ジョジョの奇妙な冒険 -反逆のルルーシュ- (44)

ジョナサン「あっ!」

ジョナサン「ようこそ、君はルルーシュ・ランペルージだね?」

ルルーシュ「そういう君はジョナサン・ジョースター」

犬「わふっ、わふっ」ダダダッ!

ジョナサン「カレン!」

ジョナサン「紹介するよ、カレンって言うんだ! 僕の愛犬でね、猟犬だけどとても聞き分けのいい子なんだ! 大丈夫、噛み付いたりしないよ!」

ルルーシュ「ほう」

カレン「わんっ!」

ルルーシュ「……ルルーシュ・ランペルージが命じる」

ルルーシュ「カレンよ、俺に従え!」カッ

カレン「……くぅーん」

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ジョナサン「……? よく見えなかったし聞こえなかったけど、どうしたんだろう?」

ルルーシュ「カレン、ジョナサンの首根っこに噛み付いてやれ」

カレン「わふっ!」バッ!

ジョナサン「うわぁーーーッ!? カレンッ!? な、何をするだァーーーッ!!! 許してッ!」ゴロゴロ

ルルーシュ「(このマヌケそうなお坊ちゃんがジョースター家の跡継ぎか。俺はコイツを精神的に追い詰め、ゆくゆくは家も財産も乗っ取り、我が復讐劇の礎としてやる!)」

ジョースター卿「ブリタニアからはるばるよく来たね、ルルーシュ。君は今日から私達と家族だ」

ルルーシュ「ジョースター卿、御好意大変感謝致しております。親を亡くし、妹を亡くし、絶望の哀しみに覆われていた私を貴方は救ってくださった……この恩、どうやって返せばよいものか」

ジョースター卿「恩義を感じることは無いよルルーシュ。あの悲しい出来事はあってはならないことだった。私に出来ることがあれば何でも言ってくれたまえ」

ルルーシュ「ありがとうございます……」

ジョースター卿「うむ……」

ジョースター卿「ところで、ジョナサンはさっきから何をやっている?」

ジョナサン「あ! と、父さんッ! さっきからカレンが僕に噛み付いて離れてくれないんだッ! いてて!」グググ

カレン「ぐるるるるッ!」ガブガブ

ジョースター卿「おお、カレン! これはどうしたというのだ」

ルルーシュ「もういい、離してやれ」ボソッ

カレン「わふっ!」パッ

ジョナサン「ゲホッゴホッ!」

ジョナサン「な、何故、あんなに僕に懐いていたカレンが……まっ、まさか君がけしかけたのか?」

ルルーシュ「酷いな、俺は今日初めてここに来たんだぞ? そんな犬のこと知るか。躾がなってないんじゃあないのか躾が」

カレン「……くぅーん」

ジョナサン「で、でも!」

ジョースター卿「やめなさいジョジョ。きっとカレンは気が立っていたのだよ。女の子はそういうものなのだ。父さんも若い頃は火傷したものさ」

ジョナサン「はい……」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「(待っていろナナリー……俺は必ず……)」

それまで楽しかったジョジョの生活は

とても つらいものとなったのだった

【勉強の時間】


バチィン!

ジョナサン「ギャッ!」

ジョースター卿「また間違えているぞジョジョ! 勉強が分からないというから私が見てやればお前は間違えてばかりじゃないか!」

ジョースター卿「ルルーシュを見ろ! 20問中30問正解だッ! 居眠りの作法も完璧だッ!」

ルルーシュ「zzz……」

ジョナサン「くっ……」

【食事の時間】


ジョナサン「はぐはぐパクパクもぐもぐングングごくごくガツガツ」カチャカチャ

ジョナサン「あっ!」ガシャーン!


ダーン!


ジョースター卿「ジョジョ! 作法がなっとらんぞ作法がッ! もういい、ジョジョの食器をさげたまえ」

咲世子「はっ」

ジョナサン「そ、そんなッ!」

ジョースター卿「ルルーシュを見ろッ! まるでお手本のようだ!」

ルルーシュ「フッ」

「おい、こんな格式張ったものはいらん。ピザは無いのかピザは?」

ジョナサン「父さんッ!? あの女の子は……?」

ジョースター卿「そんなことはどうでもいい! 作法がなっとらんぞ作法がッ!」

ジョナサン「えええ……」

19世紀のスポーツ!

それは精神的な意味合いにおいて 今日のそれと少し違っていたッ!

社会や学校は学問以上にスポーツで鍛錬することを望み 単なる競技を超え 宗教に近かった!

そのため この時代 スポーツはルールやテクニックにおいて 大発展をし 高貴なものになっていくッ!

その意味はこの草っ原にいる子供たちとて例外ではなく 勝者は英雄だったッ!

子供「続いて紹介するはジョナサン・ジョースターッ! 彼は最近、実力をつけてきましたッ!」

ジョナサン「おおッ!」

子供「挑戦者ジョナサンに相対するはチャンピオン……の予定でしたが、ここで一つ変更があります」

ジョナサン「?」

子供「なんと、我々の新しい友人が親交を深めたいとチャンピオンに代わって今日のボクシングの試合に出場の名乗りを挙げました! それでは紹介しようと思いますッ!」

子供「ルルーシュ・ランペルージッ!」


ルルーシュ「……」バァーン!

ジョナサン「ま、まさかッ!?」


「なんだあのモヤシはー!」

「ヒョロヒョロじゃあないかッ! ジョナサンとの体格差は歴然だ!」

「童貞ー」


ルルーシュ「……」ギロッ

「フフ、ほんの冗談じゃないか」

ルルーシュ「黙っていろ」

子供「ルルーシュ、ルールはさっき言った通りだ。顔面に一発でも貰えば負け、それ以外はどれだけ打たれようと負けない」

ルルーシュ「ああ、理解している」

ジョナサン「手加減は出来ないぞ、ルルーシュ!」

ルルーシュ「それはこちらも同じこと」

子供「それでは、試合のゴングをッ!」


カァーン!


ジョナサン「うおおおおおッ!」ブンッ

ルルーシュ「ひっ!?」サッ

子供「ルルーシュ! ジョナサンの右ストレートを紙一重で躱すゥ!」

ルルーシュ「(な、なんというスピードだッ! い、いくら戦略とはいえ、俺はやはりこういうことには向かんッ!)」

ジョナサン「ハッ!!!」ブンッ

ルルーシュ「うわあっ!?」サッ

ジョナサン「どうしたルルーシュ! 逃げてばかりでは僕には勝てないぞッ!」

ルルーシュ「(黙れこの単細胞めッ! もう少し……!)」

ルルーシュ「!?」ガッ

子供「ああーっとルルーシュゥ! あっという間にコーナーまで追い詰められたッ!」

ジョナサン「(チャンスだッ! 逃げ場は無いッ!)」

ジョナサン「痛みは一瞬だ、ルルーシュ!」

ルルーシュ「うわああああああああああッ!?」

ルルーシュ「……馬鹿め!」ニヤリ

ズボォッ!


ジョナサン「なっ……! ぼ、僕の両足が地中深く……! これは落とし穴ッ!?」

ルルーシュ「(フフフハハハハハ、その落とし穴は先日のうちにカレンを使って掘らせておいたものだ! 貴様の性格のことだ、子供の戯れ事とはいえスポーツとは全てが厳正なルールによって成り立っているものだと思い込んでいる! そんなお前が突然のアクシデントやアンフェアに対応できないのは予測済み!)」

ジョナサン「ぬ、抜けな……」グッグッ

ルルーシュ「さて、顔面に一撃を入れた者が勝者……だったな」

ジョナサン「待ってくれルルーシュ!? 動けぬ者に攻撃を加えるなんて卑怯だぞッ!」

ルルーシュ「知ったことかァ! 俺はこんなところで立ち止まっていられないんだよッ!」ブンッ


バキィッ!


ジョナサン「ぐわあああ……あれ……全然痛くない……」

子供「決まったァーッ! 勝者、ルルーシュ・ランペルージッ!」

ルルーシュ「フハハハハハハハハハハッ!」


ワアアアアアアアアアアッ!!!

ルルーシュ「ハ……」

ルルーシュ「……」

「おい、どうしたルルーシュ?」

ルルーシュ「指の骨が……折れた」ズキズキ

「……どっちが勝者か分からんな」


ジョナサン「(ルルーシュ……君は動けない僕を気遣って最後に手加減を……紳士だ……)」

ジョナサン「この勝負、名実共に僕の負けだ……!」

なんとなく思いつきで建てた。今は眠いからこれで。

【その日の夜】


ルルーシュ「ッ……! クッ」ズキッ

「……これでよし。全く、お前は悪知恵は働いてもカラダはなまっちょろいな」

ルルーシュ「黙っていろ魔女」

「強がりか童貞坊や? それに私には『C.C.』という立派な名がある」

C.C.「気に入っているワケではないがな」フフン

ルルーシュ「お前こそ俺を……まぁいい」

ルルーシュ「それより、いつの間にジョースター家に潜り込んだ? 少し前から姿は見掛けていたが……」

C.C.「なに、私の『ギアス』の力は知っているだろう? 妻を亡くした夫を篭絡することなど朝ピザ前さ」

ルルーシュ「(……やはりコイツは魔女だ)」

C.C.「で、首尾はどうだ?」

ルルーシュ「順調だ。俺はジョジョ……ジョナサンに確固たる差を見せつけ、格、存在の違いを思い知らせた」

ルルーシュ「この家を継ぐのが俺とジョナサンのどちらなのか……いずれ誰にでも分かるようになる」

C.C.「ふうん」

C.C.「しかし、お前にしては随分まどろっこしいやり方じゃあないか。この家が欲しいだけならお前の『ギアス』を使えばすぐだろう? この家に最初に来た時、あの坊やの飼い犬にしてみせたように」

ルルーシュ「使うまでもないだけだ。してみせるならもっと相応しいステージを用意する」

C.C.「その時が楽しみだよ」

ルルーシュ「悪趣味だな」

C.C.「それは自分に向けて言っているのと同一だ」

ルルーシュ「……」

恋!

ジョジョは恋をしていたッ!

些細なきっかけで知り合っただけの少女が どこかぽっかりと穴を空けていたジョジョの心を満たしてくれていたッ!

ジョナサン「……」ボォーッ

ルルーシュ「おはよう、ジョナサン」

ジョナサン「……」ボォーッ

ルルーシュ「……? おい」

ジョナサン「えっ? あ、ああっ! おはよう、ルルーシュ」

ジョナサン「……」ボォーッ

ルルーシュ「(なんだ? とうとう腑抜けになったか? いや、ようやくと言った方が正しいか……)」

咲世子「ルルーシュ様、ちょっとこちらへ」ソソッ

ルルーシュ「はぁ」

咲世子「実はジョジョ様は恋をしていらっしゃいます」

ルルーシュ「……恋?」

咲世子「実はルルーシュ様がこの屋敷に来る少し前、とある少女が街のいじめっ子達にからかわれていたところをジョジョ様が助けに入ったのがきっかけのご様子」

咲世子「それ以来、特にお話を聞くようなことは無かったのですが……どうやらここ最近進展があったみたいで」

ルルーシュ「なるほど、それでジョナサンは」

咲世子「ジョジョ様も年頃の男の子。ルルーシュ様もおちょくったりせずにどうか優しく見守ってあげてくださいね」

ルルーシュ「ハハッ、咲世子さん。俺がそんな無粋な真似をするような男に見えますか?」

咲世子「全然見えません。ふふっ」

咲世子「それでは、朝食の準備に参ります」スタスタ

ルルーシュ「ああ」

ルルーシュ「さて、どう邪魔してやったものか」

ルルーシュ「(ジョナサンに生きる活力は与えん。一生、俺の足元に這いつくばってもらわねばな)」

カレン「わんわんっ!」パタパタパタパタ

ルルーシュ「? カレン?」



C.C.「(ルルーシュ様は他人の恋を邪魔するくらいモテないんですか? でも大丈夫ですっ! ルルーシュ様には私がいますから!)」

C.C.「だとさ」

C.C.「ブフッ」

ジョナサン「こっちにおいでよエリナ! ほら、カエルを捕まえたよ!」バシャバシャ

エリナ「きゃあッ! ジョジョ、わ、私はカエルが苦手なの!」

ジョナサン「僕もホントは苦手さ。ヒモを括りつけてクルクル回して遊ぶのは楽しいけどね」ポイッ

ジョナサン「さぁ、次は何をして遊ぼうか!」

エリナ「ジョジョ、私、昼食を作ってきたの。それを食べてからにしましょう?」

ジョナサン「わぁ! 美味しそうなサンドイッチだ! これ全部エリナの手作りかい?」

エリナ「ええ、お口に合うかは分からないけど……」

ジョナサン「きっと美味しいに決まってるじゃあないか! それじゃ……」

エリナ「まぁ、ジョジョったらカエルを触った手でサンドイッチを食べるのですか?」

ジョナサン「おっと、いけないや。僕は父さんにも『お前は食事の作法がなっとらん』ってよく怒られるんだ」

エリナ「ふふっ」

ジョナサン「はははっ!」

ジョジョは幸せであった

ルルーシュが来てから何かと惨めな気持ちになりっぱなしでいたジョジョだったが

エリナと過ごしている時だけはそれを忘れることが出来ていた

ジョナサン「それじゃあまたね、エリナ!」

エリナ「さよなら、ジョジョ!」


タッタッタッ……


エリナ「……」

エリナ「ジョジョ……勇敢で誇り高くて、とっても優しい人……」

ルルーシュ「さて、それはどうかな?」ザッ

エリナ「! あ、貴方は誰?」

ルルーシュ「俺はルルーシュ・ランペルージ……いいや、今はルルーシュ・ジョースター」

ルルーシュ「ジョナサンと俺は家族なんだ」

ルルーシュ「君に話しかけたのは一つ忠告をと思ってね」

エリナ「忠告……なんのことでしょう?」

ルルーシュ「もう二度とジョナサンには近づくな」

エリナ「なんですって!?」ガァーンッ!

ルルーシュ「ヤツは紳士ヅラしてはいるが、本当は我侭で暴力的で鼻持ちならない男なんだよ。見てくれ、俺のこの手を。ヤツにやられた痕だ」スッ

エリナ「!!!」

ルルーシュ「俺はこの程度で済んでいるが、他にはもっと酷いことをされた者もいる……」

エリナ「う、嘘です! 信じられません! だってジョジョは私が作ったサンドイッチを『とっても美味しい』と言ってくれました! 優しいジョジョ!」

ルルーシュ「俺は心配なんだ……花のように美しく、簡単に手折れてしまいそうな君のことがな」ギュッ

エリナ「きゃっ!」

ルルーシュ「あんなヤツのことはもう忘れろ、これからは俺が君を……」


ブワシィッ!


ルルーシュ「……ッ!」

エリナ「こ、これ以上私とジョジョに近づかないで!」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「馬鹿な女だ……大人しく言う事を聞いていれば本当に忘れずに済んだものの……」

エリナ「ああっ……!?」ビクッ

ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる……ジョナサンと過ごした全ての日々を忘れろッ!」カッ

エリナ「」ズキュウウウウウウウウウウン

エリナ「……あら、私ったらこんなところで何をしていたのでしょう?」

エリナ「早く帰らないとお父様とお母様に叱られてしまうわ」

ルルーシュ「ククク……悲しいなぁ、ジョジョ」

ルルーシュ「誰かが言っていた。人はその身が朽ちたから死ぬのではない」

ルルーシュ「忘れられることこそ、真実の死であると」

ルルーシュ「彼女の中のジョナサン・ジョースターは……俺が殺した! フハハハハハハハハハハ!!!」



C.C.「……」

C.C.「『死』、か」

それでは。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月22日 (火) 16:31:36   ID: Vpk4TzRj

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