キョン「石焼きイモ」 (21)

キョン「寒いな…」

ハルヒ「そ、そうね」

秋に入って日がもう落ちた公園に、俺とハルヒは二人でベンチに腰掛けていた。
我慢できないほどじゃない、でも少し冷える秋の風が俺たちの間に吹いていた

キョン「……」

ハルヒ「……」

クソっ、なんでこういう時に限ってしゃべらないんだこいつは。 いつもは頼まなくても勝手にガトリングガンの如く喋っているというのに

キョン・ハルヒ「なぁ(ねぇ)」

キョン「…な、なんだ?」

ハルヒ「え!? え、ええと、星、綺麗よね」

キョン「ん? ああ、確かに星が良く見えるな」

秋の夜空は良く澄んで星が綺麗だった。 周りの木々のざわめきとあいまって少し落ち着く

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いつからだろうか
俺がハルヒに惹かれていったのは

キョン「……」

初めはその傍若無人と言ってもいい振る舞いに目をひそめたりもした。 それからもハルヒは変わらずハルヒのままだった

いつからだろう
俺がハルヒを好きになったのは

キョン「…ハルヒ」ギュッ

ハルヒ「ふぇっ! ちょ、ちょっとあんたなななに手なんか握ってんのよ!! そそ、それになんか近いわよ」

いつかなんて、俺には分からない
いつの間にかハルヒに惹かれ、いつの間にかハルヒを好きになっていた

キョン「ハルヒ…」ギュッ

ハルヒ「ふえっ」

ハルヒを抱きしめる。 ハルヒの匂いが、俺の鼻腔をくすぐる

キョン(初めてかもしれないな…こんなに近くでハルヒの匂いを感じるのわ)

ハルヒ「あああああんた、なな「好きだ」

ハルヒ「ふえっ?」

キョン「好きだ、ハルヒ。 俺はお前のことが、好きだ」

ハルヒ「っ!」

何故だろうか、今までずっと言えなかった言葉が…今は何度でも言える気がする

ハルヒ「……」

キョン「……」

静寂がその場を満たす
今になって不安になってくる
ハルヒが俺の告白を受けてくれなかったら、ハルヒが…ハルヒがーー

ハルヒ「……私も」ボソッ

キョン「えっ?」

ハルヒ「私も…あんたのことが好きって言ったのよっ…この、バカキョン!」

キョン「ハルヒっ」

ハルヒと顔を見合わせる
ハルヒの頬が紅くなってるのは、この夜風のせいだろうか

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒが、目を閉じたーーー

キョン(っ、心臓の音ってこんなにうるさかったのか?)

キョン(もう少しでハルヒの唇にーー)

高鳴るこの胸と、唇を潤し、近づいたその時


『石焼イモ?おイモおイモおイモおイモ おイモだよ~~』

石焼イモ屋のいやにのんびりした声が、焼き芋の美味しそうな匂いとともに夜空を駆けていった

キョン「…」

ハルヒ「…」

キョン(っ、心臓の音ってこんなにうるさかったのか?)

キョン(もう少しでハルヒの唇にーー)

高鳴るこの胸と、唇を潤し、近づいたその時


『石焼イモ~~おイモおイモおイモおイモ おイモだよ??~』

石焼イモ屋のいやにのんびりした声が、焼き芋の美味しそうな匂いとともに夜空を駆けていった

キョン「…」

ハルヒ「…」

キョン(っ、心臓の音ってこんなにうるさかったのか?)

キョン(もう少しでハルヒの唇にーー)

高鳴るこの胸と、唇を潤し、近づいたその時


『石焼イモ?おイモおイモおイモおイモ おイモだよ??』

石焼イモ屋のいやにのんびりした声が、焼き芋の美味しそうな匂いとともに夜空を駆けていった

キョン「…」

ハルヒ「…」

キョン(っ、心臓の音ってこんなにうるさかったのか?)

キョン(もう少しでハルヒの唇にーー)

高鳴るこの胸と、唇を潤し、近づいたその時


『石焼イモ~~おイモおイモおイモおイモ おイモだよ?~?』

石焼イモ屋のいやにのんびりした声が、焼き芋の美味しそうな匂いとともに夜空を駆けていった

キョン「…」

ハルヒ「…」

キョン(っ、心臓の音ってこんなにうるさかったのか?)

キョン(もう少しでハルヒの唇にーー)

高鳴るこの胸と、唇を潤し、近づいたその時


『石焼イモ~~おイモおイモおイモおイモ おイモだよ~~~』

石焼イモ屋のいやにのんびりした声が、焼き芋の美味しそうな匂いとともに夜空を駆けていった

キョン「…」

ハルヒ「…」

ハルヒ「……っ、ぷっ、あははは!」

キョン「……はぁ」

堪えきれずに笑い出してしまうハルヒ。 俺はため息しか出なかった

キョン「さっきまでいい雰囲気だったというのに…」

ハルヒ「本当にそうよ! あーあ、あんなに緊張したの人生で初めて」

俺としてはかなり残念なのだが、ハルヒは緊張から解放されたてハイになってるのか、別にそうでもないようだった

キョン「なんだか雰囲気じゃないな…すまないと思うがまた次のっーー!」

機会に、と言おうとした俺の唇、をハルヒの唇が問答無用に塞いだ

ハルヒ「ーーー」

キョン「ーーー」

いったいどの位の間唇を合わせていたのか
永遠のように続くと思えるほど濃密な時間だった

ハルヒ「ーープハっ」

キョン「っーー、ハ、ハルヒ?」

ハルヒ「えへへ、初めてのキス、しちゃった」

キョン「ーー!!」

ヤバいこれは反則だろ可愛すぎるだろおい神様ありがとう

キョン「ハ、ハルヒもう一「あ、そうだキョン」」

キョン「な、なんだハルヒ?」

ハルヒももう一度したくなったのかと期待したがーー

ハルヒ「石焼き芋の匂い嗅いでたらお腹ぎ空いてきちゃった。 雰囲気を壊した罰として買ってきて」

やはりハルヒはハルヒだった

キョン「な、別に雰囲気を壊したのは俺のせいじゃないだろう」

ハルヒ「じゃあ女の子に先にキスをさせた罰。 ほらダッシュダッシュ!」

やれやれ、さっきのあれは別人のように可愛かったというのに

だが

キョン(やっぱりハルヒはハルヒだな)

何故かそれが、嬉しく思えた

キョン「はいはい分かりましたよお姫様。 直ぐ買ってくるよ」

ハルヒ「フフ。 それでよしよ!」


こうして、16歳の夜。 ハルヒと俺は付き合うことになった

今日はここまで



二年後

ガチャ

古泉「おや? あなたもいらしてたんですか?」

キョン「あぁ。 ここに来るのももう最後なんだなと思ってな…」

古泉「僕たちももう卒業……ですね」

キョン「……」

思えば色んなことがあった
ハルヒと付き合ってからも冒険じみたことは変わらず起きた

キョン「お前の仕事ももう終わったんだろ?」

古泉「はい。 前から段々弱くなってきたんですが今日、この卒業式の日で僕たちの超能力は完全に消え去りました」

古泉「これで…僕たち、いえ、涼宮さんも開放されました」

キョン「開放…か」

古泉「えぇ開放ですよ。 元々彼女一人に背負わせれるようなことではなかったんです」

今ではハルヒの能力も古泉達の超能力も綺麗さっぱり消失していた

卒業式の直前に起こった事件でハルヒが自分の能力を自覚してしまいこれまでで一番の地球の危機が起きたのだが、まぁなんやかんやあって今は無事に卒業式を迎えられている

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