エレン「おい、ユミル」(138)

進撃の巨人SS

初SSです。よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369676298

ユミル「あぁ?なんだよエレン、お前が私に話しかけるなんて珍しいな」

エレン「いや、まぁな、その……」

ユミル「……?つーかいつも一緒のミカサはどうしたんだよ」

エレン「……ミカサは教官に呼び出されてるから今はいねーよ」

ユミル「ふーん……あ、さてはお前」

エレン「?」

ユミル「ミカサがいなくて寂しいんだろ!悪いが私に子守の趣味なんてねーぞ」

エレン「ばっ…!ちげーよ!お前に用があんだ!」

ユミル「あ?私に用?何だよ」

エレン「あー……なんつーかよ……えーと……」

ユミル「……」

エレン「俺が言いたいのは、つまりだな……」

ユミル「……」イライラ

エレン「……その……」

ユミル「あーめんどっくせーな!さっさと言──」

エレン「来週の日曜!」

ユミル「あ?」

エレン「来週の日曜、暇か?」

ユミル「……ふざけてんのか?」

エレン「ふざけてなんかねーよ」

ユミル「おいおい、まさかあのエレンからデートのお誘いかぁ?巨人にしか興味ねーと思ってたぜ」

エレン「うるせぇ。で、どうなんだよ」

ユミル「悪いが空いてねーよ。愛しのミカサちゃんでも誘うんだな。」

エレン「そっか……分かったよ、邪魔したな」スタスタ

ユミル「あぁ……」

クリスタ「ユミル!ごめん、待った?行こ?」

ユミル「(……なんだぁ?あいつ)」ジー

クリスタ「ユミル?」

ユミル「え?ああ、クリスタか。もういいのかよ」

クリスタ「うん。何見てたの?…ってあれ、エレン?エレンと話してたの?」

ユミル「まぁ、な」

クリスタ「何の話?」

ユミル「……」

夜──宿舎


クリスタ「それ、絶対ユミルに気があるよ!」

ユミル「はぁ?エレンが私に?」

クリスタ「うん!」

ユミル「……」

クリスタ「ユミル?」

ユミル「……プッ。ダハハハ!そりゃねーって!あの巨人大好きヤローがそんな気起こすかよ!」

クリスタ「もうユミルってばそんな言い方して!」

ユミル「それに私にはクリスタがいるしな。仮にそうだったとしても浮気はしねーから安心しろ」ダキッ

クリスタ「……そっか、分かった」

ユミル「そうそう、んなこと忘れてもう寝ようぜ」

クリスタ「うん」

翌日──訓練場


ユミル「お、いたいた。クリスタ組むぞ」

クリスタ「あっ……ごめんユミル、先約があるから!」ダッ

ユミル「は?……おいクリスタ!」

ユミル「(何だよ先約って……いっつも組んでるだろうが)」

ユミル「ちっ、仕方ねえ適当に……」

エレン「おいユミル」

ユミル「ん?」

エレン「お前一人か?」

ユミル「……あぁ」

エレン「そっか、俺も1人になっちまってよ……ライナーと組むつもりだったんだけどクリスタに取られちまって……」

ユミル「(あいつ……)」

エレン「お前もクリスタと組むつもりだったんだろ?じゃあその……余り物同士組まないか?」

ユミル「……クソが」ボソッ

エレン「お、おい?」

ユミル「……分かったよ!ほら行くぞ!」

エレン「ちょ、待てって!」


     ・
     ・
     ・

エレン「…ゼェ……ゼェ……お前、やっぱやるな……」

ユミル「…ハァ……ハァ……そりゃどーも」

エレン「……もう一度行くぜ!」ギュン

ユミル「ハッ!甘いね!」サッ

エレン「なら……これはどうだ!」

ユミル「(足だと!?この技は……マズい!)」ガッ

ユミル「しまっ……(ヤベェ、地面にモロに──)」

エレン「……!」

ドガッ

ユミル「く……な、何だ?」

エレン「うぐ……」

ユミル「!?おいエレン!何で下敷きに……大丈夫か!?」

エレン「あ……が……肩が……」

ザワザワ

ライナー「おい!誰か担架持って来い!」

ミカサ「エレン!?どうしたの!?」ダッ

アルミン「エレン!」ダッ

エレン「う……」

ミカサ「ユミル、これは貴方がやったの?」

ユミル「……」

アルミン「ちょっとミカサ……」

ミカサ「答えて」

ユミル「……あぁ、そうだよ」

ミカサ「……殺す」

ユミル「っ……」ゾクッ

クリスタ「待ってミカサ!元はといえば私が悪いの!」

ミカサ「……どういうこと?」

クリスタ「私が二人を無理やり組ませたから……」

アルミン「な、何でまたそんなことを?」

クリスタ「それは……その」チラッ

ユミル「……」

ライナー「おい、喧嘩なら後にしろ。今はエレンを医務室へ運ぶぞ」

ミカサ「分かった。クリスタ、事情は後で聞かせてもらう」

クリスタ「う、うん……」

ミカサ「それとユミル、次こんなことがあったら……その時は許さない」

ユミル「……分かってるよ」

医務室


エレン「いつつ……」

アルミン「わわ、大丈夫?」

ミカサ「エレン、今は安静にしていた方がいい。脱臼してるから当分は動かせない」

エレン「はぁ、まじかよ……」

ミカサ「可哀想に。一体あの女に何をされたの?」

エレン「え?いや、ユミルのせいじゃねえよ。俺が勝手に転んだんだ」

ミカサ「……」

エレン「そんな目で見んなって、本当だよ」

アルミン「ほら、エレンもこう言ってるんだしさ、信じようよ」

ミカサ「……分かった。でも、困ったことがあったらいつでも言って欲しい」

アルミン「うん、僕も出来る限り協力するよ」

エレン「あぁ、ありがとよ。でも大丈夫だ、これでも調査兵団に入るために鍛えてるからな!」

アルミン「はは、そっか。じゃあ僕達はそろそろ戻るよ。お大事に、エレン」

ミカサ「また明日」

エレン「おう!」

ギィ……バタン

エレン「……ふぅ」

エレン「(……それにしても)」

エレン「(まさか運良くユミルとペアになれるとはな……怪我しちまったのは不運だったが)」

エレン「(不幸中の幸いってやつか……いや、幸い中の不幸か?)」

エレン「(まぁ結局この怪我でパーか……はぁ……)」

ガラッ

エレン「ん?」

ユミル「……」

エレン「ユ、ユミルじゃねーか?どうしたんだ?」

ユミル「……」ツカツカツカ

ユミル「……お前さ」

エレン「お、おお?」

ユミル「バーーーーッカじゃねえの?」

エレン「……え」

ユミル「え?じゃねえよ。自分から技掛けてきて下敷きになるやつがどこにいんだよ!」

ユミル「しかも脱臼だぁ?お前戦場でもそんなことやらかすつもりか?」

ユミル「大体なぁ、わざわざ身代わりになんかならなくてもお前の技じゃぁ怪我なんかしねーっつーの!」

エレン「う、うっせーな。しょうがねぇだろ体が勝手に動いちまったんだから」

ユミル「ちっ」

エレン「……でもよ、俺後悔はしてないぜ?」

ユミル「……は?」

エレン「お前が倒れそうになった時飛び込まなったら、まあその、確かにお前なら大丈夫だったかもしれねーけどよ」

エレン「何というか、男としてっつーか……自分の中で、後悔してたと思う」

エレン「お前の言う通り、自分で足掛けといて言える台詞じゃねーけどな、ハハハ……」

エレン「まぁとにかく、お前が怪我しなくて良かったよ」

ユミル「……」

エレン「大きなお世話かもしんねーけどな」

ユミル「……怪我人のくせに臭いセリフ吐きやがって」

エレン「怪我は関係無いだろ!?……いや、あるのか?」

ユミル「………がと…ょ」

エレン「ん?何だ?」

ユミル「……なんでもねーよ」

ユミル「コニーみたいなアホになりかけてんぞ。怪我人は果物でも食って安静にしてろ」ドン

エレン「お、サンキュー」

ユミル「私の可愛いクリスタが切り分けたんだからありがたく食えよ、じゃあな」スクッ

エレン「あ、おいユミル」

ユミル「……何だよ」

エレン「その……また一緒に訓練、しようぜ」

ユミル「……だったら早く怪我治せ、バーカ」

バタン

夜──女子寮


ミカサ「クリスタ」

クリスタ「」ビクッ

ミカサ「覚えてるでしょう?昼間の件」

クリスタ「え、えーと……なんだっけ?」

ミカサ「とぼけないで」ズイ

クリスタ「ひっ!」

ミカサ「何であの二人を組ませるような真似をしたの?」ズイズイッ

クリスタ「ひぃっ!」

ミカサ「私は別に貴方をいじめようとしてる訳じゃない。ただ理由が知りたいだけ」

ミカサ「何か後ろめたいことでもあるの?」ズイズイズイッ

クリスタ「あ、あう……」

ユミル「おい」

クリスタ「あ、ユ、ユミル……どこ行ってたの?」

ユミル「……便所だよ。で、私のクリスタに何してんだ、ミカサ」

ミカサ「……別に何もしていない。質問をしてただけ」

ユミル「そうか?じゃあその質問私が答えてやるよ」

ミカサ「……」

ユミル「こいつはエレンが私に気があると思い込んでる、だからわざとペアにするように仕向けた……これで満足か?」

ミカサ「……ユミル、あなたは……」

ユミル「……心配すんな、私はエレンと乳繰り合う気なんてねーよ」

クリスタ「……」

ミカサ「そう……」ホッ

ユミル「満足したならもう寝ろ、エレンの保護者さん」

ミカサ「……そうしよう」スタスタ

クリスタ「……本当にいいの?」

ユミル「あ?何がだよ。まさかお前私がエレンのこと好きだと思ってんのか?」

クリスタ「……だって」

ユミル「妄想もいい加減にしとけ、ク リ ス タ ちゃん。子供はもう寝る時間ですよ~ってな」

クリスタ「子供じゃないもん!もう、またすぐそうやって茶化す!」

ユミル「はいはい分かった分かったおやすみ~」

クリスタ「……おやすみ!」

早朝──訓練場


エレン「おいクリスタ!」

クリスタ「あ、エレン!もう大丈夫なの?」

エレン「まだギプスは取れねえけどな、軽い運動なら出来る」

クリスタ「そっかぁ、良かった、大怪我にならなくて」

エレン「ああ……そうそう、昨日はありがとな」

クリスタ「……え?昨日って?」

エレン「いや、昨日ユミルが見舞いに来てさ、そのときにお前果物切って持たせてくれたんだろ?」

クリスタ「え、いや」

エレン「一応お礼言っとこうと思ってさ。じゃあまた後でな!」

クリスタ「あ、うん……」

クリスタ「(………ふ~ん)」ニヤニヤ


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ユミル「ふわぁ~あ」

クリスタ「おはよ、ユミル」ニコニコ

ユミル「ん~?何だクリスタ、また早起きで馬の手入れかぁ?ご苦労なこったな……むにゃ」

クリスタ「ねぇユミル、寝起きのユミルって目がとろ~んとしててとっても可愛いよね」

ユミル「……はぁ?何だよいきなりぃ……朝っぱらから惚れ直したかぁ?」

クリスタ「うん……でも他にもユミルの意外な一面ってあると思うんだ」

ユミル「何の話か分かんねぇっ~つぅの~」ウトウト

クリスタ「そう?例えば…お見舞いに果物を切って持って行ってあげるとかしたら、惚れ直しちゃう男子もいるかもね?」

ユミル「」ピタッ

クリスタ「例えば……エレンとか」

ユミル「お、お前……」

クリスタ「意外と可愛いところ、あるんだね?」ニコニコ

ユミル「(な、なんてこった……)」

とりあえず今日はここまでです。

昼──食堂前


エレン テクテク

クリスタ「ほらこっち来るよ!早く!」

ユミル「おいクリスタ、やっぱり……」

クリスタ「ユミルだって事故とはいえ悪いと思ってるんでしょ?」

ユミル「だから差し入れしてやったんだろうが……!それで……チャラだろ」

クリスタ「でもそれ、エレンは私だと思ってるよ?」

ユミル「う……」

クリスタ「大丈夫!絶対ユミルならエレンを落とせるよ!」

ユミル「ハァッ!?誰があいつなんか……」

クリスタ「いいから行った行った!」ドン

ユミル「おわっ!……っと、おいクリス─」

エレン「お、ユミルじゃねーか。早いな」

ユミル「……………よう」

エレン「何か最近よく会うな、ハハ」

ユミル「そう、だな……」チラッ

クリスタ「(ファイト!)」グッ

ユミル「(アイツ……ぜってー楽しんでやがるな)」

エレン「で、何か用か?」

ユミル「(クソ!誰がそんなことするかよ)」

ユミル「別に用なんかねーよ、じゃあな」クルリ

クリスタ「!」

クリスタ「」フリフリ

ユミル「(……は?何だアイツ、何やってんだ?)」

クリスタ「」サッサッ

ユミル「(何の動きだよ……丸い物……?手で……切って──)」

クリスタ「」オーイ

ユミル「(皆に、言う……?……ってまさか)」ハッ

ユミル「(ク、クリスタの奴、私を脅してやがる)」

ユミル「……」ピタッ

エレン「?どうした?」

ユミル「(……ク、クソッ)」

ユミル「あ、あー!ちっ、クリスタの奴ー」

エレン「ん?」

ユミル「せっかくの休日だってのに、私をおいて他のやつと遊ぶなんて、し、信じらんねー」

エレン「……!」

ユミル「急に言うから、こ、こっちも予定ポッカリ空いちまったっつーのー……」

エレン「じゃ、じゃあさユミル!付き合ってくれよ!」

ユミル「つ、付き合う!?」

エレン「?前も誘っただろ。暇になったなら……ダメか?」

ユミル「(あ、あぁ付き合うってそういうことだったな……)」

ユミル「し、仕方ねぇーなぁ、別にいいぜ」

ユミル「(ビックリした……)」

エレン「本当か!?よし、じゃあ今度の日曜日な!」タッ

ユミル「はいはい」

ユミル「(はぁ、何でこんなことに……)」

ユミル「(付き合え……か……これってやっぱ、デー……)」

クリスタ「……ユーミル♪」

ユミル「うわっ!クリスタ、お前……」

クリスタ「上手くやったね!」

ユミル「……こんなことすんのは1回だけだからな」

クリスタ「はいはい、分かったから食堂行こ?」

ユミル「……(こいつ、こんな奴だったっけ……)」

ザワザワ

ミカサ「エレン、もう腕は大丈夫なの?」

エレン「あぁ、まだ動かせねーけど、軽い運動ならできる」

アルミン「そっか……大変だったね」

ライナー「それにしても随分派手にやったもんだな、一体何があったんだ?」

ベルトルト「訓練中に怪我したって聞いたけど……」

エレン「え?いや、俺の不注意だよ。最近寝不足だったから、ボーッとしちまってて……」

ジャン「……ハッ!情けねーねなぁ、エレンさんよぉ?」

エレン「……ジャン」

ジャン「女にこかされて脱臼だあ?お前そんなんで巨人を駆逐だのなんだの言ってんのかよ」

ジャン「巨人を倒す前に、まずは子供相手に訓練でもした方がいいんじゃねえのかぁ? 」

エレン「……てめっ──」

ミカサ「エレン、抑えて」

エレン「離せミカサ、あのヤローぶっとばす……!」

ミカサ「その腕じゃ無理」

エレン「………分かったよ」

ジャン「チッ、またそーやってミカサにおんぶに抱っこかよ!」イライラ

ジャン「お前なんて───」バシィッ

ジャン「痛っって!!何だよ………って皿!?誰が投げ……」ドカッ

ジャン「」バタッ

マルコ「ジャ、ジャン!」

エレン「な、何だアイツ?急に倒れちまいやがって」

ミカサ「どうでもいい。それよりエレン、ほら」

エレン「?何の真似だよ?」

ミカサ「その腕じゃ食べられない。私が食べさせてあげる」

エレン「はぁ?」

アルミン「(気絶してて良かったね、ジャン……)」

ミカサ「照れなくてもいい、ほら、あーん」

エレン「いや、左で食べられるし……」

ミカサ「………」

周り「(ミカサから負のオーラが……!)」

~別のテーブル~


クリスタ「ちょ、ちょっとユミル、いくらジャンだからってやりすぎだよ」ヒソヒソ

ユミル「………うっせーな、食事中に騒ぎすぎなんだよ、あのアホ共は」

クリスタ「え?ユミルもいつも騒いでるよね?」

ユミル「………」

サシャ「あの!皿が必要だったらいつでも言ってください!皿の上は私が引き受けますので!」

コニー「ていうかいきなり皿なんか投げやがって、危ねー女だな……なぁアニ?」

アニ「え?あぁ……うん、そうだね」ジー

ユミル「あ?何だよ」

アニ「いや別に……」

ユミル「……?」

アニ「あんたも可愛いとこあるんだ、と思って」

ユミル「は、はぁ!?」

ユミル「どういう意味だオイ!」

クリスタ「ユミル!」

アニ「……(分かりやす……)」

コニー「おいサシャ、今のどういうことだ?」

サシャ「さあ……ハッ、もしかして!」

コニー「どうした!?」

サシャ「きっとユミルの故郷では、皿を投げるというのが異性へのアピールなんですよ!」

コニー「な、なんだってー!!」

サシャ「ええ、つまりより遠くへ皿を投げることで……」

ヤイノヤイノ

ユミル「あいつら……」ビキビキ

クリスタ「あ、あはは……」

ミカサ「ところでエレン、明日は休日。どこへ行く?」

エレン「え、ああ……悪い、俺は行けねーわ」

ミカサ「……え」

アルミン「珍しいね、エレン。何か用事でもあるの?」

エレン「ああ、まあ……そんなとこだ」

エレン「(一応黙っておいた方がいいよな……?)」

エレン「だから悪いけど、明日は俺抜きで楽しんでくれ」

ミカサ「そう……分かった」シュン

アルミン「(一体何の用事だろう……)」

午後──訓練場


教官「──ではこれより対人格闘の訓練を始める、各自2人組でやるように」

教官「エレン・イェーガー、今日はお前は外周だ」

エレン「……はい」

教官「始め!!」


   ・
   ・
   ・

エレン「(はぁ、ユミルにあんなかっこ付けといて何だが、やっぱもどかしいな……訓練できないってのは)」タッタッ

エレン「(クソ……って、お、ユミル。相手はクリスタか)」

エレン「(……何かあいつ俺とやった時より、体の動きが鈍くねーか?)」

エレン「(………ん?あれは……)」

ユミル「ちっ、あーやられたやられた」

クリスタ「あはは……じゃあ次は私がならず者役やるね」

ジャン「おい」

クリスタ「あ、ジャン。どうしたの?」

エレン「(……ジャン?)」

ジャン「お前じゃねえ。ユミルに用がある……」

ユミル「……何だよ」

ジャン「とぼけんな。今日の昼のあれ、お前の仕業だろ?」

ユミル「……さあな」

ジャン「皆お前が投げたの見たって言ってんだよ……何のつもりだ?」

ユミル「ハッ、別に……どっかのアホが騒いでたからちょっとお灸を据えてやっただけだ」

エレン「(あいつ……何してんだ?)」

ジャン「てめえ……前々から気に食わねー奴とは思ってたがよ、ここまでとはな」

ユミル「何だよ、やんのか?」

ジャン「ああ……おいクリスタ、次のならず者役は俺だ」

クリスタ「ちょ、ちょっとジャン……」

ユミル「心配すんな、クリスタ。こんな奴にやられねーよ」

ジャン「……そうやって調子こいてられるのも今のうちだ……!!」ビュン

ユミル「!」

エレン「(やべえ!ユミルの奴、完全に不意をつかれてる!)」

ジャン「(捉えた!)」

ユミル「……」ギラッ

クリスタ「ユミル!危な……」

ジャン「(安心しな、顔は避けといてやる……)」

ジャン「よっ!!」

スカッ

ジャン「何!?」

ジャン「避け……」



ゴスッ



エレン「(……………………うわあ)」

クリスタ「(ひ、膝が……………)」

エレン「(股間に………)」

ジャン「」

ユミル「ケッ……」

クリスタ「ジャ、ジャン!大丈夫!?」

ユミル「そんなのほっとけ、クリスタ」

クリスタ「もう!ユミルってばやりすぎだよ!その……男の子の、そんなとこ……//」

ユミル「ハッ、男ってのはタフだからな。長いこと殴り合うより、急所狙ってでも早く終わらせた方がいいだろ?」

クリスタ「そう、かもしれないけど……」

ユミル「そうそう……全く私のクリスタは誰にでも優しーねぇ?」ダキッ

クリスタ「ユ、ユミル……もう……!」

エレン「(あいつ、やっぱり強えーじゃねえか……)」

エレン「(それにあの一瞬の目付き……悪いがクリスタの攻撃にやられるような奴じゃない……)」

エレン「(なんだかな……)」


夜──女子寮


クリスタ「いよいよ明日だね、ユミル!」ヒソヒソ

ユミル「……はぁ、何でお前がそんなテンション高いんだよ」ヒソヒソ

クリスタ「だってユミル、初デートでしょ?ここで頑張れば、もしかしたらエレンと……!」

ユミル「おい!勝手に決めつけんな!」

クリスタ「……え?違うの?」

ユミル「………そうだけどよ」

クリスタ「でしょ?だったら明日は私に任せて!ユミルの可愛いところ、エレンに見せつけてあげないと!」

ユミル「はぁ?クリスタお前……何考えてる?」

クリスタ「ん?それはね………」

クリスタ「明日のユミルの服のぉ……コーディネート♪」ニコッ

ユミル「べ、別にいいだろいつも通りで……」

クリスタ「ダメ!せっかくスタイルいいんだから、目一杯お洒落しなきゃ!」

クリスタ「うーん……そうだなぁ……やっぱり下は明るめで……いやでもこっちの爽やかなのも……」ブツブツ

ユミル「……悪い予感しかしねえ」

ミカサ「………」ガチャッ

クリスタ「あ、ミ、ミカサ……お帰り。」


ミカサ「何が?」ミカサ「……ただいま。何をしているの?」

クリスタ「え、あ、あーこれ?たんすの整理だよ!」

ミカサ「……そう」

ミカサ「(怪しい……)」

ミカサ「………エレンが」

クリスタ&ユミル ビクッ

ミカサ「明日は用事があるらしい……二人とも、何か知らない?」

クリスタ「……さ、さあ?分かんないかなー」

ミカサ「……ユミルは?」

ユミル「……そんなに気になるんなら本人に直接聞けばいいだろ」

>>51
ミスです。修正

ミカサ「……ただいま。何をしているの?」

クリスタ「え、あ、あーこれ?たんすの整理だよ!」

ミカサ「……そう」

ミカサ「(怪しい……)」

ミカサ「………エレンが」

クリスタ&ユミル ビクッ

ミカサ「明日は用事があるらしい……二人とも、何か知らない?」

クリスタ「……さ、さあ?分かんないかなー」

ミカサ「……ユミルは?」

ユミル「……そんなに気になるんなら本人に直接聞けばいいだろ」

ミカサ「エレンは、教えてくれない……」

ユミル「……あいつだって子供じゃねーんだ、人に言えない用事の一つや二つぐらい、あるだろ」

ミカサ「そう……例えば、どんな?」

ユミル「……それは自分で考えるんだな、エレンの保護者さん」

ミカサ「………保護者ではない、でも家族。……はぁ、私はもう寝る。おやすみ」

クリスタ「う、うん……おやすみなさい」

ユミル「(家族……ねぇ。フン、どうだかな)」

───翌日



ユミル「お、おい本当にこんな格好で行くのかよ」

クリスタ「大丈夫!ばっちり可愛いよ!」

ユミル「……お前、何かキャラ変わってきたな……」

クリスタ「ほら早く!初デートで遅刻しちゃ駄目だよ!」

ユミル「だからデートじゃねーっつn……押すなってば!」

クリスタ「はいはい、エレンによろしく!」

クリスタ「いってらっしゃーい」フリフリ

ユミル「……あぁ」

ユミルの再現が上手いだけに他のキャラの違和感が勿体無いな……
ミカサとアニ辺りが特に

一旦休憩です。レスつけてくださった方ありがとうございます。

>>55
なるほど、ご指摘ありがとう!精進します

いや、自分では気付かなかいこともあるのでご指摘はありがたいです!
自分もキャラが自然なSSが好きですし、そういうSSがもっとあったらいいなって思って書き始めたので…
たかがSSと言われれば、それはそうなんですが…

クリスタ「ユミル…頑張ってね」

ミカサ「何を?」

クリスタ ビクッ

クリスタ「ミ、ミカサ…」

ミカサ「どういうこと?何でユミルだけ出掛けたの?」

クリスタ「そ、それは…」

ミカサ「教えて、クリスタ…心配しなくても、他の人に言い触らしたりはしないから」

ミカサ「ただ…「私が」知りたいだけ」

クリスタ「わ、分かった…(ユミル…!ごめん…!)」

あ、ネタバレ注意コメ忘れてました…ここから先、10巻のちょっとしたネタバレあるので、アニメ派の方はご注意を

───街



エレン「ユミルは…っと、まだ来てないか」

「おい」

エレン「ん?…っていたのかよ、全然気付かなかったぜ」

ユミル「は?」

エレン「何だよ」

ユミル「気付かなかったってお前、視野狭すぎだろ…私は5分前にはいたぞ」

エレン「あ、あー…視野ってよりも、その…」チラッ

ユミル「?」

エレン「お前がいつもと違うから…その…服もお洒落だし。あ、あと薄っすらだけど、化粧してんだろ?」

エレン「なんつーか…綺麗になってて、気付かなかった」

ユミル「なっ…」

バシィ

エレン「痛って!」

ユミル「真昼間から盛ってんじゃねーよ、ほら行くぞ」

エレン「そんなんじゃねーって!おい、待てよ!」

ユミル「……//」スタスタスタ

ン?オマエカオアカイナ、ドウシタ?
ウッセーナ、ナンデモネーヨ


ミカサ「……」

アルミン「ねえミカサ、やっぱりこんなこと…」

ミカサ「勘違いしないで、アルミン。これはあくまでもエレンの警護。他意があるわけじゃない」

アルミン「(だったら僕、必要ないよね…)」

クリスタ「あっほら見て!お店に入って行くよ!」

アルミン「(何だかんだクリスタもノリノリだし…)」

ミカサ「…!後を追う!」

アルミン「(はぁ…貴重な休日が潰れていく…)」ホロリ

ユミル「っへぇ~」

エレン「何だよ、どうかしたか?」

ユミル「いや、お前にしては中々良い店知ってんじゃねーかと思ってな」

エレン「何だよ、俺にはしてはって…」

ユミル「あ、気に障ったか?悪かったよエレンお坊ちゃん?」ナデナデ

エレン「頭撫でんなっつの!はぁ、いいから席着こうぜ」

ユミル「はいはい」




クリスタ「なんだか良い雰囲気だね、あの二人!」

ミカサ「いや違う、今エレンは嫌がっていた。早くこんなところ離れてミカサに会いたいという顔をしてる」

クリスタ「え、違うよ、照れてるだけだよ!…ね、アルミン?」

ミカサ「エレンと私たちは昔からいつも一緒だった。アルミンならエレンの本当の気持ちが分かる…でしょ?」

アルミン「え、えーと…どうかな…ハハ」

クリスタ&ミカサ「「アルミン」」

アルミン「(誰かた、助けて…!)」

カランカラン

ユミル「ふ~食った食った!」

エレン「お前なぁ…どんだけ食うんだよ」

ユミル「いや~エレン様々ってな!ご ち そ う さ ま♪」

エレン「まぁ別にいいけどよ…」

ユミル「…ま、奢られっぱなしも流石に悪いしな。お礼に何かしてやるよ」

エレン「何かってなんだよ…」

ユミル「さあな?お前今日やりたいこととかないのかよ?付き合ってやるぜ」

エレン「そう、だなぁ…何でもいいのか?」

ユミル「ん?あぁ、私にできることならな」

エレン「そっか…」

ユミル「私の気持ちが変わらない内に早く考えな~」

エレン「じゃあ…」

ギュッ

エレン「…今日一日、これな」

ユミル「…は?」

エレン「お前が言ったんだから、ちゃんと守れよな」

ユミル「はああああああ!?」

エレン「うるせーな、行くぞ!」グイッ

ユミル「(な、何だそりゃ…こいついつもそんなこと考えてたのかよ?)」

ユミル「お、おい引っ張んなよ!」

エレン「(ヤ、ヤベェ…勢いでやっちまったけど、これ…)」

ユミル「(ク、クソ…恨むぞ、さっきの私…ていうかこんなの…)」

エレン&ユミル「(恥ずかしすぎんだろぉ!//)」

クリスタ「きゃっ、エレンって意外と積極的だね…!//」

ミカサ「アルミン、あれは一体何をしているの?私には二人が手を繋いでいるように見える…でも目的が分からない、一体何のために…」

アルミン「普通に繋ぎたいからだと思うよ…」

ミカサ「それはありえない。何故ならエレンだから…エレンがユミルを好きになるはずがない…エレンに恋愛はまだ早い」

クリスタ「ちょっとミカサ、ユミルだって魅力的な女の子なんだよ!エレンが好きになってもおかしくないよ!」

ミカサ「…でも…」シュン

アルミン「(…!ミカサ、君は…)」


───公園


エレン「ふ、ふぅ、大分歩いたな…ちょっとここらで休むか」

ユミル「あ、あぁ…」

エレン「お、ベンチがあるな、座ろうぜ」ストン

ユミル「ふぅ…」

エレン「……」

ユミル「……」

エレン&ユミル「(き、気まずい…!)」

ユミル「(結局座っても手繋いだまんまかよ…!//てかエレンの奴、そっちから繋いできたくせに意識してんじゃねーっつの…//)」

ユミル「(う、緊張したら尿意が…)」

ユミル「おい、ちょっとお前ここで待ってろ」

エレン「おい何だよ、約束破んのか?」

ユミル「違げぇーよ、分かるだろ、その…」

エレン「は?何だよハッキリ言えよ」

ユミル「~~~!//」

ユミル「便所だ、バカ!」


ガサガサ
クリスタ「エレンたち、ベンチに座ったみたいだね」

ミカサ「でもユミルがいない…どこかで何か企んでいる可能性がある。警戒しないと」

アルミン「ああ、うんそうだね…」

クリスタ「あ、戻ってきたよ」

ミカサ「ここからじゃ聞こえない。もっと近づこう」

クリスタ「そうだね…ん…もうちょっと」


エレン「痛ってぇ…」サスサス

エレン「(これで今日二回目か…ユミルの奴ちょっとは手加減しろよ…)」

エレン「(何か話題でも考えとくか…また気まずいのはごめんだしな)」

エレン「(そうだな…話題…話題…)」

エレン「(…そういえば)」

ユミル「はースッキリした…」テクテク

エレン「…ちゃんと手洗ったんだろうな?」

ユミル「お前…またぶっ飛ばされたいのか?」

エレン「じょ、冗談だよ」

エレン「…なぁ、前からちょっと気になってたんだけどさ…」

ユミル「何だよ」


クリスタ「んしょ…んしょ…よし、ここなら…」

ナッテタンダケドサ…

ナンダヨ

クリスタ「(エレンいま、気になってるって言った?なんだろう?)」



エレン「お前、訓練の時手ぇ抜いてるだろ?」

ユミル「…抜いてねーよ」

クリスタ(……え)

エレン「嘘つけ、昨日の訓練の時、お前とクリスタがやってんの見たけどよ…」

エレン「明らかに動きが違ったぜ…俺や、ジャンの時とはな」

クリスタ(……!)

ユミル「……」

エレン「確かにクリスタはお前より弱いかもしれねーけどよ…そういうのって」

ユミル「ちっ、うっせーなぁ!」

ユミル「私が訓練でどうしようと勝手だろうが…それとも何だ、私に説教でもする気かよ?」

エレン「……」

エレン「なぁ」

ユミル「…何だよ」

エレン「やっぱお前って、さ…」



クリスタ「(…何か…恥ずかしいな…私…)」

クリスタ「(勝手にユミルと対等だって…思い込んでた…)」

クリスタ「…はぁ」ポスン

アルミン「あ、クリスタ。こんな近くまで…って、その看板、危な…」

クリスタ「…え?」

ガタッ

エレン「クリスタのことが…」

クリスタ「きゃあああ!」

エレン&ユミル「……え?」

ドサッ

クリスタ「痛たたた…」

エレン「クリス…タ?」

ユミル「お前…ここで何してんだ?」

クリスタ「ユミ、ル…」

クリスタ「~~!」ダッ

ユミル「あ、おいクリスタ!」

エレン「な、何だ?何で茂みから…?」

ユミル「エレン、悪いが二人きりのデートもここまでだ、私はクリスタを追うぜ」

エレン「あ、ああ」

ユミル「ま、たまには悪くなかったぜ、じゃあな」ダッ

エレン「(やっぱり、駄目か…)」

エレン「それにしても、何であんなとこからクリスタが…」ジー

>>90 修正

ユミル「あ、おいクリスタ!」

エレン「な、何だ?何で茂みから…?」

ユミル「エレン、悪いがここまでだ、私はクリスタを追う」

エレン「あ、ああ」

ユミル「ま、あんたとのデートもそんなに悪くなかったよ、じゃあな」ダッ

エレン「(やっぱ、駄目か…?)」

エレン「それにしても、何であんなとこからクリスタが…」ジー


アルミン「(ま…まずい!ここにいたらバレる!でも動いたら音で…どうしよう…)」

ミカサ「アルミン」ボソッ

アルミン「(もういっそ潔く出て行った方が…いやでも、どうやって言い訳す─)」

ミカサ「…?アルミン。どうしたの?」ポン

アルミン「うわっ!」ビクッ

アルミン「あ…」

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-----------------------
-------------
------
---

エレン「…で?これはどういうことだ?」

アルミン「ご、ごめん、エレン…」

エレン「まあ大方、ミカサがアルミンを巻き込んだんだろ?」

ミカサ「……」

エレン「…はぁ」

エレン「薄々気づいてたけど、お前昔っから俺のことになると常識ねーよな…」

ミカサ「…エレン、色仕掛けに惑わされてはいけない。エレンに恋愛はまだ早い」

エレン「お前なぁ、俺だってもうガキじゃねーぞ…分かってんだろ?」

ミカサ「…エレンはまだ、子供…」

エレン「お前…いい加減に…!」

アルミン「ちょ、エレン、ストップ!」ヒソヒソ

エレン「あ?何だよ…」

アルミン「いいからこっち来て!」ヒソヒソ

アルミン「ごめんミカサ、ちょっとエレンと話があるんだ…」

ミカサ「…うん、分かった」


   ・
   ・
   ・


エレン「何だよアルミン、どうした?」

アルミン「うん…ミカサのことなんだけど…」

──郊外


ユミル「──おい、クリスタ!待て!」

クリスタ「…ハァ…ハァ…こ、来ないでったら……!」

ユミル「そういう訳に…いくか!」ガシッ

クリスタ「きゃっ!」

ユミル「ゼェ…ゼェ…お前、意外と逃げ足速ええのな…」

クリスタ「……」

ユミル「で…何しに来たんだよ」

クリスタ「……」

ユミル「何だよ、だんまりじゃ分かんねーよ」

クリスタ「ミカサが…」

ユミル「ミカサぁ?」

クリスタ「ミカサに…バレちゃって…その…今日のこと」

ユミル「ちっ、マジかよ…それで?」

クリスタ「エレンが心配だから後を付けようって…で、私も心配だったから…」

ユミル「エレンがか?」

クリスタ フルフル

ユミル「私…か」

クリスタ「……」

クリスタ「…ねえユミル」

ユミル「…何だよ」

クリスタ「訓練の時手、抜いてたって本当?」

ユミル「……」

ユミル「…お前…聞いてたのか…」

クリスタ「…何でそんなことしたの?」

ユミル「…それは、……」

ユミル「…対人格闘なんざ大して点に入らねーだろ、まともにやる意味なんか…」

クリスタ「…嘘。それでも私にわざわざバレないようにやる必要、ないでしょ」

クリスタ「…確かに私は強くないかもしれないけど」

クリスタ「それでも一生懸命やってきたし、もしそれで兵士になれなかったとしても、仕方無い…って思う」

クリスタ「それは、やれるだけのことをやった結果だから…」

クリスタ「でも、ユミルは違ったんだね」

ユミル「……」

クリスタ「私、いくらユミルが私より強くたって、逃げたりしない」

クリスタ「実際今まで、お互い全力で切磋琢磨してたって、信じてた…心の底からぶつかりあえる仲だ、っ

>>97 修正

クリスタ「実際今まで、お互い全力で切磋琢磨してたって、信じてた…心の底からぶつかりあえる仲だ、って」

クリスタ「なのに…」

ユミル「クリス──」

クリスタ「ユミルのこと…親友だ、って思ってたのに…」ポロポロ

ユミル「…!」

クリスタ「…う」

クリスタ「グス…ヒック…」

ユミル「クリスタ!」ギュッ

クリスタ「……」

ユミル「違うんだ、私…」

ユミル「なあ、何で私が訓練兵になったんだと思う?」

クリスタ「グスッ…え……?」

ユミル「お前だろ?家から追い出された妾の子ってのは…」

クリスタ「…何で…それを…」

ユミル「…やっぱりな。聞いちまったんだ、とある教会で」

ユミル「安心しろ…誰にも話したりはしないよ」

クリスタ「…じゃあ…私を探すために…訓練兵に…?」

ユミル「…ああ」

クリスタ「でも、何でそんなこと…」

ユミル「……」

ユミル「…似てたから、かもな」

クリスタ「似てたって…生い立ちが?」

ユミル「まぁ、な…」

ユミル「…私も」

ユミル「…私も同じなんだ、お前と」

クリスタ「え…」

ユミル「……」

ユミル「ただ存在するだけで世界に憎まれた」

ユミル「私は…大勢の人の幸せのために…死んであげた」

ユミル「…ハッ、そんな境遇の奴、国中探しても私とお前しかいないだろーぜ」

ユミル「だからかもな…そんな私と似たお前を失うのが、怖かった」

ユミル「…さっきお前に言われて、気づいたんだよ」


ユミル「私は…お前と友達になりたかったんだ」


クリスタ「…う」

クリスタ「うわあああああん!」ポロポロ

ユミル「ごめんなクリスタ…ごめん」ポロポロ

───公園



エレン「ミカサ」

ミカサ「…何?」

エレン「お前、怖いのか?」

ミカサ「…何が言いたいのか、分からない」

エレン「……」

エレン「だから、その、怖いんだろ?つまり…俺が離れちまうのが」

ミカサ「…そんなことない。エレンは自意識過剰。なのでまだエレンに恋愛なんて──」

エレン「はぁ、どういう理屈だよ…完全に拗ねてんな…」

ミカサ「……」

ミカサ「…エレンは」

エレン「ん?」

ミカサ「エレンは…怖くないの?」

ミカサ「家族と…離れるのが」

エレン「……」

エレン「…怖くねーよ」

ミカサ「…そう」

ミカサ「でも私は、エレンみたいに強くない…」

アルミン「(ミカサ…)」

エレン「……」

エレン「…はぁ、お前、勘違いしてんぞ」

ミカサ「…え?」

エレン「俺が怖くないのはな…家族を失ってもいいからじゃない」

エレン「…何があってもそんなの有り得ねーからだ」

エレン「…おい、ミカサ。俺達は家族だが、アルミンだって、もう家族みたいなもんだ…違うか?」

アルミン「……」フルフル

エレン「…いいか、一度しか言わないからよく聞け」

エレン「家族ってのは、どんなに離れようと思っても離れられないから家族なんだ」

エレン「これから先…俺が結婚しようが、お前が結婚しようが、アルミンが結婚しようが」

エレン「俺たちはずっと家族だ…何があってもな…それはずっと変わらない。だろ?」

ミカサ「エ、レン…」

アルミン「…うん…そうだよ…そうだよミカサ!」

ミカサ「アルミン…」

エレン「……」フーッ

エレン「お前の居場所は、いつまでだってここある。俺が保証する。」


エレン「だから…もう怖がんな」


ミカサ「……うん」ポロ...

ミカサ「…うん……」ポロポロ

エレン「お、おい泣くなって!」


アルミン「ミカサ…」

アルミン「う…何だか僕も泣けてきちゃった…」グス

エレン「お、おい何だよアルミンまで…」

エレン「お、お前まで泣き出したら…」ジワ

エレン「つ、つられちゃうだろぉ…!」ボロボロ

アルミン「……」

ミカサ「……」

アルミン「…あ、あは、あははは!」ポロポロ

ミカサ「…くっ……エ、エレン…」フルフル

エレン「…?お、おいお前ら、何泣きながら笑ってんだよ」

アルミン「だ、だって…エレン…クク…「つられちゃうだろぉ」…って…」プルプル

ミカサ「…フフッ…エ、エレンは…フッ…昔から…言葉のチョイスが…お、おかしい…」フルフル

エレン「お、お前らなぁ…せっかく人が感動してる時に…」

エレン&アルミン&ミカサ「………」

エレン&アルミン&ミカサ「プッ」


アハハハハ!ヒデーヨオマエラ…アルミンダッテムカシ…
ハハハ…ッテ、チョ、チョットエレンソレハ!
フフ…ソウイエバアルミンハムカシカラ…

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-----------------------
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---

───宿舎


ミカサ「じゃあエレン、アルミン、おやすみ」

エレン「ああ、また明日な」

アルミン「うん、おやすみ、ミカサ」

スタスタスタ…

エレン「…なあ、アルミン」

アルミン「ん、何?」

エレン「その…ありがとな」

エレン「お前があの時教えてくれなかったら気付かなったよ…ミカサの気持ちにさ」


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アルミン「エレン…きっとミカサは、怖い…んだと、思う」

エレン「は?怖いって…どういうことだよ?」

アルミン「…ミカサさっき言ってたよね、エレンに恋愛はまだ早い、って…」

エレン「あ、あぁ…」

アルミン「でもミカサだって大人だ。エレンがもう子供じゃないってことぐらい分かってる」

エレン「じゃあ何でそんなこと…」

アルミン「…つまりミカサは、エレンが自分から離れてしまうのが…怖いんだと思う」

エレン「離れるって…んな大げさな」

アルミン「…ミカサにとっては大げさじゃないんだよ。ほら、昔からミカサって、エレンに対しては過保護だったでしょ」

エレン「…あぁ」

アルミン「エレンがミカサの命を救った日から…ミカサにとってエレンは…全てなんだ」

エレン「っ…」

エレン「アルミン、俺…」

アルミン「…大丈夫。ちゃんと話せば、伝わるよ…エレンの気持ちも」

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アルミン「…いや、いいんだよ。僕もその気持ち、なんとなく分かるし…」

エレン「そっか……はぁ」

エレン「にしてもこれで、俺の初恋も終わりか…」

アルミン「…本当にごめん、エレン。僕らが後なんて付けなければ…」

エレン「…いや、どの道駄目だったさ…お前らのせいじゃない」

エレン「ま、縁が無かったってことだな、ハハ…」

アルミン「(エレン…)」

エレン「…心配すんな!ちゃんと明日からは切り替えて──「おいエレン」

エレン「ん?何だよ…コニーか」

エレン「何か用か?」

コニー「ああ」

コニー「ユミルのヤローがエレン呼んでこいって…オイ、お前何かしたのか?」

エレン「…え?」

アルミン「…エレン」


アルミン「まだ終わってないみたいだよ…初恋」

ここで一旦休憩です。ああ、腕が痛い…


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-----------------------
-------------
------
---

──宿舎屋上



ヒュォォォォ



ユミル「……」

テクテクテク

エレン「お、よおユミル、待ったか?」

ユミル「……いや、待ってないよ」

エレン「嘘つけ、鼻真っ赤だぞ」

ユミル「……」

エレン「……はぁ、ほら、これ羽織っとけ」パサ

ユミル「……ありがと」ギュッ

エレン「っ…何だよ、今日はやけに素直だな」

エレン「(あぁ…やっぱり)」

ユミル「うっせーな…そういう時もあんだよ」

エレン「(俺、こいつのこと…)」

エレン「…で、用ってなんだよ」

ユミル「ん?ああ…そうだな…」

エレン「……」

ユミル「お前さ」

エレン「あぁ」

ユミル「私のこと好きなわけ?」

エレン「…は?」

ユミル「違う…のかよ?」

エレン「いや…なんていうか…」アセアセ

ユミル「……」

ユミル「違うならいいんだ、時間取らせて悪かったな」スクッ

エレン「ちょ……」

エレン「…そ、そうだよ!悪りぃか!」

ユミル「っ…そう、か…」

ユミル「いいのかよ、アイツは…」

エレン「え?」

ユミル「だから…ミカサだよ、ミカサ」

エレン「何でそこでミカサが出て来んだ?」

ユミル「…昔から一緒なんだろ?アイツとさ…だったら」

エレン「あのなぁ、ミカサは家族だ。だから一緒にいる。それだけだ」

ユミル「…ふーん」

エレン「ったく…何でどいつもこいつも…」ブツブツ

エレン「……で?」

ユミル「?」

エレン「…だから、俺の気持ちは分かっただろ…お前はどうなんだよ」

ユミル「……」

エレン「…はぁ。フるならさっさと──「分からねぇ」

エレン「は?」

ユミル「…分からねーな。何で私なんだ……?」

エレン「何でっ、て…」

ユミル「いるだろ、他にも…?ホラ、クリスタとか、アニとかよ…」

ユミル「…お前らみたいなのが好きな可愛い彼女になんか…なれねーぞ私は」

エレン「……」


ユミル「……」

エレン「まあ、確かにお前はクリスタみたいに小柄じゃないし、アニみたいにとびきりの美人ってわけじゃないかもしんねーけどよ…」

エレン「それでも俺は、お前が好きだ」

ユミル「っ……」

エレン「それに、俺は…いいと思うぞ?お前がその…女っぽくしても」

ユミル「……は?」

エレン「それはそれで可愛い…んじゃねーか?」

ユミル「……」

ユミル「…後悔すんなよな」

>>120 修正

エレン「…ったく、何てめーで勝手に決め付けてんだよ」

ユミル「……」

エレン「まあ、確かにお前はクリスタみたいに小柄じゃないし、アニみたいにとびきりの美人ってわけじゃないかもしんねーけどよ…」

エレン「それでも俺は、お前が好きだ」

ユミル「っ……」

エレン「それに、俺は…いいと思うぞ?お前がその…女っぽくしても」

ユミル「……は?」

エレン「それはそれで可愛い…んじゃねーか?」

ユミル「……」

ユミル「…後悔すんなよな」

エレン「しねーよ」

ユミル「…お前ちょっとそこに立て」

エレン「は?何だよ急に」

ユミル「いーから。それとあっち向いてろ」

エレン「……」クルリ


ユミル「……」ギュッ

エレン「お、おい…?(せ、背中に柔らかい感触が…)」

ユミル「…お前ってほんと、物好きで…バカだな」コツン

エレン「…ほっとけ(なんか…いつもと雰囲気が…)」

ユミル「…でも、ありがとな。あの時、かばってくれて…嬉しかった。」

エレン「い、いや…」ドキドキ

ユミル「…よく聞けよ?エレン」






ユミル「私も………好き。」ボソッ




エレン「え……」


チュッ



ユミル「……とりあえずこれで我慢しとけ。バカ//」

エレン「……やべぇ」

ユミル「……?」

エレン「人生で一番幸せかも、俺…」

ユミル「…そうかよ//」


   ・
   ・
   ・



エレン「…なぁ」

ユミル「ん…?」

エレン「さっきお前ミカサがどうとか言ってたけどよ…お前こそ、良かったのかよ?」

ユミル「良かったって…何がだ?」

エレン「いや…ほんとは今日、公園で聞こうと思ったんだけどよ…その…聞きそびれちまって」

エレン「その…好きだったんじゃねーのか、クリスタのこと」

ユミル「……」ポカーン

エレン「な、何だよ…」

ユミル「……プッ」

エレン「!?」

ユミル「ダハハハハ!お、お前今までまさかそんなこと気にしてたのか!?」ヒー

エレン「あ、あぁそうだよ…悪いか!?」

ユミル「悪いってかお前…クク…ありえねーだろ…常識的に考えて…クッ」

エレン「笑うんじゃねー!//だってお前いつも言ってるだろ…その、クリスタに…」

ユミル「あー、あれか…私のクリスタってのは、つまり…私の"親友"のクリスタってこったな!」

エレン「はぁ…なんだよそれ」ガクッ

ユミル「安心したか?」ニヤニヤ

エレン「っ…あー…安心したよ//」


ユミル「ふーん……」

ユミル「……そーんなに心配なら…さ」ギュッ





ユミル「もうずっと離すんじゃねーぞ?"私の"エレン♪」






END

終わりです。見てくださった方、ありがとうございました。

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