京太郎「俺が奴隷扱いされてるっていう噂が流れてる?」(1000)

以下に該当する方はブラウザそっ閉じ推奨です。

・京太郎SSが苦手な方
・イチャイチャ要素を期待されている方
・一部キャラ崩壊注意報



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<<プロローグ>>

京太郎「暑い……」

俺は夏のクソ暑い中、片手に大量の牌譜、もう片手にスーパーの大きな袋をみっつ持った状態で坂道を歩いている。
山間の長野県なら夏も涼しいでしょ? と聞かれることもある。
だが、声を大にして言いたい。山だろうが海だろうが夏になりゃが暑いもんは暑い。
涼しい夏を味わいたきゃ北海道にでも行けと。

京太郎「駅から……遠すぎだろこれ……」

地方のバスのダイヤなど都心のダイヤと比べたら無残なものである。
それが市内から外れた田舎のバスとなれば尚更だ。
最寄り駅に着き、目的地近くまで行くバスを調べたところ次のバスは2時間後。
タクシーも検討したがこの駅まで来るのに40分かかると来たもんだ。
田舎はタクシーは拾うものじゃなくて呼ぶものとはよく言ったもんだ。

結局、仕方なく徒歩で行くことを選択した。
駅近くの商店に入り、道を確認してから歩き始めて今に至る。
だが、絶賛後悔中である。

あぁ、店のおばちゃん。
あなたの言うことは正しかった。
バスを待ったほうがよかったかもしれない。

京太郎「優希め、これ幸いにと色々頼みやがって……」

片手に持っているみっつのスーパーの袋を思わずにらみつける。
本来の用件とは別に、ついでに頼まれた買出しリストはいつもの10倍の量があった。
ジュースやお茶の飲み物類、各種お菓子、アイス、カップラーメン、エビフライ、タコス、花火、CD-Rなどなど。
一般的な買出しでは頼まないだろってものも含まれている。
それにしても花火か。今夜皆でやるのかな? あぁ、羨ましい。
俺はこの荷物だけ置いたらすぐにとんぼ返りしなければならない運命だ。

京太郎「どうしてこうなった」

俺がこうして他のメンバーが他高校と合同合宿をしている合宿所へ向かっているには理由があった。

(2時間前。長野合同合宿所にて)

久「長野大会決勝の牌譜を忘れた?」

咲「ごめんなさい……京ちゃんに確認したらやっぱり部室に置きっぱなしになってるって」

まこ「やってしまったのう。今夜の検討会に使うはずじゃったんだが」

久「うーん、私もこの日まで確認してなかったのもまずったわね……」

咲「あぅ、本当にすみません」

まこ「ともかく、今は誰の責任といっても仕方ないけぇ、何とかせねば」

和「さっき他の学校の方々にも聞いてみたんですけど、皆さん持ってきてないみたいで……」

優希「風越のキャプテンに、うちが一番近いから取ってこようか? と逆に聞かれちゃったじぇ。さすがに断ったけど」

まこ「まぁ、さすがにうちのミスを他校に尻拭いさせる訳にゃいかんからのう」

優希「でも、今夜の検討会はやっぱりなし! ってするわけにもいかんじょ」

久「……仕方ないわねぇ。申し訳ないけど、須賀君に持ってきてもらいましょうか」

和「だ、大丈夫なんですか? 女子しか居ないこの合宿所に男の子って」

久「まぁ、合宿所に入らないようにして玄関先で受け渡しするだけなら問題ないでしょう」

まこ「うーむ、留守番させている挙句に使いっ走りにさせると言うのは気が引けるのう」

久「そうね……合宿から帰ったら何か奢ってあげますか」

咲「うぅ、ごめんね京ちゃん……」

そんな訳で俺は牌譜を届けにこうやって合宿所に向かっている。
連絡を受けたときは軽く二つ返事をしたのだが、その後に届いた買出しリストとこの炎天下での行軍で安請け合いした少し前の自分を殴りたい気分だった。

京太郎「あぢぃ……あぢぃ……」

喉渇いた。
帽子を被ってこればよかった。
あぁ、蚊に食われた。足痒い。サンダルで来なきゃよかった。
暑い、暑すぎる。
つーか絶対アイス溶けてるだろこれ。

京太郎「し、死ぬ……」

優希は泣かす。
買ってきたタコスにジョロキアソースでもかけて持って行ってやろうか。

部長にはセクハラしてやる。
ヘアゴムを切り取った近藤さんにでも摩り替えてやろうか。ゴム違いだし。
いや、さすがにそれは俺が死ぬか。

だったら死ぬ前に和のおもちでおもち祭りじゃ。もちもち祭りじゃ。
奇跡的な和のおもちを作ってくれた神に感謝しながらこねこねこねこねしてやる。
つきたての白いおもちがほんのり桜餅になるまでこねこねしてやる。
そうなったら食べごろだ。
もっちゃもっちゃと貪り尽くしてくれる。

京太郎「やばい……俺、やばい……」

どうも先ほどから危険思想に陥りつつある。
暑さのせいだろうか? 意思判定に失敗した俺のマインドはガリガリと減っているようだった。
今考えていることが和にでもバレた日には、俺は諏訪湖に浮かんでいるか浅間山の火口に叩き落されているだろう。
いまどき人身御供とかは笑えない。
相手の心を読むオカルトとかなくてよかった。ほんとよかった。
……ないよね?

京太郎「……あー。ようやく見えてきた」

そんなとっ散らかった思考の中歩いていると、田んぼと山とわずかな人家しか見えなかった景色の中に少し大きな建物が見える。
あぁ、あれが目的の合宿所か。
ようやく見えてきたことに思わず足取りも軽くなり早足で歩き始めた。




だが、その建物はただの村営体育館であり、目的地はもう1km先だと受付のおじさんに言われるのはその10分後の話である。





アゴと鼻が特徴的な某漫画家さんの表現で『ぐにゃあ~』ってなるのがあるのはご存知だと思う。


俺はその時、あの感覚って本当にあるんだってことを知ることになった。





知りたくもなかったけど。

(合宿所玄関)

咲「あっ、京ちゃん来た!」

優希「まったく、遅いじぇ」

和「……ちょっと待ってください。何か様子がおかしいですよ」

まこ「うむ。なにやら末期のゾナハ病患者みたいな顔になっとる」

久「懐かしいネタね。私は阿紫花さんが好きよ」

咲「いや、そんな話してる場合じゃないですって! きょーちゃーん!」タタタ

京太郎「お、おう、咲。遅くなったな」

咲「だ、大丈夫京ちゃん? す、すごい汗」ハンカチトリダシ フキフキ

京太郎「だ、大丈夫。ほれ、牌譜」

咲「あ、ありがとう」

和「す、須賀君。どうしたんですか? そ、そんなに大変だったんですか?」

京太郎「バ、バスが2時間後までなくて……だから、駅から歩いて……」

和「え、駅からこの暑い中歩いてきたんですか!? 1時間はかかりますよ!?」

京太郎「いや、バスを待とうとも思ったんだけど……やっぱり、その、早くしたほうがいいかなって」ゲッソリ

久「……須賀君。大変言いにくいんだけど」

京太郎「なんすか?」

久「電話、くれればよかったのに。鶴賀の人たち、車で来てるのよ」

京太郎「……えっ?」

久「言ってくれれば駅までの送迎ぐらいは私から鶴賀の人たちに頼めたのよ」

京太郎「」

久「ごめんね……私もちゃんと言っておくべきだったわ」

京太郎「」

京太郎「……ふひっ」

京太郎「う、ふ、ふふふふははははははははは。うへははははははははは」ケタケタ

咲「きょ、京ちゃん。しっかりしてぇ!」

(合宿所内、玄関脇のベンチ)

京太郎「あー、酷い目にあった」

まこ「お疲れ様じゃったののう。ほれ、お茶じゃ」

京太郎「いただきます……あーうめぇ」ズズッ

優希「遅いと思ってたらそんなことになっていたとは。驚きだじぇ」

京太郎「遅くなった原因の半分はお前のせいだけどな。何だよあの買出しリスト。全部そろえるのに時間かかったぞ」

優希「いやー、すまんな。お菓子とジュースぐらいだと思ったら意外と皆あれもこれも欲しがって」

京太郎「ったく、ほれ。アイス溶けちまってると思うけどとりあえず冷やしとけ。俺が中に入るわけにはいかないからな」

優希「おう、ご苦労だったじぇ。っとと、これ重……」フラフラ

咲「あ、優希ちゃん。私も手伝うよ」

京太郎「気をつけろよー」

優希・咲「「はーい」」

京太郎「ふぅ……あー、氷冷たい」ズズッ

久「……須賀君、本当にごめんね。帰りのバスはまた時間空いちゃうみたいだし、鶴賀の人に駅まで送って貰うように頼んだから」

京太郎「あぁ、助かります。さすがにもうあの道のりをもう一度歩くのはちょっと……」

和「正直驚きです。多分、20kgぐらい荷物があったんですがよく持ってこれましたね」

京太郎「えっ? そんなあった?」

和「2リットルのペットボトル5本。それだけで10kgですよね? 後はあの大量の紙の束と他の品を合わせればそれぐらい行くと思いますよ?」

京太郎「マジか……そりゃ辛いはずだ」

まこ「よく頑張ったのう。ほれ、お茶のお替りいるか?」

京太郎「いいんですか? いただきます」

まこ「おう、ほれ」トポトポ

(その頃。合宿所台所にて)

優希「アイスは冷凍庫。チョコレートは一応冷蔵庫に入れておくか」ゴソゴソ

咲「飲み物少なくなってきたからよかったね。ちょっと詰めれば入るかな」ゴソゴソ

優希「エビフライ? 誰が頼んだんだ? とりあえずそこに置いとくじぇ」

咲「あっ、花火だ! 後で皆でやろうね!」

優希「おぉ、タコス。ちゃんと私の好きな味だな。流石わかってるじぇ京太郎」アムアム

咲「えっと、後はこの袋をっと」ゴソゴソ

優希「咲ちゃん……。牌譜を冷やしてどうするつもりだじぇ?」


ワイワイキャッキャ


華菜「あっ、居たし」ガチャッ

美穂子「よかった。何かお手伝いしますか?」

優希「おっ、風越の。もう大方片付け終わったから大丈夫だじぇ」

美穂子「そう……。買出しを頼んでしまったから後片付けぐらいは手伝おうと思ったんですけど」

咲「わざわざありがとうございます。常温の物はそこにおいてあるんで頼んだものは各自持っていってください」

華菜「おぉ、いろいろあるなー。プロ麻雀せんべいが大量にあるのが気になるけど……」

咲「あっ、お金はまた後でうちの部長が清算するようです」

華菜「はいよ。……ところで」

咲・優希「?」

華菜「玄関ホールのベンチに座ってる男の子が買ってきてくれたんだよな?」

優希「そうだじぇ。うち唯一の男子部員。よわよわだけど」

咲「ちょ、優希ちゃん……」

華菜「ふぅん、まあいいし。それより……あの男の子って、誰の彼氏?」ニヤーリ

咲・優希「!?」

美穂子「ちょ、ちょっと華菜」

華菜「あれ? キャプテンは気にならないですか? うちは女子高だし同じ部に男の子がいるとか想像もつかないし、興味わきません?」

美穂子「そ、それは」

美穂子「えっと」

美穂子「その」

美穂子「あ、う」

美穂子「そ、その」

美穂子「ちょ、ちょっとだけ」

華菜「ですよね! さぁ、キリキリ吐くし!」

咲「そ、そんな。きょ、京ちゃんとは別に……」

華菜「わぁ、京ちゃんだって。すごいし! やっぱそんな関係なんだ!」

美穂子「ふわ……。男の子をそう呼ぶなんて、すごく仲がいいのね」

優希「(むっ)」

咲「ち、違うんです。ほんとに!」

華菜「またまた、照れなくてもいいし! いやー、流石共学は進んでるなー」

咲「ち、違うのに。どうしよう優希ちゃん」オロオロ

優希「……」イライラ

優希「違うじぇ!」ダンッ

華菜「にゃにゃ!」ビクゥ

美穂子「び、びっくりした」

優希「京太郎は、その、誰かの彼氏じゃなくて」

優希「あいつは……」

優希「その」

優希「えっと……」

優希「!」

優希「そう、犬だじぇ!」

華菜「い、犬!?」

咲「ちょ、優希ちゃん?」

優希「そう、あいつは麻雀部の犬だじぇ! 私たちの忠実な下僕だじぇ!

美穂子「げ、下僕って……」フルフル

優希「そう、私が躾けている犬」モガモガ

咲「優希ちゃん、ストップストップ! 落ち着いて」クチオサエ

優希「」モガモガ

華菜・美穂子「(ポカーン)」

咲「じょ、冗談ですからね? 彼氏でも犬でもないですからね?」

優希「」モガー!

咲「優希ちゃん、落ち着いてってば……。あっ、じゃあ私たちはこれで……本当に違いますから!」ヒキズリ

優希「」ヒキズラレ

ズルズル、バタン

華菜「……本当に冗談なんですかね」

美穂子「どう、かしら? 冗談だと思いたいけど……」

(一方その頃玄関ホール)

久「本当にごめんなさい蒲原さん」

智美「いいさいいさ。気分転換にちょうどいいドライブだ」

京太郎「すいません、よろしくお願いします」

和「須賀君、くれぐれも失礼なことは……」

京太郎「しねーよ! 和の中で俺の評価はどうなってるんだ……」

智美「ワハハ。それじゃあ須賀君、行こうか」

京太郎「あ、はい。お願いします」

久「須賀君本当にありがとうねー」フリフリ

和「ちゃんと課題やっておいてくださいね」フリフリ

まこ「帰ったら飯でも奢ったるけぇ。留守番頼むな」フリフリ

京太郎「うーっす、それじゃ失礼しまーす」スタスタ

……


久「行っちゃったわね」

和「せっかくなんで須賀君にも打たせてあげたかったですね」

まこ「まぁ、仕方あるまい。強化合宿の名目じゃ。さすがに初心者を混ぜるわけにもいかんだろう」

久「そうねぇ。これから私たちはもっと忙しくなるし今のうちに練習メニューでも考えて……」

イタカ!?
イナイッス!
モウイッチャッタノカナ?
オソカッタカ! ダガマダマニアウカモシレン!
イソグッス!

久「ん? なんだか騒がしいわね」

ゆみ「竹井か! 蒲原に部員の送迎を頼んだと聞いたが本当か!?」

久「えっ? えぇ。ついさっき出発したけど……」

モモ「間に合わなかったっすか……」

ゆみ「くそっ、もう少し早く私たちが気付けていれば……」ガクリ

和「な、何をそんなに慌ててるんですか。確かに頼んだのは申し訳ないですが、車で行けばすぐの距離ですよ? すぐ帰ってくると思いますが」

モモ「あー……」

ゆみ「その、だな」

佳織「智美ちゃん、その……運転がすごいヘタなんです」

(車内)

智美「なるほどー。須賀君はたった一人だけの男子部員なんだな」ギャリギャリギャリッ!

京太郎「え、えぇ、ぞうでず。……うっ、うぷ」

智美「しかし、周りが女ばっかりじゃあいろいろとやり難くないか?」ガリガリガリバキバキバキバキッ!

京太郎「路肩! 路肩に突っ込んでます!」

智美「んー? おぉ、すまんすまん。ワハハ」フラフラ

京太郎「お願いですからまっすぐ走ってください……。まぁ、肩身が狭くないと言ったら嘘になりますけど。雑用をやらされることも多いですし」

京太郎「それでも、今は結構麻雀が楽しいんですよ。皆合間にいろいろ見てくれるし」

京太郎「それに雑用だってみんなのためになるんだったら楽しくやれるって前ーーー!」

智美「おっ? あぁ、赤か」キキキキーーーーーーーーー!

京太郎「(タイヤの焦げる匂いが……)」ガクガク

智美「なるほどー。つまり麻雀も楽しいし、かわいい女の子ばっかりでハーレムだから頑張れると」

京太郎「はい。……って、そこまで言ってないです」

智美「ワハハ、そうだったか?」

京太郎「……まぁ、否定はしませんけど」

智美「ワハハ。男の子なんてそんなものか」ガリガリガリガリガリ

京太郎「(縁石にタイヤを擦るぐらいじゃ動じなくなってきたな……)」

智美「聞けば聞くほどに面白い状況だなー。男一人で雑用とか任されてても楽しくやれてるのかー」ガッコンガッコン

智美「……須賀君って、もしかしてそっちの趣味が?」チラチラ

京太郎「ないですよそんな趣味!」

智美「ワハハ、それは残念。さーって、次の曲がり角を曲がれば駅だなー。ブレーキブレーキ……」グォン!

京太郎「うぉっ! なんで曲がる直前に加速するんですかっ!」

智美「ワハハ。ごめんごめん、ブレーキとアクセル間違えた。オートマ車はこれだからいけないな」

京太郎「マニュアル車でもアクセルブレーキは右足です。あーあ、曲がり角過ぎちゃった……」

智美「なーに、まだ電車の時間まで余裕があるんだろ。ゆっくり行こう」グォン!

京太郎「(何でそう言いながら加速するんだろう。もういやだ……)」

その後、駅は目と鼻の先なのに何故かもう30分ほど蒲原さんのドライブに付き合う羽目になった。
死んだ曾じいちゃんと、すごく鼻がとがった人と、黒シャツ着た人が面子が足りないから来いと手招きしてるのが見えたのは幻だと信じたい。
本当に、思い出すだけで悪夢だ。駅のトイレでいろいろブチ撒ける羽目になったのは言うまでもない。
まぁ、紆余曲折あったが俺の目的は無事に果たせた。
俺はそのことにほっと一息つき、家に帰って皆からもらった麻雀の課題について取り組んでいた。




――だが、それ以上の悪夢が

華菜「みはるん……かくかくしかじかってことがあったんだけど、どう思う?」

美春「まっ、まさかぁ。そんなこと、無いと思うけど」

美春「そんな、部の共有ペットとして日々屈辱の攻めを味わっているなんて、そんなこと……」

華菜「そこまで言ってないし」

美春「やっぱり普段はこう、ギャグボールっていうんだっけ? そういうのを嵌められて喋ることも許されず……」

華菜「聞いてないし」

美春「でもすっかり開発されきったその体はもう抗うことはできなくて自らその体を……」

華菜「みはるんが遠くに行っちゃった……」

――着々と進行し

智美「ワハハ。帰ったぞ」

ゆみ「お帰り。駅まで送っていっただけなのに何でこんなに遅いんだ」

智美「いやーちょっと道を間違えちゃってな。須賀君との話が面白くて」

モモ「須賀さんも気の毒っすね……」

佳織「どんな話したの?」

智美「えーっと、須賀君は清澄たった一人の男子部員らしいな」

ゆみ「ほう。女子5人の中に男子1人とはいろいろ気苦労も多そうだが」

智美「雑用とかいろいろこき使われることも多いけど、須賀君はそういうのが(皆の役に立てるなら)大好きなんだって」

佳織「……智美ちゃん。なんだかすごく誤解を招きそうな言い方だけど、本当に言ってたのそんなこと?」

智美「おぉ、言ってたぞ。女の子に囲まれているから楽しいとも言ってたな。それが満足とも言ってたような……」

睦月「部長。なんだが須賀さんがどうしようもない人に聞こえてくるんですが……」

モモ「……確かに今日も20kg近い荷物を持って駅から1時間かけて歩いてきたとか言ってたっすね」

睦月「確かに普通の人だったら怒っても無理もないですよね」

智美「ん? 須賀君は全然怒ってなかったぞ? 別れ際も皆と和やかに別れていたし」

佳織「いや、そんな」

ゆみ「……まさか、なぁ?」

美春×
未春○

――取り返しのつかない状況になっていることなど

透華「聞きました?」

純「あぁ。清澄には男子部員が居て、その子が、その、えっと……」

一「あっ、純くん照れてるー」

純「うっ、うるせっ」

智紀「……」カタカタ

衣「下僕……ハギヨシみたいな存在が清澄にもいるのか?」

一「いや、なんていうか、聞く限りだとそんな健康的なものじゃないというか」

純「勘違いだと思うんだがなぁ」

透華「とは言え、さすがに当人たちには聞きづらいですわね」

一「うん。お宅の須賀さんはMどれ(ムグッ」

純「ちょ! 衣の前だぞ! つーかなんて言い方だ!」クチオサエ

一「むぐむぐ」コクコク

衣「?」

透華「衣は気にしなくても大丈夫ですわ」

智紀「……」カタカタ

そっち方向での奴隷か

――知る由もないのだった。

久「なーんか夜の検討会の時皆がよそよそしかったような?」

まこ「そうか? 言われてみればそんな気がしたような……」

久「何かあったのかしら?」

まこ「むぅ」


優希「ほい。原住民の村からの宮廷で魔女を使って2人とも呪いを3枚ドローだじぇ」

咲「あぅ、私のデッキが呪い塗れに……」

優希「まだ私のターンは終わってないじぇ? さらにならず者を使うから2人と3枚になるまで手札捨てるじぇ」

和「せ、せっかく白金貨が来たのにお金が足りなくなりました」


まこ「あの3人娘は、本当にもう……」

久「ちょっと、なにやってるの! 私も混ぜなさい!」

まこ「こいつ……」




智紀「……」カタカタ

智紀「……」カタカタ

智紀「……」カタカタ

智紀「……」ッターン!

智紀「ふぅ」


プロローグは以上です。

>>18
ご指摘ありがとうございます。

ごめんねみはるん。
みはるんは結構好きなキャラなのにこれはやらかした感。

あっ、お気づきの方もいらっしゃるでしょうが本SSは名作、

咲「私と京ちゃんが」京太郎「付き合ってるって噂が流れてる……?」

から多大なインスパイアを受けています。
そのため導入がちょっと似ております……。

もちろん展開等は全く異なるものになると思います。

乙ー

僕は山札削って金貨と英雄系のみにするプレイです()

そういうのスレ名出さない方がいいよ

>>20
さて、どうやろな(ゲス顔)

>>27
ぼくは寵臣ループがだいすきです!

>>28
すみません、見る人が見ればわかると思ってパクリ? と気分を害されてしまうことを考えて明記してしまいました。


あっ、それと今後ストーリーにはそこまで関わらないけれども、今後京太郎と接触する人を誰にするか迷っています。
んで、せっかくなので安価で決めようと思います。

↓5のキャラで

ただし、長野県の高校および阿知賀以外のキャラでお願いします。

書き方あいまいやったな……

長野とあちがは駄目よ

すまん、すまんな。
私があいまいな書き方をしたばかりに

長野勢と阿知賀『以外の』キャラで

再安価
↓3

J( 'ー`)し ゴメンネ、カーチャン安価慣れてないから……


そして安価は霞さん了解しました。京ちゃん大歓喜。
別段そこまでストーリーにかかわるわけじゃないですがご期待ください。

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 __gglili[llll[゚l]llll[[ll]lili[]llll][]llll_  ^])lllllllili[ゝ   k]lllll.]llllllllllllllllllllllllllllllllllll

期間をあけてしまい申し訳ございません。
うどんの国に出張に行ってました。うどんうまかった。

スマホでスレはちらちら見てたんですが報告ぐらいはするべきでしたね。
ちょっと中途半端なところまでですが15分後ぐらいに投下したいと思います。

おっしゃ。投下しますー
ギャグってこともあり文体を崩し気味に書いていますがこれがなかなか難しいですな。

(全国大会前。ホテル玄関)

ワイワイガヤガヤ

久「やっと着いたわねー」

和「やはりそれなりに時間がかかりましたね。結構疲れました」

まこ「そうじゃな。とりあえず今日はゆっくりと休むことにしよう」

優希「それにしても参加校は大体この辺のホテルに集まっているみたいだじぇ」キョロキョロ

咲「そうだね。周りにいる人たちも参加者の人たちみたいだし」キョロキョロ

和「えぇ、そうみたいなんですが」ソワソワ

久「どうしたの?」

和「いえ、何故か周りから注目を集めているような……」


ヒソヒソ

アレガキヨスミ
アクノソウクツ
アノオモチデオトコヲ
ヒトヲヒトトオモワヌ
サスガノウチモヒクワ
チクワダイミョウジン
ダレヤネンオマエ

ヒソヒソ


優希「……確かに」

久「まぁ、去年台風の目となった龍門渕を破っての進出だからね。大なり小なりマークはされてると思うわよ」

和「えぇ、もちろんそれは覚悟していたのですが」

久「?」

まこ「うむ、なにやら酷く怯えられていたり敵意を向けられているような……」

優希「ふふん、そんなに恐れられるぐらい私たちの武勇も全国に轟いているのか。これは楽しみだじぇ」

咲「……あれ? そう言えば京ちゃんは?」

久「あら? さっきまで着いて来てたような気がするんだけど……」

まこ「自分のホテルに行ってしまったのかのう?」

久「いえ、私たちの荷物も持ってるからそんなことは……あっ、来た来た」

京太郎「あっづい……」

俺は現在大荷物を抱えながら女性陣が泊まるホテルに向けて歩いている。
荷物の重さもそうだがこの暑さがやばい。
以前長野も暑いといったが訂正しよう。東京の暑さはやばい。長野の比じゃない。
つーかアスファルトの照り返しがきつすぎだろ、何だこれ。
ヒートアイランド現象ってのを昔習った記憶があるが体感することになるとは。
東京の人たちはマゾなのか常時セルフバーニング状態なのか。よく耐えられるもんだ。

京太郎「あ゛ー重いー」

愚痴が止まらない。
ちなみに俺が手に持っているのは自分の荷物のほかにパソコンやらこれまでの牌譜やら麻雀牌やらいろいろである。
パソコンもそうだけど麻雀牌は意外と重い。そしてマットもそこそこ重い。
それが2セットもあるのだから結構な重量だ。
最近麻雀の勉強もそうだけど筋トレしたほうがいいんじゃないかと思い始めてきた。

他のメンバー(部長と優希を除く)は手伝うと言ってくれたが、俺にも男のプライドと言うものがある。
見栄を張って個人の荷物以外は全部持つといった結果がこれである。
まぁ、俺を除いて大会を控えた大切な体だ。力仕事ぐらいは引き受けるべきだろうよ。

……自分で言ってちょっと悲しくなってきた。ちくしょーめ。
俺と同じ気分を分かち合える仲間が欲しいと最近常に思う。
仮に新たな部員を迎えるとしたら、どんな美少女よりも気のいい同学年の男が欲しい。

ハーレムだなってからかわれる事も多いけどそんな事でテンションがあがったのは最初だけだ。
そこまで役得があるわけでもないし、むしろ男だからって体よく使われている感がある。
向こうも向こうで最近俺を男として見なくなってきてるような気がする。
優希とかこの前パンツ丸出しヘソ丸出しでベッドに寝てたし。
俺もそんな姿にムラムラするよりゲンナリしてしまって黙ってタオルケットをかけてやった。

ちなみにその場面を丁度和に見られて何かを誤解したのか悲鳴を上げられ、中高一本拳が俺の人中に食い込んだのは記憶に新しい。
ほんと理不尽だよね。優希が誤解が解いてくれて、痛みにもがく俺にひたすら謝ってくれたけどさ。

京太郎「……仲間が欲しいなぁ」

暑さのせいか、疲れのせいか、何故か緊張して眠れなかったせいか、思考が思わず口に出た。
丁度どこかの高校の制服を着た女子数名が俺の横を通り過ぎていて、ガッツリ聞かれたのだろう。すごい顔で見られた。
少し歩いてから後ろを振り返ると、ヒソヒソ話していた女子は何かに怯えるように早足に去って言った。
このやってしまった感。

他の高校も同じホテルに泊まっているのだろうか。
気付けばホテルに近いほど近いこの道に制服姿の女子があちらこちらにいる。
だが不思議と皆が皆、何故か俺の顔を見ながらボソボソと話している。
だが、視線を送ると揃いも揃って気の毒そうな顔をしながら露骨に顔を逸らしたり逃げ出したりしている。

俺の人生でここまで女の子から注目されたのは初めてだ。
とはいえ、『須賀君の頭は白骨温泉の源泉ですか? いい温度で沸いてるんですか?』と和に言われた俺も、流石に好意の視線だとは思わなかったけど。
和も大概にひどいよな。ただ、こんな手牌から

33m22255599s西中中 ツモ9s

混一色狙うために3萬切っただけなのに。
そう説明したら今にも髪の毛が金色になって逆立ちそうなぐらいの勢いで怒られたけど。
俺はその時、和は怒ると本当に怖いなって思いました。

そんな小学生並の感想を抱いていると道の先から優希と部長が手を振っているのが見えた。

優希「遅いぞ犬ー。走れー!」

久「須賀くーん。あと10秒以内に来なさーい」

周りのざわめきが大きくなった気がする。
なんとも居心地の悪い感覚だ。
そして部長は心底楽しそうな顔でカウントを開始している。
人の皮を被った悪魔め。いつか男が狼だって事を分からせてやる。
そんな思考とは裏腹に、俺の体は反射的に最後の力を振り絞って残りの道を全力疾走していた。

後から思ったけど、別に走る必要はなかった。
そもそもこの大量の荷物は事前に宅配便でホテルに送ればよかったんじゃ。

そう突っ込む前に体が動いた俺も同罪である。

(女子部屋にて)

京太郎「あー、重かった!」ドサドサ

咲「京ちゃん、お疲れ様。はい、お茶」

京太郎「おっ、さんきゅ。……あー、落ち着くと動きたくなくなるな」ゴクゴク

和「須賀君のホテルはここからどれぐらいなんですか?」

京太郎「10分ちょいだったかな? 暑いからもう外でたくねぇ……」グテー

久「あら? 私、今から着替えようとしているんだけど?」ニヤニヤ

京太郎「……出て行きます」

まこ「すまんのう、汗かいたからさっさと着替えたくてな。夜になったら皆で食事にでも行くか」

京太郎「うっす。んじゃ、それまでは適当にホテルで休んでます」

咲「京ちゃんごめんね。後で連絡するからね」

京太郎「おう、じゃあまた後でな」ガチャッバタン

久「さーって、さっさと着替えちゃいましょ。それにしても、本当に東京は暑いわねぇ」ヌギヌギ

咲「アスファルトの照り返しって本当に強烈ですね」ヌギヌギ

和「長野は田んぼや山ばっかりですからね。それだけでも東京と比べれば涼しいんでしょう」ヌギヌギ

まこ「京太郎が外に出たくないと言う気持ちも分かるのう。……あー、大分汗かいとる」ヌギヌギ

優希「おぉ、のどちゃんのおっぱいの谷間に汗が垂れてるじぇ。えろいろい」ワシッ

和「ちょ、ちょっとゆーき、やめて!」ジタバタ

久「どれどれ、ちょっと先輩にも見せてみなさい」ニヤニヤ

まこ「やめんか阿呆共」


(中略)

久「さて。夕食には早いけどどうしましょうかね?」

和「須賀君じゃないですけど、確かにちょっと出歩くには勇気のいる暑さですね……」

コンコン

咲「あれ? 誰か来た?」

優希「はいはい、誰だじょ?」ガチャ

ゆみ「失礼、久しぶりだな」

優希「あ、鶴賀の部長。どうしてここに?」

智美「ワハハ。部長は私だぞ」

モモ「いや、もう引継ぎしたからむっちゃん先輩が部長っす」

睦月「新部長です。よろしくお願いいたします」フカブカ

優希「あ、どうもこちらこそ」ツラレテフカブカ

まこ「……何を玄関先で話とるんじゃ」

佳織「すみません、皆さんの応援に来たので挨拶と……その、ちょっとお話がありまして」

ゆみ「悪いが上がらせて貰って構わないか?」

まこ「ん、構わんぞ」

モモ「お邪魔するっす。あー暑かった」

ドタバタ
ガヤガヤ

久「何はともあれ、わざわざ応援に来てくれてありがとう」

ゆみ「あぁ。我々長野県代表だからな。精一杯応援させてもらう」

智美「まぁ、うちの1~2年生は経験が浅いからなー。全国レベルの試合を見せたかったっていうのもあるけど」ワハハ

睦月「(元部長が部長らしいことを言ったのを初めて聞いた気がする……)」

佳織「(そんなこと言っちゃうと智美ちゃん可哀想だよ)」

睦月「(直接脳内に!?)」

佳織「?」

モモ「と言うわけで応援に来たっす。ぜひ頑張ってほしいっす」

和「ありがとうございます。精一杯頑張ろうと思います」

まこ「しかし、何やら話があると言っておったがなんじゃ?」

ゆみ「あー」ソワソワ

佳織「えっと」ソワソワ

智美「ワハハ。ここは新部長、スパッと聞いてくれ」

睦月「!?」

モモ「元部長は相変わらずキラーパスが酷いっすね」


睦月「え、えっと……」

清澄一同「?」

睦月「聞きたいことが、あるんですけど」

まこ「なんじゃ?」

睦月「その、清澄に須賀さんって居ますよね?」

久「須賀君? えぇ、ホテルが違うから今は居ないけど」

睦月「その、須賀さんなんですけど……」









睦月「皆さんのペット、だとか、奴隷、と言うのは本当ですか?」









久「」

まこ「」

和「」

優希「」

咲「」

清澄一同「はぁ!?」

睦月「ひぃっ! すみませんすみません!」

モモ「(むっちゃん先輩、ずいぶんストレートに行きましたね……)」

佳織「(もうちょっとオブラートに包めばよかったのにね)」

モモ「(直接脳内に!?)」

佳織「?」

和「ど、どうしてそんな話になるんですかっ!」

久「あまりにも想定外の話過ぎて変な声出しちゃったわ」

咲「わ、私も……」

ゆみ「やはり、出鱈目だったか……」

智美「ワハハ。おかしいな?」

まこ「……どういうことなんじゃ?」

ゆみ「その、だな。合同合宿中に須賀君が荷物を届けに来ただろう?」

優希「そういえばそんなこともあったじぇ」

ゆみ「その時に、何故か須賀君が皆の犬だとか、皆に仕えることに喜びを見出しているという噂が流れてな」

咲「(そういえば)」

優希「(風越のメンバーにそんなことを言ったような記憶があるじぇ……)」

ゆみ「と言うか噂の出所の半分はうちの蒲原が須賀君の言葉を曲解してとらえてしまったことが原因なんだが」

智美「ワハハ。すまんすまん、そんなことを言ってたような気がするんだが」

ゆみ「おいっ! すまん、あとで叱っておくから……」

久「そんな噂が流れていたとはね……。確かに須賀君はたった一人の男の子だからいろいろ力仕事を任せることも多いけど」

咲「そうです! 京ちゃんが奴隷だとかそんなこと……」

まこ「うむ。決して奴隷だとか、その、ペ、ペットだとかそういうもんではないけぇ。同じ麻雀部の仲間じゃ」

モモ「やっぱそうだったすか。まぁ、おかしいとは思ってたっすけど」

和「何事かと思いましたが誤解とわかっていただけてよかったです……」

睦月「その、それが、言いにくいんですけど……」ソワソワ

咲「ま、まだ何かあるんですか?」

佳織「この噂……なんだか全国的に広まってるみたいなんです」

久「」

まこ「」

和「」

優希「」

咲「」

ゆみ「最初は長野3校の中だけで話していたんだが何故かこの噂がネットに流れていてな……」

睦月「そこで尾ひれ背びれが付いてすごいことになってるんです」

モモ「いったい誰がネットに流したんすかねぇ……」







智紀「へくちっ」

一「どうしたのともきー。風邪?」

智紀「ううん、大丈夫」






>>150
>33m22255599s西中中 ツモ9s
>混一色狙うために3萬切っただけなのに。
前作みたいに「実際にあった」わけじゃないよね(震え声)

和「そ、それでいったいどういう噂になっているんですか?」

睦月「えっと、いろいろあるんですけど大きく分けて2パターンあるんです」

咲「2パターン?」

ゆみ「あぁ、まずは須賀君が言葉通り奴隷として虐げられているというパターンだ。具体的に言うと」


・元々清澄高校麻雀部は数名の男子生徒で和やかに部活を行っていた。

・だけどある日、議会長としての権力を笠に現在の女子メンバーがバイクに乗り肩パットを付けて乗り込んできた。

・そして麻雀部の部室、備品の引き渡し及び男子メンバーに奴隷となるよう求めて麻雀対決を迫ってきた。

・当然拒否する男子メンバーだが女子メンバーの中に、広島に本拠地を置くヤクザの一人娘がおり、脅されて泣く泣く勝負を受けることに。

・持ち点10万点トビ無のルールで団体戦が行われたが先鋒戦東一局で男子メンバーは飛ばされ絶望に。

・対局中に豚足を丸かじりする先鋒メンバーはトビなしだから続ける旨を伝え更に嬲り続ける。

・更に次鋒、中堅、副将と嬲られ続け大将戦時には-15万点。

・そして大将戦では男子メンバーはひたすら一向聴のままで手を進めることができず更に執拗に嬲られ続けた。

・オーラスで男子メンバーが四暗刻単騎をテンパり、せめて一太刀と思って手を進めるも、聴牌時に切った牌で大明カンからの数え役満をアガられる。

・アガリやめもせず親連荘を繰り返す大将の魔王に、男子メンバーは泣きながら全員土下座して謝ることに。

・それでも魔王は「麻雀って楽しいよね」と無情にも続行を告げた。

・泣いて許してくださいと言う男子メンバーに魔王は「早く座れよ」と笑った。

・勝負が終わったのは男子メンバーの一人が発狂して倒れた時。

・男子5人のうちの4人は現在も病院で入院中。

・残った一人が女子メンバーの奴隷として日々こき使われている。

・ろくに麻雀を打たせてもらえず、雑用を繰り返す日々。

・従わないと暴力を示された後、3対1の麻雀で叩きのめされる。

・教師に訴えかけようとするもやはりヤクザ後ろ盾があり助けてもらえない。

・最近の男子メンバーはこれがあるべき姿、これが正しいこと、皆に仕えることができて幸せ、と自分で思い込み精神の均衡を保っている。

これ正しくね?(メソラシ)

ゆみ「まぁ、こんな感じだ」

久「(いつから私は漫画に出てくる悪の生徒会長キャラに……)」

優希「(豚足は……食べないじぇ)」

まこ「(ヤクザ……ヤクザ……)」

咲「(うぅ、私だけ一部分真実が混ざってる……)」

和「……と言うより私達じゃないほかの人たちの話が混ざってるような気がするんですけど」




透華「はっくしょん!」

衣「ぷしゅん!」

一「2人も? 風邪が流行ってるのかなぁ」




ゆみ「それで、もうひとつなんだが……」メソラシ

睦月「あの、その」モジモジ

佳織「……うぅ」モジモジ

モモ「あぅ」モジモジ

智美「ワハハ」ワハハ

久「……今度は何」

睦月「そ、その。奴隷は奴隷でも……その、性的な意味での、奴隷っていう噂も流れているんです」

久「」

まこ「」

和「」

優希「」

咲「」

ゆみ「大方の流れはさっきの話と変わらないんだが……」

・女子メンバーの中にヤクザの情婦がいる。

・その女子メンバーは豊満な肉体を生かし残った男子メンバーに迫っている。

・男子メンバーは必死に拒絶するがそれでも女子メンバーは迫ってくる。

・とうとう我慢できなくなった男子メンバーは女子メンバーと関係を持ってしまう。

・女子メンバーはそれをネタに男子メンバーを脅し、男子メンバーの調教を開始する。

・殴る縛る垂らす責める、ありとあらゆる苦痛を与える。

・最初は苦痛に身をゆがめていた男子メンバーも、徐々に覚えたことのない快感に身をよじることになる。

・そしてある日、男子メンバーは開いてはいけない扉を開いてしまう。

・女子メンバーはそれに歓喜して男子メンバーを「犬」と呼ぶ。

・今では率先して女子メンバーにつき従う男子メンバー。その瞳に輝きはなかった。

・男子メンバーの下着は亀甲縛り。好物は蝋燭というクッソ濃厚なM奴隷となっている。

・最近は対局中も椅子(物理)になっている。


ゆみ「ざっとあげるとこんな感じだ」

和「」

ごめんなさい、中途半端な上に短いですがここまでで。

この先の執筆にてこずっているので……

>>160

残念ながら実話なんですよこれ(震え声)
先輩の彼女が麻雀を覚えたての時にやらかしました。
本人いわく「ホンイツ狙いだったからそれ以外見えてなかったんだもん」だそうで

ヨット部はガチ犯罪を実際にやらかしてたから……

この話だと物証は出ようがないし、そうそう処分が出るような状況とも思わんけど
状況証拠が微妙にないこともないのがアレだなww

和に親近感を覚えるアコチャー

前者の方が多いだろ流石に、例え美女だらけでも奴隷扱いで喜べるやつなんてそうそう居ない

>>207
ただの奴隷ならそうだけど性奴隷なら羨ましい

一度流れた噂はなかなか払拭できないからなー
有耶無耶にするために他校のスキャンダラスな噂を流そう(ゲス顔)

泣けるぐらい仕事が忙しいため絶賛停滞中です……。
何とか土日中には続きを上げたいと思いますので少々お待ちください。

ほんとすみません。

何で土日なのに休みじゃないんですかねぇ……(困惑)
はい、というわけで全くと言っていいほど進めることができませんでした。

年始初めのドタバタが収まるまでペースが落ちると思いますがご了承ください。
お待たせしてしまい申し訳ございません。

ようやく仕事も落ち着いてきました。まだまだ忙しいと言えば忙しいですが。
ちょっといろいろ迷っていますが、とりあえず幕間というかつなぎの部分が書けたので投下していきます。

全然関係ない話なんですが、SS書く際に咲の単行本を読んでいろいろ確認しながら書いてます。
ですが、困ったことに私の咲の単行本8巻だけ行方不明なんですけど誰か知りませんか?

(そのころの宮守女子宿泊地)

塞「ねぇ、聞いた? あの清澄高校の噂」

豊音「うん。聞いた聞いた。ちょーこわいよー」ブルブル

胡桃「ヤクザの権力を盾につけて男子部員を奴隷に……」

白望「ダル……」

エイスリン「ニホンノmafia。ヤクザノオイコミ? エンコヅメ?」ガクガク

塞「ちょ、どこでそんな日本語覚えてきたの?」

エイスリン「コワイ。モシ、キヨスミトアタッタラ、ワタシノアイテハ」

胡桃「清澄次鋒は(麻雀雑誌ペラペラ)あっ、噂の広島ヤクザ……」

エイスリン「ユビ、ユビキラレル。アガッタラキットユビキラレル。ヤダ、コワイ」ポロポロ

豊音「だ、だいじょーぶだよ! そういうのは何かしでかした人が責任取るためにやることだから!」

胡桃「そ、そうそう。そんな一緒の卓についただけで小指切られるなんてことはないから」

白望「(あんまりフォローになってない……ダルい)」

塞「と、とにかく当たらないことを祈ろう。大丈夫、参加校は沢山あるんだしそうそう当たることはないって」

白望「塞、なんだかフラグっぽい……」

豊音「そういう私も相手は噂の魔王さんだし、ちょっと怖いな。アガれるのかな。ひ、酷いことされるのかな」プルプル

塞「見た目はおとなしそうな女の子なのにね。長野はどんな魔窟なんだか」

エイスリン「コワイ、ヤクザ、コワイ。キット……」



モワンモワンモワーン

――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――

エイスリン「ロ、ロン! 8,000テンデス!」

まこ「ッチ」

エイスリン「ア、アノ。8,000テン……」

まこ「わかっとるわい! おらっ!」点棒バシッ

エイスリン「ヒッ!」ビクッ

巴「あ、あの。点棒の受け渡しはもう少し丁寧に……」

まこ「あぁん?」

巴「そ、その、ま、マナーというか」

まこ「ほーう。姉さん、言うのぅ」

巴「」ビクビク

まこ「……まぁ、そうじゃな。すまんすまん、以後気を付けるわ」

巴「い、いえ、わかって頂ければ」ホッ

まこ「ところで、最近こっちに店を出してな。よかったら働かんか?」

巴「えっ?」

まこ「なーに、ちょっと客と一緒に風呂に入って体を洗ってあげるだけじゃけぇ。大したことないわ」

巴「そ、それって」

まこ「客も気持ちよくなって自分も気持ちよくなる素晴らしい商売じゃ。給料も高いぞ。どうじゃ?」

巴「け、結構です」ナミダメ

まこ「そうか、残念じゃな。ベッピンじゃけぇ、売れっ子になるぞ」カチャカチャ、タン

由子「あ、あの。それ、ロンなのよー。5,200点」

まこ「あぁ? もうアタりけぇ。楽しそうでえぇなぁ、こっちは全然じゃと言うのに」

由子「す、すみません」

まこ「まったく、わしも楽しみたいのぅカチャカチャ

由子「」ブルブル

エイスリン「エ、エット、リーチデス」っ6ピン

まこ「あぁん? 3順目じゃと? わかるかいな、そんなもん」っ9ピン

エイスリン「アッ」ピクッ

まこ「なんじゃ?」

エイスリン「ア、アノ、ソノ」

まこ「はっきりせんかい!」ダンッ

エイスリン「ロ、ロン! リーチ、イッパツ、サンショク、ドラドラ。18,000……」

まこ「おどれ……」ビキッ

エイスリン「エット、ソノ」オロオロ

まこ「誰に向かって上等コいとるんじゃ! あぁ!?」タクヲケリアゲ

巴「ちょ、暴力は」

由子「お、落ち着いてほしいのよー」

まこ「黙れや! おまんらもいてまうど? あぁ!? それとも代わりにワビ入れるんか? あぁ!?」

巴「」

由子「」

エイスリン「ユ、ユルシテ」ガタガタ

まこ「おう。で、どうワビいれるんじゃ?」

エイスリン「エッ?」

まこ「どうワビいれるんじゃって聞いとるんじゃボケがっ!」

エイスリン「ゴ、ゴメンナサイ」ペコペコ

まこ「アホか。ワシもガキの使いで来とるんじゃないんじゃ。誠意ってもん示せや」っドス

エイスリン「ヒッ!」

まこ「おらっ、指出さんかい。それで許したるわ」

エイスリン「Noooooooooooo!」

―――――
――――――――――
――――――――――――――――――――

エイスリン「キットコーナル。ヤダヤダ」ポロポロ

豊音「落ち着いて! 審判の人もいるんだからそんなひどいことにはならないから!」ワタワタ

塞「……何でこんなに怯えてるの?」

トシ「あー私がこの前貸したヤクザ物のVシネマで変なイメージができちゃったのかねぇ」

胡桃「あー……」

白望「ダルい」

(またまたそのころの阿知賀女子宿泊地)

穏乃「嘘だよ、ね」

玄「そうです。嘘に決まっているのです」

灼「話を聞く限り、その、男の子を、せ、せ……奴隷にするよう子には思えないけど」

宥「た、確かお父さんやお母さんは弁護士や検事さんですごく真面目な人だったんでしょ? ヤ、ヤクザの愛人だなんて。まだ15歳なのに」

穏乃「はい。本人もすごく、すごーくお固い真面目な子で」

憧「……でも、さっき別の学校の人が話してたけど清澄の人が男の子1人に大荷物持たせて走らせてたって」

玄「ほ、ほんとなの。それ?」

憧「うん、それでその男の子のことを、その、犬、って呼んでたって」

穏乃「そんな……」

灼「奈良から引っ越していってもう数年経つんだよね。……朱に交われば、ってやつなのかな」

宥「な、長野って怖いところなんだね」

灼「それにしても、せ、性奴隷って」カァッ

宥「あ、灼ちゃん。やめて」マッカ

穏乃「ほ、本当にそんな世界があるのかな。ねぇ、憧」

憧「(性奴隷……)」

穏乃「憧?」

憧「(それって……)」

モワンモワンモワーン


――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――

「なぁ、和。もう、もうやめよう」

放課後の麻雀部部室。今日は練習もなく、部室にいるのは男女が1人ずつ居るだけだった。
京太郎は後ろ手に手錠をかけられた窮屈な体勢のまま、目の前で椅子に座りながら悠然と見下ろす和に言った。
苦しげな京太郎の表情とは裏腹に和は慈愛すら感じさせる柔らかい表情で京太郎に微笑みかけた。

「須賀君、何を言っているんですか」

「こんな、こんなことはやっぱり、やっぱりよくない」

「ふふっ」

京太郎の口から出る拒絶の言葉を聞きながらも、何故か和はとても楽しそうに笑った
和にはわかっていた。

(結局、言い訳と逃げ道を用意したいだけなのに)

和に無理やり従わされた。
手錠をかけられてどうしようもなかった。
脅迫されていたから仕方がなかった。

京太郎はこの関係を続ける際にそういう言い訳を用意しているということは和にはよくわかっていたのだ。
だが、この日まではそれを許していた。
目に苦痛と怯えしかなく、ただただ苦しんでいた時期まではそれでもよかった。

(だけど、それもお終いです)

先日の京太郎との逢瀬で彼の眼に灯ったその光を和は見逃さなかった。
責苦を受けている間、京太郎は先日口では拒絶の言葉を吐きつつ、苦しそうな表情を浮かべつつも確かにその光が宿ったのだ。

(『理解』と『許容』の時期ですよ、須賀君)

和は無言で立ち上がり、京太郎に近づいた。
びくりと体を震わせる京太郎を気にも留めず、黙って後ろに回り込んで京太郎の手錠の鍵穴に鍵を差し込んだ。

「……えっ?」

きょとんとした京太郎がそんな声を漏らすが、和は何も言わず鍵を回し、手錠を話した。

「そうですね、やめましょう。もう、自由の身ですよ」

「なっ」

「大丈夫です。今までのことは誰にも言いません。私の心にしまっておきます」

「あ、あぁ」

「さぁ、もう、行ってもいいですよ」

和は呆気にとられる京太郎ににっこりとほほ笑みつつ黙って入り口を指した。

「ふふ、行かないんですか? 解放されたんですよ」

和の言葉から3分ほど経っても京太郎はその場を動かなかった。
顔を伏せ、何か顔をしかめ辛そうにしている。

「ほ、本当に誰にも言わないんだよな」

「えぇ、本当に」

「本当だよな」

「しつこいですね。本当ですよ? データ類ももう消しました」

これ程念を押しても京太郎はそこまで言っても不安気な顔だった。
いや、これは『不安』ではなく『不満』の顔だった。
それに気づいた和は黙って椅子に座って京太郎に向き直った。

「須賀君」

「……なんだ?」

「跪きなさい」

京太郎の体がびくりと震える。
それを聞いた瞬間、京太郎の顔に一瞬浮かんだ喜びの表情を見逃さなかった。
だが、慌てて取り繕うように真剣な表情に戻る。

「の、和。もう終わりにするって……」

「えぇ、終わりにしました。これは私がただ単に、須賀君に『お願い』しているだけです」

今までの優しげな笑みから一転、酷く蠱惑的な、官能的な笑みを浮かべる。
事に及んでいるときに和が浮かべる笑みだった。
京太郎はその笑みを見るとぞくりと背筋に走る何かを感じた。

「この『お願い』を聞かなかったからと言って、今までのことを誰かに言うことはありませんよ。安心してください」

「う、嘘、だ」

「ふふ。須賀君、私が今まで嘘をついたことありました?」

その言葉に京太郎は黙り込む。
そう、和は一度たりとも嘘をついたことはなく、京太郎に言ってきたことはすべて真実だった。
京太郎自身、好まざるものではなかったが和との付き合いも長くなってきているからこそ理解できた。

「さぁ、もう一度『お願い』しますよ」

そういいながら和は足を組む。
比較的短めなスカートだ。おそらくかがみこめば下着が容易に見えるだろう。
さらに和は組んだ左足のソックスを脱いですっ、と軽く前に出した。

「跪きなさい」

京太郎は胸を抑えて何かを耐えるようにかきむしった。
呼吸が荒くなる。
ちらりと出口の扉を見た。
ほんの数歩歩けばたどり着く距離。

(行かなくちゃ)

だが、京太郎は踵を返そうとするが、足が張り付いたように動かなかった。

(この部屋を、出ていくんだ)

和に対して必死に拒絶の言葉を吐こうとするが、軽い息が漏れるだけだった。

(逃げ、なきゃ)

意志とは無関係に膝ががくりと折れた。
踵を返そうとしたときは全く動かなかった足がゆっくりと折れていく。

(お、俺は、に、にげ、こ……こん、な)

膝が麻雀部の冷たい床に触れる。

(こんなこと、い、いや、嫌なん、だ)

ぺたりと、そのまま床に手をついて、

(あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ)

心の中で狂ったように叫びつつ、京太郎は床に額を付けた。

(なんで、なんで)

(逃げなきゃ、逃げなきゃいけないのに)

(せっかく、せっかく終わったのに)

(何で、何で俺は、こんな、こんなことを)

必死に芽生えたそれから目を逸らし、必死に取り繕おうとするも結局逆らうことはできなかった。
京太郎は、わずかに震えながらも和の前で跪いた。

(あぁ!)

目の前で跪いた京太郎を見て、和は脳がどろりと溶けたかのような快感を覚えた。
あれほど言ったのに、逃げなかった。
言うとおりに跪いたのだ。
間違いなく京太郎は一歩を踏み出したのだ。
自らの意志で。
ぐつぐつと頭の何かが熱くなってくる。
下腹部の奥の奥がぎゅっとする不思議な感覚を和は味わっていた。

「須賀君。『お願い』を聞いてくれてありがとうございます」

(だけど、まだ『お願い』を聞いただけって言い訳をするかもしれませんね)

「とっても嬉しいです」

(次は、もっと明確な一歩を)

「だから、顔を上げてください。須賀君」

(踏み出してもらいましょう)

京太郎は跪いた体勢のまま顔を起こした。
瞬間、ドクリと大きく心臓が跳ねた。

椅子に座った和よりさらに低い体勢にいる京太郎が顔を上げると、ちょうど和の組んだ脚の隙間から下着が見えた。
薄手の赤い生地が見える。
和はそれを隠そうともせず、むしろ見せつけるようにそれを晒していた。

だが、京太郎の体を熱くさせた原因はそれだけではなった。
伸ばされた和の足。
ソックスを脱いで外気に晒されたその足に京太郎は目を奪われていた。
親指から小指に至るまで繊細に整った指。
珠のようにつるりとした美しいな踵の丸み。
ぷくりと程よく膨らみ、官能的なカーブを描いた脹脛。
美しい山の清水が常に滴り落ちているのではないかと疑うほどの美しい肌。

しかし、その美しい芸術品にわずかな疵があった。
脹脛の一部にわずかに青く、痣となった個所があるのを京太郎は気づいていた。
そして、その痣を付けたのも自分だということに気が付いていた。

(あれは、この前……)

そう、京太郎が和に言われるがまま和の足を舐めた時に付けたものだ。
その時京太郎は何気なく力を入れてしまったせいか、軽く歯が当たってしまったのだ。
その後和に沢山殴られたことも忘れ、京太郎は不思議な幸福感を味わっていた。

(あの、あの疵。あの足に疵をつけたのは、俺だ)

体が震えてくる。怯えでも恐怖でもなく純粋な喜びから。

(あの綺麗な足に)

京太郎の下腹部が熱くなってくる。
それが、固く熱を持ち始めてくることを京太郎は感じていた。

(俺が、俺が疵をつけたんだ)

そして京太郎は、小さく口元に笑みを浮かべた。

「さぁ、須賀君」

和も笑う。これから始まるであろう享楽的な時間を思い浮かべて。
京太郎の笑みを見て和はもうわかっているのだ。
これから京太郎がどう答えるのか。

「これから、どうしますか?」

和自身、もう我慢ができそうになかった。
少しでも返事が遅れれば欲望に身を任せ、京太郎をひたすらに嬲っていただろう。
だが、それは無用の心配であった。

「足を」

和の問いに即座に口を開く。
そして京太郎自身も和の望んでいること、自分の望んでいることを理解した。
倫理観や常識といった煩わしいのは京太郎の心にはどこにもなく、ただ純粋な本能だった。

「足を、舐めさせてください」

そういって、京太郎は笑みを浮かべたまま頭を下げた。
それを見た和は叫びだしそうな歓喜に包まれていた。
目の前の雄が愛おしくて仕方ない。
下腹部がさらに熱くなる。
恐らく、下着はひどいことになって居るだろう。
だがそれは和にとって些末な問題だった。

「まったく、本当に仕方ない人ですね須賀君は」

「はい。すみません」

和の侮蔑の言葉に、今までとは比べ物にならないほど従順な声で京太郎は謝罪の言葉を吐いた。
だが、謝りつつも京太郎の伏せた顔は今まで浮かべたこともないような歪んだ笑みを浮かべていた。

「ふふ、いいですよ」

ごくり、と唾を飲み込む音が部室に響いた。
それが京太郎のものなのか、和のものなのか、それとも両者のものなのか。
和は足をゆっくりと、京太郎に軽く差し出した。

「……さぁ、どうぞ」

「ありがとうございます!」

和の許しの言葉を聞いて、京太郎はまるで飢えた犬のように和の足に飛びついた。
自分の眼前で自分の足に縋り付く京太郎を見ながら、和はとろけきった情欲の表情を隠そうともせずその感覚に身を預けていた。

―――――
――――――――――
――――――――――――――――――――


憧「いやあぁぁぁぁぁ! 和が、和がそんなことをするなんてぇぇぇぇ!」

宥「きゃっ」ビクゥ!

穏乃「うわっ! あ、憧?」

灼「いったい何を考えたんだか……」

一旦ここまでー。
水曜日までには続編を投下したいと思います。

パーツはかけているのであとは上手くマージできれば……

乙。
別のスレで書いてた部長にパンツ見せてもらうあれを見ても思った。
イッチは足フェチ。はっきりわかんだね

それと部長パンツツヅキマダー?

修羅の国は北九州にしておこう

つまり咲の世界には修羅の国の他にも聖帝十字陵やサザンクロスが存在する可能性が…

水曜日に投下予定でしたが鯖落ちで投下できず。
その後、昨日までうどんの国に出張へ行っていました。
それにしても昨日の深夜にようやく帰ってこれたのにどうして振休がないんですかねぇ(困惑)

ほんと投下が遅れて申し訳ない。
今夜投下するのでもう少々お待ちください。

>>253
>>1は足フェチじゃないよ。おっきいのもちっさいのも大好きなおっぱい星人だよ!
足の表現がねちっこいのはあれだね、多感な思春期時代に谷崎潤一郎にはまったせいだと思います。

>>284
つまり、修羅の国冒頭で登場したファルコを痛めつけたあの名無し修羅はすばら先輩になるんですね、わかります。

>>287
豊音「お師さん、あなたのための聖帝十字陵はもうすぐ完成します」

こうですか、わかりません!><

あ、このスレはどんなに頑張っても1000行くほどの文章量は投下できないと思いますので雑談は好きにやっちゃってください。
むしろ>>1も混ざってるやもしれません

咲-saki-で刺青をやってくれる?(幻聴)

憧ちゃーは晩成行けるんだから谷崎を読みふけるような女子高生でもおかしくはないな!(期待)

おっしゃー。投下するべー!

>>293
刺青は名作。あなたとはいい酒が飲めそうだ。
遊女役は塞ちゃんとかキャップとがいいかもしれない。
個人的にだけど

京太郎「部長め……いつか絶対○してやる……」ブツブツ

○に入る文字は想像にお任せする。
いきなり若干衝撃的な独り言が出てしまってしまっているが、勘弁してもらいたい。
なんもかんも部長が悪いのだ。
俺はあの後、おとなしく女性陣が泊まっているホテルから自分が泊まるホテルに向けて歩き出した。
道すがら部長からもらったホテルの予約券と地図が入った封筒を取り出し道順を確認しようと封を開けたのだが……。

京太郎「絶対許さん……」ブツブツ

予約券と地図のほかに一枚のメモが入っており、そこには長野の奸雄、我らが竹井久の字でこう書かれていやがった。

『ついでに↓の買い出しをお願いね。よろしく♪』

そんな一言ともに日用品やら食料品やらの一覧が記載されていた。
最初っからこの腹積もりだったのか。
自分のホテルに向かうのにどこがついでだちくしょーめ。
なにが『よろしく♪』だコンチクショウ。
今度部長の携帯の待ち受け画像をクッソ濃厚なホモ画像に差し替えてやる。
この前エロ画像と思ってリンク踏んだらホモ画像だった俺の衝撃をあの女にも味あわせてやる。

京太郎「はぁ」

と思いつつも、結局おとなしく買い出しに行ってしまう自分の下っ端根性に涙が出そうになる。
そんなわけで俺は再び荷物を抱えて炎天下の中こうやって歩き回る羽目になったのだ。
現在はようやく買い物が終わり、荷物を抱えて再び女性陣が泊まっているホテルに向けて歩き始めている。

京太郎「暑い……眠い……絶対……絶対やってやる」ブツブツ

長距離移動の疲労と暑さと睡眠不足で精神状態がそれなりにキているようだ。
またすれ違った人に変な目で見られた。通報されなきゃいいけど。

まぁ、口ではこうやって悪態をついているけど、部長ににっこりと笑いながら
ありがとうって言われちゃうと俺の怒りは持続しないのは経験上わかりきっている。
しかも熱心に指導してくれたり、たまにお茶を入れてくれたりすると、
これからも頑張るかという気になってしまう自分の単純な精神構造にも呆れる。
美人って得だよな、ほんと。
しかも時々脆い所を見せてくるから余計に性質が悪い。

そんな訳で俺こと須賀京太郎は愛すべきあの憎たらしい部長が嫌いになれないまま今に至る。
クソッ、なんて時代だ。

京太郎「買い忘れないよな?」

両手で持っていたスーパーの袋をすべて片方の手に持ち変える。
かなりの重量だが持てなくはない。
空いた片方の手でメモを取り出しそれとスーパーの袋に視線をやる。
漏れはないと思うが後からまた買い出しに行くのも面倒だから一つ一つ確認をする。

全国に出場を決めたとはいえ規模としては相当小さい我らが清澄高校麻雀部。
それこそ姫松なんかの超名門の学校であれば食事の用意もホテルがしてくれるようだが、
残念ながらうちの部の予算ではホテルを借りるだけで手いっぱいである。
滞在中の食事は自分たちで用意をしなくてはならない。
毎日毎日外食していては金が続かないため、少なくとも夕食はホテルの設備で自炊生活が続く。
ビバ悲しき格差社会。
部長も学校側から予算をひねり出そうとしたようだが限界があったようだ。

来年は流石に学校側も汲んでくれると思うが、どうなのかね。
所詮は地方の公立高校だ。
よその名門のような待遇になるにはもう少し実績積まなきゃいけないかもしれない。
もしかしたら来年もこんなかも。
……さすがに来年は俺がやらされないよな?

京太郎「飲み物は人数分……。お菓子、インスタント系の食品……」

まぁ、そんなわけで買い出しの量も結構なものだ。
ついつい、メモを読みふけっていて前方への注意を怠っていたのが悪かった。
唐突に衝撃を感じる。
片手に持った買い物袋が何かに引っかかったかのように引っ張られる。

?「きゃっ」

そんな声響いたのとと買い物袋の一つを地面に落としてしまうのは同じタイミングだった。
地面にペットボトルやお菓子類がぶちまけられる。
明らかな俺の前方不注意で誰かにぶつかってしまったようだ。

京太郎「すいません! 大丈夫ですか?」

?「だ、大丈夫です。こちらこそすみません」

ぶつかったであろうその女性は俺に頭を下げた後、ぶちまけられたものを拾ってくれている。
俺も慌てて手伝おうとしたのだが、体が動かなかった。

セーラー服を着ているのだから高校生だということはわかる。
長い黒髪。
すらりと伸びた細い手足。
いかにも大和撫子っていう感じの美人だ。
だが、それ以上俺の目を引き付けるモノがそこにあった。

京太郎「(ふ、ふふぉ、おふぉぉぉぉ。なんや、なんやこのおもちは)」

長野生まれの長野育ちなのになぜか関西弁になるのも仕方ない。

なにこれ。
こんなことがあっていいの?

でかい。
でかい。
大事なことなので2回言いました。

すごい。
ほんとにしゅごい。
心の声なのに思わず噛んじゃう。

日頃、和のおもちを見続けている俺はこの数か月、和のおもち最強と思っていた。
長野の大会とかでたくさんの女子高生を見ることになった。
無論、その中ではなかなかのおもち力をお持ちの方々もたくさん居た。
だが和に勝てる兵は居なかった。
だから、俺はその時点で慢心していたのだ。

和のおもちこそ、最強。

だから俺は、この道を極めたつもりでいた。
和という完全者(ペルフェクティ)が身近にいる。
それだけで俺は満たされていた。
和のおもちを見ているだけでとても幸せだったのだ。
(見すぎだと汚物を見るような目で見られたこともあるけど。それはそれでなんだかゾクゾクした)

だが、それは驕り、怠慢だった。
まさか、まさか和を大きく上回るおもち力を持つ剛の者が居るとは。
長野の外に目を向ければまだまだ未知のおもちがあるのだ。
歩むことを辞めるにはまだ早い。
さらなるおもちを求めて、これからも精進しよう。

歩むことをやめた時老いていくって偉い人が言ってたし。

そこまでの思考に1秒。
そして、その後は体を動かすたびにたゆんたゆん揺れるそれに目を奪われていた。

京太郎「(おっきぃよう。すごいよぅ)」

先ほどとは別の意味で人格が破壊されてきた気がする。
あのおもちに触ったらどう感じるのだろうか。
顔を埋めたらどうなるのだろうか。
いや、むしろ頭に乗せられるよね。あの大きさなら。

昔、おっきなおもちの女性が男性の頭に胸を置いたら衝撃で男性の首が折れたって話をテレビで見たことがある。
当時は笑いながらそのテレビを見ていたのだが今は別の気持ちだ。
あのおもちを俺の頭に乗せてくれるのなら首の骨が折れようが、そこでくたばろうが後悔はない。
……土下座して頼んでみようか。

?「あの、どうしました?」

そこまで考えたタイミングで女性が不思議そうに俺に声をかけてきた。
邪心を読まれたのだろうか。俺は慌てて首を振った。

京太郎「い、いえ。大丈夫です!」

そういいながら俺も慌てて地面に落ちたお菓子やジュースを拾い上げた。
女性も首をかしげながらも拾うのを手伝ってくれる。
いい人や。
おもちでかくて美人でいい人って天は何物この人に与えるんだ。
咲や優希が得られなかったおもち力はこの人に行ってしまったのか。

ほら、今も体を揺らすたびにふるふるしとる。
こんなことあっていいのか。
服とブラジャーという二重の拘束具があるというのにあの暴れっぷり。
何たる暴れん坊将軍。
思わず俺の暴れん坊ならぬ暴れん棒が……。

いや、やめておこう。
あまり意識すると下半身に無駄な血液を集めることになる。
そうなったらいろんな意味でマズい。
気づかれた日にはThe Endである。
東京に来て初めての観光地が警察署とか笑えない。
名残惜しいがそのやんちゃなおもちから視線を外した。

?「これで全部ですね」

京太郎「ありがとうございます、っとと」

その人はそう言いながら買い物袋に拾った物を入れてくれた。
いったんほかの荷物を下ろし、もう一度抱えなおす。
俺の大量の荷物にびっくりしたのだろうか、その人は目を丸くしていた。

?「凄い荷物ですね、大丈夫ですか?」

京太郎「あ、大丈夫です。もうすぐそこなんで」

そう言いながら視線を女性陣が宿泊しているホテルに向けた。
するとその人は何かに気付いたように手を合わせて口を開いた。

?「あら。もしかして、麻雀で?」

京太郎「はい、そうです。まぁ、俺は応援ですけどね」

?「偶然ですね、私たちもそうなんです。鹿児島代表の石戸と申します」

鹿児島代表という言葉に聞き覚えがあった。
ここ最近、部での対策会議などで他校の情報を聞くことが多かったけど、その中でも優勝候補の一つ。

京太郎「……確か、永大女子でしたっけ?」

霞「ご存知でしたか」

少し驚いた表情を見せるけどまぁ、当たり前だ。
牌に愛された子と言われる、確か……そう、神代さんを擁する永大女子だ。
俺自身は対策会議にそこまで参加したわけではないけれども、それぐらいは覚えている。

京太郎「うちの麻雀部で全国に出場したのは女子なんですよ。その兼ね合いで」

霞「なるほど。男子にも知られるぐらい有名になったのかと驚きました」

くすくすとわらっている。
おもちばっかりに目を取られるけど、この人凄く美人だとしみじみ思う。
最初はこのクソ暑い中買い出しに駆り出されることになって部長を恨んでいたが、こんな出会いがあるとは。
部長には感謝せざる得ない。
感謝の念を込めて携帯の待ち受け画像はガチホモ画像からソフトなBL画像ぐらいにしておいてやろう。

霞「そういえば、あなたはどちらから?」

ふと石戸さんが訪ねてくる。
あぁ、考えてみれば名乗ってなかった。
いかんいかん。

京太郎「すみません。えっと、長野代表の清澄高校です」

霞「っ!?」

京太郎「まぁ、さっき言った通り俺は応援ですけどね。須賀と言います」

霞「清澄、高校の……」

京太郎「石戸さん?」

石戸さんはすごく驚いた表情で俺の顔をまじまじと見ている。
少し照れくさいものがあるが、その表情は若干引っかかる。
うちの高校はそこまでマークされるほどに有名になったのだろうか。

霞「……いえ、なんでもありません。須賀さん、ですね」

何やら普段呼ばれない言い方をされて何やら背中がくすぐったくなってくる。
落ち着かない。

京太郎「いや、石戸さん先輩ですよね? 俺みたいな1年坊主には畏まらず、もっと雑に呼んでください。しゃべり方だってもっと雑でいいです」

霞「……じゃあ、須賀君、でいいかしら?」

京太郎「はい、大丈夫です」

聞きなれた呼び方プラスちょっと言葉遣いが崩れてきたことが嬉しく感じる。
だけどそれとは対照的に石戸さんは何やら考え込んでいる素振りを見せていた。

霞「……須賀君、今からホテルに戻るのよね?」

京太郎「はい、そうですけど」

霞「よければ、一緒に行かない? 私たちの宿泊先もあっちのほうだから」

その言葉に即座に頷いたのは言うまでもないだろう。
麻雀やってて良かった。
生きてて良かった。
素晴らしき哉、人生!

霞「須賀君の所は男女合同で部活をしているのね」

京太郎「はい、そうです。とは言っても、男は俺一人しかいないんですけどね」

ホテルまでの歩く道すがら石戸さんから清澄高校についていろいろ質問を受けている。
最初は偵察か? と若干身構えたがあまり麻雀のことに触れられることがなかったため俺も気軽に答えている。
すれ違う人がチラチラとこちらを見ているが、当然だ。
こんな美人でこれほどの物をおもちの人が歩いていれば絶対見る。
誰だってそーする。俺だってそーする。

霞「男の子ひとりじゃ、大変じゃない?」

京太郎「うーん、まぁ、こうやって力仕事任されることも多いですし大変といえば大変な時もありますかね」

そう言いながら両手の買い物袋を持ち上げた。
ちなみに石戸さんは手伝うと言ってくれたが丁重にお断りした。
純粋に悪いのもあるし、あの白魚のような手にこのような重いものを持たせちゃいかんでしょ。

霞「そう……」

京太郎「でもしょうがないですよ。あいつらは強いですけど、俺は初心者レベルですし」

と、ここまで話したところでなぜか唐突にあくびが出そうになった。
こんな美人と話しているのにあくびが出そうになるとは俺の睡眠不足も相当らしい。
咄嗟に顔をそむける。

京太郎「俺が、弱いのが、悪いん、です」

霞「っ!」

あくびを噛み殺しながら喋ったからなんか途切れ途切れなしゃべり方になってしまった。
ホテルに帰ったら少し寝るか。
そう考えながら視線を石戸さんに視線を戻すと、何やらいたたまれない表情をしている。
どうしたのだろう?
顔をそむけていたが間抜けな顔が見えてしまったのだろうか?
くそ、せっかくの出会いのチャンスをこんなことでつぶすのも馬鹿らしい。
シャキッとしなければ。

京太郎「う、すみません。と、とにかく、だからせめてこういうことでメンバーの力になりたいなって思って」

俺は軽く笑って言ってみるが石戸さんの表情はこわばったままだ。
どうしたのだろうか。
そこまで驚かれるような話をしたつもりはないが。

霞「……いいの?」

京太郎「えっ?」

霞「さっきから聞く限りだと、あまり麻雀打ててないんでしょ? お友達も居なくて男の子たった一人で。辛く、ないの?」

ずいぶんと深刻な表情だ。
俺の置かれている状況というのはそんなに同情されるようなものだろうか?
レギュラーメンバーが練習に勤しむ中、1年生が雑用をこなすことなんてどんな部活でもよくある話だと思うんだけどなぁ。
サッカー部の友人も、ボールにはほとんど触れずに基礎トレーニングや声出し、雑用ばかりだって愚痴ってたし。
まぁ、レギュラー以外が俺一人で、男も俺一人という状況はなかなかに特殊だけど。
とは言え、大なり小なり高校生の部活なんてこんなものだと思うが。

京太郎「辛くないですよ。それに、こうやって雑用やってても」

辛気臭い空気を吹き飛ばそうと、そういいながら笑って見せる。
だが俺の笑みを見て石戸さんはビクリと体を震わせた。

京太郎「皆の役に立てるならそれでいいって思うんです。ほかのメンバーが麻雀に集中できるなら、俺幸せですよ」

霞「須賀……君」

京太郎「それに、たまには一緒に麻雀打ったりするんですよ」

今はほとんどないのは事実だけど。
とは言え、インターハイが終わったら時間割いてくれるって約束してくれたし。

京太郎「当然、たっぷりと苛められますけどね。でも、(皆と打てるなら)それも楽しいんです」

それを聞いた石戸さんは何か信じられないものを見るように口を抑えた。
……何か変なことを言っただろうか。

(再び清澄宿泊地)

和「それにしても、本当にそんな噂が広がっているんですか?」

咲「うん、ちょっと、突拍子もなさ過ぎて信じられないというか」

ゆみ「……まぁ、そうだろうな。ちょっとノートパソコンを借りてもいいか?」

久「どうぞ。ネットは一応つながっているけど」

ゆみ「助かる。確か……」カタカタッターン

佳織「うん、ここですね」ユビサシ

咲「このページって?」

桃子「いわゆる高校の麻雀部向けコミュニティサイトってところっすかね。知らなかったんすか?」

咲「あはは……。私機械はちょっと苦手で」

まこ「わしは存在は知っておったがあまり見る機会はなかったな」

優希「私もだじぇ。どれどれ」ノゾキコミ

ゆみ「えぇっと……。あぁ、これだ」カチカチ


  【鬼畜?】清澄高校を語るスレ Part55【褒め言葉です】


久「Part55って……どれだけ伸びてるのよ」

佳織「お、おかしいですね。今朝の時点じゃPart50だったのに」

智美「誰かが燃料でも投下したか? ワハハ」

ゆみ「とりあえず開くぞ?」カチカチ

睦月「過去スレもだいぶ多くなりましたね」


  清澄高校を語るスレ
  清澄高校を語るスレ Part2
  【人の皮を被った】清澄高校を語るスレ Part3【悪魔】
  【やめろ】清澄高校を語るスレ Part4【俺はMじゃない】
  【M奴隷】清澄高校を語るスレ Part5【育成中】
  【夢は】清澄高校を語るスレ Part6【全国制覇(物理)】
  【カンで】清澄高校を語るスレ Part7【2人死んだ】
  【宮永照】清澄高校を語るスレ Part8【暴力はいいぞ】
  【3筒じゃと】清澄高校を語るスレ Part9【このドサンピンが】
  【その豚足】清澄高校を語るスレ Part10【本当に豚の?】
  【嶺上で】清澄高校を語るスレ Part11【5人は殺せる】
  【大魔王からは】清澄高校を語るスレ Part12【逃げられない】


まこ「Part2からPart3の間にいったい何があったんじゃ」

207 20XX/XX/XX(X) 15:48:06.75 ID:ChaChanoo
清澄酷杉ワロタ
こりゃお仕置きやね

208 20XX/XX/XX(X) 15:49:15.21 ID:kurochanO
そんなことよりおもち画像をよこすのです。

209 20XX/XX/XX(X) 15:49:41.37 ID:tomokIiio
もしもしは帰れ

210 20XX/XX/XX(X) 15:55:51.18 ID:hunaQ213o
>>207にはカン(物理)が飛んだようです。

211 20XX/XX/XX(X) 15:59:51.88 ID:kookoookO
今北産業

212 20XX/XX/XX(X) 16:02:51.36 ID:eririndao
>>211
・清澄東京に立つ
・男子部員を奴隷扱いはガチ(目撃者多数)
・トーナメントで当たらないことを祈る住人

213 20XX/XX/XX(X) 16:03:13.97 ID:hayari17o
>>211
清澄東京上陸
外道
悪党

214 20XX/XX/XX(X) 16:05:38.05 ID:kooKoookO
サンクス
気になるのは、性的な意味での調教がどこまで進んでるか。

215 20XX/XX/XX(X) 16:07:52.31 ID:shapeshto
目撃者の話では噂の男子部員の目のクマは結構ひどかったらしい。
……あっ(察し)

216 20XX/XX/XX(X) 16:07:54.31 ID:joinjoino
鬼畜やなぁ……。

217 20XX/XX/XX(X) 16:07:59.20 ID:megemegeo
鬼畜やでぇ……。

218 20XX/XX/XX(X) 16:09:15.44 ID:Legendo!O
15でヤクザの情婦になれる女子高生が居る傍ら、アラフォーで独身の女子プロが居るらしい。

219 20XX/XX/XX(X) 16:10:36.48 ID:kooKoookO
なんでや! 小鍛冶プロ関係ないやろ!

220 20XX/XX/XX(X) 16:12:49.73 ID:hayari18o
はやりんは永遠の17歳だろ! いい加減にしろ!

221 20XX/XX/XX(X) 16:14:00.11 ID:tomokIiio
はやりんID真っ赤wwww

和「うわぁ」ドンビキ

睦月「奴隷扱いの目撃者多数とか書いてありますけどいったい何したんですか?」

咲「多分、部の荷物、京ちゃんが全部持ってくれたから。多分その姿を見て……」

和「手伝うって言ったんですけどね」

まこ「それと……あれじゃな」チラッ

和「そういえばあの時周りが騒がしかったですよね」チラッ

咲「確かに」チラッ

久「」

優希「」

久「わ、私は犬呼ばわりはしてないわよ」メソラシ

優希「私だって10秒以内に来いとか酷いことは言ってないじぇ」メソラシ

桃子「なにやってるんすか……」

佳織「冗談だったにしろ、結果的に噂に信憑性を持たせちゃいましたね」

まこ「確かに、こりゃひどいのう。最初は擁護してくれる意見もあったようじゃが、証拠となる行動が見れて祭り状態じゃ」

ゆみ「ん? 待て、何か新しい書き込みが来ているぞ」

264 20XX/XX/XX(X) 17:11:44.44 ID:daikoIkuO
噂の清澄の男子生徒が歩いているのを発見!
これよりスネークを開始する。

265 20XX/XX/XX(X) 17:12:12.98 ID:greenteaO
時間が不吉すぎる件について。
気を付けて。

266 20XX/XX/XX(X) 17:12:23.52 ID:megemegeo
キターーーーーーーーー!

267 20XX/XX/XX(X) 17:12:39.81 ID:nanoYO!+o
男子生徒は監視されてる可能性があるから、マジでやめといたほうがええですよー

268 20XX/XX/XX(X) 17:12:46.56 ID:kooKoookO
これは期待せざるを得ない。

269 20XX/XX/XX(X) 17:13:41.11 ID:eririndao
続報はよ

270 20XX/XX/XX(X) 17:14:57.17 ID:daikoIkuO
男子生徒は買い物袋を4つぐらい持って歩いてる。
見る限りかなり重そう。
結構ふらふらしているし、あまり体調は良くなさそうな感じ。

引き続きスネークを続行する。

271 20XX/XX/XX(X) 17:15:31.27 ID:joinjoino
乙。続報も期待しとるでー。
男子生徒が不憫すぎて泣ける。

272 20XX/XX/XX(X) 17:15:48.61 ID:hizamakuo
スネーク無理したらあかんで。
それにしてもこの暑い中一人で大量の買い物に行かせるとは外道やで

273 20XX/XX/XX(X) 17:15:59.17 ID:megemegeo
体調悪いんかね?
まぁ、悪の巣窟に居れば体調がおかしくなっても無理はないけど。

まこ「久……あんた……」

久「あ、あはは、宿泊券を入れた封筒に買い出しの品をお願いするメモを入れていたのよね。びっくりさせようと思って」

和「うわぁ」

智美「ワハハ。さすがの私も引くな」

久「ちょ、ちょっと待って! 睡眠不足って話だったし可哀そうだから今日は頼むのをやめようとは思ってたのよ!」

咲「(明日は頼もうと思ってたんだ……)」

睦月「じゃあ、なんで須賀さんは買い出しに?」

久「えっと、その……封筒から買い出しメモ抜くの忘れてたわ」テヘッ

桃子「素晴らしくゲスっすね」

ゆみ「竹井に関しては噂通りじゃないかと疑いたくなるな」

和「一度、父と母に相談したほうがいいかもしれませんね」

咲「部長……(白い眼)」

久「ごめんなさい、ほんとごめんなさい。須賀君にも帰ってきたら謝るから」カタカタ

佳織「あっ、続報が来てますよ」


317 20XX/XX/XX(X) 17:22:57.17 ID:daikoIkuO
男子生徒がどっかの学校の生徒と接触!

なんかめっちゃおっぱい大きいし、恐らく永大女子の石戸霞!

318 20XX/XX/XX(X) 17:24:31.57 ID:nanoYO!+o
石戸さん逃げて。超逃げて。

319 20XX/XX/XX(X) 17:24:31.63 ID:dousosin0
下手に近づいた女は広島ヤクザに危ない店に売られていくという。
しかも永代とか巫女さんじゃん。
これは……(ゴクリ

320 20XX/XX/XX(X) 17:25:58.79 ID:eririndao
ぐう畜

321 20XX/XX/XX(X) 17:25:59.20 ID:megemegeo
マジか。
眼鏡の地味そうな顔しとる癖にやることえげつないな。

322 20XX/XX/XX(X) 17:27:45.13 ID:greenteaO
眼鏡に罪はない。
悪いのは広島ヤクザ。

322 20XX/XX/XX(X) 17:27:52.53 ID:kurochanO
そんなことより石戸さんのおもち画像をよこすのです。
もうこちらは準備できているのです。

323 20XX/XX/XX(X) 17:28:11.37 ID:hayari17o
>>322
さっさとパンツ履け。そういうスレじゃないから。

324 20XX/XX/XX(X) 17:29:28.83 ID:daikoIkuO
一緒に歩き始めた。
話はよく聞こえないけど男子生徒の話を聞いていたたまれない顔してるね。
もう少し近づく。

325 20XX/XX/XX(X) 17:30:43.82 ID:eririndao
>>322
検討を祈る。

まこ「広島ヤクザ……眼鏡……地味……」ズーン

和「そ、染谷先輩。こういうの気にしてもきりがないですから」アセアセ

佳織「元気出してくださーい」アセアセ

咲「京ちゃん……何やってるの」

優希「油断も隙もない奴だじぇ! 他校の女の子引っかけるとか!」

久「と、ともかく大至急呼び戻した方がよさそうね。思ったより人に見られてるみたいだし」

ゆみ「そう、みたいだな。かなりの注目を浴びているようだし」

久「と、とにかく電話電話」とぅるるるるる

(その頃の京太郎)

京太郎「ん、ちょっと失礼します」

俺は呆然としている石戸さんを尻目にポケットの中に震える手を伸ばす。
携帯の画面表示は『部長』の文字。
買い物袋を無理矢理片手に持ち通話ボタンを押した。

京太郎「はい?」

久『須賀君、今すぐ、なるべく今すぐその場を離れて急いで帰ってきて』

通話口からは聞きなれた部長の声。
だが、明らかにトーンが焦っている。

京太郎「えっ? もうあとちょっとでホテルですからそんなに――」

久『いいから! とにかくその場を離れて! いろいろまずいことになってるの!』

京太郎「は、はい!」

のっぴきならない口調の部長の声に思わず返事を返す。
何かあったのだろうか。
少なくともいつも余裕を見せている部長が焦っているのだ。
ただ事ではないだろう。

京太郎「わかりました、わかりましたから。すぐに戻ります」

久『お願いね』

電話を切り、石戸さんに向き合う。
石戸さんは俺の顔を心配そうに見ていた。
俺はそんな石戸さんに軽く頭を下げた。

京太郎「すみません、部長が(緊急事態だから)早く戻ってこいって」

霞「っ!」

京太郎「なんでしょうかね? 怒らせるようなことしたかな」

もしかしてこの前、部長が持ってきたクッキーを食べてしまったのがバレたか。
それとも、この前の強風の時にスカートがめくれ上がった瞬間、部長のパンツ見たのがばれたか。
あっ、ちなみに色はピンクでした。

京太郎「というわけですみません、ちょっと先に失礼します」

霞「須賀君!」

そういって踵を返した瞬間、石戸さんから声をかけられた。
軽く振り向くと何かを決心したかのように辛さを押し隠した表情の石戸さんが口を開いた。

霞「須賀君が幸せだっていうなら……もう、何も言わない。だけど、辛いことがあったら相談に乗るから。いつでも頼ってね」

京太郎「? ありがとう、ございます?」

そんな思い言葉をかけてもらうほどのことを俺、話しただろうか。
まぁ、気づかっていただけるのはありがたいのでお礼だけ言う。
それにこれからも石戸さんと接点もてるぜヒャッホウっていう下心もあった。

京太郎「それじゃ、失礼します」

霞「えぇ、また、ね」

そういいながら霞さんは少し辛そうに手を振ってくれた。
もしかして石戸さん俺に一目ぼれしたか?
だから俺にこんな優しいのか!?
いやーつれーわ。イケメンって、まじつれーわ……って。

ないない。あるわけない。

染谷先輩がぶりっこキャラに目覚めて「まこりんだよ♪」とか言い出すぐらい、ない。
咲の単行本が3か月に1回のペースでコンスタントに出るぐらい、ない。

……むっ、何か怪しい電波を受信したみたいだ。最後にわけわからんこと言ってしまった。

(再びホテル)

久「ふぅ、とりあえずこれで一安心かしらね」

ゆみ「……いや、そう言うわけでもなさそうだ」カチカチ


587 20XX/XX/XX(X) 17:36:24.03 ID:daikoIkuO
男子生徒が電話を取ってる。
どうやらあの部長からだって。
早く戻って来いって言われてるみたい。

588 20XX/XX/XX(X) 17:36:51.57 ID:shapeshto
あっ……(察し)

589 20XX/XX/XX(X) 17:38:07.63 ID:Legendo!O
石戸さんの身の安全が危ぶまれれる。

590 20XX/XX/XX(X) 17:40:29.32 ID:daikoIkuO
男子生徒は走って帰ってった。
石戸さんずいぶん悲しそうな顔してる。
流石にあれを追いかけるのは無理だからスネークはここまでにさせてもらうわ。

話の内容は断片的にしか聞き取れなかったけど

・メンバーは男一人
・男の子は現在の状況を心から幸せだと思ってる。
・石戸さんは須賀君に相談に乗るよとか言ってた。

これは確定

591 20XX/XX/XX(X) 17:41:45.00 ID:kooKoookO
乙。
石戸さんマジ天使
近いうちに石戸さんとは会う予定があるからちょっと聞いてみようかな。

592 20XX/XX/XX(X) 17:41:47.49 ID:joinjoino
乙。
しかしそれだけ大量の買い物させておきながらさっさと帰ってこいとかマジ鬼畜

593 20XX/XX/XX(X) 17:42:01.57 ID:nanoYO!+o
男子生徒、調教完了してたか

593 20XX/XX/XX(X) 17:42:47.81 ID:hunaQ213o
マジキチ

594 20XX/XX/XX(X) 17:43:49.03 ID:dousosin0
やはり監視されてたのかもね。
他人に知られる前に釘を刺したか。
怖いわ


久「……結局これはこれで悪評が広がっちゃったような」

咲「逆効果になっちゃったかなぁ」

佳織「でも、ほっといても似たようなことになってたと思いますよ」

睦月「そうですね」


まこ「ヤクザ……」ズーン

久「そしてこっちもダメージデカいわね……」

はい、駆け足で来ましたが一旦ここまで。

次は連休中に投下したいと思います。
早ければ金曜日にでも。

そして投下してから気づく。

名前欄入れるの忘れてた……。


これもうわかんねえな

おうふ……置換かけたつもりなのに。
永水女子に読み替えてくれるとうれしい

ちなみに投下予定はあと2~3回の予定。
今月中には片づけたい(願望)

そしてあと1~2作ぐらい書いたら安価スレを立てるんだ

うどんの国に(ry
出張先のうどん屋のおばちゃんに顔を覚えられてきた現実。
なんもかんもこのおかしい出張頻度のせいや……。

そんなわけで執筆遅延中。
なるべく早めに投下できるように頑張ります。
遅くとも5月頭の連休には

>>1が奴隷扱いされてるっていう噂が流れてる?

>>1が社畜扱いされてるっていう噂が流れてる?(難聴)

連休てもらえるはずだったよね。
おかしい。
何で私は3日から今日の夜までガッツリ仕事してたんでしょう。
ゴールデンウィークって何?

ごめんなさい。そんなわけでほとんど進んでません。
年度替わってから忙しさがヤバい。
ほんと早めに上げられるように頑張ります。


>>410 >>411
やめろよ……事実だけどやめろよ……。
泣くぞ。池田のように泣くぞ

          \   r'´ ̄ ̄ ̄    ̄ ̄ ̄`、::.   ___
   l} 、::       \ヘ,___,_ ______/::.__|    .|___________
   |l  \::      | |             |、:..  |[], _ .|:[ニ]:::::
   |l'-,、イ\:   | |    ∧,,,∧ .   |::..   ヘ ̄ ̄,/:::(__)::
   |l  ´ヽ,ノ:   | |   (´・ω・`)    ,l、:::     ̄ ̄::::::::::::::::
   |l    | :|    | |,r'",´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、l:::::
   |l.,\\| :|    | ,'        :::::...  ..::ll::::    そうだ
   |l    | :|    | |         :::::::... . .:::|l::::   これは夢なんだ
   |l__,,| :|    | |         ::::....  ..:::|l::::    ぼくは今、夢を見ているんだ
   |l ̄`~~| :|    | |             |l::::   目が覚めたとき、
   |l    | :|    | |             |l::::   まだ5/3でGWが始まったばかりで
   |l    | :|    | |   ''"´         |l::::   日帰りで温泉なんて行っちゃって
   |l \\[]:|    | |              |l::::   久しぶりにガッツリ麻雀して
   |l   ィ'´~ヽ  | |           ``'   |l::::   埃をかぶっていたゲームなんかも始めたりして
   |l-''´ヽ,/::   | |   ''"´         |l::::   執筆だってガッツリ進めて悪女スレに小ネタ投下しつつ
   |l  /::      | \,'´____..:::::::::::::::_`l__,イ::::   本編終わらせて新作に手を付けるんだ……。

やめろよ……お前らやめろよ……。
休みが殆どないのは事実だけどやめろよ……。

とはいえ、何とか時間を見繕って全国大会開始までの繋ぎ部分が書けたので
1~2時ぐらいから投下します。

投下していきます。

そしてお詫び。
この話、予告時点では「ギャグ」って書いてましたけど、
どう見てもっていうと「コメディ」です。
本当にありがとうございました。

京太郎「も、もどりました」ゼェゼェ

咲「おかえりなさい、京ちゃん。大丈夫?」

京太郎「お、おう。なんとか。外暑すぎだって」

咲「はい、お茶。あと、生ものは冷やしておくね」タタタ

京太郎「あいよ、頼んだ。……ふぅ」ゴクゴク

京太郎「(というか何度目だこのやり取り)」

久「お帰りなさい、須賀君」ズーン

京太郎「うぉっ……ぶ、ちょう?」ビクッ

久「いつもいつもごめんね。本当にごめんね」ドヨーン

京太郎「な、何ですかいきなり」

久「須賀君が優しいことをいいことに、いつもいつも体よく使っちゃって」

京太郎「ちょ、ちょっと」

久「でも信じて。決して須賀君が嫌いだからとかそういう理由じゃなくて……その……」

京太郎「待ってくださいってば! 別に怒ってませんしそんな嫌だと思ってませんってば!」アセアセ

久「……ほんと?」

京太郎「ほんとですってば! というか1年坊主が雑用するなんて珍しい話でもないじゃないですかっ」

京太郎「それに今は大会中なんですし。選手じゃない俺がこういうことするのは当たり前ですってば」アタフタ

京太郎「ほら、それに俺だって部員として役に立ちたいというかなんというか」アタフタアタフタ

久「……うん、ありがとう。須賀君」ニッコリ

京太郎「」

京太郎「(しまった。いろいろ復讐するはずだったのにすべて許す気になってしまった)」

京太郎「(えぇい、この悪女め)」

(それから少しして)

京太郎「(パソコン見ながら)なんすかこれ」ドンビキ

久「まぁ、こういう噂が広まってるってわけなの」タメイキ

咲「私たちもさっき鶴賀の人たちに聞いたばっかりなんだけどね」

久「もう行かなくちゃいけないってことでさっき帰っちゃったけど、改めてお礼言わないといけないわね」

京太郎「俺もあんまりネット見ないからなぁ……。道理で妙に注目を集めてたわけだ」

咲「うん。買い出しに行ってる京ちゃんもばっちり見られてみたいだから、急いで帰ってきてもらったんだ」

京太郎「しっかし酷いなこれ。俺の精神が破壊されてるだのM奴隷だの。現実の要素がひとつもないじゃねーか」

久「噂って怖いわね……」

京太郎「それにしたってなんで俺の顔までバレてるんですかね? 結構道行く人に顔を見られたんですけど」

京太郎「咲たちは県で優勝したときいろいろ取材を受けたからまだわかるんですけど……」

久「あぁ、それも鶴賀の人たちが教えてくれたんだけど……。ほら、少し前に部の活動風景の写真が欲しいって感じの取材が来たでしょ?」

京太郎「あぁ、はい。ありましたありました。でも、あの時俺は隅っこに居て映らないようにしてたはずなんですが」

咲「それがね、隅っこの方にちょっぴり映ってたみたい」

久「画像はこれね」パソコンカチカチ

京太郎「……確かに映ってる。全然気づかなかった。っていうか!」

京太郎「長野県の一部でしか出回らない地方の情報ペーパーに載ってる、心霊写真ぐらいの小ささで映ってる俺の画像が何で……」

久「それはもう、ネットは怖いとしか言いようがないわね。彼らが本気になった時の情報収集能力は電子妖精もビックリよ」

咲「その割にデマも多いのが……。何なんだろう、カン(物理)って」

久「私は全ての黒幕ポジションよ。どうしてこうなったのかしら……」

京太郎「(若干イメージ通りの気がするけど黙っておこう)」

京太郎「あれ? そういえば和たちは?」

咲「えーっと」

久「あれ」ユビサシ

京太郎「ん?」フリムキ

まこ「ふーんだ。どうせわしなんて可愛げのない女じゃ」ゴロゴロスネスネ

まこ「可愛くないあまりヤクザにみられる女じゃ」スネスネ

まこ「見た目だって地味地味な地味子で女に見られとらんし」スネスネ

まこ「麻雀の内容だって地味で特集記事の中じゃあ扱い小さいし」スネスネ

まこ「どーせわしなんて新刊でもろくに登場しとらんのじゃろ?」スネスネ

まこ「SSとかでも人物表記が『ワカメ「~」』とかになっとるんじゃろ?」スネスネ

まこ「そもそも出てこなかったり、出てきたとしてもエロシーンのキンクリ要員で感想で『ファッキンワカメ!』とか言われとるんじゃろ?」スネスネ

まこ「知っとるんじゃ。ふんだ、もう知らん」プィッ

和「そ、染谷先輩ー。元気出してください、所詮噂です」オロオロ

優希「というか何かよくわからない電波受信しちゃってるじょ! しっかりするじぇ!」アセアセ


京太郎「何事ですか!?」

咲「えっとね、ネットでの評判をいろいろ見てたんだけどね」

久「まこの悪評が安定してヤクザポジションでね。しかも『あんな地味なのに』って枕詞がよくついてたから……」

咲「染谷先輩、すっかりスネちゃったの。さっきからずっとあんな感じ」

京太郎「なるほど。しかし、あんな染谷先輩初めて見ましたよ」

久「まこもいろいろ溜めこんでいたのかしらねぇ」


まこ「わしだって私服でもスカート履くし、メイド服みたいなフリフリした服だって好きなのに」スネスネ

まこ「これでも店では看板娘扱いなのに」スネスネ

まこ「あー、でも和たちが手伝いに来たときはすっかり人気とられとったな。やっぱりそんなもんか」スネスネ

まこ「あーあ、本編でももうちょっとスポットライト当たらんもんかのぅ」タメイキ

まこ「せめて2話ぐらい通してわしをフィーチャーした回があってもええじゃろうに」スネスネ

和「染谷先輩、もはや何を言っているのかわからないです」

優希「どうするんだじぇ、この状況……」

(それからしばらくして)

咲「ご飯できましたよー」

和「とは言っても今日は簡単にカレーとサラダですけどね」

優希「そのかわりたくさん作ったからおかわりするといいじぇ」

久・まこ・京太郎「わーい、ご飯だご飯だ」

久「ってまこ、ナチュラルに復活しないでよ」

まこ「まぁ、いつまでもいじけてるわけにもいかんしな。それに……」

久「それに?」

まこ「腹も減ったしな」ケタケタ

久「うん、まこのそういうところ好きよ」

京太郎「つか悪いな、3人に任せちまって」

咲「さっきも言ったでしょ? 京ちゃんは今日もう十分働いたからいいの」

和「そうですよ須賀君。疲れてるんですよね? ゆっくりしててください」

優希「ふふん。私たちの優しさに感謝するといいじょ。そしてこーんな美少女3人が作ったカレーに平伏するといいじぇ!」

和「……ゆーきはご飯炊いただけですよね?」

優希「なんのことだじぇ」メソラシ

久「はいはい。それじゃあ、手を合わせてください」

一同「」パシッ

久「いただきます」

一同「いただきます」

京太郎「(思わず反応しちゃったけど小学校かここ)」

(その頃の永水宿泊地)

小蒔「霞ちゃん、大丈夫? 帰ってきてからあまり元気が……」

霞「ごめんね、私は大丈夫だから」タメイキ

巴「噂の清澄の人と会ったんでしたっけ。その、そんなに酷かったんですか?」

霞「えぇ、目にクマ付けて、体調もあまりよくなさそうでね。そんな状態で体震わせながら自分が弱いのが悪いって言うの」

春「……それは」

小蒔「見てるのもつらいですね……」

霞「電話で怒鳴られながらね、それでも自分は幸せだって言うの。本当に心からって感じで。私何も言えなくて」ウツムキ

初美「仕方ないですよー。私だってそんな人に何を言ったらわからないです」

巴「被虐趣味というものがあるというのは、その、聞いたことがありますけど、まさか当人を目の前にすることになるとは思いませんからね」

小蒔「正直わからない世界です」

霞「せめて悩みがあったら相談してほしい、とは伝えたけどね。須賀君、酷い目にあってなければいいけど……」


京太郎「おぉ、この肉柔らかいな。そんなにいい肉買ってこなかったのによくあの短時間でこんなに柔らかくできたな」モグモグ

咲「ふふーん。それはね、火を通す前にお肉をヨーグルトにつけておいたの。そうすると柔らかくなるんだよ」

京太郎「なるほどなー。柔らかくするためには弱火で長時間煮込むもんだと思ってたけどそんな技があるとは。うまいうまい」モグモグ

咲「使ったヨーグルトはそのままカレーに入れちゃってもおいしくなるからおすすめだよ」モグモグ

和「咲さん、本当に手際がいいんであまり出番がありませんでした。凄いですね」

咲「そ、そんなことないよ。家でも料理する機会は多いから、慣れてるだけだよ」テレテレ

優希「むぅ、咲ちゃんのお嫁さんパワーは留まるところを知らないじぇ。恐ろしい子だじぇ」

咲「ちょっとやめてよ優希ちゃん。そ、それに和ちゃんだって料理上手だよね。以前食べたお弁当おいしかったし!」ワタワタ

和「ウチは両親が二人とも忙しい人ですから。咲さんと同じで料理する機会が多かったんです」モグモグ

京太郎「なるほどなー。女子力高いな二人とも。それに引き替え」チラッ

優希「……なんだじぇ?」

京太郎「いえ、何でもありませんよ? ご飯炊いただけの優希さん」ニコッ

優希「あら、これは失礼いたしましたわ、犬太郎さん」ニコッ

京太郎・優希「ふふふふふ」

和「何をやっているんですか……」

ガヤガヤ

(その頃の新道寺宿泊地)

煌「……」

煌「……優希」

煌「……和」

煌「嘘、ですよね。そんなすばらくないこと」

煌「あんないい子だったのに、人を奴隷にするなんて」

煌「そんなこと……」

煌「信じたくありません」ウナダレ

哩「花田? 食事だとさっき美子が呼びに来よったろ?」ガチャ

煌「……すみません、食欲がありませんので」

哩「そうか。事情は聴いとうが……あまり、思いつめんことな」

煌「大丈夫です。明日にはちゃんと気持ちを切り替えていきますから」

哩「そうか。花田の言葉なら信じるぞ」

煌「ありがとうございます」ペコリ

哩「私も正直半信半疑っちゃけど、姫子が実際に現場を見よったからな……」

煌「……本当に」

哩「ん?」

煌「本当にいい子なんですよ、二人とも。先輩先輩って慕ってくれて」

煌「私のとってもすばらな、自慢の後輩なんです」

哩「花田……」


和「あっ、須賀君。おかわり食べますか? よそってきますよ」

京太郎「いや、いいって。それぐらい自分でやるから」

和「いいですよ、ちょうど飲み物を取ってこようとしたところですから」カチャカチャ

京太郎「すまん、ありがとな和」

和「量はさっきと同じぐらいでいいですか?」

京太郎「大丈夫、それぐらい食える! よろしく」

咲「やっぱり男の子ってたくさん食べるね」モグモグ

京太郎「まぁ、育ち盛りだからなー」

優希「私も育ち盛りだからおかわりしようか迷うじぇ」モグモグ

まこ「んじゃ、京太郎。食べるならちゃんと野菜もたべぇ。ほれ」トリワケ

京太郎「うっ」

まこ「そこで知らん顔しとる優希もじゃ」トリワケ

優希「じぇっ!?」

久「お母さんみたいね、まこ」ニヤニヤ

まこ「やめんか」

和「おかわり持ってきましたよー」

ワイワイ

(その頃の姫松宿泊地)

恭子「……以上が2回戦で当たる清澄高校の特徴です」

郁江「私も実際目撃したし、間違いないと思うわー」

洋榎「なんやこれ、たまげたなぁ」ドンビキ

絹「お姉ちゃん、しっかりしてや」

漫「」ガタガタガタガタ

由子「し、しっかりするのよー。相手が1回戦で落ちる可能性だって……」

恭子「残念やけど、その可能性は低いと思うわ。去年の全国3位を破っての出場やし、1回戦の相手は比較的小粒やから間違いなく上がってくると思うわ」

由子「じゃ、じゃあ私の相手はヤクザ……」ガタガタガタ

漫「豚足の作り方……1000枚差し上げますので至急教えてください……」ケイタイカチカチ

絹「ほら、上重さんも戻ってきぃや。それにしても長野はレベルが下がったって噂だったのに」

洋榎「去年の龍門渕も相当な強さやったんけどなぁ。特に天江衣とか化け物じみた強さやったで」

漫「長野には化け物や魔人を生み出す下地でもあるんでしょうか?」

恭子「とにかく、いろんな意味でキッツイ相手になると思うわ。覚えといてや」

一同「はーい」

洋榎「それにしても、清澄は今頃何して過ごしとるんやろな」

絹「奴隷扱いしている男の子も連れて来とるようやし、もしかして……」

漫「弱者に人権はないなんて長野怖いわぁ……」

由子「実力主義が行き過ぎるのも困りものなのよー」

恭子「苛められとるんやろか。可哀想に……」


優希「ひとつ頂きっ!」サッ

京太郎「あっ、俺の雪見○福!」

優希「ほら、こっちもひとつやるからわけっこだじぇ?」ヒョイッ

京太郎「雪見○福のひとつとピ○のひとつじゃ比重が違いすぎるだろっ!」

優希「雪見○福うまいじぇー」モグモグ

京太郎「こいつ……。カレーの後のアイスという至福の時間を」プルプル

久「ほらほら、私のア○スの実ひとつあげるから喧嘩しないの」クスクス

まこ「ほれ、わしのモ○王も少しやろう」パキッ

京太郎「おぉ……ちょっと豪華になった。得した気分」ニヘラッ

優希「感謝しろよ?」

京太郎「お前は反省しろ!」

アハハハハハ

久「さて、ご飯も食べて口直しのデザートも頂いたところで始めましょうか」

咲「ふぇ?」トローン

和「咲さん、お腹一杯になって眠いのはわかりますけどもうちょっと頑張ってください」

京太郎「子供か」

久「ともかく『第1回! 清澄高校の悪評をどうしましょう会議』を始めます。はい、拍手」

一同「わー」パチパチパチ

まこ「現地入りして一番にやる対策会議が自分たちの悪評に対してとは」

優希「予想だにしてなかったじぇ」

久「そうね。でも、私たちが極悪非道の手段だという噂が流れているのは事実なのよ」

久「私が悪童・猛悪凶徒・悪逆の徒とおおよそ女の子につくとは思えない二つ名がついた外道キャラで」

まこ「わしが人を売りとばすことも苦にしない暴力大好きなヤクザの一人娘で」

優希「私は豚足を丸かじりする狂犬だじぇ」

和「誠に遺憾ながらヤクザの愛人だのS嬢だの言われてます」

咲「私は凶手とか魔王とか妖魔とか悪鬼羅刹とかもはや人間じゃないよ……」

京太郎「で、俺はこの5人に虐げられていると。で、調教もされてると」

久「……改めて言葉にすると酷いわね、これ」

まこ「どうしてこうなった」ガックリ

京太郎「それにしても話としてはかなり突飛だと思いますけどよく信じられてますよね、これ」

久「うーん、話をまとめると昨日まではネタ半分の人もいたみたいだし、擁護してくれる人もいたんだけどね」

優希「すべて今日、悪いところばっかり見られた結果信じられちゃったみたいだじぇ」

和「ばれない嘘をつくためには嘘に真実を混ぜることと言いますが、結果的にその格言をある種実行してしまいましたね」

久「で、何か意見ある人?」

まこ「意見というか、対応手段は一つしかないと思うんじゃが」

久「と言うと?」

まこ「今も昔も、根も葉もないデマに対しては無視するしかなかろう」

和「まぁ、そうですよね」

優希「そもそも、弁解したくても弁解する場がないじぇ」

京太郎「後はそれにプラスして、外ではおとなしくしてるっていう感じっすかね?」

まこ「そんなところじゃろうな。特に久と優希」チラッ

久・優希「うっ」

まこ「何時ものノリで行動しようると火に油を注ぐことになるで大人しうしとれ」

久・優希「はーい……」ションボリ

まこ「和と咲についてはあまり気にしなくても大丈夫じゃとおもうが、ちぃとした会話も聞かれとる可能性がある。わしも含め、気を付けるとしよう」

咲・和「はい」

まこ「そして京太郎」

京太郎「お、俺もですか?」

まこ「うむ。京太郎はとにかくシャンとしとれ。人と話をするときとか変に遜ったりせず、堂々としとるようにな?」

京太郎「は、はい」

まこ「ビクビクしたり自信なさげな発言をするとどう取られるかわからん。とにかく気を付けぇ」

京太郎「わかりました……」

京太郎「(やべっ。石戸さんにいろいろ誤解されるようなこと言っちゃったかも……)」

京太郎「(……黙っておこう)」

久「ふぅ。対策としてはこんな感じかしらね?」

優希「いろいろ不安だじぇ」

和「大丈夫ですよ。もともと突拍子もない噂話ですし、すぐに消えるとは思います」

まこ「そうじゃそうじゃ。堂々としとればいいんじゃよ。堂々と」

咲「」コックリコックリ

京太郎「咲ー。寝るなら風呂入って着替えてから寝ろー」ツンツン

咲「」ハッ

咲「寝てない! 寝てないよ寝てないよ!」ブンブン

京太郎「そうだな、寝てないな。ほら、ティッシュやるからヨダレ拭け」サシダシ

咲「きょ、京ちゃんサイテー!」ゴシゴシ

優希「サイテー」ニヤニヤ

和「最低です」ニッコリ

久「最低ね」トリアエズノルシカナイワネ

まこ「最低じゃな」トリアエズノットコウ

京太郎「何だこの流れ……」

久「そうだ。最低と言えば、須賀くーん。他校の女の子引っかけてたんだってー? しかも巨乳の」ニヤニヤ

京太郎「」

優希「そ、そうだったじぇ! 東京着いてそうそう何してるんだじぇ!」

京太郎「引っかけたって……。道端でぶつかったのをきっかけに歩きながら少し話をしたですよ?」

久「ぶつかったふりをしてナンパとはずいぶん古典的な手法を使ったわね?」

京太郎「だからナンパじゃないんですってば!」

和「須賀君……」シロイメ

まこ「和。許してやれ。京太郎じゃって男。そういうことをしたくなることもあるもんじゃ」ウンウン

咲「京ちゃん……」

京太郎「こいつら……」プルプル

とまぁ、こんな感じで対策会議はそこそこに俺たちは結構楽しく東京の初日を過ごした。
あのあと少ししてから改めて自分のホテルに行き、ハギヨシさんと出会うことになる。
以前タコス作れと言われて失敗し、今日そのことを優希にからかわれたことを思い出し、
タコスづくりをハギヨシさんに教わることになるがそれは別の話として置いておこう。

そんなわけで開会式まではおとなしく過ごし、噂の鎮静化を待ったがなかなかのその火は消えることなく、
そのまま開会式に突入し全国大会が始まった。

ここからがまた、すったもんだ喧々諤々の騒ぎが始まることになる。
だが、俺を含め清澄高校一同誰も予期していなかったのである。

そんなことも知らず開会式までの時間をまったりと過ごすのであった。


(男性用ホテル)

ハギヨシ「サルサソースと一口に言っても様々なレシピがあります。例えば……」

京太郎「へぇ、グリーントマトを使った緑のサルサソースなんてあるんですか」メモメモ

ハギヨシ「えぇ。ですが生のグリーントマトは日本では売ってないのに缶詰めになりますね」

京太郎「なるほど」メモメモ

ハギヨシ「まずは基本レシピに則って作り方をマスターしてみてそこから自分だけのサルサソースレシピを作ってみてください」

京太郎「はい、がんばります。俺だけのレシピができたらハギヨシさんも是非食べくださいね」

ハギヨシ「えぇ。楽しみにしています」ニッコリ


(ゲーセン)

京太郎「うぅ、やっぱり東京レベルたけぇ」ガチャガチャ

?「~♪」ガチャガチャ

京太郎「めくり中段とか見えねぇ」ギョエヘーマイリマシター

?「フフフ。高校100年生級の私に乱入するにはまだ10段ほど段位が足りないみたいね!」ニャスニャス

京太郎「(くそっ、さっきちらっと見た限り相手は女の子なのに)」ガチャガチャ

?「前転とか甘えは許さないよー。一気に決める!」ブンシンニャス!

京太郎「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」オーバードライブフィニッシュ!

?「んー、綺麗に決まったー。気持ちいいー」

京太郎「クソッ! 連コだっ!」

?「あっ、また同じ人が乱入してきた。しょうがない、可愛がってあげますか」ヒアーカムザニューチャレンジャー


……遊んでばっかりじゃないよ?
ちゃんと麻雀の勉強もしてたよ。

投下は以上です。

はい、と言うわけで軽めに次回へのつなぎ。
次回から全国大会が始まります。
あと1~2回ぐらいの投下で終わるとは思います。

睡眠不足のせいか知らないけど文章が酷いことに

>>454
×どう見てもっていうと「コメディ」です。
○どう見ても「コメディ」です。

全国の男子は点数が血液計算かもしれない。
決勝戦は
選手(後、400抜けば俺の勝ちだ・・・)
???「ククク・・・」
ざわ・・・ざわ・・・

読者「>>1が社畜扱いされてるっていう噂が流れてる?」

>>582
事実扱いでワラタ…
読者「>>1が社畜扱いされてるって?」
>>1「…」
これでいいんじゃないですかね?

霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」

霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」

初美「そうなんですかー?」

霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」

霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」

霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」

初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」

霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」

霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」

神はふんふむに向かって言われた。

「お前は女の声に従い 取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。

お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。お前に対して土は茨とあざみを生えいでさせる。野の草を食べようとするお前に。

お前は顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」

超激務中につき絶賛停滞中でふ……。
エタらせることはしないのでもう少々お待ちください……

霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」

霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」

初美「そうなんですかー?」

霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」

霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」

霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」

初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」

霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」

霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」

どっこい……それでも社蓄は生きている……!

残業時間が150オーバーの日々をようやく乗り越えたのはいいんですが、書く習慣がなくなったせいか
モチベーションを取り戻すのにダラダラと時間を費やしてしまったためこんな時期に。
遅くなって本当にすみません。
ちょっと切りが悪いですがあまりお待たせするのも悪いので投下していきます。

(清澄宿泊地)

まこ「由々しき事態じゃな」

和「ですね」

優希「まさかここまで酷いとは予想だにしてなかったじぇ」

咲「うん、どうしようね……」

まこ「うーむ、噂なぞ無視すれば消えると思ったんじゃが」

咲「この前の試合結果が裏目に出ちゃった感じですね」

和「どこかで無実を訴える機会を設けないとまずいかもしれませんね」

優希「かといって、どうやって? ネットに書き込んだところで……」

咲「何かいい方法がないかなぁ」ウーン

まこ「難しいのう」ウーン


久「見えたわっ!」イイカゲンニシナサーイ!

京太郎「だー! なんでリバサでジャイアントスイングなんですか! ゲージあるんだし折檻でいいでしょ!」ガチャガチャ

久「ゲージ節約よ節約! 通ったんだから正義、ぼっ立ちしてるそっちが悪いのよ!」ガチャガチャ

京太郎「あー、あったまる。っと、それは読んでますよー!」ジン、ギス、カーン

久「んー。流石に流石に割られるかー」ガチャガチャ

京太郎「おし、この起き攻めで決めきる!」テリャーハンバーグッ

久「あー不快。ほんとそのキャラ不快!」ガチャガチャ


まこ「和、わしが許すからそこでのんきに格ゲーしてる二人を殴ってこい」ビキビキ

和「わかりました」ビキビキ

チョ、ノドカワルカッタ、ワルカッタッテアッーーーーー
ス、スミマセンユルシテボウリョクハイケナイチョッマッアアーーーーーーー


メコォ
グチャックチッ
ズルズルズルズル
ブチッ

まこ「さて、気を取り直してどうするか」

久「痛いわ」プスプス

京太郎「痛いですね」プスプス

和「会議中に遊んでいるから悪いんです」プイッ

京太郎・久「ごめんなさい」シューン

優希「(というかPS3にアケコンまで持ち込んでいたとは)」

咲「(まぁ、部長だしね)」

まこ「改めて現状を確認するが、我々清澄高校は無事に2回戦を突破したんだが……」

久「したんだけど、ねぇ」

和「なんとなく、素直に喜べないですよね」

優希「確かに……」

久「思い返してみれば開会式の時点からもう酷い有様だったわね……」



―――――
――――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――

(開会式・観客席)

――姫松高校、38番

ガヤガヤ
ザワザワ

和「盛り上がってますねぇ」

まこ「優勝候補の姫松と永水が同じブロックか。そりゃ盛り上がるやろうな」

京太郎「確か姫松はシードでもおかしくないんだっけ?」

和「えぇ。このブロックは荒れそうですね……」

京太郎「なるほど、そうなるとあのブロックには飛び込みたくないなぁ」

優希「ここは部長のくじ運がいかほどのものか期待するじぇ」

和「部長、大丈夫ですかね。結構緊張してたし」

まこ「まぁ、あの性格じゃ。いざとなったら開き直るじゃろ」

――長野県、清澄高校

京太郎「あっ、来た来た」

優希「よーし、ここはいっちょ景気付けに声出しを……って」

シーン

優希「か、会場がいきなり沈黙に」

和「そ、そういえば私たちの周りの席に誰も座ってませんね」キョロキョロ

まこ「はあ、噂は会場にいるほぼ全員には広まっとるということか」

京太郎「まったく沈静化していないとは……」

和「部長、出てきましたけど……」

京太郎「わかりやすいぐらいキョドってるなぁ」

優希「部長、腕と手が一緒に出てるじょ」

まこ「緊張しているのもあるだろうがこの空気じゃけぇ仕方あるまい……っと、抽選結果が出るぞ」

和「何か謎の緊張感が漂ってますね……」

――清澄高校、33番

京太郎「うわっ、よりにもよってそこのブロックか。ついてないな……って」

――いやあああああああああああああああ!

――嘘だあああああああああああああああ!

――死にたくないよおおおおおおおおおお!

――お父さん! お父さん! 魔王が、魔王が居るよ!

――あばばばばばばばばばばばばばばばば!

――おうちかえる! おうち、かえしてええええ!

――大丈夫、私が守ってあげるから! だからしっかりして!

――誰か、誰か助けて! エイスリンさんがピカソの「泣く女」みたいになっちゃった!

――由子、しっかりしぃ! 加藤に敗北を認めたドリアンみたいな顔で泣くんやない!


まこ「なんじゃこの騒ぎは!?」

和「死にたくないって……麻雀で死ぬわけないでしょうに」

優希「何か納得いかないじぇ……」

京太郎「あぁ、壇上の部長もどうすればいいのかわからず笑顔が引きつってる……」

まこ「もう少ししたら抽選も終わる。そうしたらさっさと引き上げることにしよう」

京太郎「……ん? そういえば、咲は?」キョロキョロ


(その頃の咲)

咲「ここ、どこ? おトイレ……」モジモジ

咲「うぅ、も、漏れ、そう」プルプル

咲「が、がま、ん。高校生にもなって、そ、そんな、はずかしい、こと」プルプル

咲「と、とにかく、おトイレ、は、早く、みつけないと」

咲「あ、あれ? ここ、さっき通ったところ」フラフラ

咲「どうしよう、どうしよう」フラフラ

穏乃「あっ」

玄「あの子って」

咲「(だ、誰だろ。私のほうを見てるけど……いや、それより、今はトイレに)」スタスタ

穏乃「あっ、あの! ま、待ってください」

憧「ちょ、シズ!」

咲「(うぅ、何なの? こんな時に……)」

咲「何ですか?」クルッ

穏乃「あっ」ビクッ

宥「や、やぁ……」ブルブル

憧「あ……あ……」ガタガタ

咲「」ゴゴゴゴゴゴゴ

晴絵「(なに、この子? ま、まだ高校1年生だというのにあの人にも負けない、ヤると言ったらヤる『スゴ味』を感じる……!)」

灼「(ハルちゃんが、警戒している……)」

玄「(これがあの……)」

憧「(長野の魔王、宮永咲……!)」


咲「(用事なら早く済ませてよぅ、ほんと、ほんとに、漏れちゃう)」


穏乃「えっと、宮永咲さん、ですよね?」

咲「そうですけど?」ドドドドドドド

穏乃「あ、の、そ、その」

穏乃「(なんて、なんて目してるんだろう。本当に冷たい目……噂通り人を何人も壊してきたような)」


咲「(き、気を抜いたら、私の黒部ダムが決壊そう)」


咲「すみません、私急いでるんですけど」ズズズズズズ

穏乃「ひっ……あっ……」

憧「(あ、あのシズが怯えてる)」

穏乃「そ、の、わ、私、聞きたいことが」

咲「何?」ギロッ


咲「(早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く!)

穏乃「あ、あ、の」

穏乃「(あ、頭が、真っ白に……)」

穏乃「(聞かなきゃいけないことがいっぱいあるのに、確かめたいことがたくさんあるのに)」

穏乃「(この人の目を見ていると、声が、で、な……)

穏乃「(和のこと、話がしたかったのに)」

穏乃「(確かめたかったのに)」

咲「はぁ」

咲「ごめんなさい、私急いでるんで失礼します」

穏乃「うぅ……」



咲「(あっ、いけない……こんな態度じゃまた変な噂が。な、なるべく愛想よくしないと……)



咲「えっと、どこかの代表の方ですか? もし打つ機会があったら」

咲「その、よろしくお願いします」

咲「一緒に、楽しみましょうね」ニコリ


――部長、鷺森灼は後に語る。

――その笑いはとても朗らかだったけれども

――なぜか喉笛に牙を押し当てられたかのような恐怖感を感じた、と。


咲「それじゃあ」スタスタ


咲「(ちょっとつっけんどんだったかもしれないけど、仕方ないよね。しょうがない早くいかないとっていうかもう限界)」


穏乃「う、う、うぅ」ペタリ

憧「シズ、無理しなくていいから」ガシッ

玄「大丈夫?」オロオロ

灼「無理もないと思う。最後、顔は笑ってたけど、本当に殺されるかもって思っちゃった」フゥ

晴絵「悪魔とか魔王とか書かれてたけど……確かにあれを見ちゃうと納得せざる得ないわ」

タイヤ交換本当に怖かった……」プルプル

憧「あれが、私たちが決勝に進んだら戦う相手」

穏乃「私が、戦う相手」ブルッ

宮永咲は走っていた。
いや、「走る」という定義は「どちらかの足が地面から離れている時間がある」こと。
正確にとらえれば咲は走ってはいない。
妙に狭い歩幅で猛烈な勢いで歩いているのだが、その速さはかなりの物だ。

紅潮した頬、額に浮かぶ脂汗、荒い呼吸、そして妙にギラついた瞳。
先ほどから何人かとすれ違っているが、皆一様に咲の顔を見て驚き、そして道を譲っていた。

咲「(早く早く早く早く!)」

咲の目的はただ一つ。
一刻も早くトイレに辿り着くこと。
道中で通路に張られていた館内案内図は何度も目を通した。
だが生来ついての方向音痴に加え、限界状況が彼女から冷静な思考を奪っていた。

咲「(も、もれ、漏れ)」

徐々に散文的になっていく咲の思考。
限界は近かった。
先ほど見た案内図の記憶を頼りにトイレに向けて足を向ける。

咲「(あ、あの、あの曲がり角の先のはず……)」

目前にはT字路。そこを右に曲がればトイレがあることは間違いない。
咲は内心安堵に包まれそうになるも、ここで気を抜くとまず間違いなく「終わり」だ。
思考を切り捨て、ゴールに向かい足を向けた。

?「わっ」

咲「あっ」

そして曲がった拍子に走る衝撃。
人とぶつかったことまでは咲にも理解できたが、思いがけないほど強い衝撃に咲は倒れこんだ。

?「ご、ごめんなさい、大丈夫ですか?」

対してぶつかった相手はよろめくこともなく慌てて咲に手を差し伸べた。
その相手……姉帯豊音は心配そうな表情を浮かべている。
咲は倒れた体勢のまま5秒間ほど動かなかったが、ゆっくりと体を起こし、その顔を豊音に向けた。

豊音「ひっ!?」

その顔を見た瞬間、豊音は手をひっこめ、後ずさりした。
能面のように、という言葉がっぴったり来る、完全に感情が失われた顔。
そして、その目は暗く濁り、その底にあるものを感じさせない不気味なものを感じさせた。

豊音「(こ、この子って、た、確か清澄の……)」

異様な光景だった。
咲は平均と比べると低めの身長である。体つきもかなり華奢だ。
その彼女に、今大会参加者で一番(男子も含め)背の高い豊音が怯えていた。

豊音「ご、ごめんなさい、本当に。わ、私、そ、その」

まるで小動物のように震えだす豊音を尻目に咲はのそりと立ち上がり、何も言わずに豊音の横を通り過ぎる。
すれ違い様、その暗い目で見つめられた豊音は悲鳴を上げてその場から走り去った。

咲「(……ちょっと、出ちゃった)」

無論、咲が何も言わず暗い目をしていたのはぶつかった拍子に彼女の尊厳が傷つけられたからなのだが。

ダムにはもうひびが入り決壊寸前。
だが、トイレは目の前だった。

咲「(もうちょっと、もうちょっと……)」

辿り着ける。
間に合うのだ。
自分はもう子供ではない。
いつまでも道に迷ってべそをかく子供ではないのだ。
もう京太郎に「ポンコツ」などと言わせない。
「正義」は「勝つ」のだ。

そう咲は思っていた。
そもそも、ポンコツでなければここまで追い詰められることもなかったというのは野暮であろう。

咲「(ついたっ! は、早く)」

そして、咲は辿り着いた、待ち望んだトイレに。
一切の恐怖心は消し飛び、ヘロインをも凌駕するであろう圧倒的多幸感に包まれていた。
状況が許すのであれば思わずスキップの一つもしたくなっただろう。
余裕はないが、歌の1つでも歌いだしたい気分だった。
コンスタンティノープルを落としたメフト2世のように、名誉ある凱旋の如く歩みを進める。
絶対勝利は目の前であった。



だが、勢い込んで駆け込もうとしたときに、足元にある「それ」に気が付いた。
変哲もない、小さな三角コーン。それが女子トイレの入り口にぽつんと置かれていた。
そのコーンには立札が下がっており、それにはたった3文字で咲を絶望に叩き落とす言葉が書かれていた。






『清掃中』





その瞬間、咲の心は折れた。
冷静に考えれば構わず中に入ることもできただろう。
中で清掃婦に事情を話してトイレを使わせてもらうこともできただろう。
だが、これまで感じたことのないような幸福の最中に突き刺さったこの状況は咲の張りつめられた神経がプチリ、と切れた。
そうなってしまえば終わりだ。
わずかな緩みから圧倒的な奔流となり、それは咲の体を巡った。

咲「あっ」


カタルシス

法悦

解脱


この瞬間、咲は現世における苦しみや社会通念、人間としての尊厳・常識、それらすべてをかなぐり捨て、限りない荒漠の美意識圏にさまよい出た。

咲「あ、あふぅ……」

人は元来自由であった。
だが、人は進化し、文明は発展し、法が整備されていくにあたり「人としていきること」には大きな制約がついた。
それは当たり前となり制限されていること、縛られていることにすら人は気づかず生きている。
そして自分は「幸福」ではないと「幸福」になれぬと苦しむのだ。

しかし、難しくはない。
「幸福」になるのは難しくないのだ。
咲は悟った。
ほんの少し「当たり前」から外れること。
ほんの少し「常識」を捨てること。
ほんの少しのそれで人はここまで幸せになれるのだ。

咲は現世の苦痛から解放され、その感動に思わずポロリと涙をこぼした。


この瞬間、咲はこの世で一番幸せな人間であったろう。



ちなみに、彼女が魔境から脱出して現状を把握し、思わずガチ泣きし始めたところ
トイレ清掃をしていた森下智子さん(58)に慰められるのは2分後の話である。
山下さんは咲を慰め、床の掃除をし、呆然とした咲を宿泊施設まで付き添ってくれた。
咲は思いがけぬところで人の温かさに触れ、このことは一生忘れなかったという。


いろんな意味で。

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――――――――――――――――――――
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―――――



久「ひっどい開会式だったわよね」

和「発表された瞬間一番のざわめきでしたね。大変不本意ですが」

まこ「記者連中おどろいとったな……」

優希「まぁ、でもあの後雑誌とか見ても私たちは取り上げられてなかったしそれは一安心だじぇ」

和「流石にあんなガセネタをマスコミが信じることはなかったようですね。ちょっと安心です」

京太郎「あっ、そういえば咲」

咲「な、何?」ビクッ

京太郎「開会式のとき居ないと思って探し回っていたのに結局、先にホテルに戻ってたよな?」

咲「」

京太郎「なんだかうやむやにされた感があったけど、開会式のとき、何してたんだ?」

咲「」

京太郎「しかも、なんだか妙に悟ったような遠い目をしてたけど」

咲「」

京太郎「咲?」

咲「何もしてないから」

京太郎「いや、結構長い時間 咲「何もしてないから」

京太郎「ちょ、話を聞け 咲「何もしてないから」

京太郎「さ 咲「何もしてないから」

京太郎「咲「なにもしてないから」」

京太郎「……はい」

はい、一旦ここまでです。
2回戦の回想までか切りたかったのですがうまくまとめられず。

投下はあと2回の予定です。

タイヤ交換ってなんやねん……。
やっぱり仕事の合間に休憩がてら書くものじゃないですね、ハイ

×タイヤ交換本当に怖かった……」プルプル

○宥「本当に怖かった……」プルプル

しかしどうしてこうなった。


あと>>676の苗字が森下さんと山下さんでごっちゃになってるがな……
山下さんじゃなく森下さんやがな……。

いや、別に名前に深い意味はない(ry

優希「犬デートいくじぇ!」

久「デートいくわよ須賀君。ほら、1秒でこっちくる!!」


なるほど

投下が遅くなり本当に申し訳ございません。
最近は週の半分以上うどん県の住人になっておりなかなか時間が取れない状況です。
とは言え、今日からの出張を乗り越えれば遅まきながら夏休みがもらえる予定なのでそこで何とか投下したいと思います。
もう少々お待ちいただけたら幸いです。

お久しぶりです。遅くなりました。
残り2回のうち1回が書き上がりましたので投下します。
本当はまとめて投下しようと思いましたけど、お待たせするのもあれなので……

で、心配頂いた夏休みは無事に取れました。
1人で温泉に行って来たんですが中居さんとかが妙に優しく接してくれたので何か変な勘違いをされたと思われます。

久「読みが外れたわねぇ。大会が始まってしまえば噂も沈静化されると思ってたんだけど……」

まこ「ところがどっこい」

和「1回戦で同卓してた人、みんな涙目だったりパーキンソン病患者のごとく震えてましたね」

京太郎「そしてとどめが……」チラッ

優希まこ久「うっ」

優希「ぶ、部長が悪いんだじぇ! 中堅で飛ばして終わらせちゃうから!」

久「わ、私は悪くないわよ。私に回ってきた段階で1人は残り2万点を割ってたんだから」メソラシ

まこ「い、いや、わしに回ってきた際もすでに5万点割っておったからわしも悪くないぞ」メソラシ

優希「むぅ、私だって……」

和「やめましょう、不毛ですから」

久「……そうね」

京太郎「1回戦突破が決まった瞬間、ネットは祭り状態になったからなぁ」携帯カチカチ

201:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:18:27.63 ID:Legendo!O
これは……

202:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:19:11.54 ID:megemegeo
もう殺したれや……

203:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:20:48.89 ID:dousosin0
見てられない……

204:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:20:57.01 ID:daikoIkuO
清澄の部長えげつないなぁ
さっきの局で終わらせられたかもしれないのに、点残して嬲りに来たで

205:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:21:39.42 ID:kooKoookO
>>204
どういう事? kwsk
急いで! 今仕事中だから

206:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:22:28.76 ID:joinjoino
あぁ、なるほど

207:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:23:44.53 ID:shapeshto
確かに、これはえげつない……

208:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:24:36.01 ID:hunaQ213o
あーあ。あの子泣いてる……。
でも、こりゃ泣き出すのも無理ないわ……

209:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:26:13.01 ID:hayari17o
>>205
横レスだけど。
清澄の部長、変則3面張でツモり跳満の手をわざわざペンチャン待ちのリーチドラ3で受けたよね?
結局ツモれたけど、タンヤオが消えて満貫止まりだったから親が200点残ったってわけ☆
さらに言うと、変則3面に受けてれば親の手の中で当たり牌が浮いてたからいずれ出てたと思うよ♪
そうなればそこで終わってたのにね♪

狙ったのかたまたまかはわからないけど、確かにエグイ話だよね☆

210:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:26:13.01 ID:kooKoookO
>>209
豚クス
これで同僚にドヤ顔で説明できるわ

ただ、その書き方にイラっとした。
思ってる以上に周囲もイタいと思ってると思うから年を考えろよ

211:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:27:29.83 ID:Legendo!O
私の昔の知り合いにもそういうしゃべり方する子いるけど、やっぱり見ててつらいものはある。
年も年だし。

212:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:28:54.91 ID:ItakoKaiO
そういえばプロにもそんな人いましたよね。
確か今年で2は(ry

213:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:29:25.23 ID:daikoIkuO
牌のお姉さんことはやりん(28)は関係ないだろ! いい加減にしろ!

214:―名無― 20XX/XX/XX(X) 14:30:14.33 ID:hayari17o
   ヾ;ヽ、 _ _,ィシ'
      `゙`フJ=、
      」|,、-'⌒ヽ_

      |i;;;;;i _(`ヽ--゙- 、
      r',、-'´     L;;;ヾヽ、
     /;;;;;r'     rー _,ヾ;!. \
    ./L;;;;i    ;i ;!i ヾー、゙! ____ ヽ
   /   i;;i  _} ノ;ノく;;. {;l; ,j. { *.} `! ヽ
   .!   i;;i,、=_‐''ヽヾ;ヽ \ヽ;==く;:〈 ゙、
   |    7/ {.*.} _/ノi;;(   ヽ \ ヾ;;、 ゙i,
   |   | L、-゙=シ  |;;;:..   ヽ、 \ヾ;、 l
   |    `゙'i;;;:i     ヾ' __  _,rミ`ヾ;!じ' |
   .! ,: ;;,   i;;;:i    /Vr‐、,.-'゙_,ノ゙\;;;:. !
    ゙i;;:;;;;;:;,.,.,..i;;:i,.,.,,;;/ r─‐''''"_,.ィヾー》;:.|
    ゙、;;;; ;;;;;;;;;゙i;i;;;;;;/ / ,r'i'''T´゙L、-ク:| |;;;;;|
      ヽ;i ヾ;;;::゙i;゙i;:| ,j /ヾー^"__,.-rj;ツ };;;j
      \;;;;;;;;;ヾ'ヽ<ヽj´|´゙! _j=' ./;;/
       \;;;;;;;;;;;;;;;;;;\`゙''"´_,、-'゙;;;;;/

          ゙ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;`゙"_,,、-'´/
            `゙'''''ー--─'''´

久「わざとなわけないじゃない……」ズーン

咲「わ、私たちはわかってますからね?」

京太郎「ただ、その残り200点になった人に36000点を直撃させたのはさすがにオーバーキルでしたね」

久「しょうがないじゃない! 手なりで打ったら清一色一通とか張っちゃうんだから」

優希「飛んだ子、泣くを通り越して放心してたじぇ」

まこ「残り二人もドン引きじゃったな」

和「勝負事ですから、こういうこともあるものですが。それにしても何とも間が悪いというか」

久「ま、まぁ、でも、私はこの中ではまだマシな扱いだから気にしてないわよ」ヒクヒク

まこ「(そんなひきつった笑顔で言われてものぅ)」

京太郎「……うーん」カチカチ

咲「あれ? どうしたの京ちゃん」

京太郎「いや、携帯であの掲示板見てるんだよ。あれからこまめにチェックしてるんだけど、あー、なんといえばいいか」

まこ「なんじゃ、歯切れが悪い。今更じゃろうが」

京太郎「その、ですね。さっきから掲示板が部長の話題で盛り上がってるようで」かちかち

久「え゛?」

京太郎「部長のキャラ付、とんでもないことになってますね。なんか知らないですけど部長の変なコラ画像が結構出回ってますし」カチカチ

久「」

京太郎「ほら、こんな感じ」カチカチ

和「……なんでこの画像、部長が笑っている背景に『あまり私を怒らせないほうがいい』とか書かれてるんですかね」

咲「これとか『豚は死ね!』って書いてあるよ」

まこ「飛ばした瞬間の映像の背景に『愉悦』とはひどい書きようじゃ」

京太郎「なんだかまとめwikiまで作られてるみたいで、スレの中じゃちょっとしたブームになっていますね」

久「……この先噂が鎮静化しても、この画像たちは消えないのよね」

まこ「気の毒じゃが……個人のPCに保存されてしまったらもうどうしようもないからのぅ」

久「」

京太郎「ぶ、部長?」

久「」

咲「なんていえばいいのか……」

久「」

京太郎「……お茶でも淹れてきます」

咲「……私も手伝うよ」

和「(さすがに)」

優希「(かける言葉が見つからないじぇ)」

久「」

まこ「とりあえずしばらく久はそっとしておくことにしよう」

和「2回戦もあんな感じでしたらいろいろ心労もたまってるんですかね……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――

(2回戦先鋒戦)

優希「よろしくだじぇ」

白望「……よろしく」

漫「よよよよよよよよよよ」ガタガタ

小蒔「おねっおねっおねおねっ」ガタガタガタガタ

優希「二人とも、落ち着いてほしいじぇ」

漫小蒔「」ガタガタガタガタガタ

優希「(聞いてない……)」

白望「……ダル」


漫「(テンパった! 3面張のツモり跳満だけど……)」チラッ

優希「(うーん、ちょっと欲張りすぎたか。少し出遅れそうだじぇ)」タコスモグモグ

漫「(怖い……下手に宣言すると食い殺される……。でも、でも、こ、ここはいかな……)」

漫「リー……」

優希「(ん? リーチか?)」チラッ

漫「」ビクッ!

漫「(見とる! めっちゃ見とる! あの目は『オレサマオマエマルカジリ』って言っとる)」

漫「リー、リー、リー……」プルプル

優希「(どっちなんだじぇ?)」ムシャムシャ

漫「(く、食われたくない。物理的に食われたくない。性的な意味とかじゃなくて物理的にデッド○ペースっぽく頭からムシャムシャされる。うぅ、あ、あぁぁぁぁぁ)」プルプル

漫「(でも、でも、う、うえあああああああああああああああああああああ!)」

漫「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」

3人「ビクッ」

漫「リーーーーーーーー、リー、リーリィチェッイッ!」オライッオライッ

3人「ビビクゥ」

漫「フ、フヒッ、ゼヒッ、ヒィ」ガクガク

白望「(……なんでリーチ宣言しただけで繰り上げギリギリでゴールした駅伝選手みたいになってるんだろう)」

※結局アガれませんでした

小蒔「(こ、こんな時に眠気が……)」ウツラウツラ

小蒔「(対局中に寝てしまったら何をされるか……寝たら、寝たら駄目……)」コックリコックリ

小蒔「(あっ、ツモ番)」ハッ

小蒔「(いちまい、いちまいとって、すてる)」カチャッパシッ

小蒔「(いちまいとって、すて、る)」カチャッパシッ

小蒔「(いちまいとって、すて……る)」カチャッパシッ

小蒔「(いちまいとって、す……す……す)」カチャッパシッ

小蒔「すー……すー……」Zzzzz

優希「んっ?」

小蒔「くー……くー……」Zzzzz

優希「寝てるじぇ……」

漫「(あわわわわわわ)」ガタガタ

白望「(気持ちよさそうに寝てるなぁ)」

優希「おねーさん、おねーさん」肩ポンポン

小蒔「ふ、ふにゃ?」

優希「お姉さんの番だじぇ。試合中に寝るとは器用だじぇ」クスクス

小蒔「ひっ、ヒィ! す、すみません! 許してくださいすみません食べないで!」

優希「食べないでって……そんなわ」

小蒔「ごめんなさい! 最近ちょっと太っちゃって少しお肉ついちゃってますけどきっとおいしくないです!」

小蒔「霞ちゃんにもそろそろ下着のサイズを変えないとって言われてるけど全然締まった体してないし食べたらおなか壊します!」

優希「(そのおっぱいぶら下げておいて嫌味か)」ビキビキ

小蒔「(ど、どうしよう、怒ってる。こ、このままじゃ……はっ!)」

小蒔「そ、そうだ! 豚足料理、作ってきたんです! よろしければいかがでしょうか!?」っタッパー

優希「あ、え?」

小蒔「か、鹿児島は一部地域で昔から豚足が食べられていたんですよ。いい豚足を取り寄せてしょうゆベースで煮付けてみました」

優希「(いや、聞いてないじぇ)」

小蒔「九州の醤油は本州のものと比べるとちょっと甘めですから、お口に合えばいいんですが……ど、どうぞ」ガタガタ

優希「(……なんで私は全国大会の試合中に豚足を食べることになってるんだじぇ? 食べなきゃ泣き出しそうな雰囲気だし)」

優希「あーわかったから。……いただくじぇ」

優希「(爪楊枝まで持ってきてるとは準備がいいじぇ)」ヒョイ、パクッ

優希「」モグモグ

優希「! うまい!」テーレッテレー

優希「見た目からして味濃いとか思ったけど意外とそんなことなくて、しっかりとした味付けだけど決してクドくないじぇ! ご飯がほしくなるじょ」モグモグ

小蒔「よ、よかったぁ」ヘナヘナ

漫「あ、あの」

優希「ん?」パクパク

漫「わ、私も作ってきたんです、豚足料理。よろしければどうぞ」っタッパー

優希「おぉ……」

漫「わ、私は塩と鳥ガラスープベースにあっさり目で仕立ててみました」オズオズ

優希「どれどれ」パクッ

優希「こ、これもうまいじぇ! さっぱり目の味付けだけどこれはこれで豚足の触感が楽しめて大いにありだじぇ!」

優希「このコラーゲンと肉のプルプル触感はくせになりそうだじぇ」モグモグ

漫「は、はふぅ。助かったぁ」グテッ

優希「(麻雀のお供に豚足か。意外と悪くないかもしれないじぇ)」モグモグ

白望「……」

白望「(対局中なんだけど……)」

白望「ダルい」

(2回戦次鋒戦)

まこ「……」

巴「……」

由子「……」

エイスリン「……」

まこ「……なぁ」

3人「!」ビクゥ

まこ「いろいろ言いたいことあるんじゃが、ええか?」

3人「」コクコク

まこ「まず、そっちの眼鏡の別嬪さん」

巴「な、なんでしょうか?」

まこ「なんでアンタはどこぞの短命の呪いを受けた一族みたいな恰好をして薙刀を背負っているんじゃ?」

巴「ぜ、全国の晴れ舞台ですから。少々気合いを入れてきました」

まこ「……その薙刀、刃がついとるが本物か?」

巴「ほ、本物です」

まこ「(いや、銃刀法違反じゃろそれ)」

巴「(い、いざとなったら斬ってでもこの場をしのがなくちゃ)」ブルブル

まこ「……ま、ええわ。次、そっちの、あー、なんだ、姫松の」

由子「?」

まこ「そう、あんたじゃ」

由子「」コーホー

まこ「なんであんた鉄の仮面にヘルメットにボディーアーマーっていう恰好しとるんじゃ?」

由子「」コーホー

まこ「しかも鉄製じゃ。重いじゃろ?」

由子「」コーホー

まこ「まるでダースベイダーか特機隊かって話じゃが」

由子「」コーホー

まこ「……」

由子「」コーホー

まこ「……」

由子「」コーホー

まこ「もしかしてそのマスク着けてるせいで喋れんのか?」

由子「」ノーヨー

まこ「……そうか。もうええ」

由子「(身を守るために代行が用意してくれたけど……これ重いし暑いし喋れないし苦しいのよー)」

まこ「で、最後にそっちの外人さんじゃが」

エイスリン「ヒッ!」ビクゥ

まこ「とりあえずその警察が使うようなライオットシールド越しにこっちを見るのをやめぇ」

エイスリン「」プルプル

まこ「というかそんなん構えとったら麻雀も打てんじゃろ」

エイスリン「ア、ア、ア、ア、ア」

まこ「いや、別に怒っとらん。というか改めて言うがわしはヤクザじゃ……」

エイスリン「ヒィ! ユ、ユルシテ。ユビ、キラナイデ」

まこ「切らん。だからわしはヤクザじゃ」

エイスリン「ヒィッ!」

まこ「(この外人さん、ヤクザって言葉を聞くたびにひきつけを起こすようになっとる)」

巴由子「」ハラハラコーホー

まこ「(こっちの二人はなんか落ち着きなさそうにこっちを見とるし)」

まこ「もうええ……。始めるか」

(対局中)

まこ「ん、ツモ。2,600オール」

3人「……」スッ

まこ「んっ、500バックじゃな。ほい」

由子「……」カチャッ、コーホー

まこ「んじゃ、1本場じゃな」カチャカチャ

3人「……」カチャカチャ

まこ「……」カチャカチャ

まこ「(……静かじゃ。いや、試合中じゃから当たり前なのかもしれんが重苦しすぎやせんか?)」

エイスリン「アッ」ビクッ

まこ「ん? なんじゃ」

エイスリン「」プルプルプルプル

まこ「?」

エイスリン「リ、リーチ、デス」っ6筒

まこ「むっ、リーチか。……仕方ない」っ9筒

エイスリン「ヒッ!」

まこ「うぉっ! ビックリした」

エイスリン「……」

エイスリン「………」

エイスリン「…………」ポロポロポロ

まこ「な、なぜ泣くんじゃ!?」

エイスリン「ロ……ン。リーチ、イッパツ、サンショク、ドラドラ。12,000デス……」ポロポロポロ

まこ「……」

エイスリン「(daddy……mummy……先立ツフコー、オ許シクダサイ)」ポロポロポロ

エイスリン「(コワイケド……モット皆ト、イタイ。ダカラ、カチタイ。マケラレナイ)」ポロポロポロ

まこ「……なぁ」

エイスリン「(キタ! ヤ、ヤッパリコワイ)」プルプル

エイスリン「ハ、ハイ」

まこ「……なんで小指を差し出してくるかは知らんが、1本場じゃから12,000じゃなくて12,300じゃろ? ほれ」チャラッ

エイスリン「……エッ?」

まこ「なんじゃ、キョトーンとして」

エイスリン「指、キラナイ?」

まこ「どこの世界にアガられただけで指を切るアホがいるんじゃ」

エイスリン「bazooka、ウタナイ?」

まこ「そんなもんどこにもっとるんじゃ」

エイスリン「japanese mafia,背中ニバズーカ隠シテタリ、enerugy ballミタイナモノヲ、ナゲルッテキイタ」

まこ「それはヤクザとか超越して人間じゃないじゃろ……」

エイスリン「デモ、私ガ見タ映画ハ……」

まこ「どんな映画じゃ、それ」

※実在します。6:40頃からご覧ください
http://www.youtube.com/watch?v=UnKS1vpTOSk

(中堅戦)

洋榎「(こいつが長野の……)」

胡桃「(確かに人を食った感じがする……)」

春「(気を付けないと……)」

久「(何かすごく悪意のこもった視線を感じる)」

久「とにかくはじめましょうか。私の親ね」カチャカチャ

洋榎「……」カチャッ、スッ

洋榎「……」シュッシュッ

久「……何してるの? 取った牌をそんなにまじまじ見たり指でこすったりして」

洋榎「ん、爆弾やらカメラやら針が仕込まれてたりせぇへんかと思って」チラッ

久「するわけないでしょ!」

洋榎「ん……せやな」

久「(全然せやなって顔をしてない……)」

胡桃「よい、しょっと」

久「ねぇ、貴方打ちにくくない? なんで手甲はめて麻雀打ってるの?」

胡桃「……ぶつかったり振りをして手をナイフでグサッとやってこられても困るし」

久「あらーどうしてそういう対策をする必要があるって思っちゃったのかしらねー(白目)」

胡桃「(白々しい……)」

春「……あの」

久「ん? 何?」

春「よかったら」っ黒糖

久「くれるの?」

春「ん」コクコク

久「ありがとう、いただくわ……」

久「(あぁ……なんだか久しぶりに人の優しさを感じた気がするわ)」ポリポリ

春「もっと、どうぞ」

久「じゃあ、遠慮なく。黒糖って結構おいしいのねー結構さっぱりとした甘さだし」ポリポリ

春「それが自慢」

春「……」ジー

春「(特に選んだ様子もないし、怪しいそぶりもなかった)」

春「(ん、どうやら毒は仕込まれてないみたい。安心)」

春「おいし」ポリポリ

(副将戦)

初美「(ヤクザの愛人……)」

絹江「(女王様……)」

塞「(S嬢……)」

和「(何か変な視線を感じますが)よろしくお願いします」

和「よいしょっと」(エトペン抱)

塞「(おぉ……)」

初美「(おっぱいが……乗ってる)」

絹江「(わ、私もちょっと自信あったけど桁が違うわ……)」

初美「(こんなおっぱいじゃあ男の人もメロメロなのも当たり前ですー)」

塞「(これでまだ15歳なんだから……これから先どうなることやら)」

絹江「(ウチのレギュラー陣なんてみんな彼氏すらおれへんのに……)」

初美「(女子高だとそのあたりハンデが大きいですー。ウチもみんな彼氏どころか男友達すら……学校柄、しょうがない面もありますけど)」

塞「(ウチはそもそも出会いが……学校は陸の孤島だし……)」

絹江「(はぁ……麻雀は楽しいけど、彼氏の1人もおらへんまま高校生活を終えるんやろか)」

初美「(もうちょっとしたら卒業なのに男の子と遊びに行ったことすらないです……)」

塞「(だ、大学に進学すればき、きっと彼氏の1人や2人ぐらい……あぁ、でも中学から高校に上がるときもそんなこと考えてた記憶が)」

絹江「(あぁ、でも彼氏作っても練習ばっかでろくに遊びに行けへんやろなぁ)」

初美「(それはそれで楽しいんですけどねー)」

塞「(ただ、友達に彼氏ができた話とか惚気話とか聞くと)」

絹江「(焦るよなぁ)」

初美「(女子プロも結構オールドミスというか結婚しないまま年を取っていく人が多いって聞きます)」

塞「(プロかぁ。行けるなら行きたいけど……そういう仲間には入りたくないなぁ)」

絹江「(ウチのオカンは10台で子供産んだって話やし……)」

初美「(ぐぎぎ、このままではすごくやばい気がしてきました)」

塞「(で、でも、いざ彼氏作るにしてもどうすればいいのか)」

絹江「(そ、それはほら、合コンとか……)」

初美「(当てがないです……)」

絹江「(お姉連れてひっかけ橋のあたりをうろついて……)」

塞「(な、ナンパ待ちってやつ?)」

初美「(は、はー。なるほど、そういう選択肢も……)」

絹江「(そうや。せっかく東京に来たんやし、渋谷駅の前にいれば声を掛けられるかも……)」

塞「(し、渋谷ってあの渋谷だよね……。こ、怖い人も多いって聞くけど)」

初美「(さ、浚われてどこか遠くにでも連れて行かれたらいやですよー)」

絹江「(いや、大丈夫やろ。そんないま時……)」

和「……(この人たちは視線で何を会話しているんでしょうか)」

(大将戦)
咲「よろしくおねがいします」

恭子「よ、よろしくおねがいします」

恭子「(平常心、平常心を保って……落ち着いて……動揺を悟られないように)」ガタガタ

豊音「よ、よろ、しく、おね、が、い、しま、す(ご、ごわい、ごわいよぉぉぉ)」エグエグ

咲「(なんで泣いてるんだろうこの人……。確かあの時ぶつかった人だよね? うっ、思い出しちゃった)」

豊音「(みでる、みられでる、じにだぐないよぉ)」グズグズ

咲「あの、大丈夫ですか」ワタワタ

豊音「だいじょうぶでず。だいじょうぶでずがらぁ」エグエグ

霞「ほら、大丈夫? 落ち着いて、ね?」っハンカチ

豊音「うぅ」グスグス

霞「自分の力を出し切ればきっと戦える。怖くないから、ね」サスサス

豊音「あ、ありがどうございばず」ゴシゴシ

咲「(ほっ、よかったぁ。泣き止んだよ)」

霞「……宮永さん、でしたっけ?」

咲「はい、そうですけど?」

霞「お宅の須賀君、いい子ですね」

咲「え、えっ? きょ、京ちゃんですか? あ、えぇ」

咲「(な、なんでこの人京ちゃんのことを……あっ! そういえば以前知り合ったとか言ってた人ってこの人?」

霞「須賀君、貴方たちと一緒に居れて楽しいって、幸せって言ってました」

咲「あ、ありがとう、ございます?」

霞「……当人たちが納得してるならそれでいいって、最初は思いました」

咲「はぁ」

霞「所詮他人事だと、関係のない話だって割り切ることもできました。忘れることもできました」

霞「でも、それでも」

霞「それでもやっぱり、こんなのおかしいです。だから、はっきり言わせてもらいます」

霞「あなたたちは、間違ってます!」

恭子「(い、言いよった)」

豊音「(か、かっこいい)」

咲「(そんなこと言われても……)」

霞「……今日は」

霞「今日は、全力でお相手させてもらいます」

霞「私が勝ったら、須賀君に対する態度、改めてもらいましょう」

咲「(あ、改めるって言われても……)」

霞「嫌とは言わせませんよ。『強いものが正義』という貴方たちが掲げてきた絶対論理に従ってもらいます」

霞「私が負けたら、望むことをなんでもいたしましょう」

咲「(ん、今なんでもするって(錯乱))」

霞「それでは……行きます」ゴッ

豊音「(この圧力……!)」

恭子「(……生きて帰れるかなぁ)」

咲「(こ、この人、強い!)」

―――――
――――――――――
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

まこ「最終戦はものすごい死闘じゃったな」

咲「はい、正直危なかったです。一時は負けたかと……」

京太郎「石戸さん、すげぇ剛腕だったな。3倍満3連続とか初めて見たぜ……」

優希「最終的にはトップラスの点差がたったの2,800点差だったのは驚きだじぇ」

和「巻き返せてよかったですよ、ほんと」

咲「でも、正直罪悪感が……」

まこ「試合後、はらはらと泣く永水の大将をかばう形でほかの2人が土下座して許してあげてくださいと頼み込んできたからな」

京太郎「石戸さんもいいんですっていいながらその2人に縋り付くもんだからすさまじい絵面だったぜ。どう見ても悪人だもんな」

咲「私、人に土下座されるとか初めてだったよ……」

京太郎「お前すげぇテンパってたな」

咲「当たり前でしょ! 別に怒ってないし、何かさせるつもりもないって伝えるのにすごく苦労したよ……」

優希「その瞬間にまたありがとうございますって言いながら泣き出すから状況はあまり好転しなかったけどなー」

和「案の定掲示板はお祭り騒ぎですし」

京太郎「頭が痛いな……」

まこ「と、もうこんな時間か。そろそろあっちの準決勝が始まるな」

京太郎「白糸台、千里山、阿知賀、新道寺でしたっけ?」

咲「そういえば阿知賀には和ちゃんの昔の友達が出てるんだっけ」

和「えぇ。この先戦う相手になるかもしれないので、すごく気になるところです」

優希「よし、いざ偵察だじぇ!」

まこ「わしはまだ帰ってこない久を見とるから偵察は任せるとしよう」

久「」

咲「……私も、待ってます」

京太郎「ん……そか」

和「咲さん……」

まこ「ん、では京太郎と和と優希、偵察は任せたぞ」

3人「はい」

咲「いってらっしゃい」

久「」

(準決勝・実況席)

恒子「さぁ、準決勝先鋒戦前半戦もいよいよ大詰め、オーラスを迎えました! ここまで下馬評通り宮永選手の圧倒的リードで進んでおります」

恒子「対して新道寺、かなり大きなマイナスを背負っています。これは苦しいか!」

健夜「さすが宮永選手、だね。おととしよりも去年、去年よりも今年、着実に進化してる」

照『リーチ』

123s4567778p發發發

恒子「おぉっと! オーラスで駄目押しのダブリーが入った!」

健夜「しかも4面張。豪快なフィニッシュになりそうだね」

煌『……』

『煌手牌』
125m289s23369p東南 ツモ南 ドラ4s

健夜「うーん、これはもしかしたら新道寺の子から出ちゃうかもね。手なりで打つなら9筒が不要牌だし」

恒子「なるほどー。さすがプロ生活20年ともなればそれぐらいの予想はお手の物だね」

健夜「だからアラフォーじゃ……って、ずいぶん長考だね」

恒子「まぁねー。これだけ点数取られた状況でダブリーかかっちゃ無理もないか」

健夜「俯いて……ちょっと震えてる。大丈夫かな?」

煌『……』

煌『……』

煌『……』スゥ

健夜「ん? 深呼吸してる?」

恒子「出しちゃうのかな?」

煌『……』ギリッ

煌『ッ!』打5萬

恒子「ブッ!」

健夜「こ、これはずいぶんと思い切ったね」

恒子「す、すこやん。これはどういう打牌なのかな?」

健夜「うーん、おそらく123の三色とチャンタ、ピンズ一通とピンズの混一色を見た一打……かな?」

健夜「この格好から5萬周りを引いても高い手にはならないからね。赤頼みも阿知賀の彼女がいる状況じゃ望み薄だし。だったら手役を作らなくちゃいけないとなると」

恒子「5萬切りってことかー。でも、この手牌から? まぁ、点数取り戻すために高い手狙うのはわかるけど、うーん」

健夜「そうだね。ダブリー入っている状況でやるにはなかなか勇気があるというか無謀だけど……成就、するかなぁ」

(新道寺控室)

姫子「は、花田ってあんな豪快な一手が打てる奴だっけ?」

美子「」ブンブン

仁美「驚いたわ」ポカーン

哩「(……そか。そうだな)」

哩「(花田、頑張れ。お前の意地、見しぇてやれ)」


(会場)

照「(随分脂っこいところを通してきた……。でも、この待ちだったらいずれ)」カチャッ

煌「……れ……ない」打8索

照「?(何か言ってる)」

煌「ま……ら……」打9索

煌「………れない」打2索

煌「……け………」打1萬

煌「………れ……」打2萬

照「(この子……危険牌を6枚も……!)」

煌「……」打5索

煌「……」打6萬

煌「……」打東

煌「……」打發

玄「(新道寺の人が突っ張ってくれてるから安牌には困らないけど……)」パシッ

怜「(あの宮永照のダブリーの前にここまで……)」パシッ

照「(引けない……嫌な、感じがする)」パシッ

煌「っ!」チャッ

煌「……9筒。暗カン」

照「(私の待ちの一つを……!)」

煌「……けられない」打中

照「えっ?」

煌「決勝に行って、会いたい子がいるんです。同じ舞台に立って、伝えたいことがあるんです」

煌「今更出て行って、私の言葉は届かないかもしれないけど。強くもない先輩ですけど。それでも、それでも」

煌「先輩として……かわいいかわいい後輩と」

煌「どうしても、話がしたいんです。そのために同じ所に立たなくちゃいけないんです」

煌「だから」

煌「だからっ!」

煌「だから、ここで、負けられないんです!」ギッ

煌「リーチっ!」打2筒

照「(追いつかれた!?)」

玄「(嘘……ダブリーを掻い潜った)」

怜「(ありえへん……)」

照「くっ……」ツモ5筒

照「(アガれない……! しかもこれはっ!)」パシッ




煌「ロンッ!」





『煌手牌』
3335567p南南南 カン9999 ドラ4s、中





煌「リーチ、一発、南、混一色、三暗刻……こんな場でも、乗るものですね。裏3で24,000」



(白糸台控室)

尭深「嘘……」カシャン

誠子「わっ、尭深! 湯呑湯呑!」

菫「……初めてだ」

淡「えっ?」

菫「あいつが、照が三倍満に打ち込んだのを初めて見た。そもそも跳萬以上に振り込むこと自体、いつ振りか」

淡「……新道寺の先鋒は実績もなくて、捨て駒だって話じゃなかった?」

菫「あぁ、そのはずだった。そのはずだったんだが……」

誠子「途中までの打牌も平々凡々だったのに」

菫「なんだ。いったい、あの選手に何があったんだ?」


(実況席)

恒子「」

健夜「こーこちゃん、しっかり」

恒子「はっ。あまりのことに思わず言葉を……」

健夜「危険牌12枚切って三倍満打ち取りだからね。しょうがないよ」

恒子「いや、出来過ぎでしょ」

健夜「うん、私だって普通に宮永選手がアガって終了だって思ってたもん」

恒子「でも結果として、あのチャンプが三倍満放銃とは……」

健夜「あの子の打牌にすごく強い意志を感じたよ。想いや意志で麻雀が勝てるなら苦労はしないけど、それでも」

健夜「それがなくちゃ、勝てないときもあるんだよね。本当にすごかったよ」


(会場)

煌「はぁ、はぁ、はぁ」

怜「(えらい消耗しとるな。あんな真似すりゃ無理もないか)」

玄「(負けられない……か)」

――――決勝に行って、会いたい子がいるんです。同じ舞台に立って、伝えたいことがあるんです

――――どうしても、話がしたいんです。そのために同じ所に立たなくちゃいけないんです

玄「……私だってっ!」

照「?」

玄「私だって、負けられないのです。決勝に行って、会わなくちゃいけない人がいるんです」

玄「大切な、大切な友達で」

玄「そこまで長い付き合いじゃなかったかもしれないけど、それでも大切な友達で」

玄「だからっ、私だって!」

玄「絶対に、負けれないんです」ゴッ

煌「……」コクリ

怜「なんや、二人して熱くなって……」

怜「……ふふ」

怜「でもこういうの、嫌いやないで。こっちも……負けてられんなぁ」ゴッ

照「(この子たち……!)」

(観客席)

京太郎「……」

和「……」

優希「……」

京太郎「……優希」

優希「……なんだじぇ?」

京太郎「あの、新道寺の人って中学の時の先輩なんだって?」

優希「そうだじぇ」

京太郎「……いい先輩だな」

優希「うん……後輩思いで面倒見がよくて、世話になったものだじぇ」

京太郎「そうか……和」

和「……なんですか」

京太郎「あの阿知賀の人が……」

和「はい、昔の友人です」

京太郎「いい人だな」

和「はい、あんなに私のことを想ってくれてるなんて正直思ってもみなかったです」

京太郎「そうか、よかったな?」

和「……はい」

京太郎「……」

和「……」

優希「……」

京太郎「……決勝、何が何でも行かなくちゃな」

和「……ええ」

優希「……そうだな」

京太郎「……」

和「……」

優希「……」

3人「(どうしよう……)」

(会場某所)

照「……」

菫「お疲れ、照」

照「うん」

菫「何とか2着通過だったな。危なかった」

照「……ごめん」

菫「な、なぜ謝る?」

照「本当は私がもっと点数を叩きたかったけど……7,000点しか稼げなかった。前半戦のリードを大分食いつぶされたから」

菫「謝ることではないだろう、プラスはプラスだ。だけど、正直驚いた。照が準決勝でここまで手こずるとは」

照「その……」

菫「いや、別に攻めているわけじゃない。本当に驚いただけ」

照「……」

菫「……私は」

照「菫?」

菫「私は照とあの清澄の大将の関係はよく知らない」

照「っ」

菫「デリケートな話なんだろ? だから無理に聞き出そうとはしない。だけど……聞いてるんだろ? あの話」

照「……」コクリ

菫「で、これはさっき試合後に聞いたんだが、新道寺と阿知賀の2人はどうやら清澄のメンバーと知り合いらしいな。……だから、会って話がしたいと」

照「……」

菫「本当になのか。本当だとしたら、どうしてそんなことになってしまったのか。大切な友人だから、かわいい後輩だから、できるなら止めない。泣かせる話だな」

照「……何が言いたいの?」

菫「阿知賀は勝ったが新道寺は落ちた。私たちはあの子の願いを踏みつけて行くわけだ」

照「……菫」

菫「わかってる。別に後悔をしているわけではない。……だけど、踏みつけるのではなく、それを背負っていくことはできるはずだ」

照「せお、う?」

菫「きっと、話をして、できるなら止めたいんだかったんだろうな、あの子は」

照「多分」

菫「で、だ。……お前だって、話したい子がいるんじゃないか。あの話を聞いていたってことは何も感じなかったことはないと思うが」

照「……」

菫「……さっきの発言を撤回する。ちょっと踏み込んだことを言うぞ?」

照「えっ?」

菫「『妹』なんだろう?」

照「っ」

菫「『姉』として、『家族』として、できることができるんじゃないか? 止めてやることも、できるんじゃないか」

照「……」ウツムキ

菫「悪かった。ズケズケとプライベートなことに踏み込んだことは謝る。だけど、考えてみてほしいんだ。頼む」

照「……うん、わかった」

菫「そうか、よかった。……さっ、何か食べて帰るか?」

照「うん」コクリ

本日の投下は以上です。次回最終回。
頑張ってなるべく早く投下します。
BBCP楽しいけどちょっと封印せねば……。


あ、前回あんな投下しておいてなんですが、スカ系はちょっと……なので
次回作におもらし物は難しいかなー、なんて

そして、絹ちゃんごめんね……誤変換

よかった……年内間に合ったで。遅くなりすぎやで……。
やっぱり一度書く習慣が失われてしまうと手が動かない動かない。
お待たせして大変申し訳ございませんでした。
当初の予定を多少圧縮してとりあえず最終回及びエピローグが出来上がりましたので投下いたします。

京太郎「今日こそは……」

我等が清澄高校の準決勝を翌日に控えた夕暮れ時、本日は部員一同ゆっくりと過ごすこととなった。
こんな状況なので人目を気にしているというのもあるが、最近はいろいろありすぎてみんな疲れ気味だ。
和などは最近は掲示板の内容に目を通しつつ怒ると言う大変不毛な行為を繰り返している。
見るのをやめればいいもののどうしても気になるそうな。
俺もホテルでゆっくりしていようと思ったが、どうしても行きたいところがあったのでこうして東京の街を歩いている。

京太郎「さて、今日は居るかな?」

財布の中の小銭を確かめながら、俺は目的地であるゲームセンターに足を踏み入れた。
入り口に設置されているクレーンゲームや大型筐体には目もくれず、比較的奥に設置されている格闘ゲームのコーナーに足を向けた。
休み中なので俺と同じような高校生と思われる人間も多い。
その人ごみをかき分けながら、筐体の一つ一つに目を向ける。

京太郎「居たっ」

思わず口に出てしまう。
プレイヤーネームに『AwaAwa100』という表示。
筐体の向こう側でプレイしているため顔は見えないが、間違いなく彼女だ。
相変わらずのえげつない腕で、俺の目の前で対戦している少年が操作しているキャラクターを固め殺している。

京太郎「あの6Cを1発目から小パンで……」

考えてきた対策を軽く口に出して復習する。
まぁ、この状況で分かったと思うが俺はリベンジにやってきたわけである。

大会始まる前の期間にぶらりと寄ったゲーセン。
せっかく東京に来たんだからと軽い気持ちでよくやっている格ゲーをプレイしてきたときに乱入してきたのがこいつだ。
正直自分の腕はそこそこあると思っていたが、そんなプライドをメタメタのギッタギタにしてくれたのがこいつだ。
負けも負けたり20連敗。しかも対戦していたのが自分と同じぐらいの女の子とあっては凹みに凹んだ。

あれから何度か対戦を挑んでいるが今のところ全敗である。
しかし、この前対戦した時は惜しいところまで行ったのだ。
最終セットまでもつれこみ、大技が入ってコンボを完走すれば勝ちというところだった。

京太郎「まさか、残影牙拾いに失敗するとは……牙昇脚にしておけばよかったなぁ……」

あとちょっとで勝ちというところで痛恨のコンボミス。
そしてグチャグチャっとなったところであえなく敗北した。
思わずうがーっと叫んだところで、お互い顔ぐらいは知っている程度に対戦していたが会話はしたことがないはずのあいつにこう言われたのだ。

?『コンボミスをすることで勝ち確を逃すことができるwwwwwねーねーアレ落とすってどうなのwwwwww今どんな気持ちwwwww』

人は言った。格闘ゲームは人の性格を悪くする、と。
若干記憶が脚色されている気もするが、ファーストコンタクトがこれだからかわいい女の子といえども印象最悪である。
で、そう言われて顔真っ赤になった俺は懲りずにこうやってリベンジにやってたのだ。
ちょうど目の前の少年がパーフェクト勝ちをされ、肩を落として席を立った。
俺は入れ替わるように席に座ろうとして、気になっていたことを思い出し、筐体の向こう側を覗いてみた。

?「~♪」

そこにはCPUを相手に楽しそうにコンボ練習をする姿。癪な話だがかなりの美少女、というやつだろう。
そうやって、改めて顔を見直して俺は確信した。

京太郎「(……やっぱり)」

3人で観戦したAブロックの準決勝。
観客席から見つめる画面の向こうに、俺をぼっこぼこにした奴が白糸台の大将として恐るべき実力を発揮する姿があった。
その立ち振る舞いは負けた俺を煽る姿とは一致せず、思わず呆気にとられたものだ。

京太郎「(白糸台の大将……大星淡、だったか。麻雀も強くて格ゲーも強いとかなんだよそれ)」

この世の不公平さを嘆きつつ、俺は100円を入れてカードを筐体に読み取らせた。
今日こそは勝ってやる。
こうやって負け続けるのは精神衛生的にも財布の中身的にも大変よろしくないからだ。

(対戦中)

京太郎「っつつつ」ガチャガチャ

淡「画面端ごあんなーい。固めるよー」ガチャガチャ

京太郎「あぶねっガードできた……」ガチャガチャ

淡「ふーん、大分頑張ってきたみたいだねー」ガチャガチャ

京太郎「ここで暴れてッ」ベシベシ

淡「あっ、やばっ」イタイニャス

京太郎「中段通った!」イキマスヨ、ジャヨクホウテンジン!

淡「立った! 立ったって!」ガチャガチャ

京太郎「よっしゃ! ここで蛇翼からODでっ!」コレカラガホンバンデスヨ!

淡「あーあ、さすがにこのセットは取られたかな」ガチャガチャ

京太郎「よし、これで蛟竜で締めれば……あっ」ガチャガチャ

淡「あ、繋がってない。んじゃ、美味しくいただきますっと」ニャスニャス

京太郎「あああああああああああああああああ! 保障高過ぎだろぉぉぉぉぉ!」ディストーションフィニッシュ!

京太郎「」

結論から言おう。
負けた。負けました。10連敗しました。
しかも何戦かは勝ちが見えてたのにお手手プルプルしてコマンド入力をミスるとかいうあまりにもアレな負け方。
ベッコベコに凹まされて現在は自販機コーナーのベンチで自棄コーヒー中である。

京太郎「ふぅ」

いつもよりコーヒーが苦く感じる。これが敗北の味というやつか。
完全に負け癖がついてしまった。家庭用が出たら練習しよう。
長野に帰る前に1度ぐらいは勝ちたいなぁ。

湯だった頭でそんな風に取り留めのないことを考えているときだった。

淡「ねーねー」

京太郎「俺?」

淡「そうに決まってるじゃん」

話しかけてきたのはあいつだった。
というかまともに話しかけられたのはこれが初めてだったからちょっと戸惑ってしまう。
そいつは探るような視線を俺に遠慮なく向けながら口を開いた。

淡「ねぇ、ちょっと聞きたいことあるんだけど、いい?」

京太郎「別に、いいけど」

淡「清澄の須賀京太郎って、あんた?」

考えてみれば当たり前の話だ。
相手も麻雀部員だ、例の噂を聞きつけていて居るのは当然だろう。
だが、あの噂が流れていることを知ってから他校の人間とこうやってまともに話すのは初めてなので、
内心めんどくさいことになったな、とちょっと焦る。

京太郎「……そうだけど」

淡「やっぱり? ネットの画像の通りだ。へー、ふーん」

そう言いながらジロジロと上から下まで品定めするように見てくる。
こいつ(いいよね、こいつならこいつ呼ばわりで)は礼儀というものを知らんのか。
このゆとりめ。いや、俺もゆとりだけど。
一方的に聞かれるのもしゃくなので、ちょっと反撃してやる。

京太郎「そういうそっちは、白糸台の大星淡さんだよな?」

淡「へぇ、私のこと知ってるんだ」

京太郎「準決勝、見てたしな。うちが決勝に行けば、当たる相手だし」

淡「なるほどねー。いやー、有名になるのも大変だー」

ケラケラと笑うこいつを見て驚きの表情一つも見せないことにげんなりする。
こいつ大物だわ。
それともただのバカなのか。
個人的な所感では間違いなく後者。
うん、確信。

京太郎「で、何の用だ?」

淡「あ、もしもしテルー? うん、そう、いまね……」

京太郎「聞けよ」

俺の問いには答えず目の前の珍種は気づけば俺を無視して電話を始めていた。
思わず乱暴な突込みが入ったけど、いいよね。同い年だし。
黙って帰ってもいい気がしたけど、それはそれでめんどくさいことになりそうだし、仕方なく電話が終わるのを待った。

淡「うん、それでね、大会が終わったらね……」

淡「それでね、たかみーが抹茶ケーキを……」

淡「ケーキといえば駅前のモールに……」

淡「そうそう、Aちゃんに彼氏が……」

淡「この前会ったんだけど、なんかすごい電波で……」

淡「哲っちゃん達者で打ってるかいってブツブツ言いながら体がプルプル震えてて……」

京太郎「お前何の話してるんだよ」

5分間我慢したんだけどもういいよね。
横で聞いてる限りどう考えても俺と関係する話をしているとは思えない。
付き合ってられんとばかりに踵を返そうとしたとき、そいつは俺の顔を見て『あっ、やっば忘れてた』って顔をした。

淡「あっ、やっば忘れてた」

京太郎「おい」

一点読みが通ったのにまったく気持ちよくない。
というか俺はこんなツッコミキャラだっただろうか。
部の皆といるときは結構ボケるほうだと思っていたのだが。

淡「うん、そう。噂の清澄の、うん、会いたいって言ってた」

淡「そうそう、そいつ。今ゲーセンに居るよ」

淡「あっ、ゲーセンに行ったことはスミレには黙っておいてね? また怒られるから」

淡「うん、それで、どうする……うん、うん」

淡「わかった、あそこだね。りょーかい」

俺を置き去りにすることたっぷり10分。
俺は途中で痺れを切らしクレーンゲームでぬいぐるみを3つ取ってで『妹の彼氏を姉が寝取り泥沼になった姉妹に挟まれ精神崩壊する彼氏ごっこ』をして遊んでいた。
彼氏が追い詰められた挙句の自殺後、葬式帰りに二人が刃傷沙汰になるという佳境のシーンでこいつはようやく電話を切った。

即興のシナリオにしてはなかなかいい出来だと思う。
なんかの賞にでも応募してみようか。

淡「明日なんだけど、ちょっと時間ある?」

電話を切って一言目がこれ。
単刀直入である。突然すぎて色気も何もあったもんじゃない。
女の子の誘いだからもっとテンションが上がってもよさそうだが心はコールアングレの音が響く中央アジアの草原のような穏やかさである。
こいつはあれだ、優希と同じカテゴリだ。

京太郎「うち、明日試合なんだが……?」

淡「自分が出るわけじゃないでしょ。それに開始前に時間は調整したから問題なし!」

京太郎「おい」

返事を聞く意味があったのだろうか。
あと、そろそろ殴っても文句は言われないだろうか。

淡「明日10時に会場最寄駅の横にある喫茶店で人が待ってるから。じゃ、よろしくっ!」

そう言ってそいつは振り返り帰ろうとする。
俺はそれを呆然と見送りかけたが肝心なことを聞いてないことに気づいてあわてて声を掛けた。

京太郎「ちょ、ちょっと待てよ。待ってるって、誰が!? 何で!?」

淡「んー?」

俺の呼び止めの声にそいつはくるりと踊るようにその場で回って、少し考え込むようなそぶりを見せる。
うーん、とちょっと考え込んでいるような声が漏れて聞こえてきた。

淡「何でかは私もよくわかんない。一度話がしたいーって言ってたのを聞いただけだから。あと、誰が、だけど」

そこまで言うと、不意ににやっという音が聞こえそうな感じで笑った。
その笑い方がなかなかにピッタリで、ちょっとというかかなり可愛くて、正直ドキッとした。
した後ですごく悔しくなった。謎の敗北感である。

淡「うちで一番有名な人、っていえばわかるでしょ?」

京太郎「それって……」

淡「じゃあね、絶対行ってよ! それともっと練習してきなよー。コンボミスりすぎっ!」

びしっと指を突き付け、そう言いながらあいつは去って行った。
俺はあまりに突然の事態に呆然とそれを見送るしかなかった。

京太郎「一番有名な、人」

そう言われると心当たりは一人しかいない。
しかし何故、という気持ちが大きい。
麻雀を始める前からおぼろげにその存在は知っていた。
だが、所詮はそのレベルの話であってお互い面識もないのに突然どうしてなのかが全く分からない。

意図が読めない。
行くべきなのだろうか。
部の皆には話すべきなのか。

そんな感じにもやもやしたものを抱えながら俺はホテルへ足を向けた。

淡「あ、そうそう」

京太郎「どわっ! なんだよ、いきなり戻ってくるな!」

淡「そのぬいぐるみ、かわいいね。ちょーだい!」

京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……ほら」

淡「え、本当にくれるの?」

京太郎「……暇つぶしで取っただけだし」

淡「やった、ありがとう! じゃーねっ!」


うん(困惑)

うん(現状認識)

うん(把握)


なんだあいつは(戦慄)

新種の生命体と対話した次の日、俺は予定時間の15分ほど前に指定の店に着いていた。
部のメンバーはもうそろそろ会場入りしているころだろう。
俺はこのことを報告するか悩んだが、結局黙っていた。
ここに来ることを適当にごまかして、皆とは現地で合流する手はずになっている。
本来であればこんな状況だしちゃんと話すべきだと思ったんだが……。

京太郎「言えないよなぁ、やっぱり」

あの癖っ毛たくましいポンコツ娘の顔を思い浮かべると、どうしてもその気になれなかった。
そんな感じで、心にしこりを抱えながら水をすすっているとドアベルが小さく鳴った。
ちらりと視線を向ける

京太郎「(あぁ、やっぱり)」

まさか、という気持ちはあったが、やはり想像通りの人がそこにいた。
その人は店内をきょろきょろと見回し、俺の姿を見つけるとゆっくりと近づいてくる。
そして、少しの沈黙の後に口を開いた。

?「須賀、京太郎君?」

京太郎「はい、そうです」

?「はじめまして、宮永照と言います」

咲、やっぱりお前には言えないよ。
お前のお姉さんと会ってくるなんて。

咲に姉がいるのは知っていた。
それと同時に二人の間に簡単に口に出せないような『何か』があるのも知っていた。
そもそも離れて暮らしているのだ、いろいろあるんだろう。
中学の時、家族の話になったら咲が露骨に辛そうな顔をしていた時以来、咲に家族の話はしないようにしてきた。
友人とは言え、触れてはいけないところ、触れてほしくないところってのは誰にだってあるだろう。

そう、だからここに来ることを言えなかった。

照「来てくれてありがとう」

京太郎「いえ……」

俺の向かいの席に座る……この人を何と呼べばいいのだろう?
宮永さん? 当たり障りないが、咲のことを名前で呼んでるせいでなんとも変な感じだ。
照さんとか? いや、初対面で下の名前は馴れ馴れしすぎだろう。
チャンプ? お互いに恥ずかしすぎだろ。
あいつが言ってたテルー? 命を大切にしない奴はうんにゃらっていうあのセリフを思い出すな。

どう口火を切ればいいのかわからず俺は手元の水に口を付けた。

照「何か飲む?」

京太郎「あ……えと、はい」

照「コーヒーでいい?」

京太郎「大丈夫、です」

どうにも緊張する。
そもそも女の子と二人でお茶をするなんて初めて……いや、咲は例外ね。
いや、女の子っていうのも何か微妙だ。
相手は年上の人だし、見た目からも『女の子』というより『女性』と言ったほうがしっくりする。
水を持ってきた店員さんに対して穏やかに注文する姿はとても大人っぽく感じた。
年齢としては2歳しか違わないのに、不思議だ。

店員さんが去った後は再び気まずい空気が流れる。
斜向かいの席に座っているおばさんたちの楽しげな笑い声が妙に耳に入ってくる。
目の前の人も同じく落ち着かないような感じだったが、一口水を飲んでから口を開いた。

照「突然呼び出してごめんなさい」

京太郎「いえ、別に……」

照「その、私のこと、知ってる?」

唐突な問いだった。
どういう意図なのか、どう答えるべきなのか。
どんな回答を求めているのか、何を聞きたいのか。
いまいちわからなかったが俺は頷いた。

京太郎「あの、俺からもいいですか?」

照「うん」

その一言を口に出すのは結構勇気が必要だったが何とか絞り出す。

京太郎「咲の、お姉さんですよね?」

俺の問いに少しの沈黙ののち、小さく頷いた。
わかりきっていたことだったが、これで確信に変わった。
確かによく見ると顔立ちとか少し咲に似ている。
ただ、纏う雰囲気は大違いなせいかあまりピンとこない。

店員「お待たせしました」

そうこうしているとちょうどコーヒーが運ばれてくる。
コーヒーは嫌いではないが砂糖なしで飲むほど俺の味覚は子供から脱却できていない。
テーブルの上にあったスティックシュガーをひとつ取り、コーヒーに混ぜていく。
向かいではどこか憂いを帯びた感じでコーヒーにミルクを入れる咲のお姉さんがいた。
普段周りにいる女性陣が絶対にしないようなその表情はちょっとドキッとする。

照「」サラサラサラサラサラ

照「」ドバー

スティックシュガーを5本、ミルクピッチャーに入っていた2人分のミルク全部をコーヒーに投入しているのはちょっと気になるけど。
別に俺は入れないので俺の分のミルクまで使っているのは構わないのだが、甘すぎないのだろうか。
いや、それ以前にあれをコーヒーと呼んでいいのだろうか。カフェオレ? そういえばカフェオレの定義ってなんだろう?

照「」カチャカチャ

コーヒー(?)を混ぜている咲のお姉さんを見ているとふと昔を思い出した。
咲も中学生の時に「京ちゃんが思ってるより私は大人なんだから!」とか強がってブラックコーヒーを勢いよく飲んだ結果、
チョコレートファウンテンの如く口からコーヒーを垂れ流したことがあったな、と。

そんなことを考えていると、俺の視線に気づいたのか、少し顔を伏せたまま口を開いた。

照「今日、来てもらったのは、その……」

そこまで言ってまた口ごもる。
若干の沈黙ののち何か思い悩んだ表情で手元のコーヒーカップに手を伸ばした。
何かを流し込むかのように、咲のお姉さんはコーヒーに口を付けた。

照「熱っ!」

そして、思ったより熱かったのか慌てて口を離し

照「あっ」

勢い余って手まで離し

照「あちちちちちちち!」ガシャーン!

そしてコーヒーは見事に咲のお姉さんの胸のあたりにぶちまけられた。
床に落ちてけたたましい音を立てて割れるコーヒーカップ。
散らばる破片

照「あっつ! あっちゅい!」バタバタ

胸元にこぼれたコーヒーが扱ったのか慌てて胸元をつまみ服を肌から離している。
てんやわんやとはまさにこのことか。
俺は一瞬ポカンとするが慌てて手元のおしぼりを差し出した。
お姉さんはそれを受け取り胸元のコーヒーのシミを必死にこすり始める。
こするんじゃなくて叩かないといけないんじゃと思っていると仕事の早い店員さんが颯爽と飛んできた。

店員「お客様、大丈夫ですかっ!」

照「すみません、大丈夫です……」

店員「すぐに掃除いたしますので!」

照「本当にすみません……」

俺は店員さんが持ってきてくれたおしぼりで机の上を拭きながら、しみ込んだコーヒーと格闘している咲のお姉さんを見てふと思った。

――この人、間違いなく咲のお姉さんだわ。
――血は争えん。

それと同時にこうも思った。

――こぼれたのが水だったら着けている下着ぐらいは見えたかな。

ほら、思春期真っ盛りだし、これぐらいの下心は許してもらえるよね?

俺は机をおしぼりで拭きながらそんな自己弁護に走っていた。

カフェオレはカフェ(コーヒー)とオレ(牛乳)のフランス語
カフェラテはカフェ(エスプレッソ)とラテ(牛乳)のイタリア語(逆だったかも)

15分後、落ち着きを取り戻した俺たちは再び向かい合って座っている。
咲のお姉さんの手元にはサービスで用意してくれた新しいコーヒーがある。

照「それで、来てもらった理由は……」

大変シリアスな面持ちをしているが、胸元に広がる大きなコーヒーのシミがぶち壊しにしている。
白糸台の制服が真っ白ということもあり、大変目立っているのが悲劇以外の何物でもない。
何とも微妙なテンションに陥っていた俺だが、次の一言にはさすがに衝撃を受けた。

照「どうしても、謝りたくて。ごめんなさい」

そう言った後、頭を下げられる。
初対面の女性にこうやって頭を下げられる経験などあるわけがない俺は

京太郎「いや、えっ、ちょっと、へっ?」

当然キョドるわけである。
さっきの騒ぎで微妙に店内の注目を浴びてることもあり焦る。
ほら、さっきはあれだけ騒がしかったおば様方がチラチラとこっちを見ながらヒソヒソ話をしている。
そんな俺の返事を待たず、頭を下げたまま畏まり、重い口調で喋り始めた。

照「須賀君が今どういう状況に置かれているか、っていうのは聞いています」

照「私は妹と長く離れて暮らしているから妹がそんなに荒れてるなんて知らなくて……」

照「昔は気弱だったあの子がどうしてそうなっちゃったかはわからないけど」

照「でも……私が、近くに居たら止められたかもしれない。だけど、それが、出来なくて……」

照「だから、ごめんなさい」

下げた頭をさらに深く下げ、年下の俺に妙に丁寧だが絞り出すような謝罪の声を出すお姉さん。
ここまで言われて俺はようやく理解した。

京太郎「(姉として、妹の行いを謝罪してくれてるってことでいいんだよな)」

京太郎「(……すごく仲が悪いとか、確執があるのかとか勘ぐってたけど、そうでもないのか?)」

そうだとしたらそれはそれで大変喜ばしいことなのだが、そもそも謝る原因が大きな誤解だというのが大問題である。とんだ謝り損だ。
どう訂正したものかと頭を悩ませているとお姉さんはとんでもない右ストレートを繰り出していた。

照「その、私にできることは何でもします。だから……」

ん?
何でもする。
何でもすると言いましたよこのお姉さん。
恐らくはお姉さんとしては、現在の問題を解決するために何でもするっていう意味だろうけど、言っちゃったよ。
性に目覚め、色を知り、一番肉に飢えているこの年代の男の子に何でもすると仰いましたよ。
食事のシーンに定評がある某漫画でも言ってたよね、『強くなりたければ喰らえ』って。
つまり、わかるな?

和が知ったら斬刑に処された後、諏訪大社に必勝祈願の贄として捧げられそうなことを考えること10秒。
俺は脳内に繰り広げられたR-18劇場を若干名残惜しさを残しながら幕を下ろした。

京太郎「頭を上げてください。その、誤解なんですよ!」

照「……えっ?」

頭を下げ続けていたお姉さんはようやく頭を上げてキョトーンとした顔で俺を見てくる。
俺自身、この状況を誰かに面と向かって釈明するのは初めてなので若干混乱していたが、これまでのあらましを話した。

あくまで誤解であり、別に俺自身は虐げられてはいないということ。
せいぜいほかの学校でも下っ端がやるようなことをやっているにすぎないこと。
まぁ、多少からかわれることはあるけど苛められているとか、そういうことはないこと。
ほかのメンバーも別に北○の拳の登場人物やヤクザみたいなそれではなく、いたって普通の女の子であること。
むしろ彼女たちのおかげで俺は楽しく過ごせていること。
たっぷり20分ほどかけて、俺自身なんて説明するべきか若干悩みながらも説いていった。

照「……なるほど、言われてみれば確かにおかしい」

京太郎「よかったです、わかってもらえて」

照「咲が悪魔合体をして人修羅になったとか、冷静に考えればありえない」

京太郎「長野はボルテクス界ではありませんし、アマラ経絡とも繋がっていません」

照「須賀君もオリジナルはもう死んでいて実は3人目だっていう噂もありえない」

京太郎「生憎と人造人間のパイロットでもなければ電光機関の使い手でもないです」

どっかで聞いた設定だが、大方騒ぎに便乗した愉快犯が書き込んだのだろう。
現在流れている噂の9割方がそうだけれども。
と言うより、何故明らかにおかしい噂を信じちゃったのだろうか。

照「でも、よかった」

京太郎「えっ?」

照「さっきの須賀君の話を聞いて思ったけど……咲、みんなで仲良く、楽しくやってるんだ」

京太郎「はい、それは保証します」

中学時代は殻にこもりがちだったアイツが最近は社交的になった。
笑った顔を見る機会だって増えた。
そう考えると麻雀部に誘った俺としても誇らしいものがあり、胸を張ってそう答えられた。

照「須賀君のおかげかな?」

京太郎「俺だけじゃないですよ。ほかのメンバーや、他校のライバルたちのおかげですよ」

照「それでも、ね。ありがとう、須賀君」ニコッ

京太郎「(うぉ……)」

あまり感情の起伏が大きくない人なのか、ほんの口元が笑ったぐらいだったけど、今日初めて見たその笑顔にちょっと落ちかけた。
危なかった、服に広がるコーヒーのシミがなければ即死だった。

照「」モグモグ

京太郎「えーっと、宮永さん?」

照「照でいい」モグモグ

京太郎「じゃあ……照さん」

照「何?」モグモグ

京太郎「ほっぺたにクリームが」

照「」ゴシゴシ

誤解も解け、ひと段落したタイミングで俺たちは現在ホットケーキをつついている。
クリームとブルーベリーソースがかかったそれはなかなかに美味である。
どうやらこの喫茶店の一押しメニューらしく、照さんが奢るから食べたいと訴えたため、相伴にあずかっている。
本当はさっさと会場に向かうべきなのだろうが……。

照「それにしても、そんな噂が広まってるとなると、やりにくくない?」モグモグ

京太郎「はい。遠巻きから見られて白い目で見られるし、対局している人たちは怯えてるし……」

1、2回戦の阿鼻叫喚っぷりを思い出すと思わずため息が出る。
出場メンバーでもない俺ですらこんな始末だから、女性陣の心労はいかほどか。

京太郎「最初は放っておけば沈静化すると思ってたんですけど、なかなか……。少なくともこの大会中は消えそうにないですね」

照「うーん」モグモグ

京太郎「弁解しようにもネットに否定意見書いたところでほかの多数意見に流されて終わりですし、かと言って参加者全員に一人一人釈明するのは無理ですし」

照「なるほど」モグモグ

京太郎「いろいろ部内でも考えたんですけど正直お手上げ状態で」

照「」モグモグ

京太郎「それで……」

照「」モグモグ

京太郎「……」

照「」モグモグ

京太郎「……美味しいですか?」

照「うん」モグモグ

聞いているのかホットケーキに夢中なのかよくわからない照さんは一応返事を返してくれる。
白糸台のレギュラーというのはマイペースな人間しかなれないという決まりがあるのだろうか。

照「わかった」

俺が雀力と性格の因果関係について考えていると、ホットケーキを食べ終えて表情は変わらないけど心なしか満足そうな照さんが口を開いた。

照「正直、私もどうすればいいかわからない。だから私も帰って皆に相談してみる」

京太郎「皆って……」

照「うちのメンバー。ちょうどこの後Bブロックの観戦とミーティングだし」

京太郎「おぉ……」

天下の白糸台のメンバーが解決案を考えてくれるというのか。なんと豪華な。
レギュラーの中の約1名は全くアテにならないが気になるけど、まぁ、それはそれだ。

京太郎「でも、いいんですか? こんな面倒なこと」

照「うちは準決勝終わったから少し時間がある。それに……」

京太郎「それに?」

照さんは少し思い悩むような表情を見せる。
俺は残り1切れになった最後のホットケーキを口に含んでコーヒーで流し込みながら、返答を待った。

照「私は、咲のお姉ちゃんだから。それじゃ理由にならない?」

京太郎「……いえ」

その一言が聞けただけで、少し胸のつかえが取れた気がした。
ここ最近微妙な話ばかり聞いていたので余計にうれしく感じる。

照「ただ、このことは咲には黙っておいて」

京太郎「それはいいですけど……。ただ、その、ちょっとお願いが」

照「?」

京太郎「二人の間に何があったかはわからないですけど……よかったら咲が東京にいる間に、会ってやってくれませんか?」

照「……」

京太郎「咲、口には出しませんけど寂しがってます」

照「……うん」

京太郎「大きなお世話ってのはわかってます。何様だっていうのもわかっています。だけど……お願いします」

照「……わかった」

頭を下げた俺に照さんが返事をしてくれるまでに少し間があったが、肯定の返事が聞けたことにほっと胸を撫で下ろした。
大きなお世話だったかもしれないし、これが火種でまた争うことになってしまうかもしれない。
だけど知らんぷりを決め込むよりはずっとずっとマシなはずだ。
渡りに船とばかりに勢いで言ってしまったが、後悔はない。

照「じゃあ、また私から連絡するから、番号だけ」

そう言って照さんは携帯を取り出す。
妹はいまだに持っていない携帯だが、さすがに都会人は格が違った。
それにしもて、全国に行ったら女の子の知り合い増えるかなーと若干妄想じみた期待をしていたが、まさか叶うとは思わなかった。
色っぽい何かではないけれども、まぁ、それはそれだ。

照「じゃあ、行こうか。そろそろ時間でしょ?」

京太郎「あ、そうですね。そろそろいかないと不味いです」

時間を確認すると大会開始までにもうあまり時間がなかった。
さすがにこれ以上遅れると部長に叱られてしまう。

照「ここは私が」

京太郎「悪いですよ、そんなの」

いくら友人のお姉さんとは言え、会ったばかりの人に奢られるのもどうなのだろう。
そう思い、伝票を持って立ち上がった照さんを慌てて追いかける。
すると照さんは振り返って若干ふんぞり返る感じで口を開いた。

照「いいから、先輩に任せて」フンス

ちょっとドヤ顔というか偉そうな顔というか、その表情が俺に対して偉ぶるときの咲に本当にそっくりで思わず軽く笑ってしまう。
しかたない、ここはおとなしく奢られておこう。
恐らく妹と一緒で、ここでさらに抵抗するとヘソを曲げてしまうだろう。
そう結論付けて俺は照さんにご馳走様です、とだけ伝えた。
そう言うと照さんは満足そうに伝票をレジのお姉さんに差し出した。

店員「お会計2400円です」

照「」ポケットゴソゴソ

照「」カバンゴソゴソ

照「」ポケットパンパン

照「」カバンバサバサ

照「」

照「財布忘れた」

京太郎「……」

照「……」

京太郎「……払っときます」

照「……ごめんね」

京太郎「いいですよ、(妹さんで)慣れてますし」

あの妹にしてこの姉有。
1時間にも満たない逢瀬だったのに、俺内カテゴリにおける照さんのランクが『年上の綺麗な女性』からグーンと下がり
『ポンコツ』(現在のところ咲のみ該当)に落ちて行ったのが悲しい。
現実の非情さと財布へのダメージに俺は涙を禁じ得なかった。

(白糸台控室)

照「遅れてごめん」ガチャ

菫「遅いぞ、照……ん?」

淡「テルー、なんで冬服着てるの? 暑くない?」

照「暑い。けど、コーヒーこぼして制服の替えがなくなったから……」ダラダラ

菫「……昨日カレーこぼしたばっかりだろ」

尭深「一昨日はチョココロネのチョコレートこぼしてましたね」

誠子「つまり全部クリーニングに出したから着替えがなくなったってわけですか」

照「そういうこと」

尭深「(この人は社会に出てちゃんとやっていけるんでしょうか……)」

淡「そう言えば、清澄の須賀、だっけ? 会ってきたんでしょ? どうだった?」

菫「お、おい。聞いてないぞ。昨日の今日で会ってきたのか!?」

尭深「だ、大丈夫でしたか?」

照「うん、何も問題なかった。と言うか……」


(説明中)


誠子「つまり」

淡「すべて誤解だったってこと?」

照「そう」

誠子「現実的に考えておかしい噂もありましたけど、もろもろひっくるめて全て嘘っぱちだったってことですか」

照「そうらしい。ひどい扱いの目撃証言もあくまで仲間同士でのじゃれあいレベルで須賀君も別に怒ってるとかそういう認識はなかった」

菫「そうだったのか……」

尭深「まぁ、冷静に考えれば現実的にありえない話が多かったですし……」

菫「(ん、と言うことは……)」

――前話より――

菫『わかってる。別に後悔をしているわけではない。……だけど、踏みつけるのではなく、それを背負っていくことはできるはずだ』

菫『……さっきの発言を撤回する。ちょっと踏み込んだことを言うぞ?」

菫『妹なんだろう?』

菫『姉として、家族として、できることがあるんじゃないか? 止めてやることも、できるんじゃないか』

――回想終わり――

菫「(あああああああああああああああああ!)」

菫「(は、恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいい!)」

菫「(『妹なんだろう(キリッ』だってああああああああああああああああああああああ!)」

菫「(誰か私を殺せえええええええええええええええ!)」

誠子「先輩は何をもがいてるんだ?」

尭深「さぁ……?」

(5分後)

菫「で、だ。私たちに知恵を出してほしいと?」

照「うん」

誠子「でも、解決案って言われても……」

菫「部として付き合いのある、知り合いの記者に取り上げてもらうか? いや、面白おかしく扱われるのがオチか」

尭深「そう言う意味だと、下世話な雑誌とかにこの騒ぎが取り上げられると取り返しがつかないかも……」

菫「決勝で戦うかもしれない相手だ。できればそういうことは避けたいな」

誠子「やっぱり、一度広まった噂を鎮めるっていうのはなかなか……」

一同「うーん」

淡「へー、阿智賀の監督にプロ復帰の噂ねー。というか元プロだったんだ」パソコンカチカチ

誠子「皆で悩んでるってのに何やってんだ。ほれほれ」ムニムニ

淡「へいじぶぁんみるあいふぁにみへはだへだっへばー(掲示板見る合間に見てただけだってばー)」

照「何を見てたの?」

淡「麻雀関連のニュースに特化したサイト。飛ばしも多いけどなかなか面白いよ」

照「どれどれ……『小鍛冶健夜プロ、熱愛発覚』」カチカチ

尭深「ガセネタですね」

菫「即答はやめてさしあげろ」

照「『咲-saki-第12巻、本日2013年12月25日発売』」カチカチ

淡「皆買おうね!」

尭深「安易なメタネタはちょっと……」

照「『牌のお姉さん。WEBにて麻雀教室の生放送配信決定。新衣装お披露目に期待大』」カチカチ

誠子「荒れそうだなぁ……いろんな意味で」

菫「しかし、淡の言うとおり玉石混合だな。流石ネットと言ったところか」

尭深「あっ」ピコーン

淡「どうしたの? どっかのゲームみたいに頭の上にひらめきの電球マーク出してるけど」

誠子「抜刀ツバメ返し、最後までひらめけなかったなぁ……」トオイメ

菫「なんだその例え……。で、どうした?」

尭深「もしかしたら……この方法ならいけるかもしれません」

照「?」

尭深「かくかくしかじか」


(説明中)

菫「……おい、流石に不味いだろ」

淡「えー面白そうじゃん! 本人に断りを入れれば問題ないでしょ。そう、あれ、毒を持って毒を制す的な」

照「確かに、効果はありそうかも。部員全員を当たれば必要なものは揃えられそう」

誠子「元手もかからないし、まぁ、こっちの負担は少ないか」

菫「本当に上手くいくのか? 私は本人に会ったことないから何とも言えないが」

淡「大丈夫、あいつは何度か会ってるけど、性格上絶対うまくいくって! ね、テルー?」

照「……うん。それは、確かに」

淡「ねー、いいでしょ? 目立つところは私とテルーでやるし」

菫「しかし……」

照「菫」

菫「ん?」

照「お願い」ジッ

菫「うっ……」

照「」ジーッ

淡「」ジーッ

尭深「」ジーッ

誠子「」ジーッ

菫「あー……」

菫「まったく」ハァ

菫「わかった。わかったから、そんな目で見るな。私がまるで悪者じゃないか」

照「よかった、ありがとう菫」

淡「よし、決まりだね! じゃあ、さっそく準備準備ー」タタタッ

誠子「(不安があるとすれば淡が遊び半分だってことか)」

尭深「(大丈夫だよ、きっと、多分、おそらく)」

菫「うーん……」

『今から白糸台の控室に来れない? 何とかする方法を思いついた。PS.必ず1人で来て』

照さんからのメールを受け取ったのは夕暮れ時、ちょうど準決勝が終わるぐらいの時間帯だった。
無事に決勝進出を決めて喜びで沸き立つ控室の中で、俺はそのメールの内容に驚いていた。

京太郎「(朝に話したばかりなのにもう思いつくとはなぁ)」

俺たちがあれだけ悩んだというのにあっさり思いつくとは。
やはり王者は格が違った、と言うやつか。
ただ、引っかかるのは『1人で来て』と言う一文である。

京太郎「(……大丈夫なのか?)」

若干の怖さもあるが、正直俺たちではどうしようもないので縋るしかない。
せっかく決勝戦まで駒を進めたのだ。
何も憂いがない状態で試合に集中してもらいたい。行くしかないだろう。
なんとなく言いづらいのもあり、メンバーにはトイレに行くと言って俺は白糸台の部室を目指した。
朝方の行動も結構疑われこともある。
話を聞いたらさっさと戻らなきゃいかんな。

京太郎「ここ、だよな」

扉に張られた紙には『白糸台高校控室』と書かれている。
別に後ろめたいことをしているわけでもないのだが、ちょっと緊張する。
周りを見回しあたりに人気がないことを確認したのち、扉をノックした。

京太郎「清澄の須賀です」

照の声「どうぞ」

俺はその声に導かれるように控室の中に入った。
部屋の内装はあまり俺たちの部屋と変わらない。
ただ、うちと違いいろいろと物が多い
どこかの差し入れと思われる花の鉢植えや、大きな段ボールなどがけっこう置かれている。
あそこの花とか確か胡蝶蘭だよな。結構なお値段するはずなのに。
流石名門校は違うな、と妙なところで感心した。

照「来てくれてありがとう」

淡「やっほー」

部屋の中には照さんと珍種が一匹。
こいつが白糸台の制服を着て控室にいるのは当たり前の話なのだが、やはりちょっとした驚きを感じる。
そして服と言えば照さんの服が見慣れぬ制服になって居る。
どう見てもあれ冬服だよな?
何とも言えない気持ちを味わいながら2人の向かいの席に座った。

京太郎「それで、解決する方法が見つかったって……」

照「うん。ただ、その前に」

そこで照さんは佇まいを直し、俺の目をじっと見てきた。
思わぬ行動にちょっとたじろいでしまう。

照「解決のために、須賀君にはちょっと頑張ってもらわなくちゃいけない。恥ずかしい思いもすると思う。それでも、聞く?」

真剣なその口調に俺は思わず気圧された。
頑張ってもらう、それはまぁいい。
だけど恥ずかしい思いってなんだ?
いったい俺に何をさせようというんだろう、この人は。
記者会見でも開いて釈明させてくれるとでもいうのだろうか。
それとも俺になんかもう口では言えないぐらい酷いことでもさせて噂を上書きでもさせようっていうのか。

京太郎「えっ……と、俺はいったいどんなことをするんですか?」

照「ごめん。それは理由があって言えない」

京太郎「い、言えないって……」

照「わかってる。だから、こんな胡散臭い話には乗れないというのならそれは構わない」

俺の問いかけを一刀両断で切り捨てる照さん。
ますます脳内には疑問符が駆け巡る。
解決案は知りたいが、内容を知らされずお前ちょっと働けよと言われても正直困る。
まぁ、流石にからかってるとか清澄を貶めるようなことはしない人だと思うけど。
今日初めて会った人だけど個人的にはこの人を信用したい。友達のお姉さ

京太郎「……本当に、その案で解決できるんですか?」

照「うん、大丈夫。須賀君だから、きっと大丈夫」

どういうことだ?
俺だから大丈夫?
意味が分からん。
だが、その自信満々の素振りを見る限り確信があるのだろう。
照さんの顔を見ても動揺しているとかそういうことはなく、堂々としたものだ。
それでもやっぱり、胡散臭いものは胡散臭いし、怪しい。
それはどうあがいてもぬぐえない。

京太郎「(だけど、なぁ)」

きっとこの噂は決勝の時まで残っているだろう。
そうなるとまたいろいろとめんどくさいことになるだろう。
さっきも思ったが、せっかく決勝までこれたんだ。
苦労して必死に掴んだせっかくの決勝へのチケットなんだ。
変な噂でその勝負にケチをつけられるのはあんまりだ。

もし、照さんの言うとおり俺ならこの状況を覆せるというのなら

京太郎「わかりました。俺にできることならします。だからその方法を教えてください」

やるしかないだろう。
多少ワリを食うみたいだけれども、構うものか。

照「わかった」

そう言うと照さんは間を置き、チラチラと視線をさまよわせた後に口を開こうとした。
だが、それを遮るようにあいつがニヤッと笑いながらこちらに口を挟んできた。

淡「ねぇ、ほんとにいいのー?」

京太郎「なんだよ」

淡「だってさー。テルーからいろいろ話は聞いてるけど、噂って大半が嘘だけど一部事実も混ざってるんでしょ」

京太郎「そりゃまぁ、そうだけど」

少なくとも荷物持たせられて走らされたとか、炎天下の中買い出しに出かけたとかは事実だ。
だけど、俺自身はあまりそのことについて気にしてないし、自分から買って出た面だってある。

淡「なんだかなー。そっちは一生懸命部のために頑張ろうって言う気持ちがあるのはわかるんだけどさ」

そこまで言って底意地の悪そうな嫌な笑いを向けてくる。

淡「向こうはどう思ってるのかなー?」

京太郎「……何が言いたいんだよ」

妙に突っかかるような言い方をするのでさすがにカチンとくる。
思わず顔にも出てしまったがそんなことは気にも留めず続けた。

淡「だーかーらー。あんたの好意を向こうは利用してるんじゃないかって言ってるの」

京太郎「利用、って」

照「ちょっと……」

照さんが窘めるように口を挟んでくるが、気も止める素振りを見せない。
むしろより一層悪そうな顔を見せてくる。

淡「どう考えたって向こうは体よく利用してるだけだって。仲間だなんて思ってナイナイ」

淡「たぶん、最初は追い出すつもりでいろいろと押し付けてたけど思ったより使えるから置いといてるとかじゃない?」

淡「女の子ばっかりの中に男一人だからねー。そりゃいいように使われるかー」

何が楽しいのかケラケラと笑いだす。
それとは反対に俺の内心はひどく軋んでいた。
頭がカーッと熱くなってくる。

淡「絶対アイツら陰でバカにしてるよ。いい奴隷だ、とか、下心目的だ、とか」

淡「そんな連中のために体張ることないって。バカバカしいじゃん」

淡「だからさ、部も早いところ辞めるなりしたほうがいいんじゃない? 時間を無駄に使うのもったいないでしょ」

淡「このままだとずーっといいように使われるか、適当なところで放り出されるのがオチだよ?」

京太郎「……」

なんだこいつは。
皆のことをろくに知りもしなくせに。
俺たちがどんな思いでここまで来たのかそれをわからないくせに。

淡「それにしてもそういうことするかなー、普通」

淡「人の良さとか好意につけこむとか最低でしょ」

淡「そりゃ、麻雀の腕はすごいのかもしれないけど人間性はお察しかー」

淡「ついてないね、そんな奴らに出会っちゃったなんて」

淡「いやー本当に酷い連中」ケラケラ

京太郎「……」

ぶつりと、大切な何かが切れる音が聞こえた。

京太郎「……ざけんな」

淡「ん?」

京太郎「ふざけんじゃねーよ!」ガンッ

目の前の机に感情の赴くまま拳を叩きつけた。
2人はびくりと体をすくませていたがそれを気に留める余裕は俺にはなかった。
ここまで腹を立てたのはいつ振りだろうか。
もしかしたら初めてかもしれない。
それぐらい、こいつの言ったことは許せなかった。

京太郎「お前が何を知ってるっていうんだよ! 俺たちの何がわかるってんだよ!」

京太郎「何が利用してるだ! 何が奴隷だ! お前の勝手な思い込みで言いやがって!」

京太郎「そりゃ、男はたった一人だし、初心者だって俺だけだ。だけど、だけどな!」

京太郎「うちのメンバーは……うちの仲間は、そんな理由で人を見下すような、1人をいじめるようなそんな人間じゃねーよ!」

叩きつけた拳が痛む。
どうやらさっき机に叩き付けた際に痛めたらしいが、よっぽど興奮してたせいか今更気が付いた。
だが、それでも俺の苛立ちと怒りは収まらなかった。

京太郎「……大体、俺だって無償の好意で下働きしてるんじゃない。そんな聖人じゃねーよ」

京太郎「あのメンバーたちだから、俺だって頑張ろうって気になるんだ」

京太郎「たった4か月ぐらいだけど、あの部に入れて本当によかったって思える」

京太郎「一人しかいない、しかも男の初心者相手にあれこれ教えてくれて、気にかけてくれて」

京太郎「だから、俺だって部員として皆の、皆のためにしてるだけなんだ」

京太郎「皆に、勝ってほしいから。麻雀では協力できないからせめて他のところで……」

京太郎「頑張ろうって、思っただけなんだ」

入部してからここまでのことが蘇ってくる。
本当に、いろいろなことがあった。
そして、いろいろなことを得た。
言いようのない感情から体が震え、痛む拳をギュッと握る。

京太郎「部長は、俺のことをからかうし、言いように使ってくるけど、それでも男一人の俺が気を遣わなくてもいいようにいろいろ考えてくれてる」

京太郎「染谷先輩だってちょっと飄々としてるところもあるけど、すごく面倒見がよくて、練習がない日は雀荘に連れてってくれていろいろ教えてくれる」

京太郎「和だって、口じゃ厳しいことを言うことも多いけど、一番熱心に教えてくれる。俺が理解するまで何度でも付き合ってくれる」

京太郎「優希も、あいつは口じゃ憎たらしいことばっかり言ってくる。でも、いい奴だよ。ひた向きで、本当にいい友達だ」

京太郎「咲は一番長い付き合いだから、俺がちょっと悩んだり迷ったりしてるとすかさず声をかけてくる。普段はぼーっとしてるくせに」

京太郎「そんな、連中なんだ。お前の言ってるような人間じゃない!」

感情が高ぶりすぎたのか、ここまで言って涙が出そうだった。
別に悲しいことがあったわけではないのに。
とっさに顔を伏せる。

京太郎「皆で、ここまで6人で、一緒に悩んで、一緒に頑張って、一緒に喜んで……」

京太郎「本当に一歩ずつ、躓いたり、迷ったりもしたけど……皆で……皆で……」

京太郎「一生懸命、やってきたんだ。たった6人だけの小さな部活だけど、皆で協力し合って、必死に戦ってきたんだ」

京太郎「それで、ようやく、ようやくここまでやってこれたんだ」

京太郎「それを……」

京太郎「それをっ!」

京太郎「それを、馬鹿にするなっ!」

京太郎「皆を馬鹿にするなっ!」

京太郎「俺にとっての……」

京太郎「大切な、大切なっ」

京太郎「大切な仲間なんだ」

言いたいことを言いきった俺は顔を伏せたまま黙り込んだ。
感情のままに叫び続けたせいか若干呼吸が荒くなった。

照「……ごめん、淡が酷いことを言って」

照さんの謝罪の声が聞こえる。
正直照さんに謝られても腹の虫は収まらない。
だが、反論する気力も使い切ったので黙っていた。

照「須賀君の覚悟、よく分かったから……。これ、私たちが考えた解決方法。読んでみて」

そう言って照さんは机の上にふたつに折られたA4サイズの紙を差し出してきた。
思いがけないことがあったが、そもそも俺がここに来たのはこれが目的だった。
俺は少しの緊張を胸に、恐る恐る紙を手に取り、開いてみた。
そしてそこに書かれていた文字に目を通そうとしたが、それは一瞬で終わった。













『はずれ☆』












「へっ?」

女の子特有の丸っこい字で書かれたその一言の内容が理解できず俺は間抜けな声を漏らしてしまった。
先ほどまでの怒りはどこへやら、状況が理解できず顔を上げた。
するとそこには申し訳なさそうにする照さんと、満面の笑みで笑う大星。
その手にはいつの間に持っていたのだろう、段ボールで作ったであろう簡素なプラカードを持ち、そこにはこう書かれていた。

淡「ドッキリ大成功ーーーーーーーー!」

尭深「だ、だいせいこー!」バサッ

誠子「尭深、恥ずかしいのはわかるけど"う"をちゃんとつけて。いろいろとほら、まずい」バサッ

京太郎「うおぉっ!」ビクッ

大星の叫びと共に近くに置かれていた大きな段ボールのふたがいきなり開き、女の人が二人飛び出してきた。
1人はノートパソコン、もう1人はパソコンにつながっているWEBカメラを手に持っている。
素でビビった俺は情けない叫び声をあげつつ思わずのけ反った。
っていうか何、この状況?

菫「……案の定放心しているな」ガチャッ

そんな状況で扉を開けて入ってきた人がまた一人。
と言うかこの人たち、確か白糸台のレギュラー陣だよな?

京太郎「……あ、へ、その、ドッキリ?」

照「ごめん、須賀君を怒らせたのは、わざと」

淡「いえーい!」

菫「お前は煽りすぎだっ」ベシッ

京太郎「わざ、と?」

照「うん。須賀君の、演技でもなんでもない心からの気持ちを聞きたかった。須賀君がどれがけ部を大切に思っているのかっていうのを」

何故? Why?
わざとって何?
つーかどういう事よ?
何でそんなことをするのよ?
理解が追い付かない俺の脳みそはそろそろフリーズを起こしそうだった。

菫「まず、騙すようなことをしてしまったことを謝罪したい。人に訴えかける姿を撮るにはこういう手段を取らざる得なかった」

京太郎「な、なんでそんなことを?」

菫「当然の疑問だな。で、それについてもう一つ謝らなくちゃいけないんだが……」

そういうと髪の長いその人はちらりと段ボールから飛び出してきた人たちのほうを見て申し訳なさそうに告げた。
先ほども言ったがその手にはパソコンとWEBカメラ……待て待て待て! パソコンとWEBカメラ!?

菫「君が『俺にできることならします』って言った後からずっと、君の姿をUs○reamで生配信をさせて貰っていた」

淡「もちろん掲示板でもURL付で宣伝してるよ!」

京太郎「」

これはさすがに殴っていい

(そのころの清澄)

まこ「鶴賀の部長が慌てて電話かけてきてこれを見ろとURL送ってきたから見てみたら……」パソコンカチカチ

咲「……京ちゃん」

優希「……ばーか」

久「まったくもう、何かこそこそとしてるなぁとは思っていたけどこんな事たくらんでたのね」クスクス

和「でも、どう見ても台本とかじゃなくて素ですよ、コレ。……まぁ、だからこそちょっと気恥ずかしいですけどね」

まこ「誰が考えた筋書きか知らんが……まったく。流石にここまでのものを見せられちゃそう悪く言うやつはおらんじゃろ」

久「あーあ、もうほんと。やってくれるわね。誰だかわからないけど、文句言わなくちゃ」

優希「そうだじぇ! うちの部員を騙した罪は重いじぇ!」

和「ですね。そもそも、肖像権の侵害ですよこれは!」

咲「(……言葉の割にはみんな嬉しそう)」

咲「(私もだけど)」クスッ


(そのころの姫松)

恭子「これって、奴隷って噂されてた子、やな?」

洋榎「せや。……この子の言うとること、ホンマか?」

漫「嘘には、見えませんでした。……つまり」

恭子「全部デマやった言うことか。土下座し損やん……」

絹恵「あ、あははは……」

由子「」コーホー

洋榎「というかいつまでそれ着とるんや」

漫「気にいったん?」

由子「」ノーヨー


(そのころの宮守女子)

エイスリン「ヤッパリ、ウソ!」ニコニコ

胡桃「エイスリンさん、前はあんなに怯えてたのに随分変わったね?」

エイスリン「アノ人、優シカッタ!」

塞「そういえば試合後は普通に話しできてたね」

エイスリン「ウン」ニコニコ

胡桃「それにしても、嘘だったなら私は結構ひどい態度とっちゃったな……」

豊音「私、泣いて土下座しちゃった……恥ずかしい……」

白望「(そもそもなんでみんな最初っから信じてたんだろう)」

白望「ダルい」

>>904
でも『何でもします(意訳)』って言っちゃったし、中心人物の心からの台詞だから効果抜群だろうし怒るに怒れないでしょ

(そのころの永水女子)

小蒔「あの……霞ちゃん?」

霞「」

巴「……ダメ、完全に魂が抜けてる」

初美「そりゃ、あれだけ啖呵切ったのにそれがそもそも勘違いだったとしたら」

春「恥ずかしさで立ち直れない……」ポリポリ

霞「」ガタガタ

小蒔「あぁ、霞ちゃんが! 霞ちゃんが!」

初美「これは立ち直るのにしばらく時間がかかりそうですよー」

霞「スミマセンスミマセンスミマセン」ガクガク


(そのころの阿知賀)

憧「」

隠乃「」

玄「」

灼「あー……」

宥「えっと、いい子だね、この子」

憧「でも、それってつまり、全部ガセネタだったってことだよね?」

晴絵「さすがにこの子の叫びが嘘とは考えにくいね」

灼「それに、冷静に考えれば信憑性に欠ける話ばっかりだった」

隠乃「ネットって怖い……」

玄「うぅ、信じちゃったことに反省」

憧「(あああああああああああああ、噂にかこつけていやらしいこと考えたああああああああああああああああああああああああ)」ブンブン

晴絵「決勝近いのに、大丈夫かねこれ……」


(そのころの新道寺)

煌「あー! あー!」ジタバタジタバタ

仁美「花田、どうしたんです?」

美子「さっきからソファーに寝そべってクッション被ってじたばたしてますけど」

姫子「あー、さっきの生放送? あれで清澄の噂が嘘ってわかったやろ? それでいろいろ自己嫌悪とか恥ずかしさとかで死にたくなっちょるみたい」

哩「花田、しっかりしろ」

煌「うー」ギュッ

哩「ほら、クッションから手ば離せ。勘違いだったんはしゃあないちゃろう」

煌「はい……」オズオズ

哩「なぁ、花田。うちとしても敗退したことは悔しいが、今回の大会で収穫はあったと思っちる」

煌「えっ?」

哩「花田、チャンプから3倍満打ち取ったじゃろ? それに、後半はすさまじい追い上げみしぇたしな」

煌「あれは……なんというか、無我夢中で。あはは、たまたまです」

哩「ふむ?」

哩「(……少し叩いて鍛えれば、変わるかもしれんな)」

――翌年度、恐るべき粘り強さと土壇場の火力の高さで全国に花田煌という名前を轟かすことになる
――かどうかは誰にもわからない

淡「と言うわけで配信はここまでー。見てくれた人ありがとー」フリフリ

照「これを見てくれた人なら、あの噂が根も葉もないものだっていうのは、わかってもらえると思う」

菫「彼らとて、必死に戦ってここまでやってきたんだ。つまらない噂で彼らの努力に水を差すのはやめてあげてほしい。各自の良心に期待する」

淡「それじゃー、バイバイ!」

尭深「……はい、今配信を止めました。もう大丈夫です」カチカチ

誠子「ふぃー、肩こった。段ボールの中狭いから」

菫「やれやれ、こういうことはこれっきりにしたいな」

京太郎「あの……」

放心&置いてけぼりのダブルコンボの俺はしばらく口を閉ざしていたけど放送が止まったと聞いてようやく口を開いた。
この部屋へやってきて30分も経っていないのに怒涛の展開すぎるだろう。

照「改めて、ごめんね。騙すような真似をして」

京太郎「いえ、その、そんな」

正直怒るべきかどうなのか判断が付きかねていた。
恥ずかしい思いをするとは聞いていたが、まさか全世界に醜態を晒すことになるとは思いもしない。

菫「動揺するのはわかる。無茶苦茶な手段だしな。咎められても文句は言えないな」

尭深「ん……ただ、やっぱり結構な効果があったみたいですよ。掲示板見てるんですが結構な騒ぎになっています」

誠子「どれどれ。『感動した』『私は最初っから嘘だと信じていた』『つーかそもそもこの話言い出したの誰よ』 ……手のひら返し早いなぁ」

尭深「結果的にウチがこの放送をしたことがある程度の説得力を持たせたみたいですね。それでも悪く言ってる人はいますけど、少数派ですね」カチカチ

京太郎「そう、ですか。……それは、よかった」

いろいろ腑に落ちないものはあるがこの状況に一撃を加えてくれたことには感謝しなくちゃいけないだろう。
照さんの確認に「体張っても恥ずかしい思いをしてもいい」と返してしまった手前、強く出れないというのもある。

考えてみれば既に俺の名前、学校、顔写真までネットに出回っていたんだ。
それらは噂が沈静化したところで消えないわけでして。
今更ひとつ動画が増えても大して状況は変わるまい。
嫌な話だけど。

菫「しばらくは注目を浴びるかもしれないが、悪い感情は持たれないだろう」

照「本当に、上手くいってよかった」

それにしてもだ。

京太郎「その、もし俺が皆を悪く言われたときに何も言い返さなかったらどうしたんですか?」

照「そんなことは考えなかった」

京太郎「そんな無茶苦茶な……」

即答である。
おいおい、ちょっとそれはノープランすぎやしないか?
そう口に出そうと思ったが照さんは自信を帯びた口調で続けた。

照「須賀君が喫茶店で私に対してあの噂が嘘だって説明してくれた時の必死さと真剣さを見て、本当に仲のいい部だっていうことはわかったから」

照「絶対に反論してくるだろうって、確信していた」

淡「そーれーにー、あれだけ負けて顔真っ赤にしてる奴がそんなに気の長い奴なわけないじゃーん。絶対ガチギレすると思ったよ」ケラケラ

今までパソコンをいじりまわしていた大星がにやにや笑いながら口を挟んできた。
相変わらず憎たらしい奴め。
反論できないけど。

しかし、大星はともかく照さんとは今日会ったばかりだっていうのに俺と言う人間がいろいろ見透かされてるのにちょっと驚く。
やはり麻雀強い人と言うのはどっかそういう感覚が鍛えられているのだろうか?
まぁ、騙された感はあるし気恥ずかしさもあるけれど、結果が出たのならこれ以上どうこう言うこともあるまい。
ならば、言うことは一つだ。

京太郎「まぁ、その、すっごい無茶苦茶な手段ですし、これ訴えたら勝てるんじゃないかって気もしますけど」

尭深「(ぎくっ)」

京太郎「でも、効果はあったみたいですし……だからその、ありがとうございました。わざわざ俺たちのために」

菫「構わんさ。照の頼みだったし、何より決勝で戦う相手だ。盤外の事情で勝負に水を差すのは本意じゃない」

何この人男前。
これが王者の風格っていうやつですか。
全力を受け止めた上で叩き潰すとかいうそういう横綱相撲的な。

照「それに頑張ったのは須賀君だから。私たちは少し協力しただけ」

俺はただブチ切れて喚いていただけなのだが。
しかし、冷静に考えるとそんな姿をたくさんの人に見られたわけだ。
落ち着いてきて、今更ながらすごく恥ずかしくなってきた。

淡「ふふー、なかなかいいキレっぷりだったよ」

京太郎「こいつ……」

また何か突っかかってくるのかと思ったけどいきなり神妙な顔をしてこっちを見てくる。
思わずぎょっとして二の句が継げなくなってしまった。

淡「仲間をあんなふうに言われたら誰だって怒るよね。フリだったとはいえごめんね、酷いことを言って」

そう言って頭を下げてくる。
……この卑怯者め、そう素直に謝れると何も言えないではないか。
こういうタイプの人間が殊勝に謝ってくると効果は絶大だとひしひしと感じた。

京太郎「いいよ、別に。もう気にしてねーし」

淡「うん、よかったぁ!」

結局あっさり許してしまう自分のチョロさに若干自己嫌悪を覚える。
俺はちょちょぎれそうになる涙をこらえながら、これから控室に戻るのにどういう顔をして戻ればいいのか頭を悩ませていた。

以下エピローグですが、なんかちょっと重いのも思いのほか投下に時間がかかったためちょっと休憩させてください。
24時過ぎぐらいから投下します。

ご意見等はもちろんあると思いますが、一度書いた作品は何とか書き切りたいと思います。
続き投下しますー。

(エピローグ)

あの後、噂は比較的速やかに収束していった。
あの生配信はどこかの誰かに他の動画サイトへ転載されてあれを見ていなかった人の目にも触れることになったのも一役買っている。
ちなみに転載を知った俺は削除申請の仕方を一時生真面目に調べたりもした。
っていうか誰だこの動画を使ってMAD動画を作りアップした奴は。
先生怒らないから名乗り出なさい。

……話が逸れた。
で、噂は沈静化されたが清澄高校麻雀部はしばらく注目を集めた。
全国決勝に進んだ時点で注目を浴びるのは当たり前だけど、何故か俺にまで注目が集まったのは言うまでもない。
とは言え、以前のように怖がられたり逃げられたり敵意を向けられたりと言った類のものではないので、比較的気は楽だったが。
全国大会決勝もようやく怯えられることもなく、敵意を向けられることなく、普通の試合になったのは大変喜ばしかった。
体を張った甲斐もあるというものであろう。

そんな全国大会も終わってしまえばあっという間に日常に逆戻りだ。
長野に帰って道端とかで噂とかされないかと思ったが意外とそんなこともなかった。
人は他人の顔なんぞはよく見ていないものなのだろう。
……新学期に入ってから友人の何人かにはからかわれたけどな。
そんなわけで日常生活に大きな変化があったかと言われるとそんなことはなかった。
いつも通り学校に行き、勉強をして、放課後は麻雀をする日々である。
何も変わらない。
ただ、大きな変化はなかったけど小さな変化はあった。


照さんや石戸さんとは時々メールをしている。
近況やお互いの住んでいるところの話なんかが主で、胸がときめくような展開ではないけれども。
冬の休みで練習試合でもしようかと言う話がまとまりそうなのでちょっと忙しくなりそうだ。
距離が距離なのでちょっと大変かもしれないけど。


あいつ、大星とは時々一緒にゲームをしている。
最近のネットの発達は偉大で東京と長野と言う距離でもネット環境さえあれば対戦ができてしまう。

淡「ウロボロス伸ばしちゃうwwwwwww0って書いてあるのが見えないのwwwwww」ガチャガチャ

京太郎「うるせー! ラグだラグ!」ガチャガチャ

まぁ、こんな感じでs○ypeを繋いでお互い罵りながらゲームをしたり時々ネト麻を一緒にしている。
……喧嘩しているわけじゃないよ?

そんなわけで大きな変化なんて特に何もない。
ほかの部員だってそうだ。
今までの通りにそれなりに仲良くやっている


(ある日の部室)

まこ「京太郎、あの牌譜じゃ……だけど」

京太郎「?」

まこ「う、あー、コピーってとって……くれない?」

京太郎「いや、それはいいんですけど」

まこ「なんじ……なぁに? 何か、おかしい……?」

京太郎「……そんな無理しなくても」

まこ「わ、た、し、別に無理なんか……」

京太郎「さっきからまともに喋れてないじゃないですか」

まこ「やかましい! あっ、しまった……」ガックリ

京太郎「どうしたんですか突然? いきなりしゃべり方変えようとして」

まこ「……別に。大した理由じゃないわ」

京太郎「その、可愛げないとか、地味とか、いろいろ書かれたのは気にしてます?」

まこ「口に出すなアホッ!」ガーッ

京太郎「す、すんません」

まこ「だから、大した理由じゃないって言うとるじゃろ? 標準語は喋れて損はないけぇ」プイッ

京太郎「そうですか……」

まこ「」ツーン

京太郎「その、先輩?」

まこ「なんじゃ?」ツーン

京太郎「俺、先輩の広島弁、好きですよ。だから聞けなくなるのはちょっと寂しいと言うか」

まこ「……」

京太郎「まぁ、どうしても直したいって言うなら、その、止められないですけど」

まこ「……」

京太郎「部活の間中ぐらいはいつもの喋り方でいてほしいかなー、なんて」アハハ

まこ「……アホ」クスッ

(またある日の部室)

京太郎「お疲れ様でーす」ガチャッ

久「わーーーーーーーーーーー!」ズザッ

京太郎「うあっ! びっくりしたっ!」

久「あっはっは! 須賀君は相変わらずいいリアクションね」

京太郎「……何やってんすか。っていうか受験勉強はどうしたんですか?」

久「今日は休憩?」

京太郎「なんで疑問形なんですか。そんなこと言って一昨日も来てましたよね?」

久「須賀くーん、お茶入れてー」

京太郎「聞いちゃいないし……まったくもう」カチャカチャ

久「皆は?」

京太郎「家の都合やら補修やらで皆遅れてくるらしいですね。……はい、どうぞ」

久「ありがと。んー、須賀君のお茶を淹れる腕はもう部内1ね」ゴクゴク

京太郎「そこを褒められても何にも嬉しくないっす」

久「ごめんごめん。感謝してるわよ。須賀君」

京太郎「はいはい、どーも」

久「何そのリアクション。せっかく感謝してるのに」

京太郎「今まで何度も痛い目見てるんで先輩不信にもなりますよ」

久「あららー。すっかりひねくれちゃって」

京太郎「教育の賜物です」

久「はいはい……ねぇ、須賀君」

京太郎「何ですか?」

久「皆で秋の連休に旅行でもいかない? 紅葉でも見に」

京太郎「旅行かぁ……。これからの時期だと紅葉狩りとかですか」

久「紅葉もいいけどシーズンだしリンゴやブドウもいいかもね」

京太郎「おぉ、いいですねそれ!」

久「ん、決まりね。皆で楽しい旅行にしましょ」ニコッ

(またまたある日の部室)

咲「えーっと、これが……うー」スッスッ

京太郎「だからガラケーにしとけって言っただろ? 無駄に最新型のスマホなんて買いやがって」

咲「だってぇ。LINEとかやってみたかったし……」

京太郎「ほら、見せてみろ。まずはこっからソフトをダウンロードして……」

咲「だ、大丈夫? ウィルスとかじゃない?」

京太郎「いちいちんなこと気にしてたら何にもできないっつーの。ほら、インストールできたぞ」

咲「や、やった!」

京太郎「後はいろいろ登録とかして……そう言えば照さんの携帯番号とかは聞いてるのか?」

咲「うん、ここメモがあるよ!」

京太郎「待て待て。メモリ登録してないのかよ」

咲「何度も挑戦したんだけどうまくできなくて……」

京太郎「お前本当に現代の女子高生か?」

咲「うー……京ちゃんのいじわる」

京太郎「ほらほら、手打ちするのもめんどくさいだろ? 赤外線で照さんの番号とアドレス送ってやるから」

咲「せきがいせん? あのコタツとかの?」

京太郎「」

咲「きょ、京ちゃん。『こいつ駄目だ……早く何とかしないと……』みたいな顔で見ないで」

京太郎「……せっかく照さんとメールできる環境になったのにいつになったら送れるんだろうなー」

咲「が、頑張るもん! 最近やっとメールソフトの起動の仕方がわかったし!」

京太郎「前途多難すぎるだろ……まっ、頑張るか。せっかくお姉さんと話せるんだもんな」

咲「……うんっ!」

(またまたまたある日の部室)

優希「おーっす。って、京太郎だけか」

京太郎「よぉ。咲は図書館に本を返しにってるからもうちょっとしたら来るぞ」

優希「そっか。京太郎は何を読んでるんだじぇ?」

京太郎「んー? 和にもらった指南本。なかなかためになるぜ」ペラッ

優希「ふーん」

京太郎「……」ペラッ

優希「……」

京太郎「……」ペラッ

優希「……」

京太郎「……(いつもだったらちょっかい掛けてくるのに静かだな)」ペラッ

優希「……なぁ、京太郎」

京太郎「ん、どうした?」パタン

優希「全国大会の時に流れてたあの噂……」

京太郎「?」

優希「あの噂、元凶の一つは恐らく私だじぇ」

京太郎「えっ!?」

優希「長野合同合宿の時、京太郎が牌譜を届けに来ただろ?」

京太郎「あぁ、行ったけど?」

優希「あの時、風越のキャプテンと池田に京太郎の彼氏が咲ちゃんかってからかわれたんだじぇ」

京太郎「おいおい、そんなことあったのかよ……」

優希「……その時、京太郎は咲ちゃんの彼女じゃなくて、ウチの部活の犬だ、みたいなこと言っちゃった」

京太郎「えっ……」

優希「多分、そこから広まった噂もあると思うじぇ。その、ごめん、京太郎」ペコッ

京太郎「別に今更謝られてもしょうがないし。別にもう気にしてないけど……つか、なんでそんなこと言ったんだ?」

京太郎「まぁ、お前が犬犬言うのは今に始まったことじゃないけど」

優希「……その何だかムカッときて」

京太郎「えっ?」

優希「何で腹が立ったのかは今でもわからないんだじぇ」

優希「ただ、その、京太郎が咲ちゃんの彼氏って扱いされてて、そういわれてあたふたしてる咲ちゃんを見たら……」

優希「黙って聞いてるのがどうしても嫌で、我慢ができなくて……」

優希「つい、言っちゃったんだじぇ」

京太郎「……そか」

優希「……軽蔑したか?」

京太郎「ん、そんなことねーよ」

優希「うん……なあ、京太郎」

京太郎「何だ?」

優希「……ありがとう」

京太郎「……おう」

まぁ、こんな感じで特に大きな変化はない。
皆で仲良くやっている。
部長はあと半年もしたら卒業してしまうし、来年になれば後輩もできるけど、これからも上手くやっていけると思う。
多分、なんとなくだけど。

和「須賀君?」

京太郎「ん、おぉ。和、来てたのか。早く来すぎてちょっとボーっとしてた」

和「咲さんとゆーきは2人そろって寝坊で1時間ほど遅れるそうです。まったく、大会が終わったからってたるみ過ぎです!」

京太郎「まぁまぁ、久しぶりの土曜練習だししゃーないだろ」

和「でも、今日は染谷せ……部長はこれはこれませんし、二人が来てくれなくちゃ麻雀になりません」

京太郎「んじゃ、しばらく二人でお勉強でもするか?」

和「そうですね。じゃあ、牌譜を……」

そう言いながら和は立ち上がって棚の牌譜に手を伸ばしたが、突然その動きがぴたりと止まった。

和「そっか。今、二人だけなんですよね。……そっかぁ」

京太郎「和?」

断片的に聞こえたその言葉について聞こうとする前に和はこちらを振り返った。
手を後ろに組み、普段しないようなどこかぞくっとする笑みを向けていた。

和「大会中は、いろいろ大変でしたよね」

京太郎「ん、あ、ああ。まぁ、な」

和「須賀君には感謝してます。私たちのためにいろいろ頑張ってくれて」

京太郎「な、なんだよ改まって」

あの生配信のことについてはひとしきりいじられた後、皆それ以降触れないようにしてくれていた。
精神衛生的にも大変助かっていたが、久しぶりにその話を持ち出されてちょっと動揺する。

和「酷い話でしたよね。私が女王様みたいな扱いで須賀君をいじめてるとか」

京太郎「あぁ、まぁ、な」

和は突然何を言い出しているんだろう。
話の流れが全く読めないが、なぜか背筋が冷える気がした。

和「私、最初それを見たときはすごく腹が立ったんですよ。私がそんなことするわけないって」

そこまで言い切った後、でも、と繋げた。
悪い予感がする。何故だろう。ただ話をしているだけなのに。

和「でも、掲示板の投稿の中にはよくできた書き込みとかもあったんですよね。もちろん捏造ですけど、私が須賀君をどう苛めているのか事細かに書いたものとか」

和が一歩近づいてきている。
まずい、何かわからないけどまずいことが起こる。

和「で、掲示板をチェックするとどうしてもそういうものが目に入っちゃうんですね」

立て。立って逃げろ。
もしくは口を開け。拒絶しろ。
そうしないと、まずいことがおこる。きっと。

和「そういう物を読んでいると……とってもいけないこととなのに。そんなの普通じゃないってわかってるんですけど」

和が笑う。
そんな顔で笑えるんだな、お前。

和「すごく、すごくドキドキしたんです」

何故、そんな顔をするんだろう。
あぁ、そんな顔をされたら、逃げられない。
拒絶できない。

和「私のこと軽蔑しますか?」

反射的に首を横に振ってしまう。
あぁ、何故俺はここで首を横に振ってしまったのだろう。

和「よかった。……ねぇ、須賀君?」

京太郎「なん、だ?」

和「私、自分で思ったいたよりずっとずっといけない子なのかもしれません」

和「最近気が付けば恥ずかしいことばかり考えている自分がいるんです」

和「最初は考えないようにしていたんですけど、でも、どうしよもないんです」

和「だから、これから須賀君に対して酷い姿を見せるかもしれません」

和「とんでもないことを口走ったり、考えられないようなことをしてしまうかもしれません」

和「……それでも、やっぱり失望しないでいてくれますか?」

やめろよ。
さっきまではあんな、あんなぞくりとするような顔で笑ってたくせに。
何で今度はそんな縋り付くような顔をするんだよ。
捨てられた犬が見つめるような、親の愛が欲しい子供が見るような。
何でそんな目で見るんだ。
そんな顔されたら……

京太郎「大丈夫、失望したりしない。絶対に」

こう、言ってしまうじゃあないか。

和「ありがとう須賀君! とっても嬉しいです!」

和「だから、これからも、『よろしく』お願いしますね」

京太郎「……あぁ」

花のような笑顔の中に隠しきれない多幸感が浮かんでいる。
俺は不安の感情の中にわずかな期待の感情が芽生えたことに驚いていた。



前言撤回、これから先には何やら大きな変化が待ってそうな気がする。
まぁ、でも、みんなで仲良く、やっていける……よね?


――おまけ――

(白糸台打ち上げ会場)

菫「ん、全員渡ったな。それでは全国大会お疲れ様。乾杯!」

一同「かんぱーい!」

ワイワイガヤガヤ

淡「いやー、あの時うまくいってよかったね!」

照「うん、よかった」

菫「全く……上手くいったからいいものを場合によっては大問題になっていたぞ?」

淡「結果オーライオーライ! 終わりよければすべてよし!」

菫「まぁ、結果としてまとまるところにまとまったから良しとしようか」

誠子「もう段ボールの中に隠れるのは勘弁してほしいですね」

尭深「私も……」

pipipipi...

照「ん、咲からだ」カチカチ

菫「おぉ、ようやく普通に送ってくるようになったのか。よかったな」

淡「携帯持ってない子っているんだねー。いまどき」

照「でも最近は慣れてきたみたいで……」カチカチ

照「……」

照「……!」

照「菫。今、咲から聞いたんだけど」

菫「ん? どうした」

照「これ……」

菫「ん? これってあの例のコミュニティサイト……」

【影の支配者】白糸台を語るスレpart236【暗黒皇帝】

菫「oh...」

投下は以上になります。
本当に投下感覚をあけすぎてしまって申し訳ございませんでした。
今夏の反省としてはやはりある程度勢いの中で書ききった方がいいなというのは痛感いたしました。
プロットやメモを取っておいたとは言え間が空くと行間がどんどん頭の中から抜けていき酷いことに……。
結果として起承転結の結が強引な展開になったことは反省しております。もっと精進いたします。

沢山のご意見、ご感想ありがとうございました。
咲SSはこれからも書いていくので次スレ以降もよろしくお願いいたします。

軽い思い付きでコメディやギャグに挑戦しようと思ったけどやっぱり難しいっすな……。反省。
次回作はまたシリアスを書くか単発の安価スレでも立てようと思います。

そしてスレも余ってるので、微妙に女王様のどっちが評判のようなので本編に入れようと思ったけど
省いた女王様シーンを本編後って形でリファインしてみましたので投下します。

オマケのオマケってことで

「一度、男性を踏んでみたいと思ってるんです」

ある日、和は俺にそういった。
今日はテスト前で部活がない日だ。
みんなそれぞれ家に帰って勉強しているだろう。
だが、俺はどこか不思議な確信があって部室に立ち寄った。
そしてそこには思っていた通り、和が居た。

「……今日はそう来たか」

あの全国以来、和は時折こういった欲求を俺に吐露してきた。
そして俺はできる限りでその欲求を叶えてきた。
あの時にした『約束』にそこまでは含まれていないはずなのに。
何故か俺は和に対して体を捧げると言っていいほどの献身を見せている。

「……」

欲求を吐き出した後の和はいつも黙りこくっている。
俺の言葉を待っているのだ。
恭順か拒絶か。
彼女はいつもどの言葉を待っているのだろうか。
結果として俺はいつも彼女に対して恭順の意を示してしまっているが。

ふと思う。
もしかしたら止めてほしいのかもしれない。
どんどん深みに嵌っていくこの感覚はきっと和も味わっていることだろう。
いずれ、取り返しのつかないところまで足を踏み入れてしまうことにわずかな恐れがあるのかもしれない。

よくわかる。
俺も同じ感情を抱いているからだ。
自分がどんどん変わっていくのがわかる。
どんどん『普通』から外れていくのがわかる。

だからこそ、俺は和を拒絶したりはしない。
ここまで来ておいて1人引き返すというのは無しだろう。
和は俺が普通に生きていれば気付かなかったであろう感情に気づかせてしまった。
それだというのにいまさら引き返したいだなんて、許せない。

「……」

だから俺は和の欲求をすべて叶える。
あぁ、もしかしたら俺はもうすでに『取り返しのつかないところ』に来てしまっているのかもしれない。
ならば和も、責任を取ってこっちまで来てほしい。

俺はゆっくりと和の前で跪いた。
額を地面にこすり付け、和の足元に自分の頭を差し出した。

「……これでいいか?」

「んっ……くぅ」

和がどこか息苦しそうな、艶めかしい息を漏らした。
一体どのような顔をしているのだろうか。
背中に目があったらいいのに、と真剣に思った。

「何、考えているんですか」

俺の後頭部に言葉をぶつけている。
字面だけ見れば嫌悪の感情が見て取れるだろう。
だが、彼女の言葉に乗せられた感情にはそんなものは欠片もなかった。

「こんな、私にちょっと言われただけで土下座するなんて」

「プライドがないんですか?」

和が俺をなじってくる。
だがその言葉に対して怒りも感じなければ喜びも感じなかった。
ただ、俺をなじることで自分が正常だということを保とうとしているだけだ。
いつものことだ。
直に、変わる。

「頭がおかしいんじゃないですか?」

「こ、こんな、こんな……」

「自分から踏んでください、って頭を下げるなんて」

……そろそろか。

「ふ、普通は、こ、こんなこと、しません、よ」

「わ、私が、相手じゃなかったら、警察呼ばれても、文句言え、言えませんよ?」

「本当に、ほ、本当に」

「ん、くぅ……はぁ……はぁ……」


「本当に、最ッ低……!」

……スイッチが、入ったな。
その確信と共に後頭部に加わる重み。
和が足を乗せてきたのだろう。
後頭部はデリケートな部位だ。
ボクシングでもここを殴るのは許されていないぐらい、危険なところだ。
だが、そこを和に晒すことは何の抵抗もなかった。

「どうですか。踏んでみましたよ?」

「苦しくないんですか? 悔しくないんですか?」

「こんな、こんなことが嬉しいんですか?」

あぁ、今の和はどれほどとろけきっているのだろう。
その表情を見たい欲求に駆られるがそれは許されない。
今、俺が彼女に対してできることはただ望む物を差し出すだけだ。

「何とか言ったらどうなんですか?」

「ねぇ、須賀君! ねぇ!」

語気を荒げるとともに踵をこすり付けてくる。
後頭部に走る痛みとともに俺は下半身の熱を感じた。

和は気づいているだろうか。
自分がどれほど熱い息を漏らしているのか。
どれほどその言葉の節々に喜びの感情が溢れているか。
お互いが同じ感情を共有していると確認できるこの感覚は不思議と麻薬めいた快楽を俺と、恐らく和にもたらしていた。





あぁ、もう




戻れない

こんなのを本文中に盛り込もうと思いましたがもはやこのスレ何スレだかわからないね、ってなっちゃうのでカットしました。
一度SMエロみたいなのも書いてみたいけど描写を結構ねちっこく書かなきゃいけないからなかなかハードルが高い……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月10日 (木) 14:04:53   ID: zP4TThlj

キモ、あんだけ女子に囲まれてちょっと雑用やらされたからって被害者ぶってんじゃねーよ
他にもっと不遇な奴はいるだろうが

2 :  SS好きの774さん   2013年11月08日 (金) 18:28:44   ID: uHOfm6Ir

百合豚には気持ち悪い奴がいると聞いたが、
こういうのを言うのかな?

3 :  SS好きの774さん   2014年01月14日 (火) 15:36:29   ID: t6OFD0HV

自分が男なのに男を否定する百合豚www

4 :  SS好きの774さん   2014年03月07日 (金) 02:51:47   ID: KDblRzmL

日本語が読めない百合豚の脳みそはボロボロ

そっ閉じしろっつてんのにわざわざ叩きにくるのはいかにもお隣の国みたいだなあ
もう霞タグであっ(察し)

5 :  SS好きの774さん   2014年11月30日 (日) 18:31:17   ID: nmn3D19Y

冒頭だけでも読めば米1みたいな感想でないはずなんだけどなあ

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