝に銘じました」

和「はぁ…何というか…最早お約束と化してますね。私の胸がいじられるのは」

煌「いじられ…」

和「なにか?」

煌「なんでもありません!」

和「まったくもう……あっ」

煌「?」

和「すみません…探し物を手伝って欲しいと頼んでおきながら無駄話ばかりして…」

煌「無駄じゃありませんよ」

和「え…」

煌「原村さんの人となりもいくらか知れましたし、なにより楽しいですし」

和「楽…しい?」

煌「はい。原村さんは、つまらなかったですか?」

和「そんなことは…!」

煌「良かった」ニコッ

和「う………」

煌「ではそろそろ、口ばかりではなく足も動かすとしましょうか」

和「はい…よろしくお願いします」

煌「お願いされましたっ」

探し物を求めて

煌「ところで、原村さんは何か用事があって外を歩いていたのですか?」

和「いえ…この春こちらに越してきたばかりなので、土地勘を養うために
歩いていただけですから用事というほどでは」

煌「なら、それ程急ぐ必要はありませんね。焦らずゆっくり探しましょう」

和「………はい」

煌「原村さんはどこから引っ越してきたんですか?」

和「奈良です」

煌「奈良ですか……鹿がそこら中を闊歩し人々から煎餅を奪い取りむさぼり食っているというあの」
和「どこの奈良の話しですか…」

煌「冗談ですよ冗談」

和「まぁ、私も住んでみるまでは鹿とか大仏とか歴史的な建造物が
あるとか、その程度の印象しかありませんでしたが」

煌「なにか意外な発見があったと?」

和「そうですね………」

煌「……」

和「特には」

煌「そ…そうですか」

和「土地自体の印象はそれ程でもありませんが、友人の印象は
心に強く残っています。とても、恵まれていましたから」

煌「友人…」

煌「(あぁ、なる程)」

和「…私の母親は転勤族なんです」

和「ですから私は、他の人達より早く別れる日が来ることを知っていました」

和「知っていたのに…どうして私は、もっと彼女達と……」

煌「……」

和「…すみません。出会ったばかりの人間に突然こんな話をされても、迷惑ですよね」

煌「……」

和「折角花田さんが話題を振ってくれたのに、こんな反応し難い言葉を返して…つくづく下手ですね私は」

煌「原村さん」

和「はい…」

煌「迷惑だと、切って捨てる人間に対して迷惑な話はしないものではないですか?」

和「…そう、ですね」

煌「出会ったばかりの私に対してそこまで心を開いて頂けるとは、
私もなかなかどうして捨てたものじゃあないですねっ」

和「…花田さん、人の良さが滲み出てますから。本当…図々しいというか厚かましいというか…優しくされたら
ついていって…その癖ちょっと離れたら追いもせず…あんなによくしてもらったのに…」

煌「原村さん」ズイッ

和「わっ…!?」

煌「自虐、自嘲、自己卑下。麻薬です。そんなろくでもないものに依存してはいけません」

和「…私は、事実を口にしているだけです」

煌「加えて、それらは原村さんにとって大切な人達の価値をも貶める最悪の劇薬でもあります」

和「…どういうことですか」

煌「原村さんは今、あなたのことを友と呼び慕う人の思いを、貶めています」

和「っ…」

煌「自分を慕う人の目は節穴だと、暗にそう言っているんです。傷つくのは自分だけじゃないと、思います」

和「…その通りですね。善処します」

煌「付け加えておきますが、弱音を吐くなと言っているわけではありません。
誰でもそういう気分になることはありますが…弱気の虫に押されて不必要に自己卑下に走らないでください」

和「はい…」

煌「原村さんは素直な良い子ですね。すばらです」ナデナデ

和「なっ…!?急に何をしますかあなたは!?」

煌「何だか泣きそうな顔をしていたので、頭を撫でてみました」ナデナデ

和「してませんそんな顔!」

煌「そうですね。今はもうしてませんね」ナデナデ

和「ずっとしてません!」

煌「してましたよ」ナデナデ

和「……かもしれません」

煌「原村さんは照れ屋なんですね」ナデナデ

和「…いつまで撫でてますかあなたは」

煌「私のお願い事をきいてくれたならやめますよ」


和「…話によります」


煌「先ほどの迷惑な話ですが、原村さんはそれを誰に話すべきか理解しているはずです」ナデナデ

和「っ…」

煌「その人のために大切に心にしまっておいてください」ナデナデ

和「はい…」

煌「すばらっ」スッ

和「……どうしてですか?」

煌「?」

和「どうしてこんなに、優しくしてくれるんですか?名前しか知らない私のために、あんなつまらない嘘に付き合ってまで」

煌「嘘とは?」

煌「嘘とは?」

和「何を探してるのか訊かなかったじゃないですか。探し物を手伝うのに…」

煌「探し物がある、というのは嘘ではないでしょう」

和「…?」

煌「現に今一つ、朧気ながらも手掛かりを見つけました」

和「(この人は…)」

煌「お役に立てたようで、光栄です」

和「…優しいんですね。本当に」

煌「私のような初対面の人間の説教じみた言葉に耳を傾けてくれる原村さんの方がよほど優しいです」

和「…それ以上優しくされると、つけあがりますよ。相当面倒くさいですよ、私。」

煌「どう、面倒くさいんですか?」

和「……探し物、一つだけじゃないんです」

煌「ありゃー。そいつはまた面倒ですねぇ」

和「でしょう?」

煌「どれくらいあるんでしょうか?」

和「…たくさんです」

煌「ふむふむ…そんなに沢山あるのですか。流石に手に余りますね」

和「理解できましたか?面倒くさいんですよ私」

煌「なので、協力してくれそうな人の所に行くとしましょうか」

和「………は?」

煌「善は急げです原村さん。さぁさぁ行きましょう!」ギュッ

和「へっ…!?あの…手…!」

煌「レッツゴーです!」ダッ

和「ちょっ!?待ってください花田さん!行きます!行きますから…!」

某所にて

煌「たのもー!」バンッ

和「ぜー……ぜぇ…殺される…善意に殺される…」

まこ「いらっしゃ…て煌か。今日はオフのはずじゃが?」

煌「実はまこに折り入って頼みたいことがあるのです」

まこ「なんじゃ、その息絶えそうなピンクに関係する話か?」

和「絶えません…私には…まだまだ…やり残したことが…」

煌「実はまこに折り入って頼みたいことがあるのです」

まこ「なんじゃ、その息絶えそうなピンクに関係する話か?」

和「絶えません…私には…まだまだ…やり残したことが…」

煌「えぇ、まこにとっても悪い話ではありません」

まこ「ほう。もしや、そのピンクは労働力か?」

煌「すばらっ」

まこ「すばらっ」

和「……へ?」

和「あのー…」

まこ「おぉ、放置してすまんのぅ。わしは染谷まこ。お前さんは?」

和「原村和です」

まこ「原村さんは、麻雀打てるかのう?」

和「…人並みには」
まこ「メイド服に興味は?」

和「人並みにはっ」

まこ「採用。ちょい待っちょれ。今ブツを持ってくるけぇ」

和「ってちょっと待ってください!まだ話が飲み込めないのですが…!?」


煌「ここでお手伝いをするというごくごく単純な話ですが?
麻雀は教えるつもりだったのですが…打てるとはすばらの至りです」

和「あの会話の流れでどうしてそうなりますか!?」

煌「まこが探し物をするにあたって有益な人物であることは間違いありませんよ。この場所も然り」

和「まぁ…花田さんの知り合いなら悪い人ではないでしょうけど…」

まこ「原村さん。ベーシックな感じと甘々な感じの2つあるんじゃがどっちがいいかのう?」

和「良い人です。染谷さんは絶対に良い人です」

まこ「その通り、わしは良い人じゃ」

和「見れば分かります」

煌「そ、そんなに好きだったんですか…メイド服」

和「人並みにはっ」

和「では、直ぐに着替えます」

まこ「やる気があって結構。更衣室はこっちじゃ。ついてきんさい」スタスタ

和「どこまでもついて行きます」スタスタ

煌「(さすがまこ…あっという間に原村さんのハートをキャッチするとは、すばらです)」

和「花田さん」

煌「はい?」

和「この場所に連れてきてくれて、ありがとうございます」ニコッ

煌「っ…」ドキッ

和「では、行ってきます。少し待っていてくださいね」スタスタ

煌「…………すばら」

眠気が不味いので切りが悪いですが一旦投下中断します。

明日の昼頃にまたちょくちょく投下していきます。

間違えました今日の昼です

投下します

まこ「そういえばお前さん。煌の後輩か?」

和「いえ、今日知り合ったばかりです」

まこ「…相変わらず妙な所で強引な奴じゃのうあいつは」


和「まぁ…嫌な強引さではありませんが……っ!染谷さん!」

まこ「な、なんじゃ急にデカい声出して!?」

和「今、後輩って言いましたよね!?」

まこ「お…おう」

和「見えますよね、年下に!?」

まこ「…まぁ」

和「ふふっ。ふふふっ」

まこ「……(怖っ)」
まこ「しかしなんじゃ、初対面でどうしてここで働くという話に?」

和「それは……」

まこ「…?」


和「私、こちらに越して来て日が浅くて
…その旨を伝えたらここに連れて来られました」


まこ「…なるほどのぅ。あいつらしいお節介じゃ」


和「花田さんは、いつも誰にでもああなんでしょうね」

まこ「基本的に謙虚で集団の和を尊重し一歩引くタイプじゃが、こうと決めたら
強引に相手の腕を引く奴じゃ。わしも大分振り回されちょる」

和「その光景、簡単に想像つきます」

まこ「じゃけぇ、ちいと振り回されたくらいじゃ目は回さんから、
本当のことを話す気になったらいつでも話してくれていいけぇの」

和「……私、嘘吐くのとことん下手ですね」

まこ「嘘を吐いとるとは思わんが、言ってないことがあるじゃろ?」

まこ「まぁあっさり白状するくらいには下手くそなんじゃろうが…
煌のことじゃけぇ想像の斜め上を行くお節介を焼いているだろうと、な」

和「…あっさりバレるような嘘を吐いて、わざと気付いて貰おうとしているのかも知れませんよ」

まこ「なんじゃそりゃ?」

和「……すみません。聞かなかったことにしてください」

まこ「構わんが…」

煌「まこー!お客さん来てますよー!」

まこ「おぉっと。こりゃいかん」

和「どうぞ、先に行っていて下さい。すぐに着替えてそちらに向かいますから」
まこ「んっ。和、今日からよろしく頼む」

和「……え?」

まこ「一緒に働く仲間じゃろう?名字呼びじゃあ他人行儀っちゅうもんじゃ」

和「染谷さん…」

まこ「まこじゃ」

和「…まこさん。よろしくお願いします」

まこ「やっぱり仲間通し、名前呼びがしっくりくるのう」

煌「まこー!」

まこ「っと。じゃ、行ってくるわい」

和「行ってっしゃい」

和「……まこさんも、優しい人なんですね」

和「どうして私は、こうも恵まれているのに…」

まこ「お待たせしま…」

久「はろー」

まこ「煌。これは客じゃない。もっと恐ろしい何かじゃ」

久「煌、客に対してこの口の聞き方はないと思わない?」

煌「失礼ですよまこ。久さんはこのお店の常連さんじゃないですか」

まこ「注文もせんと 雀卓に居座っとる奴を客と呼ぶほどわしは聖人じゃないわい」

久「スマイル頼んでも出さない店に払う金はないわ」

まこ「しょうがないじゃろ。お前さんが来る時に限って在庫が切れてるんじゃから」

久「いいわよ別に。煌に頼むから。煌、笑って笑ってー」

煌「はいっ」ニコッ

久「あー…癒やされるわー。どっかの眼鏡とは大違いね」

まこ「やめい久。オフの日にまで煌にそんな重労働を強いたら労災が発生してしまうじゃろ」

久「どういう意味よそれ?」

まこ「そのままの意味じゃが?」

煌「今日も二人は仲良しさんですばらですねー」

久「すばらでしょう?」

煌「すばらですっ」
まこ「……はぁ…もういいわい。頼むから大人しくしちょれよ」

久「えー」

まこ「大人しく、な。な」ゴゴゴゴ

久「イエスマム」

和「お待たせしました」

久「ガタッ」

まこ「お座り」

久「…わん」

まこ「おー。予想通りよう似合うちょるのぅ」

煌「すばらです原村さんっ」

和「ありがとうございますまこさん花田さん。そちらの方はまこさんの友人ですか?」

煌「(もう名前で呼ぶ仲になるとは…まこも原村さんもすばらです)」

まこ「餌与えたら居着いた野良犬じゃ。名前は竹井久」

久「せめて人間扱いしてほしいわぁ…」
まこ「払うもん払ったらしてやらんこともない」

久「いいわよいいわよ。こんな銭ゲバの主人には見切りを付けて、
他の子に乗り換えさせてもらうわ。というわけで、和。麻雀打てる?」

和「えぇ。先ほどもまこさんに訊かれましたが…何故喫茶店で働くのに麻雀が…」

和「(私の名前を自然に…羨ましい性格です)」

煌「(久さんは当然の如く名前呼び…ならば私は)」

煌「ふっふっふ…原村さん。あの麻雀卓が目に入らないのですか?」

和「あっ…どうして喫茶店に麻雀卓が?」

和「…(原村さん、ですか)」

煌「喫茶店は世を忍ぶための仮の姿だからです」

まこ「初耳なんじゃが…」

久「そうよ。この閑古鳥の巣窟と化している喫茶店の真の姿は」

まこ「おい。お前ら、おい」

久「清澄高校麻雀部第一支部よ!」

煌「高遠原中学麻雀部秘密基地です!」

久「むっ」

煌「むむっ」

和「(高遠原…?)」

まこ「言うまでもなく戯れ言じゃからな、和」


和「あっ、はい…」
和「(それより今、花田さん高遠原って…)」

久「煌、あなたも諦めが悪いわね。此処は清澄高校麻雀部部長竹井久の支配下にあるのよ」

煌「違います。久さんがここに来る前からこの喫茶店は
高遠原中学麻雀部の隠れ家的場所ですっ」

まこ「今も昔も裏表無く喫茶店なんじゃが」

久「高遠原中学に麻雀部って、あったかしら?」

煌「うぐっ…お、お言葉ですが清澄の麻雀部だって久さん一人で似たようなものじゃないですか!」

久「一人でも部室も麻雀卓もあるもーん」

煌「ぐぬぬ…」

久「私の記憶が確かなら高遠原に麻雀部は…あれあれ?ないじゃないですかーやだー!一体どういうことかしら?え?
ひょっとして、あるの?高遠原に麻雀部?でも…うーん…私の記憶違いかしら……ってやっぱりないじゃないですかーやだー!」

煌「ぬぬぬ…」

久「というわけで歴史的に見てもここは私のものであることは瞭然ね。あぁ、敗北が知りたいわ」

煌「うぅ…何も言い返せない」

まこ「もう気が済んだじゃろ。それ以上煽ると本気で嫌われるぞ」

久「私が煌に嫌われるわけないじゃない。ねぇ煌」

煌「はい。これはいつものお約束のじゃれあいですからね」
久「聞いたまこ?誰が誰を嫌うって?天地がひっくり返ってもありえないわ。片腹大激痛」


まこ「…いつか痛い目にあえばいいのに」

休憩時間が終わるので一旦投下中断します

続きは夕方過ぎに投下します

和「あの、花田さん。高遠原の生徒なんですか?」

煌「はい。そうですが」

和「私もです。先輩だったんですね」

煌「おー!なんという偶然っ!すばらっ!」

和「(…変わらなければ)」

私も今のクラスで新しいダチ出来たし

まー、なんかあったら連絡してほしいな

和「(あの背中を見送った自分を…)」

和「改めて、これからよろしくお願いします…煌先輩」

煌「…はい!よろしくお願いします和っ」

煌「(うん、思っていたよりもずっと早く…すばらです)」

煌「(しかし…先輩…なんてすばらな響き!)」ジーン

久「………ねぇまこ。先輩っていい響きね」

まこ「そうじゃな久」

久「そう思うわよねまこ」

まこ「そうじゃな久」

久「本当に思ってるまこ?」

まこ「思っちょるぞ久」

久「孤独だわ…誰も私の心を理解してくれない」

和「久先輩も、これからよろしくお願いします」

久「天使だわ。天使がいるわ」

まこ「あんまり餌を与えるとつけあがるけぇほどほどにのう」

和「わかりましたまこさん」

久「わからないでよかったのに…」

まこ「さてと、客がいなくて暇じゃし、親睦を深めるためにも一局打とうか」

煌「すばらな提案ですね」

久「和。言っておくけど私はなかなかのなかなかよ?まこも、煌もね」

煌「ふぇっ…!?」

和「それは、打ちがいがあって面白そうですね」

久「へぇ、言うじゃない。腕に覚えありってことね」

煌「久さん、何故ハードルを…!」

久「初めて出来た後輩に情けない姿は見せられないわよねー?ねー?」

煌「…やってやろうじゃありませんか!」

闘牌描写は

まこ「結果だけじゃ!結果だけが残る!」

和「ツモ。20003900です」

煌「すばらっ」

煌「(すばらですが…親っかぶり…これはすばらくない)」

久「言うだけあってやるじゃない。これはうかうかしてられないわね」

まこ「そうじゃのう。ひとつくらい見せ場を作らんと」

久「そうね。ね、煌。ねっ」

煌「で…ですね」

まこ「なんでお前さんは煌に意地悪なんじゃ…」ヒソヒソ

久「…つい、やっちゃうのよねぇ」ヒソヒソ

まこ「(…解らんでもない)」

煌「(焼き鳥だけは回避しないと…!)」

まこ「ツモ。5001000」

和「その待ち…私のダマテンに気付いていたんですか?」

まこ「やっぱり当たりか。見覚えがある捨て牌だったけえ止めて正解じゃったのう」

和「見覚え…あぁ、なるほど。過去の牌譜と私の河を照らし合わせて当たり牌を読んだと」

まこ「そういうことじゃ。ガキの時分から麻雀に触れてる分これだけは得意なんじゃ」

久「次は私の見せ場かしらねぇ」

煌「(まだ慌てるような時間じゃ…)」

煌「(いえ、先輩らしいところを…なんて背伸びした考えがそもそも間違いですね)」

煌「(胸を借りるつもりで、自分らしく打ちましょう!)」

久「ツモっ!4000オール!」

煌「すばらっ!」

和「…何ですかその待ち?変則三面待ちを捨ててそんな愚形で」

まこ「久は、こういう打ち筋なんじゃ」

和「…はあ?」

久「ここぞという時に悪待ち選択するとなんかあがれるのよね私」

和「そんなオカルトありえません!偶然です!」バンッ

まこ「おわっ…!?」ビクッ

煌「すばっ…!?」ビクッ

久「そんな力強く否定しなくても…大体、まこのアレだってオカルトじみてるじゃない」

和「久さんのそれは何の根拠もないじゃありませんか!」

久「(ふーん…)」ニヤニヤ

久「実際に結果出てるわよ?」

和「結果論じゃ根拠になりません!偶然ですっ!たまたまです!オカルトの極みです!」

久「必ず結果が付いてくる打ち方をぶれずに貫いているわけだから、個人的にはデジタルだと思うんだけど」

和「デジ…タル…?」ピシッ

煌「(室温が!?)」ブルブル

まこ「(さむっ!?)」

和「ふふっ…ふふ…ふふふふふふ…デジタル。デジタル。デジタルですか…
言ってくれましたね久さん…言ってしまいましたね…言っちゃいましたね」

久「そうよー。私の打ち筋は理に適ったちょースーパーデジタルなのよ」

和「理に…かなっ…た…?」ピシッ

久「えぇ」

和「認めません!!」

久「この対局が終わる頃には口では否定できても心では否定出来なくなるわ」

和「ありえません!絶対絶対認めません!神に誓って認めません!」

久「神様なんてオカルトな存在を信じてるの?デジタルな私には考えられないわー」

和「うううぅ…!」ギリギリ

まこ「ほどほどにせいよ…」

まこ「あー…和。言いたいことは沢山あるじゃろうが…打ち筋は人それぞれで…」

煌「そうですよ和。和流に言うと、それぞれの理が、デジタルがあってですね」

和「デジタル?」ギロッ

煌「ひぃっ!?」

久「私に勝てないからって煌に八つ当たりとは情けないわね」

和「負けてません!負けるつもりもありません!」

久「はいはい。なんだか次の局も私のデジタルが炸裂しそうな予感がするわー」

和「そんな見え透いた挑発には乗りませんからっ!」

久「挑発じゃないもーん。ただの一人ごとだもーん」

和「ああ言えばこういう…!」

過程はすっ飛ばして結果

一位

久「敗北が知りたいわ…」

二位

和「うぅぅ…」

三位

まこ「和、いちいち構うから…」

四位

煌「な…なんとか飛ばずに済みました…」

久「これで証明されたわね…私の打ち筋がデジタルを越えたデジタル。スーパーデジタルだと」

和「……ふふふ…ふふふふふふ…」

まこ「和。タチの悪い犬に噛まれたと思ってじゃのう…」

和「デジタルと…言いましたね?」

久「言ったわよー。もう一度言おうかしら?」

和「デジタルは何千何万局という長いスパンでの平均順位を
考えた上での打ち筋だということは勿論ご存知ですよね?」

久「…知ってる…けど」

久「(ヤバいわ…ヤバい予感がするわ…面白がって煽り過ぎたかしら)」

和「ですが、時間はそこまでありませんし…」

和「とりあえず後10半荘は打ちましょうか」ニコニコ

まこ「ちょっ」

久「まっ」

煌「おぉー!」

和「半荘1回20分切るペースで打てば日が落ちる前に終わります」ニコニコ

久「うへぇ…」

まこ「その間全く客が来んかったら閉店を考慮せんといけんくなるわい…」

煌「良い練習になりそうですばらですっ!」

久「(……練習…ね)」

久「(どれだけ練習したって…私は…)」

久「望む所よ!とことんやってやろうじゃないの!」

和「やってもらいますよとことん!」

まこ「客が来たら終わりじゃからな…?」
煌「よーし、頑張りますよー!」

過程をすっ飛ばし

久「敗北が知りたいわね」

和「お…おかしいです。こんなはずでは…ネットではもっと集中して打てるのに…」

煌「私も人の事は言えませんけど、局を重ねる毎に細かなミスが目立ってきてましたね」

まこ「なんでじゃ…なんで今日に限って客が…」

久「今日はもういい時間になったし、帰るわね。あなた達もそうしたら?」

和「逃げるんですか!?逃がしませんよ!」

久「熱烈ねぇ。逃げないから安心しなさいよ。明日も明後日も、私はここに来るから」

和「絶対ですからねっ!」

久「えぇ、絶対よ。じゃ、またね」ヒラヒラ

久「…(学校じゃ麻雀打てないし、ね)」スタスタ

和「…?」

バタンッ

和「(久さんのあの背中は…)」

まこ「和ももう帰りんさい」

和「あっ、はい」

煌「帰り道、まだよくわからないでしょうから送りますよ」
和「よろしくお願いします煌さん」

和「まこさん。結局なにも手伝えずにすみません。つい、熱くなってしまって」

まこ「えぇんじゃよ。客、来んかったしのぅ」

和「次はちゃんと手伝いますね」

まこ「客、来んかったしのぅ」

煌「……」

和「……」

まこ「客、来んかったしのう」

煌「たまたま、たまたまですよまこ!」

和「そうですよ!偶然ですよ!これこそオカルトです!」

まこ「…和、中学生を遅くまで手伝わせる気はないが、親御さんの許可は取ってきんさい」

和「わ…わかりました!可能な限りお手伝いさせて頂きます!」

まこ「学業に支障ない程度で構わんわい。どうせ客、来んしのう」

煌「…そっとしておきましょう」

和「はい…」

帰り道

和「煌先輩。今日は何から何までありがとうございました」

煌「私はほんの小さなきっかけを作っただけで、大したことはしてませんよ」

和「その小さなきっかけがなければ、私は今日ずっと1人でした。ですから、ありがとうございます」

煌「私の方こそありがとうございます。和のおかげで、己の麻雀の未熟さを痛感できました。もっともっと打ちこまないといけませんね!」

和「煌先輩、麻雀上手ですし、きっと打ち込んだら打ち込んだ分強くなりますよ」

煌「上手って…私がですか?」


和「はい。振り込んだ時は相応の打点が見込める手牌からでしたし、飛びそうになったり
点差が開いた時に無茶な手作りであがりを逃すような場面も見受けられませんでしたし…さすが先輩ですね」ニコッ

煌「ぅっ…ありがとう、ございます」

和「なんて、先輩に対して生意気な口を聞いてすみません」

煌「い、いえ、すごく嬉しいです。和も麻雀強いですね。びっくりしました」

和「まだまだですよ私は。ネットみたいに集中して打てませんし…」

煌「ネットだと確実に効率や押し引きを違わず打ち続けられる、ということですか?」

和「はい」

煌「………すばら」

和「どうすればネットで打っているように集中して打てるんでしょうか…」

煌「探し物、増えましたね」

和「…増えちゃいましたね…」

煌「増えちゃいましたねぇ」

和「…探すの、手伝って頂けますか?」

煌「勿論です!」

和「…即答ですか」

煌「乗り掛かった船ですからっ!明日も張り切って探しますよー!おー!」

和「ありがとうございます…」


煌「おー!」

和「…?」

煌「おー!」チラッ

和「えっ…あ…あの」

煌「おー!」

和「お…おー…!」マッカ

帰り道 竹井 久

久「(……ネットでは、ね。リアルの麻雀にはまだそこまで慣れてないってことかしら)」

久「(なら打牌の動作を徹底的に体に叩き込めば…化けるばす)」

久「(ちょーっとからかい過ぎたし、これからもからかい過ぎるだろうから、
お詫びに雀力向上に貢献してあげましょうかね)」

久「(風越に送り出して恥ずかしくないくらいに…)」


久「(言えないわよね…清澄に来て欲しい、だなんて)」

その頃のまこ

まこ「(判っとる。どうして客入りが寂しいか)」

まこ「(シンプルな、とてもシンプルな理由じゃ)」

まこ「(煌がオフだから)」

まこ「…なんでじゃ。わしだってメイドじゃろうが!」

4月某日 了

今日はここまで

明日の夜にまたちょくちょく投下します

4月下旬その1。反省 原村 和

突然、声を掛けられた。

顔を上げるとそこには、陰気の欠片も無い太陽のような女の子がいた。

花田煌と、彼女は名乗った。

何やら、私が落とし物を探していると勘違いしたらしい。

渋い面持ちで、下を向いて歩いていたからと。

どこの誰とも知れぬ相手に、手を差し伸べるその善性に、私は飛びついた。

探し物なんてない。
辻褄合わせに吐いた 嘘は、子供の言い訳より出来が悪い。

が、それで全く構わなかったのだと、あの時の自分を見つめ直した今、確信をもって言える。

元々嘘を通すつもりがながなかった。


彼女程に、人の良い人間だったなら、私の言葉を受けて何かしら心に引っかかってくれるだろうと。
そういった心算を、無意識に行っていたのだろう。

卑しい。

この一言に尽きる。
結果、私の目論見通りとなる。

そして、同情を誘う声色で、彼女に依りかかった。

出会ったばかりの人間に。破廉恥極まりない。死んでしまえ。

自虐。自嘲。自己卑下。

なる程、彼女の言うとおり。ろくでもないことこの上ない。

吐き気が込み上げる。何故こんな物に心を奪われかかったのだろう。

私はこんな、この程度の人間だ。だから仕方ないと?

あの寂しげな背中を見送った自分を慰めていたと?

そのために、躍起になって私を友と呼ぶ人の価値を貶めて節穴だと嘲ったと?

情けない。

変わりたいと、強く思う。

煌先輩。まこさん。久さん。

彼女達の探し物の手助けが出来るくらいに

追記。

久さんの背中が、あの日の穏乃と被ったのは錯覚だろうか?

気になる。

追記。その2

喫茶店の手伝いの件を親に話したら、あっさりと了承を得られた。

学業に支障を来さなければ問題ないとのことだ。

これで、微力ながらまこさんの手助けが出来る。


追記その3

高遠原には麻雀部がない。煌先輩のことだ。部員集めに奔走しただろう。
その結果を鑑みるに、麻雀部設立はかなり厳しい。

未練は、無いのだろうか

追記その4

穏乃宛の手紙を書こうと筆をとった。筆が紙面を走ることは無く、立ち止まったまま微動だにしなかった。

4月下旬。その2

通学中

煌「おはよーございます和!」

和「おはようございます煌先輩」

煌「………先輩…」ジーン

和「…煌先輩?」


煌「…えへへ」ニヤニヤ
和「良いことでもあったんですか?」

煌「今、とても良いことがありました」

和「今?」

煌「はい」

和「今、何かありましたか?」

煌「わかりませんか?」

和「はい」

煌「知りたいですか?」

和「はい」

煌「和」

和「なんですか煌先輩?」

煌「…えへへへ」ニヤニヤ

和「……(煌先輩が嬉しそうなので良しとしましょうか)」

投下終了です

短くてすみません

和「煌先輩。訊きたいことがあるのですが」

煌「はいっ!何でも先輩に訊いてください!」

和「煌先輩のことですから、麻雀部をつくろうとはしたんですよね?」

煌「えぇ。けど、駄目でした。田舎だということを差し引いても、
世は麻雀全盛期といえど日本全国津々浦々とはいかないようです」

和「麻雀のレベルが高い分、見切りを付けるのも早いんですかね…」

煌「それも一理あるでしょうが…最もらしい理由なんかないと思いますよ。
麻雀を打たない興味を持たないことに深い理由を求めるのは、和が麻雀に気がいってるからであって」

和「でも、試しに打ってさえもらえたなら魅力は伝わるかと…」

煌「すばらなことに、試しに打ち、趣味としてネット麻雀を始めた子なら何人かいます」

和「…強く誘えば、部員になってくれたんじゃないですか?」

煌「いいんですよ。結果、私の望む形でなくとも、麻雀の楽しさをわかってもらえたならそれはそれで万々歳です」

和「本当に、ですか」

煌「えぇ。本当に、です」

和「(もう、何も言うまい。強がりじゃなく、割り切っているようですし)」

煌「インターミドルに関しては私は割り切っていますが、和はどうなんですか?」

和「現状、どうしようもありませんし… 探し物の方が大切です。見つけないことには、前に進めませんから」

煌「ふむ。とあらば、やるべきことは一つ。今日も元気にお手伝いですっ」

和「昨日は少々我を忘れて熱くなってしまいましたが、今日はしっかり働きます」

煌「少々…?」

和「少々です」

煌「少々ですか」

和「はい、少々」

煌「…ところで話がガラッと変わるのですが実は私
オカルト肯定派で、久さんの打ち筋は実に理に叶っていると」

和「ありえません!」
煌「ひっ…!?」ビクッ

和「あっ…」

煌「しょ…少々、ですか?」

和「…少々です」

煌「…さいですか」

和「さいです」

煌「…そういうことにしておきましょう」

和「しておくもなにも、そういうことです。オカルトなんてこの世に存在しない
ものを否定するのに、ムキになったりする必要がありませんし万が一にも言い負かされたりするわけがありません」

煌「……和は嘘が下手ですねぇ」

和「…むぅ」

煌「ま、暇があれば久さんにお相手願うといいでしょう。和がネットで打っているよう
集中して打つにはどうすればよいか…相談するのもありですよ」

和「久さんに…」

煌「面倒見がよい上に有能なお方ですから、ひょっとしたら既に
効果抜群な練習方法を編み出しているかもですよ?」

和「わかりました。訊いてみます。元々、訊きたいこともありましたし」

和「(そっちの方も…少し探ってみましょうか)」

煌「すばらな選択です和っ。昨日は久さんに沢山いじわるされていたから、
素直になれないんじゃないかと懸念していましたが、杞憂に過ぎなかったようですね」ニコニコ

和「…私はそんなにいつまでも根に持つような子供じゃありません」プイッ

煌「はいはい、良い子良い子」ナデナデ

和「子供扱いしないでくださいっ」

放課後。喫茶店にて
煌「こんにちはですまこー」

和「こんにちはまこさん」

まこ「お、来たか2人共」

まこ「今日はお客さんの入りがなかなかですばらですねまこ」

和「やはり昨日は偶然お客さんが入らなかっただけのようですね」

まこ「そうじゃな。たまたまじゃな。昨日もメイドはいたけぇ。たまたまじゃな」

和「えぇ、たまたまです。ところで久さんは…まだ来ていませんか」キョロキョロ

まこ「久に用事があるんか?昨日の続きならほどほどにして欲しいんじゃが」

和「それはある程度自重しますが、別件の用事がありまして…」

煌「久さんに、和の麻雀のアドバイスをしてもらおうかと」

まこ「ほう…悪くない考えじゃな。そのうち来るじゃろうから今は店の手伝いを頼む」

和「はい。よろしくお願いします」

更衣室にて

煌「……」ジー

和「……」ヌギヌギ

煌「……(私だって成長期…希望を捨てるのはすばらくない)」

お手伝い中

和「いらっしゃいませ。お席へご案内します」

煌「お待たせしましたっ。ご注文のお品です」

まこ「(覚えが早いのう。才色兼備とはこのことか)」

和「ツモ。6000オール。ラストです」

まこ「(加減がきかんのが玉に瑕じゃが…戦力として十二分……近隣のライバル店に差をつけるために、もう一押しウリが欲しいのう」

まこ「(周りの奴ら、手段を選ばずあの手この手で攻めてきよるけぇ実弾がいくらあっても足りん)」

久「こんにちはみんな」

煌「こんにちは久さん」

和「あっ、久さん。お待ちしてました」
久「私も会いたかったわよ和。まこ、煌。ちょっとこの子借りるわね」グイッ

和「へっ?」

まこ「ご自由に(言うに及ばず、じゃったか)」

煌「ごゆっくり!(すばらっ!)」

和「あ…あの…久さん……!」

久「和、顔赤いわよ?どうしたの?」

和「急に手…ぎゅって…されたから…恥ずかしくて」

久「…和。男の前では安易にそんな顔しちゃだめよ。押し倒されても文句言えないわ」

和「なんでですか…!?」

久「誘ってるようにしか見えないもの」
和「誘ってるって何をですか!?」

久「またまたー。わかってる癖に」

まこ「こら久!店員へのセクハラは一発レッドカードじゃ!」

久「同性なのに…」
まこ「同性とは思えんおっさんぶりじゃったぞ」

久「少女に対しておっさんは酷くないかしら煌?」

煌「すみません…擁護しようが…」

久「…スキンシップのつもりだったのに…」

久「気を取り直して、と。さて、和。リアルだと集中して打てないって昨日言ってたわよね」

和「はい。今日はそのことについて、久さんに相談しようと思っていたんです」
久「あら、そうだったの?なら期待に応えるとしましょうか」

和「よろしくお願いします」

久「まぁ、ネットとリアルの違いをちょこっと考えれば
どうすれば改善されるかなんて誰にでも思いつく話なんだけどね」

和「ネットとリアルの違い?」

久「動きよ。ネットは打牌全てマウスかキーボードでぱぱっと済ませられるけどリアルは違う。
そこに慣れていないから集中して打てないんじゃないかしら」

和「…なる程」

久「つまり、ひたすらに牌を操る動作を反復すればいいと…ほら、至極単純な話でしょ」

和「わかりした。今日から練習してみます」

久「どれだけ強くなるか今から楽しみだわー」

和「…久さんに負けないくらい、強くなっちゃいますから」
久「言ってくれるわねぇ。その意気や良し…と言いたいとこだけど、
もっと高い目標を持ちなさいよ。それに耐えられる才能があるんだから。例えば…ゆくゆくは風越に進学して1年生で
レギュラーの座を勝ち取り全国を目指すとかね」

和「風越?」

久「長野じゃ有名な麻雀強豪校よ。志しも雀力も高い人間は皆風越に進学するわ。
その中で揉まれればもっともっと強くなるわよ」

和「……はぁ」

久「何よその気のない返事は?」

和「…意外だったもので。
私が全国に導いてあげるから清澄にきなさい…くらいの強気な発言が飛び出すと思ってました」

久「………そんな強気な私…どこにもいないわよ」ボソッ

和「久さん…?」

久「なんでもないわ。清澄も高遠原と事情はほぼ変わらないから、
風越にいくのが間違いない選択よ。デジタル打ちなら効率を重視しなさい」

和「……釈然としません」

久「…なんでよ」

和「久さんは、それでいいんですか?」
久「…いいわよ。いいに決まってるじゃない。清澄に進学するなんて大博打を
打つ意味が無いもの。風越に進学すれば最高の環境が…」

和「久さんは、と言いましたよね?」

久「…随分、踏み込んでくるわね」

和「確認したいんです。気になったもので」

久「…っと、ごめんなさい。用事を思い出したわ」ガタッ

和「待ってください!」ガシッ

久「…急に手、ぎゅってされたら恥ずかしいじゃない」

和「茶化さないでください」

久「……」

和「…教えてください。久さんは…」

煌「(和…)」

まこ「(あれは……どう転ぶやら)」

久「和」

和「はい」

久「下着、透けてるわよ?」

和「えっ!?」バッ!?

久「じゃ、待たねー」ヒラヒラ

和「ま、待ってください!その、答えたくないなら
答えなくても構いません!もう、二度と訊きませんから!」

久「…………」ピクッ
和「久さん…?」

久「……和」

和「はい?」

久「…いじめないでよ」

和「…えっ?」

久「そんなこと言われたら…ただでさえぐちゃぐちゃなのに…」

和「あ、の…」

久「…ごめん。ごめんなさい」

和「私は…その…ただ…久さんなら、清澄に来いって…そういうと思って…」オロオロ

久「……」

和「……すみません。昨日今日知り合ったばかりで、勝手なイメージを
押し付けて…でも、どうしても違和感というか気になることが…それを確かめたくて…」

久「…今日はもう…帰るわね」

和「…はい…また明日…」

久「……また、ね」

和「……すみませんまこさん。お店の雰囲気、悪くしてしまいました」

まこ「謝らんでいいわい。全く、久のやつ…折角のチャンスを」

和「…チャンス?」

まこ「敢えて多くは語らんが、とどのつまりあいつがバカだって話じゃ」

和「…バカは私です。少し、ほんの少しだけのつもりだったのに…欲張って…間合いも読めない癖に…」

煌「和。めっですよ。昨日、言ったばかりじゃないですか」
和「…すみません」
煌「(陰に入ってしまいましたか。ここで和は悪くないと
いっても、いやそんなことはない私が悪いの繰り返し…でしょうね)」


煌「和は、自分から歩み寄ろうとしたんでしょう?」

和「……はい」

煌「その気持ちは、間違いなくすばらですっ」ニコニコ

和「でも、私は…久さんを傷つけてしまったんじゃ…」

煌「どうなんでしょうね。ひとつだけ言える確かなことは…久さんのあんな表情、私は初めて見ました」

まこ「わしもじゃな」

和「………」シュンッ

煌「だから、ちょっぴり羨ましかったです」

和「羨…ましい?」
煌「久さんとは昨日知り合ったばかりの和が、私達にはひた隠しにしていた表情を引き出したわけですからね」

煌「私は久さんとの間に、一定の距離があることを自覚していました。
けれども、うまくやろうとし過ぎて手をこまねいていました」

まこ「…わしもかな。馬鹿はお互い様か」

和「その判断は正しいですよ…隠しておきたかった面を無理やり暴いて…まるで暴漢ですね」

煌「違います。和の不器用な優しさが、私達では触れられなかった久さんの琴線に触れたんです」

和「…逆鱗の間違いじゃないですか?」
まこ「和、今日はもうあがりんさい。その様じゃ他のことは上の空じゃろ」

和「…すみません。今日はしっかりお手伝いをするって言ったのに」

まこ「えぇんじゃ。そんかわり、久の言葉を何度も反芻するんじゃ。
そうすりゃお前さんが次にあいつと顔を合わせた時、どうすりゃえぇか見えてくると思う」

和「はい…」

まこ「煌も、今日はもうあがりんさい」
煌「えぇ」

帰り道

和「……」トボトボ

煌「和」ナデナデ

和「………はい」

煌「私の言葉、慰めなんかじゃありませんからね。悪いことしたら私はめっ、てしますから」ナデナデ
和「はい…」

煌「和」ナデナデ

和「…はい」

煌「頑張りましたね。えらいえらい」ナデナデ

和「……はい」

投下終了です。

改行ミス多くて読みづらくてすみません

投下します

和「…煌先輩。久さんは明日、来てくれますかね」

煌「………和。そんな受け身じゃいけません」

和「…へ?」

煌「明日、会いに行きましょう!久さんに!」

和「え?えぇ!?」

煌「何を驚いているんですか?昨日、久さんのことを
逃がさないと言っていたじゃないですか」

和「言いましたけど意味が…!」

煌「喫茶店じゃ人の目がありますし、久さんも素直になれないでしょう」

和「素直に…ってまさか…!?」

煌「今日の続き、ですよ」

和「で、でも…久さんは嫌がって…」

煌「仮に嫌がっていたとしても、とことん話し合うべきです」

和「…傷口を広げるような結果になっても、ですか?」

煌「もし、そうなったら私も一緒に頭を下げます」

和「仮に、もし…ですか。煌先輩は久さんがあの話題に触れることを嫌がっていない…と?」

煌「思っています」

和「…どうして?」

煌「してほしいことを素直に言えない気持ちは、和もわかるでしょう?」

和「…いくらかは」

煌「頭、撫でてほしいなら素直にそう言えばいくらでも撫でてあげますよ?」

和「べ、別に撫でられるのが好きってわけでは…!」

煌「嫌なんですか?」

和「嫌ってわけじゃ…」

煌「どっちなんですか?」

和「うぅ…」

煌「十分、わかるようですね」ニコニコ

和「痛いほど…」

煌「なら、今日は明日に備えてまこが言っていたように久さんの言葉をよくよく反芻してください」

和「(煌先輩が背中を押してくれているのに…どうしても煮え切らない…)」

和「煌先輩。教えてください。それは、正しい行動なんですか?」

煌「これぞという正しい行動を取り続けられるほど私達は大人じゃありません」

和「嘘でも正しいって、言って欲しかったです…
そうすれば、吹っ切れたのに…」

和「(原因は私なのに……煌先輩に責任を押し付けるようなことを…
どうして私は、いつからこんな人間に…)」

煌「私は、和のおかげで吹っ切れました」

和「私の、おかげ?」

煌「私は、久さんがどこか距離を置いていること気づいていながら何もしなかった。
あの場所が大切だから、慎重に慎重にと間合いを計って…」
煌「ですが、和の不器用ながらも歩み寄ろうとする姿勢を見て、確信しました。
正しくなくとも、間違っていたとしてもずっとずっと上等だと。
行動しなければ事態は変わらないのですから」

和「(こんな私のために…まだあなたは背中を押してくれるんですね…)」

煌「しかし、一人では心細いので…一緒に来てくれませんか?」

和「…煌先輩」

和「(しっかりしなさい。原村和。これは私が引き起こした
問題でしょう。私の手で解決すべき問題でしょう)」

和「(これ以上煌先輩の善意に甘えてしまえば、あの日の穏乃の様な背中を
捕まえることは、永遠にできなくなってしまう気がします)」

和「…それには及びません。私1人でいきます」

煌「…それは出来ない相談です。私の問題でもあるんです」

和「私の問題です」

煌「和…」

和「この問題は慎重に慎重に…間合いを計るべきだったんです。恐らくまこさんもそうしていたんでしょう。
お二人が絶対的に正しい。なのに私が自分本位の
無遠慮な言葉で、お二人の予定を狂わせてしまいました」


和「だから、私1人でけじめをつけないと駄目なんです」

煌「…本当に、1人で?」

和「はい」

煌「無理、してませんか?」

和「してますよ。してでも私1人でやり遂げなければいけないんです」

煌「ただの強がりや、責任を感じての暴走ではないんですか?」

和「違います。私自身のためにも、とても重要なことだから1人で行くんです」

煌「…和…私にも譲れない一線はあります」

和「何ですか?」

煌「清澄までは、ついて行きます」

和「それが煌先輩の譲れない一線ですか…わかりました」

煌「…気が変わったら、素直に言ってくださいね?」

和「はい」

煌「絶対ですよ?」
和「約束します」

煌「余計なお世話、ですよね」

和「有り難い言葉です」

和「(すみません煌先輩。私にも、譲れない一線があるんです)」

翌日

放課後。高遠原中学校。2年某組

女子A「原村さんなら、もう帰りましたけど?」

煌「…そうですか。失礼しました」テクテク

煌「(…わかったのは私の譲れない一線であって同伴を許可したわけではない、か)」
煌「(騙されましたよ。嘘つくの、あんなに下手だったから)」
煌「(どうしても1人で臨みたいと…そこまでされたら、介入するのは野暮ですね)」

煌「…さて、今日も元気に労働の汗を流すとしましょうか!」

清澄高校 麻雀部部室(仮)

久「(…また、って言ったのにこんなとこでなにたそがれてんのかしら私は)」

久「(間を空ければ空けた分足を運び難くなるってのに、阿呆かっての)」

久「(行かなかったら…あの子、気にするわよね。昨日、可哀想なくらいうろたえていたものね)」

久「(しっかりしなさいよ。私が一番年上なんだから、その辺気をきかせなさいよ)」

久「(何でもない顔で、何もなかったかのように、いつも通りあの扉を開けなきゃ…
昨日のチョンボの取り返しがつかなくなるってのに…)」

私が全国に導いてあげるから清澄に来なさい…
くらいの強気な発言が飛び出すと思ってました。

久「…誰よそれ?強過ぎるでしょ。格好良過ぎるでしょ」

久「清澄に来てって、すがりつくことすら出来ない臆病者が、過大評価されたものだわ…」

久「……あーもう!うじうじうじうじ…キャラじゃないでしょうが…!」

久「…行かなきゃ。あそこに。こんなところに1人でいたって…仕様がないんだから」

コンコン

久「誰…?」

和「どうも、久さん」

久「のど…か?」

和「なかなかに骨が折れましたよ。校内にいる人に片っ端から話かけて…
たまたま久さんが此方に向かう姿を見ていた人がいて助かりました」

久「……どうして…」

和「煌先輩の慧眼のおかげで助かりました。逃がさないと言った手前、あっさりと逃げられるわけには
いかなかったので、煌先輩には感謝してもしきれませんね」

久「煌の…?」

和「その経緯の説明は時間が惜しいので省きます。なんとなく
予想はつくでしょうし。なんとなく、で済ませられることはパパッと済ませるとします」

久「……なにしに来たのよ……」

和「どうして、清澄に来いと言わないんですか?」

久「………ずるいわよ…こんなの…」

和「そこのところは、なんとなくでは終わらせませんので、覚悟してください」

久「…いつも通りの飄々とした態度で、ニヤニヤ笑って、何事もなかったかのように…それでおしまいにしようって…思ってたのに…」

和「させません」

久「答えたくないなら二度と訊かないって…」

和「撤回します」

久「ずるいわよ…」

和「弁解の余地なく、ずるいですね」

久「開き直らないでよ…」
和「久さんも、開き直って下さい。隅々まで、開けっぴろげにして下さい。どうして清澄に来いと言わないんですか?」

久「……何で、昨日今日知り合ったばかりのあなたに」

和「自信、ないんですか?」

久「…うるさいわよ」

和「自信満々といった様子であれだけ私の事を煽っておいて、風越には卑屈な位に低姿勢ですね」

久「…黙りなさいよ」

和「自身の実力じゃ風越では埋もれてしまうと?」

久「…中学時代は…私だってそれなりに…!」

和「なら、どうして清澄に来いと言わないんですか?」

久「そんなの…」

和「何です?」

久「……未来…ないじゃない」

和「……」

久「けど、全国狙える人間が、清澄なんて無名校に都合よく集まるわけないじゃない!」

和「どうして、決めつけるんですか?」

久「集まったらいい、なんて希望的観測で才能腐らせていいわけないでしょ!?
伸び盛りの時期を、溝に捨てるようなもんじゃない!」

和「久さんの指導のおかげで、私は一皮剥けそうですよ」

久「所詮小娘の生兵法よ…風越には優秀な
コーチだっているだろうし、その程度のアドバイスは…」

和「他の人の都合はどうでもいいです。余計なごちゃごちゃは取っ払って、自分の話を、自分の都合を聞かせてくれませんか?」

久「……今更…言えるわけないわよ」

和「言って、いいんですよ?」

久「…口が裂けても、言えないわよ」

和「恥ずかしい、ですか?」

久「…そんなんじゃないもん」

和「……」ナデナデ

久「きゅ、急になによ!?」カァーッ

和「私、頭を撫でられるの、好きみたいなんです」ナデナデ

久「はぁ…!?」

和「私、お気に入りのぬいぐるみがありまして、
それが側にないと寝付けないんです」ナデナデ

久「……子供みたいね」

和「ですよね」

久「……私も、子供みたいね」

和「……」

久「もっともらしい理屈を剥がされて出てきた言葉は
嫌だ嫌だ言いたくない…駄々っ子かっての…」

和「本当にこねたい駄々は、他にあるんじゃないですか?」ナデナデ

久「……和」

和「はい」

久「1人じゃ、どうしようもないのよ」
和「はい」

久「誰でもってわけにもいかないの」

和「はい」

久「……ここに、来てよ」

和「お断りします」
久「ちょっ…!?」

久「今の流れで即答で断るってどんな鬼畜よあなた!?」

和「先頭に立つ人間がそんなに弱気じゃ、誰もついて来ませんよ」

久「………なんて言えばいいのよ」

和「私が全国に導いてあげるからついてきなさいと」

久「………鬼畜」

和「言えませんか?」

久「…言えるもんならとっくの昔に言ってるわよ」

和「弱いんですね」
久「…うるさい馬鹿」

和「一緒に、強くなりませんか?」

久「…へ?」

和「目上の人間に散々生意気な口をきいておいて何ですが、私も弱いんです」

和「胸を張って先頭に立てるよう、その背中を支えられるよう、強くなる方法を一緒に探しましょう」

久「………私で…いいの?」

和「まだ候補段階ですが、件の科白を言えるようになったら、鉄板ですかね」

久「……人、集まらないかもしれないのよ?スタートラインにすら立てないかもしれないのよ?」

和「どんなに効率を重視して打っても裏目になるときは裏目になるものです」

久「どこが効率重視よ…解説不能のオカルトじゃない」

和「私は、デジタルです」

久「……本当に、いいの?」

和「答えてください久さん」

久「…いいわよ。一緒に探してあげるわよ。私に対して生意気な
口きけなくなるくらい強くなってやるわよ」

和「決まりですね」
久「……ありがとう、和」

和「お礼を言うにはまだ早いですよ」

久「ありがとう…和…」

和「泣くのもまだ、早いですよ」

久「泣いてないわよ…馬鹿」

和「頭、撫でましょうか?」

久「口動かす暇があったら手を動かしなさいよ…」

和「はい」ナデナデ

久「……もっと優しいほうがいい」

和「わがままですね」ナデナデ

久「和には負けるわよ…」

久「まだ、はっきり言ってないことあったわね」

和「なんです?」

久「…自信、そんなにないの」

和「知ってました」ナデナデ

久「可愛くない後輩だわ…」ナデナデ

和「言いたいこと、言い尽くしましたか?」

久「…うん」

和「じゃあ、行きますか」

久「…えぇ、行きましょう」


喫茶店にて

ガチャッ

煌「いらっしゃいま…」


和「お疲れ様です煌先輩」

久「ハロー」

煌「和…久さん」

煌「(…上手くいったんですね…よかった)」

まこ「今日はいつもより遅かったのう」
久「まぁ、色々あってね」

和「すみませんまこさん。すぐに着替え…」

久「は?なに言ってんのよ和」

和「…?」

久「今日からは、付きっきりで私の相手してくれるんでしょ?」

煌「え?」

まこ「え?」

和「……ゑ?」

久「ひどいわ。一緒になってくれるって言ったのに…私のこと、遊びだったの?」

和「誤解を招くような言い方しないでください!」

煌「あの、和?どういうことなんですか?」

和「聞き流してください。質のねじ曲がった悪ふざけです」
久「残念ね煌。和はあなたのものじゃなくなったのよ」

煌「元々、私のものではありませんけど…」

久「じゃ、遠慮なく独占させてもらうとするわー。
さぁ和、あっちでいいことしましょうねー」ギュー

和「待ってください…!親には喫茶店の手伝いということ
で了承を得ているので付きっきりというわけには…」

久「そう。ならご両親への挨拶は早めに済ませてしまいましょう」

和「さっきから久さんは何をのたまっているんですか!?」
久「わかってるくせに」

和「わかりませんしわかりたくもありません!」

煌「(この様子だと、お役御免となる日はそう遠くはなさそうですね…)」ジー

まこ「なんじゃ煌、羨ましそうな顔して見つめおってからに」

煌「そんな顔、してましたか?」

まこ「初めてできた後輩が早々にとられたみたいで、寂しいんか?」ニヤニヤ

煌「かも、しれませんね…」

まこ「なら、混ざってきんさい」

煌「でも…昨日も途中で帰って…」

まこ「客足も落ち着いちょるし、行ってきんさい」

煌「…ありがとう、まこ」

和「久さん、悪のりが過ぎますよ!?」
久「あなたのせいよ和。あなたのせいで私はおかしくなってしまったの…責任、取ってもらうから」
煌「そこまでです久さん!和の言うとおり、悪のりが過ぎますよ!」

久「何よ煌。私と和は将来を誓い合った仲なのよ?」

煌「しょう…らい…?」

和「間違っているような間違っていないような…!」

煌「お二人の仲がどこまで進展したのか知りませんが、和は私の後輩ですし、
焚き付けた責任もあります…私の目が黒い内は清い関係を保ってもらいます!」
久「小姑め…」

和「煌先輩!?助けてくれるんじゃないんですか!?女同士ってこともスルーですか!?」

煌「当人同士が好きあってるならいいんじゃないでしょうか?」

和「好きあってませんしそんな性癖は持ってません!」


久「私を目覚めさせておいて…」

和「私は何もしてないでしょうが!」

煌「不純です。不純です…不純ですっ!」

和「三度も言わなくても…!」

久「和は不純なんかじゃないわよ!頭を撫でられるのが好きなのよ!
お気に入りのぬいぐるみが無いと寝れないのよ!夜中1人でトイレに行けないの!
こんなに純粋な子は今時なかなかいないわよ!」

煌「私の知らない情報をそんなに…じぇらしー」

和「事実に嘘を混ぜないでください!信憑性が増すじゃないですか!
夜中に1人でトイレに行けます!」

煌「お気に入りのぬいぐるみが無いと寝れないというのは…?」

和「……事実、ですけど」カァーッ

煌「(…可愛い)」

久「(…美少女め)」

まこ「(おーおー楽しそうじゃのう。前まではいじられポジションじゃったし、精々新鮮な気分を堪能することじゃ)」


まこ「(…働きづめの青春じゃ、寂しすぎるからのぅ)」

まこ「(わしにも…あいつらに何かしてやれること、あるんじゃろうか…)」

投下終了です

基本投下は一週間以内にします。

出来そうにない場合はその旨書き込みます

四月下旬

久「ねぇ和」

和「なんですか?今は忙しいので後にして…」

久「お気に入りのぬいぐるみってどんなのなの?」

和「…まだ引っ張るんですかその話」

久「引っ張るって、和の方からカミングアウトしたんじゃない」

和「カミングアウトとはなんですか!?特殊な性癖みたいに言わないでください!」

煌「そうですよ久さん。子どもみたいで可愛らしいじゃないですか」

久「そうね。可愛いわね」

まこ「可愛いのう」

煌「可愛いですよ和!」

久「可愛い!」

まこ「可愛い!」

煌「可愛いです!」

和「…仕事に戻りますっ」プイッ

久「ごめんごめん。謝るからいじけないでよ。
和、反応がいちいち面白いからつい、ね」

まこ「同じくつい」

煌「…?可愛いですよ?」


和「…煌先輩とまこさんは許します」

久「差別だわ…私だって悪気はなかったのに…」

和「嘘ですよねそれ」

久「わかる?」

和「この人は本当にもう…!」プルプル

久「冗談はこのくらいにして、打ちましょうか」

和「私、仕事中なんですけど」

久「私の戯れ言に構う余裕あるんだから、打ってくれてもいいじゃない」

和「無視したら無視したで面倒なことになるからです」

久「私と仕事、どっちが大切なのよ?」

和「今は仕事です」

久「…昔はあんなに優しくしてくれたのに。その内こちらから迫っても
仕事で疲れたから寝るとか言うようになっちゃうのかしら」

和「何の話ですかなんの!?」

久「もう倦怠期だなんて…切ないわぁ」

和「付き合えば付き合ったらでこれですか…」

まこ「あー、和。仕事は構わんからその大きいお友達の相手してやってくれ。煌も」

煌「私も、ですか?」

和「ですが…」

まこ「いいんじゃいいんじゃ。厄介事押し付けるようなもんじゃし。それ程多忙ってわけでもなし」

久「厄介とは何よ。御利益溢れる女神に向かって」

まこ「わかったわかった。この2人に女神様の御利益を与えてくれ」

久「お安いご用よ」

和「本当にいいんですか?」

まこ「えぇから、ほれ、打った打った」

煌「和。ここはまこの厚意に甘えましょう」

和「…わかりました。久さん、今日こそ引導を渡してあげます」

久「…それはつまり私が原村久になる日が近いということ?」

和「私の言葉のどこをどう解釈したらそういう結論が出るんですか!?」

久「だって、引き導くと書いて引導と読むわけだし…気が早いわねぇ和は」

煌「男らしいですね和」

久「亭主関白気質ね」

和「二度とそんな軽口を叩けないくらいめっためたにしてあげますから…!」ギロッ

煌「えっ!?私も対象内ですか!?」

和「悪意が無いからといって全てが許されるわけではないんですよ煌先輩…」

煌「ひぃ…」ブルブル
久「ひぃぃ(棒)」
和「久さんはいちいち私の神経逆撫でしないと死ぬ病気にでも罹っているんですか!?」

久「だって、そんな可愛い顔で睨んだって全然怖くないし…」

和「可愛いとか言わないでください!」

久「可愛いわよ和」

まこ「可愛い!」

煌「可愛いですよ和!」

久まこ煌「可愛い!」

和「早く座って下さい!」

久「なによ、やる気満々じゃないの。したいならしたいって素直に言いなさいよ」

和「したいですだから早く席についてくださいこれで満足ですか!?」

久「誰としたいの?」

和「久さんとしたいです!」

久「そんなにしたいの?」

和「したいですっ!」

久「……えっち」

和「何を言ってますか何を!?」

煌「まこ、久さんは何を」

まこ「知っちょるか煌?初めて金平糖を食べた日本人は織田信長だそうな」

煌「なんと…まこは博識ですね!」

まこ「そうじゃろうそうじゃろう」

久「えろーえろえろー」

和「えろえろ言う久さんの方がえろいんです!」

久「えろえろ言ってる和もえろいわねー」

和「あぁぁぁぁもぅ…!は!や!く!せ!き!に!つ!い!て!く!だ!さ!い!」

煌「…何がえろいんですか?」

和「煌先輩もえろえろ言ってないで席について下さいこのえろ!」

煌「わ、私はえろじゃありません!」

和「今えろって言ったじゃないですかえろ!」

煌「和だって言ってるじゃないですか!」

和「私はえろじゃないからいいんですよでも
煌先輩はえろですだからえろえろ言われても文句言えませんね!」

煌「そんなむちゃくちゃな…」

まこ「久、お前さんのせいで和が発狂してしまったわけじゃが」

久「私って罪な女ね」

まこ「まったくのぅ」

和「煌先輩がえろなら私はえろって言われないんですだからえろくなって下さい今以上に!」

煌「今以上にって既にえろいみたいに言わないでください!」

和「ほらまたえろって言いました本性を表しましたね
聞きましたか久さん!えろですえろ!えろえろです!」

久「えろえろだわねー」

煌「そ…そんな…久さんまで…」

和「えろーえろーえろー!」

久「えろえろー」

煌「違うのに…違うのに…」

まこ「(想定してた展開とはかけ離れたが…楽しそうじゃしこれはこれでいいかのぅ)」

まこ「(中学生の内からバイト三昧の青春じゃ味気なし…)」

まこ「(…余計なお節介ここに極まれり…じゃが)」

まこ「(こんなに見所がある連中の貴重な青春時代を、この場で悪戯に浪費させていいん
じゃろうかと、思わずにはいられんわけで…)」


和「まこさんなに1人で自分は関係ありませんって顔してるんですか!」

まこ「な、なんじゃ!?」

和「まこさんだってえろいくせにえろじゃないって顔してましたよ!」

まこ「なんでえろいことが確定しちょるんかの…」

久「むっつりねむっつり」

まこ「お前はからかえるなら相手を選ばんのかい…」

煌「あぁ…まこにまで被害が…この場を収めるためには私がえろくなるしか…
ん?でもまこをえろにしてしまえば私がえろえろ言われずに…
だ…だめです煌!濡れ衣とはいえ汚名を晴らすために友人を生け贄にするなんてすばらくない…」

まこ「(このままでいいのか…といいつつも、現状楽しくて仕方ないわけで…)」

まこ「……はいはいわしはえろいわしはえろい」

煌「まこ…!?」

和「ようやく白状しましたか!」

煌「待ってください和!まこはえろくなんかないです!」

和「いいええろですえろえろです自白してますし眼鏡かけてるくらいですからね!
眼鏡をかけてる人の大半はいやらしい本を読み過ぎて視力が落ちて
眼鏡をかけざるをえなくなったえろばっかりですからね!」

煌「そ…そうだったんですかまこ…?」
まこ「事実じゃな」
煌「すば…!?」

まこ「興味あるなら、貸してやろうか?」

煌「あ…ありませんので結構ですっ」

まこ「……これっぽっちも?」にじりにじり

煌「ない…です」

和「えろえろえろえろえろえろえろえろ…」

久「和が変な呪いにかかったみたいに…ちょっと怖い…」

煌「………」モジモジ
まこ「ま、貸してと言われても持ってないから貸しようがないが」

煌「は…謀りましたねまこ!?」

まこ「興味あったんかい?」

煌「ああああありませんってば…!」

まこ「すけべ」

煌「すけべ!?」ガーン

まこ「すけべじゃ!すけべがおるぞー!」

久「どこどこ!?」
和「どこですか!?どこにいるんですか!?」

まこ「ここに」ビシッ
久「ほう…」

和「へぇ…」

煌「なんですかその反応は…」オドオド

久「いかにも私は清純ですと言わんばかりのオーラを振りまいておきながら」

和「頭の中はえっちなことに興味津々だなんて」

まこ「煌はえろいなぁ!」

久「煌はえろいなぁ!!」

和「煌先輩はえろいですねぇ!!!」

煌「うぅ…もうお嫁にいけません…」シクシク

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