ミカサ「あなたのいない日々」(359)

進撃SS三作目です!

ネタバレ含むので注意してください。
基本原作進行でいきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371982551

その日、五年前の絶望が再び私たちを襲った。

想像とはかけ離れたその怪物に畏怖する者、誓いを新たにする者、そして。

エレン「お前は後衛だろ!」

ミカサ「でもっ、私は!」

エレン「いい加減にしろよ!」

復讐に、燃える者。

思いはそれぞれだけど、ただ皆何かを守るため。

ミカサ「うう…わかった」

エレン「ああ」

ミカサ「でもっ、死なないで!」

エレン「当たり前だろ、だって…」

隊長「アッカーマン!早くしろ!」

ミカサ「はっ!はい!…エレン、なに?」

エレン「なんでもねぇよ、早くいけ」

ミカサ「そ、そう」





ねぇ、あの時、何を言おうとしたの?

私はあなたの家族だから。

アルミン「ごめんミカサ…」

あなたの言うことを信じる。あなたを守る。

アルミン「エレンは、僕の身代わりに…」

あなたの為ならなんでもしよう。

アルミン「僕は…何も…」

でも、私は。

アルミン「できなかった」

あなたの気持ちまでは、わからない。

アルミン「すまない…」

嘘つき。

アルミン「……」

そうやってあなたは、私をいつも拒絶する。

アルミン「うっ…ううっ…」

今度はアルミンも置いていくの?

ミカサ「アルミン」

嘘つき。エレンの、嘘つき。

ミカサ「落ち着いて」

ミカサ「今は感傷的になっている場合じゃない」

それは私の方だ。

いつも支配できてた自分が、疼く。

エレン『ちゃんと母さんの墓を作ろうな、ミカサ』

約束は?

エレン『駆逐してやる…!』

野望は?

エレン『だって……』

あの時何を言おうとしたの?

わからない。

わからない…。

ミカサ「さぁ立って!」

ミカサ「マルコ」

マルコ「?」

ミカサ「本部に群がる巨人を排除すればガスの補給ができてみんなは壁を登れる」

ミカサ「違わない?」

私は何を話しているのか。

マルコ「あ…あぁそうだ…」

マルコ「し、しかし…いくらお前がいても…あれだけの数は…」

不思議だ。

身体と心が分離したみたい。

ミカサ「できる」

身体はいつも通り支配できるのに。

マルコ「え…?!」

心が追いつかない。

ミカサ「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い!」

ミカサ「…ので」

ミカサ「私は…あそこの巨人共を蹴散らせることができる…例えば…一人でも」

ミカサ「…」

エレン。

ミカサ「あなた達は…腕が立たないばかりか…臆病で腰抜けだ…」

ミカサ「とても…残念だ」

ミカサ「ここで…指をくわえたりしてればいい…くわえて見てろ」

できるわけない。そんな声が聞こえる。

でも、エレン。

ミカサ「……」

あなたなら、エレン。

ミカサ「できなければ…死ぬだけ」

ミカサ「でも…勝てば生きる…」

あなたなら、こう言うから。

ミカサ「戦わなければ、勝てない…」

私は走る。

マルコ「オ、オイ!」

ジャン「残念なのはお前の言語力だ」

ジャン「あれで発破かけたつもりでいやがる…」

ジャン「てめぇのせいだぞ…エレン…」

ジャン「オイ!!オレ達は仲間に一人で戦わせろと学んだか!?」

ジャン「お前ら!!本当に腰抜けになっちまうぞ!!」

ライナー「そいつは心外だな…」

アニ「…」

ベルトルト(まさか、乗るのか…作戦に)

ベルトルト(君たちは本当は…)

マルコ「…はぁーーー」

バシュ!ドオオオ

サシャ「や、やい腰抜けー弱虫ー」

サシャ「ア…アホー」

訓練兵A「あいつら…」

訓練兵A「ちくしょう…やってやるよ……」

ウオオオオオオオオッ!!!

ジャン「オイ!!オレ達は仲間に一人で戦わせろと学んだか!?」

ジャン「お前ら!!本当に腰抜けになっちまうぞ!!」

ライナー「そいつは心外だな…」

アニ「…」

ベルトルト(まさか、乗るのか…作戦に)

ベルトルト(君たちは本当は…)

マルコ「…はぁーーー」

バシュ!ドオオオ

サシャ「や、やい腰抜けー弱虫ー」

サシャ「ア…アホー」

訓練兵A「あいつら…」

訓練兵A「ちくしょう…やってやるよ……」

ウオオオオオオオオッ!!!

うわーごめんなさい
続けます

バシュ!

ジャン「急げ!ミカサに続け!」

すごい、エレン。

やはりあなたの言葉は、人を動かすんだ。

ジャン「とにかく短期決戦だ!!」

ジャン「オレ達のガスが無くなる前に本部に突っ込め!!」

コニー「しかし…すげぇなミカサは…」

コニー「どうやったらあんなに速く動けるんだ……」

アルミン(イヤ…)

アルミン(ガスを蒸かしすぎだ!あれじゃすぐに無くなる)

アルミン(いくら腕があっても機動力がなくちゃ僕らは無力だ…)

アルミン(やはり…)

アルミン(いつもみたいに冷静じゃない)

アルミン(動揺を行動で消そうとしてる…このままじゃ…)

アルミン(いずれ…)

プシュ


ミカサ「ーーー!」



ガンッ


アルミン「……!!ミカサ…!」

ミカサ「はぁ、はっ…はぁ」

ミカサ(ガスが無くなるまで気付かないなんて…)

思い出す。

エレンと出会った日を。

家族を失った日を。

心が痛い。

まただ…またこれだ…

エレン『やるよこれ』

また家族を失った。

エレン『あったかいだろ?』

またこの痛みを思い出して…また…ここから、始めなければいけないのか…

エレン『なんだよ?ほら』

この世界は残酷だ…

エレン『早く帰ろうぜ、オレ達の家に』

そして…とても美しい。

巨人の足音が迫る。

私の終わりも近いのか。




いい人生だった…。




エレンと会えた。

アルミンと会えた。

ライナー、ベルトルト、アニ、ジャン、コニー、サシャ、マルコ、クリスタ。

ユミル、サムエル、ダズ、フランツ、ハンナ。

グリシャおじさん、カルラおばさん。

そして。

お父さん、お母さん。

みんなに、会えた。

手に握られた超硬質ブレードの刃はもう短刀程度しかない。

そう、まるで、あの日の…

人攫いたちを殺したナイフのような…


あの日の…





戦え




ミカサ「…!」





戦え!!




ミカサ「そう、だ」




戦え!!!!






ミカサ「私はっ!!」

ごめんなさいエレン…

私はもう…諦めない



ポロッ



死んでしまったらもう……



ポロッポロッ


あなたのことを、思い出すことさえできない


ポロポロポロ



だからーー何としてでも



勝つ!


何としてでも生きる!!


ミカサ「うあああああっ!!」

アルミン「ミカサ!!」

ミカサ「!!」

ヒュウウウ

ドサッ

アルミン「うっ!」

ミカサ(アルミンが、屋根上まで運んでくれた…)

ミカサ(助かった?)

アルミン「ミカサ!!ガス切らして落っこちたろ!?ケガは!?」

ミカサ「……私は大丈夫……」

生きてる。

まだ、生きてる。

コニー「オイ!!とにかく移動だ!!」

アルミン「待ってくれ!ミカサのガスがからっぽなんだ!!」

ミカサ「……」

コニー「…!」

コニー「オイ……マジかよ!?どうすんだオマエがいなくて!!」

アルミン「やることは決まってる!!」

カチャ

アルミン「僕のもあまり入ってないけど」

ミカサ「!!」

アルミン「急いでこれと交換するんだ!!」

アルミン、何を言ってるの…

ミカサ「アルミン!!」

嫌。

また誰かが死ぬなんて。

アルミン「こうする以外にない!僕が持っていても意味が無いんだ!!」

私は、弱い。

アルミン「でも…今度は…大事に使ってくれよ」

技術だけだ。

アルミン「みんなを助けるために…」

私は…

みんなの命を背負う覚悟もないまま

先導した…

その責任も感じない内に一旦は命さえ放棄した

それも自分の都合で…

私は…

アルミン「よし!!機動装置はまだ行けるぞ!刃も全部足した」

アルミン「ただ…これだけはここに置いていってくれ…」

アルミン。そんなことしないで。

アルミン「やっぱり…生きたまま食われることだけは避けたいんだ」

刃を持って、自殺しようだなんて。

スッ

ポイッ

アルミン「え!?」

こんなもの、捨てていい。

ミカサ「アルミン!」

私はもう、迷わない!

アルミン「…!?」

守る、守ってみせる!

ミカサ「ここに置いていったりはしない」

この世界を、エレンが生きた世界を!

アルミン「…で…でも、巨人が大勢いるところを人一人抱えて飛び回るなんて…」

コニー「お前をこんなところに残していくわけねぇだろ!!」

コニー「行くぞ!オレがアルミンを抱える!ミカサが援護だ!!」

アルミン(ダメだ…よしてくれ…このままじゃ僕は)

アルミン(また友達を死なせてしまう…)

ミカサ「アルミン、私はもう、誰も失いたくないーー!」

アルミン「っ!」

アルミン(そうか…そうだね)

アルミン(君でもそうしただろうね)

アルミン(エレン)

ーーー
ーー


ジャン(ダメだ…)

ジャン(本部に近づくことさえできない…)

ジャン(犠牲を覚悟しない限りは…)

ジャン(本部に行けば、ガスがあるのにっ!クソッ!)

トム「うあああああああ!」

ジャン「…!?」

トム「うっ…!」

ジャン(まずい!あいつ…ガス切れだ!!)

ジャン(助けに…)

トム「うっ!?」

ジャン「!!」



ズシン、ズシン



トム「うあああ!」

ジャン「!!!」

訓練兵B「…!?トム!今助けるぞ!」

ジャン「よせ!もう無理だ!」

訓練兵B「やめろおおおお!!」


ガッ



ジャン「…っ」

訓練兵C「ひっ…!」

ググッ


バキッ

グチャ…


ジャン「……!」

ジャン「今だッ!」

ジャン「巨人が少しでもあそこに集中しているスキに本部に突っ込め!!」

ジャン「今しかない…」

ジャン「どのみち…ガスが無くなれば終わりだ、全員で突っ込め!」

ジャン(悪ぃ…助けられなくて…)

ジャン「うおおおおおお!」


ガシャァァァン
ズザザッ

ガシャ

ガシャァン


ジャン「何人…辿り着いた?」

ジャン「仲間の死を利用して…」

ジャン「オレの合図で何人…死んだ?」

補給兵A「…」

ジャン「…お前ら…」

ジャン「補給の班…だよな!?」

補給兵A「……」

補給兵B「あぁ…」

ジャン(ふざけんな…!)

補給兵A「え?」



バキッ

ジャン(これがっ…!)

ジャン(これが殴らずにいられるかッ!)

ライナー「よせ!ジャン!」

ジャン「こいつらだ!オレ達を見捨てやがったのは!」

ジャン「てめぇらのせいで余計に人が死んでんだぞ!」

補給兵B「補給所に巨人が入ってきたの!どうしようもなかったの!」

ジャン「それをなんとかするのがお前らの仕事だろうが!!」

ライナー「やめろ!ガスの補給が先だろう」

ジャン「っ!」

ジャン(くそっ…くそっ!)

ジャン(だが…その通りだ…)

ジャン「ああ…悪かった」

アニ「全員補給は終わったね」

ライナー「そういやミカサは?」

訓練兵C「とっくにガス切らして食われてるよ!」

訓練兵D「コニーとアルミンもいねぇ!」

ジャン(ミカサ…)

ジャン(こんなんなら、伝えておくべきだった…)


パリィン


ジャン「ッーー!」

ジャン「ミカサ…!」

コニー「危ねぇ、もう空だ…」

コニー「やったぞ…ギリギリ着いた…」

ジャン「お…お前…生きてるじゃねぇか!!」

コニー「やったぞアルミン!」

バシバシ

アルミン「痛い、痛い!」

ライナー「ともかく、お前らはやくガスの補給を!」

コニー「ああ!」

ミカサ「わかった」

アルミン「ありがとう!」

ジャン(そういえば)

ジャン(マルコは…)



生きてるのは、何人だろう

一体何人が、死んだのだろう

何を思って死んだんだろう

でも大丈夫だ

ミカサ「さぁ、本部を出て撤退しよう」

全員「了解!」

ミカサ「あなた達の意志が、私に力をくれる…!」



??「あぁ、そうだな…」

ミカサ「?!」

声が聞こえた。

そしてその瞬間。

目の前の巨人が次々に倒れていく。

まるでドミノのように。

次々と。

リヴァイ「これはどういう状況だ…」

ミカサ「あなたは…」

アルミン「リヴァイ兵士長だ!」

ライナー「!?」

ベルトルト「…」

ジャン「一人で一旅団分…四千の兵に価する戦力を持つ、あのリヴァイ兵士長か!?」

リヴァイ「ちっ、うるせぇ…早く状況を説明しやがれ」

ミカサ「五年前と、同じです」

ミカサ「超大型巨人が現れて、鎧の巨人により壁は破壊されました」

ミカサ「私たちには一旦、撤退命令が出ています」

リヴァイ「そうか…」

リヴァイ「撤退を援護しよう」

ミカサ「ありがとうございます」







その日の夜、人類の活動拠点はウォールシーナまで後退することが発表された。


私たちは壁外に出ることも許されず、結局仲間達の詳しい安否を知るには至らなかった。

そして十日後、異例の壁外調査が行われることになった。

調査兵団だけでなく、一般市民がウォールシーナを出て自宅に帰ったり、家族の死体の回収に行けると言う。

名目だけの、人口掃討作戦だった。

ある者は自ら。

ある者は無理矢理。

壁外に出されて巨人の餌食となった。

人口は半数以下に減り、人類は窮地に立たされた。

ジャン「お前は行かなかったのか、壁外に」

ミカサ「ええ…今ここで死んでは、なんの意味もない」

ジャン「お前ならエレンのために訓練所まで行くかと思ったんだが」

ミカサ「…」

ジャン「悪い、言っちゃいけなかったな」

ミカサ「気にしなくていい。ジャンは悪くない…」

ジャン「ありがとう…」

ジャン「なあ、兵団決めたか?」

ミカサ「うん」

ジャン「お前はどこに行くんだ?」

ミカサ「私は…調査兵団に行く」

ジャン「そうか…」

ミカサ「ジャンは憲兵団でしょ?」

ジャン「…」

ジャン「いや」


ーーー

マルコ『僕はジャンの方が指揮官に向いてると思うけどなあ』

ジャン『はぁ?』

マルコ『だって、ジャンは悪いけどあまり人として強くないから…』

マルコ『だから、弱い人の気持ちまでわかってあげられるんだ』

ジャン『なんだそれ』

マルコ『ははっ、まあ忘れてよ』

ジャン『そうかよ』

ーーー

ジャン(オレはマルコを探すため、壁外に出た)

ジャン(そしてマルコの死体を確認した)

ジャン「するべきことがわかったんだ」

ジャン「俺は、調査兵団に入る」

ミカサ「…そう」

??「それは頼もしいことだ」

ミカサジャン「「!?」」

エルヴィン「驚かせたか、すまない」

ジャン「エルヴィン団長…!」

エルヴィン「君たちのような勇気ある兵士に尊敬の意を示すよ」

エルヴィン「…ところで」

エルヴィン「ミカサ・アッカーマン訓練兵。話がある」

ミカサ「は、はい…」

エルヴィン「済まないね、話の腰を折ってしまって」

ジャン「いえ、そんな」

ジャン(まぁ確かになあ)

エルヴィン「アッカーマン訓練兵、行こう」

ーーー
ーー


ミカサ(ここは…調査兵団の仮本部)

エルヴィン「入ってくれ」

ミカサ「はっ!」


ガチャ



リヴァイ「やっと帰って来やがったな、エルヴィン…」

ミカサ(リヴァイ兵長まで…)

リヴァイ「クソが長引いてんのかと思ったぞ」

エルヴィン「アッカーマン訓練兵の所在がわからなかったんだ、許してくれ」

リヴァイ「ちっ…まぁいい、始めるぞ」

エルヴィン「アッカーマン訓練兵、座ってくれ」

ミカサ「失礼します…」

ミカサ(一体なに…?)

エルヴィン「単刀直入に言おう」





エルヴィン「君を、特別調査班に推薦したい」

ミカサ「!?」

ミカサ「特別調査班…ですか」

リヴァイ「人類はついにウォールシーナまで追い詰められた」

リヴァイ「状況は芳しくねぇ」

リヴァイ「そこで急遽設立されることになったのが特別調査班だ」

エルヴィン「特別調査班はリヴァイを中心とした調査兵団の精鋭をメンバーとしている」

エルヴィン「特別調査班には一般兵では難しい場所への調査や、隊の殿など」

エルヴィン「非常に死亡率の高い任務に当たってもらう」

ミカサ「っ!」

死亡率の高いーー。

エルヴィン「選ぶのは自由だ」

エルヴィン「ただ、君の兵士百人に価するという戦闘力を、我々は買いたい」

でも、でも…

ミカサ「そこに入れば、巨人をたくさん殺せますか…?」

リヴァイ「ああ」

ミカサ「人類の勝利の、近道となりますか…?」

リヴァイ「…確証は、ない。だが」

リヴァイ「俺はそうだと思う」

エレンの願い。

エレンの夢。

私が、守らなくてはいけないもの。

そう、ならば。

ミカサ「わかりました」

ミカサ「特別調査班に、入れてください」

私はなんでもしよう。

エルヴィン「歓迎するよ、アッカーマン訓練兵…いや、ミカサ」

リヴァイ「…悪くない」

今日はここで終了します

また明日書きにきます

再開します

イルゼ『私はイルゼ・ラングナー。第34回壁外調査に参加、第二旅団最左翼を担当』

イルゼ『所属班と馬を失う。人の足では巨人から逃れられない』

イルゼ『けれど私は屈しない』


ペラッ

リヴァイ「……」



イルゼ『巨人遭遇』

イルゼ『6m級、すぐには私を食べない。奇行種か…』


ペラッ


イルゼ『しゃべった。ありえない…』

イルゼ『ユミルの民、ユミル様、よくぞ』

イルゼ『間違いない』



リヴァイ「……!」

ミカサ「兵長、一年前に亡くなった兵士のようです」

ミカサ「ジャケットだけ回収します。これ以上留まるのは危険です」

ミカサ「……兵長?」




リヴァイ「これは…イルゼ・ラングナーの戦果だ」

私が特別調査班ーー通称リヴァイ班に指名されてから一週間が経った。

私と兵長はとある旅団に混ざり、私としては初めてとなる壁外調査を行った。

理由は、私の能力が壁外で通じるかを見極めるため。

そこで見つけたのが、イルゼ・ラングナーの手記だ。

人語を話す奇行種。

謎は深まるばかりだ。

そして今日、私は正式にリヴァイ班に配属される。

ハンジ「ミカサ、こんにちは」

二人。中年の男性と…この人は…?

ミカサ「…?こんにちは」

ハンジ「私は調査兵団で分隊長をやってるハンジ・ゾエ」

ハンジ「そっちの彼は」

スンスン

ミカサ(……っ)

ハンジ「…彼も同じ分隊長のミケ・ザカリアス」

ハンジ「こうやって初対面の人の匂いを嗅いでは」

ミケ「ふんっ」

ハンジ「鼻で笑う癖がある」

ミカサ「」

ハンジ「多分深い意味は無いと思うね」

ハンジ「まぁこんなのでも分隊長を務めるほどの実力者ではあるんだ…」

ミカサ(変な人…)

ハンジ「あっ!着いたよ!」

ミカサ(本部じゃない、どこ?)

ハンジ「みんな待ってるよ!」

ガチャ




リヴァイ「来たか…」

エルド「…」

グンタ「…」

オルオ「…」

ペトラ「…」

ミカサ(この人たちが…リヴァイ班の)

リヴァイ「これで全員だな」

エルド「はじめまして、ミカサ」

グンタ「よろしく」

ペトラ「よろしくね!」

オルオ「…」

ミカサ「よろしく、お願いします」

ミカサ(優しそうな人たちだ…)

オルオ「調子に乗るなよ新兵…」

オルオ「並の兵士百人分だか知らんがお前のような小便くさい小娘にリヴァイ兵長が特例を認めるなど…」

ガリッ

ミカサ(舌を噛んだ…)

ミカサ(この人は、面白い人のようだ)

ミカサ(しかし…特例、か)

確かに特例だ。

他の104期のみんなはまだ兵団も決めていない。

私だけ、異例の配属。

それだけ人類が追い詰められているということ。

ペトラ「そりゃべらべら喋ってれば舌も噛むよ」

オルオ「…最初が肝心だ…」

オルオ「あの新兵、ビビってやがったぜ」

ペトラ「オルオがあんまりマヌケだからびっくりしたんだと思うよ」

リヴァイ兵長はみなが集まったと同時に出て行ってしまった。

今はこうやって薄汚れた広間でゆっくりしている。

ミカサ(この間にも、巨人が来るかもしれないのに)

ミカサ(そう思うのに、あったかい)

ミカサ(こんな気持ちは久しぶりだ)

オルオ「何にせよ俺の思惑通りだな」

ペトラ「…ねぇ、昔はそんな喋り方じゃなかったよね」

ペトラ「もし…それが仮にもしリヴァイ兵長のマネしてるつもりなら…本当にやめてくれない?」

ペトラ「イヤまったく共通点とかは感じられないけど…」

なるほどあれは兵長の真似なのか。

髪型とか。

オルオ「…!!フッ…俺を束縛するつもりかペトラ?俺の女房を気取るにはまだ必要な手順をこなしてないぜ?」

ペトラ「兵長に指名されたからって浮かれすぎじゃない?…舌を噛み切って[ピーーー]ばよかったのに…」

オルオ「戦友に向ける冗談にさては笑えないな…」

ミカサ「…っ!」

ペトラ「ほら、ミカサも笑ってる」

この人たち、というより二人はまるで巨人なんていないように。

友人たちが外で語り合うだけのように話している。

不思議だ。

ふわふわする。

ペトラ「ミカサが笑うの初めて見たかもー!」

ペトラ「女の子同士頑張ろう!」

ミカサ「はっ、はい!」

懐かしい、気分だ。

エルド「ミカサ、ここがどこか知っているか?」

ミカサ「いえ…」

エルド「ここはウォールシーナに昔いた貴族の別荘らしい」

エルド「どの貴族かは謎だし、もう断絶したみたいだがな」

成る程、それで薄汚れているのか。

ミカサ「なぜそんな場所を私たちに…?」

エルド「さあ?それはわからん」

グンタ「おい、兵長が帰ってきたぞ」

リヴァイ「…」

リヴァイ兵長はたくさんの荷物を手に抱えている。

あれは…掃除道具?

リヴァイ「部屋が汚ねぇ、これは大問題だ」

箒、雑巾、モップ、はたき、数多の掃除道具を兵長は床に置いた。

リヴァイ「早急に取り掛かるぞ」

…えっ?

バターン!


兵長が窓を開ける。

ミカサ「上の階の清掃完了しました」

リヴァイ「わかった」

ミカサ「あの、私たちはこんな事していていいのですか」

リヴァイ「…?」

ミカサ「人類の最後の砦がいつ破られるかもわからないのに」

言ってはならないかもしれないと思った。

でも、言わなくてはならないと思った。

この人なら同調してくれるかもしれないという、薄い期待があったのだ。

リヴァイ「してて、いい」

ミカサ「えっ…」

リヴァイ「守るべき、当然のルールだ」

リヴァイ「お前が掃除した部屋を見てくる。ここをやれ」

ミカサ「あ、はい…」

リヴァイ「………」

ペトラ「失望したって顔だね」

ミカサ「いや、そんなことは」

ペトラ「珍しい反応じゃないよ」

ペトラ「世間の言うような完全無欠の英雄には見えないでしょ?現物のリヴァイ兵長は…思いの外小柄だし、神経質で粗暴で近寄りがたい」

ミカサ「いえ、私が意外だと思ったのは、上の取り決めに対する従順な姿勢です」

そう、あの人からは自由への渇望が見て取れた。

エレンと似たような。

だから、不自然だった。

ペトラ「強力な実力者だから序列にははまらない人だと?」

ミカサ「はい、誰の指図も意に介さない人かと」

ペトラ「私も詳しくは知らないけど…リヴァイ兵長は調査兵団に入る前、都の地下街で有名なゴロツキだったって聞いたわ」

ペトラ「なにがあったか知らないけど、エルヴィン団長の元に下る形で調査兵団に連れてこられたと」

ミカサ「…」



リヴァイ「オイ、ミカサ」

ペトラ「っ!」ビクッ

ミカサ「…はい」

リヴァイ「上の階は終わりだ。ここの掃除を続けろ」

夜ーーー

エルド「我々の待機命令はあと数日は続くだろうが…」

エルド「三十日後には大規模な壁外遠征を控えていると聞いた」

エルド「それも今期卒業の新兵を早々に交えると」

ミカサ「!!」

みんなが…!?

グンタ「エルド、そりゃ本当か?」

グンタ「いくら兵士が不足しているとはいえ、ずいぶん急な話じゃないか」

グンタ「ただえさえ今回の襲撃は新兵には堪えたろうによ」


そうだ…。

マルコ、ミーナ、フランツ…。

たくさんの同期。

そして…。

ミカサ「エレン…」

リヴァイ「…」

ペトラ「兵長、本当ですか?」

リヴァイ「作戦立案は俺の担当じゃない」

リヴァイ「ヤツのことだ…俺たちよりずっと多くのことを考えているだろう」

リヴァイ「もう遅い、お前ら寝ろ」


ガタッガタン


ミカサ(少し、外の風を浴びよう…)

ミカサ「…ふぅ」

エレンが亡くなってから、ほとんど時間は経っていない。

マフラーにも温もりが残ってる。

いつか、忘れてしまうのか。

ミカサ「そんな訳ない…エレン」

リヴァイ「エレン、エレンうるせぇな」

ミカサ「!?」

リヴァイ「寝ろと言ったはずだが?」

ミカサ「すいません…眠る気になれなくて」

リヴァイ「まあ、いい。ところで、そのエレンっての誰なんだ?」

リヴァイ「お前の恋人か?」

ミカサ「かっ、家族です…」

ミカサ「私を助けてくれた人で」

ミカサ「寒かった私をあったかくしてくれた人」

リヴァイ「…そうか」

ミカサ「エレンは素晴らしい人です。私はたくさん学びました」

リヴァイ「得意な格闘ですらお前より弱かったのにか?」

ミカサ「…?」











ミカサ「どうしてそんなこと知ってるんですか…?」

ドクン



『あなたがいるなら…』




ドクン




『お前が生きるなら』





ドクンドクン




『私は……をする者』




ドクンドクンドクン



『この世界を、止めて!』





ミカサ「ーーーーっ!!」

リヴァイ「ミカサ…おい、ミカサ!」



リヴァイ「やっぱり…だめなのか…」


リヴァイ「くそっ…」

一旦終わりです

続きは10時頃書きにきます!

再開します!

原作6巻まですすめるのが目標…


ーー
ーーー
ーーーー



エレン『なぁ、ミカサ?』

どうしたの?

エレン『壁って高いな』

うん

エレン『でもシガンシナは見えない』

もう、どれがシガンシナかもわからない…から

エレン『そうだな』

エレン『ミカサ』

エレン『お前もいつか…いなくなっちゃうのか?』

そんなことはない。

私とエレンはいつも一緒。

エレン『いつも、は言い過ぎだろ』



エレン『でも、』



エレン『ずっと一緒には、いて欲しい』


ーーーー
ーーー
ーー




ミカサ「…はっ!」


ペトラ「ミカサ!大丈夫?」

夢を見ていた、気がする。

でも何かすら思い出せない…。

ペトラ「兵長!ミカサが目覚めましたよ!」

ミカサ「ペトラさん…私は」

ペトラ「昨日の夜のこと、覚えてない?」

昨日の夜?

確か外に出て…

ミカサ「外に出た後から、わかりません…」



なにをしていたっけ…


リヴァイ「ちっ、よくやく目覚めたか」

ペトラ「やはり、記憶が無いみたいです」

リヴァイ「疲れだろう。休む暇も無かっただろうからな」

ミカサ「すいません…」

リヴァイ「今日は一日休んどけ」

ミカサ「はい…」

頭がむず痒い、もやもやする、嫌な気持ちだ。

リヴァイ兵長は淡々と話し、出て行く。

ペトラ「兵長行っちゃったー」

ミカサ「そうですね…」

ペトラ「あんな態度取ってるけど、昨日倒れてたミカサをここまで連れて来たのって兵長なんだよ?」

ミカサ「兵長が…?」

ペトラ「そう。ここまで運んだみたい」

ペトラ「ちょっと羨ましいな…なんちゃって」

ミカサ「ペトラさんはリヴァイ兵長が好きなんですか?」

ペトラ「っ!?!?」

ペトラ「ミ、ミカサ!?そういうのはもっと…!」

ミカサ「…?」

ペトラ「うぅ…」

ペトラ「兵長は尊敬してて…そんなんじゃないから!」

ペトラ「私も掃除しないとー!」

ミカサ「…」

ペトラ「おやすみ!ミカサ!」

ミカサ「…」

ミカサ(こんな事話した女の人っていないかもしれない)

ミカサ(今度、エレンとのこと話してみよう)

ーーー
ーー


??「あちゃー…寝てるかー」

??「だから言っただろうが」

??「暇つぶしにさ、話そうと思ったのに」

??「こんな話聞いて楽しいのはてめぇくらいだクソメガネ」



ミカサ「んっ…んぅ…?」



ミカサ「リヴァイ兵長…ハンジ分隊長…?」

リヴァイ「おい、お前が起こしたんだろ謝れ」

ゲシッ

ハンジ「痛っ!リヴァイだって同罪でしょ?…おはよう、ミカサ」

ミカサ「おはよう、ございます」

ハンジ「ごめんねー?この矮小が五月蝿くて」

ミカサ(矮小…兵長のことか)

リヴァイ「オイ、てめぇもう一回言ってみろ…」

リヴァイ「全身削ぐぞ……!」

ミカサ(すごい怒ってる…)

ハンジ「まぁそれはいいとして!ミカサ、暇じゃない?」

ミカサ「いえ、そんな」

ハンジ「暇っ?暇だよね!?私の話、聞きたいでしょ?」

ミカサ「いや別に」

ハンジ「ありがとう!なら話すね!」

ミカサ「」

リヴァイ「諦めろ」

ミカサ「一体なんのお話ですか…?」

ハンジ「私は今、街で捕えられた二体の巨人の生体調査を担当しているんだけど」

ミカサ「実験…何のですか?」

ハンジ「ああ、やっぱり。聞きたそうな顔してると思った」

ミカサ「?」




ガタッ



ミカサ(兵長が出て行ってしまった…)

ハンジ「そんなに聞きたかったのかしょうがないな、聞かせてあげないとね」

ミカサ(嫌な予感がする)

ハンジ「今回捕まえたあの子たちについて」

ハンジ「巨人の捕獲に成功したのは今回が初めてじゃない」

ハンジ「まずは過去五回の捕獲時に行った実験の反復から始める」

ハンジ「最初は意思の疎通の検証」

ミカサ「…」

ハンジ「今回も残念ながら不可能との結論だけどね」

ハンジ「しかし私にとって巨人との交流は日々の疲れを忘れるほど充実した時間だった」

ミカサ(理解し難い)

ハンジ「ちなみに4m級をソニー…7m級をビーンとそれぞれ名付けた」

ハンジ「次に日光の遮断を試してみた」

ハンジ「夜になると巨人の活動力が落ちることから、日光により何かしらの活動力を得ていることを裏付ける実験だ」

ハンジ「これは巨人によって個体差が多く出た」

ハンジ「ソニーは遮断後一時間で活動が鈍くなったのに対し」

ハンジ「ビーンは三時間元気なままだった」

ミカサ(そんなことがあるのか…)

ハンジ「彼らは水も食料も摂らない、発声器官はあっても呼吸を必要としない…」

ハンジ「唯一活動に必要なのは、日光なんだ…」

ハンジ「そして次は…」

ハンジ「痛覚の確認へと移行した」

ハンジ『ああああああああ』

ビーン『アアアアアアアア』

兵士『』

兵士α『分隊長!あなたが叫ぶ必要は…』

ハンジ『これが叫ばずにいられるか!ビーンがこんなに痛がっているんだぞ!?』

ハンジ『ビーン頑張れ、耐えるんだ!!』

ビーン『アアアアアアアア』

ハンジ『ああああああああ』



ハンジ「巨人にうなじ以外の弱点がないか確認する必要があるからね…」

ミカサ「」

ハンジ「とても辛い作業だったよ…」

ミカサ(そこは作業として割り切るのか…さすがだ)

ハンジ「さて、対してソニーは内向的な性格であまり反応を示さなかった」

ハンジ「私は、巨人に仲間を何度も目の前で殺された」

ハンジ「調査兵団になった当初は憎しみを頼りにして巨人と戦ってた」

ミカサ「…!」

憎しみーーー。

ハンジ「そんなある日、切断した巨人の生首を蹴っ飛ばしたとき」

ハンジ「軽かったんだ、異常に」

ミカサ「えっ?」

ハンジ「そもそも本来ならあの巨体が二本足で立ち、歩くことはできないハズなんだ」

ハンジ「私は思うんだ、本当は…」

ハンジ「私達に見えているものと実在する物の本質は…全然ちがうんじゃないかってね」

ハンジ「憎しみを糧にして攻勢に出る試みは何十年も試された」

ハンジ「私は既存の見方と違う視点から巨人を見てみたいんだ」

ハンジ「空回りで終わるかもしれないけど…ね」

ハンジ「でも」

ハンジ「私はやる」

優しい人。

まだわからない人。

愉快な人。

そしてハンジさんのような変な人。

でもわかる。

みんな、変革を求めてる。

ミカサ「頑張ってください」

ミカサ「とても参考になりました」

ハンジ「そう?」

ミカサ「ありがとうございました」

ハンジ「なら、よかった。今日はよく休んで明日に備えて!」

ミカサ「はい」

ハンジ(あれが、百人の兵力を持つ子、かぁ…)

ハンジ(確かに力はありそうだけど、まだ脆い)

ハンジ(リヴァイがあれだけ気に掛けるのも珍しいし、ね)




兵士β「ハンジ分隊長はいますか!?」

ハンジ「!?」

兵士β「被験体が…」







兵士β「巨人が…二体共殺されました!!」

一旦落ちます。

しばらくしたら再開します

再開します

ーーー

ソニーとビーンが殺されたという報告を受けた。

私達リヴァイ班は半ばハンジさんに強制される形でソニーとビーンの亡骸の場所まで来た。

兵士Ω「ウソだろ…兵士がやったのか?」

兵士ω「あぁ、まだ犯人は見つかってないって。夜明け前に二体同時にやられたらしい」

兵士ω「見張りが気づいた時には立体機動で遥か遠くだ」

兵士Ω「二人以上の計画的作戦って訳か」

ハンジ「あああああああああああ!!!」

兵士Ω「見ろよハンジ分隊長、ご乱心だ」

兵士ω「貴重な被験体なのに…一体どこのバカが…」

兵士Ω「バカじゃなかったらなんなんだろうな…見当もつかんよ…」

本当に誰が…。

まさか、内通者や黒幕でもいるというのだろうか。

リヴァイ「いくぞ…あとは憲兵団の仕事だ」

ミカサ「は、はい…」


ザッ


エルヴィン「ミカサ」

ミカサ「エルヴィン団長!」

ミカサ「一体…」

エルヴィン「君には何が見える?」

団長の目が、じっと巨人を見つめる。

エルヴィン「敵は何だと思う?」

何だその質問は…。

ミカサ「…」

エルヴィン「すまない、変なことを聞いたな」

リヴァイ「…」

ーーー
ーー


憲兵団A「最後にシャフトを交換したのはいつだ?」

サシャ「六日前の作戦の後です」

憲兵団B「全て登録にある」

憲兵団A「よし次!お前だ」

クリスタ「41班所属クリスタ・レンズです」


コソコソ


訓練兵D「巨人を殺して罰せられることもあるんだな」

訓練兵E「確かに…変な話だけど貴重な被験体だからな」

訓練兵D「それで俺ら訓練兵の中で犯人捜しか…いるわけねぇよ」

訓練兵E「あぁ…皆、この間の作戦で憔悴しきってるのに…」



コソコソ



コニー「…巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな」

アルミン「…うん」

アルミン「でもこれじゃあ巨人に手を貸したようなもんだよ…」

アルミン「その人の復讐心は満たされたかもしれないけど人類にとっては打撃だ」

コニー「オレはバカだからな…わかる気がする」

アルミン「…!」

コニー「もう何も考えられなくなっちまうよ」

コニー「オレ…巨人を見る前は本気で調査兵団になるつもりだったんだぜ」

コニー「けど…今はもう二度と巨人なんか見たくねぇと思ってる」

コニー「今日兵団を決めなきゃいけねぇのに…」

コニー「チキショー…あのジャンが調査兵団になるって言ってんのにな」

アルミン「え!?ジャンが?」

コニー「なぁアニ、お前どう思った?あいつがやるって言ってんだぜ?」

アニ「別にどうとも思わないけど?私の意志は変わらないから」

コニー「そうか…お前憲兵団にするんだよな」

コニー「なぁアニ」

コニー「オレも憲兵団にした方がいいかな?」

アニ「あんたさぁ、人に死ねって言われたら死ぬの?」

コニー「なんだそりゃ、死なねぇよ…」

アニ「なら自分に従ったらいいんじゃないの」

アニ「アルミンあんたはどうなの?」

アルミン「え…?」

アルミン「僕は…そうしなきゃいけない理由が理解できたら、死ななきゃいけない時もあると思うよ」

アルミン「嫌だけどさ」

アニ「そう…」

アニ「決め、たんだ…」

アルミン「うん」

コニー「…」

アニ「あんた弱いくせに、根性あるからね」

アルミン「あ、ありがと」

コニー「マジかよ…アルミンお前まで」

コニー「……」

アルミン「アニってさ、実はけっこう優しいね」

アニ「…は?」

アルミン「だって僕らに調査兵団に入って欲しくないみたいだし」

アルミン「憲兵団に入るのも何が理由があるんじゃないの?」

アニ「…!」

アニ(座学一位…ってレベルじゃないね)

アニ「いいや」

アニ「私はただ、自分が助かりたいだけだよ」





ーーー
ーー


エルド「結局犯人は見つからなかったそうだ」

グンタ「一体誰がやったんだろうな…」

エルド「さぁな…しかし今はこの後の新兵勧誘式の方が心配だ」

グンタ「果たして調査兵団に入団する酔狂な新兵がどれほどいるのか…」

グンタ「なぁミカサ、お前の同期にウチを志願するやつはいるのか?」

ミカサ「います」

ミカサ「今は、わかりませんが…」

ーーー
ーー


サシャ「ジャン」

サシャ「ジャン、どうして突然調査兵団に?…その、怖くないのですか?」

ジャン「は?嫌に決まってんだろ調査兵団なんか」

コニー「え?じゃあなんで…」

ジャン「別に巨人が怖くないから調査兵団に決めたわけじゃねぇよ」

ジャン「そして有能な奴は調査兵団になる責任があるなんて言うつもりもないからな」

ジャン「いいか?くれぐれも、エレンみてぇな死に急ぎ野郎と一緒にすんな」

ジャン「俺はな…誰かに説得されてるわけじゃない。こればかりは自分で決めずに務まる仕事じゃねぇよ」

エルヴィン「私は調査兵団団長、エルヴィン・スミス。調査兵団の活動方針を王に託された立場にある」

ミカサ(始まった…!)

エルヴィン「所属兵団を選択する本日…」


ミカサ(舞台の脇にいるから、みんなの姿は見えない)

ミカサ(みんな、所属兵団はどうするのだろう)

ミカサ(アルミン、あなたには技術班に入って欲しかったけれど…)

ミカサ(何も言うまい)

エルヴィン「君らは既に巨人の恐怖を知ってしまった」

エルヴィン「しかしだ」

エルヴィン「今回の襲撃で失ったものが大きいからといって、我々は逃げる訳にはいかない」

エルヴィン「そして、新たな情報もある」

エルヴィン「意思の疎通が可能な巨人の存在だ」



ザワザワ



ライナー「…!」

アルミン(いくら兵士を集めたいからって、その情報まで公にするなんて…!)



ザワザワ



エルヴィン「…」

アルミン(イヤ…何か意図があるんじゃ…)

アルミン(団長は一体…)

アルミン「何を見ようとしてるんだ?」

ミカサ(考えが読めない…)

ミカサ(私達のわからない深いところまで見ているからか…)

エルヴィン「調査兵団は常に人材を求めている」

エルヴィン「毎回、さらに今回の戦闘で多数の死者がでることにより、慢性的に人員が不足している」

エルヴィン「隠したりはしない。今期の新兵にも一月後の壁外調査に参加してもらう」

エルヴィン「事態は急を要する」

エルヴィン「新兵の死亡率は五割といったところか」

エルヴィン「それを超えた者が優秀な兵士となる」

エルヴィン「この惨状を知った上で自分の命を賭してもやるという者はこの場に残ってくれ」

エルヴィン「もう一度言う…調査兵団に入るためにこの場に残る者は近々殆ど死ぬだろう」

エルヴィン「自分に聞いて見てくれ。人類のために心臓を捧げることができるのかを」

リヴァイ「おい…もういくぞ」

ミカサ「……」

エルド「ミカサ、時間だ」

ミカサ「…はい」

ミカサ(結局見えなかった…誰がどうしたのか)

ミカサ(とりあえず、死なないでくれると嬉しいけど…)





ーーー1ヶ月後

エルヴィン「開門だ」

エルヴィン「第57回、壁外調査を開始する」


ゴゴゴゴゴ



始まった。

人類の反撃が。

私達は家畜ではない。

必ず生きて!


巨人を全滅させる!

寝落ちしてしまった…
ちょっとだけ続けます

ーーー
ーー



グンタ『巨大な陣形を組織して巨人から身を守る』

グンタ『俺たち特別作戦班はここだ』

グンタ『初列三・索敵』

ミカサ『一番前…ですか』

グンタ『索敵班の中で最も危険な場所だ』

ペトラ『主に巨人と接近する場所ね』

グンタ『壁外調査とは、いかに巨人と戦わないかにある』

グンタ『エルヴィン団長考案の長距離索敵陣営により、調査兵団の生存率は飛躍的に伸びた』

グンタ『前方半円状に長距離だが確実に前後左右が見える距離で等間隔に兵を展開』

グンタ『可能な限り索敵、伝達を行う』

ペトラ『新兵は大体、荷馬車護衛班と索敵支援班の中間で予備の馬との並走、伝達を任されるわ』

グンタ『俺たちは巨人を発見次第赤の信煙弾を発射』

グンタ『それを伝達していく』

ペトラ『こうすることで、エルヴィン団長に巨人の位置を知らせるの』

グンタ『そして今度は団長が緑の信煙弾を撃つ。陣営の進路を変えるためだ』

グンタ『全体に方角を伝えるため、皆が進路に向け緑の信煙弾を放つ』

ペトラ『この要領で巨人を避けながら目的地に向かうの』

グンタ『陣形を分断させないことは最もやってはならないことだ』

グンタ『無闇に戦うな』

ミカサ『…はい』

ペトラ『でも、戦闘が必要な巨人もいるの』

ペトラ『それはーー』



ーーー次列四・伝達班

アルミン「さっきから変だ…」

アルミン「赤の煙弾が撃たれてしばらく経つのに陣形が乱れてる」

アルミン「…!まさか…」



ドオオオン


アルミン「あれは…」


ペトラ『そう、それは…』



奇行種。



アルミン「黒い煙弾?奇行種だ!」


アルミン(近くの人間を無視して中央に迫っているのか!?マズイ!)

ネス「チクショーやるしかねぇ!」

ネス「シス!お前はうなじだ!俺が動きを止める!」

シス「了解!」

ネス(ここは平地…立体機動の本来の性能は発揮できない)

ネス(成功率は低い、さらに落馬や孤立の可能性もある)

ネス(だが!)


ジャキッ


ネス(ヤツに陣形を壊させるわけにはいかん!)


ネス「向こうには確かアルミンが…まだ新兵をこいつに会わせたくはねぇな…」

ドシュ

ネス(腱を削ぐ!)


ギュイイイイ


ザクッ


ネス(よし!)


ネス「今だ!」

シス「あああっ!!」


ドサッ…


アルミン「…!やった!」

朝はこれで終わりです。
続きは夕方にきます

再開します

ネス「やったか!いてて…」

ネス(馬は…)



ブルル

ネス「…!」

ネス「さすが俺の愛馬!」


ドドドド



アルミン「え?」

ネス「またか?右翼側の索敵はなにやってんだ?」

シス「無視してこっちに来たとなると…」

シス「あれも奇行種のようですね」

ドドドドドドドド


ネス「しょうがねぇな…シス、もう一度やるぞ!」

シス「はい!」

ネス(しかし…)

ネス(二回も連続とはついてねぇ…)

ネス(しかも14m級はありそうだ…)

ネス(こいつはしんどいぞ…)

ネス「!?」

ドシンドシンドシンドシンドシンドシン


アルミン「なんだあれ!?速すぎる!!」


アルミン(まずい!ネス班長たちが!)

ネス「…くっ!」

ネス「うああああっ!」

ネス(くそっ…踏まれちまうとこだった!)

ドドドドドドドドドドドド


ネス(アルミンの方に…!)

ネス「行かせるな!シス!」

シス「はい!」

ドシュ

アルミン「…っ!」




ピュッ


アルミン「えっ…」


アルミン(シスさん…?握り潰され…)

ガシッ



ギュイイイイ


ネス「は?」




ボスッ

アルミン「違う…」

アルミン「違う…奇行種じゃない!ネス班長教えてください!」


ネス「」

アルミン「奴は通常種でも奇行種でもない!」

アルミン「知性がある!超大型巨人や、鎧の巨人と同じです!」


ドドドドド

アルミン「巨人を纏った人間です!」

アルミン「だっ…誰か!何でこんな!?」

アルミン「まずいよ、どうしよう!」

アルミン「殺される!」




ーーー初列十・索敵

兵士γ「だ…だれか伝えてくれ…」

兵士γ「右翼索敵班…ほぼ壊滅…」

兵士γ「女型の巨人が…巨人の大群を連れてきた…」

兵士γ「だっだれか…いないのか…陣形が、破壊される…全滅しちまう…!」



バクッ

ーーー次列四・伝達

アルミン「うわっ!」

ダダダッ


アルミン(馬が…!)

スッ…


アルミン(死ぬ!)


パサッ


アルミン「えっ…」

女型「……」

アルミン(フードを取って…)

女型「…」ドシンドシン

アルミン(顔を…確認した?)

アルミン(助かった…のか?)


ライナー「アルミン!」

アルミン「ライナー!」

ライナー「おい、立てるか?イヤ…とにかく馬を走らせねぇと壁外じゃ生きてられねぇぞ!」.

ライナー「急げ!」

アルミン「うん!」

ライナー「奇行種の煙弾を確認したが…いいケツしたあいつがそれか?」

ジャン「おい、お前ら!」

アルミン「ジャン!」

ジャン「右翼索敵が一部壊滅したらしい…巨人がわんさか来たんだ!なんでか知らねぇけど!」

ジャン「足の速ぇヤツが何体もいる!今は特別作戦班を中心としたやつらが食い止めてるが…」

ジャン「もう索敵が機能していない!」

アルミン「あいつがきた方向からだ…」

アルミン「あいつが呼んだのか!?」

ジャン「…なんであんなとこに巨人がいんだよ…奇行種か?」

アルミン「いや違う…あれは…」

アルミン「巨人の身体を纏った…人間だよ…」

ーーー初列三・索敵

ミカサ「ふっ!」ドシュ

ミカサ(何が起きてるの…?)

リヴァイ「特別作戦班、聞け!」

リヴァイ「これより左翼側最後方まで移動、その後討伐を続行する!」

エルド「!?」

グンタ「兵長!しかし持ち場を離れるのは…!」

リヴァイ「エルヴィンからの命令だ…俺だけに伝えたみたいだが」

リヴァイ「あいつのことだから何かあるんだ、いくぞ!」

ミカサ「…はい」

ミカサ(何かがおかしい…)

ミカサ(みんなは…無事なの?)




ーーー次列四・伝達

ライナー「あれを俺たちで食い止める!?正気かジャン!」

アルミン「あれには本当に知性がある…食べるんじゃなく殺すことに徹してた」

アルミン「僕らは虫ケラだ。叩かれるだけで潰されちゃうよ?」

ジャン「ははっ…それはやだな…」

ジャン「でも、やるしかねぇよ…」

ライナー「お前、本当にジャンなのか?俺の知ってるジャンは自分のことしか考えていない奴のハズだ」

ジャン「ひでぇな…オレはただ…」




『ジャンのほうが向いてると思うけどなぁ』



ジャン「誰のものとも知れねぇ骨の燃えカスに…」

ジャン「バカにされたくないだけだ!」


ジャン「俺にはなにをすべきかわかるんだ!」

ジャン「力を貸せ!!」

アルミン「…」

ライナー「…」

アルミン「フードを…」

アルミン「フードを深く被るんだ!あいつは誰かを探してる…」

ライナー「気休めにしては上出来だな…」

ライナー(ジャン…変わったんだな…)

ジャン「前方右翼側にはリヴァイ班がいる…奴らならもしくは…」

ジャン「いや、でも今は気を引こう!」

ジャン「お前ら、よく聞け!」

ーーー
ーー



ライナー「アルミン、大丈夫か?」

アルミン「うん…そっちこそって…大したこともなさそうだね…」

ジャン「ピィィイ」

ジャン(作戦は成功と言っても過言ではないが…)

ジャン(アルミンは頭を打って負傷、ライナーは殺されかけた)

ジャン(だが、あいつもかなり優秀だったんだっけな…)

ジャン(まさか身体を掴まれた状態からほぼ無傷で切り抜けるとは…)

ジャン(しかし、突然女型が前方に移動したのは…)

ジャン(司令班に行かなけりゃいいが…それに)

ジャン(ミカサ…)

ジャン「くそっ、誰も来ねぇ。やはり誰かが残るしか…」

ライナー「馬は一頭しかいねぇしな…」

ジャン「とりあえず緊急事態の信煙弾を撃とう」

ドーン



アルミン「……」

アルミン(あの女型…顔を確認…あの表情…立場…)

アルミン(まさか…)

ライナー「あと三分だけ待とう、それまでに決めるぞ」

アルミン「僕が残る」

ジャン「!?ちょっと待てアルミン」

アルミン「代わりに報告してほしいことがある、エルヴィン団長だけに」

ドドドドド

ジャン「ちょっと待て…」

ジャン「誰か来たぞ!」



クリスタ「みんな!」

ライナー「クリスタ!」

クリスタ「早く乗って!右翼側が大変なことに…」

ジャン「ああわかった!助かったぞ!」

クリスタ「みんなよかった…最悪なことにならなくて…」

クリスタ「急いで陣形に戻らないと」

夕方分は終了です

また夜に書きにきます!

>>79
ウォールシーナまで後退してるんだからそのまま鎧の巨人現れて壁破られたんじゃないの?

再開します

>>82
そんなイメージです。
わかりづらくてすいません…

ジャン「そうだ、早く配置に戻らねぇと!撤退の指令が出るハズだ」

ジャン「しかし…壁を出て一時間足らずでとんぼ帰りとは…見通しは想像以上に暗いぞ…」


ドオオオオ



ジャン「なっ!」



ジャン「緑の煙弾だと!?」

ジャン「撤退命令じゃないのか…陣形の進路だけを変えて作戦続行か?」

ライナー「まさか指令班まで煙弾が届いてないのか?」

アルミン(…イヤ、違う…)

アルミン(これは…)

アルミン「わからなくても今の状況じゃやることは決まってる」


アルミン「判断に従おう」



ーーー五列中央・待機

リヴァイ「ここだな…」

エルド「ここはどこらへんだ?」

グンタ「五列中央あたりか…」

ペトラ「一番安全なとこじゃない!」

リヴァイ「いいから黙ってろ…」

ミカサ(巨人の気配が消えた…全くない)

ミカサ(右翼側は壊滅的打撃じゃなかったの?なんで私達はここにいるの?)

ドオオオオ

ミカサ(また黒の煙弾…)

ミカサ(あの煙弾の下でまた、誰かが戦ってる…)



ーーー次列中央・指揮

エルヴィン「巨人の往来があったようだ…路地に草木が生えてない」

エルヴィン「荷馬車も進めそうだ」

エルヴィン「後方に伝達してくれ」

エルヴィン「これより中列荷馬車護衛班のみ森に侵入せよ、と」

ーーー伝達班

サシャ「あの…班長、中列は森の路地に入っていくみたいですが…」

サシャ「私達このままじゃぶつかっちゃいますよ?」

班長「……回りこむぞ」

サシャ「!?…はい!」



ーーー五列中央

ミカサ「兵長…」

ミカサ「リヴァイ兵長!」

リヴァイ「…なんだ」

ミカサ「ここは森です!中列だけ森の中では巨人の接近に気付けないのでは?」

ミカサ「女型もいます。巨人の回避や荷馬車護衛には無理があるかと…」

リヴァイ「わかりきったことを言うな、もうそんなことできるわけねぇだろ…」

ミカサ「!?」

リヴァイ「周りをよく見ろ」

リヴァイ「この無駄にクソデカい木を…立体機動装置の機能を活かすには絶好の環境だ」

リヴァイ「そして考えろ…頭を回せ…」

ミカサ(頭を…)

女型。

森。

移動するリヴァイ班。





『思い出して』




ミカサ「!?」

ミカサ(今のは…幻聴?)

ミカサ(冷静にならないと…!)

ドオオオオオオオ

ミカサ「!?」

ペトラ「な…何の音!?」

オルオ「すぐ後ろからだ!!」

エルド「女型か…!」

リヴァイ「お前ら、剣を抜け」

リヴァイ「それが姿を現すとしたら」



リヴァイ「一瞬だ」




ーーー森入口付近

ジャン「当初の兵站拠点作りの作戦を放棄…その時点で尻尾巻いてずらかるべき所を」

ジャン「大胆にも観光名所に寄り道…その挙句」

ジャン「馬降りて抜剣して突っ立って…森に入る巨人を食い止めろと…」

ジャン「ふざけた命令しやがって…」

ジャン「極限の状況で部下に無能と判断された指揮官は背後からの謎の負傷で死ぬって話があるが…」

ジャン「別に珍しい話でもないぞこりゃ」

アルミン「じゃあどうするの…?」

ジャン「…」

ジャン「マジになんなよ、少しこの状況にイラついただけだ」

ジャン「どうするってそりゃあ…命令に従う…巨人を森に入れない」

ジャン「お前もそうするべきと思うんだろ?アルミン」

アルミン「え?」

ジャン「何やらワケ知り顔だが?」

アルミン「えーと…」

ジャン「…?」

ーーー森内

グンタ「クッ…この森の中じゃ事前に回避しようがない!」

エルド「速い!追いつかれるぞ!」

ペトラ「兵長!立体機動に移りましょう!」

リヴァイ(潮時か…)スッ



ゴオオオオ


ミカサ「!!」

ペトラ「背後より増援!」


ドオッ

ゴチュ




バチャ


ミカサ(あんなにも簡単に…!)

エルド「!!」

グンタ「っ!」

オルオ「なっ…!」

ペトラ「ーー!」

リヴァイ「……」


オルオ「兵長!」

オルオ「指示を!やりましょう!あいつは危険です!」

オルオ「俺達がやるべきです!」

エルド「ズタボロにしてやる…!」ジャキ

ミカサ(馬鹿な巨人…自分から地獄に来て)

ミカサ(あなたが追いかけているのは巨人殺しの精鋭ーー!)

リヴァイ「……」

ミカサ「…!?」

オルオ「リヴァイ兵長!指示をください!」

リヴァイ「全員耳を塞げ」


キイイイイイイイイイ

忙しいので…すいません
一回停めます

夜中また書きにくるかもです

思ったんだけど、女型の巨人出てくる理由がないような
エレンが巨人化したからエレンを攫う計画が出来たけどわざわざ出てきて自分の首絞めているじゃん

再開します。

ミカサ「…!」

オルオ「音響弾!?」



リヴァイ「お前らの仕事はなんだ…?」


リヴァイ「その時々の感情に身を任せるだけか?」

ーー!

リヴァイ「そうじゃなかったハズだ…この班の使命は」

リヴァイ「女型から可能な限り逃げることだ…なぜかこちらを追って来ているしな」



そうだ…。



この世界は残酷なんだ…

私たちは翻弄されて

その中で必死に足掻くしかないんだ…


あぁ、また死んでいく


助けられたかもしれない


でもそれはかも、だ


『自分を信じるのか

組織を、仲間を信じるのか

わからない。

ずっとそうだった

信じても…

結果は誰にもわからなかったんだ…


そう、誰にも…』


いつか、誰かに言われた気がする。

わかればどんなに頼もしいことか。
けれど、そんな夢物語などない。

今の私にできることは…

ミカサ「了解です!」


進むことだけなんだ…。

兵士x「離せええええ!」




ヂュンッ



ミカサ「っ!」

ミカサ(ごめんなさい…)

増援の兵士は消えた。

周りには私たちしかいない。



ドオオオオオオオッ


グンタ「目標、加速します!!」

リヴァイ「走れ!このまま逃げ切る!!」




ドドドドドドド



ミカサ「…!」

そんなことは不可能だ。

逃げ切ることは。

全員追いつかれて死ぬ!

でも…!

仲間を見殺しにしてでも前に進むと決めた…みんな

リヴァイ兵長も先輩達も前を向いてる。

兵長を信じている。

この世界は残酷で、美しい。

私はこの世界で…。



『信じてます』


『あなたのことを』



新しい拠り所が欲しかったの…




ダンッ



リヴァイ「!!」


エルヴィン「撃てぇぇぇえ!!!」

ドンッ!!

ドンッ!!

ドドドドドッ!!


ミカサ「え!?」

リヴァイ「少し進んだ所で馬を繋いだら立体機動に移れ」

リヴァイ「俺とは一旦別行動だ。班の指揮はエルドに任せる」

リヴァイ「適切な距離で待機だ」

リヴァイ「馬は任せたぞ」

リヴァイ「いいな?」


ヒュン


ミカサ「まさか…」

目の前を疑う。

戦慄した。

あの女型が、生け捕りにされていた。

グンタ「どーだミカサ!見たか!!あの巨人を捕らえたんだぞ!」

オルオ「これが調査兵団の力だ!舐めてんじゃねぇぞこのバカ!どうだ!わかったか!?」

ペトラさんがこちらに笑いかける。

あれほど動揺していたのに、四人は虚勢か意地か勝利の言葉を口にした。

ミカサ「はい!」

私も同じだ。

信じてよかった。

よかったよ、エレン。


ーーー

リヴァイ「動きは止まったようだな…」

エルヴィン「まだ油断はできない。しかしよくこのポイントまで誘導してくれた」

リヴァイ「後列の班が命を賭して戦ってくれたお陰で時間が稼げた」

リヴァイ「あれがなければ不可能だった」

エルヴィン「そうか…」

リヴァイ「そうだ」

エルヴィン「しかし…俄かには信じられないがやはり…」

リヴァイ「俺は嘘はつかない」

エルヴィン「まぁいいだろう」

リヴァイ「ああ、戦ってくれた兵士…彼らのお陰で」

リヴァイ「こいつのうなじの中にいるやつと会える」

リヴァイ「中で小便漏らしてねぇといいんだが…」

短いですが、6巻終わりでキリがいいので一旦停止します。

一日一巻のゆるいペースですがこれからもお願いします

>>90
一応理由は用意してます。
オチに絡んじゃうので言えませんが…

つまり、バイバイエレン。
リヴァイ兵長ついてきます。

って事か

ちょっとですが更新します

>>97そこはおいおい…
ただ、ミカサはリヴァイ兵長にエレンが蹴られていないので、原作よりは信頼を置いている設定です

ーーー森入口

巨人「ああ、おーうん」

ジャン「こうやって入口の木の上に立ってりゃそいつらは俺らを狙う」

ジャン「だから戦う必要はねぇ、ってことだな」

ジャン「おっと…移動しようアルミン」

アルミン「うん」


ヒュン


ジャン「こいつら学習能力があんのか…だんだん木登りが上手くなって来てるぞ」

アルミン「怖いことにね」

ジャン「なぁアルミン」

ジャン「今森の奥ではなにかやってるみてぇだが…何となく察しがついてきたぞ」

ジャン「女型巨人を捕獲するためにここまで誘いこんだんだな?」

アルミン「…!」

ジャン「こんな大作戦を一部の兵にしか教えないってことは…」

ジャン「人為的に壁を壊そうとするやつがいる…違うか?」

アルミン「……」

アルミン「うん…僕もいると思う。多分…団長はそう確信している」

ジャン「それにしても、女型の姿が確認されたのは今回が初めてだよな?」

アルミン「そうだね」

ジャン「どうして必ず襲ってくる確証があったんだよ、団長は」

アルミン「壁を完全に壊さなかったからだよ」

ジャン「?」

アルミン「本当に人類の滅亡を狙いにきているなら、あの一瞬しか現れないのはおかしい」

アルミン「壁の一部だけ破壊したり、シーナまで侵攻してはこなかったろ?」

アルミン「なぜそうしなかったのか…」

ジャン「殺せない奴がいるってことか」

アルミン「そう、ウォールシーナのどこかにね」

ジャン「くそっ…わけわかんねぇ」

アルミン「それにしても団長の手際はまるで何回もやったかのようだけど…」

アルミン「こればっかりは、わからないよ」

ーーー森内・特別作戦班

オルオ「知ってたか?この作戦」

ペトラ「知らなかった…兵長はわからないけど」

ミカサ「私たち新兵はともかく、先輩達ですら信用されていなかったということですか…」

エルド「その言い方には難があるが…まぁあながち間違っていないな」

グンタ「作戦を知らされていたのは…少なくとも五年前から生き残っていた兵士だけってことか」

ペトラ「そう思いたいね」

ペトラ「諜報員は五年前壁を壊すと同時に発生したと想定されているから、団長は容疑者をそこで線引きしたんだよ」

ミカサ「五年前…」

エルド「ソニーとビーンを殺した奴も同一犯か…」

ペトラ「だからあの時…」


エルヴィン『君には何が見える?敵はなんだと思う?』



ミカサ「そういう意味だったんですか…」

エルド「あれに答えられてたら本作戦に参加できていたかもな」

エルド「そんな者がいたとは思えないが」

オルオ「俺はわかってたぜ?でもな…そこはあえて答えなかった」

オルオ「お前らにはそれがなぜかわかるか?」

ーーー森内・特別作戦班

オルオ「知ってたか?この作戦」

ペトラ「知らなかった…兵長はわからないけど」

ミカサ「私たち新兵はともかく、先輩達ですら信用されていなかったということですか…」

エルド「その言い方には難があるが…まぁあながち間違っていないな」

グンタ「作戦を知らされていたのは…少なくとも五年前から生き残っていた兵士だけってことか」

ペトラ「そう思いたいね」

ペトラ「諜報員は五年前壁を壊すと同時に発生したと想定されているから、団長は容疑者をそこで線引きしたんだよ」

ミカサ「五年前…」

エルド「ソニーとビーンを殺した奴も同一犯か…」

ペトラ「だからあの時…」


エルヴィン『君には何が見える?敵はなんだと思う?』



ミカサ「そういう意味だったんですか…」

エルド「あれに答えられてたら本作戦に参加できていたかもな」

エルド「そんな者がいたとは思えないが」

オルオ「俺はわかってたぜ?でもな…そこはあえて答えなかった」

オルオ「お前らにはそれがなぜかわかるか?」

ペトラ「…なんで」

オルオ「はぁ…なんだ?わからないのか?まぁお前ら程度じゃわからないだろうな」

オルオ「なぜお前らにはわからないと思う?」

オルオ「それはお前らが俺の域に達していないからだ」

ペトラ「…」

ペトラ「ねぇ…まだ兵長の真似してるつもり?リヴァイ兵長はそんなこと言わない」



成功すれば…人類初の勝利と言っても過言ではない…


それでも…人が死にすぎだ


けど。


それができるのが、エルヴィン・スミスなのだろう。


ーーー森入口

ジャン「余計に兵士が死んだのに、団長の選択は間違ってないと?」

アルミン「結果を知った後での選択は誰にでもできる」

アルミン「後でこうすべきだったと言うのは簡単だ」

アルミン「でも…!選択する前に結果を知ることはできないだろ?巨人の正体、何人で、何ができて、何を知っていて、何を知らされているのか」

アルミン「いつだってわからないことだらけだ。けど、選択の時はくる」

アルミン「兵士の無駄死にがなくなるわけじゃないけど…団長は非情かもしれないけど…僕はそれでいいと思う」

アルミン「あらゆる展開を想定し、その結果仲間の命が危うくなっても、選ばなくちゃいけない」

アルミン「百人の仲間の命と、壁内の人類の命を」

アルミン「団長は選んだ」

アルミン「百人の仲間の命を切り捨てることを」

アルミン「エルヴィン団長に調査兵団が託されている理由…」

アルミン「それは何かを変えることができる人間だからだ」

アルミン「大事なものを捨てることができる人だ…必要に迫られれば、人間性を捨てられる人だ」

アルミン「何も捨てることができない人には、何も変えることはできない」

また22時頃更新します

再開します

ーーー森内

ヒュ



ガキンッ



リヴァイ「…っ!」


エルヴィン(体の一部の表面を硬質な皮膚で覆うことができる能力…)

エルヴィン(鎧の巨人と似た能力…)

エルヴィン(やはり…)

エルヴィン「発破の用意。手首を切断するよう仕掛けてみよう」

兵士「はい」



リヴァイ「いい加減出てきてくれないか…?」

リヴァイ「俺たちは暇じゃないんだ」

リヴァイ「お前はこれからどうなると思う?この状況から抜け出せると?」

リヴァイ「こっちの迷惑も考えろ。お前を引きずり出す方法を考えては試してを繰り返すんだぞ」

リヴァイ「お前は確か…色々なやり方で俺の部下を殺していたが…あれは楽しかったりするのか?」

リヴァイ「俺は…楽しいぞ」

リヴァイ「ああ、そうだ。お前の手足は切断しても大丈夫か?また生えてくるんだろ?」

リヴァイ「本体の方だ。死なれたら困るからな」


リヴァイ「…」


スウウウウウ



女型「きぃやああああああああっっ!!!!!」


リヴァイ「…」

兵士「断末魔でしょうか…?迷惑な…」

ハンジ「…!」

エルヴィン(…)

ミケ「…」スンスン

ミケ「!!」

ミケ「エルヴィン!匂うぞ!」

エルヴィン「方角は?」

ミケ「全方位から多数!同時に!」

エルヴィン「発破用意を急げ!荷馬車護衛班、迎え撃て!!」



ドドドドドドド


兵士「なっ…無視して女型にっ!?」


エルヴィン(女型の巨人を狙っているのか…)

エルヴィン(……)チラッ


リヴァイ「…」

エルヴィン「全員戦闘開始!ー女型の巨人を死守せよ!」

ハンジ「!?」


ミケ「!?」

ーーー
ーー


エルヴィン(作戦は失敗…)

エルヴィン(さて…)

リヴァイ「エルヴィン…なんて面だ」

エルヴィン「まさか自分ごと食わせて、情報を抹消するとは…」

エルヴィン「敵にはすべてを捨て去る覚悟があったということだ」

エルヴィン「…だろう?」

リヴァイ「…そうだな」


エルヴィン「総員退避!!」

エルヴィン「巨人達が女型の巨人の残骸に集中している内馬に移れ!」

エルヴィン「荷馬車は全てここに置いていく!」

エルヴィン「巨大樹の森、西方向に集結し陣形を再展開!帰還せよ!」




エルヴィン「さあこれからが山場だ…」

エルヴィン「リヴァイ、ガスと刃の補充を」

リヴァイ「…」

リヴァイ「ああ」

リヴァイ「俺の班を、呼んでくる」

ーーー特別作戦班

パシュウウウウ


グンタ「どうやら終わったようだ」

エルド「馬に戻るぞ!撤退の準備だ!」

ミカサ「…!」

オルオ「だそうだ」

オルオ「中身のクソ野郎がどんな面してるか拝みに行こうじゃねぇか」

エルド「行くぞ!」

オルオ「油断すんなよガキンチョが…お家に帰るまでが壁外遠征だからな」

ミカサ「…わかっています」

ペトラ「そんなこと言わないのオルオ!今回の作戦の成功はミカサのお陰でもあるのよ!」

ミカサ「…」

エルド「お前ら…二人とも初陣でションベン漏らして泣いてたくせに…立派になったもんだな」

ペトラ「ぎゃあああ!」

ミカサ「えっ?」

ペトラ「言うなよ!威厳とか無くなったらさあ!どうするんだよエルド!」

オルオ「バカめ!俺のが討伐数とか実績は上なんだぞ!」

ミカサ(本当なのか…)

エルド「討伐数だけで兵士の優劣は語れん。ちなみに俺は漏らしてないからな」

オルオ「うるせぇバーカ!」

ペトラ「エルドオオオ!」

ミカサ「…」

グンタ「お前らピクニックに来てんのか!?壁外なんだぞここは!?」

グンタ「ちなみに俺も漏らしてないからな、ミカサ!」


パシュウウウウ

グンタ「!」


グンタ「おっと…」

グンタ「きっとリヴァイ兵長からの連絡だ」

パシュウウウウ


グンタ「兵長と合流するぞ!続きは帰ってからやれ!」

オルオ「…」

ゴオオオオ


目の前にフードを被った人が現れる。

リヴァイ兵長だろうか。

グンタ「リヴァイ兵長」

いや、

グンタ「…違う…」

グンタ「誰だ…」



『逃げて…』



ズキッ



『忘れちゃだめ』


ズキズキ


ミカサ(また…声!)


『だめ!』


ミカサ「っ!」

ミカサ「オルオさん!」


ヒュン


ドコッ

なに…?

グンタさんが木にぶつかって…

何が起きたの?

どうして私は…


ペトラ「誰だ!」

オルオ「チクショウどうする!?」

オルオ「エルド!?どこに向かえばいい!?」

エルド「馬に乗るヒマはない!!とにかくここで食い止めろ!味方の救援が来るまで!」

オルオ「女型の中身か!?くそっまた巨人になれるのか?」

エルド「わからない…どうやって巨人化するのかすら掴めてないんだ!」

ペトラ「くっそ…よくも!」.

ペトラ「かかってこい!最低でも刺し違えてやるから!」

ミカサ(女型は捕まった…はず。緊急事態)

ミカサ(なのに、なに?この既視感は…)



カッ

エルド「…まさか、再び巨人化できるのか!」

エルド「くるぞ!!」

ミカサ(とにかく今は…戦わないと!)



ゴオオオオッ


エルド「うおおおっ!」

ミカサ(だめっ!そんな真正面から!)

ミカサ「!!」

パシュ


キュイイイイ


ミカサ(後ろにアンカーを飛ばし攻撃を避けた!?)


ギンッ


ザクッザクッ


ミカサ「すごい…」

ミカサ(そこからペトラさんとオルオさんで視界を絶った…)

ミカサ(これで女型は少なくとも一分間は暗黒の中)

ミカサ(女型は回復を待って木にもたれ掛かってうなじを守る体勢だけど…)

エルド「」トントン

ミカサ(肩回りの筋肉を削ぎにいくのか…)

ミカサ「」コク

ビシュ

ザシュ

ザクッ

ミカサ「!」

グラン

エルド「腕が落ちた!!次は首だ!」

エルド「首を支える筋肉を削げばうなじが狙える!」

ギュイイイイイ


バクッ…


ミカサ「えっ…」

ーーー

『間違えた』

『また間違えた』

『捨てられない』

『だから私は変えられない…』


ーーー


ペトラ「エルド!!」

ペトラ「なっ…なんでよ!まだ三十秒もたってない!目が見える訳ない!」


ギョロッ


ペトラ「片目だけ!?」


オルオ「ペトラ!早く体勢を直せ!」

ミカサ「ペトラさん!!」バッ

ミカサ(足の腱を削げばっ…!)

オルオ「ペトラ!早くしろ!」

ミカサ「間に合ええ!!」


ブチュ


ミカサ「…っ!」


エルドさんは食べられて


ペトラさんも潰されて


オルオ「…オイ」

オルオ「死ね」




ギイイイイイ


ミカサ「いけない…」


ガキンッ


ミカサ「だめえええええっ!!」




オルオ「…なぜだ、刃が…通らねぇ…」


グチャッ

ミカサ「くっ!」


キィンッ


ギュイイイイイ


ミカサ(やはり刃が通らない…)


バシュ


ミカサ「っ!」

ミカサ(動きが鈍ってきてる…疲弊
か?)



ヒュン


ミカサ「本部に向かわせる訳にはいかない!」

ゴオッ



ガッ


ミカサ「兵長!?」

リヴァイ「一旦離れろ」

リヴァイ「…」

リヴァイ「向かってきたら、俺がヤツを削る」

リヴァイ「お前はヤツの注意を引け…」


ミカサ「…はい」


ギュイイイイイ


ミカサ(女型がこっちを向いたっ!)


ヒュン


ミカサ(っ!だめっ、後ろにいる兵長に気付いてる!)


ゴオッ

ミカサ「兵長!」


ビュ


ゴオオオオッ

ビュビュビュ!

ミカサ「!」


ボチュ


ミカサ(視力を…!一人で奪った…)


ギャギャギャ



ガクッ


ズシーン!

ミカサ(速すぎて…硬化で防ぐ暇もない…!)


リヴァイ「オイ!ズラかるぞ!」


ミカサ「はいっ!」


また、死なせてしまった…

たくさんの人、仲間を。


あの女型に…。

ミカサ「え…」

その時ちらっと見た女型の姿。


それは、涙を流しているように見えた。

一つだけわかったことがある。

この世界はどこかおかしい。

繰り返す誰かの声。

謎の既視感。

巨人の情報の出場所。

何を取っても不自然だ。

残酷だけど美しいこの世界の歯車は狂っている。

その最果てには何が見えるの?

私は何を任されて、この役目についてるのか。

エレン、私はわからない。

まだ、知る由もないんだ。





今回の壁外調査で、調査兵団の信用は地に落ちた。

後日、特別作戦班である私、さらに団長や兵長などの責任者は、王都に召喚されることとなる。

今日分はこれで終わりです。

わからないことだらけですいません!
明日辺りから回収が始まると思います!

再開します

ーーーウォールシーナ内特別作戦班本部


リヴァイ「……」

ミカサ「…」

テーブルがいつもより大きく見えた。

私も兵長も寡黙な気性の為か、会話はない。

窓が揺れ風の音が響くだけだ。

ミカサ(窓…古いからかな)

今までそれに気づかなかったのは、音が聞こえないほど騒がしかったから。

その人たちは、もういない。



幸いなことに、同期の皆は無事だった。

アルミンは軽くケガをしていたが、それも命に関わるものではない。

それだけが今の私を支えていた。

ウォールローゼ破壊の時に後衛だった私にとって、長く共にいた仲間を目の前で失うのは初めてだった。

エレンの最期はどうだったのだろう。

リヴァイ「おせぇな…エルヴィンの野郎」

ミカサ「そうですね…」

壁外調査から帰ってきた次の日、私たちはエルヴィン団長に呼び出された。

ーーー

遠征から帰ってくると、 シーナの街路には人がたくさんいた。

人がかなり減っていないか?

また税金を無駄にしたのか。

そんな罵声が聞こえる中、羨望の眼差しを向ける人もいた。

子どもたちだった。

それはいつかのエレンのようで、私は目を逸らした。

直視できなかった。

兵長は、誰かと話していた。

どうやらペトラさんの父親のようで、ペトラさんが兵長を慕っていたことを捲し立てるように話していた。

嫌な予感を拭うように。

リヴァイ兵長はただひたすら黙っていた。

ーーー

リヴァイ「大方クソが出てこなくて困ってんだろうな…」

ミカサ「そうですね…」

そう言えば、気になることがあった。

それは昨日のエルヴィン団長の言葉だった。

ふと耳に入ってきたのだ。


ーーー


エルヴィン『リヴァイ…大丈夫か』

リヴァイ『…今回はな』

エルヴィン『違う、心が、だ』

リヴァイ『……平気だ』

エルヴィン『お前の目はどんどん絶望しているように見える』

リヴァイ『何も知らねぇだろてめぇは』

ミカサ『……』

ーーー

明らかに不自然な会話だった。

まるで兵長が全てを最初から知っていたような言い草。

今回、という単語。

ミカサ「兵長…」

ミカサ「不思議なことがあるんです」

リヴァイ「?」

ミカサ「今回のことを見たことがあるような気がするんです」

兵長が驚愕の表情を浮かべる。

ミカサ「聞き覚えのない声も聞こえてきます」

ミカサ「何か兵長もありませんか…」

リヴァイ「…そうだな」

リヴァイ「……」

リヴァイ「俺は…」


コンコン


ガチャ


エルヴィン「遅れて申し訳ない」

リヴァイ「…ミカサ、後で」

ミカサ「…はい」

やはり知っていた。

この世界には、秘密がある。



アルミン「ミカサ!」

ミカサ「アルミン!それに…ジャンも」

ジャン「よう、ミカサ!」

エルヴィン「さあ、みな席につこう」



エルヴィン「女型と思わしき人物を、見つけた」

エルヴィン「これはアルミンによって立案され、それを私が採用した」

ミカサ(…)

エルヴィン「アルミン、説明を」

アルミン「はい」

アルミン「まず、女型が現れたとき、僕はフードを取って顔を確認されました」

アルミン「よって、女型は誰かを殺すというより誰かを捕らえることが目的だと推測できます」

アルミン「加えて女型が特別作戦班を狙った理由、そしてミカサ?」

アルミン「女型は君が一人になったあと動きが鈍くなったと言ってたね」

ミカサ「うん」

アルミン「僕の憶測では…狙われているのは君じゃないかと思っている」

ミカサ「!?」

アルミン「理由はわからないけど…そうじゃないと女型にメリットがない」

リヴァイ「確かにな」

アルミン「つまり、犯人は君の顔をよく知る同期…104期にいる可能性が高い」

アルミン「何より重いのは…二体の巨人を殺したのがその人だということ」

ミカサ(ソニーとビーンのこと?)

アルミン「あの時僕らは立体機動装置の点検を受けた」

アルミン「二体の巨人を殺すには高度な技術が必要だ。だから犯人は、殺害には自分の立体機動装置を使い、点検にはマルコの立体機動装置を出したと思われる」

ミカサ「マルコ?…なんで」

アルミン「僕は何度もマルコと立体機動装置の点検をしたんだ。見間違えるはずがない…」

アルミン「掃討作戦に趣き、かつ君の顔をよく知る、マルコの立体機動装置を持つもの」

アルミン「それは…」













アルミン「アニだ」

ミカサ「!?」

ミカサ「待って。よくわからない」

アルミン「僕だって信じたくないよ…けど」

ジャン「考えられる最も疑わしいのが、アニだってことだ」

アルミン「確証はない…証拠も」

ジャン(そうだ…何かを変えるには、時には非情に切り捨てなければならない)

ジャン(アルミンもそうしようとしている)

ジャン(人類の窮地を、救うため)

ミカサ「…そう」

リヴァイ「つまり、確証はねぇがやるんだな?」

エルヴィン「そういうことになる」

ミカサ「アニじゃなかったら…アニの疑いが晴れるだけ」

アルミン「うん…どう、ミカサ?」

ミカサ「アルミンには、正解を導く力がある」

ミカサ「信じよう」

また夕方更新します

遅れてすいません!
再開します

ーーーウォールシーナストヘス区


アルミン(…アニの所属はここのはずだ)

アルミン(だとすれば…)


アニ「」スタスタ


アルミン(きた!)

アルミン「アニ!」コソコソ

アニ「!?」

アニ「…アルミン」スタスタ

アルミン「やぁ…もうすっかり憲兵団だね…」

アニ「どうしたの…?」

アニ「なんで雨具を被ってるの?」

アルミン「荷運び人だよ」

アルミン「立体機動装置を雨具で見えないようにしてるんだ」

アニ「…!?」

アニ「どうして?」

アルミン「アニ…」

アルミン「調査兵団の幹部たちを逃がすことに協力してくれないかな…」

アニ「……!」

アニ「………」

アニ「…逃がすって?」

アニ「どこに?もうウォールシーナしかないのに、王政の命令に逆らって…」

アルミン「一時的に身を隠すだけさ。真っ向から反抗はしない」

アルミン「調査兵団の反抗行為って体だけど、時間を作ってその間に審議会をひっくり返すだけの材料を揃える」

アルミン「必ず!」

アニ「ひっくり返す材料…?そんな都合のいいものが?根拠は?」

アルミン「…」

アルミン「ごめん、言えない…」

アニ「…!……」

アニ「悪いけど…話にならないよ…」

アニ「黙っといてやるから勝手に頑張んな」ザッ

アルミン「アニ!」

アルミン「お願いだ、このままじゃ…幹部たちはしばらく謹慎、罷免…最悪処刑だって!」

アルミン「人類は自滅の道を進もうとしている!」

アルミン「説得力がないのはわかってる…でも…」

アルミン「それでも…もう、大きな賭けをするしか無いんだ…」

アルミン「もちろん迷惑が掛からないように努める…けど、ウォールシーナ内の検問を突破するには憲兵団の力が必要なんだ」

アルミン「もう…これしかない…」

アニ「……」

アニ「あんたさ」

アニ「私がそんなにいい人に見えるの?」

アルミン「……」

アルミン「いい人か…それは…僕はその言い方はあまり好きじゃないんだ」

アルミン「だってそれって…自分にとって都合のいい人のことをそう呼んでいるだけのような気がするから」

アルミン「全ての人にとって都合のいい人なんていないと思う」

アルミン「だから…」

アルミン「アニがこの話に乗ってくれなかったら…」

アルミン「アニは僕にとって悪い人になるね…」



アニ(……)

アニ(………)

アニ「いいよ」

アニ「乗った」

ーーー
ーー


コツコツ

アルミン「やっぱり至るとこに検問兵がいるね。不審者は逃がさないってことか」

ミカサ「そう…アニがいるから何も言わないけど」

アニ「ねぇ、なぜミカサから逃がしたの…?」

アルミン「うん、一番前の馬車だったからね」

アルミン「ミカサがいないのに混乱した隙に、団長たちには逃げてもらう」

アニ「そうすれば検問兵も混乱し検問がなくなるから…」

アルミン「そういうこと」

ミカサ「けど、簡単に抜けられてよかった…」

アルミン「影武者の先輩兵がバレる前にどうにかしないとね」

アニ「私が協力しなかったらどうするつもりだったの?」

アルミン「そりゃ、間を縫ってなんとか逃げ切るしかなかったと思う」

アルミン「でも、アニなら協力してくれると思った」

アニ「…」

アニ「…そう」

アルミン「!あった!ここ!」

アニ「ここ?」

アルミン「うん…昔計画されてた地下都市の廃墟が残ってるんだ」

ミカサ「そうなの…」

アニ「……」

アニ「…」

アルミン「…アニ?」

ミカサ「どうしたの?早く」

アニ「いいや、行かない」

アニ「地上を行かないなら協力しない」



オオオオオオ



ミカサ「どうして?」



アニ「どうして…?なら、どうして」







アニ「さっきからこの辺には人がいないの?」

アニ「全く…傷つくよ」

アニ「一体いつから…アルミンあんたは私を」

アニ「そんな目で見るようになったの?」




アルミン「ならなんで…あの時、マルコの立体機動装置を持ってたの?」

アニ「!」

アニ「あれは…拾った」


アルミン「じゃあ生け捕りにした二体の巨人はアニが殺したの?」


アニ「さぁね…でも」

アニ「一ヶ月前にそう思っていたならなんでその時に行動しなかったの?」



アルミン「!!」



アルミン「…今だって…信じられないよ…きっと見間違いだって…思いたくて…」

アルミン「そのせいで…でも!」

アルミン「アニだってあの時僕を殺さなかったから…今こんなことになっているじゃないか…」

アニ「…あぁ心底思うよ、まさかあんたにここまで追い詰められるなんてね…あの時…何でだろうね…」


ミカサ「アニ…あなたがこっちに来るだけで証明できることがある…」

ミカサ「早く」

アニ「そっちには行けない」

アニ「私は戦士になり損ねた…」

ミカサ「そう…もういい」


アルミン「ミカサ!?」

アニ「アルミン…私があんたの…いい人でよかったね…ひとまずあんたは賭けに勝った…!」

アニ「でも、私が賭けたのはここからだから」



アルミン「!!」

ミカサ「アルミン、撃って!」



パンッ

まだ…!

まだ……!


ズキ


ズキン





ドドドドドッ


アニ「!?」

アルミン「ジャン!口を塞いで!」

ジャン「わかってる!」

ガッ


アニ「んぐっ!」




ズキン


ジャンを中心にみんながアニを取り押さえてる。


ズキン



勝った…はず



ズキン



『まだだ!』



ミカサ「ーー!!」


ミカサ「ジャン!!ブレードで右手を切り落として!!!」


ジャン「!?」


ジャン「くそっ!」スパッ


アニ「~~~っっ!?」




ドサッ

ミカサ「はぁっ…はああっ…」


シン…


アニ「…」シュウウウ


ミカサ「右の指の指輪…渡してもらう」


カランッ



ミカサ(…やっぱり)



アルミン「ミカサどうして…」


ミカサ「見えたから」

アルミン「そ、そうだけど…」

ミカサ(だんだん戻ってきてるんだ)

ーーー

リヴァイ『ようやく二人に戻ったな…』

リヴァイ『話の続きだ』

ミカサ『はい…』

リヴァイ『なんとなくお前はわかってるんじゃないのか?』

ミカサ『……』

ミカサ『この世界は…』









ミカサ『繰り返している』

リヴァイ『正確に言えば時は進んでいるが記憶の力だけが繰り返しているんだがな』

リヴァイ『初めは壁なんて無かった』

ミカサ『どうして兵長には記憶が…』

リヴァイ『……そりゃまた話す機会があるさ…今まで通り進めばな』

リヴァイ『ただ、一つ言えるのは、この世界は俺たちの経験した世界とは違う方向に進んでいる』

ミカサ『違う?』

リヴァイ『この戦いで今までの俺は怪我を負って戦線を離脱する予定だった』

リヴァイ『お前の記憶が戻り始めるのももっと遅かった』

リヴァイ『何かが違う…今度こそ、世界を救う突破口が見つかるかもしれねぇ』

リヴァイ『お前の中に響く声を信じて進め』

ミカサ『……』


あまりにも現実味が無いのに、私にはそれが妙に納得できた。

素直に頭に入ってきたのだ。


どんどん戻ってゆく記憶を辿って、必ず世界を救うと、私は誓った。


ーーー


コツコツ

エルヴィン「リヴァイ」

リヴァイ「エルヴィンか…どうした」

エルヴィン「アニ…女型は王の命令により引き渡されたようだ」

エルヴィン「彼女の働きか?」

リヴァイ「…!」

リヴァイ「あいつにそれだけの体力があるとは思えないが…そうなのだろうな」

エルヴィン「加えて壁の内部の調査はできなかった」

リヴァイ「いつもなら向こうが崩してくれていたからな」

リヴァイ「あそこで捕まえられたのはミカサの記憶が戻ってきているからだ」

リヴァイ「その点ではよかったが…壁の内部が晒されないのは…困るな」

エルヴィン「君の報告とは違う形に世界は進んでいる」

リヴァイ「あいつがいないからだ…」

エルヴィン「今までには他に協力者がいたのか?」

リヴァイ「ああ、一人な」









リヴァイ「とんでもねぇ死に急ぎ野郎が、いたんだ」

エルヴィン「死に急ぎ野郎?」

リヴァイ「同期の中のあだ名だったらしいがな。よく話していた」

エルヴィン「ハンジではあるまいし…」

リヴァイ「とりあえず会議も終わって俺たちの処分は保留になったんだ。自由に動けるならそれ以上はあるまい」

リヴァイ「これからが正念場なんだからな…」

エルヴィン「なんだ?その死に急ぎ野郎とやらの名前は出せないのか?」

リヴァイ「あ?別にそんなんじゃねぇよ」





バンッ






トーマ「エルヴィン団長!」


エルヴィン「!?」

トーマ「ウォールシーナが!!」



エルヴィン「来たか…!」

リヴァイ「…」


ーーー12時間前

ナナバ「本当にあの子達の中に…」

ナナバ「アニ・レオンハートの共謀者が…?」

トーマ「さぁ…どうだろうな」

トーマ「だが、無視できる確率ではない」






コニー「」ポカーン

コニー「俺の村民、ここらの南に住むようになったらしいぜ」

サシャ「私の村の異動先も近いですねー」

コニー「なーんで帰っちゃだめなんだ…夜に抜け出してやろうか」

ライナー「協力するぞ」

コニー「え?何で?」


ライナー「訓練禁止、私服指定での待機。さらに上官たちは完全装備っておかしいだろ…」

ライナー「みんな訳がわからないで困惑している。上官の反応が聞きたいくらいだ。)


サシャ「そーですねー」ペタン


サシャ「…?」

サシャ「!!」


サシャ「あれ!?足音みたいな、地鳴りが
聞こえてきます!」

コニー「…は?」

ライナー「な、なに言ってんだサシャ…」

ライナー「ここに巨人がいるなら…」


ライナー「そりゃウォールシーナが破壊されたってことだぞ」


ーーー屋上



スゥッ


ミケ「!?」バッ

ナナバ「ミケ?」

ミケ「トーマ!早馬に乗って報告しろ!」

トーマ「はい!?」

ミケ「おそらく104期調査兵団の中に巨人はいなかった…」



ミケ「南より…巨人多数襲来!」

ミケ「ウォールシーナは…突破された!」


今日分は終わりです。

再開します

ーーー


アニ「……」ムクッ

アニ(どこ…)

アニ(私は…捕らえられてしまったの…?)


『世界中の誰が敵でも…味方だぞ』



アニ(そう言ってくれた父も、幻滅しただろう)


??「アニ・レオンハートさん」

アニ「!?」

??「はじめまして、私の部屋にようこそ」

アニ「……誰だい?」

??「ああ、そうね。自己紹介がまだだったわ」



??「私に名前なんてないのだけど……」



??「あなた達の探していた人…そう名乗っておこうかしら」


アニ「!?」

??「中には…オヒメサマなんて呼ぶ人もいたけど」

アニ「じゃああんたが…!」

??「下手なことはしないでね。ここは地下深くだから逃げられないし…私が死んでも困るでしょ?」

アニ「あんたには聞きたいことが山程ある…!」

??「私だってあるわよ。今回はイレギュラーすぎるわ」

アニ「今回…?」

??「ああ、何も知らないのね…まあいいわ」

アニ「…」

??「ねぇあなた、なぜ生け捕りにされちゃったの?」

??「私が知ってる限りでは、あなたはシーナ内で再び巨人化。再び戦うも敗れ、水晶化するって話なんだけど」

アニ「…!?」

アニ「知らないね…大体巨人化も出来なかったのに」

??「えっ!?傷つけられなかったの?」

??「生け捕りの報告を聞いた時は驚いたけど、まさかそうだったのね…」

アニ「傷は付けられた。右手を落とされた」

??「……なにそれ。巨人化できなかったわけ?」

アニ「……」

??「…へぇ、どうして」

アニ(…)




訓練兵時代ーーー

エレン『おりゃっ!』ガッ

アニ『甘い』パシッ

エレン『なあ、アニ!』シュッ

アニ『…何』サッ

エレン『楽しいな』ザッ

アニ『…楽しくないけど』ヒョイ

エレン『ははっ…やっぱお前嘘下手だわ』

アニ『!?』

アニ『…!』バキッ

エレン『うわっ!』グルン

アニ『油断しないで…』

エレン『くっそー…いやでも楽しんでるだろ?』

アニ『違うけど』

エレン『だってお前、格闘技を披露してるとき、本当にイキイキしてるぞ?』

アニ『…は?』

エレン『いやマジで…』

ミカサ『エレン!』

エレン『!…ミカサ!アルミン!』

アルミン『もう夕飯だよ…ってああ、アニと訓練してたんだね』

エレン『まぁな』

ミカサ『エレン。ケガはない?あの女に何かされなかった?』

エレン『あの女ってなんだ。仲間だろ?それにケガもしてねぇよ』

ミカサ『そう…』

アルミン『はは…』

アニ『エレン、あんたは女の子との話し方を一度考え直すべきだよ』

エレン『は?どうしてだよ』

ミカサ『…』

アニ『あんたにはわからないだろうね…か弱い乙女の気持ちなんて』

エレン『男を簡単に投げ飛ばす奴のどこがか弱いだよ…』

アニ『……』

アニ『…くすっ』

アニ『なにそれ…本当に正直なやつだね』

エレン『なんで笑うんだよ!』

ミカサ『今のはエレンが悪い』

エレン『はぁ!?』

アルミン『…くくっ、エレン味方がいないね!』

エレン『ええ!?』

アニ『ふふっ』

ミカサ『うふふっ』

アルミン『ははっ』

エレン『な、なんでだよ!』

ーーー

アニ(あの時、ふと思い出したこと)

アニ(なんで今更あんなこと思い出したんだろう…)

アニ(やっぱり、私は戦士になれなかった)



アニ「わからない」

アニ「大体なんでそんなことあんたに話さなくちゃ…」

??「あら?話してくれれば解決の糸口が見つかるかもしれないのに」

アニ「私にはあんたの目的がわからない」

??「私の目的?」

アニ「あんたはどっちなのか」

??「ああそういう意味ね」

??「私の…いえ、私たちは…」



??「どちらでもないのが正しいのだろうけど…でも、あなたたち寄りではあるわ」

アニ「!!」

??「倒すべきは向こうでしょ?」

アニ「ならっ!」

??「時間はあるわ。話し合いましょう」


??「世界の破滅の、その前に…」

ーーーウォールシーナ内地


サシャ「本当です!確かに足音が!」

ガン

ナナバ「全員いるか?」ガチャ

クリスタ「ナナバさん…」

ナナバ「五百メートル南方より巨人が多数接近。こっちに向かって歩いてきてる」

ナナバ「君たちに戦闘服を着せてる暇はない…直ちに馬に乗り…付近の民家や集落を走り回って避難させなさい」

ナナバ「いいね?」




コニー「南方…から?」

サシャ「あっ…」

ライナー「壁が壊されたってことなのか…?」

ベルトルト「…」

ナナバ「さぁ、動いて!」


ドタドタ



ナナバ「ミケ!巨人の位置は?」

ミケ「前方だ…」

ミケ「あの一帯に九体いる」


ナナバ「……」


ナナバ「壁は破壊されたのか…」

ナナバ「…」

ナナバ「人類は…負けた」ガクッ



ミケ「…」

ミケ「いや、まだだ」


ナナバ「!」

ミケ「人は戦うのをやめた時初めて敗北する」

ミケ「戦い続ける限りは、まだ負けてない」

ミケ「104期には申し訳ないことをした…疑ったばかりに無防備な状態で放り出してしまうのだから…」

ナナバ「あぁ…情けない所は見せてられない」

ミケ「さぁ…」



ミケ「戦うぞ」

ドドドドドド

ミケ「あの巨人群が林まで到達したら一斉に離散する!」

ミケ「それまでに四つの版を構成する」

ミケ「104期と武装兵で構成した班を東西南北に分ける」

ミケ「戦闘はなるべく回避に情報の拡散に努めよ」

ミケ「人や集落を発見次第離散せよ」

ミケ「なお、南班には壁の破壊箇所を特定してもらう」


ナナバ「巨人、林に到達!!」

ミケ「離散!」





ドッ



ミケ「…!?」

ミケ「何故だ!?」


ミケ「巨人が一斉に走り出した!?」

ドドドドドドドドドドドド



ミケ「速い!!」

ミケ「追いつかれる…ゲルガー!」

ミケ「南班は任せたぞ!」

ゲルガー「!?」

ゲルガー「ミケさん!」


ゲルガー「っ…了解!」

ゲルガー(ミケ分隊長が囮に…!)

ゲルガー(だが、調査兵団ではリヴァイ兵長に次ぐ実力者!)

ゲルガー(信じるしか…)


ゲルガー「ここらへんに詳しい者は!」

サシャ「あっ…はい!北に故郷が…といっても数回しか行ったことはありませんが…」

サシャ「あとコニーも…」チラッ



コニー「南に…俺の村が…あります」

コニー「壁の突破から一度しか行っていませんが…」


コニー「そりゃ無駄かもしれませんが…俺の村に、行かせてください」

ーーー

シュウウウ

ミケ(あと…四体)


ミケ(いや…潮時か…刃も残り二本、ガスも少ない)

ミケ(十分時間は稼いだ、かなり遠くまで全班が行けたはずだ)


ピィィィ


ミケ(あとは馬が戻れば…)


ミケ(だが…)

ミケ(気掛かりなのはあの奇行種だ)

ミケ(17メートル以上はある…でかい)

ミケ(獣のような体毛で覆われている巨人は初めて見る)

ミケ(こちらに近づくでもなく歩き回ってるあたり、奇行種ではあるのだろうが)


パカラッパカラッ

ミケ「馬が!…よし、よく戻ってきた」

獣の巨人「…」

獣の巨人「」ガシッ





ミケ「えっ」

ミケ「馬を…狙った!?」

ミケ「そんな…まさか!?」

獣の巨人「」ブゥン


ミケ「っ!?」

ミケ(投擲!?)


ダンッ


ミケ「ーー!!」

ヒュゥウ


ガシッ

ミケ「!!」



バキバキバキ



ミケ「ぎぃやあああああああっ!!!??」

獣の巨人「待った…」


巨人「」ピタッ


ミケ「…!」

ズズズズ


巨人「…」パキッ


ミケ「ああああッ!?」

獣の巨人「え…俺、いま待てって言っただろ?」

グググ


ブピュッ


獣の巨人「あっ」

巨人「」

獣「あぁあ…」

ミケ「……!」ドッドッ


獣の巨人「その、武器。なんて言うんですか?」

ミケ「……」ドッドッ

獣の巨人「腰に付けた飛び回るやつ」

ミケ「……!?」ドッドッ

獣の巨人「…?」

獣の巨人「同じ言語のはずなのになあ…怯えてそれどころじゃないのか」

獣の巨人「まあいいや持って帰ろー」


ガキッ

獣の巨人「うわーここでは初めてみたよー…」

獣の巨人「んー前回とは微妙に違うなぁ」


ミケ「…ハァハァ」



『人は戦うのをやめた時初めて敗北する』



ミケ「……!」


グッ



獣の巨人「あ、もう動いていいよ」

ドドドドドド




ミケ「!!」





ミケ「やっ…」








ミケ「やだああああああっっっ!!!!」










ミケ「やめて…やめてええええええああああっ!!!」

獣の巨人「やっぱしゃべれんじゃん」













獣の巨人「さあ今回はどうするのかなー」

ーーー巨人発生より五時間後、北班


子供「……」

巨人「」クチャクチャ



母親「っ…はぁ」

子供「……」


サシャ(!!)


サシャ(巨人…それに母子!)

サシャ(両方生きてる…けど武具はない…)

サシャ(先輩は手前の村…私一人)

サシャ(やるしかない!)


サシャ「うあああああっ!!」


ドゴッ


サシャ「っ!」


サシャ「~~!!」



ドッ



ドゴッ


サシャ(だめ!切り取らないと塞がる…!)

子供「……」

サシャ(…)


サシャ「ごめんなさい…」



ガシッ


子供「!!」

たったったったっ


サシャ「あなたの名前は?」


子供「…」

サシャ「もう、大丈夫ですよ」

子供「……」

子供「…なにが?」

サシャ「えっ?」


スポッ


サシャ(馬がっ!)

サシャ「嘘でしょあなた!待ってくださいよ!」

子供「…」

サシャ「あっ…」


巨人「」ギギ…

サシャ「!?」キョロキョロ

サシャ(弓矢がある!)


バッ


サシャ「さぁ、走ってください!」

子供「なんで」

子供「もうみんな逃げたよ」

子供「村の人、母さんが足悪いの知ってた」

子供「誰も助けてくれない。私もただ見てた」

サシャ「!!」

ーーー

ユミル「なぁ…」

ユミル「そろそろうぜぇんだが…その馬鹿丁寧な喋り方」

サシャ「はい!?」

ユミル「なんで同期にまで敬語なんだよ…」

サシャ「え、えーとこれはですねー」

ユミル「待て」

ユミル「当ててやる」

ユミル「……」

ユミル「故郷の言葉が恥ずかしい」

サシャ「!!」

ユミル「図星かよ…意外と気にするんだな、バカのくせに」

ユミル「狩猟以外のことなんにも知らないんだろ?だから世間や人が怖い」

ユミル「兵士目指したのだってどうせ親に…」

クリスタ「ユミル…!」

クリスタ「ユミルっ!」

ユミル「サシャ…ずっと人の目気にして作った自分で生きてくつもりかよ!」

ユミル「そんなのはくだらないね!」

ユミル「いいじゃねぇかお前はお前で!」

ユミル「お前の言葉で話せ!」

サシャ「あ、ありがとう…」


サシャ「ございます」

ユミル「あ?」

サシャ「あぁごめん、なさい…まだちょっと…」

クリスタ「やめなよっ!」ゴッ

クリスタ「サシャにはサシャの世界があるんだから!今だってありのままのサシャの言葉でしょ?私はそれが好きだよ!」

サシャ「…!」

ユミル「はッ…物は言いようだな…」

ユミル「まあ、いまさら変わったとこで鬱陶しいのは変わらないからな」

クリスタ「ユミル!」

サシャ「ははっ…」

ユミル「なに笑ってんだ」

ーーー

サシャ(恥ずかしかった…訛った言葉が)

サシャ(なんでいま思い出したんだろう)

サシャ(取るに足らない、いつもの日常を…)

サシャ(その思い出を……)

サシャ「ねぇ、聞いて」

サシャ「この道を走って、大丈夫だから」

サシャ「あなたを助けてくれる人は必ずいる!」

サシャ「すぐには会えないかもしれないけど…」

サシャ「それでも、会えるまで!」

サシャ「走って!」

子供「……」

サシャ「…!」



サシャ「走らんかいっ!!!」ザッ



子供「…!!」

タッタッ

サシャ(弓矢でできることは、目を潰すことくらい…)

サシャ(でもこれができれば、格段に時間を稼げる!)


バシュ




スカッ


サシャ(外したっ!)

サシャ(あと二本…)



サシャ「ふぅ…」

サシャ(落ち着け…あの獲物は大きくて)ギリッ

サシャ(動きが鈍い!)

バシュ!

ズドッ


サシャ「当たった!」

巨人「」フラフラ

サシャ(あと一本…)

サシャ(もしこれを外したら、逃げられない…子供も、私も)

サシャ「っ…!」


バッ


サシャ(なら直接!!叩き込んでやる!!!)

サシャ「うああああああっっ!」


ズドッ

ガッ

サシャ「!!」

サシャ(捕らえられた…!)


ギギギギ

サシャ「ぐっ!」

巨人「」アーン

サシャ「ーーー!」


巨人「」ガブッ


サシャ「あぐっ!あああっ!!」


サシャ「うっ、ああっ!」


ズルン


サシャ「」ダッ


サシャ(肩を噛まれた…!)

サシャ(けどその血で滑って助かった…)

サシャ「はっ…はっ…!」

サシャ(早く…あの子と馬を探さないと…)


サシャ(視界が…)






サシャ(く、らい………)

巨人発生より十六時間後ーーー


アルミン「一体どうすれば…」

アルミン「シーナを突破されたら、人類は…」

ハンジ「…」

ーーー

リヴァイ『お前は一体、どこまで思い出している?』

ミカサ『…あまり』

ミカサ『ただ、壁の中のことは思い出しました…今回はアニの巨人化がなくて表沙汰になってませんが…』

リヴァイ『そうだな…そこは考えなくちゃなんねぇ』

ミカサ『それまでのことは大方思い出しました』

リヴァイ『気分はどうだ』

ミカサ『不思議と頭に入ってきます…変な感じは一切しません』

リヴァイ『そりゃよかった』

ミカサ『あの、今回の私はエレンの役割をしているんですね』

リヴァイ『…そうだな』

ミカサ『前回はエレンは生きて私達と戦っていた…』

ミカサ『どうして』

リヴァイ『……』

リヴァイ『さぁな』

ミカサ『兵長には全ての記憶が?』

リヴァイ『ああ…俺は純血だからな』

ミカサ『純血…?』

リヴァイ『いつでもそうだったが…思い出せること以上のことを話すとお前らはいつも倒れる』

リヴァイ『…許容できないんだろうが…』

リヴァイ『だから然るべき時まで待て。それしか言えん』

ミカサ『……』

今の私は二人いる。

エレンと戦った世界の私。

そしてエレンのいない世界の私。

ミカサ『兵長は前回の前から記憶があるんですか?』

リヴァイ『詳しいことまでは覚えてない。はっきりしてるのは前回だけだ』

リヴァイ『ただ…ある奴もいる』

ミカサ『その…助けようとは思わなかったんですか…』

ミカサ『班の先輩や…仲間を』


リヴァイ『………』


リヴァイ『そんな回もあった…』

リヴァイ『ただ、死ぬ運命は変えられなかった』


リヴァイ『回数をこなしていくごとに情報も増え、世界は長続きするようになったが…』


リヴァイ『いくら世界を変えても、人の死の運命は変えられん』


ミカサ『…』


ならば、エレンが死ぬのもまた、運命だったのだろうか。




『…れが……せ…は…わる』



ミカサ『!?』

リヴァイ『…?』

リヴァイ『なんか思い出したか?』

ミカサ『……いえ』

ーーー

巨人発生より七時間後、西班ーーー

ユミル「…」チラッ

クリスタ「……」

ナナバ「住民の避難は完了だね…」

ナナバ「よし…このまま南下しよう」

ユミル「!?…なぜですか」

ユミル「これより南に人はいないでしょう」

ナナバ「破壊された壁の位置を特定しなければならない…西側から壁沿いに走って探そう。南班だけでやるより早いはずだ」

ユミル「私とクリスタは戦闘装備が無いんですよ?」

ユミル「これより南には巨人がうじゃうじゃいるはず…私達は奴らのおやつになる可能性が高い」

ユミル「私とクリスタを…前線から一旦引かせてください」

クリスタ「…ユミル!」

ナナバ「だめだ」

ナナバ「何が起きるかわからないんだ。連絡要員は一人でも確保しておきたい」

ナナバ「兵士を選んだ以上は覚悟してくれ。この初期対応に全てが掛かってる」

ユミル「…」

クリスタ「ユミル、私はここで最善を尽くしたい」

クリスタ「だって…私は自分で調査兵団を選んだのだから」

クリスタ「でも…」

クリスタ「あなたはそうじゃないでしょ?」

クリスタ「あなたが調査兵団を選んだのは私が…」

ユミル「私が!?はっ!?私のためにとでも言いたいのか!」


クリスタ「じゃあ何でいまここにいるの?理由がないなら今すぐ逃げてよ…」

ユミル「…!」

クリスタ「やっぱり…私の実力が今期の十番以内に見合うはずがない」

クリスタ「誰に聞いたって十番内はあなたと答えるはず…どうやってやったかわからないけど」

クリスタ「あなたは私に憲兵団を目指すよう促すばかりか、その権利さえ私に渡そうとした…」

ユミル「…」

クリスタ「何で…私にそこまでするの」

ユミル「…」

クリスタ「私の生まれた家と関係ある?」

ユミル「…ああ、ある」

クリスタ「!」

ユミル「クリスタ…安心してくれよ」

ユミル「私がここにいるのは、全て自分の為なんだ」

クリスタ「……」

クリスタ「そっか」

クリスタ「よかった…」

巨人発生より九時間後ーーー

ライナー「待て!コニー!落ち着け!」


コニー「嘘だろ…誰かっ!誰かいないのか!?」


コニー「……」


コニー「俺だ、コニーだ!!帰ってきたぞ!」




シン…


コニー「…!!?」


ドドッ


コニー「俺の家…母ちゃん…父ちゃん!」

コニー「サニー、マーティン…」


コニー「!」




巨人「…」


ライナー「コニー!下がれっ!」

コニー「俺の…俺の家だ…巨人に潰され…」


ライナー「待て、こいつ…動けないのか!?あの手足では無理だ!」


ライナー「じ、じゃあ…」




ライナー「どうやってここまできたんだ…」



コニー「…」



ーーー
ーー


コニー「…」ポロポロ

巨人「」ジーッ

ライナー「コニー!生存者はいたか!?」

コニー「…」

コニー「いない」

ライナー「…」

コニー「いねぇよ、もう…おしまいだ…ねぇんだよ」

コニー「俺の故郷、家族はもう…どこにも…」


ライナー「!!」

ライナー「……」

コニー「」ポロポロ

ライナー「…」ポンッ



ベルトルト「!」

ベルトルト「………」



ベルトルト「けれど…妙だね」

ベルトルト「誰か死体を見か?」


コニー「」フルフル

ライナー「いいや」

ベルトルト「そんなこと、あるの?」

ベルトルト「巨人が一滴の血も残さずに集落を壊滅させることが」

ライナー「…」

ライナー「全員、逃げたんじゃないのか?」


ライナー「そうだ!全員逃げたんだ!」

コニー「そうか…そうだよな!」

ベルトルト(こうしておけばいいだろう…)

ベルトルト(人のいない民家が壊されているのも、馬が繋がれっぱなしなのも気づかれないうちに)

ベルトルト(まあ、ライナーがどちらで言ったのかはわからないけど…)

ゲルガー「さあ、もう行こう!」

コニー「は、はい!」



ベルトルト(今はどうしようもない)



コニー「」チラッ


巨人「……」



巨人「オ…ア、エリ…」



コニー「!!??」


コニー「は…今…」


ライナー「オイ!コニー!遅れるぞ!」

コニー「ライナー聞いたか?いまあいつ…!」

ライナー「なにも聞こえてない!任務に集中しろ!」

コニー「でっ、でも!」

ライナー「お前はいまどんな状況かわかってんのか!?俺たちの動きが人類の存亡に影響するんだぞ!!そんなありえない妄想してる場合か!」

ライナー「兵士なら、最善を尽くせ!!」

コニー「…!」

コニー「ああ、そうだ!その通りだ!」





同時刻、駐屯兵団第一師団精鋭部隊ーーー

兵士y「まだだ!ひきつけろ!!」




ドドドドドド



兵士y「撃てぇ!!」



ドンドォンドン



シュッ


ザクッ


リコ「やったか…」

兵士z「いけますよリコ班長!この調子なら防衛線を維持できます」

リコ「いや…巨人の恐ろしさはその数だ…」

リコ「集団で来られたらここもじきに突破されてしまうだろう…」


リコ「ただ、なんだろう…なにか…おかしい」

駐屯兵団ウォールシーナ対策部隊ーーー

兵士j「ハンネス隊長…どうかされましたか?」

ハンネス「未だに…一匹も巨人と遭遇しないとはな…」

ハンネス「壁の穴にはかなり近づいたはずだ…なのにまたずいぶんと静かじゃねぇか」

ハンネス「毎回奴らは穴を空ける前に大量の巨人を誘導してきやがるからな…願わくば」

ハンネス「このまま穏やかなままとはいかねぇもんだろうか…」



南班、巨人出現より十一時間後ーーー

ゲルガー「はっ…はああっ…」

ライナー「…」

ゲルガー(もっと急がねぇと…だがこれ以上速度を上げるのは自殺行為だ)

ゲルガー(見えるのは足元がやっと…)

ゲルガー(いつ巨人が襲ってくるか…いや、壁の穴に近づけば必ず…)

ゲルガー「!!」ビクッ

ゲルガー(明かり!?)


ナナバ「!!」

ゲルガー「お前らも壁に沿ってきたのか…」

ナナバ「ああ、それで…穴はどこに?」

ゲルガー「は?」

ゲルガー「いや…こちらも穴など見ていない」

ナナバ「…」


ナナバ「見落とした可能性は?」

ゲルガー「ありえない…巨人が通れるほどだぞ?」

ゲルガー「どうする?もう一度確認してみるか?」

ナナバ「そうすべきだが…流石に馬も我々も疲労に限界が来てる」

ナナバ「いま以上の集中力は期待できない」

ゲルガー「せめて月明かりがあればなあ…」


ゲルガー「あっ」

再開します

ゲルガー「…ったく壁の近くだってのに…最近まで人が住んでた跡があるぞ…」

ナナバ「こんなとこにこんなものがあるなんて知らなかったよ…」

ゲルガー「オイオイ…こんなもんまであるぞ…ん?なんて書いてあるんだ」ゴクリ…

リーネ「ゲルガーそりゃ酒かい?まさか今飲むつもり?」

ゲルガー「バカ言えこんなときに」

ヘニング「しかし盗品のおかげで体を休めることができるとは…」

ゲルガー「お前ら新兵はしっかり休めよ…」

ゲルガー「動ける巨人はいないはずだが…我々が交代で見張りをする」

クリスタ「あの…もし壁が壊されていないなら、どこから巨人は…」

ゲルガー「それは明日の仕事だ。今は身体を休めることに努めろ…」



ーーー
ーー


ガサガサ

ライナー「ユミル…なにしてんだ?」

ユミル「なんだライナー、夜這いか?」

ユミル「驚いたな、女の方に興味があるようには見えなかったんだが…」

ライナー「ああ、お前も男の方に興味があるようには見えんな」

ユミル「…はっ」

ユミル「私はこうやって腹の足しになるもんを漁ってんのさ、多分これが最後の晩餐になるぜ」

ライナー「…」

ユミル「おっ、こりゃいけそうだ、鰊は好みじゃないが…」

ライナー「他にもあるか?見せてくれ」

ユミル「……」

ユミル「ほらよ」

ライナー「こりゃ缶詰か?」

ライナー「…!」

ライナー「…なんだこの文字…にしん、って書いてあるのか?」

ライナー「お前よくこの文字が読めたな、ユミル…」

ユミル「…!」




リーネ「全員起きろ!!」

リーネ「屋上に来てくれ!早く!」

オオオオオオ

リーネ「月明かりがでて気付いたら巨人が大量に…」

ゲルガー「なんでだよ!」


ゲルガー「なんでまだ動いてんだ!?日没からかなり経ってるぞ!」

クリスタ「…」

コニー「おい!あれを見ろ!」


獣の巨人「…」ズシンズシン


ユミル「ーー!!」

コニー「巨人…てか何だあれ…獣じゃねぇか…」

ライナー「…!」

ベルトルト「……」

コニー「あ、あいつ…」

コニー「壁の方に…」



ドォォォン


リーネ「うっ!?巨人のやつ突進してきた!?」

ゲルガー「お、おい…なに入って来てるんだよ…」



巨人「」バキバキ


ゲルガー「ふざけんじゃねぇ…」


ナナバ「新兵!下がってるんだよ!」

ナナバ「ここからは…立体機動装置の出番だ」


ナナバ「いくぞ!」

ーーー

獣の巨人「……」


獣の巨人「」チラッ


獣の巨人「さぁ、どうなるかな…」



ーーー


ドドドドドド


アルミン「一体どこを目指すんですか!」

リヴァイ「南側の…壁に近い古城のようなものはねぇか」

ハンジ「あるよ、ほら…ここに。ちょっと時間はかかるけど、南西に」

リヴァイ「そこに行く。壁が見渡せるだろう」


ミカサ(なんとなくだけど戻ってきた…)

リヴァイ「」コクッ

ミカサ(最悪の事態にならないよう再現を第一に考える…)

ミカサ(行こう)

ーーー
リーネ「くっ…遅かった!」

リーネ「扉が破られた!」

ヒュン



リーネ「104期!」

リーネ「巨人が塔に入ってきてる!急いで中に入ってバリケードを作って防いで!」

リーネ「最悪防げなかったら…ここまで戻ってきて!」


リーネ「助けてあげられるかはわからないけど…」

リーネ「生きてるうちに最善を尽くせ!」

全員「了解!」



ーーー

ライナー「巨人がどこまできてるか見てくる!」

ライナー「お前らはなんでもいい…バリケードの材料を!」

クリスタ「ライナー!」

コニー「お、おい!」


バッ


ベルトルト「まてよライナー!」


ベルトルト「ライナー…」

ーーー

ガチャ


ライナー(まだ下か…)

ライナー(どうなってる…どうしてだ…)

ライナー(いや、しかし…まずはどうやって巨人を防ぐかだ…)


ガチャ


巨人「」


巨人「」ニヤァァ


ライナー「!!!」


バンッ



ドゴッ!!


ライナー「うおッ…!」


ライナー「くそっ…ここだあああっ!!」

ライナー「なんでもいいからもってこい!!」


バキッ


ライナー(巨人の手が!)


ライナー(俺は…ここで…)

ライナー(仲間が死んだ)

ライナー(仲のいいやつだった、ベルトルトと、三人で)

ライナー(故郷を追われ、僅かな言葉を頼りに)


ライナー(もう一度、故郷に帰るために…)



ライナー(そうだ、ここで、俺は死ねない!)

ベルトルト「ライナー!!」

ライナー(そうだろ!)



ドスッ!!


ベルトルト「ライナー無事か!?」

ライナー「ああ、絶対帰る…故郷に!」

ベルトルト「…!」

ベルトルト「ああ!」


ユミル「ライナー、ベルトルト!」

ライナー「おい、それ…大砲か!」

ライナー「火薬は!?砲弾は!」

ユミル「そんなもんねぇよ!これごとくれてやる!」


ユミル「どけ!」


ドガガガガッ!


バキッ!



コニー「上手く…いったか?」

ライナー「ああ、奇跡的にな…」


コニー「どうする?ちっさいナイフしかないけど…うなじ削いでみるか?」

ライナー「やめとけ、掴まれただけで重傷だ」



ギシッ

ライナー「!」

クリスタ「コニー!危ないっ!」


コニー「!?」



ドンッ


ライナー(また…またやって…)

ライナー(…!)


ガブッ!


ライナー(腕ぐらいくれてやる!…どうせ)


ベルトルト「ライナー!」




ライナー「うおおおおっ!!!」


ガッ


ベルトルト「おっ…おい!まさか…」




ベルトルト「巨人ごと窓から飛び降りる気か!」

ライナー「これしかねぇだろ!!」バッ



コニー「待て!」

コニー「顎の筋肉をきれば…」ズバッ


コニー「離した!」

ユミル「ふっ!」ゲシッ



ーーー
ーー


ライナー「うっ!」

クリスタ「ごめん!…ごめんね」.

クリスタ「多分骨折してるよね…そうだ」


ビリビリ

ライナー「!」

クリスタ「汚いけど、ごめんね…私のスカートなんか」

ライナー「いや…たすかる」

ライナー(結婚しよ)

ユミル「とりあえず…使えそうなものは集めようぜ…後悔しないようにな」




ドォォォン

屋上ーーー


タッタッタッ


コニー「今のは…!」

ゲルガー「ダメだ…二人とも即死だ…」

ゲルガー「気を付けろ…壁の方角から岩が飛んできて…そいつにやられた」

クリスタ「そんな…!」

ユミル「壁の方…?」

コニー「あいつだ!」

コニー「一体だけ壁の方に歩いていった…あの…獣の巨人の仕業にーー」


コニー「!」

コニー「巨人多数接近ーー!さっきの倍以上は…!」

ゲルガー「なんだと…」

ナナバ「巨人が作戦行動でもとってるようなタイミングだね…」

ナナバ「まるで最初っから…遊ばれてる気分だ…」

ーーー

ビュッ!

ナナバ(やったか!?)


ドォォォン!!


ナナバ「くっ」

ゲルガー「もう塔が保たねぇな…」

ナナバ「私はガスが残り僅かだ…そっちは?」

ゲルガー「ガスもねぇし刃も使いきった…」

ゲルガー「お前もそのなまくらが最後なんだろ?」

ナナバ「…あぁ」

ゲルガー「俺らにしちゃあよくやったよな…ただ、最後に…」

ゲルガー「なんでもいいから酒が飲みてぇな」

ナナバ「ゲルガー!」

ナナバ「…!」



ゲルガー「すまねぇ…ナナバ…頭打っちまって…もう…力…入んねぇ」

ガキッ

ナナバ「ゲルガー!!」

ナナバ「くっ!」

ナナバ「あっ…」プシュ


ナナバ「ガスが…」


ーーー

コニー「あぁ…やられた…」

クリスタ「ッ!」ブンッ

ユミル「やめろクリスタ!もう塔が崩れそうなんだ」

クリスタ「でも!私たちの身代わりに…ナナバさんが…ゲルガーさんが…」

クリスタ「戦いたい…」

クリスタ「そしたら一緒に、戦って死ねるのに!」

ユミル「!」

ユミル「お前…まだそんなこと言ってんのか」

ユミル「お前は本気で死にたくないって思ってない!いつもどうやって死んだら褒めてもらえるのか…それだけだ」

クリスタ「そんなこと!」

ユミル「言ったよな…」

ユミル「私とお前は似てるって…」

ユミル「まだ、約束覚えてるか?」


クリスタ「…」コク


コニー「あっ…夜明けだ…」

ユミル「コニー、ナイフ貸してくれ」

コニー「?ほらよ」

コニー「なにに使うんだそれ」

ユミル「ん?戦うんだよ」

ライナー「おい!」

ライナー「何するつもりだ…」

ユミル「さぁな?自分でもよくわからん」

ユミル「クリスタ…」


ユミル「胸張って生きろよ」

ダッ!


クリスタ「ユミル!!」



カッ!!




コニー「!?」

コニー「嘘だろ…ユミルが…巨人に?」

クリスタ「……」

ライナー「あ、あ…」


ライナー「あの、巨人は…」




ライナー「あの時のーー!」

ライナー「クリスタ…お前は知ってたのか?」

クリスタ「…知らなかった」


クリスタ「信じられないよ」

ライナー「つまりあいつはこの世界の謎の一端を知ってたんだな」

ライナー「全く…気付かなかった」

ベルトルト「一体…ユミルの目的はなんなんだ…」





ガッ


クリスタ「あっ!」

コニー「お、おい!ユミル圧されてるぞ!」

クリスタ(……っ!)


クリスタ(まだ…まだなの!?)


クリスタ「まだ、私の本当の名前、教えてないでしょ!!」

ザクッ!!


クリスタ「ーーー!!」


クリスタ「ミカサ!」


コニー「お前…なんでここに」

ミカサ「クリスタ…みんなも下がって」


ミカサ「あとは私たちに任せて」




ーーー

リヴァイ「…終わったか」

ミカサ「やはり、ユミルはここでも巨人でした」

リヴァイ「…みてぇだな、だが…」

リヴァイ「問題はこっからだ」

ミカサ「前回では、エレンとユミルはあの二人に…」

リヴァイ「ああ…あいつらがどう行動するかで俺らのこれからも決まる」

リヴァイ「ミカサ、どこまでわかる?俺はその場にいなかったからな」

ミカサ「前回はウォールローゼの出来事だったので…一端ウォールシーナに登りました」

ミカサ「そこで二人はエレンに正体を明かし…」

ミカサ「私が斬りつけるも、エレンとユミルは連れ去られる、といったところです」

ミカサ「残念ながらその後は…」

リヴァイ「いや…充分だ」

ミカサ「あの、兵長」

リヴァイ「なんだ」

ミカサ「今回、私はエレンの位置に立っています…女型とか、特別調査班でも」

リヴァイ「何が言いたい」

ミカサ「私が、エレンの代わりに二人に攫われます」

リヴァイ「…」

リヴァイ「確かにお前が狙われる確立は高い」

リヴァイ「だが、それを簡単に許可できると思うか?」

ミカサ「そうですが…!エレンはやった、なら」

ミカサ「そこには必ず、意味があるはずなんです…」

リヴァイ「……」


リヴァイ「…わかった…」

リヴァイ「ただしバカな真似はするな」

リヴァイ「必要な情報を手に入れた上で離脱を図れ」

ミカサ「はい!」


ーーー

アルミン「まさか、ユミルが巨人だったなんて…」


クリスタ「ユミル…」


クリスタ(……ごめんね)

クリスタ「私の本当の名前、ヒストリアって言うの…」


ユミル「……」

ユミル「…」ニコッ

ーーー
ーー


ミカサ「しかし兵長、壁の中の秘密はどう明かすんですか?」

リヴァイ「そうだな…確かに、司教が見てねぇと意味がねぇ」

リヴァイ「…いや」

リヴァイ「ミカサ。お前、奴らとの話を市街地まで引き伸ばしにできるか?」

ミカサ「…多分」

リヴァイ「前回では、お前らが戻ってくるまでには壁内の混乱はほとんどなくなっていた」

リヴァイ「むしろお前らの帰りを見てたやつの方が多い」

リヴァイ「あそこで巨人化をすれば、壁を破壊しつつそれを司教に見せられるだろう」

ミカサ「…わかりました」

ーーー

ハンジ「本名、ヒストリア・レイスって言うんだって?」

ヒストリア「…はい」

ハンジ「レイスってあの、貴族の?」

ハンジ「…そう」

ハンジ「よろしくね、ヒストリア」

ヒストリア「…はい…」


ハンジ「さて、ユミルの具合は?」

兵士「未だ昏睡したままです…内臓、右手足は食い千切られたものの、命は平気そうですが…」

ハンジ「とりあえず、まともな医療を受けて貰わないとね」

ハンジ「頼んだよ」


ハンジ「さて、穴を塞がないとね」



ハンジ「もっと巨人だらけかと思ってたけどなー」

ハンジ「ん?」

ミカサ「あっ、ハンネスさん」

ハンジ「駐屯兵団先遣隊だ…穴の位置を知らせに来たんだ」

ーーー

ハンネス「穴がどこにもない!」

アルミン「えっ?」

ハンネス「夜通し探し回ったが…巨人にも会わないし穴もない」

アルミン「でも…実際に巨人は壁の内側に出てるんだよ!」


ハンジ「壁に穴が無いなら…仕方ない」

ハンジ「壁沿いに確認しつつ、待機しよう」

ハンネス「おい!」

ミカサ「…?」

ハンネス「とにかくまだ気を抜くなよ!俺たちは先に戻るぞ」


アルミン「この五年に無かったことがこんなに起きるなんて…」

ライナー「おい、ミカサ」

ミカサ「…」

ライナー「話があるんだが」

ミカサ(きた!)

ミカサ「ごめんなさい…さっき兵長に呼ばれた」

ミカサ「その後でいいなら」

ライナー「あ、ああ…」


ミカサ(これで私を狙っているのは確定した…)

ミカサ(けど、なんで私なの?)

ミカサ(そもそもこの世界ではエレンが巨人になれない。そこからおかしい)

ミカサ(私がエレンの代わりになる要素がない)

ミカサ(兵長は知っているのだろうけど、聞いても忘れてしまうのだっけ…)

ミカサ(待つしかないのか…)


ーーー
ーー


アニ「なっ…!」

アニ「それは、本当なの…」

??「嘘を言っても仕方ないわよ」

??「記憶のない子に言う分には障害は起きないのね…助かったわ」

アニ「だとすると…いま二人は!」

??「さあ…あの子の報告待ちね」

??「けど、これはいつものことなのよ」

??「攫われた二人の帰る次の日…」

??「人類は滅亡する」

読んでくださってありがとうございます。

また夜に更新します

再開します

ーーー
ーー


エレン『ミカサっ』





エレン『ただいま…』





ーー
ーーー


ミカサ「!」

ミカサ(またなんか思い出しそう…全然わからないけど)

リヴァイ「もう市街地だな…」

ミカサ「はい」

リヴァイ「おい」

ミカサ「?」

リヴァイ「落ち着いて行動しろ。なるべく無傷で帰れ」

ミカサ「…わかってます」


ミカサ「それでは、いってきます」

ライナー「おっ…きたな」

ミカサ「ごめんなさい、遅くなってしまった」

ライナー「いいんだ、いいか、ミカサ聞いてくれ」

ベルトルト「…」

ライナー「俺が鎧の巨人で…こいつが超大型巨人なんだ」


ミカサ(やはり!)

ミカサ「ちょ、ちょっと待って…よくわからない」

ベルトルト「そ、そうだよライナーなに言ってるんだ!」

ライナー「俺たちは五年前、壁内への侵攻を始めた」

ライナー「俺たちの目的は、壁内の人類の滅亡だったんだが…その必要はなくなった!」

ライナー「お前が来てくれるなら!!」

ミカサ「どうして…私が必要なの」

ライナー「それは…お前らはあの人と繋がっている」

ベルトルト「ライナー!!」

ミカサ「あの人…?」

ミカサ(だれ…あの人って…)

ライナー「俺たちは故郷に帰るんだ…!!」

ベルトルト「ライナー…やるんだね!今ここで!!」

ミカサ「!!」

ミカサ(くる!)





カッ!




鎧の巨人「…」

超大型巨人「…」




オオオオオオオ


ミカサ「…っ!」

ガシッ


ガラガラ…


ミカサ(壁はある程度壊れた…私とユミルは捕らえられた)

ミカサ(抵抗してはケガ人がでる…抵抗はしない方がいい!)



リヴァイ「…」

リヴァイ「くっ……」



リヴァイ「死ぬんじゃねぇぞ…クソ野郎が…」

ガラガラ…


リヴァイ「よし……上手く行ったな…」



壁内巨人「………」


壁内巨人「」チラッ



ハンジ「待って!どういうこと…!」

アルミン「ライナーとベルトルトも巨人で…そんな」

アルミン「ミカサが……!攫われました!」



ハンジ「!?」


ヒストリア「ユミルもです!」


ハンジ「そ、そんな…待って…」



リヴァイ「落ち着け、お前ら」

ハンジ「そんだけ落ち着いてられるリヴァイの方がどうかしてるよ!」

リヴァイ「…」

リヴァイ「いいから、見ろ。起きているのはそれだけじゃねぇ」

ガラガラ…


リヴァイ「よし……上手く行ったな…」



壁内巨人「………」


壁内巨人「」チラッ



ハンジ「待って!どういうこと…!」

アルミン「ライナーとベルトルトも巨人で…そんな」

アルミン「ミカサが……!攫われました!」



ハンジ「!?」


ヒストリア「ユミルもです!」


ハンジ「そ、そんな…待って…」



リヴァイ「落ち着け、お前ら」

ハンジ「そんだけ落ち着いてられるリヴァイの方がどうかしてるよ!」

リヴァイ「…」

リヴァイ「いいから、見ろ。起きているのはそれだけじゃねぇ」

壁内巨人「………」



ザワッ



ハンジ「……!!」


司教「はっ…その巨人に陽を当てるな!!」

司教「はやく、何かを被せるんだ!!」

ハンジ「!?」

ハンジ「あなたは…このことを知っていたのですか…」


ーーー

リヴァイ「降りなくていいのか?」

リヴァイ「…まぁ必要もないか」


リヴァイ「ここまで来たな」


リヴァイ「やっとだ…もう失敗しねぇ」

ヒストリア「そうですね…」


ヒストリア「今度こそ辿り着いてみせましょう、お嬢様の部屋に」




ヒストリア「兵長…いえ、リヴァイ様」

ーーー


ヒョオオオオオ


ミカサ「どこに連れて行くの!」


鎧の巨人「……」


ミカサ「…」

ミカサ(無視……んっ)



ミカサ(眠い………どうして)ウトウト



ミカサ(あっ…)




ーーー
ーー


エレン『おっ、来たなミカサ』

ミカサ『エレン!?』

エレン『久しぶり』

ミカサ『エレン、エレンなの!?』

エレン『な、なんだよ…ぺたぺた触るなよ…』

ミカサ『エレンっ!』


エレン『わわっ!抱きつくなって!』

ミカサ『だ、だって…もう会えないと思った!すごく…』


ミカサ『寂しかった…』

エレン『……』


エレン『ごめん…そっか…まだわからないよな…』

エレン『でもミカサ、お前頑張ってくれてるだろ』

エレン『おかげでここまで上手くいってる』

ミカサ『…?そうなの?』

エレン『んー?多分な』

ミカサ『根拠のないことは言わないほうがいい』

エレン『別にいいだろ…』

ミカサ『ふふっ』

エレン『…』

エレン『…お前やっぱり笑ってるほうがいいよ』

ミカサ『?』

ギュッ


ミカサ『!!』

ミカサ『えっ、エレン!なにを…』


エレン『早いなあ』

エレン『もう…時間みたいだ』

ミカサ『時間?なんの?』

エレン『お別れの、だ』



ミカサ『…っ!いやっ!私はエレンと…!』



エレン『必ず世界を救ってくれよ、ミカサ』


ミカサ『やだっ!いやぁ!!』



エレン『いい加減、俺から離れることも覚えてくれよな…』


ミカサ『無理!絶対にそんなのありえない!!』




エレン『ミカサ……』



エレン『いってらっしゃい』

ミカサ「ーーーーー!!」



ミカサ「エレンっ!」ガバッ





ジャラッ


ミカサ「!?」


ミカサ(鎖…)

ライナー「目が覚めたかよ」

ベルトルト「……」

ミカサ「…っ」

ライナー「あいつの夢でも見てたのか…」

ミカサ「そんなの…裏切り者には必要ない情報…」

ミカサ「話して…なんで私を捕らえたの…」


ライナー「……」


ミカサ「あの人って…誰なの!!」

壁内ーーー


アルミン「えっ…じ、じゃあ」


ハンジ「ヒストリアが、秘密を開示する権利を持つってこと?」


ヒストリア「……」

司教「そ、そうだ!私はそこまでしか言えん!!」

ハンジ「え、えっと…ヒストリア?」

ヒストリア「はい…」


ハンジ「これは…」


ヒストリア「ごめんなさい…ずっと黙っていて」

ヒストリア「私もこのことを無断で口にするのは禁じられているんです」

ヒストリア「私が許可されているのは、 壁内の…いえ、この世界の秘密を知る人の元にみんなを連れていくこと」

ヒストリア「けど、今回までその秘密は明かされることはなかった…」


アルミン「い、今回まで?クリス…ヒストリア、どういう…」

ヒストリア「開示には、必ず必要な人がいるから」

ヒストリア「けれど、彼はいつも部屋に着く前に死んでしまう」

ヒストリア「そのせいで…」

リヴァイ「その部屋の鍵を持ってるからだ」

ハンジ「はあ?なんであんたが…」

ヒストリア「リヴァイ様っ」

アルミン「!?」

ハンジ「えっ、ええ!?」

リヴァイ「もういいだろ、ヒストリア…俺は生きてる。部屋に行ける」


ヒストリア「は、はい…」

ハンジ「ちょっと、説明しなさいよリヴァイ!」

リヴァイ「俺が部屋に行くために必要な彼、ってやつだ」

リヴァイ「鍵は王と俺しか持っていないが…俺は部屋の位置を知らない」

リヴァイ「ヒストリアは俺が裏切らないか監視する監視員…」

リヴァイ「…を装った協力者だが…」

リヴァイ「まあ全部部屋に着いたら話そう」

すいません!
一個飛ばしました


ーーー


ハンジ「ごめん、全然わからないよ、ヒストリア」

ヒストリア「ごめんなさい…」

ハンジ「とりあえず…その、なんで彼ってのがいないと部屋に行けない訳?」

ヒストリア「それは私にも…」







リヴァイ「鍵だ」

すいません
一旦中断します

いつもよんでくださってありがとうございます!

再開します

ーーー

アニ「しかし…鍵があるならそれを誰かに預けることだってできたんじゃ!」

??「無理。世界の順番は決まっているの」

??「王は世界の順序を変えることを望んでない、だから、私たちは従うしかない」

??「私が死んだら世界の希望は消えてしまう」

アニ「王にも記憶が?」

??「そうよ?記憶があるのは王族と私たちの一族のような加護を受けてるとこだけ」

アニ「どうして私はここに呼ばれたの?」

??「この間も言ったでしょ?本来ならあなたは水晶に閉じ込められて眠りについた、と」

??「生身でいられると支障がでると思われたのね。でも好都合だわ」

??「リヴァイを殺したのはあなただったみたいだし…王は見てないからわからなかったのね」

アニ「私が、兵長を?」

??「そうよ。目覚めたあなたはケガをしたリヴァイを殺した。だから毎回ここには来れなかったの」

アニ「………」

??「責めないわ…それが世界の決めたことだもの」

コンコン




??「えっ…」

アニ「来客?」



ギイイイイ



ヒストリア「お嬢様…」

??「っ!?ヒストリア!!」

アニ「!」

ハンジ「うわっ…なにも無い部屋だね…」

アルミン「ア…アニ…君もここにいたんだね」

ジャン「なんで俺まで…」




リヴァイ「」スタスタ


??「ーー!!」

??「ようやく…来てくれたのね…」

リヴァイ「遅くなったな」


??「遅すぎよ…」

ハンジ「えっと…あなたが世界の秘密を知ってる…子?」

ジャン「完全にちっこい少女って感じだな…」

少女「仕方がないのよ!」

アルミン「それより…どうしてこうなったのか説明して貰わないと」


少女「…あぁ、そうね」

リヴァイ「やっとだな」

少女「それじゃあ話すわね。この世界と、私とお兄様…そして」





少女「ある国のお話を」

ーーー
ーー


少女(それは私が年端もいかない頃)


少女『ねーなんで!?どーして!?私はお外には行けないの?』

リヴァイ『知らねーよ!お前が悪い子だからだろ!』

少女『あー!お兄様また汚い言葉を使ってる!』

リヴァイ『黙ってろ!』


少女(私は、ある国の貴族の息女)

少女(いつも私は一人ぼっちだった)

少女(お兄様はいつも王政府に呼び出されて、お父様と一緒に行ってしまうけど、私はだめだった)

少女(部屋から出ると、汚れてしまうから、と言われて)



夜ーーー
ーー


リヴァイ『なぁ?』

少女『ん?』

リヴァイ『いま、ここの国は戦争をしてるんだって』

少女『せんそー?』

リヴァイ『国の取り合いをするんだ!』

少女『えー…仲良くすればいいのにー』

リヴァイ『でも、苦戦してるんだって…向こうの王様、すごく頭がいいみたいで』

少女『どんな?』

リヴァイ『薬とかで、ばーんって』

少女『??…わかんない』

リヴァイ『とにかくすげぇの!』

少女『ふーん…』

少女『お父様は、また神様に頼んでお祈りしてるの?』

リヴァイ『そうみたいだ』

少女『いーなー、私も見たいよー』

リヴァイ『いつか、な』

少女『?』



リヴァイ『いつか、俺が親父みたいになったら、お前にこの世界をみしてやる!』

少女『ほんと!?』

リヴァイ『約束だ!』

少女『うん!』

少女(お兄様は、口こそ悪かったがとても優しい人だった)

少女(私たちは名前もなく、特に私に至っては彼に依存する他なかった)

少女(それから数年後、私たちに仲間ができる)


ヒストリア「はじめまして…」

少女「?」

リヴァイ「俺たちより年下だが、母親違いの妹らしい」

ヒストリア「ヒストリア・レイスです。よろしくね?」

少女「ええ、よろしく」


ーーー

少女「ヒストリアには名前があるのね」

ヒストリア「なんで二人にはないのですか?」

少女「知らないわ。お父様の考えることですもの」

ヒストリア「ふふ。本当に若君様にそっくりですね、お嬢様は」

少女「お兄様の口の悪さが移ったのよ…てか」

少女「やめない?若君様とかお嬢様とか」

ヒストリア「でも、言い慣れてますから」

少女(ヒストリアは名目は私たちのメイドのような役割をしていた)

少女(そこで私たちは、初めて自分たちがレイス家の生まれだと知る)

リヴァイ『はぁ』

少女『どうしたの?』

リヴァイ『戦争、やっぱり負けてるみたいだ』

少女『何年やってるわけ?いい加減和睦して欲しいわ』

リヴァイ『そういう訳にはいかねぇだろ、国のためだ』

少女『そういう、地味に従順なの変』

リヴァイ『あ?勝手に言いやがれ』

リヴァイ『あ、そうだ』

リヴァイ『こっから出ていかねぇか?』

少女『は…えっ?』

リヴァイ『いい抜け道を見つけたんだよ!オラ、こい!』

少女『ちょ、ちょっと!』


少女(こうして私たちは、意図も簡単に外に出れてしまった)


少女『うわぁ…すごい!』

リヴァイ『そうか?ならよかったんだが』

少女『すごいわ!お兄様、ありがとう!!』


少女(私は震えた)

少女(世界は美しい)

少女(でも、忘れていた)


少女(同時に、残酷だってことを)

ドシン




ドシン





少女『なんの音…?』


リヴァイ『……わからねぇ』


ドシン



ドシン

ドシン



獣の巨人『……』




少女『ひっ…』





少女『きゃあああああああああああああああっっっ!!!』




少女(そこにいたのは)

少女(巨大な獣だった)

少女(獣は私たちの国を食らいつくしていた…)

少女(おもちゃのように)


少女『いや…』


少女『こんなの、だめ…!』




少女『いやだああああああっ!!!!』

ーーー
ーー


少女『っ!』ガバッ

少女『えっ…夢…?』


少女『お兄様…?』キョロキョロ

リヴァイ『……』

少女『お兄様?』

リヴァイ『お前…見たか?あれ…』

少女『ーーー!』


リヴァイ『…いまは、いつだ』

少女『さ、さぁ…』

リヴァイ『あれは夢か?』

少女『わかりません…』

リヴァイ『そうか…』


タッタッタッ

少女『お兄様っ!どこ行くの!!』




リヴァイ『夢な訳ねぇ…あんなリアルな!』

リヴァイ『外に行けば…!』



タッタッタッ…


リヴァイ『ん?夜中なのに…人?』


グリシャ『君は…』

リヴァイ『えっ?』

グリシャ『君はレイス家の子か!?』

リヴァイ『はっ!?あ、ああ、そうだが』

グリシャ『助かった…レイスの子に協力して貰えば』

リヴァイ『は?わけわかんねぇよ』

グリシャ『君には、獣のような…巨人に襲われた記憶があるか?』

リヴァイ『なっ!』


リヴァイ『知ってんのかてめぇ!』

グリシャ『すまなかった…あれを作ったのは私だ…』

リヴァイ『!?』

グリシャ『私はグリシャ・イェーガー』








グリシャ『君たちの敵国の、王だよ』

リヴァイ『なん、だと…!』


リヴァイ『よくもてめぇ!』

グリシャ『待ってくれ!』

リヴァイ『…』

グリシャ『本当に済まない…だが…』

グリシャ『既にあれは…我々の敵だ…』




リヴァイ『!?』

グリシャ『私は薬学や医学に詳しくてね。ある薬を作ることに成功した』

グリシャ『巨人化できる薬だ』

グリシャ『何人かの実験の上、知性を持ったまま巨人に変化できる薬なんだ』


グリシャ『その一人が、あの獣だ…』

グリシャ『あれは、巨人になった途端、私を裏切り単独行動を始めた』

グリシャ『私の国も、潰された』


グリシャ『だが!一つだけ方法がある!』



リヴァイ『なんだそれは…』








グリシャ『巨人で、壁を作るんだ…』

リヴァイ『は!?』

グリシャ『それしかない!』

リヴァイ『いや、大体作ったところで!』


グリシャ『君はここの年号を見たか?』

リヴァイ『…いや…』


グリシャ『ここは、前から50年後の世界だ』

リヴァイ『!?』

リヴァイ『じ、じゃあなんだ!俺らは』

グリシャ『転生…しているのだろう』


リヴァイ『は、はぁ?』

リヴァイ『…』

グリシャ『子供の君には酷かもしれないが、これである程度侵攻を防げるはずなんだ!』

リヴァイ『………』





リヴァイ『なにを、すればいい…』

グリシャ『!!』

グリシャ『あ、ありがとう…』

リヴァイ『…』


グリシャ『巨人には幾つか能力がある』

グリシャ『その一つが、硬化だ』

グリシャ『それを使ってこの国を取り囲む』

グリシャ『私の国には、もう僅かな国民しかいない。だから…』

リヴァイ『俺たちの国のやつを使わせろ、と?』

グリシャ『そうだ』

リヴァイ『俺の…妹も記憶があるんだ』

グリシャ『そうなのか…どうやら、君たちのような神に順じる家系にも、記憶があるみたいだね』


リヴァイ『お前はなんで世界を救うんだ』

グリシャ『……』

グリシャ『息子が、いる』

グリシャ『まだ小さいが、私の国の巫女の子供ととても仲が良くて…二人とも、いずれ記憶が戻る』

グリシャ『そのとき、せめて絶望しないようにしてほしいんだ』


リヴァイ『みこ?』

グリシャ『君たちみたいな家系のことだよ』

リヴァイ『そうか…』


グリシャ『もう、時間がない』


グリシャ『これを』

グリシャ『薬だ…これで巨人化できる…』

リヴァイ『わ、わかった』



少女(そして後日、王により壁を作る計画が発表された…)

少女(しかし)

リヴァイ『な、なんで…』


少女『……』


少女『もう、いやああああああああっ!!!』


少女(壁を登ってこれる獣の巨人に、なす術はなかった)



ーーー

獣の巨人『またおっもしろいこと考えるなー』

グリシャ『これが最善だ…』

獣の巨人『まぁゲームみたいに楽しむけど』

グリシャ『そうか…』

グリシャ『さあ、またやり直そう』

ーーー
ーー


少女『三巡目…』

リヴァイ『……』

少女『お兄様?』

リヴァイ『俺が…もっとあの時グリシャと話していれば…』

少女『……』

少女『お兄様は悪くないわ…だって、こうやって壁はできて、一応守られてる』

リヴァイ『……』

少女『もう三巡目ね…』

リヴァイ『えっ…?』


少女『?』

リヴァイ『いや…俺がわかるのは前回だけだが…その前もあるのか』

少女『えっ?』

少女(驚くことに、全ての記憶を保有しているのは私しかいなかった)



リヴァイ『一度、外に行こう』

少女『えっ?』

リヴァイ『何かわかるかもしれない』

ーーー

少女『ウォールマリア?』

リヴァイ『随分歩いたが…グリシャいるとするならなるべく奥のはず…』

?『きゃっ』ドンッ

少女『あっ、ごめんなさい』

ミカサ母『こらっ、ミカサ余所見しないの!』


ミカサ母『!!』


ミカサ母『あなたたちは…』

ミカサ母『ごめんなさい…グリシャ様のことはわからないの…たまに会いにくるけど、どこから来てるのかは…』

リヴァイ『そうか…』

ミカサ母『あなたたちも、私と同じ…前の記憶を持ってるの?』

少女『はい…あなたも?』

ミカサ母『ええ…グリシャ様が何かを作っていたのは知っていたけど、まさかこんなことになるなんて』

ミカサ母『ごめんなさい』

少女『過ぎたことを言っても仕方ないわ』

リヴァイ『ああ。今は協力すべきだろ』

ミカサ母『そうね』

ミカサ母『私が知っているのは、


獣の巨人は壁内の人々をある程度残すことで、世界を滅亡させる気はない。

この世界には、まだ知性を持った巨人がいる。

どうやら、転生の原因はそちら側のようだ。』


少女『どうして?』

ミカサ母『一つは今もこうして人類は生きているから』

ミカサ母『二つは見たから…それに三つは、私たちは強く思うことで願いを届けるでしょ?』

ミカサ母『グリシャ様は常に世界の転生を望んでいる様子だし、私ではない』

ミカサ母『純血じゃないミカサな訳ないし…』

ミカサ『?』

ミカサ母『なら、あなたたちだと思って』

リヴァイ『お前じゃねぇのか…』

少女『えっ?私?』

リヴァイ『ああ、お前だ』

少女『どうして…』

リヴァイ『全て覚えてるんだろ?』

リヴァイ『それに…家臣のやつらが、お前はとても力が強いから家から出せないって…』

少女『なにそれ…』

ミカサ母『ちょっと気になるわね』

ミカサ母『あなたにはこの世界は三回目に見えるの?』

少女『実際そうよ』

ミカサ母『ほんとう…私も前回しかないのに』

少女『!?』

少女(結局時間が来て、この話は終わった)


少女(そして、事件は起こった)




ヒストリア『お嬢様!』


少女『いやっ…離して!!』


少女(なぜか、私が転生を原因だという可能性が高いことを知らされていたのだ)

少女(そして私は…処刑されることとなる)

今日もありがとうございました。

これで終わりです。

再開します

リヴァイ『ふざけんな!!』

ヒストリア『若君様!落ち着いてくださいっ』

リヴァイ『落ち着いてられる訳ねぇだろうが…』

ヒストリア『…どうしてお嬢様が…』

リヴァイ『あいつがこの世界の秘密の元凶だから、だ』






ヒストリア『それって…巨人のこと、ですか』

リヴァイ『!?』

ヒストリア『えっ…その最近思い出してきて…違いますか』

リヴァイ『そうか…お前はその、妾の子供だから、血が薄いから、記憶の戻りが遅いのか』

ヒストリア『まだ記憶がある人はいるのでしょうか』

リヴァイ『……』

リヴァイ『敵国の、子供だ』

ヒストリア『敵国?』

リヴァイ『一人はミカサってやつで…だが、敵国の王にも子供がいると聞いた』

リヴァイ『…お前ぐらいの年のやつだ』

リヴァイ『あとはあいつ…敵国の巫女ってやつだ』

リヴァイ『聞きにいくしかねぇな』

ヒストリア『私も行きます!』

ーーー

ミカサ母『えっ…あの子が、処刑!?』

リヴァイ『てめぇ、まさか王政府に情報を流したんじゃねぇだろうな…』

ミカサ母『それはないわ!グリシャ様には話をしたけど…』

リヴァイ『あいつか…っ!』

ヒストリア『待ってください!その人は敵国の王様なのに、どうしてこちら側と繋がっているんですか!』

リヴァイ『……』

ミカサ母『…それはわからないわ』

ミカサ母『それに、ミカサは確かに最近記憶が戻ったみたいで…とても怖がるのだけど…』

ミカサ母『グリシャ様の息子…エレン様はどうなのか…しばらく会っていないから』

ワーワー

ギャー



リヴァイ『!?』

ミカサ母『なに!?』


ミカサ『お母さんっ!』

ミカサ『巨人…いっぱい!!』




ミカサ『お母さんっ…怖い!』

ミカサ母『どうしたの?ミカサ!』




ドドドドドド



リヴァイ『……!』


リヴァイ『な、なんだあれは…』



ヒストリア『獣じゃないっ…』




ドドドドドドドドドドドド





少女『また…またなの…?』

ーーー
ーー



リヴァイ『うっ…』



少女『……』


リヴァイ『また…転生か…』


少女『そうね…けほっ、けほっ』

リヴァイ『風邪か?』

少女『…さあ、あまり体調がよくないのよ』

リヴァイ『…今回の世界を確認してくる』


ーーー

リヴァイ『兵団?』

ミカサ母『ええ。今度の世界は巨人と戦っているみたいなの…その、獣以外もいるから』

リヴァイ『あれがなんなのか…結局わからずじまいかよ…』

ミカサ母『間違いなく、グリシャ様が関わっているのだろうけど』

リヴァイ『くそっ…あいつ、どごにいやがる!』

ミカサ母『そういえば、気付いた?今回、随分年を取ったことに』

リヴァイ『?』

リヴァイ『…本当だ…』

ミカサ母『……あの子は大丈夫なの?妹さん』

リヴァイ『…いや、そろそろ捕えられる頃だろうな』

ミカサ母『巨人と戦うすべが見つかった以上、世界の終わりは引き延ばされたかもしれないわ』

ミカサ母『けど、あの子が死んだら…転生もできないんじゃないの?』

リヴァイ『…!』


リヴァイ『止めてやるっ!!』



バッ



ミカサ母『あっ!ちょっと!!』


ミカサ母『……』


ミカサ父『また彼か?』

ミカサ母『なにか力になってあげれればいいけど…』



トントン


ミカサ父『?』

ミカサ父『誰だ……うっ』



ミカサ母『!!?』


人攫い『いたぞ!!』

ミカサ母『そ、そんなっ…』

ーーー

リヴァイ『はぁっ…はぁっ…待て!!』


少女『お兄様…』


ヒストリア『若君様…しかし、お嬢様の処刑は…』


リヴァイ『くそおおっ!!』

リヴァイ『そうだっ…王!王の所までっ!』



ーーー

臣下『い、いくらレイスのご子息といえど、王への謁見には!』

リヴァイ『うるせえっ!離しやがれ!!』


バンッ


王『……』

リヴァイ『っ!』

リヴァイ『なに考えてやがる…っ!』

王『なにを…とは?』

リヴァイ『あいつを処刑して…この世界を滅亡させる気かっ!』

王『滅亡…?平定と言って欲しいな』

リヴァイ『は…?』

王『私は約束したのだ、ここの民衆を全て巨人に変え…巨人の王国を作りあげると!』

リヴァイ『……』

王『実験は成功だ…ある村を全員巨人化したところ、知性がないので世界は滅亡してしまったが…』

王『あの獣の…巨人を操る力を使えば大丈夫だ!』

リヴァイ『…獣は人類の敵だろうが…!』


グリシャ『それは私が説得した』


リヴァイ『!!』

リヴァイ『やっぱりてめぇ、繋がってやがったか…!』


グリシャ『壁は作られ、巨人を人が支配する最強の国もできる…いいじゃないか』


リヴァイ『よくねぇだろうが…!』


リヴァイ『だから、あいつはいらねぇってことかよ!』

王『そうだ…あのレイスの名無しの女め、いつも計画が完成する直前で転生をしてしまう』

王『おかげで計画がどうなったかわかる前に私は元に戻ってしまう…』

王『困るんだよ』

リヴァイ『…やめてくれ』


王『?』

リヴァイ『あいつを殺すのは…だめだ』

王『それはできない』

リヴァイ『なんでもする…俺はあいつとの約束を守りたい…』

王『いいや、無理だ』

リヴァイ『……』


リヴァイ(世界は…終わるのか…)

グリシャ『王、こうするのはどうでしょう』

リヴァイ『!?』

グリシャ『彼を、調査兵団に送りましょう』

王『ほう…』

グリシャ『妹のほうはシーナの奥深くに閉じ込めて置けばいい』

グリシャ『監視には…あぁ、適役がいる』

グリシャ『次期団長候補に名高いエルヴィン…彼なら冷徹かつ完璧に監視するだろう』

王『なるほど…』


王『ははっ!おもしろい!いいだろう!』

リヴァイ『調査兵団…?』

グリシャ『捨て身で壁の外に行く兵士だよ』

グリシャ『その死亡率、四年で九割』

リヴァイ『!!』

グリシャ『君がもし賭けに勝ち、巨人を殲滅させられたら…その時は潔く負けを認め、巨人のいない世界を謳歌しよう』

王『滑稽なゲームだな、グリシャ!私に楯突く者にはいい罰だ…』

リヴァイ(戦って…勝つしかない)








リヴァイ『わかった…』




リヴァイ『やってやる』

エルヴィン『はじめまして…分隊長のエルヴィン・スミスだ。名前はなにかな?』

リヴァイ『ねぇよ』

エルヴィン『ん?そうなのか』

リヴァイ『……』

リヴァイ(ここが調査兵団か)

リヴァイ(あの飛び回ってるやつが立体起動装置…)

リヴァイ(前回にはなかった代物だ)


エルヴィン『君は地下街のゴロツキだったそうだね』

リヴァイ『ああ』

リヴァイ(そんな設定なのか)

エルヴィン『君には私が付きっきりで監視を行わせて貰う、いいね』

リヴァイ『勝手にしろ…』

獣の巨人『ほーんと変なことばっか考えるねー』


グリシャ『仕方ない…これも私の世界のためだ…』

グリシャ『あの王…私の本当の目的に気づきもしない…本当に馬鹿なやつだ』

グリシャ『あの兄妹には、とことん付き合ってもらう』


獣の巨人『怖いねー』


グリシャ『…勝手に言え』


グリシャ『私は過ごしたいだけだよ…』




グリシャ『もう一度、カルラと、エレンと』

ーーー
ーー



リヴァイ『!!!』


少女『っう…げほっ、ごほっ…』


リヴァイ『お、おい!』

少女『ああ…起きたのね…また、時間は遅れてるみたい』

リヴァイ『それより…平気なのか』

少女『…………』


少女『この、転生…思ったより身体に負担が大きいみたい…どんどん体調が悪くなってくるわ』

リヴァイ『じ、じゃあ…この転生を早く止めねぇと…』



少女『私が死ぬのが先か…世界が救われるのが先か…ってとこね』


リヴァイ『!?』

少女『この世界は…どうなってるのかしら』


リヴァイ『そうだ…俺は調査兵団に入った。巨人と戦うために』

少女『…は?』

リヴァイ『巨人を殺す方法が、前回の世界から見つかっていた。不利だが…一方的はなくなった』


少女『それ…詳しく聞かせて』

ーーー


少女『ちょっとずつ、人は進化してるのね』

リヴァイ『みてぇだな』

少女『ごほっ、ごほっ…けど…また時間が進んだわね…昔に戻る力が無いんだわ…』

リヴァイ『だが、お前はここにいるだろうが』

少女『時間の問題でしょうけどね…まだ、私が世界に干渉できる証よ』

少女『ただ、できてあと二回ほど…それ以降は、お兄様が調査兵団に入った後から始まる可能性のほうが高い』

リヴァイ『それまでに、終わらせればいいんだろ』


少女『ふふっ…そうね』

少女『ああ、そうだ』

リヴァイ『なんだ』

少女『名前を付けてあげるわ』

リヴァイ『名前?』

少女『別のとこに行くのだから、名前が必要でしょ?』

少女『そうね…』


ーーー
ーー


エルヴィン『き、君は……?』



リヴァイ『調査兵団に入れてくれ。立体起動は使える』

エルヴィン『……えっと…』


リヴァイ『いいからやらせろ!』

エルヴィン『だれだ、君は…』


リヴァイ『俺か?俺は……』





リヴァイ『リヴァイだ』

リヴァイ(立体起動は身体に染み付いていた)

リヴァイ(多少使い勝手は違うものの、俺はエルヴィンに下る形で調査兵団に入る)

リヴァイ(不思議なことに、この民衆の違いは記憶の有無だけで、転生しても顔は変わらないらしい)



リヴァイ(あの巫女のとこへ行かなくては……)




ーーー



リヴァイ『なっ…』


リヴァイ『死んでる…』


リヴァイ『またあいつか…!!』

グリシャ『こんばんは』

リヴァイ『!?』

グリシャ『やはり来たね』

リヴァイ『てめぇが殺したのか!』

グリシャ『いいや、やったのは人攫いだよ…最後の東洋人だからね』

グリシャ『全く…ひどいことを』

リヴァイ『……!』

グリシャ『さて…もう行こう』

グリシャ『エレンとミカサが待ってるから』



ザッザッ



リヴァイ『待て!』




リヴァイ『くそっ…どこだ』




リヴァイ『……』

リヴァイ(そして、一年が経った)



リヴァイ『……っ!!』




リヴァイ『獣でも…通常種でもない…』



超大型巨人『……』




リヴァイ『ふざけんな…次から次へと!!』





リヴァイ『うああああああああああああああああああっっっ!!!』





ーーー
ーー


リヴァイ(それ以来、俺たちの世界の始まりは俺が兵団に入ってからとなった)

リヴァイ(妹と会うこともなく、さらに増えた知性巨人という敵)

リヴァイ(俺の転生回数は、二桁になろうとしていた)

エルヴィン『この世界の全てに絶望したような目だね…』

リヴァイ『元々だ、だまれ』



リヴァイ(これで何回目なのだろうか…俺にはわからない…が)

リヴァイ(あいつと会わない世界を、かなり繰り返している気がする…)


リヴァイ(ついには、俺を人類最強と呼ぶやつまでではじめた)

リヴァイ(確かにまた、動きがはやくなった気はするが)

リヴァイ(前回から蓄積、前々回から…といったとこか)

リヴァイ(記憶は前回しかないが…おそらく前々回の部分も、派生して前回と繋がる)

リヴァイ(そういったとこだな)

リヴァイ(だが…)




リヴァイ(仲間が欲しい……)



リヴァイ(エルヴィン…そう、エルヴィンだ)



リヴァイ(監視員だが…あいつはいつも信用できる)

リヴァイ(仲間…か)

リヴァイ(俺は既に…心では負けたのかもな)



リヴァイ(いや…)


リヴァイ(負けない…!)


リヴァイ(こんなクソみてぇな世界に、負けてたまるかーーー!)

ーーー

エルヴィン『にわかには信じ難いが…』


リヴァイ『…わかってる。ばかみてぇな話なのは』


エルヴィン『いや、信じよう』

リヴァイ『!!』

エルヴィン『なぜゴロツキの君がいきなり私の元に来るのか…それから王政府には監視命令が出される…おかしいとは感じていた』

エルヴィン『それに、リヴァイが私にわざわざ嘘をつくメリットがない』


リヴァイ『それで納得するんだから恐れいるほどだ』

エルヴィン『いや…頭は追いついていない』

エルヴィン『けど…』


エルヴィン『巨人が実在するように、この世には背けたくても背けられない真実がある』

エルヴィン『我々は静かに受けいれるしかない』

リヴァイ『そうだな…』

エルヴィン『もしまた転生しても、私を頼るといい』

リヴァイ『信じてくれる保証はねぇぞ』

エルヴィン『そうだなあ…なら』

ーーー
ーー


リヴァイ『…っ』

リヴァイ『くそっ…また無理か…』




ズガアアアアン!!




リヴァイ『っ!?』


リヴァイ『ウォールマリアがっ…!』


ーーー

エルヴィン『………』

リヴァイ『エルヴィン、話がある』







ーーー

リヴァイ『ってことだ』

エルヴィン『君は嘘は付かない主義だと思っていたが?』

リヴァイ『嘘じゃねぇ。証明してやる』

エルヴィン『?』

リヴァイ『最近の悩みは髪の後退らしいな』

エルヴィン『』

リヴァイ『こう言えば信じると前のエルヴィンに言われた』

エルヴィン『…』

ーーー

エルヴィン『リヴァイ』

リヴァイ『なんだ』

エルヴィン『これは、君の言っていた人物じゃないのか?』

リヴァイ『…?訓練兵の名簿?』

リヴァイ『ミカサ・アッカーマン…エレン・イェーガー…』




リヴァイ『そうだ』



エルヴィン『やはり…』

エルヴィン『呼び出すか?』


リヴァイ『そうだな』

ミカサ『私たちに何の用ですか…』

エレン『団長に兵長まで…!』

リヴァイ『ある話について、感想を聞いてほしい』

リヴァイ『最初…巨人は…』






ミカサ『っ!つうっ!』

エレン『!?…いっ…た!』




リヴァイ『!?』



ミカサ『…』ドサッ

エレン『…』ドサッ


エルヴィン『……タイミングが違うと言っているのか』

リヴァイ『…くそ…』

今日は終わりにします

長くなってすいません。明後日には終わる予定です

読んでくださりありがとうございました

再開します

エルヴィン『とにかく、二人の記憶が戻るのを待つしかない』

エルヴィン『えっと…今まで通りに動かないと君たちの命はないんだったね』

リヴァイ『ああ…』

エルヴィン『…もどかしいだろうが、耐えどきだ』

エルヴィン『その時を待て』




リヴァイ『そうだな…エルヴィン…』

リヴァイ『お前の判断を、信じよう』



ーーー

リヴァイ(あれから三年…あいつらの卒業の日だ)

リヴァイ(あの二人は調査兵団に入ると聞いた…幸いなことに)

リヴァイ(来た……)

リヴァイ(右に一体、左に二体…)

リヴァイ『ペトラ!お前は下の兵士を介抱しろ!他は右をやれ!』


ペトラ『兵長!!』

リヴァイ(人類最強と言われるようになってから幾度目か…俺は並の兵士千人分の兵力とまで言われるようになった)

リヴァイ(二体程度、わけない)



シュッ



ズバッ!!!

リヴァイ『ちっ…きたねぇ』


リヴァイ(屋敷にいた頃はこんなもん触ったことすらなかった)

リヴァイ(屋敷だって綺麗だった)

リヴァイ(そのせいで、今でも綺麗じゃないと落ち着かない)

リヴァイ(さあ…もう戻るころだ…)



ーーー


リヴァイ『な、なんだこれは……』



エルヴィン『君の言う曰く…世界はこの段階で滅びているのでは…』



リヴァイ『そうだ…』



リヴァイ『今までは……』


リヴァイ『あの二体の知性巨人によって…』


リヴァイ『なのに………』




リヴァイ『ウォールローゼが…奪還されている、だと……』

リヴァイ(また世界が変わった)

リヴァイ(エレン・イェーガーが、巨人になった)

リヴァイ(前までにはなかった事だ)


リヴァイ(だが、もう一人…ミカサは亡くなった)




ーーー

女型『きぃやああああああああああああ!!!!』


リヴァイ『新しい…知性巨人!』


リヴァイ『くそっ…班もやられた…』



リヴァイ『女型が…エレンを連れていっちまう…!』



リヴァイ『………またっ………またか…』

ーーー
ーー


リヴァイ(何度やった?)



リヴァイ(あれから、ミカサの力ものびるようになった、その影響でミカサは後衛になり、生き残るようになったらしい)

リヴァイ(女型の捕獲もできるようになった)

リヴァイ(だが、決まって世界は滅びる)

ヒストリア『リヴァイ様…』

リヴァイ『……』

ヒストリア『お嬢様からです…もうすぐ…転生は五十に届くと…』

リヴァイ『そうか…お前はエレンとミカサの監視が目的じゃなかったのか?』

ヒストリア『確かにそれで追い出されましたけど…それでもお嬢様と話せるのも私だけですから』

ヒストリア『私は…妾の子供だから…ずっと羨ましかったんです…私はいつも、どうしたら褒められるか、そればかり』

ヒストリア『今も、きっと…あなたに褒められたいから』

ヒストリア『王に頼みこんで、お嬢様との会話の権限を頂いた』

リヴァイ『………そうか』


リヴァイ『悪いな………』

リヴァイ(エレンとミカサの記憶の戻りは比較的遅く、完全に思い出すのは世界の終盤だった)

リヴァイ(ぽつぽつと思い出したころに、俺たちは話し合いをしていた)

リヴァイ(この世界のこと、これからのこと)

リヴァイ(そのときできる最大のことを)

リヴァイ(だが、ライナーとベルトルトからエレンを奪還し)

リヴァイ(多数のけが人がでた中で、俺たちは決まって獣の巨人に襲われた)

リヴァイ(世界はそこで滅びた)

リヴァイ(あいつ曰く、ずっとここで停滞しているようだ)

リヴァイ(俺たちの希望は、絶たれたも同然だった)


ーーー
ーー


少女「これが、前回までの話ね」

アルミン「………」

ハンジ「………ちょっと、これは…」

ジャン「俺がバカになった訳じゃねぇんだよな」

少女「おかげで私は今、この通りほとんど動けないし…身体も小さいまま」

少女「本当はお兄様と年齢は変わらないのよ?」

アルミン「う、うん…」

リヴァイ「だが、今回は違うんだ…」





リヴァイ「前回の話をしよう」

とある廃墟ーーー
ーー


ミカサ「…」

ライナー「いいだろう、話す」

ベルトルト「ライナー!?」

ライナー「黙っててくれ!」

ベルトルト「!」

ベルトルト(君はやはり…仲間意識が芽生えてたんだ…)



ライナー「その昔、俺たちの先祖は戦争をしていた」

ライナー「そのとき、俺たちの国の王はあるものを開発した」

ライナー「人を、巨人化させる薬」

ライナー「その力は、投与された人間の子供へと遺伝していく」

ライナー「俺たちが、その子孫だ」


ミカサ「……!」


ライナー「俺たちの先祖はその力を使い、敵国を攻め落とすつもりだった」

ライナー「だが」

ライナー「裏切り者が現れた」

ライナー「そいつは最初で最強の巨人」

ライナー「硬化ができない代わりに、大きな戦闘力と巨人を意のままに操る力を持つ」



ライナー「獣の、巨人」



ミカサ「!!!」

ライナー「国は潰れ、俺たちは壁の中へ移った。慎ましやかに生きてきたんだ!」

ライナー「なのに、あいつは俺たちを襲ってくる!!」

ライナー「減っていく俺たちに残されたのは、世界をやり直せる力を持つ少女がいるということと、その王の名前…」


ライナー「グリシャ・イェーガー……!」

ライナー「あいつのせいで人間は巨人にされてしまう!だから、俺たちは自分たちが滅びる前に、人類を滅亡させようとした」

ライナー「だが、グリシャ・イェーガーに会えればまた違った答えがでるかもしれない」

ライナー「お前らを…殺さない、道を」


ミカサ「……」

ミカサ「それで、エレンや私を捕まえれば、グリシャおじさんをおびき出すエサに?」

ライナー「最初はエレンだったが…そうだ、それしか思いつかなかった!」

グリシャおじさんのことはぼんやりと思い出していた。


私たちの生まれも。


ユミル「なんだ、てめぇら…そんな秘密持ってたのかよ…」

ベルトルト「ただ、わからないこともあるよ」

ベルトルト「ユミル、君だ…君は僕らとも違う、無知性の巨人とも違う」

ベルトルト「君は何者だ?」



ユミル「私は…何者でもない」


ユミル「無知性の奴らのように特殊な力もなく…中途半端に知性を持った」

ユミル「実験の失敗作」

ユミル「この際だから全部話してやるよ」

ユミル「ありがたく思え」

ユミル「…まず」

ユミル「獣の巨人とグリシャは結託している」




ユミル「獣とグリシャは結託している、時々話しているのを見た」



ライナー「!!」

ミカサ「どうして!」

ユミル「あいつにはもっと違う目的があるらしいな…」

ユミル「私は、獣にずっと従ってきた」

ユミル「無知性の巨人を作り出す薬を作ったのはグリシャだ。私はその途中経過でできた失敗作」

ユミル「知性があるから扱いやすいんだろ?やたら重宝されて…ある村では薬の実験台が欲しくてエセ神様みたいなのもやらされてさ」

ユミル「ユミル様ーとか気持ち悪りぃったら」

ユミル「だが、過ごしていくうちにわかった」

ユミル「私は自由が欲しかった」

ユミル「逃げたんだ。グリシャも獣…あの猿もいないとこへ」

ユミル「そんなある日聞いた」

ユミル「貴族だが、妾の子で血がだめだから、訓練兵団に送られた奴がいると」

ユミル「せめて、世界のために死ねと」

ユミル「似てると思った…利用されて、遊ばれて、中途半端な私に」

ユミル「クリスタと、私は」


ユミル「だから私も訓練兵団に入った」

ユミル「クリスタと一緒に、自由を求めて」

ライナー「…そうか」

ライナー「やはり、あの人を呼び出…」




ズガアアアアアアアアン!!!









ライナー「!!?」

ミカサ「なに…なにが!」


ライナー「くそっ…巨人!?どうして!」

ベルトルト「とにかく戦おう!」


ライナー「あ、ああ!」



ユミル「聞いてねぇぞ…」

ミカサ「ユミルには、過去の記憶が?」

ユミル「転生か?知ってたが私にはそんな記憶はないね」

ミカサ「…そう」

ユミル「つーかはやくしねぇと私たちまで巻き添えくらって死ぬぞ!」

ユミル「くっ!この鎖、外れねぇ…まだケガも治ってねぇし、巨人にもなれないんじゃ…」

ミカサ「……なにか、なにかあれば!」






カシャン

ミカサ「!!」

ユミル「なっ……うぐっ!」




ミカサ「ユミル!」


「鎖は外れただろう?」




ミカサ「あ、あ…」






ミカサ「グリシャ、おじさん……」

グリシャ「久しぶり、ミカサ」

グリシャ「ところで…」


グリシャ「どうしてこうなったんだ?エレンは?」


ミカサ「え、エレンは…この世界では生きていない!死んでしまった…」



グリシャ「!?」

ミカサ「ここにエレンはいない…」



グリシャ「そうか…」


グリシャ「それはいけないな…」





グリシャ「とりあえずミカサは逃げなさい」

ミカサ「でも、ライナーとベルトルトは!」

グリシャ「ああ…」

オオオオオオオオオン




グリシャ「ありったけの巨人を連れてきた…命はないだろうね」


ミカサ「…!」


彼らは壁を壊した。

悪い人。倒さなくちゃいけない…



でも、話し合えたら。



彼らの世界も、守れたら。



ミカサ「……」

グリシャ「さあ、ミカサ、行きなさい」

グリシャ「ユミルは私が預かるから」


グリシャ「立体起動がないね…ああ、これが君のか」


グリシャ「…ほら」


グリシャ「私を殺そうとしてはいけないよ?いくら君とはいえ、私の力が無ければ帰れないだろ?」






リヴァイ『生きて戻って来い』





ミカサ「くっ」

ミカサ「わ、かった…」



ミカサ(ごめんなさい…ユミル、ライナー、ベルトルト)






ヒュン




グリシャ「いけないな…いけない」



グリシャ「また、繰り返さないと」

ミカサ(ここ…どこ)



ミカサ(見た感じ、ウォールマリアの辺り…?)




プシュ



トサッ

ミカサ(巨人もいるから、ガスを無駄には使えない…けど)


ミカサ(徒歩で帰るのは…)


おーい…



ミカサ「!!」



ジャン「うわっ…マジでいた!」

ミカサ「ジャン!」

ミカサ「それに…クリス、ヒストリア…コニー…」

アルミン「やあ…何時間ぶり…?」



ミカサ「アルミン…!」


アルミン「発見の信煙弾を撃つよ」



パアアアン

アルミン「えっと…色々わかるのかな?」

ミカサ「?」

ジャン「ああ、壁の秘密とか、その転生とかだよ」


ミカサ「えっ…知ってたの?」


ジャン「ついさっきな…驚きでまだ信じらんねぇが…確かに兵長の言うとおりここにミカサはいた訳だし」

コニー「俺もびっくりしすぎて逆に納得だぜ…その、俺の村も…」

ミカサ「……」

ヒストリア「全部思い出したんだね、ミカサ…ごめんね」

ミカサ「いい。あなたは悪くない…敵は別にいるから…」

ミカサ「また話すべきことも、たくさんある」

ミカサ(そうだ…私にはやるべきことがあるんだ)

ミカサ(前を向かなくちゃ、いけない…)

ミカサ(やっぱり、世界は残酷だ)




アルミン「さあ、帰ろう」

ミカサ「っ…」


クラッ




ジャン「ミカサ!!」


ミカサ「………」




ーーー
ーー



ああ、これは。


全てを聞いた時の記憶だ。



前回、エレンと傷だらけで帰ってきて。


最後の日の。



前日の、夜。

エレン『明日、だな』


ミカサ『……』


エレン『辛気臭い顔するなよ』

ミカサ『でも、私には信じられない…なんの解決策もなく、このまま戦いに挑むなんて』

エレン『そうだな…それはそうだ』


エレン『ミカサ……』


エレン『落ち着いて聞いて欲しい…』

ミカサ『なに?』





エレン『俺…頭が悪いけど、考えたんだ…』



エレン『どうして俺だけ、戦いをしているにも関わらず、戦闘力の蓄積がないのか』


エレン『リヴァイ兵長はもう…四千人とかだし、お前だって百人並の兵力だし』

ミカサ『それはあなたが巨人になれるから…』


エレン『いや、違う』

エレン『薄々気づいていたんだ』



エレン『ミカサ…』






エレン『俺は、次の世界では』









エレン『巨人化しない』

ミカサ『!!!』


ミカサ『待って…言っている意味がわからない…』


エレン『リヴァイ兵長には頼んできた。俺たちは記憶がなくなってしまうから、その前に殺してくれって』



ミカサ『なんで!!』


ミカサ『どうしてエレンが死ななくてはならないの!?』


エレン『戦闘力の蓄積がないのは俺が世界のイレギュラーだから…』

エレン『本来、俺は毎回巨人に食べられて死ぬ運命だった』

エレン『それを変えたのはあの薬…父さんの』

エレン『父さんの目的は知らないけど、俺が生きることでイレギュラーを発生させて、無理やり転生させていたんだ』

ミカサ『……証拠』

エレン『ないな…大体勘だし』


ミカサ『許可…できない』

エレン『いいや、許可してもらう』

ミカサ『絶対…許可しない!』


エレン『ミカサ』



エレン『俺はお前に死んでほしくない、幸せになってほしい』




エレン『だって…』










エレン『俺の、大切な人なんだ』

ミカサ『!!』



ミカサ『………ずるい』ジワッ



ミカサ『そう言ったら拒否できないことを、エレンは知ってて…』



エレン『死ぬ前に伝えたかったんだ』



ミカサ『私だって…私だって!』ポロポロ











チュッ

ミカサ『んっ!』


ミカサ『ん…ふっ……ううっ』



ミカサ『んっ!…ふぁっ』



ミカサ『…』ドキドキ


エレン『はは…顔真っ赤…』


ミカサ『エレンこそ…』



エレン『んーでも、一回キスしただけじゃ確かに物足りないのかなー』

ミカサ『普段とは違う人みたい…』

エレン『はあ?俺だってそれくらい考えるっつーの…純粋にも限度があるだろ』

ミカサ『……決意は、硬いの?』



エレン『冗談で言うようなことじゃない。ミカサならわかるだろ?』

ミカサ『冗談だったら…嬉しかった』

エレン『……』

ミカサ『でも、エレンに触れて、エレンの気持ちを聞いて…』


ミカサ『もっと、大切な存在になったのに…』





ミカサ『世界は残酷なんだって…わかってしまった……!!』



エレン『それでも、美しいんだよ、この世界は』

エレン『それを守るために、俺は行くんだ』

ミカサ『……』


ミカサ『そう、だね…』

ーーー

エレン『ミカサ?』

エレン『また、会えたな』



ミカサ『えっ、えっ、エレン!』


エレン『また、顔赤い…全部思い出したか?』

ミカサ『うん…』


エレン『あーーーっ!やっぱりなあー!』

ミカサ『!!』


エレン『あのあと、転生しただろ?』

ミカサ『うん』

エレン『俺さ、記憶があったんだ最初から』

エレン『だから、薬をこっそり差し替えたり、色々できたんだが…』

エレン『ああ、やっぱり自分はあのタイミングで死ぬべきなんだ、と思った』

エレン『うまーいことできてんなーって思ったよ』

ミカサ『……』


エレン『……』


エレン『はあ…ここは平坦でつまんねえよ』

ミカサ『ここ、壁の上?』

エレン『んー?多分な』

ミカサ『そう……』



ミカサ『あのっ、エレン!』


エレン『お、おう!』

ミカサ『その、エレン、好き!』


エレン『えっ、ええ!?いきなりかよ!』


ミカサ『ご、ごめんなさい…私は今しがた思い出したから…』


エレン『あー、そうか』

ミカサ『そう、それでエレン!私はあなたが好き!』


エレン『俺も好きだよ』

ミカサ『ずっと…ずっと昔から…』ポロッ


ミカサ『好きだったの……!!』ポロポロ


ミカサ『何回世界が転生しても、これだけは変わらない……』ポロポロ



ミカサ『エレン……愛してる』ポロポロ

エレン『あー泣くなよ…』


エレン『そうだな…俺もきっとそうだよ…何度生まれ変わっても、ミカサが好きだ』


ミカサ『うん』


エレン『でも……忘れなきゃな』



ミカサ『えっ?』




エレン『俺は死んでるんだ…でもお前は生きてる』


エレン『生きて、その世界で平和に暮らす』

エレン『きっと、そこに、俺はいちゃいけないから』



エレン『キスもこれっきり、抱きしめ合うのもこれっきり…最後』

エレン『そしてお前は俺の面影を忘れて生きるんだ』

キュッ



ミカサ『……』ポロポロ


エレン『な?お願いだから…』



チュッ

エレン『んっ!』


ミカサ『善処しよう…』


エレン『聞き分けが、やけにいいな』



ミカサ『私はあなたのいない世界でたくさんのことを学んだ』

ミカサ『いまはまだ、無理だけど…』


エレン『…そっか』



エレン『ありがとう』

ミカサ『いってらっしゃい』


ミカサ『いってらっしゃい、エレン』



ミカサ『しばらくそっちには行けないけど』






ミカサ『待ってて』





エレン『…』ジワッ



エレン『ああ』

ーーー
ーー


ミカサ「ん?んんう…」

ジャン「おっ!ミカサ!起きたか!」

ミカサ「あっ…」

戻ってきた。

やはり夢だったのだろうか。

あのエレンは。


ミカサ「違う…まだぬくもりが残ってる…あったかい」



ジャン「おい、ミカサ…立てるか?」

ミカサ「大丈夫」

ジャン「早速なんだが…いま次の壁外調査の会議中だ」

ジャン「行くぞ」


前を向こう。

私の意志で、守り抜いてみせる。



この世界を、止めてみせる。

今日はこれで終わりです。

今日もありがとうございました。

遅くなりましたが再開します!

ガチャ



ジャン「ミカサを連れてきました」

エルヴィン「ああ、ご苦労さま」

ミカサ(104期のみんなに、兵長、団長、それにハンジさん)

ミカサ(あれは……!)



ミカサ「アニ!」




アニ「ミカサ…久しぶり」


ミカサ「っ!」バッ

リヴァイ「待て、ミカサ…そいつは協力者だ」

ミカサ「なっ!」

アニ「そういうこと」

少女の部屋ーーー
ーー


ジャン『じ、じゃあ、エレンのやつは自ら命を絶ったってことかよ!!』

リヴァイ『ああ…本来ならあいつは巨人化の薬が投与される前に、暗殺される予定だった』

リヴァイ『だが、今回に限りエレンの奴は全ての記憶を持った状態で転生した』

少女『奇跡としか言えないわ…』

アルミン『エレン…全然気が付かなかった』

少女『世界はここまで少し違う道を辿りつつ、でも確実にやってきた…いえ、むしろ善い方向に向かってる』

リヴァイ『あとは…この後の戦いに備える』

少女『そう、それなんだけどね』

少女「アニ…彼女を仲間にしない?』

アニ『……』

ジャン『は、はあ!?』

少女『彼女は了承しているわ、ねえ?』

アニ『いいよ…協力する』

ハンジ『そりゃあ頼もしいけど…裏切らない確証がない』

アニ『それは、確かにそうだね…私はあなたたちを殺そうとした』

アニ『でも…』




アニ『どうしても故郷に帰りたかった、いつか平和に暮らしていた日々に戻りたかった!』


アニ『なのに…』

アニ『私は戦士にはなれなかった…三年は、私には長すぎた』

アニ『殺さなくちゃ、そう思うのに、思い出すのは何気ない訓練兵の思い出ばかり!』

アニ『殺したくない…もしかしたら殺さなくてもいいかもしれない』

アニ『そんなことしか考えられない』

アニ『敵意を向けられて、本当に悲しかった』

アニ『でも、同時に…』

アニ『捕られたことが、嬉しかった』


アニ『もう殺さなくていいんだって、思ったから』



アニ『そして、この子の話を聞いていてわかった』




アニ『私たちは、わかりあえると』


アニ『恨みばかりで周りが見えてなかったけど…』


アニ『結局、獣の巨人を倒して世界を止めたい』


アニ『その気持ちは、変わらない』

アルミン『アニ…』

アルミン(嘘をついているようには、みえない…)



リヴァイ『悪くねぇ…』



ハンジ『まあ、このまま待ってても負けちゃうんでしょ?』


ジャン『はぁー!賭けるしかねぇよな!』



少女『決定ね』

ヒストリア『やっぱり、アニって優しいね!』

アニ『は?』

ヒストリア『優しいよ!』

アニ『そ、そうかい…』


アルミン『アニ…!おかえり』


アニ『……』

アニ『うん』

ーーー
ーー


ミカサ「…」

エルヴィン「よって、我々はアニ・レオンハートを味方として作戦を組む」

ミカサ「わかりました」

アニ「簡単に信じたね…驚いた」

ミカサ「仲間を思う気持ち、わかるから」

アニ「…そうかい」

リヴァイ「…で、てめぇはなんかわかったのか、ミカサ」



ミカサ「…」

ミカサ「はい」



ーーー


アルミン「二人を助けたのが、グリシャおじさん…?」

コニー「えっ、俺たちが奪還したんじゃねぇの?」

ジャン「ならミカサはここにいないだろ」

コニー「…そっか!」

ハンジ「今までは私たちで奪還していたため…多くの犠牲者、怪我人が出てた」

ハンジ「だから、体勢を整えられないまま襲われ世界は滅亡した」

リヴァイ「今までは、な」


ミカサ「今回、エレンがいないことをグリシャおじさんは知らなかった…だから、私に聞きにきたんだと思います」

ミカサ「実際、質問されてます」

ヒストリア「今までとは、本当に違う世界みたい…」

アニ「ライナーとベルトルトは?」


ミカサ「わからない…」


ミカサ「けど、たぶん…」




アニ「…そう」

ミカサ「その、ごめんなさい」

アニ「あんたが謝ることじゃないよ…」

ミカサ「それに、ユミルも攫われてしまった」

ヒストリア「…」



エルヴィン「過ぎたことを後悔しても仕方ない」



エルヴィン「まず、いつものように陣形を組む」

エルヴィン「目標は、決まって攻めてくる方向、北西」

エルヴィン「向こうは巨人を増やすことが可能だ」


エルヴィン「なるべく早く出て、民衆から離れた場所で戦闘を行う」

エルヴィン「混乱を避けるため兵士たちには詳しいことを説明はできない、よって」

エルヴィン「獣の巨人の駆逐および殺害…これを作戦の名目として発表する」

エルヴィン「事情を知る君たちには、前衛の指令付近で待機」

エルヴィン「獣の巨人が現れ次第、全力で倒せ」

リヴァイ「よくやく来たな」

ヒストリア「もう負けたくないよ」

ハンジ「グリシャって人を捕まえて巨人を研究したいしねー」

コニー「よっし!やってやる!」

エルヴィン「早速準備しよう」


ミカサ「…行こう!」


ジャン「ミカサっ…」

ミカサ「?」

ジャン「そ、その…」


ジャン「もしピンチになったら助けてやる!安心しろよ!」


ミカサ「!」

ミカサ「…うん、ジャンの立体機動の技術は素晴らしい…お願い」



ジャン「!」


ジャン「おう!!」




「まってください!」

サシャ「ああっ!いたー!」


コニー「サシャ!?」

アルミン「行方不明になってたんじゃ…」

サシャ「勝手に殺さないでくださいよ!」

サシャ「確かに怪我して死ぬかと思いましたけど…」

サシャ「お父さんたちが偶然通りかかって、なんとか助かりました!」

サシャ「怪我ももう平気です!」

コニー「うああ!お前良かったなあああ!!」

サシャ「私も参加します!」



頼もしい仲間、先輩。

私はたくさんの人に助けられている。

きっとできる。

いや、必ず。



成功させよう。

ーーー
ーー



壁外ーーー


エルヴィン「ウォールローゼを突破したか…」

リヴァイ「おかしい…巨人が全くいない」

ヒストリア「獣の巨人には他の巨人を従える力があります」

ミカサ「なら、一斉に……?」







ドドドドドドドドドド



ミカサ「きたっ!!」

エルヴィン「散開!!リヴァイ…進め!!!」


リヴァイ「わかった…いくぞ」







ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド





ジャン「あれ…」


アルミン「こんなものがあったなんて…」


サシャ「お城、ですかね…大っきな…」


コニー「でけー」

ミカサ「あれ…」

ハンジ「どうしたの?知ってるとこ?」


ミカサ「わかりません…けど」

ミカサ「なにか、見覚えがある気がする…」



リヴァイ「行ってみるぞ」


ハンジ「見たところ、何もない感じだけど…」

アルミン「綺麗にされてる。これは、最近まで住んでいたから…?」

ヒストリア「そういえば、あの古城も…」

コニー「知らねぇ文字の酒があったとこだろ?」

ジャン「読めない文字、最近まで使われていた所在者不明の城…」


リヴァイ「間違いねぇな」








「その通りだ」

グリシャ「よくわかったね…さすがだ」


リヴァイ「!!」


グリシャ「ミカサ…覚えてないかな?ここ…」

ミカサ「…」

グリシャ「こっそり捕らえた人間に造らせたんだ…すごく時間はかかったけど」

グリシャ「私の国の、城だ。忠実に再現されている」



ミカサ「グリシャおじさん…」


ミカサ「なんでこんなことをするの!!」

ミカサ「お願い、答えて!」

グリシャ「…」

グリシャ「この世界の人間は、二種類ある」


グリシャ「一つは、自分の力で運命を変えられる者…ミカサや、エレンや、レイスの息子のように」


グリシャ「二つ目は…そうでないものだ」




グリシャ「カルラ…私の妻のように」




グリシャ「最初はどうにかなると思った…けれど」

グリシャ「どんな手を使っても、カルラは死んでしまった」

グリシャ「私はただ、エレンとカルラとゆっくり暮らしたい」


グリシャ「永遠に」


グリシャ「それには転生が必要だ!…だから、君たちを利用し、何度も世界を繰り返して来た」

グリシャ「いつか…エレンもカルラも死なない世界を目指して」

ミカサ「そ、そんな…」

グリシャ「レイスの姫君には悪いことをした…力を使うのには毎回大層命を削っているだろう」

グリシャ「だが…エレンとカルラと暮らすためなら、それは尊い犠牲だ」


リヴァイ「…て……てめぇ!!!」

ミカサ「グリシャおじさん…死んだ人は生き返らない!私たちは死を受け入れて…」

ミカサ「見送ってあげないと、いけない……!」


グリシャ「わからないな…」

グリシャ「大切な人といつまでも共にいたいのは、普通だろう?」

グリシャ「ああ…また君たちを殺すのか…」

グリシャ「忍びないね」

グリシャ「さあ、思う存分抗えばいい」




獣の巨人「おっ、いたー」




ジャン「でやがった!!」カシャ



ヒュンッ!




獣の巨人「うわー凄い人数じゃん…」



獣の巨人「オオオオオオオオオオッ!!!」







獣の巨人「これで…何体かくるかなー」

リヴァイ「くっ…!ミカサ!アニ!」


リヴァイ「俺らで獣の巨人を叩く!ハンジ!そっちは任せた!」

ハンジ「りょうっかい!」ズバッ




アニ「」ガブッ




カッ



女型「きいやああああああ!!!」




獣の巨人「うわー巨人だ…」


獣の巨人「めんどうだなぁ」

ヒュンッ



リヴァイ(あいつは硬化できない…)




リヴァイ(だがっ)



ミカサ「ふっ!」ズガガガカッ




獣の巨人「いったっ!痛いなこのっ!」ブゥン



リヴァイ(刃で斬りつけてもあまり効果がない…それに)



リヴァイ(腕のリーチがある分、戦いにくい!)


女型「」ドガッ!


ミカサ(間合いに入りにくいからか、アニもやり辛そうだ…!どうすればっ!)

ーーー


リヴァイ「はっ…はっ…はあ」

ミカサ「…ふぅ、…くっ…」


女型「……」



ミカサ(無知性の巨人を担当するみんなも…もう限界だ…)


ミカサ(ガスも少ない…刃も!)


リヴァイ(クソが…)

リヴァイ(少し頭を切ったか…ぼーっとする…)



ミカサ(だめなの…また、だめなの!)


獣の巨人「もう終わりかぁ…」


獣の巨人「呆気ないよねー…」


獣の巨人「じゃあ、またね」

ミカサ「!」




戦え!






戦え!!




戦うんだ、ミカサ!!!





ミカサ!!!!





ミカサ「そうだ…」




ミカサ「私はっ!!」



ミカサ「私はああああああああっっっ!!!」

リヴァイ「お、おい!」


リヴァイ(自ら間合い顔目掛けて突っ込んだ!?)



ジャン「ミカサっ!」


獣の巨人「なに…自殺?」


スッ




ミカサ「っ!!」シュルッ





バサッ




獣の巨人「!!?」

リヴァイ「あ、あれは…っ!」



リヴァイ「お前ら!!全力で削げ!!」

ジャン「わかりました!」

女型「!!」ドシンドシン





ミカサ「」ヒュンッ



獣の巨人「な、なにこれっ…布っ…!?」


獣の巨人「前がっ…」


ジャン「どりゃああああああああっ!!!」


ズバババババッ!



リヴァイ「ふっ!!!」



ギャギャギャギャ!


ジャン「腕が落ちたっ!」


女型「」バキッ!!



リヴァイ「足を蹴られて体勢も崩れた…!!」

リヴァイ「…いけ」




リヴァイ「やってくれ…」





リヴァイ「ミカサあああああああああああああああっっっ!!!!!!」



獣の巨人「なっ…まさかっ」



ミカサ「うああああああああああああああああああああっ!!!」

























ズバッ

グリシャ「そんな…」


グリシャ「そんなことが…」




グリシャ「負けた……!?」




ユミル「そうだ、あんたの負けだ…」




グリシャ「ユミル…」


グリシャ「いや、まだだ…!まだっ!」




グサッ



グリシャ「えっ………」



ドサッ



ユミル「私は…自由になるんだ」

ーーー
ーー



アルミン「ミカサっ」


ミカサ「アルミン…どうしたの?」

アルミン「こんなとこにいたんだ、って思って」

ミカサ「壁の上…なんとなく行きたくて」



アルミン「マフラー、なくなっちゃったんだね」


ミカサ「あのとき、獣の巨人に投げてしまったから」

ミカサ「破けて、もう使い物にならなくなってしまった」

アルミン「……」

ミカサ「まだ、二日しか経ってない…のに」

ミカサ「昔のことみたい」

アルミン「そうだね…」

ミカサ「アルミンは怪我、大丈夫?」

アルミン「大丈夫だよ。すぐ治る」

アルミン「グリシャおじさん行方不明のままだね」

ミカサ「ユミルも…」

アルミン「謎はまだ残っているんだね…」

ミカサ「でも、世界を止めることはできそうだ」

ミカサ「これから、残った巨人を倒さなくてはならないけど、もう増えることはないから」

ミカサ「必ず、もう世界は滅亡しない」

アルミン「あの壁の中のオヒメサマも、なんとか無事だったしね」

ミカサ「兵長と、外を見る約束が守れてよかった」





アルミン「あっ」

ミカサ「?」

アルミン「そろそろ会議の時間だ」

アルミン「ミカサも、さあ」


ミカサ「…」


ミカサ「…わかった」

その日、我々は新たな希望を掴んだ。

謎に包まれたこと、叶わなかった恋、そして、失った命。


こんなに残酷で、けれど美しい世界。


それを精一杯生きて行こう。






あなたのいない日々を。









おわり

くう疲以下略



グダグダと長くなってしまいましたが、これで終わりです!
やたらフラグ回収を忘れ話が前後してしまいすいませんでした!
それと、毎日レスをくださって人、読んでくださった人ありがとうございました!



また書いているのをみかけたら、読んで行ってください。


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    |   ! !  ゙ー‐ー----‐'"ハ ~^i  |.          |   ! !  ゙ー‐-- ̄--‐'"ハ ~^i.....|
    |ヽ ! ヽ、_ .     _ .ノ  i  \|.          |ヽ ! ヽ、_.    _ノ  i  \|
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                東京都練馬区にお住まいのG さん

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