エレン「……は?リヴァエレ?」(184)

エレン「なんだそりゃ?聞いたことない言葉だぞ」

アルミン「エレンは最近ずっとリヴァイ班に居るから聞いたことないのかな。
     最近僕らの周りではよく聞くんだ。エレン、この言葉について何か知らない?」

エレン「お前が知らないような言葉を俺が知ってるわけがねぇよ……。
    『リヴァエレ』だろ?
    似たような言葉でぱっと思い付くのはリヴァイ兵長の名前くらいだが……」

ミカサ「だったら私も思い付いた。『エレン』」

エレン「後ろ半分かよ!確かに『エレ』は合ってるが……」

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エレン「普通『リヴァエレ』から『エレン』なんて出てこねえぞ。
    よく思い付いたなミカサ」

ミカサ「自分自身のことは案外思い浮かばないもの。
    エレンの身近に居る私だから思い付けた」

アルミン「うん……実は僕もこの言葉からまず連想したのは、
     『リヴァイ兵長』と『エレン』の名前だったよ」

エレン「え!そうなのか?なんかアルミンがそう言うんなら
    本当にオレと兵長のことのような気も……ってイヤイヤ、やっぱそれはないだろ。
    まずオレたちの名前をくっ付けて略すってのが意味わかんねぇしよ」

エレン「大体名前略すとか、そんなことしたら兵長に怒られちゃうだろ」

アルミン「それはそうなんだけど……」

ミカサ「私も『リヴァエレ』がその2人の名前の略というのは違うと思う」

アルミン「?どうして?」

ミカサ「エレンの名前とあのチビの名前をくっ付けるなんて嫌だ」

アルミン「そ、そんな理由……?」

エレン「オイ!リヴァイ兵長を悪く言うのはやめろって言ってんだろ、人類の英雄だぞ!」

ミカサ「それに略すのならミカエレの方が言いやすいし語呂も良いと私は思う」

エレン「……そりゃまさか『ミカサ』と『エレン』か?
    だから何の意味があるってんだよ?」

ミカサ「分からないけど……ただなんとなくその方が良いと感じただけ」

エレン「?なんだそりゃ」

アルミン「…………」

アルミン(……『リヴァイ兵長』と『エレン』……。
     確かにこの2人の名前を繋げて略すのは意味がわからない。
     しかし本当にこの2人は『リヴァエレ』とは関係ないんだろうか。
     そう決め付けてしまうのは早計なんじゃないか……?)




ライナー「ああ……何故か俺も聞いたことがあるな。どこで聞いたのかは忘れたが」

ベルトルト「でもどうしてそれがリヴァイ兵長とエレンのことだと?」

アルミン「それぞれの名前の一部が入ってるっていうのももちろんあるんだけど……。
     エレンがリヴァイ班に入ってからなんだ。
     リヴァエレなんて言葉を聞くようになったのは」

コニー「暗号か何かか?リヴァイ班だけで使ってるような」

ジャン「いや、そりゃねえだろ。
    そう簡単に暗号みてえなモンが漏れるなんて考えられねえよ」

ライナー「うーむ……。『リヴァエレ』か……何なのか検討も付かん」

ライナー「仮にリヴァイ兵長とエレンのことだったとしても意味がわからんしな。
     考えても無駄じゃないのか?」

アルミン「……その、これは突拍子もない思い付きだから、
     笑われるかも知れないんだけど……」

ライナー「……!何か思い付いてるのか……?」

コニー「なんだ!言ってくれよアルミン!」

アルミン「えっと……もしかしたら、何か……
     『カップリング』のようなものを表しているんじゃないのかな」

ジャン「『カップリング』だと……?っつったら、男女のカップルとかの、アレか?」

ライナー「……だがおかしくはねぇか?リヴァイ兵長もエレンも男だろ」

アルミン「うん、そうなんだけど……」

コニー「オイ、それってつまりよ……兵長とエレンがホモカップルってことだよな!」

ジャン「ば、馬鹿お前!声がでけぇよ!ここは食堂だぞ!」

コニー「?何かまずかったか?」

ジャン「エレンはともかく、よりによって人類の英雄をホモ呼ばわりしてみろ!
    教官にでも聞かれたらどんな罰を受けるかわかったもんじゃねぇぞ!」

コニー「あ、あぁ。言われてみりゃ確かに……」

ミカサ「今何か聞こえたような気がしたんだけど、誰か説明できる?」

アルミン「!?ミ、ミカサ!?」

ミカサ「…………」

ジャン「いやその、なんつーか……」

ミカサ「エレンはホモなんかじゃない」

ジャン「お、おう……」

ミカサ「それは私がよく知ってる。エレンはちゃんと、女の子が好きなはず」

ライナー「あ、あぁ分かってるさ……。もちろんそうだ。
     誰もエレンがホモだなんて思っちゃいねぇよ」

ミカサ「……だったら良いの。それじゃ」

コニー「こ……こえー……。一瞬教官かと思ったぜ……」

ジャン「教官の方がまだマシだったかも知れねぇよ……」

ライナー「とにかくだ。『リヴァエレ』がリヴァイ兵長とエレンの
      ホモカップルのことだってのは、それこそエレンがホモでもない限りはあり得ん。
      だがもしあいつがホモなら、アルミン。お前がかなり危ないと俺は思うがな」

アルミン「えっ!?そ、そうかな……?ま、まぁでも僕は別に今までそんなことないし、
     エレンがホモだっていうのはまずないとして……。
     しかし、だとすると一体、『リヴァエレ』っていうのは……」

ベルトルト「……ライベル」

ライナー「は?」

ベルトルト「聞いたことがあるんだ。『ライベル』って」

ジャン「……おい、そりゃまさか……」

ベルトルト「僕もその時は知らない言葉だと思って聞き流してた。
      それに今の今まですっかり忘れてたよ。
      だって、その言葉に何か特別な意味があるだなんて思いもしなかったから。
      だけど今の話を聞いてると……」

コニー「ライベル、ライベル……。っ!
    もしかして、お前らのことじゃねえのか!ライナー、ベルトルト!」

ライナー「案外早く気付いたな、コニー……。俺も多分そうじゃないかと思う」

ジャン「『ライベル』か……。それならまぁ、悪いが分からないでもねぇな。
    ライナーがホモってのは、もちろん冗談だが……俺たちもたまにネタにするしよ」

アルミン「『リヴァエレ』だけでなく『ライベル』まで……。
     これはもう偶然じゃない。やっぱり特定の2人の名前を略してるんだよ」

ベルトルト「だけど一体、どういう2人を選んでるんだろう……?」

アルミン「仮に『カップリング』だとすると……。ジャンの言う通り、
     同郷でよく一緒にいるライナーとベルトルトがくっ付けられるのはまだ分かる。
     仲も良い方だと思うし、ホモカップルだとからかう人も居るかも知れない。
     だけどリヴァイ兵長とエレンは……」

ジャン「あそこは別に特に仲が良いってわけでもねぇだろうしな。
    エレンの奴、兵長にボコボコにされたらしいじゃねぇか」

コニー「仲が良い奴らの名前くっ付けてるだけ、
    ってわけでもねぇのか……これもうわかんねぇな」

ライナー「ただ仲が良い奴らってんならまずエレンとアルミンで『エレアル』とか、
     そういうのが真っ先に出てきても良いようなもんだが……。
     それは聞いたことないよな?」

アルミン「確かに……少なくとも『リヴァエレ』よりは」

コニー「仲が良い奴らっつーと……ミカエレとかか?」

ジャン「やめろ!ジャンミカにしろ!」

コニー「は?何言ってんだお前……」

アルミン(……一体どういうことなんだ?
     特に仲が良いわけでもないリヴァイ兵長とエレンがなぜ……。
     まさか、誰かがその2人をカップルに仕立てあげようとしているのか……?
     ……だとすると、調べる必要があるかも知れない……)




アルミン「ごめん、わざわざ呼び出したりして」

アニ「……何の用?」

アルミン「あのさ……アニ、僕たちが話してる時チラチラ見てたよね?」

アニ「いや、見てないよ……」

アルミン「嘘だ、絶対見てたよ」

アニ「……なんで見る必要なんかあるの?」

アルミン「アニも真相を知りたがってるんじゃないかと思ってさ」

アニ「……あんた、私が流行らせたとか思ってるんじゃないだろうね?
   『リヴァエレ』とかいう下らない言葉をさ」

アルミン「まさか、違うよ。今日呼び出したのは君に頼みがあるからだ」

アニ「頼み……?」

アルミン「そう。単刀直入に言うと……。
     もしかしたらこの言葉は、リヴァイ兵長とエレンを
     カップルに仕立て上げようとしている何者かが作り出した造語かも知れない。
     だから、アニ。君にその張本人を見つけ出すのに協力して欲しいんだ」

アニ「……なんで私が?あんた1人でやれば良いんじゃないの?」

アルミン「多分だけど……犯人は、女子じゃないかと思う」

アニ「…………」

アルミン「根拠なんかはないんだけど……。なんとなくそう思うんだ。
     犯人が女子だとすれば、僕に出来ることは限られてくる。
     だから、女子の協力が必要なんだよ」

アニ「なんで……そこまでして犯人を捜す必要があるの?
   別にあんたにとっちゃエレンが誰とくっ付こうが、ホモだろうが、関係ないでしょ?」

アルミン「それはそうだけど……もし僕の考え通り、
     意図的に『リヴァエレ』を流行らせようとしている人が居るとすれば……。
     その人は、言葉を流行らせるだけでは飽き足らず、暴走してしまうかも知れない」

アニ「…………」

アルミン「そしてそのことがもしリヴァイ兵長の耳に入ったらと思うと……。
     もしかしたら犯人の子が大変な罰を受けてしまうかも知れないだろ?」

アルミン「だからそうなる前に止めてあげないと……」

アニ「……良い人なんだね、あんた」

アルミン「だから、お願いだよアニ。僕を手伝ってくれ……!」

アニ「あんたさ……私がそんな良い人に見えるの?」

アルミン「……良い人か……。その言い方は僕はあんまり好きじゃないんだ。
     理由はちょっと長いからまたいつか話すけど……。
     ただ、アニがこの話に乗ってくれなかったら、
     アニは僕にとって悪い人になるね……」

アニ「……良いよ。……乗った」




女子部屋

サシャ「あ、お帰りなさいアニ。どこ行ってたんですか?」

アニ「別に……散歩だよ」

ミカサ「…………」

ユミル「はっ。散歩なんてガラかよ。誰か呼び出して金でも巻き上げてたんじゃねぇのか?
    お前いかにもやりそうなツラしてるもんなぁ」

クリスタ「ユミルっ。体調が悪いからって八つ当たりしちゃ駄目でしょ?
     悪口言ったりするより、ゆっくり休んでなきゃ」

ユミル「じゃあずっと看病しててくれよクリスター。腹痛いんだってマジでさ。
    あー、多分お前が最近構ってくれないせいだな、ちくしょう……」

クリスタ「そ、それはあんまり関係ないと思うけど……。
     でも大丈夫?さすったりした方が良い?」

ユミル「あぁ、頼む。流石女神さまだ」

サシャ「いやー、相変わらずのユミクリですねえ」

アニ「!」

ユミル「あ?うるせぇよ黙ってろ芋女。お前が言うとうぜぇんだよ」

サシャ「え!ご、ごめんなさい」

サシャ「……まさか機嫌を損ねてしまうとは……」

アニ「サシャ……あんた今、なんて言ったの?」

サシャ「えっ?いや、ユミクリと……」

アニ「……ユミルとクリスタ?」

サシャ「ほら、最近耳にするじゃないですか。『リヴァエレ』って。
    意味は私もよく知らないんですけど……
    まぁ2つの名前をくっ付けてるんだろうなと思って。
    それで、ユミルとクリスタがいつも2人一緒に居るから『ユミクリ』と」

アニ「そのリヴァエレとか言うのは、どこで知ったの?」

サシャ「?さぁ……どこだったでしょうか。ちょっと思い出せませんね……。
    いつの間にか広まってたのを聞いたとしか。
    あ、でもユミクリは私が考えたんですよ?アニも使って良いですからね」

ユミル「オイうるせえっつってんだろ。なに自慢気にしてんだよ殺すぞ」

サシャ「す、すみません」

クリスタ「ユミル!それ以上酷いこと言うんだったらお腹さすってあげないからねっ」

ユミル「あー悪い悪い。もう黙ってるって」

クリスタ「もう……」

アニ「…………」

ミカサ「アニ、ちょっと良い?」

アニ「!ミカサ……」

ミカサ「あなたも気になるの?『リヴァエレ』のこと」

アニ「……まぁ、少しね」

ミカサ「私はすごく気になる。誰があんな言葉を作ったのか……。
    あのチビとエレンの名前をくっ付けるなんて、どうかしてる」

アニ「それは……その通りだと思うよ」

ミカサ「だからこれからは、『ミカエレ』を流行らせようと思う」

アニ「……は?」

ミカサ「リヴァエレなんかより、ミカエレの方が良い。アニもそう思うでしょ?」

アニ「…………」

ミカサ「あなたは犯人を捜し出して、リヴァエレなんて下らない言葉を撲滅して。
   私はミカエレを流行らせる。わかった?」

アニ「別に流行らせたきゃ勝手にやりなよ……」

ミカサ「そうする。それじゃ、アニはアニで頑張って」

アニ「……はぁ……」




アルミン「――それじゃあミカサはもちろん、どうやらサシャもシロみたいだね」

アニ「だろうね。大体、サシャが食べ物以外のことに夢中になるなんて考えられないよ」

アルミン「それに他のみんなも特に怪しそうなところはなかったんだよね?」

アニ「私が見た感じだとね……。
   ユミルとクリスタは相変わらずお互いべったりだし」

アルミン「そうか……でもその2人に関してはまだなんとも言いようがないかな……」

アルミン(ユミルの体調不良が少し気になるけど、
     それもただの体調不良の可能性だって十分あるわけだし……)

アニ「……それで、そっちの方はどうなの?何か手がかりは?」

アルミン「残念だけど何も……。一応エレンに、リヴァイ班の方で何か動きがあったら
     教えてくれとは言ってあるけど。特に新しい情報はまだ入ってきてないかな……」

アニ「……間違ってリヴァイ兵長の耳に入ったりしないだろうね?」

アルミン「そ、それに関しては散々釘を刺しておいたから、
     エレンの口から伝わることはないとは思う。ただ……」

アニ「ただ?」

アルミン「噂が思った以上に広まっている可能性もあるから、
     『リヴァエレ』という言葉自体は既に知られているかもしれない。
     『誰かが意図的に流行らせてる』というところまで推論が及ばなければ良いんだけど……」

アニ「……結局は運次第なんだね」

今日はここまでにしておきます。
続きはまた明日の夜くらいに更新すると思います。




エレン(『リヴァエレ』か……一体何なんだろうな。
    聞いちまった以上はやっぱり気になる……。
    まさか本当にリヴァイ兵長とオレの名前を……?)

エレン「……まさかな」

リヴァイ「オイ、エレン」

エレン「!リ、リヴァイ兵長?何か用でしょうか……?」

リヴァイ「お前……聞いたことあるか?『リヴァエレ』とかいうふざけた言葉を」

エレン「えっ!?」

リヴァイ「……あるんだな?」

エレン「ど、どこでそれを……?」

リヴァイ「風の噂だ。俺がどこから聞いたなんてどうでも良い。
     問題はこの言葉の意味と出所だ」

エレン「はぁ……」

リヴァイ「で……お前はこの言葉について何か知らねぇのか」

エレン「い、いえ。俺は何も……」

ハンジ「リヴァイ×エレンだね!間違いないよ!」

エレン「ハ、ハンジさん!?」

リヴァイ「……どういう意味だ」

ハンジ「カップリングのことさ。特定の2人の名前をくっ付けて略すんだよ。
    リヴァエレだとリヴァイとエレン。この場合はホモカップルってことになるね」

エレン「えぇ!?ホ、ホモカップルですか!?」

リヴァイ「おいクソメガネ……二度同じことを言ってみろ。
     てめぇの大好きな巨人と同じ気持ちを味わわせてやる」

ハンジ「いやいや、ふざけてるわけじゃないよ。マジなんだこれが!
    最近どうも新兵を中心にこういった略称が流行ってるらしくてね。
    その先駆けになったのが『リヴァエレ』らしいよ」

リヴァイ「……お前が流行らせたんじゃねぇだろうな」

ハンジ「違う違う。私は別にリヴァイとエレンのホモカップルになんて興味ないからね。
    ソニビーとかビーソニとかなら考えたけど」

エレン「ま、まさかそれってソニーとビーンのことですか?巨人の?」

ハンジ「もちろん!ハンソニとかハンビーとかもあるよ。
    興味ある?聞きたければ聞かせてあげるよ」

エレン「えっ、それは……」

リヴァエレ「やめろ気持ち悪い。一人で勝手に盛ってろ」

ハンジ「残念……。それじゃ、私はこれで!」

エレン(わざわざリヴァエレの説明のために来たのかあの人……)

リヴァイ「ちっ……薄々お前と俺の名前じゃねぇかとは思っていたが……。
     まさかホモ扱いされてるとはな」

エレン「ど、どこからそんな噂が出たんですかね……」

リヴァイ「知るか。ただ1つはっきりしてるのはこのクソみてえな言葉を考えやがった奴を
     それなりの目に遭わせてやる必要があるってことだけだ。
     場合によっちゃ死罪にしてやっても良いくらいの気分なんだが……」

エレン「は、はぁ」

リヴァイ「ったく……全身クソにまみれた気分だぜ。
     まだクソにまみれた方がマシかもな……」

エレン(そこまでかよ……)

翌朝

エレン(しかしまさか本当にリヴァエレがオレと兵長の、
    しかもホモカップルのことだったとは……。
    そんな話聞いちゃったおかげで昨日はあんまり寝られ……)

エレン「!やばい、もうこんな時間だ!早く着替えねぇと……ん?」

エレン(なんだ?なんか……ちっちゃくねえか、この服。一晩で縮んじゃったってのかよ?)

リヴァイ「……オイ、エレン。入るぞ」

エレン「えっ!?あっ、す、すみません!着替えに手間取ってしまって遅く……あれ。
    リヴァイ兵長もまだ……。っていうか、その手に持ってるのは……?」

リヴァイ「これは俺の服じゃねえ。デカ過ぎる。
     そしてお前が今持ってる服……そいつが俺のじゃねえのか」

エレン「は……はい?」

エレン「……!ほ、本当だ!そっちが俺の服です!」

リヴァイ「…………」

エレン「で、でもなんで……?オレと兵長の服が入れ替わった?
    昨日の晩まではちゃんと普通だったのに……」

リヴァイ「決まってんだろ。どっかのクソ野郎が入れ替えやがったんだ。
     多分……例のホモ好きと同一人物だろうがな」

エレン「え!?」

リヴァイ「それより……」

エレン「あ、ちょ、ちょっとリヴァイ兵長?なんで急にオレの部屋を物色……」

リヴァイ「オイ……こいつはなんだ」

エレン「え?それは……櫛、ですね。それと、歯ブラシです」

リヴァイ「……櫛も歯ブラシも俺の私物なんだが」

エレン「!?マジですか!?な、なんで!?」

リヴァイ「……。その様子を見ると本当に知らなかったらしいな」

エレン「て、てっきり新調された備品とばかり……。まさかこれも、そのホモ好きが……」

リヴァイ「それしかねぇだろ」

エレン(い、いくらなんでもそこまでするかよ!?
    オレとリヴァイ兵長をくっ付けるためだってのか……!?)

リヴァイ「……こいつらはもらっていくぞ。代わりの品はてめぇでなんとかしろ」

エレン「えっ、もらってくって……まさか使うんですか?」

リヴァイ「捨てるに決まってるだろうが気持ち悪い。
     誰が他人の使った櫛や歯ブラシを使えるか」

エレン「で、ですよね」

エレン(……しかし一体、誰がこんなこと……。やめてくれよ……)




コニー「オイ聞いたかよ!例の噂!」

アルミン「噂……?」

コニー「なんでもよ、リヴァイ兵長とエレンが互いの服を取替えっこしてたらしいぜ!
    それだけじゃねえ、歯ブラシとかまで!」

ライナー「ぶふっ!?」

コニー「うわっ!?きたねえな!」

ライナー「す、すまん……」

ライナー(しかし取替えっこだと……?ほ、本当にそこまでしちまったのか……?」

ベルトルト(それが本当だとしたら、あの2人はやっぱり……)

ミカサ「そんなはずない。私も聞いたけど、どうせ何の根拠もないデマに決まってる」

アルミン「うわっ!?ミカサいつの間に!」

ジャン「しかし火のないところに煙は立たないって言うぞ?
    取替えっことは言わねぇまでも、何かの理由があって交換くらいは……」

ライナー「あぁ……俺も何か根拠があってのことだと思うが……」

ミカサ「っ……」

ジャン「そんなに睨むなよミカサ……」

アルミン「ち、ちなみに、その『取替えっこ』があったっていうのは、いつの話?」

コニー「ん?あー、どうだっけな。俺が聞いたのは今朝って話だったが」

アルミン(今朝だって……?そんな、まだ昼にもなってないのに。
     いくらなんでも噂が広まるのが早すぎる……!)

アルミン(間違いない、やっぱり誰かが意図的に噂を作り出して広めてるんだ!
     『リヴァエレ』を確固たるものにするために!)

アルミン「ミカサ、コニー。2人とも、その噂を誰が話してたか知らないかな」

コニー「えーっと確か……あぁそうだ。サシャだよ。あいつが楽しそうに話してやがったぜ」

ミカサ「私も同じ。サシャが話してるのを聞いた」

アルミン「……そっか。わかった、ありがとう」

アニ「…………」

アルミン「(アニ、今の聞いたね?……頼んだよ)」

アニ「(はいはい)」




アニ「で……なんであんたは医務室にいるわけ?」

サシャ「いえ、それが……ミカサに地面に叩きつけられて、そのまま意識が……」

アニ「叩きつけられたって……なんで?」

サシャ「あー、えっと……ちょっと、機嫌を損ねちゃいまして……」

アニ「……機嫌って、なんで?」

サシャ「だ、駄目ですよ、言えません!
    ミカサに、これ以上広めるなと脅されてるんです!」

アニ「……例の噂でしょ?リヴァイ兵長とエレンが服を交換してたとかいう」

サシャ「え!?も、もうそこまで広まってるんですか!?」

アニ「まぁね。それより、あんたその噂はどこで聞いたの?」

サシャ「どこというか……ユミルとクリスタと一緒に話してて、その時にその話題が」

アニ「……わかった。それじゃ」

サシャ「えっ。も、もう行っちゃうんですか?
    あの、お見舞いの品なんかは……?パンとか……」

アニ「じゃあね」




ユミル「は?例の噂?」

クリスタ「それって……リヴァイ兵長とエレンが……っていう、あの?」

アニ「あんたたちはその話、どこで聞いたの?」

ユミル「さぁ?私はクリスタに聞いただけだが」

クリスタ「私は……ごめん、ちょっとどこで聞いたのか思い出せない。
     誰かがそんなこと話してたような気がする、としか……」

アニ「……その噂を聞いたのはいつ?」

クリスタ「え?えっと……いつだったかな。今朝だったかな。ううん……昼前、かな?」

アニ「その時あんたは1人だったの?」

クリスタ「あ、うん。そうだけど……」

ユミル「オイオイ、もう良いだろ?その話はよ。それとも何か?
    お前、そんなにリヴァエレのことが気になるのかよ?実はホモ好きでしたってか?」

クリスタ「えっ!そ、そうなの?アニ……!」

ユミル「お前みたいなのがホモ好き女ってんなら結構面白いよなぁ?ダハハハハ!」

クリスタ「やめなよユミル!人の趣味は人それぞれなんだから、笑っちゃ駄目だよ!
     アニ、気にすることないからね?そういうのが好きだって別に……」

アニ「……私はホモ好きじゃないよ」

クリスタ「あ、そうなんだ……」

ユミル「チッ、つまんねえヤツだな」

アニ「…………」

クリスタ「ご、ごめんね勘違いしちゃって」

アニ「別に……。私はもう行くよ。悪いね、2人の時間を邪魔しちゃってさ」

クリスタ「?えっと……それじゃ、またね」

ユミル「なんだあいつ……?変な奴だな」




アニ「――こんな感じだよ。残念だけどもうコレ以上は材料集められそうにないね」

アルミン「…………」

アルミン(……ミカサとコニーはサシャから聞いて、サシャはユミル、ユミルはクリスタ……。
     そして、そこから先は分からない……。
     それに材料を加えるとすれば、昨日のユミルの体調不良くらいか……)

アルミン「……そう言えば、もうユミルの体調は元に戻ってたの?」

アニ「?そうみたいだけど……それが何か関係あるの?」

アルミン「あぁイヤ、ただ昨日引っかかったのがそこだから……。
     出来れば昨日の女子部屋での会話をまた詳しく聞かせてくれないかな。
     覚えてる範囲で良いから」

アニ「別に役に立つようなことは言ってなかったと思うけど……わかった、話すよ」




アニ「――このくらいだと思うけど。何か分かった?」

アルミン「…………」

アルミン(今のアニの話を聞いた限りでは……1つの推測は立てられる。
     だけどあくまで推測止まりだ。これだけじゃ、まだ……。
     もっと根拠を集めなきゃ犯人に認めさせることは出来ない。
     今日の夜にでも、少し調べてみる必要がありそうだ……)

アルミン「アニ、今日の夜また呼びに行くから……手伝ってくれる?」

アニ「……良いよ。ここまで来たんだしね」

急用につき今日はここまでかも知れません。
戻って来られるとすれば22時半くらいになると思います。
もし戻って来れたらちょびっとだけ更新します。




エレン(はぁ……なんか例の噂のせいか1日余計に疲れたような気がするな。
    それにしても、オレと兵長の私物を取り替えるなんて一体どうやって……)

オルオ「オイ、エレン」

エレン「はい……?なんですか?」

オルオ「お前……リヴァエレとか言われて調子に乗ってはねぇよな?」

エレン「は!?」

エレン(あ、あの噂、もうこんなに広まってるのかよ……!)

オルオ「お前がリヴァイ兵長とくっ付けられてるのは単に目新しいからだ。
    本当の意味でリヴァイ兵長と繋がりが深いのはこの俺だ。わかるか?あ?」

エレン「それって……オ、オルオさんがホモってことですか?」

オルオ「違う!心と心の繋がりだ!お前みたいな不純な繋がりじゃねぇってことだ。
    お前はリヴァイ兵長の体が目当てなのかも知れんが……」

エレン「オルオさん!?ちょっと何言ってんですか!やめてくださいよほんとに!
    なんで俺がリヴァイ兵長を狙ってるの前提なんですか!」

ペトラ「そうだよオルオ。エレンはともかく、リヴァイ兵長はホモなんかじゃない!」

エレン「ちょっ、ペトラさんまで……!エレンはともかくってなんですか!
    も、もしかしてあなたたち2人とも……俺に妬いてるんですか!?」

ペトラ「くっ……」

オルオ「だ、誰が妬くか馬鹿め!その程度で妬くような繋がりじゃないんだが!?
    生意気な小僧に灸を据えてやっただけなんだが!?バーカ!」

エレン「だから生意気も何も俺は別に……」

ペトラ(ううっ……なんでエレンがリヴァイ兵長とカップル扱いされてるのよ……。
    普通紅一点の私でしょ?私だってリヴァイ兵長と……リヴァペトとかの方が良い……)

オルオ(リヴァオル……)

オルオ「リヴァオル……」

エレン「心の声漏れてますよ!やっぱりホモじゃないですか!」

オルオ「違うんだが!?ホモじゃないんだが!?」

リヴァイ「……オイ。うるせえぞ、何大声で話してる」

エレン「!」

オルオ「リ、リヴァイ兵長!」

ペトラ「申し訳ありません!」

リヴァイ「……まぁ良い。それよりペトラ」

ペトラ「は、はい!なんでしょう」

リヴァイ「話がある。1時間後に俺の部屋まで来い」

ペトラ「え……?は、はい!わかりました!」

オルオ「っ……!?」

エレン(話って……リヴァイ兵長の部屋でか?)

ペトラ「な、なんだろ?今までこんなことなかったよね?
   わざわざ兵長の部屋に呼び出されるなんて!」

オルオ「オ、オイ、ペトラ……。調子に乗るんじゃないぞ。どうせ任務の件か何かだ……」

ペトラ「でもそれなら別に部屋じゃなくても良いでしょ?きっと何か特別な話なのよ!」

オルオ「くっ、浮かれてやがる……。何故だ、何故俺じゃねぇ……」

ペトラ(まさかとは思うけど、リ、リヴァペトなの?本当にリヴァペト?うふふ……)

本当にちょびっとだけでしたが今日はこのくらいにしておきます。
また明日の夜に更新します。
多分明日で終わると思います。




リヴァイ「……来たか、ペトラ」

ペトラ「お待たせしました、リヴァイ兵長。どのようなご用件でしょうか」

リヴァイ「そんなにかしこまらなくて良い。
     これからするのは命令でもなんでもねぇ……相談だ。いや、頼みと言っても良い」

ペトラ「?」

リヴァイ「お前……調査兵団を辞める気はねぇか?」

ペトラ「……え?」

ペトラ「ど、どういうことですか……?その、仰る意味が……」

リヴァイ「……イヤ、兵士を辞める気はねぇかと訊く方が正しいか」

ペトラ「そんな……!り、理由を聞かせてください!私が何か、その……」

リヴァイ「あぁ……誤解させる言い方になったな。悪かった。
     何もお前に問題があるから兵士を辞めろと言ってるんじゃねぇんだ」

ペトラ「で、では一体……」

リヴァイ「なぁ、ペトラ。お前、俺の子を生んでくれねぇか」

ペトラ「……へっ?」

リヴァイ「お前は優秀な兵士だ。自分で言うのもなんだが、俺もかなり優秀だ。
     優秀な遺伝子は残すべきだと、そうは思わねぇか?」

ペトラ「え、えっと、その、あの……」

リヴァイ「……チッ。やめだ、簡潔に言うぞ。ペトラ、俺はお前に惚れたんだ。
     だから俺と結婚してくれ。そして俺の子を生み、家で俺の帰りを待っていてくれ」

ペトラ「へ、兵長……。ほ、本当に、私なんかで……」

リヴァイ「お前だからだ。それにもう兵長と呼ぶのはやめろ。
     リヴァイと呼べ。……俺と結婚してくれるな?」

ペトラ「リヴァイ、さん……!は、はい!喜んで!」




ペトラ「ふふ……うふふ……」

リヴァイ「……オイ。オイ、ペトラ。何ボケっとしてやがる」

ペトラ「え……。あ、は、はい!申し訳ありません、リヴァイ兵長!」

ペトラ(い、いけないいけない。妄想しちゃってた……)

リヴァイ「……まぁ良い。それで、呼び出したワケなんだが……」

ペトラ「!はい……!」

リヴァイ「これを見ろ。こいつをどう思う?」

ペトラ「?これは……窓、ですね」

リヴァイ「あぁ、窓だ。だがそうじゃねぇ、よく見ろ。お前には何が見える?」

ペトラ「えっと……。っ!鍵が壊れてます」

リヴァイ「その通りだが少し違うな……こいつは壊されてるんだ」

ペトラ「こ、壊されてる?でも一体誰が……」

リヴァイ「お前……ちょっとその窓通ってみろ」

ペトラ「はい?」

リヴァイ「聞こえなかったか?その窓を通れと言ったんだが。
     それとも外に落ちるのが怖ぇか?なら紐でも付けるか?」

ペトラ「あ、いえ……はい。わかりました、通らせていただきます……よいしょっ」

ペトラ(窓を通れって、なんで……。
   でも通れるかな?この窓あんまり開かなくてかなり狭いし……)

リヴァイ「…………」

ペトラ「っしょ……ん。あ、あれ?ふっ……!」

リヴァイ「……どうした」

ペトラ「いえ、その……腰の部分がつっかえてしまって……」

リヴァイ「……押してやるからもう少し努力してみろ」

ペトラ「えっ?お、押してやるって……ひゃあ!?」

ペトラ(リ、リヴァイ兵長が私のお尻を……!?)

リヴァイ「なかなか通らねぇな……」

ペトラ「あ、あの兵長!申し訳ありません!自分には無理です!この窓枠は狭すぎます!」

リヴァイ「……そうか。わかった、もう良い。中に戻れ」

ペトラ「す、すみません……」

ペトラ「はぁ、はぁ……」

リヴァイ「…………」

ペトラ(うう……兵長にお尻まで触らせて通れなかったなんて……)

ペトラ「も、申し訳ありません。お役に立てず……」

リヴァイ「イヤ良い……。『お前には通れない』ということがわかって良かった」

ペトラ「え……?」

リヴァイ「訊くがペトラ……お前、最近体重や体型に大きな変化はないよな?」

ペトラ「?はぁ、特には……」

リヴァイ「……そうか」

ペトラ「あの、リヴァイ兵長?
    もしよろしければ、理由を聞かせていただきたいのですが……」

リヴァイ「……俺の私物がこの部屋から持ち出された。恐らく数日に分けてな……」

ペトラ「えっ!そ、それって……」

リヴァイ「外出時には扉の鍵は閉めてあるからそこの窓から侵入したとしか考えられねぇんだが……。
     これでそいつの体格は絞り込めた。お前より小柄な奴だ」

ペトラ「えっと……それでは、私を呼んだのはそのために……?」

リヴァイ「そうだ。だがもう用事は済んだ。行って良いぞ」

ペトラ「は、はい……。では、失礼します……」

ペトラ(まさかそんな用事だったなんて……。
    決して楽観視していたわけじゃなかったけど、これはあまりにも……)

オルオ「……よぉ」

ペトラ「!オ、オルオ?まさか、聞き耳立ててたの!?」

オルオ「勘違いするな……たまたま通りがかっただけだ。しかしまぁ、そう気を落とすな。
    リヴァイ兵長がお前のことなんか別になんとも思ってなかったからと言って……」

ペトラ「やっぱり聞いてたんじゃない!最低ッ!」

オルオ「ぐぶっ!?」




アルミン「!来てくれた……ありがとう、アニ。ここまで協力してくれて」

アニ「……まぁ別に良いんだけどさ。まず先に聞かせてくれない?
  今のあんたの考えってやつを。
  誰が犯人か、大体予想はついてるんじゃないの?」

アルミン「あぁ……うん。そうだね、まずは話さないといけない。
     ただ、これはあくまで推測だ。だから……」

アニ「わかってるよ。良いから話しな」

アルミン「……わかった。それじゃあ話そう。
     昨日アニから聞いた、女子部屋での会話の内容で思ったことなんだけど……」




アルミン「――これが、僕の推測だ」

アニ「…………」

アルミン「本当にただアニから聞いた会話の内容から推測しただけで
     根拠も何もないから、それだけで疑うのは心苦しいかも知れないけど……」

アニ「イイヤ、案外それで犯人は当たってるかもね」

アルミン「え?……もしかして、何か心当たりが?」

アニ「まぁね……昨日の会話で、ちょっと」

アルミン「!そうだったのか……なら、良かったよ。理解が早くて助かる」

アニ「だけどさ、あんたの言う通りアイツがリヴァイ班の居る建物に侵入したんだとして……。
   そんなことのためにわざわざ立体機動装置を使うなんて考えられないんだけど」

アルミン「ホモ好き女子の行動を推理するには、発想を飛躍させる必要がある……。
     常識に捉われていては、きっと僕たちは何もできないと思うんだ」

アニ「……まぁ、あんたがそう言うんならそうなのかもね」

アルミン「理解してくれて嬉しいよ。それじゃあさっき言った通り、
     立体機動装置が使われた形跡がないか調べる必要があるから、
     アニには見張りか注意を引き付ける役をやってもらいたいんだけど……」

アニ「それは構わないけど……あんた、今アイツがどこに居るか分かるの?」

アルミン「え?へ……部屋に居ないの!?今!?」

アニ「少なくとも私がここに来る時には……。……まさか」

アルミン「っ……!い、今すぐ立体機動装置を調べよう!
     イヤ、もしかしたら……『調べられない』かも知れないけど……!」

アニ「どっちにしろ急いだ方が良さそうだね……」




エレン「さて……そろそろ風呂でも入るか」

エレン(しかし、リヴァイ兵長がペトラさんに話ってなんだったんだ?
    わざわざ部屋に呼び出すってことは、やっぱそういう……)

ライナー「エレン」

エレン「!ライナー!?なんでお前が今ここに……」

ライナー「話があるんだが、良いか?」

エレン「……?なんだよ」

ライナー「俺は5日前……噂を広めてリヴァエレの普及を始めた」

エレン「は……?何言ってんだお前……」

ライナー「俺の目的はこの人類すべてにリヴァイ兵長とエレンがデキてると思わせることだったんだ。
     だが……そうする必要は無くなった……。
     エレン……お前が俺達と一緒に来てくれるなら俺達はもう噂を広めたりしなくていいんだ」

エレン「……」

ライナー「わかるだろ?」

エレン「は!?イヤ待て!全然わかんねぇぞ!」

ライナー「だから俺達と一緒に来てくれって言ってんだよ。急な話ですまんが今からだ」

エレン「あのさぁ……お前疲れてんだよ」

エレン「大体なぁ~お前が噂を広めまくった犯人なら
    何でそんな相談をオレにしなくちゃなんねぇんだ。
    そんなこと言われてオレが『はい行きます』って頷くわけがねぇだろ」

ライナー「……そうか……その通りだよな……。
     何を……考えているんだ俺は……本当におかしくなっちまったのか?」

エレン「もう行って良いか?早く汗を流したいんだが……」

ライナー「!お前、今から風呂か?しかし今は……」

エレン「?」

ライナー「イ……イヤ、なんでもない。悪い、引き止めちまったな……行ってくれ」

エレン「……あぁ、じゃあな」

エレン(ライナー、お前……。『俺達』って、他に誰が居るってんだよ……?)




脱衣所

エレン「はぁ……」

エレン(しかし、さっきのライナーは一体……。ありゃ、マジだったのか?
    ライナーがリヴァエレを流行らそうとしてたってのかよ……?
    じゃあ、なんだ。まさかあいつ、ホモだったのか?
    だがそれにしちゃやることが回りくどいっつーか……。
    それに『俺達』ってのも……。
    ……まぁ良い。今はとにかく、風呂に……)

リヴァイ「……オイ……なんで今お前が入ってくる」

エレン「っ!あ……あれ!?リヴァイ兵長!?」

リヴァイ「この時間は俺が入ると初日から言っておいたはずだが。
     巨人の力を持つと記憶力が悪くなるのか?」

エレン「い、いえ、その……」

リヴァイ「……いつまでそこで突っ立ってる?」

エレン「えっと……す、すみません。もうで、出ますよ」

リヴァイ「出るだと?俺の後に入り直す時間はねぇぞ。
     汗まみれのきったねぇ体で寝るつもりか?
     てめぇの体臭を撒き散らすつもりか?もう良いからお前もさっさと体を洗え」

エレン「は、はい。すみません……」

リヴァイ「…………」

エレン「あ、あの……リヴァイ兵長?」

リヴァイ「……なんだ」

エレン「その……背中、流しましょうか?」

リヴァイ「……まさかお前……本当にホモなんじゃねぇだろうな。
     俺の裸を見たくて入ってきたんじゃねぇだろうな。気持ち悪い」

エレン「ち、違いますよ!間違えたんです!本当に!それにオレはただ……!」

リヴァイ「……とにかく俺に触るな。ただでさえホモ扱いされてるんだ。
     お前は自分の体だけ洗って一人で湯に浸かってろ。その間に俺は出る」

エレン「はぁ……」

ライナー「勝負は今!!ここで決める!!」ガララ

二人「アッー」

リヴァイ「…………」

エレン「…………」

エレン(気まずい……。くそっ、なんだってオレが兵長に気持ち悪がられなくちゃならねぇんだよ!
    これも全部、リヴァエレとかいう言葉のせいだぞ……!)

リヴァイ「…………」

エレン(しかし……この人やっぱ体すげぇな。
    服着てるとあんまりわかんねぇけど、流石人類最強っつーか……。
    まさに巨人を狩るための体って感じだ。筋肉の付き方とか……それに……)

リヴァイ「……オイ。何じろじろ見てやがる」

エレン「え!イヤその……い、良い体してるなと思って……」

リヴァイ「…………」

エレン(まずい!兵長の目つきが更にやばくなった!
    完全に巨人を見る目だ!駆逐対象を見る目だ!)

エレン「へ、変な意味じゃないですよ!だからその、憧れるっていうか……」

リヴァイ「お前……あれがどういうことか俺に説明しろ」

エレン「えっ?」

エレン(なんだ?よく見りゃリヴァイ兵長、
    オレじゃなくてオレの後ろの方を……上の方を見て……)

エレン「ッ!?」

エレン(な、なんだよアレ……女湯と男湯を区切る壁に、手がかかってる!?)

エレン「そんな……!あ、あの壁は……ご……5mだぞ……!」

エレン(誰かがこっちを覗こうとしてんのか!?だ、誰が……!)

エレン「あ……ヤツだ……」

リヴァイ「…………」

エレン「クリスタだ」

クリスタ「ハァ……ハァ……」

リヴァイ「オイ……なんだあいつは」

エレン「あ……ありえない。クリスタは最大でも145cmのはず……!
    5mの壁から頭を出すなんて……」

超大型腐女子か

アルミン「エレン!」

エレン「!ア、アルミン!?」

アルミン「クリスタは立体機動装置を使ったんだ!
     だからあの壁なんてなんの意味もなさないんだよ!」

エレン「は!?う、嘘だろ!?風呂を覗くために立体機動装置を使ったってのかよ!?」

アルミン「ホモ好き女子に対して常識を適用してはいけない。そう……奇行種のようにね」

リヴァイ「くだらねぇこと言ってねえでさっさとあいつをなんとかしろ。
     ……オイ、そこの覗き女。逃げるんじゃね……」

クリスタ「リヴァエレ……」

エレン「!動くぞ!」

エレン「か……壁を、乗り越えようとしている……!?」

リヴァイ「自分から入ってくるのか……」

アルミン「大丈夫、多分もうすぐ……!」

クリスタ「!?」

エレン「!クリスタのヤツが壁の向こうに引っ込んだ……。
    イヤ違う……引き摺り下ろされたのか!しかし誰に……」

ミカサ「エレン!大丈夫?」

エレン「え!?お、お前なんだ急に!なんで男湯に入ってくるんだよ!?」

リヴァイ「お前らの同期は変態しか居ねぇのか」

ミカサ「勘違いしないでください。私は変態じゃない。
   エレンが心配だから、クリスタは向こうに任せてこっちに来ただけです」

エレン「良いから出てけよ!こっちは裸なんだぞ!」

ミカサ「問題ない。私はエレンの裸を見ても不愉快には思わない」

エレン「俺が嫌だっての!」

リヴァイ「……まぁ良い。すると向こうの変態女を引き摺り下ろしたのは……」

アルミン「はい、アニと言う我々の同期です。ミカサまで来たのは想定外でしたが……」

アルミン(しかし、遅かった……。リヴァイ兵長に、犯人の顔を知られてしまった。
     もうクリスタは、なんらかの処分が下されてしまう事実からは逃れられない……)




クリスタ「は、離してよアニ!私はリヴァイ兵長とエレンの仲良し入浴シーンを……!」

アニ「うわぁ……」

アルミン「アニ……。しっかり取り押さえてくれてたんだね」

アニ「あぁ、アルミン。ちょっと、早くなんとかしてくれない?気持ち悪いんだけど……」

エレン「し、しかしまさかクリスタがホモ好きだったとは……」

アニ「私がホモ好きじゃないって知った時……
   なんとなくがっかりしてたように見えたのは気のせいじゃなかったんだね」

クリスタ「仲間が居たと思って嬉しかったのに……」

アルミン「ユミルが『最近構ってくれない』と言ってたのは、
     リヴァエレを普及させるのに色々忙しかったからだよね……?
     たとえば、兵長とエレンの私物を入れ替えたりだとか……」

リヴァイ「あぁ……やっぱりあれはてめぇか。
     そんだけ小さけりゃあの窓も通れるだろうな。
     一応理由は聞いといてやる。なぜあんなことをした?」

クリスタ「リ、リヴァイ兵長とエレンのいちゃいちゃを現実にしたかったんです……」

エレン「は?」

アニ「え、何それは……」

アニ「とんだ変態だね、あんた……」

クリスタ「へ、変態じゃないよ!男の子同士がいちゃいちゃしてるのが見たいだけで……。
     エレンみたいな純朴そうな子がリヴァイ兵長に責められてるっていうのが……
     気の強いエレンがもっと強い兵長に責められてるっていうのがたまらないだけで……」

アルミン「やっぱり変態じゃないか」

ミカサ「この人頭おかしい……」

リヴァイ「さて……問題はこいつをどう処分するべきかということなんだが」

エレン「ま、まさか本当に死罪にするんじゃ……」

クリスタ「し、死罪……!?やだ!私やだ!ライナー助けて!」

ライナー「呼んだかクリスタ!」

エレン「ラ、ライナー!?お前らグルかよぉ!?」

リヴァイ「今度はなんだ……」

アルミン「そんな……!?君は『取替えっこ』の件に一番驚いていたはずじゃ……まさか!」

ライナー「あぁ、心底驚いたぜ。クリスタの行動力にな……。
     まさか本当に『取替えっこ』までしちまうとはよ……」

アニ「……あんたがクリスタに惚れてんのは知ってた。
   でも、クリスタはホモ好きなんだけど?
   あんたが好きなんじゃなくてあんたとベルトルトが寝てんのを想像して楽しんでただけだよ」

アルミン「そ、そうだライナー。君はホモじゃないんだろ!?なのにどうして……!」

ライナー「きっと……ここに長く居すぎてしまったんだな。
     クリスタみたいな奴と一緒に……3年も暮らしたせいだ」

ライナー「俺はガキで……何一つ知らなかったんだよ。
     ホモ好き女なんてもんが居るなんて知らなければ……俺は……
     こんな半端なクソ野郎にならずに済んだのに……」

クリスタ「ライナー……」

ライナー「もう俺には……何が正しいことなのかわからん……。
     ただ……俺がすべきことは自分のした行いや選択した結果に対し
     戦士として最後まで責任を果たすことだ」

クリスタ「ライナー……ヤるのね!?今……ここで!」

ライナー「あぁ!!勝負は今!!ここで決める!!」

エレン「ちょっ、何お前脱ぎだして……」

ミカサ「!エレン、逃げて!」

ライナー「許せエレン!俺はクリスタが好きだが、
     クリスタのためなら俺はお前だって構わないで食っ……オオン!?」

クリスタ「え!?ラ、ライナー!?」

リヴァイ「茶番は終いだ変態共……」

アルミン(ミカサだけでなくリヴァイ兵長まで居るのに無茶だよライナー……)

リヴァイ「さて……ホモ女。覚悟は良いな?人間の屑がこの野郎……」

クリスタ「ひっ……すみません!許してください、なんでもしますから!」

リヴァイ「ん?今なんでもするって言ったよな……。
     これは持論だが、躾に一番効くのは痛みだと思う」

エレン「ま、まさかクリスタに乱暴する気ですか!?」

リヴァイ「死ぬよりはマシだと思うが?」

アニ「それは、まぁ……」

アルミン「し、しかし躾と言っても、彼女を近くに置くということは……」

リヴァイ「牢にでも監禁しておけば何もできねぇだろ。
     こいつが巨人に殺されるその日が来るまで……俺が死なねぇ程度に躾けてやる」

クリスタ「い、いえあの、私リヴァクリは別に」

リヴァイ「黙れホモ女……二度とその巨人のクソ以下の略称を垂れ流すな。
     ホモのことなんざその腐った脳みそから搾りカスすら出ねぇようにしてやるから覚悟しろ」

クリスタ「うう……なんてことを……」




数日後

アルミン「それで……クリスタの様子はどう?」

エレン「あぁ。最近はもうホモにはほとんど興味がないみたいだな。
    ユミクリとかミカサシャとか言ってるよ」

ミカサ「……ミカサシャってまさか、私とサシャ?」

サシャ「はい?呼びました?」

ミカサ「呼んでない」

ミカサ「それよりエレン……口元に食べかすが付いてる」

エレン「ん?どこだ?」

ミカサ「そこじゃない。ここ」

エレン「わりぃ……って、食うなよ!人の口の周りについてたモンを!」

ミカサ「?どうして?」

エレン「どうしてってお前……子どもじゃねぇんだぞ」

コニー「お、まーた始まったぞ。ミカエレがよ」

エレン「!」

ジャン「オイやめろコニー……。その言葉を口にするな……」

コニー「なんでだよ?別に良いだろみんな使ってんだから」

エレン「みんなって……まさか流行ってんのか?今度は『ミカエレ』が?」

ミカサ「そう、私が流行らせた。
    リヴァエレなんかより、ミカエレの方が実情を表しているはず……。
    エレンは私とくっ付いているべき」

エレン「やめろよ!俺が好きなのはリヴァイ兵長だろ!いい加減にしろ!」

アニ「は?」

ミカサ「え、何それは」

アルミン「うわぁ……たまげたなぁ」

ジャン「やったぜ」



 おしまい

付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした。
セリフに淫夢ネタを中心とするホモネタを混ぜるのが難しかった(淫夢厨並みの感想)

淫夢ネタはオチへの伏線だった……?

>>176
かなり序盤からちょくちょく改変した淫夢用語使ってるから
気が向いたら探して、どうぞ

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