モバP「女は、信用できない」(584)


モバP(俺は一人の女性を好きになった。相手も俺の事を好きになってくれて、俺達は付き合った)

モバP(俺は幸せだった。まだ若いけど、この人とこのまま結婚するんだろうって、信じて疑わなかった)

モバP(でも、幸せは長く続かなかった)

モバP(恋人が他の男と歩く姿を見た。俺の家で、俺のベットの上で愛を囁きあってる姿を見た)

モバP(もう、何が何だか分からなくなって、泣いた。……二人が愛し合う光景は夢にすら出てきた。そして、一連の出来事を日常の至る所で思い出しては、泣いた)
 

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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


モバP「え? 姉貴が、逃げた……?」

モバP「娘を頼むって、どういう事ですかッ?! ちょっと!!」ブツ

モバP「……」

モバP(姉貴は幸せな家庭を築いていたはずだ……。なのに、姉貴は他に男を作り、娘と夫を残して逃げた)

モバP(夫は自殺した。……俺も最愛の人を取られ、自殺しようとした事があった。だから、気持ちは分かる。……夫と違って踏み出す勇気がなかったが)

モバP(それにしても、娘を残して自殺だなんて、何を考えてるんだ……)

モバP(辛いのは分かる……死にたくなるのも、分かる……だけど、死ぬなよ……)


モバP(姉夫婦の娘は俺が引き取る事にした。……残された娘達の不幸、嘆き、怒りを受け止められる自信なんかない)

モバP(だけど、愛する人から捨てられ、悲しんでいる少女達に思わず自分を重ねてしまい、どうしても放っておけなかった)

モバP(幼くして両親を無くした娘がどう育つのか俺には分からない。ちゃんと育てられるのかも分からない)

モバP(それでも、俺はできる限りの事をしようと、姉が残した娘達を見て、そう思った)
 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


モバP(……俺は、こんな残酷な事を平気で行える女という生物に心底恐怖した)

モバP(女性が全員そういうわけじゃないって、理屈では分かる。分かる………だけど――)


モバP(女は、信用できない)


モバP(信用できるものか)
 


社長「君、うちの事務所でプロデューサーやらないかい」

モバP「は? すいません……よく意味が」

社長「一目見てティンと来たんだ。君に是非うちのアイドル達をプロデュースしてもらいたい!」

モバP「アイドル、ですか? その……俺は、女性が苦手なので、そう言うのは……」

社長「女性を苦手とする男であれば、アイドル達も安心だろう」

モバP「苦手って言っても、性欲はあるんですがね」

社長「そんなもん、誰にだってある! どうだね? 給料も悪くないし、いい話だとは思うのだが……考えてみてはくれないかね?」

モバP「何かいい加減ですね……」
 

モバP(高級そうなスーツに身を包んだ、少し老いた男性に持ちかけられた話は、プロデューサーをやってみないか、というものだった)

モバP(見ず知らずの人間にそんな事言ってくるもんだから、勿論疑った。……疑って、しつこく質問したが、どうやら相手は本気らしい)

モバP(かっこつけとかではなく、本当に女性が苦手な俺は、最初断ろうかと思った)

モバP(だけど、アイドルとプロデューサーなんて仕事だけの関係だし、仕事上仕方ない割り切った関係なら、女性と関わるのは苦手でもなんでもない)

モバP(それに、アイドルという職業柄、事務所のアイドル達は少なからず男への警戒心が強いと思う。きっと、そんなに深く関わることなんてない。安心なはずだ)

モバP(……何より、俺には娘がいる。養っていく為にも、給料の高い仕事というのは今の俺にとってとても助かる話だ)

モバP(こうして、俺はアイドルをプロデュースする仕事へと就いた)
 


モバP「今日からここで働く事になりました。モバPと申します。よろしくお願いします」


「何か冴えないなー」「随分と若いね」「……男の人」「お、男の人だ……どうしよう」ヒソヒソ


モバP(女だけしかいなかった職場にいきなり男が現れたわけだし、こんなもんか)

モバP(まぁ、何とかなるか? 不安がってはいる子もいるが、別に頭っから拒否されてるわけではなさそうだ)

モバP(打ち解ける必要は無いが、仕事に支障が出ないぐらいの信頼関係は築かないとな……)

モバP(がんばろう)
 


凛「プロデューサー」

モバP「ッ?!」

モバP(何だ? 元恋人に似ている……?)

凛「渋谷凛です。これからよろしく…………プロデューサー?」

モバP(渋谷……だと……この女は、アイツの妹か……)

モバP「あぁ、よろしくな」

モバP(姉妹だからって、そんなに似る必要は無いだろうが……また、思い出してしまう……思い出したくなんかないのにッ!!)

モバP「……」

モバP(…………ただ妹なだけの渋谷凛に、罪はない、よな)

モバP(過去をいつまでも引き摺るような奴だから、他の男に恋人を取られるのかな)

モバP「よろしく、これから……」

凛「? いきなり苦しそうな顔してどうかしたの?」

モバP「別に、何でも……」
 




モバP(いつまでも、付き纏って…………)


  


モバP(アイドル育成も大変そうだな……)

モバP(分からない所は覚えるとして、まずはできる事から始めるか)


   ガチャ


美嘉「――あれ? Pさん何でここにいるの?」

モバP「美嘉、か? お前、アイドルやってるのは知ってたけどここで働いてたのか……」

美嘉「そうだよー☆ へぇー、新しいプロデューサーってPさんの事だったんだ」

モバP「ん、まぁな」

モバP(こいつは従妹の城ヶ崎美嘉だ。歳は結構離れてるが、家が近く、昔から会う機会が多かった事もあってそれなりに仲はいい)

美嘉「……その、女の子ばかりだけど、大丈夫?」

モバP「あぁ、別に問題ない。色々複雑なだけで女性が嫌いって訳じゃないからな。だから安心してくれ」

美嘉「これからはPさんと一緒に仕事するのかー、何か恥ずかしいな……」

モバP「テレビに出てる姿を何度も見てきてるってのに今更何を。……まぁ、一緒にがんばろうな。正直いきなり環境が変わって戸惑ってたから、知り合いがいると心強い」
 


美嘉「それじゃぁさ、今日は一緒に仕事行かない? 現場の雰囲気とか見てもらいたいし……それに、最近二人で出かけてないし、いいでしょ?」

モバP「別にいいけど、何か遊びに行くみたいな言い方だな」

美嘉「細かい事は気にしない! ほら、行くよー」

モバP(長い間一緒にいた事もあり、美嘉に対しては特に苦手意識は無い。家族に近いからだろうか)

モバP(どうでもいいが、美嘉は俺に関する事情を全て把握している)

モバP(優しいのか気まぐれなのかは分からないが「リハビリしよう」と言っては、よく遊びに誘ってくる)

モバP(美嘉の存在には大分助けられたと思う。今も、昔も)

美嘉「Pさーん、早くー!」

モバP「分かってるって」
 

ストーリーが微妙に纏まらないので時間をください。


 ガチャ

モバP「ただいまー」

千枝(9歳)「おかえりなさい、パパ」

幸子(8歳)「遅いですよ、お父さん」

雪美(7歳)「………おかえり」

モバP「皆お留守番ありがとな。今から夕ご飯作るから待っててくれ」

莉嘉「夕ご飯なら莉嘉が作ってるよー!」

モバP「お前来てたのか……」

モバP(こいつは城ヶ崎莉嘉。美嘉の妹だ。姉とは仲がよく、一緒に家に遊びにきたり、今日のように一人で来たりする)


モバP「って、莉嘉はまだ料理完璧にできないだろ……」

千枝「千枝も手伝ったから、大丈夫だよ」

幸子「ボクも手伝いましたよ! 褒めてください!」

雪美「………私も……手伝った」

モバP「皆、いい子だな」

莉嘉「ほらっ、Pくん。料理できたからお皿の準備しよー☆」カチャカチャ

千枝「パパ、これ持ってって。千枝はこれ持ってく」

モバP「はいよー」
  


 ガチャ

美嘉「やっほー★ Pさん、今日はお疲れ様ー」

モバP「美嘉もお疲れ様。ちょうどご飯できたぞ」

美嘉「本当?! 今日は何気に仕事多かったからねー、流石にお腹すいたよ」

莉嘉「お姉ちゃん、おかえりー」

千枝「美嘉さん、こんばんわ」

美嘉「今日も賑やかだね」

モバP「ははっ。まぁ、微笑ましくていいけどな」
  


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「「「いただきます!」」」


モバP「……ところで美嘉も莉嘉も俺の家にいるってちゃんと親に言ったんだろうな?」

莉嘉「言ったよー。まったく、Pくんは心配性だなー」

美嘉「心配してくれるのは嬉しいけどね」

幸子「そんな事よりお父さん、ボクが作ったおかずはおいしいですか?」

モバP「何か上手く言葉が見つからなくて悪いが、普通においしいよ」
  


千枝「パパ、千枝が作ったのはこれだよ、食べて!」

モバP「それじゃ、貰うよ。……うん、おいしいよ。ありがとな、千枝」モグ

莉嘉「Pくん? 莉嘉のは?」

モバP「昔と比べて大分上達したよな莉嘉も」

美嘉「昔のは食べられたもんじゃなかったよね」

莉嘉「昔の事はいいでしょ! それで、今日作ったのはおいしい?」

モバP「おいしいって。上達したよなーって褒めたじゃないか」

莉嘉「えへへ……これからもがんばるから、楽しみにしててね!」

モバP「あぁ、楽しみにしてるよ」
  


雪美「……ぱぱ」クイクイ

モバP「雪美? どうした?」

雪美「……あーん、して」

美嘉「ッ?!」

モバP「食べさせてくれるのか? ありがとうな」パクッ

雪美「……おいしい?」

モバP「あぁ、おいしいよ」ナデナデ

雪美「んっ………」

幸子「むっ、どうして雪美だけ撫でるんですか! ボクだってがんばったんですから、撫でてください!」

千枝「パパ? 千枝もがんばったよ?」

モバP「はいはい。……可愛いなぁ、もう」ナデナデ
  


モバP(姉の娘である千枝、幸子、雪美は全員俺が引き取った)

モバP(ショックだったろうに、辛かったろうに、子供達は一生懸命新しい環境に慣れようとした)

モバP(無理して呼ばなくていいと言ったが、皆俺の事を父と呼んで慕ってくれている)

モバP(幼くして両親を無くした事もあり、娘達はよく俺に甘えてくる。親の代わりとは言え、甘えてくる娘達は可愛らしく、俺はできる限り応じた)
 


モバP(今こそ順調のように見えるが、まだ分からない)

モバP(中学生、高校生と上がっていくうちに親がいないという環境が影響を与え、悪く変わって行ってしまうかもしれない)

モバP(それでも、俺は出来る限りの事をしようと思う。例え嫌われようとも……)



モバP(――俺は、娘達を愛しているから)

  
  

確かに女性不信の割には周りに女の子多いね。まぁ家族みたいなものだから大丈夫なんだって納得してください。ごめんなさい。

今日は寝ます。

P自身、女は『嫌いじゃない』と言ってるから、
特別(男女)な関係になったら『その女性』は信用出来ないって事なんだろう。
トラウマが発生→『裏切られる』って強迫観念が出現するんだろうな、きっと。
元彼女が何歳か判らんが、その年齢以下なら対象外って条件も付きそう。

監禁して調教し直すから無問題


奈緒「プロデューサーってさ、何かアニメとか見んの?」

モバP「アニメ、か……[たぬき]かな」

奈緒「[たぬき]って……[たぬき]をバカにするわけじゃねぇけど、男ならもっと別のアニメ見ろよ……」

モバP「暇だったらな」

奈緒「なんだったら貸そうか? アニメ。こう見えてあたしはアニメ好きだからな、ガンダムとかひぐらしとか、男が好きそうなのも結構持ってるぞ」

モバP「気持ちはありがたいが、遠慮しておくよ。それじゃ、仕事行ってくる」ガチャ

     バタン
 

>>85ミスった、ごめんよ




奈緒「プロデューサーってさ、何かアニメとか見んの?」

モバP「アニメ、か……ドラえもんかな」

奈緒「ドラえもんって……ドラえもんをバカにするわけじゃねぇけど、男ならもっと別のアニメ見ろよ……」

モバP「暇だったらな」

奈緒「なんだったら貸そうか? アニメ。こう見えてあたしはアニメ好きだからな、ガンダムとかひぐらしとか、男が好きそうなのも結構持ってるぞ」

モバP「気持ちはありがたいが、遠慮しておくよ。それじゃ、仕事行ってくる」ガチャ

 バタン
 


奈緒「……」

奈緒(女と話すのが慣れてないとか、あたしを嫌っているとか、あたしと会話するのを恥ずかしがってるとか、そういう雰囲気じゃない)

奈緒(アイドルとプロデューサーって感じの割り切った接し方ともまた違うような……何だかもやもやするような態度だ)

奈緒「……そういや、あたしがアニメ好きって言っても全然反応なかったな」
 

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http://i.imgur.com/SEPFkec.jpg
神谷奈緒(17)


女友1「もう、心配するこっちの身にもなってよね!」

女友2「アイドルだから忙しいのかもしれないけど、倒れるまで無理しなくても……」

加蓮「あははっ。心配かけてごめんね、皆。レッスンに力入れすぎちゃってさ」

男友1「ライブ見に行ったけど、もう十分っしょ。レッスンする必要ないぐらい凄いって!」

男友2「そうそう。だからこんなになるまで無理すんなよな。俺らだってめっちゃ心配したし」

加蓮「ごめんごめん。仕事も休む嵌めになっちゃったし、次から気をつけるよ」

女友2「仕事ない日は学校にだって通ってるんだし、ほどほどにするべきだよ……」

加蓮「大丈夫だって。昔に比べて体力もついたし」

女友1「そうは言っても、あんた昔から体弱いんだからさー」


 ガヤガヤ


モバP「……」コソ

モバP(倒れたって聞いた時は心配したが、大丈夫そうだな)
  

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北条加蓮(16)


 ガチャ

モバP「……」

加蓮「あ、プロデューサーもお見舞いに来てくれたんだ」

モバP「……その、大丈夫か?」

加蓮「うん、大丈夫だよ。ちょっとがんばりすぎちゃっただけだし」

モバP「そうか……今度から気をつけてくれ。皆心配する」

加蓮「心配させた事については謝るよ。……ごめんなさい」

モバP「……北条の、アイドルに対する想いが人一倍強いってのは分かったが、無理だけはするなよ」

モバP「無理をして、本末転倒な事態に陥ったら……北条が報われない」

加蓮「……うん……次から気をつける」
  


モバP「……ならいいけど」

モバP「それじゃ、また明日」


 ガチャ バタン


加蓮(別にいて欲しいわけじゃないけど、もう帰っちゃうんだ)

加蓮(自意識過剰も甚だしいけど、私に興味とかないのかな……心配はしてくれたみたいだけど)

加蓮(さっき来てた男友達なんて凄く分かりやすかったのになぁ)


加蓮「アイドルとしても、女としても自信無くしちゃうよ、もう……」
  


法子「プロデューサー、ドーナツ食べる?」

モバP「んー、お腹一杯だからいいや」

法子「えー! プロデューサーは最近働きすぎだから甘い物食べないと!」

モバP「仕事分からない状態から始まったからな、忙しいのは当たり前だ」

モバP「……ようやく変わった環境に慣れてきたけどな」

法子「そういえばプロデューサーが来てもう一ヶ月ぐらいだね!」

モバP「そういえば、そんぐらいか……時間が経つのはあっという間だな」
  

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椎名法子(13)


法子「お仕事はどんな感じなの?」

モバP「うーん、ここの事務所のアイドルってさ、ファンは他のアイドルグループより多かったりするけど、何故か知名度がまだあまり高くないんだよな。そこを何とかしようとしてるんだが……」

モバP「……皆には悪いけどそう上手くはいかないみたいだ」

法子「でも、プロデューサーのお陰でお仕事増えてるよ! これからも一緒にがんばろうね!」

モバP「……」

モバP「……あぁ、がんばろうな」
 


美嘉「Pさん、ずっと働いてると加蓮みたいに倒れるって、少しは休みなよ」トコトコ

法子「美嘉さんの言う通りだよ、休憩しよう!」

モバP「……んー……そうか、そうだな……じゃあ、休憩するよ」

美嘉「はい、これ」カフェオレ

モバP「おー、ありがとう」

法子「カフェオレ好きなんですか?」

美嘉「Pさんは甘いコーヒーも飲めないお子ちゃまだからねー」

モバP「仕方ないだろ、苦いのは苦手なんだ」
 


美嘉「そんなお子ちゃまPさんに、優しいあたしは菓子パンをあげるよ。どうせ忙しかったり節約だったりで昼ご飯食べてないんでしょ?」

モバP「美嘉の言った通りだから助かるよ。ありがとな」モグ

法子(あれ、じゃあドーナツ……)

法子(……ドーナツ嫌いだったのかな)

法子(何かもやもやする……なんでだろ)
  

寝ます。


トレーナー「佐久間、少し動きが遅いぞ」

まゆ「はい……」

まゆ「……」タッ

トレーナー「今の所、もう一度だ」

まゆ「分かりました」

モバP「……」

トレーナー「入るのが遅い。もう一回だ」

まゆ「はい……」キュッ

モバP「……すいません。ちょっといいですか?」

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トレーナー(23)

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佐久間まゆ(16)


トレーナー「どうかしたか?」

モバP「佐久間の様子がおかしいので、ちょっと確認を」

まゆ「……まゆはいつも通りですよ」

モバP(佐久間はいつも無表情でレッスンに取り組んでいるが、ひたむきにアイドルをがんばってる女の子だ)

まゆ「………」

モバP(……今日はいつも通り無表情だが、時々苦しそうな息を吐き出したり、辛そうな表情を見せていた。もしかしたら体調が思わしくないのかもしれない)

まゆ「プロデューサーさん? そろそろレッスンを再開したいのですけど」

モバP「佐久間、無理してないか? 辛そうだぞ」

トレーナー「本当か、まゆ?」

まゆ「別に、大丈夫ですよ。レッスンを続けてください」

モバP「嘘をつくな。体調悪いなら中断だ」
  


まゆ「だから、まゆは別に何ともないです」フラ

トレーナー「おい、大丈夫か? ……ずいぶんと体が熱いぞ」

まゆ「大丈夫です。……まゆは大丈夫ですから」

モバP「事務所に連れて帰ります。今日のレッスンは中止という事で……申し訳ありません」

トレーナー「不調なら仕方ない。お大事に」

モバP「佐久間、背負うから乗ってくれ」

まゆ「…………」グッタリ

モバP「……佐久間、そんな状態でよく三十分も持ったな」

モバP「仕方ない」ヒョイ

まゆ「……プロデューサー、さん?」

モバP(何だこの軽さ……)
 


まゆ(……何だか、温かい)

モバP「……」

モバP「がんばりすぎだ、お前は。少しぐらい休めよな。まったく……」

まゆ(プロデューサー、さん……?)
 


まゆ「……!」ガバッ

まゆ「プロデューサーさん?」キョロキョロ

まゆ「……」

まゆ「……あったかかったな」
 


加蓮「新しいプロデューサーさんってさ……何か、壁を作ってるよね」

奈緒「あー、分かるな、それ。あたし達を避けてるとか、女との会話を恥ずかしがってるとかじゃなくて……なんつーか、上手く言葉が見つかんないな」

凛「壁云々以前に私だけ嫌われてるような気がするんだけど……なんで?」

奈緒「そういやそうだな……何かやったのか? 悪口言ったとか、態度悪いとか」

凛「態度は悪かったかもしれないけど、別に悪口とか言ってないよ」

加蓮「あれじゃない? 凛に一目惚れしたとか……」

凛「ないでしょ。それだったら普通に接してくると思うし」

加蓮「凛の事が嫌いなのかどうかは知らないけど、何か苦しげな表情で凛を見てる時あるよね」

奈緒「あたしも見たなーそれ。何かやらかしたのかと思ってた」

凛「何もやってないってば……」

加蓮「って、噂をすれば、あそこにいるのプロデューサーじゃない?」
 


千枝「パパ、次はどこに行く?」

幸子「お父さん、カワイイボクをもっと可愛くするにはお洋服が必要ですよ!」

莉嘉「Pくん! 莉嘉がPくんの私服選んであげるよ! あの店行こー!」

美嘉「アタシはあっちの店のがいいと思うけどなー」

雪美「………ぱぱ……抱っこ……」クイ

モバP「仕方ないな……ほら、おいで」シャガミ

雪美「………」ギュウ

幸子「ちょっと! 何で雪美だけ甘やかすんですか!」

モバP「家に帰ったら存分に甘えていいって……雪美は体力ないから……その、贔屓してごめんな」

千枝「帰ったらハグだからね、パパ」

莉嘉「莉嘉もPくんとハグしたいー!」

美嘉「莉嘉ー、あんまりPさんを困らせないでよー」
 


幸子「お父さん、早くしてください!」

千枝「パパ、早くー」



モバP「微笑ましいな」

美嘉「本当、皆小さくて可愛いね」クス

――――――――――――――――――――――

加蓮「なに、あれ?」

奈緒「プロデューサーは子持ちだったのか?」

凛「というか、あそこにいるの美嘉だよね?」

加蓮(え、プロデューサーってあんなに幸せそうな表情するの?)

奈緒(あんまり感情表現豊かな人じゃないと思ってたんだけどなぁ)

凛(子連れの幸せそうな夫婦にしか見えない……)

加蓮「あんな風に、笑うんだ……」

奈緒「そういえば笑った顔、あんま見た事なかったな……」

凛「……」
  


モバP「すまん、トイレ行ってくるから子供達見ててくれるか?」

美嘉「はいよー」

モバP「悪いな、行ってくる」


美嘉「……」

美嘉(Pさんは、アタシに依存してるの、自覚してるのかな……)

美嘉(アタシに対しての恋愛感情は無いみたいだけど、Pさんは無意識的にアタシに妻の役割を求めている)

美嘉(愛は要らないけど、妻は欲しいだなんて、アタシは認めないよ)

美嘉(愛の無い夫婦は、嫌だからね……Pさん?)

美嘉(でも、当分は難しいかなー。せめてもうちょっと女性不信が治ってくれると助かるんだけど)

美嘉「Pさんのお嫁さん…………あはっ、考えただけで体が熱くなっちゃう……」ゾクゾク


美嘉「ねぇ、Pさん――」

美嘉「――裏切る可能性なんてどの女性にもあるよ……だから、裏切る余地も無いくらい、アタシを束縛して欲しいな……」


美嘉「……愛してるよ……Pさん」クス
  

寝ます。


加蓮「何か、ちょっとショックだったな……」

奈緒「プロデューサーか? まぁ、あたしもびっくりしたけどよ……」

凛「私、プロデューサーがあんな風に笑ったの見た事ない」

加蓮「凛だけじゃないよ……私達だって知らなかったよ。あんなプロデューサー」

奈緒「いつもの態度はあたし達がアイドルだからなのか?」

凛「でも、それじゃあ美嘉は何で? 事務所ではあんまり話してないのに」

加蓮「何か、ここで考えても仕方ないよね……明日美嘉に聞いてみようか」

奈緒「ん、まぁ、そうだな。賛成」


幸子「いきますよお父さん!」ヒュ

モバP「……」パシ

幸子「ふふふ、どうですかボクの球は! 早いでしょう!」

モバP「ん、まぁな。幸子は上手だなぁ」ヒュ

幸子「カワイイボクにとっては剛速球を投げるのぐらい造作も無い事ですよ!」パシ

モバP(小さい幸子が威張りながらボールを投げてくるのは何ともいえない可愛らしさだ)チラ

雪美「…………」zzZ

モバP(ベンチでは雪美がぬいぐるみと一緒に寝てる。可愛い)

幸子「ほら、お父さん。よそ見しないでください!」ヒュ

モバP「はいはい」パシ
  


まゆ(プロデューサーさんが、小さい女の子とキャッチボールしてる。……いつもより表情が柔らかいのは気のせいでしょうか)

まゆ「あの、プロデューサーさん?」

モバP「あれ、佐久間? どうしてここに?」

まゆ「気分転換にちょっと散歩です。……その、この前は、ありがとうございました」

モバP「あぁ、別にいいよ。ただ、もう無理はするなよ」

まゆ「はい……もう迷惑かけません」

モバP「迷惑なんてしてないし、むしろ迷惑をかけるのは別にいい。……だから、あんまり心配させないでくれ」

まゆ「……」

モバP「……俺は、佐久間が頑張りやさんだって知ってる。……だけど、もう少し自分の体を労わるべきだ」

まゆ「ごめんなさい……」
 


モバP「謝る事じゃない。自分の事なんだから……」

まゆ「……」シュン

モバP「……ま、佐久間が無事でよかったよ。大きな仕事も増えてきてるし、これからも一緒にがんばっていこうな」

まゆ「はい! ……まゆはこれからも、頑張ります。プロデューサーさんと、一緒に」

幸子「ちょっとお父さん! カワイイボクを放って他の女の人と浮気だなんて酷いじゃないですか!」

モバP「いきなりどうした」

まゆ「プロデューサーさん、この子は? お父さんって……」

幸子「ボクはお父さんの娘ですよ!」
 


まゆ「娘……え? でも、プロデューサーさんって大学卒業したばっかりってまゆは聞きましたけど……」

モバP「あー。……隠す必要は無いか。変に誤解されるのも嫌だし……それじゃ、あっちのベンチで少し話でもするか」

幸子「お父さん?! カワイイボクとのキャッチボールを放棄するって言うんですか?!」

モバP「一旦休憩なー」

幸子「休憩するほどやってないじゃないですかぁ!!」

モバP「悪かったな。ほら、おいで」

幸子「もう、カワイイボクがこんなに近くにいるのに! お父さんの浮気者!」ギュウ

モバP(相変わらず構ってちゃんで甘えん坊だなぁ……思春期になってもこういう部分は変わって欲しくないけど……無理だろうなぁ)
 


モバP「幸子達はな、本当は姉の娘なんだ」

まゆ「一時的に預かってるって事ですか?」

モバP「……違う、かな」

まゆ「……複雑、なんですか?」

モバP「あぁ、結構複雑だ。姉貴は、夫の他に男を作って逃げた」

モバP「そして、その事にショックを受けて義兄は、自殺したよ。娘達を残して」

まゆ「……」

モバP「……経緯だけ説明すればよかったな。……ごめん、こんな話……」
 


まゆ「苦労したんですね」

モバP「苦労したよ。娘達の面倒は見なきゃいけないし、お金だってかかる、家事だってやらなきゃいけなかったからな」

モバP「両親をなくした娘達に、家族の温かさをもう一度与えてあげたいと思って俺は必死に父親になろうと思った……」

モバP「図々しいぐらいに、父親面をしたさ」

モバP「娘達がその当時の俺の事をどう思っていたのかは知らないけど、今はもう、ギクシャクしたのは無くなって父親のように慕ってくれている」

モバP「でも、娘達が俺の事を本当に父親だと思ってくれてるかは、分からないんだ……今でも、もしかしたら俺の独りよがりかもしれないって思うときもある……」

モバP「それでも、家族が温かいものだって、伝わればいいなって思って……」

モバP「娘達がどう思っていようと、俺はもう、娘達を家族だって思ってる。だから、幸せにしてあげたいんだ」

まゆ「……」

モバP「……何か、必要ないことまで語っちゃったな……こういう話をする機会がなくて、つい……」

 


まゆ(娘達の話をするプロデューサーさんは表情が優しくて、本当に心の底から娘達を思ってるようです)

まゆ(じゃれてくる娘達に構ってあげてるプロデューサーさんはとても幸せそうで、まゆは何故か動悸が激しくなっちゃいました)

まゆ(……羨ましかった。プロデューサーさんの家族が)

まゆ(プロデューサーさんは、家族は温かいものって言いましたよね?)

まゆ(まゆのお家は、冷たいです)

まゆ(まゆが風邪を引いた時、家族でまゆの心配をしてくれた人はいません……プロデューサーさんだけが心配してくれました)

まゆ(プロデューサーさんは、とても優しくて、温かいです……)

まゆ「その優しさを、温かさを……どうか、まゆにも……ください……」

まゆ「…………Pさん」
 

短くてごめんなさい。寝ます。


『愛してる』

『ずっと一緒にいようね』

『今日は用事があるから、また今度ね』

『他に、好きな人ができました。だから別れて下さい』

『アイツの処女は俺が貰ったよ。雑魚は大人しく自分で慰めてろよ』ニヤニヤ

『あの男だよ、彼女に乱暴した奴』

『最低な男』

『彼が助けなかったらもっと酷い事されていたんでしょうね』

『こんなに広まってるって言うのによく学校来れるな』

『本当、澄ました顔して不愉快な奴だよな、アイツがマジギレする訳だ』

『貴方と付き合ってた事なんてもう思い出したくもない』
 


モバP「……っ!!」ガバッ

モバP「……」ハァハァ

モバP「嫌な夢だな、くそ……」

千枝「パパ、大丈夫?」

モバP「千枝、か……おはよう……」

千枝「汗掻いてるよ、風邪?」

モバP「大丈夫、大丈夫だ……ありがとな、千枝」ナデナデ

千枝「もう、くすぐったいよ、パパ」

モバP「それじゃ、朝ご飯の用意をしようか」

千枝「うん、一緒に作ろっ」


モバP「千枝、お皿取って」

千枝「はい、パパ」カチャ

雪美「……ぱぱ……おはよう……」

モバP「雪美、おはよう」

雪美「……」ギュ

モバP「朝から甘えん坊さんだな、雪美は」ナデナデ

千枝「むー。……パパ、千枝も!」 

モバP「はいはい」ナデナデ


凛「ねぇ、美嘉。ちょっといい?」

美嘉「んー? あれ、皆集まってどうしたの?」

奈緒「いや、ちょっと気になる事があってさ……」

美嘉「気になる事?」

加蓮「一昨日さ、プロデューサーと一緒に街で買い物してたよね? 美嘉とプロデューサーってあんなに仲良かったっけ?」

凛「もしかして付き合ってるの?」

美嘉「あー、見られてたか。ちなみに付き合ってはいないからね」

奈緒「でも、かなり親しそうに見えたけど」

美嘉「アタシね、実はプロデューサーの従妹なんだ。昔からよく遊んでたから、結構仲はいいよ」
 


奈緒「従妹だったのか、だったら納得だな」

加蓮「一緒にいた小さな女の子達も従妹?」

美嘉「……えーと……あの子達は一応、Pさんの娘だよ」

凛「あの若さで子供いるの?」

奈緒「普通に六歳は超えてるよな……」

美嘉「娘は娘なんだけど、ちょっとそこら辺複雑なんだよね……」

奈緒「血が繋がってないとか?」

美嘉「うーん……ごめん、ノーコメントで」
 


加蓮「……その、プロデューサーってプライベートではあんな感じなの?」

美嘉「あんな感じって?」

加蓮「何か普通に笑ってたよね? プロデューサー。いつもはあんまり感情を表に出さないのに……」

美嘉「? Pさんは普通に笑うけど?」

加蓮「そ、そうなんだ……」

加蓮(何か、ショックだな……)

凛「――あのさ」

凛「私、嫌われてるみたいなんだけど、美嘉は何か理由知らない?」

奈緒「それはアタシも聞きたかったな。別に贔屓されたりとか嫌がらせされてる訳じゃないけど……凛は何もやってないらしいし、流石に酷いだろ」

加蓮「私達には普通なんだけどね……何か凛にだけは少しだけ雰囲気が変っていうか……」
 


美嘉「その事なんだけど……一応言っておくと凛は悪くないよ。というかいつまでも引き摺ってるPさんが悪いんだよね……」

凛「引き摺ってるって何を?」

美嘉「好奇心を刺激しておいて何だけど、アタシからは言えないかな……ごめんね」

凛「プロデューサーに直接聞けって事?」

美嘉「んー……うーん……本当に申し訳ないんだけどさ……できれば聞いて欲しくないかも……」
 


奈緒「凛に原因が無いのに、嫌われる理由って何だ?」

美嘉「それは誤解だよ。Pさんは別に凛を嫌ってはいないよ。というかさっきも言ったように凛は悪くないよ。悪いのはPさん」

美嘉「……いや、Pさんが悪いけど、Pさんは悪くないのかな……んー? ごめん、とにかくそういう事だから」

加蓮「何か事情があるって事なんだね」

美嘉「そういう事。まぁ、Pさんにはアタシから言っておくから、そんなに落ち込まないで」

凛「……」

奈緒「元気出せって凛。あんまり気にすんなよ」

凛「うん……」


美嘉(凛ってゴミクズお姉さんと雰囲気以外瓜二つだからなぁ……凛は別に悪くないけど、仕方ないよね)
  


まゆ「こんにちは、Pさん」

モバP「また来たのか、佐久間」

まゆ「家にいたっていい事ありませんから……」

モバP「家族と喧嘩でもしたか? ……まぁ、いいや。よかったら千枝達と遊んでやってくれ」

千枝「まゆさん、こんにちわー」

幸子「千枝姉さん! その人はお父さんを盗ろうとする悪い奴ですよ!」ギュ

雪美「…………ぱぱ……あげない」ギュ

まゆ「皆Pさんの事が好きなんですね……」

モバP「ははっ。……思春期になってもそうだと嬉しいんだけどなぁ」

まゆ「っ!」

まゆ(Pさんが、まゆに微笑んでくれてる……?)ゾク
 


モバP「佐久間? 顔が赤いけど、また風邪だったりしないよな?」

まゆ「大丈夫です……ところで、あの、Pさん……まゆの事は名前で呼んでくれませんか? お願いします」

モバP「名前呼びか……女の人を名前で呼ぶのって何か緊張するんだよな……」

まゆ「お願いします!」

モバP「分かったよ、まゆ……これでいいか?」

まゆ「あ、ありがとうございます……」

まゆ(何だかとっても親しくなれた気がして……Pさんに近づけたような気がして……嬉しい……)

モバP「まゆ? 何か目尻に涙が浮かんでるけど……本当に大丈夫か?」

まゆ「あ、だ、大丈夫です。嬉しくて、思わず……」ゴシゴシ

モバP(最近の女の子はよく分からないな……)
  


千枝「まゆさん、一緒にバトミントンやろー!」

幸子「お父さん、何デレデレしてるんですか?! お父さんはボクだけを構ってればいいんですよ!」

雪美「……ぱぱ、デレデレ……しないで……」

モバP「別にデレデレしてないだろ……」

まゆ「うふっ、別にいいんですよ、デレデレして」

モバP「まゆも、そういう事は言わない」


まゆ(もっと……もっとPさんに近づきたいな……)
 


加蓮「ねね、最近プロデューサーの雰囲気が柔らかくなったと思わない?」

奈緒「それなりに笑うようにはなってきたよな」

凛「そうだね。私にも自然に接してくるようになったし」

加蓮「ふふっ、何か嬉しいなぁ……」

凛「プロデューサーってさ……何か、いい匂いするよね」

奈緒「え? いい匂い? 匂いなんてするか?」

凛「そう? 加蓮は?」

加蓮「私も特に感じた事はないなぁ。プロデューサーって香水つけてたんだ」

凛「香水じゃないと思う……上手く言葉に表せないような匂い。私は好きなんだけどな、プロデューサーの匂い」
 


加蓮(スーツにその匂い付いてるかな?)チラ

奈緒「どうしたんだ? プロデューサーのスーツ凝視して」

加蓮「べ、別に何でも」

凛「スーツにも匂いついてるよ。ちょっと嗅いでみてよ」カチャ

奈緒「いや、何でいきなり」

凛「いいから、嗅いでみてよ」

奈緒「分かったよ……何か変態みたいで嫌だな……」スンスン

加蓮「……」スンスン

凛「ね、するでしょ?」

奈緒「別に何もしないけど……」

加蓮「うーん、匂いしないなぁ……」シュン
 


凛「あれ? 私の鼻がおかしいのかな……」スンスン

凛「……ん……ふぁ……」トロン

凛(やっぱりこの匂い、とっても落ち着く……)

凛(……プロデューサーの匂いを嗅ぐと凄い安心する)

凛(私は匂い嗅がないと一日落ち着けないぐらいなんだけどなぁ。皆はそもそも匂いが分からないんだ……)


凛「~~~~~~~っ」ビクッ

凛(何、これ……? 頭の中、焼けそう……それに、背中凄いゾクゾクして……)


奈緒「おーい、凛……? スーツに顔を埋めてどうした?」

凛「え、あ……何かぼーっとしてた……」

加蓮「そろそろ仕事行かないとね」

奈緒「今日の帰りは七時か……仕事面倒だなー」

凛「……」チラ


凛(もっと嗅ぎたかったな……)
  

寝ます。
凛ちゃんを変態にしてごめん。


 ガチャ

モバP「ただいま」

美嘉「おかえりー。どこ行ってたの?」

モバP「フィルムが溜まってたから現像してきた」

美嘉「相変わらずPさん写真撮るの好きだよね」

モバP「理由は知ってるだろ。最近は楽しんで撮ってるけどさ」

美嘉「それにしたって一般家庭よりは倍以上に写真撮るよね」

モバP「別に、いいだろ。ほら、笑って」カシャ

美嘉「いきなり撮らないでよ、もう」

モバP「ははっ。何を今更。いつもの事だろ」

美嘉「カメラ貸して」

モバP「何だ、俺を撮るのか?」


美嘉「違うよ……今度は一緒に写ろう?」ギュ

モバP「お、おい抱きつくな」

 カシャ

美嘉「よく撮れたかな?」

モバP「知らない」

美嘉「あれぇ? もしかして急に抱きつかれて照れてる?」クス

モバP「いきなり腕に柔らかいのは当たるし、いい匂いはするし、大体の男が照れるに決まってるだろ」

美嘉「へぇ……あはっ★ 後ちょっとかなぁ」

モバP「ん? 後ちょっとって何が?」

美嘉「こっちの話だよ」

 

>>1に注意書き忘れました。この作品には18禁要素があります(性的な)

今からでも遅くないので、エロが苦手な人は引き返してください。

ごめんなさい。


 


美嘉(最近のPさんは女性に対する警戒心、恐怖心が薄れてきている)

美嘉(後は、不信……。警戒心、恐怖心は別にそこまでじゃなかったけど、不信だけは一番厄介)

美嘉(後、ちょっとなんだけど……もどかしい)

美嘉「あ、Pさんのパンツだ……」スッ

美嘉「……皆当分帰ってこないし、ちょっとぐらい、いいよね?」


美嘉「ん……」スゥ
 


 Pさんの匂いをこんなに近くで嗅いだら、それだけでもう絶頂してしまう。体が震えて、背筋に快楽の電気が走って、首筋を通って、そのまま頭に伝わって、脳を快感に焼き切られる。

 Pさんと一緒の空間にいると、そういう空気は微塵も無いのに体がPさんを受け入れようと準備を始めてしまう事が多々ある。
 Pさんと一緒にいるだけでそんななのに、匂いなんて嗅いだら、もう……。
 
 アタシはPさんの下着を顔に押し当て、Pさんの匂いを体中へと送り込んだ。途端に、全身が満たされるような感覚と、アタシの子供を作る場所にじんわりとした熱が篭る。
 


「~~~~~~~~~っ」

 あっさりと、一切の愛撫をせずに、アタシはイった。脱力しそうになるのを必死に堪える。

 太腿を愛液が伝い、洗面所の床にぽたぽたと滴り落ちた。けど、そんな事も気にせず、アタシは一心不乱にPさんの下着に顔を埋めた。

 その内我慢が出来なくなり、慰めた。洗面所に水溜りを作りながら、何度も深い絶頂を味わう。

 アタシは、Pさんの下着を舌で感じながら……Pさんの下着で口腔内を犯しながら、何度もPさんを想って達した。
  


 数十分後、アタシはようやく自慰を終えた。正確には、体中に力が入らなくて続行できなかった。

 体中が痙攣して、頭がぼーっとして、荒い息は一向に整わず……だらしなく開いた口の端からは涎止め処なく零れて、挙句の果てに男物の下着に顔を埋めて突っ伏してる。

 傍から見たら完全に異常者だろう。


美嘉「……はぁ……ぁぁ……」ビクッ

美嘉「……腰が抜けて、立てない……」ガクガク

  


――――――――――――――――――――――――――


美嘉「さて、掃除しよう……」

美嘉「千枝ちゃん達が帰ってくる前に、片付けないと」フラ ドッ


美嘉「痛たた……体がだるいなぁ……自業自得だけど」 

 ヒラ

美嘉「あ、Pさんが撮った写真……」



美嘉「…………え?」



美嘉「……何で……何で、まゆがPさんと一緒に……」グシャ


  


まゆ「Pさんは、よく子供達を写真で撮ってますよね、趣味なんですか?」

モバP「えーと、趣味っていうか、何と言うか……」

まゆ「? 趣味じゃないんですか?」

モバP「結構暗い話だけど、聞きたいか?」

まゆ「Pさんの事なら、まゆは何でも知りたいです」

モバP「何だそれ……まぁ、いいけど」
 


モバP「俺が家族を撮るのはな、最近は趣味になってるけど、始めたきっかけは違うんだ」

モバP「俺って昔は写真撮られるのが凄い嫌でさ、ことごとく写真に撮られる事を避けてたんだよ」

まゆ「……」

モバP「……俺の両親はさ、結構早くに死んじゃったんだけど、写真を探すと、無いんだ、どこにも……」

モバP「俺が最後に家族と一緒に写った写真は、俺が小学校を卒業した時のだったよ」

モバP「それ以降の写真は無い。高校とかの卒業写真以外には何も無かったんだ。俺が写ってるものどころか、両親が写ってるものさえ」

まゆ「だから、家族を?」

モバP「ちょっと撮りすぎな気もするけど、出来るだけ多く残しておきたいんだ」

モバP「あ、そうだ……まゆも撮っていいか?」

まゆ「いいんですか? 家族でもないのに……」

モバP「家族ばっかり撮ってるだけで、別に家族限定ってわけでもないしな」

まゆ「でしたら、Pさんと一緒に写りたいです」

モバP「そうか、分かった」
 


幸子「あぁっ!! 何で二人きりで写真撮ってるんですか!」

千枝「パパ、私も入る!」

雪美「…………私も」

モバP「ちょ、いきなり――」

まゆ「……うふ」

 カシャ
 


まゆ(Pさんとツーショットはできなかったけれど、それでも、家族の一員になれたみたいで、まゆは嬉しいです)

まゆ(……Pさん、まゆは切ないです)

まゆ(Pさん、まゆを、あなたの家族に入れてくれませんか?)

まゆ(まゆはPさんの、お嫁さんになりたいです)

まゆ(Pさんと一緒に、温かい家族を、築きたいです)


まゆ「……愛しています、Pさん」
 

とりあえずここまで。


美嘉「ねぇ、まゆ……ちょっといい?」

まゆ「あら、美嘉さん? まゆに何か御用ですかぁ?」

美嘉「最近、Pさんにちょっかいをかけてるみたいだけど、やめてくれないかな」

まゆ「まゆは別にそんな事してませんよぉ? 何かの勘違いじゃないんですか?」

美嘉「これは、何?」ピラ

まゆ「……写真」

まゆ「……まゆと、Pさんの写真……」

美嘉「……いつの間にこんなの撮って……本当、許せないよ」


まゆ「返してッ!!」ガシ

美嘉「ねぇ……もしかしてまゆって、Pさんの事、好きなの?」ググググ

まゆ「……好きなんてものじゃありません……愛してます。愛してるんですッ!!」グググク

美嘉「へぇ……」グググ

美嘉「それじゃ、本当に愛してるかどうか、テストをしようか」パッ

まゆ「写真、返してっ!!」ダッ

美嘉「待ってってば、これからアタシの言うテストに合格できたら返してあげるから」ガシ

まゆ「一応、聞いておきましょうか……」グググ

美嘉「――テストの内容はね……これを使ってオナニーする事」パサ
  



まゆ「……これは……下着?」



美嘉「正真正銘、Pさんのだよ……アタシはPさんの匂い嗅がないと落ち着かないから、いつも持ち歩いてるんだ」

美嘉「まゆが本当に心の底からPさんの事愛してるって言うなら、それを貸してあげるから、それでオナニーしてみせて?」

美嘉「愛しの人のパンツを口に咥えてじゅるじゅる吸ったり、あそこに押し当てたりしてさ……できるよね?」

美嘉「Pさんを愛してるんだったら、そのぐらい造作も無い事だよね?」

まゆ「お、オナニー、ですかぁ? Pさんの、下着を使って……」

美嘉「ほら、早くしてよ……愛してるんでしょ? オナニーのやり方、分からないなんて言わせないから」

まゆ「で、でもこんな場所で……それに、美嘉さんもいるのに……」
  


美嘉「あっはっはっ★ 嫌なら嫌っていいなよッ!!」バッ

まゆ「っんー?! んー!!」

まゆ(Pさんの下着、顔に押し付けられて……っ?!)

まゆ(だ、だめ、Pさんの匂い、いっぱい、広がってくる……)

まゆ(お口の中に下着が……舌にPさんの下着が、当たって……)

まゆ(……もう……だめ……)

まゆ「~~~~~~~っ!!」ビクビク

 ドサ

まゆ「ん……はぁ……はぁ……」ビク







美嘉「…………え?」

  


美嘉(何……パンツ押し付けただけでイクって……創作にも中々ないよね……)

美嘉(ただの淫乱な気もするけど、別にいいか……)


美嘉「仕方ないなー。私の負け、返してあげるよ……写真」

まゆ「は、はい……」

まゆ「ん、ぅ……こ、腰が抜けて、立てないです……」

美嘉「……ねぇ」

美嘉「まゆのPさんへの愛を見込んで話があるんだけど」

まゆ「なんですか……?」




美嘉「――Pさんの恋人になる為に協力しない?」

 


美嘉「――というわけなんだ」

まゆ「凛ちゃんのお姉さんが……そんな事を……」

美嘉「当たり前だけどさ、凛は悪くないんだよね。ただ、双子っていうくらいそっくりだからさ」

まゆ「……Pさんは、その人をどれぐらい愛していたんですか?」

美嘉「正直言って、Pさんの愛はかなり重いよ」

美嘉「アタシは悔しかったよ。ずっと、ずっと好きだったのに、ずっと一緒だったのに、横から掻っ攫われて」

美嘉「それで、凄く愛されていて……」

美嘉「Pさんには悪いけど、Pさんがあの女と別れて、嬉しかった。どうしようもないくらいに、嬉しかった」

美嘉「そして、今度こそ、何をしててでもアタシはPさんの恋人になるって決めた」

美嘉「心の深い傷を負ったPさんの恋人になるには、まゆの協力が必要不可欠なんだ……協力してくれるよね?」

まゆ「うふっ……いいですよぉ、仕方ありませんね」

美嘉「思い立ったが吉日ってね、さっそく行こう、Pさんの所へ」

まゆ「ようやくPさんと……うふ」


――――――――――――――――――――――――


凛「…………」

凛「そういう、事だったんだ……」
  


モバP「何だ、渋谷……こんな所に呼び出して」

凛「来てくれたんだ、プロデューサー」

モバP「そりゃあ、話があるって言われて無視もできないだろ。何か、相談か?」

凛「……プロデューサーは、今でも私に姉を重ねているの?」

モバP「…………姉から、聞いたのか?」

凛「そんな所……それで、答えは?」

モバP「正直、渋谷を見る度に、思い出すよ……渋谷の姉と恋人だった時の事」

凛「どれくらい、好きだったの?」

モバP「……どれくらいって」

モバP「愛していたよ……もう、他に何も要らないってぐらい……」

凛「……そう、なんだ」
 


凛「……」

凛「プロデューサー」

凛「――裏切らない」ボソ

モバP「何か言ったか?」

凛「私は、裏切らない!!」

モバP「い、いきなりどうした、渋谷」

凛「あのね、プロデューサー、私、プロデューサーの事、好きだよ……」
 


凛「あのね、プロデューサー、私、プロデューサーの事、好きだよ……」

凛「最初はね、私にだけ変な態度をとる、無愛想で無感情な人だなって感じでしか見てなかった」

凛「でも、子供達と一緒にいるプロデューサーは、とっても幸せそうに笑っていて、思わず、自分にも笑いかけて欲しいななんて思って……」

凛「その日から、常にプロデューサーの事が気になりだしたの」

凛「どうして私には笑ってくれないんだろう、どうして私に興味を持ってくれないんだろうって、思いながら過ごした」

凛「その内、いつの間にか一日中プロデューサーの事考えるようになっちゃった」

凛「それでね、いつからか、プロデューサーが笑うようになって、私、凄い嬉しかった……神様にありがとうって言っちゃうくらい……」

モバP「渋谷……なんで……」
 


凛「あ、あのねプロデューサー……私ね、プロデューサーの匂いが大好きなの……不自然なくらい近づいて嗅いでた事もあるよ……」

凛「プロデューサーの匂いを嗅ぐとね、頭がぼーっとして、背筋がゾクゾクして、変な声が出ちゃうの……そのままトイレでシたこともあるよ」

凛「いつも冷静を装ってたけど、本当はプロデューサーの事しか頭に無くて……もう、ダメになっちゃいそう……」

凛「……それぐらい、プロデューサーの事が好き」
 


モバP「あ……あぁ……」

凛「私にお姉ちゃんを重ねないでッ!!」

モバP「っ!」ビク

凛「プロデューサー、好き……引退するまでは、がんばって、我慢する、から……だから」

モバP「お、俺は……姉云々の前に、渋谷に恋愛感情なんて……」

凛「好きになってもらえるように努力するから! 美嘉よりも、まゆよりも、ずっと、ずっといい女になるから……!」

凛「だから、私に姉を重ねないで……私を見て……」

凛「私は、私は絶対にプロデューサーを裏切らないからッ!!」









「――それじゃあダメだって、分からないかなぁ……」
 


 


美嘉「まさか抜け駆けされるとはねー」

まゆ「でも、今の凛ちゃんではPさんと恋人になるのは到底無理な話ですよぉ……うふ」

凛「…………」

モバP「ど、どうしたんだ? お前達……」

美嘉「全然ダメだよ、凛……絶対に裏切らないなんて言葉じゃ、Pさんと本当の恋人になるのは無理だよ」

凛「何? どこがダメなの? 私、本気でPさんの事が好きだよ……裏切る事なんてない! 勝手な事言わないで」

美嘉「あははっ★ まだまだだなぁ、凛は……」

美嘉「裏切らないだとか、愛してるだとか言ったって、Pさんには意味ないよ」

美嘉「凛と似たような事を、姉が言ってるんだから」
 


凛「……そんな……それじゃ、どうしろって言うの?! 言葉で伝わらないのなら、いっその事、体で……」

まゆ「アホなんですか、凛ちゃんは」

凛「だって、だって、もうそれしか……」ボロボロ



美嘉「――証明するんだよ、自分は浮気していないって」



モバP「な、何を言ってるんだ? 美嘉……」

美嘉「だから、証明するんだよ、毎日。自分は浮気していない事を」

まゆ「嘘をつく余地も無いぐらいに、きちんと、伝えるんです。身の潔白を」

モバP「そんなの……そんなのおかしいだろ。それじゃ、恋人をずっと疑ってるって事じゃないか!」
 


美嘉「いいんだよ、Pさん? 疑って? ……ずっと、ずーっと疑って? アタシは毎日証明するだけだから」

美嘉「今更になって言うけど、アタシもPさんの事、愛してるから……ここにいる誰よりも前から……」

まゆ「まゆも、Pさんの事を愛しています。……Pさんと一緒に、温かい家族を築きたいです」

モバP「な、何だ皆……おかしいぞ……なんで……」

美嘉「Pさんは気の済むまでアタシを束縛していいよ? 携帯だって見せるし、Pさんが望むならずっと家にいるよ?」

まゆ「Pさん……美嘉さんから事情は聞きました……でも、それでもまゆはPさんに愛されたいです」

凛「わ、私も、プロデューサーの事が好き。私も、愛されたい」


モバP「…………」

モバP「俺だって男だから……好意を寄せてくれる美嘉達と、恋人になりたいって、思うよ……だけど……」

モバP「女は、信用できない」

モバP「もう、信じられないんだ……」


美嘉「だから言ったでしょ? 毎日証明するって。ちゃんとした証明以外信じなくてもいいから、恋人になろうよ」

 


モバP「そんな恋愛は、おかしいよ……常に疑われて、信頼なんてまったくない……悲しいだろ、そんなの……」

美嘉「悲しくないよ……。ねぇ、Pさん……それだけだよ? 毎日身の潔白を証明する……それだけで確固たる信頼を得られるんだよ?」

まゆ「口先だけの、感情だけの信頼関係なんかよりも、こっちの方がずっといいってまゆも思いますよぉ、Pさん?」

モバP「でも、証明するって言ったって、完璧には無理だろ……そこまで好いてくれているのなら、無いと思いたいけど……絶対じゃ、ないんだ」

モバP「ずっと、ずっと恋人でいてくれる保障なんて、どこにも……」

美嘉「あはは★ まぁ、心に傷を負ったPさんならそう言うと思ったよ」










美嘉「――だからね、スペアを用意したんだ」






 


モバP「…………な、何?」

美嘉「Pさんならそう言うと思ったからね、スペアを用意したんだ」

モバP「意味が……意味が分からないんだが」

美嘉「凛。……凛もPさんと恋人になりたい?」

凛「なりたいに決まってるでしょ……プロデューサーの事、大好きだもん……」

美嘉「じゃあ、凛もスペアだね」

まゆ「まゆにとっては美嘉さんがスペアですけどね」

モバP「二人とも、スペアって……何を言ってるんだ? おい、美嘉?」

美嘉「まだ分からないの? Pさん? 本当はもう分かってるんでしょ?」
   




美嘉「――アタシ達全員を恋人にしてって言ってるの」ギュ



まゆ「別に愛は平等である必要はありませんよぉ……こっちは押しかけてる側ですし」ギュ

美嘉「Pさんがアタシ達にまだ恋愛感情を持っていないのが問題だけど」

美嘉「すぐに解決するから」

まゆ「うふ……幸せな家庭を築きましょうね、Pさん……」キュ

凛「ずるいよ、二人とも…………私だって……」ギュ

モバP「…………美嘉、まゆ、凛…………」

美嘉「後一歩だよ……後はPさんがアタシ達を受け入れてくれれば、それでいいんだよ?」

まゆ「Pさん? 美嘉さんが言ったように、毎日身の潔白を証明します。スペアもあります。……ですから、もう大丈夫ですよぉ」

凛「プロデューサー。スペアでも何でもいいから……私を、愛して……」
  









美嘉「……Pさん、一緒に幸せになろう?」








 
 END

鬱期待してた人いたらごめんなさい。
序盤で勘違いさせてたら申し訳ないんだけど、こんな感じの恋愛を書きたかっただけなんだ。

ちなみにおまけを書く予定なので、まだHTML化はしません。

読んでくれた方、レスしてくれた方、画像を貼ってくださった方、ありがとうございました。
人によってはコレジャナイ感があると思いますが、私は書きたかったものを書けたので満足です。


「凛? 何か近くないか?」

「別に」

 とっさに距離を取る。

 プロデューサーの匂いを嗅いでいたのはばれなかったらしい。

 未だに、私に対してどこか余所余所しい所はまだあるけれど、それでも前よりは数倍もマシだ。
 


 家に帰ると、隠し撮りしたプロデューサーの写メを眺めた。

 美嘉と楽しそうに話していた所を撮ったものだ。勿論、美嘉は写していない。 

「もっと、仲良くなりたいな……」

 仲良く、と言うのは……どの程度だろう。

 プロデューサーに寄り添う美嘉の姿が頭に浮かんだ。

 あれぐらいかな……。

 同時に、嫌な気持ちになる。

 ……だって、美嘉は既にその域に達しているのだから。

 何で嫌な気分になるんだろ。
 



「プロデューサーってさ……何か、いい匂いするよね」

「え? いい匂い? 匂いなんてするか?」

「そう? 加蓮は?」

「私も特に感じた事はないなぁ。プロデューサーって香水つけてたんだ」

 あれ? おかしいな。

「香水じゃないと思う……上手く言葉に表せないような匂い。私は好きなんだけどな、プロデューサーの匂い」

 毎日嗅いでいたいぐらい、好き。

 加蓮がプロデューサーのスーツを覗き見る。

「どうしたんだ? プロデューサーのスーツ凝視して」

「べ、別に何でも」

 奈緒に見つかって加蓮が焦る。でも仕方ないよね、気になるよね、プロデューサーの匂い。

「スーツにも匂いついてるよ。ちょっと嗅いでみてよ」

 私はプロデューサーのスーツを手に取り、加蓮達に突き出した。
 


「いや、何でいきなり」

「いいから、嗅いでみてよ」

 戸惑う奈緒に、強く言う。プロデューサーの匂いを知らないのは人生損している気がしたからだ。

「分かったよ……何か変態みたいで嫌だな……」

「……」

 悪態をつきながら奈緒は大人しく鼻を近づけて匂いを嗅いだ。加蓮は言わずとも積極的に嗅いでいる。

「ね、するでしょ?」

「別に何もしないけど……」

「うーん、匂いしないなぁ……」

「あれ? 私の鼻がおかしいのかな……」

 二人は匂いが分からないの? それとも今日はスーツに匂いがついていないのかな……。

 顔を近づけて確認した。

「……ん……ふぁ……」

 匂いは普通にした。いつも通りの、プロデューサーの匂い。

 この匂いは、とっても落ち着く。

 プロデューサーの匂いを嗅ぐと、心が安らぐ。

 私は匂い嗅がないと一日落ち着けないぐらいなんだけどなぁ。皆はそもそも匂いが分からないんだ……。

「~~~~~~~っ」

 不意に、前と同じような、電気が走ったような感覚が全身を駆け抜けた。

 でも、前よりも、ずっと強い。

 一体何なの、これ……? 頭の中、焼けそう……それに、背中凄いゾクゾクして……。

「おーい、凛……? スーツに顔を埋めてどうした?」

「え、あ……何かぼーっとしてた……」

 奈緒に指摘され、慌てて顔を上げる。

「そろそろ仕事行かないとね」

「今日の帰りは七時か……仕事面倒だなー」

「……」

 二人が仕事へ行く準備を始めてしまったので、私もせざるを得ない。

 ……もっと嗅ぎたかったな。
  



「渋谷? 俺の顔に何かついてるか?」

「……」

 ――最近、プロデューサーの事しか考えられなくなってる。

 プロデューサーと恋人になる妄想を一日中したりして、バカみたい。

 ……匂いだってもっと嗅ぎたい。
 
 何で私こんな風になっちゃったんだろ。プロデューサーのせいだよね。
 


 プロデューサーを観察していると、ある事実に気付く。

「あぁ、まゆ、今日の仕事についてだけど――」

 まゆの事をプロデューサーは名前で呼んでいた。

 ……何でまゆは名前呼びで、私は苗字なの? 私も名前で呼んで欲しい。

 後で言おうかな……名前で呼んでって。
 





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 『あの日』




 仕事場から事務所に帰ってきた私は、入り口の扉を開けようとしたけど、ふと手を止めた。

 事務所から聞こえてくる話。美嘉とまゆが話している内容は、私にとってとても重要な内容だった。

 もし美嘉の話が本当なら、私の姉が、プロデューサーに酷い事をしたらしい。

 その話は多分本当……だから、お姉ちゃんと似てる私を避けていたんだ。


 …………お姉ちゃん、付き合ってたんだ……プロデューサーと。

 ――どうしようもなく、嫉妬しちゃう……。

「そういう、事だったんだ……」

 私は静かに事務所を後にした。

 そして行こう、プロデューサーの所へ。

 あの二人よりも先に。
 


 整形するわけには行かない。だから、自分は姉と違うという事をがんばって説得しなければならない。

 何で私がこんな目に……屑姉のせいだ。

「何だ、渋谷……こんな所に呼び出して」

「来てくれたんだ、プロデューサー」

「そりゃあ、話があるって言われて無視もできないだろ。何か、相談か?」

「……プロデューサーは、今でも私に姉を重ねているの?」

 確認の意を込めて、聞いた。聞きたくなんてなかったけれど。

「…………姉から、聞いたのか?」

 プロデューサーの反応……美嘉とまゆの話はやっぱり本当だったみたい。

「そんな所……それで、答えは?」

「正直、渋谷を見る度に、思い出すよ……渋谷の姉と恋人だった時の事」

 やっぱり。私とお姉ちゃん、似てるもんね……。

「どれくらい、好きだったの?」

「……どれくらいって」

 プロデューサーは返答に困ったようだったが、暫くして口を開いた。

「愛していたよ……もう、他に何も要らないってぐらい……」

「……そう、なんだ」

 姉なんて、要らない。心の底からそう思った。

 今まではそれなりに好きだったけど、もう、消えて欲しい。

 ……私のプロデューサーに、こんなにも愛されてッ!!

「プロデューサー」

 愛しい人の名前を呼ぶ。

「――裏切らない」

 私は、裏切らない。プロデューサーを傷つけたりなんかしない。

「何か言ったか?」

 


「私は、裏切らない!!」

 思わず声を荒げてしまう。自分は姉と違うという事を伝えたくて。

「い、いきなりどうした、渋谷」

 案の定、プロデューサーは戸惑っているが、この際仕方ない。私は言葉を続けた。

「あのね、プロデューサー、私、プロデューサーの事、好きだよ……」


 私は、自分でも引いてしまうぐらい、プロデューサーへの愛を語った。

 途中から自分で何を言ってるのか分からなくなるぐらい、一心不乱にプロデューサーに自分の気持ちを伝えた。

 だけど、プロデューサーの顔が、徐々に青ざめていく……どうして?
 


「あ……あぁ……」

 プロデューサーが後ずさった。


「私にお姉ちゃんを重ねないでッ!!」


 気がつけば、叫んでいた。殆ど何も考えずに。

「っ!」

「プロデューサー、好き……引退するまでは、がんばって、我慢する、から……だから」

「お、俺は……姉云々の前に、渋谷に恋愛感情なんて……」

「好きになってもらえるように努力するから! 美嘉よりも、まゆよりも、ずっと、ずっといい女になるから……!」

 ――お願い。

「だから、私に姉を重ねないで……私を見て……」

 ――お願いだから。

「私は、私は絶対にプロデューサーを裏切らないからッ!!」

 ――私と一緒になって……プロデューサー。




「――それじゃあダメだって、分からないかなぁ……」

  


 プロデューサーと私だけの空間にいきなり入ってきたのは、美嘉とまゆだった。

 美嘉は、今の私の言葉じゃプロデューサーの恋人になれないと言った。

「何? どこがダメなの? 私、本気でPさんの事が好きだよ……裏切る事なんてない! 勝手な事言わないで」

 私は意地になって反論する。プロデューサーへの愛が否定されたようで、嫌だった。

「裏切らないだとか、愛してるだとか言ったって、Pさんには意味ないよ」

 ――どうして?

「凛と似たような事を、姉が言ってるんだから」

 
 
 頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。


 ……そうだった。どうして、今まで気付かなかったんだろう……。

 このままじゃ、Pさんの恋人に、なれない……。


「……そんな……それじゃ、どうしろって言うの?! 言葉で伝わらないのなら、いっその事、体で……」

「アホなんですか、凛ちゃんは」

「だって、だって、もうそれしか……」

 涙が止め処なく溢れた。

 もどかしくて、切なくて、悲しくて。
 


「――証明するんだよ、自分は浮気していないって」

 思わず泣き出してしまった私に、美嘉は静かにそう言った。薄ら寒い笑みを口元に貼り付けて。

「嘘をつく余地も無いぐらいに、きちんと、伝えるんです。身の潔白を」

 まゆが続いた。

 二人が言っているのは、本当の信頼関係を結ぼうというもの。

 私達に恋愛感情を持っていないプロデューサーがいきなりこんな話されても戸惑うだけ……だけど、二人は畳み掛けた。

 二人は本当にプロデューサーの事が好きなんだって、凄く伝わってくる。二人とも、狂気的なほど恐ろしく強い意志だった。
 


「Pさんは気の済むまでアタシを束縛していいよ? 携帯だって見せるし、Pさんが望むならずっと家にいるよ?」

「Pさん……美嘉さんから事情は聞きました……でも、それでもまゆはPさんに愛されたいです」

「わ、私も、プロデューサーの事が好き。私も、愛されたい」

 私も、プロデューサーの事が好きだ。愛されたい……姉よりも、美嘉とまゆよりも。


 ただプロデューサーはそんな私達を見て、悲しそうに顔を伏せるだけだった。

「女は、信用できない」

「もう、信じられないんだ」

 プロデューサーは、辛そうにそう告げた。

 はっきりと拒絶されてなお、二人は話を続けた。恐怖すら感じる執念だ。

「だから言ったでしょ? 毎日証明するって。ちゃんとした証明以外信じなくてもいいから、恋人になろうよ」

「そんな恋愛は、おかしいよ……常に疑われて、信頼なんてまったくない……悲しいだろ、そんなの……」

「悲しくないよ……。ねぇ、Pさん……それだけだよ? 毎日身の潔白を証明する……それだけで確固たる信頼を得られるんだよ?」

「口先だけの、感情だけの信頼関係なんかよりも、こっちの方がずっといいってまゆも思いますよぉ、Pさん?」

「でも、証明するって言ったって、完璧には無理だろ……そこまで好いてくれているのなら、無いと思いたいけど……絶対じゃ、ないんだ」

 プロデューサーは、悲しそうな表情をしていた。今すぐ駆け寄って、抱きしめてあげたかった。支えてあげたかった。

 姉が傷つけた分だけ、癒してあげたかった。

「ずっと……ずっと恋人でいてくれる保障なんて、どこにも……」

「あはは★ まぁ、心に傷を負ったPさんならそう言うと思ったよ」

 そんなプロデューサーとは対照的に、美嘉は何故か場違いなほど明るい。

 ……どうして?




「――だからね、スペアを用意したんだ」

 



 美嘉が何を言っているのか、最初はよく分からなかった。

 美嘉が私に視線を移す。

「凛。……凛もPさんと恋人になりたい?」

「なりたいに決まってるでしょ……プロデューサーの事、大好きだもん……」

 私は毅然としてそう答えた。

 その質問にどういう意図が込められていたのか、まだ私は知らなかった。

 でも、その後に続く美嘉とまゆの話を聞いて、理解する。

 全員で恋人になる気なんだ。

 例え一人に裏切られても、もう二人が残る。

 言わば、保険。

 予備……スペア。

 勿論、世間的に褒められた事ではない。

 だけど――

 

 ――プロデューサーからは信頼される。

 それが、どんなに素晴らしい事か……。
 



「二人とも、スペアって……何を言ってるんだ? おい、美嘉?」

 プロデューサーが、目に見えて困惑していた。

「まだ分からないの? Pさん? 本当はもう分かってるんでしょ?」

 美嘉が相変わらず笑みを貼り付けたまま、プロデューサーににじり寄った。



「――アタシ達全員を恋人にしてって言ってるの」

 美嘉が、ねっとりと絡みつくように、プロデューサーを抱きしめる。



「別に愛は平等である必要はありませんよぉ……こっちは押しかけてる側ですし」

 まゆがプロデューサーの左腕に腕を絡め、抱きつく。

「Pさんがアタシ達にまだ恋愛感情を持っていないのが問題だけど」

 幸せそうに、美嘉は微笑んだ。

「すぐに解決するから」

「うふ……幸せな家庭を築きましょうね、Pさん……」


「ずるいよ、二人とも…………私だって……」

 
 二人に触発されて、私もプロデューサーに抱きついた。

 プロデューサーはとっても温かくて……それに、とっても安心する匂いがした。

「…………美嘉、まゆ、凛…………」

 プロデューサーは呆然としていた。何もかもが突然すぎて現状の把握に時間がかかっているのかもしれない。
  


「後一歩だよ……後はPさんがアタシ達を受け入れてくれれば、それでいいんだよ?」

「Pさん? 美嘉さんが言ったように、毎日身の潔白を証明します。スペアもあります。……ですから、もう大丈夫ですよぉ」

「プロデューサー。スペアでも何でもいいから……私を、愛して……」

 私も続いた。



 プロデューサー……私を愛して。

 私も、プロデューサーをずっと愛するから。



 ねぇ、プロデューサー?




 一緒に、幸せになろう?



『凛の復縁潰し』




凛姉「ねぇ、凛ちゃん? この写真に写ってる人、知り合い?」

凛「恋人だけど?」

凛姉「え……恋人……? だ、ダメだよ!」

凛「何がダメなの?」

凛姉「だ、だって凛ちゃんはアイドルで――」

凛「いつかは引退するでしょ。それまでは待ってもらうよ」

凛姉「だ、だからって……」

凛「お姉ちゃんには関係ないでしょ、それじゃ私仕事だから」

凛姉「ま、待って! この人に会わせてくれない? ……Pくんと仲直りしたいの……」

凛「絶対に嫌。お姉ちゃんは大人しくあのイケメンの男の人と仲良くしてたら? ふふっ」

凛姉「意地悪しないで……やっぱり、あの人じゃないとだめなの……だから、お願い、会わせて……」

凛「プロデューサーは私が幸せにするの。お姉ちゃんでは無理だよ」

凛「浮気してプロデューサーを傷つけるような屑には、プロデューサーを幸せにする事なんて無理だよ」

凛姉「凛ちゃん……どうして……」

凛「消えて、ゴミクズ」ガチャ

 バタン

凛姉「……うぅ……ぐすっ……」ボロボロ

凛姉「P、くん……」





凛「プロデューサーは私が幸せにする、誰にも譲らない……姉になんか尚更」

凛「ふふっ……早くプロデューサーに会いたいな……」






『凛視点終了』
 

寝ます。凛視点は終わりですがおまけはまだ続きます。

完全に蛇足でしたね、次から気をつけます。

今回のは尻すぼみだったな
最後のはホントに蛇足だったし

>>484

個人的に凛視点そのものが蛇足だった気がします。
本編で色々やりようはあったんですが……。




 『追う者』





幸子「お父さん、ボクもアイドルになりたいです」

千枝「パパ……千枝もアイドルになる」

雪美「…………私も……アイドルに……なる……」

モバP「いきなりどうしたんだお前達」

美嘉「アイドルって結構忙しいし、それなりに大変だよ?」

幸子「それでも、ボクはアイドルになります。誰に何と言われたって」

モバP「……そうか」

千枝「だから、アイドルになる為に必要な事を教えて、パパ、美嘉さん」

モバP「本気、なんだな?」

雪美「……」コク

幸子「当たり前じゃないですか!」

千枝「大変なのは、美嘉さんやまゆさん、凛さんを見てて分かるよ……だけど、千枝はどうしてもアイドルになりたいの」


モバP「……」

モバP「アイドルを目指している他の子には悪いが、仕事の関係上、俺はチャンスを与えてあげられる」

モバP「確実にアイドルにしてやる事はできないけど、機会だけはやれる筈だ」

モバP「だから、本当になりたいって言うなら、応援するし、アイドルになれるように協力する」


幸子「ありがとう。お父さん……まぁ、カワイイボクがアイドルになりたいって言ってるんだから当然ですよね!」

千枝「パパ。千枝、アイドルになってがんばるから……」

雪美「……私も、がんばる」

   


 ――後日


モバP「社長、少しお話が」

社長「何だね?」

モバP「実は――」
 


モバP「という訳で、幸子達が不利益を与えた場合、俺がその責任を取るという形だけど、あいつらは無事アイドルになれたよ」

モバP「コネもツテも無しに、真剣にアイドル目指している子には本当に申し訳ないけど……」

まゆ「……それにしても千枝ちゃん達は急にどうしたんでしょうか」

凛「私達がアイドルやってるから、やりたくなったんじゃない?」

美嘉「うーん……」

美嘉(アイドルになれば、あんまり売れていなくても仕事の分だけPさんから離れる事になる……つまり、何か目的があるんだ)

美嘉(あの子達にとってPさんと一緒にいる事が何よりも優先される筈……それを覆す何かがあるんだろうなぁ)

凛「でも、今までずっとPさんにべったりだったけど、アイドルになったら一緒にいる時間減っちゃうね」

まゆ「っ!」ハッ

まゆ(あんなにPさんが大好きで、ずっと一緒にいたがるあの子達が、少しでもPさんから離れる選択をするなんて……)

まゆ(何か、嫌な感じ、ですねぇ……)
  

続きは後で。



 『過去と現在と未来の』




 ――六年後。


 結果的に、三人の娘達はアイドルとして大成功を収めた。

 千枝は子役デビューし大ヒット。ピークは過ぎ去ってしまったものの、六年経った今でも仕事が少なくなる事は無く、今はアイドル活動に熱心に取り組んでいる。

 幸子はその印象的なキャラによって国民的アイドルとなり、恐ろしい人気を誇っている。こういう事はあまり言いたくないが、三人娘の中ではずば抜けて知名度と人気がある。バラエティ番組ではよくいじられる。

 雪美は、その性格上できる仕事の幅はかなり限られてくる。だが、キャラ自体はかなり濃く、千枝達とはまた違った雰囲気を持つ事もあり、知名度は低いものの根強い人気を持つ。年を重ねるごとに美人になっていき、六年経った今でもファンが増え続けているというかなり特殊な娘だ。



モバP「人気になったよな……千枝達」

美嘉「皆可愛いからねー……アタシも負けてられないなぁ」

モバP「美嘉もまゆも、凛も……全員輝いてるよ。負けてなんかない」

美嘉「あはっ。Pさんのお陰かな……Pさんの恋人になれたから、アタシは輝けてる気がする」

モバP「そんな事あるもんか、美嘉は……美嘉達は、元から輝いてたよ」

 


 美嘉もまゆも凛も、今や二十代前半だが、未だに色褪せてはいない。


 まゆは料理が趣味という事もあり、料理番組なんかによく起用されている。落ち着いた雰囲気を持ち、バラエティ番組などもそつなくこなす。
 大和撫子を体現しているまゆはよく俳優などに言い寄られているが、上手く避けている。あんなに人気があるとやはり不安だ。
 ついでに、まゆはアンチが異常に少ない。

 美嘉はバラエティ番組やCMにもよく出るようになってる。派手な見た目でカリスマギャルと言われてる割には常識人な事もあり、一般人から敬遠されがちな見た目とは裏腹に、老若男女問わずに人気がある。
 趣味がカラオケなのもあって歌唱力も高く、CDの売り上げはトップクラスだ。

 凛は加蓮と奈緒とユニットを組んでライブなどを中心に活動している。CDなんかはいくつもランキングに入っていて、音楽関係の番組にもよく出る。
 最近は加蓮と奈緒に加え、島村卯月と本田未央という子が加わった。人を増やせばいいという事は無いが、それでも人気は上がっている。

 
 



 皆、色褪せてなんかいない。それどころか、前よりもずっと……ずっと輝いているように思える。


 だからこそ、そのアイドル達を穢している事実に、俺はとてつもない罪悪感と後悔の念を抱いた。

 だけど、三人からの求愛を拒否する事が出来ず、それどころか、三人から一人を選ぶ事もせず、三人に依存する始末。

 俺は、どうしようもない屑男だ。

 開き直る事しか出来ない、愚図。

 そして俺は、絶対にファンから許される事のない罪人だ。

 ……どうしようもないくらい屑で罪深いゴミ野郎だけど、美嘉達はこんな俺を愛してくれている。

 だから、俺は精一杯それに応えよう。そして、彼女達に尽くす。

 
 


モバP「美嘉……」

美嘉「何? Pさん」

モバP「愛してる」

美嘉「アタシも愛してるよ……Pさん」

美嘉「あの日から六年経ったけど……今でも、Pさんを想う気持ちはどんどん強くなってる……」

美嘉「もう、歯止めが効かない……Pさんを愛する事に」

美嘉「アタシはもう、Pさんから離れられない」

美嘉「Pさんも……アタシ達から離れられないよね?」

モバP「……ごめん」

美嘉「何で謝るの? 変なPさん。アタシは嬉しいんだけど?」
 


美嘉「アタシは幸せだよ。過去も、今も、未来も……Pさんと一緒なら、どんな時でも、幸せ」ギュ

美嘉「Pさん……幸せだよアタシ……あなたと一緒になれて、とても幸せ」

美嘉「ずっと……ずっと……死ぬまで離さないで」ギュ
 


美嘉「――ねぇ、Pさん? 最近ね、拘束具が手に入ったんだ」

モバP「こ、拘束具? お前、SMに興味があったのか?」

美嘉「あはっ★ 違う違う……そういう意味の拘束具じゃないよ。お互いを拘束する為の、手錠のようなもの」

美嘉「切ろうと思えば、容易く切れてしまうけど……それでも、しっかりとアタシとPさんを繋ぎ止める、手錠……」













美嘉「Pさん、子供の名前は何にする?」




 

 



 『とあるアイドル達の猥談』




莉嘉「まゆさんは、Pさんとどんな風にエッチするの?」

まゆ「いきなりどうしたんですかぁ? 莉嘉ちゃんにはまだ早いですよ」

莉嘉「えー、莉嘉ももう十八歳なんだから別にいいでしょー!」

まゆ「そう言われても……現実のエッチは結構生々しいですよぉ?」

莉嘉「ドンと来ていいよ! やっぱり実体験聞いた方が参考になるし」

まゆ(参考にするって事はそういう相手がいるんでしょうか?)

莉嘉「デリカシーに欠ける発言だって十分承知してるけど、どうしても知りたいの! お願いします!」

まゆ「まぁ、別にいいですけど……」

莉嘉「ほ、本当?! それじゃ、えっちの最初らへんから聞かせてー!」

まゆ「そうですねぇ……」
 


まゆ「まずPさんは本番に入るまでが長いです」

莉嘉「ずっと焦らされるって事?」

まゆ「そうでは無くて……単純にキスとか愛撫とかが長いだけですねぇ」

莉嘉「うんうん! それで本番は?」

まゆ「……Pさんは、出すのが早いんですけど……何故か何回も出来るんですよね」

莉嘉「へぇー。Pくん早漏なんだ?」

まゆ「まゆはPさん以外に経験がありませんから、どのくらいが早いのかが分かりませんけど、多分早いですねぇ」

莉嘉「だけど、何回でも復活するんだ?」

まゆ「最低でも五回は……」
 


莉嘉「ご、五回? それはちょっと珍しいと思うな……。というか、最低五回という事は、普通は……」

まゆ「普通は、八回以上出されますねぇ……」

莉嘉(そんなたくさんできるって……え、えっちな本に出てくる主人公みたい……)

莉嘉「Pくんって激しい?」

まゆ「優しいですね……ゆっくり、じっくり、まゆを焦らすような動きとかでは無くて、お互いが幸せになれるような、そんな感じです」

莉嘉「そ、そうなんだ……」

莉嘉(羨ましい)

莉嘉「エッチっていつも同じ感じでやるの? 飽きたりしないの?」

まゆ「……何回か、雰囲気を変えてやる事はありますねぇ」

莉嘉「ど、どんな感じ? 是非聞かせてください!!」
 


まゆ「まゆって今22歳ですけど、高校生の頃からあんまり身長変わってなくて、小さいままなんですよぉ」

まゆ「Pさんはずば抜けて身長が高いわけじゃありませんけど、平均以上はあるんですよね」

莉嘉「それなりにはあるよね」

まゆ「まゆは見た目通り、体重も軽いんです……だから、Pさんに軽々と持ち上げられちゃうんですけど……」

まゆ「まゆがPさんに軽々と持ち上げられて、容赦なく下から突き上げられた時は、凄く興奮しちゃいました……」

莉嘉「……へ、へぇー。Pくん力持ちなんだね……」
 


まゆ「まゆが軽くても、Pさんが力持ちでも、長時間持ち上げてれば疲れる筈なのに、ずっとずっと執拗にまゆの奥底を突き上げられて、何度も何度も中に出されて……」

まゆ「まゆが突き上げられながらもふと繋がっている所を見ると、まゆのあそこからぼとぼとってPさんのが一杯零れてるんですよねぇ……もう興奮して、何回もイっちゃいました」

まゆ「Pさんに抱えられてるまゆは、身をよじったり、Pさんの服を掴む事しか出来なくて、ほぼ無抵抗にずっとされるがままで……何回も何回も、何回も注がれて……あの時はまゆの頭、バカになっちゃってましたねぇ」

まゆ(本当はイきすぎて失禁してしまったんですけど、流石にこれは言えませんねぇ……)

莉嘉「す、凄い……」

莉嘉(想像しただけで変な気分になっちゃうよぉ……)
  


まゆ「Pさんってまゆを抵抗できない状態にして犯すのが好きみたいなんです」

まゆ「一昨日は身動きが取れないほどしっかりと上に圧し掛かられて後ろから犯されちゃいました♪」

莉嘉(中々にマニアック!)
 


まゆ「子宮に何度もPさんの子種を出されて……何度もイかされてグッタリしてると、今度はまゆのお口の中にいきなりPさんがあれを捻じ込んできたんです」

まゆ「体中が脱力して、抵抗もできなくて……動けないのをいい事に、まゆのお口の中に勝手に擦りつけて……その後、窒息してしまいそうなぐらいの量をまゆのお口の中に出してきたんですよぉ?」

まゆ「その後は、いきなりまゆのお手手を掴んだかと思うと、手のひらにたくさん出してきて……」

まゆ「次はまゆのお口をまた使った後、顔に一杯出されました」

まゆ「そして――」

莉嘉「ストップ!! ストップ、ストップ。やっぱり莉嘉には早かったですごめんなさい」

まゆ「ごめんなさい。つい熱くなっちゃって……お手洗い行ってきますね」









まゆ(話してる内に、色々思い出して、下着が……)

莉嘉(話聞いてるだけなのに、莉嘉の下着ぐちょぐちょ……)


 
  



 ――後日





莉嘉「凛さんはPくんとどんな風にえっちするの?」

凛「い、いきなりどうしたの? ……莉嘉ちゃんにはまだ早いよ」

莉嘉「莉嘉だって後二年で成人だよ? 将来参考にしたいから是非聞かせてください、お願いします!」

凛「うーん、まぁそこまで言うなら……」

莉嘉「やった!」

凛「……恥ずかしいからあんまり言いたくないんだけどね。まぁ、美嘉の妹だから特別」

莉嘉「ありがとうございます!」

凛「それで、Pさんとのえっちの内容だけど――」











凛「まずは犬耳付けて、次に首輪をPさんに付けてもらうの。そしてリードをPさんに握ってもらって――」

莉嘉「やっぱり莉嘉には早かったですごめんなさい」

  

寝ます。
おまけ完結まで後少しです。



 『娘達の想い』





 パパはパパだけど、パパはどうしても男の人である。

 そんな人にありったけの愛情を注がれたら、好きになってしまうのも仕方が無い。



                                     ――長女より。

 



モバP「今日も一日疲れたなー……」ザバァ

千枝「パパ、千枝も一緒にお風呂入る」ガラガラ

モバP「」




モバP「十五歳の娘は普通父親なんかと一緒に入りたがらないと思うんだがな……」

千枝「昔からよく一緒に入ってたんだから、今更だよ」ザブ

モバP「せめてタオルで隠して欲しいんだけど」

千枝「えー? パパ、もしかして千枝の体を見ると欲情するの?」

モバP「娘に欲情するかー!」

千枝「でも、でも、千枝って結構成長したよね? いい体つきになったと思うけど!」

モバP「知らない」

千枝「パパってば恥ずかしがりやさんなんだから」

  


モバP「何で寄りかかってくるの?」

千枝「お風呂狭いから仕方ないでしょー」

モバP「……まったく、しょうがない子だな」ギュ

千枝「ひゃっ?!」ビク

モバP「あ、わ、悪い」パッ

千枝「は、離しちゃダメ! ずっとぎゅってして」
 


千枝「パパ、千枝の体洗って!」

モバP「いつも自分でやりなさいって言ってるだろー。もう十五歳なんだから」

千枝「いつも髪は洗ってくれるのに、何で体は洗ってくれないの? 昔はよく洗ってくれたのに……」

モバP「いや、まぁ、昔はそうだったけど……流石に体は自分で洗ってくれ……髪は洗ってあげるから……」

千枝「むぅ……」

 


千枝「パパって女の人の髪に触るの好きだよね。美嘉さん達といちゃいちゃしてる時とか、よく撫でたり弄ったりしてるし」

モバP「そうか? ……そうかもしれないな」ワシャワシャ

千枝「千枝はパパに触られるの好きだから、一杯触っていいよ」

モバP(髪って言え)ワシャワシャ
 


千枝「それじゃ、今度は千枝がパパを洗ってあげる番だね」

モバP「別にいいよ」

千枝「娘の好意は素直に受け取って!」

モバP「はいはい……」

モバP(千枝はもう十五歳になるというのに、未だに俺に甘えてくる。思春期の女の子は父親を嫌うというのは偏見か……それとも両親を失ったが故か……)

千枝「ふふふっ。パパの背中って広いね」ゴシゴシ

モバP「一応成人男性平均ぐらいだけどな」ヌルヌル

千枝「そうなんだ」ゴシゴシ

モバP「あの、千枝? やたらと密着しすぎな気がするんだけど」

モバP(千枝の体の大部分が俺に当たってる)

千枝「? これぐらい普通だよ?」

モバP(何が普通なんだ……)
 


千枝「もし、恋人に子供が出来たら、パパならどうする?」

モバP「藪から棒にどうしたんだ……?」

千枝「気軽に答えてくれればいいよ」

モバP「子供が出来たら、か……勿論、全力で責任取るよ。恋人なら、なおさら」

千枝「責任取るって、具体的にどうするの?」

モバP「うーん……まずは結婚して、後は、生まれてくる子供をちゃんと育てる、とか?」

千枝「ふーん……」

モバP「この質問には何の意味があるんだ?」

千枝「何となく聞いただけだよ」クスクス

モバP「それじゃ、先上がるからな」ザバ

千枝「うん」










千枝「――責任取ってね……パパ……」





  



 幾ら可愛くても、所詮は子供である。一人では生きていけない。

 親から捨てられた自分を引き取ってくれた人は、必死にボク達に尽くし、出来る限りの愛情を注いでくれる、とっても優しい人。

 ボクはこの人を愛している。

 六年経った今でも敬語を使う理由は、娘になりたくないからだ。

 
                                      
                                        ――次女より。


 
 


幸子「お父さん、おはようのキスをするので屈んでください」

モバP「はいよ」シャガミ

幸子「……ん」チュ

モバP「幸子は最近いつにも増して甘えん坊さんだな」

モバP(娘達はよく親子のスキンシップを求めてくる……思春期になると娘と父親の距離が微妙になるって思ってたんだが)

幸子「お父さん、今日は一緒に出掛けませんか? カワイイボクが更に可愛くなるには新しいお洋服が必要なんですよ!」

モバP「別にいいけど……えーと、千枝と雪美は……今日は仕事だったな、残念だ」

幸子「カワイイボクと二人きりで出掛けられるというのに、何が残念なんですか! 失礼な!」

モバP「はいはい、嬉しいよ幸子と一緒に出掛けられて」ナデナデ

幸子「ボクも、嬉しいです……」
 


モバP「幸子はよくがんばってるよな……本当、良く出来た娘だよ」

幸子「カワイイボクが良く出来た娘なのは当然じゃないですか、今更ですよ、お父さん」

モバP「まったく、幸子は可愛いなぁ」ナデナデ

幸子「もう……人が一杯いる上に、何人かはボクに気付いてるんですからやめてくださいよ」

モバP「って言いつつも払い除けないんだな」

幸子「お父さんに撫でられるのは好きですから……」
 


 パパに甘えるのが好き。

 パパに触れるのが好き。

 パパに愛されるのが好き。

 パパに優しくされるのが好き。

 パパの娘になれて、私は幸せ。

 私はパパを誰よりも愛している。

 私とパパは、魂が繋がってるから。

 パパには私がいる。

 だから、他の子を愛さないで。

                

                             ――三女より。
 


モバP「雪美は身長が随分と伸びたなぁ」

雪美「172センチ……」

モバP「見た目は凄い大人っぽいのに、甘えん坊さんなんだよなぁ……」

雪美「……パパと抱き合うの、好き」ギュウ

モバP「親子のスキンシップは、まったく無いよりマシだよな……俺も雪美と触れ合うの、好きだよ」

雪美「……私の……抱き心地……どう……?」

モバP(一応見た目は長身で大人びた雰囲気だから、あまりそういう言葉を言って欲しくないんですか)

雪美「……パパ」チュ

モバP「ちょ、いきなりキスするんじゃない」

雪美「外国では、キスは挨拶」

モバP「例えそうだとしても一日に何度もしない!」
 


雪美「…………」カプ

モバP「首噛まないでくれ、弱いんだ……」

雪美「知ってる」カプカプ

モバP(ガッチリと抱きしめられて抜け出せない……雪美が飽きるのを待つか……)

雪美「パパ」

モバP「なんだ?」

雪美「私は、パパが好き」

モバP「俺も雪美の事が好きだぞ」

雪美「……嬉しい」ギュ









雪美「……両想い……幸せ……」




 
 


 『ルナティック幸せと真実の愛』



 美嘉の妊娠は、瞬く間に世間に知れ渡った。

 美嘉は子供を生む事をテレビを通して全国に伝え、子供を生む為に休業する事を発表。

 世界中に衝撃が走り、いくつものテレビで美嘉に関するニュースが取り上げられた。

 新聞にも大きく載り、ファンではない人々にも強い印象を残すような出来事だった。
  


 アンチは水を得た魚の如く喚き、騒いだ。

 たくさんいたファンからは罵詈雑言の嵐。

 ありもしない虚実の記事。

 悪質な嫌がらせ。

 関係者からの非難、批判。

 楽しくやっていたブログもツイッターも軒並み炎上。

 仕事とは言え、美嘉の事など一欠片も考えていない、容赦のない大量のインタビュー。
  


 ――なぁ、美嘉……お前……少しおかしいよ。

 あんなにアイドル活動、楽しんでたじゃないか。

 ファンに応援してもらって、凄く喜んでいたじゃないか……。

 ブログだって何人にも見てもらって、結構な頻度で楽しそうに更新してた。


 美嘉……。


 ファンからは非難されて、アンチからだって心無い事たくさん言われて、嫌がらせだってされて、ありもしない事記事に書かれて、結構な頻度で更新していたブログだって炎上して……。



 なのに――









 ――何でお前は、そんなに幸せそうな表情が出来るんだ?





 


美嘉「Pさん、もしかして、避妊していたのに妊娠したから疑ってる?」

モバP「……」

美嘉「あはは★ 安心してよ、子供が生まれたらちゃんとDNA検査するから」

モバP「ごめん……美嘉。俺が、俺のせいだ……」

美嘉「もう、そんな顔しないでよ……ねぇ、Pさんは、女の子と男の子、どっちがいい? アタシはやっぱ女の子がいいなぁ」 
 


 美嘉は、今自分が置かれている状況を、全く気に留めていない。

 実は無理をしてるだとか、本当は悲しんでいるとか、そういうのが全く無い。

 心の底から、胎内に宿った命を喜び、愛している。

 思わず見蕩れてしまうほど、幸せそうで、優しい微笑み。

 暫くの間、自分の少し膨れたお腹を見つめていた美嘉が、俺へと視線を移した。

 少しだけ頬を紅潮させ、恥ずかしそうに俺を見つめる。



美嘉「Pさんは今、幸せ?」


モバP「――幸せだよ。とっても」


美嘉「嬉しい……アタシも幸せだよ、Pさん」







美嘉「一生、離さないからね……」




  

これで終わりです。本編含めて中々纏まらない部分があったので反省。
前作同様、おまけは蛇足です。

読んでくださった方、レスしてくださった方、ありがとうございました。

また近い内にSS書くので、よかったらまた読んでください。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年10月31日 (月) 20:36:14   ID: xfazl8yR

あ^~もう(ご満悦の)ため息出ちゃいそう!

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