佐天「世界を渡り歩ける能力かぁ・・・」(315)

頑張って書きます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371921178

初春「佐天さーん、検査どうでしたー?」

佐天「えへへ♪ レベル2ですごい能力だったよー!」

初春「レベル2!? すごいじゃないですかー! 一体何ですか?」

佐天「うん。世界を渡り歩ける能力だよ」

初春「はい?」

キョトン。

佐天「実際に、見せたほうが早いね」

佐天は右手を上げ、目を閉じた。
すると、銀色の渦巻いた壁が現れる。

佐天「入ってみてよ初春」

初春「え?・・・は、はい」

初春は多少、恐るが佐天の言葉を信じて目を閉じてくぐる。

ギュオン。

境界線を渡る影響か、初春の耳に機械音が鳴る。

そして、目を開けると。

初春「え!?」

映ったのは、見知らぬ部屋。一言でいえば一人暮らしの男性の部屋だ。
それよりも、自分はさっきまで全く別の場所にいたはず。

初春「テレポート?」

テレポートの類に似ているこの能力。

初春は後ろを振り返る。
銀色の渦巻いた壁はまだある。

ギュオン。

佐天「よ、っと♪」

佐天もくぐり抜けて来た。すると、銀色の渦巻いた壁は役目を終えたと言わんばかりに消える。

初春「佐天さん、これ・・・」

佐天「ん?私達今、異空間の壁を歩いて別の場所にきたんだよ」

初春「す、すごいです佐天さん!レベル2でここまで出来るなんて!」

佐天「えへへー♪」

佐天は大いに喜んだ。

ガチャ。

二人「ん?」

しかし、二人は肝心なことを忘れていた。ここは見知らぬ男性の部屋。
持ち主が帰ってきた場合の対処など考えていなかった。

??「だ、誰?」

持ち主らしき男性が尋ねる。

初春「あ、わわわ!」

佐天「やばっ!」

佐天は急いで退散しようと右手を上げる。再び銀色の渦巻いた壁が二人と男の間に現れた。

ガコンッ!

??「あいて!?」

しかし、銀色の渦巻いた壁はゆっくりと近づいて男の頭をぶつける。

佐天「う、うわ!? なんで!?」

能力を出した佐天も驚く。どうやら、まだ上手く能力を行使出来ない影響かもしれない。

初春「佐天さん、早く!」

『とにかく逃げよう』と二人の心はその一心で、男の心配せずに再び銀色の渦巻いた壁をくぐろうとした。

が。

??「逃がすかよ!」

バシュン!

男が右手で壁を触れると粉のように消える。

二人「!?」

逃走を失う二人。

??「侵入者め!捕まえてやる!」

男は震える二人に隙を与えないと反撃にでる。

二人「き、きゃああああああーーーー!!」

佐天と初春は抱き合い叫ぶ。

??「これでーーー」

男の両手が二人を包みーーー。

??「何してンだよ!」

バッーーーキン!!

??「あべし!?」

男は、突如現れた別の男に蹴り飛ばされて。

ガシャーン!

窓ガラスを割って転落するのだった。

ー病院ー

??「不幸だ・・・」

二人「本当にすいませんでした!!」

初春と佐天は転落した男を病院に運び、その後色々ありつつも意識を取り戻した男に謝罪した。

??「いいンだよ。そいつは、てめェらを襲おうとしたんだ。当然の結果だなぁ」

二人「(いや、貴方が・・・)」

そう言いかけたがやめる。とてもこの男には言えない。

なぜかそう思えた。

男の完治は三ヶ月だった。

佐天「あの、でも原因を作ったのは私達ですから、完治するまで手伝わせてください!」

初春「そうですよ!やらせてください!」

??「え? マジで?」

二人「はい!」

男は瞬間『きたーーーー!」と思いにやけた。

でも。

??「やめときなァ。そんなことしたら婚約者に始末されるぜェ?」

二人「婚約者!?」

シュン!

??「その通りですわ!お兄様には誰一人として近づけません!」

二人「白井さん!?」

ー病院から少し離れた場所ー

男は病院を見る。

??「佐天涙子。君の能力は・・・」

男は佐天と同じように銀色の渦巻いた壁を出現させてくぐり消えた。

白井「誰ですか貴方達は?」

初春「何言っているんですか白井さん? 初春です!」

佐天「私は佐天です!忘れたんですか?」

白井はじっと二人を見つめる。

しかし、首を横に振りながら。

白井「申し訳ありませんが、やはり初対面ですわ」

そう言う。

二人はその答えに恐怖を覚えた。だから、自分達が知る限りの白井を話す。

だけど答えは同じ。

佐天「そ、そんな・・・」

佐天は座り込んでしまい、初春は泣いてしまう。

そんな二人に対して白井も少し、罪悪感を抱いたのかあることを言う。

白井「お話を聞いて、とても嘘話とは思えませんが・・・申し訳ありません。私は初対面ですの」

初春「うう・・・そんなぁ・・・」

??「なぁ・・・」

その時、入院している男が口を挟んだ。

??「御坂・・・って、御坂美琴のことか?」

初春「あ、はい・・・」

その返答にもう一人の男も口を開く。

??「御坂だァ?なんでアイツが前の苗字を今も使っているんだァ?」

佐天「前の苗字? 御坂さんはずっと御坂って苗字ですよ?」

これが決定打。

次の言葉により、二人は『この世界』に違和感を覚えた。

??「御坂の母親と上条の父親が再婚したから、今はあいつは上条美琴のはずだがァ?」

二人「え?」

上条「それで、俺は美琴の兄の上条当麻です」

入院している男は、顔をかきなが自己紹介。

二人「えーーーーーーーーーーーーー!?」

二人の驚愕は病院に響き渡るのだった。

知らない女の声がする。

黒子ではない。

また、兄は見知らぬ女を連れてきた。

以前も迷子になっていた銀髪のシスターを助けて交際を申し込まれたばかりだ。

??「はぁはぁ・・・」

息が苦しい。

兄を考えると苦しくて苦しくて堪らない。

時には、黒子が憎くなる。

この感情は何?

ガチャ。

上条(兄)「よー美琴。すまないな、着替え持ってきてもらって・・・」

兄は笑顔で微笑んで迎えてくれる。

その笑顔は私にとって、眩しくカッコイイ。

上条(妹)「ううん、お兄ちゃん。心配しないで、私も好きでしているんだから」

ドックン、ドックン。

<<1です。
表示されてビックリです。なんかの手違いで二重投稿になったみたいです。><
でも、勿体ないのでそこでも書かせて頂きますのでお許し下さい。

美琴と言われて、二人は気づく。

確かに美琴だった。

ただし、常盤台の制服は変わらないがそれ以外が違った。

長い髪、眼鏡、短パンなし。

どこから見ても『お嬢様』。

美琴「こんにちは。お話は聞いています。今回は兄が本当にご迷惑をおかけしました。ごめんなさい!」

ペコリ。

二人「・・・」

美琴「・・・どうかしたんですか?」

佐天「初春・・・。私、夢見ているのかな?」

佐天は初春のスカートをめくる。

初春「っ!?それで、なんで私のスカート見るんですか!?」

佐天「これが、私の夢覚ましだから」

初春「えーー!?」

そんな二人に対して他の人達は。

??「おい、白井に美琴。なんでそいつ殴ったンだァ?」

白井・美琴「他の女の子の下着を見せないため」

上条「ふ、不幸だ・・・」

上条は壁にめり込んでいた。

??「(俺はァいいのかよ?)」

美琴「・・・」

佐天「ん?」

美琴から何かを感じた。

美琴「さぁさぁお兄ちゃん、そんな所で寝てないで、起きて起きて!」

上条「いや、お前に・・・」

黒子「何か?」

上条「なんでもないです・・・」

今はない。

消えている。いや、そもそもあったかどうかもわからないのだから、臆測はよくない。

それよりも今の自分達の状況を知らなくてはいけない。

佐天「あのーーー」

思う。

”この佐天という女は危険だ”

黒子から、略奪して自分の所有物にしようとしている。

どうにかして、引き離さないといけない。

美琴「・・・佐天さんのお話はわかりました。でも、黒子と同じように今日初めてお会いしたとしか、答えられません」

幸い、この二人は頭がおかしい。

佐天「そんなぁ・・・」

黒子「誰かと待ちがられているとか・・・」

初春「そんなことありません!」

この初春という女は問題ないだろう。

佐天「・・・もしかして」

でも、この佐天という女は危険だ。

佐天「別の世界に来ちゃったとか?」

年下のくせに、黒子よりエロい。

兄の性格を考えれば、好みの女だ。

四人「は?」

佐天「なんか、この壁をくぐってから、少し違和感があったんです」

佐天は右手を上げた。 すると、銀色の渦巻いた壁が現れる。

??「あァ?なんで壁の向こうが外に通じているんだ?」

一方通行の言われるまま壁を見ると、なるほど壁の向こうは外だ。

わかりやすく花園らしき風景が写っている。

佐天「入って見てください」

一方通行「あァ・・・」

ギュオン。

一方通行が壁をくぐる。

一方通行「ははッ!なるほどなァー!アンタの言ったとおりかもしれんな!」

くぐった後、一方通行は叫ぶ。

何かを確信したかのように。

ギュオン。

一方通行が帰って来る。

一方通行「確かに、言われるまで気づかなかったが本物だァ・・・この二人」

美琴「え?」

一方通行「俺がくぐった先、どこだと思う?」

一方通行の指先が下を向けた。

一方通行「ここだァ・・・」

黒子「何を言っておられるのですか、一方通行さん」

一方通行「だからァ・・・俺がくぐったのは別の世界のここだったんだよ」

全員「えーーーーーーー!?」

そんな馬鹿な。

恋人は一体、何を言っている。
頭の古傷の影響でおかしくなった?

佐天の能力はあらゆる並行世界に歩き渡れる能力者だった。

初春「佐天さん、凄いです!みんなが必ず求めてしまう能力を手に入れたんですね!」

佐天「うん・・・そうだね」

初春は大喜びで佐天の能力開源に喜んでくれたが、本人の顔にはあまり笑顔が見られない。

初春「嬉しくないんですか?」

佐天「嬉しいよ?でも、こんな毎回別の世界に通じてしまうなら、あまり意味ないかなって・・・」

初春「え?」

佐天「私は、初春達に役に立ちたい能力が欲しかったから・・・」

初春「佐天さん・・・」

上条「それは違うよ」

佐天「え?」

身動き出来ない上条だが、言葉だけは話せるため、二人の会話に入ってきた。

上条「その能力をどう使うかは、佐天さん次第さ。諦めたら、そこで終わりだけど諦めない限りは0じゃない」

佐天「上条さん・・・」

佐天はその上条の言葉が少し格好いいと思えた。

と、同時に。

佐天「っ!?」

ぞぐ!

佐天は殺気を感じとり振り返る。

一方通行、白井、美琴、初春。

佐天「・・・」

気のせいではなかった。今度は。

殺気はこの四人の中から、あった。

美琴「どうしたの?佐天さん」

佐天「あ、いえ・・・」

この瞬間、佐天は上条と初春以外の三人に対して少し信用が出来なくなるのだった。

初春「ところで、佐天さん。私達って元の世界に帰れるんですか?」

佐天「え?大丈夫でしょ?」

佐天は異世界の壁を現す。

ギュオン。

佐天が中に入った。

数分後。

佐天「きゃーーーーー!!」

泣き叫びながら帰ってくる佐天。

初春「ど、どうしたんですか!?佐天さん!」

佐天「な、なんか怪獣がいて追いかけられたの!!」

初春「え?」

佐天「全身黒くて、青い炎を吐いてた・・・」

初春「一体、どんな世界に行ったんですか!?」

どちらにせよ、佐天は自身の意思で好きな世界に行けるわけではないらしい。

よって。

初春「ど、どうするですか佐天さん!私達帰れなくなってしまったんですか!?」

こういうこととなる。

元の世界に帰れない。

どうしたら、いいのだろうか?

何度やっても元の世界に繋がらなかった。

初春「佐天さん・・・」

佐天「ごめん・・・」

ただ、謝ることしか出来ない。

どうしたらいいのだろうか、途方に暮れる二人に、一部始終を見ていた上条が口を挟んだ。

上条「練習するしかないね。その間は、俺の家で暮らすか?」

二人「え?」

美琴「お兄ちゃん!?」

上条「だって、帰れない以上は誰かが助けないと駄目だろう?」

美琴「・・・」

白井「確かに、一理ありますわね」

一方通行「隣は俺がァいるから、問題もないかァ?」

上条「一方通行が守ってくれるなら、尚更問題なしだな」

美琴「お兄ちゃん・・・」

美琴以外は上条の意見に賛成する。

しかし・・・。

美琴「・・・いいわ。そのかわり早く帰ってもらうために、いっぱい練習させるから・・」

バタン!

美琴は言葉とは裏腹に明らかに拒絶した態度で出って行ってしまった。

佐天「美琴さん・・・」

この世界の御坂とは、仲良く出来ないのかなぁと心から、願う佐天であった。

次の日。

誰もいない場所で佐天、初春、一方通行、美琴の四人は練習を開始した。

勿論、練習内容は佐天の能力のレベルアップ。

佐天「えい!」

佐天け次元の壁を簡単に出せることは出来るようになった。

しかし。

佐天「なんか・・・巨人がいた」

次。

佐天「カードから、モンスターでてた」

次。

佐天「動物が喋っていた・・・」

次。

佐天「なんか、男の人が写真・・・」

美琴「もう、いいわよ!」

美琴はブチ切れた。

美琴「貴方、レベルは?」

佐天「2ですけど・・・」

美琴「決まりね。貴方の能力が低すぎて次元の壁を開く程度しかないのよ!」

佐天「え!?」

美琴「なら、レベルを上げるしかないわ」

佐天「レベルを上げるって・・・」

言葉では簡単だが、そのレベル上げはなかなか難しいことだ。

美琴は携帯を取り出した。

美琴「今から、知り合いの研究員に連絡して一緒に考えましょ? カリキュラムを受ければきっとレベルも上がるわ!」

途端、一方通行が美琴の携帯を奪った。

美琴「なっ!?」

一方通行「それはオススメしねェー案だァなァ・・・美琴」

美琴「なんでよ?」

一方通行「簡単な答えだァ。佐天の能力は、悪い研究者達には最高の実験体だからだ」

佐天「え・・・?」

一方通行の言葉に、佐天は硬直する。

一方通行「考えてみろよォ?別の世界ッてことは、この世界とは全くの無関係の世界だァ」

佐天「無関係の世界・・・」

一方通行「なら、悪い実験も『ここ』じャなく『別で』なら一切問題ねェ」

初春「そんな・・・佐天さんの能力が・・・」

例えばの話。

人体実験がしたい。

でも、この世界だと必ずバレる。

じゃ、もしも他の世界でしたら?

一方通行「まァ・・・アイツが言ッていたろォ? どうするかは、佐天次第だがなァ」

佐天「・・・」

佐天は自分の手を見つめる。

美琴「なら、どうするのよ!」

一方通行「自分で上げるしかないわなァ・・・」

美琴「・・・っち!」

美琴は舌打ちをして、そのまま走ってしまった。

一方通行「やれやれだぜェ・・・」

その行動に目を瞑りながら、呆れ顔をしつつ右手で頭をかく一方通行。

佐天「私・・・」

自分の能力に恐れを抱いたのか、佐天は震えていた。

一方通行「・・・始めたばかりだが、今日はここまでだなァ」

ーーーこうして、佐天の初日の練習は幕を閉じた。

その日の夜。佐天は学園都市の夜の街を歩いていた。

すでに帰宅時間を過ぎているので、店に明かりはなく、電灯の光しかない。

初春「早く、帰って来てくださいね♪」

初春は、佐天の気持ちがわかったのかあえて見送ってくれた。

佐天「私は・・・」

能力の責任、元の世界、自分のレベルアップ。

考えることは山積み。

佐天「どうしたらいいんだろう・・・」

何をどうすべきか、どう行動するのか。

佐天の行動でこの世界のバランスが変わる。

??「何も心配することはないよ。佐天くん」

佐天「え?」

声がする方に振り向けば、いかにも旅の格好をした男が立っていた。

??「私も君と同じ能力者だ。だから、君の気持ちが痛いほどわかる」

佐天「同じ能力?」

男が目を閉じる。

佐天「あっ!?」

男の後ろに佐天と同じ次元の壁が出現した。

男「今開いた世界は、君達の世界に繋がっている」

佐天「本当ですか!?」

男「ああ・・・。これで初春くんと一緒に帰れるよ」

佐天「・・・」

帰れる。

それはどれだけ素晴らしいことだろうか。

男「ただし、だ」

佐天「え?」

男「君の能力は、奪わして貰うというのが条件だがね」

幸せが闇に変わる。

佐天「・・・それは、つまり私は無能力に戻るということですか?」

男「いや、君が望むなら別の能力者にしてあげることが出来る」

佐天「え?」

男「私の目的はあくまでも、今の君の能力を無くすことだ。だから、君が望むなら別の能力を私は、君に渡すことが出来る」

悪くない条件ではある。

元の世界に帰れる、今の能力を奪われても別の能力が手に入れられる。

男「君はとても優しい心の持ち主だ。断るという選択はないはずだ」

佐天「・・・」

自分だけなら、断っていたかもしれない。

でも、初春を巻き込んでしまったことに責任がある。

でも。

佐天「確かに魅力的なお話です。でも、お話だけでは信用出来ません」

男「なるほど、確かにそれは言えてるな」

男は次元の壁から、少し離れる。

男「なら、君の目で確かめるがいい」

佐天「・・・」

ギュオン。

佐天は男が開けた壁の中へと入る。

そして。

バシュン!

壁は消えた。

くぐった先は、学園都市ではなかった。

広い草原、遠くに山が多い場所。

佐天「ここは、どこ?」

男の言葉を信じて歩いて来た。でも、そこは知っている場所ではなかった。

男「まず、謝罪しよう。ここは学園都市ではない」

佐天「っ!」

佐天は振り返り、警戒する。

男「だが、さっきの話は本当だ。君が今の能力を手放してくれるなら、ね」

佐天「嘘をついた人の話は、信用出来ません」

男「そうだろうね。でも、私も君が信用出来なかったんだよ」

男の横から、次元の壁が出現した。

出てきたのは、赤い着物を着た白髪の男。

プラス。

佐天「(頭の上に耳?)」

イメージ的に白犬が人間になったような男性。

男「今ここで、約束してもらいたい。君の能力を手放す約束を・・・」

佐天は理解する。

この男は、確実に佐天の能力を奪うつもりで別の場所や脅迫行為をしてきたのだと。

佐天「お断りします。こんなことをする人を信用することは出来ません」

男「初春くんの気持ちは、どうなるのかね?」

佐天「・・・」

佐天は答えない。が、逃走用として、佐天も次元の壁を出現させる。

男「君に、自由に歩ける力はない。迷子になるつもりかね?」

佐天「賭けです」

佐天の力では、あの二人は危険だと判断。

だから逃げる賭けに出た。

男「仕方がない。交渉決裂だ」

同時に、もう一人の男が飛び上がった。

佐天「っ!」

数秒遅かった。

ザシュ!

血のが流れる。佐天の右腕から。

佐天「あぐっ!?」

見えなかった。佐天の目では男のスピードについていけない。

佐天「ど、どうしたら・・・」

絶体絶命のピンチ。

犬耳がある男「ぐがぁぁぁーーー!!!」

男の咆哮と共にまた。

ピタ。

犬耳の男の動きが止まった。

佐天「・・・え?」

犬耳の男「に、げろ・・・」

佐天「・・・!」

犬耳の男「逃げろって言っているんだよ!」

佐天「あ、はいっ!」

佐天は言われるままに、次元の壁を出現させて飛びこんた。

男「・・・おのれ、犬夜叉。まだ、抗うか?」

犬夜叉「・・・だ、誰が貴様の言う通りにするかよ・・・」

男「・・・ちっ!」

男は犬夜叉を次元の壁へと入れた。

男「まぁ・・・いい。チャンスはいくらでもあるのだから・・・」

そして、男も次元の壁に包まれて消えるのだった。

ギュオン。

ドサッ。

佐天「はぁはぁ・・・」

助かった。

彼があの場で逃げろと言ってくれなければ、佐天はこの場にはいなかっただろう。

佐天「・・・っ!」

緊張感が抜けた影響か、腕のケガが痛くなる。

佐天「でも、早く、初春の所に・・・」

ズキン!

佐天「うっ!」

痛みが強く、意識が遠く。

佐天「・・・」

佐天は意識を失った。

そして。

??「・・・佐天さん?」

誰かが、彼女の名を呼んだ。

目をあける。

見上げた先は、病院の天井だった。

佐天「ここは・・・?」

??「気がついただね・・・」

声のする方に視点を向ければ、常盤台の制服を着た女の子がいた。

??「よかった・・・怪我していて、凄く心配したんだから・・・」

佐天「・・・」

誰?

彼女は自分を知っているけど、佐天は知らない。

佐天「あの・・・貴女が、私を?」

??「そうだけど○○○○○・・・?どうしたの佐天さん。そんな礼儀正しく聞いて?」

佐天「ごめんなさい。助けていただいたのに、こんなこと聞くのは失礼なのはわかっているんですけど・・・」

??「ええ」

佐天「貴方は、誰ですか?」

??「え?私は・・・」

佐天の記憶にいない人間。

インデックス「私はインデックス。貴方と同じ常盤台中学に通っていて、イギリスの留学生」

佐天「インデックス?」

インデックス「まさか、私達が親友ってことも忘れたの佐天さん!?」

佐天「・・・」

佐天は理解した。

ここは別の学園都市世界。

そして。

佐天「(私は初春を・・・)」

世界は魔術が日常化していた。

例えば、お湯を沸かす時も色々な魔術が使われている。

物の錬成、水の召喚、火の召喚。

使用の際は、対価は魔翌力。

一人一人が持っている魔翌力がエネルギー原として、生活をしている。

と言ってもそれは、この学園都市のみの話。

まだまだ進化の要素がある魔術を世界に伝えるのは色々と問題があるため、現状はこの学園都市のみとなっている。

常盤台中学も同じ。

エリートの女子魔術学校。

科学が魔術に変わっただけだ。

でも、その中は御坂も白井もいない。

世界が変われば似ているようでも、全然違う。

佐天は記憶喪失者と医者に判断された。

もちろん、どうしてそんなことになるという話があるが、佐天自身もこの世界のことを自由に動けるために、そう判断した。

そのおかげか、自分の友達と言ってくれるインデックスと名乗る少女は、優しく接してくれた。

現在、佐天の目的は初春がいるあの世界に帰ること。

能力で次元の壁は開ける。でも、確率が低すぎて意味がない。

そのため、とりあえずはこの世界で自分の能力向上の手がかりを探すことに。

佐天「(罪悪感はあるけど、それでも・・・)」

佐天は決意する。

人間としての基本的動作記憶は、喪失していないと医者に言われていることが幸いした。

あくまでもこの学園都市の生活ルールや日常情勢、佐天の周囲の把握に集中できるからだ。

それに佐天自身本人も、記憶喪失者ではないので好都合であった。

とりあえず、仮退院という形で病院を出る佐天は、インデックスに連れられて今、住んでいる寮へと行くことに。

インデックス「あっ、でも私は移動魔法使えないんだった・・・」

インデックスは思い出す。

インデックス「仕方がない・・・ね」

佐天「?」

インデックスは指輪をはめた。

インデックスが移動魔術を躊躇う理由。

それは、目的地場所に移動したつもりでも、かなりの誤差が生じてしまうから。

インデックス「やっぱり、失敗しちゃたなかー」

インデックスはため息をついた。

佐天「ははは・・・ドンマイ」

ここは女子トイレ。

どうやら、寮のトイレに移動してしまったらしい。

もちろん、インデックスはトイレを目的地にしていたつもりなどない。

目的地は、寮の出入口だ。

インデックス「何でかなー?どうして、私 は指輪の魔術を上手く使えないんだろ?」

佐天「インデックスは、指輪で魔術を行使しているの?」

インデックス「そうだよ。以前は口で呪文を唱えていたんだけど、ある理由でやめたんだよ」

佐天「ある理由?」

二人はトイレから出る。

インデックス「当麻って人に魔術消されたの」

佐天「当麻?」

聞き覚えのある名前だと佐天は思う。

インデックス「それで、私以前の魔術全部忘れてしまったから、今は指輪の魔術で過ごしているんだよ」

佐天「そうなんだ・・・」

インデックスも大変なことがあったんだなぁーと思う矢先。

??「インデックス!」

大声で二人の前に現れたのは、赤髪で背が高い男性。

??「好きだ!僕と結婚してくれ!!」

佐天「えーーーーー!?」

この男、一体何を言っているだろうか?

インデックス「また、来たの?ステイル」

インデックスはうんざりした表情で彼を見た。

佐天は初対面なので、見た目はカッコいいと思った。

佐天「誰ですか?」

インデックス「以前の私の、彼氏だよ」

佐天「はい?」

以前とは、一体?

ステイル「僕は、何度でも言おう!インデックス、僕と結婚してくれ!」

インデックス「嫌だよ。私は当麻のお嫁さんになるつもりだから」

佐天「えーーーーー!?」

佐天の仰天など、無視をして二人の会話は続く。

ステイル「インデックス!」

ガシッ!

ステイルがインデックスの肩を掴んだ。

インデックス「離して!もう、私に関わらないで!」

ステイル「君は騙されているんだ!アイツに!」

インデックス「それを決めるのは、私であって貴方じゃない!」

ステイル「アイツはすでに結婚しているだ!君に勝ち目なんかない!」

インデックス「五月蝿い!」

インデックスは指輪をはめた。

佐天「・・・結婚って・・・」

この世界の上条はもしかすると。

ステイルのしつこさから、逃げるために再び指輪の魔術を行使したインデックス。

佐天も一緒になぜだか、巻き込まれて再び転送。

着いた場所は公園。

その公園は、姿形はとても自分が知っている公園に似ていた。

インデックス「ごめんね、佐天さん。巻き込んじゃって・・・」

佐天「ううん、いいよ・・・それより」

インデックス「何?」

佐天「さっき、結婚しているって言っていたけど、インデックスの好きな人ってと大人の人?」

インデックス「ううん。高校一年だよ」

佐天「はい?」

インデックスは佐天が唖然とする顔を見て、彼女が記憶喪失だったことを思い出して付け加えた。

インデックス「この学園都市では、結婚は13歳からで、子供は16歳から作っていい法律になっているんだよ」

佐天「えーーーーー!?」

確かにそれが採用されているなら、中学生同志の結婚も納得いく・・・が。

佐天「結婚・・・かぁ」

佐天は、仮に自分の世界でこの法律が採用されていたとして、自分と結婚してほしいいう男性などいるのかなぁーと思った。

とりあえず、今寮に帰るとステイルがいるかも知れないので、少し時間潰しをすることに。

時間潰しといえば喫茶店。

カランカラン。

店員「いらしゃいませー!」

インデックス「二名です」

店員「こちらにどうぞ」

二人は店員に案内された席に座る。

インデックス「何にする?」

佐天「じゃぁ・・・」

インデックス「私も同じやつで・・・」

店員「かしこまりました!」

二人はそれから、色々なお話をした。

佐天も情報収集したかったから、ちょうどよかった。

裏側。

次元の壁が開く。

ギュオン。

現れたのは、佐天に犬夜叉を仕向けさせた男。

男「この世界は・・・」

ふと、地面に倒れている人間を見つけた。

どうやら、精神が崩壊してしまっている。

男「これは、ちょうどいい・・・」

男は倒れている人間に触れる。

ビキッ!

??「あ、ああ!ああああ!」

ヒビがはいる。体にヒビが。

まるで、鏡のように。

そして。

ガシャーン!

割れた。

男「おめでとう。君は新しく生まれ変わった」

人間?「わ、わたし、私は?」

男「君はファントムという新しい人種に生まれ変わった」

人間?「ファントム?」

男「仲間を作るといい。絶望という引き金で・・・」

ファントム「絶望・・・」

男「そして、最終的に・・・」

男は微笑んだ。

男「佐天涙子を始末するんだ!あの男のようにしないためにも!」

佐天はふと、思った。

この世界の私は、どんな人間なんだろうか、と。

インデックスは、目の前にいる佐天を過去の佐天と同じと思っている。

当然。誰が別の世界の佐天だと思うだろうか。

佐天「ねぇ、インデックス。以前の私ってどんな性格で、どんな魔術を使っていたの?」

インデックス「うーん・・・性格は変わってないね」

佐天「そ、そうなんだ・・・」

ということは、たまに目の前にいるインデックスのスカートをめくっていたのかもしれない。

インデックス「魔術は、召喚魔術を得意としていたよ」

佐天「召喚魔術?」

インデックス「うん、確か別の世界の人や物を呼ぶ感じって言っていたよ」

佐天「別の世界・・・」

佐天は手を見た。

この世界の佐天が、別の世界の物や人間が呼ぶ魔術を使えるというキーワードに自分の能力に似ていたからだ。

佐天「(私も・・・もしかしたら)」

佐天「インデックス。私が、どんな方法で召喚魔術を使っていたのかわからない?」

インデックス「え?」

佐天「インデックスが、魔術を使っているところを見たら、私もやってみたいと思って・・・」

インデックス「うーん・・・」

インデックスは考え込んでしまった。理由としては、問題ないはずだ。

なら、なぜ悩む必要がある。

インデックス「ごめん。私は佐天さんの魔術を見たことはないの・・・」

佐天「え?」

インデックス「以前の佐天さんは、人の前では魔術は全然見せなかっただよ」

佐天「そうなの?」

人には見せてない。では、どうやって佐天の魔術が召喚魔術だと判明したのだろうか?

佐天「じゃ、インデックスはどうして以前の私が、召喚魔術を行使していたって知っているの?」

インデックス「聞いたんだよ」

佐天「誰に?」

インデックス「知らない人」

佐天「知らない人って・・・」

佐天はインデックスが何を言っているのかわからなくなってくる。

インデックス「実はね。その人から教えてもらったんだよ」

佐天「何を?」

インデックス「記憶を失う前の私は、貴方と友達なんだって・・・」

佐天「・・・記憶を失う前?」

インデックスは、笑った。

インデックス「実は、私も記憶力喪失者なんだー」

佐天「!?」

この意味は?一体、何。

インデックスの過去。

気がついたら、二人の男がいた。

一人は当麻という名前。

でも、もう一人は名前は教えてくれない。

??「早く、病院に連れて行きなさい。君の友達が心配しているよ」

インデックス「友達?」

??「佐天涙子。それが、君の友達だ」

その後、インデックスは病院にて記憶喪失や過去の自分、助けてくれたのは当麻だということを医師からきいたのだ。

つまり、最初に記憶を教えてくれたのはその男である。

ては、その男の正体は?

誰?

裏側。

ステイル「くそっ!」

ガン!

ステイルは壁を蹴り、懐からポッキーをくわえた。

ステイル「あの当麻という男さえ、いなければ・・・・・」

悪意が目覚める。

考えてみればなんのために魔術がある。

ステイル「僕の魔術は彼女のためにあるんだ!」

だったら。

??「面白そうなお話をしているね・・・」

振り返る。

ステイル「君は・・・」

??「私が協力してあげようか?」

それは笑った。

夜。

佐天の世界では、夜間の外出は禁止されているがこの世界はされてない。

一応、インデックスに尋ねてみる。

インデックス「外出禁止令?そんなのないよ。大体、魔術って夜じゃないと効力発揮出来ないもん」

確かに魔術の多くは、夜でないと使えないものも多い。しかし、ここは学生の街。

夜は何かと危険。やはり、禁止するべきだ。

インデックス「まぁ・・・小学生は禁止されているけど、中学生から了承されているんだよねー」

佐天「どうして?」

インデックス「ほら、中学生から結婚できるって言ったでしょ?」

佐天「うん」

インデックス「結婚できるくらいの勇気があるなら、外出の危険性なんてしっているでしょ?」

佐天「えー?それは飛躍的すぎじゃ・・・」

飛躍的すぎるが、恐らくそれも理由の一つ。

要するに、この学園都市の中学生は大人だと認定されているから、外出禁止令がないのだろう。

もちろん、他にも色々あるがこの件についてはこれで納得しても問題はない。

??「しかし、寮に住む学生に関しては、すべて私の規則を守る約束だが?」

二人「え?」

声がした。

そして・・・。

コギュ!

佐天の意識は飛んだ。

再び目を開けると、そこは何もない真っ白な空間だった。

佐天「ここは・・・どこ?」

次元の壁が現れる。

ギュオン。

中から現れたのは、以前襲って来た男。

佐天「あなたは!?」

男「また会ったね。佐天くん」

佐天「っ!」

佐天は逃げようと、自身の能力で次元の壁を出そうとしたが出来なかった。

佐天「っ!?」

男「無駄だよ。ここは、君の夢の中・・・夢の中では能力など発動するはずもないだろう?」

佐天「なっ!?」

新たなる真実。

この次元の壁は相手の夢世界までも渡り歩けるという優れもの。

しかし、だとすれば謎が残る。

こんなチート紛いな能力を使えるなら、男はいつでも佐天を消せたはずだ。

男「私はそこまで非常ではない・・・が、君が強情な行動を移すなら考えるかな?」

男は笑う。

佐天「私は今、能力を失うわけにはいきません。あの世界に置いてきてしまった初春を元の世界に帰さない限りは・・・」

男「私が助けるっと言っているのだが?」

佐天「信用ありません」

一度、本気で襲っておいて信用しろと言われても説得力などない。

男「・・・そうか。なら、仕方がない」

男は再び次元の壁を出現させた。

男「佐天くんは、今いる世界はどう思うかね?」

佐天「?」

男「科学ではなく、魔術の世界の学園都市のことだよ」

佐天「少なくとも、私は良い世界だと思っています」

男「そうか・・・それは、残念だ」

男は壁をくぐる。

男「目覚めたら、真っ先にインデックスくんの指輪を見ると良い。そこにこの世界の闇があるのだから・・・」

佐天「それって・・・」

そこで、夢は途切れた。

佐天「はっ!?」

ガバッ!

気がつけば自分はベットの上で寝ていた。服装はパジャマ服。

しかし、自分には服を着替えた記憶はない。

インデックス「むにゃむにゃ・・・当麻ー結婚してー・・・」

健やかに寝ているインデックスを見ると、もしかしたら彼女が着替えさせてくれたもしれない。

佐天「ここは・・・?」

辺りを見渡す。

見覚えがある部屋だった。

正確にいえば、見覚えがあるような部屋だった。

佐天「御坂さんや白井さんが、暮らしている寮・・・」

訂正。

御坂や白井が暮らしている寮と同じ寮。

恐らく、以前の佐天が常盤台の学生のためにここで住んでいたのだろう。

佐天「そうだ・・・」

佐天は夢の中で、男に言われたことを思い出す。

佐天「ごめんね、インデックス・・・」

ペコリと寝ているインデックスに頭を下げて、側にあった指輪を触る。

佐天「っ!?」

と、同時に佐天の視界が暗くなった。

辺りは真っ暗だ。

佐天「・・・ここは」

自分の夢の世界に似た感覚を感じる。

??「誰?」

暗闇から声がした。

??「貴方は誰?」

佐天「私は佐天涙子。ねぇ・・・姿を見せて。一緒にお話しよう?」

??「また、契約者?」

佐天「契約者?」

??「貴方、私の能力を使うために契約しにきたんでしょ?」

佐天「何、それ?」

??「ふーん・・・そういう反応なんだぁー」

シュン!

姿を見せる。相手は、とても綺麗な外人。

フレンダ「私はフレンダ。えーと、佐天だっけ?ここに契約じゃなかったら何しに来たの?」

佐天「えーと、インデックスの指輪を調べていたら・・・」

フレンダ「ふーん・・・貴方は、指輪の正体って知ってる?」

佐天「指輪の正体?」

フレンダ「そう。指輪の正体は、生きた人間を媒介に生成された代物だってことを・・・」

佐天「えっ?」

佐天の息が一瞬止まった。

フレンダ「何?そんなことも知らなかったの?」

佐天「で、でも、貴方は今ここに・・・」

フレンダ「ここ?ここは私の魂の世界。想像すれば・・・ほら!」

パチン!

フレンダの合図と共に暗闇から、空は明るく周りは人形だらけに。

佐天「・・・そんなことって・・・」

フレンダ「同情ならいらないよ?っていうかしてほしくないし・・・」

佐天「同情って・・・」

フレンダは微笑む。

フレンダ「話は終わり。契約しないなら、帰ってねー」

佐天「ちょっ!?」

佐天の全身に強い風が当たる。

そして、止まった時には佐天は寮に戻っているのだった。

指輪の魔術の特徴は『誰でも使える魔術』。

そのため、魔術が上手く使えない人々は、ほとんどを指輪の魔術師に切り替えて生活をしていた。

しかし、この指輪の魔術は人間を媒介にして、その媒介となった人間の契約者にならなければ使用できないという弱点である。

さらに、強い指輪の魔術となった人間の契約も難しく問題点はいくつかあった。

だけど、それを差し引いても便利的なので沢山の学生が指輪を求めた。

そう、沢山の人間を媒介して。

朝。

インデックスの案内で、食堂に向かう途中において、佐天は彼女が指輪の詳細をしっているか訪ねた。

インデックス「知ってるよ?人間を媒介にしていることは・・・」

佐天「・・・その、フレンダに会ったの?」

インデックス「ん?佐天さん、私の指輪触ったの?」

佐天「うん・・・ごめん」

佐天は暗い表情で謝罪する一方で、インデックスは笑顔で済ます。

インデックス「いいよ。私も最初は、動揺したもん」

佐天「でも・・・」

インデックス「じゃ、貴方はどうしたいの?」

佐天「それは・・・」

インデックス「悪いけど、フレンダを含めて指輪になった人達は助けられないよ?」

佐天「!?どうして!」

インデックス「指輪の媒介になったときに、肉体は消えてしまって魂だけの存在になっているんだよ。だから、帰る肉体がない以上、帰らない」

佐天「なら!」

インデックスは佐天の口を防いだ。

インデックス「佐天さん。記憶がないから、あえて言うけど・・・魔術の世界は生きた人間を媒介しないと存続出来ないだよ」

佐天「っ!!」

インデックス「だから、その対策の一つとしての早期の結婚や繁栄なんだろうね」

インデックスは佐天の口を解放して、再び食堂へ歩く。

佐天「・・・」

佐天は思った。

それでも、助けたい・・・と。

だから・・・。

佐天「ごめん、インデックス・・・」

インデックスに、別れを告げて佐天は寮に出るのだった。

いくつかのインデックスの指輪を盗んで。

裏側。

ステイル「本当に、これで彼女の心は俺に振り向くのか?」

??「ええ、女の子の助言を信用して?」
ステイル「だが、これは・・・」

??「女の子はね、待っているわよ?」

ステイル「・・・」

ガチャ。

インデックス「ステイル!?どうして、寮の中に・・・っ!」

バタン!

ドタドタ。

寮長「何か、大きな音が聞こえたが?」

??「いいえ?何も・・・気のせいでは?」

寮長「そうか・・・」

寮長は通り過ぎる。

そして、再び振り向いた。

寮長「夏休みだからといって、はめを外さないようにな初春」

初春「はい。寮長さん♪」

初春は笑顔で答えた。

思いきって、指輪を持ち出して寮から抜け出したのは、よかったが・・・。

佐天「どうしたら・・・元に戻すことが出来るかな?」

あてもなく佐天は街を歩いていた。

周りは皆、指輪の魔術を使うことを悪とは思わない学生達ばかり。

味方もなく、気づかれば佐天自身が消される可能性もありえる話。

佐天「・・・とりあえず、図書館かな・・・?」

幸いなのは、まだ誰も佐天の目的を知らないこと。

つまりは、まだ学生として動ける。

佐天は図書館に行こうと案内図を探す。

ドン!

佐天「あ、ごめんなさい!」

気持ちがまだ、落ち着いていなかったせいか誰かにぶつかってしまった。

??「わっ!?」

グシャ!

同時に何か割れる音が聞こえた。

卵パックだ。卵は全滅だった。

佐天「ご、ごめんなさい!卵が・・・」

??「あーうん。もう、慣れたし諦めたよ」

声は男。おはしん心配かけまいとわざとらしく元気に振る舞っていた。

佐天「でも・・・?」

佐天はふと、その男の髪型に見覚えがあることに気付いた。

ウニ頭。

佐天「上条さん・・・?」

恐る恐る予想の答えを得るために訪ねると。

上条「へっ?なんで君は俺の名前知ってるの?」

上条が不思議そうな顔で佐天を見るのだった。

佐天「上条さん!!」

ガバッ!

佐天は嬉しさのあまりに思わず抱きついてしまった。

上条「え?え!?え?」

当然、何も理解出来ない上条は混乱に落ちいていた。

ドサ。

物が落ちる音。

二人は抱き合ったまま見る。

??「ーーーーーー!!!」

そこに一人の女性がいた。

上条「五和!?ご、誤解だれはてん・・・」

五和と呼ばれた女性は、どこからともなく長い棒を取り出して。

五和「成敗!!」

バキーーン!!

上条「ぶべっ!」

ぶっ飛ばした。ちなみに佐天は危険を感知してすでに離れていた。

上条「ふ、不幸だ・・・」

チーン。

上条は死んだ。

佐天「本当にごめんなさい!」

佐天は頭を深く下げて、謝罪をした。

五和「いえいえ・・・私も早とちりしてしまって・・・」

上条「ふ、不幸だ・・・」

佐天「実は、上条さんの無力化する能力を頼りたいんです」

五和「当麻さんのですか?」

生き返った上条の不幸言葉は無視する二人。というよりも誤魔化すための無視。

佐天「はい、これです!」

話は続き、佐天は指輪を二人に見せる。

佐天「お願いします!この指輪にされた人達を元に戻して下さい!」

佐天は悲痛な思いを抱きながら叫んで頼む。

だが。

上条「ごめん。俺の力じゃ指輪を使えなくすることは出来るけど、元に戻すことは出来ないんだ・・・」

佐天「えっ・・・」

不可能の宣告。

上条「詳しく言えば、その指輪にされた人達の魂だけなら解放は出来る。でも、解放された人達にはもう帰る肉体がないから天に召されるしかないんだ・・・」

佐天「なら、肉体を!」

五和は悲しい顔で呟いた。

五和「魔術で人は生き返せないわ」

佐天「そ、そんなっ・・・!!」

絶望が襲った。

ピシッ!

二人「!?」

佐天の頬にヒビが入る。

佐天「え?」

佐天も気づき、手を見た。

メキパリ。

佐天の体が、鏡のひび割れようになって広がっていく。

佐天「な、なにこれ・・・?」

上条「まずい!」

バシュン!

上条が、右手で触ると消えた。

佐天「こ、これは・・・一体」

不安そうになる佐天は上条を見る。

上条「君は一瞬、ファントムになりかけたんだよ」

佐天「ファントム?」

上条「そう。そして・・・それが指輪の原石だ」

上条から聞かされる真実。

裏。

ステイル「君は・・・誰だ?」

インデックス「インデックスだよ?」

ステイル「違う!僕の知ってる彼女は・・・」

インデックスは微笑む。

インデックス「正確に言えば、私は佐天の友達でもないし貴方が好きなインデックスでもないよ?」

ステイル「なっ!?」

インデックス「私は、この世界で初めて指輪を作ったインデックスだね」

ステイル「っ!?」

ステイルを覆っていた魔方陣が激しく光。

ステイル「が、がああああーーー!」

そして、ステイルは絶叫をしつつ消えた。

その場に赤色の指輪を残して。

インデックス「よいしょっと!」

インデックスは指輪をはめて、目を閉じる。

インデックス「じゃ、最強の指輪を作ろうかな?」

笑った。

五和「かつて、人は指輪をファントムを媒介にして作っていました」

五和「でも、元となるファントムが減少してしまい、インデックスはならばと人間を媒介する方式を作った」

上条「そして、現在に至るわけだ・・・」

上条と五和は虎視眈々と話す。

しかし、佐天はそんな二人に怒りを覚えた。

佐天「だから?それで、見てみる振りをしていたんですか!?」

上条「・・・」

上条は何も言わない。

佐天「答えて下さい!」

五和「しましたよ。それが、指輪にされた人達の魂を解放するしか出来ない結論です」

佐天「え!?」

五和「上条さんは助けようと努力しました!でも、みんなを元に戻すことは出来なかったんです!」

佐天「そんな・・・」

上条「・・・」

上条は何も言わない。ただ黙って佐天と指輪を見るだけだった。

??「なるほどね、それが上条当麻の絶望の種だね・・・」

三人「っ!?」

三人は声が聞こえたら方へ一斉に振り向く。

そこにいたのはインデックス。

佐天「インデックス?」

佐天は近づこうと一歩前を歩く・・・、ほ二歩めは上条に止められた。

上条「近づくな!なんか様子が変だ!?」

インデックス「クス・・・」

インデックスは微笑む。


ブゥン。

五和「っ!」

五和の体が魔方陣にかけられる。

上条「五和!?」

五和「上条さん!」

上条は右手で五和に手を差し伸べようと走るが。

バシュン。

コロコロ。

数秒遅く、五和は指輪になってしまった。

佐天「そ、そんな・・・」

座り込む佐天。

指輪になった人間は、元には戻らない。それは上条の力で、あっても。

つまり、この世界に五和は存在しなくなったのだ。

インデックス「はい、まずは一人だね♪」

指輪にした張本人は、クスクスとあざ笑いながら今の光景を楽しむ。

上条「てめぇ・・・、一体何が目的だ?」

インデックス「すべての人間を指輪にして、最強の指輪を作ること♪」

インデックスは指輪の力で空を飛ぶ。

佐天「空を飛んだ!?・・・指輪ってそこまで・・・」

上条「待って!!」

インデックス「さぁ!私の指輪よ。この学園都市にいる全ての人間を指輪に変えて!!」

指輪はインデックスの願いを唱えると共に光輝いて、学園都市全体を包み込もうとする。

上条「俺から、離れるな!!」

上条が右手をかざしてつつ、佐天の側へ。

佐天「あ、はい!!」

佐天は五和の指輪を拾い、上条の袖を掴んで目を閉じた。

そして、光の方はそんなことお構いなしに広げた。

インデックス「クス・・・無駄なことを」

インデックスは、また微笑む。

目をあけた。

目の前は真っ黒だった。

佐天「あ、あれ?」

一体何が起きたのだろうか。

気がつけば傍にいたはずの上条がいなかった。

佐天「上条さん?」

名前を呼ぶが反応はない。

??「無駄だよ佐天くん。上条当麻は死んだ」

聞き覚えのある声。

声の正体は、佐天の能力を奪おうとしている名も知らぬ男。

佐天「死んだ?何ふざけたこと言っているんですか!?」

男「死んださ。何故ならここは宇宙だからね」

佐天「へっ?」

この男の言っている意味がわからない。

男「インデックスくんは、指輪に願いを込めた。最強の指輪になってほしいと・・・だから、指輪は答えた」

佐天「・・・」

男「最強になるために、一つの銀河を媒介したのさ」

男は懐から指輪を出す。指輪の色は青色。
男の言葉が本当ならその指輪の名称は『宇宙の指輪』。

佐天「・・・じゃ、どうして上条さんとインデックスはいないんですか?」

男は笑う。

男「人間が宇宙で生きられるわけないだろう?」

佐天「!?」

男「そして・・・」

男は指輪を佐天の方へ投げた。

男「これは私からの、前払いの物だよ」

佐天「えっ?」

再び佐天は暗闇に閉じ込められる。

今度の暗闇には覚えがあった。

フレンダと出会った時の感覚。

つまり、ここは契約の世界。

しかし、誰と契約をするのか。

??「こんにちはー!!」

佐天「きゃぁ!?」

いきなり大声にビックリしてしまい、転けてしまう佐天。

??「大丈夫?」

佐天「うん・・・」

差し出された手を握る。

佐天「(冷たいっ!?)」

差し出された手はとても冷たかった。

??「ん?これが貴方の体温ね」

そう呟くと同時に、手は温かいなっていく。

??「改めまして・・・ようこそ。契約の世界へ」

佐天「貴方は・・・」

宇宙の指輪「貴方の認識で言えば、私は宇宙の指輪だよ」

佐天は宇宙と契約するための世界に来ていた。

佐天「嫌です」

佐天はきっぱりと断った。

宇宙の指輪「へっ?」

さすがに予想外だったのかぼーぜんとする宇宙の指輪。

佐天「私、契約なんかしたくありません」

宇宙の指輪「なんで?」

佐天「それはあらゆる犠牲にした指輪。むしろ媒介にした人達を解散したいです!」

宇宙の指輪「ふーん・・・」

冷めたような目で見てくる。

佐天「・・・」

宇宙の指輪「それは無理。だって、ここに来た時点で契約完了してるもん♪」

佐天「っ!?」

宇宙の指輪はそう言うと佐天の姿に変身する。変身自体は不可能ではない。

ここは精神の世界。

何にでも変身出来るし、変えられる。

しかし、佐天に変身した理由は。

宇宙の指輪「貴方と私じゃ、支配権の優劣が違うもん」

相手は宇宙。佐天は人間。勝てる要素などどこにもない。

佐天「そんな・・・」

佐天は絶望する。

ビシッ!

体にヒビが入る。

宇宙の指輪「ん?貴方、ファントムの資格持っていたのね」

ビシッビシッ。

佐天「あ、あああ・・・」

止まらない。

希望が絶望に・・・。

宇宙の指輪「大丈夫。貴方はファントムなんかにならないわ」

佐天の姿に変身した宇宙の指輪が、佐天に触れる。

バシュン!

佐天「あっ・・・?」

ヒビが消えた。苦しみもなくなった。

宇宙の指輪「さぁ・・・これで完全に貴方は私の主人になったわ」

宇宙の指輪は佐天に指輪をはめて、腰にベルトをつけた。

宇宙の指輪「私の力は強大すぎるから、この装置でコントロールしてね」

佐天「あ、貴方は一体・・・」

宇宙の指輪「能力は、火、風、大地、水、雷、闇、光。あと、その属性になると性格代わる変わるから気を付けてね♪」

佐天の意思など関係なく、話を進める宇宙の指輪。

宇宙の指輪「じゃ!さっさと次の世界へゴー!」

ドン!

佐天「きゃ!?」

佐天は押されら気づけば次元の壁に飲まれてしまった。

後に残された宇宙の指輪。

宇宙の指輪「沢山世界を回ってね主人。私が最強の指輪になるために」

そして、消えた。

これまでの佐天「世界を渡り歩ける能力かぁ・・・」は・・・( >>2~>>151まで)

学園都市の能力検査で、いきなりレベル2の(パラレルワールド)世界を渡り歩ける能力を手に入れた佐天。
だが、レベルが低いために元の世界に帰れなくなったり、謎の男の襲撃などで一緒にいた初春とも離ればなれになってしまう。
初春と一緒に元の世界へ帰ること。
そう決意した佐天は、次に行き着いた『魔術が支配している学園都市世界』にて能力向上を目指す。しかし、その際にその世界の事件に巻き込まれて『宇宙の指輪』と強制的に契約させられてしまった。
『宇宙の指輪』は『魔術が支配している学園都市世界』を支配していた地球やあらゆる生命や銀河を媒介している強力な魔術道具。
そんな強力魔術を行使出来る指輪と世界を渡り歩ける能力を持つ佐天涙子。
果たして、彼女の運命は・・・・・・?

??の世界。

男「どうかな?新しく生まれ変わった肉体はゴーレム」

ゴーレム「悪いけど、その名前は止めてくださいよ?女の子としてはその名前はダサすぎですよ」

初春「初春で・・・と名乗りますよ?」

男「以前の名前を使うというのかい?」

初春「可愛いですから♪」

ギュオン。

三人に見知らぬ女の子が表れた。

男「紹介しよう。君のお友達だ」

三人「・・・」

初春「あれ?貴方は確か・・・?」

初春はある一人の存在に気づく。

初春「よろしくね、御坂さん♪」

御坂「・・・」

そこに御坂美琴の姿があった。

ギュオン。

佐天「きゃ!」

佐天は尻餅をついた。

佐天「痛たたた・・・」

気付けばもう、別の世界に来てしまっていた。

佐天「・・・」

佐天は指輪を見る。

指輪はとても綺麗に、そして佐天の視点からは不気味に輝いていた。

そして、腰には手の形をしたベルト。

佐天「・・・どうやって、使うのこれ?」

??「きゃーーー!」

佐天「っ!?」

悲鳴。どこにからか。

??「おら!待ちやがれ!!」

空からだ。

空を飛ぶ男二名と女一名。

佐天「空を飛ぶ世界?」

疑問が口にしたとき、佐天の意識が飛ぶ。

??「ふーん♪面白そうね」

ガシャン。

『ダーク!』

??「変身!!」

空が暗くなった。

男1「ん?急に空が暗くなったぞ!?」

男2「あ?」

男達の動きが止まる。

一方の女性の方は、とにかく必死に逃げていたため、そのまま走る。

男1「あっ!?しまった!」

我を返した男達は、追おうとした。

が。

男達の視界が真っ暗になった。

電気も光もない暗黒の世界。

男1「な、なんだ!?」

男2「一体、これは!?」

動揺する二人の男性。

??「クスクス・・・」

そこへ声がした。

男1「ん?誰だ!」

なにも見えなくなった空間の真相を早く知りたいがために大声をあげる。

しかし、返ってきた答えは。

男2「う、うぁぁぁぁぁーーーーー!!」

相方の悲鳴だった。

男1「おい!?どうした、なにがあったんだ!?」

返事はない。

シーンと静まる空間。

男1「ちくしょう!この、この!!」

何もなく、悲鳴という返事という答えで男の思考は、ただ自分を守るために暴れる。

??「クスクス・・・」

そして、笑い声はそれを嘲笑った。

『ループ』

声が聞こえた。機械声だが。

男1「っ!」

男は身構える。何がこようと対応出来るために。

シーン。

しかし、何も起きない。

男1「・・・?」

どういうことだろうか?

男2は逃げている。

何と?

それはわからない。

でも、この真っ暗な暗闇の中でこれだけは理解出来ていた。

『止まれば、終わる』

だから、男2は走る。

いつ終わるかわからない無限の逃走を。

??「無限。それは終わりのないエンドレスワールド・・・」

男1は永遠に暗闇の中に閉じ込めらた。

決して、出られない暗闇世界。

男2は何かに終われているという恐怖に永遠に逃げ続ける。

決して、終わることない追いかけっこ。

??「人の恐怖、死、憎悪、悪、人々から闇と言われている魔術と感情を持つ者・・・」

黒い肌、ゴリロスのドレス、黒い日傘を持った少女。

佐天「私は闇の魔術を使う佐天涙子。そして通りに名は・・・」

彼女は微笑む。

佐天「ヤンデレの佐天」

佐天の精神世界。

佐天「貴方、誰!?」

ヤンデレ「貴方と同じ佐天だよ?」

佐天「私、そんな格好も性格も肌も黒くならないわ!」

ヤンデレ「ううん、なるよ?だって、私は貴方の一部だもん」

佐天「一部・・・」

つまり、佐天の裏の顔。

人はなんにでもなれる。このヤンデレ佐天も魔術で生まれたが、元は佐天だから分身みたいなもの。

佐天「・・・」

ヤンデレ「安心していいよ。さっきの男達は命までは奪ってないよ?」

佐天「でも、二人の人生を奪ったわ」

ヤンデレ「闇の魔術は強力なのよ」

佐天「・・・っ」

ギリリと佐天の口から鳴る。

やはりこの指輪は危険なものらしい。

だか、契約は破棄出来ない。

ヤンデレ「安心して『私』。今度からは呼ばれるまで出てこないわ」

佐天「・・・でも」

ヤンデレ佐天は笑顔を見せた。

ヤンデレ「大丈夫。貴方に嫌われたくないもの♪」

そうして、彼女は消えた。恐らく眠りについたのかもしれない。

佐天「・・・」

指輪を見る佐天。

恐らく他の属性魔術も自分の真相部分を型となった性格のはず。

佐天「・・・悩んでいてもしょうがないか」

だが、前者に書いたように破棄は出来ない。

だから、後はどう使うのかは佐天次第である。

第?学区

??「教授」

教授「はーい、なんですかー?」

??「逃走していたクローンは死亡が確認されました」

教授「了ー解。お疲れ様って二人に言っといて♪」

教授は手をヒラヒラさせて、立ち去ろうとする。

??「いえ、最初の二人ではなく、後続の者が始末しました」

ピタ。

教授「ん?最初の二人は取り逃がしたの?」

??「はい、そのようですが・・・」

どうも歯切れが悪い。

教授「何?」

??「どこをどういうことなのか、その二人は植物人間になっていました」

教授「はい?」

言っている意味がわらない。

いや、仮に一人だけなら偶然かもしれないが、二人同時とはありえない。

教授「つまり、だれがクローンの助けて、二人を植物人間にしたと?」

??「・・・ゼロでない可能性です」

教授「うーん・・・」

飛躍的過ぎる。

憶測はミスをおかす。

だが・・・。

教授「貴方はそうだと?」

??は頷いた。

教授「そう、ならそういう想定のプランで動きましょう。貴方の勘って当たるし・・・」

??「わかりました・・・」

教授「でも、もしも・・・」

??「・・・」

教授「貴方の勘が本当なら、ちょっとまずいかもね」

教授は見上げた。

そこにあるのは無数のクローンが眠っていた。

とりあえず、上条の家に行くことにした。

理由は、あの世界のことをそれほど知らなかったから。

だから、この世界が自分の認識する学園都市ならば行ってみるだけの価値がある。

それに駄目だったら、また別世界に行けばいいだけの話だ。

佐天「つい、弾みで空を飛べる世界かなとか思ったけど、違うみたいだね・・・」

空には誰も飛んでいない。

街も人も地面を歩いていた。

ほぼ学生が。

学園都市は学生の街と認識してもいい都市。

だから、同世代の少年少女がいても一切不思議ではない。

佐天「えーと、確かこっちだったかなー?」

佐天は売る覚え感覚で上条の家までの道を歩くが、全く見つからない。

考えてもみれば、今日に至るまで色々と大きな騒動に巻き込まれているのだから、売る覚えの上条家にたどり着く確率は低い。

佐天「仕方がない、誰かに聞いてみよう」

出来たら、この世界の人達と干渉はしたくなかったが致し方ないだろう。

佐天「あのーすいません・・・」

佐天は丁度、目の前から歩いてくる女性に尋ねてみることにする。

??「何かしら?」

佐天「上条という人が暮らしているマンションを探しているんですが・・・知りませんか?」

??「上条?」

佐天「はい」

??「上条は私だけど・・・」

佐天「はい?」

上条「上条当子って名前」

佐天「あ、私が探さしているのは当麻という右手に何でも無力化する能力を持っている人です」

上条「そうなの?私と同じ能力がいるの?」

佐天「へ?」

上条当子という女性は微笑んだ。

上条「私も右手に同じ能力をもっているのよ」

佐天「( ; ゜Д゜)」

ここは一体。

上条「どうぞー」

佐天「お邪魔しますー」

上条の住むマンションに着いて、確定となった。

佐天「(ここも別世界の学園都市・・・)」

確定は佐天の絶望なった。

ピシッ!

佐天「っ!?」

右手にひびが現れた。この現象は、ファントムになってしまう予兆だ。

佐天「ううっ!」

ガクリと佐天は崩れ落ちる。

上条「どうしたの!?」

家の玄関に入った瞬間、苦しみだす佐天に動揺してしまう上条。

だが、その原因はすぐにわかる。

佐天の体がどんどんひび割れになっていくのだから。

佐天「くぅ!」

上条「しっかりして!」

上条は右手で佐天に触れる。

バシュン!

ひび割れは音と共に消滅した。

上条「これって一体・・・」

佐天「・・・」

佐天はこれが指輪を得た代価か、おもうのだった。

ともあれ、この上条当子の能力で防ぐことは判明した以上は、佐天としても何らかのファントム化対策をしなければいけないだろう。

今のままでは、目的地どころか自身の命さえ危険だ。

佐天「実は・・・」

佐天は上手く指輪の真相は隠して、自身のことや別の世界から来たこと、初春のこと、襲われた男ことを話した。

指輪の真相を隠したのは危険度だ。

『宇宙が消滅するよ?』

あの宇宙の指輪が嘘をつくとは思えないし、あの場面ではつく理由もないからだ。

だから、上条にはこの指輪はあの男からもらった指輪というだけで留めた。

少なくとも嘘はいってはいない。

上条「・・・わかった」

上条は一通り聞くと頷き。

上条「そのファントム化が治まるまで、一緒にいよう!」

あっさりと承諾してしまう

佐天「・・・」

どうやら、どこの世界でも上条という名の人間はある意味お人好しなのかもしれないと、佐天は素直におもうのだった。

数日後、第?学区。

初春「うわー!クローンが沢山いますねー♪」

御坂「・・・」

沢山製造されたクローン達に、壮観する初春だが、御坂の顔はとても険しかった。

初春「どうしたんですか?御坂さん」

御坂「・・・何でもないわ、ただどの世界であろうと人間のやることは変わらないん認識しただけよ」

初春「ふーん・・・」

御坂は初春に背を向ける。

初春「どこへ、行かれるのですか?」

御坂「どこへ行こうと問題ないはずよ?目的は同じだもの」

御坂のその言葉に初春は笑う。

初春「そうですね。でも、何をしてもいいですけど間違えないで下さいね?」

御坂「・・・」

初春「私達の目的は、あくまでも佐天さんの『死』なんですから」

御坂「ええ・・・」

そして、御坂は立ち去る。

残された初春はクローン達を見た。

初春「さて・・・あの人間やグリードはどう動くのかな?」

彼女にとっては、人が絶望してファントムになるのならなんでもよかった。

なぜなら、彼女は人間ではないからだ。

問題がある。

それは上条と一緒に暮らすということは、上条の生活費を自分にも回してもらわなければならないことだ。

協力してもらい、生活も面倒みてくれる行為。

当然、佐天はこれを無償で預かる気などない。

そのため、とりあえず上条と一緒に働けるバイトを探すことにした。

一緒に働く理由は、ファントム化を防ぐためでもあるし、生活面を安定させることだ。

佐天「でも・・・上条さんはともかく、私は偽造書類なんですよねー」

上条「だから、いいっていっているのよ?」

佐天「いや、無理です。それは人たして最低限のことだと思います」

居候して迷惑しかかけないなんて最低な人間がすることだ。

佐天「(でも、あてがないしなー)」

言葉では正義感を説いても、現実はそうではない。

??「(なら、私が解決してみましようか?)」

佐天にささやく、謎の声。

ガシャン。

上条「ん?いきなりベルトが・・・?」

機械音『アクア』

佐天「変身っ!」

ドッバーン!!

佐天の大声と共に、大量の水が溢れでた。

水魔術を得意とする佐天涙子の誕生である。

佐天「でも・・・上条さんはともかく、私は偽造書類なんですよねー」

上条「だから、いいっていっているのよ?」

佐天「いや、無理です。それは人たして最低限のことだと思います」

居候して迷惑しかかけないなんて最低な人間がすることだ。

佐天「(でも、あてがないしなー)」

言葉では正義感を説いても、現実はそうではない。

??「(なら、私が解決してみましようか?)」

佐天にささやく、謎の声。

ガシャン。

上条「ん?いきなりベルトが・・・?」

機械音『アクア』

佐天「変身っ!」

ドッバーン!!

佐天の大声と共に、大量の水が溢れでた。

水魔術を得意とする佐天涙子の誕生である。

その日の夜、上条のマンション。

ドサッ!

佐天「はい、上条さん。とりあえず、一ヶ月分として一千万円用意しました」

上条「( ; ゜Д゜)」

目の前には札束の山。こんな光景は生まれてみたことなど上条にはない。

佐天「大丈夫です。すべて合法ですから一切上条さんに影響しません♪」

水色の髪と目、青いセーラー服を着た佐天は微笑んだ。

上条「え、と・・・何してきたの?」

佐天「お金稼いできたんですよ?」

キョトンする佐天だが、このようなことをしているのだから、誤魔化しているに違いない。

上条「いや、どうやって稼いできたのってきているをですよ!?」

佐天「ネットを使って、悪いことをしているお店を潰して、その感謝代です」

上条「(-_-;)」

上条は今日から、このモードの佐天は最強の佐天と命名しようと思うのだった。

<<1です。

前々回、バグで連続投稿されたことをお詫び申し上げます。

どう時刻、どこかの路地裏。

悪者「くそ、なんだあの佐天って小娘は!?」

バン!

壁に八つ当たりをする悪者。

彼は佐天によって日干しされた悪者だ。

悪者「おかげで、全てがパーだ!」

悪者は妄想を抱き、佐天が泣く姿を思い描く。

悪者「復讐だ!あの佐天って小娘に復讐してやる!!」

??「いいですわね、その欲望・・・」

悪者「あっ?」

??「貴方のその欲望、叶えましょう・・・」

チャリーン。

悪者「・・・」

??「ふふ、ふふふ・・・」

そして、この世界の佐天の物語が始まった。

さらに数日後。

お互いが女性だったことが幸か不幸か二人の共同生活順調だった・・・わけではない。

佐天「そんな・・・じっと見ないで下さい」

上条「・・・14歳で、その体はヤバいと私は思う」

佐天は上条よりスタイルが優秀だった。そのため、上条の服では着こなすことは不可能であったために購入することになるのだが・・・。

上条「不幸です。高校生が中学生に負けるなんて・・・」

佐天「先に言いますけど、凄く邪魔なんですよ?」

一体、なんの話をしていることやら。

洋服も購入し、荷物は上条家へ発送。

上条「(結構、お金かかったな・・・。やはり他人との生活って金いるんだなー)」

上条は、もらった一千万円を少し使いつつ、金の有り難みを痛感するした。

上条「・・・まぁ、ともあれ洋服も買えたしこのまま帰りましょう」

佐天「え?」

上条の言葉にキョトンする佐天。

佐天「何言っているんですか?これから情報収集ために色々と調べたり行ったりしないと!」

上条「( ; ゜Д゜)」

上条は不幸ですと何故か思ってしまうのだった。

さて、 本題に入ろう。

前回は、水の魔術を得意とする佐天の知恵によって、資金集めをしたが今回は本格的な情報、この学園都市の闇について調べるため、彼女の『知恵』だけでは足りない。

そこで彼女ほどの『知恵』はないが、情報面採集のみなら得意とする『佐天』がいた。

つまり、今回は集めるだけ集めてから『知恵』の佐天に任せるという戦法だ。

上条「私・・・いなくていいじゃない」

この作戦に上条は要らない、とはならない。

確かに佐天だけで終わる話だが、それは違う。

上条がいるからこそ、動ける作戦。

いつ絶望してファントム化してさまう自分をどう対策する?

佐天「だから、上条さんが必要なんです!」

上条「・・・」

上条は札束を見た。

上条「わかった・・・。頑張って佐天さん」

成る程、さすが最強の佐天と名付けただけあるだろう。

"仮にいるだけの存在だとしても、報酬を既にもらっているのだから、文句のいいようがない状態"を作らされている。

佐天はベルトを装着して、指輪をベルト付近に近づけた。

機械音『ライトニング』

音声音と共に、佐天の上空に雷が落下した。

雷の魔術を得意とする佐天の誕生である。

黄色い髪、常に放電し続ける電気と黄色の服。

ライトニング佐天だ。

佐天「・・・」

機械音『ネットワーク』

指輪が光る。

同時に多くの情報が佐天へ流れ込んだ。

佐天「・・・っ!?」

そして、佐天は涙を流す。

上条「どうしたの!?」

佐天「なんてもない・・」

佐天は涙を拭い、指輪をベルトに近づける。

機械音『アクア』

バッシャーン!

水しぶきが起こり、中からはアクア佐天が現れる。

上条「ん?」

眼鏡をかけて。

佐天「ああ・・これ?イメージよ」

上条「ふーん・・」

眼鏡の恐ろしいことは、どんな人間てみあっても最初は優秀な人間に見えてしまうこと。

まぁ・・・アクア佐天の場合はそのままだが。

佐天「・・・見つけた」

上条「え?」

佐天は上条に手を伸ばす。

佐天「書くもの・・・」

上条「あ、ああ・・」

流されるように上条は佐天に鉛筆とメモ帳を渡す。

佐天「ありがとう」

お礼を言う佐天。

ガリガリガリ!!

上条「え!?」

同時に、メモ帳は一瞬で文字で埋まる。

佐天「はい」

上条「・・・」

受けとった。

佐天「後は、彼女に任せるわ。どうするのかを」

バシュン。

そういい残すと、アクア佐天は佐天に戻った。

上条「なんかすごかったよ・・・」

佐天「そう言っても、あまり記憶ないから自覚が・・・ね」

どうやら、変身中は記憶があまりないらしい。性格が豹変することが原因しれしれないが。

佐天「さ、とにかく手掛かりがあるかメモ帳を見てみよう!」

佐天は気にしていないらしい。

ペラペラ。

佐天「・・・」

上条「何かあったか?」

佐天「クローン製造・・・」

上条「クローン?」

佐天「第八学区にある○○○×××の付近の地下にクローンの製造をしていて、そこにいるはずのない人間がいるみたいなの」

上条「いるはずない人間?」

佐天「初春・・・」

上条「初春?」

佐天「今から、百年前に死んだはずの私の友人がそこにいるのよ」

上条「百年前って、どうしてそんなこと・・・」

佐天「・・・調べてわかったのよ。さっきので歴史を」

上条「・・・」

佐天「ここは、私が行きたかった学園都市の百年後の世界!」

そして、佐天は指を指す。

佐天「そして、貴方は百年前の上条さんと初春との間に出来た子孫なのよ!」

上条「えーーーー!?」

教授「今から、百年前にある二人の学生がこの学園都市に現れた・・・」

教授「そして、僅か数日足らずでそのうちの一人の学生は消え、残された学生はお世話になった学生と数年後に結婚した」

教授「でも、夫の義妹は彼女の存在を許せなかった・・・」

夫の妻『なんで、どうしてこんな・・・』

夫の義妹『私は認めない・・・。お兄ちゃんの側に相応しいのは私だもの!!』

教授「そして、始末した義妹は兄を支配した」

教授「でも、妻の方も生きていた」

教授「百年後の今、彼女の脳は我がクローン 製造を守るためのゲートキーパーの守護神として・・・ね」

教授は、カプセルに入った脳を眺めた。

ここは第八学区にある、とある地下室。

教授は学園都市のクローン技術を使って、あることを計画していた。

支配だ。

全世界の。

??「いい欲望ですわ。その欲望をもっと強く願って下さい」

教授「・・・貴方は、確かグリードだったかしら?」

白井「確かに私はグリードですが、人間の姿では白井とお呼びください」

白井は微笑む。

教授「変な関係ね、私達は・・・」

白井「貴方は欲望を叶えるための契約として私を、私は貴方から生まれるセルメダルの回収をする・・・それだけの関係ですわ」

教授「いえ、そういう意味じゃないのよ」

白井「?」

教授「私の祖母はある人間とよく協力して物事を動いていた。貴方は、名前も姿も一緒なのよ」

白井「ああ・・・貴方の部屋にあった私ですか?」

教授「あれ、百年前の写真なのよ。祖母の掟で飾っているのよ」

白井「名前は?」

教授「白井黒子と御坂美琴。私の祖母のか過去の名よ」

白井「過去?」

上条教授「今は上条になっているのよ」

上条教授は再びクローンを見る。

上条「・・・ゲートキーパーが望むもの。それは佐天涙子のクローン」

佐天のクローン「・・・」

ボコボコとビーカーの空気水が鳴るのだった。

プルルル。

『妹』と携帯に文字が浮かぶ。

ガチャ。

上条教授「もしもし、どうしたの?こんな時間に、まだ授業中でしょう?」

妹『うん、ごめんね。お姉ちゃんに尋ねたいことがあって電話したの』

上条教授「尋ねたいこと?」

妹『うん、あのね・・・』

妹『佐天涙子って知っている?』

上条教授「佐天?知らないわ。その人がどうしたの?」

妹『あのね・・・』



妹『今から、来るって・・・』

ドガーーーーン!!

天上から何が落ちてきた。

上条教授「・・・っ!?」

そこにいたのは、いかにも番長という姿の女の子。

??「ランド佐天・・・土の魔術を得意とするもんだ」

上条教授「佐天!?」

佐天「さぁ、お仕置きの時間だ!御坂美琴の子孫!!」

上条教授「御坂美琴の子孫だって?」

彼女は笑う。

上条教授「あははは!何を言い出すかと言えば、そんな当たり前のことを」

佐天「『表向き』はね。でも、実際は義兄が義妹を妊娠させたとしたらどうなる?」

上条教授「証拠がない。だから、憶測に過ぎない」

バシュン。

佐天は元の姿に戻った。

佐天「・・・私にとって、そんなことはどうでもいいわ」

ピク。

上条教授「どうでもいい?」

上条教授「どうでもいいわけないじゃない?義理とはいえ、兄が妹に手を上げるなんて問題よ?」

佐天「・・・もう一度、言います。私にとって、それは問題じゃないんです」

上条教授「気にいらないわね、それじゃ何が問題なのよ」

佐天「貴女が初春の脳を使用していることです」

上条教授はその佐天の言葉に微笑む。

上条教授「ふーん・・・そっちを問題にしているんだ」

カチッ。

上条教授「なら、止めてみなさいよ♪」

上条教授はスイッチを押した。

パチ。

佐天クローンが眼を開く。

パチパチパチ。

次々と開く。

佐天「っ!?」

上条教授「さぁ・・・実験よ。本物とクローンのどちらが生き残るのかしら?」

ビーカーの水が引き下げ、裸の姿であるが次々と地面を歩くクローン佐天。

佐天クローン「・・・」

佐天「私が、こんなに・・・」

上条教授「戦え」

パチン!

佐天「っ!」

上条の合図と共に、飛びかかってくるクローン佐天。その数、五十人以上。

佐天「なら!」

機械音『フレイム』

佐天は指輪をベルトに近づけて、魔術を発動させる。

属性は炎。フレイム佐天の誕生だ。

ブォーーーンと炎が佐天を包む。

上条教授「何・・・っ?」

現れたのは紅い眼、紅い髪、赤色の学ラン。

佐天「さぁ、ショータイムよ!」

佐天の炎が全てを包む。

変身したのは良かったが、佐天は思った。

どう戦うべきなのか、を。

相手はクローンとはいえ、人間であり自分自身。

これほど戦い難いのはなかなかないだろう。

佐天「・・・」

佐天はある決断をした。

機械音『フェニックス』

佐天は魔術を使う。一方の相手は、何か仕掛けてくるという意味しかわからない。

上条教授「・・・」

パチン。

上条が再び指を鳴らす。

佐天クローン「・・・っ!」

指の音共に、クローン佐天は佐天に襲いかかってきた。

佐天「っ!」

逃げる場所などなく、すぐさま捕まってしまう。

そして。

チッチッチ。

時計の音。

佐天「爆弾!?」

一人のクローン佐天に取り付けられた危険物。

カッ!!

辺りは真っ白になり、全ての佐天がバラバラになるのだった。

・・・数分後。

佐天が進入した地下室は崩れ落ちていた。

クローン達の自爆で地下室が吹き飛んだのだ。

当然、佐天もクローン佐天も・・・。

しかし、上条は生きていた。白井に助けられていたからだ。

上条教授「感謝するわ。白井」

白井「勘違いしないでください。貴方は契約者ですから、死なれたら困るんですのよ」

上条は崩れ落ちた地下室を眺める。

上条教授「ちょっと、クローンを失うのは痛かったかな?」

白井「別に気にする必要はないのでは?ここは製造工場の1つに過ぎませんし・・・」

上条教授「でも、お金がかかるから大変なのよ?クローンも」

白井「欲望ですか?お金が欲しいという」

上条教授「些細な欲望だけどね。私の欲望は世界だもの」

白井「・・・」

上条教授「世界に私達存在を認めさせることが欲望だもの」

二人はその場を去る。ここにいると色々と面倒になるのは明白だからだ。

そして。

ゴオォォォォ!

地下跡地から、無数の炎が現それそれらが一つとなる。

炎は人の形に変わり、やがて実体へ。

佐天「・・・」

佐天は生き返った。

炎の魔術『フェニックス』
使用すれば、短期間に死ぬと蘇生される復活魔術である。

ただ疑問もある。どうして、佐天はふっかつ魔術をしたのだろうか?

佐天「・・・何も出来なかった」

答え。

佐天はクローンを攻撃するのをためらってしまったからだ。

つまり、あの時に上条がクローンを目覚めさせた時点で佐天は上条に負けを認めてしまっていた。

佐天「・・・」

手掛かりは沢山ある。でも、あのクローン達をなんとかしないと守りの一方であり犠牲が増加する。

佐天「・・・どうしよう。私、出来ない」

答えはわかっている。でも、出来ない。

佐天は優しすぎた。まだ、こんな状況下であっても非情になれなかった。

ガタガタ。

佐天「・・・っ!」

地面から何かが動く。

佐天「・・・」

おそるおそる佐天は、近づき岩を退かす。

??「・・・ぅう」

生き残った佐天クローンだった。

佐天「・・・」

ガチャ。

機械音『エンジェル』

佐天から翼が生えた。

機械音『ホーリーヒーリング』

佐天「・・・」

佐天が持つ指輪から光が枚散る。

佐天クローン「・・・」

クローンは眼を開けた。

佐天「大丈夫?もう、怖くないよ?」

微笑む佐天。その笑みに曇りなどなく、正に純粋そのものだった。

佐天クローン「・・・ママ」

佐天「・・・え」

佐天クローン「ママ・・・」

佐天「・・・」

佐天クローン「ママ!」

抱きっ!

ギュ!

佐天「・・・」

佐天「・・・あれ?どうしてこうなったのだろう?」

第?学区。

コツコツ。

上条教授「・・・」

パチン。

上条が指を鳴らす。

初春「はいはーい、なんですかー?」

上条教授「他の三人はどこ?」

上条の質問に答えるように三人は現れる。

御坂「・・・」

白井「どうしましたか? 上条さん」

??「・・・」

上条教授「もうすぐ、本物の佐天涙子がここに来るわ」

御坂「・・・佐天さんが?」

上条の発言に、御坂がいち早く反応する。

上条教授「そ。・・・悪いけど始末してくれない?」

初春「えー? 貴方の問題ですよね?」

上条教授「なっ!? 私がクローンを量産しなかったら困るでしょう!?」

初春「いいえー、全然」

白井「私も・・・」

??「・・・」

上条教授「えっ・・・」

それは予想外の答え。

白井「失礼ですが、私達は貴方の研究に一切興味ありません」

初春「どっちかというと、佐天さんに夢を潰された後の絶望する貴方が見たいですね♪」

??「・・・」

三人はやる気なさそうな声で理由を言う。

上条教授「なっ、なっ、なっ・・・」

??「だいだい欲望がくだらない」

上条教授「っ! 貴様らっ!」

ジャキン!

上条教授は懐から拳銃を散りだして、三人に向けるが、三人に反応はない。

完全に彼女を甘くみていた。

上条教授「私の夢を、よくも!!」

御坂「待って。・・・私がするわ」

御坂が上条教授の拳銃を下ろさせる。

上条教授「おば・・・」

御坂「いや、やめてそれは・・・」

さすがに、この歳で呼ばれたくない御坂。

御坂「・・・とりあえず、佐天涙子の件は私が片付ける」

御坂美琴が動いた。

少し、脇道の話をしよう。

この世界には『アイテム』という組織がありました。

メンバーは三人の女子と機械人間と男一人。

リーダーは浜面仕上、ミカサ、フレンダ、サヤで機械人間は本多忠勝という。

彼らと機械人間にはある共通の部分があった。

『過去の記憶がない』

『アイテム』という組織を結成した以前の記憶がなく、しかもなんで組織を結成したのかさえも知らない。ただ、自分達は仲間だという確信はあった。

仕事は組織名通りのアイテム売り。

武器、麻薬、お金、人間など購入者が望むものを売るという仕事。

もちろんこれは闇仕事。

でも、そうしなければ生きていけなかった。

世界は過去の記憶がない者を表側に受け入れてはくれないが、学園都市は裏側なら生かしてくれた。

だからそう生きている。

絶望な話もあるが、明るい話題もあった。

組織内での恋愛。

浜面仕上とフレンダは恋人同士で、将来は結婚する約束も。

ただ、浜面仕上は年頃の男だったため、一部は『アウト』領域があり、他の三人に引かれてはいる。

フレンダ「どう考えも、私は中学生の体で浜面は高校生の体くらいなのに妊娠させる気まんまんって訳よ?」

浜面「妊娠!? やべー・・・ますますハッスルしたくなった」

フレンダ「うわー・・・引くわー」

三人「・・・(呆れる)」

しかし、三人やフレンダも含めて当の浜面さえも本心では子供が欲しかった。

何か『生きがい』が欲しかったからなのか、過去の記憶がない者達だから本当の『家族』欲しかったのか、そのキッカケはわからない。

浜面「まぁ・・・それは、後でいくらでも調教できるし」

フレンダ「えーー? 調教決定って訳なの?」

三人「・・・(早く、本題入ろうよ・・・)」

本題にはいる。

浜面「仕事です」

サヤ「どんな?」

浜面「第七学区にある○○○会社の襲撃者の撃退。希望は『死』」

ミカサ「死が希望って、尋常じゃない。確実性が求められている」

浜面「そ。だから今回は俺達『アイテム』が武器として行く」

本多忠勝「・・・」

フレンダ「ハイハーイ! 今回は私が行きまーす」

フレンダが、元気よく手を上げた。

三人「却下」

フレンダ「(゜д゜)」

浜面「今回は、確実性を求められているんだ。本多を主力に真っ向から仕掛ける」

フレンダ「・・・えー」

ピコーン。

その時、フレンダはあることを思いついた。

フレンダ「ねぇ、浜面。ミキシマックスメモリーを頂戴♪」

ミキシマックスメモリー。
それは相手の気を吸収したメモリー型強化道具であり、それを体に差し込めば一時的にその相手の能力を誰でも使用出来る便利な道具のことである。

どうやらフレンダは、それを使って自身を今よりも強くなって挑戦しようとしているようだ。

浜面「却下だ。ミキシマックスメモリーを渡すのはいいが、一人で戦うのは無し」

フレンダ「むーーー(・ε・)」

ピコーン。

むくれていたフレンダは、再びあることを思いつく。

フレンダ「ダーリン~!」

浜面・三人「!?」

フレンダは浜面にいきなり抱きついた。

フレンダ「お願~い・・・一人で戦いたいの」

浜面「はふ・・・」

耳元にささやくフレンダ。さらには胸を浜面に当てていく。

お色気だ。

フレンダ「・・・帰ったら、ダーリンの望みのままになるから~」

浜面「うん、いいよ!」

即答した。

三人「[ピーーー]」

この瞬間、三人は[ピーーー]ばいいのにと素直に思うのだった。

テスト。
[ピーーー]。
[ピーーー]。
死ぬ。
死んだ。

なるほど。
『死・ね』と『殺・す』は禁句ですか。

機械音『バリアー』

佐天クローンの全身が、薄い膜らしきものに包み込まれる。

佐天「これで、貴方は一切ダメージを受けることはないからね」

佐天クローン「うん、ありがとうママ♪」

佐天「ママ・・・ね」

嬉しいような悲しいような、そんな気分な佐天。

本当は、上条妹に預かってもらおうと思ってケータイに連絡をいれたが反応なし。

ここで待っててと言い聞かせても一向に離れず。

仕方なしに、指輪の力で絶対防御魔術を施して行くことに。

佐天「(本当は日を改めて、出直したかったけど・・・)」

ちらりと佐天クローンを見る。

佐天クローン「ママ・・・?」

佐天「なーんでもないよ、行こうか?」

佐天クローン「うん!」

時間が過ぎれば過ぎるほど、あの上条はまた沢山の佐天クローンを製造するかもしれない。

そんな可能性があることを佐天は作りたくはなかった。

機械音『ライトニング』

変身して再び探索へ。

・・・ピシ。

佐天クローン「・・・?」

音も。

プルルル。

ガチャ。

上条教授「はいはーい。お姉ちゃんですよー?」

妹「お姉ちゃん・・・」

上条教授「んー?」

妹「もう、やめてよ!これ以上、罪を重ねないで!」

上条教授「・・・」

姉にとって、妹からそんな言葉がでることは一番嫌だった。

だけど、もう引き戻せない。

上条教授「罪って何?」

妹「え?」

上条教授「罪って誰が決めているの?」

妹「それは・・・」

上条教授「『人』でしょ?」

この世に基準値などない。

所詮は人が定めたルールに過ぎない。

なら、そのルールを変えればいい。

どうやって?

人々に認めさせることだ。

そして、人がもっとも認め、安易に納得させる方法が戦争。

上条教授はクローンを使って、戦争を起こそうとしていた。

しかし、戦争を起こす場合など理由がある。

妹「世界にクローン製造を認めさせることなの?」

妹の疑問。

上条教授「違うわ。これは私のワガママよ。だから、貴方は何も心配しないで。絶対に迷惑かけないから」

ブツン。

通話を切った。

上条教授「・・・そう、言ってももう迷惑かけるかけているから、あの子も動くわよね」

上条はある装置を見る。

『ゲートキーパー』

そこには初春の脳が眠っていた。

第11学区、○○○科学研究所の玄関前。

警備員がいない。

そこにいたのは常盤台の制服を着た、女子中学生。

御坂美琴だった。

佐天「み、御坂さん・・・?」

御坂「初めましてっていうのかしら、佐天さん」

佐天「えっ・・・」

御坂「私は、貴女が知っている御坂美琴ではないけど、それに近い御坂美琴よ」

その意味は、別の世界の御坂美琴。

佐天クローン「・・・?」

佐天クローンは解らず、佐天を見る。

佐天「別の世界の御坂さんですか?」

御坂「そうね。そう認識してもらった方がいいわ」

御坂は微笑んでいるが、その行動は明らかだった。

佐天の敵。

佐天「御坂さんは、このクローンのことどう思っているんですか?」

御坂「反対するわよ。戦争の道具とか佐天さんのクローンとかとにかく、嫌ね」

なるほど。確かに、この御坂美琴は自分が知る御坂美琴に近い存在かもしれない。

佐天の知る御坂美琴もまた、悪を絶対に許さない精神をプライドを持ち合わせた人だった。

御坂「だから、この件が片付いたらあの人には悪いけど、ぶっ潰させてもらうわ」

佐天クローン「ママ・・」

佐天クローンは何となく佐天の袖を掴む。恐らく、御坂に対して恐怖感を抱いたんだろう。

御坂「勿論、その子も責任をもって保護するわ」

佐天「・・・」

御坂「でも・・・」

御坂はポケットからコインを取り出す。

御坂「それは、貴女を消した後での話よ。佐天さん」

佐天「・・・そう、ですか」

こうなるのはことは、立ちはだかった時からわかってはいた。

佐天「教えて下さい。どうして、御坂さんは戦うんですか?」

御坂「・・・私が知る『佐天さん』を助けるため、よ」

佐天「・・・それって!?」

ズキューーーーン!!

御坂の十八番であるレールガンが佐天に向けて放たれた。

機械音『フレイム』

しかし、佐天も瞬時に指輪でフレイム佐天に変身。

バシュンと炎と電撃の双方が衝突する。

佐天「御坂さん!」

御坂「佐天さん!」

激しい激突が開幕した。

激しい爆発音が地下まで響いた。

しかし、それも五分足らずで止んで静かになる。

フレンダ「どうやら、決着ついたんだ」

話は聞いている。玄関で、レベル5クラスの人間が先陣をきるという話。

正直、レベル5クラスの人間が現れたら結果は見えている。

フレンダ「うーん・・・罠とか全部無駄になっちゃったわけなのよ」

後片付けが大変だ。

プルルル。

電話だ。相手は『浜面』と浮かんでいる。

ガチャ。

フレンダ「はいはーい、未来の貴方の妻のフレンダでーす♪」

浜面『・・・フレンダ』

フレンダ「んー?」

浜面『お前はどこまで、過去を覚えている?』

フレンダ「一番古い記憶は、ベットで目が覚めたことかな」

目が覚めた時、本当に何も覚えていなかった。

医者に診断されて、リハビリして、浜面達と会って、『アイテム』を結成して。

それ以前の記憶はまだ、戻ってない。

浜面『フレンダは『アイテム』という言葉に違和感とかないのか?』

フレンダ「ないけど・・・ど、どうしたの浜面?」

電話の先の浜面は何か変だ。

浜面『なんでもないさ。すぐにみんなを連れてそっちに行くよ』

フレンダ「あ、いや・・・もう、終わったみたいなんでこれから片付けの準備に移るってわけです」

浜面『そうなのか? だったら、なおさら人手がいるな」

フレンダ「そうなのよ。これからが本番ってわけよ」

浜面『どんだけ罠作ったんだよ・・・』

フレンダ「あははは・・・・」

浜面『それじゃぁ・・・また、後で・・・』

フレンダ「うん」

ブツリ、ツーツー。

電話終了。

フレンダ「・・・」

さっきの浜面は少しおかしかった。そう、フレンダは思う。

そして。

コツコツ。

フレンダ「・・・」

佐天「・・・」

佐天クローン「・・・」

早く浜面に会いに行こうと、心の底から思った。

圧倒的だった。

佐天は御坂美琴を倒した。しかも無傷で。

佐天「・・・あは」

すごく嬉しかった。あのレベル5をこれほど圧倒できるなんて、想像もしていなかった。

佐天クローン「ツンツン」

佐天クローンは動かない御坂をつつく。

御坂「・・・う」

佐天「・・・」

違和感を覚えた。

『コレハホントウニミサカサンカ?』

佐天の知る御坂美琴はこんなに弱くないはずだ。

どんなことがあっても『必ず』立ち上がって、勝利へと導き勝つ人だ。

機械音『ダーク』

指輪の黒い闇が佐天を包み、姿を変えさせる。

白と黒のドレス風の洋服、黒いストッキング、黒い肌、黒いパラソル。

悪女をイメージした姿。

佐天「ねぇ・・・御坂さん。もっと真剣に戦ってくださいよぉ~?」

佐天クローン「・・・」

黒いパラソルの先を御坂の頬に当てる。

御坂「・・・っ!」

パリ。

機械音『グラビティ』

ズシン!

御坂「っ!?」

瞬時に、魔術が発動して御坂を拘束する。

佐天「・・・くす」

ミシミシ。

御坂「あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

重力の重みが、そのまま御坂へ。

佐天「ふふ、あははは!! いい声ですよ、御坂さん! もっと、もっとです!」

御坂の叫び声がとても気持ちいいと感じる佐天。

快楽。

人の不幸を笑う象徴の闇。

佐天の心は圧倒的な強さに酔ってしまった。それがヤンデレ佐天を呼び出す引き金となった。

機械音『ソード』

ヤンデレ佐天は他の佐天と決定的に違う部分があった。

佐天「じゃあね♪ ニセモノの御坂さん」

グサッと真っ黒い剣が御坂の左胸を突き刺す。

御坂「あ゛、ぐ!?」

命を奪うことに一切の躊躇いがないことだ。

フレンダは死者だ。

生前、麦野という女性に体を半分にされて死亡した。

それを浜面は思い出した。

そもそも、なんでフレンダは死者という認識を思っているのかというと見ていたから。

この学園都市ではなく『別の』学園都市からの記憶。

死んだフレンダが生き返った理由は、記憶の抹消。

なんでもある世界では、『記憶』を完全消去することで『死者』という認識を消して黄泉の世界から、舞い戻ることができる方法がある。

フレンダもそれだ。

ただし、記憶が戻って『死者』であると少しでも感じとると、たちまち黄泉の世界から舞い戻ってしまう難点もある。

ではなぜ、浜面はそれを忘れていたのか。

答えは簡単だ。

浜面も死者だからだ。

浜面「・・・フレンダ」

フレンダ『んー?』

浜面「お前はどこまで、過去を覚えている?」

フレンダ『一番古い記憶は、ベットで目が覚めたことかな』

浜面「フレンダは『アイテム』という言葉に違和感とかないのか?」

フレンダ『ないけど・・・ど、どうしたの浜面?』

まだフレンダは、何も思い出してはいないらしい。

浜面「なんでもないさ。すぐにみんなを連れてそっちに行くよ」

フレンダ『あ、いや・・・もう、終わったみたいなんでこれから片付けの準備に移るってわけです』

浜面「そうなのか? だったら、なおさら人手がいるな」

フレンダ『そうなのよ。これからが本番ってわけよ』

浜面「どんだけ罠作ったんだよ・・・」

フレンダ『あははは・・・・』

浜面「それじゃぁ・・・また、後で・・・」

後はない。

だって、浜面は・・・。

??「・・・ふふ」

そして、それを笑われた。

佐天クローンは学んだ。

これがオリジナルの佐天涙子だと。

目の前で困っている人を助け、様々な力を持ち、敵対する人間を絶対に許さない佐天涙子。

では、もしも敵対する人間に自分が人質にされてしまったら?

他の佐天クローン達も人質にされてしまったら?

フレンダ「ミキシマックス『小鳥遊六花』!!」

佐天「!?」

フレンダの雰囲気がガラリと変わる。

服装は同じなのに、髪が変わって眼帯がつく。

フレンダ「さぁさぁ!! ここから、反撃ってわけよ!」

佐天クローン「・・・」

ママを実験してみたい。

そう、クローンは思った。

初春「ん?」

監視カメラから二人の戦いを観戦する中で、初春はある事に気づいた。

ギュオン。

そこへ次元の壁が現れ、一人の女性が初春に話しかける。

??「さすがファントム。気づくのが早いわね」

初春「ジャン・スナマロ・・・いえ、ジャンヌと呼んだ方が貴方は呼びなれていたかしら?」

ジャンヌ「ええ。そうね」

ジャンヌは髪を触る。

そこで初春はジャンヌの姿に違和感を覚えた。

初春「貴方本当にジャンヌ?・・・確か・・・?」

ジャンヌ「私の本当の体は、もうないから他の人の体を奪って生きているのよ」

初春「確かこの体の記憶では、食蜂操祈だったかしら?」

ジャンヌ「『あちら側』の佐天さんが、この女を吸収したおかげよ」

初春「ふーん・・・」

初春にとって、あまりジャンヌ自体に興味はなかった。

彼女の目的はあくまでもファントムの増殖。

自分と同じ仲間を作ることのみである。

ジャンヌ「それよりも『こちら側』の佐天さんは、どう?」

監視カメラを覗くジャンヌ。

初春「・・・何か、あのクローンがするみたいですよ?」

初春は微笑んだ。

どうしてこうなった。

佐天は思う。

佐天クローン「ママ・・・ごめんなさい」

彼女にフレンダが持っている刃が突きつけられる。

フレンダ「・・・どうやら、私の勝ちってわけみたいね」

戦いは、圧倒的に佐天が有利だった。

しかし、不意につかれた際にあろうことか、佐天クローンが絶対防御の魔術を解いて庇ってしまったのだ。

佐天クローン「ママ・・・」

彼女の悲しそうな顔に焦りが走る佐天。

フレンダ「さぁ・・・指輪を抜いて地面に置きなさい」

佐天「・・・」

佐天は指輪を見た。

バシュン。

すると、指輪は消えてしまった。

佐天「え?」

この現象に、衝撃を受けるがフレンダには関係ない。

フレンダ「!!・・・私は地面に置けっと言ったはずなのに!」

佐天「ち、違うの!指輪が勝手に・・・!」

その時だった。

ザシュ!

佐天クローンは自分で、フレンダの持つ刃を首に突き刺した。

二人「!?」

血が噴水のように飛び流れて。

二人の体に飛び散った。

そして。

ビシッ!

佐天は絶望した。

佐天のファントム化の予兆。

それは『果たしたい』という心の底から思う気持ちが壊された時に、発動する。

今回は誰も助けてくれない。

佐天はこのままだと、ファントムになってしまう。

佐天「あ、ああ!ああああ!」

ヒビがはいる。体にヒビが。

フレンダ「・・・何!? 一体なんだってわけなのよ!?」

フレンダには事態の状況がよくわからない。

佐天クローンが自決して、佐天がショックを受けたことまではわかるが、その後がわからない。

いきなり佐天の体が、まるで鏡のようにひびがはいるのだから。

フレンダ「(まさか、あのクローンの死と何か関係が・・・っ!?)」

どちらにせよこれは好機。

フレンダ「と、とにかく・・・アイツが苦しんでいるうちに!」

フレンダは懐に備えていた小型追尾ミサイルを取り出した。

フレンダ「いっけー!」

バシューーンと点火し、佐天に向かう。

佐天「!!」

そして、激しい爆発音が鳴り響くのだった。

佐天の精神世界。

宇宙の指輪「また、絶望をしたのね」

宇宙の指輪は佐天の姿で、現れて訪ねた。

佐天「・・・」

宇宙の指輪「貴方は、初春を別の世界に連れてしまった時から約束を果たせなかった時に、強い絶望をしているわ」

世界が割れていく。精神にまで影響してきたようだ。

佐天「どうしたらいいの?」

宇宙の指輪「それは貴女が決めること」

答えは佐天自身。

佐天「私は・・・」

今、壊れるわけにはいかない。

宇宙の指輪「・・・」

やらなければいけないことがある。

それが果たすまでは。

佐天「・・・何度、絶望しても私は」

初春『佐天さん・・・』

佐天の脳裏に初春の笑顔が浮かんだ。

佐天「初春だけでも、元の世界に帰す!」

バシュン。

消滅していた指輪が復活した。

佐天「宇宙の指輪!私に、私の望みを・・・希望を!」

佐天「全てを可能とする魔術を!」

宇宙の指輪「望みのままに・・・」

世界が消える。

崩壊ではない。

再生。

機械音『ギャラクシー!!』

銀河を支配することさえ可能とする魔術師、ギャラクシー佐天の誕生である。

フレンダ「やったか!?」

フラグを建ててしまった。

フレンダ「あ・・・」

勿論、フレンダも気付くが後の祭だ。

佐天「・・・」

爆風の中から現れた佐天。

その姿は完全に変わっていた。

透き通る目と髪。そして、佐天から纏うオーラ。

それは生まれ変わったといっても間違いのないほどの姿。

フレンダ「もしかして、ちょーヤバイ?」

佐天「・・・」

ギョロリ。

佐天の瞳がフレンダを見た。

フレンダ「っ!」

もう一度、ミサイルと思って懐に手を触れた瞬間。

機械音『テレポート』

佐天が消えた。

フレンダ「なっ!?」

一瞬の動揺。

ザシュ!!

フレンダ「あっ・・・」

フレンダは真っ二つになっていた。

監視カメラから、二人の戦いを観戦していた初春は、佐天の姿に怒りを現した。

初春「あれはファントムじゃない。それに人間でもない」

別の存在。人の形をした新しい人種。

ジャンヌ「残念でしたね。せっかくのお仲間が増やせなくて・・・」

初春「黙れ!!」

初春の右腕が巨大な岩の塊の手に変わり、それをそのままジャンヌへと振り落とされる。

しかし、ジャンヌはそれを意図も簡単に避けて初春から半歩下がった。

ジャンヌ「ふふ・・・人の形をしていても所詮はファントム。感情が高まれば怪物になってしまいますね」

初春「黙れ!」

ギョオン。

初春は次元の壁を出現させた。

初春「私は諦めない。必ず、人々をファントムだらけにしてやるわ!」

ジャンヌ「どこへ?」

初春「こことは違う、全く別世界。そう、私と同じ人間がいる世界に行くのよ!」

ジャンヌ「佐天さんはどうするのですか?」

初春「知らないわ。私は私の目的のために動くのみ」

ギョオン。

そう言い残すと初春は行ってしまった。

あの口ぶりからすると、もう会うことはないかもしれない。

ジャンヌ「・・・」

ジャンヌ「貴方にとって、希望とは仲間を増やして友達になりたいという希望だったんですね・・・ゴーレム」

ギョオン。

そして、ジャンヌもまた次元の壁を出現させて別世界へと旅立つのだった。

フレンダを撃退した佐天は、地下の中心部へと進むと分かれ道があった。

佐天「・・・(どっち?)」

佐天は魔術で決めることにした。

標的は初春の脳だ。

機械音『ダウジング』

この魔術は、使用者の探し物を正確に教えてくれるサーチ魔術。

さらに。

機械音『テレポート』

指し示す先を目的地とすることで、この瞬間移動魔術で一気に移動出来る優れものだ。

シュン。

佐天が目を開けた瞬間、大きくて長い機械装置が映っていた。

どうやら、この中に初春の脳があるらしい。

佐天「初春・・・」

一歩一歩と歩いて、装置に触れようとした瞬間。

ギュオオオオ!!

佐天よりも何倍も大きい鎧武者が、いきなり現れて、その武者が所持している武器ドリルが佐天へと向かった。

機械音『テレポート』

しかし、佐天は瞬間的に魔術で瞬間移動さて回避する。

ドガッ!!

ドリルは止まらず、先程佐天がいた場所に大きな穴が空いた。

佐天「・・・誰?」

??「・・・」

鎧武者は答えない。しかし、明らかに全身がロボット型な機械音を鳴らしているので、アンドロイドだ。

佐天「!!」

機械音『テレポート』

スカッと何が佐天を仕留め損ねた。

??「ちっ!」

佐天「・・・」

??「上!!」

機械音『サテンワールド』

佐天は新魔術を発動する。

初春の脳がある場所の逆方向側。

上条教授「あ、ああ・・・」

両手に真っ赤な血が付着している。

目の前には遺体となった妹の姿。

上条教授は、自分を止めにきた妹の命を奪ったのだ。

パチパチ。

白井「欲望とは本当に素晴らしい」

白井が拍手をしながら現れる。

白井「自分の願いのため、夢のためなら妹さえも手にかけるその姿勢・・・素晴らしいですわ」

上条教授「黙れ」

白井「この学園都市は、50年ほど前に滅びているにも関わらず嘘で継続をして・・・」

上条教授「黙れ」

白井「すでにあなた方以外の姉妹以外の学生は全てクローンで作られたもの」

上条教授「黙れ!」

白井「そして、それを作ったら元凶者は御坂・・・」

上条教授「黙れって言っているのよ!この化け物が!!」

上条は、懐からミキシマックスメモリーを取り出して、スイッチを押した。

機械音『御坂美琴』

スイッチを押したメモリーを上条は、首筋に突き刺す。

ズッズッズッ。

メモリーは上条の体内に入りこみ。

上条教授「ミキシマックス『御坂美琴』!!」

オーラに纏う上条は、人差し指を白井に向けて叫んだ。

上条教授「レールガン!!」

バシューーーーーーン!!

高熱をもった光の弾が白井へ放たれる。

白井「・・・残念ですわ。せっかくの餌でしたのに」

白井は笑った。

正直にいえば、目の前に現れた友人に対して怒りがなかったわけではない。

でも、友人がこう言った。

佐天『私は必ず、初春を元の世界に帰す!』

あんな姿になるまで、結局友人は自分を苦しめていた。

責任と罪。

だから彼女はもういいと思った。

『私は』もういいと・・・。

初春の精神世界。

その世界は、学園都市だった。

御坂や白井が微笑んで初春もその中に混じって楽しく過ごしている。

でも、佐天はいない。

佐天はその光景を噛み締める。

初春『お帰りなさい、佐天さん』

佐天は振り向く。

初春は百年、佐天は一年ぶりの再会。

佐天「初春・・・私は・・・」

初春『もう、いいんですよ佐天さん』

佐天「っ!!」

初春『もうこんなに風になっちゃうと、怒りとか憎しみとかないですし・・・』

重い。重すぎる罪。

初春『それに、私はもう子供でもないですよ?』

佐天「でもっ!」

自分を消して欲しいと心から思った。

初春をこんな風にしてしまったのは、自分だ。どうして、許せようか?

初春『佐天さん。これは1つの結果です。』

佐天「・・・」

初春『佐天さんの能力は、時間も世界も制限なく渡ることが出来る能力です』

つまり、これは可能性の話。

佐天がもう一度、あの世界に帰らなければこうなるという未来の世界。

初春『だから、罪の意識を感じるならあの時間に戻って救って下さい』

佐天「それは、貴方も!!」

今なら出来る。佐天は核心があった。

この指輪にはそれだけの力がある。

初春『それは無理です』

佐天「なんで!?だって!」

バリーン!

世界が壊れて初春が現れた。

別れた時の姿で。

ただし、それは精神世界だからこそ可能であり、そもそも初春にはもう肉体そのものがない。

初春『今の私は、この学園都市を守るゲートキーパーです』

佐天「そんなの無視してよ!こんな・・・っ!」

初春『佐天さん!!』

初春『この学園都市は、今はクローンだけしか住まない大都市になっています』

佐天「・・・上条さんの妹さんが、そうしたのでしょ?」

初春『はい。それが原因で、現在は上条姉妹以外は皆さんクローンなんです』

佐天「簡単にいうと、この学園都市の世界はクローンの世界ってことね・・・」

クローンの世界。

こんな世界がまさか生まれるとは、佐天は想像もしてはいなかった。

ジャラララ。

大量のコインが1つとなり、人の形となる。

やがて、それは顔や足などの細かい部分となって一人の人間という個体になった。

そして、その正体は白井である。

白井「あーあ・・・セルメダルはこれだけしか、回収できませんでしたか」

白井の周囲には上条の妹の遺体が横たわっているが、姉の方はいない。

ジャラ。

白井は落ちていたセルメダルと呼ばれるメダルを拾う。

白井「御苦労様でした。上条教授」

ゴクン。

セルメダルを吸収する白井。

どうやら、上条の姉は白井にセルメダル化されてしまったようだ。

白井「さて、もうこの世界に用はありませんわ」

ギュオン。

白井は次元の壁を開く。

白井「次の世界では、どんな欲望が私を満たしてくれるのかしら?」

同じ世界にいつまでもいる気はない。それが白井の方針。

??「待ちなさい!」

呼び止める声。

白井「あら?」

振り向けば、御坂美琴がボロボロの姿で立っていた。

御坂「こ、ここにいた彼女はどうしたの!?」

白井「死んだわ。だから、今後はこの学園都市はゲートキーパーが管理されるわね」

御坂「貴女が・・・」

御坂が右手で懐にあるコインを取り出して、白井に向ける。

白井「おや?どういうつもりですか、御坂さん」

御坂「・・・」

白井「ああ・・・貴方は次元の壁を出現させることは出来ませんでしたね」

御坂「違うわ。そんなのどうでも・・・」

白井「御坂さん」

御坂が否定した瞬間、白井は優しく御坂を呼び。

白井「貴方の目的は、佐天さんでは?それとも、この世界の再生ですか?」

御坂「・・・っ!」

その言葉に御坂は白井に向けたコインを降ろす。

白井「でわ、行きましょうか?まずは貴方の回復が優先ですし・・・」

ギュオン。

御坂「・・・」

ギュオン。

こうして、異世界から来た来客は佐天を残して全員いなくなるのだった。

そして、佐天もまた旅立つ。

佐天はその後、発見された上条の妹であり、協力もしてくれた上条当子の遺体を初春の指示の元に墓前へ。

結局、姉とはあれから会わずに行方不明となってしまったが、佐天自身は気にしていなかったためにここで終結となった。

この世界でも誰も救うことが出来なかった佐天。

クローン佐天、初春、上条当子。

これほど強力的な魔術指輪を持っていても、上手く活用出来ていない。

佐天「・・・それでも、私は」

世界を渡り歩く。

自分の希望のために・・・。

これまでの佐天「世界を渡り歩ける能力かぁ・・・」は・・・(>>154>>237まで)

学園都市の能力検査で、いきなりレベル2の(パラレルワールド)世界を渡り歩ける能力を手に入れた佐天。 だが、レベルが低いために元の世界に帰れなくなったり、謎の男の襲撃などで一緒にいた初春とも離ればなれになってしまう。
初春を置いて来てしまった佐天は、初春が待つ世界に帰ろうとしたが、着いた場所は『初春を置いて来てしまった世界から百年後の世界(クローンが支配している学園都市世界)』だった。
そこでは死後の初春の脳を悪用していることを知り、佐天は『宇宙の指輪』の魔術で邪魔者を倒して、初春の脳までたどり着くが、初春に拒否られて、さらにはそこで協力してくれた上条当子や自身のクローンを死なしてしまう結果となってしまう。
誰も救うことができていない佐天。
果たして、こんな状態で初春が待つ世界に帰って、初春を助けることが出来きるのだろうか?

指輪の力と初春のおかげで、自分の行きたい世界への道が開いた。

当然、佐天はその世界に行こうと次元の壁を開く。

ギュオン。

佐天は壁をくぐる。

くぐった先は、学園都市。

だが、まだ油断は出来ない。ここが別世界かもしれないからだ。

ピラ。

佐天「ん?」

その時、まだ開いていた次元の壁からカードが流れてきた。

絵柄はボロボロのフードを被った老人。

佐天「なんだろうこれ?」

佐天は指輪をつけた手で拾う。

突如。

機械音『キャスター』

指輪が輝き、佐天を包む。

佐天「何が・・・っ!?」

ボン!

なんと、佐天が二人に別れてしまった。

二人『え!?』

これは一体、何が起こったのだろうか?

佐天「貴方は誰?」

もう一人の佐天「私?私は・・・キャスターだよ」

佐天「キャスター?魔術師って意味だけど・・・」

キャスター「うん。私は魔術師だね」

佐天はあることに気づく。それは指輪が自分にはめられていないこと。

キャスターと名乗った佐天顔の女の子が指輪をしていた。

佐天「もしかして・・・分裂したの?」

原因はさっきのカード。

あれに触れた瞬間に、こんな現象が起こった以上はそれが原因だろう。

キャスター「あっ・・・!」

佐天「どうしたの?」

キャスターは何かに気付いた動きを見せた。

キャスター「・・・」

機械音『テレポート』

魔術で転送。ただし、佐天を置いてきぼりで。

佐天「・・・え?」

ヒゥー。

風が冷たかった。

置いてきぼりにされた佐天。

佐天「えーと・・・」

とりあえず、キャスターを追いかけるにしてもどこにテレポートしたのかさえもわからない。

佐天「うーん・・・」

考えた末。

佐天「とりあえず、上条さんの家に行ってみよう!」

全てはそこから始まったのだから。

ドン!

誰かとぶつかった。

今は夜。

佐天も暗くて周りを見ていなかったので 、起こってもおかしくはない。

しかし、前の世界は最初に出会った人が知り合いや関係で、そこからこの世界での佐天の物語が始まった。

佐天「あ、ごめー」

??「タスケテクダサイ!!」

佐天「はい?」

がっしと両手を握られ、その人は佐天の顔の近くまで寄せてきた。

??「タスケテクダサイ!!タスケテクダサイ!!」

佐天と同じ年齢くらいの顔立ちの外国の女性。

佐天が言葉にカタカナ的な聞こえをするのは、外国人だからのようだ。

なんにせよ、彼女が落ち着かないと助けるも何も出来ない。

佐天「お、落ち着いて下さい!えーと、シッダン?シープだっけ??」

ミイラ取りがミイラ状態。

??「ビデオ、ミテクダサイ!!」

彼女は懐から、ビデオテープを佐天に手渡してきた。

佐天「ビデオテープ!?いや、それよりも私、今はビデオデッキは・・・!?」

??「モッテイマス!ビデオデッキアリマスカラ、ハヤク!!」

日本語は理解しているらしく、佐天の言葉はわかるらしい。

佐天「え、と・・・でも、きゃ!?」

外国の少女は佐天の断りもなしで、腕を掴み歩きだした。

きっと、彼女の家に行き、そのビデオテープを見るためだ。

佐天「・・・はぁ」

どちらにせよ、また佐天は厄介な事件に巻き込まれたようだ。

佐天「え、と・・・とりあえず、私は佐天って言います!貴方は?」

??「アンジェレネッテイイマス・・・」

佐天「ふーん」

アンジェレネ「・・・」

一方のキャスターは、一人の男性と出会っていた。

男は、これまで幾度となく佐天の能力を奪おうと様々な妨害をしてきた人物。

男「おや?キャスターくんはどうして、私の居場所がわかったのかね?」

キャスター「私のテレポートは、出会った相手なら生きている限り、どこにでも傍まで移動してくれる魔術。不可能でないわ」

男「・・・ふむ」

男はキャスターの魔術能力が、自身の知る限りの魔術師よりもかなり便利であることを知りるが、慌てることはしなかった。

キャスター「それよりも、貴方には色々と教えて欲しいことがあるのだけど・・・?」

男「何かな?」

キャスター「貴方は、一体何者なの?」

その問いに、男は微笑み。

男「私は『世界』だよ」

そう言った。

キャスター「世界、か。なるほどね、納得したわ」

キャスターはその男の発言だけで、納得してしまった。

男「さすが、宇宙の指輪・・・。それだけで理解するか」

キャスター「・・・・そうね」

キャスターの正体は、宇宙の指輪である。あの佐天の分離の時に、ガードの魔翌力に反応し、肉体を得るためにキャスターのクラスになったのだ。

キャスター「でも、今はキャスターという名前があるわ。でも、貴方はいつまでも怪しい男というのは私は嫌ね」

男「ふむ・・・それもそうか」

男はキャスターの言葉も一理あると納得するとこう言った。

男「では、今後は上条と名乗るとしよう」

キャスター「あ?」

キャスターの感情神経が切れた。

上条「おや?この名前は気にいらなかつたかな?」

上条と名乗ると男。どうやら、あくまでもキャスターや佐天の敵というポジションでいるつもりのようだ。

上条「それとも・・・好きー」

機械音『ソード』

ザシュ!

上条の首が飛ぶ。

キャスター「お前の態度はよく、わかった。だから今後は全てのお前を消去する・・・」

上条「くく・・・」

上条は首だけになりながらなも、微笑みつつ消えた。

アンジェルネから自分を助けて欲しいと言われて、その方法がビデオを見ること。

佐天「・・・このビデオを見ればいいの?


アンジェルネ「はい・・・」

アンジェルネはこそこそと隠れていた。

アンジェルネ「終わったら、またそれをこっちのビデオテープに録画して、他の人に見せて下さい」

佐天「それで?」

アンジェルネ「そしたら、またその人は同じこと・・・」

佐天「ちょっと、待って」

これはループだ。

佐天「ねぇ、もしかして私がこれを見ないと死ぬ話?」

アンジェルネ「あ、いえ、その!」

アンジェルネは話すぎた。これでは佐天は見ない可能性が高くなってしまう。

佐天「呪いのビデオね、これ・・・」

アンジェルネ「・・・」

佐天「・・・どうして、こんなものを見たの?」

アンジェルネ「・・・それをお話するには、貴女がそれを見ないと話ません」

当然の反応。いや、むしろアンジェルネの行動は遅いほうだ。

佐天「・・・」

佐天はビデオデッキを見る。

そして。

佐天「いいよ。見たら、教えてね?」

『再生』ボタンを押した。

機械音『クラッシュ』

グシャ!

ビデオデッキが突如ペシャンコになってしまった。

二人「!?」

機械音『テレポート』

そこへキャスターが、佐天の目の前に現れた。どうやら犯人は彼女ようだ。

キャスター「私・・・何をしようとしていたの?」

佐天「何って・・・」

佐天はちらりとアンジェレネを見る。

アンジェレネ「・・・」

彼女を助けるために、呪いのビデオを見ようとした。

キャスター「はぁ・・・」

キャスターはため息をつき、指輪を『手』の形がしたベルトに寄せる。

機械音『バリアー』

佐天の全身が、薄い膜らしきものに包み込まれる。

佐天「キャスター!?」

キャスターは、佐天の言葉など無視してまた指輪をベルトに寄せる。

機械音『グラビティ』

グシャ!

アンジェレネはまるで重りを乗せられたように地面に叩きつけられた。

佐天「キャスター!!」

佐天はキャスターの肩を掴んだ。

佐天「なんで、なんでこんな・・・っ!」

もはやこれは、アンジェレネに対する敵意の象徴。

キャスター「私・・・大丈夫よ」

佐天「え?」

キャスター「彼女の肉体は、あれでは壊れないよ」

佐天「ごめん・・・言っている意味がーー」

キャスターの言っている意味が理解出来ないと言いかけた時、それは判明した。

アンジェレネ「・・・」

アンジェレネが立ち上がった。

佐天「え!?」

重力魔法は発動中のはずである。

キャスター「やはり、すでに魂を取り込んでいたか」

機械音『バリアー』

キャスターも全身が、薄い膜らしきものに包み込まれる。

佐天「キャスター・・・これって!?」

キャスター「感じます。彼女から私と同じ感覚を・・・」

キャスターはアンジェレネを指差した。

キャスター「こんな呪い系が出来る行為は、『アヴェンジャー』のクラスしかないわ!」

アヴェンジャー・・・復讐者。

佐天はキャスターの言葉の意味がわからなかった。

アンジェレネ「・・・」

アンジェレネは何も言わない。

だが、無言であるがアンジェレネの肉体は変化していた。

髪は黄色から黒へ。

服が白いワンピースへ。

それはもう、アンジェレネという人間でなく別の人間。

おそらくアヴェンジャーという者。

佐天「アンジェレネっ!」

佐天はアンジェレネに駆け寄ろうとしたが、キャスターがそれを静止する。

キャスター「無駄よ私。もう、あれは助からない」

佐天「そんな・・・」

アヴェンジャー「・・・」

フッ。

消えた。

その瞬間、キャスターの手が佐天の両目を隠した。

佐天「え?」

キャスター「目を見ないで私!バリアをしているとはいえ、目を合わしたら呪われるわ!」

佐天はキャスターの言われれるまま、急ぎ目を閉じる。

キィィィィ、キィィィィーーーン。

鏡をひっかくような音。言い換えれば、よくホラー映画に使われるホラー音。

佐天「・・・」

キャスター「・・・」

音が鳴く。二人の耳に何度も何度も。

機械音『バーニング』

そんな中、キャスターは魔術で周辺を焼く。

ゴオオォォォ-。

目を閉じていても、肌から熱いねつを感じるがそれだけだ。

きっと守りの魔術で守られているから、これ以上の危険はないはずだ。

それよりもなぜ、キャスターは焼いたのか?

キャスター「これは、威嚇と試し」

佐天「試し?」

キィィィィ、キィィィィーーーン。

炎の中からも音は聞こえる。

しかし、それもだんだん炎と混じり聞こえなくなる。

キャスター「仕上げよ」

機械音『テレポート』

一瞬、宙に感覚がしたがすぐに地につく。

二人はあの場から逃げたらしい。だが、その前にキャスターがした行動は?

同時刻頃。

二組の二人組が、学園都市にある貨物列車置き場にいた。

一組目は、ツンツン髪頭の少年と中華服を着ていかにも拳法家と思わせる少女。

もう一組目は、かなり際どい拘束服を身に纏った少女と赤いフリフリの衣装に身を包んだ女性。

一見ツンツン髪頭の少年のハーレム状態と思わせる構図だが、現実は違う。

これから、この二組は命のやり取りをする。

敗北は死。

だが、このツンツン髪頭の少年上条はそれを回避しようと考えていた。

答えは簡単。

死が怖かったからだ。

上条「・・・なぁ、どうしても戦わないといけないのか?」

その問いに、拘束服を身に纏った少女サーシャはこう答える。

サーシャ「私見ですが、これはそういう戦いです」

サーシャ「・・・第一の質問ですが、それならなぜ貴方は彼女連れているのですか?」

サーシャ「第二の質問ですが、なら貴方はどうしたいのですか?」

サーシャの目は髪で隠されて見えなず、体格的も一番幼いはずなのにそれとは似つかないくらいに冷たく質問してくる。

上条「・・・俺は」

??「やめましょうよ、上条さん」

傍にいる少女が遮る。

??「彼女言う通り、これは命のやり取りをしなくてはいけない儀式。上条さんが、いくら叫んだところで止まりませんよ?」

上条「アサシン・・・」

アサシン「クスクス・・・そうそう、そういう絶望顔をされる上条さんがいいですね」

上条「・・・」

上条は黙った。これ以上は、無駄だと判断したからだ。

??「終わったかしら?」

そして、それを合図にサーシャ側にいるフリフリの衣装に身を包んだ女性が尋ねる。

アサシン「ええ。お待たせしましたランサー」

ランサー「あら、どうしてランサーだと?」

アサシン「いえ、実は貴方に会う前にすべてのクラスを見てきたんですよ」

ランサー「なーんだ、つまらないわね」

小指で髪をクルクル巻きつけるランサー。

サーシャ「ランサー」

ランサー「はいはい、それじゃお仕事始めましょう」

途端、長い槍がランサーの右手に現れて、そのまま構えるがそこであることに気づく。

相手側のアサシンは一切の構えをしていない。ただボーと立っているだけだ。

ランサー「そこの男は、戦う姿勢を表しているのに貴方はしないのかしら?」

アサシン「構え?」

チラリと上条を見るアサシン。

アサシン「ああ・・・。必要ありません」

アサシン「強いて言うなら、これが構え・・・『構えないという構え』ですね」

ランサー「そう・・・なら、その構えのほどを見せてもらおうかしら!」

ランサーは言うと同時に、アサシンへと走った。

ランサー「はっ!」

ランサーの槍がアサシンの首へと走る。

パシッ。

アサシン「・・・」

しかし、アサシンは槍を簡単にはたき落として 。

ズボッ!

もう片方の手で、ランサーの心臓をえぐりとってしまう。

ランサー「っ!?」

二人「っ!?」

アサシン「・・ふふ」

勝負は一瞬で決着してしまうのだった。

ランサーがアサシンに負けた。

別に珍しいことではない。

その逆もありえるし、もしかしたらセイバーがキャスターに負けたという過去もあるかもしれない。

問題はそこではない。

『アサシンがランサーを倒して油断している』

そこが問題であった。

そのために、ランサーがこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいのように消滅したと同時に別の攻撃がアサシンを襲った。

<<1です。

なんかまた、知らないうちに明らかにおかしい文面を書いてしまいました。

お詫びいたします。

爆風で上条、サーシャは吹き飛んだ。

ただし、正確にいうと上条がサーシャをかばいつつ吹き飛んだである。

だから上条は重症的な大怪我を負うが、サーシャは足の擦り傷だけですんだ。

サーシャ「・・・な、ぜ!?」

サーシャは理解出来なかった。

さっきまで敵対していた相手。しかもアサシンなんかよりも優先的に此方を庇った。

上条「・・さ、さぁ?ただ、なんと・・・なく・・・かな?」

サーシャ「・・・」

この男は大馬鹿だ。しかも『超』がつくほどの。

ドクン。

サーシャ「・・・?」

瞬間、何かを感じる。

が、一瞬なのでわからない。

・・・それよりもアサシンはどうなったのだろうか?

サーシャは爆風の中心地に視線を見た。

黒い黒煙が立ちのぼり、中心地には穴が。

サーシャ「・・・」

テクテク。

アサシン「ああ・・・全く困りますね。服がボロボロになってしまいました」

アサシンは煤だらけにはなっていたが、生きていた。

しかも涼しげな顔で。

サーシャ「・・・!?」

敵のアサシンはサーシャにとって、想像以上の相手であった。

アサシン「その人はもういりません」

サーシャ「!?」

アサシンは一枚のカードをサーシャに見せた。

そのカードには、槍を構えた男が描かれていた。

サーシャ「・・・ランサー」

アサシン「そう。『それは』ランサーと戦うための材料しかないのですよ」

アサシンは遠くを見る。

サーシャ「・・・」

おそらく、先ほど攻撃してきた方角を見つめているのだろう。

アサシン「では、ごきげんよう」

そして、アサシンは消える。

取り残された二人。

サーシャ「・・・」

サーシャの決断は・・・。

佐天は目を覚ます。

どうやら、あれから眠ってしまっていたらしい。

佐天「・・・」

夢を見た。

髪をかきながら佐天は思い返す。

この世界の上条とサーシャという少女。

アサシンとランサーの戦い。

アサシンの勝利。

別の刺客。

あの男の名前が、上条と名乗る場面。

夢の中で、佐天は第三者の視点となって一部始終を見ていた。

キャスター「私・・・それは私の魔術で夢という形で、今日起こった出来事を見せてあげたの」

キャスターがそっと現れて、夢の意味を伝える。

佐天「・・・そう、ありがとう」

それだけで充分な答えを佐天は得た。

一.ここは自分が求める世界でないこと。

二.目の前のキャスターも同じ存在で、理由は不明だが魔術は全てキャスターが所持。

三.昨日のアヴェンジャーや目の前のキャスターと同じ人間同士が、命の奪い合いをしていること。

四.敗者は消滅してカードになる。

五.男は佐天の敵。

この五つの答えを佐天はあれだけの会話と夢で得られた。

以前の自分なら、ここまで頭の回転は良くなかったが世界を旅した経験が、成長に繋がったのだろう。

佐天「ところで・・・ここはどこ?」

キャスター「学園都市のどこかの高級ホテルだよ」

佐天「え”・・・?」

キャスターに言われて気づく。

今いる寝泊りしている部屋。

佐天の認識でも明らかに高い寝室。

佐天「・・・お金は?」

キャスター「・・・」

キャスターは微笑みながら、指輪を佐天に見せた。

佐天「(゜д゜)」

二人は犯罪者となってしまうのだった。

プルルルルル。

佐天「!!??」

息が止まる。

バレたか?

キャスター「私がでるね♪」

佐天「え、ちょ、ちょっと!?」

キャスターは佐天の静止も聞かずに、電話をとった。

電話の相手はフロントだった。

キャスターはそう、佐天に手話で伝えてつつ、2、3くらいの受け答えをして電話を切った。

キャスター「フロントで、私達に会いたいっていう人が来ているらしいから会いに行ってくるね」

佐天「え?」

佐天は耳を疑った。

自分達に会いたい?

自分達は別の世界からきた人間なのに?

明らかに罠である。

佐天「キャスター」

佐天は忠告しようと声をかけた瞬間、キャスターは人差し指を唇に近づけていた。

『大丈夫』

キャスターは微笑んでいた。

フロント。

??「おーい。こっちこっち」

キャスターを呼ぶ声。

振り返ると、アロハシャツを着たサングラス青年が笑顔で手をふっていた。

キャスター「貴女が、私を呼んだの?」

??「そ、土御門だ。ツッチーでも土御門ちゃんでもいいぜ?」

キャスター「・・・」

キモいとキャスターは思った。

キャスター「それで何?」

土御門「おや?どうして君がここにいることを知っているのか聞かないのかな?」

土御門と名乗る青年は、微笑んでいるがそのサングラスの先の瞳には闇がいた。

キャスター「聞いたら、教えてくれるの?」

土御門「いいーや、言わないぜよ」

キャスター「・・・なら、尋ねる意味はないわ。さっさと要件を言ってほしいわ。私、今日は疲れているの」

こういう人間はキャスター・・・佐天の性格的に嫌いであった。

大事なことは秘密的に。肝心なことは絶対に言わないタイプ。

大切な人を守るためならそれ以外を全て捨てられる人間。

土御門という青年はそういう見えた。

土御門「さすがにここじゃ人が多すぎる。場所をかえようぜ?」

キャスター「そうね。なら、そこまでのエスコートお願いしていいかな?」

土御門「了解だ。『佐天』さん」

キャスター「・・・」

二人は外へ出た。人気がないところまで。

ただし、その場所まで二人は無口だったわけではない。

最初に話始めたのは土御門。

土御門「あんたがここに来る前、この学園都市のお偉いさんと俺のお偉いさんが話し合いをしている時に、見知らぬ男が現れた」

男『実は、倒したい女の子がいるので場所と人をくれないかね?』

キャスターはその提供者がきっと上条だなと思う。

土御門「胡散臭い話だし、何よりたかが少女を倒すために大がかりすぎると思ったんだが・・・」

土御門は止まった。その先は屋敷。

土御門「二人は承諾したのさ」

土御門「男が用意したのは八枚のカードと一人の少女」

キャスター「イリヤ・・・」

ボソリとキャスターは呟く。

土御門「おや?知っていたのか、話が早くて助かるね」

キャスターは土御門の言葉に否定をした。

キャスター「知っているだけよ。それでイリヤという少女とカードがどうしたの?」

土御門「何、簡単なこと。そのカードを使用するために、その少女を媒介にしたという話さ」

キャスター「・・・」

キャスターに驚きはなかった。なぜなら、キャスターはこの肉体を得る時に『何か』を感じて融合したからだ。

土御門「・・・冷静だね」

キャスター「そうでもないわ。正直にこの事件を承諾したお偉いさんもその男もころしたいわね」

土御門「ふっ・・・そうか」

キャスターの返答に土御門は微笑む。もっとも土御門はこの答えは佐天の本心だと思っているらしいが・・・。

キャスター「それにしても、こんなビルやマンションの中に屋敷なんて、ちょっと意外ね」

土御門「ああ・・・それは」

屋敷の扉が開いた。

土御門「ここの当主、セイバーの趣向さ」

ピクリ。

キャスターの眉が少し動く。

キャスター「セイバー?」

土御門「おや、知らなかったのかい?君のキャスターやアヴェンジャーの他にも同じようなクラスを持ったやつがいるのさ」

キャスター「・・・」

??「そう・・・バーサーカー、アサシン、ランサー、アチャー・・・そしてセイバー」

土御門の言葉に上乗せするように話ながら現れる女性。

セイバー「初めまして、佐天さん。私がこの屋敷の持ち主でもあり、キャスターの敵であるセイバーです」

セイバーは虎視眈々と自己紹介をする。

キャスター「・・・」

一方のキャスターは、『佐天』を演じつつある違和感を覚えた。

このセイバーは本当にセイバーなのか、と。

セイバー「ふふ・・・どうしたの佐天さん?」

キャスター「・・・」

セイバーの笑み。

この感じだと、自分がキャスターだと気づいている可能性が高い。

キャスター「いえ・・・セイバーって確か騎士を象徴したクラスだと思っていたから、貴方の行動に疑問を抱いただけよ?」

しかし、あえて此方から動くことはまだ出来ない。

あのホテルで佐天と呼ばれた時から、わかっていることなのだから。

セイバー「そうね、当然でしょうね。正確にいえば私はセイバーの『力』のみをもっているだけなのだから」

セイバーは懐からカードを取り出し、それをキャスターに見せた。

カードの絵柄には、いかにも騎士と言える絵が描いてある。

キャスター「力のみ・・・?」

セイバー「そう。どうしてそんなことが出来るのか、教えてあげなくってよ?」

キャスター「そうね。教えてちょうだい。セイバー」

セイバー「それは・・・」

セイバーは語る。

この戦いの始まりを。

アンジェレネは夢を見た。

少し古い服装を着た男と隣には着物を着た女性。

その周りには大勢の男性達が座っている。要は演説的な空間。

着物を着ていた女性が、習字で何かを書き、それを隣の男性に渡す。

男はを紙を広げてこう言った。

男「的中」

そしてまた、女性は男に紙を渡す。

男「的中」

それを何度も繰り返す。

アンジェネレ「・・・?」

わからないと思った。

その時、座っていた一人の男性が女性に指を指して叫んだ。

男「イカサマだー!!」

その発言にその場に座っていた全員が一瞬だけ動揺するが、やがて共鳴したかのように女性に指を指して叫んだ。

全員「イカサマだー!!」

女性は当然動揺して、混乱したような顔もする。

男「がっ!?」

が、次は最初に女性に指を指した男性がいきなり倒れた。

男達は急いで駆け寄って、男の様子を見てこう言った。

男「死んでる・・・」

全員が女性を見た。

男「人ごろし!!」

男「人ごろし!!」

そして・・・・。

男「がっ!?」

また、男が死んだ。

この時、アンジェルネはあることに気づく。

隣に誰かいることに。

??「・・・」

アンジェルネ「・・・」

彼女はゆっくりと隣を見た。

白いワンピース、黒い長髪。

目は。

アンジェレネって、何か忘れる。ケータイだと・・・(-_-;)は

アンジェレネ「はっ!」

彼女は意識を取り戻した。

アンジェレネ「私・・・」

頭を支えようと腕を上げようとした瞬間。

チャプン。

水の音が聞こえた。

アンジェレネ「え?」

意識がクリーンとなり初めて、周りを見ると円状の壁が視野にはいる。

アンジェレネ「え?え?え??」

壁、壁、壁。

幻覚でもなく本物。

では上は?

アンジェルネ「・・・っ!」

丸い円の空。

そして・・・。

??「・・・」

黒髪の女の顔。

アンジェルネ「ーーーー!!!!」

彼女の光は消滅した。

セイバーからこの戦いの発端を聞いた佐天(キャスター)。

彼女は話を聞いたあとに、目を閉じた。

セイバー「・・・これが、この戦いの始まりと終わりの話よ」

キャスター「・・・そう」

キャスターは目を閉じたままで、返事をする。

キャスター「それで、貴方はどうしたいの?」

セイバー「勝利と成果が欲しいわね」

勝利はわかる。誰だってゲームに参加したら『勝ちたい』という感情は生まれるものだ。

では、成果とは?

キャスター「・・・また、この戦いを繰り返すつもりなの?」

セイバー「さぁ・・・それは、結果しなくて?」

キャスター「・・・」

数分後。

土御門「あのまま帰して、よかったのか?」

セイバー「愚問ね。今日は顔合わせっていったじゃない」

土御門「ふーん。まぁ・・・アンタがそう言うならそれでいいさ」

土御門は一度グラサンをかけ直して、声のトーンを落とした。

土御門「さっき、学園側から連絡があった。アンジェレネの遺体が発見されたそうだ・・・」

セイバー「そう・・・残念だわ」

セイバーは懐からカードを取り出して、絵の部分を見つめる。

セイバー「カードは?」

土御門「見当たらなかった。恐らく別の所持者に移ったんだろうな」

セイバー「他の動きは、どう?」

土御門「アサシンはカミやんを捨てあとは、単独でアーチャーを追跡中で、そのアーチャーは逃走中だ」

セイバー「・・・ランサーはアサシンに倒された以上、残りは・・・」

土御門「バーサーカーだな」

セイバーはパチンと指を鳴らす。すると数秒後に、黒のフードを被った男女がセイバーの前に現れた。

セイバー「あなた達でバーサーカーや他のクラスのことを調べて、報告してちょうだいな」

二人「了解」

土御門「俺は?」

セイバー「貴方は、あの男の情報を」

セイバーは再びカードを懐に入れる。

セイバー「さぁ・・・戦いの始まりよ」

勝てる策が見つからない。

それが、アーチャーが導きだした答え。

少なくとも、あのアサシンに対して一対一で戦うのは自殺行為だ。

アサシン『一度見ただけで、真似もできますし、弱点とかもわかるんですよ』

あらゆるものを見切れ、コピーができてなおかつ気配が全くない敵。

アーチャー「どうしたら・・・どうしたらいい?」

他のクラスに協力を申し込みか?

いや、いずれは戦う相手でもあるしなりより自分自身のプライドが許せない。

アサシン「もう、おいかけっこも飽きてきましたよアーチャー」

アーチャー「っ!!」

声が聞こえた瞬間、アーチャーは走る。とにかく走る。

アサシン「はぁ・・・いつまで続くのでしょうかこの追いかけっこ・・・」

アサシンもため息をしながらもアーチャーの後を追いかけようとした。

が。

??「ストーープ!!」

それを静止する者。

アサシン「あら?貴方は・・・」

??「半日ぶりってとこねアサシン♪」

アサシン「そうですね。バーサーカーさん」

アサシンとバーサーカーが対立した。

朝。

この世界に来て初めの朝を佐天は迎えた。

佐天「おはよーキャスター・・・」

体を起こして、昨日一緒に寝たキャスターの方へと挨拶するが、キャスターはいなかった。

佐天「キャスター・・・?」

辺りを見回すが、キャスターは近くにいないし、呼びかけにも応じない。

しかも、昨日止まっていた寝室と全く違う部屋であった。

佐天「これは・・・一体!?」

機械音『テレポート』

突如、キャスターが出現。

佐天「きゃぁ!?」

キャスター「あ、ごめんなさい私。少し、用事で外出していたの」

キャスターは頭を下げた。

佐天「そ、そうなんだ・・・とにかく、頭を上げてキャスター。貴女が謝ると凄く居心地が悪いから・・・」

キャスター「わかったわ」

キャスターは頭を上げて微笑む。

佐天「・・・」

その微笑みに少しドキリとしてしまう。

これが以前の自分だと思うと少し、動揺してしまう。

それだけにキャスターの『佐天』は綺麗だったのだ。

佐天「キャスター。昨日は色々とあったから、貴方に流されたけど・・・今日はちゃんと教えて」

しかし、それは一時の話。

本題へと佐天の思考は移る。

キャスター「質問形式で答えてあげるわ。私」

佐天「・・・わかった」

質問形式。

こちらから質問することのみに答える方法。

情報量が多いのか、それとも・・・。

佐天「それじゃ。まず、貴方は誰?」

キャスター「・・・なるほど。そこからね私」

佐天の最初の質問に少し残念だったが、ここでちゃんと把握認識することはいいことだと判断して答えた。

キャスター「私は、聖杯戦争においてキャスターのクラスに選ばれた人間」

佐天「聖杯戦争?」

キャスター「簡単にいうと一種のゲームよ」

キャスターは佐天にわかりやすく翻訳する。

キャスター「私は、8クラスある属性の
一人」

佐天「8クラスもあるってことは、他にも!?」

キャスター「ええ、あのアンジェレネにとりついていたあれもそうよ」

佐天「アヴェンジャー・・・」

キャスター「そう。復讐という人をころすことしか考えないクラス」

キャスター「他にもセイバー、アーチャー、ランサー、バーサーカー、アサシンがいるわ」

佐天「それで、その8クラスの属性をもった人達はどんなゲームをするんですか?」

キャスター「ころしあいよ」

佐天「えっ・・・?」

息が一瞬止まった。それだけ驚いたからである。

キャスター「勿論、ころしあうのだから勝利者には『どんな願い』も叶えるというご褒美がもらえるのよ」

佐天「そんな・・・そのために、人ころしをするっていうの!?」

キャスターは佐天の怒りに疑問をする。

キャスター「なぜ?何かを得るには何かを犠牲にしないといけない。それは真理よ」

佐天「違うわ!!」

キャスター「いいえ、違わない。なら、『私』は今まで犠牲なしでここまできたの?」

佐天「それは・・・」

佐天は沈黙してしまう。

キャスター「私・・・。今すぐに別の世界へいった方がいい」

佐天「・・・」

佐天は何も言わない。

キャスター「ここにいれば、否応なしにころしあいよを見るし、死人や不幸な人間達を見るわ」

佐天「・・・考えさせて」

キャスター「・・・そう、わかったわ」

それが佐天の答え。

キャスター「ちょっと、話がずれたけど他にはある?」

重々しい空気を打ち破るつもりで、振り出しに戻そうとするキャスター。

佐天「ごめん。・・・少し休みたい」

キャスター「・・・そう」

しかし、佐天は切り替えるつもりはなく、話はそれで終わってしまう。

佐天「しばらく・・・一人にしてくれる?」

キャスター「いいわ」

キャスターはベルトに指輪を近づけた。

機械音『テレポート』

キャスターは転移し、残された佐天は悩む。

佐天「・・・私は」

佐天のこの世界での初日の朝は、こうして終わりを告げるのだった。

失敗したなとキャスターは反省した。

あんな重い話をいきなりするのではなく、もう少し軽い内容やこちらから提示する方法で会話をすればよかった。

キャスターは佐天からは見えないようにしていても彼女を遠くから見守る。

キャスター「それでも・・・」

気持ちを切り替える。

それでもこれは避けられない話。

だから、遅かれ早かれこうなっただろう。

佐天「・・・」

佐天が動く。ベットから起き上がり、服を着替えて、外へ。

キャスター「私・・・?」

この状況においての行動。

キャスターは疑問を抱きつつ佐天の後を追う。

佐天「・・・」

キャスター「・・・」

佐天「・・・」

佐天の足が止まった。

キャスター「ここは・・・」

キャスターも事態の把握に、すっかりと忘れていた。

佐天「場所は変わってない・・・後は」

上条が住んでいるマンション。

佐天の目的は初春を助けること。

ここが別の世界かもしれないが、佐天は確認をしにきたのだった

ピンポーン。

しーん。

ピンポーン、ピンポーン。

しーん。

どうやらいないようだ。

佐天「・・・」

出直すしかないだろう。

そう決心して、振り返ると。

??「あの?上条君になにか?」

一人の御子服を着た少女が話かけてきた。

佐天「貴方は・・・?」

??「姫神。貴方は?」

佐天「佐天です。実は、この家に住む上条さんに用事があって来ました」

姫神「上条君に?」

佐天「はい」

何気ない会話。

しかし、姫神と名乗った彼女は、なぜ御子服を着ているのだろうか?

姫神「上条君とどんな関係なの貴方は?」

佐天「友人です」

嘘をつく。

佐天はとにかく、上条と会いたいという思いの行動をする。

そのためなら、些細な嘘も辞さない。

姫神「ふーん・・・」

ジャラリと佐天の目の前に鍵が映る。姫神が家の鍵らしきものを取り出したのだ。

姫神「なら、上条君が帰って来るまで待っている?」

その意味は、この姫神という少女は上条の知り合いでさらに一緒に暮らしているという意味。

佐天「あ、いえ・・・出直して来ます」

初春は暮らしてはいない。

その確証が得られただけで十分であり、ここに長居は無用である。

姫神「そう・・・」

佐天「失礼します」

そして、二人は別れた。

これからどうするべきか。

佐天は悩んでいた。

当初の目的である初春は、この世界にはいないことがわかった。

つまり、これ以上はこの世界に留まっても意味がない。

しかし、ここで全てを捨てて旅立っていいのだろうか?

キャスターのこと、戦いのこと。

佐天「・・・」

佐天の心が暗雲に落ちていく。

??「見つけたわ」

そして、声がした。

鍵を閉める。

??「また・・・上条君、知らない女の子と仲良くなってる」

ついこの前もアンジェレネという少女と仲良く会話していた。

??「・・・許せない」

懐からビデオを取り出した。

??「アヴェンジャー」

ビデオが黒い靄が発生。やがて全体に広がりつつ人の形へと変わる。

??「アヴェンジャー。命令よあの女をころしなさい」

アヴェンジャー「・・・」

アヴェンジャーは無過言まま頷く。

??「ようやく尻尾を掴んだわ」

??「っ!?」

何もなかった場所から先ほど出会った佐天が現れた。

ただ、その佐天の髪の色や目は少し違っている。

キャスター「私はキャスター。貴方がアヴェンジャーの所有者ね。姫神さん?」

姫神「・・・」

姫神の背後にいるアヴェンジャーは、ゆっくりと動く。

キャスター「アヴェンジャー。諦めなさい、貴方の力では人間に勝てても『それ』以外には勝てないわ」

アヴェンジャー「・・・」

姫神「勝てない?」

キャスター「知らないの?アヴェンジャーはね、人間に対しては最強だけどそれ以外の生き物に対しては最弱なのよ」

姫神「・・・」

姫神はちらりとアヴェンジャーを見る。

アヴェンジャー「・・・」

アヴェンジャーは何も言わない。

キャスター「さぁ・・・ショータイムよ。アヴェンジャー覚悟しなさい」

キャスターは指輪をベルトに近づける。

姫神「・・・そうね。確かに今のままでは不利みたい。でも・・・」

キャスター「・・・!」

姫神とアヴェンジャーが重なり合い、やがて一つとなった。

姫神「私がアヴェンジャーになったら答えは変わるわ!」

キャスター「愚かな・・・」

機械音『グラビティ』

グシャリ。

姫神はキャスターの魔術で潰れるのだった。

だが。

グチャゴキグチャ。

即死に近い状態の肉体であった姫神の身体が、音を鳴らして再生する。

キャスター「・・・!」

やがて姫神の肉体は元に戻った。

姫神「ふふふ・・・どう?これでもアヴェンジャーは最弱と言えるかしら?」

キャスター「・・・」

キャスターは再び指輪をベルトに近づける。

キャスター「宇宙の指輪をなめないでほしいわね」

機械音『ーーーー』

姫神「・・・なっ!?」

指輪の光が輝き、姫神の目を眩ませる。

そして。

彼女はカードになった。

キャスター「・・・」

カードを拾う。絵柄には鎖に巻き付かついた人間の絵か描かれている。

キャスター「どう?貴方がアヴェンジャーと融合してくれたおかけで『貴方』ごとカードに戻すことが出来たわ」

キャスターは微笑みつつカードに、話かける。

が、カードから強い力を感じた。

キャスター「・・・どうやら、完全に封印出来ていないみたいね」

キャスターは指輪をベルトに近づけた。

機械音『テレポート』

その場を瞬間移動。

??「っ!?」

そして、黒いフードを被った人間の前に現れる。

キャスター「セイバーの刺客ね。監視でも頼まれたかしら?」

??「っ!」

先手を・・・。

キャスター「やらせないわ!」

キャスターはアヴェンジャーのカードを相手に投げた。

??「見つけたわ」

見知らぬ女性が、佐天の目の前に現れた。

佐天「貴方は?」

ジャンヌ「私はジャン・スナマロ。みんなにジャンヌって呼ばれているわ」

ジャンヌは微笑む。

佐天「・・・それで、一体何のようですか?」

ジャンヌ「何って・・・」

パチンと指を鳴らすと佐天の周りの空間が歪む。

佐天「っ!?これは・・・」

空間の歪みと共にジャンヌもまた、消えていく中で声は響き渡る。

ジャンヌ「貴方を消すためにきたのよ?」

場所は暗い森へと変わった。

佐天「・・・」

暗い暗い森。

佐天は上を見上げてみるが、星さえ見えないほどの暗さだ。

しかし、全く見えないというほどではないためだんだんと目が慣れてくる。

ガザ。

音が聞こえた。

振り返れば少女が立っている。

佐天「(ジャンヌの刺客か?)」

だとすれば、非常に危険だ。

今の佐天は『世界を渡る』しか能力がない。

??「お前、食べてもいい人間かー?」

佐天「何?」

食べる? それは食事の意味か?

??「ねぇ・・・、お前は食べてもいい人間かー?」

佐天「食べて欲しくないんだけど・・・」

素直に答えてみた。

??「そーなのかー」

少女はションボリとした表情をした。その姿は、子供が物を買えなかったような顔。

佐天「・・・ねぇ。ここはどこ?」

??「ここはーーーっ!?」

バタリ。

彼女は何か言いかけて、倒れてしまった。

佐天「だ、大丈夫?」

いきなり倒れ込んだために、安否を気遣う佐天は少女に近づこうと一歩足を前に出した。

途端。

佐天「!」

少女は消えた。

佐天「どこに・・・?」

??「ふふ・・・」

暗い森から声が響く。声の主はジャンヌだ。

ジャンヌ「ふふ・・・この子の精神支配させてもらったわ」

佐天「え?」

視野に先ほどの少女がいた。

だが、何か少し様子がおかしい。

??「・・・いただきます」

瞬間。

佐天の目に血が映った。

佐天「あぐっ!?」

右肩に強烈な痛みが走る。

触れてみれば、肩に血がベットリとついていた。

佐天「いつの間に・・・!?」

少女は笑う。

??「ふふ・・・いい味だわ。貴方」

少女の口元に、血がついている。

つまり、少女は佐天の肩に噛みついたということだ。

佐天「・・・っ」

激しい痛みで、気が失いそうになるがそうもいっていられない。

??「さぁ・・・今度は完食させてもらうわ」

佐天「・・・くっ!」

これまでか、と覚悟を決めた瞬間。

??「それは困るわ」

佐天の目の前に穴が開いた。

二人「!?」

穴から出てきたのは、紫色のドレスを着たパラソルをさす女性。

??「お、お前は!!」

女性「それは返して貰うわね?」

女性の目付きが少女に対して鋭くなる。

少女「あぐっ!?」

バタリ。

少女は再び倒れてしまった。

佐天「貴方は・・・?」

女性「私?私は・・・」

女性は少女に近づいて、安否を確認しながらこう言った。

八雲「私は八雲紫。この世界の住人よ」

佐天「この世界の住人?・・・貴方もジャンヌの刺客なのかしら・・・」

傷みを抑えつつ、敵意を見せる佐天。

八雲と名乗った女性は首を横に振る。

八雲「違うわよ。むしろ貴方を助けに来たのよ?」

佐天「・・・」

八雲は何かを取り出す。

それはベルトとカードデッキ。

ベルトの中心部には、何かを発動させるような機械装置。

八雲「使ってちょうだい」

受けとる佐天。

佐天「これは・・・?」

時空が歪み、全てが歪む。その中で八雲の声が響く。

八雲「デッキの中に、取り扱い書があるから読んでちょうだい。それで頑張って」

森は消えて元の場所にいた。

佐天「・・・!」

そして、先ほどの傷も消えている。かなり重傷のはずだったのが今は傷みもない。

佐天「あの八雲という人の力?」

それとも。

佐天「・・・」

佐天はカードデッキから取り扱い書を取り出す。

佐天「・・・!」

この意味は、一体?

キャスターは焦っていた。

佐天との繋がりが切れてしまったのだ。

二人は二つで一つの存在。

これではキャスターの実力は半分しかった。

それでも魔術のエキスパート。それだけで済むように細工しているのも流石かもしれない。これがランサーやバーサーカーなんかだったらすぐに消滅していただろう。

だが、それではこの先の戦いは進めない。

そもそもどうして繋がりが切れるようなことになったのだろうか?

考えられるのはことは・・・一つ。

佐天の身に何かあった。

キャスター「・・・」

とにかく、探すしかない。

キャスターは行動を移そうと一歩前に進めると。

??「おはようございます。キャスターさん」

その後ろから呼び止められた。

キャスター「誰だ?」

振り返ると、中華服を着た青髪の少女が立っている。

アサシン「私はアサシン。あなたの命を奪いにきました」

キャスター「・・・っち」

最悪の出会いだ。

アサシン「そんな嫌そうな顔をしないでください。傷つきます」

キャスター「そう言うなら、立ち去ってほしいわね。今、忙しいから」

アサシン「そういうわけにもいきません」

微笑むアサシン。

キャスター「それにしても意外ね。アサシンって確か隠密行動主義だと思っていたんだけど?」

アサシン「それは力が弱い人が行う行動です」

懐からアサシンは二枚のカードをキャスターに見せた。

そのカードに描かれている絵柄は、槍を構えた男と刃を持った獣人間。

キャスター「ランサーとバーサーカーを実力で倒した・・・?」

アサシン「ええ、とても弱くてつまらなかったです」

キャスター「つまらない・・・って」

このアサシンはどうやら噂に聞く基本アサシンタイプや実力も全然違うらしい。

キャスター「一体、生前はどんな人間だったのか知りたいわね貴方・・・」

アサシン「生前ですか? あいにく私達は召喚される際に過去の記憶を奪われてしまって覚えていません」

キャスター「・・・そうね」

過去の記憶。

キャスターには関係のない話だ。

キャスター「どちらにせよ、今は貴方とは戦いたくないわ」

キャスターは指輪をベルトに近づけた。

機械音『テレポート』

キャスターは消える。

アサシン「・・・あら、残念です」

アサシンは戦えないことに悲しみを覚えつつも、その瞳にはキャスターの魔術の方法を知ってしまうのだった。

貴方は誰?

『私は佐天涙子』

違うわ。私が佐天涙子よ。

『私も佐天涙子よ』

違う。

『貴方は私。私は貴方・・・』

認めない。

『いつまでこんな旅を続けるの?』

いつまで?

『本当はどうでもいいはずでしょ?』

黙れ。

『初春も戦いも、全部本当は面倒くさい』

黙れ黙れ。

『ねぇ、その力はとてもいいでしょ?さまざまな並行世界を渡れて、さらに貴方は能力以上の力を常に手に入れる』

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。

『本当はしたいしょ?』

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。

『支配を。全ての自身の理想を』

お前は私じゃない!!

『・・・そう。認めないんだ』

・・・・・・・。

『我は影。真なる我』

ーーーそれは、変わった。

新しい体。新しい自我。新しい能力へと。

『今日から、『私』が佐天涙子。私が本物よ』

それがキャスターの正体。

パチリ。

御坂は目を開けた。

??「おはよう。マスター」

御坂をマスターと呼ぶ人間は、微笑みつつ学園都市の空を見た。

御坂「私・・・どれくらい寝ていたの?」

??「うーん。半日くらいかな?」

半日。

今まで旅をしてきたなかで、一番よく寝ていたと御坂は思う。

??「で、マスターはこれからどうするのかな?」

御坂「佐天さんを倒すわ。それが、貴方との契約した理由だもの」

??「心得た。では、そのためにまず何をしたらいいのかな?」

御坂も空を見上げた。

御坂「そうね。まずは佐天さんがどこにいるのか情報収集ね」

??「どうやって?」

御坂「とりあえず、公衆電話を見つけましょう。ライダー」

ライダー「心得た。マスター」

二人は動く。

ただ、佐天を消すために。

ギュオン。

誰かが航ってきた。

いや、正確には帰ってきたんだ。

佐天涙子が。

佐天「・・・」

佐天は腰に装着しているカードデッキから、数枚のカードを取り出す。

カードには様々な絵と下に名前が書かれていた。

佐天「・・・変身」

佐天は一枚のカードをベルトの中心部の装着に差し込んだ。

機械音『チェンジ、セイバー』

音声が鳴ると佐天の服装が、光と共に変わった。

佐天「・・・」

変わった服装をまじまじと見る佐天。

佐天「ないわー」

その服装に幻滅した。

??「私」

声をかけるような音調。

振り返るとキャスターがそこにいた。

佐天「キャスター」

キャスター「私。どこにいたの?気配が消えて、びっくりしたんだよ?」

佐天「ごめんね。実はーー」

佐天はジャンヌのことや八雲のこと、八雲からもらった変身装着のことを話した。

キャスター「・・・変身装着?」

佐天「そう、これのことよ」

佐天はベルトを見せる。

キャスター「っ!?」

しかし、キャスターはその装置を見るなり、大声で叫んだ。

キャスター「私!それを早く渡して」

佐天「え?」

キャスター「早く!」

無理矢理奪おうと佐天に近づこうとした瞬間。

ギュオン。

時空の壁が二人の間をさえぎってしまった。

キャスター「これは!?」

??「そういうわけには、いかないのよキャスター」

佐天「貴方は・・・ジャンヌ!!」

二人の視界に入ったのは一人の少女。

キャスター「(あれは確か・・・・?)」

ジャンヌ「八雲に邪魔されて、失敗したけど・・・今度はそうはいかないわ」

パチンと指を鳴らすジャンヌ。

ギュオン。

時空の壁から現れたのは一人の男性。

しかし、病気を患っているのか男性の髪や顔ぶれが酷い。

謎の男性「・・・約束は本物なんだろうな?」

男性はジャンヌにきく。

ジャンヌ「ええ、約束しましょう。この戦いで勝利すれば貴方の望みである少女の解放を」

謎の男性「・・・」

キャスター「私!!」

あの男の顔は死相。しかし、ジャンヌのその言葉の途端に光が見えた。

佐天「貴方は、どこまでも!!」

ギロリとジャンヌを見る佐天だが、彼女は笑う。

ジャンヌ「貴方を消すためなら、なんでも利用してなんでも使うわ」

謎の男性「・・・」

そして。

ギュオン。

今度は黒い甲冑を着た騎手が現れた。

佐天「な、何?あの黒い霧は?」

鎧に漂う黒い霧。

それはまるで、自分の正体を隠すかのような象徴。

謎の男性「・・・行け、バーサーカー」

キャスター「バーサーカー!?」

耳を疑った。

バーサーカーは確かアサシンに倒されたはず。

現に目の前で、バーサーカーのカードを確かに見た。

バーサーカー「ーーーーー!!!」

奇声とも言える大声をあげるバーサーカーは。

佐天「っ!」

佐天は逃げようと後退りしたが、時空の壁が邪魔してこれ以上は逃げられない。

もはや戦うしかない。

ジャンヌ「バーサーカー。この武器を使いなさい」

ギュオン。

時空の壁から現れたのは大剣。

バーサーカーはそれを受けとる。すると剣は黒く変わり悪剣のような色へと変わった。

キャスター「・・・くそ!」

キャスターは指輪をベルトに近づける。

機械音『エラー』

キャスター「何!?」

魔術が発動しない。

キャスターは自身が時空の壁に完全に閉じこめられていることに気づいた。

キャスターの空間魔術は時空の壁の間をくぐり抜けできないようだ。

キャスター「私!!」

とにかく、逃げろと伝えるしかないキャスターは叫んだ。

佐天「大丈夫よ、キャスター」

だが、佐天の顔は冷静。

佐天「この『力』は戦うためのものなんだから」

佐天が右手を上げる。

三人「!!」

現れたのは赤い剣。

佐天「今の私は、セイバーの力を持った佐天涙子なんだから!!」

佐天はバーサーカーへと走った。

バーサーカー「ーーー!!!」

バーサーカーもまた、奇声をあげつつ迎え撃つ。

ガキン!!

剣と剣のぶつけあい。

佐天「っ!」

しかし、すぐに佐天の顔色が険しくなる。

キャスター「私!!」

機械音『エラー』

なんとか打開しようと指輪をベルトに当てるが、魔術は発動としない。

バーサーカー「ーーー!!!」

大声の奇声と共にバーサーカーは、佐天の剣を押し返した。

佐天「っ!」

押し返した反動は強く、佐天はそのまま時空の壁まで吹き飛ばされてしまう。

バーサーカー「ーーー!!」

その一瞬をバーサーカーは、チャンスとばかりに追撃をかける。

佐「くっ!」

佐天は無我夢中で左手をバーサーカーに向けた。

ギュオン。

バーサーカー「ーーー!?」

ドン!とバーサーカーは次元の壁にぶつかった。

ジャンヌ「へぇ・・・。次元の壁を盾代わりにするくらいの能力には、なったようね」

キャスター「!(『私』の能力を把握しているような口ぶり・・・?)」

ジャンヌ「でも・・・!」

パチンとジャンヌは指を鳴らす。

すると次元の壁は、鏡が割れたように粉々に割れてしまった。

佐天「そんなっ!?」

バーサーカー「ーーーー!!!」

再びバーサーカーの猛攻が再開された。

佐天はなんとかバーサーカーの剣を打ち消していくが、一撃一撃の攻撃が重く、体力の消耗が激しく減っていった。

佐天「くっ!」

ギュオン。

再び間をとって、次元の壁を盾にしようと出現させると。

ジャンヌ「無駄よ」

ジャンヌも再び指を鳴らして破壊する。

そして。

ザシュ!!

キャスター「私ぃーーー!!!」

佐天の目に、自身の血が舞った。

ドサリと前から倒れた佐天。

すぐさま大量の血が湖のうように流れ出す。

謎の男性「・・・」

バーサーカー「・・・」

ジャンヌ「・・・ふふ、やった。とうとう世界は救われた!」

佐天の敵の三人のうち、二人はその姿に沈黙を保つが、ジャンヌは大いに喜んだ。

キャスター「・・・ああ、そんな・・・」

キャスターもまた、両膝を地面に座り込む。

ジャンヌ「これで、これで・・・もう一人の佐天も全ての並行世界も助かったわ!!」

謎の男性「(・・・本当にこれで終わったのか?)」

男性の読みは当たっていた。

実はまだ、佐天はしんではいなかった。

彼女の魂はある場所へと移動していた。

そのある場所とは・・・。

―――黄泉と精神の狭間の世界。

ただし、本人自身はまだしんだと認識を持っており、このまま黙すれば完全にしぬだろう。

ちなみになぜ、佐天がそのような世界へと移動しているのか?

理由は彼女のもつ『世界を渡る」能力と変身したカードとの融合による影響。

死という肉体が停止しても魂という存在自体さえも世界を渡り歩くことが可能というほどに、実は佐天は旅を続けるうちに知らず知らずに成長していたのだ。

しかし、先ほど述べたように本人自身がそれに気づかず、『死』を受け入れていれば今度は『黄泉の世界』へと渡るのは明白だろう。

そして、それは刻刻と迫っていた。

佐天「(・・・私は、しんだ?)」

――佐天涙子は思った――

佐天「(初春を残したまま?)」

―ー彼女は一種の囚われの乙女―ー

佐天「(戻らなければ、初春はころされる)」

――上条美琴にころされる――

佐天「(私はどうなってもいい。でも、初春は初春だけは・・・)」

――誰に嫌われてもかまわない――

――でも、このまま終わることだけは許されない――

――力を―ー

佐天「・・・ほ・・・い・・・」

―ー圧倒的な力を―ー

―ー正義の力も悪の力も全てを凌駕した力も全て欲しい――

――全てを。

佐天「全て・・・欲しい・・・」

そして。

??「ほぉ・・・全てだと?つまり、俺さえも貴様は求めようというのか?」

機械音『チェンジ、ギルガメッシュ』

佐天の装着していた変身ベルトに新たなカードが差し込まれた。

謎の男性「約束は果たしたぞ」

男性とバーサーカーはジャンヌを見る。

ジャンヌ「ええ。それじゃ、元の世界に帰ったら、すぐに望みを叶えてあげる」

謎の男性「・・・わかった」

ギュオン。

男は再び時空を渡って消えた。

バーサーカー「・・・」

バーサーカーもそれに続く。

そして、キャスターとジャンヌだけになると。

ジャンヌ「愚かな男・・・所詮は貴方にとって夢でしかないというのに」

ジャンヌは嘲笑った。

キャスター「騙したのか」

ジャンヌ「そう。元に戻れば夢でしたというオチよ」

キャスター「理解できないわね。何故、そこまでして『私』を始末したいのか」

ジャンヌ「もうすぐ、消滅する貴方には関係ないわ」

キャスター「・・・ち」

バシュン。

キャスターは消滅し、カードだけが残った。

ジャンヌ「ふふふふ・・・あははは!!」

完全勝利。

勝利宣言の笑い声があがった。

が。

ドスッ!

ジャンヌ「あ?」

彼女のお腹に槍が突き刺さる。

??「失せろ。魔女め」

彼は目を覚ました。

??「おはよう、上条当麻」

上条「ここは・・・?」

上条は見知らぬ部屋にいることに気づく。

??「ここは、サーシャという少女の隠れ家。あの戦いの後、貴方を連れてきたのよ?」

上条「戦い・・・」

その言葉に記憶が蘇る。

アサシンのこと、ランサーのこと、奇襲のこと。

横になっていた体が勢いよく起き上がる。

上条「あぐっ!?」

が。痛みですぐに全身が麻痺したように動かなくなった。

??「馬鹿ね。たかが二日程度の休息で、傷が治るわけないじゃない」

上条「二日・・・?俺はあれから二日間も寝ていたのか?」

視野が声の方へ向く。

目の前に映るのはサーシャ。

サーシャ「そうよ。でもその二日間の間に事態は急速に変化しているわ」

上条は気づく。彼女の雰囲気が違う。

サーシャ「・・・ん?」

サーシャも上条が自身に疑問視していることに気づいた。

サーシャ「ああ。『私』はジャン・スナマロ。みんなにジャンヌって呼ばれているわ」

上条「ジャンヌ?サーシャの双子か何かか?」

ジャンヌ「いいえ、違うわ」

ジャンヌは笑みを見せてこう言った。

ジャンヌ「私。人の体を乗っ取ることが出来るのよ」

―――場所は変わる。

??「こ、こんなことが・・・・」

セイバーは油断した。いや、想定はしていた。

だが、ここまでの脅威になるとは正直に抱いてはいなかった。

すでに自身の体は第二の者に支配されている。

が、セイバーの所持者は肉体を放棄して魂は脱出していた。

しかし、魂となった今は何も出来ない状態でいた。

そして、セイバーの肉体を支配した犯人は。

セイバー「まさか、ここまでアヴェンジャーの力が協力になっているなんて・・・」

アヴェンジャー「・・・」

アヴェンジャーは気づく。どうやら魂となったセイバーを見ることが可能のようだ。

一方で、魂のないセイバーは全身が黒くなり、悪の騎士そのものようになっていく。

アヴェンジャー「セイバーオルタ・・・」

セイバーオルタ「・・・」

アヴェンジャーの声にセイバーオルタは膝をつき、忠誠の証を立てた。

??「中断?」

誰かがそう言った。

??「そう、この世界での戦いは一度停止させるわ」

反論する。

??「なら、中断ってどのようにするの?」

それは時計を見せ。

カチ。

ボタンを押した。

??「これで、あの世界は時が止まったわ。動けるのは貴方だけよ佐天」

佐天「・・・何が望み・・・八雲」

八雲「別の世界に行って、私の知人達を助けて欲しいのよ」

佐天「助けて意味があるの?」

佐天に興味はない。今回の戦いも成り行きに過ぎない。

八雲「貴方が望み世界へと送ってあげる。確実にね」

佐天「!!」

ギュオン。

無数の目がある穴が開く。

八雲「私と出会ったのは、きっと運命。だから、私はこの世界を止めても行って欲しいと思っているのよ」

佐天「・・・」

佐天は思う。ずいぶんな勝手な女だと。

しかし、自分が望む世界に行けるというのならそれはそれで、いいのかもしれない。

どちらにせよ、佐天の能力では難しいのは事実だ。

八雲「今の貴方は精神だけの存在。だから、この指輪を装着して肉体を確定させないさい」

指輪が渡された。

魔術師佐天涙子として、行くということだろうか?

八雲「違うわ。その指輪は魂が肉体化する魔術。他の魔術は使えないわよ」

佐天「なら、どうやって貴方の知人達を助けるのよ」

肉体は、時が止められてしまって動かない。もちろんベルトも。

八雲「もちろん。対策はしているわよ」

八雲は佐天にあるものを渡した。

佐天「・・・これは?」

八雲「その時になれば、わかるわ」

ギュオン。

佐天「!!」

八雲に押し込まれた。

八雲「それじゃ、行ってらっしゃい♪」

佐天「きゃ、きゃあああああああーーーー!!!」

そして、佐天は再び世界を渡る。

それは電話でこう言った。

”今日から君は・・・上条の義妹だ”

それは天国でもあり、地獄でもあった。

気づいたのは、アイツの義妹に確定した時だ。

永遠に結ばれない恋。

だから、私は想いを捨てた。

そうすることで、心の隙間を埋めようと。

でも・・・。

ある日、それを壊す人間達が現れた。

一人は二日後に行方不明。

残された人間は、身寄りがなかったために義兄の傍で暮らすことに。

そして、1年後が過ぎた頃に二人は正式な恋人へと変わっていた。

??「ふーん・・・貴方はどうしたいの?」

どうする? 言っている意味がわからない。

??「お義兄さんが欲しくて欲しくてたまらないのでしょう?」

そう。私は義兄が欲しい。

義兄と結婚したい。義兄と一つになりたい。義兄の子供を孕みたい。

??「なら、すればいいじゃない」

する? 世の中が認めないわ。

??「なら、認めさせるようにすればいいのよ・・・」

・・・。

??「私は、貴方の幸せを応援するわ♪」

・・・貴方は、誰?

??「私?」

ジャンヌ「私はジャン・スナマロ。みんなにジャンヌって呼ばれているわ・・・上条操祈さん♪」

ジャンヌという女はパソコンでよく見るメモリーチップを私に渡した。

機械音『食蜂操祈』

ジャンヌ「これを体内に埋め込めば、私を除く全ての人間が貴方の下僕となるわ」

上条操祈「・・・全て?」

ジャンヌ「そう。貴方の義兄さんもね」

上条操祈「・・・」

私はそれをジャンヌの指示通りに体内へと入れる。

ジャンヌ「ふふ・・・(歓迎するわ・・・この世界の食蜂操祈さん♪」

そして、私の世界は変わった。

――――束縛から支配へと。

彼の名前は白井。

妹の名前は白井黒子という。

彼は世間から不良と認識されており、人々に一部恐れられていた。

しかし、実際は悪い不良をボコボコに倒したり、困っている人を助ける優しい兄だった。

恐れられているのも、心に悪い人格を持っている人間だ。

血は繋がっていないが、義妹とも仲の良い兄妹だ。

そんな毎日を送っていたある日、一人の女性が訪ねてきた。

??「貴方に、ぜひこのチップを埋め込んで欲しいの」

当然ながら断った。

でも、いつの間にか気づけば埋め込まれていた。

機械音『一方通行』

彼は、欲しくもない絶大な力を授かってしまった。

――――この事件は、他にも起きていた。

浜面沈利という令嬢やテイコク=セイヴェルンという外人にも同じように無理やり埋め込まれて特殊的な力を得てしまっていた。

三人は思い出すたびに、こう言う。

三人『彼女の名前はジャン・スナマロ。みんなにジャンヌって呼ばれているって』

果たして、ジャンヌという女性の正体は?

これまでの佐天「世界を渡り歩ける能力かぁ・・・」は・・・(>>241>>314まで)

学園都市の能力検査で、いきなりレベル2の(パラレルワールド)世界を渡り歩ける能力を手に入れた佐天。
だが、レベルが低いために元の世界に帰れなくなったり、謎の男の襲撃などで一緒にいた初春とも離ればなれになってしまう。
佐天は、初春が待つ世界に帰ろうと並行世界を渡り続ける。
次の世界も初春が待つ世界ではなかった。
辿り着いた瞬間、佐天は魔術佐天と分裂してしまう。
元に戻ろうと詮索していた矢先、アヴェンジャーと名乗る人間達に遭遇してしまう。
その後、流れのままにセイバー、ランサー、アサシンと名乗る人物達とも出会ってしまい、ころし合いの戦いに巻き込まれてしまう。
そして、佐天もまたジャンヌと名乗る女性に襲撃される。
幸い、八雲と名乗る女性に助けられるが、彼女は助けを求めて報酬として初春が待つ世界へと連れて行くことを約束した。
佐天はそれに承諾。再び世界へと渡る。

・・・果たして、佐天は八雲の約束を果たして初春が待つ世界へと帰ることができるのであろうか?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年11月28日 (木) 12:26:35   ID: DVaM8mHH

面白いのは序盤だけだった

2 :  SS好きの774さん   2014年01月13日 (月) 18:45:46   ID: xvSETJr-

お疲れさま

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