大魔王「俺大魔王辞めるわ」四天王「………」(460)

書きます

基本適当

ここをこうすればいいとか教えてくれると嬉しいです


大魔王の城


大魔王「今日皆に集まって貰ったのには訳がある」


四天王1 「我らを呼んだと言うことわ」


四天王2 「ついに人間共を滅ぼす日が来たのですね?」


四天王3 「さすがは大魔王様!!我らは大魔王様にどこまでも着いて行きますぞ!!」


四天王4 「大魔王様万歳!!」


配下のモンスター達 「大魔王様 万歳!!」

大魔王 「俺 大魔王辞めるわ 」


四天王「…」


配下のモンスター「…」

大魔王 「つうことで後は任せた 頑張ってねwww 」


四天王 「…」



大魔王はルーラーを唱えた









無駄な改行多すぎ

大魔王 「つうことで後は任せた 頑張ってねーwww」


四天王「…」


大魔王はルーラーを唱えた


大魔王は何処かに飛んでいった

>>4気をつける!!


ダーマ神殿


大魔王「さぁーて大魔王辞めたし 何に転職しようかなー」

神官「転職を希望されるか? どのような職業をご希望かね?」

大魔王「おすすめとかあります?」

神官「勇者がおすすめですな 今なら伝説の防具が一つ着いてきますぞ」

大魔王「じゃあ勇者になります」


大魔王は勇者に転職した。


大魔王「勇者になったならまずは仲間集めだよなー」

大魔王「ルダーの酒場にでも行ってみるか」


ルダーの酒場 ダーマ神殿内部


大魔王「すいませーん 仲間を募集したいんですけど」

ルダー「どんな人がお望みだい?」

大魔王「特に希望はないかなー とりまあんたでいいや 仲間になってよwww」


ルダーが仲間になった

大魔王(勇者)
レベル100
HP 9999
MP ムゲン
見た目
金髪 ツンツンヘアーそこそこイケメン
身長180センチ
(魔法で人間の姿になっている)

ルダー(ルダーの酒場の女主人)
レベル1
HP3
MP1
見た目
茶色髪 ストレート
巨乳
25歳位
身長170センチ位

大魔王「仲間も出来たし次は王様に会いに行くべきだよなー 流れ的に」

ルダー「了解 私はどこまでもあんたに着いていくよ」
ルダー(あんなに強引に口説かれたのは初めてだよ… 惚れちゃうじゃないか)


大魔王はルーラーを唱えた


大魔王とルダーは何処かへ飛んでいった

何処かのお城の城下町


大魔王「到着!!さっそく王様に会いに行きますか」




お城の内部


王様「よく来たな勇者よ これより我が命にて魔王を討伐してまいれ」

大魔王「了解しやしたぁーつうことで行ってきます」


これより大魔王(勇者)とルダーの魔王を倒す旅が始まる


こんな感じで頑張ります。


誰も見てないか…

全く期待できない。クソ過ぎる。
なんで勇者になるんだよ。しかも何でルイーダをいきなり仲間にしてんだよ。
むしろ、レベル1のへなちゃこバカ勇者もしくは、萌え系幼女勇者が仲間を探しに来たら、
なぜか大魔王が仲間になって、大魔王と共に世界を救う話とかにしろよ。

>>25
それも読んでみたいから、別にスレ建てて書いてくれ

>>26 お前が書いてくれよ。

王「本気で魔王倒す」勇者「えっ?」   とか、
魔王はなかまをよんだ!しかしだれもあらわれなかった!!  とか
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」     とかを超期待してスレを開いたのに・・・

魔王「――さて、どうやら俺に勇者を名乗る資格は無いらしく」

魔王「あの女も酒場の店員に連れ戻され」


魔王「また行ってみるか」


ルイーダ「ああ、アンタか」

魔王「おう」

ルイーダ「さっきはすまなかったね。アタシも色々嫌になってて、遠くに行きたくて」

魔王「構わんよ。刹那的だけど楽しかった」

ルイーダ「優しくするんじゃないよ……なじってくれたら楽になれるんだけどね」

魔王「いや、本心だし。お前さんみたいな仲間が欲しいな」

ルイーダ「……ったく、嫉妬するよ、アンタの仲間になる奴に」

ルイーダ「でもそれがアタシの仕事だ。それを全うしようじゃないか」

魔王「俺、需要ある?」

ルイーダ「アタシの見立てだとアンタは魔法使いだね? 勇者ではないよね? アタシの目は誤魔化せないよ」

魔王「魔法使い……まぁ、そんな感じか」

ルイーダ「それに野心もあんまり無さそうだね」

魔王「手柄が欲しい訳じゃあないな」

ルイーダ「おk、あの子を育ててやってよ」

魔王「どれ?」

ルイーダ「ちょっとアンタ!」

女勇者「ふぇ?」

ルイーダ「仲間見つかったかい?」

女勇者「まだです……無視されてばかりですよぉ」

ルイーダ「う~ん、名を上げてやろうって考えてる連中から見たら
アンタは頼り無さそうだからねぇ」

女勇者「もう16なんだから立派なオトナです!」プンスコ

魔王(バリバリに子供じゃないか)

ルイーダ「でも結果が全てを物語ってるよね」

女勇者「あう……」


ルイーダ「とりあえず旅に出るのは待つとして、アンタの修行に付き合ってくれる人なら」

魔王「こんにちは」

女勇者「えっ、あ……こんにちは」

女勇者「いいんですか?」

魔王「ああ、暇だし」

女勇者「彼女とかいませんか?」

魔王「いないよ」

女勇者「えっちなこととかしませんか?」

魔王「……約束しよう」

女勇者「じゃあお願いします!」

魔王「ああ、よろしく(簡単に信じちゃうのな)」

う~ん

使い古された設定すぎて泣きたい

気に入らなければ忘れてくれ

女勇者「じゃあ、握手しまよう」

魔王「握手? なんだそれは」

女勇者「知りません? 挨拶みたいなものですよ。えーと…… 英語で言うとハンドシェイク?」

魔王「何故、英語で疑問系なんだ? それに私の居た所にそういった風習はない」

女勇者「まあいいや、手を貸して下さい」ギュッ

魔王「お、おい!? 何をす」

女勇者「こやってするんですよー♪」ブンブン!!

女勇者「これからよろしくお願いします!」ペコッ

魔王「お、おい!? なんだこの行為は」

女勇者「だから、これが握手ですよぉ? それとこれには私は武器を持っていません。貴方を信頼しています、って意味もあるんです」

魔王「(信頼?)よく…… 分からん。が………… まぁ、悪くない」

女勇者「えへへへー♪ でしょー?」ニパァァ

魔王(信頼か…… そんなもの我々の間になど無かった。あるとすれば生まれ持った歴然の力の差と暴力。恐怖による服従。四天王も国民のあ   れも覆せない大きな力に付き従っただけ。信頼など…… ありえるはずもない。いや…… ヤツが居たか。まあ、それも)

女勇者「ん~、どうしましたぁ?」

魔王「イヤ、なんでもない。まあ、その…… なんだ、よろしく頼む」

女勇者「こちらこそ!」






勇者Lv32「よ~よ~見せ付けてくれるじゃねぇかぁ」

戦士Lv29「その女勇者は俺らが目を付けてたんだからしゃしゃってくんなよ」

盗賊Lv26「あひゃひゃひゃ!!」

魔王「なんだお前等? もしかして女勇者とパーティーを組もうというのか?」

女勇者「えっ!? ほんとですか? やったー! ずっと頑張って待っていた甲斐がありました」

魔王「なら、握手というやつだな。よろしk―」

 バシッッ!!!!

魔女「「!!!?」」

勇者Lv32「カーバ!! んな訳ねぇだろが! 俺らはそいつを雌奴隷にしようと思ってたんだよ」

盗賊Lv26「いひゃひゃひゃ!!」

魔王「なん…… だと?」

勇者Lv32「大体よぉ~そんな低レベルの勇者に付いてくヤツァいねぇよwww」

戦士Lv29「レベルはクソだけど顔と身体はいい女だからな。可愛がってやんぜ」

女勇者「――――!?」ビクッ

魔王「どういうことだ?」

勇者Lv32「あーあーなんも知んねぇんだぁ? じゃあ、親切な俺様がどうして女勇者がパーティー組めないか教えてやる」

女勇者「お、お願い!! ヤメテ!!!」

勇者Lv32「あはははは!! イヤだねッ!!! そんな顔されたそそちまうぜぇぇ? この女勇者様はレベルが全然上がらないレベル1様って有名なんだよwww」

盗賊Lv26「うひゃひゃひゃ!!」

魔王「………そうなのか? 女勇者」

勇者Lv32「さーさー答えてやれよwww 初めてのお仲間の信頼を失っちゃぞぉ~~~?」

戦士Lv29「可愛い顔で泣いちゃってまぁ、あーたまんねぇヤラしてくれぉ」ニヤニヤ

女勇者「…………………」ビクッ!!

戦士Lv29「いーち!」パンパン!

勇者Lv32「いーち!」パンパン!

盗賊Lv26「えーひゃ!(いーち!)」パンパン!

女勇者「やめてぇ…… お願い…… お願いだからぁ………」

勇戦盗「「「いーち! いーち! いーち! いーち! いーち!」」」パンパン!

勇戦盗「「「こーれで、仲間はまーたおさらば! バイバイバーイ! バイバイバーイ!」」」パンパン!

女勇者「えぐっ…… えっくひっく  もう…… イジめ  ないでぇ………… おねがぃ」

魔王「おい」

女勇者「――――」ビクッ

魔王「どうなんだ? お前の口から答えろ」

女勇者「…………あぅ …………その」

魔王「どうなんだ?」

勇戦盗「「「ざーんねーんでぇしぃたぁ! ひぃとりぼっちぃバイバイバーイ! バイバイバーイ!」」」パンパン!

魔王「五月蝿い黙れ」ブン!

盗賊Lv26「おひゃひゃひゃ――!? ぎゃくぇrtぎぃこlp;@くぁwせdrftぐぎゃぁぁあ!!!!」

 グシャッ!! ゴガガガガガン!!

魔王「私は黙れと言ったはずだが?」

 シ――――――――ン……

モブA「い、今のって殴ったのか? 全然見えなかったぞ」

モブB「早い、早すぎる。なに者なんだあのデカイ男は」

勇者Lv32「なっ!? ば、馬鹿な! 盗賊の奴はキチガイだが素早さではそこらには負けない奴なんだぞ!!?」

戦士Lv29「い、いや…… た、多分油断したんだ。でなければ盗賊がや、やられるはずが」

魔王「女勇者よく聞け」ズイッ

女勇者「…………」コクン

魔王「お前はこの私、魔王を信頼すると言った。だから私もお前を信頼している。だからお前がどんなレベルでも関係ない。私とお前の信頼は揺るがない」

魔王「そして私を見損なうな。そして己を殺すな。分かるな? 女勇者よ」

女勇者「マオーさん…… 私…… 私」ググッ…

魔王「そうだ、何も強いだけが勇者ではない。己の心に揺るがない信念の炎を燈すものこそ勇者の名に相応しい」

魔王「そう、そこのゲスとは違ってな」


勇者Lv32「て、テメーーー!!! 殺してやる!」

戦士Lv29「任せろ勇者!!」

魔王「で、貴様のLvはいくつだ?」

戦士Lv29「俺様の剣を受けてみろ!! おりゃああああ!!!」

魔王「………………………………フン、ザコが」パシッ

勇者Lv32「!!? 指で白刃取りだ…… と?」

戦士Lv29「び、ビクともしね……ぇ!」グググッ

女勇者「………… です」

魔王「ん? よく聞こえんぞ?」

女勇者「………ち …………です」

魔王「全く持って、全然聞こえんが?」

女勇者「……ぃ         ち……                       で         す」

魔王「声が小さい!!!!」

女勇者「ハ、ハイッッ! 1です!!!!!」

魔王「ふむ、いちか」

女勇者「はい、いちです」

女勇者「………あの」

魔王「なんだ?」

女勇者「………こんな勇者ですけど、マオーさんは一緒に居てくれますか?」

魔王「クドイな私は嘘は吐かん。お前が死ぬまで一緒に居てやる安心しろ」

女勇者「………………………ま   マオーさん!」ダキッ

魔王「お、おい!!?」

女勇者「ふええぇぇん! マオーさん! マオーさん! マオーさぁぁぁぁんん!!!」ギュウウゥゥ

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               i/_,ヾ;;l j                    i |;;/ - |
                 i  ヾ、 -=、,,____ ヽ, / ___,,r==-  ,イ ,/ |
                丶ヽ i;r、 ,,r'':::::::::::::::ヾ__,、,_ir ':::::::::::::::::ヽ_/,liri' /    かまわん 続けろ
                   `j、 l;l ゙ii::::::::::::::,; -メ‐、 ヽ::::::::::::::::::::ノ  ,irメ /
                  /:lトヾ,, ヾ--./ / ./ヽ, `──‐‐´ ,r/l_/::::\
                /:::::|iiilヾヽ,_/ , '  /  i          !;i liiil::::::::::\ _
               _, -/´:::::::lr'ヽjl´   ,, '  ./  / _,-`       j;トjiii/:::::.:.::.:.:.:.|:ヽ_
        _, - '´.:.:.:.:|::::::::::::| /  ,i´  /  ,i_''_, _ ,-、  ,_j;;i //:::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.\_
   _ , -─'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゞ::::::::::| /  /  /   /   _/ ,/,,,j';;/ 〃::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.::.:ヽ-、_ 
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よろしいから続けろください

>>45>>46おkまったり続ける

魔王「女勇者。な、泣き止め」

女勇者「だってぇ…… こんな素敵なプロポーズされた ことぉ…… ふえっく…… えぐえぐっ… ないんですぅ」エグエグ

魔王「プ、プロポーズだとぉ!!!?」

女勇者「だって、一生一緒に居てくれるってぇ…… 言ったもん!!!」

魔王「イヤ、あ、あれはだなぁ…… 元気付けようと思ってだな、そのなんと言うか」

女勇者「!!!? あ、あれはーあれはーーー嘘だったんですかァァ!? ふええええんん!! その場しのぎなんだぁぁぁ」ピギャーーー

女勇者「酷い! スケコマシ! 強姦魔! ヘンタイ! ロリペド! 未成年者略取ぅぅ~~! 犯されるぅ~~~~~!! 」

魔王「ああ! うっとおしぃ!」ゲシッ!

女勇者「あうち! 冗談なのにぃ」ヒリヒリ

魔王「オシメモ取れないガキが盛ってんじゃねぇ。レベル1が」

女勇者「うにゃぁぁぁ!!! ひどい!! それをマオーさんがそれ言うんですか!?」

魔王「別にレベル1が悪いとは言わんが、ダメダメなのは正解だなwwww いーちいーち!」パンパン!!

女勇者「ちょっ、テメッ! こので、で、デカブツゥ!!! ちょっと強そうだからってぇ」

魔王「誰がデカブツだボケ。それにちょっと強いではない。凄く強いのだ」フフン!!

 ワワーギャーーー!

勇者Lv32「おいテメーらストロベリってんじゃねぇ殺す」

戦士Lv29「は、放せッ!」グイッグイッ

魔王「ああ、すっかり忘れていた。悪い悪い」ポイッ

 ドガン!

勇者Lv32「お、おい、戦士大丈夫か!?」

戦士Lv29「クソォ…… 平気だぜ勇者。でもよぉでもよぉ…… 俺は久々にキレちまったぜぇ」

勇者Lv32「ああ、俺らをここまでコケにしてくれる奴は久々だ。本気だしてやる」



ルイーダ「アンタ達、ここで喧嘩はご法度だよ!」

盗賊Lv26「う、うるせぇよ……」ガラッ

戦士Lv29「盗賊大丈夫か?(え、喋ってないコイツ?)」

勇者Lv32(しゃ、喋れるのか!?)

盗賊Lv26「殺す」

女勇者「……ヒッ!」

魔王「ほぉ、私を殺すか?」

盗賊Lv26「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

ルイーダ「止めなさいっていってるでしょ! でないと出禁にするよ!!」

盗賊Lv26「知るか。おいそこのテメーは確実に殺す。女は犯す」

勇戦((……怒らすと怖いんだ気をつけよう))

魔王「ふむ、それはとてもとても愉快で全く持って楽しみだ。それでこそ俺は辞めたかいがあるというもの」

女勇者「?」

盗賊Lv26「俺がただの盗賊だと思って舐めてるな? いいこと教えてやる、前の職業はLv43の賢者だ」

勇戦((うそーーーん、どうしてそんな奴が盗賊!? つーか馬鹿なの? 死ぬの?))

女勇者「な、なんでそんな凄い人が、盗賊なんて職業してるの?」

魔王「大方、真面目にやっているのが馬鹿らしくなったんだろう」

盗賊Lv26「ああそうさ、真面目に賢くなんて馬鹿見るだけだ。俺この頭を使って奪う側になった! そして楽しく可笑しく生きるんだ。それになぁ……」

 ――――魔法を覚えた盗賊は怖いんだぜ?

盗賊Lv26「こいつをくらいな目耳隠しの遮光カーテン!」

 ブウゥゥゥンンン

女勇者「えっ!? なに、これ、魔法? 突然真っ暗になっ…… た? 目の前のマオーさん居なくなっちゃったし、周りの音も聞こえないよぉ…… マオーさん! マオーさん! どこですか! 大丈夫ですか!?」

勇者Lv32「は、はははははっ!! ど、どうだ俺たちの盗賊! ……さんは!!(汗)」

戦士Lv29「よしいけ! 盗賊ぅ!    さ、……さん!! そこに痺れる憧れるぅ!(汗)」

勇戦((やっべぇ…… 全然見えねぇ)) ←実は見えないし聞こえない。

魔王(ふむ……)

 ヒタッ……

 怖いだろ?

 なぁ、怖いだろ~?

 ヒタッ……

 さぁぁぁ

 何処からぁぁ~刺してやろうかぁ!!!?

 イ~ヒッヒヒヒッ!!

 まずは女からプツッてヤッちゃおうかなぁ~

女勇者「ヒッ!」ガタガタブルブル

魔王(つまらん。丸見えだ)

 デカブツ~怖いんだろ? ケケケッ(何故平気な顔をしている?)

魔王「不愉快だ。非常に不愉快だ」

魔王「この程度で私を殺すなど、糞も糞過ぎる」

盗賊Lv26「なんでテメー見えてないんだろ? 怖いんだろ? 強がっていねぇで怯えろコラァ!!」

魔王「丸見えだ。虫」

盗賊Lv26「ムシ……?」

魔王「そう虫だ、虫」

盗賊Lv26「Lv43の賢者に向かって虫だとぉ!!?」

魔王「フン、奪うだけの汚い盗賊風情に成り下がった者が何を言う。研鑽を積むことを止めたのだろう? 辛く厳しい道から逃げたのだろう? 弱者から奪うことに幸福を感じる下卑者は虫で充分ではないか?」

魔王「……ふむ。イヤ、これでは虫に失礼だ。虫と糞虫を一緒にしてしまったのだからな。ならば早速謝罪だ虫に頭を下げねばならぬ。おいそこの糞虫、虫さんの連絡先を教えろ。糞虫なら知っているだろう?」

盗賊Lv26「ぎがががっ! 言わせておけばァァアアアアアア!!!!!!!!!!」

魔王「ほぉ? 糞虫でも怒るのか。これは愉快だ」

盗賊Lv26「死ねェェええええ!!!!!!!!!!!!」


 ―――― 動 く な 。


 ビタッ!

盗賊Lv26「う、動けねぇ!」

魔王「当然、魔声だからな」

盗賊Lv26「魔声は魔族の高位が使う術だ。その声は低レベルのもの自在に操るという……」

魔王「糞虫とはいえ腐っても賢者か。知識だけは多少あるようだな」

盗賊Lv26「ど、どういう……!? 何故人間のお前が魔声を使えるんだ」

魔王「可笑しなことを言う糞虫だ。一体、誰が私を人間と言った?」

 ゴゴゴゴゴッ

盗賊Lv26「あの女勇者がマオーって言ってじゃないか」

魔王「ああ、そのことか。当然それは私の呼び名だからな」

盗賊Lv26「(マオー? まおー? 魔おー………?)」

魔王「丁度いい。周りには見えていないようだし、たまには本来の姿に戻らないと窮屈だからな…… どれ」

盗賊Lv26「」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

盗賊Lv26「ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」

魔王「では教育してやろう」



  私の仲間を馬鹿にしくれた貴様に本物の恐怖というヤツを




盗賊Lv26「」プシュー

魔王「おい、糞虫。寝るな起きろ」

盗賊Lv26「」

魔王「チッ…… これから素敵な素敵なショーの幕開けだったのに」

魔王「まあ捨て置けばいいか。この中途半端な闇も目障りだ。消すか。と、その前に人間の姿に戻らなくては」ホワワワン

女勇者「あれ? 元に戻っ…… ハッ!? マオーさん! 大丈夫ですか!?」

魔王「おう、私は大丈夫だ。どうやらこの盗賊は、滑って転んで壁に頭をぶつけて、反動でもう一度床に頭を強打したようだな。見事のびているぞ」

女勇者「あっ! 本当だ。はぁぁぁ~~よかったぁ、マオーさんに何かあったらどうしようかと思っちゃいましたよ」

魔王「私は強いから全く持って問題ないぞ?」

女勇者「へ~ぇ、ふ~~ん、そうなんですかぁ?」

魔王「なんだ、その適当で、はいはいそうですね。あー強い強い。まあ、お前の中ではそうなんだろうな。お前の中では。みたいな反応は」

女勇者「べっにぃにそんなつもり無いですよ。でも、その盗賊は自分で、滑って転んで壁に頭をぶつけて、反動でもう一度床に頭を強打したんですよね? だったらマオーさんの手柄じゃないじゃないですか」

魔王「あー、なんというか」

女勇者「うふふふっ、見栄を張らなくていいですよ。さっきのプロポーズはちょっとドキッ! と、しちゃいましたけど、よくよく考えれば私とパティーを組んでくれるような人が高レベルな訳ないですからね。これから一緒にがんばりましょう!」

魔王「いや、私は」

女勇者「まーまー旅の恥は掻き捨てろと言うじゃないですか」

魔王「用法要領が違うわ! ほざいていろレベルいちが」ペシペシペシ!!

女勇者「いたたたたた! 何を怒っているんですか!? チョップやめてください」

 サッ……

勇者Lv32「フフッ…… 今のうちイチャ付けば良い。盗賊は我等パーティーでは最弱」

戦士Lv29「女勇者の仲間に負けるとは勇者パーティーの面汚しよ」



ワーワーギャーギャーーー!!

勇者Lv32「喧嘩して隙だらけだ。いくぞ! 俺の最大奥義!! エターナルフォースブリザードォォォ!!!」

戦士Lv29「勇者の必殺技! 一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる相手は死ぬ」

 ゴォォォォ!!

魔王「……エタフォwwwwwwwwwwww(旧世代のcyu・NI・byoって、ぎゃははははっ! っと、私は問題ないが女勇者が怪我をしてしまう)」

 グッ! パキン!

女勇者「んひゃ? マオーさん手をギュッ! って、してるんですか? 蚊でもいたんですか?」

魔王「あーブンブンとウザイ蚊がいたものでな」

勇者Lv32「俺の自信のエターナルフォースブリザードが……」ガクッ

戦士Lv29「勇者の必殺技で一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる相手は死ぬエターナルフォースブリザードが消えちまった」ガクッ

魔王(つーかよぉ…… 私は旅に出たいんだよね。こんな馬鹿共に関わってるほど心をワールドワイドじゃねぇし)

ちょっと地の文も入れるね。

女勇者「なんかよく分かりませんが、二人がorzになってるので今のうち逃げましょう」

魔王「いや、私は逃げなくてもかまわないぞ?」

女勇者「そんなこと言ってないで早く早く! 盗賊の人も勝手に自滅したし、この二人だって相当の手練なんですよ。この辺りでは相当有名なんですが知りませんか?」

魔王「ああ、私は辺境の地から来たからそういった情報に疎くてな」

女勇者「そうだったんですか。一応説明しておきますが、あの二人は実力も結構知れ渡ってます。が、それに輪を掛けて性格も相当悪いって有名なんですよ。さっきだって運良く魔法が途中で消えてくれましたけど、こんな幸運は続きません。だから――」

魔王「ふむ、それならさっさと逃げておくか(面倒だから盗賊の記憶は消しておこう)」エイヤラロトティーヤ!

盗賊Lv26「utukurusi!」ガクッ…

女勇者「?」

魔王「さて、出るか」

女勇者「ええ、早く早く!」

 出口に向かって駆け出す二人。

女勇者「ルイーダさんすみません! 今度ちゃんと謝りにきます!!」

ルイーダ「いいさ、気にしない気にしない女勇者。それよりがんばりな」

女勇者「は、はい!!」

ルイーダ「アンタは逃げるほど弱いとは思えないんだけどさ?ww まあ、あの子を頼むよ」

魔王「……ルイーダ」ポイッ!

ルイーダ「指輪?」

魔王「ああ、私の持っている今一番価値がありそうなのはそれしかない」

ルイーダ「出会って間もないのに求婚されるとは思わなかったよ。OKだから大事にしてちょうだい。そうね、初夜は海の見え魔王「サカるなボケが」」

女勇者(ぷ、ぷぷぷ、プロポーズって、さっき私にもしたじゃないですか!!!? マオーさん酷いです!)

ルイーダ「あら、私は結構本気よ?」

魔王「勘違いするなそれは修理代だ。それに一時でもパーティーを組んだ私には分かるがお前はいい女だ。いい女はいい女に相応しい男を見つけるのだな」

魔王「まあ、そんな物しか渡せくてすまぬが許せ。売ればそこそこの金になるはずだ」

ルイーダ「ふ~ん? そこそこなら指に嵌めておくわ。ねぇ、右と左どっちがいい?(これ…… そこそこなんてモンじゃない。国一つくらい買えるレベルの指輪だわ。それに魔翌力的な何かを感じるし)」

魔王「知らんわ。貴様の好きな方に嵌めろ」

ルイーダ「分かったわ、じゃあ右。帰ってきたら貴方の手で左手に嵌めてね」

 ドン!

魔王「痛ッ!」

女勇者「マ、マオーさん何モタモタしてるんですか!? い、行きますよ!!」

魔王「お、おい何をする。女勇者引き摺るな腕が痛いではないか」

女勇者「知りません!! さぁ! さぁ!! それではまたですルイーダさん」グイグイ!!

ルイーダ「ええ、いってらっしゃい(おや~? おやおやおやぁ? 嫉妬かしらぁ?ww)」

魔王「ルイーダ、世話になった。またいずれ会おう。それまでいと健やかに息災でな」ズルズル

ルイーダ「ええ、貴方もね」フリフリ



 ギィィッ バタン!


 指輪を嵌めた右手を振り見送るルイーダも

 怒って引き摺る女勇者も、

 orzの二人も

 酒場にいる全員も

 目指していた最終目標が目の前にいたことに気付けなかった。


 そして今、


 レベル1様と言われた女勇者と


 過去に大魔王と呼ばれたバケモノの



 二人の冒険が始まる。

女勇者「……ハァ ………ハァハァ」

女勇者「い…… っ……………………… いい ……ッ!」

女勇者「かは……ッ!! ハァハァ、くううぅうんんんっ! んあッ!」

魔王「しっかり上下に動かさんか!!」バシッ!!

女勇者「…ひあっ! いたいよぉ も、もぉ…… ハァハァ、動けな いッ……   んです」グッグッ

魔王「まだ、喋ることができるんなら平気だなオラオラ!」

女勇者「ヤメテぇぇ! そんな先でグリグリしないでぇ痛いのぉ! 震えてるから!! ハァハァ」

魔王「オラオアラオアラオアラァ!!」

女勇者「イヤぁああああああああああああああ!!!」

魔王「まだまだまだぁ!」

女勇者「鬼ー! 悪魔ーー!! ドSぅぅ!!」

魔王「フン、なんとでも言うとよいわ。せめて……」

魔王「10回くらい腕立てできるようになれぃ!」グリグリ

女勇者「イタイイタイ、竹刀でグリグリやめてください」

女勇者「ひっ、ひどぃ……! マオーさんなんかだいっきらいぃぃぃぃだ!」

魔王「嫌いで結構。貴様は鍛えんとおおがらすにでも殺されそうだ。町を出ていきなり協会でお世話になりたいか?」

女勇者「ううううぅぅぅ…… それは嫌だけどぉ」

魔王「なら、グダグダ言わず二回目をやれ」

女勇者「わかりましたぁ……」

女勇者「にぃ~~~~~~~!」んぎぎ




魔王「時に女勇者よ」

女勇者「はぁはぁ……! なんですかぁ。腕立ての途中で声かけないでくださいよ」サ~ン

魔王「金はあるのか?」

女勇者「お金ですか? 100ブロンズくらいはありますよ」

魔王「……(それは多いのか少ないのか?)」

魔王「先程も言ったが、こちらの事情に詳しくないので少し通貨や価値など教えてくれ」

女勇者「いいですけど? ふぅ…… 疲れたぁ」

魔王「誰が休んでいいと言った? 続けながら説明せい!」ビシッ!!

女勇者「ぶへっ!? なんでですかぁ!! 少しくらい休憩してもいいじゃないですか」

魔王「……ふむ、では貴様がヤラれたら【ささやき-えいしょう-いのり-ねんじろ!】でいいか?」

女勇者「カ〇ト寺院すかーーーー!? それだけは勘弁してくださいお願いします許してください後生です。絶対にドラ〇エ系の教会で何卒何卒」

魔王「安心するとよい。全てはガンジスに帰ると言うぞ?」

女勇者「マジ、ヒデェ」

魔王「ほら、続けて説明だ」テイ!

女勇者「いッ! えーっと10000ブロンズで1シルバー。 1000シルバーで1ゴールドです」ヒデブ

女勇者「ちなみに10000ブロンズは平民の一年間の生活費です」

魔王「では100ブロンズとは?」

女勇者「……三日です」

魔王「金も体力もレベル1か(これでは幸先が思いやられるな)」ハァ…



女勇者「で、でもでも仕方ないんですよ! 酒場には登録料払わなきゃならないし、でもルーダさんは登録料を格安にしてくれたんですよ」

女勇者「座っていなきゃ声もかけて貰えないし、ジッとしていても……」

魔王「腹は空くか? まあ今更言っても仕方あるまい」

女勇者「すみません」

魔王「いや、気にするな。俺もパティーの一員だからこの件に関しては貴様にだけ背負わせるつもりは無い」

女勇者「……マオーさん」グスッ

魔王「何にしても金を稼がなくてはな。さて、どうしたものか」

女勇者「ですよね~、魔物倒してお金が貰えるなんてファンタジーの世界だけですし」

魔王「手っ取り早くバイトするか」

女勇者「え~? バイトですかぁ? そこはクエスト依頼受けて懸賞金とか……『ド低脳が』へぶし!?」

魔王「貴様が今の状態で依頼なんぞ受けたら到達する前に教会行きだ」

女勇者「つ~~~///お凸がヒリヒリするぅ、もぉ! さっきから酷い言いようですけど、そういうマオーさんのレベルは幾つなんでかッ!?」プンスカ!!

魔王「俺か? ……(そもそも魔王の俺にレベルなんて概念が存在しないからなぁ、人間相当にするとどれくらいなんだろ?)」

魔王「まあ、貴様よりは全然強いくらいだな」

女勇者「そんなんじゃどれくらいか分からないですよ。もっと明確に」

魔王「しつこいな。じゃあ、お前を倒すのに、れい…… ん、3程度で(0.03割程度のなんて言えんしな)」

女勇者「3ですか? さん…さん……? あ! 3割という事ですね。じゃあマオーさんはレベル3~4くらいなんだ」

魔王「」

女勇者「?? マオーさん?」

魔王(想像力もレベル1か。何故貴様を倒せる力が貴様と同レベルと想像する)

女勇者「ん? 遠い目をしてどうしたんですか?」

魔王「………………………………気にするな少し疲れた」ハァ…

女勇者「じゃあ、少し休憩してからバイトを探します?」

魔王「ああ、そうしよう。でも、お前は腕立ての続きな」

女勇者「」


ID違うけど同じ書き手です。

 バイトとは言ったものの、騒ぎを起こしアレだけ派手に飛び出したので町に戻る訳にもいかず城下に行くことになる。
場所は歩きで数時間の距離なのだが、既に日は落ち月が輝き始める時間なので到着しても夜中。
その事事態あまり問題はないのだが、夜は出入り口が閉めてあり、魔法や移動アイテムなどで直接中に入る以外手がないのだ。

魔王(まあ、私が移動魔法を使えば簡単なのだがそれでは面白くない)

魔王「よし、今日は野宿だ」

女勇者「えー! 夜は危険なんですよ!? 町に戻りましょうよぉ」

魔王「貴様にはプライドというものはないのか? 騒ぎ起こして飛び出してきたんだぞ」

女勇者「た、確かにそうですけどぉ、外で寝るのはちょっと怖いというか汚いというか」

魔王「あのなぁ…… 最終的には魔王を倒すのだろう?(その魔王はもう城にはいないが)これから行く先々ナイスポジションに宿屋があると思うのか?」

女勇者「あううぅぅぅ、それはそうですけどぉ」

魔王「それに季節は春だ。焚き火をすれば暖かいし空を見れば月もあれば星もある。草木の匂いもよい。とてもとても素晴らしいではないか」

女勇者「むぅ、草は青臭いし木には虫もいるから嫌いです。それに月だって星だっていつもそこにあるから大して珍しくないじゃないですか」

魔王「ふん、これだから人… ゴホンゴホン。これだから貴様は情緒の欠片のない。少しは愛でるという感覚を養え」

女勇者「べーだ! どうせガサツですよーだ」

魔王「ガサツと無教養は違うのだぞ?」

女勇者「うるさいです! 私が火の番するんで先に寝てください。3時間経ったら起こしますからね!!」プンスカ

魔王「ああ、そうさせて貰う。と、言いたい所だが貴様が先に寝ろ、今日は疲れただろう」



女勇者「え……?」

魔王「いいから寝ろ。今日はがんばったな」ワシャワシャ

女勇者「あ、あぅ/// う、腕立て4回しかできなかったのにですか?」ワシャワシャ

魔王「そうではない。私が襲われたとき逃げなかっただろ?」

女勇者「と、当然じゃないですか! 私たちは仲間なんですよ?」

魔王「うむ、確かにそうなのだが、ああいう時こそ、そのモノの本性というのが現れる。しかも仲間になったばかりの私を心配して貴様は逃げず留まった。そう簡単に出来ない立派なことだ。誇ってよい」

女勇者「そ、そんな褒めても何もでませんよ?///」

魔王「……女勇者よく覚えておけ。お前には勇者としての資質がある。それは俺が保証しよう。しかし、貴様を望む人々の希望には貴様自信が保証せねばならない。だからこそ勇者には力が必要なのだ」


 言葉だけの力なら貴族に任せろ。


 救済の言葉だけなら神父に任せろ。


 希望と救いを望むのは民に任せろ。



女勇者「……………」


魔王「それらを貴様は思ってもいけないし望んでもいけない。前だけを行け後ろを振り向くな、体を引き摺ろうともただひたすらに前に進む。それが勇者だ」

女勇者「…………大変なんですね。勇者って」

魔王「ああ、勇者だからな」

女勇者「がんばれるかな? 私」

魔王「…………」

女勇者「…………」グスッ




 しかし






      背中は







 ―――――私に任せろ




女勇者「……マオーさん?」

魔王「それは勇者にだけ許された唯一の特権だ」

魔王「それに私たちはパーティーなのだからな」ナデナデ

女勇者「ひぐっ、えぐぅ…… うわあぁぁぁああああん! マオーさぁああん」ギューーッ


女勇者「………っ ………むにゃ……すーすー」Zzz

魔王「おい?」

女勇者「……… みゃ………… ぉ…………しゃ………な…んにゃむにゃ」

魔王「なんだ、寝てしまったのか」

 魔王は胸で泣いたまま寝てしまった女勇者のその顔は随分と幼い。本人は16と言っていたが、本当の年端は……幾つだろう? 考えるも長く生き過ぎた彼にはよく分からない。とりあえず人間で言う幼女(魔王の推測)という部類なのだろうと無理やり納得させた。

女勇者「……」カクン

 力の入ってない首がクニャリと曲がり支えを失った頭は外側に反れる。それを何の気なしに自分の腕と胸で支え、乱れた前髪を指先で起きないように直してやった。

魔王「フフ、無邪気なものだ」

魔王「」

魔王(…………私は、何をしているのだ?)ハッ!?

魔王「とりあえずここに寝かすか」ヨッコラセ

魔王「春とはいえまだ寒い。風邪を引かれても困るからな毛布は無いから俺の上着」

魔王「そこの枯れ木に火をつけて…… おお、ぬくいぬくい」ボウボウ

焚き火の横に寝かせて寝息を聞くと、彼女の行く末と自分の行動を考えると溜め息も出た。

魔王「クククッ…… なんだこの茶番のような行動は」

己に自嘲。

 大魔王と呼ばれた恐怖の象徴が小娘に振り回されている。

 しかもこれがなかなか悪くない。

 が、それ以上によく分からない感覚がある。

 胸の中を渦巻き、今まで身に覚えの無い不思議な何かが自分を支配している。

 コレハ、イッタイナンダ?

 瞬息ではあるが大魔王と呼ばれた自分がよく分からない感情に気をやっていた事に少し気恥ずかしくなって、誰も聞いていなのに『焚き木焚き木』と繰り返す。

 そうなると当然のように言葉の言い訳、焚き木を探しに出かけようとする。


 グイッ

 裾に何かが引っ掛かっている。視線を落とすと小さな手が。

女勇者「………………マ …オーさん  いっしょにい…… い  ……ん むにゃむにゃ」

魔王「……ん? 起きたのか。焚き木くらい一人で十分だ。ゆっくり休むとよ ……?」

女勇者「ひとりは…… ひとりは…………            いや  ぁ   で すぅ……」

女勇者「ひとりは…… もぉ」

魔王「……」

 スッ…… 

 魔王何も言わず女勇者の頭を撫でると、不安で今にも泣き出しそうな女勇者の顔の力が抜けた。

魔王「クククッ…… 本当に茶番だ、実に茶番だ」ナデナデ

女勇者「……ZZZzz」

魔王「大魔王から勇者、そして魔法使いにクラスチェンジしたのだが、これなら道化師の方がよかったな?」ナデナデ

 自分を嘲笑う表情はそれは優しい優しい顔だった。


>>75
無事で良かった

>>乙コメをくれた方々へ
乙コメをくれた方々にお礼申し上げます。うれしくて頬が緩んでしまいます。感想やツッコミ貰えれば嬉しいですけど、乙だけでも幸せになれます。これからもよろしくお願いします。

>>77ありがとうございます。揺れは大きかったのですが大丈夫でした。震災の被害にあった方々にはどのような言葉をお掛けすれば言いか語彙の少ない私には分かりません。ですので、募金など自分にできる事をしようと思います。

皆様これからもよろしくお願いします。


ホーホーホッホォー! ホーホーホッホォー!

魔王「おい」

女勇者「むにゃ」

魔王「おい、起きろ」

女勇者「もうちょっとぉ」

魔王「……#」

 ゴスッ!

女勇者「イタッ!」

魔王「起きろ」

女勇者「もぉーやさしく起こしてくださいよぉ! 痛いじゃないですか」ヒリヒリ

魔王「フン、グースカ寝おってからに貴様が寝てる間に狼やその他諸々が美味そうな贅肉の塊を喰おうと大挙して来たのだぞ」

女勇者「だ、誰の贅肉ですか!!」

魔王「お前の」

女勇者「むっきゃー! これでもすたいるには自信あるんです!!」

魔王「五月蝿い。つるぺったんの幼女体系。騒ぐな」ベシッ!

女勇者「へびっ、幼女じゃなくてセクシー路線まっしぐらな女勇者です」

魔王「」ベシベシベシベイ

女勇者「へぶっ! おぶっ? ひぶっ!? ひ、酷いですぅ」ヒリヒリ///

魔王「フン、寝言は寝て言えボケとトボケは違うんだぞ?」

女勇者「呆けても惚けてもいません!!! 自信の体で訴えて何が悪いン  って、あ、あれ? そういえば私いつのまに寝てたんですか?」

魔王「……」

女勇者「えっと…… 私確か……… マオーさんの言葉で泣いて」

女勇者「あ………………」

女勇者「私マオーさんの胸で寝ちゃって、頭をマオーさんが//////」

魔王「……!?」

女勇者「私ほんとにうれしくて……//// それで//////」

魔王「」

女勇者「へっ!?」


 シュン……

 ゴキッ!


女勇者「」キュゥ…



魔王「おお、おんなゆうしゃよ。きぜつしてしまうとはなさけない」

魔王「こうなったらしかたない。じょうかまでつれていってさしあげよう」


 ヘッドロックでゴキリとやった魔王とぐにゃりと崩れ落ちる女勇者は新たなるステージへ



魔王「おい」

女勇者「むにゃ」

魔王「おい、起きろ」

女勇者「もうちょっ」

魔王「……」 スウッ…

 ガバッ!!

女勇者「ま、まった!!」

 私は見たのです。天に向かい両手を広げ掲げるマオーさんの姿を

 それは禍々しくこの世の悪を孕んでいるかのような立ち姿でした。

 さりとて、それでいてどこか神々しい姿にも見えたのはとても不思議なことでした。

 でも、何をされるか分からないのに、本能的には何かをされたことだけは感じました。

魔王「チッ、次はヴァルハラへと送り届けてやろうと思っていたのに」

女勇者「殺さないでください。まだ青春真っ盛りです。次?」

魔王「……」 スウッ…

女勇者「ヒャッ!? な、なんでもないでふ。えええ~っと、ここはどこです? 街道沿いで野宿していたはずなのに」

魔王「ここは城下のハローワーク前だ」

女勇者「どうやって? 野宿していた場所からまだ数十キロあるのに」

魔王「ああ、キメラのつばさが落ちていてな。それを使ったんだ」

女勇者「なるほどぉ! 運がいいですね」

魔王「まったくだ(簡単に信じる奴だな)」

魔王「で、だ」

女勇者「はい?」

魔王「バイトが決まったぞ:」

女勇者「はい?」

魔王「かの有名なボルタ●ク商店の店舗解体だ」



女勇者「有名なんですか? 高価なアイテムやアクセサリを置いてあるとは聞いてはいたんですが。ほら、私貧乏じゃないですか? あははは」

魔王「ボルタ●ク商店を知らないのか? そうか、なら説明してやろう。この店は武器、防具の売買・鑑定・解呪を行う店だ。まあ、何でも屋だと思って間違えない。だが、その先が問題でな。この店でアイテムの売却をしようとするもんなら買取価格は店舗での売却価格の半額だ。またそれを買い戻すには倍になる。あこぎだな」

女勇者「???」

魔王「どこがあこぎですか? みたいな顔だな。仕方あるまい馬鹿な貴様にも分かるように説明してやろう。たとえば、ボルタックにショートソードを貴様は売却した。その買取価格は30ブロンズ。貴様のポッケには30ブロンズ。でも、店での売値は60ブロンズになる。お店のポッケには60ブロンズ。正体不明の戦利品の鑑定代も店舗売却価格と同じ。商品がダブつこうが価格変動ない。まあ、希少アイテムも同じだと考えればある意味良心的か? どうだなかなか酷いもんだろ? クククッ」

魔王「さらに、正体不明の戦利品(レアアイテム)を鑑定しないで売却した場合、プレーヤーに利益はない。店で鑑定、店で売却。なんて凄まじいバカを俺は見たことがある。まあ、そんなこんなで、ユーザーの間では「ボッタクル商店」とも呼ばれる」

女勇者「(^p^)?」

                スッ
       魔王  i⌒i スッ
      ./ ̄\ | 〈|
      |#^o^..| / .ノ||
      ,\_// ii|||| バチーン!!
    / ̄   / iii||||||  バチーン!!
   / /\   / ̄\ii||||      .'  , ..

 _| ̄ ̄ \ /  ヽ \从// ・;`.∴ '     
 \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \__) < ,:;・,‘  
  ||\        / ̄\.' , ..
  ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ | ^o^ | やめてください しんでしまいます

  ||  || ̄ ̄ ̄ ̄, \_/
    .||      / ̄   ̄\         
         / /\女勇/ ̄\

       _| ̄ ̄ \ /  ヽ \_ 
       \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \__)
        ||\          \
        ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||

        ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
           .||              ||

女勇者「イタタタタ!!! イタイイタイ! しんでしまいます」

魔王「そうだ。しんでしまえ」スパコーン!スパコーン!

女勇者「しぬしんじゃう」

魔王「 ほ ん と う に し ん で し ま え 」



魔王「最初の説明はァ!」スパコーン!

女勇者「へぶっ」

魔王「お前のようなァ!!」バチコーン!

女勇者「イエ゛ァ」

魔王「ヴァーカが分かり安いようにレベルを低く話してやったつもりだったんだがナァ!!!」バコーン!

女勇者「」チーン

魔王「もっとレベルを下げて話してやる」

魔王「お前が苦労して手に入れたアイテム5000ブロンズが1シルバーで売り出されていたらどう思う」

女勇者「!!?」

魔王「未鑑定のアイテムを3ブロンズで売って、12ゴールドだった日にはどうする?」

女勇者「!!!!?」

女勇者「むきぃーーー!! ムカつきます!!! ムカつくムカつき倒します」

魔王「ふむ、そうだろうそうだろ。と言うわけでバイトだ」

女勇者「えー、ヤですよぉ」プンプン

魔王「なぜだ?」

女勇者「だって、そんな悪徳商店の手伝いなんて」

魔王「馬鹿者め」

女勇者「バカで結構ですよーだ! ブーブー」

魔王「まあよく聞け。いいか? 貴様が嫌っている店を破壊して灰燼に帰す。それでいてお前の体力増強。金にもなるなら万事OKではないか」

女勇者「あ、なるほど!」ポン!

魔王「物分りのいいことは素晴らしいことだ。さあ、行くぞ(やはり単純だな)」

女勇者「ええ、行きましょう!」

魔王「さあ、解体だ!」

女勇者「解体だー!」

魔王「飽くなき解体だ!」

女勇者「あくなき解体だー!」



魔王「あ」

女勇者「マオーさんどうしたんです?」

魔王「言い忘れていたが、誠心誠意礼を尽くして交渉した結果、工期一週間だったのところ3日で請け負ったぞ」

女勇者「そ、そんなムチャな」

魔王「その分報酬は倍額おど…… んんっ、お願いした所、店主自ら出させてくれと涙ながらに応じてくれた」

女勇者「……本当に誠心誠意だったんですかぁ?」ジトー

魔王「ああ、紳士たるもの誠心誠意は嗜みだからな。暴力は宜しくない」シラー

女勇者「……白々しい感じが」

魔王「言い忘れていたことがもうひとつ」

女勇者「もぉ、何ですか? 最後にしてくださいね」

魔王「もちろんこれで最後だ。この解体はお前が一人でヤレ」

女勇者「」

女勇者「む、ムリーーーーーー! だってだってあうぇsdrftgyふじこ」

魔王「ちなみに契約違反した場合。お前をボルタ●ク商店の陳列棚にNow on Sale! 一秒でもアウトだから気をつけろ」

女勇者「ブーーーーー!!!」

魔王「がんばれ」

女勇者「がんばれじゃないですよ! ちなみにその建物の規模は?」

魔王「ルイーダの酒場を4倍にして上に3っつ地下にふたつ、それと庭。ああ庭の規模だが騎兵隊一個連隊がパティーできる規模だそうだ」

女勇者「」

魔王「さすがボッタクル商店とまで言われただけはあるな。金をしこたま溜め込んでいるようだ」

女勇者「」

魔王「さあ、逝くぞ」

女勇者「ハッ!?」

魔王「さあさあ!」ガシッ!

女勇者「ちょ、ま……っ!?」

魔王「いざ逝かん! ペイガニズムへ!」

女勇者「ち、ちくしょー! それはお前だーーーーーーーーーーー!!!!!!」



トンカン! キン!

 トンカンキン!

 カンコン! ガンガン!! キン!

女勇者「ハァハァ…… 全然壊せない」

女勇者「というよりまず材質が硬すぎるよ。何で作ってんのこれ?」

魔王「そんなペースじゃ三日で終わらんぞ」

女勇者「そんなこと言ってもこのレンガの壁全然壊れないんですよ」

壁「ゼンゼンヘイキー」

魔王「……ふむ、どれどれ」ペシッ! キン!

壁「ユビデハジカレター」

魔王「なるほどなるほど」

女勇者「何を納得してるんですか? 教えてくださいよ」

魔王「流石というべきか」

女勇者「ねえねえ~おし~ぇてぇくださぁいぃ~~!」

魔王「五月蝿い奴だな。いいだろう教えてやる」

女勇者「やったーー!」ドキドキ

魔王「このレンガな。ミスリルが混ぜてある」

壁「セイカイーヨクワカッタネー」

女勇者「」

魔王「銅のように打ち延ばせるがガラスのようにも磨ける。銀のような美しさで黒ずみ曇ることがない。が、まさかレンガにとは…… 細工で出た粉末を混ぜでもしたか? 店主がドワーフだから可能といえば可能か。」

女勇者「ミ、ミスリリリルルルって言ったら希少金属じゃないですか!?」

魔王「頭弱いくせによく知っているな。まあ、希少だがもっと凄いのもあるからそれでもアイテムの中でも中の上くらいだな」

魔王「ちなみにドワーフはこれを鋼より強いが軽く鍛えることが出来たというが…… まあ、がんばるのだな」

女勇者「メチャクチャダー!」

壁「ジョウチャンガンバレヨー」

魔王「私はちょっとバーに行ってくる」ノシ フリフリ

女勇者「えっ? えっ??」

魔王「怠けるなよ? 怠ければ…… 当然、分かっているのだろう?」

女勇者「ちょ、まっ!? まった、まって、まちましてってばーーー!!! バカァーーーーーー!!!」

壁「ワカイミソラデヒサンダナー」





Round 1 Faight

ガン! ドン!! ゴキン!

女勇者「どっせーい!」

壁「マダマダー」

女勇者「ばかーー!」ドカン!

壁「カホドキナイ」

女勇者「とぉりゃぁー!」

壁「ソンナンジャ2ミリモカケナイゾー?」

女勇者「(;ω;)」

壁「ナクナヨージョウチャン」

 You Louse

女勇者「こんちくしょーーー!」

壁「モウスコシワンリョクアゲマショウ ●3」

女勇者「ハァハァ…壁さん硬いな。もう少し柔軟にならないと」

壁「ソレハムリナソウダンダヨー」

女勇者「あ、そういえば、マオーさんバーに行くっていったけど、ここら辺にバーとかあったのかな?」

女勇者「はぁ…… お腹すいたな」

………

……



ドドーーーン!!

「ふむ…… でかいな。俺の城といい勝負だな。ああ、元か」

そう唸る魔王の眼前に広がるどんなに視界を広げても収まりきらない巨大な城砦。この世界を統治する三大王家でも群を抜く軍事力勢力を持つ

聖都ローレシア

その城門前に魔王は訪れていた。当然フラフラ近づけばそうなる訳で。

門番A「こらこら! 勝手に近づいちゃならん」

門番B「ここは王のおられる場所だ。怪我する前に帰れ!」

槍を突きつけ凄んで追い払おうとする門番。

魔王「そうは言われてもな。私はその王にようがあるのだ」

門番B「あのなぁ、お前のような一般市民が王に会いに来たといって簡単に会える訳無いだろう。帰れ帰れ!」

門番A「言うこと聞かないなら力ずくで追い返すぞ!」

魔王「それはそれで実に楽しそうだが今は荒事は困るのでな、みんな寝てて貰おうか」

パチン!

門番AB「うぐっ!?」ビクン!ドサッドサッ…

魔王が指を鳴らすと門番は崩れ落ちるように意識を失い倒れた。

魔王「さて、お邪魔するとするか」

魔王はややもすると十メーター以上ある堀の川の流れを利用した大門を片手で普通のドアのように押し開け城内に歩みを進める。

ゴゴゴゴッ……

魔王「……時間が掛かってすまなかったな。勇者、そして侍従妹。約束をようやく果たせる」







王「……」

聖都ローレシアの王にし百数十の諸侯を統べる、16代目ローレシアは玉座に座り周りの惨状を見て沈黙する。

自分以外人の動く気配は一切ない。

無駄に豪奢な装飾、無駄に荘厳な造り、無駄に威厳のある回廊。そして玉座の間に己ひとり。

多分無駄だとは思いながらも低く発せられる威厳のある声。

王「誰ぞある」

しかし、その期待は裏切られる。

「……ここにひとり」

王「……ん? 貴様は初めて見る顔だな」

「今ここに来た故」

王「そうか。で、この状況はいかに?」

「この状況を望んだ者の手によって」

王「何故に望む。我が王座を狙う者の仕業か?」

「いや、王に直接会うため」

王「ふむ、我に会う為か。しかし会ってどうする? 何ぞ陳情か? だが、これ程の手の者が我の力など必要ないと思えるが」




まるで自分がそうだと宣言しているような言い草。

改めて思うと、後ろから聞こえてくる声の迫力や威厳は大臣や近習などの者と比べ物にならないくらい違う。というより次元がまるで違う。無理やり例えを上げるのなら、言葉を覚えていない乳飲み子と卓越した弁士ほど。

もしかしたらローレシアの王にして世界の覇者である自分よりも……。

そうは思うがそんな素振りおくびにも出さない。

動じもしなければ怯えもしない。

我は王を名乗る者。

「陳情と言うよりは約束を果たす為に、と言った方が正しいな」

王「約束? そんな覚えはないな。我も老いたとはいえ物事を忘れるほど耄碌したつもりは無い」

「正確には貴様にではなく、ここの王になったかもしれなかった男との約束だ」

王「ウハハハハハ!!! 中々に戯言が上手いと見える。して続きはどうなる?」

「演目には演出が必要だ。これがその小道具だ。受け取るがよい」

 ジャラリと音を立て手元に投げられた小道具と言われたモノ。それは古い作りの金細工装飾に爪で中央に配された、鷲を形象化した図柄を深い藍のサファイアに封じ込めたペンダントだった。

王「こ、これは……ッ!?」

激しい動揺が迸る。

それまで声がする方には一切向いていなかった王がらしからぬ勢いで首を動かす。視線の先には蝋燭の明かりに煌く銀髪と紅い目を携えた20代後半か30代前半くらいの成年が立っていた。

「ほう…… 分かるのか、それが」

王「こ、これは先祖の三代目ローレシア王の継承権を持つ王子がしていた物! き、貴様! ど、どこでこれを!!? 」

「流石に詳しいな」

王「当然だ! 文献でしか見たことはないが、いみじくも勇者の血を引く我には分かる。これは本物だ!!」

王「だ、だが、これを何処から! これを何処から持ってきた!! 何故貴様が持っているの!? 何者だ!? 名を! 名を名乗れ!!!!!!」



 名か?





 ――――私は





 魔王。








王「マオウ? 魔王か!? うはははははは!!!! 戯言もここまでくると真にせまるの」

魔王「……」

王「貴様の魔王の審議はさて置き、このペンダントはどこかで拾ってきたもであろう。上手くいけば金になると算段した。そうであろう!」

魔王「贋物だと?」

王「いいや、本物だとしても、臆病の面汚しの王子が所持していたこのようなモノは!」

ブン!

王は大きく振りかぶり、渡されたネックレスを叩きつけようとした



こんな物はを地面に叩きつけてくれる! そう思った王は急激な咽の苦しさに喘いだ。

王「グァ!?」

魔王「殺して欲しいのか?」

王「わ、我を[ピーーー]というのか…… 殺せばどうなるか解っているんだろうな?」

王「我を殺せば三代王家が貴様を必ず[ピーーー]ぞ! 全世界を敵に回すのだ。起きている時も寝ている時も一瞬たりとも気の休まる時はない」

王「如何に強いと自信がある貴様でも耐えきれるものでも無かろう。それにもし捕まれば簡単には殺して貰えんぞ!? この世のありとあらゆる拷問でお前を責め抜くであろう。当然だ勇者の血を引く高貴な王に手にかけるだからな。恐ろしいであろう!!」

魔王「遺言はそれでいいのか?」

王「……ッ!? こ、怖くはないのか!!!?」

魔王「フン、そのような事は既に経験済みだ」

王「な、なら!!! お、お前の一族郎党纏めて皆殺しだ!!」

魔王「フン、そうなってもさして問題ないな。私には家族などいない」ググッ

 三代王家からの抹殺命令。それも普通の人間であれば震え上がるだろう脅しは魔王たる彼にはどこ吹く風。春のそよ風ほど感じはしない。それに、少しは引けば許してやろうと思っているのに、未だに自分が優位であると信じて疑わないこのローレシア王に飽きれ、くだらない人間の一人や二人殺してしまってもいいかと、喉を締める握力が上がる。

 流石の王も生命の危険を感じたか止めれば良いのに更に脅しをかける。

王「……ま、まて! お前の仲間も恋人も全てだ。そう知人親類縁者全てだ!!!」

魔王「……」ピクッ

王「(ん? 脈あり…… か?)そ、それに、い、今なら特別に不問に伏してやらんでもない。さあ、手を離すのだ。いいのか仲間が死ぬかもしれんのだぞ?」

魔王「ふむ、それは困る」

王「な、なら離せ! こ、このまま我を侮辱すれば貴様の大事な人間は殺されるのだぞ!?」

魔王「……」

王(な、なにを考えておるのだ、離せ!さっさと離すのだ!!)

 そんな必死の恫喝にも哀れみの視線を向ける。

魔王「ここで離して貴様が私を諦めるのか? それは無いだろう。貴様のように卑しい人間は自己のプライドを守ろうとする為必ず私を殺そうとする」ググッ

王「そ、それは……   な    い」

魔王「何をしてその言質を信じろというのだ? この状況で命乞いもせずまだ自分が死なないと信じている貴様に」


王「約束だ! 約束する!! 王の名にかけてェェェ!!!」

魔王「名をかけるのは相手が自分より身分や程度の低い者に対してするものだ。貴様は私と対等どころか道端の石ほど価値はない」

王「我にか、価値がない…… だと……?」

魔王「聞き返すな見苦しい。あの馬鹿方が万倍価値がある。そうだな…… 名は貴族にとって命にも等しいと聞く。ならば貴様には命をかけてもらおうか」

王「な……ッ!?」

魔王「それと、勇者を侮辱した分も賭けてもらうぞ…… お前の生命」

王「ま、待てッ!!!!!!」



魔王「『待て』と言われて待つ奴が居たら見てみたいものだがな」

王の咽を絞める腕に見た事もない文字が浮かび上がり、ゾワゾワと手に向かって移動し王の体に移っていく。

王「ヒッ!?」

魔王「nIbMXVVRK呪6NazdyBGe王gp7X0ji3怨1N届xcRQC魔rg捧0rmzsdx0yZ1L」



魔王が聞き取れない何かを唱えると、不可思議な文字が王の全身に行き渡りドス黒い光を放ち消えた。

魔王「契約成立だ」

王「な…… 何をしたん………ッ!? な、なにか、こ、これは声か?」

『………………とによ』

『……俺も ………………したいよ』

『いいよなぁ王ってよぉ、ほら城で………………』

『金持ってんだろ? 俺たちの税金で好き放題。死んでくれねぇかなぁ?』

『そうすれば、恩赦で税金が一時免除されるからなwww』

『ほんとよ。生活にも苦労するのに金ピカの王宮なんでしょ? 見たことないけど』

『王にも困ったものだ。いつもいつも無理難題。遊んでおられる気か? これなら弟君が王になっていただければ』

『後宮に入ったけど、あんなのの子供生みたくないなぁ』

『でもあれじゃない? 生活は安定してるし、子供生んで悠々自適もいいかんじゃない?

『『どうせ子育ては乳母だしwwww』』

王「声が声が耳に!! ぐぅぅぅぅああああ止めてくれェェェ!?」

王は耳を押さえのた打ち回る。それでも頭の中に流れ込んでくる罵詈雑言は止まらない。妬み嫉みありとあらゆる憎悪の声。

魔王「御気分は如何かな? 高貴なる勇者を引く王様とやら」

王「貴様ァァァ!!! 我に我に、な、何をしたァァアアアアッッ!!!!!」




魔王「お前に真の声が届くようにしたまでのこと」

王「罵詈雑言が真の声というのか!? どうせ貴様の魔術か何かでそう聞こえるように仕組んだのであろう」

魔王「それは違うぞ。私はあくまでもフェアなのだ。そこに力の差があれどな」

王「では何故だ!!! 何故、我をしたうものがこのような逆臣のように我に歯向かっておるのだ!? これこそ貴様の幻術である証拠!!!」

魔王「貴様は何故、自分が好かれていると信じて疑わない? それほどの名君か? 万民に好かれる政策でも行ったのか? 聞けば不作でも税率は変わらず、少しでも陳情すればよくて投獄、悪くて磔。そのような王が好かれるとは甚だ思わんが?」

王「貴様もサマルトリアやムーンブルクのクソどもと同じことを言うのか!? 王に仕えるのが究極の幸せではないか! その為に苦しもうと飢え死にしようとそれが王に感謝し捧げるのが民の務め! 喜んで皆しておるわ!!」

魔王「……そのように頭の中がお花畑だと流石にこの私も声がでなくなりそうだったぞ? そこまで突き抜ければ流石と言わざるを得ないな」
                          ・・・              
魔王「いいか? もう一度言うからよく聞け『その呪いは真の声をお前に届ける』それはお前の意思と距離に関係無くだ」

王「ぐぅぅ…… 何が言いたい」

魔王「24時間一日中、貴様に『お前の事を考えた者の思念』を届けるのだ」

王「訳がわからん! ハァハァ…… 頭に色々な声が響いて…… クハッ  はっきりせんかぁ!!!」

魔王「ここまで言っても分からんか?」


…がずれたorz…は真の声の上です。



魔王「真の声を聞かせるんだと言っているだろう? 憎悪でも悪意でもなくその者の素直な気持ちだ」

王「素………… 直……?」

魔王「今のお前に届いている罵詈雑言はお前が民に思わせてきた思いそのもの。しかし、随分と民に愛されている出ないか?クククッ」

王「黙れ、戯言を。し、信じるものかこんなもの!!」

魔王「信じるも信じないも貴様の自由だ」

王「このような怪しげな術は我が臣下の賢者に直ぐにとかせてやる。そうしたら覚えていろ貴様ッ!!!」

魔王「クハハハ…… フハハハハッ!!好きにするといい」

魔王「一応教えておいてやるが、賢者を数百人集めようとその魔法は絶対に解けんぞ? 俺の命を懸けているからな。この魔王の命だそれはそれは術の強さは目を見張るものがある。効果範囲は数万キロこの大陸のほぼ全土をカバーして余りある」

王「……!?」

魔王「しかしだ。俺も鬼ではないから希望の光も与えてやろう。よく見るがいい。このお前が捨てようとしたネックレス、中央にアミレットがあるがこれにその魔法をかなり押さえる術を施した」

王「ほ、本当か!? よ、遣せ!それを遣せすのだ!!」

魔王「”こんなモノ”いらんのではないのか?」

王「う、うるさい!この頭に響く声が堪えるのだ」

魔王「ほら」ポイッ

王「こ、これで」

魔王「おおっと、待った」

王「な、なんださっきから! さっさと申せ!!」

魔王「おいおい、救われると思うと偉そうだな。まあいいがよく聞け。そのペンダントをすると声が聞こえる効果は10m程度に抑えられる。しかしな。一度付けたら最後外すと死ぬ」

王「死ぬ?」

魔王「そうだ。死ぬ」

魔王「外したらな。これはお前の意思に関係ない。無意識に外しても不可抗力で千切れて外れたとしても首から離れた瞬間に即死だ」

王「な……ッ!? 何故このように酷い事を余にするのだ!!!?」

魔王「酷い? 貴様これが酷いと言ったか? これの何処が酷いというのだ」

魔王「酷いというのは貴様の様なその人物も知らず簡単に罵る様な人間を指す! 私と勇者の戦いを侮辱し彼岸の先に追いやったのだ!!」

睨み付ける紅い目が一層紅く熱を帯び、背中から禍々しいオーラが噴出した。本気で怒った魔王を見れば普通の人間など声も出るはずがない。

王「!?」ビクッ

魔王「しかも、最後まで子孫である貴様等を思い悔やみ静かに死んでいったあの者の気持ちを踏み躙り、あまつさえ面汚しと罵った!! 殺されなかっただけでもありがたいと思え! それもこれもあの勇者の遺言だからだ!! そうでなければ貴様など瞬殺だ。瞬きに時間ほどかからん」

王「あ、あう……」

グッ

魔王「……試してみるか?」

魔王「この直ぐにでも貴様をこの世から塵も残さず消してみせるが、どうだ? 人間の王よ」

グググッ……

魔王の手が王の首に食い込む。

王「グッ…… ゲグゥ……」

魔王「答えろ!!」

王「だ、だずげで……   ぐ     だざ     い゛」

魔王「………フン」

魔王は王を玉座に叩き付け興味を失ったように背を向け部屋を後にしようと歩き出した。

王「………ゲホゲホッ な、何故だ?」

魔王「何故?」

王「何故、貴様のような魔物が人間側の味方である勇者をそれほど」

魔王「…………」



バタン……




 魔王は何も語らずその場を去った。


 魔王はこう考える。

 もし話したとしてもあの王には理解出来ないだろうし、理解されたくない。

 自分と勇者との戦った素晴らしいあの瞬間を、あの刹那を。

 汚されたくない。

 魔王などというモノに生まれ悠久に近い時を生きる己に興味を引くモノなどそう多くはない。ただ毎日が過ぎていくだけだった。

 人間を滅ぼそうとも思ったことはないし、正直蟻が道端を歩いていて気にする者がいるだろうか?

 ただ毎日空をみて、星をみて、月を見て、ぼんやり過ごしてきた。

 いつこの命が尽きるだろう。

 そんな風に思う日々。

 たまに人間の勇者を名乗るモノが現れるが、魔城に到達できる者はいない。

 が、

 一組のパーティーが到達した。

 魔城に


 玉座にあと一歩の所まで




侍従「魔王様よろしいでしょうか?」

魔王「……」

侍従「魔王様?」

魔王「……ん、なんだ?」

魔王の気分は相変わらず鬱屈としているらしく侍従の問いにも反応が薄く返答も御座なりになる。それでも主に心酔している彼女の忠誠心にはなんら揺るがず、不信は一切沸かない。それどころか一層付き従う思いは強くなる。

侍従「人間共の勇者と名乗る者が四天王の間まで到着しました」

魔王「……!?」

ここ数百年見たことないはっきりとした明確な興味、表情にまで出る程の好奇を表した魔王に侍従も正直驚いた。

魔王「で、今勇者はどしている?」

侍従「は、はい、現在は四天王4と交戦中です。今までの勇者に比べれば研鑽具合と技術の練度は目を見張るものが御座いますが、所詮は人間と言うところでしょう」

魔王「残り三人も控えていれば尚更か」

侍従「左様で御座います。息の根を止めるのも時間の問題かと」

魔王「…………」





魔王「退かせろ」

侍従「は?」

魔王「四天王を退かせろ」

侍従「あの…… それは一体?」

魔王「お前は命令の説明を一々説明しないと行動しないのか?」

侍従「……ハッ!? し、失礼しました」ガバッ

侍従は真っ青になり膝を付き頭を垂れる。

侍従「も、申し訳ありません! お、お許しください」

魔王「いけ!」

侍従「ハッ! 直ちに」シュン!!


………


……






四天王4「わははは! なかなかやるな人間。もっと楽しませてくれよ!!」

ローレシア「ハァハァ…… クソ! サマルトリア。生きてるか?」

サマルトリア「ア…… アア……… で…も、もう……うごけ…な  い。ムーンブルクは……?」

ローレシア「さっき俺たちを庇った所為で……」

サマルトリア「ち…… クショ…… ウ………  !! ガハッ」

ローレシア「喋るな。今回復薬を」ガサゴソ

ローレシア「……こ、ここにあったはず(ま、マジかよ!?もうないのか?)」

サマルトリア「いい、ローレシア。さっきから回復しまっくって戦ってきたんだ。残ってる……訳………ない…… グハッゲホゲホ …………だろ?」

ローレシア(頼む! 何でもいい何でも!!!)カサッ……(あった!!! で、でも、これは)

 ガサゴソと袋を漁る指に引っ掛かった回復アイテムは薬草。そう、誰もが知る冒険者が初期に使う回復薬。今の自分らにはほとんど意味のないアイテム。今や勇者のパーティーが使うようなものでないが、このどん底の状況なら例え10でも20でも回復するならありがたい。これで友の命を助けることができるのだ。

ローレシア「薬草だがないよりマシだ。喰え」

有無を言わさず口に薬草を突っ込もうとすると腕を強く握り締められた。その力は死に逝く者のモノとも思えないほどの力と強い意志を感じられる。

ローレシア「な、何の真似だ!?」

サマルトリア「何の真似? 笑わせるな。 ……今、それを俺が喰って二人が生き残る可能性は幾つだ? 万にひとつか? 億にひとつか? 言ってみろ」

ローレシア「……クッ」

サマルトリア「だろ? ならば可能性にかけるには無意味過ぎる。俺は勇者のお前を補佐するためにいるんだ。背中を預かった俺はそんな真似できない」

ローレシア「そ、それもでも!! 俺はお前にッ!!!」




サマルトリア「クハ……クハハ…… 俺にそんな趣味…ないぞ?」

ローレシア「バ、バカヤロウ!! お、俺にもねぇ!!!」

サマルトリア「アハハハッ! グハ……ッ! 冗談は………さて置き、俺たちを………庇って死んだムーンブルクを一人あの世にになんて…………寂しすぎる。……だろ?」

ローレシア「……ああ、そうだな」

サマルトリア「それに……………言いにくいんだが」

ローレシア「……お前らの仲は知っていたよ。気付かないフリしてたけどな」

サマルトリア「……………………マ、マジ…………かよ?」

ローレシア「ああ、マジだ」

サマルトリア「そっ………か…お前……………………み………たい………………………………な………鈍に………きづ………か…………………………………………………れて……い………………………た………なん……………………………て」

ローレシア「おい! サマルトリア!! 目を瞑るな!! オイ、起きろオイッッ!!!!!!」

 


 さぁ…………行け…………………ローレシア


 ……………人間の……世界の…………平……和の……………ために…………………


 ムーンブルク……………… 少し遅れたけど……………… 今…………


 逝…く……………………か……………ら……………な

 
 
 逢えるかな? アイツに……………






 ………

 ……

 …


 ここだよ? サマル。

 そ、その声はムーンブルクか?

 そうだよ? 私しかいないじゃん? そう呼ぶの

 そ…… そうだよな。うん、お前しかいない。

 じゃあ、いこうか?

 どこへ?

 えへっ、実は私も分かんないんだ。

 なるほど、お前らしいぜ。

 まあ、お前と一緒なら天国だろと地獄だろうと構わないけどな。

 私もどっちでも構わないけど、できるなら天国がいいなぁ。

 そりゃ、当然だ。

 天使とかいるのかな?

 さぁ、いんじゃねぇの?

 お前天使とか可愛いもの好きだもんな。

 そうだよ。いいじゃん可愛いの。でも、いいかげんいつもの呼び方で呼んでよ。

 なんで?

 お前とか、フルネームじゃ寂しいもん!

 変わらないと思うんだけど?

 変わるの!!

 ちっ、仕方ねぇなぁ……

 わくわく♪
 
 おい、そろそろ逝くから手を貸せ〇〇。

 うん! サ マ ル 。

 
 




 ……ギュッ



















 


 


 うああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!! サマルトリアァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!



 















なんとなしに乗っ取りを企て、書いているうちにこんなことになって
このSSを呼んでくださる希少なマニアックな方ありがとうございます。って、御礼を申し上げとくぜいwww
女勇者はもう少し出番が後になります。と、いうわけで辛抱してろやw
なんて必死に怯える心を強気で誤魔化して強気に言ってみたんですけどね。
とりあえず、まだ続くんでよろしくお願いします。
つか、現状で読んでる人って4人くらいじゃない?
マイナーSSはまだ続きますので諦めてください。
ではノシ

読んでるよ

ローレシア「ちくしょう!ちくしょう!!ちくしょう!!!!!!」

サマルトリアの王子の遺骸を抱き締め震える声で悔しさを滲ませ、それを忘れるかのように雄叫びを挙げる。

ローレシア「くそぉおぉぉぉぉ!!! ここれで最後だ。かかってこい!! 例えこの首を飛ばされよとしてもその咽笛だけは噛み切ってみせるぞ!」


 返事はない誰もいないようだ。

周りを見渡しても目の前にいた四天王4は忽然と姿を消していた。ただただ大きな広間にローレシアとムーンブルクの亡骸と逝き絶え絶えな勇者がひとり。

静まり返る大広間の先に見える扉は勇者が見ていた未来への頂。

だが、聞こえる声は無常。

あそこがお前の人生の終着点だ。

パンドラの箱は開かなくても人間にはそれなりの幸せはそこにある。

それでも、お前はあの扉を開くのか             と?

畑を耕し、一日の糧に酒を楽しむ人々がいる。

物を売り、仕入れをして翌日の糧を望む人々がいる。

そんな幸せを貴様が壊すのかと

木霊する囁きを振り切り扉に手をかけた。





 所詮、個は己が願望にのみ動き、結果、行為が大局の帰結となれば本望。なければ伏して侘びるのみ。




俺は既に個なり。




 世界など知ったものか。


俺は俺の仲間のため。



 最後まで案じてくれたサマルトリアの為に。

 最後まで身を挺してくれたムーンブルクの為に




魔王を殺す。

>>128-130ありがとう御座います。泣きそうです。残りの恥ずかしがりや様にお礼も仕上げますww


 華美な装飾もない扉は、扉であることが使命であるように佇んでいて、余りにも飾り気のない扉は逆に芸術的な趣を醸し出したようで勇者をたじろがらせるには十分な趣があった。

咽が渇き少ない水分で咽をゴクリと言わせ、至上目的である魔王の間の扉に手をかける。


 ギギギィィィ

 開いた扉の先には荘厳な回廊が続き、視界にいれなくとも最終目標がいることは明らかに分かった。

勇者「うぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

目の前には目的の者が居る。

前傾姿勢から最速で間合いを詰め飛び上がり、両手で剣を握り締め今持てる渾身の力で

乙です。
更新楽しみです。

今日から読者!
よろしくね!

 

 うぉぉぉぉぉおおおおおおお!!


 力の限り跳躍して真上から振りかぶり一撃で真っ二つにする為に剣を振り下ろした。

 その一瞬に見えた魔王は足を組み肘置きに肘を突きそのまま手の甲に顔を預け少し笑みを浮かべ不遜な顔を表していた。

 『殺(と)った!』

 そう思った刹那金属と金属が激しくぶつかり合う高音が聴覚を奪うほど鼓膜を激しく振るわせた。振り降ろすその瞬間までその場に何も居なかったのに刃が魔王に到達しようとしたその瞬間、魔王でない何者かの横槍が入った。

 ギン!!

侍従「無礼な」

勇者「!?」

 勇者の剣線を読み鞘から少しだけだした刀身のみで斬撃を防いだ。

 刃をギリギリと押し付けながら勇者は思う。

 先の戦いで四天王のひとりにああも苦戦した自分達。もし何かの偶然で勝てたとしても続くのは、自分を遥かにこえるレベルの側近。あの四天王を従える側近とその主である魔王。

 転地がひっくり返ったとしても魔王に届くわけがない。

侍従「魔王様の御前ぞ。控えよ」
 
 そう言って睨む目はチャームの力が備わっているかの如く支配されたい思わせる力がある。その凛とした耳の奥に届く声は、ゾクリとする寒気にもにた快感を、もっと下賜されたいとい錯覚するよう、思考する事さえ放棄させるほど強い従属の欲求が沸き起こる。

 全てを身を委ね隷属するという甘い甘い思考。プライドも尊厳も捨てた快楽究極の快楽。

もし、今の怒気と憤怒を持っていなければ、たったひと言で自分は確実に支配されていた。

 ショートの濡れ烏のような黒髪、切れ長の目、ライトブラウンの瞳。

 どこから自分の渾身の一撃を防ぐ力が出てくるのか疑うような華奢な体。

 透き通るような白い肌。

 



久々に上がってたら二回も更新来てたのな
ほんと時々は役に立つな上げ厨

>>134もっとドキがムネムネさせますよw
>>135がんがります!
>>136こちらこそよろしくお願いします!よろしくねw


勇者「邪魔…… すんじゃねぇよ」

侍従「無礼も度が過ぎると可愛げがないぞ?」

勇者「可愛げなんてあったらこんな薄暗いジメジメしたクソ城に篭ったクソ魔王を殺すために努力するかボケが」

侍従「……」ビキッ

 ズドン!!

 鍔迫り合いから一閃。勇者は何が起こったか理解できなかった。ただ、自分が床を転がり弾かれただけということは本能で理解できた。

勇者(クソッ!)

 弾かれ地面を擦るように勇者は転がる。勢いを止めようと床に爪を立て止まると同時に反撃しようと顔を上げると切っ先が咽元に。

侍従「動くな。頭と胴が繋がっていたいのならな」

 数瞬。

 数メーターは転がされ無様にのたうつ自分の目の前に佇み見下ろす侍従。

侍従「調子に乗るな。貴様程度魔王様の御命令が無ければ最初の一撃の時点で床に首が転がっているぞ」

勇者「ああ!? どっちが調子に乗ってんだ! 人間を散々殺しておいていい御身分だな魔族共が!!!!」

侍従「……そうか死ね」

勇者「クッ!!」




>>137お待たせしました!またせてごめんねwなんて

魔王「待て」

侍従「ハッ」

 振りかぶった刃が首を切り裂こうとしたその時に絶対者のひと言。

 静かな怒りを刃と共に収め後ろに下がる。

魔王「勇者よ。確認することがある」

勇者「……な、んだ」

 只ならぬ気配、貫禄、オーラ、絶対者が当然とする存在感。この時点で気おされているのは悔しいが認めるしかない。

魔王「なぜ、我等に攻め入る?」

勇者「攻め入る? 攻め入るだと!? お前らが俺たち人間を惨殺するからだろう!!!」

魔王「……」

勇者「何もしていない人間を殺し貪る。それだけでどれだけの人たちが怯えていると思う!? お前等を倒すのに十分な理由だろ」

魔王「我等が進んでお前達…… 人間を殺していると?」

勇者「そうだ! でなければ俺はここに来たりしていない! どれだけ人間を殺せば気が済む!? 答えろ!!!!」

 ビキッ…… 殺意が前面に出て侍従が睨みつける。

侍従「お前…… 本当に殺されたいみたいだな? 例え魔王様が許してもそのような言い様私は許さんぞ!!!」

魔王「……侍従、落ち着け」

侍従「し、しかし! 魔王様ッ!!! この言いようは許せません!!」

魔王「俺はこの勇者と話がしたい。貴様の気持ちは嬉しいがしばし我慢してくれ」

侍従「あ……/// あの、その……す、すみせん////」

ktkr


魔王「勇者よ。その答えは無い」

勇者「あああっ!? 無いだと?」

魔王「大体俺達は人間側を攻めようと思ったことは無い」

勇者「ふざけた事を言うな。お前等に殺された人間はたくさんいるんだぞ」

魔王「その問いに答える前に貴様に問うが、人間であり我が眼前までに来た貴様はどれだけの罪の無い魔物を殺してきたのだ?」

勇者「……(罪の無い……魔物?)」

魔王「まさか、何もせず何も殺さずそれ程の力を手に入れた。などとは言うまいな?」

勇者「そ、それは…… ま、魔物に罪を犯していないもものがいるわけないだろう!!」

魔王「それこそお前の勝手な憶測だろう」

魔王「普通に生きて普通に生活している魔物達もいるのだぞ?」

勇者「ハッ? 魔物が普通に生きているだと!? 笑わせないでくれ」


魔王「冗談は嫌いだぞ? 魔物は普通に生活して、食材とかを獲ったり家畜を育てたりする者はいる。まあ、中には人間を襲う者も少なからずいるだろうが」

勇者「ほらみてみろ! 語るに落ちるとはこの事だな」

魔王「正直それが悪いとは微塵も思っていない、これが認識の違いだな」

勇者「ハン! だからお前等はそうやって人間を殺すんだ! 害悪そのものだ!!!」

魔王「……」

勇者「何とか言ってみろ!」

魔王「届く声は心に響き、物言わぬ声は届かない。傲慢だな」

勇者「……………なんのことだ?」

魔王「簡単な事だ。種族の違い、力の違い。それだけだ」

魔王「この際だ、攻め入るとか何とかとかお前の思いは全部抜きにして聞くがよい。俺達魔物は人間より力が強い。それは撫でれば村人程度なら瞬殺できるほ程にな。でも、それはお前等人間にも言えることだ」

勇者「何が言いたい事が分かんねぇよ」

魔王「一番分かりやすい所で、牛や豚、鳥など人間の飼う家畜。彼らからすれば、ある日突然殺され喰われる。同じじゃないか?」

勇者「同じなわけあるか!! 牛や豚とかと人間は違う!!!!」

魔王「違う? どこに違いがある? 同じ生命だぞ? 単純ではあるが思考し、心臓を動かし血脈を通わせ日々を生きている。程度を決めたのは貴様等人間であろう。伝わる言語に知的な思考回路、それらがなければ自分らより下位と位置付け統べる力と頭脳を持ったから管理し喰らう」

魔王「これこそ悪魔の所業ではないか」

勇者「ち、違う!! そ、それは」

魔王「そうか? 俺はそう思わないぞ。例えばの話、毎日ご飯をくれる不思議な生物。頭を撫でてくれたり自分らの周りを綺麗にしてくれる何か分からないけど素晴らしい生物。彼らは仲間。ここはパラダイス、幸せ、そう思い生活が続いたある日……」

魔王「そんな素晴らしい信頼していた仲間が突然豹変して、凶刃の元に自分らを殺す」

勇者「……ッッ!!!?」

魔王「これが種族の違いとせずなんとする?」

勇者「それはお前らも同じだろ!!!」

魔王「ああ、同じだ。だが弱肉強食を理解している。お前らのように言い訳や屁理屈は言わない」






乙です。
更新が楽しみです。ありがとう



>>140ktyo!!
>>143こちらこそ読んで下さって嬉しいです。

勇者「クッ……、だからと言って人間を殺していい理由には」

魔王「ふむ、ならばこんな話をしてやろう」

勇者「……」

魔王「昔々……」

侍従(ええええ?むかしむかし!?)

勇者「ゴクッ……(昔に何があったというんだ!?)」

魔王「あるところにボーン吉というガイコツ系とガウ太というワーウルフ系のモンスタがーいた」


 ………

 ……

 …



ボーン吉「今日もいい天気だな」

ガウ太「ああ、散歩には最高だね」

ボーン吉「そういえば、最近ニンゲンってのがこっちの土地にきてんだってさ」

ガウ太「ふ~ん? で、どんな奴らなの?」

ボーン吉「よくわかんない。仲良くできっかな?」

ガウ太「もし出会ったら声かけてみようよ♪ 仲良くなれるかもしれないし」

ボーン吉「だな。楽しみが増えたぜ。ん? あれ?あれれれ? …………ああっ!? ああああああああああ」

ガウ太「どうしたの?」

ボーン吉「僕の尺骨がないぃぃぃぃ!!!」

ガウ太「ええ~、また落としたの? 何回目さ」

ボーン吉「覚えてないけど、尺骨は取れやすいんだよ。頼むよガウ太の鼻で見つけてくれよ」

ガウ太「しょうがないなぁ。美味しい骨で手をうつよ」

ボーン吉「よし任せとけ! 骨見極め技師準一級の僕にかかれば極上の骨が手に入るぜ」

ガウ太「……ということは、今だ一級には合格できてないんだね」

ボーン吉「orz それを言うなよ。骨見極め一級は合格率0,8%の超難関だから準一級が出来たって位なんだぜ? その準一級だって1%くらいなんだから一応僕はエリートなんだぞ?」

ガウ太「はいはい。骨落としてりゃ世話無いと思うよ? えーっと骨は……」クンクン

ボーン吉「早く早く!尺骨ないと落ち着かない!」

ガウ太「うるさいなぁ。少し黙っててよ…… あっ! あっちの方からスカスカな臭いが」

ボーン吉「僕は骨粗鬆症じゃないもん!立派な骨太だYO!( ;ω;)」

ガウ太「冗談だから泣かないで。さあ、向こうの方だから行こう」

ボーン吉「……うん。グスングスン」

 ………

 ……

 …


ガウ太「う~んこの辺なんだけど……」

ボーン吉「あれ? あそこにいるのが持ってるの僕の尺骨じゃない?」

戦士「おい、骨が転がっているぞ」

魔法使い「ああ、これは人の骨だ。多分魔物に襲われて、奮闘虚しく……」

僧侶「彼の者が天国に行けるように拙僧が祈りを捧げよう」ナムナム


ボーン吉「ホネホネー!ホー。ネホネー!!(すみませーん! それ僕の尺骨なんです。拾ってくださってありがとうございます!!)」

戦魔僧「!!!?」

ガウ太「ガウガウガガガウガーウ!(よかったな。ボーン吉手間が探す手間が省けて)」

ボーン吉「ホネー!(うん!)」

ガウ太「(でも、コイツら何言ってるか分かんないなぁ)」

 カクカクと動き片腕を伸ばし近づいてくるガイコツ。同調するように後ろから吠えるワーウルフ。

戦士「こ、こいつか!?」

僧侶「そうだ!そう!!この骨の持ち主の悲しみの声が聞こえる。俺の敵を打ってくれ。俺を成仏させてくれと」

魔法使い「そうか。たまたま拾って骨だがこれも何かの縁。こいつらを殺して持ち主に報いるのも務め」


 ジャキン!!

 戦士の抜いた剣が太陽の光を浴びキラリと光り、後方の魔法使いと僧侶はそれぞれ攻撃魔法を唱える準備を始める。


ボーン吉「ホネ?」


戦士「かかれーーーー!!!!」

ガウ太「ガウガウ!!!(危ない! ボーン吉ィィィィ!!)」

 ボカドカッ!ガツ!!!ドカン!!!

ボーン吉「ホ……ネ?(な…… んで? ぼ、僕の骨………… 拾ってくれ…………たんじゃ  ……    ない  ……………の?)」

ガウ太「ガウガウ!!(おい、お前ら何するんだよ! ボーン吉はお礼を言ったじゃないか!!)」

僧侶「まだ、このガイコツは死んではおらぬ」

戦士「これで留めだ!!」バキッ!!

ガウ太「ガウガーーー!(やめろぉぉぉーー!)」

ボーン吉「や  めて    よ…… 痛いの        やだ………  よ…………………………… ガウ…… 太  たす」ガクッ

ガウ太「ガウガーーー!(ボーン吉ィィ!)」

ガウ太「ウーーーーー!!!(酷い酷すぎる!! ボーン吉の敵だ!!!)」

僧侶「むぅ! こ、これは!!!」

魔法使い「どうした!? 僧侶」

僧侶「なんとこの狼は、先程のガイコツが殺した彼の者の亡骸を喰らったのだ!!」

戦士「なんという畜生だ! 俺が殺しやる」

魔法使い「イヤ、俺がやる。サンダーで殺してやる!」

ガウ太「ガウーー!!(ボーン吉の敵ィィ!!)」

魔法使い「サンダー!」

 ビリビリビリッ!!!

ガウ太「」ガクッ…

僧侶「ふむ、これでこの骨の持ち主も成仏した。我らは良きことをしたな」

魔法使い「うむ、骨の持ち主から今しがた礼の声が聞こえた。む、そうだ! ここに至り戦士殿が勇者を名乗られては?」

僧侶「むぅ、それは名案だ! 早速名乗られるがよい。戦士ど…… いや、勇者殿」

戦士「イヤイヤ、それはおこがましい。が、二人が言うならこれからは勇者と名乗ろう」

戦魔僧「うぇぁはははははははは!!!!!」ポイッ!

戦士「さぁゆこう! 魔王の城へ!!!」



 ボサッ……

ガウ太「……(ボーン吉の骨…… うぅぅヤラれた。悔しいなぁ…… せめてアイツ尺骨くらいは傍に置いてやりたい)」パク

 骨を銜えたワーウルフはどうやら立てないらしく、動かない体をズルズルと引きずりガイコツに側行こうとする。

ガウ太「もう…… す…… こ            し」

ガウ太「あと……… いっ」

 ボロボロの体ではほとんど進んでいないような速度だがなんとかボーン吉の元までたどり着いた。もう目の前だ鼻の先ま来ている。死ぬ前になんとかたどり着いたと安堵の息を漏らすワーウルフ、ガウ太は影に覆われる。

 今の今まで快晴だったのに何故? と。

 キラッ

 そして、雲の割れ目から指す一筋の―――

ガウ太「光?」


 ブシュュ!!!


 コトッ……



 せてめ骨だけでもと思ったガウ太の想いは届かなかった。ほんのちょっとの距離なのに……

 笑う声が聞こえる。

 何か満足そうな声。

 見たことのない生き物に友達が殺された。

 立ち去る生物がたぶんニンゲンという生き物だろうと思った。

 でも、ガウ太は悔しいとか恨みとかそんな気持ちは一切沸かず、ただただ悲しいとしか思えなかった。

 友達はいつも尺骨を落として悲しそうな顔をしたいだから。

 これじゃあ、自分のせいで……

 ずっと悲しい顔をさせてしまうと思ったから。




 また、アイツと散歩行きたかったな。


















勇者「ボーーン吉ィィいいいいい!! ガウ太ぁああああああああああああ!!!!わぁああああああああ!!!!!!!!!!」


















魔王「え?」

侍従「え?」




勇者「すまん…… すまんすまん! 本当にすまん!!」

魔王「あ、イヤ、そのな今のは」

侍従「……(コイツ馬鹿なのか?)」

勇者「俺が謝ったところで許されるもんでもないし、ボーン吉とガウ太が帰ってくるわけではないが謝らせてくれ。すまん申し訳ない」

魔王「あー」

勇者「そうだ! 二人の墓とかあるのか? あるなら墓参りさせてくれ」

魔王「作り話だ」

勇者「そうか!『ツクリバナシダ』ってところにあるんだな? 流石にここら辺の地理に詳しくないので、お前案内しくれないか?」

侍従「コラ! 言うに事欠いて案内しろだと!? 魔王様のこと…… お、お前だとぉぉぉ!!? ぶ、無礼過ぎる。やっっぱり殺す!」

勇者「おお! すまんすまん。流石に魔王が城を離れる訳にはいかないだろうから。そこにお前連れてけ。ツクリバナシダってとこに」

侍従「」チーン

魔王「クククッ」

勇者「?」

魔王「ククククッ…… アーーーハハハハハッ!!!!!!! 勇者…… 貴様最高だな」バンバン!!

侍従「ハッ!? ま、魔王様笑いごとじゃありません。お願いですからコイツ殺させてください。我慢できません!」

魔王「ハァハァ…… 笑い死にしそうだ。まあまあ、侍従落ち着け」

勇者「そうだ、侍従落ち着け。とりあえず墓参りが先だ」

侍従「命令するな!! それに、何、堂々と私に名前呼んでるんだよ!」

勇者「お前侍従だろ? あってるじゃねーか」

侍従「 も う 殺 す ! ! ##」

魔王「――ッ!? ~~~~!!」バンバン!!(腹がよじれて死にそうになってる)

侍従「 魔 王 様 ! ! 」

侍従「聞けクソ馬鹿勇者! 魔王様が先程お話なさったのは作り話だ」

勇者「ツクリバナシダって場所だろ?」

侍従「違う! 作り話! 創作! SS!なのッ!!!」

勇者「そんなに墓があるのか? ツクリバナシ、ソウサク、エスエス? ……作り …………話し、ってこと?」

魔王「どうだ中々上手だろ。俺の作り話は?」

勇者「」チーン






勇者「やっぱりお前許せねぇ」ビキビキ#

侍従(勝手に勘違いしたくせに)
                ・・・・
魔王「まぁまぁ、落ち着けそういうこともあるとい話だ」

勇者「……よく分かんねぇよ」

魔王「言葉の通じない相手が例え友好的だとしてもその形成りで判断するだろう? 特に人間は。さらに言えば、俺たち魔物は人間の世界を侵略しようとしたり、踏み込もうとしたことはない」

勇者「フン、それもお得意の嘘か?」

魔王「俺たちの寿命は長い。それこそ数百年生きるものザラだ。ならば子孫を残すということは希薄になる。そして数がそう増えるわけではないから、人間のように土地など多く必要はないのだ」

勇者「そんな理屈通じるか! 攻めたことがないだと!? じゃあ、なんで国や町、村なんかに魔物が現れたりするんだ」

魔王「まあ、そう思うのも無理はないと思うが、答えは簡単だ。貴様が生まれるその遥か昔から魔物はいた。最初は少なかった人間は多く増え世界に広がっていった。ただそれだけの話だ」

勇者「も、もしそうだとしても…… 百歩譲ったとしても!! お前らはドムドーラを滅ぼしてるじゃないか」

魔王「ドム……? ああ」

勇者「ほ、ほら、見たことか。思い当たる伏しがあるんだろ」

魔王「時に勇者はドムドーラが滅んだ理由を知ってるのか?」



勇者「そんなこと子供でも知ってるさ。『罪のない人たちを魔王達軍勢が突如襲って村を滅ぼした』だろ?」

魔王「そうではない。”滅んだ原因”ではなく。”滅ぼされるに至った理由だ”」

勇者「理由?」

魔王「ああ、理由だ。面白半分で何かを滅ぼす訳がないだろう?」

勇者「お前ら魔物に大した理由なんてないだろ! 人間がむかつくとか遊び半分とかそんなもんだろ」

魔王「何も知らずに教えられたことを鵜呑みにするか……」

 続けて魔王の口をついた『まあ、それも致し方ない』言葉が妙にひっかかった。そして、自分を見る少し寂しそうなそれでいて何処か悲しそうな笑い方は勇者の心に何かを傷を付けた。

勇者「もしかして…… そ、そのなんだ…… ち、がう………… のか?」

魔王「王にとって、王国にとって、民が不信を抱くようなことは語られるものではないからな。人間の世界にはよくあることだろう? 攻め滅ぼした国の正史などは消し、都合のいい事を上塗りするなんて。それと同じようなものだ」

勇者「な、なら…… ドムドーラが滅んだ理由 ……とは?」

魔王「それはな……」

 ここまで話していると自然と分かることがある。からかわれもしたがこの魔王が真面目なところで嘘を付くような人物(?)とも思えなくなってきた。それが勇者として正しくない思考だと理解しているが、どうも憎めない相手になっていた。

 それと同時に勇者の心には警告音が鳴り響く、この魔王は危険だ。

 俺を取り込みつつある。

 それも悪い意味でなく、長い友のようにも感じてしまう何か楽しさにも似たそんな不思議な感覚。

 ダメだダメだと思えば思うほど、敵愾心が消えていく、憎しみが消えていく。

 サマルトリアもムーンブルクも殺されたのに……

 イヤ、魔王は殺していない。

 あれは配下の仕業だ。

 彼は殺していない……

 そう…… 魔王は

 ダメだ!!

 ヤツは俺たちの敵だ。敵なんだ!! 敵なんだ!!!



 敵だと……





 思わなくちゃダメなんだ!!











魔王「俺は和平交渉を人間側に求めたんだ。一応これでも王だしな、正直こっちにも被害がないわけではない。まあ、場所を指定したのは王国連だったがな」

魔王「で、行ってみたら待っていたのは六個師団。流石の俺もそれだけの軍勢に包囲されれば攻勢に転じるしかない。そうでもしなきゃ流石に殺されるかもしれんからな」

勇者「それでお前は怒って周りを破壊して回ったのか?」

魔王「……これは俺の推測でしかないからそのつもりで聞け。まず、あの町の周りは木々の茂る肥沃な土地だった」

勇者「ちょっと待て、あそこは砂漠じゃないか!?」

魔王「町の周りは大魔法陣が敷いてあり、複合魔術で煉獄を呼び寄せた。正直、魔王と呼ばれた俺もあの阿鼻叫喚の地獄絵図は目を覆いたくなった」

勇者「…………」

魔王「元々あそこにいた人間は囮にされたのだろう。誰もいない町に俺ものこのこと居続けたりしないからな」

勇者「バ…… 馬鹿な…… そ、そんなことがありえるわけ………」

魔王「百歩譲って、巻き込まれたと考えようとして無理がある。そこは人が住む町で俺が指定された場所だからな。もっともこの話を信じるという前提が必要だが」



魔王「そして、燃え盛る町の中に攻め込んできた騎兵戦団、そして当然迎え討つ。結果あの惨状だ。とはいえ、その時代に生きた者も覚えている者ももういない。語り部は俺だけだ、信じる信じないは任せよう」

勇者の心は何が真実で何が嘘かを判断できなくなっていた。
想像とは違った王であるが当然のような風格、威風堂々で理知的な魔王。
諸悪の根源たる魔王を撃てと言った諸国を統治する賢王と呼ばれた父。
実際に民は泣いていた、魔物に親や子、愛する者を奪われ全てを失った者達も確かにいた。
だが、作り話とは言え、本当に魔物にも親や子、愛する者がいるならば同じような目にもあったいるだろうし、彼らからすれば人間は魔物に思え、自分などは魔王にだって見えるかもしれない。

ここまで来る間に魔物を殺してきた。
悔しいが侍従と四天王を除けば、その他の魔物に負けることは無いと自負している。

『まさか、何もせず何も殺さずそれ程の力を手に入れた。などとは言うまいな?』

あの時は感じなかった言葉を思い返すと今は胸が痛い。
考えてしまったのだ、魔物にももしかしたら感情があるかもしれないと。
もし、同じ質問をされれば俺は言葉に詰まるだろう。
そして、

俺は何を信じれば――――






闇に葬られる事実とは往々にして凄惨なものである。
人間より遥かに強大な力と魔力を持つ魔王の和平交渉。
それが真実とは各国の王はとても信じられるものではなかった。
魔物は悪。獣は獰猛。人外は相容れぬもの。
一方的な規範、弱者が強者を恐れること。
絶対的な強者が例え本心を語ったとしても、弱者からすれば疑惑と疑心暗鬼の塊でしか浮かばない。
結局、弱者のとる行動は……

逃走



闘争



どちらか。


そのどちらかがたまたま闘争だった。

そしてドムドーラは生贄にされた。

己の敵を屠(ほふ)る為の戦い、己を守るための戦い。

自然の摂理に似た行動理念。

神も悪魔も、人も魔物も、善も悪も、絶対に覆すことの出来ない純然たる真理。

しかし

ドムドーラにいた普通に暮らしていた人達にとってはどうでもいいこと。

殺し合いをしたければ好きにすればいい。死ぬなら他所で勝手にやってくれ。

一日を生きた自分等を巻き込まないでくれ。

 偶然? 必然? 

どのような言葉を並べても納得できないし、悔しくて、失礼で、軽薄で、屈辱で、憎しみでしかなかった。

何をどうしてドムドーラだったのか今となっては分からない。ただ分かるのは不運、不幸、災厄、どのような言葉を並べても死者を冒涜する程度の言葉にしか聞こえないのでは到底浮かばれないということ。


そしてここに自分の行くべき道を失った勇者が一人いた。


魔王「そして、燃え盛る町の中に攻め込んできた騎兵戦団、そして当然迎え討つ。結果あの惨状だ。とはいえ、その時代に生きた者も覚えている者ももういない。語り部は俺だけだ、信じる信じないは任せよう」

勇者の心は何が真実で何が嘘かを判断できなくなっていた。
想像とは違った王であるが当然のような風格、威風堂々で理知的な魔王。
諸悪の根源たる魔王を撃てと言った諸国を統治する賢王と呼ばれた父。
実際に民は泣いていた、魔物に親や子、愛する者を奪われ全てを失った者達も確かにいた。
だが、作り話とは言え、本当に魔物にも親や子、愛する者がいるならば同じような目にもあったいるだろうし、彼らからすれば人間は魔物に思え、自分などは魔王にだって見えるかもしれない。

ここまで来る間に魔物を殺してきた。
悔しいが侍従と四天王を除けば、その他の魔物に負けることは無いと自負している。

『まさか、何もせず何も殺さずそれ程の力を手に入れた。などとは言うまいな?』

あの時は感じなかった言葉を思い返すと今は胸が痛い。
考えてしまったのだ、魔物にももしかしたら感情があるかもしれないと。
もし、同じ質問をされれば俺は言葉に詰まるだろう。
そして、

俺は何を信じれば――――






闇に葬られる事実とは往々にして凄惨なものである。
人間より遥かに強大な力と魔力を持つ魔王の和平交渉。
それが真実とは各国の王はとても信じられるものではなかった。
魔物は悪。獣は獰猛。人外は相容れぬもの。
一方的な規範、弱者が強者を恐れること。
絶対的な強者が例え本心を語ったとしても、弱者からすれば疑惑と疑心暗鬼の塊でしか浮かばない。
結局、弱者のとる行動は……

逃走



闘争



どちらか。


そのどちらかがたまたま闘争だった。

そしてドムドーラは生贄にされた。

己の敵を屠(ほふ)る為の戦い、己を守るための戦い。

自然の摂理に似た行動理念。

神も悪魔も、人も魔物も、善も悪も、絶対に覆すことの出来ない純然たる真理。

しかし

ドムドーラにいた普通に暮らしていた人達にとってはどうでもいいこと。

殺し合いをしたければ好きにすればいい。死ぬなら他所で勝手にやってくれ。

一日を生きた自分等を巻き込まないでくれ。

 偶然? 必然? 

どのような言葉を並べても納得できないし、悔しくて、失礼で、軽薄で、屈辱で、憎しみでしかなかった。

何をどうしてドムドーラだったのか今となっては分からない。ただ分かるのは不運、不幸、災厄、どのような言葉を並べても死者を冒涜する程度の言葉にしか聞こえないのでは到底浮かばれないということ。


そしてここに自分の行くべき道を失った勇者が一人いた。


魔王「そして、燃え盛る町の中に攻め込んできた騎兵戦団、そして当然迎え討つ。結果あの惨状だ。とはいえ、その時代に生きた者も覚えている者ももういない。語り部は俺だけだ、信じる信じないは任せよう」

勇者の心は何が真実で何が嘘かを判断できなくなっていた。
想像とは違った王であるが当然のような風格、威風堂々で理知的な魔王。
諸悪の根源たる魔王を撃てと言った諸国を統治する賢王と呼ばれた父。
実際に民は泣いていた、魔物に親や子、愛する者を奪われ全てを失った者達も確かにいた。
だが、作り話とは言え、本当に魔物にも親や子、愛する者がいるならば同じような目にもあったいるだろうし、彼らからすれば人間は魔物に思え、自分などは魔王にだって見えるかもしれない。

ここまで来る間に魔物を殺してきた。
悔しいが侍従と四天王を除けば、その他の魔物に負けることは無いと自負している。

『まさか、何もせず何も殺さずそれ程の力を手に入れた。などとは言うまいな?』

あの時は感じなかった言葉を思い返すと今は胸が痛い。
考えてしまったのだ、魔物にももしかしたら感情があるかもしれないと。
もし、同じ質問をされれば俺は言葉に詰まるだろう。
そして、

俺は何を信じれば――――






闇に葬られる事実とは往々にして凄惨なものである。
人間より遥かに強大な力と魔力を持つ魔王の和平交渉。
それが真実とは各国の王はとても信じられるものではなかった。
魔物は悪。獣は獰猛。人外は相容れぬもの。
一方的な規範、弱者が強者を恐れること。
絶対的な強者が例え本心を語ったとしても、弱者からすれば疑惑と疑心暗鬼の塊でしか浮かばない。
結局、弱者のとる行動は……

逃走



闘争



どちらか。


そのどちらかがたまたま闘争だった。

そしてドムドーラは生贄にされた。

己の敵を屠(ほふ)る為の戦い、己を守るための戦い。

自然の摂理に似た行動理念。

神も悪魔も、人も魔物も、善も悪も、絶対に覆すことの出来ない純然たる真理。

しかし

ドムドーラにいた普通に暮らしていた人達にとってはどうでもいいこと。

殺し合いをしたければ好きにすればいい。死ぬなら他所で勝手にやってくれ。

一日を生きた自分等を巻き込まないでくれ。

 偶然? 必然? 

どのような言葉を並べても納得できないし、悔しくて、失礼で、軽薄で、屈辱で、憎しみでしかなかった。

何をどうしてドムドーラだったのか今となっては分からない。ただ分かるのは不運、不幸、災厄、どのような言葉を並べても死者を冒涜する程度の言葉にしか聞こえないのでは到底浮かばれないということ。


そしてここに自分の行くべき道を失った勇者が一人いた。


魔王「そして、燃え盛る町の中に攻め込んできた騎兵戦団、そして当然迎え討つ。結果あの惨状だ。とはいえ、その時代に生きた者も覚えている者ももういない。語り部は俺だけだ、信じる信じないは任せよう」

勇者の心は何が真実で何が嘘かを判断できなくなっていた。
想像とは違った王であるが当然のような風格、威風堂々で理知的な魔王。
諸悪の根源たる魔王を撃てと言った諸国を統治する賢王と呼ばれた父。
実際に民は泣いていた、魔物に親や子、愛する者を奪われ全てを失った者達も確かにいた。
だが、作り話とは言え、本当に魔物にも親や子、愛する者がいるならば同じような目にもあったいるだろうし、彼らからすれば人間は魔物に思え、自分などは魔王にだって見えるかもしれない。

ここまで来る間に魔物を殺してきた。
悔しいが侍従と四天王を除けば、その他の魔物に負けることは無いと自負している。

『まさか、何もせず何も殺さずそれ程の力を手に入れた。などとは言うまいな?』

あの時は感じなかった言葉を思い返すと今は胸が痛い。
考えてしまったのだ、魔物にももしかしたら感情があるかもしれないと。
もし、同じ質問をされれば俺は言葉に詰まるだろう。
そして、

俺は何を信じれば――――






闇に葬られる事実とは往々にして凄惨なものである。
人間より遥かに強大な力と魔力を持つ魔王の和平交渉。
それが真実とは各国の王はとても信じられるものではなかった。
魔物は悪。獣は獰猛。人外は相容れぬもの。
一方的な規範、弱者が強者を恐れること。
絶対的な強者が例え本心を語ったとしても、弱者からすれば疑惑と疑心暗鬼の塊でしか浮かばない。
結局、弱者のとる行動は……

逃走



闘争



どちらか。


そのどちらかがたまたま闘争だった。

そしてドムドーラは生贄にされた。

己の敵を屠(ほふ)る為の戦い、己を守るための戦い。

自然の摂理に似た行動理念。

神も悪魔も、人も魔物も、善も悪も、絶対に覆すことの出来ない純然たる真理。

しかし

ドムドーラにいた普通に暮らしていた人達にとってはどうでもいいこと。

殺し合いをしたければ好きにすればいい。死ぬなら他所で勝手にやってくれ。

一日を生きた自分等を巻き込まないでくれ。

 偶然? 必然? 

どのような言葉を並べても納得できないし、悔しくて、失礼で、軽薄で、屈辱で、憎しみでしかなかった。

何をどうしてドムドーラだったのか今となっては分からない。ただ分かるのは不運、不幸、災厄、どのような言葉を並べても死者を冒涜する程度の言葉にしか聞こえないのでは到底浮かばれないということ。


そしてここに自分の行くべき道を失った勇者が一人いた。

ぎゃあああああ!!!書き込みがよっつも!?書き込みできなよって警告文が何度もでたからその所為? ごめんなさい。






 ――――なあ、勇者




 ――――俺の側に来ないか?




 ――――お前になら俺の国の半分をくれてやる。





大荒野を目指し過ぎ!

ドムドーラ焼かれすぎワロタ。

書き込みできませんでしたはとりあえずシカトしてみよう!



勇者「バ…… お…… お前何を言って」

侍従「ま、魔王さま!? な、何を仰って!!!?」

魔王「不思議なことは何も言っていない。俺はお前が欲しいと思ったから言ったまでだ」

勇者「お前はアホか!? 出会って十数分しかたっていないんだぞ!?」

魔王「別に時間は問題ないだろう? ひと目出会ったその日から恋の花咲く時もある。いや、恋ではないので微妙に違うが」

魔王「俺はお前に惹かれた。お前もその筈だ。違うか?」

こういわれてハッとしたが、魔王の狭量や度胸に正直、純粋に惹かれたいないかといえば嘘になるし、先程の交わした言葉を重ねもうひとつの可能性を認識した今に至っては、魔物が悪で人間が正義という二代原則が根底から崩れてしまっている。

それにどこかでコイツを本心から敵だと思えない。それこそ勇者失格だ。

そうなれば、人々から期待され名うての魔物を狩って賛称される”勇者”たる資格もない。なら、別に国の半分なんて欲しくないし、人間の世界に戻れない哀れな自分はこのままこの場で暮すのも悪くない………………………… とも思えなくない。

俺の手を待っている差し出された手は未だ引かれていない。

判断する勇気が欲しい。

この手を掴めば全てが楽になる。腕を動かし手を出せば全て世は事もなし。

いいか俺ひとりくらいと握ろうとした手が妙に重く感じて、いくつもの刻まれているキズ、『がんばってね』と握られた思い出の手。それをこのまま出していいのか? 俺は逃げていいのかと













あれから一週間…

>>164
ほとんど燃えちゃいました。
>>165
ごうごう!見たいな感じです。でもDQの画面って燃えてる感じじゃないですよね?w
>>167
お待たせしました!!



魔王「……悩むことはない共にあれ」

勇者「俺は……」


 もう仲間はいないしこれだけ強力な力を手に入れた自分は魔王を退治もしないでのこのこ戻って人の中で暮せはしない。なら、いっそのことと手を伸ばそうとした刹那、足元に魔方陣が広がり五つの光の筋が勇者の囲んだ。

勇者「こ…… れは?」

魔王「……ルビスの聖守護防壁(命を使ったな。しかもこれは契約式条件発動型。元々そのつもりでルビスと契約をしていたのか。やるなムーンブルクとやら)」

侍従「ルビスの聖守護防壁と仰いましたか!? それは魔術系絶対防御ッ!! 魔王さまこれはあの者が術を発動したのでしょうか」

魔王「いや、それはないな。あの勇者は魔力は内包しているくせに微細な魔力の流出すら感じない。どうやら魔法は不得手というか使えないようだな。お前も知っているだろうが、魔法を使うものはそいったものだ」

 ―――ローレシア

 後ろから自分を呼ぶ声を勇者は確実に聞いた。ムーンブルクッツ!!!! 死んだと思った仲間の名前を叫び後ろを振り返る。よかった! 生きていたんだ。あの時は気絶していただけ。よかった。本当によかった。



 …………………………


 しかし、望んだ者の影も形もありはしない。二度目の絶望。生きていたと喜び勇んだのにそれもまた裏切られた。もう…… どうでもいいという暗い気持ちが水に墨汁を落としたようにジワジワと広がり胸を締め上げてくる。

 この場で絶命できればどれだけ楽なことか…… 何もかもがどうでもいいと思えて死ぬ方向でしかモノを考えられないとは情けない。

 そうだ、このまま魔王に挑発して殺されよう。今すぐそっちにいくぞ、ムーンブルク、サマルトリア。

 
 ―――相変わらず馬鹿ね。





勇者「そ、その声はムーンブルク!! ど、何処にいるんだ!?」

 ―――そこにはいないわよ? 死んじゃったし

勇者「え? でも、声が聞こえるぞ」

 ―――あー、それはね。ルビス様にお願いしたから

勇者「やっぱり…… そうか、てっきり生きているかと」

 ―――目の前で見てたじゃない? 私が死んじゃったとこ

勇者「……スマン」

魔王「…………」

 魔王と侍従は何もない空間に話しかける勇者を黙ってみていた。

 ―――なあにそれ? やめてよね。私が死んだのは私が二人を勝手に庇ったことが原因だし。謝られても困るわよ。




勇者「でも!!」

 ―――デモもストもなしでOK? まあ、そんなことより何よ! 魔王にちょっと諭されたからって悩んだりしちゃって、だらしない! 

勇者「……ッ!?」

勇者「ヤツの言うことはいちいちもっともだ。そう思ったら……」

 ―――ハァ…… あのねぇ気がいいっていうか、人がいいっていうか。まあ、そんなところ好きよ? でも、根本からして外してるのよ貴方は。

勇者「なんだって?」

 ―――あの魔王の言ったこと確かにそういう側面はあるわ。でもね、それはこちらも同じことが言えるのよ? どこにずっと住んでいようと関係ないの。そこにあるのは何も理解しないうちに奪われた命があるってことよ。騙し討ちの話を信じるとしてもそこまで話を拗らせてしまう前に何かしら対処の方法があったはずよ? 例えば法を施行してたり、人間を襲った場合厳罰に処するとかね。確かに人間は傲慢だし欲深よね。でもローレシアよく聞いてね? 彼らの正義もあれば私たちの正義もあるの。高度な思考能力があっても混ざり合えないことってあるの。

勇者「…………そうか、悲しいな」


 ―――悲しいね。でも……



 ―――いつの日かそんな魔物とも分かり合える時が…… くるかもしれないわね。






勇者「分かった。また世話をかけたな」

 ―――あははは、べっつにだよ。それに…… ごめんね。先に死んじゃって。

勇者「…………サマルトリアは、サマルはそっちにいるのか?」

 ―――ん? あーいるよ。でも、さっきのが恥ずかしいから出ないっていってるよww

勇者「そうか…… じゃあ、馬鹿によろしく言っておいてくれ」

 ―――うん! わかった♪ え? なに?? 自分で言えばいいじゃない。あーはいはい。

 ―――なんかね。こっちには当分来るなってw


勇者「ああ。アイツの面を当分見なくて済むんだからこっちは万々歳だ」

 ―――うるせぇって言ってるよ? うふふふっ、今度こそ本当にじゃあね。あ、私から最後にひと言。



 いつも私達は共にいるわ。どの選択をしても私達は味方、貴方が大好きよ。だから迷わず進んで。




 ね?



魔王「話は…… 済んだか?」

勇者「ああ、待たせて済まない」

魔王「……答えは」

魔王「聞くまでもあるまいようだな」

勇者「ああ、本音を言うとほんの数分前までお前の横に居ようと思った。それは嘘偽りの無い俺の本心だ」

魔王「そうか、それは残念だ。で、貴様はどうする?」

勇者「どうするも、こうするもないだろ? 勇者がすることは一つだけだ」

 シャキン……

 そう宣言すると、これまでの激戦を共に戦い抜いた刃毀れと血油で曇っている剣を鞘から抜いた。



魔王「ハハッ、分かり易い答えだ。なら仕方ない。侍従」

侍従「ハッ!」

魔王「貴様の剣を」

侍従「どうぞ」

侍従「私の剣をお使い頂けるとは恐悦の極みです」

魔王「………」

 侍従に両手で恭しく差し出された剣を取り勇者に投げた。

侍従「……? ……!!!?」

勇者「?」

魔王「使え」

勇者「……スマン。でもいいのか?」

魔王「後顧の憂い無くというところだ」

 少し前に自分の一撃を防いだ剣。鞘から少し抜いて刀身を見ると刃毀れひとつなく当然一点の曇りも無い。これほどの鋭さと輝きはどんな高名な研ぎ師が研いだとしても出せないだろう。

 そして驚くことに握るだけで力が上積みされたような感覚がした。



侍従「なっ!?」

侍従「何をなさいます魔王様!!! あ、あの剣は……ッ!」

 熱狂的な宗教信者のそれよりも酷い狂信にも似た対象の魔王に付き従う侍従も疑いと驚きの表情を隠せない。

魔王「エンチャントウエポンだろ? 魔力を力に変え更に使う者の全てのステータスを15ほど上げるだったか」

侍従「25です!! 何をどうなさったんですか!? し、失礼を承知で申し上げますが、あの者が現れてから魔王様はとても変です。正気に戻ってくださいませ!!!」

魔王「ふむ…… お前がそこまで言うのなら俺は変なのだろう。フム、変か、そうか…… フ、フフッ…… フハハハハハハ!!!! なら中途半端はいかん」

魔王「飲め勇者」ポイッ!

侍従「ま、ま…… 王さ……………… ま?」

勇者「ゴクゴク」

魔王「躊躇なかったな。毒とかとは思わんかったのか?」



勇者「ここまできて今更それはないだろ。で、コレはなんだ?」

魔王「懸命だな。ラストエリクサーとかいうのらしい詳しくは分からんが、HP/MPをフル回復でさせてくれるらしい。ルビスの聖守護防壁が展開された今、攻撃魔法どころか回復魔法すら霧散してしまうからな」

勇者「馬鹿かお前? 敵を回復させてどうすんだ」

魔王「フフフッ、勇者を万全にさせその上で叩きのめす。この方がより魔王臭くないか?」

勇者「ハァ…… テメェは魔王って器じゃないな」

魔王「おや? 失格か?」

勇者「いいや、そんなちっさい名前じゃお前がもったいない。お前は大魔王だ」

魔王「大…… 魔王? 大魔王…… フフ、フハハハハハハハ!!! 面白い! 貴様面白いぞ!! 腹が捩切れそうだ!!!!」

勇者「テメ ……ッ!? お? おおおぅ!? なンか今Lv上がったぞみっっくらい」

魔王「ほぉ、それはよかったな。まあ今し方まで瀕死の状態で四天王と戦っていたんだ。当然だろう」

勇者「じゃ、最後の仕上げってな」バリッモグモグ

魔王「今更薬草を食ってどうする」

勇者「知らねぇのか? こいつはキクんぜェ!?」

魔王「そうか…… なら、準備は万端というところだな」

勇者「そんじゃ、まっ……」






「「始めるとするか」」 









 ―――さあ、大魔王…… 殺しあおうじゃないか。


 ―――ならば俺、イヤ…… 我も大魔王らしく振舞うとしようではないか。



 







 
  何故貴様等人間はもがき生きるのか?




               滅びこそ我が喜び。





          死にゆく者こそ美しい。







                    さあ 我が腕の中で息絶えるがよい!






書き手ですが、一回上げさせて貰います。
で、数少ない読んでる方に質問です。
更新したら上げた方がいいですか?
それともそのままで気付くまで放置な方向。
どちらがいいでしょうか?


Janeだから上げなくても無問題


変なのが湧くのは嫌だけど、他の人に見てもらいたいのも本音
市のお好きなように

非常に期待しています


奇遇ですな、わしもですよ

こんばんは書き手です。
これから始めるよー!
なんて、大手の書き手さんのマネごとをしてみたいのでしてみましたw
そうそう前に書いたレスですが>>182>>185>>182->>185という意味です。ごめんなさい。
>>187->>188
嬉しくて涙出ました。がんばりますね!!女勇者の話書きたいなと思っているんですけど、この中途半端で出すのの何かと思うわけです。
後、リクなども受け付けたいのですけど、こなせるかとか思ってしまいます。
まあ、何か言って欲しいというのが本音なんですけどねw
ともあれがんばります!ではこの後更新します。
貴方の一言が力になります。宜しくお願いします。

キン! キン!!

一合目の斬り合いから激しい激突音が魔王の間に鳴り響く。

二合目と三合目と剣を結び合い魔王の斬撃を防いでゆく勇者の動きは人のそれ超えていた。

勇者(見える!受けられる!これなら魔王を…… 殺(と)れるかもしれない)

魔王「フム…… フェイントを織り交ぜた攻撃を防ぐとはどうしてなかなか」

両手で構え正中に剣を置く勇者と片手で剣をブラリと提げる魔王は型を知らないド素人そのものにしか見えない。ジリジリと互いが近寄り剣先が届く剣域に入ると剣のぶつかり合う大きな音と激しい火花が飛び散る。

魔王「中々、剣術というのは難しいのだな」シュン!!

勇者「テメェ、もしかして」ギン!

魔王「ああ、今までこれを握ったことはない」ブン

侍従(魔王様は剣術に関しては素人、万が一ということはありえないと思うけど……)

勇者「チッ!ド素人にここまで押されるとは、これじゃあ勇者廃業か?」ギン!

魔王「フム、中々いい線いってるぞ勇者」

勇者「上から言うんじゃねぇよ。むしろムカツクはボケ!」

侍従(例え魔王様からお叱りを受けようとも……)

 スッ……

 キッ!

侍従が動こうと体の軸を少しずらしただけなのに勇者は感付き視線を叩きつけた。

勇者「オイ!」

侍従「……ッ!?(嘘!?気付いて)」ビクッ

勇者「邪魔すんじゃねぇぞ?」

侍従(こ……コイツ!!? 私の動きを感じて? ……さ、さっき勇者と全然違う。ほんの少しの時間でこれだけの急速な成……)……ガハッ!?」

 ドガガガンンッッ!

勇者の成長に驚愕していると、何かに突然突き飛ばされたように数メーター吹き飛ばされ壁にメリ込んだ。しかしそれに気付いたのは自分が全身で奏でた激突音をと、口から毀れる血を確認してからだった。

侍従「げうっ…… ゲホッゴホッ」

それは敬愛する主からの警告であり優しさ。もし本気なら気づく間もなく殺せたはずなのに…… だから思う。このお方は優しすぎる。下僕である私にさえ寵愛をさずけて下さるのに、天敵である勇者には親愛にもにた情を注ぎ、愛で慈しもうとしている。心配です。貴方様が人間如きに殺されるなどとは思っていませんが、万が一、億に一でも害をなす可能性があるのなら私のそのものを殺そうとするでしょう。 奴は薄汚い人間です。魔王様の御恩情を逆手にとり罠に嵌め嵌めるに決まっています。どうか魔王様お目覚めください。

魔王「邪魔をするな…… と、先程言ったはずだが?」

だけれど、そんな私の思いは届かない。それでもこの御方に私は……

侍従「も……もうしわ……け… ありま……せ    ん」コホッ

勇者(……い、今のは……ッ!?)

俺は驚愕した。正直驚愕どころではない。『馬鹿な!ありえない!!何をしたんだ』と叫びたい。一瞬で力の差をまざまざと見せ付けらたような感覚、心臓を掴まれたようなゾクリと恐怖と背骨を一気に引き抜かれたような寒気、戦闘の時に囚われてはいけない恐怖に体を縛られた。それはあの強い侍従を衝撃だけで吹き飛ばしということではなく、無慈悲に配下を攻撃したという行為ではなく。


”何をどうしてどうやって”攻撃したかといことだ。


魔王「部下が失礼をした。申し訳ない。さて、続きといくか」

勇者「…………クッ」

魔王「フフッ、どうした勇者よ?」

魔王「もしかして、お前…… まさか自分が勝てるとか思っていないよな?」

勇者「………」

魔王「たかだか、人間の限界をひとつやふたつ超えたくらいで」

魔王「魔の頂点であるこの私を殺せるとでも?」






 まさか、大魔王に勝てるなんて甘い夢を見た訳ではないだろうな?



 なぁ……





 人間よ。





 俺をもっと楽しませてくれ。








勇者「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」




恐怖の絶叫とも、気合の雄叫びとも、絶望ともとれる叫びを上げ剣を振り上げ魔王の頭を真っ二つにするい勢いで切りかかる斬撃を軽く受け止め両者は力比べを始める。

力が等量なのか、魔王が遊んでいるの分からないが双方とも引かない力と力の鬩ぎあい。

だが、知識の違いか純粋な戦闘センスの差か一瞬の隙を見て勇者の腕を魔王は蹴り上げる。腕力を一方向に入れすぎていた所為か、ポイントをずらした蹴りは腕ごと剣を跳ね上げ見事に勇者は仰け反るように体制を崩した。

勇者「クッ……!!?」

しかし、ここまで生き死に繰り返していた勇者にはどの瞬間が死の刻が分かるようになっていて、まるで野生の動物のような本能に近い警戒心を発気する。視線を下げると魔王のニヤリと勝ち誇った笑い顔が見え姿勢を崩れたガラ空きの胴に横凪ぎ一線の白刃が辿るであろう剣線が見えた。

今までの経験の賜物か咄嗟に片手を離し肘撃ちで剣を叩き落とした。

魔王「しぶといな」

勇者「テメェ…… どうして素人がこんな芸当ができる?」

魔王「貴様と侍従の動きで学んだ」



勇者「つったく、嫌になるほどチートだなクソ魔王は」

魔王「お褒めに預かり光栄の至り」

勇者「さっさと 死 ね よ ! 」 
 
魔王「アハハハハ!! 断る。こんな楽しい戦いを終わらせるなんて神に対して冒涜だ」


勇者「テメーが神を語るな!!!」#

数分に続く絶え間ない戦いの天秤はゆっくりと魔王に傾いていく。

勇者「ハァハァ……ち………………くしょ…………う!」

魔王「人の身でよくぞそこまで練り上げた。賞賛に値する」

勇者「ハン……うれしかねぇ…………ぜ」

魔王「ここまで戦った褒美だ。苦しまずに殺してやる一撃で首を刎ねてやろう。そして盛大に弔ってやろう。永遠に俺が英雄として貴様を語り継いでやる」



 ブン!



勇者「そりゃ、いいや」

 ――――でもな!

勇者「遠慮しとくぜ魔王」

ブン!

ゴシャッ!!

 止めを刺そうと振り上げた剣を握った拳に渾身の力で己の拳を叩きつけた。ゴキリと不気味な音をたて魔王の指があらぬ方向に曲がる。

魔王「貴様……」

勇者「でよ? 俺に懸けられたルビスの守護防壁は攻撃魔法どころか回復魔法まで霧散させんだよな?」

魔王「何が言いたい?」

勇者「お前は俺よりデカいしガタイはいいが基本的に人型と変わんねぇ。あの四天王みたいに無意味にデカかかったりデタラメに筋肉質って訳じゃねぇもんな。なら、魔法かエンチャント系で自己を増強してる筈だ。だから……」






 バリン!!





侍従「魔王様の闇の羽衣が!!」

魔王「よくぞ気付いたな。我の周りに力を増幅させる魔法が行使されているのを」

 人生を、生命を賭けた勝負だった。もし装備系のエンチャントだったら、もし自己内の増幅の魔法だったら。その他多くのだったらが浮かび上がるがそんなことよりも掛けに勝った。それだけで十分だった。

が、勇者の人生を賭けたような行為を楽しそうにニタニタ笑いゴキリゴキリと在らぬ方向に曲がった指を無理やり治す魔王は嬉しそうだ。その優位性を揺るがさない態度に苛立ちもひとしお。

勇者「マジお前ムカツクぜ」

魔王「クフッ……、で、これからどうするのだ?」

勇者「あん?」

魔王「その手を放せば直ぐに闇の羽衣が展開されるぞ?」

勇者「ならッ!! 放さなきゃいい話だろ!!!!!」

魔王「貴様にそれができるかのか?」

勇者「できるか?じゃねぇ!やるんだよぉおおッッッ!!!!!!!!!!!!」



ゴシャァアアア!!!!!!!

勇者「グエァ!?」

魔王「なら、根性見せてみろぉぉおおお!!!」

魔王は折れて曲がった指を強制的に直した手を握り締め勇者の顔面に叩き込んだ。しかも魔王とした威厳などかなぐり捨てたような雄叫びを上げる。

勇者「ってぇなぁ!」ペツッ!

魔王「フン!もう一発だ」ブン!

ゴシャッ!

勇者「ッ痛ぇじゃねぇかぁああ!!!」ゴガッ!!

魔王「当然だ殴ってるんだからな」ブン!

勇者「何度も殴られてたまるか!」ブン!

反射的か返す刀で剣を投げ捨て拳を作り渾身の力で魔王の顔面に深くメリ込ませた。歴史にifはないがもしそこで剣を使えば魔王の首を刎ねることができたら語られる未来は変わっていたのかもしれない。

さらに何を考えたか魔王は自分から勇者の鎧を掴んでがなさない。

魔王「グガッ!!」

勇者「ヘイヘイ!腰にきてんじゃねぇのかぁ!?魔王様はいつも椅子に座ってらっしゃるからもうきヴィンぎャ!?」ゴシャッ

魔王「このヒューマンが調子こいてんじゃねぇぞ!お前ごヴギィ」ゴシャ

勇者「口調変わってんぞぉ!?威厳はどこにいったんだギャッ!?」ゴシャッ

魔王「世間知らねぇ生っ白い王子様が語ってるんじゃねぇ、お家に帰ってパパってやぼぅべぉ」ゴシャゥ


愚痴か己に無い物に対しての願望かどんどん会話の内容が酷くなっていく。

魔王「勇者は楽しそうだなぁ!諸国漫遊でどこぞのごぅ゛ぼんざヴぁ」ベキッ

勇者「言うなぁぁぁヴォケェェッ!!知らねーよ白い髭の爺ィなんて、つか言っちゃなんねぇ事もあんだよ!ついでに勇者の御褒美しってぐぁ!!?」ゴバァシャッ

魔王「どっちも知らんわぼげっ!」ゴゴゴン

勇者「討伐して当たり前!救って当たり前!ちょっとでも遅けりゃどうして早く来てくれないのって恨み節だ!挙句の果てには貴様らの最重要標的つーのは泣けてくんだよボォフゥ」ゲベフッ

勇者「テメーこそふんぞり返って椅子に座って『ウム』『好きにしろ』とかいってんばろっ!!」ボベッ

魔王「言ってちゃ悪るいか!?ただ椅子に座って毎日報告聞くのにも飽き飽きするわ!それに俺がフラフラ歩いてみろそれこそ王国連がここぞとばかりに襲ってくるガバッ!!?」ゴバッ

勇者「変身すりゃいいだけだろ!!」

魔王「!!?」

勇者「お前らお得意だろ変身。第二第三形態って、どんだけプレイヤーが絶望のふでぃに゛っ゛っ゛!!?」メメタァァァァァ!!!

魔王「なんで早くそれを言わないんだ!!クソナイスアイデアだろ!!!使えねー勇者だな゛っ゛」ドッゴラァァァ!!!





勇者「早くも何もないだろ!今気付いたんだボケ!それくらい自分で気付けクソ魔王」

魔王「早く気付け使えねぇ!アホ勇者ァ!」

魔勇「「あんだと!?ゴルァァァ!!!!!!!!」」

ゴシャッッッ!!!!

振り被った拳が同時に二人の顔面にメリ込み見るも無残な顔面ピカソの絵画教室。ボコボコボロボロ血まみれフェスティバル。

ドサッ……

ゆっくりと勇者は崩れ落ち地面に伏す。それを見届けた魔王はひとつ大きな溜め息を付き乱れた髪を書き上げた。

魔王「フゥ……」

大の字に伏し満足げに笑みを作りながらいびきをかく勇者を尻目に、よたよたと玉座に向かい王に似使わない動きでドサリと体を滑り込ませるように座る。

魔王「侍従、ワインとあの呪いの指輪を持て」

侍従「ハッ!(よかった!魔王様が戻られた)」

侍従は魔王の勇者への心酔ぶりがあまりにも過ぎて不安を抱えていたが、自然回復を停止させ魔力を封印させる魔法の指輪を持ってこいと命令したことにより安堵を得た。今瀕死の勇者に指輪を嵌めジワジワと衰弱死させようとお考えなさっておられると思うと、魔王様は元に戻り惑わした勇者がもがき苦しむ様子を見られる。そう思うとワクワクドキドキして進む足も軽やかなるというもの。

侍従「ワインと指輪をお持ちしました」

魔王「うむ」

テーブルのグラスにトクトクと音を立てワインを注ぐ。まるで今の魔王様を彩っている血のような見事な赤。思わず舌なめずりをしてしまうほど甘美な麻薬に見える。

魔王「ぐおッ!? 痛ってぇ……」

侍従「だ、大丈夫ですか!?そうとう殴られましたので口の中を切っておられるのでは?」

魔王「ああ、なるほど……これが口の中を切るか…… フフフッアハハハハハハハ!!!!!」ゴクゴク

魔王「いってぇええええええええええええええええええ!!!!口の中で火を噴いてるみたいだ」





























魔王「なるほど…… では」

おもむろに侍従が運んできた指輪を取り自分の指に嵌めた。

侍従「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

魔王「」キーン

長年側に置いている侍従の聞いたこともないような叫びに流石の魔王も目を白黒させた。

侍従「なななななにをなささささってるるるるんでですすすかかか!!!?」

魔王「ま、まあ、落ち着け。たかだか指輪を嵌めただけではないか?」

侍従「た、たかだか!? は、嵌めただけじゃないすよ!!!!その指輪は一週間は外せないんですよ!!魔王様でもその間は人間程度の回復力しかないんですよ!どうなさるおつもりですか!!!!!!」#

魔王「いいじゃないか(笑)」

侍従「笑っている場合ではないです!!その間に人間が攻めてきたらどうするおつもりですか!?」

魔王「貴様らがいるではないか?」

涼しい顔で平然と答える魔王に、心酔しきっていた侍従も大声をあげ反論する。これも勇者というイレギュラーの存在が侍従を変えたのかもしれない。

侍従「だ、だからといって今の状況をどうお考えなのですか!?人間の勇者などとボコボコ殴りあうなんて我々の気持ちもお考えくださいませ」

魔王「そうだな……そういった考えは今まで皆無だった。だが、今は申し訳ないと思うと同時に、私は私の信じる行動を取ったと考えている」

侍従「ではなぜどうして指輪を」

魔王「何故などという質問には甚だ疑問を挟まざるを得ないが、まあ、簡単に言えば気分がよかった。と、まあそんなもんか」

侍従「」

魔王「殴り合いで傷つくなんてそうそうあるもんじゃないぞ?侍従もどうだ?」

侍従「プチッ……」

魔王「ぷち?」

侍従「ぐぉらららら!(怒)こんのバカ魔王様がぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」###

その叫びは城内を駆け抜け「あれ?今の声侍従……様?まさか、そんな訳あるか」と配下の者を今までからは想像できない声で周りの者を混乱させた。そして侍従が魔王の側に付いて始めての咆哮であった。

魔王「まあ、そう言うな経験ない痛みだぞ?これはこれで楽しまないとな」

侍従「魔王様ぁ……」

これだけガクリと肩を落とした侍従を見たこと誰もいない。

侍従「もぉ、いいです。でも質問には答えてくださいまし」

魔王「ふむ、よいぞ。気分もいいしな」イテテ

侍従「あの魔王様の闇の羽衣が崩されとしても純粋な力では勇者の首などいくらで獲る方法はあったと思うのですが?」

魔王「ああ、それはそうだな。でもコイツに純粋に付き合いたいと思ったのだ。カードはいくらでもあるにはあったが真っ直ぐ殴り合いに興じるのもいいかと思ってな。人の理を超えてしまったコイツ(勇者)がどこまでやるか。殴り合いだけに関しては、この魔王に近づけるのかと」

侍従「そ、それほどまで」

魔王「お前も感じたはずだ、この勇者の力を」


勇者『オイ!』

侍従『……ッ!?(嘘!?気付いて)』ビクッ

勇者『邪魔すんじゃねぇぞ?』

侍従『(こ……コイツ!!? 私の動きを感じて? ……さ、さっき勇者と全然違う。ほんの少しの時間でこれだけの急速な成……)……ガハッ!?』

魔王「誰ぞある」

???「こちらに」

魔王「ふむ、そちか…… まあ、問題なかろう」

侍従「い、いけません魔王様! アナタも直ぐに戻りなさい!!!」

???「……何故私の行動を侍従様は否定するのでございましょうか?」

侍従「そ、そんな他人行儀に…… い、いえ、そうじゃなくて……今回は、今回だけはダメなのよ!!!」

???「もおいいです。これは魔王様からの勅命ですから誰も私を止めることを出来る者はいません。ですよね!?魔王さま!」

魔王「……うむ(正直、面倒だ)」

侍従「我侭は許さないわよ言うこと聞きなさい!!侍従妹!!!」

侍従妹「フン!嫌い、大ッ嫌い!!いっっつもお姉ちゃんはそう言って私の仕事を邪魔するんだから!」

侍従「なっ!?私は貴女のことを心配しているの。お願いだからわかって」

侍従妹「御心配して頂かなくて結構です!」

侍従「そ、それにコイツは勇者なのよ?私達の敵なの分かっているの!?」

侍従妹「んしょっ……分かってますよ?」

侍従妹「お…… 重い」ヨロッ

魔王「……(背負うというより、あれでは覆い被されて感じだな)」

侍従妹「んしょっ……そ、それでは魔王様!あ、後はお任せくっ…… くださいませっ」ヨロヨロ

魔王「あ……ああ」

 ・

 ・
 
 ・

勇者「ん……ここは?」

勇者は見知らぬ天井を見た。ぼんやりと霧掛かる意識の中視線を横に移すと蝋燭の淡い光で目に入る。淡い光でさえ眩しくるのでどうやら相当の時間寝ていたということは理解した。

目が慣れてくると周りの様子が分かるようになる。薄暗い部屋の中は豪奢な作りでいて調度品なども。どうやら牢屋というより客室。

自分はどうなったのだろう。魔王と殴り合って流石に死なないってことはないだろう……… とは言え流石にここは天国ではない筈。余りにもそのなんだか違う気がするし、その感覚をより確かにしているのは、この自分の横で丸まって寝ているこの幼女だ。

勇者「……(起こしてみるか)」

???「すやすや」

勇者「……オイ」

???「むにゃ……もぅ………………少……………… すぅ」ZZZz…

勇者「オイ!」

???「お姉ちゃんうるさいよぉ…………まだ時間じゃない………………もん」

勇者「頼む起きてくれ」

???「むにゃっ………… はぁぃただい…………まぁ」ゴシゴシ

幼女の添い寝だと・・・・・



???「お姉ちゃん……まだ早いヨぉ……むにゃむにゃ」

勇者「>>212

???「あっ、いけないけない……侍従様って言わないのにぃ~」

勇者「とりあえず、しっかりしてくれ。俺はお姉ちゃんでも侍従様でもない。お前は誰だ?」

???「え~にゃぃつてるの~ぉ?お姉ちゃんは侍従様で……侍従様はお姉ちゃんで……えっ?」

ガバリと起き上がった幼女は目をしばつかせ、勇者をしっかり見据えた。後……

???「ふぁぁああああん!よかったぁよかったよぉ!!」

勇者「お、おい!?」

???「勇者様が死んじゃったらどうしようかと思ってぇ~」

涙を流しながら勇者の胸元に抱き付きグリグリと顔を擦り付ける。

勇者「あ、ああ、そうかありがとう。で、お前は誰でここは何処だ?」

???「そ、そうでした。申し遅れました私侍従妹と申します。勇者様」ペコリ





落ち着いたかのか、起き上がった勇者のよこでちんまりと正座しておじぎをする幼女。見た目、年どころは13くらいか、クリクリリとした目が印象的で、正座してもベッドに届き広がるくらいの長さを保ちながらキラキラ光る銀色の髪。何故このような幼女が自分の横で丸まって寝ていたのだろう?勇者の理解はますます混乱をきたす。

侍従妹「そして、ここは魔王様のお城の客室です」

勇者「そうか……、もしかしてお前が俺の面倒をみてくれたのか?」

侍従妹「はい! 魔王様と戦われた日は勇者様はルビスの守りの効果が続いていたので魔法系の回復治療ができませんでした。ですのでその日は薬草などで緊急の治療ですませましたが、翌日からは魔法で回復をおこないました」

勇者「そうか(もしかして、この幼女は連れ去られてこういう小間使いをさせられているのかもしれないな。そうでなければ魔王の配下が俺を治療するわけない)」

侍従妹「それで容態も気になったので、横で寝泊りさせていただいていたんですけど……」

勇者「ですけど?」

侍従妹「側で寝たほうが色々わかりやすいな……って思っちゃったんです。最初はドキドキしてたんですけど、何回か横で寝ていたらクセになっちゃって」

勇者「えっと……侍従妹でよかったんだよな?」



侍従妹「はい!」

もう、溢れんばかりというのを体現したような表情で返事を返した。こんな魔物の巣窟でこれほどの笑顔を失わないとはなんと健気で、なんと素晴らしい子なんだろうと胸が締め付けられそうになる。勇者は誓う。絶対救い出す!と。

勇者「ここから連れ出してやる」

侍従妹「え?」

勇者「心配か?流石に魔王には勝てないにしろ、今の俺なら逃げきることぐらいならできるはずだ。安心して俺と一緒に来い」

侍従妹「え?え?あの?」

勇者「な?」

勇者は不安がっているであろう幼女の頭を優しく撫でた。すると緊張の糸が切れたのか幼女はわんわんと泣き出した。相当ここで苦労をしたんだろう。と勇者は”勝手に思い込んでいた”

侍従妹「ふぁあああん!嬉しいです嬉しいです。すっごく嬉しいです!!」



勇者「そうか。そんなに嬉しいか?苦労してきたんだな」

侍従妹「ええ、だって勇者様がこんな熱い求婚をしてくれるんですものぉ」

勇者「」

侍従妹「幸せにしてくださいね!そうだ!魔王様に報告しなきゃ♪」

勇者「え?なにそれ怖い」

侍従妹「??」

勇者「お前誘拐されたんじゃないのか?」

侍従妹「え?なにそれ怖いです」

勇者「だから、お前は誘拐されて、侍従に監視されていてその意味でも侍従妹と言われこの魔王の城の小間使いをしているんじゃないか?」

侍従妹「え?あ……あの?何か勘違いなさってませんか?」



勇者「……?」

侍従妹「おね……侍従様とは姉妹ですよ?腹違いですけど」

侍従妹「侍従様はエルフとエルフでイノセントエルフというところですね。ちなみに私はエルフとハーフエルフのクォーターエルフなのです」

勇者「こんな幼女がエルフとは……」

侍従妹「幼女じゃないですぅ!」プンプン!!

勇者「顔つきもそうだけど、身長だって130くらいしかないんじゃないか?これで幼女じゃなきゃ何を幼女と言うんだ?」ナデナデ

侍従妹「な、なでなでは嬉しんですけど、これでも120歳なんです。身長は…………131ですけ」





                ハ        _
    ___         ∥ヾ     ハ
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 / 聞 え  |     ||:::::::||    ||:::||
 |  こ ?  |     |{:::::∥.  . .||:::||
 |  え      |     _」ゝ/'--―- 、|{::ノ!
 |  な 何   |  /   __      `'〈
 |  い ?   ! /´   /´ ●    __  ヽ
 ヽ      / /     ゝ....ノ   /´●   i
  ` ー―< {           ゝ- ′ |

        厶-―    r  l>        |
      ∠ヽ ゝ-―     `r-ト、_,)      |
      レ^ヾ ヽ>' ̄     LL/  、   /
      .l   ヾ:ヽ ` 、_      \\ '
     l    ヾ:ヽ   ト`ー-r-;;y‐T^
      |    ヾ `ニニ「〈〉フ /∥. j





侍従妹「  ひゃくさんじゅう  い  ち  で す ! !  」

勇者「そっちじゃねぇよ!!!つか、1を強調してどうすんだよ!」

侍従妹「そこは譲れない重要なところなんです!!」

勇者「高々、1cmじゃねぇかよ」

侍従妹「種籾の一粒を(^∀^)ものは一粒に(´;ω;`)というんですよ!?」

勇者「諺ディスってんじゃねぇよ。重要なのはそこじゃねぇ年齢だ」

侍従妹「?」

勇者「120ったろ?」

侍従妹「いいましたけど?」

勇者「俺より100近く上とはorz」



侍従妹「恋に年は関係ありませんよ!!」

勇者「お前が言うな! 合法ロリはいいよね(AA略 じゃねえんだぞ。それにいつ恋の話になったんだよ?」

侍従妹「最初からです」

勇者「どうみても犯罪だろ?それに気にすんだろ?100歳差は。通常有り得ないけど、俺がMAX年下。見た目が幼女で可愛いから沸き起こるなにこのやるせない感情。つか、この場合ショタ?」

侍従妹「私は気にしません!」フンス!!

勇者「ケッ、無いムネ張られてもな」

侍従妹「き、気にしていること言いましたねーーー!バカバカ勇者様のバカーー!!」ムキー!ワーーン!!

 ドガァアアアアアアアンンン!!!!

侍従「貴様ぁぁあああああああああ!!!!!!!妹を泣かせたなーーー!!!」



傍からみればラブラブチュッチュのカポーに突然乱入したようにしか見えない、片手に食事を乗せたトレイを持ったどうみても姉妹には見えない姉、侍従が扉を蹴り破って登場した。

侍従妹「お、お姉ちゃ……!?侍従様ッ!!何をしにこれらたのですかッ!!?」

侍従「ど、どうして貴女はそういった他人行儀にモノをいうの?お姉ちゃんはこんなに心配しているのに」

侍従妹「心配してくださらなくて結構です。何でもかんでも私のやることに口に挟むのは遠慮願いたいのですが。それに私と勇者様の逢瀬を邪魔しないでくださいませ」

侍従「お……おう!おう!!逢瀬ぇぇえええええ!!!!?き、き、貴様ァァアア!!!よくも私の妹を誑かしたな!」

勇者「ちょっ、怒りの矛先は何で俺だよ!?」

侍従「分からんのかこの最低の屑!!いいかよく聞け!!!私の妹は賢くて聡明で可愛くてつぶらでほにゃほにゃで小さくてちょっとおっちょこちょいだけどそこが可愛くて抱きしめたくてたまらなくほど可愛い。だから貴様のような悪い虫が付くんだ!大体私でさえ添い寝もして貰ったことないのに……貴様は……貴様は……四日近く添い寝して貰ってぇぇぇええ!!!!許せん!許せんぞゴミめ!!ジワジワとなぶり殺しにしてやる!!!嗚呼、妹の匂い。あの甘い匂いを傍らでクンカクンかしたいけど絶対に許してくれないだろうし、そういえば最近は一緒に食事もしてくれない。大体、魔王様付きの侍従になっているけど、危ない仕事はさせたくないから、ついつい口を出しちゃっていたら、なんだか妹がドンドン私から離れていった感じがして、毎日泣いているんだけどそんな素振り見せたら私の威厳がなくなってしまう。でも、妹が好きでいてくれるなら私の威厳など塵芥に等しく……勇者『おい』」

侍従「なんだぁあ!?」

勇者「お前の可愛い妹が固まってるぞ?」

妹「」カチコチーン



侍従「ああああああやぁあああ!!!!妹ぉぉぉおおおお!!!!??」

勇者「おい」

侍従「何だッ!?さっきから私は急がしいんだ!!戻ってきて妹ォ……」

侍従妹「お姉ちゃんがアブナイ人……お姉ちゃんがアブナイ人……お姉ちゃんがアブナイ人……」ブツブツ……

侍従「あ、あのね。私は危ないから落ち着いて」

勇者「(十分危ねぇよ)お前年いくつだ?」

侍従「私の歳?なんでそんなことを貴様に教えてさしあげなければならんのだ?」

勇者「600歳くらいか?」

侍従「巫山戯るな!!」

勇者「じゃあ1000歳くらいか?」

侍従「どうやら自殺願望者みたいだな。愉快な肉の塊にして欲しいならそういえばいい。お望みの死体にしてやる」

勇者「1200歳?」

侍従「だから、なんで増えるんだ!私はまだ123だ!!」



                ハ        _
    ___         ∥ヾ     ハ
  /     ヽ      ∥::::|l    ∥:||.
 / 聞 え  |     ||:::::::||    ||:::||
 |  こ ?  |     |{:::::∥.  . .||:::||
 |  え      |     _」ゝ/'--―- 、|{::ノ!
 |  な 何   |  /   __      `'〈
 |  い ?   ! /´   /´ ●    __  ヽ
 ヽ      / /     ゝ....ノ   /´●   i
  ` ー―< {           ゝ- ′ |

        厶-―    r  l>        |
      ∠ヽ ゝ-―     `r-ト、_,)      |
      レ^ヾ ヽ>' ̄     LL/  、   /
      .l   ヾ:ヽ ` 、_      \\ '
     l    ヾ:ヽ   ト`ー-r-;;y‐T^
      |    ヾ `ニニ「〈〉フ /∥. j





侍従「  ひゃく  に  じゅう  さ  ん  ! !  」

勇者「あqwくぁsでゅじp@」

侍従「何を混乱している?」

侍従「お……おい、何とか言え」

勇者「ば」

侍従「ば?」

勇者「……ば、馬鹿な……この幼女と三才差……だと? これとあれがか? あ、ありえん!ありえんぞぉおおお!!!!!」ポルナレフ(ry

今日はここまでです。
そうか……宣伝と取られる訳なんですね。
次はないように反省します。
ごめんなさい。

だれにでもミスはあるさ

気にするな乙
おかげで楽しみが増えたありがとう

まってる

ロリババァとか俺得すぎるからこの不手際の咎は俺が全部受ける

>>228
ありがとう。涙でる。
>>229
そう言って貰えるのが幸せ。
>>231
まってて。
>>233
バカ……私の罪を背負うなんて……ッ!? 貴方だけに背負わせない私も!!ありがとうw



姉妹喧嘩にヤレヤレと溜め息を付いてドアを開け部屋を出た。廊下を見回すと柱ごとに蝋燭備え付けてあり行き先を示すかのように灯っている。
とはいってもその通路は一直線で、見える先には大きな扉があり、進む道はひとつしかない。

勇者「まあ、いくあても場所もないか」

 ギィ……

左程使われていなかったのか、扉を開けると蝶番の音が客の訪れを知らすように鳴った。

こじんまりとしているが瀟洒な部屋。どちらかというと執務室のような趣だが揃っている物は一級品。そういったことに疎い勇者でも手に取るように分かった。どれもこれも落ち着いていて成金が金に言わせてそれえたものでもない。純粋に褒め感嘆の声を上げると、それに答えるように『フッ……』と笑う声が聞こえた。

魔王「気に入ったか?お気に入りの自室だが貴様ならくれてやってもいいぞ?」

勇者「イヤ、いい趣味してるが遠慮しておくさ」

魔王「そうか。で、傷はもういいのか?」





 な ぁ 、 ロ リ コ ン




 



勇者「だ、誰がロリコンだぁあああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

魔王「ロリコンはいかんぞ? ロ リ コ ン は()笑」

勇者「120はロリコンじゃねぇ!人間で言えば老女だアホンダラ」

魔王「ハァ……これだから脳筋は。これでもオブラートに包んでやったのだが?」

勇者「んだとコラッ!?」

魔王「貴様は何も分かっていないようだから教えてやるが、純粋なエルフ族の寿命四千年以上だ。ハーフエルフですら三千年以上は生きる。クォーターも同じくらいだ。ここから言えることはあの二人はまだ赤子。すなわち貴様は実のところロリコンですらない」

勇者「な……ッ」

魔王「俺は貴様を人間といった種族を抜きにして認めている。というより敬意を表してもいいくらいに好感を持っている。が…… ここはそういった私の感情を抜きにして心を鬼にするとしよう。許してくれとは言わないし怨んでくれても構わない。では、言わせても貰おうか……」

勇者「ゴクッ……」








魔王「このペドヤロウが!!!!!」wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww





勇者「」

勇者「励めって…ちょっおまっ」

魔王「動揺が迸っているぞ童貞か?」

勇者「え!? イヤ……ッ!! ど、どどどどどど童貞ちゃちゃうわわわわわ」

魔王「まあ、貴様等の見た目からすれば幼女かもしれないが、こちら側からすれば侍従妹は十分に成人だ。好きなだけ目くるめく夢の世界に逝くがよい」

侍従妹「どんとこいです!」

勇者「いや、まぁ……なんだ、ドンとか励むとかはちょっと待ってくれ。あのな侍従ならまだ分かる。あの風貌や言動どうみても成人だ。だが、妹は無いだろ……どう見ても幼女だぞ?完全な子供ってレベルだ」

魔王「? 子供?? どこからどう見ても成人なのだがな。貴様の目にはどう見えているのだ?」

勇者「ハァ……是非、お前には人間の視力検査を受けていただきたいものだ」

勇者「しかしな、アレは三歳差とかないだろ?」

魔王「?」

勇者「何言ってんのお前みたいな顔すんな!!」

魔王「変わらんだろ。侍従も妹も」

勇者「変わるわボケが!!!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

魔王「くふっ」

勇者「?」

魔王「クハハハはははははは!!!!!!!!!!」

勇者「な、何が可笑しいんだ!?」

魔王「うははは!!! 何がだと? こんな面白いこと他にあるか!! この人間の世界で嫌悪、憎悪、穢悪、嫌悪される魔王の俺に恐れるどころ悪態を吐き、不遜な態度。そして私に対して罵詈雑言の謗り。これを面白いと言わずして何を面白いとする!!」

勇者「……」

魔王「流石は人間! 流石は勇者! 流石は英雄!!これ以上楽しいことは他に有りはせん! やはり貴様が欲しい。どうだ、先程私の提案した私の隣に来る気はないか? 私の領地は元より望むなら魔族にでもエルフにでも転生させることはできる。今の寿命より果てしなく永遠をいくことができるぞ。不老不死は望めないにしても、それに近い人間の寿命を遥かに超越した存在になれるのだ」

勇者「……」

魔王「もう一度言うぞ。私の隣に居ろ。この世の全ての快楽、優越、恐楽全てを与えてやる」



自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

勇者「……素敵な提案だな。でも」

魔王「でも?」

勇者「俺は人間でいたい。人間として生きて人間として死にたい。お前の提案は魅力的であり俺の心を惑わすに十分な魅力があった。でも、そうじゃないんだ、そうじゃ……ないんだ。別に魔族に嫌悪があるわけじゃない。まあ、今時分そう思ったんだけどな」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

勇者「まあ、そう言う訳で悪い」

魔王「条件が折り合わなかっただけでのこと謝ることはない」

勇者「そう言って貰えると助かる」

魔王「で、今後どうするつもりだ?ここに残る気はないのだろ」

勇者「そうだな、流石にそれは問題あるからな。かと言って戻る場所となると……」

魔王「国があるではないか?王子よ。それとも魔王を討ち取れない勇者がノコノコと帰れる道理がないと?」

勇者「ああ……いや、まぁ、そんな理由も一部含まれてはいるけど、魔王と一騎打ちして生き残った人間を、普通の人達がどう思うかと考えると……なぁ」

魔王「フム、そうだな。人間なら……『稀代の勇者でも討ち取れない魔王なら仕方ない。多少の魔物からの被害は目を瞑ろう』と、考えるだろうな」

魔王「そして、本懐を遂げぬ敗残者とは言え魔王の玉座まで到達した英姿。元々、魔王を倒すなんて荒唐無稽な大博打を打つような戦略だから、討てれば儲けモノくらいにしか考えていないだろう。が、それを知らない人々の目には羨望、敬意、畏怖、恐怖あらゆる好奇な目に晒されるのは想像に難くないな。他国に対しては体の良い警告になるだろうし、存在自体が戦略兵器そのモノ」

勇者「自分から言っておいてなんだが、そんなことにはならないと思うぞ?」

魔王「考えてもみろ、四天王を打ち破り魔王まで辿り付いたのだぞ?まあ、四天王には”私”が見逃させたのだが」プークスクス!!

勇者「……#」コロス!!

魔王「そんな勇者を所有する国は他国にとってみればそれだけの脅威になる。兵士達にすれば英雄の配下なれるのだこれ程の誉れはないし、全体の戦意高揚に繋がる。国民にとっては富国列強と言った錦の御旗になるのだからいわずもがなだ」


勇者「……」

魔王「救いようのない言い方だが、これからの貴様に平穏無事という生活はもうないな」

勇者「……あー、そうだなぁ。山の中ででも暮らすさ。日が昇ったら起きて、山の中で適当に畑耕して、たまに猪とか鹿とかとれたらいいな。んーでもまず家を作らないといけないなぁ。あっ……!俺家作ったことなんかねぇぞ、出来っかなぁ?」

魔王「それでいいのか?」

勇者「取り敢えず洞窟でいいか。ん?俺が戻ればどう転んでも面倒な展開しか想像できないし、それなら元凶がいなければいいと思うわけよ。丁度いいことに俺の事は人間界にまだ広まっていないからな」

勇者「そこで、頼みがあるんだけどいいか?」

魔王「なんだ?言ってみろ」

勇者「今から言うように噂を広めて欲しい」



 勇者は魔王にボコボコにされほうほうのていで逃げ出しました。そして山の中で野垂れ死にました。



勇者「とさ。ってな感じで」

魔王「……訳を聞かせろ」

勇者「そんな顔すんなよコエーんだから。別に対した理由じゃないさ。ほら、俺が何処かで生きているとか考えて搜索隊出されたり、魔王を倒す気ないのに何処かで英気を養い再起を図っているなんて希望を持たれても困んじゃんか」

魔王「……」

勇者「本音言うと疲れたんだよ。王子なんてもんに生まれて魔王倒してこいなんて言われて仲間は死んで俺一人残ってさ。で、お前の話聞くと基本的には人間襲わないって言うだろ?エンカウントすりゃそりゃ仕方ない」

魔王「俺の配下はそうだ。ハグレとかの責任は持てんがな」

勇者「あの後考えたんだけど、これって普通に他国との戦争と変わらないんじゃねーかな?ってさ。人間と魔物の力の差って、雑把に言っちまうと、燐国同士の戦力差に似ている気がするんだ。お前の側近ども、あの侍従とか四天王とかは別にして、途中までいた魔物とかデミヒューマンくらいなら人海戦術で何とかなるし、それに”人間だけが理不尽に蹂躙されてはいけない”なんて法があるわけじゃない。そんな法があったら動物が激怒するぜ。大体、ウチの国ローレシアだって、他国を責め滅ぼしたことがある。戦争に行けば兵士は兵を殺すし、中には非武装の平民を殺していないとはいいきれない。それに負けた王族は一族郎党皆殺しだしな」

魔王「聡いな」

勇者「いや、色々と御託を並べてはみたものの、疲れた静かに暮らしたいと。どっちにして負け犬の遠吠えだ。笑って流してくていいぞ」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……」

勇者「……頼む!俺を少しでも認めてくたのならこの願いをどうか」



魔王「…………条件がる」

勇者「分かった!俺ができることなら何でもする!!」

魔王「約束は守れよ?」

勇者「ああ男に二言はない!でも、仲間になればナシで頼む」

魔王「みなまで言うな。俺もそこまで無粋じゃない。なぁに簡単なこと『侍従妹を娶れ』」
 
勇者「なんだ、そんな簡単なことか。分かった」

魔王「うむ、潔い。それでこそ勇者だ」

勇者「あれ?娶れ?」

魔王「侍従妹!」

勇者「ちょ!ちょちょちょまてまて!!!!」

魔王「男に二言はないんだろ?」ニヤニヤ

勇者「だッ!?なッ!?」

侍従妹「は、はい!お呼びですか魔王様」トテトテ




侍従妹は銀髪を揺らし少し息を荒くして主の前に現れた少し赤らめたクォーターエルフ特有の人とエルフの両方の美しさを兼ね揃えた顔は高揚している。

魔王「どうした?顔が赤いぞ」

侍従妹「ハァハァ…… これは失礼致しました。これはお姉……いえ、侍従様が少々五月蝿いので多少厳しく折檻を致しまして……お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません」

魔王「い、いや……構わん」

魔王勇者(折檻?あの侍従を?)

侍従妹「魔王様どのようなご用向きでございましょう」

魔王「ああ、そのことだが、お前は勇者に嫁げ」

侍従妹「え?」

魔王「平たく言えば結婚だ」

侍従妹「ええええええええええええええ!!!!???」

勇者「おいおい、こんなに嫌がってるじゃないか?だから他の」

侍従妹「ふ、ふぇぇん! う、ううう……ヒグッ……エグッ」

勇者「あー泣くな泣くな、俺からも頼んでやるから」

侍従妹「あ、ありがとうございますぅ」

勇者「礼を言うな……分かっていはいるが正直凹む」

侍従妹「ち、ちがうんです!嬉しいんです」

勇者「一緒に断ってくれることが?」

侍従妹「違います!結婚できることがです!!!」

勇者「」

侍従妹「それにそれに!!一緒に頼んでくれるって言ってもくれました!!!こんなに嬉しいことはありません」

魔王「イヤァ、メデタイメデタイ」パチパチ

勇者「乾いてンぞクソヤロウ!」

侍従妹「イヤなんですかぁ!?」

魔王「イヤなのか?」

勇者「イヤ、そうじゃなくて!」

侍従妹「イヤなんだぁあああわぁああああんんんん!!」

勇者「ち、違う、そのイヤじゃなくて」オロオロ

魔王「ベタだな」

勇者「ベタ言うな!!」

侍従妹「ペタンコじゃないのですぅ」

勇者「それちげぇから!!」



 ドガァアアアアアアアンンン!!!!



侍従「貴様ぁぁあああああああああ!!!!!!!また妹を泣かせたなーーー!!!」

勇者「喧しいのがまた来たか」

侍従「喧しいだと!?貴様言うに事欠いてその首」

侍従妹「お姉ちゃん、聞いて!!」

侍従「え?……え??い、いまなんて?」

侍従妹「お姉ちゃん!って言ったの」

侍従「く……」orz

魔王勇者(く?)

侍従「苦節40年……待ちに待った日が来たのね。やっとお姉ちゃんと」

侍従妹「あのねあのね!聞いて聞いて!!私勇者様と結婚するの」

侍従「そう!それは良かったわね。あのね、もう一度お姉ちゃんと……呼んで」///

侍従妹「お姉ちゃん♪お姉ちゃん!お姉ちゃん!お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

侍従「くぅ~~~~~!!!」

魔王「うんうん。美しきかな姉妹愛。侍従も快く快諾してくれた。これで目出度く夫婦だな」

勇者「俺の意見はねえのかよ?」

魔王「貴様の意見は聞いていない。男に二言は無いのだし、私に頼み事をしたのだろう?その対価だ諦めろ」

勇者「う~ん……これって仕方ないのか?でも、そうなると俺の義理の姉はコイツ(侍従)になるんだよな?」

魔王「うむ、必然だ」

勇者「必然ってもなぁ……」

勇者「おい、お義理姉ちゃんよぉ、お前はそれでいいのか?」

侍従「ああ!!?誰が貴様のお姉ちゃんだ!?[ピーーー]ぞマジで」

勇者「俺の」

侍従「いよいよもって頭がイカれてきたか?一息であの世にアディオスさせてやるぞ。なんで私が貴様の姉にならなくてはならんのだ」

勇者「だって、俺お前の妹と結婚させられそうなんだもん」

魔王「だもんキメぇwwwwwwwwww」

侍従妹「やっぱり勇者様可愛い♪」

魔王「えーあれ可愛いのか?」

侍従妹「はい!すっ……ごぉ~~~く可愛いですよ♪魔王様には分かりませんか?」

魔王「正直まったくだな。ふむ、そうだな……今のお前の推しは、興味の無い新進気鋭のサイケデリックな絵画を見て理解が出来なくて悩んでいる所に、その作者に心酔しきっているスタッフに最高作です!これが最新の流行なんですよ?知らない人はモグリですよ。と強気に言われ、知らない事が恥ずかしい事のように思え『そ、そうですよね……この作者の内面が』なんてスタッフの喜びそうな返事をしてしまう奴の気分が少し分かったような気がしたぞ」

侍従妹「もぉ~そんなことしなくても勇者様の魅力は直ぐにわかりますよぉ」

魔王「あのな、一応お前俺の侍従なんだから、そこら辺は少し憚れ」

侍従妹「えへへっ♪」




侍従「……」

勇者「?」

侍従「……」

勇者「お~い」

侍従「……」

侍従「すまん……何が何なのかもう一度言ってくれないか?」

勇者「ま、まあ、いいけどな。じゃあ、いくぞ?」

侍従「あ、ああ」

勇者「俺が」

侍従「お前が」

勇者「お前の妹と」

侍従「私の最愛の妹と」

勇者「結婚」

侍従「結婚」

勇者「Do you Understand?」

侍従「Ye……のぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」

侍従「ななななんで、私の妹と貴様が結婚するんだ!!!!ゆ、許さん!!”カイザード・アルザード・キ・スク・ハンセ・グロス・シルク、 灰燼と化せ冥界の賢者、七つの鍵を持て開け地……」

勇者「ちょっ、まっ!?それ、ハ、七鍵守護神!?ま、待て待てほんと待ってお願いだから、大体これを提案したのはお前の主だぞ?」

侍従「!!!?」

魔王「?」

侍従「ほ、本当ですか!?魔王様!!」

魔王「うん」

侍従「『うん』じゃねぇぇぇぇ!!!!!」

魔王「うはははwwwwwwお前キャラ変わりすぎwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

あっ、さげさが忘れてました(汗)

侍従「ハッ!? し、失礼しました。で、でもこやつを何故我が妹の婿になど……」

魔王「ククク……構わんぞ?そんな侍従も悪くない」

侍従「え?あ、その///あの//////そ、それは、う////嬉しいのですが、い、今は何故妹の婿なのかと」

魔王「そうだな、お前達は私の側近ではあるが、小さい頃から見ている姉妹だ。疑似的でも親心のようなものが芽生えたのだろう。可愛い娘なら好いた者の元に嫁がせたいといのは本心ではないかと思ってな」

侍従「た、確かにそうですが、でも……」

魔王「まあ、貴様の言わんとする事は分かるがな」

魔王「ま、とりあえず本人の意思を尊重してだな」

侍従「で、ですが!」

魔王「構わんのだな?侍従妹」

侍従妹「はい!!」

侍従「な!?しょ、正気なの!?」

侍従妹「モチのロンだよ。お姉ちゃん!」

侍従「ああ……こんなフレンドリーな妹はあの時以来でも(ry」

勇者「そのフレーズもういいから。ったく、相変わらず、俺の意思と意見は無視な方向なのな」

魔王「男に二言は無いのだろ?」

勇者「午前と午後に二度死ね」

侍従妹「私のことぉ嫌いなんですかぁ……!?」エグヒグッ

勇者「あああもぉ!そのお約束いいから。大体、目覚めて横にいた俺達の敵が突然好きですなんて言われても正直『はい、そうですか』なんて思えないぞ?」

侍従妹「そこは愛でカヴァーしてください」

勇者「”ヴァ”が色々と怒りマックスだっーの。もとい、本音で言えば好きとも嫌いとも思えないぞ?さっき会ったばかりだしな」

侍従妹「それでいいんです。これから私を好きになって貰えれば。いっぱいいっぱい……、好きになって貰う努力しますから♪」

勇者「……なんでそこまで思えるんだ」

侍従妹「ん~~言葉ではうまく言えませんがずっと見てきましたし、敵と言いながらも今も勇者さまは本音で語ってくださってます。そういった実直なところが大好きなんです」

魔王「それは馬鹿っていうんだぞ?侍従妹。今後のために覚えておくといい」

勇者「氏ね!」

侍従妹「愛してます勇者さま」ギュッ

目を輝かせながら俺を抱きしめ凄く可愛い笑みを浮かべる侍従妹。その笑顔が本心以外なにものにも見えなかった。人とか人外とかそんな枠を越えて心に響くむずがゆい感じがするような不思議な笑み。それがなんとなく嬉しい。

勇者「……あ、え…っと………」

侍従妹「んふっ♪何度でもいいますよ?大好きです大好きです。勇者さまは私のことどう思いますか?」

魔族に属しているとは思えないほどに澄んでいる瞳が自分を貫いた。心臓がドクンと大きく跳ねると顔が熱くなっているのに気づく。

たぶん魅了されたと思う。

勇者「……ん………………その…………なんだ」

侍従妹「はい」ドキドキ

勇者「…………きらい………」

侍従妹「!?」ビクッ

勇者「…………じゃない」

侍従妹「!!?」パァァァアアア!!!!

魔王「決まりだな」

侍従「くぁwせdrftgyふじこlp」

勇者「チッ、好きにしろよ」

魔王「よし!」



 こうして紆余曲折を踏まえた上で、勇者は侍従妹を娶り城を後にした。
住む場所に苦慮したが、魔王の管轄内ギリギリ、人間の生活圏に少し離れば場所に小さな家を建て暮らし、
サマルトリアやムーンブルクの墓を守りる生活を続けた。

 食料に困ることはなかったが、たまに必要な物が出てくる。それらは山で捕った鹿や猪、果物などを村で売ったり
交換することで手に入れた。人に接触する事で顔を見られて身元がバレることを恐れたが、聖都からも遠く離れている
辺境の地なので自分(勇者)の顔を知る者はいないだろう。しかしながら、顔を覚えられてどから話が伝わるか分から
ないため、外套のフードを目深に被りなるべく、印象を残すことは極力避けた。
 そのお陰か呼び名は”外套さん”になった。

 バン!

??「外套さん遊びに来たぞ!」

勇者「っは!?来んじゃねぇ!!」

幼女嫁「いらっしゃいませ。魔王様」

魔王「ふむ、今日は猪のスペアリブと猪鍋でよいぞ?」

幼女嫁「はいはい^^ そう仰れれると思って、今ご用意しておりますから。勇者様とお酒でも飲んで待っていてくださいね」

魔王「勇者ぁ酒!」

勇者「死ね!マジ死ね!!」#

 ザクッ

 ザクッ


 カーン!カーン!

「ふぅ、こんなもんでいいか」

 冬が迫り、大量の薪を用意しているとこんな寒い時期に薄着で”白い息も吐かない”でショートの濡れ烏のような黒髪、切れ長の目のライトブラウンの瞳を携えた女がゆっくりと歩いてきた。

侍従「死ねロリコン」

勇者「第一声がそれかよ!?何しにきた」

侍従「妹に愛に来た」

勇者「会いにきただろ!!」

侍従「五月蝿い。貴様のせいで最愛の妹を奪われたんだ。その姉の気持ちが分かるかぁぁあああ!!!これで私の妹とラブラブ性活第一章に入れる事ができなくなってしまったではないか!!責任取れ」

勇者「ツッコミ所満載過ぎて何から突っ込んでいいか迷うぞ?それに責任ってどう取ればいいんだよ?」

侍従「死んでくれればOKだ!なんなら手伝うぞ?私は優しいからな」

勇者「優しさの押し売りは勘弁してくれ。で、その生活の章は第何章まであるんだ?」

侍従「もちろん13章だ!!」

勇者「虎○竜のロードかよ!!?」

 ガチャッ

幼女嫁「どうしたの勇者様? ……って! お、お姉ちゃん!?」

侍従「侍従妹! 愛たかったわ」

勇者「嫁!?」

侍従「誰が誰の嫁だァァアアアアアア!!!!」

幼女嫁「私が勇者様の嫁なのぉ!!!」


侍従「と、冗談はさておき。いらっしゃるのでしょ?」

幼女嫁「ええ、今日もいらっしゃってます。隣の庵で鹿の干肉を作っています」

侍従「し、鹿?干肉?」

侍従妹「ええ、街でも評判なんですよ?今は塩の濃度の研究だそうで『このままでは保存によいが、直接食すには塩辛い。大体干肉はスープに浸したりしなければ食えん。それは面倒だ。ならギリギリの濃度で食せるように研究せねば』と今日も籠っておられます」

侍従「研究? 評判?」

勇者「ああ、すごい評判でな。外套さん家のMOUnoHOSHI★NIKUは大人から子供まで大人気なんだ。それこそ遠い街からも買いにくるくらいなんだぞ? そんな評判でも、魔王の奴は欲が無くて殆ど原価に近い価格で……『馬鹿か貴様!?』」

侍従「おい、てめぇ身を隠して生活してんだろ!?何ブランド化しちゃってんだよ。つか、魔王さまぁあああああああああああああああ!貴方は大魔王なのです!恐怖の対象なのに!!なにしちゃってんのぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」#


魔王「おお!侍従かいいところにきた。やっと完成したんだ。食ってみてくれ」ズボッ

侍従「魔王様ッ! モゴッ、だ、大体です…… あ、美味しい……?」

魔王勇者幼女嫁「「「イェス!!」」」

侍従「イエスじゃねぇ!」#

こんな日々が、最初の数年続き嫌々であった勇者もいつしか魔王を旧友のように扱うようになり家には魔王お泊りグッズも増えていった。

そんなある日

 月を見ながら二人は飲んでいた。

魔王「なあ」

勇者「ん?」

魔王「ここ数年、俺にとって最高の日々だった」

勇者「なんだよ突然?」

魔王「そろそろ城に籠もろうと思う」

勇者「なんで?」

魔王「ふむ、実はな俺が長期に同じ場所にいるとそこに力場が生じてしまうんだ。あまりお前の都合にはよろしくないな」

勇者「……ほら、飲めよ。空いてるぞ」

魔王「おっ……すまんな」

魔王「で、普通に気配や魔力を消すとかあるだろ?アレは移動していたりするから通用するのであって、そこに定住してしまうと気の緩みや隙なんかで微妙に溢れたりする。まあ、気が張っている時と通常時とが違うようにだな」

勇者「その溢れた魔力でここが?」

魔王「そうだ。ギリギリのところまできている。色々な方法で誤魔化したが限界に近い」

勇者「その力場が消えるのはどれくらいになる?範囲は?」

魔王「消滅までは約300年、範囲は広域城塞壊滅術式のレベルだ。簡単にいえば目に入るところ全部」

魔王「なので、これから除去魔法の研究に入ろうと思う」

勇者「気にしなきゃいいじゃねぇの?」

魔王「そういうわけにもいかんのだ。不穏は人や化け物を引き寄せる。そこにはお前の望まない人物も含まれるかもしれない」

勇者「…………」

一気に読んだ、期待してる

     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i~^~^~^~^~^~^~

面白いよ。一気読みしてしまった。

市さん、俺の家に来て俺をファックしていいぞ

>>268
あちがとうございます!頑張りますね><

>>269
これはこれは主様。もう少しおまちくださませ。

>>270
うれしいです! って、えええ?ファックしていいんですか?wwwwよし後ろ向けww




魔王「そんな顔をするな。そんなに思われていると思うと照れてしまうぞ?」

勇者「ば、馬鹿言うな!アホか。お、お前は」

 勇者は照れ隠しか木製のジョッキに注がれた少し強めの酒を一気に煽りむせ返る。

魔王「クハハハ……冗談はさて置き俺が本気でかかれば1~2年で完成するだろう。いい子だからそれまで大人しく待っていてくれ。ああ、干肉は向こうでも作る。誰かに持って来させ

よう」

勇者「誰がいい子だ。いい歳こいて恥ずかしい。お前が勝手にここにいついたんだ。お前が居なくなれば部屋が広くなるし清々すらぁ」

魔王「照れ隠しが下手な奴だ。居てほしいのだろうこの俺様に」

勇者「はァ!?死ねばいいのに」

魔王「うはははは!!殺してみろこのヒューマンが」

勇者「ヤッてやるよ!ッだラァ!!!」

 グシャ!!




 互いの本音を隠した冗談の応戦は遠慮を知らない。一度殺し合いをした二人にとって当然といえば当然だが、それは”普通の人々”が理解しできないし、できるわけもない。

 種族を超えたナニカ 

 そして二人は常に感じている。

 ソレが尋常じゃナイコトヲ。

 でも、それが心地よくて、それを決して認めもしない。

 時に喧嘩をして

 時にはオカズを奪い合い

 時には酔って喧嘩して死にかけ

 そこにいて

 そこにいるのが当たり前で

 ある時は、互いに何かをしていて何も言葉を交わさなくても心が充実した。

 昔からの旧友のような、幼馴染のような間柄に感じる。

 知り合って数年のなのにもう死線を共に越え連れ添った仲間のように。





勇者「いてて……さっさと完成さて戻ってこい。その時までにいい酒を用意しておく」ボロッ

魔王「そうか、それはそれは楽しみだ。ああ、それと街に源さんによろしく言っておてくれ。後、梅さんの屋根の改修は代わりにしておいてくれ」ポロッ

勇者「あ、あのなぁ…… お前ここに篭っていたんじゃないのか?」

魔王「んあ?ああ、たまに街に行っていたんだ。変身魔法の実験を兼ねて」

勇者「お前、ダメじゃね?侍従じゃなくても怒鳴りたくなるわ」

魔王「テヘッ♪」

勇者「……#」

幼女嫁「は~い!鹿肉の根菜煮込みできましたょぉ♪ホロホロですぅ」

魔王「おおおおお!!!俺の大好物じゃないか」

勇者「俺も大好物!お替り沢山あるよな?」

幼女嫁「当然ですぅ!」フンス!

魔王勇者「ハグハグアグアグお替り!!」

幼女嫁「は~~~い!たくさんありますからねぇい~っぱい食べてください♪」



魔王「げふぅ~食った食ったァ。じゃ、またな」

勇者「おう、またなぁ」

幼女嫁「おまちしてますぅ」


 いつものように見送り、また翌朝には訪れるような雰囲気で魔王は帰り、その後来なくなった。

 日差しがジリジリと肌を刺すように降り注ぎ、汗を流しても

 心地よい風が吹き、うつらうつらと船を漕いでも

 茜色に森が染まって、葉を散らしても

 雪が人の足跡を消すほど降り積もっても

 若芽が顔を出そうと土を持ち上げても

 待ち人はまだこない。


勇者「……」

幼女嫁「……」




勇者「( ´Д`)=3 フゥ」

幼女嫁「勇者様。いえ、旦那様」

勇者「……」

幼女嫁「だ ん な さ ま ?」

勇者「あ、ああ、ごめんなに?」

幼女嫁「魔王様がいらっしゃらなくなって1年くらい立ちますね」

勇者「ああ、もうそれくらいになるな」

勇者「なんだかもう十年くらいあってない気がする」

幼女嫁「んふふ、あれほど毎日会っていたんですもの。それがピッタリとなればそのように感じてもしかたありません」

幼女嫁「しかし、旦那様は魔王様が好きなんですね?」

勇者「は?ないないwwwwあんなクソ魔王来ないでくれて清々してるさ。あ~~よかった!」

幼女嫁「クスッ、素直じゃないですね」

勇者「俺は素直ですよ~」



幼女嫁「……ひとつ聞いていいですか?」

勇者「ん?」

幼女嫁「ずっと気になっていたことなのですが、魔王様と凄く仲がよろしいですよね?」

勇者「ん、まあ、お前からみてそうみえるのなら、それを無闇に否定するのもなんだと思うし、肯定することもやぶさかではないのだが」

幼女嫁「んふっ、ありがとうございます。で、私もこのような形でも一応魔族ですし、人間も殺したことがあります。お姉ちゃんも魔王様も」

勇者「………」

幼女嫁「………それをどう気持ちに決着付けたのですか?」

勇者「………………………………………………」

幼女嫁「…………」

勇者「どうしても言わなきゃダメか?」

幼女嫁「できれば。というか嫁としてどうしてもです。お願いします」

勇者「フゥー」ガリガリ

幼女嫁「…………」




勇者「本音言うと決着なんてついてないんだ。お前らは人間を殺した種族、人間からすれば憎むべき相手」

勇者「でも、お前たちから見れば俺は、人間は、同じ立ち位置にある。規模は違うにしても俺は魔王と変わりない憎まれる存在だ」

勇者「で、そんな俺は人の持つ曖昧模糊を発揮した訳だ。それはそれこれはこれって感じでな」

幼女嫁「そうですか。分かりました」

勇者「分かったくれて助かる」

勇者「って、え?分かっちゃったの?」

幼女嫁「ええ、勇者様の嫁ですから。それと私のこと愛してくださってますか?」

勇者「い、今更何を?」

幼女嫁「声で聞きたい言葉ってあるじゃないですか」

勇者「そう…………で、なければこうして何年も側にいやしないさ」

幼女嫁「……”愛している”って行って欲しいです」

勇者「どうしてもかぁ?」

幼女嫁「安心が…… 欲しぃんですぅ」シュン…

勇者「まったく、自身を持て。でなければ側にいる甲斐がない。それに最初、あんなにも俺にアプローチした侍従妹はどこへいったのだか?」

幼女嫁「わ~~~!わ~~~!ヤメテください恥ずかしいです」ポカポカ

勇者「愛してるぞ」ナデナデ

幼女嫁「!?」

 ギュッ 

幼女嫁「ふええぇん……、うれしいですぅ!」ギュゥゥ


 コンコン


ぐぁぁ・・・誤字が誤字がァァァorz脳内保管でよろしくお願いします。

おお、とっくにエタったと思ってたけどまだ続いてたか

やっぱり面白いのぅ
まってる


とうちゃん、おなかすいた

はよ続き読みたい………

続きを書かんかい

ぎゃぁぁぁぁ
追い付いちまったぁぁぁぁぁぁ( ゚Д゚)

回想クソなげえ
女勇者が最後に出てきたの1年以上前か

2がベースってのは珍しいな
たいてい3なのに

>>283
ありがとうございます。エターしかけましたが(汗)

>>284
さあ、これを食べて ブチッ! 

>>286
すみません。妄想力はあっても表現力が

>>287
すみません!ごめんなさい!手がうごきませんorz

>>289
ギャアアアアア!追いつかれたァ!!

>>290
すまみせん。ドラゴンボール風にいうともう少し続くんじゃぞですw

>>291
一番好きなのは3です。個々のキャラは2は色々思うところがありますね。


幼女嫁「お客様かな?」

勇者「誰だろう?ヤツじゃないだろうし。俺が出るよ」

ガチャッ……

???「こんばんは死ね」

勇者「いきなりご挨拶だな。侍従」

侍従「私の名前を呼ぶな、様を付けろ土下座して迎えろ。己の手で己の首を絞め即刻息絶えろ。そうすれば私は幸せだ」

勇者「救いがねぇ」

侍従「救いが欲しければお前の信じるお前の神に祈れ。それにいきなりじゃあない。私は”おはようからおやすみまで”お前の死を願っている。思い違いするな」

勇者「なおタチが悪いわ!」

幼女嫁「お姉ちゃん…… 何しにきたの?」

侍従「ああ、我が妹。相も変わらずなんて可憐でつれないでもそんなツンデレな貴女も私は愛してや……」

幼女嫁「うん。それもういいから」

侍従「:(;゙゚'ω゚'):」


勇者「ま、まあ……落ち込むな」

侍従「う、五月蝿い!お前にだけは慰められたくない。滅しろ!」

幼女嫁「それ以上私の旦那様のこと文句言うなら、もうお姉ちゃんはここ出禁にするよ?いい?」

侍従「で、出禁!? そ、そんなことになったら死んじゃう。妹に会えななんて生きている意味ない。うぅぅぅ……」

勇者「泣くくらいなら突っ掛らなきゃいいのに」

侍従「うるさい!うるさい!妹攫いのくせして」エグエグ

幼女嫁「もぉ……、泣き止んでお姉ちゃん」

幼女嫁「今日は魔王様のお使い?」

侍従「ええ、そうなの。今月分の干し肉をって言われて」

幼女嫁「あ、はい、確かに。そうそう魔王様に粉挽きの宗次郎さんから、これをって新作のパンを頂きました。
なんでも『皮と胚芽とかを除いた贅沢な小麦から作ったから旨いぞ』だそうです。
それとソメさんが『この間の話の続きはいつしてくれるのか?迎えが来てしまうにお願い』って言われました」

勇者侍従「アイツ(魔王様)は一体何をしていたんだ?!!」

勇者「おい侍従。魔王はいつあの魔法完成するって言ってた?」

侍従「ああ、干し肉の片手間に研究なされていたからな。今月中にはどうにか完成すると仰っていた」

勇者(あんの野郎……干し肉の片手間って、さっさと作ってこいよ。っとにこれだから魔族っーのは。でも、寿命が長い分、時間の感覚が違うんだろうな仕方ねー。
    ……ッ!?何俺考えてんだ!!?べ、別にアイツが直ぐ来なくてって…… つーより金輪際来なくても平気だし静かだし)

侍従「おいそこのクソボケ」

勇者「あ?なんだよ」

侍従「ふむふむ、クソボケと己を解したか。嫌々ながらの義理の姉とは言え教養と理智の無い義理の弟が成長するのは些か吝かではあるが歓迎しょう」

                                                                               お ねー ちゃん
勇者「お前がクソボケなんて言うのはこの場には俺だけだろうがよ。大体、吝かが些かなのかよ。優しさが1mmも感じられないぜ  義 理 姉 様 」













侍従「誰が誰の義理姉弟だッ!!」

勇者「テメーが振ったんだろう馬鹿姉ェ!」

幼女嫁「旦那様もお姉ちゃんも止めて! お姉ちゃん何か用があったんでしょ?」

侍従「ハッ!? そうだった。貴様私の使いをしろ」

勇者「アアアン!?」

侍従「まあ黙って話を聞け、これを街の人間に届けて欲しい」ジャラッ

侍従妹「ネックレス?ペンダントヘッドにはそれぞれ違う石だね。ガーネットとタンザナイト、それとダイヤ。ん? でも、特に何もされていないみたいな感じだけど……」

勇者「俺はそういうの詳しくないけど、これは相当な価値のあるくらいは分かる」

侍従「私が所持している価値があるのは当然のこと。」

勇者「(イラッ#)…………で、これを誰に届ければいい?」

侍従「え、えっと……そ、それは            だな    」

勇嫁((え?顔を赤らめてる??))

侍従「大通りにある防具屋の三姉妹に届けて欲しいのだ」

勇嫁((はいいいっ!?))

侍従「こ、この燃えるようなガーネットは銀髪と紅い目をした冷たい表情をするけど優しいレリアにお願い。タンザイナイトはブルネットの美しい髪と黒い瞳をした優雅なミリアに。そしてこのダイヤは水色の髪とオッドアイに魅了される透き通るようなソリアにお願い」

勇嫁「」チーン

侍従「ん?何を呆けている」

勇者「ちょっと待て」

侍従「なに?」

幼女嫁「なにかがおかしい」

侍従「?」




勇者「あそこの三姉妹ってまだ 子 供 だよな?」

幼女嫁「ええ、確か年子で7歳、8歳、9歳です。それも人間の年齢で、です。」

侍従「?」

勇者「何がおかしいか分かりませんってかおしてんじゃねぇよ。お前のやってること、否、ヤろうとしていることは犯罪だ!この変態」

幼女嫁「シスコンだけかと思っていたら、レズでロリコンですか!?重症どころか末期です。魔王様になんとかしてもらわないと!」

侍従「変態だの重症だの失礼な妹夫婦だこと。妹のことは愛しているわ。誰よりも誰よりも、それこそ頭の天辺から足の爪先までね!ウフフッ♪」

侍従「ビクッ! だ、旦那様」サッ

勇者「嫁! 俺の後ろに」サッ

侍従「でもね、でもね…… 幼女も好きッ!!好きなの!!! それに妹と幼女を同時に愛ではいけないなんて理屈はあってはならないの!! 私の愛は純粋よ。そこらの変態と同じくされては私の沽券に関わるの!! そこは訂正してちょうだい!!!!!」

勇者「口調、 ……変わってんぞ」

幼女嫁「」



侍従「あれは魔王様に頼まれたお使いの途中だったわ……」

勇者「お、おい!な、なんか語りだしたぞ」

侍従「街であの三姉妹に会った時、まるで雷撃系呪文を最大効果範囲で直撃したみたいに体が震えたわ。そこからが大変だった。偶然を装って見知り合いになり、
   それから知り合いにランクアップ、仲良くなり友達になって、心を鷲掴みにして親友になり、三人でお泊りに行くまでになるのに」

勇嫁「「ナニヤッチャッテンデスカァーーーーー!!?」」

侍従「あの年の頃の子は結構強い嫉妬心があるのよ知ってる? わざと怒って気を引こうとするの可愛いでしょ? そこを上手く利用するのこれは通常の交渉術にも当て嵌るの覚えておきなさい。
   実際にどうするかというと、平均的に、それでいて各個に優越感を与えるような発言をして信頼度を獲得する。その後『二人だけの秘密』というワードを使い、微笑めれば上等ね。
   子供には出来ない自愛に溢れたものなら尚ベスト。そして頬を赤らめてウンと大きく頷けば、もう堕ちたも同然だわ」

勇者(コ、コイツ……ほ、本物だ)

 カラン……
 
侍従「でも、勘違いしないで欲しいのはまだ手を出していないってこと。今はまだ愛でるだけ。少しづつ性への目覚めを誘導して、自分から『お姉さん、あのね、私ね……』と
   スカートを手で掴みながらモジモジしてきてからが真の駆け引きが始まるわ。私はその言葉にワザと惚けて嗜虐を貪り、どうしようと困る幼女の顔を不思議そうに覗き羞恥を煽るの」

 ズルズル……

勇者(……真性の変質者だッ!)

侍従「すると不安になり泣きそな幼女の頭を撫で安心させることで心の壁を壊し泣かすの。もう、ここまでくればヤりたい放題ね。緩やかな頬を流れた涙を私は舌で掬い上げ……」ゴシャッ!!

勇者(ゴシャ?)

幼女嫁「死ねぇぇ!!! 氏ねじゃなくて死んで! お願い。死んだらなんでもしてあげる!!ね?嬉しいでしょ!!!!!」ゴシャ!バキ!!ゴキャッ!グシャ!

侍従「ま、まっ……! て…………ギャッ ……!! なんでもし てェくれギュ のは うれシィ  けどド    ……ッ!?」

勇者「お、おい!!」

幼女嫁「こんなのと!ズシャ!! 同じ血がッ!ボヒャッ!! 私に流れてるかとォ!! グチャッ!! 思うとォオオオ許せないッッのぉ!!!!!!」ドカバキ!!

侍従「い、 い……もう…………   と……   し……しん………………  じゃ   う」

勇者「もういいじゃないか? 反省…… してると思うぞ? 多分だけど」

幼女嫁「今そいつ殺すから」ハァハァ

勇者「ヤメろってマジで死んじゃうから」

幼女嫁「旦那様どいて! そいつ殺せない!」

勇者「仕方ねぇなぁ、落ち着けって」ダキッ

幼女嫁「うーうー抱えないでくださいぃ離してくださいぃ降ろしてくださいぃぃ!」ジタバタジタバタ

勇者「ハイハイ、オチツイタラネー(棒)」

侍従「」チーン

 奇しくも勇者の御蔭で死なずに済んだ侍従。今回だけは本気で殺されると覚悟しただけに悔しいが勇者に少しだけ心の中で感謝した。

 
 ・・・・・・


つづく。



 騒動から一週間ほど過ぎたある日、夕食を作りながら幼女嫁は怨敵をいかに葬るか思案し却下しを繰り返し怪しく呟いていた。

幼女嫁「うーん…… どうしても無理がある。お姉ちゃんを封印する術式を組んでも私の魔力がもたない。なら、聖遺物で術式を組んで…… うん!いけそう。これならアイツを、フフフッ……」

勇者「おいおいおいさんは一応魔族系統でしょうに。それにアイツって」

幼女嫁「ダイジョブです!私は半々の属性なので」フンス!

勇者「まあ、殺さない程度にな?食器並べておいたよ」

幼女嫁「ありがとうございます。どうせ殺しても死にませんよ」

コンコン……

幼女嫁「!?」

勇者「……ふぅ、またか」

 ガチャッ

 ドアを開け顔も見ずに開口一番悪態をついてみる。嫁を困らせているんだこれくらいは許されるだろう。

                
               おねー        
勇者「フゥ…… くどいぜ義理姉ちゃん。本気で殺されるぞ?」


???「は?(殺される…………?)」

???「き、貴殿は極東にある聖都ローレシアの勇者殿でよろしいか?」

勇者「!?」


すいません。書いていたことを忘れ書きかけを消してしまいました。更新は後日ですごめんなさいorz

勇者「……そんな奴しらんな」

ローブB「ああ!?ちょうしこいてんなよ!?こっちはテメーが」

ローブA「やめろ。その風格、気配を隠していても分かります。否定されてもこちらとしては話を続けさて頂きますがよろしいか?」

勇者「……チツ」

ローブA「山奥で人目があるとは思いませんが、おじゃましてよろしいですか?」

勇者はその問に答えず居間に戻る。否定も肯定もされないローブの男たちは彼の背中を続き中に入った。

居間に揃った人間が感じた空気は居た堪れないそのものであり、来客の機微など気にしない勇者は椅子に座りテーブルに肘を付いた手の甲に顎を預け来訪者を嘲る

勇者「で?こんな辺鄙な場所までご足労願った真の理由はなんでしょうか?あ……ちなみにですが、学がないもので解り易い言葉でお願いします」


来訪者に椅子を勧めずサッサと話せと、わざとらしい慇懃無礼な態度。

それに続き『このような夜更けに突然の来訪とは…… 些か、礼儀を知らなのでは?』と見た目にもそぐわない、普段の幼女嫁らしからぬ発言をして後ろに控えた。

二人の態度に舌打ちをして歯を噛み締めるローブB。どうやら口は悪いがそれなりの自制心は持ち合わせていようで、もっとも口は聞かず噤んだままだが顔は怒り心頭であることは簡単に見て取れる。

しかし、ローブAは挑発に乗らず要件を話し出した。

ローブA「先ほど否定されましたが、最近の我々の調査で貴方がローレシアの勇者と分かりました」

勇者「……」

ローブA「誰もが驚き耳を疑いましたよ?数年前行方不明になり死んだと噂された、サマルトリア王子、ムーンブルク王女を引き連れ、誰もが進行不可能と言われた魔王城の最深部まで到達し、さらに四天王を”退け”るどころか、魔王の首を獲る寸でのところまで”追い込んで敗走させた”ローレシア勇者を発見したと聞いたのですから」

 イラッ……

話を聞いた勇者は酷く顔を歪めた。

それを見たローブ達は確信を得るのだが、彼らが想像している顔を歪めた理由と勇者が顔を歪めた理由は大きく違う。

どうせ噂を広めたさせたあの馬鹿が面白がってやったのだろう。そいつが何を考えてそうしたか想像するだけで忌々しい。『どうだ?英雄になった御気分は?』とニヤニヤしながら今にも言ってきそうだからだ。


勇者「なんか勝手に話してるけど、まずは名乗るのが礼儀だろ?嫁の言う通り礼儀をしらん奴らだ」

煽りを入れてみるが、やはりローブAは受け取らない。

ローブA「おっと!これは失礼。我々は南西にあるグレイス王国から派遣されました」

勇者「(我々?私達じゃなく?)ふーん?で、本題をとっとと話してくれるか?せっかくの夕食が冷めちまう」

ローブB「Aよぉ、こんな山ン中に引っ込んじまってガキと乳繰り合っているヤツの協力なんてどうでもいいじゃねぇか。さっさと行こうぜ」

ローブA「馬鹿を言うな。あの魔城を攻め入るのに情報もなしでできるものか」

勇者「おいおい、仲間割れならお家に帰ってからにしてくれないか?鬱陶しい」

ローブB「ケッ!吠えてろ負け犬。俺たちにはアレがあるじゃ『B!!!!』」

ローブA「……ヤメロ」

ローブB「チッ!……ヘイヘイ」

今までどんなに煽っても冷静だったローブAが”アレ”というワードで豹変した。ならば当然、気になるというもの。

勇者「おい、なんだそのアレって」


つづく。

あともうすこしです。みすててないでもらえればしあわせです。



勇者がアレというキーワードに興味を示されたことにローブAの顔は歪む。彼らからすれば協力を取り付けるというだけで下手にでなければならないのに、弱みを握られては上手くことが運ばなくなってしまう。

勇者は協力を取り付けたいならまずモノを出せとそっぽを向き視線を合わせない。これ以上問答してもいい答えを得ることができないだろう。

ローブA「……ふぅ、仕方ありませんね。御内密に願います。ああ、申し訳ないのですが奥様には下がって頂きたいのですが」

勇者「俺が喋ちまうから意味がない。変に色気出してないで早くしろ」

仕方ないと更にため息を零し男はローブの合わせに手を入れジャラリと音を立てながら何かを引き出した。

 サイズはおお振りの書物くらい。

 掴むのは少々難儀する厚み。

 布地に鎖が巻きつけてある。

よくこんなものを懐に入れるていた。相当難儀しただろうと呆れそうになった瞬間……












 ――――!?












心臓を鷲掴みにされたように体が塊り、ズブリと背骨に針金が突き刺されたような錯覚に陥る。



そのモノから発せられる禍々しい憎しみ。

絶え間無い苦痛、酷い絶望感。

溢れては漏れ続け、枯渇することのない怨嗟の源泉。

知らされていなくとも、こんなものを抱えているなんて尋常じゃないし、即座に精神を破綻してもおかしくない。



様々壮絶な局面、凄惨な惨劇の場面、血で血を洗う戦場。そんな枕詞が彩るシーンを幾度となく見てきた勇者が、そのナニカが襲ってこないと確実に分かっていたのに身構えずにはいらればいでいた。




 ガタッ




禍々しさ故に釘付けにされていた視線が奏てた音で我に返る。

振り返ると後ろ控えている嫁が見たこともない形相をしている。

幼女嫁「聖骸布に槌討たれる赤銅鎖……ッ!? これだけ重霊装で何を封印しているの!」

恫喝に一瞬怯むも童女のそれと変わらない見た目のせいか無視を決め込む男達。その態度にいままで見せたことのない苛立ちを見せる幼女嫁。

幼女嫁「言いなさい!!!!!」

幼女嫁は魔王の直属として侍従していた。見た目通り戦闘要員でないのは誰が見ても明らかだが、こと魔術に関しては侍従姉も一目置くスペシャリスト。その彼女がアレを見た瞬間、姉の狂行にみせた狂気が冗談に見えるほどの怒気を含み叫んでいる。

ならば、勇者は応えるしかない。











 ――――言え。俺が冷静に話せるうちにな。












嫁の怒気に続く勇者の最大級の殺気にが全身を襲う。

が、斥候の任についた者たち。交渉役の自分等が驚いたことを知らてしまっては今後の交渉に支障をきたす。なんとか動揺を抑えて解除の呪文を唱える中身を開示した。

鎖が砕け、聖骸布が解かれるナニカを収めた木枠をが現れると即座に駆け寄る幼女嫁。その大きく美しい瞳から大粒の涙が溢れた。

幼女嫁「ああ…… なんてことを酷い………… 酷すぎる」

嫁の動揺に驚き自分も見ると、そこには何をどうすればこうなるのかと思うほど容量と質量がどしても兼ね合わない物体があった。

数十数百の人間のバラバラにした体を、手足を、頭を、無理矢理詰め込み肉と骨で埋め尽くしたオブジェ。

今まで凄惨な戦い、無残な縮図を幾らでも見て気にも留めない勇者も流石に目を背けたくなるほどの悍ましい醜いカタチ。

幼女嫁「こんなこと……、こんなことを………………ッ!」

幼女嫁「貴方達は人間なの!!?仲間を同族をこんな酷い事をしてよくも普通でいられるわね!!」

ローブB「は?何を言うのです?別にどうということはないでしょう。下民や異民異教徒、それに奴隷、卑しい者たちの百人殺そうが千人殺そうが世界の体制に代わりはありませんし、魔王を倒すことができれば、尊い犠牲と分かって皆喜ぶことでしょう」





答えは簡単『お腹が空けば食事を、喉が乾けば飲み物を』生理的欲求のそれと同じよう、下民や奴隷が死ぬことなど厭わない。路傍の蟻が轢死して人の誰が気付こうか。

「……!?」

「どういうことだ嫁」

「この人達は…………この人達は…………ワザと魔翌力を枯渇させるまで魔法を使わせてそのまま殺したのよ!!」

魔翌力には当然容量というのがあるが、体を動かすための体力でも分かるように容量が0になったからといって、突然動けなくなるという訳ではない。もうそれ以上無理というよな感覚になるが、無理をすれば体を動かす事ができる。魔法もそれと同じで、無理をすれば使えるが魔翌力→体力→生命力の順で減衰していく。

限界を越えたマラソンのように無理をすれば生命の減衰が進む。それの末路は死。

この霊装は魔翌力の枯渇、快気の欲求を利用した禁呪。強制契約で恒久的に魔翌力を吸い続け、魔法系に特化した者にとってみれば生命線を切られるようなもの。

だからといって、これで”あの”魔王が討たれるとは到底思えないが。



大呪物。封印していようとも懐に入れているだけで大抵の魔術行使も阻害されるハズ。

(そう……なのね。だから網にも引っかからなかった)

B「ふむ、こうして我々の切り札もお見せしましたし。当然、協力していだけますよね?」

(私の広域索敵結界を潜り抜けるなんてどれほどの手練かと思えば……… いえ、もしかして気づいていてないと仮定して)

幼女嫁は片膝を付き手を床に当てた。


(応えなさい。私の可愛い森の眷属。貴方の目をくださいな。代わりに果実を捧げましょう)

















「こ、これは………!!? 旦那様!!」













 幼女嫁の声に答え勇者はテーブルを思い切り叩く。激しい音に気を取られた男達は一瞬ではあるが意識を刈られる。




 一瞬。




 命の遣り取りには十分すぎるほどの刹那な時間。















「……如何しました?何か気に障ることでも?」

「……(チッ、驚かすんじゃねぇよ。クソが)」











彼らは交渉役を任せられくらいのエリートであった。

今回の任務も卒無くこなし、必要であれば勇者を脅してでも協力させる自身があった。別段、魔王や魔物を侮っていた訳ではないが、城下に近寄る魔物を討伐した事は何度となくあった。そうした経験上、最上クラスの魔物の力も想像できた。

三人のパーティーで魔城の最深部まで強襲して、魔王を[ピーーー]手前まで追い詰めた勇者には尊敬の念はある。

が、自分らならもっと上手くやる。人外の魔物がいくら強くても限度はあるだろうし、我らグレイス王国の精鋭なら確実に魔王を仕留めていたことだろう。

俺達は厳しい訓練を何度もこなしてきた。よくコンビを組んで魔物を討伐したこともあった。恐怖に怯えない自信もあったし、屠る実力もあると自負していた。交渉役を任されたからといって自分ら戦闘が苦手というわけではないし、自慢ではないが軍のランクは上位に位置づけされている。

Bは口も悪いし要領も悪いが、戦闘の腕前だけ見れば相当上位に数えられる剣豪。要所要所では俺よりも上手くこなすカテゴリーもあるし、尊敬している部分もある。

だから、俺たちはこのミッションに抜擢された時は正直、喜び勇んだ。直接魔王を倒す討伐隊は勇者様達に任せられる事になるだろうが、後方支援の指揮官クラスに位置づけされるはずだし、上手くいけば重要な交渉に携わった俺達も上級士官に任官されるかもしれない。

軍で上にいく夢がまたひとつ叶う。後少し、後少しだ。頼む黙って言うことを聞いてくれ。お前は隠居の身、少しくらい後進に身を裂いても罰は当たるまい。

大体、この勇者は突然テーブルを叩いてどうしたのか?気分は悪いがご機嫌でも取って交渉を終わらせて……





彼らの言う化物。


それは勇者の言う化物と同じだったのだろうか?

光の届かない森の奥、洞窟の最深部、魔城の徘徊するモンスター。

対峙するだけ動けなくなるほどの狂気を放ち、ひと目見ただけで逃げたくなる程の異形。ひと振りで肉を引き裂く爪と筋力、骨を噛み砕く顎門。吐くだけで全てを焼き尽くす炎、死に至らしめる毒を放つモンスターの巣窟。

その全てを仲間と共に屠り、魔王の前に辿りついた勇者は如何程のモノか語らずとも押して図るべきだった。

彼らが同族。人なりとした形と見た彼もまた異質なバケモノだったのだ。

だからこそ彼らは本来であればこそこそと姿勢を低し、目を合わせず頭を垂れ、怯えながらお伺いを立てなければならかったのだ。誤算が何かと算ずるに勇者が自分たちと同じ人間と勘違いしたところだろう。













































 トン




 ………ッ 
















 シュッ………









「おい? Aェ……どうした」

 突然糸が切れたように食器など下敷きにして前のめりに倒れる。驚き声をかるが返事がないので今度は怒鳴るように声を上げた。上げようとした。が上手く声が出ない。それどころか何処から空気が漏れるような音が聞こえ胸は暖かい。

『チクショウ、机を叩くからスープがかかったんだ。巫山戯やがって』服を汚されたことに頭にきたが突然倒れたAが気にかかる。何かされたのか?

「おい!コイツになぃをシヒャかッ………… はっ……?」

何かおかしい……。口から下。イヤ、顎からしたから空気が出ているような気がする。それにどん息苦しくなるし喉がジワジワ熱くなってきた。


(喉?)






勇者に視線を向けると手には銀色に輝くナイフが握られ、切っ先に赤い液体が溜りポタリと落ちて床にシミを作る。


そして気づく。


喉を引き裂かれたのだと。


テーブルを叩き注意を引き空を舞ったナイフを掴む。そのまま真っ直ぐAの肋骨、四番目と五番目の間に差込み心臓を抉り声を上げさせることなく絶命させ、引き抜きざま横へ凪ぎBの喉笛を切り裂いた。

 




つづく

奇特な方々お待たせしました。
許してくれたり、待ってくれたり、優しくしてくれたり、励ましてくたりありがとうございます。
わーん全然、回想編終わらないやwごめんなさい。


魔翌翌翌力ってなに?orz

×魔翌翌翌力
○魔翌力

脳内変換よろしくお願いします。

うわーん(;ω;)
”まりょく”って打ち込んだのに”まよりょく”
”まよりょく”って打ち込んだら”まよよりょく”
になってる。バグってる!?
テスト
まりょく=魔翌力
まよりょく=魔翌翌翌力

もし、『翌』が増えればエラー運営直して

俯せて血の海に横たわる二人お使者をそこの転がるモノと一瞥した。

勇者「嫁。兵力はどれくらいだ?」
                                                                              ケーブルエネミー・アーキテクト
いつもの優しい旦那から勇者の問いに変わった質問に動じることなく寄り添う者として『少々お待ちを……』と言った後、目を瞑り” 索 敵 す る 結 界 律 者 ”と呟いた。

二人が住む人が住む山林は侵入を拒む深い霧が覆う場所。魔王城から出奔した二人は人と交わうことを極力避ける為このような辺境の地を選んだ。本来、勇者は快活な性格で人と交わることを好み、幼女も人間と交わったクォーターエルの子孫で、姉と違い人と関わることをそれほど悪としないでいた。

そんな二人が人に害のないようにとワザと人里を避けこの地に居を構えたのも押して図るべきである。

余談でもあるが、間違えても迷い込むことのできないこの場所も所在を”教えて貰った者”や山を生業とする者はそこそこ到達できてしまう。


幼女嫁「フゥ……、一個師団がここを鶴翼の陣で囲むように展開しています」

勇者「……そうか、一戸師団か。うん、流石に、今度は生きては帰れないかもしれないな」

幼女嫁「……」

勇者「でも、生きて変える努力はしよう。今度は俺にも守るべき者がいるからな」

そういうと肩や首を伸ばし物置に行き、埃の被った宝箱を取り出す。長い間動かさなかったため、持ち出そうとすると空気で誇りが舞い上がる。

勇者「ゲホッ!ゲホゲホ!!しかしなぁ、まさかまたこれを使う日が来るとは思わなかった」

埃を被った箱とは対照的に、中に収めれらている装備品の一切は錆びる事のなく、この時を待ったいたかのように輝きを失わない、勇者が纏うまさに相応しい神々しさを放っている。

勇者「嫁。腕に魔法のエンチャント頼む。流石に師団クラスを一人では流石に荷が勝ちすぎる」

幼女嫁「……」フルフル

勇者「……嫁」

魔法が使えない勇者が、自分にも使えるように無理矢理システムを構築しろと嫁にいう。

幼女嫁「無理です!ダメです!!!絶対にイヤッ!!!!!!」

普段なら勇者の願いは自分の願い。言うとは絶対にイヤとは言わずニコリと返事をする彼女が全力で拒否をする。

幼女嫁「旦那様は攻撃力に特化した戦士型の勇者です。魔力を力に変換し、元の力に上乗せ付与してる。そんなスシテムに強制的に割り込んで魔術系回路を施すなんて、腕の神経を引き抜いて足の神経と無理矢理結ぶようなこと、私にはできません!!!」

無理やりな施術は体の各所に疲弊をきたし、負荷が強すぎれば体を破壊する。そんな危険な目に愛する人を合わせたくなく涙を目尻に溜めて睨むように、懇願するように拒否する。

勇者「ありがとう。愛しているぞ嫁」

幼女嫁「な、なら!」

勇者「それでも俺はここでこいつらを食い止めなくてはならない。こいらは俺の友達の魔王に害をなそうとしてる。だからここで奴らを喰い止める」

そういう勇者に幼女『魔王様ならこんな奴ら簡単に倒すことも』と食い下がるが、勇者は首を振って侍従の剣を彼らが持ち込んだ呪物に突き立て『こんな物持ち込んだ奴らだ安心はできない』と彼女の考えを否定した。

幼女嫁「でも、これを壊したから」

勇者「これがひとつと限らない。最悪を想像して行動しないと足元を救われかねない」

旦那の力強い視線に肩を落とし、勇者が望むように腕に攻撃系の魔法を腕に刻み込む。右手には簡易攻撃系魔法一節を十三章分を、左手には甲から肩にかけ三節。手の平から脇にかけて三節書き込んだ。
                       アンサラー
腕に書き込まれて呪語を確認すると”切り裂くの弓”を取り表に出ようとすると、鎧を掴む嫁がいて『私にも協力させてください』と言ったので、まだ進行されていないのも手伝って助力に快く答た。

肩に乗表に出て






   ―――――武力に特化した勇者と最高峰の魔力を重ねた威力を存分に知るがいい。













口端を持ち上げた。


肩に乗った嫁は勇者の頭を両手で抱えている。

勇者の目が右に動けば幼女嫁の目は右に、左に動けば左に。

幼女嫁からリンクした遠見の目の視界は勇者の視界となり数キロ先までくっきりと認識できた。

「私から魔力供給はしますが、調整は旦那様の方でお願いします。タイミングはこちらで。多分…… 全力でも三発程撃てるハズです」

「分かった」

ギリギリと弓を引く腕にはバリバリと魔力が雷のように溢れ矢尻に膨大な魔力が転送される。

狙いは3キロほど先の陣幕があるあの場所だ。

忙しなく衛兵が動く様は多分斥候の殺害が露見たのであろう。敬礼をして陣幕に入る様子を見れば指揮官クラスが滞在しているのは容易に判断できた。

しかし、何をしてこんな大隊で魔王討伐を目指すのかと、魔王の目の前まで強襲した勇者は疑問でならなかった。

元来、魔王を倒すのは昔から少数先鋭とセオリーは決まっている。

例えばの話、数万人のLV1火系魔法を喰らえば魔王とて瀕死の重症を得るかもしれない。しかし、そんなのを殺される側は良しとする訳もなく城を構え防衛をするのは当然で、城内に張り巡らされた数々の罠、強靭なクリーチャーが手ぐすねを引いている。

それを押して何百何千の兵卒が強襲、押し寄せても城内部に侵入できる人数は高が知れている。要は全滅。

だからこそ勇者は混乱をする。

この団の長は何を考えているのかと



つづく。

閑休話題

女勇者「どっせーい!」カキーン

壁『hahahaha!!!』

女勇者「どーしてぇー!こんなに硬いのぉおおお!!!!」コキーン

壁『チョイナチョイナ♪』

女勇者「どぅりゃああああ!!!!!!!」

壁『ソノテイドデコワレルオレジャネーヨ!ナメンナバカガ!』

女勇者「君はレンガってことを自覚しなさい!」フンガー

壁『hahahaa!!ツルハシナンテステテカカッエコイヨベネット!!』

女勇者「ベネットって誰ーーーーーーー!!!!?」

一生懸命にツルハシを振り超硬質のレンガに一撃を叩き込む女勇者。それを嘲笑うようにキーンと高い金音で返すレンガ。

女勇者「どちくしょぉおおお!もお、こんなの着てらんないよ」

おおよそ女性にに使わない言葉使いで悪態を垂れレザープレートを脱ぎ捨て薄い肌着一枚になる。

「おおおおお!」

いつのまにか集まった人々の男集からどよめきと歓喜の入り混じった歓声が巻き起こる。
それもそのはず、若いお嬢ちゃんがあのボルタックの解体をしているとなれば話は千里をかけるというか街中に広がる。

「がんばれー!」

「三日だってぇー?」

「もし、陳列されたら俺が買うぞー!」

「ねぇねぇウチくるー?」

もう、なんでもかんでもてきとうござれどうとでもなりやがれ! 面白ければなんでもいい。全ては祭りのノリである。

女勇者「もぉおお!!マオーさんのばかー!!遊んないで帰ってこーい!お腹すいたーごはんーたべたいー」


つづく。

戦士、武闘家、魔法使い、賢者、腕に覚えのあるもの後ひしめきあっている。

そのこにはいくつかのテントがあり、各陣営が出陣を今かと待ちわびている

衛兵長「失礼します!」

衛兵長と部下二人が陣幕に入る。

その中は戦場の中にはいると思えない豪奢な作りになっている。絨毯に肘掛付きの長椅子、お茶と甘いお菓子の香りまでする。

そんな異常な空間であるにもかかわらず、衛兵長はいつも通りに報告を始める。

衛兵長「斥候を監視していた部隊から報告です」

衛兵長は知っていたが、噂には冷酷な指揮官がいると聞き及んで付いてきた部下は緊張している。

肘掛付きの長椅子のソファーに左右対称に瓜二つでいる気怠そう寛いでいる女性が二人。唯一の違いを探そうとすれば目付きくらいか。

???「報告?問題発生かしら?」

声に反応した女性は声は涼やかだが、目付きの鋭い眼差しが印象。天幕に響き渡る鈴を鳴らしたような声は聴く者全てを魅了するほどに美しい。そしてその隣にいる彼女は気だるそうそうでいるが対照的に大きな目めであるが左側を髪で隠れている。しかし、その晒されている右の瞳で見つめられたら何でも頷いてしまいそうなほどに魅惑的だ。

衛兵長「ハッ!黒姫様。どうやら交渉に失敗した模様。二人の生死は不明ですが恐らく殺されているでしょう」

どちらかと言えば不利な報告なのに眉一つ細めずに返す。

黒姫「そう……まあ、想定していたケースのひとつね。というより、一番起こるであろう想定していた内容だから展開に問題ないわ。ところで貴方手を怪我してる」

衛兵長「あ、確かに」

黒姫「かして治療してあげる」

衛兵長「そ、そんな恐れ多い!」

黒姫「いいからいから、癒しの精霊よ。しばしその力を……」ポワワ

全力で拒否をする。噂程でしか聞いていないが、このお二人はさる高貴な出らしい容姿の美しさも然ることながら所作でも見て取れる。後ろの兵二人も自分の聞き及んだ人tなりが違うのでコソコソと話をしている。

衛兵1『おいおい、噂と全然ちがうじゃないか』

衛兵2『ああ、俺はもっと怖い感じの人かと思ったよ歳若いのに郡を率いてさ。ほらヒバゴンとかサイクロプスみたいな感じで』

衛兵1『だよなー?そうそう聞いた噂だけど、人を人とも思わない冷酷な人物だってもっぱらの噂で』


黒姫「へー、そうなんだ?でも、噂って火のないところには立たないっていうじゃない?」

衛兵2「だよなー?ほら、衛兵1、そう言ってんじゃん。後方魔法支援部隊の連中なんて悪魔神官なんてじゃね?とか言ってたりさ…… ん?どした?」

衛兵1「\(^q^)/」

衛兵2「なに、アホ面下げてんだよ」

黒姫「そうそう♪顔変よー」

衛兵1、2「」

衛兵長「お……、お……お前ら」#

 真っ赤になった兵長と、真っ青になった兵にケラケラと笑う黒姫の間に長閑な雰囲気が流れる。

衛兵1「いやぁ!黒姫様はもっと怖いお方かと思っておりました」

衛兵2「そうそう!そのお若さで軍を率いるほどのカリスマ!しかも勇者様のお連れなんですから」


 ピクッ……

衛兵1「凄いよなぁー俺ももっと頑張って勇者様一行に加えて貰うんだ」

衛兵長「フッ、お前らが加えて貰える頃には、何度魔王が殺されてるんだ?」

衛兵1「わー酷いっす!これでも頑張ってるんですから」

 それまで和気あいあいの雰囲気に何も反応しなかった、もう一人の女性が呟いた。

白姫「黒姫、くる」

黒姫「……!? どれくらい」

それまで見せていた柔和な顔から鬼気迫る顔に豹変した。

白姫「着弾まで10、9、8……」

涼やかなカウントダウンは確実な死への序曲を彷彿させるに十分な情緒であった。しかし回答を聞くや否や衛兵長の胸に手を突っ込んで心臓を鷲掴みした。この表現は比喩でもなく本当に心臓を握り呪文を詠唱した。


衛兵長「グググググゲッベガゲガッ…!?ゲガガガガxrtfぐひじょk、l」

衛兵1「た、隊長!!」

衛兵2「く黒姫さま、な、何を!?」

驚く衛兵彼らの中で先ほどまで見せた黒姫の優しさが想像上での人格形成がなされ、より高潔な上位なのモノへと昇華されていたようだ。が、彼らが望んだような結果は現れず、彼らの狼狽を黒姫は、詮無きモノと一顧だにして当たり前のように口を開く。

黒姫「私の目の前にいた不運を恨みなさい衛兵長。多重結界展開開始」

心臓を掴まれた衛兵長は不規則にビクビクと動く。

衛兵達を取り囲むように魔法が展開されるが、余りにも強い衝撃で防御結界は綻びを露呈させる結果になるが、黒姫のレベルを鑑みれば想像もつかないい展開。

黒姫「クッ………!人を一個体使って防御を固めてもこの衝撃。ッ……!!?ローレシアは確か魔法使えないはずだったわよね?」

白姫「ええ、確かにレポートではそういうことになっているわ。でも、彼の嫁は大魔道士に準ずる程の腕前らしい。そう考えれば術式を簡易携帯すればおそらくは」

黒姫「え? ちょっと待ってよ。私が人を一人使って展開した防御術式は簡易呪文程度で衝撃で綻びができるほど、優しい作りはしてないのだけれど!?」

白姫「普段ならその負け惜しみも可愛いものと聞き届けられるとは思うのだけれど、残念ながら先ほどの攻防を見る限り黒姫の全力で展開した防御結界は簡易型魔法に負けたとなるわね」



黒姫「……フン。簡易術式というまではいいわ。そのようにすればなんとかなるしね。でもね?これだけの高威力を簡易術式じゃ制御できないっていいたいの!! ああもぉ、煙ってる!」バッバッ

白姫「そうねバックアップのようなものがあれば、その限りではないのだけれど」パタパタ

目の前の粉塵を手で叩きながら二人は軽口を叩いてはいるが、前触れもない本陣が消し飛ぶほどの襲撃に驚き多くの兵が騒然としている。

兵達「姫様方!ご無事ですか!!?」

兵達「負傷者を運べ!」

兵達「クソォ!どこからの襲撃だ!!?人どこか魔物の気配もないというのに」





勇者「もう、俺には見えないが相当混乱しているだろうな。成功はしなかったが…… まあ、よしとしよう」



  ――――済まない幼女嫁



幼女嫁「………………」

 勇者の謝罪に答えることなく幼女嫁は地面に横たわっている。

 しかし、何故この事態になっているかは少し時間を巻き戻す必要がある。




 つづく。




幼女嫁「ン……グッ!? だ、旦那様。も、もうそろそろ第一射を」

勇者「………」

ギリギリと弓を限界まで引く勇者は嫁の声を聞かず、さらに切り裂く弓に魔力を集中させる。彼女の限界である三発分はとうに超えていて、少しでも気を抜けば昏倒してしまいそうなの

を必死に耐えている。

幼女嫁「んぎっ……んんんっ!!………………ぎぐっ」

幼女嫁「ま゛さ゛…か゛ッ……!?限界ま゛……で………ワザと」

勇者「その気持ちは嬉しいが、やはり俺はお前を巻き込むことはできない」

幼女嫁「そ、それでも!わ、私はッ!!!貴方と!!!!!!!!」

勇者「ほら、言っても聞かないだろ?」

ニカリと屈託のない笑顔で微笑む。







    さよなら幼女嫁








それが幼女嫁の聞いた最後の勇者の言葉だった。


勇者「もう、俺には見えないが相当混乱しているだろうな。敵本陣を壊滅させる作戦は成功はしなかったが…… まあ、よしとしよう」



さて、と小さく呟き一息吸い込むと大声で口上を叫ぶ。







 


  我が名はローレシア!魔王城の最深部まで入りて魔王を敗走せしめた勇者。


  そして極東の聖都を統治するローレシア王の嫡子にて王位継承第一位を持つ者なり!此度の所業、既に是非を問うことなどはしない。


  故に王族の我を討っても咎とせぬ。全てはこの首級を挙げ答えとせよ!






通常であれば聞こえるはずもない声は小高い丘から遠くに向けて木霊する。そして勇者は腕に施された一節を撫でる。






 うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!





襲撃で混乱していた部隊の誰もがその口上に耳を傾け、狙う首級を見定めこれから自分らの今後を値踏みする。

そして、森が絶叫するように雄叫びが鳴り響く。

機動歩兵、長弓兵、鉄鋼騎士兵連隊、重装機甲師団、魔術礼装部隊。集まったどの部隊の誰もが我先にと武功を上げようと声のした高台へと走り出す。

既に指揮系統などなく蜜に這いよる蟻の如く、灯蛾の如く本能で突き進む。

目標まで数キロだ!走れ走れ!誰かに首級を奪われる前に!!他人に武勲を立てられる前に自分がその英を我が手に!!!!!

まだまだ先だ

よし、誰もまだ届いていない。

あの首は俺のモノだ。

獲得した暁には栄光と賞賛、嫉妬と怨嗟その心地よい羨望と妬み全てが自分のものになる。

ああ、早くあの首を刎ねたい!

いち早くあの頂きに!!!!!!!!!!!!!!






「クソッ!さっさと前へ行けってんだ。後ろが詰まったんだつーの!」

数千人規模の部隊が我先にと丘へと走れば末端は詰まる。疾駆が駆け足に、駆け足が早足に、早足が徒歩に

「よっ!先は長なぁ」

兵卒「ん?」

苛立ち怒声が響く連隊の中腹先に進みたくても進めないで苛立つ者に対して気さくな軽口の兵。

兵卒「ほんとだよ。腹立つぜ!まったく俺も先頭ならなぁ」

「あー確かにね。でもなんだかこいつらの顔見てると覇気がないというかだらしないというか」

兵卒「あー、分かる分かる。つか、お前もそうかと思っていたけど、焦っていないところを見ると……」

「ん?あーそのなんだぁ……えーと」

兵卒「あーもしかして町の張り紙を見てきた平民か?」




「……!? そ、そうなんだ!申し訳ないけど、詳しいこと教えてくれない?あ、もしかしてあんた……その豪奢装備からすると貴族様か何かい?」

周りを見渡すと、自分のような実戦に向いた機能や重厚な装甲といったモノではなく豪華絢爛な見た目の優美さを重視した作りの武具を身につけた者が多いことが分かる。

貴族卒「お、よくわかるな。家の一張羅を盗……ゴホゴホ。拝借してきたんだが、というか、お前平民何のに詳しいな。ん?その装備なんというか、凄そうだな?」

「そうでもないですよ貴族様。多分俺のは爺さんの代から使い古されたもんですから」

貴族卒「いやいや、そういうのが本当はいいんだよ。代々使われた武具。それを使えてこそ武門に生まれた誉れじゃないか?」

「そういうもんですか?」

貴族卒「そういうもんだよ。俺なんて男爵の次男だぞ?そんなもん触れさせても貰えないからな」

「別に触れるぐらい……」

貴族卒「馬鹿!大体……そんな訳行くか!あ、そうか平民じゃ分かんないか。いいか?貴族の次男三男なんてな。犬も同然なんだ」

「へ?貴族様でしょ?」






貴族卒「そりゃ、公爵伯爵クラスなら次男三男も潰しようもあるだろうけど、子爵男爵じゃあな」

「ほぉー貴族様もそりゃ大変だ。ん?つーことはもしかしてここにいる人達のほとんどは……」

貴族卒「そう、子爵男爵下級貴族の次男三男下手すりゃ五男六男なんているかもな。くははははは」

「次男三男が多い理由を詳しく聞いても?」

貴族卒「つまらん話だぞ?子供を寝かしつける御伽話程度にもならんくだらん話だ」




 元々、我がグレイス王国のグレイス王がご自分のお体の不調を訴えそろそろ王位を退位したいとおっしゃった。王には子供が二人いてな男兄弟なんだが、当然王位を継ぐのは長男て訳

で、尤もその長男様は優秀で文武両道非の打ち所がなく王様もベタ惚れつか、親バカつーんだな、でもあのお方の人なりじゃ、皆仕方あるめいと思うくらいの御仁なのさ。

王位を継ぐのは長兄ってのは今のご時世当然な習い。お前も知っているよな?あの兄様の優秀さは自他共に認め追随を許さない。あの方が次期王なら安心できると重鎮、臣下から民草ま

でそう声を揃える。

でも、面白くないのは弟君だ。で、叫んだのさ。我は兄をしのぎ、王位次ぐに相応しい人間だ。しかし現王はその事に気づいてくださらぬ。多分、父上は病床のに在りて弱気に臥せって

おられるのあろう!ならば、その病魔にくすすむその眼を今一度晴らし、誰が王の名を嗣ぐに相応しいかを思い返して頂こう!!!

その証を立てるため、我らを恐怖に貶める魔王の首を取って証となそう。集え不遇に喘ぐ家督の下の者共よ!

我に続け!この屈辱を理解し分かつ者、理解しうる者、共に魔王の首級を上げ屈辱を削いだのち、我が相応しき地位を約束しよう!






ってな。

貴族卒「そんときは皆大興奮さ。貴族ってだけで羨まれて仮初の貴族の子供が、親の目に映らない貴族の実子が。好きで下に産まれたわけじゃないのに、親の都合でポンポンと産んでおいて、膝を抱えさせる日々に追い込んだ家を見返すことができる。賞賛を得て持て囃される!もう部屋住み捨て扶持くいの厄介者にならずに済むってな」

「なるほど。で、その弟君の人となりというか、人物的にはどうなんです?これだけの人間を率いて纏めるだけの人物なのですか?」

貴族卒「あーそれ聞いちゃう?お前も知ってるとおりグレイス王は冷たい人だけど人を見る目は確かだ。で、その王が兄君が最善って思ったら最善なんだよ。ぶっちゃけ弟君じゃ無理だな。伝え聞く話なんかからもわかるけど、実力もそこそこ、統制もそこそこじゃあね。噂によると人間のクズのような人だってのも聞いたことあるな」

「ひでぇ。でも、ならなんでそんなそこそこ様に付くんです?いっそのこと兄君に取り入って」

貴族卒「そ、そこそこ様ってお前面白いな?まあ、なんだ。ぶっちゃけ弟君なんてどうでもいいんだよ。兄弟喧嘩に巻き込まれるのも面白くはないしな。本音言えば俺は俺を取り立てて貰えればそれでいいんだ」






「結構、ぶっちゃけますね?そういうの俺は嫌いじゃないですよ?」

貴族卒「んっはははははは。お前本当に面白いな。気に入った!! 俺がそれなりになれば取り立ててやるよ」

「そいつはどうも。でも、貴族であるべきの貴方がそれでよいのですか?」

貴族卒「んー人の本質ってそんなもんじゃないかな?望むべく気高い心ってのは、その位置にいて初めて気付き、思考し、行使できるもんなんだよ」

「なるほど。俺もそう思いますよ。で、貴族様はここから離れたほうがいい」

貴族卒「ん? 何を突然いうんだ?もうそろそろ勇者の近くに」

 ドッドッドッド

 後ろから蹄の音を日々かせ鉄鋼騎士兵連隊が先頭の兵団に手柄を奪われまいと先頭に向かおうと疾駆してきたが男が道を塞いでいる。





ヒヒーン!

「ど、どう!どうどう!!」

無理矢理馬のケツを叩いて前進させていたので、手綱を引かれた馬は驚き前足を空に浮かせ馬体を激しく動かす。長兄ではないにしても流石は貴族、落馬ちることなく制御して落ち着か

せた。

騎兵長「どうどう!誰ぞ!!?我に無礼を働く者は!」

貴族卒「お、お、お前!!?なんてことしたんだ。あ、あの紋章は……嘘だろ」

「何か?」

貴族卒「侯爵………様だ。次男か三男かは分からないがまさかどうしてこんな辺境の地に」

「侯爵か丁度いい」

侯爵「……!貴様平民だな?平民の分際で爵位を呼び捨てにするか!?」




続く。



先日箱買いした18ケの赤ペヤが既に残4ケだけど市乙

多分読んでくださっている人二人ですよねw
>>391がんばります!
>>392今頃はもう、赤ペヤングはないですよね?次はどの食材にしましょうか?

三人目

侯爵は無礼を働く物を馬上から見下ろす。見た目まるで貴族がこの遠征でする武装に似つかわしくない風貌であった。なので、兵卒に雇われた平民と理解した。

侯爵「貴様のその態度まったくもっても無礼千万。この場にて打ち首処す。跪け!」

大仰に叫び剣を抜き振り上げる。この場が戦場であり目的が勇者であるのなら目の前の平民は捨て置いて当然なのだが、所詮は世間を知らぬボンボン五男。目的よりも目の前の矜持。名を捨てて実を取るなど脳裏の片隅にもない。今の名誉。今のプライド。それが全て。

貴族卒「公爵殿、申し訳ない。この者は貴族と接したことのないと思われます。故に言葉遣いや態度など理解しておりませぬ。所詮民草、御方の心情など与することなど埓外に存じます。どうか寛容な斟酌を持って彼のものをご容赦くださいませ」

貴族卒「ほら!(頭下げろ!どうせ興奮してるだけだからこの場を凌げれば…)」

「いいよ、大丈夫大丈夫。コイツ[ピーーー]から」

 え?

周りにいた全員が平民の発言に耳を疑った。貴族を[ピーーー]というのはどのような罪状があって難しいもので、平民を数百人殺しても幽閉で留まった貴族がいたくらいだ。もっとも日の光の浴びることができない塔に幽閉され発狂して死んだのだが。

公爵「よくほざいた!!!!!貴様の首を代々伝わる伝説の霊剣”魔王殺し”で飛ばしてやる!感謝するん」

ブシャ

「魔王を殺していな剣で魔王殺しとか言ってんじゃねえ」

公爵のヘルムを半分吹き飛ばし転がる先に言葉を投げかける。

「そんなカス剣魔王の前の四天王にすら届かねぇよ」

四人目





――――俺は勇者。お前らの最上の目的だ。



その突然の告白は周りに衝撃にを与えうろたえさせる。そして、その沈黙の空気を元に戻したのは顔の上半を吹き飛ばされら血を吹き飛ばしズルリと馬上から落ちた侯爵だった。

貴族卒「お、お前は……!?」

勇者「騙すつもりはなかった。だが、お前が勘違いするからそれに乗らせて貰った。済まない」

ペコリと頭を下げる姿は、魔王と対等に渡り合った想像する勇者の姿とは程遠かった。

さてとと、空を仰ぐ勇者に格もド派手な声を掛けてくるものが現れた。


重装兵「貴様が勇者かぁぁあぁあああああああああ!!!」

無駄に大きい声、雑兵どもに手柄を奪われると思った矢先に目の前に狙う獲物が現れ否が応でもテンションはあがる。

勇者「ん?誰だお前」

貴族卒「ゲッ!?っ、そそ、そそそ紋章はヘンリー猊下、嘘だろう!?!?なんでそんな高貴な貴族様のッッ、はこっ、ここここ公爵!!!?なんでんだよなんで公爵までぇええええええええええ」

重装兵「我が名を問うか下民よ!我はグレイス王国麾下貴族連合ヘンリー公爵に連なる連枝ゲオルグ公爵の第三子!重装だ弁えよ」

勇者「下民って一応俺は王族なんだぞ?ほれここに継承のペンダントもあるあし」

重装「はぁーーーー!?貴様が王族な訳あるかぁあ。王族は高貴であり我々を導くものでる。決して貴様のような泥のようなものではない」

勇者「……………」

重装「反論できないところを見ると、化けの皮が剥がれたな」

勇者「別に化けるとか化けないとかじゃないんだけど」

重装「ふん、貴様のように腑抜けた態度を見れば如何様にも想像はつく。もしも、もしもだ!万歩譲って勇者だとしても、貴様のような奴が勇者なら付き従った者共のは不憫であっただろう」

ピクッ

重装「お前が生き残り、戦士と魔法使いが死んだとなれば、その二人に助けられたか見捨てたか、兎に角お前は二人を犠牲にしてのうのうと生き延びたのだ!恥を知れ!!!!!






















>>394
>>396
どうしましょう・・・読んでくださる方がいるなんて、瞼に水が・・・あれ視界が滲みます。

勇者は俯き過去を振り返る。

幾度も思い返した。あの時、攻撃を止めれば、あの時防御すれば、あの時撤退すれば、もう少し装備にお金かければ、もっと熟練度を上げれば、


その前に宿屋で寝れば、薬草を買えば、世界樹の葉だって…… まだまだあったはず。

思い返せば思えるものは沢山で 


                          もっと


もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと


もっともっともっともっと

もっともっと


もっともっともっともっともっともっともっともっと

もっともっと

もっともっと
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと
もっともっと        もっともっともっともっと
もっともっと

                       もっともっと


もっともっともっともっともっともっと


勇者「……もっと?」




勇者「何かあったのか?」

彼の脳裏に去来するのは、あれもこれも、それこそ匙の上げ下げ、足の動かし方、まさに一挙手一投足をまでもが間違えていたのではないかと思い返してしまう。

重装「魔王討伐と周りを焚きつけ、無理と分かれば仲間の無念を捨て置き、どこぞの若い嫁を娶り安寧と過ごす。その程度の勇者に付き従ったサマルトリアの王子やムーンブルクの王女さぞ無念であったであろう」

勇者「……………」

重装「勇者がこの程度の虚仮であるのだから、仲間もそうとうな屑だであろう!クズの人生はぁあああ!!!クズな終わりかたをするのですぅううU!!!!そのさもしい人生をぉおおお重装機甲師団ゲイボルグがバルハラへと送ってやろう!!」


単純な問いかけ。


これがある程度、知識のある者が問いかけていたのならば詮無きものと一蹴していただろう。

しかしながら、無知の純粋。

毒な道徳。

しかし、ここは戦場。




 ブシュッ





第三子と言えど公爵、第三子と言えど貴族の子。武功を立て今後の中央で宮廷雀が跋扈する伏魔殿を渡り歩く予定であった者。

しかし、そんな夢は塵芥の如く。

……あれからずっと考えていた。考え抜いて、考え抜いても答えが見つからない。思考の迷路、永遠の牢獄。


武勇を持って前線に立ち。血反吐を持って前に進む。



サマルが


ムーンブルクが



パーティーが届かなかった。



魔王討伐の夢。




お前に分かるわけ無いだろう?

次男か三男かしらない。部屋住みがどうとか肩身が狭いとか本当にどうでもいい。ぬくぬくと暖かい布団と暖かい飯を食っていたんだろうからな。

俺たちが魔王討伐の命を受け、傷を負い腹を空かし、苦しみながら金を稼ぎ装備を揃え、飢えや乾きに耐え毒の沼で命を削って、見たこともないクリーチャーに襲われて、重症になったり、死体になったり、それを引きずって協会に戻ったり




勇者「そんな経験がないから重装……お前はここで」







  死ぬんだ。







重装「巫山戯るな!この俺が!重装兵装機甲師団ゲイボルグが死ぬわけがない!!!」

重装が叫び、ヘビーアクスを振り上げた腕を掴み逆にひねり、前のめりになった頭を地面に叩きつけそのまま踏みしめ、背中に剣を突き刺した。





つづく

赤ぺヤング(週8で食べていたが速攻姿を消す)
 ↓
黄色ぺヤング(史上最高、週12の記録を作るも速攻姿を消す)
 ↓
辛口ねぎみそぺヤング(社会に対する汎用性を示しつつも速攻姿を消す)
 ↓
赤ペヤおたマヨ付(復活劇でわしを狂喜させるも流通量は少ない)←Now!

うざかろうから最近名前消してたけど、他の方々同様最初から応援しとるです
>>壱乙




重装の背中に剣を突きたて、踏み潰しながら次をどうするか思案していると金物がすり合わせる音が聞こえた。

ガシャリ

それは鞘から剣を抜く音で振り向いた先には短い時間だが見慣れた者の姿が目に入る。

勇者「……」

貴族卒「……ほ、本気だぞ!!?」

勇者「ほんとに?」

貴族卒「ほんとにほんとだ!!」

貴族卒「お、俺は貴族だ三男坊とはいえ、じょ、上級兵士だ!下級兵の手本にならねばならぬ貴族である。それに王を守り民衆を守る兵なんだ」

勇者「ふ~ん、それはご立派なことで。で、その貴族兵士様はどうするおつもりで?」

貴族卒「俺はお前に一騎打ちを挑む!!!」

 勝敗など見えているのに彼を何がそう駆り立てたのか?何をすれば敵わないであろう敵に向かう勇気を揺り起こさせたのだろう?

勇者「お前…………死ぬぞ?」

誰が見ても確実な判定。ハズレしかないクジに当たりがあると思って引くような愚行。

勇者に口から出る『死ぬぞ』のフレーズは100%覆しようがない答え。

その言葉を聞いてなお、剣を握り締め構えを改めて敵(勇者)をは見据えては剣を構える。引き際とか命を省みようとかそういった気配は一切なく。多分彼が今後の生涯どんなに望んでも得る事の出来ない究極の想い。

貴族卒「それでも俺は」

視線を合わせ一瞬の沈黙のあと、軽くため息を付き諦めたように答える。

貴族卒「……」

勇者「すまぬがひとつ。短い間ではあったが、楽しい遠征であった。貴殿のような清くも心強い心底のある者が私の部下で、また隊列に加わっていれば違った世界があったのかもしれない」

貴族卒「……」

勇者「仕方あるまい。存分にかかってこられよ。貴族卒殿」

握りに込められる力を注ぎ込み駆け出し振りかぶり雄叫びを上げる。



















 いやぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!



























ブン!!







振り上げ勇者の脳天を割る勢いで振り下ろした剣だったが、思い通りにはいかず静止される。

勇者「……甘いな。俺なら迷わず振り抜く。お前が脳漿を撒き散らそうが知ったことではない」

貴族卒「ま、まだ……まだだ!」

勇者「振り上げら振り抜け。それが戦場におけるルールだ」

貴族卒「ク…………ッ!?」

勇者「それが出来ないからお前は二流だ」

貴族卒「ち、チクショウ!喰らえぇええええええええ」

貴族卒の振り下ろした剣の機動はあからさまで勇者が腕を掴んで抑える。

勇者は語る。

貴族に求められる本質的なものは、まごうことなきノブレス・オブリージュ。それは何も武功をたて栄誉を見せ進む道だけではない。迷える民草を正道へと導くのもまた貴族の勤め。

お前にに兵士は向かない。だから問おう。お前の故郷は何処だ?

貴族卒「え?あ…俺の故郷は」

問われれば、抵抗する前に記憶にむせ返る故郷の情景、想いの哀愁。否定できず思い返すは懐かしい思い出。

勇者「対象者の思考内容で効果を果たせルーラ」

 シュー

魔法の中でも特殊系に数えられる転移魔法。まさかそれを体感させられるとは思いもよらない貴族卒。

あと数瞬で飛ぶ。

勇者「もう、あうことはないだろう。達者で暮らせ」

貴族卒「なんで俺を!!?」

勇者「クスッ、純粋な優しさは自分を救うんだぜ?」

貴族卒「優しさ?俺はお前に何もしてない!」

勇者「守ってくれたじゃないか」

貴族卒「え?守った?」







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

貴族卒「公爵殿、申し訳ない。この者は貴族と接したことのないと思われます。故に言葉遣いや態度など理解しておりませぬ。
所詮民草、御方の心情など与することなど埓外に存じます。どうか寛容な斟酌を持って彼のものをご容赦くださいませ」

貴族卒「ほら!(頭下げろ!どうせ興奮してるだけだからこの場を凌げれば…)」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



貴族卒「まて、俺はお前のこ……」

勇者「幸運拾った程度に思えよ。ラッキーメン」

そう言って貴族卒を飛ばした。

この戦いを勇者のに魅入られた帰属卒は平民の道標となり、統率し救いの道を指し示した賢人として後世まで語り継がれるがそれはまた別の話。

つづく

頑張って~

今度は生姜焼き風味が出てしまった
もう完全に独走体制にはいってしまった

で 満を持して投下きなさいやがれ


 ほらよ

貴族卒をルーラで飛ばした後、足元に転がる虫の息の重装に一瞥をくれ仲間の方に蹴りやった。

勇者「ベホマでもなんでもかけてやれ。待っていてやるから」

そういうと勇者は剣を鞘に戻した。

重装「く、くそ……は、早くベホマをかけろ」

かなり深手を負っていた重装は回復魔法をかけられながらさらに回復薬を煽り、賢者と魔法使い僧侶を呼びこっそりとあらゆる魔法をかけさせる。

防御力を強固なものにするスカラ、素早さを上げるピオラ、攻撃力を飛躍的に向上させるバイキルト。

通常ではありえない程の補助魔法が重複してかけられていく。

そもそも、魔法は個人の資質にもよるが、人である限り魔力の総量はそれほど多いモノではなく、それゆえに行使できる回数はある程度限られてくる。

ならば、前もって掛けておけばなんて思う者もいるだろうが、いつどこで出会うか分からない敵対勢力に備えて、効果制限のある補助魔法を常時掛け続けるのは非効率この上ない。



もっとも、通常の戦闘は何十分も戦っているわけではないので、回数もある程度絞られていく。だからこそ、魔法を行使する者は、いくつかの選択を迫られれる。攻撃性補助魔法、防御系補助魔法か、そして性能は低いが一度でパーティー全員に効果を与えることのできる全体魔法か、一度に一人しか行使できないが大幅に効果を上げる単体魔法かなど。余談だが、後方で控える魔法を使う者はリーダーの次にパティーに指示を与える重要な役割を持つことが多い。

そして現状はかなり特殊。敵対者が傍観。

重装「チラッ(おいお前らいいか?)」

先程説明をしたが、通常の戦闘では回数が制限される補助魔法を複数の術者に同時にかけさせ、素早さと防御力を格段に向上させ、さらに一撃の破壊力の限界を突破させた。

今の彼の攻撃力は普通の魔物なら軽くミンチにできる程度のモノにはなっている。そして勇者を仕留める為に急ごしらえだが作もねる。

古今東西、不朽不滅、成功すれば必勝の作。

勇者「おーいそろそろいいかぁ?」





多少飽きたのか勇者ここで足踏み。

重装「いや、もう少し……」

そういえば、勇者は待つであろう。

勇者「ふぅ……確かにまってやるとは言ったけどなぁ。あんまり待たすなよ」

予想通りと自分の立案した作戦が上手くいこうとすることに重装は『……バカめ』とほくそ笑む。

そう、その作戦とは”不意打ち騙し討ち”!

飽きて嘆息して頷いている勇者の鼓膜を詠唱と魔法名が揺らす。

重装「いけ!魔法部隊!」

ラリホー!ザキ!メダパニ!マヌーサ!ルカニ!ボミエ!ヘナトス!

勇者(補助呪文か!?チッ、ザキは論外、ラリホーとかメダパニなんて喰らう訳ねーけど、流石にルカニとかは避けようがねぇ)




思わぬところで意表をつかれ毒づく勇者。

即死系や状態異常の魔法はともかく、ルカニやボミエのようなステータス低下の魔法は防ぎようがない。

これは勇者はどうこうというのではなく、高位の魔物にも言えることであって、対象自体が魔法の聞かないタイプか、マホカンタやそれ系のエンチャンとされた装備かアクセサリがなければ防ぎようのない事象。

重装「かかったな!!!眠り混乱してフララフしなら死ね!喰らえ大旋回竜巻破魔戦斧斬りィイイイ!!!!ザキで死ぬならなおラッキー!」

勇者「……ッ!?」

前口上で正当性を高らかに語っておきながらのあからさまな不意打ちに呆れ思わず『かかってねぇよ。つか、セコ過ぎるだろ?』ツッコミを入れてしまった勇者に重装が渾身の一撃がその身に襲いかかる。

重装が思っていたような作戦ではないが、本人の預かり知らぬ別の意味で不意を付くことができた。己の作戦が成功し最高潮の重装は渾身のアクスが勇者の体にメリ込んだことを手応えで感触で感じ取ると力の限りで振り抜いた。



ボグゴッツ!!

重装「キタキターーー!チャンスゲットである!!!!ふぉりゃあああ!!!!!」

斧が勇者の体に斧は食い込み体はくの字ようになる。

スガガガガガガ!!!!!ズドーーーーン!

勇者は投げ飛ばされたボロ人形かのように回転し、地面に体躯を何度も打ち付け、数百の兵に見られながら吹き飛び岩に激突して動きを止めた。

土煙舞う戦場で兵士たちの喚起の雄叫びが地響きのように上がる。それもそうだろう。噂に聞いていた勇者といわれる者が、目の前で仲間の一撃をモロにくらいボロクズのように吹っ飛んでいったのだから。

そして、近くで見ていた者の胸を熱く打ち

「「「「おや?勇者ってこの程度?弱くね?これなら勝てそうだ。なら俺の地位がこの上なく……ッ!?」」」」

なんと儚くも栄光への夢を見させてくれるのだ。

熱狂と興奮、栄達への予感は重装を、兵士たちを高揚させ、自分の夢を意識させるのに十二分なものであった。

そして重装は自分の功績を称えるように誇示するように叫ぶ。

重装「ふははははははは!!!!人間に仇なし、さらには魔王に組みした外道勇者をこの貴族連合ヘンリー公爵に連なる連枝ゲオルグ公爵の第三子!重装が勇者を仕留めたぞ!貴様ら讃えよ!照覧せい!!!この光景を拝謁の栄に浴することに感謝するがよい!」

世界は今、吾輩に輝けと囁いている……ッ!



長いものには巻かれてく。それは誰もが知っている処世術。

モブA「おおおおお!!重装様ぁああ!!!!!!」

モブB「流石公爵様!万歳!重装万歳!」

モブD「重装様に痺れる!憧れる!!」

重装「私はこの偽者の勇者よりッ!そして勇者様より勇者だぁあ!そして貴様らを率いるのはこの重装だあああ!!!」

モブA「うおおおおお!!重装様ぁああ!!!!!!」

モブF「我々を導いてくださぁああいいいい!!」

モブB「勇者重装!勇者重装様万歳ぁいい!」

モブC「我々の主は重装様しかない!さあ、我々を導いてください」

その場にいた兵士たちはそれぞれに重装を持て囃し賞賛した。卑怯でも不意打ちでもない対峙した相手に隙を見せる方が悪いのだ。勝てばよい、勝てば官軍、勝たなきゃ駄目だ。勝てば栄光ある未来が訪れる。











 ガラッ……









勇者「ふぅ……痛たたッ。騙し討ちないと思うぜ?重装」

重装「な……ッ!?あ、あ、あああああああ」

正直、彼は腰が抜けそうになった。指した指は震え止まらない。確実に殺したと思える手応えが手に残っているのに何故コイツは生きている。
そう、叩きつけた感触は人生で何度も味わえるそのたぐいのものでない。

確実だ。

必殺なのだ。

確殺であったのだ。


貴族の自分とて命のやり取りは数えるくらいはしてきた。その経験則からいっても致命傷であるはずなのに。


重装「な、ななな、なぜ死んでいない?普通死ぬだろ?吾輩の渾身の力で打ち込んだんだぞ」

こめかみに手を当てながらクルクルと頭を回し軽口を言う。

勇者「いやぁ、中々いい一撃だったぜ?鎧の偽装も禿げちまったし」




鎧を覆っていた何かがパラパラと卵の殻が剥げるように落ちるた。

勇者「まさか、これが剥げるとは思わなかった。希にそういうアイテムがあるっていうのは知ってるけど……、それってラーの鏡の効果とかあんのかね?しかしよ、たまたま殴ってきた相手が所持しているって、どんな神の悪戯だ。流石は公爵様のお家ってとこかな?」

コンコンと籠手と籠手を合わせたり、剣を肩にカンカンと当て錆びた塗装を剥がすかのように偽装の外殻を払っていく。

剥がれ落ちると青白く光る全身を覆う鎧と腰に付けてある盾、刀身が雪のように白く全体がやはり青白い輝く剣が現れる。

勇者「というわけで」

重装「え?」

勇者「いいよな?」

ひた、ひた、と勇者が近づくと、重装の足は無意識に後ろにずり下がる。

勇者「おい」

ビクッ!

もう一度、問いかける。

重装「う、あ……

勇者「もう、いいよな?」





 そう、それは











   ――――最後通告












つづく。

>>435
ありがとうございます><頑張りますね!

>>436
まだ食べてないですけど、ウチにもあります。で、見つけたとき吉野家夫さん買ったかな?とか思っちゃいましたwww

閑話休題

女勇者「もしゃもしゃ……美味しい!このおにぎり具はなにかな?」

道具屋旦那「そうだろうそうだろう!俺の嫁さんのお手製だからな」

道具屋嫁「それは、おおがらすの煮込んだ肉を入れてあるんだよ」

女勇者「へー?おおがらすって固くて食べられないってイメージなんだけど」

道具屋嫁「そりゃあんた、あのまま食べようなんて考えないこった。歯がかけちまうさ」

女勇者「そっかぁ、私全然そういうの知らないから勉強になりますよ!」

町人D「お嬢ちゃん勇者なんだって?」

町人F「あー俺もそう聞いた。でも勇者ってガチムチバブーンみたいなのかと思ったよ」

町人B「そうそう!俺もそう思ってたよ」


女勇者「あーそのぉ~」

道具屋嫁「そうよね。体こんなに細いんだし」

武器屋主人「これから強くなるんだろ?そんときゃウチの店で買ってくれよ」

町人A「勇者かぁ……勇者ったら色々な伝承を聞くよね?」

町人B「ああ、それはもう鬼神のような強さをもつ勇者とか、腰抜け勇者とか五万と聞くね」

道具屋嫁「でも、それって勇者って沢山いるってことかい?なんだか一山いくらの大安売りみたいだね」

武器屋主人「そりゃあれだ、他の職業はさておき、勇者だけ無資格だからなw」

道具屋旦那「へ?そってもしかして……」

武器屋主人「そう、名乗れば誰でも勇者なのさ」

町人

町人’S「「「「ええええええええええ!!!?」」」」女勇者

女勇者「ほ、ほんと?」

武器屋主人「ああ、本当さ。ちなみに女勇者ちゃんは酒場で適正法術は受診たかい?」

女勇者「適正ほ……う?」

町人F「どうやらその様子だと受けたことないみたいだね」

町人D「そういえば、お前受けたらシーフの適正あったよな?」

町人F「うん。そうだったけど、街出てモンスターと戦ったり、宝箱開けるのに怪我とかしたくないからなるのやめちゃった」

武器屋主人「とまあ、そんなわけで、勇者って職業は誰でもなれる自由業なんだよ。遊び人と一緒かな?」

女勇者「あ、ああああ遊び・・・orz」

町人E「あ、あ、まあ、そのなんというか志じゃねぇかなぁ?って」

町人B「そ、そ、そうだよ!志だって!大きく持とうよ夢と願いってね」

道具屋嫁「志だけじゃねぇ…」

女勇者「…………!?(涙)」

町人B.E「うああああああああああああああ!!!!!」



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