エレン「世界って残酷だよな」(202)

キース「貴様は何しにここに来た!」

エレン「巨人への復讐の為です」

キース「ほう、復讐か!それは素晴らしい事だ!」

キース「是非ともその怨念を糧にして、巨人の餌にぐらいにはなってもらおう!」

キース「次、貴様は何者だ―――」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371385111

―――食堂

コニー「なあ、お前シガンシナ区なんだろ!」

エレン「ああ、そうだぜ」

「じゃあ、超大型巨人も見たことあるのか!?」

「どのくらい大きいんだ!」

エレン「壁から顔を出すくらいだったな」

「マジかよ!俺は壁を跨いだと聞いたぞ!?」

エレン「ははは、流石にそこまでデカくはねえよ」

「じゃあ、普通の巨人は?」

エレン「マヌケな面した奴ばっかだった」

エレン「太ってる奴もいれば、痩せてる奴もいたよ」

エレン「でも、何故か女型の巨人はいなかったな」

「なんか想像できねえな……」

エレン「でも、大した事ねえよあんな奴ら」

エレン「俺達が立体起動装置を使いこなせれば敵じゃない」

「………」

エレン「やっと、奴らを殺せる術を学べるんだ」

エレン「とてつもなく幸甚だよ」

マルコ「そ、そうか……」

エレン「俺には目的がある。調査兵団に入って奴らを惨[ピーーー]る事だ」

エレン「グチャグチャにして」

エレン「コマかくしてから……」

アルミン「エ、エレン!もうその変に―――」

ジャン「おいおい、お前それ本気で言ってんのか?」

エレン「ん?ああ本気だが」

ジャン「ハッ、見栄はって勇敢気取ってるだけじゃねえのか?」

エレン「んー別にそういう訳じゃないんだけどな」

ジャン「まあ、別にあんたの生き方にどうこう言うつもりはない」

ジャン「ただ、自殺兵団に入ろうなんて気の知れない輩の神経が疑わしくてね」

マルコ「言い過ぎだよ!」

アルミン「そうだよ!エレンには……事情があるんだ」

エレン「いやいいよ。俺が異常なだけなんだ」

エレン「偏見に思われて当然だ」

ジャン「自分で自覚してるとは……ますます分からねえ奴だな」

エレン「お前には大義名分なんて理解できねえだろうよ」

ジャン「ケッ……にしても事情ってなんだよ?」

アルミン「それは……その……」

ジャン「あん?」



エレン「……お前、親を殺された事あるか?」

「なっ」

ジャン「な、なんだよ急に―――」

エレン「目の前で巨人にだ」

「お、おいそれって……」

エレン「ああ、壁が壊されたあの日だ」

ジャン「ッ!!」

エレン「無力な俺の前で、母さんは喰い殺された」

ジャン「……」

エレン「知ってるか?奴ら、喰う事に関しての知恵は働くようでな」

エレン「食べやすい様に、人間の身体を真っ二つに折るんだ」

エレン「そして口に運んで喰らう」

「…………」


カンカンカン


エレン「おっと、どうやら晩飯は終わりみたいだな」

エレン「それじゃあ行くか。えーっと、名前は……」

ジャン「……ジャン・キルシュタインだ」

エレン「そうか、これからもよろしくなジャン」

エレン「じゃあ、行こうぜアルミン」

アルミン「う、うん……」

エレン「あと、ミカサもな」

エレン「おーいミカサ!」

ミカサ「エレン、何か騒いでたみたいだけど……」

ミカサ「もしかして喧嘩?」

エレン「はははっ違うよ。みんなから巨人について聞かれてな」

エレン「それに答えてただけさ」

ミカサ「巨人……」

エレン「……ああ、少しお喋りが過ぎたけどな」

アルミン「……エレン。やっぱり、復讐は何もうまないよ」

アルミン「カルラおばさんは、エレンが巨人を殺して喜ぶかな……」

エレン「……」

ミカサ「…………私も、エレンに危ない目にはあってほしくない」

ミカサ「やはり、調査兵団に行くのは……」

エレン「ありがとう」

アルミン「え?」

エレン「俺は、俺をこんなに大切に思ってくれる家族がいてとても幸せだ」

エレン「お前らの気持ちは痛切するほど分かる」

ミカサ「なら!―――」

エレン「だからこそだ」

エレン「もう絶対に家族は失わせない」

エレン「だから殺す」

ミカサ「…………」

アルミン「エレン……」

エレン「安心しろ。死ぬ気なんて毛頭ねえからよ」

ミカサ「守る」

エレン「ん?」

ミカサ「私が絶対にエレンを守る!」

エレン「何言ってんだ、守るのは俺だっての」

アルミン「……僕も!」

エレン「アルミン?」

アルミン「絶対にエレンを守るから!!」

エレン「……」

エレン「お前らは俺の一生の宝物だな」

ミカサ「私も、エレンとアルミンは一生の宝物」

アルミン「僕だって、二人は一生の宝物だよ」

エレン「……おう」

エレン「んじゃ、そろそろ部屋に戻るか」

アルミン「そうだね。そろそろ戻ろうか」

ミカサ「分かった。二人共お休みなさい」

エレン「ああ、おやすみ」

アルミン「うん、おやすみミカサ」

―――後日、訓練場

キース「全身のベルトで体のバランスを取れ!」

キース「これができない奴は囮にも使えん!開拓地に戻ってもらう!」


「ふう……俺何とかできたぜ」

「私も!思いの外できちゃった」

サシャ「何か思ってたよりも簡単にできちゃいましたね」

コニー「まあ、俺は天才だからできて当然なんだけどな」

ジャン「……」

マルコ「どうしたの、ジャン?」

ジャン「次はあいつの番だ……」

キース「次、エレン・イェーガー!」

エレン「はい」

「おい……あいつ昨日の」

キース「準備はいいか?」

エレン「はい」

キース「よし、始めろ!」


キリキリキリ


カチャ


クルン


エレン「あ」

―――ガキン


ゴン!


「えっ……?」

ジャン(マジかよ……まさかあいつが……?)

アルミン「そ、そんな……」

ユミル「だははは、見てみろよクリスタ!あいつ人並み以下の素質だな」

クリスタ「ちょっとユミル!」

「おいおい……昨日あんだけ言ってたのに」

「所詮、ただの戯言だったのかよ……」

ミカサ「エレン……」



エレン「あはははは!」

「ッ!?」

ジャン「ッ!……」

エレン「いやあ、笑っちまうよな」

エレン「昨日、散々巨人を殺すだの言ってた癖にこの様だ」

ミカサ「……」

エレン「教官、俺はどうやら巨人の餌にすらなれない様です」

ユミル「なんだあいつ……」

キース「……降ろせ」

―――数時間後、食堂

アルミン「エレン、練習しなくていいの?」

エレン「ああ、別にいいよ」

ミカサ「……」

ミカサ「……エレン」

エレン「なんだミカサ?」

ミカサ「明日、最終試験がある。もしそれも失敗すれば……」

ミカサ「エレンは開拓地行きになってしまう」

エレン「だなあ」

アルミン「エレン、ちょっとは危機感を覚えてよ!」

エレン「おう、十二分に覚えてるよ」

アルミン「じゃあなんで何もしないの!」

エレン「あんな大胆に落ちた奴が、数時間練習した所でどうにかなると思か?」

アルミン「そ、それは僕からの口じゃなんとも言えないけど……」

アルミン「でもやってみる価値はあると思うよ」

エレン「うーん」

ミカサ「エレン」

エレン「なんだ?」

ミカサ「もしあなたが開拓地に行く事になっても」

ミカサ「その時は私も一緒ついて行くので安心して」

エレン「お、それは有難いな」

エレン「じゃあアルミンも一緒に来てくれよ」

アルミン「もう……冗談言ってる場合じゃないよ」

エレン「悪い悪い」

エレン「気持ちは嬉しいけどなミカサ」

エレン「俺は開拓地に行く気なんてねえよ」

ミカサ「エレンの私情の問題ではない。技量と素質の問題」

エレン「……」

エレン「何も言い返せないな」

エレン「こうなればもう、なるようになれだ」

ミカサ「……そう」

アルミン「なんでそんな楽観的なんだいエレン」

エレン「そうかなあ……あの時から俺はこんな感じだと思うんだが」

アルミン「………確かに、それもそうだね」

エレン「まあ、コツを周りの奴に聞いてみるよ」

カンカンカン

エレン「行こうぜアルミン、ミカサ」

ミカサ「うん」

アルミン「ご馳走様でした」

エレン「にしても誰に聞こうか」

サシャ「あ、エレン……その……昨日はお気の毒です」

エレン「ん?えーっと……確かサシャだよな?」

サシャ「はい、そうです。何か悩んでいる様でしたら相談にのりますよ」

エレン「お、本当か?」

サシャ「はい!なんなりとこの、サシャ・ブラウスに―――」

ユミル「おい何やってんだサシャ!」

サシャ「ッ!は、はい!」

ユミル「私とクリスタ分の水汲みやるって言ったよな?」

サシャ「へ、へへへ……勿論やりますよ神様!」

エレン「なんだ?お前イジメられてんのか?」

サシャ「ち、違いますよ!これには奈落よりも深い事情がありましてですね」

ユミル「ん?よく見たら、昨日のあいつも一緒じゃねえか」

ユミル「サシャ、お前こんな奴が趣味なのか」

サシャ「別にそういう訳じゃないですよ!」

ユミル「ハッ、どうだかな」

クリスタ「もうやめなってユミル!」

クリスタ「ごめんねサシャ、それにエレンも」

サシャ「いえ!神様には恩がありますので気にしないで下さい」

エレン「俺は別に謝られる様な事にはなってないが」

アルミン「ははは……何とも賑やかだね」

ミカサ「そろそろ行こうエレン」

エレン「ああ、そうだな」

エレン「じゃあ、俺達はもう行くよ」

クリスタ「うん、分かった。じゃあ私達も水汲みに行くね」

エレン「おう、じゃあな」

ユミル「おいおい……私達って、まさか私とクリスタもか!?」

クリスタ「当たり前でしょ!全く……ユミルはすぐ悪知恵を働かせるんだから」

エレン「仲いいなお前ら。じゃあ、そういう事だからサシャもじゃあな」

サシャ「あ、はい。お休みなさいエレン」

サシャ「ミカサとアルミンも」

エレン「ああ、お休み」

ミカサ「お休み」

アルミン「うん、お休み」

エレン「にしても、いい仲間ができたもんだ」

アルミン「だね……きっと、みんなエレンの事を心配してるんだと思うよ」

エレン「そうか?」

ミカサ「少なくとも、私達は心配している」

アルミン「うん。僕達はいつでもエレンの味方だからね」

エレン「ははは、そう言ってもらえると頼もしいよ」

ミカサ「笑う事ではない」

アルミン「そ、そうだよ。僕とミカサは本気で言ってるんだからね?」

エレン「……」

エレン「ここでお別れだなミカサ」

ミカサ「その様だ。お休みエレン、アルミン」

エレン「お休み。また明日な」

アルミン「お休みミカサ」

―――男子寮

エレン「結局、サシャには聞けなかったし……誰に聞こうかな」

アルミン「取り敢えず、上手い人に聞いてみようよ」

エレン「ふむ、そうだな」

アルミン「えーっと男子には四人いるんだけど……あ、あの二人だよ!」

エレン「よし、あの二人だな。おーい」

ライナー「ん?」

ベルトルト「君は……」

エレン「おっと、すまんすまん。単刀直入に言うが姿勢制御のコツを教えてくれないか?」

ベルトルト「エレン・イェーガーだよね?」

エレン「おう、そうだぜ」

ライナー「姿勢制御のコツか……」

エレン「駄目か?」

ライナー「いや、そういう訳ではないんだが……」

アルミン「というと?」

ライナー「すまん……どうも、ぶら下がるのにコツがいるとは思もえん」

エレン「だよなあ」

ベルトルト「僕も同意見だよ」

アルミン「そっか……どうするエレン?あと二人いるけど」

エレン「一応、聞いてみるか。ありがとうな二人共」

ベルトルト「別に礼を言われる事なんてしてないよ」

ライナー「その通りだ。明日、頑張れよ」

ライナー「お前ならできる」

エレン「ああ、悪いな」

アルミン「エレン、あの二人だよ」

エレン「あれ、ジャンじゃねえか。おーいジャンとコニー」

コニー「エレン?どうしたんだよ急に」

ジャン「……なんだ?」

エレン「なあ、俺に姿勢制御のコツを教えてくれないか?」

コニー「コツか?悪りいが、俺……天才だから感じろとしか言えん」

エレン「ははは、なんだそりゃ。お前面白い事言うな」

コニー「なっ!俺は大マジだぞ!」

エレン「ジャンはどうだ?」

ジャン「ただぶら下がるだけなのにコツなんてねえだろ」

エレン「んーやっぱそれが真理だよなあ」

ジャン「……ただ、ベルトに欠陥部分があるなら話な別だがな」

エレン「欠陥部分か……」

ジャン「まあ、あくまで仮定だ。やっぱお前には素質がねえんだよ」

エレン「それ言われちゃお終いだぜ」

アルミン「ジャン!その言い方は酷いよ!」

エレン「そんな向きになんなよアルミン。ジャンは真実を述べてるだけだ」

ジャン「…………」

ジャン「……でも、試しにベルトの調整から見直してみても損はないと思うぜ」

エレン「確かにそうだな」

エレン「見直しておくか」

ジャン「俺から言えるのはこれぐらいだな。まあ、せいぜい頑張れよ」

ジャン「エレン・イェーガーだったっけか?」

エレン「ああ、そうだ。ありがとうな」

アルミン「僕からも」

アルミン「エレンに対する雑言は頂けないけど、ベルトの見直しという点に気付かせてくれた事には感謝するよ」

ジャン「フン、礼は成功してから言いやがれ」

エレン「おう、明日必ず言ってやるよ」

ジャン「はいはい楽しみにしておくよ。だがまあ、俺が助言してやったんだ」

ジャン「無駄足は踏むんじゃねえぞ」

エレン「言われなくても端から無駄足にするつもりなんてないよ」

ジャン「そうかよ」

アルミン「エレン、明日こそぜったい成功するよ」

エレン「うん、そうだといいけどな」

アルミン「取り敢えず、明日に備えて今日はもう就寝したらどうかな?」

エレン「そうだな。じゃあお言葉に甘えさせもうらうか」

―――後日、訓練場

キース「エレン・イェーガー、覚悟はいいか?」

キース「立体起動装置を操る事は兵士の最低条件だ」

キース「できなければ開拓地に戻ってもらう……いいな?」

エレン「はい」


キリキリキリ


カチャ


エレン「……」

「おお!!」

ジャン「フッ……」

アルミン「やった!やったよエレン!」

ミカサ「よかった……」

「これであいつも―――」


クルン


―――ガキン



ゴン!

「えっ?」

「落ちた……?」

アルミン「う、嘘だろ……数秒間耐えてたのに……?」

ミカサ「……」

ライナー「駄目だったか……」

ジャン「……結局、無駄足を踏んじまったな」

エレン「……」

コニー「な、なあ……あいつさっきから一言も喋らないぞ」

サシャ「ショックで言葉もでないんですよ……」

エレン「…………まだだ」

ミカサ「エレン……?」

エレン「まだ終わってねえ!!」

ジャン「ッ!」

エレン「こんなもん!すぐに起き上ってやる!!」

「あ、あいつ……」

アルミン「エレン……」

エレン「まだ俺は―――」

キース「降ろせ」

エレン「ッ!?」

キース「早くしろ」

エレン「……」

「は、はい!」

エレン「……」

キース「ワグナー」

トーマス「は、はい」

キース「イェーガーとのベルトの装備を交換しろ」

トーマス「え、何故ですか?」

キース「説明している暇はない!さっさとしろ!」

トーマス「ハ、ハッ!」

エレン「……」

「なんで交換なんてするんだ……?」

キリキリキリ


カチャ


エレン「さっきよりも安定している……」

「す、すげえブレがほとんどないぞ!」

キース「装備の欠陥だ」

キース「使用していたベルトの金具が破損していた」

アルミン「……え?」

キース「ここが破損するなど聞いた事はないが……新たに整備項目に加えておこう」

エレン「俺は……」

キース「問題はない。鍛錬に励め」

ミカサ「エレン!」

エレン「……悪い。みっともない姿見せちまったな」

ジャン「じゃあ、まさかあいつは壊れたベルトで数秒間耐えたって事か……?」

「た、確かに……」

「マ、マジかよ!何者だあいつ!?」

ライナー「根性なのか素質なのか……あいつを動かしたのは何なんだろうな」

ベルトルト「さあ……それは多分、本人にも分からないんじゃないかな」

アルミン「いや……僕には分かる気がするよ。エレンを動かしたもの、それは……」

アルミン「復讐心じゃないかな」

「復讐心…………」

ジャン「……」

キース(グリシャ……お前の息子が今日、兵士になったぞ)

キース「復讐と、家族を守る為にな……」

―――食堂

「おいエレン!お前すごいな!」

エレン「いや、それほどでもねえよ。俺なんてまだまだだ」

マルコ「過小評価し過ぎだよ。破損していたベルトで数秒間も姿勢制御するなんて十分凄い事なんだ」

サシャ「そうですよ!そう卑屈にならないでください!」

エレン「なんかそう言われると照れるな。ありがとよ」

コニー「なあ、何かコツがあるのか!?」

エレン「うーん……コツかあ。悪いが、感じろとしか言えん」

コニー「はあ?何だそりゃ」

アルミン「コニー……君が昨日、直々にエレンにそう言ったんじゃないか」

コニー「?
そんなこと言ったっけか?」

ジャン「お前は本当にバカだな」

「はははははは」

コニー「まあ、それにしてもよ」

コニー「まさかエレンが逆上するとは思わなかったぜ。なんつうか……寛容で達観してるっつうか……」

ジャン「あの光景を見た奴なら全員驚いたんじゃねえか?かくいう俺もその一人だからな」

「俺もあれには驚きを隠せなかったな」

サシャ「私もです。あれがギャップというやつでしょうか?」

アルミン「微妙に違うと思うよ……」

マルコ「え?エレンが?」

エレン「ああ、つい感情に走っちゃってな」

マルコ「そうだったのか……僕はまた別の姿勢制御装置の所にいたから……」

マルコ「まあでも、エレンだって人間なんだ。怒る事だってあるだろ」

ジャン「……」

ミカサ「逆に、私はホッとした」

マルコ「え?」

エレン「なんでだよミカサ?」

ミカサ「エレンはあの日を堺に変わってしまった」

ミカサ「誰に対しても謙虚で、誰に対しても情味がある」

ミカサ「けれど、それ故に怒りや悲しみといった感情をうわべに出さなくなった」

ミカサ「いえ、そういった感情が欠落してしまったのかとさえ思えた……」

「……」

ミカサ「エレン」

ミカサ「なのにあなたは今日、怒りという感情を吐き出してくれた……だから、私は嬉しい」

アルミン「……確かに、エレンがあんなふうに怒ったのは二年ぶりかな」

エレン「……お前、ずっと憂慮してたのか?俺の事を」

ミカサ「うん。でも、エレンはエレンだから」

ミカサ「どんなあなたであろうと、私はずっとエレンに着いて行く」

エレン「……そうか」

ジャン「なあ、お前らは一体どんな関係なんだ?」

アルミン「僕達は幼馴染であり……そして、家族だよ」

サシャ「え?そ、そうだったんですか!?」

ライナー「だから三人はよく一緒にいるのか……納得したぜ」

コニー「いや、でもおかしくねえか?」

ジャン「ああ、家族だってのにそれぞれ名字が違うじゃねえか」

マルコ「言われてみれば確かにそうだ……何か、特殊な理由があるのかい?」

アルミン「……こればっかりは、二人に了承を得ないと言えないよ」

エレン「俺は別に構わないぜ。ミカサはどうする?」

ミカサ「……構わない」

エレン「本当にいいんだな?嫌だったらちゃんと言えよ」

ミカサ「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから」

アルミン「僕達はまず、事実上では家族じゃない。それを念頭に置いて聞いてくれ」

マルコ「わかった」

アルミン「ミカサは昔、人攫いに襲われて両親を失ったんだ」

ジャン「……!」

ミカサ「3年前、エレンとまだ出会う前の事。私は両親と一緒に山奥で暮らしていた」

エレン「俺の父さんは医者をやっていてな。その日、ミカサの家に診療に行く予定だったんだ」

ミカサ「エレンが言う通り、その日はイェーガー先生が診療に来る日。先生が来るのを待ち遠しく待っていた」

ミカサ「その時、私はお母さん達と仲良く話していたのを覚えてる。でも……そんな至福な一時も、扉を叩く音によって崩壊した」

ミカサ「お父さんは躊躇いもなく先生だと思って扉を開けた……そして、人攫いに殺された」

サシャ「そんな……」

ミカサ「お母さんは私を逃がす為に、自ら立ち向かって死んだ」

ミカサ「私は反抗する術もなく、あっさりと人攫いに連れ去られた」

コニー「連れ去られたって……じゃあ、なんでここにいるんだ!?」

ジャン「ちょっと黙ってろ」

エレン「丁度その時に俺と父さんがミカサの家に着いたんだが、もう遅かった」

エレン「なんとも形容し難い感情が込み上げてきたよ。そして、思ったんだ」

ライナー「……」

エレン「犯人を見付け出して、殺してやろうって」

ライナー「ッ!」

マルコ「という事はまさか……」

ジャン「お前……殺したのか?」

エレン「ああ、探索してたら小屋を見付けてな。窓を覗いたら少女が縄で縛られてるのが見えたんだ」

エレン「だから、迷った子供を演じて奴らを殺した」

ジャン「!!」

コニー「マ、マジかよ……!?」

「人を殺しただと……」

サシャ「……」

「じゃあ、人殺しじゃねえか!?」

ジャン「お、おいお前ら……」

アルミン「落ち着いてよみんな―――」



ミカサ「この世界は!」


「ッ!」

ミカサ「この世界は、戦えば勝つ、戦わなければ死ぬ!」

「え……?」

ミカサ「エレンが私にそう教えてくれた!だから今の私がある!」

ライナー「……」

ベルトルト「……」

ミカサ「そして、エレンが私の帰る場所をくれたから!今の私がある!」

ミカサ「エレンは決して悪くない!」

マルコ「ミカサ……」

アルミン「僕も数年前、唯一の家族である祖父をウォール・マリア奪回作戦という口実だけの口減らしによって失った」

アルミン「でも、悲しみに暮れていた僕に……エレンはこう言ってくれたんだ」

アルミン「家族にならないかって……!」

アルミン「嬉しかった。ただただ、嬉しくて堪らなかった」

アルミン「だから―――」


エレン「もういいよ。ありがとうな二人共」

ミカサ「エレン……」

アルミン「……」

エレン「俺は、周りからしたら人殺しだろう。でもな」

エレン「俺は人を殺しただなんて思ってない」

サシャ「……どうしてですか?」

エレン「人の形をした獣を殺したと思ってるからだ」

ジャン「人の形をした獣……」

エレン「まあ、これは価値観の違いってやつだ。俺の事を別に異常者だと思ってもいいし、なんなら教官に告げ口してもいい」

「……」

エレン「あ、やっぱり告げ口はやめてくれ。もしかしたら追い出されちゃうかもしれないし」

マルコ「……僕は、告げ口もしないし、異常とも思わないよ」

エレン「そいつは助かるよ」

マルコ「エレンがした行動は正しいと思う」

ジャン「……」

マルコ「もしエレンが犯人を殺めていなければ、今頃ミカサはどうなっていた?」

サシャ「……」

マルコ「それどころか、もし失敗していればエレンは殺されていただろう」

マルコ「危険を顧みずに立ち向かうなんて……僕には凄いと思う」

ライナー「俺も同感だ、エレンが間違っているとは思わない。大本からして悪いのは人攫い共なんだしな」

エレン「お前ら優しいな」

ジャン「……仕方なかったんじゃねえか?そいつら、人の形をした獣だったんだろ?」

エレン「ああ、少なくとも俺はそう思ってる」


カンカンカン


コニー「終わりだ……」

エレン「さて、行こうぜアルミンとミカサ」

ミカサ「……うん」

アルミン「エレン、いいの?」

エレン「別に俺は弁解するつもりなんてねえよ」

アルミン「……わかった」

―――男子寮

アルミン「エレン、本当にあれでよかったのかい?」

エレン「さあな、俺にも分からないよ」

アルミン「マルコやライナーを除いて、同期は君に距離を置く様になるかもしれない……」

アルミン「現に今だって、皆どこかぎこちないよ」

エレン「そしたらそれまでだ。俺はこいつらの思念を否定するつもりはない」

アルミン「……」

ライナー「よう、エレン」

エレン「ん?……確か、ライナーだよな」

ライナー「そうだ。ちょっといいか?」

エレン「別にいいけど、どうしたんだ?」

「よ、よう……」

コニー「……」

アルミン「みんな……?」

エレン「なんだよお前ら?揃いも揃って浮かない顔して」

ライナー「お前に言いたい事があるんだとよ」

エレン「俺に言いたい事?」

ジャン「こいつら、どうやらお前に謝りたいみたいだぜ」

コニー「その……さっきは悪かったな」

トーマス「つい気が動転したとは言え、過剰に反応しちゃって……ごめん」

「俺も悪かった……」

「すまん……!」

エレン「おいおい、俺は別に何とも思っちゃいないぞ」

マルコ「いや……元はと言えば、僕が質問したのがいけないんだ、すまない」

エレン「だから大丈夫だっつーの」

エレン「お前らは至当な反応をしただけだろ。何で謝るんだよ」

コニー「俺はバカだから、何が正しいかなんて分からねえけど……」

コニー「でも、おいそれとお前の行動を否定しちゃいけない気がするんだ」

アルミン「……」

マルコ「僕達には君のような気丈な勇気はない……」

マルコ「だからこそ、僕達の様な臆病者が
エレンのとった行動が正しいか否かなんて一概に決め付けては駄目だと思う」

「俺も……同意だ」

エレン「……なんか深く考え過ぎじゃないか?」

エレン「そう言ってもらえると有難いけどよ」

ジャン「もういいじゃねえか。いま俺達の目の前にいるのは悪い奴じゃない」

ジャン「それだけ理解していれば十分だろ」

アルミン「……ジャンの言う通りだ。僕達がとやかく言っても意味はないよ」

マルコ「それはそうだけど……」

エレン「お前らの気持ちは分かったよ。ありがとうな」

トーマス「……」

エレン「だから今日はもう寝よう。色々と疲れただろ」

ライナー「本人はそう言ってるが、どうする?」

マルコ「……ああ、そうだな。今日はもう寝るか」

コニー「だな。悩んでたら眠くなってきたぜ」

ジャン「明日からさっそく訓練があるし、俺はもう寝させてもらうぞ」

エレン「ああ、お休み」

「じゃあ、なんだかんだで明日からも改めてよろしくなエレン」

エレン「おう。よろしく頼むよ」

アルミン「……良い人ばかりでよかったね。エレン」

エレン「……」

―――数週間後、訓練場

ライナー「いってえ!」

エレン「おっと悪い。どうも力を加減するのが下手でな」

ライナー「この馬鹿力めが……」

ライナー「まったく……お前、今のところどの科目もほぼ完璧にこなしてるよな」

エレン「そいつはどうも」

ライナー「その次にミカサと言った所だが……まあ、流石お前らというべきか」

エレン「ははは、何だよその言い草は」

ライナー「今期の訓練兵全員が肯定してる程だぞ。お前とミカサの実力は」

エレン「そうか?俺は巨人へ復讐する為に必死なだけなんだがなあ」

ライナー「……簡単に言ってくれるぜ」

エレン「それを原動力にして動いてる様なもんだからな、俺は」

ライナー「……じゃあ、ミカサも復讐を原動力にして動いているのか?」

エレン「まあ……基盤としてはそれもあるがもう一つある」

ライナー「もう一つ?」

エレン「ああ。家族を失いたくないという執念だ」

ライナー「……」

エレン「あーすまん。ちょっと重い話だったな」

アニ「……」

エレン「うお、アニじゃねえか。何でここで突っ立ってんだよ?」

ライナー「……まさか聞いてたのか?」

アニ「……歩いてたら偶々あんたらの会話が耳に入ってね」

アニ「別に盗み聴きするつもりはなかったよ」

エレン「そうか……まあ、聞かれてやばいもんでもないから別にいいけどよ」

アニ「……」

アニ「……ねえ」

エレン「ん?」

アニ「……あんた本当にそう思ってんの?」

エレン「思ってるって、何をだ?」

アニ「ミカサがあんたを失いたくないとかいう話」

エレン「ああそれか。そりゃあいつとは家族だからなあ……あってる筈だぜ」

アニ「ふーん……私の憶測で言うけど、ミカサがいつも肌身離さずにつけているマフラー」

アニ「あれ、あんたのだろ?」

エレン「ああ、そうだが。よく分かったな」

ライナー「おいアニ、何が言いたいんだ?」

アニ「ライナーは黙ってて」

ライナー「はぁ……?」

アニ「でも、ただあげた物なら普通はあそこまで執拗に身に付けようとしない」

アニ「だから何か、あのマフラーには特別な思い入れがあるんじゃないかい?」

エレン「冴えてるなお前。そうだ、あのマフラーには思い入れがある」

エレン「前に、食堂で俺の昔話をしたのを覚えてるよな?」

アニ「勿論、覚えてるさ」

エレン「実はまだ話していないところがあるんだ」

ライナー「え、そうなのか?」

エレン「ああ……あの時、話そうとしてたんだが皆が動揺して騒ついちまってな」

エレン「話すタイミングがなくなっちゃったんだよ」

アニ「その話してないところってのは……?」

エレン「俺が人攫い達を殺したところまでは話したよな」

ライナー「ああ」

エレン「俺が話してないところってのはその続きだ」

アニ「……」

エレン「俺が人攫い殺し終え、ミカサと一緒に小屋の外に出ると丁度、父さんが呼んだ憲兵が来てな」

エレン「その後、父さんとも合流してこっぴどく叱られてたんだが……」


エレン「唐突にミカサが、何処に帰ればいいのか聞いてきたんだ」

ライナー「……」

エレン「そしてその時、よく考えもせずに俺は自分のマフラーをミカサの頭に巻いて……そして言った」

エレン「早く帰ろうぜ、俺達の家に、ってな」

エレン「その時……ミカサは泣いてたよ」

エレン「以上が、俺とミカサの過去だ」

ライナー「まさか、あのマフラーにそんな過去があったとはな……」

アニ「………なるほど」

アニ「つまり、ミカサがあんな風になったのはあんたの所為でもあるって訳か」

ライナー「ッ!」

アニ「これで、ミカサがあんたに執着する辻褄が合う」

エレン「……ああ、俺の所為でもある」

エレン「だから俺は、自分の取った行動に責任を取ってるつもりだ」

アニ「……そいつはご苦労な事だね。教官がこっちの方に来た事だし、私はそろそろ行くよ」

エレン「まあ待てよ。どうせなら一回、手合わせしてみないか?」

ライナー「おいエレン。アニは格闘術を教わっているぞ!」

アニ「……いいよ。受けて立ってあげる」

アニ「あんたにはもう少し聞きたい事があるからね」

エレン「そうか、行くぞ」


ダッ




―――バキッ

他に書いたSSがあれば教えてもらえませんか?

>>122
サーセンこれが処女作です


ドサッ



エレン「……」

ライナー「そら見ろ、言わんこっちゃない」

アニ「……あんたが調査兵団に行けば、勿論ミカサも着いて行くだろうね」

エレン「……ああ、そうだろうな」

アニ「でも逆を言えば、調査兵団以外の所属兵科を選べばミカサは調査兵団に入らずに済むという事だよ」

エレン「紛れもなく切実な論述だな」

ライナー「確かにアニの言う事にも一理あるな……」

ライナー「なあエレン。お前に四の五の言うつもりは無いが、これを機に考え直してみたらどうだ?」

エレン「……」

エレン「次はお前が俺を襲う番だぜ」

アニ「……そうかい、なら行くよ」

ダッ





グイッ

アニ「ッ!」






―――バキッ


ドサッ




アニ「……!」

ライナー「い、今何が起こったんだ……?」

エレン「あー惜しかったな」

アニ「……あんた、意外にやるじゃないか」

エレン「何言ってやがる。俺の蹴りを躱したと思いきや、今度は逆にお前が蹴りを入れてきた癖によ」

アニ「……でもいい線いってたよ。誰かに教わってたの?」

エレン「いや、お前の蹴り技を見よう見まねでやってみたんだが……見事に失敗したな」

ライナー「アニも凄いが、見よう見まねで決行するエレンも凄えな……」

エレン「それは褒めてんのか?」

ライナー「さあ、どうだろうな」

エレン「まあ別にいいけどよ。それより、俺の蹴りが決まってれば堂々と言えたんだがなあ」

アニ「何を?」

エレン「俺はな、絶対に調査兵団へ入る。これだけは揺るがない」

ライナー「……」

エレン「でもアニの言ったように、ミカサだけじゃなくアルミンまでもが俺に着いてくるだろうな」

アニ「……それでも、あんたは調査兵団に入るんでしょ?」

エレン「ああ、だがちゃんと責任は取る。あいつらは死なせない、絶対にな」

ライナー「……そうか。お前にそこまでの決意があるならもう何も言わん」

ライナー「二人とも大事にしてやれよ」

エレン「ああ、当たり前だよ」

アニ「……」

アニ「……よかったら、教えてやってもいいけど」

エレン「ん?」

アニ「格闘術」

エレン「え、いいのか?」

アニ「いつかは分からないけど、この格闘術が役に立つ日がくる筈だ」

アニ「覚えて損はないと思うけど」

エレン「……ああ、そうだな。是非とも頼む」

ライナー「よかったじゃねえかエレン。蹴られるのは痛いだろうが、頑張れよ」

エレン「おう、ありがとうな二人共」

―――食堂


エレン「なあ、ミカサ」

ミカサ「何、エレン?」

エレン「思えば、俺はお前がいたからここまで来れたんだよなあ」

エレン「今までありがとう」

ミカサ「……それはこっちのセリフ。でも、改まってどうしたの?」

エレン「いや、特にこれと言った理由はないんだがな。急に言いたくなったんだよ」

ミカサ「そう……なら良かった。何か悩み事ができたら遠慮なく私に相談してくれて構わない」

エレン「悩み事、か……」

ミカサ「何かあるの?」

エレン「いや、悩み事って程でもないんだけどよ」

エレン「ミカサはさ……今、幸せか?」

ミカサ「え……?」

エレン「いつも思うんだよ」

エレン「俺が復讐を生き甲斐になんてしてなければ、お前をこんな逆境に置かせずに済んだんじゃないかって」

ミカサ「そ、そんな事はない……!」

エレン「……」

ミカサ「私は……自分の意志でここにいる。だからエレンは関係ない!」

ミカサ「それに、私は今幸せ!」

「なんだ?」

ジャン「どうしたんだミカサの奴?」

エレン「そうか。不愉快にさせて悪かった」

エレン「きっと、色々と疲れてるんだな俺は」

ミカサ「エレン……」


カンカンカン


アルミン「どうしたの二人共?」

エレン「おお、アルミン。別に対した事じゃねえよ」

アルミン「ならいいんだけど……」

ミカサ「……」

エレン「じゃあ俺は先に行くぜ。お休み、ミカサ」

ミカサ「……お休みなさい、エレン」

―――屋外


エレン「なあ母さん」

エレン「俺が、命にかえてでもミカサとアルミンを守る。ミカサの奴、こんな状況にも関わらず幸せだって言ってくれたんだよ」

エレン「俺が……責任を取らなきゃな」


エレン「……ん?」

エレン「………」

エレン「……はあ、またそれか。忘れてる訳ないだろ」

エレン「巨人は一匹残らず殺すから安心しろって……まったく、母さんは気早なんだよ」

エレン「前にも言ったろ?俺が調査兵団に入ったら巨人共を」

エレン「バラバラにして……」

エレン「グチャグチャにコマかくしてから……」


エレン「クッテヤるって」

―――解散式の夜


「心臓を捧げよ!!」

「ハッ!」

「本日、諸君らは訓練兵を卒業する。その中で最も訓練成績の良かった上位10名を発表する」

「10番、アルミン・アルレルト!」

アルミン「はっ!」

キース(アルミン・アルレルト。体力に乏しく身体能力は高くないものの、それを他ならぬ努力で補い、座学ではトップの成績を修めている)

「9番、サシャ・ブラウス!」

サシャ「はっ!」

キース(サシャ・ブラウス。身のこなしが素早く、型破りな勘の良さがあるが、目を話すと何をしでかすか分からない危うい部分が目につく)

「8番、コニー・スプリンガー!」

コニー「や、やったあ!!」

「慎め、スプリンガー!」

コニー「は、はっ!」

キース(コニー・スプリンガー。バランス感覚が良く、小回りのきく機動が得意。しかし、理解力に欠け、作戦を誤認する事が多々ある)

「7番、マルコ・ボット!」

マルコ「はっ!」

キース(マルコ・ボット。体力面や知識面こそ平衡的だが、常に実践を想定した戦略を採り、指揮官としての資質が高い)

「6番、ジャン・キルシュタイン!」

ジャン「はっ!」

キース(ジャン・キルシュタイン。立体起動装置の理解が深く、その性能を引き出す術に長けている。しかし、自身の性格が軋轢を生みやすい)

「5番、アニ・レオンハート!」

アニ「はっ」

キース(アニ・レオンハート。斬撃に非の打ち所がなく、目標を深くえぐり取る。連帯生に難があり、性格は孤立ぎみ)

「4番、ベルトルト・フーバー!」

ベルトルト「……はっ!」

キース(ベルトルト・フーバー。あらゆる技術をそつなくこなし、高い潜在能力を感じさせるが、積極性に欠けている為か上手く能力を出し切れていない)

「3番、ライナー・ブラウン!」

ライナー「はっ!」

キース(ライナー・ブラウン。屈強な体格と精神力を持ち、同期からの信頼もあつい。組織のまとめ役の資質がある)

「2番、エレン・イェーガー!」

エレン「はっ」

キース(エレン・イェーガー。あらゆる科目をほぼ完全にこなす現実力があり、人一倍強い復讐心及び目的を持つ。逸材だとの評価だが、惜しくも主席には聊か届かず)

「主席、ミカサ・アッカーマン!」

ミカサ「はっ!」

キース(ミカサ・アッカーマン。歴代でも類の無い逸材として評価を得る。目的を達成する為に自分が何を行えばいいのかを理解する能力がある)

「以上、10名だ!」

「解散!!」

「ハッ!」


コニー「よっしゃあ!これで憲兵団に行けるぜ!!」

サシャ「もう食べ物に困る事もありませんね!」

「いーよなあ、俺も憲兵団に入りたかったぜ……」

ジャン「そいつは残念だったな。お前の分までよろしくやってやるから安心しろ」

「ちくしょー!羨ましいぞこの野郎」

マルコ「僕も憲兵団にするよ。王の近くで仕事ができるなんて光栄だ!」

エレン「ははは、良かったなお前ら」

ライナー「何言ってんだ。お前なんて2番目だろ」

「そうだぞ。本当に凄いよな、お前とミカサは」

ミカサ「どうも」

エレン「まあ、順位なんてどうでもいいんだけどな」

トーマス「……エレンは、本当に調査兵団に入団するのか?」

エレン「ん?ああ、勿論だとも」

アルミン「……」

エレン「やっとここまで辿り着いたんだ。長い道のりだったよなあ」

ジャン「……なあ、エレン」

エレン「ん?」

ジャン「お前は、人類が巨人に勝てると思うのか?」

「おい……どうしたんだよいきなり」

エレン「……」

ジャン「まあ聞け」

ジャン「4年前、人類はウォール・マリアに人口の2割を投入し、総攻撃を仕掛けた」

ジャン「だが、それも虚しく殆どが巨人の胃袋に直行……人類はあっけなく敗北した。あと何割か足せば人類は戦勝できたか?」

ベルトルト「そ、それは……」

ジャン「無理だ。この地上を支配する巨人の数は人類の30分の1では済まない」

ジャン「ただ闇雲に足しても結果的には何も変わらないんだ」

ベルトルト「……」

ジャン「もう十分わかっただろ?」


ジャン「人類は………巨人に勝てない」

「………」

エレン「まあ、その通りだろうな」

ジャン「……」

エレン「でも別に俺は、ただ巨人を殺せればいいんだ」

エレン「人類に貢献なんてしようとも思わない。家族の為に献身し、家族の為に復讐を果たせればそれでいい」

サシャ「……」

エレン「もちろん死ぬ気なんて無いし、巨人を一匹残らず殺そうとも思ってる」

エレン「でもな……現実は甘くない。調査兵団に入れば、いつか死ぬ事ぐらい分かってるさ」

ミカサ「……そんな事はない。私がエレンを守る」

エレン「それはこっちのセリフだよ」

アルミン「……」

ジャン「何でそんなに割り切れるんだよ……?」

エレン「んー」

エレン「だって、人類は遅かれ早かれ巨人に壁を壊されて死ぬんだ」

エレン「何をしたって一緒だろ?」

ジャン「ッ……」

「……な、なんでそう言い切れるんだよ?」

エレン「……」

「もしかしたら、巨人はもう攻めてこないかもしれないじゃないか」

ミカサ「……」

「そ、そうだ……あれからもう5年経ったが、結局何も起こらなかったんだぞ。きっと、これからだって―――」

エレン「なあ」

「……なんだよ?」

エレン「じゃあ、何でお前らは憲兵団に行きたいんだ?」

「そんなの決まってんだろ……王にこの身を捧げる為だ」

エレン「はは、身を捧げるだって?」

エレン「いつまでお利口さんを演じてるつもりだよ」

「は……?」


エレン「お前ら、本当は気付いてるんだろ?次は自分が巨人に殺される番なんだって」

「ッ! な、何を言って……!」

エレン「それを逃避する為に憲兵団になって内地で暮らしたいだけなんだろ?」

エレン「なあ、違うか?」

「ッ……!!」

ライナー「……」

アニ「……」

アルミン「エレン……もういいよ」

エレン「おう悪い、つい諭しちゃったな。別にお通夜にするつもりは無かったんだ」

エレン「詫びとして邪魔者は消えるよ」

ジャン「……」

ジャン「……言われなくても分かってんだよ」

エレン「ん?」

ジャン「例え内地に行っても、死期が遅延するだけで何も変わらない事ぐらい」

エレン「そうなのか」

ジャン「ああ、でもな……それでも尚、なんで内地に篭ろうとするか分かるか?」

エレン「……」

ジャン「それはな、誰しもお前の様に強くないからだ」

ジャン「誰も彼もが、お前みたいに割り切れる訳じゃないからなんだよ」

サシャ「ジャン……」

コニー「お、俺は………」

エレン「覚えてるかは知らないが、入団式の日にも言ったろ」

エレン「俺が異常なだけなんだよ。お前らが当たり前の事をしていて、俺が異常な事をしているだけ」

エレン「だからそう気に悩むなって」

コニー「……」

ジャン「……そうか。なら俺から言う事はもう何もない」

エレン「おう、じゃあ今度こそ本当に行くぜ」

「………」

エレン「それじゃ、みんな元気でな」


エレン「強い、か」

エレン「……なあ、母さん」

エレン「俺は、本当に強くなったのかな」

ミカサ「エレン」

エレン「おう、ミカサじゃねえか」

アルミン「僕もいるよ」

エレン「アルミンもか。何かわざわざ悪いな」

ミカサ「別に気にしてない」

アルミン「……うん。それに送別会もお開きだって」

エレン「あーじゃあ寮に戻るか?」

ミカサ「……いえ、ここに居よう。実はエレンに話がある」

エレン「なんだかいつにも増して神妙な顔だな。言ってみてくれ」

ミカサ「私は、調査兵団に入ろうと思う」

エレン「……」

ミカサ「あなたがくれたこの命。私はあなたの為に使う」

ミカサ「なにより、もう大切な人を失わない為に使う」

エレン「じゃあ聞くが……もしだ、もし仮にお前が死んだら、俺を恨むか?」

ミカサ「そんな事は断じてない。それに、もし私が死んだとしとも、あなたを擁護して死ぬつもり」

ミカサ「あなたを庇って死ねるのなら本望」

アルミン「……」

エレン「……しれっと言ってくれるな」

ミカサ「……エレンを置いてやすやすとは死ねないから」

エレン「そうか……でも安心しろミカサ。お前は本望を遂げられないからな」

ミカサ「え?」

ミカサ「……それはどういう」

エレン「まあ、今は知らなくていいんだよ。それは置いといて、アルミンはどうするんだ?」

アルミン「……僕も、調査兵団に入る」

エレン「やっぱアルミンもか」

アルミン「僕も大切な人を守る為に……その為に今まで頑張ってきたんだ」

エレン「ああ、お前は10番目だもんな。本当に頑張ったよ」

エレン「短所を他ならね努力でなくすなんて凄い事だぜ」

アルミン「そうかな。ありがとう」

ミカサ「確かに、アルミンは一生懸命励んでいた。よく頑張ったと思う」

アルミン「2人にはまだまだ敵わないけどね」

エレン「……本当にいいんだな?」

アルミン「……」

アルミン「死んでも足でまといにはならない……!」

エレン「そうか。お前らの趣向は分かった」

エレン「二人共、これからもよろしくな」

アルミン「うん、一緒に頑張ろう。僕達ならきっと大丈夫だよ」

エレン「ああ、そうだな」

ミカサ「私が二人を守る。だから安心して」

エレン「ん?いや、俺が守るからな?」

アルミン「いいや、僕が二人を守るよ」

エレン「いやいや、だから俺が……て、この会話確か入団式当日にもしたよな」

アルミン「あはは、言われてみれば確かにそうだね」

エレン「俺、あの時言わなかったけど実は嬉しかったんだぜ。お前らが俺を守るって言ってくれて」

アルミン「それは……僕達だって同じだよ」

ミカサ「そう、こちらのセリフでもある」

エレン「おう、ありがとうな」

エレン「しかし、早いもんだよなあ。あれからもう3年か」

ミカサ「続けて言うと、ウォール・マリア崩落からは5年経った」

エレン「もう、口先だけの無力なガキじゃない。やっと、やっと巨人を殺せるんだな」

アルミン「そうだね……」

エレン「ああ、分かったよ。強かろうと強くなかろうと、関係ない」

エレン「俺は、巨人を殺さなきゃいけないんだ。そうだろ、母さん?」

ミカサ「……?」

アルミン「エレン……?」

ミカサ「誰に言っているの?」

エレン「ん、母さんだけど」

ミカサ「おばさん……?」

エレン「ああ、声がするだろ。母さんの」

アルミン「え?」

エレン「巨人を殺せ。仇を取ってくれ。って、さっきから言ってるだろ」

ミカサ「何を言っているの……? もう、おばさんはこの世にいないでしょ?」

エレン「知ってるっての。母さんは俺達の目の前で巨人に喰われたじゃねえか」

ミカサ「そう……喰われた。ならどうしておばさんの肉声が聞こえるの……?」

エレン「ははは、何言ってんだよミカサ。俺をからかってるのか?」

ミカサ「……冗談にしては質が悪い。いい加減にして」

エレン「冗談?お前こそ質が悪いぞ何言ってんだ」

アルミン「ミカサ」

ミカサ「………何、アルミン?」

アルミン「もう、よそう」

アルミン「エレンはきっと疲れてるんだ……」

ミカサ「ッ…………」

ミカサ「……そうね」

エレン「本当にどうしたんだお前ら?」

ミカサ「なんでもない……」

エレン「ならいいけどよ。そろそろ寮に戻ろうぜ」

アルミン「うん。戻ろうか……」

エレン「おう」

ミカサ「……」

―――後日、本部

「諸君らには指定時刻までの間、駐屯兵団の指揮のもと奉仕作業をしてもらう」

「これは儀礼の様なものだ。みな、心して勤仕するように」

「尚、以上の過程終了後は所属兵科を決める」

「それでは各班、指定された持ち場に移動せよ!」

「解散!」

「ハッ!」

エレン「壁上固定砲の整備か」

ミーナ「ほら、行くよみんな」

エレン「ああ、了解」

コニー「……おう」

トーマス「……」

―――壁上

エレン「あー疲れるなこれ」

コニー「そうだな……」

トーマス「……」

エレン「しかし、さっきからお前ら上の空だぞ。どうしたんだ?」

ミーナ「……きっと、昨日の演説が効いたんだよ」

エレン「おう、ミーナ。演説って俺とジャンのか」

ミーナ「うん。私も効いたし……」

エレン「なんか悪い事しちゃったな。幻想させるつもりはなかったんだが」

ミーナ「……」

サシャ「あのう、みなさん」

ミーナ「……サシャ?」

サシャ「上官の食料庫から、お肉盗ってきたんですけど……」

サシャ「よかったら、一緒に食べませんか?」

コニー「……!」

トーマス「ど、独房にぶち込まれたいのか、サシャ……?」

サシャ「釣れないですね……エレンはどうですか?」

エレン「俺は食うぜ。もしかしたら肉を食うのがこれで最後になるかもしれないしな」

サシャ「流石、エレン。太っ腹ですね!」

ミーナ「いや……確かに肉は貴重で高いけど、見合うお金さえあれば買えるよ?」

エレン「そういう意味じゃなくてだな。調査兵団における新兵は最初の遠征で5割以上が死ぬらしいんだ」

サシャ「……え?」

コニー「ッ! そうなのか……?」

エレン「ああ、教官に忠告されたから間違いない」

トーマス「なら、いくらエレンでも危険じゃないか……!」

エレン「ははは、大丈夫だよ。死なない様に全力を尽くすって」

サシャ「そ、そうですよね。エレンなら絶対死にませんって!」

ミーナ「で、でも……」

サシャ「だったら、エレンがお肉を食べなきゃいいんですよ!」

エレン「ん、何でだ?」

サシャ「今日の分はおあずけにして、次一緒に食べるんです」

エレン「次?」

サシャ「決まってるじゃないですか。遠征から帰ってきたときですよ」

エレン「……」

サシャ「いえ、もう遠征なんて言わずにいっそのことずっとずっと先にしましょう!」

コニー「……」

エレン「それ、いいかもな」

サシャ「なら約束ですよ!」

エレン「……ああ、約束だ」

トーマス「……」

サシャ「みなさんも一緒にどうです?」

ミーナ「私も……」

ミーナ「私も、一緒にその肉食う!」

トーマス「俺も食うぞ……!」

エレン「お前ら……」

コニー「お……俺も食うんだ! 約束だからな、忘れんなよエレン!」

サシャ「これで決まりですね」

サシャ「じゃあ、私はこのお肉を食料庫に戻してきます」

エレン「……」

トーマス「何つっ立ってんだエレン。作業に戻らないとバレちまうぞ!」

コニー「説教は懲り懲りだからな!」

サシャ「それにしてもお腹が空いてきましたね……」

ミーナ「間違っても行ってる途中でその肉を食べちゃ駄目だからね」

サシャ「あはは……食べませんよ、多分」


エレン「………仲間、か」

エレン「……なあ、母さん。こんな俺にも、仲間ができたよ」




―――そんなもの、必要ないだろう?

エレン「……」

―――エレンは、ただ復讐を果たしてくれればいいんだよ

エレン「……そう、だな」





ビリイィィィィッ!




ミーナ「――え」

トーマス「――」

コニー「な――」

サシャ「!――」

エレン「……」


ブワアァァァ!


コニー「熱ッ!?」

ミーナ「きゃあッ!?」

サシャ「な、何が!!」

トーマス「クソッ!なんなんだッ!?」


パシュッ!


コニー「大丈夫かみんな!!」

エレン「………」


―――殺せ。復讐しろ


エレン「…………」


―――巨人をこの世から駆逐しろ


ドオオォォォ!!


エレン「……一匹……残らず」

……わかってる。それだけが俺の生き甲斐なんだ。


ドクン


トーマス「そ、そんな………嘘だろ?」

コニー「言ってた通りだ……また、また巨人が入ってくる……」

ミーナ「このままじゃ……」

だから―――


ドクン


エレン「殺してやる」


ダッダッダ

サシャ「……!!」

コニー「エレン……!?」


スタッ


エレン「……」

超大型巨人「……」

壁上に着地するやいなや、左側から強大な腕が迫って来るのに気が付いた。

エレン「……鈍いんだよ」

無論、直撃するつもりなんてない。
壁外に飛び降り、即座に巨人の腕に向かってアンカーを射出する。

ザクッ

そして間髪いれずにワイヤーを巻き取り、今度は腕に着地した。

エレン「……久しぶりだな」

感動の再開を果たして、軽い挨拶をしながら威勢任せに突っ走る。

ダッダッダ

エレン「……やっと殺せる。やっと、やっとやっと」

アンカーをうなじに打ち込み飛翔。更にガスを蒸かし、全速力で向かう。

うなじまで後、約3メートル。2メートル。

エレン「死ね」

1メートル。殺った―――


ブワアァァァ!


エレン「ッ……!!」

突然、目の前が真っ白になった。しかも熱い。

一瞬の出来事に状況が飲み込めなかったが、思案せずともすぐに理解できた。

どうやら全身から熱風を噴かした様だ。それも、かなり強風なのを。
やはり、こいつには知性があるのだろうか。

まあ、予想外ではあったが許容範囲内だ。全くもって問題ない。

エレン「……悪足掻きはよせよ」

再びトリガーを思いきり絞り取り、今度こそトドメを刺すべく熱風の中に急進する。

エレン「今、ここで死ね……!」

全身全霊を込め、刀を振りかざした。


ブン


エレン「……!」

……まて、おかしい。

エレン「手応えが無い……?」

5年前と同様、突然現れ、壁を蹴り壊し、そして―――

エレン「まさか、消えた……?」

エレン「殺せなかった……のか、俺は」

ミーナ「超大型巨人がいない……ま、まさか倒したの!?」

トーマス「す、すごい……すごいぞエレン!!」

エレン「違う……倒してなんかいない」

サシャ「じゃあ……何でいないんですか!?」

エレン「こいつは突然現れて、突然消えた」

トーマス「……」

エレン「腰抜けが、逃げ出しやがって」

コニー「すまん……! 俺たちが不甲斐ないばかりに……」

エレン「いや、俺たち全員がかりで掛かっても逃げられていた筈だ」

エレン「謝らなくてもいいよ。それより早く本部に向かうぞ」


バッ


「おい、作戦はとうに開始しているぞ! 何やってんだ!!」

エレン「……はっ」

「さっさと持ち場に就け!」

ミーナ「先遣班の健闘を祈ります!」


シュウゥゥゥ!


エレン「……」

この町の光景を、俺は知っている。
俺の母さんは、所々に落石しているこの壁の破片によって家を潰され、そして瓦礫に埋れて喰われた。

目の前で真っ二つにされ、巨人によって喰われた。

死んだ人間はもう生き返らない。もう、喋ることすらできない。

そうだ、喋ることすら―――いや、待て。

俺は喋れてる筈だ、母さんと……そうだ、喋れている。何故?

「―――エレン」

明瞭な矛盾だ。ミカサも言っていたじゃないか。

死んだ人間は喋れないのに、何故喋れるんだ?

サシャ「―――エレン!」

サシャ「どうしたんですか、早く行きましょう!」

エレン「……ああ、すまん。ちょっと考え事をしてた」

トーマス「気持ちは分かるけど、今は一刻も早く本部に行かないと」

エレン「悪い、そうだな」


シュウゥゥゥ!


それぞれアンカーを壁に突き刺し、順々に降下していく。


カンカンカン


町の方を再び見渡すと、民衆が我先にと避難先を目指して駆け回っていた。

そうだ。超大型巨人は逃がしたが、この町には巨人達がたくさん湧いて来る筈だ。

これは、巨人を惨殺できる絶好の好機だろう。

エレン「……」

―――本部

ミカサ「エレン……!」

アルミン「ここに居たのか!」

エレン「ああ、ミカサとアルミンか」

ミカサ「ッ! ……エレン、震えているの?」

エレン「どうやらそうみたいだ。さっきからガスボンベの締め具が上手く締められない」

アルミン「……いくらエレンでも、怯えるのも無理はないよ」

エレン「いや、違うぜアルミン。これは俗に言う、武者震いってやつだ」

アルミン「え?それじゃ……」

エレン「巨人を殺せるのが楽しみで仕方ないんだ」

ミカサ「……」

エレン「いや、悪い。こんな状況なのに歓喜してるなんて異常だよな」

アルミン「……どうか、気持ちが高まって生き急いだりだけしないでくれよ」

アルミン「君は、僕達の大切な家族なんだから」

エレン「ああ、分かってる」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月14日 (土) 04:12:14   ID: UP1-jP2E

早く続き書いて!

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom