番長「SOS団?」(1000)

完結するまでとりあえず書く

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>うっ……。

???「おや、お目覚めですか」

>どうやら長机に突っ伏して寝てしまっていたようだ。

>見知らぬ部屋だ……ここは。それに、あなたは。

???「起き抜けに質問ですか。僕としてはこちらから質問をしたかったのですが」

>見知らぬ制服を着た学生風の男に問いかけられた。

>部屋には彼と自分しかいないようだ。

???「僕が来たときにはあなた一人で突っ伏して寝ておられましたよ」

>……。

???「困惑していらっしゃるようですし、いいでしょう。質問にお答えします」

???「そうですね、場所は県立北高です。さらに言うなれば旧校舎文芸部部室」

>北高……? 文芸部……?

古泉「……それと僕の名前でしたね。名前は古泉一樹と申します。所属は1年9組」

>どうやら、とある高校と、その生徒のようだ。

古泉「こちらからもいくつかお聞きしてもいいでしょうか」

>なんだろうか。

古泉「まずお名前を教えていただいてよろしいですか」

>自分の名前を伝えた。

古泉「ふむ、聞き覚えはないですね。
   仲間内からもこの部内でもあなたの名前が出たことはありません」

古泉「もう一つよろしいでしょうか。あなたは、北高の生徒ですか?」

>八十神高校の2年生であることを伝えた。

古泉「ヤソガミ高校……あなたの着ている制服から北高の生徒ではないことは察せましたが、
   聞いたことのない高校ですね。少なくともこの学区内ではないようだ」

>聞いたことがない……? ここは八十稲羽市ではないのだろうか。

古泉「ヤソイナバシ、それも聞いたことがありません」

古泉「どうやらあらゆる意味で僕とあなたは初対面のようだ。
   もし昔の知り合いで忘れていたのなら失礼でしたから、よかったです」

>如才のない笑みを浮かべ、ふうとため息をついている。

古泉「しかし、それはそれで困りましたね」

古泉「僕の知る限り、ヤソイナバシはこの日本には存在していない」

>……!?

古泉「しかし……おそらく、あなたの言っていることは本当なのでしょう。
   なにか犯罪的な目的でここに忍び込んでいたとしても、全く存在しない架空の地名を言う意味がない。
   逆に怪しい人物として疑われるだけですからね」

>犯罪者に見えるのだろうか……。

古泉「いえ、そのようなことは。むしろ話した限りでは正反対の印象です。
   この北高文芸部に不法侵入している一点を除けばですけどね」

古泉「詐欺師なのだとしたら、才能がおありだと思いますよ」

>あまり嬉しくない褒め言葉だ。

古泉「ふふ、冗談です」

古泉「あとは、そうですね。架空の地名を言って相手を困惑させる趣味がおありですか?」

>そんなものはないと伝えた。

>逆に、自分が騙されているのではないだろうか不安になってきた。

古泉「そうですね……あなたのおっしゃるヤソイナバシが
   存在しないことを証明することはできるかと思います」

>どうやって?

古泉「簡単ですよ、そこのパソコンから検索すればいいのです。
   幸いインターネットにも繋がっていますしね」

>借りてよいだろうか。

古泉「ええ、どうぞ。現在のこの部屋の管理者として許可しますよ」

>パソコンのある席に座り、インターネットブラウザを立ち上げ検索エンジンへアクセスした。

古泉「使い方は、わかるようですね」

>古泉一樹と名乗った生徒は後ろからパソコン画面をのぞきこんでいる。

古泉「僕のことは気にせず、どうぞ」

>……。"八十稲羽市"と、検索窓に入力し検索ボタンをクリックする。

古泉「なるほど、八十稲羽市と書くのですか」

>検索結果は、なんとゼロ件だ。

古泉「ゼロ件ですか」

>続いて、"八十神高校"と入力し検索を掛けた。

>……!!

古泉「やはり、ゼロ件ですね」

>こんなバカなことがあるのだろうか。

古泉「いえ、これはこれで有益な情報でしょう」

>どういうことだろう?

古泉「それはですね――」

ガチャ

???「よお……ん? なんだ、来客か?」

>同じように制服を身にまとった男子が現れた。

古泉「ああ、あなたですか」

???「俺じゃ不満のような口ぶりだな」

古泉「いえいえ、そんなことはないですよ」

???「ところで、こちらはどちらさんだ。
    学ラン姿から察するに北高の生徒じゃないみたいだが」

>自分の出身高校と名前を告げた。

???「わざわざ丁寧にどうも。俺は――」

古泉「彼はここのメンバーから『キョン』と呼ばれていますので、あなたもそう呼んであげてください」

>ああ、わかった。

キョン「おい、勝手に俺の呼称を決めるな」

古泉「いいではないですか。この方だけ別の呼称では混乱してしまいますよ」

キョン「ったく……この方だけって他の団員が来るまで、この人はいるつもりなのか?
    ってことは古泉、お前の客じゃないのか」

古泉「ご明察です。僕を目当てのお客様ではありません」

キョン「俺の後にくる人物の客っていうと、朝比奈さんか長門か」

古泉「おや、涼宮さんの名前は挙げないのですね」

キョン「アイツに会いたい奇特なやつがそう何人もいてたまるか。
    それにハルヒが、この見るからに普遍的な他校の男子生徒に興味を持つとは思えん」

キョン「まあ、学ランの前全開は少しロックだけどな」

古泉「少し、番長、的な雰囲気が漂っていますね」

キョン「よし、なら今から呼び名は番長ってことで。
    俺も勝手に呼び名を決められたんだ、文句は言わせないからな」

>それで構わないと伝えた。

キョン「おう、よろしくな。で、どっちだ」

>どっち、というと?

キョン「朝比奈さんと長門をどっちを待っているんだって話だ。
    ちなみに色恋沙汰を目的にしているな両方とも諦めたほうがいいぞ」

>誰のことを言っているのだろう……だがなぜか敵意を感じる……。

古泉「それは、僕からお話しますよ。推察の域を出ない話ですがね」

キョン「……はぁ? なんで古泉が話すんだ」

古泉「涼宮さんが来ないうちに話してしまいたいのですよ」

キョン「ハルヒ? あいつなら今日は来ないぞ。
    用事があるとかで終業のベルと同時に矢の如く教室を飛び出していったからな」

古泉「それは好都合です。いえ、必然なのかもしれませんね」

キョン「……? 何を言ってるんだお前は」

ガチャ

???「こんにちはぁ」

???「……」

>女性が2人が入室してきた。

古泉「これはグッドタイミングですね」

キョン「朝比奈さん、こんにちは」

???「あ、キョンくんこんにちはぁ」

古泉「彼女が朝比奈みくるさん、もう片方が長門有希さんです」

>耳打ちをしてきた。

>長門有希と紹介された寡黙な女子生徒は無言のまま部屋の隅の椅子に着席し、読書を始めてしまった。

キョン「……長門は、ちがうのか」

キョン「ってことは朝比奈さんのお客さんですか?」

みくる「お客さん?」

キョン「彼ですよ」

>敵意のない視線を向けられる。

みくる「はじめ、まして? ですよね? 朝比奈みくるです」

>ペコリとお辞儀をされた。

>初対面であることを伝え、自分も自己紹介をした。

キョン「朝比奈さんの知り合いでもないんですか?」

みくる「う、うん……」

みくる「あ、そうだ。お客様でしたらお茶をご用意しますね」

>なにやら、いそいそと準備を始めたようだ。

古泉「せっかくですし、長門さんも自己紹介なさってはいかがですか?」

>読書に向かっていた視線がこちらに向けられる。

長門「長門有希」

>それだけ言うと、そのままこちらを見つめてきた。

>自分も自己紹介をした。

長門「そう」

>……もう読書に戻ってしまったようだ。

キョン「おい、古泉、どういうことだ」

古泉「それを今から話そうというのですよ、メンバーもそろったことですしね」

みくる「あれ、涼宮さんは?」

古泉「涼宮さんは用事があってこられないそうです」

みくる「あ、そうなんですかぁ。あ、お茶です。熱いので気を付けてくださいね」

>ありがとう。

古泉「さて、これから番長氏についてお話しようと思います」

みくる「番長……?」

キョン「あだ名ですよ、学ランをロックに着こなしてるんで」

みくる「あ、キョンくんみたいな」

キョン「……そうですね」

古泉「……いいでしょうか。
   番長氏、お手数ですがもう一度出身と高校を教えていただいてよろしいですか」

>"八十稲羽市"の出身で"八十神高校"の2年生であることを伝えた。

キョン「って、上級生だったのか……ですか」

>溢れる寛容力で今まで通りでよいと伝えた。

キョン「そ、そうか。なんかスンマセンでした」

>どこか完二のようだ……。

古泉「番長氏が上級生であることはポイントではありません。
   みなさんは、この地名と高校名ご存知ですか?」

キョン「知らないな、少なくとも近所じゃないことは確かだ」

みくる「ごめんなさい、私も知らないです」

キョン「長門はどうだ?」

長門「……知らない」

古泉「ちなみに、僕も全く知りません」

キョン「お前はどこで、番長に会ったんだ」

古泉「もちろんこの部室ですよ、あなたが来る30分ほど前でしょうかね。
   時間さえ違えば僕よりあなたが先に会っていたかもしれません」

キョン「ってことは、まさか不審者なのか……?」

みくる「えっ、えっ……?」

>困惑した視線が刺さる。

古泉「そこもポイントではありません。
   それと話した印象である程度彼の人柄は分かると思うのですが」

キョン「まあ、な」

古泉「では、話を戻しますよ。このパソコンの画面を見てください」

>長門有希以外がディスプレイを見つめた。

>"八十稲羽市"の検索結果 0件
>"八十神高校"の検索結果 0件

みくる「これは……?」

古泉「つまり、このような地名と高校はこの日本に存在しないのです」

キョン「じゃあ番長がウソを吐いてるってことか?」

古泉「このようなすぐバレてしまうウソを吐く意味はありません。
   またここまで具体的な地名や高校名はとっさの嘘では出てきづらいと考えます」

キョン「ってことは……どういうことだ?」

古泉「彼は、本当のことを言っているのでしょう」

キョン「何を馬鹿な」

古泉「確かに馬鹿なことです。事実、この日本には八十稲羽市も八十神高校も存在していない。
   ですが、この状況にすっきりと説明がつく、とある説があります」

キョン「もったいぶらずにその説とやらを披露しろ」

古泉「みなさんもわかるのではないでしょうか。
   何よりこの場所に突如現れたことを考えれば察することができるはずです」

キョン「まさか……」

古泉「そのまさかです。彼は異世界人である可能性が非常に高い」

>……!

みくる「異世界人……ですかぁ」

長門「……」

古泉「涼宮さんが望む、そしてまだ唯一埋まっていないパーソナルが異世界人です」

古泉「僕は、番長氏はいわゆるパラレルワールドの住人ではないかと考えます」

>ここが、パラレルワールド……!?

古泉「番長氏からすれば、なぜこのような突飛な発想になったのか疑問に思われるかもしれませんね。
   ですが、僕たちからすればこれはほぼ当然の帰結なんですよ」

みくる「かもしれませんね」

キョン「あ、ああ……」

>どういう意味だろうか?

古泉「……お話してもよいのですが、もう少し確証がほしいのです」

キョン「長門」

長門「なに」

キョン「番長のこと、なにかわかるか?」

>なぜ彼女に聞くのだろうか……。

>長門有希はこちらをじっと見つめている。

キョン「どうだ?」

長門「わからない」

古泉「わからないというのは……?」

長門「彼のパーソナルデータを読み込むことは不可能」

>長門有希は立ち上がり、握手を求めるように手を突き出してきた。

長門「触れて」

>言われるがまま手を取って握手をした。

長門「端末である私自身がこのように彼と直接接触すれば、ある程度は読み込める。
   人体を構成する物質はあなた達人間と同じもの。心拍、脳内物質の増減、代謝、全て正常値。
   しかしそれ以上の情報を得ることは不可能」

長門「彼に対しては、情報操作も情報結合も情報連結もすべて不可能。
   情報統合思念体が私たち端末を介さず直接彼にアプローチを試みたが失敗に終わった」

長門「私自身も彼の中に不明なパーソナルデータを複数確認、解析を試みたが失敗。解析は不可能と断定」

長門「情報統合思念体はあらゆる手段を用いて解析を試みたが検出結果から有意性は認められない。
   確かに彼はここに存在している。しかし彼は存在自体の位相がすべての次元から外れている」

長門「そのため私たち端末以外から情報統合思念体が干渉することも不可能と断定」

長門「よって、わからない」

>手を解き、また読書に戻っていってしまった。

キョン「そうか……」

古泉「これは決定的といっていいでしょうね」

長門「……彼から敵性は検知できない。安心していい」

キョン「ありがとよ、長門。お前がそういうなら、そうなんだろう」

>何を言っているのかさっぱりわからない……。

古泉「なるほど、パラレルワールドというより
   完全な別世界からやってきたと考えたほうがいいようですね」

みくる「別世界の可能性は、かなり早い段階から指摘されていました。
    ですけど、結局観測はできないままでした。まさか、こんなところで……」

古泉「こちらに街単位で存在しないのです。僕らも彼の世界では存在していないのでしょう」

古泉「微細にずれた世界なのではなく、まるっきり構造が違うと判断することが賢明でしょうね」

みくる「なるほど……だから観測できなかったのかな」

>確かに、この高校名は聞いたことがない。

キョン「高校名はあまり当てにならんがな」

古泉「確かに、地名ならともかく高校名ではどうしようもないですね」

>あたり一帯の地名を聞いた。

>しかし、心当たりはない……。

古泉「ふむ、やはりですか」

>異世界と聞いて真っ先に浮かぶのはマヨナカテレビだ。

>しかし、霧もない。メガネも掛けていない。どうやらテレビの中の世界ではないようだ。

古泉「さて、長門さんのお墨付きも出たところで、
   なぜ僕があなたを異世界人であると推察した経緯を説明しましょう」

古泉「順を追って説明させていただきますので、
   できれば込み入った質問などはすべて後回しにしていただけるとありがたいです」

>わかった。

古泉「ありがとうございます。
   この部屋は先ほど文芸部部室と説明しましたが、実はもう一つの団体の部室でもあります」

キョン「SOS団、なんてふざけた名前のな」

>SOS団?

キョン「世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団、だそうだ」

>涼宮ハルヒ……? 誰だろうか。

古泉「そのSOS団は、僕たち4人と現在この場にいませんが、
   先ほど彼が述べた涼宮さんを中心とした5人の団体なのです」

古泉「何をしている団体なのかは、この際後回しにさせていただきます。
   重要なのはこの団を構成しているメンバーです」

古泉「この団体の中心人物である涼宮さんは少々特殊な力を持っていましてね。
   自らの願望を無意識のうちに叶えてしまう力を持っているのです」

最初からか
いいけど

>……!?

キョン「ハルヒの奴は、宇宙人やら未来人やら超能力者みたいな、
    未知の人種に会うことを強く望んでいる節があってな」

キョン「そのことについては俺のクラスのやつらに言質をとってもらえれば十分確認できる。
    初日にぶちかましやがったからな。忘れようもねぇよ」

キョン「で、そんときに言ったのが
   『この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい』だ」

古泉「そして、文字通り集まったのですよ、この学校にね。
   具体的なエピソードは割愛させていただきますが、僕たちは間違いなくそれぞれの属性を宿しています」

古泉「先ほどあなたと握手をした長門有希さんは、情報統合思念体を母体とするいわゆる宇宙人です」

>……!?

キョン「もっとも本人たちは、宇宙人だなんて呼び方はしていないけどな」

長門「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」

キョン「……だ、そうだ」

古泉「そして、お茶を淹れてくださった朝比奈みくるさんは未来人です」

みくる「あっ、は、はい……未来から来ましたぁ」

キョン「俺が何度か一緒にタイムリープは経験してる、それも間違いない」

>>23
途中からだと意味不明なただの荒らしスレに見えると思って

古泉「そして、僕がいわゆる超能力者です。かなり限定的ではあるんですがね」

キョン「最初に言っておくがスプーン曲げとかよく言われる一般的な超能力は期待するだけ損だぞ。
    今のこいつは俺とさして変わらん」

古泉「ふふ、そうですね」

キョン「そんで、俺は一般人だ、掛け値なしのな」

>順当に行けば彼が異世界人では?

古泉「僕もそれを疑って調査をしましたが、間違いなく一般人ですよ」

キョン「当たり前だ、俺にへんな属性を付与するな」

古泉「……と、いうわけで異世界人の席だけぽっかり空いてしまっていたのです」

古泉「そして、そこに長門さんですら解析ができないあなたが来た」

古泉「これはほぼ確定的とみなしていいと思います」

キョン「突然こんなこと言われてもわからないと思うがな」

>たしかに、にわかには信じられないことばかりだ。

古泉「僕も、そこが引っ掛かっていました」

キョン「何がだ」

古泉「いいですか。基本的に僕たちは自らの意思を持ってこの学校へ来ました。
   人間ではない長門さんですら、正確には情報統合思念体ですが長門さんを送り込んできたわけです」

古泉「しかし番長氏は、全くこの世界のことを理解していない。
   それどころか現在の状況すらつかめていないのです」

古泉「現在の状況を理解していないまま来ることがあり得ないのは
   朝比奈さんを見ていればわかります。彼女もちゃんと調査をしたうえでこちらに来ている」

みくる「そ、それはそうですけど……」

古泉「それはつまり、彼は自らの意思でここにきているわけではないことを示しています」

キョン「それがなんだというんだ」

古泉「いえ……いえ。これは大きな違いですよ。
   僕たちは涼宮さんを目的にしています。しかし番長氏はその涼宮さんすら知らないようだ」

古泉「これでは、まるで迷子ではないですか」

キョン「ってことはなんだ、番長はハルヒのはた迷惑な力に巻き込まれただけっていうのか」

古泉「そう考えるのが妥当でしょうね」

キョン「長門ですらわからない存在を、ハルヒがねぇ……」

みくる「あ、あのぉ……いいですか?」

キョン「朝比奈さん、どうしたんですか?」

みくる「あのね、説明したのはいいんだけど……理解してもらえたのかなぁって」

古泉「たしかに、言葉だけでは信じてもらえないかもしれないですね」

>……。

キョン「俺だって初めて言われたときは信じられなかったんだ。
    無理もないさ」

キョン「長門に頼めば一発で証明できるだろうけど……今すぐ雨を降らせるとかでな。
    ただ……」

>!? そんなことが可能なのだろうか。

長門「可能」

キョン「あー、だけどな」

長門「現在よりこの地域一帯に1時間程度降雨させた場合、237年後に自然界へ影響が出ると予測される」

キョン「ってことだ。長門を頼るのは無しだな」

古泉「そうですか、朝比奈さんは」

みくる「ごめんなさい、わたし以外がTPDDを使用する場合許可がいるんですけど……」

古泉「……下りそうにないですね」

古泉「仕方ありません、僕が証明しましょう」

キョン「……連れて行くのか?」

古泉「ええ、幸か不幸か近くに極小の閉鎖空間ができています。
   僕一人でも対応ができそうですからね」

キョン「……随分、番長にご執心だな」

>何やらキョンと一樹は顔を近づけて話をしているようだ。

古泉「いいですか、彼は何かしらの力を持っている可能性が高い」

キョン「チカラ?」

古泉「異世界人、そう聞けば聞こえはいいですが、
   同じような世界から一般人が紛れ込んだからといって涼宮さんが喜ぶでしょうか」

キョン「……喜ばんだろうな。異世界人とはいえ、ただの一般人なら隣の県やら海外に住んでいる奴と変わらん。
    そんな土産話を聞いてもハルヒは喜ばんだろうよ」

古泉「その通りです。能動的にこちらに来たのならともかく、
   涼宮さんの力に巻き込まれたのなら特殊な力を少なからず持っていると思います」

古泉「そのため、彼の力を見せてもらうために、ある程度こちらも譲歩して
   力を見せなければ信用を得ることはできないでしょう」

古泉「もし敵だとしても、僕の能力ならある程度公開してもデメリットにはなりません」

キョン「敵って、まだ信用していなかったのか」

古泉「誰であろうと、手放しで信用するのは危険だと思いますよ? たとえ長門さんでも朝比奈さんでも」

キョン「やれやれ……なら、最初から自分で手をあげればよかっただろう。
    どうしてわざわざ長門や朝比奈さんに振ったんだ」

古泉「いきなり僕が見せると言ったら、変に勘ぐられるかもしれませんからね。
   仕方なしに見せるという演出がほしかった、それだけです」

キョン「やれやれ……」

>何を話しているかは聞き取れなかったが、どうやら話は終わったようだ。

>何か特別な関係かも知れない。

>そっとしておこう……。

古泉「では、僕の力をお見せしますよ。校門までご足労願ってよろしいでしょうか」

>古泉一樹についていくことにした。

――北高校門前

>外に出てみたが、やはり見覚えのない景色だ。

古泉「こちらです」

>突然、一樹に手を取られた。

古泉「少し、目をつぶっていただいてよろしいですか?」

>どういうことだろうか。

古泉「大丈夫です、すぐ終わりますから」

>なぜか悪寒がする……。

>しかし溢れる勇気と寛容さで目を閉じた。

古泉「僕がいいというまで眼を閉じていてくださいね」

古泉「では、行きますよ」

>手を取った一樹はゆっくりと歩いているようだ。

>どこへ連れて行かれるのだろう……。

古泉「もう、目を開けていただいて大丈夫ですよ」

>目を開けると、すべてが灰色の世界が広がっていた。

古泉「先ほども自己紹介したように、僕は超能力者です。
   この世界限定のですけどね」

>一樹が赤い光に包まれ、赤い球体へと変貌した。

古泉「これが僕の能力です、そして――」

ドォン――

>何か大きなものが崩れる音がした。

>!? 何か青白く光っている巨大なものが現れた。

古泉「では、番長氏。しばしお待ちを。少し仕事をしてきますので」

>一樹は、球体のまま青白い物体へ飛んで行ってしまった。

>しかし、この雰囲気は、似てる。

>マヨナカテレビ……。

>遠目だが、青白く光っている物体の周りを一樹が飛び回っているようだ。

>よく見ると巨大な人型のようだ。青白い巨人……。

>あれは、シャドウの一種なのだろうか。

>しばらくすると、霧散するように青白い巨人は消えてしまった。

>赤い球体がこちらへ戻ってきた。

古泉「お待たせしました」

>赤い球体から、古泉一樹の姿に戻っていく。

古泉「先ほどの、巨人は『神人』といいましてね」

古泉「また少し説明しても?」

>かまわないことを伝えた。

古泉「涼宮さんが、無意識化に願望をかなえたいと思っているということは
   先ほど説明したとおりですが……」

古泉「彼女は、突飛な発言や未知への願望を強く持っていますが極めて常識的な人なのです」

古泉「こんな世界であってほしい、でもあるはずがない。
   そのせめぎ合いの中で発生するストレス、それがこの空間を形成しているのです」

古泉「要するにこの空間は彼女のストレス発散場所なんですよ」

>では好きに暴れさせたらよいのでは?

古泉「僕もそれで済むのでしたら苦労はないのですがね。
    放っておくと、この世界と現実世界が反転してしまうのです」

>……!

古泉「しかし、一度も反転したことはないので確実なことは言えません。
   根拠はありませんがわかってしまうのです。
   これは超能力者だからわかってしまう、ということで納得していただけるとありがたいですね」

>……わかった。

古泉「そろそろですね、空をご覧ください」

>……! 空がひび割れ、砕け散っていく。

古泉「これにて、任務完了です」

>いつの間にか先ほどの校門前に戻ってきている。

古泉「では戻りましょうか」

>風景にも色が戻っている……不思議な世界だったが……やはり似ている。

>一樹の後に続いて文芸部室へ戻っていった。

――文芸部室

古泉「ただいま戻りました」

キョン「毎度お勤めご苦労なこったな」

古泉「いえ、これで世界の平和が保てるのであれば安いものですよ」

古泉「これで僕たちが――正確には僕だけかもしれませんが、
   言っていたことが嘘ではないことをわかっていただけたかと思います」

>いや、みんなのことも信じるよ。

古泉「おや、ずいぶんあっさりと信じるのですね」

>自分を騙してもメリットはないだろう?

古泉「……聡明な方で感謝しますよ、ええ本当に」

古泉「もう少し詳しくお話しましょう」

古泉「閉鎖空間が彼女のストレスによって形成されることはお話しましたね」

>ああ。

古泉「彼女の精神状態に寄るのですから
   もちろんあの空間は均一なものではありません」

古泉「今回のものは極小のものでしたから僕一人で対応が可能でしたが
   もっと多くの神人や巨大な空間になった場合は難しいですね」

>となると、他に仲間が?

古泉「本当に察しがいい方ですね、その通りです。
   僕たちは"機関"と呼ばれる組織に所属し、彼女の精神状態の監視を行っています」

>あの空間についてもっと詳しく教えてほしい。

古泉「……ずいぶん興味を持たれたようですね?」

>それは……。なんと伝えればよいだろう。

古泉「気になるのですか? 閉鎖空間が」

>実は似たような空間に入ったことがある。

古泉「! 似たような空間…ですか」

キョン「おいおい、番長の世界にもハルヒがいるっていうのかよ……」

>いや、その女性のことは知らない。

キョン「そ、そうか」

古泉「詳しく教えていただいてよろしいでしょうか」

>マヨナカテレビと中の世界について説明した。

古泉「……!」

キョン「またオカルトじみた話だな……」

みくる「雨の日の深夜0時にテレビを見ると人影が写る……ですかぁ」

キョン「ハルヒが聞いたら喜んで試しそうだ」

>こちらではやはりマヨナカテレビの噂はないようだ。

キョン「でも確かに閉鎖空間と似てるかもな、精神面が映し出されるところとか」

古泉「僕はどちらかというとシャドウ、と呼ばれる存在が気になりますね」

古泉「そのシャドウという存在。人の抑圧された精神が暴走する――
    まさに涼宮さんと神人の関係と酷似しているではありませんか」

キョン「ひとつ聞いていいか?」

>なんだろうか。

キョン「そのテレビの中ってどうやって入るんだ?」

>画面に触れれば入ることができると伝えた。

キョン「テレビの画面に触るだけ……」

キョン「パソコンじゃだめなのか?」

>画面に触れてみたがどうやらダメみたいだ。

キョン「そうか、残念だな」

古泉「そもそもこの世界でも入れるかは不明ですけどね」

キョン「ああ、そうか、それもそうだな」

古泉「ですが、僕自身も試してみたい、という気もしています」

みくる「あの……」

キョン「どうしましたか?」

みくる「視聴覚室か音楽室なら大きなテレビあるんじゃないかなーって」

古泉「ナイスアイディアです」

キョン「音楽室は吹奏楽部が使っているでしょうから視聴覚室に行きましょう」

>全員で視聴覚室へ向かった。

――視聴覚室前。

>どうやら鍵がかかっているようだ。

キョン「まあ、こういうときの長門だな」

キョン「頼んだぞ」

>脱力に近い様子で有希は扉の前に立った。

長門「……」

>口元が高速で動いているが何を言っているかは聞き取れない。

長門「開錠した」

キョン「ありがとよ」

ガラッ

>なんと扉が開いた……!

古泉「……図らずとも長門さんの力の一端を見せることができてよかったですよ」

>この女子生徒には確かに不思議な力が備わっているらしい。

キョン「長門ならこれくらいはな」

古泉「それより今はテレビです、部屋へ入りましょう」

――視聴覚室。

>大きなテレビが置かれている。これなら人も入れそうだ。

キョン「基本は、ここで映像なんか見る場合、スクリーンで見るから少し心配だったがちゃんとあるな。
    ほとんど無用の長物になっているが」

古泉「番長氏が入れるかどうかは、ともかくとしてまずは普通のテレビであるかどうか試してみましょう」

>自分と長門有希以外がテレビの画面に触れている。

キョン「……まあ、アホらしいほど入れないな」

古泉「ええ、いたって普通のテレビのモニターです」

みくる「そもそも、薄いテレビじゃ突き抜けちゃうんじゃ……?」

キョン「いや、そういうことを言ってるんじゃないと思いますよ……」

みくる「え、えっ?」

古泉「……長門さん、このテレビに異変はありませんか?」

長門「ない。普遍的なもの」

古泉「では、番長氏試してみていただいて構いませんか?」

>テレビの画面に右手で触れる。

>……! いつもと同じように右腕がテレビ画面に吸い込まれた!

キョン・みくる・古泉「「「!」」」

みくる「わっ、わっ、わっ! う、腕が突き刺さっています!」

キョン「こ、これは……手品とかじゃねぇよな?」

古泉「ではないでしょうね。一瞬ですが画面が液体のように波打って見えました。
   普段ではありえない光景です」

>しかし、この世界にもマヨナカテレビが存在していたのだろうか……。

>中がどうなっているか気になる……。頭を突っ込んでみることにした。

>しかし中に空間が広がっていることが分かっただけだ。

みくる「あ、頭が、刺さってます!! 刺さってますよ!」

キョン「こりゃあ……本物だな」

古泉「ええ……力を見せたかいがあるというものですよ」

>テレビの中から頭を出した。

キョン「ど、どうなってるんだ」 コンコン

キョン「画面はやっぱり堅いぞ……」

古泉「画面がやわらかくなった、というわけではなさそうですね」 コンコン

みくる「ど、どうなってるんですかぁ……?」 ツンツン

キョン「長門、やっぱりテレビは普通なのか?」

長門「今は普遍的なもの」

キョン「今は……?」

長門「彼が触れたときにのみ異空間への接続を確認した」

長門「そのときのみは普遍的とは言えない。異空間への入り口として機能している」

古泉「なるほど……
   では彼が触れている間であれば我々もテレビの中へ入れるということですか」

キョン「そうなのか? 長門」

長門「肯定する」

古泉「番長氏はどう思われますか?」

>以前テレビに入る力を持たない人と一緒に入ったことがあると伝えた。

古泉「ふむ……」

キョン「……一応何を考えているか聞いておいてやる」

古泉「何を考えている、とは?」

キョン「まさか中に入ろうとかいうんじゃないだろうな」

古泉「おや、なぜそう思うのです?」

キョン「お前のその顔はろくでもないことを考えているときくらいなもんだ」

古泉「それは、すみません。極力顔に出さないようにしているつもりなのですが」

キョン「このSOS団で過ごしてりゃそれくらいわかるようになる。
    それとそれは、俺の言ったことはあっていると受け取っていいんだな」

古泉「ええ、そうですね。確かに興味はあります」

>やはりただならぬ関係性をうかがえる……。

>そっとしておこう……。

キョン「大体なんでそんなもんに興味を持つんだ。
    平穏安寧を求めて凪のように穏やかな生活を送りたいんじゃなかったのか。
    シャドウなんてやばそうなもんがいる世界に踏み込みたいだと? とうとう血迷ったか」

古泉「先ほども言った通り、単純に興味があるだけです。
   ふふ、いつもあなたばかりが不思議な体験をしているので、その嫉妬もあるのかもしれませんね」

キョン「……ふん、そんなもの。できれば変わってやりたいくらいさ」

>どうやら深い関係のようだ……。

みくる「は、はいるんですかぁ?」

>みくるは怯えているようだ。

古泉「いえいえ、少なくともみなさんを巻き込もうなんて考えていませんよ」

古泉「何度も言っている通り、僕が個人的に興味があるだけです。
   万が一行くことになっても僕だけで十分ですよ」

キョン「……そうかい」

古泉「それに番長氏が許可しない限り、僕にテレビの中へ入る権限はありませんからね」

>残念ながら安全は保障できないことを伝えた。

古泉「とのことです、残念ですが諦めますよ。
   自らの身を危険に晒すのは、閉鎖空間だけで十分ですから」

>そもそも、自分も入ったら出られないことを伝えた。

古泉「どういうことですか?」

>中にとある協力者がいなければこちらに戻る道を作れない。

キョン「番長はムリなのか?」

>できない。

古泉「そうですか……それは、非常に残念です」

>露骨に残念そうだ。

キョン「だ、そうだ。諦めることだな」

長門「できる」

キョン「な、長門?」

古泉「何ができるでしょうか?」

長門「先ほどの空間接合時に解析は終了している。
   彼自身に情報操作は不可能だが、先ほどの異空間には可能。
   一度解析を完了したため、こちらから空間接合も情報連結の解除も可能」

古泉「さすがとしか言いようがありませんね」

キョン「ってことはなんだ。出口も入口も作れるってことか」

長門「そう受け取ってもらって構わない」

>本当だろうか……。

長門「情報連結および空間連結を開始する」

>先ほどと同じように高速で口元が動いている……。

長門「情報の連結を確認。空間の接合の完了した」

古泉「では、失礼して」

>一樹がテレビの画面に右手を当てた。

>なんと一樹の右腕がテレビに突き刺さっている!

古泉「これは、凄いですね。単調な感想しか言えないほど感動していますよ」

キョン「その右腕は、な、なんともないのか?」

古泉「ええ、何ともありません。ただ空間が広がっているだけですよ。
   生物の気配もありません」

>一樹はテレビから右腕を引き抜いた。

古泉「この通り、何もなっていません」

キョン「でも中にはシャドウってやつがいるんだろ?」

長門「異空間内部に敵性の検知はできない」

>この世界ではシャドウがいないのだろうか……?

古泉「さて、これで二つの危険性がクリアされてしまったわけです」

キョン「なんだそのもったいぶった言い回しは」

>一樹は嬉しそうだ。

古泉「危険性が排除されたのであれば、僕の興味を遮る理由はありません」

キョン「ってことは入るのか?」

古泉「ええ」

>入るのであればついていこう。

キョン「番長まで……」

古泉「それは心強いです。
   向こうの世界に慣れた番長氏が来てくださるなら百人力です」

>万が一シャドウが現れては、一樹では対応することはできないだろう。

古泉「護衛を買ってくださるとは光栄です」

古泉「ですが、長門さんが敵性はないと判断したのでしたら大丈夫だと思いますけどね」

古泉「(……しかし妙なものいいですね。まるで、そう。自分ならばどうにかできるような)」
   
古泉「(テレビの中に入ることだけが力というわけではないみたいですね)」

古泉「では、行ってまいります」

キョン「…………待て。俺も行く」

古泉「おや、どういう風の吹き回しですか?」

キョン「……気が変わった、それだけだ」

キョン「(何か嫌な予感がする……
     無能力者の俺の最大にして唯一の武器、勘ってやつだ)」

キョン「俺がついていって何ができるとも限らねぇけどな」

古泉「僕も最初から何かする気はありませんよ。ただの観察ですから」

>よし行こう。

長門「……」

キョン「って長門。どうした」

長門「私もついていく。
   情報統合思念体は異空間の精緻な調査を望んでいる」

古泉「これは、なおさら安心ですね。危険な要素が見当たらない」

みくる「あのっ、えっと、えっと」

キョン「朝比奈さんは待っていてください。
    もし俺たちがあまりにも長時間戻らなかったら
    未来あたりに助け舟を出していただけるとありがたいです」

みくる「え、あっ、う、うん……わかりました」

>みくるは心配そうだ。

みくる「い、いってらっしゃい」

古泉「では、行きましょうか」

>一樹、キョンの頭がテレビに突き刺さる。

>落ちるから気をつけろよ。

キョン「落ちるってどういう――うおっ!」

古泉「これは――」


>……! 2人はテレビに飲み込まれるように落ちていった。

>伝えるのが少し遅かったようだ。

>溢れる寛容さで自分を許した。

長門「……」

>有希は無言で入っていってしまった。

>そろそろ自分もいこう。

………
……


――テレビ内部。

>無事に到着できたようだ。

キョン「いっつつつつ……番長、落ちるってことはもう少し早めに言ってくれ」

古泉「思い切り落ちましたね」

キョン「尻を強打したぞ……」

>すまない。

古泉「長門さんは華麗に着地してましたけどね」

キョン「逆に言えば長門くらいなもんだろう……」

古泉「しかし、なんでしょう。ここは」

>霧に覆われてはいないもののどこかどんよりとした淀んだ空気が漂っている。

古泉「……似ていますね。閉鎖空間に」

キョン「似ているって、ここはあの味気ない灰色の世界と違って色があるだろう」

古泉「ええ、外見はあまり似ているとは言えませんが、雰囲気といいましょうか。
   閉鎖空間に入ったときの空気と酷似しているのです」

古泉「もしかしたら、番長氏も同じことを考えたのではないでしょうか」

>その通りであると伝えた。

古泉「やはり、同じ精神世界を映す世界として似ているのでしょう」

キョン「そういうものなのか。俺も一度入ったことあるが……わからん」

>しかし、ここはなんだろう。

キョン「なんつーか……ただのだだっ広い部屋だな」

古泉「そうですね、床はフローリングですし。
   よく分からないですが、子供が遊ぶようなおもちゃが転がっていますね。
   100メートル、150メートルほどでしょうか、コンクリートの打ちっぱなしの壁が見えます」

長門「現在位置から前方の壁までの距離は137.82メートル」

キョン「天井は、結構高いな……10メートルくらいか」

長門「8.59メートル」

古泉「……だ、そうです」

>いくつか窓も見受けられるが、夜なのだろうか、窓から光は差し込んでいない。

キョン「番長、テレビの中って大体こんな感じなのか?」

>自分たちの世界のテレビの中は、入ったものの心に呼応して形成される。

キョン「ってことは、俺らの誰かがこの風景を作り出しているってことか?」

>ということだと思うが……。

古泉「ふむ……」

長門「この光景は涼宮ハルヒの深層心理に酷似している」

キョン「ハルヒの?」

長門「完全な同一性は見出せない。しかしかなりの適合率で合致している」

古泉「つまりこれは、涼宮さんの心象風景ということなのでしょうか」

>一樹とキョンは何か考え事をしている。

>あたりを見回してみたが、出口は前方に見える扉だけのようだ。

キョン「とりあえずこの部屋から出てみるか?」

古泉「ええ、推察はここをでてからでいいでしょう」

キョン「……そうだ長門。もう一度確認しておくが出口は作れるんだよな?」

長門「問題ない。この空間と外界の接合は容易」

キョン「よかった。安心したよ」

古泉「では、張り切って行ってみましょうか」

長門「――止まって」

キョン「どうした? 長門」

長門「敵性を感知。正体不明、警戒を必要とする」

キョン「警戒だと……!?」

>やはり、シャドウか……!

長門「外界の物質のすべてと不適合。未知の物質で構成されている。
   質量、分子構造、構成物質、すべて不明」

長門「こちらに、来る――」

シュウウゥゥウゥウ―――

???「くすっ」

>これは……まさか。

キョン「な、長門!?」

古泉「長門、さん……?」

長門「否定。私ではない」

>有希ではない。

>だが……有希の、影。

>有希の影は怪しく笑っている。

キョン「ば、番長。ど、どうなってる」

>これは――。

有希の影「いい、説明しなくて。分かってるはず」

>!

キョン「声まで一緒かよ……」

有希の影「当然、わたしは彼女、彼女はわたし」

長門「否定。情報統合思念体が地球に送り込んだ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース、
   パーソナルネーム『長門有希』はわたししか存在しない」

長門「よってあなたは『長門有希』ではありえない」

有希の影「くすっ、そう思いたいのなら思えばいい」

古泉「……」

長門「また情報統合思念体全域にあなたは存在していない」

キョン「長門の恰好をした偽物さんよ、何の目的でこんなことをする」

有希の影「くすっ、キョンくん、会えてうれしい。でも何の目的、と聞かれたら困るかな」

キョン「!? な、なんでお前が俺のあだ名をを知っている!?」

有希の影「何で知ってる、ってわたしが長門有希だからに決まっているでしょう?」

キョン「ふざけるなッ!」

有希の影「ふざけてなんかいない。本当のことを言っているだけ」

古泉「どうやら、困ったことになったようですね」

長門「あなたの言動は整合性に欠けている。理解不能」

有希の影「そんなことはないわ、情報の伝達に齟齬が生じることはありえない」

有希の影「わたしはあなたのことなら何でも知っている。
      涼宮ハルヒの観察の為にここに来たことも、急進派と対立したことも、
      永遠とも思える特定期間を延々と繰り返したことも、自らを改変し世界をも改変してしまったことも」

有希の影「みんなみんな知ってる。なんならこの地球に潜伏している端末の数も知っている」

有希の影「異時間同位体でもない、まったく完全にわたしはあなた」

長門「……」

キョン「なんなんだ、こいつは……!」

長門「相互理解は不可能と断定。同じく対象の敵性の上昇を確認。レベルを警戒から戦闘態勢へ。
    ターミネートモードへ移行。情報操作を開始する」

>有希の口元が高速で動く。

>……! しかし有希の影も同じように動いている。

>2人とも見つめあったまま、動かなくなってしまった。

キョン「な、長門?」

長門「…………情報操作により対象の無力化を試みたが失敗した。
   情報妨害因子を構成し、こちらの情報操作を無効化したと考えられる」

有希の影「ふふふ、無駄、無駄よ、そんなこと。
      あなたにできることは私もできるのだから」

キョン「……いい加減にしろ」

有希の影「ふふ、どうしたのキョンくん」

キョン「やめろ、その名前で呼ぶな。本物の長門にだって呼ばれたことないんだ。
    それをお前が軽々しく呼ぶんじゃねぇっ!」

長門「……」

有希の影「ふふふ」

キョン「その笑いもやめろ!
    いいか、長門の表情っていうのはな、長門検定1級の俺じゃなければわからんような微細な変化だ。
    それにお前みたいに長門は笑顔を安売りしない!!」

キョン「長門と同じ顔をしてやがるくせに、長門が到底しないような事ばかりしやがって。
    顔と声だけ似せても、全くに長門に似てねぇんだよモノマネ野郎!」

有希の影「ふふふ、傷つくなぁ、傷ついちゃうなぁ」

キョン「やめろっつってんだろ!!」

長門「……」

>キョンは激昂している。

古泉「確かに、長門さんを模倣するにしては外見以外の完成度が低すぎますね」

古泉「番長氏は、どういうことかわかっているのではないですか?」

>……あれは、有希の影。彼女の中に存在する一面が具現化しているものだ。

>つまり……文字通り、もう一人の有希といっても過言ではない。

キョン「ん、なっ!?」

有希の影「ふふふ、だから言っているでしょう?」

古泉「つまりそれは……」

有希の影「わたしはこんな風に人間みたいに笑いたいってこと。もっと人間らしくいたいってこと」

長門「否定する」

有希の影「あなたは否定しても、キョンくんなら心当たりがあるんじゃない?」

キョン「……! それは、世界を改変したときの長門のことを言っているのか?」

有希の影「ふふ、せいかーいっ」

古泉「どういうことですか……?」

キョン「前に、俺が世界の改変に巻き込まれたことは話したよな」

古泉「ええ」

キョン「そのときの長門は、その、なんだ。宇宙人じゃなく人間になっていた。
    感情も豊かとはいえないまでも、今の長門からは考えられないくらい表情を変化させていた」

有希の影「つまり、そういうこと」

キョン「ぐっ、ぐっ……!」

長門「あれはエラーの集積が起因している。わたしの意思ではない」

有希の影「ふふふ、嘘ね。長門有希は、わたしは思った通りに感情を発したい」

長門「否定する」

有希の影「もっと濃密に人間とコミュニケートしたい」

有希の影「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースなんかではなく
      人間のように、人間として彼と接したい」

長門「否定する」

有希の影「彼のことを、キョンくんと呼びたい」

長門「……強く否定する」

有希の影「キョンくんと一緒にいたい。2人きりでいたい。
      そのためには涼宮ハルヒは邪魔。朝比奈みくるは邪魔。古泉一樹は邪魔。
      今の無感情なわたしは邪魔!」

キョン「長門……」

古泉「……」

長門「……やはり言語による相互理解は不可能」

有希の影「ふふふ」

長門「わたしはあなたのすべてを否定する」

有希の影「ふふふ、あはっ、あはは、アハハハハハハハハハハハッ!!」

>これは、マズイ!

>有希の影から力が溢れだしている……!

長門「う……」

>有希がひざからくずおれた。

>倒れる直前に受け止めることができたようだ。

シャドウ有希「我は影、真なる我……今わたしが本物になるから……待っててねキョンくん!
        その前には、邪魔な3人を……消す」

>殺気がこちらに向けられている。

古泉「これは、マズイですね。ダメ元で試してみますが、能力が使えるかどうかは……
   よしんば使えたとしても通用するかどうか」

古泉「長門さんは完全に気絶してしまったようですし」

キョン「長門が……そんな」

古泉「それだけならまだしも、敵自体があの長門さんです。
   ……これほど絶望的な状況が、今まであったでしょうか」

古泉「これは、無抵抗のまま殺されてしまうかもしれませんね」

キョン「何を諦観していやがるっ」

古泉「そうは言いましても……残念ながら打開策は思い浮かびません」

キョン「くっ……」

>キョン、有希を頼む。有希の身体をキョンに預けた。

キョン「あ、ああ……番長、どうするつもりだ?」

>何とかしてみせる。

古泉「(やはり、彼の力はこれだけでなかったようですね……!)」

シャドウ有希「あなたに何ができるのかしらァ……?」

>行くぞ、ペルソナッ!!

古泉「(ペル……ソナ?)」

キョン「古泉、アイツの邪魔にならないように離れるぞ!」

古泉「え、ええ」

>イザナギ――ッ!

シャドウ有希「アハハッ! そんな人形で何するつもりかしらッ!」

>こうするっ! ジオダインッ!

――ピシャァンッ!

キョン「い、イカズチ!?」

古泉「彼もこの空間限定で能力を行使できるということでしょうか……?」

シャドウ有希「うぐっ……ふふ、なるほど。
        あなたの中にあった正体不明のパーソナルデータはそれね」

シャドウ有希「複数確認できたということは、つまり、それだけじゃないわね。フフフフ、いいわ。面白い。
        いえ、ここはユニークといった方がいいかしらね、アハハハッ!」

>イザナギ、もう一度ジオダインッ!

シャドウ有希「もう効かない。対象を確定及び崩壊因子を構成、実行――」

>!! ジオダインが霧散してしまった……!

シャドウ有希「確かにあなたに対して情報操作はできない……
        だけど、受けた攻撃なら、あなたの攻撃の位相が確定する瞬間を狙って
        演算を行い崩壊因子を組み込めば攻撃を無効化することは容易にできる、ふふふふ」

>ならば、ルシフェル! アギダインッ!

シャドウ有希「ぐうっ!! でも……ありがとう。その攻撃を覚えさせてくれて」

>くっ……大したダメージはないようだ。

シャドウ有希「今度は私が披露する。ターミネートモードへ移行。
        でも、情報操作は無効化されてしまう」

>なにかが、くる!

シャドウ有希「あなたに通用する攻撃――それはッ」

ヒュン

>はやっ――

シャドウ有希「あなたの追えないスピードで、普通に殴るッ!!」

ドォンッ!!

キョン「ば、番長!」

古泉「10メートルは飛びましたね……」

キョン「そんな悠長なこと言ってる場合か!」

シャドウ有希「あなたに触れることができるのは、すでに実証済み。
        そして、今ので終わり」

>……まだだ。

シャドウ有希「……なぜ? 常人なら間違いなく死ぬ攻撃」

>――ヨシツネ、何とか間に合った。

シャドウ有希「よくわからないけれど、物理攻撃も無効化する……厄介」

シャドウ有希「ならば、物理攻撃でもない、情報操作でもないもの、お前にとって未知の攻撃する」

>……どうするつもりだ?

シャドウ有希「こうするつもり」

一樹の影「……」

キョン「!!」

古泉「参りましたね……今度は僕ですか」

シャドウ有希「この影は既に私の情報統制下に置かれている」

シャドウ有希「そして古泉一樹の影とここ存在するシャドウたちを、吸収するっ!」

>!!

>どこからともなく現れたシャドウたちが有希の影に取り込まれていく!

シャドウ有希「アハハハハハあハあははハハはははアはハハハはッ!!」

>形状が大きく変わっていく。巨大化し、青白く発光を始めた。

シャドウ有希「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ヴァアアヲオオオオ!!」

>完全に自我が崩壊している。

>これは……!

キョン「お、おいおい。これじゃあ、まるで」

古泉「神人ではないですか……!」

シャドウ有希「ヲオオオヲオオヲヲヲ!!!」

ギィン――

>有希の影の手のひらに赤く光る球体が形成されていく。

古泉「あれは、まさか……」

古泉「避けてください!」

>!!

ギィン!!

>先ほどまで自分がいた場所の床が消滅している。

古泉「困りましたね……我々の力を持つ神人、ですか」

シャドウ有希「オオオオオオヲヲオオオオ……」

>先ほどと同じ、赤い球体を連続で放ってきた。

>しかし、すべて容易に避けられる。

>自我がなくなったことで命中精度が著しく落ちているようだ。

シャドウ有希「ヲオオオ……」

>しかし、射出される数が多すぎるため避けることで精いっぱいだ。

キョン「古泉! どうにかならないのか!」

古泉「長門さんの影が僕の能力行使してるのですから……やってみます」 キィン

キョン「……それはいつぞやのカマドウマのバケモノを退治したときに使った?」

古泉「今の僕では、この手のひらサイズの大きさを形成することが限界のようです」

古泉「おおよそ神人であれば、人でいう心臓部か頭部を破壊すれば消滅します」

キョン「じゃあ、そいつで、打ち抜けば……」

古泉「……無理です。能力が全開で使えるならともかく、
   この程度では長門さんの影の速さを追い切ることはできず急所に当てることはできないでしょう」

キョン「なら、番長に動きを止めてもらってその隙に、ってのはダメか?」

古泉「ええ。それしか、ないでしょうね。彼に止められる技があることに期待しましょう」

古泉「神人狩りなら僕の方がプロフェッショナルですから、やりますよ。意地があります」

古泉「番長氏!」

>! どうしたのだろう。

古泉「避けながら聞いてください! 一瞬で構いません!
    あの神人の、長門さんの影の動きを止められますか?」

>一瞬でいいのか?

古泉「かまいません、確実に仕留めてみせます!」

>……ああ! わかった! 全力で止めよう!

>ヨシツネ! ヒートライザ!

古泉「なんと……閉鎖空間時の我々と同等、いやそれ以上の速度かもしれません」

シャドウ有希「ヲオオオオオオオオオ……」

>――ルシフェル! 足元を狙う! メギドラオン!!

ドォオオォンッ!!

シャドウ有希「ヴォオオオオヲオオオヲ……!!」

キョン「体勢を崩した……!?」

古泉「(――今!)」

古泉「ふッッ!!」

>……! 一樹の投擲した赤い球体が、有希の影の心臓部を貫いた! 

シャドウ有希「ヴォオオオヲォオオオオッ……!」

>……! 有希の影はまだ暴れている!

シャドウ有希「ヲヲヲヲヲオオオオォオおおおおお……」

シャドウ有希「おおおおおぉおおぉぅわあぁああぁああ……」

シャドウ有希「あああああ……崩れる……身体が崩れていく……私の身体が……」

>青白い身体が、溶ける様に朽ちていく。有希の影がむき出しとなった。

キョン「結構グロいもんだな……」

シャドウ有希「キョン……く…ん……また……一緒に……」

キョン「長門……」

シュウウゥウウ――……

有希の影「……」

キョン「急に、大人しくなった……?」

古泉「暴走を止めたので、一時的に大人しくなっているのでしょう」

>あとは、有希次第だ。

キョン「どういう意味だ?」

>有希はこれから、向き合わなければならない。抑圧していた自分、見て見ないふりをしていた自分と。

キョン「だが、当の長門は否定していたぞ。あいつがたとえ影だったとしてもウソを吐くとは思えないが」

古泉「無意識下、というものは誰にでもあるということでしょう。それがたとえTFEI端末であっても。
   特に長門さんの場合は、我々の想像以上に無意識下の抑圧が大きかったのではないでしょうか」

キョン「……ああ。そうかもしれないな」

>TFEI端末?

古泉「ああ、長門さんたちヒューマノイド・インターフェースのことです。一々こう呼ぶのも面倒ですからね」

長門「ん……」

キョン「気づいたか、長門」

長門「……問題ない」

キョン「そのなりで問題ないわけないだろう」

長門「今は目の前の問題の解決を優先すべき」

>ふらふらとした足取りで、影によっていく。

有希の影「……」

長門「……あなたは、わたしのエラーの集積」

長門「しかし、エラーの中にわたしの願望が混在していることを完全に否定することはできない」

長門「この惑星の有機生命体、特に人類とより円滑にコミュニケートできるように願っていることも事実」

長門「さらに特定人物の動向に興味があることも事実。しかしその周囲の環境を障害であるとは思わない」

長門「それらもすべて含めて興味の対象、それはあなたも理解できるはず」

長門「あなたは、わたし」

有希の影「(コクッ)」

――自分自身と向き合える強い心が、“力”へと変わる…

>有希の影は有希の中へ戻っていったようだ。

長門「う……」

>また倒れそうになっていたが、今度はキョンが支えたようだ。

キョン「やっぱり大丈夫じゃねぇよな」

長門「……平時のパフォーマンスを現在行うことは困難」

キョン「当たり前だ、少し休んでろ」

長門「……了解した」

キョン「さて、そうだな……これは一度戻るべきだろうな」

古泉「ええ、この状態の長門さんを連れまわすわけにはいきませんからね」

長門「その前に……まだやるべきことがある」

一樹の影「……」

古泉「え、ええ」

キョン「そういえばいたな……」

長門「あなたも、向き合うべき」

古泉「……わかりました。ですが、少し離れていていていただけるとありがたいです。
   相当自分の深いところを他人に聞かれるのは恥ずかしいですからね……」

キョン「ああ、分かったよ」

>一樹と一樹の影から離れた。

キョン「古泉のやつも難儀だな」

>しかし、向き合わなければ暴走してしまう。

キョン「わかってるよ……長門の影でさえ暴走したんだ。
    俺たち人間が向き合わなかったら、間違いなく暴走するだろうよ」

>随分、有希を信頼しているようだ。

キョン「それは、当たり前だ。俺は長門に何度も助けられているし、
    一切の誇張虚飾なく額面通りの命の恩人だからだ」

>命の恩人?

キョン「ああ。だからこそ、俺は長門に絶対的信頼を置いているのさ」

>キョンと有希の間には、確かな絆が芽生えているようだ。

……――ハッハッハッハッハッハ!!

>一樹と一樹の影のいる方向から謎の高笑いが聞えてきた。

キョン「遠目だからわからんが、古泉のやつえらく困惑してるように見えるな……」

>自分の負の部分と向き合うのはそれだけ大変だということだ。

キョン「そういうものか……そうだよな」

長門「……」

キョン「……なあ、もしかして長門はあいつらの会話聞き取れるのか?」

長門「可能」

キョン「……ちょっと教えてもらうっていうのは、もちろんダメだよな?」

長門「古泉一樹は、あなたに知られることを望んでいない。よって私の独断で話すことは推奨しない」

キョン「……そうだよな。ちょっとした冗談だ。聞かなかったことにしてくれ」

長門「そう」

>……!

>どうやら、一樹の影は一樹の中へ戻っていったようだ。一樹がこちらへ向かってくる。

キョン「よう、満身創痍だな」

古泉「よ、ようやく終わりました。想像以上に大変なことなのですね、自分と向き合うことは」

古泉「自分が必死で目を逸らしていたものを突きつけられる気分は最悪でした。
   長門さんの一件を見ていなければ、間違いなく僕も否定していたでしょうね……」

>誰も、そういうものだ。

古泉「それに、ただ、『はいはい』言っているだけではダメでした。本当に認めて、受け入れなければ自分は納得しない。
   正直いい経験とは言えませんが、自らを見つめ直すいいきっかけではありました」

キョン「じゃあ、戻るか。長門もこんなだしな」

古泉「それならよかったのですがね、残念ながらそうはいかないみたいですよ」

>どういうことだ……?

古泉「お客様がもう1名いらっしゃったようですから」

キョン「どういうこ……!?」

キョンの影「……」

キョン「あー、これって」

古泉「そういうことになりますね」

古泉「我々は離れたところで待っていますから。思う存分ぶちまけてきてください。
   手早く、とはいかないと思いますが、できる限り早く戻ってきてくれることを僕は望んでいます」

古泉「それと、くれぐれも暴走させないでくださいね。もう僕に戦う力は残っていませんから」

>自分の体力も厳しい事を伝えた。

キョン「なあ、番長、これを拒否する方法って――」

>いってらっしゃい!

キョン「……わーったよ! 行ってくるよ! いい笑顔で送りだすんじゃねぇ!
    いってくればいいんだろ! チクショウ!」

長門「待っている」

……


キョン「……よう」

古泉「気分はいかがですか?」

キョン「あんなモン突きつけられて不愉快にならんやつがいたらみてみたいね……」

古泉「でしょうね」

キョン「少しでも古泉の影との会話を聞こうと思った俺が馬鹿だったよ。
    あんなもの聞かれたら俺は間違いなく悶え死ぬ」

古泉「……この際、前半部分は聞かなかったことにします。今は向こう側に戻りましょうか」

キョン「ああ」

キョン「長門、疲れているところ悪いが出口を作ってもらっていいか?」

長門「問題ない」

>また何か高速で口元が動いた。

長門「空間の接合に成功」

>……! 視聴覚室にあるテレビと同じようなモノが出てきた。

キョン「行きも帰りもテレビの中に入っていくのな……」

――視聴覚室。

>どうやら無事に戻ってこられたようだ。

みくる「よ、よかったぁ……戻ってきたぁ…うぇぇぇえぐっ、ひっく、えっぐ……」

>いきなりみくるはボロボロと泣き出してしまった。

キョン「あ、朝比奈さん? どうなさったのですか?」

古泉「それほど時間がたっていましたかね」

長門「わたしたちが異空間に侵入してから、およそ1時間47分経過している」

キョン「す、すみません。お待たせしてしまったようですね」

みくる「違うんです、違うんですぅ…」

>どうしたんだろうか。

みくる「だって、だってぇ……キョンくんたちが入ってしばらくしてから
    テレビの画面触ってみたんですけど、は、入れなくなってて……」

>おそらく中で有希の影が暴走したときだろう。

みくる「もしかしたらキョンくんたちが中で何かあったと思ったら、いてもたってもいられなくなって……」

みくる「なにがあったのかこの時代のこの時期に何があったのか調べても、
    機密扱いでなにも調べることできないし……緊急案件として出しても静観しろって言われちゃうし」

みくる「禁則事項してみなさんを止めようと思っても禁則事項にふれて禁則事項になっちゃうし……」

>きんそく……? なんだ?

キョン「あー、あとで説明してやるから気にするな」

みくる「わたし、何もできなくて、わたし…わたし、うぇぇぇぇぇぇ……」

古泉「大丈夫ですよ、朝比奈さん。事実僕たちはこうして無事に戻ってきている」

キョン「そうですよ。未来でもいわゆる規定事項じゃなかったんですか?」

みくる「しんっ、心配っ、心配しましたぁ……」

>みくるは心の底から団員達を心配しているようだ。

>みくると、団員たちの間に絆を感じる。

古泉「朝比奈さんにご心配していただけるとは、光栄の極みです」

古泉「しかし、今は休ませていただいてよろしいですか? 少々、疲れました」

みくる「え、あ、う、うん! じゃ、じゃあどうすれば……」

古泉「彼と長門さんを送って行ってあげてください。僕は番長氏とゆっくり帰りますから」

みくる「わ、わかりました。って、え! な、長門さんをですか」

キョン「一番疲労困憊なのが長門ですから。朝比奈さん、よろしくお願いします」

長門「お願いする」

みくる「は、はい! ……中で一体何が? あ、じゃあ、部室から2人の荷物とって来るね」

古泉「部室のカギは僕が締めておきますから、そのまま帰っていただいて構いません」

キョン「ああ、頼んだぜ。ほら、お前らもでろ、長門が施錠できねぇだろ」

>視聴覚室を後にした。

>キョンと長門とみくるは、部室へ向かっていった。

古泉「さて、僕たちはゆっくり向かうとしましょう。
   いろいろ話したいこともありますし」

>身体は大丈夫なのか?

古泉「……精神的には疲れましたけどね。
   元より閉鎖空間で力を行使する人間ですから一般人である彼よりは疲労度も少ないはずです」

古泉「それに、実際に戦ったのはあなたですから。それには比べるべくもありません」

古泉「校門が閉まるまではまだ時間があります。ゆっくりお話ししましょう」

>のんびりと部室へと向かっていった。

――文芸部部室。

古泉「これで、ようやく一息つけます」

>文芸部室には、自分と一樹の荷物以外なくなっていた。

>話したいこととはなんだろうか。

古泉「そうでしたね。あのテレビの中のお話は、長門さんや他の方々がいるときでよろしいでしょうか」

>構わないと伝えた。

古泉「まずひとつお聞きしたいことは、あなたの能力についてです。
   たしか、ペルソナ、と記憶していますが。
   あの力はテレビの中の限定で行使できると考えてよいのでしょうか」

>その通りだ。

古泉「あの力は一体……? 差支えのない範囲でよいので教えていただけますか」

>ペルソナについて自分の知っていることを教えた。

古泉「自らと向き合い自らのシャドウを制御することで人格の鎧、ペルソナとなる、ですか」

古泉「というと、我々も使えるようになっているのでしょうか」

>そういえば、シャドウががペルソナに転生した様子はなかった。

古泉「……ふむ。おそらくですが、この世界のテレビの中と
   あなたの世界のテレビの中では多少性質が異なるのでしょうね」

>確かに、一樹も能力を使っていた。

古泉「ええ、そこです。そこからある推察につながるのですが、それはまたあとにしましょう」

古泉「それと、ペルソナが特別な人物でなければ使えないというのでしたら別ですが、
   お話を聞く限りそういうことでもないようですし」

古泉「ペルソナを行使できないことは残念ですが、仕方ありませんね」

>他に聞きたいことは?

古泉「では、もう1つ。あなたは本当に涼宮さんをご存じないのですね?」

>ああ、知らない人物だ。

古泉「では、あなたがご自分の世界へ戻る方法はご存知ですか?」

>……! そういえば、どうすれば戻れるのだろうか。

古泉「やはり、あなたは迷子のようだ」

>困ったことになった。今すぐに戻れない限りここで生活する必要が。衣食住の確保しなければ……。

古泉「よろしければ全面協力させていただきますよ」

>……!

古泉「事態を解決していただいた恩もありますし、
   老婆心ながらマンションと食費、あと数点の衣服でしたらご用意させていただきます」

>よいのだろうか。

古泉「僕が機関という組織に所属していることは依然述べたとおりですが、
   その機関に決して潤沢とは言えないですが、活動資金があります」

古泉「経費として落としますよ」

>助かる。

古泉「それと、よろしければ北高への転入手続きもしますが。
   異世界とはいえ、何か明確な身分を持っていることに不便はないと思いますよ」

>いたれりつくせりで、申し訳なってくる。

古泉「いえ、僕としてもあなたに興味は尽きませんからね」

古泉「もちろん、僕のマンションにご一緒に泊まってもよいですが」

>そっと遠慮しておこう……。

古泉「ふふっ、そうですか」

古泉「では、少々手続きをしてまいりますのでお待ちください」

>一樹は携帯電話を取り出しながら部室から出ていった。

>そういえば、こちらの世界で自分の電話を使えるのだろうか。

>……圏外だ。電話は使えないようだ。

チョイ用事、すぐ再開する

……


古泉「お待たせいたしました。マンションの手続きも終わりました。
   家具も備え付きのタイプの部屋ですので、今からでも寝泊りができます」

古泉「それと、北高への転入ですが3日後になりそうです」

>ありがたい。

古泉「言い方は悪いですが転校生としての手続きと必要書類の偽造もなかなか手間がかかるものでして」

古泉「それと、3日後に北高に来たときにはおそらく涼宮さんから
   何かしらのアプローチがあると思います」

>この団体の中心にいる女性か。

古泉「ええ。かなり突飛な人物なので、はじめは面食らうと思いますが、番長氏なら大丈夫でしょう」

>覚悟しておこう。

古泉「ええ。それでは今日は帰りましょうか。
   あなたの泊まるマンションにご案内しながら、この街をご案内しますよ」

古泉「ちなみに僕も同じマンションに住んでいますから住んでいますから、
   困ったことがおありでしたらいつでもご相談に乗らせていただきますよ」

>古泉一樹との間に絆の芽生えを感じる……。

>文芸部室を後にし、街を案内してもらいつつ帰路についた。

――翌日、北高、放課後。

キーンコーカーンコーン……

ハルヒ「ちょっとキョンッ!」

キョン「なんだ、耳元で大声を出すな。鼓膜がイカれちまう」

ハルヒ「人体がそんな簡単に壊れるわけないでしょ。
     それに今日1日いつにもましてだれてるからカツを入れてあげたのよ」

ハルヒ「ってキョンのことなんてどうでもいいのよ!
     そんなことより有希よ、有希!」

キョン「長門がどうかしたのか」

ハルヒ「どうかしたから言ってんの! 休んでるのよ今日!」

キョン「ああ、そのことか」

ハルヒ「ああ、そのことか、って何よそのリアクション」

キョン「……昨日部室にいったときに長門にあってな、どうやら風邪をひいてたみたいだ」

ハルヒ「有希が、風邪?」

キョン「ああ、確かに微熱程度だったし本人も大丈夫と言っていたんだがな。
    長門は、無理をし過ぎて危なっかしい節があるだろ。だから俺が明日は1日休んどけと言ったんだ」

ハルヒ「ふぅん……」

ハルヒ「ま、キョンにしてはいい心遣いじゃない。
     確かに有希は顔に出さないものね」

キョン「だろ。でも大したことないと言っていたから、今頃元気にしてるかもな」

ハルヒ「ダメよ、風は治りかけが一番危ないの!
    そうね、今日は有希の家にお見舞いに行くわ!」

キョン「おい、大勢で行ったら逆に迷惑じゃないか?」

ハルヒ「誰が大勢で行くなんていったのよ。行くのはあたしとみくるちゃんだけでいいわ」

キョン「俺と古泉は?」

ハルヒ「特に何もしなくていいわよ。だから今日のSOS団の活動はお休み」

ハルヒ「そもそも1人暮らしの女の子の部屋に野郎が上がろうって考えがダメなのよ。
     風邪で弱ってる有希を狙うつもりなら諦めなさい。もしそのつもりならあたしが鉄拳で制裁してあげるわ」

キョン「安心しろ。そんなこと宇宙を飛来してるニュートリノほども持ち合わせちゃいない」

ハルヒ「そう、ならよかったわ。SOS団から犯罪者が出るのは忍びないからね」

キョン「やれやれ……きまったなら早く行ってやれ。長門も喜ぶだろうよ」

ハルヒ「じゃ、キョンは古泉くんに今日の活動はなしって伝えといてあげて」

キョン「確かに承ったよ、団長様」

――文芸部部室

キョン「……ってことだ。そういうわけで今日もSOS団の活動はなしだそうだ」

古泉「そうですか。それにしてもあなたも嘘がうまくなりましたね」

キョン「ふん、長門の体調が思わしくないことも事実だし
    俺が休んでおけと助言をしたことも本当だ」

キョン「俺は長門の体調の悪さを風邪と言っただけで、
    それ以外の嘘は何もついていないさ」

古泉「ふふ。ええ、その通りです」

キョン「正直俺もかなりだるいんだがな。
    古泉、お前も休む可能性があったし、その上俺まで休んだら団長様が暴走しかねん」

古泉「おや、僕のことを気遣ってくれたのでしょうか?」

キョン「そんなわけあるか。俺は自分の平和を守りたかっただけだ」

古泉「ふふ、そういうことにしておきましょう」

キョン「……それより、番長はどうしたんだ。もしかしてもう元の世界に帰ったのか?」

古泉「いえ、機関の用意したマンションにご案内して寝泊まりしていただいています。
    まだ、戻る手立ては見つかっていませんね」

キョン「番長も、面倒なことに巻き込まれたもんだな。同情するぜ」

古泉「それと、彼のここにいる間の身分として北高の生徒になっていただきました。
   明後日には、彼は北高の2年生ですよ」

キョン「それも、機関の力ってわけか」

古泉「僕もあなたが先ほど言ったように僕自身の平和を守るためでしたら尽力しますよ」

古泉「番長氏が現れたということは、涼宮さんは何かしらの刺激を求めているのでしょう。
   そう望んでいるにもかかわらず、何も起こらなかったらどう思います?」

キョン「……さあ、想像したくないね」

古泉「ストレスから閉鎖空間がいくつも生まれることが容易に想像がつきます。それも特大の」

古泉「僕が過労死しないためにも番長氏は必要なのですよ」

キョン「相変わらず迷惑を惜しげもなく振るうのか、ハルヒのやつは」

古泉「いえ、そんなことはありませんよ。極めて寛容といってもいい」

古泉「ほんの些細な刺激でいいのです、それこそ転校生が来るといった程度のね」

古泉「それで満足していただけるのでしたら、大変ありがたいことです」

キョン「……お前がそれでいいならいいさ」

古泉「ええ。僕はこの現状を掛け替えのない平穏そのものだと認識していますよ」

キョン「で、どうする?」

古泉「どうするとは?」

キョン「ハルヒ、朝比奈さん、長門が不在。番長もいない。
    やることもないだろうから、今日はもう解散でいいか?」

古泉「そうですね……では、一局どうです?」

キョン「あー将棋か?」

古泉「ええ。久しぶりだと思うのですが」

キョン「……最初にいっておくぞ。昨日の今日でだるさも抜けていない。
    俺は頭が回らん。負けてもハンデ戦だったってことだ」

古泉「ええ、そういうことにしておきましょう。それで構いませんよ」

キョン「……気が変わった。全力で潰してやろう」

古泉「お手柔らかに」

……


――番長、自室。

>何もすることがない。暇だ。

――マンション前

>何もすることがないため外に出てきた。

>今日の食事の買い物に出かけよう。

――スーパー。

>今日は、魚介類とダイコンが特売しているようだ。

>ブリ大根の材料をカゴに入れていく。

???「みくるちゃんは、病食って何がいいと思う?」

みくる「えっ、えっとぉ……」

???「病食って言っても寝込んでいるわけじゃないからおかゆは無しよね」

みくる「お、お野菜の栄養がとれるのもがいいんじゃないでしょうか」

???「野菜……野菜ね」

>聞き覚えがある声がする……

>朝比奈みくると……見覚えのない顔だ。制服から察するに北高の生徒なのだろう。

>しかし、無駄な接触は避けるべきだろうか……。

>見なかったことにして買い物を続けた。

みくる「あっ、あれ?」

???「なに、みくるちゃんの知り合い?」

>見つかってはなぜか厄介な事になりそうな気がする。

みくる「……? きのせい、かな?」

???「いい、みくるちゃん。今は無駄なことをしている時間はないの。
     今は有希のお見舞いに行くことを最優先すべきなのよ!」

みくる「は、はいぃ~」

>どうやら見つからずに済んだようだ。

>あまり、ふらふら出歩くのはやめよう……。

>早々に購入して帰宅した。

――マンション前

古泉「おや、どこかへお出かけでしたか」

>今日の買い出しへ行っていたと伝えた。

古泉「自炊できるのですね」

>それなりにではあるが。

古泉「なにか、トラブルはありませんでしたか?」

>特にないと伝えた。

古泉「それでしたらよかったです。あなたにはできる限りこちらで
   快適に過ごしていただきたいですから」

>そういえば、朝比奈みくるをスーパーで見かけた。

古泉「朝比奈さんですか……もしかしたら誰かがそばにいたのでは?」

>見覚えのない女子生徒と一緒だった。

古泉「おそらく……涼宮さんでしょうね。
   もしやとは思いますが、接触は……?」

>余計な接触は避けるようにした。

古泉「ふう、本当にあなたが聡い人で助かります。
   あなたと涼宮さんは、偶発的なものではなく涼宮さんが会いに行く、という必要がありますからね」

古泉「助かります」

>特に何もしていない。

古泉「いえ、これは僕の本心ですよ。
   僕はあまり嘘が得意ではないですから、また何かもっともらしい嘘を
   用意しなければならないのかとひやひやしました」

>苦労しているんだな。

古泉「そんなことはありません。これでも僕は高校生活を満喫していますからね」

古泉「ところで、本日は何を作る予定なのでしょうか」

>ブリ大根を作る予定だ。

古泉「いいですね。僕も好きですよ」

>よければ一緒に食べるか?

古泉「本当ですか? お相伴にお預かりできるのでしたら大変喜ばしいですね」

>ああ、1人で食べるより誰かと食べたほうが美味しいからな。

古泉「ではお言葉に甘えさせていただきますよ」

>一樹と一緒に食事をとることにした。

>さて、今日はブリ大根を作ろう。

>コメをといだ水で大根を下ゆでし、ブリに振り塩をしてから湯霜を作り……

>――あとは落し蓋をして煮込むだけだ。

古泉「素晴らしい手際です。僕が見ても惚れ惚れしますよ」

>褒めても特に味は変わらない。

古泉「最近は、ずっとレトルトでしたからね。非常に楽しみです」

>一樹は1人暮らしなのだろうか……。

>てりつやブリ大根ができた。

古泉「それでは、いただきます」

古泉「素晴らしいです。これほどおいしい料理は久々です」

>満足してもらえたようだ。

古泉「涼宮さんではないですが、僕もあなたに出会えてうれしく思いますよ」

>一樹との間に純粋な友情を感じる。

古泉「ふふ」

>……たぶん。

古泉「そろそろ、僕は自室に戻りますよ。
   大変おいしかったです」

>そうだ。ひとつお願いがある。

古泉「何でしょう?」

>外に出るわけにもいかず、あまりにも退屈なので何か暇つぶしの道具がほしい。

古泉「ああ、すみません。そこまで気が回りませんでした」

古泉「何か希望がございましたら、そちらをご用意いたしますが」

>娯楽用品でなくとも本や勉強道具、内職のような仕事でも構わないと伝えた。

古泉「そうですね……勉強道具、教科書が届くのは明日ですのでお待ちください」

古泉「でしたら、僕の趣味のテーブルゲームのルールを憶えていただいてもよろしいでしょうか?」

>テーブルゲーム?

古泉「ええ、なかなか一緒にプレイしてくださる方は少ないのですよ。
   あなたが覚えてくだされば、非常に嬉しいのですが」

>ああ。それで構わない。

古泉「では各ゲームの戦術本もお付けしますよ。
   しばしお待ちください」

>……! 一樹から大量のテーブルゲームのルールブックと戦術本を受け取った!

――翌日。

>他のみんなは学校へ向かっている。

>今日は教科書などが届くらしい。その荷物を受け取ること以外予定はない。

>そういえば、一樹から大量のゲームのルールブックを受け取っていた。

>手当たり次第読んでみよう。

………
……


>チェス、囲碁、軍人将棋、変わったところでは象棋などのルールを覚えた。

>また人生ゲーム、モノポリーなどパーティゲームなどのルールブックもあった。

>一樹は、よほどボードゲームが好きなんだろう……。

ピンポーン……

>インターフォンで確認する限りどうやら宅配のようだ。

>荷物を受け取った。中は、北高で使う教材一式のようだ。

>体操服、ジャージ……しかし制服がない。

>どうやら八十神高校の制服で登校しなければならないようだ。

>明日の登校の準備をした。

>……やることがなくなってしまった。

>今度は戦術本を読んでみよう。

………
……


>外がすっかり暗くなるまで読みふけってしまった。

ピンポーン……

>今度は誰だろうか。インターフォンで確認をする。

古泉『こんにちは。開けていただいても?』

>一樹だ。鍵を開け部屋へ入れた。

古泉「今日はいかがでした?」

>部屋からでずに、本を読んでいたと告げた。

古泉「それは結構です。これでこの半軟禁生活も終わりですから、
    我慢していただいてありがとうございます」

>特に不便な生活ではなかったと告げた。

古泉「そう言っていただくと僕も幾分か心が軽くなりますよ」

>そういえば、北高の制服がなかったと告げた。

古泉「ええ、それに関してはわざとですよ」

>わざと?

古泉「あなたのキャラクターづけのためですよ。
    転校生という属性だけでは、既に僕が使用してしまっていて弱いですからね。
    ここは学ランをロックに着こなしていただいて、番長のあだ名を不動のものにしていただきたいですね」

>そういうことならまかせろ!

古泉「ええ、お任せします」

古泉「一応あなたはご両親の都合で、こちらへ来た転校生ということになっています。
   さらに急の決定だったので、制服を用意する時間がなかったという設定です」

>随分細かい設定だ。

古泉「できる限りぼろを出さないようにするためですよ」

古泉「できれば、聞かれたときにそれらしい嘘をご用意しておくことをお勧めします」

古泉「あとは、以前の高校のことを聞かれたら
   あなたの高校のことを話していただいて構いませんから」

>わかった。

古泉「ええ、それでは僕から言うことはこれ以上ありません」

>ありがとう。

古泉「ところで、夕食はもうお召しになられましたか?」

>そういえば、本に耽っていたせいで全く用意していなかった。

古泉「それは僥倖です。実はここに豚の生姜焼きの材料を買ってきておりましてね」

>一樹がスーパーの袋を掲げた。

古泉「ですが、僕はあなたのように手際よく作ることもおいしく作ることもできません」

古泉「よろしければ作っていただけると嬉しいのですが」

>買い出しにいけていなかったからむしろありがたい。

古泉「では、お願いしてもよろしいですか?」

>問題ないと告げた。

古泉「僕は幸運ですね。役得というべきでしょうか」

>一樹から純粋な友情を感じる。

>一樹と一緒に夕飯時を過ごした。

古泉「ふふ、こちらも大変おいしかったです」

古泉「では、僕はそろそろお暇しますよ。また明日学校でお会いしましょう」

>ああ、ありがとう。

古泉「学校でのボードゲームも楽しみにしておりますよ」

>一樹はでていった。

>今日は明日に備えて早めに寝よう。

………
……

――翌日、マンション前。

古泉「おや、昨夜は学校で言いましたがこんなところでもう会ってしまいましたね」

>……自分も随分早く出たつもりだが、一樹はもっと早いようだ。

古泉「これでも僕は真面目な転校生のキャラクターを守っているんですよ。
   間違っても遅刻なんてしないような予防線ですね」

古泉「そういうあなたも随分早いですね」

>道がイマイチわかっていなからな。迷った時の保険だと伝えた。

古泉「なるほど、ずいぶん真面目なようだ。
   ご一緒に行けば迷うことも遅刻することもないと思いますがいかがです?」

>……初日から転校生と仲が良いのは不自然ではないだろうか。

古泉「それは、『登校途中であなたに道を聞かれ、そのまま一緒に登校した』というのはいかがでしょう」

>一樹は、本当は嘘が得意なのではないだろうか……。

古泉「とんでもないですよ。買いかぶりです」

古泉「さて、あとは道すがらにしましょう。遅刻しては無意味ですからね」

――校門前。

古泉「では、僕はこれで。職員室はあちらですので」

>一樹は足早に校舎へ消えていってしまった。

>学校はまだ早いせいか生徒の数はまばらだが視線を感じる。

>やはり学ランは目立ちすぎるのかもしれない。

>職員室に急ごう……。

………
……

――2年某教室。

鶴屋「やっほーやっほー、おっはよーみっくるー!」

みくる「あ、おはようございます」

鶴屋「堅い、堅いよみくるー。転校生くんもそんな表情してたら緊張しちゃうよー」

みくる「転校生……?」

鶴屋「そーそー! ちょろーっと職員室までみてきたんだけどねっ!
    学ランをバッチっと決め込んで、かなりハイカラさんだったんさ!」

みくる「あっ……それって」

鶴屋「なになにっ! もしかしてみくるの知り合いっ?」

みくる「う、ううん。北高と違った制服の人がいるなって」

鶴屋「学ランさんならその人っさ!
   それもそれも! なんとこのクラスの転入生!
   こーんなへんな時期に転入なんて、楽しい予感しかしないっ!」

みくる「そ、そうだね」

鶴屋「だーかーらー、硬いよーみくるー」

みくる「あ、あはは……」

ガラッ

鶴屋「おーっとっとぉ。先生来ちゃったねぇ! また後でねっ」

教師「ほら、せきつけー。君も入ってきなさい」

>ざわついた教室に足を踏み入れる。

>……! なんと見知っている顔がいた。

教師「えーこのような変な時期ではあるが、
   親御さんの関係でこちらの学校へ転入してくることとなった。
   自己紹介を」

>簡潔に自己紹介をした。

教師「突然決まったことらしく、このように制服も以前の学校のままのものだそうだ」

教師「目につくかもしれないが、皆と同じように接してやってほしい。君の席はそこだ」

>言われた席についた。

教師「ではホームルームを始める」

>また新しい学校生活が始まる。

……


>ホームルームが終わった。

>自分が学ランだからだろうか。好奇の視線に晒されれているようだ。

鶴屋「こんちはっ! 転入生くんっ!」

みくる「こんにちはぁ」

>みくるとその友人らしき人物に声を掛けられた。

みくる「え、えーと、はじめ、まして? 朝比奈みくるです。こちらは、友人の鶴屋さんです」

>みくるはどのように接していいかわからず困惑しているようだ。

鶴屋「気さくに鶴屋さんって読んでくれて構わないっさ!」

>呼び方は全く気さくではないがそっとしておこう……。

>改めて自己紹介をした。

鶴屋「ねねっ、その学ランの着方はポリシーかなんかなのかなっ?
   転校初日にいい子ぶる様子もなく、前全開!
   いいねっ! そういうアグレッシブな精神はあたしも大好きだっ!」

みくる「つ、鶴屋さん。
    番長くんもいきなりそんなこと言われたら困っちゃいますよぉ……」

鶴屋「番長くん……?」

みくる「えっ! えーっとぉ、あ、あの、えっと」

>みくるはどうやら、どこか天然なところがあるようだ……。

鶴屋「番長……番長か!
   あははっ! いいね、そのあだ名っ! 学ランにそのアグレッシブな精神っ!
   まさしく番長だよっ! 番長くんっ! 転入生くんのあだ名は番長くんにケッテイっ!」

みくる「つ、鶴屋さん~……」

みくる「ご、ごめんね、番長くん」

>別にかまわないと伝えた。

鶴屋「みんなー! 今度から転入生くんは番長くんって呼んだげてー!」

>どうやら、番長のあだ名が定着してしまったようだ……。

鶴屋「じゃー、この学校初心者の番長くんにあたしたちが案内をしてあげるっさ!」

みくる「あ、はい。しますよ」

みくる「番長くん、わからないことがあったら何でも聞いてね」

>みくるは朗らかに笑っている。

>みくるとの間に絆の芽生えを感じた。

鶴屋「ささ、人間に与えられた時は有限っ! 差し迫るは次の授業っ!
   ってことで、めぼしいところだけさっくり紹介するからねっ!」

>圧倒的な行動力で鶴屋さんに引っ張られるように連れまわされた。

………
……


――1年5組。

ハルヒ「ねっ、キョン。聞いた?」

キョン「何をだ」

ハルヒ「転入生よ転入生。2年生に転入生が来たらしいわ」

キョン「そうかい。俺ら1年坊には何も関係がないことだな」

ハルヒ「何言ってるのよ! こんな時期に転入なんて古泉くんの時以上の不思議転入生よ!」

ハルヒ「それに1人だけ違う制服を許されてるみたいなのよっ! これは由々しき事態だわ!」

ハルヒ「いくわよ、キョン! そんな逸材を他の誰かに取られてたまりますか!」

キョン「おいおい、上級生をSOS団に引き込むつもりか?」

ハルヒ「何言ってるの、みくるちゃんがもういるじゃない」

キョン「朝比奈さんはちょっと特殊だろうよ……」

ハルヒ「あーもう! 御託は並べなくていいわ!」

キョン「うおっネクタイを引っ張るな! って今から行くのかよ!」

ハルヒ「当ッたり前じゃない! 時間は待ってくれないのよ。今やらなくていつやるの!」

キョン「わかったよ、自分で歩くからネクタイを放してくれ」

ハルヒ「わかればいいのよ。その転入生のナリによってはあたしも制服改造してやるんだから」

キョン「やれやれ……」

キョン「(古泉……お前の思惑は大当たりみたいだぞ)」

ハルヒ「ボサっとしないできりきり歩くっ!」

キョン「へーへー」

ハルヒ「でもいい? 手放しで迎えるのは無しだからね!」

ハルヒ「ちゃんと見極めるの。不思議の匂いを持っていそうならいれる、
     持ってなさそうなら見切る」

キョン「俺はもう個人的にSOS団は飽和状態だと思っているがな」

ハルヒ「何を言ってるの。どんな組織にも刺激は必要不可欠よ!
    それはSOS団でも例外じゃないわっ」

ハルヒ「停滞は淀みを生み組織を腐敗させるわ! そんなこと絶対許さないんだからね!
悪貨は良貨を駆逐するし、腐った枝葉は大木をも腐らせるの!」

キョン「そうかい」

ハルヒ「あたしの目が黒い内は、枝葉の一本一葉たりとも腐ることは許さないのよ!」

キョン「わかったわかった。俺もせいぜい腐らないように頑張るさ」

ハルヒ「わかったならよろしい。そういえば、その転入生って2年の何組なのかしらね」

キョン「おいおい、そこの調査もしてないのかよ」

ハルヒ「ま、みくるちゃんに訊けば分かるでしょ」

――2年某組。

ガラッ!!

ハルヒ「みくるちゃーん!」

キョン「おい、ちょっと自重しろ。上級生の眼が点だ」

ハルヒ「あれ? ちょっとキョン! みくるちゃんいないじゃない!」

キョン「しらん、俺に訊くな」

ハルヒ「あたしが必要なときにいないなんて団員失格よ! 失格!」

キョン「お前の気分に常に付き合える方が奇特な存在だ」

……


鶴屋「どうかなっ、簡単だけど今紹介したところが主なところっ」

>ありがとう。

鶴屋「うんうんっ、いいねいいねっ! 見た目に反して素直で素敵だよっ」

>なんと思われているのだろう……。

みくる「あれ? あの教室の前にいるのって涼宮さんとキョンくん?」

鶴屋「およ。ハルにゃんもキョンくんも何かうちのクラスに用があるのかなっ?」

>見覚えのある後姿だ。片方はキョンだろう。

鶴屋「やーやー、ハルにゃんっ! こんなところでどうしたのっ!」

みくる「涼宮さん、何かあったんですか?」

ハルヒ「って、みくるちゃん! どこに――」

>眼の前の女子生徒から強烈な視線を感じる……。

ハルヒ「でかしたわ! みくるちゃん! さすがよっ!
     あたしの行動を予見して先立って確保するなんて団員の鏡よっ!」

キョン「なーにが鏡だ。さっきまで失格とか言ってたくせに」

ハルヒ「そんな昔のことを引きずるのはこの先何の利益にもならないわ」

鶴屋「あー、そうそうっ! ハルにゃんたちにも紹介しておくよっ!
    この学ラン全開が似合う転校生が番長くんっ!」

ハルヒ「番長……?」

鶴屋「そっ! 学ランさんをこんな風にバシッとハイカラさんに着こなしてるからねっ!」

キョン「ハイカラときますか、俺はロックだと思うんですがね」

鶴屋「うーんっ! ロックかぁ、それもいいねっ!
   実はこのあだ名の名付け親はみくるなんだよっ!」

キョン「あ、朝比奈さん……ですか」

みくる「う、うん……」

>キョンとみくるは何やらアイコンタクトをしていたようだ。

ハルヒ「番長……うん! 番長! いいわね! みくるちゃん、ナイスアイディアよ」

みくる「あ、ありがとうございます」

キョン「やれやれ」

ハルヒ「まず自己紹介しておくわね、あたしは涼宮ハルヒ」

ハルヒ「番長くん! あなた異世界人?」

>……! いきなり核心をつく質問をしてきた。

キョン「……おいハルヒ、上級生なんだ。その言葉遣いはないだろう」

ハルヒ「今重要なのは上級生かどうかじゃないの!」

>涼宮ハルヒと名乗った女子生徒はこちらを睨みつけるように見つめている。

>負けじと見つめ返しはっきり違うと告げた。

ハルヒ「ん! よし! 合格!」

>……いったい何なのだろうか。

キョン「……一応聞いといてやる、何が合格なんだ」

ハルヒ「彼よ、彼に決まってるじゃない」

キョン「……異世界人じゃないと言っていたのにか」

ハルヒ「あたしだって、そんな簡単に異世界人に会えるとは思っていないわ」

キョン「じゃあ、なんで聞いた」

ハルヒ「あたしが見たのは気概よ気概。
     ここでふざけて『はい異世界人です』なんて言うようなら即不合格よ」

ハルヒ「それに、少しでも言いよどんでてもダメ。狼狽えてもダメ。
     そんな精神的軟弱者はSOS団にはいらないわ!」

ハルヒ「でも彼は一切目を逸らさず力強くこちらの質問に答えてくれるたわ。
     それは精神的な強さの裏付け、つまりSOS団でやっていける資質よ!
     あたしくらいになると今の質問だけでわかるの!」

キョン「……そうかい」

ハルヒ「番長くん、ありがたく思いなさい! SOS団に入る権利をあげるわ。
     この権利は、全宇宙を見渡しても最上級に名誉あることなのよ!」

>ありがとう。

鶴屋「やー、すっごいねぇ、番長くん」

キョン「一応言っておくが、拒否する権利もあるからな」

>せっかくのお誘いだ。入れてもらうことにしよう。

ハルヒ「みくるちゃん!」

みくる「は、はいぃ。なんでしょうか……?」

ハルヒ「もちろんSOS団の説明は番長くんにしておいてあるわよね?」

みくる「あの、その、しないですぅ……」

ハルヒ「みぃ~くぅ~るぅ~ちゃぁ~ん!」

みくる「ひゃぁぁっ! ごめんなさいぃ!」

>みくるは身体をまさぐられている。どうやらみくるは彼女のおもちゃのようだ……。

>キョンが顔を近づけてきた。

キョン「本当に良いのか。ろくでもない団体だぞ」

>楽しそうでいいじゃないかと伝えた。

キョン「番長がそういうならこれ以上はいわねぇさ」

キョン「ふう……おい、ハルヒ、そろそろやめておけ」

ハルヒ「なによ、まだお仕置きが終わっていないわ」

キョン「朝比奈さんは番長を確保しておいてくれたからいいじゃないか。
    許してやろうぜ。それにほら」

キーンコーンカーンコーン……

>予鈴がなっている。

みくる「ひゃぁぅぅぅ!!」

キョン「な、終了の合図だ」

ハルヒ「仕方ないわね……これくらいにしておいてあげるわ。
     キョンの言うことも0.1理くらいはあるからね」

キョン「それでいいから、離してやれ」

みくる「ううう……」

ハルヒ「いい、みくるちゃん、今日は部室に絶対集合だからね! 番長くんもつれてきなさいよ!」

みくる「わ、わかりましたぁ……」

>そういうとハルヒはずんずん廊下を進んでいってしまった。

キョン「すみません、朝比奈さん」

みくる「う、ううん、いいの。大丈夫だから」

鶴屋「みくるのことはあとはあたしにお任せ侍っさ!」

キョン「ええ、お願いします」

ハルヒ「こらー! バカキョン! 早く行くわよ!」

キョン「わかったよ。じゃあ、また部室でな、番長。朝比奈さんも」

――2年某教室。

>今日1日の授業が終わった。

鶴屋「やー! 終わったねぇ! どうだい? はじめての北高の感想は」

>悪くないと、伝えた。

鶴屋「うーん、いつか番長くんに『よかった』ってい言わせてみたいっ!」

>高校の授業を受けていると八十神高校のことが思い浮かぶ。

>まだ元の世界に帰る方法も見つかっていない。

みくる「じゃあ、そろそろ行きますか? 番長くん」

鶴屋「そっかそっか! 番長くんもお呼ばれしてるんだったねっ。
    頑張ってくるっさ。あたしはここらで消えるとするよ、ばいばいっ、みくる、番長くん」

>鶴屋さんは、教室から出ていってしまった。

みくる「いきましょう」

>ああ。

>2人で文芸部の部室に向かって歩いていく。

>質問してもいいだろうか。

みくる「うん、どうぞ?」

>鶴屋さんは、未来人なのだろうか?

みくる「ううん、ちがう。でもこっちに来てからであった掛け替えのない友人」

>みくるはどうやら鶴屋さんを信頼しているようだ。

>他に未来人はこの学校にいるのだろうか。

みくる「それは、ごめんなさい、禁則事項なんです」

>言えないということだろうか。

みくる「はい……」

>みくるは申し訳なさそうな顔をしている。気にしなくていいと伝えた。

みくる「ありがとう……ふふっ、キョンくんと一緒ですね」

>何がだだろうか。

みくる「ううん。なんでもない」

>会話をしているうちに、文芸部部室まで到着した。

みくる「番長くんは今日が初めてのSOS団なのよね」

>ああ。

みくる「いろいろ、ビックリすると思うけど……頑張ってね」

>そう言って、文芸部室のドアを開けた。

長門「……」

みくる「あ、長門さんこんにちはぁ」

>有希だ。すでに部屋の隅で読書をしていたようだ。

>体調はもういいのだろうか……。

長門「平気」

>ならばよかった。

みくる「あ、あのね。番長くん。ちょっと着替えるから外に出ていてほしいな」

>着替え……? なにかユニフォームでもあるのだろうか。

みくる「う、ううん。そうじゃないんだけど……」

>とにかく外に出よう。

>廊下に出て扉の前で待っているが、他の団員が来る様子はない。

>かなり早く来てしまったのだろうか。

みくる『あ、番長くん、ありがとう。もう大丈夫』

>扉の向こうから入室許可がされたようだ。

>……! なんとエプロンドレスだ。

みくる「ごめんね、締め出して。今お茶入れますから座って待っててね」

>みくる、似合ってる。

みくる「えっ、えぇっ! ど、どうしたんですかぁ?」

>感想を述べただけだと伝えた。

みくる「こ、ここまではっきりストレートに男性に言われたのは
   初めてだったからちょ、ちょっと照れちゃいましたぁ」

>しかしみくるはまんざらでもないようだ。

みくる「あ、これお茶です」

>給仕する姿が板についている。ずっとしてきたのだろうか……。

みくる「これ、長門さんのお茶です。ここに置いておきますね」

>有希は一瞥をくれただけでまた読書に戻ってしまったようだ。

みくる「ふふふっ、ちょっと新鮮」

>何がだろうか。

みくる「ううん、いつもは長門さんと2人きりで
    特にキョンくんや涼宮さんが来るまで話したりすることもないから」

>……この二人は仲が悪いのだろうか。

みくる「そ、そんなことないですよぉ。
    ただ、長門さんはああやって読書してますし、その邪魔をするのも悪いし」

みくる「あ、でも別に寂しいってわけじゃないんですよ!
    こうやって待ってる時間もお茶の本読んだりしてて、あとお掃除とかも」

>みくるは、楽しそうに話している。

>みくると他愛無い会話を楽しんだ。

みくる「でもこうやって、お話して待っているのも悪くないかなって。
    番長くんと話をしていて思いました、ふふっ」

>みくると少し仲良くなれたようだ。

みくる「そろそろ、皆さんも来ると思うのでお茶の準備しなくちゃ」

>みくるはお茶の準備を始めたようだ。

ガチャ

キョン「うぃっす。……って本当に来たのか」

みくる「あ、キョンくんこんにちは。これお茶です」

キョン「朝比奈さん、ありがとうございます」

>キョンの声色が自分や一樹と話しているときと違う。

キョン「なにが哀しくて野郎に、そんな声色使わないといかんのだ」

キョン「それより番長。ハルヒのヤツな、えらく張り切ってたから覚悟しておいた方がいいぞ」

>確かに今朝は驚いた。

キョン「あれで驚いてたら、これから先思いやられるぜ。
    ま、お前さんがいつまでこの世界にいるかわからんがな」

みくる「あ、そういえば、どうやって戻るんでしょうねぇ」

>そろそろ真剣に考えなければいけない問題だ。

キョン「なんでそんな落ち付いていられるんだ
    ……俺が別の世界にいったときは恥ずかしい話、発狂モンだったぞ」

>何かヒントがあるかもしれない。詳しく教えてほしい。

キョン「そんときは長門と朝比奈さんに助けてもらっただけで
    俺は何もやってないんだがな。帰還のヒントになるんならその2人に聞いてくれ」

>何か心当たりがあるだろうか。

みくる「あたしができるのは、ごめんなさい。特にないんです。
    前にも言ったように、この期間は機密扱いで何も教えてもらえませんし……
    TPDDの使用にも制限がかかっていて」

キョン「……朝比奈さん方面はダメみたいだな」

>有希は何か心当たりはないだろうか。

長門「今言えることはない」

>今?

長門「以前もいった様に彼自身の解析ができない。
   そのためこれ以上の進展は大きく望めないと予測される」

キョン「長門でもわからんなら俺は完全にお手上げだ。それは古泉もいっしょだろうよ」

>手がかりをつかむのはまだ先のようだ。

バンッ!

>! 大きな音を立てて突然ドアが開いた。

ハルヒ「みんな、ちゃんと来てるかしら!」

古泉「こんにちは」

>一樹は何やら大きな紙の束を持っているようだ。

ハルヒ「さっそく今日の活動を始めるわよ!」

キョン「おい、ハルヒ、番長の自己紹介も無しか」

ハルヒ「2年に転入してきた番長くんよ! 今日からSOS団に入ることになったわっ、以上!」

キョン「それは自己紹介じゃなく他者紹介だ」

ハルヒ「今日はまず新団員の番長くんにSOS団の活動を知ってもらって
    それでもってSOS団の知名度を世に知らしめる一石百鳥くらいのことをするの!」

ハルヒ「古泉くん! 例のアレくばって!」

古泉「了解しました」

キョン「お前は例のアレと言いたいだけじゃなかろうか」

>なにやら原色をふんだんに使った眼が痛くなりそうなチラシが配られた。

ハルヒ「さ、ざっとでいいから目を通してちょうだい」

キョン「ああ? 『SOS団活動の軌跡』?」

>手書きのチラシには、みくるのバニーガール姿などの写真と共に紹介されていた。

キョン「お前授業中何かしてると思ったら、こんなもん作ってやがったのか」

ハルヒ「いいかしら? 目を通した?」

>どうやら先ほどといいキョン発言は流される傾向が強いようだ。

キョン「それに、カラー印刷って金はどこから?」

ハルヒ「タダよタダ。SOS団の活動資金なんてスズメの涙なんだから
     節約できるところは節約しないとね」

古泉「実をいうと、生徒会室に忍び込んで勝手に印刷をしていたみたいで」

ハルヒ「生意気よね、あたしたちと同じ生徒なのにカラーコピー機なんて入れて。
    同じように学費払ってるんだから、使って当然よ」

キョン「……それ以上は聞くまいよ。頭が痛くなりそうだ」

>大丈夫なのだろうか……。

あとは同じように書いていく。
即興なのでどうなるかはわからん。

キョン「で、古泉はなんでその悪事の片棒を担いでるんだ」

古泉「生徒会長に少々用がありましてね。
   ですが生徒会長は不在で涼宮さんがいらっしゃったわけです」

ハルヒ「クラス委員の仕事だったそうよ。ドアが開いたときちょっとドキッとしちゃったわ」

キョン「どうせ、開けたのが古泉じゃなかったとしても
    お前はそのまま印刷を続けたと思うがな」

ハルヒ「当然じゃない。何言ってるの」

キョン「それで、この目に悪い原色だらけのチラシはなんだ」

ハルヒ「チラシってわかってるなら、それ以上聞く必要があるの?」

>ざっと300枚はありそうだ。

ハルヒ「いい? チラシは記憶に残らなきゃ意味がないの。
     いくら枚数を刷って、いくら配っても目を引いてもらわなきゃ広告なんて呼べないわ。
     逆にいえば記憶に残ってもらえれば枚数はこれくらい少なくてもいいの」

>どうやら彼女の感性からすると少ないらしい。

キョン「記憶に残ってもらう前に、手に取ってもらわなきゃ意味ないぞ」

ハルヒ「だからこれからみんなで配るんじゃない」

キョン「これを今からか……?」

ハルヒ「何度もいってるでしょキョン。時間は待ってくれないの。
     こうしてる一分一秒だってあたしたちの寿命は削れているのよ」

キョン「寿命ときたか」

>チラシをざっと眺めてみると、SOS団誕生のきっかけや七夕に宇宙にメッセージを飛ばしたなどのことが書かれている。

ハルヒ「番長くん! そこに書かれてあることは頭に叩き込んでおいて。
     いくらSOS団としてブランクあるからと言って、甘えたことは許されないわ!」

>すぐにでも覚えられるように努力しよう。

ハルヒ「よろしい! さすがあたしが見込んだ人材だわ!」

キョン「おい、番長。あまりこいつをのせるな」

ハルヒ「何言ってんのよキョン。それにだいたいね、なんでアンタが番長くんを呼び捨てなのよ。
     転入生とはいえ先輩よ先輩。失礼と思わないの?」

キョン「お前だってくんづけで呼んでるだろうが」

ハルヒ「あたしは番長くんの上司なんだから当然でしょ。
    アンタと番長くんは同じ平団員なんだから、その場合の区別は学年でするしかないでしょう」

ハルヒ「ううん、それだけじゃないわ。あだ名とはいえ"番長"と"雑用"じゃ格が違うわよ、格が」

キョン「それを比べるなら"番長"と"キョン"だろう」

ハルヒ「そんなのどっちだって一緒よ。"番長"と"キョン"じゃ勝負にならないわ」

キョン「……それにな、番長がこれでいいといったんだ」

ハルヒ「本当?」

>確かに自分がそれで構わないといった。

キョン「な、言っただろ。それなら番長の意思を尊重してやるべきじゃないのかね」

ハルヒ「ふぅん。番長くんがいいならいいのだけど。
    番長くんはそのあだ名に名前負けしない寛容さを持っているのね」

>何やら腕を組んでうんうんと頷いている。

ハルヒ「ところで、いつそんなこと話していたのよ」

キョン「……ハルヒがここに来る前だよ」

ハルヒ「あたしがここに来るまで?
     同じクラスなんだからキョンが部室について長くて30分がいい所じゃない。
     そんな短い間でそんなところまで仲良くなったってわけ?」

>自分の誰かに話しかける勇気、話を弾ませる伝達力、相手を受け入れる寛容さがあれば何の問題もないと伝えた。

ハルヒ「番長くんはコミュニケーションに自信があるわけね」

>ああ。

ハルヒ「それもそうよね。古泉くんみたいなとっつきやすい人ならともかく
    こんな面白みのない仏頂面とこの短時間で仲良くなれるなんて才能といってもいいわ」

キョン「おい、さらっと俺を貶すな」

古泉「僕の名前が出たところで、少しよろしいでしょうか」

ハルヒ「何かしら」

古泉「お話が盛り上がっているところ悪いのですが、
    終業のチャイムがなってから、そろそろ1時間が経とうとしております」

ハルヒ「それがどうかした?」

古泉「ええ。そろそろ部活に所属しているものは部活に精を出すころで話を聞いていただけないでしょうし、
    部活に所属していないものは帰宅の途に就いていることでしょう」

古泉「現時点で校舎にどれほどの人数が残っているかわかりませんが
   先ほど涼宮さんが、ここに来る前に僕に仰っていたノルマ1人50枚の達成は困難でしょう。
   おそらくほぼ全員が罰ゲームになってしまうと予想できます」

ハルヒ「確かにそうね。いけないわ。あたしがそんな初歩的かつ致命的なミスを犯すなんて。
    こんなだらだら喋っている時間はないわね、今すぐ行くわよ!」

古泉「もちろん、チラシ配りを敢行するのであれば我々はついていきますが、
    番長氏はSOS団初日のみならず北高が初日です」

古泉「確かに、見た目上彼からは疲労の色は感じませんが、少なからず緊張で疲労しているでしょう。
    ですがその上罰ゲーム必至の活動では少々酷なものではないかと」

ハルヒ「……いいわ。続けて」

古泉「ありがとうございます。
   そこで提案なのですが、今日は軽いレクリエーションですませ、
   番長氏に北高に馴染んでいただくことに重点を置くというのはいかがでしょう」

古泉「SOS団で改めて校内の不思議スポットがないかを探索をする。
   これでしたら、校内の不思議探索もでき、SOS団の活動も知っていただける。
   さらに且つ番長氏に北高を案内できると思うのですが」

ハルヒ「なるほどね。みんなはどう思う?」

みくる「あ、あたしは古泉くんの意見に賛成ですぅ……」

ハルヒ「どうしてかしら」

みくる「え、えっとですね。
    番長くんに鶴屋さんと案内した場所はトイレの場所とか
    移動教室の場所とか今日中に必要な場所くらいで全然案内しきれませんから案内してあげたいなって……」

ハルヒ「キョンはどう思う?」

キョン「俺か? 俺も古泉の意見に賛成だ。
    不思議探索云々は別にして、今日は番長を休ませてやるべきだと思うね。
    それに俺も罰ゲームは嫌だしな」

ハルヒ「有希は?」

長門「わたしはどちらでも構わない」

ハルヒ「そ」

ハルヒ「一応訊いておくけど、番長くんは? って、え?」

>チラシを配りに行くんじゃないのか?
>50枚ずつ分けておいたのでいつでも行けると伝えた。

キョン「話してるあいだ静かだと思ったらそんなことしてやがったのか。
    お前を労わってやろうとみんながハルヒと交渉してたのになんで当のお前が、そんなにやる気満々なんだよ……」

>それにチラシを配りながら校内を練り歩けば、
  ノルマは達成できないだろうが案内もしてもらえるし不思議探索もできる。

キョン「いいのか、それで……」

>みんなでやれば罰ゲームも楽しいものになるかもしれないだろう?

キョン「お前な……」

ハルヒ「ぷっ、あははっ! 最高だわ、番長くん!」

>何がだろうか。

ハルヒ「たしかに古泉くんの言うとおり番長くんのコンディションを気遣うのは当然よね。
     それにみくるちゃんの言った通り案内してあげないで、放りだしたら地の利がないまま番長くんは不利になるし」

ハルヒ「確かにそこを終着点としてもよかったわ。でもね、番長くんはその上を行ったのよ!」

ハルヒ「団長としてのあたしの意見は当然取り入れつつ、その上団員の意見までまとめた案を出した」

ハルヒ「これ以上ない最高の提案だわ!」

>では、チラシを配りながら学校を回るという形だろうか。

ハルヒ「ええ、そうね。でも古泉くんの言うことももっともだわ。
     こんな時間になっちゃ用事のない生徒はさっさと帰ってるだろうしね」

ハルヒ「だから持って行く量は10枚程度でいいわ。目ぼしい人がいたら渡しましょ。
    大荷物で行って、ほとんど捌けないなんて非効率的なことこの上ないことだから」

全部文庫で読んだので、アニメ版のハルヒにはうといのだがな。

思い出した。それぞれ進学して、団の結成一周年を祝うまでの4月5月を描いた『分裂』『驚愕』で長門がぶっ倒れた時はキョンと古泉の男性人二人加えた四人で長門の部屋に見舞いに行ってたぞ。
翌日は女子二人で行って残された男子二人はキャッチボールしていたが。

>>153
軽い風邪でもう元気になってるかもしれない程度だから深刻さはないっつーことで

よしかく

ハルヒ「キョン! チラシはアンタが持って行きなさい」

キョン「何で俺なんだよ。10枚程度ならお前が持っていればいいだろ」

ハルヒ「罰ゲームを嫌がった罰に決まってるじゃない。
    他の誰も罰ゲームは嫌なんて言ってないのにアンタだけ嫌がってたでしょ」

キョン「……お前ら小ずるいぞ」

古泉「はて、なんのことでしょう」

>キョンは何を言ってるのだろうか。

キョン「番長はともかく古泉は分かってやがったな……」

ハルヒ「それに雑用がこんなときに働かないでいつ働くってのよ」

キョン「はあ、わかりましたよ団長様。それくらいなら自分の職務を全うさせていただくさ」

ハルヒ「当然! じゃあ不思議探索兼、SOS団広報活動兼、番長くんに学校案内をするわよ!」

>ハルヒは先陣を切って部室から出ていき、それについていくように一樹も出ていった。

キョン「ほら、長門。いくぞ。これ以上ダラダラしてたら今度こそハルヒのやつの怒りに触れるからな」

長門「わかった」

>有希とキョンもそれに倣うように部室を出ていった。

>みくるも、いこう。

みくる「あ、はい。そうですね」

みくる「……それにしても番長くんって、すごいんですね」

>突然どうしたんだろう。お世辞を言っても何も出ないことを伝えた。

みくる「ううん。そうじゃないの。本当にすごいなぁって。
    あんなに楽しそうにしてる涼宮さんをみるのって久しぶりなんです」

>ただ自分が物珍しいだけだろう。

みくる「確かに、それもあるのかもしれませんけど……
    もちろん、涼宮さんがいつも不満気というわけではないんですよ」

みくる「ただああやって、楽しいって全身で表現をすることはなかなかないんです」

みくる「それに、その、なんていうのかな。
    そういうときって大体涼宮さんの提案で、何かやりたくてたまらないってときくらいで」

みくる「だから、誰かの提案を受けてあんなに楽しそうな涼宮さんって本当に珍しいんです」

みくる「番長くんは、やっぱり来るべくしてここに来る存在だったのかもしれません」

>そんなたいそうなものじゃない。ただの迷子だ。

みくる「でもあたしにはそうやって涼宮さんを楽しませることができないから。
    ちょっと嫉妬しちゃうかな」

みくる「でも、それ以上に尊敬してる。本当ですよ、ふふっ」

>みくるは朗らかに笑っている。

>みくるから仲間としての好意を感じる。少しみくると仲良くなれたようだ。

みくる「そろそろいきましょう」

>ところで。

みくる「なんですか?」

>そのエプロンドレスのまま外を回るのだろうか。

みくる「あっ、そうですよね。着替えなくちゃ――」

>……! なんとみくるはいきなり脱ぎだした!

>急いで部室を出て、みんなと合流した。

ハルヒ「あれ? みくるちゃんは?」

>制服に着替えていると伝えた。

キョン「……まさかとは思うが、覗いたりしてないだろうな」

>キョンが覗きたかったのか?

キョン「なっ……! あ、朝比奈さんにそんなことするわけ、」

ハルヒ「何露骨に狼狽えてるのよ、このエロキョンが!」

キョン「いてぇっ! ローキックやめろ! 脛は伝説の英雄だって痛がった場所なんだぞ!」

>いいコンビだ。

みくる「お待たせしましたぁ」

ハルヒ「よし、揃ったわね」

ハルヒ「といっても、あたしたちはもう目ぼしいところの探索は終わっているわ。
     同じところを掘り返してたらでる宝もでないってものよ」

キョン「じゃあ、どうするんだ」

ハルヒ「そこでよ。番長くんの学校の七不思議の場所をこの学校で探索してみるの!」

>八十神高校の七不思議……?

ハルヒ「7じゃなくてもいいわ。何か学校で流行ってた不思議な噂話のひとつやふたつあるでしょ!」

古泉「これはこれは」

キョン「相変わらずの恐ろしい勘だな……」

長門「……」

みくる「す、すごいですねぇ」

>自分が知っている不思議な話といえばやはりあれだろう。

ハルヒ「で、番長くんなにかない?」

>自分の学校にある不思議といえばマヨナカテレビだ。

ハルヒ「マヨナカテレビ?」

>雨の日の深夜0時に1人で何も映っていないテレビを見ると運命の人が写る、だそうだ。

ハルヒ「いいわね、いいわね! いいネタもってるじゃない!」

キョン「いいネタだとしても、今すぐ試せるもんじゃないだろう」

ハルヒ「ま、確かにそうね。雨も降ってないし」

キョン「雨が降ってりゃいいってもんじゃない」

ハルヒ「うーん、そうねぇ。ネタとしてはすっごく面白いんだけど」

ハルヒ「あ、こんなのどうかしら。
    今日みんなで学校に忍び込んで試してみるっていうのは」

キョン「却下だ。こんなボロイ高校だとしても
    校内のセキュリティに引っ掛かれば警備が即すっ飛んでくるぞ」

古泉「たしかに、せいぜい忍び込めて校庭まででしょうね」

ハルヒ「ま、それは後で考えましょ! まずはテレビのあるところってどこかしら。
    視聴覚室あたりに行けばあるかしらね」

ハルヒ「視聴覚室なんてマイナーでしょうから行ってないでしょ? うん、そこに決定!」

>視聴覚室……。そういえばあのテレビはまだ繋がっているのだろうか。

キョン「長門」

長門「なに」

キョン「あのテレビって、もう異空間とつながってないよな?」

長門「異空間の調査を行うため現在も接合されている」

キョン「……なら悪いが、今すぐ閉じてもらうことってできるか」

長門「調査の中止の要請?」

キョン「いや、中断はしなくていい。
    今から視聴覚室に行って、俺達が出ていくまでの間だけ閉じてもらうだけでいいんだ」

長門「問題ない」

>有希の口元が高速で動いている。

長門「空間接合の一時停止は完了した」

キョン「ありがとよ」

>キョンと有希は何か相談していたようだ。

キョン「いや、間違ってハルヒのやつが落ちないようにな。
    まだあのテレビ、異空間につながってたみたいだ」

>なるほど。

古泉「では、僕が鍵を借りてきましょう。施錠されていると思いますからね」

ハルヒ「うん、古泉くんよろしく」

>一樹は職員室へ向かったようだ。

ハルヒ「じゃあ、視聴覚室の前で待ってましょ」

>ハルヒはすたすたと歩きだしていってしまった。

キョン「すまん、古泉。お前がここに戻ってくるころには誰もいないだろう……」

みくる「古泉くん、ごめんね」

長門「……」

>残る3人も後を追うようについていってしまった。

>一樹、すまない。

>その場に言霊を残して自分もついていった。

――視聴覚室前。

ハルヒ「古泉くんを待ってるまで暇ね」

ハルヒ「番長くん。他に面白い話ってない?」

>他の不思議な出来事だろうか。

ハルヒ「そそ、そういう系の話。あったらバシバシ話ちゃって。
    もったいぶってても、どうせいつか話すことになるんだから今でも構わないでしょ」

>不思議なことといえば……。

キョン「おいおい、そんな無茶振りするもんじゃないぜ。
    番長、無ければ無いって言っていいからな」

>カレーのような外見だが、一口でも口に入れたなら失神させる物体X、

>人語を理解しているような節のあるキツネが住み着く神社、

>とある町の旅館の一室から聞こえる女のすすり泣く声、

>街で一番大きいスーパーに出没する謎のクマの着ぐるみ。

>ぱっと思いつくのはこれくらいしかない……。

キョン「いや、どう考えても思いつきすぎだ」

みくる「番長くんが以前住んでたとこってホント不思議なところなんですね」

ハルヒ「すごいわ番長くん! 番長くんは見た目が違うだけじゃないのよ」

ハルヒ「それとやっぱりあたしは慧眼だったってわけ。
     すぐさま番長くんに目を付けたんだから」

古泉「皆さんお待たせいたしました。
   急にいなくなってらっしゃったので驚きましたよ」

ハルヒ「ありがと、古泉くん」

>どうやら開錠されたようだ。

ハルヒ「さ、見てみましょ」

――視聴覚室

ハルヒ「えーと、テレビだったかしら」

>ハルヒが、以前異空間につながっていたテレビに触れる……。

キョン「……」

ハルヒ「これくらいの大きさならみんなで見られそうね」 コンコン

>どうやら異空間への入り口はなくなっているようだ。

>一樹が顔を寄せてきた。

古泉「わかっていらっしゃると思いますが、間違っても画面に触れないでくださいね」

>大丈夫だ。

ハルヒ「ま、テレビはこれでいいとして……問題は侵入方法よね」

ハルヒ「校門は乗り越えればいいけど、校内の侵入は骨が折れそう」

古泉「涼宮さん、それは雨が降った日のSOS団の会議懸案にしてはいかがでしょう」

ハルヒ「そうね。何も今日やることじゃなかったわ」

ハルヒ「みんな、いい?
    次の雨の日までに校内のセキュリティを突破する方法を考えておくこと!
    これはSOS団全体の宿題だからね!」

キョン「わかったわかった……それなら、さっさと他の場所に移動しようぜ。
    こんなところで溜まってても何も起こらんだろうよ」

ハルヒ「わかってるわよ。でも、ここも一応不思議スポット候補に記しておく必要がありそうね」

キョン「なんだそれは……」

ハルヒ「ま、いいわ。次に行きましょ!」

ハルヒ「番長くん、学校関係の不思議って他に何かあったかしら?」

>学校関係の不思議……。

>学校の不思議といわれて思い浮かぶのは個性的な教師の面々だ。

みくる「先生が不思議なんですかぁ……?」

>手にマペット人形を付けて授業する教師や、
 クレオパトラのようなメイクと装いで授業する教師がいたことを伝えた。

ID変わったら適当に察する方向で

キョン「……変な学校だな」

>自分もそう思う。

ハルヒ「面白すぎじゃない、その学校。機会があった行ってみたいわ」

古泉「……!」

ハルヒ「ね、学校のことじゃなくていいわ。何かほかに面白いことってないのかしら」

>本物の武具防具をアートと称して販売している店や
 雨の日だけ動くガチャガチャなど八十稲羽市のことを話しながら校内を回った。

……


――文芸部部室。

ハルヒ「ん、今日はこれくらいで終わりにしましょ」

>学校を一通り案内してもらった。

ハルヒ「それなりに収穫もあったし、番長くんの話は楽しかったし。
     言うことがあるそすれば、結局1枚も捌けなかったことかしら」

ハルヒ「ちょっとはやる気を見せなさい、キョン」

キョン「俺のせいじゃないだろうよ、ほとんど生徒なんていなかっただろ」

ハルヒ「今日はチラシ配りがメインじゃなかったからね。許してあげるわ。
     あとは言ったようにみんな校内のセキュリティの突破方法を考えておくこと!」

キョン「やっぱり諦めてなかったのか……」

ハルヒ「何で諦めなくちゃいけないのよ」

キョン「逆に何で諦めないんだ」

ハルヒ「そんなの、みんなでやった方が楽しいからに決まってるじゃない」

キョン「……まあ、言い分は分かるが――」

ハルヒ「とにかく。考えておくこと、いいわね」

キョン「……わかったよ、団長様」

ハルヒ「じゃあ、あたしはこれで帰るわ。やらなくちゃいけないこともあるしね。
     古泉くん、あとの鍵はお願いね」

古泉「確かに承りました」

ハルヒ「みくるちゃんはクラスでちゃんと番長くんをフォローしてあげること!
     番長くんも明日も来るのよ? 他の部に行くことなんて許さないんだからね!」

みくる「は、はぁい」

>ああ、わかった。

ハルヒ「有希も番長くんのフォローしてあげてちょうだい。
     SOS団では有希のほうが先輩なんだから」

長門「了解した」

ハルヒ「うん。それじゃね」

>風のように部室のドアからとびだし、見えなくなってしまった。

キョン「やれやれ……」

古泉「番長氏はいかがでしたか? 初めてのSOS団は」

>なかなか尖った部活動だ。

キョン「残念ながら、部活じゃないんだ。学校非公認の同好会以下のシロモノだからな」

>そうだったのか。

キョン「一応文芸部員は長門がそうなんだが、ご厚意で間借りさせてもらってるわけだ」

>間借り……。

キョン「……すまん。少々いいように言い過ぎた。言い直そう、これは占領だな」

長門「わたしは構わない」 パタン

>有希は本を閉じて帰り支度を始めたようだ。

古泉「みなさん、少々お時間よろしいですか?」

キョン「なんだ、もう解散命令が出ているぞ」

古泉「番長氏が帰還できる可能性、と言いましょうか。
   あくまで僕の推論ですが、その可能性を見出すことができそうでしたのでお話しておこうかと」

>……! 本当だろうか。

>>188
機会があったら、ね
微妙な誤字脱字が多い

キョン「本当か」

古泉「ええ。先ほどの探索で涼宮さんがおっしゃったことを覚えてらっしゃいますか?」

>なにか、重要なことあっただろうか……。

キョン「アイツは別にいつもの調子だっただろう」

古泉「他の皆さんは覚えてらっしゃいませんか?」

みくる「え、えぇっと……」

長門「……」

キョン「そういうもったいぶった溜めはいらん」

古泉「わかりました。涼宮さんはこうおっしゃったんですよ。
   『機会があったら行ってみたいわ』と」

キョン「それがどうした。ハルヒにしては至極真っ当な感想だろう」

古泉「では、なぜ涼宮さんは具体的な場所をお聞きにならなかったのでしょう」

キョン「それは……何か意味があるのか?」

古泉「ええ。もちろん僕の推論なので外れている可能性も大いにありますが」

キョン「いいから話せ」

>推論で構わない、聞かせてほしい。

古泉「では。以前もお話したと思いますが、
    涼宮さんは『こうあってほしい、でもそんなはずがない』という狭間で揺れています」

>ああ、そう言っていたことは覚えている。

キョン「それが関係あるのか?」

古泉「もちろん。ですからそれはここにいる僕たちにも当てはまります」

古泉「朝比奈さんが未来人だったら、長門さんが宇宙人だったら、僕が超能力者だったら。
   ですが、彼女は常識的な人です。そんなはずはないと思っている」

キョン「たしかにまあ……前にそんなことも言っていた気がするが」

古泉「そして、それはもちろん番長氏にも該当します。
   『もし異世界人だったら、でもそんなはずはない』と。該当しないのはあなたくらいですよ」

キョン「そんなことはいい。続けろ。
    どうしてそのことが場所を聞かないことにつながるんだ」

古泉「聞いてしまえば、番長氏が異世界人でないことが確定してしまうからですよ」

キョン「……? どういうことだ」

古泉「先ほども述べたとおり、彼女は常識的な方です。
    番長氏がここへ転入してくる前の地域を聞けば、この日本にあるどこかの地名が当然返ってくると思っているのです」

古泉「そして涼宮さんはおそらくこう思っているのでしょう。
   『異世界人ならば、見たことも聞いたことも無いような場所からきているに違いない』とね」

>なるほど……。

キョン「それで? そのハルヒが番長を異世界人だと思いたいってことはわかった。
    だけどどうしてそれが、番長が帰還できる可能性とやらになるんだ」

古泉「簡単な話ですよ。涼宮さんには願望を実現させる能力があります。
   そして、涼宮さんがどうしても番長氏の以前いた地域に行ってみたいと願ったらどうなるでしょう」

>……! そういうことか!

古泉「番長氏は、察してくださったようですね。そうです。
   その願望により、この世界と番長氏の世界を繋ぐゲートのようなものができる可能性があります」

キョン「なるほどな……」

みくる「あたしも、いいアイディアだと思います」

キョン「だけど……ひとついいか」

古泉「なんでしょう」

キョン「もし。もしだぞ。あいつがこの街が丸ごと変わって、
    番長のいた町のようになってしまえばいい、と願う可能性があるんじゃないのか」

古泉「その可能性ももちろんないとは言えません。
   しかし現時点でかなりその可能性は低いと思われます」

キョン「どうしてだ」

古泉「それも簡単な話です。涼宮さんは『行ってみたい』とおっしゃってました。
   現状に完全な満足はしてないでしょうけど、絶望もしていない。
   むしろ楽しいと思っている割合の方が高いはずです」

古泉「もし、この世界に絶望しているのであれば『変わってしまえばいいのに』、そう言うはずですからね」

キョン「さすがハルヒの精神鑑定師だな」

古泉「いえ、そんなことありません。あなたには負けますよ」

古泉「……それともう1つ、これは僕自身が話しがながら気づいたことなのですが、
   一応もう一つの帰還の可能性についてお話ししておきましょうか?」

>なんだろうか。

古泉「徹底的に涼宮さんに嫌われる、という方法です。
    それこそ、この世界からいなくなってしまえばいいと思われるほどにね」

古泉「ですがこれは、異世界に帰るのではなく完全に消滅してしまう可能性があります」

>それは困る。

古泉「ええ、もちろんです。ですから、嫌われないように努めてください、お願いします」

>ああ。

キョン「で、具体的にはどうするんだ」

古泉「申し訳ありませんがそこまで考えておりませんでした」

キョン「まあ、仕方がねぇか」

みくる「でも、これで一歩前身ですね、番長くん」

>ああ、ありがとう。

みくる「とりあえず、涼宮さんと仲良くなるってことでいいのかな……?」

古泉「ええ、そうですね。
    まずは親密な関係を築くところから始めなければならないでしょう」

古泉「幸い番長氏はコミュニケーション能力に秀でているようですし。
   努力していただければ涼宮さんと仲良くなることも時間の問題かと思われます」

>努力しよう。

キョン「覚悟しておいた方がいいぞ。近づいた分だけ振り回される幅がどんどん広がっていくからな」

古泉「……と、現状涼宮さんと一番近しい方がおっしゃっていますので、
   心に留めておいて損はないと思いますよ」

キョン「うるさいぞ古泉」

>ああ、貴重なアドバイスをありがとう。

キョン「……ま、頑張れと言っておくさ」

みくる「じゃあ、今日はこれで終わりなのかな?」

長門「わたしも報告したいことがある」

古泉「長門さんもですか?」

>なんだろうか。

長門「あの異空間の調査報告」

古泉「確かにそれは聞いておきたいですね」

キーンコーンカーンコーン……

――下校時刻になりました。校内に残っている生徒は速やかに下校してください。繰り返します……

みくる「どうしましょう……?」

古泉「ふむ。後回しにするべき案件でもありませんしね」

>みんながよければだが、場所を変えて食事をしながらでも話さないだろうか。

みくる「たしかにお腹すきましたね……」

古泉「僕はそれで結構ですよ」

キョン「残念だが、俺は週末のSOS団の活動で、大概の出費をさせられてるんでな。
    あいにく外食をするような余裕は持ち合わせていない」

>それならば自分が作ろう。

キョン「番長が?」

古泉「彼の料理の腕は確かですよ。
    2度ほどご相伴にあずからせていただきましたがどちらも非常に美味でした」

キョン「……そうか。一緒のマンションに住んでるんだったな」

古泉「ええ」

みくる「ってことは、番長くんのお家に行くってことになるよね……?」

古泉「必然的にそうなりますね」

みくる「男子のこのお家かぁ……」

長門「わたしは構わない」

>みくる「男子のこのお家かぁ……」

男の子のお家かぁ……ってことで

キョン「おい、番長……まさかわかって言ってるんじゃないだろうな」

>安心しろ。料理ならそこそこ自信がある。誰が来ても問題ない。

>少なくとも普通にまずかったり、不毛な味だったり、理不尽な激辛料理になることはないだろう。

キョン「いや、そうじゃなくてだな……」

古泉「ふふっ、こういうのを誤用なしの確信犯と言うんでしょう」

古泉「ですが確かに、番長氏の自室でしたら安心して話ができますね。
   ファミレスで異空間がどうとか異世界がどうだとか。
   そんなことを真面目に議論していたら傍目には完全に頭のおかしい集団でしょうし」

古泉「僕はそれでも構いませんけどね」

キョン「……席外すぞ。親に飯は今日いらないことを連絡しておく」

古泉「ええ、どうぞ」

>キョンは部室の外で電話をしているようだ。

>みくるは大丈夫か?

みくる「は、はい! ちょっと男の子の家に行くっていうのが緊張するだけだから……」

みくる「うん。古泉くんもおいしいっていってた、お料理楽しみにしておくね」

ガチャ

キョン「連絡しておいた。
    ……番長、退路を断ったんだ。これでマズイ飯が出てきたら恨むからな」

>ああ、任せろ!

チョイ休憩、また後で書く。

>>188
>言うことがあるそすれば、結局1枚も捌けなかったことかしら」

あるとすれば、ね

書いてく

………
……


――自室。

>みんなと買い物に行き、自室へ戻ってきた。

>そちらの部屋でくつろいでいてくれ。

古泉「では、お言葉に甘えさせていただきます」

キョン「ほお、かなり整理整頓が行き届いてるが……生活感もほとんどないな」

>まだ4日目だから仕方がない。

キョン「ああ、それもそうか……ってなんだ、このテーブルゲームの説明書の山は」

古泉「ああ、それは僕がお貸ししたんですよ」

>それよりジロジロとみられると恥ずかしい。

キョン「やかましい。番長の私物なんてその制服くらいなのもだろう」

>言ってみたかっただけだ。

キョン「……勝手にくつろがせてもらうぞ」

>構わない。

長門「……」

>有希はキョンについていくように部屋へ入っていった。

みくる「お、おじゃましまぁす」

>みくるもそちらで休んでいて構わない。

みくる「あ、ううん! お手伝いします」

>料理はできるのだろうか?

みくる「一応こちらの時代の調理器具の使い方の一式は学んできたんですよ。
    自炊なら経費の節約にもなると思って」

>……そこはかとなく不安だが、料理の手伝いをしてもらうことにした。

みくる「うん、お願いしますね」

>今日は、みんなで楽しめるようにいくつかの中華料理が作れるだけの具材を買ってきた。

>ホイコーロー、チンジャオロース、麻婆豆腐、餃子、中華スープの5品を作ることにした。

>……よく食べるやつがいる、と聞いて大量の材料を買ってきたが大丈夫だろうか。

みくる「何からはじめましょう?」

>とりあえず野菜の下ごしらえから始めよう。

みくる「はぁい。じゃあ、私がお野菜切りますね」

>……! 軽快なリズムで野菜を切っていく。包丁もかなり使いこなしている。

>みくるは想像以上に料理ができるようだ。

みくる「そ、そんなにじっと見られると、ちょ、ちょっとはずかしい、ですぅ……・」

>……すまない。自分も他のものの下ごしらえをしよう。

>順調に調理は進んでいく。

キョン「……」

古泉「おや、どうなさいました? さきほどからキッチンを睨んでいますが」

キョン「……別になんでもないさ」

古泉「それにしてもお二人はいいコンビですね。
    よどみなく調理が進んでいく様子が僕にもわかりますよ」

キョン「古泉……その分かってて言うクセどうにかしたらどうだ」

古泉「ふふ、お気づきでしたか」

キョン「当たり前だ。分からん方がどうかしてる」

古泉「僕の言い方はともかくとして、事実調理に関しては
   あの2人は名コンビだと思いますよ」

古泉「なによりお2人とも、楽しそうですしね」

キョン「……ま、料理のできない凡夫は大人しく待たせてもらうさ。
    朝比奈さん手ずからの料理が食べられるんだからな」

古泉「手ずから作るのは番長氏ですけどね」

キョン「やかましい、夢くらいみさせろ」

古泉「ふふ、それは失礼いたしました」

……


>特にトラブルが起こることもなく、調理ももう終盤だ。

みくる「ふうっ。あとは最初に作っておいた中華スープを温め直して、
    同時に餃子を蒸せば終わり、かな」

>手伝ってくれてありがとう。予定よりずいぶん早くできた。

みくる「う、ううん! 番長くんの手際がいいからこれだけ早くできたんです」

みくる「包丁使いも餃子のつつみ方も、とってもお上手でした」

みくる「今度、お料理教えてもらいたいな、ふふっ」

>みくるから仲間としての好意を厚く感じる。

>みくると少し仲良くなれたようだ。

みくる「あ、ホイコーローとチンジャオロースと麻婆豆腐は先に出しておくね」

>ああ、頼んだ。

みくる「でも、5人分とはいえスゴイ量になっちゃいましたね……」

>本当に食べきれるだろうか……。

>……そろそろ中華スープも温まる頃合いだ。みんなの分のご飯をよそっておこう。

みくる「お待たせしましたぁ」

古泉「これはまた、インパクトのある量ですね……
   テーブルの上が埋まってしまいましたよ」

みくる「あ、あはは……さ、冷めないうちに頂きましょう?」

古泉「そうですね」

>一樹と2人で食事をとったときには広いと思ったテーブルも5人では手狭だ。

古泉「仕方ありません、5人で食事とることは想定してませんでしたから」

>配膳は済ませた。あとは食べるだけだ。

古泉「では、いただきましょう」

みくる「いただきまぁす」

>いただきます。

>みんな思い思いの品を小皿に取っていく。

キョン「番長の料理の腕か。どんなもんかね」 パクッ

キョン「……!!」

>口にあうだろうか。

みくる「どう……ですか?」

古泉「ええ、相変わらず素晴らしい腕前ですよ。
    とてもおいしいです。食が進むというものです」

みくる「ほっ、よかった」

>ひとまずマズイということはなさそうだ。

>キョンはどうだろうか。

キョン「あー、そのなんだ。朝比奈さんが手伝っていたということもあるかもしれんが、
    俺のお袋より、その、味は上だ、と思う」

>そんな大層なものではない。母の味に勝るものはない。

キョン「う……そんな真面目に返すな」

みくる「ふふっ、キョンくん素直じゃないですね」

キョン「わかりました、わかりましたよ! うまいですよ、コイツは! 間違いなくうまい!」

>掻っ込むように食べている。

>口に合ったようなら安心した。

長門「……」

>有希は黙々と食べている。

>どうだろうか……?

みくる「長門さん……どうですか?」

長門「おいしい」

>それならよかった。

>有希はそれだけ言うとまた黙々と食べだした。……どことなくシュールな光景だ。

みくる「じゃあ、あたしたちも頂きましょう?」

>ああ。

>しばらくの間5人でたのしく食卓を囲んだ。

長門「……」

>……? 有希が空の茶碗を見つめている。

>おかわりがほしいのだろうか?

長門「(コクッ)」

>小柄で細身に似合わずよく食べるようだ。

>おかわりをもってきた。

長門「感謝する」

>また黙々と食べだした。食べるペースは全く落ちていない。

みくる「お腹いっぱいです。おいしかったです、番長くん」

>みくるは小食のようだ。一番最後に食べ始めて最初に切り上げている。

古泉「僕もこれで十分堪能させていただきました。本当においしかったですよ」

キョン「俺ももう腹は満たされたな」

>自分もそろそろ満腹になってきた……しかしおかずも炊いた白米もまだ残っている。

キョン「あー安心しろ、長門が結構喰うからな」

>有希に目を移すと、また空の茶碗を見つめている。

長門「……」

>じっとこちらを見てくる。おかわりがほしいのだろうか……。

長門「(コクッ)」

>おかわりの量は……?

長門「先ほどと同じで構わない」

>!! 有希がこの中で一番食べるということなのだろうか。

キョン「ああ、そうだな」

>以外だ……。

……


>結局有希は残ったおかずをすべて食べきった。

>有希なら雨の日スペシャル肉丼も軽く完食できそうだ。

>楽しい食事の時間と共に有希のすごさの一端を垣間見た気がした……。

古泉「さて、みなさんのお腹も満たされたことですし、本題に進みましょう。
   長門さん、異空間の調査が終わったとのことですが」

長門「完了した」

古泉「説明していただいてよろしいですか?」

長門「あの空間は、やはり涼宮ハルヒの深層心理を強く映し出している」

古泉「涼宮さんの、深層心理ですか……」

長門「閉鎖空間を一時の衝動による表層心理とするならば、
   あの空間の状態は深層心理と表現をすることが妥当」

キョン「じゃあ、あの空間はハルヒが作っているのか?」

長門「肯定でもあり、否定でもある」

>どういうことだ……?

長門「涼宮ハルヒがいなければ、あの空間が生まれなかったという点では肯定することができる。
   しかし閉鎖空間のように不確定に発生消滅を繰り返すものではなく、涼宮ハルヒが存在する限り発生し続ける空間であると推定される。
   この点を考慮すると、作っているという表現はふさわしくない」

長門「故に、その質問には肯定でもあり否定でもあると言わざるをえない」

古泉「ふむ……なるほど……
   他に何か、発見はあったのでしょうか」

長門「あの空間にあった窓、ドアは共にいかなる手段を用いても開錠は不可能だった。
   理由は不明。空間の限界値であるためか、他の何かに起因するのかは読み取ることができなかった」

古泉「ドアの鍵……ですか」

長門「なお、涼宮ハルヒの深層心理に影響を及ぼす可能性を完全に排除できないため破壊行為は行っていない。
   そのため、ドアおよび窓を破壊できるかどうかは不明」

古泉「他にはありますか?」

長門「調査で判明したことはそれだけ」

起きたら書く

ああ、誤字は適当に脳内補完よろしく

よし書く

キョン「ハルヒに関係があるってことは分かった。
    だけど番長の帰還に関する手がかりになりそうなことはないな……」

古泉「そういえば、シャドウに関しては何かわかったことはありますか?」

長門「シャドウの出現は認められないかったため調査はできていない。
   でも調査中、終始敵性の検知はできなかった」

古泉「そういえば、シャドウが集まってきていた時は長門さんは気絶しておられましたね」

長門「……不覚」

キョン「俺としては嬉しい面もあるんだがな。長門の新しい一面もみられて」

長門「忘れて」

キョン「わすれられねぇさ、それに――」

長門「忘れて」

>相変わらずの淡々とした口調だが、どこか鬼気迫るものがある……。

キョン「お、おう……あれは俺の心にとどめておくよ」

みくる「あの、いいですか? そのドアとか窓とかシャドウってなんなんですかぁ……?」

キョン「ああ、そうか。朝比奈さんは全く見ていなかったんですものね」

>みくるに一通りの説明をした。

みくる「へぇ……」

キョン「……とまあ、散々な目にあってきたわけです」

みくる「それで、そこが涼宮さんの部屋だったってわけですかぁ」

キョン「ハルヒの部屋って、まあ、そうなるんですかね」

古泉「涼宮さんの部屋……そうか」

>一樹は1人で何やら考え事をしているようだ。

キョン「古泉、なにか言いたいことがあるなら言った方がいいぞ」

古泉「ええ、そうですね。せっかく皆さんもいらっしゃることですし。
   いえ、それほど重要なこととは思えないのですが、
   なぜ番長氏の能力で涼宮さんの深層心理空間につながったのか考えていたのです」

キョン「うん? それがどうしたんだ」

古泉「番長氏の世界のテレビの中というのは、複数の人々の内面を映しているわけです。
   言い換えてしまえば、その世界の内面と言ってもいい。複数の人々の抑圧がシャドウとなって現れるわけですから」

>確かにそう言えるかもしれない。

古泉「この世界の根幹を涼宮さんが形成している、と考えるのが妥当なのかとも思いましたが……」

キョン「またお得意のハルヒが神説か?」

古泉「いえ、そういうわけではないのですけれどね。ただ何故なのだろうという話ですよ」

長門「涼宮ハルヒが情報フレアを引き起こしたを考慮すれば、妥当」

古泉「ああ、それはそうかもしれません」

長門「そう」

キョン「おい、2人で納得していないで説明してくれ」

古泉「単純な話です。涼宮さんはこの世界における誰よりも内在する情報量が大きいのです。
   ですから内面で形成される世界も大きくなり、どこからアクセスしても涼宮さんの世界へたどり着く可能性が高くなる。
   特に北高周辺ではね」

キョン「……なるほどな」

>自分の世界では、テレビの中に落ちないと空間は形成されないと伝えた。

古泉「涼宮さんなら何もせずとも形成していても不思議ではありませんよ。
   ただやはり、これも番長氏の帰還には関係することがないでしょうから、脇に置いておきましょう」

キョン「結局何もわからずじまいか」

>完全に行き詰ってしまったようだ……。

>あの空間から帰ることを少し期待していたのだが。

長門「涼宮ハルヒの深層心理空間からは異世界の入り口は発見できなかった」

>ダメだったようだ……。

キョン「テレビといえば、この部屋テレビないな」

古泉「ええ、急に用意した部屋ですので、そこまで間に合いませんでした」

キョン「こんな部屋に1人って、寂しくないのか?」

>特に困ったことはないと伝えた。

キョン「番長も大概に変わりもんだな」

みくる「寂しいと言えば、その涼宮さんのお部屋? でいいのかな。寂しい印象ですね」

>寂しい?

みくる「何にもない広い部屋で、鍵も開かないようなところ。
    それに、外も真っ暗だったみたいだから……」

みくる「あたしならそんな部屋に住んでいたら寂しいなぁって」

>たしかに、思しいものがほとんどなかった。せいぜい子供用のおもちゃがあるだけだった。

古泉「それはおそらく……涼宮さんが寂しいと思っているからでしょうね。
   朝比奈さんのその印象は当たっていると思いますよ」

キョン「あいつにそんな感情があるもんかね。
    いつも嵐みたいに他人様まで巻き込んで、果てはそれを何とも思っていないようなやつだぞ」

古泉「表面的な人格と深層心理は別ですよ。それはあなたも自分の影を見てわかっているでしょう?」

キョン「う……ぐ。それは、そうだが――」

古泉「涼宮さんはこう思っているのでしょう。
   『窓の外の世界にはきっと見たこともない世界が広がっている』」

古泉「そしてこうも思っているのではないでしょうか。
   『いつかきっと、あのドアを開けて私をどこかへ連れ出してくれる』と。
   
古泉「文字通り、待っているのですよ。キーパーソンをね」

キョン「……そんな受動的なやつだとは思わんがな」

>一樹が熱いまなざしでキョンを見つめている……。

>たしかに、思しいものがほとんどなかった。せいぜい子供用のおもちゃがあるだけだった。

目ぼしいね。目ぼしい

>よく見れば有希もみくるもキョンを見つめている。

キョン「俺のことは今はいい! 番長のこと考えましょうよ」

みくる「う、うん。そうですね」

古泉「と言っても、他に何かあるわけではないんですがね」

キョン「まあ、そうだが」

みくる「番長くんは、ここに来る前のことって覚えていないんですか?」

>ここに来る前のこと……?

古泉「そうですね、ここに飛ばされる直前のことでなにかありませんでしたか?」

>ここに来る前のこと……。

>なぜだろう。とても大事なことをしていた気がするが、全く思い出せない。

みくる「思い出せない……?」

キョン「記憶喪失ってことはないよな、あれだけ学校のことや町のことを話していたからな」

古泉「直前の記憶だけ抜けていると考えるのが妥当でしょうか」

>……やはり思い出せない。おじさんや菜々子、仲間たちや町のことなどは思い出せる。

>しかし、自分が何をしていたのか、全く思い出せない……。

古泉「何か手がかりになればと思ったのですが、残念です」

キョン「ま、おいおい思い出していけばいいさ」

みくる「でも、記憶がないって辛いですね……」

キョン「そう、ですね」

>……妙な沈黙が漂っている。

>大丈夫だ。特に生活に支障はない。

みくる「そう、なんですか?」

古泉「……では、他に報告や疑問がないのでしたら解散にしましょうか」

キョン「そうだな」

長門「……」

みくる「は、はぁい」

>みな思い思い、帰宅の準備を始めた。

キョン「じゃあな、番長。確かにうまかったよ、ごっそさん」

古泉「番長氏、それではまた明日学校でお会いしましょう」

長門「また、呼んでほしい」

キョン「……長門がそんなこと言うなんて珍しいな」

長門「そう」

キョン「いや、なんでもねぇさ。よかったな番長、料理の腕は宇宙級らしいぞ」

>光栄だ。

みくる「番長くん、またね」

バタン――……

>みんな帰宅していった。先ほどまでの騒がしさが嘘のように静かだ。

>片づけをせねば。

ピーンポーン――

>誰だろう? インターホンで確認をすると……みくるだ。

>何か忘れ物をしたのだろうか……?

ガチャ

みくる「あ、あのぅ……」

>どうしたのだろう。

みくる「すっかりお片付けのことを忘れてて」

>わざわざ手伝うために戻ってきてくれたのだろうか。

みくる「えっと、食べてそのままっていうのは悪いから」

みくる「め、迷惑ですか……?」

>いや、ありがとう。

みくる「……! うん、早く終わらせよっか」

>みくると食事の後片付けをした。

みくる「あ、あのね。言いそびれてたけど、番長くんのご飯とってもおいしかったです」

みくる「長門さんじゃないですけど、またみんなでこうやって食事できればいいなぁって思います」

みくる「あ、もちろん次は涼宮さんもいっしょに」

>みくるから、仲間としての好意を強く感じる……。また少しみくると仲良くなれたようだ。

>みくるは片づけを終えて帰っていった。

――翌日、マンション前。

古泉「おはようございます。土曜日の半日授業は高校生でも嬉しいものですね。
   高校生だからこそでしょうか」

>……一樹は男を待つ趣味でも持っているのだろうか。

古泉「そんなことはありません。
   ただ昨日僕の考えていた推論を話す機会がなかったものでもやもやとしていただけです」

>そういえば、初日の有希の影と戦った後の部室で推論があると言っていたな。

古泉「ええ。僕もあの空間は涼宮さんの心理と関係があるのではないかと思っていたのですが。
   完全に長門さんが解説してしまいましたからね」

古泉「せっかく考えていた推論を披露することなく終わってしまったので、
   不完全燃焼気味なのですよ」

>自分でいいなら聞こう。

古泉「ふふ、あなたならそう言ってくれると思っていましたよ。遅れるといけませんから歩きながら話しましょう。
  あの部屋にあったドアと窓、それにおもちゃを覚えておいでですか?」

>確か、窓とドアは一樹が解説していたな。

古泉「ええ、まずそれが関係があるのではと疑った一因です」

古泉「そして、おもちゃを具体的に覚えておいでですか?」

>……? いや、おもちゃがあったことしか覚えていない。

古泉「具体的には人形と積みあがった積木です」

>それがどうかしたのか?

古泉「人形の数は5体でした。この数は涼宮さんを除く僕たちの現在の数と合致しています」

>……ハルヒは自分たちのことをおもちゃだと思っているのだろうか。

古泉「反対ですよ。僕たちのことを仲間と思っているのです。
   子供にとっておもちゃは、大切な友達に等しいですからね」

>それは……ハルヒが子供だということなのだろうか。

古泉「ええ。ですが、もちろんそれが涼宮さんのすべてではありません。
   何度も言っているように『こうあってほしい、でもそんなはずがない』と涼宮さんは思っているのです。
   こうあってほしい、と願う子供の部分、でもそんなわけはないと思う大人の部分」

古泉「それを両方持ち合わせているのです。
   ですがこれは、ほとんどの人が持っていると僕は考えますけどね」

>確かに、そういう部分は誰もが持っているかもしれないな。

古泉「そして積みあがった積木……彼女は危惧しているのですよ。
    この今がいとも容易く崩れてしまうのではないかとね」

>そんなわけがないだろう。自分が見ている限りでは仲の良いグループだ。

古泉「ええ、もちろん。現在の僕たちは容易く崩れたりしないでしょう。
   ですが、物理的に抵抗が不可能なこともあります。
   たとえば、朝比奈さんは確実に僕たちより先に北高を去りますからね」

>なるほど……。

ID変わったら適当に察する方向で

古泉「その危うい現状を、押せば崩れてしまう積み木なのではないかと、
   涼宮さんは考えているわけです」

古泉「……と、ここまで長々と説明しましたが、
   結局は長門さんの言う深層心理ということで決着がついてしまいました」

古泉「ですがこうして話すことができてよかったですよ、もう意味はありませんけどね。
   ただの雑談として流してくださって結構です」

>そんなことはない。さらに確信が強くなったじゃないか。

古泉「そう言ってもらえると僕の推論もうかばれるというものです」

>それなら聞いてよかった。

>一樹と他愛無い会話をしながら学校へ登校した。


――校門前。

古泉「さて、ではまた部室でお会いしましょう」

>ああ。

古泉「……これはあまり言わないでおこうと思ったのですが」

>なんだろうか。

古泉「いえ、大したことではありません。
   ただ、僕はあなたの来訪を嬉しく思っているということです」

>……。

古泉「ふふ。そういう意味ではありません。
    ご安心ください、ちゃんと僕は異性に興味がありますよ」   

古泉「純粋に嬉しいのですよ。
    僕のSOS団の立場として解説をすることはあっても、
    僕のこのような他愛無い雑談を要している人は少ないのです」

>そうなのか?

古泉「ええ。涼宮さんには基本提案ですし、長門さんや朝比奈さんとは業務的なやり取りが多い」

古泉「唯一僕の話をそれなり聞いてくださる方は、彼なのですが――」

古泉「このような話をすると、あまり良い顔をなされませんので」

>確かに、少し硬い話かもしれないな。

古泉「ええ。それは僕も十分承知したうえで話していますし、
   よい顔をしないと言いましたが、それでも聞いてくださる彼にももちろん感謝しています。
   さえぎられることはありますけどね」

古泉「ですがあなたは、嫌な顔をせず、最後まで聞いてくださいましたから。
   つい、話しすぎてしまうのです」

>ただ、聞いているだけだ。

古泉「それが嬉しいのですよ。僕の心もそれだけで随分和らぎますから」

古泉「やはりあなたは、来るべくしてここに来たのかもしれませんね」

古泉「それでは、失礼します」

>一樹は1年の校舎へ消えていった。

>自分も教室へ急ごう。


――2年某教室。

鶴屋「おーっはよっ! 番長くんっ! 昨日の団活はなにしてたのっかなっ!」

>鶴屋さんが話しかけてきた。

>昨日は詳しく学校案内をしてもらったと伝えた。

鶴屋「なるほどなるほどっ。あれじゃ学校案内は全然足りてなかったもんね」

>そんなことはない。とても助かった。

鶴屋「やー、番長くんのお役にたったならよかったよっ!」

みくる「あ、鶴屋さん、番長くんおはようございます」

>おはよう。

鶴屋「やーやーみくるー、ちゃんと番長くんの案内できたかなっ?」

みくる「あ、うん。みんなも一緒だったし、ちゃんとできたと思うけど……
    で、できましたよね?」

>ああ、大体の場所を覚えることができた。

みくる「ほっ、よかったぁ」

鶴屋「ねね、何かおもしろ事件とか起こらなかったのっ!」

みくる「う、うーん。事件は特になかったと思う」

鶴屋「ほー、そうなんだっ。ハルにゃんがいるから
   てっきりおもしろ事件のひとつやふたつ起こったかと思ったんだけどさっ」

みくる「ふふ、基本は学校案内しながら、番長くんの話を聞いてただけだったから」

鶴屋「お、なになに! 番長くん面白い話のネタを持ってるんだっ!
   ぜひ聞きたいねっ!」

……


>鶴屋さんに、せがまれて自分の住んでいた町と学校のことを話しながら過ごした。

――放課後、文芸部部室。

長門「……」

>有希がいる。相変わらず黙々と本を読んでいるようだ。

>……みくるは日直の仕事があるので、部室には2人きりだ。

長門「……」パタン

>有希が突然本を閉じてこちらを見つめいている。

>何かあっただろうか。

長門「以前の涼宮ハルヒの深層心理空間での件について、感謝する」

>……? 今更どうしたのだろう?

長門「感謝の意を伝えていなかった」

>シャドウの対応は慣れているから問題ないと伝えた。

>それに影の暴走は有希のせいじゃない。

長門「エラーの集積に起因するとはいえ、わたしが起こしたことに変わりはない。
   迷惑を掛けたことを謝罪する」

>迷惑じゃない。それに困ったときはお互い様だ。

長門「そう」

>キョンも言っていたが、人間味にあふれた有希もいいと思うと伝えた。

長門「そう」

>ああ。

長門「でも、忘れて」

>……やはり、何かを有希は気にしているようだ。

>何か気になることでもあったのだろうか。

長門「平時ではありえない言動、
   さらにわたしの、長門有希という端末におけるいくつかの個別秘匿データの漏洩」

長門「あれは、統合情報思念体も知らなかったこと」

>それがどうかしたのか……?

長門「……あなた達の言葉でいうなら『恥ずかしい』、が該当する」

長門「だから、忘れてほしい」

>……! 思わず顔が綻んでしまった。

長門「何かおかしなこと、あった?」

>いや、おかしなことは何もないと伝えた。

長門「そう」

>ただ、ひとつ訂正したいことがある。

長門「なに」

>有希は既に十分人間味にあふれていると思う。

長門「…………そう」

有希「それと、昨晩の食事についても改めて感謝する」

>いい食べっぷりだった。みていて気持ちがよい。

有希「そう」

>また食事会をしよう。

有希「待ってる」

>有希との間に絆の芽生えを感じる……。

>有希と少し仲良くなれたようだ。

長門「……」

>有希は読書に戻ってしまったようだ。

ガチャッ

みくる「こんにちはぁ……あれ? まだ番長くんと長門さんだけですか?」

>ああ。

みくる「よかったです、あ、今着替えてお茶を用意しますね」

>また警戒心なく脱ごうとしている……また部室から出ていた方がよさそうだ。

>部室から出て着替えが終わるのを待つことにした。

――文芸部部室前。

古泉「朝比奈さんが着替えていらっしゃるのでしょうか?」

>その通りだと伝えた。

古泉「では僕もここで待っていた方が良さそうですね」

キョン「よ。とうとうSOS団男子のたまり場は部室外になったか」

>キョンも合流してきた。

古泉「朝比奈さんが中で着替えてらっしゃるそうですよ」

キョン「ああ、なるほどな」

古泉「涼宮さんはどうなさったのです?」

キョン「俺に先に行ってるように言ってどこかに消えちまった」

>何をしにいったのだろう。

キョン「さあな、俺はハルヒの保護者じゃないし、俺が与り知るところでもないからな。
    それにハルヒのやることなんざ予想したところでその斜め上を行きやがる。予想しても無駄ってもんだ」


>そうなのか。

キョン「あいつの奇行は全校生徒の知るところだ。それこそ1年から3年まで全部ひっくるめてな。
    知らないのは、転校してきた番長くらいだぜ。ハルヒの奇行は北高の常識と言ってもいいくらいだからな」

また起きたら書く

書く

>奇行ときたか。

キョン「ああ、奇行だ奇行。異口同音で誰に聞いても答えてくれるだろうよ。
    その奇行に振り回されるのがこのSOS団なんでね。心身ともに絶賛摩耗中だ」

古泉「彼は少々心にもないことを言うクセがありましてね」

>ああ、わかってる。

キョン「お前らな……」

みくる『お待たせしましたぁ』

>どうやら着替えが終わったようだ。

ガチャ

みくる「あ、キョンくん古泉くんもきてたんですね、こんにちはぁ。
    今お茶入れますね」

キョン「こんにちは、朝比奈さん。毎度すみません」

古泉「ありがとうございます」

みくる「キョンくん、涼宮さんは……?」

キョン「ああ、あいつですか。何か企んでるみたいだったので……
    朝比奈さんも覚悟しておいた方がいいかもしれませんね」

みくる「ひ、ひぇっ」

>何故みくるが怯えるのだろう……。

キョン「往々にして朝比奈さんは被害の爆心地にいることが多いんでね。
    バニーガール然り映画の主演しかりな」

>バニーガールはチラシで見たものだろうか。

キョン「ああ、それだ」

>それと……映画?

キョン「ああ、ついこの間の文化祭でお披露目したんだよ。
    かろうじて映像作品の体裁を整えただけのろくでもない映画だ」

>すこし、見てみたい。

キョン「やめておけ。多大なる時間の無駄だし、なにより……」

みくる「あうう……」

>顔面から火が出そうなほど顔が赤くなっている。

キョン「まあ、そういうことだ。
    古泉の歯の浮くほど、きざったらしいセリフを聞きたいなら
    これ以上ないくらいのお勧め作品だけどな」

古泉「ふふ、一応僕もあれで恥ずかしかったのですよ」

キョン「どうだか」

バンッ――!

>ドアが勢いよく開かれた。

ハルヒ「おっ待たせみんなー!」

ハルヒ「うんうん、団長よりみんなちゃんと早く集合しているわね」

>ハルヒは満足そうだ。

キョン「で、今日は何をするって?」

ハルヒ「待ちなさい。物事には順番があるのよ」

キョン「散々、急かしていた奴がよく言う……」

>ハルヒはホワイトボードを引っ張り出してきた。

ハルヒ「さ、今日やることを説明するわよ。ミーティングね」

キョン「ミーティングって……このチラシの山はどうするんだ」

ハルヒ「それ? あとで考えれば事が済むでしょ」

>ハルヒはどうやら結果よりプロセスを大事にするタイプのようだ。

キョン「冷静に分析しなくていい」

ハルヒ「いい、今からは私語厳禁だから」

ハルヒ「今日の議題は明日の不思議探索についてよ」

キョン「なんだ、そんなことか。いつものように駅前に集まってくじ引きだろ?
    そんで解散、また戻ってくると……」

ハルヒ「それよ、その無計画さが今までいけなかったの!」

キョン「何をいまさら……」

ハルヒ「でも今日からは違うわ。事前調査よ事前調査。
     今から不思議スポットがありそうなところを調査しておくの」

ハルヒ「行き当たりばったりじゃ見つかるものも見つからないわ。
     みくるちゃん、書記っ」

みくる「はぁい」

>みくるのまるい文字で事前調査とホワイトボードに書かれた。

>まずそもそも不思議探索とはなんなのだろうか……。

ハルヒ「そうね、番長くんにもわかってもらうためのミーティングだから安心して」

ハルヒ「不思議探索は読んで字の如く、不思議を探索するの」

>またみくるのまるい文字で不思議探索と書かれた。

ハルヒ「ただその規模は、学校内なんてチンケなものじゃないわ!
     対象は街全部よ!」

>みくるは街全部と、発言を細かに書き取っている。

ハルヒ「いつもは昼前に駅前に集まって、
    軽くミーティングして班分けして探しに行くんだけどね」

キョン「喫茶店でだべっての間違いだろう……」

ハルヒ「キョン、うっさい! 罰として明日の支払いはあんただからね」

キョン「いっ!」

>キョンの財布が軽くなることが現時点で確定したようだ。

ハルヒ「ま、どうせいつものことだから構わないでしょ」

キョン「そのいつもだから困ってるんだ……」

古泉「口は災いの元、とはよく言ったものですね」

キョン「うるさいぞ古泉」

キョン「当てを付けるにしてもどうするんだ」

ハルヒ「そこで、これの出番よ!」

>どうやら近隣の地図のようだ。

キョン「……どうしたんだそれ」

ハルヒ「社会科準備室の地学の棚から借りてきたの」

キョン「教室を飛び出していった理由はそれか」

ハルヒ「職員室から鍵借りるのも一苦労よ、頭堅いんだから」

キョン「また、無理やり持ってきたんじゃないんだろうな」

ハルヒ「しないわよそんなこと」

キョン「そりゃよかったよ、またなにか――」

ハルヒ「はい、これ。この地図のコピーね。古泉くん配って」

古泉「はい」

キョン「おい、これって」

ハルヒ「生徒会室にあったものまた使わせてもらったわ」

キョン「……やれやれ、生徒会室のセキュリティはどうなってるのかね」

古泉「進言しておきましょうか?」

キョン「いや、しなくていい。これでハルヒの機嫌が悪くなったら敵わんからな。
    悪いが生徒会にはこのまま被害を被ってもらうことにしておくよ」

古泉「そうですか」

>あの2人は顔を近づけて話す趣味でもあるのだろうか……。

ハルヒ「ま、つまりこの間の学校探訪の拡大版だと思ってちょうだい」

>ああ。

ハルヒ「それに今回は番長くんもいるんだから3班に分けられるわ」

>番長くんがいるから3班に分ける、と書かなくてもいいことまで書き取っている。

ハルヒ「班分けは当日にしましょ、ランダム要素も残しておかないとつまらないしね」

ハルヒ「今日やるべきことは、この地図上から不思議の匂いをかぎ取ることよ!」

キョン「そんなもの誰ができるんだ……」

ハルヒ「番長くんの町には、あんなに不思議なことが多いのよ!
    この街にも一個くらい何かあるに決まっているわ。
    いい、明日は最低限人語を理解できる猫くらい連れてきなさいよね」

キョン「……」

古泉「人語を理解できる猫ですか」

みくる「人語を理解できる、猫……と」

長門「……」

>なんだろう、この妙な雰囲気は……。

ハルヒ「ま、とにかくはじめてちょうだい。
    番長くんには、そうね、みくるちゃん、この街のこと説明してあげて」

みくる「はぁい」

キョン「……何で朝比奈さんなんだ。お前が説明してやればいいだろうに」

ハルヒ「同じ2年生だから話しやすいでしょ」

キョン「……そうかい」

ハルヒ「いい、ちゃんとやるのよ! はじめ!」

>そう言うと、パソコンの置いてある席に座り、地図に書き込み始めた。

>各々地図を見始めたようだ。

みくる「じゃあ、お願いしますね」

>みくるが横に座ってきた。

キョン「……近くないですか?」

みくる「え、こうしないと2人で地図は見づらいかなって」

ハルヒ「キョン! 番長くんはいいの! あんたも自分のことやる!」

キョン「わかった、わかりましたよっと」

>……キョンはどうやら少なからずみくるに好意をもっているようだ。

みくる「ここが図書館で、ここが公園で――」

>みくるは一つ一つ丁寧に解説をしてくれた。

みくる「とりあえず一通りはこんなところかな」

>ありがとう。

みくる「……あのね」

>急に声を落として、自分以外に聞こえないような声で話し始めた。

みくる「涼宮さんがこれをやろうって言い出したのは、
    きっと番長くんに街の案内してあげたいからだと思うの」

みくる「こうやって地図を渡したのも、番長くんを効率よく案内して
    面白いところ連れて行ってあげようってことなんじゃないかな」

>そうなのか?

みくる「うん。基本的に涼宮さんは面倒見のいい人だから」

>ハルヒに目を移すと、口と鼻の間にペンを挟んで難しい顔をしていた。

みくる「きっと涼宮さんは、そう言っても違うっていうと思いますけどね、ふふっ」

>みくるも、よくハルヒを観察しているようだった。

みくる「明日、同じ班になったらよろしくね。
    あたしも面白そうなところ探しておきますから」

>そう言ってウィンクをされた。

>……キョンが好意を寄せるのもわかる気がする。

ハルヒ「みんなどう? 終わったかしら?」

キョン「終わったも何も、不思議スポットなんて皆目見当つかないな」

ハルヒ「でしょうね、最初からキョンには期待してないわ」

キョン「なら、やらせるな」

古泉「僕は、そうですね。街の大通りが怪しいかと思います。
   番長氏の町でも商店街に不思議が多くあったようですしね。
   見落としている可能性は大いにあると思います」

ハルヒ「さすが古泉くん。確かに1回や2回で全部を調査するのはムリだからね」

ハルヒ「有希は何かある?」

長門「図書館」

キョン「……」

ハルヒ「なるほどね。
    番長くんなら発禁になって封印された魔術本でも見つけてくれるかもしれないわ」

キョン「どこのファンタジー世界だそりゃ……」

ハルヒ「みくるちゃんは?」

みくる「あ、あたしは、そうですね……古泉くんと同じようにお店も多いし大通りと……
    あとは、空気がきれいな公園とか、案内してあげたいですね」

ハルヒ「みくるちゃん、これは遊びじゃないのよ?」

みくる「あっ、あ、そうでした。ごめんなさい……」

>……やはり、みくるは少し天然系のようだ。

ハルヒ「ま、いいわ。何も考えてないキョンよりよっぽどましだから」

キョン「……悪かったな」

ハルヒ「番長くんは……まあ、いいわ。
    地図の上からじゃ流石に不思議の匂いなんて嗅ぎ取れないだろうからね。
    明日の実際の探索に期待するわ」

>できる限りのことはしよう。

ハルヒ「ん! その心意気やよし!」

キョン「そういうお前はどこなんだ」

ハルヒ「極秘事項に決まってるじゃない。明日あたしと同じ班になった人だけに教えるわ」

キョン「……あーそうかい」

ハルヒ「ん、じゃあ、今日のミーティングは終わりね。明日ちゃんと地図を持ってくること」

ハルヒ「集合は10時に駅前。午前の部と午後の部で2回探索するからね」

ハルヒ「遅刻は厳禁! 遅刻したら罰金! 誰が遅刻しても遅刻分の罰金はキョンにツケるから!」

キョン「みんな頼むから明日だけは遅刻しないでくれ」

>かなり切実なようだ……遅刻だけはしないようにしよう。

ハルヒ「じゃ、今日は終わりね」

>その言葉を合図に皆一様に帰宅の準備を始めた。

ハルヒ「キョンはちょっと今からあたしと来なさい!」

キョン「どこへだ」

ハルヒ「明日の下見に決まってるじゃない。
    アンタだけ今日何もしてないんだから、これくらい付き合いなさいよ。団長命令だからね」

キョン「極秘事項はどこへ行ったんだ」

古泉「いいではないですか。涼宮さんの極秘事項を先だって教えてもらえるのですから。
   羨ましい限りです」

キョン「……ふん」

ハルヒ「ほら、行くわよ。みんなまたね」

>ハルヒは部室から出ていってしまった。

キョン「やれやれ、じゃあ行ってくるよ。先に帰っててくれ」

古泉「ええ、そうさせていただきます。頑張ってください」

>キョンもそれに続くように出ていってしまった。

古泉「……さて、僕もお先に帰らせていただきますよ。
   どうやら閉鎖空間が生まれているようなので」

>……なにか、不機嫌になるようなことがあっただろうか。

古泉「そんなことはありません。
   あったとすればせいぜい教諭との地図のやり取りで少し不満を抱いた程度でしょう」

>そんなことで、閉鎖空間ができるのだろうか。

古泉「それもありません。最近の涼宮さんはそれは穏やかなものです」

>では、なぜ……?

古泉「あえて言うのでしたら……ご自分に不満を持っているのでしょう。
   推察でしか話せませんが、おそらく明日の行き先で面白いところが浮かばなかったのでしょう」

古泉「その証左となるわけではないですが、今も下見と言って飛び出していったでしょう?」

>気を遣わなくていいのだが……。

古泉「涼宮さんは、きっとサプライズをしたいのです。
   ですがそれが思いつかずに、そして思いつかない自分に苛々してしまった、といったところでしょうか」 ピピピピ

>一樹の携帯電話がなっているようだ。

古泉「出動の要請です。もう少し雑談に花を咲かせたかったのですがね。
   行ってまいります」

>気を付けて。

>一樹も部室から出ていってしまった。

みくる「あの……番長くん。ひとつ、相談があるんだけど……いい?」

>なんだろうか。

みくる「あの、あたしをテレビの中の世界へ連れて行ってもらえませんか?」

>!? どうして……?

みくる「わたしも見ておきたいんです。涼宮さんの深層心理の空間を」

みくる「お気づきかもしれませんが、
    わたしも涼宮さんの周辺を調査するために送り込まれたエージェントなんです」

みくる「時空震、と言ってもわからないと思いますけど……
    とにかく今から3年前以上の時間遡行ができなくなってしまっていて、その調査の為にきているんです」

みくる「そしてその時空震の中心にいたのが涼宮さん。
    ……だから、もしかしたら何かわかるかもしれないと思って」

>……もしかしたら危険な目にあうかもしれないと伝えた。

みくる「……構いません」

>どうやら決意は固いようだ。

>有希。

長門「なに」

>行くなら、有希の力が必要だ。ついてきてくれるだろうか。

長門「構わない」

>……もう一度確認しておこう。危ない目にあうかもしれない。

みくる「はい」

みくる「……だけどもし何かあったら、守ってくれると、嬉しい……です」

>それは任せておけ。

――視聴覚室。

>有希の力を借りて開錠することができた。

みくる「……」

>緊張しているようだ。

>自分が先に入り、そのあとに有希と一緒に来てほしい。

みくる「は、はい」

>有希、みくるを落下の際に無事着地できるようにフォローしてあげてほしい。

みくる「落下……?」

長門「了解した」

>では行こう。

……


――テレビ内部。

>自分は無事に着地することができた。

>あとはみくるだが……。

みくる「――……ぃぃぃひぇぇぇええええっ!!」

スタッ――

長門「……着地に成功」

>有希にお姫さま抱っこをされる形で、こちらに下りてきた。

>有希がゆっくりとみくるを下した。

みくる「こ、怖かったぁ……長門さん、ありがとう」

長門「構わない」

>みくるを抱えたままでは、テレビの横幅が足りなかったはずだが……。

>どうやって入ってきたのだろう。

みくる「長門さんに、入ってと言われて先に入ったら、落ちてしまって……」

みくる「それで後から長門さんが追いついて、空中でわたしを抱えてくれたんです」

>なるほど……有希の超人的なパフォーマンスがあってこその方法だ。

長門「この程度なら、何ら問題はない」

みくる「それで、ここが――」

>以前と変わらない殺風景な部屋だ。

>……しかし、有希の影と戦った痕跡は消えている。

みくる「なにも、ありませんね……あ、あれは?」

>おもちゃだ。同じように人形と積み木がうずたかく積まれている。

みくる「……手に取らない方がいいんでしょうか」

>一樹の話が当たっているのなら、人形はともかく積み木は触れない方がいいだろう。

みくる「そうですか……」

>みくるは他の何かを探すようにあたりを見回している。

みくる「窓と……ドアがありますね」

長門「あのふたつは開錠不可能だった」

みくる「わたしも、開けられるか試してみていいですか?」

>自分もやってみよう。

>ドアに近づいていった。

ガチッ

みくる「やっぱり、ダメですね」

>自分もダメでだったと伝えた。

>一応窓も試してみよう。

――


>やはり開かないようだ。

みくる「長門さんの言った通りですね」

>流石有希だ。

長門「そう」

みくる「残念ですが、収穫は何も得られそうにないですね……」

みくる「もう一度、部屋を見て回ってもいいですか?」

>構わない。

>みくるは壁や床を何度も触っている。

――


みくる「ふう……」

>まだ調査は必要だろうか。

みくる「ううん……特に収穫はなさそうだから」

>じゃあ、戻ろうか。

みくる「でも、心理状態が時空震のきっかけじゃないってことは分かったかな……うん」

>……残念そうだ。

長門「……来る」

みくる「どうしたんですか、長門さん」

長門「敵性の感知。このシグナルはあのときと同じ」

>やはり……。

みくる「ど、どうなさったんですかぁ……?」

???「こんにちは」

みくる「ひ、ひぇっ……あ、たし……?」

みくるの影「そう。わたしはあなた、あなたはわたし」

>みくる、これは――。

みくるの影「黙って。わたしはわたしと話をしなければならないの」

>しかし……。

みくるの影「話そうとしても無理矢理話し続けるから」

>……みくる、あれはもう一人の自分だ。否定してはいけない。受け止めてやるんだ。

みくる「え? え?」

みくるの影「はい、説明の時間は終わりよ」

みくるの影「どう、楽しい? 探偵ごっこは」

>探偵ごっこ……?

みくるの影「そう、探偵ごっこ。もしくは調査員ごっこ」

みくる「ど、どういうことですか……?」

みくるの影「本当は分かっているのよね、こんなことしても無駄だって」

みくる「!! そ、それは……」

>どういうことだ?

みくるの影「何をしても時空震動のきっかけは見つからない。
       少なくともわたしがこの時代にいる間はね」

みくるの影「本当に調査を進めたいならわたしの時代より
       さらに未来から、わたしに答えでもヒントでもなんでも持ってくればいいのだから」

みくる「うう……」

>……。

みくるの影「それが一切ないってことは、わたしがここにいる間に見つかることがないってこと」

みくるの影「だからわたしは、ここにただいるだけの存在、そうよね?」

みくる「そ、そんなこと、あた、わたしは、ちゃんと調査を……」

みくるの影「嘘。何をしても無駄だと思っていながら調査していたじゃない」

みくる「なん、なんで、そん、そんな、そんなこと」

みくるの影「……たしかにわたしは歴史を改ざんする気も改変する気もない。
       だけど、きっとそれだけで選ばれた存在。
       調査という名目で送り込まれたけど、何も知らされずにこの時代に飛ばされた」

みくるの影「きっと裏で何かやっているんでしょう……だけど、わたしには何も知らされていない」

みくるの影「ずっと仲間外れ。わたしの時代でも、この時代に来ても。
       ……過去人にも馬鹿にされる気分はホント最低」

みくる「そ、そんなこと思ってないですっ!」

みくるの影「本当のことでしょう?」

みくるの影「涼宮ハルヒにはおもちゃのようにいじくり回されるし、
       そこの宇宙人はとっつきにくくて何考えてるかわからないし
       古泉一樹は、わたしを若干敵視している節があるし……気づいてないと思ってるのかしら」

長門「……敵視ではない、相容れない思想を持っているだけ」

みくる「そ、そんな、な、仲間を悪く言うのはやめてください!」

みくるの影「キョンくんだって、そう。
       長門さんや古泉くんには相談を持ちかけるのに、わたしにはなし。
       せいぜい都合のいい道具くらいにしか思ってないんじゃないかしらって」

みくるの影「でも、しょうがないわ、わたしは何もできないもの」

みくるの影「涼宮さんと番長くんだけは仲間かもね。涼宮さんはわたし以上に何も知らない観察対象。
       番長くんに至っては、この世界のことを何も知らない異邦人……うふふふふ」

みくるの影「この空間に来たのも、自分だけ仲間外れになるのが嫌だったからよね?」

みくる「そんな……そんな……っ!」

みくるの影「でも、結局なにをしても仲間外れは変わらない。
       みんなわたしを何も考えていない馬鹿としか思っていない」

みくるの影「この時代も、わたしの時代も、何も教えてくれない未来も、いつの時代も大ッ嫌いッ!!」

みくる「そ、そんなこと思ってないっ!」

みくるの影「言ったでしょう、わたしはあなた、あなたはわたし。
       わたしは、あなたの思っていることを喋っているだけよ」

みくる「嘘……そんなの嘘ですっ!
    あなたなんか……あなたなんか……」

長門「言ってはだめ」

>ダメだ! みくる! それ以上は――。

みくる「あなたなんか、あたしじゃないっ!!」

みくるの影「くふ、くふふふふ、うふふふふ、力が溢れてくる……」

シュウウウウウウウウ―――……

みくる「あううっ……」

>みくるっ!

>受け止めることができた……しかし――。

みくるの影「禁則事項だらけで、まともに話すことも行動を起こすこともできない哀れな存在。
       でも、わたしは、ううん。あたしは禁則も何もない自由な存在になるわ」

シャドウみくる「うふふふふ、あはははは、アッハハハハハハハハハハハッハ!!」

長門「来る。戦闘態勢をとる」

>今は戦うしかない――!

ちょい休憩

やっぱり起きてから書く

書く

>影が力を得て巨大化していく……!

シャドウみくる「我は影……真なる我……」

シャドウみくる「もう、仲間外れは嫌なのよッ!!
         仲間外れにするみんなは嫌い……だったみんないなくなっちゃえばいい!!」

長門「どうすればいい?」

>ダメージを与えて、動きを止めれば、一時的に大人しくなる。

長門「あれに関してはあなたの方が詳しい。あなたが指示して。わたしはそれに従う」

>わかった。完全に消滅はさせてはいけない。大人しくさせるだけでいい。

長門「了解。ターミネートモードに移行、戦闘を開始する――」

シャドウみくる「また内緒の相談……? あたしも仲間に入れてよォッ!!」

>手のひらで押しつぶす気か!

>ヨシツネ――ヒートライザ!

>有希とほぼ同時に後方へ飛んだ。

ズゥン――……

>先ほどまでいたところに、巨大な手形が残っている。押しつぶされたら……危険だ。

シャドウみくる「どうして、仲間に入れてくれないの……どうしてぇっ!!」

長門「……」 

ヒュオ――

>すぐ横を風が通ったかの如く、有希が高速でみくるとの間合いを詰めていく。

タンッ。

>地面を蹴り、そして。

長門「……」 ヒュオンッ

>みくるの影のコメカミに……空中回転回し蹴りを叩き込んだ!

>風切り音がここまで聞こえてきた……。

シャドウみくる「きゃあああっ!!」

ドォン!! ズゥン――ッ!!

>巨体がふっ飛び体勢が崩れた! 小柄な体から繰り出されたとは思えない強靭な一撃だ。

シャドウみくる「うぐうっ!!」

>追撃をするッ! イザナギ――ジオダインッ!

ピシャァンッ!!

シャドウみくる「きゃああああああああっ!!」

>! ジオダインは電撃属性は有効のようだ!

長門「……」

タンッ。

>有希は無事に着地したようだ。

シャドウみくる「痛い……痛いよォッ!!」

>! 有希を掴みかかろうとしている!

長門「その速度で、わたしを捕縛することは不可能」

>有希は回避し、さらに一歩間合いを詰めた。

長門「局所的情報連結の解除をする」 グッ

ヒュオォンッ!!

>一瞬の溜めがあったかと思うと、先ほどの回し蹴り以上の風切り音と共に、脚が美しい弧を描いた。

>――あれは、まさしくサマーソルト。

シャドウみくる「ギィアアアアアアッ!!」

ドォン――

>なんと、みくるの影の右腕が切断された!!

>耳をつんざく様な悲痛な叫びと同時に、切断された腕は力なく地面に落下する。

>……有希だけで解決してしまいそうだ。

シャドウみくる「く、くふ、くふふふ、うふふふふふふふふ」

>……何を笑っているのだろう。

長門「……終わらせる」

タンッ。

>再び有希が中空へ飛びあがった。

>空中回転回し蹴りの体勢をとる。

シャドウみくる「くふ――」

ヒュン。

>みくるの影が消えっ――!?

ヒュォンッ!!

>有希の回し蹴りは空を切った……。

ヒュン――

>!? 突如有希の背後にみくるの影が現れ――

シャドウみくる「バイバイ、長門さん」

>みくるの影の巨大な手が有希を薙ぎ払った!

ズドォォンッ!!

>有希が壁に思い切り打ちつけられ、有希を中心に波紋のように壁にひびが入っている。

長門「……損傷はそれほどひどくない。大丈夫」

>意識はあるようだが……ダメージが大きくないはずがない……。

シャドウみくる「うふふふふふふ――」

>みくるの影は不気味に笑っている。

長門「自己修復を試みる」

シュウウウウゥゥゥゥ―――

>有希の傷がふさがっていく。

シャドウみくる「回復なんてさせない」

>……! みくるの影が有希の元へ向かっていく!

>今有希は無防備だ…! 攻撃させるわけにはいかない!

>イザナギ――ジオダインッ!

シャドウみくる「!」

>よし、あたっ――

ヒュン。

>!? また消えた!?

ヒュン――

シャドウみくる「番長くんは、耐えられないよね?」

>今度は自分の後ろに!? ヨシ……

ヒュオオンッ。

>間にあわ――

シャドウみくる「バイバイ」

ズドォンッ!!

>攻撃が、止まった……?

長門「――完治。あなたの攻撃は解析した。
   不意を突かれなければ受け止めるのは容易」

>有希!

シャドウみくる「……邪魔するのが好きね、長門さん」

長門「……」

シャドウみくる「2人とも潰してあげる!」

>くっ、ヨシツネ――ヒートライザ!

>最初の攻撃と同じように、後方へ飛んだ。

ズゥウン――

>みくるの影の速さが追えない……。

>有希、あの速度追えるか?

長門「違う」

>違う?

長門「あれは高速で移動しているわけではない。極小単位の短時間跳躍」

>……?

長門「数瞬から数秒だけの時間跳躍をすることで、転移と出現を行っている」

>というと、実際に消えて現れているわけか。

長門「そう」

シャドウみくる「さすが長門さん……優秀すぎて嫌になっちゃう」

シャドウみくる「でも、分かったからと言って防ぎようがないでしょう?」

ヒュン――

>また時間跳躍を――

シャドウみくる「2人ともさようなら!」

>ぐっ!

ズゥウン――……

長門「無駄」

シャドウみくる「そん……な」

長門「言ったはず、解析は完了している」

シャドウみくる「!?」

>有希が、再び攻撃を受け止めていた。

長門「あなたの時間転移は感知できる」

>みくるの影が距離をとる。

シャドウみくる「そんな……転移を感知できるなんて……」

長門「あなたたちの時間転移は不完全。転移時と出現時にノイズが発生する」

長門「だからわかる。防ぐことができる」

シャドウみくる「ぐ、ぐっ!!」

>みくるの影は困惑している。

長門「お願いがある」

>なんだろうか。

長門「この身体を使った攻撃では致命的なダメージは与えられない。
   また情報操作を用いた攻撃では完全に消滅させてしまう恐れがある」

長門「わたしが攪乱してあなたに攻撃をさせないようにする。
   だから、そのあいだにあなたが朝比奈みくるの影を止めてほしい」

>ああ。わかった。

>いこう。有希。必ず止めるぞ!

長門「(コクッ)」

また1時間後くらいに

うし、飯食って飲み物作ったら書く

紅茶ならオッケーオッケー

>有希が、みくるの影に猛進していく。

シャドウみくる「調子に……乗るゥなぁアァアアァァアアアァ!!」

>みくるの影の攻撃が猛然と有希に襲い掛かる!

長門「……攻撃速度の上昇を確認」

長門「だけどまだ遅い」

ヒュンッ!

>有希は、悠然とその攻撃を避け、そして――

長門「まずは動きを封じる」 ヒュッ

シャドウみくる「グッ!!」

>極めて原始的に足払いをした。

ドォオンッ!!

>みくるの影は、再び大きく体勢を崩した。

長門「あなたは攻撃の際、数瞬だが隙が生じる。攻撃にすべての意識が向く。
   その間隙をつけば、転移させずに攻撃することはたやすい」

シャドウみくる「何をベラベラと……ッ!!」

>自分もやるべきことをしなければ。

>有希、頼むぞ!

長門「任せて」

>まずは……ヨシツネ! チャージ!

長門「……彼の物理攻撃翌力の急上昇の確認」

シャドウみくる「……」

ヒュンッ――

>有希!

長門「大丈夫、あなたはあなたのやるべきことに集中して」

ヒュンッ!!

シャドウみくる「ユルさないいいいいイイイいいイッ!!」

>!! 狙いは俺か!

長門「言ったはず。出現場所もわかっている」

>有希は、みくるの影が現れたときには既に空中に飛んでいた。

>最初に見せた、空中回し蹴りッ!!

シャドウみくる「……ッ!!」

ドォンッ!!

>轟音が鳴り響いたがみくるの影は有希の攻撃をガードしていた。

シャドウみくる「………うふふふふふ、軽い、軽いのよ。あなたの攻撃は軽いの!」

長門「知っている」

>確かに、大したダメージにはなっていないようだ。

>ならば、次ッ――! トランペッター! ランダマイザ!

キィイイィン――!

シャドウみくる「……なにこれ……力が……入らなッ」

長門「攻撃翌力、防御力、速度の弱体化の確認」

長門「感謝する」ヒュン

>有希が、いや、正確には有希の影が自分に撃った構えをした。

長門「……」

ォンッ!! ドンッ!

シャドウみくる「ぐううううううっ!!」

ザザザザザザッ!!

>きれいな、正拳突きだ。みくるの影もガードしたが、そのまま押し込まれ後退していった。

>ヨシツネ、もう一度ヒートライザ! いける――。

>有希、離れろ!

長門「了解」ヒュン

シャドウみくる「うぐっ……」

>いくぞ――八艘跳びッ!

長門「これは」

ザシュンッ!

シャドウみくる「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ――ッ!!」

>八艘跳びは、一瞬八斬。瞬間的に八つの斬撃を与える技。

>しかし、その刹那に、確かに自分たちは聴いた。

ザシュン――

シャドウみくる「い、嫌だ……」

ザシュン――

シャドウみくる「消えるのは嫌だ……」

ザシュン――

シャドウみくる「も、もう……」

ザシュン――

シャドウみくる「仲間外れは……」

ザシュン――

シャドウみくる「嫌なの……」

ザシュン――

シャドウみくる「何も知らないあたしは……嫌……なの」

ザシュンッ!!

長門「……」

>みくる……。

シュウウウウウウゥゥゥゥ――

みくるの影「……」

長門「任務完了」

>みくるの影は、大人しくなったようだ……。

>>330
長門「攻撃翌翌翌力、防御力、速度の弱体化の確認」

攻撃翌力ね攻撃翌力

なんだこれ

攻撃翌力が変な風になるな

これに判定あるのしらんかった

みくる「ううっ……」

>どうやらみくるが気が付いたようだ。

みくる「あ、あの、わたし……」

長門「今は、向き合うべき時」

みくる「そう……ですね」

みくるの影「……」

みくる「あ、あはは……全部言われちゃったし、全部聞かれちゃいましたね」

>あれがみくるのすべてじゃない。

みくる「そう……なのかな」

みくる「わたしね、なんでここに来たんだろうってずっと思ってたの」

みくる「上になにを報告しても、何も変化がないことを伝えても、そのまま継続観察を言われるだけだから……」

みくる「それに原因はまだ不明ですって何度報告したのかもわからない。全部何も言われなかった。
    最初は怒られないのは楽かなって思ってた。でもそれも途中から疑念に変わっていった」

みくる「わたしはもしかして、調査のために送られたんじゃないかもって」

みくる「ずっと、ずっと思ってた……」

>みくるは悲痛な面持ちだ。

みくる「SOS団のみんなも、何かやってるのは知ってた。もちろんあたしじゃお役にたてないことも」

みくる「ふふっ、そんなのただのワガママだよね」

寝てたから今から書く

長門「わたしは――」

>有希?

長門「わたしは、わたしの役割を遂行しているに過ぎない」

長門「わたしにしかできないことがあることと同様に、
   あなたにはあなたにしかできないことがある」

みくる「そんな気休め――」

長門「聞いて」

みくる「!」

長門「事実、彼の精神的安らぎの多くはあなたを占めている」

みくる「彼ってキョンくん……?」

長門「そう。他の誰でもない、あなた。
   わたしでは、彼に精子的な安らぎを与えることは不可能」

長門「また涼宮ハルヒにも同様のことがいえる。
   朝比奈みくる以上に涼宮ハルヒと友好的関係を築き、接触できる未来人はいない」

長門「あなた以外、涼宮ハルヒとの接触は不可能だった」

みくる「そう、なん、ですかぁ……」

長門「そう。わたしが保障する」

>みくるはぽろぽろと涙をこぼしている。

みくる「あたし、お役に、たてているん、でしょうか……」

とんでもない誤字をしてしまったなww

>みくる。

みくる「なん、なんでしょうかぁ……」

>みくるは、他の誰よりも他人を気にかけてくれている。

>自分も、嬉しかった。既に十分助けられている。

みくる「番長、くん……」

>みくるの優しさは他の誰にも持っていないものだ。

>ここに調査に来たことも、みくるは自分にできることをできる限りやろうとした。それでいいじゃないか。

みくる「……うん」

>みくるが、ここにいることに意味があるんだと思う。

みくる「ありがとう、番長くん」

>みくるは泣き止んでいる。

みくるの影「……」

みくる「そう、わたしはあなたですね……ずっとみないふりをしていたわたし」

みくる「仲間外れでいるのが怖いんじゃない……お役にたてないのが、怖かった」

みくる「でも、もうムリに背伸びしないで、自分のできることからやっていけばいいんだよね」

みくる「もうあなたにも無理はさせない。ごめんね、あなたもわたしなんだから――」

みくるの「(コクッ)」

――自分自身と向き合える強い心が、“力”へと変わる…

>みくるの影はみくるの中へ戻っていったようだ。

>>346
せ、精神的……(震え声)

みくる「あうぅっ……」

>みくる! 支えることができた。

みくる「ちょ、ちょっと、疲れちゃいました……」

>とりあえず、ここから出よう。

長門「外界との接合を開始する」

>以前と同じようにテレビが現れた。

……


――視聴覚室。

>どうやら無事に戻ってくることができたようだ。

みくる「恥ずかしいところ、見られちゃいました」

長門「それは、わたしも同じ」

長門「わたしもわたしの影を彼らに見られている」

みくる「あは、そう、でしたね」

みくる「あの、このこと……あたしの影が言っていたこと、内緒にしてもらえますか……?」

>ああ、もちろん。

長門「決して口外はしないと約束する」

みくる「ありがとうございます……」

みくる「あ、あの!」

>! なんだろうか。

みくる「わたし、SOS団の皆さんのこと、嫌いじゃないですから。その、好き、ですから」

みくる「その……あの……本当、ですから」

>みくるは気まずそうだ。

>あれがみくるのすべてじゃない。わかっている。

みくる「は、はいぃ……長門さんも、その。
    特にあのことは黙っておいてください……お願いします」

長門「了解した」

長門「3人だけの、秘密」

>有希……?

みくる「な、長門さん……?」

長門「なに」

みくる「その、なんていうか。変わり、ました?」

長門「わたしという個体に変化は認められない」

>……自らの影と対峙したからだろうか。とても人間らしい発言に聞えたと伝えた。

長門「そう」

みくる「わたしにも、そう聞こえました……うっ」

>みくるは辛そうだ。とにかく今は、みくるを休ませよう。

――文芸部部室。

>みくるを座らせると、机に突っ伏すように寝てしまった。

>半分以上気を失ったに近いものだろう。

>有希は、みくるの家を知っているのだろうか。

長門「知らない」

>……そうか。起きるのを待つしかないようだ。

長門「その必要はない」

>どうして?

長門「来る」

>……誰が来るのだろう。

長門「朝比奈みくるの異時間同位体」

>……?

ガチャッ

>不意に部室のドアが開いた。

???「こういう、事だったのね」

>目の前に、みくるがそのまま成長した様な風貌の女性がたっていた。

>誰だろう……。

???「久しぶり、番長くん、長門さん」

???「朝比奈みくるです、そこで寝ている子よりさらに未来の、ね」

>!?

>……なるほど、自分のことも知っている。確かにみくるは未来人だったようだ。

>朝比奈さん、と呼んだ方がいいのだろうか……。

朝比奈「うふ、そんな硬くなくていいわ、番長くん。でも、好きなように呼んで」

朝比奈「それにしても、わけもわからず飛ばされてきたと思ったら、こういうことだったのね」

朝比奈「そう……番長くんがいないと、認識できないみたい」

>なにか独り言を言っているようだ。

長門「これを」

>有希が朝比奈さんに本を差し出した。

朝比奈「この本……長門さんだったのね」

長門「開けば、あなたが先ほど転移してきた時間に来ることができる」

朝比奈「……わかりました、渡しておきます」

>よく見ると、『open me!』と書かれている帯がついている。

>何かの約束事なのだろうか。

朝比奈「番長くん、また会えてうれしいわ」

>また、ということは自分は帰ることができたのだろうか。

朝比奈「……ごめんなさい。
     この時期のことは特秘事項で、未来のことは何も言えないんです」

>そうか、構わない。

朝比奈「それに、あたしがいえることは何もないと思うから」

朝比奈「それでもきっと番長くんは……ううん。なんでもない。
     番長くんならきっと、掴みとれる」

>……?

朝比奈「ふふ、あたしがいえるのは、これくらい。あとは全部禁則事項に引っ掛かっちゃう」

朝比奈「でも、本当に嬉しい……そうだったよね。
     番長くんが自分にできる限りのことをしたんだって励ましてくれたんだよね」

朝比奈「……」

朝比奈「話したいこといっぱいあるのに、話せないって辛いね」

>どこか朝比奈さんは悲しげだ。

朝比奈「じゃあ、わたしがその子を連れていきますから」

>ああ、よろしく頼む。

朝比奈「……そっかそっか。運んでくれたの番長くんじゃなかったんだ」

>自分がみくるをおぶっていこうかと伝えた。

朝比奈「こぉら、女の子の部屋に簡単に上り込んじゃダメよ?」

>そんなつもりはないと伝えた。

朝比奈「ふふ、知ってるわ。番長くんはそんな人じゃないもの。
     でも、わたし一人で大丈夫だから」

>……わかった。

朝比奈「んしょ。こんなに重かったかな……」

朝比奈「また、いつか会えたら――じゃあね、番長くん」

>みくるをおぶって、朝比奈さんは部室から出ていってしまった。

また後ほど

書く

もうちょい待ち

用事済ませてきた書く

>……。

長門「……」

>有希。

長門「なに」

>何を渡したんだ?

長門「朝比奈みくるの異時間同位体はここに来る必要があった。そのために必要なもの」

>どういうことだ?

長門「朝比奈みくるの異時間同位体はあなたが存在しているこの期間の管理者。
    彼女の存在する時間平面上では、朝比奈みくる以外この期間を認知するすることはできない」

>よくわからないが……仕事に必要なものなのだろうか。

長門「そう」

>……帰ろうか。

長門「わかった」

>お互いに、帰り支度を始めた。

――帰り道。

>さっきは、助けてくれてありがとう。

有希「そう」

>でも有希1人で解決できそうだった。

有希「わたしだけで止めるには、朝比奈みくるの影を完全消滅させてしまわなければならなかった。
    しかしそれは、再び朝比奈みくるから影を出してしまうことになる」

有希「また、朝比奈みくるは影と向き合わなければならなかった。
   向き合わなければ、いずれわたしたちの前から姿を消した可能性があった」

>みくるが……?

有希「そう。そして、涼宮ハルヒはそれを望んでいない。
   朝比奈みくるが姿を消した場合、精神の暴走を引き起こす可能性も低くない確率で起こりえた。
   涼宮ハルヒの精神的暴走は情報統合思念体も忌避すべき事案として考えている」

有希「だから、あなたがいなければ事態の解決は不可能だった」

有希「わたしこそ、感謝する」

>ならお互い、よく頑張ったということだ。

有希「そう」

>それにしても、有希は強いんだな。

有希「そう」

>ああ。今まで見た誰よりも強かった。

有希「あなたも」

>?

有希「あなたも、わたしが見た人類の中で最も強固な精神力をしている」

>そう評価してくれるのは、嬉しい。

有希「あなたの解析はできないため、わたしという端末を通した極めて主観的なもの。根拠はない」

>なら、なおさら嬉しい。

有希「…………そう」

>ところで有希。

長門「なに」

>ずっとついてきているが、有希の家もこちらなのだろうか。

長門「違う」

>……じゃあ、どこに行くつもりなんだ?

長門「あなたの家」

>……?

長門「……?」

>どうして?

長門「また食事会をしようといったはず」

>!

>……そうか。そうだったな。

>なら、一樹も一緒に呼ぼうか。

長門「古泉一樹の生体反応は現在この近くにはない」

>……。

>みくるは呼べるはずもない、一樹はいない。

>……携帯電話を持っていないため、キョンにもハルヒにも連絡を取ることもできない。

長門「あなたの作る食事は、美味しい」

>純粋に食事を楽しみにしてくれているようだが……。

>どちらにしても、食材を買わなければならないだろう。

>考える時間にもなる。スーパーへ行こう。

長門「わかった」

――


――スーパー。

>さて、何を作ろうか。希望はあるだろうか。

長門「何でも構わない」

>そうか……この間は中華を作った。今日は洋食にしようか。

>オムライス、ハンバーグ、シチュー、ロールキャベツ、スパゲティ、グラタン……何にしようか。

長門「……」

>キャベツと肉関係を特売しているようだ。

>ロールキャベツにしたいが……。

長門「……」

>有希のことだ。それだけでは足りないだろう……。

>他に……簡単なオムライスを作ろうか。

>オムライスとロールキャベツを作ることにした。

長門「そう」

>材料は、卵、ひき肉、キャベツ、牛乳……。

>ところで。

長門「なに」

>このままだと2人きりだが構わないのか。

長門「構わない」

>そうか……想像以上のアグレッシブさを有希は持っているようだ。

???「ったく、お袋もどうして俺をパシリにするかね……」

>この声は。

長門「……」

キョン「ん、長門と番長か。こんなところで何をしてんだ」

>キョンだ。

>夕飯を作るための買い出しだと伝えた。

>キョンは何をしているのだろう。

キョン「俺? お袋が醤油切らしたんだとさ。
    ついでに他の調味料も買って来いって、このざまだ」

>みりんや調理酒など、重そうだ。

キョン「それにしても番長……この間遠慮してたのか、その量って。
    見かけによらず喰うんだな。
    4、5人前はあるんじゃねぇか? それとも買い溜めか?」

>これは、自分だけの分ではないと伝えた。

キョン「そうかい。また古泉と晩餐ってわけか。物好きだな」

>いや、そういうわけではないのだが。

キョン「ま、それ以上は興味ねぇさ」

キョン「ところで長門は、何してるんだ。
    お前が、そのなんだ。誰かと一緒にいるって珍しいな」

長門「彼の買い出しについてきた」

キョン「なんだ、学校帰りか」

>ああ。

長門「今から彼の家で食事会」

キョン「そうかい……って、はぇっ!?」

>露骨に狼狽えているようだ。

キョン「す、すまん。もう一度言ってくれ。変なところから声が出た。
    え、えっと、食事会って、番長と古泉と長門か……?」

長門「違う。わたしと彼だけ」

キョン「え、うえええええぇっ!?」

>キョンは自分と有希の顔を交互に見ている……。

キョン「おい、番長どうなってやがるっ!」

>キョンに事情を説明した。

キョン「や、約束?」

長門「そう。彼の作る食事はおいしい」

キョン「な、長門。いいいか」

長門「なに」

キョン「その、なんだ。番長の言った食事会ってそういう意味じゃないと思うぞ」

キョン「それに急に行くと言われても迷惑だと思うんだ。男には男の準備ってものがあってな」

長門「迷惑?」

>別にかまわない。

キョン「ああ、なるほど……わかった。お前ら2人とも天然なんだな、そうなんだな」

長門「何を言っているかわからない」

>キョンは何を言っているのだろうか。

キョン「ああ、わかった。わかったよ! ちょっとお袋に電話してくるからなっ!
    番長! これ持ってちょっと待ってろ!」

>キョンは、そう言ってスーパーから出ていったようだ。

>カゴを押し付けられたのはいいのだが……。

長門「持つ?」

>大丈夫だ。

長門「そう」

キョン「待たせたな」

>どうしたんだ、急に。

キョン「どうしたもあるか。俺も番長んちに行くからな」

>それは構わないが、このかごの中に入ってるものはどうするんだ。

キョン「あ、ぐ……ダッシュで家に帰ってそんで、そっちに行くからな」

>そんなに急がなくても、料理は逃げないと伝えた。

キョン「そういうことじゃないんだが……」

>……それに、いっておくがキョンが想像しているようなことは何もないと伝えた。

キョン「お、俺が何を想像してるって? 
    って、番長どういう状況かわかってるんじゃねぇか!」

>たしかに2人きりは、誤解を招く状況かも知れないが……
 有希は純粋に料理を楽しみにしているだけだ。

長門「そう」

キョン「とにかく、俺も行くからな」

>ああ、さっきも言ったが構わないぞ。

キョン「じゃあ、先に戻るから、番長たちはその、ゆっくり買い物をしていけ!」

>あ、ああ。なぜか鬼気迫るものを感じる……。

>キョンは早足でレジへ向かっていったようだ。

長門「……」

>ということで、3人になったみたいだ。

長門「構わない」

>……量はこれで足りるだろうか。

長門「任せる」

>有希ならば出した分だけ食べそうだ……もう少しだけ買っていこう。

長門「あなたなら任せられる。期待している」

>有希から料理を通じて信頼を感じる。

>有希と少し仲良くなれたようだ。

>では、そろそろ買って家に戻ろう。

長門「わかった」

――自宅前。

キョン「ぜぇっ、よっ、よぉ……ぜぇっ、ぜぇっ、おそ、遅かったな……ぜぇっ」

>……なぜか自分たちより早く、自宅前に肩で息をしているキョンがいた。

キョン「あ、ああ……? い、いまきた、ところ、だぜ……はぁっ、はぁ……」

>……それは見ればわかる。

長門「……」

>とにかく、家に入ろう。

――自宅。

>冷茶だ。飲んで落着け。

キョン「す、すまんな……」

長門「わかった」

>キョンも有希もゆっくりくつろいでいてくれ。

>さて、今日はオムライスとロールキャベツを作る材料がそろっている。

>オムライスは、菜々子にも好評だった和風との出会いショウユ系オムライスにすることにした。

長門「なにか手伝うこと、ある?」

>! 有希が後ろに立っていた。

>大丈夫だ。この程度なら一人でできると伝えた。

長門「そう」

キョン「長門。邪魔にならないようにこっちで待ってなさい」

長門「……わかった」

>キョンに背中を押されてリビングへ戻っていった。

>ここは後輩たちの為に腕を振るうとしよう。

……


キョン「どうしたんだ。長門、料理できたのか?」

長門「朝比奈みくるがそうしていたから、そうするべきと判断した」

キョン「……朝比奈さんは、世話好きだし、その、あれだ。
    ちゃんと料理ができるって裏打ちがある」

長門「そう」

キョン「それと、その。長門は、宇宙人とはいえ女の子なんだ。
    男と部屋で二人きりになるのはあまりお勧めできないな」

長門「どうして?」

キョン「どうしてって、そりゃあ……」

長門「以前、あなたともわたしの部屋で2人きりで話したことがあった」

キョン「それはそうだが……」

長門「あれも推奨されないことだったのならば謝罪する」

キョン「いや、あれは別にかまわないが……」

長門「なら、どうして?」

キョン「……とにかく! あまりそういうことをしない方がいい。
    番長を誤解させたら悪いだろ?」

長門「……そう。あなたがそういうのであれば、極力その状況を作らないように努力する」

キョン「ああ、できれば頼む」

長門「……」

キョン「……」

キョン「……いや、すまん」

長門「どうして謝るの?」

キョン「いや、嫉妬つーか……長門が俺以外の男と2人きりっていうのを
    全く想像していなかったというか……」

キョン「あーくそっ! 俺も影と向き合ったんだけどな。まだダメか」

キョン「なんかこう、長門が離れていっちまうって気がして――」

長門「そんなことはない」

キョン「だって、なぁ……。番長は来て早々、力使って俺らのことを救ってくれて、
    ツラもいいし、性格も悪くない。それに料理の腕も抜群だ、長門を魅了するほどにな」

キョン「来たばっかりなのによ、いきなり全部追いぬかれた気がして」

キョン「焦っていたというか、あー、言い訳ばっかでだせぇぞ俺……」

>そんなことはない。団員達は全員一様にキョンのことを信頼している。

キョン「って、番長……聞いてやがったのか」

>途中からな。

>出来上がったオムライスとロールキャベツを並べていく。

長門「手伝う」

>ああ。並べるのは手伝ってもらうと助かる。

>並べ終わったが、さすがに量が多い。

キョン「今日もえらく量が多いな……特に長門のは」

>今回は、オムライスのおかわりはないから多目にした。

>まあ、食べながら話そう。

長門「いただきます」

キョン「お、おう」

>有希はやはり黙々と食べている。

キョン「やっぱり、番長の料理はうまいな。オムライスも、ロールキャベツも」

長門「おいしい」

>そうか、よかった。

キョン「……で、どこから聞いてたって」

>いや、嫉妬つーか……あたりから。

キョン「ほぼ全部じゃねぇか!」

>口に物を入れて喋ると行儀が悪いぞ。

キョン「わ、悪い……ってそうじゃねぇ!」

>そもそも、この狭いマンションならそれほど大きい声出さなくとも聞こえてくる。

キョン「そ、そうか」

>自分にはちゃんと、団員達との絆を感じることができた。

キョン「絆ときたか」

>自分のペルソナの力は、絆の力によって強くなる。

>だからこそ、人一倍絆を感じることに敏感なんだと伝えた。

キョン「ほお……」

>その自分がいうんだ。キョンとSOS団の繋がりは確かなものだ。

>それこそ、自分なんかより何倍も大きい。追いつくことすらできないほどに。

長門「……」

>有希は、ロールキャベツの入っていた皿を見つめている。

>おかわりあるが、食べるか?

長門「(コクッ)」

キョン「ホントよく喰うな……」

長門「おいしい」

>これで最後だ。

長門「そう」

>……。

キョン「……どうして、そこで俺の顔を見る」

>長門検定一級なんだろう? 残念がっているのかそうでないのか聞きたい。

キョン「ずっと言わないから忘れてるのかと思ったが憶えてやがったのか……」

長門「わたしも覚えている」

キョン「長門さんは食べてなさいっ!」

長門「わかった」

キョン「……ま、強いて言えば残念がっている、だろうな」

>そうか、それなら作った甲斐があるものだ。

長門「たしかに、これ以上ないのは残念」

>あってたみたいだ。

キョン「……役に立てたのなら何よりさ」

>だが、これでわかっただろう? 自分なんかじゃとても追いつけないところにいると。

キョン「……なんか無理矢理納得させられたような感じだが、まあいい。
    わかったさ。というかわかってんだ。番長に突っかかっても意味はないってな」

>キョンは、いいヤツだ。

キョン「今言うと、嫌味にしか聞こえんからやめてくれ。
    というか、少し古泉に似てきたぞ」

>キョンとの間に、絆の芽生えを感じる。

>キョンと少し仲良くなれたようだ。

……


>2人とも綺麗に食べきってくれた。

キョン「今日もごっそさん、うまかったよ」

長門「感謝する」

>おいしいと言ってもらえるなら十分だ。

キョン「そういえば、なんで2人はあんな時間に一緒に帰ってたんだ?
    俺達が出ていってから結構時間経ってたよな」

>テレビの中に入っていたと伝えた。

キョン「なんでまた。なにか異変でもあったか?」

長門「朝比奈みくるが調査したいと申し出た」

キョン「あれ……ってまさか。朝比奈さんの影、でたりしたのか」

>ああ。だけど止めることができたから大丈夫だ。

キョン「まあ、長門もいただろうから大丈夫だっただろうよ」

>有希はつよいな。改めて感じた。

キョン「俺の命の恩人だからな」

キョン「朝比奈さんの影ってどんなのだったんだ?」

長門「それは教えられない。朝比奈みくるとの約束」

>ああ。そうだな。

キョン「そうかい、そりゃ、朝比奈さんだって聞かれたくないことくらいあるだろうしな」

>! 随分物わかりがいい。

キョン「俺も自分の影で嫌というほど思い知らされたからな……」

キョン「ま、とにかくこれ以上聞かないでおくさ」

キョン「だけど、なんだ。こういっちゃなんだが、朝比奈さんでも影が出るんだな。
    裏表なんてなさそうなのに」

長門「誰でも、悩みはあるもの」

>そういうことだ。

キョン「そう、だよな。すまん、聞かなかったことにしてくれ」

キョン「あー、興味ついでに聞く。番長の影ってどんなのだったんだ?
    もちろん言いたくなかったらいい」

長門「確かに、興味深い」

>自分は影はでていないと伝えた。

キョン「……おい。じゃあ番長は人の影みてるだけでってことか」

>そうなる。

長門「……」

キョン「……」

>視線が痛い……。

キョン「ずるいぞ」

長門「それは公平性を欠いている」

>有希まで。

キョン「……だけど、それが番長がこの世界に来た理由でもあるのかもしれん」

>……?

キョン「影が出るようなやつじゃ、異世界に飛ばされるだけならまだしも、
    ハルヒにまで振り回されるなんてのは、よっぽどの変人じゃないとできないだろうと思ってな」

>変人……。

キョン「なに、ただの一般人の戯言として流してくれ」

キョン「ただ、ハルヒはあれでも慧眼だ。人選をミスるとは思わないんでね」

>褒め言葉として受け取っておく。

キョン「ああ、そうしてくれ」

>しばらくの間、キョンと有希と雑談をして過ごした。

……


キョン「……そろそろ帰るか。あんまり長居してもアレだしな」

キョン「長門、帰ろう」

長門「わかった」

>また明日。駅前で。

キョン「ああ、楽しみにしておくといいさ」

>2人を玄関まで見送った。

……


>さあ、そろそろ片づけを――

ピーンポーン

>……? 誰だろう。 インターホンで確認すると……なんと有希だ。

>忘れ物をしたとは思えないが。

ガチャッ

>どうしたんだ。

長門「片づけを手伝う」

>わざわざ戻ってきたのか……?

長門「朝比奈みくるはこうしていたため、そうするべきと判断した」

>知っていたのか……。

長門「上がっていい?」

>ああ。じゃあ、一緒にやろう。

長門「わかった」

>有希と一緒に後片付けをした。

長門「また、呼んでほしい」

>ああ。手伝ってくれてありがとう。また食事会をしよう。

>有希から仲間としての好意を厚く感じる……。

>有希とまた少し仲良くなれたようだ。

……


>有希と別れ、明日の準備をして早めに寝ることにした。

ちょい休憩すぐ再開する

うし、書く

――翌日、マンション前。

>今から出れば20分前にはつくだろう。

>遅刻してはキョンに申し訳が立たない……。

古泉「おはようございます」

>一樹だ。

古泉「お早いですね。何か先んじて用事でも?」

>遅刻しないためだと伝えた。……キョンのためにも。

古泉「その通りですね、行きましょうか」

>一樹と他愛無い雑談をしながら集合場所へ向かった。

……


――駅前。

>予定通り20分前につくことができた。

>……! なんと、既にハルヒと有希は到着していた。

古泉「おはようございます」

ハルヒ「古泉くん、番長くんおはよっ!」

古泉「涼宮さん、今回はいつにも増してお早いですね」

ハルヒ「当然! 今日は気合の入り方違うわよっ!」

>ハルヒは張り切っているようだ。

みくる「おはようございますぅ」

>みくるだ。……昨日の今日で大丈夫なのだろうか。

>少し、疲労の色が見える気がする。

ハルヒ「ん、みくるちゃんも早く来たのはいい心がけね!」

みくる「は、はいぃ」

ハルヒ「あとはキョンね。ったく……いつもいつも」

>ハルヒは何かブツブツ言いだしたようだ。

>みくるに小声で大丈夫かと聞いてみた。

みくる「あっ、ば、番長くん……昨日は、ありがとうございました。
    お礼言い損ねちゃって」

>気にするな。

みくる「それに、お家まで運んでもらったみたいで……気が付いたらベッドの上でした」

長門「そう。わたしと彼で運んだ」

みくる「あ、長門さんも……ありがとうございました。
    そうだよね、番長くんあたしのお家知らないもんね」

みくる「……あれ? 長門さんも知らないような……
    でも、長門さんなら不思議じゃないのかな、うん」

>なにか自分の中で自己完結したようだった。

みくる「あ、お二人とも本当にありがとうございましたぁ。
    ……それとご迷惑おかけしました。ごめんなさい」

長門「問題ない」

>迷惑なんかじゃないと伝えた。

キョン「うぃっす、お前ら相変わらず早いのな」

>キョンも合流したようだ。

ハルヒ「遅い! キョン!」

キョン「だから別に遅刻してないだろ?
    まだ5分以上集合時間まで余裕があるじゃないか」

ハルヒ「"雑用"が"団長"より遅く来るのは許されないって、何度言えば分るのっ!」

キョン「もう罰金は確定してるんだから、時間的猶予くらいくれたって罰は当たらんだろうに……」

キョン「そんなことよりミーティングとやらをするんだろ?」

ハルヒ「そうね、キョンに文句言うのは歩きながらでもできるわ。行きましょう」

キョン「やれやれ、お説教も持ち越しか」

>ハルヒはすたすたと歩きだしていってしまった。

>それに合わせて他のみんなもついていくようだ。

みくる「行きましょう? 番長くん」

>ああ。

>みくると雑談をしながら、ハルヒについていった。

――某喫茶店内。

ハルヒ「じゃあ、みんな! 地図は持ってきているわね」

>昨日配られた地図を取り出した。

ハルヒ「……よし、みんな持ってきていてえらいわ」

ハルヒ「キョンあたり忘れるもんだとばっかり思ってたけど」

キョン「忘れて罰金が追加になったらいやだったからな」

ハルヒ「あら、よく分かってるじゃない」

キョン「……持ってきてよかったよ本当に、まったく」

キョン「で、どうするって」

ハルヒ「いい? まず午前の部は男子と女子で行動します!」

キョン「昨日言ってたランダム要素とやらはどこへ行ったー」

ハルヒ「焦りは禁物よ、くじでの班分けは午後の部でちゃんと行います」

ハルヒ「男子は、番長くんと何も考えてないキョンだから、
    古泉くんが怪しいと踏んだ場所、行ってみてちょうだい」

古泉「わかりました」

ハルヒ「ん、お願いね」

ハルヒ「女子は、あたしについてきてもらうわよ」

みくる「わ、わかりましたぁ」

長門「(コクッ)」

――駅前大通り。

>解散し、駅前の大通りへやってきた。いくつか店が並んでいる。

キョン「で、どうするんだ」

古泉「はて、どうするとは?」

キョン「ハルヒから不思議を探せと仰せつかっていただろ?」

古泉「今日は涼宮さんが不思議を所望していないのは、
   あなたが一番お分かりだと思っていたのですが」

キョン「……やっぱり知ってやがったか」

古泉「知っていたというより推察したのです。
   昨晩番長氏の好みを知っていたら教えてほしいと仰られていましたので」

>自分の好みがどうしたのだろう。

キョン「あー、一応。口止めされてるんだ。なんか番長も気づいてそうだけどな」

>そうか、ならばこれ以上は聞かない。

古泉「すみません、僕が昨日少し何かあるかもしれないと吹きこんでしまいまして」

キョン「やれやれ、ハルヒの前では知ってるような素振り見せないでくれよ。
    俺にバラしたってことで怒りの矛先が向けられるんだからな」

>ああ、十分注意しよう。

古泉「知っていたというより推察したのです。
   昨晩番長氏の好みを知っていたら教えてほしいと仰られていましたので」

電話で仰られていた、ね

なんか怪しい関係っぽくなってしまった。

頭働いてないから起きたら書く

よし、飲み物作ったら書く

キョン「で、俺らは今から野郎3人で時間つぶしをせんといかんのか」

古泉「時間つぶし。結構ではないですか。番長氏にこの街を案内して差し上げましょう」

>たしかにスーパーまでしか行かないからこの周辺のことは知らない。

キョン「そんなこと言っても、面白いもんなんてなにもねぇぞ」

古泉「確かに、これと言って珍しいものはありませんが……」

古泉「それに、番長氏なら本当に何か見つけてくれるかもしれませんしね」

>さすがにそれを期待されても困る。

古泉「ふふ、では行きましょうか」

キョン「行くってどこに」

古泉「散策ですよ、散策。たまにはこうして会話を楽しむのもいいではないですか」

キョン「やれやれ、休日に野郎と連れ立って歩くなんざ趣味じゃないんだがな」

古泉「それに、せめて涼宮さんに探した場所だけでも、報告せねばならないですからね。
   さすがに何もせず遊んでいました、では通らないでしょうし」

キョン「……それもそうだな。報告は任せたぞ古泉」

古泉「ええ、では不思議探しに行きましょうか」

……


>キョンと一樹と雑談をしつつ街を案内してもらった。

古泉「大通りはこんなところでしょうか」

キョン「な、何もなかっただろ。駅前くらいなら、まあまだ楽しいんだが」

>そんなことはない。興味深かった。

古泉「ふむ、今更ですが。番長氏の反応を見る限り、この世界と番長氏の世界、
   あまり文明レベルに差異はないようですね。インターネットも使いこなしていましたし」

>たしかにほとんど変わらないと伝えた。

キョン「ああ、そういえば物珍しそうな表情なんて何もしなかったな。
    俺らの世界は原始的な文明でも高度な文明でも、無いってことか」

古泉「ええ、正直何か異世界の高度な科学を期待していた部分もあったのですが」

>期待に添えず申し訳ない。

古泉「いえいえ、これは失言でしたね。失礼しました」

キョン「そういえば、携帯電話とかもあるのか?」

>ああ。キョンに自分の持っている携帯電話を見せた。

キョン「ほぉ……こっちの世界じゃ見たことないデザインだな」

古泉「ですが、こちらのものともあまり変わり映えもしませんね」

>一樹の言うとおりほとんど文明のレベルも変わらないのだろう。

キョン「せっかくだ。アドレス交換しようぜ。
    ……番長も昨日みたいなことあったら誰かと連絡取りたいだろう?」

>ここは頷いておこう……。

古泉「おや、昨日何かあったのですか?」

キョン「……特に面白いことじゃないから気にするな」

>しかし残念ながら、この世界では圏外のようだと伝えた。

キョン「ああ、そうか。そりゃそうだよな」

古泉「では、今から買いに行くというのはいかがですか?」

キョン「番長、金もってるのか?」

>残念ながらこの世界の資金はすべて一樹頼りだ。

古泉「ですから、出しますよ。もちろん経費として落とします」

>いいのか?

キョン「やれやれ、機関の経理部はどうなってるのかね……」

古泉「必要経費ですよ。そろそろ皆さんも番長氏との連絡手段もほしいでしょうし」

古泉「何より、涼宮さんがほしがるのではないでしょうか」

キョン「それも……そうだな。むしろ今まで連絡先を聞いてこなかった方が意外だ」

古泉「ということで、涼宮さん関連のことでしたら出せますので、気兼ねなく」

>ありがとう。だが最低限の機能が付いたものだけでよいと伝えた。

古泉「デザインにご希望は?」

>特にないと伝えた。

古泉「そういうことでしたら、僕にお任せいただいてよろしいですか?」

>ああ、頼む。

古泉「では、少し失礼いたします」

>一樹は、少し離れて電話を掛けているようだ。

>誰に電話しているのだろう。

キョン「さしずめ新川さんか森さんあたりだろうよ」

>?

キョン「ああ、すまん。機関の仲間んとこだろうってことだ」

>なるほど。

古泉「お待たせしました。昼前までには携帯電話が届くでしょう」

キョン「なんだ、携帯の出前注文でもしたのか」

古泉「いえ、購入の代理を頼んだのです。
   こちらの世界では未成年で購入する場合、保護者の同意書など面倒な手続きがありますからね。
   番長氏がデザインにこだわらないとおっしゃっていましたので、手間が省けましたよ」

>わざわざすまない。

キョン「で、どうするんだ。やることなくなったぞ」

古泉「そうですね、あなたの服のコーディネートでもしましょうか?
    勝負服も1着持っていると便利ですよ? 特にデートのときは」

キョン「やめろ、気色悪い。余計なお節介だ」

古泉「では、こういうのはいかがでしょう……」

>キョンと一樹は次をどうするか話しているようだ。

>……? ふと足元に目をやると、カードらしきものが落ちている。

>! これは……。

古泉「どうなされましたか?」

キョン「なんだ、そのカード」

>このカードの背面に描かれている絵は、ペルソナの……。

古泉「……見せていただいて構いませんか?」

>ああ。

古泉「ふむ。タロットカードと同じような大きさのようですね。
   おそらく模様がある方が背面でしょう。表面は……白紙ですね」

>なぜこんなものがここに……。

また日付変わる前後に書く

書く

古泉「番長氏は何かご存じなのですか?」

>これは、自分がペルソナ能力を行使する際に出現するカードに似ていると伝えた。

キョン「ほお」

古泉「そうなのですか……」

>しかし、この世界にこれがあるとは……。

古泉「思えないですね、偶然ではないでしょう」

>だが意味があるとも思えない。何も感じない。

キョン「何も描かれていないカードだからな」

古泉「ふむ……」

>もしかしたら、自分の能力に関係があるのかもしれない。

古泉「番長氏の能力ですか」

>通常ペルソナは1人につき1つであるらしい。

古泉「そうでしょうね……自らの影がペルソナとなるのであれば、当然そうなりますね」

>しかし自分のペルソナは1つではなく上限はあるが複数持つことができる。

>この状態のことを「ワイルド」というらしい。

キョン「……ホント特別なんだな」

>そのカードは、自分の持つことのできる新たなペルソナの可能性かも知れない。

>……おそらくとしか言えないが。

古泉「それが、こぼれ落ちてきた、というわけですか」

>……たぶん。

キョン「なんだ、番長にしてはえらく自信がなさそうだな」

>正直、このようなことは初めてだから完全に自分の想像でしかないと伝えた。

古泉「そうですか……」

キョン「番長が考えてもわからん事なら、俺らが考えても無駄だろう」

古泉「でしょうね」

キョン「ま、ハルヒあたりにそれっぽい理由つけて渡したら喜びそうだけどな」

古泉「ふふ、そうですか」

キョン「……なんだそのニヤケ面は」

古泉「いえ、確かに綺麗なカードだなと思っただけです」

>なら、これは不思議探索の成果ということにしよう。

古泉「ええ、これなら涼宮さんも喜ぶかもしれませんね」

キョン「いいのか? もしかしたら帰還に必要な超重要アイテムかも知れないぞ?」

>それこそ、そんな重要アイテムがこんな道端に落ちていたら困る。

>偶然見つけたからいいものの、もし見つけてなければ一生帰ることができないなんて……。

古泉「確かに、重要なアイテムは意味深な場所に意味深に落ちているものですね」

キョン「そりゃゲームや漫画の中での話だろうよ……」

古泉「では、道端の怪しげな占い師に占いをしてもらったら、
   このカードを引いたということでいかがでしょう」

>そしてその占い師がくれるといったから、もらってきたと。

古泉「ええ、そういうことにしておきましょう。
   道端の占い師ならば、あとから来ていなくなっていても不自然ではないですからね」

>そうだな、容姿は、長鼻の不気味なおじいさんということでどうだろうか。

古泉「ええ、それで構いません」

>と、言う設定だ、キョンも合わせてくれ。

キョン「やれやれ……番長がそれでいいならいいさ」

>それに、もし必要になってもハルヒならきっと大事に扱ってくれるだろう?

キョン「……さあな。俺に聞かれても答えられん」

古泉「ではそろそろ戻りましょうか、お昼前ですから涼宮さん達もお戻りになっているはずです」

>そうしよう。

寝落ちしてたので、また後で書く

書く

――昼、某ファーストフード店。

>女子たちは既に帰ってきていたようだ。

古泉「お待たせいたしました」

キョン「不思議でも見つかって早めに切り上げたのか?」

ハルヒ「そういうわけじゃないわよ。ただ昼時に6人分ファストフードの席とるの大変でしょ」

キョン「モノは言いようだな……」

>確かに混雑し始めている。

みくる「ごめんなさい、こっちは、特に見つかりませんでした」

ハルヒ「そういう、あんた達こそ何か見つけてきたんでしょうね!」

古泉「申し訳ありません、人語を理解する猫は見つかりませんでした。
   ですが、これを」

ハルヒ「なにこれ、カード?」

古泉「ええ。怪しげな易者がいたので占ってもらったのですよ。タロット占いでしたか」

古泉「そして、番長氏がカードをめくってみると、これが出てきたのです」

みくる「……? 片面しか描かれていませんねぇ」

古泉「そうですね、タロットカードの背面しか描かれていないカードを引いたのです」

みくる「そんなことってあるんですかぁ?」

古泉「通常はありえないでしょうね」

>一樹はよどみなく答えていく。嘘が苦手というのはやはり嘘だろう……。

古泉「易者も不思議な顔をしていまして、記念にそれを僕たちにくださったのですよ」

キョン「……占えなかったから、お代もいらないっつってな」

>キョンも先ほどは、ああいいつつも一樹に合わせている。

ハルヒ「ふぅん……あたしも占ってもらいたいわね」

>ハルヒは興味を持ったようだ。

古泉「容貌もなかなか不思議でしたよ、何せ」 pipipipi…

古泉「おっと、失礼。電話がかかってきたようですから席を外します」

>一樹が、出がけに耳打ちをしてきた。

古泉「携帯電話が届いたようです。あとでお渡しします」

>ありがとう。

>一樹はファーストフード店から出ていったようだ。

ハルヒ「ね、古泉くんが言いかけてた容貌って?」

キョン「あ、ああ……なんでも鼻が特徴的でな」

>随分長鼻だった。話し方もなかなか特徴的だったから、会えばすぐわかるだろう。

ハルヒ「あとで行ってみようかしら……」

キョン「だがな」

ハルヒ「なによ」

キョン「もういないかもしれないな、店構えてやっていたわけじゃないし。
    そのカード不思議がって今日は店じまいとかも言ってたからな」

ハルヒ「行ってみなければわからないわ! って言いたいところだけど」

>いかないのか?

ハルヒ「行かないわ、今日は他にやることもあるしね」

キョン「ま、とりあえず俺らの成果はそれだ」

ハルヒ「いつもと違って、成果があっただけましね。
    たしかにこのカードきれいだから、部室に飾りましょ」

>ハルヒは納得してくれたようだ。

>ふと、眼を外に移すと一樹が手招きをしていた。

>……自分も少し席を外すと告げて外に出た。

……


古泉「わざわざすみません。店内、というか涼宮さんの目の前でお渡しするわけにも行きませんので」

>いや、構わない。

???「では、こちらをどうぞ」

>一樹より少し年上の女性だろうか。携帯電話を渡された。

???「残りの附属されていたものは、
    後日ご自宅までお送りしますので、今は本体だけをどうぞ」

>ありがとうございます。ええと……。

古泉「そういえば紹介がまだでしたね。僕の所属している機関の仲間、と思っていただければ」

森「森園生です」

>ありがとうございます。園生さん。

森「……!」

>何か面食らった顔をしている。どうしたのだろう。

森「いえ、名前で呼ばれることは少ないもので。少々驚きました」

森「では、これで。ご縁がありましたらまたお会いしましょう」

>園生さん、改めてありがとうございます。

森「ええ」

>行ってしまったようだ。

古泉「番長氏、では戻りましょうか」

>ああ。

……


ハルヒ「あ、きたきた。もう二人の分も買っちゃったわよ」

>テーブルには既に6人分のハンバーガーのセットがのっていた。

キョン「俺の血涙だ。遠慮せず喰ってくれ」

>……非常に食べづらい。あとでこっそり、自分の分だけでもキョンに渡しておこう。

ハルヒ「さ、食べながらでいいわ。午後の計画についてよ」

>……! これは、自分の世界ではなかった味だ!

ハルヒ「……番長くん、美味しそうに食べるわね」

>……! こういう味は久しぶりだと伝えた。

ハルヒ「そうね、こんなのもたまに食べるとね」

>納得してくれたようだ。

ハルヒ「じゃあ、つづけるわよ」

ハルヒ「午前中にも言ったように、午後は2人一組で行動してもらいます!」

>ハルヒはずい、と爪楊枝を突きだしてきた。

ハルヒ「いい? 赤いしるし、黒いしるし、無印の3種類あるから」

ハルヒ「同じ印を引いた人がペアだからね。もし男女一緒になっても、デートじゃないわよ!」

キョン「やれやれ、午前は野郎だけだったからな。午後はせめて……じゃ、俺はこれで」

ハルヒ「引いたからって、まだ見ちゃダメよ。あたしがせーのって言ってから見るの」

キョン「へいへい」

古泉「はい、僕も引きました」

ハルヒ「有希、引いた?」

長門「引いた」

みくる「あ、あたしも引きましたぁ」

ハルヒ「ん、じゃあとは番長くんね」

>残りは2本だ。右を引くことにした。

ハルヒ「みんな引いたわね? じゃあ、せーの」

>自分が引いたのは……。

>赤い印がついている。

みくる「あ、あたしと一緒ですね」

キョン「ぬう……俺は、無印だな」

>キョンは露骨に残念そうだ。

古泉「僕は、黒い印がついていますね」

長門「……」

>有希には、黒い印がついている。

ハルヒ「あたしは、キョンね。
    ……まあ、ちょうどいいわ。女の子にやらせるのは酷だしね」

キョン「俺に何をやらせる気だ……」

>綺麗に男女で3組に分かれたようだ。

ハルヒ「いい? 1時間後にもう一度駅前に戻ってくること!」

ハルヒ「戻ってきたら、もう一度班分けするからね」

>ああ、わかった。

ハルヒ「いい? みくるちゃん。分かってるわよね」

みくる「は、はいぃ!」

>何か企んでいるようだ。

>そっとしておこう……。

ハルヒ「じゃあ、解散! いくわよ、キョン!」

キョン「わかったわかった」

ハルヒ「有希、古泉くんもよろしくね!」

古泉「了解いたしました」

長門「わかった」

>解散の掛け声とともに2組は散っていった。

>どうしようか。

みくる「あ、あのですね!」

みくる「こ、公園! 公園に行きたいです!」

>それは構わないが。

みくる「ほっ……」

>みくると2人で公園へむかった。

……


――公園。

>綺麗な公園だ。春には桜も満開に咲いてそうだ。

みくる「あの、もしかして午前中にキョンくんたちとここに来たりしました……?」

>いや、大通りを見て回っていただけだと伝えた。

みくる「よかったですぅ……もし同じところ連れてきてたらって思っちゃいました」

>それよりも、昨日のことがあるが体調は大丈夫なのだろうか。

みくる「番長くんは優しいね。
    確かにまだちょっと身体は、全快とは言えないかもしれません」

>なら、そこのベンチに座っていよう。

みくる「あ、はぁい」

>日曜日ということもあってか、家族連れが多く目に入る。

みくる「ふぅ」

>……家で休んでいた方がよかったのでは?

みくる「ううん。今日はどうしてもいたいの」

みくる「それに、どうしても今日番長くんと長門さんにお礼を言いたかったから」

みくる「ふふっ、あたしの恥ずかしいところ、全部見られちゃった」

>……その誤解を招く言い方はどうだろう。

みくる「えっ、はえっ?」

>……気づいてないならそっとしておこう。

みくる「でもこうして、のんびりお外で過ごすのもいいかもしれません」

>仕事が忙しいのか?

みくる「ううん。基本的にあたしのお仕事は時空震の調査と涼宮さんの調査報告なんですけど」

みくる「あたしの影がいった通り、経過観察を言われるだけですから……」

>みくるはどこか悲しそうだ。

みくる「週末は涼宮さんたちとこうやって外に出ているか、ないときは調査報告をまとめているだけで」

みくる「あ、もちろんそれが嫌ってわけじゃないんです」

みくる「ただ、ここまでのんびりした時間は久しぶり――」

>みくるは朗らかに笑っている。

みくる「それに、なんていうのかな。
    全部見られたからかもしれないけど、番長くんと一緒にいるのは落ちつくんです」

みくる「気が楽っていうのかな」

みくる「あ、あっ。ごめんなさい。こんなこと言われても困りますよね。
    忘れてください」

>そんなことはない。

>みくるから仲間としての好意を強く感じる……。

>また少しみくると仲良くなれたようだ。

……


>みくると他愛ない雑談をして過ごした。

>だが、そろそろ戻ろう。

みくる「もうそんな時間なんですね……」

みくる「もう少しこうしてたかったです、ふふ」

……


――駅前。

>既に全員、揃っていたようだ。

ハルヒ「みくるちゃんたちも戻ってきたわね」

ハルヒ「何か報告あったら、教えてちょうだい」

みくる「ご、ごめんなさいぃ……見つけられなかったです」

>すまない。

ハルヒ「そ、じゃあしょうがないわね。次の班分け行くわよ!」

>……? 特に起怒ってはいないようだ。

ハルヒ「はい、また引いてちょうだい」

>また同じように、爪楊枝を引いた。

>今度は……無印だ。

キョン「赤だな」

古泉「僕も赤です」

キョン「……おい」

古泉「おや、またご一緒ですか。よろしくお願いします」

キョン「狙ってやっていないだろうな」

古泉「まさか、そんなことはありません」

>一樹とキョンのペアのようだ。

ハルヒ「あたしは、黒ね」

みくる「あ、はい。あたしです」

ハルヒ「ん! みくるちゃんよろしくね」

みくる「はぁい」

>ということは。

長門「……」

>有希は爪楊枝を見つめている。

>よろしく。

長門「(コクッ)」

>……? 特に起怒ってはいないようだ。

変なのがついた。怒って、ね

11時ごろに再開する

うし、書く

ハルヒ「それじゃあ、また1時間後にここに集合ね」

ハルヒ「キョンと古泉くんはちょっとのこってってちょうだい。
    有希と番長くんは先に行ってて」

>わかった。

>いこう、有希。

長門「わかった」


……


>外に出たはいいが、目的地を決めていなかった。

>有希、どこか行きたいところはあるか?

長門「図書館」

>そういえば、昨日も言っていたな……。

>図書館に行ってみよう。

長門「そう」

>道案内頼んでいいか?

長門「こっち」

>有希についていき図書館へ向かった。

――図書館。

>それなりに大きな図書館のようだ。

長門「……」

>有希はふらふらとどこかの棚へ向かっていってしまった。

>不思議探索にきたわけではなさそうだ。

>自分も何か本を読もうか……。

>あそこに見えるのは……先ほど携帯電話を届けてくれた園生さんだ。

>何か本を読んでいるようだが、声を掛けてみようか……。

森「……」

>こんにちは。

森「……ん。あら、奇遇ですね」

>園生さんは、読書ですか?

森「……! ええ、こちらに来たついでですので」

>先ほどはわざわざありがとうございました。

森「いえ……ここで会話は目立ちますね。ロビーへ行きましょう」

>園生さんについていくことにした。

――図書館ロビー。

>すみません、読書の邪魔でしたか?

森「いえ、大丈夫です。あなたのことは古泉から聞いております。
  それに、少々気になってもいましたから」

>一樹から?

森「ええ。異世界人なのだそうですね」

>そうらしいです。

森「なんでも我々と同じように異空間で、能力を行使されるとも聞いています」

>ペルソナのことだろうか……。

森「ペルソナ?」

>自分の持っている力のことを伝えた。

森「……そうですか。閉鎖空間で行使するわけではないのですね」

>一樹からはどこまで聞いているのだろうか……。

森「それほど多くの情報はありません。
  異世界からやってきたこと、我々と同じように能力を行使すること、信頼に値する方であること、くらいでしょうか」

>信頼……。

森「なんでも出会って間もないにもかかわらず、彼らを守り、戦ってくれたと」

森「それと、話していて楽しい方であるとも古泉は言っていましたね」

>なるほど……。

森「古泉がここまで言うことは珍しいので、どのような方かと興味はありました」

>園生さんは、こちらを見て微笑んでいる。

PC復旧した書く

>自分のことより園生さんのことを聞きたい。

森「特に面白味はありませんよ? 休日に図書館にいるような人間ですから」

>そんなことを言っては、ここにいるほとんどの人が面白みがないことになってしまうが……。

>ん……休日?

森「ふふ、これは失言でしたね」

>わざわざ休日に出てきてもらったのだろうか。改めて申し訳なくなる……。

森「いえ、休日というのは本業の方です。機関の活動の方ではありません」

>本業?

森「ええ、古泉が学生をしているように、他の機関メンバーも表の顔を持っていますから」

森「休日といったのは、その本業の方です」

>なるほど……。

森「そもそも機関への出勤と言いましょうか、活動と言いましょうか。
  これは不定期ですし、それにほとんどボランティアのようなものですから」

>たしかに神人を倒して利益が出るわけではないだろう……。

森「ですからむしろ、休日で助かったくらいですよ。
  ですが、気を使ったくださってありがとうございます」

>園生さんはたおやかに笑っている……。

森「……古泉の言うとおり話していて楽しい、いえ話しやすい方というのは確かですね」

>そうだろうか。

森「ええ、話さなくていいことまで話してしまいそうです」

森「……そういえば本業と機関のメンバー以外と話をするというのも久しぶりですね」

>忙しいのだろうか。

森「忙しい……そうかもしれません。
  閉鎖空間の発生率は下がってはいますがなくなってはいませんし」

森「無ければ無いで、機関での会議もありますから」

森「友人とどこかへ出かけるということも、久しくしておりませんね」

>園生さんはどこか物悲しそうだ。

>たまには、思い切り何か吐き出してしまうことも必要だ。

>自分でよければいくらでも園生さんの話を聞くと伝えた。

森「もしかして口説いているのでしょうか?」

>そんなつもりは……。

森「ふふ、冗談です。
  ですがあまり大人をからかうものじゃありませんよ?」

森「……すこし、心が揺らいでしまいました。
  そのようなこと、本業でも機関でも言われたことはありませんでしたので」

森「ですが、そうですね。少し雑談でもしましょうか」

>しばらく森さんと他愛無い話をしてすごした。

……


森「……さて、そろそろ失礼させていただきます」

>何かあったのだろうか。

森「いえ、そうではありませんが。ほら、あちらに」

>森さんが指さす先には有希がいた。

森「あなたのお連れの方をお待たせするわけにはいきませんから」

>20分ほど話していたようだ。

森「このことは機関へ報告させていただきます」

>……! なにか粗相をしてしまったのだろうか。

森「……報告内容は、そうですね。古泉の報告と同様の印象であり、
 古泉の近くに置いておいても危害を加えるおそれのない人物である、といったところでしょうか、ふふ」

>園生さんは、いたずらっぽく笑っている。

>園生さんを通じて一樹とさらに仲良くなれそうだ……。

森「楽しかったです、それでは」

>園生さんは、颯爽と去っていった。

長門「……」

>有希はもう本はいいのか?

長門「いい」

>だがまだ時間は余っている……。

>どうしようか。

長門「あなたと話がしたい」

>なにかあったのだろうか。

長門「異変は特にない」

>……?

長門「話して」

>特に報告することはないと思うのだが……。

長門「……」

>……雑談をしたいということだろうか。

長門「そう」

>有希から雑談をしたいと持ち掛けられたのは初めてだ。

>改めてしてと言われると、困ってしまう……。

>有希は普段何の本を読んでいるのだろうか。

長門「ジャンルはあなた達がSFと呼んでいるものが多い」

>SF……真の宇宙人である有希からしたら、滑稽なものでは……?

長門「人類が未知へのイメージをどのように持っているかを知ることができる」

>SFしか読まないのだろうか。

長門「特定人物の軌跡を追ったものなども読んでいる」

>……ノンフィクションのことなのだろうか。

>どちらにしても有希は堅い本が好きなようだ。

長門「あなたの世界にも、ある?」

>SFやノンフィクションは確かにあった。

>こちらの世界でも本は普遍的なジャンルに分けられるらしい。

長門「どのようなものがあったか教えてほしい」

>読めば勇気が湧いてくる漢の世界シリーズ、とある先生を追いつづけたノンフィクション弱虫先生シリーズはすべて読破した。

>それと自分がよく読んでいたのは、入門書のTHEシリーズ、子供向けの本魔女探偵ラブリーンなど……。

>どれを話そう……。

長門「どれもこの世界にないもの」

長門「教えてほしい」

>有希としばらく本の話をして過ごした。

>有希とまた少し仲良くなれたようだ……。

>そろそろ1時間が経つ。戻ろう。

長門「そう」

>有希と一緒に、駅前へ戻っていった。

……


――駅前。

>少し遅れてしまったようだ。

>しかし誰もいない。

長門「……」

>置いていかれてしまったのだろうか。

ハルヒ「ごっめーん! おまたせっ!」

>ハルヒだ。

>後ろにはキョン、一樹、みくるも一緒のようだ。

ハルヒ「うん! それじゃあ行くわよ!」

>……? もう報告はいらないのだろうか。

>ハルヒはずんずん進んでいってしまった。

古泉「すみません、もう少しお付き合いしていただいてよろしいですか?」

>構わないが……どこに行くのだろう。

キョン「ついていきゃ嫌でもわかるさ」

みくる「ふふっ、楽しみにしてくださいね」

>……?

ハルヒ「こらーっ! 何してるの!」

古泉「我々も行きましょう」

>ハルヒについていくことにした。

……


>この坂道に来たということは……。もしかして北高へ向かっているのだろうか。

キョン「ま、そりゃわかるわな」

古泉「そういうことです」

>しかし日曜日に学校は開いているのだろうか。

キョン「ああ。部活やっているところもあるしな」

古泉「番長氏の通っていた学校は開いていなかったのですか?」

>ああ。日曜日には正門は完全に閉められてしまっていたと伝えた。

古泉「ふむ。部活動が盛んな学校というわけではないようですね」

>部活は確かに強豪の部はほとんどなかったように記憶している。

キョン「しかし、1日3度もこの坂道を上ることになるとはな……」

>3度……?

キョン「あー気にすんな」

ハルヒ「男どもー! 遅いわよ!」

古泉「涼宮さんもああいっておられます。僕たちも少し歩を進めましょう」

>ハルヒの歩くスピードが速いため、女性陣とこちらでかなり差が出てきてしまった。

>少し駆け足で、坂を上っていく。

ハルヒ「目的地はもうすぐそこよ!」

>ハルヒは、一段と張り切っているようだ。

……


――北高前。

ハルヒ「さあ、ここが今日の活動の最終地点よ!」

>また、校内で不思議探しをするのだろうか。

ハルヒ「……そうね。キョン!」

キョン「なんだ。そんな大声出さんでも聞いてる」

ハルヒ「キョンは番長くんと一緒に校内ちょっと探してきて!」

キョン「……はいはい」

ハルヒ「あとのみんなはあたしについてきて」

古泉「かしこまりました」

みくる「はぁい」

長門「……」

ハルヒ「じゃあ、いったん解散!」

>ハルヒは、校舎へと消えてしまった。

キョン「さて、どこで暇つぶししようかね」

>探索しなくてよいのだろうか。

キョン「真面目か」

>キョンは苦笑いをしている。

キョン「いいんだよ、ただの時間稼ぎなんだから」

>そうか。

キョン「ま、空でも眺めて待ってりゃいいだろ」

>遠くから運動部の掛け声や吹奏楽部の演奏の音が聞こえてくる。

キョン「……なあ」

>どうした?

キョン「今日は朝比奈さんと長門と何をやっていたんだ?」

>気になるのか?

キョン「い、いや。なんとなく聞いただけで気になら――」

キョン「……いや、素直に言う。気になる」

>そうか。

キョン「その微笑ましい目で俺を見るのはやめてくれ。
    で、何してたんだ?」

>特に何もしていない。

>みくるとは公園で雑談をしていただけだし、有希とは図書館のロビーで雑談していただけだ。

キョン「そうか……」

>変わったことといえば、一樹の所属する機関のメンバーと知り合いになれたことだろうか。

キョン「……!」

キョン「そのメンバーって誰だ?」

>森園生さんだと伝えた。

キョン「森さんか……」

>少し雑談をした程度だ。

キョン「森さんと雑談か……俺はしたことないんだけどな。
    メイド服のイメージしかねぇや」

>メイド服?

キョン「いや、気にするな。はじめて出会ったとき来ていたってだけだ。
    それにしてもホントスゴイな、番長は」

>何がだろうか。

キョン「いや……俺だってSOS団と関わってから、人脈というか知り合いというか」

キョン「普通じゃない奴らと知り合いになってきたつもりなんだがな」

キョン「だがそれも、短いながら俺の高校生活のほとんどを使って知り合ってきたんだぜ」

キョン「それを番長は1週間足らずで、追いつこうとしている」

>……前も言ったように、自分とキョンとでは絆の強さが違うと伝えた。

キョン「わかってる。分かってるつもりなんだがな。それでも焦っちまうんだよ」

キョン「俺の居場所がなくなっちまうんじゃないかって」

キョン「俺の代役なんて、ほとんど番長ですんじまう気がして」

>キョンは悩んでいるようだ。

キョン「ま、こんなこと番長に言ってもしょうがないんだけどな」

>そもそも自分を買いかぶりすぎだと伝えた。

キョン「そんなことはないさ。前にも言ったが番長は男から見ても魅力的だ」

キョン「その証拠に、朝比奈さんも長門も気を許している」

>そうなのか?

キョン「ああ。客観的立場にいるからな、よくわかるさ」

>ならば、自分も客観的に伝えよう。

>それに、みくると有希は自分に気を許しているというが、キョンに対しては信頼を置いていることがわかる。

>それだけではない。一樹もキョンのことを信頼していることが分かる。

>そして何よりも感じるのはハルヒからだ。

キョン「ハルヒ……?」

>自分に初めて会いに来たときも、初めてのSOS団での活動でも、今日の探索でも。

>ハルヒはキョンに対して誰よりも、有希よりもみくるよりも一樹よりも、当然自分よりも。

>この中にいる誰よりもキョンのことを信頼している。

>だからこそ、自分にキョンを付けたのではないだろうか。

キョン「そう……なのか」

>それに……キョンと一緒にいるハルヒはなによりも楽しそうだ。

キョン「ハルヒが……」

>ああ、そうだ。自分では絶対にしない表情をしている。自信を持て。

キョン「自信か……」

>ハルヒだけじゃない、他のメンバーもキョンと話すときは楽しそうだ。

キョン「そうか……」

>……吹っ切ることに時間はかかるかもしれない。だけど徐々に気づいていけばいい。

>キョンがSOS団で自分なんかよりもよっぽど大きな存在なんだと。

>自分が気づいているんだ。キョンが気づけないはずはないからな。

キョン「……」

>キョンはじっと空を眺めている。

キョン「……なあ、番長」

>なんだろう。

キョン「本当に、俺と歳1つしか違わないのか?」

>老けて見えるのだろうか……。

キョン「違う違う。来年の今頃になっても番長みたいにはなれないだろうって思ってな。
    俺はまだまだガキみたいだ。それならガキはガキらしくあがいてみようって思う」

キョン「俺自身が納得できるまで、な」

キョン「ありがとな……番長に話してちょっとすっきりしたよ」

>自分のことが原因で悩んでいるのに、自分に話してしまうあたりもキョンらしくていいと思う。

キョン「はは、そうかい。負けないからな、番長」

>キョンは、すっきりと笑っている。

>また少しキョンと少し仲良くなれたようだ。

キョン「そろそろいいだろ、行くか」

>行くってどこに?

キョン「決まってるだろ、部室さ」

>部室……?


……


――文芸部部室前。

コンコン
キョン「入っていいか?」

ハルヒ『ナイスタイミングよ、キョン!』

>中にはハルヒがいいるようだ。

キョン「さ、番長。ドアを開けて入ってくれ」

>……? とりあえず言われた通りに入ることにしよう。

ガチャ

パンパンパンパンッ!!

>!?

ハルヒ「番長くん! SOS団入団おめでとうっ!」

みくる「おめでとうございますぅ~」

古泉「おめでとうございます」

キョン「おめでとさん」

>いったいこれは……?

ハルヒ「パーティよパーティ!」

ハルヒ「あたしずっと考えていたのよね。何かお返しできないかなって。
    番長くんから面白い話をあれだけもらっておいて
    この学校で面白いことなんて何にも起こらないんじゃ申し訳ないからね」

キョン「つまり僕たちから番長氏への恩返しをしたいわけです」

>特に何もしていないのだが……。

キョン「いいんだよ、素直に受け取っておけ。
    それに、ハルヒがただ単に騒ぎたいってだけでもあるだろうしな」

ハルヒ「ちょっとキョン、何言ってるの」

キョン「……ハルヒが、楽しそうな顔ねぇ」

>キョンはハルヒの顔をじっと見つめている。

ハルヒ「な、何よ急に見つめないでよ」

キョン「あ、ああ。すまん」

>……微笑ましい。

ハルヒ「ご、ごほん。大変だったんだからね、番長くんに内緒で準備するの。
    感謝しなさい!」

>ああ、ありがとう。

>テーブルの上には、鍋一式が揃えられていた。

ハルヒ「みんなで楽しむにはちょっと早いかもしれないけどこれが一番いいと思ってね。
    それに、ここじゃろくな料理もできないし」

ハルヒ「でも、せめて出汁はあたしが作ったわ」

>おいしそうだ。

ハルヒ「はい、それじゃ席ついて、始めるわよ! 番長くんはここ座って」

>ハルヒの号令で鍋パーティが始まった。

……


>みんなと談笑しつつ鍋をすっかり食べきった。

>非常においしかったとハルヒに伝えた。

ハルヒ「ん、口に合ったならよかったわ」

古泉「非常に美味でした」

ハルヒ「ふっふっふ、これで終わりだと思ったら大間違いよ!」

ハルヒ「みくるちゃん! あれだして!」

みくる「はぁい」

>みくるが冷蔵庫から、恭しく何かの箱を取り出した。

ハルヒ「さ、番長くん、開けていいわよ」

>箱を開けると……なんとイチゴの乗ったホールケーキだ!

>中央にはチョコレートで『welcome to SOS団!』と書かれている。

>それにこれは、砂糖菓子だろうか。SOS団員をかたどった可愛らしいミニチュア人形があった。

ハルヒ「午前中に、みくるちゃんと有希とあたしで作ったのよ」

みくる「がんばりましたぁ」

ハルヒ「その人形は、有希が作ってくれたの。
    ダメ元でできる? って聞いたらできるって言っていたから任せたんだけど」

ハルヒ「あたしとみくるちゃんがスポンジにクリームを塗ってる間に出来上がってたわ。
    意外な才能よね。ギターといい有希は手先が器用なのかしら」

>特に疑問に思っていることはないようだ……。

キョン「やれやれ……」

ハルヒ「さ、切り分けるわよ! みくるちゃん、紅茶かコーヒー用意してもらえる?
    あたしは紅茶ね」

みくる「はぁい」

紅茶のみたくなったから作ってくる15分後くらいから書きはじめる

みくる「番長くんは何にしますか?」

>コーヒーを頼む。

みくる「はぁい」

ハルヒ「あら、コーヒー派?」

>堂島さん……叔父さんがよくコーヒーを淹れてくれたのでその名残だ。

ハルヒ「へぇ」

みくる「涼宮さん、紅茶です」

ハルヒ「ん、ありがと」

>ハルヒによって切り分けられたケーキが手元にやってきた。

>なかなか大きい。

ハルヒ「遠慮せずたっぷり食べてよね、番長くん」

>ありがとう。

みくる「はい、番長くん、コーヒーです」

>みくるもありがとう。

>さっそく食べてみよう。

>……! これはトロけるうまさだ!

ハルヒ「当然じゃないっ! SOS団の美少女3人が手ずから作ったケーキなんだから!」

>自分たちの世界の美少女達の料理の腕を思い出して少し胃が痛くなった……。

……


>SOS団のみんなと楽しい時間を過ごした。

>みんなと少し、仲良くなれたようだ。

>それにしても、料理といい部室の装飾といい、時間がかかったのではないだろうか。

ハルヒ「午後の探索の時間全部これにあてたからね。
    本当は街の面白いところを紹介してあげたかったんだけど、思いつかないからパーティにしたの」

キョン「俺はハルヒの家までケーキ取りいかされたりして大変だったぜ……」

ハルヒ「雑用なんだから働いて当然でしょ?」

古泉「装飾は、番長氏が朝比奈さんや長門さんと出かけている間に全員でやったんですよ」

ハルヒ「それにしても、もし番長くんと探索班一緒になったらってドキドキしちゃったわ」

キョン「あのくじ引き無計画だったのか……」

ハルヒ「ま、何とかなったんだから問題ないでしょ」

>本当にありがとう。楽しい時間を過ごさせてもらっていると伝えた。

ハルヒ「番長くんは、素直に感情表現というか自分の感想いうわね。
    どこかのキョンとは大違い」

キョン「……キョンは、俺だけだと思うが」

ハルヒ「さ、これで番長くんも正式な団員よ!
    ってことで、連絡先交換しましょ、ケータイくらい持ってるわよね」

キョン「まだ正式な団員じゃなかったのか」

ハルヒ「試用期間よ試用期間」

>さっそく一樹が渡してくれた携帯が役に立ちそうだ。

>みんなと連絡先を交換した。

ハルヒ「随分、シンプルな携帯使っているのね」

古泉「……」

ハルヒ「意外というか、もっと高校生っぽいもの持っていてもよさそうなのに。
    それに、真新しいし。番長くんが前の学校で友達いないってことはないわよね」

ハルヒ「何もしなくても人が寄ってきそうだもの」

古泉「……いささか、経費を削減しすぎましたか」

ハルヒ「うん? 何か言った古泉くん」

古泉「いえ、なんでもありません」

>一樹も少し困っているようだ。

>実は緊急の代用品であることを伝えた。

ハルヒ「そうなんだ」

>実は本来使っていた携帯が壊れてしまって、今はこれを使っている。

>これがそうだとみせた。

ハルヒ「見たことないデザインね、珍しいもの?」

>両親が海外に勤務しているので、海外産の携帯電話だと伝えた。

ハルヒ「なるほどねぇ……」

ハルヒ「ね、ちょっと見せてもらって構わない?」

>構わない。ハルヒに電話を渡した。

>ハルヒは自分の携帯を操作しているようだ。

>キョンとみくるも隣から覗き込んでいる。

>一樹が寄ってきた。

古泉「フォローありがとうございます。少し安いものをお渡ししすぎましたね」

>いろいろしてくれているんだ。これくらい構わない。

古泉「しかし、いいのですか? いろいろのぞかれてしまいますよ?」

>やましいことは特にない。

ハルヒ「ふぅん、番長くんあまりメールはしないのね」

>基本的に要件は電話で済ませている。

ハルヒ「着信履歴覗いちゃおーっと」

キョン「番長、こんなこと言っているがいいのか?」

>ああ、構わない。

ハルヒ「えっと、なになに。
    里中千枝、一条康、花村陽介、久慈川りせ、天城雪子、海老原あい……」

みくる「女の子からの着信が多いですねぇ……」

キョン「やっぱり番長は敵だ」

>なぜか視線が痛い……。

ハルヒ「そんなことないみたいよ。
    巽完二、白鐘直斗、長瀬大輔、小西尚紀、松永綾音、小沢結実……とこんな感じね」

古泉「半々といったところですね」

みくる「男女分け隔てなく仲良かったんですね」

キョン「そうか……悪かったな」

>直斗が女の子であることは黙っておいた方がいいだろう……。

ハルヒ「番長くんありがと。返すわね」

>ハルヒから携帯電話を受け取った。

ハルヒ「じゃあ、今日はこれくらいで解散にしましょ。片付けもしなくちゃいけないしね」

>外はすっかり夕暮れ時だ。

ハルヒ「……はあ。これだけいい夕日じゃ、明日も晴れそうね」

キョン「晴れることはいいことじゃないか」

ハルヒ「何言ってるのキョン。マヨナカテレビ試すんだから雨が降ってもらわなきゃ困るの!」

キョン「まだ言ってるのか……それにそもそもセキュリティをだな――」

ハルヒ「ふっふっふ。セキュリティの突破方法なら考えたわ」

キョン「なんだと……」

>! 本当だろうか。

ハルヒ「そもそも、突破なんて大層なことじゃなかったのよ」

>どういうことだろう。

ハルヒ「あたしはまず、どうやって突破するかに当たって、
    セキュリティがどこに設置されているか調べたの」

ハルヒ「そしたら拍子抜けよ。どうやら引っ掛かると警備会社へ連絡が行くタイプのセキュリティシステムなんだけど。
    正面玄関、裏口、職員室前、各昇降口、事務室前、この部室棟正面口。これだけよ、これだけ。調べながら不安になっちゃったわ」

キョン「十分じゃないか」

ハルヒ「はあ、きっと教育委員会もキョンみたいな呑気な人たちなのね」

キョン「……そりゃどーも」

ハルヒ「いいかしら。監視カメラがあるならともかく、そんなもの北高にないことは分かっているわよね」

ハルヒ「正門を乗り越えても外にいる限り校舎の周りはフリーなの。
    こんな安っぽい侵入劇なんてみたことないわ」

>ハルヒはやれやれといった様子だ。

ハルヒ「そこまでは問題なく侵入できる。次に校舎に侵入するわけね。
    さっき言ったところにしか設置されていないってことは、それ以外のところから入ってもわからないってこと」

キョン「それは、そうだろうな」

ハルヒ「つまり、窓にちょっと細工して見回りの後に開けられるようにすれば、簡単に侵入できちゃうわけ」

ハルヒ「つまりザルなのよ、北高のセキュリティは」

>ハルヒは心底呆れているようだ。

キョン「で、その窓に細工とやらはどうするんだ」

ハルヒ「これも簡単よ。
    まず最後の見回りの時間になったら、事務員さんが校内の戸締りの確認と見回りをするわよね」

キョン「するだろうな」

ハルヒ「当然事務員さんが歩き回っているんだから、まだそのときはセキュリティはかかっていないわ」

ハルヒ「事務室は1階にある。それなら見回りは1階から行われるはずよね」

古泉「ええ、僕ならそうしますね」

ハルヒ「1階の見回りが終わった後で、外から窓でも叩いて事務員さんに声をかけるの。
    例えばそうね。『忘れ物をしたから校舎に入りたい』とかなんとか言ってね」

ハルヒ「昇降口を開けてもらって、校舎に入る」

キョン「おいおい、そのときに窓を開けろというんじゃないだろうな」

ハルヒ「そんなことムリに決まってるじゃない。
    ちゃんと生徒が出ていくかどうか、おかしなことをしないかの確認も含めて、
    事務員さんは教室までぴったりついてくるでしょ」

キョン「なら、どうするんだ」

ハルヒ「それを逆手に取るのよ。
    事務員さんがついていっている間にもう一人が校内に侵入して、
    既に見回りが終わった窓の鍵を開けておくの。事務室から一番遠い窓をね」

ハルヒ「そして、事務員さんが戻ってくる前に、侵入した方は出ておく」

ハルヒ「これで、終わりよ。あとは入るだけ」

キョン「そんなに簡単に行くもんかね……」

ハルヒ「見回りが終わった後なら、バレる確率はぐっと下がるわ。
     何せ往復して2度確認してるんだからね。まさか開いてるとは思わないわよ」

>ハルヒの眼は自信と確信に満ち溢れている。

キョン「やれやれ、なら俺は雨の日が来ないことを祈るとするよ」

ハルヒ「ま、あとは雨の日に決行するだけね」

ハルヒ「じゃあ、今はこれをぱぱっと片しちゃいましょ」

ハルヒ「あ、みくるちゃん。番長くんにもらったこのカード。
    そこのホワイトボードのところにでも磁石で貼っておいて」

みくる「わかりましたぁ」

>ハルヒは本気でマヨナカテレビを試してみるようだ。

>何も起こらなければいいが……。

>その日は片付けをして解散した。

……


――自室。

>1日中歩き回っていたので、疲れている……。

>寝てしまおうか……。

pipipipi
>メールだ。

ハルヒ『今日はご苦労さま! 楽しんでもらえたようでなにより!
    期待の新人なんだから、これからもがんばってよね!』

>ハルヒは団員として認めてくれているようだ。改めて今日のお礼のメールを打っておいた。

pipipipi
>またもメールだ。

みくる『今日はお疲れ様でした。楽しんでもらえたかな?
    また明日学校で。身体を十分休めてください、それではおやすみなさい』

>みくるはどうやら気遣ってくれているようだ。気遣ってくれてありがとうと返信をしておいた。

pipipipi
>今度はキョンからだ。

キョン『今日はすまんかった。でも話を聞いてくれて随分すっきりした。
    ありがとな』

>キョンから感謝されているようだ。気にするなと返信をした。

>……明日に備えて今日はもう寝よう。

……


――翌日、2年某教室。

みくる「おはようございます、番長くん」

>おはよう。

みくる「よく眠れましたか?」

>ああ、心地よい疲れでよく眠ることができたと伝えた。

みくる「ふふ、それならよかったです」

起きたらまた書く
そろそろ終わらせたい

書く

鶴屋「おっはよー、番長くんみっくるー!」

みくる「あ、鶴屋さん。おはようございます」

鶴屋「昨日パーティやったんだってねっ!」

みくる「あれぇ? 何で知ってるんですか?」

鶴屋「登校途中にキョンくんに会ってねっ。雑談がてら教えてもらったにょろ」

>朝から鶴屋さんはハイテンションだ。

鶴屋「そーんな楽しそうな集まりなら、あたしも呼んでもらいたかったっさ!」

みくる「あっ、ご、ごめんなさい」

鶴屋「にゃははっ、冗談冗談っ! 番長くんも楽しめたっかなっ?」

>ああ。楽しい時間だった。

鶴屋「そっかそっか、それならよかったよっ!」

>鶴屋さんは嬉しそうだ。

鶴屋「うーん、でもそんなに楽しそうな集まりなら、やっぱり呼んでほしかったなっ。
   ハルにゃんの鍋もケーキもあったって聞いたけど、おいしそうっ!」

>鶴屋さんは天真爛漫に笑っている。

>いつか鶴屋さんとも一緒に食事をしてみたい。楽しそうだ

鶴屋「おっ、言ったな番長くんっ! じゃあ、今日の昼休みはあたしと一緒にお昼御飯だっ!」

みくる「あ、じゃあ、あたしも一緒にお邪魔していいかな」

>昼休みは、鶴屋さんとみくると昼食をとることになった。

――昼休み、中庭。

>鶴屋さんとみくると中庭のベンチにやってきた。

>所々でレジャーシートなどを引いて昼食をとっている生徒も散見できる。

鶴屋「らっきーらっきー、ベンチ空いてるねっ」

鶴屋「番長くんは、ここだねっ」

>鶴屋さんはベンチの一番端に座り、
 その隣をポンポンと叩いて自分にそこに座るように促している。

鶴屋「はいはいっ、座った座ったっ」

>大人しく鶴屋さんの隣に座ることにした。

みくる「あ、じゃあ、あたしはここに」

>……鶴屋さんとみくるに挟まれる形になってしまった。

>3人とも弁当だ。

>今日は……黄金の茶巾寿司、ほうれん草の胡麻和え、鶏の竜田揚げを弁当として持ってきた。

鶴屋「番長くんのお家は、ずいぶんシブイお弁当なんだねぇ……」

>鶴屋さんは、まじまじと自分の弁当を眺めている。

>これは自分が作ったと伝えた。

鶴屋「へぇっ! すっごいねぇっ!」

みくる「あ、ごめんなさい、ちょっと飲み物買ってきますね」

>みくるは席を外して自販機へ向かったようだ。

鶴屋「みっくるー! 急ぐと転ぶよー!」

みくる「あうっ!」

>……鶴屋さんの予言通り、転んだようだ。

鶴屋「やー、それにしても番長くんお料理もできるんだっ」

>たしなむ程度だ。

鶴屋「ふぅん……」

>鶴屋さんはじっと、こちらを見つめてくる。

>何か顔についているだろうか……。

鶴屋「あ、ごめんごめんっ。そういうんじゃないっさ!」

鶴屋「ただね……」

鶴屋「番長くん、ただモノじゃないなぁって。みくると似たような感じを受けるんだなっ」

>……!

鶴屋「お、その顔は図星かなっ」

>いったいどういう……?

鶴屋「にゃははっ、そんな顔してちゃカッコイイお顔が台無しっさ!
   別に何するとか、誰かなに話すとかもするつもりはないからっ」

>鶴屋さんはけらけらと無邪気に笑っている。

鶴屋「もっと言えば、SOS団のみんなからは、ハルにゃんからも、一樹くんからも、
   長門っちからも似たような感じをビシビシ受けてるからねっ」

鶴屋「なーんも感じないのはキョンくんくらいっさ」

鶴屋「と言っても、なんか違うって程度で何が違うとかよくわかんないんだけどねっ!」

>……すごいな、鶴屋さんは。

鶴屋「あ、でも、こういうの話を、なんか違うって感じてる人にしたのって番長くんが初めてだっ。
   言っても大丈夫っていうか、何話しても大丈夫っていうか」

鶴屋「番長くんなら受け入れてくれる感じするからかなっ」

>そうか。多分だが、他の人には話さない方がいいと思う。きっと困った顔をする。

鶴屋「大丈夫大丈夫っ。もともと話す気がなかったけど、番長くんの顔見てたらこう、いいかなって!
   きっと話すとしてもキョンくんくらいなもんっさ」

>そうしてやってくれ。

みくる「おまたせしましたぁ」

>みくるが手にお茶を持って戻ってきた。

鶴屋「おっそいよみくるー! さ、食べよ食べよっ」

>鶴屋さんは何事もなかったかのようにお弁当に向き直っていた。

みくる「いただきます」

>3人で手を合わせて食べ始めた。

みくる「番長くんが作ったんですか、これ」

>ああ。

鶴屋「あれっ、みくる、番長くんが料理するって知ってるんだねっ」

みくる「う、うん」

鶴屋「どれどれ、どんな腕前か見せてもらうよっ!」

>鶴屋さんは横からほうれん草のゴマ和えをつまんできた。

鶴屋「んー! おいしいっ! きっといいお嫁さんになるよ、番長くん」

>おいしいと言ってもらえれば光栄だ。

みくる「番長くん、やっぱりお料理上手ですね」

>みくるもよければどうだ?

みくる「あ、ありがとうございます」

鶴屋「ま、あたしのも遠慮なく食べてよっ! おかずの交換会だっ!」

みくる「あ、そういうことでしたらあたしのもどうぞ」

>3人でたのしく昼食をとった。

>2人とまた少し仲良くなれたようだ。

……


――放課後、文芸部部室。

みくる「こんにちはぁ」

>部室には有希が読書をしているだけのようだ。

長門「……」

>有希はこちらは一瞥するとまた読書に戻ってしまった。

みくる「んしょ」

>……着替えるようだ。また外に出ていよう。

……


>再び部室に戻ってきたときには、みくるはエプロンドレスのメイド姿に様変わりしていた。

みくる「お茶、いれますね」

>ありがとう。

>ページをめくる音と、こぽこぽという音共に緑茶の芳香が部屋に充満してきた。

>有希が、部室の隅で読書をし、みくるがエプロンドレスでお茶を淹れている。

>……なじみの光景となりつつあるが、よくない兆候だ。

>元の世界へ帰る意識が薄れていくということに繋がるかもしれない。

>この世界へ迷い込んでからもう1週間になる。

>いまだに帰還のメドは立っていない……。

>ちゃんと帰るという意思を持たなければ。

>しかし、考えたところで手がかりは何もない……。

みくる「はい、お茶です。どうしたんですか? 難しい顔をして。
    あ、長門さん、こちらにお茶置いておきますね」

長門「わかった」

みくる「……! はい」

>みくるがお茶を置きながら、自分の正面へ座る。

みくる「それで、どうしたんですか?」

>どうやったら帰ることができるのか考えていたと伝えた。

みくる「そっか、そうですよね……」

みくる「そっか、番長くん、いつか帰っちゃうんですよね……」

>それはみくるも同じことだろう?

みくる「うん、そうですけど……少なくともあたしが北高を卒業するまでは
    みんなここにいると思っていて」

みくる「それに、番長くん、すっかりこっちの世界に馴染んでいるから、
    すぐ近くに別れがあるんだってこと忘れちゃってました」

みくる「もし番長くんが帰っちゃったら、って考えると今から寂しくなっちゃいますね」

みくる「ふふ、そんなこと言われても困っちゃいますよね。忘れてください」

>そう言いながらクピクピと自分で入れたお茶を飲んでいた。

>ただ、いつ帰ることができるか全く見当がついていない。

>もしかしたらみくるよりも長く、こちらにいることになるかもしれない。

みくる「そう、なんですかぁ……」

長門「……」

>みくるは、どんな表情をしていいかわからないようだ。

>そう。いつ帰ることができるかわからないのだ……。

みくる「……もし、ですよ? もし今すぐ帰ることができるなら帰りますか?」

>……どういう意味だろう。

みくる「ふふ、ちょっと意地悪な質問です」

みくる「あ、もちろん。今すぐ帰りたいと思っていても、止めません。
    番長くんには番長くんの世界がある。帰りたいと思うのは当然です」

みくる「でも、今すぐ帰りたいって思っていないのなら。まだこの世界で楽しんでいたいというのなら。
    少しでも番長くんが、ここで快適に過ごせるように支えます」

みくる「それに……もっと番長くんと思い出を作っておきたいですから」

みくる「別れのときに、後悔しないように」

みくる「それはきっと、みんなもおもっていると思います」

みくる「ね、長門さん」

>本から目をあげ、有希はこちらを見つめてくる。

長門「わたしも同意する」

>それだけ言うと、また読書に戻ってしまったようだ。

>今すぐ戻れたら、か。どうなのだろう……。

ガチャッ

キョン「うぃっす」

古泉「こんにちは」

みくる「あ、こんにちはぁ」

>みくるはそう言って、2人のお茶を淹れるために席を立ってしまった。

>質問の回答は、保留になってしまったようだ。

>八十稲羽にいたころの面々が思い浮かぶ。

>しかし、同時にSOS団の面々の顔も浮かぶ。

>……今は考えても仕方がない。

キョン「ハルヒのやつは、掃除当番だからもうしばらくしたら来ると思うぞ」

古泉「では一局いかがですか?」

キョン「すまんが、オセロくらい単純なものだと助かる」

古泉「それでも構いませんが……番長氏もいることです、ポーカーなど如何でしょう?」

キョン「俺は構わんが……番長はどうだ?」

>それで構わない。

古泉「では、ルールはテキサスホールデムポーカーに準拠しましょう」

キョン「ビリは1位のやつにジュースおごりな」

古泉「ええ、いいですよ。それくらいの張り合いがないとおもしろくないですものね」

>負けるわけにはいかない……!

……


>一樹たちとポーカーで楽しんだ。

古泉「ふう、僕の負けですね」

>一樹は、それほど強くないようだ。

古泉「下手の横好きというやつですよ。
   こういうボードゲームに関してはだいたいどれも好きです」

>反対にキョンは激運の持ち主のようだ。

キョン「何故かしらんが古泉との勝負には負ける気がしないんでね」

>2番手に甘んじてしまった……。

古泉「まあ、こういうのは運ですから」

キョン「へっ、こういうゲームでなら番長にも勝てるわけだ」

>キョンは得意げだ。

ガチャッ

ハルヒ「待たせたわねっ! 今日は反省会よ、反省会!」

>ハルヒは来た早々、そう高らかに今日の活動内容を宣言した。

キョン「反省会?」

ハルヒ「そうよ、反省会!
    昨日は成功したからいいものの、いつSOS団に『サプライズをしてほしい』
    なんて依頼が来てもおかしくはないわ!」

ハルヒ「だからこそ、昨日の至らなかった点を次への糧にするのよ!」

キョン「……そもそもそんな依頼が来るかどうかってのを議論すべきじゃないのかね」

ハルヒ「来なくてもよ。このSOS団のメンバーで余興のひとつもできないでどうするの!」

ハルヒ「番長くんも気づいた点があったらバシバシ言ってちょうだい」

>わかった。

ハルヒ「ん! 余計な遠慮はいらないわ! 率直に素直に言ってよね」

ハルヒ「みくるちゃん、書記っ!」

みくる「はぁい」

>みくるはホワイトボードに書かれたあった文字を消して
 新たに「反省会」とまるい文字で書きだした。

ハルヒ「はい、何かある人!」

>昨日のことを思い返してみる……。

ハルヒ「何かあれば忌憚なく言っていいわよ」

一応言っとくと
鶴屋→長門は「有希っこ」だった気がするが

古泉「では、よろしいでしょうか」

ハルヒ「はい、古泉くん!」

古泉「あえて進言するのでしたら、当日の班分けでしょうか」

>みくるは「古泉くん」と書いてその下に発言を書き取っている。

古泉「あのときは涼宮さんと番長氏が、偶然別れたのでよかったですが、
   もし組分けされてしまっていたら、作業は困難を極めていたかもしれません」

ハルヒ「そうね、あたしもそこは反省材料だと思っていたわ。
    ちゃんと、次からはそこまで考えて計画しないとね」

キョン「次もサプライズパーテイするつもりか……」

古泉「僕からは以上です」

ハルヒ「ありがと古泉くん。他の人は何かある?」

ハルヒ「有希とかなにかある?」

長門「楽しかった」

ハルヒ「……」

長門「……」

>妙な沈黙が生まれてしまった。

キョン「……あー、それだけか?」

長門「そう」

ハルヒ「ま、楽しんでもらえたのならそれでいいわ。じゃあ、次、何かある人」

>>571
驚愕(後)でいってたからそれ採用した

>みくるは有希の発言も丁寧に書き取っているようだ。

みくる「あ、じゃあ、いいですかぁ?」

ハルヒ「そういう積極性は評価に値するわよっ」

みくる「番長くんを、みんなと離した時なんですけど……」

ハルヒ「みくるちゃんと有希だったわよね」

長門「そう」

みくる「そのときに、急にどこ行くかってなったら全然思い浮かばなくって」

みくる「待ち時間も番長くんに楽しんでもらえたらなぁって、思いました」

ハルヒ「そうね、そういう細かいところのケアも必要よね。
    余興は、細かいところまで行き届いてこそだわ」

ハルヒ「ありがと、みくるちゃん」

みくる「はぁい、んと」

>自分の発言も細かに書き取っているようだ。

ハルヒ「はい、次キョン」

キョン「な、俺かよ」

ハルヒ「そりゃそうよ、あとはアンタと番長くんなんだから」

キョン「あー……そうだな。できる限り前日より前に俺らにも教えてもらえると助かる」

キョン「当日言われても、俺たちがまず驚くからな。ハルヒは別に俺らをサプライズしたいわけじゃないだろ?」

ハルヒ「当り前じゃない」

キョン「なら、朝比奈さんも言っていた通り、俺らも事前準備をしておいた方が
    余興としては完成度の高いものになると思うわけだ」

ハルヒ「……!」

キョン「……どうしたんだ、そんな面食らった顔して」

ハルヒ「キョンからそんなまともな意見が出てくるとは思わなかったわ」

キョン「ま、一団員の意見として受け取っておいてくれ」

>みくるは同じように書き取っている。

ハルヒ「で、最後なんだけど、番長くん」

>なんだろうか。

ハルヒ「受けた側として、どうだったか聞かせてほしいの。
    今後にフォードバックしていくんだからお世辞なんかいらないわ」

>ハルヒはじっとこちらを見つめている。

oh...フィードバックね……

>率直でいいんだな?

ハルヒ「え、ええ」

>では言わせてもらう。率直な感――。

ハルヒ「ま、待って。ちょっと深呼吸するから。すぅーはー……」

キョン「……ガラでもない」

ハルヒ「うっさいキョン。い、いいわ。言ってちょうだい」

>率直な感想を言わせてもらえれば。

ハルヒ「(ゴクリ……)」

>すごく楽しかったし、嬉しかった。

ハルヒ「! ほ、本当かしら?」

>ああ。何かしてくれるという行為はそれだけで嬉しいものだと伝えた。

>それに、お世辞でもなんでもなく、料理はおいしかったし、終始楽しく過ごせた。

>特に料理がおいしいことは重要だ。ああ、必須事項だ。

キョン「……何か料理で嫌なことがあったのか番長は」

ハルヒ「そ、そう」

>ハルヒはまんざらでもなさそうだ。

>ただ一つ言うとするならば。

ハルヒ「うん?」

>有希はともかく、みくるは確かにどこへ行くか困っていたようだ。

ハルヒ「……なるほどね」

30分後くらいに再開する。

書く

>自分がいえることはこれくらいだと伝えた。

ハルヒ「他にない? キョンが余興やるべきだったとかなんとか」

キョン「何で俺ピンポイントなんだよ」

>あればより楽しかったかもしれないが、十分楽しかった。

>ちらりとホワイトボードを見るとみくるは「番長くん、楽しかった。キョンくん余興」とかき取っている。

ハルヒ「ふんふん、参考意見にさせてもらうわ」

キョン「俺にやらせる気だろう。絶対なにかやらせる気だろう」

ハルヒ「今決めたわ。クリスマスにトナカイのかぶりものつけて一発芸やってもらうからね」

キョン「……おい」

古泉「よかったではないですか」

>頑張れ。

キョン「お前ら他人事だと思ってな……」

ハルヒ「ま、キョンのことはどうでもいいわ」

ハルヒ「そうね……総括としては事前準備をしっかりするべき、ってところかしらね」

キョン「ああ、そうだな。ハルヒの頭の中で完結していても構わんが、それをアウトプットしてくれ」

ハルヒ「そうね、団員からの貴重な意見だからこれからに活かしていきましょ」

>ハルヒは満足そうだ。

ハルヒ「じゃあ、反省会はこれで終わりでいいわ、あたしはちょっと作業するから」

ハルヒ「みくるちゃんもありがとうね」

みくる「はぁい。お茶のおかわりご用意しますね」

ハルヒ「ん、ありがと」

>そういって、団長席に座り、何か書き始めたようだ。

キョン「やれやれ」

>……?

キョン「ああ、終わりだよ。何しててもいいぞ」

>そうなのか?

キョン「ハルヒもあんなんだからな」

>ハルヒは集中していて、こちらの会話も気にしていないようだ。

キョン「ま、帰るのは長門が本を閉じたらだな。
    それがSOS団の決まりってわけじゃないんだが習わしみたいなもんだ」

>なるほど。

>有希の読書はまだ終わりそうにない。

古泉「では、また1戦いかがですか? 負けっぱなしというのも性に合わないので」

キョン「ああ、いいぜ」

>キョンと一樹はポーカーをやるようだ。

>有希は読書をしている。

>みくるは、お茶の準備をしている。

>ハルヒは何やら書きまとめている。

>特に皆何かをしているわけではないが、心が安らぐ空間だ。

>だが、いずれここから離れなければならない日が必ず来る。

キョン「番長もやるか? ポーカー」

>どうしようか……。

古泉「……どうかなされました?」

>いや、少し校内を見て回ってきたいと伝えた。

キョン「うん?」

>少し、考え事をしたい。

古泉「……ええ、いいのではないですか? 歩きながらの方が捗るといいますし」

キョン「そうかい。……何かあったら言ってくれ。力不足かもしれんがな」

>ありがとう。

>荷物は置いたまま、部室から出ていった。

――部室棟廊下。

>そろそろ、腰を据えて考えなければならない。

>どうすれば戻れるのだろう。

>気づいたら、あの場所にいた。

>何か直前に兆候があったのかもしれないが、どうしても思い出せない。記憶に霧がかかっているかのようだ。

>誰かに聞こうとしても、誰も答えられないだろう。

>唯一の共通点であるテレビの中の世界でさえも、手掛かりはない。

>せめて、イゴールやマーガレットに会えたら。ベルベットルームへ行けたら何か変わるかもしれない。

>だが、ベルベットルームへの扉は見つけることができない……。

>八方ふさがりとはよく言ったものだ。一体、どうすればいい……?

>時間だけが、過ぎていく……。

――中庭。

>外の風は気持ちがいい。

>昼休みに昼食をとったベンチに座ることにした。

>……とりあえず現状整理をしてみたものの、帰還するためのヒントは得られそうになかった。

>風も太陽も、自分たちの世界と変わらないようだ。

>気持ちがいい。

>……このまま寝てしまいそうだ。

>……。

>……。

……


>ん……少し寝てしまっていたようだ。

>太陽もほとんど沈みかかっており、紺色の空と橙色の空が半分ずつ分かれていた。

>……しまった。荷物は部室に置いたままだ。

>みんなに迷惑をかけているかもしれない。急いで部室に戻ろう。

ガチャッ

――文芸部部室。

ハルヒ「あ、戻ってきたわね」

>部室にはハルヒしかいないようだ。

ハルヒ「他のみんなは帰したわ。あんまり遅くなっても悪いしね」

>待っていてくれたのだろうか……すまない。

ハルヒ「いいのよ、こういうのも団長の仕事だしね」

ハルヒ「ところで、なにしてたの?」

>中庭のベンチでいつの間にか眠ってしまっていたことを伝えた。

ハルヒ「番長くんも疲れていたってところかしら。
    ……それはそうよね、まだ学校も3日目だもの。疲れない方がおかしいわ」

ハルヒ「すっかり馴染んでいたから、そんな気がしなかったのよね」

>ハルヒは何かを噛みしめるように頷いている。

ハルヒ「うん。じゃあ、帰りましょ」

>帰り支度をして、ハルヒと一緒に部室を出た。

>外はすっかり、暗くなっている。

――帰り道。

>遅くまでやっていたであろう部活終わりの生徒がちらほらと下校している。

>そういえばハルヒと2人きりになるのは初めてだ。

ハルヒ「そうだったかしら」

>ああ。はじめて会ったときもキョンと2人だったし、その後はSOS団のみんなと一緒のときだけだ。

ハルヒ「……そうね。確かに2人きりになるのは初めてだわ」

ハルヒ「というか、キョン以外で2人きりって久しぶりかも」

>そうなのか?

ハルヒ「まあいつもみんなが周りにいるからね。
    2人きりって言っても、キョンが同じクラスだから不可抗力的になってるだけなんだけど」

>そう言いつつも、不満そうな顔はしていない。

>そういえば、改めてお礼を言おう。歓迎会ありがとう。

ハルヒ「いいのよ、団員のことを気遣うのは当然なんだから」

ハルヒ「でも番長くんももうちょっと早く来てくれれば、文化祭とか一緒に楽しめたのにそこは残念ね。
    番長くんがいればもっと映画にも広がりがでたんだけど」

ハルヒ「例えば、異世界からやってきたいろんなパワーを使い分ける超助っ人キャラとかね」

>……思わずハルヒを見つめてしまった。

ハルヒ「ん、どしたの? 顔に何かついてる?」

>いや、そういうことじゃない。どんな映画なのだろうと思っただけだと伝えた。

ハルヒ「そっか、そうよね。まだ見てなかったわよね。
    明日にでも見せてあげるから安心して」

ハルヒ「超監督涼宮ハルヒさまの処女作なんだから、見ておいて損はないわよ」

>自信満々に言い切った。

ハルヒ「文化祭当日は満員御礼だったわ。
    そのほとんどが男だったのはちょっと納得いかなかったけどね」

ハルヒ「ね、番長くんの高校はどんな文化祭だったの?」

>文化祭……合コン喫茶とミス?コンのことが頭をよぎる……。

ハルヒ「あははっ、なにそれ! 番長くんの女装ねぇ。
    みてみたいわ! 写真とかないの?」

>メイクを終えた後に千枝や雪子に面白がってとられた写真が
 メールで送りつけられていたはずだ。

>ハルヒにスケバンに扮した自分の写真を見せた。

ハルヒ「ぷっ、あははっ! なにこれっ! 全然似合ってないっ!
    な、なんでスケバンなのよっ! もっとクールな女装かと思ったわっ! あははっ!」

>ハルヒはおなかを抱えて笑っている……。

ハルヒ「あー、でも女装か。考えなかったわ」

ハルヒ「キョンはともかく古泉くんはいい顔してるんだから、女装しても様になりそうね……」

>ハルヒは真剣に考えているようだ。

>すまん一樹。もし女装させられそうになったら自分の責任だろう……。

ハルヒ「女装もアイディアのひとつね、もらっておくわ」

>そういえば北高ではミスコンなどはなかったのだろうか。SOS団の女性団員が出れば入賞は固そうだが。

ハルヒ「さあ、あったのかしら。それにあったとしても出るつもりはないわ。
    ウチの団員は見世物なんかじゃないんだから。でもみくるちゃんならかなりいいところまでは行きそうよね」

>そこはかとない矛盾を感じるがそっとしておこう……。

ハルヒ「見世物って言っても、バンドは楽しかったわ。緊急の代役だったんだけど。
    有希ったらギターできるのよ。機会があれば今度見せてもらうといいわ、きっとビックリするから」

>そういえばそんなこと言っていた。

ハルヒ「お菓子作りもできるし、なんか不思議な子よね」

>ハルヒはしみじみと言っている。

ハルヒ「あ、お菓子で思い出したんだけど、番長くん料理上手なんですって?
    みくるちゃんが褒めていたわ、何でも自前のお弁当のおかずをもらったって」

>たしなむ程度だ。

ハルヒ「一応あたしも料理には自信があるのよ」

>確かに鍋はおいしかったと伝えた。

ハルヒ「鍋なんかじゃ、料理の腕はわからないわよ」

ハルヒ「そうね、いつか番長くんと料理対決なんて企画も面白いかもしれないわ」

>ぜひそれはやってみたい。

ハルヒ「ふふ、番長くんなら乗ってくれると思ったわ」

ハルヒ「なら、その前哨戦として、明日昼食会なんてどうかしら」

ハルヒ「明日の昼は部室集合、それでそれぞれのお弁当の品評会をしてもらうの。
    あたしから団員に連絡しておくわよ」

>楽しそうだ、ぜひ受けてたとう。

ハルヒ「ん、番長くんはノリがいいわね!」

ハルヒ「見てなさいっ、完膚なきまでに叩きのめしてあげるから」

>望むところだ、かかってこい。

ハルヒ「ぷ、ふふ。なんてね。お互い、いいもの作ってきましょ」

>ああ。

ハルヒ「じゃあ、こうしちゃいられないわ! 買い出しに行かなくちゃ」

ハルヒ「また明日ね、番長くん。あたしも番長くんのお弁当楽しみにしておくからっ!」

>そういって、ハルヒは駆けていってしまった。

>自分も一度帰って、買い物へ出かけよう。

……


――マンション前。

古泉「お帰りなさいませ、番長氏」

>こんなところでどうしたのだろう。

古泉「番長氏の帰りを待っていたのですよ」

>自分の?

古泉「ええ。何か思いつめていた顔をしていらっしゃりましたから」

>そうか。心配かけた。

古泉「僕でよければお話を聞きますが」

>どうやったら帰れるのだろうと漠然と考えていただけだから大丈夫だと伝えた。

古泉「そうですか……ゆっくりとはいかないかもしれませんが探していきましょう。
   せめて番長氏がここにいる間は不自由させないつもりですから」

>……どうして一樹は、そこまでしてくれるのだろう。

古泉「特に困っている肩を助けるのに理由はないですよ」

古泉「強いて言うならそうですね。
   僕があなたを気に入っているからだということではダメでしょうか」

>……。

困っている方ね、方
困ってる肩ってなんやねん

古泉「あなたが来てからは涼宮さんは今まで以上に楽しそうです」

>そうか。それで一樹の負担が減るのなら、いいことだ。

古泉「それだけではありません、森さんも言っておられましたが、あなたと話すことは楽しいのです。
   そしてそれは僕も例外ではない」

古泉「僕があなたを気にかけるのは、それだけです。他意はありません」

>……いつか一樹にも恩返しをしないといけないな。

古泉「ふふ、なら、待っていますよ。期待しておきましょう」

古泉「しかし、部室を出ていったときからすると多少顔が晴れ晴れとしていますね。
   何かありましたか?」

>明日の昼にハルヒと弁当対決をすることになったと伝えた。

古泉「それは、素晴らしいですね。SOS団内でも1、2を争うお二人のお弁当ですか」

>すぐにハルヒから連絡が来ると思うが、一樹も楽しみにしていてくれ。

古泉「ええ。それはもう」

>この後その弁当の買い出しに行くついでに夕飯の買い出しにもいくが、
 今日も一緒に夕飯はどうだろう。

古泉「断る理由がありません。僕も荷物を持つのを手伝いますよ」

>ありがたい。一樹と一緒にスーパーへ買い出しに行くことにした。

また後ほど。

そろそろ書く

――スーパー。

古泉「番長氏、夕飯はともかくとして、持って行くものは決めておられるのですか?」

>まだ決めていないと伝えた。

古泉「番長氏は、何を作ってもよいとは思いますが、学校へ持参する弁当となると話は別ですね。
   汁物は厳しいでしょうし……」

>安心しろ。

古泉「?」

>自分は肉じゃがからカレー、ビシソワーズまで弁当にする男だ。

古泉「……! さすがですね。返す言葉もありません」

>しかし、対決となると、考えなければなるまい。

古泉「涼宮さんは、こういうイベントごとには全力で力を出してくるでしょうね」

>品評会と言っていた。できればみんなで楽しめるものが望ましいが……。

古泉「ですが気負う必要はないと思いますよ」

古泉「いつもの番長氏の料理をだせば、それで十分かと思います」

>そうか……。

>ありがとう一樹。

古泉「いえ。お力になれたのでしたら幸いです」

>――にしようと思う。

古泉「ふむ、意外というか、なるほど。面白いかもしれません」

>もちろん付け合せは作るが、メインはこれで行こうと思う。

古泉「番長氏がそれで行くというのでしたらいいのではないでしょうか」

>では、あとは夕飯用の材料を買って帰ろう。

古泉「ええ」

……


>一樹と夕食を楽しんだ。

古泉「大変に美味でした。何かお手伝いすることがあればしますが」

>大丈夫だ。

古泉「そうですか。では、僕はこれで失礼します。明日楽しみにしておりますよ」

>一樹は帰っていったようだ。

>さあ、明日の仕込みをしよう。

>楽しんでもらえるように、頑張ろう。

……


――翌日、2年某教室、昼休み。

>さあ、部室へ行こう。

みくる「行きますか?」

鶴屋「ふっふっふー」

>どうしたんだろう。

鶴屋「今から番長くんがしようとしていることを当ててみよっか」

鶴屋「ずばりっ、今からお弁当対決だねっ?」

>みくるから、聞いたのだろうか……。

鶴屋「にゃははっ、全く驚かないんだねっ」

鶴屋「でもみくるから聞いたってのはハズレっ。
   あたしも御呼ばれしているんっさ」

>鶴屋さんも?

鶴屋「そそっ! あたしも審査員のひとりってわけっ!
   楽しみにしてるからねっ!」

みくる「ふふ、あたしも楽しみです」

――文芸部部室。

ハルヒ「来たわねっ、番長くん」

キョン「よ」

古泉「お待ちしておりました」

長門「……」

>1年達は全員集合しているようだ。

>机の上にはすでに、重箱の1段目ほどもある大きめの弁当箱が置かれていた。

鶴屋「やーやーみなさんっ!」

みくる「こんにちはぁ」

ハルヒ「さあ、番長くんっ! お弁当を出してちょうだい!」

>ハルヒにも負けず劣らずの大きさの包みを出した。

ハルヒ「……!」

キョン「……一応俺は弁当持ってきているんだがな」

古泉「僕はこちらを期待して持ってきておりませんので、ご安心ください」

みくる「あ、あたしも一口貰う程度なのかなって思って、持ってきちゃいましたぁ」

また飯作ってから書くから1時間後くらいに

キョン「まあ、長門がいるから大丈夫だろう」

長門「任せて」

ハルヒ「有希を残飯ががりみたいに扱わないのっ」

キョン「す、すまん」

ハルヒ「いいわ、その減らず口も食べてからにしてもらいましょ」

>ああ。

ハルヒ「いい、みんな。見た目もそうだけどなによりも味だからね!
    いかにおいしく感じられたかよ!」

古泉「了解しました」

みくる「はぁい」

鶴屋「りょーかいっ!」

キョン「わかったよ」

ハルヒ「じゃあ、行くわよ、番長くん、一斉に開けるわよ」

>ああ。

ハルヒ「せぇーの、オープン!」

パカッ

古泉「おや」

鶴屋「あははっ、すっごいねぇ、2人とも!」

みくる「あれ?」

キョン「これは」

ハルヒ「これって……!」

>……!

>こちらが用意したのは、おにぎりだ。

>みんなで楽しく食べられるものを考えた結果これに行きついた。

>そしてハルヒが用意したのは――。

ハルヒ「番長くんも、おにぎりにしたの?」

>なんと、ハルヒも一緒のものを作ってきていた。

キョン「示し合わせたのか?」

ハルヒ「そんなわけないじゃない」

>完全に偶然だ。

>2つの弁当箱には、いくつかの付け合わせと一緒に、
 おにぎりが所狭しと並べられていた。

古泉「付け合せも一緒に作ってくるあたりも、共通しておられますね」

>ハルヒは完全に面食らっているようだ。

ハルヒ「……でもさすがに、中の具まで一緒ってことはないわよね」

>自分は天ムス、牛しぐれ、野沢菜とじゃこ、梅の4種類だ。

>付け合せには出し巻き卵と浅漬けの漬物だ。

ハルヒ「なるほどね。
    あたしは、肉巻きおにぎり、豚の角煮、焼きたらこ、シャケね」

ハルヒ「付け合せは、卵焼きとウィンナー、それとたくあんね」

古泉「ふふ、具こそ違えど、傾向はそっくりですね」

みくる「そういえば、そうですねぇ」

キョン「ハルヒの方が若干濃い味の具材が多目か」

ハルヒ「男子がいっぱい食べると思ってね」

ハルヒ「でもまさか、番長くんまでこれで来るとは思わなかったわ……」

鶴屋「反対に番長くんはさっぱりと味の濃いものが半々だねっ!」

>女性陣と男性陣の比率を考えたらこうなったと伝えた。

ハルヒ「何で番長くんはおにぎりにしたの?」

>みんなで楽しく、を考えたらおにぎりが一番ふさわしい気がした。

>それに多彩な味を楽しませることができるのがおにぎりだ。

ハルヒ「……! 同じこと考えてたのね」

ハルヒ「でも勝負は別よ! さあ、みんな食べてちょうだい!」

>遠慮なく食べてくれ。

みくる「はぁい」

鶴屋「んじゃー、ハルにゃんのからいただこっかな!」

ハルヒ「忘れちゃダメよ、勝負なんだからね!」

古泉「では、僕は番長氏の方からいただきます」

キョン「俺は、肉巻きおにぎりもらうかな」

長門「……」

>有希は座っていたところから一番近い自分のものをとったようだ。

みくる「あむっ」

ハルヒ「……」

>ハルヒも自分もかたずをのんで見守っている。

みくる「涼宮さん、すっごくおいしいです! これ!」

鶴屋「やっるね! 塩加減も、握り方も抜群だっ」

ハルヒ「よっし、まずは一歩リードね!」

古泉「こちらも素晴らしいですよ。
   手に持った時点ではしっかりと形作られているにもかかわらず、
   口に入れた瞬間にはふっくらとした食感と共に、ほろほろとほどけますね」

長門「おいしい」

>こちらも負けていない!

キョン「ん、料理に関しては、さすがの一言だな。うまいな、これ」

ハルヒ「……あたしも、番長くんのいっこもらおっかな」

鶴屋「んー! 番長くんのもおいっしいね!」

>鶴屋さんは早々に2つ目に移っているようだ。

長門「……」

>有希も黙々と食べている。

ハルヒ「……!」

>どうだ?

ハルヒ「ホントおいしいわ……」

古泉「涼宮さんのおにぎりも大変おいしいですね」

>他の団員達も、2つ目に移っているようだ。

みくる「み、皆さん早いですねぇ……」

>ゆっくり食べればいい。

ハルヒ「そうよ、急ぐ必要はないんだから」

>自分のハルヒの作ったおにぎりをもらってみよう。

>……!

>確かにかなりおいしい。味付けも握り具合も抜群だ……!

キョン「俺個人的には、この卵焼きがお気に入りだな」

古泉「ええ、僕もそう思います。おにぎりも甲乙つけがたいですが
   こちらの卵焼き、出し巻き卵はなお素晴らしいです」

キョン「ただ一つ気が付いちまったんだが……」

ハルヒ「なによ」

>言ってくれ。

キョン「いや、なんつーかな。確かにおにぎりに合うんだけどよ。
    番長の出し巻き卵は、ハルヒのおにぎりと一緒に食べたほうがうまいし、
    ハルヒの卵焼きは、番長のおにぎりと一緒に喰った方がうまいんだよ」

鶴屋「あ、それあたしも思ったっさ!
   ハルにゃんのおにぎりは塩味に寄ってるから甘めの番長くんのがあうし、
   番長くんのおにぎりは具にしっかり味がついてるから、この素朴なハルにゃんのが合うんだよねっ」

古泉「むぐ……確かに、そうですね。鶴屋さんのおっしゃったとおりです」

みくる「わぁ、ほんとですね」

ハルヒ「え」

>本当だ……付け合せを逆にした方が美味しい……。

古泉「ふむ、これは困りましたね」

>どうしたのだろう。

古泉「いえ、今回の料理対決ですが……」

古泉「おにぎり自体はどれもおいしく甲乙つけがたいものですし。
   付け合せも含めて料理でしょうから、付け合せで判断しようとしたのですが、それも難しい。
   料理にあっていないわけではありませんが、入れ替えたほうがしっくりくる」

古泉「どちらにしようかと迷っていたわけです」

古泉「僕は許されるのであれば、お二人の合作が一番おいしかったと、投票したいところですね」

>そうか……。

みくる「あ、あたしもそれ賛成です」

ハルヒ「でも勝負は勝負よっ!」

キョン「おい、ハルヒ。そこまで意固地になってやることでもないだろう。
    どちらもうまかったで、いいじゃないか」

ハルヒ「勝負は読んで字の如く、引き分けはないのよっ!」

>有希はどうだ?

長門「どちらも、おいしい」

ハルヒ「有希まで……」

>どうしたのもか……。

鶴屋「ね、ハルにゃん」

ハルヒ「ん、どうしたの」

鶴屋「判定基準って、いかに美味しく感じたか、だよねっ?」

ハルヒ「ええ、そうね」

鶴屋「それなら、やっぱりあたしも古泉くんの言うとおり、2人の合作が一番だと思うなっ!」

ハルヒ「でもっ」

鶴屋「きっとハルにゃんも番長くんも、どっちかが違うもの作ってきたら
   こんなにおいしくならなかったと思うんだっ」

鶴屋「2人がみんなのこと考えて、おにぎりってチョイスをして、
   みんなにおいしく食べてもらおうって、付け合せて作って」

鶴屋「みんなでわいわい言いながら食べてさっ。
   その相乗効果は計り知れないんじゃないっかなっ」

鶴屋「"いかにおいしく感じたか"に照らし合わせれば、2人とも負けで、2人とも勝ちってところっ。
   個人個人では、合作に負けてるし、合作ならそれぞれ作ったモノに勝っているのさっ!」

鶴屋「もちろん、引き分けじゃないにょろよ? ちゃんと"勝ち負け"で分けたんだからねっ」

鶴屋「これでどうっかなー?」

>鶴屋さんは屈託なく笑っている。

>自分はそれで構わないが……。

ハルヒ「う、うーん、そうねぇ……」

キョン「それにな、ハルヒ」

ハルヒ「な、なによ」

キョン「引き下がれとは言わんが、お前がこのままだだをこねてたら負けると思うぞ」

ハルヒ「どうしてよ」

キョン「判定基準は"おいしく感じられた方"なんだろ?
    俺は食べる場の雰囲気ってのも大事だと思うんだがな」

ハルヒ「そ、それはそうだけど」

>ハルヒに視線が注がれる。

ハルヒ「う……」

ハルヒ「……わかった、わかったわよ」

ハルヒ「それで手打ちにしましょ」

鶴屋「おっけーおっけー! さっすがハルにゃんだねっ」

古泉「では、どちらも勝ち、どちらも負けということで」

みくる「な、なんだか疲れちゃいましたぁ」

ハルヒ「ごめんね、みくるちゃん」

キョン「やけに素直だな」

ハルヒ「確かに番長くんのおいしかったからね。
    正直負けたとも思ったもの」

>それはこちらも同じだ。ハルヒのおにぎりも相当においしかった。

ハルヒ「ふふ、やっぱりいずれ決着をつけないとね。それまで勝負はお預けよ」

>ああ。料理のいいライバルになれそうだ。

>がっしりと、ハルヒと固い握手をした。

>ハルヒとの間に絆の芽生えを感じる……。

>ハルヒと少し仲良くなれたようだ。

ハルヒ「さ、あとは普通に楽しみましょ、番長くん。もらっていい?」

>自分もハルヒのものをいただこう。

ハルヒ「んー! 悔しいけどやっぱおいしいっ!」

キョン「やれやれ、鶴屋さんの屁理屈に助けられましたよ」

鶴屋「ひっどいなぁ、キョンくんってばっ。頭脳的プレーと言ってほしいねっ」

キョン「や、すんません」

鶴屋「なぁんてねっ! 冗談っさ!」

キョン「でも助けられたのは本当っす。ありがとうございました」

鶴屋「ほらほら、そんなことはいいからっ、無くなっちゃうよっ」

キョン「いや、俺は自分の弁当あるんでこれくらいにしておきます。
    名残惜しいですけど、せっかくつくてもらって残したらお袋に悪いですし」

鶴屋「うんうんっ! いい心がけだねっ!」

ハルヒ「ほうひょー、ひゃんとはべなさいひょねー」

キョン「ちゃんと食べなさいって言いたいことは分かったから、
    口に物を詰めて喋らんでいい」

古泉「では、彼の分は僕がいただきましょうか」

キョン「そうしてくれ」

長門「……」

>有希はずっと黙々と食べすすめていたようだ……。

また後ほど

>>623
自分もハルヒの作った、ね

書く

……


キーコーンカーンコーン……

鶴屋「ありゃ、昼休み終わっちゃうねっ」

>自分たちが持ってきた分はすっかりなくなっていた。

みくる「おいしかったです、ありがとうございました。涼宮さん、番長くん」

>ぽんっ、と手を合わせながらみくるは首をかしげている。

古泉「ええ、大変満足でした」

ハルヒ「はい、お粗末様。これだけきれいに食べてもらえれば、
    作ってきた甲斐があるってものね」

>そうだな。

鶴屋「じゃあ、今度は、おべんとじゃないバッチバチの料理対決だねっ!」

キョン「鶴屋さん……煽らないでやってください」

ハルヒ「当然でしょ、ね、番長くん?」

>ああ、それもいいが。

ハルヒ「いいけど?」

>ハルヒと本気で合作を作ってみたいと伝えた。

ハルヒ「……!」

>ハルヒとならいきっといいものを作ることができる。

キョン「ああ、それはいいな」

古泉「お二人でしたら、素晴らしいものが出来上がりそうですね」

ハルヒ「そっか……合作ね……」

>何かハルヒは考え込んでいるようだ。

キョン「さ、今は教室戻るぞ。次の授業が始まっちまう」

鶴屋「じゃあ、みくる、番長くんもどろっか!」

みくる「はぁい」

古泉「久しぶりに満足のいく昼食でした」

>みんな満足そうだ……。

>みんなとまた少し仲良くなれたようだ……。

……


>1年生たちに別れを告げ、鶴屋さんとみくると一緒に教室へ戻ることにした。

――放課後、文芸部部室。

ハルヒ「明後日よ!」

>ハルヒは、全員が集まるや否や高らかに宣言した。

キョン「何が明後日なんだ」

ハルヒ「雨よ、雨! 決まってるじゃない!」

キョン「ああ……」

ハルヒ「インターネットで調べたわ!」

キョン「調べるも何も、大手検索サイトに載ってるだけだろうに……」

ハルヒ「しかも、その日を逃したらしばらく夜まで続く雨は降らないわ」

キョン「本当に侵入する気か?」

ハルヒ「今更何を言ってるの」

古泉「いいではないですか。夜の学校、人けのない廊下、わくわくしませんか?」

キョン「せん。俺にホラー趣味はないんでね」

みくる「こ、怖そうですねぇ……」

古泉「夜の学校に忍び込むのも青春の1ページになると思いますよ」

キョン「そんな湿っぽい青春は勘弁してくれ」

>しかし、マヨナカテレビは深夜0時でなければならない。

>家を抜けられるのだろうか?

ハルヒ「そうね……みんなは大丈夫かしら」

古泉「僕は問題ありません」

長門「問題ない」

ハルヒ「そういえば、有希は1人暮らしだったわね」

長門「そう」

みくる「だ、大丈夫ですけど、学校に入るのがちょ、ちょっと怖いです」

ハルヒ「そ、それならよかったわ」

キョン「何がいいんだ、何が」

ハルヒ「よし、これでみんな来られるわね!」

キョン「俺に確認は無しかよ……」

ハルヒ「キョンは、妹ちゃんに見つからないようにくること、いいわねっ」

キョン「そんな心配せんでも、深夜たいならもう寝てるだろうよ」

>キョンには妹がいるらしい……。

キョン「ん、ああ」

>ふと、菜々子を思い出した。

キョン「なんだ、番長兄妹がいたのか?」

>いや、おじさんのところにいた姪のことを思い出していたと伝えた。

>菜々子……元気にしているだろうか……。

ハルヒ「ま、そういうことだから、また雨の日に確認するからね!」

キョン「侵入がばれてオオゴトにならないことだけ祈っておかないとな……」

古泉ふふ、ヘタしたら僕たち停学かもしれませんからね」

キョン「いい笑顔でいうな」

みくる「え、えぇっ、そ、そうなんですかぁ……?」

ハルヒ「見つからなきゃいいのよ見つからなきゃ」

>なかなか危ない橋を渡るのが好きなようだ。

>キョンが長門に何か耳うちをしている……。

キョン「できる限り痕跡を消すこと頼んでいいか?」

長門「わかった」

>なにを話しているのだろうか……。

oh...鍵カッコ忘れた…

>キョンが長門に何か耳うちをしている……。

有希ね、有希

キョン「ん、ああ。嫌なら嫌って言っていいんだぞって言ったんだけどな。
    やっぱり問題ないって返されちまったよ」

>そうか。

ハルヒ「いい、明後日ね」

ハルヒ「じゃあ、あたしはもう一度校内の見回りに行ってくるわ!
    警備の見落としがあったらマズイからね」

キョン「じゃあ、今日は解散かい?」

ハルヒ「何言ってるの。キョンは一緒についてくるっ」

キョン「なんで俺だけ……」

ハルヒ「みんなでぞろぞろと行ったら目立つでしょ?」

キョン「……だったら俺じゃなくてもいいだろうに。
    それに助手なら古泉や番長当たりの方が優秀だと思うぞ」

古泉「ふふ」

>以前一樹が言っていた、きっと『心にもないことを言うクセ』だろう……。

ハルヒ「そんなこと分かってるわよ。でも言ったでしょ、目立つって」

ハルヒ「古泉くんは顔広いから、いろんな人に知られているでしょうし、
    番長くんは見ての通りバッチリ目立つわ。それにみくるちゃんも可愛いから目立っちゃうでしょ」

キョン「……長門は?」

ハルヒ「確かに有希はかわいい顔してても、目立たないタイプだけど。
    でも有希は読書してるから邪魔しちゃ悪いじゃない」

ハルヒ「だから、一番暇そうで目立たないキョンが適任なのよ!
    あくまでこれは警備を潜り抜けるための調査なんだからね!」

>どうやらハルヒは大泥棒の気分のようだ。

>ハルヒとキョンは、部室から出ていってしまった……。

古泉「さて、涼宮さんと彼が戻ってくるまでの間暇になってしまいましたね」

みくる「あ、お茶のおかわり今淹れますよ」

古泉「特にすることもありませんし、ボードゲームでもいかがですか?」

>ああ、せっかく覚えたのだからやってみたい。

>できれば、そうだな。4人でできるものがいい。

古泉「4人ですか?」

>ああ、せっかく4人いるんだ。もちろん将棋やチェスも構わないが、楽しくやれた方がいいだろう?

>もちろん、みくると有希がよければだが。

みくる「あ、あたしですか? ええ、いいですけど……」

パタン
長門「構わない」

みくる「あ、お茶です、どうぞ」

>ありがとう。

古泉「ありがとうございます。
   ふむ、4人でやりつつ運もある程度絡むようなものがいいですね」

>運?

古泉「ええ、効率重視のゲームでは長門さんに勝てる見込みはありませんから。
   この時代のスパコンすべて使っても勝てないですよ」

>なるほど。

>ではどんなゲームがいいだろう。

古泉「シンプルなものの方がいいですね。
   朝比奈さんはルールから覚えなければなりませんから」

古泉「未来までつたわりつづけているゲームがあれば別ですが……」

みくる「え、えーと、この時代のボードゲームっていうと確かえっと。
    す、双六くらいならわかります……」

古泉「……なるほど。ではそれに近しいものから選びましょう」

>人生ゲームかモノポリーあたりが分かりやすいだろうか。

古泉「個人的には、モノポリーの方が戦略性があって好ましいですね」

みくる「ものぽりー? 独占?」

>簡単に言えば、双六をしながらゲーム内の資金を相手に使わせきった者が勝つゲームだ。

みくる「へぇぇ、なるほどぉ……」

古泉「シンプルなゲームですから一度やってみればわかるでしょう」

>有希もそれでいいか?

>……すでにルールブックを読んでいるようだ。

長門「構わない」

>ハルヒとキョンが戻ってくるまでモノポリーで遊ぶことにした。

……


古泉「……というのが一連の流れです。よろしいでしょうか」

みくる「はぁい。難しいですねぇ……」

>大丈夫だ。すぐ慣れる。

>有希は大丈夫か?

長門「問題ない」

古泉「では、今回は僕がゲームマスターも兼任しますね。
   本来なら誰かひとりが破産してもゲームは続きますが、
   今回に限り誰かが破産したらその時点でゲーム終了としましょう。時間もありませんしね」

>ああ、それでいい。

古泉「では、始めましょう」

……

みくる「あ、はい。この土地買いますね」

古泉「ふふ、なかなかいい買い物だと思いますよ」

>ここは……。

長門「わたしに100ドルの支払い」

古泉「あなたは反対に不調のようですね」

……


>なんと自分が破産してしまったようだ。

古泉「では、この時点の総資産で順位を決定しましょう。
   ……といっても集計する必要ありませんけどね」

>有希が強すぎた……。

長門「情報操作はしていない」

古泉「ええ、わかっていますよ。2番目は朝比奈さんですね」

みくる「え、えっ、2番なんですかぁ?」

古泉「ええ、そして僕が3番です」

>なぜか知らないが連続で有希の土地に止り続けてしまった……。

>もう一度やろう。このままでは終われない。

古泉「ええ、いいですよ」

長門「構わない」

みくる「あ、はぁい。これ、やり方が分かると楽しいですね」

古泉「ふふ」

>どうした?

古泉「いえ、まさかこのメンバーでボードゲームを囲むとは思っていなかったもので」

>そうなのか?

古泉「ええ、ボードゲームをやるのは彼とだけでしたし、
   彼も彼で、あなたのようにみんなとやろうという提案はしてきませんでしたから」

古泉「もちろん彼なりに、長門さんの邪魔をしてはいけないなど考えもあってでしょうけどね」

古泉「では、次のゲームに移りましょうか。ゲームマスターとして、準備しましょう」

みくる「あ、じゃあそのあいだにお茶淹れますね」

>有希はこんなところでも強いな。

長門「そう」

>次は負けないからな。

長門「そう」

長門「でも、わたしも簡単には負けない」

>……! ああ!

みくる「はい、みなさんお茶です」

古泉「ありがとうございます。とりあえずセッティングは終わりました」

みくる「それにしても、涼宮さんたち、戻ってきませんね」

>自分が早々に破産したため30分程度で終わったが、確かに戻ってきていない。

古泉「ふふ」

>一樹は意味ありげに笑っている……。

古泉「いえ、なんでもありませんよ。
   ですが、このことに関してはあまり深入りしない方がいいかと思います」

古泉「彼自身、涼宮さん自身の問題になるでしょうからね。
   首を突っ込むのは野暮というものですよ」

みくる「そうなんですか?」

長門「……」

>察しておこう……。

古泉「では、2戦目です。始めましょう」

……

>今度は2位になることができた。

>しかし……。

古泉「また、長門さんが1位ですね」

長門「そう」

>有希が強すぎる……。

みくる「あ、あたしは3番なんですかね……?」

古泉「ええ、僕がビリですよ。
    番長氏と長門さんのマスになぜか延々と繰り返し止まってしまいましたね」

みくる「それにしても、戻ってきませんねぇ」

>1時間ほど経っただろうか。

>そろそろ日が落ちかけていた。

古泉「ふむ……」

バンッ!

>突然扉が開いた。

ハルヒ「おっまたせー! ごっめんね、待たせちゃった?」

キョン「悪いな」

古泉「噂をすれば何とやらですね」

>やけに時間がかかったな。

ハルヒ「ふっふっふ、あたし気づいちゃったのよ」

キョン「気づいたのは俺だけどな……」

古泉「何をでしょうか」

ハルヒ「もし侵入に成功しても、視聴覚室に入れないってことよ!」

古泉「視聴覚室は施錠されていましたね」

ハルヒ「そう。もし侵入しても、職員室にセキュリティがかかっている以上
    鍵は持ち出せないわ」

みくる「あ、そうですね。じゃあ、どうするんですか?」

ハルヒ「ふっふっふ、そこでこれの出番よ!」

>ハルヒが出したのは鍵のようだ。

古泉「鍵、ですか」

ハルヒ「そう、合鍵っ! 本物のカギを借りて、合鍵を作りに行ってたのよ」

ハルヒ「鍵屋さんに行って、家の合鍵なんですけど、って言ったら簡単に作ってもらえたわ」

キョン「作りに行ったのは俺だがな」

ハルヒ「この頭脳プレーによって最後の扉も開かれたわっ!
    あとは時が来るのを待つだけよ」

>オリジナルのカギは返したのか?

ハルヒ「ええ。これで証拠は何も残っていないわ!」

キョン「鍵屋の親父の指紋は残っていると思うがな」

ハルヒ「さ、この鍵が実際使えるかどうか試してみましょ」

みくる「視聴覚室にいくんですか?」

ハルヒ「そうよっ、じゃあみんないくわよっ!」

>ハルヒの号令で、部室を後にした。

……


――視聴覚室。

>作った合鍵は、しっかりと使えたようだ。

>有希は何もしていなかったのだろうか……。

長門「なにもしていない」

>なるほど。確かに使えるようだ。

キョン「使えなきゃ俺の800円が無駄になる」

古泉「入ってきたはいいんですけど、何かするんですか?」

キョン「やることないなら戻ろうぜ」

ハルヒ「有希、入口の鍵かけておいてちょうだい。あとカーテンも」

長門「(コクッ)」

キョン「お、おい。何する気だ?」

ハルヒ「決まってるじゃない。上映会よ上映会」

>上映会?

ハルヒ「ほら、番長くん昨日いったでしょ? 『明日には見せてあげるからって』」

>確かに言っていた。

ハルヒ「あたしは約束を守る女だからねっ」

キョン「お前は見せびらかしたいだけだろう……」

>文化祭のときに作った映画のことだろうか。

みくる「ひぇっ! あ、あれを見せるんですかぁ……」

ハルヒ「そうね、それそれ。チラシにも少しのせておいたんだけど、覚えているかしら」

ハルヒ「なんとなんと、主演はみくるちゃんなの! 画は映えてるわよ!」

キョン「画だけはな……あのろくでもないシロモノを見せるのか……」

ハルヒ「ろくでもないって何よ。あたしの脚本に間違いはなかったわ」

古泉「それにあなたはいいではないですか。カメラ担当だったのですから」

>ここまでいわれる作品とは一体どんな作品なのだろう……。

ハルヒ「じゃあ、準備して! キョン、スクリーン!」

キョン「はいよ」

みくる「ううううう……」

キョン「すみません、朝比奈さん」

ハルヒ「古泉くんは、これセットして、プロジェクターお願いね」

古泉「了解しました」

みくる「ば、番長くん! み、見ても嫌いにならないでくださいね!」

>鬼気迫るものを感じる。

>……ああ。分かった。

みくる「お、お願いしますぅ……!」

ハルヒ「有希はみくるちゃん大人しくさせといて!」

長門「わかった」

みくる「ひっ」

長門「座るべき」

みくる「あ、は、はいぃ……」ストン

長門「……」ストン

>有希とみくるは並んで座っている。

みくる「……」

長門「……」

>ただ座るように促しただけのようだ……。

ハルヒ「さ、準備は整ったわ、始めるわよ」

>有希の隣にはハルヒが座った。

キョン「男どもは後ろで、みますかね」

>ハルヒ達の後ろの席に、キョンと一樹に挟まれるように座った。

キョン「番長に見せるための上映会だからな。一番いい席は譲ってやるぜ」

>ああ、ありがとう。

キョン「お、おう」

古泉「さあ、始まりますよ」

ジィー……

>プロジェクターの音が妙に大きく聞こえる……。

>SOS団のロゴマークが映し出された。

『み、ミ、みらくるッ、みっくるんるん、みんみんみらくるっみっくるんるん』

>朝比奈ミクルの冒険 Episode00のタイトル画面と共に
 みくるが歌っているであろうオリジナルソングが流れてきた。

みくる「あぅぅぅ……」

>後ろから見ても顔が真っ赤になっているであろうことが分かる。

キョン「温かい目で見てやってくれ……」

『勇気を出して~♪』

>有希は衣装を見る限りはまり役だ。一樹は……そのままの人柄が役なのだろうか。

『オシャマナキューピーッド~♪』

>ここまでのOPを見る限り商店街の紹介映画なのだろうか……?

>しかし、いくら役とはいえバニーガールのまま商店街を闊歩するとは、
 みくるは自分以上の勇気の持ち主かもしれない。

『カモンレッツダンスベイビ~♪』

>鶴屋さんも出ているようだ。

『恋のマジカルみっくるんるん~ah~♪』

>なかなか衝撃的なオープニングだ……。

>溢れる伝達力で感想文が書けそうだ。

キョン「20分程度の映像作品だ。我慢してくれ」

ハルヒ「キョンうっさいわよ!」

>期待は膨らむばかりだ。

キョン「期待に添える映像作品であることを願ってるよ……」

ふと気になった、菜々子は姪じゃなくて従姉妹よな。

『彼女の名は、朝比奈ミクル――』

>キョンのナレーションで始まるようだ。

>キョンは非常に声色を作っているようだ……。

『未来から来た戦うウエイトレスなのである』

>衝撃的な設定だ。

『一玉半額サービスなのでぇーす!』

>演技というより、やけっぱちの絶叫に聞こえる……。

『ミクルちゃんせいがでるね』

『あはい、頑張ってます!』

>商店街の人に比べれば、みくるの演技は圧倒的にうまいようだ。

>みくるの胸揺れをとりたいがためだけのカットが続いている……。

>やはり商店街の紹介映画なのだろうか……。

>一樹が登場し、有希が登場していく。

『イツキは超能力者なのである』

『ユキは悪い魔法使いなのである、しかも宇宙人』

>またしても衝撃的な設定だ。

>>669
あ、いとこか、そうだわな
普通に間違えた

『本作の演出方針を大体察していただければはなはだ幸いである』

>脚本にないオリジナルのナレーションだろう。キョンも苦労しているようだ……。

『イツキ君をあなたのおもじ通りにはさめしゃせせせぇん! あたしが守って見せまーしゅ!』

>全力で噛んでいるが、気にしないのか、脚本通りなのか。

>ミステリアスな作品だ。

『ミクルビーム!』

『カットカット! ちょっと有希――』

>監督まで登場してきた。

>メタ表現を批判する表現なのだろうか……。

キョン「あー、何を考えているかわからんから表情から察するが、
    そこまで深い意味はない」

>そうなのか……。

キョン「強いて言うならテープの都合だ」

>なるほど……。

>一樹と有希も物語に絡みだし、物語がおおきく動き出しそうだ。

『それっぽいなんやかんやがあったあとに――』

>……大きく動きすぎて頭がついていっていないようだ。

『ふっふっふ』

>鶴屋さんの登場だ。残りの2人は……知らない男子だ。

キョン「あー、あの2人は俺のクラスメイトだ」

>なるほど。

>やけに空へのパンが多い。

『――物語は半分へ達する』

>半分……どのようにまとまるのだろう。

>ロケ場所はどこなのだろう。豪華な家だ。

ハルヒ「あ、これね、鶴屋さんの家なの。豪華よね」

『――鍵そのものに効力はない』

>なんだか急に一樹の演技がうまくなっているのは気のせいだろうか。

『さて、ストーリーを追う気も失せてきたと思うが――』

>この幼い女の子は誰なのだろう。

古泉「あれが、彼の妹さんですよ」

>菜々子をメインにした映画もいいかもしれない……戻ったら真面目に検討してみよう。

>有希がラブレターを入れたり、お弁当に誘っていたり、ある種レアなシーンだ。

>なかなか面白い。

『やっとクライマックスである』

>クライマックスシーンをお知らせしてくれるとは親切な映画だ。

>VFXを駆使して戦闘シーンが演出されている。

『絶体絶命だ! どうなるミクル!』

>キョンのナレーションにも力がこもっている。終わりが近いのだろう。

『考えることは無かろう。その少年の意思を奪ってしまえばよい。
      ――バッ! シャベルナシャミセンッ!』

『今のは腹話術』

>有希がフォローしているということは、本当に喋っているのだろうか……。

……


『最後もパンアップかよ』

『この物語はフィクションであり――』

>エンドロールが流れ出した。

ハルヒ「どうだった? 番長くんっ!」

>ハルヒが感想を求めて爛漫の笑顔を向けている。

また後ほど

書く

>なんて答えればいいだろう。

キョン「率直な感想でいいんだぞ」

>アバンギャルドな作品で楽しめたと伝えた。

>特に配役は的確だ。

ハルヒ「うんうんっ。分かる人には分かるのよっ」

キョン「ムリに褒めなくていいんだぞ」

>そうか……では。

>以前の学校で演劇部に所属していたこともある自分からすれば、発声を指導したい。

キョン「そこかよ!?」

ハルヒ「あーそうよね、演技に関してはみんな素人だったもの。改善点はあるわよね」

>特に一樹にはスパルタで指導したい。

古泉「僕ですか」

>上手いときとのムラがありすぎると伝えた。

ハルヒ「くあー! やっぱり番長くんはもっと早めに来るべきだったのよっ」

ハルヒ「ミクルとユキ両方に言いよって、イツキに恋しているという自覚を持たせる異世界人役とかね!」

>昨日言っていたことと少し変わっている……。

キョン「……俺は何も言わんぞ」

古泉「おやおや」

長門「……」

みくる「えっ、えっ」

ハルヒ「演劇部に入っていたなら、演技指導も頼みたかったし」

ハルヒ「でもこれで、次の文化祭が楽しみになったわ」

キョン「次も映画撮る気かよ!」

ハルヒ「さあ、まだ決めてないわ。でも新戦力が加わったSOS団にできないことはないのよっ!」

>ハルヒは意気込んでいる。

ハルヒ「ん、それじゃ戻りましょ」

古泉「ええ、長居して教諭に見つかったら合鍵をとられてしまうかもしれませんしね」

ハルヒ「はい、撤収作業!」

>ハルヒの掛け声と共に撤収作業が行われ、部室へと戻っていった。

……


――文芸部部室。

>ハルヒは、やることがあるといい、早々に部室を飛び出していってしまった。

キョン「ほとんど何もしてないにもかかわらず、なんだこの疲れは……
    番長も疲れたんじゃないのか? あんな映画みせられて……」

>なかなか楽しい映画だったと伝えた。

みくる「き、嫌いにならないでくださいね」

>なるはずがない。

みくる「ほっ」

>しかし、みくるの影の言っていた気持ちも少しわかるかもしれない……。

みくる「あはは……」

古泉「朝比奈さんの影?」

>ああ、街での不思議探索の前日にな。

キョン「なんだ、古泉にも話していなかったのか」

>話す機会もなかったし、なにより。

みくる「あうぅ……」

>積極的に話すことでもないだろうと思って。

キョン「それはそうか」

古泉「なるほど」

古泉「朝比奈さんもご自身と向き合うことはお疲れになったことでしょう。
   ああ、もちろんお話にならなくて結構です。聞かれなくないことでしょうしね」

みくる「そう……ですね」

みくる「暴走させちゃいましたし……」

古泉「暴走ですか」

>自分がついていながら不甲斐ない……。

キョン「ま、暴走しても長門の影ほど苦戦はしなかっただろ?」

>そんなことはない。短時間転移での攻撃は厄介だった。

キョン「たんじ……なんだって?」

長門「極めて近未来に転移することで消失出現を行っていた」

>ショートワープみたいなものだ。

>有希がいなければ勝てたか怪しかった。

キョン「そうなのか」

古泉「つまり、朝比奈さんの特性を映した攻撃をしてきたわけですか」

みくる「で、でもあたしそんなことできないですよ……?」

>影は、否定されることでより力を付けた存在になると伝えた。

古泉「なるほど……」

キョン「そういえば長門の影も情報操作だかなんだかしてきたな」

長門「そう」

古泉「さて、影の話はこれくらいにしましょう」

キョン「そうだな、帰るか」

みくる「そうですね」

>各々帰り支度を始めた。

>……ふとした疑問なのだが、ハルヒの用事とはなんだろう。

キョン「さあな。家庭教師のバイトか家の飯の準備でもあるんだろうよ」

>そうなのか。

古泉「知りたいのでしたらお教えしましょうか?」

>……そうか、一樹の所属している機関からも観察対象なのだったな。

古泉「ええ。ですがプライベートにまで土足ではいることはしませんよ。
   我々は涼宮さんに万が一のことがあったら困るので、大まかな行動を追っているにすぎません」

>有希は……というより情報統合思念体は聞く必要もなく監視していそうだ。

長門「涼宮ハルヒは常に情報統合思念体により観察されている」

>だろうな……。

>ハルヒも知らないところで苦労人だ。

キョン「……まあ、知らぬが仏じゃないが知らせるなんて馬鹿な考えを持っていたらやめとけ。
    そんなことハルヒが知った日には、古泉が過労死することは請け合いだ」

>それぞれ事情があるんだろう。口出しするつもりはない。

>ただ、自分がハルヒの立場なら、と考えてしまっただけだ。

古泉「……」

長門「……」

みくる「……」

>そんな顔をされると困る。

古泉「いえ、僕も影が出た身ですのでね。理解はできるのです。
   隠しておきたいこともあるにもかかわらず観察されていると考えると、もちろん不愉快ですね」

古泉「ですが、こればかりは割り切るしかありません。ご理解いただけると幸いです」

>ああ。趣味でそのようなことをしているわけではないことは、分かっている。

>今すぐやめろなんて言うつもりは毛頭ないことを伝えた。

>変なことを言ってすまなかった。

古泉「いえ、大丈夫ですよ。むしろありがとうございますといったところでしょうか。
   このことに疑問を持たなくなったら人として、何かを踏み外している気がしますから」

みくる「涼宮さんもあたしたちと同じ女の子ですから、見られたくないことくらいありますよね」

>一樹とみくるは自分で言った言葉を噛みしめているようだ。

長門「観察の中断を行うことはできない」

>そう言うつもりは全くない。

>ただ、ときどきハルヒの気持ちを考えてやるだけで違うと思う。

長門「そう」

キョン「ま、番長みたいに思ってくれる奴がいるだけで、だいぶ違う気がするぜ。
    ハルヒの知るところではないのは残念だがな」

>キョンは有希の影のときといい時々恥ずかしい台詞を言うんだな。

キョン「おい、せっかくフォローしてやったんだぞ」

>ああ、わかっている。ありがとう。感謝している。

キョン「……そうやって、下級生にも素直に言うところが番長のいいところだよな」

>褒めても特に何も出ないぞ?

キョン「わかってるよ」

>さあ、帰ろう。

……


――帰り道。

キョン「そういえば、このメンバーで帰るのは2度目か」

古泉「以前食事会をしたとき以来ですか」

みくる「そういえば涼宮さんがいないのに、みんなで帰るのって
    あまりありませんでしたよね?」

キョン「そういやそうっすね」

>そうなのか。

キョン「まあ、ハルヒが中心になって動いている団体だからな。
    そのハルヒがいなけりゃ、それぞれの仕事があるんだろうしな。しかたねぇさ」

>なるほど。

古泉「ですが、今はこうやって一緒に帰っている。
   これも、番長氏が来てからの変化かもしれません」

みくる「ふふ、そうですね」

>それなら、こちらに来た意味があるというものだ。

キョン「……食事会で思い出したから、一応確認しておくが、
    また長門と2人で食事なんてことはないよな?」

>あのときは、一樹が近くにいなかったから不可抗力的に2人になっただけだ。

古泉「何の話ですか?」

>事の経緯を一樹に説明した。

古泉「ふふ、なるほど」

キョン「こっちをみるな」

古泉「いえ、そのようなつもりはなかったのですが。すみません」

>そう言いつつも一樹は笑みを浮かべている……。

長門「今日もあなたの家で食事会?」

>有希はこちらを見つめてくる。

>どうしようか……。

古泉「……今日は遠慮しておいて方がいいかもしれませんね。
   毎度大量の料理を作らせるの悪いですし」

長門「そう……」

>いや、それは構わないのだが……。

>一樹に相談しなければなるまい。

古泉「? 僕がどうかしましたか?」

>何度も作っているため、思った以上に食費がかかっている。

>一樹の機関への負担的にまずいのではないだろう。

>資金的に許すのであれば作ることは構わないと伝えた。

古泉「ああ、そのことでしたら大丈夫ですよ。
   特に高級食材を使った料理というわけでもありませんし、誤差の範囲です」

>問題はないのだろうか。

古泉「ええ、全く」

>では、今日も腕を振るうとしよう。

みくる「あ、それならお手伝いします!」

古泉「僕は断る理由がありませんから、今日もお相伴にあずからせていただきますよ」

長門「食事会?」

>ああ。

キョン「……で、全員行くのな」

>キョンはどうする?

キョン「……お袋に電話してくる」

>今日も騒がしい食事会になりそうだ。

……


――自宅。

>皆をリビングに案内してくつろぐように促した。

>今日は……あったかおでんを作ることにした。

>ダイコンの染みは甘くなるかもしれないが、みんなで楽しむにはこれがいいだろう。

みくる「あ、お手伝いしますね」

長門「手伝う」

>女性陣が手伝いを申し出てくれた。

>有希はできるのだろうか……?

長門「何をするか指示してもらえればできる」

>さすがだ。

古泉「僕らは足手まといになるのが目に見えていますので、
   こちらでくつろがせていただきます」

キョン「俺もそうするよ」

>ああ。これ以上はキッチンに入れない。

>みくる、ダイコンの皮剥きをお願いする。

みくる「はい、やっておきますね」

長門「わたしは何をすればいい?」

>有希は、そうだな。こんにゃくと卵の下ゆでを頼む。

長門「わかった」

>さて、自分は米とぎをしつつ出汁を作ろう。

>みくる、ダイコンが終わったら練り物を切っておいてもらうと助かる。

みくる「ふふ、はぁい」

――


古泉「いいチームワークですね」

キョン「前も思ったんだが、やけに調理器具が充実しているな」

古泉「番長氏が自炊するとおっしゃったので、
   当初予定していなかったのですが一式そろえたのですよ」

キョン「なるほどな」

古泉「ですが、ここまでフル活用されるとは思っていませんでしたけどね」

……


>よし、あとは煮込むだけだ。

>2人のおかげで1時間もかからず下準備が終わった。

>ありがとう。

長門「そう」

みくる「いえいえ、あたしはこれくらいしかできませんから」

>では、向こうで雑談して待っていよう。

――


キョン「終わりか?」

>ああ。あとは少し煮込むだけだ。

>ただ染みこむまでの時間が足りないので、圧力鍋とはいえダイコンは期待しないでくれ。

長門「情報操作により、一定部分のみの時間進行を早めることは可能」

キョン「だそうだが?」

>料理に情報操作は何か違う気がするから遠慮しておこう……。

キョン「ま、そうだよな。というわけだ、長門」

長門「そう」

長門「……わたし自身もそれは望んでいない。
   あなたの料理が食べたい」

キョン「……!」

>ああ、ゆっくり待とう。

また後ほど

書く

キョン「待つといえば、俺とハルヒが部室から出払っているときなにしてたんだ?」

古泉「ああ、モノポリーですよ。2回しかやれませんでしたけどね」

>有希が強すぎた。

キョン「長門もやってたのか」

長門「そう」

古泉「情報操作はしていませんでしたけど、それでも強烈な強さでしたね」

キョン「てことは朝比奈さんも?」

みくる「はい」

キョン「未来にもモノポリーあるんですか?」

みくる「ごめんなさい、禁則事項なんです。
    でも、あたしは知りませんでした」

>みくるが知らないだけなのか、はたまた無くなっているのか。

キョン「禁則……そりゃそうすよね」

みくる「でもルールを覚えたら、面白いゲームでした」

キョン「朝比奈さんとゲームとか羨ましいぞ」

>いつでもできるだろうに。

古泉「では、今からやりましょうか?」

>今から?

古泉「ええ、まだ出来上がるまで時間がありますし。
   自室から持ってきますよ」

バタン

>一樹は部屋から出ていった。

>……一樹はどれほどアナログゲームを持っているのだろう。

キョン「部室にあるゲームはほぼ古泉だしな」

>!? あれが全部?

キョン「ああ。精々コンピ研の作ったPCゲームくらいじゃねぇか?
    古泉が持ってきていないゲームなんて」

>アナログゲームフリークなのだろうか。

キョン「さあな。ただの暇つぶしでもってきていたらそうなっているだけだと俺は思うが」

>……こちらの世界にTVゲームは存在しているのだろうか?

キョン「あるに決まってる。ゲーセンだってあるさ」

>……ゲームセンター。そういえば八十稲羽にはなかった。

キョン「ゲーセンがないのか」

みくる「へぇぇ……」

>みくるも何の気なしに相槌を打っているが、未来にもゲームセンターがあるのか気になるところだ。

キョン「そうだな……なんていうか、俺らの感覚でいうとゲーセンがないのは田舎に感じるのだが」

>キョンは、ここも大概田舎だがと加えた。

>自分のいた世界でも八十稲羽は十分田舎に分類されていた。

>駅前に何もないからな。

キョン「はは、そりゃたしかに田舎だ」

みくる「駅前に何もないって、あるんですねぇ……」

>みくるはその事実に驚愕しているようだ。

>未来では、どの駅周辺もすべてある程度発展しているのだろうか。

>そもそも駅があるのかどうかも分からないが。

ピーンポーン

>一樹だろう。

ガチャッ

古泉「お待たせしました」

キョン「おう」

古泉「せっかくですから、こちらを持ってきました」

>一樹が持ってきたのは、なんと部室でもやったモノポリーだ。

みくる「え、これって部室にあった……?」

キョン「古泉、お前はアナログゲームで保存用、観賞用、布教用と持っているクチなのか?」

古泉「違いますよ。アナログゲームもいくつかバージョンがあることはご存知ですか?
   そのうちのひとつです。ですが基本ルールは全く変わりませんからご安心ください」

>おそらくみくるに対する配慮だろう。

古泉「ちなみにこちらは、この時代の最新版です。
   コマも様変わりしていますし、部室でやったモノとは違った楽しみができると思いますよ」

みくる「へぇ、そうなんですかぁ」

>一樹は、なぜかみくるの方を見ながら話している。

キョン「そういや番長の世界にもモノポリーあるんだな」

>ああ。特に詳しくマスを見たことはないが基本は一緒だと思うと伝えた。

古泉「そういえばそうですね」

キョン「ま、そういう雑談はやりながらでもできるだろ。始めようぜ」

古泉「では、僭越ながら僕がゲームマスターを務めさせていただきますよ」

……


長門「そこはわたしの土地」

キョン「げっ」

>相変わらず有希は尋常ではない強さだ……。

キョン「あー……長門に負けているのはまだ納得いくんだが」

>現在の順位は、有希、みくる、キョン、自分、一樹だ。

>しかし、有希以外は団子状態だ。有希の独り勝ちと言っていいだろう。

キョン「朝比奈さんにまで負けているとは……」

みくる「ふふっ、ビギナーズラックですね」

キョン「なあ、少し話は戻るんだが」

>キョンが有希に支払いをしながら、こちらに視線を向ける。

キョン「番長の世界のこと話してくれよ」

古泉「番長氏の世界のことですか?」

キョン「ああ、古泉がとりに行ってる間に少し話してたんだよ」

古泉「そういえば、不思議系のお話しかしたことありませんでしたね」

みくる「あ、あたしも気になります。あ、ここホテルに変えますね」

>みくるも順調のようだ。

長門「わたしも興味がある」

>どこまで話しただろうか。

キョン「ゲーセンがなかったってところまでだな」

古泉「番長氏の世界ではゲームセンターがないのですか?」

>一樹は驚いた表情をしている。

>ゲームセンター自体はある。八十稲羽にないだけだ。

キョン「ああ、そうか。すまん」

古泉「やはり文明レベルは同様なんでしょうね」

>だと思う。

長門「文明レベルに差異がみられないこと以上に
   言語に差異がみられないことは驚愕すべきこと」

>有希は自分のコマを進めながら抑揚のない声で言う。

>全く気にしていなかった。確かにその通りだ。

キョン「そういや今更だが日本語通じるんだな」

みくる「あっ、そうですね」

>一応自分の住んでいるところも日本だからな。

古泉「ものすごい偶然……と言いたいところですが
   涼宮さんに呼び寄せられたのなら必然と考えるべきなんでしょうね」

キョン「異世界からの来訪ってだけでとんでもないことだからな」

キョン「しかし、もう一つの日本か」

古泉「しかし、貨幣には差異があるようですし、不思議なものです」

>確かに自分のところではYENだった。

古泉「ですがたとえ貨幣が同一のものであっても、この世界では存在しないものです。
   偽造通貨の扱いになってしまうでしょうね」

キョン「まあ、そうだな」

古泉「文化文明の間違い探しをすることも楽しいかもしれませんね」

長門「そこもわたしの土地」

古泉「ふむ、少額で済んだので良しとしましょう」

>間違い探しといっても、特に思い当たらない。

古泉「何でもいいのですよ。例えば……税制の違いですとか」

キョン「話題が固い」

>確かに。

古泉「おや、そうですか。僕としては異世界の政治システムに興味があったのです」

みくる「ふふ、正直あたしもちょっと興味があります。でも今する話でもないですね」

>みくるもみらいの職業柄なのだろうか、気になるようだ。

キョン「朝比奈さんまで……って、げっ」

>キョン、そこは自分の土地だ。

>みくるもみらいの職業柄なのだろうか、気になるようだ

未来での職業柄、ね

>キョンと順位が入れ替わったようだ。

キョン「もっと軽い話題にしようぜ。番長の学校で何が流行っていたとか」

古泉「確かに、人が違うのですから流行も違うのでしょう」

>流行か……何かあっただろうか。

キョン「最初に断わっておくが、SOS団にこっちの流行について詳しいやつはいないからな」

>ああ、わかった。

有希「そこはわたしの土地」

>有希の所有している土地に止ってしまったようだ……。

>高額を支払うことになった。

キョン「はは、これでまた逆転だな」

古泉「支払いで、思い出したのですがドルは存在するのですか?」

>ああ、存在する。

古泉「本当に不思議ですね。外見や服装に違和感はなし、言語は同じ。
   しかし同じようなモノが存在しているかと思えば、ここのように全く存在しない土地もある。
   何が違ってこのような変化が起きるのか興味は尽きません」

みくる「そうですねぇ……ひぇっ」

長門「そこはわたしの土地」

古泉「おやおや……」

キョン「流行の話はどこへ行ったんだ」

>そうだったな。

>自分も流行に敏感なほうではないが、りせは流行していたといってもいいだろう。

みくる「りせ?」

>ああ、アイドルだ。

>八十稲羽の出身で、そして八十神高校に転校してきたので周囲は浮かれていたように思う。

>そのときはアイドル業は休業していたのだが。

キョン「はー、アイドルねぇ」

古泉「はて、どこかで……」

長門「彼の携帯端末に久慈川りせという名が登録されていたことを記憶している」

古泉「ああ、それです」

キョン「なんだ? りせってそっちの世界じゃ普通の名前なのか?」

>いや、珍しいと思う。

キョン「へ? ってことは、まさか――」

>ある事件がきっかけで知り合いになったと伝えた。

キョン「アイドルと知り合いだと……?」

古泉「番長氏の世界とこの世界でのアイドルに認識の差異がなければ、すごいことですね」

>認識は同じで問題はない。CMなどで活躍していた。

キョン「CMに出るレベルのアイドルって相当すごかないか?」

>その当時の売出し中の人気アイドルだったように認識している。

キョン「一応確認しておくが、女なんだよな?」

>ああ。

キョン「古泉、機関にアイドルいないのか」

古泉「残念ながら」

みくる「やっぱり、番長くんお友達多かったんですねぇ」

古泉「僕としては、ある事件の方が気になりますね」

>そういえば話す機会がなく話していなかった。

古泉「お話しいただいても?」

>一樹はコマを動かしながら聞いてくる。

>話すのは構わないが……。

長門「そこはわたしの土地」

古泉「……破産してしまいました。僕の負けですね」

キョン「あ、古泉っ。なに勝手に破産してやがる!」

>有希の圧勝だ。

>順位は、有希、みくる、キョン、自分、一樹となった。

キョン「これから巻き返すつもりだったんだが……長門強すぎるぞ」

長門「そう」

>いつか有希を打ち倒したい。

長門「待ってる」

古泉「さて、番長氏の話も気になりますが、
   僕が破産してゲームも終わったことですし、そろそろ食事にしませんか?」

みくる「そうですね、時間もちょうどいいですし」

>ああ、そうしよう。

キョン「……まさかとは思うが、時間を調節してわざと負けたってことはないだろうな」

古泉「ふふ、そんな器用な真似はできませんよ。
   純粋に僕の負けです」

>一樹は極めて自然に嘘を吐くことがある。

>もしキョンの言う通りならば、まるでカジノのディーラーだ。

>……以前森さんが、「本業」と言っていた。今は学生だが一樹の本業はもしかしたら――。

古泉「番長氏が何を思っているかは分かりませんが、一応買いかぶりだと言っておきましょう」

古泉「ただ今僕の一番の興味は、ゲームの勝敗よりも番長氏の料理であることは確かですけどね、ふふ」

>確かに余計な詮索はするべきではないことだ。

>食事にしよう。

みくる「じゃあ、ご飯よそいますね」

>鍋敷きの上におでんの入った鍋を置いた。

古泉「いい匂いです」

キョン「旨そうだ」

みくる「はぁい、ご飯です。おまたせしました」

>ありがとう。

>食べようか。

みくる「いただきまぁす」

>各々自由に鍋からとって食べてくれ。

キョン「長門、なにか喰いたいモンあるか?」

>キョンは有希に取り分けてあげるようだ。

長門「あなたに任せる」

古泉「番長氏が危惧していたダイコンも十分染みていておいしいですよ」

>それならよかった。

みくる「んー! 牛すじって初めて食べましたけど、美味しいんですねぇ」

キョン「ほらよ、長門」

長門「ありがとう」

キョン「さて、俺はっと……」

>各々楽しんでいるようでよかった。

>自分も食べよう。昆布あたりから食べようか……。

みくる「このおでんのお出汁おいしいですねぇ」

キョン「さすが番長といったところか。
    正直プロでもないのにハルヒと料理で張れるやつが現れるとは思わなかったよ」

>そこまで評価してもらえるならうれしい限りだ。

古泉「番長氏、先ほどのお話の続きを聞かせていただいて構いませんか?」

>一樹が、受け皿の中で卵を崩しながら聞いてくる。

古泉「ん、玉子も美味です」

>ああ、事件の話か。

古泉「そうですね」

>話してもいいのだが……食事時にする話だろうか。

古泉「それでしたら、ひと段落してからで構いません。
   この味を落とすようなことはしたくありませんからね」

キョン「同感だ」

みくる「そうですね」

長門「……」

>有希はおでん鍋を見つめている。

キョン「またお任せでいいならとるぞ」

長門「お願いする」

>キョンは有希のことをよく見ているようだ。

……


みくる「ふぅっ、お腹いっぱいです。ごちそうさまでした」

>ぽんっ、とみくるは顔の前で両手を合わせている。

古泉「僕も十分堪能させていただきました」

キョン「俺もだ」

長門「……」

>有希はまだ食べているようだ。

>有希が食べ終わったら話をしよう。

長門「わたしのことは気にせず話しても構わない。
   周囲の状況によって味覚に変化は起こらない」

キョン「長門がこういっているんだ、別にいいと思うぞ」

>いいのか?

長門「いい」

>……そうか。

>では話そう。これはテレビに入ることにも関わるのだが――。

また4時くらいに

>一樹たちに、八十稲羽で起こった一連の事件の流れを話した。

>ことの発端の連続殺人事件、自らの影に殺されてしまった人達、連続誘拐事件、現実世界へ溢れだした霧。

>その途中、テレビに入れられた被害者を救っていくうちに繋がった仲間たちのこと。

>そして被害者の内の1人がりせだったというわけだ。

キョン「……ムナクソ悪くなる話だな」

みくる「ひどい……」

古泉「食事のときにしなくて正解でしたね」

長門「……」

>有希はまだ黙々と食べている。

古泉「ところで犯人は捕まったのでしょうか?」

>ああ。テレビの中へ人を突き落した犯人は捕まえたし、現実世界を霧に閉ざしていたモノも倒した。

みくる「ほっ、よかったです」

キョン「話を聞く限りだが、仲がいいんだな。その"自称特別捜査隊"ってのは」

>掛け替えのない大切な仲間たちだ。

キョン「まあ、それなら納得だ。
    スタート地点がアイドルとファンじゃなくて被害者と救助者の関係だったわけだな」

>そもそもりせをアイドルとしてみるようなことはあまりなかった。

キョン「近くにいるから、そう思うんじゃないのか?」

>りせはアイドルである作られた自分のことで悩んでいた。

古泉「だから、アイドル扱いはしなかったということですか?」

>いやアイドルの顔も普段の顔も、どんな時でもりせは、りせだ。

>テレビや雑誌の仕事をしているりせを見る時ならば、アイドルとしてみるだろう。

>だが自分と話をしている、その目の前にいるりせは、1人の女の子、ただの久慈川りせだ。

>目の前にいるりせは、偶像でもなんでもない。

>それをアイドルとしてみることは、友人ではないし、仲間ではない。

>自分は、そう思うと伝えた。

キョン「なるほどな」

みくる「ふふ、番長くんらしいです」

古泉「僕の考えもまだまだ浅薄ですね」

古泉「……本当の自分、ですか」

>一樹?

古泉「いえ、なんでもありません。
   自分も真面目な転校生というキャラクターを作っていたなということを思い出していただけです」

>真面目なのは根がそうだからじゃないのか?

古泉「ふふ、さて、どうでしょうね?」

>一樹は意味ありげに笑っている。

自分で矛盾見つけて凹むなど
やっぱ即興でこんだけ長いとボロでるな

キョン「ま、そこに関しては聞くだけ無駄だ」

古泉「ふふ、そういうことです」

長門「ごちそうさま」

>おでんはすっかりなくなってしまったようだ。

キョン「旨かったか?」

長門「おいしかった」

>片づけは後にしよう。腹が膨れて動く気になれない……。

>とりあえずテーブルの上だけ片づけておいた。

古泉「時間がおありでしたら、もう一度勝負しませんか?」

古泉「個人的に番長氏の世界のことももっと聞きたいというのもありますが」

キョン「……もう1回くらいなら時間あるか」

みくる「あたしは、大丈夫ですよ」

長門「構わない」

長門「わたしも彼の世界の話には興味がある」

古泉「決まりですね」

……


>モノポリーをしながら自分の世界やテレビの中の世界、ペルソナのことについて話をした。

古泉「以前から気になっていたのですが」

>なんだろうか。

古泉「番長氏のペルソナのひとつにイザナギがあったように記憶しています」

>イザナギは自分が最初に手に入れたペルソナだ。

古泉「そのこと自体に疑問はないのですが、ただ名前が気になりましてね」

>名前?

古泉「こちらにもあるのですよ、日本の神話にイザナギとイザナミの話が」

>自分たちの世界にもある。以前修学旅行で聞かされた話をした。

古泉「! 驚きました。まったく同じ話ですよ」

みくる「あ、それならあたしも知ってます」

古泉「ここも共通している。それもほとんど違いは見受けられない」

古泉「ますます不思議ですね。
   パラレルワールドではなく、根源から違った世界なのかと思っていたら日本語が通じたりこのような共通点もある。
   ですが、根幹を同じくする時間軸から派生したパラレルワールドであるならば長門さんが認識できてもおかしくはない」

長門「彼の存在はここでしか確認されていない」

古泉「ふう、まったく僕には理解が及びません」

>確かに不思議だ。

……


みくる「破産しちゃいましたぁ……」

古泉「では、ゲーム終了ですね」

>順位は、有希、キョン、自分、一樹、みくるとなった。

>やはり有希が断トツだ。

キョン「さて、そろそろ暇する。
    これ以上遅くなったらお袋に叱られそうなんでな」

古泉「では、僕たちも帰りましょうか」

みくる「あっ、洗いもの……」

長門「手伝う?」

>構わない。今日は自分一人でやっておく。

>みくると有希はキョンと一樹に送ってもらうといい。

長門「そう」

みくる「そう、ですかぁ……ごめんなさい」

キョン「ああ、そうか。よくよく考えたら毎度悪いな」

>気にするな。

古泉「今日は、ですか。ふふっ」

>一樹は何やら気づいたような笑みを浮かべている。

古泉「いえ、僕たちは僕たちの任務を行いますよ」

キョン「ああ、送り届けるのは任された」

古泉「ま、長門さんを襲うような輩は、そのあとどうなるかわかりませんけどね」

キョン「……敵性と判断された輩には同情しておくさ」

古泉「では、帰りましょうか。番長氏、今日もありがとうございました」

キョン「明日部室でな」

みくる「じゃあ、また明日ですね。
    洗い物ごめんなさい、お願いします」

長門「また」

>ああ、また明日。

バタン

>静かな部屋に戻ってしまった。

>……。

>また明日、か。

>いつになったら帰れるのだろう。

>元の世界のみんなは元気だろうか……。

>不安だけが募る……。

また後ほど

書く

――翌日、通学路。

>曇り空だ。ハルヒがいっていたように明日には雨が降りそうだ。

キョン「よす」

>おはよう。

キョン「昨日は、そのまま帰っちまって悪かったな」

>気にするな。それよりちゃんと送り届けただろうか。

キョン「ああ、大丈夫。朝比奈さんも長門もちゃんと送り届けたさ」

キョン「……その帰り道に話してたんだけどな。
    番長の世界の友人の話を、全然していなかったから聞いておきたかったって」

>りせくらいしか話していなかったか。

キョン「ああ。アイドルと知り合いなんだ。面白いやつもいるだろうしな」

>面白いやつ……。

キョン「古泉は、この世界との違いを見つけるのに有効だとかなんとか言っていたが」

キョン「俺……と朝比奈さんもか。単純に興味がある」

>特に隠しているわけでもないから今話そうか?

キョン「いや、他の奴らが揃っているときにしてくれ」

>そうか。

キョン「おう」

キョン「……」

>何かものすごく気になる顔をしている気がするが。

キョン「……アイドルと知り合いとかどんな交友関係してるんだと思ってな」

>あくまで知り合ったのは偶然だ。

>基本的に普通の人たちばかりだと伝えた。

キョン「そんなもんか」

>直斗とクマだけは少し特殊かもしれないが……。

キョン「特殊?」

>それもあとで揃ったときに話そう。

キョン「そうかい。楽しみに待っとくよ」

>キョンと雑談しながら登校した。

……

――2年某教室。

みくる「おはようございます、番長くん」

鶴屋「おっはよーう!」

>みくると鶴屋さんだ。登校が早い。

鶴屋「聞いた、聞いたよ、番長くぅーん」

>なんだか鶴屋さんは悪い顔をしている。

みくる「つ、鶴屋さん……」

>反対にみくるは申し訳なさそうだ。

鶴屋「昨日、みくるが番長くんのお家で食事したんだって?」

>ああ。

鶴屋「みくるにオイタしてないよね……?」

>鶴屋さんの顔が怖い。

みくる「ば、番長くんはそんなことする人じゃありません」

>そもそもハルヒ以外のSOS団員全員居た食事会だ。

鶴屋「なぁんだ、ごめんごめんっ!
   番長くんちで食事したって聞いたから、ついつい2人きりだったのかと思って先走っちゃったっさ!」

>みくる、話すときは正確に情報を伝えてもらうと助かる。

みくる「あ、あはは……ごめんなさい」

鶴屋「実は、そんなんじゃないかんなって思ってたけどねっ」

みくる「鶴屋さぁん……」

>鶴屋さんはカラカラと笑っている。

>鶴屋さんはさっきみたいな顔をしているよりそうやって笑っている方がいい。

鶴屋「お、そっかなー! じゃあ、番長くんがそう言うならそうしよっか!」

>ニッ、っとこちらに笑顔を向けてくる。

鶴屋「実は、そんなんじゃないかんなって思ってたけどねっ」

そんなんじゃないかなって、ってことで

>そっちの方がずっと可愛いと思う。

鶴屋「や、やっだなぁ。何いきなり番長くん言ってるのっ!」

>素直な意見だ。

みくる「あたしも鶴屋さんは笑っている方がいいと思いますよ?」

鶴屋「あっはは、そんなこと言われたのはじめてだから、
   ちょぉっと動揺しちゃったじゃないかっ」

>鶴屋さんは少し照れているようだ。

鶴屋「って、そうそう。言いたいことはそんなことじゃないっさ!」

>なんだろうか。

鶴屋「ズバッと提案なんだけど、今日、あたしの家に来ないっかな?」

>鶴屋さんの家?

鶴屋「そうそうっ! 今日親もいないから騒いでも平気なんだっ」

>……?

みくる「つ、鶴屋さん、ちゃんと言わないと」

鶴屋「あ、あっはは。まだ、動揺してるのかなっ」

鶴屋「あたしの家でぜひぜひ料理を作ってくれないかなって!」

鶴屋「もちろん、SOS団のみんなも一緒にねっ」

鶴屋「ハルにゃんと番長くんのドキドキ料理対決その2っ! ってところ!」

>何とも早い再戦だ。

鶴屋「対戦っていっても、ただの食事会になるんだろうけどねっ」

>ハルヒがいいなら自分は構わないが。

鶴屋「さっすが番長くんっ! 材料費はあたしがお金出すからさっ」

>材料費は自分も出そう。

>……一応一樹に相談しておこう。

みくる「じゃあ、あたしがみなさんに連絡しておきますね」

>みくるは携帯電話を出して、メールを打っているようだ。

鶴屋「昼休みにSOS団の部室に集合して相談ってことでいいっかな?」

>構わない。

みくる「わかりましたぁ」

鶴屋「よろしくっ!」

>ハルヒの料理が食べられるなら自分も楽しみだ。

――昼休み、文芸部部室。

>SOS団団員が集まっていた。

鶴屋「やーやー、おっまたせっ!」

みくる「こんにちはぁ」

ハルヒ「珍しいわね、鶴屋さんが集合かけるなんて」

キョン「なんかあったんすか?」

鶴屋「ふっふっふー、起こるとしたらこれからっさ!」

キョン「これから?」

鶴屋「本日我が家で開催っ!」

鶴屋「ハルにゃんと番長くんのドキドキ料理対決その2っ!」

鶴屋「かっこ予定かっことじっ!」

>ハルヒさえよければ、鶴屋さん家で一緒に料理をして食事会をしようということだ。

ハルヒ「なんだ、そんなこと?」 

鶴屋「ハルにゃんどうかなっ」

ハルヒ「もちろんいいに決まってるじゃない!
    楽しそうだわっ! それに何より番長くんの本気は見てみたいし」

鶴屋「んーっ、決定っ!」

ハルヒ「もちろん、SOS団員は強制参加だからね」

古泉「かしこまりました」

キョン「ああ、これくらい平和だと助かる」

みくる「はぁい」

ハルヒ「有希もよ? いい?」

長門「わかった」

ハルヒ「決まりねっ」

ハルヒ「でもいいの? この人数だと結構うるさくなると思うけど」

鶴屋「あははっ、親はいないから安心していいよっ」

ハルヒ「そう、ならいいわね」

>この人数だと近隣に迷惑をかける可能性もあるかもしれないな。

キョン「あー、安心しろ。近所迷惑的な意味では何にも問題ないぞ」

>……?

キョン「ほら、映画の豪邸が鶴屋さんの家だって説明はしただろ?」

>ああ。

キョン「その豪邸に見合った土地の広さだ。
    隣家に騒音をお届けしたいなら庭先でカラオケくらいしないとムリだろうよ」

>そうなのか……。

ごめん、ハルヒの鶴屋さんへの呼び方鶴屋さんじゃなくて鶴ちゃんだったわ
脳内補完よろしく

ハルヒ「鶴ちゃんのお家が問題ないなら、障害はオールクリアよ!」

鶴屋「食材費とかは、誘った手前あたしが持つからっ。
   普段買えないような食材もバンバン買っちゃっていいからねっ」

>やはり自分たちも出した方がいいのではないだろうか。

>一樹にアイコンタクトを送ってみる。

古泉「……番長氏は自分もお金を出すべきなのか迷っているようですよ?」

鶴屋「だから大丈夫だって!」

キョン「あー、俺も確かに金銭面的なことでおんぶにだっこはどうかと思うが
    今回ばかりは甘えていいと思うぞ」

キョン「もし、鶴屋邸を見て度肝抜かれなかったらそんときゃ払えばいいさ」

鶴屋「ただ古いだけの家っさ」

キョン「いやー、あれをただの古い家というのはちょっとムチャがあると思いますよ」

鶴屋「ま、とにかくっ。あたしが資金面的に遠慮されたくないってことっ。
   それにあたしも払ってもらって遠慮して食べたくないからねぇ」

鶴屋「あたしが遠慮なく食べたいってことで納得してよっ」

鶴屋「というわけで、お金と食材調達のことはあたしに任せて、番長くんとハルにゃんは料理を任される。
   これで対等っ、適材適所、オールオッケー、万事解決っ!」

鶴屋「あっ、でも技能の対価を払うってわけじゃないからねっ。
   そんなこと言っても2人ともお金をもらう様なことじゃない、って言いそうだからっ」

>……どうやら見透かされているようだ。

書く

ハルヒ「ま、今回は番長くんと一緒にお言葉に甘えましょ」

鶴屋「うんうんっ、それでいいっさ!」

>過度に期待されても困るが、できる限り自分のできることをしよう。

古泉「決定ですね」

みくる「わぁ、楽しみです」

キョン「晩飯ってことでいいんだよな?」

ハルヒ「そうね、それに足る量くらいは作れるかしら」

>自分とハルヒの2人ならそれくらいは容易いだろう。

ハルヒ「でも重要なのは量じゃないわ。質よ」

>みんなが満足できるものを作ろう。

鶴屋「じゃ、放課後まででいいから、欲しい食材あったら考えといてっ」

鶴屋「あたしがばばっと食材そろえるからさっ」

>考えておこう。

ハルヒ「よーし、番長くん。昨日付かなかった決着つけるわよ」

>望むところだ。

申し訳ない、今日は書く
しばしお待ちを

書く

鶴屋「じゃあ、学校終わったらあたしの家ち直行してくれればいいからねっ」

ハルヒ「わかったわ」

ハルヒ「番長くんは鶴ちゃんちわからないでしょうから、部室に集合……しなくてもいいわね。
     みくるちゃん、番長くんを案内してあげて」

みくる「あ、はい」

鶴屋「みくるよろしくっ! あたしは学校終わったら一足先に帰って準備するからさっ」

キョン「部室に集合しないのか?」

ハルヒ「勝負する相手とのんびり一緒に行くって締まらないにもほどがあるじゃない」

ハルヒ「そうね、有希とあたしとキョンは一緒に行きましょ。
    古泉くんはみくるちゃんと一緒に番長くんを鶴ちゃんの家まで案内してあげて」

古泉「ええ、拝命させていただきます」

キョン「古泉、その役割変わってやろうか?」

古泉「僕は構いませんが」

ハルヒ「キョンはこっち!」

キョン「なんでだ」

ハルヒ「キョンをみくるちゃんと一緒にしたらデレデレしちゃって
    勝負の雰囲気も台無しになるからよ」

キョン「……そんなことないさ」

鶴屋「あっはははっ!」

ハルヒ「とにかく、班分けに異議は認めないから」

キョン「ぐぅ」

>鶴屋さんはケラケラと笑っている。

ハルヒ「じゃあ、鶴ちゃん他に何かいうことある?」

鶴屋「大丈夫っ!」

ハルヒ「そ、ならお昼ご飯にしましょか」

>そう言って、ハルヒは自分の弁当を出した。

みくる「はぁい」

古泉「そうですね」

鶴屋「またこのメンバーでお昼御飯だねっ」

>皆もそれぞれ弁当を出す。

キョン「おい、なんでみんな弁当持ってるんだ」

ハルヒ「なんでってなにがよ? ここで集合で話し合いになるかもしれないんだったら
    それくらいの機転は当然じゃないかしら」

古泉「ええ、僕はそう推察しました」

みくる「あ、あたしと鶴屋さんと番長くんはそのまま食べていこうって話で」

鶴屋「ありゃ、ごめんねっ。ちゃんというべきだったね」

キョン「いや、謝らないでください。大丈夫す」

長門「……」 コト

キョン「長門まで弁当持ってんのか……」

ハルヒ「で、どうするの? 教室で食べるの? それともとってくる?」

キョン「……とってくる」

ハルヒ「それなら早くしてよね、もうあんまり時間ないんだから」

キョン「わかってるよ」

ハルヒ「はい、ダッシュ!」

>パン、とハルヒが手を叩くとキョンは部室から飛び出していった。

ハルヒ「ったく」

>そう言いつつも、ハルヒはちゃんとキョンを待つようだ。

>それに習って誰も弁当に箸をつけていない。

>ちなみに一樹と有希の弁当はたいして手間も変わらないので自分が作っている。

>最初は一樹に資金を工面してもらっている恩もあるので一樹の分も作ろうかと提案した。

>そのときに『長門さんの分もご一緒に作ってあげてはいかがですか?』とは一樹の弁だ。

>朝のホームルーム前に一樹と有希には渡しておいた。

>本来なら有希は食べる必要はないのだろう。

>確認もとらずに作ってしまったが、有希は無言で受け取ってくれた。

>そのとき有希の教室がざわついたが、そっとしておいた。

>一樹がこちらにウィンクしているがこれもそっとしておこう……。

ガチャッ

キョン「っはぁっ……ま、待たせたな」

ハルヒ「速さだけは合格点ね」

キョン「そりゃどうも」

ハルヒ「別に褒めてるわけじゃないのよ?
    機転を利かせて持ってこなかった時点失格なんだからね」

キョン「へいへい、それはいいから喰おうぜ」

ハルヒ「そうね、キョンにお説教なんてお昼休みが無駄になっちゃう」

長門「……」

>有希は既に黙々と食べている。

ハルヒ「じゃ、食べましょ」

みくる「いただきまぁす」

>それを皮切りに皆各々食べ始めたようだ。

習って×
倣って○

>今日の弁当は……肉じゃがときんぴらゴボウをメインに据えている。

>基本的に有希と一樹のものと変わらないのだが、有希や一樹のこともあり弁当は若干彩りに気を使った。

>有希自身は気にしないだろうが、女の子が茶色一色というのも華が欠けるだろうと思い、ささやかながら玉子焼きとトマトを添えた。

>もちろん一樹のものにも入っている。

>誰とどこで食べるのかわからなかったが、一樹のハンサム顔で茶色一色の弁当というのもちぐはぐな印象を受けてしまうだろう。

>ただ、このメンバーで食べることになるのであれば正直いらない配慮だったかもしれない。

>それよりもキョンとみくるはともかく、ハルヒや鶴屋さんに同じ弁当だということに気付かれないかが心配だ。

ハルヒ「そういえば、本当に誰も鶴ちゃんちには誰もいないの?」

鶴屋「大丈夫っさ! 心配しなくてもっ」

ハルヒ「ううん、そうじゃないわ。誰かいらっしゃるなら、ついでに振る舞おうと思ってね」

鶴屋「おぉー、素晴らしい気概だねっ。でも残念ながらだぁれもいないんだなっ、これがっ」

キョン「前から気になっていたんですが、あれだけの屋敷なんですからメイドとかいたりするんですか?」

鶴屋「あははっ、あの純和風家屋にメイドなんて似合わないよっ。
    大正時代の貴族じゃないんだからさっ」

キョン「……それもそうですね」

鶴屋「でも、家政婦さんは時々来るっかな。お掃除とか家事全般やってもらってるんだっ。
   広いと掃除も大変でねっ」

キョン「ああ、使用人みたいな――」

ハルヒ「なんかキョン時代の認識がずれてるんじゃない?」

>どうやら雑談に忙しく、気付いていないようだ。

>……しかし、話を聞けば聞くほどに、鶴屋邸は想像以上にすごいところらしい。

古泉「先ほど彼もおっしゃっていましたが、見て驚かないということはないでしょう」

>自分の表情から察したのか、一樹が話しかけてきた。

古泉「言い方は悪いですが、このような県立高校にいらっしゃるのは不釣合いのようにも思えます」

>そこまでなのか。

古泉「ええ」

みくる「そういえば、あたし、鶴屋さんのお家に行ってお風呂借りたあたりは憶えているんですけど、
    そのあとがちょっとぼんやりしてるんですよねぇ」

みくる「記憶がないってわけじゃないんですけど、はっきり思い出せないというかなんていうか」

>みくるは不思議そうな顔をしている。

>なにかあったのか?

古泉「……まあ、映画撮影をしている間にもいろいろあったということですよ」

>どうやら、あまり掘り返さない方がいい話題らしい。

ハルヒ「ふう、ごちそうさま。ちょっとあたしお茶買ってくるわね」

みくる「あ、それでしたら淹れますよ?」

ハルヒ「ううん、いいわ。今は冷茶が飲みたい気分だから」

>そう言ってハルヒは部室から出ていってしまった。

キョン「寒いんだからわざわざ冷茶なんぞ買わんでも
    朝比奈さんの淹れてくれたお茶の方がよっぽどいいだろうに」

みくる「ふふ、ありがとう。キョンくん。
    せっかくなら皆さんお茶お飲みになりますか?」

鶴屋「頼んだよ、みっくるー」

古泉「是非もないですね」

キョン「お願いします」

みくる「番長くんは?」

>よろしく頼む。

みくる「ふふ、はぁい」

>有希には確認をとっていないがきっと出すつもりなんだろう。

>その有希はといえば相変わらず黙々と食べていた。

鶴屋「ねぇねぇ、ところで番長くんっ」

>なんだろうか。

鶴屋「古泉くんと長門っちと番長くんのお弁当、どう見ても一緒なんだけどどうしたのかなっと思って」

>……どうやら鶴屋さんは気づいていたらしい。

キョン「んー、ああ。本当だな」

>なんと言おうか……。

古泉「僕がいつもコンビニ弁当や菓子パン、購買で買ったものを昼食として食べているという話をしましてね」

古泉「そうしたら、番長氏が打診してくださったのですよ。自分が作ろうか、とね」

>どうやら一樹が弁明するらしい。

古泉「そのときちょうど長門さんも近くにおりまして、長門さんの昼食も僕と同じようなものだ、というのです」

古泉「番長氏は、2人分も3人分も変わらないと仰ったのでそのお言葉に甘えたのです」

鶴屋「そうなの? 長門っち」

長門「そう」

>一樹が言ったことは、半分本当で半分嘘だ。

>一樹に弁当を作ろうかという提案をしたのは、昨日一樹とキョンがみくると有希を送り届けた後の電話でだ。

>それに有希に確認などとっていないし、一樹の普段の昼食の話もしていない。

>この点については一樹の織り交ぜた嘘ということになる。

>ただ、あまり意味のあるような嘘には思えない。

>しかし一樹にお金について借りがあり、その恩返しの一環であること、

>その上有希へ確認をとらずに弁当を持って行った、と言って新たな弁明と無用な混乱を生むくらいならこの方がいいのだろう。

>有希も同調しているのがその証拠だ。

キョン「へぇ、番長は面倒見がいいと思っていたがそこまでとはな」

鶴屋「なるほどね、羨ましいっ。長門っち、古泉くんっ」

みくる「ほんとですね。はい、みなさんお茶です」

>みくるは1人1人にお茶を渡していった。

みくる「はい、長門さん。ここにお茶置いておきますね」

長門「感謝する」

みくる「ふふ、はぁい」

ガチャッ

>ハルヒが戻ってきた。

>くぴくぴとペットボトルからお茶を飲みつつ、もといた場所へ戻っていった。

ハルヒ「あら、みんなはあったかいお茶?」

キョン「冬で朝比奈さんのお茶が一番うまいときに冷茶飲むハルヒの方が俺にはわからんね」

ハルヒ「仕方ないじゃない。冷たいお茶が飲みたくなったんだから」

長門「……」

>有希はすっかり食べ終わり、弁当のふたを閉じてみくるの出したお茶を飲んでいる。

>自分もハルヒに一樹と同じ弁当だと気付かれる前に食べてしまおう。

>鶴屋さんが話してしまったら仕方ないが。

ハルヒ「さあ、腹ごしらえもしたし、午後の時間は料理対決のメニューでも考えていようかしら」

キョン「楽しみにしてるぜ。もちろん番長もな」

>ああ。

>みんなと楽しく昼食をとった。

>みんなとまた少し仲良くなれたようだ。

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――2年某教室、午後。

教師「えー、このベクトルが――」

>数学の授業が淡々と進められていく。

>そういえば、この世界でも授業の内容は大きく変わらない。

>教育内容、そして進度まで、さほど変わらないというのも不思議なことだ。

>数学から鑑みるに、物理法則もやはりあまり変わらないのだろう。

>歴史の授業を受けてみれば、何か違いがあるのかもしれない。

>しかし、残念ながら選択は地理だ。

教師「おーい、聞いているか?」

>考え事をしていたことで、気を抜いていたようだ。

教師「だが、まあ。確かに、疲れるだろう。
   では、区切りもいいので、少し息抜きに雑談だ」

教師「さて、図形を板書したついでだ。図形についての話をしよう」

教師「正多面体は5種類しかない。
   正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体だ」

教師「正6面体、つまり立方体は頂点の数が8つだ。正12面体は頂点の数は20だ」

教師「そこでクイズ。さて、正20面体の頂点の数はいくつだ?」

>どうやら、自分に訊いているようだ。

>正20面体の頂点の数は……12だ。

教師「お、よく知っていたな。正解だ」

教師「そう、正20面体の12。面が多いからと言って頂点の数が多くはならない。
   こういうのも図形の面白いところだな」

教師「ちなみに、正8面体も頂点の数は6つと少ないんだ」

>答えは正解だったようだ……。

みくる「ふふ、すごいですね」

鶴屋「お、やるねっ」

>すこし、みくると鶴屋さんの評価が上がったようだ。

……


――放課後。

鶴屋「じゃあ、あたしは一足先に帰るからっ。
   みくるよろしくねっ」

みくる「はぁい」

>鶴屋さんは、駆け足で教室をでていった。

>自分たちも一樹のところへ行こう。

>>817
>「そう、正20面体の12。

正20面体の頂点の数は、ね

――鶴屋邸へ向かう道中。

古泉「もう作るものは決められましたか?」

>まだ決めていない。食材を見て判断しようと思う。

古泉「そうですか。涼宮さんは、終業のベルがなったとほぼ同時に
   それは楽しそうに廊下を走っておられました」

古泉「授業中ずっと考えていたのでしょうね。
   油断していると負けてしまうかもしれませんよ?」

>気を付けよう。

>授業といえば、自分たちの世界と教育課程も授業内容もほとんど同じであることを伝えた。

>普通に馴染んでいたために今まで気が付かなかったが、これはなかなかに珍しいのではないだろうか。

古泉「確かに……それは興味深いですね」

みくる「そういえば、不思議ですね」

古泉「ええ。文明レベルが同じということは、物理や数学、化学、
   いわゆる物理法則や化学法則に関しては、ほとんど一緒、もしくは完全に同一であるということは予測がつきます」

古泉「しかし、人が生み出す教育は別です。人が違えば、その方法論も変わってくる」

古泉「事実、教育というのは僕たちの世界だけで見ても国が違うだけでも大きく異なります」

古泉「それが同じ日本とはいえ、異世界との間で教育のシステムが似通うとは……」

古泉「僕は研究者ではないですが、この現象がなぜ起こるのか考察して
   論文にまとめたいと思うほど興味が刺激されていますよ」

>どうやら、一樹の興味を十二分に刺激したようだ。

>そういえば、みくるはこの時代の教育を受けてどのような感想を抱くのだろうか。

古泉「そういえば、聞いたことありませんね」

みくる「ええっと……どこまでいえるのかな……」

古泉「禁則でしたら禁則で構いませんよ?」

みくる「そ、そうですね。たぶん未来の教育システムに関しては禁則に引っ掛かると思うんです」

みくる「でも、単元名や講義名なら大丈夫なのかな……?」

みくる「未来では義務教育課程の後期には時間平面理論を習います」

古泉「ほお……」

>かなりの基礎過程なのだろうか。

みくる「そうですね」

みくる「時間移動にはいろいろな制限や法律があるんですけど
    こっちでいう遠足……になるのかな、引率者と一緒に体験時間移動というものもあります。
    あ、いえ、職業体験になるのかな、うーん……」

>みくるは唸りながら黙ってしまった。

古泉「朝比奈さん?」

みくる「ご、ごめんなさい。え、えっと。
    とにかく、時間平面理論の学習は教育の中でもそこそこの割合を占めています」

みくる「ただ、本当に自由に、というか制限をある程度外されて
   時間移動が許可されている人って本当に少ないんですよ。少なからず時代に影響を与えてしまいますから」

>みくるは、そのうちの1人……ということなのだろうか。

みくる「それに、なんて言ったらいいのかな」

みくる「たぶん禁則に引っ掛かってしまうので、うまく言えないんですけど……」

みくる「あたし、この時代の船が浮翌力で浮かんでいるって、
    キョンくんに言われるまで気が付かなくって……」

みくる「そこから察してもらえれば、嬉しいです」

古泉「ふむ。身近に浮翌力を使うものがないのでしょうか。
   ただ、相当に科学が発展しているのであろうことはうかがえますね」

>未来の船は浮翌力を使わないで浮かんでいるのか、もしくは船というものがなくなっているのか。

>いや、みくるは船の存在自体は知っていた。おそらく浮翌力を使わない船があるのだろう。

>なんにせよ、一樹がいったように、この世界より大きく発展していることは間違いなさそうだ。

義務教育で習うもんなのか
専門知識っぽい感じするけど

浮力でも引っ掛かるんかーい

>>824
小学生のやる理科の実験的なイメージ
時間移動が常識化している世界なら、義務教育にある程度基礎部分だけでもくみこんであるのかなと言う解釈

まあ独自解釈なんで適当にスルーしてくださ

古泉「察するに、新理論や新法則が発見され、そちらに重きが置かれたため、淘汰とまではいかないのでしょうが
   表面的な部分だけしか触れられない、埃をかぶってしまった分野はありそうですね」

古泉「浮力自体は知っておられたようですから、学習内容の中にあるのでしょう。
   しかし浮力を含めて、未来では実用的ではない物理現象は身近にはなくなっている、といったところでしょうか」

古泉「もっというのでしたら、学者でもない限り、現在主となっている法則を詳しく理解しておられる方はおられないのでしょう」

古泉「それはこの時代でも言えることですがね」

みくる「ふふ。これだけの話で、そこまで推論を立てられるのはすごいです」

古泉「いえ、単純に僕は朝比奈さんを評価しているので、この推論に行きついただけですよ」

みくる「ふぇ、あたしをですか?」

古泉「浮力はともかく、朝比奈さんはこの時代をよく学習してきておられる」

>どういうことなのだろうか。

古泉「浮力による船が一般常識ではない未来です。
   たとえば、浮力に頼らない船が明日完成したとしましょう」

古泉「その船が一般常識として浸透し、
   浮力による船が忘れ去られるようになるには、少なくとも30年以上はかかるでしょう」

古泉「そして時間平面理論が提唱、実用化までされ、それに関する法まで整備されていることを考えれば、
   朝比奈さんがきた時代というのはさらに未来であるということは想像に難くありません」

古泉「そうですね。朝比奈さんが50年後の未来から来たと仮定しましょう」

古泉「番長氏、想像してみてください。
   今から僕たちが急に50年前に飛ばされたとしてその時代の道具を使いこなせると思いますか?」

>……! それは……できないだろう。

古泉「今から50年前というのは、この日本で電話がようやく一般家庭に置かれるようになった時代です」

古泉「この時代の娯楽も朝比奈さんにとっては面白くはないでしょう。
   道具に関しては不便の一言に尽きると思います」

>たしかに、今の自分たちが50年前のテレビ番組を見て面白いとは思えないことと同じようなものだろう。

みくる「そ、そんなこと……」

古泉「ふふ、いいんですよ。卑屈になって言っているわけではないのですから。
   実際朝比奈さんからすればこの時代の携帯電話は、僕らが黒電話でしか通信手段がないこと以上に不便のはずです」

古泉「服装や調理器具やこの時代での筆記用具、ポッド、携帯電話などの現代用具の使い方。
   言語体系も多少変化をしているでしょう」
   
古泉「しかし朝比奈さんの振る舞いは、僕たち現代人と遜色がないのです。禁則事項はありますがね」

古泉「それも50年というのは僕の単なる仮定に過ぎない。
   もしかしたら100年以上先の未来かもしれません」

>自分の世界で100年前といえば、大正時代だ。

>……絶対にみくると同じように振る舞える自信はない。

古泉「ですが僕たちが見ている限りですが、不便そうな顔も見せていない」

古泉「これは驚嘆すべきことなのです」

古泉「その朝比奈さんが『浮力での船を知らない』となるのでしたら、あのような推論に至るのは、僕としては当然なわけですよ」

>>830
泉「そして時間平面理論が提唱、実用化までされ、それに関する法まで整備されていることを考えれば、
   朝比奈さんがきた時代というのはさらに未来であるということは想像に難くありません」

朝比奈さんがいた時代、ね

古泉「と、少し喋りすぎましたね」

>正直、みくるの評価が今まで以上に上がっていく。

古泉「でしょう?」

みくる「か、買いかぶりですよっ!」

>みくるはどこか恥ずかしそうだ。

みくる「それに、何年後から来たとかそういうことはお話しできませんし……」

古泉「いえ、構いません。お聞きしても無駄だということは分かっていますし、
   なによりこの時代の授業の感想を聞く、という点から大きく外れてしまいました」

>そういえばそうだった。

みくる「え、えっと。そうですね。
    さっきも言ったように浮力がそういうような時代で、さらに時間平面理論に多く時間が割り当てられます。
    ですから、あたしの時代では深くやらないようなこともやっていて、この時代の授業や学問はなかなか新鮮で楽しいです」

みくる「こ、こんなところで大丈夫ですか……?」

>ああ。ありがとう。

古泉「ええ、現代人として、未来人の朝比奈さんが退屈でないなら幸いですね」

みくる「あ、あたし、そんなに偉くないですからっ」

>両手を胸の前で振って否定している。

>ふと、みくるの影がいっていたことを思い出した。

>『だからわたしは、ここにただいるだけの存在、そうよね?』

>このただいるだけというのがどれほどすごいことなのか、みくるは分かっていないのだろう。

>未来人であることを悟られず、不自然な振る舞いをせず、圧倒的不便な環境にもかかわらず順応し適応する。

>きっと、おそらく。これはみくるにしかできないことだ。

みくる「そ、そんなじっと見つめないでください……は、恥ずかしいです……」

>みくるは、すごいな。

古泉「ええ、本当に」

古泉「(ですから油断もできないのですが。これは言わないでおきましょう)」

古泉「(できれば、思想が違うとはいえ朝比奈さんの一派とは――いえ。
    朝比奈さんとは敵対したくないものです。このままずっと、ね)」

みくる「あうぅ……」

>どうしていいかわからず、顔を赤くしてうつむいてしまった。

古泉「ふう、余計なお喋りでしたね。鶴屋さんの邸宅へ急ぎましょうか」

みくる「そ、そうですね! ちょっとのんびり歩いちゃいましたね」

>3人で雑談をしつつ鶴屋邸へ向かった。

また昼ごろに


スレ内で納まるか心配

寝てた、書く

すまん、もうちょい待ち
>>840
できれば終わらせたい

書く

――鶴屋邸前。

>長々と塀の周りを歩き、現在は門の前についている。

>なんだこの大きさは。

>純和風家屋、と鶴屋さんが言っていたが、これはもはや門構えからして武家屋敷といった方がいいだろう。

>確かにこれならば、庭先にでカラオケでもしない限り隣家に騒音どころか声すら届かないだろう。

古泉「やはり何度見ても大きいですね」

>門は開かれているものの、勝手にはいっていいものなのだろうか。

みくる「あ、それでしたら鶴屋さんに聞いてみますね」

>みくるは携帯電話で鶴屋さんに連絡を取っているようだ。

>しかし、門から家までが遠い。

>60、70メートルほどあるのだろうか。

みくる「はぁい」

>電話は終わったようだ。

みくる「勝手に入ってきていいそうですよ。玄関で待っているそうです」

古泉「では、玄関まで行きましょうか」

――鶴屋邸。

ガラッ
みくる「こんにちはぁ」

古泉「お邪魔します」

鶴屋「きたねっ!」

>鶴屋さんは、私服に着替えている。

>和装でもしているのかと思えば、かなりカジュアルな格好だ。

鶴屋「お、その顔。和装でも期待してたっかなっ」

>……敵わないな。この人には。

古泉「ふふ」

鶴屋「ま、そんなことはいいからさっ。ささ、あがってよっ。
   靴とか適当でいいからねっ」

鶴屋「あたしの部屋こっちだからっ」

>鶴屋さんに連れられて部屋に通された。

>純和風の部屋だ。女子高生らしさはまるでないと言えるだろう。

鶴屋「ちょっとくつろいでてよっ。もうちょっと用意してるからさっ」

浮力のくだりについては退屈の孤島症候群参照

>そういえばハルヒ達はどうしたのだろう。

鶴屋「まだ来てないけど、ハルにゃんたちのほうが先に出たのかなっ?」

古泉「ええ。彼のネクタイを引っ張っておられましたよ」

みくる「どこか用事でもあるんでしょうか?」

古泉「いえ……部室でもおっしゃられていましたが、道中鉢合せをすることを嫌ったのでしょう」

古泉「そして、真打ちは遅れて登場する、といったところでしょうか。どこかで時間をつぶしているんだと思います」

古泉「単なる僕の勘なので外れていると思いますがね」

>でも、ハルヒなら考えそうだ。

鶴屋「あははっ、ハルにゃんらしいねっ」

鶴屋「じゃ、ちょろっとのんびりしててっ」

>鶴屋さんは、ぱたぱたと部屋から出ていってしまった。

みくる「用事って何でしょうね?」

古泉「お二人が調理するのですから、その調理器具のセッティングでしょうか。
   僕にはそれくらいしか予想がつきません」

みくる「あ、なるほど……」

>何を作るかだけでも考えておこう。

みくる「ふふ、楽しみです」

>料理といえば、未来の料理はどのようなものだろう。

みくる「ふふ、ごめんなさい。基本的に未来のことは禁則事項なんです」

>なるほど……。

>そういえば先ほどの時間平面理論などは大丈夫なのだろうか。未来の料理よりよっぽど機密にしなければならないと思うのだが。

みくる「時間平面理論やTPDDは、この時代の人が名前だけ知っても利用できないので
    詳しい内容にまで言及しなければ話せるだけなんです」

みくる「それと……あたしがこの時代で接触しなければいけなかった人物、つまりキョンくんですね。
    そのキョンくんにあたしの身分を明かすため、調査に必要なために制限が外されているだけで
    本来はこれを話すこともも禁則事項です」

古泉「おや、初耳ですね」

みくる「古泉くんは、話していなくてもわかっていそうですけどね、うふ」

古泉「ふふ」

>そうなのか。

みくる「でも、そうですね。未来の料理より番長くんや涼宮さんの料理の方があたしは好きですよ」

古泉「それはなによりです」

みくる「あたしが、話せることは、普遍的なことばかりですね。海があるとか山があるとか。
    それだけなんです、ごめんなさい」

>みくるが謝ることじゃない。

>ただ、自分の世界ではないとはいえ未来のことを訊いてみたいとは思う。

みくる「あ、確かに。異世界人の番長くんにならもし話をしてもあまり未来に影響は与えないのかな……?」

>いや、前にも言った通り自分がいつ帰ることができるかは分からない。

>みくるが帰還するより長い期間こちらにいるかもしれない。

みくる「そっか、そうですね。その場合番長くんにその気がなくても無意識に歴史を改変してしまう可能性がありますね……」

>ああ。それにみくるのように本来あるべき未来をしらないから、修正することもできない。

>……そうか。未来人の職業のひとつが分かった気がする。

古泉「どうしたのですか?」

>いや、未来人の職業について考えていただけだ。

みくる「……?」

>未来における職業のひとつに現状を維持する警察のような職業があるのではないだろうか。

>そうしなければ、悪意をもって時間転移してきたものによって、未来人たちにとっての『現在』を都合よく書きかえられてしまう。

>おそらく、未来では『現在を時の流れのままに維持しなければならない』という法律でもあるのだろう。

みくる「!」

古泉「ええ、それは僕も思っていました。
   ただ未来に関する法律を考察したこともあるのですが、あまりにもややこしいので棚上げしていました」

>ややこしいとは?

古泉「では、少し前提を」

古泉「僕も『機関』に所属している身ですのでね、涼宮さんを取り巻く環境は調査していることはお話いたしましたよね?」

>ああ。

古泉「朝比奈さんもご存じではあるかと思いますが、未来人の一派は朝比奈さんの所属する組織だけではないのです。
   いえ、もしかしたら、同じ組織の別の思想対立かもしれませんが」

>一樹は、みくるに視線を送る。

みくる「ごめんなさい、お話しできません」

古泉「ふふ。ええ、わかっております」

古泉「ちなみに、その数ある派閥のなかでも涼宮さんに直接接触できたのは朝比奈さんだけです。たとえ偶然であってもね
   それもあって、僕は朝比奈さんを評価しているのです」

古泉「……話を戻しましょう。もちろんその未来人の一派の中には、
   口に出すのも憚られるような血みどろの抗争を巻き起こしてまで行動をする、といったかなりの過激派もいるのです」

古泉「もちろん、朝比奈さんの所属してるところは違いますがね」

みくる「……」

古泉「現状、そのような水際で止めている状態が続いています。
   ですから、少しでも戦況を有利に進めるために未来人に関する考察はかなりの段階まで行われているのです」

みくる「そう、なんですか……」

古泉「様々なことを考えましたよ。未来人の航時条件、時間転移時にこちらへ持ち込めるもの、各派閥の思想――」

古泉「そのときに未来での法律のことも考えたのですが、どうしても矛盾点が出てしまう」

>矛盾……?

古泉「ええ。番長氏の言うように『現状を維持する』という法律があるとしましょう。
   それならば、過去への航時を全面的に禁止すればよいのです」

>……確かに。

古泉「ええ、そうなんです。たとえ歴史を改変してしまう犯罪者がいたとしても、そこだけ取り除けばよい」

古泉「ですが、そうしていない。朝比奈さんがここにいらっしゃいますからね」

みくる「き、禁則事項です」

みくる「あれ、禁則……? あ、そうか。この場合はいともいいえとも言えないみたいです……」

>なるほど。どうやら自動でフィルターがかかるようだ。

古泉「では別方向からアプローチしてみます。
   未来人が過去――僕たちでいう現在に介入しなければ、現状――僕たちでいう未来へと導けないとしましょう。
   『現状へ向かわせるために改変を行わなければならない』という法律があったとします」

古泉「ですがその場合、過去が改変された時点で未来は書き変わり、修正を行うという未来さえも掻き消えてしまう」

>いわゆる、タイムパラドクスというやつか。

古泉「ええ、そうなんです」

古泉「それに『現状』をどうやって認識しているのかも気になります。書き換えられると違和感を感じるのでしょうか?
   知らず知らずのうちに過去を改変されていたとしたのなら、認識も修正されてしまい現状も何もあったものではありません」

古泉「たとえ、未来人が介入することが規定事項であったとしても、何をもって"既定"と表現しているかもわかりません」

みくる「……」

古泉「なにか、過去の書き換えを認識する概念的な発明があるのかもしれませんが」

みくる「ごめんなさい、禁則事項なんです」

古泉「とのことです」

古泉「僕にはさっぱりわかりません。そう言ったわけで未来人の法律については棚上げをしていたのです」

>一樹は肩をすくませている。

ややこしくてごめん

寝てしまっていたのでまた起きたら

みくる「……」

>みくる?

みくる「え、あ、はいっ。な、なんですか?」

>いつになく真剣な顔をしていた。

みくる「あ、あはは……」

古泉「朝比奈さんは不思議に思っているのでしょう。
   なぜ、機関に所属している僕がこのような話を未来人である朝比奈さんの前でいうのか、とね」

みくる「……! え、ええ」

>そういえば、有希が言っていた。未来人と一樹の機関との間には相容れない思想があると。

古泉「警戒しなくてもいいですよ。
   ここで不毛な空中戦などするつもりは毛頭ないですから」

古泉「端的に言ってしまえば朝比奈さんの一派とは、敵対をしたくないから、ですかね」

みくる「……え?」

古泉「本来ならば、過激派との抗争については、それ以外の未来人との協力関係を取り付けるのが一番なのです。
   ですが、未来人――この場合は未来の組織のことを指します。と僕たち現代人では、どうあがいてもお互いに思想を理解することはできないでしょう」

みくる「……現代人ではなく、機関では、じゃないんですか?」

古泉「ええ、そう受け取ってもらっても構いません。ですが、他の組織も同じようなことを思っているはずですよ」

>一樹たちの組織以外もどうやら暗躍しているようだ。

古泉「個人間での相互理解は未来人と現代人であっても突き詰めていけば可能なのでしょう。
   ですが――相手が組織となるとそれは難しい。それが、特定の思想の元で結成されている組織なら尚更ね」

古泉「ですから僕は敵対ではなく、できれば共闘関係を築きたいのですよ。
   敵の敵は味方、という理論ですね」

古泉「それに過激派との抗争を水際で止めているといったように、今の段階で他の組織まで相手にしたくはない。
   あぁ、余裕がないというわけではないのでご安心を。この平穏な日常を僕は満喫したい、それだけです」

古泉「もちろん、僕自身、朝比奈さんと敵対したくないという側面も持っていますがね」

>一樹は柔和に微笑んでいる。

古泉「朝比奈さんの所属する組織は、未来人の一派の中でも静観を基本とするかなりの穏健派であることは判っています」

古泉「そして僕たち機関も基本は静観をいう方向でまとまっている。
   もちろん、この世界のあり方についての考察はかなり方向が違いますがね」

みくる「……そう、ですか」

古泉「同盟を結ぼうという話ではありません。このような非公式な場でする話でもないですからね。
   朝比奈さんと敵対したくないという僕なりのアピールです」

みくる「それで、情報を開示したということですか?」

古泉「ええ、その通りです」

みくる「あたしは、何もしゃべることができませんよ?」

古泉「それもわかっています」

みくる「そうですか……」

古泉「なにも堅苦しく考えることはありません。交渉では全くないのですから。
   ただ、僕個人の考えとして、知っておいて欲しかったから話したまでです」

古泉「機関の意思とは関係ありません」

みくる「……」

古泉「……不安でしたら、もう少しお話しましょう。
   打算的な部分がないといえば嘘になりますね」

古泉「いつか、こうやって話したことが何かしらの切り札になる、そう考えている部分もあります」

みくる「そんな――」

>みくる、今は話を聞いてあげよう。

みくる「は、はい……」

古泉「ありがとうございます。
   ですが、僕はそれ以上に今を楽しみたいのですよ」

古泉「彼がいて、涼宮さんがいて、長門さんがいて、番長氏がいて、朝比奈さんがいるこの環境をね」

古泉「僕は、これでも結構平凡な一高校生としての高校生活を楽しんでいるのです。職務上ここにいることに限らずに、です。
   そして、それが続けばいいと願っている」

古泉「当然機関としての仕事上、朝比奈さんを含むすべての未来人に注意を払わなければなりません。
   ですが、僕としては『古泉一樹』と『朝比奈みくる』という、ただの個人的な人間関係を続けたい。
   たとえ涼宮さんを取り巻く虚飾的な人間関係であってもね。そこから生まれる何かがあってもいいのではないでしょうか」

みくる「……」

古泉「もしかしたら朝比奈さんを籠絡し、未来へ組織のスパイに仕立て上げようとしている、と思われるかもしれません」

古泉「しかし、禁則としてフィルターがかかってしまう未来人からの情報を得ることは非常に困難です。
   情報を得たはいいが、通達できないとなればあまりにも不確実すぎる密偵となってしまうでしょう。それでは意味がない」

古泉「ですから、その可能性も排除していただいて構いません」

古泉「もっと端的に言ってしまえば、朝比奈さんと不穏な腹の探り合いはしたくないというのが本音ですね、ふふ」

>そんなことしてたのか、2人とも。

古泉「ええ、まあ」

みくる「うぅ……」

>みくるは、気まずそうだ。

>というか、自分にこんなことを聞かせて大丈夫なのだろうか。

古泉「ご心配なく。知ったからといって消されるなんてことはありませんから」

古泉「それに、番長氏はこの世界の住人ではありません。何らかの組織にも所属していません。
   そして、外部に漏らすことも考えられません。ある意味最も安全な人物ですからね。大丈夫ですよ」

>そうか。それならばいいが。

みくる「あ、あのっ!」

古泉「はい」

みくる「あの、その……さっきも言った通りあたしはなにも情報を渡せません」

古泉「ええ」

みくる「それに、あたしは何度も言っているように、一調査員であってほとんど権限はありません。
    さっき古泉くんがいった切り札になるようなことも多分ありません」

古泉「ええ。もともと万が一くらいの可能性しか感じていませんでしたから問題ありません」

みくる「あたしも、ううん。あたしが所属している組織も古泉くんと一緒で、
    今の時代の機関を含むあらゆる組織の動向から眼を離すことはできません」

古泉「もちろん想定内です」

みくる「それでも、いいんですか……?
    古泉くんがしてくれた話に、情報に対して何の見返りも渡せませんよ……?」

古泉「ええ、それで構いません。
   僕としては、ただの人間関係――友人関係を続けることに意義があるのですから」

古泉「……この街へきた当初の僕ならば、こんなことは思わなかったでしょう」

古泉「ふふ、不思議なものです。共に過ごした時間、というわけでもないのですが。
   苦難を共にしたことは事実でしょうし、何より――」

古泉「長門さんにも、言われてしまいました。『朝比奈みくると仲良くしてあげてほしい』とね」

みくる「ふぇ? な、長門さんですか?」

>有希が?

古泉「ええ。昨日長門さんを送り届けたときですね」

>そういえば……有希はみくるの影がいっていたこと聞いていた。だからだろう。

古泉「僕もさすがに目を丸くしましたよ。
   番長氏はまだわからないかもしれませんが、朝比奈さんならわかるでしょう。
   あの長門さんが、こんなことを言うなんて前代未聞です」

みくる「え、ええ……」

古泉「ですから僕も聞き返しました。そうしなければ何かよくないことが起こるのか、とね」

古泉「長門さんの解答は『違う』の一言だけでした。ですが、僕も察しましたよ。
    あの長門さんが情報統合思念体としてではなく『長門有希』として朝比奈さんを慮っていると」

古泉「それもあって、こういった運びとなったわけです」

古泉「……ふう、正直ここまでいうつもりはなかったのですがね。
   よい機会でしたので、こうして話させていただきました」

みくる「あの、その……あたしも、これからよろしくお願いします」

みくる「古泉くんと、ただの朝比奈みくるとして仲良くしていきたい、です」

>みくるは、正座で三つ指をついて礼をしている。

古泉「ええ、改めてよろしくお願いします」

>一樹も同じように返す。

古泉「ですが、お互いに関係はなにも変わりませんね。
   監視というかお互いに調査はやめないですから」

みくる「ですが、心の持ちようは随分違うと思います」

古泉「ええ、そうかもしれません」

>一樹とみくるの間に新たな絆の芽生えを感じる……。

みくる「ふふ」

古泉「ふふっ」

>……しかしなんだか見合いをする二人の仲人のようになってしまった。

>しかし、そんな話をここでしていいのだろうか。

古泉「ええ、まあ。この鶴屋邸はほぼ絶対と言っていいでしょう。
   外部からの通信機を用いた盗聴は不可能ですから」

>そうなのか。というかなぜ一樹がそんなことを知っているのだろうか。

古泉「すみません。これはあまり人前で話すことでは是とされません。
   特に、この屋敷内では。お許しを」

古泉「ですが、ただ知っている、とだけ」

>ああ。わかった。

古泉「ありがとうございます」

古泉「……番長氏が」

>なんだろうか。

古泉「いえ、もし番長氏が来なかったらこのようなことになっていないと思いましてね」

みくる「それは、そうですねぇ」

>……? 特に何もしていないが。

古泉「そんなことはありません。
   番長氏が来てからというもののSOS団内の人間模様は少なからず変化しています」

古泉「番長氏の言葉を借りるのでしたら『絆が強まっている』というべきでしょうか」

>絆が強まっているのは自分も感じると伝えた。

みくる「ふふ。番長くんがそういうならそうなんでしょうね」

古泉「……涼宮さんが望んでいたことは、これかもしれませんね」

>どうした?

古泉「ずっと、なぜ番長氏が呼ばれたのか考えていたのですよ」

みくる「……?」

古泉「僕ははじめ、『何か面白い能力を持った異世界人に会いたい』だけだと思っていました」

>そうじゃないのか?

古泉「いえ、それならば入学式の当日や僕が転校してきた時期に同じくして呼ばれているでしょうし、
   何よりも番長氏でなくともよいのです。お話を伺う限り、ペルソナ能力が使えるのは番長氏だけではないのでしょう?」

みくる「そういえば……そうですね」

古泉「ですが、涼宮さんは今、このタイミングで番長氏をここへ呼びました」

古泉「それはなぜか」

>分かったのか?

古泉「ええ。といっても仮説の域をでませんが」

みくる「どういうことなんですか?」

古泉「番長氏には以前にもお話したと思いますが、
   涼宮さんは『今』が容易く崩れてしまうのではないかと危惧しています」

古泉「それは、朝比奈さんが僕たちより一足先に卒業してしまうことや、
   誰かが突然転校してしまうことだってあり得るかもしれない、と考えているのではないかと思います」

古泉「実際、涼宮さんと彼のクラスでは突然カナダへ留学してしまった方がいますからね。
   涼宮さんはその可能性を身近に感じているわけです」

>なるほど、そうなのか。

古泉「ふふ、ネタばらしをするとその留学してしまった生徒は、長門さんと母体を同じくしたTFEI端末であり
   独断専行し暴走した結果、長門さんに消滅させられてしまったので、カナダへ引っ越し扱いになったのですがね」

>……なかなか、有希も苦労人のようだ。

古泉「まあ、そこはどうでもいいのです。とにかく誰かが引っ越してしまう可能性を感じているというところが重要なのです」

古泉「そして、今僕たちはあと数か月で2年生へ、朝比奈さんは3年生へと進級します。
   もし、引っ越しをするのであればおそらくこのタイミングとなるでしょう」

古泉「ですから、涼宮さんの周辺の絆を今まで以上に深めてくれる人物を、たとえ離ればなれになったとしても
    この関係を続かせてくれるような人物を望んでいたのではないでしょうか」

>それが、自分というわけか?

古泉「ええ。番長氏は絆の力を、他人との繋がりを強く感じることができますから」

みくる「たしかに、そうかもしれませんね」

古泉「もしかしたら、なにかそれに近しいことを涼宮さんから言われたことはありませんか?」

>ハルヒから? 特にないと思うが……。

>……いや、ひとつだけある。

古泉「なんでしょう」

>もし自分が早めに転校してきていたときの映画での配役についてだ。

>『例えば、異世界からやってきたいろんなパワーを使い分ける超助っ人キャラとかね』。

古泉「なるほど、助っ人ですか。皆を絆の力で繋ぎとめる助っ人、ふふ。
   たしかに、『今のSOS団』の関係から抜け出すには番長氏は必要でしたでしょう」

古泉「本当に、さすが涼宮さんですね。これ以上ない人選だと僕は感じていますよ」

みくる「そうですね……今まさに、古泉くんとあたしの関係はほんの少しですが変わりましたし」

古泉「おそらくですが、長門さんが僕に進言したのも番長氏の影響が少なからずあると思います」

>そうか。役に立てているのなら何よりだ。

古泉「何より、番長氏は聡いお方だ。おかげで僕のケアも最小限で収まっている」

>そんなことはない。

古泉「いえ、本当ですよ。
   例をあげるのでしたら、なにも言わずとも涼宮さんに、自身が異世界人であることを告げず、
   僕たちの正体を涼宮さんに言わなかったではないですか」

みくる「そういえば、そうですね……」

>それは一樹がハルヒの心情を『そうであってほしい、でもそんなはずはないと思っている』と言っていた。

>そこからなんとなく、一樹たちが正体をハルヒに話していないだろうと思い、自分もそれに倣っただけだと伝えた。

>それに、ハルヒに自己紹介をしたときは鶴屋さんがいたこともあって、異世界人だと称したら明らかに頭のおかしいやつになってしまうと判断したにすぎない。

古泉「ええ、そこです。その洞察力、判断力、冷静さ、どれをとっても素晴らしいの一言に尽きます」

みくる「番長くん、そういえばこちらに来た直後も冷静でしたね」

古泉「ええ。そして何より、番長氏の言葉は僕、いえ、僕たちといった方がいいでしょうね。
   言葉の一つ一つが心に直接響いてくるようだ。本当に不思議なお方です」

みくる「そうですね。番長くんの言葉は、しっかりとあたしたちを見てくれている気がします」

>どう考えても過大評価だろう……。

古泉「ふふ、いいのですよ。僕たちがそう思いたいだけかもしれませんし」

みくる「だからといって、番長くんが何をしたからといって失望もしませんよ?
    番長くんとはまだ知り合って、数日なんですから。いいところも嫌なところもこれからいっぱい知っていけばいいと思うんです。
    それにあたしたちが勝手に期待をかけて、勝手に失望することほど失礼なことはありませんからね」

古泉「ええ、その通りです」

>2人はにこやかに笑っている。

>随分と大人な対応だ。

>しかし、さきほどから話を聞いているうちに一つの疑問が頭をもたげてきた。

古泉「何でしょう? 僕に答えられることでしたらお答えしますが」

みくる「ええ、あたしも答えられる範囲で答えますよ?」

>いや、むしろこれは2人にしか答えられないだろう。

古泉「それでしたら、どうぞ」

みくる「はい、なんですか?」

>一樹とみくるは、いったい本当は何歳なんだろうか?

古泉「……ふふ」

みくる「……ふふっ」

>2人は何かお互いに目配せすると、こちらに微笑みを浮かべ口を開いた。

みくる・古泉「「禁則事項です」」

また後ほど

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……


ガラッ

鶴屋「はいはーい、こっちねっ」

ハルヒ「おっ待たせぇ!」

キョン「ここに来るのも久々だな」

>ハルヒ、キョン、有希が鶴屋に連れられて部屋へやってきた。

>よくみるとハルヒが私服になっている。

鶴屋「荷物適当に置いていいからねっ」

ハルヒ「そうさせてもらうわ」

>どこに行ってたんだ?

ハルヒ「ちょっとエプロン取りに帰ってたのよ。
    制服にいろいろ付くのも嫌だったから着替えてきちゃった」

キョン「俺と長門はそれに付き合って涼宮邸まで行軍してたわけさ」

>なるほど。

ハルヒ「ってことで、はい。番長くんも使うかなと思って」

>鞄から大きめのエプロンをとりだし手渡してきた。

>ああ。ありがとう。

まだ3日しか開いてないだろ……
>>1が残りレス数気にしてるんだし、三週間目処の保守以外は黙ってようぜ

ハルヒ「さてっ! 揃ったところではじめましょか!」

鶴屋「おっ、ハルにゃんやる気だねぇっ」

ハルヒ「準備はいい? 番長くん?」

>自分は構わないが、ハルヒは来たばかりで疲れていないのだろうか。

ハルヒ「ふっふっふ、敵に情けを掛けると足を掬われるわよ?」

>そういうわけではないのだが……。

キョン「ハルヒは体力に関しては、そこらへんの野郎の数倍あるからな」

>なんと。華奢な身体からは想像がつかない。

キョン「そこかしこの運動部から勧誘がひっきりなしに来るレベルだ」

ハルヒ「そういえば、今もたまに助っ人依頼くるわね」

キョン「文化祭で派手にかましたから、助っ人やってくれると思ってるんだろうよ」

ハルヒ「あれは仕方なくよ、仕方なく。
    だからあたし個人への助っ人依頼は断ってるわ、SOS団に依頼するならともかくね」

>……?

古泉「涼宮さんは、文化祭のときに軽音楽部の代役としてギターとボーカルをやったのですよ」

>そういえば、有希がギターを弾けると言っていたが。

ハルヒ「そ。そのときに知ったの」

鶴屋「あれ見らんなかったんだよねっ、ちょっと悔しいかなっ」

みくる「あ、あたしもクラスの出し物で見られなかったんですよねぇ」

>>907
>ハルヒ、キョン、有希が鶴屋に連れられて部屋へやってきた。

鶴屋さん、ね

>有希も助っ人に志願したのか?

長門「違う」

ハルヒ「有希はあたしがお願いしたの。そのバンドのギターとボーカルが急に出られなくなったのよ。
    それで困っているのを見かけたから、その、手を挙げたんだけど……。
    歌はともかく、ギターは1時間じゃととても覚えられなくって」

ハルヒ「古泉くんとキョンはガールズバンドだから真っ先に却下」

ハルヒ「みくるちゃんは、とても楽器はできそうにないし」

みくる「あ、あはは……」

ハルヒ「それで有希には正直ダメ元でお願いしたんだけどね。そしたらすっごいんだから。
    そのバンドのオリジナルソングだから、譜面とか有希もあたしも完全に初見よ。
    それを楽譜を見ただけで完璧に弾きこなしたんだから、驚愕の一言に尽きるわ」

>……なるほど。

>言葉には出さないが、有希ならあっさりやってのけそうだ。

>有希は、すごいな。

長門「そう」

ハルヒ「ま、そんなことはあとでもいいのよ。あたしはいつだっていいわ」

>それなら、キッチンへ行こう。

鶴屋「じゃあ、案内するよっ」

キョン「俺らはなにかすることあるか?」

ハルヒ「あんた達は、お腹を空かせておくこと! いいわね?」

古泉「ふふ、かしこまりました」

みくる「はぁい」

――調理場。

鶴屋「ここだよっ!」

>鶴屋さんに案内されてきた場所は、キッチンというより調理場だ。

ハルヒ「へぇ、さっすが鶴ちゃんちのキッチンね。おっきいわ」

>2人程度ならかなり余裕を持って調理ができそうだ。

鶴屋「コンロは6口あるから好きに使ってねっ。
   あ、一応ご飯を炊く用のカマドとかもあるけど使ったりするっかなっ?」

>いや、自分は使う予定はない。

ハルヒ「鶴ちゃんの家っていっつもカマドで炊いたご飯で食べるの?」

>ハルヒは目を見開いて驚いている。

鶴屋「にゃははっ! そんなわけないっさ!
   もちろん普段は炊飯器で炊いてるけど、使えるには使えるよってことっさ」

ハルヒ「へぇ……どっちにしてもすごいわね」

鶴屋「で、調理器具はここに並べてあるからねっ」

>特設したのであろう、この調理場には不似合いなテーブルの上に多くの調理器具が並べてある。

鶴屋「包丁も鍋もフライパンも、大体のものはあるから遠慮なく使ってほしいっさ!」

ハルヒ「これだけあるとどれ使っていいか逆に悩んじゃうわね……」

>出刃包丁、柳刃包丁、中華包丁、よくみれば蛸引き包丁やフグ引き包丁までもある……。

鶴屋「お、それだけ包丁が分かるってさすがだねっ」

ハルヒ「鶴ちゃん。準備するのはいいけど、あたしらフグの調理免許なんて持ってないわよ……?」

鶴屋「にゃははっ! わかってるっさ! 遊び心ってやつだねっ!」

>>911
一応急ぎ足で終わらないようにはするけどだらだら続けたくないって意味だから
終わらんかったら次スレ行く

>しかし、これだけの準備大変だったのではないだろうか。

ハルヒ「そうね。普段使わないようなものもあるでしょうし。
    ここは腕によりをかけて作らなくちゃ悪いわ」

>ああ、期待に沿えるように頑張ろう。

鶴屋「お、そう思ってくれるなら主催冥利に尽きるねっ」

鶴屋「じゃあ、さっそく欲しい食材を言ってくれるっかな」

>もしかして鶴屋さんが買いに行くのだろうか。

鶴屋「違う違うっ。いわゆる宅配サービスってやつだねっ」

ハルヒ「なるほどね、なら遠慮しなくていいかしら」

鶴屋「うんっ。じゃんじゃん、いっちゃってよっ!」

ハルヒ「ね、番長くん」

>なんだろうか。

ハルヒ「昨日みたいに被ったら、さすがに面白くないわ」

>それもそうか。

ハルヒ「だから、ここは何作るか教え合わない?
    あたし一応3つくらい考えているから」

>自分もいくつか考えてあると伝えた。

なんか途中ですごく重くなったんでまた後で書く

ハルヒ「ん、用意がいいわね」

鶴屋「何を作るのっかな?」

>自分の作る料理の第一候補は……フランス料理だ。

ハルヒ「フランス料理?」

>と言っても高級フレンチではなく、家庭料理の方だが。

ハルヒ「ふぅん……でも、なるほどね」

>なんとなくこちらの意図を察したようだ。

>ハルヒは?

ハルヒ「あたしは、ジャンルでいうならイタリア料理かな。
    フランス料理も考えたんだけどね」

ハルヒ「もちろん、番長くんと同じく家庭料理の方」

>イタリア料理……なるほど。

鶴屋「そのチョイスは、もしかしてあたしたちを気遣ってくれてるのかなっ?」

>鶴屋さんも察したようだ。

ハルヒ「ま、一応ね」

鶴屋「おにぎりのときといい、心遣い痛み入るねぇっ」

ハルヒ「食器は――困りそうにないわね」

>ああ、調理器具も特に困ることはないだろう。

鶴屋「そこにあるオーブンとかも使っていいからねっ。
   オーブンは一個で申し訳ないんだけどさっ」

>かなり豪勢なオーブンが備え付けられている。

ハルヒ「ま、使うなら順番に使えば問題ないでしょ」

>ああ。

鶴屋「じゃあ、何使うか教えてくれるっかな?」

>使う食材を鶴屋さんに伝えた。

鶴屋「ふんふん、なるほどねっ」

>さらさら、とメモ書きしていく。

>こういう機会でないと、作れないものを作ってみようと思う。

鶴屋「にゃははっ、そだねっ!」

ハルヒ「確かに、あたし達じゃ入手難しいかもしれないわね」

>特に珍しいものではないが、なかなか機会がなかった。

鶴屋「じゃ、ハルにゃんはなにつかうのっかなっ?」

ハルヒ「あたしは――」

>ハルヒに言われたものもメモ書きし、鶴屋さんは電話を掛けに調理場から出ていった。

ハルヒ「ふう、食材が来るまでちょっと暇ね」

>ハルヒと雑談をするいい機会だ。

ハルヒ「あたしと雑談?」

>ああ。一樹たちとはハルヒが部室に来る前や帰り際に話していたりするんだが、ハルヒとはあまりないと思って。

ハルヒ「そういえば、こうやって話すことってあんまりしなかったわね。
    そもそも1対1で話すってことを、あたしがあんまりしないからかしら」

>それは他のSOS団員でも?

ハルヒ「あー、でもキョンとは時々あった…かな? 不本意ながらね」

ハルヒ「でも別段1対1で話すことを避けてるってわけじゃないのよ? たまたまそうなっているだけであって。
    ま、いい機会ね。もしなにか聞きたいことあったら答えるわ」

>聞きたいこと……そうだな。

>ハルヒは、どうして料理ができるんだ?

ハルヒ「どうしてって、特別な理由なんてないわよ?
    ただ、あたしの母親が料理下手で、あたしが代わりにやっていたら
    いつの間にかできるようになったってところかしら」

ハルヒ「番長くんは? なんで料理ができるの?」

>なんで、と言われてもハルヒと同じく大した理由ではないのだが。
    
ハルヒ「珍しいわよね。この歳の男の子でここまでできるのって。
    もしかして実家が料理関係の仕事とか?」

>いや、両親は普通の会社員だ。

ハルヒ「なら、どうして?」

>最初のきっかけは、気まぐれに弁当を作ったことだったと思う。

>それを、友人に振る舞ったら「おいしい」と言ってくれてな。

ハルヒ「へぇ、最初から上手だったんだ」

>いや、そんなことはない。基本的な調理法を知っていただけで
 今と比べれば、話にならないようなレベルだ。

>だけど、「おいしい」といってくれた、その一言が嬉しかった。たとえお世辞だったとしても。

ハルヒ「ふふっ、わかるわ」

>そこからだ。料理をするようになったのは。

>工夫をしてみてどうやったらよりおいしくなるのかを調べたりした。
 ……時にはわざとレシピから外してみた結果、魚の餌にしかならないようなこともあった。

ハルヒ「あははっ、あたしもやったわ! 自称中級者にありがちな罠よね!」

>どうやらハルヒも同じような失敗をしたことがあるようだ。

>そんなことを繰り返しながら、友人や従妹に食べてもらううちに上達していった。
 それがひとつの趣味のようなものになって、今に至るというわけだ。

ハルヒ「そうね、誰かに食べてもらうってことは重要。
    正直言って自分で食べても大体の『おいしい』『まずい』は分かるけど、本当に繊細な部分って気づかないことが多いわ。
    感想を聞いてからはっとすることも少なくないのよね」

>ああ。だから自分は環境に恵まれていたと思う。

>自分の作った料理を嫌な顔をせず食べてくれ、感想を気兼ねなく言ってくれる友人がいたからな。

ハルヒ「へぇ、番長くんの友達かぁ……」

>ハルヒは、友達に食べてもらうことはなかったのか?

ハルヒ「基本は親だけね。
    キョン達には、クリスマスにやった鍋パーティとこの間のおにぎりくらいかしら」

>それだけの料理の腕があるのなら振るってやれば喜ぶと思う。

ハルヒ「うーん……それもいいんだけどね。
    あたしも料理するのは嫌いじゃないし、食べておいしいって言ってもらえるのは素直に嬉しいし」

ハルヒ「それに有希なんか1人暮らしだから、ろくなもの食べていない気がするしね」

>ならば、なぜ?

ハルヒ「でも、料理ってどうしても好みがあるじゃない?」

>ああ。

ハルヒ「団長として恥ずかしい話だけど、みんなの好みを正確に把握してないのよ。
    番長くんはきっと、友達の好みを把握してたんじゃない?」

>そうだな。ある程度は把握していた。

ハルヒ「でしょ。あたしが把握してる好みなんて親とかその程度」

ハルヒ「どんなにあたしが『美味しいもの作った!』と思っても食べる人がそれを苦手なら全部無意味だわ」

ハルヒ「もし苦手なものを弁当として押しつけられた昼食なんか最悪の部類に入ると思うのよ」

>それは確かに言えるだろう。

ハルヒ「だから好みのわからないうちは、そう言ういうとこにはあまり手を出せないのよね」

>なるほど。

ハルヒ「その証拠にあたしが披露した料理っていうのは鍋だったりおにぎりだったり、
    自分で食べたいものを限定的ながら選べるようにしてるのよ」

ハルヒ「ま、番長くんも同じようなこと思ってたみたいだけどね」

>ニッ、とこちらに笑顔を向けてくる。

ハルヒ「正直この料理勝負は楽しみなのよ。みんなの好み把握できるからね」

>前回の勝負では各々の苦手なものは見つかったか?

ハルヒ「んー、好む味の傾向は何となくつかめたけど、苦手なものっていうとわからないわ。
    みんなよく食べてくれるから。それはそれで当然嬉しいんだけど」

>そうか、わかるといいな。

ハルヒ「ええ」

ハルヒ「でも、楽しみっていうのはそれだけじゃないのよ」

>というと?

ハルヒ「もちろん番長くんとの勝負に決まってるじゃない!」

ハルヒ「こんなに張り合いのあるライバルが現れるなんて思ってもみなかったわ。
    ここまで燃えるのは久々ね」

>ハルヒに料理のライバルとして見られているようだ。

ハルヒ「負けないわよ?」

>ハルヒから、好敵手としての友情を感じる……。

>ハルヒとまた少し仲良くなれたようだ。

てす

あ、やっと書きこめた

ハルヒ「――他に何か聞きたいことはあるかしら?」

>聞きたいこと……。

鶴屋「おっまたせー!」

>鶴屋さんがパタパタと鳴らしながら戻ってきた。

ハルヒ「え、もう届いたのかしら」

鶴屋「まっさかー! あと20分か30分ってところだねっ」

>それでも随分早い。

鶴屋「そこまで珍しい食材ってなかったからねっ」

ハルヒ「それにしても、便利ねぇ」

鶴屋「ところで、なに話してたのっかなっ?」

ハルヒ「ただの雑談よ。ちょっと番長くんになんで料理ができるか聞いてみてただけね」

鶴屋「おっ、それはあたしも興味あるぞっ」

>ハルヒに話したことと同じようなことを鶴屋さんにも伝えた。

鶴屋「なるほどねぇ。いい友達もったんだねっ」

ハルヒ「番長くんの友達……どんな人がいたのか聞いてみたいわ」

>話してもいいのだが……。

ハルヒ「ん? どうしたの?」

>いや、キョン達も聞きたいと言っていたから食事時に話そうと思っていたと伝えた。

>今話してもいいのだが、ハルヒと鶴屋さんは同じことを聞くことになるだろうから退屈になってしまうのでは。

ハルヒ「なるほどね」

鶴屋「あたしは別に何度聞いてもいいんだけどねっ」

ハルヒ「あたしも構わないわ。でも、番長くんがそうすると2度手間ね。
    だから、あたしもキョン達と一緒でいいわ」

鶴屋「あたしもそれで構わないっさ。お楽しみを後に取っておくのも一興一興っ!」

>そうか。

ハルヒ「それにしてもキョン達とすっかり仲良くなっているわよね。
    この短期間でそこまで他人に接近できる人を見るのは鶴ちゃん以来だわ」

鶴屋「ありがとっ。確かに番長くんは仲良くなるの早いよねっ。
   特にあのキョンくんとここまで早く仲良くなれるのはビックリだっ」

ハルヒ「ええ。本当にね」

>ハルヒが先に帰っている日はみんなで一緒に帰っているからな。

ハルヒ「へぇ、そうなの」

鶴屋「番長くん、ウチのクラスでも結構人気者なんだっ。
   わけへだてなく接しているからかなっ」

>クラスのみんながいい人なだけだ。

鶴屋「うーん、それだけじゃないと思うけどねっ」

ハルヒ「どういうこと?」

鶴屋「番長くん、こんなふうにロックに制服着てるけど、勉強の方もできるみたいでさっ。
   結構みんな番長くんに聞きに来てたりするんだなっ」

ハルヒ「番長くんの前の学校は進度でも違ったのかしら」

>ほとんど同じようなものだ。

>ほんの少しだけ自分たちの学校の方が進んでいたかもしれないが。

鶴屋「それでも誰かに教えられるっていうのはすごいことだと思うなっ!」

ハルヒ「ふう、さすがね。あたしは別に勉強に関しては困ってはいないんだけど、
    ウチの不肖の団員に勉強方法教えてあげてほしいわ。コツでもあるのかしら」

>雨の日は特に集中できる。

>それに誰かと一緒だと仲を深めることもできて一石二鳥だ。

ハルヒ「雨の日ねぇ……」

>ただ、人数が多すぎては勉強にならない。2人くらいがちょうどいいだろう。

ハルヒ「なるほどね」

鶴屋「でも、そんなに勉強教えなきゃいけない人ってSOS団にいたっかなー」

>一樹は『真面目な転校生のイメージ』と言っていた手前、勉学で綻びを見せることはないだろう。

>みくるは、どうなのだろう。

>過去の言語体系、特に英語は海外過去言語は、こちら――現代でいえば大学レベルの専攻に相当する。

>数学や物理化学といった普遍的分野はともかく、現代政治経済や歴史学は……未来人からすれば案外厳しいかもしれない。

>しかしみくるの使命は、学校で好成績をとることではない。未来の何かしらの概念的ツールを使えばカンニングも容易いだろう。

>それに極端に悪い成績やいい成績をとって悪目立ちする必要も感じられない。おそらくだが、調整している気がする。

>有希はそれこそ問題ないだろう。全教科で満点をたたき出す気がする。若干不安といえば、現国の分野くらいだろうか。

>しかし物理や化学で現代科学の及ばぬ解答をも導き出しそうな気もするが、騒ぎもないところを見ると有希も抑えているらしい。

>それに、いざとなれば情報操作をすればいいだけの話だ。

>と、なると必然的に残るのは……。

ハルヒ「キョンよ、キョン。SOS団で成績悪いのはキョンだけなんだからっ!」

>ハルヒは、悪くなさそうだな。

ハルヒ「学校のテストなんて、ただのパターンなんだから授業流し聞きしてれば点数とれるわよ」

ハルヒ「別に、極端にいい成績をとれって言ってるわけじゃないのよ。
    ただ、補習でも喰らってSOS団の活動に支障をきたすようなことは許さないんだから」

>キョンもそこまで悪いようには見えないのだが……。

ハルヒ「あたしだって、キョンの頭が悪いとは思わないわよ。
    でもキョンの場合はやる気がなさすぎるの」

鶴屋「あははっ! キョンくんの場合そうかもねっ!」

ハルヒ「やればできる、はやらないと意味がないのよ」

ハルヒ「いずれ、あたしが強勢的にやらせないとだめかもしれないわね」

>ふん、とハルヒは鼻を鳴らしている。

鶴屋「お、ハルにゃんのマンツーマン指導かいっ?」

ハルヒ「……不本意ながらね」

鶴屋「くふっ。そっかそっか! それなら成績アップもうけあいだねっ!」

>先ほども言ったが2人で勉強することは非常にいいと思う。

>仲も今まで以上に深まるだろう。

ハルヒ「……言っておくけど他意はないわよ?」

鶴屋「わかってるっさ!
   ただキョンくんは幸せ者だっ」

ハルヒ「ま、それに団員の不始末は団長であるあたしの責任でもあるし。
    それこそSOS団の活動を成績悪化の理由にされたらたまらないわ」

ハルヒ「だからあたしが面倒見なくちゃね」

>キョンは随分とハルヒに気にかけられているようだ。

>ハルヒと鶴屋さんとしばらく雑談をして過ごした。

……


鶴屋「おっ待たせっ! はい、これ頼まれた食材!!」

>鶴屋さんの持ってきたダンボールの中には自分たちが頼んだ食材が詰まっている。

ハルヒ「ええ、ありがと。ごめんね、桃なんてちょっと旬じゃないからもしかしてムリさせたかしら?」

鶴屋「大丈夫っさ! でも桃なんて何に使うんだい?
   ハルにゃんイタリア料理作るんだよね?」

ハルヒ「ふふ、それはお楽しみよ。完成を待っててちょうだい」

鶴屋「ん、無粋なこと聞いてたねっ。あたしは自室に引っ込んでることにするよっ。
   わからないことあったら訊きに来てっ!」

>ああ。

鶴屋「じゃ、楽しみに待ってるからっ」

>鶴屋さんは調理場から出ていった。

ハルヒ「じゃ、始めましょうか。負けないからね」

>ああ、全力でやろう。

ハルヒ「ね、番長くん」

>なんだろうか。

ハルヒ「前に合作したいって言ってたじゃない?」

>ああ。

ハルヒ「もちろんこれは勝負だけど、こういうことしてみない?――」

――


古泉「楽しみですね」

キョン「ん、まぁな」

みくる「どんな料理が出てくるんでしょうかねぇ」

キョン「ハルヒと番長ですから、まかり間違ってもまずいものはでてこないでしょうね」

キョン「しかし、料理ができるまでは暇だな」

古泉「そうですね。何を作るかわかりませんが最低限2時間弱程度は見ておいた方がいいでしょう」

キョン「ま、そのころにはいい具合に空腹になっているだろうし構わんのだが……
    どうやって時間つぶしをしたものか」

古泉「トランプ程度なら持っていますが、おやりになられますか?」

キョン「何で持ち歩いてるんだお前は……」

古泉「こうなるであろうことを見越していただけですよ。さすがに普段は持ち歩いていません」

キョン「ならそれでいい。
    朝比奈さんやりますか?」

みくる「じゃあ、入れてもらおうかな」

キョン「長門、一緒にやってくれると助かる」

長門「わかった」

キョン「最初はババ抜きあたりでいいだろ。結構な長丁場になるだろうしな」

みくる「はぁい」

長門「……」

キョン「ほれ、配り終わったぞ」

古泉「このメンバーというのも久しぶりですね」

キョン「そういえば、そうだな」

みくる「番長くんが来てからは、大体番長くんがいましたからね」

キョン「だが、このメンバーで話すときはろくでもないことが起こっているときか
    これからろくでもないことが起こる前触れでしかない気がするぞ」

古泉「そうですか?」

キョン「終わらん夏休みのときやら映画撮影で世界がおかしくなりそうになったときやら……」

みくる「ふふっ、それもそうですね」

キョン「これから、ろくでもないことが起こらなければいいんですがね、と。
    うし、揃った」

古泉「おや、調子が良さそうですね。ふむ、僕はついていないようです。
   どうぞ、朝比奈さん」

みくる「はぁい。えへ、揃っちゃいました」

みくる「はい、長門さんどうぞ」

長門「……」

キョン「長門はそろわなかったみたいだな」

キョン「ところで、古泉」

古泉「なんでしょう」

キョン「朝比奈さんとなにかあったのか?」

古泉「どうしてそう思われるのです?」

キョン「いや、俺の気のせいならそれでいいのだが。
    なんというか、朝比奈さんにかける声がいつもと違ったように感じたんでな」

キョン「それに朝比奈さんもなんだか喉に閊えたトゲがとれたような顔をしていますし」

みくる「そ、そんな顔してますか、あたし……?」

古泉「いえ、いつもと同じく麗しいお顔ですよ。
   もし何かあるのでしたら彼の観察眼が優れているというだけです」

みくる「そ、そうですか……?」

キョン「まさか、付き合い始めたとかじゃないよな」

みくる「ち、違いますよぉ」

古泉「残念ながら、不正解ですね」

キョン「不正解ということは、何かあったことは確かなんだな」

古泉「ふふ、どうでしょうね」

キョン「ま、何があろうと構わないが悪いことじゃなさそうならいいさ」

古泉「そうですね、何かいいことがあったといえば現状がそうでしょうか」

キョン「もう少し具体的に言ってくれ。この料理対決のことか?」

古泉「ええ。そうですね。
   僕が娯楽を用意しなくともいいですから。気が楽なものです」

みくる「古泉くん、いつもいろいろと準備してくれますからね」

長門「……」

キョン「確かに古泉はハルヒのことで四六時中気を揉んでるからな。
    お、上がりだ」

古泉「それに、わかったこともありますからね」

キョン「その分かったこととやらはなんだ」

古泉「涼宮さんに必要なものはやはりどちらかというと、馴れ合いより張り合いです。
   孤島での推理然り、野球大会然り、この料理対決然り、といった具合ですね」

キョン「そんなものとっくにわかっていたと思ったんだがな」

古泉「おや、そうですか?」

キョン「……なんだその含み笑いは」

古泉「お気になさらず。ただ、涼宮さんと付き合う方は苦労なさると思いまして。
   ただ一緒にいるだけでいいというわけにもいかないと思いますのでね」

キョン「……ああ、そうかい。訊いた俺が馬鹿だったよ」

みくる「あがりましたぁ」

長門「……」

古泉「長門さんもあがりですか。僕がビリのようですね」

キョン「自慢のポーカーフェイスもババ抜きじゃあまり役に立たんようだな」

古泉「では、ポーカーでもしますか?」

キョン「できれば他のにしてくれ。
    この間番長ともやったし、何より運否天賦のゲームなら賭けないと張り合いがないだろう。
    ハルヒじゃないがな」

みくる「あ、あたしは何でもいいですよ……?」

長門「わたしも何でも構わない」

古泉「ふむ。たしかに朝比奈さんと長門さんを賭けに巻き込むのは忍びないですね。
   では、大貧民などいかがですか? 戦略性もあるので楽しめるかと」

キョン「ああ、それで構わん」

ガラッ
鶴屋「やっほーい」

みくる「あ、鶴屋さん」

鶴屋「お、なになにっ、トランプかいっ?」

キョン「ええ。大貧民をやる予定です。やりますか?」

鶴屋「やるやるっ!」

古泉「素晴らしいタイミングです。ちょうど5人できれいに分かれますね」

みくる「涼宮さんと番長くんはどうしたんですか?」

鶴屋「ついさっき食材が届いたからねっ。それ渡してきたからもう調理開始してるんじゃないっかなー」

キョン「あの2人はなにを作るかわかりますか?」

鶴屋「残念ながら、あたしも教えてもらってないっさ!」

キョン「そうなんですか。食材の調達のためにてっきり教えてもらったのかと」

鶴屋「ジャンルだけは教えてもらったけどねっ! 具体的に何を作るかは全然聞いてないんだっ!
   ただハルにゃんはイタリア家庭料理、番長くんはフランス家庭料理って言ってたかな?」

古泉「イタリア料理に、フランス料理ですか。これまた何ともお2人とも思考が似通っているようですね」

キョン「確かにヨーロッパという点では同じかもしれないが」

古泉「いえ、それだけではありません。
   そもそもフランス料理の起源はイタリア料理なのです」

みくる「へぇ、そうなんですかぁ」

鶴屋「さっすが古泉くんっ! 博識だねっ」

古泉「それに隣接している国家同士でもありますからね」

古泉「(個人的には番長氏の世界にもフランスがあることに驚きですが)」

キョン「フランス料理とイタリア料理って何となく似ていると思ったらそうなのか」

古泉「ええ、子羊の肉をメインに使った料理や牛肉の煮込み料理がある点なども似ておりますね」

キョン「しかし、フランス料理のイメージなんて大皿にちゃちい料理がちょん、と置かれているイメージなんだが」

古泉「ふふ。それはいわゆる高級フレンチのコース料理ですね。
   フランスの大衆料理は大皿に皿の底面が見えないほどしっかり料理がのって出てきますから」

キョン「家庭料理も似たようなものなのか?」

古泉「ええ、そうですね。
   あなたの想像している格式ばったフランス料理は出てこないでしょう」

キョン「ふう、それを聞いて安心したぜ。
    テーブルマナーなんて俺は知らねぇからな」

鶴屋「あははっ、この家で食べる分にはたとえ高級フレンチが出ても下品じゃなければ問題ないっさ!」

今から書くので最後にして次いく

キョン「しかし、イタリア料理ていうと、トマトとオリーブオイルをドバっと入れた料理ってイメージしかないな……」

古泉「ふふ、あながち間違いではないですからね。
   特に日本でイタリア料理というとそこを指すのでしょう」

みくる「日本では、ってことは本当は違うんですか?」

古泉「本当は、というよりそれがイタリア料理のすべてではないのですよ。
   日本で言われるイタリア料理は基本的にイタリア南部の料理のことが多いのです。
   ナポリが一番有名でしょうか」

キョン「南部ってことは場所によってやっぱり違うのか」

古泉「そうですね。日本でも北海道料理と沖縄料理で差異があるように、イタリアでも同じことが言えます」

古泉「イタリア北部では生クリームや牛乳、バターなど乳製品を使った料理が多いのです。
   世界的に有名なゴルゴンゾーラチーズもイタリア北部のミラノで生まれています」

古泉「そして中部では、乳製品とトマトベースのもの、両方です。
   ボロネーゼ、アラビアータ、カルボナーラがあたりが有名ですかね」

みくる「乳製品ですかぁ……どちらかというとフランスのイメージです。チーズとかは特に」

古泉「そうなんです。
   これはおそらくですが、日本でイタリア料理とフランス料理の差別化をしようとしたときに
   『イタリア料理はトマトベース』、『フランス料理は乳製品』としたイメージを先行させたのではないでしょうか」

古泉「実際、起源を同じとする料理ですので、とても似ていますからね。差別化に苦労したんでしょう」

キョン「先行させた、って誰がだ」

古泉「さあ、わかりません。これはただの僕の予想なので。
   どこかのレストランかもしれないし、どこかの企業かもしれません」

キョン「……なんだそりゃ」

みくる「ふふっ」

鶴屋「でも、ちょっと納得かなっ! そっちの方が分かりやすいしっ」

キョン「フランスは、なんつーかチーズもそうだがワインのイメージだな」

古泉「ええ、それは正しいですね。
   フランスを語る上でワインを抜いて語ることはできませんから」

キョン「別に、フランスについて語りたいとは思わんのだがな。
    俺の知ってるフランスなんざエッフェル塔、凱旋門、それとラ・マルセイエーズにトリコロールくらいなもんだ」

キョン「それに、第一未成年に酒の話を詳しくしろという方が無理あるぜ」

古泉「ふふ、そうかもしれませんね」

古泉「ですが、将来的に飲酒の可能性も往々にありますから知識のひとつやふたつつけておいても損はないと思いますよ?
   ウィットに富んだ会話のひとつでもすれば、意中の女性もあなたに落ちるかもしれません」

キョン「やかましい」

鶴屋「でさでさっ、ワインについてどんなはなしがるのっかなっ?」

キョン「話を戻すんですか、鶴屋さん」

鶴屋「だって気になるじゃないかっ! はいっ、あっがりー!」

みくる「わぁ、鶴屋さん大富豪ですねぇ」

鶴屋「わっはっは! あたし意外とこういうの強いにょろよ?」

キョン「(金持ちはゲームの世界でも金持ちなのですか……)」

長門「……あがり」

鶴屋「お、長門っちもやるねぇっ!」

>>966
>鶴屋「でさでさっ、ワインについてどんなはなしがるのっかなっ?」

話があるのかな、ね

キョン「富豪は長門か」

長門「そう」

キョン「……富豪といや、ワインはすげぇ高いものあるよな。何年物がどうとかで」

古泉「ええ。そうですね。ロマネ・コンティやクロ・パラントゥなどが有名でしょうか。
   1本100万円以上するものも少なくありません」

キョン「そこまで行くと酒じゃなくて、もはや金持ちの道楽だな」

古泉「クロパラントゥを造った方はワインの神と称されているくらいですからね」

キョン「ワインの神ねぇ……」

古泉「高額なワインは超がつくほどの一級品だけで、基本的には一般庶民にも手の届く価格ですよ」

古泉「フランスワインの産地といえば、ボルドーやブルゴーニュが有名です。
   ですが、フランスワインの文化は当然の如くフランス全土にわたっています」

古泉「そのワインと共に、フランス料理の歴史は紡がれてきたと言っても過言ではないでしょう。
   フランスワインを知ることはフランス料理を知ることにもつながるのです」

キョン「どっちにしても、俺には遠い世界の話だな」

古泉「それほど硬く考える必要はありません。要はワインを楽しめばいいのですよ。
   そうすれば自然とワインのことを知りたくなってくる、というわけです」

キョン「……いかにも飲んだことあるって発言だな。未成年だろ、お前」

古泉「おっと、これは失言でしたか」

鶴屋「くっくっくっ、古泉くん意外と悪い子だねぇっ!」

みくる「ふふ、そうですね」

古泉「これは涼宮さんにはご内密に。こんなことで我が団長に失望されるのはつらいですからね」

キョン「わーってるよ」

古泉「ええ、お願いします」

鶴屋「でも、あたしも親の飲んでるワインをちびっともらったことあるけど――」

キョン「鶴屋さんもあるんですか」

鶴屋「まぁねっ。でも、ありゃ大人の味だっ。まだあたしには早かったよっ」

鶴屋「すっぱかったり、シブかったり、甘かったり。なかなかに複雑な味わいだったかなっ。
   あたしは紅茶やコーヒーやお茶で十分だねっ」

キョン「鶴屋さんが早いっていうなら俺にも早いんだと思います。ん、上がりだ」

鶴屋「にゃははっ、お酒は20歳からだねっ」

みくる「お酒、ですかぁ……」

キョン「(未来のお酒はどうなっているんでしょうか、と聞いても教えてくれないんだろうな)」

みくる「ん? どうしたんですか?」

キョン「いえ、なんでもありません」

古泉「あがりです」

みくる「あ、ビリになっちゃいました」

鶴屋「みくるが大貧民かー……ふっふっふー、さあ、その身体をあたしに貢ぐがいいっ!」

みくる「ひぇっ!」

キョン「(美少女同士がじゃれ合ってる姿……眼福です)」

キョン「しかし、ハルヒも番長も災難だな」

みくる「どうしてですか?」

キョン「古泉みたいな、ワインかぶれがいるんじゃ、必然的に評価も厳しくなるだろう?」

キョン「特に番長は、フランス料理のジャンルなんだ。厳しいもんになるんじゃねぇかな」

古泉「ふふ、僕の舌はそれほど肥えていませんよ。
   番長氏が来るまでは基本的にレトルトやコンビニで買った弁当でしたからね」

古泉「それに、料理に関しては涼宮さんも番長氏も予測を上回ってくれます。
   これほどハズレを引く可能性のない料理対決もないでしょう」

キョン「ま、それはそうだかな」

鶴屋「じゃあ、2回戦といこうか!」

みくる「ひぇぇ……」

キョン「あぁ、鶴屋さん。朝比奈さんの身体で遊ぶのは満足しましたか」

鶴屋「人聞き悪いなぁっ! あたしは大富豪の権利を行使しただけっさ!」

みくる「だ、大貧民ってこんな罰ゲーム付きなんですかぁ……」

キョン「や、そんなゲームじゃないッス」

みくる「そ、そんなぁ……」

鶴屋「にゃははっ、ごめんよみくるっ! みくるがあんまりかわいいもんだからさっ!」

――


――調理場。

ハルヒ「ね、番長くん。味見してもらえない?」

>わかった。

ハルヒ「どう? しょっぱくない?」

>ん、大丈夫だ。

ハルヒ「ありがと、これであとは煮込めばこの料理は終わりね」

>ハルヒ、こっちも味見をしてほしい。

ハルヒ「ええ、構わないわよ」

ハルヒ「あむっ。んー、問題ないと思うわ。
    ちゃんとダシも出ているし、トマトが魚介の味を殺しているわけでもないし。
    いいバランスね」

>そうか。ありがとう。ハルヒのお墨付きが出れば大丈夫だろう。

ハルヒ「ふう、じゃあ、あとは煮込むだけね。それでも1時間くらいかかるかしら。
    他の料理も煮込み終わる20分くらい前になったら最後の仕上げね」

>それまでは、暇になるな。

ハルヒ「しかし、ここまで被るとはね……」

>メニューの作り方がほとんど一緒だった。

ハルヒ「でもまあ、キョン達もその方が評価しやすいでしょ」

>そうかもしれないな。

ハルヒ「かといって火をかけてるからこの場を離れるわけにもいかないし。
    話でもしながら時間つぶしましょうか」

>ああ。

ハルヒ「それにしても、ふふ。エプロンが変に似合うわね」

>そうか?

ハルヒ「ええ。ただ料理人って感じじゃないけどね。保父さんみたい」

>以前バイトで、学童保育の先生をやっていた名残かもしれない。

ハルヒ「へぇ、番長くんそんなバイトもしてたんだ」

>バイトはいろいろなことをした。病院清掃、学童保育、家庭教師、封筒張り、通訳……。

ハルヒ「どれだけバイトしてたのよ……」

>目につくものに手を出していたらつい……。

>だが、おかげで学内では絶対に知りあえなかった人々とも出会えた。

ハルヒ「番長くんのその落ち着きというか、大人っぽさって人生経験からくるものかしらね。
    キョンが来年の今頃、番長くんみたいになってるとは思えないわ」

>ハルヒと同じことをキョンも言っていた。

ハルヒ「キョンが?」

>似た者同士だな。

ハルヒ「な、何言ってるのよ」

>だが、キョンが自分のようになる必要はないと思う。

>キョンが自分のようになってしまったらそれはもうキョンではないだろう?

ハルヒ「そうね。キョンはキョンなりに自己を伸ばしていけばいいと思うわ。
    それがキョンのためになると思うからね」

>キョンに直接言ってやったらどうだ? 喜ぶと思うぞ。

ハルヒ「ダメよ。そんなこと言ったら調子にのるんだから」

>そうか。

ハルヒ「ね、バイト先で不思議エピソードってないの?」

>不思議エピソードは、そうだな……。
 病院清掃していたときに不思議な視線を感じたことくらいだろうか。

ハルヒ「なかなかオカルトチックね」

>行くたびに視線を感じるのだが、結局視線や気配を感じるだけで何も起こらなかったな。

ハルヒ「なぁんだ、幽霊のひとつでも目撃しているかと思ったのに」

>幽霊は見なかったが、死神は見た。

ハルヒ「なにそれなにそれ!」

>ハルヒは目を輝かせている。

>残念ながら、自称、だったがな。

ハルヒ「なぁんだ、つまり人だったのね」

>ああ。何度か話したが、普通の人だった。

ハルヒ「ね。どんな人だったの? 死神を自称する人なんてあまり見ないわよね」

>はじめて出会ったのは、病院清掃をしていた夜の病院の廊下だ。

>誰かいると思い、そちらに目を向けると喪服を着たおばあさんだった。

ハルヒ「へぇ……不気味ね……」

>そして『知り合いに似ている』『また会うかもしれない』と言い残して自分の前から去っていった。

>ある日、川原に行くと同じように喪服を着て佇んでいる老婆がいた。

ハルヒ「……川原で喪服、ね」

>その老婆は、夫の死を悼んでいた。そしてその夫が自分に似ているとも言っていた。

>そして『自分は死神だ』と。

>ハルヒは、死神とはどういう存在だと思う?

ハルヒ「死神……? 命を刈り取るような存在かしら?」

>その人は、『死神は死んだ人を神様の元へ届ける存在だ』と言っていた。

>そして『死神は家族や神様の元へ向かう人には味方だ』とも言っていた。

ハルヒ「そんな考え方もあるのね」

>だが、それは、残されたものの願いであるところが大きい。

>なぜ死んだのか、どうして死ななくてはならなかったのか、何か悪いことをしてしまったのか。

>だからこそ神様の元へ死神によって連れて行かれた。だから死んだのは仕方ない、と思い込みたいのだと。

ハルヒ「……つまりその自称死神さんは、自分のせいで自分の旦那さんが死んだと思っているの?」

>そう。夫の死を、自らが原因だと思い込もうとしていた。

ハルヒ「それって、直接手をかけたわけじゃないんでしょう? 恨んでいたの?」

>最後の最後まで愛していたのだと思う。

ハルヒ「なら、どうして?」

>お互いに愛して、愛して、どんな苦しみも2人であるなら幸せだと感じるような生活だったらしい。

>『幸せで泣きなくなるような日がくる』と自分に言うほどに。

>だけど、ある日夫が病に臥せってしまった。

>だが、老婆は夫に変わり、家計を支えるように働くようになる。

>それすらも苦だとはいっていなかった。ただ2人でいるだけでそれでいい。それだけだったのだろう。

ハルヒ「……幻想よ、そんなもの」

>ああ、かもしれないな。

>だけど、他人から見れば幻想でも本人たちにとっては現実に違いない。

>夫は病が進行するようになって、老婆に当たるようにもなっていった。

>しかし、どんなになっても最後まで添い遂げると決めていたらしい。それすらも苦であるとは感じなかった。

ハルヒ「なら……それが苦じゃないなら、その人が死を願う必要なんてないじゃない」

>忘れてしまったんだ。夫が、その老婆のことを。

ハルヒ「……! それって、アルツハイマーってこと?」

>ああ、そうだろうな。

ハルヒ「そう、なの……」

>昔の優しかったころと同じように、昔と同じしぐさで、妻である老婆を忘れたまま接してくる。

>毎日老婆のことを忘れ、毎日『誰?』と聞いたらしい。

>『私は夫にとって"知らない人"になってしまった』

>それが、これ以上なく辛かったのだろう。

>そして、『知らない人』に看取られて、夫は逝去したのだと言う。

ハルヒ「ん……辛いわね」

>夫が亡くなったときに思ったのは『これで終わった』だったそうだ。

>私が死を望んだから夫は、死んだ。

>だから私は死神なんだと。

ハルヒ「そんなの、そんなの。
    そう思うことが死神なら、人間なんて全部が死神じゃない……」

ハルヒ「普通のことよ……」

>ああ、その通りだ。

ハルヒ「!」

>だからこそ、老婆も自分のことを特別な死神だと思い込みたかったんだ。

>自分のことを忘れたまま、勝手に死んでいくなんて、認めたくなかった。

>せめて自分が望んだから。
 自分と夫が繋がっているからこそ、夫が亡くなったのだと思いたかったのだろう。

ハルヒ「……それで、その自称死神さんはどうなったの?
    死神のままなの?」

>彼女は最初から知っていた。自分はただの、特別な力もないただの人間だと。

>だからこそ気付けた。自分が何の力もない人間だから気付けた。
 夫が忘れてしまっても、自分と夫の過ごした『時』は嘘じゃない。

>老婆が夫を愛したことは、夫が老婆を愛していたことは嘘じゃない。
 その『時』は決して消えないんだと。

>そして彼女はまた前を向いて歩き出している。

>それが、自分の知り合った死神だ。

ハルヒ「過ごした『時』は消えない……か」

>自分もハルヒ達とこうやって過ごした思い出が、人生の中で埋没してしまう時が来るかもしれない。

>キョンや一樹やみくるや有希からも、もしかしたらハルヒ自身からも、この時は思い出になって風化してしまうことがあるかもしれない。

>だが、今こうして過ごしている時間は決して消えはしない。

>今培っている絆は、決して嘘じゃない。

>そうだろう?

ハルヒ「……! ええ、そうね。
    でもSOS団のことを忘れるなんて絶対許さないんだからね、番長くん!」

>ああ、もちろんだ。

ハルヒ「そっか。すごした今は嘘じゃない、か」

>一樹が言っていた『今の関係が容易く崩れてしまうと思っている』という不安を少しでも解消できればと思い、話してみたが……。

>少しくらいは効果があってほしい。ハルヒもSOS団が容易く崩れないと気付いてくれるだろうか。

>あとは、キョン達に任せることにしよう……。

ハルヒ「すっかり話し込んじゃったわね。そろそろ最後の仕上げをしましょうか!」

>ああ、みんな待っているだろう。

ハルヒ「さ、ラストスパートよ!」

といったところで次へ行きます
ここまでお付き合いくださった方はあざした

訂正
>>583
>ハルヒ「今決めたわ。クリスマスにトナカイのかぶりものつけて一発芸やってもらうからね」

来年のクリスマス、ね
すげぇ矛盾してたからこれだけ訂正しとく

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