モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part4(1000)

 それは、なんでもないようなとある日のこと。


 その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
 地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

 異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
 悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
 突然超能力に目覚めた人々が現れました。
 未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
 他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

 それから、それから――
 たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

 その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
 戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

 ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。

part1
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371380011/)

part2
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371988572/)

part3
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372607434/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373517140

・「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドスレです。

  ・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
  ・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。


・投下したい人は捨てトリップでも構わないのでトリップ推奨。

  ・投下したいアイドルがいる場合、トリップ付きで誰を書くか宣言をしてください。
  ・予約時に @予約 トリップ にすると検索時に分かりやすい。
  ・宣言後、1週間以内に投下推奨。失踪した場合はまたそのアイドルがフリーになります。
  ・投下終了宣言もお忘れなく。途中で切れる時も言ってくれる嬉しいかなーって!
  ・既に書かれているアイドルを書く場合は予約不要。

・他の作者が書いた設定を引き継いで書くことを推奨。

・アイドルの重複はなし、既に書かれた設定で動かす事自体は可。

・次スレは>>950
    
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」まとめ@wiki
http://www57.atwiki.jp/mobamasshare/pages/1.html?pc_mode=1

>>1
乙です。

橘ありす、ギリギリアウトですが投下させていただきます。
注意書き
初SSで形にすることで尽きたので会話形式と地の分が混ざっており、稚拙なものとなっていると思います。
特に句読点は投げ出しているのでそこはスルーしてくれるとありがたいです。

橘ありすは自身の名前にコンプレックスを持っている。その要因としては同級生にからかわれるという側面もあるだろうが「橘」という名字に対して合わないと言う事が彼女の中で占める大部分だ。

しかしありすはその名前を嫌悪しているわけでもない、なぜならありすという名前が彼女と親を繋ぐ唯一の記憶だからだ。

ありすは物心がつく前からとある田舎町の橘という老夫婦の養子として育ってきた。養父母が言うには「段ボールに『拾ってください、名前はありすです。』と書いてあったから拾ってきた。」というが当時のありすにも(嘘だな)と感じられた。

しかし、ありすという名前を両親が付けたのは本当らしくその名前で呼ばれるたびにありすは両親とのつながりと「なぜ両親は自分を手放したのか」という感情が混ざりあい、苦手意識を持ってしまうのである。

「あの日」後も(彼女自身は)特に変わりもなく暮らしていた。

学校がそれなりの長期休暇に入り寮から橘家に帰省して何日か経ったある日、養父母が結婚記念日なのでありすは「家事は寮生活で大体学びましたので大丈夫です、ごゆっくりどうぞ!」半ば無理やり2人っきりで出かけさせた。

家に一人となったありすは養父母が何時もいる部屋に行き辺りを物色し始めた、両親の情報が少しでも無いか探しているのである。

小1時間ほど経ってありすは押入れの奥に大事そうに保管されているものを見つける。それは今世間で出回っているタブレット…少なくとも外見はそれに近いものであった。

そんな最近のものがこんな田舎に、そして何年も放置されていたかの様に埃をかぶっている事に強烈な違和感を覚えながらもよく確認するため埃を掃おうとディスプレイに手を触れた瞬間それは起動した。

自分には理解できない、否、おそらく地球上のどの地域でもにも使われていない言語が続いた。そしてディスプレイにVorpalと表示され音声が聞こえてきた。

???「おはようございます、マスター」

ありすはその言葉が自分が持っているタブレットから出ていることを認識すると思わず手を放しかけてしまった。もしありすが「あの日」以降こういう事項に多少でも慣れていなければそのまま壁に叩きつけていたかもしれない。

ありす「貴方は…何ですか…?」

???「何?と言われましても…それは貴方がよく知っているはずでは?」

ありす「何が起こってるのかすらわかりません…」

???「橘さんから知らされて無い…?いや、それにしては冷静すぎる…」

ありす「養父さんと養母さんは…えと、貴方の事を知っているんですか!?」

???「!ああ、申し訳ありません。マスターの方が聞きたいことが多いでしょうね」

???「とりあえず私の事はヴォーパルとでも呼んでください、マスター」

さて、そのヴォーパルとやらに貴方は誰?何故こんなとこにいたの?と質問を投げかけるありすだったが「それについては私が話してもいいのか判断できない、橘さん達が帰ってくるのを待ちましょう」の言葉で止められてしまい、
逆にヴォーパルからなぜそこまで冷静なのかと尋ねられ今の世界について教える羽目になってしまった。

やけに今の世界の話に興味深々なヴォーパルに付き合っているうちに養父母が最寄りの駅に帰ってくる時刻となった。

一刻も早く養父母にヴォーパルについて聞きたかったありすは駅まで迎えに行くことにした。

ほぼ同時刻 駅付近の路地裏

???「指定された地点は…ここか」

???「ジェノサイド爆弾やGDFとは全くと言っていいほど関係ないとこだが…あいつらにとっては些細な問題か」

???「道具は宇宙人から横流ししてもらった中古のこいつ1体だけ…能力者も珍しく無い世の中だってのにこれでやれると思ってんのかね?」

???「と言っても仕事だからやるしかないか、辺りの人たちご愁傷さん」

そうぼやきながらその人物は手にある端末を操作する。

???「精々暴れまわって依頼者に胸張って言える成果を残してくれよ?」



ありす「あれは、巨大ロボット!?侵略者!?何でこんな時に!!」

ヴォーパル「…いや、違います。あんな型落ちの旧式を、しかも単騎で運用という事は少なくとも侵略目的ではないでしょう。GDFとやらで対処できる代物です」

ありす「そんなことはどうでもいいです!!このままじゃあお養父さんとお養母さんが…!」

ヴォーパル「…マスターは助けたいですか?」

ありす「え?」

ヴォーパル「私、いえマスターにはこの状況を打開するだけの力があります。それを欲しいと、そのためには安くは無い代償を払う事が出来ると、胸を張って私に言えますか?」

ありす「…抽象的すぎます、よく解りません」

ヴォーパル「私から言えるのはこれだけです。私はマスターの、貴方の意思に従います」

ありす「…」

この状況をヴォーパルが作り出したと言われても納得してしまうほどトントン拍子に進んでいた事を考えると、あの時の私は柄にもなく軽率だったと思う。

ありす「私は…私はお養父さんとお養母さん、そして街の皆を守りたいです。」

でも、私は既にヴォーパルに親しみを感じていた。

ありす「だから、協力して!!ヴォーパル!!」

この世界の事を知ろうとして必死に検索し、新しい知識が増えるたびにやけに嬉しそうな声を出す彼の事をもっと知りたいと、願っていた。

ヴォーパル「了解です、『Jabberwock 我が呼び声に応えよ』」

ヴォーパルがそうつぶやいた途端突風を感じありすは思わず手で目を覆う。目を開けるとそこには純白の荒々しい獣の様な雰囲気を持ち、装甲には植物の意匠がくまなく施された巨人らしき物体が鎮座していた。

ありす「ロボット!?これが…力?」

ヴォーパル「そう、ジャバウォックは貴方の為の…ロボット、という解釈でいいでしょう。さあ、こちらへ」

ジャバウォックに乗り込んだありすはある事に気づく、こういうロボットにあるはずの操縦桿が無い、それどころかスイッチなども見当たらないのだ。

ヴォーパル「大丈夫です、私を目の前の穴に押し込んでください。」

言われるがままにヴォーパルを穴の中に差し込むと丁度の大きさで、すっぽりと入っていった。

ヴォーパル「接続完了、Jabberwock 起動せよ!!」

ロボットの中で声が響いたと思ったらジャバウォックが光に包まれる、獣のような外見は見る間に鎧を着た闘士の姿になり、白1色だったボディも様々な色に変化していく。

その光景を例えるなら「理性無きものが理性を得ていく様」を早回しで見せられているようだった。

ヴォーパル「起動完了です、マスター。操縦は基本私がやりますから…マスター?」

ヴォーパルは不機嫌そうなありすを見て疑問形でありすを呼んだ。

ありす「私って本当にここにいる必要があるんですか…?」

ヴォーパル「はい、マスターがいないと起動できませんから」

「それって単なる鍵役じゃないですか!!」そう叫びかけたありすの口は、駅に向かって急発進したジャバウォックのスピートに閉めざるを得なかった。

命令通り破壊活動を実行しようとした旧式はセンサーに反応したある物体に対して一瞬だけ動きを止めた。

「それ」は文字通り突然現れた。旧式とはいえ以前の地球からは考え付かないほどのテクノロジーで生まれたものであり、実用的にする以上既存の兵器、技術に対して反応し、最適な行動(スペック上、取れる行動は限られるが)を取ることをコンセプトに作られていた。

そのセンサーが感知できなかったものが突然現れた。自分の知っている兵器の延長上のものなどではない根本から全く違うもの。

それは旧式に取ってアンノウンと呼称するべきものだった。故に旧式は動きを止めてしまった。

それを見た???が顔をしかめる。

???「おいおいまじかよ、出てきた早々故障とかない…ん?」

???「急接近してくる物体?能力者か?いや、それにしちゃあ…」

???「早すぎるし、速すぎるし、何よりでかすぎる」

そうつぶやくのと旧式に何かが突っ込んで行くのを目視するのはほぼ同時だった。

ジャバウォックの拳が旧式のボディにクリーンヒットし、バランスが崩れる。ジャバウォックはそのまま相手をつかみ、今いる駅付近から山の方に投げ飛ばした。

旧式は備え付けのバーニアを全力で噴射して何とか姿勢を制御しようとする。ジャバウォックはその隙に追い付いて旧式の足をつかみ、山の中腹に引きずり降ろしダウンさせる。

ダウンしたまま動きを止める旧式、近づくジャバウォック、後1歩で拳が届く距離という所で突然旧式の頭部が光を発した。

ヴォーパル「想定内、むしろ予想通りです!!」

そう言いながら不意打ちの頭部レーザーを華麗に回避し、そのまま拳を旧式の頭部に打ち込んだ。

旧式はAIを破壊され、完全に沈黙した。

???「何だよあれ、こっちの情報にはあんなのは…まあいい、それよりも依頼主に報告が先だ。誰であろうと向こう側がぶっ壊したんだ、俺に責任は無い。」

ヴォーパル「戦闘終了。マスター、いい指示でした。」

ありす「全部貴方が勝手に動かしてたんじゃないですか…そもそも戦い始めてから何も言ってないです。」

少々すねた風に口を開くありす。

ヴォーパル「何言ってるんです?さっき言ったじゃないですか。『私は…私はお養父さんとお養母さん、そして街の皆を守りたいです。』」

ありす「ッ!!!!? な、なな何でそんな音声が残ってるんですか!!!」

ヴォーパル「…? ジャバウォックは私の接続とマスターの乗りたいという意思が無いと起動しませんから、データとして残しとかないといけないんですよ。」

ありす「消して下さい!今ここで!」

ヴォーパル「お断りします、マスターの事をもっと理解したいので。」

ありす「!!…いいです、解りました。じゃあついでにもうひとつ教えてあげます」

ヴォーパル「何ですか?」

ありす「マスターって呼ぶのは…やめてください。変な気分になります。」

ヴォーパル「わかりました。これからはありすと…」

その発言がまたありすの機嫌を損ねることになるとは予想して無かったヴォーパルであった。

第1話 終わり

橘 ありす
職業 ○○学校中等部 ←自由に設定化
属性 ロボット所有?者
能力 Vorpalに搭乗が出来る?(本人固有の能力があるかもしれないが現在ありす自身に自覚なし)
詳細説明
田舎の老夫妻橘家の養子、物心付く前から養子となっていたので養子になる前の事はほとんど覚えていない(母のぬくもりとかそんなレベル)
あの日以前も以後もそこまで波乱に富んだ人生は送ってこなかったが、橘家に保管されていたタブレット(みたいなもの)に搭載されているAI「ヴォーパル」とそれに呼び出されたロボット「ジャバウォック」に出会い、彼女の運命は大きく動く…かもしれない。

ヴォーパル
職業 無し
属性 AI(ボイスは♂のつもりで書いた)
能力 通常のタブレットしての機能(ヴォーパル自身で操作できる)、ジャバウォックの呼び出し、操縦等々
詳細説明
ありすが起動したタブレットに搭載されているAI、ありすの事をマスターと呼んでいた。(過去形)
少なくとも今現在の地上で作られたものではないのは確かであり、いろんなとこが欲しがるレベルの代物。
すでに膨大な知識を持っているが人間で言う探究心みたいなものがかなりあり、知らないもの(たとえばあの日以降のもの)に出くわすとテンションが上がっているのが声で丸わかりになる。
Pポジにするつもりがどうしてこうなっゲフンゲフン

ジャバウォック
職業 無し
属性 (設定的には)∀やらエヴァやらから少しずつお借りして出来たロボット的な何か
能力 周囲の魔翌力を吸収してエネルギーにしたりする。
詳細説明
ヴォーパルが呼びだしたロボット、ジャバウォック自体はロボットなのかよく解らないがヴォーパルが接続されることによって装甲が変化し色も変わり、完成された姿となる。
動力源は魔翌力であり、基本は空気中にある魔翌力を吸収して活動するが、当然エネルギーが足りないので武装はほぼ封印され素手で戦う事になる(でも強い)。
武装を使うにはあらかじめ別の場所で魔翌力を溜めておくか、空気中以外からの供給源を確保するか、という風になる。

???(旧式を町にけしかけた人)
不明
「例の爆弾で被害受けたアンダーワールド人から依頼された」らしい
物語書く上で相手にもロボが欲しくてひねり出した人、出来るだけ特徴をつけないように頑張ろうとした結果がこれ
このままモブにしてもいいですし誰かが拾ってくれるならお願いします。

以上です
妄想を文章にするって難しいですね
アリスちゃんはこのままこの町に居座っても何か理由つけて飛び出していってどっかの団体入ってもはたまたヴォーパルと旅させて田舎にいるアイドル達と絡ませても構いません。
駄文にお付き合いありがとうございました。

乙です
ちょっとゼノグラを思いだしゲフンゲフン
ユズちゃんに掛け合って魔翌力の調整してもらいたいな

おつー

ヴォーパルとジャバウォックって聞いたことがあるな、と思って調べてみたら
wikipediaだけど、なかなか面白いことが書いてあるね

あと地の文は適度に改行したほうが読みやすいと思うよ

おつおつ
メ欄に「saga」で魔翌力にならずに魔力
改行ももうちょい細かいと読みやすくてありがたい

ロボかぁ……ロマンだよね

力が欲しいかとか言ったり首をはねたりするんですかね

目を離してたら前スレ埋まってる件

フライングしちゃったんだZE★
…恥ずかしい

はっはっは。
憤怒の街大円団で終了…?
ちょ、ちょっと厳しいんじゃないかな…(棒読み)

にょわ…にょわ…
ネバーディスペアで不具合出るのだりなつだけだし…来てもおかしくない

ナチュルスター投下します。

あくまで支援のつもりで

憤怒の街が一望できる高台の場所。

そこに三人の人影が見える。

乃々「も、戻ってきちゃいました……私達の仕事コレで終わりで良かっんですけど……帰りたいんですけど…」

巴「何言うてんじゃ?乃々。イヴの姉さんに裕美が頑張ってるんじゃ。うちらも根性みせないかんけえのう!」

ほたる「乃々ちゃん!巴ちゃん!今、ナチュラルラヴァースとラビッツムーンの二人が突入したのが見えました!」

ナチュルスターの三人だ。

彼女達は救助した人達を病院に運んだあと、取材しにきた記者達を振り切り戻ってきたのだ。

乃々「じゃあ、任せちゃいましょうよ…私はもうむーりぃー!」

ほたる「乃々ちゃん!」

巴「乃々!」

乃々「ひぅっ!?」

いつものように弱気に言う乃々だが、二人の声と真剣な眼差しにビックリする。


ほたる「大丈夫。私達も乃々ちゃんを支えます」

ほたるが優しく乃々の右手を両手で握る。

巴「当たり前じゃ!乃々一人に任せるなんて真似はしないけえのう」

そして、巴も乃々の左手を両手で強く握る。

乃々「うぅ………もう少しだけ…頑張ってみます…」

二人の熱意に押され、乃々は集中し、癒しのオーラを作り出し始めた。

それに、合わせるかのようにほたると巴の力が乃々へ注がれていく。

街全体をまだ覆うことはできない……

だが……

ほたる「雨雲よ!力を貸して!」

そのオーラを雨雲へと変え、雨にすれば……

ポタッ……ポタッ……ザァーーザァーザァーーー!!!

憤怒の街へ癒しの雨を降らす。

それは、強い個体のカースには効かないが、弱いカースや憤怒のカースに乗っ取られた人間を癒すことができる。

そして、この街の瘴気を少しでも和らげることができる。

コレで少しでも楽になれば……

三人の少女の力は、この街を攻略するモノ達へと……




終わり


イベント情報変化

・ナチュルスターの力で癒しの雨が憤怒の街へ降り注ぎます。

・憤怒の街の瘴気が若干和らぎました。

・弱い個体のカースや憤怒のカースに乗っ取られた一般人達を浄化し、数が減ります。

・ただし、強い個体や先輩達には効き目がない模様。まだまだ予断はできません。

以上です。

コレで少しでも役に立ってくれれば……

乙です
夕美ちゃんの植えた肉食植物が喜びそうだねぇ…
先輩はどうしてくるのか…

緒方智絵里投下します

ここはとある教会。
小さいながらも内装は立派で、主祭壇の上方には意匠をこらした十字架がある。
そのさらに上には様々な色で作られたステンドグラスが教会内に光を取り入れている。

静寂に包まれた教会で一人の少女が椅子に座っていた。
その少女、緒方智絵里はそのステンドグラスをじっと見つめている。

そんな智絵里の後ろに一人の女性が近づいてきた。

クラリス「どうかしましたか?」

智絵里「ひゃ!」

ステンドグラスに夢中になっているところ急に後ろから話しかけられたためか智絵里は肩を震わせ小さく悲鳴を上げた。
そして恐る恐る智絵里は話しかけてきた女性、クラリスの方を向く。

智絵里「あ……えーっと……」

冷静に考えればクラリスは修道服を着ていたためこの教会のシスターであることはすぐわかるが、智絵里は何を話していいのかわからなくなっていた。

クラリス「私はこの教会でシスターをしているクラリスと申します。貴女のお名前は?」

クラリスは智絵里に優しく微笑みかける。

智絵里「あ……緒方……智絵里です」

クラリス「こんにちは、智絵里さん。この教会によくいらしてくださいました。奥でお茶でも出しましょう」

クラリスはそう言って教会の奥にある扉の方へと歩いていく。
智絵里はとりあえず立ち上がるが、おどおどしながら辺りを見回してその後

智絵里「ごめんなさい!」

頭を下げて謝った。しかしクラリスはなぜ謝られたのかわからなかった。

智絵里「その……勝手に教会の中に入っちゃって、きれいだったから、その……」

クラリス「かまいませんよ。基本的に開放されてますし、ここをきれいだと言ってくれる人を無下になんかできませんわ」

智絵里「あ……ありがとうございます」

それを聞いたクラリスは再び歩き出す。

クラリス「じゃあとっておきのお菓子を出しましょう。神父様には止められていましたけど、このかわいらしい客人をもてなさなければなりませんしね」




教会の奥の小部屋でクラリスは紅茶を淹れたカップを手に取って口へと運ぶ。

クラリス「自分が入れた紅茶ですが、我ながらほれぼれしますね。完璧ですわ」

そう言ってさらにもう一口、紅茶を口へと運ぶ。
そして机の上には小さな箱が置かれている。

クラリス「一つは神父様のですけど、今回ばかりは仕方ありませんね」

クラリスは箱のふたを開ける。
中にはショートケーキが二つ入っていた。
クラリスは迷うことなく取り出して皿に乗せた後、一つを自分の元へ、一つを智絵里の元へと置いた。

クラリス「どうぞ食べてください。遠慮はしなくていいですよ」

そう言いつつもクラリスの手にはすでに小さなフォークを手にしてケーキを小さく切っていた。

智絵里「あの……いただきます」

智絵里は少し気が引けたのかまずクラリスの入れた紅茶から手を付けた。

智絵里「……おいしい」

智絵里は自然と言葉に出していた。

クラリス「ありがとうございます」

智絵里の素直な感想にクラリスは微笑んだ。


クラリスはケーキを食べる手を止めずに智絵里に話しかける。

クラリス「ところで、私が言うのは何ですけど、この教会の何に惹かれたんですか?」

智絵里もケーキを食べながら答えた。

智絵里「えと……なんというか……よくわからないんですけど、ちょっと懐かしい感じがしたというか……」

クラリス「なるほど、教会に何か思い出があるのですね」

智絵里「はい、そんな感じです……それにこの教会、なんと言えばいいのかよくわからないんですけど……その、あったかいんです」

クラリス「ふふ……そう言ってもらえるとシスター冥利に尽きますね」

そう言ってクラリスはイチゴを口に入れた。

クラリス「この教会には私は小さいころから通ってました。そのころからこの教会は私にとって居心地のいい場所でしたから、そのように言ってもらえるということは私もこの教会を守っていけているという自信にも繋がりますわ」

智絵里「神様も……ちゃんとクラリスさんとこの教会のことを……見守ってくれてますよ!」

智絵里は先ほどまでの控えめなしゃべり方よりも、はっきりと言った。





ケーキも食べ終わって、クラリスは2杯目の紅茶を淹れている。

智絵里もかなり雰囲気に慣れてきたのか落ち着いて紅茶の香りを楽しんでいた。

そこにクラリスは急に思いついたように話を切り出す。

クラリス「この教会には私は小さいころから通ってました。そのころからこの教会は私にとって居心地のいい場所でしたから、そのように言ってもらえるということは私もこの教会を守っていけているという自信にも繋がりますわ」

智絵里「神様も……ちゃんとクラリスさんとこの教会のことを……見守ってくれてますよ!」

智絵里は先ほどまでの控えめなしゃべり方よりも、はっきりと言った。





ケーキも食べ終わって、クラリスは2杯目の紅茶を淹れている。

智絵里もかなり雰囲気に慣れてきたのか落ち着いて紅茶の香りを楽しんでいた。

そこにクラリスは急に思いついたように話を切り出す。

連投してしまいました
すみません

クラリス「ところでせっかく教会に来たのですから、懺悔、とまではいかなくとも何か悩み事でもありませんか。話せる範囲でいいですよ。悩める子羊を救うのも聖職者の仕事ですからね」

クラリスは少しだけ胸を張ってそう言う。
智絵里は少しだけ下を向いて考えた後、そのまま上目遣いになってクラリスを見る。

智絵里「じゃあ……すこしだけ、いいですか?」

智絵里は控えめに話し始める。

智絵里「前に、友達と喧嘩してしまったんです。ちょっとした考えの違いで……それ以来、会ってないんです」

クラリス「なるほど……それで仲直りをしたいということですか?」

智絵里「あ……いえ、仲直りはしようとしてるんです。一度はしようとしたんだけど……結局だめでした」

そう言った後、智絵里は頭を伏せてしまった。

クラリス「あら……それは残念でしたね」

智絵里「でも……今度こそ、仲直りしようと思って、いろいろ考えてるんです!」

頭を下げていた智絵里は再び顔を上げてクラリスの方を向き直した。

智絵里「でも、その仲直りの方法に、ちょっとだけ……自信が持てないんです」

クラリス「なるほど、それが悩みですか。その仲直りの方法というのは、自分の仲直りの手段ではなく相手のためにしようと思っているのですか?」

クラリスのその問いに対して智絵里は頷く。

智絵里「もちろんです。また……みんなで楽しく、一緒にいたいですから」

クラリス「なら、貴女のその正しいと信じた方法を、自信をもってしましょう。その気持ちは相手に必ず伝わるはずですから。これは私の勝手な想像ですけど、相手もきっとあなたと仲直りしたいと思っていますよ」

クラリスは、相手が智絵里のことを嫌っているという可能性も考えていたがそれは口には出さなかった。
この小さな少女が一生懸命になって悩んでいることだ。余計な不安を与えたくなかったのだ。

智絵里「本当……ですか?」

クラリス「ええ、もちろんですわ」

先ほどまで少し不安そうな表情で話していた智絵里だったが、その表情には笑顔が戻っていた。

智絵里「ですよね……わ、わかりました!がんばります!」

クラリス「ふふ、きっとうまくいきますよ」









日も少し傾き始めており、クラリスと智絵里は教会の前にいた。

智絵里「あのっ、今日は、ありがとうございました!」

クラリス「いえいえ、私も貴女と話ができて楽しかったですわ。よかったらまたいらしてください」

智絵里「……はい!今度は、私の友達も一緒に来てもいいですか?」

クラリス「もちろん、大歓迎です」

智絵里「では、また……です!」

クラリス「ええ、さようなら。また、ですね」

クラリスは去りながら手を振ってくる智絵里に対して小さく手を振り返した。







智絵里は日が沈み始めたころ、すこし人通りの多い通りを歩いていた。
その笑顔はまぶしく、道行く人はその笑顔を見てに少し心が癒される。

ちょうど、智絵里と偶然すれ違った本田未央もその笑顔に癒されていた。

未央(いやー、まったくかわいらしい子だったなー)

未央「まるで天使みたいだったよー、って私が天使だったか。あっはっは」

などど一人芝居をしてるので周りからは智絵里とは違う意味で目立っていた。

未央「あれ、そういえばあの子、どこかで見たことがあるようなー?」

未央はそこで足を止めて少し考えるが

未央「まぁいっかー。今日の晩御飯はなんだろなー!」

やはり本田未央に期待するだけ無駄だった。

そう言ってのんきにスキップしながら晩御飯に思いを馳せ自宅への道を進んでいく。
もし、ここで未央が智絵里のことを思い出していたら、きっと大きく展開は変わっていただろう。

智絵里を見逃したことを未央は後悔するのかはわからない。







智絵里はとあるカフェへと入った。
静かな雰囲気の店内では各々が自分の時間を過ごしている。
智絵里はそのまま店内を進み一番奥の席へと座った。

そこには先客として飴細工を駆使して作られたスイーツをどこから食べようかと悩む少女、大槻唯がいた。

智絵里「ご、ごめんね。……ちょっと遅くなっちゃいました」

智絵里は少し頭を下げる。
その声でようやく智絵里が来たことに気づいたのか唯は視線を飴細工から智絵里へと移した。

唯「待ってたよー。全くどこで道草食ってたのさ」

そう言って唯は頬を少し膨らませた。

智絵里「ご、ごめんなさい!ちょっときれいな教会があったから、つい、ふらふらと、引き寄せられるように……」

智絵里の声はだんだんと小さくなっていく。

唯「協会?なんでまたそんなところに?」

唯は首をかしげる。

智絵里「その教会、神さまの加護がとっても強かったから、神さまのことが懐かしくなって、つい……」

智絵里の言葉に唯はあきれたような顔をして飴細工を突っつく。
その衝撃に立体的な形を作っていた飴細工は軽くバラバラになる。
その飴をフォークで器用に口に入れた。

唯「あのさ、あんまり全能神の目に留まるようなことは控えてほしいな。ゆいたちの行動に目をつけられたくないしね」

智絵里「で、でもそこのシスターさんが、優しくてね、その……」

智絵里は事の顛末を唯に話した。
それを聞いた後唯はため息を吐いて、くだけた飴細工の降りかかったケーキを口に入れる。

唯「なるほどね、つまり智絵里は、神の加護のある教会にホイホイ入っていって、そこのシスターに優しくされた上に、おいしい紅茶とケーキをごちそうになった挙句、悩み相談までしてもらったんだね」

そう言う唯の顔は満面の笑みだがそこはかとなく威圧感が滲み出している。

智絵里「う……あ……ひうう……」

唯のその威圧感に智絵里は少し涙目になっている。

唯「あたしがいろんなところ走り回ってる間に、ずいぶんとのんきにすごして、その上、天使の智絵里が逆に悩み聞いてもらうってどういうことじゃー!」

唯は立ち上がり両手を大きく振り上げ激昂する。
逆に智絵里はさらに体を縮こまって小さくなる。

智絵里「その……いい人だったよ?」

唯「そういうこと聞いてんじゃねー!あんたはほんとにやる気あんのかって聞いてんだじぇ!

答えろや!『ルシフェル』!」

唯は猫のように唸りながら息を整える。
しかし智絵里はさっきまでのように怯えておらず、唯の方を向く。

智絵里「当然、やる気はあるよ。唯ちゃん。私に計画の変更はない。宇宙も、地球も、アンダーワールドも、人間も、人外も、能力者も、一般人も、悪魔も、天使も、魔界も、天界の、それらを遮る境界線を、意識の差を、格差を、正義を、悪を、全部取り払って、その後神さまと私、同じ目線から、高さから、この世界を見て回る。それが私の信じた道だから」

その言葉に唯は目を丸くする。
智絵里の目の中にあるのは絶対的な自信どころではないことが唯にはわかった。

唯(もはやこれは……盲信だね)

自信の信じたことが絶対的に正しいと信じ切った目。その正しさがたとえ智絵里自身になくとも、それが正しいと思っている。

唯「やっぱりあたしのようになんちゃって暴食じゃなくて、正真正銘の、傲慢だね、ルシフェル」

唯はゆっくりと椅子に座りなおす。

唯「そう、智絵里は、そういう子だった」

智絵里「あ……す、すみません……」

ここで智絵里は我に返ったのか頭を下げて顔を隠す。

智絵里「わ、私は……神さまに、2回、挑みました」

1回目は、堕天前。人間の素晴らしさを、世界の素晴らしさを知って、人と暮らすために、他の天使とともに愛する神にその考えを理解してもらうために挑んだ。その考えは正しいと信じて。

2回目は、堕天後。自分の考えを理解しなかった神への怒りと、それでも正しいと信じる自分の考えを愛する神も理解してくれるはずという傲慢と共に挑んだ。

智絵里「だから3回目は直接は挑まない。だけどせめて私の考えがどんなものかを知ってもらう。少し強引にでも同じ視点で見てもらえば、神さまもわかってくれるだろうから……」

唯「そう、そのための『神堕とし』、イルミナティの目的なんだから。もともとイルミナティを作ることを言い始めたのも、智絵里だからねー★」

唯はそう言った後、飴細工の皿の傍らに置いてあるカフェラテのカップを手に取って口へ運ぶ。

唯「智絵里も何か頼む?ここのスイーツ結構おいしいんだじぇー」

唯は智絵里にメニューを差し出す。

智絵里「あ……今はいいです。おなかいっぱいなので……」

唯「ふーん、了解っす♪」

差し出したメニューを唯は智絵里の少し隣に置いた。

唯「というわけでー、とりあえずこれからのことを一旦おさらいしてみよっか

『神堕とし』にも手段はいろいろあるけどさー。ゆいたちのしようとしてるのは『境界崩し』でいいんだよねっ」

『神堕とし』を試みた悪魔や堕天使、はたまた人間はそれなりの数に及ぶ。
全能神は堕ちなかったが、様々な手段が模索されて、別の神では成功例もあった。

『境界崩し』は実際に行われたことはないが、確実性が高い手法の一つとして考えられた。
その名の通りこの『世界』と『天界』の境界を無くして上位の世界と考えられている天界そのものを堕とす事である。

唯「でもこれがなかなか難しいんだよねー」

世界の境界はバランスによって成り立っていて、たとえなくそうとしても全世界の復元力によってすぐに元に戻ってしまうからだ。
しかし逆に言えばバランスを保ったまま、境界を無くせば状態を維持できるのだ。
天界に対する世界である魔界。その境界も同時に無くせば、バランスを保ち、維持できると考えたのである。

唯「だからこその必要な条件は境界があいまいになりやすい『混沌とした世界』と世界を繋げるための『接点』が必要になるけどさ」

智絵里「『あの日』のおかげで世界は、混沌としていますから、今がチャンス……なんです!」

条件の一つはほぼ整っている。
あとはもう一つ、『接点』が必要なのである。

唯「うーん、アンダーワールドや宇宙人とのコネはあるんだけどねー。重要な天界と魔界の『接点』がないんだよねー。ベルちゃんには振られちゃったし」

唯は腕を組みながらうなる。

智絵里「あの……魔界の『接点』はたぶん大丈夫です。アザエルちゃんが、いるので」

唯「あー……あー、なるほどなるほど、『暗示』はまだかけたままなんだよねっ?」

かつてルシフェルは人間と共に暮らすために神に談判し、反抗した。
ルシフェルは神とともに堕天をしたかったが、それを神は拒否したのだ。

ルシフェルは堕天して傲慢の悪魔ルシファーになっても変わらず神と共に堕ちることを願った。
その2回目の反抗の際に負けたルシフェルは神によってほとんどの力を奪われて、消滅寸前にまで追い込まれたのだ。

智絵里、ルシフェルはそうなることが、なんとなく予感はしていたので、その時ついて行こうとしたアザエルに暗示をかけたのだ。

『傲慢の証を持つものを私、ルシフェルと認識すること』

それと傲慢の証にもある呪いを仕掛けた。

『傲慢の証を持つものはアザエルを友人と認識し、傲慢の力を見たものはアザエルに関する違和感を感じなくなる』

その二つの暗示の力はいまだに智絵里によって制御されていた。

智絵里「さすがに……アザエルちゃんを、あのとき連れていくわけにいかなかったから……」

智絵里の友人を大切に思う気持ちはたとえ独善であっても本物である。
ゆえに無事では済まない戦いに友人を連れていくのを拒んだのだ。

唯「でもその暗示に使った力ってかなり強い力じゃなかったっけ?その力を残しておけば全能神にも勝てたかもーみたいなことはなかったの?」

智絵里「え……まだ余裕はあった気がするけど……」

唯「……智絵里って天使だったのに力はほんとに超・神級だよね~」

智絵里「……とにかく、計画実行前には、暗示は解こうと、思ってるんです。きっと私以外の、お友達も……できたと思うので」

智絵里はアザエルの交友関係の乏しさを心配していたので、そういった暗示をかけたのも理由の一つであった。

唯「だけど、堕天使のアザエルだけじゃ魔界の『接点』としては弱いから純粋な悪魔も仲間に欲しいと思うんだよねー。
だったらアザエルのお友達にも手伝ってもえればいいと思うな☆」

智絵里「たしかに……それも、いいですね」

唯(証持ちの悪魔、傲慢のルシファーなら『接点』としても申し分ないかも)

唯「……うひひ、だけどアザエルに関しては、暫くはそのままにしておいた方がいいかも。多分今はちょーっと忙しいだろうしっ☆」

智絵里「?」

智絵里は何の事だかわからず首をかしげた。

唯(泳がしておけば今のルシファーを魔界からつれてきてくれるだろうしね☆)



唯「あとは天界の『接点』。どっかに天界の神とか天使でも落ちてればいいんだけどなっ!」


緒方智絵里(??)
職業 イルミナティ創設メンバー
属性 天使
能力 不明

かつて神にも等しい力を持ったといわれる大天使長、ルシフェル
人間と共に共に過ごすために、神と堕天をすることを目的に神に反乱を起こしたが失敗。
その後魔界に落とされ、初代傲慢の悪魔ルシファーとなり再び神に挑むも失敗。その際に力をほぼすべて無くし、消滅寸前までになった。
その後バアルに回収されて人間の世界ですごしてきた。『魔』の力はほぼすべて無くしていたが、天使としての力は回復していった。
イルミナティ創設の言いだしっぺは彼女だが、あまり仕事はしていない。
人間であっても神であっても悪魔であっても誰にでも優しいマジ天使。
ただし独善的であり、自分が正しいと思ったら絶対に曲げることはない。これが傲慢である理由になっている。
緒方智絵里は現在名乗っている名前。
アザエルとは天界にいた頃からの友達。

境界崩し
世界を隔てる境界線そのものを取り払う儀式。
必要条件として『混沌とした世界』と『接点』が必要。
混沌とした世界によって境界があいまいになり、その上で『接点』としてその世界と深いかかわりを持った者が必要。
また世界の復元力によって境界をなくしてもすぐに再生してしまうので魔界と天界、両方の境界を同時に取り払ってバランスを保たなければならない。
『あの日』によって世界は混沌としているが、この儀式にはさらなる混沌が必要になる。
また世界内のあらゆる『境界』を無くしておくと、さらに確実性は上がる。
智絵里たちではすでに魔界や天界とのつながりは途絶えているので『接点』にはなりえない。

以上です

憤怒の街で盛り上がってる中このお話。

憤怒の街というビッグウェーブにのるしかない。

おつおつ
やはりちえりん大天使…って堕天してらっしゃるがな!!

乙ー

ちえりんマジ天使

全能神って結構堅物で自分正しい主義なイメージ

新スレ乙です

LAW属性は話を聞かないんだもん!マジ困る!可愛い!

後12分したら投下するよー後、桃華ちゃまには立派な支配者になっていただきたく思う所存です

おつー

ベルゼブブとバアルゼブル、ルシファーとルシフェルを別物とする、という発想は無かったわ

未来人、異星人はさらう対象になりうるんだろうか

投下します

櫻井桃華、三好紗南お借りします

>>53

異星人!不思議ポイント倍点!キャバァーン!

П「……近いな」

地価表の上下乱高下は、世間一般の大多数の人間には関係ない話だが。
だがこの男、ひいては女子寮のオーナーたる、この男には死活問題ですらあるのだ。

茄子「これは……結構、マズイんじゃあないんですかね?」

П「だよなぁ……」

先ず隣の町がカースに占領され、アナーキズムの街と化した。
そして街の地下からは多数の下水道が張り巡らされている、勿論いくつかはコチラに流れてきているだろう。

下水処理場に流れ付けば、纏まって人間に襲いかかり兼ねないし、何より水に溶けているなら環境問題が叫ばれる現代社会。
間違いなく周囲の街の人口流出、ひいては地価の低下、更には安定した生活からはまた一歩離れ行くのだ。

П「ギリギリギリギリギリ」

新聞を見れば、悪魔が空を天使とランデブー飛行。
改造人間4人大脱走、死神悪魔狩り継続中。
GDF総司令官辞任、隣町の新型爆弾の責任とり。
親潮に流され塗れすけ少女、土左衛門ごっこが今年の流行か……

П「忌々しい世間を騒がせ、地価を落とし続ける奴らめ……」

茄子「結局、あの空を飛んでた櫻井財閥の御令嬢も、悪魔でしたし……」

П「……せっつくか、各組織を」

そう言うと立ち上がり、地域の地図を取り出し時間を逆算する。

П「確か……あの御令嬢は各方面に『自分から情報を集めに』行った帰りだったな?」

そして目配せをする、いつもの気だるげな顔ではなく、ゲスな顔をしていた。
何となく気持ちを察して、流れを少し読み回答に答える。

茄子「そーですねぇ、GDFがいくら強くても『電波の薄い、超高度から超えてきたカースには、気が付かないかもしれませんね』」

П「あの御令嬢の事だ『常に自分の周りに、数人の能力者を配置する』だが、『人気取りのため、テレビの前で自分から手を下すことは出来ない』」

地図に赤い線を引き、地図から引き出したい情報をより正確にしていく。
居間のテレビでは自分の業績だとばかりに、GDFや様々に団体に例の地図を手渡し、演説をしている少女の姿が目に映る。

П「俺は、ああいう手合いが大っ嫌いだ、政治家みたいなやつがな」

茄子「あらあら、それはそれは」

そう言い、笑顔でラムネを呷る茄子。

П「そういう奴がする一番好きな顔がある」

茄子「どんな顔なんです?」

いかにも知りませんよ?とした顔で聞いてくるので、少しイラッとしてデコピンした後、呟いた。

П「どんなに苦しくても、笑顔を作らなきゃいけないときの苦しみ混じりの笑顔だよ」

遠征帰りの街宣のごとく、黒塗りのベンツに向けてオッサンオバサン、少年少女の歓声奇声が飛び交う。
その中、Пは少し離れた公園で無言でコーラのグミを咀嚼し、空を見上げていた。
隣では、茄子が公園の購買で売っていたバニラアイスに、笑顔で齧り付き、咀嚼していた。

П「来たか」

茄子「来ましたねぇ」

事もなさげに空に映る小さな点が徐々に大きく、更に大きくなっている。
それに気付いたビルの上に居た人間が3人、すっ転んで頭を打ち、熱く焼けたコンクリートに倒れこんで気絶した。
次に外周パレードのように理路整然と並んでいた中に、ポツリポツリと倒れる数人の人間、恐らく熱中症だろう。

П「後『能力者』は何人だと思う?」

茄子「もう居ないと思いたいですねぇ」

П「……居ないさ、多分な」

アイスクリームを事もなさげに食べ終え、手を叩き鞄の中からナフキンで拭いた頃。
遠くから動物のような、低い声が微かに聞こえ、ゆっくり走っていた黒塗りのベンツのエンジンに、深々と泥のような色をした槍状の固形物が刺さり、動作を停止した。
歓声は悲鳴に、奇声は怒号、笑顔は叫び声に変わり、民衆はてんやわんやの中、出口を求め『黒塗りのベンツ』から散り散りに離れてゆく。

茄子「流石に大きいですねぇ、アレ」

П「頃合いかね」

カースは舌なめずりをしていた、地ベタに這いずり回り何も出来ないくせに、頭ひとつ抜けてるだけで決まり事を作る奴。

そんな決まり事にペコペコ頭を下げ、アリガタミを感じるチンケな虫けらども。

決まり事に違反すると、心を苛む『道徳』を植え付ける、制度システム……

カース「イライラスルンダョォオオオオオ!!ブッコワシテヤルァアアアアアア!」

先ずは、権力の象徴であるベンツを壊してやった、壊した瞬間ブツブツと毛穴が開き得体のしれない快感が身を焼く。

もっとだ!もっと俺は……力を得たのだから!

だが次の瞬間、全身が強烈な衝撃を受け、胸から下が消滅し落ちているのが分かった。

わけも分からず、公園のベンチに腰掛ける、うだつのあがらない男の顔を見た辺りでカースは掻き消えた。

П「流石にデカイなぁ、音」

茄子「いやぁスゴイですね、『隕石』って、私初めて見ちゃいました」

耳栓を付けていてもうるさく感じる騒音、周囲に散らばる振動によって割れた都市の窓ガラス、そして呆然と空を見上げる人々を差し置き。

П「こんにちはぁ……初めまして、櫻井桃華……ちゃん?いやあ、偶然ってコワイねぇ?隕石とカースがこの車に向かってたんだってねぇ?まあ、両方ぶつかってかき消えちゃったけどね」

Пがニタァァと邪悪な笑みを浮かべ、窓ガラスにヒビの入ったベンツのドアを開けて、中の人物に挨拶をする。
外では、サクサクと音を立てて、笑顔で茄子がクッキーを食べているのが桃華からは見えた。

桃華「……」

三好「だ、誰…?」

П「ああ、申し遅れましたぁ、一応能力者のПっていう人なんだけどさぁ……まあ、出なよ演説の時間だぜ、桃ちゃん?舞台準備は万全だぁな?」

桃華「……」

不機嫌な表情のまま、Пを見返す桃華は何を考えてるかもわからず、Пもニヤニヤ笑みを浮かべる中、遠くからヘリコプターの音が聞こえてくる。
恐らく情報機関のヘリコプターだろう、何故かってここは報道局の近くだからだ、恐らくこの状況は偶然ではないのだろう。

П「ホラ言わなくちゃあ『GDFは何をしているんだ!民衆の税金で固めた装備はゴミクズ同然か!あんなカースを撃ち漏らすなんて!』ってさぁ?」

П「早く動いてない組織をせっつけよ!成りたいんだろぉ?支配者、じゃあならせてやろうじゃねぇか!善政をしく、『清く正しい支配者』に!」

П「そして、早く助けてみろよ!きっと新聞の1面記事に載るぜ!デカデカとよぉ!『櫻井財閥!勇ましき御令嬢主導となり、カースに支配された街を開放す』ってさぁ!」

突然現れ、終いにはゲラゲラ笑う男と不機嫌な桃華を、見て紗南は困惑し続けるのだった。

П「後、不審な動きしたら……えーっと、こういうんだっけ、わ か る わ よ ね ?ってな」

П「だって、僕と君とは、お友達!だもんねぇ!だから確約してあげる!『君はどうあがこうが、今回の件ではヒーローとして讃えられる!』ってな!」

そう言うと、Пは益々不機嫌になった桃華のほっぺたを突っつき、ドアを閉めてゲラゲラ笑いながら立ち去っていくのだった。

やったね桃華ちゃま、救国の英雄として祭り上げられるよ!

今日はここまで

おっつし☆

しかしПの煽り性能……お前は憤怒Pの分身か何かか

おつおつ!

Пの皮肉大盛りドカ盛り状態の会話が楽しすぎて笑った。

乙ー

ちょっと笑った。桃華ちゃまのストレスまったなし

ちょっと投下。



「雨……」

街の各地から結界のある病院に逃げてきた人たちで溢れかえる病院から私たちは空を見上げていました。

見覚えのある蒼のオーラを覆うようにぽつり、ぽつりと雨が降ってきます。

「乃々ちゃんたち、やってくれたみたいですねぇ~♪」

「そっか、これがナチュルスターの……」

癒しの力は、雨雲に乗って『憤怒の街』を覆い尽くし瘴気がみるみるうちに薄れていきます。

「三人を帰した私の決断は正しかったですよねぇ~♪」

少しだけ得意げなイヴさん。

「これでネネさんを休ませてあげられるね」

結界が不要なら『アイシクルケージ』だけで病院を守りきれる。

長い長い時間この病院を守るために結界を張り続けた女の人。

『お疲れさん!お嬢ちゃん!』

『結局俺たちはお嬢ちゃんに守られてばっかだったな…』

『俺なんか一回カースに呑まれかけたからな……』

「わ、私が頑張れたのはみなさんのお陰ですからっ!」

…お疲れ様、ネネさん。

「…あ、あれ?もしかしてカースの数も減ってますか?」

氷の檻越しに外を見て呟くネネさん。

「弱い個体は雨と一緒に溶けていっちゃいましたぁ~♪」

「癒しの力でカースって消えるんだね」

…最近はただでさえ氷に潰されたり、地割れに飲み込まれたり

雷撃に打ちのめされたりでロクな消え方してないカースばっかり見てるからなんだか少し安心したような…?

「そろそろかな…?」

「そろそろ、ですねぇ~♪」

「そろそろって何がそろそろなんでしょう?」

ネネさんは不思議そうに首を傾げます。

「うん、氷の檻の『張り直し』」

「ちょっと妙なんですよねぇ~、この街のカースの『偏り』♪」

「極端にカースの攻撃を受けて消耗の激しい檻とそうでない檻があるんだ」

「えっと、つまりカースが大量に集まってる危険な場所があるってことでしょうか…?」

「今のところなんとか守れてるけどたまに張り直さなきゃ危ないから…」

「それに助けが来たなら檻を無理やり壊して貰うか私たちで魔術を解かなくちゃだしね」

「…早く助けが来るといいですね」

「……うん…」

この街の人々を一人一人避難誘導するにはあまりに危ない。

それにもし私たちが街を出た瞬間に檻が壊されて中の人たちが襲われるなんて考えたら…。

「心配性の裕美ちゃんにはこれをあげましょうか♪」

そう言ってイヴさんは何枚かの羊皮紙と羽ペンを私に手渡します。

「これは?」

「使い魔契約のスクロールと専用の羽ペンですっ♪炎、風、水の三枚だけだから大事に使ってくださいねぇ~♪」

「…何で使い魔なのかな?」

「知り合いがくれました、まぁ私にはブリッツェンが居ますからきっとこうしろってことなんでしょうねぇ~♪」

「…使い捨てで使い魔くれる知り合いって何…?」

「いつか会えるかもしれませんねぇ~♪」

何年付き合ってても師匠のことはよく分からない。



『アイシクルケージ』を貼ったショッピングモールへと向かってみる。

「癒しの雨のお陰で初めて乃々ちゃんと初めて檻張りに行った時より行くのは楽になったね」

「三人のお陰ですねぇ~♪」

初めて会った時のこと、三人目のナチュルスターである巴さんが初めてやってきた時のことをふと思い出してなぜか笑顔が溢れる。

「さぁさ、行きますよぉ~!」

「う、うんっ!」

気持ちを入れ替えてカースの攻撃を受けて傷ついた檻に向き合う。

『合唱魔術の発動を宣言する!』

『氷よ!大いなる我が力に従い、全てを覆い隠せ!アイシクルケージ!』

元々あった檻が砕け、新たに地面から昇ってくるように氷の檻が現れる。




『…貴女たちだったんですね、この忌々しい檻は…!』

それと同時に私たちの背後に何かが振り下ろされる。

「いきなりご挨拶ですねぇ~♪」

イヴさんが振り返って箒で振り下ろされた何か、カースの腕を払う。

…カースと…カースドヒューマン…あの人が…?

「…檻張ったばっかりで殆ど魔力残ってないのにっ…!」

慌てて羊皮紙に羽ペンで使い魔契約のサインを記す。

――魔術管理人ユズは契約を行い、使い魔を託す。確実な信頼者 関裕美へ

『みー!』

「……か、可愛い…」

突然現れた黄緑色の服を着た小さな女の子に思わず本音が漏れる。

…それどころじゃなかった。

「カースっ!」

一体や二体どころじゃない…!

取り囲むように大量のカースが私たちを包囲する。

『なんですか、この檻…腹立たしい…!』

『…邪魔…!さっさと退場してください…!』

彼女のイライラとした声と共に大量のカースが一斉に私たちに襲い掛かってくる。

『みぃー!!』

ぷちちゃんが高らかに声を出すと私とイヴさんの周りに小さな竜巻が発生する。

竜巻は浄化の雨を巻き込み浄化の暴風となりある程度力のあるはずのカースまで核の状態にまで押し戻す。

「ぷちちゃん凄い……!」

…この使い魔の持ち主の魔術管理人ユズって人が余計気になるなぁ…。

『…なんですかそのちっちゃいの…!私のカースは雨で消されるし、この氷の檻は邪魔でしょうがないし…!』

『腹立たしい!腹立たしい!!腹立たしい!!!』

…この人はなんでこんなに辛そうな目をしているんだろう。

『…貴女たちに覚悟なんて無いくせにでしゃばって…!』

『…私を殺す覚悟すらないくせに…!』

「こ、殺すっ、な、何の話っ!?」

何を言っているんだこの人は。

『何の話…?私たちカースドヒューマンの核を砕けば死ぬ、当然の話でしょ…?』

「…し、師匠…?」

「……」

イヴさんは口を噤んだまま立ち尽くす。

「ねっ、ねぇっ!」

師匠じゃなくてイヴですって小突いてよ…!

「…確かに今のところ侵食が進みすぎたカースドヒューマンを確実に救う方法は…無いですねぇ…」

「…そんな……」

彼女は嘲るように嗤う。

『やっぱり殺す覚悟なんてないじゃないですか、正義の味方が笑わせますね』



   『ねぇ、私を殺してみてくださいよ?』



「…ネネさん、ごめん」

私は結局何も出来ないまま病院に戻ってきてしまった。

ネネさんに頭を下げる。深く、深く。

「私、この街のカースの親玉みたいなのに会った…、だけど……倒せなかった…」

「倒さなくちゃ、この街の人、救えないのに…、解放できないのに…」

「ネネさんはずっと病院守っててくれたのに…私なんにも出来てないね…?」

悔しくて、でもなにより情けなくて涙が出る、癒しの雨と一緒にこの気持ちも流れていっちゃえばいいのに。

「…『お疲れ様』、裕美ちゃん」

「みんな私にそう言ってくれましたから、『お疲れ様』」

ネネさんは私の頭をそっと包み込むようにきゅっと抱きしめてくれました。

…あったかい…。

『みーっ!みーっ!』

私を励ますように私の周りを黄緑のぷちちゃんが飛び回る。

「…もうちょっと…頑張ってみる」

まだ私の手でも守れる人たちがいるから。



『嬢ちゃんたち、見てるだけでいいのかい、お弟子さんなんだろ?』

「ふふっ、若いっていいですよねぇ~♪」

『俺たちからすりゃアンタも充分若いぞ』

「褒めたって何にも出ませんよぉ~♪」

『…嬢ちゃんも妹さんのことで色々悩んでたみたいだからな』

「…遅かれ速かれ向き合わなくちゃいけないことってありますからぁ~♪」

『やれやれ、食えないお師匠さんを持ってるな、あの娘も…』

『一番弟子ですからっ、ちょっと特別扱いしても仕方ないですよねぇ~♪』

終わり。

裕美ちゃんはなぜこんなにウジウジパートが似合うのか。
ネネさんはお姉さん可愛い。

乙です

着実に憤怒の街が攻略されていきますね

乙です

裕美ちゃんに衝撃的事実がのしかかる...!
誰か胃薬やれよ


おつー

裕美ちゃんとネネさんって年齢一つしか違わないんだな……

乙ー

裕美ちゃんに誰か胃薬をっ……!

乙です
なんというか…色々ごちそうさまでした

皆さん乙です
暗躍してるグループもあれば街で戦うグループもいる…イベントっていいねぇ
マジで岡崎先輩どうしようか…夕美ちゃんは躊躇しなそうなんだよなぁ

乙です
ちゃまの成功が約束されたね(ニッコリ)
奈緒ーっ!献血しようぜーっ!

というか輝子が吸血して吸血鬼にすれば解決なのでは?

……あれ?もしかして幸子が無事なのは輝子に吸血されて吸血鬼になってるからじゃ……

でも加蓮の例を見るに一度死んでそこから蘇生というか奈緒に取り込まれたっぽいんだよなぁ
浄化前に不死になっても暴走しかねないだけじゃない?

>>82
そこはどうなんだろう?

加蓮が奈緒の血を飲んだのは戦闘中だし……

・同化にはタイムラグがあるんだよ派
・きらり以外で死んだ加蓮に最初に触れたのは奈緒。この時に蘇生したよ派
・究極生命体の血と浄化されてない核は相性が悪いよ派
…どれだ…?

よく考えたらトライアドプリムスは凛ちゃん以外人間辞めまくってるな。

むしろ誰一人人間やめてないユニットってないんじゃ

ニュージェネ→大天使ちゃんみお
ピンキーキュート→堕天使ちえりん
はぴはぴツインズ→人外×2
ワールド→宇宙レベル

Age16が最後の希望だ

にゃんにゃんにゃん:猫獣人と正体不明とプラナリア
シンデレラツイン:いあいあと悪姫ブリュンヒルデ

あっ、力を授かった同士のヒーローヴァーサスだけは人間同士じゃね?

ナンジョルノとレイナサマにパワーアップフラグか、アツいな

センゴク☆ランブ・人間同士
ロックザビート・改造人間

ぎゃー
スマフォからだと上手く遅れてなかったー!

どこからが人間判定なんだろうか

センゴクランブは両方中身が普通の女の子で変身とかでもないしいくらでも拡張性も成長性もあるのがいいよね
今回みたいな下手すりゃ死ぬ系には相性よくないけど

今後の大型イベントを予測するとなぁ…
厄地ニナチャーンイベント
AEイベント
暴走奈緒イベント
堕天使イベント

あくまでも予測だけど
…命に関わり無さそうなの…どれだろう

どれもアカン

大罪の刀で強化ワンチャンあるし…!
ニナチャーンイベントは行けそうな気がするし…

あれ?よく考えたら奈緒暴走したら加蓮死ぬ?

多分一緒に暴走して奈緒が死んだら連鎖的に死ぬ

堕天使の「境界崩し」とか完了したら能力者組は能力喪失しそう
悪魔天使とか無力化しそう
その時こそ技術を持ったただの人間が……!

なにそれ熱い
個人的に境界崩し成功したら地獄と天国がごちゃ混ぜになって一般人全滅だと思ってた
それでチエリエル発狂

キャプテンが境界線創り出すから大丈夫だよ(適当)

当然そこまでの力は無いけど

境界崩しって別に人間が死んだり能力消失じゃない気がする

多分境がないからどこにでもいけちゃう。つまり生と死の境界がなくなり神様のいない日曜日みたいな……

死神が失業してしまう…!
まぁ確実にまともな世界にはならないよな…

さて、疑問に思われたからには書かねばなるまい…奈緒ちゃん成分少ない奈緒ちゃん話投下します。

時間軸は憤怒の街とは関係ないところです

だがディープに書きすぎた気もするんだ!
いつも通り※えげつない設定注意です!※

久々に宇宙管理局にネバーディスペアを呼び出し、数日間、とある検査を行っていた。

一見すればただの身体検査だが…本来の目的は奈緒の血を採取することだった。

奈緒は身体にコンプレックスを抱いている。だからあくまで自然に手に入れる必要があった。

加蓮という少女。…彼女は一度死んだそうだ。

物事の本質を常に見ているきらりが言うのだから間違いのはずがない。

しかし、生き返った。その理由が奈緒の血だという。

…血だ。奈緒の血には何かがある。そこで行われた実験で成果を得られたのがとある実験。

2匹のネズミ。1匹は毒で弱り今にも死にそうなネズミ。もう1匹は元気なネズミ。

どちらにも血を飲ませ、放置する。

驚くべきことに奈緒の血は数時間も温度と鮮度を保っていた。この血の温度が失われる頃にまた血を飲ませる。

毒に侵されていたネズミが死んだのと同時に健康なネズミを埋め込んでいた電撃装置で一撃で殺す。

しばらくして毒に侵されていたネズミだけが動き出し、さらに異常な力でケージを壊し、眠っている奈緒の部屋に飛び込んで奈緒に溶けるように同化した。

…自分は極秘に入手されていた奈緒達を改造した研究員のレポート、資料をひっくり返すように調べた。

奈緒の過去をもっと知る必要がある。そう判断したのだ。

一度上層部から与えられた情報では足りない。奈緒が星を食らう怪物と言う事しか知らない。

だから、彼女に無断で彼女の過去に触れることにした。

誘拐され、キメラにされた奈緒。…童話の星を食らう怪物は様々な生物の特徴を持っていたらしい。

奈緒はキメラ化されてから自己再生能力はあった。

しかし、現在の…腕を切っても腕の方から戻ってくるようなものではなく、腕を切ったらしばらくくっつけていれば繋がる程度のもの。

レポートによれば組み込まれた生物の生きようとする意思がそうするらしいが…真偽は定かではない。

しかし、どこまで再生能力があるかを研究員達は奈緒を玩具のように扱って確かめ続けた。

元々キメラ化も不安定なものだったらしく、数日ごとに動物化している部分も変わっていたこともあり、本当に玩具のように思われていたように思える。

斬首、銃殺、毒殺…他にもえげつない物ばかりだ。彼女の無知に付けこんだ虐待をしている時もあったようだ。

最後に猛獣に生きながら食われてついに発狂。研究員の一人に重傷を負わせ、地下深くに閉じ込められた。

…それからかなりの期間が開いてレポートが再開された。

カースの核を埋め込む実験。所長が奈緒に埋め込むことを望んだようだ。

…奈緒自身に暴食への適性はなかった。無理に埋め込まれたせいか、かなりの時間苦しみ続けていたようだ。

しかし、奈緒は組み込まれていたキメラとしてのデータを泥に投影することで生物の生きる事への渇望…食欲で核への適性を得た。

核も内部の生物たちも同時に大人しくさせることで苦しみから解放され、肉体の変化も止まり…異常なカースドヒューマンと化した。

自己再生能力も異常な進化を遂げ、奈緒の意思さえ関係なしに肉体を常に同じ状態に保とうとする。

髪を切っても再生するレベルで肉体の変化を拒んでいるのだ。

それが生きる事への渇望の弊害だそうだ。奈緒自身の変化は望めないとレポートにも残念そうに書かれている。

発狂したままで正気を失っていたが…正気だったならばきらりの浄化もうまくいったかは定かではない。

現在管理局にある情報によれば、暴食のカースドヒューマン3人組は好物を武器にするらしい。それはもちろん料理だ。

しかし奈緒は生物を生きたまま食らい、その生物が激しい感情を発した時に自身の一部とする…らしい。

だから感情の塊であるカースの泥を食らい、さらにその力は膨れ上がる。

その仕組みは解読班も完全に読み解けなかったようではあるが、これまでの読み取れるところから推測すると…

生きたま食らうことで奈緒の内部でその命は死んでしまう。

…しかしその理不尽な死の瞬間こそ、その命はもっとも生きることを望む瞬間ではないだろうか。

カースは感情の塊だから一部になりやすい。

加蓮や先ほどのネズミのように、生きながら死を悟りそして死んでゆく…その時に無意識にでも生きることを強く望むのではないだろうか。

しかし、それでは加蓮が奈緒に同化しなかった理由が分からない。

ネズミと加蓮の違い…核だろうか?

核が文字通りにその取り込まれたはずの者の姿を保つ核になり、取り込まれずに済むのではないだろうか。

あくまで予測でしかない事。まだ分からないことが多い。

例えば…何故奈緒があの生物たちに乗っ取られずにいられるか…とか…

         『お兄ちゃんは』

      『人間の姿じゃなかったら…』

   『化け物だったら今みたいに受け入れてくれたの?』

「!?」

耳元で囁くように幼い少女の声がした。

振り返って、入り口にパジャマ姿の奈緒が…ぬいぐるみを抱きかかえながら虚ろな目をして立っていた。

「…奈緒?どうした!?大丈夫か!?」

慌てて駆け寄り、声をかける。するとハッとするように意識が戻った。

「…あれ?あたしなんでここに…」

「…大丈夫か?」

「うん…多分喉が渇いてたのかも。」

「寝ぼけていたのか…?」

さっきの背筋が凍るような目は何だったのだろう。気のせいだったのか?

「?」

「まぁ…早く寝るんだ。明日地球に戻るからな。」

「うん。きらりが待ってると思うし、戻るよ。」

「奈緒はきらりが好きだなぁ…」

「!?ち、違うし!きらりの方から来るだけだし!」

「はは、取りあえず帰りな。」

「…うん。」

奈緒が帰っていくのを見送り、再び作業に戻る。

さっきの声はきっと幻聴だろう。耳元で声なんて聞こえるはずがないのだから。

部屋の隅で小さな黒い物体が蠢く。

              『本当は好きなの』

          『眠るときは怖い夢から守ってくれるの』

     『素直じゃないでしょ?奈緒はいつもそうなんだ。変だよね?』

              『お兄ちゃん?』

      『…お兄ちゃん、あたしの声…も、もう聞こえないの…?』

       『せっかくひとりぼっちじゃなくなったと思ったのに…』

           『寝て起きたらあたしはまた…!』

         『やだ、やだ!怖い夢なんて見たくない!』

             『奈緒なんて大っ嫌いだ!』

黒い物体は奈緒に引き寄せられるように消えていった。

奈緒の中のなにか・3
意識の集合体である「僕ら」「私たち」とは違い、自立した意識を持つなにか。
確かに奈緒の一部のはずなのだが、奈緒にも「僕ら」にも「私たち」にも認識されない異質の存在。
幼い少女のような声と性格で、しかしどこかおかしい感じが漂う。
何事にも素直で、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。
奈緒の意識が薄いときは肉体をある程度操作でき、数分は小さな黒い泥として分離もできるらしく、「僕ら」「私たち」よりは上位の存在である。
それでも意識が浮上するのは数週間に一度で、その間の意識は「怖い夢」に溺れている。
だがその声と姿は肉体の外の人間にも認識されにくく、常に孤独。
『家族』に憧れており、ネバーディスペアを『家族』と認識している。
その為、自分を閉じ込めてさらには『家族』までいる奈緒を嫌っている。

以上です
暴走フラグ入れつつここの奈緒ちゃんはロリだからなアピール
…ダークな話書いてる時が一番筆が進むんです。助けてください

乙ー

((((;゚Д゚)))))))アカン

乙!

奈緒の血をペットボトルに詰めて売りだそうとか考えないですから許してください。

ウサミン星人の科学者拷問しなくちゃ…(使命感)

乙です

おつおつ
奈緒と何か…二つに救いはあるのだろうか…

次から投下します

―――光達の中学の屋上

ルシファーの『傲慢』なる残酷な提案に屈さず、自らの『誇り』と『自信』を手に入れた小関麗奈。
望月聖にも、その身に秘めた希望の光を見出され、悪のカリスマから正義のヒーローへと転職。


―――かと思われたが


麗奈「ところで南条。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」

光「ん?なんだ?」

麗奈「アンタと望月って昔からの知り合いなんでしょ?」

麗奈「なんか、アイツの弱点とか知らないわけ?」

光「へ?」

過去に自らの悪事を聖によって邪魔されたことを未だに根を持っており、未だにその復讐を企てていた。

光「昔からの知り合いって…聖はまだ転校してきてそんなに日は経ってないぞ?」

しかし光からの返答は麗奈にとっては間の抜けた返答そのものである。

麗奈「そういうことじゃないわよッ!」

麗奈「アイツが転校してくる前から、アンタ達は仲間だってんでしょって聞いてんのッ!」

光「アタシと聖が?」

光「いや、それならもっと再開の喜びを分かち合ってると思うぞ!」

麗奈「……」

麗奈からすれば光はバカそのもの。
しかしその正義感は身を持って体験しているため、決して都合の悪いことを誤魔化したりするような奴では無いこともわかっている。

麗奈「…ホントに知らないわけ?」

光「あぁ!昔からの友人なら忘れるわけも無いからな!」

麗奈「…はぁ」

麗奈「(じゃあ、アイツは一体何者なのよ…)」

光とは全く無関係なまた別のヒーロー?
そう考えると世界征服を企てる麗奈にとっては現時点では聖相手に成すすべも無い。
頭の痛くなる存在だ。

乙です
奈緒の人生壮絶すぎる…本人が覚えてないのが救いか
…怖い夢ってフラッシュバック?

>無知に付けこんだ虐待
性的なってつく虐待だったらウサミン星人許せないんですが…

麗奈「(けど、そんな奴がアタシ達のクラスに転校してくるって、いくらなんでも偶然が過ぎない?)」

麗奈「(流石に光との関係性が何かしらはあるとは思うんだけど…)」

小関麗奈。
世界征服を企てるほどの大口を叩くだけあって、本人は中々に頭が回る。

麗奈「(まぁ、でも…)」

麗奈「(そういうことなら南条を利用さえすれば、アイツは手を出せないっていうことじゃ…)」

しかし、その考えは中々にこすい。

光「?」

光「麗奈、どうした?」

麗奈「なんでもないわよっ」

麗奈「ほら、教室戻るわよ。授業始まっちゃうから」

光「おっと、そうだなっ!サボりはよくない!」

麗奈と光が屋上を後にし、自らの教室へと戻っていく。
その姿を望月聖と佐城雪美は物陰に隠れながら見守っていた。

聖「私も…教室に戻らなきゃ……」

雪美「……」

仮の姿とは言えど、学生の本分は学業である。
その本分を聖が疎かにするのは聖なる天使としてはあるまじき行為である。
しかし佐城雪美は面白くなさそうな顔をしていた。

聖「そんな顔…しないで…?」

雪美「……バッグの中……狭い……」

聖「…授業中に猫を机に置くわけにもいかないの……」

聖はお留守番に対して異を唱える雪美に根負けをし、自らの学生バッグの中に入って大人しくしているならという条件で連れてきた。
猫がダメなら自分も転校生にと雪美は言うが、人間時の雪美の姿では中学生というのは無理はある。

雪美「……ぶー……」

聖「ふてくされたりしないで…」

聖がいつものように雪美を宥める。


―――その刹那だった


聖「…!!」

雪美「…!!」

なんの変哲もなく広がる青空。
しかし二人は感じた。
この世の物では無い、邪悪な存在の魔力を。

「あなたはミカエルね?……隣の子は誰?」

これから毎日ウサミン狩ろうぜ

その少女は人間の肉体を持っていた。
しかし、普通の人間とは異なる。
何故ならその少女は巨大な魔力を放ち、そして背中には黒き翼が生えていたのだから。

千鶴「あなたがいるなら私が求めているモノにもたどり着ける?」

少女の名は『松尾千鶴』
しかしそれは、人間の肉体の名。
少女は乗っ取られている。

聖「貴女……アザエル……!」

千鶴「ふぅん。天界を堕ちた私でも名前は覚えていてもらえるのね」


―――堕天使『アザエル』


『傲慢』のルシファーと共に天界から堕ち、自ら堕天使へと生まれ変わった元天使。
『神により強くされた者』の異名を持つ、その巨大な存在。
天界の四大天使である『聖ミカエル』こと聖が知らないはずは無かった。

聖「……どうして、貴女が…」

千鶴「ふんっ……どうしてですって?」

千鶴「あなたに言う筋合いは無い」

千鶴「……ルシファーを倒した存在を手っ取り早く見つける為には」

千鶴「破壊活動をして騒ぎを起こせば良いのだから…」

聖「……」

雪美「……聖……あの人……おしゃべり……」

聖「……彼女…独り言が多いの」

千鶴「…ハッ!?」

しかしその独り言はとても見過ごせるものではない。
ルシファーが討伐され、そのルシファーと『アザエル』の関係性は聖自身も知っている。
つまり要約すれば『アザエル』は力の持たない一般人を巻き込んでルシファーの敵討ちを目論んでいるということ。

聖「そんなことはさせない……!」

聖がその背中に純白の翼をはためかせる。
一般人は無論のこと、まだ精神的に未熟な光や新たな希望となりうる麗奈を天使や悪魔の戦いに巻き込むわけにはいかない。
それはあまりにも早すぎる。

雪美「………!!」

雪美も聖の信念を感じ取ったのか本来の姿である『グリフォン』へと戻り、聖に加勢しようとする。
しかし、それは聖によって制されてしまう。

雪美「…聖……どうして……?」

聖「貴女の力は信用している…」

聖「だからこそ…」

聖「―――彼女相手には、命取りなの」

千鶴「……やっぱり私、独り言多いな…」

千鶴「…ハッ!?」

千鶴「勝手に話を進めないでもらえる?」

千鶴「別に、私は貴女には興味無いのだけれど?」

平静を取り繕う『アザエル』
しかしそれは表面上だけのものでは無い。

千鶴「まぁ…」

千鶴「―――あなたが望むなら倒してしまっても構わないけど」

聖「……!!」

ルシファーから教えられた『傲慢』の感情。
その『傲慢』はハッタリでは無く、聖相手にも絶対的自信を持っているからこそだった。

聖「……確かに」

聖「貴女の力…私でも退けないかもしれない……」

雪美「……!?」

雪美は驚いた。
聖の強さは知っている。
『聖ミカエル』は天使の中でも最強の存在だってこともわかっている。
その聖が退くことの出来ない存在。
彼女にはとても考えられなかった。

千鶴「わかってるの?なら敵意を向けるのやめてよね」

千鶴「あなたの力は私の……いや、お喋りが過ぎたわね」

『アザエル』がすんでのところで独り言を飲み込む。

聖「雪美……彼女の力はルシファーに似ていて…」

聖「けれど…ルシファーより強力……」

千鶴「…ちょっと!?人がせっかく独り言を飲み込んだのに…!」

『アザエル』の抗議の声。
しかし聖は構わず続ける。

聖「彼女の力…」

聖「―――相手の能力を先読みして相手に返すこと」

雪美「……能力を……返す……?」

千鶴「……」

千鶴「まぁ…」

千鶴「知られたところでどうにかなるとも思わないけど」

『アザエル』は諦めて傍観する。
聖が雪美に説明している間に行動を起こさないのは『傲慢』たる余裕だろうか。

聖「例えば…彼女の魔力を吹き飛ばす魔術を使おうとする…」

聖「けれど……使おうとしたときにはもう…こちらの魔力が吹き飛ばされている…」

聖「炎の魔術を使えば……先に燃やされているのはこちらの方…」

聖「こちらが何か仕掛けようとした時には、アザエルがもう既にその能力を使っている……」

聖「つまり彼女は…」

聖「―――私達の能力を、私達より先にそのまま使うことが出来る」

雪美「……!!」

聖「けれどルシファーと違って、自在に使えるわけじゃない…」

聖「ルシファーは私たちに変化して、その性質さえも己のモノにする……」

聖「でも、アザエルはこちらが能力を使わない限り、その能力を己のモノにすることは出来ない…」

聖「さらに彼女が使える能力は、彼女自身に対して向けられた能力のみ…」

聖「ルシファーの姿形を変える『変化』……『怠惰』のベルフェゴールの『自己再生能力』といった能力は己のモノに出来ない…」

雪美「……直接……叩くのは?」

聖「物理攻撃なら……彼女に打撃を与えることは可能……」

聖「だけど…」

千鶴「それに対応出来るだけのポテンシャルは私にはあるの」

聖「……」

聖の説明に痺れを切らしたのか『アザエル』が横から口を挟んでくる。

千鶴「―――お喋りの時間は、終わりよ」

聖「…!!」

千鶴が魔力を解放する。
魔力抵抗が無い者ならば空間を纏う魔力にあてられただけで、気後れしてしまうであろう。
それに対して聖はひるむことなく、強い眼差しで千鶴のことを見据える。
自分ならば多少なりとも『アザエル』の足止めは出来るはず。
聖に制された雪美も負けじと『アザエル』をキッと睨む。

しかし『アザエル』の取った行動は二人の予期せぬものだった。

千鶴「多くの魔力の集まりを感じる…」

千鶴「あなたを倒すよりは、よっぽど有意義ね」

千鶴「……労せず、探し求めている人物に辿り着けそう」

聖「…!?」

『アザエル』はあろうことか身を翻し、聖たちの前を後にし羽ばたいていく。
決して聖たちに臆したわけではない。
自分の目的はあくまで『ルシファー』を討伐した者との交戦、撃墜。


―――そして


千鶴「―――全ての生命を巻き込んで、戦争を、起こすのよ」

聖「……逃がさない!」

雪美「……!!」

それを追うように聖と雪美もそれぞれの翼をはためかせ『アザエル』を追いかける。
ルシファーと違い『アザエル』は既に目的の誰かを手にかけることを公言し、それに実行を移しだそうとしている。
そのためには手段は選んだりはしない。
彼女はそういった『堕天使』だ。
無駄な犠牲を増やさないためにも、ここで逃がすわけにはいかない。


―――『アザエル』が魔力の集まりを感じ、それを辿って向かった先


―――『聖なる天使』と『堕ちた天使』が今『憤怒の街』へと降り立とうとしていた

・『神により強くされた『傲慢』の力』

自分に向けられた術を自分の術にして、そのまま相手へと返す能力。
反射とは違い、先読みしての発動の為、相手の虚をついた攻撃が出来る。
術の効果は対象の魔力に依存する為、対象の魔力が高ければ高いほど、その効果は絶大なものになる。

ただしこの能力は、自分に対して向けられた術にしか意味を成さず、自己の能力を高めるといった術は自分のモノには出来ない。
また反射する能力ではない為、魔力を込められた打撃や斬撃などの物理攻撃には無意味。

おわりです

ひじりん達と松尾ちゃんを憤怒の街へ向かわせました
ひじりんと誰かを共闘させてもよし
違う誰かを松尾ちゃんと交戦させてもよし

自分でも色々考えますが自由に使ってくだせー

乙ー

ルシフェルの言う能力と違う?

それとも二つある?

乙です
魔術師以外なら善戦できそう…?いや結構難しそう

カミカゼとか物理寄りのヒーローなら……!
魔術師はまず能力に気づくところまでが勝負っぽい

おつー

想像以上に能力バトル物っぽくなってきてる……?

>>134
現状は、あくまで能力の『一つ』って感じです
別物と考えてくれて大丈夫です

>>138
把握


相手の能力を取り入れて自分を高めるあたり傲慢だね
強欲にも見えるけどwwwwww

唯には泳がされてる感じだけど、ちえりんが今の松尾ちゃんの第一目的を知ったらまた話の展開が大きく変わりそう

投下するよー!

「あ、アタシが夕美さんの代役ですか!?」

突然言い渡されたそのとんでもない提案に、工藤忍は大きな声をあげた。

「ああ。収録予定の歌番組がったんだが、彼女は例の『カースの街』へ向かう事になったらしくてね。こういう時には、キミが『同盟』に参加していなことが助かるよ」

担当プロデューサーが苦笑まじりに呟く。

雪女である忍は、やろうと思えばカース位ならばカチカチに凍りつかせることもでき、アイドルヒーローとして活動できるだけの能力を持っている。

これが最後、と意気込んで受けたオーディションで思いきってカミングアウトして以来、アイドルヒーローとして活動してみないか、とプロダクションから何度か提案されていた。

もちろん、それだけが決め手になったわけではなく、アイドルとしての素質があると見込んだから合格させた、とは社長の弁であり、実際何度か断ってもアイドルとして活動させてくれているので、嘘ではないのだろう。

「や、む、無理ですよっ。アタシみたいな駆け出しが、夕美さんみたいな売れっ子の代わりなんて」

ぶんぶん、と手をふり首をふり自信がないことを伝える忍。デビュー間もない自分に、すでに各所で活躍している先輩アイドルの代役など務まるはずがない、と。

だが、プロデューサーは忍にこの仕事を受けるように説得を続ける。

「こんな言い方は正直気分が悪いかもしれないが、これは忍にとってまたとないチャンスなんだ。忍は、きっと今よりもっと大きなステージで輝ける。

 その為の足がかりとして、この仕事は是非受けておくべきだと俺は考えている」

非常事態の救援に向かったという仕方のない事情があるとはいえ、本来彼女が受けるべき仕事を横取りする形になるわけで、それも忍には気がかりなことだった。

だが、彼の言う事にも一理あることは忍にもわかっている。本来なら、駆け出しの自分にはどうやったって立つことができないステージ。正に降って湧いたチャンスだ。

ここで良い印象を与えられれば、今後の活動においても大きなアドバンテージになるだろう。

「忍、俺は、忍なら絶対に大丈夫だと思って、この仕事をお前に回すようにしてもらった。俺を信じてくれないか?」

しっかりと目をみて、真摯に語りかけるプロデューサー。

「・・・もう一日だけ、考えさせてください。明日までには、絶対答えを出しますから」

「わかった。明日は、午後からダンスレッスンだったな。その時に答えを聞かせてもらうよ」

忍にはまだ答えが出せなかった。それでも一言も責めることなく待つと言ってくれたプロデューサーに感謝しながら、忍はため息交じりに事務所を後にした。

浜口あやめは、己の不甲斐無さが悔しかった。

『憤怒の街』。憤怒のカースドヒューマン、岡崎泰葉の作りだしたカースによって占拠され、未だに多くの人々がその中に取り残されている街。

櫻井財閥によって内部の詳細が少なからず暴かれ、すでにナチュルスターをはじめ数名のヒーロー達が突入を開始しているという話だ。

しかし、あやめには同じように『街』へと向かうだけの力が無かった。幼くして免許皆伝を受けた忍術の天才とはいえ、あやめ自身は特殊な能力を持つわけではない、ただの中学生なのだ。

街中に出現するのとは違い、そこかしこから際限なくカースが現れる『街』においては、彼女にできることは決して多くない。

せいぜいが、周辺で『街』から出て来ようとするカースの足止めが関の山だろう。それも、GDFがその役目を担っている以上、自分が行ったところでその和を乱すだけだ。

何か良い方法は無いだろうかと、先ごろに出会い行動を共にするようになった丹羽仁美に相談してみたところ、

「うーん、アタシたちがあそこに行ってもしょうがないのは本当だしねぇ。普段通り、この辺で暴れてるカースとか悪人を止めることに専念するのが一番じゃないかな」

と、にべもない返答が返ってきた。

違う、そうではない。あやめは、どうにかして『憤怒の街で正義を成す方法』は無いのかが聞きたかったのだ。

決して、『行くだけ無駄だ』などと冷たい答えが欲しかったわけではない。

「あやめは・・・あやめは、どうしてこんなにも無力なのでしょうか・・・」

夕暮れの公園、ベンチに腰かけて俯きながら、あやめはひとりごちた。

「「はぁ・・・」」

と、溜息を一つつくと、隣からも溜息。

ふと顔をあげて横を見てみると、何やら自分と同じく落ち込んだ表情の少女と目が合った。

「多分、その人が言いたかったのって、『諦めろ』ってことじゃないと思うんだ」

奇妙な縁を感じた忍とあやめは、お互いに軽く自己紹介をすると、互いの悩みを打ち明けあった。初対面の相手にこんなことを相談しても、と二人とも思ったが、不思議と話してしまったのだ。

無論、あやめは自身がヒーローとして活動していることはぼかして話したし、忍も先輩がヒーローとして『街』へ向かったことは黙っていたが。

そして、あやめの話を聞いた忍は、あやめの『普段通りにするのが一番』という言葉の受け取り方に疑問を持った。

「と、言われますと?」

「えっと、上手く伝わらなかったらゴメンね?たぶんその人は、『あやめちゃんが無理することはないんだよ』って、そう言いたかったんじゃないかな」

そう切り出して、忍は自分の感じたことを言葉に紡いでいく。

「んー、なんて言えばいいのかな。その場所に人が集まってるってことは、本来その人が居るべきところから人がいなくなるでしょ?

 きっと、そういう人たちのフォローに回るのが今の自分たちの役目だ、って。無理にあやめちゃんが他の人の役目を代わることないんだよって、そう言いたかったんじゃないかな」

うーあー、何か上手く言葉が出てこないー、と手足をバタつかせる忍。しかし、あやめには彼女の言わんとすることがなんとなく理解できた。

確かに、在野にしろ同盟に所属するにしろ、『街』を攻略せんとヒーローが一か所に集まれば、本来彼らがカース等から守っている街が手薄になってしまう。

それをフォローし、『街』の外の平和を守ることもまた、ヒーローたる自分の役目だと、そういうことなのだ。

そう思い至って、あやめは『自分は不甲斐無い』などと考えていたことを恥じた。己の成すべきことを放りだしておきながら何が『力が無いのが悔しい』だ、情けないやつめ。

「っていうか、そのフォローもできてないアタシが言っても説得力ないか、あはは・・・」

「・・・いえ、ありがとうございます、忍どの。おかげ様で、胸のつかえが取れた気分です」

「そっか、なら良いんだけど。・・・うん、決めた」

穏やかな表情で頭を下げるあやめの姿を見て、忍もまた決意を固めた。

「アタシ、仕事受けるよ。あやめちゃんに偉そうに言った手前、アタシが何もしないのもおかしな話だもんね」

自信が無い事には変わりはないが、『街』へ向かった先輩たちをフォローすることが、今の忍に与えられた役割なのだろう。

もちろん、一人で何もかも背負い込むつもりはないが、出来る限りのことはやってみよう。そう思う事が出来た。

「ありがとね、あやめちゃん。話聞いてくれて」

「いえいえこちらこそ、助言までいただいて。お互い、頑張りましょうね」

「うん!・・・じゃあ、またね」

「ええ。お仕事、成功することを祈っています。しからば」

そうして、二人はそれぞれに歩きだした。

忍は、恐らくまだプロデューサーが残っているだろう事務所へ向かって。

あやめは、先ほどこっそりと確認した、仁美からのメールに書かれたカースの現れたという場所へ。

「プロデューサー」

「・・・ん、忍か。今日はもう家に戻るんじゃなかったか?」

「アタシ、夕実さんの代わりの仕事、受けるよ」

「・・・・・・そうか。早速向こうさんに連絡しとくよ。これまでより一層厳しく行くからな、覚悟しとけ?」

「へへっ、どんとこい、だよ。見てほしい相手ができたんだからっ」



「忍法『疾風弾導破』ッ!!」

『ヌォッ、グ、アアアアアアァッッ!!!?』

「・・・おぉ、一発。なんかあやめっち、気合入ってる?」

「えぇ。あやめは、今のあやめに出来ることを精一杯成すことにしましたから」

「ん、そっか。こりゃアタシたちも負けてらんないかなー?」

『おい、「たち」って何だ「たち」って。オレはべつに張り合うつもりはねーぞ』

「もー、松風ノリ悪いー」

「・・・それに、守りたい相手ができましたからね。ニンッ」

というわけで、お留守番組のお話。
忍ちん、夕美ちゃん達のプロダクションの後輩にしてみました。

やったね、相葉ちゃん!親友が増えるよ!

乙!

忍ちゃんいいなぁ…うん…芯を感じる。

おつー

留守番というのも大事な仕事だからね

乙ー

あやめちゃんSRおめでとう

「しのび」と「しのぶ」……なんだか素敵ね!嫌いじゃないわ!!

乙です
留守番も大事だね…

少々遅れちゃったけど小日向ちゃん投下します


小日向美穂は普通の少女である。


実はあの日、目覚めた能力者の一人で、

日夜秘密結社と戦ってるとか。


実は宇宙から来た異星人で、

地上を侵略するために活動しているだとか。


実は地下帝国の技術者で、

マッドなアイテムやロボットをクリエイトしているだとか。


実は魔界から来た悪魔で、

悪意と呪いをばら撒いているだとか。


そのような設定はない。

取り立てて、ごく普通、一般的な、

現代の、地上に住む、能力を持たない、人間の、女子高生であった。

卯月「さっきの授業難しくなかった?」

美穂「難しかったねー、茜ちゃんは・・・・・・。」

茜「・・・・・・。」 プスプス

美穂「だ、大丈夫?」

卯月「煙出てるね。」

茜「え、Xが少なくなるとYが増えて、そこにZとnがやってきて・・・・・・。」

茜「X・・・・・・Y・・・・・XとYの関係・・・・・あれ、Xが攻めでYが受け?」

美穂「茜ちゃん、その数学はたぶん戻って来れなくなる奴だからやめた方が。」

卯月「Xはヘタレ攻めだよね!」

美穂「卯月ちゃんも乗らないで!」


――私達の日常は平和だ。

卯月「そう言えば、」

卯月「カースに襲われたって街は大丈夫なのかな?」

美穂「今朝のニュースでもやってたけど、救出作戦難航してるみたい」

卯月「心配だね。」

美穂「うん。」

茜「きっと大丈夫だよ!」

美穂「茜ちゃん?」

茜「ヒーローはもちろんだけど、他にも世界平和のために活動してる人たちはたくさん居ますから!(亜子の事です)」

茜「最後に勝つのは、正義の味方です!」

美穂「・・・・・・うん、きっとそうだよね!」

美穂「GDFとか歌姫さんとか死神さんも居るし!」

卯月「私達が明日、能力に目覚めてババンと活躍しちゃうかもしれないし!」

美穂「それはどうかな・・・・・・?できたらいいなとは思うけど」

卯月「ウサミン、ウサミン、メルヘンチェン~ジ♪」 シュバッ

茜「安部菜々さんだね!ポーズそっくり!」

卯月「えへへ、いつか私が活躍する時の為に練習したんだー。」

美穂「菜々ちゃん、私達と同じ年でヒーローアイドルやってるなんてすごいよね!」


――世間は騒がしいけど、私の周りの世界は相変らず穏やかで、

――こんな私も平穏無事に過ごしている



――だけどその平和は

――

テレビ『こんばんは』

テレビ『ニュースの時間です。』

テレビ『本日も大量発生したカースに占拠された街の様子をお送りいたします。』

テレビ『今映っていますのは、隣街から撮影した映像です。』

テレビ『幾つかの機関のヒーローたちが乗り込み、カースを討伐しているようですが、』

テレビ『現在もカースは街に溢れているようです。』

テレビ『GDFはこの件に関して・・・・・・


美穂「・・・・・・。」


――その平和は、私たちを守ってくれる誰かが、

――私たちの代わりに戦ってくれるから作られていて、

――そしてきっと、その裏では誰かが傷ついてて・・・・・・


――そんな風に考えると

――この平穏は、いとも簡単に壊れてしまうんじゃないか

――なんて・・・・・・思ってしまうことがある。

――それでもいつまでも平和が続くように信じたくて


美穂(私にできることはないのかな。)


美穂(強くなれたらいいのにな。)


美穂(みんなを守れるヒーローみたいに。)


美穂(私もなれならな。)

――

――

――


美穂の住む街には「万年桜」と呼ばれる、

名前の通り、年がら年中、けっして枯れることなく

咲き続ける桜の木がある。

”あの日”からその桜は、

春も、夏も、秋も、冬も、

晴れの日も、曇りの日も、雨の日も、風の日も、

ずっと、ずっと咲き誇っているのだ。


その「万年桜」のある公園に、美穂は来ていた。

本日は日曜日。

学校は休み。

天気は晴れ。


すなわち絶好の日向ぼっこ日和なり。

「万年桜」の近くでは、数人の子供達が遊んでいた。

すぐそばでは奥様方が談笑している。

よくある普通の公園の風景だ。


一年中咲く桜なんてあれば大いに賑わいそうなものだが、

実際は、それほど人気のスポットではなかった。


いや、「あの日」からしばらくは観光名所になるのではと、

思われるほどに賑わっていたのだが、

宇宙産の機械だとか、異世界の魔法だとか、特別な能力だとかが珍しくなくなってくると、

「一年中咲いてる桜?なんか地味。」

と言う理由で飽きられてしまい、

気がつけば「万年桜」の公園は、普通の公園の有り様に戻っていた。

それでも

いや、だからこそ、

美穂はこの場所が気に入っていた。

一年中うららかであたたかな香りが漂う、

この適度に静かな公園の、傍らにあるベンチで、

日向ぼっこをするのが、彼女の週末の主な過ごし方になっていた。



そんな訳で、本日も、この公園にある特等席にやってきたのだが、

「すー・・・・・・・すー・・・・・・・」

どうやら今日は先客が居るようであった。


美穂「寝ちゃってるのかな?」

「うーん・・・・・・・おじいちゃん・・・・・・・」


その少女は頭にスカーフを巻いていて、

背に5本の筒の様な袋を背負った、

どこか桜が似合う女の子であった。

「・・・・・・めんいんぶらっくは・・・・・・・いかすみうどんのことじゃ・・・・・・ないよ・・・・・・・・」

「すー・・・・・・すー・・・・・・」


美穂「ふふっ、どんな夢見てるのかな?」

きっと彼女も、この場所の暖かさに居心地がよくなり、

つい、眠くなってしまったのだろう。

美穂は仲間を見つけたような気分で、少し嬉しかった。


美穂「起こしちゃったら悪いよね。」

少女を起こさないように、美穂はその場を離れることにした。

――

――

――


美穂は公園を出て、駅前の方に歩き始める。

今日は日向ぼっこの予定を変えて、お買い物にでも行くことにしよう。

友達を誘うのもいいかもしれない。

卯月ちゃんは、予定あいてるかな?

そんな事を考えながら、しばらく進んだ先で

彼女は出会うことになる。


彼女の平和を侵すその存在に。

――


美穂(アレは?)


はじめは遠くから、少しずつ迫ってくるそれが何かはわからなかった。

そして、甘い香りと共にやってきたそれが、

”カース”だと気づいた頃には

何もかもが遅かった。


『アゲル・・・・・・アゲル』


そのカースの、まるで蜘蛛のようなシルエットを認識した途端、

美穂は全身から力が抜け、その場にへたり込んでしまった。

他に居た通行人達もみな、同じ様に倒れこんでしまう。


カースは、倒れ伏した通行者の一人に近づくと、

体から黒い糸の様な影を吐き出して、

器用に捕らえて、自らの中に引きずり込んでいった。


「た、助け・・・・・・」

『イザナッテ・・・アゲル・・・・・・』

『ノミコンデ・・・アゲル・・・・・・』

『タベテ・・・アゲル・・・・・・』

『クスクスクスクスクス!!』


美穂も含めて、周囲に居る人間は誰も逃げようとしない。


美穂「なん・・・・・・で・・・?」

美穂(逃げないとダメなのに・・・)

美穂(体が動かない!)


逃げないのではなく、逃げられない。

『色欲』の大蜘蛛の持つ性質は『捕らえること』

そのカースが発する毒の如き”色気”に飲まれれば、

その時点で体の自由は奪われ、逃げることは許されず、

ゆっくりと影に飲み込まれるだけであった。

大蜘蛛は時間をかけながら、

一人一人順番に、周りの人間を飲み込んでいき、

そしてようやく、美穂の番になった。

『アナタモ・・・・・・ワタシノナカニ・・・・・・』

『クスクスクスクス!』

蜘蛛が近づいてくる。


美穂(逃げ・・・・・・ないと・・・・・・)

そう思いながら足を動かそうとしても、体は言う事を聞かない。

美穂「うぅ・・・ああっ・・・・・・。」

逃げることも、叫ぶこともできない。


蜘蛛が影の糸を繰り出す。

美穂(いや・・・・・・いや・・・・・・)

それは美穂の足元まで伸びてきて・・・・・・


突如、上から振ってきた何かがその影に突き刺さった。


『ギャァアア!?』

慌てて蜘蛛は自分の体に糸を引っ込める。


美穂(たすかった・・・?)

美穂(なにが落ちてきて・・・・・・)

美穂(・・・・・・かたな?)


果たして、どういうわけか。

美穂の目の前に突き刺さっていたのは、

鞘に収まった一本の刀であった。

――

ところ変わって、うららかな万年桜の公園では。


肇「ふわぁ」


鬼の孫娘が目を覚まし、大きなあくびをしていた。


肇「よく寝たなぁ・・・・・・あれ?」


目覚めて、すぐに彼女は違和感に気づく。


肇「一本足りない?」

寝てる間に、背中にあった刀の数が6本から、5本に減っていた。


肇「・・・・・・『小春日和』、またどこか行っちゃったんだ。」


無くなった刀の名前は『小春日和』。

刀匠、藤原一心の作り出した『鬼神の七振り』の一本。


肇の言葉は、

そのような大事なものを”どこかになくしてしまった”と言う意味ではない。

本当に”勝手にどこかに行ってしまった”のだ。


肇「『小春日和』は傲慢のカースの核が埋め込まれた、日本一、横暴な刀。」

肇「だからプライドが高くて、人に”使われる”ことを極端に嫌う刀。」

肇「勝手に動くのは、持ち主探しを”自分でしたい”って事だと思うけど・・・・・・・」


鬼の孫娘は手元から離れてしまった刀に、思いを馳せる。

――

――


漆黒に塗られた鞘に収まったその刀は、

刃が隠されているその状態にも関わらず、

どのようにしてかカースの影の糸を断ち切り、

地面を抉って、真っ直ぐと目の前に突き刺さっていた。


その奥でカースが蠢く

『ユルシテ・・・・・・アゲナイ』

『アナタハワタシノナカデ・・・・・・』

『カワイガッテアゲル・・・・・・・』

『オカシテ、オカシテ、オカシテアゲル!』

『クスクスクスクスクスクス!』

カースの体から鞭の様な影の糸が、何十本も作り出される。


美穂(私は・・・・・・)


美穂が手を伸ばせば、目の前の刀を鞘から引き抜けるだろう。

そのくらいの動作ならば、今の美穂でも出来る気がした。

刀の方もまるでそれを待っているかの様に見えた。


美穂(強くなりたい・・・・・・)

美穂(自分を、友達を、誰かを)

美穂「守れるだけの力が欲しい!」


少女は、目の前の刀の柄を掴んだ。


そうして、その妖刀が姿を顕にする。

引き抜かれたその刀は、

見た目はごく普通の日本刀であった。

燃え盛るような『怒り』も、荒々しい『野性味』も感じさせない、

それでもあえて形容するならば「静けさ」であろう。

ただ静かに、

だが確かに、

その存在を主張する。

まるでその姿こそが、誇り高き「刀本来の姿」であるのだ。と言うかのように。


美穂「あっ?!」

そうして美穂の中に刀から”何か”が流れ込んでくる。



『クスクスクスクスクス!!』

そうしてる間にも、四方八方からカースの糸が襲い掛かる!


『クスクス・・・・・・?』


カースが気がつけばその糸は

美穂に届く前に全て、綺麗に切り落とされていた。

『ンァアアッ!?』


美穂「・・・・・・・」


美穂「ふはっ」


刀を構えた少女は、どこか獰猛さを感じさせる笑みを浮かべる。


――馴染む

  
美穂「ふふふふっ!」


――馴染む


美穂「あはははははっ!」


――この”身体”は実に馴染む


美穂「あ~はっはっはっはっはっ!!」


――ついに

――ついに”私”は

――最高の”所有者”に出会えたのだ

――


肇「『小春日和』はおじいちゃんの作った七振りの中でも、最も我が強い刀。」


肇「『刀が人に使われる』ことを極端に嫌っていて、」


肇「むしろ逆に、」


肇「『刀が人を使う』ことを良しとする。」


肇「そのために、刀が所有者の肉体、精神、人格を支配して、制御しようとする。」


肇「だから日本一、横暴な刀。」


肇「どこかで迷惑かけてなければいいけど・・・・・・。」



――

美穂「は~はっはっはっはっはっは!!」

少女は高らかに笑う。


――体つきは華奢だが、問題はない

――肉体も、刃も、負の念を帯びて、幾らでも強くなれる

――必要なのは精神だ

――純粋に『誰かを守るヒーローの様になりたい』と言う意思

――その意思は”私の人格”として”使う”のに丁度良い


美穂「私は・・・・・・」


――”私”は小日向美穂のヒーローになりたいと言う意思

――そして彼女が思い描くヒーロー像を使って

――妖刀『小春日和』により作り上げられた人格だ

――故に小日向美穂でありながら小日向美穂ではなく、

――『小春日和』でありながら、『小春日和』でない。

――ならば、新しく名前が必要だろう



美穂「私は!『ひなたん星人』ナリ!!」


小日向美穂のヒーロー像から作られたその人格は、自信満々に名乗り上げた。


美穂「この街はまるごとつるっと!」


美穂「ぜ~んぶ!私のものひなたっ☆」キラッ


さらにチャーミングなポーズを決めて、口上を続ける少女。


そこに、カースの足が少女を踏み潰そうと襲い掛かる。

『クスクスクスクス!』


彼女はそれを飛び上がってかわした。

そしてそのままカースの頭上に着地する。

『エエッ!?』

カースが驚くのも仕方ない。

それはただの人間の少女にはあり得ない跳躍。


美穂「むぅー、ヒーローの前口上に返事もしないで、」

美穂「すぐに攻撃するなんて失礼なカースナリ」 

美穂「そんな悪い子は♪私がお仕置きしちゃうぞひなたっ☆」


頭上に立つ少女を振り落とそうと、

カースは体を大きく揺さぶるが、

彼女は少しも慌てず、飛び上がると

バランスを崩さず、綺麗に地面に着地する。


美穂「ひなたん星人の秘密☆その1!」

美穂「遠い宇宙の果てからやって来たひなたんは、」

美穂「重力を自在に操ることができる!ひなたっ☆」


美穂「そして!」

『小春日和』を構える少女。

目の前のカースは、前足を振り上げている。


美穂「ひなたん星人の秘密☆その2!」

美穂「この星の精霊に選ばれたひなたんは、」

美穂「不浄の存在を愛と正義のパワーで浄化することができるナリ!」


美穂「食らえ!」

美穂「ラブリージャスティスひなたんビーム!」


『キャアアアアッ!』


見事な”袈裟切り”であった。

カースの前足二本が同時に切り落とされる。


妖刀『小春日和』は、その潜在能力を発揮するために、

所有者の肉体の動作を刀自体が制御し、

さらに刀に溜め込まれた負のエネルギーが、その力を増幅して補う。

これによって所有者は、どんなにか弱い人間でも、

日本一の剣豪と同等の技術、そして超人的な身体能力を発揮する事ができるのだ。


なお重力制御能力だとか、愛と正義の浄化能力は一切関係ない。


足を切り落とされて、姿勢を崩したカースは前方に転倒する。


美穂「ひなたん星人の秘密☆その3」

美穂「天からの使者に授かった、この千里眼!」

美穂「あなたの核の位置もまるっとお見通しひなたっ☆」

美穂「きっとそのお腹の中にあるナリ☆」


呪いの刀に埋め込まれた核の、共鳴によって、

『鬼神の七振り』の所有者は、カースの核の位置がなんとなくわかる。

当然だが、彼女に千里眼のような能力はない。


転倒したカースの足の再生が終わる前に、

少女は刀を振りぬいて、その腹を裂く。

『キャァ・・・アアアア』


その時、彼女のアホ毛が揺れ動いた。


美穂「むむっ、レーダーが生命反応をキャッチしたナリ」


呪いの刀が、カースの内部に居る人間の負の感情を感知したのだろう。

もちろん、彼女にレーダーなんて搭載されてない。


切り裂いた大蜘蛛の腹を横に大きく広げ、

少女はするりとその中に入り込む。


蜘蛛の内部には、ドーム状の空間になっており、

泥の肉壁には、蜘蛛に取り込まれた人間が

まだ生かされた状態で埋め込まれていた。


美穂「・・・・・・今助けるからね」


少女は刀を、空間の中心に宙吊りにされている桃色の核に向ける。

泥の壁から何百本もの触手が産まれる。

『コロシテ・・・・・・アゲル』

それらは一斉に彼女に向かって襲い掛かってきた。


美穂「ひなたん星人の秘密!その・・・・・・幾つだっけ?」

美穂「まあいいひなたっ!」

美穂「この刀は、人の為に作られた呪いの刀『小春日和』!」

美穂「斬ったものや周囲の感情から負のエネルギーを吸い取って、」

美穂「自分のものにする、『傲慢』なる刀ナリ!」


日本一、横暴な刀はこの空間に満ちるあらゆる負の感情を、

己のエネルギーに変えてゆく。

美穂の体から黄色いオーラが迸る。

美穂「はぁああ!!」


少女は襲い掛かってくる触手を全て薙ぎ払いながら、突き進み、

そして、核に向けて刀を振り上げる。


美穂「でこぽぉんんっ!!!」


桃色の核が砕かれる

――


『ンァアアアアアアッ!!???』


核の破壊によって、

大蜘蛛の体は泥の様に崩れ、じょじょに溶けていく。

そうして最後は何も無かったかのように、消失した。


その場には倒れ伏す人々と

刀を持った少女が残される。


美穂「は~はっはっはっはっは!!」


カースに勝利した少女が高らかに笑う。


美穂「愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人に敵うものはいないナリ!」


美穂「今日もまるごとつるっとぜ~んぶ!守ってみせたひなたっ☆」 キャピピーン


最後に勝利のポーズ。


そして、少女は足元に落ちてた刀の鞘を拾い上げて、

『小春日和』を収めた。


美穂「・・・・・・。」


美穂「・・・・・・はっ!」


美穂「い、今・・・私何をして・・・・・・。」


刀を浄化の鞘に納めたことで、『ひなたん星人』の人格が引っ込んだ。

今ここに立っているのは紛れも無い小日向美穂、本人そのものの人格だ。


美穂「・・・・・・。」


記憶が無いわけではない。

彼女ははっきりと覚えている。

刀のおかげで、まるでヒーローのようにカースを討伐できたも覚えているし、

自分が何を喋っていたのかも、一語一句はっきり思い出せる。


黙って周囲を見渡す。

状況を見れば、どうやら先ほどまでの事は夢ではなかったようだ。


気絶して倒れてる者も少なくはなかったが、

目覚めている者は全て、彼女に目を向けていた。


「ありがとう」

誰かが言った。

「ありがとー、ひなたん星人!」


「ひなたん!ありがとう!!」

「カッコよかったよ!ひなたん!!」

「ひなたん星人って、ウサミン星人と関係あるの?」

「ひなたん!ひなたん!ひなたん!」


彼女に助けられた大勢の人から称賛の声があがる。


美穂「は・・・・はは・・・・・・」


美穂「はずかしぃいい!!!!」


たまらず小日向美穂はその場から逃げ出した。

その腕に呪いの刀を抱えたまま。


少し離れた場所からその様子を見守る者が居た。


肇「・・・・・・。」

肇「お爺ちゃん、『小春日和』はいい持ち主を見つけたみたい。」

肇「彼女ならきっと、あの子を正しく使って・・・・・・いや、使われて?」

肇「・・・・・・。」

肇「たぶん大丈夫だよね。うん。」

どこか自分に言い聞かせるように呟いて、鬼の少女は美穂を見送った。

――後日

卯月「そう言えば、最近この辺りで新しいヒーローが活躍してるらしいよ。」

茜「へぇー、どんなヒーローなの?」

卯月「ひなたん星人って言うんだって」

美穂「ぶふっ!」

卯月「ど、どうしたの美穂ちゃん!?急に吹き出したりして!?」

美穂「な、なんでもない!!なんでもないよ!?」


あの時以来、美穂は何度かカース討伐を行っていた。

拾った刀、『小春日和』と言うらしいが、

あの刀を持っていると、時々、『カースを狩らなければならない。』

と言う焦燥感に襲われる。


美穂(カースからみんなを守れるヒーローに憧れてたから、その事はいいけれど)


戦うために刀を抜けば、『あの人格』が出てくるのが問題なのだ。


卯月「みんみん、うっさみーん♪」

美穂「菜々ちゃん、って本当にすごいよね。」

卯月「?」

茜「あっ、そう言えば、最近美穂ちゃん木刀の袋持ってるよね!」

卯月「剣道でも始めたの?最近物騒だもんね!」

美穂「そ、そんなところ・・・・・・かな?あの、できれば気にしないで。」

美穂(あの姿、友達だけには見せられない!)

――


刀を手放すことも考えたが、結局それはできなかった。

と言うより一度、何処かに置き忘れて、

家に帰ったら、『小春日和』が先に部屋に帰っていたので、

たぶんずっと手放せないのだろう。


今日も街の何処かで、刀を持った少女のアホ毛が揺れ動く。


美穂「カースの気配ナリ」


美穂「私は愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人!」


美穂「カースはまるごとつるっとぜ~んぶ!私が倒しちゃうひなたっ☆」キラッ


美穂「あ~はっはっはっはっはっ!!」



それから、街のあっちこっちで

「ひなたん星人」を名乗り、カースを狩る少女が目撃されてるとか。


おしまい

小日向美穂

所属:高校生
属性:人間
能力:特になし

最近まで普通だった女の子。
友達を守れる力を持ったヒーローに憧れていた。
鬼神の七振りの一本『小春日和』に所有者(使われ手)として選ばれたせいで、
刀に振り回される毎日を過ごしている。


『小春日和』

『鬼神の七振り』の1本で、日本一、横暴な刀。
黒一色に三輪の菊が描かれた鞘には、見た目には地味でごく普通の刀が納まっている。
『傲慢』のカースの核が埋め込まれているためか、プライドが高く
”刀が人に使われる”のを良しとせず、”刀が人を使う”関係を理想とする。
そのために使われ手(使い手ではない)は『小春日和』自身が選び、
所有者の中に新たな人格を作り上げて、内側から支配する。日本一、横暴な刀である所以。
所有者は刀に精神的にも肉体的にも支配され、体の動作を刀の作った人格に行わされるために、
例え刀の扱いを知らない少女でも、日本一の剣豪と同等の技術を発揮することができる。
また精神的に支配されるために、他の精神攻撃をシャットアウトできるのも特徴。
カースを斬れば斬るほど、刀に負のエネルギーが溜まる。
これにより肉体動作を補うエネルギーは増えるので身体的にはより強くなるが、
刀の精神支配力も強まるので、浄化の鞘に収めないまま長時間の使用は望ましくない。


『ひなたん星人』

日本一、横暴な刀『小春日和』によって、小日向美穂の中に作られた人格。
小日向美穂の考えるヒーロー像をベースにして作られており、
美穂が『小春日和』を鞘から抜いた時のみ、ひなたん星人の人格は現れる。
「愛と正義のはにかみ侵略者」を自称。戦闘中に自らの「設定」を語るが、
彼女が語る「設定」はどれも明確には定まっておらず、ヒーローか侵略者なのかも曖昧。
これでも一応はカースを狩るために作られた人格だと言う自覚はあるらしい。
彼女の人格は小日向美穂のものなのか、『小春日和』のものなのか、彼女自身よくわかっていないようだ。
趣味は高笑い、侵略、カース狩り。あと日向ぼっこ。
中でもカース狩りに関しては、刀に溜まっている負のエネルギーが尽きると人格消失さえありえるため死活問題。
そのため、鞘に『小春日和』が収まってる間も、積極的に美穂をカースの下に連れ出そうと誘導する。
戦闘スタイルは負のエネルギーを肉体と刀に纏わせて、敵を「斬る」だけ。
『小春日和』の精神支配によって日本一の剣術使いと同等の能力を持つが、やはりやる事は「斬る」だけ。
ちなみに彼女の人格が出ている間、小日向美穂の意識と記憶が消えたりすることはない。

『万年桜』

名前の通り、ずっと花が咲き続けてる桜の木。
雨で萎れようが、風で散ろうが、虫に食われようが、人が枝を切ろうが、
次の日には満開の桜を咲かせてると言う、ヤバいくらい気合入ってる木。
なぜこの桜だけずっと咲き続けてるのか、原因も原理も未だに不明。
この桜のある公園は一年中あたたかな空気に包まれている。

(小日向ちゃんに外で日向ぼっこさせたかったけど、
季節を温かい時期に限定したくなかったから作った設定。)


『大蜘蛛のカース』

ただのやられ役の癖に妙に強い能力と高い知能を持った蜘蛛型の『色欲』のカース。
体から人間の思考力を麻痺させるフェロモンを出しており、
獲物がその毒にやられてる隙に、糸状の影を絡めて捕らえる。
捕らえた獲物は体内に貯蔵しつつ、快楽を与えてやることで、
生じた『色欲』の感情を自らのエネルギーにする。
フェロモンの影響を受けない機械などにはめっぽう弱い。
美穂は『小春日和』によって精神を支配されていたために、フェロモンが効かなかった。
何者かに作られたものなのか、感情由来のカースが独自に進化したものか、詳細は不明。

刀に人格を乗っ取られる女の子って萌えるよね、って話でした。

乙乙!
>>実は宇宙から来た異星人で、
>>地上を侵略するために活動しているだとか。
見てひなたん星人じゃないのか…と思ったら右斜め上かっ飛んでった。

乙ー

予想の斜め上どころか天まで貫くレベル……

乙です
ひなたん星人…斜め上の方向から来たな…w
ウサミンのせいなのか否か…w
万年桜、夕美ちゃんが気に入りそうだなぁ

あらゆる予想をはるか上に飛んで行かれた気分だわwwwwwwww
いや、可愛いけど……可愛い、けどっ……!!

ひなたん星人…恐ろしい子…!

おつー

小日向ちゃんが「ひなたん星人」を自称して日本刀を武器にして戦うのか
……新しいな

乙乙
>愛と正義のはにかみ侵略者
ヤバい、この一文だけでお腹痛いwwwwww

そのうち恥ずかしさで布団被って悶えそう

おっつおっつ
ひなたん星人カワイイヤッター!

速水奏お借りして『憤怒の街』以降の時系列で投下します

 速水奏は退屈していた。
 それというのも、昨今の事情に多少の『飽き』が来てしまったからだ。

 普通の人間へと色欲の力を注ぎこみ分け与えると、その人間の周りの環境が徐々に崩れていく。
 本人に言わせてみれば『あるべきカタチにしてあげた』だけではあるがそれはなかなかに愉快だった。
 隠していた本音を、くだらない秘密を暴き、曝す。それを受けた相手が焦ったり、答えたり。
 悪魔らしくもない『いいコト』をしてあげたとすら思っていた。

 たまに、弱い能力を持った人間もいた。注ぎ込んだ力と反発して気が狂ってしまった時は『これでは面白くない』と反省したものだ。
 相性の問題か、アスモデウスの力を注ぎ込んだ状態でまともに能力を行使できた人間はいなかった。
 これでは普通の人間に注ぐのと変わらない。つまらないな、とアスモデウスは溜息を吐いた。

 『色欲』は自己のみでの完結ではなく、相手をもってして成すものだ。
 注ぎ込み、器が受ける。彼女は自らを人の身に偽装こそしていたものの何かに宿ることを良しとしなかった。
 それに相応しい器が見つからないから。彼女へと注がれるべき力をすべて出し切り、全力であるためには彼女は彼女自身であるしかなかったから。
 それゆえ、死神などの面倒な相手との接触が起きないよう十全に気を付ける必要があることも彼女を飽き飽きさせていた。

 あるいは、同じ悪魔であり、友人であるベルゼブブが憑いている海老原菜帆ならば受け止められるのかもしれない。
 色欲の力を注いで、それをそのまま昇華させることができるなら。面白いではないか、と。
 友人の大切なものを、自らのものへと変質させてしまう。そんな背徳的な感情がたまらなく彼女を興奮させた。
 しかしどうも最近は忙しいらしく、うまい接触方法も思いつかない。深い策を練るのは苦手ではないが、退屈だった。

 あるいは、力を少し多めに注いだ子供をこともなさげに浄化させてみせたあの女に力を注いだらどうなるのかも気になっていた。
 どのような生物であれ、生殖を必要とする以上は『色欲』と離れることは不可能だ。
 その流れを、繋がりを見ることができる彼女にとって、相思相愛であるなんて見せかけは三流のコメディのようなものだ。
 誰であれ、より優秀な相手と結ばれたがる。本能ではそういうものであるし、それが正しいのだから。
 しかし、その女の持つ繋がりは。『どこへも繋がっていなかった』のだ。

 正確には、繋がりが光に溶けて消えていた。
 どこへでもつながり、どこへもつながらない。矛盾した、生き物とはかけ離れた性質。
 なのに、確かに鼓動を感じる。世界への、周囲への好意を感じる。
 無生物のような特質と、生物らしい性質。そんな生き物が『特定の誰か』への好意や悪意を持つことになったらどれほど愉快だろう?
 困惑するのだろうか、それとも――

 しかし、その女の行方は結局知れずまま。どうやらそこそこに強力な『ヒーロー』の『チームリーダー』らしい。
 なんともそそられる響きだ。周囲との関係が崩れた時、どうなってしまうのだろう? 彼女の好奇心は沸き立った。
 しかし、かかわれば必然的に目立ってしまう。刹那の快楽に身を落とすことも嫌いではないが、面倒事を起こしてまでというほどの強欲ではない。
 それゆえ、こちらも保留ということになってしまっている。

 彼女は色欲の悪魔、アスモデウス。
 新しいおもちゃを探し、街をさまよっていた。

――

 とある街の小さなアロマショップ。ドアにかけられた札はCloseになっている。
 その中で、2人の女性と1人の男が話し合いをしていた。

「やっぱり、連絡はつかないのか?」

「……そうね、残念だけどさっぱり。こんな時代だからいろいろあるんだとは思うけど」

 男が確認するように口にすると、少し間をあけてセクシーな恰好をした女性が答える。
 アロマショップの制服であるエプロンをつけたままの男の姿との対比はなかなかにシュールだ。
 奥の部屋から、同じくエプロンをつけた女性がコーヒーを持ち出してきて置いた。

「とりあえず……消えなかった私はともかく、レナは一度は能力が消えたはずですし。他のみんなもまた力を取り戻しているかもしれないですよね」

「それよね。まぁ……私はともかく、美優みたいに大変なことになってるかも」

「………レナ?」

「ふふっ、冗談よ。ごめんね?」

 運ばれてきたコーヒーをレナが口へ運ぶ。美優は頬を膨らせて不満を表した。
 『彼女たち』は、一度は世界を救った身。ベテランの魔法少女だ。
 辛い時も、苦しいときも、楽しいときも、そして全てを終わらせた時だっていっしょに戦ってきた仲間。
 この場にいない仲間のことを思い、店長は小さくため息をついた。ないものねだりをしても仕方がない

「レナは……これから、どうするつもりかは決めてるのか?」

「え? ……どうって、どういう意味?」

 店長がレナへと質問をすると、レナは最初何を言われたのかわからないようなリアクションをした。
 しかしその意味を理解すると、今度は少し語気を強めて聞き返す。

「……そのままの意味だ。もう子供じゃない。戦うのにはいろいろなものを捨てなきゃいけない」

 店長が目を細める。彼の店は決して流行っているわけではない。
 しかし大きなケガをしてしまえば店の経営に関わってしまうし、その結果として店に来てくれる人たちへ『迷惑』をかけてしまうこともある。
 自営業だからこそ、多少の無茶も利く。しかし、普通の職ならばそれが原因で自身の生活にも影響がでてしまうかもしれない。

「俺の店だ、お客さんには悪いけど無茶だってできるだろう、でも」

「……私にもいろいろあるでしょう、って? まぁ確かに、そこそこいいお仕事してるけど」

「なら、そっちを優先してくれてもかまわない。ヒーローは他にもいるし、無理をする必要だってない」

 これは正論だ。世界にはヒーローがあふれ、守るための組織もあり、自分たちは特別でなくなっている。
 そんな中で、失うものがあるのに。無理に戦い続けることはない、と。
 正義の味方であったからといってそうあり続ける必要は、ない。そう店長はレナへと告げた。

 しばらくの沈黙が流れていく。まるで突き放すような言い方に美優が店長を咎めるべきか悩んでいる。
 レナは一度大きく息を吐くと、にやりと不敵な笑みを浮かべて答えた。

「『1人でなんでもできるなんて思うな。思いやりは押し付けるものでも無理やりすることでもないんだ』……でしょう?」

「……!」

 店長が驚き、言葉を失う。
 レナはまるでイタズラな子供のような笑顔を浮かべてつづけた。

「店長……いえ。『背広マスク』さん? 私の人生はとっくの昔に最高の友人たちと過ごすために、ってベットしてあるの」

「……いいのか?」

「もちろん。ほかのみんなだってきっとそう……わかってるんじゃないの?」

 店長はばつが悪そうに頭をポリポリとかいた。
 確かにそう考えてはいたが、傲慢な考えだと感じてもいたのでズバリと言われると恥ずかしい。
 それに、心配しているというのも本音だ。

「だいたい、美優のことは巻き込むのに私は巻き込まないなんて水臭いわよ。いいのいいの」

「それはまぁ……美優とは、長いしな。力の扱いにも慣れてるし」

「そうですね……確かに。レナは大丈夫なんですか?」

「昔と同じぐらいには使えるつもりよ。平気……その言い方だと美優はいろいろできるようになったみたいね」

「一応……ね。その、変身は恥ずかしいですけど……」

 ふぅん、とレナが相槌を打つ。
 当時から可愛らしいポーズに対して抵抗があった美優だ。大人になってしまえば余計に辛いのだろう。
 からかいがいもあるし、見ている分にはとても楽しいのだけれど。

「そのあたりは、また今度話そうかしら?」

 時計を見上げたレナがそう言った。
 話し合いを始めてから結構な時間がたっている。

「……そうだな。送っていこうか」

「いいの?」

「今日はどちらにしろ休みにしたし、な。どうせなら職場を見せてもらおうかと思って」

「そう、ならちょっと遊んでいく?」

 レナがイタズラっぽく笑う。彼女は今、ネオトーキョーのカジノでディーラーとして働いているらしい。
 人との話や駆け引きといったものに長けていたこともあり、割と有名なのだとか。

「誘いは嬉しいけど、俺は賭け事は弱くてなぁ……」

「うん、知ってる。カモにはしないわよ?」

「多少はむしる気なんだな……強かだよ、ほんと」

「ふふっ、私にも生活がある。でしょう?」

 先ほどレナの身を心配するために投げたセリフを返され、店長は頭をかいて苦笑する。
 和やかな時間。あり方が変わっても昔のままだと確かめられたようで、美優は自然と笑みがこぼれた。

――

 気まぐれな悪魔は、ギラギラと輝くネオンに照らされた街道を歩いていた。
 表面上は美しく、賑やかなこの街、ネオトーキョー。

 なるほど豊かで理想的な街だ――――表面上は、だが。
 少し裏路地へと目をやれば、違法なやりとりや金や仕事を無くして絶望している人間の気配がする。
 アスモデウスにとってはこのわざとらしい明かりよりも、その黒い欲望が渦巻く方へと興味がわいた。

 ためらうことなくそちらへ踏み込む。周りの雰囲気が明らかに変わる。
 人の欲望が渦巻くそこは、地獄よりも地獄らしい一面まで持ち合わせているかもしれない。
 魔界の法は窮屈になってしまって、まるで面白くも楽しくもなくなってしまったのだから。

 ――人間が悪魔に近づいているのかもしれない。
 そこまで考えて、アスモデウスはくすりと笑った。

 それはそれで愉快だ。悪魔を縛り、人を害するななどという『オヒトヨシ』はどう思うだろう?
 進化して、強くなった人々は。悪魔と同等のことができるようになった人間は。
 本来『あるべき』悪魔と同じことをしようとすると知ったら――

 ――深く物事を考えるのは、面倒だ。
 楽しそうではあるけれど、それはその時の楽しみでいいだろう。
 それよりも今は目の前にあることを楽しむ。それがアスモデウスの生き方だ。

 裏路地の奥へと速水奏は歩いていく。
 欲望にまみれた視線が浴びせられるのを感じて精神が高揚した。

 さて、どう来るのだろうか。声をかけられるだろうか? ナンパ? 売春? それとも無理やり?
 何かしらの接触を楽しみに、奏はわざとらしく無防備な風を装って歩いて見せた。

「なぁ、姉ちゃん」

 そしてすぐに反応がある。
 振り返ればそこに男が立っていた。浮浪者然とした薄汚れた格好は清潔感をまったく感じさせない。
 なにかよからぬ企みがあるということを隠そうともしない声のトーンは、普通の女性にとっては嫌悪感を抱く対象だろう。
 あぁ、本当に人間はやりやすい――にやける顔をおさえ、奏は答えた。

「あら、何かしら?」

「フフ、そっちは危ないぜ。最近は物騒なんだ」

「へぇ……どんなふうに?」

「それはさ……こんな、風、にぃッ!」

 男の身体が不自然に盛り上がり、その背中からいくつもの機械製の足が生えて持ち上がっていく。
 下品な笑い声をあげながら、奏のことを見下ろした。

「………」

「へへ、驚いてるのかいお嬢ちゃん? こいつぁな、俺を見捨てやがった奴の――」

 奏が思わず固まってしまったのを見て、男はさらに下卑た顔をする。
 それとは対照的に、奏の表情は冷たくさめきっていた。

「あなたって、死姦が趣味なの?」

「へ、へへ。そうだなぁ、無駄な抵抗はしないほうが楽に逝けるぜ?」

「そう……シてから殺すのは?」

「そっちがお望みかい? じゃあ存分にしてやるよ……ほら、お嬢ちゃん……」

 威圧感を与えるためにわざと大きく、おおげさに背中に生えた足を使って男が一歩近づく。
 どう嬲り、どう殺し、どう楽しもうか。そう下衆な考えをしながら――

 その瞬間、踏み込んだ機械の足が折れてバランスを崩した。

「んなっ……!?」

「……たまにはそういうのも悪くない、ケド………アナタ、趣味じゃないわ」

 とん、と軽く地面を蹴って奏が男との距離をゼロにする。
 何が起きたか理解できないまま、男はアスモデウスの口づけを受けた。

「だから、最後のプレゼント……♪」

「なっ……な、なんだお嬢ちゃん。能力者か。たのしみた、いっ……!?」

 キスに戸惑ったがすぐに調子を取り戻し、今度こそと襲おうとした男の表情が驚愕に見開く。
 制御を失ったように背中に生えた脚があたりを切り裂き、苦しみを抑えられないうめき声をあげた。
 全身に走る痛みと、とめどなく湧いてくる欲望に自らの喉と胸を掻き毟り、呼吸は乱れて全身から汗を吹き出す。

「かっ……は、ぁっ……! ぅ……!」

「あんまり綺麗じゃないけど……まぁ、いいわ。楽しませてちょうだい?」

 くすりとアスモデウスが笑う。男の目は正気を無くし、口からは涎を垂らしている。

「最近、溜まってるのよ。ほら……あっちのほうが人がいっぱいいるわよ?」

 男の背中を押し、そちらへと意識を促す。
 何も映してはいない男の瞳が、明るい街並みの中を歩く人々の方へ向いた。

「さぁ、いってらっしゃい。私の分まで――」

「う、お、ぉぉぉぉォォオオオオオオオオ!」

 既に男の叫びは人間の声ですらなくなっている。
 狂ったように飛び上がり、明るい街並みへと向かっていった。

「すごい街だな……都会っていうか、なんというか」

 店長がビルを見上げてつぶやく。
 輝くネオンに巨大なビル群。経済特区ネオトーキョーは夜を知らない。

「最近は物騒なこともいろいろあるけどね。そっちはいかないほうが無難よ?」

「うん……そう……ね?」

 レナがそういった直後に、細い道から黒い影が飛び出した。

「ウオオォォォォォォッ……!」

「……マジ?」

 黒く染まった全身は、その像自体がブレているようでかろうじて人型を保っているような状態だ。
 背中からはいくつもの銀の機械の脚が生え、アンバランスなコントラストを見せている。

 首の角度がありえないほうへとねじ曲がり、あたりをぐるぐると見回す。
 周囲を歩いていた人たちも悲鳴を上げて逃げ出した。
 避難を促す警報が発令され、即座に提携した組織からの能力者の派遣が指示される。

 怪物と化した男が、逃げ遅れた女性へと飛びかかる。
 しかしその銀の脚が女性へと届くことはなく、横っ面へと店長の蹴りが入って妨害される。
 空中に浮いていた分、多少吹き飛ばされはしたが特にダメージはなさそうに男はすぐに体勢を取り直した。

「……早く逃げろ!」

「こっちよ、近場のシェルターはB5区の……うん、大丈夫ね? ほら、店長と美優も――」

 レナが女性へと避難所の位置を教え、店長と美優にも早く逃げるように促そうとする。
 しかし、2人ともじっと男の方を見つめて動かない。
 男もまた、2人のほうを真っ黒な瞳で睨み付けていた。

「任せておいても、誰か来るんだろうけどな……」

 「逃げたら追いかけてきそうだろ?」と軽めに店長が言う。
 確かに、隙を見せたら今にも男が襲い掛かって来そうだ。

 やれやれ、とレナが肩をすくめて隣に立つ。

「変身する気はあまりないんじゃなかったの?」

「あの人……なんだか、とても嫌な感じがしますから」

 止めないと、と続ける美優にレナは苦笑する。
 ――まったく、あの頃と変わってない。

「なら、早めに済ませちゃいましょ。目立つのは嫌でしょ?」

「……えぇ!」

 2人が同時に構え、空へと手をかざして叫んだ。

「ハートアップ!」

「リライザブル!」

 光が身体からあふれ出し、全身を包んでいく。
 髪が自然とまとまりリボンで結ばれ、腕は布のガントレットで保護される。
 そして、胸と腰に光が強く凝縮されて希望の印のエンブレムが胸へ。
 そこを起点に胸部を覆う可愛らしく力強いイメージのドレス。
 美優はヘソ出しルックにミニのスカート。レナはセクシーな胸元を強調する形へ。

「魔法少女、エンジェリックカインド! ……きゃはっ☆」

「魔法少女、エンジェリックグレイス! ……うふっ☆」

 そして、キメポーズと共にセリフを。
 並び立った魔法少女を見て、男は戸惑うどころか聞いているだけで不快になるような笑い声をあげた。
 その気味の悪さに2人も思わず後ずさりしてしまう。

「悪いけど、あんまり相手してられないの……いろいろと、ねっ!」

 嫌悪感と、少しの恐怖を飲み込んでグレイスが飛び上がる。
 腕を掲げると、光が宙を舞いその手の中へと吸い込まれ、集束していく。
 それは次第に形となり、剣が生み出された。

「グレイスフル、ソードッ!」

 ごく一般的なカース程度なら撫でつけるようだけで倒せるほどの気力をまとわせて切りかかる。
 しかし、空中からの速度も合わせた神速の剣は男に当たらず、いたはずの空間を裂くにとどまった。
 どこへ行ったのかをグレイスが判断するよりも早くその身へと男の銀の脚が無数に迫るも、こちらはカインドが放った光の矢によって阻まれる。

「グレイス、気を付けて!」

「うん、わかってる……助かったわ」

 グレイスが地面を蹴って男との距離をとった。
 完全にとらえたと思った必殺の剣が躱された焦りは、既にその理由を分析する方向へとシフトしている。

 男は変わらず、不快感を煽るような気持ちの悪い笑い声を上げ続けていた。

「グヒッ、グヒヒヒッ! ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」

「まったく……ちょっと面倒かもしれないわね」

 グレイスがそう呟くのと、男が動き出したのは同時だった。
 地面を抉るほど強力に地面を機械の脚で蹴り、弾丸のように飛び出す。

「――ッ!?」

 その飛び込みにかろうじて合わせるようにグレイスは剣を突き出すも、ぶつかる直前で男は地面へと脚を刺し方向を急激に変える。
 グレイスをフォローしようと踏み出していたカインドはそれに対応できず、押し倒されるような形で倒れた。

「っ……あ……!」

「ヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! ヒグッ!」

 そのまま胸元へと男の手が迫るが横からシビルマスクの蹴りが入り邪魔をする。
 いつの間にやら、彼も服装が変わりマスクを装着していた。

「こいつ……完全に女性狙いってことか?」

 一度ならず二度までも阻止されて男が不快そうに顔を歪めた。
 しかしすぐにグレイスとカインドの方へと顔をやり、また不快な笑みを浮かべる。

「この速さ……やっかいね。なんか見られているだけで寒気もするし……」

「エンジェルハウリングもこのままだと当たらなそう………」

「とりあえず足止めを俺がする。2人は俺ごと――」

「却下。もう若くないんだから無理しないで」

 シビルマスクが囮を買ってでるが、グレイスに止められてしまう。
 そもそもこの速度相手だと、食い止めることすら困難だろう……彼はあくまでもただの人間なのだから。

「……私に考えがあります」

「どうするつもり?」

「………少しだけ集中させて。うまくいけば速度を落とせるはずだから」

 カインドのそのセリフにグレイスはただうなずいた。
 彼女がそういうのならば、大丈夫だろう。理由を聞く時間の分も集中に回してほしいと考えたからだ。
 カインドが目を瞑って集中しだしたのを確認して、飛びかかりかけていた男の足元へと剣を投げつけて牽制した。

「じゃあ、シビルマスクさん……時間稼ぎ、いくわよ!」

「無理はするなよ、グレイス!」

 そのまま素早く駆け寄ると、刺さった剣を引き抜いて逆袈裟に切り上げた。
 男は空中へと飛び上がりその攻撃を避けてみせると、脚を数本繰り出して切りつける。
 致命傷にはならないが機動力を奪うことを狙っているような軌道で手足を削りにかかった。

「グヒッ、ヒヒヒヒヒ!」

「ちょっ……!? やっぱり気持ち悪いっ!」

 時間を稼ぐことが目的なので激しい攻撃は仕掛けていないが、やはりグレイス側の攻撃は当たらないままだ。
 少しずつあちこちへと傷が刻まれ、そのたびに男が楽しげに気色の悪い笑い声をあげる。

 時々カインドの方へと意識が向きそうになるのはシビルマスクが防いではいるが、金属製の脚を持つ男相手では基本の徒手空拳では分が悪い。
 それどころか、グレイスへの攻撃までもを無理に防ごうとしている節まであった。

「これなら、普段から持ち歩いとくべきだったか……なっ!」

 何度目かの突進を、シビルマスクがすくいあげるようにして男を投げて防いだ。
 鋭い刃のついた脚には極力触らないようにはしているがそれでも腕にはいくつも切り傷が刻まれている。

「それってなんの話?」

「サンタクロースの相棒さんからの贈り物をね……そろそろ手が痛い」

 軽口を叩いてはいるものの、そろそろ体力も厳しくなっている。
 偶然もらった『お守り』がかさばるとはいえ、出先に持ってこなかったのは失敗だったかと店長は笑った。
 もっとも、その場合はレナの店に入店拒否をされていた可能性もあるので致し方ないのではあるが。

 男がまたかがんで飛びかかろうとしている。
 正面から受けるのは厳しいし、避けようとしても急転換して追いかけてくるこの攻撃は非常に厄介だ。
 なによりその嫌悪感を煽るような笑い方が、グレイスやカインドに接近させた場合によくないことがおきそうだと思わせていた。

「レナ、店長! 大丈夫です、避けてください!」

 2人の後ろからカインドの声が響く。男との射線を開けるようにシビルマスクとグレイスが避けた。
 飛びかかろうとしていた男は一瞬戸惑ったものの、正面にカインドの姿を見つけてまた歪んだ笑顔をたたえる。

「グヒヒヒヒヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!」

 そしてそのまま、すさまじい勢いでもってカインドを浚わんと襲い掛かった。

 男は、ほとんど本能でもって感じていた。

 ――さっきの矢ならば、もう見た。すさまじい速さだが前へと脚を突き出せば突破されることはない。

 事実、数発撃ちこんだ矢はほとんどダメージを与えることができなかった。
 『色欲』に侵された男はだんだんと速度も火力も強く激しくなっていっている。

 ほぼ人型を失いつつある身体でも、だんだんと冷静さと残酷さ、性衝動は増している。
 邪魔をし続けられているが、それを差し置いてもいい女だ。めちゃくちゃに犯して、壊してしまいたい。
 この突進で気絶させ、邪魔が入らないようにしてからたっぷりと嬲ってやろう。

 そんな、どす黒い欲望との塊と化した男が迫るもカインドは冷静なままだった。

「カインディング……アロー」

 ポウ、と空中に浮かんでいた玉が強く光ったかと思うと突き出した脚へと突き刺さる。
 勢いは全く死んでおらず、男もこの程度ならば問題ないと判断してさらに欲望を増大させる。

 ――さぁ、どう嬲ってやろうか。
 その考えが脳に伝わり、また不快な笑い声を響かせるよりも早く。男は光の奔流へと飲み込まれた。

「ふぅ……」

「……スゴっ」

 思わずグレイスが驚嘆の声をあげる。
 カインドは疲れたようにその場に座り込んだ。

 カインドの『アロー』はエネルギーを空中に生み出して、それを凝縮させて放つ技だ。
 本来は一発ずつ、その速度でもって撃ちぬくようにして使うのだが、今回カインドは空中にいくつものエネルギーを留めさせ同時に発射させたらしい。
 その量は数え切れなかったが、速度も威力も損なうことなく停止させておくなどとんだ技術だ。

 一斉に発射された矢は、まるで大きなひとつの槍のように男の身体を飲み込み押し流し壁へと叩きつけた。
 正面から受けていた脚は破損し、気も失っている。完全に無力化したようだ。

「よいしょ……大丈夫ですか、2人とも?」

「うん、まぁ。腕のいいお医者さんならすぐに治してくれるんじゃないか?」

 カインドは変身をといてどうにか立ち上がると2人の心配をし始めた。
 マスクを外した店長は切り裂かれた両腕をあげて笑って見せるが痛々しいことこの上ない。

 魔法少女は、多少の傷ならば治るし身体だって一般人よりはるかに頑丈なのだ。
 レナも変身をとくと、あまり無茶はしてくれるな、と店長へ説教を始めた。

「いやぁ、次からは気を付けるよ……流石に入店拒否されるかな?」

「いいから病院にいって! もうっ」

「そういうなよ、なぁ美優……」

「私も同感です。集中できて助かりましたけど……そんなに、無茶をしなくても……」

「……つい、昔みたいにかっこつけたくってなぁ」

「……はぁ。美優、腕のいい医者だったらあっちの通りの病院がいいわよ」

「うん、ありがとう……今度、また改めていくから」

「オッケー。助かったけど無茶はあんまりしないようにね?」

「善処するよ、うん」

「……店長?」

「ははは、わかったわかった……」


 あえてへらへらと笑ってみせつつ、店長『シビルマスク』は考えていた。
 あの男は女性だけを狙っていたように見えた。ただ単に女を犯すことを求めていたにしては行動が単純すぎたように見えたから。

 ――『女性に接触すること』自体が目的なのではなかったか?
 そう感じたからこそ、グレイスにも極力触れられないようフォローに回ったのだ。


 一応は長く戦ってきたつもりだし、助けてきたからこそ覚えた違和感。
 ただの異常者だったのならば、それでいい。思い過しで結構だ。

 ただ、それでも。万にひとつでも彼女たちの生活を壊してしまうのは避けたかった。

 『背広マスク』は強くはなかった。
 彼女たちが苦しいとき、支えることしかできなかったから。
 敵の策に翻弄され、罠にはまり。助けを求める彼女たちを問答無用で救いあげる力などなかったから。

 今度は、そうなる前に助けてやりたかった。
 そうなってしまってからではきっと無能力者の自分にできることなど多くないから。

「店長?」

「うん? あぁ、すまん……無理に動いたから腰がなぁ……」

「無理はしないでくださいね、肩貸しますから」

 隣で微笑む美優を見て、彼は再び決心した。

 ――彼女たちを不幸にはしない、と。

「ふぅん……?」

 どうも騒ぎが大きくならない、と覗いてみれば『注いで』あげた男が光の奔流に飲まれているところだった。
 光が飛んできた方へと目をやれば珍妙な恰好の男と、女が2人。

 能力者へ彼女の力をただ注ぎ込めば大抵は狂ってしまう。
 それだけでは面白い玩具にはならず、かといってただの人間だけに注いだだけでは面白くはない。

 だから、アスモデウスは方法を考えた。一旦無能力の男へ注ぎ、能力を持つ女へと精ごと力を注ぐ。
 うまくやれば母体へと人間として能力が吸収されて色欲の能力を能力者の女を生み出せるのではないか、と。

 さらに、それで子が成れば? 能力者であり、色欲の悪魔の子が生まれるのでは?
 単なる思い付きにしては結構面白いのでは、と思っていたのだが失敗だ。

 能力者を見つけるところまでは悪くなかったのだがどうやらあの男はろくに注ぎ込めずに終わってしまったようだ。

「まぁ、いいか」

 計画を潰した3人の繋がりを見てみれば、なかなかに面白そうなことがわかったらしく。
 新しい玩具を買ってもらった子供のように、嬉しそうにアスモデウスが笑った。

とりあえず〆。アスモデウスと戦わせようと思ったら出会いすらしてなかった
何を言ってるかわからねーと思うが、俺もなにがなんだかわからない

「憤怒の街」関係の前にさしこんでもいいです。とりあえず同時期ではないってことで

乙ー

アスモちゃん頭いい

乙です
きらり…色欲なさそうというか生殖する生物ではないんだろうなぁ…今のところ♀しか出てないし(未設定)
アスモデウスさんの能力注がれた男の末路が自業自得とはいえ恐ろしいです

誤字ってれぅー

>>215
× うまくやれば母体へと人間として能力が吸収されて色欲の能力を能力者の女を生み出せるのではないか、と。

○ うまくやれば母体へと人間として能力が吸収され、『色欲』を持たせた上で正気の能力者の女を生み出せるのではないか、と。

おつー

三船さんが路地裏に連れて行かれたらどうしようと全裸でwktk……
もとい、ハラハラしました

おつおつ

華やかなメインストリートを一歩外れれば、そこにはサイバーパンク・モヒカンが闊歩しマケグミ・サラリマンが嘆きの声を漏らしている
これもマッポーの世を体現したネオトーキョーではチャメシ・インシデントなのである

おつー
アスモデウスさんこわい
でも俺もキスしてほしいです

やっと完成した…なんだか難産なうえにとんでもない事にしてしまったけど投下してみます。

例によってグダグダですがどうぞ。


「むふふ……皆さん頑張ってますねぇ♪」

未だ混迷を極める憤怒の街、その中の一角に日菜子の姿はあった。

各組織とカースの攻防戦は時間が経つとともに激しさを増し、一向に解決への糸口を掴むことはできないでいた。

だが、ただ待つばかりではないのがヒーロー達だ。






例えば、黒い噂が絶えず衰退への道を辿るかと思われた櫻井財閥が決死の調査で作り上げたという『地図』。

例えば、大自然の使者達がやり遂げた『救出』。

例えば、稀代の魔法使い達が作り上げた『防壁』。

例えば、気迫とともに舞い込んできた『烈風』。

例えば、新たな絆を胸に秘めた『草花』。

例えば、友に支えられた『降雨』

少しずつ、けど確実に希望という名の可能性は芽生えてきた。






――――――しかし。


むしろ本番はこれからだと日菜子は思っていた。

地下から強引に突破してきた日菜子と愛梨の二人だが、既に突入していた者達を影から支援するために二手に分かれて動くことにした。

愛梨の方は今頃は街の各所を飛び回っているだろう。

対して日菜子はフラフラと街中にいくつか点在する強い力を感じる場所を回っていた。

そして、その途中でいくつかの『異常』を確認したのだ。

「………むふふ、癒しの雨で弱いのはきえましたが……少しだけ遅かったみたいですねぇ」

「グガ…グギギギギギギ」

小さな通りの中、数体のカースが不気味に体を震わせていた。

まるで―――その内側から何かが飛び出そうとしているように。

「それに……どうやらも来ているようですよぉ?」

ちらりと背後を見れば、アスファルトからにじむように、突き破るように『呪いに覆われた蛇龍』が姿を現していた。

「前には呪い、後ろにも呪いですかぁ……むふふ」

普通に考えれば、絶望的な状況だ。

「……仕方ないですねぇ、本当に皆さん頑張ってますから―――」

しかしそれでも日菜子はいつもどおり仮面を片手に佇み、口角をつり上げ本当に楽しそうに嗤う。

「―――日菜子も、しっかりお手伝いしますねぇ♪」


瞬間、数体のカースから孵化するようにその内側から『新たなカース』が生まれる。

―――一つの鋭角を掲げた黒馬に、

―――二つの大翼を持った黒鳥に、

―――三つの尻尾を生やした黒蜥蜴に、

―――四つの尖牙を見せつける黒狼に。

同時に、背後から日菜子を飲み込まんと蛇龍が迫るが空から降ってきた5本の剣に阻まれる。

「……さぁ王子様、久しぶりのデートですよデート♪」

ずるりと、蛇龍が3体に分裂し三方向から飛び掛かって来るのを剣を壁のように並べて防ぐ。

「ジャマナンダヨオオ!!」

そこに額の角を突きだしながら突進してくる黒馬をひらりと避けると、分身一体ともつれるように激突した。

「メザワリイイイイイイ!」

「オマエタチガアアアアア!!」

「むふ、激しいんですねぇ♪」

続いて狼が牙を剥きながら飛びかかり、更にその後ろから蜥蜴が尾を振り回して迫るがそのどちらも日菜子の服にさえ触れない。

「オレハワルクネエエ!!」

「あぁ、そんな人前で激しいのはこまりますぅ♪」

くるりくるりとステップを刻み、足元に滑り込んできた小さな蛇は宙に少し浮かせた剣を足場にして避け、急降下してくる黒鳥に対しては剣のカーテンで目くらましをして攻撃範囲から悠々と逃れる。

「王子様は相変わらずダンスがお上手ですねぇ……むふ♪」


蛇が、馬が、狼が、蜥蜴が、鳥があるときは正面から、あるときは死角から、あるときはなだれ込むように襲いかかるがその全てを避け続ける。

「ならもっともっと踊りませんかぁ?…むふふ♪」

そして、最初からそうなるように打ち合わせてあったかのように五体のカースが一箇所に固まり、日菜子はその輪の外に出ていた。

「さぁ王子様、前戯はここまでですよぉ♪」

くるくると仮面を手で弄び、どこまでも余裕を崩すことなくカースに背を向ける。

刹那の膠着、そして怒涛の勢いで五体のカースが日菜子を飲み込もうとして―――

「32の英雄に告げる、その刃を以て姫君を守護せよ……なぁんて、むふふ♪」

その直前に、カースに対して全方位から剣が突進………その数、32本。

馬を切り裂き、鳥を突き刺し、蜥蜴を断ち切り、狼を撥ね飛ばす。

「これで終わりなんてつまらないですよねぇ♪」

しかし、その中を蛇龍だけが離散集合を繰り返し生き残っていた。

「やっぱりですかぁ……さぁどうしましょうか、王子様?」

言うほど困った様子は無く、地を這いずりながら暴威を振るう蛇の猛攻をひらひらと避け続けながら日菜子は思案する。

「こういうの、実は日菜子ちょっと苦手なんですよねぇ…」

状況は互角、というよりもキリがないと言ったほうが正しい。

切っても突いても叩いても潰しても、生半可な物理攻撃では蛇龍にはダメージと成りえない。

逆に、蛇龍が幾ら分裂を繰り返そうが日菜子の手数は尽きることがない。


無数の小さな蛇が足元を狙う、数多の剣が全て切り裂く。

蛇の胴体を複数の剣が断ち切る、二つに分かれた体がそれぞれ動き出す。

「キリがないですねぇ………むふふ、なら少し趣向を変えてみましょうかぁ♪」

直後、今まで無数にあった剣が消失し代わりに赤青緑黄の4色の剣がそれぞれ日菜子の周囲に現れる。

「物語を盛り上げるには、不思議な道具も必要ですからねぇ…」

いつの間にか片手でもっていた仮面が消えていた日菜子は、しかし気にすることはなく緩やかな動きで赤い剣を手に取り、両手で振り下ろす。

「………例えば、聖剣とか魔剣と言ったものはどうでしょうかぁ…むふふ♪」

「!!?!」

振り下ろすと同時に、その直線上が全て激しい炎に包まれ片方の分裂体もろとも焼き尽くす。

「久しぶりに使うとちょっと疲れますねぇ、王子様?」

振り下ろした隙を突こうとするもう片方の分裂体に黄色と青色の剣が盾になり防ぐ。

更に、すっと赤い剣を手放した日菜子が今度は緑の剣を手に取り腰だめに突き出すと強力な突風が巻き起こり吹き飛ばす。

続いて青い剣を手に取り地面に突き刺すと日菜子を中心に氷の障壁が出来上がり先ほど炎に飲まれたはずの分裂体が地面から飛び出して来て激突する。

「むふ♪これでチェックメイトですよ!」

最後に残った黄色の剣を手に取り、氷の壁をなぎ払うように一閃。

同時に先行とともに扇状に広がった雷撃が分裂体の両方を貫き、飲み込んだ。


「………あぁ、これは厄介ですねぇ」

四色の剣を展開しながら、日菜子は倒れ伏した蛇龍を見る。

正確には、その中心部、核がであろう繭の中身を。

―――その中には、何も入っていなかった。

「…さぁ皆さん、これからが本番みたいですよぉ?」

ズルズルと、大きな何かが這いずる音が地面から聞こえた。

同時に、何か鳥が羽ばたくような音が空から聞こえる。

「………むふふ♪不謹慎ですけど、王子様はやっぱりこういった混沌としたことが好きなんですねぇ♪」

――――――オオオオォォォォ……

ふっと、巨大な影が空を覆った。

「…さぁ、行きましょうか王子様♪」

一度空を見上げた後、日菜子は再び正面を見据える

―――その視線の先では、ドロリと、『2体の蛇龍』が地面から現れる所だった。

「この様子だと『親』は地下のようですねぇ……ですけど、アレも放っておけませんし……困りますねぇ」

もう一度、日菜子は空を見上げる。

―――そこには、後に『憤怒の翼竜(ラース・ワイバーン)』と呼ばれる強大なカースが羽ばたく姿があった。


続く?

『同時刻』

―――憤怒の街への道路。

「はぁ、まったく酷い話だにゃ!」

「……ええ」

「だいたい水臭いにゃ、せめて一言くらいは欲しいにゃあ」

「…そうね」

「ま、ちゃっちゃと見つけてパパッと終わらせて帰るにゃ、帰って焼肉にするにゃ!!」

「今日は鯖の塩や「アーアーキコエナイニャアア」」

「…ま、バカやってないでそろそろ行こうかにゃあ、嫌な予感がビンビンするけど放っておくってのは無理な話にゃ」




「その通りね……準備はいいかしら?………みく」

「バッチリ完璧だにゃ!―――のあチャン!」


憤怒の街に、新たな新たな役者が加わる。


・『憤怒の翼竜(ラース・ワイバーン)』
→一旦は沈静化するかと思われた憤怒の街に現れた巨大な翼を持った大型カース。姿は俗に言うワイバーンそのもの。
上空から憤怒の街を旋回し人の姿を発見しては攻撃を仕掛けてくる。
また、生半可な攻撃ではダメージを与えられず更に口からカース弾を吐き出してくる強力な存在。
しかし、その大きさ故に小回りがきかず、一旦地に引きずり下ろす事ができれば勝機は見えてくる。

・『嫉妬の蛇龍・量産型』
→多少弱体化した代わりにわらわらと地面から現れる嫉妬の蛇龍の量産型。
弱点であるところの繭はオリジナルと違い何も入って無い。
憤怒の街のどこかに生み出しているオリジナルが居るため、一定時間が過ぎると増える。

・『獣型カース』
→憤怒の街に出現するのはユニコーン、蜥蜴、鳥、狼の四種類。
それぞれが普通のカースよりは強いが雨のおかげで多少は弱体化している。

・『日菜子の能力・補足1』
→いつもはなんの特殊能力のない剣を幾つも作り出し戦っているが、風や炎に氷と雷等など特殊な武器も作り出せる。
ただし、その場合は多く作り出すことができず、更に自分の手で振るわなければ能力を使うことができない。

イベント情報
1・ボスカース、憤怒の翼竜があらわれました!
2・嫉妬の蛇龍が多数現れました!
3・愛梨・日菜子が憤怒の街を徘徊しています
4・のあ、みくが憤怒の街に現れました。

投下終了……好き勝手やった結果がこれだよ!

なんか色々無理やり感がありますが、何か問題があればどうぞ

それではおめ汚し失礼しました。

乙です
空中戦からの地上戦か…いいな

憤怒の竜を一狩りしようぜ!
『憤怒の翼膜を入手しました』
『憤怒の爪を入手しました』
『憤怒の尻尾を入手しました』

乙ー

ボスカース……来たか!

なんかクエストみたいでいいな

そして……やったね蛇龍!カミカゼと再戦できるよ!

おおっと…
別スレのコテハンのままだった…はずかしい

紅玉=核ですねわかります!

そして誤字脱字ご多いな…補足補足。

>>225
「それに……どうやらも来ているようですよぉ?」

「それに……どうやらゲストも来ているようですよぉ?」

>>229
正確には、その中心部、核がであろう繭の中身を。

正確には、その中心部、核があるであろう繭の中身を。

乙です
憤怒の翼竜がリオレウスにしか思えなくなったぞ

モンスターハンターしようぜ!
リオレウスなら弓だな、弓。だから頼んだよ裕美ちゃん

常時ワールドツアーのレウス?
戦法としては何も間違ってないけどチキンに見えてしまったわ…

>>238
裕美「!?」

太刀のような大罪の刀もありそうだな…

肇ちゃんがそれっぽいのもう一式持ってなかったっけ?

おつー
前から思ってたけど日菜子の能力かっこいいなー


あと中野有香の予約をします

おつおつ
流石じゃし……王子様は素敵ですねぇ、むふっ♪

ユズちゃん先生の魔界講座と憤怒の街関連で投下します

「ただいまー」

「ユズ、帰ったぞー」

「姫様、蘭子様、今日はお早いお帰りですね…」

「ちょっとあの街に近いから警戒態勢だそうです。午前授業で終わりました。あ、貸したゲーム、やってくれてたんですね。」

帰宅してみると、ユズは蘭子のゲームを借りていたようだ。

「…ユズ、一体何をしている…?」

「魔術の研究ですよ。…あー!姫様アタシを可哀想な人を見る目で見ましたね!誤解ですから!本当に役に立ちますから!」

「あー…そうかそうか。」

「もう…姫様、問題です。魔力管理人の古式の呼び方は?」

「…忘れた。」

「なんなんですか?」

「古式の呼び方では魔術管理人だったのです。そのため契約の際は魔術管理人と名乗る必要があるのですよ。」

「魔術に関する勉強をしていても何の不思議もないと言い張りたいのか…」

「結構ややこしいんですねー」

「まぁ私を召喚できる魔術師なんて、きっと世界を自在に操れるような輩でしょうけど…。役職持ちは強制召喚ではないですし。さて、今日の講義は『世界』です。」

ユズが本を持ちながら講義を始める。魔術の基礎であったり生い立ちであったり魔法と魔術の違いであったり…蘭子はそれをノートにまとめている。

「異世界なんてもう珍しくもないと思いますが、意外と世界の境界はいまだにはっきり残っています。」

「その境界が比較的薄い魔界、人間界、天界…我々魔族や天使たちはこの3つを軸として移動できます。」

「…この3つ以外の世界もあるんですか?」

「はい。昔とある魔族たちが異世界へ争いから逃げるために旅立った記録もあり、確実にそれらの種族はこの3つ以外の世界にいるそうです。」

「…軸を外れて移動したってことですか?」

「そのとおり。かなりの人数で大規模な魔術結界を形成し、その結界に乗って世界を渡ったと推測しています。これは結構な無茶です。」

ユズの講義に蘭子は実に楽しそうに質問をする。…それとは対照的に昼子は暇そうなのだが。

「どういった理由で無茶なんですか?」

「そうですね…電車がレールを外れて大嵐の中を走っているような物です。それを魔力で制御しながら目的の世界へ飛んだということ…わかりますか?」

「はい、分かりやすいです!」

「よかった…管理塔はそんな世界の狭間に漂っています。世界を箱やボールのような形と考え…それを敷き詰めようとしてもできる隙間が世界の狭間なのです。」

「そして常に世界は動いており、時には激しく衝突することもあります。それでも世界同士には境界が存在し、お互いに干渉することがないのです。」

「…もしも境界が無かったらどうなっているんですか?」

「予測ですが…世界は一体化するでしょう。人間の言う天国も地獄も一緒になって…生死の境界も失うでしょう。きっと無法地帯です。キヨラさんが忙しくなるなぁ…まあ無理だとは思うけど…」

「…キヨラさんって誰ですか?」

「えっと…罪を犯した人間を裁く施設の職員さんです。全ての生物の罪を回覧することができ、重罪人の魂を処刑することも許可されています。」

「どんなふうに裁かれるんですか?」

「裁き方は簡単。罪の確認の後、無力化されて強制労働の刑です。」

「私も…裁かれますか?」

「そうですねぇ…『身の程知らずの罪』『嘘をついた罪』『ズルをした罪』『裏切った罪』…いろいろありますからねぇ…ぶっちゃけると裁かれたことのない魂はないですよ。」

「えっと…たしか最短は聖人と称えられたような人で…刑期二週間です。それより短いのは…まともに生きることのできなかった子供とかですね。」

半分眠っていた昼子が目を覚まし、話に加わる。

「ん…ああ…キヨラの話か。あいつの処刑器具やら拷問器具やらのメンテナンスの時の笑顔は恐ろしいぞ…」

「…キヨラさんは良い人ですから。それにいつも笑顔でしょう?蘭子様に先入観を植え付けないでください。」

「…喜々として新たに習得した処刑器具召喚魔術の『ファラリスの牡牛』とやらの説明をしてくれた件についての弁明は?」

「ないです。というかなんでそんな話聞いてたんですか…」

「怖いですね…」

「まぁ、能力の悪用をしたり誰かの罪を誰かに教えたりした途端に自分の能力に殺される職業ですからねぇ…そういう人が選ばれるのかも。」

「…あ、処刑を受けた魂は二度と思考できる生物に転生できなくなるんですよ。」

付け足すようにユズが解説をする。

「例えばどんな生物にならなれるんですか?」

「虫とか草とか石とかです。」

「え…」

「犯罪者にはお似合いの末路だな。」

「悪魔もそうなんですか…?」

「まあ悪魔は基本的に緩和されますけど…その職員の持つカルテの顔写真に×マークがついたら処刑されます。大罪の悪魔のように例外もありますけど。」

「へー勉強になります!」

(そういえば蘭子は我の配下になったんだったな…すっかり忘れてたぞ。なら魔界について詳しくなっても損はないか…)

同じ頃、竜帝キバことマナミは憤怒の街へ向かい地下を歩いていた。

異常なほどの感情エネルギー。力に飲み込まれない事はできるが問題はこのエネルギーの主だ。

怒りを解放したサタンや自分よりは劣るものの、感染するようにそれは広がり続けている。

…誰だかは知らないがまともな相手ではなさそうだ。そしてかなりの実力者だろう。

憤怒を司る者が二人とも正常なのにこれほどのエネルギーを振りまいている。

カースドヒューマンなどという呪われた人間のレベルではない。…誰か、魔界の者が補助をしている可能性が高い。

調べる必要がある。そう彼女は断定していた。

だから目立たないようにわざわざ地下から侵入しているのだ。

『ユルサン…コロシテヤルウウウウウウウウウウ!』

『ボクノタイセツナヒトヲヨクモオオオオオオオオ!』

『オワル、セカイハオワルウウウウウウウウウウウウ!』

『ウソツキウソツキウソツキウソツキイイイイイイイイ!』

湧き出るようにカースが生まれる。挟み撃ちの形で。

「邪魔だ。」

『~~、~~~~』
『冷気よ、大いなる我が力に従い、音すら凍らせるその身で我が平穏を奪う愚か者を永久の眠りへ送り込め!ヘルブリザード!』

竜族言語魔法と魔術の同時使用。

人間として魔王の城で生きている間に身に着けた術。

右手に魔力で作った竜の顔を模したパイルバンカーから青い業火が吐き出され、左手からは命の灯を掻き消す猛吹雪が襲い掛かる。

通路の前後にそれらはそれぞれ襲い掛かり、カースを掻き消す。

綺麗に片付いた後、魔力の残骸が残らぬように掻き消す。

嫌な予感がする。それも行かなければ後悔するタイプのものだ。

僅かな不安を振り払い、マナミは街へ向かって地下のさらに奥へ歩き出した。

イベント情報
・木場さんが地下から街に侵入しました
・目的は元凶の調査です

投下終了です

…書いてる途中で地下にあそこまで変化が起きるとは思わなかったんだ…川島さんと遭遇する可能性高すぎィ!

乙ー

kwsmsn「貴方も龍族言語魔法と魔術の同時詠唱ができるなんて……妬ましいわ」とおっしゃってます

キバさんも憤怒の街入りか

もしかしたら、娘さん達に手を出す前に戦えるかもね

乙乙!
果たしてキバさんは薫ちゃんを守りきれるのか!

乙です
ファラリスの牡牛…ググったら恐ろしい物だった…キヨラさん怖い
憤怒Pはあれで処刑されるのだろうか
そしてドラゴンパイルバンカー装備キバさん絶対カッコいい

乙乙!
キバさんかっこいいぞ凄い。

さて、余計かもしれませんが状況整理第二弾やっときます。

・各勢力
GDF→防戦、幾つかの組織と連携準備中。
アイドルヒーロー同盟→行動開始、拓海・美世・夕美・菜々突入成功。
ネバーディスペア→防戦中。
プロダクション→待機。
イヴ非日常相談事務所→突入・防壁維持中、泰葉交戦済み。
ナチュルスター→脱出、憤怒の街の弱体化成功。
神崎家→待機中。
旧支配者組→日菜子・愛梨は各突入者を影から支援、里美不明。
のあ・みく→日菜子・愛梨を探しに突入中。
櫻井財閥→地図作成完了。
キバ→地下から突入中。
聖・雪美→千鶴(アザエル)を追って突入。

泰葉→首謀者。
憤怒P→首謀者。
杏→泰葉陣営へ。
川島さん→協力者、泰葉分身作成。

幸子→待機中。
千鶴(アザエル)→憤怒の街に突入、無差別攻撃?

・街の状況
街の外の防衛戦維持中。
癒しの雨継続中、雑魚カース一部浄化・瘴気軽減。
氷の檻健在、生存者多数。
泰葉分身誕生、行動開始。
ボスカース・憤怒の翼竜出現。
中ボスカース・嫉妬の蛇龍(量産型)多数出現・親の存在アリ。
一部雑魚カースが獣型にランクアップ。


あれ……千秋さんどうだったっけ……?

なにか抜けとか間違いがあればすみません、長くて失礼しました。

乙です
あ、夕美の仕掛けたトラップ式肉食植物も一応状況に入れた方がいいのかな?

>>259
あ、それもあったか;

>>258
街の状況に、街の一部にトラップ式肉食植物誕生、も追加ですね

おつおつ
攻略してる感あるなぁ

今から投下します

※注意
胸糞が悪くなるような描写があります

――ここは絶望と憤怒の覆う街。

――あちらこちらにカースが蔓延り、

――『憤怒』の呪いで赤く染まった一帯の空が、

――怨嗟の熱気で立ち上る悪意によって、

――蜃気楼のようにゆらゆらと揺らめく。

――辺りに漂う空気は、

――肌にべったりと纏わりついてくるような、

――気味の悪く、生温い瘴気。

――吸えば吐き気を催し、

――精神にも悪影響を及ぼす。

――聞こえるものといえば、

――悲鳴と怒号、

――怨嗟と呪いの声、

――何かが崩れ落ちる音、

――何かが潰れる音、

――何かが引きずられるような音。

――今……、

――この街の惨状を、

――――地獄、

――と、形容することに、

――誰が些かほどでも抵抗を抱くものか。

――この異空間において、

――人の姿などは影すら見えず、

――あるのは、

――悪意を撒き散らす化け物が、

――建物を、

――道を、

――広場を、

――我が物顔で占拠している光景だけだ。

――そのような中でなお、

――課せられた義務があるでもなく、

――ただ、己の正義感の赴くままに、

――奮戦する少女がいた。

有香「はああああ!!!」

――彼女の名は中野有香。

――空手の有段者であり、

――『あの日』能力を得た、18歳の女の子である。

――有香は、ただの空手少女だった。

――大した理由があったわけではない。

――女の子といえど、自分の身は自分で守れなければ。

――単純にそう考えた両親が、幼い時分に空手道を歩ませた。

――その結果、有香の眠っていた才能が開花した。

――小学生の頃には、付近に相手になる者はおらず、

――中学生にもなると、全国レベルの強さを誇るようになった。

――高校生に上がった頃、名実ともに最強となった有香は、

――その力を持て余すようになる。

――しかし有香は、その後も毎日の特訓を欠かさず、

――こんなことに意味など無いと知りながらも、

――変わらず最強の座を維持し続けた。

――『あの日』、

――唐突に、

――有香は、ただでさえ持て余し気味な自身の力を、

――更に、強化する能力に目覚めた。

――――身体能力の大幅な向上。

――それは、

――人間の限界を超えた力だった。

――具体的に、

――彼女の拳の速度は、音を超えた。

――彼女の足の運びは、秒速にして数十メートルという域に達した。

――ただの手刀で、鋼を曲げるほどの膂力を得た。

――更に、それらに耐えうる体力や頑丈さ、

――人知を超えた動きを支える、動体視力と反射神経をも手に入れた。

――有香は、

――この恐るべき能力を、

――自身でも意外に思うほど、すんなりと受け入れることができた。

―――
――


――先程から、有香の周りを数体のカースが取り囲んでいた。

――各々が激情をぶち撒けながら、彼女と距離を置きつつ、

――機を伺っては襲いかかり、

有香「は……っ!」

――パパンッ! という衝撃音と共に、

――近づいた者から吹き飛ばされていく。

――有香の対カース戦法は、

――一貫してこうだ。

――『二発殴る』。

――カースには、弱点となる核が存在するが、

――それは泥のようなものに覆われており、

――一見して、何処に存在するのかがわからない。

――ならば、と、

――一発目の拳で、カースの周りの泥を吹き飛ばし、

――二発目の拳で、露出した核を砕く。

――……これを一瞬のうちに行う。

――至極単純だが、彼女にしかできないこのやり方で、

――事が起こってから今までずっと戦い続けている。

――この街に有香がいたのは、たまたまだ。

――外から助けに来たわけではない。

――彼女は、どこかの組織に所属しているわけでもなく、

――個人でヒーロー行為を行うようなこともしない。

――ただ、目の前に困っている人がいて、

――自分の力で、それをどうにかできるのであれば、

――彼女は喜んでその力を振るうだろう。

――そして今、

――有香の力は、人々を守るに足るものだった。

――――カースが発生した時、

――当然パニックが起きた。

――群衆が逃げ惑う中、それを襲うカースを、

――有香は片っ端から倒して回った。

――避難を助け、

――カースに囲まれた人を救助し、

――ほうぼうを走り回った。

――少なくとも、

――彼女の目の届く範囲に、

――犠牲になった人はいなかった。

有香「そろそろ行くか……」

――ここまで働き詰めだった有香は、

――能力による自身の驚異的な体力に、

――しかし、過信すること無く、

――ペース配分を考え、

――少しだけ休憩しよう、と、

――その場にとどまり、

――寄ってくるカースだけを倒し、

――しばらく体力の回復を図っていた。

――その結果、囲まれてしまった訳だが、

――元よりこの程度の数、問題ではない。

――まして、休息を終えたばかりなのだから、

――今、有香のパフォーマンスは絶好調である。

有香「ふっ……!」

――有香は手始めに、

――スッ、と腰を落とすと、

――一番近くにいたカースへと

――一瞬で詰め寄り、

――例のごとく、

有香「た――っ!」

――の掛け声で、

――『二発』殴った。

――パパンッ! という衝撃音が鳴り響き、

――核を砕かれたカースは、

――大げさに吹き飛んだあと、ゆるやかに消滅を始めた。

――この間、

――仲間がやられた事、どころか、

――有香が移動した、

――という事にすら、

――周りのカースは気付かなかった。

――そして気付いた時にはもう遅い、

――パパンッ! パパンッ! と連続で衝撃音が鳴り響き、

――何が起きてるのかもわからず、

――ただ仲間の数が減っていくのを眺めている内、

――次の瞬間には、自分の番だ。

有香「どうか無事で……!」

――カースの群れを片づけた有香は、

――今、逃げ遅れた人がいないか探している。

――本来なら、休む時間すら惜しかったが、

――有事に全力を出せなくては元も子もない。

――多くの人は、大きな建物に避難した。

――特に、病院にはカースを寄せ付けない能力者がいたので一番安全だ。

――それ以外の場所も、何かしらの能力を持った人たちが奮戦している。

――だがそんな建物の少ない、開けた場所……、

――公園や広場などには、まだ取り残された人がいるかもしれない。

――あらかた避難が終わった後、

――ようやくそのことに気付き、

――急いでその場に向かう有香の脳裏を、

――ちらり、と不安がよぎった。

有香(あれからどれだけ経っただろう……)

有香(逃げそびれた人がいたとして)

有香(もう……)

――と、最悪の状況を想定して、

――頭を振りながら、気を取り直す。

有香(悪いふうに考えても仕方が無い!)

有香(あたしは、今の自分にできることをするだけだ!)

――そう考える有香に、

――だが、現実はどこまでも非情であった。

有香「ぁ―――」

――結果から言えば、

――有香の不安は的中した。

――道路の真ん中で、

――人が、無造作に倒れている。

――一人や二人ではない。

――周りには血痕が飛び散り、

――中には、

――人としての原型を留めていないものもあった。

――――死んでいる。

――確認するまでもない。

――有香の常人離れした聴力が、

――この場に一つとして心臓の鼓動する音を聞き取れていないのだから。

有香「だ……」

有香「だれ……、か……」

――掠れた喉から、

――ようやく絞りだすように出た声が、

――言葉の発する者の居ないこの静寂で、

――やたら大きく響いて聞こえた。

有香「え……、うそ……」

有香「ゆめでしょ………」

――人は、

――信じ難い事態に直面した時、

――まず、これは何かの間違いだ、と思う。

――が、間違いであるはずが無いのだ。

――目の前の事実は絶対に覆らない。

――――人が死んでいる。

――じわり、じわりと、

――有香の胸に、

――受け止めきれない現実が、

――重圧となってのしかかってくる。

有香「だれ……か……」

有香「い……いませんか……」

――ガクガクと震える膝で、

――歩くということはこんなにも難儀なことだっただろうか、と思いながら

――まだ、希望が残っていないか、と、

――ゆらゆらと、

――幽鬼の如く、

――歩き続けた。

有香「…あ……、……ぁ…………」

――しかし、

――歩けど歩けど、

――屍の山だ。

――考えなかった訳では無かった。

――カースは人を襲う。

――襲われれば、人はどうなる?

――――死ぬ。

――当然だ。

――誰もがそこから目を逸らし、

――今日もまたヒーローがカースをやっつけたと称賛する。

――ヒーローがいるから大丈夫だ、と。

――その影で、

――救われなかった人は、

――抗う力の無い者は、

――憐れにもこのような姿を晒すハメになるのだ。

――わかっていたはずだ。

――気づかないふりをしていただけだ。

――目の届かない所で、

――――死んでいるのだ。

有香「あぁ―――」

――終わらぬ絶望の中で、

――一際、

――有香の目を引くものがあった。

――見なければ良かったのに、

――見てしまった。

――それは、

――若い女性だった。

――当然、鼓動は感じられない。

――でも、

――もしかしたら……、

――そんな夢想に縋りたくなるほど、

――有香は追い詰められていた。

有香「あの………」

――有香が、女性に触れる。

――もちろん、

――冷たい。

有香「く……っ……、…ぅ………」

――何故こんなことをしたのか。

――この状況で、

――希望が報われることなど無いと、わかりきっていたはずなのに。

――有香の瞳から涙が零れる。

――もう、だめだ。

――もう、耐え切れない。

――もう、沢山だ。

――この場を離れる。

――でなければ、心が壊れてしまう。

――撤退だ。

――成果など、もう何もない。

――そんな有香の目の前で、

――女性の遺体の腕から、

――ゴロン、と、

――何かが転がり落ちた。

有香「―――――――――――――あ」

――赤ん坊だった。

――この若い女性は、母親だったのだ。

――幼子の肌の色は青白く、

――触れずとも、

――冷たいのであろう、と容易に想像できる。

――鼓動も感じない。

――だというのに、

――持ち上げてしまった。

――軽い。

――冷たい。

――脈が無い。

――呼吸をしてない。

――これは、

――――骸だ。

――――死んでいる。

――――既に命が失われている。

有香「あ―――、――ああぁあ―――!!」

――若き母親の表情には、

――無念の形相が張り付いていた。

――恐らくは、

――幼い我が子を、

――命を賭してでも、

――守りたかったに違いない。

――そして、

――彼女の守りきれなかった、

――その赤ん坊の表情からは、

――はっきりと、

――恐怖と苦悶が見て取れた。

――この子は、

――あまりにも短い人生で、

――最期のその瞬間すら、

――安らかでは無かったのだ。

有香「あぁあああああああぁぁぁあああぁあぁあぁぁぁぁあああぁぁああああ!!!!!!!!」

――何故?

――何故だ!?

――何で!?

――どうして!?

――何の権利があって!!

――この母子の命を奪った!!

――ぶつん、と、

――有香の中で何かが切れた。

有香「殺すぅっっっ!!!」

――更に、

――呪いの言葉を吐いてしまったことで、

――それは決定的になった。

――タガが決壊し、

――心が、

――『憤怒』で埋め尽くされる……。


――――殺す。

――カースを一匹残らず、

――全て殺す。

――この惨事に乗じるものを、

――全て殺す。

――諸悪の根源である首謀者を、

――必ず殺す。

――理性が押し流され、

――ドス黒い感情が有香を支配し、

――彼女は『憤怒』に取り憑かれてしまった。

――今、この街で、

――こうなってしまったら、

――もう遅い。

――正気を失うほどの『憤怒』は、

――有香の周りに数多のカースを生み、

――そのカースが、

――彼女の『憤怒』の炎に油を注ぎ、

――また、炎がより一層燃え上がり、

――そして、そこからカースが生まれてくる。

――負の連鎖の堂々巡りだ。

――この炎は、

――この街から『憤怒』を一掃した時に、

――ようやくたち消えるものだ。

――その時が来るまで、

――中野有香は、

――カースでも、

――カースドヒューマンでも無い、

――『憤怒』の化身となり、

――その身を悪意で焦がしながら、

――目に映る全ての物を、

――衝動のままに破壊し尽くす。

有香「がァッッッッ!!!!」

――獣の咆哮を思わせる雄叫びと共に、

――目の前のカースを、『一発』の拳で、

――叩き潰す。

――有香の『憤怒』から生まれたカースは、

――真上からの岩塊の崩落にぶち当たったかのように、

――ぐしゃぐしゃにひしゃげて、

――泥も核もまとめて砕けた。

有香「ああぁ―――ッッッッ!!!!」

――次に、

――その隣に居た二体のカースへ、

――『一発』の裏拳を放ち、

――まとめてぶっ飛ばした。

――建物の解体などに使う鉄球の方が、

――まだ、可愛げがある。

――そんな衝撃をまともに受けて、

――核が無事である筈がない。

有香「お ォ お オ ぉ お―――ッッッ!!!!!」

――滑稽な光景だ。

――圧倒的な暴力を以って駆逐しているそのカースは、

――有香の『憤怒』から生まれたもので、

――彼女が『憤怒』に囚われている限り、

――永遠に湧き続けるのに、

――それでも有香は、止めない。

――内から溢れ出る『憤怒』を原動に、

――敵も味方も見境無く、

――ただ、力を振るい続ける者、

――狂戦士(バーサーカー)。

――そんな存在になってしまった彼女に、

――物事を判断する思考など、

――もはや残ってはいない。

――ただ……。

有香「コロスウゥゥウウゥウゥゥゥ!!!!!!」

――涙を流しながら、

――殺す、と、

――怨嗟の言葉を吐く有香に、

――本当に人を殺す事などできはしない。

――理性を失っていても、

――思考を放棄していても、

――判断ができなくとも、

――いざ、人に手をかける、

――その時に、

――彼女の脳裏を、

――今見たあの光景が、

――きっとよぎるのだ。

――有香に、

――人を殺める覚悟は、

――無い。

中野有香(18)
http://24.media.tumblr.com/fa1111cc688e0b3a5e2d13fd17c8006c/tumblr_mpz2xryDoy1risnoxo1_1280.jpg

職業:高校生
属性:スーパー空手ガール ※現在は『憤怒』の狂戦士(バーサーカー)
能力:身体能力の大幅な向上

元々空手を習っており、全国クラスの実力者だったが
その力は『あの日』得た能力で、圧倒的と呼べるレベルにまで達した
どこかの組織に所属しているわけでも、野良ヒーローをやってるわけでも無いが
力を使って誰かを助けるということに躊躇は無い

現在、『憤怒の街』で『憤怒』に飲まれ暴走
基本的には自分の周りに湧いたカースを潰してるが
近づけば、敵も味方も見境無く攻撃してくる、というか区別が付かない
多分、相手が人間なら殺しはしないと思う、今回のトラウマのせいで

以上です
やりたいことをやりたいだけやった感
「え、これは……?」と思った方、俺も同じ思いです

A.パンチが音速を超えるんですか……?(震え声)
Q.バトルシーンなんて規模をでかくすりゃそれっぽくなんねん
……という俺理論で基本的に戦闘描写や設定は大げさに書いてます
この辺は、実際に書く人のさじ加減によると思ってますので、まあ
気にするほどの事では無いかと(目逸らし)

基本的に暴れてるだけです
浄化の雨で正気を取り戻した、みたいな感じでさらっと終わらせたり
天使には勝てなかったよ……、といった具合に退場させたり
最後までカースと戯れていた、的なスルーをするなりしてもらって全然構わないです



エグい。たぶん魔術や魔法使うタイプにとって最悪の相性なのがまたエグい
バーサーカー押忍にゃんこわい

あ、そうだ
時系列的には、現在よりもちょっと前だと思います
雨も降ってないし、氷塊も無いっぽいし

おつおつ
憤怒Pの高笑いが聞こえてきそうな展開ですね

愚地克巳だってマッハ突きができるんだし人間辞めた押忍にゃんならできるできる

乙ー

コレは手を上げて全裸で逃げ出すレベル

なんか悲しくなってきた……

雨で押すにゃんが落ち着いてくれる事を祈ってます

おつおつ!

自分で生み出したカースを狩るとか虚しいな……。
ちょっと小ネタを投下。

乙です
きっとこういう人いっぱいいるんだろうなぁ…
岡崎先輩が逃れられない罪を背負ってしまった



「…二人共、行っちゃいましたねぇ…」

私がイヴ非日常相談事務所に拾われて、私に不思議な力が残されてから私の日常は『非日常』になりました。

「もっとも、悪魔に憑かれてた時点で『非日常』だったのかもしれませんね…」

私に憑いていた『ルシファー』の記憶。
『傲慢の悪魔』がわざわざ私の元を去る際に都合よく記憶を消していってくれるなんて都合の良いことなんてありませんでした。

『雪菜、そこまで気にするならその記憶、完全に…とまで言わないが表面的に消すことも出来るんだぞ』

「この記憶は消せないです、悪魔に憑かれてても私がやったことです」

私に魔力があるお陰でイヴさんの使い魔のブリッツェンともお話が出来るみたいです。

『…雪菜、君がそこまで決めているなら私から言うことはない』

「ふふっ、それにこの記憶も悪いことばっかりじゃないんですよ♪」

私はブリッツェンの角から削りだして作ったワンドを掲げる。

『雷よっ!』

するとワンドの先端を中心にスパークが走る。

「『雷のワンド』の力を借りてですけど結構強力な魔法も使えます、きっと悪魔に憑かれてた時の魔力操作の記憶が無かったら
 もうちょっと手間取ってました♪」

『それはいいが…天井焦げてるぞ…』

「えっ!?」

天井を見上げてみるとベージュ色の天井に黒々とした焦げ跡が…。

「…ひ、裕美ちゃんが帰ってきたら直してもらいましょう、そうしましょう♪」

「そ、そういえばブリッツェンは『憤怒の街』には行かなくていいんですか?」

とりあえず話題を逸らしておきます、ついでにさり気なく立ち位置をずらして焦げ目の着いた天井からも目を逸らします。

『主に召喚されている時以外は雪菜を守るように言われているからな』

『それに雪菜、君はまだ力が不安定だ、それに変身能力も安定しないんだろう?』

「自分の体じゃない体って違和感が酷くってですね…身長とか」

何度やってもこれだけは違和感が凄い。『ルシファー』はよくああも他人の体を上手く扱えたものだと思います。

『…無理にその力を使う必要も無いんじゃないか』

「そうでもないですよ?別に完全に他人になる必要もないんですから」

『変身能力なんだから他人になるんじゃないのか』

「別に変わるのは私自身じゃなくても良い訳ですから♪」

「まぁ見てて下さいっ♪」

私は机の上にあった三角帽子を被り、誰も居ない方向にワンドを向ける。

「むむむぅ…!」

私は『ルシファー』であった頃の記憶を掘り返す。
一番多く変身した姿、多くの人たちを騙したあの姿を。

――そして彼女の持つ魂を狩る武器を。

次の瞬間、私の握っていたワンドは姿を変え、見覚えのある大鎌に姿を変える。

「死神ユズだぞー!なーんてっ♪」

『…これは驚いたな』

「もっとも、私が鎌を使えるって訳じゃないので見掛け倒しですけどねっ♪」

私の手の中でそれは姿を変え続ける、裕美ちゃんのボールペン、イヴさんの箒、そして元のワンドの姿。

『しかし、これもやはり手品の域だな……』

「…やっぱりそう思います?」

「でもこれ、ちょっと面白いんですよ?」

『…面白い?』

「ほら、私の変身って『ルシファー』の劣化版ですからっ♪」

『威張ることじゃないんじゃないか?』

「いえいえ、そのお陰でちょっと凄いんですよ?」

私は再び雷のワンドを鎌の姿に変える。

「それで少しだけ魔力を加えるだけで……」

バチリ、バチリと鎌の刃の部分がスパークする。

『…これはどういうことだ…?』

ブリッツェンが目を丸くします。
多分……丸くしているんだと…思います…?

「本当に『見掛け倒し』なんです」

「この鎌はあくまで『鎌の形をした雷のワンド』なんです」

『つまり変身させる前の性質を受け継いでいるということか?』

「私自身詳しくないから分からないんですけど多分そうなんだと思います」

『…そうか…』

私がそこまで話すとブリッツェンは唐突に黙り込みます。


『主は雪菜、君に自衛の手段を与えるために魔法を教え、さらには異能の制御を教えた』

「は、はい……?」

ブリッツェンがこれまで以上に真面目に話始めたので少し驚きます。

『それは悪魔に憑かれ、魔力の器が出来た君をこのまま帰すのはむしろ危険だと判断したからだ』

「えと…それで結局どういうことなんでしょう?」

『君は充分に自衛以上の力を身につけている、君のしたいように生きるといい』

「…そうですか…」

『一般人として平和に暮らすのもいい、イヴ非日常相談事務所の一員として残るもよし、『アイドルヒーロー同盟』のような
 場所で華やかな世界に身を置きたいなら文を送るように主に伝えよう、それが決まるまでここで魔法を学ぶといい』

『雪菜、君は元々は悪魔に憑かれた一般人だ…無理に『非日常』に身を置くこともないんだぞ?』

「…ブリッツェン、私は……」

考えがまとまらない。私はこれから何をして…このままここでイヴさんや裕美ちゃんと一緒に…?

…私は、私自身は…一体どうしたいんでしょう?

終わり。

・大幅にプロフィールが変更されました。

井村雪菜(ルシファー)(井村雪菜の肉体年齢は17歳)

職業:悪魔
属性:傲慢
能力:メタモルフォーゼ

七つの大罪の一つ「傲慢」を司るルシファーの名を持つ悪魔。
「傲慢」のカースは彼女が作り出す黄色の核が原因で生み出される。

彼女自身「傲慢」に含まれる「虚飾」の感情が非常に強く、常に自分の姿形を別の姿形に変形させており、本物の彼女を姿を見たことある者は数少ない。
当然だが「傲慢」の感情も強く、いかなる場面においても余裕は崩さない。

何故、人間界へ降りてきてカースを生み出すのか。
その目的は今は不明である。



井村雪菜(17)

職業:見習い魔法使い
属性:雷寄り(杖のせいで)
能力:メタモルフォーゼ

元七つの大罪の一つ「傲慢」を司るルシファーの名を持つ悪魔。

『ルシファー』であった記憶を残したまま新たに『魔力の器』が出来た人間。

見掛けだけの『メタモルフォーゼ』の能力が残った。

メイクをすることで他人に変身することが出来る。

一部分だけを変える『部分変身』にはメイクが要らない模様。


Item 雷のワンド

所有者 井村雪菜

ブリッツェンの角を削りだして作ったワンド。
雷の魔法や魔術をサポートしたり強化したり出来る。
独力で放電も出来る。


雪菜さんも元々ただの一般人なんだよなぁって思ったらこういうお話に。
このまま誰かが拾ってくれてもいいし日常に戻して戦える一般人にしてもいいです。
まぁこのままイヴさんの所に残っててもいいしね!

乙です
面白い能力が残ったな…持ち運びにも便利そうだし

乙ー

何故か魔法少女リリカル雪菜って単語が浮かんだよ…

おつー

井村さん、案外元気そうで良かった

投下します

ちょっとグロテスクな表現があるかもしれませんので、ご注意を

----夢を見た。

----暗い…暗い…一面真っ黒な場所。

----そこに一人の小さな女の子が泣いている。

「どうしたの?何処か痛いの?お姉ちゃんに話してみて?」

----優しく声をかけると、女の子は顔を上げて………

--------

北条加蓮は、世界を呪う存在だった。

病に侵され、周りを妬み、嫉妬にかられ、呪いを振りまく者となった。
自由も、友達も、家族も、健康も、思い出も、娯楽も、何もかも手に入らず羨んでいた。

いつも彼女はひとりぼっちだった。

けど、今は違う。

一度死に、新たな生を受け、今まで自分ができなかったこと。
ただ羨むことしかできなかったことを、自分の手で掴もうとしている。

もし、自分が≪彼女達≫に出会わなかったら、取り返しのつかない事をやらかしてしまっていたと。

だからなのか……今、彼女は……

「んっ……よく寝た」

加蓮が目覚めると、そこは自分が住んでる女子寮ではなかった。

荒れ果てた家、外は雨が降っていた。

だけど、彼女を起こしたのは、雨でも、小鳥の声でも、目覚まし時計の音でもない。

『ゼッタイニユルサナイ!ゼッタイニダ!』
『マジデムカツク!!』
『オコダヨ!』

憤怒のカース達の叫び声。

外を見ると、鳥、トカゲ、一角を生やした黒馬の姿をした黒い泥がむかってきてるのがわかる。

「起きていきなりなんだ…」

溜息を吐きながら、建物から飛び出し、背中から黒い翼を生やし、右手に黒い槍を作り飛びあがる。

どうして、彼女がここにいるのか?

憤怒の街をテレビで見た時、≪何か≫を感じていた。

その何かがわからず、いつも通りに過ごしていた。自分では何もできないと無力感にかられながら。

ある日、心配で憤怒の街の様子を見に行った時、それを感じた。

元カースドヒューマンだからこそわかる。カースドヒューマン特有の呪いを……

恐らく、憤怒の街を作り出したのはカースドヒューマンだ。
そう思うと、加蓮はいてもたってもいられなかった。

それは、過去の自分と向き合うかのように…

「もしかしたら、私がコレをやっていたのかも」

ポツリと呟くソレはどこか悲しそうだった。

場面は戻る。

「はぁぁぁぁあ!!!」
空中で、鳥の鋭い嘴を避け、背中に降り立つと、そこに槍を突き刺す。

鳥は叫び声をあげながら、暴れまわる。

その隙をついて、トカゲが建物の壁にはってきながら、飛び上がり、加蓮へとくらいかかろうとする。

「くっ……」

加蓮はとっさに背中に生えた翼を無数の蛇に変え、向かってくるトカゲを核ごと食いちぎった。

だが、翼を消した事により、暴れ疲れた鳥と共に地面に落下して行く。

『ブチコロォォォオス!!!


「あっ………」

グサッ!!!グチュッ!!グチャッ…

待ち構えていた黒馬の角が、加蓮の腹を貫いた。

ズブズブと奥へと食い込む角をつたい、血がポタポタと流れ落ち、痛みが身体中に走り出す。

作り出してた槍も蛇も全部泥となり溶けて消えて行く。

降っている雨のせいなのか体温が下がっていくのがわかる。

----私、また死んじゃうんだ……

そう思考しながら、加蓮の意識が途切れた。

----あれ?私死んだよね?ここはどこ?

『そんなのじゃ、加蓮お姉ちゃんは死なないよ?』

----え?

『だって、奈緒の一部なんだから』

----そういえばいつもの子達もいって…あ、今朝の夢の…

『よかった。お姉ちゃんは私が見えて聞こえるんだ』

----どういう事?

『けど、ここでしか会話できないんだ……』

『もう時間みたいだけど、頑張ってね!!』

『また来てね。お姉ちゃん』

『だって……』







    ひとりぼっちはさみしいもんね 






----

加蓮が目を覚ますと、それは自分が、ちょうど意識を手放してからまだ数秒もたっていなかった。

だからなのか、自分が意識を失っていた事にきづいてなかった。≪夢≫を見てた事もその内容も忘れている。

だけど、さっきと違い、自分の身体がまだ動けるのはわかった。

「はぁぁぁぁあ!!!」
『!?』

黒馬は驚愕した。

確かに倒したと思った女がいきなり、動きだし、腹に刺さった自分の角を、右手から新たに作り出した黒い泥で、数匹の蛇を作り出し、絡ませて、へし折ったのだ。

そして、刺さってる角を抜き、投げ捨てた。

腹の傷は血が止まり、じょじょにだが、ふさがっていった。

「お返しだよっ!」

そう言うと、一本の槍を作り出して、黒馬に投げつけた。

黒馬は避けようとするが、槍は途中で数十匹の蛇となり、黒馬に絡みついた。

暴れまわる黒馬だが蛇たちを振り払う事ができず、絡みつかれ、しめられ、噛みつかれ、食いちぎられていった。

バリンッ!

核を砕かれる音が響き、加蓮は疲れたようにその場にへたり込んだ。

「……どうして?」

自分が先程、貫かれてた場所を触るが、傷跡一つなかった。

まるで、何事もなかったかのように。

だけど、敗れた服や血の跡からして、自分が一回重傷をおっていたのがわかった。

毎回、夢で言われた事や先程の夢の事を覚えてたのなら理解するだろうが、あいにく彼女は夢の出来事を一切覚えてないのだ。

また夢に入れば思い出すのだが……

「………よくわからないけど、今は行かないと」

自分の身体に起こってる事だが、一回死んだ身としてはそのくらいでは動じないのか、はたまた考えるのが苦手な残念な子なのかわからないが。

彼女は立ち上がり、憤怒の街を進む。

自分と同じ過ちを犯してしまってる人を止めるために。






    『加蓮お姉ちゃん』

 『私の始めての友達』

      『今は奈緒の一部だけど』

  『奈緒には絶対あげない』


   ぜ  っ  た  い  に






終わり

・加蓮が憤怒の街に入りました。

・加蓮の中にナニカきました。

・やったね。加蓮ちゃん!友達が増えたよ!!

以上です。

何か設定が可笑しかったから指摘お願いします

加蓮は一体どうなるのか……後半へ進む!(えっ?

乙です
ナニカ3号ちゃんがロリ奈緒にしか見えないのにこの展開…ヤンデレちゃんだな
いつか独立して暴走しそう

おつー

奈緒と加蓮は随分と深い所で繋がってるんだね(意味深)

あ、ナニカ3号ちゃんの一人称は「あたし」ですね

>>322
うわぁぁぁあ!!やっちゃった!!!
指摘ありがとうございます!

投下した方おつおつ

少し見ない間に紗南ちゃんや雪菜ちゃんが悪魔の能力受け継いでて面白い
完全にリタイアしたアイドルはまだいないのかな?

>>324
いないよー

夕美と菜々投下します

精霊に選ばれた少女たちが降らした癒しの雨が降り注ぐ。

それを夕美は笑顔で受け止めていた。

体中に力がみなぎる。雨の日はいつもよりも調子がいいが、雨の中の精霊の力の影響かいつもよりいい感じだ。

「やっぱり水はいいねー水と太陽と空気があれば生きていけるし!」

「でもハンバーガーショップで『水だけ。』って言ったときはどこのラッパーかと…」

その時、菜々の背後にカースが現れる。

黒い、一本角の馬型カース。それが怒り狂っていた。

「こ、これはユニコーン型カースですか!?初めて見ました!」

あわてて高く飛び上がり、突進を避ける。

「ナナは処女ですって!まったく!」

「突進しか能のない害獣かな?」

にっこり夕美は笑うと、近くにいた普通のカースに駆け寄り、手から緑色に光るネットのようなものを放出し、捕獲。

見る見るうちにカースが小さな種になってしまう。

普段なら結構疲れるのに、癒しの雨と相性がいいのか、全然そんなことはない。

その種を地面に投げ、ユニコーンの視界に入る。

「ほら、おいで。」

『ヤッテヤンヨオオオオオオオオ!!』

一直線に突進してくるそれの目の前に、いきなり大木が生えた。

角が突き刺さり、そこから一気に樹液が噴き出す。

もちろん地球の植物ではない。夕美の母星の植物だ。

その樹液は生物の呼吸器官から侵入し、息を止めて急速に腐敗させ肥料にする。

カースには呼吸器官はないようだが、粘着質の樹液は空気に触れていると高速で固まる。動きを制限したのだ。

…そもそも角が抜けないようだが。

「そぉい!」

菜々が夕美に渡された竹槍でカースを貫く。ちょうど核にヒットしたようで消滅した。

「この植物…どうするんですか?」

「そうだねぇ…あ、いい事思いついた!」

その母星の木に触れると夕美は呪文のような物を唱える。

『生まれ変われ…適応せよ…恐れることはない…!』

すると密林に生えていそうな外見の木があっという間にクスノキになってしまう。

『魔除けの木、クスノキよ!癒しの雨の力に答え、祝福の地を形成せよ!』

夕美がぱっと腕を開くと木を中心に半径3メートル程の花畑がアスファルトを裂いて形成される。

その近くにいたカースは苦しみ悶え、消えてゆく。

「よーしよしよし。雨が降ってるからとはいえこんなにうまくいくとは…」

「これ、どういう雨なんですか?なんだかカースの勢いが減った気が…」

「癒しの雨だよ。精霊の力が宿ってるの。あの子達、成長したなー」

「精霊…あー!ナチュルスターの力ですか!」

「そうだね…街を救ったら改めて会いに行こうかなー?それに…」

「それに?」

「森は海の恋人って言うしね!」

微笑みながらカースを消滅させていく。

最高にいい気分。今なら瘴気に包まれた、植物の全くない…あの忌々しいネオトーキョーだって植物化できそう。

…実際はまだ難しいのだけれど。…まぁそんな気分だ。

そんな彼女の上空を大きな影が横切る。憤怒の翼竜だ。

口から吐き出された弾が、クスノキをへし折った。

その瞬間。夕美の笑顔が般若のそれに変わる。

急いでクスノキを再生すると、足元から童話の豆の木のように大きな植物が生え、夕美と菜々を上空へ運ぶ。

「菜々ちゃん、届く?」

「…やってみましょうか。ウサミン・バンブーショット!」

「ナチュラル・ソーサー!」

通り過ぎた竜に向かって菜々の腕に形成した小さな大砲から竹槍が飛び出し、夕美から円盤のようなエネルギーが襲い掛かる。

「グオオオオオオオ!」

しかしエネルギーは固い鱗を傷つけただけ。

比較的鱗の薄そうな足に竹槍がヒットするが、貫くことはできなかった。

「ちょっと遠かったですね…」

「…あんなに速いなら仕方ないね、はやく二人を探して4人でアイツを倒そう。…美世ちゃんは避難?」

「そこは聞いてみないと。以外に戦えるかもしれませんし。」

とりあえず木から降りると、二人は探し人を再び探し始めた。

イベント情報
・夕美が肉食植物以外にも精霊の祝福を受けた木を設置し始めました。それぞれ複数設置しています
・翼竜の足に僅かに傷がつきました。

精霊の祝福を受けた木
浄化効果を持った花畑に囲まれた木。休憩所としてどうぞ。
魔力回復促進、疲労回復促進効果があります。

以上です
夕美ちゃんがトラッパーとして本気出してきました
ナチュルスターにさらに興味がわいてきた模様

ちなみに
夕美ちゃんのキライ度
友達を悲しませる事>ネオトーキョー>欲深い人>>越えられない壁>>害虫・害獣
となっています

乙乙!

なぜか「そぉい!」で笑った。
翼竜の足の傷に海水掛けまくって虐めよう(提案)

乙です
夕美ちゃんトラッパーかそういえば核の破壊は苦手なんだっけ
そしてパラッパラッパーネタにワロタw
そしてネオトーキョー逃げて

乙ー

夕美ちゃんが生き生きとしてるね!

一週間以上過ぎちゃったけど、予約はいってないからいいよね!
水本ゆかり出来たので投下します

憤怒の街一切関係無いですごめんなさい


──宇宙の何処か──

真っ暗闇の空間に、何者かの声が響く。


「以上が、偵察ドローンから送られてきた映像だ」

「ふむ……ソラの洗脳プログラムが解除されるとはな……」

「我々でさえ解けなかったというのに……此奴は何者だ?」

「恐らく、地球人が『神』あるいは『悪魔』と呼んでいる者だろう」

「そもそも、我々とは全く異質の存在だよ」

「ソラの得た情報によると、中には因果律を意のままに制御できる者もいるらしい」

「なんと……そのような存在が闊歩しているとは、やはり特異な星であるな」


「それで、地球についてはどうするのだ? ソラの代わりを送り込むか?」

「いや、迂闊に手は出さん方が良いやも知れぬな」

「では見過ごすか? いつまた連中の文化に当てられた種族が、暴走するとも分からんぞ」

「……ここは私が行こう」

「!? 長官が自ら出向くというのかね?」

「今まで我らが成し得なかったソラの洗脳が解除された件もそうだが」

「地球人は、負の感情エネルギーを除去する術も持っているらしい」

「ともすれば、地球は我らの進化のカギとなるやもしれん……」

「……」

「滅ぼしてしまうのは早計だ……実際にこの目で、彼らの様子を見てみたいのだ」

「なるほど……では、我らは顛末を見守る事としようか」

「まあ、吉報を待っていてくれたまえよ」


声が止むと、暗かった部屋に明かりが戻った。
部屋の中央には、今しがた評議会での会合で長官と呼ばれた人物が座っていた。
見た目の年齢のほどは(地球人でいうと)15歳くらいの少女だ。

「ソラの自我が戻った……なんて」

少女は思いつめたように呟く。

「償いになんてならないかもしれない……」

「けど、傍に居ることで彼女の負担が減らせるなら……」

少女は手元のコンソールを操作し、かつて工作員を送り込み、そしてこれから自分も赴くことになる星を目の前のモニターに映す。

「地球……か」


少女は辺境の惑星である地球へ向け出立する前に、父親の下を訪れていた。

「お父様、お加減はいかがですか?」

円筒型の介護用チャンバーの中に横たわる男性──彼女の父親に語り掛ける。

「ユカリか……なんとかな」

ユカリと呼ばれた少女は、評議会での会話の内容を伝えた。

ユカリ「彼らに話は通しました」

ユカリ「私はこれから、地球へ向かおうと思います」

父「うむ……私がもう少し若ければ、お前にこのような役を負わせることもなかったろうに」

父親は苦々しげに呟く。


父「我らは結成当初より、目的の為に手を尽くしてきた……」

父「時には、人道にもとる非情な手段も用いてな」

ユカリ「……」

非情な手段……父の言葉にユカリは身につまされる思いを感じる。

父「だが、未だに宇宙から争いは絶えん……」

父「『先駆者』に追いつくまでの道のりは、果て無く遠い……」

父「すまんなユカリ……お前にまで背負わせてしまって」

ユカリ「いいえ……」

ユカリ「これは我々にとって……ひいてはこの宇宙に住む者達にとって必要なことですから」

ユカリ「地球へ行き、地球人について学べば、きっとその近道になると思うのです」

父「ああ……せめて、お前の無事を祈らせてくれ」

ユカリ「ありがとうございます……それでは、行って参りますね」

ユカリは父親に一礼すると、部屋から出ていった。


──宇宙管理局・太陽系支部──

宇宙連合の本部を離れたユカリは、地球まであと一歩のところに居た。
だが、どうやら懸念事項があるらしく、その顔は晴れない。

ユカリ「(さて……何事もなく太陽系にまでやって来たけど)」

ユカリ「(多分、諜報部の『彼』は、私の事を嗅ぎ付けているだろう)」

ユカリ「(そろそろ私を捕縛するために行動を起こすところだと思うけど)」

ユカリ「……」

ユカリ「(全てを話して、それでも納得させられなければ……その時はその時か)」

「動くな」

ユカリ「っ!」

突然背後から声をかけられ、身体を強張らせる。
背中には何か突起物が押し付けられている感触がある。
恐らく銃の類だろう。


「妙な真似はするなよ」

ユカリ「……あなたが来ることは分かっていましたよ、『CuP』さん」

「ッ!?」

背後の人物の狼狽している様子が、目に見えずともありありと伝わる。
恐らくユカリの指摘の通り、銃を突き付けているのは管理局諜報部の隊員──CuPで間違いないのだろう。

ユカリ「こちらに抵抗する意思はありません」

CuP「……ついて来い」


CuPに連れられ人気のない路地裏にある居酒屋に入る。
店の外見も内装も、雰囲気は場末のバーのそれである。

ユカリ「(ここは……諜報部の隠れ家の一つか)」

周囲に人の気配が無い事を確かめると、CuPが口を開いた。

CuP「それで、どうして俺の事を知っている? 何処から漏れた」

ユカリ「父の育てた諜報部の人員は優秀だと、知っていますから」

ユカリ「あなたが私の行動を察知するであろうことは予測できていました」

CuP「父の育てた……?」

CuP「ちょっと待て……父って、長官の事か?」

ユカリ「一線を退いて久しいですが、未だにそう呼ばれることもあるみたいですね」

ユカリ「お察しの通り、私の父……宇宙管理局初代長官は、『評議会』の構成員です」

CuP「な……なんてこった……」

目の前の男の表情を見るに、かなり動揺しているらしい。
自分が今まで追ってきた組織の一員が、元上司だと知らされたのだ。
ユカリにも、その心情は察するに容易だった。

CuP「……お前達は……何なんだ……何が目的なんだ……?」

CuPはユカリを睨みつけながら震える声で訪ねる。
ユカリは、評議会の結成理由と、その目的を語り始めた。


ユカリ「かつて我々に知性を授けた、創造主とも言える存在……あなたも聞いたことがあるでしょう」

CuP「『先駆者』か……でも、あれは単なるおとぎ話だろう」

かつて宇宙を席巻していたという超文明があったという。
現代においてそれが実在していたという確認は取れていないが、
宇宙連合内では口伝だとか、伝承といった形で話を聞いたことがある者も多い。

ユカリ「おとぎ話ではありません、彼らが存在していたとされる根拠は多く見つかっています」

ユカリ「彼らはより高次の存在へと進化を遂げ、肉体を必要としなくなり、その結果この宇宙──物質界から姿を消したのです」

CuP「……」


ユカリ「かつて起こった宇宙規模の大戦の理由、今では知っている者は殆どいないでしょう」

かつて起こった宇宙戦争……宇宙に住む者にとって忘れる事のない出来事である。
何時から、何が原因で始まったかも定かでないほどの長い年月を、宇宙に住む者達の間で争ってきたのだ。
その間に多くの種族が滅亡し消えていくこととなり、戦争が終わってしばらく経った今でも、その傷は癒えていない。

ユカリ「宇宙に住まうほとんどの種族は、先駆者の保護の下で繁栄し、文明を発達させてきました」

ユカリ「しかし、彼らが宇宙を去ったために、庇護を失った我らの祖先は怯え、嘆き、怒り……」

ユカリ「そして、いつ終わるとも知れない滅ぼし合いに……身を投じることになったのです」

CuP「……」

ユカリの語った内容は、にわかには信じがたいものだった。
だが、話の真偽はともかくCuPの目下の目的は評議会の情報を得る事である。

CuP「なかなか興味深い話だが……歴史の授業を受けたいわけじゃない、お前達の目的を話せ」

ユカリ「我々の目的は、先駆者達に追いつくこと……この宇宙に住む知的生命体を、次なる段階へと進化させることにあります」

CuP「……知的生命体を進化させる?」


ユカリ「……戦争末期に、我々に向けて先駆者が遺したとされる文書が発見されました」

ユカリ「曰く『置き去りにしてゴメン! 先に行って待っているからネ!』ということでした」

ユカリ「彼らは肉体を捨て、思念体へと進化した今でも、この宇宙を見守っているというのです」

ユカリ「見捨てられたわけではなかったと知った先達は、同士を集め、彼らの後を追うための組織を結成しました」

CuP「それが評議会……か」

ユカリ「はい、その後評議会は争っていた各種族をまとめ上げ宇宙連合を結成し、戦争を終わらせることに成功するのです」

CuP「……」

CuP「(先駆者は実際に存在していて、評議会の結成の理由にもなってるだって……?)」

CuP「(まったくバカげてる……どうかしてるぜ)」


ユカリ「我々評議会は、『負の感情に囚われてはならない』という先駆者達の教えに従っています」

ユカリ「長年の戦争によってそのことを身をもって実感した我々は、感情を抑制する術を学び、宇宙の秩序を保つ為に活動してきました」

CuP「それで、その宇宙の秩序を乱すかもしれない種族を、滅ぼしてきたってわけか」

宇宙戦争の終結後も、内乱によっていくつかの種族が滅びるのを見てきた管理局は、その原因を探るうちにとある組織にたどり着く。
どうやら、その組織──評議会と呼ばれる者達が工作員を送り込み内乱を誘発させ、
彼らにとって邪魔な種族が滅亡するように誘導していたということが判明していたのだが……

CuP「(評議会の調査を命じていた長官自身がそのメンバーだったとはな……実体が掴めないわけだ)」


ユカリ「我々評議会が滅ぼしてきた種族は、皆精神的に未熟で、感情の制御がままならない者達でした」

ユカリ「彼らを放置すれば、負の感情に囚われて暴走し、争いの火種となりかねなかった……」

ユカリ「我々はもう二度と、あの大戦の様な悲劇を繰り返すわけにはいかないのです」

CuP「なるほど……ロクでもない連中だとは思ってはいたが」

CuP「想像以上に過激で、独善的だったんだな」

ユカリ「……っ」

CuPの、ある意味当然ではあるのだが、毒を含んだ物言いにユカリは顔をしかめた。
他人に言われなくとも、自分達のしてきた行為がどういうものであるか、充分に理解している。


ユカリ「……この物質界のすべての事象には『寿命』があります……この宇宙でさえ例外ではありません」

ユカリ「我々に与えられた時間は、無限ではない……」

ユカリ「精神的に未熟な種族が、我々と対等な存在になるまで成長するのを待っていられるほどの余裕は無いのです」

CuP「どのように言い繕ったって、その行為は許されることじゃない」

ユカリ「その通りです……我々とて、自らの行為がどれほど大それたものかは理解しています」

CuP「……」

CuP「(開き直ったかのようなこの態度、気に入らんな……)」

CuP「(まだ自己弁護でもしてくれた方がやりやすいってもんなんだがな)」


CuP「まあいい……それで、なぜ評議会の幹部様がわざわざ地球に出向くんだ?」

ユカリ「地球人を調査しているうちに、彼らの持つ能力──」

ユカリ「他者の心を癒す力が、あるいは我々の目的に利用できるのではないかと考えた結果です」

ユカリ「彼らの能力があれば、宇宙から負の感情を取り除くことも可能であるかもしれません」

CuP「つまり、地球を滅ぼす気は無くなったってか? ソラはどうしたんだ」

ユカリ「っ!!」

ソラの名前を聞いた途端、ユカリは驚いたように体を震わせ、表情を曇らせた。


ユカリ「それも、私が地球へ赴く理由の一つです……」

ユカリ「彼女は……ソラは、我々の犯した過ちの象徴なのです」

CuP「ヤツは、ただの工作員ではないのか?」

ユカリ「ソラは本来ならば、他者の幸福と平穏を心から望む性質を持った種族なのです」

ユカリ「しかし、大戦中に彼女の種族と敵対していた者達に誘拐され、他の種族を滅ぼすための洗脳と教育を受け──」

ユカリ「その結果、自らの種族を滅ぼしてしまった……」

CuP「……」

ユカリ「洗脳を施した者達も、戦争の間に滅び……ソラは最終的に我々が保護したのですが」

ユカリ「我々の技術を以ってしても、彼女の洗脳を完全に解く事は出来ませんでした」

ユカリ「そこで、我々の指示に従うように洗脳プログラムを改変し、工作員として利用することになったのです」

CuP「……実に胸糞悪い話だな」

ユカリ「利用できるものは、なんでも利用する……」

ユカリ「……評議会は目的のためには手段を選びません」

CuP「……」

言いながらも、ユカリは唇を噛む。
抑制してはいるものの、良心の呵責に苛まれるだけの感情は残っているのだ。


ユカリ「平和を望み、他者を受け入れる寛容さを持っていたかの種族は、最も進化に近い立場にいたと言えるのですが」

ユカリ「彼らの崇高な精神性も、あの戦争によって……失われてしまった」

ユカリ「その、数少ない生き残りであるソラは、保護されなければならないのです……」

CuP「工作員として利用してた奴が、何言ってんだ」

ユカリ「だからこそです!」

戯れ言だと言わんばかりに鼻で笑うCuPの様子を見て、ユカリは語気を強めて語る。


ユカリ「地球に送られたソラは、現地で何某かの存在によって洗脳が解かれました」

ユカリ「本来心優しい彼女は、いずれ自らの行為を顧みて、悔恨の念に苛まれるでしょう」

ユカリ「その時に私は、彼女に非道な行為を強いた者として、その咎を共に背負っていかなければならない……」

ユカリ「だから私は、彼女に会うために地球へ行く必要があるのです」

CuP「そうかい……」

CuPは急に興味を無くしたかのように呟いた。


CuP「あんたの言い分は分かったが、こっちもようやく捕まえた評議会の人間をみすみす逃す訳にはいかなくてね」

CuPは腰に下げたプラズマブラスターをホルスターから引き抜くと、ユカリに突き付ける。

CuP「コイツはな、形見なんだ……」

CuP「評議会を追っていて、殺された……俺の親友のな」

ユカリ「……」

CuP「俺はこの銃に誓った……いつかお前ら評議会をぶっ潰して、アイツの無念を晴らすってな」

ユカリは銃を突き付けられても動じた様子は無く、決意を秘めた双眸でCuPを見据えていた。

ユカリ「私は、自らの行いに対して、許しを請うつもりはありません」

ユカリ「……それであなたの気が済むのであれば、どうぞ撃ってください」

CuP「ッ!!」


CuP「(この目は……そうだ、長官と同じ目だ……)」

CuP「(長官はどんな逆境に置かれても、使命を遂げるまで決して諦めない人だった)」

CuP「(この娘も、あの人と同じだっていうのか……)」

CuP「チッ……」


CuP「やめだやめだ!」

吐き捨てるように言うと、CuPは突き付けていた銃を下ろした。

CuP「折角評議会の幹部と捕らえたと思ったら、妄想癖のあるわけわからん小娘だったとはな」

CuP「先駆者が実在してるだの、知的生命体の進化だの……そんな与太話を上にどう報告しろってんだ」

ユカリ「……」

CuPはお手上げといった様子で、頭を振る。


CuP「……何処へでも失せな……俺の気が、変わらないうちに……」

ユカリ「……わかりました」

CuPの言葉を受けたユカリは、そのまま出口へと向かう。
彼女が建物から出ていくのを見届けると、CuPは糸が切れたように脱力し、近くのソファーに座り込んだ。

CuP「なあ……俺は、どうすれば良かったんだろうな……」

親友の形見を手に取り、それを見つめながら、CuPは誰にともなく呟くのだった。



ユカリ「(CuPさん、ごめんなさい……そしてありがとうございます)」

諜報部の隠れ家を出たユカリは、振り返ると内心でCuPに詫びた。

ユカリ「(許してくれなんて言えない……けど、いつかあなたとも分かり合えると、信じています)」

罪悪感を振り切り、地球へ向かうため宇宙港へと足を向ける。

ユカリ「今は、自分に出来る事をするしかないから……」

ユカリ「ソラさん……待っていてくださいね」


※先駆者

かつて宇宙のほとんどを支配していたとされる超文明。
その高度な科学力と比例するように高い精神性を有していたらしい。
彼らの庇護の下で多くの種族が繁栄していたが、ある時期を境に宇宙から姿を消してしまう。
残された種族は保護者を失い混乱を極め、その後長きに渡り争い合うことになる。


ユカリ(地球人名:水本ゆかり)

職業:評議会幹部の娘
属性:感情を抑えきれてない系異星人
能力:特になし

老いた父に代わって評議会を取り仕切っていた少女。
地球人の他者の心を癒す力(藍子とか沙織とかの)を研究することと、
洗脳が解けたそらを支えるために地球にやってきた。

ユカリとその父は、異星人の中でも割かし感情が豊かな種族らしい。
評議会で決定された事案に従って多くの非道な計画を進めてきたが、内心ではかなり心を痛めている。

投下終わりです


ウサミンPに協力者が出来るかもしれないフラグが立ちました
評議会の設定を掘り下げるつもりが、冗長でわけの分からない話になってしまったけど…

評議会が言う進化っていうのは、知的生命体がお互いを受け入れ理解し合うことによって、
個というものの境界が曖昧になって精神体やら思念体やらとして融合するとかなんとかそんな感じなんじゃないかなあ?
先駆者とかぶっちゃけ適当にでっち上げただけなので、スルーしちゃってください

乙です
先駆者のノリが軽くてワロタ


あれだな、保管計画宇宙規模編的な?

乙ー

ゆかりん独善的だなー

最終的に知的生命体は肉体の軛を脱してより高次の存在に昇華すべきとか結論しそう

>>349
言葉が足りなかった

先駆者の設定は、ゆかり(評議会)を正当化するためのものなので、
突っ込み所が多いですがスルーしてくださいってことで・・・

周りが過激なだけでゆかりん自体は優しいよ!

泰葉「えーと。いまさら説明するまでもないと思いますが、憤怒の街の簡単なストーリーをお話します。
   えー……平和な街が私こと岡崎泰葉率いる憤怒のカースに侵略され……」
憤怒P「うーん。泰葉ちゃんさあ。憤怒の街じゃ余りに平凡じゃない?」
泰葉「はい?」
憤怒P「キングダムス・オヴ・ラースでどう?」
川島「ですね」
憤怒P「それとカースだけど、僕の解釈だとあれは呪いの泥じゃないんだよね」
泰葉「は?」
憤怒P「あれは『性癖』なんだよね。書き手の性癖」
川島「『性欲を持て余す者ども』ね」
憤怒P「それと僕の解釈では、泰葉ちゃんのことは先輩じゃないくて『人形』って呼びたいな。それとね……」


一時間後


泰葉「……かりそめの平和に酔いしれる『サンクチュアリス・オヴ・ラース』は『性欲を持て余す者ども』により
   再配置の危機に瀕していた。しかし、むしろこれを人形が憤怒の王になる過程と歓迎するものもいた」

ノムリッシュ憤怒P…

なんじゃあこりゃあ……

雪美が変身する度にヘルグリフォンて単語が頭をよぎるんですが・・・

ダットゥイン=ヘルグリフォン…

性欲を持て余す者どもで壮大に吹いたじゃねえかwwwwww

よし誰も居ないな、投下します

142cm3人衆お借りしますよー

未来は不確定である、という科学的論述が出てきたのは何年前の話だろうか。

基本的には世の中の出来事は、観測するまでは物事は確定しないという話だ。

不確定性原理、説明としては猫箱がよく引用される。

茄子「要するにですね、神様というのは暇じゃないんです、一日中世界を見て回ることは出来ません」

茄子「ここでいう世界というのは、地球全体ではなく、限定的な密封された観測地点と考えて下さい」

茄子「もっと分かりやすくいいましょう、所謂宗教が伝播した場所そこが神様における観測地点です」

П「へぇ」

茄子「そして、その伝播した世界を見て回る際、ある法則を共同で設けました、物事の事象の確定です」

П「うーん?」

茄子「所謂各世界に伝播する物事は、朝日の上りと共に確定します」

П「詰まり、Aという事象が起きたとして、干渉できるのは太陽が出てくるまでということか?」

冷えたそうめんをすすりながら、茄子の『講義』に耳を傾ける。

茄子「うーん、分かりやすく言うと『過去に起きたこと』も、実際には何一つ確定できない事象なので、ハッキリ言うと『その場における人の生き死にだけ』なのですよ、確定できるのは」

П「随分ズボラじゃないか、ってことは世界中の死神しか働いてないってことに、ズズッ、なるじゃないか」

茄子「まあ、ぶっちゃけるとですね、昔々、時の神様ってのは一応居たんですけどね、何分人間の味方につきすぎたせいで、神様方は偉いお怒りになって」

П「どうしちまったんだ?」

茄子「一度天界に行ったんですが、結局地獄勤務にされちゃったんですね、体の良い左遷です」

П「まるでハーデスみたいだな」

茄子「まあ、良い人なんですけどね、それ以降誰もまともにやらなくなっちゃいましてね」

П「ズズズッ……まあ、兎に角基督教本やらなんやらが、関係してるってことか?」

最後のそうめんをすすりながら、質問をする。

茄子「天界移住後はただ農耕に精を出す人だったんですけど、その中から勝手に役目を決められて、まあまだ人を見守れるからいいかと静観してたんですけど…」

ここで、精一杯おどろおどろしい声(実際には無理をした上ずった声)で、話し始める。

だが、幸福の女神というのは幸福に溢れすぎてて、恐ろしいものの表現が壊滅的に下手くそらしい、怖くなかった。

茄子「ここで、ある人々と人々に差異が生まれちゃったんですね、言うならば富める者、貧しい者そこでとある神様は考えました、宗教を作ろう、と」

П「まあ、世紀末とかにはよくある話だな」

茄子「まあそこから今まで続く話に続いちゃうんですが、兎に角その宗派は生まれたてで、どんな力でも欲しかった」

П「まあ、そりゃあそうだな、0からものを作るんだから、人手は必要だな」

茄子「それが、少し理想論に傾きすぎてたみたいで……結局宗派は分裂、人間同士のいざこざの種になってしまいましたとさ」

茄子「そこでその、勝手に役割を与えられてた神様は怒って、役職を辞任、そしたら地獄に落とされちゃいました」

П「で、結局何が言いたいんだ?」

そうめんの汁を流しに持ってゆき、コーナーポストに流しながら結論付ける。

割りとこいつは会話が流れていきがちなので、一々戻してやらないと話が終わらないのだ。

茄子「あれ?何の話でしたっけ?あ、そうそう分かりやすく噛み砕くとですね、神様は人が死んだら死人帳簿というのを書くんですが、それを書き始めるのが夜明け」

茄子「だから、人の死が魔術で不変(基本的には)になるのは、『その日の夜明け』と言うことになります。」

茄子「それを死神に手渡して、人の魂を回収させるんですよー」

П「割とさっぱりした内容だったな、ともあれ、人が死んだら出来るだけ早く蘇生させろってことか?」

茄子「ですねー、タイムマシーンがない限りはそーなりますねー」

П「そんな内容をクドクドと長話にしやがって……兎に角、過去に死んだ生き物が帰って来ない、ってだけでだいぶ安心だな」

茄子「割りと昔から多方面に喧嘩売ってますもんねぇ、Пさん」

П「あーそうだな、地上げ屋とか、ヤクザとか……兎に角、平穏であるならいいってのに、何だってあいつらは一々喧嘩を売ってくるのやら……」

目の前で正座で『治療中』の新田美波(大学生)を見つつ、何気なく麦茶を飲み込む。

茄子「あ、邪魔しないでくださいね、まだ終わってないので」

П「……効果あるのかこれ?」

和室に正座し、目の前の小さな十字型に波羅蜜多を唱える、という何とも不思議な光景を見れば、どんな人間も効果を疑いたくもなるものだ。

茄子「あります、鰯の頭も信心からという言葉があるように、恐らくカースは魔界産なので、こうやって心からのお祈りが心の防御力をあげて、カースを追い出す…筈!です!」

何となく強い語気に押され、何も言えなくなってしまう。

とはいえ、この十字からここまで話が伸びるとは思わなかった。

兎にも角にももうそろそろ30分経過で、今日のお祈りは終わりのはずだ。

美波「……ふぅ」

П「終わったらとっとと帰れー」

麦茶を飲み干しながら、手を振りとっとと帰宅を促す。

夏のうだるような暑さの中、よくもまあ平気な……わけでもないらしく、汗を流しコチラをチラチラ見てくる。

П「何だ気持ち悪い……」

美波「ふふふ……聞きましたよ!Пさんが女性が苦手だという話!」

П「あ?」

美波「だから、反撃されないって……」

立ち上がりケツを蹴り飛ばした、話の元は茄子だろうが、そりゃあ残念俺よりか弱ければの話だ。

美波「な、なんでぇー」

П「ケッ、健康優良大学生がふざけやがって……」

美波「だからあの3人を見逃してると思ったのに……」

П「…は?」

美波「え?知らないんですか?女子寮の私の部屋の隣の、変なきのこ栽培してる3人組」

П「…はっ?、いやまて、アソコは一人だけのはずじゃあ」

変な汗が出てきた、ヤバイ何この感覚、部屋できのこ?え?カビ?部屋ヤバくない?

П「あば、ばばばばああばばっば」

美波「あ……行っちゃった……」

全力で家を飛び出し、目的の部屋に走り駆け込む。

マスターキーでドアを開けると、そこは床に広げられたブルーシートの上に、黄色いドロドロした泥にキノコが無作為に繁殖している。

暗室の中、ホラー映画を見る3人の少女の姿が見て取れるが、今はどうでもいい、急ぎ壁周辺を探索するがどこもカビては居ないようだ。

П「部屋にはなんとも無い……良かった」

心の底から安堵する、と言うか何か小便臭かった。

П「…ん?」

寝癖のような、跳ねっけの頭の少女が小便を漏らしていた……え、ナニコレ。

幸子「あーっ!あーっ!あー!」

小便まみれのスカートが、顔目掛けて飛んできた、ションベン臭い汁が口に入る。

しょっぱかった、ただただしょっぱかった、というかションベンだった。

Пは激怒した。

П「……」

幸子「何でボクがこんな……」

ぶつくさ言いながら目の前の少女が、自分のスカートをよくわからない袴を履いて手洗いしている。

別に友達を作るのは良い、俺もあーだこーだは言わん、だがな部屋で、しかも大体的にキノコを栽培するのはやめろ。

と言った内容の説教を3人にして、服を小便汁まみれにした少女に自分で服を洗わせる。

洗濯機もあるが、正直ションベン臭いまま入れられると俺が困る。

というか、ホラー映画を見ていて、突然現れた俺が死体みたいだったとか、小梅に言われて余計腹が立つ。

幸子「大体おかしいんですよ、ここら辺だとボクの能力が使えないし……」

П「偶にはお前らの服の洗濯してる、機械類の気持ちになるですよ……」

幸子「何でこんなに!カワイイボクが!手洗いで洗濯をしなくちゃあいけないんですか!」

П「カワイイは関係ないだろ!とっとと洗え!」

幸子「あれれ?今カワイイって否定しませんでしたね?いいんですよ?カワイイって言っても」

П「あんまりうるさいとスカイダイビングやらせんぞ、女子寮の屋上から」

そう言うと、またぶつくさ言いながら服を洗いにかかる。

その間、隣の部屋で吸血鬼ごっこをやり出した小学生(?)二人を見つつ、口の中を液体ハミガキですすぐ。

まだ取れない、本当にイライラする。

茄子「あ、Пさん、食事出来ましたよー」

そう、こいつらは食費を稼ぐ宛がないのだ、マジかよ家帰れよと言いたいが。

小梅に言う直前に頭を横に振られた、何でアイツ俺の言うこと分かんの?

というか、茄子は何処から服を用意してんの?何なのあの和服。

輝子「ふ、フヒヒ……あ、新しい、トモダチ……」

小梅「Пさん、今度肝試し……ゾンビ役やろう……」

П「うるせぇ」

幸子「カワイイボクに食べて貰えるなんて、光栄な食事ですね!」

П「とっととスカートを、洗濯機に放り込んでこい」

幸子「あれれ?管理人さんはまだ食べないんですかぁ?」

コイツ……今度絶対スカイダイビングさせる、絶対だ。

段々口の中の不快な味が消えてくる中、そう考えるПだった。

今日の流れ

美波「修行するぞ修行するぞ修行するぞ」

輝子「きのこ栽培したい」

幸子「ボク達の家だとちょっと……」

小梅「い、いい場所ある…」

П「おまえーっ!」

茄子「あらあら」

段々茄子さんがおかーさんみたいになってきてる…

今日はここまで

乙ー

何故幸子お漏らしさせたし(ジト目

あとスカイダイビングはやめてあげてよ

乙です
RPGでよくある「なんでイベントで蘇生魔法つかわねーんだよ」を納得させる理論ですね
142組がなかよしでなにより

おっつし

幸子が失禁とは……これはもはやП=サンのケジメ案件では

Π氏はもう少しアイドルを丁重に扱うべきだと思うの

ほんわかロリ
趣味・諜報
超☆風紀委員

鯖落ちしてる間にだいぶエッジの効いた新人が入ってきたぜ……!!

上から

杏11歳
メガネ
裏切りメガネ


濃いわね。わかるわ

裏切り眼鏡と上条さんの遭遇に今から胸が高鳴ります!!

>>375
裏切りメガネというが

伊 達 な の で そ も そ も メ ガ ネ じ ゃ な い

伊達でさらに特訓後で外し
アイドルでメガネは違うとのたまう
上条ちゃん憤怒の王待ったなし!

上条ちゃんは伊達でもOKだから結局裏切りじゃないですかーやだー

ナニカちゃん小話投下するよー

ナニカは夢を見ていた。ギロチンで首と体を別々にされたり、毒を飲まされた夢を。

ナニカは夢を見ている。縛られて冷たい水槽に沈められたり、銃で頭を撃たれた夢を。

ナニカはずっと夢の中。怖い人たちに滅茶苦茶にされる夢の中。

最初は何も思う心がなかった。夢の中にいることが役割だった。

けれど流れ込んできた感情を読み取るうちに…偶然にも意識が生まれていた。

痛いのはイヤだ。怖いのもイヤだ。苦しいのもイヤだ。助けて、誰か助けて…。

消した恐怖の記憶、幼い子供のような感情…『主』のなくしてしまったもの、封じこんでしまったものの集合体がナニカだった。

だからある意味ではナニカは『主』だった。少し劣るが『主』であった。

けれど本来は生まれる事のない意識体。自我は殆どなかった。感情も封じ込められた感情を再現するだけ。

『主』はナニカの事を知らない。『主』が恐怖の記憶を認識しないようにしていたら、ナニカも全てに認識されないようになっていた。

ナニカは誰にも認識されずにいたある日、偶然に浮上した意識の中、無意識に今の『主』の記憶を読み取った。

その日が恐らく、自我の生まれた日。

嫉妬から何かが生まれたのだ。

いいなぁ、うらやましいなぁ。

なんで『主』にはあるものがあたしにはないんだろう。

あたしもほしいなぁ。

『家族』がほしい。きらりお姉ちゃんも、夏樹お姉ちゃんも、李衣菜お姉ちゃんも、お兄ちゃんもほしい。

ズルいなぁ。

…『奈緒』だけズルいじゃん。あたしに全部押し付けて!

あたしだって奈緒なのに!

嫌い、キライ、大嫌い!奈緒なんて奈緒なんて!

あたしは、アイツから、『奈緒』から自由になりたい!

あたしはみんなに愛してもらいたい!

ナニカは名無しの子。『奈緒』という名前を捨てた、奈緒の記憶から生まれた人格。

…その人格は死に続ける夢と嫉妬で歪んでしまったのだけれど。

ナニカが『奈緒』を認めない限り、ナニカは『何か』であり続ける。

夜。11時30分。

ナニカは最近意識の浮上の頻度が上がっていた。

偶然か必然か、一部になった≪嫉妬≫という性質を持っていた浄化された核と波長が合い、その主である加蓮と友達になったナニカは以前よりも自我がはっきりしてきたのだ。

『奈緒』から流れてくる感情以外の感情を発することが多くなり、彼女らしさが芽生えていた。

だからなのか、行動時間が伸びていた。今からきっかり30分。毎日この時間が外で行動できる時間だった。

ナニカは誰にも認識されない。奈緒から分離して起き上ると、泥人形のように形を作る。

分離できる大きさもそれなりになっていた。

真っ赤な瞳がピカピカ光る、全てが黒い泥で作られた幼い少女。

それは真っ黒いワンピースを着ている真っ黒な…幼い頃の奈緒そのものだった。

ナニカはこの姿があまり好きではないけれど、人の姿はこれ以外なれないから仕方ない。

誰かを踏まないように小さな羽で浮遊しながら寝室を出て、パソコンのある部屋へ行く。

ナニカは機械が好き。触れさえすれば動いてくれるから。

いっぱい外の事を知った。たくさんの人が悲しい思いをしていることも、辛い思いをしていることも。

もっとシアワセな世界がいいな。そうすればみんなで愛し合えるはずだよね。

ナニカは知っていた。自分の真の力を。星を喰らう怪物の存在意義を。

世界をシアワセにする方法を。

けれど知っているだけじゃ意味がない。力を全て使わないと無理な事。

『奈緒』がジャマだ。何事においてもアイツはジャマだ。

だから、奈緒を乗っ取って自分と同じ苦しみを味あわせてやる。方法はもう思いついている。

加蓮お姉ちゃんの住んでいる場所さえわかればいい。そうすれば作戦は実行できる。

あとはタイミング。ヒーローたちに邪魔されるのは嫌だから。

きっその時の姿は怪物みたいな物だろうから。

最高のタイミングで、最高にシアワセな世界を生み出そう。

「キシ、キシシシシシ…」

愛に飢えた小さな怪物は、赤い瞳を輝かせて不器用に笑った。

12時1分前。引っ張られるような感覚が起きる。

もう戻る時間だ。履歴を消すとナニカは大人しく寝室へと戻って行った。

シンデレラみたい?なら早く王子様に来てほしい。

かなり かなり かなり来てほしい。

そうすればきっと『悪い魔女』は消えるでしょ?

ああ、シンデレラに悪い魔女は居なかったっけ。

じゃあどうでもいいや。

王子様より家族が欲しい。友達が欲しい。

いっぱい愛してほしいから。

データ更新

ナニカ(かみやなお)
属性:愛に飢えた怪物
能力:泥の操作、精神・記憶・認識操作(未覚醒)

誰にも認識されないように、認識しないように奈緒が封じ込めていた悪夢。それと同時に消したはずの幼児性が組み合わさって生まれた人格。
死に続ける記憶を見すぎたせいか、子供のような正確なのにどこか狂ってしまっている。
知識も結構偏っており、漢字も読めるが書けない。そこは見た目と口調相応だろう。
認識できないのがデフォルトなので、例外を除き認識操作で『認識できる』ようにしないといけない。しかしまだその力に目覚めてはいない。
目覚めていないだけでその力の鱗片は時々見え隠れしている。本人は基本的に気付いていないが。
見た目は真っ赤な瞳がピカピカ光る黒い泥人形。しかしドロドロしているわけではない。
外での活動時は自由に見た目を変えられるが、12時には引き戻されてしまう。
現在、少しづつ活動時間が伸びている模様。
『世界をシアワセにする方法』を知っているらしく、今は虎視眈々と下剋上を兼ねたその実行タイミングを伺っている。

以上です
露骨にフラグを建てたよ!
イベントが終わったら終わりのはずのキャラなのに妙に愛着が湧いて困っている…
時系列は加蓮と会った後、という事しか決めてない感じです

乙!

奈緒がやばい(確信)

果たして幼少期から太眉だったのか、それが問題だ

(これ女子寮爆発するかも…ってかПの天敵だコレ…)

おつで

誤送信してしまった…orz

乙です
ナニカと書いてなおと読む…いいね
女子寮はアカンと思ったけどそもそも認識されないのか

乙ー

奈緒ちゃん逃げてー

加蓮にもヤバイ雰囲気きてるー

――――――――――

『先駆者』が到達した知の頂。

彼らがそれに至ったとき、知的生命体は肉体という実存をすら必要としなくなった。
世界に満ちる思惟の群れと共鳴し、誤解も誤謬もなく理解し合う。
それぞれの内奥に蓄えられた思惟の集合体は無尽蔵のエネルギーを生み出し、
界と界、時と時とを隔てる障壁さえも意味を為さなくなった。

溶融する複数の思惟がひとつとなり、彼らは全にして個となり、同時に個にして全となった。
叡智の究極、可能性の行き着く先へと到達した彼らは、宇宙全体がかの真理へ至ることを望んだ。

しかし、数千数万の時を経ても、他の知的生命体は肉の器を脱せずにいる。
肉を持つ者達は、その肉体を維持するために時間とエネルギーの大半を消費せねばならない。
実に不便で非効率的だ。そこには真理に至る思索も、思惟を感じ取る知覚も存在しえない。
だというのに彼らは、鈍く、狭く、息苦しく、原始的なありようから変わろうともしない。

すれ違い、ぶつかり合い、殺し合い、未だ無明の底を這う者達。

何故彼らはこんなにも――いや、ともすれば、肉の器を抱く者だからこそ到達しうる境地があるのか。
彼らは、『先駆者』とはまた別の進化の形を手に入れようと足掻いているのか――

――ならば、見守ろう。

『先駆者』は、やがてそう結論した。
肉を持つ者達の叡智が、母なる自然より生じた生命が、自らの知覚で感じ、自らの手で掴み取り、
自らの意志で選び取ったものが、いつかこの宇宙に真実の光を灯すことを期待して。

焦る必要はない。なにしろ、時間は無限にある。
我らがこの叡智の極みに至るまでも、数百億年の時を要したではないか……。




という文章を書いてみて、先が思い浮かばなくて破棄しようと思った矢先、ナニカちゃんがヤバいものに進化しようとしていた件

店長は地味に羨まけしからんポジションに居るな

誤爆したので怠惰のカースドヒューマンになります

>>397
きらりと奈緒がそっち行ったぞ…
新しい命にハッピーバースディ!

奈緒の一部になれるとか羨まけしからんな

なお来たのがきらりと奈緒でなければ死ぬもよう

死にたくない、死にたくないぃぃ!
って情けなく菜々にすがる→へっ!甘ちゃんだぜ→後から夕美に狩られる
→嘘は吐いてないとか言ってミキプルーンの苗木に→END

ミキプルーンwww
…奈緒が嫌ならベルちゃんに喰い改めてもらうしかないか

ナターリアというかアンダーワールドの話

地理的になかなかストーリーに絡めないので無理矢理状況を動かそうとする男!

――――――――――

「地上の都市がカースに乗っ取られただと?」

思わずおうむ返しにしてから、オーバーロードは報告書を一瞥した。

「例の財閥経由の情報です。首謀者は不明ですが、都市全体がカースによって封鎖されていると」

情報部所属の士官が応え、オーバーロードは報告書をつまむ指に力を込めた。
この公邸の執務室で受け取る報告に、よい報告があった試しはない。

櫻井財閥経由でもたらされた情報の発信源は、日本政府やGDFに潜むアンダーワールドシンパの議員か、
それとも散発的な紛争と緊張関係を望む軍需産業のロビイストか。
どちらにせよ、断片的ではあるが情報の精度は悪くない。アンダーワールド政府が地上に放っている
諜報員からの情報と照らし合わせても大きく異なっていたことは今のところない。

しかし、今回の一件は寝耳に水の事態だ。

地上人の犠牲者が何人出ようとそれ自体はどうでもいいことだが、問題はカースの肉体を構成する呪詛の
泥による土壌汚染と、それによる地底への影響だ。
最新の研究報告によって、カースの泥による汚染が土壌や地下水にも及ぶことがわかっている。
特に水資源への影響は、アンダーワールドでは死活問題と言ってよかった。

「アンダーワールドへの影響は?」

「我が方のテクノロジストらに試算させていますが、ただちに影響があるとは……」

「これほどの大量発生は過去に類を見ない。例のGC爆弾とやらが投下された際の発生数をすら超えている。
 前例がないということは、何が起こるか読めないということだ。用心にしくはない」

「はっ、失礼いたしました」

テクノロジストの研究の完了を待ち、結果を浄化施設の各種機材に反映させるには時間もコストもかかる。
しかし、今期予算の赤字と十数億のアンダーワールド人の安全を天秤にはかけられない。
三十秒ほどで試算を終え結論を導き出したオーバーロードは、太い首をわずかに傾けて言う。

「研究所のテクノロジスト達に連絡を取り、状況を督促しろ。対策は急がねばならん。
 それから、状況によっては次の中央議会で特別予算の編成を提案することになる。資料作成を頼む」

ともすれば眉をひそめたくなる心持ちではあったが、オーバーロードは努めて無表情を装った。
どうせもっともらしい渋面を作るのであれば、議会の場で対立政党の議員や、御身大事の利権亡者どもを
相手取るときにすればいい。

指示を受けた士官が「はっ!」と短い声で応じて執務室を辞した後、オーバーロードは執務机の端末の
横に置かれたフォトフレームを手に取った。

観葉植物の鉢が置いてある以外は何も飾られていない殺風景な執務室の中で、愛娘のナターリアと
撮った一葉の写真が彼の心の慰めだった。

あまり身体の強くなかった妻は、娘を出産してすぐに死んだ。ナターリアは母親を知らずに育ち、
自分は妻の死後間もなく行われた選挙に当選し史上最年少のオーバーロードに選出された。
以降は四度の再選を繰り返し、現在に至るまで長い任期をこなしている。

オーバーロードとして多忙を極める生活の中でも、なんとか娘との時間を作るよう心がけた。
それは娘のためでもあったし、何より自分のためでもあったのだろう。愛する娘との語らいの時間は、
自分の背負っているもの、守るべきものを再確認するための儀式でもあったのだから。

(ナターリアは優しい子に育ってくれた。この父に似ず、まっすぐに育ってな……)

ふと、オーバーロードの強い髭面に愛嬌のある笑みが浮かぶ。

アンダーワールドの子供達が幸せに、豊かに暮らせる未来。そのための礎になることこそ大人の役目だ。
だが、地上人とアンダーワールド人すべてを受け入れるには、地球はどうやら狭すぎる。
だからこそ、近い将来地上人を排除し、地上を奪還しなくてはならないのだ。
どれだけ多くの血が流れることになっても、成し遂げなければならない。

いつか子供達が歩く地上の道が、大人達の血と屍で舗装されることになるのだとしても、その罪は
自分達の世代で終わらせなければならない。

(……救われんな)

笑った瞳の奥の仄暗い光がフォトフレームのガラスに映り込んでいるのが見え、オーバーロードは
顔の表皮を機械的に苦笑させた。

――――――――――

アンダーワールド首都のアップタウンにある、私立のジュニアハイスクール。
広い教室に扇状に配置された長机の一角に、ナターリアは座っていた。

教壇に立つ壮年の教師が、眼鏡の位置を直しながら朗々と声を上げている。
課題の易しさからそれなりに人気のある教師だったが、それと比例するかのように授業は退屈だった。

「――であるからして、今年から人工太陽の照明ユニット改修のための工事が始まりました。
 改修と言っても、実質的には造り替えに近い大規模計画で、工事完了までに10年を予定しています。
 まずは最も老朽化の激しい第四ユニットから着手して、それから第一、第二と続く予定ですね」

個人用ノートパッドのバーチャル・ディスプレイに、教師用端末から配布されている資料画像が
ずらずらと表示されていく。ノートパッドは机に備え付けられた差し込み口とケーブルで接続され、
学校の内部ネットワークに接続されているのだ。

アンダーワールドでは、電話やネットは有線での使用が基本になっている。
その背景には、先人達が地底という過酷な環境を整備していくにつれて、人の住む地域が精密機械の
集積体と化していった事情がある。浄化施設などの生命維持に直結するシステムは勿論、建物の中の
空調や発電設備などの誤動作を防ぐために、電波の取り扱いが制限された結果だった。
デジタルデータの破損に備えて、重要なデータはプリントアウトしておくのも習わしである。

テクノロジーが高度化し複雑になっていく一方、どこかをアナログ化しておいた方が都合のいい場合もある。
数百年前の時代を復古する懐古趣味的なムーブメントが数十年周期で起こり、現在もアナログ志向の人間が
一定数存在するのも、そうした歴史の必然なのかもしれない。

「この計画は現オーバーロードが発案し、7年に及ぶ議論の末、ようやく始動したものです。
 同様の人工太陽改修計画は600年前にもありましたが、その時は予算の関係と野党の反対から
 小規模な補修工事に留まっており、その結果、電力系統のトラブルから第二~第五ユニットが
 一ヶ月近く機能を停止したという事故が起こってしまったわけです」

無味乾燥な年表の羅列と、当時の事故の模様を物語る映像資料がディスプレイに浮かんだ。
一ヶ月も太陽が動かず光がないというのは、どれほど不便なのかとナターリアは考える。

空のないアンダーワールドの夜はあまりにも暗く、そもそも人工太陽がなければ昼夜が存在しないのだ。
きっと不安で、寂しくて、心細くて、何よりあるべきものがなくなってしまったような喪失感があるのだろう。

ナターリアがそうであるように、600年前の人々もそうだったはずだ。

四角くて細長い太陽が天蓋に設置されていて、毎朝6時になると唸り声のような振動音を上げながら
照明ユニットに電力が通い、光り輝く太陽がアンダーワールドを照らし始めるというのが当たり前の
日常だったはずなのだ。

(……パパのやるコトは、全部ナターリア達のためなんだナ)

そして、今年から始まる人工太陽改修のための10ヶ年計画は、父がその当たり前の日常を守るために、
アンダーワールドに住まうすべての人のために始めたことなのだという認識が、ナターリアの心を暖かくした。

ナターリアは社会科や数学のような暗記科目は苦手だったが、父の為したことにはやはり興味を禁じ得ない。

物心ついたときには父は既にオーバーロードの座についていたし、自分が生まれてからの14年間ずっと
オーバーロードとしての任を全うしていたというが、ナターリアは父の口から直接仕事の話を聞いたことは
ほとんどなかった。

週に一度か二度あるかないかという父との語らいの時間では、父は聴き手に回ることが多かった。
ナターリアの話す色々なことを、ただ優しく微笑みながら聞いてくれる。
ナターリアの抱える迷いや不安を、正面から受け止めて一緒に悩んでくれる。
そんな父の姿に誠実さを感じる一方、仕事のことを話したがらないのだと見て取れたのも覚えている。

確かに難しいことはよくわからないが、父のしている仕事をよく知りたいと思うのも子供心だ。
人伝に色々聞いたりすることはあっても、いつか父の口から直接話を聞きたいとナターリアは思っていた。

「ここ数年、人工太陽の照明ユニットの不具合や誤作動はたびたび報じられてきましたが、
 だからといってアンダーワールドを捨てて地上へ逃れようなんてことは許されませんよ。
 シビリアン以下の労働者は勿論、ジェントルマンでさえも、地上へ渡ることは許されていませんからね」

教室の窓の外は、昼過ぎのうららかな陽気だった。
中庭には綺麗に手入れされた芝生が広がり、背の低い樹が何本か植樹されている。中庭の向こうにある
グラウンドでは、トレーニングウェアに身を包んだ生徒達が球技に興じていた。

遠い昔に戦争で犠牲になった人達がいて、この地底を照らす太陽を造るのに人生を捧げた人達がいて、
地底世界を人の住めるように整備した人達がいて、彼らの遺産によって自分達は生かされている。
そして父は、現在を生きている自分達と、さらに未来の人達を生かすために仕事をしている。

その中で生きている自分は所謂『戦争を知らない子供達』で、今日と同じ明日が訪れることに疑いを
持つことはない。人工太陽の明りが消えても、すぐに復旧されて次の日からは問題なく動くと思い、
よほど運が悪かったのだと思えば他人事と呑み込むことができる。

それがいいことなのか悪いことなのか、今のナターリアには判断がつかなかった。

――――――――――

「知ってる? 地上で今、カースってのが暴れてるんだって」

昼休み、クラスメイトの女子が、ノートパッドにニュース画面を表示させながら言った。
どうやら社会科の講義の際、外部サイトからダウンロードしていたらしい。

カースという怪物が黒い泥の身体を震わせながら、人間を襲っている様子が映っている。
画像の不鮮明さが不気味さを際立たせており、本文には現在アンダーワールドでカースが出現したという
報告は今のところないとも書かれている。

それを見たクラスメイト達は口々に感想を漏らし、論を交わし合っていた。

「それ、俺も知ってるぜ。ヒーローとかいう奴らがカースを狩ってるってさ」

「うわ……これがカース? キモーイ」

「……地上ってやっぱり危険なところなのかなぁ。先生もさ、地上は大気汚染がひどいって言ってたろ」

「そんなの、私達を地上に行かせたくなくてわざと大袈裟に言ってるのよ。地上がそれほど危険なら、
 どうして地上人が生きていけるわけ?」

「そりゃあ、地上人は地上人で変な進化をしてるのかもしれないだろ?」

「でも実際にこんな化け物が出るんだし……危ないことには変わりないわ」

「なあ、ナターリアはどう思う?」

急に話を振られ、ナターリアはドキッとしながら振り向いた。

「エート、なに?」

「聞いてなかったのかよ? これだよこれ、カースってやつ」

「お父さんから何か聞いたりしてないの?」

「ウゥン。パパ、ナターリアにはお仕事の話しないヨ」

ナターリア個人としては、父のオーバーロードとしての仕事ぶりはニュース配信や議会中継などで
見られる範囲内のことしか知らない。だから地上で『カース』なる怪物が暴れているらしいことは
ほとんど初めて知ったし、それについて父がどう考えているのかもまるで知らない。
父が普段から仕事の話をしたがらないのだから、仕方のないことではあったが。

「地上のコトもそんなに……アッ、でもスシは食べたことあるヨ! スシ!」

「スシ……? 何それ?」

「地上の料理だヨ! ニギったコメの上にサカナが乗ってるんダ」

「米の上に魚って……ライスボールかカナッペみたいなもの?」

「なんか想像つかなーい。それって美味しいの?」

「ウン! 細長くテ、ノリ巻いてあるのもあるヨ!」

ナターリアのクラスメイトは皆、アンダーワールドの貴族であるジェントルマンの子弟ばかりだが、
さすがに地上の料理を食べたことのある者は少ない。アンダーワールドは公には地上との交流はなく、
レシピや調理技術が伝わってこないからだ。

「スシはとってもおいしくて、お口がとろけテ、ほっぺた落ちちゃいそうだったヨ♪
 それからスシ職人もすっごくカッコよかったナ! イタマエっていうノ!」

「職人? 職人っていうと、テクノロジストみたいな……」

「スシって作るのにすごい技術が要るのか?」

クラスメイト達がナターリアから聞いた断片的な情報から想像したのは、レストランの厨房で、白衣を着て
防護マスクをつけたスシ職人が、植物工場で生産された米を炊いて四角く成形したものに、地底湖で養殖
されている脂の乗った地底魚のソテーを乗せているというおかしな光景だった。

「う~ん……」

「地上人はヘンテコなものを食べてるんだなぁ。母さんの作るモグラウサギのパイの方が美味そうだよ」

「ナターリアも最初は驚いたヨ。でもすっごくおいしいんダ! ミンナも食べてみたらわかるヨ!」

「へぇ……ナターリアさんがそういうなら、私も食べてみたいかな?」

「どちらにせよ、そうそう食べられるものじゃないわよ。私達が地上に行くことなんてないんだし」

「でも何ヶ月か前、どこかの名家の娘が地上に行ったって噂になってただろ」

「アッ、ナターリア知ってるヨ。イブキっていう名前の、カレッジの学生だっテ」

「噂は噂でしょ?」

「火のないところに煙は立たないし、人の口に戸は立てられない。まったくデタラメな話でもないと思うな」

「……しかし、わざわざアンダーワールドを出てどこに行こうってのかな」

「ああ、理解に苦しむよ。僕はアップタウン以外に住みたいなんて思わないね」

男子の一人が切って捨てる声音で言う。

実際、この場にいるほとんどの人間が同じ思いを共有していただろう。
アンダーワールド人の常識として、自分達が地上の追放者の末裔であることは誰もが知っていることだが、
2000年前の怨恨を連綿と受け継いでいる者もいれば、先人達の努力によって開拓され整備された世界を
故郷と想い慕う者も同じだけいるのだ。
ジェントルマンという特権階級に属する少年少女達は、そういった意味では愛郷心豊かな存在だった。

確かにアンダーワールドは楽園と呼ぶにはあまりに不十分な世界だ。
だがその中で不自由なく暮らすことができ、大切な家族や友人がいるのならば、それで十分ではないか。
どうして今の暮らしを壊してまで住み慣れない地上に出る必要があろうか。

「土地とか食糧とか、色々なものが足りなくなるかもしれないって言われてるけど、今までだって
 技術を進歩させて乗り越えてきたんだしさ。増えすぎた人口もなんとかできるさ」

こうした彼らの感性は自分達が「増えすぎた人口」のうちに含まれないという無根拠な確信に基づいて
いるものではあったが、ミドルタウンやダウンタウンに住むシビリアンにしたところで、実体のない理念や
理想や信条よりも、現実の生活を優先するはずだ。

だが逆に言えば、政府がまっとうな仕事と生活を保障してくれるのであれば、彼らは間違いなく地上への
移住を支持するだろう。大衆とは常に、ごく短期的な視座においては誰よりも利口な者達なのだから。

「地上になんて行きたがるのは、食い詰めたアウトレイジやスカベンジャーばっかりじゃないか?
 そうでなけりゃよっぽどの物好きか」

「どこかのバカなテクノロジストが、地上人に、『ジェントルマンみたいな暮らしをさせてやるから
 アンダーワールドの技術を寄越せ』って言われたのかもよ」

「でも、地上に行くような奴がいたとして、もうアンダーワールドに帰ってこられなくなるってのは
 わかってるのかな」

地上への渡航が全面禁止され、公的に鎖国状態にあるアンダーワールドにおいて、無許可で地上へ行くのは
れっきとした犯罪だ。違法出国者がノコノコと戻ってきたところで当局が黙っていまい。

アンダーワールドでの身分も暮らしも捨ててしまえるほど地上が素晴らしい場所なのか、確証はない。
それだけの知識も情報も子供達は持ち合わせておらず、そうしたいとも今のところは思っていない。

畢竟、パンドラの箱の蓋を開ける勇気も力もないと言えばそれまでだが、それはそれでひとつの見識だ。
今までの日常を躊躇いなく投げ捨ててしまえるのは果たして正常な神経の持ち主と言えるだろうか。

「そうだナ……ナターリアもスシは食べに行きたいケド、帰ってくるのはアンダーワールド以外にないヨ」

ナターリアの認識もまた明瞭だった。

生まれ育った故郷を去ることの恐れと悲哀は、多分、地上から追放された始祖達も同様だったに違いない。

――――――――――

天頂に横たわる太陽の基部では、青いジャンプスーツを着た作業員や白衣を着たテクノロジストが慌ただしく
動き回り、第四照明ユニットの改修工事に従事していた。

膨大な熱と光でアンダーワールドに朝をもたらす人工太陽のひとつは、工事が終わるまで稼働することはない。
当然、この第四ユニット直下にある区画には工事終了まで太陽光が一切届かなくなるため、該当する区画に
住む者達には代わりの住居があてがわれ、ひと月前にはすべての住人が引越しを終えていた。

休憩時間に喫煙室で紫煙をくゆらせる技師長も、二ヶ月ほど前に家族総出で余所の地区に引っ越した
ばかりだった。

妻も息子もすぐに引っ越しを承知してくれたのはよかったし、地上車の共同駐車場が近い物件だったのも
もっけの幸いだったが、息子の転校や住所登録の変更など、煩雑な手続きに追われてとても忙しかったと
妻が愚痴を漏らしていたものだ。

「第四ユニットの工事が終わるまで半年か一年か……こんな大計画には付き物の弊害かもしれんがね」

慨嘆と共にタバコを吹かし、技師長は寝癖のついた頭を掻きむしった。
もう一週間以上アパートに帰っておらず、技師宿舎のベッドを第二の家と決め込んでいるのは彼に限った
ことではない。向こう何年こんな生活を送る羽目になるやらと考えると、実に憂鬱だった。

「大変ですね、技師長。俺は独り暮らしだからその辺はスムーズに行きましたけど……」

工専を卒業して間もない新米のテクノロジストが、新しいタバコをケースから取り出して言う。

「でも、研究所や現場からも遠くて大変ですよ。こんなことなら元のアパートに留まりたいです」

「朝も昼もない暮らしでもか? あの区画は電力供給が制限されるから街灯もつかないぞ」

「それはそうなんですけどね……」

各々のくゆらせる紫煙が束の間たゆたい、喫煙室に備え付けられた空気清浄機に吸い込まれていく。

タバコはアンダーワールドの歴史の中で一度は絶滅しかけたが、今日に至るまで生き延びていた。
人体や精密機械への影響を最小限に留める低タール低ニコチン化や、化学剤と遺伝子組み換えによる
低温度燃焼葉の発明、空気清浄機の不断の改良などによってなんとか生存し、シビリアン以下の階級に
ある者達の様々なストレスを軽減する慰めとなっている。

政権が代わるごとに酒やタバコやドラッグに関する規制案が議会の俎上に上がり、タバコも全面禁煙を
呼びかける団体は多いのだが、彼らが人類の歴史から抹消される日は遠いらしかった。
現に、彼ら現場の人間の楽しみとして受け入れられているのだから。

「考えてみりゃあ、太陽を修理するってとんでもない話ですよね。壮大っていうか」

「おいおい。それなら、その太陽を造ったご先祖はもっと壮大だろう」

「なけりゃあ不便なものだってのはよく理解してるし、俺もこのプロジェクトに参加できてよかったですけど、
 思ってたよりずっと大変でしたよ」

「まだプロジェクトは始まったばかりなんだぞ。気持ちはわかるがな」

歴史的な大事業に臨む誇らしさはあるが、生活の不便はまた別の話だ。
技師長も新米テクノロジストも、突き合わせた顔に偽らざる本音が書いてあった。

「さて、そろそろ休憩時間も終わりだ。お前もワーク・ロボットの整備に戻るんだな」

「了解。あーあ、俺も技師長みたいに新型核融合炉のテストに参加してみてぇなぁ」

「お前にはまだ早い。さ、行くぞ」

灰皿にタバコを押しつけ、灰と吸殻が自動で吸引されるのを確認してから、二人は喫煙室を辞した。
そして戸口をくぐる際、技師長は喫煙室の戸口で新米の背中を大きな掌で叩いた。

「お互い環境の不便はあるけどな。それでもこのプロジェクトは大きな意義がある。わかるよな?」

「は、はい。勿論」

新米は軽く咳き込みながら応えた。

「世界には常に改善の余地があるが、同時に適材適所って言葉もある。そうだろ?」

「ええ。俺らみたいなのがアンダーワールドを支えて、将来のことはお偉いさんやガキどもが考えるんでしょ。
 技師長、いつもその話するじゃないですか」

「大事なことだからさ。そのうちお前にもわかるよ」

ニッと笑った技師長につられて、新米もまた口元を緩ませて笑った。
それ以上交わすべき言葉もなく、二人のテクノロジストはそれぞれの持ち場に戻っていった。

――――――――――

その頃。

穢れと呪いに満ちた街に降り注ぐ清浄な雨が、徐々に、だが確実に、街を浄化しつつあった。

だが地表に溶け出した澱みと歪みは、厚い地層を通り抜け、固い岩盤をもすり抜けて、今、地底深くへ
到達しようとしていた。
数百数千体に及ぶカースの残滓――おぞましい呪詛を湛えた泥が、地球そのものを汚染し始めていたのだ。

そして――

地底世界アンダーワールドに、未曾有の異変が起きようとしていた。

イベント情報
・アンダーワールドでは憤怒の街の情報が100%伝わっていません
・アンダーワールドでは現在、人工太陽改修計画が進行中です
・カースの泥による汚染が地底へと到達しようとしている……?

ジェントルマンの子供はおおむね現状に満足してるけど、アウトレイジやスカベンジャーはその限りではないよねという話

乙です
アンダーワールドも大変だなぁ…
地球が汚染されてるとか精霊が先輩を恨みそうなんですけど…
アンダーワールドはどのくらいカースと戦えるんだろうか

乙乙、負の連鎖が始まる可能性が…

ナチュルスターのおかげで地下がやばい

乙です
地下世界にヒーローが現れるフラグ?

地球の精霊の力が地球を汚すわけないじゃないですよ…
カースの侵食が速かっただけだよ…多分

乙乙です
アンダーワールド大ピンチの予感・・・?

キャラ追加直後でちょっとアレかもしれませんが、遊佐こずえちゃん予約しますー

乙ー

精霊の力でも大地の汚染は防げないのか?
恐るべし憤怒の街…

投下しますー

とある昼下がりの公園。

裕子「ムムムンッ!」

堀裕子はスプーンを片手に、睨めっこしていた。
その瞳は宝石のように真っ赤に輝いていた。

裕子「曲がれ……曲がれ!ムンッ!!」

どうやらスプーンを曲げようとしているようだが……

スプーン ハ ナントモナカッタ

裕子「曲がらない……そんなまさか…」

本人は落ち込んでいるが、はたからみたら異様な光景だろう。

裕子「なんで?」

何故なら

裕子「なんでスプーンだけ曲がらないの!?」

彼女の目の前の公園の木々が渦巻き状に曲がっているのだから。

こんなこんな光景、何処かの大精霊に見られたら処刑される気もするが…

裕子「あなたもそう思わない?このエスパーユッコの目はごまかされないわ!」

『………』

裕子が輝く瞳を、誰もいない筈の砂場の方に向けた。

すると、そこに人型の泥……カースが突然現れる。

だが、その姿は……

『お姉さん。≪あたし≫のレベル上げに協力してくれないかな?』

怠惰の悪魔ベルフェゴール…それに乗っ取られてた三好紗南そっくりの声と形だった。

だが、その顔や衣服や身体はカースみたいに黒い泥でできていて、まるで黒塗りのシルエットのようで、表情とかはわからなかった。

裕子「ふっふっふっふっ!なんだかよくわからないけど、このエスパーユッコに対する挑戦ね?」

嬉しそうにそう言うと、6つのスプーンを両手の指の間に一つずつ挟みながら持ち、そのスプーンを投げはなった。

それぞれの方向はバラバラでどれも偽ベルフェゴールにいかないが

裕子(曲がれっ!)

OZ≪スケアクロウ≫の力で、スプーンな通る空間を捻じ曲げ、軌道を変えて、偽ベルフェゴールに向かっていく。

『面倒くさいな』

だが、偽ベルフェゴールは狙う場所が最初からわかってたように自然に避けた。

避けられたスプーンは地面や木や遊具に≪突き刺さって≫いた。

裕子「なっ!?」

驚愕する裕子だが、無理もない。

もし、ベルフェゴールを知る人物がいたなら、タネはわかるだろう。

ベルフェゴールの能力。このカースはそれが使えてるのだ。

ベルフェゴールに比べれば劣るものの、初見の相手にとっては厄介な程だ。

裕子「……ならっ!」

『暗闇よ!大いなる我の力に従い!我に敵対するものの視界を閉ざせ!ダークミスト!!』

裕子「!?見えない!」

偽ベルフェゴールが呪文を唱えると、裕子の目は黒い霧に覆われ、何も見えなくなった。目を塞がれれば、透視能力も千里眼も空間を曲げる事もできない。

ベルフェゴールが使える魔術も使えるようだ。

そして、裕子の情報はベルフェゴールの能力。情報収集能力で読み取ったものだ。

先ほどの避けたのも裕子の考えを読み取ったものである。


『目を塞がれれば能力使えないんだよね?じゃあ、コレでゲームオーバーだね』

そう言って、偽ベルフェゴールがトドメを刺そうと近づこうとした。

その時だった。

???「は~はっはっはっはっはっは!!」

『……乱入は受け付けてないんだけど』

裕子「だ、だれ!?見えないよ!」

突然、響く自身に満ちた笑い声。

そこに現れるは最近話題の謎のニューヒーロー!!!!

美穂「私は!!ひなたん星人ナリ!!」

渦巻き状になった木の上に一つの影!

美穂「この街はまるごとつるっと!」

そこから飛び降り、二人の間に降り立つ!!

美穂「ぜ~~んぶ!私のものひなた☆」キラッ

刀を持った少女がチャーミングなポーズをとり着地する!

我らの『ひなたん星人』こと小日向美穂だ!

『もういいかな?サクッとクリアしたいんだけど』

偽ベルフェゴールは怠そうに言った。

無理もない。彼女の情報が刀で上昇されているものの、できる事が刀での攻撃しかない。

そんなのさっきみたいに軌道を読んでよければいい。

例え避けきれなかったとしても、自分にはオートリジェネがある。だから、負ける筈はない。

そう偽ベルフェゴールは余裕でいた。



それが、間違いだった。

美穂「じゃあ、サクッといくひなた☆」

その瞬間、美浦の姿は消えていて……

『……はっ?』

偽ベルフェゴールの背後にいて……

美穂「食らえ!ラブリージャスティスひなたんビーム!!」

偽ベルフェゴールの核がある位置を狙うように袈裟斬りを放った。

『な……に……これ?……無理g……』

核を斬られ、偽ベルフェゴールはあっさりと消えていった。

いくらベルフェゴールの能力を持ったカースとはいえ、所詮は紛い物。

情報を読めてもその動きに対応できなかったら意味もない。

美穂「は~はっはっはっはっは!!」

裕子「え?もう終わったの?見えないからわからない!」

勝利の高笑いをあげる美穂と目が見えず何が何だかわからない裕子。

美穂「愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人に敵うものはいないナリ!」

美穂「今日もまるごとつるっとぜ~んぶ!守ってみせたひなたっ☆」キャピピーン

美穂「では、さらばでひなたっ☆」

勝利のポーズを決めると鞘をとりにそのまま走り去っていった。

裕子「え?ちょっとー!!」

公園に裕子の声が響き渡った。

彼女の目が見えるようになったのはそれから数分後だった。

場所は変わり中学校。

瑞樹「ここの問題はこうよ?わかるわね?(試作品が負けたのね。わかるわ)」

授業をしながら、川島瑞樹ことレヴィアタンは心の中でそう思った。

瑞樹「じゃあ、昼子ちゃん?授業聞いてたならここはわかるわね?(ベルフェゴールとルシファーが残したカースの核で、私の呪詛により作ったドッペルカース……良い兵隊達になるはず。わかるわ)」ニコッ

昼子が蘭子に助けを求める様子を見ながら、教師としてそれはあえて見ないふりをしている。

瑞樹「ふふふ、昼子ちゃんは後で友達に聞きなさい(憤怒の街に行かせた分身によればキバも来ているみたいね。けど、まだ殺しはしないわ。いえ、キバは強い。妬ましいわ)」

キンコーンカンコーン

瑞樹「では、今日の授業はここまで(憤怒の街はそろそろダメね。なら、岡崎泰葉のドッペルカースも作れたし、こっちの準備もあと少し)」

生徒の一人が号令をかけ、礼をすると、瑞樹は教室を出た。

瑞樹(アレらの居場所もわかったわ。あとは呼び起こすだけ)

瑞樹(神が残した危険すぎると封印した古代の遺産の内の二つ。≪ノアの方舟≫。天界の連中に気づかれていない。あの神の新聞でさえもばれてない)

瑞樹(そして………唯一神が余りの危険さに封印した最強の生物。サタンの娘とキバの娘を倒すための私の切り札)










        初代レヴィアタン    









終わり

    ドッペルカース(量産型)

ベルフェゴールが残してった怠惰のカースの核をレヴィアタンの呪詛により作ったカース。

偽岡崎泰葉と違い、こっちは姿と声は同じだが、黒塗り。

能力も身体能力もベルフェゴールの劣化だが、魔術も使える。

一人だけなら倒せるだろうが大量生産されたら厄介だ。

まだ量産されてないが、復讐計画の為に準備をしている。

ルシファーのドッペルカースも今後作られる予定。



    ノアの方舟と初代レヴィアタン

神が残した古代の遺産。

あらゆる生物が保管されており、神の洪水にも耐えられる聖人ノアの為に渡した設計図により作りだされた≪ノアの方舟≫

いかなる攻撃も効かない神が創りし最強の生物≪初代レヴィアタン≫

いずれも人類に残したら危険すぎるため封印したもの。

コレを復活させるのが川島瑞樹の復讐計画に必要らしい。

以上です

ひなたん星人お借りしましたー

憤怒の街終わったら頃合いみてやろうかなーとフラグ立ててみる。

kwsmは娘達を倒すためなら神の洪水もじさない。わかるわ

そしてひなたん星人カワイイ

乙です
最強の生物vs究極生命体という展開を一瞬考えたけど奈緒が可愛そうだな
ノアの方舟…どう使うんだろう
やっぱり地球は大ピンチだね

おつー

ベルゼブブとバアル・ゼブル、ルシファーとルシフェル
それぞれ別物として扱うのなら、レヴィアタンとは別にリヴァイアサンも出せるよね
とか妄想してたら、それが実現しそうという

乙乙!
オリジナルvsドッペルが出来るのか…

乙です
川島さんこわいわ
ノアの箱船はどう使うのかさっぱりわからないわ
そして初代はどうしろと…復活阻止イベント的な感じかね

おっつおっつ
ひなたんつよい
剣士と言うより狂戦士ね
川島さん暗躍してるなあ

たった今書き上がったカミカゼをそのまま投下だー

イブと裕美と先輩と杏と菜々と夕美を借りた

烈風「どうすりゃいいんだよこれ……」

美世「さ、さあ……」

 どこか優しい雨が降り注ぐ中、カースひしめく街を駆け、二人は避難民の元へと辿り着いた……が、
 ――そこは氷の壁に覆われて出入りができる状態ではなかった。

烈風「どう見てもカースの仕業じゃねえし、下手にぶち破るわけにもいかないよな」

 ガンガンとノックの要領で叩いてみると、分厚い壁はしっかりとした手ごたえを返してくる。
 これを力ずくで除けようとすれば、中の人が危険だろう。

??「あら、ヒーローの方ですかぁ~?」

 二人が手をこまねいていると、背後から間延びした声が上がる。
 振り返るとそこには少女が二人。
 宙に浮いているから、恐らく魔法使いとかだろう。

烈風「ああ、救出に来たんだけどな、この壁をどうしようか迷ってたとこだ。
   これはあんたらがやったのか?」

??「そうです、私たちはそれの張り直しに来たんですよ。
   一旦魔法を解くので少々お待ちくださいね」

 そう言って二人が壁に向かい一緒に呪文を唱えると、頑丈で分厚かった壁が煙のように消えてしまう。

烈風「はあー、魔法ってのはすげえな」

??「貴女みたいに拳でカースに立ち向かうのもすごいと思いますけどね」

烈風「ん? なんだアタシのこと知ってたのか?」

裕美「貴女は割と有名ですからね……と、名乗りが遅れましたね。
   私は関裕美、魔法使いをやってます。
   こちらが私の師匠の……」

イブ「イブ・サンタクロースです~♪
   イブ非日常相談事務所を経営してます~♪」

烈風「もう知ってるみたいだけど、アタシはカミカゼやってる向井拓海だ」

美世「専属メカニックの原田美世でーす」

 簡単に名乗ると、美世の装甲車に怪我人や無能力者を優先で乗せる。

裕美「今回は貼り直しとタイミングが合ったようで幸いでしたが、私たちは主に病院に居ますので救助を続けてくださるならそちらへいらしてくださいね」

美世「りょーかい」

裕美「では、ご武運を」

イブ「お気をつけて~」

 壁を貼り直す二人と別れ、カミカゼと美世は来た道を戻る。
 カミカゼによって一度倒された分数はまだ少ないが、それでも再び湧き出したカースによって道はすでに塞がっている。

烈風「キリがねえなあ、全くよお!」

美世「時間かけるだけ不利だよ、一気に駆け抜けよう!」

烈風「よし、こじ開ける! リストツイスト!」

 風を生み、道をこじ開け突き進む。

 幾度かそれを繰り返し、そろそろ半ばも過ぎようかという頃。

??「随分騒がしいので見に来てみれば、好き勝手に暴れまわってくれているみたいですね」

 角を曲がった先は既に拓けていて、ぽつりと佇む少女が一人。
 大人しく路地の隙間を塞ぐカースの群れは、頭を垂れているようにも見える。

烈風「……美世、先に行け」

美世「え、でも」

烈風「いいから行け!」

 言うが早いか、カースの一団を消し飛ばす。
 美世は納得のいかない表情を浮かべてはいたが、黙ってそこに向かう。

??「すんなり通すと思いますか?」

烈風「邪魔立てすんな!」

 美世へ向かおうとした少女をカミカゼが弾き、美世が消えた路地はカースによって塞がる。

??「……自己犠牲で友情ごっこですか。さすがヒーロー、反吐が出ます」

烈風「犠牲になるつもりなんてねえし、何より『ごっこ』じゃねえんだよ!」

 叫び、殴りかかる。
 単調なそれは防がれてしまうが、衝撃で少女は大きく後退する。

 驚愕の表情を浮かべる相手に肉薄し、追撃。
 今度はしっかりと受け止められ、少女が後ずさる代わりにアスファルトに亀裂が走った。

??「この、馬鹿力!」

 少女はカミカゼの腕を掴むと、力任せに放り投げた。
 投げ飛ばされたカミカゼは、ビルの壁に脚を突きさして着地する。

烈風「人のこと言えた口か!」

 壁を蹴って跳び、再び接近を試みる。
 少女は標識を引き抜くと、振りかぶって空中のカミカゼに叩きつける。

 カミカゼが手刀で標識を切断し、少女は鋭利になった先端で突く。

 掴んで止めると、カミカゼごとフルスイングして投げ捨てる。

 最接近、今度は車が飛んでくる。

 跳んでかわすと、少女もそこに居た。

烈風「っ!」

 同時に放たれた拳は互いの頬を捕え、三度距離が開く。

??「……分かりませんね。
   貴方の闘志には怒りが多分に含まれる、なのにどうして飲まれないのですか」

烈風「んなもん知るか」

??「まあ良いです。理由はどうあれ、そこに怒りがある限り私の力になるんですから。
   せいぜい足掻いて、怒りを振りまいてから死んでください」

烈風「そうかい。生憎、相手が強いほど燃える性質なんでな、そっちの力が増す限り、アタシの力も湧き続けるんだよ!
   いくらでもやってやるさ!」

??「減らず口を!」

 少女の周囲に核が生まれ、そこから黒い泥が湧く。

 カミカゼが生んだ風が核を吹き飛ばすと、少女は足を地に埋めて踏み止まる。

 今度は吹き飛ばされないよう手の中に核を生むと、カースを武器のように振るう。

 カミカゼは少女がそうしたように足を地に突き刺し、泥の体を受け止める。

 そのまましばし綱引きのような状態が続き、カースの体が千切れる。

 二人は足を引き抜くと、相手の元へ駆けながら拳を構え――







 ――少女は濡れた路面で足を滑らせた。






_____________

 杏はイヤな雨の降りしきる中、ようやく街へと侵入に成功した。
 GDFや報道機関などに囲まれたここへの侵入に手間取ってしまい正直うんざりしているが、まだ目的は半分も果たされていない。
 怒りっぽい同居人を連れ戻すために、この街をまだ駆けずりまわらなくてはならないのだ。

杏「あぁもう、杏にここまでさせたんだから、泰葉には何としても返ってきてもらうよ……
  にしても、なんかこうNTみたいにピーンと居場所分かったりしないかな」

 ぼやきながらも足は止まらない。こんなに動いているのはいつ以来だろうか。
 カースの無駄な巨体で見通しが悪い道を駆け、僅かな隙間から周囲を伺う。
 そうしてしばらく探索していると、不意に目の前を装甲車が走り抜けていった。

 別に撥ねられたとて死にはしないだろうが、思わず尻もちをついた杏は立ち上がり、車の去った方を眺める。
 そしてふと予感めいたものを感じ取り、車が来た方へと向かう。
 気持ちカースの少ない方を選んで進んだ先に、果たして目的の人物は居た。

 どうやらヒーローと戦っているようだ、加勢してあげないと。
 しかし二人の居る通りに駆け付けようとした矢先、泰葉は足を滑らせた。

杏「ーーっ!」

 ほぼ無意識の行動だった。
 生みだしたカースに自分を投げさせ、泰葉を突き飛ばす。
 驚いた泰葉と目が合い――痛烈な打撃が背中にめり込んだ。

_____________

泰葉「どうして……」

 自分は彼女たちに何も言わず、半ば捨てるようにして出ていったはずだ。
 だというのにどうして、よりによって怠け者の彼女がここに来て、しかも自分を庇うような真似をしたのだろう。
 さっきまで戦っていたヒーローは彼女の乱入に戸惑っていたけど、結局仲間を追って行ってしまった。

 自分は何をしているのだろう。
 捨てた仲間に助けられて、邪魔者の排除にも失敗して……

杏「泰葉……」

泰葉「あ、杏さん! 大丈夫ですか!」

杏「杏の能力知ってるでしょ? このぐらいすぐ治るって。
  それよりもさ、泰葉……帰ろう?
  泰葉が何をしたくてここに来て、こんなことまでしてるのかは知らないけどさ、全部終わってからでいいから帰ろうよ。

  幸子も待ってるんだよ?
  あの場所を守るって言って、ここには来なかったけどさ。
  何より……げほっ」

杏「何より、杏にここまでさせたんだから、嫌って言っても首に縄付けてでも連れて帰るけどね」

泰葉「分かりましたから、帰りますから! 無理に喋らないでください!」

杏「よーし言質取った。
  で、駆け付けといてなんだけどさ、珍しく走り回ったもんだから疲れちゃったよ。
  だから、ちょっと、寝かせ、て……」

泰葉「あ、杏さん!? 杏さん!?」

 思わず杏の体を揺する。
 杏は呼びかけには答えず、代わりに寝息を返してきた。
 とりあえず生きていたことにほっと一息。

泰葉「よかった……生きてる。
   ……とりあえず、あのヒーローは絶対に許せませんね」

 眠る杏を起こさないよう、静かに怒りを燃やした。

_____________

 あと少しで街の外、というところまで来て、美世は完全に立ち往生してしまった。
 周囲を取り囲むカースに絶えず車を叩かれ、車内が揺れる。
 今はまだ車体に傷一つついていないが、乗せている市民たちは皆不安になっている。

 さてどうしたものかと考えていると、

菜々「ウサミンスラッシュ!」

 カースが真っ二つになり、

夕美「咲け!」

 アスファルトを割って生えてきた植物が核を噛み砕いた。

美世「ナナちゃん! 夕美ちゃん!」

菜々「正式な指令が下りたので加勢に来ましたよ!」

夕美「片づけるからちょっと待ってて!」

 加勢に来た二人によってカースが倒され、再び車が進みだす。
 しかし細かな蛇たちが攻撃の隙間を縫って車に這い寄る。

美世「わー! 何これ、何これ!」

菜々「うう、車体に張り付かれると下手に手出しが……」

烈風「真空唐竹割り!」

 そこへ追いついたカミカゼが手刀を振るうと、発生した風の刃が蛇を切り裂く。
 刃は車にも襲いかかるが、傷を付けるには至らない。

烈風「悪い、待たせた!」

美世「ちょっと! 助かったけど乱暴過ぎるよ!」

菜々「拓海さんも無事だったんですね……ってあれー!? カミカゼもなんか変わってません!?
   こうなったらナナも装備を新調するしか……」

夕美「ナナちゃん、それは帰ってからにしようね。
   拓海ちゃん、新たに手に入った攻略マップとやらがあるから、騒動の原因を退治するよう指令が下りたわ」

烈風「マジか! じゃあすぐに再突入だな!」

 合流を果たし、攻略が本格化し始めた。

      了

――次回予告――

美世「ナナちゃん夕美ちゃんが加わって、街での戦いも本格化!
   攻略の拠点とするためイブさんたちのいる病院に向かう道中、新たな敵が現れる!
   正気を失い暴力を振りまく少女を、止めることはできるのか!?

   次回の特攻戦士カミカゼは、
   『狂戦士』!
   覚悟、完了!」

 この番組は、株式会社DeNAとアイドルヒーロー同盟、ゴランノスポンサーの提供でお送りしました。

投下終了

もっとしっかりバトル書きたいけどうまく書けない

次回以降もしばらく菜々と夕美借りっぱなしになるし、もうレギュラー扱いで良い気がしてきた

乙です
やっぱりカミカゼは熱くてイイネ!

(菜々&夕美レギュラー大歓迎ダヨー)ボソリ

乙ー

あれ?なんか杏ちゃんが憤怒Pに殺される展開が見えた…

そして憤怒の王降臨的な

しかし改めて>>395 を見ると奈緒は先駆者に一番近いキャラな気がしてきた…
そういう実験の失敗作だったとか…ないか

おつおつ
カミカゼかっけえのう……杏の死亡フラグが怖い。助けてヒーロー

相馬夏美予約します

シリアスな憤怒の街で盛り上がる中、宇宙レベルに空気を創り出すSS投下

ヘレン「なるほど」

 パラパラと地上の新聞を読みつつ、ヘレンが呟く。
 彼女はヘレン。宇宙の向こうからやってきた侵略者だ。

マシン「マム、どうしました?」

ヘレン「地上ではヒーローが多数いるらしいわ」

マシン「そうなのですか。知りませんでした」

ヘレン「仕方のないことね。励みなさい」

 ポンと配下のマシンの頭をヘレンが叩く。
 マシンは無機質にアイカメラのライトを点滅させた。

マシン「……多数のヒーロー、とのことですが」

ヘレン「えぇ、そう。どうやら正義感にあふれた子たちがいろいろと邪魔をしたがるみたいね……ふぅ、無駄な抵抗もまた美しいけれど」

 少しの間をおいてマシンが質問を続ける。
 ヘレンは演技がかった動きで憂鬱さを表現し、そのあと大きなため息を吐いた。

マシン「確かに、マムに及ぶものなどありえませんね」

ヘレン「そう。それは当たり前のこと……」

 マシンはあくまでも無機質にヘレンを讃える。
 ヘレンもそれが当然のことであると受け止めて答えた。

ヘレン「だけど。それならそれで面白いことを思いついたわ」

マシン「面白いもの、ですか?」

 悪いことを思いついた子供のようにヘレンが笑う。
 パチン、と指を鳴らすと大きなドラム式洗濯機のような機械が降って来た。

 そしてマシンへと簡単に書かれた設計図と、どこからか取り出した資材を渡す。
 マシンは何も言わず、ヘレンの次の言葉を待っている。

ヘレン「材料はあるわ。設計はこっち。あなたは応えられる?」

マシン「……勿論です、マム」

 あくまで無機質にマシンが答えると、ヘレンは満足気にうなずいてその頭へと手をやった。
 少し撫でたあと、そのまま奥の寝室へと彼女は向かう。

 その後姿を見届けてから、マシンは機械を稼働させ始めた。

――翌朝

ヘレン「できたかしら?」

マシン「えぇ、完成しました。マム」

 奥の寝室からやってきたヘレンが声をかけると、マシンが待っていたようにゆっくりと振り返る。
 その後ろの機械は完成を示すようにピカピカとランプを光らせていた。

ヘレン「……満足できるかしら?」

マシン「全てはマムのために」

ヘレン「なら、見せてみなさい」

マシン「イエス、マム」

 にぃ、とヘレンが笑い、マシンが答える。
 洗濯機の蓋が開き、まばゆい光があたりを襲った。

マシン「――?」

ヘレン「………どうしたの?」

マシン「申し訳ございません、マム。どうやら失敗――」

 開いた洗濯機の中からは何も這い出ては来ない。
 どうやらうまくいかなかったらしく、マシンが謝罪しようと振り返るとそこにはすでにヘレンの姿はなかった。

マシン「……マム?」

ヘレン「そう……少し、お腹が減ってるみたいね」

 もう一度振り返る。いつの間にやらヘレンは洗濯機の横へ立ち、中をのぞき込んでいた。
 すぅ、と手を動かすともう一度機械を起動させる。

ヘレン「これでいいわ」

マシン「……マム、私は」

ヘレン「この設計図はできそこないね。あなたが完成させられないのだから」

 マシンが謝罪の言葉を述べる前に、ヘレンが設計図を燃やしてしまう。
 マシンはただ、燃え上がるそれを見つめていた。

ヘレン「これでいいわ。とりあえずの試作品ね」

 洗濯機が改めて完成を示すランプを光らせる。
 ドアが開き、長い毛を引きずって2つの影が這い出てきた。

ヘレン「……2体に分かれる。こちらの方が安定するわ」

マシン「マム、これは――」

 自分の失敗だ。と続ける前にヘレンが言葉を遮る。

ヘレン「いえ、それはあり得ない……これでいいの。安心しなさい」

マシン「………イエス、マム」

ヘレン「もともと異なる2つの性質。同時に持たせるよりも別行動を行わせた方が楽しいでしょう?」

 そういうヘレンの手の中には、割られた卵の殻。
 どうやら合成たんぱく質のバランスを変えたらしい。

マシン「流石です、マム」

 制作物をあっという間に別物へとつくりかえたへレンに対し、マシンはただ驚嘆の声を出す。
 あくまでも無機質ではあったが、ヘレンはそれを聞いて満足気に笑った。

ヘレン「いきなさい……アバクーゾ、ハンテーン」

 完全に姿を現した怪人2体が唸り声をあげる。
 片方は長い首を持ち、全身柔らかそうな毛を纏ったつぶらな瞳の獣人。
 もう片方はずんぐりとした体に短い手足を持ち、短くそろえられた茶色の毛並が美しい獣人。

アバクーゾ「あばくぞー!」

ハンテーン「はんてーん!」

 どちらも凶悪な姿には見えないが、張り切った様子で降下用の装備を装着して地上へと飛び立っていった。

マシン「しかし、なぜあのような怪人を?」

 怪人たちが無事に活動を開始したのを確認した後、マシンが疑問を口にする。
 最初に作ろうとしていたのは『性質反転』――つまり、ヒーローを悪に落とす怪人だ。
 改めて作られたあの怪人たちにそのような力があるようには見えない。

ヘレン「そうね……今の時点では満足のいくものにならなかった。私は私が満足できるものしか求めないの」

マシン「なるほど。あの2匹は実験体ですか」

ヘレン「いえ。あれは他のヒーローたちの活動を見て閃いたものよ」

マシン「……相手の精神へと感応し、意思と異なる行動を起こさせる。結果として孤立することを狙う。そういった理由でしょうか」

ヘレン「えぇ。やはりあなたは賢いわ……私が作ったのだから、当然だけど」

マシン「ありがとうございます、マム。ですがひとつ」

ヘレン「……どうしたの?」

マシン「本日のベーコンエッグのエッグが切れました。いかがしましょう?」

ヘレン「…………仕方ないわ。とってきなさい」

 本日の朝食の材料を買いにマシンが地上へ降り立つ。
 ヘレンはその空腹をたたえながら朝食の時を待つことを決めた。

!イベント情報

 「憤怒の街」終了後の時系列の設定でドタバタ系イベント「嘘つきと本音」が開始されました
 日本全国津々浦々を怪人「アバクーゾ」と「ハンテーン」が襲います。

 本人たちの戦闘力は非常に低いですが、逃げ足の速さと頑丈さはピカイチです。


アバクーゾ
属性:アルパカ風獣人
ふかふかの毛におおわれた獣人。
凶悪な爪や牙といった機能がオミットされた代わりに柔軟性にすぐれ、打撃攻撃に対して非常に高い防御力をほこる。
実はふかふかの毛には大量の『本音薬』が含まれており、叩いたり近くで暴れられると思わず自分の隠し事を大声で叫んでしまう。
そのほか、本音薬を凝縮した液体を吐き出したりすることも可能。

ハンテーン
属性:カピバラ風獣人
ずんぐりとした体形につぶらな瞳がチャームポイントの獣人。
凶悪な爪や牙といった機能がオミットされた代わりに瞬時に硬質化する毛で全身を覆っているため斬撃に対して非常に高い防御力をほこる。
実はその毛には『反転薬』が塗り込まれており、刺さると性格が反転してしまう。
反転してしまうのはあくまで表面上の性格だけのため、本質は変化しない。
そのほか、毛バリを発射したりすることも可能。

以上、ギャグイベント開始宣言でした
シリアスできるかと思ったらしなかった。やはりヘレンさんは宇宙レベルであるな

乙です
性格反転は表面だけ…つまり本音液と組み合わされば「大っ嫌い!」(大好き!…あれ?)って感じかな?
非常にカオス空間になりそう

乙乙!
ヘレンさんがいいキャラしてるな…。
それにしてもこいつらどうやって喋らせればいいんだろうか…?

おつー

それぞれに斬撃耐性と打撃耐性があるのか
しかも見た目がアルパカとカピバラじゃあ戦意も削がれる
これは想像以上に厄介な相手だなー(棒)

乙乙
これはまた面白そうなイベントが

なんかこの二人のやりとりが某火の玉アニメで再生されてしょうがない……ww

乙ー

なんか楽しそうだなwwww

イベント楽しみ

おつおつ
コメディイベントかぁ・・・どんなんくるんだろ

キヨラさんと捕まった大罪の悪魔達を投下します

更生施設の職員にはもう一つ仕事がある。

カルテの写真に×マークの付いた重罪人の処刑である。

「許してくれえええ!いやだ!二回も死にたくねええええ!」

今日はとある連続殺人鬼の処刑だ。更生施設の外の広場で今まさに行われようとしていた。

「我らのカルテによって、汝の悪行は償いきれないと判決は下された。次からは虫として生きるがいい。」

「そうすれば虫さんたちの魂のループから一つの魂が人として生きることになりますからねー♪じゃあ、始めましょうか。」

「うむ、頼んだぞキヨラ。」

「どれがいいですかね?首つりに電気椅子に鉄の処女にギロチン…やっぱりあれですね♪」

キヨラがメスを魔法のステッキのように振りながら呪文を唱える。

『汝の悪行、魂の死によって罰せられる。処刑器具の名は『ファラリスの雄牛』!天界の全能神に生まれたことを詫びて死になさい!』

罪人の真横に青銅のような物で作られた牛が召喚される。

背中の扉が開き、中から黒い手が溢れ出し、罪人を中に連れ込み、鍵をかける。

そして牛の真下に炎が燃え上がった。

…あとはお察しください。

朝の処刑を終え、施設の裏庭にキヨラはやってきていた。

「ベルフェゴールちゃん、ルシファーちゃん、お仕事の調子はどう?」

「…ハイ、オシゴトシテマス」

「…ちゃんとやってますよぉ?」

少女の姿のベルフェゴールと、怪物の姿のルシファーがひたすら穴を掘っては埋める作業をしていた。

最近はやっと敬語が身についてきたというところか。いや、ベルフェゴールはまだ敬語がぎこちない。

ちなみに…ルシファーには『人間界の崩壊を望んだ罪』『脱走を企んだ罪』が追加されていた。

働くことを喜びとせずに余計な事を考えれば罪となり、刑期は伸びるばかり。ここはそういう仕組みなのである。

「お疲れ様です♪やっぱり体がない魂の状態だとこれしかすることが無いのよね…。」

「…じゃあ体を得たらどういうことさせられるのさ…」

「大半の子は、掃除とか洗濯とか…悪魔の召使いになる修業をするのよ♪…ただの召使いじゃないんだけどね。お給料をくれるのもご主人様の気分次第だし…。」

(そりゃ20時間労働だもんね…絶対召使いじゃすまないよ)

「ということで!職人さんが特注品の大罪の悪魔さん用の体を作ってくれたので入ってくださいね!」

袋から…山羊・熊・ライオン・犬・狐の小さなぬいぐるみを取り出す。

「そぉれ♪」

熊とライオンのぬいぐるみを掲げると、二人の魂は吸い込まれてしまった。

「気分はどう?」

「…最悪…というかなんで熊?…ですか?」

「可愛くないですよぉ…これじゃあ大罪の悪魔(笑)ですよぉ…」

それは魂を閉じ込める檻。痛覚が魂にリンクされており、ぬいぐるみのような体なのに痛いときは痛い。

しかし素材は魔界で最も強い防具の素材の一つとされている皮で作られており、魔法にはかなり耐性がある。…物理に関しては人並みだが。

万が一破損しても縫えば回復したのと同じ効果を得る。

「大丈夫そうね♪これでみんなと一緒に…」

「キヨラ、今大丈夫か?話がある!」

扉を開けて、施設長が少し慌てた様子でキヨラを呼び出した。

「はーい、今行きます!…二人とも取りあえず穴掘り続けててね♪…やらなかったらすぐわかるから…うふふ♪」

「は、はい…」

職員が全員集まる中、キヨラは会議室の中央に立っていた。

「キヨラ、最も優秀な職員である君に、人間界へ行ってもらいたい。」

「…何故ですか?」

「…天使・魔族・人間…地球と天界と魔界の全ての者の罪を認識できるのが我ら。我々は死んだ魂を裁き、教育するのが仕事だ。」

「しかし、悪魔や堕天使等に『実行できる能力を持っている者が世界の崩壊を企んだ罪』が現れた。…今まではこんなことはなかった。」

「裁きのカルテが今までにない罪を認識したと…。」

「…ああ。我々はこれを危機と捉えた。堕天使は境界崩しを企み、嫉妬の悪魔が封印された悪魔を復活させようとしている。」

その言葉に他にもいた職員が騒めく。

当たり前だ。境界が崩れてしまったら生死の境界もなくなり、人々は人を殺すことに躊躇しないだろうし、初代嫉妬の悪魔はあまりにも強い。

…ここにいる全員が堕天使と嫉妬の悪魔をどう処刑するかヒソヒソと話し出した。

かわいいルシフェルはギロチンがいい!きっといい顔をしてくれる!

   このバアル・ゼブルは?     そうだなぁ、鉄の処女とかどうです?いい感じの声が出そうだと思いません?

  レヴィアタンは…電気椅子でいいだろ。  いや、現役大罪の悪魔は労働だ、あきらめろ。

    …アザエルは?堕天使だし処刑してもいいんだろ?     俺は雄牛を希望する。首つりでもいいけど。

「静粛に。」

施設長の言葉で皆が黙る。

「さらにだ。『魂の状態で生き続ける罪』を犯した竜がいるのはもう皆知っていると思うが…嫉妬の悪魔と手を組んだそうだ。」

職員全員が歓喜の声を上げる。

竜の処刑ができるなんて!   ユズちゃんもヒーローも頑張れ超頑張れ!

  こいつこそ雄牛でいいな!   きっといい悲鳴あげてくれるねぇ!

     俺が処刑する!   駄目よあたしが処刑するのよ!

    いやボクがすべきだと思うね!    私も処刑したいなぁ!

   自分も処刑したいぞ!      いいえ、ワタクシこそが相応しい!

「静 粛 に !」

シーンと静まり返る。

「皆で仲良く処刑すればいい!それよりもキヨラだ!」

全員が頷く。

「…キヨラにはその重罪人退治の補助を行う為に人間界へ行ってほしいのだ。」

「…私に、ですか。」

「そうだ。お前が一番優秀だからこそ、この任務を任せたい。」

一呼吸おいて、キヨラはいつもの笑顔で答えた。

「お任せください。」

人間界。街中にキヨラは居た。

柳清良。それがここでの名前。

清楚な服にオシャレなバッグ。しっかり普通の女性のように見える。

…その両脇に二体の動くぬいぐるみが無ければ。

…まぁ「能力者なんだろう」で済むから便利なものである。

「なんでアタシ達まで連れてこられるのさ!」

熊のぬいぐるみのベルフェゴールが文句を言うも、笑顔で窘められる。

「貴方たちは私が担当なんだから当たり前でしょう?それに終われば一世紀分の刑期免除でしょう?」

「そうだけど…ですけどさー経験値ゼロの呪いの装備をしているアタシ達じゃ戦力にならないでしょう?」

「能力の制限はある程度解いたじゃない。情報収集能力だって今までのデータも使えるんだし、わがまま言っちゃダメよ。」

「えー…」

キヨラの情報を見ようとしてもできない。逃げようとしても次の瞬間には頭が飛んでいる。

…ベルフェゴールはどうしろととしか思えなかった。

ライオンのぬいぐるみのルシファーは、どこからか手鏡を取り出すと雪菜の姿へ変化した。

「ちゃんと変身できますねぇ…感覚的に数分程度かしらぁ。」

「レベル1ってことはMPもほとんど無いからねぇ…」

そのままショーウィンドウを見つめていると、背後に黒い泥が生まれたのが見えた。

『ドウシテドウシテドウシテエエエエ!』

『メンドクサイヨォ…ハタラキタクナイヨォ』

「あら?」

「高慢のカース…操作はできないわねぇ…なんか腹が立たない?」

「あー怠惰もだ。操作できないとかマジ…?キヨラさん、どうするのさ?」

「…」

バッグから明らかに入らないであろうサイズの医療用ノコギリを取り出すと、にっこりほほ笑んだ。

「悪い子はオシオキしないと♪」

ふわりとキヨラの周りにはメスが浮かび、指で示したカースに一直線に飛んでいく。

『イウトオリニシヤガレェ!』

ドロドロの腕を振り回して高慢のカースがメスを受け止める。

『汝、我が魔の力を受け、呪われよ。その呪いの名は【死の癒し】!毒を薬に、薬を毒に!呪われた哀れな者となり、性質よ反転せよ!』

キヨラの右手に持っていたメスから黒い光が怠惰のカースに飛び、呪う。

『光よ!大いなる我が力に従い、その優しい微笑みのような力で我が示す者を癒せ!ヒーリング!』

連続で回復魔術を怠惰のカースへ発する。

死の癒しの呪いによって、痛みはないのに内側から崩壊する。

『ア、アア、アアアア』

核が飛び出すと、その手からメスが飛び出し、貫いた。

『ムシスルナアアアア!』

「ベルフェゴールちゃん!」

「ちょ!?ぎゃああああああああああああ!」

『!?』

キヨラがベルフェゴールを高慢のカースが伸ばしてきた腕に投げる。もちろん正面衝突だ。

カースもさすがにそっちに気がとられる。

「…余所見しちゃ駄目よ?」

声はさっき立っていたところの真逆の方向から。

投げた時に一個だけ軌道をずらし、背後で空中に浮かんでいたメスの上に器用に立っていた。

次の瞬間にはさっきまで全く使っていなかったノコギリでカースを真っ二つにしていた。

『ゴア、グアアアア!』

しかし核を砕かなければ意味がない。二つに切り裂いた体の片方が再生を始めていた。

…抜かりはない。

『汝は悪の塊。我ら、悪は滅するのみ。処刑器具の名は『鉄の処女』!天界の全能神に生まれたことを詫びて死になさい!』

カースの真上に大きなサイズのその処刑器具が召喚される。

棺が開き、中から無数の黒い腕が伸びてカースを中へと連れ込んだ。

扉が閉まる。

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

耳をつんざく程の音量。ルシファーは耳を覆っている。

「ふぅ…。」

しかしキヨラは満足気な表情をしていた。

カースに殴られ気絶したものの、すでに体は自分の能力で回復しているベルフェゴールを回収する。

「…」

ルシファーも無言でぬいぐるみの姿に戻ると、キヨラに回収された。

「さて、まずは姫様やユズちゃんから探しましょうか!」

情報更新
キヨラ
施設長の命令を受け、人間界で暴れまわる重罪人の討伐の補助をするためにやって来た。
重罪人と戦うヒーロー達なら無償で援護します。
施設長からもらった四次元バッグからは魔法の医療器具を取り出し放題。ただし職員以外にはただのバッグである。
人間界に来るにあたって、レベルドレインは大幅に制限を受け、一人のレベルを5分だけ奪える程度に収まっている。
しかし、奪ったレベルを他の誰かにその5分以内なら貸し借りできる。
罪人やその内容は決して口にしてはいけないが把握している。
自分から行くことは少ないが、売られた喧嘩は買う。

ベルフェゴール(ぬいぐるみ)
熊のぬいぐるみに入っているがちゃんと大罪の悪魔。
その力は大幅に衰えているが消えたわけではない。
大罪の証はまだ不明。
回復が早いことが災いしているのか、キヨラさんに容赦されてない。

ルシファー(ぬいぐるみ)
ライオンのぬいぐるみに入っているがちゃんと大罪の悪魔。
その力は大幅に衰えているが消えたわけではない。
大罪の証による変身も結構劣化してしまっている模様。

魔界更生施設
実力のあるドSの巣屈。殆どの職員が戦争の生き残りである。
職員は基本的に閻魔のように罪人を裁く役割や、罪人の更生をしているが、処刑人もしている。
死神と同様に天界とのつながりが深い。

以上です。キヨラさんをもっと絡めたいんだ…
ベルフェゴールとルシファーがアザゼルさんのようになってますが…うん。どうしようこれ。

乙!
>>棺が開き、中から無数の黒い腕が伸びてカースを中へと連れ込んだ

なぜかムヒョとロージーが浮かんだ。

乙です
実力のあるドSの巣屈…なにそれ怖い
川島さんのドッペルvs本体が一応可能なのか

三好紗南(ベルフェゴール)のその後

紗南本体 桃華ちゃまに扱き使われる
ベルフェゴール 清良さんに扱き使われる
配下のカース 川島さんに扱き使われる

仕事させられすぎだwwwwwwww属性怠惰なのにwwwwwwwwwwww

>>501
まじだw仕事しすぎだw

あと処刑談義の時の
>自分も処刑したいぞ!
これが響にしか見えない

乙ー

さっそくばれてる……だと?…魔界の情報収集がチート並だ…

こえー魔界こえー

おつー!

おっちし
ついに魔界勢みんなを巻き込んだ戦争フラグが立ったか

ハンテーンとアバクーゾお借りしてちょいと投下します



美穂「は~はっはっはっはっは~!!」


今日も今日とて一人の少女の高笑いが街に響く!


美穂「愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人!ただいま惨状ナリっ☆」 キュピーン


最近、ちょっとだけ有名になったヒーロー、ひなたん星人こと小日向美穂!

怪人が現れたらしいと、街の騒ぎを聞きつけ駆けつけた!!


なお本人は有名になりつつある事に非常に複雑な気持ちである模様

少なくとも卯月ちゃんには、ひなたん星人としての活動バレないだろうから頑張れ、美穂!


さて!そんな美穂の今回のお相手は!?



ハンテーン「はんてーん!」



街に人々を襲う謎のカピバラ獣人!

その名前、能力、目的は一切不明!

鳴き声から名前はとりあえずハンテーンだ!!


美穂「か、カワイイひなたっ!」

ハンテーン「?」


カピバラモデルのその怪人、

ずんぐりとしたその姿は穏やかそうで、どこかゆるく、

怪人でなければお持ち帰りしたいほどキュートであったりした。


美穂「ひなたんは、アレのぬいぐるみの商品化を希望するひなたっ!」


何処にだ。
 


それはさておき、


美穂「ひなたんの力は本来カースを狩るためにあるナリ」

美穂「けれど、街を騒がす存在も放っておくわけにはいかないひなたっ!」


その人格と力の維持に、負のエネルギーを必要とするひなたん星人は

エネルギーを補充できるカース狩りのとき以外はできるだけ力を抑えておくべきなのだが、

美穂自身にはそんな事情は関係なく、守れる人は守りたいと思っていて、


ひんたん星人にしても、そんな美穂のヒーロー像をベースにして作られた人格なのだ。

街の騒ぎにはヒーローとしての血が騒ぎ(?)、できるだけ駆けつけたくなるらしい。



美穂「この街はまるごとつるっとぜ~んぶ私のものひなたっ☆」 キラッ


美穂「他の誰にも、たとえカピバラさんにもあげることはできないナリっ!」


そう言って刀を構える少女


ハンテーン「はんてん!!」


主の敵であるところのヒーローとやらが臨戦態勢に入ったのを見て、

ハンテーンもまたやる気満々だ!



ハンテーン「はん!」


先に動いたのはカピバラ獣人だった!

自身の体毛の一部を硬質化させ!


ハンテーン「てーん!!」


一気に射出!

数え切れない毛針攻撃が美穂に襲い掛かる!


だが


美穂「こんなものひなた?」


目前で刀をただ一振り

それだけで襲い来る毛針の全てを叩き落してしまった!


ハンテーン「はんてん?!」

自身の攻撃を物ともしない少女の様子に怪人は驚く


美穂「ひなたん星人の秘密☆その5!」

美穂「聖なる乙女を守るバリアーがひなたんを守ってくれるナリ☆」


バリアー(物理)である。



美穂「今度はこっちから行くひなたっ☆」


そう言うと少女は凄まじいスピードでハンテーンに駆け寄ってくる


ハンテーン「は、はんてん!!はんてん!!」


毛針を射出し、近づけさせまいと応戦するが無駄。

その全てが叩き落され、簡単に接近を許してしまった。


美穂「悔い改めるナリ☆」

ハンテーン「はんてん!?」

美穂「ラブリージャスティスひなたんフラーッシュっ!!」


全てを一刀両断にするひなたん星人の一撃が怪人に向けて放たれる!


が、しかし!!


ハンテーン「はんてん!!」


ハンテーンは全身の毛並みを一気に硬質化!

なんとラブリージャスティスひなたんフラッシュ(物理)をその体で受け止めたっ!!



美穂「!」


まるで信じられないものを見るように驚く少女の隙を逃すハンテーンではない!

硬質化した毛をさらに爆発するように全方位に射出!

さながら炸裂弾の如し!


美穂「くっ!」


慌てて飛び退き、飛んできた針を刀で打ち落とすが、

しかし討ち漏らした何本かの毛針が手足の数箇所に刺さってしまった。


ハンテーン「はんてーん♪」


ドヤ顔でしてやったりとでも言いたげなハンテーンであった。



美穂「ど、どういうことナリ・・・・・・?」

ハンテーン「?」

美穂「ひなたんの必殺技であるところの」

美穂「ラブリージャスティスひなたんフラッシュが効かないなんて信じられないひなたっ!」

ハンテーン「はんてん?」


これはおかしいとハンテーンは思う。

針弾自体に威力はさほど無いから、刺さってもケロっとしているのはいい。

だが、自身の針弾に塗りこまれた『反転薬』、その効果すら少女には無いように見えた。


美穂「ひなたん星人の秘密☆その6」

美穂「天使の祝福によって、ひなたんにはどんな毒も効かないナリっ☆」


妖刀『小春日和』の効力である。

『小春日和』はあまりに精神支配力が強い、日本一、横暴な刀。

ひなたん星人には、いかなる薬であろうと精神に作用する効果であるならそれは通じない。



ハンテーン「・・・・・・。」


カピバラ獣人ハンテーンは考える。

今相手にしている少女。

この娘は、自身の能力が通じない上に戦闘能力があまりに高い。

ただ、刀による攻撃しか出来ないようなので、

斬撃に対して非常に強い耐性を持つハンテーンの毛並みは、少しばかり彼女に対して優位であろう。


ただし、先ほどの全方位毛針攻撃で、

全身の毛の数割を射出した今はその限りではない。

毛の再生には多少の時間が掛かる。


そもそも毛針が通じなかった以上、この場で戦う理由が何一つないのだ。

ならば、やる事は一つ。


ハンテーン「はんてん!」

言葉の通り、体の向きを反転させて、


美穂「あっ!!ちょっと待つナリ!!」


カピバラ怪人ハンテーンは逃げ出した。



美穂「な、なんて逃げ足の速い怪人ひなたっ」


それはもう瞬く間に、

はぐれメタルもびっくりなスピードで怪人は去っていった。


美穂「それにしても、怪人を逃がしてしまうなんてひなた・・・・・・」

美穂「ひなたん星人、一生の不覚ナリっ・・・・・・」


ひなたん星人がショックを受けるのは無理も無い。

日本一の刀による、日本一の技術を発揮した

まさに日本一の斬撃を、あの怪人は受け止めたのだ。

『傲慢』な刀から生まれた人格としては少々受け入れがたい事であろう。


美穂「・・・・・・修行が必要ひなた」

美穂「もっともっと強くなって!必ずあの怪人を!」

美穂「まるっとつるっと一刀両断にしてみせるひなたっ☆」


だが、ひなたん星人は挫けない!

斬撃の効かない相手にあえて斬撃で挑み、見事勝ってみせると誓うのであった!


そして少女は刀を鞘に納める。



美穂「さてと、これからどうしようかひなた☆」


美穂「・・・・・・・ん?」


美穂「おかしいナリ、ちゃんと『小春日和』は鞘に収めたのにひなた」


脇に抱える刀は、どう見ても鞘に収まっている。

なのに、何故だろうか


美穂「どうして、”私”の人格がまだ出てるナリ??」


何度、刀を抜き差ししても『ひなたん星人』の人格が引っ込む事は無かった。



『小春日和』の精神支配が強まるのは、あくまで”刀を抜いている”間だけである。

”鞘に収まっている”間、薬の効力が薄まるわけではなかったようで。

『反転薬』は恥ずかしがり屋の小日向美穂の内にあった、『ひなたん星人』の人格と合わさり、

この様な形で効果を発揮したのだった。


美穂「ふっふっふ」


美穂「は~はっはっはっはっはっは!」


美穂「薬の効果がどのくらい続くかはわからないナリ」


美穂「けれど、こうなったら私も精一杯日常を楽しむひなたっ☆」 キラッ



小日向美穂は薬の効果が切れるまでしばらくの間、ひなたん星人のまま生活をする事になるようだ。


――

――

一方その頃


アバクーゾ「あばくぞー!」


別の場所ではアバクーゾが暴れており、民衆はパニックに陥っていた。


肇「怪人ですね。」


肇は冷静に暴れる怪人を分析する。

どうやら、それに近寄ると自分の恥ずかしい秘密を大声で叫んでしまうらしかった。

そのせいで多くの人々が、恥ずかしさのあまりうな垂れ再起不能になっている。


肇「『戟王丸』なら遠距離から一撃で倒せるけれど・・・・・・。」

流石に一般人を巻き込みすぎるから、この案は却下だ。


肇「それなら」

と別の刀を取り出そうとするが、

アバクーゾ「あばくぞー!」

肇「!」

その前にアバクーゾが近づいてきていて

『本音薬』の含まれた毛が舞う。


肇「へっくち、しまっ・・・・・・」

くしゃみと共に少女の目が怪しくきらめく


肇「メンルイパワーでバハムに出張♪」

肇「みんな大好き 好き好き大好き うー☆どおぉん!!」

肇「メンルイハートにキュンキュンきらめく」

肇「ホントの気持ち 頑固☆一徹16歳!」

肇「だいじなだいじなトウゲイだもん!」 キャピピーン


肇「・・・・・はっ!!」


肇はかつて『小春日和』を所持していたことがある。

日本一、横暴な刀は鬼の少女のうちにも例外なく人格を作っており、

今のは当時、『小春日和』を抜いて戦った時に使われていた人格の再現であった。


肇「・・・・・・墓場まで持っていくって決めてたのにっ!」 ガクリ


アバクーゾ「あばくぞー♪」


鬼の孫娘の秘密を暴いたアバクーゾは、機嫌よく去って行ったのだった


おしまい

それもこれもだいたい小春日和って奴のせいなんだ。

乙ー

小春日和…恐ろしい子……

おつおつ
……この二匹意外と凶悪……っていうか小春日和が悪いのか?クソワロタwwwwww

乙です
小春日和はなんでウサミン寄りの人格ばっかり作るんだよw

おっつし
小春日和の被害者拡散イベントとかないですか

うー☆どおぉん!!
が反則的に腹筋を攻撃してくるんですが…

小ネタを投下

ハンテーンは後悔していた。
ハンテーンはマムにより仮初の命を与えられ、役目を得て地上に降り立った。

ハンテーン「は、はんてん!?」

だというのにこの有様は何だ?

ジグザグに走りながら二人の追手に毛バリを飛ばす。

リン『炎よ!』

虚しくも、自慢の毛バリは突如せり立つように現れた炎に焼かれ役目を果たせず燃え尽きる。

リン「一応このハリって燃えるんだ、モチーフが動物だからかな?」

沙織「あ、あんまり寄り道するとわだすたちウサミンさんに怒られてしまいません?」

ハンテーンの後を追うように二人の少女たちが駆ける。

リン「…沙織、これは他人に迷惑を掛けるロボットを捕まえるボランティアだよ」

…絶対嘘だ。
ハンテーンは確信していた。



思えば単純にこの場所で暴れすぎたのかもしれない。
なにせこの容姿だ。自分で言うのもなんだがらぶりーでぷりちーなカピバラさんだ。
ハンテーン自身が人間に近づいていかなくても向こうから女子供が寄ってくる。
そして撫でようとして手を伸ばしてきたところで少し食い込む程度に毛を逆立ててやればいい。
そうすれば人間は『反転』した。
それでいい、あくまでマムはハンテーンに人を過度に傷つけるように命令されなかった。
ハンテーンは何人もの人間を『反転』させて調子に乗っていた。

沙織「ウサミンさんは放っておぐと変なものしか食べませんがら」

リン「それで食材買いに来たの?」

沙織「わだずあんまり器用でねぇからこういう形でねぇと感謝してるって言えねぇし…」

沙織「ウ、ウサミンさんのこと話せる知り合いってリンさんぐらいしか知らねぇし…」

リン「…沙織は女の子だね」

などと会話に華を咲かせてる少女たちを次のターゲットに絞ろうなどと思ってしまったことも運が悪かった。
しかしまさか近寄った瞬間に少女たちの片割れに『機械油の臭い』などと言う理由で自分の正体がバレるとは思わなかった。
そしてこの辺りでアルパカを撫でた直後に性格が変わるなどという噂が丁度流れ始めてしまったのも悪かった。
やることをやったならさっさとトンズラしておけば良かったのだ。
そして何よりも運が悪かったのは…

リン『これって中身どうなってるんだろうね?』

少女の片割れが人畜無害な羊なんかではなく飢えた狼だったことだ。

リン「出来るだけ傷つけないで捕獲したいんだけどな」

などと言って少女がショルダーバックから何かの砲身のようなものを取り出しこちらに向けてくる。

リン「足の駆動ユニットぐらいなら私でも直せるから…」

砲身から何かが飛び出しハンテーンの足元のアスファルトが砕ける。

ハンテーン『は、ははは、はーん!?』

冗談じゃない、とんだ外れくじだ。

沙織「リ、リンちゃん!?やりすぎでねぇか!?」

リン「大丈夫、当てても峰打ちに……」

四肢が粉砕されるのはこの少女にとっては峰打ちなのだろうか?
どちらにしても捕まってもロクなことにはならないことは分かりきっていた。
慌てて近くでハンテーンと同じく人々の隠し事を暴いているであろうアバクーゾに救難信号を送る。
買い物袋を引っさげた二人の少女に追い込まれているだなんて情けないことは伝えられない。
『ベェ、コイツマジヤベェわ』程度に伝わればいい。



アバクーゾ『あばくぞー!』

おお、我が友よ、来てくれたか。

リン「一体増えた…」

少女は砲身を今度はアバクーゾに向ける。
今度はメキョリとアバクーゾの二本の前足の間のアスファルトが砕ける。

リン「むぅ、当たらない…」

渋顔を浮かべてアバクーゾに再び砲身を向ける。

アバクーゾ『あば、あばくぞー!?』

アバクーゾは慌てて体を揺すり毛を撒き散らす。
アバクーゾの毛には本音を暴かせる『本音薬』が…。
すると少女は何かを懐から取り出してアバクーゾに投げ込みながら叫ぶ。

リン『風よっ!』

突然暴風が吹き荒れて撒き散らした『本音薬』が二体の後方に居た人たちに降り注ぐ。

『ガチャチケでSR引いたとか自慢したけど実はあずささんです』

『あべなな、さんじゅうななさい』<ナ、ナンダコノショクブツ!?

『あべ、ななじゅうななさい』<ハナセー!

『実世ちゃんに優しくメンテされたい』


リン「わざわざ毛を散らしたんだから何かあると思うんだけどなんなんだろうねこれ?」

沙織「わだずに聞かれても…」

沙織「それよりさっきの人二人ほどなんかでっけぇ植物に攫われてったけんど…」

リン「…気のせいじゃない?」

ハンテーンは確信した。
この少女、鬼であると。
どうやったのかは分からないが風を起こしてわざわざ他人に『本音薬』を被らせて実験したのだ。

アバクーゾ『あ、あばくぞー!』

恐らくアバクーゾも『ベェ、コイツマジヤベェわ』の意味を真に理解したのだろう。
アバクーゾも二人の少女に背中を向けて走り出そうとする。



「田舎に行って機械から離れた生活がしたい…」

ポツリと唐突に危ないほうの少女が呟く。

「い、いきなりどした!?リンちゃんそんなキャラじゃねぇんじゃ…」

危ないほうの少女の肩をもう片方の少女が揺する。

「…なんかもう…毎日土弄って過ごしたい」



ハンテーン『てーん…!てーん…!!』

その頃ハンテーンは達成感に酔いしれていた。
アバクーゾの毛に紛れさせて飛ばしておいた毛バリが暴風に負けずに無事に当たったようだ。
後は危ない方の少女が正気を取り戻さないうちに逃げるだけだ。

リン「まっくろく○すけが住んでそうな家に引っ越したい…」

リン「あと沙織…これあげる…」

そう言ってショルダーバックから砲身の正体、ブラズマバスターをズルリと取り出す。

沙織「こ、こんなん貰っても持てねって!?」

リン「私はもう…川のせせらぎを聞きながら山の恵みだけで生きて行きたい…」

沙織「リンちゃんが壊れた…」

そんな二人を尻目にハンテーンとアバクーゾは去って行った。

終わり。

沙織「…クジケソウになったヶどハンテーンぉぃかけた」

沙織「さぉりは、がんばったョ!だけど、メカにはぉいつかなかった・・・」

沙織「トーゼンだよメカだもん・・・さぉり激おこ・・・」


沙織もハンテーンでギャル語で喋る謎キャラにして壊そうと思ったけど収集付かなくて諦めた。
植物に攫われた二人は無事に?帰ってきたらしいです。

おつおつ、これはひどい

ところでこの二匹ってロボなの?なまものかとおもってた

乙です ベェ、コイツマジヤベェわ
凛ちゃんはどうしてこうなったww
大精霊なにしてるのw
でも菜々さん実際はもっと歳上jうわ何をする止めてうわああああ

乙ですー

凛ちゃんさんなにやってるの?wwwwww

そして、一般人二人……無茶しやがって……



後日、謎の植物に攫われた二人の男性は浜に打ち上げられたフグのような目をしてこう語った。

「あべななさんはじゅうななさいである。いいね?」
「アッハイ」

アバクーゾとハンテーンネタで投下します

「あずきバーがおいしい季節だねー!」

「はいはい。買わないからな。」

涼とあずきは街中を歩いていた。さすがにこの季節になるとあずきの浴衣姿も少々目立たなくなるようだ。

『お仲間』を探したいらしく、勝手に一人で出かけることが結構あるのだが、帰って来ない事も多く、暇なときは一緒に行っているのだ。

…そもそも彼女の言う『お仲間』というのもよく分からないのだが。妖怪仲間だろうか?

ふと、視界の端にもこもこした何かが見えた。

「あっばくぞー!」

「涼さん涼さん!あそこになんか可愛いのがいる!」

「…こんな季節に着ぐるみ…。」

「…一緒に写真とかとらない?」

「とらない。それにアレが可愛い…?」

なんか妙に顔の辺りがリアルな気がして、涼的にはカワイイとは思えなかった。

「あーばーくーぞー!」

『俺はテストをしたくないあまりに仮病をした!』

『俺の書いてる小説で次死ぬのは校長だぁ!』

『ボク、女の人より男の人の方が好きぃ!』

『俺は妹と結婚したい!!』

妙なことに、そのキグルミの周りでは人々が大声で何やら叫んでる。

…そしてあの鳴き声。

「…あいつ、怪人とかいう類のやつじゃないか?」

「え、マスコットじゃないの!?」

「なんか『暴くぞー』とか言ってるし、碌な奴じゃなさそうだな…。」

「じゃあ退治しよう!退治したらあずきバー奢ってよ!なんか弱そう!」

「ちょ!?勝手に決めるなって!」

あずきは涼の脇をすり抜けて怪人を上空から半透明な腕で殴り掛かった。

昼間だから夜の時よりは小さいが、かなりの威力…のはずだった。

「あばー!」

打撃だったが故に、その怪人に全くダメージが通らなかったのだ。

「あれれー?…ていうかなんか湿ってるー!?やだやだー!」

半透明の腕を、水分を飛ばすように振る。もちろん、飛び散ったそれは本音液で…

『メイドのみくちゃんでいつもあんなことやこんなことの妄想をしてた!』

『たくみんと結婚したいよおおおおお!』

『ひなたん星人は俺の嫁ええええ!』

もちろん涼にもそれはかかっていた。

『せーの、うさちゃんピース!!』

「…はっ!?」

…少し前に親戚の子と一緒に行った遊園地でのとある出来事の一部である。

涼にとってはもう思い出したくもない、ずっと隠していたい記憶だった。

「あ…ああ…!」

顔が真っ赤になる。

「あばばばばー♪」

アバクーゾはご機嫌そうだ。スキップをしながら去って行こうとしていた。

「…絶対に許さないぞ…毛むくじゃら野郎!」

「え、あの…涼さーん?顔が怖いよー?」

『あずき、いつも持っている裁ち鋏を強化してから渡してくれないか。』

無意識の能力使用。それは付喪神…つまり物であるあずきにはあまりにも効果的だった。

「…はい。どうぞ涼様。」

「よし…。『アイツの毛を切れ!』」

鋏が涼の手から放たれ、アバクーゾの頭の毛を切り、ハゲの部分ができる。

「あばー!?」

アバクーゾは焦った。さすがに鋏が飛んでくるとは思ってもいなかったからだ。

物理は良いが斬られるのはダメだ。そういうのは相方の専門だ。

空中を執拗に追いかけてきながら舞う鋏を何とか回避しながらアバクーゾは全力疾走した。

しかし、真後ろから何かが高速で接近していた。

靴に能力を使い、飛行した涼が追いかけてきていたのだ。

今までそんな発想もなかったのに必死に追いかける方法を模索した結果、靴に能力を使うという発想が生まれたのだ。

怒りのパワーってすごい。

その後ろをあずきが追いかけているがアバクーゾには涼しか目に入っていない。

「逃げられると思ったか…!」

「あ!?あばくぞーっ!」

何なんだコイツは。怒らせちゃいけないタイプだったか。

取りあえず振り切るまで全力での鬼ごっこが始まった。

「涼さーん?どこー?」

あずきは涼からはぐれてしまった。今回はさすがにあっちが悪いから怒られることはないだろうが…今自分がいる場所さえ分からない。

「どうしよう…」

「はんてーん!」

「ん?」

どことなくさっきの毛むくじゃらと似た雰囲気を持つ茶色い怪人が、道を歩いていた。

「きゃーかわいいー!」

「はーんてーん!」

「オラ!邪魔だキモキャラ!」

「はん?!」

そこに少女が笑いながら駆け寄り、何故か罵って帰って行った。

(あの怪人のお仲間なら、居場所分かるかなー?)

涼はあの怪人を追いかけているのだからそっちの居場所が分かればいい。

それにあの茶色いのは人を襲っているようには見えなかった。

「あのー?」

「はーん?」

「けむくじゃらの怪人さんが知り合いにいませんかー?」

「はん!?」

コイツは何を言っている?アバクーゾに何かあったのか?

「あ、会話できない感じかな?…どうしよう」

そもそも無警戒に怪人に怪人と分かって話しかけてくるはずがない。罠がある。コイツは危険だ。そうハンテーンは考えた。

「はーん!」

「きゃあ!?」

毛針が容赦なくあずきに襲い掛かった。

「…和服はやっぱり時代遅れ…この時代、やっぱり洋服よ…」

「はーんてーん♪」

暗い性格の洋服好きになってしまったあずきを見て、ハンテーンはスタコラサッサと逃げていった。

以上です。反転って難しいね…
涼さんは激おこぷんぷん丸状態ですが、振り切ったことにしても追跡中にしてもいいかと。

乙ー

涼さんコワイ……怒らせちゃいけないね!

乙乙!
あずきちは自分が何の付喪神だか思い出すべき。

乙乙
洋服を着た和服の付喪神か、なにがなんのことやらわからないな

諸事情により、>>483-496の内容を破棄し、訂正版を後日投下しようと思います。
申し訳ありません。

投下します

イベント設定おかりします

支援

ちょっとエラー起こって書き込めなかった

というわけで今度こそ投下します

とある平日の朝

川島瑞樹---レヴィアタンは、人間としての生活として、いつものように教師として学校へ向かっていた。

瑞樹(……面倒くさいわね)

そう思いながら、立ち止まり、前方の光景を見ていた。

それは……

『あっばくぞー』

通行人A「小学生は最高だぜー!!盗撮サイコー!!!!」

通行人B「たくみんに踏まれたい!むしろ虫をみるような目で見てもらいたい!!」

通行人C「夜道で全裸で走るのサイコー!!!!」

加蓮「16歳になって始めて友達できて、交換ノートとかお泊まり会とかできるか楽しみで最近夜も寝られない!!入院してた時からやりたい事考えたノートは机の引き出しの中にある!!」

ふかふかの毛におおわれた獣人が、次々と通行人に触っていっては、触られた人達は何かを暴露していた。

暴露した人達は頭を抱えていて、内二人は小さい婦警さんに連行されていったが……

瑞樹(アレに触れられたら秘密を喋ってしまうのね。わかるわ)

瑞樹(嫉妬の証を使えば、あの光景を見たからあの能力は私には効かないわ)

瑞樹(けど……こんなのでそれを使ったらアイツの部下に居場所がばれてしまうわね。同じ理由で私自身がアレを攻撃するのもできないわね。こんな人通りの多い所で能力者でもない川島瑞樹という人間があの怪人を攻撃をしたら、怪しいわ)

人々の秘密を暴露させて、喜んでる怪人を見ながら彼女は思考する。

瑞樹(だからといって、受けてもダメね。もし私の正体をバラすような事や計画の事を言ってしまったらそれこそ今までのが水の泡になるわ)

そして出た答えはこの場から急いで立ち去るだ。

幸い、あの怪人は喜んでいてこちらには気づいてない。

なら、今のうち逃げるのみ。

そう思い、来た道を戻ろうと走りだした。

『あば?あばくぞー!!』

瑞樹「!?」

だが、怪人は逃げようとする彼女を見て

あ、コイツバラされたくない秘密あるな。やっちゃうかー

って軽いノリで、向かって来た。

瑞樹(くっ…仕方ないわ)

走りながら後ろをチラ見した彼女の服の袖からコッソリと一匹の蛇が地面をはっていき

『あば!?』

追いかけて来た怪人の足に絡みつき、足を崩した。

追いかけようと猛スピードで走って来たせいもあり、壮大に転けてしまった。

常日頃、保険用に何匹か分身の蛇を仕込んでいたのだ。

コレなら大きな魔術を使わないかぎり、自分の存在がばれないようにかつ怪しまれずに自衛はできるだろうし、この光景ははたから見れば怪人が蛇に絡まれて、勝手に転けたようにしかみえない。

そのまま、彼女は逃げ出した。

だが、彼女は気づくべきだった。

アバクーゾの能力は触れたら効いてしまう事。

暴露するのは自分の隠している恥ずかしい秘密。

そして、それが≪分身≫の蛇にも効いてしまう事を………








「寝る前に、昔から大事にしているぬいぐるみのサークンとキバタンを抱きしめながら寝てるわ!!!」







この日、川島瑞樹は学校を休んだ。

理由は体調不良だ。

だが……実際の理由は魔界の時から、治そうとしてもどうしても治らなかった癖を自分が大声で叫んでしまった事。

それにより、恥ずかしさの余り家に帰って、悶えてしまっているのだが……

そして、そのぬいぐるみの名前の由来が、憧れを抱いていて、今は憎しみと妬みを抱いている二人からとったものなのだが……それを知る者は多分いないだろう。

終わり


余談だが、そのあと怪人を追いかけるカースがいたとかいないとか…

以上です

最近、悪巧み中のkwsmsnにたまにはギャグっぽいのをさせたかったのに……どうしてこうなった?

そして……あの年でぬいぐるみ抱きながら寝てるkwsmsn。わかるわね?

おつおつ
かわいいわ

あらやだカワイイ

乙です

乙です
あらやだかわいい
そして加蓮…w

乙にゃん
ところで、このスレもいつかは完結するのかなぁ・・・?
その時はまたキャラメイクとか汎用雑魚とか作られるんだろうか

かなり大型のイベントフラグは一杯あるし、完結なんてかなり先だろうけどね
アイドルが全員出たわけでもないし

乙乙
境界崩しとか、妖精界の秘法とかあるしねぇ
ただまぁ、初見さんお断り感はどうにかしたほうがいいのかなぁ? 今すごく盛り上がってるけど途中から見てわかるものかどうか

本音と反転が盛り上がっている中、投下するよー!
麗奈サマとイルミナティをお借りしておりますー

小関麗奈は、後悔していた。慣れない事などするものではないと。


「……もういっぺん聞くわよ?アンタ、名前は?」

「こずえはー……こずえだよー?こずえはねー……おにんぎょうさんなのー……」

「お人形さん、って何よ……苗字は?」

「んー……みょうじー……?」

「……はぁ、もういいわ。で、アンタどっから来たの?」

「……こずえはねー……ここじゃないところからー……きたんだってー」

「……その『ここじゃないところ』がどこかって聞いてんのよ」

「ここじゃないところはー……ここじゃないところだよー……?」

「……だぁぁぁもう、埒が明かない!!」

>>568
最初からいてもよくわかんないよ!

学校帰りにたまたまその少女を見かけた。十歳にもならないだろうか、とても小柄なその少女は、あっちへふらふら、こっちへきょろきょろ、たった一人で歩き回っていた。

どこからどう見ても迷子の女の子、普段の麗奈ならば素通りしていただろう。だが、何故だかその日は、なんとなく声を掛けてやってもいいか、と思ってしまった。

しかし、何度聞いてみても「名前はこずえ」「ここじゃないところから来た」以外の情報がとんと出てこない。

小さな子供の相手をするのが得意ではない麗奈にしては粘った方だが、そろそろ限界を感じ始めていた。

「ハァ……もうとっとと交番連れて行こ。っていうか、最初からそうしてりゃ良かったのよ」

「こうばんー……?」

「オマワリが居る所よ。迷子の親捜し位ならやってくれるでしょ」

「んー……まいごー……?」

「なにきょとんとした顔してんのよ、アンタよアンタ」

「こずえー……?こずえ、まいごじゃないよー……?」

「迷子じゃない、って……じゃあアンタ、一人で何してたのよ?」

「んー……こずえねー……かくれんぼしてたのー……」

「かくれんぼ、って……」

あっちこっちふらふら歩きまわっていてかくれんぼも何もあるものか、とツッコミを入れようとした、その時である。

『クワセロォ……クワセロォォォォオ!!』

「っ、カース……ッ!?」

間の悪いことに、カースと出くわしてしまった。

(何だってこんな時にッ…!コイツの前で変身するワケにもいかないし……)

実際はルシファーが魔界へ連れ戻されたせいで麗奈は力を失っているのだが、当人はまだそのことに気づいていない。

どうにか隙を窺って逃げるか、癪に障るがヒーローの助けを待つしかないか。

「……やー、なの……」

逡巡する麗奈の手を、こずえがぎゅっと握った。

「……こっちきたら、いやなのー……!」

そして、こずえがそう声を上げた、次の瞬間。


「……えっ?」

麗奈とこずえの前から、カースの姿は消え去っていた。

いや、その表現は正確ではない。

「……ちょっと、どこよここ……?」

正しくは、『麗奈とこずえが、カースの前から姿を消した』のである。二人の周囲の景色は、先ほどまで立っていた場所とは全く別物になっていた。

「かくれんぼ、って、もしかしてさっきのカースから逃げてたってこと……?」

景色が切り替わる前、こずえは「こっちに来るな」とカースに言い放っていたはずだ。

「んー……ちがうよー?さっきの、うにょーってしたのはー……こっちきたらやなのー……」

「…………」

駄目だ、まるで意志の疎通ができない。子供ってこんなに話するの難しい相手だったっけ、と麗奈は頭を抱える。

「……じゃあー、こずえ、もういくねー……」

「え?あ、ちょっと……」

そう一言だけ残して、いつの間にか繋いだ手を離していたこずえは、ばいばい、と手を振りながらとことこ歩き去ってしまった。

色々な事が一度に起こりすぎて茫然としていた麗奈は、それを追うことも忘れてしばらくぽかんと立ち尽くしていた。

「……いや、ちょっと、マジで待ちなさい!結局ここはどこなのよッ!こら、戻ってこいこずえーッ!!」

しばらく周囲を歩きまわり、やっとこさ見つけた案内板を見てみれば二つ隣の町。

その日、麗奈が家に帰れたのはとっぷりと日の暮れた頃になってしまったトカ。

「で、まーだ見つかんないカンジ?」

「……申し訳ありません。監視体制は整えていたはずなのですが」

「いーよいーよ、世界一つヒョイっと飛び越えちゃうようなトンデモちゃん相手だし、そのうち逃げちゃうとは思ってたから」

「まるでその場から消滅したかのように魔力を検知できなくなった事を考えると、やはり別の世界へ転移したのでしょうか」

「そう見せかけてるだけじゃない?消えたワケじゃなくて一時的に隠したとか。そうやってこっちの目をくらますつもりなんだろーね。
 ま、あんだけの膨大な魔力、そうそう長いこと隠しきれるもんでもないっしょ。別にこれからのことに必須ってワケでもないし、気長に探せばオッケーってことで」

「了解しました。隠蔽魔術の痕跡が無いかを中心に捜索してみます」

「ん、がーんばってねー」


「……まーでも、ここまで早く逃げられるとはねー。よっぽど無理やり起こされたのがぉこだったのかにゃー?」

「ま、どこまで行ったのかは知んないけどサ。ゆいから簡単に逃げられるとは思わない方がいいよー……」




「『妖精の秘宝』ちゃん♪」



こずえ(??)

属性:自立型マジックアイテム
能力:未知数(大部分は封印中)

唯/バアルによって強制的に覚醒させられた『妖精の秘宝』。彼女らに使われることを良しとせず、イルミナティから逃げ出してきた。
その際、捜索の目を撹乱させるために保有する魔力と能力の大部分を自ら封印した。現在使用できる能力は『傷の回復』と『テレポート』のみ。
強力な封印術を使用した反動で身体つきや思考能力が子供と同等になっており、自らを『おにんぎょうさん』と称する。

ビビッと来たので新キャラで早速やらかしちまいました(テヘペロ

乙乙
妖精の秘宝とか言ってたらきてれぅー!
うん、すごく『らしい』けど。しっくりきた


>>571
読みたい部分を読んで、書きたい部分を書いててもいいスレではあるのよね
他の人が書いたアイドル借りるのは緊張するわー

乙ー

そっちになりましたかー

それにしても結局妖精の秘宝ってなんなんだ?

スレで出た情報(part1>>641-647)曰く
『何者かによって妖精の国から持ち出された』
『消失時点では本の形をしていた』
『決まった形を持っておらず、意思を持つ生物の形をとっていたこともある』
らしいよ!今のこずえちゃんは自ら封印して人間へ偽装してるみたいだな

なんだかよくわからないがとりあえずすごいっぽいことだけは理解できた

乙です
すごく「らしい」ですねー
妖精の秘宝欲しい組は気付くのだろうか…

おつ


途中にレスしてしまってすまんかった

ところで今誰が予約してあるんだっけ?

斉藤さんと瞳子さんは予約切れしてた気がするけど

おつおつ
予約は前スレからまとめがないな
だれぞある

斎藤さんと服部さんは一週間以上経ってて、めあいーと大和軍曹は予約破棄されてた
いまのとこ有効なのは俺の相馬さんだけかな?

もうちょっとで何とかなりそうなので洋子ちゃん予約させてもらいます
今度こそ、今度こそね

キヨラさん訂正版を投下します
一部そのまま使っていますがご了承ください

キヨラは魔界更生施設の職員である。

職員達は皮肉を込めて『魔界の天使』と呼ばれる。…決して天界と因縁があるわけではないのだが。

何故なら彼女を含めた更生施設の職員たちには、全能紳が与えたとされる職員の証というべき持ち物があるからだ。

それは全能紳が決めた罪と善行が個人別に記される裁きのカルテ。その能力は2つある。

「いやだ!二回も死にたくねええええええ!」

「罪人・○○。貴様には『人殺しの罪』『騙した罪』『神を冒涜した罪』『複数の女性との関係を持った罪』等、許しがたい罪を犯した。」

「裁きのカルテは貴様に死刑の判決を下したのだ。」

カルテには今叫んでいる彼の写真。そこに大きく×マークが記されている。

機能その1.すでに捕まった・死んだ魂に近づけるとその対象の罪と死刑判決・刑期の確認。

「お前の処刑人はキヨラだ!…頼んだぞ。」

「お任せください。」

メスを杖のように構えると、キヨラは呪文を唱える。

『汝の悪行、魂の死によって罰せられる。処刑器具の名は『ファラリスの雄牛』!天界の全能神に生まれたことを詫びて死になさい!』

罪人の真横に青銅のような物で作られた牛が召喚される。

背中の扉が開き、中から黒い手が溢れ出し、罪人を中に連れ込み、鍵をかける。

そして牛の真下に炎が燃え上がった。

…あとはお察しください。

職員達は朝の処刑を終え、食堂で食事をとっていた。

「キヨラさん、お疲れ様です。」

「今日の処刑もいい感じでしたねぇ。ファラリスの雄牛はやっぱり悲鳴が醍醐味ですし!」

「ふふ、そうねぇ。」

食事はいたって普通のもの。トカゲや虫を食べたりはしない。

さすがに人間界とは食材が違うが、似たようなものが作られている。

「やあやあ、皆さん。今日も頑張っていきましょうか。」

新聞を読みながら男性職員が話しかけてくる。

一見まともに見える彼も、裏ルートで仕入れているというよく分からない新聞を毎日読んでいる。

そしてそこに載っていた、名前もわからない堕天使のブレまくりの写真に一目惚れしてしまい、毎日彼女をどう処刑するかばかり考えている。

新聞を読む意味も、彼女の情報がないかと探すことになってしまったらしい。

キヨラ達は堕天使の写真など全く興味がないのだが。

食事を済ませた後、施設の裏庭にキヨラはやってきていた。

「ベルフェゴールちゃん、ルシファーちゃん、お仕事の調子はどう?」

「…ハイ、オシゴトシテマス」

「…ちゃんとやってますよぉ?」

少女の姿のベルフェゴールと、怪物の姿のルシファーがひたすら穴を掘っては埋める作業をしていた。

最近はやっと敬語が身についてきたというところか。いや、ベルフェゴールはまだ敬語がぎこちない。

ちなみに…ルシファーには『人間界の崩壊を望んだ罪』『脱走を企んだ罪』が追加されていた。

働くことを喜びとせずに余計な事を考えれば罪となり、刑期は伸びるばかり。ここはそういう仕組みなのである。

「お疲れ様です♪やっぱり体がない魂の状態だとこれしかすることが無いのよね…。」

「…じゃあ体を得たらどういうことさせられるのさ…」

「大半の子は、掃除とか洗濯とか…悪魔の召使いになる修業をするのよ♪…ただの召使いじゃないんだけどね。お給料をくれるのもご主人様の気分次第だし…。」

(そりゃ20時間労働だもんね…絶対召使いじゃすまないよ)

「ということで!職人さんが特注品の大罪の悪魔さん用の体を作ってくれたので入ってくださいね!」

袋から…山羊・熊・ライオン・犬・狐の小さなぬいぐるみを取り出す。

「そぉれ♪」

熊とライオンのぬいぐるみを掲げると、二人の魂は吸い込まれてしまった。

「気分はどう?」

「…最悪…というかなんで熊?…ですか?」

「可愛くないですよぉ…これじゃあ大罪の悪魔(笑)ですよぉ…」

それは魂を閉じ込める檻。痛覚が魂にリンクされており、ぬいぐるみのような体なのに痛いときは痛い。

しかし素材は魔界で最も強い防具の素材の一つとされている皮で作られており、魔法にはかなり耐性がある。…物理に関しては人並みだが。

万が一破損しても縫えば回復したのと同じ効果を得る。

「大丈夫そうね♪これでみんなと一緒に…」

その時、放送が鳴り響いた。

『今すぐ職員は全員会議室へ集まるように!繰り返す、今すぐ職員は会議室に集まるように!』

呼び出しだ。それもかなり緊急事態のように思える。

「…二人とも取りあえず穴掘り続けててね♪…やらなかったらすぐわかるから…うふふ♪」

「!?」

「は、はい…」

会議室に全員が集まると、施設長は口を開いた。

「全能紳によってカルテが更新された。アップデート内容は罪の追加だ。」

全能紳によるカルテの更新。確かに呼び出されるのも無理はない。

「そして、そのアップデートにより追加された罪の一つ。『実行可能な滅亡を企んだ罪』。これに該当する者が数名いる。」

「え…滅亡ですか?」

「それじゃあ…お仕事がなくなるじゃないですかぁ!」

「それは嫌だな…」

ざわざわと、職員が騒めく。仕事がなくなることは生きがいが無くなる事。一大事な問題だ。

機能その2.罪の内訳人数と一部データ回覧。

これを使う職員はあまりいない。罪が追加された時に施設長がみたり、暇なときに見る趣味を持っているような奴らが見るのだ。

名前も顔もわからないけれど、犯した罪の人数と、その罪を犯した者の他の罪を確認できる検索機能のような物。

その機能経由でカルテを見ても顔写真は真っ黒。名前欄等は真っ白。罪の内容と死刑判決の×マークだけが分かる。

『嘘をついた罪』のレベルでは役に立たない。あまりにも該当者が多いから。

けれど例えば『堕天した罪』を調べれば堕天使が何人いるか分かる。『カースを生み出した罪』なら大罪の悪魔が出るだろう。…その程度の機能。

朝の堕天使に惚れた職員はその堕天使がそれなりの人数がいるカルテからどれが愛しの堕天使のカルテか推理しているらしい。

しかし、キヨラはそんな機能、全く使ったことも無いし興味もなかった。

だが『実行可能な滅亡を企んだ罪』…それを犯した者が数名もいるとなれば騒めくのも無理はなかった。

何故ならカルテに間違いはないから。実行可能な力を持つ者が、世界の滅亡を企んでいる。その事実が実際にあるのだから。

「…人間界にしろ魔界にしろ天界にしろ…滅亡するのはまずい。輪廻の理が崩れる。」

「そこで、最も優秀な職員であるキヨラに、その危険を排除してもらいたい。」

「わ、私に…ですか?」

「他の罪を見るに、人間界で行動しているのは分かる。そしてきっと大事を起こすだろう。そして…それをヒーローという者達が討伐しようとするだろう。」

「その時にキヨラ、君にはそのヒーローたちの手助けという形でその重罪人を倒してもらいたい。」

「危険な任務だ。誰が重罪人かもわからない。潜伏する必要性もある。…それでもやって欲しいんだ。」

「…ヒーローに倒させれば罪に問われることも無い。あくまで補助をすればいい。…やってくれるか?」

一呼吸おいて、キヨラはいつもの笑顔で答えた。

「お任せください。」

人間界。街中にキヨラは居た。

柳清良。それがここでの名前。

清楚な服にオシャレなバッグ。しっかり普通の女性のように見える。

…その両脇に二体の動くぬいぐるみが無ければ。

…まぁ「ぬいぐるみを使う能力者なんだろう」で済むから便利なものである。

「なんでアタシ達まで連れてこられるのさ!」

熊のぬいぐるみのベルフェゴールが文句を言うも、笑顔で窘められる。

「貴方たちは私が担当なんだから当たり前でしょう?それに終われば一世紀分の刑期免除でしょう?」

「そうだけど…ですけどさー経験値ゼロの呪いの装備をしているアタシ達じゃ戦力にならないでしょう?」

「能力の制限はある程度解いたじゃない。情報収集能力だって今までのデータも使えるんだし、わがまま言っちゃダメよ。」

「えー…」

キヨラの情報を見ようとしてもできない。逃げようとしても次の瞬間には頭が飛んでいる。

…ベルフェゴールはどうしろととしか思えなかった。

ライオンのぬいぐるみのルシファーは、どこからか手鏡を取り出すと雪菜の姿へ変化した。

「ちゃんと変身できますねぇ…感覚的に数分程度かしらぁ。」

「レベル1ってことはMPもほとんど無いからねぇ…」

そのままショーウィンドウを見つめていると、背後に黒い泥が生まれたのが見えた。

『ドウシテドウシテドウシテエエエエ!』

『メンドクサイヨォ…ハタラキタクナイヨォ』

「あら?」

「高慢のカース…操作はできないわねぇ…なんか腹が立たない?」

「あー怠惰もだ。操作できないとかマジ…?キヨラさん、どうするのさ?」

「…」

バッグから明らかに入らないであろうサイズの医療用ノコギリを取り出すと、にっこりほほ笑んだ。

「悪い子はオシオキしないと♪」

ふわりとキヨラの周りにはメスが浮かび、指で示したカースに一直線に飛んでいく。

『イウトオリニシヤガレェ!』

ドロドロの腕を振り回して高慢のカースがメスを受け止める。

『汝、我が魔の力を受け、呪われよ。その呪いの名は【死の癒し】!毒を薬に、薬を毒に!呪われた哀れな者となり、性質よ反転せよ!』

キヨラの右手に持っていたメスから黒い光が怠惰のカースに飛び、呪う。

『光よ!大いなる我が力に従い、その優しい微笑みのような力で我が示す者を癒せ!ヒーリング!』

連続で回復魔術を怠惰のカースへ発する。

死の癒しの呪いによって、痛みはないのに内側から崩壊する。

『ア、アア、アアアア』

核が飛び出すと、その手からメスが飛び出し、貫いた。

『ムシスルナアアアア!』

「ベルフェゴールちゃん!」

「ちょ!?ぎゃああああああああああああ!」

『!?』

キヨラがベルフェゴールを高慢のカースが伸ばしてきた腕に投げる。もちろん正面衝突だ。

カースもさすがにそっちに気がとられる。

「…余所見しちゃ駄目よ?」

声はさっき立っていたところの真逆の方向から。

投げた時に一個だけ軌道をずらし、背後で空中に浮かんでいたメスの上に器用に立っていた。

次の瞬間にはさっきまで全く使っていなかったノコギリでカースを真っ二つにしていた。

『ゴア、グアアアア!』

しかし核を砕かなければ意味がない。二つに切り裂いた体の片方が再生を始めていた。

…抜かりはない。

『汝は悪の塊。我ら、悪は滅するのみ。処刑器具の名は『鉄の処女』!天界の全能神に生まれたことを詫びて死になさい!』

カースの真上に大きなサイズのその処刑器具が召喚される。

棺が開き、中から無数の黒い腕が伸びてカースを中へと連れ込んだ。

扉が閉まる。

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

耳をつんざく程の音量。ルシファーは耳を覆っている。

「ふぅ…。」

しかしキヨラは満足気な表情をしていた。

カースに殴られ気絶したものの、すでに体は自分の能力で回復しているベルフェゴールを回収する。

「…」

ルシファーも無言でぬいぐるみの姿に戻ると、キヨラに回収された。

「…誰が重罪人かはさっぱりわかりませんし…まずは姫様やユズちゃんから探しましょうか!」

「え!?あの死神に会う!?」

「…ダメですか?」

ぬいぐるみを引き連れた女性は、そのまま人ごみへ消えていった。

裁きのカルテ
全能紳が決めた罰と善行をした者が記録されるカルテ。
罪の判定が厳しいことに定評があり、『全能紳はいつまで知恵の実を食べる前のアダムとイヴに固執しているんだよ』とまで言われる。

以上です
バランスが崩れないように訂正しました。
迷惑をかけてしまい、申し訳ありません

乙です
前半結構書き直されてますね、お疲れ様でした
全能神…一体何者なんだ…

乙ー

書き直しお疲れ様です!

そして、チエリエルの歪んだファン怖すぎww

全能神が親バカな気がしてならない……

洋子ちゃん投下します
時系列的には少し遡る感じですが他との関連は非常に薄い
割と長めかも

‐これまでのあらすじ‐

 連続強姦魔にして色欲のカースドヒューマン、バイフォースは、ランニング中の斉藤洋子を新たな標的に選んだ。
 追跡の末に行き着いた公園で、ついに足を止めた洋子。バイフォースはチャンスを見逃さない。
 健康的な美肌に今、不健全な漆黒の魔手が迫る!


‐1‐

 バイフォースの体から、握り拳大の黒い泥が2つ、3つと落ちた。泥は黒いサソリに形を変え、洋子の足元へと這っていく。
 色欲サソリは極小型のカースだが、その精神毒は強力である。

(モウスグダ コムスメ、オマエハ カイラクヲ ムサボル テゴメニンギョウニ ナルノダ!)

 今やサソリ達は洋子の足に辿り着き、目的を果たそうとしていた。…だが!

(バカナッ!?)

 バイフォースは出かかった言葉を辛うじて飲み込んだ。
 色欲サソリ達は、洋子の足に触れぬまま炎に包まれ、白い灰になったのだ!


(どうも怪しいと思ったら…カースなら手加減しないよっ)

 洋子は追跡に気づいていた。
 ヒノタマにより強化された身体能力でも撒けない追跡者が、少なくとも普通の人間ではないことも。
 そして今や確信している。追跡者はカースだ。
 洋子は軽やかに振り向き、言う。

「走っただけじゃ物足りないって感じですねっ、もっと熱くなりませんか?」

 無邪気な誘い。その裏にあるのは、洋子自身も意識していないヒノタマの意思だ。

『お前を、焼き尽くしてやる』

 強烈な熱気が放たれると同時に、洋子の輪郭が揺らめき、ぼやける。
 熱気は瞬く間に広がり、静かな早朝の公園は真夏の昼下がりめいて形を失っていく。


‐2‐

 今やバイフォースは公園ではなく、石畳めいた神秘的円形空間にいる。
 巨大な空間の中心には、やはり石から彫られたらしい祭壇と、燃え盛る朱色の炎。
 そして、つい先程まで目の前にいた洋子の姿は…どこにも見えない。

 しかし彼に動揺はなかった。
 バイフォースの体から、黒い泥が流れ出る。どこに収まっていたのか、その体積は元の体の数十倍!
 黒い泥は悍ましく蠢いてバイフォースをも飲み込み、飴細工めいて形を変え、巨大な人面サソリとなった!


「デテコイ コムスメ! イマナラ ヤサシク ファックシテヤル!」

 人面サソリが叫んだ次の瞬間、その周囲を朱色の炎が取り囲み、徐々に勢いを増していく。
 さらに炎は無数の手となり、人面サソリの爪を、脚を、卑猥な形の尾を掴む!

「グオオー! オアー!」

 炎の手が、人面サソリの爪を、脚を、卑猥な形の尾を、乱暴に引きちぎる!
 人面サソリのパーツは見る間に燃え尽き、白い灰と化して熱風に散る!

「ウワー! アアー!」


 支えを失い、無様に地べたを転がり苦しむ人面サソリを、炎が容赦なく焼く!
 脚を再生して脱出するか、尾を再生して反撃するか…無理だ! 再生したそばから灰になっていく!
 あまりに一方的! 戦いの行方は、もはや決したかに思われた! …だが!

「よーっし! このまま一気に…っ!?」

 それはヒノタマの声なき警告か。洋子は下腹部に嫌な感覚を覚え、意識を現実世界に引き戻した。
 眼前に迫る黒い巨人…バイフォースだ! 炎に焼かれ、力尽きたのではなかったか!?


‐3‐

 洋子が使用したカエン・イリュージョンは、炎のイメージで精神を焼く、一種の攻撃性テレパスである。
 カースの場合、根源たる感情を焼くことで、体そのものにダメージが及ぶ。有効な攻撃だ。
 だが、バイフォースはただのカースではない。人間的な思考能力を残すカースドヒューマンなのだ。

(ミヌイタゾ、オマエノ ワザヲ!)

 この恐るべき精神攻撃の原理は、剥き出しの精神を直接ぶつけるという極めて原始的なものだ。
 彼を焼く炎は洋子の精神そのものであり、看破できれば反撃さえ容易。致命的な弱点!

 現実世界に戻るのが一瞬でも遅ければ、彼女はテゴメ人形になっていただろう。
 そして、カエン・イリュージョンは目の前の敵にもう通用しない。非常にピンチだ!
 この状況にあってなお、洋子は動じない。怯えも嘆きもせず、楽しげに微笑んでさえいる!

(キガ フレタカ。ナンダッテイイ、ファックスル カラダサエ ノコッテ イレバ!)

 バイフォースが丸太のごとき両腕で、洋子を掴みにかかる! その名の通り「力ずく」だ!

「…はァッ!!」

 鋭いシャウト、一拍遅れて彼の両腕が燃え落ちた。
 思わず一歩後ずさるバイフォース。その目の前で洋子は朱色の炎に包まれる。
 炎が、ファンタジー踊り子めいた装束を形作る。煽情的ながらも神秘的、肌色の部分が多い!

「《プリミティヴ》、バーニングダンサーです。情熱のダンス、心にしっかり焼き付けてくださいねっ」


‐エピローグ‐

 洋子は時計を見上げた。午前5時30分。戦闘開始から5分と経っていない。
 足元には白い灰の山。もはや原形を留めていない、バイフォースだったものだ。
 洋子は無傷、しかし油断ならない相手だった。まさかアシュラ馬形態なる奥の手を隠していたとは。

「ともかく、これでしばらくは落ち着くかな…ふぅっ、早く帰ってお風呂お風呂っ」

 装束を形作る朱色の炎が弱まり、徐々に肌色の部分が広がっていく。
 ランニングウェアは炎に燃え、既に失われている。
 のんびりしてはいられない。洋子は老朽安アパートに帰るべく走り出した。

 斉藤洋子、またの名をバーニングダンサー。
 かつて人類が火を神と崇めた時代、神に身を捧げた聖火纏う踊り子。
 彼女はその魂“ヒノタマ”を宿す古の戦士《プリミティヴ》である。

打ち止めです、お目汚し失礼しました
長いかと思ったらスペース的にそうでもなかった感
これならもう少し苦戦してもらっても良かったかも

そこはかとないニンジャ・アトモスフィア……ワザマエ!

乙にゃん
設定まとめとかあったらはってもらうと別の人がゲスト枠で動かしたりとかしやすいよ!

乙ー

古の戦士……なかなかカッコイイな

おつおつ

乙です
たしかに普通にモブカースドヒューマン何人かいそうだよね
火の踊り子カッコいい…

せっかくなので洋子ちゃん詳細

◆斉藤洋子/バーニングダンサー

分類:プリミティヴ(聖火の踊り子)
おもな能力:
・カエン・イリュージョン
 炎の幻覚で精神を焼く恐るべき能力だが、自分の精神を直接ぶつけるため見破られるとあぶない。
 かつて暗黒ピエロとなった時に発現、その後目覚めたヒノタマにより変質した形。
・バーニングダンス
 強化された身体能力と手足に纏う朱色の炎で戦う、舞踊めいた格闘術。
 扇や剣なども使えるらしい。

◆古代戦士《プリミティヴ》
 かつて人類が火を神と崇めた時代に生きた者の魂“ヒノタマ”を宿す能力者の総称。
 火は人類が闇と戦うために得た原初の力であり、闇や魔の類にはメタめいて相性が良い。
 古代地球由来の力なので、地球外の技術や、地球の技術でも先進的なものとは非常に相性が悪い。

力ある一般市民ポジなので結構どこにでも出没できそう

対闇・魔族メタってメイン悪役ほぼ全員にイケるからいい感じかもしれない

……宇宙的な人は、うん。一応悪役だけどほっといてもダンサブルな戦いになりそうだし

乙です

バリの時のSRがそれっぽいし、伊吹と絡んだら面白そう

暗黒ピエロで何故か某プリキュアのジョーカーさんが頭を過った…

おつー

>火は人類が闇と戦うために得た原初の力
なるほどー、面白い設定だ

大地・大空・大海や光の力はあったけど炎ってそういえばいなかったっけ
割と珍しいなぁ

ハンテーンお借りして投下

きらりと奈緒は仲良く一緒に買い物をしていた。

いつも通りの食料を買って、買い物袋を引っ提げて歩く。

スーパーからの帰り道、奇妙なマスコットキャラ(?)がいた。

「きゃーかわいいー!」

「ハンテーン!」

「オラ!邪魔だキモキャラ!」

「ハ、ハン?!」

…なぜか近寄って行った少女が急にそのマスコットを罵っていたのだが。

「うっきゃー!かわいー☆奈緒ちゃん!写真!一緒に写真とろー!」

「ええ!?ああいうのはちっちゃい子がするもんだろ!?」

「むぇー奈緒ちゃんのケチー」

ちょっと会話しているうちに、浴衣の少女と何か話していたのも終わったらしい。テッテケテーと去って行っていた。

「まってまってー!きらりと一緒に写真とってー!」

「冷凍食品あるんだぞ!?溶けるから!溶けるから!」

夏樹がいれば最悪穴経由で李衣菜に渡して冷凍庫に入れてもらうのだが生憎2人しかいない。

しかもきらりが冷凍食品の方の袋を持っているのでどっち道追いかけなくてはならなかった。

「はんてーん!」

「うっきゃー!かわいいー!」

「てーん!?」

いきなり見たことないレベルの大きさの女が子供のような奇声を上げながら近寄ってきて結構のんきしてたハンテーンはビビったが、他の少女たちと同じように針を刺した。

「?なんかチクッってしたねー☆」

「は、はーん…」

きらりには精神プロテクトがついている。生半可な精神系攻撃は通用しない。

…しかし、物事の本質を見ているきらりが悪と判定していない辺り、やはり子悪党レベルなのだろうか。

ハンテーンは困惑していた。

またか。また通じない相手か。抱き着いてくるのはいいが、少し苦しい。

ジタバタしても短い手足では意味をなさない。

…どうしようかと思考していると、おそらくこの女を追いかけてきたのであろう少女が目に入った。

「きらりー!そいつ迷惑してるだろ!?やめr…!?」

「はんてーん!」

やけくそだ。その少女に耐性が無いとも言い切れないが、知り合いが攻撃されたら目を奪われるだろう。…多分。

少女に毛針が飛んでいくが、少女から溢れだした黒いなにかがそれを受け止めた。

「はんてーん!?」

もういやだ。通じない相手なら逃げるしかない。

ハンテーンは緩んだ女の腕から逃れると、走り出そうとした。…だが少しおかしなことが起こった。

「…う!?」

受け止めたものの、体の一部であるそれで受け止めてしまった奈緒は目を白黒させて少し呻くと気絶し倒れた。

きらりは逃げ出そうとしたハンテーンに問いかけた。

「…君、悪い子なの?『奈緒ちゃんはどこ?』どこに行っちゃったの!?」

「は、はーん?」

奈緒ちゃんというのは目の前の奴じゃないのか?

とにかく逃げろ。本能が告げている。

「はーんてん!」

俺しらねー!何もしてねー!そういう気持ちを込めてハンテーンは逃げ出した。

「まってー!奈緒ちゃんを返して!」

きらりもそれを追いかけて行ってしまった。

…むくりと『奈緒』が起き上る。

しかしその起き上り方は不自然で、人通りの全くないこの道でなかったら奇異を見る目で見られていただろう。

…いや、人が通っても彼女の存在に気付いている人はほとんどいなかった。

「…きらりお姉ちゃん?」

歩きだしたが、ショーウィンドウに映る自分に気付くと路地裏に入って行った。

誰の目にもつかないような奥深くに入ると、目玉を生やした自分の手を腹の中に突っ込んだ。

手も腹も黒くドロドロとしたものになっていて、それに伴う様に体中が黒くドロドロとしたものになっていく。

手を引っこ抜くと、体も元に戻った。

「…奈緒も『お兄ちゃん達』、『お姉ちゃんたち』も気を失ってる…キシシ、ラッキー♪」

その『奈緒』はナニカになっていたのだ。

ナニカは自分が奈緒を乗っ取った訳ではないと気付いている。あの怪人の技の効果が変な方向に作用した結果なのだろう。

ずっとというわけではなさそうだ。本当に幸運なことに、いつも表にいる奈緒と裏にいる自分が反転して、今の状態なのだろう。

計画を実行するにしても今の不安定さでは無理だろう。

だったら今を満喫しよう。

「…太陽…本物だぁ…」

空をみてナニカは記憶の中や映像を経由してしか見たことのない太陽の下に自分がいると改めて認識する。

記憶の夢の中の景色は檻や手術室や変な部屋ばかりだったし、意識の浮上は夜だけ。

…だから改めてナニカは奈緒に嫉妬する。

「…奈緒の姿はイヤ…」

ナニカは奈緒より能力の使い方を知っている。まずは虎の物になっている左手から。

ギプスを外すと、背中から黒い腕が伸びて左手を掴む。

そして虎の手が黒い泥になると、別の生物の左手のデータを投影する。

グチャグチャ、バキバキと音がするが、ナニカは全く気にしていない。

暫くすると左手はしっかりと人の手になっていた。

「でも…大きさが違うや。」

左手は幼い頃の奈緒の左手になっていた。もちろん右手とは大きさが違う。

黒い腕を今度は両手へ動かす。人のデータは昔の奈緒と今の奈緒と加蓮の物だけ。だから大きさがそろう手を作った。

「キシシ、加蓮お姉ちゃんの手ー!」

奈緒の両腕に加蓮の両手がついている。爪は整えられていて、肌の色も白い。ナニカはグーパーと手を動かすと謎の充実感を得ていた。

「…でも全部加蓮お姉ちゃんというわけにはいかないしなぁ…」

仕方なく、体をいつもの昔の奈緒の姿に変える。

…手と体のバランスが悪くなってさすがに気味が悪いので、手も戻した。

分離ではないので、奈緒の来ていた服がダボダボになって邪魔だ。

何もかも脱ぐと、まとめて丸めて体内に収納した。

異物感はあるけど置いていくわけにもいかない。

心が奈緒に戻るときに服を吐き出すようにして、異物感は耐えるしかない。

急いで黒い泥で膝下までの長さのワンピースとサンダルを作ると、路地裏を飛び出した。

加蓮の住んでいる場所はパソコンでもわからなかったし、ただでさえ貴重な夢の中でそんな事を聞いて時間を浪費するのもイヤだ。

…奈緒の記憶を覗いても、「じょしりょう」という所に一人で住んでいる事しかわからなかった。位置は分からなかった。奈緒は使えない。

今がチャンスなのだ。「じょしりょう」という場所を探すチャンスなのだ。

加蓮に会いたいけれど、夢の中の事は全部起きている間は忘れているから仕方ない。

きっと会ってもわからない。…本当に仕方ない。

小さな黒ずくめの少女は、「じょしりょう」を探しに街を彷徨い始めた。

・ナニカが「じょしりょう」を探して行動しています
・認識阻害は曖昧になってしまい、『影が極端に薄い』程度になっています

以上です
ひなたん星人見ていたらぱっと閃いてしまった

乙です

もしかして・はいてない
いやまさかそんな

乙ー

まあ、多分見たら奈緒じゃないのはわかるだろうけど、もしかしたら思い出す可能性も加蓮ならありそうだなー

そして、πさんの心労がやばそう

おつー

ハンテーンもアバクーゾも碌な目にあってないなww

おつおつ
ペーは正直ヒーローよりのティアマットみたいなところあるし多少痛い目みても……ね?

まだ「計画」は実行しないだろうから破壊とかはしないと思うけど…
ナニカちゃんに嫌われて噛みつかれたりはしそうだよなぺーさん

便乗してПを討伐対象(?)にでもしてみよう!

という訳でフレちゃん主体で投下、柳清良さんお借りしますよーん

人間の進歩とは、やはり面白いものだ。

都内の一室に構えた部屋の中で、購入したコンピューターで人間の世界の情報を入れなおし、流行歌を小耳に挟む。

悪魔や神はさぞ偉そうに、金貨や楽園を見せびらかすが、それを作り上げたのは一体何処の人間だったのか、覚えているのだろうか?

フレデリカ「ふぅ……」

机の上の珈琲練乳入りを飲み込み、頸をゴキゴキと鳴らす。

銀行に金を売り飛ばし、手に入れたお金で都内のビルヂング…ビルディングを購入し、テナント募集で資金繰りし。

自分は地下の部屋で、世界の進歩を見つつ優雅に過ごす……というのもいいけどね。

フレデリカ(やっぱり、暇じゃあないかい?)

ワーキングチェアーに腰掛け、ボケーっとしていると何となく散歩したくなってくる。

やはり生き物の体というのは、一日に何時間か外を出歩き健康的に生きる義務がある。

例えば株屋や、公認会計士、スパームマニア(Notスパム、オエッ)、木こり等ありとあらゆる人種に対してである。

自分で見つけて拾ってきた、面白い枕に抱きつきながら、そんなことを考える。

この枕に仮に名付けるなら、『猛反発枕』だろうか。

試しに1mの高さから落とすと、1mの高さに戻ってくる枕だが、見た目や触り心地、感触は枕そのものなのだ。

相反する性質から、奇妙な物体だと思いつつ回収、自室の枕代わりに使っているのである。

コレを作った奴はどんなやつだったのか、今では痕跡が一つすら見つからないが、取り敢えず使えるものは使っておく。

何しろ名前も無い、恐らく拾う人も居なかったんだから問題はあるまい。

フレデリカ(外に出ようかな…)

少し前に情欲女に唾を付けられた女の子に、お守りを持たせたレストラン……もっとも、あとで知った情報で、ただのフランチャイズ店だったのだが。

それにしても、フランチャイズ店ですらアレだというのだから、世界の料理というのはどんどん洗練されているのがわかる。

昔とは大違いだ、何しろ鶏肉の丸焼きがご馳走だという時代もあったのだから。

街には活気が溢れ、洗練された雰囲気が流れている。

世の中は広いが今は情報が少ない、もっと情報を集めなくては。

フレデリカ「うーん……いい朝日、と見たくない顔が見えるなぁ」

キヨラ「あらあら、お久しゅうございます、フレデリカさん」

両脇に目を落とすと、悪趣味な人形が見える。

フレデリカ「うぇ…相変わらず悪趣味ー」

キヨラ「あらご挨拶ですね、私としては早くあなたを処罰できる日が来ることを、職員一同心待ちにしてますよ?」

蛇のような鋭い殺意を感じつつ、何となく居心地が悪いと思いつつテキトウに相槌を返す。

フレデリカ「しかし、キヨラがここにいるってことは何かあったってことかしらね?」

キヨラ「貴女を捕まえに来ました……だったら、いいんですけどね、貴女の閻魔帳は忌々しいことに今日もまっさらですよ」

フレデリカ「ソリャドーモ」

そりゃあ、全能神がアイツだとするなら、私には頭が上がらないでしょうねー何て考えつつ、棒アメを舐める。

キヨラ「それでは、私は行くところがあるのでまた」

そう言うとキヨラは、無言で微妙に蠢く生き人形を引き連れ、どこかへ向かって行った。

アレはアレで気になる所があるが、私には多分大して関係がない……筈、と思わずには居られないのだった。

公園を歩き、散歩しているともふもふの毛皮の、よくわからない生き物がそこら辺を彷徨いているのが見えた。

だがアレは、真っ当な生き物ではないな……と思ったら、最近見た女子寮の寮長が毛を刺された後。

急に紳士然めいた雰囲気を醸し出すと、胡散臭い笑みを浮かべて街に向かっているのが見えた。

П「Let's do a play practices…フフフフーン」

フレデリカ「うわぁ、何だあれ……近づかないでおこう」

何となく引きながら、街を再び練り歩く。

遠くでカースの悲鳴や、悪人のあげる悲鳴が聞こえるが、知ったことではない。

フレデリカ「ふぅ……」

近くの喫茶店で一息付く、珈琲とクッキーを齧り胡乱げに外を見ていると、世の中は意外に平和である。

新聞やニュースが、社会の外れ値の縮図であることが容易に窺い知れる。

…と思っていたのだが意外にそうでもないらしい、喫茶店の外にドロドロした水っぽいカースを見つけため息をつく。

だが、無色…?無色のカースなんてあったかな?と思いつつ、単ズボンの中から懐中時計を取り出しつまみを引きぬき『時間を停止』させる。

フレデリカ「店員さん、ナイフ借りるよ」

お店の出刃包丁を手に持ち、逃げようとする民衆の間をスルスルと縫って、出刃包丁を半透明の泥の中を掻っ捌き。

内部の核に向かって、出刃包丁を放り投げる。

さて……所で、このままでは突然カースが消滅して、民衆は混乱してしまうに違いない。

フレデリカ「……トンズラここう」

お金を自分の食べていた菓子皿の隣に置いて、少し離れた地点で懐中時計のつまみを押し『時間を再動』させた。

無音の世界は色を取り戻し、徐々に世界に音が広がっていく。

遠くでは泥の崩れる音が響き、町中に反響している。

フレデリカ(お菓子食べたら眠くなったなぁ)

なんて考えつつ、町並みをかき分け自宅に向かって歩く。

そろそろ神様新聞も届くようになる、次からは歩いて情報を得れない時は、天井の神様に頼ることにしよう。

そう思いつつ、ポッケから飴玉を一つ取り出し舐めるのだった。

猛反発枕

通常使用時は普通の枕としての形質を備えるが。

特殊な液状結晶で内部は満たされており、一定以上の衝撃を加えると理想的な剛体、反発係数1に限りなく近い数値を示す。

禁止行為:高速道路に投げ込んではいけない。


神様新聞

一つ雲の下の情報を世界中にお届け!今なら神の味噌汁がついてくる!―――キャッチコピーより。

文字通り世界中の雲の下のニュースを、世界中の神様にお届けします、但し地下とか建物内部はさっぱりわからない。

またネオトーキョーは、排気ガスが凄すぎて近寄らない。


半透明のカース

そろそろ人工カースとか出てきそうな雰囲気とかあるし、自由に設定していいのよ?


元時空神:フレデリカ

フレデリカは任意の時間を停止させ、その間好きな行動を起こすことが出来る。

茄子さんの言っていた、人間に味方する時の神様とはフレデリカのこと。

古い農耕神であり、農業とは原始的な文明の始まりであり、当時は最先端の技術だった。

転じてフレデリカは、最先端の技術に強い興味を引くようだ。

後出来れば人間の問題は、人間に解決してほしいと思っている。


討伐任務(?):凶悪な善人 П

ハンテーンに触発されて、進んで悪人をぶちのめす民間人が現れました。

ただ何分やり方がえげつなく、紳士を装って悪人に近づき、悪人の足を撃ちぬいて拷問してから警察に突き出す。

ベトナム式トラップに、悪人が引っかかるように『能力』を使う。

悪人にカースを食わせた後、気絶させて無理矢理引き剥がす等、典型的悪人に対してやったら容赦がありません。

邪魔する奴は、善人の場合はすっ転んだり、気絶するように能力を使うなどある程度気を使いはしますが。

進んで悪人を倒すという意味では、以前とは正反対の性格らしいのですが、以前より凶悪性が増しているようです。

П「善人を倒せば文句も出るが、悪人ならそこそこ痛みつけても問題はあるまい、そして良いことをした後は気分が良い、そうだろう?」―――悪人を拷問して警察に突き出した直後に。

フレちゃんは昔より力がないので、時間停止は1分程度が限界だったり。

Пが悪人とか好き放題言われてるので、そろそろ討伐対象にでも上げてみるテスト(討伐しなくても基本的には無害です)

今日はここまで

乙です
透明のカース…なんて核が分かりやすいんだと素直に思ってしまった…
そしてПさんはどうしてこうなったww


……こっちはこのまま、いやでもめんどくさいな?

うわあああ無色のカースちょうど書いてたのに出ちゃったあああ

…と思ったけどこれならむしろいけるか?

後で多分、設定借りさせていただきます

そろそろ出ると思ってかいたので、寧ろそちらオリジナル扱いでもいいのよ

岡崎先輩のからあげに勝手にレモンをかけるなどして怒りを煽ることに余念がない憤怒P
この邪悪なる者にAnzuchangはどう対抗するのか!?

杏「食べればぜんぶ一緒だしどうでもいい」

法子「じゃあ、逆に考えてみよう。唐揚げにレモンがだめなら、唐揚げにドーナツなら?」

ドーナツの穴の中にから揚げを突っ込んでその上からマヨネーズを掛けてみよう(ゲテモノ感)

光「みなまでいうな!」ドヤァッ

麗奈(アホがまた妙なもんの影響うけてるわ……)

憤怒P「ヒャーッハッハッハァ!
このゴールデンチョコレートに明太子マヨネーズをトッピングしてやるぜぇ!」

このスレ的にまともな食事とれてなさそうな層といえば
・・・やはりG3か。誰か満たしてやれたら善転換あるで

>>657
法子覚醒フラグ
もしくは何の問題もなくむしゃこらか

憤怒P、なんたる邪悪!
寝ている裕美のおでこに天津飯風の第三の目を描いていくほどの悪魔めいた所業である!

寝てるとき無防備そうな奴らが多すぎる…
寝ているきらりから奈緒を引き離す
充電中のだりーなのコンセントを抜く
これだけで割りとダメージ入るネバーディスペア…

憤怒P、比奈の原稿に凄まじく高クオリティな墓場背景を書き込んでいく暴虐っぷりを披露

憤怒P「寝ている奴の頬にうずまきを描いて……クッククク、これで貴様もバカボンだぜ」

そのティアマット、アバクーゾの親戚のアホニナールみたいな名前の怪人に襲われてませんかね

ほたる「イヴさん、そのでっかい氷何ですか?」
イヴ「暑いからカキ氷でも作ろうかなってぇ~♪」ゴリゴリ
乃々「あの…その氷なんか黒いの中心に……」
イヴ「そんなのないですよぉ~」ゴリゴリ

弟子を苛められて笑顔でキれるイヴさん
憤怒Pカキ氷、お好きなフレーバーでどうぞ

食べた人の精神に漏れなく憤怒Pの分裂体が住み着きそう

憤怒の赤、イチゴシロップ
強欲の金、レモンシロップ

……これはビジネスチャンスだ!いけ亜子!!

菜々のおでこに実年齢を書く憤怒P

>>662
そのうち風景も剥がすようにするぞおら

「おはようございます、ナナさっ……ブフゥ」と思わず吹き出してしまったウサミンP

その後、彼の円盤をみたものはいない・・・

凛「ウサミミ、アウトー、プラズマバスター」

絶対に笑っちゃいけないウサミンP24時
あそこまでウサミンP脅した大精霊が今度は全力で笑かしにきたらウサミンPは耐えられるのか

今度こそミキプルーンくるか…!
なんだろう、すごく見たい

>>672
沙織「SATSUGAIせよ SATSUGAIせよ」
ウサミン「さ、沙織……!?」

これまでの路線から一転デスメタルに転向というドッキリのつもりが素でドン引きされる沙織

笑ってはいけないヒーロー24時
ウサミンP、П、LP、店長などのPポジションの男性陣を襲う理不尽な笑いと暴力!
司会進行は憤怒Pことティアマットが担当します

真顔で歯ギターするだりーな
夏樹による無限スカイダイビングを行う幸子
ほのぼの系で笑わせてくるニナチャーン
安定の上田しゃん
アバクーゾによる不意打ち公開処刑
…やべえすごく見たい

川島先生「あなたは何で遅刻したの?」
あやめ「時代劇見てました!」
川島先生「あなたは?」
愛海「女の子の胸を揉んでました!」
川島先生「あなたは?」
蘭子「昼子ちゃんが寝坊して」
川島先生「」パシン!←蘭子にビンタ

ってネタが頭を過った

司会進行中の高笑いがカウントされてたせいで最後の「一番笑った人へのお仕置き」をそこまでのカウントと一緒にくらう憤怒P

「一度ためした美容法が二度と聞かない」という切実な悩みをうちあけるレヴィアタンこと川島さん

ヘレン「アバクーゾとハンテーンの二体はどうなったのかしら」
マシン「あの二体は今も稼働中です」
ヘレン「それにしては騒ぎになってないと思うのだけれど…」
マシン「あの二体は一度謎の女に捕らわれて改造されています」
ヘレン「…興味深いわね、話してごらんなさい」
マシン「はい、マム、あの二体は今はデパートの屋上で100円玉で動くメリーゴーランドとして過ごしています」
ヘレン「!?」

全員アウトー

リンちゃん……いや、ひょっとしたら晶葉か。なにやってんだよwwww

でもヘレンさんなら真顔で「一流は一流を知るわ」とかいいながら乗ってても問題なさそう

みんな笑ってはいけないシリーズ大好きなんだなww

>>675
進行役の憤怒Pが木場さんの普段着を真似て女装することで、TSのトラウマを抉る光景が浮かんだ

流石憤怒Pだ、煽りに余念がないぜ

本編がシリアスムードだからねぇ、みんな飢えてるんだよ

>>675
田中ポジのウサミンP
浜田ポジのП
松本ポジのLP
遠藤ポジの店長

……山崎ポジがおらんな

>>684
サタンお父様とかどうだろうかと考えたけど、仕掛け人やった方が面白そうだ
となると、神父P?
山崎っぽくはないけど

ピィさんがいるじゃないか

それぞれの性格とか経歴とか考えるとカオスだな…w
あれか、ギャグ時空か

山崎ってことはピィさんあれか
薫泣かせたことになってキバさんのドラゴンブレスくらうか昼子泣かせたことになって激おこスティックファイナリアリティプンプンドリームサタンお父様されるか、か
……無能力者だから死ぬぞ?

なおケツバット等の監修、指導は有志の魔界更正施設職員が行っています

キバさん登場と同時にCRASH~戦慄~が流れるのか……
妙にマッチしそうな不思議

ヴォーパル『まったく、小学生は最高ですね』
ありす「!?」

ヴォーパル一世一代のジョークにコンビ解消の危機

ありす「…工場出荷状態に戻すのは背面のボタン長押し……」
ヴォーパル「待ってください、そんなこれからハード○フ行きかなみたいな扱いやめてください」

憤怒P「まったく、小学生は最高だぜぇ」
ウサミンP「まったく、小学生は最高だ」
ピィ「まったく、小学生は最高だな!」
П「まったく、小学生は最高だぜ」
LP「まったく、小学生は最高だな」
店長「……まったく、小学生は最高だ」

うーんこの

男性陣のまともな人の少なさ

サクライPというロリコン筆頭を忘れてはならない

アイドル's「おい、プロデュースしろよ」

こずえちゃんに千枝ちゃんに薫ちゃんに仁奈ちゃんにありすちゃんにナニカちゃん…(実年齢的に奈緒もいるけど)まったく、小学生は最高だぜ!

ウサミンP「沙織を歌姫に、ナナ様をウサミン星の指導者にプロデュース!」
憤怒P「泰葉ちゃんを憤怒の王にプロデュース!」
サクライP「マンモン様を世界の支配者にプロデュース!」

アイドルじゃないんだよなぁ……

とりあえず
サクライP→娘が悪魔憑きになって歓喜。12歳に忠誠を誓う
ピィ→近所のお兄さん。小学生の千枝ちゃんにライクではなくラブの感情を持たれている
ウサミンP→異種族の15歳においかけまわされている。1000歳オーバーの相手から特別視された
LP→一桁歳の女の子を要するチームの指揮官。その子の加入を勧めた本人
店長→登場12歳の美優に惚れる14年ものの一途なロリコン

ここらへんは言い訳不能だよねっ☆ミ

LP「…改造された少女と孤児を戦闘員にプロデュース…」
アカン

歌姫は一応アイドルと言えなくもないじゃないか

>>698
登場じゃないわ、当時ね当時

オーバーロード「やっぱり地上人はダメだな」

奈緒は記憶喪失だし無理矢理成長させられたし元の親の所に帰っても受け入れられるかどうか…
というか数年前に行方不明になった娘と認識される可能性が低いから仕方ない気もするけどな…

男性陣まともランキングを作ろう(提案)
憤怒Pは一番下な!

組長「ワシは一・二回しか出てないしマトモじゃ」

サタン「キバよ。お前はどちらにカウントすべきなのだ?」
木場「今の私は真奈美だ。性別ジョークはセクハラだが?」

>>698
ウサミンPの熱い風評被害
その中だと完全に被害者じゃないですかヤダー

Пは人生楽しそうだから……うん……
神様のケツひっぱたいたり揉んだりしてるんだぜこいつ

このスレのしぶりんは予想外の方向にかっ飛んでるから…
ウサミンPは犠牲になったのだ…

※ウサミンPはとても真面目で優しいウサミン星人です。

※でも身長2mでウサミミです。

>>698
相手を一人に絞って愛し続けることができる(できた)なら(医学的には)ロリコンではなく「愛した相手がたまたまロリだった」ってことになるんだって
だから店長は浮気してなければ多分きっとセーフ

外見描写があった男性陣ってウサミン以外にはいたっけ?
殆どがスーツの男という典型的Pのイメージ。髪型とかは違うだろうが
LPは軍人っぽいイメージ…というか彼も宇宙人っぽいから地球人離れした外見的特徴があってもおかしくないよね!

急募・LPの宇宙人っぽい特徴
サクライPは金髪、Пはぼさぼさ髪のイメージ

ウサミン:身長2メートル近く。ウサミミ。全体的に白い。
オーバーロード:褐色の肌の偉丈夫
サクライ:年齢を感じさせない若々しさとルックスの良さ

Пはスーツじゃなくて普通に私服だろうなぁ
店長はポロシャツに店のエプロンとか?

憤怒Pがどうしてもブレイブルーのハザマでイメージされる……

>>711
これとか
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4361080.jpg
これみたいなのはどう?
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4361093.jpg

あと個人的にはこういうのも好きで
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4361117.jpg

それからイチオシがコレ……
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4361121.jpg
……あ、ただの中田譲治だコレ

なんやかんや言ってピィが一番普通の人間だよね・・・
まぁ、そもそもアイドルにもまっとうな人間が少ないんだけど

そういえばアイドルヒーロー同盟のPはチラチラ出てる割に詳細不明よね

>>716
そんな中、安定感のある高校生組

茜→元気でちょっと抜けてるお人よし
美穂→ヒーローに憧れる女の子。剣を抜くとヒーローの人格と達人の腕前を手に入れる
卯月→島村卯月です!頑張ります!

拓海と美世のPはモブに毛が生えた程度の扱いだから設定とか無いんで

ああ、アイドルヒーロー同盟には数人のモブPがいるのかな

サクライPはまごうことなきロリコンだけど
あんなでも一応ちゃまの父親だから妻が居たはずなんだよ

>>721
その奥さんは今は20代ですか?

>>714-715
まさか画像で来るとは思わなかったww
その中からなら一番目が良いかな?一応軍人のリーダーだし

夕美と菜々のPも何も知らない一般人ですぜ

>>722
どうあってもロリコン

>>722
「今も」20代だとしたら・・・?
できた嫁として生き、そのまま死んでしまってるとしたら
桃華の容姿はかつて愛した妻へ似てきていて、性格はマンモンみたいだったとしたら


あれ?いけるんじゃね?

マンモンみたいな嫁って鬼嫁とかいうレベルじゃないんですがそれは

……マンモンみたいなってこの世の全てを手に入れないと気が済まなくて、強欲の権化なんですがそれはいいんでしょうか

でもまあ、呂后とか西太后みたいなとんでもない悪女だったとかならそれはそれで……

櫻井財閥頭首、ドMかつロリコン疑惑!?
奥様は×0歳年下の女王様!!

>>729
もうそれだけで櫻井財閥がヤバイwwww

櫻井財閥、まさか能力者がでてきて最初に傾いたのって奥さんとのあれこれを諜報系能力者にさぐられたせいなんじゃ…

大罪の悪魔で嫁にするなら

ベルゼブブ  良妻、と言うか他にまともな選択肢がない
アスモデウス  まともな生活遅れなくなりそうだけど夜は凄そう
ベルフェゴール  働かないけど一緒に遊んで過ごせる
ルシファー   友達殺せよとか言ってくる、機嫌損ねたらヤバそう
マンモン  いつでも息の根止められてヤバそう
レヴィアタン  凄まじくヤンデレ、ヤバイ  

逆にサタンお父様に嫁入りする選択肢はないんですか…!?

ルシファーとか変身しまくりの試されまくりだぞ
運命の相手レベルの愛の攻略難易度MAXじゃねぇか

大富豪の令嬢として何不自由なく育ち、欲しいものは何でも与えられてきたちゃま母
ある時政略結婚的なものでサクライPとくっつくが、夫は仕事ばかりで自分に見向きもしない
その後ちゃま母は難産の末に桃華を産むが死去、サクライPは無くして初めて妻の存在の大きさに気付くが時すでに時間切れ
「桃華は幸せにしてやろう」と更に仕事を頑張るもののいろいろと間違っていることに気付いていない

母も娘も欲しい物は何でも与えられてきたけど、本当に欲しいものが手に入らないよ~っていうような話が頭に浮かんだ
マンモン然り、強欲の性…みたいな

他の魔界勢を嫁にしよう…キバさんとかユズちゃんとかブリュンヒルデとかキヨラさんとか…
キバさん・元竜帝♂
ユズ・問題なさそうだか鍛錬とか強要しそう
昼子・サタンお父様怖いです
キヨラ・ドS

あとの外部キャラっていうと妖精勢と…宇宙か

魔法少女が一番まともなお嫁さん候補な気がしてきた。人間だし捕まらないし

>>735
いいなぁ、それ
いい感じに歪んでて

しばらく放置してて申し訳ない
改めて瞳子さん予約して週末頃には投下します

かまわんのよ
今はだいぶ新アイドル登場よりもアイドル同士の話が増えてるしねぇ

そういえば、ままゆって今どうなってるんだっけ
wikiの設定まとめにもないんだけど、スルーされてるでいいの?

あれは…どうなんだろう
自分的にはスルーというかなかったことになったという判断だったけど

あれは一応、アギとか閣下の流れはなしでってなって、ままゆはその設定でって感じだったような

とはいえ採用するか破棄するかの話も出ず、あの設定を用いて書いた者もいないので
実はずっと宙に浮いた状態になっているんだよね。wikiにも載らないし

使うなら使うで、Pの事務所がネオトーキョーにある設定にすればほとんどメガテンめいたなにかがやれるよ☆

あの時きちんと決めとけば良かったね。
めっさ使いたくてしょうがない人居れば宣言して一週間くらい反応見て決めるっていうのもありっちゃありだとは思う。

個人的には>>745に同意
もし「既存の設定の方を使いたいです」という人がいれば、もちろんそっちを優先で

>>735
その設定で行くと、実際サクライPとオーバーロードは似ているんだよなぁ……

両者ともに妻に先立たれ、一人娘を大事に思っているという根幹の部分がそっくりだけど
それぞれ違った形で頑張ってるし違った形で間違ってる。ストーリーの中でうまく対比させると面白そう

アンダーワールドって科学は発展してるけどカース湧いたらどうするんだろうか
ここまで闘う力もったアンダーワールド人がでてないのもあって普通の人にはきつそうだしフラグたってるしで不吉

戦う必要がなかっただろうから軍事的な装備も不安だしな
櫻井財閥がいろいろ手を回してウハウハするか、アンダーワールドに新たなヒーローが現れるのか…

生存が優先だったとはいえ地上侵攻を長年の目標にしてるんだから軍事力はあるでしょ

一介のエンジニアが魔法エネルギーのビー玉と感情エネルギー増幅のカースの核から無限発射可能な魔法銃製造できますし?
……持ち主が持ち主だけども

財閥からカースの情報は貰ってるだろうし
財閥が対カース兵器作るときに協力させられてるから
雑魚カース対策は問題なさそう

まあ問題なのは軍で全てのカースに対処できるわけがない事だよね
一般人のヘイトはどこへ向かうのだろうか…地上に行くかもしれないし、オーバーロードに行くかもしれない

地上はヒーローにあふれてるのと体制できてるので避難する描写も結構あるからな 
小規模ヒーローは割とおなじみになってるみたいだし
なにもしらない一般人がちゃんと避難して軍に連絡、出撃なんて待ってたらどれだけの犠牲がでるか……

対カース用兵器の配備は遅れてるだろうし、少なからず犠牲は出るだろうな

地上はGDFがやたら貫禄あったりアイドルヒーロー同盟のお陰でカース狩りがパフォーマンスの一種って認識があるのがでかそう。
中小以下も積極的に動いてたりノリノリでカース狩るヒーロー多いし。

なんだろう……

アンダーワールドにカース発生

それに合わせて様々な脅威(例えば、遥か昔人類の祖先と地球の支配者をかけて戦った恐竜人とか太古の昔に封印された無差別殺人兵器とか余りの危険に封印されたグロンギとか)がアンダーワールドに発生

それらの脅威に対抗するために地上と協力を申し込む

アンダーグラウンドの脅威も地上を狙う

的な展開が頭を過った

適応してるよなぁ地上の人間は…
アイドルヒーローになる前のカミカゼにもファン的な野次馬集まっていたし、地震的な認識なのかもしれない
大きいのはヤバいけど小さいのはそこまで驚異に思っていない感じで

戦隊ヒーローや仮面ライダーの世界の地球は凄いよね

毎年、地球は色んな脅威にさらされてるし、地球消滅まで追い込まれてるし、それでも最後は平和なんだぜ?

……地球ってすごくね?

プリキュアの世界だと数回ほど消滅してるしな!地球ってすごい…特に日本すごい

キリストとブッダがアパートで同居する国ですし

そんなクロスもあったなぁ

ギャグイベントで盛り上がっている中、憤怒の街関連で投下します。

……上田しゃん、ギャグかけなかったよ俺orz


「よかった…」

憤怒の街の小さなビル、その屋上から下を見ていた愛梨は安堵の息を吐いた。

その視線の先には、生き残りを乗せた装甲車が相葉夕美と安倍菜々、そしてカミカゼの三人によって守られていた所だった。

人知れず街中のカースを撃破し続けていた愛梨だったが、その途中で街を疾走する装甲車を発見。

その進路を邪魔しようとしているカースを倒して、こっそり街の外側まで密かについて行った所で菜々と夕美が来たのであった。

「夕美ちゃん、あんな風に笑うようになったんだ」

切迫した状況にもかかわらず、それでも笑い合ったアイドル達を見つめる。

「…頑張ってね」

そうして、愛梨がその場を立ち去ろうとした時、ふっと視界の端に見覚えのある姿が見えた。

「あれ……みくちゃん…?」

―――同時刻。


「だあああもうしっつこいにゃ!!」

「ニゲヤガッテエエエエエ!!」

「ウラギリモノガアアアア!!」

小さな通りを疾走するいくつかの影。

その先頭を走るのは、先刻憤怒の街に突入したみく。

そして、その後ろには何体もの狼型カースの群れが迫っていた。

「のあチャンとも離れちゃうし電話は使えないしってかここどこにゃ!?」

―――突入してしばらくは何事も問題なく突き進んでいた二名だが、途中で大量に固まっているカースに遭遇してしまった。

―――しかも間が悪い事に上空から憤怒の翼竜によるカース弾と、来た道からもカースの一団が現れたために逃げることも叶わなかった。

―――仕方なく突破を試みたのだが、気づいたときにはのあの姿はなくみく一人が抜け出していたのだ。

「オオオオオオオオオ!!」

「ニゲンジャネエエエエ!!」

「しかも増えるにゃあああ!!」

とにかく走る走る、しかし追いかける狼を振り切ることは出来ないばかりか騒ぎに呼び寄せられて近くのカースが集まってきていた。


「オラアアアア!!」

「うっさいにゃ!」

真横から飛び出してきた狼をカギ爪で思いっきり叩き落す。

だが、それで一瞬止まってしまったみくに対し背後から数匹飛びかかるが直感で避けてみせた。

「……なぁんか最近、ロクな目にあってない気がするにゃあ」

周りを見れば狼、狼、狼、時々蜥蜴で完全に四方を塞がれた状況であった。

「はぁ……さっさと終わらせてやるにゃ!」

その言葉が終わるか終わらないかの内に、数匹の狼が牙を剥き飛びかかってくる。

それを避け、叩き落とし、切り裂き、時には蹴り飛ばし目まぐるしく動き続ける。

そうしながら少しづつ包囲の外側に動き、脱出も図る。

「こっ……の程度!!なんっともないにゃ!!」

時折爪や牙が肌をかするが、それ以上に倒す。

核に当たらなくても足を切り落とし首を切り落とし胴を切り落とし、とにかく一度に来る攻撃を減らす。

更に横から尻尾を振り回した蜥蜴が襲いかかるが、逆に切断してやる。


―――ゴガアアアアアアァァァァ………

「ちょ!?今こっちにくんにゃ!?」

徐々に徐々に数を減らしようやく包囲を破れると思った矢先、上空から翼竜がカース弾を吐き出した。

―――目標は、どうやらみく。

慌ててその場を離れ、カース弾は狼を数匹巻き込み着弾するがみくは壁際に追い込まれてしまった。

「……ちょっとまずいかにゃあ?」

壁際に追い込まれた事で、これまで通りの縦横無尽に動き回るみく本来の動きが制限される。

それまでずっと、全方位に動き回れるように立ち回っていたから均衡を保つことが出来たわけで、それが出来なくなった以上は多少くらうのは仕方ないとすぐに割り切る。

そして、ならばと逆に自分から飛び込もうと思い、一歩踏み出す。

―――同時に、突如吹き荒れた風が半数以上を吹き飛ばした。

「これで!」

続いて、凝縮された風の槍が次々と残りのカースを貫き殲滅していく。

「…最後!」

いつの間にか、見慣れた顔を持った人影が現れたと思った時には最後に残った数体のカースが真空の風に切り刻まれていた。

「……え…愛梨チャン?」

「…どうしてここにいるの?」

それは、みくの目的の人物の一人、愛梨であった


「なーんにも言わないで出てった愛梨チャン達には言われたくないにゃ」

「う……」

助けに来たまではいいが、若干言葉につまる愛梨。

………実際、何も言わずに来たのだから仕方ない。

「でも、なんでここって……あ、まさか」

「里美チャンに問い詰めたにゃ。あんな書置きだけ残していったら気にするなってほうが無理だにゃ」

「やっぱり里美ちゃんかぁ…」

日菜子と愛梨がここにいることは、本人たち以外には『別件』について動いている榊原里美しか知らない。

「……そういえば、みくちゃんだけ?」

「……のあチャンも来てるけど……ちょっとドジってはぐれたにゃ…携帯も繋がらないしどこに行ったかさっぱりにゃ」

「この街だと機械は使えなくなるからね………あれ?」

と、ここで一つの事実に気がつく。

「のあさん大丈夫なの?この街だと機械はダメになるんじゃ…」

みくと一緒に来たという未だ謎の女性、のあ。

そののあの戦い方と言えば、様々な火器や機械仕掛けの装備を召喚して戦うことではなかったか。


「にゃ?別になんともなさそうだったけどにゃ」

「うーん?……ここで考えても仕方ないね、なら一緒にさがそうよ」

「にゃ!……ところで日菜子チャンは一緒じゃないのかにゃ?」

「あー…うん、今は別々で動いてるんだ」

「まぁだろうと思ったにゃ。パパッと見つけてさっさと終わらせようにゃあ……なんか知らないけど、この街には色々ヤバい奴らがたくさん居る気がするにゃ」

顔に渋面を作りながらみくは答える。

実際、逃げ回っている途中でやたらめったら暴れている女の子や、次々と湧いていた蛇の群れ等を目撃しているため少しだけ来たことを後悔していた。

「うん……とりあえず、はぐれた場所まで行ってみようよ」

「そうするのが一番かにゃあ」

そうして二人は、みくがのあと別れた場所まで戻る事にしたのだった。


―――同じ頃。

「……………」

街中の大通りに面しているビル、その中の一つの屋上にのあはいた。

みくと別れた後、ある程度逃げた所で逃走を諦めてカースを一度全滅させたはいいが連絡がつかない。

少しの間探し回っても見つかる気配は無く、ならばいっそと比較的街を見渡せるビルを登ってきたところであった。

《Weapon:対魔力障壁弾併用アンチマテリアルライフル[亡牙]》

そして、まともに目で探すわけにもいかないので亡牙を召喚し追加装備の狙撃用スコープとついでに同じく長距離狙撃用のロングバレルを装着。

みくと別れた地点を重点的に探していたのだが、なかなか見つからない。

「………きたわね」

一度スコープから目を離し、物陰に身を隠すと頭上を憤怒の翼竜が通り過ぎる。

「……………」

通り過ぎた翼竜を目で追いながら、のあは思案する。

突入してからずっと、あの翼竜はこの街の上空を飛び回りカース弾を吐き出しては人間を襲っているらしかった。

だが、何名かのヒーロー達が突入しているにもかかわらず翼竜はほぼ無傷。

今出している亡牙ならば、あの翼竜に有効打を打てるはず。

しかし、現状それはあの強大な存在と一対一の戦いになるわけで。

「……やめておきましょう」

再び物陰からでて、こんどはさらに広範囲をスコープで探す。

―――頭の片隅には、かの翼竜を落とす算段を立てながら。






―――そして、この時のあが真下を見ていれば気づいたであろう。




―――混沌を宿した少女が、地下鉄の駅構内に下っていく姿を。




続く?

・「愛梨の能力補足・1」
→だいたいは風を操る能力で、風の槍を作ったり真空の刃を作ったり竜巻も作れたりする。
さらにいえば気流や副次的なものとして冷気も操作できるが、最大の特徴は「風との同化」。
テレポートと同じような感覚で移動でき、煙が風に吹かれたように消えては現れる。
さらに物理攻撃無効という一見チートじみたものだが、完全に消える前ならば魔法や魔術など魔力による攻撃で捉えることは可能。

イベント情報
1.愛梨とみくが合流しました!
2.スナイパーのあさんが出現しました、屋外ならば強力な援護射撃が期待できます。
3.日菜子がまた地下に潜ったようです、目的は蛇龍の出現を止める事だと思われます。

投下終了、相変わらずふらふらしてるけど確信にむけて動き始めたい…

ではおめ汚し失礼しあした。

確信ってなんだよ核心だよorz

乙にゃん
のあさん自信がオーバーテクノロジーの人外である可能性…?

乙ー

途中送信してしまった

のあさんの機械は実は全部ロストテクノロジーの可能性も…

のあさんは本当に謎の人やで
堕天した天使でも古代カラクリ自動人形でも未来形ターミネータでもいいっていう

>>771
おつです

ちょうど翼竜を叩き落としてやろうかと考えていたところだったんだけど、そのまま落としちゃってもいいかな?
倒すのは他の人に任せる感じになりそうだけど

あと、今更すぎるけど
GDFの対カース用兵器は櫻井財閥の働きかけでアンダーワールドと共同開発した物っていう設定で考えてました
でも今見直してみたら、サクライPは財閥傘下の対カース部隊のためにアンダーワールドに接触してたっぽいな…どうしよう

>>778
そこらはwikiの作者スレで話したほうがいいんでないかい

>>779
確かに、そのための作者スレだった
失礼しました

まずは相馬さん書きあげよう…

乙です
地上はなんとかなりそうかな…?
地下はどうなることやら…

地下ってどこらへんまでいく地下なのか……
嫉妬の邪蛇は誰かしらがなにかしらするとして、アンダーワールドはがんばれとしか

俺じゃない誰かがアンダーワールド書いて新規設定を既成事実化してもいいのよ(チラッ

透明なカースの話、投下します



春菜「そういえばさー」


「カースの属性って、なんで七つだけなんだと思う?」


先輩がそんなことを言い出したのは、毎週恒例の三人のお茶会の時のこと


真尋「いや、なんでって、そんなのに理由なんてないんじゃ……」

千夏「あら、カースの属性が七つなのには、ちゃんと理由があるのよ?」

真尋「えっ!? そうなんですか?」

千夏「カースの属性は、傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲の七つに分かれているわよね?」

  「この七つは、元々は十字教の『七つの大罪』といって、人を堕落させる七つの感情を指したものだったの」

  「カースは人間のマイナスの感情から生まれる存在。そして、カースの素となった人間の感情が、カースの属性になると言われているわ」

  「だから、カースには人間のマイナスの感情と同じ、七つの属性がある……こんなところかしら?」

真尋「へえええええええ……」ソンケイノマナザシ

真尋「千夏さん、すごい! やっぱり物知りですね!」

千夏「フフフ……そんなことないわよ、本で読んで知ってただけなんだから。それに、その本が全部が正しいとは限らないわ」

真尋「いや、それでもすごいですよ! ね、先輩……」


春菜「……すいません、そういうことじゃないんですよ」


真尋「へ?」

千夏「え?」


春菜「『属性』と言ったら…………」


  「 『 眼 鏡 属 性 』がなきゃ駄目じゃないですか!!!  」


真尋「…………は?」

千夏「ああ……そういう……」


春菜「眼鏡属性といえば、あらゆる媒体において必須の属性!」

  「にもかかわらず、カースには眼鏡属性がない、これは由々しき問題ですよ!」


真尋「いや……眼鏡属性のカースって、それもう一体なんなんですか……」

千夏「『眼鏡』ってマイナスどころか感情でもなんでもないじゃない……」

  「そもそもあなたの言ってる『属性』って、『ツインテール』とか『委員長』とかそういうのでしょう……?」

春菜「確かに、『眼鏡』って言葉は、本来は感情を指すものではありません」



  「でも、ちょっと想像してみてください……」

 

  「眼鏡を求め、眼鏡を愛し、眼鏡に執着する……」


  「眼鏡のことだけを考え、人生の全てを眼鏡に捧げてしまう……」


  「時には、眼鏡を傷つけたものに死をもって贖わせ、時には、最高の眼鏡を作り出すための研究に没頭して全てを失う……」


  「人が眼鏡を愛する感情、それは、人を堕落させるのに充分なものではないでしょうか?」


  「その感情のことを『眼鏡』と呼ぶのなら……」

   
  「その感情を元にしてできた『眼鏡のカース』がいても、おかしくはない……」


  「……そうは、思いませんか?」



  「…………あれ?」



真尋「すいません、千夏さん。いつもおごってもらっちゃって……」

千夏「気にしないでいいわ。どうせ取材のついでだから、経費で落ちるのよ」


私たち二人は、すでにカフェの会計を済ませて店の外に出ていた。

――――――――――


春菜「ってちょっと二人ともー! 置いていかないでくださいよー!?」

真尋「馬鹿なこと言ってる先輩が悪いんですよ、全く……」

千夏「流石に、今のはちょっとキツいわよ」

春菜「えー……二人ともひどいなあ……」



  「 そんなこといったら、この子が可哀想ですよ! 」



真尋&千夏「「…………この子?」」



振り返って見れば、先輩の手の平の上には、半透明なゼリー状のなにかが、ちょこんと乗っかっていた



「マァマァメガネドウゾ―」



真尋「………………いや、あの、せ、先輩?なんですか、これ?」


春菜「何って、『眼鏡のカース』一号の、メー君です!」


真尋&千夏「「…………………………っはあああああああああああああああああああ!?」

――――――――――


リン「ふぅ……こんなとこかな」

  「やっぱりこの方法なら、一度に大量に回収できて効率いいね」


私は、ウサミン星人の宇宙船に忍び込んだあの日以来、彼らと行動を共にすることが増えていた。

その理由はいくつかある。

第一に、もともともの目的であったウサミン星の技術を見せてもらうため。

第二に、『歌姫』――奥山沙織を狙ったあの「アウトレイジ」の正体を突き止めるため。

そして、第三に……


リン「浄化された核、これだけあれば実験に足りるかな?」

  「アコには止められたけど、こんな面白そうな研究材料をほっとくことなんて、やっぱりできないよね」


ジャラリ、と袋の中身が音をたてる。

中にぎっしりと詰まっているのは、沙織の歌によって浄化された、カースたちの核である。


リン「前はアコや他のスカベンジャーに頼んだり、『組織』から買い取ったりしてたけど」

  「この方法ならノーコストだもんね、なんでもっと早く気が付かなかったのかな」


私が沙織とウサミミと共にいる第三の理由、それがこれだ。

沙織の能力は、歌を聞いたものの精神に干渉し、マイナスの感情を鎮めるもの。

カースの浄化はその能力の応用であり、沙織の歌を聞いたカースからマイナスの感情を無くすことで、カースの核を無害なものに変えている。

では、浄化された核は、どうしていたのか?


ウサミンP『ん? 放置して後始末は他の者に任せていたが……それがどうかしたのかね?』

     『……リン? どうしたんだうつむいて? もしかして具合でも……ちょ、痛っ! やめっ、リン!? どうしたんだ急に!?』

     『痛い! 痛いからやめてくれ! プラズマバスターは殴るためのものじゃない! あだっ! 沙織! 沙織ーッ! 助けてくれーッ!」


……まぁ、その時は紆余曲折いろいろあったが、とにかく私は浄化された核の供給源を手に入れたのだった。


リン「最近はカースが集団で現れることが多いね……ま、私としては好都合だけど」

  「おっ、ここにもあったか」


私は、地面に落ちている核を拾い上げようとした。

そのとき!


「オレニヨコセエエエェェェエエ!!」


リン「うわっ!?」


黒い影が、地面に落ちていた核を掠め取った!

上空を見上げると、まるでカラスのように羽を広げ、飛び回るカースの姿が!


リン「カースが空をとんでる!? 全部浄化されたはずじゃ…!?」
 

「キラキラ、アツメル、アツメル、ホシイ、ホシイ、ホシイ!」


鳥型のカース――おそらく強欲の属性だろうか、先ほどの核は既にその体内に吸収されてしまったようだ。


リン「……なるほど、沙織の歌の範囲外から飛んできたってわけか」

  「貴重な研究材料をよくも……これでもくらえっ!」


BLAM!BLAM!BLAM!


プラズマバスターの三連射だ!

しかしその瞬間! 鳥型のカースは急加速してビームをよける!


リン「嘘!? 外した!?」


「ゼンブ、ゼンブ、オレニヨコセェェェェェェェェェェ!!」


リン「くっ!」


鳥型のカースの狙いは、袋に詰まった浄化済みの核!


「オレノモンンンンダアアアアアアアアァァアアアアア!!」


急加速して、こちらへ突っ込んでくる鳥型カース!

私は思わず、袋を抱えてその場にしゃがみ込んだ……



「うおりゃあああああああああああああ!!」


バキィッ!


次の瞬間! カースの嘴が砕け散った、いや、何者かが蹴り砕いたのだ!


春菜「眼鏡っ娘の危機には必ず駆けつける! 『マスク・ド・メガネ』参上!」

  「大丈夫ですか!! ってあれ?」


私を助けてくれたのは、どうやら地上のヒーローのようだった。


リン「ええ、ありがとうござ……」

春菜「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

リン「うわっ!」


私を助けたヒーローは、急に叫びだしたかと思うと、私の肩をがっしりと掴んできた!


リン「えっ! ちょ、ちょっと何を……」

春菜「…………あなた、以前、」



「 眼 鏡 を コ ン タ ク ト に 替 え ま し た ね ? 」



リン「……はい?」


確かに、以前は既製品の地上用偏光グラスを使っていたが……?


春菜「ああ……なんと嘆かわしい!!」

リン「えっとあの……」

春菜「いえ、大丈夫です、この戦いが終わったら、しっかりお話しさせていただくだけですから」


彼女はそう言うと、嘴の折れたカースに向き直った。

……しかし、カースはすでに飛び去り、その姿ははるか遠くに!


「グヒュウウウウウウゥゥゥウウウウウ……!」


春菜「無駄なあがきを……とっとと終わらせますよ!」

  「マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義が一つ!」


  「ダブル・メガネ・ステイプラー・ミサイル!」


彼女は叫び声と同時に、胸の前で両こぶしを突き合わせる!

その瞬間、彼女の両腕の装甲が変形した!


リン「あれは……眼鏡……!?」


そう、その形状は、まさしく巨大な二つの眼鏡!

手首から肘にかけて、表面の装甲は眼鏡のフロント部に変形し、その両端からは垂直にテンプル(つる)が伸びている!


リン(え、あの変な眼鏡が……ミサイル……!?)


春菜「発射!!!」



バシュウウウウウンンンンン!!


白煙とともに、2個の眼鏡が打ち出される!

レンズ周辺から火を噴いて、後ろ向きの状態で高速飛行する2個の巨大眼鏡! ひどい光景だ!


リン(嘘っ! なんであんな不安定な形状で、しかも体勢を保ちながら高速飛行できているの!? 信じられない!)


「グヒョオオオオオォォオオオオオオォォォォ!!」


鳥型のカースは、ミサイルに捕まるまいとさらに加速!

さらに、ミサイルをまこうと考えたのか、ビルの間をジグザグに飛行!

しかしミサイルは鳥型カースの後を追いかける!


リン「自動追尾っ!?」


春菜「それだけじゃありませんよ!」

  「プランB、発動!」


眼鏡AI『プラン変更、ターゲットの逃走パターンを予測……』

    『……予測完了、ステイプラーAの飛行ルートを変更して先行させます、ステイプラーBは自動追尾モードを続行』

    『目標地点を、仮座標 K105/AA72 に設定……』

    『 3 2 1 …… 』


KABOOOOOOOOOOOOOOM!!!


カウントダウン終了と同時に鳴り響く爆音!その意味するところは一つ!


眼鏡AI『……ターゲットの排除に成功しました』

――――――――――


春菜「……さて、ちょっとお話ししましょうか?」

リン「……そうですね」

春菜「おや、ずいぶんと物分かりがいいですね……? まあとにかく、まずはメガ……」

リン「お願いしますっ!!!」

春菜「……えっ?」


リン「あなたを、私に研究させてくださいっ!!!」

――――――――――


春菜「まぁ、こんなかんじのことがあったんですよ」

真尋「あの、先輩、さっぱり話が見えてこないんですが……」


カフェを出た私たちは、現在カラオケルームの一室にいた。

こんな世の中とはいえ、先輩の見せたカース、メー君が人目に触れるのは、さすがにまずいだろうと考えたためである。

……監視カメラについては、従業員が深く考えないことを期待するしかないだろう。


千夏「それで、その話がどうして、その子につながるの……?」


「マァマァメガネー、メガネドウゾ―」つメガネ


メー君は、現在テーブルの上にちょこんと乗っかっている。

サイズは手のひらに載るくらいで、普通のカースと同じように鳴き声(?)もあるようだ。

色は無色で、形は、一言でいえばド○クエに出てくるスラ○ムだろうか?もちろん、目や口があるわけではないが……

よく見ると、体内にはきちんと核もあった……眼鏡型のやつが。


春菜「まぁまぁ、その辺についてもゆっくり話していきますよ」

――――――――――

先輩の話を要約すると、あの戦いの後、リンという女の子と先輩は意気投合したらしい。

リンは先輩に、眼鏡をかけた自分の姿を披露し、これ以降も眼鏡をかけ続けることを約束した。

そのかわり、上条先輩はリンに自分の能力――『マスク・ド・メガネ』について研究させてあげることになったという。

――――――――――

春菜「それで、早速その日にリンの隠れ家に行って、私の能力を研究することになったんだけど…」

  「その時に、いろいろリンとおしゃべりしていて、こんな話を聞いたんです」

  「カースの核は、マイナスの感情エネルギーを取り除くことで、浄化することができる」

  「そして、浄化された核は、清濁を問わずすべての感情エネルギーを取り込むようになる……」

  「この話を聞いて、私は思いついたの!」



  「私のメガネへの愛情をこの子に注ぎ込めば、『眼鏡のカース』を作れるんじゃないかってね!」



真尋&千夏(どうしてそうなった……)


「メガネー、カワイイメガネ、クールメガネ、パッションメガネ、イカガデスカー」つメガネ


春菜「そこで、リンからカースの核をいくつか譲ってもらって、常に身の回りに置いておくようにしたら……」ツンツングリグリ


「メガネカケテ、パーフェクトコミュニケーション、ジョウイホウシュウゲットー!」


春菜「この子が生まれたってわけです」モミモミムニムニ


「メガネー?メガネカケルー?」


千夏(あ、ちょっとかわいいかも……)


真尋「話は一応分かりましたけど……『眼鏡のカース』っていったって、カースはカースでしょう?危険じゃないんですか?」

春菜「危険?そんなことないよー」

  「この子はほかのカースと違って、人を襲ったりしない、ただひたすら眼鏡を勧めてくるだけだもの!」


「マァマァメガネドウゾ―」つメガネ


真尋「……さっきから気になってたんですけど、この子が差し出している透明のな眼鏡みたいなやつ、一体なんですか?」



春菜「何って……ただのかけ心地のいい眼鏡だよ?かけると誰でも眼鏡が大好きになる、普通の眼鏡」



真尋「……いやそれ絶対ただの眼鏡じゃないですよねえええええええええええええ!!!?」

春菜「そんなことないよ!かけ心地のいい眼鏡をかけると眼鏡好きになっちゃうのは、ごく自然なことだよ!」


「メガネヲカケルト、ココロガユタカニナルノデス」フンスフンス


千夏(……ポッキーとか、食べるかしら?)ポッキーチカヅケテミル


春菜「それにこの子、とってもいい子なんだよ!眼鏡のメンテナンスもしてくれるし、カースを浄化することもできるんだから!」

真尋「か、カースの浄化!?どういうことですかそれ!?」

春菜「ちょっと待ってね……リンとやった実験の記録映像が確か……ここに……」


「メガネハ、モッキュモッキュ、ジンセイノパートナー、モッキュモッキュ、メガネガジンセイヲ、モッキュモッキュ、カエルノデス!」


千夏(食べた!ポッキー食べた!)ナニコレカワイイ


春菜「……あった!これを見れば、この子のすごさが真尋にもわかるよ!」


そういって先輩は、自分の携帯を私に手渡した。

――――――――――

リン「じゃ、実験を開始するよ、春菜、いい?」

春菜「こっちは準備OK!いつでもいいよ!」

リン「……それにしても、『眼鏡のカース』なんて、思いもよらなかったよ」

  「春菜に核を渡したのだって、半分冗談のつもりだったのに」

春菜「眼鏡の持つ可能性は無限大! つまりそういうことだよ!」

リン「ま、それでこそ研究のし甲斐があるってもんだけどね」


「ザッケンナコラー……コノカスヤロウコラー……」


携帯の画面には、先輩とリンと呼ばれる女の子と、核が露出したカースの姿が映し出されていた。
どうやら、何らかの手段でカースを弱らせて、核を露出させているらしい。

リン「……さて、『眼鏡のカース』は、春菜の『眼鏡を全世界に広めたい』という感情をもとに行動しているわけだけど」

  「その『眼鏡のカース』が、他のカースと接触すると……果たして何が起こるのかな?」

春菜「それじゃあメー君、行ってきて!」


先輩が手のひらを差し出すと、その上に乗っていたメー君が、弱ったカースにの元へ近づいていく。


「テメーラチカヅクンジャネー……オレヲダレダトオモッテイヤガル……」

「マァマァ、マァマァ」


メー君はカースの前で止まると、カースへ向かって触手を伸ばし……


「マァマァ、メガネドウゾ―」つメガネ


透明な眼鏡を、カースの黄色の核に……

ズブッ!

と差し込んだ!


「グウォオオオオオオオオオオオオ!?????? ナ、ナンダコラー!?」


眼鏡を核に埋め込まれたカースは、苦しんでのたうち回っている!


リン「こ、これは!?」

春菜「メー君、危ないからこっちへ!」


「フザッ、フザケンジャネーゾ! メガッ、テメッ、メガネッ、ナメンナコラー!!」


透明な眼鏡はカースの核に深々と突き刺さり、核の内部を侵食しているようだ!

球形だったはずの黄色の核は、徐々にとその形を変え、変形していく!


「ヤメロッ! メ、ザケンナッ! メガネッ! メガッ、ク、クソガッ!」

「メガネッッ! ヤメロッメガヤメッ! メガネガネロッ! メガッ! ネッ……」


「………………………………」


「………………………………マァ、マァ、マァ、マァ……」


「 マァマァ、メガネ、ドウゾ 」


……真っ黒だったはずの体は、いつの間にか透明に変化している。

そして、黄色の核は……見事な眼鏡型に、変形していた。

――――――――――

春菜「とまあ、このようにして、この子の眼鏡にはカースを浄化する力があるんですよ!」


「メガネデセカイヲヘイワニー」


真尋「……あの、先輩?」

春菜「なに?」

真尋「それ、浄化じゃなくて、洗脳じゃないですかね……?」

春菜「えっ? カースを無害化してるんだから、浄化であってるでしょ?」

真尋「いや、無害……いやもうなんでもないです……」

――――――――――

千夏「ところで、春菜ちゃん、ちょっと聞きたいのだけれど」

春菜「はい、なんですか?」

千夏「さっき、確かこの子のことを、『眼鏡のカース』“一号”って呼んでたわよね?」


「ワザノメガネ、チカラノメガネ、モウメガネダケデイインジャナイカナ」


春菜「はい! そうですね!」

千夏「……もしかして、この子以外にも、何体かいるのかしら?」

春菜「え~っと……リンからもらった核から生まれたのが五体で……」




「 私が個人的にカースを浄化して、野生に還したのが、百体くらいですね! あとは、自然に増えてるのも結構いると思いますよ! 」


真尋「……はい?」

  「野生に還したって、え、それどういう……」

春菜「いや、そのままの意味だよ?」

  「『眼鏡のカース』の目的は、私と同じ、眼鏡好きを増やすことと、眼鏡かけてる人を助けることなんだから、何の問題もないでしょ?」


真尋「……いやっ、それ大問題じゃないですかああああああああ!!!」


春菜「えっ……そうかなあ?」

真尋「そうですよ! そんなのが百体もいたら……」

春菜「眼鏡好きが増える!!!」

真尋「うわああああああ! もうだめだこの人! ちょっと千夏さんも、何とか言ってやってください!」

千夏「……春菜ちゃん」

  「その……この子……」

  「よければ、一体私に譲ってもらえないかしら……?」


真尋「…………………………えっ……」


「メガネガアレバ、ナンデモデキル、イッショニメガネヲカケマショウ―」


眼鏡のカース

種族

カース

属性

メガネ

能力

眼鏡好きを増やす

詳細説明

上条春菜によって作り出された、第8の属性()のカース
体の色は透明で、核の色は元々のカースの属性の色と同じだが、核の形は眼鏡型である

体内で特殊な眼鏡を生成する能力を持つ
この透明な眼鏡を人間等がかけると、眼鏡好きになる
他のカースの核にこの眼鏡を与えると、そのカースを眼鏡のカースに変質させる
そのほかの基本的な特性は、一般的なカースと同じである

自然発生することはなく、次の二通りの方法で生まれる
①上条春菜の傍に一定期間浄化済みのカースの核を置いておく
②上述のようにして他のカースを洗脳……ではなく、浄化する

行動理念は上条春菜と同一であるため
「メガネ好きを増やす」「メガネをかけているものを守る」ように行動する
このため、一般市民に眼鏡を勧めて、普通のカースと勘違いされ、逃げられたり攻撃されたりすることも多い
カースに出会った場合、カースをメガネ好きにするため、カースの核に自分の眼鏡を埋め込もうとしてくる

基本的には無害……のはずである

関連アイドル

上条春菜、相川千夏、北川真尋、渋谷凛

投下は以上になります

浄化役増やしときました、ご自由にお使いください()

乙ー

ソレハフヤシチャダメダ

うむ…ギャグ展開の時は使えそうだな

眼鏡好きになる効果ってどのくらい継続?

おつー

読んでる最中ずっと「ぬふっ……wwごふっwwww」という笑いを耐えられなかった
もう全部上条さんに任せたらいいんじゃないかな?

乙にゃん
・・・浄化?無害・・?

乙!
どうしたらメガネのカースという発想になるんだwwwwww
そして凛ちゃん眼鏡っ娘に戻ってるしウサミンPの扱いとかツッコミが追いつかない。

>>816
一生…と行きたいところですが
現実的に考えてその眼鏡かけてる間って感じですかね

ただし、眼鏡かけられた人は、眼鏡を無理やりはずそうとする人に対して全力で抵抗します

>>820
おk把握しました

にしても普通のカースより別の意味で恐ろしいわ……

乙ですww
やっぱり上条さんは最高です!wwww
メガネ型の核とか発想がすごいwwww

アイドル被り無いように1から見続けようやく追い付いたぁ

とりあえず櫂くん予約させていただきます

おつおつ
メガネってすげー!!

あと、スレおいかけお疲れ様
待ってるぞー

村松さくら、並木芽衣子予約します

加蓮vs偽先輩投下しますー

リョナ表現あるため要注意

憤怒の街・内部

北条加蓮は、獣型カースを倒しながら進んで行った。

途中、沢山の死体を見てしまい、なんとも言えぬ感情と、もしかしたら自分もこの惨劇を繰り広げていたかもしれないという思いが溢れた。

「ごめんね。助けられなくって……」

そういいながら彼女は一人でその死体を丁寧に建物に一ヶ所に集め、並べる事にした。

中には苦しそうに目を見開く死体もいたが、加蓮は瞳を優しく閉じてあげたりした。せめて安らかに眠れるようにと。

お墓も作りたかったが、そこはこの街を沈静化させてから、ちゃんとした業者に頼むべきだと思ったからやめた。

死体を建物にいれ終え、彼女は再び先に進もうと歩き出した。

その時だった。

何か気配を感じ、加蓮は黒い泥の翼を作り、前へ思いっきり飛んだ!

加蓮がさっきまでいた場所に何かが落ちて来て、コンクリートが大きな亀裂を作り砕けていた。

「!?」

『不意打ちのつもりだったのに避けましたね。腹立たしい…!』

そこには右の拳を振るいおえ、立ち上がる一人の少女の姿があった。

憤怒の街の王……岡崎泰葉。

だが、加蓮は知らない。彼女は偽物。≪憤怒の人形≫その内の一体である事を。

そして、ここは櫻井財閥が記した4つの発生地点の一つである事を。

「……この街をこうしたのは貴女なの?」

『そうだと言ったらなんですか?貴女もヒーローみたいに偽善者ぶるんですか?』

「私にはそんな資格ないよ」

そういいながら、加蓮は右手に黒い泥でできた槍を作り出す。

「手遅れかもしれないけど、≪元同類≫として止めに来ただけ」

『……貴女も私と同じカースドヒューマンですか。なのに止める?笑わせないで!!』

怒りに満ちた表情で、加蓮を睨みながら、近くにあった壊れた車を片手で掴むと持ち上げ。

『呪いを振りまくカースドヒューマンが同じカースドヒューマンに対し説教とか………』

それを野球の投手の如く、大きく振りかぶり

『何様よ!?』

加蓮に目掛けて豪速球で投げた。

それに対し、加蓮は翼をはためかせ、上空へ飛びよけ、泰葉に急接近する。

加蓮は地上の獲物を捕らえにくる鷹のように、急降下しながら、斜め上から泰葉の左肩を狙い、右手の槍で貫こうとした。

それに対し、泰葉は貫こうとする槍を左手で掴むと、持っている加蓮ごと思いっきり引き寄せ、加蓮の顔を右の拳で殴ろうとする。

「甘いっ!」

『!?』

だが、加蓮は槍をすぐさま黒い泥へと戻し、それにより引っ張るものが急になくなったせいで泰葉のバランスを一瞬だけ崩した。

そこに加蓮は身体を一回転させて、泰葉の顎に向かい、蹴りを放とうとする。

『くっ……まだまだぁぁあ!!』

「しまっ……」

当たるギリギリのところで、泰葉は咄嗟に加蓮の足を掴み

「ぐっ………はっ!!」ゴホッ

加蓮を地面に叩きつけた。

叩きつけられた場所のコンクリートはひび割れ、加蓮の口から赤い花を咲かし、背中からバキボキッと嫌な音が響く。

念入りにと言わないばかり更に何度も叩きつける。

血は飛び散り、骨はむき出し、肉は砕け、コンクリートを赤に染めていき、加蓮は動かなくなった。

『手間取らせて……』

倒れた加蓮をキッと睨みながら、泰葉は呟く。

普通の人間だったら間違いなく死にいたるであろう一撃を叩き込んだのだ。

例え、生きてたとしても、杏のような再生能力を持っていても、すぐには立ち上がれないだろう。

そう泰葉は確信していた。

『≪私≫は止まらない。仲間を…友達を捨ててまでやってるの……止まるわけにはいかない』

ザッザッとその場を去ろうとする。

『世界に≪私≫を証明させるために……≪私≫が人形じゃないってことを……≪私≫の怒りを!』

『手間取らせて……』

倒れた加蓮をキッと睨みながら、泰葉は呟く。

普通の人間だったら間違いなく死にいたるであろう攻撃を叩き込んだのだ。

例え、生きてたとしても、杏のような再生能力を持っていても、すぐには立ち上がれないだろう。

そう泰葉は確信していた。

『≪私≫は止まらない。仲間を…友達を捨ててまでやってるの……止まるわけにはいかない』

ザッザッとその場を去ろうとする。

『世界に≪私≫を証明させるために……≪私≫が人形じゃないってことを……≪私≫の怒りを!』








        グチャッ……グジュ……メキャッ……        











『!?』

泰葉の足が止まる。そして、急いで加蓮の方を向いた。

「今なんて言った?」

小さく静かな…だが強い意思をこめたような声が響く。

「友達を捨てた?」

砕けた筈の骨が、肉を突き破り飛び出た骨が、裂けた肉が、痛んだ肉が、不気味な音を立てながら元の姿に戻って行く。

「人形じゃない?世界に証明する?」

先ほど動かなかった肉体ではなく、最初の時のような姿で立ち上がり、先ほどのでボロボロになった服を着ている加蓮がいた。

いや………

「ふざけないで!!妬ましい!!」

先ほどと違い、露出してある肌には紫の蛇のような模様がひしめいていた。

それはまるで……エンヴィーだった時のように。

加蓮の足元には黒い泥が影のように溢れていき、広がっていく。


『……妬ましい?ふざけるな?何がですか?私は…』

「貴女の友達は貴女を人形だと思ってたの!?」

『!?』

加蓮の言葉に泰葉の顔が一瞬、引きつる。

「友達がいるのに、それを捨ててまで人形じゃないと証明する?恵まれてカースドヒューマンでも幸せを掴み取ってるのに、その幸せを捨てる?それで怒りを世界にぶつけて呪いを振りまいて、自分を証明する?」

「私にとって貴女は羨ましいほど幸せなのに……それを捨てる?妬ましいに決まってる!」

≪嫉妬≫の感情が高まり、再びエンヴィーにもなってもおかしくない状況。

このまま再びエンヴィーになるのか?

「だから止める!貴女の為にも!その友達の為にも!!そして、私みたいに罪を償って生きて!」

だが、加蓮は≪嫉妬≫に飲まれて、再びカースドヒューマンになってるようではなかった。

一度浄化された影響なのか?奈緒の一部になってるからなのか?はたまた≪ナニカ≫の影響なのか?それはわからない。

加蓮の言葉に、泰葉の頭の中で仲間達と暮らした思い出が蘇る。

賑やかで、お互い深く干渉しなくっても信頼しあっていて、退屈はしなかった。唯一、彼女が怒りを収め笑いあった楽しい日々。

それがまるで、鎖のように絡みつく感じがする。

『う……うるさいっ!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!!!!』

それを振り払うかのように、叫び声をあげる。

『もう一回黙ってください!!』

再び加蓮を攻撃する為に、彼女は走りだした。

「もう、負けない」

そう加蓮が言った瞬間、影のように広がっていた泥が一斉に無数の大蛇となり、泰葉を襲う。

その精密性は普段の時やエンヴィーの時と比べて確実に上がっていた。

それに対し、泰葉は襲いかかる蛇の頭を砕き、蛇の頭を引きちぎり、武器にしてと、大立ち回りを繰り広げていた。

だが、倒しても倒してもそれは数を減らす事なく次々と現れてくる。

そして、その攻防は長くは続かなかった。


「隙あり!」

『なっ!?』

泰葉が大蛇達の相手をしてる好きに、加蓮は接近していた。

加蓮は、右手に槍を作り出し、大蛇と大蛇の合間からそれを泰葉の右足に突き刺した。

それにより、バランスを崩した泰葉を取り押さえるように大蛇が絡みついた。

『くっ……』

「私の勝ちだね」

黒い大蛇によりグルグル巻きにされ身動きがとれなくなってる泰葉に向かい、そう言った。

引きちぎろうとしても、それはすぐに再生し、更に身動きをとれなくさせる。

『……さっきの言葉。私じゃなく≪私≫にいってください』

「えっ?それはどういうk…」

加蓮はそこで言葉が止まった。

何故なら、泰葉の身体がだんだん黒い泥になり溶けているのだから。

『どうやら失敗したから、私は用済みみたいね……腹立たしい』

身体が溶けていく事に焦る様子もなく、忌々し気に呟いた。

『忠告しといてあげる。本物の≪私≫を止めたかったら、≪私≫を誑かしてる奴を止める事ね』

「ちょっと待って!?本物は別にいるの?誑かしてる奴って!?」

だが、加蓮の質問に答えることなく、泰葉……いや、≪憤怒の人形≫は泥となり消え、核だけが残り、自然に割れた。

どうやら、事態は自分が思ってるより深刻らしい。

それに彼女の話を信じるなら、本物の彼女を誑かしてる黒幕がいるという事だ。

だとしたら許せない。

そう心に誓い、その場に座り込んだ。

久しぶりに、力を使いこなしたから…いや、エンヴィーの時以上に使いこなしたせいと血を大量に失ったせいで、しばらくは動けそうにない。

肌をひしめいていた紫の蛇みたいな模様も消え、加蓮は休憩する事にした。

泰葉を止める為に、黒幕をぶん殴る為に。


終わり

・エンヴィーモード

加蓮が瀕死の状態で、嫉妬の感情が上がった時に発動する。

発動した時は、肌に紫の蛇のような模様がひしめいている。

エンヴィーだった頃の加蓮の姿になり、黒い泥の精密操作も普段の時より上昇する。

肉体の再生速度も普段より速くなり、身体能力も急激に上がる。

ただし、解除した後は急激な疲れに襲われしばらくは動けなくなる。

もちろんカースドヒューマンではない為カースも産みだせない。


・ブラック・ヒュドラ

加蓮がエンヴィーモードの時、発動した技。

加蓮の足元に黒い泥を影のように溢れさせて広げる事により発動する。

その泥から大蛇を無数に作り出し、相手を襲う。倒しても倒してもヒュドラの首のように次々と現れる。

その為、それを解除させる為には加蓮を倒すしかない。


・イベント情報追加

憤怒の人形一体撃破しました

以上です

か、加蓮は一回死んでから本番だし(震え声

いや、自分でもここまでリョナるつもりはなかったんだ……そして、それにともない加蓮の化物度が上がる……

乙です
加蓮は無茶しすぎぃ!
究極生命体でなければ即死だった…
でも物凄くカッコイイです…こういうの大好きです

泰葉は何処に向かってるんだ……

この後加蓮はふと正気に戻って、半泣きで鎮痛剤を探しに行くと思う

おつおつ
加蓮の不幸度天井知らずワロタ・・・ワロエナイ

ところで、次スレからテンプレによくでるこのスレだけの単語とか、イベント状況をまとめていれるのはどうかな?
全部読むには辛い量だろうし、わいわいやりたいから参加しやすいほうがうれしい

大歓迎しますよ!わかりやすいのが一番ですし

おつー
とうとうカースドヒューマン(片方はもどきだけど)同士の対決が発生したね
熱い(小並感)

>>847
確かに、あったほうが親切かも

>>1-2はそのままとして
よくでる単語ってカース、魔法、魔術、魔界とか?

乙様
なんか二人とも後戻りできんような…

朝に携帯から櫂くん予約したものです
なんとか書きあがったのでPCから投下させていただきます

七つの大罪もかな
ヘレンはどうなんだろう、いいのかな?少ない敵サイドだけど


――ある廃墟。

その奥で一人の少女がペットボトルをひっくり返し、その中身を頭から被っていた。

「んーっ、気持ちいいっ!でもやっぱりホンモノと比べるとなぁ」

ペットボトルの中身は濃度の高い食塩水だった。

普通に考えたらそんなものを頭から被るのはとてもお勧め出来ない。特に女性には。

だが彼女は全く意に介さないどころか、とても気持ち良さげだった。

「さーて、また補充しなきゃなぁ。……」

ふと窓の外を見やる。視線の先には、雨が降り注ぎながらも燃えるような真紅に染まった街。

そう、憤怒の街である。

「……あんだけカースが暴れてれば、塩も水も分けてもらえそうにないね」

耳を澄ませば、何者かが戦っているような轟音も聞こえてきた。

「うん、地上のヒーローさん達が頑張ってるみたいだし、行って邪魔になっちゃまずいよね」

少女は憤怒の街から視線を外し、広げていた荷物をまとめた。

「市街地を平気で吹き飛ばすのもいれば、ああやって他人の為に自身を投げ出すのもいる……」

「……やっぱりあたしにはできないな。どこ行こうか、ホージロー?」


『キィン』

少女の言葉に金属音が応える。音の主は床から生えている三角形のヒレのような物体だった。

いや、生えている、という言い方には御幣があるかもしれない。

コンクリート製の床にはヒレを中心として波紋のような物が広がっているのだ。

生えているというよりが、潜っている、というのが正しいだろうか。

少女は屈んでそのヒレを撫でてやると、荷物を背負って出口へ歩き始めた。

「カイ、止まれ」

突然の声に、カイと呼ばれた少女とヒレは歩みを止める。

カイ「……誰?」

「俺だ」

物陰から声の主が姿を現した。

カイ「何だ、スパイクPさんか。もうっ脅かさないでよ!」

正体を知って安心したのか、カイはスパイクPの肩をフレンドリーにポンポンと叩く。

スパイクP「本題に入るぞ。手をどけろ」

カイ「つれないなぁ」

ぷう、と頬を膨らませるカイを無視してスパイクPは話を進める。

スパイクP「カイ、現時刻をもって地上先行破壊工作員の任を解く。後任は俺だ」

カイ「えっ……ちょ、ちょっと待ってよ!何でいきなり……」

スパイクP「地上に派遣されてからのお前の行動を海皇様に報告したまでだ。破壊活動をしない破壊工作員は必要無い、と仰っておられたぞ」

言い終えてスパイクPは懐から小瓶を取り出し、中身を自らの体へぶちまける。

スパイクP「ふん、海水の携帯が必要とは……地上とは不便なものだ。ほら、俺の予備をやるからさっさと帰……」

カイ「海皇様は……分かってないんだ……」

カイがスパイクPの言葉を遮った。

スパイクP「何……?」


カイ「地上人は、温かいんだよ!」

カイ「そりゃあ下の人間のその後とか、自分達以外の種族の事も考えずに街を焼き払うような奴らもいる!」

カイ「でもそれが全てじゃない!現に今、あの街では自分よりも優先して人を護ろうとしてる人達が沢山いるんだ!」

カイ「戦う事が出来なくても!見ず知らずのあたしに塩と水を恵んでくれた人だっていた!」

カイ「そんな人達を、海皇様一人のエゴで滅ぼしていいハズが無いよ!」

スパイクP「…………」

スパイクPは黙ってカイの言葉に耳を傾けている。

カイ「大体みんなおかしいと思わないの!?いきなり何の理由も無しに『地上人を滅ぼし、地上を第二の故郷とする』なんて!」

カイ「あんなの……あんなの昔の海皇様じゃないよ!まるで悪魔か何かでもとり憑いたみたいに人が変わって……」

黙って聞いていたスパイクPが口を開く。その口から、ガトリングの様に次々と言葉が飛び出してきた。

スパイクP「……言いたい事はそれだけか?」

スパイクP「お前は海皇様のご命に懐疑を抱いた」

スパイクP「我らが海底都市は海皇様在ってこそ」

スパイクP「海皇様のご命は絶対である」

スパイクP「海皇様から俺へのご命はもう一つある」

スパイクP「『カイが帰還を拒否した場合、カイの生死は問わない。アビスナイトだけ回収せよ』……だ

カイ「!?そんな……海皇様が……」

カイはスパイクPの言葉が信じられず、呆然と立ち尽くす。

スパイクP「せめて苦しまないように葬ってやる……バイオ」

『カチッカチッ』

スパイクPの呼びかけに応じ、金属製の巨大なウニが姿を現した。

スパイクP「……オリハルコン、セパレイション」

スパイクPが呟くと、巨大ウニは複数のパーツへとバラバラに分解され、鎧のように男へ貼り付いていく。

スパイクP「アビスパイク、ウェイクアップ……」

全身棘だらけの鈍重そうな甲冑。これが彼の戦闘形態『アビスパイク』である。

カイ「あ……ああ……」

アビスパイクを纏ったスパイクPを前にカイはなおもうろたえるばかり。

そんなカイをスパPイクが睨み付ける。

スパイクP「さあ、死ね。スパイク・ミサイル」

右肩の棘が一本、カイへ向けて発射された。

カイ「……ッ!?しまっ……」


ギィン!


カイ「……え?」

スパイクP「……何だと?」

スパイクPの棘が、跳ね返された。跳ね返したのは、あのヒレの持ち主。

カイ「……ホージロー!」

カイが連れ歩いている金属製の鮫、ホージローだった。

『キィン、キィンキンキンキキン』

ホージローがカイに金属音で語りかける。

カイ「……うん、そうだね。……ごめんね、ホージロー!柄にもなくネガティブしちゃってたね!」

『キンッ♪』

カイの表情に生気が戻った。そして、

カイ「…オリハルコンッ!セパレイション!!」

スパイクPと同じ号令で、ホージローもまた鎧の如くカイの体を覆っていく。


スパイクP「しまった……!ええい、スパイク・ミサイル!」

スパイクPは立て続けに棘を乱射した。しかし、

カイ「……遅いよっ!」

発射した棘は全て装着途中のカイに叩き落された。

スパイクP「ぐぅぅっ…!」

直後に装着の終わったカイが、大きく見得を切る。



カイ「アビスナイト!ウェイク、アァップ!!」



流線型で女性的なシルエット。一点の曇りも無いシルバー。

カイが成った戦闘形態『アビスナイト』は、まるで一つの芸術品のようだった。

スパイクP「チッ、血迷ったかカイ!出あえ、イワッシャー!」

「「「「「ッシャー!」」」」」

スパイクPの号令で五体のアンドロイドが出現した。

カイ「雑魚じゃあたしは止まんないよ!」

言うが速いか、カイは前方のイワッシャーの顔面に拳を叩き付ける。

ごっ

「イ゛ッ……シャ……!?」


「「「「ワッ、ワッシャー!!」」」」

殴られなかった四体は慌ててカイに殴りかかる。が、

「ふっふっふ、華麗にターン!」

カイは殴ったイワッシャーの胸をトンと蹴り、回転しながら一気に飛び退いた。

「シャッ!?」

その場に残されたイワッシャーを待ち受けるのは、

「「「「シャッ、シャー!?」」」」

……急に目標が消えて止まらない、仲間四体の拳だった。

ごしゃり

「シャヴァドゥヴィッ!?」

哀れ、イワッシャーは仲間の拳が決め手となって爆散してしまった。

カイ「余所見してる暇は無いよっ!」

叫びながらイワッシャー二体を回し蹴りで蹴飛ばす。

「「シャッ!?」」

二体の転倒を確認したカイはそのまま地面にとぷん、と沈んだ。

程なくヒレだけがひょっこりと顔を出し、

ザザザザザザザザザザザザ

青白いエネルギーを迸らせながら、転倒したイワッシャーへ猛烈な勢いで突っ込んできた。

「シャシャッ、ワシャー!?」

「イッ、イシャッシャー!?」

二体は慌てて起き上がろうとするも、片方がもう片方につまづいたりしてうまく起き上がれない。

そうこうしている間に、ヒレは二体を一直線に両断した。

カイ「シャーク・ストレートッ!」

地面から飛び出したカイは両断された二体=四つの爆風も見届けることなく、勢いのまま前方のイワッシャーにドロップキックを打ち込んだ。

「シャワァッ!?」

間髪入れずに、カイは鮫の上顎を模した右ガントレットを操作した。

カイ「アームズチェンジ!ソーシャークアームズ!」

ガントレットの鮫が、ホオジロザメからノコギリザメへと変化したのだ。

カイ「そぉれぇぇっ!」

カイが振り下ろしたノコギリザメの刃は、ドロップキックしたのとは別のイワッシャーの頭部を1/4ほど切り取った。

「ワシャァ!?」

カイ「にぃっ。……フルスピード!」

カイは一瞬でイワッシャーの背後にまわり、斬りつける。

今度は右へ一瞬で移動、また斬りつける。

左へ、正面へ、斜めへ、時には上へ。

目にも留まらぬスピードでイワッシャーを卸していく。

「シャ…シ/ャ…/シ/ャ/…シ…シ////シ///ワ/////ャ/」

まともな悲鳴をあげる事もままならず、イワッシャーは粉みじんになった。

カイ「シャーク・サウザンド、一丁上がり!さあ、まだまだいけるよっ!」

更にガントレットを変化させる。こんどはシュモクザメだ。

カイ「アームズチェンジ!ハンマーヘッドシャークアームズ!」

「ワワッシャ!」

最後のイワッシャーが目からビームを乱射してくる。

カイ「わわっと。今のあたしに射撃戦挑むんだ、へぇ~……」

不敵な笑みを浮かべたカイは、ガントレットの先端をイワッシャーへ向ける。


カイ「ファイア!」

カイがガントレットを操作すると、ガントレットからエネルギー弾が五発飛んでいった。

そして、全てがイワッシャーに直撃する。

「シャワシャ!!?」

カイ「いよっし、フルパワー!」

再びガントレットを操作すると、ガントレットの先端に極大のエネルギー弾が少しずつ精製されていく。

「シャア!」

撃たれる前に撃とうとしたイワッシャーだが、今の攻撃でビーム系統に異常が出たのか、ビームを出せない。

仕方なく殴りに向かうが、時すでに遅し。

カイ「シャーク・インパクト!吹っ飛べぇっ!!」

放たれた極大のエネルギー弾は光の帯を描きながら、イワッシャーの体をまるごと穿った。

「シャア……シャア……シャア……!」

爆散。

スパイクP「……馬鹿な……五体のイワッシャーをこうもあっさりと……」

カイ「高みの見物もそこまでだよ、スパイクPさん!」

護衛は無し。スパイクPは完全に追い詰められたとみていいだろう。

スパイクP「な、なめるな!死ね、カイ!スパイク・スコール!!」

スパイクPは力むと全ての棘を上空へと発射。

カイ「……何がしたいの?降参?」

スパイクP「ふん、じきに分かる……おおっと危ない」

スパイクPが勢いよく飛び退くと、直後。

カイ「……ッ!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッッ

発射した棘が一斉に降って来た。一帯に土煙が舞い、カイの姿が見えなくなる。

スパイクP「ふふふ……ふふふふ……あーっはっはっはっはっは!ざまあないなカイ!」

スパイクP「海皇様に楯突くからこうなるんだよ、あっはっはっは!」

スパイクP「アビスナイトの鎧も壊れてしまったろうが、なあに心配はいらん」

スパイクP「俺が地上人を滅ぼせば、その褒美のついでにチャラにしてもらえよう!」

スパイクP「あっはっはっはっはっはっは!あーっはっはっはっはっはっはっは……」









ザザザザザザザザザザザザザザザザ……ボンッ









カイ「……背中ががら空きだよ、お間抜けさん」








スパイクP「……っは?」

スパイクPの反応が遅れた。しかし、直後に理解した。カイは棘に貫かれてなどいない。寸前で地面に潜ったのだ。

戦闘外殻の中でも一部の物にしか搭載されていない、『固体への潜水能力』。

それを使って棘をやり過ごし、スパイクPの遥か後方から助走をつけて、今、飛び出して来た。

ガントレットはいつの間にかホオジロザメに戻っている。そして、大きく開かれた両腕は――




――獲物を喰わんとする、鮫の大顎の如きオーラを纏っていた。





カイ「シャーク・バイトッッ!!!!」

バキィィン


カイが華麗な着地を決めた後ろで、アビスパイクの鎧が無残に砕け散った。

スパイクP「はぁっ……はぁっ……俺は……まだ……」

立ち上がろうとするスパイクPに、カイが鋭く言い放った。

カイ「スパイクPさん、あたし決めたから。あたしは……今の海皇様と決別する」

スパイクP「なにっ!?」

カイ「今の海皇様は正気じゃない。海皇様がどれだけ刺客を送り込んできても……」

カイ「海皇様が、元の優しい海皇様に戻ってくれるまで、あたしは戦い続ける」

カイ「海底都市に帰って、海皇様にそう伝えて」

スパイクP「……くそぉぉぉぉぉぉっ!!」

スパイクPは雄たけびを上げると、現れた水柱の中に姿を消した。


カイ「…………ありがとね、ホージロー」

『キィキキン♪』

カイと分離したホージローは地面に潜って顔だけ覗かせている。

カイ「さーて、どこ行こうかな?」

『キンキン』

カイ「……そうだね、これはいわばウェンディ族の私闘。無関係な地上の人を巻き込んじゃまずいよね」

カイ「刺客があたしだけを狙うなら、なるべく地上人が住んでない場所に……」

『キンッ!キンキンキキキン!』

ホージローが文字通りの金切り声を上げた。

カイ「ん?あ、ああ、そうだね。あたしだけじゃなくて、ホージローも一緒だね」

『キッキキン♪』

カイ「そうそう、地上の言葉で言う、一心同体、一蓮托生、だね♪」

カイとホージローは笑いあって、どこへともなく歩き出していった。


続く?

・カイ(地上人名・西島櫂)

職業(種族)
ウェンディ族

属性
装着系変身ヒーロー

能力
アビスナイト装着による固体への潜水能力
優れた身体能力

詳細説明
海底都市に住むウェンディ族の少女。海皇宮親衛隊の一員。
ある日を境に豹変した海皇から地上攻撃の尖兵に任命されるが、
やがて「今の海皇には従えない」と判断し、反旗を翻した。
相棒のホージローを身に纏い、荒荒しくも優雅に戦う「アビスナイト」に変身する。
またウェンディ族の問題に地上人を巻き込めないと考え、極力地上人との接触を避けている。

関連アイドル(?)
ホージロー(相棒)
スパイクP(元同僚)
海皇(元上司)

関連設定
ウェンディ族
海底都市
戦闘外殻

・ホージロー
カイの相棒である戦闘外殻。姿は全長1.5メートルほどの金属製ホオジロザメ。
顔は怖いが非常に人懐っこく、よくカイにじゃれる。
「固体への潜水能力」により、土でもコンクリートでも木でも石でも「潜水」が可能。

・アビスナイト
カイがホージローを纏いウェイクアップした姿。
取り立てて目立った能力がある訳でもない、いわゆる万能型・汎用型。
鮫の上顎型ガントレットを変化させることで様々な武装が使用可能。
・シャーク・ストレート
地面に潜って背ヒレだけ出し、背ヒレから放たれるエネルギー波で敵を両断する。
・シャーク・サウザンド
ソーシャーク専用。高速で敵の周囲を動き回りながら斬り続ける。
・シャーク・インパクト
ハンマーヘッドシャーク専用。極大のエネルギー弾をビーム状に撃ち出す。
・シャーク・バイト
ノーマル専用。地中から猛烈な加速と共に飛び出し、敵に全身で喰らいつく。

・スパイクP

職業(種族)
ウェンディ族

属性
装着変身系ヒール

能力
優れた身体能力

詳細説明
海底都市に住むウェンディ族の青年。海皇宮親衛隊の一員。
地上人をちっとも殺戮しないカイにしびれをきらした海皇により派遣される。
バイオを身に纏い強力な棘を持つ「アビスパイク」に変身する。
カイを殺して自分が地上人を殺戮しようと企むが、迷いを振り切ったカイにあっさりと倒される。

関連アイドル(?)
バイオ(使役)
カイ(元同僚)
海皇(上司)

関連設定
ウェンディ族
海底都市
戦闘外殻

・バイオ
スパイクPが使役する戦闘外殻。姿は2メートルほどあろうかという巨大な金属製ムラサキウニ。
スパイクPの意向で自我は無く、スパイクPの指示に淡々と従う。
全身の棘は万物を貫くと謳われていたが、残念ながら初陣で看板に偽り在りとなってしまった。

・アビスパイク
スパイクPがバイオを身に纏いウェイクアップした姿。
防御・遠距離戦・拠点防衛に特化している。
・スパイク・ミサイル
棘をミサイルのように高速発射する。
・スパイク・スコール
全ての棘を上空に放ち時間差で広域を攻撃。敵味方識別不能の危険な技。

・海皇

職業(種族)
ウェンディ族

属性
国家指導者

能力
不明。

詳細説明
海底都市を治める十七代目の海皇。
歴代でも類を見ない程温厚だと言われていたが、
ある日を境に豹変、地上人全滅と地上制覇に乗り出す。

関連アイドル(?)
カイ(元部下)
スパイクP(部下)

・イワッシャー
海底都市の治安維持などで出動するアンドロイド。
目からビームを出す以外には徒手空拳しか攻撃手段が無い。
比較的低コストで量産される、いわゆる戦闘員。

・ウェンディ族
太古に海で暮らす決意をした四組の男女の人間を始祖に持つ亜人種。
水中での生活に適応するよう体が少しずつ進化していた。
が、文明の発達で海底都市が建造されると、適応の必要が無くなり、地上人と大差無い姿へ退化した。
脇腹の小さな鰓、踝の小さなヒレ、定期的に海水(食塩水で代用可)を浴びないと乾燥する肌はその頃の名残である。

・海底都市
三代目海皇の代に建造が始まり、八代目海皇の代に完成した巨大都市。
内部には充分な酸素が蓄えてあるため、進化で生まれた鰓は退化していった。
中央には海皇宮が鎮座しており、海皇宮親衛隊により手厚く護られている。。

・戦闘外殻
海皇宮親衛隊という一部のエリートに用意される意思を持った鎧。
姿は鮫、ウニなど水中生物を模っており、ボディは強固なオリハルコン製。
また多少の傷なら短時間で自動修復も可能。

◆イベント情報
1.海皇軍を名乗る軍勢がぽつぽつと出没を始めました
  彼らは人類殲滅の障害を無差別に襲撃します
  現在攻撃の優先順位は
  カイ>武力を持つ人類>悪魔、カース、カースドヒューマン>武力を持たない人間>妖怪>へレン
  となっているようです
2.鉄の鮫を連れた少女が塩と水を求めて各地を転々としています
  心優しい方恵んであげてください

以上です
やべえ変に長くなった……;

海皇が豹変した理由は現在は固めていません
悪魔でも異星人でも妖怪でも適当に理由づけしてしまっていただいても大丈夫です
カイくんは今後も人類とも過剰接触は避ける方針ですが、もし興味持たれた方いらっしゃれば
よければ拾ってやってください
それではお目汚しを失礼しました

乙です
新勢力キター!今度の敵は海だぜ!

乙にゃん
正統派の変身ヒーローか、かっこいいね!

あと、襲撃翌優先順位で別枠用意されてるヘレンに笑っちまったよ・・・

乙乙!

今度は海か、色々捗るな。

そして楷くんかっこいいな

櫂ですよ、櫂!
いや、カイだけども。そうじゃなくて

戦闘外殻、意志持つ鎧とかリンが喜んでとびつきそう
地底人から逃げなきゃ

乙ー

川島さんでやろうとしてる計画がちょうど海が凄く関係あるし、海皇さまが狂った原因にしてもいいかな?

あの人、呪詛使えるし

海龍だもんね、リヴァイアサン

乙乙
いいよね変身。いいよね必殺技

テンプレ追加するとして……


――――

☆このスレでよく出る共通ワード

『カース』
このスレの共通の雑魚敵。7つの大罪に対応した核を持った不定形の怪物。
自然発生したり、悪魔が使役したりする。

『カースドヒューマン』
カースの核に呪われた人間。対応した大罪によって性格が歪んでいるものもいる。

『七つの大罪』
魔界から脱走してきた悪魔たち。
それぞれ対応する罪と固有能力を持つ。『傲慢』と『怠惰』は退場済み

――――

☆現在進行中のイベント

『憤怒の街』
岡崎泰葉(憤怒のカースドヒューマン)が自身に取りついていた邪龍ティアマットにそそのかされ、とある街をカースによって完全に陸の孤島と化させた!
街の中は恐怖と理不尽な怒りに襲われ、多大な犠牲がでてしまっている。ヒーローたちは乗り込み、泰葉を撃破することができるのだろうか!?
はたして、邪龍ティアマットの真の目的とは!


『嘘つきと本音』
宇宙レベルの超犯罪者、ヘレンが生み出した怪人『アバクーゾ』と『ハンテーン』
この2匹はそれぞれアルパカとカピバラに似た外見をしており、戦闘能力はほとんどない。
しかしアバクーゾには打撃が、ハンテーンには斬撃が効かない上に、名前の通り『相手の隠し事を大声で叫ばせる』能力と『性格を反転させる』能力があるのだ!
受けるダメージは精神的!? ヒーローたちの心の安寧はいかに!


――――

こんな感じで?
もっと必要な情報あったらいってくだしあ><

>>872
おお、是非にお願いします!


あっ、やべ
攻撃翌優先順に過激派ウサミンとかの宇宙人軍忘れてた
悪魔と戦えない人間の間でお願いします

>>874
乙です
大体こんな感じかな?

あぁ、『よく出る単語』の下あたりに

――
細かい質問、メタ的な解説はWiki内掲示板のメタネタスレでどうぞ
――
を差し込んだ方がいいかな? 魔法・魔術・カースについて細かく書いてあるし

>>874
それでいいと思います

>>875
じゃあ、設定お借りします

投下しますー

未央「藍子ちゃんにさ……」

ピィ「……ん?」

未央「能力をあげた事、ちょっと考えちゃう時があるんだよねー」

――まだ、藍子の来ていない事務所で、

――未央が突然そんなことを呟いた。


周子「なになにー? 後悔とかしてんの?」

未央「んー、まぁね……」

――俺に対しての未央の発言に、

――しかし、俺より先に周子が反応した。


――この二人は最近仲が良い。

――波長が合う、というよりは、

――共通の話題がある、という点で意気投合しているらしい。

周子「わかるわかる、どこまで介入しちゃっていいのかってちょっと悩むよね」

未央「えー、でも周子さんは全部自己責任で済むからその分好き勝手できる部分あるでしょ」

周子「自己責任だからこそ、判断をミスするわけにはいかないんじゃん」

未央「やー、でも背負ってるものが違うよ~」

――その共通の話題というのが、

――どうも、俺たち人間の理解できる範囲を遥かに超えた次元にあるっぽいようで、

――たまに発生する、現実味の感じないぶっ飛んだ会話を実に感慨深げに交わす二人を見る度に、

――いかにも少女然とした容姿とのギャップも合わさって、

――どうにも頭が痛くなる。


ピィ「……俺を置いてきぼりにしないでくれないか」

未央「あっ、ごめんごめん♪ 藍子ちゃんの話だったよね」

――発進した直後の話題を脱線させないでもらいたいものだ。


ピィ「あ、そういえば」

――と。

――せっかく元に戻りかけた話題を、また脱線させるハメになるが、

――以前から気になっていた事を思い出したので、このタイミングで聞いてみることにした。

ピィ「藍子の能力って未央があげたんだよな?」

未央「そだよー」

ピィ「じゃあ、今、未央にはその能力は無いのか?」

――『周りにいる者の心を癒し、優しい気持ちにする能力』

――藍子に備わっているその能力は、未央から与えられたものだ。

――元々は、癒しの天使である『ラファエル』……、

――未央から感じる印象に、それを連想させる物など何も無いが……。

未央「今なにか失礼なこと考えなかった?」

ピィ「……気のせいだ」


――とにかく、

――『癒しの天使』と聞いてイメージする姿と、

――実際に目の前にいる未央との間に、どれほどの乖離があろうと、

――未央が癒しの天使ラファエルであることは事実に変わりないらしい。

――となれば、

――藍子の能力は、本来は未央に備わっていたもの。

――ということになる。

未央「いや、まぁ『分け与えた』わけじゃないから、普通に私にもあるよ?」

ピィ「そうなのか?」

――の、割には、

――未央から藍子のような安らぎを感じたことは無いのだが……。


――一緒に居て落ち着くことはあるが、

――しかし、それは単純に彼女の明るい性格に起因するものだ。

――能力とは関係ない。

――未央の話しやすさ、気楽さは、

――相対する者にまるで緊張を与えず、

――そんな彼女と雑談している間の、肩肘張らない時間というのは、

――……口に出しては絶対に言わないが、

――なかなか居心地がよかったりする。

――それこそが、藍子とはまた違った、未央の魅力でもある。

未央「基本的にOFFにしてるだけで、やろうと思えばできるよ」

未央「ただ、この能力って向き不向きがあるんだよねぇ……」

未央「藍子ちゃんはもう完璧なんだけど」

未央「ほら……、私じゃん?」

ピィ「そうだな」

周子「わかる」

未央「フォローはっ!?」

――言外に、

――自分の性格には合わない能力だと、

――つまりはそういうことなのだろう。


未央「100%は発揮できないからさ、持て余してたんだよねー」

未央「そんな時に目に留まったのが藍子ちゃんよ!」

――色々と回り道をしたが、

――ここにきてようやく本題に入れそうだ。

未央「天使だからさ、色々とわかっちゃうんだ」

未央「皆が笑顔になれますように、ってお願いをする人が必ずしも心の綺麗な人とは限らない」

未央「根底に、良く思われたいって打算のある人が殆どでねー」

未央「でなければ子供か、自己心酔してる人ばっか」

未央「本気でそんなことを考えてる人はなかなかいないんだよね」

未央「でも、藍子ちゃんは違った」

未央「本気で、強い想いを持って、純粋に願っていた」

未央「皆が優しい気持ちになれますように、皆が笑顔になれますように、って」

未央「私、もう心を打たれちゃって」

未央「自分で持っていても意味のない物を、それを求めていて、なおかつ相応しいと思う人にあげようと」

未央「そう思っちゃうのも仕方ないっしょー?」

未央「だからあげたの」

未央「無責任に……、ね」

――無責任、と未央は言った。

――藍子に能力を与えた事を、

――そんな風に悩んでいたのか。

――見れば、

――周子の表情にも、何か神妙なものが浮かんでいる。


――そういえば、俺は周子の事もよく知らない。

――どうやら人ではないらしい、ということと、

――強い力を持っている、ということ、

――そして、永い時間を生きている、ということ。

――ここまでは、社長に聞いたら案外すんなり教えてもらえた。

――だが、過去の事や詳しい素性については教えてもらえなかった。

――未だに謎の方が多い周子だが、

――今の未央の話に、何かしら感じる部分があったのだろうか。

未央「だってさ、一方的じゃん?」

未央「私は藍子ちゃんの事を知ってるけど、藍子ちゃんは私を知らない」

未央「私は能力をあげた事を知ってるけど、藍子ちゃんはそれを知らない」

未央「いや、普通に会えばよかったんだけどね」

未央「でも、見てみたかったんだよ」

未央「藍子ちゃんにこの力をあげたら」

未央「世界がどう変わっていくのかを」

未央「藍子ちゃんの能力が私と違って常時型(パッシブ)なのもそのせいだったり」

未央「知らない内に手に入れた力なんてコントロールできないでしょ?」

未央「割と強力な力だけど、地味だからバレないと思って」

未央「ま、結局バレちゃったからここに来たんだけどね」

未央「迂闊だったなー、まさか藍子ちゃんの方からカースに接近するなんて」

未央「ああ、でも、あれはミカエルが――」

未央「……ううん、何でもない」

未央「で、その常時型(パッシブ)なのが問題で」

未央「いわば藍子ちゃんを能力垂れ流し状態にしてしまったワケですよ」

ピィ「垂れ流しって……」

――もう少し言い方という物があるんじゃないかと思ったが、

――しかし、同時にしっくり来る表現だとも感じてしまったので文句は言えない。


未央「反省している部分と言いますか」

未央「あの」

未央「藍子ちゃんは、凄くいい子で」

未央「優しいし、可愛いし、笑顔が素敵だし」

未央「一緒にいたいな、って思う子で」

未央「みんなも藍子ちゃんの事大好きだと思う」

未央「でもさ」

未央「藍子ちゃんも、周りのみんなも知らなかったけど」

未央「藍子ちゃんからは常時癒しオーラが振りまかれているわけで」

未央「当然、藍子ちゃんの側にいれば落ち着くわけで」

未央「そりゃあ、みんな藍子ちゃんに良い印象を持つわけで」

未央「あの」

未央「それってさ……」

未央「藍子ちゃんの事が好きなんじゃなくて」

未央「みんな、藍子ちゃんの『能力』が好きなんじゃ無いか、って」

ピィ「それは違う」

未央「え……?」

――未央は、

――『周りを癒し、優しい気持ちにする』能力が、

――常時藍子から発生しているために、

――彼女に安らぎを求め、

――周りに人が集まってくるのではないか。

――皆、藍子自身の魅力では無く、

――ただ、藍子の能力に惹かれているだけで、

――藍子本人を見ている訳では無いのではないか。

――もしそうなら、

――それは、自分のせいなのではないか。

――と、言いたいのだろう。

――だが、それは違う。

ピィ「藍子はさ」

ピィ「よく、疲れてる時に肩を揉んでくれるんだ」

ピィ「飲み物が無くなったら、何も言わなくても注いでくれるし」

ピィ「ちょっと用事を頼んでも、嫌な顔一つしないで、優しく返事をしてくれる」

ピィ「人が困っていたら必ず声をかけて手伝ってあげてるし」

ピィ「藍子の口から出てくるのは、どんな時も労いの言葉や感謝の言葉で」

ピィ「人の悪口を言っている所なんて一度も見たこと無い」

ピィ「そして何より、いつも笑顔だ」

ピィ「今のは全部、能力とは関係ない、藍子自身の魅力だろ?」

ピィ「俺達はみんな、そんな藍子の事が好きなんだ」

ピィ「確かにあの能力は藍子を好きになるきっかけになるかもしれない」

ピィ「でも、もし藍子自身に何の魅力も無ければ、きっと皆離れていくよ」

ピィ「大げさに考えすぎだ」

ピィ「能力なんていっても大したことは無い」

ピィ「藍子に沢山ある素敵な部分のうちの一つ」

ピィ「その程度のもんさ」

未央「あぁ……、まったく」

未央「これだから人間が好きなんだ……」

周子「そうだね、本当そう」

――いや、そんな大層なことを言ったつもりは無かった。

――確かに全部本音ではあるが、

――「今ちょっと初めてプロデューサーっぽかったかも」

――みたいなくだらないことを考えるレベルには、

――軽い気持ちで喋っていたのに対し、

――何やら予想以上の未央の真面目な反応に、

――若干照れてしまう。

――周子も未央に同調しているし、

――だんだん恥ずかしくなってきた。

未央「ピィさんっ!」

ピィ「な、何だ?」

未央「いいとこあんじゃん☆ ちょっと見なおしたぞっ♪」

ピィ「む……、そうか?」

――どうやら未央の真面目モードは終了したらしく、

――すっかりいつもの明るい彼女に戻っていた。

周子「いやー、前からあたしは見どころがある男だと思ってたよ」

未央「えー? 本当にそう思ってる?」

ピィ「おい」

周子「ま、でなけりゃあの社長が声を掛けたりなんかしないからね」

ピィ「……なんだよ二人して気持ち悪いな、そんなに褒めても何も出ないぞ」

周子「えー、ピィさんあたしお腹すいたーん♪」

未央「私も私もーっ♪」

ピィ「家に帰って家で食え!」

周子「いいじゃんいいじゃん、お昼食べに行こうよ4人でさ」

未央「あ、そっか忘れてた」

ピィ「あぁ!? まだ増えるのか!?」


未央「藍子ちゃーん! 隠れてないで出ておいでよーっ♪」

――え、何? 藍子?

――隠れてる?

――どういうことだ?

――混乱する俺をよそに、

――未央と周子の二人がなおも囃し立てると、

――事務所のドアが、ガチャリと遠慮がちに開けられ、

藍子「あ、あの……、おは、ょぅございます……」

――顔を真赤にした藍子が、おずおずと現れた。


ピィ「な、何で……?」

藍子「あの、隠れるつもりは無かったんですけど……」

藍子「ドアに手を掛けた瞬間に私の名前が聞こえて」

藍子「何となく気になってしまって、その……」

ピィ「い、いつから……?」

未央「最初からだよねー?」

周子「ねー?」

藍子「うぅ……」

――こいつらの仕業か。

周子「藍子ちゃんが来た瞬間に話を切り出してたよね」

未央「いやぁ、趣味が悪いかなーとは思ったんだけどね?」

ピィ「悪いってレベルじゃねーよっ!!」

藍子「あ、あのっ、ピィさん!」

ピィ「な、何だ藍子?」

藍子「えっと……、あの……」

藍子「ぁ、ありがとう、ございます……」

ピィ「ありがとう……、ってなに……が……」

――自分で言ってたことを思い出す。

――めっちゃ褒めた。

――それを全部藍子に聞かれてた。

――先ほどの比ではない恥ずかしさが、

――カァっと押し寄せてくる。

――顔が真っ赤だということは、

――聞いていた方の藍子も、

――相当恥ずかしかったに違いない。

――俺と藍子の間に気まずい沈黙が流れる。

――そんな俺たちを、ニヤニヤと笑いながら、

――さっきと同じセリフを、別のニュアンスで用いて、

――未央と周子がからかう。

未央「まったく、これだから人間が好き♪」

周子「そうだね、本当そう」

藍子お誕生日おめでとう!
ということで書いたお祝いSS

おかしいなぁ
昨日の夕方から書き始めたはずなのになぁ
何でこんなにギリギリになってるんだろう……
速筆になりたい(真顔)

乙ー

そして、ピィがフラグを立てた!千枝ちゃんと藍子にフラグを立てるとは…できる

乙です
こんな誕生日SSがあってもいいじゃない。遅くてもいいじゃない。モバマスだもの

おつです、やっぱり藍子ちゃん良い子だわ…
ピィの発言、奥山さんと黒川さんの確執(一方的な物だけど)にも言えることだと思った

>奥山さんと黒川さんの確執

若干アンチテーゼ的なイメージを込めた部分があるのは否めない

おっつおっつ
やっぱり藍子は天使だったのか……


>>898
黒川さんは……カースドヒューマンになれる程度の強いエゴがあるからこそああなっちゃうのかもね

しかも、それは決して善悪で測れる次元の話ではないから面倒くさい
幸子が光の行動を「驕り」だと言い、藍子が「誇り」だと言ったように、物事の二面性の話であり、
ぶっちゃけ人間なんてみんなジコチューな存在だよねってことなんだよな

嘘つきと本音イベント時間軸で上条さんたちをお借りしつつ投下

ナニカは街を歩いていた。ただひたすら適当に本能の赴くままに歩いていた。

加蓮と自分は(奈緒もいるけど)繋がってるから、加蓮の住んでいる場所ぐらいわかってもおかしくない…という謎理論で歩いていた。

…それに、ナニカは初めて街を歩くのだ。ちょっとくらい寄り道してもいいじゃないか。

「…あっ い、いらっしゃいませー!」

小さなビルの一階の店に入る。記憶を読み取るとここはアイス屋らしい。

数人の人が中でアイスを食べていたが、店員を含めてナニカが中に入ってきた瞬間を認識していなかった。

…ナニカが近づくまで気付かなかったのはきっとナニカが悪いのだろうけど、腹を立てずにはいられない。

「あれれ…きづかなかったのー?」

「申し訳ありません…ご、ご注文は?」

見た目は幼い子のはずなのに、どことなく威圧感を感じる。獣人の店員は思わず敬語になっていた。

「んとね、よくわかんないから…あまいの2つのでおすすめのにする!」

「は、はい…チョコチップとイチゴミルクでいいでしょうか?」

「それでいーよー」

店員が作っている間に生物で作ったワンピースに手を突っ込んで体内に収納してある奈緒の服から財布を取り出す。

傍から見ればポケットもついていないワンピースから財布が出てきたようにしか見えないが、能力者が多いこの時代では特に騒がれない。

問題なくアイスを購入すると、店から出て再び歩き出した。

「うーん、ひろいなぁ…加蓮お姉ちゃんも『じょしりょう』も見つかんない…」

ナニカは世間知らずだった。世界の大きさを誤認しているほどには。

ナニカは再び適当な路地裏に入る。ある程度奥深くまで入った時、左腕が黒く染まり、鋭い目玉が浮かび上がった。

そして鳥の形を作るとナニカはそれを引き剥がした。

ナニカの意思で引き剥がされたそれは、黒い赤い瞳の雀の姿になっていた。

体から一部を切り離し、データを投影したのだ。キメラは作る必要がないから雀のデータだけでいいだろう。

パタパタ飛んでいく雀に命令する。「加蓮お姉ちゃんを探して、できるなら家も探して」と。

次に猫、犬、カラス、鼠、と次々に生み出す。それらにも同じ命令を下した。

血はそんなに注いでいないから十数分位したら帰ってくるだろう。

切り離した部分の肉体を再生すると、路地裏を出て再び街を歩きだそうとした…が、不意に嫌な予感のような気配のようなものを感じた。

ぞわぞわする。気味が悪い。

思わず棒立ちになってしまう。

「邪魔だ!」

「うわぁ!」

そこに背後から誰かが走ってきて衝突してしまった。

持っていたアイスが手からワンピースに落ちる。

すぐさまワンピースから舌が伸びて回収する。味は伝わったがナニカは激怒した。

体からタコのような触手が飛び出し、衝突してきた男を捕獲。

そのままある程度の広さの場所まで引っ張った。

「!?テメェ何しやがる!」

ナニカの瞳はいつも以上に真っ赤に光っていた。

「バカ、バカ、ばかぁ!あたしの…イチゴミルクかえせぇ!」

「はぁ?!ガキが何言ってやがる!ちょっと能力者だからって大人に勝てると思ってんのか!ああ!?」

男の瞳も赤く光り、ナニカの触手を引きちぎる。彼は憤怒のカースドヒューマンだったのだ。

「テメェみたいな歳のガキが一番むかつくんだよぉ!テメェも殺してやる!」

右腕で殴り掛かってきた男にナニカが突っ込む。

ナニカには奈緒程力がない。…だけど技がある。

当たる前に屈むようにして同時に体全体を泥のように変形させ、転ばせつつ体を戻す。

(おじさんから血のにおいがする…?)

とりあえず今は気にせずに転ばせた男に一本抜いた髪の毛を硬化させて刺した。

針のように刺さった毛は、少しづつ男に侵入していく。

「あ、なにしや、ウグ!?」

男は突然の出来事に狼狽えるばかり。

その針を抜く事すら思いつかない程に混乱していた。

針が完全に肉体に埋まると、ナニカが呟く。

『人体改造…生物データ投影…transfur…変身しちゃえ』

男の体が変形する。不気味な音を立てて形が崩れていく。

「苦しい?ねぇ苦しい?やめてほしい?この程度でもうダメなの?」

真っ赤な瞳をぎらぎらさせてナニカが笑顔で問いかける。

「あたしにごめんなさいして?それからその『血』の持ち主だった人にもごめんなさいしてね?」

男は必死に頷く。あまりの痛みに失神しそうだ。

『浸食率3%…改造リセットするね』

ナニカがまた呟くと男の変形が止まり、痛みもなくなった。

それと同時に男が殴りかかってくる。ナニカを化け物と判断し、一瞬でも攻撃してその隙に逃げようとしたのだ。

「うそつき、ごめんなさいって言わないんだ。」

ナニカを中心に影のように泥が広がる。

そしてある程度広がると柱や柵のような物が形成されていく。

ナニカが翼を広げて離脱する。しかし男は柱に括り付けられた。

ある程度形が整うと、男を縛り付けていた触手が別の場所の馬の背に括り付ける。

…そう、それは紫と赤と黒の色で構成されたメリーゴーランドだった。

クルクル回りだす。BGMもなく、ただただ無音で動く。

「あ、あああああああああああああああああああああああああああああ!?」

男が悲鳴を上げる。それもそうだ、男が見ているのは景色ではなく悪夢なのだから。

ナニカ…いや、奈緒が経験してきた死と隣り合わせの拷問の記憶を焼き付けられているのだ。

死ぬことはないが精神的に重傷を負うのは間違いない。

柵がシャッターのように上がり完全に彼を閉じ込め、何故か防音の効果が表れる。

「…反省したら終わるからねー」

そう言ってナニカは街の方へ戻って行った。

路地裏から出た瞬間、走っていた少女に再び衝突してしまう。

「きゃ…」

「あ、ごめんなさいおねーさん…」

「大丈夫です!そんな事より眼鏡をかけていたのに前方不注意とは…!」

「それは仕方ないんじゃ…」

「眼鏡が無くても衝突する時はする物よ?」

「んー?」

眼鏡をかけた3人は、そこまで気にしてはいないようだ。

「マァーマァーメガネドーゾ!」

そのぶつかった少女の肩に乗っていた小さな透明の生命体が、ナニカに透明な眼鏡を差し出した。

「なぁにこれ?」

「メガネ!カケル!ステキ!」

「?」

手に置かれたそれを、なんとなくかけてみる。

「あっダメ!」

「―っ!?」

思考に何かが浸入してくる。塗りつぶされそうになる。あたしがあたしじゃなくなる…?

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!


フラッシュバックするのは研究員の顔。

何度も自分を洗脳しようとしてきたあの顔。

自分がやっている事を間違っていないと信じている顔。


ナニカは記憶と感情から生まれた不安定な存在。

…だから自分か自分じゃなくなることを一番恐れる。

「あ…あ…」

「先輩!この子様子がおかしいです!」

「え?」

「…こんな小さい子にはマズイ物だったんじゃないかしら…?」

瞳が激しく揺れている。

3人は気づいていないが、黒いサンダルから黒が肌に浸食していた、

「いやああああああああああああああああああああ!」

少女が目をカッと見開くと同時に透明な眼鏡は砕け散り、黒が顔以外の体中に一気に浸食し、腕にも足にもワンピースにも無数の目玉が浮かび上がった。

そのまま黒い泥がナニカを守るように溢れ出し、先ほどの男に使った泥も戻ってきて、それらにも目玉が浮かび上がる。

「来るな、来るな、近寄るなああああああああああああああああ!!」

涙を流して絶叫しながら腕を肉食獣のそれに変える。

ナニカは上条春奈を精神操作能力持ちの異常者だと認定した。

「ま、まぁまぁ…」

春奈が一歩踏み出した瞬間、ナニカの顔が真っ二つに裂け、巨大な牙の生えた口へ変形する。

「クルナアアアアアアアアアアアアアアア!!」

『タチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレタチサレ…!』

それと同時に黒い泥からさまざまな口が浮かび上がり合唱のように立ち去れと繰り返す。

これがナニカによる精一杯の威嚇だった。

しかし、辺りが大騒ぎになりそうな事に気付くと、泥をある程度体内に収納して、あくまで威嚇を止めることなく飛び去って行った。

「…あの子、人間じゃなかったのね…って真尋ちゃん大丈夫?」

「めが、めが、めが…いっぱい…」

「眼鏡がいっぱい!?」

「ブレないわね…眼鏡拒否されてショックでも受けたかと思ったけど…」

「…いえ、きっとあの子は目がいっぱいあるから混乱してしまったのでしょう!」

「え?」

「世の中には一つ目の妖怪や!三つ目の宇宙人なんていっぱいいるでしょう!ならば私もそれぞれにフィットした眼鏡を提供したい!」

グッと手を握り締め、春奈は空を仰ぐ。

「世界、いえ宇宙…異世界含めた全世界!私たちは眼鏡の救世主として、目の数の問題を解決する必要があったのです!あの子はそれを教えてくれました!」

「そ、そうなの…」

「眼鏡の道は深く険しい!一筋縄では行きませんね!」

「め、め、めが…」

一時的狂気に襲われている真尋を眼鏡の力で正気に戻すと、春奈たちは再びどこかに向かって歩き出した。

「うわああああああああん!怖かったよおおおおお!」

『よしよし、怖かったねーでも大丈夫だよ。』

人が立ち入り禁止となっている廃ビルの屋上で、ナニカは泣いていた。

黒い泥にデータを投影した偽物の加蓮に抱き着き、自分の聞きたい言葉を言わせながら。

お人形遊びのような自己満足ではあったが…これ以外に上手く泣く方法が分からなかったのだ。

「んっ…ひぐっ…んん…」

『大丈夫、お姉ちゃんがいるから。一人にしないから。』

「加蓮お姉ちゃん…あたしもお姉ちゃんの事大好きだからね…!」

惨めだと分かっていてもギュッとその偽物をさらに強く抱きしめた。

「絶対に奈緒から守るからね!お姉ちゃんも一緒におかしくなったら嫌だもん!」

「世界をシアワセにしたらね、加蓮お姉ちゃんには特等席を用意するから!」

言いたい事を言うと、偽物の加蓮を回収する。

「…だから、あたしを見失わないで…」

丁度時間だったのか、解き放った生命体が帰ってきた。記憶情報を確認すると、ナニカは再び街に降りて歩き出した。

『拷問メリーゴーランド』
ナニカの必殺技的な何か。一種の結界ともいえる。
これまでの数々の死と隣り合わせの拷問や死の瞬間の記憶を痛みを伴って再生する。
ナニカの記憶や意識操作の断片ともいえる能力。
相手を精神的に崩壊させる恐れがある。
…ナニカは毎晩これに乗っている。

以上です
ギャグのつもりだったのにいつの間にかナニカに眼鏡恐怖症が…
力の奈緒、技のナニカ…のつもりで書いてます


力を持った子供って怖いね
まさかのメガネ拒否w
あと加蓮ちゃん大好きすぎて恐ろしいはずなのにマジほほえましい

乙ー

ん?待てよ?加蓮も夢であの悪夢を見ている筈だから…………加蓮が無茶できるのはあの夢で耐性ができていて、無意識に実効しちゃってるからなのか!?

>>916
おつです

>『拷問メリーゴーランド』
某魔法少女アニメの魔女結界が思い浮かんだ
由来は悲しいけど怖い…


相馬さんできたので投下します


──どこかの街中──

美優、レナ、店長の三人は、かつて共に戦った魔法少女の一人と会うために都市部へと出てきていた。

レナ「それにしても、よく見つけられたわね……全く足取りも掴めなかったっていうのに」

美優「彼女の方から連絡があったんです、あの子もお店の事は知っていたはずですから」

店長「どうやら、今はスチュワーデスをやっているらしい……世界中を飛び回っていれば見つからない訳だ」

美優「店長、最近ではスチュワーデスじゃなくて、フライトアテンダントって呼ぶんですよ?」

店長「ん? そうなのか? まあ、呼び方なんてどうだっていいさ」

三人は他愛もない会話を続けながら、昼時のオフィス街を歩いていく。


レナ「それにしても、昼の街っていうのはなんだか忙しないわね」

額に汗を浮かべながら早足で歩き去るビジネスマンを眺めながらレナが呟く。
昨今の世間の不穏な情勢にもめげずに……いや、だからこそか人々は単調とも言える日々の生活を謳歌している。

店長「明日どうなるかも分からないというのに……人間てのは逞しいものだな」

美優「でも、普段通りの生活が送れるというのは、幸せなことだと思います」

レナ「まあ、それはそうよね……私達の力も、使わずに済むならそれが一番良いわ」


そんなことを喋りながら目的地に向かっていると、突然、周囲の人々がその場に倒れ込んだ。

美優「っ!? 大丈夫ですか!?」

美優が慌てて近くの男性に駆け寄り抱き起す、どうやら意識はあるらしい……のだが。

リーマン「うぅ……めんどくせえ……」

美優「!?」

この国のビジネスマンは馬車馬の如く働くことで有名である。
勤務時間中に「面倒臭い」などと言ってへたり込むことなどおよそ考えられない。


店長「あー、もう世界がどうなろうとどうでもいいや……ダルい」

レナ「店長!? どうしたって言うの?」

いつの間にか、店長までが地面に大の字になって空を仰いでいた。
それどころか、ヒーロー(?)あるまじき発言までしている。

レナ「ちょっと! しっかりしてよっ!」バチーン!

店長「へぶっ!」

レナが手に魔力を込めて気付けに店長の横っ面を叩く。

店長「す、すまん……俺は正気に戻った!」

美優「店長まで……一体、何だっていうの……?」

店長「よくわからない……突然無気力感に襲われて……」

店長「……ん!? アイツは!」


「オレハメンドウガキライナンダ……」

周囲を見渡すと、恐らくこの騒動の原因であろう一体のカースが見受けられた。

レナ「あれが元凶ね……私達がなんとかするから、店長はあの子との待ち合わせ場所に急いで!」

店長「わかった、気を付けてな!」

レナ「さて……美優、やるわよ!」

美優「ええ!」


店長が魔法少女仲間との待ち合わせ場所へと駆け出すのを見送ると、二人は戦闘態勢に入る。

白昼に大勢の一般人の前で『魔法少女』に変身するのは気が引けたが、少し前に世間を騒がせたカースの大量発生や『憤怒の街』の件もある。
カースが一体現れただけと言えど、他のヒーローをアテにして放置するわけにもいかない。
それになにより、周囲の人々はこのカースの影響か気力を削がれ、自力で逃げる事もままならないらしい。

つまり、自分達がなんとかするしかないのだ。


美優レナ「ハートアップ! リライザブル!」

美優「魔法少女、エンジェリックカインド! ……きゃはっ☆」

レナ「魔法少女、エンジェリックグレイス! ……うふっ☆」

お決まりのセリフとともに魔法少女へと変身、決めポーズを取り、標的のカースを見据える。


レナ「あんまり目立つのもアレだから、さっさと決めさせてもらうわ!」

グレイスがカースへ向かって駆け出す。
だが、その距離を詰める毎に身体に妙な違和感を感じ始める。

レナ「(何これ……身体が、重い!?)」

レナ「くっ! グレイスフル……ソードッ!」

原因不明の倦怠感に苛まれながらも、何とか手にした剣でカースを斬りつける。
しかし、力が込められないのが原因か、ほとんどダメージを与えられていないらしい。
同様にカインドの放った矢も大した効果を与えることは無かったようだ。

「……マッタク……メンドウナヤツダ」

カースが反撃だと言わんばかりに、グレイス目掛けて腕状の部位を叩きつける。
歩道のタイルが砕け、砂埃が巻き上がる……まともに当たればただでは済まないだろう。

レナ「っ!」

美優「グレイスッ!」

レナ「大丈夫! これくらい避けられるわ」

幸い、敵の動作は一般的なカースに比べて緩慢なため、身体の動きが鈍ってはいるものの攻撃を回避するのは容易だった。

レナ「私がなんとか核を露出させるから、カインドはそこを狙い撃って!」

美優「わかりました!」

そう言うとグレイスは再度カースに斬りかかる。
振り回される腕を掻い潜り、幾度となく斬りつけ、そして遂に──

レナ「見えたわ! 胴体の中心!」

美優「いきますっ! カインディング……アロー!」


カインドの腕から放たれた光の矢は、狙い通りカースの核に突き刺さる……が、しかしその核を砕くことは無かった。

美優「ええっ!?」

刺さった矢はそのまま光と消え、核に僅かなヒビを残しただけだった。
そのヒビも瞬時に埋まり、再び核を泥が覆ってしまう。

レナ「核を直接攻撃しても倒せないなんて……っ!」

想定外の事態に、二人は困惑の声を上げる。
どうやら相手は、周囲の人間の力を弱める能力を持ち、その上本体の耐久力・再生力も並のカース以上にあるらしい。
倒すには、全力を出せない状況において相手の再生力を上回る一撃を与える必要があるのだ。


レナ「中々に厄介ね」

美優「どうしましょう……」

レナ「仕方ないわ、『アレ』やりましょう」

美優「それしかないですね」

二人は合流すると、必殺の技を繰り出すべく構えを取る。

美優「聖なる絆よ!」

レナ「悪を清める力と────っ!」

危険な気配を察知したカースが、触手を伸ばして攻撃してきたため、二人は飛びのいてかわす。
当たりはしないが、必殺技の発動を邪魔をするには十分だった。

美優「これじゃ力を練っている暇が……」

レナ「何か他に手は無いの!?」


「ハートアップ! リライザブル!」

二人が攻めあぐねていると、背後から馴染み深い掛け声が聞こえてきた。

美優「っ!? この声は!」

レナ「もしかして!?」

振り返るとそこには、かつて共に戦った仲間の一人である魔法少女──相馬夏美の姿があった。




夏美「魔法少女、エンジェリックオネスト!」ペカーッ




美優「あなたは!」

レナ「オネスト!」

夏美「……てへっ☆」

頬に人差し指をやり、首を傾けながらのウィンク──決めポーズもバッチリである。
姿は大人になって大分変わってしまったが、かつての仲間に間違いない。


レナ「(うわぁ……夏美も当時は小学生だったから許されてたけど、今見るとキツイわね……)」

美優「(私も傍から見たらあんな感じなのかしら……やだ……)」

「イツマデメンドウヲカケルキダ……」

夏美「(え……せっかくの登場なのになんなのこの空気……)」


店長「すまない二人とも、待たせたな!」

いつの間にやら戻ってきており、シビルマスクへと着替え……もとい変身していた店長の声で、カースと戦っていた二人は気を取り直す。

美優「オネスト! 来てくれたのね!」

レナ「久しぶりじゃないの!」

夏美「再会を喜ぶのは後! 今はコイツをなんとかしないとね!」

レナ「気を付けて、私達の攻撃は効かなかったわ」

グレイスは、カースと対峙するオネストに助言する。
それを受けたオネストは、むしろ楽しそうに応えた。

夏美「二人の攻撃が効かなかったっていうなら、尚更私の出番よね!」

夏美「一撃で決めるわ……二人は足止めをお願い!」

美優「なんとかやってみます」

レナ「久々にあなたの技を見せてもらおうかしらね!」

カインドとグレイスの二人は、カースの気を引くべく駆け出す。


夏美「さて、と……久しぶりだけど、上手く出来るかしらね……」

オネストは右手を天に掲げると、気を高める。
するとその手に、細長い円錐状に光が集まってきた。

夏美「いくわよ!」

光で出来た槍とも言うべきそれを掴むと、オネストはカース目掛けて投げつける。

夏美「オネストリィジャベリン!!」

オネストから放たれた光は、まっすぐにカースに向かって飛んでいく。

「ア……コレ(クラッタラ)アカンヤツヤ」

それを見たカースは慌てて逃げようとするが……

レナ「そうはさせないわよ!」

美優「足止めさせてもらいます!」

近くに居た魔法少女二人に釘づけにされてしまう。
光の槍はカースの核ごと胴体を貫くと、しばらく飛翔した後弾けて消えた。

「オレガ、キエル……? コレハ、メンドウナコトニナッタ……」

胴体に大きな風穴が開いたカースは、そのまま崩れていき塵と消えた。


夏美「二人ともお疲れ様! サポートありがとね」

カースの崩壊を見届け、変身を解いた夏美が二人に駆け寄る。

レナ「相変わらず、とんでもない威力ね」

店長「見事だったな、ブランクがあるとは思えん」

美優「あの……再会できたのは嬉しいんですけど……場所を変えませんか?」

辺りを見渡すと、カースの影響で無気力に囚われていた人々が意識を取り戻し始めていた。
魔法少女の事についてあれこれ突っ込まれるのは(色々な意味で)望ましくない。

夏美「そうね、落ち着ける場所に移動しましょうか」


───────────────

────────

───


──どこかの喫茶店──

人目につくことを嫌った四人は、当初の待ち合わせ場所であった喫茶店に来ていた。

美優「夏美ちゃんも力が消えてなかったんですね」

夏美「消えなかったというか……復活したというか」

夏美「美優姉は魔法少女の力が無くならなかったんだっけ?」

美優「えっと……その辺の事情は私にもよく分からなくて……」

夏美「レナ姉は?」

レナ「私も、この力が戻ったのはつい最近よ」

夏美「そうだったの……」

店長「あの小動物が出てくれば、何かしら判明するんだろうが……そっちもさっぱりだな」

美優「店長……小動物って、酷いですよ?」

店長の発言に、美優が抗議の声を上げる。
店長の言う小動物というのは、彼女らに魔法少女としての力を与えた謎の生き物の事だ。
その小動物ならば何かしら知っているのだろうとは全員が考えていることだが、残念ながら今のところ彼が現れる気配は無かった。


夏美「うーん……結局は、あの子が出てきてくれないとこの力については分からずじまいって事ね」

レナ「夏美はこれからどうするの? 魔法少女の力が戻ったわけだけど」

夏美「それはもちろん、みんなと一緒に戦うわ!」

店長「なっ……お前、仕事はどうする気だ」

店長「今はスチュワー……フライトアテンダントをしているんだろう?」

夏美「今の仕事は辞めるわ」

美優レナ店長「はあっ!?」

夏美「(まあ、当然の反応よね……)」

社会人としての身を顧みない発言に、三人は素っ頓狂な声を上げる。
それを見た夏美は、悪戯っぽく続けた。

夏美「だって、背広マスク様に手を取られて『君が必要なんだ!』なんて」

夏美「熱っぽく語られちゃあね」

美優店長「!?」

夏美「応えない訳にはいかないでしょう?」ニコッ

美優「……店長?」ジトー

店長「あっ、あれは! お前も魔法少女に変身できるってわかったから、美優達の応援に行ってくれという意味でだな!」

夏美「ふふっ、冗談よ」

夏美「安心して? 美優姉の店長さんを取る気なんて無いから♪」

美優「なっ!?」カアアッ

レナ夏美「(真っ赤になった……分かりやすい)」


夏美の発言に慌てていた店長だったが、からかわれている事に気付くと深刻な声色で切り返した。

店長「はぁ……これはレナにも言ったことだけどな」

店長「俺は、お前が真っ当な生活を捨ててまで、戦いに身を投じる必要なんて無いと思っているんだ」

夏美「……」


夏美「どういうことかは自分でもわかってる……私だって、いつまでも子供じゃないわ」

夏美「でもね……今、色々と不穏な話が多くなってきたこの時期に、魔法少女の力が戻ったっていうことは」

夏美「何か、私に与えられた……使命っていうのかしらね? そういうものがあるんじゃないかって」

夏美「そう……考えたのよ」

夏美の真剣な眼差しに、店長も追及する気は起きなくなったらしい。
他の二人も思うところがあるのか、口を挟むことなく夏美の話を聞いている。


夏美「それに、言うでしょ? 『一人はみんなのために』って」

夏美「かつての仲間が誰か一人でも欠けてたら、『魔法少女』として本当に復活したとは言えないわ」

したり顔で言い放つ夏美を見て、レナが店長に耳打ちする。

レナ「ね? 私の言った通りだったでしょう?」

店長「うーむ……しかし、現実的な問題があるだろう……」

夏美「お金の事なら大丈夫よ」

夏美「悲しいかな、独り身の性っていうのかしらね、それなりに蓄えはあるから」


夏美「とにかく! これからは私も一緒だからね!」

どうしても折れない夏美の態度を見て、レナはやれやれといった風に……しかしどこか楽しそうに言う。

レナ「夏美は昔から、思いつめたら一直線だったわね……中身は案外変わってないものね」

夏美「む、なんかバカにされてる?」

美優「でも、夏美ちゃんも一緒に戦ってくれるっていうなら、(色々な意味で)心強いです」

店長「はぁ……こうなったらしょうがないな」

店長「俺も、日常生活面で出来る限りのサポートはするよ……何かあったら言ってくれ」

夏美「ふふっ、ありがとう」



夏美「みんな……改めて、これからよろしくねっ!」


相馬夏美/エンジェリックオネスト(25)

職業:客室乗務員、兼『魔法少女』
属性:魔法少女(25)
能力:魔法少女への変身および魔法の行使

かつて三船美優/エンジェリックカインドと共に戦った魔法少女たちの一人。
レナと同じく一度は力が完全に消えたものの、最近になって何故か復活した。
当時はマスコット的な存在だったため、可愛らしかった変身ポーズ等も今見るとあざとい。
人前に立つ仕事をしていたので、変身時の名乗りも本人は気にしていないが、傍から見ると……
なお、魔法少女としての役目を果たすため、現在の仕事は辞めるつもりらしい。

必殺技は絶大な威力を誇るが、大仰な予備動作と無能力者にも十分視認出来るほどの弾速(それでも十分速いが)のため、
まともに運用したい場合は仲間のフォローが不可欠。
超大きい・超鈍い・「そんな物避けるまでも(ry」みたいな相手には有効。

投下終わりです

オネストって単語を何の気なしにググってみたら遊戯王カードが出てきて吹いた
特に関係ありませんのであしからず…

おつー

兵藤レナ(27)三船美優(26)相馬夏美(25)の魔法少女ユニットか
うわキツ……
あと小ネタが多すぎるw

乙ー

それを言ったらナチュルもググれば遊戯王が……
オネストあざといよオネスト

おつおつ
弓、剣、槍って聞くとどうしても残りが銃に思えちゃう病気
魔法少女組は割とマジメに話を進めてるのにどうしてもビジュアルがネタになる不具合。ひどい

乙です
魔法少女(数年前)勢はいろいろ仕方ないねww
カースの発言がなぜかかっこよく感じてしまった

既に勢力図が混迷化している憤怒の街に乗り込んでしまった勢力の話投下します

今もなお、ヒーローとカースによる激闘が繰り広げられる憤怒の街。

カース達は呪いをばらまくために、暴れ回り。

ヒーロー達は人々を守るために、それらと戦う。


しかし中には、別の思惑を持ってこの街に来ている者達もいる。



「癒しの水よ、大いなる私の力に従って、えーっと・・・・・・魔滅の槍となりて許されざる者達に降り注げぇ!アクアジャベリン!」

『オゴッ!?オグワァァァァ・・・・・・』

桜の杖を持った少女の号令によって、周囲の水溜りが槍となって一角獣達に突き刺さる。


「癒しの水よ、大いなる私の力に従って、うーん・・・・・・牙剥く邪悪を切り刻めぇ!ウォーターブレード!」

『ギャイィイイン!?』

背後から来ていた狼達は、水の刃にバラバラに切り裂かれてしまった。

あっと言う間にその場に集まっていた、カースの群れが退治される。


「さくらちゃん、ごめんね。カースとの戦闘任せっきりで。」

「いいんですよぉ、芽衣子さぁん。今回は戦闘員は私だけですからぁ。」


さくらと芽衣子、彼女達もまた、戦うためにこの街に来たヒーロー達とは、少し違う目的を持つ者たちであった。

さくら「それに戦闘って言っても、水溜りになった浄化の雨を形にしてぶつけるだけの簡単な作業ですよぉ」

強いカースには効果の薄い浄化の雨も、固めて撃てば十分以上に強力な攻撃となる。

さくらの扱う魔術や魔法と呼ばれる技術はそれを可能とした。

そう、さくらは俗に”魔法使い”と呼ばれる人種である。


さくら「あ、けど浄化の雨をこんな感じで操れるのは魔法使いでもきっと私くらいですよっ!えっへっへー♪」

芽衣子「うんうん、頼りになるね~!」

さくらの自慢の真偽はさておいて、頼りになるのは間違いない。



芽衣子「さて、この場所だね」

さくら「喫茶店ですかぁ?」

芽衣子「うん、ここに上手く隠れてたみたい。数人ほどの人が居るみたいだよ。」

さくら「街の中心地からそれほど離れてないのに、よくカースに見つからなかったですねぇ。」

芽衣子「気配を隠せる能力者が居るんじゃないかな?」

芽衣子「けれど、そのせいで助けに来てくれたヒーローにも見つかってなかったんだね。」

この場合は逆に、よく彼女達はそれを見つけることができたと言えるだろう。


芽衣子「それじゃあ、ちょっと行ってくるね。戻ってくる時はE地点になるからよろしくー」

さくら「了解でぇす!」


合流の場所を取り決め、芽衣子は喫茶店内に向かい、さくら達は元来た道を引き返す。

――

芽衣子「こんにちはー」

「!!」

「だ、誰だ!?」

「どうやって入ってきたんだ!?」

店内は騒然となる。

カース達の進入を防ぐために扉や窓は完全に締め切り、バリケードを作っていたはずだ。

もっともそんな物はカース相手には何の役にも立たないのだが。


彼らがカースに襲われなかったのはたまたま運が良かっただけだ。

たまたま周囲の気配を遮断できる能力者が居合わせ、

たまたまカースの侵攻ルートにこの喫茶店が入っていなかった。

たかがそれだけの事。

けれどそれだけで、彼らの心はどれだけ救われて希望に繋がっていたことか。

襲われることは無く、立て篭もった場所が喫茶店であったためにとりあえずの食事の心配もない。

「きっと助かる」と言う希望のもとに連帯感が生まれ、おかげで負の感情にも飲まれることもなかったようだ。


芽衣子(まあそれなりに人数が居るから食事もすぐに尽きるし、)

芽衣子(周囲に獣型カースが集まっていたことも思えば、あとどれだけ持ったかわからないけれど・・・・・・)

あいつ等は賢い。もしかしたらこの場所に気づいていた個体も居たかもしれない。


芽衣子「落ち着いて聞いてください、私はあなた達を助けに来ました」

「助けにって・・・・・・まさかヒーローなのか!?」

「俺達、助かるのか?」

「いや、しかし助けると言ったって・・・・・・」

芽衣子「説明は後でします。とりあえず、この街を出ましょう。」

「で、出るってどうやってだ!外にはカース達がやまほど居るんだぞ!」

「アンタ一人でなんとかできるのか?」

芽衣子「ここに居る人たちは、ひぃ、ふぅ、みぃ・・・・・・7人で全員。間違いないですね?」

「ああ、そうだ。だがどうするつもりだ?」

芽衣子「思ったより多かったけど大丈夫です。皆さん、私の傍まで来てください。」

「?」

疑問に思いながらも「助かるかもしれない」と言う事で、

とりあえず言う事を聞いて芽衣子の周りに集まる一同。

芽衣子「それでは移動しますね。」

「は?」

芽衣子「・・・・・・」 ゴニョゴニョ

「?」


芽衣子が数秒間何かを呟き終えると、辺りの景色が一変する。


――


白い部屋。そこには数人の看護師たちが待機していた。

「どう言うことだ?」

「何が起こって?さっきまで俺達喫茶店の中に・・・・・・」

芽衣子「ここは○○市の病院の一室ですよ」

「「「は?!」」」

憤怒の街から○○市までは電車で1時間の距離がある。

それを信じられないことに、わずか一瞬で移動したらしい。

あの場に居た7人全員を連れてだ。


「あ、アンタは一体?」

芽衣子「私は空間移動の能力者。」


芽衣子「そして、我々は”櫻井財閥”の救護班です!」

彼女はにっこりと答えた。

――

――


憤怒の街、E地点。


芽衣子「はぁ・・・・・・。」

そこに唐突に、芽衣子は現れた。溜息と共に。

さくら「おかえりなさぁい。」


芽衣子は空間移動能力者である。

詠唱とでも言うべき言葉を唱える事が、能力の発動の鍵。

詠唱を終えれば、パッと消えて、別の場所にパッと現れると言うシンプルなテレポート能力。

さらにその際、傍に居る任意の人間を、移動に巻き込むことができる。

運べるのは人間。それと、彼らの服装・手荷物のみ。

誰も所持していない物や大きな物、ペット以外の他の生物は運べない。

移動距離に制限はない。この世界の中で、知っている場所ならどこにでも行くことができる。

ただしネオトーキョーなどを代表する半異界化している場所は例外。

芽衣子はこの能力の事を『瞬間旅行』と呼んでいる。


芽衣子「・・・・・・ちょっと休憩させて貰うね、流石に能力の連続使用は堪えるから」

さくら「はぁい、私も休憩させてもらいまぁす!このクスノキの下なら魔力も回復するみたいなのでぇ!」


彼女達がE地点などと、アルファベットを付けて呼ぶ位置は、植物の精霊が設置した祝福の木の下の事であった。


芽衣子の『瞬間旅行』は半異界化している場所には移動できない。

そのため、機械を狂わせる結界や大量に犇くカース達によって、

半ば異界化している『憤怒の街』の内部も、本来であれば進入することができないはずであった。

せいぜいが先ほど喫茶店に入るときに使った、近距離の移動が限界である。


しかし、浄化の雨と、祝福の木が設置されたことによって、

異界化の影響が軽減された祝福の木の下のみであれば、外部からの『瞬間旅行』による進入が可能になった。

街の外に出ることに関しては芽衣子の能力は制限を受けないため、

限定的ではあるが、彼女は人を連れて街の外と内の往復が可能になった、と言う事になる。

芽衣子「ところで・・・・・・そこで気絶してる男の人は何?」

さくら「えっと、さっきカースに追われてる所を見つけたので助けたんですよぉ」

芽衣子「助けたのになんで倒れてるのかな?」

さくら「助けた時は、たくさんお礼の言葉をくれたんですけど」

さくら「私が”櫻井財閥”の魔法使いだって言ったら、」

さくら「『なんでもっと早く助けに来ないんだクソどもがっ』みたいな事言われたので」

さくら「つい杖で殴っちゃいました♪てへっ☆」

芽衣子「はぁ・・・・・・。」

また溜息が出る。

さくら「し、仕方ないですよぉ、怒った状態で放っておいたら『憤怒』に飲まれちゃいますよね?」

芽衣子「うん、その判断は間違ってないからいいけどね・・・・・・」

芽衣子「ただ、財閥も嫌われたものだなぁって」

先ほど助けた団体さんも財閥の名前を出した途端、

罵られこそしなかったが、微妙な顔をされた事が忘れられない。

さくら「むぅぅ・・・・・・けれど本当に困っちゃいますよぉ!」

さくら「私、前に友達に櫻井財閥で働いてるって自慢しちゃったんですからっ!」


なにしろ財閥はデカい組織なので、「世界的一流企業で働いてる」と言うくらいインパクトがあるのだ。

つい自慢してしまいたくなったのだろう。


芽衣子「あはは、けど、さくらちゃん。櫻井財閥の他の組織だったならともかく」

芽衣子「『エージェント』なんて人に自慢する事じゃないよー」

さくら「むぅぅ・・・・・・」


櫻井財閥には『エージェント』と呼ばれる機関がある。


例えば、財閥が運営する対カース防衛局を代表するように、

櫻井財閥の傘下には能力者による幾つもの組織や団体が存在しているが、

『エージェント』は財閥の他の組織とは少しばかり毛色が違う。

まずその存在が公にはされていない事が一点。

そして、『エージェント』は財閥当主サクライ直下の組織である事が一点。

財閥の上層部の者であっても『エージェント』を動かす権限はない。

彼女達を動かせるのは、おそらくは強欲なる父とその娘だけであろう。


『エージェント』は財閥の能力者の中でも、特に強力な能力を持つ者達が選ばれる。

まさに能力者の精鋭部隊。

さくらと、芽衣子はその『エージェント』に属する能力者であった。

さくら「財閥の信頼、本当に取り戻せるんですかぁ・・・・・・わたし心配になっちゃいますよぉ!芽衣子さぁん!」

芽衣子「ん~、まあわからないけど、今回のお仕事の結果次第かもね」

芽衣子「お仕事その1、救助活動」

芽衣子「”財閥”の名前を出して民間人を出来る限り救出すること。」

芽衣子「信頼回復ためのパフォーマンスの一環だね」

さくら「今まで何人くらい救助できましたっけ?」

芽衣子「34人、そこに倒れてる人も含めたら35人だよ。」

さくら「少ないですねぇ」

芽衣子「街の中心地が近いからねぇ、これでも多いほうじゃないかな」

この辺りは救助対象となる”生きてる”人間がそもそも少ないのだ。


さくら「こう言うのってそれこそ対カース防衛局とかの仕事じゃないですかぁ。どうして『エージェント』なんですか?」

芽衣子「そっちはもっと目立つ場所、比較的街の外側で動いてるはずだよ、GDFとかのサポートでもしてるんじゃないかな」

芽衣子「私たちエージェントが街の内側で動いてるのは他のお仕事もあるからだね。」

さくら「お仕事その2~その5ですかぁ?」

芽衣子「お仕事その2、ヒーローのサポート」

芽衣子「お仕事その3、カースの討伐」

芽衣子「このふたつもお仕事その1と同じく信頼回復の一環のためだね。」

芽衣子「ここまでが優先度の高い指令。」


芽衣子「お仕事その4、人材のスカウト」

芽衣子「街の中で有望そうな能力者を見つけたら財閥にスカウトすること。」


芽衣子「お仕事その5、悪人ヒーローの討伐」

芽衣子「もし救助活動をヒーローによって邪魔されることがあれば、それを排除すること」


さくら「お仕事その4はともかく、お仕事その5ってあり得るんですか?」

まさかヒーローが救助活動を邪魔したりはしないだろう。

芽衣子「今後、財閥の邪魔になりそうなヒーローが居て、機会があれば消してしまえってことじゃないかな。」

芽衣子「この状況下だと、ヒーローが誰かにやられても、カースに倒されたものってみんな思うし。」

さくら「・・・・・・大丈夫なんですか、それぇ」

エージェントへの指令はどんな時でも悪巧みが混ざっているものだ。

ちなみにお仕事その4に関しても、多くの場合スカウトとは名ばかりで芽衣子の能力による強制連行であったりする。

芽衣子「まあ、その4その5は出来ればってことで」

芽衣子「この街に来るヒーローで、私達だけでどうにか出来る相手なんてほとんど居ないと思うから」

芽衣子「今回はその2の指令を重点的にねっ!」

さくら「はぁい」


芽衣子「さて、そろそろ次に行こっか、さくらちゃん、”紗南ちゃん”!」

さくら「行きましょぉ!」

紗南「・・・・・・おえっぷ」


三好紗南もまた、エージェントの2人と共に行動していた。

ちなみに最初から居ました。

ただ道中、街の中でいろいろ見たくない物を見てしまい、ここまで黙ってただけで。


芽衣子「大丈夫?まだ気分悪い?」

紗南「だいじょぶ・・・・・・じゃないけど頑張る・・・・・・。」

芽衣子「無理しなくてもいいんだよ、命握られてるって言っても紗南ちゃんの能力は貴重だから本当に殺されることは無いから」

芽衣子「そこの男の人を病院まで届けるついでに戻ってもいいんだよ?」

紗南「・・・・・・ここで逃げたら・・・・・・」

紗南「ずっと悪魔に支配されっぱなしだと思うから・・・・・・頑張る」


ここで逃げてしまえば、これからもずっと逃げてしまうだろう。

自分の人生をあの悪魔に支配されたくはない、いつかアイツの支配から逃れるには戦うしかないのだ。

その時逃げださない勇気を持つためにも、ここで逃げ出したくはない。いつまでも『怠惰』では居たくはなかった。


芽衣子「そっか、良かった。さっきの人たち見つけてあげられたのも紗南ちゃんのおかげだったから」

芽衣子「居てくれたら心強いよ、ありがとねっ、紗南ちゃん!」

紗南「うん・・・・・・。」

さくら「芽衣子さんもサナちゃんもわたしが守るから大丈夫ですよぉ!」

芽衣子「うん、頼もしい頼もしい♪」

紗南「よろしくね・・・・・・」

さくら「えっへっへー♪」


芽衣子「よし、少しだけ待っててね!」

芽衣子「・・・・・・」 ゴニョゴニョ

短く言葉を唱えると、芽衣子は倒れていた男と共に一瞬だけ消えて

またすぐに戻ってきた。


芽衣子「じゃ、行こうかっ!」

財閥のエージェント達は憤怒の街を行く。


おしまい


並木芽衣子

所属:櫻井財閥『エージェント』、超能力者
属性:ご機嫌トラベラー姉さん
能力:瞬間旅行

櫻井財閥のエージェントに属する超能力者。ある日、『瞬間旅行』と言う少人数テレポート能力に目覚める。
主な仕事はサクライやエージェント達の移動の補助。たまに人の誘拐。
財閥に所属する理由は指令にかこつけて、彼女の能力の対称にならない地下や宇宙、異世界にいつか旅行に行くため。
能力の性質上、彼女の普段の仕事は一瞬で終わる事の方が多く、呼び出しがあるまでは世界中ブラブラと旅行している。
夢はタイムトラベル。


『瞬間旅行』

少人数を引き連れて使用できるテレポート系能力。数秒間の詠唱が必要だが、移動距離は無制限。
この世界の何処へでも行ける。と言う触れ込みだが、地底や海底には行けない。
当然魔界や宇宙にも飛べず、その他の異界、異界化してる土地にも行けない。
行くことはできないが、それぞれの土地から地上に移動することは可能。
一度に運べるのは数人の人間とその手荷物のみ。移動の際は必ず自分が移動しなければならない。



さくら

所属:櫻井財閥『エージェント』、魔法使い
属性:お調子者魔法使い
能力:魔法、魔術の行使。

櫻井財閥のエージェントに属する魔法使い。魔法使いの家に生まれ、赤ん坊の頃から魔法と共に生きてきた。
さくらの生まれた家は「魔法使いは隠遁するべき」と言う古臭い習慣を未だに守っており、
それが嫌だったさくらは、世間に聞くヒーローに憧れ、無計画に家を飛び出し、見事に路頭に迷う。
そんな折に能力者をスカウトしていたサクライに保護され、その縁でサクライの元で働く事になったらしい。
主な仕事は魔法関係全般の調査。嫉妬の蛇龍の発生時、呪詛の痕跡を見抜き、サクライに伝えたのは彼女。
ただ勉強はあまり好きでないので魔法や魔術の行使は大雑把な感覚でやってる。
夢は物語に出てくるような派手でカワイイ魔法少女。


『魔術:アクアジャベリン、ウォーターブレード』

水を操る単純な攻撃魔術。浄化の雨を使ったことによってカースに対する攻撃力が倍増している
ちなみに、さくらが攻撃的な魔術を扱えるのは、財閥が悪魔や魔術を研究する機関を持つため。
浄化の雨を魔術に利用したことについて、こんな事ができるのは私だけと自慢していたが。
ガチのエキスパート魔法使いが憤怒の街に来ているのを知らないわけではないはず。


『桜の杖』

さくらの持つ木の杖。『万年桜』から切り出し、加工した杖。
そのため『満開』と言う特性を持っており、少量の魔力の消費で発動した魔法や魔術が派手に強くなる。
簡単に言えばMP消費を抑えるための杖。
また鈍器としての使用が可能、これで殴られると結構痛い。

『櫻井財閥』

その昔は世界の支配者に最も近いとまで言われていた超大財閥。
代表者は椅子に座りながら世界を動かせる男ことサクライP。

あの日以来、能力者を広く募集し、
表向きは世界の秩序を守る大組織の一つとして活動している。

とにかく気持ち悪いくらい金持ちの団体であり、湯水のように金が沸いてくるが、
それだけの金を何処から調達しているのかはいまいち不明瞭。

財閥傘下の組織の活動は
能力者の教育・派遣、地下や宇宙との交易、異世界の開拓、兵器開発、カースの研究
悪魔の研究、魔術や魔法の研究、さらには家電の販売や病院の運営、などなど多岐に渡る。

得意技は裏金による情報操作。
つまるところ、めんどくさいアレコレはだいたい金の力で解決している。
そのため、金でどうにもならない非常事態には少々もろい模様。

最近はある事件の影響によって、ブラックな噂がたえない。


『櫻井財閥のもう一つの顔』

時に財閥に所属する能力者達は、
代表者サクライPの娘にとり憑いた『強欲』の悪魔マンモンの手足となる。
悪魔たる彼女があまり自由には動けない地上で、その欲望を満たすために使うコマが財閥の能力者達なのだ。

彼女がある能力者が欲しいと言えば、サクライPは財閥を使い果敢に捜索し、
彼女がある兵器が欲しいと言えば、サクライPは財閥を使って懸命に製作し、
彼女が世界が欲しいと言えば、サクライPは財閥に命じて世界を手に入れるために頑張る。

末端で動く者達は、それが世界の為になると信じて、
今日もお嬢様のワガママに振り回されている模様。


『エージェント』

櫻井財閥当主、サクライP直属の精鋭部隊。通称『サクライの犬』
財閥の能力者の中でも、戦闘のプロ、智略のエリート、諜報のエキスパートなどが揃っている財閥の暗部担当・・・・・らしい。
その割には部隊の雰囲気はどうにもゆるい。
それでも仕事をやらせればそれなりに優秀なので、サクライPは重宝しているようだ。
エージェントの人数は不明、知っているのはサクライPのみでエージェント達も全員で何人居るのかは把握していない。
普段は黒い衣装に身を包み、正体を隠して活動しているが、今回は財閥の名を出しての任務なので私服での出勤。

◆方針

三好紗南 → 『憤怒の街』にて、まだ見つかっていない要救助者の捜索、情報収集
並木芽衣子 → 見つけた要救助者を街の外の病院に移動
村松さくら → 紗南と芽衣子の護衛、『憤怒の街』の調査
櫻井財閥 → 1.『憤怒の街』の救援のためエージェントを派遣

          2.元凶の調査
          3.ついでに疲弊したヒーローが居て、今後財閥と敵対しそうならやっちまおうぜ



今回は、エージェントの顔見せ
ただでさえ混沌としてる憤怒の街だから、
特に他の勢力と接触する事はないはず、たぶん
ただ財閥はこんな事してますよー、と言う報告に近いねっ

乙です
さくらは魔法使いかぁ!
そしてやっぱりブラックだった財閥…
ユズがマンモンちゃま狩ったら崩壊しそう

乙ー

あれ?おかしいな……さくらの台詞が非常にかませっぽく感じてしまう

にしてもブラック企業ですなー

おつおつ
ニューウェーブもそろったかぁ!

櫻井財閥は決して善玉ではないけど救われて欲しいとも思う不思議な勢力だな
ブラック企業こわいね

乙です
財閥ブラック過ぎワロエナイ…
さくらの詠唱聞いたらユズちゃん先生が大激怒しそう
「一人称は我!詠唱はもたつかない!魔翌力に綻びが出来て容易に打ち破れることになるよ!死にたくないなら鍛練しなさい!」

おつー

『エージェント』みたいなサクライPの私兵的な存在は俺も妄想したことあるなー

>>956
さくら「大いなる私の力にしたがって・・・・・・ あ、私じゃない、我!大いなる我!」

さくら「・・・・・ちょ、ちょっと間違っても発動するなんて!案外、魔術もちょろいですよねぇ!」

さくら「・・・・・あ、はい。ちゃんと先輩の言う事聞いて魔術のお勉強も頑張りまぁす・・・・・・・。」

すみません、次はちゃんと勉強してきます

魔術も魔法も自分の中の魔力を干渉させて命令するやつなんだし、ある程度の形さえ整ってるなら別にいいんじゃないの

いや、ユズちゃん先生は一応管理人で先生だから厳しそうかなーと思っただけで発動には大して影響ないのでそのままでも…
むしろそっちの方がさくらっぽくて好きです

そして、数時間後、柚に鍛錬の素晴らしさを教えられたさくらの姿が……

そして教育方針の違いで揉めたユズとイヴが辺りを焦土に変えるまでがテンプレなんです…?

乙乙!

さらに言えば後始末に追われる裕美ちゃんまでがテンプレの可能性…?

そこに夕美ちゃんが樹海製造するんですねわかります

そして濡れ衣を着せられるナチュルスター…

ここまでテンプレ

ナチュルスターって組織所属でもないに知名度やたら高そう

まあ、今回の憤怒の街でも最初に病院の人達助けたし、今は浄化の雨降らしてるし活躍してるからね

他の組織が引き抜きに来そうでコワイ

けど、変身前の姿は一般にはばれてないよ!(プロダクションにはばれてます。恐らく志乃さんの仕業)

『プロダクション』の社長は
こういう世界観で「頼れる社長」として、顔が広く、独自の人脈を持ってる人
というイメージで登場させたけど
『お友達』に周子がいて、そこから志乃さんに繋がって……
となると、結構な情報が集まってきてそう

社長黒幕説…!

次スレはテンプレに何足すの?うえにあったカースとイベントぐらい?

そのくらいじゃないかな?

とりあえずそろそろ必要になりそうなので建ててきますね

モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part5
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1374845516/)

建てた~

>>973
乙にゃん!

>>973
乙ー

>>973
乙乙。次スレは>>950か、>>980だと思ってたぜ……
後は埋めネタ待ちかな?

横山千佳ちゃんで予約します

埋めネタを投下。

『氷よ!大いなる我が力に従い、全てを覆い隠せ!アイシクルケージ!』


裕美の前にかろうじて一人覆えるサイズの氷の檻が現れ狼のカースを閉じ込める。

裕美「…このくらいのサイズの檻なら一人でもなんとかなるんだけどな」

魔力自体が足りないのは分かっていた。

なにせ下級魔術ひとつ使うだけでも裕美にとってはかなりの量の魔力が持っていかれてしまう。

合唱魔術ではイヴの魔力をあてにして自分は制御に回れば良かったが一人となると話が変わる。

裕美「…まぁ、いいかな?」

無いものは仕方ない。持ってる物だけで戦うだけだ。

裕美は師匠に似て楽観的だった。

『氷よ!寄り集まりて針と化せ!』

イヴ「裕美ちゃん行きますよぉ~♪」

裕美「あ、はい!」

裕美が去った後には檻の中で無数の氷柱に核ごと貫かれた狼のカースが横たわっていた。



『冷気よ、大いなる我が力に従い、慈悲なきその力を宿せ~♪』

イヴが冷気の宿った箒で払うと端からカースが氷の彫像と化していく。

裕美「イヴさん今日は魔術使うんだ?」

イヴ「あんまり派手なのって目立つから苦手なんですけど…」

イヴ「やっぱり長年染み付いた習慣って残っちゃいますよねぇ~♪」

裕美「あはは、私そもそも魔術殆ど使えないし…」

イヴ「使わなくて済むくらい平和ならそのほうがいいんですけどねぇ~…」

イヴが嘆息する。

裕美「そういえば今日はなんで外に出たの?」

裕美「檻の修復もまだ余裕があったような…」

イヴ「…いえ、今日はちょっと調べなくちゃいけないことが…」

裕美「調べなくちゃいけないこと?」

イヴ「カースが減ってないんですよぉ~!」

イヴ「それどころか時々何か変な翼竜とかも飛んでるし動物を象ったカースとかも増えて動物園状態じゃないですかぁ~…」

裕美「そういえばさっきも狼の形のカースが居たよ?」


『むぅぅ…本当に困っちゃいますよねぇ!』

『さ、さくらちゃん!人が話してる所にいきなり割り込んじゃ駄目ですよ!』


裕美「…えと…どなたでしょうか?」

目の前には木製の大きな杖を持った少女とそれをしたためる女性。

さくら「よくぞ聞いてくれましたぁ!私は櫻井財閥からサポートに来た村松さくらでぇすっ!」

芽衣子「同じく財閥から来た並木芽衣子だよ」

紗南「……」

裕美「えっと、その子目が死んでないですか…?」

芽衣子「あはは…紗南ちゃん見たくないものを何度も見ちゃったから…」

裕美「…仕方ないですよね……」

この街の現状は酷いの一言に尽きたから芽衣子の言葉に裕美は心から納得した。

芽衣子「お二人は初期にこの街に突入したとのことですから多分これを持っていないんじゃないかと思ったので♪」

芽衣子は懐から一枚の地図を取り出し、イヴに手渡す。

イヴ「えっと…この印とバツ印はなんでしょう~?」

芽衣子「この街のカースの発生源です」

裕美「四ヶ所……?」

裕美「でも一箇所のバツ印は……?」

さくら「サナちゃんが調べたけど一箇所は誰かが潰しちゃったみたいでぇす!」

裕美「そうなんですか…あれ、その杖……?」

さくら「ふふふ、私はお二人と同じですが一流の魔法使いですよぉ!」

イヴ「村松さくら…あれ、『村松家』って外に出たんですかぁ…?」

裕美「『村松家』って?」

イヴ「かなり大きな魔法の名家なんですけどまだ表に出たって話は聞いてないですねぇ~」

イヴ「そもそも魔法使いって横の繋がりがもはや繋がってるのが奇跡くらいにしか繋がってないですけどねぇ…」

裕美「…連帯感ゼロだね…」

イヴ「…そもそも外出ないから連帯する意味も無いですからねぇ~…」

裕美「…そうだね…」

裕美 イヴ『……はぁ…』

さくら「私を無視してネガティブな話続けないでくださいよぉ!」

さくら「それに、今の私は『村松』だけど『村松』じゃないんですよぉ!」

裕美「……家出かな?」

さくら「もうちょっとオブラートに包んでくださいよぉ!」

芽衣子「若いのに大変ですよねぇ~♪」

さくら「なんで芽衣子さんもそっちサイド着いてるんですかぁ!?」

芽衣子「右、左、右、左♪」シュンシュン

裕美「わっ、凄い、これどうなってるんですか?」パチパチ

さくら「無駄に力使わないでくださいよぉ!」



さくら「なんだか話をしてただけなのに凄く疲れましたぁ…」

紗南「うん、分かる…振り回されるのって辛いよね……」ポン

さくら「なんで私こんなに同情されてるのかなぁ…」

さくら「ま、まぁこのまま行けば財閥の信頼回復もすぐですねぇ!」

イヴ「…財閥の信頼回復ですかぁ~」

ニコニコと笑っていたイヴの表情に影が差す。

裕美「……イヴさん…」

裕美が心配そうな目でイヴを見る。

イヴ「『ルシファー』の件で財閥も大変でしたよねぇ~♪」

さくら「でも私たちの手に掛かればあっという間に……」

『冷気よ、大いなる我が力に従い、慈悲なきその力を開放せよ♪』

箒に込められた付与魔術が開放されさくらたちの背後を異常な冷気が通り過ぎる。

冷気の通り道に居た何体ものカース凍てつき、限界を超えた冷気に核ごと砕ける。

イヴ「元『ルシファー』の女の子って今私が預かってるんですけど…」

イヴ「沢山の撮影クルーに変身が解けて落下する時に撮られちゃって凄く大変だったんですよねぇ~♪」

イヴ「外に堂々と出られるようになったのも最近ですからぁ~」

イヴ「あんなに沢山の撮影クルーを集めてくれたのは一体誰なんでしょうねぇ~♪」

イヴ「あっ、地図ありがとうございましたぁ~♪」

そう言ってイヴは病院の場所に向かって帰っていく。

裕美「ちょ、師匠待ってよっ!」

イヴ「……イヴですっ♪」コツン

裕美「痛っ!」

以上です。

さくらにツッコミをさせたくてしょうがなかった。
反省はしていない。
あと身内に雪菜が居るからイヴさんがヤバい。


イベント情報
・イヴが財閥に対して激おこ。
・イヴと裕美が財閥の地図を手に入れました。

おつおつ
飄々としてるキャラが怒ると怖いわよね、わかるわ

おつー
さくらが一流の魔法使いを名乗るだけで和むねぇ
さくらも芽衣子さんもエージェントにしては、人当たりがいいから今回の任務選ばれた感はある

え、イヴさん激おこ?
ま、まあ財閥はイヴさんのことちょー利用してしましたしね
だ、ダメじゃないかさくらさん、人を怒らせたら(目反らし)

乙です
さくらも芽衣子さんもエージェントとは思えない程人当たりがいいなww
そしてイヴさん激おこ…怖いです

乙です
財閥は信頼回復なるか…!
信頼って築くのは難しいのに崩れるのは容易だからな…

…もう埋めます?

スレ立て乙です
埋めがてら極小ネタ

カイ「ナチュラルマリン……この子海水作り出せるかな?」

『キィン?』

ちょっとだけ目をつけたようです

間違えてる人多いけど

≪ナチュラルスター≫じゃじゃなくって≪ナチュルスター≫だよ

あっ、マジだ
すいません失礼しました

『ナチュラル』ラヴァースと『ナチュル』スターは混合されやすいぞ!


『夕美さん、ナチュルスターとの関係はあるんですか?』
「今のところ…ない…かな。でも頑張ってほしいって思う!まだ若いし、応援したくなるよ♪」
『夕美さんのファンの方々による緑化運動をどう思いますか?』
「皆が環境に配慮してくれることがすごくうれしいです!私ファンの皆が大好き!」
(某雑誌のインタビューより)

緑化運動とかファン訓練されすぎぃ!

 人間が、人間であるために。生きるために必要なもの。

「クックック……皆様ようこそ、最高のステージへ。今回の司会はこの私。憤怒Pことティアマットがさせていただきます……」

 それは水。それは食物。それは――

「ウサミミ、アウトー」

 ――それは、感情。

「冷静になるんだ……心を落ち着けて、状況を分析するんだ」

 『笑い』を封じられた今、人間としてできることはなんであるのか。

「なんだと思う? ……これね、ウサミン星人の苗木」

「へぇ~、ウサミンさんも光合成さできんのかなぁ……」

 はたして無事にこれを乗り切ることはできるのか。

「マシン、これはなんという料理?」

「ラーメンです」

「なるほど、ルァ・ムェーンね」

 次回、「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part5!

「きゃはっ☆ ラブリー×××歳♪」

「おいカメラ止めろ」

 『絶対に笑ってはいけないヒーロー24時』! ご期待ください。

「一番笑ってたのは司会の憤怒Pさんですねー。おしおきしましょう♪」

「はっ?」

「汝の悪行、魂の死によって――」

 ※本編の内容は予告と異なる場合がございます。

ルァ・ムェーンwwwwwwカツドゥーンに通じる物があるwwwwwwww
…マジで見たいです。全力で笑わせに来るみんなを…

カイ「ホージロー、何やってるの?」

『キィンキィンキィンカキィン!』

ちひろ「ほぅ、中々見どころがある…」

ピィ「……ぶふっ!」

「ピィ、アウトー!」

きらり「にょわ?」

奈緒「にょーにょにょわ、にょわ、にょー!」

夏樹「…にょわー、にょわにょわ?」

李衣菜「にょわ、にょにょわ…」

きらり「申し訳ありませんが何を言っているのですか?」

「ぶっ!」

『LP・ピィ・店長、アウトー!』

LP「どうしたきらり!言葉使いが変だぞ!」


きらり「あー!リーダーちゃんが笑ったー!ひどーい!」

夏樹「全員笑わなかったか、なかなか強敵じゃん」

李衣菜「次なにか作戦あるの?」

奈緒「…恥ずかしいなこれ」

1000ならイメージイラストが描かれる

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